衆議院

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第2号 令和3年5月20日(木曜日)

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令和三年五月二十日(木曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 川崎 二郎君

   理事 岩屋  毅君 理事 奥野 信亮君

   理事 鬼木  誠君 理事 辻  清人君

   理事 星野 剛士君 理事 篠原  孝君

   理事 森山 浩行君 理事 佐藤 茂樹君

      安藤 高夫君    井野 俊郎君

      大塚  拓君    神田 憲次君

      神田  裕君    菅家 一郎君

      小島 敏文君    古賀  篤君

      武村 展英君    出畑  実君

      寺田  稔君    冨樫 博之君

      橋本  岳君    百武 公親君

      穂坂  泰君    本田 太郎君

      村井 英樹君    山本  拓君

      落合 貴之君    後藤 祐一君

      櫻井  周君    高木錬太郎君

      手塚 仁雄君    中谷 一馬君

      長尾 秀樹君    野田 佳彦君

      堀越 啓仁君    井上 義久君

      斉藤 鉄夫君    塩川 鉄也君

      浦野 靖人君    井上 一徳君

      山尾志桜里君

    …………………………………

   参議院議員        石井 準一君

   参議院議員        石井 正弘君

   参議院議員        磯崎 仁彦君

   参議院議員        堀井  巌君

   総務大臣         武田 良太君

   総務副大臣        熊田 裕通君

   総務大臣政務官      宮路 拓馬君

   衆議院法制局法制企画調整部長           森  恭子君

   参議院法制局長      川崎 政司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  高原  剛君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         鈴木 信也君

   衆議院調査局第二特別調査室長           大泉 淳一君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     井野 俊郎君

二月一日

 辞任         補欠選任

  遠山 清彦君     井上 義久君

同月十七日

 辞任         補欠選任

  白須賀貴樹君     出畑  実君

五月二十日

 辞任         補欠選任

  手塚 仁雄君     中谷 一馬君

  山尾志桜里君     井上 一徳君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 一馬君     手塚 仁雄君

  井上 一徳君     山尾志桜里君

    ―――――――――――――

五月十九日

 公職選挙法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第二八号)

三月一日

 政党助成金を直ちに廃止することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七五号)

 同(清水忠史君紹介)(第一七六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一七八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七九号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一八〇号)

 同(藤野保史君紹介)(第一八一号)

 同(宮本徹君紹介)(第一八二号)

 同(本村伸子君紹介)(第一八三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第二八号)

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件


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     ――――◇―――――

川崎委員長 これより会議を開きます。

 この際、総務大臣、総務副大臣及び総務大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。武田総務大臣。

武田国務大臣 総務大臣の武田良太でございます。

 公正かつ明るい選挙の実現に向けて、副大臣、大臣政務官、職員とともに全力で取り組んでまいりますので、川崎委員長を始め理事、委員の先生方の御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

川崎委員長 次に、熊田総務副大臣。

熊田副大臣 総務副大臣の熊田裕通でございます。

 武田大臣を補佐し、しっかりと取り組んでまいりますので、川崎委員長を始め理事、委員の皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

川崎委員長 次に、宮路総務大臣政務官。

宮路大臣政務官 総務大臣政務官の宮路拓馬でございます。

 武田大臣と熊田副大臣を補佐し、全力を尽くしてまいりますので、川崎委員長を始め理事、委員の皆様方の格段の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

川崎委員長 次に、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長高原剛君、総務省自治行政局選挙部長森源二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

川崎委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。篠原孝君。

篠原(孝)委員 立憲民主党、略称民主党の篠原孝でございます。

 皆様のお許しを得まして、資料をたくさん提出させていただいております。これに沿って、我が国の選挙制度の根幹に関わることで質問させていただきたいと思います。資料だけの量からいいますと、十七分じゃなくて、十七時間はあれですけれども、百七十分ぐらい質問をさせていただきたいところなんですが、簡潔に私の意見を提案をさせていただきますので、総務大臣から、政治家としてのことを考慮して、総務省の立場もあるでしょうけれども、御見解をいただきたいと思います。

 まず、いろいろ問題になっているのはたくさんありますけれども、地方の声が国政に反映されにくくなっている。理由は簡単なんですね。人口割で、みんな、衆議院も参議院も同じように定数を決めている。やはり、これでやっていくと、人口の稠密地帯、コロナで一番被害を受けているようなところ、そちらの地方に住んでいる人たちのための政策がどんどんどんどん前面に出ていって、過疎地のことは忘れられてしまう。

 そういう点では、民主主義の権化のアメリカでは、国の成り立ちの違いだと思います、合衆国です。どんなに小さな州でも大きな州でも上院議員は二人。例えば、カリフォルニアは五十三人もの下院議員、それなのに上院議員は二人。下院議員が一人しかいないのにもかかわらず上院議員が二人いるところが、アラスカとかノースダコタとかモンタナとか、それからバーニー・サンダースがいるバーモントとか、最近では、共和党で反トランプで何とかかんとか言っていたリズ・チェイニーさんなんかはワイオミングです。そういうところは、下院議員一人で上院議員二人なんです。

 ですから、アメリカの場合は、上院で地方、過疎地の声が相当色濃く反映される仕組みになっているんです。日本はそういう調整がなされていない。それを、参議院も、人口が減ったというだけで合区になって、やはりそれはよくないと。私、よく分かります。

 この点について、真剣に考えるときが来ているんじゃないかと思うんですけれども、総務大臣、御見解はいかがでしょうか。

武田国務大臣 選挙制度というか、国によっていろいろな違いはあるんでしょうけれども、我が国におきましても、様々な声が寄せられております。各党各派でしっかりと議論をしていただきたい、このように考えております。

篠原(孝)委員 総務大臣として慎重な答弁はいいですけれども、大臣の政治家としての見解もここで述べていただきたいと思います。

 次に、二番目の質問ですが、表を見ていただきたいんですが、人口割でだんだんだんだん地方が少なくなっている上に、問題があるんです。余りこれは我が県のことを出したくなくて、実は、群馬県と新潟県の比較で群馬県がひどいということだけやろうと思ったんですけれども、それは不公平なので、我が県と群馬県と、私が勝手にいろいろ調べて表を作ったわけですけれども、地元にどれだけ関係があるか。

 地産地消という言葉は皆さん聞かれていると思います。これは私が、農林水産省の現役時代、一九八七年から使っている言葉です。その地でできたものをその地で食べる、地のもの、旬のものを食べるという、それを四字熟語にしただけです。

 実は、政治家もそういうことが必要なんじゃないか。地元の声をちゃんと反映するには、方言も分からなくちゃいけないし、気持ちもちゃんと分かるようでなくちゃいけない。

 ところが、群馬県と長野県は、御覧いただいたとおり、網かけは、ちょっと違う、外で生まれて育って、外の高校に行って、外というか選挙区以外のところに行っている人たちがこんなに多いんです。それに対して、新潟県は、ほとんど新潟で生まれて育って、新潟の高校に行って、まあ、大学の場合は、日本はその県になかったりするからあちこち行くのでしようがないと思いますけれども、西村智奈美さんと森ゆうこさんは新潟大学に行っている。ほとんど新潟で活動している。そういう人が国会議員になっている。これが私は美しい姿だと思っております。

 どうして長野と群馬がそのようになるかというと、右側に地元関連ということで、備考ということで書いてありますけれども、二世、三世、四世の人が多くて、お父さんやおじいちゃんはそこで生まれ育っているけれども、東京に居を構えて、そして、三代目とか四代目になると、東京で生まれて東京で育っている、しかし、おじいさんやお父さんの縁があって選挙区は地方だという、そういうのでこうなっているんじゃないかと思います。

 それで、次のページを見ていただきたいんです。

 先ほど、上院議員が地方の声を代弁する仕組みになっているから、アメリカの場合は、上院と下院でコンペンセーションというか、補償ができるようになっていると。アメリカの三つの州を引っ張り出しました。みんな私にちょっと関係があるんですけれども、ミズーリ州は長野県の姉妹州県です。両方とも国の真ん中にあるからという単純な理由で姉妹州県になっているんです。カンザス州、私は農林水産省にいたとき二年間留学させていただきまして、主として、二年間のうち一年半近くは下のワシントン州のシアトルのユニバーシティー・オブ・ワシントンというところにいたんですが、一学期半はカンザス州の大学に行きまして、両方縁があるんです。縁があるので、そこのところを引っ張り出しました。

 共和党、民主党というのはこうで、Wを書いているのは女性ということです。生まれ育ちがどこかというのを、日本の国会議員要覧と同じのがアメリカにもあるんです。それで調べられますし、それだけではちょっとずれているのがあるかもしれないので、ネットでみんな調べて、これを引っ張り出しました。

 びっくりしました。そこで生まれて、そこの大学に行っている、この人たちがほとんどなんですね。日本のように、縁のない人がその地に行って、言ってみれば落下傘で国会議員になっているというのはほとんどないんです。

 網かけを見ていただきたいんです。解説しますと、下の方にWと書いてあります。女性です。女性が、全く、生まれてもいないし、大学もそこでもない。だけれども、ちょっとこれを言うと女性差別みたいな感じに取られるといけないんですが、愛する旦那さんと一緒に来て、そこで地域社会活動をして、立派な人だからと、こういうふうに議員や知事になられているんじゃないかなと思います。

 ともかく、これをやってみてびっくり仰天しました。まさに地産地消を地でいっているんです。地でいっている。

 次に、我が倫選特の関係者のも調べたんです。ちょっと間違いがありまして、先ほど指摘がありまして、辻清人さんは、台東区で生まれ、東京二区なんです。三歳までの記憶がどの程度あるかというのは分からないです。ともかくここで生をうけて、その地でうけているということで、あと外国へ行っておられたんですが、ですから、委員長と同じように三角で、訂正させていただきたい。

 この地元度合いというのは、私が勝手に、こっちは出身地も書いたので、出身地と高校と両方でやって、両方がその地元の人は二重丸で、そうでない人のは空欄にしてあります。なかなかちゃんとしている。総務政務三役の皆さんは、取っかかりのあるところで国会議員になっておられる。全部が全部そうならなくてもいいんですけれども、こういう状況です。

 それで、何でこうなっているかというのを、理由があるんです。次の五ページをお開きいただきたい。これは、資料を図書館のところから調べていただきました。諸外国の被選挙権の居住要件です。地方自治体の議員には三か月の居住要件があります。国会議員にはありません。

 それから、四ページを見ていただきたい。四ページの二のところにあって、二の真ん中の丸の、地方公共団体の長の被選挙権については、広く人材を得るという観点から、住所要件がない、市町村長はいいというんです。議員は三か月の居住要件があって、それで、ないのにもかかわらず、出て議員になっているというので、すったもんだしています。

 これなんかもちょっとおかしいと思うんですね。長は、市町村長や県知事は広く人材を得る必要があるけれども、県会議員や市町村議会議員は広く人材を得る必要がないのかと。そんなことないんですよ。ちょっとおかしな制度です。

 私は、国会議員といえども、やはり、地元、土のにおい、土だけでなくていいんですが、地元のにおいのする政治家は絶対必要ですし、そういう人を国会議員にすべきだと思います。だからといって、ほかのものをみんな排除するわけじゃないですけれどもね。

 そして、アメリカは、州の住民であること、アルゼンチンは、二年居住していること、この左の二重丸のところを見てください。チリも、二年以上選挙区が属する地域に居住しているということ。結構あるんです。これは大事なことだと私は思います。

 これは是非改正していただきたいんですよね、このように。検討していただきたいんです。そうじゃないと、ますます地方の声が反映されない。地方だけじゃないですね、その地域の声が反映されなくなるんです。

