衆議院

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第6号 令和4年11月8日(火曜日)

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令和四年十一月八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平口  洋君

   理事 奥野 信亮君 理事 冨樫 博之君

   理事 藤井比早之君 理事 松本 洋平君

   理事 源馬謙太郎君 理事 渡辺  周君

   理事 山本 剛正君 理事 伊藤  渉君

      東  国幹君    石井  拓君

      石原 正敬君    上杉謙太郎君

      加藤 竜祥君    勝目  康君

      川崎ひでと君    神田 潤一君

      熊田 裕通君    小森 卓郎君

      斎藤 洋明君    塩崎 彰久君

      鈴木 憲和君    辻  清人君

      土田  慎君    中曽根康隆君

      中西 健治君    長谷川淳二君

      鳩山 二郎君    平井 卓也君

      古川 直季君    穂坂  泰君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      山口  晋君    落合 貴之君

      後藤 祐一君    佐藤 公治君

      櫻井  周君    手塚 仁雄君

      寺田  学君    徳永 久志君

      岩谷 良平君    浦野 靖人君

      遠藤 良太君    小野 泰輔君

      空本 誠喜君    輿水 恵一君

      福重 隆浩君  斎藤アレックス君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         寺田  稔君

   総務副大臣        尾身 朝子君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   文部科学大臣政務官    伊藤 孝江君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  川窪 俊広君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 植松 利夫君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  森友 浩史君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     小林万里子君

   衆議院調査局第二特別調査室長           大泉 淳一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     小森 卓郎君

  勝目  康君     東  国幹君

  熊田 裕通君     石井  拓君

  塩崎 彰久君     土田  慎君

  辻  清人君     山口  晋君

  本田 太郎君     上杉謙太郎君

  落合 貴之君     後藤 祐一君

  岩谷 良平君     小野 泰輔君

  浦野 靖人君     空本 誠喜君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     勝目  康君

  石井  拓君     熊田 裕通君

  上杉謙太郎君     中曽根康隆君

  小森 卓郎君     加藤 竜祥君

  土田  慎君     塩崎 彰久君

  山口  晋君     辻  清人君

  後藤 祐一君     落合 貴之君

  小野 泰輔君     岩谷 良平君

  空本 誠喜君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     本田 太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

平口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長吉川浩民君、総務省自治行政局選挙部長森源二君、総務省自治税務局長川窪俊広君、国税庁長官官房審議官植松利夫君、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官森友浩史君、文化庁審議官小林万里子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 まず十増十減法案についてお伺いしますが、今回の法案については、これは一票の格差是正のためにやむを得ない改正だと思いますが、今後どうしていくのかについてはよく議論する必要があると思います。

 なお、神奈川県知事からは、区画審に対して、「国勢調査が実施される五年ごとに選挙区の区割り改定が行われると、有権者や候補者に多大な影響を与えることになるため、頻繁な見直しに繋がらないような区割り改定を行うことを要望する。」という意見が提出されておりますし、今日この後審議される附帯決議、大まかに合意されていると伺っておりますが、この中でも、人口減少や地域間格差が拡大している現状を踏まえつつ、議員定数や地域の実情を反映した選挙区割りの在り方等に関し、国会において抜本的な検討を行うものとするとされております。

 是非、これは与野党で国会において議論していくべきだと私からも申し上げたいと思いますが、大臣にお伺いしたいと思います。

 現行のアダムズ方式、今回はこれでいいと思いますが、次回以降これを続けるというのは望ましくないと思いますが、大臣、どうお考えですか。

寺田国務大臣 今回のアダムズ方式でございます。御承知のとおり、これまでの一人別枠方式が三回連続最高裁判決でも違憲状態とされたということを踏まえまして、このアダムズ方式、これは衆議院選挙制度の調査会の平成二十八年の答申を踏まえて、アダムズ方式が望ましい、また、十年ごとの大規模国勢調査の結果に基づき行うということにされました。また、中間年についても、格差が二倍以上であれば見直しを行うこととされまして、衆議院選挙制度改革関連法により議員立法で導入された経緯がございます。

 こうした経緯にももちろん留意する必要はございますが、この選挙制度の在り方、委員御指摘のとおり、議会政治の根幹に関わる重要な問題でございますので、今後等については、十分各党各会派において御議論をいただくべき事項であると考えております。

後藤(祐)委員 資料一を御覧ください。

 前回の勧告のときは、二〇一七年四月十九日に区割り審の勧告があって、六月九日に法案成立、七月十六日には施行になって、三か月でできているんですね、実施されているんですね。ところが今回は、六月十六日に区割り審の勧告が今年あって、これは間に閉会を含むものですから、今月成立したとしても来月施行ということで、半年かかってしまうわけです。これは、統治機構の不安定性ですとか有権者の混乱という意味で非常に望ましくないと思うんですね。是非、次回の勧告は、四月中ぐらいに勧告をして、通常国会中に法案を成立させるべきだということを改めて申し上げておきたいと思います。

 それでは、寺田大臣について、各種疑惑がございますので質問したいと思いますが、まず配付資料の四ページ目を御覧ください。

 これはまず確認ですが、寺田大臣は、大臣としてあるいは国会議員としての資産公開において、寺田稔呉後援会に対する貸付金がそもそもゼロであると言っていたんですが、これは十月十二日に千二百五十万円の貸付金があるというふうに修正をされておられるということでよろしいでしょうか。

 そして、翌日十三日の会見では、的確、厳格に資産として公開する必要がある、今後このようなことがないように注意すると述べておられますが、事実でしょうか。

 確認です。

寺田国務大臣 委員の資料にありますとおり、私からの貸付金千二百五十万円、これは貸付けをしている事実があるわけでございまして、事務的ミスによってこの報告ができなかったことはおわびを申し上げたいと思いますが、御指摘のとおり、千二百五十万円ということでございます。確認をいたしております。

後藤(祐)委員 資料五を御覧ください。

 寺田稔呉後援会の収支報告書によれば、これは平成二十三年のものですが、寺田稔議員本人から六百万円の借入金があります。こういった操作自体はよくあることですね、お金が足りなくなった場合に議員からお金を貸し付けるということはあることなんです。なので、平成二十三年の年末における借入金の残高六百万円、これは正しいですね。

 ところが、六ページ目を御覧ください。

 翌年、平成二十四年、新たに寺田稔議員から一千万円の更なる借入れをしているわけです。そうしますと、借入金残高は千六百万円になるはずなのですが、六ページ目の下のところですね、平成二十四年の資産の内訳の中における借入金残高は一千万円となっていて、これは千六百万円になっていないとおかしいはずですが、大臣、これはおかしくないですか。

寺田国務大臣 委員御指摘のとおり、最初、六百万円の貸付けを確かに行っております。翌年、更に一千万円という貸付けが確かに発生しておりますが、これは私自身の貸し借りの問題でございますが、六百万円については返済をいただきまして、年末残高としては一千万円になったものと記憶をしております。

 したがいまして、ちょっと当時の事務担当者はもう不在でございますが、今御指摘の呉後援会の方の経緯について確認中でございます。分かり次第、これは御報告させていただきます。

後藤(祐)委員 そうしますと、寺田稔呉後援会から寺田稔議員に対して平成二十四年に六百万円の返済があったということでよろしいですね。

寺田国務大臣 はい。おっしゃるとおり、六百万円の返済をいただきました。しかし、同年、一千万円も貸し付けているということでございます。

後藤(祐)委員 ここに平成二十四年の寺田稔呉後援会の収支報告書がございますが、この支出の中には、その六百万円の返済という支出はありません。この平成二十四年の収支報告書、間違っていませんか。

寺田国務大臣 返済をいただいたことは私も明確に覚えておりますので、今、先ほども申したとおり、当時の収支報告書の作成につき、その経緯等について確認中でございますが、私に対する六百万円の返済はなされておりますので、当然それは記載すべきものであるというふうに思っております。ちょっと今、確認をしているところでございます。

後藤(祐)委員 おかしいですね。平成二十四年の呉後援会は、翌年への繰越額が四十七万五千三百五十二円。つまり、ここに六百万円の返済という記述が支出として存在しない。六百万円の返済をしないでも残高が四十七万五千三百五十二円しかないのに、何でここからプラスして六百万円返せるんですか、大臣。

寺田国務大臣 呉後援会の方の、当時、受入れ寄附があったというふうにお伺いをしておりまして、その受入れ寄附額によって返済をしたものと私は推量しておりますが、ちょっと確認中でございます。

 おっしゃるとおり、残高はほとんどございませんので、今おっしゃるような現有残高で六百万円の返済はもちろんできないわけでございますので、また、返済をいただいたという事実もありますので、一定の寄附の記載があったものと、今、その点も含めて確認をさせております。確認させてください。

後藤(祐)委員 そうすると、その寄附についても未記載ということですか。

寺田国務大臣 確認中でございますが、もし寄附が本当にあったということであれば、これは今調べ中でありますけれども、それは記載すべきだと思います。

 ただ、今まさに確認中ですので、お時間をいただければと思います。

後藤(祐)委員 大臣、政治資金規正法を所管する総務大臣が、間違えることはあるかもしれませんが、間違いをうそで塗り固めるのはまずいですよ、大臣。

 四十七万円しか残金がないのに、返せるわけないじゃないですか。後で言い訳するために、別に寄附がありました、何でそんなことができるんですか。呉後援会は私とは関係ない団体だとこの前おっしゃっていたじゃないですか。何でそんな操作が十年も前のものに関してできるんですか。どうなっているんですか、大臣。

 いずれにせよ、収支報告書の訂正は発生するということでいいですね、大臣。

寺田国務大臣 委員御指摘のとおり、これは私が直接管理している団体ではございません。また、収支報告についてもチェックすべき立場にありませんが、返済をいただいたという事実は明確にございますので、その点について確認をさせていただき、必要が生ずれば訂正をしなければならないと思います。

 ちょっと確認中でございますので、お待ちいただければと思います。

後藤(祐)委員 これ、収支報告書ですから、私は全部見ていますよ。簡単じゃないですか、これを今確認してもらっていいですよ。

 この後の同志の質疑がありますから、それまでの間にこれを確認してください、お渡ししますから。じゃ、今すぐ持ってこさせてくださいよ。

 委員長、よろしくお願いします。

平口委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

平口委員長 速記を起こしてください。

 ただいまの議事につきましては、理事会で協議をいたすことにします。

後藤(祐)委員 これは収支報告書があるんですから、これを見れば明らかですので、早く理事会で協議いただいて、大臣、もう今見ているでしょうから、事務所で調べてください。それで、今日のこの審議のうちに、こういうことですという説明をしてください。

 次に行きたいと思いますが、資料の二ページ目を御覧ください。

 これは、平成二十五年十二月十二日に、宏池会の団体である宏池政策研究会に以正会から六十万円の寄附をしているという記載がありますが、以正会の平成二十五年の収支報告書にはこの寄附の記載がありません。この六十万円、誰が寄附したんですか。

寺田国務大臣 これは、以正会からではなく、別の政治団体である、みのる会からの寄附でございます。

 宏池政策研究会の方の事務的ミスで以正会というふうに記載をした、現在の事務担当者でない、もう辞めている方でございますけれども、みのる会からの寄附をいたしております。みのる会からの寄附ということで所要の訂正を行っております。

後藤(祐)委員 その所要の訂正というのは、宏池政策研究会の寄附元、寄附者の氏名と、あとその次のページ、三ページ目にございますが、みのる会、これは大臣の資金団体ですよね。つまり自分のお金ですよね、これは。これは会費となっていますけれども、会費じゃなくて寄附というふうに直すということでよろしいですか。

 かつ、これは自分のお金じゃないですか、まさに。宏池会に対する自分のお金の寄附ですよね。それを以正会が払ったことにできちゃう。これは、以正会は自分の団体だと言っているようなものじゃないですか。そこも併せて御説明ください。

寺田国務大臣 宏池政策研究会に対して、事務的に毎月、会費の徴収ですという形で来られ、会費としてお渡しをしていたということもございますが、宏池政策研究会の方で政治団体間の寄附というふうに取り扱っておられるということでありましたので、会費でなく寄附にしたということでございます。

 みのる会にせよ以正会にせよ、そうした政治団体間の寄附を行うことは、政治活動を行う者としてそうしたことはもちろんあり得るわけですし、そうした寄附の取扱いということで訂正をさせていただいているところであります。

後藤(祐)委員 自分のお金だから寄附をするのはもちろんいいんですけれども、それを以正会で書けちゃうということ自体が、以正会がもう自分のコントロールしている団体ということそのものを物語っているじゃないですか。

 さて、今日だけで収支報告書の訂正、三か所ですよね。今の宏池政策研究会の寄附者の名前、そして、みのる会の会費じゃなくて寄附だった、そして、さっき理事会マターになったものはいずれにせよ収支報告書の訂正が必要なはずでありますが、大臣、政治資金規正法を所管する総務大臣として、一体何回、収支報告書あるいはこれに伴う領収書だとか宣誓書だとかを含めて、一体これまでで何度訂正したんですか。

寺田国務大臣 私が直接管理をしている団体ではありません。事務的ミスがあったのも、それは事実でございます。

 それは事務的ミスとして訂正をさせていただいたということでありまして、確かに回数は多いかもしれませんが、事務的ミスについてはちゃんと是正をし、今後適正にやっていただくよう、各団体にお願いをしたところでございます。

後藤(祐)委員 大臣の関係政治団体で何回の収支報告書及び領収書、宣誓書などの訂正ですか。

寺田国務大臣 宣誓書については、これは収支報告とはまた別でございますが、収支報告書の訂正という意味でよろしいでしょうかね。収支報告書の訂正という意味では、四回だというふうに記憶しております。

後藤(祐)委員 少なくとも大臣が答弁したものに関して言うと、今日の三回と、宣誓書を私は入れるべきだと思いますが、あとは、竹原後援会の会計責任者が亡くなっていたので、別の方に替えるところでしょうかね。そこの名前のところでしょうかね、速やかに訂正を行っておりますと十一月四日の会見でおっしゃっておるので。

 宣誓書を別とすると四回の収支報告書の訂正、もうこれ以上ないということでいいですね。

寺田国務大臣 何回も申し上げますが、これは、私が直接チェックすべき立場でもありませんし、各政治団体の活動、政治活動の自由の観点から任せておりますので、それは事務的ミスが絶対ないというふうには申し上げられませんが、そこは何とも言いませんが、それは、もちろん事務的ミスがあればきちんと訂正をさせていただきます。

後藤(祐)委員 まだあるということですか、大臣。

寺田国務大臣 それは、私自身がチェックしておりません、収支報告書を見ておりませんので分かりません。正直言って、私も見ていないものを確約することはできないわけでございますが、その点は御理解いただきたいと思います。

後藤(祐)委員 どこかで見た光景ですね、これは、この場で。山際大臣と同じじゃないですか、大臣。もうこれ以上ありませんねと聞いたら、あるかもしれないと。

 しかも、山際大臣よりたちが悪いのは、総務大臣なんですよ。政治資金規正法を所管する大臣なんですよ。まだ政治資金規正法違反があるかもしれない、そんなことを答弁で言う大臣、総務大臣、これ以上務められるんですか。

 今手元にある材料で、思いつけるものはないですか、本当に。ないですか。将来、見当たらないものが出てくるかもしれないという話はちょっと別とおいて、今まで起きたことの中で収支報告書を訂正しなきゃいけないものはありませんか。

寺田国務大臣 何回も申しますとおり、私が直接関与している収支報告でないものについて、その全てについて責任を負うことはできませんが、今既に訂正した点については、それは正当な訂正であると思っております。

後藤(祐)委員 本当ですか。

 竹原後援会の会計責任者は亡くなりましたよね。実は、収支報告書というのは、領収書を添付するとともに、領収書が取れなかった支出については、徴難といって、領収書を徴することが難しいもの一覧という、領収書を取れなかったもの支出一覧というものがあって、それには会計責任者の名前と判こを押して、これも十二条二項に基づいて提出することになっているんですよ。

 これも訂正しなきゃいけないんじゃないですか、大臣。

寺田国務大臣 いずれにしましても、会計責任者の死去に伴う訂正は行っておりますし、必要な訂正は行っていると思います。

後藤(祐)委員 じゃ、徴難のところの名前の訂正は行っているんですね。

寺田国務大臣 訂正を行っております。

後藤(祐)委員 そうしたら、もう一個増えているじゃないですか、訂正すべきものが。四つプラス宣誓書プラス今ので、六か所じゃないですか。箇所数、違うんじゃないですか。まあ、でも、同じことを言うでしょうから、次、もう一つ聞きたいと思います。

 配付資料の最後の方ですね、八ページかな。

 竹原後援会の代表の下見勝二さん、週末にかけてテレビでも何度か出ておりましたが、代表はもう辞めたとか、後援会事務所に出入りすることは一つもないとか言っているそうですけれども、この下見さんは竹原後援会の代表をもう辞めたんですか、別の方に替わったんですか。確認の上答弁してくださいと通告しておりますので、答弁ください。

寺田国務大臣 はい。通告いただいていたとおり、既に十一月四日付で異動届を出し、代表の座を辞しておられます。

後藤(祐)委員 竹原後援会というのは、代表は、俺は違うと言って、後づけでこうやって代表を替えている。会計責任者の方は亡くなっていた。事務担当者は秘書の方ですよね。領収書は、寺田稔さん本人の名前の領収書をこの後援会の名前で支出している。これはどう見ても大臣の団体だし、そもそも運営がしっちゃかめっちゃかじゃないですか。

 今日、幾つか明らかになりました。収支報告書あるいは宣誓書、徴難の記述、こういったものの訂正が少なくとも六か所。そして、これまで四つの違法行為が明らかになっています。寺田慶子氏への賃料について納税されていない脱税疑惑、以正会からの人件費が請負となっている所得税の脱税疑惑、竹原後援会の会計責任者の異動の日から七日以内に届出を行わなかった政治資金規正法七条違反、そして寺田慶子氏から呉後援会に交付した百二十万円の領収証に収入印紙を貼付しなかった印紙税法八条違反、四つの違法行為。そして、六か所の収支報告書等の訂正。そして、大臣や国会議員としての資産公開の二回の訂正。

 もう、政治資金規正法を所管する総務大臣を辞めるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

寺田国務大臣 しっかりと職責を果たしてまいります。

後藤(祐)委員 終わります。

平口委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 まず、公職選挙法改正ということで、今次改正の目的についてお尋ねをしたいところでございますが、今回、この区割りに当たっては、審議会の皆様、委員の皆様におかれては、政治的中立を保つべく努力をされてきたというふうに認識をしております。

 事前に情報が、少なくとも私が知る限りにおいて漏れてくることもなかったということで、しっかりと静かな環境の中で議論をされて、そして答申を作成されたというふうに承知をしております。

 また、寺田大臣におかれても、寺田大臣の選挙区広島五区については、結構大きな変更があるということで、これは所管の大臣だからといってそこを手心を加えるというようなこともなかったんだろう、こういうふうにも思いますので、ある種、政治的な公平性というのをしっかり保ちながらできたということで、まず御礼申し上げたいというふうに思います。

 その上で、質問に入っていきたいところではございますが、先ほど後藤祐一議員が通告をされていた質問でまだやり切れなかったところを、ちょっと私の方で引き続き質問をさせていただきます。

 まず、寺田慶子さんから寺田稔呉後援会宛てに領収証を発行されていて、収入印紙が貼付されていなかったということ。平成三十年十二月十四日という日付がこの領収証には書いてありますが、これはいつ広島県の選挙管理委員会に提出されましたでしょうか。

寺田国務大臣 当時の事務担当者に確認したところ、御指摘の領収証の写しは、収支報告書と併せて令和元年の五月の三十一日に広島県選管に郵送されております。当時は、集配局でありましたので、午前中の割と早い時間に出しておりますから、当日中に到着したものと推量いたしております。

櫻井委員 そうすると、以前の質疑の中で、選管に提出してその後収入印紙を貼り付けた、こういうことを寺田学議員の質問に対して答弁されておりましたけれども、これはそうではないということでよろしいんですか。

寺田国務大臣 事務担当者が領収証の写しを取った段階ではまだ収入印紙が貼付をされていなかったわけでありまして、その収入印紙が貼付されていない状態で五月三十一日に収支報告書と併せて郵送をされております。同日中に領収証の原本に収入印紙が貼付されたというふうに報告を受けております。

櫻井委員 そうすると、そもそもこの収入印紙というのは、領収証を発行されたとき、つまり領収証を渡したときにつけていないといけないということなはずなんですが、これは五月三十一日に収入印紙を貼り付けた、この領収証を作成されたのは平成三十年十二月十四日なのに、収入印紙を貼り付けたのは令和元年五月三十一日頃、こういうことになりますが、そういうことでよろしいですか。

寺田国務大臣 もちろん、前の年の十二月に受け取っております。そのときはいわゆる正式の領収証でなく仮受金として処理をして、正式の領収証の作成については、翌年、すなわち令和元年に行い、先ほど申しましたように、五月の三十一日に領収証の原本に収入印紙が貼付をされたというふうなことでございます。

櫻井委員 ますます分からなくなっている。

 でも、選管に提出された領収証の日付は平成三十年十二月十四日ですよね。正式に後でやったというんだったらそっちを選管に出すべきで、じゃ、何で平成三十年十二月十四日付の領収証を選管に提出したんですか。これ自体がおかしいんじゃないですか。

寺田国務大臣 ですから、お金の収受は確かに平成三十年の十二月に行っております。正式の領収証の作成は、膨大な領収証の作成事務がございまして、そのときでなく年をまたいだということでございます。

櫻井委員 いやいや。だって、これはもう領収証を発行しちゃって、それで選管に提出しているんでしょう。これがもう領収証そのものじゃないですか。これじゃないとおっしゃるんだったら、正式なものは後で作ったとおっしゃるんであれば、ここも差し替えなきゃいけないんじゃないか、つまり、収支報告書を訂正しないといけないんじゃないんですか。

寺田国務大臣 提出したものは正式の領収証の写しでございます。それは間違いございません。提出日に収入印紙が貼付をされたということも事実でございます。

櫻井委員 そうすると、この平成三十年十二月十四日は、これは何の日なんですか。

寺田国務大臣 お金の支出日でございます。

櫻井委員 いや、お金の支出日であれば、そのときに、それに合わせて領収証を、支出されて受け取ったらその日が領収した日なわけですから、この日の日付でちゃんと書かないといけないじゃないですか。後日作成したとかって、何か話が全然かみ合わないですよ。

 これ、いずれにしても、収支報告書の訂正が必要なんじゃないですか。さっき後藤議員の質疑の中で、四つないしもう一個増えて五つというような話もありましたけれども、これも必要なんじゃないですか。

寺田国務大臣 いや、そこは、支出日と実際の領収証の作成日が違うことは当然あり得るわけであります。それは全くあり得る話で、正式の領収証は後日作成をし、提出をしたということでございます。

櫻井委員 いずれにしても、収入印紙を貼っている日、つまり印紙税法に違反している可能性も十分ありますので、この点について更に同僚議員とともに調べてまいりますし、大臣からも誠実なる答弁をお願いいたします。

 それから、これはちょっと寺田大臣のことではございませんが、ポスターの管理料についてもいろいろな報道が出てきております。ポスター管理料として、ポスター掲示を了解していただいたお宅に金銭を支払うことは法律上問題ないのかというふうな質問でございます。

 設置のときに払う場合と、それから管理について払う場合、管理というのは、設置した後ずっとメンテナンスが必要だ、そういうふうな話もあるものですから、それぞれについてお支払いするということは問題ないのかどうかについて、総務省の方でお答えをお願いいたします。

寺田国務大臣 個別の事案については差し控えますが、一般論で申し上げます。

 これは政治資金規正法上の問題でなく、公職選挙法上のいわゆる寄附について、百七十九条の第二項において、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、供与の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のものというふうに規定されております。すなわち、対価性がないものが寄附ということでございます。

 おっしゃるように、設置について支払う場合と管理について支払う場合、その双方の支払いいずれについても、対価としての性格があって、債務の履行であると認められれば寄附には該当しない。それは、具体的な金額であるとか寄附かどうかについては、実際の対価性がどうであるかという個別の判断になってまいります。個別の判断、これはまた個別の事案ごとに事実に即して判断されるべきものと考えます。

櫻井委員 対価性があればいいという今の大臣の御答弁でしたけれども、そんなことを言い出したら、しかも、金額については個別に判断とおっしゃいますけれども、例えば、一件について二万円とか五万円とか八万円とか、それでも全然構わないということなんですか。

寺田国務大臣 それは、個別の事案ごとに具体の事実に即して判断されるべきということでございます。

櫻井委員 こんなことになっちゃうと、来年の四月、統一地方選挙がありますけれども、今、いわゆる二連ポスターというんですかね、貼り出しをあちこちで見かける時期になってまいりましたけれども、二万円とか五万円とか八万円とか払っていいですよということになっちゃったら、みんな、何かそんなことをやっている大臣がいるらしいよ、じゃ、うちももらおうかなと言われたら、これは大変なことになっちゃいますよ。

 私、これまで、支援していただいている方に、厚意で無料で貼らせていただいていましたけれども、何か五万円もらっていいらしいね、私も五万円頂戴と言われたら、私も困りますし、ここにいらっしゃる皆さんも結構あちこちにポスターを貼っておられると思うんですけれども、いいんですか。皆さん、五万円払ってくださいって、千枚貼っている人は、じゃ、それだけで年間五千万円ですか、払うんですか、皆さん。こういうことになっちゃいますよ。

 これはきちっと、こういうところで、しかも、ポスターを貼っているのは選挙区内ですよね。これは選挙買収そのもののように見えますけれども、大臣、こんなことでいいんですかね。

寺田国務大臣 繰り返しにはなりますけれども、総務省は個別の事案について実質的な調査権を有しておりません。したがって、具体的な事実関係を把握する立場もありませんので、それがいいかどうかという点についてはお答えを差し控えますが、先ほど一般論については申し上げたとおりが法律の規定でございます。

櫻井委員 これは、我々の問題として、是非、ここにいらっしゃる議員の皆さん、問題意識を共有して、こんなことを許しちゃいけない。大臣として、総務省としての見解はそうであったとしても、そんな解釈がまかり通ってはいけないというふうなことを申し上げて、ちょっと次の質問に移らせていただきます。

 あともう一つ、政治活動に関することなんですが、宗教法人が所有する施設において、政治活動のポスターが外から見えるような場所に掲示をされている、こんな事例がございました。昨今、宗教団体と政治家との関係ということがよくテレビ等でも報道されておりますが、テレビを見ていたら、議員さんのポスターがしっかりテレビにも映っておりました。

 政治活動のポスターを施設の外から見えるように掲示することは、これは政治活動であり、宗教法人法上の目的とは違う、宗教とは違う目的で使っているということになるんでしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 個別の事柄について詳細を承知しておりませんので、一般論として申し上げれば、個人や政党等の政治活動用ポスターの掲示は政治活動に当たると考えられます。

