衆議院

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第1号 平成28年10月4日(火曜日)

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本国会召集日(平成二十八年九月二十六日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 遠山 清彦君

   理事 菅家 一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 奥野総一郎君 理事 高井 崇志君

   理事 桝屋 敬悟君

      池田 道孝君    大西 英男君

      金子万寿夫君    金子めぐみ君

      川崎 二郎君    小林 史明君

      古賀  篤君    左藤  章君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      田所 嘉徳君    高木 宏壽君

      谷  公一君    土屋 正忠君

      冨樫 博之君    中谷  元君

      長坂 康正君    葉梨 康弘君

      武藤 容治君    宗清 皇一君

      山口 俊一君    山口 泰明君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      近藤 昭一君    武正 公一君

      水戸 将史君    渡辺  周君

      輿水 恵一君    梅村さえこ君

      田村 貴昭君    足立 康史君

      吉川  元君    長崎幸太郎君

    ―――――――――――――

九月二十六日

 遠山清彦君委員長辞任につき、その補欠として竹内譲君が議院において、委員長に選任された。

平成二十八年十月四日(火曜日)

    午後四時二十七分開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 菅家 一郎君 理事 古賀  篤君

   理事 左藤  章君 理事 坂本 哲志君

   理事 田所 嘉徳君 理事 葉梨 康弘君

   理事 小川 淳也君 理事 奥野総一郎君

   理事 高井 崇志君 理事 輿水 恵一君

      池田 道孝君    大串 正樹君

      大西 英男君    加藤 寛治君

      金子万寿夫君    金子めぐみ君

      小林 史明君    小松  裕君

      鈴木 憲和君    田畑 裕明君

      高木 宏壽君    谷  公一君

      土屋 正忠君    冨樫 博之君

      中谷  元君    中谷 真一君

      長坂 康正君    星野 剛士君

      武藤 容治君    宗清 皇一君

      山口 俊一君    逢坂 誠二君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      鈴木 克昌君    武正 公一君

      升田世喜男君    稲津  久君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      足立 康史君    吉川  元君

      長崎幸太郎君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   内閣府副大臣       松本 洋平君

   総務副大臣        原田 憲治君

   総務副大臣        あかま二郎君

   総務大臣政務官      金子めぐみ君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   総務大臣政務官      島田 三郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 緒方 俊則君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 高木 勇人君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          高原  剛君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    会田 雅人君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大庭 誠司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房技術参事官)         山崎 雅男君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           伊藤 明子君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         廣瀬 隆正君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局砂防部長)     西山 幸治君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   中井徳太郎君

   総務委員会専門員     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

九月二十六日

 辞任         補欠選任

  水戸 将史君     黄川田 徹君

  渡辺  周君     鈴木 克昌君

  遠山 清彦君     稲津  久君

  桝屋 敬悟君     竹内  譲君

十月四日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     加藤 寛治君

  川崎 二郎君     大串 正樹君

  新藤 義孝君     中谷 真一君

  中谷  元君     星野 剛士君

  山口 泰明君     田畑 裕明君

  黄川田 徹君     升田世喜男君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     川崎 二郎君

  加藤 寛治君     池田 道孝君

  田畑 裕明君     小松  裕君

  中谷 真一君     新藤 義孝君

  星野 剛士君     中谷  元君

  升田世喜男君     黄川田 徹君

同日

 辞任         補欠選任

  小松  裕君     山口 泰明君

同日

 理事橘慶一郎君及び原田憲治君八月五日委員辞任につき、その補欠として葉梨康弘君及び左藤章君が理事に当選した。

同日

 理事石崎徹君九月二十三日委員辞任につき、その補欠として田所嘉徳君が理事に当選した。

同日

 理事桝屋敬悟君九月二十六日委員辞任につき、その補欠として輿水恵一君が理事に当選した。

同日

 理事菅家一郎君及び高井崇志君同日理事辞任につき、その補欠として古賀篤君及び小川淳也君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

九月二十六日

 放送法の一部を改正する法律案(逢坂誠二君外二名提出、第百八十九回国会衆法第一〇号)

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案(階猛君外五名提出、第百九十回国会衆法第五四号)

 日本放送協会平成二十四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日本放送協会平成二十五年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日本放送協会平成二十六年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

十月四日

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 このたび、総務委員長の重責を担うことになりました竹内譲でございます。

 本委員会は、行政の基本的制度、地方自治など国の基本的な仕組みにかかわる問題から、情報通信、郵政事業、消防など国民の社会経済を支える問題まで幅広く所管する委員会でございます。

 私は、その職責の重要性を認識するとともに、委員各位の御指導、御協力を賜りまして、公正かつ円満な委員会運営を図ってまいりたいと存じます。

 何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

竹内委員長 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事菅家一郎君及び高井崇志君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任及び委員の異動に伴い、現在理事が六名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      古賀  篤君    左藤  章君

      田所 嘉徳君    葉梨 康弘君

      小川 淳也君 及び 輿水 恵一君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

竹内委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国政に関する調査を行うため、本会期中

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する事項

 地方自治及び地方税財政に関する事項

 情報通信及び電波に関する事項

 郵政事業に関する事項

 消防に関する事項

以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

竹内委員長 この際、総務大臣、総務副大臣及び総務大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。高市総務大臣。

高市国務大臣 総務大臣の高市早苗でございます。

 副大臣、政務官、そして総務省職員ともども精いっぱい働いてまいりますので、委員長初め理事、委員の先生方の格段の御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

竹内委員長 次に、あかま総務副大臣。

あかま副大臣 総務副大臣を拝命いたしましたあかま二郎でございます。

 委員長初め理事並びに委員の先生方の格段の御指導をどうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

竹内委員長 次に、原田総務副大臣。

原田副大臣 総務副大臣を拝命いたしました原田憲治でございます。

 皆様方におかれましては、格段の御指導を賜りますようにお願いを申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

竹内委員長 次に、冨樫総務大臣政務官。

冨樫大臣政務官 総務大臣政務官を拝命いたしました冨樫博之と申します。

 皆様方におかれましては、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと存じます。(拍手)

竹内委員長 次に、金子総務大臣政務官。

金子大臣政務官 総務大臣政務官を拝命いたしました金子めぐみでございます。

 皆様方の格段の御指導を賜りますよう、心からお願い申し上げます。(拍手)

竹内委員長 次に、島田総務大臣政務官。

島田大臣政務官 総務大臣政務官を拝命いたしました島田三郎でございます。

 どうか皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。(拍手)

     ――――◇―――――

竹内委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市国務大臣 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 平成二十八年熊本地震による災害に係る復興基金の創設のための特別の財政需要に対応するため、五百十億円を一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れて平成二十八年度分の地方交付税の総額に加算し、その全額を特別交付税とする特例を講じることとしております。

 次に、東日本大震災に係る復興事業等の実施のための特別の財政需要に対応するため、百六十五億円を東日本大震災復興特別会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れて平成二十八年度分の震災復興特別交付税の額に加算することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官緒方俊則君、警察庁長官官房審議官高木勇人君、総務省自治行政局長安田充君、自治行政局公務員部長高原剛君、自治財政局長黒田武一郎君、統計局長会田雅人君、消防庁次長大庭誠司君、文部科学省大臣官房技術参事官山崎雅男君、国土交通省大臣官房審議官伊藤明子君、大臣官房技術審議官廣瀬隆正君、水管理・国土保全局砂防部長西山幸治君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長中井徳太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀篤君。

古賀委員 自由民主党の古賀篤でございます。

 このたびは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 答弁側から質問の側に戻ってまいりまして、竹内委員長初め委員の皆様方、そして総務大臣初め総務省の皆様方に、引き続きの御指導、よろしくお願い申し上げます。

 時間に限りがありますので、早速質問に入らせていただきます。

 大きく二点伺いたいと思います。一つは、今度の熊本地震についての対応であります。

 四月の十四日に熊本地震が発生いたしました。震災直後から、高市大臣初め総務省で迅速に対応に当たってまいりました。私もその一員でございました。

 あれから半年がたちました。

 今回のこの法案において、交付税を五百十億円加算し、そして特別交付税として措置をする。その中で、今回の熊本地震への対応として、さまざまな国庫補助事業がある中で、さらに、国庫補助事業でカバーできない、そういったものに対して、基金を創設して自由に事業を行っていく。地元からも要望があったこの基金でありますし、私はこの創設を大変評価しているところでございます。

 そこで、総務省に、この復興基金の創設の趣旨についてお伺いいたします。

冨樫大臣政務官 お答えいたします。

 先月十三日に、熊本地震による甚大な被害が生じた益城町、南阿蘇村、熊本市を訪問してきました。被災地の現状を視察するとともに、首長を初め、住民の救助活動に当たられた消防職員、消防団の皆様との意見交換を行ってまいりました。これを踏まえて答弁をさせていただきます。

 総務省といたしましては、熊本地震からの復興に向けて、被災団体が地域の実情に応じて実施するさまざまな事業について、単年度予算の枠に縛られずに弾力的に対処できる資金として、復興基金の創設について支援することとしたところであり、熊本県が基金を造成する経費について特別交付税措置を講ずることとしたところであります。

 また、復興基金は、個別の国庫補助の対象とならない、国の制度のいわばすき間の事業について措置しようとするものであります。

 その活用方法については、阪神・淡路大震災や東日本大震災の復興基金においては、被災者への生活支援等の生活対策、利子補給等の住宅対策事業、中小企業や農林水産業者への支援等の産業対策、その他、教育、文化の振興や震災の記録、広報等といった事業に活用されており、今回の熊本地震の復興基金の使途についても、被災団体の判断により、地域の実情に応じた施策に活用されることを期待しているところであります。

 以上です。

古賀委員 ぜひ、引き続き、復興の現状をしっかりと把握していただくとともに、この基金によってさらに復興が加速することを願っているところであります。

 今回のこの法案について、東日本大震災についても震災復興特別交付税を百六十五億円加算しまして、そして震災対応していくということでございます。

 私も、自民党の同僚議員とともに定期的に被災地に足を運ばせていただいておりまして、先般、福島県の南相馬市の方に伺ってまいりました。桜井市長初め市議の皆様方とも意見交換をさせていただくとともに、現状を見てまいりました。工業団地初め、復旧、復興は着実に進んでいるところがある一方で、なかなか、除染の仮置き場所が点在するなど、これからだなというところもあったわけでございます。そういう意味では、東日本の震災対応も引き続きお願いしたいと思っております。

 総務省からは田林副市長初め、経産省、国交省からも若手の職員が出向され、職員と一丸となって取り組みをされておりました。大変心強く、頼もしく思ったところでございます。ぜひとも、予算措置初め人的な支援も引き続きしっかりとお願いしたいと思うところでございます。

 もう一点、伺わせていただきます。

 今回のこの補正予算において、マイナンバーの関連の予算が計上されております。

 マイナンバーカードにつきましては、十月の二日時点で、申請受け付けが千百四十二万枚、交付実施済みも八百四十八万枚と伺っているところであります。一部の大都市では交付が停滞していて、これも、六月に交付計画をつくり、そして迅速に解消に向けて対応していると伺っているところであります。

 私も、政務官としてマイナンバーを担当させていただく中で、各地域に足を運ばせていただきました。こういう中で、やはりマイナンバーの広報の必要性というのも感じたところであります。

 特に、カードのメリットがなかなか伝わっていないところがありまして、そういう意味では、広報により一層力を入れていただきたいと思います。その際に、どういった場面でカードが使われるのか、そしてその利便性は何なのかということをわかりやすく、ぜひ広報を行っていただきたいと思います。

