衆議院

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第6号 平成28年11月15日(火曜日)

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平成二十八年十一月十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 古賀  篤君 理事 左藤  章君

   理事 坂本 哲志君 理事 田所 嘉徳君

   理事 葉梨 康弘君 理事 小川 淳也君

   理事 奥野総一郎君 理事 輿水 恵一君

      青山 周平君    池田 道孝君

      大西 英男君    金子万寿夫君

      金子めぐみ君    小林 史明君

      小松  裕君    新藤 義孝君

      鈴木 憲和君    鈴木 隼人君

      高木 宏壽君    谷  公一君

      土屋 正忠君    冨樫 博之君

      中谷  元君    長坂 康正君

      武藤 容治君    宗清 皇一君

      山口 俊一君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    佐々木隆博君

      鈴木 克昌君    高井 崇志君

      武正 公一君    稲津  久君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      足立 康史君    吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        原田 憲治君

   総務副大臣        あかま二郎君

   総務大臣政務官      金子めぐみ君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   財務大臣政務官      杉  久武君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  安藤 友裕君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            西田 直樹君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君

   政府参考人

   (総務省情報通信国際戦略局長)          谷脇 康彦君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            南  俊行君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       安藤 英作君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   今林 顯一君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大庭 誠司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 飯田 圭哉君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   藤井 健志君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局児童虐待防止等総合対策室長)       山本 麻里君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           伊藤 明子君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 室石 泰弘君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         石原  進君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 今井  純君

   参考人

   (日本放送協会理事)   大橋 一三君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          稲澤  徹君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          千田 哲也君

   総務委員会専門員     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十五日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     青山 周平君

  小林 史明君     鈴木 隼人君

  山口 泰明君     小松  裕君

  逢坂 誠二君     佐々木隆博君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     菅家 一郎君

  小松  裕君     山口 泰明君

  鈴木 隼人君     小林 史明君

  佐々木隆博君     逢坂 誠二君

    ―――――――――――――

十一月十四日

 地方公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長石原進君、日本放送協会会長籾井勝人君、専務理事今井純君、理事大橋一三君、日本郵政株式会社常務執行役稲澤徹君及び常務執行役千田哲也君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官安藤友裕君、金融庁総務企画局審議官西田直樹君、総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、自治財政局長黒田武一郎君、情報通信国際戦略局長谷脇康彦君、情報流通行政局長南俊行君、情報流通行政局郵政行政部長安藤英作君、政策統括官今林顯一君、消防庁次長大庭誠司君、外務省大臣官房審議官飯田圭哉君、財務省主計局次長藤井健志君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局児童虐待防止等総合対策室長山本麻里君、国土交通省大臣官房審議官伊藤明子君及び環境省大臣官房審議官室石泰弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木宏壽君。

高木(宏)委員 おはようございます。自由民主党の高木宏壽でございます。

 高市大臣、ハードスケジュール、大変御苦労さまでございます。

 十五分という限られた時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 まず、地方交付税についてであります。

 先月二十七日に開かれた財政制度等審議会において、地方交付税算定のもとになる地方財政計画と実際の決算額を比較して、平成二十五年までの七年間で計画が過大になっていると指摘する資料が提出をされました。

 地方公共団体は、歳出の効率化や徴税の強化などにより財政の改善に取り組みつつ将来の不測の事態に備えて財政調整基金を準備しているという見方もありますが、実際のところどうなっているのかは、これから政策判断を行っていく上でも大変重要であります。

 そこで、この資料によると、国と地方の財政状況をフローとストック別に分析するとともに、地方交付税の額を決めるもとになっている地方財政計画の歳出規模が実質的に決算額を継続的に上回っているという可能性について言及しておりますが、まず、きょうは財務省に来ていただいていますので、その考え方についてお伺いしたいと思います。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 十月二十七日の財政制度審議会では、公表されている資料を用いまして地方財政計画の歳出額と決算額を実質的に比較いたしまして、計画額が決算額を上回るとの試算をお示ししたところでございます。

 これにつきましては、一定の仮定を置いた試算であり、結果については幅を持って理解する必要があるとともに、データの充実により、より精緻な分析も可能となるものと考えているところでございます。

 この試算をお示ししている趣旨といたしましては、毎年度国において赤字国債を発行して地方一般財源総額を確保していることを踏まえますと、各年度に必要となる財源移転の適正規模について、こうした決算との比較を行うなど、より一層の精査は欠かせないものと考えているためでございます。

 いずれにいたしましても、地方団体が安定的に必要な行政サービスを実施できるよう、また、国、地方の財政健全化の目標の実現という観点も踏まえながら、年末の地方財政対策の策定に向けて総務省とよく協議してまいりたい、かように考えてございます。

高木(宏)委員 税収はその時々によって変動するもので、当然上振れもあれば下振れもあるわけですけれども、財政に穴をあけるわけにはいきません。

 国は、建設国債のほか特例公債の制度がありますけれども、地方においては、地方財政法第五条の特例として発行される臨財債、臨時財政対策債のほかは、基本的にいわゆる赤字公債の制度は担保されておりません。そこで、財政調整基金を積んで将来の税収減に備えるという手法が一般的であります。

 このように、国と地方の財政、制度的な相違も存在するわけですが、地方財政に余剰があるとの指摘に対して、地方財政を所管する立場から見解を伺いたいと思います。

原田副大臣 お答えをいたします。

 平成二十五年度分の財務省の試算においては、計画額が決算額よりも〇・六兆円程度過大であるとしておりますけれども、地財計画の範囲外の歳出であるとして決算額から控除している給与関係経費の決算乖離分のうち、〇・六兆円程度は地財計画に計上されている非常勤職員分の歳出であること、基金からの取り崩し分見合いの歳出は地財計画の範囲外の歳出であるとして決算額から控除しておりますが、基金からの取り崩し分のうち、〇・五兆円程度は通常収支分の対象とならない東日本大震災に係る市町村の取り崩し分であることなどから、今回の財務省の試算には疑問があると考えております。

 なお、総務省においても、計画対象外経費の控除や繰越金に係る調整、国の補正予算に伴う調整などを行い、地財計画の歳出規模と決算額を比較しておりますが、近年では地財計画の歳出規模が決算額を一兆円程度下回っていると試算しており、この点からも、財務省の試算は妥当ではないと考えております。

 また、地方税収の決算の上振れにより基金残高が増加しているということでありますけれども、長期的に見れば、上振れも下振れもあり、相殺されておるものと考えております。

 これに加え、委員御指摘のように、地方は国と異なり、赤字地方債を発行することができないことから、決算額が計画額を上回っている場合に財政調整基金への積み立てを行っておくことは、財政運営の年度間調整の観点から妥当な対応であると考えております。

高木(宏)委員 地方交付税というのは、まずその総額、マクロの地方交付税を先に確定して、それから各地方公共団体に案分するいわゆるミクロの地方交付税、個々の自治体の地方交付税額が決まってくるわけであります。

 先ほど、マクロで地財計画の歳出規模が決算額を上回っているというお話がありましたが、全国の自治体の財政状況というのはそれぞれ異なっております。私の地元の北海道も、税収の上振れはほとんどなし、財政調整基金も災害対策などで底をついているという状況でございます。

 それぞれの自治体の財政状況に目配りをしながら、行政サービスの提供のために財源確保に向けて取り組むべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

原田副大臣 お答えをいたします。

 地方団体がみずからの発想と創意工夫により地方創生等の重要課題に取り組みつつ安定的に財政運営を行っていくためには、地方が自由に使える財源をしっかりと確保することが重要であると考えます。

 平成二十九年度地方財政収支の仮試算においては、地方団体に交付される出口ベースの地方交付税が〇・七兆円の減、臨時財政対策債が〇・九兆円の増という大変厳しい見通しとなっております。

 このように大変厳しい状況にありますが、年末の地方財政対策に向けて、地方団体が地域に必要な行政サービスを確実に提供しつつ安定的な財政運営を行うことができるよう、地方の一般財源総額について、前年度の水準を下回らないようにしっかりと確保してまいりたいと思います。

高木(宏)委員 ちょっと質問の順番を変えさせていただきます。衆議院選挙の区画画定の見直しについて質問させていただきます。

 本年五月に衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律が施行されたことに伴い、今、選挙区画定審議会で、同法附則二条の規定に基づいて選挙区の見直しの作業を進められていると承知しております。

 今回の改正法、違憲状態とされた二倍を超える格差を是正することや定数削減を目的としていると承知をしております。

 前回、平成二十五年の区割りの見直しにおいては、緊急是正法で格差の是正のみを見直すとされたことから、本来であればその時点において行政区画とか交通、地理的な条件、そういうものを勘案して見直されるべきものが、そのまま据え置かれたという経緯にございます。

 今回の改正法においては、格差を二倍未満にすることなどを基本とすると定められておりますので、定数削減や格差の是正以外の要素についても当然見直しの対象となり得ると考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 衆議院の選挙制度の改革関連法におきましては、人口最少県である鳥取県の区域内の選挙区、定数を一減する六県の区域内の選挙区、それから、御指摘にありました、人口最少選挙区の人口に比べましてそれ未満になる選挙区あるいは格差が二倍以上となる選挙区など人口基準に適合しない選挙区、それから、その人口基準に適合しない選挙区を人口基準に適合させるために改定することとなる隣接選挙区等について行うことを基本とするということとされております。

 御指摘のとおり、平成二十五年の緊急是正法におきましては、これらの選挙区のみについて行うこととされていたところでございまして、今回の改革関連法につきましては、「基本とすること。」と書かれております。この基本とするという考え方のもとに、これらの対象選挙区以外の選挙区が区割りの対象とされるかどうかにつきましては、今後、衆議院議員選挙区画定審議会における審議により、まさに定まっていくというふうに考えております。

高木(宏)委員 私の地元の北海道は、非常に広大な行政区域を効率的に統治するために、地方自治法に基づいて十四の総合振興局と振興局を置いております。

 平成二十二年には支庁制度改革を行いまして、その際、振興局の区域と小選挙区の区域が異なってしまいました。具体的には幌加内町と幌延町というところなんですけれども、選挙事務の執行においても大きな支障が出ております。

 例えば、幌延町は開票結果報告書を総合振興局のある稚内市に持参するわけですけれども、報告を受けた宗谷総合振興局の職員は第十区の選挙長である岩見沢市に約三百キロかけて運び、一方、幌延町以外の市町村は、稚内市から三百四十キロ離れた、十二区の選挙長である網走市に運んでいる、このような状況になっておりまして、選挙事務の効率的な運営からも大きな負担となっております。

 平成二十三年から、北海道、両町初め町村会からも、早急にこの区割りを見直すように要望、要請を出しているところでありまして、この点については、まさに今回の改正法に基づく区割りの画定において確実に見直しの対象とすべきと考えておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 最後に、郵政について質問させていただきます。

 前回の質問でも郵政について触れさせていただきましたが、この四月から政令が改正されて、ゆうちょ銀行の預け入れ限度額が一千万円から一千三百万、かんぽ生命の加入限度額が一千三百万から二千万にそれぞれ引き上げられております。

 そこで、まず、ことし四月の限度額の引き上げ以降、郵貯の貯金残高の増減、限度額を超えている貯金の受け皿である振替貯金の増減状況、そして簡保の資金移動はどうだったのか、お伺いしたいと思います。

安藤(英)政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日、中間決算が公表されてございますので、それに基づきましてお話しさせていただきます。

 ゆうちょ銀行の貯金残高は約百七十八・四兆円ということでございまして、限度額引き上げ前と比較いたしまして大きく変化はしていないという状況にございます。

 一方、振替貯金の残高でございますが、これについては十二・八兆円ということで、限度額引き上げ前と比較しまして約一兆円の減少ということになってございます。

 それから、かんぽ生命の保有保険金額でございますが、これは約八十九・九兆円でございまして、限度額引き上げ前同様、引き続き減少傾向にあると考えてございます。

高木(宏)委員 今説明にありましたように、平成二十八年度上半期の貯金残高、個人貯金の残高は百七十八・四兆円ということで、〇・六兆円増加しましたけれども、必ずしも大きな増額にはなっておりません。また、限度額を超えた貯金の受け皿である振替貯金は一・〇兆円減少していますから、限度額を超過する貯金が振替貯金である方に、振りかわっただけと思料されます。

 引き続き他の金融機関への影響を注視する必要はあると思われますけれども、今回の引き上げは民業圧迫にはつながらないのではないかと考えております。

 最後に、国民の利便性向上のために、郵貯の預け入れ限度額のさらなる引き上げを検討すべきと考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

あかま副大臣 お答えいたします。

 本年四月に実施をいたしましたゆうちょ銀行及びかんぽ生命の限度額引き上げについては、利用者の利便性の向上という観点から大いに意義があったというふうに考えております。

 なお、今委員の御指摘ございましたさらなる引き上げということについてでございますけれども、与党における御議論も注視しながら、郵政民営化委員会の所見なども踏まえ、郵政民営化法にのっとり適切に対応をしてまいりたい、そう考えております。

 以上です。

高木(宏)委員 時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、感謝の思いでいっぱいでございます。ありがとうございます。

 質問の順番を若干変えさせていただきまして、本日、初めに、ICT、情報通信技術の利活用において大きな役割を担うであろうAI、人工知能についての質問をさせていただきたいと思います。

 ICT、情報通信技術の利活用は、インターネットに接続されたパソコンやスマートフォンなどに限られていた時代から、テレビやエアコン、冷蔵庫などの家電や自動車など生活に密着した製品、さらに工場の工作機械や土木工事現場の重機など、あらゆるものがインターネットにつながる、インターネット・オブ・シングス、IoTの時代へと進展をしてまいりました。

 IoTの進展に伴い、さまざまなモバイル端末やセンサー機器からインターネットを経由して、リアルタイムで大量のデータがクラウドに蓄積されます。この大量のデータを常時適切に処理し、総合的に分析し、その結果をもとに新たな価値を生み出していく過程において、人工知能、AIは不可欠である、こういった時代になってまいりました。

 このICT利活用においてAIは切っても切れないものであると思いますが、そこで、総務省として、AIの社会における役割についてどのように認識をされているか、お伺いをいたします。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の少子高齢化による労働力不足等の社会的課題の解決や第四次産業革命の実現のためには、人工知能の果たすべき役割は極めて重要だというふうに考えております。

 このため、昨年十二月より、情報通信審議会技術戦略委員会におきまして、次世代人工知能推進戦略等について御審議をいただきまして、本年七月に中間答申をいただいたところでございます。

 本中間答申におきましては、人と人工知能との対話を実現する言語処理技術、脳科学の知見を踏まえた次世代人工知能技術の開発に取り組むとともに、複数の人工知能がネットワークを介して連携し、人や社会を最適に支援する革新的な連携協調技術の開発等を推進することなどにつきまして、提言に盛り込まれているところでございます。

 また、本年四月に設置をされました人工知能技術戦略会議のもとで、総務省、文部科学省、経済産業省が連携をいたしまして、人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップについて、本年度中の策定を目指して現在検討を進めているところでございます。

 総務省としましては、三省連携のもと、人工知能技術の研究開発とその社会実装に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 今日、囲碁や将棋では人間を超え始めたAI、今から三十年後、二〇四五年には人間の知能を超えるとも言われておりまして、AIがヒット曲やベストセラー小説を生み出すときが来るかもしれないと言われております。

 世界的ベストセラーである「インターネットの次に来るもの」の著者であるケビン・ケリー氏は、インタビューにおいて、AIの高度化と普及の進展に伴い、多様なAIがネットワークを通じてつながり、多様なAIの知性を組み合わせることで人間を手助けするという形で、人間とAIが協働する未来が訪れるとの展望を示しています。

 まさに、AIは、インターネット等情報通信ネットワークとつなげて利用されるものでありますので、今後、AI同士が情報通信ネットワークを通じて相互につながって、人間の生活と社会に広く浸透していく、このように考えられます。

 そこで、総務省として、このAIネットワーク化に関して、中長期的にどのように進展していくものと展望しているのか、見解をお聞かせ願えますでしょうか。

谷脇政府参考人 お答えを申し上げます。

 総務省におきましては、本年の二月から六月まで開催をいたしましたAIネットワーク化検討会議におきまして、委員御指摘のAIネットワーク化に関しまして、二〇四〇年代までを見据えながら、AIが他のAIとは連携しないで単独で機能する第一段階、それから、AIとAIがネットワークを形成し、相互に連携するAIネットワークが実現する次の段階、こうした段階を経て、人間とAIネットワークが社会のあらゆる場面において共存する段階にまで進展していくものというふうに展望しているところでございます。

