第1号 令和7年4月23日(水曜日)
令和七年四月二十三日(水曜日)午後三時開議
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委員氏名
衆議院
委員長 泉 健太君
理事 小渕 優子君 理事 丹羽 秀樹君
理事 平井 卓也君 理事 青柳陽一郎君
理事 後藤 祐一君 理事 手塚 仁雄君
理事 岩谷 良平君 理事 玉木雄一郎君
小野寺五典君 木原 誠二君
坂本 哲志君 菅 義偉君
鈴木 俊一君 田所 嘉徳君
中西 健治君 福田 達夫君
村井 英樹君 森山 裕君
大串 博志君 小川 淳也君
小宮山泰子君 野田 佳彦君
笠 浩史君 前原 誠司君
赤羽 一嘉君 高井 崇志君
鈴木 敦君 島田 洋一君
参議院
委員長 浅田 均君
理事 古川 俊治君 理事 松山 政司君
理事 榛葉賀津也君 理事 小池 晃君
阿達 雅志君 加藤 明良君
古賀友一郎君 高橋 克法君
滝波 宏文君 中田 宏君
山本佐知子君 斎藤 嘉隆君
牧山ひろえ君 水岡 俊一君
谷合 正明君 西田 実仁君
片山 大介君 吉良よし子君
木村 英子君
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出席委員
衆議院
委員長 泉 健太君
理事 小渕 優子君 理事 丹羽 秀樹君
理事 平井 卓也君 理事 青柳陽一郎君
理事 後藤 祐一君 理事 手塚 仁雄君
理事 岩谷 良平君 理事 玉木雄一郎君
小野寺五典君 坂本 哲志君
菅 義偉君 鈴木 俊一君
田所 嘉徳君 中西 健治君
広瀬 建君 福田 達夫君
村井 英樹君 森山 裕君
大串 博志君 小川 淳也君
小宮山泰子君 野田 佳彦君
笠 浩史君 前原 誠司君
赤羽 一嘉君 高井 崇志君
鈴木 敦君 島田 洋一君
参議院
委員長 浅田 均君
理事 古川 俊治君 理事 松山 政司君
理事 榛葉賀津也君 理事 小池 晃君
阿達 雅志君 加藤 明良君
古賀友一郎君 高橋 克法君
滝波 宏文君 中田 宏君
山本佐知子君 斎藤 嘉隆君
牧山ひろえ君 水岡 俊一君
谷合 正明君 西田 実仁君
片山 大介君 吉良よし子君
木村 英子君
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内閣総理大臣 石破 茂君
国務大臣
(内閣官房長官) 林 芳正君
内閣官房副長官 橘 慶一郎君
内閣官房副長官 青木 一彦君
政府特別補佐人
(内閣法制局長官) 岩尾 信行君
衆議院国家基本政策委員会専門員 大野雄一郎君
参議院常任委員会専門員 金子 真実君
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本日の会議に付した案件
国家の基本政策に関する件
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〔泉健太君会長席に着く〕
○会長(泉健太君) これより国家基本政策委員会合同審査会を開会いたします。
この際、一言御挨拶申し上げます。
衆議院国家基本政策委員会委員長の泉健太でございます。
本日は、私がこの合同審査会長を務めさせていただきます。
本委員会は、衆参両院の委員による合同審査会でございます。参議院の浅田均委員長を始め、両院の皆様方の御協力を賜り、その職責を全うしてまいりたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
この際、御報告申し上げます。
去る十日の両院合同幹事会において、合同審査会は、常会においては、予算成立後、例年四月、五月、六月の各月に一回は開催することになりましたので、よろしくお願いを申し上げます。
国家の基本政策に関する件について調査を進めます。
これより討議を行います。
四十五分間の討議に当たりましては、申合せに従い、野党党首及び内閣総理大臣は、決められた時間を厳守し、簡潔に発言を行うようお願い申し上げます。
また、委員及び傍聴議員各位におかれましても、不規則発言等、議事の妨げとなるような言動は厳に慎まれますよう、御協力をお願いいたします。
発言の申出がありますので、順次これを許します。立憲民主党代表野田佳彦さん。(拍手)
○野田佳彦君 立憲民主党の野田佳彦です。
総理、よろしくお願いいたします。
総理と党首討論は、昨年の十月九日、総理が解散をした日に一回お手合わせをいただきました。以来、久しぶりでございますけれども、この度、泉健太合同審査会会長始め、衆参の与野党の理事の皆様には、こうした機会をつくっていただいたことに深く感謝申し上げたいというふうに思います。
総理とは二回目でありますけれども、かつて、私が与党の党首の頃に三回経験をさせていただきました。谷垣禎一自民党総裁と二回、安倍晋三当時の自民党総裁と一回、それぞれ、激論でありましたけれども、いい議論ができたというふうに思っています。
私が与党のときに党首討論をやったときというのは、ねじれ国会だったんですね。衆議院では与党が、我々が多かったんですけれども、参議院では数が足りない。なかなか、法案を提出しても、成立率、低くて困っているときに、重要なテーマで与野党が膠着状態に陥ったときに、局面打開の一つの舞台として、私は、党首討論というのは非常に意義があったなと思っているんです。一致点を見出すためのいい機会だと思うんですね。