 ただし、一般論としまして、宗教法人がその宗教活動の用に供する建物を一時的にほかの目的に使用したからといって、直ちに宗教法人法上の問題は生じないと考えております。

櫻井委員 そうすると、今の答弁ですと、裏返すと、ずっと貼っていればやはり宗教の目的外使用になる、こういう理解でよろしいですかね。もう一回答弁をお願いします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 宗教団体の目的を逸脱したかどうかという部分につきましては、ある特定の時点のみを捉えて判断すべきではなく、その宗教法人の継続的な活動全般との対比において判断すべきものであると考えております。

櫻井委員 そうすると、ポスターだけでなく、政治家のいろいろな報告であるとか、また選挙結果の報告であるとか、いろいろなこともされていたやに報道もありますから、そういったことも加味して、その施設が専ら宗教目的に使われているかどうか判断される、こういうことでよろしいですか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、個別の事柄について詳細を承知しておりませんが、一般論として申し上げれば、そのようなポスターの掲示は政治活動に当たりますが、宗教法人がその宗教活動の用に供する建物を一時的にほかの目的に使用したからといって、直ちに宗教法人法上の問題は生じないと思います。

 先ほど申し上げましたように、ある特定の時点のみを捉えてということも難しいので、その宗教法人の継続的な活動全般との対比ということになります。あくまでも一般論としてのお答えになってしまいますけれども、繰り返しで恐縮です。

櫻井委員 その時点だけを判断するのではなく、総合的に判断するということのようでございますが、そうすると、ずっと貼っていた場合は、宗教活動というわけではなくなってくる、政治活動にも使っている、こういうことだ、そういう答弁だというふうに受け止めさせていただきました。

 その上で、総務省にもお尋ねいたしますが、宗教法人の施設について、宗教目的でない使用の場合には、やはり、宗教法人の施設で宗教目的ということであれば固定資産税が免除されているというふうに承知しておりますが、宗教目的でない、例えば政治活動に使っているということであれば、これは固定資産税をしっかり徴収するべきだと考えますが、総務省、いかがですか。

川窪政府参考人 お答え申し上げます。

 宗教法人が専らその本来の用に供する境内建物及び境内地につきましては、固定資産税の非課税措置が講じられております。

 専らその本来の用、すなわち宗教本来の用に供しているかどうかにつきましては、宗教法人の各施設の利用の実態を見て、課税団体である各市町村におきまして適正に判断をされるべきものと考えているところでございます。

櫻井委員 これは総務大臣にもお尋ねしますけれども、今は、ただでさえ地方財政が厳しい、財源が足りない、こういう話になっているわけでございます。

 やはり、これはしっかり課税をして、地方財源の確保をするべきだというふうに考えますが、総務大臣としていかがお考えでしょうか。

寺田国務大臣 今、税務局長も申し上げましたが、やはり、課税主体の各市町村において適正に判断をしていただきたいというふうに思います。

 当然、課税すべきものは課税すべきということでよろしいかと思います。

櫻井委員 残り時間も少なくなってまいりましたので、ちょっと法案の方の審議もさせていただきます。

 今回の十増十減の公職選挙法改正でございますが、これは投票価値の平等ということが非常に重要な論点だというふうに承知をしております。新たな区割りは、経済圏や生活圏に合っていないですとか、議員が減る地域の住民から理解を得られないですとか、このままでは人口が減少する、地方の議員がどんどん減ってしまう、こうしたお声があるのも一方で事実でございます。

 ただ一方で、投票価値の格差を、そうすると正当化する論理があるのかどうかということを考えますと、過疎地は政治的な支援の必要性が高い、こういう意見なんでしょうけれども、具体的に見ますと、ただ、我が兵庫県では兵庫五区という選挙区がございまして、そのお隣は鳥取一区でございます。これは隣同士なんですけれども、一票の格差は実は一・六倍。つまり、鳥取一区の一・六倍、兵庫五区、人口はいるということでございます。

 ただ、実際、町といいますか、そこに行ってみますと、兵庫五区の方が圧倒的に人口密度が低い、過疎地だというふうにも思うんです。それなのに投票価値は低い、こういうことで、一般に言われていることと実は違うことが起きているのではないのかというふうにも思います。

 また、政治的な支援の必要性ということでいえば、確かに過疎地に対しても政治的な支援は必要だと思いますが、他方で、例えば女性、男女格差、特に賃金を見ますと、女性の賃金は男性の七割程度ということにもなっています。これは先進国最悪レベルのジェンダーギャップ指数ということであります。そうすると、女性にこそこうした支援が必要なのではないのか、それこそ、そこの格差を埋めるために、女性に一人二票渡すとかいうことが必要なんじゃないのかという議論も起こり得るかというふうに思います。

 また、若者の世代人口が少ない。そうすると、若者の声が全然政治に反映されないのではないのか、そういったお声もございます。それが結果的に、将来、赤字国債、今もどんどん発行しておりますし、今回これから審議される補正予算案においても大増発ということになりそうな、そんなところでございますが、そうすると、若者にどんどん借金のツケが回されるということになりはしないか、そういった懸念の声も上がっているわけです。

 一方で、政治の最大の役割の一つは税金の使い方だというふうに思いますが、予算の決定をするのが政治の最大の役割だというふうに考えますと、明治時代の選挙制度では高額納税者のみ投票権があったというような時代もございました。

 そこで、ちょっと財務省にお尋ねをしたいんですが、東京都と鳥取県で、一人当たりの納税額、それぞれお幾らか、一人当たりの納税額の格差は何倍あるかということについて教えていただけますでしょうか。

植松政府参考人 お答えいたします。

 国が収納しております令和二年度分の所得税、法人税等の収納済額の合計は、国税庁統計年報によりますと、東京都は約三十兆二千九百二十一億円、鳥取県は約一千百十七億円となっております。これを総務省人口推計による各都道府県の令和二年十月一日現在の推計人口で単純に除しますと、東京都は約二百十六万円、鳥取県は約二十万円となり、東京都は鳥取県の約十一倍となります。

櫻井委員 私は、納税額に合わせて、それで投票権を設定する、そんなことはするべきでないと思いますが、やはり、これぐらい一方でまた別な差があるわけですから、どこかに投票価値に差を設けるということを言い出すと、あちこちから、じゃ、こっちに投票価値を重くしてくれということで、いろいろな議論が出てきてしまうのではないのか、こんなふうにも心配します。

 むしろ、今の社会、いろいろな課題があるからこそ、憲法十四条に書いてあるとおり、国民はみんな平等なんだ、平等な立場でもって集まって、そして、しっかりと議論をして社会の問題を解決していく、これが本来あるべき姿だというふうに私は考えます。

 大臣、やはり、投票価値の平等、これをしっかり守っていくということは基本理念として大事なことだと思いますが、大臣の見解をお示しください。

寺田国務大臣 御指摘のとおり、投票価値の平等は大変重要な考え方であり、累次の最高裁判決においても、法の下の平等は、投票権に関しては、国民は全て政治的価値において平等であるべきであるということが判示をされているわけでございます。

 そうした憲法の投票価値の平等の要請があるのは当然でございますが、その平等は、選挙制度の仕組みを決定する絶対的基準ではなく、国会が正当に考慮することのできる他の政策的な理由ないし目的との関連において調和的に実現されるべきものであるという考えも示されておりますが、選挙制度の合憲性については、国会に与えられた裁量権の行使として合理性を有するかどうかというのが判断基準となっているものと承知をいたしております。

 いずれにしても、投票価値の平等という大変重要な目的、また、他の、国会としても考えるべき、また政治としても考えるべき政策的な要請の関連も含め、そうした議会政治の根幹に関わる問題でありますので、十分各党各会派において御議論いただくべき事柄であると考えております。

櫻井委員 投票価値の平等、これは非常に大事な概念だという御答弁もいただきましたが、一方で、選挙区の区割りが頻繁に変わるのは好ましくない、こういった議論もございます。福岡二区と鳥取二区、今回の改正をやったとしても、一・九九九倍と、ほぼ二倍の格差になってしまう。そうすると、今後の人口減少、人口の動きによれば、また五年後にもう一回改正をしなきゃいけないというようなことにもなりかねません。

 やはり、これは、ある種、ぎりぎりをやるんじゃなくて、もう少し余裕を持って切り込んでおく。特に、福岡県の場合には、福岡県内の差、福岡二区と福岡七区で随分差があるようですので、こういったところを調整しておけば、頻繁に選挙区の区割り変更をしなくて済むようになると考えるんですが、この点についてのお考えをお示しいただけますでしょうか。

森政府参考人 区割り審議会の事務局も務めておりますので、私の方から御答弁申し上げます。

 衆議院議員選挙区画定審議会において、今回の区割り改定案の作成に当たっては、審議会設置法において、直近の国勢調査人口において最大人口格差を二倍未満とすることが規定されていること、そして、次の令和七年の国勢調査の結果により最大人口格差が二倍以上となった場合には、各都道府県の定数を変更することなく、審議会において、二倍未満となるよう改定案を作成することが規定をされていることから、法律に明文の根拠のない独自の人口基準というものは用いなかったものと承知をしております。

 その上で、同法に基づき区割り審が策定した区割り改定案の作成方針における区割り基準では、選挙区の数に増減のない道府県の選挙区の改定案の作成に当たっては、福岡二区もこれでございますが、選挙区の区域の異動は、区割り基準に適合させるために必要な範囲とするものとする、改定案の作成において、改定に係る市区町村の数又は人口などを総合的に考慮するものとすることといたしまして、あくまで、必要な範囲内での改定を行うこととされたものと承知をしております。

櫻井委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。

平口委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 今日は、文部科学政務官もお越しいただきましたので、最初にそちらの方から取り上げさせていただければと思います。

 投票率も年々下がってきてしまっています。プラスして、選挙に出る人のなり手不足、もうどんどん減ってきているわけです。

 来年、統一地方選挙がありますが、四年前の前回も候補者が不足していて、無投票の選挙区がかなり増えました。都道府県議会議員の二六・九%、町村議会議員の二三・三%が、選挙を経ないというか、投票なしで当選をしているわけです。これは田舎だけの問題なのかなと思いますと、例えば、埼玉県それから千葉県、県議会議員選挙の四割が無投票です。これは民主主義の危機的な状況であると思います。

 我々は、それに対して、育休と同じように、立候補のために休暇が取れる立候補休暇制度、それから、十八歳以上、やる気のある若者は選挙に出られる被選挙権年齢の引下げ、こういったことをしっかり法案にして提出をしております。この数年間、全部たなざらしになってしまっていますので、是非、総務省としても、議論を前に進めるバックアップをしていただければと思います。

 それから、投票率もどんどん下がっているわけですが、そもそも、千か所以上、今回の参議院選挙でも投票所を閉めてしまっているんです。これは、もう二十年ぐらい、どんどんどんどん投票所を減らしていく、こういったことが続けられてきました。

 科学的にも、投票所を減らすとその地区の投票率は下がるということをいろいろな学者が調べて、そして警鐘を鳴らしているわけです。それに対しても有効な策を打てていない今の総務省の、法律というより運用の仕方のまずさ、これもしっかり正していただきたいと思っています。

 移動投票所とかをやっていますというふうに各大臣は答弁しているんですが、移動投票所を導入したとしても、投票所自体を少なくしていたら、その地区の投票率は下がっているんです。どんどんどんどん投票率を下げる施策を総務省が行っている。これは問題があると思います。

 私は、半年前のこの倫選特で、そもそも大人が、子供ではなくて大人が主権者教育を必要としているということを取り上げました。それなりの年齢の方が急に政治に興味を持って選挙に行こうと思っても、もう三十年ぐらい選挙に行っていない、一回も行ったことがない、どうやって行っていいか分からない、子供と同じぐらいの年代の子たちが選挙に行く中で、私はどうやって投票していいか聞けないというような相談も私は多くあったということを金子前総務大臣に提言しました。

 総務省に聞いても、投票の仕方さえもホームページ等で説明をしていない。国民が全員、投票の仕方を知っていることを前提として、選挙が行われている。これが問題だということで、今回の参議院選挙から、投票の仕方がユーチューブで説明されるようになりました。総務省のホームページにも、参議院選挙の仕組みですとか、投票の仕方を絵で説明するページもできました。これは一歩前進だと思います。

 このやり取りをしている中で、高校生への主権者教育はしっかりやっているんだということを総務省は度々強調していました。今日、文科政務官、お越しいただいていますが、一方で、いろいろな事例が起きています。

 例えば、これは報道されていますが、高校で高校生が、みんな選挙に行きましょうという壁新聞みたいなものを作りました。参議院選挙は比例と地方区があって、こういう仕組みなんですと壁新聞を貼ったら、政治活動は禁止だといって、先生に剥がすように言われたと。いろいろなやり取りがあったわけです。

 これは、主権者教育をやっていると総務省が言っておきながら、文科省は主権者教育は後ろ向きなんでしょうか。そもそも、壁新聞でそういうのを生徒が貼ったらいけないという指導になっているんでしょうか。

伊藤大臣政務官 選挙権年齢が満二十歳以上から満十八歳以上に引き下げられたことなども踏まえ、高校生が、選挙権を始めとする政治に参加する権利を行使する、良識ある主権者として主体的に政治に参加することについての自覚を深めるということについては重要だと、まず考えております。

 このため、高等学校では、学習指導要領に基づき、政治参加の重要性や選挙の意義等についての指導も行われております。例えば、実際の選挙の候補者を対象に模擬投票を実施した事例などもあります。

 また、学校の政治的中立性の確保に留意しつつ、高等学校という場において、選挙へ行くことの啓発活動が行われることについては差し支えがないというふうに考えております。

落合委員 生徒が、教科書に書いてあるような選挙の仕組みだとかを、自発的に周りの生徒に啓発活動をするということは禁止されていないということでよろしいですね。

伊藤大臣政務官 平成二十七年の通知につきまして、文部科学省から、政治的活動についての定義を定めさせていただいております、まず前提としてですね。

 この政治的活動というものについては、一つが、特定の政治上の主義若しくは施策又は特定の政党や政治的団体等を支持し、又はこれに反対することを目的として行われる行為であって、また二つ目として、選挙運動を除き、その効果が特定の政治上の主義等の実現又は特定の政党等の活動に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉になるような行為をすることという、目的と効果を中心とした定義を定めさせていただいております。この定義をするとともに、高等学校等の生徒の政治的活動については無制限に認められるものではなく、必要かつ合理的な範囲内で制約を受けるということを想定しております。

 ただ、この定義に照らしますと、先ほど御指摘があったような、一般論として選挙制度の仕組み等を紹介するポスターを校内に掲示するという行為は、直ちに政治的活動に当たるとは考えにくいというふうに認識をしております。

落合委員 こういう話はいろいろと聞きます。政治の話をしたら先生がいい顔をしなかったですとか。

 今回の事例は、結局、当時の末松文科大臣がツイッターで生徒に、こういうのは重要なことなので頑張ってくださいみたいなことを言及するような事例にも発展しました。教育現場には、要は、主権者教育の重要性が浸透していない。これは、大人が子供に対して政治に関わるなというようなことを指導していたら、投票率が上がるわけがないんです。政治家になろうという人の数も増えないんです。やはりここは抜本的に、しっかり現場に喚起をしていくべきだと思います。

 総務大臣は胸を張って、総務省は主権者教育は物すごく成功しているという答弁を歴代の総務大臣が、特に十八歳選挙権が導入されてからされてきたんです。これは、実際にはそんなにはうまくいっていないということでよろしいですね。これは改善するべきじゃないですか。

寺田国務大臣 主権者教育の重要性、これはもう委員の御指摘のとおりでございます。

 やはり大事なことは、文部科学省との連携、また政治や選挙に関する副教材の作成、また、全ての高校一年生にこれをきちんと配付をして、今年度から新たに設置をされた「公共」の科目においても御活用いただけるよう、それを浸透させていかなければなりません。

 様々な取組をこれまでも総務省として行っておりますのも事実でありますが、より一層文部科学省と連携しながら、積極的にこの主権者教育、教育機関に行っていただけるよう、文科省を通じて要請をしてまいります。

落合委員 現場は恐る恐るやっているわけですので、やはり思い切った政治的なリーダーシップを取っていただければというふうに思います。

 今、十四歳が職業を考えるような事業をやっていますけれども、政治家だってその一つの選択肢になるはずなんです。そういったことを中学生、高校生が実感できるような、そういう教育に変えていただくことが、千葉とか埼玉でも四割の県議が選挙を経ないで受かっているという、この民主主義の危機を変えることになると思います。抜本的に姿勢を正していただければと思います。

 では、急いで、十増十減法案ですが、これは数年前の区割り法案のときも、後藤祐一委員始め取り上げていました。

 公職選挙法においては、選挙区の区割りについて全国で書き方がばらばらなんです。

 例えば、これは私が選出されている東京六区で選挙区を何て書いてあるかというと、東京五区に属さない地域というふうに書いてあるんです。これは、有権者が東京六区の地域を調べても、どこなんだと分からないわけです。では、この東京五区に属さない地域、東京五区はどういう範囲なのかというと、何とかまちづくりセンター管内というのがだあっと並んでいるわけです。

 例えば、この一つのまちづくりセンター管内で、例えば一番最初に書いてある池尻まちづくりセンター管内というのは世田谷区池尻の何丁目の何番地までしかなくて、その何丁目の、世田谷区池尻の何丁目何番地以降は隣の代沢まちづくりセンターなんです。要は、住所とまちづくりセンターも一致していないんです。これも、自分の選挙区がどこに属するんだか、特に区割りが変わったときに有権者が分からない。一方で、札幌市白石区ですか、これは、どこの何丁目までがどこの選挙区という表記をしているんです。

 これは、いろいろな委員が何回質問しても、法の技術的に、自治体に任せているんですか、そういう形で答弁が歴代行われていて、同じ回答しか出てこなくて、全く改善されない。これも、国民が選挙がよく分からないことにつながっているんじゃないでしょうか。大臣、これは思い切って変えるべきじゃないですか。

寺田国務大臣 委員御指摘の小選挙区の区割りの表記について、公選法別表第一の規定ということになろうかと思いますが、できるだけ簡素化、簡略化の観点から、番号の小さい選挙区においては、支所、出張所の管轄区域がある場合は、当該管轄区域を列挙して表記をする、支所、出張所の管轄区域がない場合には、町あるいは字名を列挙して表記をする、番号の大きい選挙区については、第何々区に属さない地域と表記をするという統一的なルールを採用しておりますが、現行のこの記載ルールは、法制上も、また事務の合理性から見ても簡素化の観点から適切でありますし、このルールは平成六年の最初の区割り画定法から踏襲をされてきておりますことから、合理性を有するものと考えております。

 委員御指摘のとおり、各自治体において十分ここは、区割りの混乱が生じないように、有権者に対してきめ細かく周知、広報また啓発を行うべきでありまして、市区町村とも連携を取りながら、きめ細かく周知啓発を図ってまいります。

落合委員 先ほど言及した、投票所を減らしているのも、最初、十年前ぐらいまでは効率化と言っていたんです、最近は言わなくなってきましたが。要は、予算をある意味節約するために効率化をしますということを言っていたわけです。それでどんどん投票所を減らして、田舎の選挙区でさえ、田舎のシニアでさえ投票に行かなくなってしまったわけです。

 これも、法律を作る上で簡素化するんだと言って、私どもでさえここの選挙区がどこだということが分からないぐらい、プロにしか分からないような記載になってしまっているわけです。私は、簡素化もある意味重要かもしれないですが、選挙においては、分かりやすさ、それから平等に機会が与えられる、そういったことが重要だと思います。簡素化だけを追求するべきじゃないというふうに思いませんか、大臣。

寺田国務大臣 今回の区割り改定、御承知のとおり、全国の小選挙区の半数近くの百四十において区域が変更されます。したがって、十分な区割りについての周知、広報を行うことは当然のことでございますので、総務省としても、今回の区割り改定法案が成立した折には、制度改正の周知のチラシ、また、全ての選挙区が改定される都道府県において、改正前後の区割り地図の作成、また、区割り区域が変更される市区などについては、それぞれの選挙区に対応する区域や地名、地番などを明記した改正前後の区割り地図、これを市区町村の意見も聞きながら作成し、各有権者のお住まいがどの選挙区なのかをできるだけ分かりやすく周知を行ってまいりたいと考えております。

落合委員 これは、実際にその自治体がしっかりやらなければ大変な混乱になると思います。

 私の選挙区では、私が選挙に出たのは十年前からなんですが、この十年で三回、選挙区の区割りが変わっています。毎回、変わったところの有権者が投票所に行ったときに、私の選挙区じゃなくなっていることに当日気づく方が多いわけです。これは、どこの選挙区で聞いても同じことが起こっていると思います。是非ここは、今までどおりの周知では足りないということを前提に予算を組んでいただければと思います。

 それでは、政治資金の問題の件です。

 大臣の国会議員関係団体、寺田稔竹原後援会について、この数週間、いろいろな委員会で取り上げられています。大臣の答弁を、議事録を拝見しますと、自分がこの団体の役員ではないし、代表者でもないということで、法的責任はないというふうに答弁をされています。しかし、この団体は、国会議員関係団体、関係団体ということで登録をされているわけでございます。

 総務省のホームページには国会議員関係団体一覧というのがあって、全て、各国会議員名がだあっと並んでいて、そこに国会議員関係団体がひもづけされて公表されている。これをホームページで公開されていることは御存じでしょうか。

寺田国務大臣 国会議員における関係政治団体、これは、設立のときに当該国会議員本人が同意を与えることによって国会議員の関係政治団体としての位置づけとなり、そのことが、御指摘のようにホームページ等で見ることができることは承知をいたしております。

落合委員 例えば、大臣、法的に関係ないと言っていても、大臣が代表者を務める政党支部の会計事務担当者と、この寺田稔竹原後援会の事務担当者は同じ人なわけですよね。これは、一体的に運用されていることは、調べれば推測もできるわけです。しかも、これは、国会議員関係団体として、ホームページにも寺田稔衆議院議員の関係団体ですということで公表をされているんです。

 法的責任があるなしという議論もあるんですが、責任はありませんということを言っても、有権者は全然納得しないですよ。法的責任あるなしは今後も予算委員会やこの委員会や総務委員会でやっていくとして、道義的責任は少なくともあるんじゃないですか。

寺田国務大臣 これまでも国会で御答弁させていただいているとおり、事務担当者の名前の記載はございます。それは、何か必要が生ずればお手伝いしましょうという意味でありまして、今回問題になりました竹原後援会については、別途の者が主たる事務を担当しているわけでございます。

 ちなみに、私の地元、地元にも当然帰るわけでございますが、竹原も行ってまいるわけでございますが、この点については、少なくとも私の後援会のメンバーに誤解はないものというふうに思っております。

落合委員 なので、法的責任はないとしても、道義的に大臣が関係団体のいろいろな問題に対して責任を持つ必要はありますよね。

寺田国務大臣 今、道義的と言われましたけれども、私も、記者会見の場あるいは国会の場でも、そうした事務的ミスが生じたことについてはおわびを申し上げているところでありまして、それは法的な責任という意味ではないということでございますが、それはやはり私の関係国会議員の政治団体ということで、直接私が指揮監督したり収支報告を見るべき立場でもございません、現実、収支報告も私のところに来ないわけでございます、チェックもいたしておりません、しかし、そうした意味でおわびを申し上げたということでございます。

落合委員 自分の国会議員の関係団体としてホームページに載っているのに、チェックもしていませんということ自体がおかしいんですよ。

 先ほど、私、済みません、法的責任はないにしてもと言っちゃったんですけれども、この議論は棚上げにしたとしても、道義的責任はありますよね、どう考えても。

 そもそも、総務省が国会議員関係団体をしっかり公表するようになったのは二〇一〇年なんです。それより前までは、どこの団体が誰の国会議員関係団体なのか、一個一個団体を調べないと分からなかったんです。

 なぜ、これをこういうふうに一覧で公開するようにしたのか。これは、今まで大臣が答弁していたようなことがずっと行われてきたんですよ、それまで、自民党政権時代。二〇一〇年に政権交代を機に変えているんです。透明性を高めているんです。

 今、大臣のこの問題になっている団体は、ちゃんと寺田稔と書いてあるから分かりやすいかもしれないですけれども、全く違う名前の団体をつくって、実質的には、事務所の別働隊というか、主体的に動いて、でも関係ありませんということが国会議員の間で繰り返されてきた。それを、政権交代を機に変えたわけです。

 我々は、これから更に踏み込んで、この公開したものを、団体の名前をクリックすると収支報告書も全部公開される、そういう法案をもう既に数年前から出しています。昨年、もう一回出し直しました。筆頭提出者は私です。これも数年間ずっとたなざらしになっているんです。

 大臣が今やっている答弁は、十年以上前にかなりグレーな政治家たちがやってきた、説明してきたことと同じだ、十年前に改めたにもかかわらずまたやっている、これを指摘して、終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

平口委員長 次に、徳永久志君。

徳永委員 立憲民主党の徳永久志です。

 今回のいわゆる区割り改定法案、十増十減案は、まさしく選挙区が十増えて十減る、国会議員の、衆議院議員の身分に関わる大変重要な法案だと思っています。そうした中で、その法案を所管をする、提出をしている寺田大臣が、先ほど後藤委員の御指摘のように、収支報告書等で六か所の訂正があり、また、違法行為が認められるのが四つ、そして、資産公開等での訂正二か所というようになっています。

 こうしたところでいきますと、もちろん、生身の人間ですから、様々なうっかりしたミスというものがあろうかとは思います。ただ、それが一つや二つじゃなくてこれだけ増えると、やはり何か意図的なものを疑わざるを得ないわけなんです。そうした疑わざるを得ない状況で、寺田大臣がまだまだその疑いが晴れていない状況で、国会議員の、衆議院議員の身分に重大な影響を与える法案の審議に当たっている。ここは何か本当にブラックジョークと言わざるを得ないような感じもするんですが、今どのような心境でこの法案審査に臨んでおられるのでしょうか。

寺田国務大臣 この法案は私も大変重要な法案であるというふうに思っておりまして、閣法として提出をさせていただいた以上、早期の成立を図るべく取り組んでおります。

 今御指摘の私の問題、多くの疑惑を言われましたが、私はちゃんと説明責任を果たして、決して脱税なども行っておりませんし、そうした点については、これは説明責任の問題だと思いますので、引き続き、あらゆる場で説明責任を果たしていきたいと思います。

徳永委員 説明責任を果たしておられるということですが、それが我々としては届かないから、こうしていろいろな形で先輩、同僚議員がいろいろな角度から質問をしているわけなんです。これをしっかりと受け止めていただきたいというふうに思いますので、是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、いわゆる十増十減案についての質問に入りたいと思います。

 私の地元の滋賀県も定数が四つから三つへと減るわけでございまして、私自身も恐らく選挙区が大きく変わることになって、大変ではありますけれども、中身的には一定の理解をさせていただくものであります。

 ただ、今後、次回以降の改革、見直しが行われる際に向けて、私なりの問題意識をお示しをさせていただいて次回につなげることができれば、そういう観点から、以下、質問をさせていただきたいと思います。

