衆議院

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第4号 平成29年5月10日(水曜日)

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平成二十九年五月十日(水曜日)

    午後二時十分開議

 出席委員

   委員長 竹本 直一君

   理事 あべ 俊子君 理事 岩屋  毅君

   理事 奥野 信亮君 理事 神田 憲次君

   理事 山下 貴司君 理事 落合 貴之君

   理事 牧  義夫君 理事 佐藤 茂樹君

      今枝宗一郎君    鬼木  誠君

      門山 宏哲君    小松  裕君

      今野 智博君    坂本 哲志君

      白須賀貴樹君    助田 重義君

      寺田  稔君    長尾  敬君

      平沢 勝栄君    牧原 秀樹君

      宮内 秀樹君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    山本  拓君

      和田 義明君    岡田 克也君

      吉良 州司君    黒岩 宇洋君

      篠原  孝君    田島 一成君

      馬淵 澄夫君    富田 茂之君

      中野 洋昌君    大平 喜信君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

      椎木  保君

    …………………………………

   参考人

   (衆議院議員選挙区画定審議会会長)        小早川光郎君

   参考人

   (衆議院議員選挙区画定審議会会長代理)      久保 信保君

   衆議院調査局第二特別調査室長           荒川  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     宗清 皇一君

  牧原 秀樹君     谷  公一君

  黒岩 宇洋君     井坂 信彦君

  國重  徹君     中野 洋昌君

  富田 茂之君     赤羽 一嘉君

  穀田 恵二君     大平 喜信君

同日

 辞任         補欠選任

  谷  公一君     牧原 秀樹君

  宗清 皇一君     古川  康君

  井坂 信彦君     黒岩 宇洋君

  赤羽 一嘉君     富田 茂之君

  中野 洋昌君     國重  徹君

  大平 喜信君     穀田 恵二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件(衆議院議員選挙区画定審議会の「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告」)


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     ――――◇―――――

竹本委員長 これより会議を開きます。

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件、特に衆議院議員選挙区画定審議会の「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告」について調査を進めます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として衆議院議員選挙区画定審議会会長小早川光郎君及び衆議院議員選挙区画定審議会会長代理久保信保君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 両参考人には、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。よろしくお願いします。

 それでは、衆議院議員選挙区画定審議会の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告について、小早川参考人から説明を聴取いたします。小早川参考人。

小早川参考人 衆議院議員選挙区画定審議会会長の小早川でございます。

 本日は、発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 当審議会は、衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律、いわゆる衆議院選挙制度改革関連法でございますが、その規定に基づきまして、去る四月十九日に内閣総理大臣に対し、衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告を行ったところでございます。

 本日は、審議の経過と勧告の概要について御説明を申し上げたいと存じます。

 まず、当審議会における審議の経過について御説明を申し上げます。

 昨年五月二十日に今回の区割り改定の根拠となる衆議院選挙制度改革関連法が成立し、五月二十七日に施行されました。

 この衆議院選挙制度改革関連法では、衆議院小選挙区の選挙区間における人口格差を是正するため、日本国民の人口に基づき、都道府県別定数配分の方式として、いわゆるアダムズ方式を直近の大規模国勢調査である平成三十二年国勢調査から適用することになりましたほか、衆議院議員の定数を小選挙区六、比例代表四、合わせて十減ずることとされました。

 また、この衆議院選挙制度改革関連法の附則におきまして、平成三十二年までの緊急是正措置として行う平成二十七年の国勢調査の結果に基づく改定案の作成及び勧告についての規定がされております。具体的には、定数が削減となる六県の選挙区や人口基準を満たさない選挙区など、改定対象となる選挙区が列挙されております。

 この人口基準につきましては、各選挙区における日本国民の人口に基づき、人口の最も少ない県の中の人口最少選挙区を基準として、平成二十七年日本国民の人口及び平成三十二年見込み人口において、選挙区間の人口格差を二倍未満とすることと定められております。

 なお、平成三十二年見込み人口は、平成二十七年日本国民の人口に、平成二十二年から二十七年までの増減率を乗じて算出するということが衆議院選挙制度改革関連法に規定されております。

