衆議院

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第9号 平成29年3月16日(木曜日)

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平成二十九年三月十六日(木曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 古賀  篤君 理事 左藤  章君

   理事 坂本 哲志君 理事 田所 嘉徳君

   理事 葉梨 康弘君 理事 小川 淳也君

   理事 奥野総一郎君 理事 輿水 恵一君

      池田 道孝君    大西 英男君

      金子万寿夫君    金子めぐみ君

      川崎 二郎君    菅家 一郎君

      小林 史明君    新藤 義孝君

      鈴木 憲和君    田畑 裕明君

      高木 宏壽君    谷  公一君

      土屋 正忠君    冨樫 博之君

      中谷  元君    武藤 容治君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    逢坂 誠二君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      鈴木 克昌君    高井 崇志君

      武正 公一君    稲津  久君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      足立 康史君    吉川  元君

      長崎幸太郎君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        あかま二郎君

   総務大臣政務官      金子めぐみ君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            南  俊行君

   参考人

   (日本放送協会会長)   上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君

   参考人

   (日本放送協会専務理事・技師長)         森永 公紀君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 今井  純君

   参考人

   (日本放送協会理事)   坂本 忠宣君

   参考人

   (日本放送協会理事)   根本 佳則君

   参考人

   (日本放送協会理事)   松原 洋一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   黄木 紀之君

   参考人

   (日本放送協会理事)   大橋 一三君

   総務委員会専門員     塚原 誠一君

    ―――――――――――――

三月十五日

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件審査中、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局長南俊行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 まず、趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。

    ―――――――――――――

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市国務大臣 日本放送協会の平成二十九年度の収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第七十条第二項の規定に基づき、総務大臣の意見を付して国会に提出するものであります。

 まず、収支予算について、その概要を御説明申し上げます。

 一般勘定事業収支につきましては、事業収入が七千百十八億円、事業支出が七千二十億円となっております。

 一般勘定資本収支につきましては、資本収入、資本支出がともに八百九十八億円となっております。

 次に、事業計画につきましては、国民・視聴者の信頼と多様な要望に応える質の高い番組の提供、国際放送の充実などによる海外情報発信の強化、我が国の経済成長の牽引力として期待される4K、8Kなどの先導的なサービスの推進に重点を置き取り組むこととなっております。

 総務大臣といたしましては、この収支予算等について、おおむね妥当なものと認められるとした上で、協会のあり方について、業務、受信料、ガバナンスの三位一体で改革を進める検討を早急に実施することを求めるとともに、この収支予算等の実施に当たっては、協会の経営が国民・視聴者の負担する受信料によって支えられていることを十分に自覚し、業務の合理化、効率化に向けたたゆまぬ改善の努力を行うとともに、国民・視聴者に対する説明責任を果たしていくことが必要であるとする意見を付しております。

 また、特に配意すべき事項として、例えば、協会の職員による受信料の着服事案などについて、業務の実施体制、チェック体制を改めて見直し、早急に適切な再発防止策を講ずることと指摘しております。協会の一連の不祥事については、委託会社による受信契約の不正事案も含め、コンプライアンスの徹底に取り組んでいただきたいと考えております。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

竹内委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長上田良一君。

上田参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の平成二十九年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。

 平成二十九年度の事業運営に当たりましては、公共放送の原点を堅持して、自主自律を貫き、事実に基づく公平公正で正確な報道、命と暮らしを守る報道に全力を挙げるとともに、豊かで多彩なコンテンツの充実を図ります。また、日本を世界に積極的に発信し、国際社会での日本の理解を促進してまいります。

 さらに、三十年度に予定されている実用放送の開始に向けたスーパーハイビジョンのコンテンツ制作力の強化を図るとともに、インターネット活用業務を推進するなど、新たな放送、サービスの創造に積極的に取り組むほか、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、視聴者の関心に最大限応える幅広い番組をお届けします。

 受信料については、公平負担の徹底に向け、受信料制度の理解促進と営業改革を一層推進し、支払い率八〇%の達成に努めてまいります。

 NHKグループの経営改革を断行し、コンプライアンスの徹底と効率的な経営を推進します。

 また、東京渋谷の放送センターの建てかえについては、放送センター建替基本計画に基づき着実に進めてまいります。

 次に、建設計画においては、緊急報道設備やスーパーハイビジョン設備を整備するとともに、いかなる災害時等にも安定的に放送サービスを継続するための設備整備等を実施いたします。

 以上の事業計画に対応する収支予算は、一般勘定の事業収支におきまして、受信料などの収入七千百十八億円、国内放送費などの支出七千二十億円を計上しております。事業収支差金は九十八億円となり、全額を、平成三十年度以降の新サービスの充実に備え、財政安定のための繰越金に繰り入れることとしております。

 また、資本収支は、収入として減価償却資金など総額八百九十八億円を計上し、支出は建設費八百九十八億円を計上しております。

 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものであります。

 以上、平成二十九年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その概要を申し述べました。事業計画の一つ一つの施策を着実に実行し、公共放送として視聴者の皆様の期待に応えてまいりたいと存じます。

 委員各位の御理解と御支援をお願いいたします。あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左藤章君。

左藤委員 自由民主党の左藤章でございます。

 きょうは、先ほど総務大臣、高市大臣、そして上田会長から趣旨の説明がございました。その点について質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、上田会長、新会長に御就任おめでとうございます。しっかり頑張っていただきたいと期待をしております。

 先ほど大臣からもお話ありましたことでございますが、残念なことですが、報道によりますと、強姦致傷容疑で逮捕、起訴されたNHK山形局の元記者が、前任地の山梨でも同様の事件を起こしていたということで再逮捕されました。また、昨年、横浜放送局の営業職員が、受信料の返金手続を悪用し、一年三カ月で五十一万円余りを着服したことが明らかになりました。

