衆議院

メインへスキップ



第7号 平成29年3月7日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十九年三月七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 古賀  篤君 理事 左藤  章君

   理事 坂本 哲志君 理事 田所 嘉徳君

   理事 葉梨 康弘君 理事 小川 淳也君

   理事 奥野総一郎君 理事 輿水 恵一君

      赤枝 恒雄君    池田 道孝君

      大西 英男君    大見  正君

      金子万寿夫君    金子めぐみ君

      菅家 一郎君    新藤 義孝君

      鈴木 憲和君    田畑 裕明君

      高木 宏壽君    武部  新君

      谷  公一君    土屋 正忠君

      冨樫 博之君    長坂 康正君

      福田 達夫君    福山  守君

      前田 一男君    牧島かれん君

      武藤 容治君    宗清 皇一君

      山口 俊一君    山口 泰明君

      和田 義明君    逢坂 誠二君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      鈴木 克昌君    高井 崇志君

      武正 公一君    稲津  久君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      足立 康史君    吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        原田 憲治君

   総務副大臣        あかま二郎君

   総務大臣政務官      金子めぐみ君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   法務大臣政務官      井野 俊郎君

   厚生労働大臣政務官    馬場 成志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 緒方 俊則君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     樺島  徹君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        時澤  忠君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          高原  剛君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  林崎  理君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            南  俊行君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       安藤 英作君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            富永 昌彦君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   今林 顯一君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大庭 誠司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (国税庁徴収部長)    田中 光史君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長)           北島 智子君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 室石 泰弘君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 早水 輝好君

   参考人

   (日本放送協会理事)   坂本 忠宣君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          稲澤  徹君

   総務委員会専門員     塚原 誠一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  足立 康史君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  木下 智彦君     足立 康史君

同月七日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     赤枝 恒雄君

  小林 史明君     前田 一男君

  高木 宏壽君     和田 義明君

  谷  公一君     武部  新君

  長坂 康正君     福山  守君

  武藤 容治君     大見  正君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     金子万寿夫君

  大見  正君     武藤 容治君

  武部  新君     谷  公一君

  福山  守君     長坂 康正君

  前田 一男君     福田 達夫君

  和田 義明君     高木 宏壽君

同日

 辞任         補欠選任

  福田 達夫君     田畑 裕明君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     牧島かれん君

同日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     小林 史明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会理事坂本忠宣君及び日本郵政株式会社常務執行役稲澤徹君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣府大臣官房審議官緒方俊則君、復興庁統括官樺島徹君、総務省大臣官房総括審議官稲山博司君、大臣官房地域力創造審議官時澤忠君、自治行政局長安田充君、自治行政局公務員部長高原剛君、自治財政局長黒田武一郎君、自治税務局長林崎理君、情報流通行政局長南俊行君、情報流通行政局郵政行政部長安藤英作君、総合通信基盤局長富永昌彦君、政策統括官今林顯一君、消防庁次長大庭誠司君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、国税庁徴収部長田中光史君、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長北島智子君、環境省大臣官房審議官室石泰弘君及び大臣官房審議官早水輝好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅家一郎君。

菅家委員 おはようございます。自由民主党の菅家一郎でございます。

 質問の機会を与えていただきまして、御礼を申し上げます。ひとつよろしくお願いを申し上げます。

 まず初めに、高齢者の生活支援等の地域の暮らしを支える仕組みづくりの推進についてでございます。

 これは、人口減少や高齢化が著しい地域においては、一体的な日常生活圏を構成している集落生活圏を維持することが重要であり、将来にわたって地域住民が暮らし続けることができるよう、地域住民が主体となって、地域の課題解決のための持続的な取り組み体制の確立、いわゆる地域運営組織の形成を図る必要がある、高齢者の生活支援等の地域の暮らしを支える仕組みづくりとして、地域運営組織の持続的な運営等に必要な経費も計上しているんだというわけでございます。

 私の地元も、過疎地域において、地域力といいますか、低下をしている、高齢者のひとり暮らしの深刻な問題に直面しております。大臣も御認識のとおり、買い物もできないような、雪おろしもできないような、そんな状況にもあるわけでございますので、高齢者の暮らしを守るということでは、高齢者支援の取り組み、高齢者交流、声かけ、見守り、買い物支援、弁当配達、配給食、雪おろし等に係る経費を計上しているということでありますから、私は大変この対策については期待をしておりますし、大いにこれを発展していただきたい、このように思うわけであります。

 この政策の大きな課題を考えてみますと、各市町村が主体的に前向きに取り組む、そういう意思といいますか、これがまず重要であろうと思いますとともに、この地域運営組織は、地域の生活や暮らしを守るため、地域で暮らす人々が中心となって形成をされる、地域内のさまざまな関係主体が参加する協議組織が定めた地域経営の指針に基づいて、地域課題の解決に向けた取り組みを持続的に実践する組織である。地域課題の多様化、広域化により自治会、町内会では対応が困難な課題について、既存の自治会、町内会を補完しつつ、住民自治を充実させるための新たな仕組みとして、主に小学校区で形成をするんだというわけでありますから、やはりこれは地元の方々のそういう前向きな取り組みも必要だ、このように私は思うわけでございますので、その点を踏まえながら何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、地域運営組織の形成に取り組んでいる実際の地方自治体の現状、数といいますか、また、国として目指す目標についてお示しをいただきたいと思います。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 地域運営組織の形成に取り組む地方公共団体でございますが、平成二十七年度に当省が調査を実施しております。その調査によりますと、地域運営組織があると回答した市町村は四百九十四団体でございます。

 こうした取り組み団体数に関して目標は設定をしておりませんけれども、人口減少、高齢化が進展する中で、日常生活機能の低下は都市部においても中山間地と同様の課題でございまして、地域運営組織の形成に向けた取り組みが全国各地で進むように努めてまいりたいと考えております。

菅家委員 四百九十四ですから、どうか前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 地方自治体への周知の徹底、あるいは国との連携を図って、これは積極的に推進をしていただきたい、このように思いますが、大臣のお考えをお聞きしたいと存じます。

高市国務大臣 地域運営組織の形成には、地方公共団体の果たす役割が大変重要だと考えております。そこで、先進事例の紹介ですとか、地域運営組織の形成のためのワークショップの開催、持続的運営のための人材確保、育成などに関する具体策の調査研究結果の周知を地方公共団体に対して実施をしております。

 さらに、地域運営組織の形成、運営を支援するための地方財政措置を講じることによりまして、地域運営組織と地方公共団体の連携を促進しています。

 引き続き、しっかりとこの大切な地域運営組織の普及、もっともっと全国に広がっていくように努力を続けてまいります。

菅家委員 大いに御期待申し上げたいと思います。

 次に、いわゆる地域運営組織の形成の成果についてでありますけれども、現状、どのような数になっているのかとともに、今後の目標ですか、これもお聞きしたいと思います。

 この地域運営組織も、地元の熱意というんですか、よし、やろうじゃないかということが重要なので、市町村任せではなくて、やはり国として何らかの支援をしていく、情報提供とか、推し進めていただきたいと思いますが、この点についてお示しをいただきたいと思います。

時澤政府参考人 地域運営組織の形成状況でございます。当省で二十七年度に実施した調査によりますと、全国で千六百八十団体でございます。

 地域運営組織の形成の目標につきましては、まち・ひと・しごと創生総合戦略におきまして、二〇二〇年までに三千団体を目指すということとされております。

 私どもも、こうした三千団体を目指してということで、各地域で取り組みが進むようにということでさまざまなことをやっております。先ほど大臣が申し上げましたように、研究会を設置しながら、例えば先進事例を紹介する、あるいは、人材確保、財政基盤、市町村との連携などの課題も結構ございますので、こういった課題に対してどういうふうに解決していったらいいかということも含めて、研究会等を設置して、市町村に対して情報提供しているところでございます。

菅家委員 どうか積極的に対応していただきたい、このように思います。

 次に、高齢者の暮らしを守る経費についてであります。

 普通交付税で対応しているわけでありますが、恐らく地方自治体においては、途中ではしごが外されるんじゃないかとか、途中でこの事業が終わっちゃうんじゃないかとか、前向きに取り組むのにそんな慎重に考えられると進まないものですから、やはりこの事業は始まった以上は継続して充実、発展していくんだということが私は必要だと思いますが、その辺のお考え。

 さらに、経費が措置されているわけでありますけれども、地域運営組織もやはり財源がないと継続も発展もできないものですから、地方自治体が前向きに取り組むとともに、地域運営組織の事業主体の方々も財源的な裏づけも必要だし、そういった意味では、いわゆるまち・ひと・しごと、総合的な戦略の中に組み込まれているわけでありますから、各省庁の支援策といいますか、そういったものも総合的に生かしながら推進をすべきだ、このように思いますが、お考えをお示しいただきたいと思います。

時澤政府参考人 お尋ねのありました地域運営組織の取り組みにつきましては、私どもも継続して取り組んでいく必要があるんだというふうに考えております。

 お尋ねの地方財政措置につきましては、地方公共団体の地域の実情あるいは財政需要を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。

 また、各省庁との連携でございます。

 委員も御指摘のとおり、まち・ひと・しごと創生本部を中心に、政府一体として取り組んでいるところでございます。

 その中で、各省庁におきましても、さまざまな事業、支援が行われております。私どもの取り組みも含めまして、各省庁の支援につきましては、内閣府において取りまとめを行っているほか、都道府県個別説明会等で周知をするなど、府省横断的な対応をしているところでございます。

 私どもといたしましても、関係各省と連携をしながら、地域運営組織の形成及び持続的な運営を引き続き支援してまいりたいと考えております。

菅家委員 どうかきめ細かな情報提供と国としての財政的な支援を、情報提供だと思いますが、ネットワークを持って、ぜひひとつ前向きに取り組んでいただきたい、このように思います。

 次は、郵便局ネットワークの活用についてであります。

 今のように人口減少地域、地域力が低下している地域への対応の一環として、私は、郵便局ネットワークの活用をすべきじゃないか。

 これは、地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律、平成十九年十月一日に施行され、これに基づいて、当該地方公共団体が指定した郵便局において取り扱わせることができるんですね。各証明書交付事務、戸籍、除籍の謄本、抄本、納税証明書、住民票の写し及び住民票記載事項証明書、戸籍の付票の写し、印鑑登録証明書、こういったものがサービスメニューとして挙がっている。証明書交付事務においては、二十八年十一月末現在で、市区町村が百七十、郵便局は五百九十九が取り組んでいるわけであります。

 また、郵便外務員を活用した取り組み、この中には、ひまわりサービス、地方公共団体受託業務というのもあるわけですね。これも私は生かして前向きに取り組むべきだと思うんですが、やはりここも各当該地方公共団体の前向きな取り組みが課題だというふうに思うんです。

 ですから、まずは、この法律もあるし、郵便局ネットワークを活用して積極的に推進するんだという前向きな国の方針があって、そして今度は、各地方公共団体と郵便局が連携を図っていく必要がある。そこに国としては、ある意味、マイナンバーカードもこれから発行されてくる、そういったものをまず生かしながら連携を図って、そこにやはり財政支援もしながら、結果的に住民サービスが向上する、地域住民の生活を守り、行政サービスを向上していくというものに活用すべきではないか、このように考えるわけでありますが、大臣の御所見を頂戴したいと存じます。

高市国務大臣 菅家委員がおっしゃっていただきましたとおり、日本郵便、これまでも、全国にあまねく設置された郵便局ネットワークを活用しながら、地方公共団体と連携していただいて、証明書交付事務やひまわりサービスを実施していただきました。

 やはり郵便局が公益性と地域性を発揮して地域における生活インフラとしての機能を果たしていただいているものでございますので、その維持強化を図っていくというのは大変重要なことでございます。

 地方公共団体と郵便局とのさらなる連携につきましてですが、昨年末に、ワンストップ・カードプロジェクトアクションプログラムというのを取りまとめました。この中に、郵便局への証明書交付端末の設置の検討ということについても盛り込みまして、現在、日本郵便において、市区町村への設置スペースの無償提供や日本郵便による試行設置について検討をいただいております。

 また、今国会で御審議いただいております平成二十九年度の予算案でございますが、これを成立させていただきましたなら、地域の暮らしサポート事業ということで実証事業を展開してまいります。その担い手、主体としても、私自身は郵便局に大変期待をいたしております。

菅家委員 私の地元の会津も、南会津などは過疎地域でどんどん、人口減が甚だしい。そういった地域の住民の生活を守るためにも、今ほどいろいろ御提言申し上げた政策を、前向きに取り組んでいただきたいとお願いを申し上げたいと思います。

 次に、いわゆる災害、昨年もそうですね、地震とか風水害に見舞われたわけであり、将来的には南海トラフ、首都直下型地震等を踏まえた対策を今考えているわけでありますが、この点について、大規模災害に備えた緊急消防援助隊の強化について若干お聞きしたいと存じます。

 私は、これから想定される、されない、いかなる災害においても、やはり人命を救助する、当然な国の使命でありますから、そういった意味で、高度な機能を備えた特殊車両、消防ロボットの研究開発を積極的に進めるべきだ。最新のそういった資機材、ロボット等も、やはり隊員の皆様方の訓練というか、オペレーター、オペレーションの訓練というのも必要だし、いざというときにそれを迅速に、的確に活用して人命をお救いするんだ、一人の国民の犠牲も出さないみたいな、そういった取り組みが必要だと思いますが、この点についてひとつお考えをお示しいただきたいと思います。

大庭政府参考人 お答えします。

 消防活動のための特殊車両や資機材につきましては、消防庁の消防研究センターにおいて研究開発を行ってきております。

 これまでは、可燃性ガスの存在する環境下においても人命検索が行える検索ロボットや、土砂崩れなどにおいて物資の搬送などを行います水陸両用バギーを開発いたしまして、消防本部に配備しているところでございます。

 また、現在は、消防隊が近づけないような石油コンビナート等の火災に対応するため、複数のロボットが自律、連携して活動する消防ロボットを開発中であり、平成三十年度までに開発することを予定いたしております。

菅家委員 実は、福島イノベーション・コースト構想の中に、ロボットテストフィールド・研究開発拠点整備事業があるわけでございます。私は、ここで災害等のロボットの研究開発が一つの対策として研究されてくる、そして、施設そのものが、ある意味ではディザスターというような位置づけの施設にも考えられるのではないか。

 ですから、一方では、やはりこれは経産省と消防庁が連携を図って、こういったロボットテストフィールド、これらを活用して最新の資機材の研究開発を進める、これらをうまく生かした訓練にする、こういった連携を図って対応した方がよろしいんじゃないか、活用すべきじゃないか、このように思いますが、この点についてのお考えをお示ししていただきたいと思います。

大庭政府参考人 済みません。先ほど訓練のことについても若干お触れいただきましたが、訓練につきましては、緊急消防援助隊としまして、地域ブロックの訓練を毎年行っているほか、全国訓練を五年に一度行っております。

 また、先ほどの福島の施設の活用につきましては、現在のところは平成三十年度までに消防ロボットを開発中でございますが、今後開発される特殊災害対応車両等につきましては、おのおのの特別な機能に応じて、その訓練施設についても、その特性を見きわめつつ、活用の可能性について検討していくべきものと考えております。

菅家委員 以上で終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、自治体クラウドの推進並びにサイバーセキュリティーについて伺いたいと思います。

 今、高市大臣と顔が合いまして、きょうはお誕生日だということで、大変におめでとうございます。

 私たち、本当に、今総務省の取り組んでいるICT技術、これが地域のあらゆる課題を大きく解決する、そういった希望の大きな大きな星である、このように思っているわけでございます。

 そんな中で、公明党は、ICT社会推進本部というものを立ち上げさせていただき、その中に幾つか委員会をつくらせていただいております。その中の地方自治体ICT化推進委員会、この中で、自治体クラウドをしっかりと進めていこうじゃないか、そういう取り組みを今やっています。

 自治体クラウド。今までは、さまざまな税務だとか住民情報あるいは国民健康保険等の基幹的な情報、これを自治体の持っているハードで、またその中のアプリケーションで管理運用、運営をしてきた。そのデータを外部のデータセンターに移して、通信を使いながらデータの保管とか管理運営をしていく。

 これが自治体クラウド、そういうものだと私たちは考えながら、その中で、何がどんなメリットがあるのか。それは、各自治体が持っているハードを複数の自治体で共有していく、そういったことによって維持管理費の削減が相当できる。あるいは、アプリケーションを自分のところでカスタマイズしてしまう、何か変化するときに一回一回自分のところだけで変えなければならない、そういったものを共有していくことによって、その分散化もできる。

 また、最近、さまざまな震災あるいは水害等が起こる中で、そういった災害に強い対応として、堅牢なデータセンターにそういったものをしっかりと持たせて、そして何かのときにいろいろなところで活用できる、バックアップができる。そういった取り組みというのが非常に大事であり、きっちり進めていく必要があると考えているわけでございます。

 そこで、まず質問をさせていただきます。

 この自治体におけるデータクラウド化のメリットについて、改めて、総務省としてどのように御認識をされているのか、また、現在、全国でのこの自治体クラウドの導入、進捗状況、どのようになっているのかにつきましてお聞かせ願えますでしょうか。

原田副大臣 お答えを申し上げます。

 地方公共団体が税や福祉といった業務を処理するに当たりクラウドを活用した場合のメリットといたしましては、情報セキュリティーシステムの運用経費の削減、そしてセキュリティー水準の向上、業務の効率化、標準化といったものがございます。

 さらに、災害の発生を想定し、庁舎外の堅牢なデータセンターで住民情報等のデータを管理するとともに、クラウドグループを構成する他の地方公共団体との間で防災協定を締結して業務継続体制を確保することによって、災害に強い行政体制を整備するということも可能でございます。

 平成二十八年四月現在、クラウドを活用した業務処理を行っている地方公共団体は七百八十七団体であり、このうち三百十二団体が他の団体と共同でクラウドを導入しておるところでございます。さらに、約三百の地方公共団体が他の団体と共同で自治体クラウドの導入を検討している状況にございます。

 総務省といたしましては、自治体クラウドの推進には大きな可能性があると考えており、今後とも、コストの削減と住民サービスの向上の両立を図りながら、積極的に取り組んでまいる所存でございます。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに、自治体クラウドを適切に進めていく、そういった必要性、またメリットも相当あるということも確認できたわけでございますけれども、着実に進んでいるものの、まだまだクラウド化していない自治体も相当あるわけでございます。

 この中で、一度ここで確認をしたいんですけれども、今具体的に、自治体クラウドを進めていく、また進めている中で、新たなグループを立ち上げる、ほかにも、グループ同士の合併や、既存のグループに入って自治体クラウド化していく、そういったさまざまなやり方というのがあると思うんですけれども、その進め方についての現状、どのようになっているのかお聞かせ願えますでしょうか。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど副大臣からも御答弁申し上げましたけれども、現在、複数の地方公共団体で共同化を行っているクラウドの導入は、五十六グループ、三百十二団体ございます。

 新しい動きといたしまして、自治体クラウドの導入に向けて最終の調整段階にある市町村といたしまして、三十二団体が七つの新しいグループを形成する、そして十六団体が既存の五グループに加入するといった動きもございます。そのほか、二百五十弱の地方公共団体がクラウドの導入を検討中ということでございます。また、これらの動きとは別に、既存の二グループを一つのグループに統合いたしまして、グループの規模が拡大するという動きもございます。

 私どもといたしましては、このような事例を広く周知しまして、さまざまな形で自治体クラウドが導入できるということにつきまして、地方公共団体の理解を深め、取り組みを推進していきたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 この自治体クラウド、距離の離れた自治体同士でもそういったことは可能になる。そして今、単独でやるケースと、グループ、一緒になるケース、また既存のグループに入ってクラウド化を進めていく、そういったさまざまな形態があるわけですけれども、なかなか進まない。そういった現状、どんなことが原因なのかということをちょっと考えていきたいと思います。

 総務省の方で、自治体クラウド導入の推進方策ということで、手順がある程度ホームページに載っているわけでございまして、まず、事前検討。どういった業務範囲でどんな形の経費の削減効果があって進めるのかといった検討をしていく。そして次に、計画立案をしていく。いつまでにどのように進めていくか、その中で具体的な仕様とかシステム変更の内容を決めていく。

 しかし、私は、これらのことというのは、もう自治体の先行事例がある、やっているところがある、また、もう既にそこに入るということであれば、これらの検討、立案、また仕様の中身というものは、ある程度そういったものの情報の中から推進が可能ではないのかと思うわけでございますが、ここの次の段階で結構ネックになっている。

 これは導入、移行で、ここで、今自治体が自分のところで抱えているデータを、一回共有化するようにデータを移行する。移行しようとしたときに、その自治体で今いろいろなシステムをやっているベンダーさんが、移行には大変お金がかかりますよ、難しいですよと言った瞬間に、ここまではせっかくスムーズに進んでくるにもかかわらず、そこからなかなかその先に進めない、そういった現状、現実があるのではないか、このように感じるわけでございます。

