衆議院

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第3号 平成28年10月25日(火曜日)

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平成二十八年十月二十五日(火曜日)

    午前八時四十五分開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 古賀  篤君 理事 左藤  章君

   理事 坂本 哲志君 理事 田所 嘉徳君

   理事 葉梨 康弘君 理事 小川 淳也君

   理事 奥野総一郎君 理事 輿水 恵一君

      池田 道孝君    大西 英男君

      金子万寿夫君    金子めぐみ君

      川崎 二郎君    菅家 一郎君

      小林 史明君    新藤 義孝君

      鈴木 憲和君    高木 宏壽君

      谷  公一君    土屋 正忠君

      冨樫 博之君    中谷  元君

      長坂 康正君    武藤 容治君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    和田 義明君

      逢坂 誠二君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    鈴木 克昌君

      高井 崇志君    武正 公一君

      稲津  久君    梅村さえこ君

      田村 貴昭君    足立 康史君

      吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   内閣府副大臣       松本 洋平君

   総務副大臣        原田 憲治君

   総務副大臣        あかま二郎君

   総務大臣政務官      金子めぐみ君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   総務大臣政務官      島田 三郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 緒方 俊則君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          高原  剛君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君

   政府参考人

   (総務省情報通信国際戦略局長)          谷脇 康彦君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            南  俊行君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   今林 顯一君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大庭 誠司君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   藤井 健志君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       野村 正史君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 室石 泰弘君

   総務委員会専門員     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十五日

 辞任         補欠選任

  長坂 康正君     和田 義明君

同日

 辞任         補欠選任

  和田 義明君     長坂 康正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官緒方俊則君、総務省自治行政局長安田充君、自治行政局公務員部長高原剛君、自治行政局選挙部長大泉淳一君、自治財政局長黒田武一郎君、情報通信国際戦略局長谷脇康彦君、情報流通行政局長南俊行君、政策統括官今林顯一君、消防庁次長大庭誠司君、財務省主計局次長藤井健志君、国土交通省水管理・国土保全局次長野村正史君及び環境省大臣官房審議官室石泰弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木憲和君。

鈴木(憲)委員 おはようございます。自民党山形二区の鈴木憲和です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。また、十五分という短い時間ですので、質問も簡潔にいきますが、答弁も簡潔にお願いできればと思います。

 まず冒頭に、先日の鳥取の地震で被災をされた皆様に心からお見舞いを申し上げます。現場で復旧に当たる皆様をバックアップするのが国の役割だというふうに思いますので、ぜひしっかりとお願いをしたいと思います。

 これに関連をして、一つ、災害復旧について質問をいたします。

 台風の被害もありましたが、自治体にとっては、この災害復旧、大変な課題になってきているのがことしだというふうに思います。

 公共施設の大きな被害については災害復旧の枠組みの中で皆さんやられるんだと思いますが、それよりも大変ではないかというふうに考えるのが、地域ごと、集落ごとに、例えば小さな道路の補修であったり、流出した土砂や倒木の処理、これらの負担が重なってくると、小さい自治体にとっては特に財政負担が大きくなるというふうに思います。

 ぜひ、そういうところがちゅうちょすることのないように、自治体に対しても、国としてきめ細かくしっかりバックアップをしていただきたいと思いますが、ここについての姿勢をお伺いしたいと思います。

黒田政府参考人 お答えをいたします。

 大きな災害の発生時におきましては、御指摘のように、被災自治体においては、まず災害救助を初めとする応急対策などにさまざまな財政負担が生じることが見込まれます。

 こうした経費についての支出のための当面の資金繰りとしまして、交付税の繰り上げ交付を行いますとともに、応急対策等のさまざまな経費については多岐にわたり、個別具体の財政需要を見積もることが困難であることから、災害復旧事業費や罹災世帯数等の被害の規模を示す客観的な数値に基づき、特別交付税により包括的に措置することとしております。あわせまして、災害対応に係る職員の派遣や受け入れ経費等も措置しております。

 その上で、特に大きな災害により実際の財政需要がこうした算定を上回る場合には、その上回る部分につきまして、個別の財政需要をお伺いした上で、所要の加算措置を講ずることとしております。

 御指摘のように、今年度も災害が頻発しております。災害に伴う財政需要につきましては、被災自治体の実情を丁寧にお伺いしながら、特別交付税等による措置を適切に講じることで、その財政運営に支障が生じないように対処してまいりたいと考えております。

鈴木(憲)委員 ありがとうございました。

 これは地震だけではなくて、台風については特に広範囲に細かい被害がたくさん生じていると思いますので、ぜひしっかりと対応をお願いしたいと思います。

 次の質問に移ります。

 大臣の所信表明にあった地域経済の好循環を拡大していくための政策の数々、これについてはしっかりと取り組んでいただきたいと思うのですが、この中で、地域活性化がうまくいくかどうかのポイントとなってくるのは、国のさまざまな政策やメッセージを地域で主体性を持って取り組むことのできる人が地域にいるかどうかというのが、きっと私はポイントになってくるんだと思います。

 今回の地域経済好循環推進プロジェクトの中で、この人材について、地域の人材をどう掘り起こしていくのか、これについて総務省としてどういうふうに取り組むのか、これをぜひお伺いしたいと思います。

原田副大臣 お答えをいたします。

 総務省といたしましては、ローカル一万プロジェクトを初めとする地域経済好循環推進プロジェクトなどに取り組んできたところであります。

 第二次補正予算において、地域への人、情報の流れを創出するチャレンジ・ふるさとワークを新たに盛り込んだところでもございます。

 今回のチャレンジ・ふるさとワークの中でも、地域における人材の総活躍を促す“地域の人事部”戦略策定事業を盛り込んでおるところでございます。

 この事業においては、育児等で離職するなどした人材も含め、地域に存在する人材やスキルといった地域人材情報をまずはしっかりと把握し、その上で、地域において成長させていくべき分野での人材育成事業に取り組むなど、市町村が戦略を策定し、地域企業などと連携し、地域の総力を挙げて取り組みを実施することを想定いたしております。

 総務省としては、ローカルアベノミクスを加速し、地域経済の好循環のさらなる拡大を後押ししてまいりたいと思います。

鈴木(憲)委員 ありがとうございました。

 今の件は、今回補正予算だけで盛り込まれているというふうに思いますので、人材が人口減少の中でいかにして確保できるかというのはきっと地域活性化にとって大変大切なポイントだと思いますので、ぜひ、これからも継続的に私は取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、人口減少社会をいかにして乗り越えていくのかというので、一つ、IoTの活用があると思います。

 私も、自民党の農林部会の中で今、IoTをいかに農業分野に使えるかということを議論しているんですが、例えば、IoTを農業分野に使うことによって、生産性の向上が図られるんじゃないかとか、もしくは、新しい新規就農者が技術を習得するときにより早く技術を習得できるのではないかとか、そういった可能性が見えてきております。

 また、医療分野でも、例えば、個々の健康診断のデータや、そもそも健康診断を受けたかどうかについてしっかりと把握することで、将来は医療費の削減が見込まれるのではないかという研究なんかもされています。

 IoTによって、人口減少時代を明るく乗り越えていける可能性が私はあるというふうに思います。その際に、総務省がIoTの司令塔として、これは縦割りでない、全部の役所にまたがる事項だというふうに思いますので、縦割りでない行政のあり方をさらに進めていかなければいけないと思いますが、今後の前向きな取り組み、そして考えをお伺いしたいと思います。

金子大臣政務官 IoTやビッグデータの活用は、人工知能やロボットとともに有望な成長分野でありまして、人口減少を初め、さまざまな社会課題の解決に向けても非常に有効であります。

 総務省におきましては、情報通信審議会からの昨年十二月そして本年七月の二回の答申を踏まえまして、農業や医療の分野を初め、生活に身近な分野における地域発の先導的なIoTサービスの創出、展開を後押しする実証事業を行うとともに、IoTの活用を支える人材育成のため、小中学校等におけるプログラミング教育の推進や、IoTを支える新たなネットワークインフラの整備や運用、セキュリティー等を担う人材の育成に取り組むこととしております。

 これらの取り組みは、まさに委員の御指摘のとおりでありまして、分野横断的なものであります。厚生労働省、文部科学省、経済産業省など関係省庁とも密接に連携して取り組みを進めております。

 地域社会へのIoTの普及や人材育成の具体的方策等については、現在、地域IoT実装推進タスクフォースや情報通信審議会のIoT政策委員会において政策検討が進められておりまして、これらの検討結果については年内に一定の結論をお示しする予定でございます。

 総務省としましては、IoT、ビッグデータを社会のさまざまな分野に浸透させ、地域振興や生産性の向上に取り組むとともに、タスクフォースや情報通信審議会における検討結果が成長戦略を初めとする今後の政府全体の方針に適切に盛り込まれるよう取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(憲)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、金子政務官におかれましては、IoTで子育てしやすい社会をいかにつくるのかということも、私も子育て世代ですので、しっかりと考えて、一緒にやっていければなというふうに思います。

 そんな中で、これは最後の質問になりますが、残念なニュースがありました。これは十月初めのロイター通信の報道であります。これはあくまでも報道ベースであるんですが、アメリカのヤフー社が情報機関の要請に応じて電子メールを監視していたのではないかというロイター通信の報道がありました。大変、私自身も驚きましたし、残念に思います。

 少なくとも日本の法律上は、電気通信事業法第四条で通信の秘密がまず保護されています。その上で、裁判所の令状なしに捜査機関や電気通信事業者が電子メールの内容を監視することは許されないという制度になっていると思いますが、今後、IoTの活用によって、社会全体の誰にとってもIoTというのが基盤になっていくときに、このような残念なニュースがあると、社会全体に対する、制度の基盤に対する不信感につながってしまうというふうに思います。

 万が一にも我が国でこのような問題が起こらないようにすべきだというふうに思いますが、この報道についての見解と、今後、総務省としての対応を、厳しい対応をしっかりとやっていくんだということをぜひお伺いしたいと思います。

あかま副大臣 お答えいたします。

 米国のヤフー社が全利用者の電子メールを監視しているという報道がある一方、誤解を招く報道であるなどと米国のヤフー社が反論したという報道があることも承知しております。

 日本では、電気通信事業法第四条第一項において、電気通信事業者の取り扱い中に係る通信の秘密、これを侵してはならないと規定しており、利用者の電子メールの内容についても、通信の秘密として明確に保護の対象となっております。

 電気通信事業者が通信の秘密を侵害した場合、電気通信事業法第二十九条第一項第一号に定める改善命令の対象となる。これのみならず、第百七十九条に定める三年以下の懲役または二百万円以下の罰金という重い刑事罰の対象ともなります。

 捜査機関が、裁判所の発した令状に基づいて特定事件に係る電子メールの内容を確認する、記録媒体の差し押さえをすることは可能でございますが、そのような根拠なしに捜査機関や電気通信事業者が電子メールの内容を監視することは許されておりません。

 いずれにせよ、電気通信事業者においては、通信サービスの提供に当たり、通信の秘密や個人情報の保護などを踏まえた適切な取り扱いを引き続き行っていくよう期待しております。

 万が一、通信の秘密に対する侵害が明らかになった場合は、電気通信事業法に基づき厳正に対応してまいりたい、そう思っております。

 以上です。

鈴木(憲)委員 ありがとうございます。

 こういうことが、報道ベースであったとしても、日本で報道されるようなこともやはり起こらないように、日ごろから厳しくぜひチェックをしながら、総務省として体制を整えてやっていただきたいと思います。

 おかげさまで時間内に全部終わりましたので、皆様方に、まずは、本当に鳥取の地震からの復旧に対するバックアップをしっかりとお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

竹内委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 通告に従いまして順次質問させていただきますが、まず、先般の大臣所信の中で、地方の税財政についてのお話がありました。あの中で、地方の一般財源総額について、平成二十八年度地方財政計画の水準を下回らないように、実質的に同水準を確保してまいります、こういう話があって、この実質的にというところに少しひっかかりがあるような気もしたんですけれども、しかし、そこはしっかり確保していくということですので、ぜひお願いをさせていただきたいというふうに思っております。

 それで、地方は、いわゆる一億総活躍の中で、さまざまな事業展開などで負担がふえてくるということを考えてみますと、そこはそこでしっかり措置をしていただきたいな、このようにも思っておりますが、こうした地方の財政問題について関連して、きょうは、何回か大臣には今までも御質問させていただいていますけれども、改めて夕張市のことについてお伺いしたいと思います。

 もう皆さんも御案内かと思いますけれども、夕張市、財政の破綻表明からもう十年たちまして、当時三百五十三億円の赤字を十八年間で返していくということで、前年度末時点では九十五億円、今、返済している状況。二百六十人いた市の職員も、今、半分以下の百人余りになりました。それから、市議会も議員数を半減し、報酬も四〇%カットという状況でございます。

 かねて総務大臣は、財政再生と地域再生の新たな段階に移行することをしっかり夕張に対して応援すると政治的な決断をしていただいたということで、私も大変期待をしているところでございます。

 そこで、これまで、そして今後のことになっていきますが、国と北海道、夕張市のいわゆる三者協議というのを進めてまいりまして、ここで夕張市の現状についてもさまざまな課題を共有していくというシステムをつくっていただきまして、大変ありがたいことだと思っています。既に四回開催していまして、今後については今月の二十七日、二十八日で開催ということになっておりますけれども、ここで大きなテーマになってくるのが、いわゆる夕張市の財政再生と、もう一つ、地方創生というか今後の新たな取り組みということが挙げられます。

 この財政再生計画に加える主な新たなものとしては、一つは、子育ての環境の充実、例えば保育料の見直しとか子供の医療費の無料化の拡大ですとか、それから、例えば認定こども園を考えていくということで、いわゆる公共施設の整備。

 それから、炭層メタンガスの活用調査等々、いわゆる地域資源の活用。

 それから、これらのことに取り組んでいく中で、いわゆるそこを進めていく人材ということで、これは当然市の職員が一番大事なポイントになってきますが、今現在は、御案内のとおり、ほかの自治体から派遣職員をいただいているということで、これも大変な御支援をいただいているところでございます。しかし、そこもやがて近いうちに頼らない組織体制も必要になってくるだろうと思っていますが、ここで一つ大変なネックというか課題が、職員の処遇の問題なんですね。

 これは、全国の市町村の最低ということで決められておりますけれども、しかし、もう十年たって、さらにこれから向かっていくこの財政再生計画の中で、今申し上げましたように、すごい大事なポイントはやはり人材ですから、そこをしっかり抱えていくためには、私は職員の処遇の改善は必要であると思っておりますし、現在、市長の給与も、ここでは申し上げませんけれども、相当低い水準に推移しております。

 いわゆる類似団体での最低というところにそろそろ軸足を移したらどうか、このようにも思っておりますが、大臣の見解を伺います。

高市国務大臣 夕張市の職員給与につきましては、これまでも、市からの御要望を踏まえながら、改善には同意をしてきております。平成十九年の段階では本給で三〇%削減ということでございましたが、二十七年度一五%削減までは改善してきたところでございます。ただ、なかなかやはり人材確保という点で厳しいということは、地元でいらっしゃる稲津委員のおっしゃるとおりでございます。

 この厳しい状況の中で市職員の皆様が本当に頑張ってこられたということにつきましては、私としましても敬意を抱いております。一定程度の処遇改善を行っていく方向で考えていきたいと存じます。

 ただ、他方で、限られた財源の中で計画を見直していく上におきまして、住民サービスの充実と職員の処遇改善とを比較した場合には、やはり住民サービスの充実も優先すべきということも考えます。

 そういった考え方を基本としながら、委員がおっしゃっていただきました今月二十七、二十八日に行われる三者協議の場において十分市と協議をして、どのような改善が可能であり、また妥当であるかということをしっかりと検討してまいります。

稲津委員 ぜひ、三者協議の中で十分な御検討をいただいて、大臣の、先ほど申されました夕張支援に対する前向きな御検討をいただきたいと思います。

 このことに関連して、それでは、夕張市は今どういうような取り組みを地方財政計画の中でしているかということについては、大変ありがたいことに、企業版のふるさと納税が随分大きな影響、好影響を与えているということを伺っております。そのほかにも、いわゆる地方創生関連の交付金も活用させていただいている、これは国からの御支援に関連するんですけれども。北海道は地域づくり総合交付金を夕張市へ活用ということで、こうしたことを考えていくと、もう一つ、国として、このことに関連してもう少し具体的な御支援をいただけないだろうかなと思っております。

 それで、これは夕張市に限ったことではないんですけれども、例えば夕張のことでいいますと、再生振替特例債の問題があって、例えば現行の借入利率を今度もう少し低いものに借りかえていったらどうだろうか、こういう考え方もあるかもしれない。ただ、そうなってきますと、全体のスキームの崩れも出てくるし、それから、ほかのことに関しても影響を与えてくるかもしれないと思っています。

 そのことは横に置いておいてでも、先ほど申し上げましたように、国、それから道、そして夕張市、この関係の中でぜひ国からの十分な御支援もいただきたいと思っていますが、このことについてのお考えも伺います。

高市国務大臣 夕張市では、これまで財政再生計画に基づきまして、市税などを引き上げたり、職員給与を削減したり、施設の統廃合などによって、着実に財政再生に取り組んでこられたということは認識をいたしております。

 その結果、財政再建団体移行当時約三百五十三億円あった赤字が、平成二十八年度末までに約百十六億円が返済されるという見込みになっていますので、財政再生そのものは着実に進んでいると考えております。

 総務省としましても、地域再生に資する事業を初めとした財政再生完了後を見据えた事業、これにも新たに取り組んでいく必要があると考えています。三者協議の場で市、道と協議をしまして、これまでは財政の再生に主眼を置いてきた財政再生計画について、財政の再生と地域の再生の両立に向けて、どのような事業が本当に必要であり、それに対して総務省としてどのような支援ができるか、事業の必要性をしっかりと具体化した上で検討してまいりたいと思います。

稲津委員 ありがとうございました。ぜひそうした御支援をいただきますように、よろしくお願い申し上げます。

 次は、これも大臣の所信の中でも触れておられましたけれども、いわゆる常備消防の広域化ということについてお伺いしておきたいと思うんです。

 やはり消防を取り巻く環境というのは、どんどん変わってきている。もちろん、少子高齢化ということもありますし、近年では、これまで経験したことのないような自然災害が起きてきたり、それから、当然、人口減少社会に入っているという、地域が変わってきているというのがあると思うんです。

 私は、今回の台風の、北海道を襲った大雨災害とか、ああいったことに直面していく中で、消防署あるいは消防団員の皆さんが大変御苦労されている、大変頑張っていただいていると思っています。

 特に、大規模災害の発生に対処するための消防体制の確立ですとか、いわゆる消防力の拡充とか、こういったことの中で一つの大事な視点としては、消防の広域化、これは重要な位置づけであると思っています。

