衆議院

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第1号 平成28年12月7日(水曜日)

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平成二十八年十二月七日(水曜日)

   午後三時開会

    ─────────────

 委員氏名

  衆議院

   委員長 棚橋 泰文君

   理事 小此木八郎君 理事 平沢 勝栄君

   理事 松島みどり君 理事 望月 義夫君

   理事 山口 泰明君 理事 柿沢 未途君

   理事 笠  浩史君 理事 井上 義久君

      高村 正彦君    塩谷  立君

      下村 博文君    園田 博之君

      高木  毅君    竹下  亘君

      長島 忠美君    二階 俊博君

      野田 聖子君    林  幹雄君

      古屋 圭司君    細田 博之君

      茂木 敏充君    安住  淳君

      野田 佳彦君    細野 豪志君

      山井 和則君    太田 昭宏君

      志位 和夫君    馬場 伸幸君

      小沢 一郎君

  参議院

   委員長 柳田  稔君

   理事 愛知 治郎君 理事 関口 昌一君

   理事 羽田雄一郎君 理事 片山虎之助君

      井原  巧君    礒崎 陽輔君

      大野 泰正君    末松 信介君

      滝沢  求君    馬場 成志君

      松村 祥史君    三木  亨君

      水落 敏栄君    小川 勝也君

      小川 敏夫君    蓮   舫君

      西田 実仁君    山口那津男君

      小池  晃君

    ─────────────

 出席委員

  衆議院

   委員長 棚橋 泰文君

   理事 小此木八郎君 理事 平沢 勝栄君

   理事 松島みどり君 理事 望月 義夫君

   理事 山口 泰明君 理事 柿沢 未途君

   理事 笠  浩史君 理事 井上 義久君

      江渡 聡徳君    塩谷  立君

      下村 博文君    園田 博之君

      高木  毅君    竹下  亘君

      長島 忠美君    二階 俊博君

      野田 聖子君    林  幹雄君

      古屋 圭司君    細田 博之君

      茂木 敏充君    後藤 祐一君

      野田 佳彦君    本村賢太郎君

      山井 和則君    太田 昭宏君

      志位 和夫君    馬場 伸幸君

      玉城デニー君

  参議院

   委員長 柳田  稔君

   理事 愛知 治郎君 理事 関口 昌一君

   理事 羽田雄一郎君 理事 片山虎之助君

      井原  巧君    礒崎 陽輔君

      大野 泰正君    末松 信介君

      滝沢  求君    馬場 成志君

      松村 祥史君    三木  亨君

      水落 敏栄君    小川 勝也君

      小川 敏夫君    蓮   舫君

      西田 実仁君    山口那津男君

      小池  晃君

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   安倍 晋三君

       財務大臣

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(金融))        麻生 太郎君

       総務大臣

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(マイナンバー制度))  高市 早苗君

       法務大臣     金田 勝年君

       外務大臣     岸田 文雄君

       文部科学大臣

       国務大臣     松野 博一君

       厚生労働大臣   塩崎 恭久君

       農林水産大臣   山本 有二君

       経済産業大臣

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構))  世耕 弘成君

       国土交通大臣

       国務大臣     石井 啓一君

       環境大臣

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(原子力防災))     山本 公一君

       防衛大臣     稲田 朋美君

       国務大臣

       (内閣官房長官) 菅  義偉君

       国務大臣

       (復興大臣)   今村 雅弘君

       国務大臣

       (国家公安委員会委員長)

       (内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全、防災))     松本  純君

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画))     加藤 勝信君

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(経済財政政策))    石原 伸晃君

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、クールジャパン戦略、知的財産戦略、科学技術政策、宇宙政策))        鶴保 庸介君

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(規制改革、地方創生))        山本 幸三君

       国務大臣     丸川 珠代君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官  横畠 裕介君

 委員外の出席者

  衆議院事務局

       国家基本政策委員会専門員    大町  寛君

  参議院事務局

       常任委員会専門員        美濃部寿彦君

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  本日の会議に付した案件

国家の基本政策に関する調査


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    ─────────────

   〔柳田稔君会長席に着く〕

会長(柳田稔君) ただいまから国家基本政策委員会合同審査会を開会いたします。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 参議院国家基本政策委員長の柳田稔でございます。

 衆議院の棚橋泰文委員長とともに、衆参両院の皆様方の御協力を賜りまして、その職責を全うしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。(拍手)

 この際、合同審査会における発言に関して申し上げます。

 野党党首及び内閣総理大臣には、申合せの時間内で活発な討議が進められるために、御発言はそれぞれ簡潔にされるようお願いいたします。また、本日は時間表示装置を使用いたします。表示装置は発言者の持ち時間を示します。持ち時間が終了したときに表示がゼロとなり、赤色のランプが点灯しますので、御承知願います。

 なお、委員及び傍聴議員各位におかれましても、不規則発言等、議事の妨げとなるような言動は厳に控えていただきますよう、御協力をよろしくお願いをいたします。

 それでは、国家の基本政策に関する調査を議題とし、討議を行います。民進党代表蓮舫君。(拍手)

蓮舫君 民進党の蓮舫です。安倍総理、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、総理、やめたいのにやめられない、家中の金を持ち出す、闇金で借金を繰り返す、多重債務、一家離散、破産、果ては自殺に追い込まれる、これがギャンブル依存症の怖さです。アルコールや薬物依存症と違って、体の中に取り込まないギャンブル依存症、そのメカニズムは未解明です。治療法はまだ確立されていません。やめたいのにやめられない、疑いのあるギャンブル依存症の患者は、我が国では五百三十六万人いると厚生省は推計しています。

