衆議院

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第3号 平成31年4月10日(水曜日)

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平成三十一年四月十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山口 俊一君

   理事 小此木八郎君 理事 奥野 信亮君

   理事 鬼木  誠君 理事 橋本  岳君

   理事 宮内 秀樹君 理事 森山 浩行君

   理事 後藤 祐一君 理事 伊藤  渉君

      安藤 高夫君    井野 俊郎君

      小倉 將信君    大塚  拓君

      大野敬太郎君    小島 敏文君

      古賀  篤君    坂本 哲志君

      田野瀬太道君    武村 展英君

      寺田  稔君    冨樫 博之君

      百武 公親君    平沢 勝栄君

      福山  守君    藤井比早之君

      古川  康君    穂坂  泰君

      本田 太郎君    三浦  靖君

      宮路 拓馬君    和田 義明君

      落合 貴之君    神谷  裕君

      黒岩 宇洋君    高木錬太郎君

      長尾 秀樹君    山花 郁夫君

      泉  健太君    岸本 周平君

      佐藤 茂樹君    竹内  譲君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

      野田 佳彦君

    …………………………………

   総務大臣         石田 真敏君

   参議院事務次長      岡村 隆司君

   参議院法制局第一部長   川崎 政司君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   衆議院調査局第二特別調査室長           荒川  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     和田 義明君

  神田  裕君     三浦  靖君

  小林 史明君     宮路 拓馬君

  田所 嘉徳君     福山  守君

  藤井比早之君     田野瀬太道君

  落合 貴之君     山花 郁夫君

  道下 大樹君     神谷  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     藤井比早之君

  福山  守君     田所 嘉徳君

  三浦  靖君     神田  裕君

  宮路 拓馬君     大野敬太郎君

  和田 義明君     大塚  拓君

  神谷  裕君     道下 大樹君

  山花 郁夫君     落合 貴之君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     小林 史明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。泉健太君。

泉委員 国民民主党の泉健太でございます。

 まず、本日、他の委員会での質問も重なっておりまして、各党各会派の理事におかれましては、御配慮いただきまして、国民民主党の私から先に御質問させていただくことになりました。委員長含めて感謝を申し上げたいというふうに思います。

 そして、我々国民民主党は、どの委員会、どの法案についても、可能な限り、その姿勢を明らかにするとともに、対案を、対案というか提案をさまざまさせていただきたいというふうに思っておりますので、どうか真摯に御答弁の方をお願いをしたいというふうに思います。

 さて、この選挙執行経費基準法、まさに統一地方選挙のさなかでございますので、私も先日投票所に行って、現に管理者あるいは立会人、そういう方々の状況だとかを見てまいりましたし、また、事前には当事者の方からもヒアリングもさせていただいてまいりました。そういう中で、改めて幾つか確認をさせていただきたいことがございますので、御回答いただきたいと思います。

 まず、立会人、投票立会人になる方と話をしましたら、当然、一日仕事ですね、投票所でありますので。そして、お昼御飯どうするのという話をしたら、それは当然出ますよということであったんですが、総務省と事前にやりとりをしましたときに、どうもその投票所経費の積算の項目の中にそれに当たる項目がないわけでございまして、これは、総務省として、どの積算項目から昼食代を出しているのか、確認をしたいと思います。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 選挙執行経費基準法の投票所経費の基本額においては、管理者や立会人の費用弁償、事務従事者の超過勤務手当、文具費、通信費などのほか、食糧費というものが積算基礎とされておりますが、この食糧費はいわゆる茶菓代でございまして、昼食などの食事代までは投票所経費としては計上されておりません。

 それは、選挙事務にかかわらず、職務の従事に当たる、昼食代などについては、給与など、あるいは報酬などが支給される関係で、そこまでは手当てしていないということと同様としております。

 具体的にどうやっているかというのは、各投票所を管理しております市区町村の話になると思いますので詳細は承知しておりませんけれども、選挙執行経費基準法の基本的な考え方は、各団体において、それぞれの積算によって交付されました総額の範囲内で、そこは工夫して融通、補うということは可能であるというふうに解釈されておりまして、各団体においてはそのような工夫をされているのではないかと考えております。

泉委員 これは、毎度、恐らく行政と国民の乖離だなと思います。食糧費という積算項目がありながら、そこは茶菓代、お酒じゃないですね、茶と菓子、茶菓代だそうです。あくまで、その投票所に、立会人たちや事務員のために置いてあるお茶とお菓子のお金のことを食糧費と呼んでいるのだけれども、食糧費には昼食代は入っていない。

 本当に、行政というのは、どうしてこう国民の普通の一般的な認識と違うような言葉遣いをされるのかなと。ぜひ、そういうところから改めていただきたい。細部に魂がとまでは重たくなり過ぎかもしれませんが、こういったところをずっと放置しておくと、やはり国民の皆様にはわかりにくい行政になるんじゃないのかなと思います。

 今のお話ですと、私は、この食糧費の中に含めるんだったら含めていただきたいと思うわけですが、私の地元で伺いましたら、そうしますと、恐らくその立会人さんも、どこからお金が出ているかよくわからないということの可能性があるわけですね。

 例えば投票立会人費用弁償、基準法の規定額というのは一万九百円となっている。私は、その方に伺いましたら、お弁当代は九百円だというふうに言われました。ただ、九百円だとお昼はそんなに、ただ頼むだけじゃいいものは出てこないんだよねなんという話をしながら聞いていたわけですが。この規定額の一万九百円の中から弁当代が出されているケースもあるという理解でよろしいですか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 考え方としてでございますが、報償費が報酬として出ておりますので、それにつきまして、そこから出していただくというようなのが本来の趣旨ではないかと思います。

 ただ、先ほど申しましたとおり、交付された委託費の中から、そこから工夫して出されているということもあると思いますけれども、支給されているので、その中から出していただくというのは、建前上はそういうこともありなのかなと思っております。

泉委員 そうしますと、この投票立会人費用弁償の基準額というのは、これは上限の基準、場合によっては七千円でしまわれているところも、五千円で済まれているところもあっても、それは自治体の判断という理解でよろしいですか。

大泉政府参考人 おっしゃるとおり、基準ということで決めております。

 おおむねの団体につきましては、基準どおり決めている例が多いとは思いますけれども、それより多いところもある、少ないところも、少ないところはちょっとわかりませんけれども、多いところもあるというふうには承知しております。

泉委員 わかりました。

 先ほどの話ですが、その食糧費という費目があるのであれば、できるだけ独立させて、そういったところで昼食代というのも手当てをしていただきたいと思います。その茶菓代という茶菓子に関してまで、今回、物価上昇率を反映するという細かなことまでやっているわけですから、それであれば、ぜひ昼食代もちゃんと手当てをしていただきたいというのがまず一つでございます。

 そして、投票所のアルバイト、スマホで見られます。さまざまなバイト募集を今回の選挙前に見てみましたら、中には時給千四百円とか、そういうようなケースで募集されているものもあるわけです。これも恐らく、全体のトータルの中で、いわゆる派遣会社みたいなところにお願いをして、アルバイトを集める会社にお願いをして募集しているのでそういうことになるんだろうなというふうに思います。

 そういうこともよくわかりましたけれども、投票管理者、これは行政職員が基本だと思うけれども、休日出勤手当にプラスして管理者費用が加わるという理解でよろしいですか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 委員おっしゃったとおりの、制度上はそういうこともとり得るということでございますけれども、網羅的に把握しているものではございませんけれども、投票管理者に自治体の職員を充てた場合の実際の支給方法を複数の団体に確認してみました。そうしたところ、多くの団体においては、条例に基づきまして、投票管理者としての費用弁償のみを出しているということで、そちらの超過勤務の方はあわせて出していないというのが多いところでございました。

泉委員 ありがとうございます。

 続いて、投票の方です。

 投票立会人の選任なんですけれども、今回、選挙権を有する者に改正をされるということでありますが、一方で、私は、だからといって、ただ単に、集めにくいという事情はわかります、わかりますが、だからといって、これまで立会人が地元から選ばれていたのに、その方々に今後声もかけずに、ただ単にアルバイトでもいいからアルバイトを集めますということで果たしてよいのかというふうに思っております。

 例えば、私の地元京都でいえば、地域でふだんからさまざまなお役をされている方々が、長年そういった立会人になってきていただいている経緯があります。それは市政協力委員であったり少年補導であったり、いろんなケースがありますけれども、そういう方々が今回の法改正で一気にある種はしごを外されて、もうどなたからでも集められることになりましたので、アルバイト業者さんにお願いすることになりましたといったら、それはそれで、やはり、なかなか、地域的にもいろんな問題が発生するんじゃないのかなと思っておりまして、ここは、原則は各投票区選挙人名簿の登録者が優先をされつつも、人の募集状況だとかに鑑みてほかにも広げることを可能とする、そういう手順ぐらいはやはり踏むべきではないのかなと思いますが、いかがですか。

大泉政府参考人 この点につきましては、投票立会人が、現行、各投票区における選挙人名簿に登録されている者というものから、今回の改正によりまして、選挙権を有する者に拡大しようということでございます。

 委員がおっしゃるとおり、投票立会人の機能など、もともとを言えば、当該投票区の、ある意味、地域社会の中で監視もできるというようなところもございました。ただ、都市化の進展の中で、公正な選挙を確保するというような意味合いに、大分、大きな自治体を中心に変わってきているところでございますので、そういう意味合いを中心にして緩和したということでございます。委員おっしゃるとおり、そこに支障がない、地元からでも支障がないというところは、そういうふうに選挙管理委員会の判断でやっていただけると思っております。

 今回の改正につきましては、いろんな団体がある中で選択肢の枠を広げたというところで、その中で各市町村の選挙管理委員会において投票立会人の役割を果たし得る適任者を適切に選任いただくのではないかと考えております。

泉委員 ぜひ、選挙部長としても、全国の自治体の担当者が集まられるときにも、あくまで可能性が広がる話であって、これまでお世話になった方々を、もう要りませんという話ではありませんということはぜひ言っていただきたいなと思います。

 続いて、今度は開票の立会人であります。

 この開票の立会人も今回少し変わったわけですけれども、今度は、市町村の選挙人名簿に登録された者に限定される。今まで投票区だったんですかね、それが市町村に拡大をしたわけです。

 一方では、これは候補者が届出をして選任される。要は、陣営の誰かが開票の立会人に行く、その中から何人かが選ばれて開票立会人となるというのを基本としているわけですね。