 国民の理解のもとに成り立っている公共放送として、ガバナンス、コンプライアンス、この徹底に向けた決意と再発防止についてどのようにお考えか、お話を聞かせてください。

上田参考人 お答えいたします。

 元記者が前任地での悪質な犯罪の容疑で再び逮捕されたことはまことに遺憾であり、改めて、被害に遭われた方や関係者、視聴者の皆様に深くおわびいたします。引き続き、捜査に全面的に協力していく所存です。

 また、横浜放送局の案件に対しましては、再発防止のため、返金手続のルールを変更するとともに、審査を強化することにいたしました。さらに、本部一括で定期的に不正をチェックする仕組みを新設することにいたしました。

 不祥事が後を絶たないことに対しては、大変遺憾であります。ルールやチェック体制のあり方や倫理教育を抜本的に見直したり、不祥事を起こさせない業務の仕組みを根本に立ち返って考えるなど、総合的な対応策の検討に着手したところです。改めて、組織の隅々にまでコンプライアンスの意識を根づかせ、公共放送の使命と役割をしっかり果たしてまいります。

 山形放送局の元記者の事件につきましては、警察の捜査が続いていますが、NHKとしても、管理監督上の問題等がなかったか、捜査の進展を見きわめながら適切に対処してまいります。

左藤委員 次に、4K、8Kテレビの二〇二〇年の国内放送の世帯普及率、総務省のお話では五〇%を目指していると聞いておりますが、そのためにはやはりコンテンツの充実というのが一番大事であります。

 NHKは、この二〇二〇年オリパラに向けて、4K、8Kのコンテンツの充実にどのように取り組むのか。来年度は予算三十七・七億円計上しておりますが、その後も含めて対応をお聞かせください。

木田参考人 お答えいたします。

 スーパーハイビジョンにつきましては、番組の制作を加速させて、普及促進に資することを目指しております。実用放送開始を目指す来年十二月に向け、4K、8Kならではのコンテンツの開発に力を注いでいくつもりです。

 このため、4K、8Kの番組費につきましては、二十八年度の四十一億一千万円から、二十九年度予算案では七十八億八千万円と、二倍近く増額させました。

 4Kでは、地上波とそれから衛星波で放送している現在の2K番組ですが、これと一緒に制作し、一体制作と呼んでおりますけれども、両方で使えるようなつくり方を加速させます。制作者に経験を積ませながら、自然、紀行、美術、科学、ドラマなど、幅広いジャンルでコンテンツを蓄積していこうと考えております。

 それから、8Kでは、第一級の芸術作品や世界遺産などの撮影、それから、開催までもう一年を切りましたけれども、平昌オリンピック・パラリンピックの中継実施などを通じて、8Kにふさわしいコンテンツの開発に努めていこうと考えております。

左藤委員 NHKの取り組みは理解できましたけれども、やはり我々、4K、8Kテレビを見ようと、民放も当然期待をするわけですね。その民放の対応はどのように取り組んでおられるのか、総務省にお伺いをしたいと思います。

金子大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほど委員からも御紹介いただきましたとおり、日本再興戦略二〇一六では、二〇二〇年には全国約五〇%の世帯での視聴を目標としておりまして、それに向けて、二〇一八年の衛星放送における実用放送開始などの推進を掲げております。

 その衛星放送における4K、8K実用放送につきましては、総務省として本年一月二十四日にNHKを含みます十一社、十九番組について認定を行いまして、来年の十二月からの放送開始を予定しております。

 委員御指摘のとおり、4K、8Kの普及にはまさしくコンテンツの充実が重要でありまして、今回認定を受けました民放事業者は、実用放送に当たって、総合編成、映画、スポーツ、ショッピングなど、多様な番組編成によってさまざまなコンテンツを提供することで、視聴者ニーズに応えることとしております。

 また、その準備としまして、昨年十二月一日から一般社団法人放送サービス高度化推進協会、A―PABと申しますけれども、そのA―PABが行っておりますBSによる4K試験放送に対して、民放放送事業者も4K番組を制作、提供しております。これによって制作ノウハウを蓄積するなど、4Kならではの迫力や躍動感あふれるコンテンツの充実に取り組んでおります。

 総務省としましては、関係事業者のこのような取り組みを通じて、多くの視聴者に4K、8Kの魅力を感じていただき、それによって普及につながっていくことを期待するところでございます。

左藤委員 わかりました。

 次に、国際放送についてお伺いをしたいと思います。

 我々、海外へ行くとき、NHKワールド、どうなっているのかと必ずテレビを回します。残念なことに、余りあちこち行くと、映らないところが多うございます。この対応、そして中身ですね。見たら、変な話ですけれども、日本のNHKなのに中国の映画をやっているんですね。そんなことが過去によくありました。

 この話は前からいろいろな御指摘があって改善されたと思いますが、この五年間でどのように変わったか、教えてください。

木田参考人 お答えします。

 NHKワールドTVの視聴可能世帯数は、現在、およそ百六十の国と地域のおよそ二億九千八百万世帯余りで視聴可能となっております。これは、五年前と比べまして、国と地域ではおよそ三十、世帯数では六千万以上増加しております。

 内容につきましても、今の三カ年経営計画で「日本を世界に、積極的に発信」として、さらなる充実強化に取り組んでおります。日本の情報を世界に向けて発信することは、NHKとしても一層力を入れてやっていきたいと思っている分野でございます。

左藤委員 これからも国際放送をしっかり、日本のコマーシャルといいますか、日本のすばらしさを世界に発信していただきたい、このようにお願いをしておきます。

 次に、今、一億総活躍推進本部で私は事務総長をやっています。女性が輝く、女性がどうやって仕事をしていただくか。特に、子育てや介護をしている方は大変であります。

 そのためにも、テレワーク、我々は推進をしておりますが、NHKの取り組みの状況を教えてください。

根本参考人 お答えいたします。

 NHKでは、テレワークの取り組みとしまして、在宅勤務制度を平成二十七年の一月から導入しておりまして、育児や介護等に対応した多様な働き方ができる職場づくりに努めております。

