衆議院

メインへスキップ



第17号 平成29年5月11日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十九年五月十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 古賀  篤君 理事 左藤  章君

   理事 坂本 哲志君 理事 田所 嘉徳君

   理事 葉梨 康弘君 理事 小川 淳也君

   理事 奥野総一郎君 理事 輿水 恵一君

      池田 道孝君    大西 英男君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      金子万寿夫君    金子めぐみ君

      神山 佐市君    菅家 一郎君

      小林 史明君    新藤 義孝君

      鈴木 憲和君    高木 宏壽君

      谷  公一君    津島  淳君

      土屋 正忠君    冨樫 博之君

      中川 郁子君    野中  厚君

      宮川 典子君    武藤 容治君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    逢坂 誠二君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      鈴木 克昌君    高井 崇志君

      武正 公一君    福田 昭夫君

      稲津  久君    梅村さえこ君

      田村 貴昭君    浦野 靖人君

      吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   総務副大臣        原田 憲治君

   総務大臣政務官      金子めぐみ君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   農林水産大臣政務官    矢倉 克夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  土生 栄二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  日下 正周君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 大塚 幸寛君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 緒方 俊則君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 高木 勇人君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           三宅 俊光君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          高原  剛君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  林崎  理君

   政府参考人

   (総務省情報通信国際戦略局長)          谷脇 康彦君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            富永 昌彦君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   今林 顯一君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大庭 誠司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中石 斉孝君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           伊藤 明子君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         廣瀬 隆正君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         潮崎 俊也君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 水嶋  智君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 正田  寛君

   参考人

   (日本放送協会会長)   上田 良一君

   総務委員会専門員     塚原 誠一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     勝俣 孝明君

  鬼木  誠君     野中  厚君

  金子万寿夫君     津島  淳君

  菅家 一郎君     中川 郁子君

  小林 史明君     神山 佐市君

  逢坂 誠二君     福田 昭夫君

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  勝俣 孝明君     池田 道孝君

  神山 佐市君     宮川 典子君

  津島  淳君     金子万寿夫君

  中川 郁子君     菅家 一郎君

  野中  厚君     鬼木  誠君

  福田 昭夫君     逢坂 誠二君

  浦野 靖人君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  宮川 典子君     小林 史明君

    ―――――――――――――

五月十日

 地方自治法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方自治法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会会長上田良一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官土生栄二君、内閣審議官日下正周君、内閣府大臣官房審議官大塚幸寛君、大臣官房審議官田中愛智朗君、大臣官房審議官緒方俊則君、警察庁長官官房審議官高木勇人君、総務省大臣官房総括審議官三宅俊光君、自治行政局長安田充君、自治行政局公務員部長高原剛君、自治財政局長黒田武一郎君、自治税務局長林崎理君、情報通信国際戦略局長谷脇康彦君、総合通信基盤局長富永昌彦君、政策統括官今林顯一君、消防庁次長大庭誠司君、外務省大臣官房審議官相木俊宏君、経済産業省大臣官房審議官中石斉孝君、国土交通省大臣官房審議官伊藤明子君、大臣官房技術審議官廣瀬隆正君、大臣官房技術審議官潮崎俊也君、鉄道局次長水嶋智君及び環境省大臣官房審議官正田寛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鬼木誠君。

鬼木委員 おはようございます。自由民主党の鬼木誠でございます。

 一年九カ月ぶりに総務委員会に戻ってまいりました。早速、一般質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、日本の山の再生、その中でも木造建築物の振興について質問したいと思います。

 日本の山が大変荒れて久しくなっております。

 かつて、日本人の生活は山とともにありました。有名な「桃太郎」といった昔話でも、おじいさんは山へしば刈りに行き生計を立てるというのが日本人の暮らしでございました。

 昔から山持ちといえば資産家であったわけでございますが、今では、山はもはや資産ではなく、負担になっているかのような状況がございます。整備されない山がふえ、そして、荒れたまま保有者が亡くなり、その相続、相続ということでどんどん名義、所有者が不明の土地もたくさんあらわれてきている。こういう中で、私たちがどうやって山を守っていくのかということを考えていきたいと思います。

 日本の山を再び資産そして宝の山としていくためには、木材資源を経済活動のベースに乗せていかなければならないと思います。国産材が十分な価格で売れないから山を管理しない、切ってもお金にならないということで、山が荒廃を続けております。国産材に価格がついて、そして市場で流通すれば、山も管理されるようになるし、山が資産になる。そうやって、人が住む山里、人が管理する山というものをつくっていかなければなりません。

 私が国産材の出口戦略として有効だと考えているのが、木造の中層マンション、コンドミニアムや、老人施設や幼稚園、保育園といった大規模木造建築物でございます。

 耐震性は十分だと聞いております。耐久性もまた十分だと聞いております。アメリカやカナダでは六階建てくらいまでの建物が普通に建ち、そして人が暮らしているということも聞いております。アメリカの西海岸の方に行きますと、木造の五階建てマンションなどがたくさん建っているということも聞いておりますので、私はできれば近いうちに西海岸に行ってそうした建物を見てきたいなと思います。

 アメリカやカナダそしてヨーロッパで一般的に普及している木造建築がなぜ日本で普及できないのかというのが、今回の私の問題意識でございます。

 アメリカ、カナダで普通に建っているものが何で日本で建たないのか、普及しないのか。その一因に、規制によるコストの増加というものがあるのではないかということを感じております。

 日本で問題になっているのは、耐震性や耐久性ではなく、耐火性の規制が問題になっているようです。日本は、地震も多く、また、国土が狭いということもあり、住宅が密集しており、道路も狭い、そういった住宅事情から、欧米よりも厳しい耐火基準、防火基準が設定されているのではないでしょうか。

 国交省の建築基準法では、四階建て以下の建物の場合、一時間耐火という基準を満たさなければなりません。強化石こうボードの厚さ二十一ミリの二枚重ねが必要ということになります。それ以上の高さを建てるとなれば、今度は二時間耐火という基準を満たさなければなりません。先ほど述べた強化石こうボード二十一ミリのものを三枚重ねにしなければならないということになってきます。これらがコストアップの原因となっていると聞いております。一枚のボードが大変重たいものだそうで、それを何千枚も打ちつける工法で建てるというのは大変な労力、手間賃がかかるということです。

 この耐火被覆基準を緩和できれば、木造建築の振興に大きく寄与するのではないかということを私は考えております。

 今のが国交省の耐火の壁の基準でございますが、一方、総務省では、消防法で用途ごとにスプリンクラーの設置を義務づけております。木造建築物においてスプリンクラーの設置基準はどのようになっているのか、また、地震などの電源喪失時においてもスプリンクラーが作動することは求められているのかということを総務省にお伺いいたします。

大庭政府参考人 お答えします。

 消防法令におきまして、建築物の用途や規模においてスプリンクラー設備を設置すべき対象物を定めておりますけれども、木造建築物と非木造建築物とで設置基準に差は設けておりません。例えば、旅館等であれば原則として延べ床面積六千平米以上のものに、あるいは物品販売店等であれば原則として延べ床が三千平米以上のものにスプリンクラー設備を設置する必要がありますけれども、いずれの場合も木造と非木造とで差は設けておりません。

 また、地震等に関してということでございますが、基本的にはスプリンクラーは熱あるいは煙を感知して動くような形になっております。

 以上です。

鬼木委員 スプリンクラーについて、総務省の設置基準を伺いました。

 それでは、そのスプリンクラーを積極的に評価することによって耐火被覆仕様の規制を緩和することはできないかということを考えてみたいと思います。

 火が起こったときに、スプリンクラーが作動して水をまくわけですね。そのスプリンクラーは地震等があったときにも稼働しなきゃいけない。そのときに、これらの機能を積極的に評価して防火の壁の基準を緩和することというのはできないか、国交省の見解をいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 建築基準法においては、火災時に建物の外まで安全に避難できることや、火災時の倒壊による周囲への延焼を防止すること等の観点から防火基準を定めております。

 具体的には、多数の者が利用する商業施設、就寝利用する共同住宅、病院、それから大規模木造建築物などについて、耐火建築物とすることを求めております。

 御指摘のありましたスプリンクラー設備につきましては、火災の初期の段階における消火に対しては非常に効果があるというふうに思っておりまして、初期の避難を確保する観点から必要としております例えば内装制限の規定などにつきましては、スプリンクラー設備の設置によって緩和するための措置を可能としているところであります。

 一方で、火災が長期化した場合におきましては、スプリンクラー設備の効果というのは限定的となります。したがって、柱、壁など建築物そのものを支える、要は倒壊を防止するというような必要があるものにつきましては、その耐火性能をスプリンクラー設備の設置によって代替することは難しい、このように考えております。

鬼木委員 今の御答弁によりますと、スプリンクラーは初期消火のために効果を発揮してもらうもので、建築基準法の耐火の基準というのは、長期にわたって燃えたときの構造、これを守るための基準ということで、それぞれに役割が違うのだということがわかりました。なので、スプリンクラーを積極的に評価すれば壁の基準が緩められるものではないということは私も理解ができました。

 しかしながら、やはりどうしてアメリカ、カナダでできるものが日本でできないんだろうというような思いがありまして、この耐火被覆基準を緩められないかなというのが私の問題意識としてございます。

 昨年の糸魚川の大規模火災に見られますように、密集市街地のリスクがやはり非常に高いということを私たちは目の当たりにいたしました。そうした中で、こういう基準を下げろというのも、なかなか私自身も言いにくい話ではあるんですね。

 規制緩和というのは、経済活動の上で不必要に厳しい基準というものを緩めることができないかというチャレンジでございまして、その規制緩和のときに緩和する法律、規制というものは、何らかの国民の利益を守っている、保護している規制なんですね。この場合でいうと、国民の安全、火災に対する安全を守る基準でございますので、この国民の安全を守るという保護法益というものは決してないがしろにしてはならないものだと思います。

 そうした中でも私たちが規制緩和にチャレンジするというのは、安全と両立させながら、たくさんの価値があるものを生み出していこうという一つのチャレンジでございます。それは、木材を経済の世界に引っ張り込むことで山が宝の山になり、そこに人々の地方の生活が成り立ち、そして山の機能、美しい山というものが復活する。そして、それは地方創生にも資するものであるし、国土強靱化にも資するものであるし、また地球温暖化対策にも資するものである。本当に多面的な山の価値というものを引き出すために、その出口戦略としてこの一つのチャレンジをしているわけでございます。

 簡単には諦めたくないというところで、何度もチャレンジをしていきたいと思うんですが、その中で、安全性を確保しながら不必要に厳しい部分をどうやって緩めていくことができるのかということを考えていきたいと思います。

 また糸魚川の話にも戻りますが、本当に密集市街地、国土が狭いので住宅が密集している、また、道路が狭くなっていて消防車が入れないところだってある、そういうときのために建物が十分な耐火を満たしているかというこの基準があるわけでございますが、この基準は密集しているところもそうでないところも一律に厳しく縛ってはいないかということを伺ってみたいと思います。

 ハイリスクの場所も、またそうでない場所も一律の基準となっていないか、敷地周辺の十分な空き地の確保や幅員の広い道路への接道など、安全性が確保できる場合には柔軟な規制緩和が考えられないかということで、この基準について国交省からの御意見をいただきたいと思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 建築基準法における市街地火災に対する防火規制については、地方公共団体がその地域の状況を踏まえ、防火地域や準防火地域といった地域指定を行い、その地域に応じた防火上の基準を定めているところです。

 またさらに、個別の状況に応じまして木造建築物の実現をしやすくするため、例えば、建築基準法の第三条に基づきまして、伝統的な木造建築物の保存などを図るために、地方公共団体の条例により建築基準法の適用を除外するとか、あるいは、建築基準法第三十八条に基づきまして、建築物の利用方法や周辺の状況など個別の状況を踏まえて、避難や周辺への影響について個別に安全性を確認した上で、国土交通大臣の認定によって基準の緩和を行う、このような仕組みも用意されているところでございます。

 このような措置によりまして、安全性を確保しつつ、それぞれの個別の状況を踏まえ、木造建築物についても実現するような格好で対応させていただきたい、このように思っているところでございます。

鬼木委員 先ほども申し上げましたが、日本の今荒れた山を再生して宝の山に変えていくということは、地方再生であり、また国土強靱化であり、地球温暖化対策にも資する政策でございます。今後とも、国産材の経済的出口戦略に知恵を絞っていきたいと思います。

 その切り口の一つが規制緩和であったわけでございますが、一方で、森林再生の財源として私が期待をしておりますのが森林環境税でございます。まだ国の方では森林環境税というのはできていないわけですが、私が県議会にいた福岡県では、一人五百円の財源をいただいて、都会に住む人も森林の受益者として環境税を支払って、森を守ってきたわけですね。

 まだこれからの議論ではございますが、山の再生が地方の再生につながるという期待があると思います。高市大臣から御意見、御期待をお聞かせいただければと思います。

高市国務大臣 森林環境税につきましては、平成二十九年度与党税制改正大綱において、市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、具体的な仕組み等について総合的に検討し、平成三十年度税制改正において結論を得ることとされています。

 やはり森林所有者の特定困難ですとか境界の不明、担い手不足といった長年積み重ねられてきた根本的な課題がありますから、その対策は急務だと考えております。

 大綱におきましては、市町村の役割を明確にしつつ、必要な森林関連法令の見直しを行うこととされておりますので、現在、林野庁において、市町村が実施する森林整備等について、施策の具体化が進められています。

 総務省でも、具体的な検討を行うために、森林吸収源対策税制に関する検討会を設置して、議論を行っております。

 今後は、林野庁と連携しながら、国民の皆様に等しく負担を求める際の具体的な仕組み、国、都道府県、市町村の役割分担や連携のあり方など、こういった論点についての整理を進めまして、条件不利地域における森林整備等の財源確保に向けて、地方団体を初めとして幅広く御意見を伺いながら、丁寧に検討を進めてまいります。

鬼木委員 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。

 質問の機会を与えていただきまして、感謝を申し上げます。

 本日は、IoTによる地域の活性化、まさに地域IoTの社会実装の推進について質問をさせていただきたいと思います。

 IoTの進展により、物や事がインターネットにつながり、情報のやりとりをすることで、物事の集中管理やそれに基づく自動化等が進むことにより、私たちの生活を支える新たなサービスや製品、商品が次々と生み出されることが期待されているわけでございます。

 既に、ウエアラブル端末で日常生活の中で体調の変化を検知し、疾病の重症化の予防をすることや、無数のセンサー、幾つかのセンサーを農地や家畜等につけて、現場の状況に応じた適時適切な個体の管理の推進、さらに、運転ができなくなっても行きたいところに安全に行ける自動運転など、さまざまなサービスの実証テストが国内各地で展開をされているわけでございます。

 人々の住みなれた地域での生活を支えるIoT、また地方創生の牽引力となるIoTの社会実装の促進は、少子高齢化が進むと同時に人口の都市部への集中が進む日本にとって待ったなしの課題であると思います。情報通信基盤と地方自治の健全な発展を進める総務省の役割はますます重要になっている、このように感じております。