 そこで、この自治体クラウド、ちゃんとしっかり進めるために、準備も含めて、データの移転等の経費などといった支援など、地方公共団体へしっかりとした支援策が必要である、このように考えるわけでございますが、総務省の現状、またどのような支援策が用意されているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

時澤政府参考人 委員の御指摘がございましたように、私ども昨年の八月に、クラウドグループの現状をさまざまな観点で分析の上、導入までのプロセスというものを課題を含めてお示ししたところでございます。

 その中で、クラウド導入の課題といたしまして、まず、団体間での業務の標準化の調整を円滑に行うことが難しいということ、それから、団体間の調整あるいはベンダーとの交渉をするための十分な能力を有する職員の確保が難しいということ、さらに、業務システムを切りかえる際のデータ移行経費等が発生する、こういった課題があるわけでございます。

 私どもとしましては、こういった課題の解決に向けまして、まず、課題、あるいはどうやって既存のグループが課題を解決していったかという、先ほど申し上げました手順とポイントというものを直接市町村を中心に説明して働きかけを行っているほか、自治体クラウドグループの導入に直接携わった経験のある職員の方を、導入団体が導入検討団体が抱える課題に応じて御紹介あるいは派遣するといった取り組みを進めているところでございます。

 また、財政面におきましては、平成二十九年度地方財政計画におきましても、引き続き自治体情報システム構造改革推進事業というのを計上しておりまして、その中で、自治体クラウドの推進も取り組みの一つとして、例えばデータ移行経費を含むクラウド導入に要する諸経費につきまして地方財政措置を講じているところでございます。

 私どもは、先ほど申し上げましたように、現在検討を行っている団体がスムーズにクラウド化ができること、あるいは、特段の動きがない団体に対しましても必要な情報を提供しながら導入の検討を促していきたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 さまざまな、人材の部分についてもしっかりと対応していく、また移行の経費についても財政措置で対応していく、そういった取り組みの中で今後自治体クラウドをしっかりと進められるものと、きょう改めて確認をさせていただきました。

 私どもも、現場の地方議員さんと連携をとりながら、自治体が、先ほど御紹介がありましたとおり多くのメリットがある中で、適切に進められるようにしっかりと取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、続きまして、サイバーセキュリティーについて質問をさせていただきます。

 今日、急激にIoT、物や事がセンサーからインターネットにつながって、そしてその情報を整理して新しいサービスや商品が生まれてくる。そして、私たちの生活、さまざまな部分で便利な生活というものが期待をされるわけでございますが、一方で、そのサービスの中に、サイバーセキュリティーがしっかりしていないとさまざまなトラブルが発生する、そういった危険性もあるわけでございます。

 まず、そこで伺いますが、さまざまな物の情報がインターネットにつながるIoTの進展により、米国でも先日IoT機器を介しての大規模なサイバー攻撃が発生するなど、いろいろな事件が起きているわけでございますけれども、我が国で安全に、安心にICT社会を実現していくために、総務省ではどのような取り組みを行っているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

あかま副大臣 お答えをいたします。

 今委員が御指摘のとおり、まさに世はIoT時代だ。そして、そのIoT時代にあって、いわゆるサイバーセキュリティーの脅威が増大をしている、またその被害というものが深刻化しているという中で、確かにサイバーセキュリティー対策を早急に確立していかなければならないというふうに我々も考えております。

 その上で、総務省といたしましては、昨年のNICT法の改正を踏まえて、サイバー防御演習、CYDER、これをNICT主体で行うこととして、本年度は、中央官庁、重要インフラ事業者等に加えて、地方自治体にもこの対象を拡大したところでございます。

 さらには、本年度予算において、IoTの脆弱性を有する部分というものがありますので、その機器を調査した上で、注意喚起を行うための実証実験なども行っておるところでございます。

 さらには、サイバー攻撃のいわゆるインシデント情報等を収集、分析してICT業界内でその情報というものを共有するICT―ISACJAPAN、これについて、一般社団法人化であるとか、会員企業について、通信事業者から放送事業者、さらにはセキュリティーベンダー等への拡大、これを支援してまいったところでございます。また、ICT分野全体にわたるこうした情報共有機能をさらに強化してまいらなければならない、そう思っております。

 さらには、抜本的な対策、この点において、本年一月にIoTサイバーセキュリティアクションプログラム二〇一七を公表したところでございます。このプログラムに基づいて、一月からサイバーセキュリティタスクフォースを開催しております。

 このタスクフォースでは、IoT時代のサイバーセキュリティーに関する基盤、制度、人材育成、さらに国際連携、こうしたあり方など、包括的な推進体制について、ICT関係部署のまたさらに司令塔として必要な施策を検討、実施するというふうにしております。これらにおいて、今年度中には、特に緊急に取り組むべきというIoTのセキュリティー対策の取り組み、この方針が打ち出される見込みとなっております。

 これらを踏まえて、セキュリティー対策、スピード感を持ってこのIoT時代に対応した対策、これらが確立できるよう関係府省とも連携をして取り組んでまいりたい、そう思っております。

 以上です。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 総合的に対策に取り組まれているということで、まさにそのIoT、今まではサイバー空間だけの問題が、物とまた私たちの生活に直結してくるということで、やはりそのセキュリティーをしっかり保つことが私たちの生活の安全と安心を守る、そういったことにつながる、このように確信をしているわけでございます。

 そんな中で、今までセキュリティー対策というと、あるシステムに変なウイルスが入らないように入り口でちゃんと防御していく、いわゆる家でいえば変な人が入らないように鍵をしっかりかける、そういった防御というものが結構なされているんですけれども、そういった中で、万が一、家に入られてしまった、システムに入られてしまった。そういったときに、セコムとかALSOKとかが何かあったらすぐ飛び込んでぱっと対応していく、また、そういう体制が整っていることによってそういったシステムが守られるというふうに思うわけでございます。

 その入り口のところの対策と同時に、中に何かがあったときに適切に対応できるような取り組みも重要だと考えるわけでございますけれども、総務省の現状の取り組みについてお聞かせ願えますでしょうか。よろしくお願いします。

今林政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、サイバー攻撃が複雑化あるいは巧妙化しておりますので、外部との通信の出入りを監視するという、いわゆる水際対策と呼んでおりますが、これだけでは不十分と言われております。

 総務省所管のNICTにおきましては、特定の組織を狙った標的型攻撃というようなものにも対応したNIRVANA改という技術を研究開発しております。これは、攻撃される方が、ネットワークの内部に侵入した場合であっても、内部の通信の状況あるいは内部に設置したセンサーが検知した異常、こういったものを可視化いたしまして、リアルタイムに表示することによってサイバー攻撃への対応、いち早い対応を可能とするものでございます。

 本技術につきましては、NICTからセキュリティーの関係企業に対しまして既に技術移転が開始されておりまして、こういった企業から社会に展開が行われているところでございます。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに、その監視というのは非常に大事になってくるわけですね。出入りのところの監視と、実際中に入って、また、IoTの場合によると、センサーが通常の状態で動いているのかとか情報のやりとりが正常になっているのか、そういったことを監視し、異常が見つかったときに何か手を打つ。あるいは、いろいろなシステム同士が連携をとるときの通信履歴等に異常がないかどうかをすぐ、常にチェックしていくとか、あるいは、同じプログラムを使うとあるファイルにいつも行くそのプログラムが違うファイルに動いている、そういった異常をどう検知して早目に対応していくか。

 そういった仕組みの中で、今言われたように、入り口のところではなく中もしっかり見ながら、そしてその状況に合わせてしっかり対応していく、そういった取り組み、総務省としてこれからもしっかりと力を入れていただきたいと思うわけでございます。

 あと、きょうは人材の育成についてもまた用意してあったんですけれども、次回に聞かせていただくこととして、そういったシステムと人材をしっかりと育成していただきながら、安心、安全なICT、IoTの社会を築いていくことをまたお誓い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 大変にありがとうございました。

竹内委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民進党の奥野総一郎でございます。きょうもよろしくお願いいたします。

 大臣、お誕生日おめでとうございます。

 最初に、順序を変えますけれども、消防の話を伺いたいと思います。

 長野県での消防防災ヘリコプターの墜落で多数の消防隊員が亡くなられたこと、本当に心より御冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 消防は我々の生活の安心、安全になくてはならない、常に支えていただいている存在であります。間もなく、東日本大震災、六年たちますけれども、当時も活躍をされましたし、また、近くは熊本の震災等でも消防の皆さんは活躍されています。

 きょうは、常備消防ではなくて消防団の話を伺いたいんですけれども、先年、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律という法律、我々も協力をして成立をいたしました。その効果もあって、あちこちでいろいろなイベントに行くと消防団員の募集のチラシが配られていたり、私の地元ではモノレールに消防団募集の案内が、広告が車体に描かれたりということで、あちこちで団員募集が広く行われるようになりまして、法案の効果があったのかなと思っています。

 ところが、一方で、地元の方では、末端までなかなか装備が改善してこないとか、何より深刻なのはやはり人手不足ですね。四十、五十を過ぎても団員を続けている。先日伺った地元の方は、分団長は三回目だ、何回回してもまた回ってくる、こういうようなお話もございました。人手不足が深刻。

 これは、特に地域、過疎地とかに行くほど、やはり消防団が防災のかなめでありますから、人手不足は深刻なのでありますけれども、法案が通って消防団員の数は下げどまったのか、あるいは、そうじゃないとして、さらに、団員の確保にどういう方策を考えておられるのか、伺いたいと思います。

大庭政府参考人 お答えします。

 御指摘のとおり、消防団は地域防災力の中核を担う存在でありまして、近年の災害におきましてもその重要性が明らかになっている一方で、消防団員数はやはり減少傾向にございます。

 消防団の充実強化は大変重要な課題と考えており、このため、高市総務大臣からは、地方公共団体や経済団体宛てに書簡を発出していただきまして、消防団員の七割を占める被用者や公務員の消防団への加入促進や、消防団活動を正当に評価していただくことなどにつきまして、お願いをしていただいております。

 また、今年度、この書簡を踏まえまして、消防庁を挙げて、各経済団体を訪問しまして、改めて依頼をしているところでございます。

 特に、女性や学生の加入促進が重要と考えておりまして、女性活躍の観点からも、加入促進に積極的取り組みを、市町村に働きかけをお願いするとともに、消防団に所属する大学生などに対する就職活動の支援の一環として、学生消防団活動認証制度を創設して、その普及を図っております。また、消防団協力事業所の普及も進めておりまして、一部の地方公共団体におきましては法人事業税の減税や入札における加点等の取り組みも行われておりまして、こういった取り組みを進めるよう、地方公共団体にも働きかけをお願いしております。

 これらの取り組みにつきまして、減少はしているものの、団員数の減少幅は近年縮小傾向にあります。また、女性、学生団員については増加傾向にございまして、今後とも、消防団の充実強化に向けまして、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 確かに効果があって、郵便局の職員なんかも入るようになってくれて、私の地元では、郵便局の職員が増加したということで、これは佐倉市というところですが、この前、大臣表彰をいただいたりしています。一定の効果はあると思いますし、今お話があったように、若い人、女性、これはとりわけ大事ですので、ぜひ進めていただきたいと思うんです。

 一方で、手当の問題ですね。

 ボランティア、よく消防団のところで御挨拶に伺うときに、生業の傍ら頑張っていただいてなんて必ず言うんですけれども、手当をもう少し厚くできないのか。例えば、交付税措置をするとか。今、もちろん、ちゃんと交付税に見合うだけの手当を出すようにと通達をして、徐々にそれは効果が上がってきている。これも地元の話ですけれども、千葉市も引き上げている。効果は出てきていると思いますが、もう一声ですね。

 先ほど申し上げたように、地域に行くほど厳しいんですね。田舎に行くほど若い人がいなくて、しかも、人数が少ない中で、夜回りとか、実際に消火も頑張っていただいていますから、そういった方々にも報いるようにというためもあり、また、新しい人にも入ってもらうためにも、手当の引き上げなんというのも考えたらと思うんですが、いかがでしょうか。

大庭政府参考人 御指摘の報酬、手当についてですけれども、先ほどお話にございました平成二十五年十二月の消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律の公布、施行等を踏まえまして、消防庁では、団員の報酬等について、その引き上げを地方公共団体に対しましてお願いしているところでございます。

 処遇につきましては年々改善してきておりまして、例えば、一般団員の年額報酬の条例平均額は、平成二十八年四月一日現在で三万三百二十三円、平成二十六年四月が二万九千七百七円ですので、増額はされてきております。

 ただ、御指摘にありましたように、交付税単価は団員が三万六千五百円でございますので、今後とも、報酬額、手当が低い市町村につきましては、あらゆる機会を捉えまして、報酬等の引き上げについて要請してまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 今の額は年間ですよね。だから、本当に気持ちということなんですね。

 体を張って、命がけで頑張っていただいているのに、まさにボランティアということだと思うんですが、大臣、この件、もう少し団員の御苦労に報いるように、例えば報酬を引き上げるといったことについてはどうお考えでしょうか。

高市国務大臣 本当に年額ということでございますので、ボランティア活動という位置づけで御活躍をいただいていることと存じます。

 まずは、やはり交付税措置をしているにもかかわらずそこに届かない団体については、しっかりと改善をしていただきたいと思います。

 また、今後、多くの消防団を応援する国会議員の先生方の御指導もいただきながら、少しでも消防団の方々が活動しやすい環境、そして、多くの人が入って頑張ってみようと思っていただける環境づくりに努めてまいります。

奥野(総)委員 まずは交付税額どおりということでありますが、その先も含めてぜひ御検討いただきたいと思います。

 消防の話はここで終わります。

 次に、放送のネット配信について伺いたいと思います。

 前も質問したことがありますが、諸外国ではネット配信はごく当たり前。テレビを見ていても、それがネットから来ているのか地上波から来ているのかわからないというのが多くの国だと思います。

 日本も、最近いろいろ、番組の見逃し、スマホで見られたりとか、さまざまなサイトも立ち上がってきていますし、NHKなんかも実験をやっているようでありますが、では、一体今どのぐらい日本でテレビ番組、映画とかを入れるとややこしいのでテレビ番組、放送番組に限ってでありますが、放送番組に限って、ネットで見られるのか、どういうサービスがあってどのぐらいの方がこれを利用しているのかということを、漠然としていますが、伺いたいと思います。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 ブロードバンドですとかスマホの普及に伴いまして、放送の視聴環境が大きく変化をしている中でございますので、NHKや民放各社におきましては、放送番組を電波で送り届けるだけでなく、今、さまざまな形でインターネット配信への取り組みを進めてございます。

 民放でございますけれども、二〇〇五年からオンデマンドのサービスというものもスタートしてございまして、民放連の調査によりますと、二〇一六年の十月時点で、十一の放送局が有料のオンデマンドサービスを、六十四の放送局が無料のオンデマンドサービスを提供してございます。

 加えて、二年前の十月に、在京民放キー局五社が、各社が個別に実施しておりました見逃し配信サービスを共通のポータルサイトから利用できるようにする取り組みとして、いわゆるTVerと言われるサービスを開始してございまして、そのダウンロード数も、二〇一六年、昨年の十二月時点で五百万を超える勢いになっているというふうに伺っております。

 また、まだ一部の番組ではございますが、スマホ向けの放送番組の同時配信を先行的に取り組んでいる放送局もあらわれているところでございます。

 また、多くの放送局は、Huluですとかネットフリックス、ユーチューブといった動画配信サービスにも放送番組をさまざまな形で提供しているところでございます。

 NHKにつきましては、放送法に基づきまして、これは九年前から、有料財源としてNHKオンデマンドというものの提供を始めてございまして、平成二十八年十二月末現在の登録会員数は約百九十四万人というところまで達しているところでございます。

 また、三年前の放送法の改正を受けまして、インターネット同時配信の試験的提供ということにつきましても、受信料財源をもとに今スタートしたところでございます。

奥野(総)委員 私も時々スマホで帰りがけにドラマを見たりして、結局、いわゆるテレビ、無線を使っているかネットを使っているかというのは余り意識しないような状況にだんだんなってきていますね。

 ですから、これを一歩進めて、同時再送信もやってはどうか。これはもし、行く行くは、ネットに巻き取っていけば、電波の周波数をあけることも最終的には可能になるのではないかと思いますけれども、それは遠い先のことかもしれませんが、とにかく第一歩として、私は、同時再送信を進めていくべきだという立場であります。

 NHKが先日実験を行った、その結果を公表されたということでありますが、どういった方を対象にして、要するに、特定の、見る層だけじゃなくて一般の方も対象としたのかどうか、あるいは、その結果、どういった方を対象にしてどういう調査を行って、どういう結果が出たのかということを伺いたいと思います。NHK、お願いします。

坂本参考人 お答え申し上げます。

 インターネット同時配信実験、試験的提供Bにつきましては、今回が二回目ということで、昨年の十一月二十八日から三週間にわたって行っております。

 実験の参加者は一万人規模で、総合テレビに加えて、Eテレも配信をしております。さらに、見逃し配信の実験も行っております。

 一万人の参加者につきましては、ふだんからNHKをよくごらんいただいておりますNHKネットクラブの会員に加えまして、ふだんNHKを余り見ない方も含めまして、より幅広い方に御参加いただいて視聴ニーズをとったところであります。性別、年齢層にも偏りがないように調査を行っております。

 調査の結果でありますけれども、同時配信または見逃し配信を一度でも利用いただいた方は一一%、同時配信の利用者は六%、見逃し配信の利用者は八・五%でありました。また、利用者全体の満足度でありますけれども、七六%ということで、同時配信と見逃し配信の両方を利用した方の満足度は八〇%というふうになっております。基本的な視聴ニーズ、動向については確認ができたのではないかというふうに考えているところです。

 NHKとしましては、インターネットしか利用していない人々に命と暮らしを守る安全、安心の情報を届けるためにも、日常的に同時配信を実施して、広く日ごろから認知してもらうことが何よりも重要だと考えているところであります。今回の実験の結果を踏まえまして、常時同時配信に向けた課題の解決に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

奥野(総)委員 今のお答えですけれども、一度でも、一瞬でも見た方は一一%、それから視聴されていた方六%。この視聴の定義ですね。一瞬でも見た方、この一一%と、六%の違いというのはどういうところにあるのかというのを伺いたいのと、その上で、では、この六%という数字はよく見られていると評価するのか。

 今後、恐らく同時配信しようとすると設備投資が必要になってくると思いますが、きちんと設備投資を打つに至るだけの現状、視聴があったというふうに評価されておられるんでしょうか。この調査結果の評価を伺いたいと思います。

坂本参考人 お答え申し上げます。

 一一%、それから同時配信六・五、見逃し八・五というところにつきましては、現在検証を進めているところであります。ごらんになった方は大体十分から十二分程度というのが平均値として出てきておりますので、そういった時間それから回数等も含めて、これからちょっと検証する必要があろうかというふうに思っております。

奥野(総)委員 後半の答えですが、これをもとに、では、先ほど、会長の会見でも同じような話がありましたが、NHKとしては、この結果を見て、命と暮らしを守る情報を届けるためという言葉がついていますが、日常的に同時配信をする、この結果を踏まえてさらにそれを求めていくということでよろしいんですね。

坂本参考人 お答え申し上げます。

 今回の結果を踏まえまして、さらに、ふだんからネットだけをごらんになっている方をもう少し幅広く捉えて、新年度、そういうところも試験を行っていきたいというふうに考えております。

 そういう形で、今後の視聴者の動向を十分確認、検証した上で、常時同時配信に向けての環境整備といいますか、課題の解決に取り組んでいきたいというふうに考えております。

奥野(総)委員 もう少し検証するという話であります。

 私が申し上げているのは、もう事実上、先ほど御説明がありましたけれども、ネットでほとんど見られるわけですよね。ですから、日本も、もう地上波と変わりなく、ネットを意識せずに見られる環境になってもいいんじゃないか、こういうことでこの質問をしているわけです。NHKも、実証した結果はそういう感触を持ったということだと思います。

 大臣にも伺いたいんですが、今のNHKの評価、調査結果についてどう評価をされますか。さらに、この評価をもって、同時配信をNHKは進めるべきかどうかということを伺いたいと思います。

南政府参考人 済みません。NHKの試験的提供の結果の受けとめについて、ちょっと事務方から答弁をさせていただきたいと思います。

 総務省としましては、今回、より社会実態に近い形で見逃し配信と同時配信をセットで検証していただいたということについては一定の評価をさせていただいているところでございますが、一方、先生御指摘のとおり、今回の同時配信の利用率は六%、見逃し配信を含めても一一%ということでございますので、必ずしも高い利用率ではないという印象もあるわけでございますので、同時配信の視聴ニーズがどこにあるのかということにつきまして、さらに詳細な分析をNHKの方にもお願いをしたいというふうに考えております。

 また、見逃し配信の視聴ニーズとの比較でございますとか、今回の検証によって生じた新たな課題、例えば放送との時間差が生じているというような問題につきましても、来年度の検証に向けてしっかり分析、改善を示していただくことが必要であるというふうに考えておるところでございまして、この試験的提供の結果、成果につきましては、民放関係者との間でもよく共有、連携をしていただく必要があるというふうに考えているところでございます。

