衆議院

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第4号 平成30年6月18日(月曜日)

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平成三十年六月十八日(月曜日)

    午前十時三十分開議

 出席委員

   委員長 平沢 勝栄君

   理事 岩屋  毅君 理事 鬼木  誠君

   理事 白須賀貴樹君 理事 橋本  岳君

   理事 宮内 秀樹君 理事 吉良 州司君

      安藤 高夫君    井野 俊郎君

      大塚  拓君    神田  裕君

      小島 敏文君    古賀  篤君

      坂本 哲志君    新谷 正義君

      田野瀬太道君    田畑  毅君

      高木  啓君    武村 展英君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      百武 公親君    星野 剛士君

      本田 太郎君    八木 哲也君

      落合 貴之君    松田  功君

      宮川  伸君    山川百合子君

      岸本 周平君    後藤 祐一君

      山井 和則君    太田 昌孝君

      佐藤 茂樹君    岡田 克也君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

    …………………………………

   参議院議員        古賀友一郎君

   参議院議員        武見 敬三君

   参議院議員        西田 実仁君

   参議院議員        足立 信也君

   参議院議員        牧山ひろえ君

   衆議院調査局第二特別調査室長           荒川  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十八日

 辞任         補欠選任

  田所 嘉徳君     八木 哲也君

  藤井比早之君     田野瀬太道君

  古川  康君     高木  啓君

同日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     藤井比早之君

  高木  啓君     古川  康君

  八木 哲也君     田所 嘉徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公職選挙法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一六号)


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     ――――◇―――――

平沢委員長 これより会議を開きます。

 参議院提出、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 発議者より趣旨の説明を聴取いたします。参議院議員足立信也君。

    ―――――――――――――

 公職選挙法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

足立(信)参議院議員 皆さん、おはようございます。

 冒頭、関西地方で起きました地震によって複数名の心肺停止者が出ているということでございます。四十八時間、七十二時間というのは非常に重要な時間ですので、ぜひ救命活動に頑張っていただきたい、そのように冒頭申し上げたいと思います。

 それでは、提案理由の説明をさせていただきます。

 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 現在、参議院選挙区選挙の政見放送については、候補者が放送事業者のスタジオに出向いて録画する、いわゆるスタジオ録画方式に限られ、候補者がみずから録画する、いわゆる持込みビデオ方式によることはできないこととされております。また、参議院選挙区選挙以外の選挙においては、政見放送に手話通訳や字幕の少なくともいずれかは付与できることとなっておりますが、参議院選挙区選挙においては、いずれも付与することができない状況となっております。

 このため、参議院選挙区選挙の政見放送について、持込みビデオ方式を導入し、手話通訳や字幕の付与を可能にすること等を通じて、障害等の有無にかかわらずできる限り多くの国民に候補者の政見がより効果的に伝わるようにすることが喫緊の課題となっております。

 本法律案は、こうした状況を踏まえ、参議院選挙区選挙の政見放送について、現行のスタジオ録画方式に加え、政見放送の品位保持の観点から一定の要件を設けた上で、持込みビデオ方式を選択できることとするものであります。これにより、選挙区間の不平等の解消にも資するものであります。

 次に、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、参議院選挙区選挙において、所属国会議員が五人以上又は直近の衆議院議員総選挙若しくは参議院議員通常選挙における得票率が百分の二以上のいずれかの要件を満たす確認団体又は推薦団体の所属候補者又は推薦候補者の政見の放送については、放送事業者は、その録音し若しくは録画した政見又は当該候補者が録音し若しくは録画した政見をそのまま放送しなければならないものとしております。

 第二に、当該候補者は、政令で定める額の範囲内で、政見の放送のための録音又は録画を無料ですることができるものとしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

平沢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

平沢委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 最初に、大阪など近畿地方における地震が大変心配をされるところであります。被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げると同時に、政府として、災害情報の迅速な提供、また、被災者支援、災害復旧に関係機関と連携をとって取り組んでいただくことを求めるものであります。

 それでは、政見放送ビデオ持込みに係る法案について質問をいたします。

 現行では、政見放送の制度がある選挙は、衆議院の小選挙区、衆議院の比例、参議院の選挙区、参議院比例、都道府県知事となっており、そのうち衆院小選挙区選挙だけが、スタジオ録画方式か持込みビデオ方式を選択できることになっております。

 本案は、参院選の選挙区選挙における政見放送で、一定の要件をクリアした政党や確認団体所属、推薦の候補者に持込みビデオ方式を認めるものであります。

 お尋ねしますけれども、そもそも、現行の政見放送の主体は、衆議院の小選挙区では候補者届出政党、参議院選挙区では候補者個人となっております。本案では、なぜ主体者ではない政党等の要件を持ち出しているんでしょうか。