今、石破政権も衆議院では少数与党政権でありますので、むしろ国難ともいうテーマについて、一致点を見出せるような、そういう議論ができればと思っていますけれども、QTの意義について、総理はどのようにお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(石破茂君) これは、政治改革の議論があったときに、イギリスのこういう制度を範として取り入れようではないかということでございました。
つまり、保守党、労働党の党首が、そこにおいて、イギリスが抱えているいろいろなテーマについて議論を行う、そこにおいて一致点をなるべく見出していく、特に外交とか安全保障、そういうものについては、与党、野党、そんなに違いがあっていいはずはない、党利党略というものに余り拘泥することなく、国家いかにあるべきかということについて党首同士が議論を交わし、可能な限りの一致点を見出していく、それが国家のためだ、そういう意義かと私は存じております。
○野田佳彦君 今日は、その一致点を見出せるかどうか、認識がどれぐらい一致するか。
やはり、国難と総理がおっしゃっているトランプ第二次政権の関税政策についてお話をさせていただきたいと思っているんですけれども、まずは、このトランプさんの関税政策の大局的な位置づけなんですけれども。
八十年間にわたって、アメリカ中心に自由貿易体制をつくってまいりましたですね。私は、一番恩恵を受けてきた国はアメリカだと思っているんです。世界で一番富豪が多いし、今なお経済大国であります。一部の地域の製造業が不振だといっても、一番恩恵を受けてきたのはアメリカです。
にもかかわらず、自分たちは損ばかりしてきたという意識が強くて、関税政策を軸として、新しい、アメリカを軸とした、アメリカ・ファーストの新しい国際秩序をつくろうとしているというふうに思うんです。でも、それは、WTOのルールであるとか二国間で合意をしてきた約束などが一方的に相互関税という名で全部根底から覆ってしまうという事態でありますので、世界中が困惑をし、心配をして、憂慮をしている状況です。
その大局的な見地の中で、注目をされていたのが赤澤大臣の訪米なんですね。私は、この訪米、どう見るかです。総理は、次の協議につながったという、そういう位置づけで肯定的な見解を持っていらっしゃいました。私は、やり取りよりも、あの見た目の視覚的な印象は非常に日本にとってマイナスだと思うんです。もういろいろなところから出ていますけれども、あの赤い帽子のMAGAの帽子をかぶって、一緒に写真を撮って、非常に喜んでいらっしゃる様子というのは、まあ、大臣のお人柄だと思いますけれども、でも、一線を越えていると思いました。
私は、思い出したのは、一九九五年の日米自動車摩擦のときのミッキー・カンターUSTR代表と橋本龍太郎通産大臣の、あの対談の前の映像ですよね。橋本大臣が竹刀を持っていって、自分で持つんじゃなくてカンターさんに持たせて、切っ先を自分の喉元に当てて、立ち向かっていくぞという気迫に満ちた、あの国益を懸けた、まさに交渉の前の気迫を感じました。
私は、総理が国難と言っているにもかかわらず、残念ながら、あのキャップをまんまとかぶらされてしまってホワイトハウスで写真で使われてしまっているということ自体は、多くの国が注目をしているときに、朝貢外交をやっているように見えてしまったというのは非常にマイナスだと私は思っていますけれども、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(石破茂君) それは、いろんな見方があるんだろうと思っています。当然のことであります。
これは予算委員会、参議院でしたか、お答えもしたんですが、なぜトランプ大統領があの席に出てきたのだろうかということを考えたときに、やはり日本との関係を一番重視をしているということは、これは私は間違いないと思っております。普通、一閣僚が出るときに、大統領、それ以外にも通商代表、財務長官あるいは商務長官、出席をしているところに、わざわざ大統領が出てくるというのは、それは日本を一番重視している、それだけ頼りにしているということだと私は思っております。
もう一つは、いろんな閣僚たちがいる。これは財務長官と赤澤大臣との間で交渉するということにはなっているのだけれども、それは大統領制ということもありますが、最後は自分が決める、そういうリーダーシップの表れだったと私は思っております。
赤澤大臣があのときに、アメリカのいろんな思い、なぜこういうことを言うに至ったか、しかしながら、いかにして日本の国益を実現するかというときに、まず一緒にやろう、アメリカと一緒に何ができるか、どっちが得してどっちが損するということではなくて、アメリカと一緒に日本はどのようにして国を発展させていくか、そして、日米が共同でやることによっていかにして世界に利益をもたらすかという話をしていかなければなりません。
私は、橋本通産大臣があの切っ先を突きつけた場面、私も当時、もう議員でございましたので、よく覚えています。それは橋本龍太郎さんらしい、本当に闘志の表れだったと思う。今それをやることが本当によいだろうかということ、それは国益全体で考えたときに、赤澤大臣として可能な限りの対応をしたと私は思っております。
○野田佳彦君 ならば、せめて、私はマイナスの印象を持ちましたけれども、次の協議でマイナスの印象を払拭するためには、じゃ、日本も帽子を作って、メイク・ジャパン・グレート・アゲインって、相手に帽子をかぶらせるぐらいのことはやった方がいいと思いますよ。