奥野(総)委員 割と後ろ向きな答え、数字を客観的に評価されているのかもしれませんけれども、ちょっとびっくりしたんですが。

 当初、この国会にもNHKの同時再送信を可能とする放送法の改正が出るやに言われておりましたし、実際、放送法の改正というのは頭出しもされていたわけですね。

 それが、結論として出てこないということだと思いますが、今回、この放送法、NHKの同時再送信を可能とすることを含むと理解しておりますが、放送法の改正が、提出が見送られた理由というのは何なんでしょうか。

南政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、大臣のもとでの有識者の検討会が開かれてございますが、NHKから、昨年六月にその検討会の場で、放送法で今禁止されております常時同時配信を可能とするための制度整備について要望が出されたところでございます。

 全ての番組の常時同時配信を認めるかどうかということにつきましては、現在、有識者の検討会において御議論をしていただいている途上でございまして、その検討会の中で議論を集約して一定の方針を示すというところにはまだ至っていないということでございますので、放送法改正を見送ったというよりも、まだ現時点におきまして具体的な取り扱いの方針が決まっていないという状況でございます。

 NHKのあり方につきましては、引き続き、その業務範囲の問題に加えまして、受信料のあり方あるいはガバナンスのあり方、これを三位一体で改革するための議論を丁寧に積み重ねていく中で、関係者の皆さんの議論を集約して一定の結論が得られるよう努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。

奥野(総)委員 もちろん、私は進める立場ですから、やめろと言っているわけじゃないので、一刻も早くやってほしいという立場から伺っているんですが、要するに、NHKの体制について議論が煮詰まっていないということのようでありますけれども、これは受信料のあり方も含めて検討しているということですね。

 よく大臣が三位一体とおっしゃっていますが、そうすると、来るべき放送法、これはいつになるかわかりませんが、出すときは、受信料の見直しも含めて出てくる可能性があるということでよろしいんでしょうか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 今御答弁申し上げましたとおり、現在、有識者の検討会の中で、いわゆるNHKの適正な業務範囲はどこまでか、それに伴います受信料制度のあり方、それからガバナンス、これは相互に密接に関係するテーマでございますので、それらを一体として検討を進めていただいているところでございます。

 特に、NHKから要望が出されております、禁止されております常時同時配信を認めるかどうかというのは、これは業務範囲にかかわってくる問題でございまして、これを認めるに当たって受信料制度にどう波及するのか否かという点も含めて、受信料制度のあり方の中で御検討いただいているという状況でございます。

奥野(総)委員 この業務範囲の話というのは、NHKの巨大化論とかそういう話だと思うんですが、民放の側から何かNHKの同時配信については意見があるんでしょうか。

 それから、もうちょっと言うと、民放は本来、今できるはずなんですね、同時配信。制度上は何ら問題がないんですが、民放が今なかなか進んでいないわけです。見逃しはやっていますね、そこは進んできていますが、同時配信をやっていない理由というのは何なんですか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、NHKから制度改正の要望が出ているというふうに御説明を申し上げましたが、それを受けて、昨年末に、二回にわたりまして、関係者の皆様から検討会の場でヒアリングを行ったことがございます。

 その中で、民放あるいは新聞協会等の関係者からは、特に、今NHKと民放の二元体制というものが堅持されているわけでございますが、こういった同時配信を進めることによりまして、県域免許など現行制度との整合性というものをやはり十分に検討してもらいたいという声。あるいは、NHKの同時配信を拡大するということについての国民的な議論がまだ不十分であって、結論ありきで制度改正を進めることは不適切であるというような御意見。あるいは、特にこれは民放側の考えでございますが、やはり現時点で同時配信のニーズあるいは事業性を見出すのが非常に難しい、したがいまして、同時配信のコストでありますとかニーズ、あるいは権利処理を行うという場合のさまざまな技術的な課題を解決することが先であって、同時配信ということにつきましては段階的に進めていくべきだといったような、さまざまな意見が寄せられたところでございます。

 現在、有識者の検討会とは別に、審議会の場でも技術的な課題の検討を並行して進めているところでございまして、さまざまな御意見を踏まえて、関係者のコンセンサスが得られるよう引き続き努力してまいりたいと考えてございます。

奥野(総)委員 例えば県域の問題にしても、なかなか難しい問題ですよね。権利処理は、古い番組についてはなかなか難しいでしょうけれども、契約のやり方等でできるんだと思いますけれども、県域、要するにローカル局をどう生かしていくか、とりわけ民放のローカル局をどう生かしていくかという問題だと思うんですが、これはなかなか難しいと思うんです。

 それができなければ民放も進まない、NHKも進まないということになると、永久にと言うと言い過ぎですけれども、ここずっと、もう十年ぐらい前からこういう動きが出てきているんですが、なかなかここが抜けないのでこの問題は進まないと理解しているんです。

 具体的に、対応、今検討されているとおっしゃるんでしょうが、では、いつまでに結論が出て、もうちょっと言うと、放送法の改正案はいつ出てくるんでしょうか。

高市国務大臣 まず、今国会に放送法を提出するという予定はございませんでした。今国会に提出しようと思いますと、少なくとも、有識者による検討会、昨年の十二月までにやはり一定の結論を得ておかなければならない状況でございましたが、まだ結論が見出せていない段階であるということは先ほど局長から答弁をしたとおりでございます。

 いつまでということなんでございますが、やはりNHKにおいて業務、受信料、ガバナンス、これを三位一体で改革していく中で議論すべき課題でございますので、いましばらく有識者による検討会を開かせていただきまして、具体的な方策を検討してまいりますので、取りまとめ時期についてはまだ確定をいたしておりません。

 公共放送としてのNHKと、あとは民間経営によって多様な番組を提供していただいている民放、いわゆる二元体制のもとで、互いに切磋琢磨しながら放送番組の質の向上や放送の健全な発達に貢献をしていただいてまいりました。

 有識者検討会には私自身も出席して御議論を伺っていたんですが、NHKにつきましては、将来の環境変化というものも踏まえながら、公共放送としての先導的役割、これを明確化していくに当たって民放とどのような連携ができるのかということも課題になると私は考えています。

 それから、やはり先ほど投資が必要だという御指摘を奥野委員からいただきましたけれども、そのコストの見積もりにまだ幅がかなりある段階であります。それから、誰がどのようにそのコストを負担していくのか、これはまた、受信料制度との兼ね合いから重要な論点でございます。

 具体的にどのようなコンテンツに国民の皆様のニーズがあるのかといったことなど、まだ少しNHKからもお話を伺い、民放の中でも御議論をいただかなきゃいけない問題点というのはあるかと思います。

 それから、システム構築の効率化と権利処理という技術的課題については、現在、情報通信審議会で、これもNHKと民放の双方が御議論に加わっていただく形で御検討いただいております。おおむねことしの六月ぐらいに中間答申を希望いたしております。それか、来年の夏ごろに向けて最終的な答申ということを私は希望しております。

 NHKにおかれましては、やはりこうした検討を通じて、国民・視聴者のニーズと視聴環境の変化に対応しながら、民放などとの連携によってコストを低減する検討ですとか、インターネット配信における地域性のあり方について明確にしていただくということが必要ですので、民放など関係者の御意見もしっかり伺いながら、総務省としてしっかりと検討してまいります。

奥野(総)委員 諸外国では、むしろ、地上波を使わずにネットとかケーブルテレビがメーンの国もありますし、日本もだんだんそうなっていくべきだ。というのは、いわゆるプラチナバンドと言われているところですから、ネット、有線に巻き取っていって周波数をあけていく、最終的にはそういうふうに持っていくべきだと思います。

 ですから、一日も早く、今、六月答申ということで、来年の国会、できれば秋の国会でもいいんですけれども、一刻も早く議論をまとめていただいて、同時再送信を可能としていただけるように御努力いただきたいというふうに思います。

 なかなかこれは、積年の課題でありまして、むしろ日本の法規制の独立性からくるものでありますから、これを何とかしないとガラパゴス化してしまうと非常に危惧します。この問題は改めてまた伺っていきたいと思いますけれども、ぜひネット送信、前向きに、早目に考えていただきたいというふうに思います。

 続きまして、また放送の話なんですが、アメリカの国務省が先日、三日とありますが、二〇一六年版の人権報告書を発表したということであります。

 これは、新聞記事、私も原文もちょっと見ましたけれども、それには高市大臣の名前が出て、昨年二月、放送法の定める政治的公平への違反を重ねる放送局に電波停止を命じる可能性に言及した点に触れて、安倍政権によるメディアへの圧力強化に懸念が強まった、要するに、安倍政権がメディアに介入している、圧力をかけているんだということを懸念しているということをアメリカの国務省が指摘した、これを全世界に公表したということであります。

 これについて、大臣はどうお考えか。

 要するに、トランプさんですよ、トランプさんのアメリカですよね、あれだけメディアを記者懇から締め出したりフェークニュースとか言っているアメリカにこういう指摘をされるのはいかがなものかと思います。

 大臣のお立場からすると、そんなことはしていない、去年さんざんやりましたから、そんなことはないんだとおっしゃるんでしょう。であれば、これはアメリカに抗議をするとか、きちんと世界に向けて発信されるのか、それとも、こういう指摘を受けたから前言は撤回するのか。いずれにしても、私はこんなことを指摘されるのは恥ずかしいと思うんですが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 トランプ政権の報道機関への対応につきましては、これは米国政府のメディア対応に関することですから、私からはコメントを申し上げません。

 その上で、米国務省人権報告書に、光栄と言っていいのかどうかわかりませんが、私の名前が出ました。該当部分、例えば、二月には高市早苗総務大臣が、具体的にそのような措置をとる計画、意図はないとしつつも、政治的に偏っていると判断した放送事業者を政府が停波、シャットダウンです、させる権限について何度も発言を行ったと書いてございます。

 この二月、まさに奥野委員が予算委員会で、放送法第四条とそれから電波法との関係について御質疑をいただいたものでございます。これは、法律の解釈、放送法及び電波法の解釈についてお尋ねをいただいたものでございます。私が何度も発言を行ったと書かれてあるんですが、御党の議員から何度も何度も同じ質問をいただきましたので、やはり法律の解釈というものは、政府としては、聞かれたら何度も何度も同じ答弁をせざるを得ないということでございます。

 国務省が各国の人権状況を独自に取りまとめたものでございますので。しかしながら、誤解に基づいた記述だと考えており、大変私は残念に思っています。特に、電波法第七十六条及び放送法第百七十四条の解釈につきましては、民主党政権時代の解釈も含めまして、その前の自民党政権時代の総務大臣答弁も含めまして、従来からの法解釈と同じことを誠実にお答えしたと考えております。

 アメリカに抗議をしないのかということでございますが、総務省としては、やはり米国政府にも正しい認識を持っていただきたいと考えておりますので、これは外務省を通じてということになるかと思いますけれども、しっかり内容を精査して、米国政府に説明をしてまいります。

奥野(総)委員 確かに、私も何度も何度もこの場でも問いましたし、伺ったんですが、その趣旨は、従来と法解釈が変わった、要するに、倫理規範であると言われていた放送法四条、その政治的公平性の解釈を変えて、それについてなお適用があるとおっしゃった点について問うた。問うた意味は、それをぜひ撤回してほしいという意味で問うたんですね。それを撤回されなかったから、こういう記載になっているんだというふうに思います。

 ですから、世界は見ていて、なかなかここまで踏み込んだ発言をする民主主義国家はないと思うんですけれども、そこを指摘されたというのは改めて申し上げておきたいと思います。

 ちょっとごめんなさい、時間の配分を間違って。

 最後に、法務省に来ていただいていますが、共謀罪の関係です。

 なぜ総務委員会と関係するかというと、通信傍受法の関係がありまして、憲法上、通信の秘密が二十一条二項で定められていて、それを守るというのが憲法の要請でありますが、それを受けて電気通信事業法にも規定があります。例外を定めているのが通信傍受なんですが、もう時間がないのでまとめて伺います。

 共謀罪に伴って、通信傍受法を改正して適用対象を拡大する、これがないとはっきり言い切れるのか、それが一点。

 それからもう一つ。懸念として、会話傍受、これは要するに盗聴です、無線などを使う会話傍受、これもこの改正に当たって随分議論されています。議事録を読むと結構前向きの答弁があったんですが、この会話傍受についても、絶対に改正しないと言い切れるのかということを最後に伺いたいと思います。

井野大臣政務官 テロ等準備罪等についてでございますけれども、まだまだ検討段階でございまして、国会提出前でございます。現時点で、このテロ等準備罪の成立を見越して、通信傍受の対象犯罪とするということを、今現時点では全く予定はしておりません。

 以上でございます。

奥野(総)委員 もう一つ、会話傍受についてもそうですが、ここで絶対未来永劫ないと言い切れますかというのが私の問いです。今のは、今回の改正については視野に入れていないと言っていますが、実際にテロ等準備罪、共謀罪が施行されて、運用が始まって、その後、未来永劫ないと言い切れますかという問いについて、明確にお答えいただきたいと思います。

井野大臣政務官 まだ現時点でテロ等準備罪自体が成立しておりませんので、そもそもこの法律自体が成立するかどうかも明確でない中で、未来永劫ということもなかなかお答えしにくいのが現状でございます。

奥野(総)委員 与党の方から成立しないと言うのは、よほど自信がないのかなと思いますけれども、これ以上は時間がありませんので、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田(徹)委員 民進党の黄川田徹であります。

 通告に従い、順次質問していきたいと思います。

 今週末、三月十一日であります。東日本大震災の発災から丸六年、七年目を迎えるということであります。

 この三月は卒業の月でありまして、当時の小学校六年生は、中学三年、そして高校三年。今まさに四月を迎え、社会人となるか、あるいはまた、さらに進学という方もおられると思います。早かった六年だなと思っておるかもしれません。

 また一方、被災地の復旧復興は着実に進んでおるわけでありますが、高台移転されて応急仮設から出られた方は安心と安全を得たわけでありますけれども、いまだに応急仮設住宅に入居されている方がおるということ、最終的にはさらに二年住まなきゃいけないという方もおるわけであります。そういう方にとっては、本当に長い六年だと思っておるかもしれません。

 岩手、宮城は、津波と地震でありますから、着実に集中の五カ年が終わって、次は地方創生も含めた復興の取りまとめの期間だという五年が始まり、かなり、住宅再建あるいはまた災害公営住宅に入居して先が見えてきたなというところがあるかもしれませんが、菅家さんはきょう触れませんでしたけれども、福島の被災地は、本当に、自分の人生設計をどうするんだ、六年とか五年の話ではない、そういう思いでおるかもしれません。

 それはそれとして、実は、一昨日、私の地元岩手の陸前高田で災害復旧公園の起工式がございました。この災害復旧公園、祈念公園であります。国の仕事とすれば最後の仕事といいますか、自治体でもいろいろな公共施設をつくりますけれども、庁舎は一番最後だということで、いろいろなことがあったけれども、そこまでたどり着いたということは本当にありがたいことだと思っております。

 この公園というのは、自治体が整備する計画の中に国が中核的施設をつくるということであります。そしてまた、被災三県と言われる岩手、宮城、福島に各一カ所ということで、予定では平成三十二年度までには整備するということになっております。

 そこで、その進捗状況を具体的にお知らせいただきたいと思います。

樺島政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災の国営追悼・祈念施設につきましては、東日本大震災による犠牲者の追悼と鎮魂、震災の記憶、教訓の後世への伝承、国内外に向けた復興に対する強い意志の発信を目的といたしまして、整備を進めているものでございます。

 平成二十六年十月三十一日には、岩手県陸前高田市及び宮城県石巻市に東日本大震災からの復興の象徴となる国営追悼・祈念施設を整備することについて閣議決定されまして、岩手県、宮城県については、地元の御意見を伺いながら、施設の計画や設計を進めてまいりました。委員御指摘のとおり、この三月五日には岩手県で起工式を迎え、三月の十九日には宮城県で起工式を迎える運びとなっております。引き続き、平成三十二年度末を目途に、関係省庁、地元地方公共団体と連携し、整備を進めてまいります。

 福島県につきましては、平成二十七年四月に、県が浪江町、双葉町にまたがるエリアを県の祈念公園の候補地として選定しております。現在、県、町とともに基本構想の検討を進めており、関係省庁等と連携し、早期の事業化を目指してまいりたい、かように考えております。

黄川田(徹)委員 今のお話ですと、岩手、宮城は順調に進んでいるということ、福島はたしか浪江と双葉にまたがるところに構想されておると思うのでありますけれども、最後の仕事といいますか、そういう部分がありますので、福島に関してはさまざまな政治の決断と実行が控えておると思います。中間貯蔵施設は本当に中間なのかとか、廃炉の問題、別に原発事故の廃炉だけじゃなくて、全国にある原発の廃炉とか、さまざまありますので、震災の跡のいい復興祈念公園ができること、福島でもできることを祈っておるわけであります。

 そしてまた、国がかかわることとは別に、市町村にとっても震災を忘れずに、そして教訓を伝えるということで、震災遺構等もこれまた整備するということになり、取り組んでおるところもあると思いますが、これらの状況はどうでしょうか。

樺島政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災の津波による惨禍を語り継ぐ震災遺構には、さまざまなものがございます。自然災害に対する危機意識や防災意識を醸成する上で意義があるほか、今後のまちづくりに生かしたいとの要望も伺っているところでございます。

 進度は一様ではございませんけれども、市街地整備や住まいの復興が進むに従いまして、これらの震災遺構あるいは追悼・祈念施設の保存、整備、これらの取り組みが進んできているところでございます。

 国の取り組みでございますけれども、市町村のシンボルとなるような施設に対しては、例えば、復興交付金によりまして、南三陸町の旧防災対策庁舎の一時保全でございますとか、宮古市、たろう観光ホテルなど震災遺構の保存でございますとか、あるいは市町村の計画する復興祈念公園の整備等に対して支援を行ってきているところでございます。

 なお、復興交付金の活用だけではなくて、規模がさまざまでございますので市町村が独自に寄附を募るなど、さまざまな思いを受けとめつつ、取り組みがそれぞれ進められているというふうに承知をしているところでございます。

 復興庁といたしましても、引き続き、地元市町村の思いを受けとめて、しっかりと対応してまいります。

 以上でございます。

黄川田(徹)委員 市町村の取り組みということで、南三陸町の防災センター、あそこも残すか残さないかということで、結論を先に出さずに時間を置きましょうということで、たしか県の方でかかわったと思っております。それから、岩手の宮古の田老のホテルでありますけれども、これは整備されて、今まさに、震災がどうだったのであるのかいろいろな方々が来て、そして実際に三陸大津波の映像もありますし、かなり震災を風化させないような施設もできておる、こう思っております。

 ただ、この震災遺構なんでありますけれども、これには保存か解体かということで、さまざまな議論がある自治体もあります。具体的に私のところ、岩手の大槌町というところなんでありますけれども、この庁舎、一部解体したのでありますけれども、これをどうするかということで、それが選挙の争点になって、首長がかわったりとか、さまざまあります。

 本当に、震災遺構を残す、残さないということで、さまざま悩ましいものがあるのでありますけれども、まだ六年といいますか、やはり後世に伝えるということになりますと、その建物が歴史的なものとしてみんなに認知されるような形になるように、早目の決断というよりも、地域のさまざまな思いが議会なり、あるいはまたいろいろな形で結果として出せればいいな、こう思っておるわけであります。

 大臣は、神戸といいますか、関西の方に住まれておりますので、阪神・淡路大震災、もう二十年も過ぎましたし、また中越地震も十年を超えました。そういう中で、例えば神戸であれば、震災を経験した方々が神戸の住民の何割かにというふうな形、発災したときは一〇〇%皆経験しているのでありますけれども、そういうことになっている。そういう中で、どうやって風化させずにいこうかとか、さまざまあります。

 そしてまた、新聞記事の斜め読みというわけではないのでありますけれども、京都府に何か丹後市、なかったですか。(発言する者あり)京丹後市ですか。京丹後市、あの辺で九十年ぐらい前に大地震があったんですかね。それを残さなきゃ、残さないとというか、地震があったということを後世に残すということで記念館がつくられた。当時は県でつくったんだけれども、町に、そのとき自治体に払い下げしたか何かで、これが大分老朽化して、それが閉鎖されて四、五年になる。確かに九十年前の話ですから、かなり消えていくというところはあるのでありますけれども。

 我々が今、起工式を行いましたけれども、どうやって、施設は必ず老朽化していくわけでありますし、維持管理とかいろいろなさまざまな課題があるのでありますけれども、全国どこでも大災害が起きる時代にあって、そういう震災遺構施設もなかなか大変な維持管理にあるというような状況でもあります。

 そういう中で、大臣も、私、ちょうど当時は復興特別委員会の委員長をしておりましたので、答弁者は菅総理でありまして、菅総理も疲れていたんでしょう、本当に答弁が疲れた答弁で、高市さんもかなり厳しい指摘をされて、私もかなり参っていましたので、やはりその答弁はないだろうということで、委員長は余り言わないんだろうけれども、総理の答弁はだめだ、もう一度しっかりやってくれということも話もしました。