 また、本検討会議におきましては、AIネットワーク化の進展を通じて目指すべき社会像として、人間の知恵が相互に連携する智連社会という言葉を掲げております。この智連社会とは、人間がAIネットワークと主体的に共存し、データ、情報あるいは知識を自由かつ安全に創造、流通、連結して智のネットワークを構築することによって、創造的で活力のある発展を可能とする人間中心の社会像と整理をしているところでございます。

 総務省といたしましては、今申し上げた人間中心の智連社会の実現に向けて、国内外の関係機関と積極的に連携をしながらさらに取り組みを進めてまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに、智連社会ということで、これからさまざまなネットでAIがつながってくる。

 こんな時代の流れを見据えてか、今月の二日に開かれた政府の構造改革徹底推進会合におきまして、AIが人の表情や声などから人間の意思を予測して動く高度な介護ロボットを二〇三〇年以降に実用化する目標などを盛り込んだ、医療・介護分野でのAIの研究開発と産業化に向けた工程表案が公表されました。

 このように、今後、AIが私たちの心の中まで入り込むというか、考えながら、生活のあらゆる場面でかかわることが想定される中で、強く求められるのがその安全性であると思います。AIのネットワークが私たちの生活や社会に広く浸透していくこの時代の流れの中で、最大の努力と準備を進め、万全を尽くして、今のうちから全ての人々を支えるAIネットワーク社会の成功と発展への道筋をつけることが大切であると考えております。

 そこで、ネットワーク化されたAIが安全に人々の生活を支え、社会の安定に貢献する未来を構築するために、総務省として、AIネットワーク化に関しこれまでどのような取り組みを進めてきたのか、お聞かせ願えますでしょうか。

谷脇政府参考人 お答えを申し上げます。

 総務省におきましては、先ほど御答弁を申し上げましたAIネットワーク化検討会議を開催いたしまして、二〇四〇年代を見据えつつ、AIネットワーク化の進展を通じて目指すべき社会像や基本理念の整理、また、AIネットワーク化が社会経済にもたらす影響、そしてリスクの評価や検討すべき課題の整理を進めてきたところでございます。

 この検討会議におきましては、本年二月から六月までの間、分科会等を含めて計十八回の会合を開催いたしまして、四月に中間報告、また六月に報告書二〇一六を取りまとめていただいたところでございます。

 こうした検討の成果につきましては、例えば、四月末に行われましたG7香川・高松情報通信大臣会合におきまして、高市総務大臣から、AIの研究開発に関する八原則を提唱いたしまして、参加各国からも国際的な議論を進めることについて賛同が得られたところでございます。

 私どもといたしましては、引き続きこうした国際的な議論をリードしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

輿水委員 ありがとうございます。

 まさに、総務省において、さまざまな問題を先取りしながら積極的な議論がなされているということがわかったわけでございます。

 AIは、過去の経験や知識、情報の処理能力では、やがてあらゆる分野で人間を超えるとも言われておりますが、そのAIの出した結論を活用するか、またどう活用するかを決めるのは人間であると思います。そして、その社会実装のあり方というのは、人類の未来を大きく左右することにもなるのではないかと思っております。

 そこで、人間を中心としたAIネットワーク社会、AIの生み出す知恵と知恵が連携し、人類の繁栄と発展をもたらす、先ほどの智連社会、ウイズダム・ネットワーク・ソサエティーの実現に向けて、世界の国々が一堂に会しAIの利活用に関する物事を議論する国際的な会議を日本が主導していく、そういったことも大変に意義のあることではないかというふうに考えるわけでございますけれども、ここで高市大臣のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

高市国務大臣 今局長から答弁しましたとおり、ことしの四月のG7情報通信大臣会合では、日本からAIの研究開発に関する八原則を提唱して、参加各国から国際的な議論を進めることについて賛同を得ることができました。

 その後ですが、六月に行われたOECDデジタル経済に関する閣僚級会合においても、このG7情報通信大臣会合の成果を御紹介しながら、AIネットワーク化に関する国際的な議論の必要性を提唱しました。

 さらに、日本主導で国際的な議論を進めるために、AIネットワーク化検討会議を発展的に改組しまして、先月、AIネットワーク社会推進会議を立ち上げました。この会議で、AI開発原則の内容を具体化したAI開発ガイドラインに関する検討を進め、さまざまな分野でAIの具体的な利活用の場面を想定して、AIネットワーク化の社会経済にもたらす影響やリスクについても御検討いただき、来年の夏ごろを目途に報告書を取りまとめていただきます。

 さらに、これから、国内の関係機関はもとより、G7やOECDなどとも連携して、AI開発ガイドラインの策定に向けた国際的議論を具体化、活性化させて、そして、その中心的な役割を日本が果たしていきたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに、出だしが肝心でございまして、しっかりとした議論の中で、本当に日本が中心的な役割をぜひ果たしていただければ、このように思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 時間も大分押し迫ってまいりましたので、若干質問を飛ばさせていただきまして、前回ちょっと聞きたくて聞けなかったことなんですけれども、近年、ICT、IoTの利活用ということで、さまざまな部分で利活用が進んでいるわけですけれども、特に私が気になっているのが、日本の耕作放棄地でございます。

 四年前、耕作放棄地が三十二万ヘクタールということで、これが埼玉県の面積で大変だということで騒いでいたんですけれども、もう既にそれが四十万ヘクタールと急激にふえている。このような状況の中で、この耕作放棄地の増加に歯どめをかけるためにも、農業へのICT、IoTの活用は大変に重要であると考えております。

 しかしながら、農業の現場にはICT、IoTの人材が少ない現実もあり、現場への総合的な支援が必要である、このように考えているわけでございます。

 そこで、農林水産業にICT、IoTを活用するスマート農業の地域実装について、総務省の具体的な取り組みの現状と今後に向けた意気込みをお聞かせ願えますでしょうか。

あかま副大臣 お答えいたします。

 今、委員おっしゃるように、農林水産業は、特に地方においては、さまざまな面で御苦労があり、また重要な役割も担っております。担い手の減少であるとか高齢化というようなもの、また新規農業者への技術の継承といった大きな多くの問題、課題を有していると思っております。

 その課題に対する手だて、また解決策として、今おっしゃるいわゆるスマート農業というものは有効である、そのことによって、労働力の負担の減少であるとか生産性の向上、これが図られるものというふうに思っております。

 そういった意味で、その中で、総務省では、例えば、農林水産省等と連携をして、農業の現場またICT双方の専門家から成る研究会を開催し、農業情報の利活用に係る標準化のガイドラインの策定を進めておるところでございます。

 現在、農業、医療など生活に身近な分野での地域発の先導的なIoTサービスの創出、展開を後押しする実証事業、これに全国で八チームが取り組んでおりますが、このうち二つは農林水産部門でございます。

 そうしたことを踏まえながら、各分野の課題それからICT活用の進め方のモデル、政策ツールの取りまとめ、達成すべき指標、効果などを盛り込んだロードマップを年内に策定、公表することというふうにしております。

 総務省といたしましては、このような作業を通じながら、関係省庁や自治体とも連携協力を深め、あらゆる政策ツールを総動員して農業のICTの地域実装を進めて、若い人にとって魅力ある農業、これにぜひしっかりと取り組み、地域の活性化に貢献したい、そういうふうに思っております。

 以上です。

輿水委員 どうもありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 時間もぎりぎりですか、時間になってしまいました。ただ、一つだけ聞かせていただいてもよろしいですか。

 では、聞かせていただきます。

 先ほど高木先生からも実は質問がありまして、財政審においての交付税の削減ということで、地域では給与関係費や投資的な経費を本当に抑えて頑張っているにもかかわらず、計画に対して決算が下回っている、こういった答申が出たわけでございますけれども、これに対しての、高市大臣として、これは違うんだ、またそういうものではないんだということで、ぜひ財務省にしっかりとした取り組みをしていただきたいとまた思うんですけれども、その辺の思いだけをまず語っていただけますでしょうか。

高市国務大臣 先ほど答弁がありましたとおり、財務省の試算には大いなる疑問を感じておりますので、これまでも記者会見や国会において私から意見を述べておりますし、総務省としても事務的に記者の方々に対して説明会も行っております。

 十一月一日に開催された地方財政審議会でも議論をしていただいておりますので、今後とも必要な主張はしっかりと行ってまいります。

輿水委員 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 ちょっと順番を入れかえますので、通告の順番と違うことは御容赦いただきたいと思います。

 最初に、鳥取中部地震関連について伺いたいと思います。

 先月の二十一日に、倉吉市を初めとする鳥取県中部で震度六弱の地震が起こりました。被災された皆様には心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 まず、現時点の把握しておられる被災状況について伺いたいと思います。

大庭政府参考人 今回の鳥取県中部を震源とする地震における住家の被害につきましては、消防庁が被災した各県から報告を受け、十一月十四日十六時時点で取りまとめた資料によりますと、全壊十五棟、半壊九十八棟、一部破損一万二千五百二棟となっております。

奥野(総)委員 新聞情報なんかによりますと、家屋破損調査というのをやっていて、八千二百八十七、これは九日の時点らしいんですが、届け出が出ていて、今調査中ということで、これは少しずつふえていくんだと思います。

 先日、この場でも、耐震基準が大丈夫かという観点からちょっと質問をさせていただいたのですが、熊本でも結構全半壊があったんですね。それで、そのときに、二〇〇〇年の耐震基準を満たしている木造家屋が結構倒壊していたということが問題になりました。

 それについて、例えば、建築基準を見直して、直下率、要するに、二階をちゃんと一階の柱で支えるように、一階ががらんどうで二階が結構立て込んでいると倒れやすい、こういうことを言う学者の先生もいらして、直下率という概念を建築基準に入れたらどうかという話があります。

 それについて、私も質問主意書を出したんですが、直下率については現時点では取り入れるつもりはない、こういう答えが返ってきています。それを一点確認したい。

 もう一つは、大型の建物については地域補正係数というのがかかっているんですね。これは「NHKスペシャル」でわかりやすく解説していただいたんです。「NHKスペシャル」は私はよく見ていますが、その中でわかりやすく解説していました。

 地域によっては、耐震基準に係数を掛けて耐震基準を緩めているんです。例えば、鳥取・倉吉市では地域地震係数は〇・九ということになっていまして、わかりやすく言うと、東京で鉄筋を十本入れるところを倉吉では九本でいい、こういうことなんですね。熊本もたしか地域地震係数というのは〇・九なんですよ。

 この地域地震係数というのはいつできたかというと、ずっと戦後古くから、私もちゃんと調べたわけじゃないんですが、昭和二十年代に最初にできているんですかね。その後、一九七九年に、沖縄が日本に七二年に返ってきて、沖縄の係数を調整するために変更してから変わっていない。ちなみに、沖縄は地震が少ないということで〇・七らしいんです。

 伺いたいのは、古い知見に基づいてつけられている地域地震係数、これは今のままでいいんですか。例えば、鳥取や熊本は比較的地震が少ないということを前提に〇・九という数字が決まっているんですね。これを見直すつもりはないんですかというのが私の質問であります。

 質問主意書にもいただいているんですが、中長期的な課題と考えると書いています。確かに、急に変えるとパニックになる、あるいは建設コストがかかるという問題はあるんですが、さりとて、この話をほっておいていいものかということで、私は早急に地域地震係数を最新の科学に基づいた地震の確率等に基づいて見直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 十月二十一日に発生した鳥取県の中部地震では、御指摘のとおり、全壊の建物が十五棟ありましたけれども、倒壊に至ったものは、北栄町において旧耐震基準の木造住宅が二棟ということになっております。

 倒壊が確認されたこの木造住宅の二棟は、先ほど申し上げましたとおり、いずれも旧耐震基準によるものでして、昭和五十六年以降に基準を強化した壁の量や配置それから柱、はり等の接合部による耐震性能の確保が不十分だというふうに考えております。

 御指摘の、上下階の壁が一致するといういわゆる直下率でございますが、今回の地震による被害に影響を与えたというふうには考えておりません。

 また、もう一つ、地震地域係数についての御質問をいただきました。

 地震地域係数は、倉吉市などでは御指摘のとおり〇・九というふうになっていますが、この地震地域係数を用いて構造計算を行う規模の建物においては倒壊したものは確認されておらず、地震地域係数の影響は特段なかったというふうに考えております。

 ただ、御指摘のとおり、地震地域係数、これまで構造物ごとの特性や地震被害の状況等を踏まえて一部見直しは行われておりますが、土木構造物、建築物とも昭和五十年代に、当時把握できていた過去の地震、恐らく数百年に一回ぐらい起きるような地震を念頭に置いて、その同じ程度皆さんどの地域でも守られるようにということで、地震の頻度等を勘案して決めているということでございます。

 最近、地震に対する知見の充実もございますので、最新の知見を整理して、専門家の意見も伺いながら議論はしていきたい。

 ただ、今回の地震でも、地域の被害状況に影響が、熊本においても地域係数の影響は確認されなかったというふうにされておりますので、直ちにというわけではないんですが、御指摘のとおり、レビューはしてみたい、このように思っております。

奥野(総)委員 これは「NHKスペシャル」によればですが、熊本は結構倒壊しているんですね。ただ、たしかそれは耐震基準の不備によるものではないという見解だったと思いますし、あるいは、マンションなんかもひびが入って使えないような例も出ているんです。だから、絶対に安心かと言われると、それは私は必ずしもそうでないという印象を受けました。

 ですから、もう一度最新の知見で見直すというのは、結論として、変えないという結論もあるのかもしれませんが、とにかく、もう一度最新の知見で見直すべきだと思います。今の答弁はそういうふうに受け取らせていただきますが、では、一言だけ。

伊藤政府参考人 建築基準法におきましては、震度六強から七に達する程度の大地震に対して建築物が倒壊しないことということと、それから、震度五強程度の中地震に対して建物がほとんど損傷しないということを求めております。

 御指摘のマンションの損傷に関しましては、そういう意味では、建築基準法、最低基準たる建築基準法上は問題ないというふうに思ってはおりますが、さらに恐らく高い、損傷もしないでずっと住み続けられたい、こういうような方々も当然いらっしゃるかというふうに思います。

 こういうものに関しましては、熊本においても、私どもの住宅の性能表示という形で、より高いレベルの地震に対応するものについての性能表示をするという制度がございまして、これで等級の高いもの、より高い地震に対応しているものについてはほとんど損壊がなかったという結論になっておりますので、そういったことへの情報提供なり普及促進も含めて対応してまいりたいというふうに思っております。

奥野(総)委員 これでずっとやりたいところですが、時間も、ほかに質問するのでやめますが、等級表示というのは、そもそもちょっと釈然としなくて、だったら高いところにそろえればいいんじゃないかという気もしますね。またどこかで改めて議論していきたいと思います。

 もうこれ以上この関係は質問しないので、席を外していただいて大丈夫です。ありがとうございました。

 それでは、次は、済みません、お待たせをいたしました、NHKの問題について伺っていきたいと思います。(発言する者あり)NHKも、きょうはちょっと優し目に最初は入っていきますが。

 まず、ちょっと順序を変えますが、最初に伺っておきたいのは、総務省に一問だけ。

 ネットの同時配信について、海外の状況ですね。テレビ番組のネット同時配信について海外はどのぐらい行われているのか、あるいは、そうした公共放送の同時配信についてはどういう負担を求めているのか、伺いたいと思います。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 公共放送が非常に発達しておりますヨーロッパの事例を中心に御説明を申し上げたいと思います。

 イギリスでは、もうかれこれ十年近く前からBBCが、iPlayerという名前で、テレビ、ラジオに並ぶ第三の業務の柱として、オンデマンドサービスというものを提供してございます。地上波と同じ放送番組をネットで同時配信もしくは見逃し配信をするというサービスに力を入れてございまして、月間で二億回を超えるようなアクセスもあるということで、BBCの放送番組をテレビではなくPCでありますとかスマホで視聴される方が非常にふえているというふうに伺っております。

 ドイツにおきましても、公共放送の担い手でありますARDあるいはZDFが、あるいは、フランスの公共放送であるフランス・テレビジョンが、それぞれ放送番組の同時配信あるいは見逃し配信を積極的に提供するというサービスに同様に取り組んでいるところでございます。

 こうしたネット同時配信の財源でございますけれども、イギリスにおきましては、テレビ番組サービスの受信機の設置が許可制になってございますので、テレビの端末と、同時配信を行うネット端末の双方から受信料を徴収してございまして、その受信許可料が財源となっているところでございます。

 フランスは、ネット端末を除くテレビ放送受信機を単位として徴収された負担金と言われるものが財源となっております。

 ドイツにおきましては、御案内のとおり、三年ほど前に受信料制度が廃止をされまして、受信機の設置の有無にかかわらず、全ての居住者、それから事業主から徴収されます公共放送負担金と言われるものが財源となっているところでございます。