 在宅勤務を支援するシステム環境の整備などを進めまして、現在、在宅勤務制度の利用者はおよそ四百六十人、そのうち女性が百六十人となっております。

 今後とも、こうしたワーク・ライフ・バランスの実現に資する施策を充実させ、女性が働きやすい環境の整備に一層取り組んでいきたいと思っております。

左藤委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、武藤容治君。

武藤(容)委員 自由民主党・無所属の会の武藤容治です。

 左藤理事に引き続いて、平成二十九年度の予算について、短い時間でありますけれども、質問させていただきたいと思います。

 NHKさんにおかれましては、私は、公共放送として、まさに多様なニーズに応えられる質の高い放送内容、あるいは公平中立な正確かつ迅速な報道に努めることによって、社会的使命を持って放送するさまざまな対応に尽力されておられると評価をしております。

 その業務を着実に進める原資は、まさにこの予算書の事業収入の大枠でもあります国民の受信料であることは間違いありません。国民に信頼されるNHKであるためにも、不祥事が起こらないようにコンプライアンスをさらに徹底してやっていただきたいと、冒頭に私からもお願いをしてまいります。

 国民に受信料を気持ちよくお払いいただくには、やはり国民にNHKをもっと身近に感じていただきながら、好きになってもらうことが何より大事なことだというふうに私は思っております。きょうは、夜中でありますけれどもテレビも入っておりますし、国民の理解を深めるような、そんな質問もさせていただければというふうに思っています。

 まずは、放送番組の構成について、ちょっときょうはお尋ねをしたいと思います。

 私も以前、放送局にある意味で勤務、勤務というのか、携わったこともありますので、民放でしたので、非常に視聴率というものに、やはりスポンサーもありまして、一番気にするところであります。いわゆる国民の放送という意味ではなかなかNHKは難しいかもしれませんけれども、今現在、こういう形で、いわゆるNHKでも評価を得るための調査をやっておられるのかどうか、まず確認をしたいと思います。

木田参考人 お答えいたします。

 番組の編成に当たりましては、視聴率はもちろん毎日のようにデータをいただくことができますので、その視聴率も見ておりますが、それだけではなくて、四半期ごとにそれぞれの番組について世論調査をしております。そこで、例えば丁寧に取材、制作されているかといったような各番組の質的な側面、そちらの評価も反映させて、両方を考えております。

 また、番組モニターとかあるいは視聴者の方からの電話やメール等々の御意見等々も、放送の翌日には関係者で全てそういうものが共有できるような仕組みをつくっておりまして、そういった面からも番組の評価を図って、番組編成に役立てております。

武藤(容)委員 私の個人的意見ですけれども、日曜日、例えばニュースがちょっと少なかったり、あるいは、BSの大河ドラマも以前は夜遅くやっていましたけれども、最近は、通常の地デジの前に早くやることによって次の週まで待たなきゃいけない、そういう楽しみがちょっと先延ばしされたり、やはり国民のニーズというのは、私どももいろいろ思うことがあるので、大変多様なニーズをいかに集約していくかというのは大変大事なことかと思います。

 今おっしゃったように、今の視聴率の関係、あるいは内容についての意見聴取をされているそうですけれども、これを、いわゆる次の年度の、これは多分編成局のお仕事だろうと思いますけれども、そういう形で反映をされるということで認識しておいてよろしいでしょうか。

木田参考人 そのような御認識で結構です。

武藤(容)委員 国民の目線と、そしてある意味で今の現場の感覚、そして一つは経営の戦略というものがまさに三つどもえで、一体としてこれが動いて、NHKが国民のまさに近い放送局としてこれからも機能していただくことを切にお願いします。

 いわゆる大河ドラマもそうですけれども、あるいはNHKの「のど自慢」、また朝ドラもそうなんですけれども、ちょうど朝ドラは来年の春の番組でまた私どもの地元の岐阜県を捉えていただけることで大変楽しみにしておりますけれども、こういう形での編成、大変大事なことでありますので、地方創生の観点でも、ぜひこれからもひとつ取り組んでいただければというふうに思っています。

 次の質問ですけれども、先ほど左藤先生からもお話がありました国際放送であります。

 私も外務副大臣で昨年、世界十カ国、十カ所行かせていただきましたけれども、大変、そういう意味では、以前に比べて大分変わってきているという評価は私自身も見て思いました。

 国際放送というのは、ある意味で、海外にいる在留の邦人向け、それと、海外に向けての日本のいわゆるプレゼンスを示すという意味では大変大事な番組編成を求められているわけですけれども、日本の番組のいわゆる視聴率とはまた別の観点で、これは国益にもかなうような形で評価をしていかなきゃいけないと思います。大臣の意見書にもそこら辺は入っておられましたけれども、NHKとしてこれをどう考えておられるのかをちょっとお話しいただければと思います。

木田参考人 お答えいたします。

 海外の外国の方向けのNHKワールドTVの番組編成や個々の番組につきましては、世界五十六の国と地域で委嘱をしておりますNHKワールドTVのモニターという方がいらっしゃいます。こういったモニターの方であるとか視聴者の意見、感想等を分析して番組の改善に生かしているほか、個別の調査やインタビュー形式の意見聴取なども行っております。そういった形で、個々の番組の編成の充実強化に充てております。