 だから、復興大臣じゃないのでありますけれども、あるいはまた、神戸とかにも暮らされたこともあるでしょうし、また、その復旧復興の中で総務省の果たす役割も大きいわけでありますので、復興も進んできて、復興祈念公園のようなものも出てきたんだけれども、こういう震災の記憶と記録がしっかり後世に残されるのかという私もさまざまな思いがありますので、これらに対する大臣の所感といいますか、感想があればお聞きしたいと思います。

高市国務大臣 黄川田委員自身が、もう言葉に尽くせないほどおつらい思いをされていた中で、当時、委員長として歯を食いしばって頑張っておられたお姿を今も明確に覚えております。

 震災遺構ですとか追悼・祈念施設の保存、整備というのは、大変難しい議論もあると思います。やはり何年たっても、家族を目の前で亡くしてしまった方々や、本当にそのまま会えなくなってしまった方々の深い心の傷、悲しみというのは癒えませんから、お地元でもいろいろな御議論があるんだろうと思います。

 ただ、このような施設というのは、被災地域の方々にとって、犠牲者の方々の追悼という意味とともに、やはり震災の記憶や教訓を伝承する施設として長く復興の象徴とされることも期待されますし、一方で、被災者の方々の思いを酌み取った形のものになるということがとても必要だと思っています。

 地方公共団体で進めていただく震災遺構や追悼・祈念施設の保存、整備などの取り組みを含む復興交付金事業の地方負担については、震災復興特別交付税により全額、地方負担分の措置を行っています。

 なかなか難しい問題ですが、それでも未来に生きる方々へのこの教訓を伝える大きな意義はあるんだろうと思っておりますので、お地元でお決めになった取り組みに対しての支援はしっかりと行わせていただきます。

黄川田(徹)委員 自治体に対する財政支援、しっかりと対応するということでありますので、ありがとうございます。

 陸前高田の祈念公園は、四カ所震災遺構があるんです。中学校、そしてユースホステル、それから道の駅、そしてあと住宅ですね、労働省でつくった、何でしたか、その後、市に払い下げになったんですけれども、勤労住宅ですけれども……(発言する者あり)雇用促進住宅、これがまた市町村に払い下げられて、名前が変わっているのでありますけれども。

 いずれ、何でそれが震災遺構になれたかということは、実は、そこで亡くなっていないんですね。千八百人亡くなっていますけれども、そこでは亡くなっていない。南三陸の防災庁舎では亡くなっている。大槌の役場でも亡くなっている。そういうこと等がかなり大きな課題になっているのではないか、こう思っております。

 そして、国、自治体の遺構といいますか、いろいろな形で後世につなごうということでありますが、民間といいますか、地域でもっても慰霊碑の建立とか、そういう動きが出てきておるわけであります。発災直後はとてもそういうことはできなかったのでありますけれども、集中復興期間が過ぎて、六年目ということで。ただ、これにもまた時代の流れといいますか、いろいろな課題があります。

 個人情報保護にも関係するのでありますけれども、うちの方の岩手で山田町というところがありまして、そのあるところで慰霊碑を建立したいということであります。慰霊碑の建立ということになれば、犠牲者、亡くなった方の名前を刻むということになるわけであります。犠牲者は、役所、亡くなった方は役場から公表されるのでありますけれども、行方不明者あるいはまた関連死の方々、これらは公表されないわけであります。もちろん、地域の取り組みの中でそういう方々を全部把握できればいいのでありますけれども、都市も地方もないという社会形態になっておるので、なかなか集まらないこともあったと聞いております。

 ただ、この山田町の場合は、関連死の方が公表されておらなくて、それでもたどり着いて、地域住民の方百二十人といいますか、最初百十九人刻んだんだけれども、その後追加で刻むことができたということで、そういうことで結果はいいのでありますけれども。

 社会の匿名化といいますか、あるいはまた無縁化といいますか、縁のない社会、無縁社会といいますか、そういう中でよく言われる、災害にかかわる自助、共助、公助ですか、共助の再構築というのが本当に大事なんだな、こう思っております。

 三月十一日の祈念になりますと、無縁仏といいますか、現実に亡くなった方がおって、だびに付され、どなたか関係者の方々が引き取りに来るはずなのでありますけれども、遺骨はあるんだけれども引き取りに来られる方がないということで、そういうところもありますし、あるいはまた、応急仮設住宅あるいはまた災害公営住宅に入居できたんだけれども、孤独死といいますか、そういう面も出てくる。

 だから、個人情報保護とそれから助け合いと、そういうものの折り合いをつけていかなきゃならないのかな、こう思うわけであります。

 そこで、災害弱者といいますか、災害があったときに避難行動の要支援者、これについてちょっとお尋ねいたしたいと思います。

 災害対策基本法、平成二十六年四月一日に施行されまして、市町村による名簿の作成、名簿情報の提供をやらなきゃいけないということになっておるのでありますけれども、避難行動要支援者名簿の作成状況はどうなっていますでしょうか。

大庭政府参考人 お答えします。

 お尋ねの避難行動要支援者名簿の作成状況でございますが、平成二十八年四月時点で千四百六十市町村、八四・一%が策定済みでございまして、今年度末時点では千七百二十市町村、九九・一%が策定済みとなる見込みとなっております。

黄川田(徹)委員 名簿の作成はほぼ順調にいっているということのようでありますけれども、それでは、この避難要支援者情報、その情報が共有される実効性といいますか、その部分はどうでしょうか。

大庭政府参考人 お答えします。

 避難行動要支援者名簿は、災害時における高齢者や障害者等の安否確認や避難支援に役立つものでありまして、平時から関係者間で共有しておく必要がございます。

 先ほどの二十八年四月時点の調査によりますと、名簿作成済みの千四百六十市町村のうち、それぞれの地域防災計画の定めるところによりまして、平時からの名簿の情報提供先として位置づけているところは、例えば、民生委員、作成済み市町村の九一・五%、消防機関、同じく七七・七%、自主防災組織、七五・六%等が名簿情報の提供先として位置づけられてはおりますけれども、具体的にどこまで提供しているかにつきましては、私どもとしては統計は持ち合わせてございません。

黄川田(徹)委員 平時からの提供なのでありますけれども、これは本人の同意がなければできないのが原則ですよね。よろしいですか。それでよろしいんですか。

大庭政府参考人 お答えします。

 災害対策法に基づきまして、本人の同意を原則としております。

黄川田(徹)委員 先ほどの慰霊碑の建立じゃありませんけれども、なかなか、本来であれば行政とすれば要援護者ではないのかなという方がおるのでありますけれども、その人が不同意といいますか、載せなくてもいいよということになると、それには載らないということで、一旦事が起きたときの課題があるような気もするのであります。

 法律にはそうなのでありますが、市町村の条例によってその取り扱いがどうのこうのというところはなかったでしょうか。

高市国務大臣 昨年十二月に総務省の方から、市町村条例で特別の定めを置くことによって、本人の明確な同意がなくても事前提供を行っている、先進的な取り組み事例についても紹介をいたしております。

 特に、総務省から地方公共団体に対しましては、今、名簿の早期作成とともに、この名簿情報を消防機関、自主防災組織などの避難支援関係者と共有していただくということを要請しています。

 条例に関しましては、例えば千葉県の千葉市、また長野県などでも対応をしていただいております。逆手挙げ方式という形で、本人から拒否の意思表示がない限り、平常時から自主防災組織や町内自治会などに提供できるといった内容の条例でございます。

黄川田(徹)委員 その条例なのでありますけれども、我が岩手では条例を策定しているところは一つもないのでありますが、事務方の方で、どのぐらいの条例制定になっているのか、千七百を超す自治体なんでしょうけれども、そういうのを把握しているんですか。

大庭政府参考人 お答えします。

 先ほど大臣から御答弁させていただきましたが、千葉市とか長野県茅野市とか、幾つかの事例は承知しておりますけれども、全体的にはつかんでおりません。

黄川田(徹)委員 通知を出しているということでありますので、その意を解して、生かされる名簿にならなければ意味がないと思うわけであります。

 それでは、これは法律に規定するところではないんでしょうけれども、その名簿に基づいて具体的に個別避難行動ができる、そういうものをつくっておるのかどうなのかというのは、消防庁では調べておるのでありますか。

大庭政府参考人 お答えします。

 今御指摘の個別の計画についてでございますけれども、内閣府の方で、「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」で個別の計画につきまして策定を促されておりますけれども、法律で義務づけられたものでもなく、また、計画によらずとも支援の枠組みが整う場合も考えられるということから、消防庁で策定状況の取りまとめは行っておりませんけれども、参考数値として、平成二十七年四月時点で調べたところ、名簿策定済み団体の三三%、二百九十四団体が策定しているという状況でございました。

黄川田(徹)委員 計画はつくって計画倒れではあれですので、その下位の部分といいますか、それに基づく具体的な動きができる、そういうところまで細やかな、消防庁も助言なり、かかわっていただきたい、こう思うわけであります。

 いずれ、与野党にかかわらず、うちの奥野委員からもお話があったとおり、消防、大事であります。常備消防も大事でありますが、やはり地域を支えるのは非常備消防、団のことだと思っております。

 それから、先ほど与野党と言ったのは、消防の、地域密着型のものでしっかりと支えるという議員立法も出ましたので、これはやはり民生委員さんとか警察の皆さんであるとか消防の皆さんとか、さまざまあるんですけれども、自主防災組織とか、そういうところが現実の部隊を担うというところがあるでしょうから、その部分にも細やかな配慮をお願いしたい、こう思っております。

 それでは、残りが、時間になってしまいましたので、先ほどから個人情報の話をしておりますけれども、改正個人情報保護法の施行が五月三十日ですか、それに伴って、政府の個人情報保護委員会の方で、ビッグデータを企業が安全に売買するための個人情報の匿名化に関する報告書とかを出していますし、ビッグデータが円滑利用できる環境整備に取り組むということでこういう動きがあるわけです。

 また一方、災害対応へのビッグデータの活用ということも何か動き始めているような気がしております。政府と民間とが連携しての運用ルールの作成とか、この辺の動きはどうなっているんでしょうか。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の災害対応へのビッグデータや情報通信技術の活用についてでございますけれども、熊本地震の検証などを踏まえまして、災害発生時におきます関係機関間の情報共有及び利活用を推進するために、中央防災会議のもとで、国と地方、民間によります検討を行うことにいたしておりまして、私どもの方では災害情報ハブというふうに呼んでおりまして、今月中に議論を開始する予定でございます。

 検討に当たりましては、関係省庁や地方公共団体に加えまして、携帯電話やカーナビの位置情報の活用に関します企業を初めとしまして、物流業界など、幅広い分野の企業等の関係者に議論に御参画いただく予定でございます。

 こういった多様な関係機関と連携を図りながら、災害時の情報共有に関します基本ルール等を定めるとともに、それを利活用いたしました効果的な物資調達、輸送など、災害対応の現場におきます課題解決に資する取り組みにつきまして検討を進めていきたいと思っております。

黄川田(徹)委員 時間がなくなってしまいましたので、一言だけ触れなきゃいけないので。

 災害が起きたときの職員の応援計画、受援計画の関係なんですが、東日本大震災発災直後に指揮命令系統が混乱しまして、せっかく職員が派遣されたにもかかわらず、復旧復興に十二分に生かせなかった、迅速な復旧復興ができなかったというところがありますので、その受援計画について簡潔にちょっとお尋ねいたします。どういう状況になっていますか。

大庭政府参考人 お答えします。

 受援計画の策定状況につきまして、消防庁では統計をとっておりませんが、行政評価局によります平成二十六年の震災対策の推進に関する行政評価、監視時の抽出調査によりますと、都道府県では二十九のうち十二都道府県で約四割、市町村は百六十八市町村のうち十九で約一割となってございます。

黄川田(徹)委員 県は体力がありますから、つくっているところは何割かあるんでしょうけれども、どうも市町村レベルだとなかなかできてこないというふうな現実があるみたいであります。

 やはり、つくれつくれと言うだけじゃなくて、どういうものが必要なのか、内容とか、ひな形とか、ガイドラインとか、さまざまあると思うんですけれども、これについてはそのまま、野ざらしのままなんですか。

 もっとやはり市町村自体がつくっていかないと、いつどこで何が起きるかわかりません。言われているとおり、必ず災害は来ます、直下型あるいはまた南海トラフとか、いろいろありますけれども。その辺の自治体への配慮とか指導助言とかはどうなっていますか、作成に関しての。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災や熊本地震のような大規模災害が発生した場合に、行政みずからが被災をいたしまして、マンパワーが不足する中で膨大に発生します災害対応業務を被災自治体が単独で実施するのは非常に困難になっていきまして、円滑な人的、物的支援の受け入れは極めて重要であると認識をいたしております。

 このため、自治体が受援計画を策定しておくことが重要であると考えておりますけれども、御指摘のとおり、その策定につきましては十分進んでいない状況がございます。

 このため、昨年十月に受援計画の策定推進に向けました検討会を設置いたしまして、総務省、消防庁にも入っていただきまして、必要な検討を進めていっております。年度内には自治体の受援体制の構築を支援するためのガイドラインを策定するとともに、自治体宛ての通知などを通じまして普及を図っていきたいと考えております。

黄川田(徹)委員 最後に一言。

 この受援計画、熊本県あるいはまた益城町ですか、つくっておりましたでしょうか。最後の質問です。

竹内委員長 簡潔に答弁をお願いします。

大庭政府参考人 昨年の熊本地震で震度六強以上を観測しました熊本市、益城町などを初めとする十の市町村及び熊本県に改めて確認したところ、この受援計画を策定していた自治体はございませんでした。

黄川田(徹)委員 ぜひとも、全国どこでも策定されるように、よろしくお願いいたします。

竹内委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 きょうは、自治体職員の増員の必要性について質問します。

 二月十六日の本会議で、私は、自治体業務の委託化、民営化によって地方自治体の職員が一貫して削減されてきたこと、そして、総務省の推し進めた集中改革プランによって、その地方公務員の削減は自治体の力を大きく後退させてきたことを指摘いたしました。そして、この人員削減が被災地の応援要請に応えられていないということで、大臣の認識を問いました。これに対して、高市大臣は、「総務省は、これまでも、被災自治体における派遣のニーズを丁寧にお伺いしながら、必要な職員の確保に努めてまいりました。」と述べられました。

 しかし、東北三県においても、熊本県においても、必要とされる応援職員が確保されていません。被災地における職員不足が慢性化していることが、今大きく報道されています。

 お配りしている資料の1は、河北新報三月二日付の報道にあった職員確保の推移であります。これによりますと、二〇一六年四月一日現在で、岩手県は六十二人、宮城県は二百二十七人、福島県は五十二人足りていません。

 総務省の直近の発表、ことし一月一日付の資料でも、岩手県、宮城県、福島県、ともに不足の傾向であることに変わりありません。

 また、熊本県においては、二〇一七年度で、十三市町村が二百十七人の応援職員を求めていますけれども、県外からの応援職員は九十二人しか確保されておらず、県内での応援三十人を新たに加えたとしても五六%しか確保されていない、確保できない、厳しい状況に直面しています。

 高市大臣、必要な職員の確保というには、まだ言えない状況ではありませんか。お答えいただきたいと思います。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

高市国務大臣 二月十六日の衆議院本会議で御質問をいただきました。私の答弁ですが、総務省は、これまでも、被災自治体における派遣のニーズを丁寧にお伺いしながら、必要な職員の確保に努めてまいりましたというものでございました。

 東日本大震災や熊本地震の被災地からの派遣ニーズにつきましては、昨年十二月に平成二十九年度分の要請数について取りまとめまして、現在、各地方自治体に対し、派遣の働きかけを行っております。

 このような職員派遣の法的根拠としましては、被災自治体は地方自治法第二百五十二条の十七に基づき応援職員の派遣を求めることができ、当該規定に基づく派遣に必要な経費に対しては、特別交付税措置を講じることで職員派遣の促進を図っています。

 一方で、派遣を行うか否かというのは各地方自治体の自主的な判断によるため、その御理解をいただくことが重要でございます。全国会議の場においても、毎回時間を確保して、被災団体から直接ニーズを説明していただくとともに、総務省からも要請しています。また、地方公務員月報を活用して、被災団体の長の方々それから総務担当部長から、被災団体の実態を九回にわたって連載もしています。きめ細やかな取り組みをしてまいりました。

 充足しているかどうかということですが、被災団体の派遣ニーズに対して、東日本大震災に関しては八八・七%、熊本地震に関しては八六・二%の充足率でございますので、いまだ充足していない部分があるのも事実でございます。

 しかし、総務省としては、できる限りこの不足分を解消すべく、今後も、さまざまな場で各地方自治体に説明をし、要請を重ねてまいります。

田村(貴)委員 大臣、お答えにありましたように、充足されていない事実はあるわけなんですよね。

 なぜこういう事態になっているかということで、私、本会議でもう一問大臣に問いました。集中改革プラン、この五年間で十八万人を超える職員の削減というのが応援派遣に困難をもたらしているのではないですかと言ったんですけれども、お答えありませんでした。お答えいただけるでしょうか。

高市国務大臣 地方公共団体の職員数につきましては、平成十七年から平成二十二年の五年間、国、地方を通じた効率的で質の高い行政の実現を図るという観点から、行革推進法などに基づいて、各地方公共団体に対して、具体的な削減目標を掲げた集中改革プランを要請していました。

 集中改革プランの期間終了後は、各地方公共団体の定員管理につきましては、地域の実情を踏まえながら、自主的に適正な定員管理の推進に取り組むように助言をしています。

 地方公共団体の職員数は、ピーク時の平成六年比で五十四万人の減少となっていますが、この間も、防災部門の職員数は約三倍の増加、復興に必要な土木、建築の技師についても近年増加傾向にございます。土木技師は平成二十四年から四年連続で、建築技師についても平成二十一年から七年連続で増加しています。

 ですから、地域の実情を踏まえながら、行政需要の変化に対応した、めり張りのある人員配置を地方公共団体で行っていただいていると認識をしております。その中で、できる限りの被災地支援に取り組んでいただけると考えております。

田村(貴)委員 大臣そうおっしゃいますけれども、やはり行革で五十四万人、集中改革プランの間で十八万人、地方自治体の職員が減ったという事実が今の応援派遣職員の困難をもたらしているということは、もう間違いない事実であります。

 熊本県では、県内市町村からの応援派遣は特に厳しい状況でありまして、熊本日日新聞が次のように報じております。県北のある市は派遣の方針を変えていない、行政改革で職員数はぎりぎり、少ない技術職員を割けばみずからの業務が回らなくなる、担当者の声を挙げて紹介している状況であります。

 集中改革プランによって、どれだけ職員が減っていたのか。岩手県下の市町村では一〇・五%、宮城県下の市町村では九・二%、福島県下の市町村では八・六%、熊本県下の市町村の職員は九・〇%減ってきたわけであります。これが復興の足かせになっているのであります。このことの総括と反省が本当に大事であるということを、私はこの場で指摘しておきたいと思います。

 そして、大臣も今言われましたけれども、被災自治体で最も厳しいのは技術職の確保の問題であります。土木職は、岩手県で十八人、宮城県では九十八人、福島県では十一人、足りていません。熊本県では二、三割程度しか確保されていないという状況であります。大臣は本会議で、土木技師は平成二十五年から二年連続で、建築技師につきましても二十一年から五年連続で増加傾向にある、今も御答弁がありました。

 資料2をごらんいただきたいと思うんですけれども、確かに数字の上では技術職は増加の傾向にあります。しかし、この上の表の土木を見ていただくとわかるんですけれども、最も落ち込んだ二〇一二年、平成二十四年と比べても、わずか土木技師の増員は三千人にとどまっているというところです。しかし、この間の行革で見ますと、一万七千人の職員が削減に遭ってまいっています。

 したがって、こういう状況を見るならば、被災自治体の要望に応えるにはかなり厳しい状況にあるのではないかと私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 先ほど私が答弁申し上げたのは、土木技師は平成二十四年から四年連続で、建築技師についても平成二十一年から七年連続で増加していると申し上げました。

 地方公共団体では、総職員数を抑制する中においても、行政需要においてめり張りのある人員配置が行われていると考えております。これは、地方公共団体の御判断で、必要な行政ニーズに対応した職員配置をしていただいております。また、都道府県ですとか政令市にあっては、被災市町村の派遣職員を確保するために、条例定数の増加や任期つき職員の採用などによって増員を行ってくださっている団体もございます。

 この被災地方公共団体に対する応援職員の派遣につきましては、総務省として、既にさまざまな取り組みを通じて確保に努めているところですので、引き続き、各地方公共団体に対して、できる限りの職員派遣をお願いしてまいります。