 国政選挙が行われるたびに、いわゆる一票の格差に関する訴訟が起きます。そして、その一票の格差が大きいとして、それは憲法違反の状況であり、よって選挙が無効だといって裁判で争われるわけでありますけれども、最高裁は、二〇一六年の参議院選挙以降の国政選挙については合憲の判断を示しつつも、国会にはしかるべき対応を求めているという状況というのは、もう御承知のとおりであります。

 では、そもそも、この一票の格差の問題あるいは選挙制度の在り方について、司法はどのようなことを求めていて、どのようなことを言っているのかということを少し確認をさせていただきたいと思います。

 お手元にお配りをした資料を御覧ください。

 これは、平成三十年十二月十九日最高裁判所大法廷判決の要旨、衆議院調査局の資料に記載されていたものをここに転載をしたものであります。ちなみに、下線を引いた部分、それから段落については私の方でやらせていただきました。ここに書かれておりますのは、まさに総論の中の総論といった部分でありまして、過去の最高裁判所判決も同様の趣旨が繰り返し述べられているところであります。これについてちょっとお聞きをしてまいりたいということです。

 段落的に、一段落目と二段落目をまず取り上げます。下線部分です。

 投票価値の平等は選挙制度の仕組みを決定する絶対の基準ではないということをまず言い切っているわけですね。

 二段落目に入ります。

 具体的な選挙を定めるに当たっては、都道府県を細分化した市町村その他の行政区画などを基本的な単位として、地域の面積、人口密度、住民構成、交通事情、地理的状況などの諸要素を考慮しつつ、国政遂行のための民意の的確な反映を実現するとともに、投票価値の平等を確保するという要請との調和を図ることが求められるというふうに書かれているわけであります。

 まさに、投票価値の平等ということと、それから民意の的確な反映の実現という二つをしっかりと調和をさせろということが書かれているというふうに私は受け止めているんですけれども、大臣はこの部分をどのように解釈をされるか、読んでおられるかということについてお聞かせください。

寺田国務大臣 三十年判決について委員引用されましたが、御指摘に関して、昭和五十一年の最高裁判決、御承知のとおりでございますが、やはり、投票価値の平等の要請に重きを置きつつも、投票価値の平等は選挙制度の仕組みを決定する絶対の基準でなく、国会が正当に考慮することができる他の政策目的ないしは理由との関連において調和的に実現されるべきであり、その選挙制度の合憲性は、国会に与えられた裁量権の行使として合理性を有するか否かによって判断するという考えが示されまして、御指摘のこの三十年最高裁判決を含めて、これまでの最高裁判決においても累次踏襲をしている考え方でございます。

 まさに、おっしゃるような両方の観点のバランスを取っていくわけでございますが、選挙制度の在り方について、やはりこれは議会政治の根幹に関わる重要な課題でございますので、御指摘のようなバランスも含めて、これまでも各党各会派で御議論いただいているわけでございますが、引き続き、そうした議論の積み重ねによって適正なバランス関係を見出していく。したがって、現行の制度はそうした一つの帰結であるわけでございますが、今後も様々な議論が行われるべきであると承知をいたしております。

徳永委員 大臣と意見は一致したというふうに考えてよろしいんだと思うんですけれども、投票価値の平等と、それから民意の的確な反映の実現ということをうまく調和をさせた仕組みづくりを行っていくということが重要だということであります。そこの部分については、国会の裁量に委ねられているということでもあります。

 そして、資料の三段落目の下線部です。

 国会がこのような選挙制度の仕組みについて具体的に定めたところが、上記のような憲法上の要請に反するため、上記の裁量権、いわゆる国会の裁量権ですね、考慮してもなおその限界を超えており、これを是認することができない場合に、初めてこれが憲法に違反することになるというふうにあります。

 ここで、これをどう読むかなんですけれども、最後の部分ですね、これを是認することができない場合とは、具体的に何を示しているんだというふうに理解をされておられるでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 衆議院議員選挙の格差訴訟に関しては、累次の最高裁判決によりまして、第一点、定数配分又は選挙区割りが投票価値の格差において投票価値の平等の要求に反する状態に至っているか否か、そして第二点、当該状態に至っている場合には、憲法上要求される合理的期間内に是正がされなかったとして定数配分規定又は区割り規定が憲法の規定に違反するに至っているか否か、そして第三点として、当該規定が憲法の規定に違反するに至っている場合には、選挙を無効とすることなく選挙の違法を宣言するにとどめるか否かという、こういった判断の枠組みが示されてきたというふうに承知をしております。

 具体的に申し上げますと、例えば先ほどの昭和五十一年の最高裁判決におきましては、投票価値の不平等約五倍というものが憲法の選挙権の平等の要求に反する程度になっていたとされた上で、昭和三十九年の改正後、八年余りにわたって改正が何らされなかったなどとして、憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったものと判示をされております。この際には、違憲、事情判決という判断が出ております。

 また、平成二十三年の最高裁判決においては、従前の都道府県別定数配分方式である一人別枠方式について、選挙区間の投票価値の格差を生じさせる主要な要因であって、もはや合理性が失われたものとして、違憲状態と判示された上で、ただし、憲法上要求される合理的期間内に是正がされなかったものと言うことはできないと判示されております。違憲状態で合理的期間未経過、こういう判断でございます。

 一方、先ほど御引用いただきました平成三十年の最高裁判決では、平成三十二年以降十年ごとに行われる国勢調査の結果に基づく各都道府県への定数配分をアダムズ方式により行うことによって、一人別枠方式の下における定数配分の影響を完全に解消させる立法措置が講じられていたとし、投票価値の平等を確保するという要請に応えつつ、選挙制度の安定性を確保する観点から漸進的な是正を図ったものと評価され、これは合憲という判示をされたものと承知をしております。

 こうした個別の当てはめということがなされておるものと承知をしております。

徳永委員 今るるお答えをいただきましたが、要は、まずは、一票の格差が例えば五倍とかになると、もうこれは駄目ですよと。あるいは、二倍を超えていても、二倍前後であったとしても、それを是正をする措置を合理的と考えられる期間内に対応しなければ、これもまた憲法の求めるところではないということになろうということであります。したがいまして、今回のこういった改正に至っておるわけなんだというふうに理解をしています。

 そうした中で、繰り返しますけれども、投票価値の平等と民意の的確な反映をどう調和をさせていくかということは、まさに立法府の裁量に委ねられているわけであって、まさにそこは政治の業といったところなのかもしれません。そうした中で、やはり一番難しいのは、民意の的確な反映といったものをどのように担保していくのかといった部分だろうというふうに思います。

 この最高裁の判決要旨の中にもありました、例えば、民意の的確な反映のために考慮すべき事項の一つとして、判決では、地域の面積というのは具体的に例示をされているわけであります。

 これを見ますと、十月二十六日の本委員会でも斎藤委員が取り上げておられましたが、今回の区割り改定後の小選挙区の面積について、最も小さい選挙区は東京二区の二十・三平方キロメートル、最も大きいのは北海道十二区で一万五千三百十六・六平方キロメートル、実に七百五十五倍という答弁がありました。

 さすがにこれは無視できないのではないかということで、まさにこの投票価値の平等を追求していくと、それぞれ選挙区の面積が過度に拡大するということの是非というのがやはり考えられてしかるべきなんだろうというふうに思いますけれども、もう一度御答弁をいただけますでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 衆議院議員選挙区画定審議会設置法におきましては、令和二年の国勢調査の結果による日本国民の人口において、各選挙区の人口格差を二倍未満とすることが厳格に求められているところでございます。

 したがって、この点は、繰り返しになって恐縮でございますが、一票の格差に優先して例えば面積の要素を考慮に入れるというようなことになりますと、これは区割り審設置法の規定やこれまでの最高裁判決に照らして困難であるというふうに考えるところでございます。

 衆議院小選挙区選出議員の選挙においては、一定以上の広大な面積を有する選挙区などについて設置できる選挙事務所の数とか選挙運動費用の上限額の特例は設けられておりますので、選挙区の面積についての一定の考慮としてはなされているものだというような、こうした答弁になるところでございます。

徳永委員 選挙区の面積を考慮して云々はできないという答弁でしたけれども、例えば、日本と同じ小選挙区制度を取っているイギリスでは、選挙区の面積が一万三千平方キロを超えてはならないという決まりがありますし、また、一万二千平方キロメートルを超える場合には人口基準を緩和するという特例を設けていると承知をしています。

 こうした、例えば一つの措置として、一定程度の面積を超えた場合には特例を設けるというのは、私は検討の余地は今後あるのではないかというふうに思うんですけれども、ここは政治家として総務大臣の見解を聞きます。

寺田国務大臣 現行法の考え方は、今選挙部長が答弁したとおりでございます。

 アダムズ方式により、特段、面積上の上限であるとか等は、あるいは人口基準等の緩和についての特例は、現行法上はもちろんないのは御承知のとおりでございますが、今後、先ほど委員が引用された最高裁判決にも、面積等の考慮要因としてもちろん列挙されております。

 こうしたことももちろん留意点としては今後の議論としてあろうかと思いますので、これはまさに、小選挙区の区割りの在り方、また人口基準の在り方、また今言われた面積についての考え方については、十分、各党各会派において御議論をいただくべき事項であると考えております。

徳永委員 地域の面積のことを取り上げて申し上げましたけれども、要は、私は何が言いたいかと申しますと、一票の格差の議論は、確かに、二倍か三倍かといった数字、投票価値の平等性を追求していくというのはとてもとても重要なことだとは思いますけれども、それと同じくらい重要なことは、民意が選挙によってきちんと反映をされて、そして代表されるという点だというふうに思います。

 ここを見落とすと、政策形成において大きくゆがませてしまうことがあるのではないかと大変危惧をするものなんですけれども、この辺りについて、大臣、通告していませんけれども、もし御答弁いただければお願いいたします。

寺田国務大臣 今委員御指摘の民意の反映というのは、もちろんこれは、様々な民意を一体どういうふうに適正に反映していくか、多くの考慮要因、ファクターもあろうかと思っております。その点についても、今後、十分議論すべき事柄であると思っております。

徳永委員 最後に一つ、ちょっとこれは今までのやつから離れるんですけれども、私の地元の滋賀県の定数は、今回の改定で四から三になります。ただ、実は、小選挙区制度がスタートした段階では三で、四になり、また三に戻る、そして、将来推計人口で当てはめて計算すると、令和十二年にはまた四になる。これはやはり、先ほどもどなたか質問されていましたけれども、ここの部分というのはもうちょっと我々真剣に考えるべきだと思うんですね。もう一度言いますと、滋賀県の場合は、制度発足時に三、前回の改定で四、今回の改定で三、また十年たつと四。こうなると、混乱が大分出てくるのではないか。

 また、アメリカの民間シンクタンクの研究を見てみますと、選挙区が変更された有権者の投票率というのは、そうでない有権者よりも低くなるという傾向があるというふうにされています。やはり、選挙区というものが安定的にしっかりと、変わらないということは大事だというふうに思いますけれども、この辺り、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答えをさせていただきます。

 区割り審設置法の規定による衆議院小選挙区の改定については、従来から、五年に一度の国勢調査人口というものが用いられてきているところですが、その理由としては、御指摘のような安定性についての考慮もあったものと承知をしております。

 また、区割り審設置法第三条第一項の規定により、区割り改定案の作成に当たっては、各選挙区の人口格差を二倍未満とするとともに、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならないとした上で、同法に基づき区割り審が策定した区割り改定案の作成方針における区割り基準では、選挙区の数に増減のない道府県の選挙区の改定案の作成に当たっては、選挙区の区域の異動は、区割り基準に適合させるために必要な範囲とするものとするとか、改定案の作成において、改定に係る市区町村の数又は人口などを総合的に考慮するものとするということといたしまして、あくまで必要な範囲内での改定を行うというふうにされているものと承知をしております。

徳永委員 今の件について、大臣の見解も併せてお聞きしたいと思います。

寺田国務大臣 様々な今議論が行われている中で、先ほど選挙部長が答弁したとおり、一定の考慮がなされた結果、現在の区割り画定審議会設置法、またアダムズ方式に基づく投票価値の平等、またその他の様々な考慮要因がある中で、やはり選挙区の安定性、おっしゃるとおり、これは大変重要であるというふうに認識をいたしておりまして、この選挙区の安定性が、投票価値の平等との調和の中で、やはり考慮されるべき重要課題であると認識しております。

徳永委員 次回以降に引き継いでいきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、ちょっと話題を変えまして、地方議会改革についてお伺いをいたします。

 政府の地方制度調査会は、十月二十四日の専門小委員会において、地方議会改革に対する答申素案を公表されたところであります。統一地方選挙を来年春に控えまして、地方議会改革というものが求められるわけですけれども、まずは、この答申素案の概要を、簡単で結構です、総務省、説明してください。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 第三十三次地方制度調査会では、各議長会からの要望も踏まえまして、地方議会の位置づけや議員の職務の明確化、多様な層の住民の議会への参画につながる環境整備など、地方議会の在り方について、各議長会からの意見聴取を含めた調査審議が進められております。

 御指摘いただきました十月二十四日の専門小委員会では、地方議会に関する答申素案について審議がなされまして、この中では、多様な人材が参画し、住民に開かれた地方議会の実現に向け、各議会における自主的な取組のほか、議会の位置づけ等の明確化、立候補環境の整備、議会のデジタル化といった対応方策について言及されております。

 具体的には、議会の位置づけ等の明確化については、全ての議会に共通する一般的な事項について地方自治法に規定を設けることも考えられるのではないか、立候補環境の整備については、まずは各企業の就業規則において立候補に伴う休暇制度を自主的に設けること等を要請してはどうか、議会のデジタル化については、住民から議会への請願書の提出等のオンライン化を可能とすべきではないかといった議論がなされております。

徳永委員 ありがとうございます。

 私は県会議員出身でございまして、かねてより、地方議会の役割、責務が法律のどこにも記されていないというのを大変腹立たしく思ってきました。地方自治法の八十九条に、「普通地方公共団体に議会を置く。」とだけしか書かれていないんです。憲法において国会議員はいっぱい書かれていますけれども、地方議員、地方議会については議会を置くとしか書かれていない。これではということをずっと思ってきました。

 今回、答申では、そういった部分については、地方議会の責務とか役割とか、地方議員はかくあるべしといったようなことを条文に追記すべきだという答申をいただいております。

 これは大臣、是非、年明けの通常国会で地方自治法を改正をして、地方議会の役割をしっかりと条文の中に追記をしていく、位置づけていくということをやっていきたいというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

寺田国務大臣 委員御指摘のとおり、地方議会の役割、これは大変重要なものと認識をしております。

 先ほど局長が答弁したとおり、今回の地制調で、御指摘の地方議会の位置づけ、また議員の職務の明確化など、地方議会の在り方について調査審議がまだ進められております。

 したがって、地方議会の課題については、地方議会関係者の皆様からも強い御要望も寄せられているものと承知をしておりますので、地制調における議論も踏まえて、総務省として必要な対応を十分検討してまいりたいと思います。

徳永委員 先ほど、櫻井委員でしたか、地方議員のなり手がいないというようなお話もございました。

 そういった部分でいきますと、やはり地方議会の活性化といったものの一つの起爆剤として、地方自治法を改正をして地方議会の位置づけ、役割をしっかりと明記をしていくということは大変重要な取組だというふうに思いますので、是非、次期通常国会には地方自治法改正案を御提出をいただきますよう強く期待をいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

平口委員長 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 まず、冒頭に、質問の機会をいただきました山本理事、我が党の同僚委員、そして時間の調整もいただきました他会派の皆様方に心より御礼を申し上げたいと思います。

 今日、私は、区割り法案のことについて御質問をさせていただきたいと思います。

 違憲状態であるというような判決も経て、努力してきて、是正がなされたわけでございますけれども、アダムズ方式ということでやはりやらなければ、一票の格差、投票価値の平等というものはしっかりと適正化することはできないということで、今回の十増十減というふうになったわけでございますけれども、まずお伺いしたいのは今後のことなんですね。

 とにかく、先ほどからも様々御指摘がありました、福岡の方で一・九九倍ということで、非常にぎりぎりのところでクリアしているというようなこともあります。今後も、地方の人口減少というものが進展していった場合に、更なる地方の選挙区の減少というものが当然予想されているんですけれども、このことについての予想あるいは懸念していることがあれば是非伺いたいと思います。

森政府参考人 お答えをいたします。

 お尋ねにつきまして、社会保障・人口問題研究所による将来推計人口に基づきお答えしたいと存じますが、当該人口は前回の平成二十七年の簡易国勢調査の結果に基づくもので、あと、外国人も含めた全国民ベースのものとなっておるものが約五年前に公表されているものでございます。

 これによる二〇三〇年の将来推計人口に基づいて計算をした場合に、今回の十増十減を実施した後の都道府県別定数と比較すると、東京都、愛知県、それから今ほどの滋賀県、岡山県、また福岡県でそれぞれ一人定数が増加、北海道、秋田県、茨城県、群馬県、香川県でそれぞれ一人定数が減少する試算となるものというふうに承知をしております。

 なお、これは推計値を用いた試算でございますので、実際には、外国人を除いた十年後の実際の日本人の人口に基づいて、その時点で改めて計算をされるということになるものでございます。

 それからまた、今後の懸念事項ということでございますが、区割り審が区割り改定案の作成に当たって都道府県知事に意見照会を行っておりまして、その際、回答いただいた知事意見においては、地方の定数が減少することについて、地方の代表が減ることによって地方の声が国政に届きにくくなる、反映されにくくなること、それから、国家の方向性や行く末を人口の多い都市部から選出された議員だけで決めていくことを懸念する、こうした意見があったということで承知をしておるところでございます。

小野委員 人口の推計に外国人が入っているということもありますので、では、どこに外国人の方が多いかというと、やはり都市部が多いということもありますので、この推計自体は変動もする可能性もあると思います。より地方の方はダメージが少ないというようなこともあり得ようかというふうに思うんですけれども。

 ただ、やはり少子高齢化というのがどんどん進んでいる。私も今、東京の選挙区でありますが、地方で妻と子供を置いて、逆単身赴任で子育てをしています。やはり、客観的に見ても、子育てのしやすさを考えると、地方の方が子供が多い。しかし、そういったところが、若者がどんどん、これは働く場の問題もありますけれども、都会に流出をしていって、そして、都会で子供をなかなか産めるような環境が整っていないということで人口が減ってしまうということが当然予測できるというふうに思いますので、そういう意味ではやはり、地方創生策といいますか、そういったこともちゃんとやらなければいけないんですが、この選挙制度もこのままでいいんだろうかという問題意識を私は非常に多く持っています。

 私の場合には、今、選挙区は東京ですから、五増えるわけですけれども、ただ、それがいいのかどうかというと非常に疑問を持っていて、先ほども徳永委員が非常にいい質問をされておりましたけれども、今日はこの後、空本委員が、空本委員も実は自分自身の選挙区も減ってしまうということで、かなり厳密な議論もあろうかと思いますが、私はもうちょっと、日本全体の社会の在り方と、そして地方と中央との関係での選挙区の在り方、この辺の大きな話を議論していきたいというふうに思っています。

 そういうことで、人口が減っていく中で、特に地方においてこれから定数が減ってしまうというようなことが先ほどの答弁でもありましたけれども、ただ、減らすといっても、本当に、例えば一とかゼロというふうにはしてはいけないというふうに思うんですね。

 やはり、先ほども質問にもありましたけれども、地方の実情をちゃんと反映するような議員というものを置いておくということが民主主義にとって非常に大事だと思いますし、私も先ほど徳永委員の質問をお聞きして驚愕しましたけれども、一万平方キロメートル、これが最大の面積で、最小の面積が東京二区の僅か二十平方キロメートル、この大きな違いというのもありました。そういう広い場所に議員を、では本当に一人でいいのか、二人置く必要があるんじゃないかとかという話もあると思います。

 そこでお伺いをしたいんですけれども、アダムズ方式をまた維持をして、そして、人口が最少の県で今の定数を維持した場合の衆議院の議員の全体の定数というのは、これは一部の政治家もおっしゃっていることでありますけれども、衆議院議員をやはり増やさなきゃいけないんじゃないかというようなことをおっしゃっている方もおられます。

 ただ、私どもは、そういったことを理由にして議員を増やすということに対しては、これはやはり慎重に考えなければいけないと。常に議員は自らのパフォーマンスを上げて、そして最大限働く、そして野方図に議員が増えるようなことがあってはならないというふうに考えているんです。

 お伺いしたいのは、アダムズ方式で、人口が一番低いところで、ある一定程度の定数を維持した場合に、議員の増という可能性が今後も出てき得るのかどうかということをお伺いをしたいと思います。

森政府参考人 お答えをさせていただきます。

 衆議院議員の定数についてということでございますが、今般のアダムズ方式導入に至る平成二十八年の衆議院選挙制度に関する調査会答申では、「現行の衆議院議員の定数は、国際比較や過去の経緯などからすると多いとは言えず、これを削減する積極的な理由や理論的根拠は見出し難い。」としつつ、「衆議院議員の定数削減は多くの政党の選挙公約であり、主権者たる国民との約束である。」「このことから、削減案を求められるとするならば、」として、衆議院議員の定数を十人削減して四百六十五人とする案が示されたものと承知をしております。

 そして、小規模な県の定数を維持するためには、定数を増やさなければ対応できないのではないかというところにつきましては、今回、確かに、十増十減ということで、現行の定数のままでいきますと、いわゆる人口が減少県のところの定数が減っている、これは事実でございます。

 そうした観点からすると、定数増加という議論というのも出てくるわけでございますけれども、また、定数の在り方については増のベクトル、また減のベクトル、様々な御意見もあろうかと思いますけれども、そういったことについては、議会政治の根幹に関わる問題ということで、各党各会派においてもこれまでも議論いただいておりますし、今後も御議論いただくべき事柄ではないかというふうに考えるところでございます。

小野委員 ありがとうございます。

 各党も本当に、自らが痛みを伴いながら、議員の数を増やさずして何とか最高裁が出した判決に従うように努力をしてきたということだと思うんですけれども、ただ、私は、それも限界に来ているんじゃないのかというふうに思うんですね。

 先ほども申し上げたように、もう既に区割り後の一票の格差も一・九九ぎりぎりで踏みとどまっているところがあって、五年後には見直しでまた選挙区の調整をするんでしょう。そういう意味では、いろいろな、今のボーダーにいる選挙区民の方々がまたちょこちょこと変わってしまうというような不便も与えてしまうようなこともあります。

 先ほども浦野委員と話していたら、団地の中でも区切りがあるんだと。私も、港区などで活動していますと、タワマンごとに、マンションごとに選挙区が違うなんということもありますけれども、こういったことをやるんでしょう。ただ、やはり、そういったことで一票の格差を調整する。そして、地方でどんどん減っていく議員をどうするのかという問題を、このままでうまくいくとは到底思えないんですけれども、非常に大きなジレンマがあると思います。

 そこで、寺田大臣にお伺いしたいんですけれども、こういった状況、非常に私は、八方塞がりのところ、あるいはびほう策をずっと重ねに重ねてきているというふうに思うんですが、このことについてどう御覧になっているか、これは政治家の立場としてで結構ですので、御見解を伺いたいと思います。

寺田国務大臣 今の衆議院小選挙区の都道府県別定数、これは、委員御承知のとおり、区割り画定審議会設置法に基づくいわゆるアダムズ方式により、十年ごとの国勢調査、また、中間年における見直しも含めてなされているところでありまして、それに基づいて今回もこの区割り改定の案を出させていただいておりますが、やはり、先ほども答弁しましたとおり、選挙区の安定性というのも非常に重要な要素でございます。

 このアダムズ方式については、各都道府県への議席配分方式について、比例性のある配分方式に基づいて都道府県に配分することなどを満たすべき条件とした上で、様々な方式が検討される中で、従来の定数配分から変動要因が最も小さい方式としてこれが望ましいとされたことを受けまして、平成二十八年に立法化されたわけでございます。

 この選挙制度の在り方については、やはりこれは議会政治の根幹でございます。各党各会派において御議論いただくべきでありますが、特に人口減少地域、また地域間格差が拡大をしている中で、地方の人口減少を食い止めていくことや、また、過度の都市部への一極集中の是正というのは極めて重要な政策課題であります。

 したがって、活力ある地域づくりの実現に向けても、関係省庁として、重要政策として取り組んでいきたいと思います。

小野委員 非常にもう限界に来ていると思います。

 私が最高裁の判決をいつも見ていて思うのは、先ほど徳永委員が御紹介した資料にも書いてありますけれども、一票の格差と、それから様々な民意の的確な反映というものを、これを調和を図ることが求められているというふうにいつも判決で言うんですけれども、ただ、結局は厳格な、二倍というものを上回ったら駄目だというふうなことが課せられていて、結局はかなりこれは厳しいロープで縛られているんじゃないのかなというふうにも思うわけです。

 ですから、やはり政治が、地方が疲弊している状況が、日本が存続していくためには非常に重大な問題なんだということを認識して、一票の価値の格差以外の部分についても考えていく必要があるかなというふうに強く思っているんですね。これは、自分自身の選挙区がどこであるとか関係なく、政治家全てが考えなければいけない問題だというふうに思います。

 そこで、投票価値の格差をある程度容認している選挙制度というものを、上院ではよくあるんですけれども、下院においても採用しているような外国の事例というのがあるのかどうか、これをお答えいただきたいと思います。

森政府参考人 お答えをいたします。

 諸外国における人口以外の要素が考慮された選挙制度については、例えばアメリカにおいては、上院議員は各州二名ずつ選出をする旨、下院議員は人口比例による定数配分を原則とし、各州に定数一名を保障する旨がそれぞれ連邦憲法に規定されているものと承知をしております。

 この結果として、アメリカでは、連邦制で各州二名とされていることから、格差が二〇二〇年四月の人口で六十八・五一倍、また、下院については、これは二〇一〇年の国勢調査人口になりますが、一・八八倍、こんな状況でございます。

 それから、フランスにおいては、上院について、地方公共団体の代表を確保し、間接選挙により選出する旨が憲法に規定をされておりまして、具体的には、おおむね各県を選挙区の単位として、県内選出の下院議員及び上院議員、州議会議員、県議会議員、市町村議会の代表を選挙人団とする間接選挙により選出することとされておりまして、現在の定数配分は、おおむね人口十五万人までにつき一人、それを超える場合は、人口二十五万人までごとに一人ずつ追加して配分されているものと承知をしております。

 この結果として、上院の最大格差では、二〇二〇年一月の推計人口で五・〇六倍、また、他方、下院については、これは二〇一九年の人口になりますが、二・六六倍であるものと承知をしております。

 それから、スペインにおいては、憲法上、上院を地域代表と位置づけた上で、直接選挙により選出される議員については、原則として各県に四人ずつ定数を配分し、州議会の指名により選出される議員については、各州に少なくとも一人の定数を配分することとされているものと承知をしているところでございます。