 さて、当審議会としましては、衆議院選挙制度改革関連法で、平成二十七年の国勢調査の結果に基づく区割り改定案の勧告については、法律の施行の日から一年以内である本年五月二十七日までにおいて、できるだけ速やかに行うものとするとされておりました。それを受けまして、昨年六月八日に審議を開始しました。

 まず、今回の区割り改定に用いられる平成二十七年日本国民の人口及び平成三十二年見込み人口というものは、昨年十月二十六日に公表されましたが、平成二十七年国勢調査人口の確定値によって判明するものでありましたので、それまでの間は、既に公表されていた国勢調査人口の速報値に基づき、改定対象選挙区と見込まれる選挙区を有する都道府県について、選挙区の人口及び人口格差の状況やこれまでの区割り改定の経緯等を確認するためのレビューを行いました。

 次に、衆議院議員選挙区画定審議会設置法第八条には、「審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、行政機関及び地方公共団体の長に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。」とされておりまして、それを踏まえまして、当審議会としては、都道府県の行政、地勢、交通等全般に通じ、区割りについて都道府県全体を総合的に判断し得る視点を持っておられると考えられる関係都道府県知事に対しまして、区割り基準や具体的な区割りなどについての意見照会を行いました。

 この間、昨年十月二十六日に先ほどの平成二十七年国勢調査人口の確定値の公表があり、平成二十七年日本国民の人口及び平成三十二年見込み人口が確定いたしました。

 これを踏まえて改定対象選挙区の範囲の確認を行い、また、その上で知事意見の回答をいただき、その報告を受けまして、それらをも参考としまして、区割り基準や作業手順等を定める区割り改定案の作成方針について審議をし、昨年十二月二十二日にこれを決定し、公表いたしました。

 さらに、この作成方針に基づいて、本年一月十六日より具体的な区割りの改定作業に入り、その後は週一回のペースで審議会を開催し、審議を進めました。

 当審議会としましては、精力的に改定案の作成作業に取り組み、二十八回の審議を経て、区割りの改定案を取りまとめ、四月十九日に内閣総理大臣に対し勧告を行ったところでございます。

 では、続きまして、当審議会が具体的な区割り改定案を作成する上での指針となる、そういうものとして作成しました区割りの改定案の作成方針について御説明申し上げます。

 今回の区割り改定案の作成方針は、前回改定時の作成方針と同様に、改定を検討する選挙区、改定対象選挙区の区割り基準、そして改定案作成の作業手順という三つの部分から構成されております。

 まず、改定を検討する選挙区につきましては、衆議院選挙制度改革関連法を踏まえた内容となっております。

 ということは、まず、平成二十七年日本国民の人口及び平成三十二年見込み人口において人口の最も少ない県、これは鳥取県でございますが、鳥取県の選挙区、これが一つ。次に、〇増六減によりまして選挙区の数が一減少する六県の選挙区、これが一つであります。

 そして、鳥取県内の人口最少選挙区を基準として、平成二十七年日本国民の人口及び平成三十二年見込み人口において、格差二倍未満の人口基準に適合しない選挙区と、それから、当該選挙区を格差二倍未満とするために必要最小限の範囲で行う改定に伴い改定すべきこととなる隣接選挙区等につきまして、改定案の作成を行うことを基本とすることといたしました。

 以上が、改定を検討する選挙区です。

 次に、改定対象選挙区の区割り基準につきましては、人口の最も少ない鳥取県内の人口最少選挙区を基準として、平成二十七年日本国民の人口及び平成三十二年見込み人口において、選挙区間の人口格差を二倍未満とすること。それから、鳥取県内の選挙区については、各選挙区の人口の均衡を図ること。それから、人口格差を二倍未満とするための選挙区の改定に当たっては、選挙区の区域の異動は必要最小限とすること。

 さらに、選挙区は飛び地にしないこと。市区町村の区域は原則として分割しないことでございますが、市区の人口が人口基準の上限人口を超える場合等、やむを得ない一定の場合に限り分割することができるということ、これが一つでございます。

 さらに、地勢、交通その他の自然的、社会的条件を総合的に考慮すること。また、郡の区域はできるだけ分割しないものとすることなど、おおむね前回の区割り基準を踏襲した内容となっております。