 このような背景の中で、総務省では、IoTによる地域の活性化を目指し、さまざまな地域における先導的なIoTサービスの創出支援事業を精力的に行っているわけでございますが、まず初めに、地方創生、地域経済活性化のためのIoTサービスの展開として、地方創生といえば観光関係の振興だとかあるいはふるさとテレワークとかさまざまあるんですけれども、きょうは、農林水産業について、まず、地域の自然の資源を生かした地域振興ということで確認をさせていただきたいと思います。

 今日、第四次産業革命の流れの中で、農業や水産業においても、地方自治体、大学、企業等から成る地域の主体がIoTサービスの事業の実証に取り組み、自動の耕作機の導入や、センサーによる農作物や家畜に加え漁場の管理、それぞれの現場で、課題の抽出とデータの利活用による課題解決モデルの構築に取り組んでいるわけでございます。

 ここで伺いますけれども、地域経済のいよいよ新たな牽引力となる農林水産業を目指して、今、IoTによる新しい農業また水産業の創造に向けた実証実験の現状、実施状況についてお聞かせ願えますでしょうか。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、農林水産分野では、ICT、IoTの活用によりまして、労働力負担の減少、あるいは生産性の飛躍的な向上といった大きな効果が期待できると考えております。

 そこで、総務省におきましては、農林水産省さんの御協力も得ながら、例えば、農林水産分野の新たなIoTサービスといったものについて、その創出を後押しするための実証事業に取り組んでおります。

 若干簡単に御紹介申し上げますと、例えば、昨年度でございますと、宮城県の東松島市におきまして、海洋ビッグデータを活用したスマート漁業モデルという事業を実施しております。ここでは、海に浮かべるブイにセンサーとか水中カメラを取りつけまして、潮の流れ、水中画像、こういったデータを収集、分析することによりまして、漁獲量の予測、あるいはそれに基づく効率的な出漁ということに役立てますとともに、マーケットとなりますような飲食店などが漁業者の方に直接注文できる、こういった産地直送のモデルの実現を目指すものでございます。

 また、今年度におきまして、愛媛県におきましては、ビッグデータを活用した水産業支援ということで、海の状況を予測するIoT海況予測サービスといったことの創出に取り組むこととしております。海中にセンサーネットワークシステムを構築いたしまして、水温の変動、赤潮の発生、こういった情報を可視化しまして、地元の漁協、水産業の方々に迅速に提供することによって生産高の増加などを目指すものでございます。

 さらに、長野県で取り組み始めた、IoTを活用したワインブランド創出スキームというプロジェクトにおきましては、センサーで観測した土壌あるいは気象などのデータを蓄積、分析いたしまして、ワイン用のブドウの収穫、害虫駆除の最適なタイミングを予測することなどを通じまして、高品質なブドウ栽培の確立、あるいはワインのブランド力向上ということを目指すというものでございます。

 総務省といたしましては、こうした実証プロジェクトを通じて、スマート農業の普及、展開、あるいはその地域実装を進めまして、若い方々にも魅力のある、また、先生御指摘のとおり、地域経済の牽引力となり得る農業の実現に貢献してまいりたいと存じます。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに、IoTの活用で若い人たちが夢や希望を持って取り組める、そんな農業の実現もぜひ期待をするわけでございます。

 今御紹介ありました海洋ビッグデータを活用したスマート漁業、ここでは、首都圏の個人飲食店を含む小規模飲食店が漁業者と直接やりとりをする海産物の産地直送の取り組み、こんなことも今視野に入れて検討されているということを伺ったんですけれども、まさに、農業や水産業のそれぞれの産物が市場で適切な価格で取引され、農林水産業に従事する人々が安定した形で収入が得られる、そういった流通の仕組みの構築が非常に重要であると考えるわけでございます。

 本日は、農水省の方から矢倉政務官にいらしていただいておりまして、ちょっとここで伺いたいんですけれども、このように、生産の現場のデータを活用して、消費の現場におけるより付加価値の高いサービスの展開について、農林水産省として、現状と今後の考えにつきましてお聞かせ願えますでしょうか。

矢倉大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、農林水産業の今最大の課題は生産者の所得向上でありますが、そのためには、農林水産物の付加価値を高めなければいけない。

 どうすればよいかといえば、やはり生産者の創意工夫がしっかり価格として乗らなければいけないわけでありますが、そのために必要なのが、生産者のそのような情報をしっかり実需者のニーズとマッチングさせる、生産者と実需者が直接結びつくことが必要であり、ICTというものの活用が非常に重要であるということは、今委員が御指摘いただいた例も含めまして、改めて申すまでもないことであるかというふうに思っております。

 農林水産省におきましては、現在御審議いただいている農業競争力強化支援法案に、農産物の流通等における情報通信技術等の技術の活用の促進、また農産物の出荷等に必要な情報の入手の円滑化、これを位置づけまして、ICTを活用し、農業者がみずから販売先を選択できる、また実需者からは、自分のニーズに合った生産者はどこにあるかということがわかる環境の整備をしております。ウエブシステムをつくって、例えば、利用も無料、誰でも閲覧可能、キーワードや条件などで自分のニーズに合った人を選べるようなシステムをつくる予定でおります。

 四月に閣議決定をいたしました新たな水産基本計画におきましても、IT等の新たな技術も活用しつつ、最も高い価値を認める需要者に水産物が効率的に届くシステムも構築すること等といたしております。

 農林水産省といたしましては、今後、ICTをさらに活用して、例えば、農水産物の鮮度やおいしさ、出荷量、生産履歴等の産地側の情報と、売れ筋や需要量、嗜好の変化等の消費者、需要者側の情報がより双方で共有され、有効に活用される効率的な流通の仕組みを構築できるよう取り組んでまいりたいと思います。

 徳島県の上勝町などの葉っぱビジネスなども有名ではあるんですが、かつては防災無線とかファクスで情報を提供していたのが、上勝情報ネットワークという、パソコンやタブレットで見る端末を使ってやることによりまして、生産者の人が全国の市場情報を分析して、みずからマーケティングを行うなどの取り組みも生まれて、中には年収一千万円を稼ぐおばあちゃんもいらっしゃる、そういった例もあります。

 そういった環境整備をして所得向上をしっかり図っていくように、総務省とも連携をして取り組んでまいりたいと思います。

 よろしくお願いします。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まさに、農林水産業におきましても、生産と流通の仕組み、ICT、IoTを活用して新たなそういった仕組みを構築しながら、地方創生また地域経済の活性化の道を大きく開く農林水産業の構築、総務省また農林水産省協力して進めていただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 続きまして、今度は、人々の住みなれた地域で安全で安心な生活を支えるIoTの社会実装につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 超高齢化社会の進展する中で、やはり日本に一番大事なことは、全ての国民の皆様が可能な限り長く健康を維持し、自立して暮らしていく、そんな社会の構築が大変重要ではないか、このように思うわけでございます。私たち公明党も、健康寿命を超えて、どちらかというと活動寿命を延ばしていこう、こんなことでいろいろなプロジェクトを進めているわけでございます。

 そこで、今回、このIoTを活用して、限りなく、できる限り健康を維持し、自立して暮らすことができる社会の実現に向けて、総務省としてさまざまなプロジェクトを進めていると思いますけれども、現状の状況、また今後の展開についてお聞かせ願えますでしょうか。

金子大臣政務官 先ほどの答弁にもございましたが、総務省では現在、農業そして医療といった生活に身近な分野で地域発の先導的なIoTサービスの創出を後押しする実証事業を、身近なIoTプロジェクトとして進めております。

 委員の中で特に御関心の高い健康に関して、健康維持に関するプロジェクトといたしましては、昨年度、新潟県見附市などにおきまして、インセンティブ付きIoT健康サービスの有料化挑戦事業を実施いたしました。このプロジェクトは、ウエアラブル端末などのIoT機器から得られる個人のバイタルデータと健康データを統合、見える化し、健康づくりの努力と成果が出た方にはポイントという形でフィードバックするものでありまして、住民の自発的な健康づくりを促すことによって、将来的に医療費の抑制を目指すものであります。

 また、今年度は、大阪府の八尾市において、スマートキッズCity“YAOCCO”といって、成長への切れ目のない支援事業を実施することとしておりまして、先月末にスタートしたところでございます。このプロジェクトは、位置情報や脈拍などを把握できるIoT機器や簡便な身体測定器などを通じて、子供の発育や活動に関するデータを収集し、発達障害や虐待、病気のリスクを予測したり、健康記録の自動化によって保育士の負担を軽減したり、また、保育園、幼稚園、小学校の連携システムの構築やデータの共有化などに取り組むものであります。

 総務省といたしましては、今後も、こうした実証プロジェクトを通じまして、他の地域が参照できるモデルの構築でありますとか、またデータを活用したさまざまなサービスの実現を促すルールの整備などに取り組んでいきたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに、高齢化また少子化の中で一人一人が健康で活躍し続ける地域、またその一人一人がさまざまな可能性を持って大きく成長できる、そんなIoTやICTの利活用をこれからしっかりと進めていただければと思います。

 そんな中で、やはり介護や医療が必要になってくる、そんな方も地域ではふえるわけで、厚生労働省では、地域包括ケアシステムということで、医療と介護を連携させながら安心して住み続けられる、そういった地域をつくっていきたい、こんな取り組みをしているわけでございますけれども、やはりこんなところにもICT、IoTの利活用でそのシステムをよりきちっとしたものに構築していく手助けができるのではないか、このように考えるわけでございます。

 そこで、看護や介護が必要になっても住みなれた地域で質の高い医療・介護サービスを享受することができる社会の実現に向けて、総務省として具体的にどのような取り組みを進められているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ICTを活用することによりまして、医療・介護サービスの質を向上し、国民の健康寿命延伸を実現することができるのではないかと私どもは考えております。

 そのためには、地域の医療機関あるいは介護施設内での患者さんの情報といったものの共有、これに加えまして、日常生活の中での運動や健康データあるいは服薬の状況、こういった情報も活用することで、日々の予防、健康管理につなげていくことが課題ではないかと考えております。

 総務省では、こういった課題の解決に向けまして、主として二つの大きな事業に取り組んでおります。

 一つ目は、地域の医療機関、介護事業者の方々がクラウド技術を活用いたしまして低廉で効果的に患者さんの情報を共有するための基盤の構築を支援する、クラウド型EHR高度化事業でございます。

 二番目は、個人の医療、介護、健康データ、こういったものを御本人の御判断のもとで予防、健康管理のサービスなどに効果的に活用していくためのモデル構築を行う、PHRモデル構築事業でございます。

 四月に開催されました未来投資会議におきましても、在宅医療における患者情報のモニタリング、あるいは介護分野でのデータ活用による自立支援、こういったICTやデータの活用による新たな医療・介護システムについて議論がなされたところでございます。

 今後、総務省といたしましても、厚生労働省など関係省庁と連携をいたしまして、健康長寿社会の実現に向けて取り組みをさらに積極的に進めてまいりたいと存じます。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 私も、先日、岩手の住田町と大船渡と陸前高田が、そういった今のEHR、PHRで、住民約七千人がそれに入って医療、介護をICTの中で安心して受けられる、そんな取り組みもしていました。

 そんなことが総務省のお力で全国に広がって、皆さんが安心して暮らせる地域を構築できることを期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 大変にありがとうございました。

竹内委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党の福田昭夫でございます。

 久しぶりで総務委員会で質問の時間をいただきまして、大変ありがとうございます。

 本日は、一般質疑の時間ということなので、過去何回か質問をしてまいりました宇都宮市、芳賀町が進めるLRT事業は脱法行為事業だということを明らかにして、政府の考えをただしてまいりたいと考えておりますので、答弁者はぜひ簡潔にお答えをいただきたい。

 まず、地方自治体が運営する二つの軌道事業の問題点についてであります。

 一つ目は、軌道事業は公の施設の一つに該当するということについてであります。

 一と二をまとめてお伺いします。

 公の施設の三要件と、軌道事業が公の施設に該当することについては、公の施設の三要件とは、一つ、地方公共団体が設置する施設であること、二つ、住民の福祉の増進を目的とするものであること、三つ、その地方公共団体の住民の利用に供することを目的とするものであること、これが公の施設の三要件であります。したがって、主要な地方公営企業の多くは公の施設となります。具体的には、水道、交通、ガス、病院、下水道等が公の施設となりますが、異論はないですか。

 第二点の、公の施設は設置及び管理運営に関する条例が必要だということについては、公設民営型上下分離方式といって、下の部分を行政が一般会計で整備するにしても、上下一体とならなければ軌道事業が運営できません。下だけでも運営はできません。上だけでも運営はできません。したがって、上下分離方式といっておりますが、一体でなければ軌道事業にはなりません。軌道事業が公の施設であるならば、地方自治法第二百四十四条の二の第一項の規定に基づき、軌道事業の設置及び管理に関する条例が必要だと思いますが、いかがですか。

 以上二点、まとめてお伺いをします。

安田政府参考人 お答えいたします。

 地方自治法第二百四十四条第一項に規定する公の施設でございますけれども、これは、地方公共団体が住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するために設置するものでございます。

 一般的には、今御指摘がございました三要件、すなわち、地方公共団体が設置する施設であること、住民の福祉の増進を目的とするものであること、その地方公共団体の住民の利用に供することを目的とするものであること、この要件を満たすもの、これが該当するものでございまして、御指摘ございました公営企業として運営されている水道等につきましても、一般的にはこれは公の施設として扱われているものでございます。

 個別具体の施設が公の施設に該当するかどうか、軌道事業を挙げられての御質問がございましたけれども、これにつきましては、当該施設の設置目的、住民の利用形態を考慮いたしまして、その実態に応じまして、設置する地方公共団体において判断されるものというふうに考えております。この場合におきまして、公の施設に該当すると判断されるときには、その設置及び管理に関する事項を条例で定めなければならない、このようにされているところでございます。

福田(昭)委員 それでは、局長にさらにお尋ねをいたしますが、地方自治法第二百四十四条の二の第一項にはこう書いてあります。「普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない。」

 では、この上下分離方式について、法律またはこれに基づく政令に特別な定めがありますか。ないんじゃないですか。いかがですか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 公の施設について規定されております地方自治法に関しまして、特別の規定があるかどうかということについては、承知していないところでございます。ないものと考えております。

福田(昭)委員 苦しい答弁ですね。

 法律は何も総務省だけの法律を言っているわけじゃない、基本的に。これは特別な定めがないんですよ。だから、これは公の施設なんです。ですから条例が必要だということになります。

 では、次に、二つ目ですけれども、二つ目は、地方公営企業法に基づく軌道事業の問題点についてであります。

 これは一つ一つ伺いますが、第一点は、昭和四十一年の法改正により、軌道事業を法定七事業の一つに位置づけた理由についてであります。

 軌道事業を含む法定七事業については、一つ、規模の大小を問わず、二つ、地方自治体の意思のいかんにかかわらず、三つ、何らの手続を要せず、地方公営企業法を全部適用すると決めた。その理由は何ですか。

黒田政府参考人 地方公共団体の経営する企業のうち、御指摘の昭和四十一年の地方公営企業法の改正によりまして、軌道事業を初めとする七つの事業につきましては、事業規模の大小を問わず、法の全ての規定が当然に適用されることとされました。