 なぜカジノ解禁なんでしょうか。カジノは賭博です。刑法で懲役刑で禁止をされています。勤労を怠る、副次的犯罪を誘発する、だから禁止をしている。なのに、なぜ僅か五時間三十三分の審議で強行採決に踏み切ったんでしょうか。

 国会の声を聞かないで、野党を切り捨てて、連立与党の公明党を捨ておいて、それでも暴走する理由をまず教えてください。

内閣総理大臣(安倍晋三君) 議員立法として提出されているIR法案のことだと思いますが、まさにこのIR法案は統合リゾート施設でございまして、これは、私もシンガポールの施設を視察をさせていただきましたが、いわゆるカジノだけではなくて、ホテル、あるいは劇場、そしてショッピングモールや水族館とか、またテーマパークも構成する要因でございまして、いわゆるカジノと言われる施設の床面積は三%のみでありまして、様々な対策が講じられているというふうに承知をしております。

 これは議員立法でございますから、専らこれは国会においてお決めになることでございますが、このIR法案につきましては、まさに今現在、この安倍政権になりまして外国人観光客が倍となりまして、八百万人から二千万人を超える状況となり、二〇二〇年には四千万人を目指している中において、ただビジネスや会議だけではなくて、家族でそうした施設を楽しむことができるというものが、これは、これがいわゆるIRでございます。

 そして、このIR法案におきましては、他の議員立法と同じように、超党派の議連がつくられまして、これ他の法案もそうなんですが、超党派の議連をつくってそこで議論を重ねていく、その中において、賛同する議員やあるいは党派を増やしていくということがなされた後に提出をされるものなんだろうなと思います。

 提案者の中には、御党の、まさに蓮舫議員の側近である柿沢未途役員室長も、役員室長もこれは提案者として参加をしていただいております。これは、個人とはいえ、まさに役員室長でございますから、役員室の中もこれはそんなに大きく意見が食い違うのかなと、役員室の中でもばらばらなのかなというふうに思った次第でございますが、その中で、提出……(発言する者あり)済みません、静かにしていただけないとなかなか私も……(発言する者あり)よろしいでしょうか。

 やっと静かになったようですのでお答えをさせていただきたいと思いますが、これは、私は蓮舫代表とは言わば党首討論では初めて議論を行うわけであります。いわゆる予算委員会等で質問をされる側と、そして真摯に答える側と追及する側という立場ではなくて、言わば対等の立場でございますから、時にはこれ反論することもありますし、批判することもありますが、私は余り性格的にそういうことはめったにしませんから御安心をいただきたい、こう思うわけでございますが、ただ、ただし、今、蓮舫議員が挙げられた懸念があるのは事実でございまして、我が党においても与党においても指摘されているところでございます。

 いずれにいたしましても、今回は基本法でありますが、その基本法の後に具体的な法案が出てくる中においてそうした懸念にも具体的な答えを出していくべきだということの上において、我が党においても党議決定が出されたものと承知をしております。

蓮舫君 超党派の議連をつくって同じ志を持って議員立法を提出するところまでは全く異論がありません。問題はその後なんです。国会は長い歴史の中で、議員立法の審議は全ての政党が同意をする、その上で審議に入って、そして採決をする。それを無視したのはまさに今回自民党じゃないですか。僅か五時間三十三分の審議、その審議に入るときには、我々の理事に対して、あした審議に入るからよろしく、こちらの返事も待たずに見切り発車をして、委員長が職権で立てて、採決をしたじゃないですか。

 柿沢さんのことをこの欠席裁判で言わないでくださいよ。彼は、この拙速なやり方に対しては問題がある、だから提案者を辞めさせてもらいたい。でも、提案者を辞めさせてくれないのは自民党のほかの提案者の議員じゃないですか。改めてそこはよくかみ砕いていただきたいと思います。

 総理、議員立法と言いました。でも、二〇一一年にこのカジノIR議連ができたときに最高顧問に就任されたのはまさに安倍総理そのものです。二〇一四年にシンガポールのカジノを視察したときには、最高顧問であり、総理でした。総理としてカジノを視察して、成長戦略の目玉になると発言をして、そしてその直後のインタビューの独占取材では、安倍総理は、成長戦略の大きな目玉になると認識、議員立法だけれども臨時国会で成立させたいと踏み込んでいるじゃないですか。まさに総理肝煎りの法案だから伺っているんです。

 様々な問題があるとおっしゃいました。だったら、違法性の阻却を一言も説明しないで、ギャンブル依存症にどう対応するかも説明しないで、暴力団のマネーロンダリングの問題もどうやって排除するか説明しないで、中には自民党の議員が般若心経を質問に使って、なぜ強行採決なんですか。もうちょっと分かるように教えてください。

内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、蓮舫委員は、この審議の仕方、中身とは別に審議の仕方に問題があるから、例えば中身に問題があるからではなくて、言わば審議の……(発言する者あり)両方に問題がある。

 しかし、では先ほど、私、柿沢未途委員のですね、議員のですね、今ここにおられますが、柿沢未途議員も提案者であったと。言わば中身を、当然中身を理解した上で、それは当然提案者なんですから、提案者になっておられるんだろうなと。中身を理解していなくて提案者になるんですか。それはおかしいですよね、皆さん。つまり、そこで柿沢未途委員としては、では提案者、中身は賛成であるから、中身は賛成であるから提案者になっているけれども、やり方がおかしいから、では辞めさせてくれ、私はそれは寡聞にして存じ上げないわけでありますが、辞めさせてくれとおっしゃっているのであれば、それはやり方でございまして、これはまさに、これはまさにですね、委員会においてこれは判断が、特に議員立法でありますから、なされるものであります。