 なお、このうち市区町村の分割基準につきましては、おおむね前回改定時の基準を踏襲することとしつつ、今回の区割り改定の趣旨に鑑み、大規模な改定は避けることとし、改定に係る市区町村の数または人口を必要最小限とするべく、選挙区間の市区の入れかえによる改定が可能であっても、相当数の人口異動を伴う場合は分割による改定を行うなどの基準を、必要最小限の改定にとどめるための基準として追加した次第であります。

 最後に、第三の、改定案作成の作業手順ですが、これにつきましては、具体的な区割りの改定作業を行っていく際の作業の流れを示したものであります。

 具体的には、鳥取県については、各選挙区の人口格差二倍未満の基準となるため、他の都道府県よりも先行して審議を行い、区割り改定原案を作成することといたしました。結果としまして、今回、鳥取県は一区と二区の人口が極めて均衡していることから、見直しは行わず、現状を維持することといたしました。

 次いで、選挙区の数が減少することとなる六県については、県内の選挙区のうち人口が最も少ないもの、言いかえれば一票の価値が最も重くなっている選挙区に注目いたしまして、それを手がかりとし、改定案を作成する。

 そのほか、選挙区の数の増減がなく、格差二倍以上の選挙区が多数存在する東京都につきましては、改定案の作成に当たって手がかりとする選挙区の決め方を明記いたしまして、それによって決められた選挙区から順次調整を図っていくこと。さらに、作業の結果得られた区割りの改定案が合理的かつ整合性のとれたものになっているかどうかの総合的な検討を行うことなどをこの方針においては示しております。

 以上が、区割りの改定案の作成方針の概要でございます。

 そこで、次に、勧告いたしました区割りの改定案の概要について御説明をいたします。

 最初に、都道府県別定数の異動ですが、これは衆議院選挙制度改革関連法で定められているものでありまして、〇増六減によりまして、青森、岩手、三重、奈良、熊本、鹿児島の六県で一減となっております。

 次に、今回の改定案で変更される選挙区の数は、十九都道府県で九十七選挙区となります。

 その選挙区の内訳は、衆議院選挙制度改革関連法で定める区分によりますと、まず、選挙区の数が減少することとなる県の区域内の選挙区として、先ほど申し上げた六県の二十七選挙区。

 次に、格差二倍未満等の人口基準に適合しない選挙区の改定に伴うものとして、鳥取県の人口最少選挙区との格差が二倍以上である選挙区とその隣接選挙区等で、具体的には埼玉県、東京都、神奈川県などの十都道府県五十六選挙区です。

 そして次が、鳥取県の人口最少選挙区の人口を下回る選挙区とその隣接選挙区ということで、宮城県、福島県、愛媛県、長崎県の四県十一選挙区がございます。

 そのほか、北海道の総合振興局の区域との整合を図るためのものとして、北海道の三選挙区。

 以上の選挙区を改定するということになっております。

 人口最少選挙区との格差が二倍以上となる選挙区の数につきましてですが、現在ですと平成二十七年日本国民の人口で三十二選挙区ございますが、今回の改定案においては、平成二十七年日本国民の人口及び平成三十二年見込み人口でいずれもゼロとなり、格差二倍以上の選挙区は解消されるということになっております。

 また、最大人口格差の方ですが、現在、平成二十七年日本国民の人口で二・一七六倍になっておりますが、今回の改定案におきましては、平成二十七年日本国民の人口でいいますと一・九五六倍となりまして、過去の区割り改定と比べて最も格差を縮減することとしております。また、今後の五年間においても格差が二倍以上とならないよう見直しをしておりますことから、平成三十二年見込み人口でも二倍を下回っており、一・九九九倍となっております。

 今回の改定案におけるもう一つは、分割市区町でございます。改定対象となる九十七選挙区における分割市区町の状況でございますが、分割が解消される市区町が九、新たに分割される市区が二十六で、全体としては十七増の百五となっております。

 最後でございますが、今回の区割り改定について総括的に申し上げますと、今回の区割り改定は、衆議院選挙制度改革関連法により、次回見直しまでの五年間を通じて格差が二倍未満となるよう、平成三十二年見込み人口においても格差を二倍未満とすることが求められておりまして、平成三十二年国勢調査までの緊急是正措置ではありますが、結果として改定対象選挙区の数は約百選挙区にも及ぶものとなりました。

