衆議院

メインへスキップ



第5号 平成29年2月23日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十九年二月二十三日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 古賀  篤君 理事 左藤  章君

   理事 坂本 哲志君 理事 田所 嘉徳君

   理事 葉梨 康弘君 理事 小川 淳也君

   理事 奥野総一郎君 理事 輿水 恵一君

      青山 周平君    池田 道孝君

      大西 英男君    金子めぐみ君

      工藤 彰三君    小島 敏文君

      小林 史明君    小松  裕君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      瀬戸 隆一君    高木 宏壽君

      谷  公一君    津島  淳君

      土屋 正忠君    冨樫 博之君

      中谷  元君    中山 展宏君

      長坂 康正君    前田 一男君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    阿部 知子君

      逢坂 誠二君    黄川田 徹君

      鈴木 克昌君    高井 崇志君

      武正 公一君    稲津  久君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      足立 康史君    吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        原田 憲治君

   総務大臣政務官      金子めぐみ君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   経済産業大臣政務官    井原  巧君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           三宅 俊光君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  林崎  理君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大庭 誠司君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    川嶋  真君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           神山  修君

   総務委員会専門員     塚原 誠一君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     小島 敏文君

  菅家 一郎君     瀬戸 隆一君

  小林 史明君     青山 周平君

  新藤 義孝君     小松  裕君

  武藤 容治君     中山 展宏君

  近藤 昭一君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     小林 史明君

  小島 敏文君     津島  淳君

  小松  裕君     新藤 義孝君

  瀬戸 隆一君     前田 一男君

  中山 展宏君     工藤 彰三君

  阿部 知子君     近藤 昭一君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     武藤 容治君

  津島  淳君     金子万寿夫君

  前田 一男君     菅家 一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法及び航空機燃料譲与税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法及び航空機燃料譲与税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官三宅俊光君、自治行政局長安田充君、自治財政局長黒田武一郎君、自治税務局長林崎理君、消防庁次長大庭誠司君、国税庁課税部長川嶋真君及び文部科学省大臣官房審議官神山修君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 民進党の鈴木であります。

 お時間をいただきまして、議題になります地方税法改正案その他について御質問をさせていただきたいと思います。

 私も、かつて片山善博総務大臣のもとで総務省で少し仕事をさせていただいたんですが、そのときの思い出というのが大きく言えば二つありまして、一つは東日本大震災。これはもう本当に未曽有の大災害ということでありました。私の人生の中でも非常に忘れることのできない出来事です。

 もう一つは、実はマイナンバーなんですね。それが一応私の、私だけではありませんけれども、担当ということで、何とかこれを物にして国家のために役立たせたい、そんな思いで仕事をさせていただいたわけであります。

 したがって、最初に、マイナンバーについてはもういろいろな方が御質問をされておりますけれども、私の観点で少し御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 もちろんこれは普及促進という立場であるわけでありますが、マイナンバー導入時のいろいろな議論の中で、この制度が入れば、就職、転職、出産、育児、病気、年金受給、災害等、本当に多くの場面で個人番号の提示が必要となり、また、それが結果的には国家国民のためになる、こういうことでありました。

 その際、通知カードだと、運転免許証や旅券等、ほかの本人確認の書類が必要となるということでありますが、マイナンバーカードがあれば一枚で番号確認と本人確認ができる、こういうことであります。

 ただ、新聞報道によりますと、そのマイナンバーカードの普及率が昨年末時点で八%にとどまっておる、こういうことであります。これは私にとっては非常に、冒頭申し上げたような理由で最大の関心事なんですが、一番新しい数値、マイナンバーカードの普及率の最新の数値をお示しいただきたいと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードについてのお尋ねでございますけれども、二月二十一日時点で、約一千二百九十七万件の申請がなされておりまして、そのうち約一千四十八万枚が交付されております。人口に対する比率はそれぞれ、一〇・一%、約八・二%となっているところでございます。

鈴木(克)委員 去年の一月からということでありますので、見よう、考えようによってはこういう程度ということもあるかもしれませんけれども、冒頭の理由で、私にとっては、いささかこの数字というのは不満というか、もっともっと頑張っていただかなきゃならないというふうに思います。

 普及をしていくためには、いろいろな手だてがあるんですが、結果的には、国民の皆さんがこのマイナンバーカードの利便性を実感されなければ普及が進まないわけなんですね。

 したがって、利便性を実感できる一つの手段として、各種証明書のコンビニでの交付というようなことがよく言われておるわけでありますが、実際にそういった施策を進めていく上において、私は、やはり自治体の協力が不可欠だ、このように思っておるわけです。

 各自治体がマイナンバーカードの普及に向けていかに前向きに取り組んでいただくかというところに私は行き着くというふうに思うんですが、この点について、総務省が各自治体に対してどのような働きかけをしておってくれるのか、しているのか、それをお示しください。

安田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、マイナンバーカードの普及促進のためには、国民の皆様にその利便性を実感いただくとともに、各自治体における協力が必要不可欠である、このように認識しているところでございます。

 昨年末には、ワンストップ・カードプロジェクトアクションプログラムというものを取りまとめまして、自治体の協力を得て、カードの利便性向上に取り組むこととしているところでございます。

 このうち、マイナンバーカードを活用して各種証明書が取得可能となるコンビニ交付サービスにつきましては、多くの国民にそのメリットを実感していただくために、全国の市町村における導入を目指すことが必要と考えているところでございます。

 このため、全国の市区町村に対しまして、早期かつ積極的な導入を促す大臣通知を平成二十八年九月に発出するとともに、参加に向けた課題となっております費用負担の緩和方策、地方財政措置の拡充を先ほど申し上げましたアクションプログラムに盛り込んだところでございます。

 今後は、これらの推進方策を未導入団体に対し丁寧に説明いたしまして、導入に向けた検討を促してまいりたい、このように考えているところでございます。

鈴木(克)委員 普及を進める一つの手だての中に、電子申告というのがあると思うんです。

 これは、自宅から二十四時間、マイナンバーカードがあればできる、こういうふうに聞いておるわけでありまして、普及のためにも非常に有効な手だてではないのかな、このように思っておるわけであります。それがないと、先ほど申し上げたように、マイナンバーが確認できる書類だとか、それから身元を確認しなきゃならないものとか、そういうものを用意しなきゃならないということでありますから、カードをお持ちになれば、これは非常に有効だということになるわけであります。

 確定申告を行う側にとってもメリットがあるわけでありますが、これは逆に、税務署側にとっても非常に事務量の軽減になることだというふうに思うんですが、実際に今、電子申告の普及がどのような状況になっておるのか、カードの促進に対して実際に結びつくような数字になっておるのか、その辺の利用件数とそれから利用率、これをお示しいただきたいと思います。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 直近の平成二十七年分の確定申告期にe―Taxを利用して所得税の確定申告書を提出した人員でございますけれども、納税者本人が自宅から送信した方は五十二万人いらっしゃいまして、これを平成二十七年分の確定申告期に提出された申告者数二千百五十一万人で割りますと、e―Taxの利用割合は二・四%というふうになります。

 また、税理士によります代理送信により提出した方は三百四十七万人でございまして、e―Taxの利用割合は一六・一%というふうになります。

 これらを合計いたしました電子申告の自宅等からの利用者につきましては三百九十九万人でございまして、e―Taxの利用割合は一八・五%になるということでございます。

鈴木(克)委員 先ほど申し上げましたように、このカードの最大のメリットは、二十四時間、自宅から手続がとれるということなんですね。

 そこが、今のお示しだと二・四%ということであります。もちろん、税理士さんを通じての手続ということになればもう少し上がってはおるわけでありますが、この辺のPRについてやはり一考を要する必要があるのではないのかな、このように私は思っておるわけであります。

 そういう意味合いにおいて、国税庁で、確定申告期間においてこのe―Taxを普及させるために例えばどのような具体的な取り組みを行っているのか、その辺のところをお示しいただければと思います。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、e―Taxの利用は、納税者の利便性のみならず、税務当局の事務の効率化にも資することから、国税庁におきましては、その普及促進のために、確定申告期においては二十四時間受け付けを可能とする、添付書類の提出の省略を可能とする、あるいは早期還付を実施するなど、さまざまな取り組みを行っているところでございます。

 また、二十八年分以降の確定申告書には、マイナンバーの記載及び本人確認書類の提示または写しの添付が必要となりますが、マイナンバーカードを利用したe―Taxを行うことにより、番号法上必要となります本人確認書類を別途提出することは不要となりますなど、納税者にとってのメリットが大きいというふうに考えております。

 そのため、特に確定申告期におきましては、確定申告に係る各種リーフレットや手引書におきまして、こうしたマイナンバーカードによるe―Taxの利用のメリットを重点的に周知、広報しており、また、国税庁ホームページの確定申告特集にマイナンバーカードによるe―Tax専用の案内画面を新設するなど、マイナンバーカードによるe―Taxの利用拡大に向けた取り組みを実施しているところでございます。

鈴木(克)委員 今、本当に携帯もさまざまな情報が見られるようになっていますし、そういう意味合いからいって、二・四%というこの数字は、私はまだまだ工夫のしようがあるんじゃないのかなというふうに思うわけであります。

 いずれにしましても、国税庁としても、このことを真剣に受けとめていただいて、普及にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 それから、例えば確定申告を受ける際にカードを持参されていない納税者に対して、次回の確定申告に向けてぜひひとつカードをおとりになってくださいということをPRするというか告知する必要があるというふうに思うんですが、マイナンバーカードの定着に向けて、制度の定着に向けて、周知、広報、その辺はどのようになさっておるのか、御答弁ください。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、マイナンバーカードを利用したe―Tax等についてはさまざまなメリットがございますものですから、特に確定申告期におきましては、先ほど申し上げました各種媒体におきましてマイナンバーカードを利用したe―Tax等の広報を行っているところでございますが、特に、確定申告相談会場にお越しになった方々に対しましては、マイナンバーカードによるe―Tax利用を案内したチラシを交付するなどの取り組みを実施しているところでございまして、こうした取り組みを通じまして、マイナンバーカードの取得の促進につながっていくのではないかというふうに考えております。

鈴木(克)委員 何回伺っても同じ方向なので、鶏が先か卵が先かという言い方はちょっと当たらないかもしれませんけれども、カードを持っていただくことが結果的には本当にメリットがあるんだということを、やはりきちっと納税をされる方々にアピールしていくという必要が、私は、まだまだ不足をしているんじゃないかな、もうちょっと何か一工夫、二工夫してもらう必要があるんじゃないかな、こんなふうに思いますので、その点、頑張っていただきたいなと思います。