 議員立法は全て、これは全会派が一致しているということでは、もちろん今までの歴史の中でそうではない、必ずしもそうではないわけでありまして、これは様々な議員立法があったのは事実でございます。確かに、ただ、そうは申し上げましても、なるべく多くの会派、全会一致になるのがふさわしいのは当然のことであろうと思いますし、我が党の理事の方々も大変汗を流されたと、このように私も承知をしています。

 その中におきまして、残念ながら、御党は退席をされたのでしたっけ、退席をされたと。退席をされるということは大変残念ではあるわけでございますが、まさに今、蓮舫委員が言われたような中身について建設的な議論を期待したいと、このように思います。

蓮舫君 中身についてお伺いします。

 先ほど総理おっしゃいました。カジノIR施設は、その中でカジノは僅か三%の面積だと、それ以外は商業施設、国際会議場、ホテル等で、確かにそこにおいては設備投資、雇用を生み出す経済効果はいっときあるかもしれません。けれども、総施設の売上げのその七割、八割、九割は、僅か三%のカジノが生み出しています。カジノだけが盛り上がって、もうかって、それ以外の施設は衰退しているという事例が世界でも報告をされています。

 カジノはなぜ問題なのか。それは、負けた人の賭け金が収益だからです。依存症に陥って借金までして、それでも勝てなくて負けた金が、それが収益であり利益になる。つまり、サービス業や物づくり産業のような新たな付加価値は全く生み出しません。これのどこが成長産業なんでしょうか。私は、国家の品格に欠くと思います。

 成長産業であるという理由を端的に教えていただけませんか。

内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに、この法案の中身については、中身については、これは欠席はされずに、まさに委員会において御議論をいただきたい、こう思うわけであります。これは議員立法でありますから、私は、これは閣法ではございませんから、これについて説明をする私は責任を負っていないわけでございますので、提案者に対して……(発言する者あり)

会長(柳田稔君) 総理、ちょっと待ってください。総理、ちょっと待ってください。

 御静粛にお願いします。

内閣総理大臣(安倍晋三君) 済みません、ちょっと民進党の皆さん、少し静かにやりましょうよ。委員長、お願いしますよ、少し。

会長(柳田稔君) 今言いました。

 御静粛にお願いします。

内閣総理大臣(安倍晋三君) こんなにわあわあわあわあ騒がれますと、私もしゃべりにくいんですよ。

会長(柳田稔君) どうぞ。

内閣総理大臣(安倍晋三君) 皆さん、落ち着かれましたか。よろしいですか。よろしいですね。

 そこで、やはりこれは、まさに委員会において建設的な議論をこの専門家である提案者にしっかりと質問をしていただきたいと、こう思う次第でございます。

蓮舫君 総理自らが成長産業は大きな目玉になるとおっしゃっているんです。なぜ成長産業につながるのか、教えてください。

内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、先ほど申し上げました言わば統合リゾート施設であり、これはまさにこの床面積の三%は確かにカジノでございますが、それ以外は劇場であったり、あるいはテーマパークであったり、ショッピングモールであったり、あるいはレストランであるわけであります。そして、それは当然そこに対しての投資があるわけであり、投資があり、そしてそれは雇用にもつながっていくのは事実であります。だからこそ統合リゾートと言われているわけでありまして、町じゅうにそういう言わば、いわゆるカジノができるものでは全くないわけでございまして、限定的な場所で、今言ったような形で造られるということについては御理解をいただきたいと、こう思う次第でございます。

蓮舫君 ただのリゾート施設だったら、法律は要らないんです。カジノが入っているから、こうやって法律を出しているんじゃないですか。だから、カジノがどうしたら成長産業に資するのかと何度も伺っても、総理のその答えない力、そして逃げる力、ごまかす力、まさに神ってます。ちゃんと真っ正面から答えてくださいよ。

 私は、カジノをこんなに拙速な審議で解禁することには反対です。公明党の山口代表は、夏、キューバのカジノ視察を御覧になられた後に言っています。観光振興の切り札とはならない、むしろ副作用が現実的に見えてきたと率直な感想を言っておられますよ。衆議院の本会議でも、十一人の公明党議員が自分の良心に従って反対の決を出しています。亡国の法案と言った方もおられる。国対委員長、幹事長も反対をしているじゃないですか。なぜ連立与党も捨ておいてこんなに急ぐのか、私にはやっぱり分かりません。

 昨日、新しいことが明らかになりました。今年度の税収が一・九兆、約二兆下振れる。つまり、支出は決まっているけど入ってくるお金が二兆足りなくなった。じゃ、どうするか。足りなくなったら借金です。赤字国債を発行することになるんでしょう。

 総理、四年待ちました。異次元の金融緩和、大胆な財政出動、いつ景気が良くなるのか。そうしたら、四年目にして今度は歳入が二兆円も欠損した。改めて立ち止まるべきときではないでしょうか。

 考えたら、TPPは数兆円の経済効果を生み出して、そして雇用を生み出すと言ったものが、大統領選が結果がこういうふうになって、そして発効の見通しが難しくなりました。ニュージーランドのキー首相も辞意を表明して、旗を振る人がどんどん減っている。自民党の来年の予算への要望大綱、TPPという文字が削られたという報道もありました。

 改めて、そのときに残っている成長分野は何か。カジノですか。このカジノで、ギャンブルで、賭博で、この国をどこに連れていこうとしているのか。改めて私は反対です。納得できる、強行採決をする理由を教えてください。今日、参議院の本会議で審議入りしたのに、あした採決をしたいと参議院の自民党から言われてきています。これは当たり前の国会運営なんでしょうか。(発言する者あり)

会長(柳田稔君) 御静粛にお願いをいたします。

内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、私たちの政策が失敗した結果、税収の見通しが違ってしまったという御指摘でございますが、これは誤りであります。全くの誤りであります。