小野委員 詳しいデータの御紹介、ありがとうございました。

 そういう意味で、我々が当たり前のように思っている一人一票の価値の平等というものも、これも最高裁判決がまさに言っているように、絶対の基準ではないわけですね。ですから、このことをもっと我々が議論しなければいけないんだというふうに思います。

 私は、法学部で一票の価値について憲法で学んだときに、そのとおりなんだなというふうに思いました。そして、二票をやはり行使するとそれは不平等だということで、二・〇以上になってしまうとこれは違憲だという理屈もすごくすとんと落ちたんですけれども、ただ、考えが変わったんですね。

 それは、私が地方行政の場に行って、そこには、本当に山林で誰も手入れできていないところに山深く入っていって山を守っている、そして、その下の地域の人たちに恩恵をもたらしているような人はいるわけです。しかし、そういった人たちの思いとか、そしてやってほしいということは、大都市に住んでいる人にはなかなか伝わらないんですね。

 ですから、やはりそういったことも考えて、我々の国土を守っていく。そして、先ほど申し上げた人口減少社会にどう対応していくのかということについて、もっともっと、この選挙制度、そして政治制度も政治家が、裁判所に言われているからではなくて、もっと柔軟に考える。先ほどのように、海外ではもう既にそういうことが行われている。アメリカの上院の場合にはもう五十八倍もついているんだというようなこともやはり考えるべきなんだというふうに思っております。

 そして、もし、それがなしに、例えば一票の投票価値をちゃんと保とうということであれば、一人一人の議員の議決の重みをつけたっていいんじゃないかというふうにも思うんですね。それぐらいの大胆な発想転換で我々がこの問題に立ち向かっていくということが必要だというふうに思います。

 それでは最後に、今回のこの区割りの法案について、なるべく単一、一つの自治体が複数の選挙区にまたがらないようにするというような努力はされたというふうに思います。これはもちろん、五年後にまた崩れてしまう可能性は大なんですけれども、このことによって自治体の負担というのは具体的にどれぐらい減るものなのかということを、お伺いを最後にしたいと思います。

森政府参考人 お答えをいたします。

 今回の衆議院議員選挙区画定審議会による都道府県知事に対する意見照会への回答においても、市区町の分割の解消を望む理由として、選挙事務の煩雑化などの弊害があることも挙げられていたものと承知をしております。

 具体的には、分割市区町においては、同じ市区町でありながら選挙区が異なることによる有権者への適切な周知だとか、開票所の増設や変更、あるいは増設をした場合の事務従事者の確保、それからまた、選挙公報の配布誤りなどがないように注意が求められるなどといった負担が生じるとして、解消が求められてきたものと承知をしております。

 今般の区割り改定案におきましては、分割市区町は現行の百五市区町から三十二市区に大幅に減少し、三分割されていた市町は解消されたところでございまして、これにより、今ほど申し上げたような選挙事務等の負担が軽減、解消されることが期待できるものと考えているところでございます。

小野委員 ありがとうございました。

 とにかく、大胆な改革が必要だと思います。私どもは、道州制を含めて、やはりもっともっと自在に選挙制度を組み立てられるような仕組みも考えるべきではないかというふうに思っています。

 ありがとうございました。

平口委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。今日もよろしくお願いいたします。

 先ほど来、小野泰輔議員の方から、公選法の在り方、今後の在り方について、大局的な観点から質問をしていただいております。私の方は、もう少し細かく議論をさせていただければと思っております。

 本日は、やはり、小選挙区の区割りの在り方、また、地方切捨てになっているのではないかというアダムズ方式の在り方、また、五年ごとのイタチごっこになっているんじゃないかという格差是正の在り方、また、東京一極集中と高齢化、過疎化の地方の在り方について議論をさせていただければと思っております。

 配付資料をお配りさせていただいております。

 まず、一枚目の配付資料でございます。

 こちら、広島県におきまして、七つの選挙区が六つの選挙区になります。特に、私の活動しておりました広島四区におきましては、四区が全部、大きく引き裂かれてしまいますというか、分割されてしまいます。

 私、十減には賛成いたします。しかしながら、広島四区の地域の声として、この広島一区、広島三区、広島五区に分割されてしまう、大変違和感を感じていらっしゃる方がたくさんおられます。これを新聞で見てびっくりと。

 特に、この中でも、広島市安芸区という地区がございます。この安芸区は、今回、広島三区に編入されていく予定なんですけれども、実は、この広島三区とは、道では全くつながれておりません。山があるだけでございます。先ほど、徳永委員の資料にございましたが、交通事情とか地理的状況、こういったものを留意するというような最高裁の要旨がございますけれども、そういった中で、やはり、生活圏が違うところ、そういったものをつけて、ただ単なる字面合わせ、また数字合わせだけになっているのではないかということでございます。

 また、特に、広島市安芸区の中でも飛び地がございまして、安芸区矢野地区、こちらは、今回の見直しに当たって、広島一区の中にぽつんと浮かんだ離れ小島になります。さらに、船越地区も、ほぼくっついてはいるんですが、広島一区の中にございます。そういった意味で、この船越地区、矢野地区においては、できれば広島一区に編入していただきたい、できれば安芸区全体を一区に入れるとか四区に少し残すとか、そういった工夫が必要ではないかなと思っております。

 今回、事務方の方と御相談させていただきながらいろいろ御指導いただいたときに、やはり時間的な制約等もございますし、この区割りが法文、法案の中に組み込まれている、それをいじることは大変厳しいというお話もいただいておりますけれども、単なる字面合わせ、数字合わせというやり方というのは、やはり地域の方々にとっては大変不満を生んでしまう。

 やはりそこは、平面だけではなくて、実際の産業とかそこで生活している方々の顔を見てある程度区分する必要があるのではないかと思うんですけれども、今回は難しいとしても、今後の区割り審又は事務方での作業の中で、何らか、こういう改善、総務大臣の方から御指導いただけないでしょうか。大臣としての御見解をお願いします。

寺田国務大臣 今回の区割り案については、もう委員御承知のとおり、区割りそのものも法律に書き込まれております。第三者中立機関である区割り審においてこの改定案を作成をしたものでございます。

 したがって、総務大臣として、個別の区割りについて区割り審等に進言等をすることは、第三者機関に委ねた趣旨にはそぐわないものでございますが、もちろん、今後の考え方、在り方等については、十分、各党各会派で御議論をいただくべき事項であるというふうに考えております。

 政府といたしましては、今回の区割り審の勧告を受けましてこの法案を提出をさせていただいているということは御理解いただきたいと思います。

空本委員 総務省として、総務大臣として、やはり第三者機関に対しての働きかけというのはなかなか厳しいということは分かるんですけれども、やはりここは、与党、野党の議員の皆さんの議論の中で、しっかりと、こういう区割りの問題、地域の分断をさせない、こういう在り方、できれば附則の方にでも記載していただけたら大変ありがたいと思いますし、また、寺田総務大臣におかれましては広島の自民党の県連の代表であります、また、平口委員長におかれましては広島の選出でございますので、是非この広島の地域の問題を一緒に考えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、アダムズ方式による地方の切捨てになっているんじゃないかという問題について、配付資料二をまず御覧いただきたいと思います。

 これは、今回の十増十減に対して、東京に一極集中しているであろう、これに対して、中国地方の五県の知事が不満の声を上げられております。

 中国地方もですが、四国もですが、こういう過疎化が進んだ地域においては、議員定数が今回大幅に減っていく。特に、中国地域においては、比例代表も含めて四議席減るというところでございます。

 衆議院というのは人口割でするということでございますので、人口が少ない地域でございますのでそれは仕方ないかと思いますが、先ほど来、地方の在り方ということもいろいろ議論に上がっておりますけれども、やはり今後、過疎化が更に進んだ上で、台風とか大雨、豪雨、中国地方は豪雨災害に見舞われた地域でございます。これからも台風の凶暴化とか大型化、そういった中で、過疎化している中山間地域を多く抱えるこの地域、やはりこれから被害を受ける可能性が十分高いです。

 そういった中で、地域の声を、先ほど来同じ話がございましたが、議員の数が減ればその地域の声を届けられなくなるのではないか、若しくはその声が弱まってしまうのではないかということが危惧されてしまいます。やはり、地域の声をしっかり届けていただきたい。

 最近話題となっております走行距離課税です。

 今話題の、公共交通機関を整備していない地域、ここにとっては、この走行距離課税というのは大変大きな問題であります。自家用車、車にしか頼らざるを得ない地方において怒りの声が上がっていることは確かでございます。しかし一方で、都会の生活を支えているのは地方であって、食料を供給しているのは地方であります。食料安全保障、また国家安全保障、農業や防衛の観点から、やはり、地方の声、もっと強く届けるべきではないかなと考えます。

 実は、私の事務所に二十代の女性の秘書がおりますけれども、東京生まれ、東京育ち。しかしながら、こういった話をしていると、えっ、東京ではそんなに思っていなかったけれども、大変なんですねと。例えば、今デジタル大臣が進めていらっしゃるマイナンバーカード。これについても、田舎で使えるところはどこにありますかと言ったら、コンビニなんて近くにない、バスに乗って、車に乗って、ようやく使えますと。じゃ、そういった田舎、そういった声が届かなくなるというのは大変だねというような、若い女性からもこういった声が上がっています。

 配付資料三番を御覧いただきたいと思います。

 こちらは、東京ブロックと中国ブロックの、面積と新しい選挙区割りによる議員定数、これを比較したものでございます。中国地方の面積、また東京都の面積、見ていただければ分かるとおり、もう十五・一倍、計算間違いがなければ十五・一倍だと思います。そして、逆に、衆議院の数、比例代表合わせて、東京が四十九、中国が二十七。参議院も入れますと、東京都、東京ブロックが六十一、中国ブロックが三十七。逆に、〇・六、五分の三と、逆転していますといいますか、これを割り算すると二十五倍。まさに、大きく地方が切り捨てられるんじゃないか、地方の声が届かなくなるんじゃないかというところ、先ほどの中国地方の県知事からの声のとおりだと思います。

 しかし、日本維新の会は、やはり、私たち政治家自らが身を切る改革を進めていく、これを旗頭に進んでいます。したがって、効率的な議院運営をこの国会でも行うという点では、やはり十減することもいいんじゃないかな。逆に、地方では議員定数削減をどんどん今進めています、効率的な議会運営、効率的な国会運営、こういったものを私たちは求めています。

 そこで、アダムズ方式における定数削減、どういうふうになってしまうかなというのを、総務省の方からデータをいただきながら、私なりに計算をさせていただきました。

 配付資料の四を見ていただきたいんですけれども、これは、全体の衆議院の定数が変動した場合に、アダムズ方式で都道府県の小選挙区がどう変わっていくか、令和二年の日本の国民の人口を基に、ベースにしたデータでございます。

 これを見ていただければ分かるんですけれども、例えば、今二百八十九の小選挙区の定数、アダムズ方式の、割り算する除数としては四十六万六千。この場合、十増十減になって、今のとおり、東京を中心とした、また、愛知、神奈川、埼玉、千葉といった都市部が増加する。一方で、地方が、また中国地方などが減ってくる。

 ここで、以前の三百議席に今戻したらどうなるかなということを計算してみました。そうすれば、十五増四減になります。四減だから地方の数は減るのは少なくなるね、ああ、これはよかったねと思ったら、逆に都市部の数が、東京は六、神奈川は三、愛知が二と、やはり都市部中心の構造になってしまいます。

 一方で、今度は二百八十九から十議席減らしてみます。そうするとどうなるかといいますと、都市部は増加はある程度抑えられてしまうんですが、地方の定数の削減というものが大きく、定数が削減されてしまいます。加えて、北海道、東北、北関東、また四国、こういったところが定数減となってしまいます。六増十六減、このときのアダムズ方式、数で四十七万九千でちょうどぴったりぐらいになるので、二百七十九の議席数になります。

 こういった形で、やはりこのアダムズ方式というやり方は、明らかに地方を切り捨てていくという方式に間違いないであろう。都市型の政治、都市偏重の政治を誘発する、誘導する可能性は非常に高い。先ほどの走行距離課税、こういった発想も出てきていますが、これは地方を完全に切り捨てるものであります。そういう政治がどんどん進んでしまうのではないかという危険性がこのアダムズ方式にははらまれている。

 参考に、先ほど、滋賀県が、議員定数が四から三、三から四になってしまう可能性があるよという話が徳永議員からございましたけれども、もし、岡山県、今回議席数が減ります、一議席減りますが、例えば岡山県全体で人口が数千増えた場合、また一議席戻す。そのときにどこが減るかというと、香川県若しくは秋田県が減る可能性が高い。地方同士のやり取りでございますが、また地域分断とかそういったことも起きてしまう可能性がある。

 そこで、質問をさせていただきたいんですが、国会においても、やはり維新のような効率的な議会運営を目指すというやり方、格差是正と併せて、十増十減ではなくて、小選挙区十減をやってみたらどうでしょうか。その場合、アダムズ方式だけではなく、地方切捨てにならないような、都市偏重にならないような何らかの工夫をするべきであるというふうに考えておりますけれども、総務大臣、いかがでしょうか。

森政府参考人 今般に至る経緯を少々御説明をしたいと存じます。

 衆議院議員の定数につきましては、今般のアダムズ方式導入に至る平成二十八年の衆議院選挙制度に関する調査会答申で、現行の衆議院議員の定数は、国際比較や過去の経緯などからすると多いとは言えず、これを削減する積極的な理由や理論的根拠は見出し難いとしつつ、衆議院議員の定数削減は多くの政党の選挙公約であり、主権者たる国民との約束である、このことから、削減案を求められるとするならばとして、衆議院議員の定数を十人削減して四百六十五人とする案というものが示されたものだと承知をしております。

 そして、各都道府県への議席配分方式について、満たすべき条件として、比例性のある配分方式、また、選挙区間の一票の格差を小さくするために、都道府県間の一票の格差をできるだけ小さくする、都道府県間の配分議席の増減変動が小さい、一定程度将来にわたっても有効に機能し得る、この四点の方式についての確認の上で、諸外国で検討されてきた九つの考え方のうち、従来の定数配分からの増減変動が最も小さい方式であったアダムズ方式が望ましいとされた。

 この答申を受けて、平成二十八年五月、小選挙区の都道府県別定数配分を十年に一度の大規模国勢調査の結果に基づきアダムズ方式で行うこと等を内容とする、いわゆる衆議院選挙制度改革関連法が議員立法によって成立した、こういうことでございます。

 こうした経緯もございますので、衆議院議員の定数、議員定数の削減、あるいはその際に何らかの工夫を、こういった御提言かと存じますが、各党各会派において御議論いただくべき事柄というふうに存じておるところでございます。

空本委員 先ほども総務大臣から、特例措置、そういったものに留意しながら考えていくことも大事だ、議員の中での議論ということもありましたので、これは与党、野党かかわらず検討いただけたらと思っております。

 もう一点、先ほど来、格差二倍の解消の話がございましたけれども、この根本は、やはり最少の有権者数である鳥取県、鳥取一区、鳥取二区の数だと思います。鳥取一区と例えば東京十三区を、直近の総選挙の格差を見ますと二・〇七九倍。令和二年の国勢調査の人口で、格差は鳥取二区と東京二十二区で二・〇九倍。やはり、鳥取県の人口を増やさない限り、この二倍の格差の問題というのはなかなか解消できない。(発言する者あり)そのとおりなんですよ。

 それで、これから五年後、十年後どうなるかというと、鳥取二区、石川三区、鳥取一区、京都五区、香川三区、こういったところが一番少ない選挙区でありまして、逆に、福岡二区、福岡五区、宮城二区、京都六区、福岡三区、これが一・九九倍、まあ一・九倍ぐらいの選挙区でございまして、福岡県の場合、六万人ぐらい人口が増えればもう一個議員定数を増やす、こういったアダムズ方式の見直しも行われますが、福岡県内で、今の人口であれば、区割りを見直していただければ、何とか福岡県はとどまる。

 しかしながら、これを五年ごとにイタチごっこのようにやるというのが本当にいいのかどうか。先ほど来お話がありましたけれども、例えば一・九九九倍じゃなくて一・八倍ぐらいで抑えておけば、五年じゃなくて十数年後ぐらいの見直しで終わって、度々有権者の方々に御迷惑をかけることもないんじゃないかと思うんですけれども、最高裁の違憲判決を受けないように法的な配慮が何らかできるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 衆議院議員選挙区画定審議会設置法においては、令和二年国勢調査人口による日本国民の人口において、各選挙区間の人口格差を二倍未満とすることが規定をされておりまして、先般の委員会の参考人質疑でも、これは審議会の参考人、久保会長代理から、そのように法律で明確に規定されており、また、合理性のある将来推計人口を算出することは困難であることから、これ以外の人口基準を一律に適用すべき改定基準とすることは難しいと判断したとの答弁があったところでございます。

 ただし、今回の改定作業の最中に執行された第四十九回総選挙において、当日有権者数ベースで格差二倍以上となった選挙区が二十九存在しておりまして、これらの選挙区につきましては、見直しを行わないと引き続き有権者ベースでの格差は二倍以上となるおそれがあることから、審議会において、国勢調査実施時点からの人口異動の結果という現実に生じた客観的な事情として考慮することとし、当該格差が二倍未満となるような見直しが行われたものと承知をしております。

 なお、審議会設置法四条二項においては、十年後を待たず、中間年の国勢調査の結果で選挙区間の最大格差が二倍以上となったときは、審議会が改定案を作成すると定めておりますので、次回の令和七年国調の結果によって最大格差二倍以上となったときは、当該規定によって対応されるものと存じます。

 御指摘のような一・八倍といった基準を法律に規定するのかも含めまして、更なる格差是正等の衆議院選挙制度の在り方は、民主主義の根幹に関わる重要な課題でございますので、各党各会派において御議論いただくべき事柄と承知をしております。

空本委員 御回答ありがとうございます。

 大臣から、この件について、やはり根本的な問題、どうお考えでしょうか。

寺田国務大臣 委員御指摘のとおり、様々な、特に地方の御意見、私も拝聴しているところでございますが、今回、法律に基づくアダムズ方式で法案を出させていただいたわけですが、やはり根本的な問題、すなわち、区割りの定数配分もそうでございますし、また、東京への一極集中の問題、また、地域の衰退の問題等、これは全体的な問題として、重要な政策課題として取り組まなければならないと思っております。

 選挙制度の在り方そのものは、各党各会派において、そうした点も踏まえて御議論いただくべき事柄と考えておりますが、特に、地方の人口減少、また過度な一極集中、都市部への一極集中の是正というのは、これは、総務省も、重要課題として今後とも各省と連携しながら取り組んでまいりたいと思います。

空本委員 是非、大臣、よろしくお願いします。

 また、東京一極集中、また地方の過疎化についての考え方で、今、参議院の方では、四国と中国地方は合区になっています。やはりここについても何らか、先ほどの過疎化と併せて、やはり地域の問題がございますので、衆議院は民、民衆の代表であって、人口割はしようがないのかもしれませんけれども、参議院とかは人口割だけじゃなくて、例えば、先ほど申し上げました食料安全保障、国家安全保障、国土保全、こういった観点から、一次産業人口の人数なんかを加味するとか、先ほど面積の問題がありましたけれども、面積についても、国会議員も北海道で活動する人の経費と東京で活動する人の経費は違ってくると思います。そういった公費の在り方、こういったことも含めて考えていかなきゃいけないのかなと思うんです。

 そういった意味で、やはり参議院、また衆議院の比例代表においても、一次産業や国土保全や国家安全保障、こういった観点から、衆参共に是正の考え方を大きく見直す必要があるのではないかと思うんですが、総務省としていかがでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 参議院選挙における都道府県の合区については、合区した県の間で利害対立が生じた場合に、国政に両県民の意思を十分に反映することが困難になる、人口減少に直面している地方の実情が国政へ反映しにくくなるなどの意見があるということは承知をしておりまして、また、都道府県が果たしてきた役割などを踏まえて、合区の解消に向けた意見があるということも承知をしておりまして、重要な課題であるという認識を持っております。

 それから、衆議院比例の方のブロック別定数配分でございます。

 これは、平成六年の制度導入時から、人口比例的な配分方式、ヘア式最大剰余法というものが採用されてきておりましたけれども、その後、平成二十八年一月の調査会の答申におきまして、比例代表選挙における議席数の各ブロックへの配分方式について、将来的な人口変動を考慮しても変化が穏やかになると見込まれること、あるいは、アラバマのパラドックス、総議席が増えたのに割当て議席が減少する地域が生じるという逆説的な結果でございますけれども、こうした逆転現象を避け得ることなどから、小選挙区選挙における都道府県への議席配分方式の見直しと同様に、いわゆるアダムズ方式による配分に変更することが適当であるというふうにされたものと承知をしておりまして、この後、同年五月の議員立法による衆議院選挙制度改革関連法でアダムズ方式が採用されることとなったものと認識をしております。

 これら衆議院の比例代表の定数配分の方法、あるいは参議院の在り方、こうしたことも民主主義の根幹に関わる極めて重要な問題でございますので、各党各会派の方で御議論いただくべき事柄だと認識をしておるところでございます。

空本委員 ありがとうございました。

 堂々たる広島をもう一回取り戻す。寺田大臣におかれましても、しっかりとよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

平口委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 会派を代表して、まず、本日議題となっている公職選挙法改正案、いわゆる十増十減に関する質問から始めさせていただきます。

 本臨時国会における当委員会の最初の質疑でも私から申し上げましたけれども、国民民主党は、今回の十増十減という、アダムズ方式に基づいた、法律に基づいた区割り改定に関しては、粛々と進めていくべきとの立場ですので、当法案には賛成の立場でございます。

 一方で、選挙制度の在り方は不断に検討して、必要であれば見直していくべきであるとも考えていますので、選挙制度の在り方に関しては、国会の各会派が集い、協議を進め、将来のあるべき選挙制度の在り方に関して早急に議論を深めていくべきだと、改めてお呼びかけを冒頭にさせていただきたいと思います。

 特に、現行の定数配分の方法では、人口減少が地方部でより激しいせいで、都市部の定数は増える一方で地方部の定数が減り続けることになります。本日の委員会でもるる問題意識が各委員から述べられているところでございますけれども、やはりこういったところは大きな問題だと私も思います。

 人口減少を含め、より多くの課題を抱える地方部の意見が国政に反映されづらくなり、更に地方の疲弊を招くという悪循環を懸念する意見は、多くの県知事や地方議会などからも今回も挙げられているところでございます。

 今回の区割り画定審議会からの意見照会に対する都道府県知事からの回答のうち、一例として私の地元の滋賀県の三日月知事から出されている意見を紹介させていただきますと、今回の区割り見直しにより、都市部選出の国会議員が増加し、地方選出の国会議員が減少することで、都市部の意見が相対的に大きくなる一方で、地方の意見が国政に届けにくくなり、過疎化、少子高齢、人口減少といった課題の解決が遠のくことを強く懸念していますとありました。また、加えて、区割りの見直しの前提となる各都道府県の区域内の選挙区の数を配分するに当たっては、単純に人口に比例した定数配分とするのではなく、地方の意見が十分に反映されるよう、抜本的な選挙制度改革を行っていただくようお願いします、こういったふうにも意見が出されていました。

 これは、区割り画定審議会というよりかは、政府や、そして何より我々国会に投げかけられている要請だと思いますけれども、地方のこういった意見を、政府、総務省、また大臣、どういったふうに受け止められていますか。お答えいただきたいと思います。

寺田国務大臣 委員御指摘のように、区割り審からの意見照会に対する知事意見において、複数の知事から、地方の選挙区の減少についての懸念の声が上がっていることは承知をいたしております。

 御承知のとおり、今回の区割り改定については、いわゆる区割り審設置法に規定されるアダムズ方式によりまして算出をしたとおりでございます。その勧告を踏まえて法案提出をさせていただいておりますが、やはり、各都道府県への小選挙区の定数配分方式、また衆議院の選挙制度の在り方全体、これは非常に議会政治の根幹でございます。各党各会派において、地方の問題も含め御議論いただくべき事柄と考えておりますが、もとより、地方の人口減少を食い止めて地域の活性化を図っていくことや過度の都市部への一極集中の是正ということは、これは重要な政策課題でございますので、引き続き、総務省としても、活力ある地域づくりの実現に向けまして取り組んでまいりたいと思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 様々な県知事から、地方における定数減に対する懸念が今回の意見照会で出されていて、これは、今回選挙区が減る私の滋賀県のような選挙区以外の知事からも、今後の地方部での定数減を懸念する声が上がっているんです。

 事務方にお伺いできればと思うんですけれども、参考までに、大変多くのこういった意見が上がっていると思いますので、区割り画定審議会からの意見照会に対して、このように、現行の定数配分の方式では地方の意見が届きにくくなるのではないか、こういった同様の懸念を示された県知事意見というのはどの程度あったのか、そういったところをしっかりと認識をされているのかどうか、お伺いできればと思うんですけれども、部長、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 数ということではなく、幾つか御紹介をさせていただければと思います。

 広島県でも、大都市への一極集中等が進めば、人口が少ない地方には議員定数が十分に割かれないこととなり、地方の実情が国政へ反映しにくくなる状況が生じると懸念しますといった御意見。

 また、新潟県においては、現行の定数配分方法では、人口減少が進む地方の定数が減少してしまい、地方の声が国政に届きにくくなることが懸念されますといった御意見。

 また、福島県においては、今後の避難指示の解除等により、本県の人口は、しばらくの間は不安定かつ流動的な状態である、人口の算定や区割りの改定に当たっては、本県の特殊事情について十分に考慮する必要があるとする意見。

 また、富山県では、現行の制度では、人口減少が続く地方の定数が削減されることとなります、これを解決するためには、東京一極集中の是正が根本的に必要であり、我々地方としても努力しているところですが、国でも政策誘導をお願いしますといった御意見。

 こういった御意見が出ているものと承知をしております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 今御紹介いただいたように、同様の意見がたくさん出されていまして、私の方でも、同様の意見をどのように数えるのかというのはいろいろ数え方があると思いますけれども、ざっと数えただけでも、十五から二十県程度の知事からは、こういった同じ問題意識で意見が出されていたと認識をしておりますので、しっかりと、こういった意見も受け止めて今後の各党会派での議論に当たっていかなければならないと私も考えております。

 次の質問も私の地元の滋賀県の話となって恐縮でございますけれども、各都道府県に対する定数配分です。

 今回定数が減る十減のうち滋賀県と岡山県では、次の大規模国勢調査、これは二〇三〇年に行われますけれども、この結果、定数がまた、再び一増えることが推計されています。これは、先ほどの質疑でもありましたけれども、国立社会保障・人口問題研究所が出している人口の将来推計に基づいた推計でございますので、そうなる蓋然性が高いんだろう、私はそのように考えております。

 ちょっと滋賀の話になって恐縮ですけれども、そもそも、初めて小選挙区制の選挙が行われた一九九六年、滋賀県の定数は三選挙区から始まりました。その後、二〇〇二年に定数が一増えて四選挙区になりまして、それから二十年がたちまして、ずっと四選挙区で選挙が行われてきました。二〇二二年の今年にまた三に減るんですけれども、また十年後に四に戻る可能性が高い。