田村(貴)委員 大臣、私は、総務省も大臣も音頭をとっていただいて、応援職員の確保に努力されていることについては認めております、評価もさせていただいています。

 しかし、その努力がなかなか、今、熊日新聞の話を言いましたけれども、出したくても出せない、自分のところで手いっぱいだという状況がある。それはどこに原因があるのかというと、この間のやはり行革の押しつけにあった。これはもう間違いのない事実であります。だとするならば、こうしたやり方から脱却する必要があるんじゃないかということを、私は強く求めていきたいと思うんです。

 それで、資料の3なんですけれども、これは総務省から出していただいた資料であります。熊本県下の土木技師数の市町村ごとの推移をまとめたものであります。

 ごらんになってもうおわかりいただけると思うんですけれども、ほとんどの自治体にとっては、土木技師数の増加というのは読み取れません。しかも、規模の小さい町や村ではほとんどゼロという状況で、これが改善をされている傾向もありません。

 総務省にお伺いしますけれども、これはいただいた資料から私たちこういうふうに表をつくったんですけれども、小さい自治体の技術職員の不足というのは、これは今大変な深刻な事態にあるのではないか。まさに、被災地においたらその意味はますます厳しいのではないかなと私は思うわけですけれども、どう認識されているでしょうか。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 政令指定都市や特別区を除く一般市及び町村における土木、建築の技師の数につきましても、全体の傾向と基本的に同じ状況になっておりまして、平成十一年をピークに、平成二十四年で八千八百七十五人、約一七%の減少となっておりますが、全国的には近年は増加傾向にあるということでございます。

 具体的には、一般市及び町村における土木技師については、平成十一年をピークに、平成二十四年度まで減少し、その後、二十四年と比べて五%増加しております。建築技師についても、平成十二年をピークに、平成二十一年まで減少し、その後、一〇%の増加傾向にございます。

 厳しい財政状況の中にあっても、各団体において、技術職員の確保に向け、最大限の努力を講じておられるものというふうに認識しております。

 以上でございます。

田村(貴)委員 これは、部長さん、ゼロですよね、ゼロ。小さい自治体において、技術職員、土木技師数はゼロとなっているんです。

 なぜここは私は熊本県を持ち出してきたかというと、被災地だからでありますよ。復興復旧に多くのマンパワーを必要とする。現状はどうなのかというと、技術職員がいない、小さな町や村ほど被災が大きかった、ここで応援職員を求めても来てくれないという状況があって、これは本当に厳しい状況であるのではないかと私は問うたんですけれども、全体的にはこの間伸びているという認識。ちょっと認識を変えていただきたいと思うんですよ。

 改めてお尋ねしますけれども、私、去年のお盆明けに被災地を回りました。熊本のある自治体の市長さんはこう言われました。応援職員を七人求めているんだけれども、一人も来てくれていないと。それが私はずっと気になっていました。

 この間、我が党の地方議員さんを通じてまた聞いていただいたんですけれども、ある町、A町では応援職員の充足率は六割という状況でありました。ある町、B町では、四人希望しているんですけれども、ゼロのままだということであります。このB町というのは、私が去年聞いた、七人要請したけれどもゼロである、今四人要請しているというんだけれどもゼロであると。いずれも、小さい町は農業技術職、土木職員を切望しておられるわけなんですよね。

 両自治体ともに土木職員は、この中にあります、ゼロなんです。ゼロ自治体職員なんです。このゼロ自治体職員の中で、被害の査定とか、それから復旧復興をするための工事、土木技術職員が要るんだけれども、要請しても来ない、この状況については認識していただきたいと思うわけなんです。

 復旧が進んでいきません。即刻手だてを打つ、ゼロ自治体で応援ゼロのこういう自治体にこそ、やはり手を差し伸べるべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 熊本地震における被災市町村への平成二十八年度の職員派遣の状況については、本年一月一日現在で、三百十二名の要請数に対し、全国の地方公共団体から二百六十九名の職員派遣を行っていただいております。

 また、平成二十九年度分につきましては、九州、山口九県で確保された百九名を除き、二百二十二名について、平成二十八年十二月七日付の総務省公務員部長通知により、全国の地方公共団体に対して職員派遣の協力をお願いしているところでございます。

 私ども、通知を出すだけじゃなくて、引き続き、個別団体への働きかけなどを通じて、職員が充足するように努めてまいります。

 以上でございます。

田村(貴)委員 部長、今、私、非常に限定した話を言ったんですよ。土木技術職員がいないゼロ自治体で応援派遣要請をしている、被災した後、その後の台風被害にも遭った、本当に必要なんだけれども、要請しても来ないという小さな自治体がある、こういうところには即刻手だてを打つべきではないかと。

 高市大臣は被災自治体における派遣のニーズを丁寧にお伺いしながらと述べておられるんですから、この丁寧な聞き取りと、そして即刻手だてを打つということを求めたいと思うんです。

 もう一回お答えいただけますか。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。(田村(貴)委員「全体はいいですよ」と呼ぶ)はい。

 本年一月一日現在で、土木職につきましては、要請人数百五人に対して九十七名ということで、充足率九〇%以上でございますが、特に農業土木につきまして、四十六人の要請に対して対応が今二十七人ということで、六割を切っておるということで、私ども、大変大きな問題であるというふうに認識しております。

 総務省といたしましては、熊本県と協議を行いまして、被災市町村における農地被害の災害査定等に適切に対応するため、熊本県において、県や土地改良事業団体連合会から支援職員を派遣する等、さまざまな取り組みを行っているところでございます。

 以上でございます。

田村(貴)委員 しっかり認識をしていただいて、そして即刻対応していただきたいと重ねて要望しておきたいと思います。

 次に、人員が不足している大きな問題となっているのが、水道の現場のことであります。

 厚生労働馬場政務官にきょうもお越しいただいております。

 二月二十一日の本委員会の質問で、私、水道職員の不足問題を指摘しました。そうしたら、政務官の方から次のような答弁がございました。水道事業を支える職員数の減少につきましては、水道事業の基盤を揺るがしかねない重大な課題と認識しているところであります、加えて、施設の老朽化の進行や料金収入の減少など、水道事業は深刻な課題に直面しており、水道事業の基盤強化が喫緊の課題となっておりますということであります。

 厚労省にお伺いしたいんですけれども、水道事業の基盤を揺るがしかねない重大な課題と認識するもとで、職員の確保に対し、地方自治体に何か発した文書というのはあるんでしょうか。

北島政府参考人 お答えいたします。

 水道事業は、自治体が独自に実施する事務であることから、地域の実情に応じて自主的に、適正な定員管理、人員配置を行っていただくことが基本になると考えております。

 しかし一方で、水道施設の老朽化や人口減少に伴う料金収入の減少、事業を担う職員の大幅な減少など、水道事業を取り巻く厳しい状況に鑑み、厚生労働省としても、水道事業における職員の確保の必要性を各水道事業者に対して示してきております。

 平成二十五年三月に策定し、水道事業者にお示しをしている新水道ビジョンにおいては、多様な災害等の発生が懸念される中、職員数が減少し、職員も被災する可能性がある状況下においても、最低限のサービスが継続できるように事業継続計画を策定することや、広域的な水道施設の被災を想定した相互応援のネットワーク化の推進が課題であるとし、また、目指すべき方向性として、水道事業に精通する職員が適切に配置され、地域に根づく水道サービスの信頼を支えるとともに、人員の確保と育成が計画的に行われることなどを挙げております。

 また、厚生科学審議会の水道事業の維持・向上に関する専門委員会の報告書においても、今後の水道行政において講ずべき施策の基本的な方向性として、中小規模の水道事業者及び水道用水供給事業者においては、職員確保や経営面でのスケールメリットの創出につながり、災害対応能力の確保にも有効な広域連携を図ることが必要であると提言されており、これについても水道事業者にお示しをしてきたところでございます。

田村(貴)委員 私は、地方自治体に対して具体的に発信した文書はあるのかと聞いたんですけれども、水道ビジョンとか、厚生労働省の見解を今るる説明されたと思うんです。私、余り緊張感がないなというふうに思うわけなんです。

 技術継承ができない、そして水道現場の技術職がいないということについて、では、具体的な対応というのは今何をしているのか。これを簡単に説明していただけますか。

北島政府参考人 具体的には、水道の老朽化や、それから技術職員の減少、そういったことに対応するために、今回、広域化、広域連携などを進めていくことが重要であると考えており、水道法を改正いたしまして、スケールメリットを出せるような広域連携、そしてコンセッション方式など民間の力をかりるような改正を考えているところでございます。

田村(貴)委員 具体的な努力はしていないじゃないですか。これだけ、技術継承ができない、職員不足で大変だ大変だと言っている。そこまでそうなんですよね。だったら、必要な職員を確保したらどうですか。

 そこを飛び越えて、民営化、そして官民連携、広域化、これが答えなんですか。水道法の改正は万能なんですか。コンセッション方式については、この間の本委員会において、政府は笛吹けど踊らずという状況について、私、指摘しましたよね。今こういう状況に直面しているんだったら、現実的に、その職員不足を補おうというのが当たり前の行政のやり方じゃないですか。私は、そこをぜひ考え直していただきたいというふうに思います。

 横浜市では、技能職の採用を再開いたしました。これまで、現業職は誰でもできる仕事だということで委託化を進めてきたんですけれども、事故がふえてまいりました。そこで、管理職からも腰を据えて水道局の仕事をする職員をふやしてほしいと要望が上がって、水道技術枠での採用を行うことになったというふうに伺いました。これは学ぶべき取り組みだというふうに思います。

 必要な財政措置を保障していくことも総務省に求めていきたいと思うんですけれども、足りない人員がいて問題だというならば、そこにやはり手だてを打っていく、これがまさに求められると思います。

 高市大臣、横浜市の例も出させていただきましたけれども、いかがお考えでしょうか。

高市国務大臣 各地方公共団体において、地域の実情を踏まえながら、行政需要の変化に対応して、自主的に適正な定員管理を推進することが重要でございます。この件に関しましては、助言の通知も昨年の十月に発出いたしております。

 総務省としましては、普通会計における技術職員も含めて標準的な業務に必要な職員給与費について、適切に財政措置を講じております。

田村(貴)委員 地方財政審議会からの意見でも、もう地方公共団体の職員は削減してこれ以上減らすことは限界に来ているという意見も上がっているじゃないですか。そして、これだけの困難をきわめている地方自治体がある。そこはやはり増員をして手だてを打っていく、このことをしっかりと求めていきたいというふうに思います。

 それから、少なくとも、自治体の頭越しに広域化、民営化を押しつけるというようなことは絶対にやめていただきたい。このことを要請して、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 私は、昨年の本委員会で、一つの市で差し押さえ件数が年一万件を突破する群馬県前橋市の地方税の徴収実態について、残高が三百円、ゼロという預金口座も差し押さえる異常事態にあること、差し押さえ禁止財産である年金や給与、児童手当も預金口座に振り込まれれば容赦なく差し押さえるのは、憲法、国税通則法、地方税法にも反する、生存権を踏みにじる徴税行政ではないかと、「滞納者追い込む自治体 地方税徴収 生活苦でも」という東京新聞の報道記事も紹介しながら質問いたしました。

 その際、高市大臣からは、地方団体に対しては、一昨年も昨年も、そしてことしの一月に入ってからも、地方税行政の運営に当たっての留意点ということで事務連絡を発出いたしました、その中で、滞納処分に関しては、滞納者の個別具体的な実情を十分に把握した上で適正な執行に努めていただきたい、各地方団体におきましては、この要請をしっかりと受けとめていただいて、何せこれは法律事項ですのでと答弁がありました。

 しかし、一年たちましたが、きょう資料でも出してきております、例えば埼玉新聞ですけれども、「地方税などの滞納 生活苦でも差し押さえ」、こういう報道を初め、ほかのマスコミも、年金、保険を差し押さえる、急増、役所の非道、やり過ぎだ、こういう報道がありまして、なかなか是正に結びついていない現実があると思います。大きな社会問題になっていると思います。

 私は、事態は、抜本的な対応が今住民の皆さんの暮らしとの関係で必要になっているのではないかという点から質問したいと思います。

 まず初めに、国税庁に確認したいと思います。

 税務運営方針というもので税務職員と納税者の関係がどううたわれているか、まず御説明いただきたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 税務運営方針は、昭和五十一年に、国税庁長官が職員に対しまして、税務行政を遂行する上での基本的な考え方を示したものでございます。

 この運営方針におきまして、納税者との基本的な関係を次のように示しているところでございます。

 納税者と一体となって税務を運営していくには、税務官庁を納税者にとって近づきやすいところにしなければならない。そのためには、納税者に対して親切な態度で接し、不便を掛けないように努めるとともに、納税者の苦情あるいは不満は積極的に解決するよう努めなければならない。また、納税者の主張に十分耳を傾け、いやしくも一方的であるという批判を受けることがないよう、細心の注意を払わなければならない。

 国税庁といたしましては、この運営方針の趣旨に沿って税務行政を進めているところでございます。

梅村委員 続いて確認したいと思いますけれども、二〇一〇年四月二日の財務金融委員会での佐々木憲昭議員とのやりとりで、当時の総務副大臣が、「地方税の徴収業務についてもこの精神が当てはまる」と答弁されております。

 改めて確認したいと思いますが、総務省としてそれは現在も変わらないかどうか、お願いいたします。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 地方税の税務行政の運営につきましても、御指摘の税務運営方針の精神が当てはまるという認識に変わりはございません。

梅村委員 権力を行使する、そういう部門として、納税者に対して親切な態度で接し、不便をかけないようということで、資料の二枚目にありますけれども、税務運営の基本的な考え方ということでしっかりと示され、今日もこれが国税だけではなくて地方税の徴収行政においても生かされる、適用されるという御答弁が確認できたと思います。

 ところが、昨年もこの委員会で質問させていただきましたけれども、現場では全くかけ離れたようなことが事実行われているということは、直ちに改善しなければ、私は、住民の皆さんの命、暮らしは守れないというふうに思っております。

 例えば、さいたま市なんですけれども、重税を苦に自殺をされた方も出ておられます。

 先ごろ、これは市議会でも問題になりましたけれども、闇金で借りても納付する人もいる、死んで保険金で納付する人もいる、生存権などの権利は期日までに税金を納めている人のみに認められる権利だ、こういうような言葉や、仮に病気で通院したければ完納してから通院するのが常識だ、こういう納税者の生存権を否定しかねない徴税行政、言動があったと議会でも大問題になりました。

 また、冒頭の前橋市でも、つい最近でも、給与の差し押さえが最低限の生活費を下回るような金額で行われているという生活相談もあります。

 忘れられないのは、千葉では二〇一〇年に、七十七歳の男性が年金を差し押さえられて餓死する事件がありました。また、大阪でも、自殺に追い込まれたBさんという方は、事業に失敗した次男の借金を肩がわりして、毎月一生懸命十万円ずつ分納していたのに、十万円じゃ話にならない、破産しても税からは逃れられないなどと言われていたといいます。

 こうしたさまざまな事例があるわけですけれども、改めて、この税務運営方針とかけ離れた税務行政が行われている。

 そもそも、もちろん、税の公平さは徴収行政でも常に確保されなければならないと思います。同時に、国税徴収法制定の責任者である故我妻栄東大名誉教授は、行政に与えられている強権力と裁量権は、悪質な滞納者に対してのみ、最後の手段として行使すべきもので、濫用してはならない、制度の運用に当たっては、慎重の上に慎重を期することが当然の前提として了解されているというふうに指摘をされております。

 今、とりわけ長引く不況のもとで、また、たび重なる庶民増税、住民税も一律一〇%化されました。格差と貧困の広がりの中で、特に、住民の皆さんの中でも低所得層の皆さんへの増税がこの間相次いできたと思います。そういう中で、納税したくてもできない、大変な苦労をしておられる住民の皆さんが今いらっしゃると思うんです。

 そういう滞納がふえている背景も踏まえて、住民の暮らしを守るためにも、税務運営方針、国税徴収法の原点ともいうべきこうした考えの中身をはっきりさせて、徴税業務をやっている方々に丁寧に行き届かせていくことが今改めて必要な情勢になっていると思いますが、この点、いかがでしょうか。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございましたように、納税者に対して丁寧な対応を心がけるということはいわば当然でございまして、これまでも、納税者の信頼確保のための公平かつ適正な税務執行を求めてきたところでございます。

 今後とも、税務職員を対象とした各種会議や研修の場におきまして、この認識に立って対応してまいりたいと考えております。

梅村委員 ただ、これまでも研修だとかさまざまな努力を行われてこられたと思いますし、きょう私が質問しているのは、昨年のちょうどこの時期も同じような質問をさせていただいたんですが、なかなか現場のところではそういう改善が行き届いていない。だから、やはり新たないろいろな対策が必要ではないかということで御質問しているものですから、そこで、こういう原点や、そもそもの関係性の問題も含めて、さらに中身をしっかりとお知らせしていくことが必要じゃないかという質問をさせていただいております。

 その点、いかがでしょうか。

林崎政府参考人 ただいま御指摘いただきましたとおりでございますけれども、本年度も、私どもからは、一月二十三日付の事務連絡におきまして、「平成二十九年度地方税制改正・地方税務行政の運営に当たっての留意事項等について」ということで、各都道府県から都道府県内の市区町村、市区町村議会に対しましても速やかに趣旨を連絡いただくようお願いをしているところではございまして、そういった中で注意も喚起しているところでございます。

梅村委員 先ほど読み上げていただいた税務運営の基本的な考え方という中身について、ぜひ行き届かせていただきたいというふうに思います。

 さて、同時に、今、そういう言動があるということで問題になっていますけれども、その地方団体の職員の皆さん自身も大変御苦労されながら働かれているのではないかなというふうに思います。

 その大きな要因は、先ほども田村議員も質問がありましたけれども、地方の税務職場においても、やはり人員不足が大きな問題になっている、そして労働強化、管理強化が進んでいるという点があろうかというふうに思います。

 資料の三ページで、この間、税務職員が地方団体においてどういう経緯だったのかという表を用意してまいりました。

 この十年間を比べただけでも、約一万人税務職員の皆さんが減っていらっしゃるという事実があるわけですね。特に、この間には税源移譲がありまして、特に地方の地方税のさまざまな実務は、金額的にもふえてきているというふうに思うんです。ですから、本来であれば、それに伴って地方の税関係の職員さんがふえていいはずなのに、むしろ一万人も減っている。これはやはり非常に問題だというふうに思います。

 自治労連の税務部会が、少し前ですけれども、二〇一二年に取り組んだ実態アンケートによりますと、人員不足だというふうに答えた方が約七割を超えています。そして、担当者一人当たりの担当件数は、滞納者だけで見ても七百件以上が約三割を超えて、中には一千件から二千件も担当している職員もいるというふうにアンケートで答えています。

 丁寧な対応をしていく、そういうことを繰り返し述べていらっしゃるけれども、滞納者と向き合うことも丁寧な滞納整理を行うことも困難だというふうな悲鳴が、行う中で、早くやらなきゃいけないということで、機械的な、また、時には焦って暴言のようなことが、これは許されることではないんですけれども、やはり地方に働く税務職員の皆さんも大変な御苦労の中で働かれているのではないかなというふうに私は思います。

 先ほど御紹介があった事務連絡の中でも人員が減ってきているということは書かれてあると思いますので、やはり地方の税務関係職員さんが減ってきているということはお認めになりますでしょうか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、地方団体の税務職員数というのは減少傾向にある、お示しいただいた資料でも確認いただけると思いますけれども、減少傾向にあるということでございます。

梅村委員 それで、減っているだけではなくて、例えば冒頭で指摘させていただいた前橋ですけれども、その課にいる平均の年数を調べますと、大体、この収納課というのは平均でも二・二年になっているわけですよね。

 法律上も、またいろいろな財産関係の対応からしても、大変専門的な力が求められる分野がこの徴収分野だと思います。

 先日、国税庁の方に聞きましたけれども、国税関係というのは、そこに専門にいらっしゃるので当然かもしれないんですけれども、二十一年というのが平均在職年数だというふうに聞きました。それに対して、これだけ住民の皆さんが困っている、しかも法律的な対応が必要なのに、前橋においては平均在課年数が二・二年ということは、ここでも、やはり職員の皆さんの苦労だとか苦痛というのは想像ができるなというふうに私も思います。

 次の資料を見ていただきたいと思うんですけれども、この資料は、国税における税務関係職員の皆さんがどれだけ研修をして、そして税務署に行っているのか。高校を卒業した方々も、最初は一年間行って、それから現場の税務署に行く、そしてまた中等科ということで三カ月の研修がある。大学を卒業した方々も、三カ月間の基礎研修があり、それから税務署に一年行き、また専攻税法研修というのが二カ月あって、そしてまた現場に出て、また専科として七カ月ある。

 これだけ、まだまだこれでも足りないというお声もあるかもしれませんけれども、こういう研修制度があるのに比べて、地方の税務職場の皆さんというのは、さまざまな研修の努力がされてきているとは思いますけれども、この在課年数も含めまして、やはり住民の皆さんとの関係では、住民の皆さんにむしろしわ寄せが行ってしまうような、そういう働き方の環境があるのかなというふうに思います。その点はどのようにお考えでしょうか。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 各団体の組織運営、人事などにつきましては、当然各団体の御判断で行われているものと思いますけれども、税務職員の研修という点に関しましては、これは各都道府県にある自治研修所でありますとか、あるいは大きい市などではやはり独自の研修所なども持たれていると思います。そういった中で税務の研修も行われているものと承知しております。