 まず、政治の役割は、皆さん、何でしょうか。それは、雇用をつくっていく、働きたい人が働くことができるようにすることであります。

 我々が政権を取る前は、十万人の雇用が失われていた。我々は百万人の雇用をつくり、そして、税収は二十一兆円皆さんの時代よりも増えました。皆さんの時代よりも二十一兆円増えましたが……(発言する者あり)

会長(柳田稔君) 御静粛にお願いします。

内閣総理大臣(安倍晋三君) これ、皆さん、私の今言っていることは聞きたくないかもしれませんが、事実でありますから、少し静かに、たまには耳を傾けていただきたいと思います。

 そこで、言わばまさに有効求人倍率も四十七全ての都道府県で一倍を超えました。一人の求職者に対して一人分以上の仕事がある。(発言する者あり)まだ言っているという、今まだ言っているというやじが飛びましたが、あなたたちはたった八つの県でしかそれを実現できなかった。その反省から始まらない限り皆さんに対する支持は戻りませんよ。

 そして、ここが大切なことであります。企業は過去最高の収益を上げている。では、なぜこの税収がそうした結果になったかといえば、これはまさに円高であります。言わば百二十円だと思われていたところが百円になってしまった。でも、しかし、今これ百十数円、まあ私が一々為替について言及することは差し控えさせていただきたいと思いますが、そこに大きな点があったわけでございまして、そして、それは昨年と比べて、昨年と比べて予想よりも伸びがなかったということでありますから、これは私たちの政権から、スタートしたときから比べればもちろんはるかに良くなっているのは事実じゃありませんか。この事実を認めなければ正確なマクロ経済の分析はできないということは申し上げておきたいと、こう思うわけでございます。まさにこれ、現役世代の皆さんの、これ例えば生活保護についても九万世帯も減っているわけでありますから、こういう現実も、現実もしっかりと見ていただきたい。

 つまり、私たちの政策が間違っているから例えばこのIR法案をやるということでは全くないわけでありまして、つまり、二千万人時代を迎えて、四千万人海外からの旅行者が迎えようとしている。旅行者については、これ三兆円国内で消費をしているわけであります。かつては旅行者が増えたってそれほど経済には大きな効果がないという批判すらあったわけでありますが、それが違うということは我々は既に証明をしています。この旅行者を増やしていくということについても、かつては批判があったじゃないですか。それについて、国内の消費はそんなに増えないという批判もあったわけであります。

 そこで、今回は、このIR法案については、今申し上げましたように、統合リゾートとして様々な投資が起こり、雇用にも、これはまさに雇用をつくっていくということにつながっていくということを先ほど申し上げたところでございます。

蓮舫君 総理、よく分かりました。総理は、いいときは自分の功績、悪いときは人のせいだということが。

 四年前に敏感になるのは分かりますが、そろそろ今に、今に敏感になってください。総理は四年前に敏感で今に鈍感過ぎます。確かに雇用は広がって有効求人倍率は改善されたかもしれませんが、それは東京に一極集中で出てきているからじゃないですか。地方に仕事がないじゃないですか。

 じゃ、改めて、改めてお伺いします。働き方についてお伺いをいたしましょう。

 雇用が広がったと言いますけれども、今広がっている雇用は非正規雇用です。低収入者も広がっています。不安定雇用が広がっています。だから、そこをどういうふうに改善していくかという対案を私たちはいつも出し続けています。

 総理にお伺いをいたしますが……(発言する者あり)大家さん、大家さん、黙っていただけませんか。総理にお伺いします。高橋まつりさんという二十四歳の女性の名前を総理は覚えていますか。

内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、いろいろ御指摘されましたから、これは討論ですから、それに対しても反論させていただきます。

 言わば、有効求人倍率が各県で回復したのは東京一極集中が進んだせいではありません。例えば、それだったら、沖縄の有効求人倍率、上がるはずないじゃないですか、人口増えているんですから。人口が減少すれば、それは消費者が減るということですよ。生産者が減るということですよ。言わば、役所以外は全てこれは商売ができなくなるということにつながっていくんですよ。

 人口が減少すれば有効求人倍率が良くなる、これ間違っています。この考え方で経済政策を進めていけば、これ間違えますよ。各県で有効求人倍率が一倍になったことを喜ばないということにつながっていくわけでありますから、驚くべき私は議論だなと、こう思ったわけであります。

 そこで、そこで高橋まつりさんについて、これ電通の方でありました。過酷な長時間労働によって自らの命を絶った。大変悲惨な出来事であり、私も強い憤りを感じました。このようなことを二度と繰り返してはならない、この思いで働き方改革を一日も早く進めていかなければいけないという決意を新たにしたところでございます。

蓮舫君 中学から母子家庭で、お母さんを楽にさせたい、勉強して東大に行きました。大学を出て大手広告代理店電通に入社をした。日本のトップの企業に入って社会に貢献したい、未来ある若者でした。去年のクリスマスに自殺をしました。直前にお母さんにメール、心配になったお母さんが電話をして死んじゃ駄目と説得をした、その直後の出来事でした。

 今年の秋、過労死認定されました。過労死認定の長時間基準は、最低基準は八十時間超です。高橋さんは百四十時間を超えていました。一週間で十時間しか寝ていない。死にたいとSNSで発信をされていた。愛する者を失うつらさに私たち政治家は向き合うべきだと思います。

 働き方改革、大賛成です。じゃ、なぜ法案がいつまでたっても出てこないんですか。私たちは長時間労働規制法案をもうこの国会に出しています。衆議院の厚労委員会で何度も審議をしてくれと委員長にも自民党の筆頭理事にも何度も言っていますが、全部拒否をされています。なぜ向き合っていただけないのか。