 まず大臣に、消防の広域化の必要性についてお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 市町村の消防の広域化でございますが、人口減少、それから災害や事故の多様化及び住民ニーズの多様化といった消防を取り巻く環境の変化に的確に対応して、消防力を強化していくということを目的として推進をしています。

 現在なんですけれども、管轄人口十万人未満の消防本部が全国の六割を占めるという状況にございます。消防力の充実強化には、さらなる消防の広域化というものが必要でございます。

 消防の広域化によりまして、例えば、小田原市消防本部におきましては、救急車の現場到着時間が平均して二割以上短縮されたという地域が出てきています。宇部・山陽小野田消防局におきましては、火災発生時に対応できる部隊数が一・四倍に増強されたといった具体的な成果も伺っております。

 このほかにも、予防や救急分野の専門職員の育成、高機能指令センターや高度な車両、資機材の整備、組織の活性化といった消防体制に係るさまざまなメリットが生じています。

 市町村の消防体制の整備、確立の手段として、消防の広域化というのは最も有効であると考えておりますので、さらに推進をしてまいります。

稲津委員 今、小田原の例なども挙げていただきましたけれども、奈良県も、伺いますと、奈良市と生駒市を除く三十七市町村で広域消防組合をつくっている。埼玉も、七十八万人の埼玉西部消防局ですか。私の住んでいる地元も、滝川市、赤平市、芦別市などで広域化した事務組合の消防本部がありますが、救急搬送とか消火活動もそうですけれども、大変機能的にこの本部が動いております。

 ただ、逆に、広域化の協議が余り進展しない地域もあると伺っているんですね。そのことについて総務省としてどのような認識をお持ちなのか、時間もありませんので、簡潔にお願いします。

大庭政府参考人 お尋ねの、広域化が進展しない理由についてでございますけれども、例えば、管轄面積が広大であり、山などで地域が分断されていることから、消防署同士の連携による効率的な部隊運用は難しい、あるいは、大規模な消防本部において、広域化によってみずからの地域の消防力が流出してしまうような懸念がある、あるいは、広域化によって市町村との関係が希薄になるのではないかというような懸念がある、このようなことが理由として挙げられているところでございます。

稲津委員 そこで、もう一点お伺いしておきたいと思うんですけれども、この広域化に向けての総務省の財政支援措置として、一つは特別交付税措置、それからもう一つが、これは非常に大事なんですけれども、消防署等の増改築、新築などの整備については緊急防災・減災事業債を活用できるということでございますけれども、この財政措置というのは、地方債の充当率一〇〇%で、交付税の算入率七〇%、平たく言うと三〇%が自主財源ということなんですけれども、ここをもう少し手厚くしてくれないかという意見も一部ございます。

 それらも含めて、今後この広域化を図っていくその手段として、方法として、総務大臣の見解を伺いたいと思います。

高市国務大臣 今も委員から、緊急防災・減災事業債に関する措置や特別交付税措置についてもお話がございました。これでも非常にきめ細やかな財政支援は既に行っていると思っております。

 ただ、その広域化が進まない理由は、財政的な側面もあるかもしれませんが、今お答えしましたような地理的な理由ですとか、あと市町村間の負担金の調整が難しいといった事情もございます。

 ですから、消防庁としては、やはり消防広域化を推進していくためのアドバイザーの派遣ですとか、事例集の作成、広報といったことも行いまして、今やっている財政支援に加えて、さらに進めていただけるように努力を続けてまいります。

稲津委員 終わります。

竹内委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 おはようございます。逢坂誠二でございます。

 きょうは質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、まず最初に、地方交付税の問題について質問させていただきたいと思います。

 地方交付税は、地方固有の財源であるということ、そして、客観的な基準によって地方の行政需要を見積もって、さらにまた客観的な基準によって地方の歳入を見積もる、そしてその差額を地方に交付する、地方の固有の財源であるというふうに理解をしているわけであります。

 そして、これは、補助金や交付金などと違って、これによって政策誘導をするという性格のものではないという理解を私はしているわけでありますけれども、最近の交付税を見ていると、交付税によって政策誘導をしている、そうとられかねないようなところがあるわけでありまして、少し交付税の性質、性格をゆがめているのではないかというふうに思っております。そのような観点から、幾つか質問させていただきたいと思います。

 まず一つでありますけれども、いわゆる行革インセンティブ算定と言われるもの、地域の元気創造事業費の中にそういう要素が含まれているわけでありますけれども、これについて、行革インセンティブ算定の内容、そして意義、どういう意図でこれを導入しているのか、事務方の方から説明いただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 地域の元気創造事業費の算定に当たりましては、それぞれの地方団体が地域経済活性化に取り組むための財政需要につきまして、人口を基本とした上で、行政改革の取り組みと地域経済活性化の成果指標を反映することとしております。

 このうち、行革努力分につきましては、厳しい財政状況の中にあっても、各地方団体が行政改革により捻出した財源をも活用して地域経済活性化の取り組みを行っていることを踏まえ、行政改革を示す指標を地域経済活性化に係る財政需要の算定に反映しているものでございます。

逢坂委員 具体的に言いますと、今のいわゆる行革算定でありますけれども、職員数の削減率、前年度のラスパイレス指数、直近五カ年平均のラスパイレス指数、人件費削減率、人件費を除く経常的経費削減率、それから地方債残高削減率、こういったものが項目に含まれていると承知をしているわけですが、今言いました項目、これは、どれもこれも確かに地方の行革を考える上では非常に重要な要素だというふうに私も思います。

 私自身も、自治体におりました折に、今言ったような数値、これらをどうするのかということが行政改革を考える上で非常に大事なことだというふうに認識をしているんですけれども、これを交付税に入れるということでどんな意義があるのかというのは、どうも私にはよくわからないんですね。

 今の説明によりますと、各団体が行政改革によって捻出した財源を活用して行う地域活性化に係る財政需要も多額である、こういったことがこの需要に算定している理由だというふうに二月にも答弁いただいているんですけれども、改めて事務方の方から、こういう理解でよろしいんでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたしましたように、基本的には、行革努力の実績を地域振興の経費に算定するという観点で算定を行っております。

逢坂委員 そこが私には理解できないんですね。

 行革を一生懸命やって、地方で少しでも一般財源を節約しようということはやる。でも、この交付税の算定を見ていると、そういうふうに行革を一生懸命やったところが地域経済活性化に係る事業もたくさんやっているかのような算定に見えるわけでありますけれども、ここには因果関係はあるんでしょうか。

 私の印象でいくと、これは私も具体的な数字を持っているわけではありませんので明確には言えないんですが、とにかく行革だ、行革だと一生懸命やればやるほど、実は逆に地域の経済が疲弊しているケースも多いのではないか。

 職員の給与を削減する、あるいは、人件費削減が今回の行革算定の非常に多いところでありますけれども、職員を削減する、そうすることによって小さな自治体などでは逆に地域経済の衰退につながっているといったようなケースも見られるような気がするわけですが、行革と地域経済活性化に係る財政需要が連動している、行革すれば地域経済活性化に係る財政需要がふえている、そういう事実はあるんでしょうか。

黒田政府参考人 少し、現在の行革インセンティブ算定についての経緯的なものを申し上げたいと思います。

 基本的に、地方交付税の算定におきましては、行革努力により経費を削減しましても、交付税そのものは削減されません。その分をほかの施策に活用し得る財源が確保される仕組みとなっておりますので、地方交付税制度には行政改革を促す仕組みがもともと内在しているというふうに私たちは考えております。

 ただ一方で、そのような仕組みに加えまして、さらに行革努力を算定に反映すべきではないかという声を地方団体から多数いただきました。

 その中で最初に私どもが行いましたのが、まず、例えば徴税努力なんかをやっている団体につきましては、やはりそれなりに徴税経費がかかっているだろう、そういうことで、徴税努力に係る経費を単位費用に算入いたしまして、徴税の結果がよくなったところに対してはその経費をさらに高めるという算定を行いました。

 そういう算定に加えまして、さらに何か行革努力を反映させる算定ができないかという指摘がございまして、今の徴税費のような算定に合わせまして、努力してお金を捻出して地域の活性化のためにいろいろと努力をしているという地方団体の声を踏まえまして、現在の算定もあわせて行っている、そういう状況でございます。

逢坂委員 徴税の方は私は一定程度理解するんですよ。徴税努力をするためにはお金もかかる、さまざま対策、対応をするためにお金もかかる。徴税努力をして税収が上がる、それで基準財政収入額がふえるわけで、それによって交付税が減るのは何かちょっとおかしいなというふうに思っている首長さんが多いのは私も理解します。

 だけれども、今の人件費を下げる、ラスパイレスを下げる、定数を下げる、こういったことによって、それが経済活性化につながっているという発想が私はおかしいような気がするんですね。交付税の算定そのものがどうであるかというよりも、そこを経済活性化と結びつけているというのは地域の実態と逆だというふうに私は思っておりますので、これについては後でまた大臣から感想をちょっと聞いてみたいと思います。

 それから次に、私はこっちも特に問題だと思っているんですが、トップランナー方式による交付税の算定というのがある。これについて、意図と中身を説明していただけますか。

黒田政府参考人 現在、地方財政は巨額の財源不足を抱えまして、依然として厳しい状況にある中で、引き続き、行政の効率化を進めていく必要がございます。

 このため、昨年八月に、総務大臣通知としまして、地方行政サービス改革の推進に関する留意事項を発出しまして、民間委託等の積極的な活用等によるさらなる業務改革の推進に努めるよう各地方団体に要請いたしました。

 こうした中で、地方交付税の算定におきましても、地方交付税法の改正によりまして、単位費用の算定に平成二十八年度からトップランナー方式を導入しまして、多くの団体が業務改革に取り組んでおります業務につきまして、業務改革を行っております団体の経費水準を基準財政需要額の算定基礎とするところとしたところでございます。

逢坂委員 加えて説明をお願いしたいんですけれども、二十八年度には具体的にどういう項目がトップランナー方式に入れられたのか、それから、二十九年度以降導入を検討しようとしているものにどんな項目があるのか、簡潔に説明をお願いします。

黒田政府参考人 トップランナー方式につきましては、地方行政サービス改革に係る調査によって把握することとしております地方団体の業務改革のうち、単位費用に計上されております二十三業務について検討対象としております。

 平成二十八年度におきましては、このうち、本庁舎清掃や情報システム運用など、多くの団体で民間委託等の業務改革に取り組んでおります十六業務について導入いたしました。

 残り七業務でございますけれども、これにつきましては、現在、地方団体あるいは関係省庁からさまざまな意見をいただいております。こういうことを踏まえまして、来年の対処方針について、年末をめどに対応を決めていきたいと考えております。

逢坂委員 まず一つ、民間化、ある種、民間業務委託を進める、そういう意図で交付税の中にこういうトップランナー方式というものを入れているということについて、交付税による政策誘導の側面が非常に強いのではないかという気がするわけで、これは少し慎重にやるべきだろうと私は思っています。

 ただ、今話がありましたとおり、例えば本庁舎の清掃でありますとか電話交換でありますとか、そういった業務について、これは自治体の現場のみずからの判断で民間委託をしていくということはあり得ることだと私は思っていますし、民間委託をしても本質的な仕事の内容に大きく影響を与えるものだというふうには感じられません。だから、その意味で、本庁舎の清掃ですとか電話交換などを民間委託するということは、私はそれは悪いことではないというふうに思っております。

 ただ、きょう具体的に御説明いただきませんでしたけれども、二十九年度以降導入を検討するものの中に、答弁の中には出てきませんでしたが、残された業務、これは既に書き物などでも出ておりますので私の方から言わせていただきますと、図書館管理、博物館管理、公民館管理、児童館、児童遊園管理、青少年教育施設管理、公立大学の運営、窓口業務、しかもその窓口業務は具体的にどういうものか、戸籍業務、住民基本台帳業務、税証明業務、福祉業務などというふうになっているわけですね。

 今、来年以降検討をするというふうに挙がっている項目、これは単なる維持管理業務ではないというふうに私は思うんですね。維持管理、仮に何かこれらの業務をしたとして、その業務の内容そのものが政策に直結する、そのやり方が政策に直結するものだというふうに思っているんですけれども、この辺の認識、事務方はどう思っておられるでしょうか。

黒田政府参考人 今御指摘いただきました図書館管理等の残り七業務につきましては、現在、地方団体及び関係省庁等からヒアリングを行っております。

 その中で、例えば、図書館管理への指定管理者制度導入につきましては、教育機関としての重要性に鑑み、司書等を地方団体の職員として配置しているなどの意見をいただいておりまして、実態としても制度の導入が進んでいないという状況でございます。

 いずれにいたしましても、引き続き、関係者へのヒアリング等を行いながら、年内に結論を得るようさらに検討を進めてまいりたいと考えております。

逢坂委員 私は、図書館の民間委託が全て一〇〇%問題があるというふうには必ずしも言いません。中には非常にいい民間委託をしているケースもあろうかというふうに思いますが、総じて、図書館にしても博物館にしても、あるいは公民館なんかもそうなんですが、公民館活動というのは、単なる施設の鍵をあけたり閉めたり掃除をしたりするということではないわけですね。公民館活動というのは社会教育の柱になるようなものですから、これを民間委託するということ、それを全面的によしとして推進することは、私は非常に課題が多いというふうに思います。

 それは、それぞれの自治体が、自分たちの自治体ではこういうやり方が都合がいいんだというようなことをやはり基本にしてやるべきであって、全部民間委託すればよくなるんだというのは、私は行政サービスのあり方として誤るのではないかというふうに思っております。

 きょうの時点ではこれ以上この問題は議論しませんけれども、来年度以降検討を要するもの、図書館ですとか博物館、公民館、こうしたものは相当慎重にやってもらわないと困る。これを民間化すれば全てバラ色だなどということはあり得ないというふうに思っていますので、これからも、来年に向けて幾つか具体的な議論をまた今後もさせていただきたいと思います。

 まず、最後に大臣、そういうわけで、この交付税のトップランナー方式とそれから行革インセンティブ算定、これについて大臣はどうお考えですか。私の問題意識は伝わったかと思うんですが。

高市国務大臣 先ほど来、委員からさまざまお話がございました。

 まず、トップランナー方式については、もう既に局長が答弁をいたしましたけれども、七業務については、今委員から御指摘があったような点も含めて、関係者からのヒアリングをしっかり行い、年内に結論を得るようにさらに検討を進めてまいりたいと存じます。特に、図書館管理など教育機関、調査研究機関としての重要性の御指摘などは、さまざまな方面から伺っております。

 それから、先ほど交付税についてのお話もございました。恐らく政策誘導になっちゃっていないかという問題意識でいらっしゃったと思うんですが、交付税はその使途に制限のない一般財源でございますので、地方団体の実態をいかに反映するかということの算定方法についての御指摘でございましたから、その使途を縛るものではないということを申し上げます。

 ですから、政策誘導という指摘は当たりませんし、また、行革努力を何とかちゃんと反映してほしいという地方団体からの御意見も踏まえた上で改善を重ねてきたものでございます。

逢坂委員 それでは、この問題はまた少し深めたいと思いますので、後日またよろしくお願いします。

 それでは次に、これは必ずしも政策の話というわけではないんですが、いわゆる政治資金パーティーにおける金額が白紙の領収書の問題について実態を教えていただきたいということで、大臣と少しやりとりをさせていただきたいと思います。

 実は私は、私も政治資金パーティーを開きますけれども、白紙領収書というのは発行したことがないというふうに認識をしているんですね。

 まず一つ、大臣、事実関係だけ確認したいんですが、大臣は、政治資金パーティーに行かれて白紙の、金額の入っていない領収書をもらって、あるいは自分のパーティーでもそういうのを発行しているというような事実はあるんですか。

高市国務大臣 総務大臣になりましてからは大規模パーティーを自粛しておりますので、おととし以来開催しておりませんが、それ以前に、私自身の政治団体が開催したパーティーにおきましても、特段の事情がある場合において領収書への記載を相手様に了解したこともございますし、ほかの国会議員のパーティーに来賓として呼ばれてスピーチなどをさせていただいた場合にでも、領収書への記載を了解されたということもございます。

逢坂委員 私、わからないんですけれども、なぜそういうことが必要なんですか。そこのあたりを教えていただきたい。

 私は、パーティーに行くと、例えばパーティーの会費が一万円なら一万円払う、二人で行けば二万円払う、そうしたら定額の領収書を二枚もらってくれば済むことなんだろうなと思うんです。なぜ白紙のものがそういう場面で出るんですか。

高市国務大臣 政治資金パーティーを開催する場合に、パーティー券の購入者につきましては、パーティー券の金額が確定していて、開催日より前にパーティー券を販売しますから、そのパーティー開催日以前に販売をした日ですとかあと購入費の振り込みがなされた日に、きちっと日付や金額等を記入して発行するということが可能でございます。当然、私の事務所でもそのように処理をいたしております。

 国会議員につきましては、大体スピーチなどを依頼する、来賓として御案内をするわけですから、まず事前に振り込んでいただくということもございませんし、当日、封をした封筒に入れて持参される議員が非常に多いというのは確かです。

 その場で開封して金額を記入していては、かなり近接した時間帯に一挙に国会議員の皆様がおいでになりますので、多くの国会議員をお待たせすることになる、また、出番としてスピーチなどをしていただく時間がパーティーの冒頭になる場合が多うございますので、多くの国会議員をお待たせし、パーティーの開会時間がおくれるなどで他の参加者に迷惑をおかけするといった運営上の支障を来すという事情が多くのパーティーの場合あると思っております。

 そういうことから、パーティーに出席した国会議員側に必要事項を領収書に記載していただくということを了解する必要があると考えられます。

 ただ、パーティーに出席した国会議員側において必要事項を領収書に記載したとしても、領収書の金額を記載する権限を発行元であるパーティー主催団体から了解されているものであれば、法律上は、発行者の領収書作成方法が規定されていませんから、特段の問題というのは生じてこないのではないか、法律上は生じないと思います。

 さらに申し上げましたら、主催者も来賓として出席した者も国会議員である場合、双方の事務所でパーティーの日付、出金額、入金額、これを記録されていますから、金額や日付の記入間違いは発生しないと考えられることから、出席者による記入を了解する関係が成立すると考えられます。

 しかしながら、政治資金規正法の趣旨を考えますと、公開することによって多くの国民の皆様の監視のもとに置くということでございますから、誤解を生じることがないように、やはり各党内で改善の方法を検討していただけたらありがたいなということを以前に私は申し上げたところでございます。

 一枚とか二枚とか、金額に応じてその場で発行すればいいじゃないかという委員からのアイデアですが、自分の経験を申し上げますと、初期のころ、私も定額の領収書を用意しておりました。二万円というものでございましたが、それをどんどん切ってお渡ししていて、帰って、翌日あけてみたら、中に一万円しか入っていなかったとか、それからもう少し多くいただいていたとか、いろいろな問題が発生をしましたので、大変なお叱りもいただきましたので、そういった発行形式をしていた、相手に記載を依頼していたというのは確かでございます。