 補正予算におきましても、システムの関連予算ですとか実証実験、地域の経済の活性化のための実証実験、あるいは子育て支援のための実証実験等が計上されているところであります。

 各分野においてこういったマイナンバーカードを活用した取り組みがされる中、私は、特に子育て支援も非常にカードが有効じゃないかと考えるところでございます。

 そういう今後の総務省のマイナンバー、特に子育て支援の取り組み、あるいはこれからの対応について、まさに子育て中であります金子政務官に、意気込みも含めてお聞かせいただければと思います。

金子大臣政務官 古賀委員におかれましては、政務官時代にマイナンバーカードの普及に大変な御尽力をいただいたこと、まずもって深く敬意を表する次第でございます。

 マイナンバーカードの普及促進のためには、子育て世代を初めとする住民の皆さんにその利便性を実感していただくことが必要であろうと思っております。

 そこで、総務省では、全国の市区町村がマイナンバーカードの利活用に取り組むための推進方策等を検討するワンストップ・カードプロジェクトを先月立ち上げたところでございます。

 この中で、まさに子育て世代の方々に利便性を実感していただくため、マイナポータルにおける子育てワンストップサービスを柱の一つに位置づけております。

 このプロジェクトには、内閣官房や内閣府、そして子育ての具体的な施策、支援メニューを持っている、つまりコンテンツを保有している厚生労働省との連携が不可欠と考えますので、厚生労働省及び文部科学省等の関係省庁にも参加いただいているところでございます。

 今後、関係省庁とともに具体的な検討を行い、本年十二月をめどにアクションプログラムを取りまとめることとしております。

 また、こうした動きの一環としまして、来年の七月からのマイナポータルの本格運用開始と連携した実証実験を予定しております。具体的には、子育て世代の方々が、マイナンバーカードを活用して、オンラインで保育所の利用申請手続を行うワンストップ化の実現を図るものであります。

 私ごとでありますが、私も日々仕事と子育てに追われる子育て中の身でありますので、役所に出向かずに申請手続ができるということは、大変便利であり、助かるものと思います。

 ただし、最初の申請のアクセスで煩雑さを感じてしまうと、ユーザーはリピートしていただけないと思いますので、この目的を達成するためには、サイトの使い勝手、そして表現のわかりやすさ、さらには手続の簡素化には十分に配慮、そして工夫をしてまいりたいと考えております。

 私としましても、このような取り組みを着実に進めていくことが子育て世代の方々の支援につながると考えており、関係省庁としっかりと連携し、速やかな実現に努めてまいりたいと考えております。

古賀委員 ありがとうございます。

 カード、本当に子育て支援の非常に大きな意義があると思っております。ぜひとも高市大臣におかれましても、ワンストップ・カードプロジェクトを初め、しっかりとこのマイナンバーカードを進めていただきたいと思います。

 第二段階に入ってきていると思いますので、心から皆様方の御活躍を御祈念申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 民進党の小川淳也でございます。

 まず冒頭、大変恐縮ですが、この委員会の立ち上がりが異例の形をとらざるを得ませんでした。私ども理事間のコミュニケーションが十分でなかったということで、委員の皆様にも大変御迷惑をおかけしたことをおわびし、あわせて、私自身も心したいと思いますが、委員長のたっての御指導と、また与党側の御配慮を重ねてお願い申し上げたいと思います。

 その上で、質問に入らせていただきます。

 高市大臣には、大変長時間の予算審議、お疲れさまでございました。また、新任の政務三役の皆様には、フレッシュな顔ぶれで、御期待を申し上げつつ、しかしながら、私ども野党の立場ですので、時に厳しく御指摘も申し上げたいと思っております。

 大臣の予算委員会での御答弁機会はそれほど多くなかったようにお見受けをしておりますが、今般の地方交付税の改正、私どもは補正予算全般に賛成することはできないという立場で臨みました。しかし、この交付税法の改正については、必ずしもその限りではございません。その前提で、特にこれは災害対策ですから、お聞きをしたいと思います。

 まず、この五百十億という金額でございますが、これは今回の被災状況に照らして十分なものであるかどうか。そして、これはどのような形で被災地の復興に役立てられる予定なのか、その使途について。二点、大臣にお聞きをいたします。

高市国務大臣 今回、この復興基金の総額ということなんですけれども、これは、熊本県からも発災直後から非常に強い御要望がございました。被災団体が地域の実情に応じて実施されるさまざまな事業について、単年度予算の枠に縛られずに弾力的に対処できる資金ということで、復興基金の創設について支援をすることにいたしました。

 十分な額かどうかということでございますけれども、これは、取り崩し型の基金ということで、現在、低金利でございますので、措置をしまして、この算出をするときに、基金に対する交付税措置額については、東日本大震災における被災三県と同様の算定方法によって算出をいたしました。

 具体的には、阪神・淡路大震災復興基金事業を現行の制度等のもとで実施した場合に必要となる交付税措置額を算出して、当該交付税措置額と兵庫県及び同県被災市町の標準財政規模の割合を求めて、当該割合を熊本県及び同県被災市町村の標準財政規模に乗じて総額五百十億円を算出しました。

 ただ、被害の状況は非常に大きゅうございます。熊本地震は、内閣府の五月二十三日に公表した熊本地震の影響試算によれば、二・四兆円から四・六兆円、熊本県の試算によれば三・八兆円になりますので、非常に被害状況は大きゅうございますが、各省が講じます補助事業もございます。こういった中で、私どもの基金も、それぞれのニーズに即して、被災団体のニーズに即して御活用をいただけるというものとして位置づけています。

 具体的にこれをどのように使うのか、どのような運用をするのかについては、熊本県の自主的な判断によります。けれども、基金規模を算定するときに市町村の財政需要も踏まえたものでございますし、また、きめ細やかな事業を実施するという基金の趣旨からも、市町村の事業に十分に配慮した運用をしていただくように期待をしています。

小川委員 結論から言えば、基金という形での支援は、私は、やはりスピード感とかあるいは柔軟性を考えれば、やむを得ないというふうにも思います。

 一方で、基金の設置そのものについては、国政上もさまざまな批判もございます。また、基金を繰り戻してもらうというようなケースもほかの政策メニューでは多々あるわけです。

 それから、少し気になりますのは、東日本大震災の特会にも今回補正編成されておりますけれども、かなり繰越額が多い。もちろん、被災地の特殊な事情を踏まえれば、余り厳密な財政事情ばかりを押しつけるわけにはいかないと思います。

 しかし、それにしても、この基金という出し方が、現状これしかないということについては理解をいたしますが、非常に、ある意味、国費を無条件に提供し、それが自由に使われるという意味においては、必ずしも財政規律なり、また説明責任という意味でいうと、百点満点のものではないんだろうという気がいたします。

 その関係も含めてでありますが、ちょっと法的な側面、これをぜひ、興味深い点でもございますので、高市大臣の御見解をお聞きしたい点があります。

 交付税といえば、全体総額が十六兆、十七兆ですから、大変大きな規模であります。政府の一般会計歳出でも、社会保障に次ぐ巨額の支出です。ここに対して五百億の補正をするということをもって、交付税法を改正しなきゃいけない、法律改正をしなきゃいけない。このことについて、私自身、思いが半々なんですけれども、大臣、この十六兆円を上回る特会で五百億の補正をするに当たって、法律改正をしなきゃいけない、この手続面の重さについてどう評価するか、大臣の御所見をお聞きしたいと思います。

高市国務大臣 今回、この補正予算の御審議をきょういただきまして、それに合わせてこういった形をとらせていただくというのは、当初で計上されております交付税ということになりますと、全国の地方公共団体がやはりこれは共通に活用されるべきものでございますので、なかなかそこからという形になりますと被災地以外の自治体の御理解も得られにくいものであろうと思います。

 多くの方が被災地に心を寄せてはおられますが、ほかの自治体でも必要な財政需要がたくさんございます。今回は本当に特例的な措置として、このような形をとらせていただきました。

小川委員 財政民主主義という観点からいえば、そうだと思うんですね。

 もう一つお聞きしたいのは、法的な手続の重たさについてなんです。

 これは、毎年予算を組む、また、地財計画をつくるたびに交付税法の改正というのは行われるわけです。法律、具体的に拝見しても、具体的な金額が並んでいます。これは、ある意味、法的安定性という意味では極めて周到なやり方であります。しかし一方で、行き過ぎると、大変に法的に硬直な仕組み、法的硬直性という意味合いでもあるわけです。

 これは考えるに、たどれば、やはりもともと交付税は国税の一定割合で総額を規定するという大原則のもとにあるにもかかわらず、年度間のさまざまな繰り入れや、特例的な加算や、あるいは減算を繰り返して総額が決まっていくというところに端を発しているんだろうなという気がいたします。

 ですから、これは問題の根は深いわけでありますが、非常に、法的安定性という意味では一々法律改正をして総額を決めていくということに一定のメリットはある一方、機動的な財政支出、柔軟な地方財政支援という意味でいうと、もう少し、十六兆円も全体総額があるわけですから、例えば五百億程度であれば柔軟な加算、加減でもって対応できるという仕組みもあっていいと思いますが、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 大変難しい問いであると思います。

 しかし、今回は本当に激甚な、大規模な災害でございました。熊本の地震が四月に発生しまして、その後も台風、また豪雨による災害も続いております。全国各地で今後、例えばきょう、あした、来週、どんな大きな災害が起きることかもわかりませんので、これはやはり、今回については特別な措置として対応させていただきたいと考えております。

 そして、やはり過去のさまざまな震災、阪神・淡路大震災や中越地震やさまざまな大きな災害とのバランス、こういったものも考えながら、特別の措置をとらせていただいたということでございます。

 また、普通交付税等につきましては、先般からの大雨などがございましたので、十一月分を前倒しで交付したり、そういったことで当初で対応できるものはしてきておりますが、今回は大変大きな規模のものであるということで、御理解を賜りたく存じます。

小川委員 今回は熊本地震対策がメーンであります。大臣が今おっしゃったのは、そのとおりなんです。ただ、私が申し上げている問題意識はちょっと逆サイドの問題意識でして、より法律改正を伴わずに柔軟な対応ができれば、より便利な部分もあろうかというふうに思います。

 ただ、交付税財源の確保そのものが硬直的なためにやはりこういう形にならざるを得ないということの制約との関係で、非常に問題ははらんでいるなという気が今回特にいたします。額が小さいだけに余計にですね。

 それから、今回、補正の中に、今回は熊本地震対策なんですが、特に北海道の台風十号とか、北海道、東北地方ですね、ここが措置されていないということは、今回の補正予算全体の中では一つの大きな論点、問題点でもありました。

 まさに大臣おっしゃったように、これから、一般の枠内での普通交付税なりあるいは特別交付税の配賦、交付という段に当たっては、もちろん特段の御配慮をいただく必要があろうということもあわせて指摘をしたい、お願いをしたいと思います。

 それから一点、歳出面についてお聞きしたんですが、今度は、この五百億の財源、これはどこから来ていますか。

黒田政府参考人 事実関係を申し上げますと、今回は国税の補正はやっておりませんので、予算の全体の枠の中で財源が捻出されている、そういう構造でございます。

小川委員 大臣、この間、予算委員会では相当指摘もさせていただいたとおりなんですが、第二次安倍政権ができて初めて、大幅に国債を発行しなければ補正が組めなかったというのがこの二十八年度補正なんです。

 総理は盛んにアベノミクスの果実ということを主張されるわけですけれども、実際にはそれは前年度までの話であって、それは税収の上振れ、あるいは前年度剰余金という形で、目に見える形でお金がありました、前年度までは。ところが、ことしに入って、本当に初めてです、総額で六兆円に余る国債を新たに起こして公共投資を行っていく。