 いずれにしても、我が国の受信料に相当する受信許可料あるいは公共放送負担金と言われるものが財源になっているというふうに承知をしております。

奥野(総)委員 今の答弁では、一つは、相当早くからテレビ番組のネット送信、同時送信というのはヨーロッパにおいて、あるいは、もうちょっと言うと、世界じゅうにおいて進んできたということだと思います。

 それから、負担のあり方については、公共放送については、いわゆるスマホ、パソコンでの視聴について、対応が分かれているということですね。ですから、これはなかなか難しくて、負担の公平の観点から、どこまで取るかという議論を恐らくしなきゃいけないんだと思います。だから、日本においても非常に参考になる議論だと思います。

 ちょっとここで順序を変えて、会長、経営委員長がお見えですから、そちらに質問を移していきたいんです。

 日本においても同時再送信の話が進み出したのは、私は籾井会長の功績だと思うんですね。会長が一生懸命声を上げたから動き出した、総務省も動き出したと思うんです。

 そこで、まず籾井会長、私はずっとこの三年間質問をさせていただきまして、これは恐らくこの任期においては最後の質問になろうかと思います。それで、伺いたいんですが、この三年間を振り返って、みずからの実績、こういうことをやれたんだということをちょっと述べていただきたいと思います。

籾井参考人 お答えしますというようなことなのかどうかよくわかりませんが、私は、自分のやったことを自分でやるということは実は座右の銘からしても外れるんですが、委員からの御質問でございますので、あえて幾つかを簡単に申し上げたいと思います。たくさんあるんですが、簡単に申し上げたいと思います。

 まず、NHKの番組が非常によく見られるようになりました。これは、昨年になりまして抜本的に編成の仕方を変えました。時間を変えるとか、番組の順序を変えるとか、いろいろなことをやりました。その結果、上半期のゴールデンタイムの平均世帯視聴率が、我々初めてでございますが、全放送局の中でトップに立つなど、各時間帯で従来を上回っている。これは、地味なことではありますが、大きな現象であろうと思います。

 それから、リオのオリンピックにおきまして、パラリンピックを、初めてとは言いませんが、全面的にライブで同時中継させていただきました。これにつきましては、極めて大きな反響を関係各位並びにパラリンピックのプレーヤーからいただいております。

 それから、国際放送は、もう私何度も申し上げているとおり、随分と強化しました。NHKワールドでは、二十九番組を新設するなど刷新をいたしました。視聴可能な世帯は世界で二億九千万に達しますけれども、その間に、やはり外国から来たお客さんが日本でNHKワールドを見られないという現象、こういうことがあったわけで、これを解消するために、各ホテルに回って入れてもらうとか、最近では大手のケーブルテレビ会社二社に入れてもらいまして、大体各家庭でも見てもらえる。

 それから、非常に大きかったのは、渋谷のセンター、これを神南に建てかえるということでございます。

 営業では、支払い率八〇%、これは来年度末で十分できますし、五〇%は先にできます。

 それから、8K、4Kについても、4Kの放送を行うという決断もいたしました。最初は8Kだけだったんですが、4Kを入れました。二年後の実用開始を目指しております。

 それから、ネットの同時再送信、これはテストでやらせていただいておりますけれども、熊本地震などで非常に大きな役割を果たしたというふうに思います。

 あと、いろいろございますが、女性の登用、これは二〇二〇年までに管理職を一〇%にするとか具体的な目標を掲げて、実際に着々と進めております。

 それから、グループ経営、これはいろいろ不祥事もございましたけれども、この改革を断行し、関連団体のガバナンスを徹底し、具体的には、公認会計士を主要七社に入れて、そこでのガバナンスをさらに強化している、こういうことです。

 まだまだありますが、この辺でやめさせていただきたいと思います。

奥野(総)委員 みずから語らないとおっしゃった割には、たくさん語っておられたように思いますが。

 その中で、支払い率を引き上げたということで、受信料収入が二〇一四年、一五年は過去最高になっているということなんですが、これはどうですか、会長、視聴者に、受信料、過去最高益になっていますが、支払い率が上がってきていますが、余った受信料は還元すべきだと思いますか。受信料を現時点で引き下げられると思いますか。

籾井参考人 今、来年度の予算をつくっている最中でございますし、この前、基本的な計画を経営委員会に出しました。それで、今、いろいろ議論をしております。

 いろいろな理屈はちょっとやめましても、今まで、視聴者の皆さんに、センター建てかえがあるからということで、ずっと余ったお金は積み立てに回させていただきました。おかげで、スケジュールより相当早く積み上がったというふうに思っておりまして、我々としては、これ以上積み立てる必要がないのではないかというふうに思っております。そういう意味におきまして、今まで積み立てたお金は、ぱっと見ただけで余るわけでございますから、これは返せるんじゃないかと私は思っております。

 ただ、こういうことは、予算に反映して、最終的には経営委員会の議決事項でございますので、そういうプロセスを経なければならないのは事実ですが、今、現実には、私はそのように思っております。

奥野(総)委員 経営委員長も会見でおっしゃっていますが、確かに議決を経ないと詳細はお答えになれないということのようなんですが、今の答弁をもう一度確認しますが、会長個人、執行部側としては、余ったお金は引き下げに回すべきだということをおっしゃっているということでいいですね。

籾井参考人 ただいま予算の審議中でございます中で、そういう意味におきまして、中での状況を申し上げるわけにはいきませんが、私は、今までずっと積み立ててまいって、もはやこれ以上建設資産積み立てを行う必要がないという現実に達したと思っておりますので、理屈としては、これは視聴者にまずはゼロ予算でお返しすべきではないかということで、個人的にはそう思っております。

奥野(総)委員 もう一度だけ確認します。

 議論はともかくも、経営委員会にそうした提案をしているということは事実なんですね。

籾井参考人 今、予算の審議中でございますので、私が具体的に、我々執行部が具体的に経営委員会に御提案申し上げたかどうかについては、お答えを差し控えさせていただきます。

奥野(総)委員 いろいろ、るる実績についてもお話がありましたが、ここでもう一度伺いたいのは、それだけの実績を上げてきたという自負はあると思うんですが、これも個人の見解で結構ですが、次期会長の資格は自分であると思いますか。

籾井参考人 私が資格があるかないかというのは本当は答えるべきではないと思いますが、もしないとすれば、今の会長もやっておれないんじゃないかというふうに思います。

奥野(総)委員 今のはあれですか、続投の意欲を示したということでよろしいでしょうか。

籾井参考人 これについても何度も記者会見等々で申し上げておりますが、この件は一二〇%経営委員会の決定によるものだと理解しております。

奥野(総)委員 続投の意欲を示されたということでしょうね。資格がないとすれば今もやっていられないということは、今やっているということは次もやる資格がある、こうおっしゃったと理解しておきます。よろしいですよね。

籾井参考人 経営委員会の資格に合わないとすれば、繰り返しになりますが、私は今NHKの会長をやっておるわけはないと思います。

奥野(総)委員 結構踏み込んだ発言をしていただきました。

 これからは少し厳し目の話に入っていくんですが、値下げ、余っている、こうおっしゃっています。そして、放送センター、千七百億で固まっているとおっしゃっていますが、一つ放送設備の問題があって、あれは設備なしの話ですよね。

 それで、設備については更新になるので、設備投資の更新になるので費用はかからないんだとおっしゃっていますが、ただ、これは、現行の放送設備から4Kになるのか8Kになるのかによって恐らく変わってくると思うんです。

 それから、ネット配信の話をしたときに、これを4Kでやるのか8Kでやるのかという話もありますね。今、総務省の方で技術的な検討課題ということでされていると思いますが、一体それはどのぐらいのコストがかかるのかもなかなか見通せないと思うんです。

 そういうことを抜きに、余っていると言ってしまって、本当に大丈夫なんですか。

籾井参考人 私は、以前から、値段の問題は、昨年からも、財政的に余裕がある場合には視聴者にお返しすべきだということは申し上げております。

 それから、4Kの問題については、もう既に現実的なプロセスに入っておりますので、それはきっちりと見てやっております。御心配いただかなくても、我々執行部として、責任を持ってそういうことは見ております。

 それから、同時再送信につきましては、NHKはまだ再送信ができる立場にありませんので、ただ、これも予見はしておりますけれども、具体的に織り込むというようなことはなかなかしづらいわけでございます、来年度の予算では。そういう意味におきまして、再送信の問題は、法律がきちんと決まるという見通しを持ったところで、もっと具体的な詰めに入りたいというふうに思っています。頭の中にはあります。

奥野(総)委員 総務省は検討を始めているんですが、そういったことも含めて、受信料制度全般の話も検討されるやに伺っています。会見などを見ても、そう書かれているんですね。

 ということで、現時点で果たして本当に値下げを言い切れるのか、そういうことがきちんと整理されてから値下げの話をすべきじゃないか。値下げの水準も、果たして報道されているように、五十円という報道が出ていますが、ネットの世界なんかでは、五十円では少な過ぎるなんという声もあるわけですね。いろいろな意見がある中で、あるいは制度もまだ固まっていない中で今この話をするのは時期尚早だというふうに私はむしろ思うんですね。

 ここから経営委員長に伺いたいんですが、経営委員会の中の話はできないと思いますが、経営委員長自身が、マスコミのインタビューなんかで、建てかえ費用が千七百億円の中に全ておさまるということはないんだ、本来の仕事に資金を向けていくことがまず大事だと指摘するというような報道がなされていますが、この引き下げについての経営委員長の考え、これでよろしいんですか。

石原参考人 お答えいたします。

 経営委員長個人の考え方、こういう御指摘でございますので、また経営委員会として議論している最中でございまして、予算に関することについては、今ここでお答えということは差し控えさせていただきたいと思うんです。

 やはり今、来年度予算の考え方、十一月八日に提示されました、それについて、まだ議論の途上でございます。

 私、経営委員長に就任したときにも記者会見で聞かれまして、やはり受信料の問題というのはNHKの最も重要な問題であると思っています。この辺は籾井会長と全く変わらない。

 したがって、私は、やはり中長期的にきちっとNHKの業務の、これからどういうことが必要なんだということを含めてあわせて検討すべき問題だと思っております。

 以上です。

奥野(総)委員 個人的な見解としてという断りはついていましたけれども、よく理解をできました。

 私も同じような見解、引き下げ自体、私は決して反対ではなくて、与党時代にも、当時の数土経営委員長のもとでの引き下げを我々は強く主張して、あのとき、一〇%といってどうしてもできなくて八%ということもあったんですけれども、我が党としては、できるだけ合理化して引き下げていくというスタンスは変わらないんです。

 ただ、これは私の個人の意見ですが、今の時点で、制度も見通せない中で引き下げるというのは早急だという気は私もいたします。

 またちょっと質問をかえますが、その上で、今会長からるる御発言がございましたけれども、経営委員長として、NHK会長に求める資質は、どのような資質が必要なのか、どのような方がふさわしいと考えておられるのか、改めて伺いたいと思います。

石原参考人 お答えいたします。

 公共放送の会長として国民から信頼される方ということでございまして、現在、御承知のように、新会長の選任の段階に入っております。手続をきちっとやろうという中で、資格要件について十二名の経営委員で議論をいたしました。

 そこで、前回とそれほど変わっておりませんけれども、五項目の資格要件を決めました。一つは、NHKの公共放送としての使命を十分に理解している。二つ目が、政治的に中立である。三つ目に、人格高潔であり、説明力にすぐれ、広く国民から信頼を得られる。四つ目に、構想力、リーダーシップが豊かで、業務遂行力がある。五つ目に、社会環境の変化、新しい時代の要請に対し、的確に対応できる経営的センスを有する。この五項目を十二名の委員で決めたところでございます。

 この五項目に該当するNHKの会長としてふさわしい人を選任していく最大限の努力をしているところでございます。

 以上です。

奥野(総)委員 会長にちょっとまた重ねて問いますが、今の資格には御自分は当てはまっている、日本のトランプなんて言われていますが、今の資格に当てはまっているとお考えでしょうか。

籾井参考人 お答えします。

 これは経営委員の方が私が当てはまるかどうかというのを決めて判断されることだと思っております。

奥野(総)委員 経営委員長にもう一度伺いますが、三年連続して籾井会長のもとで予算の全会一致承認というのが崩れています。これは極めて大事だと思うんですね。

 なるべく政府はNHKの経営に関与しないというシステムをとっている。その中で、唯一予算が、唯一とは言いませんが、政府の関与が含まれている。これは非常に大きいと思うんですよ。それをどうカバーしてきたかといえば、全会一致を取りつける、特定の与党の賛成だけじゃなくて、全会一致を取りつけることが報道の公正中立を守る一つの指標となってきたと思うんですね。これは極めて大事なことだと思うんです。

 ですから、三年連続この慣行が崩れてきているということ。

 それから、任期中三回にわたって経営委員会が会長に注意をされています。いろいろな発言、きょうは特に取り上げませんでしたが、過去のいろいろな事例で注意をしています。

 こういったことは次期会長の選任の考慮要素にはなるんでしょうか。

石原参考人 次期会長の選任要件は、先ほど申し上げました五点、それにできる限り該当する人を選ぶということに尽きるわけでございます。

 具体的な話は、当然、今人選の段階でございますので、この場では差し控えさせていただきたいと思います。

奥野(総)委員 経営委員長に、最後に、今後の会長選任のスケジュール、大体いつごろをめどにやっておられるのか、改めて、年内という話もございますが、そこに変わりはないのかについて伺いたいと思います。

石原参考人 お答えします。

 年内、もう日にちも余りなくなってまいりましたけれども、年内には新しい会長を決めたいということで進めております。

奥野(総)委員 ありがとうございます。

 残り時間わずかですが、今までの議論を聞いて、大臣にも伺いたいんです。

 受信料の見直しについて、大臣は、「NHK番組のネット同時配信が認められた場合の受信料について、「有識者会議の議論を踏まえ、総務省が具体的な制度設計を行う」と述べた。」これは朝日新聞にあるんですが、踏み込んで、受信料は今いろいろな問題が起きていますよね。スマホでの視聴が裁判で受信料徴収の対象にならないという判決が出たり、いろいろな問題が起きている。あるいは、最高裁の大法廷に今度回帰されるというような話も出ていますが、こういったいろいろな現状を踏まえて、受信料制度全体を今見直すというお考えはおありでしょうか。

高市国務大臣 委員がお引きいただいた朝日新聞の報道でございますけれども、NHKの籾井会長が、ネット配信が許された場合、我々が独自の料金体系をつくると発言されたという報道に対する総務大臣の見解を閣議後の定例記者会見で問われましたので、常時同時配信を認めるかどうかについては何ら決まっていないということをお断りした上で、事実関係についてお答えしました。

 受信料のお話も、先ほど来委員がかみ砕いて順次質問をしてくださいましたけれども、やはりこれからの取り組みにかかってくると思います。

 おっしゃるとおり、ネットの同時配信にも相当な費用がかかります。試験的にやっている配信につきましても、これは受信料の一部を活用しているわけでございますので、そもそも常時同時配信について今後認めるかどうかはまだ決まっていないこと、これを検討した上で、受信料制度の中で位置づけるのか、独自に料金を定めるのかといった基本的な枠組み、ここを決めていかなきゃいけません。

 そうしますと、これも、有識者の検討会における議論を踏まえて総務省が具体的な制度設計をまず行う、それを受けてNHKがまた料金体系の案をつくるということは考えられると思います。

 いずれにしても、まだ常時同時配信を認めるかどうかについて検討していますので、そのサービスの費用を誰がどのように負担するかということについても、現時点では何ら決まっておりません。

 受信料については、御承知のとおり、放送法に基づいて、国会がNHK収支予算を承認することによって定めるということですから、近々の受信料についてはそういうことでございます。

奥野(総)委員 私は、日本はおくれていると最初に申し上げましたけれども、やはり同時配信、民放連さんもようやく前向きな発言をされるようになりましたし、どんどん進めていくべきだと思います。そのために障害になるような制度はきちんと検討して、改正していくということだと思います。

 ですから、受信料の引き下げという議論はあってもいいと思いますが、そこを見据えてきちんと議論していただきたいというのが私の考えであります。

 以上で終わりたいと思います。

竹内委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 鈴木です。

 きょうは、いろいろな観点というか、まず災害について、そして、災害というよりも、むしろそれに対する消防団、消防職員等について、また、非常にアナログ人間の私が、超デジタルのお話、ビッグデータの話を聞こうということでありまして、少しあちらへ飛んだりこちらへ飛んだりするかもしれませんが、順次伺っていきたいというふうに思います。

 災害は常に変化するということが言われていますし、災害は忘れたころにやってくるというふうに言われていますが、昨今は忘れないうちにやってくるというふうにも言えるのではないかなと思います。相次いで被災を受け、犠牲になられた方、被害を受けた方は本当に大変だというふうに思っています。