 それから、カードはカードですけれども、ちょっと視点を変えてお話をしたいと思うんです。

 税制の円滑な処理のために、各地の税理士会の皆さんが、無料相談といいますか、御協力をいただいておると思うんですね。私も、毎年この時期になると激励に回らせていただいておるわけであります。

 給与所得者の個人住民税を賦課するもととなる前年の課税所得を把握するための給与支払い報告書、そしてまた固定資産、償却資産税など、税理士の皆さんによる代理申告が行われておる、結果的に市の税務業務や各地の税務署が大変助かっておる、こういうことだと思うんですね。まさに税理士さんの業務協力がなければ、地方税の、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、円滑な課税制度が崩れてしまうのではないかというぐらい私は大きな仕事をしていただいておるというふうに思っています。

 この中で、いろいろと現地で伺ったんですが、代理申告にマイナンバーと確認書類の添付、当然そうですね、カードをお持ちでなければその義務が課せられておるわけです、必要とされておるわけですが、これが、最初はもちろん当然のことなんですが、二度目、三度目も同じように出せ、こういうことで、税理士さんにしてみると、何でそんなことをしなきゃならないのかということを現地へ行くと言われるんですね、多くの税理士さんに。

 その点、番号が変わった、相違した番号で提出があったというときにはもちろんもう一度やり直すということになるわけですけれども、何かそのところに対して手だてはないのかな、まずこのことをお伺いしたいと思います。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバー制度、もう御承知のとおりでございまして、税分野におきましては、このマイナンバーを用いまして、より正確な所得把握が可能となり、社会保障や税の給付と負担の公平化、それから行政の効率化ということが図られるというものでございます。

 そのために、マイナンバー法の方が、個人番号利用事務等実施者が本人からマイナンバーの提供を受ける際には、マイナンバーの真正性の確認を行うということを目的として、本人確認を義務づけしているということでございます。

 そして、この本人確認の義務づけということですが、先ほど来御指摘いただいているマイナンバーのカードがあれば一気にそれで終わるんですけれども、そうでない場合は、身元確認としての免許証とか、それから番号確認のための書類といったものの提示が必要となる、こういう状況でございます。

 税理士等の代理人の申請においては、今申し上げました納税者御本人の番号確認のほかに、税理士さんの方の代理権の確認、それから代理人の身元確認も行うこととされているところでございます。

 これは、マイナンバーの提供を受ける際にはということで、マイナンバー法の方で義務づけされておりまして、紙で申告する場合はその都度番号確認のための書類の提示を求めなければならない、こうなっておるものですから、今御指摘いただいたような、次回以降もその写しを出してくれ、こういうことになっておるわけでございます。この点につきまして、法律の所管省庁というのはまた別ではございます。

 背景としてございますのが、先ほど冒頭申し上げたような行政の効率化という観点と、それから一方で、やはり代理人たる税理士さんの方の手間暇の関係、あるいは御本人も一々写しを渡さなきゃいけないといったような手間もかかりますから、そういった問題との、利益のぶつかり合いみたいなところがあろうかと思いますが、御指摘のような点につきまして、また関係省にもお伝えしておきたいと思っております。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

鈴木(克)委員 利便性の向上のために始まっておるわけですよね。それで、役所間の合理化というのも狙いだったわけです。ところが、実際、毎回確認書類の提出が義務化されておる、義務づけされておるということでありますので、税理士さんに言わせると非常に、期待よりも失望感の方が多いんだ、何でこんなことを毎回やらなきゃならないのかということであります。

 今のお話では、法律で決まっているんだ、こう言ってしまえばそのとおりかもしれませんけれども、やはりその辺は、税理士さんの立場に立って少し考えていくということもぜひやっていただく必要があるんじゃないかな、このように私は思っております。

 質問のついでに、税理士さんがいかに税のために御尽力をいただいておるかということを少しお話しさせていただきますと、先ほども申し上げました、確定申告の際に無料の税務相談をしていただいておるわけでありますが、これは、税理士会として、国税庁との連携ということになるわけですね。租税教育の推進、その他多くの問題を税理士さんがその場で担っていただいておるということであります。

 これはもちろん国税ということなんですが、一方、市町の税制、税務課も非常に助かっておるわけですね。市町の税の課税においては、先ほども言ったように、給与所得者の個人住民税を賦課するもととなる前年の課税所得を把握するための給与支払い報告書を毎年一月末までに会社または個人事業主に提出していただいておるわけでありますが、その実務の大半は税理士さんが代理で行っておる。また、固定資産税の償却資産については、会社または個人事業主が事業に供用している償却資産をみずから申告するルールとなっておるわけでありますが、その大半も税理士さんによって代理申告をしておる。こういうことはもう御案内のとおりであります。

 したがって、何が言いたいかというと、税理士さんのこういった要望に対しては、私は、真摯に受けとめていただいて、少しでも御協力いただきやすいような、そういう制度にやはり変えていく必要があるんじゃないか、法で決まっているから仕方がありませんと言うだけでは、御協力いただいておるそういった税理士さんに対してやはり申しわけない、こんなふうに思って実は今回こういう質問をさせていただいた。その辺のところもぜひひとつそんたくをしていただければありがたいな、このように思っておるところであります。

 さて、これだけで大分時間がたってしまいましたが、次に、全国の自治体の非常に大きな問題であります公共施設の老朽化ということについて、またその経費について伺ってまいりたいというふうに思います。

 平成二十九年度の地方財政計画では、一般行政経費の補助分は前年度四・一%増の十九兆七千八百九億円というふうになっております。それから、これは平成十三年度と比べると一一一・六%ということで、一般行政経費というのは物すごい勢いで伸びておるわけです。

 ところが、一方、投資的経費については、結論から申し上げると、十三年度比で五八・二%減額される。

 したがって、一般行政経費というのは物すごい勢いで伸びておるけれども、投資的経費は六割ぐらい下がっておる。よく言われるワニの口のような開きになっておるわけですね。これでは、やはり公共施設の老朽化対策とか耐震化とか地方創生に必要な投資的経費というのはなかなか出せないということになるわけであります。

 したがって、そういう観点で少し質問させていただきたいんですが、平成十三年度比ということでちょっと古い比較になるかもしれませんけれども、一般行政経費の補助分が今言ったようにどういう形で倍増したのか、何の理由で倍増したのか、そして、投資的経費がどういう理由で半減したのか、この背景を御説明いただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、地方財政計画の歳出の規模でございますが、最も大きかった平成十三年度と平成二十九年度を比べますと、一般行政経費の補助分につきましては九・三兆円から十九・八兆円と、十・四兆円の増になっております。

 一方、投資的経費につきましては、二十七・二兆円から十一・四兆円と、十五・八兆円の減でございます。

 まず、一般行政経費の補助分の増の要因でございますが、この経費につきましては、国の予算に計上された施策や事業を着実に実施できるよう、その動向を反映して計上しているものでございます。国の予算におきまして、高齢化の進展などに伴い社会保障関係経費が増加していることがこの増加の主な要因でございます。

 それから、投資的経費につきましては、公共投資拡大に係る国際公約やバブル崩壊後の累次の景気対策などによりまして拡大が図られました。その結果、平成九年度にピークとなりましたが、その後、財政構造改革の推進、あるいは累次の骨太の方針などで示されました国の公共投資の抑制方針、これは公共投資の規模につきまして景気対策前の水準まで戻すというふうな方針等がございました。そういう方針等を踏まえて予算が計上されたことに伴いまして、減少傾向が続いてきたものでございます。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(克)委員 社会保障の経費がどんどん伸びていった、したがって、投資的経費が減っていった、一言で言えばそういうことの説明だったわけであります。

 私がなぜこれを御質問させていただいておるかというと、地方の状況は、高齢化の進展によってもちろん社会保障の増加がありますから、それを埋めるために投資的経費や給与関係経費を減らしてそこを埋めてきておるということです。結果、どういうことになるかというと、さっきも申し上げましたように、公共施設や道路、橋梁、上下水道のインフラ等の更新に対して必要な財源を確保することができないということなんです。

 一方では、たび重なる災害で、公共施設の老朽化、そして耐震化の重要性というのは再確認をされておるわけであります。

 したがって、結論から言えば、やはり財源をしっかりと継続的に確保していくという必要があると私は思うんですね。この状況はやはり放置はできないんじゃないかなというふうに思うんですが、その点について御答弁をいただきたいと思います。

高市国務大臣 鈴木委員におかれましては、特に東日本大震災発災時の総務副大臣として、当時、どれだけ長い期間、ほとんど睡眠もとることができずに壮絶にお仕事をされたかということを想像しております。私どもも、熊本地震発災直後、幹部ともども、ほとんど眠る暇もない状況でございました。

 心から当時の御活躍にも敬意を表しつつ、たび重なる災害ということで、特に公共施設の老朽化、耐震化の必要性を誰よりも重く見ていらっしゃる、そういうお立場での御質問だと思います。

 特に、公共施設がこれから大量に更新時期を迎えるという中で、各地方公共団体が計画的に施設管理を行うということで、維持管理、更新などに係る財政負担の軽減、平準化、それから施設配置の最適化というものを図ることが重要です。

 総務省では、これまでも、地方公共団体が公共施設等総合管理計画を策定して取り組む施設の集約化、複合化、転用事業、除却事業に対して、地方財政措置を講じてまいりました。今年度中に、ほぼ全ての地方公共団体におきましてこの公共施設等総合管理計画の策定が完了しますので、今後、老朽化対策の取り組みが本格化していく見通しでございます。

 それを受けまして、平成二十九年度からは、公共施設等適正管理推進事業としまして、これまでの公共施設等最適化事業の対象に加えまして、既存施設をより長く活用するための長寿命化事業、コンパクトシティーの形成に向けたまちづくりを進めるための立地適正化事業、熊本地震の被害状況などを踏まえ、災害発生時の庁舎機能を確保するための市町村役場機能緊急保全事業に対しても、地方財政措置を講じることにしています。

 老朽化した施設の安全性を確保するということは喫緊の課題でございまして、地方公共団体ができる限り早期のお取り組みをしていただくことが望まれますので、この公共施設等適正管理推進事業は、市町村役場機能緊急保全事業を除いて、平成三十三年度までの五年間の措置としております。

 公共施設等の適正管理の取り組みを一層推進するために力を尽くしてまいります。

鈴木(克)委員 大臣から今御答弁をいただきました。事の重大性というのは十分御理解をいただいておるというふうに思うわけでありますが、計画が出て、そしてそれに対して新たに二十九年度から始まっていくということでありますが、やはり一番大事なのは、繰り返しになりますけれども、財源であります。お金がなければ何も始まらないということでありますので、計画と同時に、いわゆる財源確保をしっかりとお願い申し上げたい。