 そういう意味では、事前の説明でちょっとおもしろいことを聞いたんですね、何で市町村の選挙人名簿に登録された者に限定するのと。例えば私に兄弟がいて、陣営でずっと一緒に頑張ってくれた兄弟が、では立会人に行くよ、でも、たまたま隣町に住んでいた、そうしたら、これはだめだと言われてしまうわけですね。でも、そんなことを言われる理由は候補者陣営にとってはないわけです、候補者陣営は最も適切だと思う人物を立会人として送り込むわけですから。なのに、それが、そこに住んでいないからという理由で拒否される。なぜかと総務省に聞きましたら、いや、古い集落なんかがあって、屋号だとかも含めてわかるような人じゃないとだめだからという何かよくわからない回答を総務省の担当からいただいて、いや、そんな時代でもないでしょうと。

 改めて、なぜ市町村の名簿に登録された者に限定されねばならないのか、御回答ください。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 開票立会人は、開票の際の投票の効力の判定、決定に当たって必要な意見を言えるということとなっておりまして、その際、その地域における、ちょっと委員からございましたけれども、通称あるいは屋号など、まあ古い言葉で屋号などに通じているということで必要であるということから、従来からその選任範囲を、地域性を求めて、開票区における選挙人、今度は市町村ということで理解して要件としてきたところでございます。

 その役割を踏まえますと、やはり地域性を求めることについては引き続き合理性があるんではないかということ、あるいは、この範囲に対して地方の方からも見直し要望が特に寄せられていなかったということなので、今回の見直しについてはこれまでと同様の選任範囲を維持したということでございます。

 現行制度では、各政党あるいは候補者の方からも、支障があるという声あるいは見直しの声が大きくなってまいりましたら、それは、選挙の種類なども含めまして、さまざまな事情を勘案しつつ検討していくことになるんではないかと考えております。

泉委員 これ、各陣営が開票立会人を出すわけですから、陣営としても、例えば候補者がどういう通称で呼ばれているか、どういう可能性があるか、それを認識して立会人を出すわけですね。なのに、いや、あなたは要件を満たしていませんから立会人にはなれませんなんということを、果たして言われる理由があるのかなというふうに思うわけです。しっかりとその候補者の利益を代弁するために候補者陣営から選ばれて開票所に行っているわけですから、そこを何か行政が、あなた、地域知らないでしょうと、こんなことを言う権利があるのかなというふうに思いますね。

 例えば、京都でいいますと、京都府議会議員というのがありますが、これは京都府に住んでいればどの選挙区でも出られるはずですね。ですから、いわゆる選挙区に住んでいなくても、同じ京都府に住んでいれば立候補はできるわけですね。ですけれども、開票立会人にはなれない。何かどうもこの辺しっくりこないなという気がいたします。

 それは、わざわざ要望は来ないかもしれません。ただ、出してみて初めて拒否されてわかるというような話でありまして、それはやはり各陣営に委ねられている権利のようなものではないのかなというふうに思ったときには、その陣営のやはり意向にできる限り沿って、この立会人というものを緩和していただきたいなというふうに思うところであります。ぜひ今後も検討していただきたいと思います。

 さて、続いて公選法、これはぜひ、きょう委員の皆様は、各党各会派を超えて、やはり変なところがたくさんあります。これはやはりもう変えた方がいいんじゃないかというのを、ぜひ超党派でも取り組みたいなというのは正直思います。

 例えば、街頭演説とは何かとか、連呼行為とは何かとか、我々、一般的には、選挙の稼働時間というのは八時から八時というふうに思いがちですが、もう一部それが何かなし崩し的に、夜十二時まで何ができるとか、もう朝早くから何かやっているとか、ありませんか、そういうこと。もう恐らく候補者、それぞれ皆さんいっぱいあると思いますよ、四時半から場所取りをするだとか。それらも地域によりますけれども、果たして何がよくて何が悪いのかというのは法律ではなかなかわからない。そして、あっちの選管ではいいけれども、こっちの選管ではだめだとか、そういうのもあるというのも事実です。

 ちょっと具体的に触れていきたいと思いますが、いわゆる八時前の朝の活動でありますが、たすきをつけて無言で立礼をする。あるいは、音楽を流して立礼をする。そして、おはようございますとのみ挨拶をする。これは違法でしょうか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、基本的には、それぞれの態様によって具体の事実に即して判断されるべきという前提ではございますけれども、公職選挙法上で時間規制がされているのは街頭演説と連呼行為でございます。街頭演説とは、街頭又はこれに類似する場所において、あるいはこれらの場所に向かってする演説と解されているものでございます。連呼行為とは、短時間に同一内容の短い文言を繰り返し呼称することと解されております。

 これにつきましては規制があるわけでございますけれども、今お尋ねのありました、たすきをつけて立礼する、あるいは音楽を流すというのは、今言った定義からはちょっと外れてくるので、街頭演説にも連呼行為にも当たらないというふうなことで、したがって、時間制限の対象ではないというふうになってくると思います。一般論でございます。

 一方で、おはようございますとのみ挨拶するというようなことをした場合には、その態様によってはやはり連呼に当たる場合もあるというようなことで、個別具体に判断されるということとなっております。

泉委員 そうなんです。実はこれ、気をつけなきゃいけないのは、名前の連呼ということで規制されているわけじゃなく、文言の連呼で規制されているということがまず一つなんですね。

 続いて、ではその連呼行為禁止の目的、そしてまた、二十時から朝八時までの街頭演説の禁止の目的とは何なのかをお答えください。

大泉政府参考人 連呼行為につきましては、公職選挙法上、制定時には特段の制限はございませんでしたけれども、昭和二十七年の公職選挙法の改正により、選挙運動用自動車又は船舶の上での連呼行為等を除きまして原則禁止されるというふうに、あと、それから、演説会場あるいは街頭演説の場所にする場合を除いて連呼行為ができなくなったというようなことでございます。

 その後……(泉委員「経緯はいいです、目的」と呼ぶ)いいですか。

 その目的でございますが、連呼行為により予想される種々の障害の発生を防止することから考慮されたというのが、それから、あと、済みません、昭和二十七年の改正のときには、当時の解説書などによりますと、選挙運動が喧騒にわたり、喧騒、騒がしいということになりまして、選挙運動として好ましい方法とは思われないため、連呼行為を禁止し、これによって選挙人の公正な判断を失うことを防止する趣旨であったというような解説書もございます。

泉委員 種々の障害という本当によくわからない話ですが、でも、今、一部出ましたね、喧騒という話がありました。

 実は、委員の皆様にもお伝えというか、知っていただきたいんですが、今、昭和二十七年の話が出ました。その後、昭和二十九年、連呼行為全面禁止、街宣車でも禁止、よって街宣車は看板をつけただけの無音の車になった時代がございました。これは十年間続いております、十年間。昭和三十九年まで連呼行為全面禁止の時代があったということなんですね。

 ですから、実は、議員立法の時代と閣法の時代があるわけですけれども、さまざまに、車上における音出しについては規制と緩和の両方の時代があったようでありまして、ある意味、今を生きる我々がどう決めるかということも、今我々に委ねられているものがあるということだということですね。

 ちなみに、昭和五十八年からは現行の八時から二十時までとなっていますが、それ以降改正されていないわけでありまして、そういった意味では、昭和の時代では、結構、十年を超さない単位、五年ごとぐらいで改正されているぐらいのものでして。

 ぜひここは、今の時代、皆さんもぜひ、例えばツイッターで、ハッシュタグ選挙カーとか調べていただくとよくわかりますが、まあ、声なき声がいっぱい載っています、そこには。子供がまた起きてしまったとか、言えば切りがない話ですけれども。

 しかし、どこかで当事者の私たちも申しわけないなという気持ちを持っているんじゃないでしょうか。でも、ほかもやっているからやめるわけにはいかないよね、これが多くの議員の皆様の、候補者の皆様の考えのどこかには私はあるんじゃないのかなと思いますし、陣営にいる方々もそうだと思います。本当は、できれば、みんな、ほかの候補者も、違うルールであればこんなことじゃないのになと思うことがあるはずなんですね。やはりそういうところに我々はもう少し実際に動いていかなければいけないのではないかというふうに思います。

 さて、あともう一つおかしな点ですが、今現在は、法律では、車上や船上では連呼行為は許されているという話がありましたが、一方で、演説というものの定義においては、停止された場所でという定義のはずなんですね。これは、翻りますと、選挙カーが走っている最中は演説はできないということになるわけですが、そういう解釈でよろしいですか。

大泉政府参考人 車上や船上から走行中に演説をすることができるかということでございますけれども、個別の行為が公職選挙法に抵触するか否かについては具体の事実に即して判断されるという前提で、一般論として申し上げますと、公職選挙法の百四十一条の三におきまして、停止した自動車の上において選挙運動のために演説すること、それから、自動車の上において、自動車の上においてというのは自動車に乗ってということですけれども、選挙運動のための連呼行為をすることを除き、選挙運動のために使用される自動車の上においては選挙運動をすることができないとされておりますので、これに載っておりません、走行中に演説するということにつきましては、同法に抵触するおそれがあるものというふうに考えられるところでございます。

泉委員 委員長、ぜひ変えましょう、これ。選挙カーで連呼しかできないんですよ、今の法律で言うと。演説をすると抵触するおそれがある、こんなことあり得ますか。有権者が聞きたいのは、むしろ、とまった車でしか演説できないんじゃなくて、まあ、ゆっくり走っている車で連呼だったら、まだ経歴や政策をしゃべってくれた方がいいと思っている方が大多数じゃないですか。にもかかわらず、それができない。

 そして、かつ、車の上で、車上という表現がありますが、これは、車の前に立つことも含めてなんですか。車の上でというのは、あくまで乗ってなきゃだめなんですかね。まあ、いい、ここはもう聞きません。

 本当に、そういうおかしな公職選挙法を、我々はやはり立法府ですから、我々に委ねられているわけですね、これを変えるというのは。やはり、ちょっと、これはもう変えなければいけないのではないのかなと思います。

 次、あと二点ぐらい、変えなければいけないことを申し上げたいと思います。

 続いて、車上運動員、ウグイス嬢だとかカラスだとか言われますね。皆さん、どうでしょう。これは各地で、ちょっと、実際にはなし崩し的にばらけているところもあるんですが、証紙ビラを配れるのか、配れないのかであります。どうも、法律上は、配れない人ではないのか、ウグイス嬢は、選挙カーに乗っているわけですから。そこはいかがですか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 これも、個別の行為につきましては具体の事実に判断されるという前提で、一般論として申し上げます。