 これは、従来、これらの法定事業のうち職員数が一定数以下の小規模なものには法は当然には適用されなかったものでありますが、これらの事業につきましては、地方公共団体の経営する企業として典型的なものであり、受益者負担の原則のもとに企業として能率的に運営されることが望ましく、会計処理方式等について企業にふさわしいものとする必要があること、企業会計方式が導入されて以来一定の期間を経過して、地方公共団体が企業会計方式になじんできたため、小規模な事業にこのような方式をとらせることが無理でなくなったこと、これらによるものであることを踏まえてのものでございます。

福田(昭)委員 局長の答弁どおりだとすると、宇都宮市、芳賀町のこのLRT事業は、当然、地方公営企業法を適用しなくちゃおかしいじゃないですか。

 では、二つ目でありますが、第二点。地方公営企業法の対象となるのは地方自治体が直接経営する企業のみだ、そう総務省は私に答えていると思っていますが、そうする根拠はどこにあるんですか。

黒田政府参考人 地方公営企業法は、企業の経営が地方公共団体の事務の一部である以上、そのままでは地方自治法、地方財政法及び地方公務員法の適用対象となり、公営企業に求められる能率的、機動的運営を阻害しますので、それにかわって、企業の実態に即した法律制度として制定されたものでございます。

 その地方公営企業法が全部適用される事業を定めたこの第二条第一項では、地方公共団体の経営する企業、これが対象になると規定されているところでございまして、それが理由でございます。

福田(昭)委員 確かにそのとおりでありますが、しかし、地方公営企業法第四条を読んでみますと、「地方公共団体は、地方公営企業の設置及びその経営の基本に関する事項は、条例で定めなければならない。」このようにも書いてありますけれども、その中で、この法律については、「地方公共団体の経営する企業のうち」ということで、まさに地方公共団体が直接経営するのか間接経営をするのか、そのことは全く触れておりませんよね。

 総務省は、自治体の財政が厳しくなる中で、指定管理者制度やPFI制度など民間委託を進めてきた、奨励をしてきたわけでありますから、したがって、間接経営についてもしっかり考え方を整理して、地方公営企業法をやはり修正していく必要があるんじゃないですか。そういうことは必要ありませんか。

黒田政府参考人 先ほど御説明いたしましたように、地方公営企業法そのものにつきましては、地方公共団体の事務の一部についての特例ということで定めておりますので、今申し上げたような仕組みになっております。

 第三セクターにつきましても、いろいろな意味で地方公共団体の経営に影響いたしますので、それらにつきましてはさまざまな別途の措置を講じまして、地方公共団体全体の財政運営に支障がないように対応しているところでございます。

福田(昭)委員 皆さんの先輩、細谷芳郎さんという元総務省の地方公営企業課長が書いた本です、これは。この中で、やはり公設民営型についてはどうも法的根拠が乏しく、非常にまずいやり方だということを指摘いたしております。

 それでは、次に、三点目、三つ目でありますが、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく公設民営型上下分離方式による軌道事業の問題点についてであります。これは、一から四までまとめてお伺いをいたします。

 第一点。公設民営型上下分離方式は、会社法に基づく企業会計原則を無視している。公の施設というところで指摘をいたしましたように、下の部分を行政が整備したとしても、上下一体でなければ軌道事業は運営できないわけでありますから、軌道運送事業者は、下の部分の減価償却費を含めて施設使用料を支払う必要があると思いますが、いかがですか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、今回の軌道事業に関しまして、減価償却費の計上等の観点からの仕組みについてのお尋ねがあったところでございます。

 私どもの理解といたしまして、まず、地方自治体の実施する軌道事業につきましては、地方公営企業法に基づく地方公営企業として実施をしていただくか、一般会計で公共事業として実施していただくか、双方の形態があるものというふうに理解をしておりまして、いずれを選択するかは自治体の判断によるものというふうに承知をしておるところでございます。

 今般の宇都宮等の事例におきましては、地域公共交通活性化再生法に基づきまして上下分離を実施して、自治体が軌道整備事業者となっているわけでございますけれども、このようないわゆる公設民営型上下分離方式を導入しているケースにつきましては、それぞれの自治体の御判断によって、運行事業者である軌道運送事業者から軌道施設などの建設に要する費用に相当する使用料を収受しないで、自治体がみずからの財政の中からこれを拠出し、一般会計で公共事業として行うものであるということでございます。

 この場合、建設投資などを減価償却によって費用化して、それを料金などの収入で回収するものではないということでございますので、減価償却費についての計上が行われているわけではないということだと理解をしております。

福田(昭)委員 国交省はそのように定義をしているようでありますが、しかし、地域公共交通活性化及び再生法には、減価償却費を見込まないでよいとはどこにも書いてありませんね。これは既に鉄道局長に確認していますが、もう一度確認をします。

水嶋政府参考人 ただいま御指摘がございました減価償却費の計上の件でございますけれども、これは結局、先生の御指摘につきましては、事業費をいかに明示的に説明する仕組みが整っているか、そういった問題意識からの御質問ではないかというふうに思っているところでございます。

 これらの事業につきましては、減価償却によって設備投資を費用化して料金収入等で賄う形をとることなく、一般会計からの拠出などによって自治体が施設を適切に維持更新するという形によりまして、事業を持続可能なものにしていくものであるというふうに認識しているところでございまして、将来にわたってもそのスキームの中で適切な対応が図られているものというふうに思いますし、総事業費のわかりづらさといった観点からの御指摘につきまして……(福田(昭)委員「そっちまで聞いていないです」と呼ぶ)はい、わかりました。

福田(昭)委員 そのことは後で質問しますけれども、やはり減価償却費を見るということが持続可能な地域公共交通をつくるということになるんです。それは、実は会社法でしっかり決めてある。会社法の原理原則、会計原則を地方公営企業法も採用しているということです。ですから、減価償却費を見ないということは、世の中の常識を破っているということになるんですよ。

 次、二点目へ行きますけれども、条例の制定が必要ないということは、団体の意思が確定していないということになります。団体の意思が確定していないということは、仮に予算措置がなくなったら、軌道事業が運営できなくなるというおそれがあります。また、万が一経営危機に陥った場合に、最終的に誰が全面的に、かつ最後まで責任を負うのか不明であり、混乱することが目に見えています。

 以前の質問では、国土交通省は、破綻することは考えておりませんと言っていますけれども、しかし、宇都宮市民の多くの人は、まず、赤字でだめになるとみんな考えているんですよ。

 ですから、そのことについて、条例で意思確認をしなかったらだめだということでありますが、どこに、どういう法律に条例を決めなくてもいいと書いてあるんですか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、まず、地方自治体の意思の確認についてのお尋ねがございました。

 地域公共交通活性化再生法に基づきます軌道運送高度化実施計画におきましては、その計画内容が軌道事業の特許を要するものである場合には、認定申請を受け付ける地方運輸局におきまして、各道路管理者からの意見聴取の手続を行うこととされておるんですが、その意見の提出に際しましては、道路管理者であります地方公共団体は議会の議決を経なければならないというふうにされておるわけでございます。

 今回の芳賀・宇都宮軌道運送高度化実施計画、また、富山の事例なんかもそうなのでございますけれども、これらの認定申請を受け付けた地方運輸局による各道路管理者の意見聴取の手続におきまして、その意見の提出に際して各地方公共団体の議会の議決を経ているということでございまして、このように議会による意思の確認が行われているのではないかということだと思います。

福田(昭)委員 それでは、国土交通省の見解とすれば、万が一会社が破綻した場合に、最終的に宇都宮市と芳賀町が責任をとる、自治体が責任をとる、こういうことでよろしいですか。イエスかノーかでいいです。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、事業が破綻した場合ということでお尋ねがあったわけでございますけれども、事業が破綻した場合というその文言の意味するところが必ずしも……(福田(昭)委員「ここは一般論で聞いているんだから、一般論でイエスかノーかで」と呼ぶ)それは、破綻というのが、どのような事態を指して破綻とおっしゃっているのかということでございまして……(福田(昭)委員「そんなのは簡単ですよ。お客が少なくて運営できなくなる」と呼ぶ)

 まず、今回の事業を開始するに当たりましては、事業が持続可能なものとなるように関係者の皆さんでスキームを構築されて、今般の事業が進められているものというふうに理解しておりますので、なかなかそういった仮定の御質問でお答えするのは難しいところではあるんですが、仮に委員の御指摘の点が軌道運送事業の経営責任に関するお尋ねということでございますれば、一般論としては、上で運行しております軌道運送事業の経営につきましては、その事業主体である宇都宮ライトレール株式会社の責任において適切に行われるべきものであるというふうに考えております。

 なので……(福田(昭)委員「もういいですよ」と呼ぶ)はい。

福田(昭)委員 技官、審議官なのかな、会社をつくってLRT事業、軌道事業を導入するのに、最終的にだめになったときどうするかというのを考えないでやる、そんな事業はないじゃないですか。必ず、多くの市民がそう考えている。

 次に、三点目に行きますけれども、三点目。特別会計の設置及び道路の新設、拡幅等の経費と軌道事業の施設整備、民間会社への貸付料等全て計上しなければ総事業費がわかりづらくなるということについては、軌道事業を導入するに当たって、総事業費は幾らになるのか、個別の事業費は幾らなのかわからなければ本当の費用対効果はわかりません。赤字が幾らになるのかもわからない。不明瞭な会計となるということであります。時間の関係で、これは回答は要りません。

 四点目。減価償却費を見込まないと、法の目的、この活性化法の目的である持続可能な公共交通にはならないということについては、会社法はそもそも、会社にとって大事なことは持続可能なことであることから、そのためには投資した資金を回収して、次の投資に充てるために減価償却制度を導入したものであって、減価償却費を見込まなければ、法の目的である持続可能な地域公共交通にならないのではないですか。これについてお答えをいただきたい。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げたいと思います。

 実際にLRTの運行を行う軌道運送事業者につきましては、これは会社法上の株式会社、合名会社、合資会社または合同会社に該当するような場合には、会社法の適用対象になるものというふうに考えております。

 では、今回どうかということでございますけれども、今回、芳賀・宇都宮軌道運送高度化事業における軌道運送事業者でございます宇都宮ライトレールの場合におきましては、これは株式会社として設立されているわけでございまして、会社法の適用対象になりますので、償却すべき資産を取得した場合には、この宇都宮ライトレールにおいては、減価償却費の計上が当然必要になってくるということでございます。

 なお、LRTの運行に必要な軌道施設、インフラ部分でございますが、これは軌道整備事業者である各自治体において整備、保有される、それを軌道運送事業者に貸し付けるということになっておるわけでございますので、軌道運送事業者の方は軌道施設を保有しておりませんので、これらの施設に係る減価償却費は計上されないことになるということでございます。

福田(昭)委員 だから、審議官、先ほど公の施設で申し上げたように、上下一体じゃないと軌道事業にならないんです。幾らあなたたちが、上下分離している、分離していると言ったって、運送事業者だけでLRT事業にならないでしょう。レールがあって、列車があって初めて軌道事業が運営できるわけでしょう。これ、全部借り物でしょう。列車にしてもレールにしても、みんな借り物でしょう。だったら、上下一体で減価償却費を見なかったら、持続可能にならないじゃないですか。

 あなたたちは、宇都宮市と芳賀町は財政力が豊かだ、だから大丈夫なんだと言ってやっているけれども、この後言うけれども、JR北海道のような例がどんどん出てきたら、それこそ大変な話になるんですよ、これ。JR北海道は、路線の半分廃止をすると宣言した。減価償却費を見るということは最低限度守らなかったら、地方自治体の経営は成り立たなくなる。最終的にそうなっていく。

 だから、ここは、皆さんの法律はまさに脱法行為なんです。会社法や地方公営企業法が定めているような減価償却費は最低限見込まなければ、持続可能な公共交通にならない。もしそこまで見込めなかったら、バスに転換するとかタクシーに転換するとか、そのほかの交通手段を考えるべきなんです。そういうことを私は申し上げておきたいと思います。

 次、四つ目に行きます。四つ目。これは再確認ですけれども、公設民営型の民間企業も減価償却費計上は必須条件についてであります。

 第一点。公設民営型の民間企業は会社法の対象になることについて。今、審議官も答えましたけれども、上の部分の会社は株式会社だから会社法の対象になる、こう言いました。そのとおりですね。しかし、私は、上下分離方式、これがまやかしだ、こう申し上げている。上下一体でなければ軌道事業は運営できない。したがって、全体として、やはり会社法の適用を受けて、会社法なり地方公営企業法を適用させて、減価償却費を見込む必要がある。

 それから、第二点。減価償却費計上は、会社法に基づく企業会計原則に位置づけられている。したがって、まさに会社法では、第四百三十一条で、「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする。」その慣行とは、三点ほど挙がっておりますけれども、その一つに企業会計原則があるわけであります。そこでしっかり減価償却費を見込めと書いてあるわけですね。

 上下分離方式でまさにごまかしている、まやかしだ。ですから、持続可能な公共交通をつくるためには、会社法がしっかりと定めている減価償却費、また、それを引き継いで地方公営企業法が定めている減価償却費、これを見込まなければ、絶対持続可能にはならない。

 あなたたちの法律には何度も書いてあるでしょう。持続可能な地域公共交通をつくるんだ、つくるんだと何度も書いてあるでしょう。数えていないけれども、法律、数えると、相当の数になる。

 ですから、あなたたちが考えていることとやっていることは違うということを指摘したいと思いますが、いかがですか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 軌道事業の上下分離につきましては、国会の議決を経て成立をさせていただきました公共交通活性化再生法の中で認められているものでございまして、今般の宇都宮の事例も、この法律の規定にのっとって適切に、法に適合する形で行われているものというふうに私どもとしては理解をしております。

 繰り返しになってしまうかもしれませんが、自治体が実施されます軌道事業につきましては、地方公営企業法に基づく地方公営企業として実施するか、一般会計で公共事業として実施するか、双方の形態があるということでございまして、いずれを選択するかは自治体の御判断ということだろうというふうに思っております。

 今回、上下分離で自治体が軌道整備事業者となって、公設民営の上下分離方式ということでございますので、この部分について、公共事業としてやる部分については減価償却は必要ないだろうということでございます。

福田(昭)委員 だから、あなたたちがつくった法律そのものが間違っているということを私は申し上げているのであって、世の中の常識と違っている、基本的に。

 次に、宇都宮市と芳賀町が進めるLRT事業は脱法行為事業についてということで、これから残された時間で申し上げておきたいと思います。

 まず一つ目は、宇都宮市と芳賀町が進めるLRT事業の問題点についてであります。

 九点ほど挙げておりますが、まず、反対している人たちは、道路が狭くて邪魔にしかならないと言っています。全く広い都市計画道路がありません。例えば内環状線をきちっと整備してそれを東西南北につなぐような、まずはまちづくりをする。もし、宇都宮市が百年の計でやろうとするんだったら、そのような、ほかの日本にもあるような、広島とか岡山とかいろいろ路面電車が走っている都市がありますけれども、そのようなまちづくりをしっかりした上で考えるということが必要だというのが第一点。

 第二点。平日一日当たり一万六千三百十八人も乗るとは思えないし、利用する市民はほとんどいない。資料の一にありますように、需要予測結果一万六千三百十八人のうち、何と通勤通学者が九割。したがって、市民のほとんどの人は恩恵を受けることがない、こういう路面電車ということになるわけであります。