 私ごとで大変恐縮でありますが、きのう私は七十三歳になりました。スーパームーンの日に七十三。すばらしい月を一緒に見られるかなと思ったら、残念ながら東京は雨でございまして、残念ですが。

 何が言いたいかというと、七十を超えて、今まで経験してきた災害を見てみますと、少し傾向があったというふうに思います。いろいろなお考えがあるかもしれませんけれども、まず、台風というものに対して非常に重きを置いて備えた時代、それから、地震に対して備えた時代、津波の洗礼を受けて備えていくという時代、それから、昨今ふえてきておるのは水害、集中豪雨のようなゲリラ豪雨的な水害、それから、いわゆる火山、それから異常気象、最後に原発リスクということで、本当に災害は多岐にわたっておるし、複合的な災害もふえてきておるということであります。

 そこで、具体的に御質問に入るわけでありますが、消防署員、そしてそれに対する消防団の問題を少しお尋ねしていきたいというふうに思います。

 消防庁は、女性消防吏員のいわゆる増員ということをかねてより言ってきておるわけでありますが、ただ、私も地方自治体の首長、市長をやってきたという経験の中で、女性の職員、消防署員を採用すると、具体的に申し上げますと、女性専用のトイレとか浴室とか寝室の整備というのが必要になるわけですね。また、女性職員の採用で先行している消防本部では、女性職員がふえてきたということによって、そういった設備面の整備が追いつかなくて、結果的に日常勤務に配置をさせておるというようなことであります。

 そこで、多くの女性が災害現場で活躍し、そして頑張っていただくためには、私は、全ての既存庁舎に対して、例えば寝室の個室化とか浴室の改善、浴槽の改善とかトイレの増設だとか、そういったハード面の整備をやっていかなければ、これはまさにかけ声だけで終わってしまうと思うんですね。

 そこで、具体的にお伺いしたいんですが、このような状況に対して、財政面で総務省消防庁はどういうふうに考えているのか、その辺のところをまず最初にお聞かせいただきたいと思います。

大庭政府参考人 お答えします。

 御指摘のように、消防庁では、女性消防吏員の活躍推進に力を入れて取り組んでいるところであり、全国の消防本部に対して、数値目標を設定した上で女性消防吏員の計画的な増員や、女性の職域拡大の推進をお願いしているところでございます。

 御指摘のように、女性消防吏員が増加していきますと、既存の庁舎において女性専用の施設を整備し、女性消防吏員の執務環境を整えていくことが必要不可欠となり、その整備のための支援措置を講ずることが重要であると考えております。

 このため、今年度から、消防署や出張所における女性専用の浴室、トイレ、仮眠室、更衣室、こういったような施設の整備に対しまして特別交付税措置を行うこととしたところであり、こうした支援措置を通じまして女性専用施設の整備を促進してまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 現実に、どの程度それが今なされているというふうに把握をされていますか。把握をされていなければ、私はやはり早急に現状を捕捉する必要があるというふうに思うんですが、今どの程度の段階にあるかというのが、大ざっぱで結構ですので、もしわかればお示しをいただきたい。わからなければまた後日で結構ですけれども、いかがでしょうか。

大庭政府参考人 私ども、定量的な調査はしておりませんけれども、定性的に考えますと、私自身、いろいろ出張に行ったりして見させていただきますと、大きな消防本部、政令市等においては、例えば救急の隊員に女性がなって、そのためのシャワーがあったりとか、あるいは出張所、署に個室があったりというようなことがございます。

 全体的な調査は、今のところしておりません。

鈴木(克)委員 恐らく、田舎、地方の状況というのはきちっと把握されていないというふうに思うんですけれども、やはり、そういった女性吏員をふやしていくということであれば、早急に私は現状を把握する必要があると思いますので、それだけはぜひやるようにしていただきたい。この要望をしておきます。

 次に、消防団についてお伺いをしたいと思うんですね。

 これも繰り返しになりますけれども、東日本大震災でお亡くなりになった消防団員が二百五十七名という、本当にとうとい犠牲です。細かいことは申し上げませんけれども、本当に、命を落として地域住民を守ろう、地域を守ろう、家族を守ろうということで、結果的にはお亡くなりになってしまったということであります。

 消防団の今までの歴史といいますか、これは、八代将軍吉宗のときに、大岡越前守に吉宗が命じて町火消しをつくった、それが消防団の前身であるというふうに言われております。いろいろ説があるかもしれませんけれども、私はそのように思っているんですが、そういった本当に歴史と伝統のある消防団が今どうなっているかというと、団員が本当に減少しているんですね。各消防団は、団員の確保に大変な努力、苦労をされておるわけであります。

 そういった中で、総務省消防庁として、団員の確保について、また減少の現状についてどのような認識と対策があるのか、お示しをいただきたいと思います。

大庭政府参考人 お答えします。

 御指摘のとおり、消防団員については減少傾向が続いておりまして、この四月一日時点で八十五万六千四百十七人、昨年度比〇・四%の減となっております。

 平成二十五年十二月の消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律の成立、施行を受けまして、消防庁では一層、消防団への加入促進等に取り組んでおります。

 平成二十七年二月には、総務大臣から地方公共団体の長宛ての書簡を発出していただきまして、女性や若者を初め、サラリーマン等の消防団への加入促進について依頼を行ったところでございます。

 特に、女性や学生については、女性団員が所属していない消防団においては、女性団員の確保について早急に取り組むとともに、市町村に働きかけをお願いしたり、あるいは、消防団に所属する大学生などに対する就職活動支援の一環として学生消防団活動認証制度を創設するなど、さらなる加入促進策を実施しておりまして、女性、学生につきましては、その団員が年々増加しているところでございます。

 これらにより、消防団員数の減少幅は近年若干減少しておりますが、今後とも、消防団の充実強化に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 これは本当に本腰を入れて対策を立てていただかないと私は大変なことになるというふうに思っていますので、ぜひお願いしたいと思います。

 そこで、一歩踏み込んで対策をということになると、まず、やはり、省庁は違うかもしれぬけれども、例えば子供たちに消防の必要性を教育するとか、それから団員を出していただいておる企業に対していわゆる支援をするとか、そういう具体的な方策が必要だというふうに私は思うんですが、その点は今どんなふうになっていますか、お示しください。

大庭政府参考人 お答えします。

 消防団への加入促進につきましては、女性や若者のさらなる加入促進策を初め、さまざまな取り組みが各自治体で行われております。消防庁では、それらの情報共有や取り組みの促進を進め、一層の加入促進につなげるよう取り組んでいるところでございます。

 例えば、サラリーマンの消防団への加入促進を図るため、消防団協力事業所表示制度を設けておりますけれども、一部地方公共団体におきましては、その表示制度を増加させるため、消防団協力事業所に対する法人事業税等の減税措置や入札における加点などについても行われているところでございます。

 消防庁としては、このような取り組みをより多くの自治体において実施していただけますよう、これらの取り組みの全国展開を図っているところでございます。

 また、少年消防クラブ交流会事業など、少年消防クラブの活動を消防庁としても支援するなど、子供の防災意識の涵養にも取り組んでいるところでございます。

 さらに、女性や若者の加入促進を図るため、女性や若者を初めとする消防団加入促進支援事業によりまして、地方公共団体による先進的な取り組み、例えば大学生による消防防災サークルの活動を支援しまして、学生の消防団加入に結びつける事業などの取り組みを支援するとともに、先進事例として各団体に紹介しているところでございます。

 消防庁としましては、これらの事業や消防団確保のためのアドバイザー派遣などによりまして、女性や学生を初めとする消防団員の増加につきまして、一層力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 今伺うと、一生懸命、積極的にやっていただいておるということはわかるわけでありますが、いずれにしても、地方の消防団の現状というのは本当に厳しい状況にあるということでありますから、さらにひとつ力を入れて頑張っていただきたいというふうに思います。

 最後に、これは語弊、誤解があるかもしれませんけれども、災害時の存在感ということになると、どうしても自衛隊の活躍とか警察の活躍とかいうことになって、消防団の活躍というのが私は比較的取り上げられていないんじゃないかなというふうな気がするわけであります。

 やはり、そういった活躍を適正に評価されれば、さらに消防団の皆さんの士気も上がるということですし、結果的には仲間に入って自分も頑張ろうということになってくるわけでありますが、その辺のいわゆる広報面での体制といいますか、これについては今どんなふうにやってみえるのか、お示しください。

大庭政府参考人 お答えします。

 消防庁では、この四月の熊本地震、八月の台風十号などの災害発生時には、その際に派遣した緊急消防援助隊の活動状況を地元消防本部、消防団の活動とともに被害報に取りまとめまして、更新の都度、報道機関に提供しているほか、ホームページへの掲載、ツイッターによる情報発信を行っているところでございます。また、被災現場における緊急消防援助隊の活動写真などにつきましても報道機関に提供するなど、消防活動の広報に取り組んでいるところでございます。

 ただ一方、災害発生時には人命救助や捜索活動などに従事することを何よりも優先することが消防の責務でありますけれども、現在の災害現場での広報活動につきましてもさらに工夫することが必要と認識いたしております。

 御指摘のとおり、報道機関に対する広報活動を充実させ、国民に消防の活動状況を理解していただき、消防関係者の士気の高揚につながることは有意義でありますので、今後とも、関係者と密接に連携しまして、さらなる広報活動の充実に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 これで消防に関しての質問は最後にさせていただきますが、私はかねてより、やはり消防団の皆さんの活躍を映画にして、そして広く国民に見てもらうというようなことが必要だというふうに思っています。そういうことも含めて広報活動というのをしっかりとやっていただきたいな、このことを要望して、この質問については終わります。

 さて次に、先ほども申し上げました、最もアナログ人間である私が最先端のデジタルの質問をするということでありまして、皆さんが奇異にお感じになるかもしれませんけれども、ぜひ勉強をさせていただくという意味合いにおいても御答弁を賜りたいというふうに思います。

 少子高齢化、そして少子化ということで人口はだんだん減っていく、それをカバーしていくというのは、言うまでもありません、IoTやいわゆるビッグデータの利活用というのが必要だというふうに言われておるわけであります。

 二十八年の情報通信白書によると、IoTやビッグデータ、人工知能の普及が進めば、二〇二〇年度時点での実質GDPを三十三兆円押し上げる、こういう推計が出ておるわけであります。こういったものをこれから利用、活用、そして使って経済や国民の生活を向上させていかないけない、これはそのとおりだと私も思います。

 そこで、絶好の機会を捉えてということではありませんけれども、やはりここで、東京オリンピック、二〇二〇年、これに向けてしっかりとICTの発展を加速させていく必要があろうというふうに思います。

 大臣もさきの大臣発言でそのようなことを申し述べてみえるわけでありますが、五点ほど、このビッグデータについてお伺いをしたいと思います。

 東京オリンピック・パラリンピックの競技大会に向けた4K、8Kの推進や第五世代移動通信システムの導入等のICT環境の整備について、現状、そして今後の具体的なスケジュールについて、まずお示しをいただきたいと思います。

高市国務大臣 今鈴木委員がおっしゃっていただいたとおり、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、我が国のすぐれたICTを世界に発信できる絶好の機会でございます。

 そしてまた、二〇二〇年以降の我が国の持続的成長ということを見据えつつ、社会全体のICT化に今総務省で取り組んでおります。

 4K、8Kについてでございますが、ロードマップを策定しまして、二〇二〇年には多くの視聴者に4K、8Kの映像を楽しんでいただけるよう、放送事業者、受信機メーカーなどの関係者とともに取り組んでいるところです。

 具体的には、昨年ケーブルテレビなどで4Kの実用放送が、ことし八月からは衛星で4K、8Kの試験放送が開始されました。現在、二〇一八年からの衛星による4K、8K実用放送を行う放送事業者を認定するための審査を行っておりまして、来年初頭に業務の認定を行いたいと考えております。

 それから、5Gにつきましては、二〇二〇年の実現に向けて、社会実装に向けた総合的な実証試験の準備、それから欧米、アジア諸国との国際連携、それから周波数の確保に向けました情報通信審議会における検討を進めているところです。我が国企業の国際競争力の強化ですとか地域活性化を、5Gの早期実現によって推進してまいりたいと思っております。

鈴木(克)委員 我が国のそういった整備と同時に、やはり日本の持つすぐれた技術を各国に対して発信して、そして、その仕事を、少しでも日本の技術が役に立つように、世界に対して働きかけていく必要があるというふうに私は思っておるわけであります。

 そこで、二番目の質問として、今お話がありましたように、二十七年九月に情報通信審議会に対して、「IoT/ビッグデータ時代に向けた新たな情報通信政策の在り方」ということで諮問を行ったというふうに伺っています。そして、その答申が去年の十二月とことしの七月に二度出ておるということでありますが、この二度の中間答申を受けて、ビッグデータの利活用について具体的にどのような対応を行ってみえたのか、そしてまた、今後どのような取り組みを行っていくおつもりなのか、その辺もお示しをいただきたいと思います。

高市国務大臣 二度の答申を踏まえまして、総務省では、前通常国会でNICT法などを改正して、NICTの業務にIoTテストベッドへの支援を追加するということとともに、IoTサービス創出支援事業を実施しまして、生活に身近な分野のIoTサービスを早期に具体化するための取り組みを行っております。

 これらの取り組みを通じて、IoT、ビッグデータを社会のさまざまな分野、特に生活に身近な分野で各地域に展開して、地域振興や生産性の向上に取り組んでまいりたいと思います。

鈴木(克)委員 そこで、さまざまな分野でということでありますが、こういったものを利活用するには、具体的に、例えば、国立研究開発法人の情報通信研究機構ですか、これは小平にあるそうでありますが、そういったところだとか、各自治体とか、それから民間企業との連携というのが私は必要になってくるというふうに思うわけであります。総務省として、こういったいわゆる独立行政法人や自治体や民間企業との連携というのは今どんな状況になっているのか、お示しをいただきたいと思います。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、ICTは、医療、農業などさまざまな分野に課題解決あるいは質の向上ということを横串的にもたらす鍵を握るツールでございます。したがって、制度所管省庁あるいは関係機関、企業、自治体の皆さんとの連携、調整は不可欠でございます。

 総務省では、昨年十月に、企業、業種の枠を超えまして産官学でIoT、ビッグデータ、AIの利活用を推進するために、経済産業省と共同でIoT推進コンソーシアムを設立するなど、関係省庁と密接な連携を図ってございます。

 また、先生から御指摘ございましたNICTでございますが、こういった独立行政法人、あるいは自治体、民間企業との連携も既に行っております。

 例えば、医療、農業など、先ほど大臣からお示しいたしましたIoTのサービス創出支援事業でございますが、その実施に当たりましては、ICT基盤技術に関して豊富な知見や大規模な設備を既に持っておりますNICTのテストベッド環境を活用していただくように、公募提案の要件の一つとするというようなこともやっております。

 また、例えば農業分野におきましては、スマート農業の推進に当たって、関係の方々と標準化ガイドラインの策定あるいはユースケースの発掘などを進めております。

 あるいは、自治体との連携についても御指摘ございましたけれども、今、Lアラートの配信ということで、避難勧告などの災害情報を多様なメディアに対して伝達する配信を行っておりますけれども、こうした既存のつながりをビッグデータ利活用の分野にも広げていきたいと考えております。

 こういった関係省庁、機関と有機的に連携してビッグデータ利活用を進めることによりまして、地方創生、地域課題の解決に向けた取り組み、あるいは地域経済の活性化などに貢献してまいりたいと存じます。

鈴木(克)委員 それで、こういった社会を求め、そして、こういったものは利便性が高まるし、我々の生活がさらに向上していくといういい面を今申し上げてきたわけですが、逆に、負の面というか、マイナスの部分もあるというふうに思うんですね。それは、いわゆるプライバシー保護ということが裏腹になってくるというふうに思うんです。

 国民の中に、ビッグデータを民間企業が活用することによって、自分の関係する情報が知らないところで収集をされ、そして使われる、こういう漠然とした不安があるというふうに思うんですが、この不安を取り除いて国民の理解を得なければ、本当の意味でのIoT社会は私は来ないというふうに思うんですね、ICT社会は来ないというふうに思うんです。

 そういう意味で、いわゆる負の側面に対して現段階でどのような対策をとっているのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。

高市国務大臣 IoT、ビッグデータの分野で民間企業によるデータの利活用を推進するためには、まず、利用者のデータの取り扱いについて、サービス提供者が遵守すべきルールを可能な限り明確化すること、そして、利用者が予見可能性を持ってみずからのデータを提供できる環境を整備することが必要でございます。

 総務省では、現在、生活に身近な分野のIoTサービスを早期に具体化するための取り組みであります身近なIoTプロジェクトを実施しているところなんですが、このプロジェクトを通じて、今委員から御指摘いただいたプライバシー情報の取り扱いを含めて、IoTサービスにおけるデータの利活用の促進に関するルールの明確化を行うということにしています。