それはおいておいて、私は交渉体制の問題にも非常に疑問があるんです。
そもそも、総理が、四月七日だったでしょうか、二十五分間の首脳間の電話会談をやりました。いろんなやり取りがあったかと思いますけれども、そのときに決めたのは交渉担当者ですね、交渉担当者。それを決めたというのは一つの合意だったと思うんです。その合意を受けて、アメリカは、ベッセント財務長官、それとグリアUSTR代表と、お二人選んできたのに、何で日本は赤澤大臣だけなんですか。もう既に数からして劣勢じゃないですか。
交渉というのは、やはりせめて同じ数でいかないといけないのに、相手が二なのに何で日本は一なんだろうと思いました。加えて、実際に訪米してみたら、商務長官は出てくるわ、あれ、国家基本問題の補佐官もちらっと見えましたよね。で、大統領、出てくるわじゃないですか。
実際行ったら一対四でしょう。この体制で臨まざるを得なかったということは、私はやはりこれも印象としてマイナスだったと思うし、加えて、タスクフォースが発足したけれども、三十七人で、しかも、強力に大臣を支えてほしいんですけれども、併任ばかりでしたよね。それじゃいかぬということで、後から常設で十人、つくったじゃないですか。
私は、総理は、困難、国難と言っている割には、体制整備が弱過ぎるし、遅過ぎると思いましたけれども、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(石破茂君) よりよきを期してこれから先も努力することは当然です。
しかしながら、第一回赤澤大臣そしてアメリカとの協議において、私どもが体制において劣勢だったとは全く思っておりません。
これは、トランプ大統領、まだ大統領になる前、ハリス副大統領と大統領選挙を行っておったときから、トランプ氏が当選したとすればどうなるだろうかということのシミュレーションは徹底的にやってまいりました、政府の中で。もちろん民主党が当選するかもしれないが、どういう可能性もあり得るわけですから。
そのときから、大統領になるトランプ氏の演説、それは全部子細に検討もいたしました。そして、就任の演説、そして矢継ぎ早に出された大統領令、それを全部子細に検討しながら、外務省、経産省、国交省、農水省、防衛省、そういう体制で、大統領就任の前から徹底した準備はしてまいりました。ですから、にわかづくりの、急造のチームでも全くありません。
私自身、代表も一国を率いておられましたから、省内の体制のつくり方、政府内の体制のつくり方は通暁しておられるかと存じますが、私は、あの当時としてベストの体制で臨んだと思っております。
しかしながら、いろんな御指摘もいただいておりますから、更に体制は強化してまいりますが、私は、体制が不十分であったとか、そういうふうには考えておりませんし、向こうが数が多いからこっちは少なくて劣勢だった、そういうふうには全く考えておりません。
○野田佳彦君 宮本武蔵みたいな剣豪だったら、相手が複数いても、吉岡道場相手でも戦えると思うけれども、厳しい交渉のときに数で劣勢とか体制が弱いというのは私はマイナスだと思いますので、万全な体制をこれからもしいてほしいというふうに思います。
注目するのは、日本時間のあしたになってしまうのかな、G20の財務大臣・中央銀行総裁会議がワシントンで開かれますよね。私はとても注目しているんです。これにはベッセント財務長官が出てきますね。何を発信するのか、そして、参加している国々がどういうメッセージを出すのか。
これはめったにない機会になるというのは、G20の財務大臣・中央銀行総裁会議、南アで開いた二月はベッセント長官は出ていないんですよ。G20の外務大臣会議、ルビオ国務長官は出ていないんですよ。G20のサミット、十一月、恐らくトランプ大統領は出ないでしょう。南アの白人に対する厳しい土地政策をおかしいと言っているので、南ア主導の議長の会議は出ない。
恐らく、多くの国際社会で自由貿易を推進しようとしている国とか報復している国とか、いろんな立場の国があるけれども、国際社会の声を聞くというのは多分めったにない機会なので、このG20財務大臣会議、ここで日本はどういうメッセージを出そうとしているのか、是非お聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(石破茂君) それは、世界の自由貿易体制は守っていかねばならないということだと考えております。
しかしながら、世の中はきれいごとばっかりで済むはずはないのであって、そのG20には、アメリカと立場を異にする国、政治体制の異なる国、あるいは安全保障の面において全く違うスタンスの国というのも含まれております。そこにおいて、我が国は、やはり、アメリカとの同盟関係というものを基軸にして日本の国は戦後やってまいりました。そこにおいて、日本として、アメリカとの信頼関係というのはきちんと基礎に置いた上でこのG20に臨んでいかねばならないと考えております。
それが、じゃ、日本とアメリカさえよければよいとか、一部日本はアメリカにすり寄ってという御議論もございますが、そうではなくて、日本とアメリカが共に手を携えて何ができるか、世界のために何ができるかということを示していくということが、私はこのG20に臨む日本国の方針であるべきだと考えております。
○野田佳彦君 日本とアメリカが何ができるかについては、私はそれは、二国間交渉でどうやってウィン・ウィンの関係をつくっていくかという議論は、あってしかるべき、これからの協議だと思います。