 第三点は、市民合意が得られていない。住民投票案を三度否決しております。議会の提案が二度、市民からの提案が一度、三度否決をしております。宇都宮市には自治基本条例というすばらしい条例があって、その中で、宇都宮市の重要な事項については住民投票にかけることができる、これまで規定しておるにもかかわらず、住民投票にかけない。

 それから、第四点。地方公営企業法に基づく軌道事業としてなぜLRT事業を導入できないのか。減価償却費を計上すれば赤字になるということがわかっているから、地方公営企業法に基づいての運営を考えていない。例えば札幌市でありますが、札幌市は、きちっと地方公営企業法に基づいて、地方公営企業として運営をしています。かつ、国土交通省の高度化事業の補助金も導入して、減価償却費も見込んでやっている。札幌市の軌道事業、これは優等生です。これが正解ということであります。

 そして、第五点。公設民営型上下分離方式を採用しても、なぜ民間企業が手を挙げなかったのか。赤字で採算がとれないから。公募いたしましたけれども、どの企業も手を挙げませんでした。めがねにかなう企業が手を挙げませんでした。そこで、仕方なくてある一社に要請をしましたが、その一社も断ってきたということであります。

 第六点。公設民営型上下分離方式を採用して、運営会社としてなぜ第三セクターの宇都宮ライトレール株式会社をつくったのか。頼りになる民間企業はどこも手を挙げてくれなかったからだ。

 第七点。公設民営型上下分離方式を採用して、減価償却費を見込んでいない。見込むと赤字になるから。ある宇都宮の税理士が試算してみたら、毎年十億円の赤字だというんです、減価償却、十億以上の赤字だと。そういうものをしっかり見込まないと。資料の二にあるように、施設使用料は維持管理費相当分だけで、減価償却分の支払いはありません。

 第八点。宇都宮ライトレール株式会社の資本金、及び筆頭株主は誰か。宇都宮市と芳賀町であり、これではまるで公設公営であります。資料の三にあるように、全体の株三千株のうち、千五百三十株は宇都宮市と芳賀町が持っておりまして、一億五千万のうち七千六百五十万円、五一%を占めている。これでは、まるで公設公営ではないでしょうか。それどころか、国交省から出向している副市長が、国交省が関連している公益財団法人に計画をつくらせて事業の推進役も務めているということは、国交省による国交省のためのLRT事業ではないですか。

 それから、第九点。宇都宮ライトレール株式会社が破綻したときは誰が責任をとるのか不明である。条例の制定が必要。今まで申し上げてきたように、もし地方公営企業として運営すれば、条例が必要。あるいは、公の施設の一つということになれば、これまた条例が必要。必ず条例は必要であります。それが地方自治体の団体の意思を明らかにすることであります。ですから、まさに、先ほどもちょっと申し上げましたが、地方公営企業として運営するにしても、公設民営型分離方式で運営する、この場合としても、宇都宮市と芳賀町の意思を明確にするために条例の制定が必要であります。

 先ほどから国交省が答えているように、自治体の判断だということでありますから、国交省はもし破綻をしても責任はとらない、こういうことであります。しかも、事業費の半分、多額の国庫補助金が出ます。それは国税であります。ですから、国交省も国税が無駄になるということを承知して出すというふうにも判断できます。

 以上九点の指摘について、もし反論があれば述べてくださいということでありますが、しかし、時間の関係で、あと十分ぐらいしかありませんので、回答は必要ありません。

 二つ目でありますが、二つ目は、宇都宮市、芳賀町が民主的かつ適法にLRT事業を進めるための必要条件についてであります。これは一から四までまとめて伺います。

 第一点は、公設民営型上下分離方式の脱法行為を認めて、宇都宮ライトレール株式会社から減価償却費を見込んだ使用料を取るか、または赤字分は全て市民の税金で賄うかを決めること。赤字分を誰が負担するのか明確にすること。

 第二点は、その結果を市議会並びに市民に公表して、宇都宮市自治基本条例に基づいて住民投票を実施して、その結果を尊重して結論を出すこと。

 第三点は、仮に市民の同意が得られたら、LRT事業の施設設備の設置及び管理運営に関する条例を制定して、団体の意思を明確にすること。

 第四点は、その上で、LRT事業にかかわる総事業費、都市計画街路の拡幅や市道の新設経費も含む、を計上する特別会計を設置して経理を明らかにすること。

 以上四点が必要だと思いますが、いかがですか。こうしたことに対して、国交省は、宇都宮市と芳賀町、それに宇都宮ライトレール株式会社に指導することができますか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、自治体の実施する軌道事業の枠組みについては先ほど来申し上げているとおりでございまして、地方公営企業法に基づいて地方公営企業として実施するか、一般会計で公共事業として実施するか、双方の形態があるわけでございますが、いずれを選択するかは自治体の御判断によるものというふうに承知をしておるところでございまして、国土交通省としてその点を指導するべきものではないというふうに考えておるところでございます。

 また、公設民営型の上下分離方式、先ほど来脱法行為ではないかということの御指摘をいただいておるところでございますけれども、宇都宮市、芳賀町が行うこの事業につきましては、運行事業者から維持管理費相当分のみを収受して、軌道施設などの建設に要する経費に相当する使用料を収受しないで、市町がみずからの財政の中からこれを拠出して一般会計で公共事業として行うとしているということでございまして、これは地方公共団体の経営する企業に当たらない、地方公営企業法の対象ではない旨、これまでの国会の審議でも御答弁があったというふうに承知をしておるというところでございます。

 また、住民の皆様、あるいは説明責任との関係の御指摘がございましたが、一般論といたしましては、地方公共団体が事業をお進めになる際に、住民を初めとする関係者の合意形成に向けた取り組みを行っていかれるということは、これは当然極めて重要であるというふうに認識をしておりますけれども、その方法につきましては、事業の特性や地域の実情を踏まえまして、それぞれの地方公共団体の判断において選択されるものではないかというふうに考えるところでございます。

 したがいまして、国土交通省が具体的にどのような形でやっていくかということについて指導するということは必ずしも適切ではないのかなと思っておりまして、地方自治体において御判断いただくのかなと思っておるところでございます。

福田(昭)委員 最初から言っているように、それは自治体の判断だということでありますが、しかし、これを認めるということは、宇都宮市と芳賀町が脱法行為をしてLRT事業を進めることを国土交通省も認めるということにつながるんですが、それでよろしいですか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 脱法行為であるという認識はございません。

福田(昭)委員 次長か。次長、脱法行為というのはどういうふうな意味だと思いますか。

水嶋政府参考人 御質問者の使われる定義によるものだと考えております。

福田(昭)委員 これは広辞苑、私じゃないよ、広辞苑によると、こう書いてある。脱法行為、「法律に触れないような方法で、実際は、法が禁止していることを犯すこと。」これが脱法行為。

 だから、この活性化法をつくって、上下分離方式というまやかしをつくって、減価償却費を見込まなくていいとしちゃったんですよ、国土交通省は。これは確かに閣議決定したり議会で議決しているかもしれないけれども、閣議決定も議会の議決も間違うこともあるわけで、間違ったら直す必要がある、そういうことであります。

 ですから、脱法行為というのは、まさに、「法律に触れないような方法で、」これはこの活性化法ですよ、「実際は、法が禁止していることを犯す」。だって、持続可能な地域公共交通をつくるとなったら、減価償却費は必須条件じゃないですか、基本的に。

 これから、例えば、先ほどもちょっと申し上げたけれども、JR北海道が半分の路線を廃止する。十二路線のうち、四路線はバスなどに転換を考えている、八路線は上下分離方式いかがですかと、JR北海道の社長が宣言しちゃった。今、北海道庁や北海道の市町村、沿線の市町村は、多分大騒ぎだと思いますよ。

 こうした話が、今、全国で少しずつ始まっているけれども、JR北海道に始まり、もしかして、四国や九州や中国にも行くかもしれない。そのほかの、関東だって東北だって行くかもしれない。こうなっていったときに、国土交通省の上下分離方式でやれるんだからやれと言われたときに、自治体はどう判断すればいいんですか。相当難しい、厳しい判断になると思いますよ、私は。

 ましてや、人口がどんどん減っていく。百年たっても一億人にはとてもなりそうもない。

 総務省は、今回、地方自治法の改正をする。それは、人口減少時代に対応する地方自治体のガバナンスをどうやって強化するかという法律改正が、間もなく、来週あたり審議されることになっている。

 厚生労働省。公営企業の中でも、特に水道事業。このまま、小さな市町村ではとても経営が難しくなる、人口が減っているので。だから、水道の広域化を進めようということで、厚生労働省はことしから始める。

 そういう時代を迎える中で、野方図にどこまでもお金を出せるんだというやり方をやっていったら、地方自治体は本当に困ることになる。行政のサービスを、ではどこまでやるんだ。地方鉄道も同じですよ。地方自治体がやっている地方鉄道も同じです。この軌道事業も同じ。特に交通事業問題はそういうことになる。

 そういった認識は、国交省、ないんですか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 たくさんの論点について御指摘をいただいたところでございますが、一般論として申し上げますと、地方の公共交通を維持するために、事業採算性に必ずしも乗らない部分について、地方自治体が応分の負担に基づくことによって地域の公共交通サービスを維持するというのは、一般論としては、多々見られているところかなということでございます。

 また、JR北海道との比較についての御指摘がございましたが、JR北海道が置かれております経営環境、あるいは人口集積、鉄道特性が発揮できる環境にあるかどうかといったその状況と、今回の宇都宮の軌道事業は、随分と個別の事業の置かれている環境が違うのかなということでございまして、一概に比較することは難しいということかもしれません。

 また、需要予測、将来の人口減少についてどうかという御指摘ございましたが、今般、宇都宮市、芳賀町による宇都宮LRTの需要予測については、将来の人口減少を見込んだ需要予測を行っておるということでございまして、国立の人口問題研究所による将来の推計人口、人口減少も見込んでおるということでございます。

 また、市民の御利用がないという御指摘ございましたが、宇都宮市に確認をいたしましたところ、宇都宮市の実施した需要予測によれば、今般、利用者の約八割は宇都宮市民であるということで、市民による一定の利用を見込んでおられるということだというふうに伺っております。

 また、私ども、脱法行為ではないかという御指摘をいただいておりますが、重ねて、これまで予算委員会の分科会等でも議論されておりますように、地域公共交通活性化再生法と地方公営企業法の整合性はとれているものというふうに認識をしておるということでございます。

福田(昭)委員 時間が来たので、今国会はこれで終わりにしますが、通勤通学者が何で宇都宮市民なの。これはみんな宇都宮駅でおりて、今まで企業がバスで運送していた人たちをLRTに乗せかえるというだけですよ。何でこれが宇都宮市民。宇都宮市民が八割だなんて、これはうそっぱちですよ。

 私がきょう要請しておきたいのは、私も時代の大きな変化というのはよく理解をしています。したがって、そうした中で、やはり総務省、国交省においては、地方自治体が脱法行為を犯さぬように、人口減少時代を踏まえて、地方公営企業法、地域公共交通及び活性化に関する法律の見直しをするということをしっかり要請して、きょうの私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志です。

 きょうも質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速ですが、質問に入ります。

 きょうは外務省に来ていただいておりますが、昨年の十一月、APECの首脳会談の際に、ペルーのリマでロシアのプーチン大統領と安倍総理が首脳会談を行っていますが、その前段で、首脳会談に先立って、外務省の幹部と総理が打ち合わせをしたと思いますが、その打ち合わせの模様を映像で撮影したという事実はございますか。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 政府部内の打ち合わせについてのお尋ねというふうに理解をいたしましたけれども、政府部内の打ち合わせにつきましては、一般に詳細を明らかにしておりませんで、お尋ねの点につきましてもお答えは差し控えさせていただきたいというふうに存じます。

高井委員 映像を撮影したかどうかも答えられないんですか。その事実だけ、撮影したかどうかということだけ、答えられませんか。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 政府部内の打ち合わせにつきましては、あくまでも内部での打ち合わせでございますので、どのような打ち合わせにおいて、政府職員が、あるいは何らかの撮影をしたか、行ったかどうかということを含めまして、一般的に詳細は明らかにしておらないところでございます。

 したがいまして、お尋ねの点についても、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに存じます。

高井委員 それでは、内閣官房の内閣広報官室にお伺いします。

 内閣広報官室では、さまざまな会合を首相官邸のホームページでアップして映像などを出しておりますけれども、今回のこの日ロ首脳会談に関する、ホテルというか、ペルーのリマでの映像について、撮影したという事実はありますか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、政府部内の打ち合わせについては、一般に詳細は明らかにしておらず、お尋ねの点についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

高井委員 私、政府部内のとは言っていません。この首脳会談に当たって、今、政府の中でのいろいろな会合はホームページにアップしているじゃないですか、いろいろな会議。その模様と同じような形で、撮影をしたという事実はあるのかないのか。ないなら、ないと答えてください。少なくともホームページには載っていませんでした。

 ただ、撮影をしたのか、していないのか、そのことをお答えください。

日下政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、先生御指摘のホームページに載っているような会議については当然私どもで撮影してございますけれども、御指摘のような打ち合わせについては、一般に詳細を明らかにしておらないことから、お尋ねの点についてはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

高井委員 これは、もうこれ以上、堂々めぐりになりますので。しかし、私は、答えていただけないというのは非常に遺憾であります。

 これは経緯があることで、この総務委員会でも取り上げた、きょうNHKの会長にも来ていただいていますけれども、「NHKスペシャル」スクープドキュメント、北方領土というこの番組の中で、総理と外務省の幹部、それから首相秘書官が打ち合わせをしている映像が流れたということでありますが、これについては逢坂委員が、この場でも問いましたし、また質問主意書も出している。しかし、いずれの回答も、NHKの放送番組にかかわることであるから答えられないという回答であったわけです。

 ですから、私はきょうは、NHKの放送とは全く切り離して、そういう事実があったかどうかということを、事実として聞いているわけです。

 改めてお聞きしますけれども、映像を撮ったか撮らないか。中身を聞いているんじゃないんですよ。政府の会合の中身まで聞くのは、中身だって本当は国会の場で追及するということはあっていい、議論するということはあっていいと思いますよ。しかし、映像を撮ったか撮っていないかというその事実ぐらい、答えられない理由は何なんですか。

 外務省でも総務官室でもいいですけれども、あるいは、きょうは総務官室も来ています。総務官室は、総理のさまざまなスタッフが、秘書官のさらにまたスタッフなども総務官室。総務官室の職員が撮るということもあると思いますから、念のため来ていただいていますけれども、そのいずれかは、撮っていないというのであれば、なぜそれを、撮ったかどうかという事実が答えられない理由をもう一回お聞かせください。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、政府部内の打ち合わせというのは、あくまでも政府内部での打ち合わせでございます。したがいまして、どのような打ち合わせがいつ行われたかということもございますし、あるいは、そこで何らかの撮影が行われたかどうか、政府職員が何らかの撮影を行ったかどうかということも含めまして、政府内部の打ち合わせにかかわることでございますので、一般に詳細は明らかにしておらないところでございます。