 当然、それに応じて、その度に県内の区割りが大きく変わるということで、先ほど立憲の徳永議員もおっしゃっていまして、私の挑戦させていただいた滋賀一区は変わる予定では今のところないんですけれども、やはり県内では大きな混乱が生じることが間違いないということでございます。法律どおりに粛々やるとはいえ、さすがに地域の混乱が大きくなってしまっています。

 こういうことが起こると、頻繁に大規模な選挙区割りの結果、有権者の間に混乱とまた関心の低下。多くの有権者の方々は、自分の選挙区が何区かということは理解していないんですけれども、誰が国会議員であるのかとか、誰が挑戦しているのかというのはおおむね把握されていることが多いと思います。こういったところが大きく変わってしまうと更に関心が低くなってしまうということが懸念をされるんですけれども、選挙区割りの改定が頻繁に起こることによって、関心が低下をするとか、あるいは混乱が生じるといったことに対する政府の受け止めがいかがなものなのか、ちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

寺田国務大臣 委員御指摘の国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計、これに基づいて計算すると、滋賀県、岡山県で定数が一増となることについての御指摘かと思います。

 この将来推計人口については、平成二十七年の簡易国勢調査の結果に基づく、外国人も含んだ全国民ベースのものでありまして、五年前に公表されたものでございます。

 今回の区割り審の考え方は、十年に一度の大規模国調の結果によりまして、それに基づいて定数配分を行うというふうなことであります。

 もちろん、人口増減の結果によって、一旦区割りが減って、将来戻るということはあり得るわけでございますが、できるだけ少ない変動という意味でもアダムズ方式が採用されたというふうに承知をしておりますので、御指摘は、あくまで推計値に基づく試算でございまして、定数配分の見直し及び区割りの見直しについては、その時々の実際の日本国民の人口により対応してまいるのが適切ではないかと思います。

斎藤(ア)委員 今大臣からお答えをいただいたとおり、法律に書かれた計算方法で粛々と定数の配分をするしかないというのが現在の法に基づいた統治というわけですから、しようがないんですけれども、この法律というか基準を見直して、ある程度冗長性を持たせて、もちろん違憲判決が出ない範囲の一票の格差の中で、頻繁な定数変更を避けるような仕組みを設けていくということも是非検討を進めていかなければならないのではないかなというふうに考えております。

 次に、滋賀県の話から離れますけれども、全国的に、今回の区割り改定の結果、人口格差ぎりぎり二倍以下、人口格差が一・九倍以上の選挙区では十九あることになるんですけれども、これらは、次の簡易国勢調査の結果、すぐにでもまた格差が二倍を超えるような選挙区が出てきてもおかしくない、そういった可能性はあるというふうに思っております。

 また、同じ都道府県の中でも、とても人口格差がある状態が残ってしまっているところがあります。例えば、滋賀県の隣の京都では、京都府六区、一番南の、宇治市や京田辺市などがある、ベッドタウンのあるところですけれども、こちらと京都府五区、京都の一番北側、舞鶴市などがある選挙区ですけれども、人口格差が一・九六七倍と、同じ府の中でもこれだけの格差が残るような改定の今回結果となっております。

 問題意識は先ほどの質問と同じなんですけれども、最高裁判所が示している二倍という人口格差未満のぎりぎりの状態で何とか区割り変更を行ってしのいでいくような状態が続くと、頻繁にまた区割りが変わることになってしまって、同様に、有権者の関心であったり、そういったものが下がってしまう、混乱してしまうということが懸念をされるんです。

 この区割り画定の際に、目標とする人口格差を更に小さくして頻繁な区割り変更を防ぐ、ある程度冗長性、余裕を持たせるといったことであったり、あるいは、将来の人口推計をしっかりと考慮をしながら、簡易国勢調査の結果、またすぐに選挙区を変えなければならないといったことをできるだけ避けるといったような、こういった観点が今回の区割り画定の中にあったのかなかったのか、なかったとすればなぜなのかということをお伺いできればと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の論点の検討につきましては、衆議院議員選挙区画定審議会における今回の区割り改定案の作成に当たって、審議会設置法において、直近、令和二年の国勢調査人口において、最大人口格差を二倍未満とするということが規定をされていること、そして、次の令和七年の国勢調査の結果により最大人口格差が二倍以上となった場合には、各都道府県の定数を変更することなく、審議会において、二倍未満となるよう改定案を作成することが規定されていることから、法律に明文の根拠のない二倍以外の数値だとか将来見込み人口といった独自の人口基準は用いなかったものということで承知をしております。

 ただ、令和二年国勢調査人口で格差二倍未満であったとしても、第四十九回総選挙当日有権者数で格差二倍以上となっている選挙区については、今回見直しをしないと次回総選挙でも引き続き格差二倍以上となるおそれがあることから、国勢調査実施時点からの人口異動の結果という現実に生じた客観的な事情として考慮すべきものと考えたものと承知をしております。

 今ほど京都の御指摘もございましたけれども、京都におきましては、国勢調査人口で二倍以上となっている、あるいは総選挙当日有権者数で格差二倍以上となっているという選挙区がございませんでしたので、改定の対象としなかったということでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 法律に規定のない数値で区割り変更を行っていくということでは、今、制度はそうなっていないということだったのかもしれませんけれども、ちょっとうがった見方をすると、ぎりぎり二倍未満の人口格差であれば許容して、できるだけ区割り画定を避ける方針なのかというふうにも取れるんですけれども。

 いずれにしても、こういった部分に関しても、各党会派で集まって選挙制度の在り方を見直していく中で議論していかなければならないことなんだろうというふうに理解をしましたので、そういったところにしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

 先ほど、落合議員の質問を聞いていると、選挙区が増える都市部は都市部でまた大変で、にわかには自分の選挙区が全く分からない状態になっているということを伺って、大変なんだということを認識をしました。

 一方で、先ほど申し上げたように、地方部でも一緒で、例えば私の滋賀一区は大津市と高島市だけということで非常に分かりやすい選挙区割りであるんですけれども、滋賀一区がどこなのかということを把握されている大津市民、高島市民の方というのはかなり限定される。一区、二区、三区、四区というのはどこなのかということを、そういったふうに理解しているというのはなかなかいらっしゃらないわけでございまして。

 こういったことを考えていると、この選挙区割りの周知期間が今回も一か月ということになっていますけれども、この一か月という周知期間の間に、果たして本当に自分の選挙区がどこか把握をすることが有権者の皆様は可能なのか。今でも既に分からない方が多いというふうに感じていますので、これは私の実感で、数字があるわけではないんですけれども、なかなか選挙区は分からないという中で、今回更に選挙区が大幅に変わって、私のところは変わりませんけれども、全国で大幅に変わる中で、一か月という周知期間が果たして妥当なのか、どういった理由でこの一か月になっているのかなど、政府の見解を伺えればと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

寺田国務大臣 今回の区割り法案においては、過去の区割り改定法において、公布の日から起算して一か月を経過した日から施行とされておりますこと、また、区割り審における勧告の時点から、この勧告は六月十六日でございました、各種報道がなされていることなどから、施行までの周知期間は一か月、すなわち、施行期日は区割り改定法の公布の日から起算して一か月を経過した日とし、施行日以後初めてその期日を公示される総選挙から適用としたものであります。

 この法案が成立した暁には、総務省において、区割り改定の趣旨、内容を当然国民に十分御理解いただく必要がございます。

 したがって、選挙区の変更等についても、混乱が生じないようにきめ細かく周知啓発を行ってまいりたいと思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 大臣の選挙区も変わられるということですので、そういうふうに制度で決まっているとはいえ、一か月で本当に周知ができるのかといえば、なかなか難しいというふうに私は思います。どういったふうに周知をするのかというところも相当知恵を出して、あるいは今までなかった方法を使って周知をしていかなければ全く分からない状態で、もしかしたら、一か月たったら、いろいろ今、国会でもありますので、もう解散総選挙だと総理大臣が決断するかもしれないわけでございますから、早急にこの一か月間でしっかりと周知をするんだという思いで取り組んでいただくということが必要だと思うんですけれども、どういったふうな周知を行っているのか。

 今回は、特に極めて大規模な区割り変更が全国で行われますので、今まで以上の取組というものが、既に関心が低くなっている、投票率が低くなっているという背景もありますので、しっかりと周知をしていく今まで以上の取組というものが必要だと思うんですけれども、こういったところについての取組についてお話を聞きたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の区割り改定においては、半数近くの百四十の選挙区の区域が変更されますので、有権者に混乱が生じることがないよう十分な周知に取り組まなければならないと考えております。

 総務省としては、まず、区割り改定法案が成立した際には、制度の改正周知チラシによる制度そのものの周知のほか、選挙区が改定をされる全ての都道府県において、改正前後の区割り地図を作成いたします。それから、分割区域が変更される市区などにおいては、それぞれの選挙区に対応する区域や地名、地番を表記した改正前後の区割り地図も作成いたしまして、有権者のお住まいの地域がどの選挙区になるのか、分かりやすい周知を行いたいと考えております。

 この周知に当たりましては、総務省のホームページへの掲載のほか、総務省のSNSなども活用することといたしまして各種広報に努めるとともに、この区割り地図だとかポスターについて関係の選挙管理委員会に対し配付をすることとしております。そして、関係都道府県、市区町村と連携し、各団体で発行する広報誌やホームページへの掲載、公共施設への掲示なども活用し、工夫しながら有権者の皆様への周知を継続的に実施してまいりたいと存じます。

 法案成立の暁には地方団体向けの説明会なども予定をしておりますので、その際にもしっかりお願いしてまいりたいと思っておりますし、次回の総選挙の際も、特設ホームページやSNSなどによって改めて周知を行うほか、全国の選挙管理委員会に対し、投票所入場券などに区割りの改正内容の周知を同封して配付するよう要請するなど、様々な形で周知徹底を図ってまいりたいと存じます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 選挙の際に、やっと、自分の選挙区割りがどこなのかとかいうことが分かるというのでは、やはり好ましくないと思います。できるだけ早い段階で、今回決まったらすぐに把握をされて、その区割りの中で、国政に関する政治に有権者の皆様にも参画をしていただくということが必要でございますので、その周知の仕方に関しては、やはり情報を取りに来てもらうような形、SNSであったりホームページであったり、また、そういったことを皆さんに検索して来てもらうような形だけではなかなか広がらないというような懸念を持っております。

 政治、選挙のことをこちらからがんがん伝えに行くと、有権者がうっとうしがる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、それが政治だと思いますので、しっかりと、こちらからアプローチをして、この選挙区割りの話に関しても周知を図っていくことが必要なんだと思います。

 ちょっとこれは通告をしていないんですけれども、例えばスマートフォンとかで、災害のときであったりとかJアラートであったりとか、あるいは災害の訓練のときに、プッシュ型で通知を流すということがあると思うんですけれども、こういった方式を利用して、まあ頻繁にするわけではないですけれども、新しい選挙区割りはこうこうこうになりました、何区になりましたみたいなことをプッシュ型で通知する。

 このスマホで通知を出すという方法にとどまらないんですけれども、何か有権者に取りに来てもらうんではなくて、しっかりと相手に届けるような方法で選挙区割りについてお知らせする、そういった方法について検討されていることというのはあるんでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 先ほど総務省のSNSと申し上げたのは、総務省のツイッターを使ってこういったことの周知を行っていきたいなというふうにも思っているところでございます。

 また、地方団体においても、そうしたプッシュ型でも情報が伝わるような登録の仕組みなんかを設けているようなSNSを開設しているところもあるかとも存じますので、地方団体に向けてもそういったことをお願いしてまいりたいと存じております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 電子メールを登録をして災害関連の情報を流すような仕組みをつくっている地方公共団体も多いと思いますので、それぞれの取組方は様々あると思いますけれども、是非総務省からも、できるだけプッシュ型でも選挙区割りについて通知が行くように、各地方公共団体にお願いであったりとか指導をしていただければというふうに考えております。

 では次に、ちょっと本法案の質疑からはそれるんですけれども、選挙の開票に関して質問をさせていただきたいと思います。

 国政選挙の開票作業が完了する時刻が、多くの市町村では優に日付をまたぐという状況になっていると思います。翌朝までかかる。

 今年行われた参議院選挙では、朝八時とかそういった時間にやっと当選が分かるといったこともあるかと思いますので、大変時間がかかっているのが現状でございます。

 これは、参議院では、非拘束式の比例代表制を取っているせいでとても開票に時間がかかるということがありますし、衆議院の方でも、これは参議院の方でも同じなんですけれども、立憲民主党さんと国民民主党が同じ略称で、按分作業などがあったりして余計に時間がかかるといった、そういった特殊事情もありますけれども、そういったことを抜きにしても、とにかく開票時間が長くかかってしまっていて、開票作業に当たる人の負担が大変なものになってしまっているという問題意識を持っています。

 私、昨年の選挙で当選した翌朝、また七時から駅頭に立って街頭活動をしていたんですけれども、八時前頃に私の開票立会人をしていただいた方が来てくれて、今やっと立会いが終わりましたと。もうほぼ朝八時でございましたけれども、本当に疲労こんぱいの様子でございました。

 その日はもう月曜日ですから、その方は学生でしたけれども、そのまま学校に行ったりしないといけない。仕事の方はそのまま仕事に行かれる場合もあると思いますけれども、大変な負担になってしまっていて、立会人を探すのも大変だという選挙事務所も多いというふうに思います。

 それで、またまたこれは私の地元の話で恐縮ですけれども、滋賀県の大津市は縦に細長い市域となっているせいなのか、おおむね開票がほかの市町村に比べて遅くなりがちになっています。

 昨年の衆議院選挙で申し上げますと、大津市の小選挙区の開票が確定したのが翌日の午前二時四十分、比例は翌日の午前六時十八分でございまして、大変時間がかかっている。かねてから、大津市は開票が遅いという意見を市民からいただいているんですけれども、なかなか改善できていない状況があります。

 今るる申し上げましたけれども、こういった状況で大変負担が大きくなってしまっているんですけれども、こういった開票事務の効率化に向けて、総務省、政府の方ではどういった取組を行っているのか。地方公共団体に対してどういった支援であったりとか、あるいは情報提供などを行っているのか、そういった取組について、まずお伺いをしたいというふうに思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 各選挙管理委員会における開票事務の効率化に向けまして、総務省といたしましては、投票用紙読み取り分類機や計数機など、開票事務に使用する選挙用の電子機器の導入を推進しておりまして、こうしたものでの時間短縮ということが一定程度見込まれるものと考えております。

 令和元年には選挙執行経費基準法を改正いたしまして、これらの選挙用電子機器の導入に要する経費を措置する規定も設けまして、財政面での支援も行っておるところでございます。

 それから、国政選挙に際しては、効率的な開票事務に資するよう、様々な技術的助言で支援をしております。

 具体的には、開票管理者、開票立会人、事務従事者との間で、開票手順等に係る事前打合せ、段取りを十分に行うこと、それから、開票リハーサルの実施を事前に行うことなどによって、公正かつ適正な開票事務と開票時間の短縮に努めるように助言をしております。

 それから、比例代表の按分の話もございましたけれども、比例代表選出議員の選挙における投票の効力や有効投票の按分について、事務の参考となるよう具体的な例もお示しをして、活用いただいております。

 引き続きまして、開票事務の効率化も含め、効率的な選挙の管理、執行、また自治体への支援についても努力してまいります。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 様々な取組をされているとは思うんですけれども、根本的にこれを解消する方法としては、やはりデジタルを活用することが重要だと考えております。究極的にはインターネット投票というものが考えられるわけでございますけれども、その前段階として、投票所で電子的な手段で投票する電子投票というものを導入することが有効だと思うんです。

 こういった考え方に基づいて、地方選挙においては電子投票を可とするような法改正がなされて、制度が既にある状況でございますけれども、今時点、今時点というのはちょっと言い方がざっくりして恐縮ですけれども、最後にこの電子投票が地方選挙で活用された、行われた例というのはいつだったのでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 一番直近で地方選挙における電子投票が実施をされましたのは、青森県の六戸町の町議の補選でございまして、平成二十八年の一月十七日ということでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 なかなかこの電子投票は活用が広まらずに、そして平成二十八年を最後に一件も行われていないという状況でございますけれども、その理由にはもろもろあるんだと思います。

 私も、総務省の方に聞いていると、様々なトラブルがあって、それを忌避して活用が広まらなかったということもお伺いしているんですけれども、そもそも、この電子投票制度を活用していくことが必要だ、活用を広めていくんだという御意思が今の総務省、大臣におありなのかお伺いしたいですし、できれば、国政選挙における電子投票についてはどのように御認識をされているのかということもお伺いできればと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

寺田国務大臣 委員御指摘のとおり、電子投票制度、これは事務の効率化等の観点からももちろん意義を有しており、御指摘のとおり、地方選挙においては、制度的な枠組みはできておりますが、様々なトラブルの発生、また、かつて条例を制定した自治体もその条例が廃止をされたり凍結をされている点、また、電子投票機を安定的に供給できる業者がいないという物理的な制約があるのが現状でございます。

 こうした技術的条件はあるものの、そうした電子投票が実施できるような改定を令和二年に行ったところであります。これは、全国の選挙管理委員会に対して、開票の迅速化、また電子投票のメリットについては説明会を実施をして、周知を図っております。

 電子投票システムの開発、先ほどの技術的なあるいは物理的な制約もありますが、引き続き地方自治体における電子投票の導入については促してまいりたいと思います。

 国政選挙への導入につきましては、これは投票方法の変更でございます、また選挙制度の根幹に関わる要素がありますことから、これは十分、各党各会派で御議論をいただければと存じます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 こういった電子投票の手段、あるいはそこをもう飛び越してインターネット投票をするということができれば、略称が同じで按分が発生してしまう問題だとか、あるいは同姓同名の方を出してわざと混乱を狙うような、そういった動きなども止められるというか、そういったことに左右されずにしっかりと選挙が行われるといった可能性もあると思いますので、そういったことも含めて、是非各党会派での議論を進めていきたいと思っております。

 最後に、ちょっと話が飛んでしまって恐縮なんですけれども、一点お伺いしたいんです。

 期日前投票を私も様々な理由で利用させていただいているんですけれども、期日前投票をする際には宣誓書を書かないといけなくて、投票日当日に投票に行けないんですということを、その理由を併せて書いて出さなければならないということになっているんですけれども、正直者の方からすると、選挙当日、選挙に行けるかもしれないから、この宣誓書を書くのはちょっとはばかられる、それでやはり期日前投票をやめておこうということにもなりかねないと思って、私もちょっと書くときに、うっ、うっと思ってしまって、投票日に行けるかもしれないなと思ってしまって。

 そういったことで、期日前投票の利用を促進しているのが今の政府の立場だと思うんですけれども、宣誓書の中身がその立場と相入れないというか、本音と建前が違うような状態になってしまっていると思うんですけれども、この宣誓書の中身を変えるといったことの必要性は認識をされていないのか、投票に対する阻害要因になっていないのかといったところを、ちょっとお答えいただければと思います。

森政府参考人 お答えをいたします。

 現行の選挙制度は、まず選挙期日の公示日又は告示日に立候補の届出を認め、候補者が選挙運動を行って、選挙人に投票を行うに当たっての情報を提供し、最後に選挙人が投票を行うという流れを基本としておりまして、投票日当日に投票を行うということが原則ということでございます。

 期日前投票制度は、選挙の当日に投票することが困難であると見込まれる選挙人の投票機会を確保するための例外的な投票制度であることから、宣誓書の提出を必要としている、こういうことでございます。

 したがいまして、宣誓書そのものを廃止することについては困難であるというふうに考えるところではございますけれども、宣誓書の提出に係る手続の簡素化につきましては、複数の地方公共団体から、今ほど先生御指摘のような御提案あるいは要望、こういったことが寄せられているところでもございまして、こうした提案、意見もよく聞きながら、どのような対応ができるのか十分考えてまいりたいと存じます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございました。

 いずれにしましても、各党会派で、国会議員の身分に関わるところですので、議論を深めていくことが必要だというふうに思っております。引き続き、そういった観点で各党の皆様に呼びかけていきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

平口委員長 本会議散会後直ちに委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十八分開議

平口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日もまずは寺田大臣の所管大臣としての資質、資格を問わなければなりません。

 今日の午前、文春オンラインで、寺田稔竹原後援会が発行した領収書について、二〇一八年から三年間の領収書において、寺田稔宛ての領収書に記された宛名の筆跡が十一枚にわたって酷似しており、竹原後援会側が領収書の宛名を記入していたという、領収書を偽造した疑いを報じております。

 寺田大臣は、十一月一日、参議院総務委員会で我が党の伊藤岳議員の質問に答えて、支払いを受けたお店の方も、そこは私の竹原事務所というふうにこの通称で呼ばれておりまして、寺田事務所宛てのものもございます、あるいは竹原事務所と書いてあるものもある、あるいは竹原後援会事務所と書いてあるものもあります、そして、私自身の事務所と思われて、寺田稔という名宛てで書かれている領収書もあるということでございますと答弁をしました。

 しかし、ねじやパイプを買った領収書とか区内特別郵便などの領収書など、様々なお店や郵便局で購入しているのに宛名の筆跡が同じということは、お店側が宛名を書いているのではなく、寺田事務所の方で宛名を記載したということではないのか。寺田稔後援会事務所で宛名を記載したということではないのか。

 参議院総務委員会での答弁は虚偽だったということになるのではありませんか。

寺田国務大臣 竹原後援会の事務処理についてのお尋ねでございます。

 もちろん私自身がその事務処理の詳細を承知しておりませんので、参議院の伊藤委員からの御質疑のときでございます、領収書の取扱いについて関係者から聞き取りを行いまして、その内容を、聞き取った内容をお答えしたところでございまして、聞き取りの内容をお伝えしたということでありまして、伝聞であるということを明らかにしておりますので、そのこと自体が虚偽に当たるというふうには考えておりません。

塩川委員 一日の記者会見で、「領収書の宛名が竹原後援会でなく、私の名前を用いたものは確かに存在をしておりますが、これは政治資金規正法上も全く問題なく、竹原後援会に対して発行されたものとして取り扱うことができることになっております。」と大臣は述べておられます。

 政治資金適正化委員会の、政治資金監査に関するQアンドAでは何と書いてあるか。領収書等に宛名が記載されていない場合に、国会議員関係政治団体側で追記をすることは適当ではありませんとはっきり書かれております。

 このように、追記をすることは適当ではない、この点についてはお認めになりますか。

寺田国務大臣 適正化委員会のガイドラインにおいては、もちろん、国会議員本人の名宛てであっても、それは後援会宛て、政治団体宛ての領収書として取り扱えるという記述はあるのは承知をしております。もちろん、竹原後援会という正式名称で書いていただくのが一等望ましいことは、そのとおりであろうかと思います。

塩川委員 国会議員関係政治団体側で追記をすることは適当ではありません、この点については、適当ではないということはお認めになりますね。

寺田国務大臣 おっしゃるとおり、そういう、可能な範囲で、お店の方で、すなわち支払いを受けた方で記入をしていただくべきであろうかと思います。

塩川委員 その場合に、お店はばらばらなのにその筆跡が同じということになりますと、これは虚偽ということに当然なるわけですが、その点については確認をしていただけませんか。

寺田国務大臣 前回、伊藤委員の質疑のときにおいては、関係者に聞き取りを行った結果をそのままお伝えをしたところでございます。それは、あくまで聞き取りの内容、伝聞であるということを明らかにした上でのお答えでございますが、実際、誰が書いたかについては確認をさせてもらいます。

塩川委員 この寺田稔宛ての領収書に記された宛名の筆跡が十一枚にわたって同じ人物ではないのかということが問われているわけであります。この点について是非御確認いただきたいということと、大臣の答弁の中で、お店の方で書き直す時間があれば後援会宛てに書き直していただいているというお話もありまして、過去三年間の収支報告書において、この竹原後援会名に宛名を手書きで書き直した、そういう領収書はないと承知をしておりますが、この後援会宛てに書き直していただいているという答弁は、本当に事実に即したものなんでしょうか。

寺田国務大臣 これは一度、私自身が後援会の方とお店に行って物を購入して、領収書は何と書きましょうかというふうに言われて、その方は私宛て、個人宛ての領収書を用意されていたので、いや、でき得ればこの後援会宛てに書き直してくださいと私自身が申し上げたことでございます。

 したがって、実際の、現実の事務処理がどういうふうに行われたかについての詳細は承知しておりませんので、先ほど言ったような、聞き取りによることをお伝えをしたということでございます。

塩川委員 是非、その点も含めて確認をいただいて、御報告をお願いしたいと思います。

 QアンドAについても、これにふさわしい事態になっていないということが問われているわけであります。

 過去、政治資金パーティーの会費を払った際に白紙の領収書をもらって自分たちで書き込んでいたことが、二〇一六年当時、大きな問題となりました。当時の安倍総理は、法律上問題ないと弁明しながらも、改善するよう幹事長から通達したと言わざるを得ませんでした。白紙領収書の問題が国民の政治不信を招いたこと、これを自民党が認め、所属議員に通達をしたものであります。寺田大臣も御存じだと思います。それなのに、令和元年の収支報告書の領収書には、自民党広島参議院選挙区第六支部の領収証がありますけれども、これはパーティー券であります、その宛名の筆跡も同じ筆跡のものとされております。

 改めて確認していただきたいんですが、こういった広島参院選挙区の第六支部の領収証、パーティー券代、こういったことについて、領収書の追記が頻繁に行われているんじゃないのかという疑念が浮かぶわけですが、この点についても明らかにしていただけますか。

寺田国務大臣 ちょっと、私自身、その領収書自身を見てもおりませんし、収支報告自体、私はチェックする立場にございませんので。

 いずれにしても、確認をさせてもらいます。

塩川委員 寺田稔竹原後援会については疑問が尽きないわけです。

 前回の私の質問に、会計責任者が亡くなってから三年間も届出を訂正しないままでいたこと、これが政治資金規正法に反していることをお認めになりました。政治資金規正法を所管する大臣の後援会が法律違反をしていたという重大な問題であります。

 また、大臣は、会計責任者の職務代行者がいて、収支報告書に記載されている二人の事務担当者、そして、別の事務を取り扱う者がいると答弁をしております。この間の答弁の中で、職務代行者、二人の事務担当者のうちの一人、また、別に事務を扱う者については、大臣との雇用関係はないということをお答えになっています。もう一人の事務担当者の方は、大臣と雇用関係があるということです。

 そこで、大臣と雇用関係にないと言った方ですけれども、例えば、この職務代行者の方は、どこからその仕事に係る給料あるいは報酬を受け取っているんでしょうか。

寺田国務大臣 私がお聞きしておりましたのは、職務代行者として別に代行としての報酬は得ていないというふうに聞いております。

塩川委員 それでは、事務担当者の方ですけれども、お二人のうちの一人は雇用関係にある、地元の秘書の方だということ、そこはそれでよろしいんですよね。

寺田国務大臣 そこに書いてある事務担当者の一人は、秘書ではないんですけれども、事務員といいましょうか、常勤雇用の方が一名名前が入っているというのはおっしゃるとおりです。秘書という扱いにはしておりません。