でも、マルチの会議では、緩やかにでも、やはり今のトランプさんの関税政策について再考を求めていくということ、WTOの違反じゃないか、日米自動車協定に違反しているんじゃないかと。ルールを守るということを鉄則とした国際秩序をつくっていかなきゃいけないという立場を私は日本も表明すべきであるというふうに思います。むしろ、そちらを毅然として強調すべきだと思います。マルチの方がきちっとベッセント長官に物が伝わると思いますよ。と思います。私の見解です。
もう一つ、この国際会議の合間に加藤財務大臣とベッセント財務長官の会談が開催をされる、開かれると思うんですね。為替の問題が想定されています、議論。為替の問題をここで議論すると、余り踏み込んだ話をすると影響がありますので、マーケットに、そこは抑えた議論をしたいというふうに思いますけれども、ただ、為替の問題が出てきたときに、基本として押さえておかなければいけないのは、第二プラザ合意のものをアメリカが考えているとするならば、それは基本的には間違っているということは言わなきゃいけないと思うんです。
一九八五年当時と今の為替市場の規模の大きさは全然違います。全然違う。一九八五年は日本を含めて五か国で協調介入をやって、いわゆる円高・ドル安の方向に持っていきましたよね。今そんなことをやろうとしたって極めて困難ですからという認識を共有できるかどうかということと、あとは、トランプ政権というのは、非常に素直に反応するというのは、マーケットの反応には素直に反応しますよね。今回も、FRB議長の解任の話を言った瞬間にトリプル安になった瞬間に、もう発言を変えてきたじゃありませんか。
ということを考えたときに、今為替の問題で、日本は、うまい物事の言い方とするならば、一番日本が米国債を買っていますよ、これからも支え続けますよ、その代わり、激変が起こるとそういうことにもならなくなるかもしれないから、それは貴国にとってもダメージですねということぐらいのさらっとしたスタンスぐらいは言ってもいいのではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 御示唆は承りました。
ただ、この問題は非常に機微な問題でございますから、代表も総理を務められ、財務大臣もお務めでありましたから、それは、この問題がいかに機微なものか、さらっとでもそういう問題をどのように取り扱うかということも百も万も御存じでの御質問だと思いますので、御示唆は承りましたというふうに答弁をさせていただきます。
ただ、私どもが考えねばならないのは、あの当時はどうであったかということを考えたときに、状況が全く違うというふうに代表はおっしゃった。アメリカの貿易赤字がずっと積み重なってきているんだけれども、一九八一年という年、鈴木善幸内閣であったかと思いますが、あのときに、アメリカの貿易赤字の中で日本が占める割合というのは七割。七〇%が日本に対する貿易赤字だった。それから時がたって、昨年、二〇二四年を見たときに、アメリカ全体の貿易赤字の中で、じゃ、日本は何%なのというと、これは五・七%なのですよね。それは、それだけ世の中が変わったということでもあり、それだけ日本がアメリカに投資もしてきたということでございます。
当時と今と、日本とアメリカを取り巻く状況も全く変わっているということ、世界の状況も変わり、日米の状況も変わり、日本がどれだけ努力をしてきたかということは、これは歴然としておることであって、その点ははっきりと数字にして、アメリカに対しても、世界に対しても訴えていくべきことだと私は思っております。
○野田佳彦君 二国間の交渉から少し今度離れてみたいと思うんですね。
今回は、やはり自由貿易をしっかりと訴えていく先頭に立つ私は経済外交戦略を、二国間交渉をやると同時に、もう一つしっかりと持って、大きな構えも必要だと思うんです。
自由貿易において一番恩恵を受けている国は、ある意味、私は日本だと思います。島国にあって、エネルギーも、そして食べ物も含めて、海外に依存する残念ながら率が高いということは、自由貿易があるがゆえに、海外からそういうものを集めることができて、消費者が助かり、国民が助かっている国ですから、これが、保護貿易、台頭し、経済がブロック化すると、一番不利益を受けるのが日本の消費者であり、国民だと思います。
という意味で、私は、総理は、今回のトランプ関税による様々な影響、保護主義の台頭については、国難と表現をされたと思うんですよね。でも、国難の逆は国益であって、自由貿易を推進をしていくということが日本の私は国益だと思います。国益を極大化していく努力も今やるべきであって、それは何かというと、今申し上げていた大局観の下に、日本が、アメリカは残念ながら自由貿易の旗を降ろさざるを得なくなっている、ならば、日本がその旗を持って先頭に立って自由貿易圏のネットワークをつくっていくという気構えと外交戦略は必要だと思いますけれども、その点の御認識をお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(石破茂君) それは、貿易は世界とやっていくものです。そして、比較優位というものをどのように考えていくべきかという問題でもございます。そして、貿易赤字すなわち悪かといえば、貿易赤字だけれども豊かな国、これは比較が適切かどうか分かりませんが、ルクセンブルクなんかはそうですよね。