 ですから、この五百億の財源はどこからかと聞かれれば、全体に紛れ込んでいますから、どの部分だとは言いがたいのが事実、実際だとは思いますが、しかし、それにしても、この五百億も借金から来ている、少なくとも一部来ているということは、十分これは我々踏まえなければならないのではないかと思います。

 その意味で、総務大臣としての御答弁の機会はなかったと思いますので改めて求めたいと思うんですが、先週発表した総務省の家計調査あるいは物価動向、これは明らかに、家計消費の縮小そして物価の下落、盛んに安倍政権が主張してきたアベノミクスの果実とは裏腹の展開をここへ来てたどり始めていると私は心配をしています。

 地方財政、地方の景気、あるいは地方の振興という立場から、このアベノミクスの、私どもから申し上げれば曲がり角に来ているわけでありますが、高市大臣はどのように評価しておられるか、その点お聞きしたいと思います。

高市国務大臣 明らかに、有効求人倍率などで見ますと、これはやはり働く側にとっては売り手市場になってきていると思います。これは数値によって明らかなものでございます。

 総務省のやっている家計調査及び物価の動向などから判断してということでの問いだと思いますので、八月の二人以上の勤労世帯の状況を見ますと、一年前と比べて、消費支出は実質四・五%の減少であります。これは大変残念なことでございます。収入の方は実質一・五%の増加でございました。

 収入の方、それからまた、働く場所がふえているというところには明るい兆しは見えているんですけれども、消費には弱い動きが見えているというのが、客観的に私が感じるところです。

 特にこの夏の消費を見ますと、天候要因のみならず、自動車の燃費の不正の問題もございました、自動車の売れ行き、落ちておりましたし、また、各地で発生したテロなどへの懸念もあったんでしょうか、やはり旅行支出なども減っておりました。なかなかまだ消費は弱いな、そして、もう少し設備投資がふえていくようにしていかなきゃいけないなと思っております。

小川委員 比較的正面からお答えいただけたことに敬意を表したいと思います。

 安倍総理は、いつも都合のいい数字を並べられて、全くかみ合わない議論をされる傾向があります。これをまねする閣僚の諸先生方が多くて、私ども野党の立場からすると、なかなか建設的な議論にならずに四苦八苦することが多いわけでありますが、ただいまの高市大臣の御答弁は比較的率直に、正面からお答えいただいたというふうに受けとめたいと思います。

 やはり、金融政策に非常に寄りかかったこの間のあり方、そして一方で、国内の構造改革、人口動態とか人口減少とかいったようなものへの取り組みがまだまだ浅いこと、私は、これらが長期的に、いろいろな意味で限界を呈する、その本当に曲がり角に差しかかっているのではないかということを大変強く感じております。

 地方財政、地方振興、地方景気、これらを総じて御担当になられる高市大臣ですから、こうした構造的なアプローチもぜひ内閣の中でお取り組みいただきたい、希望として申し上げます。

 最後に、総務行政の全体像の中で、最近やはり、きょう予算委員会でも質疑が出ておりましたが、地方議会における政務調査費の問題はかなり国民的関心事だと感じます。

 特に富山市議会を中心に、大量の辞職者が出たということはゆゆしき事態でございまして、これは当然、私ども国会議員も改めて一人一人心せねばならないことでありますが、今般の政務調査費の不正受給について大臣がどう受けとめておられるか、まずお聞きをし、時間がございませんので、あわせて、私、ちょっと気になる点があるんです。

 一人、おやめになった議員が、地方議員年金が廃止されたことで不安に駆られて政務調査費を不正受給したと、ちょっとわけのわからないことをおっしゃっているんですね。

 私は、政権与党の側にいたときに、やはりこういう時代ですから、地方議員にだけ特別な年金制度ということはふさわしくないということで、先頭に立ってこれを廃止した側の人間であります。ですから、このような理不尽な理屈立てでみずからの不正受給を正当化し、場合によっては議員年金を復活させかねないかのような議論につながることは甚だ不本意でございます。

 大臣にこの点をお聞きして、質問を終わりたいと思います。この不正受給の受けとめ、そして、地方議員年金が復活するということはあり得ない、この二点、大臣の御答弁をいただいて終わりにしたいと思います。

高市国務大臣 まず、政務活動費の不正が相次いで、議員辞職も相次いでいることは大変残念に思っております。

 これはもうできるだけ早く対応する必要があると思いましたので、先週の金曜日のうちに、各都道府県知事及び議長、そして各指定都市の市長、議長に対しまして、「政務活動費に係る対応について」という通知を発出いたしました。その中で、不適切な事案があった自治体においてはやはり地方自治法など関係法令の規定を踏まえて再発防止に取り組んでいただくこと、それから、全ての自治体において政務活動費の適切な取り扱いと、それから、もう一つ問題だったのは情報公開制度が適切に運営されなかったということでございますので、この改善について徹底したところでございます。

 それから、この問題を地方議会議員の年金制度が廃止されたことの理由に使われるというのは、甚だ不本意でございます。政務活動費の問題というのは、これは法律を守るかどうか、特に条例によって定められている事項をしっかりと守るかどうかの問題で、これは地方議員年金制度とは関係のない話であると思っております。

小川委員 では、また追っての機会に議論させていただきます。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民進党の奥野でございます。

 引き続きまして、また理事も務めさせていただきます。大臣初め政務三役の皆さん、引き続きまたよろしくお願いをいたします。

 小川筆頭の方からも今話がございましたが、我が党は、補正予算そのものについては反対ということであります。理由はいろいろありますけれども、国債を発行して借金をして公共事業をやっていくというやり方、ある人によれば、平成に入って二十六回目だそうであります。二十六回こういう形の補正予算をやっていますが、結局、国の借金がこの二十年間でほぼ倍増していますし、その上、GDP、名目ベースでは横ばいということで、決して効果が上がっていない、借金だけふえているということで、こうした借金して公共投資に充てていくというやり方自体、もう少し工夫があってもいいんじゃないかと私自身も思いますし、そういった観点からは反対であります。

 しかし、この復興について、熊本地震それから東北の復興については我々もしっかり協力していきたいということで、我が党の総務部門の方では、この法案については賛成という形で意見をまとめさせていただきました。

 そして、きょう、私の問題意識なんですが、予算の問題、若干関係しますが、ずれるんですが、耐震基準の問題であります。

 避難所になる学校の体育館が使えなくなったでありますとか、耐震化が終わったはずの庁舎が使用不能になったでありますとか、あるいは熊本市内の病院が危険で使えなくなったという事例がありました。今の耐震基準で果たして十分なのかということ、それから、では、もし不十分だとして、財政措置を含めてこれからどうやっていくんだということで、きょうは質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、避難所といえば、一番に思いつくのは学校、体育館でありますが、熊本地震における学校の被災状況について伺いたいと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の熊本地震におきまして、学校施設には、これまでの耐震化の取り組みによりまして、倒壊、崩壊等の大きな被害はなかったものの、一部の建物につきましては、外壁、窓ガラスといった非構造部材等に破損が生じているという状況でございます。

奥野(総)委員 これは東日本大震災でも同じような話があったと思うんですが、今回こういった事象は初めてだったんでしょうか、あるいは事前に何らかの対策をしていてなおこういった事態が起きたんでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災におきましても、旧耐震基準の学校施設で耐震補強をしていない建物には倒壊や大破等の被害が発生したほか、つり天井の落下など非構造部材等の被害が発生したことから、改めて学校施設の耐震対策の重要性が認識されております。

 そのため、文部科学省では、東日本大震災以降、学校施設における構造体の耐震化とともに、危険度の高いつり天井等を初めとした非構造部材の耐震対策を推進してきたところでございます。その結果、最新の調査結果によりますと、公立小中学校施設の構造体の耐震化率は九八・一%、つり天井を有する屋内運動場等は全棟数の五・〇%となっております。

 つり天井の耐震対策をしたものにつきましては、今回の熊本地震でも落下等の被害は起きていないという報告を受けております。

奥野(総)委員 つり天井については取り外しということで対策をされていたということのようでありますが、まだまだ全部というわけでもなくて、たまたま千葉県の新聞を見ていたら、県議会の方で話題になっていまして、千葉県ではまだ八市町村で完了時期は未了、こういう記事も出ているところであります。これは引き続き進めていただきたいんですが。

 今のお話によれば、つり天井対策もし、耐震化をした、倒壊等はなかったし、それほど大きな被害はなかったというふうな御説明だったんですが、ただ、実際には、今回、体育館の三分の一が使用できなくなっていたということのようでして、県内の公立学校二百二十三校のうちの三分の一、七十三校が避難所としては使用できなかったということのようですが、これは今言っていたお話とどう整合性があるんでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生がおっしゃるように、避難所となった熊本県内の公立学校二百二十三校のうち、約三分の一の七十三校の学校の体育館が使用できなくなったということでございますが、これは地震後、設置者が、二次災害防止のために、念のためも含めまして使用禁止等の措置がとられたというふうに承知しているところでございます。

奥野(総)委員 報告書なども出ておりますね。「熊本地震の被害を踏まえた学校施設の整備について」、こういう報告書も出ていますが、確かに、これを見ると、それぞれ学校で判断が分かれたということなんです。

 これはもう一度確認しますが、全く被害がなかったわけではないんですよね。実際に危険で使えなくなったものもあるということですよね。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 体育館のうち、ブレース等の破断で使えなくなったものもあるというふうに承知しておりますし、申し上げました非構造部材、いわゆる体育館の照明器具等が落ちてきて、念のために使わないようにしようということの判断をされたというふうに聞いてございます。

奥野(総)委員 その非構造部材については今後検討の余地があるということでありますし、ちょっともう一回確認したいんですが、構造部材の方は被害があったんですか。

山崎政府参考人 一部あったものもございます。体育館のブレースの破断とか、そういうものもあったというふうに聞いてございます。たしか六棟ぐらいだと思っております。

奥野(総)委員 現行の建築基準法は倒壊しないということでできているというふうに理解していますけれども、しかし、本体、構造部材にも影響があったということでありますから、もう一度その基準等について考える必要があると思います。

 この報告書もそのように書かれていますが、今後、具体的にどういう対策をとられるんでしょうか。

山崎政府参考人 お答えします。

 熊本地震を踏まえまして文部科学省が設置しました、先ほど先生がお示ししました有識者会議の報告書ですけれども、そこにおきまして、学校施設については、引き続き、構造体及びつり天井の耐震対策を推進することが提言されております。また、外壁や窓等で古い工法のものや経年劣化したものにおきまして落下等の被害が顕著であったことを踏まえて、つり天井以外の非構造部材の落下防止など、安全対策の観点から、優先順位をつけて計画的に老朽化対策を行うことが必要との提言もされております。

 文科省としましては、これらの提言を踏まえまして、学校施設の構造体及びつり天井の耐震対策を引き続き進めるとともに、学校施設の老朽化対策を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

奥野(総)委員 通告していませんが、これは財政措置、財政支援とかというのはどういうふうになるんですか。

山崎政府参考人 お答えします。

 建物を建てかえるときとかは、当然、公立学校施設の補助金がございます。補助率は二分の一でございます。耐震補強するときは三分の一、非構造部材の耐震補強をするときも三分の一の国庫補助が出ております。

奥野(総)委員 今お話がありましたけれども、今回、ある意味、想定外の事情があったわけですね。ですから、現行のやり方で必ずしも十分かというと、検討して、これから新しくやっていくということであります。