 公職選挙法上、車上運動員、いわゆるウグイスさんなどにつきましては、専ら選挙運動用自動車の上における選挙運動のために使用する者と規定されておりまして、選挙運動用自動車の上において連呼行為等の選挙運動を本務とする者をいうと解されております。

 そういう意味で、車上運動員について、ビラの頒布が、すべからく、専らというものでございますけれども、すべからく禁止されているわけではありませんというふうに解されております。

 ただし、ただしでございます。ただし、公職選挙法百九十七条の二におきまして、選挙運動に従事する者のうち、今申し上げております車上運動員などの一定の者に限り、候補者ですと、あらかじめ届出を行った上で一定の報酬を支給することができるということとなっております。一方で、その他の者、選挙運動員に対しては、報酬を支給することは買収推定になるということでございます。

 したがいまして、車上運動員につきましては、選挙運動用ビラを一部で頒布する、態様にもよりますけれども、一部で……(泉委員「一部」と呼ぶ)本務から、ちょっと、わずかな分だけ頒布するというようなことであれば認められるんですけれども、その者が車上運動員と言えないぐらいのビラの頒布をしたら、報酬が出せなくなるというような仕組みになっております。

泉委員 選挙部長をしてこの答弁ですよ。どうですか。我が国の選挙をつかさどる部長が、こんなに、一般論という、一般的に選挙をやっている我々が誰も理解できないような答弁をしなきゃいけない状況にあるわけです。

 車上運動員が、今の話だと、ちょっととか一部、専らでなければという表現で、できるという解釈の方が我々の恐らく心に響いたと思うので、恐らくできるということになってしまうのでありますけれども、一部選管によっては、非常にそこを厳しくしているケースがある。

 それが何につながるかというと、いわゆるウグイスの人だって、長時間ずっとはしゃべれません。当然、交代要員が乗らなければいけない。そうすると、車に乗れる人数も決まってくる。そうすると、わざわざ後ろにビラ配布用の人をもう一台車に乗せて、二台で走らなければいけないということになる。そうすると、交通渋滞だとか、さまざまな離合で余計手間がかかったり、人の手配でも本当に手間がかかるわけですね。こういう、余計なと言うとあれですが、選挙の負担を強いるようなことをやる必要はないというふうに思うんですね。

 ですから、例えば、ビラの配布に関しては、選挙カーで遠くの集落まで行って、なかなかほかの運動員がいないところなのに、私たち車上運動員なので配れませんみたいな話になってしまっては、これはやはりおかしなことですので、今の解釈のように、一部であれば、あるいは、全くできないわけではないという解釈をしっかり徹底していただきたい、それがやはり選挙の遂行にとって円滑な遂行になるのではないのかなというふうに思いますので、ぜひそこも御配慮いただきたいと思います。

 続いて、戸別訪問なんですね。済みません、これはちょっと質問通告していませんので、こちらからちょっとお話ししたいと思いますが、百三十八条で戸別訪問、選挙中、できないとなっているわけですね。

 ただ、大臣、これは御存じですか、戸別訪問ができないとされている理由ですけれども、簡単に言えば、買収の温床になるということでありますが、大臣、御実感として、例えば、候補者が選挙中に個宅を訪問して買収の温床になると思いますか。

石田国務大臣 今現在の選挙におきましては、そういうことはあり得ないというふうに思っております。

泉委員 いや本当に、本音だと思いますよ。

 私は、確かに、不特定多数の運動員が戸別訪問を全面的に解禁をするというのは、これはかなりハードルが高いなと思います。

 一方で、候補者は、選挙カーに乗っているか、事務所にいるか、家にいるかぐらいの選択肢しか本当にないのか。実際には、恐らく選挙カーをおりて、政治用語で言うと潜りと言われるものですけれども、候補者がいろんな企業ですとかいろんなお宅を訪問されているやに聞いています。ただ、それも戸別の不特定多数の訪問ではないからなんということで、何かなし崩しになっているわけですが、私は、候補者が個宅に訪問する、選挙期間中に訪問することがなぜいけないのかということをこの際はっきりしていただきたい。

 今大臣からも、かつてはそうだったけれども、今はその本人がそんな買収で個宅を訪問するようなことがあればすぐわかるわけですね。こういった意味からも、この戸別訪問の解禁というものも、少なくとも候補者についてはということは、私はぜひやっていただいていいのではないのかなと。このこともお伝えさせていただきたいというふうに思います。

 そして、改めて、拡声機つき選挙カーでありますけれども、先ほどお話をしたように、時代によって時間規制も変わってまいりました。当初は、昭和二十六年、朝六時から夜十時まで選挙カーが可能だったわけであります。それもかなりハードだなと今思います。でも、ようやくそれが今、朝八時から二十時までになったわけですが、二十四時間という時代になってきて、夜勤の方もふえている、その方々への配慮といえばもう選挙カーは全部なくしてしまえということも当然なんですが、いきなりでは難しいかもしれない。

 しかしながら、私は、例えば、朝そして夜の二時間ずつは、この際、短縮をして、本当にまずは第一歩ということかもしれませんが、午前十時から十八時までにするとかそういうことを……(発言する者あり)そうなんです。実はこれは、運動員ですとか、候補者にもこの選挙運動を通じて何を求めているのかということでいいますと、少なくとも十二時間外で最大限動けるようになってしまっているということは、その時間の選挙運動をある意味強いられているわけでありますね。もちろん自由はありますが、その時間全力を尽くすことが可能ですよと言われている以上は全力を尽くさざるを得ないところがあります。

 もちろん、非常に有力者の方で、ずっと選挙中に余り外に出られない方も中にはありますが、普通はそうはいきません。そういった意味では、働き方改革という意味でも、八時間をいわゆる基本的な稼働時間にするというのは私は一つの考え方ではないかなと思うんですが、大臣、いかがですか。

石田国務大臣 いろいろと御指摘をいただきまして、私も長年選挙をやっておりまして、同感のところもあるわけでございますし、これはしかし選挙制度というのは根幹でございますから、やはり各党各会派で十分御議論をいただいて、やっていただきたい、そのように思っております。私も思うところがたくさんございました。

泉委員 ぜひ大臣やあるいは委員長からもアドバイスもいただきながら、改めてこの公選法の見直し、超党派で取り組んで、私は、国民にとっても、また選挙の当事者にとっても、よりよき、時代に合ったものになるように、インターネット選挙も進んでいる中でいえば、わざわざ大きな声を出して選挙をやらねばならない時代なのかどうかということもよく考えて、ぜひ取組をさせていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

山口委員長 次に、高木錬太郎君。

高木(錬)委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの高木錬太郎です。

 まず冒頭、せんだって、四月七日、統一自治体選挙前半戦が終わりまして、候補者の皆さん、そして候補者を支えている皆さんはもちろんですが、選挙事務に携わった皆さん、投票立会人、開票立会人、それぞれ、ある意味民主主義を支えている皆様でありますので、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 その統一自治体選挙でありますが、石田総務大臣におかれましては、県議と首長を長く御経験されてこられて、地方議会を熟知されているお方だと思いますし、まず二点、この統一選につきまして受けとめを伺いたいと思います。

 まず一つが、報道等で選挙前から大分出ておりましたが、なり手不足についてであります。

 今般の都道府県議選におきましては、改選定数が全国で二千二百七十七に対して、候補者数が三千六十二人ということで、競争率が一・三四倍と。これが、過去を見ますと、一九九一年の一・四一倍を下回る過去最低を記録したということであります。

 また、無投票についても深刻かと思います。選挙区は、五百七十四あるのに対して、全国の実施された、都は入りませんね、道府県議選ですね、無投票は三百七十一選挙区があったということであります。

 このなり手不足、候補者がおらず無投票になった、大変多かったということにつきまして、大臣の受けとめをお願いいたします。

石田国務大臣 今御指摘いただきました無投票当選については、やはり地域あるいは選挙によって事情はさまざまであろうというふうに考えております。また、立候補するかしないかは個人の選択でもございまして、地域の将来を託す代表者を選ぶ大変重要な選挙であり、有権者の選択の機会が確保され、活発な議論が行われることが望ましいと考えております。

 また、今御指摘のように、多くの地方議会におきまして、議員のなり手不足の問題、これはもう本当に深刻な状況にあるというふうに認識をいたしております。

 その原因につきましては、いろいろと指摘されているわけでありますけれども、私の経験からいいましても、一つは、やはり御家族の立候補への理解というのもあるんだろうと思いますし、特に、市町村議会等におきましては、生活に密着した課題が随分と改善されてきたといった時代の変革によりまして、地方議員のあり方も大きく変わってきている、こういうことも影響しているんではないかな、そういうふうに考えております。

 そして、議員のなり手不足について、各級の議会によって随分課題とか背景が違うんではないかなというふうに考えておりまして、例えば、都道府県議会の場合、指定都市の場合、あるいは中核市の場合、一般市、町村の場合、それぞれ違いがあるというふうに考えておりまして、私どもの方から、三議長会に対しまして、それぞれの議会が抱えている課題、背景に応じたなり手不足への対応策について研究をしていただきたいということの要請をさせていただきました。

 まだそれのお返事をいただいておりませんけれども、総務省としては、今までいろいろな取組をしておりますけれども、そうした研究も踏まえて、議会や団体のお考えをよく聞いて、また皆さんと相談しながら取組を進めてまいりたいと考えております。

高木(錬)委員 御丁寧な御答弁をありがとうございました。

 大臣がおっしゃるとおり、さまざまな理由があるかと思います。それぞれの地域でも全く事情が違うでしょう。

 必ずしも、なり手不足は地方の問題だけではなくて、実は都市部でもありまして、私が住んでおりますさいたま市でも、前回、市議選、県議選ともに無投票の行政区がありましたし、決して地方だけの問題ではなくて、今大臣が御答弁されたような要請をされているということで、私もちょっと注視したいなと思っております。

 もう一点、受けとめを伺いたいと思います。投票率です。

 これまで総務省としてもさまざまな施策を講じているところでありますが、残念ながらなかなか投票率が上がらない。今回も、全国的に見ますと四年前に比べて一ポイント下がっている程度と言っていいんでしょうか、ぐらいですけれども、下がったのは事実で、私の住んでおります埼玉は史上最低の投票率を記録してしまったと。