塩川委員 これは、第五選挙区支部で賃金の支払いをしている方ということでよろしいんでしょうか。

寺田国務大臣 そうです。常勤雇用の方は、第五選挙区支部で支払っております。

塩川委員 それでは、もう一人の方について、当然、竹原後援会の事務所において事務なりを行っておられる方だと思いますけれども、その方は、その仕事に対しての給料あるいは報酬はどこから得ているんでしょうか。

寺田国務大臣 もう一人は、常勤という形態ではありませんで、いわゆるお手伝いという形態で、毎日来るという扱いではなくて、その都度、必要が生ずれば仕事をしていただくという形態になっておりまして、これは竹原後援会から払っているのではなくて、報酬という形でもって、私の別の関係政治団体である以正会の方から報酬の形で支払っております。これは常勤ではございません。

塩川委員 以正会は報酬の話が話題になったところですけれども、この以正会の人件費から、このもう一人の事務担当者の方の報酬を支払われているということでよろしいですね。

寺田国務大臣 はい、常勤ではない者で、支部職員でなく、報酬という形で以正会から払わせていただいております。

塩川委員 さらに、別に事務を取り扱う者がいるということですが、この方について、その仕事に見合う給与あるいは報酬というのはどうなっているんでしょうか。

寺田国務大臣 別の事務を取り扱う者も、これは常勤の方ではございませんので、報酬という形でもって以正会の方からその仕事に応じて支払いをさせていただいております。

塩川委員 ですから、実際に事務を担当している方、また、別に事務を取り扱う方というのが、直接、第五選挙区支部で雇用関係にある方とともに以正会から報酬を得ている。以正会そのものは、もちろん代表の方はお知り合いの方であるわけですけれども、いわばそういう意味では身内の方で、一体であります。そういった点でいうと、寺田稔竹原後援会というのはどういう運営をしているのかということになるわけです。

 寺田稔竹原後援会の代表者が、自分は後援会の代表ではないと各種の報道で述べております。九十代のこの男性の方は、自分が代表であるはずがない、五年以上前から後援会とは関わりがない、憤りを感じる、無責任極まりないと述べています。

 この竹原後援会の代表の方は、五年以上前から後援会とは関わりがないということは、御承知だったんでしょうか。

寺田国務大臣 その代表だった方は、平成二十六年十一月から直近まで、今年の十一月、変更届が出されるまで代表を務められていたことは事実でございます。現に、平成二十六年に代表に就任されたときには、自ら代表の名刺をお作りになって、私の事務所にその名刺を持ってこられて、竹原後援会の代表になりましたと御挨拶をされたというふうに後ほど報告を受けております。

塩川委員 近年、この二年、三年において、この後援会の代表として、この代表名を上げている方が、実際にそういった後援会の場で挨拶をされたりということはあったんでしょうか。

寺田国務大臣 政治団体竹原後援会の代表の方ですので、竹原後援会の役員会であるとか、私自身はもちろん参加しておりませんが、代表というお立場でもって竹原後援会において活動されていたんだろうというふうに思っております。

 どういう御挨拶をされたかは、ちょっと私も、出ておりません、存じておりません。

塩川委員 であろうという話であって、具体の話としての事実関係についてはお述べになりませんでした。

 大臣は、竹原後援会は自分とは別の独立した別団体だということをずっと申し上げているわけです。でも一方、事務担当者の一人は地元の雇用関係にある方でありますし、もう一人の事務担当者の方と実際に事務を取り扱っていた方というのは以正会から報酬を得ている方であります。

 そうなりますと、代表者は不在、会計責任者も不在、事務担当の人は大臣と深い関わりのあるそういった方々ばかりということになりますと、この竹原後援会そのものがいわば大臣の身と一体の組織だということは明らかであるわけですし、当然、収入の面でも、竹原後援会に、大臣が代表の自民党広島県第五選挙区支部から高額の寄附を受けているわけであります。事実上、竹原後援会が広島第五選挙区支部と一体となっているということは明らかで、これは独立した別団体だと言い張ることはもうできないんじゃありませんか。

寺田国務大臣 事務担当者に確かに一名常勤職員が名を連ねておりますが、これは何か必要があれば竹原後援会のお手伝いをしてくださいという意味でございまして、実際ほとんど私の第五支部の常勤職員の方は竹原後援会の事務はしていなかったようでございます。

 先ほど言われた代表の方は、直近まで代表を務めておられましたし、また、実態としてもそうしたお仕事をされていたんだというふうに思います。

 この竹原後援会というのは、あくまで私とは別の団体として認識をしておりますし、恐らく後援会の方も、自ら独立した政治団体として活動されていたということでございます。

塩川委員 実際、でも、その活動を見ても、事務担当者の方の人件費というのは、竹原後援会ではゼロじゃないですか。ですから、竹原後援会が自前で運営しているわけじゃないんですよ。第五選挙区支部又は以正会という格好で、大臣が深く関わって、その事務担当者が実際の活動を行っているということであれば、これはまさに別団体ではなくて一体のものというふうになるのは当たり前じゃありませんか。

寺田国務大臣 もちろん、竹原後援会として、後援会としての活動、政治活動をしておりますから、これは実体のある政治団体ですし、一定の経費もかかっております。もちろん、第五支部からもお金は行っておりますから、自らも、竹原後援会としての収入は存在をいたしております。

 そして、役員構成も、先ほども申しましたように、第五支部とは全く別でございますし、先ほど、一名ほど常勤職員は、何かあればお手伝いをしてほしいという立場で事務担当者の名前に入っているということでございます。

塩川委員 元々、国会議員関係政治団体というのは、まさにお金を透明化をするということで示されている、政治家とまさに一体の団体だということが前提にあるわけですから、そこを別だ別だと言い募ること自身が全く筋が通らないということであります。

 そういう点でも、この大臣の行ってきた対応というのが余りにも所管大臣としてふさわしくないということを言わざるを得ません。

 大臣が、二〇〇九年、自らのブログで、政治と金にまつわる報道に触れて、ガラス張りのクリーンな政治を目指してまいりますと書いております。亡くなっている方が会計責任者、届出をしている職務代行者、事務担当者がいても、実際には違う別な人が会計処理を行っている、さらに、領収書の宛名の筆跡が同一人物ではないのかといったことを含めてみても、こういった具体の話がガラス張りだと言えるんでしょうか。

寺田国務大臣 御指摘の竹原後援会については、もちろん私はその事務処理の詳細を承知をしておりませんが、ブログ、御指摘の二〇〇九年四月のブログ、これは、そのときから一円単位の領収書添付というふうになりまして、領収書が一円単位、すなわち一円以上支出があれば領収書をつけるというふうなことになったがために、そうしたことを記載をしております。

 いずれにしても、竹原後援会の事務処理等について、現在、告発もなされておりまして、今後、もちろんどういうふうな捜査になるか分かりませんが、予断を与えるようなことは私ども差し控えたいと思います。

塩川委員 所管する法の趣旨や目的を理解していない寺田大臣は大臣の任に値しない、所管大臣としての資格がないということを申し上げざるを得ません。

 そこで、先日お聞きすることができなかった統一地方選の期日特例法案について一つお尋ねします。

 法案には、統一対象期間、三月一日から五月三十一日に任期満了を迎える地方自治体の首長、議員の選挙に加え、六月一日から六月十日に任期満了する自治体も統一地方選挙で選挙できるとする任意の規定があります。

 この任意規定は、九五年一月の阪神・淡路大震災がきっかけです。被災した自治体は、九五年四月に予定していた統一選挙を六月十日まで繰り延べたことから、次の九九年四月の統一選挙での選挙実施を望んだ被災自治体に配慮して設けられたものですが、この間、状況は変わっています。

 兵庫県議会などが要望し、任期短縮特例法が二〇一七年通常国会で成立しました。この特例法により、これら被災自治体は、それぞれの議会での議決を経て、一九年統一地方選挙での当選者の任期を三年十か月に短縮する措置を取りました。任期短縮を行った自治体は、任意規定を用いることなく統一地方選挙を行えることになりました。統一地方選の対象となる選挙に、六月の一日から六月の十日任期満了の首長も実施できるとした任意規定を残しているのはなぜなのか。

 こういう規定は阪神・淡路大震災を起因にして設けられたものであり、それが改められた中で、この任意規定が必要ないんじゃないのかと思いますが、この点についてお答えください。

森政府参考人 お答えをいたします。

 阪神・淡路大震災に伴い任期が延長された被災地方公共団体につきましては、御指摘のとおり、平成二十九年の任期特例法により任期の短縮が行われ、任期満了日が令和五年四月二十九日又は三十日となったことから、統一地方選特例法第一条第一項の規定により統一対象となります。

 一方で、御指摘の、六月十日までに長の任期が満了する団体について、統一地方選挙として選挙を行うことができることとする特例につきましては、阪神・淡路大震災に伴い任期が延長された地方公共団体に限ったものではないこと、平成十一年以降、平成三十一年の統一地方選挙まで計六回にわたり設けられ、現にこれまでの統一地方選挙で当該特例を適用してきている地方公共団体が存在すること、総務省において意向確認調査を行ったところ、令和五年六月一日から十日までに任期満了となる地方公共団体の長の選挙について、統一地方選挙として行う意向であると回答した地方公共団体があること、また、当該特例を設けても特段支障が生じるとは考えられず、むしろ統一率を高めることで国民の関心を高めるという本法案の目的に資すると考えられることから、今回の統一地方選挙においても当該特例を設けようとするものでございます。

塩川委員 経緯を見ても、この六月一日から十日までの任意規定は必要がないと改めて述べておくものです。

 この委員会での議論でも、再統一とか統一率を高めるといったお話もありましたけれども、それぞれの自治体の事情によって今の選挙期日があるわけです。統一率を高めるということが、対象選挙を拡大したり、任期を短縮、延長して選挙日を統一するということになるわけですが、でも、そのことは、住民の政治参加や参政権、公務員の選定、罷免権の行使という憲法上保障された国民主権と議会制民主主義上の原則に関わる問題です。

 選挙は民主主義の根幹を成すもので、国民の基本的な権利である選挙権は大変重いものです。地方議員の任期は四年間であり、四年ごとに住民の信託を受け住民の意思を反映することは、憲法からいっても民主主義からいっても大原則であります。この国民の権利を制限することは極力避けるべきだということを指摘しておきます。

 そこで、区割り法案についてお尋ねをいたします。

 今回の区割り改定案は、二十五都道府県百四十選挙区の区割りが変更となります。現行の小選挙区比例代表並立制が導入されて以降、二〇〇一年の改定時は二十都道府県六十八選挙区、二〇一三年の〇増五減による区割り改定は十七都府県四十二選挙区、二〇一七年の〇増六減による区割り改定は十九都道府県九十七選挙区、そして今回、十増十減の区割り改定案は二十五都道府県百四十選挙区、四回の区割り見直しが行われてきております。

 この間行われてきた小選挙区の、〇増五減、〇増六減で区割り変更が行われてきたが、本案により、三たび、三度区割り変更が行われた選挙区というのはどれだけあるんでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十五年、平成二十九年に続き、今回の区割り改定で三回続けて区割り改定が行われることとなる選挙区は、二百八十九選挙区のうち十五選挙区であり、具体的には、宮城県の三選挙区、千葉県の二選挙区、東京都の四選挙区、神奈川県の二選挙区、愛媛県の二選挙区、長崎県の二選挙区であると承知をしております。

塩川委員 十五選挙区もあるということです。かなり多くの選挙区だと思います。

 今回は、格差二倍未満とする、分割市区を減らすという基本方針の下で行われたものですが、今回の区割り改定は過去最多であり、全体の半数の選挙区に及びます。多くの有権者に影響を及ぼすことになります。ある報道では、まさか自分のエリアで区割りが起きるとは思わなかった、応援していた候補者に投票できなくなることには戸惑いを感じると答える声も取り上げられていました。

 大臣にお尋ねしますが、有権者が選挙のたびに不自然な選挙区変更を強いられていることについては、どのように受け止めておられますか。

寺田国務大臣 先ほども選挙部長の説明がありましたが、平成二十八年の衆議院選挙制度改革関連法などにより、これまで最小限の区割りの改定にとどめたことから、例えば平成二十九年の区割り改定においては、都市部においては選挙区の格差を二倍未満とする、また、地方部においては、各選挙区の人口を基準選挙区以上とするために、市区の分割が多数に上ったものというふうに承知をいたしております。

 一方、今回の区割り改定に当たりましては、令和二年の大規模国勢調査に基づきましてアダムズ方式による配分を行った上で、各選挙区の人口格差を二倍未満とするほか、地域のまとまりなども配慮して、非常に要望が強かった市区町村の分割の解消などが、一部まだ残っておりますが、行われたものと承知をいたしております。

 次回の令和七年予定の国勢調査の結果によりまして格差二倍以上となった選挙区が生じた場合に限って、またこの区割り審において格差が二倍未満となるような改定案を作成する旨が規定をされているわけでございます。

 いずれにしても、今回、そうしたアダムズ法による調整を行ったということで御理解いただきたいと思います。

塩川委員 有権者への周知を図ることは極めて重要であります。

 さらに、この区割り改定案は最大格差が一・九九九倍。二〇二五年国勢調査の結果では、更に区割り変更が行われる可能性があります。こういった混乱を招くのが、小選挙区制を取り続けているからであります。小選挙区制導入以降、区割り変更が行われても格差の問題は続き、投票価値の平等を保障する抜本的格差是正はできませんでした。

 日本共産党は、一九九三年に政治改革と称して現行の小選挙区比例代表並立制が提案されたときから、小選挙区制導入そのものに反対するとともに、小選挙区制が、少なくない有権者が、市町村の行政単位や地域社会を分断する異常な線引きを押しつけられ、選挙のたびに不自然な選挙区変更を強いられることになると指摘をしてきました。まさに今そのとおりの事態が起こっている。投票権の平等という憲法の原則とは矛盾する制度だと言わざるを得ません。

 選挙制度は民主主義の根幹であり、主権者である国民の参政権の問題であって、その基本原則は、国民の多様な民意を鏡に映すようにできる限り正確に反映することでなければなりません。有権者が投票した票が反映されているのかどうか、この点で、現行の小選挙区比例代表並立制の選挙結果について確認をしたい。

 現行制度が導入されて以降の各総選挙における第一党の得票率と獲得当選人率、比率のみ答えていただけますか。

森政府参考人 お答えいたします。

 令和三年衆議院総選挙の小選挙区選出議員選挙、第一党、自由民主党、得票率四八・一%、当選人数に占める当選人数の割合は六四・七%となっております。

 同様に、平成二十九年衆議院議員総選挙、第一党は自由民主党、得票率は四七・八%、当選人数の割合は七四・四%となっております。

 平成二十六年衆議院議員総選挙、第一党は自由民主党、得票率は四八・一%、当選人数の割合は七五・三%となっております。

塩川委員 そのさきにも遡っても七割台。得票率について、第一党の得票率が四割台にもかかわらず、六割から八割もの議席を占めております。得票と獲得議席に著しい乖離が生じています。

 小選挙区は、民意をゆがめて、比較第一党の虚構の多数をつくり出す一方で、少数政党は得票率に見合った議席配分を得られず、獲得議席を大幅に切り縮められる。各選挙区で最大得票の候補者一人しか当選しないために、それ以外の候補者の得票は死票となります。

 二〇一七年、二〇二一年総選挙における落選人の得票、いわゆる死票の合計数が総得票数に占める死票率、比率のみお答えいただきたい。

 また、一七年、二一年総選挙で、死票率五〇%以上、六〇%以上の小選挙区数はどれだけになりますか。

森政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年衆議院議員総選挙の小選挙区選出議員の選挙結果における死票率の方だけということでございましたので、四八%となっております。

 また、全体二百八十九小選挙区のうち、小選挙区ごとの総得票数に占める落選者の得票数の合計の割合が、五〇%以上の小選挙区の占める割合が四一・二%、六〇%以上の小選挙区が占める割合は四・五%でございます。

 また、次に、令和三年衆議院議員総選挙において、落選者の得票数が、総得票数に占める落選者の得票数の合計の割合、四六・五%となっております。

 また、全体二百八十九小選挙区のうち、小選挙区ごとの総得票数に占める落選者の得票数の合計の割合が、五〇%以上の小選挙区の割合は三一・一%、六〇%以上の割合は三・八%でございます。

塩川委員 自民党について見れば、結党直後の一九五八年総選挙で、有権者全体に占める得票割合、絶対得票率は四四・二%でしたが、昨年総選挙の比例代表での自民党の絶対得票率は一八・九%でした。

 自民党政権は、有権者全体の二割に満たない支持で獲得した多数議席の下で、国民の反対を押し切って、これまで、安保法制の立憲主義のじゅうりんを始め、秘密保護法や共謀罪法など、憲法破壊の政治を強行させてきた。まさに小選挙区制の害悪を明白に示すものです。

 民意を集約した虚構の多数政権による強引な政治、多数のおごり、国民の民意を反映しない政治をつくり出してきたこの小選挙区制の根本的な欠陥を見直すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

平口委員長 次に、斎藤洋明君。

斎藤(洋)委員 自由民主党の斎藤洋明です。

 質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。

 早速質問に入らせていただきます。

 いわゆる十増十減に関連いたしまして、お尋ねをいたします。

 令和四年六月十六日に衆議院選挙区画定審議会が公表いたしました都道府県知事の意見を拝見いたしますと、市区町村の分割解消を求めるという意見が非常に強うございます。

 まず、基本的なことといたしまして、この市区町村の分割解消、今回の改定案にはどのように反映されていますでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、審議会が都道府県知事に対して行った意見照会では、自治体としての一体感の阻害や選挙人の混乱などを理由として、分割市区町の解消を望む多くの意見が寄せられたと承知をしております。

 審議会においては、これらの意見や、これまでも改定が行われる地域において分割解消を行ってきたことに鑑み、市区町村の区域は分割しないことを原則とし、一定の分割基準に該当する場合に限って分割することとして、審議の結果、分割市区町の数は現行の百五から大幅に減少して三十二となり、五市区にあった三分割の状態は全て解消されたと承知をしております。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 市区町村は、生活、行政の基本単位であると同時に、選挙の実務で見ますと、開票作業も市区町村が行うわけでありますから、この分割の解消というのは非常に重要であったと思います。

 関連してお尋ねいたします。

 知事意見には、生活圏又は広域行政圏を分割しないように求める意見も非常に多数ございました。この点はいかがでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のとおり、知事意見においては、分割市区町の解消を望む意見のほか、生活圏や広域行政圏などの地域のまとまりを分割しないよう求める多くの意見が寄せられたと承知をしております。

 こうした意見を踏まえ、区割り改定案の作成に当たっては、審議会において、行政区画のほか、地勢や交通の状況、一部事務組合などの広域行政の状況、地域区分など、地域のまとまりも考慮して検討が行われたものと承知をしております。

 地域のつながりなどについては様々な要素や観点があるところではございますが、審議会においては、投票価値の平等の要請に基づきながら、できる限り地域の実情に沿ったものとなるよう努力をいただき、最善と考えられる改定案を取りまとめていただいたものと考えております。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 市区町村と違いまして、生活圏とか広域行政圏となりますと、定義が一義的に明らかではないものですし、そもそも二倍以内に収めるという大原則もあります。区割り審の皆様には大変な御苦労であったと思いますが、引き続き、この区割りの見直しというのは行われるわけでありますから、生活圏、広域行政圏への最大限の配慮を求めたいと思います。

 次にお伺いをいたします。

 施行期日は公布の日から一か月ということでありますが、知事意見では、見ておりますと、新区割りが確定した後に国において責任を持って周知、広報に努めてほしいという意見がございました。国として新区割りについてどのように周知、広報に取り組んでいくのか、お尋ねしたいと思います。

尾身副大臣 お答えいたします。

 今回の区割り改定においては、選挙区間の人口格差を二倍未満とすることに加え、十五都県で議員定数の増減が行われること、また、分割されていた市区町の解消にも努めたことから、半数近くの選挙区の区域が変更されることになり、有権者に対し、混乱が生じないよう、それぞれの見直し内容について丁寧に周知していくことが重要です。

 総務省としては、区割り改定法案が成立した際には、制度改正周知チラシはもとより、選挙区が改定される全ての都道府県において、都道府県や政令市を範囲とした改正前後の区割り地図を作成するとともに、分割区域が変更される市区などにおいては、それぞれの選挙区に対応する区域や地名、地番を表記した改正前後の区割り地図を作成し、お住まいの地域がどの選挙区になるのか、分かりやすい周知を行いたいと考えております。

 具体的には、総務省ホームページへの掲載を始め、各種広報に努めるとともに、区割り地図やポスターについて、関係都道府県及び市区町村選挙管理委員会に対し、必要な部数を配付することとしております。

 関係都道府県、市区町村と連携し、各団体で発行する広報誌やホームページへの掲載、公共施設への掲示などを通じ、有権者の皆様に改正内容が周知されるよう、きめ細やかな周知を継続的に実施してまいります。

 さらに、次回の総選挙が実施される際においても、特設ホームページやリーフレットを用いて区割り改定について改めて周知を行うほか、全国の選挙管理委員会に対し、投票所入場券に区割りの改正内容の周知チラシを同封して配付するよう要請するなど、周知徹底を図ってまいります。

斎藤(洋)委員 しっかり周知徹底をお願いしたいと思います。

 知事意見を拝見していますと、区割りの改定は国の仕事でありますから、国においてしっかり対応してほしいという意見があったと思います。しっかりお願いしたいと思います。

 知事意見関連では最後にしたいと思いますが、知事の意見を拝見しておりますと、特に地方の知事から、投票価値の平等は大変重要であるということを前提としながらも、人口減少地域、過疎地域の声が国政に届くようにしっかり配慮していただきたいという意見が多数ございました。

 また、東日本大震災の避難者が多数おられる県では、人口はまだまだ流動的である、お帰りになる方々もおられるということで配慮を求める声でありますとか、あるいは、ほかの委員の質問でも言及がございましたが、東京一極集中の是正のための政策誘導を求めるという御意見もございました。

 こうした地方の意見に対する見解をお尋ねいたします。

寺田国務大臣 御指摘のように、地方選出の国会議員が減ってしまう、そして地方の意見が反映されにくくなることを懸念する声が知事意見等で出されておることは承知をいたしております。

 今回、御承知のとおり、区割り審が令和二年の大規模国勢調査に基づきアダムズ方式によりまして勧告を出し、それに基づきこの区割りの法律案、公職選挙法改正案を提出をさせていただいたものでございます。

 この各都道府県の小選挙区の定数配分の方法も含めて、衆議院の選挙制度の在り方につきましては、これは議会政治の根幹であり、各党各会派において御議論いただくべき事項でありますが、もとより地方の人口減少を食い止めていくことや、地方の活性化を図ること、またデジタル田園都市国家構想、また東日本大震災からの復興、また過度な東京一極集中の是正などは非常に重要な政策課題でありまして、総務省としても、活力ある地域づくりに向けて、関係省庁と連携しながら取り組んでまいりたいと思います。

斎藤(洋)委員 大臣、ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいと思います。

 知事の御意見の半分は、地方の声が国政に届くようにというプロセスの話ですが、もう半分は、地方の支援をもっと充実をさせて人口減少対策などをしっかりやっていただきたいという政策面の要請でもあると思います。是非、特に選挙制度の在り方はおっしゃるとおり各党各会派でということになりますが、地方支援施策の充実という要請にはしっかり引き続き応えていっていただきたいと思います。

 次に、選挙制度の在り方ということで関連してお尋ねをしたいと思います。

 投票価値の平等とそれから人口少数地域の意見反映というのは、ある面相反する部分があります。こういった相反する民主主義の要請を受けまして、他国の例を見ますと、衆議院、下院は人口比例がベースという国が多いと思います。一方で、上院につきましては、ある程度地域代表制的な要素を取り入れている国もあると承知をしております。

 その観点でお尋ねいたしますが、海外で二院制を取ります民主主義国家におきましては、上院と下院の在り方はどのようになっていますでしょうか。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねの諸外国における選挙制度について、国立国会図書館の資料によりますと、例えば、アメリカにおいては、上院議員は各州二名ずつ選出する旨、下院議員は人口比例による定数配分を原則とし、各州に定数一名を保障する旨が、それぞれ連邦憲法に規定されているものと承知をしております。

 また、フランスにおいては、上院について、地方公共団体の代表を確保し、間接選挙により選出する旨が憲法に規定をされ、具体的には、おおむね各県を選挙区の単位として間接選挙により選出することとされており、現在の定数配分は、おおむね、人口十五万人までにつき一人、それを超える場合は人口二十五万人までごとに一人ずつ追加して配分されているものと承知をしております。

 さらに、スペインでは、憲法上、上院を地域代表と位置づけた上で、直接選挙により選出される議員について原則として各県に四人ずつ定数を配分し、自治州議会の指名により選出される議員については各州に少なくとも一人の定数を配分するといった規定となっているものと承知をしておるところでございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 参議院が合区になっている選挙区がございますが、合区になっていると投票率が低いとか、あるいは選挙後の意見の反映も困難な場合があるというような意見を私も伺います。この合区の解消であれ、あるいは地域代表的な性質を取り入れるのであれ、憲法改正が必要なことではありますが、是非この点も議論を進めていっていただきたいと思っております。

 続きまして、今回の区割り改定に関連しまして、岡山県、滋賀県で、区割り改定で一旦小選挙区の数が減った後でまた増えるということが想定されている県がございます。もう午前中で質問が出ておりましたので、ここで改めて答弁を求めないことにしたいと思いますが、こうした増減は有権者にとって分かりにくいだけではなくて、選挙実務上も多々問題があると思います。

 これはあくまでも今後の議論でありますけれども、こうした、減るけれども将来増えることが予測されているという場合に、あえて一旦減らすということをしないということが、私は立法府の裁量として認められる余地があると個人的には思っておりますので、この点は是非今後の議論でまた私も意見を述べていきたいというふうに思っております。

 では、次の質問に移ります。

 この点も既に質問が出ておりましたが、今回の区割り案によっても一・九倍を超えている選挙区がございます。十月二十四日の倫選特での質疑でも答弁が出ておりましたが、改めまして総務省の見解をお尋ねしたいと思います。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 衆議院議員選挙区画定審議会設置法においては、令和二年の国勢調査人口による日本国民の人口において、各選挙区間の人口格差を二倍未満とするということが規定をされております。

 先般の委員会で、区割り審議会の久保会長代理からは、そのように法律で明確に規定をされており、また、合理性のある将来推計人口を算出することは困難であることから、これ以外の人口基準を一律に適用すべき改定基準とすることは難しいと判断したとの答弁があったところでございます。

 ただし、今回の改定作業の最中に執行された第四十九回総選挙において、当日有権者数ベースで格差二倍以上となった選挙区が二十九存在しており、これらの選挙区については、見直しを行わないと引き続き格差二倍以上となるおそれがあることから、審議会において、国勢調査実施時点からの人口異動の結果という現実に生じた客観的な事情として考慮することとし、当該格差が二倍未満となるよう見直しが行われたものと承知をしており、総務省としても、勧告を尊重して本法案を提出をしておるところでございます。