武藤(容)委員 ぜひ、積極的な取り組みをお願いしたいと思います。私も外務副大臣をやらせていただいて、今、大変、日本のインセンティブを持っていく大事な時期であるのはもちろんでありますし、ジャパン・ハウスをことしから三カ所整備するという計画もありますし、そういう意味では、これは総務省の方で中心になってやっていただいていますが、海外戦略として、ぜひ、外務省ともある意味で連携をしていただきたいと思いますし、そこには、NHKが番組を通じて、そういう形での日本の情報発信というものも積極的に今後ともやっていただけるようにお願いをしたいと思います。

 時間が余りなくなりましたので、最後の質問、一番大きいと思いますけれども、二十九年度は三カ年計画のいわゆる最終年度に当たっていると思います。次の経営計画策定というものがあるわけですけれども、この三カ年についての決算あるいは事業評価というものもやはり反映をして次年度の計画へつないでいくということになるんだろうと思いますが、決算ですとか、そういう評価制度についてのNHKの対応をまず御答弁いただきたいと思います。

坂本参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年度からの次期経営計画を策定していく中で、4K、8K放送、インターネットへの展開、東京オリンピック・パラリンピック放送などの事業計画や必要な収支見通しをしっかりと踏まえた上で検討すべき課題であるというふうに認識をしております。

 いずれにしましても、視聴者の皆様の理解が得られることが重要でありまして、中長期的な視点に立って計画等を策定してまいりたいというふうに考えております。

武藤(容)委員 ありがとうございます。

 NHKの新センターの建設も控えておりますし、私も英国のBBCの今再開発のところも視察をさせていただきましたけれども、やはりNHKが今後、国民にいかに開かれた、見える形でのいわゆる経営計画というものを進めていくということが大変大事なことでもありますし、そこには、大臣の意見書にも入っておりましたけれども、いわゆる業務、受信料、ガバナンス、この三位一体の改革を進めるということが、そこに受信料というものも含めて、この三カ年、これからの三年というのは大変大事な時期になるんだというふうに承知をしております。

 ネット配信の問題がありますけれども、私は、時代の趨勢からすると、ネット配信自体はもうそろそろ結論を出していくべきだというふうに思っておりますけれども、ただ、やはり地方を考えると、さまざまな、いろいろな形での問題も控えていらっしゃるというふうに聞いています。

 今後の問題として、日程感みたいなものも含めて、最後にちょっと御答弁をいただければと思います。

あかま副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、公共放送のあり方については、業務、受信料、ガバナンス、この三位一体の改革を進めるべく、有識者において検討がなされておるところでございます。

 具体的な点でございますけれども、業務について、NHKから、全ての番組の常時ネットの同時配信を可能とするように、制度整備について要望を受けておるところでございます。

 なお、この点についてでございますけれども、国民・視聴者のニーズ、この対応という部分もはっきりさせなければならないし、また、民放との連携によるコストの低減、これについてもしっかり明確化しなければならない。また、技術開発の観点、この点についてもしっかりとしたものが見えなければならないというふうに思っております。

 委員今お話のあった受信料についてでございますけれども、NHKが常時同時配信をやるという検討を行うに当たっては、今まさにテレビを視聴されている、また受信料を支払っている世帯との負担の公平という観点、これも重要な部分だと思っておりますので、これをどう担保していくか、これについても検討、また明確化していかなければならないというふうに思っております。

 こうした課題について、引き続き、放送を巡る諸課題検討会、こういった場面においての議論を踏まえて具体的な方策を検討していくはずでございますけれども、現時点では、取りまとめの時期についてはまだ決まっていないという状況でございます。

武藤(容)委員 地域性にも大変配慮をしなきゃいけない大事な問題だと思いますので、ぜひ丁寧に、そしてまた迅速な決定を、そして開かれた形での結論をお願い申し上げて、終わります。

 どうもありがとうございました。

竹内委員長 次に、金子万寿夫君。

金子(万)委員 鹿児島県の金子でございます。

 早速、質問といいますか、上田会長、一月に就任をされました。

 鹿児島ラ・サールで中高をお過ごしになられたとお聞きをいたしておりまして、鹿児島にも多くの同級生がおられます。森市長もそうでしたね。そういう意味では、大変私も親しみを感じますし、鹿児島県選出の国会議員として期待もいたしているわけでございますので、頑張っていただきたいと思います。

 また、上田会長は、これまでに、経営委員あるいはまた監査委員として三年半業務に携わってこられました。それらの経験を生かして、先ほどお述べになりました方針に沿って成果を出していただきますように期待を申し上げたいと思います。

 改めてそのことをお聞きすることはないと思っておりますが、信頼される公共放送としての役割をしっかり果たしたいという強い決意を示されておられます。

 会長に就任されて二カ月弱になりますね。これまで会長としての業務に携わってきた、改めて内部を見て、あるいは国民のいろいろな声が届いておると思いますが、その感想を少しお聞かせいただきたいと同時に、また、経営のかじ取りをどういうふうにして行っていくのか、その抱負についてお聞かせをいただきたいと思っております。

上田参考人 お答えいたします。

 会長就任前にNHKの経営委員、監査委員を、先生おっしゃっていただきましたように三年半務めてまいりましたけれども、この経験を生かしてよいスタートを切ることができたのじゃないかなと考えております。

 例えば、就任早々に、会長の諮問機関としてNHK受信料制度等検討委員会を立ち上げ、放送と通信の融合時代に即した受信料制度のあり方などについて検討をスタートさせましたほか、これまでに、民放キー局や新聞、通信各社の経営トップの方をお訪ねし、相互理解を深めるのに努めてまいりました。

 視聴者・国民の皆様に直接支えられる公共放送の役割は、確かな情報や多様な番組をいつでも、どこでも、誰にでも分け隔てなく提供することで、健全な民主主義の発展と文化の向上に寄与することであると考えております。