 したがいまして、お尋ねについても、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに存じます。

高井委員 では、撮影したかどうかも言えない、そういう政府内部の会議がなぜNHKの報道で流れるんでしょうか。外務省。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 御質問の点は、報道機関である日本放送協会がいかなる取材活動によって映像を入手し、当該番組作成に至ったのかという取材の過程でありますとか経緯に関するものであるというふうに思いますので、政府としてお答えは差し控えさせていただきたいというふうに存じます。

高井委員 はっきり撮った事実を言わないということは、これを聞いた国民の皆さんは、やはり外務省なり総務官室、恐らく官邸の職員が撮影したものをNHKに渡したんだろうというふうに推測されますよね。NHKの職員が、カメラが入っているという可能性もありますけれども、それを会長に聞いたって、絶対、取材の過程ですから答えられませんという答弁しかないので、さんざんその答弁を聞いていますからもう聞きませんけれども、そんなことは私はないと思うんですよ。

 ただ、これは、その番組のテロップというか、ナレーションをちょっと起こしてきました。こういうふうに報道されているんです。

 首脳会談の直前、日本政府内では、交渉方針をめぐり、ぎりぎりまで議論が交わされていました。これは政府幹部の打ち合わせを撮影した映像です。外交機密が含まれるため音声は使用できません。安倍総理大臣を囲んでいるのは、総理大臣秘書官や国家安全保障局長、外務審議官など極秘交渉を中核となって進めてきたメンバーです。白熱する議論、山口での首脳会談でどこまでの成果を目指すのか意見が分かれました。共同経済活動など着実に前進を図り、帰属の問題はあくまで脇に置くべきだ。平和条約締結に道筋をつけるよう求め、帰属の問題から逃げない姿勢を打ち出すべきだ。安倍総理大臣は判断を迫られましたと。

 まさに、この会議の詳細が、外交機密だから流せませんと書いておきながら、こういうふうに流れているわけです。

 私は、やはり国民の皆さん、これは見た瞬間に多くの方が違和感を持ち、またNHKの局内でも、こんな映像を流していいのかという議論がかなりあったと聞いています。

 会長、お聞きします。

 一般論で結構です。一般論で、政府から独占的に入手したこういった情報を、公共放送たるNHKが報道するということに問題はないんですか。

上田参考人 お答えいたします。

 お尋ねの件は、個別の編集判断や取材の過程などにかかわりかねない御質問であるため、一般論としてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、番組やニュースにつきましては、報道機関として自主的な編集判断に基づいて放送いたしております。

高井委員 何度聞いてもオウム返しだと思いますので。

 でも、これはぜひ会長と、それからきょうNHKの幹部あるいは職員の皆さんもこの議論を聞いていただいていると思うので。

 本当にこれは、私はこの委員会でも取り上げましたけれども、NHKというのは受信料で成り立っている公共放送です。ですから、もともと、特だねとかスクープというのをどこまで追い求める必要があるんだと思います。

 商業、スポンサーのいる民間放送であれば、それはある程度のスクープを追うという姿勢は大事だ。私も、NHK、スクープそのものは否定しません。ただし、やはり政権との距離、これが大事である。まさに政権が流したいものを、スクープを上げるから実際に流すというようなことが、これはあってはならないことだと思いますが、会長、いかがですか。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKは、報道機関として、視聴者の判断のよりどころとなる情報を、正確かついち早く視聴者に伝えることが重要な使命だと認識いたしております。

 そのためにも、取材や制作のあらゆる段階で真実に迫ろうとする姿勢を徹底することが大切と考えております。今後も、社会に必要とされる情報をいち早く伝える努力を重ねてまいりたいと考えております。

高井委員 いち早くということと、独占的に、スクープとか特だねというのは、他社に先駆けて、放送していないものを指すんですね、これは言葉の定義で辞書にそう書いています。そこを、NHKが果たして、当然、見返りが求められる、まあ見返りのないスクープならいいですよ、しかし、こういうような、政府とのこのケースは必ずそういう見返りがあるわけじゃないですか。そこが問題だと思っています。

 これはちょっと質問の観点を変えます。

 それでは、「ジャーナリズム」という雑誌のことしの二月号に、岩田明子解説委員が「メディアをめざす若者のために」という特集の記事を数枚書いています。これは事前に会長に読んでいただいて、その感想をお聞かせくださいと通告していますので、感想を教えてください。

上田参考人 お答えいたします。

 御指摘の記事は、同氏が、発行元の新聞社からの執筆要請に応じて、一人のジャーナリストとして勤務時間外に対応したものと聞いております。

 当該記事は、本人が一人のジャーナリストとして寄稿したものであり、NHK会長としての感想は、お答えを差し控えさせていただきます。

高井委員 では、感想ということじゃなくて、少し具体的に聞きます。

 私は、この記事の中で非常に問題だと思うことがあるんですね。それは、こう書いています。

 記者と取材対象者との関係においては、

その前に、

  岡山県での事件取材、

岩田さんは岡山が初任地だったんですね。

  岡山県での事件取材、永田町での政治取材を振り返って思うのは、

特にこの

 永田町での政治取材を振り返って思うのは、記者と取材対象者との関係においては、「権力のチェック」という側面と、「信頼関係の確立」という側面の、絶妙なバランスが大切だということです。

そのとおりだと思うんですね。バランスが大事なんです。ただ、

 取材相手に誠意と熱意をもち全人格で向き合うと同時に、私を超えた「公共の視点」をもってチェックをする。と同時に情報は、良い意味で「ギブ・アンド・テイク」であるべきとも実感しました。

さらにこうあります。

  権力主体が隠したい事実がわかり、それが「不正」だった場合、外交上やむをえない場合などを除き、この事実を報じなければなりません。

報じなければなりませんというか、報じて当たり前ですよね、報じるに決まっているじゃないですか。

 そのためには日頃から取材対象に肉薄し、情報を取る力と交渉する力が不可欠です。

こう書いているんですね。

 つまり、今回のスクープドキュメント、「NHKスペシャル」の話もそうです。あるいは、この国会で何度か取り上げてきた、例えば、南スーダンから撤退するときの情報をいち早く入手して、しかし、その見返りというんでしょうか、その夕方の放送で、ちょうどあのとき、籠池理事長の記者会見とあえてぶつける形で記者会見をした、そのすぐに、この岩田解説委員は政府の立場を長々と解説する。情報をとるということに対して、やはり政権寄りの放送にどうしてもなる。だからこそ、政府も情報を出すんじゃないですか。

 これは私は、バランスをとっているとは言えないし、バランスをとるのが大事だと言いながら、私は、そもそも権力のチェックこそマスメディアの使命であって、ましてや受信料で成り立つNHK、公共放送の使命だと思いますが、まあ岩田明子さんと限定しなくてもいいです、こういう考え方に対する、NHK会長、これでいいと、NHKの姿勢はこういう姿勢でいいと思いますか。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKの姿勢に関しましては、取材、制作のルールブックであります放送ガイドラインがありまして、その中で、「取材相手との関係においては、常に放送倫理や公平・公正な放送を意識し、節度ある距離を保たなければならない。」と定めております。また、「国民の知る権利や公共の利益のために密着取材が必要な場合であっても、相手の利益を図ったり、癒着と受け止められる行動をとったりしてはならない。」とも定めております。

 このガイドラインは、全ての職員に冊子を配付いたしておりまして、その趣旨を徹底させております。真実に迫るために取材相手に食い込むことと、一方で取材相手と一定の距離を保つことは、ジャーナリストが必ずわきまえなければならないことだと認識いたしておりまして、現場ではこのことを十分に踏まえて日々の取材、制作に当たっていると承知いたしております。

高井委員 会長はまだ就任されたばかりで、その前に監査委員をやっておられましたけれども、そうじゃない実態が、昔のNHKはそれを守っていたけれども、だんだんそれがなくなりつつあるということを、皆さん、NHKの内部からも危惧されて、私のところにも情報が入ってくるんです。

 この委員会でも取り上げました。去年ですか、これも岩田さんが、文芸春秋に安倍首相のお母さんの「ロングインタビュー四時間半」のインタビューを書いた。これも、内部では、なぜNHKの記者が、解説委員が文芸春秋に自分たちのまさにリソースから集めた情報を出すんだと言って、そのことを反対した方が部内にもいらっしゃるそうですよ。しかし、その方は、定期じゃない人事異動で地方に行ってしまった。政治部長が地方に異動になったという話、これは局内では有名な話ですけれども、会長の耳に入っていないんだとすれば、ぜひきょうはそういったことも伝えておきたい。

 つまり、やはりNHKの組織全体が、権力とのバランス、チェックを果たすということに鈍感になってしまったというのが、私はやはり前の籾井会長の体制の悪い影響じゃないかと思います。

 これは、これ以上聞いても今のような答弁を繰り返されるだけでしょうけれども、しかし、私は上田会長の信念というか心の中は信じたいと思っていますので、きょうこの場の答弁は結構ですが、本当にNHKをもう一度立て直す、本来あるべき公共放送としてのNHKの使命を果たせるように、それはなかなか大変だと思います。政権との距離、官邸との今近づいたこの距離を保つことは大変なことだと思いますけれども、まさに私は会長にその任を託されたんだと思っておりますので、ぜひそのことは心にとめていただいて、我々もこれから不断のチェックを行っていきたいと思いますので、きょうはほかの質問もしたいので、これでこの件はとどめさせていただきます。

 会長、お忙しいでしょうから、どうぞ御退席ください。

 それでは、総務、IT、ICTの話に移りたいと思います。

 私は、フィンテック、金融業のIT化について関心を持っており、先般、財務金融委員会でも、フィンテックのための改正法案、衆議院は通過しました。銀行法の改正なんですが、その銀行法改正の中で非常にコアになってくるものが銀行APIの公開というものでございます。

 これは何かというと、フィンテック企業、まあベンチャー企業が多いんですけれども、この企業が銀行のシステムにアクセスできないとフィンテックは成り立たないわけです。銀行のシステムをオープンにしてもらおう、公開してもらおうということがこの法案の中に入っている。非常にこれは評価をしているんです。

 ただ、実態を見ると、きょう金融副大臣に来ていただいていますけれども、いろいろな、特にITベンダー、きょう総務委員会で取り上げるITベンダーに問題があるんですよ。

 ITベンダーが、銀行APIの公開をするためにシステムの改修をしなきゃいけない。一機能当たり五千万ぐらい。普通は複数機能あるから、一億を超えるような額がかかる。しかも、それは地方銀行にもそういう金額を請求する見通しだという声が届いているんですね。こんなお金がかかったら、これは地方銀行なんかとても対応できないし、大手の銀行だって、こんなお金、本当にかかるのというのが、今、IT業界の中ではそういう声なんですよ。

 これは副大臣、問題だと思いますよ。

越智副大臣 高井委員御指摘のとおり、フィンテック普及の重要な鍵として、このオープンAPI、銀行APIの公開というのはとても重要だというふうに思っております。

 今、開発費用の話がございましたけれども、基本的には、オープンAPIの導入費用については、ITベンダーと金融機関そしてフィンテック企業との間の契約などによって決定されるものだと。また、APIの仕様によっても異なるものであることから、さまざまなケースが想定される。安いものもあれば、高いものもあるというふうに考えています。

 ただ一方で、オープンAPIの導入費用については、オープンイノベーションを着実に進めていく観点を踏まえて、金融機関やフィンテック企業、ITベンダーら関係者において適切にしっかりと設定されることが重要だというふうに考えておりまして、金融庁としても、この状況につきましてはよく注視をしていきたいというふうに考えているところでございます。

高井委員 これはもう本当にぜひしっかり監督していただきたいと思いますが、ただ、私、金融庁はベンダーを果たして監督できるのかなということがあると思うんですね。銀行は幾らそうやりたいと思っても、ベンダー側がそうやって吹っかけてきたらどうしようもないんじゃないか。

 なので、きょうは、総務委員会、総務省あるいは経済産業省にも来ていただきました。

 実は、これはお金の問題だけじゃなくて、どうも、相互運用性といって、一つのベンダーがつくったシステムがほかのベンダーのシステムとは接続できない、相互に運用できないという問題もあるんです。これは、我々、ITの世界ではベンダーロックインと言っていますけれども、ベンダーが違ったらもうほかとつなげない。そこでまた値段も高くなるという問題があるわけです。

 私は、こういった問題も含めて、まさにICT、ITを所管する総務省それから経済産業省がこのフィンテックについてもっと力を入れて取り組んでいかなきゃいけないと思いますが、両省それぞれお考えをお聞かせください。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、フィンテックの普及は、オンライン決済や資産管理などの金融サービスに最新のICTを取り込むことによりまして、新しいサービスの提供や利用者の利便性の向上が期待されるところでございますが、これを実現するためには、金融部門の要求に応えることができる高度なセキュリティーの確保や信頼性の高い情報通信基盤の整備が大変重要となってまいります。

 こうした観点から、例えば、本年三月に立ち上げました総務省と経済産業省の連携チームにおきまして、サイバーセキュリティーに対する投資の促進、あるいはデータ取引に関するルール整備、官民の認証連携の推進を含む情報流通促進のための制度環境整備など、IoT関連のさまざまな施策を推進しているところでございます。

 また、オンラインでの本人確認を完結させて、フィンテック関連のサービスを円滑かつ安心して利用できるようにするためのインターネットバンキングの認証手段として、マイナンバーカードを活用する実証にも取り組んでいるところでございます。

 総務省としましては、今後とも、金融庁を初め関係府省と連携しつつ、引き続きこのフィンテック分野の新しい市場の創出に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

中石政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、フィンテックは非常に広がりがあって、ICT、ITの中では非常に肝となっていると思っています。私ども、フィンテックは非常に広がりがあるということで、やはり消費者、事業者などのユーザー視点に立って、広がりを持ってやっていくべきだというふうに考えています。

 そういった問題意識のもとに、私どもでもフィンテックの検討会合を開きまして、検討を重ねてまいりました。今週八日にフィンテックビジョンを取りまとめまして、課題と方向性を出したところであります。

 その中で、例えば、やはり中小企業での活用というのは大事だなというふうに思っています。そこは、中小企業というのはベンチャーの入る余地も大変ありますので、また、そういう一つの実績を上げることで、いろいろなものに活用できるんじゃないかというふうに思っています。

 中小企業のフィンテックの活用を後押しする施策としては、やはり、中小企業に対するフィンテック型ITツールの導入支援というのを考えていますし、また、銀行の話、先ほどありましたけれども、銀行の決済インフラ更新に合わせて、振り込み時に添付できる商流情報を標準化し、EDIというものを進めてまいりまして、企業の振り込み業務がデジタルで完結する環境の整備といったこともこの中で提言しておりまして、具体化を図っていきたいと思います。

 今後とも、こうした形で、広がりを持って、そしてユーザー視点に立って広げて進めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 以上です。

高井委員 もう最後の質問だと思いますので、大臣、きょうは、ぜひこの議論を聞いておいてくださいということで登録だけということにしたんですが、最後にちょっと感想というか、大きな視点から一つお聞きしたいと思います。

 私は、このフィンテックは、この間、民進党でも勉強会を開きました。一橋大学の藤田教授に来ていただいて、藤田教授はこう言っています。フィンテックというのは、マネーにかかわるビッグデータを活用するテクノロジーだ、主役はテクノロジーであって金融ではないと。まさにそうだと思うんですね。