 次に、同じような話なんですが、では、庁舎ですね。市役所あるいは町役場、こういったところは当然、被災後も使えなければいけないわけです。震災の復興の指揮をとらなきゃいけないわけですから、使わなければいけないんですが、庁舎の被災状況について伺いたいと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 熊本県災害対策本部の調査によりますと、宇土市におきましては、本庁舎四階部が大きく損壊したほか、八代市、人吉市、天草市、大津町、益城町におきましても、本庁舎内に多数ひび割れや窓ガラスの損壊等が発生いたしまして、本庁舎の全部または一部が使用できなくなったことから、その機能を移転しているというふうに伺っているところでございます。

 また、このほか、本庁舎の機能移転は行われておりませんけれども、水俣市、小国町におきましても、庁舎の一部損壊があったというふうに聞いているところでございます。

奥野(総)委員 このうち、耐震工事が終わっていて使えなくなった、あるいは被害に遭った庁舎というのは、益城がそうと把握していますが、いかがでしょうか。

大庭政府参考人 お答えします。

 消防庁が行った災害対策本部を設置する庁舎の耐震状況調査によりますと、益城町の災害対策本部を設置する庁舎は現行の耐震基準を満たしていたものと承知いたしております。

奥野(総)委員 ニュースなどによると使えなくなったということで出ていますが、これは耐震基準を満たしているにもかかわらず使えなくなった。倒壊はしなかったんでしょうけれども、どこが、どういった被害があったんでしょうか。

高市国務大臣 益城町に関して言いますと、庁舎の内部にひびが多数入り、渡り廊下が損壊したという状況でございます。

奥野(総)委員 倒壊はしなかったけれども、建築基準、耐震基準を満たしているのに、構造にひびが入って使えなくなったということだと思います。

 今後こういった震災が起こる可能性があるんですが、私の問題意識は、今も、学校もそうなんですけれども、継続使用の公共建築物、庁舎とか学校とか、病院もそうなんですが、より高い基準で建築基準を設けなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。

 きょうは総務委員会ですから、庁舎について、今後、どういう対策をとろうとお考えか、あるいは建築基準に上乗せして何か指導するのか、いかがでしょうか。

高市国務大臣 現在の耐震基準は、震度六強から七に達するほどの地震でも倒壊にまでは至らないということを求めていますけれども、それでも、先ほど来説明がありましたように、建物本体のほか、電力など重要設備の損壊といったことで早期回復が不可能なケースも想定されます。

 それで、委員がおっしゃいましたように、発災直後から応急対策を担うという意味では、庁舎が使用不能となった場合の代替庁舎を定めておくことというのが大変重要で、それらを定めた業務継続計画、いわゆるBCPを策定するように総務省から地方公共団体にも求めてまいりました。

 もともと、この策定状況が非常に低い割合でした。平成二十五年八月時点で、都道府県は六〇%、市町村は一三%となっていたんですけれども、昨年の五月に内閣府と連携しまして、小規模自治体でも必要となる重要なポイントを整理した業務継続計画作成ガイドを作成して、市町村職員の方々を対象とした研修会も開催して、その結果、現在、都道府県は一〇〇%になりました。

 ただ、まだ市町村は昨年十二月の時点で三七%にとどまっていますので、このBCP策定が進むようにまずは強力に働きかけてまいりたいと思います。

奥野(総)委員 後ほど触れますけれども、財政状況が余りよくないので、市町村によっては建物が全部古いといったこともあるわけですね。もちろんその代替を定めておくことは大事ですけれども、やはり、より高い基準での耐震の強化とか、あるいは新築、これはよほど古いものに限定されると思いますが、そういったことについても考えていかなきゃいけないと思うんです。

 その前に、国土交通省にお越しいただいていると思うんですが、今までの議論を伺うと、これは昭和五十六年の建築基準法がベースだと思いますが、耐震基準を満たしているにもかかわらず、構造部材本体にも破損が出ている、それから非構造部材ですか、ちょっと私は専門ではないのであれですけれども、非構造部材の被害が出ているということです。

 確かに、倒壊はしないかもしれない、倒壊による人命の被害というのは公共施設については耐震化が終わったものについてはなかったかもしれませんが、ただ、業務の継続という観点から見たときに、病院とか、避難所になる体育館とか学校施設、あるいはこうした庁舎については、より高い基準で耐震基準あるいは建築基準を課すべきだと思いますが、そのあたりについて検討はされているんでしょうか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど委員の御指摘のとおり、熊本地震では、庁舎、避難所など、災害時に拠点となるべき建築物においても、新耐震基準導入以降のものであっても、倒壊は免れたものの使用継続ができなかった、こういう事例がございました。

 ただ、建築基準法の耐震基準は全ての建築物に一律に適用されるという性格でございまして、震度六強から七に達する程度の大地震に対して倒壊しないということを求めております。

 一方で、今お話がるるございましたとおり、災害時に拠点となる建築物について、より高い基準を求めてはどうかという議論があることは確かであるというふうに思います。ただ、実際にどの程度機能の継続を図るべきかということにつきましては、個々の建築物の果たすべき役割に応じて考えていかれなきゃいけないというものでございますので、私どもとしては、全ての建築物に一律に適用される基準である建築基準法でやるというのはなかなかなじみにくいものかなというふうに思います。

 一方で、先ほど御指摘のとおり、構造材の一部が損傷するとか、あるいは天井ですとか内外装材とかガラスの開口部といったものが脱落するといったことによって使用継続ができなくなると非常に困るということがございますので、そういったものに対してはどういう配慮をしなきゃいけないかということについて知見を取りまとめて、建築上とか計画上どういったことをやっていかなきゃいけないかということについてお示しできるように検討を進めていきたい、このように思っております。

奥野(総)委員 国交省さんの方でも、先ほどは文科省さんの方の調査でしたけれども、熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会というのを立てておられて、そこの、これはまだ最終報告じゃないのかな、報告書案というのが出ていたんですが、ここで「建築物の被災後の機能継続について」ということで提言案があります。これによっても「被害を少しでも軽減し、期待される機能が被災後に維持できるようにするための検討を行うことが必要である。」というふうに書かれていますが、今の話だと、建築基準法で一律に規制すべきではないと。

 確かにこれは最低限の基準だと建築基準法に書いてあるんですが、では、どういうところで規制をして、規制というか基準を整えていくのか。それぞれ各省庁でばらばらにということだと、ぽてんヒットになってしまいますね。やはり一律の基準を考えて、それを適用していく。

 あるいは、今、耐震基準といえば、その昭和五十六年基準で耐震をやっているわけですね。学校なんかも耐震が済んだとみんな思ったわけですが、今回確かに二度揺れがあったという特殊な事情はあるにしても、今後、あるいは直下型の関東大震災級の地震とかいろいろ想定されているわけですから、そういうことを考えたときに、今回の教訓を生かして、ではどういうふうに対処していくのか。各省庁それぞれ、では総務省さんで庁舎の方は考えてくださいね、病院は厚労省さんですよ、学校は文科省さんですよというのか、あるいはそうじゃなくて、やはり一律の基準を、私はむしろきちんと一定の範囲を区切って示すべきだと思いますが、どのように考えているんでしょうか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、建築物自体に関して必要な、構造躯体の損傷防止とか非構造部材が要は脱落しないとか、そういったことに関してどういうことをしていかなきゃいけないかということは、当然関係省庁とも御相談して整理をしたいというふうに思いますが、その建物がどの程度機能継続を、どの程度の地震でも頑張っていかなきゃいけないのか、一切壊れないようにしなきゃいけないのかとか、そういったことはそれぞれの施設の管理者によっての御判断があろうかと思います。

 私どもとしては、そういうことの御判断をしていただけるような考え方の基準の整理をさせていただきたい、その提供をした上で最終的に建物管理者に御判断いただくようにしていきたいな、このように思っているところでございます。

奥野(総)委員 それは、最低限のガイドライン的なものをつくって示す、もちろん各省庁ばらばらにやるわけじゃないんですから、意見を取りまとめてガイドライン的なものをつくっていく、そういうことでしょうか。

伊藤政府参考人 これからということになりますが、関係省庁とも御相談させていただいてそういう知見を取りまとめていきたい、このように考えております。

奥野(総)委員 総務委員会ですから総務省の意見を伺いたいと思いますが、そういった形で、庁舎の機能継続について何らかの基準というのをこれから考えていくということでよろしいんでしょうか。

大庭政府参考人 今まで消防庁といたしましては、庁舎の耐震につきまして、建築基準法に定められた耐震基準をお願いして、また、何らかの理由で使えなくなった場合のことを考えまして、代替庁舎についてきちんと確保してくれというお願いをしてきたところでございます。

 ただ、今御指摘がありましたように、そもそもの耐震基準について、庁舎自体についてもう少し知見を集めた方がいいという御意見もございますので、関係省庁と連携しながら対応してまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 ぜひこれは検討いただきたいと思います。なかなか、建てかえるといっても、財政上の問題で建てかえられない庁舎も多いんですね。ですから、耐震化するといったときにしっかり機能するように、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 それで、同じように、先ほどの話ですけれども、宇土市はほぼ倒壊、潰れてしまって使えなくなった。宇土市は耐震工事も済んでいなかった。五十年前に建てられた庁舎でありまして、しかし、十数年前には既に震度六や七の地震には耐えられないとの耐震の結果が出ていたけれども、お金がなくて、財政上の理由で、記事によると建てかえを先延ばししてきたというふうになっています。

 ここでまた伺いたいんですが、今は耐震化が済んだ庁舎あるいは公共施設についても問題があるんじゃないかという話だったんですが、では、耐震化率、学校はかなり進んでいると聞いていますが、庁舎についてはどうなんでしょうか。

大庭政府参考人 地方公共団体が所有または管理する防災拠点となる公共施設等の耐震率、平成二十六年度末時点で全体では八八・三%になっておりますが、庁舎の耐震率は七四・八%となっております。

奥野(総)委員 これはまだかなり低いんですね。ですから、これからやっていかなきゃいけないんですが、そのための財政支援ということで緊急防災・減災事業債、いわゆる緊防債というものがあると承知しています。

 今回、経済対策の中でもその拡充が触れられているようですが、これは具体的にどういうものなんでしょうか。

原田副大臣 お答えをいたします。

 私も、宇土市を訪問いたしまして、市長とお話もさせていただきましたけれども、緊急防災・減災事業債は、御承知のとおり、東日本大震災を教訓として、喫緊の課題である防災、減災のための地方単独事業を全国レベルで早急に進めることができるよう創設されたものでございます。起債充当率は一〇〇%、そして元利償還金に対する交付税措置率は七〇%としておるところでございます。

 例えば、災害時に災害対策の拠点となる公共、公用施設の耐震化に伴う一部改築等については、地域防災計画に基づいて地方単独事業として実施する場合には、緊急防災・減災事業債の充当が可能としておるところでございます。

奥野(総)委員 これは耐震化にも使えるということですよね。期限が今年度限りと承知していますが、今御報告があったように、耐震が終わった率は庁舎についてはかなり低い、低いと言ってはあれですけれども、まだまだやり残しがあると思うんです。

 これはぜひ延長すべきです。少なくとも延長はすべきだと思うんですが、大臣はいかがですか、その点。

高市国務大臣 延長を前提に今検討中でございます。

奥野(総)委員 延長していただくというふうに理解をいたします。これは結構、結構というか、私の地元の方でも、古い庁舎の市役所、市の方は要望がありますので、ぜひこれはお願いしたいと思います。

 それから、ちょっと時間があれなんですが、通告していなかったんですが、今回、拡充の中で、空調設備を拡充する、対象に加えるというのがありましたけれども、文科省の報告書を見ると、発電機とかそういったものも対象に加えるべしというようなことが、対象というか、必要だと書いてありました。今回、空調設備に限った理由、通告していませんが、拡充のメニューについてちょっと伺いたいと思います。