 各方面との意思疎通を図るとともに、役職員とのコンセンサス経営を心がけながら、公共メディアへの進化を目指し、会長としての責任と覚悟を持って、挑戦と改革に邁進したいと考えております。どうかよろしくお願いいたします。

金子(万)委員 大変力強い、心強い所信を表明していただきました。成果があらわれますように期待をいたしているところでございます。

 平成三十年、私たち鹿児島県にとりましては非常に大きな風といいますか、追い風が吹く年だな、こういうふうに思っております。明治維新百五十年、そして、NHKの大河ドラマの「西郷どん」の放映ですね。大変期待をいたしております。

 鹿児島でも大変盛り上がっておりまして、これをどう我々地元が生かしていくのかという、県、市町村を含めた、県民のあらゆる分野での具体的な取り組みというのが今始まりつつあるわけであります。

 十年前に「篤姫」が放映をされました。そのときも、鹿児島県の大きな成果が観光面においてもあったと思っております。

 私は、ちょうどそのときに、十年前、八年間鹿児島県議会の議長をやっておりまして、同時に、鹿児島県の場合には県議会議長が観光連盟の会長を務めるわけでありますが、その「篤姫」放映が終わりましてすぐに、NHKから見るとちょっとせかしいなと思ったかもしれませんが、次の大河ドラマの放映の誘致を、委員会を組織して、NHKの方にも私も何度もお伺いをさせていただきました。

 そういう結果も踏まえて、今回の「西郷どん」の放映だ、このように思っておりますが、地元では、ロケの誘致協を含め各自治体などが、地元ロケをやってほしい、ゆかりの地でのロケをぜひやってほしい、こういう要望が強いんです。

 西郷さん、西郷どんは、愛犬を伴って県内各地をずっと狩猟に行かれたり、そして湯治に行かれたり、そういうゆかりの地がたくさんあります。私の奄美大島は、二度の流刑ですね。奄美大島の龍郷町、ここは愛加那がおられたところです。それから二度目が、徳之島に行かれて、その後、沖永良部に行かれた。奄美にはそういうゆかりの地がたくさんありまして、この地で西郷南洲の敬天愛人の思想は育まれたというふうに言われております。これは事実だ、こう思っております。

 そういう地域の豊かな自然や暮らし、人と人との温かなつながりを情報番組、ドラマなどで、さまざまなジャンルの番組で描きながら、全国に、世界に向けて発信していこう、こういうNHKの方針もあるわけでありますが、地域活性化にも生かしていくためにも、地元の南洲翁ゆかりの地の現地撮影といいますか現地ロケというのを期待もいたしておりますし、ぜひそのことを実現していただきたい、このように思っているわけでございますが、そのような要望に対してはどのような取り組みをされていかれるのか、お聞かせをいただければと思います。

木田参考人 大河ドラマは本部で制作するものなんですが、やはり視聴者のニーズであるとか時代の動きを酌み取って、一年間にわたって視聴者の興味を引きつけられる主人公は誰かということをいろいろ考慮した結果、来年の企画としては「西郷どん」に決定した次第であります。

 NHKとしては、何よりもまず良質の番組を制作して、地元を初め全国の方々にまず楽しんでいただきたいと思っております。その上で、地域を元気にする役割も同時に果たしていきたい、これも強く思っている次第であります。

 いろいろな番組がいろいろな形で鹿児島の歴史や文化を取り上げることになると思います。ぜひ、そういったものが全国にあるいは海外に発信されて、例えば奄美大島のすばらしさとかが、より、一人でも多くの人に伝わるようにと考えております。

 それで、ドラマのロケ地ですけれども、台本がまだ書き出して幾らもたっておりませんので、どこでどうロケができるかはまだちょっとお答えはできないんですけれども、そのような地元からの強い要望があることは制作担当者もみんな知っておりますので、そこは、そういうお気持ちも踏まえ、もし可能なことがあれば検討したいということで、今の時点ではこれぐらいで御勘弁いただきたいと思います。

金子(万)委員 今の御答弁、現時点では前向きに地元の者としてはしっかり受けとめていきたい、このように思っております。

 先ほど、平成三十年、鹿児島のことを申し上げましたが、もう一つ大きなことがございまして、ことしの三月七日ですか、奄美群島有人離島八島が国立公園に指定されました。先に昨年指定されましたやんばる国立公園、そして公園区域が広がりました西表石垣国立公園、こういう国立公園が島伝いに実現しました。

 そして、来年は、夏前には、奄美群島、奄美大島、徳之島、沖縄山原地域そして西表島、この南西諸島には既に世界自然遺産になっている屋久島も含めて五つの地域、島伝いに南西諸島の世界自然遺産ロードみたいなのができ上がってくるわけでありますが、地元も、こういう機会に地域振興にしっかり観光面を含めて取り組んでいこう、そういう取り組みをしているわけであります。

 ぜひ、そういうことを含めて後押しをしていただけるような番組放映になれば、このような地元の期待でございますので、もう時間も来ておりますから質問はしないことにしまして、一言申し上げて終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、池田道孝君。

池田(道)委員 自由民主党四番バッターの池田道孝でございます。

 このNHKの予算につきましては、従来は全会一致で大体採択されておった。ただ、この二、三年につきましては、いろいろなことがありまして、そういうことになっておりません。

 上田新会長におかれましては、今までの経緯も御承知でありましょうし、また、先ほど高市総務大臣の方からの提案理由の中にも、七千百十八億円のほとんどが視聴者の皆様方の受信料によって賄われているということでございます。そうした面も含めまして、新しい予算に対する決意、思いにつきまして、上田会長にお尋ねをいたします。

上田参考人 お答えいたします。

 公共放送でありますNHKは、視聴者・国民の皆様からの幅広い信頼の基盤の上に成り立っておりまして、国民を代表する国会において全会一致で予算承認をいただくことがその信頼のあかしになると考えております。