 この点について、総務大臣の見解をお伺いしたいと思います。

武田国務大臣 まずは、二重丸をいただきましてありがとうございます。

 諸外国によっては、あえて自分のふるさとから立候補できない制度を取っている国もあるというふうにお聞きしておりますし、その国のいろいろな価値観や実情に合った選挙制度というものが求められるのであるのでしょうけれども、衆議院及び参議院の両議院の議員については、日本国憲法第四十三条において、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」とされております。

 また、衆議院小選挙区の一票の格差に係る最高裁判決の中でも、国会議員は全国民の代表であって、自己の選挙区の奉仕者ではないから、いずれの地域において選出されたかに関わりなく、全国民の視野に立って行動することが憲法の要求である旨が述べられているものと承知をいたしております。

 いずれにせよ、国会議員の被選挙権の在り方につきましては、選挙制度の根幹に関わるものであることから、各党各会派で御議論いただくべき事柄であると考えております。

篠原(孝)委員 国会議員は全国民のためで、地元のためではないというのはいつも聞く言葉ですけれども、それはそうだと思います。ですけれども、いきなり天下国家だけを論じていると変な方向に行くと思いますよ。やはり地元の人たちの声を聞いて、それを国政に反映させることがイの一番で、その地元の人たちの声がこうだということを国会議員がいろいろ議論して政策を決めていけばいいのであって、いきなり国家というのは、私はへんちくりんだと思います。ないことはないんですけれどもね。だから、そこはやはり考えて、地元に根を張った国会議員をつくるということ、これに心がけていただきたいと思います。

 同じ観点なんですけれども、それでは、一番最後のページを見ていただきたいんです。

 小さな村、長野県の生坂村というところ、人口千七百三十九人。東京だと、でっかいマンション、五棟か六棟があって十何階建て、それだけの村です。その村の議員のなり手がなくて困ったということで、どうしたか。八人だけの議員だと。どんどん減って、人口も減って、四十年間で半減しています。そんなところばかりです、長野県の山村なんて。ところが、生坂村は私の選挙区じゃないですけれども、議員報酬を引き上げると。なかなかいいアイデアなんですね。

 初めてじゃないんです。先に長崎県がやっているんです、小値賀町で。こっちは五十歳以下だったと思いますけれども、議員報酬を三十万にする、ほかが十何万だったのを。ところが、誰も立候補しなくて、駄目になって、その条例は廃止になったんです。

 ああ、そんないい考えがあるのかといって、長野は進取の気性に富んだ人たちがいますし、理屈を前面に出していこうとする人たちが多いので、世論調査をしたら、いいというので、全会一致で可決して、そして、四月二十五日、三つの国の選挙のときと一緒に行われました。二十年ぶりの選挙です。投票率が七九・八%。二十年前より一一・九八%減った。分かりますか。二十年前は九一・七八%です。二人の新人が出て、選挙になり、上位当選している。大効果があるんです。これは各党各会派じゃなくて、総務省、総務大臣の号令一下でやっていただける。

 七ページを見てください。町村議会の実態。一万八百三十四人、みんな合併されちゃって少ないんですけれども、年齢構成を見てください。四十代以下がちょっとしかいないんです。みんな功成り名を遂げている。いっぱい理由がありますけれども、歳費が低いという理由が一つになっています。

 六ページを見てください。長野県の村、東京、新潟の島のものは十万とかそのぐらいです。町でも十四万とか。これでは食べていけませんから、なれません。なったらいろいろやらなくちゃならないので。生坂村は、十八万のを十二万上乗せして三十万にしたら、出る人がいて、選挙も行われた。

 そして、七ページに戻っていただきたいんです。七ページの真ん中辺。あっちは五十五歳だったけれども、五十歳未満を一律三十万円にすると、五十歳未満は何人いるかというと、千三十九人です。九万円、それを国がみんなバックアップしてやって、五十歳未満も食べていけるように三十万にしてやるよといったら、一年間十四億九千万で、十五億で済むんです。一億五千万円の十倍で済むんです。何で一億五千万と言っているかはお分かりだと思いますけれども。

 こういうことをして活性化していただきたいんです。地域おこし協力隊は丸です。下にあります。百八十五億円を使っている。いいことだと思います。しかし、どうも我が国の政策は、地方から来る人、地方がそっちにお金を下ろす。農業でもそうです。まるっきり東京や大阪、そっちから来た人が農業に参入する。だけれども、その地で生まれ、その地で育っている人たちをバックアップするのが一番なんです。

 だから、議員をやって食べていけるようにするということで過疎山村は活性化すると思うので、これは各党各会派ではなく、総務省が早急に検討して、来年度予算に是非実現していただきたいと思いますが、総務大臣のお答えをいただきたいと思います。

武田国務大臣 地方議員のなり手不足の問題は、これに対する原因、要因については様々な意見がありまして、それぞれの自治体によって対応策等も協議されていることと思います。

 委員御指摘の議員報酬のかさ上げの件でありますけれども、そうしたことによって一定の成果を上げた団体があることについては承知をしております。当該団体では、報酬水準となり手不足の関係、また、かさ上げの対象等に関する議論を議会において十分に行い、住民の理解の下に実施されたものと考えております。

 このなり手不足対策につきましては、国が定める一律の基準に従った方法ではなく、各団体における実情等を踏まえ、まずは自主的、自律的に議論を進めていただくべきものと考えております。

 個別の課題への助言や先進事例の紹介等を通じて、今後とも各団体の取組を適切に支援をしてまいります。

篠原(孝)委員 前の二つの答弁よりずっと前向きで、この続きはまた、議員立法の審議の機会があるような気配がありますので、そのときさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

川崎委員長 次に、高木錬太郎君。

高木(錬)委員 立憲民主党の高木錬太郎です。

 今の篠原筆頭理事の論の後、高知で生まれ、高知の高校を出、そして選挙区は埼玉という私は非常に、いささかつろうございますけれども、さいたま市に住んでもう二十年以上にもなりますので、しっかり根を張ってこれから選挙区でやろうとしているということで、篠原筆頭にはお許しをいただきたいなというふうに思いながら、総務大臣、総務委員会ではいつもお世話になります。十七分間、よろしくお願いいたします。

 当委員会は、昨年の六月一日以来の質疑だというふうに承知しておりまして、この間起こっていること、あるいはこの局面で確認しておかなければいけないなと私が考えることなどを順次聞いていきたいなというふうに思います。

 まず最初に、今年二月の話であろうかと思いますが、全国の都道府県議会と市議会、町村議会の各議長会が議会運営の基準となる標準規則をいずれも改正し、産休期間を産前六週、産後八週と初めて明記されたわけですけれども、この件、大臣の受け止めをお伺いしたいと思います。

武田国務大臣 地方議員の出産のための議会欠席につきましては、多くの議会の会議規則において、事故による欠席として扱われ、また、産前産後に配慮すべき期間も明示されておりませんでした。

 このことが、女性が地方議員として活動する上での支障となっているとの指摘がかねてよりあり、私自身も、昨年十二月に、有志の女性地方議員の皆様方から要望を承ったところであります。

 こうした中、三議長会が自ら標準会議規則を改正し、欠席事由に出産を規定するとともに、産前産後に配慮すべき期間を明示し、各議会に通知したことは、時宜を得たものと受け止めております。

 女性議員が議員として参画しやすい環境整備を求める第五次男女共同参画基本計画も踏まえつつ、今後とも、三議長会と連携しながら、地方議会に対して必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

高木(錬)委員 ありがとうございます。

 この話、実はある意味、私も当事者でありまして、というのも、二〇〇五年の話でありますけれども、我が家の第一子、私の第一子誕生時、妻は当時さいたま市議会議員でして、今大臣から御答弁あったように、当時、事故だったんですよね。妻と一緒に、何だそれは、事故じゃないよということで憤慨したのを記憶しているんです。

 そういう意味でも、この度の産休期間の明記というのは、私にとっては隔世の感があるな、そういう思いを抱くわけですけれども、このことによって女性が議員に挑戦しやすくなればいいなと期待するところでありますし、また、今回、議会欠席事由に育児と介護も明記されたというふうに伺っておりまして、育児や介護という意味では、これは女性だけの話じゃなくて男性も同じでありますので、そういうことも含めて、先ほどの篠原筆頭の話にもありましたなり手不足に少しでも寄与できればなと。

 二年前の二〇一九年統一選のときにも、なり手不足の話が課題として、当委員会でも様々な委員が様々な角度で問題提起をしたところであるというふうに思いますし、また、昨年の地方制度調査会の答申の中でも、人口の半分を占める女性の割合が低いことは課題であるというふうな記述もありました。今回の件を含めて、こういった一つ一つの歩みが今申し上げたなり手不足の解消につながっていければいいなということを、これまた私も期待するところであります。

 続きまして、話を変えまして、新型感染症が収まらない中での選挙執行について、幾つか聞いていきたいというふうに思います。

 まず最初に、確認を二つばかりしたいと思います。

 新型感染症による緊急事態宣言あるいは蔓延防止等重点措置が発令した中での各種選挙について、これは不要不急の外出に当たりますでしょうか。大臣、政府の見解をお願いします。

武田国務大臣 選挙は住民の代表を決める民主主義の根幹を成すものであり、任期が到来すれば決められたルールの下で次の代表を選ぶというのが民主主義の大原則であり、不要不急の外出には当たらないと考えております。

高木(錬)委員 不要不急の外出に当たらないと。昨年、第一回の緊急事態宣言が発せられた後、参議院の方の議院運営委員会で当時の安倍首相もそのように答弁されておりましたけれども、いま一度、この局面で、こちら衆議院の、公職選挙法、選挙執行を様々議論するこの当委員会で確認をさせていただければという思いで伺いました。

 あわせて、これまで、選挙期日及び任期を延長する特例は過去二例のみだというふうに承知しておりますが、この二例の紹介と、そのときの理由について教えていただけますでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、選挙期日及び任期を延長する特例法が制定をされましたのは、御指摘どおり、平成七年一月の阪神・淡路大震災及び平成二十三年三月の東日本大震災の際の二例のみでございます。

 これは、市外避難や仮設住宅入居などといったことに対応した有権者の把握、あるいは、避難所開設、施設の倒壊などに応じた施設確保などの観点から、選挙の管理、執行が物理的に困難であったことによるものでございまして、その法の制定に際しては、選挙の管理執行機関たる被災地の選挙管理委員会からの要請もあったことから、当該特例措置を講じたものと承知をしております。

高木(錬)委員 二例であって、それは選挙の管理、執行が物理的に困難であるということと、被災地の選挙管理委員会からの要請を受けてということであります。物理的にできなかったと。

 私の選挙区、埼玉十五区というところなんですけれども、戸田市というところがありまして、一月、緊急事態宣言下の中で市議会議員選挙を行いました。同じく埼玉十五区の中にさいたま市があるんですけれども、現在、埼玉県さいたま市は蔓延防止等重点措置の適用区域になっていますが、今、市長選が行われております。戸田市においても、緊急事態宣言で感染が拡大している中でしたので、非常に、大変難しい選挙活動が強いられましたし、今も、さいたま市長選はそのような状況であります。

 そういった中で、我々選挙をやっていく人間、仲間たち、やっていく人間が難しいな、難しいなということだけではなくて、市民、有権者から、正直申しまして大変厳しい目も注がれているというのは実感としてあります。一月もそうでした。感染拡大、少なくとも感染が収まることが見通しがつかないときに選挙をやっている、通常の選挙スタイルと同じように街宣カーを回し、駅に立ちということをやっていたわけですね。非常に厳しい目が注がれました。

 今後の感染状況によっては、さらに、ますます選挙なんて不要不急だ、何やっているんだというような批判の声も寄せられる、高まるかもしれないというふうに私は思っています。大変難しい。