古賀(友)参議院議員 お答え申し上げます。

 今回の改正は、参議院選挙区選挙におきまして、障害等の有無にかかわらずできるだけ多くの国民に候補者の政見がより効果的に伝わるようにするためにビデオの持込みを認めようとするものであることは、先ほど足立議員の提案理由説明でも申し上げたところでございますけれども、政見放送はそのまま放送しなければならないということを踏まえますと、全ての候補者にビデオの持込みを認めますと品位を欠く政見放送が持ち込まれる懸念があると考えられますために、その対策として、いわゆる政党要件という線引きを行おうとするものでございます。

 候補者個人本位の参議院選挙区選挙におきましてあえて政党要件を用いることといたしますのは、衆議院小選挙区選挙における実績などを勘案いたしますと、現状におきまして品位保持を担保するための最も客観的かつ合理的な基準であると考えられるからでございます。

 以上でございます。

塩川委員 衆議院小選挙区では候補者届出政党で、参議院選挙区では候補者個人というのが選挙の主体ということについて、何で衆議院の小選挙区におけるような政党要件を持ち出すのかということについて、衆議院小選挙区における実施の事例を踏まえてと言うんですけれども、それはこの件についての説明になっていないと思うんですよ。衆議院小選挙区の要件と横並びという話ですけれども、衆議院小選挙区の場合は、候補者届出政党だけしか政見放送は認められていないわけで、候補者個人は行えないわけです。

 そういうのを引っ張ってくるというところがちょっと、参議院の選挙区における候補者個人における選挙という性格との関係でこれは適当なのかなと率直に思うんですが、改めていかがですか。

古賀(友)参議院議員 お答え申し上げます。

 確かに、参議院選挙区選挙は候補者個人本位の選挙であるということは、これはそのとおりでございまして、しかし、他方で、今申し上げたとおり、品位保持をいかに担保するか、こういう課題があるというわけでございまして、そのための解決方策として、今現状、最も合理的、客観的と考えられるその要件として政党要件があるわけでございますので、それを用いましてその解決方策にしようとする趣旨でございますので、御理解いただければと思います。

 以上でございます。

塩川委員 選挙運動の主体の設定が違うんですから、そのまま持ち込むという話ではないのではないのか、やはり候補者個人、そういった選挙の主体の性格に見合った制度設計ということが求められているのではないのかということを申し上げておくものです。

 もちろん、選挙のさまざまな需要を高める、特に、主権者国民、有権者にきちんとした選挙の情報を提供するという意味でのこういったビデオの政見放送の持込みを拡大するということ自身は前向きの取組だと思うわけですけれども、そうであれば、本案は参議院の選挙区選挙のみを対象としておりますが、参議院の比例代表選挙や、また知事選挙というのは検討はされたんでしょうか。

牧山参議院議員 お答え申し上げます。

 参議院選挙区選挙以外の選挙におきましては、政見放送に手話通訳や字幕の少なくともどちらかは付与することができるということとされております。

 具体的には、参議院比例代表選挙では手話通訳と字幕の付与が認められておりまして、衆議院比例代表選や都道府県知事選挙では手話通訳の付与が認められております。また、衆議院小選挙区選挙では持込みビデオ方式が認められております。そのため、持込みビデオに手話通訳や字幕の付与が可能であります。

 これに対しまして、参議院選挙区選挙におきましては、通常選挙では、全国の選挙区で行われるところ、手話通訳者が少ない地域があること、そして、字幕につきましても、これを付与する設備や技術的な対応についても困難があるとされておりますため、手話通訳と字幕のどちらも付与できないというのが現状でございます。

 そこで、喫緊の課題としまして、参議院選挙区選挙におきまして、持込みビデオ方式を導入することによって政見放送に手話通訳また字幕を付与できることにすること、こういったことによりまして、障害などの有無にかかわらずできる限り多くの国民に候補者の政見がより効果的に伝わるようにすることが必要であると考えまして、本法律案を提出したという経緯でございます。

 なお、比例代表選挙や都道府県知事選挙における持込みビデオ方式の導入につきましては、関係者の御意見も伺いつつ、引き続き検討する必要があると考えております。

塩川委員 多くの有権者の方に候補者の政見が伝わり、有権者が政策の比較をできるようにするためにも、政見放送の改善は必要だと思っております。障害者の方々から義務化などを求める要望があるということも積極的に受けとめて取り組んでいきたいと思うものです。

 そこで、政見放送は有権者にとって接触をしやすく役立つ情報源だということが、明るい選挙推進協会の調査などでも明らかになっています。前回、二〇一六年の参議院選挙で、有権者が触れた選挙運動の媒体というのは、第一位が掲示場に張られた候補者のポスターであり、第二位に候補者の政見放送、経歴放送が挙げられております。また、四番目には政党の政見放送もあり、また、有用度が高い媒体として、第一位に候補者の政見放送、経歴放送のテレビなどがあり、三番目に、選挙公報に次いで、政党の政見放送が挙げられているわけです。