 私どもは、やはり収支報告書を正しくつくるということが何より大事なんだろうと思っております。収支報告書を提出する前に、皆さん厳しい政治資金監査を受けています。これは、弁護士、公認会計士、税理士の方々が領収書もチェックされますし、領収書と帳簿を照合されるという中において、どちらかが不正をするとか間違った金額を書くということになってしまいますと、お互いの事務所で計算が合わなくなってしまいますので、やはり近しい国会議員の間で、受付の混乱を防ぐ、パーティーの運営に支障を来さないということで、そういった形の運営が行われてきたものだと思います。

 ただ、もう既に複数の政党において、これはやはり国民の皆様の政治不信を招きかねないので、きちっとその場でお渡しするか、また後日きっちりと金額を記入したものをお届けしようというような改善方法が通知されたと承知をいたしております。

逢坂委員 いろいろ御説明いただきましたが、領収書そのものは金額がなくても、法令上、領収書の様式についてのルールがないから、それは違法とは言えないんだという話だったかというふうに思います。それから、金額を記載しない領収書を発行する理由は、受付の混乱、煩瑣になるというようなことも含めて、それを回避するためなんだという話だったかというふうに思います。

 ただ、大臣、私は、それはそれでそういうこともあり得るのかなと思うんですが、その領収書に例えば五万円なら五万円と書いてある、実際に五万円と書いてある領収書とそれから本当に五万円を持っていったのかどうかというようなところ、これは本当に政治資金収支報告書を見ただけで、手書きの領収書、後で自分たちが書いた領収書と相手に渡ったお金との突合関係、ちゃんとそうなっているんだということを、証明、どういうふうにすればチェックできるんですか。どうすればこれをチェックできると思いますか。

 先ほどは、政治資金収支報告書を見ればわかるんだというふうに言っておられましたけれども、それは本当でしょうか。

高市国務大臣 実際に持っていかれた金額と、領収書に虚偽の記載をされるということなんだろうと思うんですけれども、領収書に虚偽の記載をして、政治資金収支報告書もそうすると虚偽の記載になりますね。虚偽の報告をするということは、これは禁じられております、法的に禁じられております。

 ですから、これはもう全く別の問題であって、明らかに法律違反でございます。

逢坂委員 虚偽の記載をすればそれは法律違反だということは私も理解するんですが、要するに、それが虚偽であるのか虚偽でないのかをどうやってチェックするんですかということを私は聞いているんです。

高市国務大臣 まず、収支報告書を提出する前に、当然、弁護士、公認会計士、税理士がお務めになる登録政治資金監査人によってかなり厳しい審査を皆さんも受けておられると思います。私自身の事務所もそうでございます。

 私の例で申し上げましたら、まず領収書の記載の不備の確認がございます。それから、使途が不明である、ただし書きがはっきりしないとかこれは何に払ったものだったのかよくわからないといった場合に、私の登録政治資金監査人は、発注書、見積書、納品書までの突合、それから帳簿による全ての支出を確認した上で、会計責任者がかなり細かいヒアリングを受けております。

 ですから、政治資金規正法におきまして、やはり収支報告書を正確につくるということのためにこの監査制度があるのであって、所得税法や法人税法の扱いと同様、領収書作成の方法の規定はなくても、領収書を含む帳簿書類全体として金銭の受領などが客観的に確認できるということが求められている。

 これは民間事業者であっても同じですし、私どもは、政治資金監査人がいるということで、その監査を受けることでかなり厳しいチェックを受け、なおかつ、民間もそうですけれども、領収書の保存期間もあるわけでございます。そしてなおかつ公開もしている。また、求めがあれば、一円領収書に至ってもちゃんと提出をしなければいけない。非常に厳しい規律の中にあると思っております。

 これは、国民の皆様の厳しい監視のもとに私どもの政治活動を置くということで、政治資金規正法の意義を踏まえて、議員立法による法改正で整備された政治資金監査のシステムでございますが、こういう仕組みがしっかり整えられていることから、もしもこれは全然違う金額を書いたというようなことになると、双方の事務所で大変なトラブルが起きるわけでございますので、主催者も来賓として出席した側も国会議員であるという場合に、双方の事務所でパーティーの日付、出金額、入金額が記録されているということで、それらの間違いが発生しないということで、お互いに委任をしてきたというケースはあると存じます。

 ただし、今般の件を受けまして、やはり国民の皆様の信頼を取り戻すために改善できるところはしっかり改善していこうということで、各党において運用の改善というものが通知されたというふうに承知をいたしております。

逢坂委員 大臣らしくない、説得力のない説明を長々としてもらったなと思うんですね。

 私は、どうすればその領収書が虚偽でないのかということがわかるのかということを聞いたんです。それは監査人が監査しているから全体として大丈夫なんだという話をされておられましたけれども、それだけではやはりわからないんですね。これは国民にどうやって説明するのかというのがわからないと私は思うんですよ。

 それともう一つ、お互いの事務所が違った金額を書けばそれはとんでもないことになるといったような趣旨の発言がございましたけれども、ならば、これは、白紙の領収書をもらった後に、幾ら幾らと記入しましたというようなことはお互い確認し合っているんでしょうか。そういう行為はあるんでしょうか。

高市国務大臣 済みません、そういう行為があるのかどうかということでございますが、個別具体の案件について、どこの事務所がどういうふうにしているというような事実関係の調査権は総務省にはございません。

 参議院の予算委員会でも私が答弁をしてまいりましたのは、あくまでも政治資金規正法における解釈でございます。一般論として申し上げました。また、一般論として、こういう特段の事情がある場合においての領収書の位置づけというものについて説明を申し上げたわけです。

逢坂委員 私、今の話を総務省に調査しろと言っているのではなくて、大臣の事務所ではどうやっているんですかということを知りたかったんです。

 大臣の事務所では、それでは、白紙の領収書をもらって金額を以前に書いていたと。それは、白紙の領収書をいただいたもとの事務所に確認をして、五万円なら五万円と書きましたよというようなことをお互い情報交換されているんですか。

竹内委員長 申し合わせの時間が来ましたので、簡潔に答弁を願います。

高市国務大臣 しっかりとこちらの方で封をあけて金額を確認して書かせていただいているということでございます。

 そしてまた、その帳簿は全て整えておりますし、また、領収書も公開されております。私の政治資金管理団体は総務大臣認可の全国団体でございますから、当然ホームページ等でも公開されますので、ここでもし違った記述をしたら、これは相手の事務所にもわかることでございますので、ここはしっかりと緊張感を持ってやってきたつもりでございます。

逢坂委員 これでやめますけれども、実は、私の事務所で幾つかの政治家の皆さんの政治資金収支報告書を見せていただきました、総務省へお邪魔をして。そうしたら、その領収書の確からしさが、どうもその収支報告書を見るだけでは必ずしもわからないというものが結構多いんですね。

 この点、もうきょうはこれでやめますけれども、もう少し本当にそれが確かなのかどうかということを確認する手だてをやはり明らかにしておく必要があると思いますので、後にまた機会があれば質問したいと思います。

 ありがとうございます。

竹内委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 おはようございます。民進党の近藤昭一でございます。

 きょうも質問のお時間をいただきましたこと、まず感謝申し上げたいと思います。

 さて、高市大臣の所信表明をいただいて、幾つかお伺いしたいことがあるわけであります。

 まず、女性議員について、特に地方議会における女性議員についてということでお伺いしたいと思います。

 地方議会における女性議員の割合について第一にお伺いをしたいということでありますけれども、日本の女性の政治的、経済的地位は世界的に見て高くないといいましょうか、低いとも言えるのではないか、先進国でも低い方にあるということであると思います。

 世界経済フォーラムが毎年発表している男性と女性の格差をあらわすジェンダーギャップ指数、二〇一五年で百四十五カ国中百一位、政治的地位が百四位、経済的地位は百六位ということでありました。

 残念ながら、衆議院における女性議員の割合は九・五%。ことし一月現在で、世界の下院を比較した場合、百九十一カ国中百五十六位になります。物を決めるところに女性が圧倒的に少ないということでありますけれども、これは以前から指摘をされているところであります。

 そういう中で、地方議会に目を向けてみたいと思います。

 昨年末の段階で、女性議員の総数は四千百二十七人、総定数の一二・三%であります。また、女性議員が一人もいない議会というものがあります。全国千七百八十八の議会、そのうち三百六十八議会、つまり、全体でいうと二〇%以上の議会に女性議員が一人もいないということであります。

 議会別に見ますと、二〇一四年度版男女共同参画白書によりますと、特別区議会は二五・九%、まあ前進があるわけでありますが、都道府県議会では八・八%、町村議会では八・七%と圧倒的に少ない。ある種の偏りがあるわけであります。

 上智大学の三浦まり教授は、地方議会に女性が少ないので、これがまた逆にある意味、国政に進出する女性人材の、育成するといいましょうか、もとになるところが少ないとも言えるのではないか。もちろん地方議会と国会とはそれぞれ役割が違うわけでありますから、地方議会を目指すという方ももちろんいらっしゃるわけであります。しかし、そういう地方議会に少ないというところが国会にも影響があるのではないかということを言及されておられるわけであります。

 さて、安倍政権下では、ことし四月に女性の活躍推進法が施行され、すべての女性が輝く社会づくり本部が内閣府に置かれました。五月には、女性活躍加速のための重点方針が発表されました。

 私の認識では、女性が活躍する以前に、日本では、女性の地位が低いのではないか、それが政治の分野に出ているのではないかと思うわけであります。

 地方議会でより女性が活躍するために、安倍政権は現状にどのような認識を持っておられるのか、地方議会の男女比率を是正するために何らかの施策や方針があるのか、高市大臣の所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 現状、地方議会における女性議員の割合は約一割強、一二・四%にとどまっておりますけれども、それでも年々増加してきている状況ではあると思います。

 同時に、私は、男女の別にかかわらず活躍の機会が与えられるという、チャンスの平等という点も極めて重要だと考えています。

 地方分権改革の進展に伴って、地方議会及びそれを構成する議員に求められる役割というのは増大しておりますし、議会が多様な民意を集約して団体意思を決定していくということのためには、住民の皆様の多種多様な層から議員が選出されて議会を構成するということも大変大切なことだと思います。

 総務省では、より幅広い層の住民の方が議員として活躍しやすくなるように、柔軟な議会運営を可能とする方式として通年会期制というものを創設しました。これは一つの大きな環境整備だったと思います。

 それから、各議会におきましても、幅広い層の住民の皆様にまずは地方議会への関心を持っていただくということで、ICTを活用した地方議会の情報発信ですとか、女性模擬議会の開催といった取り組みを進めていただいています。

 これからも知恵を絞らなきゃいけないんですけれども、やはり立候補される女性の絶対数がまだまだ少ないということがございますので、男性の皆様、家族の皆様の御理解も必要でございますし、また、女性の皆さんにもっともっと地方議会に興味を持っていただくというための取り組みもしっかりと進めてまいりたいと思います。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 現状のそうしたことに対するある種の解決策というのは難しいところもあるんだと思います。今大臣が言及されたように、さまざま関心を持ってもらうことに努めているということである。

 ただ、私は、女性の方の議会に対する関心は非常に高いんだと思います。決して低くないわけでありまして、もちろん、今大臣がお話しになった取り組みということを否定するわけではありませんけれども、そうした議会に対する関心、政治に対する関心は高い。しかし、そういう中に、今大臣もおっしゃったようにまだまだ立候補する女性が少ない。

 それは、その意思ということだけではなくて、ブレーキをかけるというか、そのことを阻害するさまざまな要因が社会の中にまだまだある。考え方もあるかもしれません。あるいは現実的な、子育てをする、あるいはさまざまなこと、男女平等社会と言われながら、いささか歴史の中で、歴史といいましょうか、現状の中で違う働きをしているというか、要因があるんだと思います。

 そういう意味で、引き続きぜひ、そうした阻害といいましょうか、阻害という要因があるならばそれを取り除くように、これは政治のある種の根幹、民主主義の基本でもあると思うんです。そういう意味では、与野党もなく取り組んでいかなくてはならないことだと思っています。

 さて、TPPの協定に関連して質問したいと思います。

 現在特別委員会で審議をされております環太平洋パートナーシップ協定、TPPの国会承認を求める議案の中でありますけれども、協定の第十九章に、締結国は、ILOが一九九八年に採択をした労働における基本的原則及び権利に関する宣言とそのフォローアップに述べられております労働基本権を採用し、これを維持することと明記をされているわけであります。

 そして、現実的にも、ILO自身が、ことし六月に開かれた総会において、日本政府に対して日本の公務労働者に労働基本権の付与を求めるという結社の自由委員会の勧告を採択しているわけであります。

 そうしますと、TPPを締結するに当たって政府は、地方公務員の労働基本権の制約を撤廃する、こういう意思があるのか。ない場合、今申し上げたように、協定違反とも指摘をされるわけであります。協定の中に書かれている、またILO自身が勧告を採択している、そのことに対してどのように対処されるおつもりなのか、高市大臣の所見をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 TPP協定は、一九九八年のILO宣言に述べられている労働者の権利を各締約国が自国の法律等において採用、維持することとしています。その上で、いかなる国内法令等を採用、維持するかということについては一義的に各締約国が判断するものでございます。

 また、地方公務員の労働基本権のあり方につきましては、国家公務員制度改革基本法附則第二条におきまして、国家公務員の労使関係制度に係る措置にあわせ、これと整合性を持って検討することとされています。

 国家公務員の労働基本権のあり方については、安倍総理から、多岐にわたる課題があることから、これまでの経緯などを踏まえ、引き続き慎重に検討する必要があると答弁をされています。

 このため、地方公務員の労働基本権のあり方につきましては、今後も、国家公務員についての動向も踏まえて、関係者の皆様の御意見もよく伺いながら対応する必要があると考えています。

近藤(昭)委員 TPPの中にそのように述べられていて、各国の法令に従う、地方公務員だけではなくて国家公務員のあり方もあるのでということであります。

 ただ、TPPを、こうして協定について審議をしている、そして推進される政府の立場で、これからだとはおっしゃいますが、今TPPの審議をしている、そういう中で、書かれている、また指摘もある、方向性としてはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

高市国務大臣 TPP協定そのものは、結社の自由及び団体交渉権を含む一九九八年のILO宣言に述べられている労働者の権利を各締約国が自国の法律等において採用、維持するということになっています。

 我が国では、公務員の労働基本権については、その地位の特殊性、職務の公共性に鑑み一定の制約が設けられていますけれども、一方で、人事院、人事委員会による勧告などの代償措置が講じられています。また、最高裁判決におきましても、職員が全体の奉仕者であることや適切な代償措置が講じられているということから、労働基本権に対する制約というものは合憲だと考えられています。

 ですから、現行の関係する国内法令はTPP協定に違反するものとは考えておりませんし、労働基本権のあり方につきましては、これはもう先ほど答弁しましたとおり、国家公務員について安倍総理が述べられた経緯もございますので、地方公務員については、国家公務員についての動向も踏まえて、関係者の御意見も伺いながら対応する必要があると考えております。

近藤(昭)委員 大臣から御説明いただきましたが、ただ、残念ながら、今お話を聞いていると、現状のことを御説明なさっているということで、もちろんそれぞれ各国が決めるといっても、協定の中にある趣旨、そしてまたILOが勧告をしているという趣旨、勧告をしている、ある種の指摘をしているんだと思います。そういうことに対して、私はしっかりと受けとめていく必要があるんだと思います。

 さて、次の質問に移りたいと思いますが、投票所の減少と閉鎖時間の繰り上げということであります。

 選挙の公平性、公正性と投票機会の確保の視点ということであります。

 まず、二〇〇七年、二〇一三年、二〇一六年、各参議院選挙で設置された投票所の総数を教えていただきたいと思います。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 二〇〇七年、平成十九年の参議院議員通常選挙における投票所数は五万一千七百四十二カ所、二〇一三年、平成二十五年の参議院議員通常選挙の投票所数は四万八千七百七十七カ所、二〇一六年、平成二十八年の投票所数は四万七千九百五カ所でございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そうしますと、今回の参議院選挙で設置された投票所の数は、九年前、つまり、今御報告がありましたが、二〇〇七年の五万一千七百四十二から、一六年が四万七千九百五でありますから、三千八百カ所以上、全国で三千八百カ所以上も減っているわけであります。

 私が確認したところでは、兵庫県では、二〇一三年の参議院選挙のときに千九百四十七カ所あった投票所が、今回は千八百六十五カ所と八十二カ所も減ってしまっているわけであります。これに対して、東京都は一カ所の減少、神奈川県は二カ所の増加ということになっているわけでありますが、これで、地方における、地域における投票機会が本当に確保されているのか。

 いわゆる大都市部と言われるところ、大都市圏と言われているところと、地方と言われるところ、人口が少ないとも言えるかもしれませんが、選挙の公平性が担保されるのか疑問を禁じ得ないわけであります。この点について、高市大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 投票所の数につきましては、中山間地域における過疎化による選挙人数の減少ですとか、それから、市町村合併などを契機とした投票区の見直しで減少してきております。

 公職選挙法上、投票所の設置については、市町村の選挙管理委員会が地域の実情などを踏まえて決定すべきものでございます。総務省からは、各選挙管理委員会に対して、投票機会を広く確保する観点から、投票所の設置については積極的に措置するように、国政選挙や統一地方選挙の都度、要請をしてきています。

 各選挙管理委員会におきましては、地域の実情を踏まえて、投票所や期日前投票所を設置するほか、投票所がなくなっちゃうという場所については、かつて投票所があった地域での期日前投票所の設置ですとか、移動期日前投票所の取り組みですとか、移動困難者に対する支援ですとか、選挙人の投票機会の確保には相当御努力はいただいております。ですから、私は現状が公正公平を欠くものとは考えておりません。

 引き続き、投票機会の確保については要請を続けてまいります。あくまでも地域の実情に応じて、投票人の権利を奪わないようにしっかりと取り組んでいただくということを強く期待しながら取り組んでまいります。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 総務省としては積極的に設置を要請している、そういう中で、さまざま合併等々の事情もあるということをおっしゃるわけでありますが、続いて、関連で質問をまずしたいと思うんですけれども、閉鎖時刻、今は箇所数でありましたが、投票所の閉鎖時間のことであります。

 今、数が減っているということの報告もあった、そして指摘させていただいたわけでありますが、さらに、数が減っているだけではなくて、閉鎖時刻が繰り上げられているわけですね。

 一九九八年の公職選挙法改正によって投票時間が午前七時から午後八時になり、二時間延長されたわけであります。早く始まり遅く閉まるということになったわけであります。

 ライフスタイルの変化に伴う投票率の向上を目的としたものと認識しているわけでありますが、ところが、現実には閉鎖時間の繰り上げが非常に多くの投票所で行われている。二〇一四年の衆議院選挙では、全国の投票所のうち三五%で閉鎖時刻の繰り上げが行われているということであります。