 なおかつ、選挙に対する厳しい目もあるし、また、選挙事務所自体がクラスターになってはいけないし、候補者本人が感染して様々な活動が停止するということにもなってはいけないから、本当に一人一人が神経を使いました。相当神経を使いました。

 それは、こちらの、自分たちのことばかり話していますけれども、有権者の皆さんだって同様でありまして、例えば、投票所に投票に行く、そのときに感染防止策を施しておかなければならないわけであります。

 そこで、伺っていきますが、投票所の密回避のために期日前投票所を増やしていくことは非常に有効と考えますけれども、この期日前投票所の増設について、総務省の見解と、これまで、各自治体の選管に対して通知等発出されていることがあれば、その中身について御紹介いただければというふうに思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、投票所に選挙人が集中することを避けることが重要でございまして、期日前投票の積極的な利用の呼びかけを行うことと併せまして、期日前投票所の混雑を避けるため、御指摘の期日前投票所の増設のほか、SNSやウェブサイトを活用した選挙人に対する期日前投票所等の混雑状況の情報提供や、開設期間、投票時間の延長、広い会場への変更、名簿対照窓口や投票記載台の増加、選挙人の動線の変更などの取組につきまして、地域の実情に合わせて工夫していただくように要請をするとともに、各団体の取組事例について周知をしてきたところでございます。

 各選挙管理委員会におきましては、これらの要請や各団体における取組を踏まえて必要な取組を行っていただいておりまして、引き続き、積極的に取り組んでいただけるよう、要請をしてまいりたいと存じます。

高木(錬)委員 密回避のために増やすことは非常に有効だということを申し上げておきながら、今から申し上げる話は矛盾するかもしれませんが。

 そもそも、この期日前投票制度なんですけれども、選挙人が投票しやすい環境を整えるための制度であって、それが結果として投票率の向上につながればいいなと、総務省としては、環境を整備することで投票率の向上を図っているという答弁も過去にはあるわけでありまして、つながっていけばいいなということは期待するところなんですが、近年の国政選挙における期日前投票の実績を、数字をちょっと紹介していきますけれども、例えば、衆議院総選挙における期日前投票の割合に関して、第四十六回の総選挙で一九・五二%、第四十七回が二四・〇三%、第四十八回、さきの総選挙になりますけれども、三七・五四%、こういう数字になっています。上昇傾向です。

 たしか前回は、期日に台風が来る、大雨の予報があったので、いつもより増して期日前に投票を済ませておこうという方が増えたのかなというふうには思いますけれども、とはいえ、毎回毎回上昇傾向であることは間違いない。投票しやすい環境を実際につくられて、実際にしやすくなっているというのはあると思うんですね。

 ですが、他方、投票率の方を見てみますと、第四十六回が五九・三二%、第四十七回が五二・六六%、第四十八回が五三・六八%。全く上がっていない。第四十五回と第四十八回を比べると、約一六ポイントも減少している、こういう数字も、事実、あるわけですね。

 投票率には様々な要素があるので、直接的な因果関係は何とも言えないとは思いますけれども、数字だけを見ると、期日前投票制度が果たして投票率向上につながっているのかと考えられなくもない。選挙に必ず行く人が期日に投票に行かず、前倒しして行っているだけというふうに言えなくもないと私は思います。

 そもそも、選挙期間というのはその期間でしか選挙ができないわけでありまして、そういう定義でありまして、なのに、選挙が公示された、はい、翌日には投票に行けますというのは、実はちょっとどうなのかなというふうに思うところなんですね。選挙期間の意味がないんじゃないかと。

 有権者の皆さんには、できれば選挙期間に各政党や各候補者を様々な角度で吟味して比べていただいて、御判断いただくということなのかなというふうに思うわけでありまして、これを別に、こういうものだということで有権者の皆さんに押しつけるつもりはありませんが、あるいは、期日前投票制度の経緯や意義を全否定するつもりもありません。

 更に申し上げますと、私も秘書時代から、選挙のたびに、期日前、行ってください、当時不在者投票という制度でしたけれども、行ってくれ、行ってくれということをかなり言った人間でもあるので、さんざん呼びかけていた張本人でもありますけれども、とはいえ、ちょっと立ち止まって、本来あるべき姿なのかなということを考えなきゃいけない時期なんじゃないかなということを思うところなんです。

 済みません、せっかく大臣、真正面から聞いていただいていて、本当にありがとうございます。大臣に最後、御答弁を求めたいと思います。

武田国務大臣 昔、投票というのは六時で蓋が閉まりよったのが八時になったり、あと、土日はやはり生活様式が変わって、ファミリー、家族で余暇に使うという、今、時代になってきておりまして、そういった面でいえば、非常に受け入れられている制度ではないかなと思うわけです。

 今委員指摘のように、選挙が始まった次の日に投票するということは選挙期間の意味がないじゃないかと、それもなかなか説得力のある話ではあるわけですけれども、やはり、いろいろな方々がしっかりと選挙に参加していただける制度というものを貫いていく上では、今の制度というものも、これは大変貴重なものではないかなと思っております。

 いずれにせよ、全ての有権者の方々が参加しやすい、参加できる選挙制度というものを我々も追求していきたい、このように考えております。

高木(錬)委員 ありがとうございました。

 これまでの当委員会の中でも、各委員が公職選挙法について抜本的に見直していこうみたいな発言もありました。是非そういうことも、各党各会派の先生方で骨太に、深く議論できるようになりたいし、私も、是非また戻ってきてその議論に参加したいなということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

川崎委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 コロナ禍における投票権の保障についてお尋ねをいたします。

 投票所での感染拡大の防止策や、立会人、選挙事務従事者の感染防止策が重要であります。マスクの着用や換気、消毒薬の設置、ソーシャルディスタンスなど、基本的な感染防止対策を行うことが必要で、また、投票する人の分散を図る観点から、期日前投票所の増設や移動期日前投票所の活用、期間、時間の延長なども考える必要があります。安心して投票できるように、感染対策の取組や混雑状況などの情報発信が求められております。また、立会人、選挙事務従事者の感染防止策の徹底も必要であります。

 総務省にお尋ねいたします。

 コロナ感染で入院している場合は、その病院が指定病院であれば不在者投票ができますが、ホテルなど宿泊療養施設にいる人はどのような投票になりますか。

森政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症によりホテル等の宿泊療養施設で療養している方の投票につきましては、本年三月に、宿泊療養施設に期日前投票所や不在者投票記載場所を設けることが可能である旨を通知をし、本年四月に、宿泊療養施設における投票につきまして、例えば、立会人による非接触型の立会い方法として、いわゆるレッドゾーンに投票記載台を設け、立会人がビニールシート等で隔てたグリーンゾーンから確認する方法が考えられることとか、投票記載台を宿泊療養施設の敷地内の屋外に設ける方法も考えられること、また、期日前投票所等を設ける期間について、特定の日時に限定することも可能であり、選挙期日に近い日とするなどにより新規入所者の投票機会を確保していただきたいこと、宿泊療養施設を非公表としている場合、必ずしも当該施設名まで告示することは要しないことなどの留意事項を通知をしたところでございます。

塩川委員 宿泊療養施設に期日前投票所を設けることができる、その施設のある市区町村以外に住所のある方などについて不在者投票の記載場所を設けることも可能だという形での保障をしているということであります。

 高齢者施設等では、コロナの感染防止のため入所者の外出を制限をし、小規模なために不在者投票の指定も受けられず、投票ができないというお話も聞いております。公正な選挙の適正な管理、執行は大前提として、このような場合の投票権を保障するために総務省としてどのような働きかけをしておりますか。

森政府参考人 お答えいたします。

 不在者投票施設につきましては、総務省において、おおむね五十人以上の人員を収容することができる規模を有することを指定基準として示しているところでございますが、これは一つの目安でございまして、各都道府県において、それを下回る場合であっても、適切な管理、執行が確保できると判断される施設については指定できるものである旨を通知をしているところでございます。

 このことにつきましては、地域の実情を踏まえつつ適宜適切な運用をするということにつきまして、今般のコロナに際しても要請をしているところでございまして、引き続き、必要な対応を行ってまいります。

塩川委員 このような取組について、この間の実際の取組状況とかというのは分かりますか。

森政府参考人 恐縮でございますが、調べていないところでございまして、手持ちの資料というものはないところでございます。

塩川委員 現場のいろいろな実情もあると思いますので、そういった状況などについても、各地域の選管などとの連携、連絡を取りながら、状況の把握などもお願いしたいと思っております。

 それで、コロナ禍で移動期日前投票所の活用も行われているようですけれども、そもそも過疎地だけが対象じゃない、都市部でも投票箱を持って小規模な施設を巡回するなど、いろいろ工夫ができるんじゃないかと思いますが、この点についてはどうでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 自動車を活用した移動期日前投票所の設置につきましては、これまでも、投票所までの距離が遠い選挙人などの投票機会を確保する観点から、積極的な対応について要請をしてきたところでございます。また、特に選挙における新型コロナウイルス感染症への対応の観点から、特に中山間地域等に限らず、改めて、期日前投票所の増設に併せて移動期日前投票所の活用も要請をしておりまして、コロナ禍以降に新たに設置した団体もあると承知をしております。

 コロナ禍における投票機会の確保につきましては、投票所に選挙人が集中することを避けるため、地域の実情などを踏まえ、期日前投票に関する取組も進めていく必要がございまして、引き続き、選挙の公正を確保しつつ、対応していく必要があると考えております。

塩川委員 コロナ禍以降での移動期日前投票所の活用の具体例などが分かれば紹介してもらえないでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 移動期日前投票所をコロナ禍以降に新たに設けた団体でございますけれども、昨年四月の静岡県第四区補欠選挙におきましては静岡県静岡市の清水区の一部の地区で執行をされ、また、令和二年六月一日施行の大阪府千早赤阪村長選挙、令和二年四月十二日執行の広島県三次市議会議員選挙、令和二年七月十七日執行の鹿児島県知事選挙における鹿児島県南さつま市などの例があると承知をしております。

塩川委員 期日前での移動投票は告示を必要としており、個別での投票といった柔軟な対応がなかなか難しいということも承知しています。いろいろ、コロナ禍におきましての投票機会の確保は非常に重要で、それについての対策やまた議論も行われているところですが、郵便投票についての議論もあると承知をしております。

 そういう点で、アメリカの大統領選挙などが、郵便投票をめぐって不正が疑われて、選挙そのものの正当性が揺らぐようなことになった、こういった実情については総務省としては把握をしておられるでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 アメリカにおける郵便投票の問題事案につきまして、私どもも報道等によって承知しておる限りでございますけれども、アメリカでは、昨年の大統領選挙に際しまして、郵便投票における投票用封筒の記載不備や二重投票といった問題の指摘、それから、不正による無効を主張した訴訟の提起などがあったというふうには承知をしているところでございます。

塩川委員 不正が起これば選挙そのものが成り立たなくなるという点で、公正公平な確保が非常に求められているところであります。

 大臣にお尋ねいたします。

 今、こういったコロナ禍における投票環境を確保する取組の上で、やはり、選挙の公正性を確保し得る仕組みという点で、巡回投票の導入の検討はどうか。選管が立会人と一緒に、投票箱を持って車に乗って、要望がある場所に行き、投票ができるような、そういう制度というのを今踏み込んで考えるときに来ているんじゃないのか。この点について是非お答えください。

武田国務大臣 巡回投票についてでありますけれども、巡回を希望する選挙人が多数になることも想定されます。必要な人員を確保し、多数の対象者がいる地域や交通至難な地域などを含めて、限られた期間内に確実に巡回できるのかどうか、事故等で一部巡回できなかった場合はどうするのかなど、確実性また公平性の観点から非常に難しい問題があり、慎重な検討が必要と考えております。