 我々は反対ばかりじゃない。長時間労働是正、インターバル規制入れましょう、仕事が終わってから次の日始まるまで、せめて休み時間を取ろう。EUは十一時間が義務です。そうすれば睡眠時間取れるじゃないですか。今の法律では無条件に何時間でも働かせ続けることができるのであれば、総労働時間の上限を作ろうじゃないですか。企業に罰則を入れようじゃないですか。こういうことをやれば、少なくとも過労死などという悲惨な事件が、私たちは止めることができると思っています。

 働き方改革と言うのであれば、今議論をして、会議で議論をして法律をこれから作るというのであれば、今私たちが、出ている法案を、同じ議員立法です、カジノのときと同じように審議入りしてくれませんか。

内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、これ、審議入りするかどうかについては、これ国会がお決めに……(発言する者あり)私の一言一言にそんなに激しくやじをされると、これは討論にならなくて時間の無駄ですよ。(発言する者あり)いや、私が話しにくいんです。よろしいですか。

 そこで、これは国会がお決めになるというのは、皆さんのこれは御存じのとおりであり、これは常識であろうと思います。

 その上で、皆さんの法案でありますが、私たちも今働き方改革については真剣に議論をしています。そこで、皆さんの法案について、少し批判になってしまうんですが、例えば時間外労働の上限規制、これが一番大切なところですよね、一体何時間にするのか。しかし、皆さんの法案では、これは厚生労働省が省令で決める、これは丸投げですか。インターバル時間もそうですよ。インターバル制度も大切です。生活時間、休憩時間、睡眠時間をしっかりと確保する、インターバルの時間もちゃんと取ることは大切です。しかし、どれぐらい取ればいいのかということも、これ省令にこれ丸投げ。しかも、先ほどの上限については、上限については、罰則があるにもかかわらず、罰則があるにもかかわらず、これ厚生労働省に丸投げ。

 これ、ある意味では国会をスルーしてしまうわけでありまして……(発言する者あり)そして、そしてここが一番大切なところなんですから。ですから、私たちはそれについてしっかりと今議論をして、構造的な問題なのかどうかということについても私たちはしっかりとしたものを出そうとしているわけであります。

 インターバル制度についてもそうです。しかし、まだ法案を出す前から、インターバル制度について導入した企業に対しては助成金を出すという仕組みをつくった。そしてまた、あるいは、それを既に行っていて成功している好事例について、ちゃんとそれを徹底させようということで進めているわけであります、実効性を確保しながら。でも、もちろん、これは法制度の中に入れるべきかどうかということも含めてちゃんと、我々は法改正をちゅうちょすべきでないと、こう考えておりますし、そしてまた、もう一点大切なことは、同一労働同一賃金をしっかりとこれは実行していくことが大切であります。

 皆さんもそれに対する法案を出されています。でも、私たちが今考えていることと一番大きな違いは何かといえば、ガイドラインを私たちは作っていく、ガイドラインを今月中にちゃんとお示しをして、具体的に何が同一労働同一賃金であり、何が違うかということをはっきりとお示しをしていきます。皆さんの同一労働同一賃金についてはこのガイドラインがないんですよ。ガイドラインがないというのは、ストライクゾーンなしに野球やれと言っているのと同じなんです。

 ですから、私たちはしっかりとガイドラインを作れば、ガイドラインを作れば、企業にとっては何がこれ違法になるかということが分かれば、何をやればこれは違法になって裁判になってしまうか、あるいは、例えば裁判になったときに……(発言する者あり)これ今一番大切なところなんですから言わさせて……(発言する者あり)よろしいですか、小川先生、ここで一番大切なところなんですから。これは、これはまさに何をすればこれは違法になるかどうかという、裁判所が判断をするまさにこれはガイドラインというか基準にもなっていくわけでありまして、これを作っていくのがなかなか大変な作業なんですよ。まさにしっかりとこれをやっていきたい、こう思っています。

 昨日も非正規で働く女性の皆さんにお話を……(発言する者あり)これ大切なところなんで聞いてくださいよ。皆さんにわざわざ集まっていただきました。非正規で働いている……

会長(柳田稔君) 総理、時間のことも考えて、簡潔にお願いします。

内閣総理大臣(安倍晋三君) はい、分かりました。じゃ、杉尾さんも少し静かにしてくださいね。これ、私は……(発言する者あり)よろしいですか、私しゃべって。よろしいですか。

 ここは、ですから、ここで出た意見は、同一労働同一賃金の中において、しっかりと頑張っているのに昇給もない、あるいは交通費も支払われない、頑張っていこうと思ってもステップアップしていくための実習も受けることができないという、こういう問題、処遇等にもついてもしっかりとガイドラインでお示しをしていきたい、こう思う次第でございます。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、この時間外労働の制限、長時間制限については、しっかりとこの時間を何時間にするかということが一番大切ではないか、こう思っている次第でございます。

蓮舫君 長時間労働をなくしましょう、過労死を防止しましょう、大切な話です。でも、総理、我々の法案が厚労省に丸投げ。政府の出している残業代ゼロ法案、年収要件、対象業種、全部厚労省の省令事項じゃないですか。

 同じようなことをやっている、それをここで批判するのは生産性がない。だから、議論をして、今言った問題点を国会で審議しようじゃないですか。聞いていないことをどんどん話さないでくださいよ。カジノは急いで、議員立法で、五時間三十三分で強行採決。何で、長時間労働の問題点もそこまで整理しているんだったら、国会で議論しましょうよ。なぜしないんですか。

内閣総理大臣(安倍晋三君) これ、私は独裁者ではないんですから、行政府の長であります。まさに、この議員立法においては委員会において見識を持って判断をしていただきたいと思うわけであります。