今回は、貿易赤字を減らすということがアメリカの目的であるのか、いやいや、それは手段なのであって、いかにしてアメリカに雇用をもう一度生み出すかということ、それはどの国であってもそうだと私は思っているのです。いかにして、忘れ去られた人々ということをトランプ大統領はずっと選挙中も、選挙後も言ってきた。アメリカにおいていかにして雇用を取り戻すか、そこにおいて日本がいかなる役割を果たすか、そして、それによっていかにして日本の国益を損なわないかということは、そこは対アメリカのみならず、世界中について言えることなのだと思っております。
代表がおっしゃいますように、いかにして共に利益を得るかということを考えていかねばならないのであって、自由貿易体制によって、ASEAN諸国はどうなんだろう、アフリカはどうなんだろう、南アメリカはどうなんだろう、自由貿易によって、我が国との間においても、いかに共に利益になるかということ、自由貿易をやったことによってどれだけお互いが幸せになるかということを説いていかなければならない、そうでなければ説得力がないと私は思っております。
○野田佳彦君 具体的な手段、その自由貿易拡大の手段というのは、私は、やはりTPPの生かし方、今はCPTPP、この生かし方に懸かっていると思うんです。
私はTPPに関心を持ったのは比較的早いんですけれども、元々、パシフィック4という、P4という、ちっちゃな国が、チリとニュージーランドとブルネイとシンガポールで経済連携協定をやっていた。そこにアメリカが目をつけたのが二〇〇八年なんですよ。そのアメリカが目をつけたということを知って私は注目したんです。
私は日米FTAをやるべきだと思っていました。これまでいろんな厳しい通商交渉をやって、バイでは大変じゃないですか、日米って。今回も大変ですよ、バイの関係で交渉するのは大変。でも、マルチで、全体像をお互いに確認しながらいけばアメリカも折り合う部分があると思ったので、P4にアメリカが入っていこうとしたときに、日本も入るべきだと思いました。
だから、国会で一番最初にTPPの質問をしたのは私なんです。TPP交渉参加に向けて協議に入るという政治判断をしたのも私ですので、TPPについてはちょっと思い入れが強いんですよ。
これを大いに活用すべきじゃないですか。今は、中国も、台湾も、そしてインドネシアも、ウクライナも、ウルグアイも、今加盟申込みをしてきているんです。これをもっともっと拡大していく。そのために日本が、まさに自由貿易の広がりをつくっていくために、戦略的に取り組むために、この間の予算委員会で申し上げましたけれども、事務局を日本が引き受けたらどうでしょうか。具体的にこの間申し上げたんですけれども、まだ明快な答えがなかったんですが、CPTPPを生かしていくべきだと思います。いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(石破茂君) CPTPPの事務局、これはかなり負担は重いです。それを引き受けるだけの体制というものが我が国で整備できるかどうか、代表の御提案でもございますし、我が国がこれから先、自由貿易体制の中でやっていく上においていかなるメリットがあるか、そして、もちろん他国の了解も必要でございますので、この点は真剣に考えてまいりたいというふうに私として思っておるところでございます。
TPPをめぐって、野田政権のときに、我が党と対峙をしたということがございました。いろんなやり取りもさせていただいた記憶がございます。
今、アメリカが入っていないということを考えると、我が国として、アメリカが帰ってくるというか入ってくるというか、それでもいい体制というのをつくっていかなければならない。どちらかといえば、アメリカはこれに対してネガティブな対応でございますが、アメリカが入ることによって、アメリカの国益というものが具現化される、世界益というものが具現化させる、そういうTPPをつくっていくということも我が国の責任であると考えております。
○野田佳彦君 これは二国間交渉にも生きるんですよ。CPTPP、日本が主導してつくっていったがゆえに、二〇一九年の日米自動車協定でアメリカは譲歩してきたと思いますよ。相関関係があると思いますので、是非、力強く推進してほしいと思います。
CPTPPだけではなくて、EUがTPPに関心を持ってきましたね。いいことだと思いますよ。いいことだと思いますよ。
世界のGDPに占める割合で、TPPが一五パーです、EU一七パーです。合わせると三二パーになるんですよね。それは中国やアメリカを追い越すことになるんです。その仲立ちを日本がしようじゃありませんか。イギリスがCPTPPに入ってきたんですから、去年の十二月。その窓口に、やはりEUとの連携を図っていく、自由貿易圏を大きく、アジア太平洋地域だけじゃなくて、EUとも連携する。日・EUで連携協定も日本はやっているわけですから、是非生かすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(石破茂君) それは認識は一緒でございます。
今週、オランダの首相ともかなり長い時間会談をいたしました。明日は、ルクセンブルクの首相と会談をいたします。先般は、スターマー・イギリス首相とも随分と長い時間議論しました。
やはりそれは、国家の体制というものがかなり似ているというEUと日本と、これはもう自由貿易という観点から連携していくことには大きな意味があるというふうに考えております。