 また、改定案の作成に当たりましては、地域のさまざまな事情を考慮して、つぶさに見直しを検討する必要がありました。

 改定対象選挙区の構成市区から、分割に反対する声も多く聞かれたところであります。どのような改定を行うことが最善かということに審議会としては相当腐心したところでございます。

 例えば、東京都などの都市部におきましては、格差が二倍以上もしくは二倍近くである選挙区が林立しておりまして、市区の分割が避けがたいという状況がございました。また、被災地である選挙区や人口減少の選挙区などの見直しにつきましても、被災地の状況や地域のつながりを考慮することに審議会としては極力配意したところでございます。

 そうした状況はそれぞれございましたが、私どもとしては、鋭意調査審議に努め、当審議会として最善と考える改定案を取りまとめたところであります。

 何とぞ、その点、御理解のほどよろしくお願いいたします。

 以上で、私からの審議の経過と勧告の概要説明を終わらせていただきます。(拍手)

竹本委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 小早川会長、久保会長代理を初めとして、審議会の委員各位におかれましては、今般の区割り改定に向けてこれまで精力的に審議を進められ、去る四月十九日に改定案の勧告をされたところであります。この間における御尽力に対しまして、委員会を代表して、深く敬意を表する次第であります。

 それでは、理事会において了承されました質疑事項について、委員会を代表して、私の方からお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今回の区割り改定は、昨年成立したいわゆる衆議院選挙制度改革関連法に基づくものでございまして、〇増五減を含む緊急是正法による平成二十五年の区割り改定と同じく、関連法において改定の対象とする小選挙区の基準が定められていたものの、今回から各選挙区の人口は日本国民とすることとされたため、審議会においては、実質的な改定作業は、昨年十月の平成二十七年国勢調査確定値の公表を待たなければ進めることができなかったと承知しております。

 審議会においては、どのような手順で改定作業を行い、またどのような議論がなされたのか、お聞かせいただければと思います。ひとつよろしくお願い申し上げます。

小早川参考人 それでは、お答えいたします。

 初めに、改定作業の手順ですが、審議会におきましては、昨年五月二十七日に衆議院選挙制度改革関連法が施行されたことを受けまして、昨年六月八日に審議を開始いたしました。

 それから、昨年十月二十六日に平成二十七年国勢調査人口の確定値が公表されるまでの間、国勢調査人口の速報値に基づきまして、改定対象選挙区と見込まれる選挙区を有する都道府県につきまして、選挙区の人口及び人口格差の状況とか、これまでの区割り改定の経緯などを確認するためのレビューを行いました。

 それとともに、都道府県の行政、地勢、交通等全般に通じており、区割りについて都道府県全体を総合的に判断し得る視点を持っていると考えられます関係都道府県知事に対して、区割り基準や具体的な区割りなどについて意見照会を行いました。

 昨年十月二十六日の平成二十七年国勢調査人口の確定値公表によりまして、平成二十七年日本国民の人口及び平成三十二年見込み人口が判明しましたので、これを踏まえて改定対象選挙区の範囲を確認し、その後、知事から回答をいただきました。

 昨年十二月二十二日には、レビューの結果を踏まえ、また、提出された知事意見も参考として、区割り改定案の作成方針を取りまとめますとともに、あわせて、人口格差の基準となる鳥取県についてですが、一区と二区の人口が極めて均衡しておりますことから、現行の区割りを踏襲する案を改定原案とすることもその際に決定いたしました。

 この作成方針に基づきまして、本年一月十六日より具体的な区割りの改定作業に入り、その後は週一回のペースで審議会を開催して審議を進め、四月十九日に区割りの改定案を取りまとめ内閣総理大臣に勧告を行ったところでございます。

 次に、審議会での検討内容ですけれども、改定案の作成に当たりましては、地域のさまざまな事情を考慮して、つぶさに見直しを検討いたしました。

 審議におきましては、原則として複数の案を用意し、地勢や交通の状況、地域のつながりなどから、どの案が適切かを慎重に検討いたしました。

 また、分割の可能性のある構成市区からは、分割に反対する声も多く聞かれたところでございます。どのような改定を行うことが最善かということについて、審議会として鋭意議論を重ねてまいりました。

 区割り改定案は、二十八回に及ぶ審議の中で、こうしたさまざまな事項を検討、考慮した上で作成されたものでございまして、当審議会としては最善の改定案を取りまとめることができたと考えている次第でございます。