 それから、ことしの一月、産学官連携のIoT推進コンソーシアムのもとに作業部会を設置しました。経済産業省とも連携して、企業間のデータの流通のあり方について検討を進めているところでございます。

 とにかく利用者が安心できる形でビッグデータの利活用が実現して、IoTのサービスのメリットを国民の皆様に還元できるように、しっかりと取り組んでまいります。

鈴木(克)委員 またちょっと余談ですけれども、よくテレビなんかで、特にアメリカのテレビなんかは、犯罪捜査で、画面がこうあって、そういった技術にたけた女性が直ちに、犯人の所在や、それから、どんな連絡をとったとか、今どこにいるかとか、そういうことが一遍にわかるような社会というか、そういう映像を見るわけでありますが、すごいなと思うと同時に、もし現実にああいうふうになったら、一体全体、まさにプライバシーというのはどんなふうになっていくのかなというようなことも、アナログ人間の私としては要らぬ心配をするわけであります。

 そういうことで、ぜひひとつ、プライバシーの保護、そして、利便性を追うばかりで、そういったものが、また、弱い立場の人が保護されないようなことにならないように、十分考えてやっていただきたいなというふうに思うわけであります。

 そこで、この質問で最後なんですが、いわゆるこういったビッグデータを有効に活用するには、データ分析そしてセキュリティー等、いろいろな知識やスキルを持った人材が不可欠であるというふうに思うんですね。こういった分野の人材育成について、総務省としてこれまでどんなふうに取り組んできたのか、また今後どのようにしていくおつもりなのか、お示しをいただきたいと思います。

高市国務大臣 このIoT時代を担うICT人材の育成の必要性につきましては、情報通信審議会の答申でも指摘を受けております。

 総務省におきましては、まず、IoT時代のサイバーセキュリティーを担う人材育成のために、実践的なサイバー防御演習の強化や若手セキュリティーエンジニアの育成、そして、IoT時代のネットワークの運用管理を担う人材育成のために、ネットワークの構造変化に対応した人材育成のあり方についての検討、そして、若年層に対するプログラミング教育や社会人に対するデータ分析を初めとする高度ICT人材の育成の強化、また、IoT機器のユーザー側の人材育成として、ユーザーに求められる基本知識の明確化や分野ごと、地域ごとの講習会の開催といった施策に取り組んでおります。

 これらの施策を一体的に進めて、委員がおっしゃった人材の育成確保に努めてまいりたいと思います。

鈴木(克)委員 この質問は以上にさせていただきますが、本当に、新しい時代を迎える、バラ色の時代と同時に、その反面、影の部分も必ず私は出てくるというふうに思いますので、いわゆる光と影、両方をきちっと見ながら、そして誤りのないように、最終的にはやはり国家の発展、国民の幸せ、そういうようなために、ぜひひとつ、このビッグデータ、まだ私は完全に頭の中に入っておりませんけれども、有効に使っていただいて、すばらしい国家、そして国民の幸せを追求していただきたい。総務省にはその重大な責任がありますので、頑張っていただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 さて、最後の質問になるわけでありますが、これは先回私も質問をさせていただきましたし、我が党の武正議員からもありました。それからまた、きょう午前中にもあったわけでありますが、どうしても私の立場からお伺いをしたいのは、いわゆる国と地方の問題。

 私は、地方があるから国があるんじゃないかという立場に立つ人間なんですが、違う考え方の方は、国があって地方があるんだよということを言うかもしれません。しかし、あくまでもやはり国と地方が対等でなくてはならないというふうに思うんですが、財政の流れ等々を見ていくと、どうもそうじゃない。金の問題だと、必ず財務省がいろいろなことを総務省に対して言うとかですね。

 その辺で、私は、かつて総務省で仕事をさせていただいた者の一人として、また地方の首長を経験してきた者の一人として、どうしても納得いかないものですから、あえてもう一度ここでお伺いをしたいわけであります。

 何度も出ていますが、財政審で先月の二十七日ですか、財務省が、近年、地財計画の歳出規模が決算額を上回っている状態が続いているという試算を示して、総務省に対して地財計画の精査、見直しを求める必要性を提起したということであります。

 総務省は、財政審が示した試算に対してどういう見解を持っているのか。再三お答えになっていますけれども、もう一度私からお尋ねをしたいと思います。

高市国務大臣 改めてしっかりとお答えをいたします。

 十月二十七日の財政制度審議会に提出された平成二十五年度分の財務省の試算におきましては、計画額が決算額よりも〇・六兆円程度過大であるとしていましたけれども、まず、地財計画の範囲外の歳出であるとして決算額から控除している給与関係経費の決算乖離分のうち、〇・六兆円程度は地財計画経費に計上されている非常勤職員分の歳出であるということ、そして、基金からの取り崩し分見合いの歳出は地財計画の範囲外の歳出であるとして決算額から控除していますけれども、基金からの取り崩し分のうち、〇・五兆円程度は通常収支分の対象とならない東日本大震災に係る市町村の取り崩し分であることなどから、今回の財務省の試算には疑問があると考え、それらを対外的にも申し上げております。

 それから、総務省においても、計画対象外経費の控除や繰越金に係る調整、国の補正予算に伴う調整などを行い、地財計画の歳出規模と決算額を比較しておりますけれども、近年では地財計画の歳出規模が決算額を一兆円程度下回っているという試算をしておりますので、全く財務省と逆なんですね。この点からも、財務省の試算は妥当でないと考えております。

 あらゆる機会に主張を続けてまいります。

鈴木(克)委員 そこで、きょうは財務省にも来てもらっているんですが、地財計画の歳出規模が決算額を一兆円程度下回っている、こういうことなので、財務省の指摘は適正ではないということ、結論的にはそういうことだというふうに伺ったわけでありますが、これに対して、財務省、あえてちょっと私は伺いたいんですが、どういうふうに今の大臣の発言を財務省は捉えているのか、お答えいただきたいと思います。

竹内委員長 財務省藤井主計局次長、簡潔にお願いいたします。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 今回の試算においては、総務省で公表している地方の決算額から地方財政計画外と考えられる経費を除いて、計画に対応した調整後の決算額を算出する、こういうアプローチをとっております。

 このため、総務省が比較に用いている決算額、八十五・一兆円ベースでございますが、との関係におきまして、総務省が地方財政計画には計上していないとしておられる経費、それから会計検査院報告で地方財政計画外とされている歳出、これらを除くなどの調整を行ったものを調整後の決算額として比較したものでございます。

 ただし、今回の試算は、公表データを用いて一定の仮定を置き作業したところであり、結果については幅を持って理解する必要があると考えております。

 総務大臣から御指摘のありました、給与関係経費に関する点、それから東日本大震災分に関する点については、データの制約上、作業時点では試算に反映できなかったところでございます。これらを織り込むと、調整後決算額は増加する、かように考えられるところでございます。

 また、今回の試算では、決算には含まれておりますが、地財計画では想定されていないため、計画外歳出と考えられます基金への積み立て歳出など四・二兆円の扱いについて、この七年間の一年当たりの基金の積み増し額一兆円を除いては、計画の想定する歳出にいずれ充てられるというふうにみなしまして、計画内歳出として取り扱っているところでございます。

 ただ、この四・二兆円については、公表されている統計では内訳がつまびらかではなかったため、試算実施後に総務省から情報提供を受けたところ、基金への積み立てではない、計画外歳出と定義されている経費が内訳として存在しているという可能性があることが判明したところでございます。仮にそうだとすると、その分は計画外歳出となりますので、調整後決算額が今度は減少する要因ということになります。

 このように、調整後決算額については、増加要因、減少要因、それぞれあると認識しておりまして、データの充実を図りながら精査していく必要がある、かように考えてございます。

鈴木(克)委員 終わります。本当はもうちょっと伺いたかったんですが、やはり結局ここでも何かすっきりしないということでありますので、総務大臣、頑張ってください。

 終わります。

竹内委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 今国会では、TPPの協定の審査が続いています。TPPは、多国籍企業の利潤追求のために、暮らしや経済のあらゆる分野において貿易拡大に向けた規制緩和が進められるものであります。

 その協定書第十一章、金融では、全ての保険、銀行、その他の金融サービスが含まれています。また、日米の交換文書では、日本郵政の販売網へのアクセスや日本郵政グループが運営するかんぽ生命が民間保険会社より有利になる条件の撤廃に認識が一致したと明記されています。

 そこで、日本郵政の保険業務について質問をいたします。

 お配りしている資料一は、日本郵便とかんぽ生命における金融商品の取り扱い一覧表であります。資料二は、日本郵政とアフラックとの連携について及び取扱局の推移についていただいた資料であります。

 この資料を見てまいりますと、がん保険の商品の取り扱いはアフラックと書いてあります。かんぽの七十六支店で取り扱いとされています。これは法人相手だというふうに伺っておりますけれども、個人相手のアフラックのがん保険の取扱局は郵便局という理解でよろしいんでしょうか。では、その直近の取扱局はどれだけの数になっているか、教えてください。

稲澤参考人 お答えいたします。

 アフラック様の個人向けがん保険でございますけれども、二〇一六年十月一日現在でございますけれども、がん保険の取扱局数は二万六十五局となっているところでございます。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

田村(貴)委員 がん保険の種類はアフラック一社だけでしょうか。

稲澤参考人 郵便局におけるがん保険の取り扱いでございますけれども、アフラック一社でございます。

田村(貴)委員 驚く話です。

 この資料にもありますように、法人向けの生命保険会社は七社、自動車保険は五社、バイク自賠責は十社と、複数社の商品を取り扱っているのに、なぜがん保険だけは米国企業一社、アフラックだけなんでしょうか。説明してください。

稲澤参考人 日本郵便、いろいろな商品、多数ございますけれども、郵便局において販売する商品の供給会社でございますけれども、がん保険について広く公募を行わせていただきまして、経営基盤でございますとか、実績でございますとか、商品性、あるいは全国的な販売、事務支援体制、保険金等支払い管理体制等につきまして総合的に判断の上、選定をさせていただいたものでございます。がん保険につきましても、二〇〇七年に公募をいたしまして、アフラックを選定させていただいたところでございます。

 以上でございます。

田村(貴)委員 なぜ一社なのかという質問にはお答えになっておられないと思います。

 経過からいうと、日本生命と日本郵政は二〇〇八年から提携関係にありました。がん保険の共同開発でも商品設計を終えて、システム面でも対応は完了していたというふうにされています。なぜこの提携は断たれてしまったんでしょうか。

千田参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のがん保険につきましては、二〇〇八年二月から、日本生命とがん保険の共同開発の準備を進めてまいりました。その後、二〇〇九年の三月に政府に対しまして、第三分野、がん保険の限度額規制に関する政令改正要望を提出いたしましたけれども、その実現の見通しが立たなかったというふうなことで開発を断念したというふうなことでございます。

 二〇一三年に既に一部の郵便局で受託販売をしておりましたアフラックの商品の取り扱いを拡大するということが、お客様サービスの向上と郵政グループの企業価値向上の観点から適当であるというふうに企業として判断したものでございます。

田村(貴)委員 よくわかりませんけれども。

 日本生命は、当時、異例のコメントを発しました。かんぽ生命とは五年以上にわたりさまざまな面で協力をしてきた経緯があり、遺憾だ、こういうコメントを発したのであります。

 先ほどお答えになったがん保険、アフラック一社の取扱局は二万六十五局です。これは、生命保険募集委託契約している全国の郵便局の九七・一%、まさに郵政のネットワークそのものであります。米国の一社の商品が郵政のネットワークをフルに使って販売されている、保険を扱う日本の企業はあまたある中、参入はしていない。これはある意味、民業圧迫ではないんでしょうか。

 郵政のネットワークの開放というのは、アメリカ側の強い要求でありました。民営化の流れは、アメリカの対日要求と期を同じくして進められてまいりました。

 例えば、二〇〇六年十月の第十回郵政民営化委員会で、在日米国商工会議所会頭で元アメリカ通商代表部、USTR理事のチャールズ・レイク氏は、郵便保険会社が民営化後新たに提供する商品、サービスに変額年金、医療・傷害保険等の第三分野商品を列挙したことに対して、こう述べています。新規業務の主なターゲットをACCJ会員企業が専門とする分野にあえて絞り込んだことは大変遺憾に思っておりますと。つまり、新商品はアメリカの企業でという要求をむき出しにされたんです。また、第一段階としてやるべきことは、郵便局ネットワークに民間保険の参入を認めと述べているわけであります。

 このチャールズ・レイク氏というのは、どこの企業のトップですか。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

稲澤参考人 お答えいたします。

 お尋ねのチャールズ・ディトマース・レイク二世氏につきましては、アフラック、アメリカンファミリー生命保険会社、正式名称で申し上げますとアメリカン・ファミリー・ライフ・アシュアランス・カンパニー・オブ・コロンバスの日本における代表者、会長と承知しております。

田村(貴)委員 余りに露骨なアフラック側からの介入であったと私は受けとめました。

 郵便局の窓口には、かんぽ生命とアフラックの保険が一体となったカタログやチラシがいっぱいあります。国会内の郵便局でも多数置いてありました。「郵便局からお届けする「アフラックのがん保険」」お得ですよといっぱい書いています。こちらは、「郵便局取り扱い記念」「アフラックの社会貢献活動」、ここまでPRするパンフレットが置かれている。このチラシは、「郵便局でアフラックのがん保険をお取扱いしています」「がん保険のお申込みをいただいたお客さまに抽選で合計一万百名様にカタログギフトをプレゼント!」と、ネットワークの開放がまさにこうした商法となってまいりました。

 なぜそこまで、米国一社の企業を優遇して商品を独占的に販売する、こういう形になっているんでしょうか。

稲澤参考人 お答え申し上げます。

 先ほどもお答え申し上げたとおりでございますが、郵便局において販売する商品の供給会社でございますが、広く公募を行い、経営基盤、実績、商品性、全国的な販売、事務支援体制、保険金等支払い管理体制等について総合的に判断の上、選定をさせていただいているものでございます。がん保険についても、アフラックを選定したところでございます。

 先ほどお答え申し上げたとおり、限度額規制に関する政令改正要望等々がありましたけれども、ただいま現在、アフラックの商品の取り扱いというのを二万局まで拡大するというところまで来ております。これは、お客様サービスの向上と郵政グループの企業価値向上の観点から適当だと判断したものでございまして、当グループの経営判断でございます。一社やってございますが、仮にそのほかのを郵便局で販売ということがございますれば、仮にそうした御提案があった場合には、御相談をいただくことになるのかなというふうに思っておるところでございます。

 先生、今パンフレットというのがございましたけれども、今、私どもはかんぽの代理店でございます、簡保もやってございますけれども、その中で足りない保障の部分について、がん保険というものをあわせてお客様に御紹介させていただくということで、お客様の多様なニーズに応えてまいりたいというふうに思っているところでございます。

 以上、お答え申し上げます。

田村(貴)委員 いろいろ言われましたけれども、選択できるがん保険というのはアフラック一社の商品しかないということであります。

 販売へのアフラック社のかかわりはどうなのかということなんですけれども、金融庁と総務省は郵政民営化委員会に意見を求めました。その中で、アフラックのがん保険を販売する郵便局に対する教育と指導の部分について、「株式会社かんぽ生命保険の新規業務に関する郵政民営化委員会の意見」という文書の中に、次のような記述がございます。郵便局に対する教育と指導については、アフラックががん保険にかかわる全般的な教育、指導を、株式会社かんぽ生命保険が郵便局個々のデータを踏まえた教育、指導を行うとしているが、両者の責任関係が曖昧にならないよう、役割分担を明確に実施することが重要であると。

 教育と指導にアフラックが乗り出していく、そういう意見となったんでしょうか。

安藤(友)政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年六月十九日付ということになりますが、「かんぽ生命保険の新規業務(がん保険の受託販売等)に関する郵政民営化委員会の意見」におきましては、今委員から御指摘のありました記述があることは、そのとおりでございます。

田村(貴)委員 そうなんですよ。アフラックが郵政の職員、社員に対して全般的な教育、指導をすると。私もこの文書を読んでびっくりしました。

 現場の社員の方にお伺いしました。そうしたら、エリアマネジメントの郵便局の営業会議にまでアフラックの社員が出向いてくるそうであります。そして、こうこうこういうふうに売ってほしいと要求されるというお話を聞きました。

 さらに、社員に配られる単独マネジメント局速報値という文書があります。私はそれを見させていただきました。そこには、「かんぽの提案先には、必ずがん保険の提案書を持参し活動量アップを!」と指示されています、びっくりマークまでついている。つまり、アフラックがん保険販売は、かんぽ生命の商品と必須条件ということになっています。そして、大きい文字で「必ずやる できるまでやる 絶対やる」、この文字で指図をされています。恐るべき強制であります。