 この投票率の下落傾向、さまざま対策を講じているにもかかわらずこうなってしまっていることにつきまして、大臣の受けとめをお願いいたします。

石田国務大臣 投票率につきましては、天候とか選挙の争点などさまざまな事情がありまして総合的に影響するものと考えておりまして、その要因を一概に申し上げることは困難でありますけれども、多くの都道府県において投票率が低かったということは、まことに残念なことであろうと思います。

 私は、長期的な観点から投票率の向上を図るということにつきましては、やはり国や社会の問題を自分たちの問題として考え、捉え、行動していく主権者を育てる、いわゆる主権者教育の息の長い取組が重要というふうに考えております。

 といいますのは、やはり投票というのは国民主権のもとで最も重要な基本的権利の一つでございまして、その基本的権利の一つが選挙権の行使であるということ、このことをやはり皆様方に御理解いただいた上で投票行動に移っていただくということが一番根本ではないかなというふうに考えているわけでございます。

 また一方、我々といたしましては、投票しやすい環境をしっかり整えていくということも大事でございまして、総務省としてしっかりした取組をこれからも進めていきたいと思っておりますし、今回の統一地方選挙の後半戦、市区町村の選挙におきましては、有権者の皆様にぜひ主権者としての自覚を持って積極的な投票への参加をお願いをいたしたいと考えております。

高木(錬)委員 ありがとうございました。

 投票率を上げるために、投票環境の向上の一つの対策を後ほどまた触れさせていただきたいと思います。

 当然それも重要だと思いますが、まことに僣越ですが、政治の側にいる者として強く認識しておかなければいけないであろうことが、やはり国民の皆さんからの政治不信、政治家不信も一つの要因としてあるのではないかなと。これは強く認識して、政治の側が、国民の政治離れではなくて、政治の国民離れにならないように、強くみずからを戒めて取り組んでいきたいなと思うところであります。

 それでは、法案の質問に入っていきたいと思います。

 まず、選挙執行経費基準法の改正につきまして伺います。

 せんだっての大臣の説明の中にもありましたけれども、この法案ですが、三年ごとに見直すと。その中に、最近における物価の変動を考慮し、選挙執行経費の基準を改定する。

 この最近における物価の変動というものをどう捉えて、今回の改正にどう反映したのか、御説明いただけますでしょうか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 選挙執行経費基準法は、国政選挙の執行に当たって地方公共団体に委託して行われる投開票事務等の選挙事務に要する経費につきまして、国が負担するという経費の基準を定めているものでございます。

 これらの基準額につきましては、御指摘のとおり、参議院議員の通常選挙のある年に改定を行って、諸物価等の変動等を踏まえ、定例的に改定をしてきているものでございまして、今回の改定に当たりましては、物価上昇率、これがプラス一・二%でございました。また、最新の地方財政計画の給与費単価、最新の東京都の最低賃金などを反映して積算することによりまして、これに加えまして、選挙の執行の実態を踏まえて、選挙機器の購入費なども加算規定を新設するというようなことを盛り込みまして、所要の改正を行うこととしているところでございます。

高木(錬)委員 この執行経費基準でありますが、昨年の十二月に全国市区選挙管理委員会連合会から要望書が提出されていると思います。各市区において選挙を執行する際の実態が反映されていない区分が多くなっている、このことから、各市区の選挙執行実態を調査の上、実情に合う基準を定めるよう求めるものであるという内容であったり、また、同じく昨年の十二月に都道府県選挙管理委員会連合会から要望が政府に上がっているかと思いますが、国会議員の選挙等の執行経費の基準については、実情に即して基準額等を改められたい、とりわけ、期日前投票経費の基本額は実態と乖離している、このような要望が上がっておりますが、それをどう受けとめ、今回の改正にどう反映されたか、御説明いただけますでしょうか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、各選挙管理委員会連合会から、選挙の実態に即して基準額等につきまして設定するよう要望があったということでございます。

 また、総務省としては、今回の執行経費基準法の改正に当たりまして、全市区町村を対象にして、前回平成二十八年執行の参議院通常選挙における執行経費の使途、あるいは開票事務に要する時間等について調査をいたしました。

 その調査結果によりますと、多くの投開票所におきまして、投票所の自動交付機、また投票用紙読み取り分類機、これは開票所の方でございますけれども、などの設備を導入していること、投開票の設営につき、必要となる備品の借入れや、会場設営作業の委託をしている団体が多いことなどが明らかになったところでございました。したがいまして、これらの実態を踏まえまして、選挙機器の購入費に係る加算費用の新設等、所要の改正を行うということとしております。

 本年夏の執行予定の参議院の通常選挙における執行経費につきましても、期日前投票経費などを含めまして、実態調査を踏まえた予算計上をしているところでございまして、必要な経費につきまして適切に措置していきたいと考えております。

高木(錬)委員 今御答弁にもありましたが、本年夏に執行予定の参議院通常選挙における期日前投票に関してですが、三年前、参議院選挙前に、期日前投票につきまして、駅構内やショッピングセンター等頻繁に人の往来がある施設においても設置することが可能であるので、当該施設への設置について十分検討の上、積極的に措置することという通知を選挙部長の名前で各都道府県選挙管理委員長に送られておられると思いますが、今回も同様に、期日前投票所を積極的にふやしていきましょう、ふやしてくださいという趣旨の通知を出すおつもりでしょうか。

大泉政府参考人 期日前投票の設置につきましては、平成二十八年の基準法及び公選法改正、三年前になりますけれども、この改正の際に、期日前投票所を設ける場合には、期日前投票所の効果的な設置など、必要な措置を講ずるものとする旨の訓示規定が議員修正で追加されたということもございまして、前回は通知しておるところでございますが、今回も、やはり期日前投票所をできるだけ選挙人の利便性に配慮して設置するように通知を出すつもりではございます。

高木(錬)委員 過去の当委員会での議論の中で、なかなかこの期日前投票所増設についてはいろいろ議論があったやに伺っております。

 と申しますのも、確かに公職選挙法第四十四条では投票当日投票所投票主義という考え方が書かれており、期日前投票を促すことが、事前運動との兼ね合いも出てくる、あるいは選挙運動期間とは何かという話にもなってきて、期日前投票が促進されて、投票所入場券が届いた翌日に期日前投票に行ってということが見られますと、一体選挙運動とは何なんだという話にもなるか、そういった趣旨の議論も過去あったとは思いますが、とはいえ、やはり、社会環境の変化に合わせて、できるだけ投票率を上げていこう、先ほど主権者教育という話もありましたが、他方で、やはり環境を整えていこう、時代に合わせていこうということは決して間違った施策ではなくて、投票率向上のため、その一心でいろんな環境を整えていくというのは重要なことだと私は思っております。

 この期日前投票でありますが、三年前に投票時間の弾力的な設定ということで改正が行われました。期日前投票所を二つ以上設けた場合に、弾力的に朝にずらすとか夜にずらすということができるようになった。その結果、現在、実態としてどのようになっているか、教えていただけますでしょうか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、期日前投票所の設置につきましては、平成二十八年の公職選挙法の改正によりまして、それまで午前八時半から午後八時までと固定されていたところが、開始時間の二時間以内の繰上げあるいは終了時刻の二時間以内の繰下げといった弾力的な運営が可能になったということでございます。

 さらに、二カ所以上期日前投票所を設置している場合には、いずれか一カ所の期日前投票所が開いていれば、他の期日前投票所につきましては、投票時間を柔軟に設定できるということとなっております。

 平成二十九年の衆議院選挙におきましては、その結果、期日前投票所の数は、五千三百八十四カ所設置されておりまして、平成二十六年の衆議院選挙の四千八百六十一カ所であったことに比べると増加しております。

 また、その総選挙では、三十三団体の八十一カ所において、期日前投票所で投票時間の弾力的な設定が行われたと承知しております。

高木(錬)委員 全く当局としては想定していないことだとは思いますが、恣意的に弾力運用を利用して有権者の皆さんの投票機会が奪われるようなことがあってはいけない。その地域地域に合わせて時間をずらすはずが、必ずしも地域の事情に合わない形で弾力運用がされることがないように、ちょっと、一応論理的には、可能性としてはあり得る話だと思うので、そこは当局としても気にしておいていただければと思うわけであります。

 もう一点、改正について伺いたいのが、投票管理者及び投票立会人の選任要件の緩和であります。

 これは、投票所の減少を食いとめる一つの方策だと伺っておりますが、これによってどれだけの減少をとめられるという見込み、お考えでありますか。

大泉政府参考人 投票管理者あるいは投票立会人の選任要件の緩和が今回の法案に入っているわけでございますが、投票管理者につきましては、市外在住者の増加、職員数の削減などを背景に、適任者の確保に懸念が生じているという現状がありまして、投票立会人の方は、有権者が少数の地域あるいは高齢化の進んだ地域などにおいて投票区からの選任が難しくなっているという現状を踏まえまして、選挙権を有する者というふうに変えるという内容となっております。これらにつきましては、各選挙管理委員会からの、また連合会からの要請もあったところでございます。

 このような措置につきまして、投票所がどのぐらいふえるかということですけれども、投票所が維持困難なところに対して効果を発揮するであろうとは考えられますけれども、具体的に、これからふえていくかということについては、ちょっとなかなか申し上げられない状況にあると思います。

高木(錬)委員 選挙執行経費の中にポスター掲示場の設置の経費も入っておりまして、そのポスター掲示場の設置について一点伺いたいです。

 今回、埼玉で統一選前半戦、私も仲間のところに微力ながら応援に行かせていただきまして、各地域で、私、ちょっと気にしてみたことがあるんです。

 と申しますのは、特に、埼玉県南部は都市部でありまして、駅を利用する方々が大変多い、人の往来が頻繁にあるという地域の特殊性があるんですが、その中で気になったのが、先ほど、期日前投票所は駅の構内にもという話がありましたが、公営掲示板、ポスターの掲示場ですが、さすがに駅の構内は難しかろうと思うんですけれども、駅の前のちょっと広くなっているロータリーですとか、そういうところに、人目がつくところになぜ設置されていないのかなと非常に気になりました。

 先ほども大臣にお尋ねしましたけれども、投票率の向上という観点で見ましても、人目につくところにポスターの掲示場がある、ああ、選挙が始まったんだなと。特に埼玉は、東京都にお仕事で通われている方も多くて、日中、埼玉にいない方も多うございますので、駅を使って、夜帰ってきたときに、駅前でポスターが張ってあって、ああ、選挙が始まったんだなという認識を持ったりもすると思うんですね。