 それには、やはり景気を回復させて、雇用をふやしてということになっていくかもしれませんけれども、いずれにしましても、本当に地方自治体は田舎ほど悲鳴を上げているわけですね。本当に維持できないし、管理できないし、修復できないし、耐震化もできないしという、このところをぜひひとつしっかりと受けとめていただくことをお願い申し上げて、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 三番目の質問なんですが、配偶者控除、配偶者特別控除の見直しについて伺ってまいりたいと思います。

 時間の関係もありますので、結論、要点だけ申し上げたいと思うんですが、今回の改革案は第一弾というふうに聞いておるわけであります。第一弾ということになると、第二弾、第三弾はどんなふうになっていくのかなというふうに考えざるを得ないんですが、いずれにしましても、今回の改正によって地方税収の増減というのは、地方税では平年度約四百億円の減収、国税では約四百億円の増収ということであります。もちろん、地方が減るわけでありますから、国がそれを補填するというふうに伺っておるわけであります。

 それで、与党大綱で、今後数年をかけて、基礎控除を初めとする人的控除等の見直し等の課題に取り組んでいく、こういうふうになっておるわけでありますが、この個人所得課税改革は、今後何年かけて行うというような御予定なのか、お聞かせをいただきたいと思います。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年度与党税制改正大綱では、個人所得課税について、「今後数年をかけて、基礎控除をはじめとする人的控除等の見直し等の諸課題に取り組んでいくこととする。」とされておりまして、所得再分配機能の回復の観点からの基礎控除などの人的控除等の控除方式の見直し、多様な働き方を踏まえた給与所得控除などの所得の種類に応じた控除、それと、基礎控除などの人的控除のあり方の見直し、老後の生活に備えるための自助努力を支援するための私的年金、金融所得等に係る税制の見直しといった改革の方向性が示されております。

 このように、論点は非常に多岐にわたりまして、個人所得課税の税制全体における位置づけや負担構造のあるべき姿について、国民的な議論を行いながら丁寧に検討していく必要があるとされているところでございまして、現時点で、検討の年限について、今後数年をかけてという以上に予断を持ってお答えすることは、申しわけありませんけれども、できないところでございます。

鈴木(克)委員 結論は、わからない、今後数年をかけてということなんですが、やはり目標をきちっとしていかないと物事というのは進まない。

 私は、人生教訓として、きちっと目標を立てる、それに向かって努力をする、こういうことなものですから、何年かかるかわからないけれども努力しますよ、また進めていきますよということでは、なかなか結果的にうまくいかないんじゃないかなというふうに思っていますので、そのことを申し上げておきたいと思います。

 それで、今回の控除の見直しで、就業調整を行っている配偶者は、現行制度のもとでは何人ぐらいおみえになるのか。そしてまた、今回の見直しの効果として、これまで就業調整をしてみえた配偶者のうち、どの程度が時間もふやす、就労をふやすというふうに見込んでおるのか。現在の人数、それから改正後の人数、これをお示しいただきたいと思います。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 就業調整という言葉でございますけれども、就業調整に関する明確な定義というのは現状何らかの法令であるわけではないという中で、就業調整を行っている配偶者の人数につきましても、定量的にお示しできる調査結果というのがあるわけではないんですけれども、平成二十五年度の国民生活基礎調査、これは抽出調査でございますけれども、これによりますと、妻であるパート労働者の年間の給与収入の分布を見ますと、九十万から百万というところが一番高い山になっているということで、この点からも、いわゆる百三万円の壁といったようなものの存在がうかがわれるところでございます。

 就業調整の問題につきましては、税制や社会保障制度のみならず、民間企業の配偶者手当の支給基準や、家事や育児に要する時間など、複合的な要因が存在すると考えておりまして、税制の配偶者控除等の見直しのみでどの程度いわゆる就業調整問題が解消されるのか、その効果を定量的に見積もることは難しいと考えております。

 ただ、今回、この配偶者控除等の見直しによる配偶者の収入制限の水準についてでございますけれども、これは、時給千円で一日六時間、それで週五日間勤務した場合の年収というのが百四十四万円になります、これを今回の見直しは上回るということでありまして、パートで働く女性の方々の八割以上をカバーする水準でございますので、パートで働く女性にとって、就業調整を意識せずに働くことができる環境の整備に資するものと考えています。

 また、配偶者控除等の見直しを契機として、実は影響が非常に大きい民間企業の配偶者手当について、これも見直しが検討され始めているということなどを考えますと、就業調整問題の解消には一定の効果があるものと考えているところでございます。

鈴木(克)委員 確かに、数値は出しにくいという今の御説明は、ある意味わからないわけではないんですけれども、闇夜にやたら飛行機を飛ばすような、指針もないままやるというふうに思えてなりませんので、本当にどれぐらいの調整が、効果があるのか、影響があるのかということは、やはり慎重に調査をしていただく必要があるんじゃないかと思います。それがためのいわゆる見直しではないのかなというふうに思いますので、ひとつしっかりその辺はお考えをいただきたいと思います。

 それから、少し進めさせていただきますが、改正案の、納税義務者の合計所得金額、それから配偶者控除額の刻みということで御質問させていただきたいんですが、合計所得金額の刻みが五十万円、それから配偶者控除額の刻みが十一万円、こういうふうになっています。

 それで、例えば、合計所得金額が九百五十万円の方と九百五十一万円の、へ理屈を言うわけじゃありませんけれども、一万円の違いの方で差が結局一万二千円になるわけですよね。もちろん、物事はどこかで線を引かなきゃならない、こういうのはわかるんですが、何が言いたいかというと、少し刻みが粗いんじゃないのか。

 今言うように、九百五十万、九百五十一万円で、一万円違うだけということでそれだけの差が出るというのは、全体的に見ていくとやはり刻みが少し粗いんじゃないのかな、こういうふうに思うわけでありますが、その辺についてお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のとおり、どこかで線を引きますと、その前後で影響が不連続で出てくるということがございます。

 そういったことはございますが、今、現行の配偶者特別控除、階段の刻みが細かいものがございますけれども、これにつきまして、何でそういう仕組みがあるかという点は、釈迦に説法ですけれども、配偶者控除が適用されなくなることで、世帯として見たときの手取り収入にいわゆる逆転現象が生じるということになりますと、配偶者の方が就業調整する、そういう要因になることから、配偶者の方の所得に応じましてきめ細かく控除額を逓減させている、こういう制度でございます。

 一方で、今回の見直しにおいて新たに設けられる納税者本人の方の所得制限につきましては、これは、納税者本人の所得に応じた税負担の差をなだらかにするという観点から設けるものでございます。

 今回の納税者本人の所得制限によって控除額が逓減、消失するのは、今御指摘のあった、合計所得金額でいいますと九百万円から、これは給与収入ベースに直しますと一千百二十万円という数字になりますけれども、これを超えていく場合でございますけれども、この水準の所得を有する場合には、配偶者特別控除が適用になるかどうか、幾ら適用になるかといったことを納税者本人が意識をして、そして就業調整をするといった問題は生じにくいと考えているところでございます。

鈴木(克)委員 いずれにしましても、この辺のところも、一番大事なのはやはり税に対する公平、公正、平等。もちろん、確かに難しいです。どこで線を引いても必ず問題は出てくると思いますが、その辺はやはり慎重に御対応をしていただきたいし、お願いを申し上げたいなというふうに思います。

 質問の最後になると思いますが、トップランナー方式ということで少しお伺いをしたかったんです。

 これは、いわゆる歳出効率化に向けた業務改革で他団体のモデルとなるようなものを交付税の基準財政需要額の算定に反映するということがこのトップランナー方式というふうに聞いておるわけですが、平成二十八年度において検討対象とされた二十三業務のうち、十六業務がトップランナー方式を導入して、残る七業務に関しては二十九年度以降ということで、可能なものから導入する、こういうふうになっておるわけであります。

 そこで、質問として、トップランナー方式の対象業務のうち、青少年教育施設管理それから公立大学の運営の二業務が、二十八年度は見送ったにもかかわらず、二十九年度に導入した、こういうことでありますが、この理由は那辺にあるのか、お示しをいただきたいと思います。

原田副大臣 お答えを申し上げます。

 トップランナー方式につきましては、平成二十八年度において、検討対象である二十三業務のうち、十六業務について導入をいたしました。

 図書館や青少年教育施設等の社会教育施設の管理、児童館等の児童福祉施設の管理、公立大学のような教育機関の運営等の七業務につきましては、地方団体からさまざまな意見があることも踏まえて、より慎重な検討が必要でありますことから、平成二十八年度の導入を見送り、引き続き検討を行ってきたところでございます。

 昨年、地方団体からヒアリングを行うなど検討を進めた結果、平成二十九年度から、青少年教育施設管理及び公立大学運営についてトップランナー方式を導入することといたしたところでございます。

 これは、この二つの業務につきましては、実態として、多くの地方団体が指定管理者制度の導入や地方独立行政法人化などの業務改革に取り組んでおること、既に業務改革に取り組んでおる地方団体からはサービス向上や経費の効率化等の効果があったとの意見が多いこと等を踏まえて、導入をすることとしたものでございます。

鈴木(克)委員 時間が参りましたので以上で終わらせていただきますが、いずれにしましても、二十三のうち十六業務はやりました、そして今度、二業務、残る七業務のうち二つを認めますと。では、残った五つはどうなるのか、ここら辺のところを聞きたかったんですが、また次回にさせていただいて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民進党の逢坂誠二でございます。

 直前まで予算委員会でちょっとヒートアップしていたものですから、少しクールダウンしながらやりたいと思います。

 私は、大学を卒業してから、人口規模の少ない、小さな町の役場の職員として、社会人としての生活をスタートさせていただいたわけであります。人口規模の少ない町役場というと、ちょっと語弊がありますけれども、世間一般の目としては、職員の力量、能力、必ずしも高くないんじゃないかなとか、小さな自治体にいると、割となれ合い、もたれ合いで何か仕事をしているんじゃないかなというようなイメージを持たれる方も多いと思います。人口規模の少ないところよりも人口規模の大きな自治体に勤めている職員の方が、場合によっては偉く見えたりするなんということもあるのかもしれません。

 ただ、私は、人口規模の少ない町で仕事をさせていただいてよかったなと思うことがたくさんあります。それは、自分の仕事以外、自分が何々課にいるという仕事以外、よその課の仕事も非常によくわかるということと、自治体の仕事の、一から十までと言うと少し言い過ぎかもしれませんけれども、割と全体を俯瞰して見ることができる。これは、多分、大きな組織にいたのでは、そういうことはできないんだろうというふうに思うんですね。