 そこで、二〇一三年、そして二〇一六年の各参院選挙で、閉鎖時刻を繰り上げた投票所数とその全投票所に占める割合についてお答えをいただきたいと思います。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 二〇一三年、平成二十五年の参議院議員通常選挙では、閉鎖時間を繰り上げた投票所数は一万六千九百五十七カ所でございまして、全投票所に占める割合は三四・八%でございました。二〇一六年、平成二十八年の参議院議員通常選挙につきましては、閉鎖時間を繰り上げた投票所数は一万六千五百九十四カ所でございまして、全投票所に占める割合は三四・六%でございます。

近藤(昭)委員 一三年、一六年と三四%台で繰り上げをされているということなんですね。

 衆議院、参議院で単純な比較はできないかもしれません。でありますが、決して、改善されたといいましょうか、大臣は先ほど、箇所数は減っているけれども、それには事情がある、そして、総務省としては、積極的に投票所を設置しなさいと。つまり、投票所を設置しなさいという背景には、いわゆるライフスタイル、多くの人に投票する機会を提供しなさい、保障しなさいということだと思うんです。そういう意味では、一三年、一六年、衆議院と参議院で単純に比較はできないと思います、それは先ほど申し上げましたけれども、これは、保障している、改善されたと私は言いがたいと思うんです。

 それで、私が確認したことを御報告したいと思います。

 ことしの参議院選挙で閉鎖時刻を繰り上げた投票所の割合は、実は、先ほど全国での割合がありましたが、一つの県内ということでありますが、鹿児島県内では九一・一%にも上っているわけであります。先ほど申し上げましたように、都市部と言われるところを含めて大半の投票所では投票時間が短縮されている。全国的にかなりの割合でということであります。

 これは、国民の基本的な権利である選挙、投票権の行使を大きく阻害していることにならないか、民主主義の発展といいましょうか充実を阻害しているのではないかと思うわけでありますが、もう一度大臣の認識をお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 投票の権利は、民主主義の最も基礎的な部分でございます。投票の機会を広く確保するということは極めて重要なことでございます。

 投票所の閉鎖時刻の繰り上げは、公職選挙法において、市町村の選挙管理委員会の判断で、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情のある場合に限って行うことができるとなっています。

 私としましても、特別な事情がない限りは、投票所の閉鎖時刻をむやみに繰り上げるということは決して好ましいことではないと考えています。

 総務省からは、各選挙管理委員会に対して、投票所閉鎖時刻の繰り上げなどについては、国政選挙や統一地方選挙の都度、厳正な対応を要請してきておりますので、引き続きしっかり要請もしてまいります。

 また、鹿児島県の事情も伺っております。日没とともに猛毒を持つハブの活動が活性化するということで、投票人の安全確保に配慮されたといったこと、また、高齢者が多い山間地域については、街路灯なども不十分であって、投票所の閉鎖予定時刻近くに投票に来られる有権者が見受けられない状況であったといったことから、しっかり周知の上、繰り上げをされたという事情を伺っております。

近藤(昭)委員 特別な事情、そのことについては後でもう一度確認をさせていただきたいと思いますが、少し違うところの例も申し上げたいと思います。

 岐阜県のことを申し上げたいと思います。岐阜県で見た場合、今回の参議院選挙で投票所の閉鎖時刻が繰り上げられたのは、八百十二カ所のうち二百三十三カ所あったわけであります。この二百三十三カ所のうち、午後六時に閉鎖されたのは九十一カ所でありました。午後五時に閉鎖されたところも一カ所あったわけであります。

 公益財団法人明るい選挙推進協会の調査によりますと、二〇一〇年の参院選挙において、若年層の投票率は夕刻に上がる傾向がある、十八時から二十時に一五%の人が投票しているという結果もあります。

 今回の選挙は、参議院選挙であります。十八歳と十九歳の人が初めて投票できるようになった選挙であります。十八歳、十九歳、つまり、調査によると十八時以降から二十時に投票する割合が高いと言われている層になるわけでありますが、しかしながら、実態としては、少なくとも投票所が早じまいしてしまっているわけであります。

 改めて、大臣、いかが思われますでしょうか。

高市国務大臣 選挙当日の投票所の閉鎖時刻の繰り上げなどにつきましては、各選挙管理委員会において、地域の実情を精査して十分な検討を行った上で対応していただいていると考えています。

 地域の実情の精査に当たっては、若者も含めた有権者の投票行動の傾向も考慮されるものと考えています。若い方が多い地域においては、その生活パターンなどに応じて検討すべきだと考えます。

 総務省としては、繰り上げについては厳正に対処するよう、引き続きしっかりと要請をしてまいります。

 岐阜県においても、住民説明会なども開かれて、了解を得た上で、特に有権者の就業形態ですとか過去の投票行動の推移も見ながら、夜間の投票が極めて少ないことや、投票区が山中にあって明かりが少なくて夜の外出が危険であることや、特別の事情があることを考慮しながら、十分に周知をした上で繰り上げを決められたと伺っております。

近藤(昭)委員 大臣、特別な事情ということを何回も言及されるわけでありますが、その特別な事情というか、事情についてはしっかり精査する必要があると思うんですね。

 数のことで、また、ある種の印象といいましょうか、精査がない中で申し上げて恐縮ではありますが、例えば、人口的な問題が時に言われることもあります。今、暗いところ、山間部というか、そういうところをおっしゃるのかなと思うんですが、ただ、例えば、いわゆる大都市圏ではないと言われるのかもしれませんが、群馬県は繰り上げた時間が九〇・五%、隣の栃木県は八・六%。栃木と群馬のそれぞれの状況というものを精査しているわけではありませんが、物すごく大きな数、違いがあるわけであります。

 そういうことで、大臣が先ほどから特別な事情と何回もおっしゃるわけでありますけれども、公職選挙法が二〇〇〇年に改正をされたときに、この投票所の問題、自治体に任せられていると。二〇〇〇年の公職選挙法の改正で届け出制になったわけであります。届け出制になってから、やはり繰り上げられたり減少傾向にあるのではないかと思うんです。

 そして、そういう中で、地域によって、それは地域の事情は先ほど申し上げましたように私もつまびらかに調査をしているわけではありませんが、先ほど申し上げたように、かなり数、割合に違いがある。こうしますと、国としましては、届け出制になっているけれども、それがきちっと設置をされているのか、時間が保障されているのかということは、やはり調査といいましょうか、そういうものをする必要があるのではないかと思うんです。

 私もお聞きしましたところで、あるいは今大臣もおっしゃられました、暗いところがあって、余り遅い時間まで開いていてもなかなか行かないのではないか。そういうところについては、逆に繰り上げるというところもあるかもしれないけれども、現状で、あるいはこれからに向けて、街路灯なんかもつけて、遅い、少し暗くなった時間でも行っていただける、つまり、あけている時間をきちっと、あけていて、かつ行っていただける、そういう環境を整えるという意味だと思うんです。

 そういう意味で申し上げますと、季節にもよると思います。雪が深くなっていて、なかなか夜暗い時間では、投票所に行くのがある種の危険性を伴う。だから、そういうようなことにあって、やむを得ず閉鎖時間を繰り上げているかもしれない。ただ、そうした特別な事情についてどれだけ総務省として把握をしているのかということを私はお伺いしたいと思います。

 そろそろ時間が来ますので、もう一つお聞きしたいんですけれども、これまでもこの問題については何回か取り上げられているところがありまして、先ほど、総務省としては積極的に設置をしなさいということは要請をしているということでありました。

 ただ、そういう中で、二〇一五年でありましたでしょうか、共産党の塩川委員が指摘をしたときに、大臣は、通知を出すことも、つまりそうしたこと、積極的に設置をする、保障しなさいということを通知することもやぶさかではないとおっしゃったと記憶をしています。ただ、その後どうされたのか。そのことも含めて確認をしたいと思います。

高市国務大臣 まず、通知については、発出をいたしました。

 それから、先ほども申し上げましたけれども、やはり特別な事情がない限りは、投票所の閉鎖時刻というのはむやみに繰り上げることは決して好ましいことではないということを基本に、これまでも要請を続けてきております。

 それから、投票所繰り上げの状況については、つぶさに調査を行っております。各都道府県の状況、そして投票所数でも把握をいたしております。先ほど来申し上げました鹿児島県のハブの話も含めて、どういう事情で時刻を繰り上げたのかということについても聞き取りをしております。

 やはりしっかりと多くの方に投票していただけるように、これからも積極的な要請は続けてまいります。

近藤(昭)委員 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 鈴木克昌でございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、私の今回の質問の流れは、総務省はあくまでも、地域に寄り添い、地方とともに業務を行っていく、そういう省庁であるべきであるし、そうあってもらいたいという思いの中で少し質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、冒頭、自民党の鈴木議員からもあったわけでありますが、鳥取地震、いまだに五百人を超える方々が難儀な生活をされておるということでございますが、今回は、未知の断層が十キロ以上にわたってずれたというような状況でありまして、そういうことからいくと、まさに、いつどこで地震が起きても、災害が起きてもおかしくないという状況だというふうに思うんですね。

 熊本地震、台風十号による例の豪雨災害、本当に大きな被害をもたらしたわけでありますが、お亡くなりになった方や被災を受けた方にお見舞いを申し上げながら、やはりこれをどのように我々がきちっとフォローしていくか、そして被害を最小限にしていくかというところだというふうに思います。

 そこで、先日の大臣の御発言の中で、総務省の業務は国民の皆様の生活に密接に関連したものである、こういうことをおっしゃいました。私は、まさにそのとおりだと思います。きょうの質問の趣旨もそこにあるわけであります。

 まず、災害ということで見ますと、いわゆる今回の熊本、そして台風十号等による被害状況を総務省としてどのように把握されておるのか、そしてまたどのように対応されたのか、これをまず一点お伺いしたいと思います。

高市国務大臣 まず、被害状況ということでございます。

 平成二十八年熊本地震では、十月二十四日時点で、いわゆる災害関連死を含め百十九名の方が犠牲になったほか、三万九千三百二十五棟の住宅が全半壊となるということで、甚大な被害になっております。

 また、台風第十号でも、これも十月十七日時点で、北海道、岩手県を中心に、お亡くなりになった方、行方不明者の方二十七名、住家の全半壊二千六百九十棟などの被害になっております。

 鳥取県中部を震源とする地震につきましても、二十四日十七時現在でございますけれども、各府県から消防庁に報告された被害状況ですが、負傷された方が二十四名、住家の全半壊、一部破損などの被害が生じております。まだ全ての被害が確定はしておりません。

 こんな中で、総務省としての取り組みですが、災害発生直後から緊急消防援助隊を派遣して、地元の消防機関とともに被災された方の捜索救助活動を実施しました。

 それから、被災自治体への職員の派遣ですが、熊本地震に関しては、現地の状況把握ですとか消防活動の支援を行うために、これまで延べ百八十三名の総務省職員と三十二名の消防庁職員を派遣するということで、被災自治体への職員派遣は積極的に実施してきました。

 台風第十号に関しましても、延べ十一名の消防庁職員を派遣しました。

 これらに加えまして、全国の地方自治体の御協力をいただいて、避難所の運営などの事務に従事するために、最大一日当たり千四百四十名規模の自治体職員の派遣の御協力をいただきました。

 また、現在、被災自治体からは中長期の職員派遣の要請をいただいております。十月十一日時点で三百十二人の要請に対して二百六十八人の派遣を決定して、順次派遣を行っているんですが、不足分についても鋭意調整を進めています。

 私自身からも、全地方自治体の長に対しまして、中長期の派遣をお願いする手紙を出させていただきました。引き続き、応援職員の確保にも努めてまいりたいと思います。

 あわせて、地方財政措置でございますが、熊本地震における被災自治体への財政支援については、国庫補助事業を初めとした個別の事業や応援職員などに対する地方財政措置に加えて、復興基金の創設を支援するということにしています。

 また、台風第十号につきましても、御要望を丁寧に伺いながら適切に対処をしてまいります。

 また、日曜日に、ちょうど鳥取県知事とも、それから倉吉市の市長様ともお話をしましたので、今般の鳥取県中部を震源とする地震につきましても、やはり応急対策、復旧対策が適切に対応できるように、その財政運営に支障が生じないようにしっかり対処をしてまいります。

鈴木(克)委員 状況はよくわかりました。

 私がなぜ質問の冒頭にこのことをお伺いしたかということなんですが、地方に寄り添って、そして本当に現地、現場主義、私はこれがやはり一番大事だというふうに思っております。

 確かに、出先もありますし、県からの報告をといえばそれまでのことですけれども、やはり総務省、直接現地へ行って、そして状況を肌で感じて、においを感じて、何が今どうなっているのかということを持ち帰って、対策をまた現地の現場ととるということが私は大事だというふうに思いますので、あくまでも、くどくなりますけれども、国民の皆様の生活に寄り添ってということであるならば、ぜひ、総務省の職員は現地へ行って、実際に体験をして戻ってくるというぐらいのことをやっていただきたいと思うんです。

 なぜ私がこのことを言うかというと、二日、三日前にテレビでこういう報道がありました。東日本大震災のときに、自衛隊の皆さんが、直ちに駆けつけていただきました。現地では、もちろん消防団の皆さんも一生懸命やってみえる、それから警察も全力を挙げておる。ところが、その三者の連携が結局ばらばらであったということで、だんだんとそれは日がたつにつれて整理はされたんですけれども、やはり一番大事な初動のときにそういうことができていなかったということをそのテレビで反省されておりました。これは自衛官の方の発言ですけれども、熊本のときはその東日本の経験が生かされて本当にスムーズにいったということであります。

 ですから、私は、くどくなりますけれども、やはり現地、現場主義というのを徹底的に大切にしていただきたいし、いつ、本当に今ここで被災が起きるかもしれない、そういう状況でありますので、地方に寄り添って、地方のために、地方とともに進んで総務省というのはひとつ仕事をしていただきたい、このことをぜひお願いしたいと思います。

高市国務大臣 熊本地震も台風第十号に関しましても、私自身も現場に入っておりますし、あと、現場で実際に働いてもらう、そしてまた本省との連絡調整もしてもらうということで、被災自治体には、熊本地震では、延べ百八十三名総務省の職員を派遣しております。消防庁の職員も三十二名派遣しております。台風第十号に対しても、延べ十一名消防庁職員を派遣しております。そしてまた、今般の鳥取県中部を震源とする地震も、発災が確認されましてすぐに消防庁の職員を派遣しております。

 しっかりと現場の声を伺いながら取り組んでまいります。

鈴木(克)委員 大臣の今の御答弁、私はぜひひとつ現地、現場主義でしっかりとやっていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 次に、これも地方自治体の立場に立ってということで、くどくなりますけれども、地方は今、財政がまことに厳しいんです。私も、地元へ帰るまでもなく、かつての市長時代の友人たちと話をしても、本当に地方財政は今厳しいんだということを皆さんおっしゃっておるわけですね。

 そこで、厳しい地方財政について何点かお伺いをしていきたいと思うんです。

 ことしの八月三十一日に、来年度、平成二十九年度の地方財政収支の仮試算等が出されたわけであります。これを見ますと、二十八年度当初に比べて地方交付税が七千四百億円減少するということですね。それから、臨時財政対策債、私はこれを赤字地方債というふうに言っておるわけでありますが、九千二百八十四億円の増ということであります。

 仮にこの仮試算額がこのまま当初予算額というふうになった場合に、交付税総額が平成二十一年以来八年ぶりに十六兆円を切るということになります。それから、臨時財政対策債がやはり四年ぶりに増加をするということになるわけであります。

 ここでお尋ねしたいのは、平成二十九年度の地方財政がこれほど厳しくなった理由について総務省はどのように捉えてみえるのか、まずそこをお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 平成二十三年度の地方財政対策以来、前年度決算税収の増及び当該年度税収の補正増に伴う交付税の増分を翌年度への繰越金として活用することで、出口ベースの交付税総額の確保と臨時財政対策債の発行抑制を図ってまいりました。

 ところが、平成二十九年度の地方財政収支の仮試算におきましては、平成二十八年度に活用することができた一・三兆円の繰越金に相当する前年度からの繰越金が見込めないということなどから、地方団体に交付される出口ベースの地方交付税が〇・七兆円の減、臨時財政対策債が〇・九兆円の増という大変厳しい見込みになってきています。

 事情としてはそういうことでございます。

鈴木(克)委員 今御答弁があったように、本当に厳しい、地方は厳しい上にさらに厳しい状況が見えてきておるということであります。

 そこで、どういうふうにしていくかということでありますが、平成十三年度に、地方財政対策でいわゆる折半ルールというのが導入をされましたね。これは、言うまでもありませんけれども、地方の財源不足に対して、さまざまな補填措置を講じても解消できない場合には、政府は臨時財政対策特例加算を負担する、そして地方も同額を赤字地方債として負担する、これが折半ルールだというふうに思うんですが、この折半ルールというのは、十三年以来、十六年、十九年ということで三年ごとに延長をされてきました。

 私は、延長を望むわけではありません、本来ならこれにかわる新たなルールを設けるべきだというふうに思いますが、さはさりながら、これを延長されるのかどうか、その辺の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 この折半ルールですけれども、現行法上、平成二十八年度までの特例措置となっています。

 平成二十九年度以降に財源不足が生じた場合の補填方法につきましては、これまでの取り扱いも踏まえつつ、地方団体が地域に必要な行政サービスを確実に提供しながら安定的な財政運営を行えるように、年末の地方財政対策の中で検討することになります。

 いずれにしても、何とか頑張って、所要の一般財源総額の確保を目指して最大限の努力をしてまいりたいと思っております。

鈴木(克)委員 最大限の努力をするという力強い御発言でありました。

 ここで一遍、財務省にお伺いをしたいと思うんですが、財務省はこの状況をどういうふうに今見ているかということであります。

 平成二十九年度地方交付税算定基礎においては、一般会計からの加算分として、臨時財政対策特例加算が平成二十八年度の二千七百四十七億円から、平成二十九年度は九千百四十五億円、二三三%増となっておるわけであります。これで、前年度比二三三%増の臨時財政対策特例加算を見込んでおる、見込まざるを得ない。

 この状況を財務省はどのように考えているのか、見ているのか、御答弁をいただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 総務省の概算要求におきましては、平成二十八年度に活用することができた一・三兆円に相当する前年度からの繰越金が見込めないため、折半ルールに基づきまして補填すべき財源不足が、国、御指摘の特例加算でございます、それから地方、臨時財政対策債、ともに〇・九兆円になる、おのおの〇・六兆円の増加となっている、このように承知してございます。

 地方の安定的な財政運営、これは極めて重要なことでございます。これは国の安定的な財政運営を基礎に成り立つものと考えておりますが、国の財政は引き続き極めて厳しく、長期債務残高が八百七十五兆円に達するなど、大きなリスクを抱えている状況にございます。