 また、同審議会設置法四条二項において、十年後を待たずに、中間年の国勢調査の結果で選挙区間の最大格差が二倍以上となったときは審議会が改定案を作成すると定めており、次回、令和七年の国勢調査の結果によって最大格差二倍以上となったときは、当該規定によって対応されるものと存じております。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 今回の勧告は、前提として二倍を超えないようにするという作業方針でありますから、今回の勧告の内容についてということではないんですが、今後各党会派で議論を進めていくに当たって、一・九倍を超えるような、二倍に限りなく近いような選挙区をつくることがかえって頻繁な区割りの変更につながらないか、ひいては、投票率の低下ですとか、政治参加意識の涵養の逆になってしまうということにつながらないかということについては、私もしっかりまた議論に参加していきたいと思います。

 関連いたしまして、もう一点、今般の区割り改定作業で、アダムズ方式、これを採用することになった経緯と、それからアダムズ方式の特徴を、簡単に改めて見解を求めたいと思います。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 これまで採用されてきておりました、従来の都道府県別定数配分方式である一人別枠方式というものについては、各都道府県にあらかじめ定数を一ずつ配分した上で、残りの定数を人口に比例して配分する方式でございますが、当該方式が、平成二十三年最高裁判決において、選挙区間の投票価値の格差を生じさせる主要な要因であって、もはや合理性が失われたと指摘されたことから、平成二十四年のいわゆる緊急是正法により削除されました。

 そして、今般導入されたアダムズ方式というのは、各都道府県の人口をある除数で割り、商の小数点以下を切り上げた値を各都道府県の定数とする方式とされております。

 衆議院に設置された衆議院選挙制度に関する調査会の平成二十八年一月答申において、都道府県への議席配分方式について満たすべき条件として、比例性のある配分方式に基づいて都道府県に配分すること、選挙区間の一票の格差を小さくするために、都道府県間の一票の格差をできるだけ小さくすること、都道府県間の配分議席の増減変動が小さいこと、一定程度将来にわたっても有効に機能し得る方式であることの四点を確認した上で、諸外国において検討されてきた九方式のうち、従来の定数配分からの増減変動が最も小さい方式であったアダムズ方式が望ましいとされ、採用されたものと承知をしております。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 人口を割り算した後で切上げをすることによって、事実上、人口少数地域にとって必ずしも不利な仕組みではないということは私も理解をしています。

 先ほどの一・九倍の質疑に関することとちょっと方向性は違うかもしれませんが、事実上、少しでも人口少数地域への配慮ということでは、アダムズ方式には一定の意義があるものというふうに理解をいたします。

 続きまして、十増十減と少し離れますが、電子投票等について何点か確認をさせていただきたいと思います。

 まず、午前中の質疑にもありましたが、地方自治体に広がらない理由につきましては、そのコストですとか信頼性の問題だということが午前中に既に出ておりましたので、この質問は割愛させていただきます。

 続きまして、この電子投票ですけれども、つまり、遠隔ではなくて投票所で、現場で行う電子投票ですけれども、これがトラブルなく行われれば開票事務の簡略化には非常に資するものであります。ですから、信頼性を担保してコストを低減するということを大前提に、国が積極的に取り組むべきではないかと考えますが、総務大臣政務官の見解をお伺いしたいと思います。

中川大臣政務官 今、斎藤議員御指摘いただきました電子投票の促進についてでございますが、総務省として積極的に取り組むべき課題と認識をしているところでございます。

 なお、電子投票を実施する際のコストについての聞き取り調査によれば、これまで電子投票を実施した団体においては、開票にかかる人件費などの削減が図られる一方で、電子投票機の導入経費や事業者によるサポート経費が追加でかかることから、自書式の投票と比較して高くなっている状況がございました。

 このような状況を踏まえ、総務省としては、電子投票システムが備えるべき技術的条件に関し、これまでのトラブル事例や電子機器の技術の進展を踏まえて、タブレット端末などの汎用機を用いた電子投票が実施できるようにするなどの改定を令和二年に行ったところでございます。

 これを踏まえ、全国の選挙管理委員会に対し、開票の迅速化や疑問票、無効票がなくなることなどの電子投票のメリットや、技術的条件の改定内容などについて周知するとともに、電子投票システムの開発事業者に対しても、必要な助言を行ってまいります。

 今後、タブレット端末などの汎用機を用いた電子投票機が開発、供給されることにより、電子投票を実施する際のコストについては低減されるものと考えており、引き続き、地方公共団体における電子投票の導入を促してまいりたいと考えておるところでございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 現時点では課題があるということですが、電子投票は非常に大きな可能性のあるものでありますので、モデル地区的に積極的に取り組む自治体があれば、是非総務省から応援をしていただきたいと思います。

 今お尋ねしたのは電子投票ですが、今度はインターネットを介した遠隔投票、こちらの方ははるかにまだまだハードルは高いと思いますが、このインターネットを介した遠隔投票制度の実現の、まずは技術的可能性につきまして見解をお伺いしたいと思います。

森政府参考人 お答えをいたします。

 インターネット投票は、投票しにくい環境にある選挙人の投票環境向上にとって有用と考えられますが、一方で、投票管理者や投票立会人が不在の投票となることから、選挙の公平公正の確保を図ることが大変重要な課題と認識をしております。

 現在、総務省では、平成三十年八月の総務省研究会報告を踏まえ、郵便等投票が広く認められている在外選挙におけるインターネット投票について、実証用のシステムを用いた検証を行うとともに、制度、運用面の論点の洗い出しを行ってきております。

 導入に当たりましては、マイナンバーカードの海外利用を前提とした確実な本人確認や二重投票の防止、投票の秘密保持という選挙特有の課題に対応するとともに、システムのセキュリティー対策などの重要な課題について確実な対応を行うことが必要となります。

 他方、国内のインターネット投票については、在外選挙インターネット投票システムの基本的な仕組みが応用可能とは考えられますが、先ほど申し上げたような課題に加え、有権者の規模が極めて大きくなることに伴う一斉アクセスがあったときのシステムの安定性確保などの課題もあると考えております。

 また、こうしたシステム技術面の課題のほか、国内では投票管理者や立会人の下で行うことが原則となっている選挙の投票を、特段の要件なくこれらの者が不在の中で認めることの是非といった大きな課題もあるところでございます。

 また、国内では立会人不在で遠隔地投票を認めている郵便等投票や船員の洋上特別投票では、過去の不正事例を教訓に、投票の送付時に自書による署名を求めることにより第三者による不正投票を防止する仕組みともしております。

 現在認められていない新たな投票方法を導入することは選挙制度の根幹にも関わることから、各党各会派における御議論などを踏まえる必要がございますが、総務省としては、まずは、在外選挙インターネット投票のできるだけ早期の導入について、引き続き着実に検討を進めてまいりたいと存じます。

斎藤(洋)委員 インターネットを介した遠隔投票は、かなり現時点ではハードルが高いということは私も理解をしております。

 私が調べた限りでは、国政選挙で導入している国はエストニアのみということでありますが、そのエストニアにしても、本人確認であったりとか不正防止でありますとか、あるいは技術的な障害ですとか不正アクセスの防止ということに相当な努力をされた上で導入をしていると。ただ、その上で申し上げれば、導入した結果、かなり成果が上がっているということも認識をしております。

 この点、国政選挙におけるインターネット投票について、海外の事例はどのようなものがありますでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省としては、在外選挙インターネット投票に関する調査研究の中で、海外におけるインターネット投票の事例を調査しておりますが、国政選挙の実施例としては、今御紹介いただいたエストニアにおいて、二〇〇七年から電子政府構想の一環として全有権者を対象に実施している例と、フランスにおいて、二〇一二年に在外国民を対象に導入後、二〇一七年にサイバーセキュリティー上の理由から一時中止をし、その後、本年五月の選挙から再開をしている例、これらが国政選挙の実施例としてあるものと承知をしております。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 やはりなかなか海外でも広まってはいませんが、エストニアの例を見ますと、やはりかなり意義がある取組ではないかというふうに考えております。

 エストニアの二〇一九年国政議会、エストニアは一院制なので国政議会ということだと思いますが、全投票に占めるインターネット投票の割合は四六・七%、もう相当な割合に達しています。期日前投票のみ対応ですから、それを考えるとかなりの数字ということだと思います。

 済みません、私も文献を見た限りですが、当初はやはり高齢な方が対応できないんではないかという指摘もあったようでありますが、今は高齢者の方の割合も相当増えていて、ICTの知識ですとかそういった要素を排除すれば、ほぼもう若い人たちと同じぐらいの割合でインターネット投票をしているという評価ができるんじゃないかという指摘もあるようであります。

 今後のことなんですけれども、いきなり日本国全体でインターネット投票をやりましょうというのは相当ハードルが高いと私も思います。今御紹介がありましたような南極ですとか船員ですとか、あるいは在外投票といった、いずれにしても遠隔でやらざるを得ない投票類型につきまして、まずそこからインターネット投票を導入してはどうかということを、ここでは提案をさせていただきたいと思います。

 最後にお尋ねをしたいと思います。

 人口減少地域における投票所の削減の問題であります。

 これは既に質問も出ておりましたが、私の地元も人口減少地域を多数抱えておりまして、投票所の統廃合ということが大きな問題になっています。

 投票所がなくなるような地域は高齢化していることが非常に多くて、非常に移動が困難な方が増えています。そのために、投票に行きたくても行けないという意見がふだんから聞かれます。非常に多いと言っていいと思います。

 実際、投票所がある集落と投票所がなくなった集落とでは、かなり投票に行っている人の割合が違うんじゃないかというような感覚も、回っていて感じます。

 そこで、お尋ねをしますが、バス等を活用した移動投票所、これは当然、期日前投票が前提になると思いますが、移動投票所の取組は可能であったかと思いますが、確認したいと思います。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 バスなど自動車を活用した移動期日前投票所の取組は、投票所までの距離が遠い有権者などの投票機会の確保の観点から大変有効な取組と考えております。

 このため、総務省では、各選挙管理委員会の取組事例をまとめた事例集を作成をして横展開を図るとともに、国政選挙や統一地方選挙に際し、各選挙管理委員会に対して積極的に設置を検討するよう要請をしております。

 また、財政面に関しては、本年四月の選挙執行経費基準法改正において、国政選挙における移動期日前投票所に要する経費を国費で措置することについて、法律に明記させていただいたところでございます。

 また、地方選挙における取組に対しても、特別交付税措置を講じ、支援をしているところでございます。

 移動期日前投票所の取組、着実に実は増えてきているところでございますので、引き続き、各選挙管理委員会の積極的な取組を促してまいりたいと存じます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 済みません、ここは通告をしていないんですが、もし回答可能であればお願いします。

 実際に、移動投票所の、地方自治体にどのように広がっているかというのは、今御教示いただけますでしょうか。

森政府参考人 過去三回の参議院選挙のところの数字で申し上げますと、一番最初にこれが始まったのが平成二十八年の第二十四回の参院選で、このときには一県の一団体、投票者数六十八人でございました。

 前々回の令和元年の第二十五回参議院選挙では、実施団体数は二十県の三十三団体で、四千三百六十九人ということでございました。

 今回の第二十六回、令和四年の参議院選挙においては、三十三道県八十八団体にまで広がっておりまして、投票者数は一万六千四十六人ということで、前回から見ても四倍程度になっている、こういう状況でございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 ほかの委員の質問で、移動投票所を導入しても投票率の低下は避けられないのが現実であるという御指摘もありました。本当は投票所がそれぞれあるのが望ましいと私も思いますが、それでも、移動投票所があることは、その投票所にアクセスが全く地域によってできないというよりもはるかによい状況だと思いますので、この移動投票所も是非積極的な取組を引き続きお願いしたいと思います。

 質問は以上でございます。ありがとうございます。

平口委員長 次に、長谷川淳二君。

長谷川委員 自由民主党の長谷川淳二でございます。

 本日は、公職選挙法改正案、いわゆる十増十減法案について質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速質問に移らせていただきます。

 今回の改正案は、いわゆる一票の格差訴訟において、最高裁から、平成二十三年、二十五年、そして二十七年の三度にわたり違憲状態と判示されたことを受けまして、議員立法によって成立した衆議院選挙制度改革関連法に基づき、いわゆるアダムズ方式による勧告を反映させた区割り改定等を行うものでございます。一票の価値の平等という憲法上の要請と今回の改正案に至る経緯に鑑みますと、勧告を尊重すべきものと考えます。

 しかし一方、今回の区割り改定案は、対象となる選挙区が二十五都道府県の百四十選挙区に及んでいます。過去の改定を大きく上回る極めて大規模な改定であり、さらに、今回、地方の定数が大きく減ることとなります。有権者への周知徹底や今後の制度の在り方など、多くの課題があると思います。

 そうした観点から、順次質問させていただきたいと思います。

 とりわけ今回の区割り改定案では、令和二年国勢調査結果に基づきアダムズ方式による定数配分の見直しを行った結果、私の地元愛媛県を始め十県において、それぞれ一人、定数が減少することとなります。

 私の地元の愛媛県では、かつて中選挙区時代には定数が九でございましたが、小選挙区制で定数四となり、さらに今回、定数三となってしまいます。県選出の国会議員が更に減りまして、地元の声が国政に届かなくなる、私たちの声が埋没してしまうといった強い懸念の声をいただいております。

 また、愛媛県は、文化的、経済的に大きく三つの圏域に分かれています。具体的には、松山市を中心とする中予地域、瀬戸内の東予地域、そして一次産業が基幹産業である南予地域に分かれています。今回の区割り改定案は、愛媛県の定数一減に伴いまして、一区と二区に分割されていた松山市を新一区、東予地域を一つにまとめて新二区、そして、それ以外を合わせて新三区とするものでございます。

 私の地元の愛媛四区は南予地域を中心とする選挙区ですが、人口減少に伴いまして、中予地域の市町を選挙区に編入してまいりました。有権者の皆さんからは、なじみのない地域となぜ一緒なのかという率直な疑問の声をいただきます。今回の区割り改定案では、松山市以外の中予地域の市町が全て新三区に編入されることになります。

 有権者の皆さんが民意を集約する単位として小選挙区に望むことは、もちろん一票の価値の平等の実現もございますが、生活圏としての一体性や、民意を集約するにふさわしい地域のまとまり、これが一番望むことではないかと私は受け止めております。私自身も有権者の皆さんに区割り改定についてるる説明をしていますが、やはり、一票の格差の是正を図るために、地域的に必ずしも一体とは言い難い選挙区が生じまして、そのことが、有権者の選挙制度への関心の低下、あるいは投票率の低下を招きかねないのではないかと強く危惧をしております。

 そこで、今回の区割り改定の考え方や具体的な内容について、特に定数減となった県においては、有権者に対してより一層丁寧な周知が不可欠だと思いますが、政府としての対応方針について伺います。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 今回の区割り改定においては、選挙区間の人口格差を二倍未満とすることに加え、十五都県で議員定数の増減が行われること、また、分割されていた市区町の解消にも努めたことから、半数近くの百四十選挙区の区域が変更されることとなり、有権者に対し、混乱が生じないように、それぞれの見直し内容について丁寧に周知をしてまいりたいと考えております。

 総務省としては、まず、区割り改定法案が成立した際には、定数の変更も含めた区割り改定の趣旨や、定数の増減のある都道府県、改定される選挙区名等を周知するための制度改正の周知チラシのほか、選挙区が改定される全ての都道府県の改正前後の区割り地図、どの地域がどの選挙区に変更されるのかを示す図表といったものを地方公共団体の意見も聞きながら作成をし、お住まいの地域がどの選挙区になるのか、住民にも分かりやすい周知を行いたいと考えております。

 具体的には、総務省のホームページ、また、総務省SNSへの掲載、投稿を始め、各種の広報に努めてまいりますとともに、区割り地図やポスターを、関係都道府県及び市区町村の選挙管理委員会に対し、必要な部数配付する予定としております。

 そして、関係都道府県、市区町村においては、各団体で発行する広報誌、ホームページへの掲載、公共施設への掲示などを通じて、有権者の皆様に改正内容が周知をされるように、きめ細やかな周知を持続的、継続的に実施をしてまいりたいと考えております。

 また、次回の総選挙が実施される際においても、特設ホームページやSNS、リーフレットを用いて区割り改定について改めて周知をさせていただくほか、全国の選挙管理委員会に対し、例えば、投票所入場券に区割りの改正内容の周知チラシを同封して配付するよう要請するなど、周知徹底を図ってまいりたいと存じます。

長谷川委員 ありがとうございます。

 迅速かつ丁寧な周知を図っていただきたいと思います。

 続きまして、今回の区割り改定の結果の小選挙区の面積に関して御質問させていただきたいと思います。配付させていただいている資料の一枚目を御覧いただきたいと思います。

 これは、現行の小選挙区を、左側ですが、面積が広い順に並べたものでございます。

 左下の私の地元愛媛四区は、三十一番目、面積三千二百九十八平方キロに及ぶ広い選挙区でございます。面積では愛媛県の約六割の面積を占めています。右側にありますように、香川県、大阪府、東京都、神奈川県、佐賀県よりも広い選挙区になっています。東京都の一・五倍の面積がございます。さらに、この私の地元の愛媛四区よりも広い選挙区が三十ほどあります。

 そして、右側を御覧いただきたいと思います。

 今回の区割り改定案を実施しますと、愛媛県を始め定数減となった県、黄色で網かけをさせていただいていますが、更に面積が広い選挙区が一層増えることになります。

 午前中でも政府から答弁がありましたが、投票価値の平等の要請を達成するためには、こうした広大な選挙区を設けることもやむを得ないということで政府は答弁していますが、やはりこうした広大な選挙区は、社会資本の整備ですとか、医療、介護、福祉の体制の確保ですとか、面積が広いがゆえに数多くの課題を抱えております。むしろこうした地域こそ、政治の力を必要としている地域でもあると思います。

 私も、新人候補者として丸二年間、この広大な選挙区をひたすら歩きました。現在でも、選挙区内の活動で、一日三百キロ以上車を走らせることもまれではありません。地域の声を国政に届ける責任は更に重くなり、私はその責任をしっかり果たしていかなければならないと決意をしていますが、同時に、やはり物理的、経済的な負担も重いことも事実でございます。

 しかし、現在、小選挙区の面積を考慮した制度としては、選挙事務所の数、そして法定選挙費用の特例が設けられているのみで、かつ、極めて広い選挙区などに適用が限定されています。もちろん、面積が狭い選挙区においても様々な御負担があるとは思いますが、やはり、選挙区が広大であることによる負担は、立候補の自由やあるいは選挙制度の制約にもなりかねないと思います。また、有権者の皆さんにとっても、候補者にアクセスをする機会が少なくなるということも問題ではないかと思います。

 そうした観点から、今回の区割り改定を踏まえ、広大な面積を持つ小選挙区が増加することを踏まえ、面積が特に広い選挙区における特例の在り方を検討すべきと考えますが、総務省の見解をお伺いします。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 御指摘のように、衆議院小選挙区選出議員の選挙においては、一定以上の広大な面積を有する選挙区などについて、設置することのできる選挙事務所の数、選挙運動費用の上限額の特例が設けられており、この限りにおいて、選挙区の面積について一定の考慮がなされているものと承知をしております。

 御指摘の、更なると申しますか、選挙運動の特例ということでございますが、選挙運動の在り方に関わる事柄でございますし、また、お金のかからない選挙の実現という観点も踏まえる必要もございますので、これは各党各会派において御議論をいただき、その意思を受けて総務省としても対応するべきものというふうに考えるところでございます。

長谷川委員 ありがとうございます。広大な選挙区に対する在り方について、私も議論をさせていただきたいと思います。

 次に、市区町が複数の選挙区に分割をされております分割区について伺います。

 先ほど来の答弁でもございましたけれども、今回の区割り改定案では、選挙区の分割は原則として避けるという方針の下に見直しを行われた結果、分割市区町が百五から三十二に大幅に減少しております。さらに、かねてから課題となっていました三つの選挙区に分割されている市区町も解消をされました。

 私の地元愛媛県でも、県庁所在地の松山市が、平成の合併以降一区と二区に分割された状態が続いていましたが、今回、新一区として分割が解消されました。

 分割市区町の解消は、多くの知事や自治体から強く要望されていまして、大幅な解消を図っていただいたことを高く評価をさせていただきたいと思います。

 しかし一方で、松山市を例に挙げますと、分割解消に伴いまして新一区の人口が増加をしまして、人口格差が既に一・八五六倍になっております。次の次の総選挙、更にその次の総選挙では再び市域を分割せざるを得ないのではないかと懸念する声もございます。

 今回分割の解消を図った選挙区の中では、格差が一・九を超えている選挙区もあると伺っております。この点、前回の平成二十九年区割り改定の際には、平成二十七年の国勢調査に加えまして平成三十二年見込み人口も踏まえた勧告を行っていますが、今回の区割り改定では、いわゆる将来見込み人口を踏まえた改定方針とはなっておりません。

 そこで、今回の区割り改定案において市区町の分割を解消した選挙区において、次回の令和七年簡易国勢調査で格差二倍以上となった場合には、再び分割区に戻すことになるのかをお伺いいたします。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の区割り改定において、市区町村の分割については、審議会が都道府県知事に対して行った意見照会において分割市区町の解消を望む多くの意見が寄せられたことや、これまでも改定が行われる地域において分割解消を行ってきたことに鑑み、審議会において、市区町村の区域は分割しないことを原則とし、一定の分割基準に該当する場合に限って分割をすることとして、審議の結果、分割市区町の数が大幅に減少したということは今ほど委員御指摘のとおりでございます。

 今回の改正においては、審議会としては見込み人口といったものは用いていないわけでございますけれども、衆議院議員選挙区画定審議会設置法においては、中間年の国勢調査の結果で選挙区間の最大格差が二倍以上になったときに限り、各都道府県の定数を変更することなく、審議会において格差が二倍未満となるよう改定案を作成するということとされております。

 したがいまして、今回の、全国にわたるような大規模な見直しということにはならないものとは考えているところでございます。

 また、松山が一・八五六倍で次回どうかというお尋ねでございますが、今後の人口動態いかんということにはなるわけでございますが、審議会において、令和七年国勢調査の結果に基づき、地方公共団体への意見照会も経まして、市区町村の区域の分割に係る方針を含め判断をされるべきものというふうに考えているところでございます。

長谷川委員 ありがとうございます。

 現行法では、答弁いただいたとおり、簡易国勢調査による中間見直しで、定数配分は変えないものの、選挙区の境界を変更して格差是正を図る仕組みとなっています。人口格差を速やかに図る趣旨の法制度になっています。したがって、やはり分割解消区が再び分割区に戻る可能性も否定できないという制度になっています。

 しかし一方で、衆議院の選挙は、小選挙区比例代表並立制導入後、これまで平均して約三年、正確に言いますと二・七八年に一回ございました。そうすると、今回市区町の分割を解消して、一回選挙をやりましたら、また次の選挙では分割区に戻ってしまうという懸念がございます。これは制度の安定性という観点、あるいは民意の的確な反映という観点から、私は問題があるのではないかと考えております。

 同様に、大都市部の選挙区において格差が二倍以上になったときに、町や字単位で行政区画を分割して格差を是正をする場合でも、制度の安定性という点から同様の問題があると思います。

 この点、資料の二ページを御覧いただきたいと思います。平成三十年の最高裁大法廷判決、午前中も資料配付いただき議論になりましたが、若干掘り下げて質問をさせていただきたいと思います。

 この三十年大法廷判決は、これは平成二十八年の選挙制度改革関連法に基づく区割り改定後に実施された平成二十九年総選挙を合憲とした判決でございます。

 投票価値の平等は、選挙制度の仕組みを決定する絶対の基準ではなく、国会が正当に考慮することができる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものであるとした上で、具体的な選挙区を定めるに当たっては、市町村その他行政区域などを基本的な単位として、国政遂行のための民意の的確な反映を実現するとともに、投票価値の平等を確保するという要請との調和を図ることが求められているとされています。

 午前中もありましたように、要は、最高裁は、投票価値の平等は絶対の基準ではなくて、国政遂行のための民意の的確な反映との実現の調和を図ることが重要であるとしています。さらに、私が強調させていただきたいのは、ここに下線を引いていますが、選挙区は、市町村等の行政区画が基本的な単位であるとしている点でございます。

 制度の安定性の観点、また、今ほど申し上げましたように選挙区の単位は行政区画を基本とすべきという観点からは、次回の令和七年簡易国勢調査において仮に格差が僅かに二倍を超えるような場合、最高裁は分割解消区を再び分割することまでは求めていないのではないかと考えますが、総務省の見解をお伺いします。

森政府参考人 お答えをさせていただきます。

 現行の衆議院議員選挙区画定審議会設置法第四条第二項において、中間年の国勢調査の結果で選挙区間の最大格差が二倍以上となったときは、各都道府県の定数を変更することなく、審議会において格差が二倍未満となるよう改定案を作成するということが規定をされております。

 その際作成される改定案については、同審議会設置法第三条第一項により、各選挙区間の人口格差を二倍未満とすることとされておりますので、仮にそうしたことを認める措置を取るには、法改正が必要となるということでございます。

 そして、今ほど御紹介いただいた三十年最高裁判決でございますけれども、投票価値の平等の要求とともに、それが選挙制度の仕組みを決定する絶対の基準ではなく、国会が正当に考慮することができる他の政策的目的ないしは理由との関連において調和的に実現されるべきということは最高裁も言っておりますけれども、選挙制度の合憲性が、国会に与えられた裁量権の行使として合理性を有するか否かによって判断されることになるという考え方が示されておりまして、これは三十年最高裁判決も含め、これまでの判決において踏襲されているものと承知をしておりますので、この考え方に照らしてどうかというところの判断になろうかと存じております。

長谷川委員 ありがとうございます。

 現行制度は、速やかな格差の是正を図るということで、中間見直しでも境界変更という形で格差是正をすると。

 私が指摘させていただいたのは、やはり制度の安定性ですとか、あるいは選挙区の一体性を重視する考え方の制度設計もあり得るんじゃないか。現行制度は、先ほど来繰り返していますように、簡易国勢調査時でも格差是正を行う仕組みとしていますから、例えば、大規模国勢調査と五年後の日本人の人口推計、これは、今そういう推計はありませんが、それを合理的に算定する方式を導入して区割り改定を行って、十年間は選挙区を変えないという制度設計も、私は立法府の合理的な裁量の範囲内であるんじゃないかというふうに考えていますが、いずれにしても、やはり人口格差の是正と制度の安定性、そして選挙区の一体性の確保というのをいかに両立させていくかが大きな今後の論点となると思います。今後の論点の一つとして指摘をさせていただきたいと思います。