 だから、全体を俯瞰して、自治の仕事とは一体どういうことなのか、そういうことを感ずるのには、小さな自治体というのは非常にメリットが大きい、私はそんなふうに思っておりました。

 役所に入って三年間ほどいろいろな仕事をさせてもらって、その後、当時の上司から言われたのは、自治体の職員として、やはり歳入、このことをよくわからないと職員としては全く使い物にならないんだ、歳入がちゃんと右から左までわかるようになって初めて、まあまあ何とか自治体の職員として役に立つようになる、だから歳入のことはしっかり勉強せよと。お金を使う歳出の方は具体的で非常にわかりやすいんですけれども、歳入の方はなかなか取っつきづらいというところもあるんだというふうに思います。

 そんなことで、私も税務の仕事を長くやらせていただきました。そのときに、やはり実際に税務の仕事をやってみますと、一円でも多く歳入を確保する、決して財政的に裕福な自治体ではありませんでしたから、少しでも収納率を上げる、そういうことに相当頑張るわけであります。だから、自分たちが課税できる範囲のもの、課税客体については、なるべく多くのものを公平に捕捉して、漏れのないように納付書を発付できるような体制をつくるということなわけであります。

 特に、国民健康保険税などは、受益と負担の関係が極めてクリアにつながっておりますので、医療費がふえれば国保税は上がるわけだし、医療費が減れば国保税が下がる。そして、国民健康保険税は、額も大きいですから、少しの変化でも個々人に与える影響は非常に大きいわけでありまして、ちょっとでも税額を上げるとそれは苦情の山になるというようなこと。そういう中で、必死になって歳入の確保ということをやってきたわけであります。

 その中で、自治体の歳入の中で、やはり住民税も大きな柱ですが、固定資産税というのは安定的な歳入でありまして、景気の波にも左右されないし、固定資産税というのは非常に頼りになる税目だというふうに感じます。

 固定資産税の評価もなかなか大変なんですけれども、評価に行って、新たに新築家屋ができたらそこの評価をして、また新たに課税をするなんということを一生懸命やるわけでありますが、固定資産税について、総務省としてはどんな見方をしているのか。これは自治体の基幹税として重要だというふうに思うんですが、どのような印象を持っておられるのか、まず総務省、御説明いただけますか。

高市国務大臣 固定資産税は、税収が市町村税収の約四割を占める約八・七兆円となっております。偏在性が小さく安定的な税目であり、住民に身近な行政サービスを支えてくださっている市町村の極めて重要な固有の基幹税であると認識しております。

逢坂委員 そうなんですね。固定資産税は極めて重要な歳入であります。

 ただ、御案内のとおり、景気に左右されないということは、景気が下がっているときも納めていただかなきゃいけないので、そういう意味では、納税する立場からすると、何だ、もうかってもいないのに納めなきゃいけないのかというような、こういう苦情も多い税でもあるのは確かですが、非常に貴重な財源であります。

 ところが、私の経験の中で、毎年、新しい年が始まりますと、固定資産税について国の方から新たな特例、例えば、固定資産税のこの部分については課税標準が変わるので減免してくださいとか、この部分についてはことしからは税額が変わりますといったようなことが、上意下達的に来るわけですね。そのときに、私なんかは少し、多少正しくない感じ方なのかもしれないけれども、自分の懐の中に国が勝手に手を突っ込んで何だ、我々がせっかく苦労して集めようとしているのに税収が減るじゃないかみたいな思いを持つことがあるわけであります。

 それで、お手元に、固定資産税の負担軽減措置ということで、これは平成二十七年度の一覧を用意させていただきました。

 見ますと、各関係省庁でたくさんの固定資産税の減免措置をやっているわけであります。例えば、国土交通省が数としては一番多い、税額も一番多い。その次に経産省。経産省は二百八十二億というふうになっておりますけれども、これは二十七年度で、二十八年度に新たに、中小企業などが新規取得した経営力向上に資する機械及び装置に係る課税標準の特例措置が創設された。これが平年度ベースで百八十三億円の、自治体から見れば減収になる。それから、二十九年度にはさらにこの特例の対象資産が拡大されて、五十九億円減収が広がるということでありますので、これらを足し合わせると、今年度ベースでは経産省は四百億円ぐらいの減収要因になっている。あるいは、内閣府、文科省その他各省庁、三枚目にもついております。

 私は、政策を実現するときに、補助金、交付金などによって政策を誘導すること、あるいは法令によって、規制などによって政策を誘導すること、税制によって政策を誘導するということはあり得るとは思うんですけれども、地方税について政策誘導の側面が余りにも強過ぎると、地方税の本来の役割、あるいは自治の自主性、自立性というのを阻害するのではないかなという印象を持っております。

 それで、きょう一例として、大変恐縮なんですが、経産省から井原政務官にお越しをいただいたわけでありますけれども、先ほど私が説明をした、この二十八年、二十九年にスタートした新たな軽減税制について、若干説明いただけますか。

井原大臣政務官 逢坂先生に答弁を申し上げます。

 新たにできた政策でありますけれども、まず、一つの認識として、非常に地方経済と東京との格差が広がっている、何とか地方経済を活性化したいというのが経産省の観点でありまして、中小企業の数が企業数で約九九・七%、雇用の七割、特に地方では雇用の八割から九割を支えている現状、もう一つは、中小企業の方が大企業よりもはるかに生産性も半分以下、こういう現状に鑑みまして、何とか地方の活性化をということが一つの観点でございます。

 それで、昨年、中小企業等経営強化法が施行された、こういうことになります。その中身でありますけれども、同法に基づきまして、総務、厚生労働、国土交通、農林水産、経済産業の各省庁がまず連携をいたしまして、十四の事業分野において事業分野別指針というものを定めております。これに沿った経営力向上計画の認定を受けた中小企業が、その計画に基づく新規の設備投資について、固定資産税を三年間、二分の一に軽減されたというのが昨年の制度です。

 そして、その効果をまずお話ししますと、七月からの認定件数は合計一万三千四百五十八件でありまして、新規の設備投資は、計画ベースでは二千九百億円に上がっております。

 その状況を踏まえたわけでありますけれども、実は、認定案件の八割が製造業に限られているという状況でありますので、今回の二十九年度税制改正法案におきまして、生産性の向上が特に課題となっております小売とかサービス業にもこの設備投資意欲が湧くようにということで、軽減措置の対象を器具、備品とか、あるいは建物附属設備にも拡充をしようというものでございます。それも、三年間のうちの、ことしからということになると残り二年間という限定的な制度の中で、何とか地方の経済の活性化をというふうに取り組む制度でございます。

 以上です。

逢坂委員 井原政務官の説明はわからなくもないのでありますけれども、中小企業が重要な役割を果たしている、東京と地方の開き、格差のようなものもある、そういうことで、税制によってある種、政策誘導しようということは全く理解しないわけではないのでありますけれども、私は、これの決め方、ここに少しやはり工夫が必要ではないかというふうに思うんです。

 地方の側からしてみると、一方的に、先ほども私は話をしましたが、地方の懐に手を入れられて、そこをある種、国の意向によって変えられていく。もちろん、これは地方税法によって規定されていることですから、国会で議論をして決まってくれば、それはそれでその枠の中で自治をやらなければならないというのは当然なんですが、ただ、こういう政策、別に経産省に限らないのでありますけれども、もう少し地方の思い、意見を聞いた上で、双方がある種、納得というか理解をした上でこういう政策を進めるということが大事ではないかなと私は思っております。

 私自身も、政府の中にいたときに、ああ、このやり方をしたらまた地方に怒られるなということを思いつつも、こういうことをやらざるを得なかった。そのときに、例えば、国と地方の協議の場みたいなものを設定して、その中で話し合ってやるなんということがもっと丁寧にやれればいいのになという思いを持っていたわけでありますけれども、もしこのあたりについて、政務官、何か思いがあれば、政治家としてお話しいただけますか。

井原大臣政務官 御指摘、大変ありがとうございます。

 逢坂先生は、ニセコの元町長で、住民自治基本条例を日本で最初につくった方で、大変尊敬している先生でありますけれども、私も首長出身でありますから、地方から見れば、勝手に決められるというのは非常に不愉快に感じていると思います。

 ただ、経済政策と地方政策が、昔ほど切り離すことができないというか、表裏一体となっているというふうに思います。

 まず、決め方の過程というのが一つ。もう一つは、その影響額ということが一つあろうと思います。

 影響額については、三年、期間限定ということと、三%から二%の影響額ということでありまして、一つの実証のモデルの取り組みとして、果たしてこれが、地方税収の増にこの設備投資が上がるのかどうか、そのことをしっかり検証した上で今後の評価もしていただきたいというふうに思っております。

 また、決め方については、やはり地方の現場と十分協議した上で、今後この政策を仮にまたさまざまなところで考えていく場合には、しっかりと協議をしながら、地方にも丁寧に説明をしてまいりたい、このように考えております。

逢坂委員 井原政務官、ぜひ地方の声もよく聞いて、三年の時限ということでありますので、その後どうなるのか、この時点ではなかなか言い切れないところだとは思うんですが、税制の特例措置は、一度つくっちゃうと、その効果も余り検証しない中で、継続することが目的になっている税制もあるようにも感じますので、きょうはたまたま経産省の政務官にお越しをいただきましたが、各省についても同じような思いで私はこれからまた考えていただければなと思っております。政務官、ありがとうございます。

 それで、大臣に最後にお伺いしたいんですが、例えば、固定資産税の特例措置のようなものを経済政策とかいろいろな政策によってやっていくということ、そして、地方には必ずしも十分な説明がない中で行われている現状というふうに私は思うんですが、このことを含めて、これまでの議論についてどう思われますか。

高市国務大臣 少なくとも総務省におきましては、年末にかけて、たびたび地方六団体の御代表の方々などとも意見交換をし、私自身も何度も何度もお会いして、御要望も伺い、こちらの考え方もお話しし、経済産業省とも激しい議論が行われたところであります。

 固定資産税を初めとします地方税の特例措置というものについては、公益性に照らして、真に必要なものに限定されるべきだと思います。経済対策などの国の政策目的のために地方税制を用いるということは、地方税における応益課税の原則ですとか税負担の公平性をゆがめてしまうものでございますので、可能な限り行うべきではないと考えます。

逢坂委員 ぜひ地方の現状も踏まえた上で、あるいは税制の健全な姿というんでしょうか、そういうことを確保していく上でも、こういう政策を必ずしも私は否定はしませんけれども、慎重に実施をしていただきたいし、地方と十分議論をしていただきたい、そう思っております。