 私は、NHKの経営委員、監査委員を三年半務めた経験を踏まえまして、役職員としっかり意思疎通を図りながら、コンセンサス経営を目指したいと考えております。

 その上で、民放との二元体制のもと、放送と通信の融合時代にふさわしい公共メディアへの進化を見据え、会長としての責任と覚悟を持って挑戦と改革に邁進したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

池田(道)委員 ぜひ今後とも頑張っていただきたいと思います。

 それから、予算の中で、建設積立資産一千七百七億円でございますが、今年度はその積み立ての予定はないようでありますけれども、もともと、従来、新築移転も含めていろいろな計画をされておられたと思います。現在は、今の地に一体整備をされるということでございますけれども、実際かかられるのが二〇二〇年、そしてでき上がりが三六年というかなり先のことでございます。

 そうした中、現状では、資材の高騰あるいは人件費の高騰等で入札が不成立ということもございます。こうした点を踏まえて、今後、この予算の中で計画が完全になされるのか。必ずしもふやせばいいというものではございませんけれども、そのあたりにつきましてお考えをお聞かせ願いたいと思います。

大橋参考人 お答え申し上げます。

 今委員が御指摘になりました千七百億円といいますのは、去年八月に策定をいたしました放送センター建替基本計画でお示ししたものでございまして、直近のNHKの地方放送会館建設の際の契約実績額からスタジオや事務室など各機能の平米単価を出しまして、それを積み上げまして想定建設費といたしたものでございます。

 委員御指摘のように、今後、社会経済情勢の変化などによりましてコストが変動することもあるかもしれません。ただ、現時点では、基本計画で想定したこの金額が事業運営の前提でもございますし、皆様にお示しした金額でもございますので、この事業規模でおおむね実施できるよう、こだわりを持って最大限の工夫と努力をしてまいりたいというふうに考えております。

池田(道)委員 次に、受信料についてお尋ねをいたします。

 大体、今、いろいろなNHKを取り巻く環境というものは厳しいものがございます。平成十六年ですか、不祥事が起き、十七年の受信料の支払いというものが非常に滞りまして、不払い運動等が起きたようにも記憶しております。

 現状も、きょうも左藤委員も質問されました、新聞にも載っておりました、大変厳しい言い方ではございますが、そういう状況においても、二十六年度、七年度、八年度、九年度と、年々受信料がふえております。

 そのあたりが視聴者の皆様方の御理解があってのことだろうと思いますけれども、その点につきましてNHKさんとしてはどのようにお考えか、まずお尋ねをいたします。

松原参考人 お答えします。

 不祥事につきましては、営業現場において、お客様から厳しい意見をいただいています。その場合、丁寧に御説明をして、御理解をいただくように努めているということでございます。

 その上で、受信料の支払い率については、これまで着実に向上させてきており、今のところ、平成二十八年度末で経営計画どおり七八%を達成する見込みでございます。

 これは、法人委託の拡大による契約収納体制の整備や民事手続の着実な実施、あるいは公益企業との連携など、営業改革を一層進めてきたということと、全役職員挙げて受信料制度の理解促進活動に取り組んできた結果であると考えていますが、引き続き、丁寧なお客様の対応に努め、支払い率の向上に努めていきたいというふうに思います。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 二十九年度は八〇%ぐらいの支払い率を予定されておられるようでございますが、いわゆる受信料の公平負担という観点からいきますと、まだまだ不十分だろうと思います。九五パー、九八パーということは申し上げませんが、少なくとも八五パーぐらいの支払い率には上げていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 質問に入ります前に、協会の職員の不祥事に関して一言申し上げておきたいと思います。

 これは、先ほど総務大臣の意見の中に、特に配慮すべき事項としてのお話もございましたが、やはり受信料で成り立っているNHKの性格から考えて、協会の一連の不祥事については協会として厳しく重く受けとめていただいて、再発防止策を講じることは当然のこととして、徹底してコンプライアンスについて取り組んでいただきたい、このことをまず強く申し上げておきます。

 質問に入ります。

 きょうは、放送センターの建てかえ、それから新しい札幌放送会館、いわゆる地方放送会館の整備について、大要二点お伺いしておきたいと思います。

 まず、放送センターの建てかえですけれども、これは私もこれまで何度か質問をしてまいりました。

 放送センターの建てかえにつきましては、昨年の八月三十日に公表された基本計画に従って計画を進めている、このように認識をしております。世界を代表する公共メディアの拠点に、あるいは防災・減災の拠点になる等いわゆる四つの基本コンセプトのもとに、八つの建てかえに当たっての方針を定めておられます。

 現在のNHKの放送センターは、昭和四十年、これは東館の運用開始から始まって、西館、本館、NHKホール、北館と順次建設をしてまいりました。そして、平成十六年のふれあいホール、これで現段階での全ての施設が完成をしているということでございます。

 今回の新放送センターについても、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック、この終了後から順次工事を開始して、第一期、第二期の工程を経て、全部で十六年間でこの工事を完了する、こういう予定となっていることを承知しております。

 そこで、一点伺っておきたいんですけれども、NHKホールの継続使用についてなんです。

 建物としてはNHKホールよりも新しい北館それからふれあいホール、これが解体されるのに対して、それよりも古いNHKホール、これは継続使用となっています。

 必要な補修を行うということで、これは理解できるんですけれども、しかし、建物の耐震等に問題はないのか。また、そもそもなぜこのNHKホールのみ継続使用と決めたのか、その理由をお伺いしたいと思います。

大橋参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のNHKホールにつきましては、御指摘のとおり、昭和四十七年の竣工以来、紅白歌合戦それからNHK交響楽団のコンサートの舞台として、大変皆様に親しんでいただいてきております。