 あらかじめ投票場所を特定し、選挙人に周知する観点から告示をした上で複数の地域を移動する移動期日前投票所の取組を我々としては進めており、こうした取組などを通じて選挙人の投票機会の確保を図ってまいりたいと考えております。

塩川委員 そういう点では、宿泊療養施設などへの対応などとともに、自宅療養の方に対しての対応がどうやってできるのかといった点では、巡回投票の導入、その点でも、移動期日前も含んだ柔軟な運用、そういう取組というのは極めて重要だと思うんですが、そういう点で、総務省として考えがあればお聞かせいただけませんか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど大臣からも御答弁ございましたとおり、複数の地域を移動する移動期日前投票所の取組、あるいは期日前投票所の箇所の増加、こういった様々な取組を組み合わせながら、密を避けながら、しっかりとした確実な投票ができるように取り組みつつ、選挙人の投票機会の確保を図ってまいりたいと考えております。

塩川委員 本当に、投票権の保障をどう確保するのかということで知恵を出さなくちゃいけないということだと思いますので、そういう点でも、今後の議論というのは極めて重要だと思っています。

 ただ、そういった議論の中でインターネット投票の話なんかも出るんですけれども、総務省の論点整理でも、サイバー攻撃などシステムのセキュリティー対策の検証はどうなるのか、本人確認と投票の秘密の保持の保障がどう担保されるのか、あるいはアクセス時のシステムの安定稼働がどうなるか、投票管理者が不在となる投票を国内で特段の要件なしに広く認めることの是非の問題などが挙げられているところです。

 こういったことについては、総務省としてどのように受け止めておられるか。

川崎委員長 持ち時間が過ぎておりますので、簡潔にお答えください。

森政府参考人 お答えいたします。

 インターネット投票につきましては、現在、在外の選挙のインターネット投票につきましては検討を進めておるところでございますが、その中でも、やはり、御指摘のシステムのセキュリティー対策や確実な本人確認、投票の秘密保持など、選挙の公平公正の観点から引き続き検討すべき重要な課題があると認識し、検討を進めているところでございます。

 他方、国内にインターネット投票を導入することにつきましては、投票管理者や立会人が不在となる投票を国内において特段の要件なしに認めることの是非などの課題もあると考えておりまして、いずれにいたしましても、新たな投票方法を導入することについては、選挙制度の根幹にも関わる要素がございますので、各党各会派における御議論なども踏まえる必要があると考えておるところでございます。

塩川委員 終わります。

川崎委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会、浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 私からも、コロナの入院患者の、療養患者の皆さんとかの投票の在り方についての質疑をさせていただく予定なんですけれども、先ほどの理事会でも、今日の東京新聞とかにも載っていましたけれども、各党各会派で、この件に関しては、認識は、まあ共産党さんはちょっと違いましたけれども、我々はほぼ一緒だというふうな感じですので、是非検討をしていただきたいと思っています。

 我が党も、四月七日の馬場幹事長の記者会見等でも、この法案、我が党で準備するということを言っていただいていましたし、四月十六日の参議院の本会議では、梅村ドクター、参議員から、大臣に御答弁をいただいている内容でもあります。そのときはまだ、各党各会派で議論されることになるという形の答弁をしておられましたけれども。

 この皆さんにお配りをさせていただいた北海道新聞が非常にきれいにまとめていただいているものだと思っているので、今日、資料としてつけさせていただきました。

 これを見ていただくと、もちろん、各選管、コロナ対策で国が通達を出していることの範囲で対応していただいているわけですけれども、特にやはり問題になっているのは、投票できた、した人が余りにも少ない。北海道、札幌市は非公表という形になっていますけれども、長野県の参議院選挙は、対象になった人が百六人の中で四人、広島の参議院の選挙では、百八人の対象者のうちの十四人しか投票していません。これは施設療養中の方ですので、自宅療養とか自宅待機とかされている方々はどれぐらい投票に行ったか、後でちょっと聞きますけれども、恐らく把握できていないんじゃないかなというふうに思っています。

 やはり、我々が問題にしている、東京の都議会選挙もそうですけれども、衆議院の解散・選挙は必ずやってきます。そのときに、ここにも、記事にも載っていますけれども、小選挙区、比例代表、最高裁の裁判官の国民審査、これは少なくとも三枚になりますよね。補選だからできたけれども、衆議院の対応は、選挙区も分かれるし困難だ、人繰りがつかないということも選管の方々がおっしゃっています。

 やはりこれは、我々は郵便投票で何とか、本来は我々はネット投票が一番の解決だと思っていますけれども、ネット投票は、先ほどの質問にもありましたように、非常にまだまだ議論、まあ我々はできると考えていますけれども、ハードルが高いという考えがまだありますので、一朝一夕には前に進みません。ですから、郵便投票という形でこれをクリアしたいなと我々も思っています。国の不作為で国民の選挙権の行使が妨げられるということだけはやはり避けたいというふうに思っていますので、是非よろしくお願いをしたいと思います。

 見解をいただきたいという質問通告はしていますけれども、いろいろとこの間議論が出てきていますので、見解はもういいかなと思います。

 ただ、コロナの関係で投票ができなかった人がどれぐらいに上っているのかということについては、政府が把握はできているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

森政府参考人 お答えをいたします。

 さきの国政選挙の補欠選挙、再選挙においての宿泊療養施設の期日前投票所での投票者数、それぞれ、北海道、長野、広島が、四名、四名、十四名ということではございますけれども、コロナ禍の各選挙におきまして、棄権される方はおられます。ただ、そのうちで、新型コロナウイルス感染症による療養を理由として投票することができなかった、こうした人数については把握はしていないところでございます。

浦野委員 把握するのはなかなか難しいと思います。特に自宅療養者とかですね。

 私の地元の大阪も、今、大分、緊急事態宣言を発出した後、数字的には下がっていますけれども、重篤患者さんは相変わらず多い。自宅待機の方も一万人以上、今もいらっしゃると思います。そういった方々が、選挙のときに投票できないということになると、やはり非常にまずいと思っていますので、是非、この委員会でしっかりと議論をして、成案を得たいなと思っております。

 私、初めて当選をさせていただいて、ずっと実は倫選特に所属をさせていただいています。一番最初に関わらせていただいたのが、インターネット選挙、インターネットの選挙運動の解禁でした。あのときは、各党各会派全員、本当にしょっちゅう集まって、どうしたらいいのか、どうしていくべきなのかという議論を本当に何回も重ねて成案を作りました。

 その仕組みが今、残念ながらちょっと止まっているのか、なくなってしまったのか分からないですけれども、そういった仕組みが今ないので、是非、公職選挙法は議員立法ですので、常時その仕組みを議論できるようなところがないとなかなか各党の意思がすり合わせできないと思っていますので、またそういったものをこの倫選特の皆さんでしかけていけたらなと思っていますので、またよろしくお願いをいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

川崎委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 国民民主党・無所属クラブの井上一徳です。

 私も、この新型コロナウイルスに感染した患者、特に自宅や宿泊施設で療養している方の投票権の確保について質問をさせていただきたいと思います。

 今日の東京新聞にも、自民党の方で新法を検討しているという記事が載っていました。この点については、もう皆さん御承知のとおり、投票権というのは民主主義の基盤ですので、投票機会を確保するというのは基本的なことであります。

 ここは、国民民主党で政治改革推進本部長を務めておられる古川元久衆議院議員が、本当に、先立って、強い問題意識を持ってこの点については取り組んでおられて、今朝も会派でこの議員立法の案について議論していたところなんです。

 私は、今日の新聞にももう自民党の案が出ていますし、今の議論を聞いていても、各党会派でこれは早急に合意できる内容だと思いますので、速やかに成立させるということが重要だというふうに思っております。

 私も総務委員会で、郵便投票については総務大臣と何回か議論をさせていただいておるんですけれども、まず、この郵便投票について、総務省としての考え方をお聞かせいただきたいと思います。

森政府参考人 お答えをいたします。

 郵便等投票につきましては、これまで、不正の横行を背景に一旦廃止をされた後に、対象を限定して再び導入をされて、現行制度では重度障害者や要介護五の者に限って認められているという経緯がございます。

 また、現在、対象者を要介護四及び三の者にも拡大すること等につきまして、各党各会派においての御議論もなされているというふうに承知をしているところでございまして、新型コロナウイルス感染症患者等の郵便等投票ということかと存じますけれども、このことにつきましては、こうした経緯だとか選挙の公正確保の観点も含めて、各党各会派において御議論いただければと存じておるところでございます。

井上(一)委員 私も以前これをやり取りしたときに、郵便投票については、昭和二十二年に導入されて、その後、不正が横行したということで昭和二十七年に一旦廃止がされたということなんですけれども、かなり古いときに不正行為が横行したわけです。

 この具体的な不正行為、どんなような状況だったのか、御説明いただきたいと思います。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほどの不正の、これは昭和二十六年の統一地方選挙における不正事案の例ということで申し上げますと、このときは、選挙人が病気ということで偽った上での制度の利用だとか、医師によっての虚偽の制度対象者の証明が発行された、あるいは、選挙人本人が知らない間において第三者による投票用紙等の請求あるいは投票、こういった行為があったというふうに承知をしているところでございます。

井上(一)委員 いろいろな不正行為というのは諸外国でもあるわけですけれども、ただ、やはり諸外国ではこの郵便投票をどちらかといえば積極的に使っているというふうな認識をしているんですが、例えばアメリカもそうですし、ドイツ、それからイギリスも活用しているというふうに承知しております。

 諸外国の状況についてお聞かせいただきたいと思います。

森政府参考人 お尋ねの、諸外国の郵便投票に関する事情でございますが、文献等によりますと、アメリカは州ごとに制度が異なっておりまして、全ての選挙人が原則として郵便投票によるとしている州、あるいは、投票所での投票を原則としつつ、希望者には郵便投票を認める州などがあり、今般のコロナにおいても拡大をした州もあったというふうに承知をしております。

 イギリスにつきましては、かつては、一定の要件を満たす者のみに郵便投票が認められておりましたけれども、その後、北アイルランド地域以外では理由を問わず、北アイルランド地域では一定の条件の下に郵便投票が認められたものと承知をしております。

 ドイツについては、かつては、身体の障害などにより投票日に投票所で投票できないなどの理由のある者に限って認められておりましたが、その後、理由を問わずに郵便投票が認められたものと承知をしております。

 他方、フランスなどでは、不正の可能性が、できないというようなことで導入をしていない、そういう国もあるというふうには承知をしております。

井上(一)委員 今のような状況を踏まえると、我が国でも、特に新型コロナの状況を踏まえると、郵便投票を積極的に導入していくということがやはり重要ではないかというふうに思っております。

 報道によると、五月十二日時点の宿泊療養者が全国で一万人、それから自宅で療養している方が三万五千人に上る、こういう数字なわけですよね。こういう方々の投票機会をやはりしっかり確保していく、これは非常に大事ではないかと思います。

 郵便投票以外にも、先ほど議論ありましたように、やはりインターネット、デジタル社会ですから、こういった投票をインターネットでやっていくということについても、私は、いろいろな課題はあるんですけれども、この課題をどうやってクリアしていくかということで更に検討していく必要はあるんだと思います。

 ただ、速やかに、郵便投票については各党各会派の合意も得られると思いますので、是非、今国会で成立するように、皆さんに知恵を絞っていただいて、何とかこの国会で成立するようにお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

川崎委員長 大臣は御退席いただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

川崎委員長 次に、参議院提出、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 発議者より趣旨の説明を聴取いたします。参議院議員石井準一君。