 それでは、最後にと思ったんですが、質疑時間が多分これを聞くとオーバーしそうなので、一言だけ聞いておきましょうか。

 今後の地方財政の見通しについて、簡単に事務方から説明いただけますか。

黒田政府参考人 今後の見通しといいますか、まず二十九年度の対策ということになろうかと思いますが、二十九年度につきましては、平成二十三年度以来、地方交付税総額の確保に活用してまいりました前年度からの繰越金がないなど、近年にない非常に厳しい状況の中で、地方団体から要望の強い地方交付税総額の確保と臨時財政対策債の抑制が課題となりました。

 この対応をするために、可能なあらゆる手段を活用することとしまして、何とかこの交付税総額の確保と臨時財政対策債の抑制を図ることができたという状況でございます。

 来年度以降につきましても、税収の増に努めながら、歳出の構造改革に努めて、できるだけ財源不足の減が図られる、その中で一般財源の確保を図られるべく努力してまいりたいと思います。

逢坂委員 時間が終わりましたのでこれでやめますが、非常に厳しいということが冒頭にありました。安倍政権の経済政策についてもう少し議論したかったんですが、それはまた次回にしたいと思います。

 ありがとうございます。

竹内委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 きょうは、トップランナー方式と地方交付税のあり方について質問をします。

 安倍内閣は、今年度からトップランナー方式を導入しました。民間委託等の業務改革を実施している地方自治体の経費水準を地方交付税の基準財政需要額の算定に反映するこのトップランナー方式の問題点については、私は本委員会で、また本会議質問において、ただしてきたところであります。

 お手元に、昨年十一月二十五日に開かれた経済財政諮問会議への高市議員提出資料をお配りしています。

 そこで、お伺いしたいのですけれども、トップランナー方式導入による基準財政需要額の減少額について示していただけるでしょうか。二〇一六年度における減少額、二〇一七年度の減少額の見込み、それから集中改革期間三年間の累計減少額の見込みについて教えてください。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 トップランナー方式の導入によります基準財政需要額の算定につきましては、基本的に、個々の項目につきまして、三年または五年をかけて導入することとしております。

 そのことから、二〇一六年度の減少額は四百四十一億円。二〇一七年度の、この前年度からのさらなる減少見込み額となりますが、これは、二〇一六年度業務分に二〇一七年度導入業務分約三十億円を合わせまして、四百七十億円。それから、二〇一八年度の前年度からの減少見込み額につきましては、二〇一八年度が対象業務が変わらないとした場合になりますが、その場合であれば、同様に四百七十億円となります。

 これら二〇一六年度から二〇一八年度における累計の減少額は、約千三百八十億円となる見込みでございます。

田村(貴)委員 トップランナー方式の導入によって、二〇一六年度でも四百四十一億円、集中改革期間の三年間では、基準財政需要額は累計約一千三百八十億円減少するということが見込まれます。地方の固有財源である地方交付税の削減を行うものであると指摘せざるを得ません。財源保障機能を適切に働かせ、住民生活の安心、安全を確保することを前提にと言われましても、現実に基準財政需要額がこれだけ削減されるわけなんですね。

 トップランナー方式の導入というのは、地方自治体に一層のアウトソーシングを押しつけるために、地方交付税の算定を通じて、政策誘導を図るものであります。小規模自治体などに配慮するといっても、その政府の判断に頼るしかありません。その点でも、問題は非常に大きいと言わざるを得ません。

 次に、トップランナー方式の、次年度、平成二十九年度、二〇一七年度の取り組みについてお伺いをします。

 青少年教育施設管理や公立大学運営の追加導入を打ち出していることは、これは非常に重大であります。

 また、配付資料二枚目でありますけれども、検討対象業務のうち窓口業務については、「平成二十九年度の導入を見送り、引き続き検討する。」とされています。一方で、図書館管理、博物館管理、公民館管理、児童館管理の四業務については、年度の条件は付さず、「地方団体の意見等を踏まえ、トップランナー方式の導入を見送る」と明記されています。

 そこで、高市大臣にお伺いします。

 総務省としては、図書館管理、博物館管理、公民館管理、児童館管理については、トップランナー方式の対象から外すということでよろしいのでしょうか。

高市国務大臣 図書館、博物館、公民館、児童館等管理の四業務につきましては、業務の性格として、既にトップランナー方式を導入した庁舎管理などの定型的業務とは異なり、教育、調査研究、子育て支援といった政策的な役割を有していること、このため、地方団体からは、司書や学芸員などの専門性の高い職員を長期的に育成、確保する観点から、指定管理者制度を導入していないという御意見が多いこと、また、実態としても指定管理者制度の導入が進んでいないことなどを踏まえまして、トップランナー方式の導入を見送ることといたしました。

 今後につきましては、今申し上げましたようなことを踏まえますと、トップランナー方式をすぐに導入できる状況にはないと考えております。

 まずは、各地方団体の指定管理者制度導入などの状況を見える化、比較可能な形で公表するということとともに、毎年度、ヒアリングなどを行う中で、地方団体の取り組みの状況を見てまいりたいと思います。

田村(貴)委員 図書館、博物館、公民館、児童館、この管理についての四業務についてはトップランナー方式の導入をしないと。総務省の立場を今確認させていただきました。

 配付資料の「今後の方針」の欄には、「以下の地方団体の意見等を踏まえ、」とあります。地方団体、関係省庁の意見、日本図書館協会などの関係団体、二〇〇八年五月における社会教育法改正における附帯決議など、実に多方面の状況を見ての判断、結論に至ったのではないかなというふうに思うわけであります。

 経済財政会議のもとにある第十三回制度・地方行財政ワーキング・グループの昨年九月二十三日の議事要旨を拝見させていただきました。トップランナー方式を一分野でも前進させることを主張する出席委員に対して、関係省庁の方から以下のように回答されています。読み上げます。

 地方団体から聞いているのは、専門的な職種の人材を長期的に育成していかなければならない。自分たちのところで採用して育成する方が安定的だという意見がある。関係府省でもいろいろな懸念があり、図書館協会を初め関係団体も指定管理の導入について慎重な意見も多く、全体としては、指定管理者制度について全体が前向きに推進している状況ではないのだろうと思うと。業務そのものの問題なので、総務省が指導することに対しての反発も大きく、これまでのものとは少しステージが違うという印象を我々も持っているという記述があります。

 確認しますけれども、このやりとりは総務省のものでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の第十三回制度・地方行財政ワーキング・グループの議事要旨におきまして、トップランナー方式について地方団体の意見に言及している部分がございますが、これは総務省の出席者が、地方団体からのヒアリング等を踏まえて、地方団体の意見を紹介する発言をしているものでございます。

田村(貴)委員 要するに、全体として、図書館や公民館管理への指定管理者導入の歩みというのはつくれていないということだというふうに思うわけであります。

 日本図書館協会は、昨年九月六日付で、「図書館に係る地方交付税算定におけるトップランナー方式導入に強く反対します」との理事長名の見解、意見、要望を出しています。配付資料の三枚目にこの部分を持ってまいりました。その中の一部を紹介させていただきます。

 事業者の利益が全く生まれない構造により、民間事業の活性化につながらないばかりか、地方公共団体のサービスの低下を招いている。競争入札による指定管理者制度の導入により、事業者は人件費を切り詰め、専門職員である司書たちは日給月給制の低賃金で雇用され、また、指定管理者制度は五年間程度の期間限定があるため、被雇用者は五年で雇用が打ち切られ、おびただしい非正規職員を新たに生み出す要因となっています。文部科学省の調査では、今や、図書館員の六割が非正規職員との統計もあり、文化国家として世界に顔向けのできない現実を生み出していますと述べているわけであります。

 また、二〇〇八年五月における社会教育法改正における附帯決議、これは二〇〇八年五月二十三日の衆議院文部科学委員会で全会一致した附帯決議でありますけれども、この附帯決議の中では、国民の生涯にわたる学習活動を支援し、学習需要の増加に応えていくため、公民館、図書館及び博物館等の社会教育施設における人材確保及びそのあり方についても十分配慮し、検討することとあるわけであります。

 そこで、文部科学省にお尋ねします。

 この附帯決議を受けて、文科省はどのような対策をとられたんでしょうか。

 また、図書館管理、博物館管理、公民館管理に対するトップランナー方式の導入に対して、文部科学省はどのような意見をお持ちでしょうか。

神山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、第一点目、御指摘のございました平成二十年の社会教育法等の一部改正法の附帯決議に基づく対応でございますが、私ども、図書館法、博物館法等に基づきます、その設置及び運営上の望ましい基準という文部科学省の告示がございます。これを改正いたしまして、指定管理者制度を導入する場合の留意点として、施設の事業の継続的かつ安定的な事業の確保、事業の水準の維持向上、専門職員の確保及び資質、能力の向上等を規定し、各教育委員会に対し周知を図っているところでございます。

 また、トップランナー方式に対する私どもの懸念、意見といたしましては、図書館、博物館、公民館につきましては、それぞれの法律の規定に基づき、司書、学芸員等の専門職員が地域や住民の多様なニーズに応じて教育活動を提供しているところ、これらの役割を担える適当な指定管理者を得ることができない等の理由により、指定管理者制度を導入していない自治体が多くございます。こういった中で、同制度を標準とするトップランナー方式を導入した場合、施設の機能が十分に果たせなくなるとの懸念を伝達したところでございます。

田村(貴)委員 このように、トップランナー方式を掲げて、いろいろな団体、いろいろな機関が、混乱と不安を招いてきたということだというふうに思います。

 最後に、高市大臣にお伺いします。

 昨年十二月十四日に開かれた地方財政審議会の答申、「今後目指すべき地方財政の姿と平成二十九年度の地方財政への対応についての意見」というところで、トップランナー方式について言及されています。読み上げます。「業務の性格として、これまでトップランナー方式として導入された定型的業務と異なり、教育、調査研究、子育て支援といった政策的な役割を有しており、民間委託等の業務改革が進んでいないものについては、トップランナー方式を導入するのは適当ではない。」というふうに記されております。

 この地方財政審議会の答申を大臣はどのように受けとめておられるでしょうか。

高市国務大臣 地方財政審議会からいただきました意見書は、平成二十九年度の地方財政への対応について取りまとめられたものでございますので、トップランナー方式に係る平成二十九年度の取り組みにつきましては、この意見書を踏まえて適切に対応いたしました。図書館管理など五業務以外の青少年教育施設管理と公立大学運営の二業務について、新たにトップランナー方式を導入することとしました。