 こうしたこともありまして、去年夏に公表した建てかえ基本計画には、ホールの建てかえ計画は盛り込みませんでした。

 耐震についてということでございますけれども、平成十四年に耐震補強工事を実施しておりまして、おととしからは天井の補強も進めてまいっております。

 ただ、そうは申しましても、完成から既にもう四十年以上が経過しているということもありまして、基本計画の中にも記してございますけれども、いつまで使うのか、その後どうするのかということにつきましては、こうした老朽化を受けまして今後検討をしていくということにしておりますので、皆様の御意見も伺いながら、今後のホールの扱いにつきましては引き続き幅広に検討してまいりたいというふうに考えております。

稲津委員 ぜひ御検討を進めていただきたいと思います。

 それで、放送センターの建てかえについては、総務大臣の意見では、基本計画の合理性、妥当性など国民に理解の説明を尽くすべきである、それから、設計業者、施工業者の選定については客観性、透明性の確保が求められている、このようになっています。

 それから、二つ目、これは大事な視点だと思いますけれども、地方からの情報発信、地方創生への観点、また、あるいは災害時のバックアップの機能の充実の観点、こうしたことから、地方分散を積極的に検討すべきである、このようにございます。

 この機能の地方分散について、現状どのような検討がなされているのか、この点についてもお示しください。

大橋参考人 お答え申し上げます。

 去年夏に公表いたしました放送センター建替基本計画では、「地方のさらなる活用検討」という項目を今後の検討課題の一つとして明記してございます。

 現在、建てかえ後の放送センターの建物ごとに具体的な機能をどう配置するのか、どういった部門が入るのかなど、プロジェクトをつくって検討を進めているところでございます。この検討の過程で、渋谷の放送センター以外に配置できる機能はないのかなど、最適な配置を考えていきたいと思っております。

 また、工期が長期に及びますので、その間、番組の制作を地方の放送局を使ってつくることなど、地方の活用も必要になってまいると存じております。

 いずれにしましても、将来の放送センターに業務スペースの余裕を生み出すこと、それから、御指摘のとおり、リスク分散の観点からも、渋谷以外に機能の配置を検討する必要があるという認識を持っておりますので、今後、建てかえ計画の具体化に合わせてさらに議論を進めてまいりたいと考えております。

稲津委員 今、御答弁いただきましたけれども、今回決定されたこの建てかえの基本計画においては、しっかり見ていくと、やはり地方への移転の機能はなくて、これは今後の検討課題になっていく、ここにとどまっているわけでございます。したがいまして、この総務大臣の意見もしっかり受けて、機能の地方分散に、しっかり検討を進めていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。

 最後になりますけれども、地方放送会館の整備についてということでお伺いします。

 これは、平成二十九年度の予算にも二百十五億三千万計上されていまして、既に築四十年以上経過している全国の三十二の放送局のうち、現在、八つの地方放送会館の建てかえが進められていると承知しています。

 特に一番古いのが札幌の放送会館で、築五十七年経過。現在、これは新札幌放送会館として、今の放送会館とは違う場所で今年度工事着工、平成三十二年度運用開始、こういうことで準備が進められております。

 北海道の場合は、広域分散型、寒冷地とか、さまざまな条件の違うところの中で、しかしながら、この新札幌放送局の担う役割というのは極めて大きいものと思っていますが、渋谷の放送センターの建てかえの基本コンセプトそれから基本方針はございますけれども、この札幌放送会館、一体どのようなコンセプトや方針で設計され、そして建設が進められるのか、この点についてお伺いしておきたいと思います。

森永参考人 お答え申し上げます。

 札幌放送会館につきましては、今おっしゃったように、二十九年度着工、三十二年度に竣工、運用開始を予定しているところでございます。

 ここは、大規模地震発生後も放送を継続でき、命と暮らしを守る防災・減災報道の拠点として、地域から信頼される安全、安心を守る放送局を目指しております。

 また、北海道におけるNHKのキーステーションとして、豊かな地域文化を北海道全体にきめ細かく提供すると同時に全国、海外へ発信し、地域の期待に応える質の高い放送サービスを提供していく所存でございます。

 さらに、視聴者に開かれた放送会館とするため、さまざまな公開イベントなどに対応し、人々が気軽に集う地域のランドマークとしても親しみが持てる放送会館を目指しております。

 なお、4K、8Kの番組制作やインターネットを活用したサービス拡充等にも柔軟に対応できるように設計しております。

稲津委員 時間が参りましたからこれで終わりますけれども、そのほかにも全国に老朽化した放送会館がございますので、しっかりこの建てかえの準備、計画を練っていただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わります。

竹内委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 稲津委員に引き続きまして、質問をさせていただきます。

 私の方からは、先ほども御答弁の中にありましたが、NHKワールドTV、約百六十の国・地域で今視聴が可能だということで、まさにこのワールドTV等を使っての海外への情報の発信の強化充実について質問をさせていただきます。

 昨年、二〇一六年の日本への外国人の旅行者数は、約八百万人だった二〇一二年の三倍の二千四百万人、このような形で、その経済効果は約四兆円というふうに言われております。

 そして、日本では、東京オリンピック・パラリンピックが開催をされる二〇二〇年には外国人旅行者四千万人、さらに二〇三〇年には六千万人にふやす目標を掲げております。経済効果についても、二〇二〇年は八兆円、そして三〇年には十五兆円に拡大する、そういった形で目指しているところでございます。

 そこで、我が国が唯一全世界をカバーするNHKワールドTV、この役割というのは非常に大きいと私は感じているわけでございまして、このNHKのテレビ国際放送、NHKワールドTVにおける外国人旅行者をふやすための取り組みにつきまして、まずお聞かせ願えますでしょうか。