    ―――――――――――――

 公職選挙法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石井(準)参議院議員 法律案の趣旨説明に先立ちまして、我が会派が発議者となり参議院に提出しました平成三十年と平成二十七年の公職選挙法の一部を改正する法律に誤りがあった件について、深くおわびを申し上げます。

 その上で、これらの誤りを正すべく、法律案を提出いたしましたので、御審議のほどよろしくお願いをいたします。

 それでは、ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党・国民の声を代表して、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 参議院に提出され、成立した平成三十年と平成二十七年の改正法によって、公職選挙法に二つの条文の誤りが生じております。

 平成三十年改正法による誤りは、罰則の適用可能性に疑義を生じさせており、急ぎ訂正をする必要があることから、これら二つの誤りを訂正する本法律案を御提案するものであります。

 次に、本法律案の内容を説明申し上げます。

 第一に、選挙運動用電子メールの送信に係る表示義務に違反した者に対する罰則の規定について、引用条項の誤りを正しいものに訂正する改正を行うこととしております。

 第二に、選挙事務の委嘱に係る規定について、平成二十七年改正法によって加えられた不要な文言を削るための改正を行うこととしております。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本法律案の提案の趣旨及び内容でございます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

川崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

川崎委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房地域力創造審議官大村慎一君、総務省自治行政局選挙部長森源二君、総務省総合通信基盤局電波部長鈴木信也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

川崎委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岩屋毅君。

岩屋委員 自民党の岩屋です。

 法案の質疑に入ります前に、先ほど浦野委員、また井上委員からも御指摘がございました、外出自粛要請を受けているコロナ療養者の投票権を確保するという課題につきましては、先ほどの理事会でも話題にさせていただきました。ほぼ各党の認識は共有できているというふうに考えております。

 この夏には都議選、また十月までには私どもの衆議院選挙が必ず実施されるわけでございまして、その段階でコロナ禍が完全にクリアできていないということが想定されるわけですから、ここで何もしなければ国会の不作為が問われるということだと思っております。

 是非、各党各会派の御協力を得て成案を得たいというふうに思っておりますので、よろしく御協力をお願い申し上げたいと思います。

 さて、この法案についてですが、まず参議院法制局に聞きたいと思います。

 ミスそのものは、これは単純なミスですね、番号がずれたということですけれども、罰則に係る規定におけるミスだったわけで、しかも、それを放置したまま、総務省から聞いたにもかかわらず、放置したまま選挙が実施されてしまったという意味では極めてゆゆしき問題だ、甚だ遺憾だというふうに思っております。

 参議院法制局は、今回の事態をどのように反省し、二度とこういうことが起こらないようにどのような措置を取ったのか、聞かせられたいと思います。

川崎参議院法制局長 この度は、私どもの不手際、不始末によりまして、罰則規定にミスのある状態が続いておりますこと、また、衆議院議員の先生方にも御迷惑をおかけすることになりましたこと、心よりおわび申し上げます。

 まず、総務省からの条文のミスの指摘にもかかわらず、情報が担当部にとどめられ、何らの対応もなされず、官報正誤など早期の訂正の機会を逸してしまったことにつきましては、職員としての責任感、使命感の欠如と内部体制に不備があったと判断しております。

 また、そのような不始末の責任から、組織として情報が共有された後に、単に誤りだけの報告では御迷惑をおかけすることになると考え、改正の見通しをつけてから関係議員にお願いと御報告をしようとして報告が報道後となってしまいましたことにつきましては、議員の補佐機関という立場をわきまえない間違った対応であり、速やかに関係議員に御報告すべきであったと深く反省をしております。

 昨年には、チェック体制や条文誤りの確認をした場合の対応内規など、再発防止策を講じておりますが、全く不十分であり、職員の意識改革、ガバナンス体制の構築など、抜本的な対策を講じてまいります。

 本当に申し訳ございませんでした。

岩屋委員 しっかり、二度とこのようなことが起こらないようにやってもらいたいと思います。

 総務省にも一言言いたいと思います。

 一度指摘を参議院法制局にしたということですけれども、罰則に係る規定にミスがあったということを承知していながら、選挙は執行されてしまったわけですよね。これは総務省の責任も極めて重たい。

 総務省としては、今回のことをどう反省し、どのような再発防止の措置を取ったのか、聞かせてください。

森政府参考人 お答えいたします。

 総務省としては、今般の条文改正の漏れにつきまして、参議院法制局に確認の連絡をし、条文の改正の漏れを確認、把握された以上、参議院法制局において対応方針を検討し、対応されるものと考えていたところでございますが、このことにつきましては、訂正、改正を強く求めるというようなことについての御指摘を、今、岩屋委員からいただき、また、さきの参議院の審議においても御指摘をいただいたところでございます。

 御指摘をきちっと受け止めまして、万一の際も含めて、関係機関と十分な連携を図るなど、しっかりとした対応を心がけてまいりたいと存じます。

岩屋委員 総務省もしっかり、二度とこんなことのないようにやっていただきたいと思います。

 この法律案本体を審議したときも、私は与党筆頭という立場でございました。正直、この中の合区とか定員増とか比例の特別枠とか、当初、個人的には私も賛成ではありませんでした。しかし、司法の要請に何としても応えなくてはならない、これはもうやむを得ない、緊急避難的な措置だという理解をいたしまして、法案の成立に汗をかかせていただいたところでございます。当時の野党筆頭は森山委員でございまして、大変御苦労いただきました。

 この改正に基づく選挙について、最高裁は昨年、こういう判決を出しています。

 平成三十年改正は、立法府における取組が大きな進展を見せているとは言えないものの、格差の是正を指向する姿勢が失われるに至ったとまでは断定できない。したがって、選挙区間の投票価値の不均衡は、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとは言えず、憲法に違反するに至っていたと言うことはできない。十人の多数意見、三人が反対、残り二人は少し異なる意見という判決でございました。

 言ってみれば、辛うじて違憲ではないという判決ではあったものの、胸を張って合憲だと言い切れるものでもなかったと認識をいたします。やはり、抜本改正が強く求められていると立法府としては認識をしなければいけないと思います。

 自民党は憲法改正によってこの合区を解消したいということを言っておりますが、いつそれができるかというのは今の段階で予断ができない。

 やはり抜本改正は必要だというふうに考えますが、提出者としては、この抜本改正に向けてどのような取組を行うおつもりでしょうか。もうこの六月には国調の速報値が出て、また、十一月頃までには確定値が出る。来年また参議院選挙がある。もう余り時間が残されていないんですが、どういう取組をされておられるでしょうか。

石井(正)参議院議員 お答えいたします。

 平成三十年、当時の参議院改革協議会の下に設置されました選挙制度専門委員会、ここにおきましては、各会派の意見の隔たりには大きいものがありましたが、時間が少なくなってくる、そういった中で、最大会派といたしまして何も出さないということは、これはあってはならない、このように考えまして、公職選挙法の改正案を提出をしたところでございます。

 この法律には附帯決議が付されておりまして、参議院選挙制度改革について、引き続き検討を行う、この旨が付されております。

 また、地方六団体や三十五もの県議会におきましては、二県合区の解消と、各都道府県から少なくとも一人の参議院議員が選出できる制度につきまして、強く要請がなされているところであります。

 我が会派といたしましては、この実現に向けまして努力を重ねていかなければならないと考えているところでございます。

 憲法改正に触れられましたけれども、この憲法改正ができますれば、合区を解消して、全ての都道府県から少なくとも一名の参議院議員が選出できるようになる、このように考えておりますが、まずは、参議院改革協議会におきまして、参議院の役割や在り方を踏まえた選挙制度につきましてしっかりと議論をしていきたい、このように考えているところでございます。

岩屋委員 私、前から思っているんですけれども、参議院としては、参議院の選挙制度なので責任を持って自分たちで案を作りたいというお考えだと思うんですね。それは分かるんですけれども、やはり、国政選挙制度というのは衆参一体となって日本の民主主義の土台を形成しているわけですから、参議院の選挙制度だから参議院だけで議論して発案すればいいというものではないので、私は、衆参一体となった議論が各党共に必要だ、こう思っておりますが、最後に、それについてのお考えを聞いて、終わりたいと思います。

石井(準)参議院議員 ただいま委員からいただいた発言のとおり、衆参両院の選挙制度は密接不可分のものであり、両者が一体となって我が国の民主主義の基盤を成しております。

 最高裁も、二院制の下における参議院の性格や機能及び衆議院との異同をどのように位置づけ、これをそれぞれの選挙制度にいかに反映させていくかという点を含め、国会の合理的な裁量に委ねられていると示しているところであります。

 参議院の選挙制度につきましては、これまでも参議院改革協議会の下で検討されてきた経緯がありますが、我が会派としては、党内で定められた手続はもちろん、二院制の下における参議院の性格や機能、衆議院との異同をどのように位置づけて、選挙制度にどう反映させていくかという点を含めて、これからしっかりと衆議院の先生方と連携していかなければならないと考えておりますので、御指導のほどよろしくお願いをいたします。

岩屋委員 終わります。

川崎委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 議題となっております今回の公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、質問をさせていただきます。

 私も、立法府に足かけ二十五年在籍をさせていただいておりますけれども、今回の参議院の不始末、不手際ほど、本当にあきれ果てる、そういう出来事にはなかなか出くわせませんでした。怒りを通り越して、もうあきれ果てているというのが正直なところでございまして、関係者の皆さんには、是非強い猛省を求めたいと思っております。

 事前の説明であるとか、あるいは参議院の委員会の議事録を拝見しても、今回しでかしてしまわれたことの重み、特に私も含めた全会派が本当に苦労して作り上げてきた法案を傷つけたことに対する重みがまだまだ分かっておられないのではないか、そういう懸念を持ちましたので、時間を頂戴して、お話をさせていただきたいと思います。

 といいますのも、今回、訂正の改正が行われるこの罰則の規定も含めまして、インターネットを使った選挙運動解禁のための公職選挙法の一部を改正する法律案、これを議員立法で提出して、最終的に全会一致で成立させた当事者の一人が私でございます。

 今から八年前の通常国会、二〇一三年でございますが、当時、何としてもその年の参議院選挙からネット選挙の解禁を、そういう参議院議員の方も含めた熱い機運がございました。

 当時、自民、公明、維新の三党の法案と、民主、みんなの二党の法案が提出されておりましたけれども、選挙制度は議会制民主主義の土台であり、新しい制度をつくるのに、政争の具にせず、なるべく多くの会派に賛同していただいた方がよい、合意を得る努力を尽くす、そういう考えの下に、自民、公明の与党から野党の皆様に呼びかけまして、インターネット選挙運動等に関する各党協議会を設置いたしました。

 自民党は、現在デジタル担当大臣の平井卓也先生、民主党は鈴木寛先生、公明党が不肖私佐藤茂樹が共同座長で、当時存在していた野党十一会派、この会派には、参議院のみにしか存在しない、そういう会派の方々も含めて全会派参加していただいて、その代表メンバー間で何回も集まって修正の協議などをして、最終的に法案も全会一致で成立させることができたと同時に、解禁後のこの最初のスタートなので、ガイドライン、QアンドA形式でしっかりとまとめ、また、申合せ事項についても各党確認書をしっかりと交わしてスタートしたのがインターネット選挙運動の解禁でございます。

 当時、そのときに発行いたしましたこういうガイドライン、これを今日お持ちをいたしましたけれども、これだけ、要するに各党の思いとまた労苦がしっかりと詰まったのが、今回修正される、そういう罰則条項、それは一部ですけれども、であるということを是非承知していただきたいと思います。