 このような中、いずれにいたしましても、地方団体が安定的に必要な行政サービスを実施できるよう、また、国、地方の財政健全化目標、これは二〇二〇年度にプライマリーバランスを黒字化するという目標でございますが、その実現に向けて着実に進むという観点も踏まえながら、年末の地方財政対策の策定に向けて、総務省とよく協議してまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 地方の安定は国の安定と一体であるということ、これは当然わかるわけでありますが、地方分権というのは一体全体どういうことなのかということを少し申し上げたいんです。

 国の権限や財源を地方に移していくというのが私は地方分権だというふうに思うんですが、残念ながら、これは、憲法論をここでやるつもりはありませんけれども、憲法第八章に、九十二条から九十四条しか地方自治というのはないわけですよね、その中に、「地方自治の本旨に基いて、」という言葉があるんです。ところが、この「地方自治の本旨」とは一体全体何なのかというのをずっと調べていっても、これがきちっと明確にされていないんですよ。

 結局、私は、今、国と地方のいわゆる立場、そして、あえて言うなら曖昧さというのはやはりここにある。そうすると、改憲論かという話にまたなってきますので、ちょっとあれですけれども。

 地方自治体としては、本当に、このいわゆる「地方自治の本旨に基いて、」という言葉だけで片づけられてしまうという状況、だから、結果的には、二分の一ルールというような形で、国が本来持たなきゃならない部分を地方が何でしょわなきゃならぬですかということで、資料一をごらんになっていただきたいんですけれども、全国知事会からまさにそのところが出てきているわけですね。

 これは、くどくなりますけれども、国が払うべきものを地方が借金して肩がわりしている状況に明らかに地方は不満を持っておるわけです。このような地方の不満を、財務省というよりも、むしろ総務省はどのように受けとめているのか、まずそこをお尋ねしたいと思います。

高市国務大臣 現在の財源不足の補填ルールにおきましては、財源不足に対しては国と地方が折半して負担することとしておりまして、地方の負担分につきましては臨時財政対策債の発行により対処するということにしています。ですから、臨時財政対策債の償還は地方が行うものとしています。

 また、近年、巨額の財源不足が継続的に生じていますことから、臨時財政対策債の発行残高が増加していまして、平成二十八年度末には五十一・七兆円になる見通しでございます。これは、地方財政の健全化の観点から、相当課題があるということも認識をしています。

 御指摘のとおり、地方団体から地方交付税の法定率の引き上げや発行額の縮減を求める御意見が寄せられていることは承知もしております。やはり地方財政を健全に運営していくためには、本来的には、臨時財政対策債のような特例債による対応じゃなくて、法定率の引き上げによって地方交付税を安定的に確保することが望ましい方向だと考えております。概算要求をするたびに事項要求もさせていただいております。

 やはり特例債に頼らない財務体質を確立するために、まず歳入面では、これはもう景気浮揚ですね、アベノミクスの成果をいかに地方に行き渡らせるか、地方税収をどうやってふやしていくかというところにあると思いますし、歳出面ではやはりめり張りをつけて歳出構造を見直すということで、財務体質の強化はしっかりと進めてまいりたいと思います。

 ただ、本来あるべき姿というのは法定率の引き上げというその御意見については、私も賛同いたしております。

鈴木(克)委員 ここでまたアベノミクスが成功か失敗かというと、全然違う方向に走っていきますのであれですけれども、やはり税収が伸びていないから地方が苦しいということになるわけですね。ということは、一言で言えば、景気は決してよくなっていないんだということになると思います。

 そこで、資料二をぜひごらんになっていただきたいんですが、これは、先ほど大臣もちょっとお話をされたように、今、地方のいわゆる借金がどのような形になっておるかということで、累積残高が五十一兆円を超えておるということであります。

 新規発行額をずっと見ていくと、二十六、二十七、二十八ということでかなり下がってきたんですね。ところが、残念ながら、二十九年度はまた四兆七千億ぐらいに戻るというふうに思います。

 結局、何遍も同じことを言っていますけれども、大臣は、二十八年度の水準を下回らないようにということを所信でもおっしゃいましたよね。だから、先ほどからそういう趣旨の御答弁はいただいておるわけでありますけれども、地方財源の不足に向けた抜本的な対策、それから交付税率の引き上げをどうやって速やかに実現していくのか、この辺のところをもう一度、地方の首長を初め地方が本当に安心をするような、大臣のしっかりとした御答弁をいただきたいというふうに思います。

高市国務大臣 アベノミクスの成果についてもお話がございましたけれども、企業収益の伸びによる法人関係税の増加ですとか、給与や配当の伸びによる個人住民税の増加などによりまして、安倍政権発足前と比べますと、平成二十八年度の国税収入は十五兆円以上、地方税収は五兆円以上、合計で約二十一兆円増加する見込みになっております。

 ただ、先ほど申し上げましたような事情によりまして、なかなか厳しい面がある。繰越金に関する御説明はもう申し上げたところでございます。

 やはり本来的には法定率の引き上げによって地方交付税を安定的に確保するというのが望ましい方向であるということは、去年もことしも、私自身もずっと申し上げてまいりました。二十九年度の地方交付税の概算要求においては、この交付税率の引き上げというものを事項要求しております。

 一方で、二十九年度におきましては、国と地方の役割分担に係る大きな制度変更というのが現時点では見込まれないということ、それから、国、地方とも巨額の債務残高、財源不足を抱えていますから、法定率のさらなる引き上げは容易なものじゃないと思っております。

 財務省もおられますけれども、これから予算編成過程におけるさまざまな制度改正などの議論も見きわめながら、法定率の見直しなどによる交付税総額の安定確保については粘り強く主張をして、政府部内でも十分議論をしてまいりたいと思います。

 地方の一般財源総額については、前年度の水準を下回らないようにしっかりと確保してまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 大臣の手腕、パワーで財務省をノックアウトする、それが本当に地方の期待なんですよ。総務省がしっかり頑張ってくれなきゃ地方はどうしようもないわけですね、今の制度からいえば。

 したがって、くどくなりますけれども、しっかりとエールを送って、次の質問に入らせていただきます。

 時間がなくなってしまいましたので。地方が抱える問題の中の一つに公共施設の老朽化というのがあります。

 これも、現地、地元へ帰ると、本当に大きな問題になっておるわけですが、一九七〇年代にたくさんの建物、公共の建物がつくられたわけでありますが、鉄筋コンクリートの限度といいますのは五十年というふうに言われております。だから、直ちに使えなくなるということではありませんけれども、必ずや近いうちに、やはり耐震基準の問題も含めて、これが建てかえなきゃならない、また、壊さなきゃならないということになってくるわけであります。そこで、国として今どんなふうにこの問題を捉えてみえるのか。

 そして、あえて続けて申し上げますと、いわゆる計画策定にもやはり経費がかかるし、それから除却のためにも経費がかかるし、維持修繕費のためにも経費がかかる。この経費の問題をどのように考えてみえるのか、そこを御答弁いただきたいと思います。

高市国務大臣 では、まず老朽化対策についての考えということですが、過去に建設されました公共施設がこれから大量に更新時期を迎えます。一方で、地方公共団体の財政は依然として厳しいということを踏まえて、各地方公共団体が、公共施設などの全体を把握して、長期的視点に立って公共施設等の総合的かつ計画的な管理を行うということが重要です。

 ですから、総務省では、二十六年四月に各地方公共団体に対して公共施設等総合管理計画の策定を要請しました。現在、平成二十八年度末までの策定に向けて各地方公共団体が取り組んでいただいているところです。

 この公共施設等総合管理計画の実行について後押しをするために、公共施設の集約化、複合化事業を対象とした公共施設最適化事業債、公共施設の転用事業に係る地域活性化事業債、公共施設等の除却のための地方債の特例措置といった財政措置も設けております。

鈴木(克)委員 時間が来てしまいましたので、ビッグデータと消防の話もお伺いしたかったんですが、また次回にさせていただきます。

 以上で終わります。

竹内委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 高市総務大臣は、所信的発言で次のように述べられました。「国民の生命、生活を守ることは、消防防災、ライフラインとしての情報通信などを担当する総務省の重要な責務です。 今般の災害の教訓を踏まえ、将来発生が危惧される大規模災害に備えるため、地域の防災体制の再構築が必要です。」とお述べになったので、防災と熊本地震の支援について、きょうは質問をさせていただきます。

 熊本地震では六つの自治体庁舎が被災し、八代市あるいは宇土市などの本庁舎が建てかえを迫られています。建てかえを迫られている庁舎というのは、まさに防災拠点の中心であったのであります。

 消防庁にお尋ねしたいと思います。

 防災拠点となる公共施設等の耐震化推進状況、この最新の調査結果について、施設区分ごとに説明をしていただきたいと思います。

大庭政府参考人 地方公共団体が所有または管理する防災拠点となる公共施設等の耐震率は、平成二十六年度末時点で八八・三%となっております。

 これを施設ごとに見ますと、文教施設が九四・六%、消防本部・消防署所が八六・一%、診療施設が八五・二%、社会福祉施設が八二・六%、警察本部・警察署等が八一・二%、体育館が七八・三%、県民会館・公民館等が七六・四%、庁舎が七四・八%となっており、庁舎が最も低い状況にあります。

田村(貴)委員 お配りしている資料の2に今説明をしていただいた数字が載っているわけであります。公共施設の中で一番耐震化の数字が低いのが庁舎であります。防災拠点の中心の中の中心である庁舎の耐震がおくれているわけであります。

 そこで、防災行政無線について尋ねます。

 会計検査院が今月二十日、国土交通省の事業、地震に強い都市づくり緊急整備事業、これは二〇〇八年から二〇一四年度の事業ですけれども、防災行政無線を設置したものの、災害時に機能しないおそれがあるものが全国二十七市区町、これは耐震性が確保されていない建物に設置したもの、そして、耐震性が確保されていない建物に設置されている親局から防災情報を受信する設備、これが七百三十二基あることを発表しました。

 国土交通省が該当自治体に照会したところ、そういう状態にあったということであります。総務省はこのことについて掌握されているでしょうか。

大庭政府参考人 委員御指摘の事実につきましては、十月五日の新聞報道を通じて認識するとともに、補助金を所管する国土交通省に対し、その内容を確認したところでございます。

 また、十月二十日には、会計検査院から、検査結果及び国土交通大臣に対する是正処置の要求などが公表されまして、その内容につきましても承知いたしております。

田村(貴)委員 私は、熊本地震の発災直後の四月十五日、益城町に行きました。停電、断水、ガスもとまる。そして、空を飛んでいるヘリコプターでかき消されそうな中で、防災無線の情報が唯一の手がかりだったということを私も肌身で感じました。本当に大事であります。

 ライフラインの一つである防災行政無線が非耐震の庁舎に設置されていては機能は果たせません。会計検査院が指摘した二十七市区町、七百三十二基の防災行政無線について緊急な対応が求められると思いますけれども、消防庁、いかがでしょうか。

大庭政府参考人 消防庁といたしましては、これまでも、市町村に対しまして、防災行政無線の地震対策、浸水対策、停電対策などを実施するよう、通知などにより求めてきたところでございます。

 ただ、今回の事案を踏まえまして、改めて、防災行政無線を設置している建物の耐震化や耐震性のある建物への設置を強く求めていきたいと考えております。

 また、防災行政無線が活用できない場合に備え、緊急速報メールやコミュニティーFMなどの多様な情報伝達手段を活用し、住民に情報が適時適切に伝えられるよう取り組んでいく考えでございます。

田村(貴)委員 今お答えがあったんですけれども、消防庁自身が、市町村における風水害対策の強化について、避難勧告等の伝達として防災行政無線等が実際の災害時に確実に機能し得るよというふうに通知も出されているわけであります。一層支援をすること、緊急的に対策を講じていただくこと、このことを要望したいと思います。

 次に、高市大臣にお伺いいたします。

 一つは、庁舎の耐震化についてです。もう一つは、庁舎の建てかえについてです。一括して御答弁いただきたいと思うんです。

 耐震化については、総務省の方で緊急防災・減災事業債があります。大臣は、来年度以降の継続については、地方からの御意見を踏まえ、延長を前提に考えていくというふうに述べておられます。

 緊防債の延長について、これはしていただきたいんですけれども、これに加えて、庁舎の耐震化をできるだけ早く一〇〇%に近づけていくことが必要ではないのか。財政支援を含めた新たな手だてが必要になっているのではないか。先ほど消防庁の方からの調査結果の回答があったんですけれども、この状況に照らして、急がれると思います。新たな手だてについて御答弁をいただきたいのが一点。

 もう一つは、庁舎の建てかえであります。庁舎の建てかえは一般単独事業とされています。これは、地方債の起債については充当率七五%で、地方交付税の措置はつきません。

 庁舎建設、建てかえが地方の単独事業ということにしても、今後、こうした実態を踏まえて、地方の要望をよく聞いて、財政的な支援措置の前進が図られて当然ではないかなと私は思いますけれども、耐震化と、それから建てかえについて、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 まず、緊急防災・減災事業債につきましては、平成二十八年度までとなっている実施期間の延長を前提に考えております。今後は、来年度以降の対象事業の内容などにつきまして、地方団体の御意見やニーズも踏まえながら、年末の地方財政対策を講じる中で具体的に決定をしてまいります。

 それから、熊本地震での庁舎被災を踏まえまして、関係省と連携して、耐震診断、改修に活用できる財政措置や耐震改修事例集の技術情報を紹介するといったことなど、地方公共団体の取り組みを支援しています。

 今後、さらに庁舎耐震化への住民の皆様の御理解が進みますように、新たに市町村別の耐震化状況を公表するなどによって、取り組みを促してまいりたいと思います。

 庁舎の建てかえでございますが、これはもう既に田村委員がおっしゃいましたとおり、自己財源や一般単独事業債を活用してやっていただいています。公用施設の基本ともいうべき庁舎の建設事業というのは、まさに各地方公共団体の判断に基づいて、長期的視点に立った建設計画や財源確保が必要なものだということでございます。

 ただ、庁舎の建てかえ事業であっても、一般単独事業債のほかに、市町村合併を行った自治体には合併特例債が充当可能であったり、津波浸水想定区域内にある庁舎には緊急防災・減災事業債が活用可能な場合もありますので、総務省として、具体の事業内容を伺いながら、必要な助言を行ってまいります。

田村(貴)委員 急いで進めていただきたいし、財政支援も思い切ってしていただきたいんですけれども、大臣、一点だけ。

 公共施設というのは、やはり防災の拠点となります。その耐震化というのは、やはり一日も早く一〇〇%を目指すべきだと私は考えますけれども、一〇〇%を目指すべきではないでしょうか。いかがでしょうか。

高市国務大臣 とても大切な御指摘です。一〇〇%に近づけていけるように、各地方公共団体にも意識を持って取り組んでいただきたいと思っております。

田村(貴)委員 庁舎の建てかえについても、東日本大震災並みの措置を強くお願いしたいというふうに思っております。

 続いて、一部損壊住家への支援について質問をしたいと思います。

 前回の委員会で、熊本県の一部損壊世帯については写真で御説明をしたところであります。

 熊本市の震災被害が発表されました。被害総額一兆六千三百六十二億九千万円、うち建築物、住宅関係の被害が一兆二千百二十一億五千万円と、七四%が住家被害であります。その住家被害のうち、一部損壊件数というのは八三%を占めるわけであります。繰り返しになりますけれども、私は、一部損壊への支援なくして震災復興はないというふうに考えております。

 二十一日、鳥取県で震度六弱の大きな地震が起こりました。被災された方に心からお見舞いを申し上げます。

 その鳥取県では、一部損壊世帯への補修費を、最大三十万円を支給するということが決められたと毎日新聞で報道されています。そのほかにも、熊本県内において、合志市では五十万円以上の復旧工事に対して商品券を出すとか、あるいは玉名市においては二十万円で工事費を助成、補助していくとか、こういう措置がとられているんですけれども、内閣府防災にお尋ねします、自治体任せにしておいていいのでしょうか。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 被災者生活再建支援制度がございますが、自然災害によりましてその生活基盤に著しい被害を受けた方の生活の再建を支援することを目的としているため、全壊や大規模半壊などの甚大な被害があった世帯を対象といたしております。

 被害程度の小さい一部損壊の被害を受けた方に対しましても、独立行政法人住宅金融支援機構の災害復興住宅融資等の支援がございます。被害の程度に応じまして、国として必要な支援を行ってきておる状況でございます。

 こういった中、一部損壊の被災者に対しまして、地方自治体によりましては、地域や災害の実情、財政状況などに応じまして、みずからの御判断のもとで独自の支援措置を実施しておられる、そういったふうな状況と認識をいたしております。

田村(貴)委員 認識しておりますではだめなんですよ。やっている自治体とやっていない自治体では差異が出てきます。それでは被災者は救われません。

 きょうは、松本副大臣、お越しいただいております。県や市町村は、政府へ一部損壊への支援を求めています。そして、今度の鳥取県の判断も、やはりその住民、被災者の要望があり、必要だと感じたから自治体がこういう施策に踏み切っているわけであります。

 政府としては、一部損壊への支援というのは自治体がやるべきだというふうに思っておられるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

松本副大臣 お答えをいたします。

 先ほど答弁がありましたように、一部損壊に関しましても、災害復興住宅融資等の制度というものを国としても用意させていただいているところであります。被災市町村や都道府県のみで対応が困難な一定規模以上の自然災害が発生した場合、被災者生活再建支援制度など、全都道府県相互扶助及び国による財政支援の仕組みというものがあるわけであります。

 一方、今お話がありましたように、支援制度の対象とならない被災者の生活再建につきましては、各自治体において支援制度の実施について検討するなど、必要な対応を講じていただくように適時お願いをしているところでありまして、こうした国の制度、そして地方自治体における制度を組み合わせて被災者支援というものを行ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 半壊世帯と一部損壊世帯の間にさほど開きがないという例は、前回もお見せして、私も述べたところであります。しかし、その支援については雲泥の差があるわけですね。義援金が出る、それから補修費が出る。しかし、一部損壊世帯に対しては、自治体がやらない限り何もないわけなんですよ。逆転現象も起こってくることを前回も指摘したところであります。

 半壊と一部損壊のその境目について、こうした答弁があります。二〇一二年の衆議院災害対策特別委員会で、当時、災害救助法の担当だった西藤厚労省大臣官房審議官はこのように答弁されています。「一部損壊の場合には、応急修理をしなくとも差し当たり日常生活に支障のない範囲内の損害であると考えられる」。