黒田政府参考人 お答えします。

 今回のメニューにつきましては、今御指摘のありました空調の整備、それから防災情報システム、それから災害時オペレーションシステムの整備、この三点について拡充することとしております。

 これにつきましては、熊本地震が起こりました後、特に今回非常に暑いところで空調がないというのが大問題になりまして、緊急に対応すべき事柄ということで、まずできるところからやっていこうという観点でやらせていただきました。

 先ほど大臣の方からも御答弁ございましたが、これから延長を前提にということで考えておりますので、その中でどういうメニューを対象にしていくかということにつきましては、関係省庁ともよく連携をとりまして、対象について検討していく、そういう状況でございます。

奥野(総)委員 いろいろな要望があると思うんです。できるだけ柔軟に対応できるようにお願いしたいと思います。

 それから、最後にもう一点。

 よく要望があるのは、建てかえの話なんですね。確かに、むやみに建てかえられると財政上問題があると思うんですが、今回、これは、私は新聞情報でしかわかりません、宇土市は建てかえを前提に考えていたけれども、お金がなかったということなんですよ。

 今、これまでの話を総合すると、例えば、構造、鉄筋コンクリでもひびが入ったりして、古くなってくると劣化してくるということもあると思います。そういったことで使用不能ということにもなると思いますが、ということになれば、かなり厳しい基準を置くとして、一定のものについては、建てかえについても、建てかえを促すような財政支援を考えたらどうか、これは各自治体から要望があると思います。

 私も、むやみに認めるべきではないと思いますし、できるだけ耐震基準、今言ったように、公共建築物の耐震基準をきちんともう一度整理をしていただいて、できるだけそれに沿っていきますが、しかし、なお建てかえた方がいいものについては建てかえを促していくような制度をつくるべきだと思いますが、最後、そのあたり、いかがでしょうか。

原田副大臣 お答えをいたします。

 公用施設の基本ともいうべき庁舎の建設事業は、まさに各地方公共団体の判断に基づいて、長期的視点に立った建設計画や財源確保が必要なものであり、従前から一貫して、原則として自己財源や一般単独事業債、充当率が七五%となりますけれども、活用することとなっております。

 ただし、庁舎の建てかえ事業であっても、一般単独事業債のほか、市町村合併を行った自治体には合併特例債が充当可能であったり、津波浸水想定区域内にある庁舎には緊急防災・減災事業債が活用可能な場合等があるため、引き続き、総務省といたしましては、具体の事業内容を伺いつつ、必要な助言等を行っていきたい、このように思っております。

奥野(総)委員 時間が参りましたけれども、とにかく公共建築物については、私は、しっかり整備するところは整備していくべきだと思います。

 補正予算には、今回、全体には賛成できませんが、こういった人命にかかわる部分、災害にかかわる部分についてはしっかり議論していきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

竹内委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 交付税の改正、それから熊本復興基金、震災支援対策等について質問をしたいと思います。

 最初に、高市大臣に、基本的なところでお伺いをします。

 熊本では、四月の大きな地震に続いて、六月には豪雨が押し寄せて、そして災害が連続いたしました。降雨被害額が地震の被害額を上回った自治体もあります。

 被害を受けた自治体では、農業やあるいは土木などの技術職員が不足をしています。そして、応援職員の派遣を要請されています。復興復旧のかなめとなるのは、やはり公務のマンパワーだというふうに思います。被災自治体の要望に応えるべく、応援職員の確保、そして予算措置に努めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 熊本地震の被災地は復旧復興の段階に入っておりまして、短期の職員派遣から中長期の派遣へとニーズが移行しているということを認識しています。

 現時点で、中長期の職員派遣につきましては三百十二人の要請をいただいており、二百六十六人の派遣を決定し、順次派遣をしています。残る四十六人についても鋭意調整を進めているところでございます。

 総務省としては、必要な派遣職員の確保に向けて、地方三団体と連携して、中長期の職員派遣スキームを取りまとめた上で、全国の自治体に対して職員派遣を要請する通知を発出しました。これが七月七日付です。さらに、指定都市などにも、継続して個別の働きかけを行っています。と同時に、私から、短期派遣をしてくださった団体に対しましてお礼状を出しまして、その中で中長期の派遣もさらにお願いをしました。

 被災地域への応援に要する経費につきましては、その実績などに応じて、特別交付税による財政措置を講じています。

 これからも、職員派遣に要する経費につきましては、被災団体の実情を踏まえて適切に措置をしてまいります。

田村(貴)委員 その取り組みについてはわかりました。

 現実がどうなっているかということなんですけれども、八月に私は熊本県の美里町を訪ねました。七人の職員の応援を要請されているんですけれども、一人だということでありました。甲佐町では、人的支援がなくて、宅地被害や公共土木被害の査定ができない、率直な悩みが打ち明けられました。

 今、交付税措置があって予算措置もあると聞いたんですけれども、やはり自治体負担が生じることは間違いありません。そして、財政力の弱いところでは派遣要請そのものをためらう傾向もあろうかと思いますし、要請したところで希望がかなえられないという現実があります。

 私は当委員会でも、東日本大震災で被災三県の派遣職員の充足率が達していないということもたびたび取り上げてまいりました。まさに大きな災害が全国各地で起こっており、それはもう全ての自治体と住民にかかわる問題でもあります。被害の査定もできないのでは、復旧、再建もできません。応援派遣職員の充足にほど遠い自治体が熊本県にありますので、総務省がぜひ支援の手を差し伸べていただきたい。このことは強く要求させていただきたいというふうに思います。

 次に、議案であります熊本復興基金について伺います。

 政府が補正予算を組んで、そして熊本地震復興基金が創設されます。熊本県では、復興基金条例を定めて、政府が交付する五百十億円に宝くじの収益金を加えて五百二十三億二千万円の復興基金を設ける予定であります。

 その使途について、この間県庁に行ってまいりましたら、被災者の痛みの軽減、あるいは支援制度、国や県や市町村の支援のすき間を埋める、そうしたことを基本に検討していくというふうにも伺いました。

 大臣、この熊本復興基金の性質なんですけれども、国として何か制約を課していることはないですよね。それは被災自治体が自由に使える一般財源という理解でよろしいでしょうか。確認です。

高市国務大臣 交付税というものが使途に制限のない一般財源でございますので、被災団体の判断に委ねさせていただきますけれども、今回の基金制度の趣旨を踏まえまして適切な運用をしていただくということは期待いたしております。

田村(貴)委員 それで、復旧復興の課題、それから問題点はたくさんあるわけであります。きょうは、住家被害の対策、とりわけ、被害の件数の規模が一番大きい一部損壊の支援対策について質問をしたいと思います。

 大臣、初めにずばりお尋ねしたいんですけれども、熊本地震で熊本県下の住家被害というのは、九月二十七日現在、全壊が八千百八十二棟、半壊が三万八十一棟、そして一部損壊は十三万一千八百十八棟に至っています。合計十七万百二棟の全被災住家に対して、一部損壊世帯の十三万一千八百十八棟というのは七七%を占めます。約八割です。そして、一部損壊の被災住家が生じた熊本の自治体、四十五自治体あるんですけれども、実に七一%に当たる三十二自治体に及んでいます。

 私は、何度も被災地を訪ねてまいりましたけれども、この一部損壊の住家被害の支援なくして熊本地震の復興はあり得ないというふうに考えております。安倍総理も繰り返し、従来の枠にとらわれない支援という言葉に照らしてみれば、この一部損壊住家に対する支援というのが今まさに求められてくるのではないかと思うんですけれども、まず、大臣、所感をお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 発災から間もない時期でございましたが、私も被災町村を回らせていただいて、特に益城町の光景はショッキングなものでございました。十七万を超える被害ということですから、本当に多くの方が、住む場所を失う、思い出の物を失う、お亡くなりになった方もいらっしゃいます。

 この住家被害というものは大変甚大なものでございます。総務省単独で対応できるものではございません。それは委員も御承知のことかと存じますけれども、内閣を挙げて、一日でも早く普通の住まいに皆様がお住まいになれるようにということで努力をしてまいります。

田村(貴)委員 それで、現地からの切実な声等々を今から紹介していきたいというふうに思うわけですけれども、最初に、内閣府防災にお尋ねします。

 一部損壊の住家に対して、被災者生活再建支援法やその支援金、あるいは義援金、見舞金等々、行政の支援施策はどのようになっているでしょうか。御説明いただきたいと思います。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 まず、被災者生活再建支援金につきましては、全壊また大規模半壊などを対象にいたしておりまして、最大で三百万円の給付金が出ていく、そういったふうな仕組みでございます。

 また、災害救助法に基づきます応急修理につきましては、大規模半壊とか半壊等を要件といたしまして、限度額五十七万六千円の修理の現物給付を行っている、そういったふうな仕組みでございます。

田村(貴)委員 換言すれば、基本的にないということであります。

 公費解体を担当している環境省の方にお伺いします。

 半壊に至らなかった一部損壊の家屋というのは結構あるんですけれども、例えば、瓦が落ちて、そして雨水が入って、家の中がカビと湿気だらけになってとても住むことができなくなった、そんな家を解体しようとしたときに、これは公費解体の対象になるんでしょうか。

中井政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、今般の地震に伴う家屋被害の甚大さに鑑みまして、全壊家屋の解体に加え、通常では補助対象としていない半壊家屋の解体費についても補助対象に追加したところでございます。

 これは、速やかな復旧復興に向け、生活環境保全上の支障が生ずるおそれがある全壊または半壊の家屋について、被災者の経済的負担を軽減させることにより、速やかな撤去が必要な家屋解体の処理を促進することを目的としたものでございます。

 一方で、損壊しているものの、罹災証明において一部損壊と認定された家屋は公費解体の対象としていないところでございます。

 環境省としては、引き続き、被災家屋の解体を含め、災害廃棄物の処理が迅速にかつ適正に進むよう、熊本県、市町村を最大限支援してまいりたいと思います。

田村(貴)委員 そういう事例では適用できないという一つの壁があるわけなんです。

 そこで、お配りさせていただいた資料の一枚目をごらんいただきたいというふうに思います。被災住家への支援制度を簡単な表にまとめさせていただきました。

 被災者生活再建支援金の対象というのは大規模半壊以上で、全壊でも三百万円までです。これでは家の再建にほど遠いのでありますので、せめて五百万円まで引き上げる、対象も半壊以上とする、一部損壊世帯も支援法の適用対象にするように私たちは求め、また、法案も野党四党で共同提出しています。本会議質問で我が党の志位和夫委員長も求めたところでありますけれども、速やかに実施していただきたいと思います。

 それで、一部損壊については、義援金はない、応急修理の対象にならない、見舞金もない、公費解体の対象も受けられない、支援策はゼロであります。もうほとんどないに等しいということであります。

 修理はしたいけれども、年金暮らしでお金がない、不自由な生活を余儀なくされている人がたくさんおられます。半壊と同じ程度の支援をしてもらいたい等々の願いが熊本の被災者から上がっています。これは、災害を受けた全国の被災者からも同様の声が上がっているわけであります。

 一部損壊世帯に支援策を講じるべきではないでしょうか。そういう段階に今来ていると思うんですけれども、内閣府、いかに今判断されているでしょうか。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 被災者生活再建支援制度につきましては、先ほど申し上げましたように、最大三百万円の支給を行っていく、そういったふうな仕組みでございます。財源といたしまして、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により対応いたしております。