 有権者が候補者の政見により多く触れ政策比較できるようにするには、放送時間が決まっているテレビでの政見放送だけに限らず、インターネットの利用も考えられるわけです。我が党の提案もあって、選挙公報の選管のホームページへの掲載が二〇一二年の総選挙から全ての選管で行われるようになりました。また、本案では、NHKで録画した政見放送を民放でも放送してよいということが盛り込まれております。

 そこで、お尋ねですけれども、候補者の政見動画を、選挙公報と同様に、選挙管理委員会ホームページで広く有権者に候補者情報を伝えるという工夫を検討してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。

西田(実)参議院議員 まず、先生御指摘のとおり、多くの国民の皆様に候補者の政見動画をより効果的に伝えるということは大変大事であるというふうに思います。

 その上で、現状でありますが、立候補届出の際には、選挙運動のための一つのウエブサイト等のアドレスを記載できるとされておりまして、国政選挙の際には、ホームページに、届出のあった候補者の、あわせてアドレスを掲載しております。そこをクリックをすると候補者のサイトに飛ぶことができるわけで、この飛んだ先のウエブサイトでは自由に政見放送、候補者の動画等を掲載できるというふうになっております。

 その上で、御提案いただきました件ですが、選挙管理委員会のホームページに政見動画を載せるとなりますと、掲載順序や容量等の取扱いについて新たな掲載ルールが必要になる、あるいは技術的なトラブルで閲覧不能になるようなことがあってはならないわけでありまして、そうなると選挙無効となるおそれもあります等々の課題がありますので、十分な検討が必要ではないかというふうに思います。

塩川委員 ぜひ、前向きな取組ということで、私たちも努力をしていきたいと思っております。

 そもそも、我が国の選挙制度や選挙運動、政治活動を規制している公職選挙法は、べからず集と言われているような問題があるわけで、やはり、国民が主権者としてみずからの代表を選び、政治に積極的に参加していくためには、選挙制度や選挙運動の規制を見直すことが民主主義の発展のため不可欠であると思います。

 国民、有権者が主体的に選挙、政治にかかわりやすくするためにも、根本的には、複雑な現行法を抜本的に変えて、国民の基本的権利である選挙運動の自由を保障すべきだ、このことを申し上げて、時間が参りましたので、終わります。

 ありがとうございました。

平沢委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平沢委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党を代表して、政見放送に係る公職選挙法改正案に反対の討論を行います。

 現行で、政見放送制度がある選挙は、衆議院小選挙区、比例代表、参議院選挙区、比例代表、都道府県知事となっており、そのうち衆院小選挙区選挙だけが、スタジオ録画方式か持込みビデオ方式を選択できることとなっています。

 本案は、参議院選挙区選挙の政見放送で、一定要件を満たす政党、確認団体の所属、推薦候補のみに持込みビデオ方式を認めるものです。

 そもそも、現行では政見放送の主体が、衆院小選挙区では候補者届出政党、参院選挙区では候補者個人となっています。候補者個人を主体とする選挙に政党要件を持ち込むことは、選挙の性格にかかわりかねません。このことによって、現実には、市民と政党が共同して候補者を擁立することに困難をもたらします。

 また、政党の公認、推薦候補は品位保持できるが、公認、推薦を受けない候補者は全て品位保持できないとして持込みビデオ方式を認めないことに合理性があるのか、明らかにはなっていません。

 本案で、参院選挙区の政見放送にも手話通訳、字幕の付与を可能とすることなども盛り込まれたことは重要です。

 有権者にとって政見放送は接触しやすく役立つ情報源だということが、明るい選挙推進協会の調査で明らかになっています。多くの主権者国民に候補者の政見が伝わり、有権者が政策の比較をできるようにするためにも、政見放送の改善は必要です。

 我が国の選挙は、選挙期間に入ると候補者氏名が入ったビラが極端に減ったり、諸外国では当然の戸別訪問禁止といった、複雑でさまざまな規制があります。有権者が十分に政策比較できるとは言いがたいものです。

 日本国憲法は、国民主権、議会制民主主義の基本理念のもと、主権者たる国民が政治に参加する手段として選挙制度を位置づけています。憲法上の権利行使にとって重要である選挙が正当に扱われるためにも、誰が立候補し、どのような公約を出しているのか、候補者情報が有権者にきちんと伝わることが必要です。

 国民が主権者としてみずからの代表を選び、政治に積極的に参加していくため、べからず集と呼ばれる公職選挙法を抜本的に見直すことが求められています。

 国民の基本的権利である選挙運動の自由を保障することは、民主主義の発展のため不可欠であるということを述べ、討論とします。

平沢委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平沢委員長 これより採決に入ります。

 参議院提出、公職選挙法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平沢委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

平沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時四十八分散会


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