 また、総務省としても、自治大学校におきまして税務専門課程を設けておりまして、地方税の賦課徴収事務に携わる職員の資質を向上させることを目的として、高度な研修を実施してきているところでございまして、こういう研修内容につきましても、一月二十三日開催の税務担当課長会議でも説明をいたしまして、地方団体の方に自治大学校研修につきまして積極的な活用をお願いしているところでございます。

梅村委員 そうした研修はぜひ充実をしていっていただきたいというふうに思いますし、特に、そのもとで、まず差し押さえが徴税の中心になるのではなくて、やはり先ほどの税務の運営方針にもありますような、しっかりとした納税者と徴収側の信頼される関係性づくり、そういうことも含めてしっかりと内容を広げていっていただきたいというふうに思います。

 そして、次に伺いますのは、その事務連絡のもとで、人が減ってきているのと一体的な問題として、広域化の問題というものが昨年の事務連絡から初めて明記されるようになったかというふうに思います。私は、この問題は大変重大な問題だというふうに思っています。

 この間、この広域化、例えば宮城県地方税滞納整理機構の問題などでも、仙台の弁護士会の皆さんから要望書が出されてきております。また、河北新報の中でも、徴税が第一主義になっているのではないかというような社説が掲げられるなど、このいわゆる滞納整理機構、広域化の中でむしろさらに徴税が強まってきているという問題が各地で生まれているのではないかと思いますが、この点はどのようにつかんでいらっしゃいますでしょうか。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御指摘ありましたような税務職員の減少という中でも、これは当然に納税者への丁寧な対応というのは必要でございます。

 そういったことも踏まえまして、各地方公共団体におきましては、いろいろ努力をしてきているところでございます。

 今御指摘ございました徴収事務の広域化といった点、あるいは情報システムの利活用、電子申告の普及、あるいは専門部署を設置するといったようなことで、効率化を図りながら、一方で適正な執行に努めるよう努力をしているものと認識しているところでございます。

梅村委員 現場で問題になっていることが、リアルにまだつかめられていないんじゃないかなというふうに思います。

 仙台の弁護士会の皆さんの要望というのは、弁護士会に対する多重債務者などからの相談事も含めて、一括での納付を強く求められた、支払いが困難な金額での分割支払いしか認めてもらえなかった、民間金融機関から貸し付けを受けて納付するよう求められた、そういう相談がたくさんあるので、その改善を求めているのではないかなというふうに思います。そういう実態が現場にあります。

 改めて、最後に高市大臣に聞きたいと思います。

 行き過ぎた自治体の徴収が、経済的に困っている人を精神的にも経済的にも追い込んでいる事態が引き続き進行しております。住民の福祉の増進に反するこうした問題は、直ちに打開が図られるべきだと思いますし、職員の人員や待遇改善と一体で抜本的な対策をぜひ求めたいと思います。いかがでしょうか。

高市国務大臣 地方団体の歳入というものを確保するということとともに、地方税に対する納税者の方々の信頼を確保するために、徴収対策の一層の取り組みを進めるということが重要だと考えております。

 先ほど申し上げましたが、地方団体では、地域の実情に応じて徴収対策に取り組んでいただく必要がございますが、地方税の滞納処分については、滞納者の個別具体的な実情を十分に把握した上で、地方税法の規定を踏まえて適切に行われるべきものだと考えております。

 これも先ほど局長が申し上げましたが、この点も含めまして、税務行政の運営に当たっての留意事項を地方団体に対して毎年一月に文書で通知しておりますので、各地方団体でこれを踏まえて税務行政の適切な運営に取り組んでいただきたいと存じます。

梅村委員 住民に信頼される税務行政の確立を求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは二十五分頂戴をしていますので、早速討論に入りたいと思います。

 きょうは一般質疑ということで、いろいろ、この質疑をごらんいただいている方はよくわからないかもしれませんが、国会というのは、法案審議とか、テーマが決まっているときと、一般質疑ということで、総務委員会の所管について何でも議論していいよと、そういうふうに分かれています。

 予算委員会が終わっていよいよ総務委員会が始まって、先般の所信質疑、大臣の所信に対する質疑、そしてきょうの一般質疑、こういう比較的自由な場については、さきにも申し上げましたように、私は、昨年そして一昨年の国会のいろいろな議論、積み残している問題があります。

 例えば、きょうは原田副大臣おいででございますが、大阪の財政、こういうのも実はずっと問題になっているんだけれども、結局、国会で決着がつかないまま年を越してしまった。これについては、既に本会議で高市総務大臣からしかるべき答弁をいただいていますが、問題の原田副大臣、大阪でございますので、しっかりと原田副大臣からしかるべき御答弁をいただきたいと思っていますが、まだいただいていません。これはまた、きょうも時間があれば取り上げたいと思います。

 また、山尾志桜里議員の政治資金規正法違反の疑惑、これについてもまだ十分ではなかったということで、先日、二月の二十一日に取り上げさせていただきました。これについては、民進党の方から、十カ所、議事録の削除要求が参りました。

 私は、どうせ、どうせと言ったらいけませんが、この時代、全部動画で残っていますので、議事録の削除というのがどれぐらい意味があるかわかりませんが、民進党は結構、際限なくというか、私からすれば過剰に、これも削れ、これも削れということで来ます。

 私はそういうふうには言いませんが、世間では、民進党こそ言論弾圧じゃないかとか、そういうそしりも既に受けておりますので、民進党の皆様には、小川筆頭は立派な方ですから、多分上から言われて仕方なく提出いただいているかと思いますが、竹内委員長の御見識というか差配で、十カ所はやり過ぎだということで、七カ所に絞っていただいて削除ということで、委員長の職権ということで削除となりました。

 これはもう職権ですから、私は竹内委員長を尊敬申し上げていますので、竹内委員長がおっしゃることはわかりましたということで従っていますが、ただ、一部、私が委員長に申し上げた私の意見だけ、ちょっと紹介をしておきます。

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━例えば、最近だけでも、平成二十八年の四月二十七日、衆議院の倫選特で、共産党の穀田委員がそんなあほなとか言っていますし、平成二十七年の九月三日、参議院の厚生労働委員会では、福島みずほ議員がこんなあほなことはと言っています。同じです、これは。同じなので。ですが、竹内委員長の御差配ですので従いますが。

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━麻生大臣が、もう国会で何回も、警察官がうろちょろしているとか、それから、委員長ですよ、与党の委員長がうろちょろしている。これは、うろうろとかちょろちょろとかうろちょろというのは、辞書を引きましたけれども、そんなひどい言葉じゃなくて、大きなものがうろうろすると、うろうろなんです。小さなものがちょろちょろすると、ちょろちょろなんです。

竹内委員長 足立委員に申し上げますが、議事、この総務行政と関係のない発言に対しましては御注意を願いたいというふうに思います。その件につきましては、理事会でも先ほど申し上げたわけでございますし、早急にこの議題の範囲内での質疑をお願いしたいというふうに思います。

足立委員 はい、済みません。

 二重基準はいかぬだろうということで申し上げているだけで、ただ、委員長の職権は職権ですので。

 あと一点だけ。━━━━━━━━━━━━━━━━これは、平成二十八年の十一月十五日、衆議院安全保障委員会で、社民党の照屋委員が、安倍総理と仲井真知事のやりとりを三文猿芝居、こう表現していますが、削除になっていません。

 だから、ぜひ、国会における議事の削除については、やはり基準を、ある程度相場観があります。足立だからだめだというのは余りなしにしていただけたら、今後の要望として、国会全体への要望として申し上げておきたいと思います。

 さて、その山尾さんの話は、私はこれは棚卸しが終わったと思っています。あとはマスコミの問題だと思います。

 マスコミにこの話を聞きました、余り報道されていないよねと。すると、やはり山尾さんが政調会長だったら大ニュースだ、ただ、もう政調会長をおりられたので、ニュースになりませんと言われています。

 そういう意味では、今後、三つ目の、やはり蓮舫代表の話も、蓮舫さんが代表を引かれる前にしっかりと取り上げておく必要がある、こういう思いで、きょうはパネルを持ってまいりました。

 もうよくごらんをいただいているパネルでございますが、パネルというか新聞でございますが、一九九三年の朝日新聞ですね、これは。三月十六日の朝日新聞。テレ朝の「ステーションEYE」という番組のキャスターに決まったということで、当時の蓮舫さんが、在日の中国国籍の者としてアジアからの視点にこだわっていきたい、こういう発言をされていることが新聞紙上で報道をされています。

 さて、その当時、キャスターになられたときは、みずからが中国国籍の者であるという認識を明確に持っていらっしゃったわけですが、昨年のいろいろ問題になったときに、これは二〇一六年の九月八日、一番下に出典を書いていますが、二〇一六年の九月八日付、村田蓮舫氏のフェイスブックに、高校生のときにお父様と台湾の駐日代表処に赴き、台湾籍放棄の手続を行ったという記憶があると。今でもそういう記憶があるんですね、蓮舫代表。ところが、二十五歳のときには、高校生のときというのは十七歳か十八歳だと思います、だから十七歳か十八歳のときの記憶を今でも持っているんだけれども、一九九三年の二十五歳のときには、中国国籍の者だとみずからを表現しています。

 これは、どっちかうそですね。そうですね。普通に考えれば、これはどっちかうそです。だから、蓮舫さんが代表にいらっしゃる間に、これはどっちが正しいのかということを明らかにしていきたいと思いますが、なぜこのテーマを私がきょう総務委員会でやっているかというと、もちろん、公党の代表としての発言、これも重いですが、やはりテレビ、公共の電波でいろいろお話しされる方がうそつきだというのも困りますから、どっちでも私はこれは問題だと思います。どっちかがうそです。どっちかがうそだけれども、こちらがうそだと、民進党の代表はすぐ辞任して、これがうそだったら、もう代表だけじゃなくて参議院議員をやはりやめていただかないといけないと思いますが、これがうそでも私は問題だと思うんです。

 やはり放送というのは公共の電波を使っているわけですから、さまざまな規制があります。事務方で結構です。放送法上、資本、役員等についてどういう規制があるか、簡単に御紹介ください。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 電波法及び放送法におきましては、放送が用いる電波の周波数は有限希少でございまして、その利用に当たりましては自国民を優先させるべきこと、それから、放送は言論報道機関としての性格を有し、大きな社会的影響力を有するものであることという考え方に基づきまして、外国人等による役員の就任でございますとか、議決権の保有を二〇%未満に制限する等の外資規制が設けられているところでございます。

 一方、番組のキャスター等出演者に関しては、国籍に関する規制はございません。

足立委員 放送局、放送事業者の役員について、今おっしゃっていただいたかな。ちょっともう一回お願いします。ごめんなさい、私が別のことを考えていたので。済みません。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 言論報道機関としての性格に鑑みて、外国人等の国籍を有した方の役員の就任は禁止されているところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 まさに、資本規制のみならず、役員については外国人は就任できないと。これは放送事業者全般、NHKも含めてですが、規制がかかっているかと思います。

 ちょっとこれは通告していませんが、蓮舫代表のような二重国籍というのは、そういう方はいらっしゃるわけです。実際、民進党の代表でさえそうだったわけですね。

 そういう二重国籍というのは、例えば外務省、外務職員になるときに、入り口で厳しくチェックされています。戸籍謄本も全部とって、あるいはアンケート調査までして外務省はきっちりやっているわけですが、これは御存じですか。

 要は、放送事業者、ちゃんとチェックできているかというのは、役員ですよ、役員に就任できないわけです、その法律をしっかりと守れているかどうかというのは、多分チェックしていないとわからないわけですけれども、これは何か御存じであれば。わからなければまたでいいですよ。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 放送法及び電波法におきましては、日本の国籍を有しない人であるかどうかということが要件になってございますので、履歴をたどりまして、国籍を有していないかどうかというのを判断させていただいているところでございます。

足立委員 外国籍を仮に有していても、日本国籍があれば就任できるということですか。

南政府参考人 法律上は、日本の国籍を有しない人であるかどうかというところが欠格事由になるということでございます。

足立委員 私もちゃんと分析できていませんでしたが、放送法あるいは電波法の規定で、放送事業者の役員について外国人はごめんね、だめよということになっていることについては、日本国籍を持っていればいいんだという御答弁だったと思います。

 またちょっと別途精査しますが、二重国籍について、やはりこれだけ議論になっているわけでありますので、私たちは、特に国籍法、戸籍法等で、二重国籍の方は外国籍をやはり外れていただくというのが日本の国の、国法の決まりでありますので、放送法、電波法についてはまた別途精査をしたいと思います。

 また、資本についても、各所で議論があります。議決権は二割に規制されているんだけれども、株式保有比率は三割近いところがあるんだとか、そういう議論もありますが、それはまたやりましょう。

 これはどっちかうそだと私は思いますが、もちろん、キャスターに外国人の方がおられる、全然問題ないと思いますよ、全然問題ないと思う。職員についても少なくとも現行法体系では規制はないんです。役員と議決権だけです。

 ただ、私があえてここでこの話を持ち出しているのは、これはどっちかがうそです。さすがに、民進党小川筆頭のようなすばらしい方がうそつきを代表に仰いでいるわけがないので……(発言する者あり)勘違いはあり得る、今、野党筆頭から重要な御発言がありまして、勘違いしているかもしれないよということですが、私は、そうであれば、ちゃんとそれを会見で言うべきだと思いますよ、勘違いしていましたと。

 ところが、彼女は、ずっと言っているのは、ずっと私は日本人だったと思っていたと言っているわけですよ、勘違いは。蓮舫代表がずっと言っている勘違いは、ずっと日本人だと思っていたと。でも、違うんですよ。ここに書いてあるのは、中国国籍の者であると自分のことを言っているんですよ、新聞で、テレビで。

 これはやはり総務大臣として、高市大臣、ちょっと気になりませんか。こういう、うそつきだというそしりを免れない、私がうそつきだと言っているんじゃないんですよ、繰り返し言いますけれども。私は、人のことをうそつきだとかそういう下品なことは、民進党の議員は本会議場で安倍総理のことをうそつきだと言っていますが、私は絶対に、仮にも公人である国会議員のことをうそつきだと根拠なく名指しはしません。

 ただ、これでは、うそつきが公共の電波で活動しているというそしりは免れないと、過去のことですが、思います。過去のことはもう過去のことだからいいじゃないかと言う方もいらっしゃいますが。

 ちなみに、辻元清美議員とかそれから蓮舫代表とかは、テレビの前で稲田防衛大臣を取り上げて、十年前の著作の記述で何かいじめていましたよね。ああいういじめに近い質問は私は問題あると思いますが、そう言うのであれば、彼らが、蓮舫代表あるいは辻元議員が十年前の大臣の発言を一々ほじくってやるのであれば、この九三年の自分の発言をちゃんと記者会見で説明すべきだと思いますよ。

 総務大臣、申しわけありません、ちょっと、問題ありませんかということで。

高市国務大臣 委員がお配りいただいた資料でございますけれども、蓮舫さんは在日の中国国籍の者としてアジアからの視点にこだわりたいと話したということが、これは新聞の記事になっているものでございますので、これをテレビの放送で言われたことなのかどうかすら、そもそも私にはわかりません。

 放送法は、その目的ということで、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」を規定しています。ですから、出演者を含め、個別の番組内容にかかわることについて、しかも、この発言があったかないかも全く私には不明な状況でお答えするということは不可能でございます。

足立委員 ごもっともでありますが、私は、やはり大臣が大臣のお立場で、権力を握っていらっしゃるわけですから、総務大臣がここに言及するのは難しいと思いますが、ぜひ与党の皆様にはこれをしっかり追及してほしいんですよね。

 与党の皆様は、法案を野党の皆様に審議してもらう、依頼をする方ですから、なかなか言いにくいというのはわかりますが、次の選挙で、あるいはその先の選挙で首班指名をかち取るべく活動している方がこの民進党の、野党第一党の蓮舫代表ですから、この二重国籍疑惑についてはしっかりと戸籍謄本を開示するのが、普通の日本人であれば、戸籍謄本を開示して、その日本国へのある種の忠誠、忠誠じゃない、何と言うのですかね。(発言する者あり)忠誠ですか、そうですよね。国への忠誠を、国会議員ですからね、それをやはり明らかにするのは、もうこれは義務だと思いますね。

 ぜひ、この場をかりて、蓮舫代表には、戸籍謄本の開示をして、疑惑を解いていただくように改めてお願いをしておきたいと思います。

 私は、くれぐれも、蓮舫代表の二重国籍自体とか、それから在日のお立場であったとか、そういういろいろなことを、それはいろいろあると思うんです、人生ですから。しかし、私がやはりあえてここでパネルを使ってやったのは、うそはあかんだろうということなんです、それだけです。国会でうそつきだというそしりを免れないような方が、のうのうとというのは言い過ぎですね、やめます、のうのうと質問しているじゃないかというそしりを受けかねないような方がテレビにいろいろ出ているのは、やはり日本国の国会議員として厳しいなというのが私の思いでございます。

 残る、二、三分しかないんですが、環境省に来ていただいています。

 今、テレビのチャンネルを開くと、豊洲ばかりです。森友もありますけれども、森友はほぼ収束しつつあると思います。また必要があればやります。必要があればやりますよ。決して、何かネットで足立さんは森友の追及をかわすために蓮舫攻撃を始めたとか言っている人がいるんですが、全く違います。森友について、もし必要であれば幾らでも説明しますよ。

 むしろ、やはり今全国的に問題になっているのは築地ですね。

 環境省、東京都に聞いていただきました。築地の地歴、土壌汚染のおそれがあるというふうにわかったのはいつですか。

早水政府参考人 お答えいたします。

 東京都にお聞きをいたしましたところ、築地市場の土地利用履歴に関する情報にはさまざまなものがあり、一概にはお答えしにくいが、平成二十七年三月十日に、東京都環境確保条例の担当としての東京都知事に対して、築地市場に係る土地利用の履歴等調査届出書が提出され、築地市場の土地利用履歴が詳しく把握されたとのことでございます。

足立委員 ちょっとわかりにくいんですけれども、もうとにかくややこしいんです。だから、細かいことはいいんですが、二月二十八日に、私たちが情報公開請求をいたしまして、四つの文書が出てまいりました。

 同日の二月二十八日の夜九時に、小池さんは突然記者会見をしまして、いや、ごめんなさい、ここに条例違反がありましたということで、築地についても土壌汚染のおそれがあるということを初めて認められました。

 そのときに、小池知事が発表した資料は、条例に基づく届け出未実施が八件あったという条例違反の事実とともに、私が情報公開請求した二十八年三月の資料に添付されていた築地の地歴のデータ、これが記者に開示をされました。

 したがって、今、マスコミの皆様は、あるいは関心のある方々は、築地の地歴が明らかになったのは平成二十八年三月だと思っていらっしゃると思いますが、今御答弁があったように、さらに一年前、実はこの二十七年の三月です。私が情報公開請求した四つの文書のうち、最後の二十八年三月ではなくて、二十七年の三月、ここで、発表された地歴の情報はここに入っているんですね。

 したがって、今まさに御答弁いただいたように、築地の地歴は二十七年三月には東京都は認識をしていたということですが、ことしの二月二十八日まで隠蔽されていたわけでありまして、その理由を小池知事は速やかに開示をいただきたい、そう思って……(発言する者あり)何ですか。(発言する者あり)総務委員会、ずっと、かねがね、所信質疑でもやってきています。やめてほしいですか。(発言する者あり)ただ、自民党の方から……

竹内委員長 勝手にやりとりをするのはやめてください。

足立委員 はい。

 それから、最後に、二重基準。

 結局、小池都知事は、二重基準についてはこうなっています。法律と条例と豊洲の独自ルール、三つのルールがあるんですね。このルールは豊洲には適用しても、築地には適用していません。

 こういう二重基準について、大臣に言っていいのかな、だめ。

竹内委員長 足立君、時間が参りましたので、話をまとめてください。

足立委員 二重基準、おかしくないですか。おかしくないかどうかだけ御答弁をいただきたいと思います。

早水政府参考人 お答えいたします。

 豊洲市場の予定地につきましては、土壌汚染対策法に基づいて、形質変更時要届出区域に指定されております。

 それで、当該区域において掘削等を行う際には、都道府県知事等に届け出て、施行方法等に問題がないことの確認を受ける必要がありますけれども、利用用途を制限する規定はないということでございます。

 それから、豊洲市場において実施されている土壌汚染対策は、卸売市場における食の安全、安心を確保する観点から、豊洲の新市場整備方針に基づいて、東京都において独自に実施されているものでございまして、その必要性については、卸売市場を開設される東京都において判断されるものと考えております。