 今回の選挙運動用電子メールの表示義務違反の罰則というのは、選挙運動用電子メールを送信するに当たって、送信者の連絡先等の表示を義務づけて、自らの頒布する文書図画の記載の内容に責任を持たせ、反論等の場合の連絡先を明らかにすることで、誹謗中傷や成り済ましを一定程度抑止しようとする、そういう狙い、さらには、送信拒否の通知先について受信者が容易に確認できるようにすることを目的として表示義務違反に罰則を科したものであって、選挙の公正性を保つのに極めて重要な罰則であります。その罰則の適用可能性に疑義が生じる状態を二年半以上にわたって放置していたわけでございます。

 ですから、以上の意味から、今回の不始末、不手際というのは、有権者たる国民に対しての背信行為であると同時に、当時のネット選挙解禁法案の立法者の立法の趣旨を損ね、また関わった全十一会派の思いと労苦を踏みにじるものであって、そういう意味から、冒頭申し上げましたように、猛省をしていただきたい、そのように申し上げているわけでございます。

 その上で、今までしてしまったことに対しての言い訳というのはもうお尋ねするのではなくて、これからのことについて参議院法制局と発議者にそれぞれまとめてお伺いをしたいと思います。

 以上、るる申し上げてきましたような経過で、今回、我々の作った条文というのが、訂正もされずに放置し、罰則の適用可能性について疑義を生じたままにさせていたことに対して、参議院法制局としてどう考えておられるのかという、そのことと、やはり大事なのは、原因の徹底した分析と、再発防止策と責任を明確にしていただきたいと思うわけでございまして、参議院法制局として、参議院の委員会で様々な委員に質問されるたびに、その都度、それを乗り切るための答弁をされていましたけれども、そういう答弁でよしとするのではなくて、二度とこのような事態を招かないために、きちんと整理、整合された、腰を据えた、抜本的な再発防止策というものをどのように作り上げ、特に、その中で中心課題として何に対策を打っていくのか、どのようなスケジュール感で作成していくのか、参議院法制局長に御答弁をいただきたいと思います。

川崎参議院法制局長 インターネット選挙運動の導入の際の関係議員の先生方の御労苦と当該制度への思いを重く、深く受け止めさせていただきますとともに、私どもの不手際、不始末によりまして罰則規定の適用に疑義がある状態が続き、その御労苦や思いに水を差してしまいましたこと、心よりおわび申し上げます。

 先ほど、岩屋先生の御質問に対する答弁の際に経緯等については申し上げたところでありますが、今私どもが理解をしている原因としては、まず、ミスを生じてしまったことに関する作業体制の不備、それから、報告が内部で上がらなかったということに関しての職員としての責任感、使命感の欠如、それから、関係の議員の先生方への御報告が報道後になってしまったという、議員の補佐機関としての自覚、姿勢の問題など、そういうものがあったと深く反省をしております。

 このような猛省の下、昨年に講じた再発防止策では全く不十分であり、まずは、補佐機関としての役割意識と責任の徹底を図るために、行為規範の策定と意識改革の継続的取組、当事者以外による通報体制の整備も含む条文誤りを確認した場合の局内及び関係議員への報告の徹底、危機管理体制やガバナンス体制の構築など、抜本的な対策を講じてまいりたいと存じます。

 特に、やはり私どもの意識なり姿勢に大きな問題があったというふうに思っておりますので、その点については更に原因究明をし、先生方にも御報告をさせていただきたいと思っております。

 しっかりとした体制づくりのためには、何段階かにわたり徹底的に対策を講じていく必要があると思っておりますが、早急に講ずべきものにつきましては、今国会中を目指して作業を進めてまいります。

 どうかよろしくお願い申し上げます。

佐藤(茂)委員 しっかりお願いしたいと思います。

 それでは、発議者に、時間が迫ってまいりましたから、一点だけお尋ねをしたいと思います。

 本件誤りは参議院法制局の立案作業におけるミスによるものでありますけれども、法制局はあくまでも立法補佐機関であって、一義的に責任を負うのは、法律案の提出会派である自由民主党であり、発議者たる国会議員が負うべきもの、そのように考えております。

 その点から、三点お伺いしたいと思います。

 一つは、今回、二年半放置をしていた責任を提出会派としてどう感じておられるのか、二点目は、今後、提出会派の議員として再発防止策をどのようにされていくのか、三点目に、やはり参議院法制局、今作業をすると言われておりましたけれども、そこに任せていたのでは彼らの自己満足に終わらせてしまう可能性もあるわけでありまして、第三者の目でチェックした方がよいと思いますので、この問題の経緯からして、発議者の責任でまずチェックしていただいて、二度とこのような不始末、不手際が生じないように、議員の目で仕上げていっていただきたいと思うんですけれども、以上三点に対して、発議者として、どのようにチェックし、関与していかれるのか、お尋ねをしたいと思います。

石井(準)参議院議員 改正された公職選挙法の条文に誤りがあった件、そして、成立後も誤りを見つけ出すことができなかったことにつきましては、発議者として責任を痛感をしております。特に、選挙運動メールの表示義務違反についての罰則規定に誤りを生じさせてしまったことは、きっちりとしていた法体系をゆがめてしまうという重大な問題であります。

 この件に関わり、公職選挙法改正を進めておられました佐藤議員、浦野議員を始めとする発議者の先生方のお気持ちを思えば、本当に申し訳ないことでいっぱいであります。

 今回、この誤った状況を早急に正すために、同法の一部改正案を提出させていただいたところでありますので、是非とも御理解をいただきたいと存じます。

 その上で、議員立法の発議者の責務は、法案に誤りがあればすぐ正すこと、そして誤りのない法案を提出することですから、発議者自身がこれまで以上に、条文に誤りがないことを念には念を入れてしっかりと確認をしてまいります。

 同時に、参議院法制局には、今回の件で明らかになった問題にしっかりと向き合った上で、職員の行為規範の策定、危機管理体制を始めとするガバナンス体制の確保などの抜本的な再発防止策が講じられ、補佐機関としての機能をしっかりと確保できるよう、参議院側といたしましてもしっかりと見定めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。

佐藤(茂)委員 参議院法制局には、最後に、立法を補佐する今後の仕事ぶりで名誉挽回をしっかりと図っていただきたい、そのことを強く要請いたしまして、質問を終わらせていただきます。

川崎委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日も、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 この法案については、既に参議院でみっちりと審議もされておるということ、また、本日、もう既にお二人の答弁をいただいております。簡潔に、私の質問に対してもお答えいただきたいというふうに思います。

 それでは、まず最初に、提案者に御質問申し上げます。

 この二〇一八年の法改正についてですが、これは、参議院の改革協議会でずっと議論されてきたこととは全く異なる案が突如として自民党案として出てきた、強行的な採決も行われた、討論の機会すら与えられなかった、こういうようなどたばたで行われたことが原因の一つではなかったのか、こんなふうにも考えます。

 この二〇一八年の法改正、拙速だったのではないかというふうに考えるわけですが、提案者の反省も含め、また、二度とこのような強引な委員会運営は行わないということの確認も含めて、お考えをお聞かせください。

磯崎参議院議員 お答えをさせていただきたいと思います。

 まず、法改正の経緯を簡単にお話しさせていただきたいと思いますが、平成三十年当時、今委員の方からお話ございましたように、参議院には参議院改革協議会が設定をされておりました。そして、その下に選挙制度専門委員会が設置されておりまして、五月の九日の日に、この改革協議会に対して選挙制度の専門委員会の方から各論併記の報告書が提出をされ、それにつきまして報告聴取が行われたところでございます。

 これに続いて、六月一日に開催をされた選挙制度改革を議題といたしました参議院改革協議会の場において、我が会派は、これまでの専門委員会での議論も踏まえつつ、各党協議の土台として考え方のメモを示させていただいております。このメモには、法案になりました、選挙区において定員を二名増加し、それを埼玉選挙区に配分をする、そして、比例におきましては定員を四名増加する、そして拘束式の特定枠を入れる、この内容のメモを提示をさせていただきまして、各会派から御意見をいただいたというところでございます。

 その後も各会派間の意見の隔たりが大きいということから議論が調わず、最後に、議長の方から、具体的に案のある会派は法律案を提出をして国会審議の場で議論するようにという話がございましたので、六月の十四日に公職選挙法改正案を提出をしたということでございます。

 これが経緯でございますけれども、翌年の参議院通常選挙が迫っておったという状況でございますので、残された時間も少なくなる中でのこういった対応であったということでございます。

 ただ、そうはいいながら、当時の対応に対して今御意見があったわけでございますので、今後は意見の一致を見出すべく、各会派の協力をいただきながら、最大会派としての責任を果たしていかなければいけないというふうに考えております。

櫻井委員 次に、参議院法制局にもお尋ねをいたします。

 法制局からすれば、そのうちに倫選特でも開いてもらって議論すればいいというふうに思っていたのが、参議院の広島や衆議院北海道二区など、公職選挙法違反事件がある、なかなか倫選特は開かれない、こんな状況にもなってしまい、もたもたしているうちに新聞報道されてしまったというようなところもあったのではなかろうかと想像はするんですが、いずれにしても、法文上の誤りを把握したときには、速やかに議長や発議者に報告をし、そして公表し、速やかに修正する法改正を行うべきだったのではなかろうかと考えるわけですが、この隠蔽への反省と再発防止への決意をお聞かせいただきたいと思います。

川崎参議院法制局長 お答えいたします。

 御指摘のとおり、法文の誤りを把握した場合には、局内で報告を上げ、関係議員に御報告を行い、官報正誤あるいは法改正により速やかに訂正を行うべきでございます。

 しかしながら、今回につきましては、総務省から本件誤りの指摘を受けた後、情報が担当部でとどまり、また、何らの対応も行われませんでした。この段階であれば、関係議員に御相談の上、官報正誤や法改正による早期の訂正は可能であったところ、そうした対応がかなわなかったことにつきましては、職員の責任感、使命感の欠如と、内部体制に不備があったと考えております。また、私どもの組織、局としての、補佐機関としての役割意識あるいは自覚にも問題があったというふうに思っております。

 その点からいたしますと、職員の意識改革、あるいは私ども組織の在り方、補佐機関としての自覚の徹底ということを再発防止策で講じてまいりたいと存じます。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

櫻井委員 この本法案について、我が会派の考え方でございますが、やはり、そもそも、定数を六増やすということについては、二〇一八年の法改正のときにも反対をしてまいりました。ですから、本法案についても反対せざるを得ないというのが我が会派の考え方でございます。

 また、二〇一八年のこの法案審議の際には、我が会派からは、石川県それから福井県の合区をすることで実質二減になり、埼玉県で二増ということで、二百四十二の参議院の定数を維持する、こういう提案もさせていただいております。是非、こうした案についてもこれからしっかり検討をいただきたいというふうにお願いをするところです。

 続いて、抜本的な見直しについての取組についてもお尋ねをいたします。

 この二〇一八年法改正については、先ほどの答弁でもありましたように、緊急避難的、こういう話もございました。そうすると、やはり抜本的な見直しというのが必要だ。そして、協議会も開いて議論されているというふうにも承知をしておるんですが、今の制度、枠組みを維持していくということであれば、更なる合区というのも必要になってくるのではないのかというふうにも考えるんですが、都道府県単位とすることの必要性についてどのように考えるかということについて、提案者の御意見をお伺いしたいと思います。

 その前に、ちょっと私の方から考え方を一つ申し上げたいんですが、やはり、投票価値の平等、これは民主主義の根幹ですから、これはちゃんと守らないといけないというのが私の一つの考え方です。

 あともう一つ。この都道府県単位ということに関して、アメリカは、連邦議会の上院について、各州一人ずつ配分して、二回分ありますので、掛ける二ということで配分されている。これを参考にするべきだ、こんな意見もございますが、一方で、これはアメリカの国内の中でも非常に評判が悪いといいますか、一票の投票価値がそれこそ七十倍近く開いてしまっていて、こんなのはおかしいじゃないかという議論もアメリカ国内ではすごくあります。