 熊本県を初め、現実は明らかに違うのではありませんか。一部損壊世帯の多くは、損害箇所を修理しなければ日常生活を営むことはできません。瓦が吹き飛んだ、そうしたら雨が入ってくる、そうしたら生活できないじゃないですか。熊本県内で十三万棟にも及ぶ一部損壊世帯の全てが、修理をしなくても差し当たり支障なく日常生活を営むことができる、そういうふうに考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の災害救助法の応急修理でございますけれども、引用いただきました平成二十四年六月の衆議院災害対策特別委員会の答弁におきましても、要件としまして半壊以上必要だということははっきりと申し上げております。

 こういったように、災害のために住家が半壊等の被害を受けまして、そのままでは住むことができない、こういったふうな場合に、応急的な対応といたしまして、その破損箇所を修理しまして差し当たり日常生活を営むことができるように必要最小限の修理を行っていく、これが応急修理でございます。

 一部損壊の場合につきましては、繰り返しになっていきますけれども、応急修理の対象となっておりませんけれども、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資等によりまして、国として必要な支援を行ってまいります。

 いずれにしましても、引き続き、被災自治体と一体となりまして、被災者の方々へのきめ細やかな支援策を講じてまいります。

田村(貴)委員 応急修理をしなければ生活ができないという状況がごまんとあるわけなんですね。ですから、この答弁に照らして、現実はそうなっていない、だから支援策が必要なんですよ。

 せんだって、参議院の総務委員会で、我が党仁比聡平議員の質問に対して、松本副大臣はこう述べておられます。一部損壊と判定された方々を含めまして、地方公共団体向けのアンケート調査などによって被災認定調査の運用実態をしっかりと把握してまいりたいと言われました。

 これに加えて、副大臣、復旧に莫大なお金を要する、例えば屋根を全部かえて数百万円かかっている。これはもう、鳥取でも一緒ですよ。熊本でも、それから東北、北海道でも一緒です。こうした一部損壊世帯の、まず実情を把握すべきではありませんか。

 これだけ大規模災害が続発し、規模も大きくなっています。被災者が十万単位でおられるわけですよね。まず、被災者の要望を、これは自治体を通じてでもいいです、アンケートでもいいです、やはり政府としてしっかり把握されることが今一番求められているのではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。

松本副大臣 アンケート調査の実施についてでありますが、一部損壊世帯の実情につきまして、被害認定調査を実施し、住宅再建の相談なども行っているのは、あくまでも地方公共団体でありまして、よくそのあたりのことは地方公共団体が把握していることと承知をしておりますので、熊本県や県内市町村等から、被災者の思い、現在の状況も含めしっかりと聞き取ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 被災者の思いも確認するということで今お聞きしました。ぜひ、被災者の切実な願い、そして状況について把握されていただきたいというふうに思います。

 いまだ多くの数え切れない家屋がブルーシートのままであります。修理したくともできない、そして、再建に踏み出そうとしても莫大な費用を要する。被災者の苦しみ、そして支援を求める声を、政府としても共有していただきたいというふうに思います。

 今月八日には、熊本県で、阿蘇中岳の爆発的噴火がありました。降灰、噴石によって住家、農家に大きな被害も生じました。ハウスの張りかえ支援、道路の降灰の除去、高齢者を初めとする被災者の降灰除去支援などが今要望されているところであります。地震、豪雨、火山噴火、災害続きの熊本県の被災者に寄り添った支援を一層強化していただきたい、このことをお願いしたいと思います。

 それから、一部損壊世帯については、オール・ジャパンの制度で、政府が決断をしていただきたい、そのことも重ねて要望して、質問を終わります。

 終わります。

竹内委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 きょうは、八ツ場ダムの事業費増額と自治体負担について質問いたします。

 先日、栃木県の南摩ダムを視察してまいりましたが、建設の是非が検証されてきたダムの多くが、安倍政権の復活以降、継続とされてきています。しかし、生活密着の公共事業を後回しにして進めた無駄な大型公共事業の推進が日本の財政を大きく悪化させてきたことは既に明白であり、その道を再び拡大させてはならないと考えます。

 その点で、八月十二日に発表された群馬県の八ツ場ダムの七百二十億円の増大は重大だと考えます。これに伴う関係都県の地方負担額は、国交省の試算が今配付資料にありますが、各地方議会の議論の中で出されている負担額を見ても、茨城県が約四十二億円、栃木県が約一・六億円、群馬県が約三十三・八億円、埼玉県が約八十八億円、千葉県が約六十三億円、東京都が約九十九億円です。

 七百二十億円もの新たな事業費の増大、また、先ほども地方自治体の財政が大変厳しいという議論がありましたが、こうした中で自治体にかける負担の大きさ、決して少なくないと思いますが、その責任をどうお考えになるか、御答弁いただきたいと思います。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 八ツ場ダムの建設事業につきましては、ダム本体の基礎掘削がおおむね完了し、現地の地質状況が明らかになるなど、残る工事の内容がおおむね確定できたことから、今後の増額を明らかにすることができました。

 それで、今回の増額は、コスト縮減の努力や工夫をしても、なお前回計画変更以降の新たな状況変化に基づくコスト増が見込まれることにより生じたものでございます。

 具体的には、昨今の急激な労務費の上昇や消費税率の変更といった回避不可能なもの、それから、地下の地質構造等といった現地状況が掘削の進展により最近明らかになったものなどによるものでございます。

 また、八ツ場ダム建設事業に係る関係都県等の負担割合は、特定多目的ダム法に基づき作成される基本計画等に規定されており、全体の事業費が増額になれば、おのずと関係都県等の負担額も増額となるものでございます。

 今回、今ほどの説明のとおり、避けることのできない理由、あるいは最近明らかになった事情などにより事業費を増額する必要が生じましたので、やむを得ず関係都県等に負担の増をお願いしているところでございます。

 関係都県等からは、事業の完了まで徹底したコスト縮減を行うことといった意見をいただいているところであり、国土交通省としては、これを真摯に受けとめ、今後の事業において十分努力してまいる所存でございます。

梅村委員 大変重い負担である、とりわけ地方自治体にとっては大変重い負担であるということをしっかりと受けとめていただきたいというふうに思います。

 それで、この八ツ場ダムなんですけれども、国内最大の事業規模で、資料にありますように、一九八六年の基本計画で二千百十億円、その後四千六百億円に倍増し、さらに今回の五千三百二十億円で、既に五回もの計画変更、当初計画の二・五倍になっていると思います。

 こうした経過の上、そもそも前回の変更のときに、期間の延長はあるんだけれども増額はないと言ったときに、それからわずか三年で七百二十億円もの増額発表がされたことに、今回、余りにも唐突だ、無責任だという声が上がっているかと思います。

 それで、群馬県の知事さんも、熟慮に熟慮を重ねた苦渋の選択だとし、議会での議決の議論の際も、党派を超えて、自民党の議員さんの中からも、藤岡市の自治体負担がトータル額で市の一年の一般予算の一割にも当たる額だということ、また、水道料金の値上げにも言及され、遺憾だ、じくじたる思い、毅然とした態度で国とは対峙してほしいという厳しい意見を出されています。

 茨城県知事も、もうこれ以上絶対にふやしてほしくない、今回ふえたことは大変遺憾とし、埼玉県も、県議会が前回の増額の際にこれ以上の増額はのめないと議決もしており、今回知事は苦渋の決断と表明しています。

 また、議会では、水道料金への八ツ場ダム負担金の影響について、仮に八ツ場ダムが二〇二〇年以降に稼働した場合、水道事業に減価償却費や維持管理費で毎年二十三億円の支払い額が生じ、水道料金の値上げ、さらに収支は水需要の減少や老朽施設の更新費用の増加により赤字に転ずる見込みが明らかにされました。

 自治体ではこのような議論や悲鳴が上がっているかと思います。こうした議論を総務省としてもしっかり認識すべきだと思いますが、この点、いかがでしょうか。

原田副大臣 お答えをさせていただきます。

 今回の八ツ場ダムの事業計画変更については、結果として各地方議会の承認があったものと承知をいたしておりますが、その過程において、ただいま梅村委員御紹介のように、徹底したコストの縮減による総事業費の圧縮等を求める議論があったことは、重要な視点と考えておるところでございます。

梅村委員 私たちは、コストの削減といっても、危険場所について、やはりそれを無視したようなコストの削減はすべきではないというふうに思っております。そもそも、事業そのものに無理があったのではないかというようなことを感じております。

 そこで、自治体からは、もうこれ以上絶対にふやしてほしくないという声が厳しく出ているわけですから、今後果たしてこれ以上増額がないのか、この点についてお伺いしていきたいと思います。

 今回の事業費七百二十億円のうち、先ほど、新たにわかった問題など、避けようがなかったというような御紹介がありまして、果たしてそうなのかということを私は思います。

 七百二十億円のうち、地すべり等安全対策による変更が百四十一億円、地質条件の明確化等による変更が二百二億円、実に地質関係の工事変更に伴う増額が三百四十三億円で、約半分近くになろうかと思います。

 ここだけをとっても、工事してみたら危ないところがわかったと言いますけれども、これから述べますけれども、かねてからこの地域は地質が危ないということを指摘し続けてきたわけです。ですから、今わかったというようなことは私は理由にはならないと思います。

 その上で、きょうは、時間の関係で、二点について伺いたいと思います。

 第一に、本体の掘削の四十一億円の増額についてです。

 これは、基礎掘削が進み、当初想定よりもかたい岩石の割合が多いこと、また、除去が必要な緩い地質が想定より深かったため増額となったというふうにあります。この脆弱な地層部とは一体どのような地層なのか、また、これに伴う工事変更で、基礎掘削の深さ、基礎掘削量、コンクリート量はどのように変更されるのか、お答えいただきたいと思います。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 ダム本体の基礎掘削がおおむね完了した結果、今お話ございましたが、基礎岩盤としての十分な強度を有していないため、追加で取り除くべき箇所、いわゆる除去が必要な弱層部が局所的にあったということ、さらには、逆ですけれども、掘削により取り除く岩盤の土質区分について、当初想定よりかたい岩石の割合が多かったことが具体的に判明をいたしました。

 そこで、基礎掘削量あるいはコンクリート量等を精査した結果、今回の変更案においては、基礎掘削量は約七十万立米を約八十四万立米に変更し、コンクリート量は約九十一万立米を約百一万立米に変更してございます。掘削の深さについては変更はないものと承知をしてございます。

梅村委員 そもそも、この部分の議論の経過を申しますと、既に一九七〇年代から、八ツ場の地質は、この国会の中でも、非常に脆弱な地層が多い、ダムの基礎岩盤として不安であると建設省が認識しているという議事録もあるかと思います。

 それで、二〇〇七年のときに、八ツ場ダムの基礎岩盤が想定よりも逆に良好であるという理由で、当時、本体工事費の大幅圧縮が可能になったと説明をされて、本体工事の設計変更による基礎掘削の深さが十八メートルから三メートルに減らされたり、基礎掘削量も百四十九万立方メートルから六十万立方メートルへと当初の半分以下となり、コンクリート量も減らされた、そういう経過が二〇〇七年にあったのではないか。

 それが、そのときは良好であるという理由で当初のものを縮小しながら、今回掘削してみたらまた危ないところがわかったから増大させる。これは、本体工事に入れば反対はできないだろうということで、二〇〇七年のときに、やはりいろいろな反対を、声を抑え込むような、そういう意図がなかったのかどうか。万が一なかったとしても、一旦良好だというもので下げたものを今回増大させるということは、今回初めて掘削してみたらわかったというような理屈はやはり通らないのではないかというふうに思います。

 この点を指摘したいと思いますが、いかがでしょうか。

野村政府参考人 必要となる工事量といいますのは、基本的に、その時々に得られている情報、知見に基づき私どもは算出をしております。

 今回はやはり、基礎掘削を進めていった、そこで初めてわかった事柄を踏まえた事業量の増大ということでございます。そのように私どもとしては考えておりますので、御了解いただければと思います。

梅村委員 経過は全然違いますので、了解はできないことだと思います。住民団体の皆さんや地元の皆さんがずっと声を上げてきた問題だと思いますので、今は全然御答弁になっていないんじゃないかというふうに指摘をしておきたいと思います。

 もう一点、地すべりについても聞きたいと思います。

 今回、地すべり対策が六億円弱から九十六億円へとかなりの増大となりました。もともとこの地域は非常に、火山堆積物の影響により地すべり地帯である、これも指摘がずっとあった問題かと思います。

 そこで伺いますが、十一カ所に危険性があると言われる中で、今回、六カ所で予算化、五カ所は必要なしという判断ですが、例えば、不要とした川原湯地区など本当に大丈夫なのかという声が地元からも上がっていますが、いかがでしょうか。

野村政府参考人 ダム検証時に地すべり等の対策箇所としておりました十一カ所は、その時点までに得られていたボーリング調査による調査結果などをもとに、地すべり等の対策工が必要となる可能性がある箇所として最大限の範囲を見込んでいたものでございます。

 その後、新たな技術指針、これは平成二十一年に策定したものですけれども、それをダム検証終了後に行うことができましたので、それを実施した結果、これは高品質ボーリング調査というものなどを行ったわけですけれども、その結果をもとに地すべり等の範囲を特定し、安定解析によって安全性を確認した上で、五カ所については対策不要としたものでございます。

 具体的には、例えば、今御指摘のあった対策が必要となる可能性のありました川原湯地区におきましては、例えば、地質の強度が軟岩程度以上である、それから斜面内部に弱い層が連続していない、あるいは大規模な崩壊や地すべりが確認されていないことから、斜面の安定性は高いと判断し、対策不要といたしました。

 なお、こうした地すべり等の対策の検討に当たりましては、ダム構造や地質、地すべり等の各分野の専門家に現地調査や打ち合わせを依頼し、技術的な指導助言をいただいているところでございます。

梅村委員 内部ではなく、やはり第三者機関を設けてしっかりとやるべきだと思います。

 また、何よりも、この決定というか、対策必要なしということは、地元住民の皆さんにはきちんとお知らせしているのでしょうか、説明はしているのでしょうか。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 今回そういうことで、最大限十一カ所見込んでいたものを、五カ所は不要とし、六カ所にしたわけでございますけれども、このように、地すべり等に対する安全性につきましては、従来から、さまざまな機会を通じて地元にお伝えをしてきたところでございます。

 そして、今回の計画変更につきましても、九月下旬から地元に説明を開始したところでございます。

 具体的に、ではどのような対策を行うのか、施工計画ができましたら、改めてまたそれぞれの地元に説明してまいりたいと考えております。

梅村委員 それぞれの地元というのは、どのレベルまでの地元になっていますか。増額、そしていわゆる対策必要なしという決定をしているということは、きちんと住民の皆さんまで伝わっているのでしょうか。

野村政府参考人 今、開始をしておりますと申し上げましたけれども、例えば林地区に対して、あるいは川原畑地区に対して、大体そういうこれまでお話をしてきました集落、地区の単位というのがございますので、そういった単位で開始をしてございます。

 それで、今回の変更計画につきましても、さまざまな資料はホームページなどでも公表してございますけれども、直接、それぞれの地元、それぞれの地区に対しての考え方といいましょうか所見をきっちりと説明していくことになろうと思います。

梅村委員 その中ではどのような御意見などが出ていますでしょうか。

野村政府参考人 大変恐縮でございます、ちょうど開始をしたばかり、あるいはこれから開始をするというところもありますので、具体に、それぞれの地区でどのような御意見が示されたかは、ちょっと今この段階では十分承知してございません。

梅村委員 ですから、開始したばかりだと言いますが、まだきちんとされていないのが現状ではないかなというふうに思います。

 このように、危険だというふうに言われているときに、地すべりが起きるのではないかとずっと不安に思っていらっしゃるわけで、今回の七百二十億円の増額の前提としては、やはりこういう地域住民の方々にしっかりと説明することなしには進められない事業ではないかなというふうに私は思います。

 そこで、次に確認をしていきたいんですけれども、以上、いろいろ質問をさせていただきました。結局、今後、さらにやってみたら危険なところが出た、だから事業費が膨らむ、こういうことは否定できないのか、必至なのではないか、また、もう事業費の増大はないのか、ここら辺を簡潔にお答えいただきたいと思います。

野村政府参考人 これまで御答弁申し上げたとおり、これまでに基礎掘削がおおむね完了して、現在、本体コンクリート打設が本格化している状態でございまして、このように事業の終盤に入りまして、残事業の内容などがおおむね確定したことを踏まえて、増額要因とコスト縮減策の両面から精査を進め、数量、金額を適切に積み上げた結果として、今般、事業費を変更させていただくものでございます。

 今後の事業の施工条件や事業量がおおむね確定していることから、現時点で想定し得る増額要因を全て考慮していると考えております。

 今後とも、関係都県等とも緊密に連携しながら、一層のコスト縮減に取り組んでまいりたいと考えております。

梅村委員 コスト縮減と言いますが、安全なものに対して削減するというのは、それはおかしな話であると思います。

 そして、地質的な不安定さからは、やはり拡大するのではないか、そういう疑問を持っていらっしゃる方もいるわけですね。そこについて、全くその不安がないと言えますでしょうか。

野村政府参考人 今ほど申しましたとおり、おおむね残事業の内容等も見通せることになりまして、今後の事業実施に関する不確実性というのはかなり小さくなっているかと考えております。

 また、これを受けて、想定し得る事業費の増額要因を十分考慮しつつ、平成三十一年度までの完了に向けた工程の精査も今回行ったところでございます。

梅村委員 最後になりますけれども、事業費そのものがどんどん膨らむというこの国の直轄事業、いわば自動的に自治体の負担もふえるという仕組みになっております。こうした問題について、総務省としてもダム協議会などで意見をしっかり出すべきではないかと思いますが、最後に総務大臣に伺いたいと思います。

高市国務大臣 この直轄事業負担金制度は、国直轄事業が地域に及ぼす便益に見合って、地元地方公共団体にも応分の負担を求めるものですが、地元地方公共団体の財政にも影響を与えますから、地方財政法上、その負担割合は法律及び政令で定めることになっています。

 特に、事業規模が大きいダム事業につきましては、特定多目的ダム法において、国土交通大臣が計画を作成、変更、廃止しようとするときには、関係都道府県知事等の意見を聞かなくてはならないことになっています。

 総務省としても、国直轄事業はこうした制度的な仕組みのもとで実施されるべきと考えていますので、事業の所管官庁に対しまして、地方公共団体と十分な協議を行うように申し入れを行っております。

梅村委員 八ツ場ダム事業と切り離した地元住民の生活再建を国がしっかりと責任を持って進めるとともに、大変危険で莫大な事業費がさらにかかる本体事業は速やかに中止すべきであることを要望して、質問を終わりたいと思います。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 もう時間も押しておりますので、質問に入りたいと思いますが、きょうは質問通告を三つさせていただいております。

 一つは、新潟の知事選挙がありました。また、新潟は原発が争点だったわけですが、沖縄の基地の問題、あるいは関西でも例えば北陸新幹線のルートがどうとか、いろいろな問題で国と都道府県知事が向き合いながら仕事をしているケースが大変多うございます。これについて、大変重要なテーマですのでゆっくりやりたいんですが、ちょっと後回しにさせていただきます。