 お伺いしますけれども、郵政の社員においてこのがん保険の販売というのはノルマがあるんでしょうか。

稲澤参考人 お答えいたします。

 会社の健全な経営に必要な収益を上げる、確保するということが必要でございますので、各商品について、郵便局ごとあるいは社員ごとに営業目標といったものがございます。

 事業を営む以上、会社の収益目標を掲げて、この達成に向けて社員全員で取り組むということは必要なものであるというふうに私どもとしては認識をしておるところでございます。

 以上、お答え申し上げます。

田村(貴)委員 契約の販売の目標設定まで要求していますよね。現場の社員から伺った話ですけれども、東京管内のエリアマネジメントでは、一つの局当たり月に四万八千円の月掛け保険料を契約することが目標となっているそうであります。現実はそうなっているわけですね。アフラックがん保険の異常なまでの力の入れ方だというふうに思います。

 第百二十二回の郵政民営化委員会、二〇一四年十一月ですけれども、日本郵便の河本執行役員は何と発言しているか。一取扱者当たりの量というものをアフラック社は期待しておりますので、取扱局がふえる、取扱者がふえることによって、そこは相似形で当然ふえるものだとアフラック社のほうは考えておりますと。そして、アフラック側がとにかく稼働局、稼働者をふやしてほしいと言っていると述べているわけであります。

 アフラック社がここまで稼働力を求めて、そして、かんぽ生命が八百名のパートナー営業社員を、郵便局に販売促進で動いていく。局と社員には目標値を持たせて、売れ売れと指図していく。どこまでこうしたアフラックがん保険に肩入れをしていくのか。

 一私企業に郵政のネットワークを使わせるその理由について、お答えいただけますか。

稲澤参考人 先ほどからお答えをさせていただいているとおりなんでございますけれども、郵便局において販売する商品については、広く公募を行い、選定をさせていただいたところでございます。

 先ほども、これもお答え申し上げたところでございますけれども、郵便局での取り扱いを今二万局までがん保険を拡大しておりますけれども、これはお客様サービスの向上と郵政グループの企業価値の向上の観点から適当であるというふうに、私どもグループとして判断をさせていただいたものでございます。

 以上でございます。

田村(貴)委員 それでは、総務省の方にお伺いいたします。

 今るる申し上げてきましたけれども、こうした外資の一私企業の単一の商品を、郵便局のユニバーサルサービス、二万局のネットワークを使って、アフラック社の要求どおりにこういう販売方式を続けていることについて、総務省はどのように判断されているのか、お伺いしたいと思います。

安藤(英)政府参考人 お答え申し上げます。

 日本郵便がどの保険商品にどのような販売体制を構築いたしまして取り組んでいくのかということにつきましては、これは日本郵便の経営判断事項であると私どもとしては考えてございます。

 先ほどユニバーサルサービスの言及がございましたけれども、がん保険の販売につきましては、これは法律で規定されておりますユニバーサルサービスの範囲内には入っていないということでございます。

田村(貴)委員 いや、全国の郵便局で扱う商品は特定私企業の一商品しかない、これはユーザーから考えてもおかしい話なんですよ。だって、ほかの保険については日本企業の複数社の商品があるじゃないですか。何でここだけがこういうことになっているのかと聞いているんですよ。TPP絡みなんですよ、後で言いますけれども。

 そこで、高市大臣にお伺いしたいと思います。

 結局、チャールズ・レイク氏の要求どおりになってきたんですね。そして、日本から見れば、これこそ民業圧迫ではないかというような事態となっています。郵政事業というのはアメリカ資本に食われてしまうのではないか、こういう懸念が現場から、関係者から起こっています。

 やはり守るべきは郵政のユニバーサルサービスではないのか。長年国家が、郵便、簡保、貯金、それが行ってきた事業を民営化したもとでも国民にあまねく守っていく、そして国民が選べる選択肢も持って提供することがやはり大事だろうと私は考えますけれども、大臣の所見をお伺いできればと思います。

高市国務大臣 日本郵便が郵便局でがん保険の取り扱いを行うかどうか、どの社のがん保険を販売するかということについては、日本郵便の経営判断に委ねられております。

 また、先ほども答弁ありましたが、がん保険の販売は法令で定められているユニバーサルサービスの範囲には含まれておりません。

田村(貴)委員 がん保険の独占的な販売について、こうした状況をつくり出してきたのはTPPでありました。それは、がん保険の業務提携が発表されたときに、アフラックの首脳が、TPPでの日米交渉に好影響を与える、こうしたことをコメントしたことからも明らかであります。

 しかし、情勢は変わってまいりました。アメリカの新大統領がトランプ氏になります。トランプ氏はTPP脱退を掲げておられます。そして、オバマ政権時における米国議会の承認も、もはや絶望視されていますよね。アメリカが参加しないもとでTPPの発効というのはあり得ません。安倍総理も、昨日、参議院の答弁で、大変厳しい状況になってきたとお認めになっておられます。もうけはアメリカ本国に吸い上げられていく、こうした販売方式をおかしいじゃないかと指摘する関係者もたくさんおられます。

 私は国益に反するようなやり方だと思いますけれども、こうしたTPPをめぐる情勢が変わってきた今、やはり郵政事業における金融そして保険の取り扱いのあり方を見直すべきではないかと思いますけれども、高市大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 そもそも、日本郵便ががん保険の商品供給会社としてアフラックを選定したことを発表したのが平成十九年の十一月でございます。ですから、ことし御議論をいただいているTPPの話とは、私は直接的な関係があるとは考えておりません。

 先ほども申し上げましたが、アフラックとの業務提携は、日本郵便の経営判断によってなされたものですから。

 総務省として申し上げられるのは、日本郵便において、企業価値ですとか利用者の利便性の向上、ここに向けて適切な経営が行われるということを期待いたしております。

田村(貴)委員 郵政とアフラックが提携を発表したときの日本経済新聞の見出しは、「TPP交渉に追い風」だと。先ほども言いましたように、アフラック側の首脳がまさにTPPに好影響を与えると言っていることを述べている。さらに、チャールズ・レイク氏が、郵政民営化委員会の中で重ねて参入を呼びかけ、ネットワークを使わせろと言ってきたんですよね。まさにTPPの先取りといった中で今の業務形態になっていると私は指摘せざるを得ません。

 お配りしている資料の三なんですけれども、生命保険会社の支払い漏れ等による追加支払い件数の推移であります。金融庁からいただきました。

 かつて不払い問題が起こって、処分命令が下されました。そして、平成二十一年度に業務改善計画が各社から出されましたけれども、支払い漏れは後を絶ちません。アフラック社は、平成二十三年度、二十四年度、外部発見、つまり契約者からの苦情と指摘によって追加支払い件数がトップであります。決して褒められたものではありません。この状況から見ても、この会社がぬきんでて優良な企業とは言えないと思います。

 では、何でこの企業一社だけなのか。アフラックの商品は本当に大丈夫なのか。選択肢が一つしかない、支払いまで責任が見えない商品を私たちは扱っていていいのか。郵政の社員の人たちが現場でこうした疑問の声を上げていることを、日本郵政の皆さん、ぜひ聞いていただきたいと思います。

 日本郵政は、民営化後も、我が国唯一のユニバーサルサービスを提供する会社であります。トランプ氏は、TPP反対で、二国間協議を主張しているとも報じられています。二国間協議となれば、さらにそれ以上の対日要求が今から迫られてくる話、これはアフラックだけで済む話ではないというふうに私は危惧の念を持ちます。

 アフラックのような外資系企業が郵政グループの業務に食い込む懸念が指摘されています。郵政のネットワーク、ユニバーサルサービスを、アメリカ資本そしてグローバル企業のもうけの対象にしてはなりません。TPP批准に私は強く反対をします。そして、現行の、今のがん保険の取り扱い、それから外資のあり方について、全般的に保険業務の見直しを行うべきだと思います。

 以上のことを強く要求して、本日の質問を終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 引き続き、TPPと郵政問題について質問いたします。大変申しわけありません、時間の関係で、少し質問の順序などを入れかえさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 先ほど田村議員から具体的な質問がありましたので、私は、条文や各文書などに基づいて、TPPと郵政問題について伺いたいと思います。

 まず、TPP協定の仮訳文と同時に国民向け文書として出されたTPP交渉参加国との交換文書一覧、これは配付資料一にあるとおりですけれども、これを見ると、保険等非関税措置に関する日本と米国との並行交渉について、認識の一致を見たとあります。この認識の一致とは、どういう一致なのかということを御答弁いただきたいと思います。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の文書におきましては、保険分野について幾つかのことが記載されております。保険分野については、日本郵政の販売網へのアクセスに関して、民間の保険サービスの提供者に対し、透明性のある競争的な方法でアクセスを与えることの重要性。それから、日本政府が行う規制上の監督、取り扱いに関しまして、同種の保険サービスを提供するいかなる民間の保険サービス提供者よりもかんぽ生命による保険サービスの提供について有利となるような競争条件を生じさせるいかなる措置も採用し、または維持しないこと。それから第三といたしまして、透明性に関しまして、かんぽ生命が、他の民間の保険サービス提供者によって発行される財務諸表と同程度の透明性をもって財務諸表等を公表することを確保することとしております。

 以上が内容でございますが、日米並行交渉の保険分野の交渉においては、かんぽ生命における我が国の保険の販売に関し、我が国として既存の国内法令を適切に実施していくことを確認するなどの内容を文書に盛り込むということにより、日米双方に、認識が一致して、受け入れ可能な形でまとめられたものと承知しておるところでございます。

梅村委員 今御紹介がありましたように、この文書では、1日本郵政の販売網へのアクセス、2かんぽ生命に対する規制上の監督及び取り扱い、そして、3かんぽ生命の透明性についてとる措置等についての認識の一致を得たというような説明があります。

 引き続き、さらに聞きたいと思いますけれども、1の日本郵政の販売網へのアクセスについて、もう少し具体的に説明をお願いしたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の箇所は、他の保険会社による郵便局を含む日本郵政の販売網への自由なアクセスを妨げないという日本政府のこれまでの姿勢を確認したものでございまして、日本郵政が新たな義務を負う性質のものではないというふうに理解しております。

梅村委員 ただ、それに対して日本政府がどういうふうにかかわっていくかということも、私はこのTPP交渉の中では重大な問題だというふうに思います。

 例えば、TPP協定参加国との間で作成した文書、日米間で交わされた保険等の非関税措置に関する書簡では、日本政府は、日本郵政がその販売網へのアクセスを提供する際の手続及び原則に関する情報提供をするために、アメリカ合衆国政府の要請に応じ、同政府のための連絡先を利用可能とするというような、大変事細かなことまで条件が確認されているというふうに思います。

 これは、日本郵政の独自の判断というところにとどまるのではなくて、日本政府が、やはりそういう連絡先まで利用可能とする、提供すると踏み込んでTPPでは言っているのではないかというふうに考えるところです。

 この点はいかがでしょうか。

飯田政府参考人 今御指摘いただいたことに関しましては、日本政府がその情報提供に努めるということを示したものでございまして、あくまでも国内法と整合的な対応をして運用していくということとの関係で、その情報提供をアメリカ側にするということを記載したものというふうに理解をしております。

梅村委員 やはり、日本政府が乗り出してやっているということがここでは明らかになってきているのではないかなというふうに思います。

 それで、さらにその交渉の具体的内容について、先ほど内閣府が出した文書だけではなかなかわかりませんが、いわゆるサイドレターというものが、私の資料の二ページ、三ページ目にあります。そこに、各項目についてどういうやりとりがされたのか。

 これは、佐々江アメリカ大使が米国の通商代表に出した書簡であります。ここを見ていくと、まず冒頭に、日本国政府及びアメリカ合衆国政府は、TPP交渉と並行して行ってきた複数の鍵となる非関税措置について成功裏に並行交渉を妥結したことをここに確信することを喜ばしく思うというふうに述べております。そして、妥結した内容については、二ページ目から三ページ目について、かなりかんぽ生命についても具体的な内容が書かれているかと思います。

 きょうは時間の関係上、一つに絞って聞かせていただきたいと思うんです。

 例えば、三枚目の三の「規制上の監督及び取扱い」、この中の(a)に線が引っ張ってありますけれども、日本政府は、TPPの協定の中の規定に従い、同種の保険サービスを提供する民間のサービス提供者よりもかんぽ生命保険による保険サービスの提供について有利となるような競争条件を生じさせるいかなる措置も採用せず、または維持しないという文言があるわけですよね。

 ここで想定されるいわゆるかんぽが有利となる条件というのはどういう条件なのか、これは簡潔に伺いたいと思います。全部を説明していただくのではなくて、かんぽが有利となる条件とはどういう条件なのかということについて簡潔にお答えください。

西田政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のこの書簡は、日本政府が行う規制上の監督及び取り扱いに関して、かんぽ生命がほかの金融機関よりも有利となるような競争条件を生じさせるいかなる措置も採用しない、または維持しないということについて、日本として既存の国内法を適切に実施していくといったことを確認したものでございます。

 したがって、記載されている事項というのは現行制度によるものでありまして、今後も維持していく制度について確認したものでございますので、かんぽ生命に特段の影響を与えるものではないと思っています。

 いずれにしても、金融庁といたしましては、保険業法、郵政民営化法に基づいて適切に運用してまいりたいと考えております。

梅村委員 今の御答弁で、適切に国内法に基づいて実施していくという御答弁だったというふうに思いますけれども、たとえ日本政府はそういうふうに思っていたとしても、ではアメリカ政府がそういうふうに受け取っているかというのはまた別問題なのではないかなというふうに、こういう文書を見て非常に強く思うことなんです。

 例えば、この有利となる条件を採用しないということは、今田村議員が言ったようなアフラックのがん保険の販売、こういうものもさらに広げようとすることにもつながりかねないものなのではないかなというふうに思います。

 麻生財務大臣は、昨日、参院の特別委員会で、こうした問題について、国内とか外資に関係なく、適正な競争が行われて国民サービスが向上していくというふうに答弁されています。今の答弁もそういう趣旨だというふうに思いますけれども、こういうような、競争条件を生じさせるいかなる措置も採用せず、または維持しないという文言、これは、日本はそういう影響はないというふうに思っているかもしれませんが、この後四枚目の資料で、障壁報告書、アメリカがどんなふうに日本に対して要望しているかという文書を見ていきますけれども、やはりアメリカ自身はそういうふうには思っていないのではないかなというふうに感じるところです。

 その最後の資料、外務省がことし五月に明らかにした二〇一六年の外国貿易障壁報告書、これも長いものですから線を幾つか引っ張ってあります。

 事前のレクチャーでは、TPPになっても郵政問題については特段変更はない、影響はないという御意見をこの間いただいているところですけれども、この文書を見ても、まず、概観のところも、TPPの協定下ということがしっかりとうたわれ、そして、不当に米国輸出品を阻止する非関税障壁に対処をしていく、そして、米国企業にとって公平な競争の場をつくっていくと。やはりアメリカにとってみれば、このTPPというのは米国企業にとって公平な競争の場をつくっていくということをしっかりと述べているわけですね。

 そして次に、日本郵政、保険についてもどのようなことが書かれているか。今までとは変わらないよということを何度もレクチャーの中で伺ってきましたけれども、あらゆる必要な措置をとるための取り組みを注意深く注視し続けるとか、義務を履行することとなるとか、コミットしたとか、そういうことが幾つもこの文書の中では書いてあります。

 そしてさらに、先ほどのアフラックのがん保険の商品を取り扱う問題については、殊さらこの文書の中に、二〇一五年七月までに千局から二万局以上にふえたことなど大きな進展があったということで、これはどう見ても、アメリカからとっても政府から見ても、非常に歓迎している、評価している。そして、最後の二行に、対等な競争条件が確保されるまで日本郵政金融二社の業務範囲の拡大を認めないよう日本に求め続けるという、ここまでいろいろ日本郵政、かんぽ生命について露骨な要求、要望がされている。

 こうした中でのTPP交渉だということも、しっかりこの委員会では本来審議がされるべきだというふうに私は思っております。

 それで、今回のアメリカの大統領選挙の結果もあるわけです。そして、これまでのアメリカの要求に応じてきた流れからすると、安倍内閣の姿勢は余りにも批准ありきで前のめりになっているのではないか。私は、もっとこの郵政の問題を、TPPとの関係でもしっかりと国会審議をすべきだ、やはり、日本の国民のユニバーサル問題をどうしていくのか、そういう問題にもかかわってくる、日本の国民の財産、そういう問題だというふうにも思います。