田村(貴)委員 図書館、博物館、公民館、それから児童館等の施設は、これは単なる公の施設ではありません。日本国憲法と教育基本法、そして社会教育法、図書館法、博物館法などに基づく、国民の学習権の保障を柱にした社会教育施設であります。住民の主体的な学びを通して、地域に自治を構築していく拠点施設であります。このことを強く指摘しておきます。

 最後に、地方自治体にアウトソーシングを押しつけて地方公務員の非正規化につながるトップランナー方式については撤回すべきであることを申し上げて、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 まず、地方交付税について伺います。

 今回、地方交付税の人口減少等特別対策事業費は、取り組みの必要度から、取り組みの成果に応じた算定へさらにシフトしていくとされています。

 地方六団体から、シフトは、努力している条件不利地域や財政力の弱い団体が地方創生の目的を達成できるよう長期の取り組みが必要としていますが、短期間に成果が出るとは言えない状況があることが指摘をされているかと思います。

 また、人口増減率などを成果の指標にしています。知事会議の中で紹介されたアンケートでも、成果には、対策により改善が困難な人口の自然増減率などが指標となっている、財政力の弱い地方圏においては努力しても成果が上がらないなど、取り組みの成果として指標を反映させることがふさわしくない状況も生じ得るとの声も出ているかと思います。

 一層のシフトはこのような点からやめるべきだと考えますが、総務大臣の御見解を伺いたいと思います。

高市国務大臣 平成二十七年度に創設しました人口減少等特別対策事業費につきましては、まち・ひと・しごと創生の取り組みの必要度により五千億円を、取り組みの成果により一千億円を算定してきております。

 現在、各地方団体において地方創生の取り組みが進められて、経済、雇用や出産、子育てに関する指標が改善傾向にございます。つまり、成果があらわれつつあるということを踏まえまして、地方創生の取り組みを一層推進するために、平成二十九年度から三年間かけて段階的に、取り組みの必要度に応じた算定から、取り組みの成果に応じた算定にシフトすることとしています。

 また、取り組みの成果にシフトするに当たりましては、地方団体の御意見もしっかり伺い、財政力が低く過疎法などの対象となっている団体について算定額の割り増しを行うなど、条件不利地域に配慮した算定を行うこととしております。

梅村委員 成果というのは必要額ではないというふうに思います。地方交付税は必要額を確保するための算定を行うべきであることを強く要望、指摘をしておきたいというふうに思います。

 続きまして、私の地元であります埼玉県の三芳町でのアスクルの火災。

 昨日、菅官房長官が、反省すべきことが大いにある、どうして長期化したか徹底して調査をし、二度と長引くことがないように備える必要があると記者会見され、総務省消防庁も原因調査に昨日乗り出すことを決めたと聞きました。大変重要で、しっかりやっていただきたいというふうに思います。

 地域住民への深刻な影響がありますので、幾つか伺いたいと思います。それで、時間の関係で少し質問の項目を少なくしたりしていますので、ぜひ質問に沿ってお願いしたいというふうに思います。

 まず、この火災は十六日の午前に発生したと思います。昨日鎮圧、ほぼ消火されたということですが、七日火災が続きました。地元の埼玉新聞、上空から撮影した記事などを資料として出しております。そして、まだ鎮火には数日かかると聞いております。

 こうした長期にわたる倉庫火災は余り例を見ないものであると思いますけれども、これについて伺いたいと思います。

大庭政府参考人 お答えします。

 この二月十六日に三芳町で発生しました倉庫火災は、二十二日九時半にほぼ消しとめられておりまして、現在は再燃防止活動を実施しておりまして、調査中ではありますけれども、焼損床面積約四万五千平米に及ぶ大規模なものとなりました。

 消火活動に長時間を要した理由としては、火災初期段階から火勢が強く、防火シャッターや棚などで複雑な構造となっていたことから建物内部での継続的な消火活動が困難であったこと、あるいは、外壁には小さな開口部しかないことに加え、建物が百メーター掛ける二百四十メーター、軒高二十二メーターと非常に大きく、燃焼物に直接放水できないこと等が挙げられると聞いております。

 過去の例でございますけれども、焼損床面積が一万平米以上となる大規模な倉庫火災は、過去十年間で二件発生して、いずれも一日から二日で消火に至っているところでございますが、これらは今回の三分の一程度の規模の倉庫でございまして、そのいずれ二件とも、窓などの開口部が少なく、消火に手間取り、ほぼ全焼したものと聞いております。

梅村委員 過去の例を見ても、十年間で二件。しかも、これほどの広さの大型倉庫の火災は、過去に例がないという御答弁だったというふうに思います。まさに社会的に影響を与える火災だったというふうに思います。

 それで、今、質問していないこともちょっと先に御答弁いただきましたので、長期化した理由について既に幾つか挙げていただきました。そして、一昨日の総務委員会でも高市大臣の方から、長期化した理由について、一つは、倉庫内部が棚などによって複雑な構造になって建物内での継続的な消火活動が困難であったこと、そして外壁には小さな開口部しかなかったこと、それに加えて、建物が大変巨大で燃焼物に直接放水ができなかったことなどが既に挙げられているかというふうに思います。

 私は、既にこういう今ある御答弁だけを見ても、火災原因の究明とともに、やはり、今こういう大型の流通拠点が建設される中で、大型の倉庫が各地にふえてきているというふうに言われています。ですから、消防庁を初め行政がこれまでこうしたところにどういう対応をとってきたのか、また、大型倉庫の防火対策基準は今後どうあるべきか、今後国会でも、しっかりとそういう防火基準などについて、今回を踏まえて、踏み出して検討すべきではないかというふうに思いますが、その点、いかがでしょうか。

大庭政府参考人 今回火災があった倉庫と同規模の大規模倉庫に対しまして、消防法では、消火器、屋内消火栓設備などの消火設備、自動火災報知設備といった消防用設備などのほか、防火管理者の選任、消防計画の作成などの防火対策を義務づけているところでございます。

 今回火災があった倉庫につきましては、平成二十五年四月の使用開始時に管轄の入間東部地区消防組合消防本部におきまして検査を行っておりますが、当該検査におきましては、これらの防火対策についての不備事項はなかったと聞いております。

 今後、消防庁といたしても調査をしてまいりたいと考えております。

梅村委員 今の義務範囲といいますか、そういう中ではやることはやっていたという答弁だったというふうに思います。

 それでも、こういう大規模な火災、しかも七日間、しかも周辺住民に対して非常に大きな影響を与える。資料の二ページ目にも、日経新聞の記事がありますけれども、大型物流倉庫に盲点、窓や扉少なく消火困難という指摘があります。

 再度聞きたいと思いますけれども、こういうことを踏まえれば、その基準、そういうもの自身もこれまでのとおりでよかったのか。やはり、今はまだ原因究明ですのでそういう議論にはならないと思いますけれども、今後、抜本的にそういうところまで踏み込んだ防火基準などを国会で議論していくべきだと思います。その点は、もう一度いかがでしょうか。

高市国務大臣 今回、本当に特異な火災と言っていいものであります。消火活動に約六日間を要したということでございますので。

 このため、消防法第三十五条の三の二の規定に基づく消防庁長官の火災原因調査を行うこととしまして、きょうの朝から消防庁及び消防研究センターの職員を現地に派遣しています。一階、二階は午前到着した段階でほぼ鎮火していましたが、まだ三階部分で火がくすぶっている状況でしたが、可能な範囲で現場を確認しました。そして、あした以降もこの確認作業を行います。

 今後、この調査によりまして、火災の原因のほか、事業所による初動対応の状況、それから建物の構造や区画など延焼拡大の要因についても検証をいたします。

 その結果を踏まえて、同種の火災の再発防止策、それから消火活動体制の改善策など、必要な対策について検討をしてまいりたいと存じます。

梅村委員 重要な問題ですので、しっかりと今後国会でも議論をしていきたいというふうに思います。

 それで、周辺住民との関係を最後にお伺いしたいというふうに思います。

 この間、先ほども指摘させていただいたように、大型物流拠点を確保するとの名目で、道路建設が進められ、各地で大型物流拠点が建設をされ、そして、今回のアスクルのような大型倉庫も各地で急増しているとも言われています。

 まさにこの三芳町もそうでありまして、物流倉庫などがふえ、その流通、運搬をさらに加速させようと、国土交通省が関越自動車道の三芳スマートインターチェンジのフルインター化と車種変更の連結許可を決定し、今、事業が進められようとしているところです。

 そもそも、これに対し地元の住民の皆さんは、静かな町に交通渋滞や事故がふえるのではないかという不安をお持ちでした。また、近くの小学校、中学校の前の道路が拡張され、歩道が縮小されようとしているのに、町民はほとんど知らされないままだという、かつて批判が上がってきた地域でもあります。そこへ今回の大型倉庫の火災が重なって、地域の皆さん、大変、不安を二重三重にしていらっしゃるということです。

 周辺六世帯十六人に避難勧告が出され、三世帯十人がホテルなどに避難。新聞報道でも、近くの主婦の方が、ぜんそくを持つ子供さんを同級生のお宅に泊まらせ、そして自身のお宅は、黒煙で、家の中にいても鼻の中が真っ黒で、喉の痛みや吐き気、頭痛もあった、家の中はすすだらけで、布団も買いかえようかと考えている、こういう声が新聞でも紹介をされているところです。

 さらに、資料の記事でもありますけれども、学校での屋外活動、部活動の中止。あと、赤水が出ております。そして、それに伴って病院の食事への影響も出ているということで、こうした地域住民への影響自身もしっかりと捉えて対策を打っていく必要があるかというふうに思います。

 最後に、また総務大臣に伺います。

 こういう大型の倉庫は、一旦火災が起こると長期化し、こうした周辺住民への影響が大変大きいということも明らかとなりました。それで、宇都宮市の消防局が、市内にある一万平方メートル以上の大規模倉庫二十カ所を対象に、倉庫特別査察を開始したと聞きました。

 今、けさから消防庁も現地にということを聞きましたけれども、国としても、全国的な大型倉庫の実態を緊急につかんで、ふさわしい防火対策、再点検と課題の検討と同時に、やはり地元自治体と協力し、火事が起こった場合の避難や対策なども打つようにすべきではないかというふうに思いますけれども、この点での御答弁をお願いいたします。

高市国務大臣 全国調査の実施ということでの御提案でございましたけれども、けさから調査に入っております。まずは、今回のこの特異な火災、特に長時間燃え続けた火災、この調査と検証をしっかりと行って、必要な対策は何かということを検討するところから始めさせていただきたいと思います。そして、必要な留意点について、また全国の自治体にしっかりと周知をしてまいります。