 私は、例えばということで、皆さんのこの法案についての問題点を指摘をさせていただきました。私がなすべきことは何か。それは、皆さんの問題点を指摘した以上、そうした問題点をしっかりと克服した、構造的な問題は何かということをしっかりと考えた、その上において正しい法案を出させていただきたいと、このように考えて、できるだけ早期に私たちが閣法として政府としての法案を出させていただきたいと、こう考えている次第でございます。(拍手)

蓮舫君 閣法以外は審議をしたくないという姿勢もよく分かりました。やっぱり改めて、何で同じ議員立法でカジノだけを強行採決するのかが私にはすとんと落ちてきません。

 もう一つ、これだけは触れさせてください。同じ議員立法です。

 この法案は超党派で進めて、自民党さんさえまとめてくだされば実現する可能性まで持ってきた女性の政治分野における参加を促す法案です。政治分野の男女共同参画推進法案、超党派でまとめてきました。私たちは既に法案を出しています。国政選挙あるいは県議会議員選挙、男女の候補者をなるべく均等にしましょう、それを政党に、努力義務ですから、理念法です。公明党も賛成をしていただいています。残るは自民党です。

 野田聖子さんが本当に頑張ったけれども、けれども、最後の自民党の法案を国会に出すかどうか決める部門会議で反対意見が相次いだ。活躍できる女性は自力ではい上がるから立法の必要性がない、女性の社会参画が社会を豊かにしているとは思えない、女は家にいろということでしょうか。こんな声で反対をされて、自民党の中の議論がこういう状態になったことで、法案の流れは頓挫しました。この国会で成立する見込みもなくなりました。輝く女性と言ったのであれば、党内をまとめてくださいよ。

 総理になって、ジェンダーギャップ指数、女性の社会参画度合いを測る指数は百十一位で、過去十年で最低を更新しています。言っていることとやっていることが余りにも違うじゃないですか。

 強行採決をしたことがない、よく息をするようにうそをつく。TPP、年金カット法案、カジノ、全部強行採決じゃないですか。ここは参議院です。良識の府の参議院は、みんな忘れない。去年の九月十九日の深夜、憲法違反の疑いのある安保法制を強行採決したじゃないですか。改めて、気持ちいいまでのその忘れる力を何とかしてくださいよ。

 対案をもってしっかり審議をしたいというのを、やじがうるさいだ、誰がどうだ、個別名を出して批判をする余裕をあるんであれば、私に向き合っていただきたい。

会長(柳田稔君) 蓮舫代表、時間が来ておりますので、おまとめください。

蓮舫君 ロシアのプーチン大統領、アメリカのオバマ大統領にお会いになる。是非、来月また党首討論第二弾をやっていただきたいとお願いをし、私の発言を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

会長(柳田稔君) 以上で蓮舫君の発言は終了いたしました。

 次に、日本共産党幹部会委員長志位和夫君。(拍手)

志位和夫君 安倍政権は、安保法制に基づいて、南スーダンPKO、UNMISSに派遣されている自衛隊に駆け付け警護などの新任務を付与し、この任務を遂行するための武器使用の権限を与えました。駆け付け警護に伴う武器使用は、これを国又は国に準じる組織に対して行った場合には憲法九条の禁止する武力の行使に当たるおそれがあるというのが政府の憲法解釈であります。

 そこで、伺います。

 南スーダンでは、二〇一三年十二月以来、大統領派と副大統領派の間で激しい戦闘が繰り返されています。今年七月には首都ジュバで両者の大規模な戦闘が起こり、民間人数百人が死亡し、情勢の悪化が一段と深刻になっています。

 ここで重大なことは、南スーダン政府軍によって、UNMISS、国連施設、国連職員、NGO職員などに対する攻撃が繰り返されているということです。七月の首都ジュバでの大規模戦闘の際には、南スーダン政府軍が国連職員やNGO職員が宿泊するテレインホテルを襲撃するという事件が起こりました。国連報告書によりますと、八十人から百人の政府軍兵士がホテルに乱入し、殺人、暴行、略奪、レイプなどを行いました。南スーダンでは政府軍による国連への攻撃という事態が続発しているのであります。

 総理に伺います。

 こうした事態の下で駆け付け警護を行ったらどうなるか。自衛隊が南スーダン政府軍に対して武器を使用することになる、憲法が禁止した海外での武力行使になる、こうした現実の危険性があるのではないか。総理にはそうした危険性の認識はありますか、端的にお答えください。

内閣総理大臣(安倍晋三君) 南スーダンは世界でも誕生したばかりの最も若い国と言ってもいいと思います。確かに、混乱の中から成功した国家としてその道を歩み、歩むために今世界各国がUNMISSにおいて協力を行っているわけでございます。日本も含め六十か国がこのUNMISS、PKOに参加をしています。いまだに、確かに治安は良くはありません。危険な状況もあるでしょう。しかし、いまだに一か国もこの治安を理由として撤退した国はないというのは事実でございます。そこで、我が国はその中で、日本としても責任ある役割を果たしていくために自衛隊の施設部隊を現地に派遣をしているところでございます。

 そして、この度、我々は、新しい任務、新しい任務をこれ付与したわけでございます。いわゆる駆け付け警護、そして駐屯地の共同防護を可能とする任務でございます。

 今までも、例えばかつてコンゴにおいても事例としてあったことでございますが、近傍で日本のNGOの方が危険を感じて自衛隊に救助を求め、そして自衛隊が駆け付け、そして、言わば安全を確保して、移送して、安全な場所まで移動したということがあります。東ティモールでもあるわけでありまして、しかしそれは、それは、訓練も、訓練もしていない中……(発言する者あり)これ大事なところだからお話をさせていただきたいと思います。これは、訓練もしていない中、十分な権限や任務も与えられていない中、しかし、現場の自衛官が自分たちの裁量においてできる限りのことをして救出をした、安全を確保したわけでございます。今回はもちろんそうではなくて、新しい任務がしっかりと法的な根拠の上に与えられ、十分な訓練を行っているわけでございます。