 もう一つ通告をさせていただいているのが、NHKとか民放の、例えばネット同時配信をするとか、コピーネバーということで4Kテレビはコピーができなくなるんじゃないかとか、あるいはNHKの受信料がこれからどうなっていくのか、こういう問題についても通告をさせていただいていますが、これもちょっと後回しにさせていただきます。

 まず、きょう最初に取り上げたいのは、環境政策なんですね。

 小池都知事が今、豊洲市場でいろいろな取り扱いをされていますし、私は、小池知事の取り組みについては心から、やはり都民の御支持を受けて、今、全くマスコミのチェックが入っていなかった都政、特に都議会、ここに小池都知事が切り込んでいっている、この取り組みについては心から御支援をいたしたいと思いますし、いろいろな意味で注目をいたしておるところでありますが、ただ一つ、やはり豊洲市場についてはちょっと異論があります。

 あの豊洲市場、もう委員の皆様もよく御承知のとおりですが、東京都が豊洲市場に求めている環境のレベルは飲料水レベルなんですね。でも、地下水というのは、要は、下水、排水レベルでいいんです。全く、十倍以上本来の基準が違うんだけれども、築地ブランドにまさる豊洲ブランドというのをつくりたいがために、豊洲は飲み水ぐらいのレベルできれいにするんだよということをずっと東京都はやってきたんですね。

 しかし、これは皆さん御存じですか。豊洲市場のあの土地には汚染された土壌がありました、汚染された土壌が。これは大体、ざくっと言うと、二百万トンあるんです。そのうち、いわゆる洗浄とかしてきれいにする処理をしているのは三割ぐらいですよ。あとの七割はほかの土地に持っていっているんですよ、ほかの土地に。皆さん、わかりますか。ほかの市町村が受け取っているんです。

 だから、東京都は本当によくあんなことをやるなと思いますけれども、豊洲だけブランド、豊洲はきれいですといって、そこの汚れた土は、汚染土壌というのはどこかに持っていくしかないんです。そうしたら、どこかの市町村がそれを受け取っているんですよ。

 したがって、環境省は、きょう環境省に来ていただいていますが、土壌汚染対策法という法律で基準を決めているんです。だから、基準どおりやればいいんです。ところが、東京都、小池さんも悪いんだけれども、いや、これは危ないと。飲み水よりも低い砒素が出たときに、夕刊紙の一面に砒素と出ているわけです。

 こういうことをやるとなぜ問題かというと、これは環境省はよくわかっていると思いますが、ブラウンフィールド問題といって、結局、日本の国土の土地が有効利用できなくなるんです。ちょっと、もうきょう時間がないのでやめますけれども。

 二百万トンの汚染土壌の七割が、豊洲の外へ捨てられているんです。受け取っている市町村があるんです。

 そういうことで、私は、実はこれは私見ですけれども、東京都がもし環境基準以下に豊洲をきれいにしたいんだったら、それは自分のお金でやればいいんですよ。そう言うと、東京都はお金持ちだから自分のお金でやっていますと言っているんですよ。ほとんどお金入っていません、国のお金はそこには。

 私、総務大臣にこれは質問しませんけれども、東京都がそんな、国全体の経済厚生、社会厚生を下げるようなことをわがままでやるお金が余っているんだったら、税源の配分を変えた方がいいですよ。東京都に税源が偏っているから、東京都はそういうわがままなことができるんでしょう。ほかの地域では、そういうわがままなことをする余裕がありません。

 ところが、原田副大臣の地元の豊能町、能勢町というところではそれをやっているんですね。

 前回、十月の四日に私、原田副大臣に質問しました。そうしたら、ちょっと検討してくるから待ってくれという御報告でした。どういう検討結果ですか。

原田副大臣 そのときに検討させていただくという答えをいたしましたのは、共同でやっています能勢町の方が、選挙戦の最中であったか、選挙戦がまだ、新町長というのか町長がまだ確定しておりませんでしたので、その考えで、私は、少し待ってくださいというお答えをしたと思っております。

足立委員 だから、いいんです。もう選挙は終わって、完全無害化します、豊洲と一緒ですよ。私たちの町、豊能町、豊能郡、能勢町からダイオキシンを一掃します、そうやって完全無害化の五文字で訴えた候補が勝って、大阪維新の会の候補は負けました。別に、だからといって質問しているんじゃないんですよ。

 能勢町も同じです。現職で大変立派な町長がいたんですが、原田副大臣が応援する町長が、完全無害化という五文字をばらまいて、当選しているんですよ。

 選挙は終わりました。検討結果を教えてください。

原田副大臣 両町とも、おっしゃるように新しい町長が決まりました。そこでどのような要望をされてくるのか、今、私の方にはどのような方法で処理したいということは申し出がありませんので、これから申し出があった時点で検討させていただきたい、このように思いますし、今、自分の立場からして、やはりこの辺のところはきちっと精査していかなければならないと思っております。

足立委員 前回、四月四日ですよ、四月四日に私がこの話を申し上げたら、地元で少し話を聞いてくるから、それからお答えをしますと。また、完全無害化という話についても、完全無害化ということがどこまでできるのか、検討させていただくと。

 検討していないんですか。

原田副大臣 ちょっと訂正をさせていただきますけれども、足立委員、四月四日じゃなくて十月の四日であったと思います。(足立委員「ごめんなさい、十月四日です」と呼ぶ)はい。

 それで、まだ、先ほどから申し上げておりますように、私のもとへ、どのような方法で処理をするのかということのお申し出がありません。ですから、私が勝手にこのような方法がいいんじゃないだろうかというようなことを申し上げる立場にもありませんので。両町の町長が地元の住民の意見をしっかり聞かれて、その上で相談に来られるのではないかな、これは私のところだけではなくて、地元の選出の議員であります足立議員のところにももちろん行かれるのではないかな、このように思っておるところでございます。

足立委員 まさに私のところにたくさん来ているから質問しているんですよ。地元のことだと皆さん思っていらっしゃるかもしれませんが、これは交付税に関係しますから、総務委員会のど真ん中のマターなんです。

 私の地元の人たちがこう言ってきているんですね。選挙中に、九月の豊能町長選挙と十月の能勢町長選挙、私が応援した候補は負けました。原田副大臣が応援した候補が勝ちました。その勝った候補の演説会で、地元の柄の悪い府会議員とそれから原田副大臣がそこに座って、その候補が、完全無害化しますよ、お金は国から持ってきます、ね、原田副大臣と。八割は特別交付税で国が持ってくれるから、地元は二割でいいんですよ、だから、幾らお金がかかっても、国が全部お金を持ってきてくれるから完全無害化できるんですと。

 そこには原田さんはいるんですよ。要望がないって、一緒に主張していたんじゃないですか。

竹内委員長 その前に足立委員に申し上げますが、品位を持った発言をお願いしたいと思います。柄の悪い等々という発言を受けとめた、その辺につきましては、議院の品位を保つように、適切に発言をしていただきたいと要望します。(足立委員「承知しました」と呼ぶ)

原田副大臣 演説会の現場で私はそのようなことを黙認した覚えはありません。

 特交を、私の権限で、個人的な場所で、私はそこへは総務省の副大臣として出席をしておったわけではありませんから、地元選出の自民党の衆議院議員として出席をしておりましたので、その中の候補者の発言で、そうですねと相づちを打った覚えもありませんし、地元の人は期待しておられたのかもしれませんけれども、そこはやはり厳正中立な立場で対応していかなければならないという思いでありましたので、同意もいたしておりませんし、みずからそのような発言をしたことはございません。

足立委員 本当に自民党というのは便利な政党でうらやましいですよ。大阪維新の会でそんなことを言ったら首になりますよ、本当に。まあいいんだけれども。

 さて、話をかえると、その完全無害化、原田先生、原田、じゃ何でもいいや、副大臣でも衆議院議員でも何でもいいんですけれども、原田副大臣、完全無害化というのはどうやってやるんですか。

原田副大臣 過去の施設組合の要望によりますと、溶融あるいはジオメルト、そのような方法でやることが完全無害化につながっておるということをお伺いいたしましたので、その当時は、私はそのことについて応援をさせていただいたのであります。

足立委員 何をおっしゃっているか、わかりませんが。

 環境省、きょうはいらっしゃっていますね。環境行政、国の環境政策の中で、完全無害化という五文字は、そういう定義がありますか。

室石政府参考人 お答えいたします。

 ダイオキシン類対策特別措置法あるいは廃棄物処理法の関係法令におきまして、ダイオキシン類の処理に関して、完全無害化という用語は用いられておりません。

足立委員 まさに完全無害化なんという言葉は、日本の環境行政の中にはありません。当たり前ですよ。

 原田副大臣が支援する現町長は、完全無害化、完全無害化とやったわけです。九月の豊能町長選挙で完全無害化で圧勝できたものだから、十月の能勢町長選挙は、ダイオキシンの話をしていなかったのに、急遽、ダイオキシンを争点化して、完全無害化の五文字を振りまきました。

 今環境省からあったように、完全無害化なんということは定義しようがありません。だって、砒素だっけ、ヒジキを食べたら入っているんですよ。

 きょうもTPP特別委員会で参考人質疑を、野党の皆様はまたサボっていらっしゃいましたが、TPP特委で参考人から意見を聞いていました。きょうは食の安全です。同じ話をしているんです、TPPでも。

 また野党が、野党って私も野党ですけれども、責任に欠ける、無責任だという指摘のある野党が、僕じゃないですよ、僕が言っているんじゃなくて、いろいろな人がそう言っているんですよ、そういう野党が、TPP反対だとか言ってまたやっています。また審議拒否ですよ。きょうも審議拒否。まあ、きょうの総務委員会と関係ないんだけれども。同じ問題なんですよ。

 原田副大臣、本来、政府・与党でこういう問題について責任を持つべき立場でありながら、完全無害化ですよ。完全無害化なんかできないんですよ、幾ら溶融しても何しても。それは、お金が無限大にあればいいですよ。限られた予算で溶融したら残るんですよ、少しは。そやけど、ダイオキシン特措法の基準以下になれば埋めていいというのが環境行政の枠組みだから、そうやっていろいろなルールのもとで、日本国民はみんなで、価値的に生きているわけです。その価値を、その価値観の一つの秩序というものを壊しているんですよ、副大臣は。

 それで、環境省、個別案件はなかなか答弁しにくいかもしれないけれども、よく報告を聞いていると思います。今、豊能町、能勢町の組合にあるダイオキシンの廃棄物、これは私は、既にダイオキシン特措法の環境基準、環境と言わないのかな、ダイオキシン特措法が求めている基準を満たしていると聞いていますが、そごはないですね。

室石政府参考人 お答えいたします。

 ダイオキシン類を含む焼却灰については、ダイオキシン類の量が一定の基準以下になるように処理するか、あるいはダイオキシン類対策特別措置法施行前に設置された施設から排出された焼却灰であれば、コンクリート固化あるいは薬剤処理等の方法による処理が認められているところでございまして、現地においてそういった処理が行われていたというふうに聞いております。

足立委員 まさに今御答弁いただいたように、既に前体制のときに、原田副大臣が応援した、何かよくわからない完全無害化というこの世にない言葉で選挙をやって、八割は国の予算だからと言っていた候補が、まあいいですよ、現職だからまあいいんですけれども、今おっしゃったように、そこで今、豊能町、能勢町が風評被害に苦しんでいる。その風評被害ですよ。だって、もうダイオキシン特措法の求めているものは満たしているんですから。それなのに、まだ溶かすとか言っている副大臣がいるわけですよ。これは風評被害そのものです。

 私、大変違和感があったのは、前回、十月四日の質疑で原田副大臣は、私が聞いてもいないのに、これを処理してフェニックスへ持っていこうといたしましたけれども、反対に遭ってできなかったと。

 原田さんは、豊能のダイオキシンをフェニックスに埋めようとしていた。フェニックスというのは、大阪のほかの、豊能郡の外の埋立地ですよ。では、それは何、溶融しなくて埋めるんですか、そこは。どういうことですか。どうやって埋めようと思っていたんですか。

原田副大臣 それは、ダイオキシンが含まれた焼却灰そのものではありません。施設組合が運営をしておった焼却炉周辺の土地、表土を処理する、それもダイオキシンの危険があるからということでありましたので、その表土を処理しろということで言われていましたので、その表土を処理したものを……(足立委員「では、今回の話じゃないんですね。もう関係ない。関係ないから、もういいから、早く下がってください」と呼ぶ)

竹内委員長 足立君、委員長の許可を得て発言してください。

原田副大臣 表土を処理したということを、それをフェニックスへ持っていったということでありまして、どういうことですかというお尋ねがありましたので今答えているわけでありまして、関係のある話だと私は思います。

足立委員 では、今の話はいつの話ですか。

原田副大臣 済みません。日にちまでは、今突然のお尋ねでしたので、はっきりしたことは覚えておりません。

足立委員 ことしの話ですか、それ。表土の話でしょう。

原田副大臣 それは表土の話でありまして、今おっしゃるようなことであります。(足立委員「いつ、何年ですか」と呼ぶ)だから、今お答えをいたしましたように、今、私の中でいつであったかというお答えをする正確な数字を持っておりませんので、お許しをいただきたいと思います。

足立委員 大事な問題なので、何年ぐらい教えてくださいよ。ことしなのか、去年なのか、五年前なのか、十年前なのか。

原田副大臣 それも含めて正確にお答えしたいと思いますので、よろしくお願いします。

足立委員 そんなことを覚えていないということはないでしょう。

 ことしなのか、五年前なのか、十年前なのか、ちょっとお願いします。

原田副大臣 少なくとも、私が国会に議席を得た以前の話だと思います。

足立委員 だから、そういう昔のことを僕らは議論しているんじゃないでしょう。十月四日に私が質問したのは、ことしの選挙で議論されたことを議論しているんですよ。

 何でそれを、だからもう本当に、私が質問したら、原田副大臣が御自分が議員になる前の話を持ち出してきて答弁している。聞いていないですよ、そんなこと。

 私が十月四日に質疑して、地元に帰ったら、みんな言っていましたよ。原田副大臣、わけわからないよねと。みんな言っていましたよ、本当に。

 やはりそういう昔の、昔話はいいんです、昔話をしたいんじゃないんです。今、豊能町が、豊能郡が風評被害で苦しんでいる。その風評被害を広げたのは副大臣なんですよ。副大臣が、これは危ない、これは豊能町から一掃する必要がある、そういうことを言いまくったわけですよ、あなたとあなたの部下たちが。

 もう時間がないので、核心の部分を聞いておかないと終われないんだけれども、さっきやったように、環境省は、ダイオキシン特措法の基準の要請はもう満たしている、あとは埋めたらいいと言っているんですよ。これをさらに副大臣は、いや、もう風評被害が大変でねということで、溶かすと言っている。これは特交は出るんですか、八割の。副大臣、どうですか。

原田副大臣 その前に一回お話をしたいんですが……(足立委員「時間ないからいいよ。答えだけ。時間ないから」と呼ぶ)部下とか手下とか配下とかいうような立場の人は地元にはおりません。そこのことははっきり申し上げておきたいと思います。(足立委員「どうでもいいですよ、そんなことは」と呼ぶ)(発言する者あり)

竹内委員長 不規則な発言はお慎みください。

 原田副大臣、続けてください。

原田副大臣 無害化処理することが検討されております。その場合に特別交付税でどのように対応するか、これはこれから対応していくべきだというように思いますし、ダイオキシン類対策特措法や廃棄物処理法の関係法令に基づいて実施する処理経費についても、特別交付税措置の対象となっておるということは申し上げておきたいと思います。

足立委員 ダイオキシン特措法を卒業したものについても特交の対象になるということですか。

原田副大臣 これらの関係法令においては、その本則において、ダイオキシン類を含む焼却灰の処理に係る技術的方法が規定されているが、一方で、法施行前に設置等がなされた焼却炉から排出された焼却灰等については、経過措置として許容される処理方法も規定をされておるところでございます。

 豊能町では、平成二十七年度において、経過措置として許容されているコンクリート固化による処理を行い、特別交付税の交付を受けたものの、結果として、現時点においては最終処分に至っておらず、改めて今後の処理方針について検討を行っておられるところでありまして、大阪府や共同で一部事務組合を構成する能勢町とも協議を行っているとお伺いをいたしております。(足立委員「ちょっと委員長、答弁漏れ、私が質問したことに答弁していないですよ」と呼ぶ)

竹内委員長 足立君、どうぞ最後に。

足立委員 もう時間が来ましたから、迷惑かけたくないので終わりますが、もう全く答弁になっていません。

 私が聞きたかったのは、ダイオキシン特措法を卒業した廃棄物は廃掃法に基づくものです。廃掃法に基づくものに普通は特交はつきません。でも、つくかのようなことを広げて選挙をやったんですよ、自民党は。だから、質問しているんです。もう一回またやります。

 それから、委員長、もう終わり、あと十秒。

 地元の町長は、前町長はこれを十月中に解決したいと言っていたんですよ。十月中ですよ。だから、私は十月四日に質問したんです。

 本来、私は十月二十日に質問できる予定だった。ところが、小川さんはいい人なんだけれども、この私以外の野党が本当にひどい話で、理由なく……

竹内委員長 足立君、申し合わせの時間が参りましたので、これにて終わってください。

足立委員 いや、だから、理由なく質疑を飛ばしたために、地元は本当に困っているんですよ。だから、原田副大臣、しっかりやってください。よろしくお願いします。

 ありがとうございます。

竹内委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 最初に、来年度の地方財政について尋ねます。

 財政制度等審議会、五月十八日に「「経済・財政再生計画」の着実な実施に向けた建議」を取りまとめました。その中で、地方財政に関して、「折半対象財源不足解消後の対応等」という項目があります。その内容をかいつまんで言いますと、政府の中長期試算の経済再生ケースによれば、来年度以降、折半対象となる財源不足は解消し、フローベースで財源余剰が生まれる。この余剰分については、地方の債務削減に充てるだけではなく、財源不足は折半してきたのだから、国の債務縮減にも使うべきだと書かれております。

 ちょっと見て、大変びっくりいたしました。地方財政が大変厳しいことについては、ここにいらっしゃる委員の皆様はもう共通認識だと思いますけれども、財務省の論理では、地方は豊かで国は厳しい、それでも国は地方財政の面倒を見てきたんだから今度は恩返しをせよ、そういうふうにも言っているようにも見えますし、大変厚かましいにもほどがあるというふうにも思いますが、そもそも、地方の財源不足は国が責任を負って当然です。

 また、今年度、折半対象の財源不足は約〇・五兆円にまで縮小しておりますが、それでも五・六兆円の財源不足が発生をしております。元利償還分の補填は今後もふえ続ける構造の中にある中、折半対象の財源不足分が減る、あるいは解消することをもって地方財政に余剰が生じているという財政審の建議、どのようにお考えなのか、まず大臣に尋ねます。