梅村委員 栃木市でも既に、それぞれの自治体内での大型倉庫の特別査察などが行われているというふうに聞いております。今の火事を見て、うちの地域は大丈夫かというふうに不安に思っていらっしゃる地域住民の方も全国にいらっしゃると思いますので、今回起こった火事の原因究明、対策と同時に、そういう全国的な問題についても力を注いでいただきますことをお願い申し上げて、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、質問時間が十三分ということで大変短うございますので、急ぎ質問に入りたいと思いますが、その十三分というのは、やはり前回の総務委員会で、私の言動が一部品に欠けるところがあったというような御判断が、一部、一部じゃないな、野党筆頭にあったようでありまして、まあ制裁だと思いますが、より人数の少ない社民党の十五分よりも低い十三分という貴重な時間を頂戴したわけでございます。

 これをもって、民進党が何か民主主義に反する政党だとか、そういうことをもう言うことはいたしませんが、国民がしっかりと判断をしてくださる、そう信じております。

 ちなみに、昨年の四月二十一日、同じように、社民党二十分に対して、私は十八分ということがございました。

 そのときもいろいろ申し上げましたが、党からも、民進党と共産党の支持率を見ると共産党の方がもう高いので、これからは、民進党はもうほっておいて、しっかり共産党と議論していこうじゃないか、こういう方針が今出ておりますので、民進党のことを改めてここで云々することはしないということであります。

 むしろ、きょうは、限られた時間で原田副大臣に……(発言する者あり)

竹内委員長 御静粛に願います。

足立委員 先般、原田副大臣が、やはり御理解が乏しいんですよ。だから、きょうは教育的配慮でこれを持ってきました。これは教育的配慮です。これはテレビは入っていません、きょうは。テレビのためのパネルじゃなく、原田さんの、原田副大臣のためのパネルですよ。

 これは、ダブル選挙とかのときに橋下前代表、松井代表が使っていたパネルですね。

 この黄緑の部分は、いわゆる臨財債、自治体の独自の努力ではいかんともしがたい、国全体の財政の悪化を反映しているものであります。

 むしろ大事なのは、赤い、ピンクというのかな、赤い部分と青い部分です。赤い部分は、太田府政で穴があいた、先般、原田副大臣からも御紹介があった、太田府政のときに穴があいた五千二百二億円ですよ。五千二百二億円の穴をあけたんですよ、太田府政は。その穴を、このピンクの一番高いところ、それを今圧縮をして、崩れた減債基金を今復元をしているというのがこの赤いところです。頑張っていると思いますよ。

 その赤い部分についても、パネルを一枚お示しします。それから、青い部分は、大阪府の独自のハンドリングできる財政の状況であります。

 これはこれでいいんですが、先に、減債基金の話をちょっと御紹介します。

 これは、この赤いものが減債基金で、要すれば、五千二百二億円の穴があいていたんですよ、橋下さんが知事になったときに。何だ、これはと。太田房江参議院議員ですよ、今の。退職金もしっかりもらって、今、自民党で頑張って、頑張っていらっしゃるかどうか知りませんが。それを、橋下府政、松井府政でこの穴をこうやって今埋めていっている、復元をしていっているというのが今の取り組みです。

 それとは別に、そもそもの、ちょっとこれはミスタイプがあって済みません、大阪府の、大阪の府債ですね。大阪府債の残高ということでつくらせていただきました。

 そうしたら、これは、ちょうど二〇〇八年からが橋下府政なんですよ、橋下府政。したがって、わかりますか、この赤い矢印と黒い矢印は太田府政のなせるわざ。そして、緑の矢印が橋下改革でなし遂げつつある財政再建なんです。

 僕は、それで、ねえ、小川先生。もう民進党は小川代表にするべきですよ。まあ、それはやめておきますけれども。他党に介入するとまた懲罰動議が出ますので、これは撤回をいたしますが。

 前回、原田副大臣がこれほど理解ができない人だと思わなかったので、こんなもの用意していませんでしたが、太田府政であけた穴を橋下・松井改革で今再建しているんだと言ったら、いや、違うでしょうと原田副大臣は言った。ここの二〇〇六年から二〇〇七年にかけて、この矢印は減っているだろうと言うんですよ。だから、橋下さんが着任する前年から減っているだろうと。副大臣ですよ、総務副大臣。わかりますか、言っていること。

 太田さんは、この前からずっと借金を積み上げたんですよ。積み上げて、これはフラクチュエートしているだけですよ。下がって上がって下がっているだけ。左藤先生、わかりますよね、こんなこと。小学生でもわかりますよ。フラクチュエートしているだけなんですよ。

 ところが、原田副大臣、副大臣ですよ、政府ですよ、自民党の大阪府連の一メンバーじゃないんですよ、日本国の政府の副大臣が、これがあるから、改革は橋下府政から始まったんじゃないんだ、太田府政の最後の年から始まったんだと前回言ったんですよ。ちょっと恥ずかしくないですか。

原田副大臣 前回の答弁で、大阪府の臨時財政対策債等を除いた地方債残高は平成十九年度から減少したかのように受け取られたかもしれませんが、平成十二年度以降で見ると、平成十九年度以降だけでなく、十六年度、十七年度にも減少しており、先日の答弁の際にもそうした事実を申し上げたかったところでございますが、平成十六年度、十七年度については、減少額が少額であることから、触れずに答弁したものでございます。

 なお、その後の状況を見ますと、平成二十年度は前年度比八百七十四億円、平成二十一年度は一千六十七億円、平成二十二年度は一千二百九十四億円の減と、十九年度以前の減少幅と比べて減少幅は大きくなっておるところでございます。

足立委員 ちょっと正確じゃないな。ちょっと言い直してください。

 原田副大臣、減少幅が大きくなった、それはそうですよ。大きくなりましたよ。では、太田府政全体で、太田府政は、太田府政の八年間か、その中で、時々、例えば平成十五年から十六年にかけて四十六億円の減となっています。四十六億円ですよ。おっしゃったように、その翌年も百十二億円の減ですよ。おっしゃるとおりですよ。

 ところが、その前の十五年、一千百二十五億円の借金ですよ。またその後も五百七億円の借金ですよ。

 トータルで、太田府政トータルでどうなんですか、ちょっと。

 真面目にやれよ、真面目に。真面目にやれ。(発言する者あり)

竹内委員長 御注意申し上げます。品位を持った発言をしてください。(足立委員「だって、真面目にやっていないじゃないですか」と呼ぶ)(発言する者あり)(足立委員「真面目ですよ」と呼ぶ)

 原田副大臣。

原田副大臣 お答え申し上げます。

 太田府政全般につきましては、資料が今手元にございません。

足立委員 通告しているんですよ。

 もういいよ。もう副大臣に期待しないよ。ただ、これからお願いしたいことは、二度と大阪の選挙で橋下・松井改革についてデマを言わないでほしいんですよ。それ、約束できますか。(発言する者あり)テレビ討論会よりも大事ですよ、これは。本当のことを言っているんですよ、本当のこと。(発言する者あり)ちょっと、時間をとめて、時間。

竹内委員長 原田副大臣。(発言する者あり)(足立委員「いや、これのどこが問題なんだ」と呼ぶ)勝手な発言はやめてください。今、原田副大臣が答弁します。

原田副大臣 財政運営の評価ということでございますけれども、当該地方公共団体の議会や住民において議論をしていただくべきものであり、私がこの場で答えることは差し控えさせていただきます。

足立委員 繰り返しますよ。

 原田副大臣は先ほど、橋下府政になって財政は再建したその証拠として、一年目に八百七十四億円、二年目の、単年度ですよ、一千六十七億円、その翌年は、三年目は一千二百九十四億円、借金を圧縮したんですよ。

 もう一つだけ言ってくださいよ。その次の年は、単年度で二千四百三十二億円圧縮したんですよ。そうですね。間違っていないですよね。

 ところが、その前の太田府政は、四百八十二億円の悪化、一千百二十五億円の悪化。たまたまその次が、ちょっと頑張ったんでしょう、四十六億円プラス、百十二億円プラス。でも、その後五百七億円の悪化。最後に百九十七億円の改善。

 何か総務省として、これは意味があるんですか。十九年のマイナス百九十七億円というのは、総務省として、大阪の財政にとってプラスなんですか。それは、ミクロでいえばプラスだけれども、私が原田副大臣に聞いているのは、太田府政の財政政策と橋下・松井改革を比較して、一言総務省としてあってしかるべきだろうと言っているんですよ。

 お願いします。

原田副大臣 先ほどもお話を申し上げましたように、財政運営等の評価ということにつきましては、当該地方公共団体の議会や住民において議論していただくべきものでありまして、私がこの場で述べることは差し控えさせていただきます。

足立委員 もう時間が来ましたが、徹底的にやりますからね。

 毎回これから一般質疑は、きょうも、高市大臣には席を外していただいても結構ですよ、こう言っています。僕らは民進党さんみたいに、政府参考人はつくなとか、そういうことは言っていませんが、ここまで来るとちょっと、政府がやはり大阪の財政を適正に評価できていないと言わざるを得ません。これから、原田副大臣の副大臣としての適性性、これを問題にしていくことを国民の皆様、特に大阪府民の皆様にお誓いを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

竹内委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、まず、先般の委員会で質問できなかった部分、地方財政計画について少し質問をさせていただいた後に、地方税についても時間があれば質問させていただきたいと思います。

 さて、この間、三位一体改革あるいは集中改革プランによって、地方公務員数は非常にドラスチックに削減をされてまいりました。その弊害というのは随所に出ております。自治体が行うサービスの低下であるだとか、とりわけ、昨今発生をしております大規模災害が生じた際には、その弊害というのは一目瞭然ではなかったかというふうにも思います。

 職員数の削減は、復旧復興の中心となるべき自治体の業務に支障すら来している。また、応援業務に行く自治体も、そもそもぎりぎりの人員の中で業務をこなしている。そういう面でいうと、この間の人員削減というのはもう限界が来ているというのが私の認識であります。

 そんな折、昨年四月の都道府県の職員数が前年に比べて七百十一人ふえたという新聞報道がございました。実に二十五年ぶりということであります。

 さまざまな施策、人口減少対策、あるいは少人数教育の実施等々を行おうとすれば、当然、職員の増員というのは必要になってくるんだろうというふうにも思いますし、また、公立学校の教職員は非常に長時間労働が問題になっておりますが、地方公務員の長時間労働も本気で是正しようとするならば、地方公務員の増員は待ったなしとさえ考えます。

 来年度の地財計画の給与関係費を見ておりますと、職員数では、一般職員で百二十八人の純増、高等学校の事務職員等を除けばさらに三百六十人の純増となっております。これは、恐らく二十一世紀に入ってからは初めてではないかというふうにも思います。