 そして、現在の、現在の状況でございますが、現在の状況につきましては、いわゆる……

会長(柳田稔君) 総理、時間の関係がありますので、簡潔にお願いします。

内閣総理大臣(安倍晋三君) はい。

 いわゆる国準が登場する状況ではないというふうに我々は考えております。

 政府そして反政府組織があるわけでありますが、反政府勢力においてはタバン・デン副大統領が政府の、副大統領として政府の一員となっているわけでありまして、キール大統領もタバン・デン副大統領もこの自衛隊の言わばPKO部隊を受け入れるということを、そしてそれに期待をしているということを明確にしているところでございます。

志位和夫君 あのね、私が聞いたのは、自衛隊が南スーダン政府軍に対して武器を使用することになるんではないかと、その危険について聞いたんですが、お答えになりません。

 南スーダンの現実がどうなっているか、直近の三つの国連報告書を示したいと思います。

 九月十九日の国連報告書は、七月のジュバでの戦闘を境に、南スーダン政府軍による人道支援の職員を標的にした攻撃の激しさと範囲がエスカレートしている、こう述べています。

 また、十一月十五日の国連報告書は、南スーダン政府と軍による持続的、組織的な地位協定への違反、南スーダンPKO、すなわちUNMISSへの敵対的行為が続いており、政府軍は恒常的にUNMISSの任務遂行を妨害していると述べています。

 さらに、十一月十日の国連事務総長の報告は、八月十二日から十月二十五日までの約二か月間で、南スーダン政府と軍による地位協定違反、UNMISSへの敵対的行為が四十六件あったことを明らかにした上で、任務遂行中のUNMISSに対する移動妨害、UNMISSの要員に対する逮捕、拘束、迫害、襲撃、脅迫などが行われたと述べています。

 南スーダンの政府と軍によってUNMISSへの敵対的行為が持続的、組織的、恒常的に繰り返されていることが克明に述べられている。

 総理は、南スーダンの現状は、受入れ同意が安定的に維持されている、だから武力行使にならないんだとおっしゃいますけれども、そんなことは到底言えない状況じゃないですか。どうですか。

会長(柳田稔君) 簡潔にお願いします。

内閣総理大臣(安倍晋三君) はい。

 さっき答えたじゃないですか。皆さん、聞いていなかったんですか。キール大統領もタバン・デン副大統領も、政府も反対派も含めて、これは自衛隊を歓迎していると言ったではないですか。つまり、つまりですね、政府を代表する、政府を代表する……(発言する者あり)まだ分からないんですか。政府を代表する大統領とその副大統領が受け入れる……

会長(柳田稔君) 総理、申合せの時間を過ぎておりますので、よろしくお願いします。

内閣総理大臣(安倍晋三君) 分かりました。

 受け入れる、受け入れるということは、まさにこの政府軍と自衛隊が干戈を交えるということにはならないということを申し上げたわけでありまして、これは既に明確に申し上げているわけでありまして、そして、我々はこのジュバ、ジュバにですね、ジュバに駐留しているわけでありまして、南スーダン全体とは、南スーダン全体とはこれは違う、南スーダン全体とは違うわけでありまして、まさにジュバであります。

 ですから、このジュバにおいては比較的平穏だということは申し上げているとおりでありまして、志位委員長は全体のことをおっしゃっているわけでありますが、ジュバにおいては比較的平穏であると、そして、その中において我々は、稲田大臣あるいは柴山補佐官を派遣してそれを確認している。私が言ったことは、UNMISSのロイ代表も同じ意見を述べているということでございます。

志位和夫君 あのね、一言申し上げますと、キール大統領が歓迎していると言っても、実際に四十六件の地位協定違反がやられているじゃないですか。それから、ジュバが安定していると言うけど、二月の予算委員会のときもあなたはそう言った。しかし、七月に大規模戦闘起こったじゃないですか。

 私は、憲法違反の武力行使につながる新任務の付与は直ちに撤回する、自衛隊は速やかに撤退する、そして、日本の貢献は非軍事の人道支援、民生支援に切り替えるべきだということを強く求めて、終わります。(拍手)

会長(柳田稔君) 以上で志位和夫君の発言は終了いたしました。

 次に、日本維新の会代表片山虎之助君。(拍手)

片山虎之助君 日本維新の会の片山虎之助でございます。

 順次質問いたしますけど、総理、私の持ち時間は六分なんですよ。七月の参議院選挙で勝たせていただきましたんで、少しですが、四分が六分になったんです。だから、今国民が切実に思っていることを中心に聞きたいと。一応、私は三問、質問じゃない、まあ討論ですけど、三問用意したんで、六分ですから、ひとつ答弁の方、よろしくお願いいたします。

 まず、TPPなんですが、これについては我が党はもう終始賛成で来ました。トランプさんが出てきて事態はややこしくなりましたわね。アメリカは離脱するということを表明された、しかし総理はトランプさんが出てきてもやっぱりTPPの発効を目指すんだと、こういうことですよね。だから、推進すると、そのためには加盟国をまとめるし、アメリカには翻意を促すと、こういうことをおやりになって、我々も賛成なんですよ。何にもしないで、批判したり評論したり泣き言を言っておっても何も生まれない。そういう意味では、総理の決断、方針を我々は支持いたしますけれども、見込みはどうですか。それが一つ。

 それから、もしどうしても、どうしてもそれが成らないときの方向転換というのか二段構えというのか、そういうことについてのお考えを、言えることと言えないことあると思いますよ、言えることで結構ですから、言ってください。