 金融の中の話、金融副大臣のいる前で申しわけありませんけれども、金融のIT化じゃないんですよ。ITによって金融、マネーを使って、世の中の仕組みが変わっていく。

 一例で言っていましたけれども、日本ほど駅前にATM、銀行がある、こんな国は世界じゅうないんだ、だけれども、フィンテックになればそういった支店はもうなくなるんだと。銀行じゃなくて、これからのフィンテックは、グーグルとか、アップルとか、フェイスブックとか、アマゾンとか、あるいは中国のアリババ。アリババはオンライン決済の七〇%やっているんですよ。ですから、もう主役はこれからICT、IT企業に移っていくんですね。

 そういったときに、私は、やはり総務省がもっと先頭に立って、経産省は結構一生懸命やっていただいていると思うんです。だけれども、総務省のフィンテックに対する取り組みがどうも余り見えてこないので、最後に大臣の決意をお聞かせください。

高市国務大臣 今委員がおっしゃったように、金融ありきではなくて、やはりICTを活用して、いかに国民の生活の利便性を図るか、そしてまた、社会のさまざまな分野の生産性を上げるかといったことが重要だと思います。

 総務省も、先ほど局長が答弁しましたように、経済産業省と連携をしながらしっかりやっていくということとともに、マイナンバーカードの普及、また利活用の促進にも私ども取り組んでおりますので、その中で、今、インターネットバンキングの認証手段としての取り組みを進めております。

 ぜひとも、先生方にも、これはマイナンバーカード利活用推進ロードマップというものを新たにつくりまして、進捗管理もしながら、できるだけ多くの分野でマイナンバーカードも御活用いただきながら、より安心してインターネットバンキングも御利用いただけるような環境をつくりたいと思っておりますので、ぜひ、引き続き御指導お願いいたします。頑張ってまいります。

高井委員 時間なので終わりますが、ICTは、人も予算もやはり総務省が一番なんですよ。経済産業省よりも内閣官房IT室よりも、総務省が一番あるんですから、ぜひこのフィンテックも力を入れてやっていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 熊本地震の復興と被災者の支援について質問をします。

 熊本地震で被災した南阿蘇鉄道は、全線の約六割が不通となっており、部分運行であります。

 先月二十八日、熊本県と第三セクター南阿蘇鉄道、そして株主の地元五町村は、南阿蘇鉄道再生協議会を設立しました。

 まず、国土交通省にお尋ねします。

 被害調査は、地元の要望も受けて、国直轄で行われました。国交省もこの協議会に参加し、説明をされたというふうに伺っております。被害の状況について、簡単に御説明いただけるでしょうか。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

潮崎政府参考人 お答えいたします。

 南阿蘇鉄道の高森線については、お話ございましたとおり、熊本地震でトンネルや渓谷にかかる橋梁が大きく移動、変形するなど、鉄道施設に被害が発生いたしました。

 具体的には、立野という駅と長陽という駅、この間で、計二十二カ所でトンネルや橋梁の損傷、斜面の崩壊が発生しました。特に大きな被害としては、犀角山トンネルというトンネルにおきまして、この地山自体が動いたことによりこのトンネルにゆがみが生じ、また、それに伴い内部の壁面コンクリートの剥落等が生じたこと、また、白川第一橋梁という非常に大きな橋梁がございますが、この橋梁の橋台や橋脚が移動してしまって、それに伴う部材の破断や変形などが生じたということでございます。

 また、不通区間のうち、中松と長陽の間においても計二十カ所で盛り土や軌道に変状が発生してございます。

田村(貴)委員 復旧の見通しと復旧費用についてはどのように見ておられるでしょうか。

潮崎政府参考人 被害状況と復旧に関する調査を国直轄で行ってまいりまして、トンネル周辺の地山の変動や橋梁部材の健全度並びに被災した構造物の復旧方法の検討に関する調査を行ってまいりました。

 その結果として、復旧の見通しにつきましては、先ほど申し上げました第一白川橋梁では設計着手から約五年程度、またトンネルでは三年程度、その他の被災箇所につきましては一年程度の期間を要するであろうと。

 また、復旧費用につきましては、これら全体で総額約六十五億から七十億円という見込みになってございます。

 これら工期や費用につきましては、今後、さらに詳細設計等を行うことにより精査されていくものと考えております。

田村(貴)委員 復旧費用が六十五億円から七十億円と。

 これは従前の支援策では復旧は不可能だという話を、私も先月二十九日、鉄道事業者の方からお話を伺ってまいりました。地元では、東日本大震災における三陸鉄道と同様の支援を切望されています。すなわち、災害復旧事業費の国庫補助率のかさ上げで、国と自治体がそれぞれ四分の一、事業者が二分の一の制度を、国が二分の一にかさ上げし、自治体負担二分の一に対して交付税措置をするというものであります。熊本県からも国に要請があっているものと思います。

 そこでお尋ねしますけれども、東日本大震災での第三セクター鉄道への新設された支援では、復興費が収入を上回るような大きな規模で、かつ経営が赤字基調の鉄道が対象とされました。これは南阿蘇鉄道の被災状況に照らしても適用は可能ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。また、その際の条件について教えていただけますでしょうか。

潮崎政府参考人 ただいま委員からお話ございましたとおり、東日本大震災では、被災した三陸鉄道を初めとする第三セクター鉄道に対しまして、通常の鉄道軌道整備法に基づく支援制度とともに、追加的な支援を行いました。

 具体的には、その内容でございますが、東日本大震災により過去にない極めて甚大な被害が発生したことに鑑みまして、お話にもございましたが、復旧費が鉄道の年間収入を上回る額であること、また、過去三年間の各年度において鉄道事業及び全事業が経常損失もしくは営業損失を生じていることなど経営状況が厳しく、また、さらにこれに加えて、鉄道事業者が復旧した鉄道施設を地方公共団体が保有する、こうしたことなどが整った場合に、国及び自治体の補助率を、補助対象事業費のそれぞれ二分の一ずつの補助をするということにしたものでございます。

 南阿蘇鉄道の復旧に向けた支援につきましては、さらに被害の規模ですとか事業者の経営状況等をよく踏まえまして、その内容や要件等を今後検討していく必要があると考えております。

田村(貴)委員 検討が必要だといったところもありました。

 総務省にお伺いします。

 鉄道の災害復旧事業において補助災害復旧事業が適用できるとするならば、その基準について説明をしていただけますか。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

黒田政府参考人 お答えします。

 ただいま御答弁がございましたように、現時点では、この国庫補助のスキームについて検討中ということでございましたので、一般論としてお答えいたします。

 法律に基づく措置はもとより、特別な予算措置によりまして国が事業費の一部を補助する場合には、第三セクターであります南阿蘇鉄道の災害復旧事業の地方負担に対しまして補助災害復旧事業債を充当することは可能でございます。

田村(貴)委員 はい、わかりました。

 南阿蘇鉄道、利用者が年々ふえてきている、中でも外国人旅行者の利用がすごく伸びているという話もお伺いいたしました。トロッコ列車は阿蘇観光地のシンボルでもありますし、通勤通学を初め沿線住民の貴重な足ともなっていました。部分開通によって、この乗客が一八%まで縮減したという話もお伺いしました。全線復旧は被災地を大いに励ますものだというふうにも思います。

 私たち日本共産党もせんだって政策を発表しましたけれども、被災した道路や橋というのは必ず復旧されます。しかし、災害に遭って鉄路が途絶えてしまうということも過去多くありました。鉄道も橋や道路並みに必ず復旧されて当然だというふうにも思います。

 再び国交省にお伺いします。

 南阿蘇鉄道再生協議会から正式な要請が今後寄せられるというふうに思います。全線復旧に向けて、可能な限りの支援をとっていただきたいというふうにも思います。復旧させなければならない、同じ思いだと思いますけれども、いかがでしょうか。

潮崎政府参考人 ただいま委員からお話ございましたとおり、地元からの御要望等、私どもも重々承知をしてございます。支援に向けての要望ということがその中にあることも、承知をしてございます。私どもも、そうした地元の要望や今回の調査結果、まだ詳細、少しこれから詰めてまいりますが、この調査結果を踏まえつつ、鉄道事業者やあと沿線の自治体など関係者と協力をしながら、今後、早期復旧に向けてどのような支援ができるのか、検討してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 国交省の支援スキームが決まったら、高市大臣、これは交付税措置の話にも及んできます。国交省と連携して支援に力を尽くしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

高市国務大臣 総務省としましては、今後、地元の御要望をしっかりと受けとめながら、国土交通省から補助スキームに関する具体的なお話を伺った上で、被災団体の財政運営に支障が生じないように、地方財政措置についてもしっかりと対応してまいります。

田村(貴)委員 しっかりお願いしたいと思います。

 次の質問は、熊本地震で被災した家の、住宅の支援についてお伺いします。

 質問の順番をちょっと変えます。最初に国土交通省にお伺いします。

 国交省の宅地耐震化推進事業、擁壁の被災を復旧するこの制度について、熊本地震では拡充されました。しかし、盛り土高二メートル以上、それから盛り土上に存在する家屋二戸以上というのは、対象外となるところが結構ございます。弾力な運用をぜひともお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 熊本地震では多くの宅地被害が生じたところでございまして、被災者の方々の気持ちに寄り添いながら宅地復旧の支援が必要というふうに考えております。

 宅地復旧に当たりましては、国の宅地耐震化推進事業と県による復興基金での対応、両方あわせて支援策が講じられることが大切だと考えておりまして、国の事業では対応できない宅地被害は基金により対応を行っていただくこととしております。

 この宅地耐震化推進事業につきましては、平成二十九年度から、これまで盛り土高さ五メートル以上、さらに五戸以上となっていた要件を、二メートル以上、二戸以上の宅地も対象とするなど、制度の拡充を図ったところでございます。

 委員御指摘の、地方部では家と家の間が離れているなどさまざまなケースがございまして、現在、熊本県、各市町村において、宅地復旧を行いたいという住民の方々の相談を受け付けているというところであります。

 今後、このような相談をもとに、県とも連携しながら宅地耐震化推進事業の的確な運用を図ってまいりたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 二戸以上、それから二メートル、ここの基準が非常に厳しい。今、復興基金との兼ね合いのお話もありました。ぜひ熊本県と、この制度が被災地、崖崩れ、擁壁の回復に全面適用になるようにお願いしたいと思います。

 それで、熊本地震による住家の被害ですけれども、五月二日現在、全壊が八千六百六十四、半壊が三万四千二十六、一部損壊十四万七千七百四十二、一部損壊の割合は七七・五八%であります。

 県庁所在地、熊本市の住宅被害は、同じく全壊が二千四百五十四、半壊が一万五千百六十三、一部損壊九万八千五百九十三、一部損壊の比率は実に八四・八%となっております。

 一部損壊が圧倒的に多いのが熊本地震の特徴であります。これは、何度も私、本委員会でも指摘をしてまいりました。しかし、国の支援がないのです。支援を求める被災者の声に政府は背中を向けているわけであります。

 熊本市の罹災証明書の交付件数依頼を見てみたいと思います。一次の申請が十二万六千八百九十一件、二次の申請が三万七千三百二十一件、二次調査の再調査、いわゆる三次調査が二千五百二十八件にも上っております。半壊以上でないと、応急修理代も義援金も出ません。条件はありますけれども、応急仮設住宅の入居もできないわけであります。

 この数から見ても、一部損壊世帯が半壊認定を求めた、これが非常に多くあるんじゃないかと見受けられます。二次申請で三万件を超えているのも、一部損壊世帯がこの判定に不服であるといったところが読み取れると思いますけれども、内閣府はそう思いませんか。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 住家の被害認定調査におきましては、一次調査の判定結果に納得がいかない方からの申請があった場合につきましては、内部立ち入りも行います二次調査を実施いたしております。さらに、その判定結果に関しまして再調査の依頼があった場合につきましては、依頼内容を精査いたしまして、必要と考えられる点があれば、その点につきましてさらに再調査を実施いたしております。

 御指摘のございました二次調査と再調査の件数からしていきますと、判定結果が引き上げになっていくことを望む方がおられることはわかりますが、その中には、一次調査の結果が一部損壊の方もおられると思いますけれども、半壊や大規模半壊の方もおられるというふうに考えております。

田村(貴)委員 認識が全然だめじゃないんですか。だって、全半壊で一万七千六百十七件ですよ。それをはるかに超える十二万もの申請があるわけですよ。全半壊の人たちは当然やってしかるべきなんですよ。それで、全部の総数が十二万も出ている。それは、一部損壊世帯が、いや、やはり支援を求めたいという数からきているのは明らかじゃないですか。そういう視点に立っているから国は冷たいと言われるんですよ。認識をやはり改めないとだめですよ。

 二次調査、三次調査によって一部損壊が半壊になった、あるいは半壊が大規模半壊に引き上げられた、そうした状況について政府はちゃんと掌握していますか。どの程度ありますか、判定が変わった数。

緒方政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘がございましたような判定の引き上げの件数につきましては把握をいたしておりませんけれども、被災者の申請に基づきまして二次調査や再調査を実施することによりまして、被害程度が適切に判定されているものというふうに認識をいたしております。

田村(貴)委員 そういう把握もしていないんですよね。本当に驚くべき状況だと思います。

 熊本日日新聞が去年の九月に報道したところによると、五割超が一次より重くなっていると。その二次判定、三次判定になったら、やはり被害度合いが精査されて重たくなっていくというのは自然の流れなんですよ。

 私、二月の予算委員会で、一部損壊世帯の話をいたしました。(写真を示す)こういう世帯で、瓦が落ちて、そして、天井を見上げればブルーシートという家があるということも資料で提出いたしました。この家は一部損壊世帯なんですよ。だけれども、数次の調査によって半壊認定になったわけなんですよ。見た目からはわかりませんよね。わからない。しかし、半壊の認定をされたということなんですよ。

 一部損壊と半壊では、全然、支援制度が変わってきますよね。御存じですよね。だから、これが大事だ。どのぐらい変わったかぐらいはちゃんと掌握しないとだめですよ。掌握しない限りは、被災者のニーズはわからないじゃないですか。一部損壊世帯がどの程度の被災に遭って、どういう支援を求めているかもわからないじゃないですか。

 私は、具体的にこういう事例を、本委員会でも予算委員会でも事例を示して政府に求めてきました。せめて調査ぐらいはした方がいいんじゃないですか、判定によってどう変わったのか。これはぜひやっていただきたいというふうに思います。

 同じく二月二十三日の予算委員会で、私は、国は自治体と協力して被災調査の、実態、被災者の要望把握に努めるべきだというふうに言いました。その後どうなったでしょうか。時間がないので、これはまたいずれの機会に聞かせていただきたいというふうに思います。

 いずれにしても、熊本地震では一部損壊世帯が非常に多かったこと、数的にも多い。そして、その度合いというのは、半壊ぎりぎりのところが非常に多いということであります。この先、雨が心配だ、この屋根の状態でどうなるのか。しかし、お金がなくて修理することができない、家を移りかわることもできない。こうした世帯を放置しておいていいんですか。国がやはり支援をするべきじゃないですか。