 ですので、ポスター掲示場をぜひ駅前にと思うんですが、これは、各自治体の選挙管理委員会が現場レベルでそれぞれ駅にお願いをしてもなかなか難しいのかなということを考えるわけで、ここはぜひ、総務省として、各鉄道事業者へ協力依頼をしてはいかがか、すべきではなかろうかというふうに思うわけですが、いかがでございますでしょうか。

大泉政府参考人 選挙運動用ポスターの掲示場につきましては、各市町村の選挙管理委員会において、有権者の見やすい場所に設置するよう努めているというふうに考えております。

 また、公職選挙法第百四十四条の五においては、土地又は工作物の居住者、管理者又は所有者は、ポスター掲示場の設置に関し、事情の許す限り協力しなければならないという規定もございます。

 総務省といたしましては、選挙運動用ポスターの掲示場につきまして、国政選挙や統一地方選挙のたびに、JR各社に対しまして、ポスター掲示場の設置場所の提供についての協力を依頼している文書を出しているところでございます。また、他の鉄道事業者からの協力につきましても、関係機関と調整してまいりたいと考えておるところでございます。

高木(錬)委員 あくまでも私の主観でありますが、埼玉南部を始めとする鉄道利用者が多い地域では、非常に投票率向上には有効な手段かと思います。目立つところに置く、それによって選挙をやっているということが認知される。ぜひ積極的に、ここは各鉄道事業者へ、総務省、政府として要請していただきたいなと思うところであります。

 続きまして、公職選挙法の改正に移らせていただきます。中でも選挙公報についてであります。

 今回、電子データで提出することを可能とするということに改正されるわけでありますが、これによってどの程度早期に各世帯へ配布することになると当局としてお考えでしょうか。

大泉政府参考人 公職選挙法上、国政選挙また都道府県知事選挙におきましては、市町村の選挙管理委員会が、選挙期日前、二日前までに選挙公報を各世帯に配布するものと定まっておるところでございます。

 調べましたところ、平成二十九年の衆議院選挙の選挙公報の配布状況を確認しましたところ、小選挙区と比例代表双方の各世帯への配布が完了したのは、最も早い自治体で、選挙期日の八日前、遅い自治体では、法律どおり選挙期日の二日前ということとなっておりました。

 今回、これらを早めるためということもございまして、電子データで選挙公報の原稿を提出いただくような方法をとるということができるように改正を考えておりますけれども、これによりまして短縮が見込まれるのは、平成二十九年の衆議院選挙などであれば二、三日程度の短縮が見込まれるのではないかというふうに考えておるところでございます。

高木(錬)委員 同じく選挙公報につきまして、今回、電子データでの提出ということで、ただ、これはPDFファイルということで、音声読み上げソフトを利用されている視覚障害者の皆様には、やはり音でということでありますので、テキストデータを同時に提出することが肝要かと思いますが、その点につきまして、この夏の参議院通常選挙から、PDFと、もう一つテキストデータでも提出するような、そのような形にするのか、そこら辺の取組、お考えを教えてください。

大泉政府参考人 総務省に置かれておりました投票環境の向上方策等に関する研究会が昨年八月に報告書を出しまして、その中では、音声読み上げソフトを用いる視覚障害者の便宜に資するよう、選挙公報の掲載文原稿のテキストデータを提供することについて提言がございました。

 これを受けまして、現在、総務省といたしましては、今回の法改正によります選挙公報の掲載文の電子データによる原稿提出に合わせまして、テキストデータが含まれたファイル形式で御提出をいただければ、音声読み上げソフトにも対応できる形でホームページの掲載ができると考えておりまして、このようなやり方を念頭に置きまして、候補者等、また選挙管理委員会の過度な事務負担にならないようなことも配慮しながら詳細を詰めているところでございます。

 早期に検討を進めまして、この夏の参議院議員の通常選挙から実現できるように取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

高木(錬)委員 ぜひ、この夏からお願いしたいと思います。

 選挙公報の配布率について、次にお尋ねいたします。

 法律では、各世帯に配布するようという内容になっているかと思いますが、実態はどうでしょうか。

大泉政府参考人 私どもの持っているデータで御紹介させていただきます。

 直近の衆議院議員総選挙、参議院通常選挙について申し上げますと、平成二十八年の参議院議員通常選挙におきましては、配布すべき世帯数約五千五百二十八万世帯に対しまして、約五千八百四十三万部の選挙公報を発行しております。また、平成二十九年の衆議院議員の総選挙におきましては、配布すべき世帯数が約五千五百八十三万世帯でございますが、約六千十三万部の選挙公報をそれぞれ発行しております。

 選挙管理委員会としても、行き渡るように、いろいろな公共施設に置いたりする分も含めまして印刷をしていると考えております。

高木(錬)委員 私が住む埼玉のある市では非常にこの配布率が低くて、ポスティングは、マンションはお断りされる、新聞折り込みは、市が、必ずしも販売店さんが全てを網羅しているわけではない、新聞を読んでいらっしゃらない方もいる等々、選挙における候補者を選ぶ際の重要なツールである選挙公報が有権者全員に行き渡っていない、各世帯に行き渡っていないということが実態としてあります。

 そこで、一つ提案でありますが、投票所入場券が有権者の皆様のお手元には届きます。この投票所入場券にお住まいの各都道府県選挙管理委員会のホームページのQRコードを印刷して、それによって、QRコードを読めばホームページに飛び、そこには選挙公報がアップされている、それを見て有権者の皆様は御判断するというのも一つかと思います。

 必ず投票所入場券というのは有権者全員に届くわけでありますので、これは非常に有効な一つの手段ではなかろうかと思うわけでありますが、いかがでしょうか。

大泉政府参考人 私どもは、網羅的に調査しているわけではございませんですけれども、投票所入場券や入場券を送付する封筒などに、各市町村の選挙管理委員会のホームページ、あるいは投票所の場所などの案内へ誘導するためにQRコードを印刷している市町村もあると承知しております。

 国政選挙においては、選挙公報について各都道府県の選挙管理委員会のホームページに載っているところでございますけれども、選挙公報に限らず、有権者が選挙情報に触れやすい工夫を行っているという取組事例があれば、これらを横展開しまして周知してまいり、協力を得ていきたいと考えております。

高木(錬)委員 もう既にやっていらっしゃる選挙管理委員会があるということでありますので、そんなにお金もかかる話ではありませんし、非常に有効かと私は思っておりますので、ぜひ横展開していただいて、この夏の参議院通常選挙から実施していただければなと思います。

 最後に、公職選挙法ですが、今回、立憲民主党としては、パートナーズ制度というものを設けまして、全くこれまで選挙や政治にかかわってきたことがない方々が、今回この統一選でぜひちょっとやってみたい、のぞいてみたいという方、多数、埼玉でもいらっしゃったわけです。

 まず最初に、私も、みんなで公職選挙法を学ぼうということで勉強会を重ねました。そのたびに参加者から言われたのが、全くわからぬという感想でした。そういった、これまで政治や選挙をちょっと距離を置いて見ていらっしゃった方々は、ある種ちょっと怖がっているところがやはりありまして、その方々にこんな難しい選挙法を御説明しても、より一層、わけわからぬ、何が法律違反なのかわからない、ひょっとしたら自分は法律違反をするかもしれないというマインドになってしまうんですね。

 つまり、私も、この公職選挙法は、有権者、一般国民にとって非常にわかりやすい、政治との垣根を低くするような、そんな法律にこれから変えていかなければいけない、改めてこの選挙を通して感じたところであります。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

山口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 執行経費法について質問いたします。

 最初に、大臣に伺います。

 選挙は民主主義の根幹であり、主権者である国民の参政権の問題であります。不正があれば選挙の正当性が失われることになり、選挙無効になりかねないので、ひいては選挙権を行使できなくなる問題です。選挙執行に当たって最も重要なことは公正で間違いがあってはならないということですが、その点を確認したいと思います。

石田国務大臣 御指摘のように、選挙は民主主義の根幹をなすものであることから、適正な管理、執行により選挙の公正を確保することは極めて重要であると考えております。

塩川委員 開票所の経費について、まずお尋ねします。

 この間、国政選挙における選管の開票不正が三回も起きております。

 二〇一三年参議院選挙での高松市選管の不正開票事件。これは、開票作業中、投票数が足りないことに気がついて、白票の水増しでつじつま合わせをした。その後、未集計の票を発見するが、再集計はしなかった。後日、白票水増しを告発する通報があったにもかかわらず、隠蔽工作を行った。

 二〇一四年総選挙では、仙台市の選管において、作業ミスを取り繕うため、実際には存在しない白票などを水増しするなどの不正を行っていた。

 二〇一七年総選挙では、甲賀市選管が、投票総数より開票した票数が少なかったため、無効票となる白票を水増ししてつじつまを合わせ、後で見つかった未集計の投票用紙を焼却処分していた。

 現行憲法下でこのようなことはなかったのに、この五年間に開票不正が三回も起きております。

 また、開票不正以外にも、投票用紙の交付ミスや不在者投票の運用の誤りなど、管理、執行上問題となった行為、いわゆる選挙事務ミスもあります。二〇〇五年総選挙では六十四件だったのが、二〇一七年総選挙では百七十五件と、十年近くで約三倍に急増しており、しかもほとんどの都道府県でミスがあるという大変な問題であります。

 二〇一五年五月の当委員会で、私の質問に対し、当時の高市大臣は、選挙事務に携わった職員が不正を行うという事案が発生したことで、選挙への信頼を揺るがしかねない、ゆゆしきことと述べ、選挙の管理、執行の公正性や厳正な手続を損なわれることがないように、しっかりと注意喚起していくと答弁しました。

 石田大臣にお尋ねしますが、この答弁は四年前のことです。その後も甲賀市選管の不祥事が起こりました。なぜ不正や選挙ミスがなくならないのか。どうお考えか、お聞かせください。

石田国務大臣 選挙は民主主義の根幹をなすものでございまして、依然として多くの管理、執行上のミスが発生していることはまことに残念なことと考えております。

 こうした管理、執行上問題となった事項につきましては、全国の選挙管理委員会で情報共有を図っておりまして、各選挙管理委員会においては、これら他団体の事例を参考にしながら、適切な管理、執行に努めていただきたいと考えております。