足立委員 この二重基準の話は結構深いので、改めてやります。

 きょうはありがとうございました。済みません。

竹内委員長 足立君に申し上げます。また、委員の皆様に申し上げますが、本日の議事録につきましては、再度精査をさせていただきたいと存じます。

 一つは、この二月二十一日の足立君の発言につきまして、私が議事録から一部削除をしておりますが、本日の足立君の発言は、その議事録削除を換骨奪胎するものでございます。

 さらにまた、そういう手法は、委員長を侮辱するものであるというふうに考えるものでありますので、再度議事録を精査した上で、必要なところは削除をいたしますので、よろしくお願いいたします。

 以上で、委員会は暫時休憩といたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十七分開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民進党の近藤昭一でございます。

 発言の機会をいただきましたこと、また、発言の順番について御考慮いただきましたこと、まず感謝を申し上げたいというふうに思います。

 まず最初に、国と地方との関係について、沖縄の問題に関連して質問をさせていただきたいというふうに思います。辺野古新基地建設に係る国と沖縄との協議についてということでございます。

 昨年の十二月二十日、辺野古違法確認訴訟に係る最高裁判決は、九月の福岡高裁那覇支部の判決をほぼ追認し、法治主義と地方自治をじゅうりんしているとも言えると私は思うわけであります。人権保障を初めとする憲法の諸価値、それさえないがしろにしている。

 沖縄の自治は、当然、憲法が保障する自治の一つであるわけであります。偶然にも沖縄に生まれると、基地の町での生活を余儀なくされ、憲法が保障する基本的人権が制限されても当然といった沖縄差別、区別というものは許されてはならないと思うわけであります。あたかも、憲法のもとでの法治主義、地方自治ではなく、安保のもとの法治主義、地方自治を是認するかのような姿勢の判決だったと、状況であったと思います。

 沖縄県は、辺野古新基地建設を強行することは、憲法九十二条の地方自治の本旨、沖縄の自治権を侵害し、憲法違反として上告をしていたわけであります。

 国と地方公共団体の関係が上下主従から対等、協力に大転換をした、これは一九九九年でありました。一九九九年の地方自治法改正後、初めての訴訟となったわけであります。国と地方との関係という、関連しての初めての訴訟でありました。

 最高裁は審理せずに棄却をしたわけでありまして、これは、繰り返し申し上げておりますが、地方自治の精神をないがしろにしている、こう言わざるを得ない。

 より具体的に申し上げますと、一方で沖縄防衛局が私人として不服審査法を悪用、濫用し、他方で国交大臣がその審査庁になり、沖縄県知事の承認取り消し処分の執行停止をし、さらに地方自治法上の代執行を行うなど、この間の地方分権改革に逆行する地方自治法の法解釈を行ってきた。

 福岡高裁那覇支部の裁判長も、実は、地方自治法第二百四十五条の八の代執行要件を満たすものであると判決を書けないで、そして和解を勧告しなければならなかったと私は思っています。

 国地方係争処理委員会は、同委員会における審理での国、沖縄県の双方の主張を踏まえて、両者の共通の基盤づくりのための協議を求める決定をしたわけでありました。

 国はこれを無視し、権威ある第三者機関としての同委員会の存在理由を完全に否定した、こう考えますが、政府の考えをお聞かせいただきたいと思います。

安田政府参考人 失礼いたします。

 地方自治法第一条の二におきましては、国は、国際社会における国家としての存立にかかわる事務の実施など国が本来果たすべき役割を重点的に担うことを基本として、地方公共団体との間で適切に役割を分担しなければならないとされているところでございます。

 その上で、国がその役割に基づいて施策を実施していく場合におきましても、関係する地方公共団体の理解を得ることは重要だと考えております。

 しかしながら、国と地方公共団体の意見が対立する場合などにありましては、地方自治法を初めとする各種法令の規定に沿って解決が図られるべきもの、このように認識しているところでございます。

近藤(昭)委員 御答弁をいただきました。そうした状況でも、この第三者委員会の答申というのは、まさしく今のことを認めた上で、そうした国の推進しようとしていることと沖縄の自治、あるいは環境の問題も沖縄県は指摘をしていたわけであります、あの大浦湾を埋めることによって貴重な種が失われる、そのことに対して主張していたわけで、まさしくその第三者委員会は、対立があるんだ、そして、対立を生んでいるこの状況についてしっかりと協議をすべきだと。しかし、そういう状況にない。余りにも、国と地方のあるべき関係、いわゆる対等だ、そしてその中で対立がある、これについてはきちっと議論をしなければならないのに、そういう状況になっていない。それに対して、乖離をしている、こういう言い方。乖離している、対立点がある、だからこそきちっと協議して調整すべき、そしてそのことが不十分だ、きちっと行われていないではないか、こういう指摘であったと思うわけであります。

 ですから、報告の最後の方では、今起こっていることについて肯定または否定のいずれかの判断、つまり、肯定をするにしても否定をするにしても、きちっと、一連のこうした状況に陥っていることは「国と地方のあるべき関係からみて望ましくない」、望ましくないと言っているわけであります。そういう第三者委員会の答申があった。それにもかかわらず、国はきちっとした協議をすることなく工事に着工したということであります。

 高市大臣、大臣としてお答えをいただきたいというわけです。国と地方との関係、つまり、対立点は認めながらも、しかし、その対立点についてきちっと協議をされていないではないか、乖離をしているわけではないか、望ましくない関係にある、ここまで指摘をしているにもかかわらず、その後きちっとした対応がなされていないということであります。

高市国務大臣 国地方係争処理委員会は、国と地方公共団体との間でその関与をめぐる紛争が生じた場合に、行政内部の公平中立な第三者機関の判断によって簡易迅速に処理するということを目的とするものでございます。

 そして、地方自治法におきましては、こうした行政内部の手続を経てもなお紛争が解決しない場合は、その後の裁判所の司法判断によって解決を図るということが予定されています。

 ですから、同委員会の審査の結果をどのように受けとめ、紛争解決に結びつけるかということについては、審査の申し出をした地方公共団体や国が個別の事案に応じて判断すべきであります。

 仮に、同委員会の審査の結果に不服があり、その後の訴訟手続に移行したとしましても、第三者機関としての存在意義が否定されるものではございません。

近藤(昭)委員 そうはおっしゃるわけでありますけれども、対立をした時点があった、そのことを、繰り返しになるわけでありますが、「あるべき関係からみて望ましくない」とまで言い切っているわけなんですね。

 そういう中で、もちろん、それぞれの主張が対立をしてきた。国として、この辺野古新基地をつくるということはまさしく最重要の課題である。しかし、沖縄としては、なぜ常に沖縄がと。また、大浦湾の環境保護という点。どうも、特に環境の問題でいうと、アメリカにも、米国が基地をつくるときにも米国の基準がある、海外でつくるときにも。そして、もちろん日本は環境基準がある。しかし、きょうはそこが重要な論点ではありませんけれども、そうしたことがぶつかってきた。

 それを私がもう何遍も申し上げたいのは、そこを対立点として認め、そしてそのことの協議がなされていない、あるべき形として違うということをしてきた。今大臣は、この答申が軽んじられたことではないと。しかし、結果として、私は、きちっとした協議が行われていないことをやはり問題だというふうに思うんです。

 この問題については、地方と国のあり方ということで、また質問したいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 保育士の処遇改善についてということであります。

 二〇一六年六月に閣議決定をされたニッポン一億総活躍プラン等を踏まえて、二〇一七年度から、保育園等に勤務する全ての職員に対して二%、月額でいうと六千円程度でありますけれども、処遇改善を行う、こういうふうに聞いております。

 さらに、技能、経験を積んだ保育士等に対する処遇改善については、園長及び主任保育士を除く職員全体のおおむね三分の一を対象に、都道府県等が実施する研修を経た中堅職員、大体七年以上の経験年数だということでありますけれども、に対して月額四万円の処遇改善、また、園長及び主任保育士を除く職員全体のおおむね五分の一を対象に、都道府県等が実施する研修を経た職員、経験年数でいうとおおむね三年以上、に対して月額五千円の処遇改善といったことを実施するとしています。

 この処遇改善について、公立保育所の保育士についてはどうなるのか。地方交付税において措置されることとなっているのか。また、盛り込まれるということであれば、二%、月額六千円程度のみであるのか、民間と同様、さらに中堅職員等の今申し上げました条件、勤務何年以上を目安とした経験を積んだ、そうしたところの部分も交付税算定の対象になるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

冨樫大臣政務官 公立保育所の給与費を含む運営費は、三位一体改革による税源移譲にあわせて、国庫負担金が一般財源化され、全額が地方負担となったことから、従来の国庫負担分も含めた地方負担の全額について、これまで適切に地方交付税措置を講じてきております。

 具体的には、地方交付税の算定上、公立保育所と私立保育所とを分けて、公立保育所については国庫負担金が一般財源化された分を上乗せして、実質的に私立保育所と同等の財政措置となるよう、在籍児童一人当たりの単価を設定、算定しております。

 平成二十九年においては、私立保育所について、二%処遇改善及びキャリアアップの仕組みの構築による追加的な処遇改善を反映して単価を拡充することとしており、公立保育所についても、私立保育所と同様の考え方で単価を拡充することとしておるところであります。

 なお、具体的な処遇については、それぞれの地方団体において、地域の実情等を踏まえて適切に判断されるものと認識しております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そうすると、今質問させていただいた分については、実質的にきちっと処遇されるように交付税算定の対象として上乗せをしていく、こういうことでよろしいですか。端的に。よろしいですか。ありがとうございます。

 それでは、続きまして、同じく地方交付税算定におけるトップランナー方式について改めてお伺いをしたいと思うんです。

 地方交付税算定に対して、行革の努力と実績によって配分されるインセンティブ改革、民間委託等による経費削減に基づいて単位費用を引き下げるトップランナー方式が強調されているということであります。

 本来は自治体ごとに努力を続けるべきではありますけれども、現実には限られた財源であります。この限られた財源を自治体間で争い合う、とり合うという構造となってしまっているわけではないでしょうか。これは、よりよいサービスをいかに提供できるかというよりも、いかに歳出削減競争して削減できるか、ここに重点が置かれて、国による財源保障責任を放棄し、客観、中立であるべき地方交付税制度をゆがめてしまっているのではないでしょうか。効率化の名のもとに経費削減をしたとしても、サービス内容が切り下げられたり、あるいは民間であれ公共であれ、そこに働く者の賃金水準にしわ寄せが行ったりするのでは、それは本末転倒だと思うわけであります。

 まず、総務大臣に、各自治体に民間委託への政策誘導に利用するものではないんだと、地方交付税は自治体の固有財源であることを確認したいと思います。高市大臣、いかがでありましょうか。

高市国務大臣 地方財政が依然として厳しい状況にある中で、引き続き効率的そして効果的に行政サービスを提供するという観点から、民間委託等の業務改革の推進に努めることは重要だと考えております。

 地方交付税の算定におきまして、トップランナー方式を導入して、多くの団体が業務改革に取り組んでいる業務について、その経費水準を単位費用の積算基礎としております。

 その上で、地方交付税のあり方でございますが、地方交付税は、地方交付税法に基づき、使途が制限されない一般財源とされております。トップランナー方式の対象業務をどのような手法で実施するのかということは、各地方団体において自主的に判断されるものでございます。各地方団体では、地域の実情を踏まえて、自主的、主体的に業務改革に取り組んでいただきたいと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 自由に自治体がその状況に合わせて、状況というか、自分たちの自治体の運営の中で必要なところに交付税という財源を持っていくということなんだと思います。

 ただ、今非常に全般的に財源が厳しい中で、このトップランナー方式が、先ほどの質問の中で指摘させていただいたように、限られた財源の奪い合いにならないように。もちろん、いろいろなサービスの効率性というものは上げなければいけないわけであります。ただ一方で、それが、今申し上げたように、限られたものをどうしてもとり合うということになる。その中で、そこで働く人の賃金水準にしわ寄せが行ったりすることがないように、あってはならないようにということだと思うんです。

 そういう意味で、もう一度、大臣、確認をしたいわけであります。このトップランナー方式、あくまで、そうした効率を上げる、無駄な形、無駄なことではないということを推進していく、しかし、やはりきちっとした、よりよいサービスをいかに提供できるかということが一番本来の重要なことだということでいいかということを、確認したいと思います。

高市国務大臣 委員がおっしゃるとおりだと思います。効率性は重視しながら、その地域の実情に合わせて、やはり住民が求める行政サービス、質の高いサービスをしっかりと提供していくということであると思います。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 それでは、窓口業務についてお伺いをしたいと思います。窓口業務の民間委託であります。

 トップランナー方式の二〇一七年度の導入は見送られたものの、窓口業務の民間委託については引き続き検討となっているわけであります。

 第三十一次地方制度調査会の答申を受け、自治体窓口業務を、公権力の行使とされる事務も含めて、地方独法に全面委託することを可能とする関連法案、地方自治法、地方独立行政法人法などが上程される見込みであることから、現時点においては見送ったと考えるわけであります。

 ただ、ここには問題があると思うんですね。

 確かに、大都市を中心に、窓口の受け付け等の民間事業者への委託は進んできています。しかし、窓口は住民と向き合う自治体の最前線だと思うわけであります。窓口に来たことをきっかけに、就労の相談あるいは住宅支援、給付、多重債務解決など、さまざまな問題解決につながる取り組みも自治体では進められているわけであります。単なる窓口業務ではなくて、窓口をアウトリーチのアンテナとし、包括的なサービス体制をつくっていくことも、全体的な総合的な自治体としてのサービスの重要な業務だと思うわけであります。

 窓口業務の独法への包括委託は、そうした取り組みにマイナスになる危険性があるのではないか。

 もちろん、独法への委託等は個別自治体の判断であります。ただ、トップランナー方式の拡大、総務省からの助言の強化などにより、自治体が選択せざるを得なくなるようなことはあってはならない。先ほどのことと関係をするわけでありますが、自治体が選択せざるを得なくなるようなことはあってはならない。

 この点、大臣には、あくまで選択肢の一つ、それぞれの自治体が判断をする選択肢の一つであるということを確認したいと思います。いかがでありましょうか。

高市国務大臣 近藤委員おっしゃっていただきましたとおり、これから御審議をいただく予定の改正法案でございますけれども、窓口業務を行う地方独立行政法人の設立を強制するものではございません。それぞれ市町村において選択をすることができることとなるものでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げましたように、自治体として、総合的に住民サービス、公共サービスを行っていく。もちろん、それぞれ窓口があるわけであります。

 ただ、なかなか、相談をする、あるいはいろいろと申し込みをする、そういう中で必ずしもすぐに窓口にたどり着かないときがある。あるいは、本来の窓口にたどり着いたとしても、そういう中からまた、先ほど関連で、就労相談とか住宅支援、まさしくその窓口の担当者が幅広くいろいろなことを了解している、あるいはまさしく地方自治体の職員として、もちろん、委託を受けたところがないがしろにする、そんなことを言っているわけでありませんけれども、やはり経験を積んだ自治体の本来の職員がそうしたことにしっかり取り組んでいく、アンテナを張っていくということが非常に重要だと思うわけであります。

 それでは、同じく、経費水準について伺いたいと思います。

 二〇一六年度のトップランナー方式の対象となった学校用務員、また道路維持補修などの事務は、経費区分を給与費から委託費に移した上で、その水準が、残念ながら引き下げられているわけであります。民間委託が進んでいる実態に合わせたものなのでありましょうか。民間事業者の労働者の人件費にしわ寄せが行っている、そういったケースも想定されるのではないでしょうか。

 トップランナー方式の対象とする場合であっても、同一労働同一賃金の観点、また自治体や事業の規模がそれぞれ異なることから考えれば、一律に経費水準を引き下げるなどの見直し等は行うべきではないと考えます。大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

冨樫大臣政務官 窓口業務のアウトソーシング等については、地方団体からの意見等を踏まえ、平成二十九年度のトップランナー方式の導入を見送ることとし、今後の業務改革の進捗状況等を踏まえて、引き続き検討することとしているところであります。

 お尋ねの経費水準の見直しについては、仮に窓口業務にトップランナー方式を導入することとなった場合には、業務改革を行っている団体の経費水準の実態を踏まえ、適切に設定することとなると考えております。

 また、民間委託等の業務改革の推進については、平成二十七年八月に総務大臣通知を発出し、地方団体に対し要請しているところであるが、あわせて、委託先等の事業者における労働法令の遵守や雇用、労働条件への適切な配慮等についても要請をしているところでございます。

 いずれにしても、各地方団体においては、こうした通知を踏まえ、質の高い公共サービスを効率的に、そしてまた効果的に提供する観点から、地域の実情に応じ、自主的、主体的に業務改革に取り組むものと考えておるところでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 それぞれ個別の自治体がきちっと対応するように、そして、そういう中で、委託をされたところで働く人たちの給与に間違ったしわ寄せが行かないようにということで、通達といいましょうか、そうしたものを出しているということであります。

 ただ、そういう中でこれまでも、私もこの委員会で、いわゆる消防行政、あるいはそれぞれの地方自治体のサービスについて、もちろんそれぞれの自治体の財政状況が違うわけでありますし、あるいはそれぞれの自治体のさまざまの環境、状況が違うのであり、そうした意味では、それぞれの自治体が判断しなくてはならないところもある。

 ただ一方で、住民サービスを一定程度きちっと保障していく、担保していく上で、やはり国として、国と地方が対等だからこそ、逆に全ての、それぞれの自治体がきちっとそうした行政サービスを提供できるように、実態調査をぜひ。そしてまた、それに対して、先般の私の質問のときの委員会でも、委員会の質問に対しても、高市大臣もお答えいただきましたように、それぞれの地方がやることであるけれども、どういう状況に全国的になっているのか、こうした調査をしてきた、今度間もなく発表する、こういうお答えもいただきました。

 どうでしょう。こうした民間委託、今質問させていただいたことに関連して、全国の自治体でどういうふうになっているのか、そうしたことについては把握をされておられるのか。あるいは、それについて、例えば何らかの調査をするというようなお考えがあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 総務省におきましては、地方行政サービスの取り組み状況の調査を二十七年度に行っておりまして、今後もそういう調査を行って、把握に努めてまいりたいと考えているところでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そうすると、局長、そうした把握をしていると。それは何らか公開をされて、報告されるということでよろしいですか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 今月中に公表したいと考えているところでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 それぞれの自治体、そこに住む人たちに対するサービスでありますから、それぞれの人がまさしく活躍をしていくために行政のサービスが、まあ全く均等というわけでありませんけれども、やはり同等のサービスが保障されていく。それを提供する働く人たち、提供する側の状況もしっかりと確認をしていただきたいと思いますし、今月中に発表されるということでありますので、待ちたいと思います。

 次に、まち・ひと・しごと創生事業費についてということでお伺いをしたいと思います。

 地方創生の取り組みを一層推進するためとして、総務省は、まち・ひと・しごと創生事業費の交付税算定を、取り組みの必要度から取り組みの成果にシフトするとしているわけであります。そのうち人口減少等特別対策事業費については、六千億円の内訳を、今年度は必要度五千億円、そして成果一千億円としていたわけでありますが、今後、さらに一千億円を成果の方へ移行することが検討されていると伺っております。

 そもそも、日本全体が人口減少社会にある中で、ある種の人口の奪い合いをして、その結果を評価して交付税を配分するという手法がいいのかどうかと思うわけであります。必要な地域こそ、分厚い対策が必要ではないかと思うわけですね。大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

 また、この配分に当たっては、成果を発揮する際の条件が厳しいと考える地域への配慮、まさしく、それぞれの状況で厳しい、人口がふえていくのが厳しい、こういうことに対して配慮を行うとしているわけであります。どういう地域、今、人口等とも申し上げましたが、そうした厳しい、成果を発揮するのが厳しいこの状況、どうしたところが対象で、具体的な配慮はどのようなものであるのかということをお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 人口の奪い合いというよりは、日本全国どの地域に住んでも、やはり安全に生活ができる、安心して子育てができる、また、必要な福祉サービスが受けられる、働く場所がある、そういう状況をできるだけ広げていきたい。そういう地域がふえていくということが、日本全体の活力にもつながりますし、私たちの大切なふるさとを守ることにもなるんだろうと思っております。

 取り組みの成果に応じた算定を行っているというのは、人口減少対策などに積極的に取り組んで成果を上げた団体では、全国標準以上の経費が生じていると考えられることから、算定に反映しているものでございます。

 また、平成二十九年度から取り組みの成果に応じた算定にシフトすることとしていますけれども、その際、三年間かけて段階的にシフトすること、シフト後でも取り組みの必要度に応じた算定額は四千億円を確保しているということ、そして条件不利地域に配慮した算定を行うこととしているということから、必要度が高い地域にも十分に配慮をさせていただいているつもりです。

 委員からお尋ねがありました具体的な配慮ということですが、条件不利地域への配慮というのは、一つは、財政力が低く、過疎法や離島振興法など条件不利地域に係る法律の対象となっている団体などについて算定額の割り増しを行うということ、そしてもう一つは、成果の反映に際しては、政令市及び中核市、都市、町村といった区分ごとに改善度合いを比較する仕組みを導入する、そういうことにいたしております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 大臣が御答弁いただいたようなことで配慮をするんだということであります。