 ただ、じゃ、憲法を改正するかというと、これは全ての州が賛成しないと駄目だということに解釈されているので、到底無理だろうと。つまり、投票価値が重くて、それで得をしている州は反対するでしょうから、そうすると、もうそれで憲法改正もできないということで、ある種、絶望にも似たような議論もアメリカ国内では行われております。

 そもそも、アメリカの場合には、州というのは、十九世紀までは本当に、ステート、だから国だったわけですね。それで、国の中で、そのステートの中である程度行政事務が完結していて、連邦政府の権限とかそういったものはそんなに大きくはなかった。二十世紀になって、それが、連邦政府の権限なり予算なりが大きくなってきた。

 だから、そういう経緯がある中で、アメリカも、この制度、実態に合わなくなってきているということが言われている中で、わざわざ、アメリカで時代遅れだと言われているものをまねすることもなかろうというのが私の考えです。

 ですので、それらを踏まえまして、提案者の御意見をお聞かせください。

磯崎参議院議員 お答えさせていただきたいと思います。

 まず、委員の方から、一票の投票価値の平等、非常に重要だという話がございました。まさにそのとおりだというふうに思っております。

 昨年出されました最高裁の判例におきましても、憲法は投票価値の平等を要求していると解されるが、投票価値の平等は、選挙制度の仕組みを決定する唯一絶対の基準となるものではなく、国会が正当に考慮することができる他の政策的目標ないし理由との関連において調和的に実現されるものということでございますので、非常に重要な要素ではあるけれども、唯一絶対ではないんだろうというふうに思っております。

 その上で、委員の方から、都道府県の位置づけということについて質問がありました。都道府県につきましては、この制度ができまして既に百三十年以上の年数がたっているということもありますので、歴史的にも、また経済的、社会的、また政治的にも独自の意義と実態を有するという意味から、一つの政治的なまとまりを有する単位であるというふうに考えております。また、地方の生活あるいは産業、文化の面の多様性を形成、確保する重要な役割を担っているというふうに思っております。

 ただ、やはり人口の偏在によりまして都道府県による一票の格差が広がる傾向が続いている、そういった中で、平成二十七年の公選法改正で二県合区が導入されたということでございますけれども、ただ、やはりこの対象県に、四県におきましては、投票率の顕著な低下、また、合区反対と書かれた多くの無効票などが出ているということから考えれば、合区への不公平感あるいは不満感が際立っているということでございます。

 また、先ほど答弁にもありましたように、やはり都道府県単位で地方の声を国政に届けられる選挙制度の実現をしてほしいという、地方六団体全ての団体で採択された合区解消に対する決議、また、現時点でも三十五の県議会で採択された意見書もございますので、やはり我が会派としましては、この二県合区を解消していく、そして各都道府県から少なくとも一人の参議院議員が選出できる制度、これを強く要望しているところでございます。

櫻井委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。

川崎委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 参議院提出の公選法改正案に関連して質問いたします。

 法律や条約の条文等の誤りを正す措置として、官報に正誤表を掲載するという官報正誤対応と、法改正による対応があるということです。官報正誤対応をしようとする場合に、私も衆議院の議運で関わってきていますけれども、議運の委員会及び所管委員会に事前報告をし、了承を得ることを通例としております。条文等に誤りがあれば、唯一の立法機関である国会に報告をし、了承を取るという手続を取るのは当然のことであります。今国会で大量に明らかになった内閣提出議案の条文の誤りについても、政府は国会に報告をし、正誤表で対応することの了承を得るという手続を行っております。

 参議院法制局にお尋ねします。

 参議院法制局が出している資料に、法律における改正不整合について法改正による対応を行った事例として、平成二十六年の電気事業法改正、平成二十三年の地方分権一括法などがあると紹介しておりますが、そういうことでよろしいですか。

川崎参議院法制局長 お答えいたします。

 まず、先生が御指摘になられました資料でございますが、その資料につきましては、私どもの方で、そのような例ではないかと考えていたものを、あくまでもお尋ねに対し内々に御参考までに例示したものであり、正式に確認したものではございません。また、それ以降、私どもの方でそのような例をお示しするのは適当ではないと考え、一切例はお示ししていないところでございます。

 先生が今挙げられました、原因となったとされる改正法律も、対処したとされる改正法律も、私どもが立案したものではなく、今ここで、それらが法改正による対応を行った事例であるという点につきまして、お答えする立場にはございません。恐縮ではございますが、御理解のほどよろしくお願い申し上げます。

塩川委員 閣法ということで、しかし、それは、誤りがあった場合にその後の法改正で対応している事例として紹介をしていたということであります。つまり、国会が知らない間にこっそりと過去の誤りを次の法改正で盛り込んでいる、こういう例があるわけであります。

 それで、国会議員に知らされないまま誤りの是正が行われる、こんなことでいいのかということですが、総務省にお尋ねします。

 総務省は、二〇〇三年の電波法改正の誤りの訂正を翌年の二〇〇四年の電波法改正の際に行いましたが、その際に、麻生総務大臣は、二〇〇四年四月十三日の衆議院総務委員会でおわびをしています。なぜですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇三年、平成十五年の通常国会におきまして、適合表示無線設備のみを用いる一部無線局に簡易な免許手続等を適用するなどのため、電波法の一部を改正する法律案について御審議いただきまして、お認めいただいたものでございます。

 一方、本法律案におきまして、登録証明機関の業務規程について、認可制から届出制への改正などに際し整備漏れがあったため、当該改正内容を組み入れた、翌年、平成十六年の電波法の一部を改正する法律案の御審議に当たり、当時の総務大臣でありました麻生大臣がおわび申し上げたということでございました。

塩川委員 誤った条文のために、届出でよかったのが認可の手続をしなくちゃいけなかった。そういうのが三つも例が生まれているんですよ。ですから、そういう問題が起こったのに全く国会に報告しないで、するっと翌年の電波法の改正のときに盛り込んでいる。だから、与党も当然知らないわけですよ。当時、自民党の筆頭は野田聖子さんでしたけれども、野田さんも怒っていましたけれども、こういうことが行われているんです。おかしいんじゃないですか。

 発議者にお尋ねしますが、条文等に誤りがあれば、唯一の立法機関である国会に報告をし、了承を取るという手続を取るのは当然のことであります。国会に報告もなく、法律の条文の誤りをこっそり改正するようなことは許されないんじゃないですか。

石井(正)参議院議員 お答えいたします。

 本件につきまして参議院法制局から我が会派に報告がありましたのは、令和三年四月十九日でございます。参議院法制局によりますれば、今回の件では、改正の見通しも立たないままに、単に誤りがあったということだけを報告するということではなくて、改正の見通しをつけてから議員へ報告すべく考えていたということでありまして、国会や国会議員に報告なく条文の誤りをこっそりと改正する、そのような意図は全くなかったもの、このように考えているところであります。

 そうであったとしても、発議した法案に対する責任は、発議をいたしました会派あるいは議員が負うことになるわけでありますけれども、それにもかかわらず、誤りが判明した後はすぐに報告がなされるべきであります、これがなかったということは極めて問題である、このように考えております。

 条文の誤りが判明したのであれば、特に、平成三十年改正の誤りは罰則規定に関わるものでありますので、この誤った状況、これは早急に正されなければならないと考えております。

 発議者といたしまして、条文案に誤りがあったことにつきましては、大変申し訳なく思っているところでございます。誤りを正すべく、すぐに同法の一部改正案を提出させていただきました。是非とも御理解を賜りまして、一日も早く誤りが正されますように、成立させていただければありがたい、このように考えているところでございます。

塩川委員 誤りを知っていたのに是正しなかったという参議院法制局の責任は極めて重大だ。同時に、やはり一義的には発議者の責任でありますので、猛省を強く求めるものであります。

 ただ、今紹介をしたように、実際には閣法などでこっそりと過去の誤りを次の法改正で直すようなこと、これを国会として放置していいのか、こういうことはないように対応すべきじゃないのか、その点についての率直なお考えを聞かせてもらえませんか。

石井(正)参議院議員 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、参議院法制局が条文の誤りを把握したにもかかわらず、発議されました法案に対する責任を負う提案者に報告がなかったところであります。

 こういった様々な法律が公布された場合の法文上の表記の誤り、いわゆる形式的そごというものを官報の正誤などによって訂正することがある、このように承知はしているところでありますけれども、提出法案につきまして責を負う提案者であります国会議員に報告がなかったということで、直ちに訂正することができなかったということは、極めて残念に思っているところでございます。

 先ほど申し上げましたとおり、参議院法制局の考え方は、改正の見通しをつけてから議員に報告すべきと考えていたということでありますけれども、いずれにいたしましても、条文の誤りにつきましては発議者の責に帰すべきものでありまして、大変申し訳なく思っております。

 誤りを正すべく、すぐに同法の一部改正案を提出をさせていただきましたので、是非御理解を賜りたいと存じます。

塩川委員 質問に答えていただけなかったのは大変残念です。見過ごす立場にあるのかということも問われるということを言っておきたい。

 総務省の責任も重大で、選挙運動用電子メールの送信に係る表示義務違反に対応する罰則がない状態にあることを知りながら、総務省ホームページの説明資料では、罰則があると記載しているんですよ。

 公選法を執行する機関として、条文の誤りを承知しながら、罰則があるかのように対応してきたその責任は極めて重大ではありませんか。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 インターネット選挙運動が解禁をされました平成二十五年の公選法改正におきまして、選挙運動用電子メールに係る表示義務が課せられ、当該表示義務違反についての罰則が設けられたところでございまして、御指摘のホームページに関しては、この平成二十五年の改正内容を紹介するものとして掲載をしてきているものでございます。

 本件につきましては、総務省としては、平成三十年十二月に今般の条文改正の漏れについて参議院法制局に確認の連絡をし、当該議員立法の実務を担当した参議院法制局が改正の漏れを確認、把握された以上、参議院法制局において対応方針を検討し、対応、訂正されるものと考えていたところではございますけれども、御指摘のことを十分意を用いまして、万一の際も含めて、関係機関との連携など、しっかりとした対応を心がけてまいりたいと存じます。

塩川委員 罰則がない状態なのを知っていたにもかかわらず、ホームページ上にはそのことを記載したままという、そのことが無責任だ、執行機関としてその責任は厳しく問われるということを申し上げて、質問を終わります。

川崎委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 参議院でもう既に我が党の態度も示しておりますが、反対ということです。反対の理由は、そもそも六増自体に反対ということですので、とてもじゃないけれども、この法案自体が賛成できるものではなかったということですので、反対するわけですけれども。

 発議者の方に質問というか一言言いますけれども、参議院の議論でも、聞いておりますと、今日の委員会の質問、質疑者の皆さんの意見にもありましたように、総務省や、執行、行政側の責任というのはもちろんあります。これはもう、今年は特に条文ミスがたくさん見つかりました。その都度国会の審議が止まったりとかそういった影響も出ましたし、今年は特に多かったので、またかという感じでしたけれども、私どもは、この法案を提出して可決をさせたときに、強行して、自分たちの、もちろん、なぜ出したかということは再三答弁をされていますけれども、各党の理解を得ないまま無理やり出した、そして無理やり通した、そういったひずみがやはりそういったミスにつながったんじゃないかと私たちも思っています。

 委員会で、さも行政側が悪いかのような質疑をされる自民党の参議院議員がいらっしゃいました。私は、正直、これはないなと思いましたね。いや、それは責任がないとは私も思いませんけれども、それにしても、その人たちの責任をあなた方が責めるべきことか、まずは自分たちが猛省をしないといけない、そのように私は感じました。正直、余り褒められるような質疑内容じゃなかったと私は思っています。