 御指摘ありましたように、平成二十五年には、高松市において、単なるミスを超え、選挙事務に携わった職員が不正を行うという事案が起こったことから、全国の選挙管理委員会に対して、選挙の厳正な管理、執行の確保について通知を発出をいたしました。しかしながら、その後も仙台市や甲賀市において不正事案が発生していることは、選挙への信頼を大きく揺るがしかねず、大変ゆゆしき問題と認識をいたしておりまして、昨年四月にも改めて通知を発出したところでございます。

 各選挙管理委員会におきましては、法令遵守はもとより、改めて選挙の公正の確保という原点に立ち返り、緊張感を持って職務に臨み、選挙の厳正な管理、執行に万全を期していただきたいと考えております。

 総務省といたしましても、今年度新たに、各選挙管理委員会が実施する研修等に投開票事務に精通した選挙管理委員会OB等を派遣する制度を設けるなど、選挙の厳正な管理、執行に努めてまいりたいと考えております。

塩川委員 通知とか研修とかの啓発のレベルの話じゃない、私はそういう点で危機感が足りないんじゃないのかと率直に言わざるを得ません。

 戦後の現行憲法下の七十年以上の歴史の中で一度もなかったことが、二〇一三年以降立て続けに三回も起きているんですよ。こういった事態、それは、選管が開票不正をやるんですから、これは極めて重大な事態であるわけで、それを本当にもう今後決して行わせないといった対応が求められる、民主主義の根幹である選挙の信頼を大きく揺るがす事態を絶対繰り返させないということを求めていく必要があると思います。

 何度も指摘したことですけれども、こういう事件の背景に、開票時間の短縮を求める、そういうプレッシャーがあったことは明らかではないのか。この点で幾つか基礎的な数字を確認したいのですが、一九九八年と二〇一六年の参院選時の投票所総数、開票所総数を述べていただきたい。

大泉政府参考人 投票所につきましては、一九九八年、平成十年の参議院議員通常選挙におきましては五万三千四百十七カ所、平成二十八年、二〇一六年の参議院議員通常選挙におきましては四万七千九百二カ所となっております。

 一方、開票所につきましては、平成十年、一九九八年の参議院議員通常選挙におきましては三千四百カ所、平成二十八年、二〇一六年の参議院議員通常選挙におきましては千九百一カ所となっております。

塩川委員 この二十年ほどで投票所は約五千五百カ所減り、開票所は四割も減少しています。

 この問題というのは、甲賀市の事案では、不正にかかわった選管事務局長兼務の総務部長、総務部次長、総務部の課長級職員の三人は、無効票を水増しした理由を開票おくれを回避するためにやったと説明しているということがあるので問うているわけですけれども、こういった国政選挙経費の基準額、積算の前提となる開票事務に要する時間がどんどん減らされて、現行は準備、撤去の時間を含め四・五時間となっています。

 総務省にお尋ねしますが、一六年の参院選において、基準四・五時間以内に開票終了をしている開票所の累計数、比率を述べていただきたい。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年、二〇一六年の参議院議員通常選挙において、四・五時間未満で開票が終了した開票所は、全開票所の千九百一カ所のうち八百七十五カ所でございまして、比率は約四六%でございました。

塩川委員 だから、そういう点でいえば、四六%、開票を終えているというのは半数にもならないわけです。

 本案で開票時間基準が四・五時間のままなんですよ。これはなぜなんですか。

大泉政府参考人 この点、先ほど申しました、平成二十八年、二〇一六年の参議院議員通常選挙において、全ての開票所の平均開票時間は四時間五十分でありました。平成二十五年、その前の参議院選挙でございますが、これの平均開票時間は四時間四十七分と余り差がなかったところでございました。また、平成二十九年の衆議院選挙の総選挙につきましては、全ての開票所のうち約八割が四・五時間以内におさまったというようなこともございました。

 選挙の公正な執行を期するためには、必要な時間を確保するということは重要でございますが、その経費が国民の負担となることを考慮しますと、事務の効率化を図りまして経費の節減に努めるということも重要でございます。

 このため、今回の改正案につきましては、投票用紙読み取り分類機など、開票事務に活用する選挙用電子機器の整備に係る経費を新たに項目立てして規定し、効果的、効率的な開票事務を行える体制を整えるということで、開票時間の短縮が見込まれることから、現行の基準時間である四・五時間、四時間半ということを維持することとしたものでございます。

塩川委員 経費の話を、ここで持ち出すっておかしいと思うんです。

 そもそも、だって、民主主義の土台である選挙、その公正性を担保する上でも必要な経費をかけるって当然のことなんですよ。よく皆さんは民主主義のコストなんて言うけれども、まさにそう言うのであれば、選挙に必要な経費をかけるというのは当たり前のことなんです。そういった点でも、こういう対応というのはおかしいと言わざるを得ません。

 もともと、二〇〇四年の基準は参議院選挙は六・五時間、衆院選は六時間だったのが、〇七年基準は五時間、一三年基準は四時間に減らされて、前回、一六年基準で、三十分戻して四・五時間になったという経緯なわけなんですよね。

 二〇一六年の参院選において、もとの基準の六・五時間以内に開票終了している開票所は累計で八七%で、この四・五時間というのは全く実態に見合っていないということを言わざるを得ません。

 大臣にお尋ねしますが、本案では、開票所経費の増額となっていますが、これが執行上のミスの減少につながるとお考えでしょうか。

石田国務大臣 本改正案は、執行経費基準法について、選挙執行の実態等を踏まえ、改正を行うものであり、開票所経費につきましては、先ほど選挙部長から答弁をさせていただいたとおり、投票用紙の読み取り分類機など、開票事務に活用する選挙用電子機器の整備に係る経費を新たに規定することとしたところでございました。

 各選挙管理委員会においては、これにより効果的、効率的な開票事務を行える体制を整えていただくとともに、思い込みや単純な事務連絡ミスにより選挙の管理、執行の公正性や厳正な手続が損なわれることがないよう、万全を期していただきたいと考えております。

塩川委員 機器の整備なんかは当然あることでしょうけれども、開票作業というのは何より正確さが第一であるわけで、それなくしては、民主主義の根幹である選挙の公正性、信頼性を損ないかねない問題です。

 しかも、選挙事務ミスが増大をし、開票不正事件まで起きているわけですから、その反省に立てば、開票所経費も実態に見合った基準にすることが必要だ。そういう点でも、開票時間についての経費についての増額を、単に効率云々ということでとどめるのではなく、必要な経費を手当てするということを改めて求めておくものです。

 次に、投票時間の繰上げについてお尋ねしたいんですが、先ほど投票所が激減していることを確認をしました。投票時間の繰上げの問題について、国民の基本的な権利である投票権の行使を制約することにつながるのではないのか、こういう見地で私もたびたび取り上げてきたわけです。

 確認しますが、九八年参院選と直近の二〇一六年参院選における閉鎖時間を繰り上げている投票所が全投票所数に占める割合を述べてください。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十年、一九九八年、これは、投票時間が二時間延長されて、午後八時まで延長されて初めての国政選挙でございましたけれども、参議院議員通常選挙におきましては、閉鎖時刻を繰り上げた投票所の数は二千九百六十六カ所でございまして、投票所総数の五万三千四百十七カ所に占める割合は五・六%でございました。

 平成二十八年、二〇一六年の参議院議員通常選挙につきましては、閉鎖時刻を繰り上げた投票所数は一万六千五百八十九カ所でございまして、投票所総数の四万七千九百二カ所に占める割合は三四・六%でございました。

塩川委員 五・六%だったのが三四・六%というので、今では三分の一の投票所で閉鎖時間の繰上げが行われています。

 二〇一五年の五月の当委員会で、私の質問に対し、当時の高市大臣は、都市部で、投票所の閉鎖時刻をむやみに繰り上げてしまうと、投票人の投票の機会を奪うことになると答弁しています。

 その際に、群馬県の例も取り上げたんですが、前橋市とか高崎市って中心部でも午後七時とか、繰上げなんですよ。そうしたら、やはり若い人が投票に行くというときに、ああ、もう閉まっていたということもあり得るわけで、こういったことはおかしいんじゃないのか、投票人の投票の機会を確保せよということについて、先ほどの高市大臣の答弁があったわけです。

 二〇一六年基準の審議の際には、十八歳選挙権が施行されるときに、若い人の投票行動を見ても、閉鎖時間の繰上げが逆行していると、うちの穀田なども指摘をしました。これに対して高市大臣は、投票の権利は民主主義の最も基礎的な部分、投票機会を広く確保することは極めて重要、引き続きしっかりと要請していくとの答弁がありました。

 しかしながら、二〇一七年の総選挙では、繰り上げているところが三五・〇八%ということで、改善するに至っておりません。

 投票時間の繰上げを減らすために、どのような対策をとっているのか。

大泉政府参考人 投票所の閉鎖時刻の繰上げにつきましては、公職選挙法において、市町村の選挙管理委員会の判断で、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合ということに限って認められているわけでございます。

 総務省といたしましても、投票機会を広く確保する観点から、国政選挙や統一地方選挙のたびに、各選挙管理委員会に対して、投票所閉鎖時刻の繰上げにつきましては、厳正に対処するよう要請をしているところでございます。

 また、選挙の執行経費の基準法上のことでございます。これは、投票時間を短縮している投票所が少なくない実態を踏まえまして、平成十九年改正におきまして、投票所の閉鎖時刻の繰上げを行った場合は、投票所事務従事者の超過勤務手当について、繰り上げた時間相当分を減額するということとしております。

 今回の改正につきましても、投票管理者や投票立会人に係る報酬について、従事する時間に応じて報酬を減額する団体もあることを踏まえまして、事務従事者同様に繰り上げた時間に対しては、減額するというふうな措置を講じることとしております。

塩川委員 この投票機会を奪うような繰上げについては、これはやはり厳正に対処せよという立場での対応というのはぜひしっかりとやっていただきたいということと、あと、投票所の減少を食いとめることも必要なんですが、それはどういう対策を考えるのか。

大泉政府参考人 投票所数につきましては、過疎化による選挙人数の減少や、市町村合併などを契機とした投票区の見直しなどで減少してきているというところでございます。

 私どもは、選挙管理委員会が地域の実情を踏まえて決定すべきものではございますけれども、投票所あるいはそれにかわる期日前投票所を設置すること、かつて投票所があった地域での期日前投票所の設置や移動期日前投票所の取組、共通投票所の設置、移動困難者に対する支援など、選挙人の投票機会の確保に努めているところでございます。