 ただ、先ほど申し上げましたように、六千億円の内訳、それが必要度五千億円、成果一千億円。それが、成果の方を一千億円。もちろん、成果を上げる、きちっとした、必要がある中でそうしたものを成果を上げているところに配慮していく、それはいかに工夫をしていくかということでありますから重要なことだと思いますが、どうぞそうしたことが、今申し上げたように、まさしく大臣もおっしゃったように、奪い合いということではないのかもしれません、しかし、やはりそれぞれの地域で住んでいる人たちのサービスがきちっと行われるように、このこともきちっとした配慮というか、配慮状況の中でお願いをしたいと思います。

 それでは、もう余り時間がありませんし、何回も聞かれていることでありますので、簡単に質問したいと思うんですが、ふるさと納税のことであります。

 ふるさと納税、他の自治体への寄附はそれぞれの人の意思であるわけであります。ただ、居住地自治体への納税義務を減じるものではないと思うんですね。そういう中で、居住地自治体の自主財源を減少させるということになってしまうふるさと納税という制度、限られた財源、税源を地方間で、これも言葉が適切でないとおっしゃるかもしれませんが、奪い合い、地方税における応益原則、つまり受益と負担という税の基本に反しているのではないか、それが問題の根源にあるのではないかと思うんですね。

 とある自治体の税務課長さんは住民税をどうしていくかよりも返礼品のことしか考えられなくなったという話も伺っているわけです。こうしたことにならないように抜本的な見直しを行うべきと考えますが、大臣、いかがでありましょうか。

高市国務大臣 そもそも、ふるさと納税制度は、地方から都会に転出した者がみずからを育んだ地域の教育や福祉のコストに対して還元する仕組みがあってよいといった意見を検討の出発点として、寄附金税制を活用する形で実現しました。

 応益原則との関係では、制度創設時のふるさと納税研究会の報告書において、地域社会の会費という個人住民税の性格を踏まえれば、住所地の地方団体に納付される個人住民税額が大きく減少するような仕組みをとることは適当でなく、一定の上限額を設定する必要があるとされておりました。

 このため、ふるさと納税の制度設計において上限額を設定しており、現在の制度では、特例控除額は個人住民税所得割の二割とし、その結果、個人住民税の税額の大半は住所地団体に残る仕組みとしております。

 また、返礼品の問題もございますけれども、今は、四月に向けて、まず、より実効性のある対応をとるべく検討を進めております。

近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。

竹内委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、マイナンバーについて幾つか質問をさせていただきます。

 マイナンバーの利用開始から一年余りが過ぎ、現在行われている確定申告を初めとして、来年度から各種情報との連携が始まります。

 それに先立ち、一昨年の秋から通知カードが各世帯に発送されております。この通知カードは転送不要というふうにされておりますから、何らかの事情で住民の方々の手元に届かなかったもの、これは自治体に返送をされているはずであります。

 最初に、現在、自治体に返送されて保管をされている通知カードの数はどのぐらいあるのか、教えていただきたいと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年十一月末時点でございますけれども、約六千二十八万通の通知カードが郵送されまして、当初、平成二十八年一月時点での返戻率は約一〇%でございましたけれども、その後、市区町村において再送等の取り組みが行われておりまして、現在、市区町村にて保管されている通知カードは約百三十五万件、先ほどの六千万通の中の割合としては約二・二%となっているところでございます。

吉川(元)委員 報道等でも百三十五万通、これは、転居、さまざまな事情によって届かずに自治体に返送、保管をされている。今、率でいうと二・二%ということですけれども、この割合が想定した数字よりいいのか悪いのか、それは別にしまして、マイナンバー制度、内閣府のホームページを見ていますと、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平公正な社会を実現する社会基盤、こういうふうに大きく宣伝をされております。

 私自身は、さまざまな情報を一元化してしまうというのは大変リスクが高いのではないかと。実際、二〇一五年、日本年金機構で百二十五万人分の個人情報が漏えいをいたしました。当時はまだマイナンバーはスタートしておりませんでしたから、大きな被害、これ自体は大きな被害だと思いますけれども、それ以上は広がらなかったわけですけれども、仮にマイナンバーが動き始めて同様のことが起こると、これは大変なことになってきます。特に、これからさまざまな情報との連携がスタートいたしますから、そういう点で非常に危惧は持ってはおります。

 それはさておき、公平公正な社会を実現する社会基盤、こういうふうに位置づけているこのマイナンバー、これは番号利用が始まってから一年たつのに、依然として二・二%の方には届いていない。二・二%の方というか、二・二%の世帯というのか、そちらの方が正しいかと思いますけれども、届いていない。これはやはり問題なのではないかというふうにも思っております。

 総務省としては、返送されてきた通知カードをどう扱うべきというふうに考えておられるのか、また、各自治体にどういった助言なりをされているのか、教えていただければと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年に定めました、通知カード及び個人番号カードの交付等に関する事務処理要領というものがございます。これによりますと、返戻された通知カードにつきましては、住民票記載事項の確認や調査を行った上で、他の市町村への転出を確認した場合、死亡などにより住民票が消除されている場合につきましては、これを廃棄することとしておりまして、それ以外の場合におきましては、一定期間、この事務処理要領上、三月程度としておりますが、保管することとしているところでございます。

 また、平成二十七年十月五日の通知におきましては、返戻された通知カードの取り扱いにつきまして、この事務処理要領に加えまして、再度簡易書留郵便等で本人に送付する、転送可能な普通郵便によりまして本人またはその代理人に市区町村の窓口へ来庁することを促すなど、当該市区町村の住民に確実に通知カードを受け取ってもらうための取り組みを積極的に講じてもらいたい旨の助言を行ったところでございます。

吉川(元)委員 そうはいいますけれども、これはちょっと報道で読んだんですけれども、会計検査院が二十一都道府県の八百五十二の市区町村について通知カードの交付状況を調べたところ、昨年度末の時点で、二割以上の二百九の市区町村で戻ってきたカードについて転居先の調査を行っていなかった、結果、放置されているカードが三十五万通に上るというような、こうした報道がされております。

 自治体からすると、ただでさえ、人も減っていて仕事も大変忙しい中で、転居先の調査を行う、そういう労力を割くのはなかなか大変なことだというふうに思います。

 しかし、今、転居先を調べてということになっていますけれども、会計検査院の調査では、全部を調べているわけではないので、全ての実態を把握しているわけではありませんけれども、放置をされているというふうになっているわけで、この点について、総務省として何らかの対応を考えていらっしゃるんでしょうか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、平成二十九年一月二十七日に公表されました会計検査院の随時報告によりますと、平成二十八年三月末時点で、八百五十二市区町村のうち二百九市区町村で、返戻された通知カードについて調査を行っていなかったとされているところでございます。

 先ほど申し上げましたように、総務省としましては、事務処理要領におきまして、通知カードが返戻された際には住民票の記載事項の確認、調査を行っていただきたい旨助言しているところでございますけれども、今回、こうした事案があったということを踏まえまして、現在、総務省としても、改めて全市区町村に調査を行い、事実確認を行っているところでございます。

 この調査結果を踏まえ、地方団体に対して必要な助言を行ってまいりたいと考えているところでございます。

吉川(元)委員 あと一点、確認だけさせていただきたいんですが、先ほどの答弁の中で、転送可能なという、これは、要は、窓口に来てくださいというお願いの、お願いといいますか、そういうものであって、カードそのものを転送可能で送っているわけではないということだけ、ちょっと確認させてください。

安田政府参考人 御指摘のとおりでございまして、転送可能な普通郵便によりまして本人またはその代理人に市区町村の窓口へ来庁することを促しているということでございます。

吉川(元)委員 先ほど、保管期限三カ月、原則三カ月というお話でございましたけれども、それを過ぎますと、その後はどういうふうに処理をしていくルールというふうになっているのでしょうか。廃棄ということになるのか。廃棄をするとすると、どういうふうに廃棄をされているのか。また、それがどのぐらいの数、廃棄をされているのか。お答えください。

安田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げました事務処理要領におきまして、一定期間、三カ月でございますが、を経過いたしましても交付できない場合には、返還登録というものを行った上で、当該通知カードを物理的に廃棄するというふうに定めているところでございます。

 一方、昨年三月の通知におきまして、平成二十八年四月一日以降も引き続き保管することについて、これは数が多かったということがございまして、御検討いただくように市町村に依頼もしているところでございます。

 こうしたものを踏まえまして、市区町村において保管期間について検討していただいているところでございますけれども、現実には、通知カードが特定個人情報に当たるために、安全管理措置を施した上で厳重に保管をする必要があること、繰り返し再送等を行っているけれども、その都度市区町村に返戻されており、庁内の保管場所に限りがあることなどから、保管期間三カ月の経過によりまして廃棄をすることとした市町村もあるというふうに承知しております。

 その通数でございますけれども、平成二十八年十一月末時点で約二十一万通の通知カードが廃棄されたものと承知しているところでございます。

吉川(元)委員 二十一万通廃棄をされたということでありますが、そうなると、廃棄された場合、例えばその方がカードが欲しいと言った場合には、どういう手続をとる必要が出てくるのでしょうか。言っても、もうありませんよというふうになるのか、どういう形になるんでしょうか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 再度、通知カードの交付を申し出ていただければ、対応するということでございます。

吉川(元)委員 基本的に、先ほどの廃棄のルールも含めて、非常に、自治体の判断でということであります。これは一号の法定受託事務、自治事務ではなくてあくまで法定受託事務ということですから、自治体の責任においてというふうに、全て自治体の責任でというのはなかなかおかしいんじゃないかというふうにも思いますし、カードが届いていない人への周知など、これは総務省も何らかの手だてをとる必要があると思うんですけれども、大臣、この点はいかがでしょうか。

高市国務大臣 まず、カードが届いていない方々への周知という方からお答えいたしますけれども、各種媒体を通じまして、例えばテレビでの広報ですとか新聞紙面などを活用した広報なども続けております。

 特に、確定申告に向けた時期ということで、また新生活が春にスタートする時期ということで、現在の期間、春先の期間はかなり集中的に広報を続けてまいりました。

 どうしても、カードが手元に届いていなくて、そしてまた番号を勤め先に通知しなきゃいけないというような場合に、これは少しコストがかかりますけれども、マイナンバー入りの住民票をとっていただいてというような方法になってしまうかと思います。それでも、できる限りの周知広報はしているつもりでございます。

 それから、保管期限の過ぎた通知カードということでございますけれども、自治体で判断していただくということになるんですが、事務処理要領は定めております。処理基準も、先ほど局長が答弁したとおり、定めております。これは自治体に当然周知をいたしております。

 ただ、やはりどうしても、この通知カードが特定個人情報に当たるということから、安全管理措置を施した上で厳重に保管していただかなきゃいけませんし、繰り返し再送しているけれども、その都度市区町村に返戻されてしまっている、庁内の保管場所に限りがあるといったお声も伺っています。その手間とコストが大変な負担になっていますので。

 できましたらもう少し保管することを検討してほしいという文書を昨年度末に出してはおりますけれども、これは各市区町村の実情に応じて対応を御検討いただかなければ仕方がないと思っております。

吉川(元)委員 個人情報でありますし、安全に保管しなければいけない、そのための手間、コスト、大変かかるということであります。

 そういう意味でいうと、私、先ほども言いましたが、法定受託事務の中で非常に自治体に負担をかけているということでありますので、そういう支援、いろいろな形の支援をしっかりとしていただきたいというふうに思います。

 次に、これもマイナンバーカードにかかわる問題ですけれども、約一年前だったと思いますが、本委員会で、マイナンバーカードの発行の際のシステムトラブルについて質問をいたしました。運用開始後の昨年一月から約二カ月間にわたり、中継サーバーの障害がほぼ毎日のように起こって、本来不要な再起動を繰り返すということになりました。

 私も地元を回っておりますと、自治体は本当に大変でありまして、当然、住民の方からいろいろと怒られるのも自治体の職員でありますし、また、休日に窓口対応を余儀なくされたというような自治体があるというふうにも聞いております。

 そのときも原因究明に時間がかかっていることを問題として取り上げ、その後どういう動きになっているのかなというふうに注視をしてまいりましたところ、昨年の六月二十二日ですか、地方公共団体情報システム機構、J―LISの代表者会議で、このシステム障害の報告、議論がようやくされました。障害が発生し始めてから約半年近くが経過した中で、ようやく議論をした。

 何でこんなに時間がかかったのか、その理由を教えてください。

安田政府参考人 お答えいたします。

 J―LISにおきましては、昨年四月に任命されました民間出身の技術担当理事をシステム統括といたしまして、同理事のもと、今回発生した障害の原因について特定し、四月二十七日にまず公表したということでございます。

 また、同理事のもとで、カード管理システムの障害発生の背景及び原因の特定に長時間を要した要因につきましても検証が行われまして、同年六月に開催されました代表者会議に報告がなされたものと承知しているところでございます。

 当該検証結果の報告によりますと、原因の特定に長時間を要した要因としては、まず、検証に必要なログを取得するよう改修する必要があったということ、次に、再現テスト用の環境を構築するために時間を要したということ、もう一つでございますけれども、調査全体を取りまとめる立場の五社コンソーシアムの代表事業者と中継サーバー、これが障害の原因だというふうに言われているわけでございますが、この中継サーバーを担当した事業者間での連携が不足していたということが挙げられたものと承知しているところでございます。

吉川(元)委員 六月二十二日の報告を読みますと、ちょっと驚いたんですが、ふぐあいの原因は、今も少しお話がありましたけれども、設計不備と過信、住基ネットとはバージョンや設定が違うのに事前検証が不足していた、あるいは単体テストが不足していたというふうにされております。

 ちょうど去年の四月、本委員会で、システムトラブルに対して、準備が不十分なまま稼働したのではないかというふうに質問をした際に、当時、稲山大臣官房審議官、これを読みますと、確かに日程はタイトではあるけれども、事前のテストを実施している、結合テストに五カ月、総合テストを三カ月、さらには本番環境における運用テストを一カ月実施したというふうに答弁をされております。そのときの答弁を聞いている限りでは、事前の準備不足なんじゃないかという指摘に対しては、暗に否定するような印象を当時持ちました。

 実際に報告書が出ると、テスト不足だったということで、やはり準備不足だということで認識をしていいということでしょうか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたJ―LISの技術担当理事のもとで、カード管理システムの障害発生の背景につきましても検証が行われまして、六月の代表者会議に報告がされたものでございます。

 そのときの検証結果の報告によりますと、カード管理システムの障害発生の背景につきましては、カード管理システム全体の問題というよりも中継サーバー単体の問題でありまして、その作成を担当した事業者におけるサーバー機器と関連プログラムの組み合わせに係る事前検証や単体テストの不足、またウィンドウズの仕様に関する理解不足、これに起因するものと指摘されているところでございます。

 事業者の単体テスト以降、J―LISにおいて累次のテストを行っております。昨年の四月五日に、その状況について御答弁させていただいたものと承知しているところでございます。

吉川(元)委員 いろいろ言われますけれども、結局、やはり準備不足だった。一言で言えば準備不足だったということだと思いますよ、今のを聞いていても。なかなかそういうふうにおっしゃられませんけれども、普通の日本語に訳すと、それは準備不足というんです。

 関連して、昨年十二月になって、このシステム障害に対して、J―LIS、システム機構がコンソーシアム五社に総額一億九千四百五十万円の損害賠償を請求したという報道を目にいたしました。システム障害が起きてから約一年、機構の代表者会議にトラブルの調査結果が報告されてから半年が経過していて、これもいかにも対応が遅いなというような気がいたします。

 それで、この一億九千四百五十万円の損害賠償の請求ですけれども、これは、その中身といいますか、今回のトラブルで生じた何らかの実損額、あるいは追加的に発生した費用に対する請求なのか、それともトラブルが発生して迷惑をかけましたというような慰謝料的な性質を持つものなのか、その性格について教えてください。

安田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年一月のカード管理システムの中継サーバー障害対応におきまして、システムの修補関係費用として九千三百万円、またJ―LISの判断により追加的に講じた対策に要した費用として一億百五十万円、合わせて一億九千四百五十万円の費用が生じたところでございます。

 具体的には、システムの修補関係費用としては、中継サーバーの設定変更でございますとか原因特定のためのログ解析といったもの、追加的に講じた対策に要した費用としては、中継サーバーの増設費用でございますとか常時監視対応といったようなものでございます。

 これらの費用の負担につきましては、J―LISと本システムを構築した五社コンソーシアムとの協議の結果、システム修補関係費用については瑕疵担保責任に基づきまして、また、J―LISの判断により追加的に講じた対策に要した費用につきましては社会的な責任に鑑み、いずれも五社コンソーシアムが負担することと整理されまして、平成二十八年十二月に正式な合意がなされた、このように承知しているところでございます。

吉川(元)委員 実損あるいは追加的費用が主なものだということでお話があります。そういたしますと、先ほど少しお話ししましたが、カード発行の際に自治体窓口で大変トラブルが発生をいたしました。当然、先ほども少し触れましたが、休日出勤をしたり、夜遅くまで残業しなければいけないだとか、そういうさまざまな追加的な費用が自治体でも発生をしているわけですけれども、これについてはどういう扱いになっているんでしょう。

高市国務大臣 これに関しましては、自治体からJ―LISに対して請求ができることとなっております。J―LISの方では相談体制をとっておりますけれども、まだ現段階で、地方自治体からそのような請求があったということは承知いたしておりません。

吉川(元)委員 自治体の方でどのぐらいそれが周知されているのか、そこら辺もちょっとよくわからないところでありますけれども、とにかく自治体の側で実際に費用が発生をしているということをJ―LISの方に話を持っていけば、話し合う窓口はちゃんとあるという認識でよろしいということですね。

 もう余り時間がなくて、きょうは内閣官房の方にも来ていただいておりますので、ちょっと質問を飛ばさせていただきます。

 今回のカードの発行の混乱を見ておりますと、責任の所在というのが一体どこにあるのかというのが非常に明確じゃないんじゃないかと。

 まさに、去年六月の代表者会議、議事録を読みますと、理事長が、ことしから始まる情報連携では、当機構が担当するのは中間サーバー・プラットフォームの運営であり、決して中心で動く組織ではないとした上で、国や自治体のさまざまなシステムによる情報連携が始まると、情報連携の全体をグリップし、監督するところはどこなのか、よくわからないという不安が我々にあると率直に語っておられます。

 これを受けて、議長も、情報連携においては、機構が主役でないこともそのとおりであり、これは国全体の問題となる、関係省庁、政府に対してしっかりと今後の情報連携において、責任の明確化、全体を俯瞰する責任者について、国の主体性を求めていきたいという発言をされておられます。

 我々にその責任があると言われたって困るよというような中身なんだろうと思いまして、国はもうちょっとちゃんと責任をとる、責任ある立場に立ってもらわなきゃ困る、そういう声だというふうに思うんですけれども、こうした指摘の受けとめ、どうなっているのか。そして、情報連携に当たっての責任の所在、政府の中でどこがその責任者になるのか、明確になっているのか、お答えください。

向井政府参考人 お答えいたします。

 情報連携には、国、地方公共団体、独立行政法人、医療保険者といった多くの機関がかかわることになります。

 そこで、情報連携の中核となります情報提供ネットワークシステムの整備や連携データのフォーマット整備につきましては、内閣の総合調整権限を持つ内閣官房において行った上で、その運用については、マイナンバー法上、同システムを所管いたします総務省に移管することとしているところでございます。

 これに関しまして、従前、内閣官房で行っていたシステム整備等については、甘利大臣、石原大臣が担当されておりましたが、昨年八月の内閣改造におきまして、これらも含めて高市大臣にマイナンバー制度の担当が一元化されているところでございます。

 マイナンバー制度は、多くの機関がかかわる制度でございまして、例えば民間でいいますと、一つの会社が支店をつなぐとかチェーン店をつなぐというよりは、むしろ、経団連みたいなのが各社をつなぐみたいな、そういうイメージのものでございますので、それぞれがその役割を果たすというものも必要でございますが、御指摘のように、全体を俯瞰し、制度全体が適切かつ円滑に運用されるようにすることが最も重要であると考えております。

 したがいまして、マイナンバー全体を推進いたします内閣官房と情報ネットワークシステムを所管している総務省が、高市大臣のもとで、より密接に連携して取り組んでいくことが非常に重要であり、さらにこれまで以上に密接に連携して取り組んでまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 時間が来たので終わりますけれども、今たまたま高市大臣は総務大臣とそれから特命大臣を兼ねておられますけれども、今後の内閣改造なりなんなりがあったときにまた分かれる可能性もあるわけで、そうすると、また責任の所在がどっちなのかはっきりしなくなる。

 問題が起こったときに、うちの責任じゃないというような話が実際に今回のシステムトラブルでも起こったわけですから、そこはしっかりと責任の所在を明らかにしていただきたいということを要望して、質問を終わります。

竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.