 それから、最後に、地方の声を国政に反映させる選挙制度の在り方についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 一票の価値の平等は憲法上の要請でありますが、先ほどの最高裁判例にあるように、同時に、民意の的確な反映の要請を考えれば、やはり国政上の最大の課題であります人口減少で苦しんでいる地方の声を国政に反映させるのも私は代表民主制の大切な要請であると思います。

 さらに、都市と地方は、食料や電力の供給などで、いわば共生の関係にあります。国会議員は憲法上は全国民の代表ではありますが、地方から選出される議員が減少の一途で、地域間でバランスを欠くことは、地域間格差の是正、これも国政上の重要課題の一つと思いますが、地域間格差の観点からも問題があるのではないかと思います。

 この点、今回の区割り改定案の作成に当たって都道府県知事から提出された意見を拝見しますと、人口基準だけでなく、地方の声を国政に反映させるよう制度を見直すべき、さらには、抜本的な見直しが必要であるという趣旨の意見を述べられた知事が、私が確認したところ、約半数近くの知事がございました。

 そうした声、さらには、アダムズ方式を導入した平成二十八年の衆議院議員選挙制度改革関連法の附則には、望ましい選挙制度の在り方について、不断の見直しを行うと規定をされています。選挙制度は民主主義の根幹を成す制度でございますから、私も、立法府の立場にある者として、望ましい選挙制度の在り方、とりわけ地方の声を反映させる選挙制度の在り方について議論を重ねていかなければならないと思っております。

 その上で、選挙制度を所管する総務省は、民主政治の基盤の確立を総務省設置法において任務として掲げています。さらに、公職選挙法に基づく選挙に関する制度の企画及び立案を所掌事務と定めておられます。

 そこで、選挙制度に関する各党各会派の今後の議論に資するように、選挙制度を所管する総務省においても、選挙制度に関する世論の動向、これを把握するとともに、人口減少に直面している地方の声を反映させる選挙制度の在り方について調査研究を進めるべきと考えますが、大臣の見解をお伺いします。

寺田国務大臣 御指摘のように、地方の声を反映させる選挙制度の在り方の調査研究、必要なものと考えております。

 もちろん、衆議院の選挙制度については、各党各会派の議論の積み重ねから現在の仕組みとなり、今後の在り方についても各党各会派において御議論いただくべき事項でありますが、御指摘のように、総務省としても、その参考に資するための世論の把握、また選挙制度の不断の調査研究、これが極めて重要であると認識をいたしております。

 このため、国政選挙における投票率や、あるいは当選人の状況などにつきまして、各種調査統計を実施、公表しますとともに、我が国における選挙制度の経緯や考え方、また諸外国の選挙制度などにつきまして、国立国会図書館などとも連携しながら文献調査などを進め、また、その把握に努めているところでございます。

 また、世論の把握については、公益財団法人明るい選挙推進協会におきまして、有権者の投票行動と意識を探るためのサーベイが、調査が国政選挙のたびごとに行われております。

 具体的には、選挙あるいは政治に対する関心度や投票に関する意識、投票参加の状況、候補者選択に際し考慮した点、選挙運動への接触度などを調査しておりますが、委員御指摘の選挙制度あるいは区割りの在り方については、どのような内容であれば適当であるのか、調査が可能かなどについて、この明るい選挙推進協会とも相談をしながら検討してまいりたいと思います。

 今後とも、各党各会派におけます御議論に資するように、必要な対応に努めてまいります。

長谷川委員 ありがとうございます。

 今後、各党各会派で選挙制度の今後の見直しを行うに当たっては、国民の選挙制度に関する思いといいますか考え方といいますか、そういったものをやはり客観的に把握をしていただいて、それを土台に議論していくことが何より重要だと思います。

 私が先ほど指摘させていただきましたように、私の肌感覚では、選挙区に何を求めておられるか、有権者の皆さんは。もちろん、投票価値の平等も大事ですけれども、選挙制度、小選挙区ですので、民意を集約する単位であります。代表者を送る大切な単位である選挙区ですので、やはり、生活圏の一体性ですとか、地理的、経済的、社会的なまとまりですとか、そういったことを有権者の皆さんは重視をしているんじゃないかと思います。

 ただ、これは、私ども議員一人一人の感覚の話でございます。知事の意見は区割り審に向けられたものですが、広い意味では政府に対する意見でありますので、是非とも総務省において、選挙制度の企画立案を担当する立場として、そうした選挙制度に対する国民の世論、これをしっかりと調査をしていただいて、各党各会派の議論に資するように取り組んでいただきたいと思います。

 この度の区割り改定案を作成されました川人会長始め、区割り審の関係者の皆さんの多大なる御尽力に対しまして心から敬意を申し上げますとともに、私も、今後の選挙制度の見直しに向け積極的に議論に参画することを決意申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平口委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましたことに、まず心より感謝を申し上げます。

 それでは、公職選挙法の一部を改正する法律案、いわゆる区割り改定法案につきまして、今までの議論も含めて、改めて確認をさせていただけると思いますので、よろしくお願いいたします。

 今回の区割り改定法案は、平成二十八年の衆議院選挙制度改革関連法に明記されたアダムズ方式による定数配分に基づいて提案をされたものであると思います。このアダムズ方式とは、先ほどもございましたけれども、都道府県ごとの選挙区の数を、都道府県の人口を一定の数値で割った商の小数点以下を切り上げた数にする。ここで都道府県の人口を割るのに使う数値は、都道府県に配分される小選挙区の合計が選挙区の定数に一致するように調整をされるものでございます。

 今後は、この小選挙区の都道府県別の定数配分及び比例代表ブロック別の議席配分は、十年に一度の大規模国勢調査の結果を基にアダムズ方式で行うこととされております。

 一方で、先ほど来様々な委員の皆様からもお声が上がりました。人口比で都道府県の定数を増減させるアダムズ方式では、地方の声が反映されにくくなるとの声も上がっております。

 そこで、改めて、アダムズ方式が衆議院の選挙区の区割りに導入された経緯につきまして確認をさせていただきたいと思います。

森政府参考人 アダムズ方式が導入された経緯につきまして御説明を申し上げたいと存じます。

 平成二十三年の最高裁判決におきまして、従来の都道府県別の定数配分方式である一人別枠方式について、選挙区間の投票価値の格差を生じさせる主要な要因であって、もはや合理性が失われた、こういう指摘がございまして、平成二十四年のいわゆる緊急是正法により、規定としては削除されました。

 しかしながら、その後の平成二十五年、平成二十七年の最高裁判決でも、一人別枠方式に基づき配分された定数の見直しがされておらず、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったという指摘がございまして、三回続けて違憲状態と判示をされたところでございます。

 こうした中、平成二十六年六月に衆議院議院運営委員会で設置が決定をされました第三者機関である衆議院選挙制度に関する調査会において、衆議院選挙制度に関する調査検討が行われ、平成二十八年一月に答申が出されたところでございます。

 この答申におきましては、新たな各都道府県への議席配分方式について、満たすべき条件として、第一点、比例性のある配分方式に基づいて都道府県に配分すること、第二点、選挙区間の一票の格差を小さくするために、都道府県間の一票の格差をできるだけ小さくすること、第三点、都道府県間の配分議席の増減変動が小さいこと、第四点、一定程度将来にわたっても有効に機能し得る方式であること、この四点であることを確認をした上で、諸外国において検討されてきた九つの比例配分方式のうち、従来の定数配分からの増減変動が最も小さい方式であったアダムズ方式が望ましいとされたものと承知をしております。

 そして、この答申を受けまして、平成二十八年五月、小選挙区の都道府県別定数配分を十年に一度の大規模国勢調査の結果に基づきアダムズ方式で行うことなどを内容とする、いわゆる衆議院選挙制度改革関連法が議員立法により成立して今に至っている、こういった経緯があると承知をしておるところでございます。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まず、平成二十三年の最高裁で、もはや一人別枠方式は合理性が失われたと。このときは、当日有権者数で二・三、そして国勢調査の人口で二・二倍だったということでございますが、その後、平成二十五年、平成二十七年の最高裁でも、憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあるということで、違憲状態。

 そして、これらの判決等を踏まえて、二倍以内に抑えるだけではなくて、全体を見直すということで、平成二十八年、衆議院選挙制度に関する調査会において、何と、比例性のある配分方式を前提としながら、九つのそういったものに対して様々検討した結果、従来の定数配分から増減の変動が最も小さい方式であったアダムズ方式が望ましいというふうに判断されたと理解をさせていただきます。

 ここで、今後このアダムズ方式で区割り改定を行う中で、特に小選挙区の区割りなんかは、都道府県に定数を割り振った時点で格差二倍ぎりぎり。そしてその上で、地域の様々な事情も考慮しながら、都道府県内の選挙区ごとの格差でも二倍以内に収めるという大変難しい作業を要するものでありますが、そのための検討や準備期間、また、午前中の議論でもございましたが、答申の時期など、適切なスケジュール設定も必要なのかな、このように思うわけでございます。

 そこで、今後の区割り改定について、現行法に基づきどのように進められるのかについてお聞かせ願えますでしょうか。

森政府参考人 お答えをさせていただきます。

 衆議院小選挙区の区割り改定につきましては、先ほど申し上げました平成二十八年のいわゆる衆議院選挙制度改革関連法により改正をされた区割り審設置法において、一点目は、まず、十年に一度の大規模国勢調査に基づき都道府県別定数配分を見直すとともに、各選挙区の人口格差が二倍未満となるように改定案を作成すること、そして第二点目に、中間年の簡易国勢調査、この結果によりまして選挙区間の最大格差が二倍以上となったときは、都道府県別定数配分を変更することなく、格差二倍未満となるよう改定案を作成することが規定をされておるところでございます。

 したがいまして、今後の日程感というところで見てみますと、次回の令和七年の簡易国勢調査の結果により最大格差が二倍以上となった場合には、区割り審議会において格差二倍未満となるよう改定案を作成、勧告をすることとなりますし、また、次々回の令和十二年国勢調査の結果により、アダムズ方式の計算によりまして都道府県別定数配分を見直すとともに、各選挙区の人口格差が二倍未満となるよう区割り審において改定案を作成、勧告をすることとなるもの、こういうふうに承知をしているところでございます。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 ちょっとここで、一点確認をさせていただきたいんですけれども、十年を待たず、中間の簡易国勢調査の結果で選挙区間の最大格差が二倍以上になったときには改定案を作成するというふうになっておりますが、この改定案を策定するときのやり方というのは、アダムズ方式で今までと同じ手順でやるのか、どのようにやるのかについて、お聞かせ願えますでしょうか。

森政府参考人 お答えをさせていただきます。

 都道府県間の定数配分を見直す、こういうことはやりませんので、人口格差が二倍以上となっている選挙区につきまして、区割り審議会を開催をし、また都道府県知事の意見の聴取といった手続を経ることにはなりますけれども、当該選挙区と、またその周辺の選挙区との間での区割りの調整をしていく、こういう運びになろうかと存じております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 そして、午前中また今日一日、様々御議論があったと思います。法案では、成立後一か月程度の周知期間を経て施行し、次の衆院選から新たな区割りを適用することとなっておりますが、ここで、実際に選挙が行われる際に、区割り改定について住民への適切な周知徹底が求められますが、具体的にどのような取組がなされるのか、お聞かせ願えますでしょうか。

森政府参考人 お答えをさせていただきます。

 今回の区割り改定においては、選挙区間の人口格差を二倍未満とすることに加え、十五都県では議員定数の増減も行われること、また、分割されていた市区町の解消にも努めたことから、半数近くの百四十選挙区の区域が変更されることになりますので、有権者に対し、混乱が生じないよう、それぞれの見直し内容等について丁寧に周知をしていくということが重要であるというふうに認識をしております。

 総務省としては、まず、区割り改定法案が成立をした際には、その制度改正の周知チラシによりまして、今般の改正全般の周知ということをし、それから、選挙区が改定をされる全ての都道府県において、都道府県や政令市を範囲とした改正前後の区割り地図を作成をするとともに、分割区域が変更される市区などにおいては、それぞれの選挙区に対応する区域や地名、地番を表記した改正前後の区割り地図も、これは地方公共団体の御意見もお聞きをしながら作成をし、有権者のお住まいの地域がどの選挙区になるのか分かりやすい周知を行いたいと考えておるところでございます。

 また、具体的には、総務省のホームページや総務省のSNS、ツイッターへの掲載、投稿を始め、各種広報に努めますとともに、区割り地図やポスターについて、関係の都道府県、市区町村選挙管理委員会に対し、必要な部数というものを配付をすることとしております。

 そして、関係都道府県、市区町村においては、各団体で発行していただいている広報誌あるいはホームページへの掲載、公共施設への掲示などを通じ、有権者の皆様に改正内容が周知をされるよう、きめ細やかな周知を継続的に実施をしてまいりたいと存じます。

 さらに、次回の総選挙が実施される際においても、特設のホームページ、SNS、リーフレットなどを用いて区割り改定について改めて周知を行うほか、全国の選挙管理委員会に対し、投票所入場券に区割りの改正内容の周知チラシを同封して配付するよう要請するなど、周知徹底を図ってまいりたいと存じます。

 本日も、様々な周知徹底についての御質問、御意見もいただいておるところでございます。そうしたこともしっかりと踏まえながら対応させていただきたいと存じます。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 せっかくの機会でございますので、この投票率の向上の取組についても確認をさせていただければと思います。

 昭和三十三年は七六・九九%の投票率。その後七〇%前後で推移をし、最近では、平成二十五年が五九・三二、二十七年が五二・六六、二十九年が五三・六八、そして令和三年が五五・九三と、ちょっと大変落ち込んでいる状況ではございます。

 そこで、この投票率を上げるためにどのような取組がなされているのか、確認をさせていただきたいと思います。

森政府参考人 お答えをさせていただきたいと存じます。

 投票率向上、投票機会の確保に向けての制度面での取組として、選挙の公正を確保しながら有権者が投票しやすい環境をつくっていくということが、まずもって大変重要なことだというふうに考えるところでございます。

 投票環境の向上に関するこれまでの制度改正といたしまして、平成九年に、投票所の開設時間を二時間延長し、原則午後八時までとし、平成十五年には期日前投票制度の導入、平成二十八年には、投票日当日、市町村の区域内のいずれの投票区に属する選挙人も投票できる共通投票所制度の創設や、期日前投票所の開設時間の弾力化などを行ってきたところでございます。

 そして、こうした制度を各地域の実情に応じて御活用いただけるように、買物や通学の際に投票できるようにするための共通投票所、期日前投票所のショッピングセンターや大学などへの設置、投票所までの距離が遠い方などのために、複数の箇所を巡回する自動車を用いた移動期日前投票所の実施、それから、投票所への移動が困難な方のため、投票所までの巡回、送迎バスの運行やバスの無料乗車券の発行など、選挙人に対する投票所への移動支援の実施などの実施も要請をしてきておりまして、こうした取組に取り組まれる団体というのは着実に増えてきているものと認識しております。

 また、国政選挙においては、その経費について国費で措置をいたしますとともに、地方選挙についても、共通投票所や移動支援、移動期日前投票所の経費について、特別交付税によりその支援を行っております。

 さらに、これらの取組をまとめた事例集も作成をし、自治体の利用に供し周知を図っております。

 引き続き、それぞれの地域の実情に応じて、投票環境の向上に資する取組を積極的に実施いただき、投票率の向上に資するように支援をしてまいりたいと存じます。

輿水委員 本当に積極的に取り組まれているということで、是非よろしくお願いをいたします。

 こんな中で、障害の有無によって分け隔てられることなく投票ができる環境の整備も大変に重要だと思います。そこで、この際、投票所における障害者等への配慮について、どのような取組がなされているのかについてもお聞かせ願えますでしょうか。

森政府参考人 お答えをさせていただきます。

 障害のある方や高齢の方が投票所において円滑に投票できる環境を整備していくということが、大変重要なことだと認識をしております。

 総務省においては、国政選挙のたびごとに、第一点、投票所の設置に当たって、歩行が困難な方に配慮した場所を選ぶことや、段差がある場合には、スロープの設置や人的介助などの措置を講ずること、第二点、投票所内の設備の配置については、案内図の掲示や順路の明示など、適切な措置を講ずるとともに、視覚障害者等の誘導に十分配慮すること、第三点、記載台の照明灯、車椅子用の記載台、点字器、ルーペ、老眼鏡、車椅子などを準備すること、こういったことを要請をいたしまして、これらの取組に要する経費について国費で措置を行っているところでございます。

 それから、心身の故障などによって自ら記載することができない有権者の方が代理投票を希望される場合がございますが、その場合には、投票所の事務従事者が有権者の方の意思を確認し、有権者に代わって投票用紙に記入することになります。その際、各選挙管理委員会において実施をされている、投票の秘密に配慮した意思確認の方法などの事例について、周知に努めているところでございます。

 少し具体的に申し上げますと、氏名等掲示を指さして意思確認をする際に、他の有権者から見えないように隙間をなくす形で補助者二名が立つことだとか、投票先を決めていない方に対して、候補者名等を小さな声で順に伝えた上で、手を握っていただく等の反応により意思確認を実施するだとか、手を動かすことができない者について、他の有権者には意思表示が分かりにくいよう、まばたきによって意思確認を実施するなどの事例を紹介をしているところでございます。

 引き続きまして、障害のある方、高齢の方が円滑に投票することができるように、必要な取組を推進してまいりたいと存じます。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 そして、あわせて、郵便等による不在者投票についても確認をさせていただきたいと思います。

 現在、郵便等による不在者投票は、介護保険の被保険者証の要介護状態の区分が要介護五の方に認められているということでございますが、ここで、現場からは、この郵便等による不在者投票の対象を要介護五から要介護四や三の方にも拡大してほしい、そんな声も届いているところでございます。

 この点につきまして、総務省の見解をお聞かせ願えますでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 郵便等投票につきましては、疾病等のため歩行が著しく困難な方の投票機会を確保するために昭和二十二年に導入されましたが、選挙人が病気と偽って制度を利用するなどの不正が横行したことを背景に昭和二十七年に一旦廃止をされまして、その後、重度障害者や要介護五の方に限定をして認められることとなっております。

 高齢社会が進行する中、在宅高齢者の中には、投票の意思があるにもかかわらず、歩行困難などのため投票所に行くことができない方がおられると考えられ、このような高齢者の投票環境の向上は重要な課題と、総務省としても認識をしております。

 このため、投票環境の向上方策等に関する研究会を総務省として設けまして、郵便等投票について議論がなされたわけでございます。平成二十九年六月に提言がございましたが、その中では、要介護者のうち、寝たきりや寝たきりに近い方が相当の割合に及び、現実に投票所へ出向くことが困難な方が多数に及ぶこと、選挙人や選挙管理委員会の負担増を克服する運用が可能であることなどの観点から、要介護四及び三の方を対象とすることが適切であるとの提言がなされたほか、選挙の公正確保の観点から、罰則を含めた現行の郵便等投票制度について、介護福祉部局とも連携しつつ、選挙人に限らず、その家族やケアマネジャー等にも周知を図るべきとの提言があったところでございます。

 郵便等投票の対象者の拡大については、昨年、議員立法により、新型コロナウイルス感染症の患者等による郵便等投票を可能としていただいたところでございますが、こうした経緯や議論、選挙の公正確保の観点も含め、各党各会派におかれても御議論いただければと考えているところでございます。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 誰もが安全に安心して投票ができる環境の更なる整備に向けて、郵便投票等による不在者投票の対象の要介護四、三への拡大について、公正性もしっかり考慮しながら議論を深めてまいりたいと思います。

 投票率の向上のためには、このように投票所の様々な配慮と同時に、やはり投票意欲の醸成も大事ではないか、このように思うわけでございます。その中で、やはり主権者教育というのが重要なのかな、このように感じているところでございます。

 政治を行う代表者を選ぶための大事な手段が選挙であり、有権者になることは、選挙を通じて政治の過程に参加する権利を持つこと。そして、ここで、総務省の研究会からは、国や社会の問題を自分の問題として捉え、自ら考え、自ら判断し、行動していくとの主権者像が示されているところでございます。

 有権者には、誰かに任せるのではなく、積極的に課題を調べ、考え、自分なりに判断していく姿勢を保つことが求められているようにも思うわけでございますが、日本は国民が主権を持つ民主主義国家であり、そして選挙は、国民が政治に参加し、主権者としてその意思を政治に反映させるための最も重要な機会とされる中で、その機会を生かすための主権者教育は大変に重要であると考えるわけでございます。

 そこで、主権者教育に対する重要性の認識、また、その推進状況について、寺田総務大臣に伺いたいと思います。

寺田国務大臣 委員御指摘のように、政治意識の向上を図り、また投票率向上のためにも、この主権者教育、極めて重要であると認識をいたしております。

 平成二十七年に選挙権年齢十八歳への引下げが行われ、直ちに、文部科学省と連携をして、政治や選挙に関する副教材を作成いたしました。毎年度、全ての高校一年生にこれを配付をして、今年度から新たに設置されました「公共」の科目においても御活用いただけるようにしているところであります。

 また、各選挙委員会においては、教育委員会と連携をして積極的な主権者教育に取り組んでおりまして、高校における出前授業については、平成三十年度から直近の令和三年度まで、平均しますと一年度当たり約千百校、約二十五万人に対して、この出前授業、実施をされております。

 また、主権者教育に知見のあるアドバイザーの全国の学校への派遣、また、選挙管理委員会における出前授業の際に活用いただける動画の教材の作成も行って、学校現場などにおける取組も支援を行っているところであります。

 今後、さらに、模擬選挙の実施など、主権者教育に先進的に取り組んでいる各地の事例ついて、その具体的な内容や手法などを調査して、全国の選挙管理委員会や学校にその内容を御紹介をして横展開を推進したいと考えておりまして、主権者教育の更なる充実に取り組んでまいりたいと思います。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 今日は文科省の方にもいらしていただいております。

 十八歳の選挙権に伴い、若者の政治的リテラシーや政治参加意識を育む必要があると思うわけでございますが、国民や地域の住民からどのように税金を集めて、その税金をどのように使うのか決めること、あるいは、法律や制度など国や社会のルールを作ること、さらに、社会の秩序を守り、統合を図ることなど、政治の役割は大変大きいなと思います。

 その上で、文科省では、ただ単に政治の仕組み等についての学習にとどまらず、地域課題の解決に向けて主体的に行動できる力を養うことや、ルールにのっとって社会で生きる力などを教えることも重要と考えます。

 そこで、文部科学省の主権者教育の重要性に対する認識と具体的な取組についてもお聞かせ願えますでしょうか。

森友政府参考人 お答え申し上げます。

 選挙権年齢の引下げにより、主権者として社会の中で自立をし、他者と連携、協働しながら、社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員の一人として主体的に担うことができる力を育む主権者教育がこれまで以上に求められております。

 初等中等教育段階におきましては、学習指導要領に基づきまして、政治参加の重要性や選挙の意義などにつきまして指導するとともに、平成二十七年以降、総務省と連携をして、全ての高校生に対して主権者教育に関する副教材を作成、配付し、その充実に努めております。

 また、令和四年度からは、新たに、高等学校において、先ほどもございましたが、自立をして社会に参画する力を育むことを狙いといたしました必履修科目「公共」を実施をして、全ての生徒が学ぶこととしております。

 さらに、大学等に対しましては、住民票異動の必要性ですとか不在者投票制度等につきまして周知をしているほか、入学時におけるオリエンテーション等を通じた学生への啓発活動を促しております。

 今後とも、総務省等と連携をしながら、学校、家庭、地域における主権者教育の取組を推進してまいります。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 選挙制度の改革あるいは投票環境の改善、さらに、投票意欲の醸成など、これからも民主主義の根幹である選挙につきまして、絶え間ない改善と改革のために皆様としっかりと議論を深めてまいりたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

平口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平口委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、区割り改定法案に反対の討論を行います。

 本案は、アダムズ方式を導入して定数配分し、政府の衆議院議員選挙区画定審議会勧告に沿って衆院小選挙区十増十減の区割りを改定するとともに、衆院比例代表のブロック定数三増三減を確定するものです。

 今回の区割り改定案は、二十五都道府県百四十選挙区の区割りが変更されます。過去最多であり、全体の半数の選挙区に及び、多くの有権者に影響を及ぼすこととなります。

 度重なる区割り改定に、都道府県からは、有権者に混乱を招く、選挙管理委員会の事務負担が大きいとの声が上がっています。

 さらに、この区割り改定案では、最大格差一・九九九倍です。二〇二五年国勢調査の結果により、また区割り変更が行われる可能性があるのです。

 日本共産党は、現行小選挙区制について、少なくない有権者が、市町村の行政単位や地域社会を分断する異常な線引きを押しつけられ、選挙のたびに不自然な選挙区変更を強いられることになると指摘してきました。まさにそのとおりの事態が引き起こされています。

 これほど大きな区割り変更を行っても、格差の問題は続きます。これは、小選挙区制が元々、投票権の平等という憲法の原則とは矛盾する制度であるということを示すものです。

 二〇一六年の衆院選挙制度関連法で、国勢調査のたびにアダムズ方式の定数配分と区割りを見直す仕組みを盛り込み、長期にわたり小選挙区制を温存したことが間違いであったことは明らかです。

 憲法が求める投票価値の平等は、選挙区間の人口格差是正にとどまりません。

 そもそも、選挙制度は民主主義の根幹であり、その根本は、国民の多様な民意を正確に議席に反映することです。

 現行制度の最大の問題は、第一党が四割の得票で六割から八割の議席を獲得し、半数に上るいわゆる死に票を生み出すことです。我が党は、制度の提案当初から、小選挙区制が民意の公正な議席への反映をゆがめ、比較第一党が虚構の多数を得ることで強権政治を推し進めようとするものだと批判してきました。

 民意と議席に著しい乖離を生み出す小選挙区制は廃止し、民意を反映する選挙制度へ抜本的に改正、改革すべきです。

 この際言っておかなければならないのは、議員定数の問題です。

 衆院定数十削減を行った一六年関連法の議論では、議員定数削減の理由も根拠も見出せず、これ以上の削減は難しいというのが結論でした。この結論を無視し、国民の声を代弁する定数を削減することは断じて許されません。

 このことを改めて強く主張し、反対討論を終わります。

平口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平口委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

平口委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、冨樫博之君外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。源馬謙太郎君。

源馬委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    公職選挙法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

 一 この法律の施行後においても、国会議員を選出する選挙制度は重要な課題のため不断に見直していくべきものであり、人口減少や地域間格差が拡大している現状を踏まえつつ、立法府の在り方を含め、議員定数や地域の実情を反映した選挙区割りの在り方等に関し、国会において抜本的な検討を行うものとする。

 二 当該検討に当たっては、速やかに、与野党で協議の場を設置し、円満かつ公正公平な運営の下、充分な議論を行い、次回の令和七年の国勢調査の結果が判明する時点を目途に具体的な結論を得るよう努力するものとする。

 三 今回の区割り改定により、区割りが変更される選挙区が多数に上るため、政府においては、有権者に混乱が生じることのないよう新たな選挙区に関し十分に周知徹底を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

平口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平口委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。寺田総務大臣。

寺田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

平口委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

平口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十七分散会


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