高市国務大臣 今私が申し上げようとしたことを、ほとんど吉川委員がおっしゃってくださいました。折半対象財源不足について、今おっしゃっていただいたとおりで、この解消をもって財源余剰が生じているという見解は不適当だと考えております。

 それから、やはり、臨時財政対策債の発行残高が増加して平成二十八年度末に五十一・七兆円となる見通しですから、その圧縮を図ることが重要な課題で、地方団体からも多くの御意見をいただいています。

 ですから、この財政制度等審議会が五月十八日に取りまとめられました建議につきましては、その御主張は到底受け入れられるものではございません。

 地方の財政健全化の成果を国の債務縮減に充てるということは、かえって地方団体の財政健全化に向けた御努力に水を差すことになると考えております。

 よって、今申し上げましたようなことにつきましては、ことし五月十八日の経済財政諮問会議の席上においてもしっかりと主張させていただきました。

吉川(元)委員 もう一点、建議についてお尋ねします。

 財務省は、フローで財源余剰が生じたら地方の財源にするのではなく国の財源に貢献しろと言う一方、臨財債の元利償還金相当部分について、地方は償還や減債基金への積み立てに使わず他の歳出に流用していると批判し、ちゃんと積み立てろというような指摘もされています。

 地方が償還財源を確保するため、減債基金に計画的に積み立てをすべきということは理解できます。

 一方、臨財債償還費は交付税として措置されているわけであって、交付税は本来的には使途の制限が禁止をされております。その使い道を財務省があれこれ言うのは筋違いのような気もいたしますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。

黒田政府参考人 臨財債の償還について、少し前段でございますけれども、臨財債の償還条件につきましては団体ごとにさまざまであるのに対しまして、償還費の交付税の算定は理論値で行っております。ですから、どうしても実際の償還額の累計と交付税の算定額の累計が、ある時点をとると異なることが発生する点は仕方がない点がございます。

 その中で、今御指摘のように、交付税は、当然、使途を制限することが禁止されておりますので、具体的な使途は各地方団体の判断に委ねられております。

 重要なことは、臨時財政対策債の償還財源として減債基金への積み立てを計画的に行うことでございますので、総務省としましては、各地方公共団体に対して、毎年度の予算編成上の留意事項等として助言や注意喚起を行っております。

吉川(元)委員 あくまでそれは地方自治体それぞれが計画的に行うことであって、国、特に財務省からあれこれ言われる筋合いのものでは私もないというふうに思います。

 次に、来年度予算案の概算要求について尋ねます。

 総務省からいただいた資料を見ますと、地方交付税の算定、出口ベースで、来年はことしに比べると七千四百億円余りの減額というふうになっております。

 大変厳しい現下の地方財政を考えれば、地方に必要な財源は国が責任を持って手当てすべきだと考えますが、この減少分についてどのような対応を考えているのか、お聞かせください。

高市国務大臣 先ほど来、他の委員の御質問にも答弁をしてまいりましたけれども、平成二十九年度の地方財政収支の仮試算においては、繰越金が見込めないということ、出口ベースの地方交付税が〇・七兆円の減、臨時財政対策債が〇・九兆円の増という大変厳しい状況が見込まれています。

 大変厳しい状況ですけれども、年末の地方財政対策に向けまして、地方団体が地域に必要な行政サービスを確実に提供しながら安定的な財政運営を行うことができるよう、地方の一般財源総額については、前年度の水準を下回らないようしっかりと確保してまいりたいと思っております。

 その上で、特に、地方交付税について総額を適切に確保するということとともに、できるだけ臨時財政対策債の発行を抑制できるように、最大限の努力を重ねてまいります。

吉川(元)委員 最低限じゃなくて、最大限の努力を重ねていただきたい。(高市国務大臣「最大限」と呼ぶ)最大限。済みません、聞き間違えました。

 とにかく、これは他の委員からも指摘がありましたけれども、臨財債に頼ることなく、きちんと法定率の引き上げ、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 次に、もう一点、来年度の地方財政対策について尋ねます。

 ここ数年、財務省は、危機対応モードから平時モードへの切りかえを強調して、リーマン・ショック後に設けてきた歳出特別枠の縮小、廃止を主張してまいりました。来年度の取り扱いについても、財務、総務両大臣が協議した上で覚書が交わされるというふうにも承知をしております。

 地方財政、大変厳しい状況に置かれていること、さらに、地方財政規模は歳出特別枠を含めてほぼ横ばいで推移していることを考えれば、仮に縮小、廃止となった場合にも、相当額の経費を別途確保すべきだと考えますが、大臣、協議にどのように臨まれるのか、お聞かせください。

高市国務大臣 歳出特別枠は、リーマン・ショック後の緊急対策として設けられたものですが、昨年度策定しました経済・財政再生計画に基づいて、経済再生に合わせて、危機対応モードから平時モードへの切りかえを進めていくことにしています。

 平成二十八年度の地方財政対策では、めり張りをきかせた歳出の重点化、効率化を行うということのために、自治体情報システム改革などの地方の重点課題に対応するための経費として〇・二五兆円を新たに歳出に計上するということとともに、公共施設等の老朽化対策のための経費として〇・一五兆円を充実することとして、これらの経費を合わせた〇・四兆円について重点的に歳出を確保するとともに、歳出特別枠について同額を減額いたしました。

 二十九年度の歳出特別枠の取り扱いにつきましては、経済・財政再生計画を踏まえた上で、年末の地方財政対策におきまして、地方の一般財源総額については前年度と実質的に同水準を確保するとともに、地方において取り組むべき緊急の課題への対応ということについて検討を行いながら、平時モードへの切りかえを進めてまいりたいと思っております。

吉川(元)委員 しっかりとした総額の確保をお願いしたいというふうに思います。

 次に、少し飛ばしまして、地方行財政の見える化の問題について少し尋ねます。

 交付税の配分に当たっては、行革努力や成果配分という考え方が入り込んで、交付税法の趣旨をゆがめているのではないかという指摘を本委員会でもさせていただきました。

 先ほど、他の委員からも、トップランナーの問題、指摘がありましたが、それについてはまた別の機会に取り上げようと思っております。

 それで、今回は、ことしの骨太方針、その中で、地方行財政の見える化についてという項目がございました。それについて質問させていただきます。

 ことしの決算から、経年比較や類似団体比較を含め、住民一人当たりのコストについての見える化を実施するとされています。

 一般論として、大切な税金がどのように使われているのか、できる限り情報公開をすることは当然のことだというふうにもちろん思います。ただし、それぞれ条件が違いますし、提供すべき住民サービスの質やコストもまた、これも異なってくる。見える化によって、コスト削減に前のめりな自治体の事例だけが取り上げられ、コスト削減競争の様相を呈してくるとすれば、必要なサービスそのものが低下をしてしまうのではないかという危惧を持っております。

 少なくとも、見える化による住民一人当たりのコストを自治体ごとに比較して優劣をつけるようなことは避けるべきだと考えますが、どのように考えておられますか。

冨樫大臣政務官 地方財政の見える化は、議会や住民等に対する説明責任をより適切に果たし、地方自治体のガバナンスの向上を図る観点から大変重要であり、今後、これまで以上に取り組みを強化して見える化の充実を図ることとしたいと考えております。

 具体的には、住民一人当たりのコストについて、これまで一部に限られていた項目を平成二十七年度決算より性質別や目的別で網羅的に公開し、経年比較や類似団体比較を行うことで見える化の充実を図ることとしております。

 いずれにしても、住民一人当たりのコストの見える化は、地方公共団体にいたずらにコスト競争を強いるというよりは、他団体の数値が明らかになり、自団体の行財政運営について類似団体と比較して説明することを可能とすることにより、議会等と充実した議論が行われる適切な行財政運営が確保されることに資する趣旨から進めるものであります。

吉川(元)委員 順番をつけるということですので、それは結果的にどういうことになるかといったら、コスト競争をあおることはないと言いましたが、結果的にはあおることに私はつながっていくというふうに思います。

 コストの比較といいますけれども、では、地方自治体が提供するサービスの比較というのは行われるんでしょうか。

 例えば、今、先日、鳥取で大きな地震があって、本当に被災された皆様には心からお見舞いを申し上げますけれども、その際に地方自治体のマンパワーが恒常的に不足をしているというのは明らかであります。

 例えば熊本、大分の地震、罹災証明、三カ月たってもまだ二割に当たる約三万三千件が発行できていない、これは七月の十四日の段階ですが、そういう状況であります。各自治体に聞くと、人員不足が言われております。

 では、どうやって罹災証明、調査しているかというと、職員一人当たり一日三十軒回っている。実際には超勤がつくかと思いますけれども、例えば八時間労働で考えますと、わずか一軒十六分です。こういう人員が不足をしている。ただし、平時のときにはこれはわからないですけれども、こういう緊急の事態が発生した場合には直ちに問題になってきます。

 それから、あと、自治体によっては独自の給付型の奨学金を設けているところがあります。これは恐らく目的別でいうと教育費に当たると思いますけれども、この教育費、一人当たりのコストで比較したときに、ここは高いじゃないかという話が出てまいる可能性もあります。

 それからさらに、今回、大分からも熊本の方に水道で支援に行きました。給水車を持って、十四日の日に入って十六日の本震にも遭ったわけですけれども、こうした力というのは平時にはもちろんそれほどではないかもわかりませんけれども、緊急時に非常に大きな力を発揮する。それが今回のコストの比較で充実できるとお思いですか。その点についてはいかがお考えですか。

黒田政府参考人 今回の見える化の趣旨ですけれども、これはあくまでも決算情報を性質別、目的別で比較するというものでございます。

 ですから、今御指摘のありました例えば教育の問題であるとか災害対応の問題であるとか、そういうことにつきましては、一人当たりのコストをそれぞれの費目で比較していく中で、例えばうちの団体は類似団体に比べて一人当たりのコストが低いとか高いという議論の中で、コストが高い場合はどういう理由でコストが高いんだろうか、これはこういう理由で高いから意味があるコストですということになれば、それはそれで構わないということになると思いますし、逆に一人当たりのコストが低ければいいというものでもありませんで、余り低いときは仕事をやっていないんじゃないかという議論も出てくるかもしれません。

 そういうことも含めまして、いろいろな議論をする前提の材料として今回の見える化の資料を使っていただきたい、そういう趣旨でございます。

吉川(元)委員 ですから、そのコストの比較というのが前面に出ると、そういうものが後景に追いやられる。実際にコストがかかるけれどもこれだけのサービスが提供されている、あるいは、特に大切なのは緊急時、緊急時というのはあくまで緊急時ですから、平時のときとは違うわけであって、それがコスト比較の中で明確に、こういうことがあるからコストがかかっているというふうには出てこないと思います。

 実際に出てくるのは数字ですよ。私、文部科学委員会におりますけれども、学力テストをやると、本来はどこで皆つまずいているのかを調べるためのものだったものが、点数がついて順位がついて、それでもって一気に順番の争いになるわけです。ですから、私は、今回の見える化についてはそうした懸念を持たざるを得ないということを指摘させていただきたいと思います。

 次に、消防の関係について若干お聞きしたいと思います。

 私の地元の大分消防組合で実際に起こった事案なんですけれども、まず概要を説明したいと思います。

 その消防組合では、二十四時間勤務を一当務として、これまで年間百三十当務の勤務ローテーションが組まれておりましたが、昨年十月一日から、一方的に一当務ふやした百三十一当務という変則的な勤務ローテーションが職員側との協議を打ち切って導入をされました。

 政府は、消防職員はILO八十七号条約の警察に含まれているものとして、団結権を付与しておりません。しかし、だからといって、一方的に勤務労働条件を変更し、職員に不利益をもたらすようなことはあってはならないと考えますが、この点、いかがお考えでしょうか。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 消防職員を含む地方公務員の勤務条件につきましては、人事委員会勧告等を踏まえ、地方公共団体の議会が制定する条例などで定めるものとされており、その上で勤務条件が変更されることとなります。

 また、消防職員についても、必要に応じ、人事委員会または公平委員会に対し、勤務条件に関して、地方公共団体の当局により適当な措置がとられるべきことを要求すること、いわゆる措置要求ができることとされております。

 加えて、平成八年に消防職員委員会制度を法定し、勤務条件等に関し、消防職員から提出された意見を審議する仕組みを設けているところであります。

 以上でございます。

吉川(元)委員 いや、私が聞いたのは、職員の理解もなく一方的にそういうことをやっていいのかどうか、実際にそういうことが現実に起こっているわけで、その点はいいんですかというふうなことを聞いたわけでありますから、もう一回答弁をお願いします。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 消防職員につきましては、団体交渉権はございません。消防職員以外の一般の公務員につきましては団体交渉権がございますので、勤務条件の変更等がある場合には一般的に団体交渉が行われておるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、最終的には地方公共団体の議会が制定する条例等で定めていくものというふうに認識しております。

吉川(元)委員 ちょっと時間がないのであれですけれども、では、まず、先ほど少し答弁がありました消防職員委員会制度についてお聞きしたいと思います。

 消防組織法の第十七条、消防職員から提出された意見を審議し、消防事務の円滑な運営に資するため、消防本部に消防職員委員会を置くことを定めております。一項で、給与、勤務時間その他の勤務条件及び福利厚生に関することが審議事項として挙げられております。

 一方、例えば、先ほどの私の地元の広域の消防組合では、委員長が総務課長、委員は管理者側が五人、職員側が五人で構成されており、意見の取り扱いは多数決となりますけれども、委員長を含めた管理者側が六人に対して、職員が五人ということであります。職員側の意見が通りにくいのが実情です。仮に職員側の意見が多数を占めた場合でも、最終判断は消防長に委ねられているわけですから、職員側にとって有利な制度でないことは一目瞭然です。

 ここの当該の広域消防組合でも、二〇一三年ごろまでは、勤務条件についていろいろな話し合い、職員と消防当局との間で話し合いが行われておりましたけれども、現在では、管理職側の意思で、それまでの関係性や議論が覆りやすくなっております。

 そこで尋ねますけれども、消防職員委員会が団結権のない消防職員のために勤務労働条件を審議する場として適正に機能しているというふうにお考えなのでしょうか。

大庭政府参考人 御指摘のとおり、消防職員委員会は、消防組織法に基づきまして、それぞれの消防本部に置かれております。

 この委員会につきまして、二十七年度は全ての消防本部において開催されました。また、この制度がスタートした平成八年度以降、毎年五千件程度の審議件数を行っておりまして、そのうち四割の意見が実施が適当と判断されております。また、二十六年度におきましても、実施が適当と判断された意見のうち約六割が既に実施されているものでございます。

 また、消防庁といたしましても、この消防職員委員会制度につきまして、委員は、組織区分ごとに当該組織区分に所属する職員のうちから消防長が指名したり、あるいはその半数についてはその組織に属する職員の推薦に基づき指名したりということで、なるべく民主的な形をとっていただきたいということをお願いいたしております。

 そういう面で、この消防職員委員会につきましては、職員の勤務条件の改善に一定の成果を上げていると考えておりますけれども、今後とも、この制度が適切に運営され、勤務条件等のより一層の改善が図られますよう、各消防本部に対し、適切な指導助言を行ってまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 組織の構成、多数が、管理者側が多いということもありますし、それから、消防組織法に基づいて組織及び運営の基準というのが出ておりまして、その第七条を見ますと、年の前半に一回を常例とする、それから、委員長が招集をするということですから、例えば、問題が発生したり、こういうところを改善してほしいといったときに、場合によっては、年の最初に一回だけやって、後は一年間何もしないということだって可能。実際上、この基準を見るとそういうことが可能というふうになってしまうんですけれども、それは、随時必要なときに応じて消防委員会というものは開催をされてもよい、あるいは積極的にそういうことをした方がよいというふうにお考えなんでしょうか。

大庭政府参考人 消防職員委員会は、年に一回だけ開けということではなくて、それは何度開いていただいても結構です。

 年の前半にといいますのは、年の前半にいろいろな議論をした上で、次の年度の予算に結びつくようなことがあれば、できればその意見を尊重しながら、実施が適当かどうかを判断していただきたいということでございます。

吉川(元)委員 わかりました。課題が出てきた場合には、前半一回ということではなくて、必要に応じて消防職員委員会が開かれるということだというふうに理解をさせていただきます。

 この組合ですけれども、消防組合、ことし四月から集中管理方式という新たな勤務システムが導入をされました。二交代制の職員は、それまで出張所に直接出勤し、出張所から直接退勤をしておりましたけれども、この集中管理方式という新たな勤務で、勤務時間前に本署に集合して装備品を準備し、公用車に乗りかえてから出張所に勤務ということになります。

 この方式によって、多い人では、出勤前と退勤後、合わせて二時間、管理者の命令下での拘束時間が延びました。しかも、本署から出張所までの移動は、超過勤務手当の対象外である出張扱いというふうにされております。

 一カ月の勤務のうち約半分が出張扱いにされ、しかも拘束時間の延長に対して超過勤務手当が支払われないというのは、私はこれは異様な事態だというふうに思うんですけれども、この勤務形態について消防庁はどのようにお考えでしょうか。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論でございますが、地方公務員の時間外勤務手当につきましては、地方公務員法等に基づき、正規の勤務時間を超えて時間外勤務命令を発して勤務させた場合においては時間外勤務手当を支給すべきということで、各地方公共団体において適切に対応されるべきものと考えております。

 以上でございます。

吉川(元)委員 これは出張扱いになっているんですよ。県内出張という言い方らしいんですけれども、その時間はいわゆる無給状態で、長い人で一日二時間ただ働きといいますかが強要されて、これはおかしいというふうに思います。

 ちょっと時間が来ましたので、やはり、私自身も、以前、ここにおられる小川先生、逢坂先生の努力によって、消防の団結権の問題について回復する方向で議論も進められたというふうにも聞いております。ぜひその方向で議論を進めていただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。

     ――――◇―――――

竹内委員長 次に、内閣提出、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。

    ―――――――――――――

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市国務大臣 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 世界経済の不透明感が増す中で新たな危機に陥ることを回避するためにあらゆる政策を講ずることが必要となっていることを踏まえ、地方税に関し、所要の施策を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 その一は、地方消費税率引き上げ時期の変更などの改正であります。地方消費税の税率引き上げの施行日の変更及び消費税に係る地方交付税の率の変更などを行うこととしております。

 その二は、地方法人課税の偏在是正措置の実施時期の変更などの改正であります。法人住民税法人税割の税率の引き下げ時期及び地方法人特別税等に関する暫定措置法の廃止時期の変更などを行うこととしております。

 その三は、車体課税の見直しの実施時期の変更などの改正であります。自動車取得税の廃止時期並びに自動車税及び軽自動車税における環境性能割の導入時期の変更などを行うこととしております。

 そのほか、個人住民税の住宅借入金等特別税額控除の適用期限の延長を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


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