木田参考人 お答えいたします。

 二〇二〇年に向けて日本に対する世界の関心が高まる中、日本各地の魅力を世界に発信することはNHKの国際放送の重要な役割の一つであるというふうに考えております。

 より多くの視聴者に日本各地の魅力を伝えるために、NHKワールドTVでは、紀行、観光情報番組を強化しております。例えば、来年度は、東京とか京都とかいう有名な観光地だけでなく、全国各地の観光情報を紹介するような番組も新設する予定です。

 また、こうしたNHKワールドTVの番組をもっと視聴してもらうための周知広報活動といいますか、いわゆるプロモーションですけれども、これも強化しております。海外で開催される日本関連のイベントに出展したり、航空機の機内誌であるとか空港のロビーなど訪日外国人の方が目にしやすいような場所では広告を掲載したりするとか、あるいは、訪日前はもとより、滞在中のさまざまな機会を捉えて周知するように努めております。

 今後も、海外の方の有用な情報源として活用していただけるよう、内容をさらに充実させたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに、一つ一つの裾野を広げる、一人でも多くの方に日本のすばらしさを知っていただく、そういった放送と同時に、やはりリピート率の向上もしっかり図っていく、そういった取り組みも必要ではないかと思っております。

 先ほども少し触れていただいたんですけれども、もう既に世界的に有名になっている観光地だけではなく、日本の各地の魅力ある観光地にも行ってみたい、また来たい、このような思いが湧くような情報を提供していく、こういったことも必要かと考えております。

 そこで、先ほどのインバウンド増への国際放送の展開とともに、リピーター増に向けた放送内容の充実についてどのような取り組みをなされるのか、お伺いを申し上げます。

木田参考人 お答えいたします。

 NHKワールドTVの番組編成や個々の番組につきましては、視聴者の具体的なニーズを把握するために、海外のモニターからの評価や視聴者からの意見、感想などを分析しております。あるいは、ウエブサイトへのアクセスなどの分析、解析も行っております。

 さらに、日本人の目からだけではなく外国人の方の目線で見た場合にどういうことが魅力的かということが結構ポイントかと思いまして、そういった海外の方のニーズを取り込むべく、新たに新設する番組では、外国人旅行者のSNSであるとか旅行サイトの投稿動画や感想など、そういったものを紹介しながら、来日してすぐ役立てていただけるような情報をたっぷり御紹介しようと思っております。

 なお、先ほど、全国各地の観光情報を紹介する番組、来年度と言いましたが、今年度からスタートしております。失礼いたしました。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まさに、日本の視点というより外国人の、来た方の視点で、それから多く広がってくる、また日本にももう一回行きたいみたいな流れができる、そういった番組をぜひ進めていただければと思います。

 一方で、日本、人口減少の時代に突入した中で経済の成長を持続させていくためには、やはりアジア地域、今後成長が見込まれるアジア地域の海外需要をいかに取り込んでいくか、そういったことも必要なのかなというふうに考えるわけでございます。

 そこで、NHKの国内コンテンツ等を活用してアジア諸国への日本の文化や情報の伝達をしっかり進めることによって、日本のいろいろなサービスや情報がアジアの人に受け入れやすくなる、そんな取り組みをNHKとしてしっかり進めるべきだと考えるわけでございますが、その点についての取り組みについてお聞かせ願えますでしょうか。

黄木参考人 お答えします。

 NHKの番組の平成二十七年度の海外への販売実績は、三十三の国と地域におよそ六千七百本で、その売り上げのおよそ七〇%はアジアでございます。

 こうした番組販売に加えまして、アジアでの展開強化策として、現地の放送局の協力を得まして、NHK番組の定時枠を設ける事業を進めています。ミャンマーでは、地上波放送局の夜の時間帯にNHK番組の定時枠が定着しておりまして、これまでに「あまちゃん」「龍馬伝」といったドラマだけでなく、日本を紹介する情報番組を放送しています。

 また、ベトナムの国営テレビに去年誕生いたしました教育専門チャンネルへの制作支援にも力を入れておりまして、幼児番組の「いないいないばあっ!」のベトナム版を制作いたしております。

 さらに、中国でも、この「いないいないばあっ!」のリメーク権をライセンスしましたほか、放送と連動した商品等を展開することが決まっております。具体的には、DVD、出版、キャンペーン、イベント等の計画を進めております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 今、ミャンマーだとかベトナムまた中国、日本のコンテンツをしっかり伝えながら、日本に対しての正しい理解というか、また、いろいろな信頼をかち取れるような、そんな取り組みもぜひ進めていただければと思います。

 このような諸外国との相互理解を深める取り組み、さらに、先ほど申し上げました観光というのは、我が国の力強い経済力を取り戻すため、極めて重要な成長分野であるわけでございます。

 特に、急成長するアジアを初めとする世界の観光需要を日本全体、地域にも取り込むことによって、地域経済、また日本の経済の底上げにつながる、このように確信をするわけでございますが、NHKの二十九年度予算には、テレビ国際放送を強化するために、国際放送関係費として、昨年に約十億円上乗せの三百十二億円が計上されているわけでございます。

 そこで、改めまして、日本の経済成長を支え、日本のプレゼンスを向上させるために、上田会長のNHKのテレビ国際放送並びにコンテンツの海外展開の拡充への思い、決意についてお聞かせ願えますでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 国際発信力の強化は大きな経営であると認識いたしております。グローバル化した世界で日本の存在感を示す役割を果たすことは、公共放送NHKとしての大きな使命だと考えております。一層の強化を図ってまいります。

 日本各地の魅力を世界に発信することで地域の活性化にも積極的に貢献するほか、さまざまな形で国際展開を推進することで、日本のブランド力を高めることにもつながるものと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 NHKの国際放送、日本の経済の発展に大きく寄与することを期待しまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

竹内委員長 次回は、来る二十一日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十八分散会


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