 特にこれは参議院の皆さん方が反省すべき、自民党の参議院の皆さんが反省すべき事柄であって、まず責められるべきは自分たちだという認識を持っていただかないといけないと思っていますけれども、発議者の皆さん、それに対して御答弁いただけますか。

堀井参議院議員 お答え申し上げます。

 改正された公職選挙法の条文に誤りがありました件、そして成立後も誤りを見つけ出すことができなかったことにつきましては、発議者として責任を痛感しているところでございます。

 特に、本件につきましては、インターネット等を利用する方法による選挙運動の解禁に係る公職選挙法の改正に係るところでございますが、この改正を進めておられた浦野議員、また佐藤議員、橋本議員始め提出者の皆様に心からおわびを申し上げたいというふうに存じております。

 そして、今、私ども発議者の責務として、この法案に誤りがありましたので、これをすぐに正すこと、これが私どもの今の最大の責務であるというふうに存じているところでございます。

 今回、この誤った状況を早急に正すために法案を提出させていただいておりますので、是非とも御理解をいただきまして、一日も早い成立をお願いしたいと存じます。

浦野委員 本当に、最近の自民党はどうかしていると思います。大阪の自民党は昔からちょっとどうかしていますけれども。

 最近は、本当に、この数日の報道でも、例えば一億五千万円の話、誰がそれを決めたのか、誰が渡したのか、誰が出したのか、党内でなすりつけ合いをして、非常にみっともない話になっていますよね。

 よく参議院は良識の府だというふうに言われますけれども、もう良識の府だと言っているのは参議院の皆さんだけです。ほかの人はみんな思っていません、もう今。それは恥ずべきことだと思っていますので、是非、自分たち、自らが良識の府だと言うのであれば、ほかの人たちにもそう思ってもらえるようにしていただけたらなと思います、きつい言い方ですけれども。本当に反省をしていただけたらと思います。

 それで、この一億五千万の話の流れで、与党の皆さんからも、当選無効になったりとか、そういう逮捕された後とか勾留された後とかに歳費を出し続けるのはおかしいということで、法改正をすべきだというお声が上がっております。我々はもう早くからその議論をスタートさせていただいていまして、ところが、これは非常に高い壁があります。憲法違反になるんじゃないか、そういった人に歳費を出さないようにするに当たっては、憲法違反になるんじゃないかという議論がある中で、我々は、今、自主返納をするという法案だけ提出させていただいています。

 ここで法制局にお伺いをするんですけれども、この歳費の請求権は、「両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。」、憲法四十九条に書かれているんですね。これで、法律の定めるところによって、議員に対する歳費の支給をどこまで制限できるかということが問題になるんですけれども、学説ではこの歳費の性質についてどのようなものがあるのかというのを答弁いただけますか。

森法制局参事 浦野先生、御質問ありがとうございます。

 お尋ねの憲法第四十九条が定める議員の歳費につきましては、明治憲法下においては憲法典ではなく議院法といった法律レベルで規定されていたものでございますが、現行憲法下においてはこれが憲法事項とされ、憲法の教科書などでは、不逮捕特権や免責特権と並ぶ国会議員の三大特権、権利の一つとして説明される大変に重要な権利であると承知いたしております。

 その上で、お尋ねのその法的性質についてでございますが、学説上、一般に二つの見解があると説明されているところでございます。

 一つは、非専業的な国民代表による国政運営といった近代議会制の理念に忠実に、歳費は生活の保障たる意味を持つものではなく、議員としての職務遂行上要する出費の弁償たる性質を持つとする、いわゆる費用弁償説でございます。

 もう一つは、歳費は議員の勤務に対する報酬たる性質を有するとする、いわゆる報酬説で、これは、議員の職務の専業化、専門化が不可避的傾向となってきた現代議会制の在り方を反映した見解と承知いたしております。

 以上でございます。

浦野委員 今、二つお答えいただきましたけれども、費用弁償説に立てば、活動できていない方の歳費は制限できるということになるとは思うんですけれども、これがどうなるのかという判断は憲法上も法律上もなかなか判断ができないということですので、だからこそ我々は、憲法改正項目の中に、こういったことが合憲なのかどうなのかというのを判断できる憲法裁判所をつくるという項目を日本維新の会は入れているわけですね。

 問題が起きてからこういう議論というのは、もちろん重要ですけれども、こういう議論は自分たちの身分に関わるものですので、我々がやはり主体的になってしていかないといけないと思いますので、こういった議論もこの委員会で更に深めることができたらと思っております。

 時間が来ましたので、質問を終わります。

川崎委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 国民民主党・無所属クラブの井上一徳です。

 本日は、公職選挙法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 まず、質問に入る前に、平成三十年に行われた参議院定数の六議席増を認める公職選挙法改正について、これについて、私たちの立場ですけれども、国民民主党・無所属クラブとしては断じて認めるものではない、強く反対をしているということを明確に示しておきたいと思います。

 その上で、私たちは、維新の皆さんと共同で、五月七日に公職選挙法改正案を提出しております。その内容としては、比例代表の定数を現行の百人から六人減らして総定数を二百四十二人にすること、そして、参議院議員の選挙制度の抜本的な見直しについての検討事項を設けるものであります。本日の委員会は公選法のミスを修正するという目的で質疑が行われていますけれども、私たちの改正案についても早急に審議される必要があるということを申し述べたいと思います。

 その上で、質問に入らせていただきます。

 今回は、公職選挙法の条項の順番がずれて、罰則が修正されない、疑義が生じているというミスが生じたわけであります。ミスについては、当然のことながら、できる限り減らしていくということはもちろんのことなんですけれども、今回の問題というのは、やはり放置をされてきたというところにあるわけです。この放置をされてきたということには、なぜ本当にこういうことが起こってしまったのか、これをどうやって防いでいくのかということがポイントになってくると思うんです。

 今までに、ミスというのは、軽微なミスというのはあるとは思うんです。そのときには誤りを正していくというのは当たり前だと思うんですが、今までに、主なミスとしてどういうミスがあって、どういうような対応をしてきたのかというのをまず御説明いただきたいと思います。

川崎参議院法制局長 お答えいたします。

 立法における誤りは本来あってはならないことであり、条文誤りを生じさせてしまったことにつきましては大変申し訳なく思っております。

 参議院の議員立法における誤りの例を網羅的に把握しているわけではありませんが、成立後に誤りが発見され、官報正誤によって対応された例などが若干あるものと認識をしております。

 私どもが把握している例としましては、例えば、昭和四十八年に成立しました災害弔慰金の支給及び災害援護資金の貸付けに関する法律において、官報正誤により誤りの訂正を行ったことがございます。

 それから、今回、公職選挙法に関しましては、今回の本件の誤りの訂正のための改正法案の立案に当たって、平成以降の参議院議員の議員立法での改正により公選法の規定に誤りが生じていないかどうか、改めて関係条文のチェックを行い、誤りがないことを確認しております。

 誤りの状況については以上でございます。

井上(一)委員 そういう例を踏まえると、やはりミスを承知した段階ですぐに相談して適切な対応を取っていれば、こんなような大ごとにはなっていないと思うんです。私、本当に、なぜ放置したのかなというのが不思議でしようがないですね。

 それで、まず平成三十年の十二月に総務省がミスに気づいて参議院法制局に連絡したというふうにあるんですけれども、総務省からはどのぐらいのレベルの人が、参議院法制局のどのぐらいのレベルに報告したのか、そして、総務省の中では、このミスに気づいたことについて組織的にどういう情報共有がされていたのか、教えてください。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年十二月の連絡は、公職選挙法の担当部署の法制を担当する職員から連絡したものと承知をしておりまして、このことにつきましては、公職選挙法を担当する部署内で共有をされていたものでございます。

井上(一)委員 その部署内というのは、部長も承知していたということなんですか。では、総務省のどのレベルまで情報共有されていたんですか。

森政府参考人 公職選挙法を担当する選挙課内で共有されていたものと承知をしております。

井上(一)委員 ということは、課長まで知っていたということですか。

森政府参考人 課長級職員が承知をしていたというふうに聞いております。

井上(一)委員 そこまで、課長級の人が知っていても、法制局の方で何ら対応がなされていないということに対して総務省の方は何のアクションも起こしていない。私、これも総務省として、やはり執行しているわけですから、ここは、課長レベルまで知っているんでしたら、何でやっていないんですかというのは問い合わせるというのが当たり前だったと思うんですね。

 一番よく分からないのは、これはもう何人の方も聞かれているんですけれども、法制局の方では部長まで上がっているわけですね、第三部長まで。部長まで上がっているということは、組織として共有しているということだと思うんです。なぜ、三部長まで上がっていながら、三部長で止まっていたのか。ここは何回も、議事録を読んでも分からないんですけれども、もう少し分かりやすく説明してくれないですか。

川崎参議院法制局長 お答えいたします。

 平成三十年十二月に総務省選挙課から当局の担当課に条文誤りの指摘があり、先生御指摘のように、第三部長まで情報が上がり、そこでとどまってしまいました。

 私も、その原因につきまして、理由につきまして、いろいろと本人にただしましたが、結論としては、やはり、職員あるいは幹部としての責任感といいますか使命感の欠如、本当に残念ではございますが、そういうことを言わざるを得ないと思いますし、仮に報告が第三部長まででとどまったとしても、何らかの対応をするということは十分考えられたと思いますが、残念ながら何らの対応もされていなかったという、この事実を知ったときには大変私も衝撃を受けたところでございます。

 いずれにしましても、これまでいろいろと御説明してまいりましたが、抽象的な形で申し訳ございませんが、責任感、使命感の欠如ということに尽きるのではないかというふうに思っているところでございます。

井上(一)委員 責任感、使命感の欠如となると、本当に重い言葉だと思うんです。本当に、それで組織が成り立つのかなという気はいたします。これはこれから調査をした上でしっかり厳正な対応がされると思いますけれども、そこはしっかり対応していただきたいと思います。

 それで、こういったミスというのは、あってはならないんですけれども、起こると思うんです。これは参議院法制局だけではなくて、いろいろなところで、衆議院の法制局でも起こるかもしれません。ミスを見つけるのは、今回は総務省でしたけれども、衆議院の事務局の中でも見つかるかもしれないし、いろいろな人が見つけるかもしれないわけです。そのときにどうやって対応していくかという、やはりしっかりマニュアルを作っておいた方がいいと思いますし、これは参議院法制局だけではなくて、衆議院法制局とも平仄を合わせたものを作っておいた方がいいと思うんですね、混乱しないように。

 これからいろいろな再発防止策を検討されると思いますけれども、やはり、是非、衆議院法制局ともいろいろ意見交換をする、平仄の合ったものにする、そういう検討をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

川崎参議院法制局長 お答えいたします。

 令和二年の二月末に組織として条文の誤りの情報を把握した後、その年の六月に、条文の誤りを確認した場合の報告、これは上層部への報告だけではなくて関係議員への御報告の内容も含んだ、そういう対応の例規を作っております。しかしながら、関係議員の御報告に関しましては、例えば、ある程度見通しをつけた上での御報告みたいな表現もございまして、誤りを把握した後、すぐに関係議員に御報告するというふうな形にはなっておりませんで、私ども、大変不十分であったというふうに反省をしているところでございます。

 したがいまして、昨年作りました例規を速やかに見直していきたいというふうに思っておりますが、同じ議院法制局である衆議院法制局ともいろいろと調整をさせていただきながら、同じような形で、しっかりと対応できるような体制、あるいは例規を作っていきたいというふうに思っております。

 どうぞよろしくお願いいたします。

井上(一)委員 時間が来ましたので、これで質問を終わります。ありがとうございました。

川崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

川崎委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 参議院提出、公職選挙法の一部を改正する法律案について採決をいたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

川崎委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

川崎委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十五分散会


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