内閣総理大臣(安倍晋三君) これ、言えることは、今ここでTPP法案を諦めてしまえば見込みはゼロだということであります。

片山虎之助君 総理、だから見込みはゼロで、ゼロは嫌だと……(発言する者あり)いや、やめれば見込みはゼロですね。やめれば見込みはゼロで、それ、見込みはゼロは困りますよ。しかし、いろんな、何というのかな、二段構え、三段構えの戦略というのは私は要ると思うので、それは是非ひとつよろしくお願いいたします。

 そこで、あれこれ飛ぶんですが、日ロ交渉でプーチンさんとの会談が、長門市ですか、何か十五日におやりになると。こういうことで、それはいいんですが、リマでお二人でお会いになった後、リマで、ペルーですよ、プーチンさんは北方領土の共同経済活動ということを言及されたんですよね、北方領土での共同経済活動、日本とロシアの。

 ただ、総理が言われる日ロの経済協力プランというのは、あれは北方領土以外じゃないですか。そういう意味では、そこの擦れ違いというのか、ちょっと差があると思うんですが、いかがですか。

内閣総理大臣(安倍晋三君) 平和条約交渉の中身についてはここで申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、今、片山委員が言及された最後の点は、これはいわゆる八項目の提案、これは我々の、私たちの提案でございます。八項目の提案というのは、北方四島ではなくて言わば極東におけるこれ開発の問題でありまして、これはロシアに大きく裨益する。しかし、これはウイン・ウインでなければ日本の企業は進出をしないわけでございまして、日本の企業が日本の技術を使ってロシアの極東の言わば発展に協力をしていく、当然それは我が国にも大きな利益をもたらすという私たちの提案でございます。

片山虎之助君 それで、今回の日ロ交渉の世論調査なんか見ていますと、私は、国民の皆さんは大変冷静というのか、別の言い方だと冷めているんじゃないかと。

 例えば、交渉がうまくいくかというと、うまくいかないと思う方が八割なんですよね。その見通しで期待できるかというと、そうでもないというのが七割だし、経済協力は評価するが多いんです、六五%で。ところが、これ以上強化しなくてもいいというのも五割を超えているんですよ。

 そういう意味で、領土でも、本当は四島が返ってくるのが一番いいですよね。しかし、こんなものは大変難しい問題なので、二島でも仕方がないじゃないかというのが五割を超えている。しかし、やっぱり引き続いて残りの二島もと、こういう感じなので、今はまだ私は本当に急がずに、急がずに、言われていますように長門会談はゴールでなくてスタートなので、息長く国民の意向をこっちで見ながら行った方がベターだと思いますけど、いかがですか。

内閣総理大臣(安倍晋三君) さすがに片山先生だというふうに思いながら拝聴させていただきました。

 一回の首脳会談において、この安倍政権になってプーチン大統領は初めて来日をされるわけでありますが、その一回の会談で解決するほどこれは簡単な問題ではないわけであります。言わば戦後七十年たっても解決されない。

 そしてまた、北方四島に住んでいるロシア人はもう第三世代に入っているわけであります。お父さんの時代から自分は生まれ育って、ここは自分のふるさとだと思っているロシア人しか今、がほとんどであります。残念ながら日本人は住んでいない。しかし同時に、旧島民の皆様はだんだん年を取られておられます。自由な往来をとにかく可能にしてもらいたいという御希望に応えていく私たちには責務があります。

 もちろん、困難な、大変困難な課題であります。そんなのできるはずがないよというやじも飛びましたが、そう思って諦めていれば、これ一ミリも進まないわけでありまして、私はそういう道は取りたくない。今を生きる政治家の責任として全力を傾けて取り組んでいきたいと、このように思っております。(拍手)

片山虎之助君 総理、IR法なんですが、カジノがありますからね……

会長(柳田稔君) 片山代表、時間も過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

片山虎之助君 これはなかなか賛否がもうやかましいと思いますよ。大変反対も多いんです。

 ただ、あれは議員立法なんですよ、超党派の議連の。しかもプログラム法案なんですよ。プログラム法案というのは簡単に言うと予告編みたいなものですよ。抽象的なことを書いているんです、基本理念や国の責務を。具体に決まるのは次の実施法なんですよ。実施法を作れというプログラム法なので、話はこれからなんですね。

 その中で、私は幾つか言いたい。一つは、地方が地方活性化のためにどうしてもやりたいというのなら、地方の総意が確認できれば私はできるだけ認めてやるべきだ、外国もそうなっているんですから、地方活性化のために。

会長(柳田稔君) 時間が過ぎていますので、簡潔にお願いをいたします。

片山虎之助君 それからもう一つは、依存症の問題がありますから、この機会に五か年計画でも作って、ギャンブルだけじゃありませんよ、アルコールだって薬品だってその他の依存症だって一掃する五か年計画を作ってくださいよ、シンガポールが似たようなことをやっているんだから。まだ五年も六年も先なんですよ、カジノができるのはですよ。

 それからもう一つは、これは言われていますが、世界中の、世界中で一番厳しいカジノの管理規制や営業規制、これは世界のモデルになるようなものを作ってくださいよ。そうすれば国民はカジノでも安心するんですよ。

会長(柳田稔君) 片山代表、申合せの時間が過ぎております。

片山虎之助君 カジノというイメージで今幻惑されていますよ。是非それを、今度の実施法は内閣の責任、政府の責任ですから、ここまでは国会の責任ですよ。ただ、法律ですから国会でまたやりますよ。総理、それをよろしくお願いしますよ。いかがですか。

会長(柳田稔君) 以上で片山虎之助君の発言は終了いたしました。(拍手)

 本日の合同審査会はこれにて散会いたします。

   午後三時五十一分散会


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