 以上です。

竹本委員長 衆議院選挙制度改革関連法により、選挙区間の人口格差について、平成二十七年国勢調査人口において二倍未満であるとともに、平成三十二年見込み人口においても二倍未満であることを基本とするとされました。そのため、今回の改定案では、区割りが変更される小選挙区の数は十九都道府県九十七選挙区とかなりの数となりましたが、選挙区間の最大人口格差は、現在の二・一七六倍から一・九五六倍に縮小し、また、平成三十二年見込み人口においても一・九九九倍と、格差が二倍未満に抑えられているところであります。

 審議会としては今回の区割りの改定をどのように自己評価されておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

小早川参考人 御指摘のとおり、衆議院選挙制度改革関連法におきましては、各選挙区の人口に関して、次回の見直しまでの五年間を通じて人口格差が二倍未満となるように、平成二十七年の日本国民の人口において格差を二倍未満とするとともに、平成三十二年見込み人口においても格差を二倍未満とすることを基本とすることが規定されております。

 この規定に基づき、今回の改定案におきましては、最大人口格差は、平成二十七年日本国民の人口で一・九五六倍となり、また、平成三十二年見込み人口でも一・九九九倍となりました。

 この数値につきましては、これまでの区割り改定時等の最大格差と比較し、最も格差が縮小されておりまして、投票価値の平等に資するものであるというふうに私どもは考えております。

 以上でございます。

竹本委員長 昨年十二月に審議会が決定した区割り改定案の作成方針においては、一定の場合を除いて、「市区町村の区域は、分割しないことを原則とする。」としていますが、改定案では分割市区町の総数が、東京都において十七にふえたことを初めとして結果として百五に上ったことについて、審議会としてはどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

久保参考人 今回の区割り改定案では、分割市区町の数が八十八から十七増加いたしまして百五となっております。

 その十七の内訳を申し上げますと、新たに分割された市区の数が二十六、分割を解消した市区町の数が九となっておりまして、差し引き十七の増となっております。

 分割を解消いたしました九つの市区町、これは全て配分定数が減少した県内に存在をしております。また一方で、新たに分割した二十六の市区、これは全て格差二倍以上の改定対象選挙区に存在をしております。

 区割り改定案の作成方針におきましては、御指摘のように、「選挙区の改定に当たっては、市区町村の区域は、分割しないことを原則とする。」としております一方で、一定の分割基準に該当する場合には分割できると定めております。

 今回の区割りは、平成二十七年の日本国民の人口だけではなく、平成三十二年の見込み人口におきましても格差を二倍未満とすることとされておりますので、東京都など都市部におきましては、格差二倍以上あるいは二倍近くである選挙区が林立をするという状況になっておりまして、市区町村単位で異動する方法をとることができず、市区を分割する以外に改定の方法がない場合が数多くございました。

 その場合におきましては、分割によって異動する人口をできるだけ小さくして、選挙区の安定性を大きく損なわないように努めたところでございます。

 また、今回は、市区の入れかえによる改定が可能、そういうことが考えられる選挙区も多数ありまして、そのことを要望される関係地方公共団体もございましたが、人口規模の大きな市区を入れかえた場合、選挙区の安定性を損ない、多くの住民に影響を及ぼすことになります。

 したがいまして、今回の区割り改定案の作成方針では、市区町村単位の入れかえによる改定では、各選挙区の相当数の人口が異動することとなる場合は、市区町村の入れかえを行わずに、分割することができることといたしました。

 以上のようなことから、今回の分割市区町、十七の増加となったものでございます。

竹本委員長 現在、都市部への人口流出傾向に歯どめがかからない状況で、次回の平成三十二年大規模国勢調査の結果に基づく区割り改定においては、いわゆるアダムズ方式による都道府県への定数再配分が行われ、東京都を初め人口の大きい都県では定数が増員となるなど、都道府県定数のさらなる増減が見込まれておりますが、今回の区割り改定案を作成するに当たっては、次回の改定で都道府県への定数が再配分されることをどこまで考慮したものであるか、お聞かせいただきたいと思います。

久保参考人 衆議院選挙制度改革関連法では、御指摘のように、平成三十二年の国勢調査結果に基づく区割り改定におきまして、いわゆるアダムズ方式によって各都道府県への定数配分が変わることとなります。