 ですので、余りにも前のめり、しっかりとTPPと郵政問題を審議すべきだというふうに思いますけれども、高市大臣の見解を伺いたいと思います。

高市国務大臣 委員が資料を配付していただきまして、先ほど配付資料三というものを私も一緒に読ませていただきました。

 米国企業にとって公平な競争の場をつくりと書いてあるということを問題視されていますけれども、これはUSTRが公表したものですから、当然こういう書きぶりになると思います。

 日本は、TPPの交渉においても、日本の企業にとって海外でやはり市場が広がっていく、そして、守られた公正な公平な環境の中でしっかりと競争ができる、そういうしっかりしたルールに基づいた自由貿易、秩序の上に立った自由貿易というものを考えながら、日本の国益を最大化するために交渉を続けてきたものだと思っております。

 今回も、当然、郵政事業は国民生活に深くかかわるサービスでございますから、国民に十分な情報提供を行うということは当然必要です。

 ですから、郵政事業に関するものも含めて、TPP協定の規定については全て公開されています。委員も御承知のとおりではありますが、内閣官房TPP対策本部のホームページで、協定本文や概要、サイドレターなども公開されています。

 その上で申し上げたら、TPPにおける郵政事業に関係するルールというのは、全て現行の法制度に抵触はいたしません。

 TPPが現在日本郵政グループ各社の行っている業務に対して支障を与えることはないと考えております。

 ただ、国民の皆さんに十分な情報提供を行うということは重要ですから、情報公開もしておりますし、この委員会でもどうぞお取り上げいただいて結構かと思います。

梅村委員 今、公正と公平なルールということがありましたけれども、アメリカでも二人の大統領候補がTPP反対を掲げざるを得なくなったのは、余りにも多国籍企業の横暴で格差と貧困が広がる、そういう新自由主義の全体の中で、やはり経済自主権を各国にしっかりとつくり、国内の雇用を守っていく、そういう要望の中で出てきた流れだというふうにも思います。

 私たちは、TPPを推進しさらに民営化を加速させるような方向では、郵政におけるユニバーサル、国民の安心、安全はかち取れないと考えます。多国籍企業のためのTPP協定から撤退し、国民のための郵政の発展に進むことを強く求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 先般の、十一月一日の総務委員会では、それ以前、いろいろ委員の皆様に御負担をおかけしたことについてこの場でおわびもさせていただきました。

 これは、そういう意味ではもう総務委員会はお許しをいただいて、また本来の質疑をしっかりさせていただくということで、竹内委員長を初め、また、坂本筆頭、小川筆頭には大変いろいろ御尽力をいただきまして、特に小川筆頭と私の友情は深まる一方でありまして、また今後とも仲よく御指導いただきたいと思います。

 ただ、実は懲罰動議というのが出ていまして、民進党さんは、民進党さんの御都合で波が高くなったり低くなったり、結構融通無碍にその辺コントロールをされていて、それを我が党の一部の議員は、それは私かもしれませんが、プロレスだとか猿芝居だとかいろいろ失礼なことも申し上げていますが。

 その懲罰動議が出たのが、休み明けの十一月四日なんですね。十一月四日の懲罰動議は、総務委員会で私が、ちゃんと事前に御相談した上でですが、欠席したことについて反省がないということで、泉健太議運の筆頭理事なんかはブリーフで記者にそうおっしゃっていますが、さっき申し上げたように、私は竹内委員長にはもう二度と御負担をおかけしない、また小川筆頭とのきずなは深いものがありますので、この場はもうないんですが。

 とにかく不思議なんですね、懲罰動議が四日に出た。

 懲罰動議というのは、皆様御存じか、多分余り関係ないから御存じないと思うんですが、三日ルールというのがありまして、要は、懲罰動議を出すというのは三日以内の事案についてなんです。欠席したのは二十七日ですから、もう出せないんですね。ただ、寺田学外務委員会の筆頭とそれから小熊慎司理事が、十一月二日の私の外務委員会の質疑を取り上げて懲罰動議を出してきたわけです。

 でも、その外務委員会では、一切委員長から注意もなかったし、寺田学民進党筆頭は一切何もおっしゃいませんでした。理事会でも何もおっしゃいませんでした。その直後に理事会がありまして、何もおっしゃいません。その場で何もおっしゃらないものを、何もなく、三日ルール、まあ別件逮捕みたいなものですが、懲罰動議が今もそこにぶら下がっています、ぶら下がっているんですよ。

 だから、何か民進党さんは、もう与党とまた仲よくしようということで審議を進められているかもしれませんが、小川筆頭は常にいい人なんですけれども、とにかく民進党は、私の懲罰動議だけぶら下げたまま、波は高いとか波は低いとか、遊んでいるわけです。

 だから、私は、もう総務委員会では今からしっかり御質問させていただく、今後、この手の話は、竹内委員長と小川筆頭に敬意を表してというか当たり前ですが、しっかり質問させていただきますが、次回の外務委員会、次回の外務委員会は大荒れに荒れますので、一応、関係ないですが、予告をしておきたいと思います。

 では、質問ですが、ダイオキシンについて、特別交付税について原田副大臣に再三質問させていただいていますが、余り要領を得ない答弁が多くて、いつも時間をとって、ほかの質問がずっとできないでいます。

 きょうは、もう一つ優先事項があるので、ちょっと順番を変えて、先に通信と放送の融合の話をさせていただきたい。

 高市大臣、御無沙汰をしております。直接御質問できることを光栄に思っております。

 ちょっと細かいところからいくと、とにかく放送と通信の融合、大変な時代が来ました。まさに総務省で審議会、検討会が始まっているように、いわゆる地上波の放送をインターネットで同時配信していこう、もうそういう流れが、まさに高市大臣の強いイニシアチブで検討が始まっています。

 一方で、NHKの受信料の問題。これは、一体誰が受信料を払うんだ、受像機を、設備を有するというのは誰なんだ、携帯はどうなんだということで裁判沙汰にもなっているわけであります。

 それからもう一つは、これから二〇二〇年のオリンピックに向けて、4K、8K、これはスクランブルあるいはダビング10等のいわゆるコンテンツ管理をどうしていくんだと大議論に、これはもう全部関係あります。

 だから、きょうは高市大臣に、これはどうしていくんですかと。もちろん審議会で議論してもらうんだけれども、高市大臣はもうこの辺の御見識、大臣だから当たり前ですが、思い入れもあられると思います。ぜひ、大臣がこれをどうしていきたいんだという大臣の御意思みたいなものをきょうは議論したいと思う。

 その前に、コピーネバーの話を先にちょっといいですか。(高市国務大臣「いいですよ」と呼ぶ)コピーネバーの話。

 皆さん、余りこれは関心、何で国会議員がこの話をこの場で正面から余り取り上げないのかな。まあ、さっきもNHKをたたくときには使っていますが。本当に視聴者、ユーザーにとってこれは大事な問題なので。

 4K、8K、4K以上のテレビ、これから実現していきます。そうしたら、それの技術規格をまとめているのがA―PABという新しくつくられた団体です。放送局とかメーカーが入っています。

 ところが、このコピーネバーを使っていいのか使ってはいけないのか、まだ決まっていないんですよ。以前、私が総務省に聞くと、もうそろそろ限界です、そろそろこれは決めないといけないんですと言うんです。いまだに決まっていない。その紙を見ると、TBD、要すれば、未定と書いてあるんです。

 これは誰がいつ決めるか、大臣。

南政府参考人 恐れ入ります。ちょっと事実関係につきまして答弁を申し上げさせていただきたいと思います。

 今先生御指摘の4K、8Kの衛星放送のコピー制御方式につきましては、民間の技術規格として、先ほど先生御指摘のように、NexTVフォーラムからA―PABの方に今体制が引き継がれてございますので、その中で決定をするということになってございまして、現在のところ、4K、8Kのコピー制御方式につきましては、ダビング10の導入というものは既に決まっているところでございます。

 他方、一部の放送番組について録画を禁止する規格の導入につきましてもかつて議論は行われたところでございますが、本年四月にこの体制が移行されて以降は本件に関する議論は一切行われていないという状況になってございます。

 それで、二〇一八年に4K、8Kの実用放送が開始されるわけでございますが、このまま推移をいたしますと、ダビング10による運用が行われて、録画禁止は運用されないということになるというふうに理解をしてございます。

足立委員 TBDのまま、未定のままコピーネバーが運用されることはないという御答弁だと理解しましたが、逆に、どこかで、A―PABがそれを決める、要はTBDがむしろ可になる可能性はありますか、ないですか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもが承知している限りにおきましては、一時期そういう議論はございましたが、四月に体制がA―PABに移りましてから一切議論は行われていない、再開のめども立っていないということでございますけれども、仮に先生御指摘のように録画禁止に係る検討と言われるものが再開をされて本格化するような場合には、総務省といたしましても、視聴者でありますとか権利者の声というものをきちんと反映できるような、必要に応じてそういうオープンな場を設けて、関係者の意見を聴取するなどの対応は検討してまいりたいと思ってございます。

足立委員 まさに私が求めていた答弁なんです。

 まさに、A―PABがA―PABとして決める、ユーザー、視聴者・国民は、気がついたらコピーネバーになっていた、これはやはりまずいですよね。ところが、そのための、今そういう公の場とおっしゃったかな、今はないと思うんですよ。

 そうすると、A―PABがコピーネバーについて議論を始めたら、総務省もそういう場をつくるということですね。

南政府参考人 お答えを申し上げます。

 今までのところ、民間規格の議論を蒸し返そうという動きは全くございませんけれども、仮に録画禁止の検討を本格化するという場合には、かつてダビング10を決めます際に、先生御指摘のように、情報通信審議会のもとにそういう検討の場をつくったことがございますので、先ほど申し上げましたとおり、その際には、オープンな場というところで関係者の皆さんにおそろいいただくような場をきちんとつくってまいりたいと考えてございます。

足立委員 ありがとうございます。ぜひそのようにしていただきたいと思います。

 まさに、今御紹介があったように、ダビング10のときは情報通信審議会に場所をつくって、ユーザー団体、消費者団体、全部巻き込んで、国民的な議論をして決めていったわけであります。

 ぜひ4K以上についても、なおさら、ますます国民の関心は高いし、もしコピーネバーが入ったら、これは、コピーネバーというのは、私の理解が間違っていたら関係の皆様にはまた訂正いただかないといけませんが、要は、一時記録、録画、普通今はみんな大体録画してテレビを見ていますね。私なんかはもう録画でしか見ていません。

 すると、大体CMが飛ぶんですね。CMは早回しします。あるいは、もう機械ごとCM飛ばしの機能がついていたりします。それがやはり放送局は困るということで、もう録画させない、要すれば、その番組をやっているときにはその番組の前に、テレビの前に張りついて座っていてくれ、そういうことがコピーネバーの狙いの一つであると仄聞をしているものでありますから、ぜひ、今御答弁があったように、公の場で国民の、あるいは利害関係者の意見をしっかり聞く、サービスの提供側だけで決めない、そういうことは大事だと思っております。改めてお願いをしておきたいと思います。

 局長、ちょっと派生しますが、今、ダビング10の話が出ました。私は、不思議なのは、今でも、ダビング10は可であって、ダビング10にしなくてもいいんですよね。要は、ダビング10を運用することもできるけれども、ダビング10でなくて、もっと緩い、緩いって何だろうな、コピー管理をしないということかな、そういうことは技術的には認められていると思うんだけれども、実態はダビング10に張りついています。

 要は、全ての放送局が全ての番組で基本的にはダビング10を運用している、そう理解をしていますが、なぜですか。なぜ張りついているか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘の、これから新しく規格を定めますのはまさに4K、8Kの放送という新しい放送でございますけれども、今の地デジの放送との整合性というものもやはりあろうかと思っております。

 先生御指摘のように、コピーフリーもダビング10もそれぞれ規格としてはございますけれども、地デジの放送につきましてはダビング10のみが民間規格として採用されているところでございますので、それとの連続性ということと、視聴者利便その他を総合的にメーカーさんと放送事業者さんが御相談されて、4K、8Kにつきましてもダビング10でしっかり運用していこうというところについては合意が見られているというふうに考えております。

足立委員 ちょっとこのテーマを追加的に今伺ったのは、まさにダビング10を議論したときは、ダビング10も使っていいよ、でもコピーフリーでもいいんだと。ところが、全ての放送局や全ての番組でダビング10に張りついているんです、何でか知りませんけれども。いや、みんなで話し合ってやっていますということですが。

 だから、コピーネバーをみんなが心配しているのは、もちろんコピーネバーで高精細な映画とかそういうものを電波に乗せたいという議論があるのかもしれませんが、例えば、NHKの報道番組とか、あるいは民間も報道番組を流しています、そういう報道番組について、ではコピーネバーかという議論もあるし、いろいろなドキュメンタリーとかそういうのもあります。

 だから、私は、今までの総務省の放送法のもとで、あるいは電波法のもとで、放送局がいろいろな番組を流しているときに、コピーネバーが知らない間にできて、そこに張りついてというような世界を想像すると、そら恐ろしいわけであります。

 それで、大臣に御質問したいのは、そういうことも話題の一つです。大臣がイニシアチブをとっていらっしゃるネット同時配信の問題も大テーマです。日本の放送・通信というのはどうなっていくのかなという、大臣はもう既に十年後、二十年後の絵が多分頭の中にはおありだと思うので、ちょっとその一端でも御教示、御開陳をいただければ幸いです。

高市国務大臣 十年後、二十年後というと、私たちの想像を超える技術革新というものが進んでいると思います。

 ただ、放送をめぐる社会環境というのは今物すごく大きく変化していて、いろいろなことを見直していかなきゃいけない、しかも、そのコストを誰がどのように負担するのかということも含めて見直していかなきゃいけない、議論を深めていかなきゃいけない、そういう時期に来ていると思います。物すごく難しいテーマであります。

 NHKに関しては、やはり公共放送として果たしていただくべき役割はしっかりと果たしていただかなきゃいけませんし、それから、これだけ通信というものが発達していますけれども、やはり災害発生直後などのことを考えますと、これはもう放送は情報入手の手段として非常に重要な役割を果たしていますし、地域情報の窓としても新しい技術を取り込みながら活用され続けるんだろうなと思っております。ですから、視聴環境は変化するけれども、放送も新たな技術を取り込みながら発展していっていただかなきゃいけません。

 しかし、やはり動画配信サービス、ネットの特性を生かしたグローバル規模でのサービスが台頭しつつある、その中で日本が取り残されていくというわけにはまいりませんので、今、技術的な検討もいたしております。一斉にみんながネット配信を見た場合、負荷がシステムにかかってまいりますから、技術的な課題ですとかコストの問題ですとか、いろいろなことをしっかりと検討している最中でございます。

 私の個人的な意見は差し控えますが、ただ、ドラスチックに改革をしていく、今その時期に来ているのは確かでございます。

足立委員 まさに高市大臣は全てわかった上で、これはもう大改革の時代が来るなということを当然御認識だと思うし、私たちもそう思っています。

 特に、グローバル、世界で、大変な技術革新のもとでサービスが展開されていく。その中で、日本の放送・通信、特に放送が、放送法という、日本特有と言っていいかどうかはちょっとよくわかりませんが、日本の放送法で電波も割り当てがあるわけです。

 実は、先日、我が党は、周波数オークション法案、これは大臣に余り通告していませんから細かいことはいいんですが。

 要すれば、放送法というのは、放送と通信が融合して地上波の放送をネットで同時配信していく時代に、どうやって視聴者に喜んでいただけるサービスと、そのコストを負担していただくか、大変難しいテーマですが、そういう料金の問題に加えて、放送法の体系というのはやはり本当に僕はひしゃげてきているような気がしていて、極論すれば、電波オークション、周波数オークションを導入して、放送法は場合によってはもうやめるというぐらいの覚悟を持って、日本のある種のそういう、ある種の村でやってきたビジネスモデルを開放していかないと、とても世界と太刀打ちできないし、日本のユーザー、視聴者、消費者の利益を守ることもできないと私は思っていますが、その点、どうでしょうか。

高市国務大臣 電波オークションという大変刺激的な御提言をいただいたと思っております。賛同する意見を今申し上げるわけにはまいりません。

足立委員 ありがとうございます。

 もう終わりますが、本当にこれは重要なテーマであります。

 周波数オークションとかを余りやると、もう二度と足立は地上波に出られなくなるんじゃないかという懸念、心配していただく同僚議員の方もいらっしゃるんですが、私はもうネットで生きていこうかなと思っていますので、これからもこの周波数オークションの問題、あるいは放送と通信の問題、やり続けて、問いただしていくことをお誓い申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 最初に、前回、消費税増税再延期に伴う地方税、交付税の改正案の質疑が行われましたけれども、何点か積み残した質問があります。その中で一つだけちょっと確認をさせていただきたい点がありますので、この点を最初に質問させていただきます。