 こういった被災者生活再建支援金の支援対象拡大につきましては、東日本大震災を初めとします過去の災害の被災者との公平性、そしてまた他制度とのバランス、それから国や都道府県の財政負担などを勘案いたしまして、慎重に検討すべきものと考えております。

 また、応急修理、これは災害救助法に基づくものでございますけれども、これにつきましても、被害の程度に鑑みまして、半壊までを対象といたしておりまして、さらに対象を拡大していくことにつきましては検討していないところでございます。

田村(貴)委員 大変冷たいなという印象を感じました。

 これでは、やはり被災者の再建が図られないというような話を私はたくさん聞いてきたんですよ。

 それで、資料の二枚目をごらんいただきたいと思うわけです。

 私は、先月末に、熊本市を中心に、一部損壊世帯を我が党の市議団と一緒に訪ねて、お話を聞かせていただいたんですけれども、まず、Aさん宅ですね。Aさん宅は、瓦が剥がれ落ちて、そして壁にも、内壁、外壁にもひびが入ったということです。そして、うちは半壊じゃないのかということで、罹災証明で、二次判定、三次判定までされたんだけれども、一部損壊で判定が決まったということです。

 それで、改修費用の相見積もりをとったんです。そうしたら、安い方でも五百三十万円かかると。これは屋根を全部かえないかぬですからね。それは屋根だけですよ。せめて応急修理の費用でも出ないものだろうか、気持ちだけでもいいから。再建に意欲が出ない。そういう話ですよ。

 それで、どうしますかと言われたら、このままずっとほっておくわけにもいかないから、私は生命保険を解約しようと思っている、いつ死んでもいいから。そんな話をされたんです。そういう高齢の御夫婦の声が私は本当に頭に残って、その言葉が忘れられません。

 Bさん宅です。左下です。家の四・五メートルの擁壁が崩落しました。これはよくあります。今、ブルーシートをかけて対応しているんです。その補修は何百万円とかかるわけなんですよ。しかも、ここは家の中から本当に間隔が離れていない隣家に落ちているので、人海でやらないかぬから大変お金がかかるというふうに嘆いておられました。何の手だてもない、何らかの支援がないのかというふうに言われました。

 それから、Cさん宅であります。右に三つ写真があります。瓦が砕けて落下しました。雨漏りの被害に遭いました。そして、この方も、一次申請して一部損壊、不服なので二次申請したけれども、結局半壊に至らなかったということなんですね。

 瓦を調達したらことしいっぱいかかると言われたので、スレート屋根で全面改修されたということです。この費用を聞いて、私はびっくりしました。三百三十四万円かかったというんですね。老後の蓄えを取り崩したんですけれども、この御家庭では、まだ雨どい、それから壁の補修が残っているわけなんです。このお金をどうしようかということなんです。

 きょうは、内閣府から松本副大臣にもお越しいただいております。大臣にも後で御感想、御見識を伺いたいと思うんですけれども、こういう被災者が無数におられるわけですね。屋根瓦が壊れたらそこを何枚か張りかえたらおしまい、そういうふうにはいかないわけなんです。数百万円という費用がかかってくるわけなんです。これも一部損壊世帯なんです。

 そういう、高低差はあるんだけれども、半壊に近いような、しかも何百万円もかかるような自己負担をしなければならない世帯が無数にあるということをぜひ受けとめていただきたいんですけれども、どうですか。今こういう事例を示されて、こういう被災者の声が上がっていることについて、受けとめはいかがでしょうか。

緒方政府参考人 写真を通じまして現在の現地におきます被害の実態の一端を御紹介いただきまして、一日でも早く、各被害を受けました皆さんにおきまして、住家の復旧が進んでいきますことをお祈りしたいというふうに思っております。

 ただ、仕組みにつきまして、被災者生活再建支援制度とそれから災害救助法に基づきます応急修理につきまして先ほど申し上げましたけれども、これらの対応につきましては、引き続きこういった対応で進めていきたいと思っておりますので、御理解賜りたいと思います。

田村(貴)委員 やはり祈っているだけでは前に進んでいかないんですよ。政治決断が要るんです。それで、副大臣にもちょっと今のことで御感想をいただきたいと思うので、後で質問させていただきます。

 一部損壊でも住むことができない家というのは結構あるわけなんですね。被災住家の認定というのは、住むことができるかできないかでやはり判定すべきだというふうに思いますけれども、その辺はいかがですか。答えられますか。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 災害に係ります住家の被害状況でございますけれども、被害認定基準がございまして、その運用指針に基づきまして各市町村で実施をいただいております。

 市町村が被害認定を迅速かつ的確に実施できますように、屋根とか壁とか柱とか、こういったふうな住家の主要な構成要素の被害が住家全体に占めます損害割合によって判定を行っていく、こういった仕組みになっておりまして、これによって客観的かつ公平に判定できる、そういったふうに仕組みをつくっているところでございます。

 なお、この判定の結果でございますけれども、一部損壊となっていったといたしましても、敷地に被害があって事実上住むことができないといったことから解体せざるを得ない、そういったふうな場合につきましては、被災者生活再建支援制度上は全壊と同様の支援を実施するというふうになっております。

田村(貴)委員 熊本だけではないんですよ。熊本地震の一部損壊は、隣の大分県でも七千二百三十九棟。最近では、被害の大きかった台風十号、この被害で、北海道、東北でも千二百四十七棟。改修と再建には多額の費用を要します。一円の支援もなくて本当にいいんでしょうか。本当にそれでいいんでしょうか、副大臣。

 日本共産党の熊本県委員会が、今、一部損壊世帯に対するアンケートを行っています。復旧修理に幾らかかったかというアンケートなんですけれども、現段階の集計でちょっとお知らせしたいのは、百万円未満が四二・四%、一番大きいです。だけれども、百万円から三百万円かかったという世帯が三六・八%、一千万円以上費やしたという方もおられるわけですね。行政支援を求める声は圧倒的であります。自治体からの要望でもあります。

 半壊世帯とそれから一部損壊世帯では紙一重のところもあるわけなんです。例えば、半壊世帯より一部損壊世帯の方が支援策と相殺すると自己負担額が上回る、逆転現象も生じてきますよね。応急修理代が出る、それから支援策がある、片や一部損壊は同程度の被害でも一円の施策もないので、逆転現象が生じてきます。

 行政の認定上の被災の度合いというのは半壊より一部世帯の方が低いのに、実際の自己負担、支出が多くなるというのは、これはおかしいではありませんか。これは私は行政の不作為だと考えます。直ちに支援策を確立すべきではないでしょうか。

 時間がないので、質問を続けたいと思いますけれども、副大臣、この問題をずっと論議してきました。熊本県の担当者に復興基金の関係でヒアリングさせていただいたら、なるほど、しかし、復興基金でたとえ手だてをしたとしても、今後の風水害ではちょっと適用ができるかどうかという問題も出てくる、一部損壊被害への支援というのはできればオール・ジャパンでというふうに言われたんです。つまり、国の支援策が必要だという判断であります。私も、その判断、支持したいというふうに思います。

 今こそ、この支援に対して、十三万棟に対する一部損壊世帯に対して、やはり政治決断、支援の手を差し伸べるときが来たのではないでしょうか。副大臣、いかがでしょうか。

松本副大臣 まずもって、熊本地震で被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧復興をなし遂げるべく、政府としても全力を尽くして取り組んでまいりたいと思います。

 御指摘の点でありますけれども、国といたしましては、被災地に対する生活や住宅の再建を支援する制度として、これまで御説明をさせていただいております被災者生活再建支援制度というものがあるわけであります。

 また同時に、今回、復興基金ということでございますけれども、これは国の制度のいわばすき間の事業につきまして、被災自治体が地域の実情に応じまして弾力的に対処できる資金として措置をしようとしているものであります。

 復興基金の使途につきましては被災自治体の判断に委ねられますのであれですけれども、基金制度の趣旨を踏まえまして適切な運用が図られるものと考えております。

 また、このような復興基金につきましては、これまで阪神・淡路大震災、東日本大震災などの大規模災害で措置されているものというふうに認識をしているところであります。

 また、一部損壊の被害を受けた方に対しましては、住宅金融支援機構の災害支援住宅融資等の支援スキームが全国で適用されることとなっております。

 こうした諸制度を活用していただいて、生活の再建そして復興を進めていただきたいと考えております。

 以上です。

田村(貴)委員 まず、復興基金のスキームでは、やはり被害世帯が余りにも多いので、これは間尺に合わないといった問題もあります。それから、被災世帯が高齢者の場合はその融資も受けられない、はねつけられるという声もたくさん上がっています。聞かれたらわかると思います。

 今の復興基金制度は非常に自治体も望まれた制度だと思います。本当に有効に活用していただきたいんですけれども、それ以上の支援策が今求められるということを私は調査を通じて感じたので、きょうは質問をさせていただきました。

 これは、これからぜひ必要になってくる施策です。これだけ災害が起こって、これだけ被害が起こっているんです。そういう意味では、政府も重い腰を上げていただいて、政治決断、安倍内閣として進めていただきたいと思います。

 残された時間で、宅地被害の問題があるんです。

 まず、資料3をお配りしています。

 この資料3は熊本市の南区の日吉、力合校区というところで、自治会がアンケートをとったら、百八十世帯以上の方が液状化で家が傾いた、地盤沈下などの被害を訴えておられるわけであります。現地の被災状況を液状化対策協議会の役員の皆さんと一緒に案内して見せてもらったんですけれども、ごらんのように、地盤ごと沈下して傾いた家がある、一メートル近くも電柱が地中に陥没している、そんな光景があちこちに見られました。

 地元の皆さんは液状化被害に対する行政のガイドラインを切望されていると思うんですけれども、政府は、今、熊本、それから液状化被害はいっぱいあるんですけれども、こうした液状化被害についてどのような支援を今からしようと考えておられるのか、端的に御説明いただけますか。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 熊本市日吉地区の液状化復興対策協議会から、液状化の再発抑制や建物の傾斜復旧などに係る技術的なガイドライン等を作成するように、熊本市を通じて国に要望が出されております。

 これまで、国におきましては、道路等の公共施設と宅地の一体的な液状化対策を示しました市街地液状化対策推進ガイダンスというのをつくりまして、平成二十六年三月に作成して、二十八年の二月に改定いたしまして、ホームページ等で公表しております。

 今後は、熊本県、熊本市とも協力いたしまして、このガイダンスも活用しながら、住民の方にわかりやすい液状化被害の復旧方法についてお知らせしたいというふうに考えておりまして、復旧の支援に努めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 時間がなくなってまいりました。

 公費解体の件についても質問通告していたんですけれども、ちょっと、時間の関係上、きょうはこれをすることができません。

 最後に、高市大臣それから松本副大臣、安倍総理は、今度の熊本地震の発生後、いろいろおっしゃってまいりました。いかなる必要な支援もちゅうちょしない、前例にとらわれてはいけない、平常時の対応にとらわれず、機動的かつ柔軟な対応ということをたびたび発言されてまいりました。

 そうであるならば、十数万人の方が困窮している住家の一部損壊被害に対して支援すべきじゃないでしょうか。そして、自己努力の限界を超えてしまう崖崩れや液状化という宅地被害に対して行政が正面から向き合って、やはり支援策を講じてこそ、安倍内閣の、安倍総理の言われるこの言葉の言行一致となるのではないでしょうか。

 支援策の確立を強く要求したいと思いますけれども、高市大臣、最初に質問させていただいたんですけれども、今まで私いろいろ申しましたけれども、ちょっと心に変化があったら御答弁いただきたいと思いますが、どうでしょうか。