 また同時に、同法の附則では、次回の見直しまでの五年間を通じて人口格差が二倍未満となるように求めておりまして、今回の区割りの改定案の作成に当たりましては、平成三十二年見込み人口においても格差が二倍未満となるよう必要最小限の見直しを行っております。

 平成三十二年の国勢調査結果に基づく各都道府県への定数配分につきましては、現時点では確たる予測が不可能な面がございまして、区割り改定案の作成方針におきましては、それを考慮する基準は特に設けておりません。

 具体的な区割り改定案の審議の際には、アダムズ方式による定数増減を試算するなど、次回の改定における定数配分の見直しの可能性を考慮した議論、これは行っておりますけれども、区割り改定案は、地勢、交通その他の自然的社会的条件を総合的に考慮して判断した結果によるものでございます。

竹本委員長 それでは次に、審議会では、改定作業を進めるに当たって、改定対象選挙区を有すると見込まれていた二十の関係都道府県の知事から意見を聴取しておりますけれども、地方の声をどのような方法で把握し、それを改定作業に反映したか、お聞かせください。お願いします。

小早川参考人 都道府県知事の方々は、都道府県の行政、地勢、交通等全般に通じ、区割りについて都道府県全体を総合的に判断し得る視点を持っていると考えられますことから、関係都道府県の知事に対しまして、区割り改定案の作成方針や具体の区割りについての意見照会を行いました。

 これに関連しますが、平成十四年には、衆議院において、審議会の調査審議に関し、「都道府県知事や市町村長から意見を聴くことなどにより、地域の実情を反映した勧告となるよう努めること。」とする附帯決議がなされているところでございます。

 知事に意見照会する際には、関係市町村へ意見照会をするなど、地域の実情を踏まえて意見を御提出いただくようお願いしております。

 このようにして提出されました地方の声につきましては、当審議会での審議の中で検討し、区割り改定案の作成方針等に照らしつつ、合理性があると認められるものについては区割り改定案に反映をいたしました。

 以上でございます。

竹本委員長 どうもありがとうございます。

 前述のとおり、分割市区町の総数は百五に上っており、その中でも、例えば、東京都第七区は五つの特別区から成り、そのうち渋谷区を除く四つの特別区は分割されて他の選挙区にも含まれております。このような複雑な区割りは、有権者に混乱を来すとともに、選挙の執行、管理においても負担が増すことが懸念されますけれども、そのようなことについて議論はなされましたか。実態をお聞かせください。お願いします。

久保参考人 東京都の二十三区におきましては、先ほど申し上げましたように、人口上限を超える選挙区が林立をするといった状況下にございまして、私ども、各区において、できれば分担して負担をしていただけるかどうか、そういったことを考慮しながら、改定選挙区数を、これは法律の定めにもございますように、少なくする、必要な範囲で、というような複数の案を検討してまいりました。

 その結果、大変難しい選択でございましたが、御指摘の東京第七区は、分割された四つの特別区を含む五つの特別区から構成されることとなりました。

 今回の改定におきましては、市区町村を分割する際には、市区町村において円滑に選挙の管理、執行ができ、また、有権者への影響が少なくなるよう、まず、市区町村が三以上の選挙区にまたがることを避ける、それとともに、適切な隣接選挙区の選択に努めたところでございます。

 そして、その上で、原則として投票区を手がかりとし、支所、出張所の状況、町内会、自治会などの地域的なつながり、道路や河川の状況など、それぞれの地域の実情を考慮し、必要最小限の範囲となるような案を作成いたしました。

 勧告に基づく区割り改定法案成立の暁には、政府におかれましては、各市区町村の選挙管理委員会が新区割りでの選挙を円滑に管理、執行できるよう、投開票事務の工夫に努めていただきますとともに、選挙区の変更について、有権者初め関係者に混乱が生じることのないよう、きめ細かく周知啓発を図っていただきたいと切に希望しております。

竹本委員長 ありがとうございました。

 冒頭にも申し上げましたが、小早川会長を初め審議会委員の御尽力に対して、重ねて敬意を表しまして、以上で私からのお尋ねを終わりたいと思います。

 小早川会長、久保会長代理には、お忙しい中、委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。深く感謝申し上げます。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十八分散会


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