ただ、それぞれの国が事情が違いますので、そこもよく理解をしながらやっていかねばならない。
しかし、総論といたしまして、EUと日本が自由貿易という観点から連携することの意義は極めて大きいということには、私も同意をするところでございます。
○野田佳彦君 EUとの連携、これは是非進めていただきたいと思います。
加えて、更にもう一つは、東南アジアです、ASEAN。
ASEANは、例えば、今回は、ベトナムが相互関税で、九十日以内に、こっちとしては四十何%の追加課税、関税ですよね。カンボジアもすごいです。東南アジア、一番厳しいんですよ、この状況。それに対して、今、先週、中国が各国を歴訪しましたね。これは、米中の間でうまくバランスを取ろうとした国々が中国に席巻されていく可能性があると思います。その穴を埋めていくのは日本の役割だと思いますので。一月に二国回ったじゃないですか、総理。あれはインドネシア……(内閣総理大臣石破茂君「マレーシア」と呼ぶ)マレーシア。いい視点だったと思います。また連休で行くでしょう。これ、しっかりとやっていってほしいと思いますよ。
東南アジア、RCEPという経済連携協定があるんです。RCEP、これは、GDPの三割を占めますから、世界の。全部合わせれば相当大きな自由貿易圏になりますので、こういうことをやってほしいと思います。
時間が来ましたから終わりますけれども、これからも、私は、国難だと思っている認識は同じですので、足を引っ張るんじゃなくて、お尻をたたくつもりでこれからも提案をしたいと思います。
ありがとうございました。
○会長(泉健太君) これにて野田さんの発言は終了いたしました。
次に、日本維新の会共同代表前原誠司さん。(拍手)
○前原誠司君 日本維新の会、前原誠司です。
石破総理とは、日米安保、そして憲法改正について話をさせていただきたいと思います。
日本は、残念ながら、自分だけではこの国を守ることができません。中国、北朝鮮、ロシア、全て核保有国です。そして、力ずくで現状を変えるということをやってきている国々です。自分たちだけで守れないということになれば、核を持つアメリカとの同盟関係というのは死活的に重要で、これをどう維持発展させていくかということは、総理としての一番大きな役割だと私は考えております。
トランプ第二次政権が誕生いたしました。第一次政権でも、日米安保は不平等だ、不公平だ、片務的だ、そして、安保破棄まで言及したのがトランプさんでした。今回も、何で、日本はアメリカを守らなくていいのに、日本を守らなければいけないんだということを言っていますよね。
もちろん、これは駐留経費を増額させるためのブラフかもしれない、ディールの材料かもしれない。しかし、私は、リスクマネジメントという観点からすると、単なるブラフというふうに思うことは危険だと思います。
例えば、日本国民が、これは例えば駐留経費を上げるということになったときにですよ、脅されて、破棄するぞと、そして、おまえたちを守ってやらないぞというふうに言われたときに、じゃ、上げますと言ったときに、日本国民には相当なストレスがたまります。と同時に、アメリカ国民も、仮にアメリカが攻撃されたときに、アメリカが軍事協定を結んでいる国の中で、日本だけが防衛義務がないんですよ。NATO、韓国、フィリピン、全て防衛義務を負うんですね。日本だけが防衛義務を負わなかったときに、果たして、その後、日本に何かがあったときに、アメリカ国民やアメリカ議会が本当に日本を守ろうということになるでしょうか。
そういう意味においては、私は、単なるトランプさんのディールだと思わずに、今後のリスクマネジメントの中で、日本とアメリカの安保条約の在り方というものをしっかりと私は見直すべきだと思います。このままでいいと考えられるか、見直すべきだと考えられるか、総理はどちらですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) それは不断の見直しが必要だと私は思っております。
一方において、NATOという、集団的自衛権を基礎とするあのような同盟がある。あれが実際に使われたのは、実はたった一回だけ。九・一一の後、NATO諸国が集団的自衛権を行使したという一回だけでございます。
アメリカをほかの国が守るというのはどういう状況なのかということも、本当にリアリティーを持って考えていかねばならないのであって、そのときに、いかにして同盟が信頼を保ち得るかということについては、委員とも随分長いこと議論もしてまいりましたが、これから先、まさしくこれは、与野党、党利党略を超えて議論を深めていく必要がある、このように考えております。
○前原誠司君 中身の話をしたいんですよ。だから、見直すべきだという一般論ではなくて、具体的な私は中身を聞きたいんです。
つまりは、双務的なものにするということになれば、日本が防衛義務を負う。その代わり、日本は、施設・区域の提供義務はなくなるんですよ。銃剣とブルドーザーで沖縄の占領地が基地になり、そのままずっと八十年。首都の上の航空管制は、誰がやっていますか。米軍ですよね。この国会の近く、総理官邸の近くの赤坂プレスセンター、いまだに米軍が持って、そして、そこから要人が出たり入ったりしている。これは主権国家ですか。
そういうことを具体的に本当にやらなければいけないと考えるかどうかということが大事だと私は申し上げているわけです。一般論で不断の見直しが必要だと言うことについて、私は、お答えとして余り意味がないと思います。