竹内委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

高市国務大臣 住家被害に関しましては、総務省でのみ対応できる話ではございません。総務省として、できる限りの支援を行っていくということでございます。特に、被災自治体の財政運営に影響が出ないように力を尽くしてまいります。

田村(貴)委員 総力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。

 質問を終わります。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは予算委員会で補正予算が、きょう本会議がこの後開催されるわけでありますが、我が日本維新の会は、いろいろ、注文もあれば、言いたいこともあれば、言ったこともたくさんあります。ただ、震災復興等の事情も考慮しまして、恐らく野党の中では日本維新の会だけかもしれませんが、補正予算全体に賛成という立場をきょう表明いたしたところでございます。きょうここで採決をされます交付税関係も、当然賛成ということでございます。

 十五分しかありませんが、私はきょうたくさん通告をしていましたが、皆さんの質疑で大体わかりましたので、通告していた中で一つだけ、どうしてもこれはしっかり時間をとって議論をしておきたい。

 きょうのこの交付税の関連法案の基礎的な部分は大体わかりました。まだ一つだけ残っていて、一番私が解決しておきたい問題が、環境問題なんですね。

 この法案と環境問題がどう関係があるんだ、こう思われるかもしれませんが、東日本大震災があって、一番その復興に向けて苦労したのは、実は環境問題なんです、広い意味での。それは、福島第一原発から飛び出した放射性物質をどのように除染するか、それをどういう基準でやるか、これが一番大きな問題だったと承知しています。

 思い起こせば、当時、東北の瓦れきを何とか全国の自治体で助けてほしいというときに、実は、全国の自治体は手を差し伸べなかったんですね。堺市みたいに、手を差し伸べて、お金だけもらって実は助けなかったみたいなところもありますが、それはおいておいて。

 実は、当時、本当に東北の瓦れきを受け入れたのは、石原知事率いる東京都と橋下徹市長率いる大阪市だったわけです。当時、大変だったんです。大阪市役所に、これは岩手の瓦れきですよ、岩手の木くず、福島じゃないんです。原田副大臣は地元ですからよく御存じであると思いますが、岩手県の木くずを大阪市の設備で処理するのも、大阪市役所がその反対運動に取り囲まれて、橋下やめろ、橋下出ていけということになったわけです。

 何が申し上げたいかというと、復興と一言に言うけれども、みんな、お金を出せば済むと思っているかもしれませんが、実は、そういう環境問題が一番深刻なわけです。

 そういう意味では、ちょっとこの法案の応用問題ということになりますが、実は、私の地元でも、震災ではありませんが、そういう環境基準に悩まされている。今環境基準に悩まされているといえば、有名な豊洲市場ですね。これは環境基準に悩まされているわけです。私の地元でも、ダイオキシン、ニュースで見られた方いらっしゃるかもしれませんが、あれは私の地元です。これを、神戸市、大阪府、兵庫県も絡んで、いろいろあったわけであります。

 あれも、実は、九月にあの町の選挙がありました、豊能町という。豊能町というのはすばらしい町で、ちょっと風評が立っていますから取り返しておきたいんですが、教育レベルもすごく高い、緑豊かで利便性もあって、すばらしい町なんだけれども、ダイオキシンでちょっと困っているわけですね。

 九月に町長選挙がありました。我々大阪維新の会が公認した候補は敗れました。原田副大臣等が御支援をされた候補が勝利をしたわけです。ダブルスコアです。

 なぜ負けたかのいろいろな要因はあると思いますが、一つは、その原田副大臣が御支援された、いや、別に自民党じゃないですよ、自民党公認じゃないんです、原田副大臣が推薦をされた候補が、実は、この私の地元にあるダイオキシンというのは、もう無害化できています。(発言する者あり)関係ないと誰か言いましたか。誰、ちょっと手を挙げてくださいよ。関係ないですか、復興と環境問題。(発言する者あり)大事ですよね。

 小川筆頭は本当に僕は尊敬していまして、今度、通常国会のときは野理懇に僕は入れてもらえなかったんです。別に奥野さんが悪いわけじゃ、僕が悪いんですけれども、奥野さんは筆頭じゃなくなりましたから、小川筆頭のもとで、私、野理懇に入れてほしいと思って今交渉中で、多分実現をしますので、これから本物の野党として頑張っていきますが。話がそれました。

 それで、ダイオキシン。その大阪維新の会の候補がダブルスコアで負けた、元町長は完全無害化と言ったんです。もう既に廃掃法上の基準を満たしているダイオキシン、もう満たしているんですよ。あとは埋めればいいだけなんです。全く害がないんです。それをさらに燃やして、さらに溶融炉を十億円か何かでつくって、完全無害化をします、お金は国が出してくれますとやったわけですよ。ダブルスコアで負けました、大阪維新の会。

 大阪維新の会は法治主義ですからね。法令、環境基準を満たす形でやるべきだ、それ以上のお金をかけるときは、それをちゃんと住民に説明して、どれだけのコストがかかるかを説明すべきだ、コストとベネフィットのバランスをちゃんと説明すべきだということを主張してきたんですが、原田副大臣率いる先方に負けちゃったわけです。

 これは、副大臣、副大臣に通告していないな、事務方で結構です、どんなものでも特交は出る、こういうことですか。

黒田政府参考人 今御指摘いただきました豊能町における件でございますが、平成二十七年度中にコンクリート固化による処理を行いまして、特別交付税の交付を受けました。

 ただ、結果としまして、現時点におきましては最終処分に至っておりませんので、改めて今後の処理方針について検討を行っており、大阪府や共同で一部事務組合を構成します能勢町とも協議を行っているとお伺いしております。

足立委員 まさにそういうことだと思いますが、僕が聞きたいのは、もう基準は満たしているんです。さらに深掘りして、町が、いや、もっとやりたいんだ、完全な、僕らはいわゆるゼロリスク論と言いますけれども、ゼロリスクを目指してとにかく完全無害化だ。今でもいいんだけれども、そのまま埋めてもしっかり人に害がないようにできるんだけれども、さらにゼロリスクを求めてとり行う措置についても特交は出るか。これはどうですか。

黒田政府参考人 御指摘の無害化の件でございますが、ダイオキシン類対策特措法、それからこれに基づきます関係法令におきましては、このダイオキシン類を含む廃棄物を無害化する複数の技術的な処理方法を定めております。

 そのうちどの方法を選択するかにつきましては、地方団体の責任と判断で行うこととなってまいります。

足立委員 環境省、来ていますか。

 環境省はよくわかっていると思います。もう既に無害化は終わっています。もちろん埋めなあかんから終わっていませんが、コンクリート固化は終わっています。それはいいですね。イエスだと言ってください。

中井政府参考人 お答えいたします。

 ダイオキシンを含む焼却灰につきましては、ダイオキシン特措法に定められましたコンクリート固化、薬剤処理等の方法の処理をされれば最終処分することが認められているということでございまして、法律ではそういうことでございます。

足立委員 そういうことで、処理は終わっています。あとは埋めればいい。これは大阪府も、私どもも、私もまた基本的なそういう認識です。

 ただ、それをさらにゼロリスクを求めてとり行う大規模な財政支出。町はこれはやりたいんですよ。なぜやりたいか。八割国が持ってくれるからですよ。モラルハザードというんです、こういうのは。

 原田副大臣、これはもうやめた方がいいんじゃないですか、完全無害化を。

原田副大臣 突然のお尋ねでございますので……(足立委員「地元のことです」と呼ぶ)地元のことでございますが、であれば、地元で少しお話をさせていただいた上でお答えをさせていただきたいと思いますが。

 少し時間をいただいてお話をさせていただきますと、完全無害化をした汚染物といいましょうか、施設から出た表土を完全無害化いたしました。土を削ったんですね。それを処理してフェニックスへ持っていこうといたしましたけれども、反対に遭ってできなかったという事実もあることを御承知いただいたらありがたいかな、このように思います。

 完全無害化というお話がどこまでできるか、これは少し私も検討させていただきたい、このように思います。

足立委員 副大臣、全然わかっていらっしゃらない。

 要すれば、無害化はできているんです。できていることを御存じないのであれば、私ができていると言っているんです。できているものをさらにゼロリスクを求めて完全無害化することに総務省は金を出すんですかと言っているんです。一般論でもいいです。

黒田政府参考人 基本的にはそれぞれの団体で御判断される事柄になると思いますけれども、私ども、その具体の内容を伺いまして、基本的には対象になるものと考えております。

足立委員 多分、これは要求すれば二割の地元負担で、これまでの国のハンドリングだとできると僕も思います。今の法令だと出ると思います。

 しかし、やはりゼロリスクというのは切りがないので、例えば豊洲もこれから大議論になりますよ。一体小池知事がこれからあれをどうハンドリングするのか、大変な議論になります。

 もう皆さんよく御承知ですね。あれは飲み水レベルのクリーンさを地下水に求めているんです。普通は排水レベルでいいんですよ。でも、それを飲み水のレベルで追求して、特に共産党さん、別に国の共産党は悪くないかもしれないけれども、東京都議会の共産党は飲み水の基準の四割の砒素が出たと言って、新聞に砒素という大きな字が出たわけですよ。豊洲は完全に風評です、あれは。今や豊洲ほどクリーンな場所は多分ない、きれいにしたんだから。でも、風評であれだけ大変なことになっているこの責任は小池知事にあるが、小池知事は立派な方だから、移転する場合には必ずこの風評は払拭していくということを私は確信いたしております。

 それから最後に、きょうは時間を守りますよ、あと二分。これはおくれたのは僕じゃないので。

 きょう、自民党の小野田参議院議員が米国籍を抜き忘れていたということで報じられています。これは誤解があってはいけないので、僕はこれを結構勉強しましたので。

 まず、国民一般は別にそんなに大して問題にしなくてもいいんですよ。でも、権力者はあかんだろうということで、我々は二重国籍禁止法案を出しています。

 国籍というのは、日本国籍を取る、重国籍になったらその中で日本を選ぶ、それから外国籍を抜く、この三段階なんです。蓮舫代表のケースは、その二番目の、国民としての義務を三十年以上にわたって果たしていなかったから僕らは批判をしているんですね。

 でも、小野田参議院議員は、宣言、義務規定はちゃんとやっているんです。これは立派ですよ。参議院選出馬前に日本国内で米国籍を放棄すると宣言した。これで国籍法の義務は果たしているんです。ただ、抜いていなかったのでごめんなさいと。これは努力義務です。蓮舫さんは義務違反。小野田参議院議員は単なる努力義務違反。全くあれが違うんです。

 私は、実は、きょう時間があれば、政務三役の皆さんに、我々が提出している法案と同じように、国籍の履歴をこの場で御質問したい、こう思いましたが、時間がなくなりましたので、また次の機会にいたしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

竹内委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 復旧復興、これはスピード感が何より大切です。そのためにも財源は十分に確保していただきたいと思いますし、また、ことしは例年以上に台風被害が発生しておりまして、今も大きな台風が日本に向かってきておりますが、この対策にも万全の財政措置を講じていただきたいというふうにも思っております。

 さて、熊本地震でありますけれども、震源地は熊本ではありましたが、私の地元大分県でも、別府の方でも震源地とする地震がありましたが、別府市や由布市などでも震度六弱が観測をされました。

 県の調べでは、五月末時点で九千四百七十八億円の被害が出ているということであります。両市は観光地でもありますので、深刻な風評被害も発生をいたしました。これらを踏まえれば、大分県内の被害に対してもしっかりとした手当てが必要ではないかというふうに思います。