 地方公務員の人員の削減、これはもはや限界に来ているという実態、そしてその認識が地方に広がっていることを示すものだというふうに私自身は受けとめておりますが、総務省としてはどのような認識をお持ちでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年度の地方財政計画におきましては、義務教育教職員が千九百六十一人の減、高校教員等その他の教員が二千五十三人の減、警察官が九百八十六人の増となったほか、御指摘の一般職員につきましては、直近の実績で職員数の純減幅が縮小してきている実態等を反映させまして百二十八名の増となりまして、職員数全体で対前年度比二千九百人の減で計上しているところでございます。

 また、地方公務員の総職員数につきましては、平成二十八年地方公共団体定員管理調査におきまして、対前年比で二十二年連続減少となっているものの、その減少幅は近年縮小傾向にございます。

 今後とも、法令等で定められる定数や地方団体の実態等を踏まえながら、適正な職員数の計上をしてまいるつもりでございます。

吉川(元)委員 私が聞いているのは、やはり地方自治体、人員削減するのはもう限界まで来ている、これ以上減らすと本当に行政サービスに滞りが出てしまうという認識のもとで、人をふやさざるを得ないという、そういうぎりぎりのところに来ているのではないか、そういう認識をやはり総務省もお持ちになってはいかがですかということをお聞きしているんですが、この点についてはいかがなんでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 今、私は地方財政計画の立場で答弁申し上げておりますけれども、地方財政計画におきましては、それぞれの団体で策定されました定員管理計画でありますとかそういうもの、それから職員の実数の動向等を踏まえまして計上しておりますので、それは、それらの趨勢を踏まえて計上していることについて申し上げました。

吉川(元)委員 つまり、地方の方はそうやって今もう限界に来ているということの中で、定数が若干ではありますけれどもふえてきているということだろうというふうに思います。

 恐らく、住民の方々は、公務員の数というよりも、やはり、例えば待機児童問題でありますとか、そういった自治体が提供するサービスの質に非常に関心を今持たれているのではないかというふうに思います。

 そこで、お聞きをしたいんですけれども、地財計画で職員数が純増の一方で、交付税の配分では、地方創生事業費のうち、地域の元気創造事業において、人員削減で交付税を上積みする行革努力分、これがいまだに計上をされております。また、先ほど他の委員からも質問ありましたけれども、民間委託を促すトップランナー方式も、今年度は対象十六分野、順次拡大をされてきております。これらの職員数の削減を促すような交付税配分の手法というのは、もう地方の実情と合わなくなってきているのではないか。

 先ほど黒田局長の方からお話がありましたけれども、地方の実数、実情を見て地財計画をつくられている。そうすると、地方の実情というのは、もう人員削減をこれ以上するのは無理なんだという実情があるのにもかかわらず、地財計画の中で、行革努力分ということでそうしたものが入れられている。これは非常に問題だというふうに思いますけれども、この点についていかがお考えでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきました地域の元気創造事業費につきましては、確かに行革努力分でいろいろな地域の活性化の経費を捻出している状況を踏まえましてそういう算定をやっておりますが、地域の活性化の状況、進んでいる状況を踏まえまして、そのウエートを来年度からむしろ成果の方に移していく算定もすることとしております。

 トップランナーにつきましては、これはまさに業務改革の反映ということで、交付税の算定上の標準経費として算定しているものでございます。

吉川(元)委員 では、続いて、ちょっとトップランナーについてお聞きをしたいと思います。

 先ほど他の委員から同様の質問がありましたので、それは省かせていただきまして、骨太方針二〇一六の「第三章 経済・財政一体改革の推進」の柱の一つに「先進・優良事例の展開促進」が挙げられております。公的サービスのあり方を改革している事例をうまく掘り出し、関係者間で共有し、広く基礎自治体レベルの現場まで浸透、拡大を図っていくことが重要だというふうなことが述べられております。

 私は、これが公共サービスの質について触れているとするのであれば大賛成であります。先ほども少し触れましたが、待機児童問題、今住民の方々が期待をしているのは、こうしたさまざまな課題に対してしっかりと答えを出していく、自治体が提供するサービスの質なのではないか。

 そもそも、このトップランナーという考え方、用語というのは、自動車の燃費性能でありますとか家電製品の省エネを促進するために登場した用語だというふうに聞いております。ということは、つまり、本来は性能やあるいは質の向上を目指すために取り入れられた考え方だというふうに思います。

 ただ、この間のトップランナーのものを見ておりますと、やはり質ではなくてとにかくコストカットということだけが目的にされているのではないか、質が度外視をされているのではないかというふうに考えますが、この質という点とトップランナーということについて、どのようにお考えでしょうか。

原田副大臣 お答え申し上げます。

 総務省といたしましては、厳しい財政状況にあっても、質の高い公共サービスを効率的、効果的に提供する観点から、地方公共団体において、民間委託等の推進などによる業務改革を進めて、簡素で効率的な行政体制を実現することが必要との基本的認識を持っておるところでございます。

 このため、総務省では、平成二十七年八月に総務大臣通知を発出し、各地方公共団体における地方行政サービスの改革の推進を要請しておるところでございまして、各地方公共団体においては、地域の実情を踏まえ、民間の能力やノウハウの活用により、コスト削減とともにサービス向上が図られる業務を適切に選定した上で、自主的、主体的に業務改革に取り組んでいただきたいと考えておるところでございます。

吉川(元)委員 トップランナー方式で果たして質が向上するのか、私は甚だ疑問でありますし、また、地域の実情に合わすということですけれども、民間事業者が存在しないような地域も多々ございます。そうしたことも踏まえながら、やはり私はこのトップランナー方式というのはやめるべきではないかということを指摘させていただきます。

 続いて、地方創生事業費一兆円のうちの人口減少等特別対策事業費、これも先ほどお話が少し出ておりましたが、これは来年度から三年かけて一千億円を削るということであります。

 まずお聞きしたいのは、自治体による地方創生総合戦略というのが昨年の三月までかけて策定が行われ、その実施は今年度が初年度であります。

 たった一年で成果が出たというのでしょうか。全くなかったとは言いませんけれども、果たして、成果にシフトする、取り組みの成果が出たという自治体の事例はどういうことがあるのか、ごくごく簡単に御紹介いただければと思います。

原田副大臣 お答え申し上げます。

 平成二十七年度に創設した人口減少等特別対策事業費については、まち・ひと・しごと創生の取り組みの必要度により五千億円を、取り組みの成果により一千億円を算定してきておるところでございます。

 これは、地方創生の取り組みの初期段階においては、取り組みによる成果が生じるまでに一定の期間が必要であることから、必要度による配分に重点を置くこととし、成果の実現ぐあいを踏まえつつ、段階的に成果による配分にシフトしていくことを想定していたものでございます。

 現在の地方創生の取り組みの成果を分析すると、東京圏への流入が続いているなど、成果の実現までには至っていない事項もありますが、製造品出荷額や女性就業率など経済、雇用に関する指標や、出生率といった出産、子育てに関する指標は改善傾向にございます。

 このような状況を踏まえ、地方創生の取り組みを一層促進するため、条件不利地域等への配慮を行った上で、平成二十九年度から三年間かけて取り組みの必要度に応じた算定から取り組みの成果に応じた算定へ一千億円シフトすることといたしておるところでございます。

吉川(元)委員 五千億円今あるものを、そのうち、三年かけて一千億円を減らす。

 つまり、総務省としては、三年で必要度は二〇%低下をする、人口減少のための対策というのはわずか三年で二〇%も必要度が低下をするという認識で、減らすというふうに考えているんでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 人口減少等特別対策事業費につきましては、この六千億円につきまして、取り組みの必要度と取り組みの成果に基づいて算定するものでございますけれども、これはできるだけ、当初は必要度で算定いたしますけれども、方向としましては、やはり成果に準じた算定の方向をふやしていく。方向性として示されております。

 先ほど副大臣からの御答弁にありましたように、成果指標に一定の改善が見られますので、その方向で算定方法を改正するというものでございます。

吉川(元)委員 私が聞いているのは、必要度が二〇%三年で低下をするというふうに、総務省はそんな楽観的な見方をされているんですかということをお聞きしたわけであります。私はそんな簡単な問題ではないというふうに思います。

 例えば、結婚、子育てをする世帯がふえました、人口がふえましたということであれば、それは別途、これも昨年も指摘させていただきましたけれども、新たに財政需要が発生したのであれば、当然別の項目できちんとこの財政需要に応えられるように交付の額を決定すればいいだけであって、必要度からお金を引いて取り組みの成果にシフトさせていくやり方というのは私はやはりおかしいというふうに思います。

 もう余り時間がありませんが、少し、税制についてだけお聞きしたいと思います。

 配偶者控除の見直しについてでありますけれども、私は、これはやはりちょっと拙速過ぎるのではないか。

 いろいろな人的控除については、既に他の委員も指摘をされておりますけれども、果たして今の所得控除でいいのか、税額控除にすべきではないか、また、基礎控除も含めて、基礎控除は例えば国税でいうと三十八万円ですけれども、三十八万円で一年間人は暮らしていけますか、そんなことはないと思います。だとすれば、基礎控除そのものを生活保護水準まではやはり引き上げていかなければいけない。

 そういうさまざまな課題がある中で、今回配偶者控除だけが先に出てしまったということについては、私は、ちょっと生煮え、拙速なのではないか、今後第二弾、第三弾が出てくるということでありますけれども、果たしてこの後出てくるものとの調整がつくのかということを思っております。

 最後に二つだけお聞きしたいと思います。

 所得税より一年おくれて地方税が実施されますが、どのぐらい税収額が影響が出るのか、また、影響が出た場合、国が国費で負担するとなっていますが、どういう仕組みで行おうと考えておられるのか、お答えください。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、影響額に関してでございますけれども、今回、配偶者の年収制限の引き上げによって減収をするという額、これが七百五十七億円、そして、納税者本人の方に所得制限を設けるということによる増収額というのがありまして、こちらがプラスの三百三十四億円ということで、差し引きで、平年度化した場合には、地方税においては四百二十三億円の減少と見込んでいるところでございます。

吉川(元)委員 それで、具体的にどういう仕組みで。

林崎政府参考人 今回の見直しでございますけれども、先ほども御指摘ございましたように、平成三十一年度分以降の個人住民税から適用されるということになっておりまして、個人住民税の減収、平成三十一年度から生じるということになっておりますので、これを国費によって全額補填するということだけ決まっておりますけれども、その具体的方法につきましては、今後財務省とも協議をしながら検討してまいりたいと考えているところでございます。

吉川(元)委員 地方の減収にならないようにしっかり手当てしていただくことを申し上げて、質問を終わります。

竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.