その上で、日本維新の会は、憲法改正というものが本当に必要だと思っているんですね。
例えば、この日米安保でも、双務性というものをしっかりやろうと思ったら、憲法改正、必要ですよね。だって、集団的自衛権の行使、できませんから。まあ、存立事態は、日本がまさに危機のときに、それに対して活動している米軍には集団的自衛権は部分的には行使できるということが平和安全保障では見直されましたけれども、アメリカの防衛義務を負うということになれば、憲法改正を本当にやらなきゃいけないですよ。
憲法改正といいながら、全然議論も進んでいないじゃないですか。
そして、この自衛隊というもの、今、人手不足です。採用が集まりません。
これ、自衛隊って、憲法に書かれていますか。憲法が施行されたのは一九四七年の五月三日、自衛隊ができたのは一九五四年の七月一日です。七年以上のブランクがあるんですよ。つまりは、今の憲法は、自衛隊というものを、そのものを想定していないんですね。そういうものの組織に対して、本当に、新たに入ってくる人間が、命を懸けてこの国を守ろうと思いますか。
そういう国の在り方とか、日米同盟関係がなければ日本を守れないというのであれば、憲法改正がまさに一番大事なテーマとして、国政の重要なテーマとして、取り組むべきではありませんか。
総理の御見解を伺います。
○内閣総理大臣(石破茂君) 私は、そうだと思っています。
つまり、あらゆる法体系の頂点に立つものであり、国の姿を指し示したのが憲法ですから、そのことに全力で取り組まないということは、それは、国家というものに対して全力で取り組んでいないということと全く一緒だと私は思っておりますし、集団的自衛権の問題は、実は、主権独立国家とは何であるかということが私は事の本質だろうというふうに考えております。
もちろん、非対称ではあるが、アメリカは日本を守る、日本はアメリカに基地を提供するという義務を負っていますから、双務関係ではあります。その中身が違うのだという点において、日米安全保障体制は恐らく世界でたった一つの同盟だと思っています。それをここまでやってきましたし、それに意味があったからこそ、日本は独立を守り、平和であった。
これから先もそうなのかということ、独立主権国家とは何なのかということ、そういう点について、まさしく憲法の議論をしていかねばならない。であらばこそ、我が党として、今でも党内において、この憲法改正の議論というものを精力的にやっているということであります。
この点については、本当に、なぜでは集団的自衛権というものが国連憲章に書かれたのかというところまで遡ってきちんと議論をする、それがあるべき姿だと私は思います。
○会長(泉健太君) 前原さん、申合せの時間が過ぎてございます。簡潔にお願いいたします。
○前原誠司君 はい。
五回目の挑戦で総理になられました。何をやるか。そして、失礼ながら、九割の国民が期待外れだと言っている。言うだけじゃなくて実行に移すときじゃないですか。この双務性を、まさに非対称性から対称にしていく。憲法改正も、党内の議論に委ねるんじゃなくて、自らがリーダーシップを発揮して……
○会長(泉健太君) 簡潔にお願いします。
○前原誠司君 やってもらいたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○会長(泉健太君) これにて前原さんの発言は終了いたしました。
次に、国民民主党代表玉木雄一郎さん。(拍手)
○玉木雄一郎君 国民民主党代表の玉木雄一郎です。
総理、国民、困っていますよ、物価高で。本当に困っている。
まず聞きます。ガソリンの暫定税率、いつ廃止するんですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) それを目指して、今、各党の間において協議が行われている、そのことについての結論が得られる、そのことが熱心な協議の末に結論が出ることを、私どもとして、心から期待をしておるところであります。(玉木雄一郎君「協議、行っていないですよ」と呼ぶ)
○会長(泉健太君) 玉木雄一郎さん、指名されてから発言をお願いします。
○玉木雄一郎君 済みません。
協議、行っていないですよ。十円の、補助金によるガソリン値下げ、もう決めちゃうんでしょう。榛葉幹事長、我が党の幹事長、森山自民党幹事長、西田幹事長、去年の十二月十一日に、これは目指すんじゃなくて、決めているんですよ、暫定税率の廃止は。いつやるかなんですよ。取って配ると無駄が生じるから、減税やりましょう。自民党も公明党もよく踏み込んでくれました、ガソリンの暫定税率廃止に。五十年ぶりですよ。でも、いつやるかは決まっていなくて、また補助金ですか。北海道の人と昨日話しましたけれども、十円、がっかりしていますよ。いつ廃止するんですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 三党で真摯な協議が行われているときに、いつということは申し上げられません。その審議が、その協議が、真摯で、そして生産的で建設的なものであるということに、私自身確信を持っておるところでございます。
○玉木雄一郎君 我が党榛葉幹事長がつぶやいていましたが、補助金の十円、聞いていませんよ。真摯な協議が行われていませんよ、総理。やりましょう。私たちも協力するところはしますから。是非、この困っている、特に、総理がおっしゃっている地方創生。簡単なんですよ。まず、一番地方で使っているのは車。都会に、東京にいると分からないけれども、車がないとスーパーにも病院にも行けないんですよ。だから、それを二十五円十銭、リッター、軽油十七円十銭、下げましょうということを言っている。これ、最も効果的。物流コストも下がる。物価も下がる。みんな喜ぶ。やりましょうよ、総理。短い時間なので、これは総理に今日委ねて終わりますけれども。