 安倍首相は、被災一年たったせんだっての震災犠牲者の追悼式で、一日も早い生活の再建と復興を実現するため、政府一丸となって全力で取り組んでいくと。全力で取り組んでいくんでしょう。しかし、一日も早い生活の再建、できていないところがたくさんあるわけなんですよ。支援すべきじゃないですか。いかがですか。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 被災地に対します生活とか住宅の再建を支援する制度といたしましては、被災者生活再建支援金がございます。この支援金につきましては、住宅に全壊や大規模半壊の重大な被害がある場合に限りまして支援を行っております。

 また、災害救助法に基づきます応急修理につきましては、住宅に半壊の被害の方を対象といたしまして実施をいたしております。

 さらに、一部損壊の被害を受けた方に対しましては、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資等の支援のスキームもございます。

 加えまして、熊本県におきましては義援金によりまして、また県内市町村におきましては独自支援によりまして、支援を行っているケースもあるというふうに認識をいたしております。

 引き続き、被災自治体の意見も聞きながら、国と自治体一体になりまして取り組んでいきたいと思っております。

田村(貴)委員 そう言うのであれば、一部損壊世帯に直ちに手を打つべきです。

 引き続き要求していきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

竹内委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 きょうは、性暴力被害者支援について質問いたします。

 まず、高市大臣に伺います。

 性暴力被害が大きな社会問題となっており、第四次男女共同参画基本計画では、民間主導で進められてきた性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを、行政も関与して、二〇二〇年までに各都道府県に最低一カ所設置とし、今年度から一億六千万円の性犯罪・性暴力被害者支援交付金が予算化され、いよいよ被害実態にふさわしい地方公共団体での取り組み強化が本格的に求められるときになりました。

 また、いわゆるアダルトビデオ出演強要やJKビジネスなどをめぐって性的搾取が広がり、SNSやツイッター、インターネットなどを通じた被害がありながら、実態はほとんど把握されておらず、被害者の受ける深刻な打撃ははかり知れません。三月には関係府省庁対策会議が設置をされ、総務省も参加をし、この四月の被害防止月間を受け、五月中旬をめどに今後の取り組み方針が策定される計画だと聞いております。

 このように、性暴力被害の支援については、内閣府、厚労省、法務省などとともに総務省の役割も大きいものがあると考えますが、まず、大臣の性暴力被害への御認識と、総務省の検討事項を伺いたいと思います。

高市国務大臣 性的な暴力の問題というのは極めて深刻な状況であると認識をしております。性暴力被害者への救済につきましても、これは重要な課題だと考えております。

 今、委員もお触れいただきましたが、女性がいわゆるアダルトビデオへの出演を強要される問題も発生していますし、総務省としては、まず、インターネット上にその出演画像ですとか、また性暴力被害を受けた際の映像などが流通したというようなときに、ネット上の被害の対策として、利用者からの御相談を受け付けて、具体的な削除要請の方法などについて助言を行う違法・有害情報相談センターというものを運営しております。

 この違法・有害情報相談センターに寄せられる相談事項につきましては、適宜関係省庁に提供し、共有を図っております。関係省庁の取り組み内容についても、必要に応じまして通信事業者に周知を行っております。

 今、内閣府が各省庁の相談窓口一覧をホームページに掲載していただいておりますので、できるだけ各省連携して、悲惨な被害が、特に二次的な被害も含めて減少していくように力を入れてまいりたいと存じます。

梅村委員 インターネットなどでの被害も広がっていますので、この問題についてはまた次に質問もしていきたいと思いますが、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 きょうは、特に、前半で少し聞きましたワンストップセンターの方について主にはお伺いしていきたいというふうに思います。

 改めて、ワンストップセンターとはどういうものなのか、内閣府の答弁を求めたいと思います。

大塚政府参考人 お答えをいたします。

 性犯罪や性暴力、これは、性別を問わず人権を著しく踏みにじる、決して許されない行為でございまして、加害者に対する厳正な対処とともに、やはり性犯罪、性暴力の被害者への支援が極めて重要でございます。

 その上で、議員御指摘のワンストップ支援センターでございますが、これは、被害を受けられた方の心身の御負担を少しでも軽減するために、被害の直後から相談を受けて、医療的な支援あるいは心理的支援などを含めて、そうした一連の支援を可能な限り一カ所で提供するということを意味する施設でございます。

梅村委員 被害者が、病院に行き、相談所に行き、警察などに行き、それぞれ足を運んでそのたびに被害について述べるということは、二次被害、三次被害ともなる危険もあるわけですから、今おっしゃったように、速やかに、一カ所で、なるべく早く対応していくということで、ワンストップセンターということが本当に被害の救済では必要だというふうに思います。

 そこで、ワンストップセンターの重要性をさらに認識するために、現在の性犯罪、性暴力被害の実態を簡潔にお答えいただきたいと思います。

大塚政府参考人 お答えいたします。

 私ども、男女間における暴力に関する調査というものをいたしてございますが、直近の二十六年調査の結果を見ますと、例えば、二十歳以上の女性千八百十一人に、これまでに異性から無理やりに性交されたことがあるかと問うたところ、そうした被害経験ありと答えた女性が六・五%、百十七人でございました。その六・五%の方々に対しまして、そのことを誰かに打ち明けたり相談したかというふうにお尋ねしたところ、そのうちの六七・五%、三分の二を超える方々が相談しなかったと答えている。そういう状況が例えばうかがえるところでございます。

梅村委員 今御答弁がありました資料については、資料一であります。

 それで、実数としては百十七人ということですけれども、調査対象が千八百十一人ですから、これは人口に換算すると、実に、六・五%であれば、人口でいうと三百五十万人あたりが、合意もないのに無理やり性交させられた経験を持つという調査結果になろうかと思いますので、この数字は非常に重大だというふうに思います。

 特に、強姦や強制わいせつは魂の殺人と言われていると思います。今御紹介がありましたけれども、ちょっとなかった部分ですけれども、年齢的にいつごろそういう無理やりに性交させられたのかということが、今、資料の一の下の方にありますけれども、小学生以下が一一・一%、中学生のときが二・六%、そして中学卒業から十九歳までが二三・一%ということで、性暴力被害の無理やり性交させられたといううちの四割が十代以下というふうになっていることは非常に重大だと思うわけですね。

 どこにも相談できずに苦しんでいらっしゃる方が、今御紹介ありましたように、六七・五%。大人であれば自分たちでいろいろなことができるかもしれない。それでもできないんですけれども、とりわけ、未成年がこんなに、四割近くいるもとで、相談しなかったが六七・五%。ですから、若者、女性、子供が性暴力被害でたくさん苦しんでいるという実態を深刻に捉えなければいけないというふうに思います。

 私、日本で初めてのワンストップセンター、大阪・松原市の阪南中央病院の性暴力救済センターの大阪SACHICOにも行ってまいりましたけれども、SACHICOでは、七年間の電話件数が総数で二万八千五百七十三件。うち、延べ来所が五千百八十八件で、二〇一六年度は一日に二人から三人が来所をしている。来所をするというのはとても勇気の要ることだと思うんですけれども、実際に来ている方が一日ペースで二、三人もいらっしゃる。初診カルテをつくった人は、この七年間で千四百八十六人いる。

 その被害の内容を見てみると、レイプ、強制わいせつ、性的虐待、DV。うち、九百十二人、六一・三%がSACHICOでは未成年になり、九歳以下、そして十歳から十四歳も合計百名を超えている。こうした中で、妊娠の事態も起こっているわけですよね。

 児童相談所や学校や警察から連れてこられる。実は、被害を受けられる相手が実の父だったり、義理の父だったり、兄弟や親戚だったり、そういう事態もあって、誰にも言えずに苦しみ続けている、そういう若者だとか女性や子供たちがいるということは非常に深刻だと思います。そして、妊娠や出産、また中絶の事態もあるわけです。その望まない妊娠の背景にやはり望まない性交がある。すなわち、これが性暴力だというふうに思います。

 日本政府は、何度も国連の人権委員会から、性犯罪規定が国際的な人権水準からは立ちおくれているという勧告を受けていると思います。そして、北京女性会議において言われた性的人権の確立が、本当に今、こういう現状のもとでは大事になっており、だからこそ、ワンストップセンターが全国で早急に急がれているというふうに思うわけです。

 それで、現在の設置数、または形態別について、簡潔に御紹介いただきたいと思います。

大塚政府参考人 お答えいたします。

 ワンストップ支援センターにつきましては、ことし平成二十九年四月一日現在で、三十八都道府県に三十九施設設置をされております。

 その主な形態の内訳を申しますと、いわゆる病院を拠点とするタイプ、それから相談センターを拠点とする形、そして相談センターと他機関との連携型と大きく三つございまして、病院拠点型が九施設、それから相談センター拠点型が一施設、相談センター連携型が二十八施設、これのいずれにも属さないものが、その他ということで一施設というふうに把握をしております。

梅村委員 ありがとうございます。

 その実態が資料の三にあるというふうに思います。

 それで、この間、内閣府が二〇一四年から性犯罪被害者等のための総合支援に関する実証的調査研究を立ち上げられ、毎年予算もつけられてまいりました。そして、今年度から初めて性犯罪・性暴力被害者支援交付金が開始をされ、今の御答弁にはなかったんですけれども、こういう交付金に後押しをされて、ほぼ全ての県でいろいろな努力が始まってきているということは聞いているところです。その皆さんの御努力に感謝を申し上げたいと思います。

 これは、もう長年、被害者や民間支援団体の皆さんが一生懸命取り組んでこられた結果でもあるというふうに思うわけですね。

 貴重な一歩を今踏み出そうとしております。しかし同時に、被害実態にふさわしい本格的な地方公共団体の取り組みとしては、私は大きな課題があるというふうに思います。

 その一つが今御紹介いただいた形態の問題なんですけれども、そもそもワンストップセンターというのは、なるべく早く、不合意な性交によって妊娠の可能性がある場合なんかは、七十二時間以内に病院に行って処置をすれば、一〇〇%ではないですけれども妊娠が防げるというような処置もあるわけですから、やはり病院に速やかに行って、心身とものケアと、そして警察との連携だとか相談体制が必要だと思うわけです。

 そういうことで、現場からは、なるべく病院拠点型、病院を中心とした取り組みにすべきだという強い要望が上がっているんですけれども、先ほどの御答弁では、病院型は九で、そういうところと連携した相談センターが一で、そうではないところが二十八ということなので、私は、やはり本来のワンストップセンターの役割からすれば、病院拠点型、これは医療機関との協力だとかお医者さんの協力が必要なので大変な努力が必要だと思いますけれども、しかし、若い人たちがこれだけ被害に遭っているわけですから、そういう努力を強めていただきたいと思いますが、その点、いかがでしょうか。

大塚政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる病院拠点型が少ない理由でございますが、必ずしも個々の県の詳細な状況を把握しているわけではございませんが、やはり主な要因としては、拠点となる病院が不足している、あるいは医療関係者、支援者などの人材が不足しているといったことなどが考えられようかと思います。

 ただ一方で、拠点としての役割、機能を担うのは難しいという場合でありましても、例えば、先ほどの連携型の中で、協力病院あるいは提携病院といった形で一定の医療的支援の役割を担うことはできるといったようなケースもあろうかと思いますので、そのあたり、恐らく地域によっても状況はさまざまだと考えられます。

 先ほど御紹介いただきました新たな交付金、これもできるだけ各都道府県の実態、ニーズに合わせた形で応えられるように、こうした交付金も効果的に活用して、できるだけそういった地域の要望にきめ細かく応えてまいりたいと考えております。

梅村委員 先ほど御紹介した大阪のSACHICOは、立ち上げに数千万円、二十四時間三百六十五日ホットラインと相談体制の維持に年間三千万円の運営費を要しているというふうにあります。

 今回交付金がスタートしたことは非常に重要で、後押しになっていることは間違いありません。しかし、今後これが続いていくのかとか、一回限りではないかとか、恒常的に使えるのかとか、そういうお声もあるんですけれども、その重要性からして、今後継続的に引き継がれていく、さらに前進させていくという方向でいいのかどうか、確認したいと思います。

大塚政府参考人 お答えいたします。

 この交付金、今年度新たにお認めいただきました。まずはとにかくこの交付金を活用していただきまして、それぞれの都道府県において、まずはその支援の充実、センター未設置のところは早期に設置をし、その上で安定的な運営を図っていただくということが何よりも大事だと思っております。

 まずはこの交付金をとにかく活用していただき、我々もその活用状況をよく把握しながら、今後のあり方につきましても引き続き検討してまいりたいと考えているところでございます。

梅村委員 これだけ被害が大きいわけですから、ぜひ、実態もつかみながら、さらに前進させていく方向でお力添えをいただきたいというふうに思います。

 それで、地方自治体の財政負担もこれで生まれてくると思うんですが、地財の措置の方についても確認させていただきたいと思います。

黒田政府参考人 御指摘の性犯罪・性暴力被害者支援交付金に係る事業の地方負担につきましては、普通交付税措置を講じることとしております。

 具体的には、この交付金の地方負担分も含めました男女共同参画推進費につきまして、都道府県分の包括算定経費の単位費用の中に算入しまして、人口に応じて算定することとしております。

梅村委員 地方自治体が性暴力被害者支援に思い切って取り組めるように、今後も地財措置、努力をしていっていただきたいというふうに思います。

 最後に、内閣府に伺いたいと思います。

 やはり、一県に一つではまだまだ足りないということは明らかだと思います。国連は、人口二十万人に一カ所の水準を既に示しているわけです。大変日本はおくれています。取り組みが始まったばかりだという現在の到達はあると思いますが、国連の水準を目指して今後推進していくおつもりかどうかということを最後に御答弁いただきたいと思います。

大塚政府参考人 私どもといたしましては、今回認められた交付金、これをまずとにかく積極的に御活用いただきまして、まずは全都道府県にワンストップ支援センターを早期に設置する、この目標に基づきまして、引き続き支援の充実に努めてまいりたいと考えております。

 一部のところは、かなり連携のネットワークを張りめぐらして広域的な対応もやっているところもあるようでございますが、そうしたことも含めて、できるだけ地域の実態に沿えるような支援を引き続き考えてまいりたいと思っております。

梅村委員 ぜひ、そういう方向で全力を尽くしていただきたいというふうに思います。

 そして、このワンストップセンターの問題でいいますと、所管省庁、官庁がない、法的根拠がない、これがやはり一番大問題だと思うんですね。野党は、昨年五月に性暴力被害者支援法案を共同で提出し、現在継続審議中です。ぜひとも早期に法整備を行い、国連の求める水準に近づけるようにしていくべきだというふうに思います。

 これまで、支援は、民間支援団体やボランティアに支えられてきましたけれども、本来、国と地方公共団体が責任を持って進めることだというふうに思います。しっかりとこの点に立って行っていただくことを強く求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。

 冒頭、今、梅村委員が質問されていた性暴力支援センター、SACHICOがある松原市に在住している者ですけれども、今お話ししていただいたように、全国で初めて、ワンストップセンター、病院の中にある連携のタイプでつくっていただいて、それ以来ずっと頑張っていただいております。