 投票所の設置につきましては、国政選挙、統一地方選挙の都度に積極的な措置を各選挙管理委員会に対して要請してきてもおります。

 また、本日御審議いただいている公職選挙法の改正部分につきまして、投票管理者あるいは投票立会人の選任要件を緩和する内容を盛り込んでおりまして、これにより、投票立会人等の確保を容易にすることによりまして、投票所の維持確保の一助となるものではないかと考えているところでございます。

塩川委員 投票管理者、投票立会人の要件緩和の話は今回盛り込まれているということであります。

 でも、期日前の話というのは、そもそも日本の選挙においては、投票日当日投票主義ですから、その原則が崩れるような複数投票日制をとっていないわけで、そういった点でも投票日にしっかりと投票ができるという環境をどう整備するかということが重要だと申し上げておきます。

 選管の人員の問題も深刻です。この数年の間、十八歳選挙権が始まって、参院選で初めて合区が行われ、小選挙区の区割りはどんどん複雑化をし、選挙執行業務は膨大で、選管の役割はますます大きくなっています。しかし、市町村選管の方もぎりぎりのところで頑張っておられて、苦労もしているわけです。

 実態調査がないと承知をしているわけですが、大臣、最後にお尋ねします。

 昨年、私の質問に、当時の野田大臣は、選挙の管理、執行については、全般にわたって遺漏のないよう万全を期すために、必要な予算、選挙事務に従事する人員を確保することは重要と答弁をしています。経費も人員配置も実態に見合うよう確保するためにも、全ての選管の職員の実態調査を行うべきではないかと考えますが、いかがですか。

石田国務大臣 執行経費基準法は、諸物価の変動等を踏まえ、投票所経費等の基準額を定例的に改定するほか、各地方公共団体における選挙執行の状況や選挙制度の変更等を踏まえ、適切に国政選挙に要する経費を措置できるよう、規定の新設等の必要な見直しを行ってきております。

 今回の改正に当たっても、二十八年の参議院選挙について、全市町村を対象に、投票所や開票所の事務従事者の配置状況などについて十分な調査を行っており、選挙執行に当たっては万全な執行体制を整えているところであります。

 選挙執行時以外の選管職員の人員配置の実態についても、その調査の必要性があれば検討してまいりたいと考えております。

塩川委員 ぜひ実施をしていただきたい。人口五万人未満になると平均選管職員数三人ほどで、多くは兼任、兼務ですので、そういった実態をしっかりと受けとめていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

山口委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。

 よろしくお願いいたします。

 きょうは、法案について、まず一つ目、離島での開票、集計という部分と、立会人の問題についても、今回の法律、法案で改正をされますけれども、この問題を解決するために、そもそも、私たちは、デジタル技術をもっと、要はITをもっと活用すべきだということで、インターネットを使った投票などを進めるべきだということを今までも言わせていただいています。

 離島の開票なんかは、まさにIT技術を使えば、投票の集計も早く済むし、早く済むということは、イコール立会人がそんなにたくさん必要じゃなくなる可能性もありますし、悪天候によって集計ができないとか、そういうことも、デジタル技術であれば、そういうものは一切関係なくなると思うんですね。

 その点から、海外からの在外邦人の投票、インターネットを使った投票というのが検討されました。それが、検討が進んでいるとは思うんですけれども、今、進捗状況はどうなっているのかをお聞かせいただきたいと思います。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 在外選挙におけるインターネット投票については、昨年八月、総務省の投票環境の向上方策等に関する研究会において、一定の対応方策を講じることにより、実現に向けた技術面、運用面の大きなハードルはクリアできることなどが提言されております。

 在外選挙インターネット投票は、選挙人の利便性に資するものと考えております。一方で、同時に、例えば、不正アクセスによる情報流出や改ざん防止対策、サイバー攻撃への対策、災害等システムダウンへの備えなど、システムのセキュリティーの確保や安定稼働のために対策を万全に期す必要があるところでございます。

 このため、総務省では、今年度、研究会において示された方式をベースとしたシステムのプロトタイプを構築した上で、その後の、実証用端末等を用いて、市町村選挙管理委員会とともに連携し、選挙事務のフロー等の確認を含めた実証実験を行うことと考えております。

 導入に向けましては、マイナンバーカードの海外利用の実現や各党各会派における御議論などを踏まえる必要があると考えておりますが、総務省としては、できるだけ早期に導入していけるように着実に検討を進めているところでございます。

浦野委員 これはぜひスピード感を持ってやっていただきたいと思います。

 これは、実証実験をまずしたいということで、実証実験の結果は多分いい方向に向かうだろうと思いますので、これができれば、今回法案の中に含まれている問題点なども解決できる部分が出てきますので、IT技術をそういったところに活用するというのは非常に重要ですので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 今回、きょうの午前中、トップバッターの泉議員からも、公職選挙法、おかしなところがいっぱいあると。ただ、公職選挙法の議論は、例えば今、大泉部長に聞いても答弁できない部分がたくさん出てきますし、総務大臣に聞いてもなかなか答えられないということ、課題が多いというのが公職選挙法の特徴だと思うんですね。それは、もちろん議員立法が基本的に多いということなんですけれども。

 公職選挙法の中でも、閣法として改正をする、今回なんかはそうなんですけれども、そういったことってどれぐらい今まであったのかというのをまずお聞かせいただけたらと思います。

大泉政府参考人 お尋ねの、どれぐらいあったかという、数的にはちょっとチェックをしておりませんけれども、基本的な考え方を御説明させていただきたいと思いますけれども。

 公職選挙法は、昭和二十五年に議員立法により制定されたものでございます。これまでの公選法の改正におきまして、議員立法によるかあるいは閣法によるかについての統一的な基準というものがきちっと定まっているかということを考えますと、そういう統一的な基準は存在してはおりません。

 ただ、一般的な傾向といたしましては、選挙制度の根幹にかかわる事項、選挙運動にかかわる事項につきましては議員立法により改正されてきており、最近の例でいえば、衆議院及び参議院の選挙制度改革、選挙権年齢の十八歳以上への引下げ、インターネット選挙運動の導入などが挙げられるところでございます。

 一方、閣法では、法律の規定で定められた所要の見直しのほか、投票環境の向上や選挙の管理、執行にかかわる事項について改正がなされておるところでございまして、最近の例でいえば、共通投票所制度の創設や在外選挙における出国時申請などが挙げられているところでございます。

浦野委員 何が言いたいかといいますと、選挙制度の根幹にかかわることだから各党各会派でという答弁がよく出てくるわけですけれども、お互いやはりいろいろ考えることがありますから、なかなか皆、こんなのおかしいよね、あんなのおかしいよねと言いながらも、じゃ、この部分を改正しましょうというのがなかなか合意できないというのが、公職選挙法の前に進まない一番大きな原因だと思うんですね。

 私は、今、大泉さんが説明したように、確かに、そういうある程度の、改正について担っている部分というのは、議員立法と閣法とで色がちゃんとあるのかなとは思いますけれども、それに対して、政治側の不作為で改正できない項目というのはたくさん私はあると思うんですね。

 公職選挙法とはちょっと違いますけれども、政治資金規正法なんかは、これは規正法やから、自分たち当事者が、規制される当事者が規正法をつくっているわけですから、これは僕は、ほんまやったら規正法なんかは、もう当事者じゃなくて全く関係ない人、関係ない人という言い方はあれかもしれないですけれども、第三者がちゃんと公正な議論を得て政治資金規正法をもっと改正をしないといけないんじゃないかと思うんですけれども。

 政治資金規正法も、実際は閣法で改正しようというときもありましたが、それはでも、大きな問題が起きたときだけですね。過去には、リクルートのときとかは閣法で出たりとか、内閣によっては閣法で出しているときもあったようですけれども、要は、政治の不作為に対して総務省はやはり物を申すべきで、これは改正しないとあかんでしょうというようなことがあるのであれば、総務省はやはりもっと物を言うべきだと思っているんですけれども、その点、総務大臣、いかがですか。

石田国務大臣 さっき選挙部長から答弁したとおりでありまして、衆議院及び参議院の選挙制度改革など選挙制度の根幹にかかわる事柄や、インターネット選挙運動の導入など選挙運動にかかわる事項については、今まで議員立法により改正が行われてきているものでございます。

 立法府において議論が進まなくなった場合に行政府が対応すべきとの御指摘でございますけれども、民主主義の土台である選挙制度の根幹にかかわる事柄や、選挙の戦い方にもかかわってくる選挙運動に関する事柄については、やはり、各党各会派の御議論を得て、着地点を見出していただくことが望ましいのではないかと考えております。

 あえて申し上げれば、これまでには、国会において結論が出なかった場合の対応策として、国会に第三者機関を設置して対応した例があるわけでございます。

浦野委員 ぜひ検討していっていただけたらなと思います。

 以上で質問を終わります。

山口委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 社会保障を立て直す国民会議の野田佳彦です。

 まず、法案について一点だけ御質問させていただきたいと思いますが、これはもう既に高木委員が質問をされましたので、ざくっと大臣から御答弁いただければと思いますけれども。

 都道府県あるいは市から、選挙管理委員会から、選挙の実態に即した、そういう執行経費の適正化についての要望というのは常にありますし、かつて会計検査院も、平成二十二年ですか、同様の要請を総務省にしたことがあったかと思いますが、今回の法案の改正によって、選挙の管理、執行の実情に即した、そういう内容になっているかどうか、改めて大臣にお伺いしたいと思います。

石田国務大臣 本改正案におきましては、執行経費基準法について、最近の物価や人件費の変動等に伴い、投票所経費等の基準額を改定するほか、選挙執行の実態を踏まえまして、選挙機器の購入費に係る加算規定の新設等を行うものであります。

 また、公職選挙法につきましては、平成二十九年の衆議院議員総選挙の際に悪天候によりまして離島から投票箱を運べなかった事例や、投票管理者や投票立会人の確保が難しくなっている現状等を踏まえまして、天災等の場合における安全、迅速な開票に向けた規定の整備や、投票管理者及び投票立会人の選任要件の緩和、さらに、選挙公報の掲載文の電子データによる提出について改正を行うものでございまして、いずれも、最近の選挙の管理、執行の実態を踏まえたものであり、選挙の円滑な執行に資するものと考えております。

野田(佳)委員 参議院のいわゆる選挙の執行経費についてお尋ねでございましたけれども、今回の、私は、次の参議院議員選挙については、先般の一般質問でもいろいろと指摘をさせていただきましたが、消費税を引き上げる前に参議院の定数を六つふやすというのはとんでもないという思いを持っています。その考え方は前回お話をした、お示ししたとおりでありますけれども、きょうは、少し具体的数字を参議院の方からお尋ねをしたいというふうに思います。