最後にもう一つ。年金改革法案は何で出さないんですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) ガソリンについては、今回、十円、みんながっかりしているとおっしゃいますが、これをやることによって、ウクライナ侵攻前の水準まで下がってまいります。
その暫定税率廃止は、それではそのことによって、地方も含めて、財源をどのようにして確保するかということが焦点です。そこを目指して三党の間で協議が行われていることであって、我が党がサボっておるとかそのようなことではございません。これによってデメリットを受ける人たちに対してきちんとした対応もしなければ、それはガソリンが下がればそれでいいという話にならないのであって、それによって困ってしまうところも当然あるわけで、それに対してどういう対応をするのだということもきちんと恒久的に示していかなければ、これは無責任な話だというふうに思っております。
私どもとして、暫定税率というもの、当分の間税率ともいいますが、これの廃止ということはきちんと認識もしています。しかしながら、地方も含めて、それによって財源が消えてなくなるところにどのような手当てをするか。それが、その場しのぎのものではなくて、恒久的にきちんとした手当てができるのかということも含めて、御党と真摯な議論を重ねてまいりたいというふうに考えております。
年金につきましては、これはきちんと対応いたしてまいります。しかしながら、この年金を改革するに当たって、これは今までもやってまいりました。この対象をいかにして広げていくべきかということについて、これから先、私どもとして、考えが収れんをしつつあるところでございます。
あとは、若い人たちに対する負担が増えているということでございますが、それでは、シニアな人たちに対してどういうことができるか、物価スライドというものをどう考えるかということについて議論をしておるところでございますが、私どもとして、これをきちんとした形で出すという方針に変わりはございません。(拍手)
○玉木雄一郎君 いや、自民党は拍手している場合じゃないって。
就職氷河期世代という世代がこの国にはいらっしゃいます。今、四十代から五十代前半ですね。あと十年から十五年すると年金受給世代になってしまいます。これまでの就職氷河期世代への対策は主に就労支援でしたが、これはほぼ年金問題に変わってきています、総理。
そして、今、私は実は政府・与党の当初案を評価しているんですよ、ある程度。つまり、二〇四〇年ぐらいから、年金受給、彼ら、始まりますが、今のままの制度をほっておくと、所得代替率は、基礎年金、今より三割下がります。生活保護より下回る水準になりますよ。
いろいろな理由で、政治の失敗もあって政策の失敗もあって、正社員になれなかった世代、厚生年金の保険料を十分払えていませんよ。最後生きていくために必要な基礎年金、それだって三割削られる。当初の政府の案は、当面の厚生年金は減るけれども、その基礎年金のいわゆる最低保障機能を強化しよう、皆さんの、自公の使う言葉で言うと、底上げです。
これは、いろいろな反対もあるかもしれないけれども、一定の意義がある。特に就職氷河期世代の最低限の年金を保障する意義があったのに、またこれ、選挙が近づいて、不利だからやめて、二〇四〇年代以降の基礎年金額を三割も削ることを放置して……
○会長(泉健太君) 玉木さん、申合せの時間が過ぎております。簡潔にお願いいたします。
○玉木雄一郎君 本当に就職氷河期世代対策になっているのか。このことを、言うので、じゃ、答えてください、明確に。
いわゆるマクロスライドですね、この年金法案の中でも。これもちゃんと入れた形で国会に提出しますね。明言してください。
○会長(泉健太君) 総理、時間が過ぎております。発言は簡潔にお願いいたします。
○内閣総理大臣(石破茂君) 就職氷河期の方々、そういう方々が正社員になる、あるいは、正社員として努力して役員になる、この数は飛躍的に伸びております。当初の目標を超える形で、我々として努力をし、皆さん方の努力によって、就職氷河期の方々、十分というふうに言えるかどうかは別として、着実にその効果を上げつつあるということは間違いないことで、何にもやっていないなぞということはございません。着実にそのことは私ども実行いたしてまいりました。
さっき、三割減るという御指摘がございました。そういうことにならないように我々はどうしていくかということでございます。そういう方々のことも十分に考えながら、自民党として、そういう方々に対しても必ず納得していただける、選挙対策なんぞということを考えて私どもはいるのではございません。そういう方々に対して十分御納得いただける、そういうような法案を提出するために、今、最終的な議論をしておるところでございます。
○会長(泉健太君) これにて玉木さんの発言は終了いたしました。(玉木雄一郎君「残念です。答えていただけませんでした。氷河期世代を見捨てないでください」と呼ぶ)
以上をもちまして、本日の合同審査会は終了いたしました。
これにて散会いたします。
午後三時四十八分散会