 子ども・子育て支援新制度についてです。

 厚労省には、前回、前々回、二回にわたって委員会に来ていただきながら、時間の関係で質問できなくて、大変申しわけありませんでした。

 さて、子ども・子育て支援交付金制度の中に、利用者支援事業の母子保健型というものがあります。

 この制度は大変わかりにくくて、この事業実施に向けて民間委託をしたり嘱託職員を新たに雇用したりした場合には交付の対象になるというふうに聞いております。ただ、事業をよりよい制度にしていくのであれば、行政保健師や社会福祉士としてのキャリアを持つ既存の正規職員を事業に配置することの方が私は効果的ではないかというふうにも思います。

 経験ある行政保健師や社会福祉士を事業に配置した場合、交付の対象になるのかどうか、この点を確認させてください。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 子ども・子育て支援法に基づく利用者支援事業、母子保健型でございますが、これを実施する場合には、事業の実施に係る人件費、運営費等について、子ども・子育て支援交付金を交付しているところでございます。

 人件費については、正規職員か否かにかかわらず、新たに保健師等の専門職員を雇うことにより、人員体制を整備するとともに、利用者支援事業に携わる保健師等を配置することを交付の要件としております。

 保健師等の専門職員は必ずしも新たに雇った保健師等をそのまま配置するのではなく、従前より勤務している行政保健師や社会福祉士等の専門職員を利用者支援事業に配置し、新しい保健師等を別の部署に配置することも可能となっております。その場合には、利用者支援事業に配置した保健師等の人件費に対して交付金を交付することとしております。

吉川(元)委員 つまり、既に働いておられる方で、異動してそっちに行った場合にも、新たに雇用されれば、移った方についてはきちんと交付の対象になる、そういう認識でよろしいんですね。

 あと、もう一つ。これについては恒久的に行われるという認識でよろしいんでしょうか。

山本政府参考人 御指摘の点につきましては、毎年毎年、予算編成の過程の中で必要な予算を確保してまいりたいと思っております。

 私どもとしては、二十七年度から始まった大変重要な事業でございますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

吉川(元)委員 今、予算措置の中で確保していくというお話ですけれども、私、ほかの委員会でも、教育関係でもやっておりますけれども、予算措置をしながら確保していくというのは、自治体側からすると、確かにことしはつくけれども、来年果たして本当に予算がとれるのかどうか、これは非常に不安を感じる。

 そういう意味でいうと、制度の安定性ということを考えた場合に、やはり恒久的な制度にすべきであるということを指摘させていただきたいと思いますし、恒久的な制度じゃないと、正規の職員を確保していくということにもなかなか自治体は向かわないのではないかという危惧も私自身は持っております。この点について一言お願いします。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 この利用者支援事業が安定して取り組んでいけるように、先生の御指摘の点を踏まえまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

吉川(元)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、次に、これは既に他の委員の皆さんもたくさん質問されておられますけれども、今回の財政制度等審議会の、財務省の地方財政の考え方についてただしていきたいというふうに思います。

 十月二十七日、これも既にお話がいっぱい出ましたけれども、財務省が出した資料、まだ議事録の方がホームページに出ておりませんでしたので、とりあえず財務省の提出した資料を読ませていただきました。非常に地財計画そのものに強い疑念を財務省は抱いている、そうとしか思えないような指摘がなされております。

 先ほどからずっとお話がありましたけれども、地財計画とそれから決算、これが、実は計画の方が決算よりも〇・六兆円多いという指摘でありますとか、あるいは、近年でいうと計画の方が決算を一兆円程度上回っている、そういう指摘をする資料が出されております。

 財務省にお聞きしたいんですけれども、先ほど局長からも、これについては幅がある、あるいはある仮定を置いている、今後精査をしなければいけないというふうな答弁がありましたけれども、そういう認識でよろしいんでしょうか。

杉大臣政務官 お答え申し上げます。

 今先生がおっしゃられたとおり、この十月二十七日の財政制度審議会では、公表資料を用いて地方財政計画の歳出額と決算額を実質的に比較いたしまして、計画額が決算額を上回るとの推計結果をお示ししたところでございます。

 局長からも答弁させていただいたとおりでありますが、これについては一定の仮定を置いた試算であり、結果については幅を持って理解をする必要があるとともに、データの充実により、より精緻な分析が可能となるものと考えております。

 こうした試算を示して議論する趣旨といたしましては、毎年度、国において赤字国債を発行して地方一般財源総額を確保していることを踏まえれば、各年度に必要となる財源移転の適正規模について、こうした決算との比較を行うなど、より一層の精査が欠かせないものと考えているためでございます。

 いずれにいたしましても、地方団体が安定的に必要な行政サービスを実施できるよう、また、国、地方の財政健全化目標の実現という観点も踏まえつつ、年末の地方財政対策の策定に向けまして総務省とよく協議をしてまいりたい、このように考えております。

 以上です。

吉川(元)委員 次に、大臣にお聞きしたい。これも先ほど答弁されましたけれども、ちょっと確認の意味でもう一度。

 十月二十八日の会見でも述べられておりますけれども、財務省のこの資料についてどのように考えておられるのか。

高市国務大臣 この財務省が財政制度審議会に提出をした試算でございますが、計画額が決算額よりも〇・六兆円程度過大であるとしています。

 しかし、地財計画の範囲外の歳出であるとして決算額から控除している給与関係経費の決算乖離分のうち、〇・六兆円程度は地財計画に計上されている非常勤職員分の歳出であるということ、そして、基金からの取り崩し分見合いの歳出は地財計画の範囲外の歳出であるとして決算額から控除しているが、基金からの取り崩し分のうち、〇・五兆円程度は通常収支分の対象とならない東日本大震災に係る市町村の取り崩し分であることなどから、今回の財務省の試算には疑問があるということを各所で申し述べております。

 また、総務省においても試算をいたしました。計画対象外経費の控除や繰越金に係る調整、国の補正予算に伴う調整などを行い、地財計画の歳出規模と決算額を比較しておりますけれども、近年では地財計画の歳出規模が決算額を一兆円程度下回っているということになりますので、この点からも、財務省の試算は妥当ではないと考えております。

吉川(元)委員 財務省にお聞きします。

 先ほど、一定の仮定を置いて、ある幅を持つ、今後精査が必要であるというお話がありました。今、総務大臣の方から、その財務省の資料というのはおかしいよというお話がありました。

 これは明らかに、どちらがより事実に近いかといったら、総務大臣の方が、それこそよく財務省が使うエビデンスに基づいて、〇・六兆円いわゆる計画の方が少ない、あるいは毎年一兆円少ないというふうに言われています。これはその幅の中に入るんですか。

杉大臣政務官 申し上げましたように、これは一定の仮定に基づいた分析でございまして、より精緻な分析が必要だというふうに考えております。

 今、総務大臣の方からは、決算額が計画額を逆に一兆円上回るという総務省の見解の御答弁があったところでございますが、今の総務省が比較に用いている決算額におきましては、総務省が地方財政計画には計上していないとしております超過課税、法定外税を財源とする歳出、国家公務員の給与水準を超えて支給される給与等、会計検査院報告で地方財政計画外とされております地方税収等の決算増収分を財源とする歳出、使用料、手数料の決算増収分を財源とする歳出、また過去に積み立てた基金からの取り崩し分を財源とする歳出等の影響が勘案されていないため、こういった点についても調整する必要があるのではないかというように考えております。

 いずれにしましても、計画額と調整後の決算額の乖離については、仮定の置き方によっては推計結果が変わってくることから、結果については幅を持って理解する必要がある、このように考えております。

吉川(元)委員 幅を持って見なければいけないと。

 ということは、まさに総務大臣が答弁されたように、決算額の方が計画を上回っている可能性も十分あるわけですよね。当然それはお認めになられますね。

杉大臣政務官 財務省といたしましては、そういったさまざまな仮定の置き方も含めまして、今後精緻な分析をしながら、総務省と年末に向けて検討したいと考えております。

吉川(元)委員 率直に言わせていただいて、どこの数字なのかもよくわからないものを出してきて、財政制度等審議会の中で、これは明らかに、交付税減らしましょうという議論をつくっていくための資料じゃないですか。

 しかも、その資料というのが、いつもいつも財務省がエビデンス、エビデンスと言う、そのエビデンスに全く基づいていない。ある仮定を置いて、幅があって、しかもこれはまだ正確ではないから精査しなければいけない。そんな資料を出して財政の議論をするんですか。

杉大臣政務官 あくまでこれは、今とり得る資料の中で、さまざまな仮定を置いて、議論のたたき台として提示をした資料でございまして、そういった意味で、こういったさまざまな観点から議論を進めていきたいと考えております。

吉川(元)委員 だとすると、今後エビデンスに基づく議論はしないということでいいんですか。全て仮定を置いて、はっきりとそうだという確証がないものを出して、引き続き財政制度等審議会の中で議論をするということですか。

杉大臣政務官 繰り返しになりますが、あくまでこれは議論のたたき台として持ってきたわけでありまして、さまざまな、いろいろなとり得る情報の中からしっかりと議論を深めてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 たたき台になっていないと言っているんですよ。

 エビデンスに基づいて議論するんでしょう。そうやって常に言っているじゃないですか。それが、エビデンスじゃないものをたたき台にして議論をしていくんですか。

杉大臣政務官 さまざま今申し上げましたとおり、総務省の御説明されている部分については、例えば先ほど列挙させていただきましたとおり、地方財政計画には影響として考慮されていない、そういった面もありますので、こういった点も含めて、これは明らかに入っていない項目でありますので、そういった個別の項目も含めて、全体として議論をしていきたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 私が聞いているのは、常日ごろから、私も文部科学委員会でもやっていますけれども、常にエビデンス、エビデンス、事実に基づいて議論しましょうと。ところが、財務省が出す資料は、事実に基づかない仮定を出して、幅もあって、これからまだ見ていかなきゃいけない、より正確にしていかなければいけない、本当かどうかよくわからない。そういうものをたたき台にするのはおかしいんじゃないんですかと言っているんです。

杉大臣政務官 当然、今とり得る資料の中で、一定の仮定を置いて検討を進めているところでございまして、そういった中で議論を深めていきたいと考えております。

吉川(元)委員 もう余り時間がないので、これ以上これはやれませんけれども、日ごろから言っていることと、ほかの、例えば文部科学の世界でもそうですし、それから地方交付税でもそうです。常にいつもエビデンス、エビデンスと言いながら、減らすときには自分たちに都合のよい仮定を置いて、自分たちの都合のよい解釈で、しかも幅がある。これで議論するというのはそもそもおかしいということを私は指摘させていただきたいと思います。

 次に、もう一つ、今回出されている資料の中で、長期債務残高、これが触れられております。この十年間、国の借金は三百兆円ふえたけれども、地方は横ばい、これはリーマン・ショック後に国が別枠加算などの措置で対応した結果だというような記述が見られます。

 地方の長期債務の減少は国の施策のおかげだ、そういう認識なんでしょうか、財務省は。

杉大臣政務官 国と地方の長期債務残高につきましては、御指摘のとおり、過去十年間を見ますと、国分が約三百兆円増加をしているのに対し、地方分は微減でほぼ横ばいの状況となっております。一方、地方の積立金残高は、過去十年間で一・六倍に増加をしております。

 財政再建は国、地方でバランスよく進めることが重要と考えており、国から地方への財源移転の水準のあり方を議論する際には、申し上げたような国、地方の財政状況の違いも考慮する必要があると考えております。

 いずれにいたしましても、地方財政対策につきましては、地方団体が安定的に必要な行政サービスを実現できるという観点も踏まえて、総務省とよく協議をしてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 続いて総務大臣に。

 今のことについてどのような見解をお持ちでしょうか。

高市国務大臣 そもそも国と地方では金融、経済、税制などの権限が異なりますので、単純に債務残高などの財務状況を比較するといった財政制度審議会のやり方は不適当だと思っております。

 それから、地方の債務残高が近年横ばいとなっているのは、臨時財政対策債の残高が増加傾向にあるという中で、地方において投資的経費など歳出の抑制に懸命に取り組んできた結果でございます。地方の債務残高が横ばいであるということが国の財政負担によるものであるといったような見解は、妥当ではないと考えております。

吉川(元)委員 まさに私もそのように思います。

 今、地方の歳出の規模、一番大きいときが二〇〇一年、八十九・三兆円ありました。今現在、これは二〇一五年度ですけれども、八十五・三兆円、ピークから比べると約四兆円規模が小さくなっております。リーマン・ショックとの比較でいいますと、二〇一六年度と二〇〇八年度、地財計画でいいますと、わずかに二・八%ふえただけです。

 一方、補正を除いても、国の当初予算、同じ期間に一六・四%ふえております。どう考えても、地方は懸命に努力をしながら、今お話ありましたけれども、例えば投資的経費なんかは一番多いときに比べれば三分の一です。かつては三十一兆円あったものが今は十一兆円。それから、給与関係費、一番多いころで二十四兆円あったものが二十兆円。こうやってずっと削って、そして社会保障関係経費、これは地方自治体というよりも国の施策の中で必要とされるお金が多々含まれております。

 そうなりますと、自治体というのは、自分たちの魅力ある自治体や特色ある自治体をつくろうとしても、そのための財源というのは今ほとんど保障されていない。その上で、国が特別枠等々を入れて債務がふえていないから地方も負担すべきだ、そういう考えをまだ財務省はとられるんですか。

杉大臣政務官 先ほどの繰り返しになりますけれども、これはファクトに基づいて、こういった事実の中で、今後総務省と、こういった事実、財政再建はやはり国、地方でバランスよく進めることが重要と考えておりますので、国から地方への財源移転の水準のあり方を議論する際にはこういった違いも考慮しながら、その一方で、地方財政対策については、地方団体が安定的に必要な行政サービスを実現できるようという観点も踏まえて、総務省とよく協議をしたいと考えております。

吉川(元)委員 先ほどはファクトに基づかない数字で議論のたたき台として、今度はファクトという話を持ち出す。非常に御都合主義もいいところだというふうに指摘をさせていただきたいと思います。

 同じく財務省の資料を見ますと、地財計画では、内訳や積算が明らかでない、いわゆる枠経費が多額の規模で存在するというような、こういう指摘がされております。

 例えば、今年度の地財、一般行政経費のうちの単独事業、そのうち八三%が内訳や積算が明らかでないというような指摘をしております。

 地財計画、基準財政需要額の積み立てから成り立っている以上、全て根拠があるわけでありまして、これは一体どういう意味でこういうことを書かれているんでしょうか、財務省。

杉大臣政務官 この点については、毎年度、国において赤字国債を発行して地方一般財源総額を確保しているという観点を踏まえれば、地財計画の歳出歳入の水準についてはより一層の精査が欠かせないものと考えております。

 このような観点からは、枠計上経費についても、それらを活用した事業の実績、成果について把握をし、計上の合理性を検証する必要があり、そのためにも可能な限り各経費の内訳や積算を明らかにしていくべきではないか、このように考えております。

吉川(元)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、ぜひ、財務省、地方交付税法の第三条の二項を読んでください。そこには、「国は、交付税の交付に当つては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」というふうに書かれています。

 この法律をもう一回きちんと読んでいただいた上で、地方財政を確立するために、我々、しっかりとまた議論していくことを申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

竹内委員長 次に、内閣提出、地方公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市国務大臣 地方公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、育児または介護を行う職員の職業生活と家庭生活の両立を一層容易にするため、地方公務員について、育児休業等の対象となる子の範囲を拡大するとともに、介護のため一日の勤務時間の一部につき勤務しないことができるようにする等の措置を講ずるものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、育児休業等の対象となる子について、職員が特別養子縁組の成立について家庭裁判所に請求した者であって、当該職員が現に監護するもの等を含むものとすることとしております。

 第二に、職員は、要介護家族の介護をするため、三回を超えず、かつ、合算して九十三日を超えない範囲内で任命権者等が指定する期間内において、休業をすることができることとしております。

 第三に、職員は、負傷し、もしくは疾病にかかった子の世話または要介護家族の介護その他の世話を行うため、一日未満の単位で休暇を取得することができることとしております。

 第四に、任命権者等は、職員が要介護家族を介護するために請求した場合において、公務の運営に支障がないと認めるときは、所定労働時間を超えて勤務しないことを承認しなければならないこととしております。

 第五に、職員は、任命権者等の承認を受けて、要介護家族の介護をするため、連続する三年の期間内において一日につき二時間を超えない範囲内で勤務しないことができることとしております。

 第六に、任命権者等は、職場において行われる職員に対する育児休業、介護をするための休業等の利用に関する言動により当該職員の勤務環境が害されることのないよう、必要な体制の整備等雇用管理上必要な措置を講じなければならないこととしております。

 このほか、施行期日について規定するとともに、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十七日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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