 恐らく、当然、去年法案審議したときに参議院では随分御議論があったかもしれませんし、衆議院のこの倫選特でもいろいろ御指摘があったのかもしれませんが、倫選特は私、久しぶりでございますので、確認をしたいと思いますけれども、参議院議員が一人ふえると年間にどれぐらい新たに経費が必要になるのか、まず端的に数字をお示しください。

岡村参議院事務次長 お答えいたします。

 平成三十一年度予算に計上いたしました金額に基づきますと、新たにふえる議員一人当たりの一年間に必要な経費は、人件費と義務的経費を合わせまして七千五百三十万円余となります。

 以上でございます。

野田(佳)委員 一人ふえて、人件費と義務的経費だけで七千五百三十万。六人ふえるわけですから、次の七月は三人ですけれども、その次の通常選挙で六人ふえる、六人になるわけですね。

 六人ふえた場合には、年間どれぐらい費用がかかるのか、そして、任期は六年ですから、六年分だとどれぐらい新たに国民の負担がふえるのか、数字を出してください。

岡村参議院事務次長 お答えいたします。

 今お話がありましたとおり、改正公選法上、議員定数が六増となりますのは次々回の通常選挙以降でございますが、平成三十一年度予算に計上いたしました金額に基づきますと、新たにふえる議員六名分の一年間に必要な経費は、人件費と義務的経費を合わせまして四億五千百万円余となります。

 また、これを任期六年分に換算いたしますと、二十七億一千万円余となります。

 以上でございます。

野田(佳)委員 六人で四億五千百万、これは一年間で。六年分だと二十七億という御指摘でございましたが、これはあくまで人件費と義務的経費だけですよね。議員がふえるに伴って、参議院で改修工事などが、もう終わったんでしょうかね、三名分の事務室をつくるために改修をする。六名分の改修をすると一体どれぐらいお金がかかるのか。

 加えて、これは議員事務室をつくるだけではなくて、恐らく光熱水費なども新たに加わってくるだろうと思います。そういうものを含めると、人件費、義務的経費以外、これらを含めてどれぐらいかかるのか、お示しください。

岡村参議院事務次長 お答えいたします。

 ことしの通常選挙後に向けた議員事務室三室の整備に係る費用は、一億八千七百万円余となります。残り三室につきましては、次々回の通常選挙後に向けて今後検討してまいります。

 また、光熱水料につきましては、各年度によっても、また、年度中であっても単価が変動することに加え、経費の性質上、個別の議員事務室の使用実績を把握することができないため、定数増による影響額を把握することは困難であると考えております。

 以上でございます。

野田(佳)委員 三室で一億八千七百万でしょう。それは状況が変わったり、つくり方が変わったりするとしても、同じようなやり方をすると四億近くかかるということになりますよね。

 加えて、光熱水費については把握できないということでしたけれども、新たな経費が出てくることは間違いないということだと思いますので、人件費、義務的経費で六年間で二十七億一千万ということですが、間違いなく三十億以上は新たに国民の負担がふえるというふうに私は理解をさせていただきました。

 その対応として、やはり参議院の中でもやましい気持ちがあるんだろうと思いますけれども、歳費を削減する法案がこの国会に提出をされているというふうに思います。たしか月額七万七千円だったでしょうか。七万七千円で、これはさっき言った三十億以上の、これは三年分でしたっけね、七万七千円というのは。だから、じゃ、三十億の半分の十五億、見合いの数字になるんでしょうか。ならないんじゃないですか。

 事実関係だけ教えてください。

岡村参議院事務次長 今国会におきまして、自由民主党・国民の声、公明党及び無所属クラブから参議院に提出されました歳費法改正案についてのお尋ねでございますが、どの範囲までを定数増に伴う経費増大と捉えるかにつきましては、さまざまな御判断があろうかと存じますので、事務局としてお答えする立場にないと考えております。

野田(佳)委員 答える立場にないという答弁でしたけれども、どう見ても、先ほどのカウントの仕方は人件費と義務的経費で計算をしていましたし、今回の参議院の削減法案も、それに見合った形で対応しようということでございますので、改修工事の分であるとか光熱水費などは入っていないということは、昨年法律を通したときに附帯決議を付して、そのときに、要は、調整をするようなことを検討するという決議だったと思いますけれども、結局、丼勘定の対応になっている、勘定として合わないというふうに私は理解をいたしました。

 その上で、これは丼勘定で勘定が合わないだけではなくて、そもそも歳費削減というやり方が妥当性があるのかどうかについてお尋ねをしたいんですけれども、まずは、両院の議員の歳費に差異を設けるということは、過去に我が国でやったことがあるんでしょうか。ありますかどうか、お答えください。

岡村参議院事務次長 お答えいたします。

 両院議員の歳費月額につきましては、昭和二十二年に国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律が制定されて以降、差異が設けられたことはございません。

野田(佳)委員 昭和二十二年以降、ないということですね。

 確認ですけれども、戦前はありますか。

岡村参議院事務次長 お答えいたします。

 戦前ということでお尋ねでございますが、旧議院法第十九条では、貴族院の被選及び勅任議員と衆議院議員に共通の歳費額を定めていたというふうに承知しておりますが、旧議院法に関する全ての法改正についての資料を持ち合わせておりませんので、この点は答弁を差し控えさせていただきます。

野田(佳)委員 憲政史上、両院において歳費に差が生じたということは基本的にないということだろうというふうに思いますね。

 じゃ、海外に目を転じたいと思います。

 日本では過去はないと。海外で、もちろん一院制の国もありますけれども、二院制の国で、二つ院を持っていて、ハウスが二つあって、歳費に差がある国というのはどれぐらいあるんでしょうか。わかっていれば教えてほしいと思います。

川崎参議院法制局参事 お答えいたします。

 二院制を採用する国において、両院の議員の間で歳費の額が異なる国及びその具体的な数につきましては、詳細に把握をしておりません。

 なお、私どもの承知している限りでは、二院制を採用する国で両院の公選議員の間で歳費の額が異なる国としては、例えば、メキシコ、イタリアなど、また、上院が公選制を採用していない国で、上院と下院の議員が歳費額が異なる国として、カナダなど、それから、上院議員に歳費を支給していない国として、イギリス、ドイツなどがございます。

 このほか、アメリカでは、一九九〇年代の前半でございますけれども、一時期、下院議員と上院議員の歳費額に差異を生じたことがあるというふうに承知をしているところでございます。

 以上でございます。

野田(佳)委員 少しはあるようですが、じゃ、その背景なども、一度、今度ぜひ、私も勉強したいというふうに思いますので、また新たにわかったら教えていただきたいというふうに思います。

 日本で、両院において歳費に差を設けるということについては、これは憲法四十九条、「両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。」と憲法に規定をされていますが、この憲法の規定からすると違憲ではないのかという指摘もあるようですし、学説は、例えば、宮澤俊義、芦部信喜補訂「全訂 日本国憲法」、両議院の間に差異を設けること、すなわち甲院の議員の歳費の額と乙院の議員の歳費の額との間に差異を設けることは、特にそれについての根拠が憲法に見出されない以上、許されないと解すべきであろうとされています。

 また、只野雅人、「基本法コンメンタール 憲法 第五版」ですけれども、衆参両院の議員の歳費に差異を設けることは、憲法上特段の根拠は見出しがたく、本条、本条というのは憲法四十九条ですね、が、特に区別することなく両院の議員が歳費を受けるとしていることからしても、許されないと解されるというように、学説の中では違憲であるというのが通説であるというふうに思いますが、いかがですか。

川崎参議院法制局参事 お答えいたします。

 まず、学説の状況でございますが、今先生御紹介をいただきましたとおり、両院の議員の歳費の額について差異を生じさせることについて憲法上許されないという言及をしている学説はございます。

 ただ、私どもが把握している限りにおきましては、そのようなことについて言及されている学説というのは、今先生が読み上げました二つでございます。それ以外につきましては、両院の歳費の額の関係について言及した学説というのは、私どもが見る限りでは見当たりませんで、結局、学説上余り議論されていない状況にあるというふうに私どもとしては理解をしているところでございます。

 また、憲法四十九条でございますけれども、先生が今読み上げられましたように、法律の定めるところにより、相当額の歳費を受けるということで、基本的に歳費の額等あるいは支給方法につきましては法律で定める、つまり国会の御判断ということになっているところでございますので、この規定をどのように解釈するかによって、さまざまな考え方が出てくるのではないかというふうに理解をしているところでございます。

 以上でございます。

野田(佳)委員 学説のお話で、さっき、二つしかないと、こういう表現をしているのは。宮澤先生のやつと只野先生と。ほかについては、要は書いていないということじゃないですか。

 書いていないことが、書いていないことだから許されるのかというと、有力な学者たちの見解は二つしかないけれども、二つしかないけれども、それは明確に違憲であると言っている。合憲的な表現をしているような、そういう学者の説というのはないわけでしょう。

 ないわけであるということを重く受けとめなきゃ私はいけないというふうに思っておりまして、そこで、違憲の疑いのある法律を議員立法で出して、それで、さも帳尻を合わせているかのようなやり方をするというのは、もともと議員を六つふやすこと自体が信じがたい行為で私はおかしいと思いますが、その上に、恥の上塗りというか罪の上塗りみたいなことが今回の歳費の削減法だと私は思います。

 これは、参議院の事務局の方に言っても仕方がないわけでありまして、これは、自民党さん、公明党さん、衆議院の中にいらっしゃいますけれども、よく御議論をいただいて、憲法違反の疑いのあるようなことでこんな帳尻合わせをするということは、ぜひ党内議論でやめるようにしていただいた方がいいのではないかということを、むしろこの衆議院の倫選特でこの問題意識が共有できればありがたいなというふうに思いまして、この質問を取り上げさせていただいたところでございます。

 これ、もし、どうなんですかね、参議院の方で通ったらこっちに来るんでしょうけれども、その前に、やはり参議院の中で自主的によくこれは検討して、やめた方がいいと私は思っています。

 定数をふやすところまではもう戻れないんでしょうけれども、歳費でクリアするんだったら、この憲法上の疑義をなくすということがまず大事であって、違うやり方を考えるべきではないかということまで申し上げさせていただきまして、若干時間残りましたけれども、言いたかったのはそれだけだったものですから、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時散会


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