 そこで、大分県内の被害に対してどのような財政措置を考えておられるのか、まずお聞かせください。

高市国務大臣 大分県においても大変な被害が発生していることはよく承知しております。

 熊本地震に係る公共土木施設などの復旧事業につきましては、激甚災害の指定によりまして、被害の状況に応じて国庫補助率がかさ上げされるということに加えて、その地方負担分についても手厚い地方財政措置を行っています。

 それから、復旧事業以外につきましても、国庫補助事業に伴う地方負担について適切に地方財政措置を講じることにしておりまして、特に、被災団体の財政負担の大きさを踏まえまして、災害廃棄物処理事業ですとか中小企業等グループ補助金については、国費と地方財政措置できめ細やかな措置を講じて、被災団体の負担を最大限軽減することにいたしております。

吉川(元)委員 ぜひ、地元の自治体としっかり意思疎通しながら、財政措置の方をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 復旧はスピードが肝要なんですけれども、現状はなかなかそうなっていないというお話も伺います。住宅被害は十六万八千棟に及んでおりますが、家屋の公費解体の申請は一万八千棟。ところが、直近のその進捗状況は一六・二%というふうにも報道されております。

 危険な家屋の解体というのは、これは再建の第一歩でもありますし、このおくれというのは全体のおくれにも直結すると思います。損壊住宅の公費解体のおくれ、原因はどこにあるというふうにお考えでしょうか。

中井政府参考人 お答えいたします。

 損壊家屋の公費解体は、熊本県災害廃棄物処理実行計画に基づきまして、平成二十八年六月から開始され、平成三十年一月末まで実施されます。

 被災地の早期の復旧復興のためには、損壊家屋を速やかに解体撤去し、災害廃棄物の処理をできるだけ早く進める必要があると認識しておるところでございます。

 一方で、被災家屋の解体は安全に進める必要があるとともに、金庫などの財産や、仏壇、アルバムなどの思い出の品が家屋の下に存置されている場合も多く、被災者の心情や個別事情にも寄り添いながら丁寧に進めることが重要になります。

 環境省といたしましては、引き続き、被災家屋の解体を含め、災害廃棄物の処理が迅速かつ適正に進みますよう、熊本県や市町村を最大限支援してまいりたいと思っております。

吉川(元)委員 先ほど他の委員からも指摘がありましたけれども、実は、一部損壊に対する支援がないという状況であります。これは、私も地元の党の関係者からお話を聞いたところ、やはり何らかの支援が必要ではないかと。それがないと、過去との関係だとか他との関係というのはいろいろあるとは思いますけれども、ぜひ、一部損壊の家屋にも何らかの支援が届くようにお願いをしたいということ。

 それから、あと、地方負担、かなり軽減はされますけれども、やはり一部地方負担が残ります。財政が大きなところあるいは十分な財政を持っているところであればいいんですけれども、そうではない自治体もたくさんございますので、ぜひ、極力地方の負担がゼロになるように、そういった法制度も含めて検討をお願いしたいというふうに思います。

 次に、実は、皆さんもうよく御存じかと思いますけれども、大分県において、さきの参議院選挙で、別府署による隠しカメラ事件が発生をいたしました。事の重大性から本日質問することをお許しいただいた各党理事の皆様、委員の皆様に感謝を申し上げます。

 今回の事件でありますけれども、私どもとも関係の深い労働組合等々の入居する会館で、警察の隠しカメラが設置をされ、監視をされておりました。この話を聞いたときは大変驚きました。

 そして、この会館、敷地の約半分が駐車場で、隣接する公民館もございますので、公民館の利用者もこの駐車場を利用しております。そうした一般の人たちも隠しカメラで監視をされていたということになります。このような捜査が市民の全くあずかり知らないところで行われていたとするならば、本当に背筋が凍りつく思いであります。

 県警本部長は、本件について、建造物侵入罪に該当する違法行為であることに加え、必要性、相当性も認められない不適正な捜査であったというふうに述べております。また、警察庁長官も、九月一日の記者会見で、このような不適正な捜査が行われたことはまことに遺憾というふうに述べられております。

 最初に、この捜査の何が不適正だったと認識をしているのか、警察庁にお答えを求めます。

高木政府参考人 お尋ねの事案は、本年七月施行の参議院議員通常選挙の違反取り締まりに当たっていた大分県別府警察署において、公示日より前に、公職選挙法で選挙運動が禁止されている特定の人物がこれに反して選挙運動をしていると疑われる複数の情報を入手し、この特定の人物の違反行為に関する証拠を採取する目的で、別府地区労働福祉会館敷地内にビデオカメラ二台を設置し、同敷地内の駐車場及び会館への出入り口を撮影していたものであります。

 今回の事案において、他人の管理する敷地内に無断で立ち入りビデオカメラを設置するという行為は刑法の建造物侵入罪に該当する違法行為である上、他人の敷地内を撮影するだけの必要性及び相当性は認められず、不適正な捜査であったものと考えております。

 今回の事案を受けて、捜査用ビデオカメラの適正な使用の徹底について指示したところでありますけれども、再発防止を徹底するため、引き続き、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 警察庁は当然御存じのはずだと思いますけれども、カメラ捜査をめぐっては、最高裁の判例がございます。一九六九年ということであります。

 そこでは、「何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有する」、「警察官が、正当な理由もないのに、個人の容ぼう等を撮影することは、憲法十三条の趣旨に反し、許されないものといわなければならない。」こう判示をされているわけであります。

 いわゆる憲法十三条のもとで、プライバシー権あるいは肖像権が保障されているということを示した判決でありますけれども、今回発生した本件については、この憲法十三条に抵触する、違憲性を持った捜査であるという認識はお持ちでしょうか。

高木政府参考人 御指摘のとおり、判例におきましても、憲法十三条に基づき、「個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有する」とされていることについて、承知をしております。

 これまでも、捜査に当たっては人権の尊重に留意するよう指導してきたところでありますけれども、今回の事案では、この点についての配慮が全くなされていない不適正な活動が行われたものというふうに認識をしております。

 今回の事案を受けて、再発防止の徹底を図るよう、引き続き、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 質問したことに答えていただいていないでしょう。

 今言われたとおり、県警本部長も、捜査に当たっては人権の尊重に留意するよう指導してきたが、今回の事案では、この点についての配慮は全くされていなかった、こういうふうに回答されています。

 人権への配慮が全くなされていないということは、これはつまり憲法十三条に明らかに抵触をしているということにほかならないのではないでしょうか。憲法違反だというふうにお認めになりますか。

高木政府参考人 繰り返しになりますけれども、判例において、憲法十三条に基づき、「個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有する」とされているものと承知しておりますが、今回の事案では、この点についての配慮が全くなされていない不適正な活動が行われたものというふうに認識をしております。

吉川(元)委員 だから、憲法十三条に違反しているんじゃないんですかというふうに聞いているんですけれども。

 もう余り時間がないので、ちょっと次の質問に移りたいと思います。

 それではお聞きしますけれども、こうした隠しカメラを利用した捜査、昨年一年間でどの程度の件数行われたのかを教えてください。

高木政府参考人 捜査活動のためのビデオカメラの使用については、各種会議において適正確保を指示するなど、機会を捉えて都道府県警察を指導しているところでありますけれども、個別事件の捜査は都道府県警察において行われており、具体の事件において、カメラの使用の状況については、警察庁においては把握していないところでございます。

 いずれにいたしましても、捜査活動に用いるビデオカメラの使用の適正確保のため、都道府県警察への指導を徹底してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 もう既に指摘しましたけれども、これは、憲法十三条に違反している、抵触しているんじゃないかという疑いが強い事案であります。十三条だけじゃなくて、例えば思想、良心の自由であるとか集会、結社の自由であるとか、そうした国民の権利、重大な権利に抵触をするような中身であります。

 また、最高裁は、この六九年だけではなく、二〇〇八年にも同様のいわゆるカメラ捜査について判示しておりますけれども、いずれも非常に限定的な、例外的な捜査であるというふうにされております。

 それが一体何件行われたのかということは、やはりきちんと把握をしなければいけないというふうに私は思いますけれども、今後カメラによる捜査、捜査件数を把握するおつもりはありますか。

高木政府参考人 警察庁といたしましては、捜査の適正確保のため、全ての都道府県警察に対して、各種会議や巡回業務指導などによりまして、各都道府県警察における捜査活動の実情を具体的に把握しつつ、必要な指導をさらに徹底してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 ということは、つまり、件数については把握するつもりはない、あとは各警察、県警にお任せをするということを今答弁されたというふうに理解をしてよろしいんですね。

 次、もう時間が本当にないので行きますけれども、八月二十六日に警察庁は通達を出しております。いろいろな注意事項といいますか、「任意捜査としての許容性の確認の徹底」ということで出されておりますが、非常にその内容が抽象的であります。

 どういうふうな場合にはオーケーなのか、どういう場合はだめなのかというのが、書かれている言葉だけでは容易には判断できませんし、もしこれを恣意的に解釈すれば、何でもオーケーになってしまいます。

 そういう点からいって、カメラを使った捜査についてのガイドラインのようなものは存在をするのでしょうか。また、存在しないのであれば、今後つくられる意思はあるのでしょうか。

高木政府参考人 捜査の目的でその対象者をカメラで撮影することにつきましては、最高裁判所の判例により、捜査目的を達成するため、必要な範囲において、かつ、相当な方法によって行われる限りにおいて適法と認められるものと承知をしております。

 こうした許容性につきましては、個々の事案における具体的な状況に即した判断が必要になるところでありますが、今回の事案を受けて発出した通達におきまして、具体的な考慮事項として、当該場所の性質、現行犯の立証や現に行われた犯罪の犯人の特定等撮影等の具体的目的、事件の重大性、嫌疑の程度等撮影等の必要性、第三者が撮影対象に含まれるか否か等撮影方法の相当性を掲げ、これらを事件の具体的状況に即して子細に検討すべき旨を指示したところでございます。

 警察庁といたしましては、この通達の趣旨を徹底し、判例に照らして適正と認められる捜査が行われるよう、都道府県警察を指導してまいることといたしております。

吉川(元)委員 ガイドラインがあるのか、それとも、つくるかつくらないかも全く答弁していただけないんですが。

 最後に、一点だけお聞きしたいと思います。

 これは、先ほども言ったとおり、憲法十三条、十九条、二十一条、それぞれ抵触をする可能性があります。それがノーチェックで行われるということはあってはならないというふうにも思いますし、これはここの総務委員会の所管外ではありますけれども、刑事訴訟法の中で具体的な基準を定めたり、あるいは法のもとで規制をする必要があるのではないかと思いますが、この点について。あるいはまた、第三者による事後チェックも必要だと思いますけれども、この点についてどうお考えですか。

高木政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、捜査の目的でその対象者のカメラ撮影を行うことにつきましては、最高裁判所の判例において、捜査目的を達成するため、必要な範囲において、かつ、相当な方法によって行われる限りにおいて適法と認められるというところではございますが、こうした許容性の判断については、個々の事案における具体的な状況に即した判断が必要となるものと承知をしております。

 したがって、その適否については、捜査対象となった犯罪の具体的な内容や捜査対象者の容疑の程度などを踏まえて判断されなければならないものであることから、その運用状況のチェックを外部の第三者に委ねることは、捜査対象となった方のプライバシーの問題や捜査の秘密の保持の観点から難しいものと考えております。

 一方、捜査は刑事手続の一環であり、捜査活動としてカメラを使用した場合においては、その適法性について、当該事件の公判などにおいて裁判所の審査の対象となるものでありまして、警察としては、こうしたことも念頭に置いて適正捜査の確保に努めているところでございます。

竹内委員長 吉川元君、時間が終了しておりますのでお願いいたします。

吉川(元)委員 時間が来ましたので終わります。

竹内委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三十九分散会


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