 先日、性暴力に関する大会が大阪でもありました。私はちょっと残念ながら顔を出すことができなかったんですけれども。これから、交付金化していただいている。残念ながら、関西で、この表を見てもわかりますけれども、奈良県だけがまだ整備されていませんので、大臣、またよろしくお願いをいたしたいと思います。

 それでは、きょうの質問に移っていきたいと思います。

 一つ目、もしかして皆さんにお渡ししている順番はちょっと違うかもしれませんけれども、文書管理規程について、きょうはまずお聞きしたいと思います。

 これは、もちろん森友学園問題に端を発して、きのうも参議院の方で議論がありました。おとついでしたかね、忘れましたけれども。二週間で重要な文書を廃棄するというのは、正直私も、誰もが納得いかないでしょうし、しかもそれが、コンピューターのデータ自体も消去されている。

 わざわざ徹底的にコンピューターのデータを消去するというのは実は技術的に非常に面倒くさくて、完璧に消去するというのは一手間かかるんですね、逆に。だからこそ、コンピューターのデータというのはなかなか完全廃棄ができないからこそ、いろいろなデータを盗まれたりとかいろいろな犯罪に使われたりするわけですけれども、きのうの政府の佐川さんの答弁を聞いていても、到底信用できないというか、納得できない内容というのは誰が聞いても明らかだった。まあ、そのときも質問をされている先生が指摘をしましたけれども、あれは本当におかしいんじゃないかなというふうに私も思います。

 文書管理規程のことに関する質問はこれまでもいろいろとされてきたと思います。私もいろいろと調べさせていただいたんです。これは、ひな形になるものは内閣府が公文書等の管理に関する法律施行令というもので定めていますけれども、これはあくまでもひな形という形で、詳細には各省庁が正式に決めていっている。それで、財務省の今回の答弁は、独自に財務省が決めているルールだということなんです。

 それはもう起こってしまって、そういうふうに答弁されているので、それはそれでもう仕方がないとは僕は思いますけれども、ただ、これからそういうことをしてしまうと、国会で追及する場合に追及できなくなってしまいますので、では、そのルールを改めましょうねというだけの話です。理財局がそういう答弁をするのであれば、各省庁、全文書を保存する義務をかけたらええと思うんですね、消さないように。僕は、それがこれに対する答えだと思っています。

 法律を見ましたら、長いものでは保存期間が無期限のものもあります。三十年だとか十年だとか五年だとか三年、いろいろ細かく決められている文書もありながら、その中で、一年未満というものの中にそういう今回の廃棄された書類の類型が含まれているということだったんですけれども、今言ったみたいに、それでは全部の書類を残しましょうよと。そうすれば今回のようなことはなくなると思うんですね。

 まずお聞きしたいのは、総務省の方では、この管理規程、どういうふうにされているかというのをお聞かせいただきたいと思います。

竹内委員長 浦野委員にお尋ねいたしますが、総務省にその事前の通告がありましたでしょうか。

浦野委員 済みません。総務省に聞いても答弁するのは内閣府だということだったので、内閣府、答弁していただいて。済みません。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 公文書管理法は、公文書が国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることに鑑み、現在と将来の国民への説明責任を全うすること等を目的として、行政文書の適正な管理に関するルール等を定めているところでございます。

 先ほども委員から御指摘ございましたが、内閣府において、行政文書の管理に関するガイドラインにおいて、各行政機関が定める行政文書管理規則のひな形等を示しているところでございまして、各府省の文書管理の統一性の確保を図っているところでございます。

 当然、総務省においても、それに沿って文書管理規則を定めているものというふうに理解しております。

浦野委員 きょうの朝日新聞にもありましたけれども、行政側が恣意的に文書をいろいろとやりくりできるようでは、国会でいろいろな問題を追及するときに不都合が出てきますので、私は、やはりこの際、保存期間が一年未満とされているものも全て、この今回のことを受けて、保存していく方向で、法改正が必要なら法改正をしていくべきだというふうに思っています。

 日本維新の会でも、一度このことに関して議論していきたいと思っております。また、提案できるようにしたいと思います。

 このことが、なかなかはっきりとしたことがいまだに解明されていないというのは非常に残念なことですので、今後、こういった問題が起きたときにそういったことがないように、一年未満で廃棄ということが起こらないように、きっちりと公文書、私的文書と行政文書の違いも出てくるわけですけれども、そういったところもしっかりとルールをつくって、今回のような事件が起きた場合にしっかりと国民の皆さんが納得できるような情報が公開されるように、文書を保存していっていただけたらと思います。

 続いて、各自治体が行っている災害防災訓練のときに、ペットを飼っていらっしゃる皆さんが一緒に避難訓練をした方がいいんじゃないかということ。

 私、きょうも足立さんが、結果的には開かれることがなくなってしまった憲法審査会がかぶってしまって僕になっているわけですけれども、内閣委員会では、こういった質問をさせていただいています。防災に関しては総務省も所管しているということですので、前回、内閣委員会で、質問をさせていただいたときから何か進んだことがあるのであれば、それも含めてお答えをいただきたいと思います。

正田政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省では、東日本大震災の経験などを踏まえて、平成二十五年六月に災害時におけるペットの救護対策ガイドラインを策定し、ペットの同行避難や避難所におけるペットの受け入れを推奨するとともに、自治体や飼い主が配慮すべき事項等についてお示しをしてきたところでございます。

 こうした中で、昨年四月に発生いたしました熊本地震におきましては、飼い主によるペットの同行避難、これは広く行われておりましたが、他方で、またさまざまな課題も指摘されてきたところでございます。

 このため、環境省では、現在、熊本地震の経験を踏まえまして、先ほど申し上げました災害時におけるペットの救護対策ガイドラインの改定作業を進めておるところでございます。

 こうしたガイドラインを参考に、今後、各自治体での同行避難の訓練など被災ペット対策がより促進されるよう期待しておるところでございます。

浦野委員 今、各自治体が主催で、最近の災害訓練は、見ているだけではなくて、実際に重症患者の役割の人がいたりとかして、その人たちをみんなで力を合わせて運んだりとか、病院に搬送する前にどういうことをせないかぬかとか、そういうのを実際に経験するような避難訓練というのが結構多く行われています。

 現実的に本当に起こったときにどういうことがあるかというのを経験するためには、やはり、ペット同伴で避難される方もたくさん、絶対いますから、そういう訓練を通してそういった状況を経験するというのは非常に大事なことだと思うんですね。

 私の家にも、自宅には秋田犬が二匹いまして、いざというときは、僕がいなかったら多分二匹一遍には、うちの妻も、子供二人もまだ小学生なので、秋田犬二匹を連れてというのは非常に大変だとは思うんですけれども、でも、そういった経験を積むというのは非常に大事だと思うんですね。

 私が今心配しているのは、別に環境省を悪く言うつもりはないんですけれども、自治体の中で環境省の仕事の占める割合というのはすごくちっちゃいですから、部局も力が余りないんですね。環境省が幾ら頑張ってやってくれたとしても、自治体に落とし込んでいくと非常に小さい声になってしまう。

 そこは、やはり環境省がやっている取り組みを総務省もバックアップして、総務省の方から自治体の方にしっかりとこういう訓練をやりなさいということを言ってあげないと、市町村もなかなか重い腰を上げないんじゃないかなと思っているんですけれども、その点について総務省はどうお考えですか。

大庭政府参考人 お答えします。

 災害時におけるペットを伴う避難のあり方につきましては、国の防災基本計画においても、地方公共団体等は、ペットとの同行避難や避難所での飼養についての準備を住民に普及啓発することや、避難所においてペットのためのスペース確保に努めることとされております。

 こうした避難行動を実際の災害時に円滑に行うためには、住民参加のもと、より実践的な訓練を行うなど、平時から備えておくことが重要であると考えております。

 実災害に備えた実践的な訓練の実施につきましては、中央防災会議が毎年度定める総合防災訓練大綱を周知する機会などを捉えまして、消防庁としましても、各地方公共団体に要請しているほか、ペットとの同行避難訓練を実際にやっているような先行事例などにつきましても周知を行っているところでございます。

 引き続き、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

浦野委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 最後に一つ。

 前回の総務委員会での質問のときもそうだったんですけれども、内閣委員会でも、これまでの厚生労働委員会でもそうだったんですけれども、私は基本的には、よく、質問を通知した後、皆さんに来ていただくときに、答弁者は誰々でよろしいですかとか、そういう確認をいつも丁寧にしていただきます。

 この間の本会議での無駄に長い趣旨弁明のときに、誰に答弁を求めるかとか、誰に答弁させないとか、誰を出席さすとか、そういうのがありました。衆議院規則がどうだとか、憲法違反がどうだとか、そういう話もありました。

 私は、委員会というのは何をするところかというと、やはり委員会審議を通じていろいろな疑念とか問題点を国民の皆さんにもしっかりとわかっていただいて、その上で賛否を決めていく、これが重要だと思うんですね。

 その中で、その答弁、大臣に絶対求めなあかん答弁かという答弁もたくさん、他党の質問にはあります。それはもちろん、国会議員の権限でそれをやっているんだと言うかもしれませんけれども、国会議員というのは別にそんなに偉いと思っていませんから、それはちょっとおかしいなと思うんですね。私たちは何のために質問しているかといったら、国民の皆さんのために質問しているわけであって、国会議員が偉いから質問しているわけじゃないんですよね。

 私は、答弁を求めるときに必ず言います、しっかりと内容を答弁していただける人だったらどなたが答弁していただいても結構ですと。ただ、政治的な判断を求めなければいけないような質問に関しては、もちろん大臣、副大臣、政務官の皆さんに質問をさせていただきますけれども。

 私は、本当に残念なのは、余りにも特定の人に質問を集中させて、それを困らせて喜んでいる野党がいるということ自体を今嘆いています。これが本当に国民のためになっているのか。それはまあ、選挙でしっかりと判断されるでしょうし、最近の支持率にもそれが如実にあらわれているんじゃないかなというふうに私は思っていますので、それはそのままやっていただいて結構だとは思っているんですけれども、国民はしっかりと見ているだろう、必ず結果が最後に出るんじゃないかと私は思っています。

 総務省の皆さんも、若干、足立康史が一人の副大臣にしつこく質問するときもありましたけれども、そういうこともやっていましたけれども、それはおいておいて。私は、ちゃんと答弁できる人が答弁をすれば、誰が答弁しても、省庁の人が答弁するのと大臣とか副大臣が答弁する内容が違うのであれば問題やと思うんですよ。ところが、この間の趣旨弁明の話では、同じ答弁をしたから問題やという。それは同じ答弁になるでしょう、同じ質問をしているんやからね。行政の人たちと政務の人たちで質問の答弁が違っていたら、それはおかしい話であって、同じ答弁をするのが当たり前なんやから、それやったら、わざわざ改めて大臣に答弁を求める必要もないと思うんですね。

 私は、こういう審議のやり方について、これは総務省の方がお答えすることはできないと思いますので、政務の方に一言御意見をいただけたらと思っているんですけれども、いかがでしょうか。

冨樫大臣政務官 お答えいたします。

 国会における御審議のあり方については、総務省の立場から答弁すべきではないと思われるため、答弁については差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにせよ、総務省としては、提出法案の内容等について国会の御理解をいただけるよう、今後とも努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

浦野委員 以上で質問を終わります。

竹内委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 以前、当委員会でGPS捜査について質問をさせていただきました。その際、通告なしの質問も結構あって、十分な答弁がいただけなかったというふうに私自身は感じておりますので、今回はしっかり通告した上で、場合によってはもしかするとその場で質問することがあるかもわかりませんが、改めて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、総務省にお聞きしたいんですけれども、電気通信事業者として登録あるいは届け出がされている警備会社、これは存在をするのでしょうか。

富永政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる警備会社が、電気通信事業法第十六条第一項に基づき、電気通信事業を営むことについて総務大臣に届け出て、電気通信事業者となっている例はございます。

吉川(元)委員 あるということなんですけれども、個別の企業名というのはさすがになかなか出しにくいということはあると思います。一般的によく知られている大手の警備会社があると思いますけれども、こうした会社もやはり電気通信事業者というふうに届け出が出されているんでしょうか。

富永政府参考人 委員御指摘の、一般的に知られている大きな警備会社につきましても、電気通信事業法に基づいて総務大臣に届けて、電気通信事業者となっている例はございます。

吉川(元)委員 それでは、ちょっと、警備会社がなぜ電気通信事業者というふうになるのかというのがやはり根本的なといいますか疑問なんですけれども、どうしてこうした警備会社が電気通信事業者として届け出をされているのか、その理由を尋ねます。

富永政府参考人 お答え申し上げます。

 電気通信事業法は、電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り、公共の福祉を増進することを目的としておりまして、電気通信事業を営もうとする者は、原則として、総務大臣の登録を受け、または総務大臣に届け出ることとされております。

 したがって、いわゆる警備会社が電気通信事業を営もうとする場合には、総務大臣への届け出等が必要となるということでございます。

 以上でございます。

吉川(元)委員 それをやる場合には届け出が必要だということなんですが、ちょっともう少し具体的にお聞きしたいと思うんです。

 例えば、警備会社はいろいろな形で電気通信事業を行っているパターンがあるのかなというふうには思いますが、その中で、GPS端末を使った位置情報の提供サービス、こうしたことも行われている。実際に、ホームページを見れば、大手の警備会社なんかは、いわゆる認知症の方であるとか子供であるとか、あるいは自分の自動車やバイクが盗難に遭ったときに見つけられるようにというような形で、そういったGPSを使ったサービスを提供しております。

 GPSを使ったサービス、これも当然電気通信事業に当たるというふうに思うんですが、総務省としてはどういうふうに見解を持っておられますか。

富永政府参考人 いわゆるGPSを利用した位置情報サービスにつきましては、さまざまなサービス形態があり得ると考えられますので一概には申し上げられませんが、例えば、契約者にGPS端末を貸与し、そのGPS端末からの情報を電気通信設備を用いて当該契約者が取得できるようにするサービスは、基本的には、電気通信事業法第二条第四号に規定する電気通信事業に該当すると考えられます。

 以上でございます。

吉川(元)委員 つまり、一般的に、GPSを貸し出して位置情報を提供するサービスというのは電気通信事業に当たるというふうに、私自身も理解をいたしました。

 では、ちょっと別の観点、特にガイドライン、電気通信事業における個人情報に関するガイドラインとの関係で質問をしたいというふうに思います。

 改正個人情報保護法の施行が五月三十日ということで、それに合わせて四月に、実際に施行されるのは、これは五月三十日、同日だというふうに思いますが、このガイドラインが全面的に改定をされました。

 位置情報の利用ということについて言いますと、旧ガイドラインでは二十六条、それから新ガイドラインでは三十五条というふうになっております。

 その三十五条の三項では、「電気通信事業者が、位置情報を加入者若しくはその指示する者に通知するサービスを提供し、又は第三者に提供させる場合には、利用者の権利が不当に侵害されることを防止するため必要な措置を講ずることが適切である。」これは、新しいガイドラインで「適切である。」という言い方がされております。古い方でいいますと、適切という言葉はありませんが。

 そこで、この第三十五条三項、どのような措置をとることが適切だというふうにされているのか、説明をお願いします。

富永政府参考人 第三条三項でございますけれども、必要な措置の具体的内容といたしましては、利用者の意思に基づいて位置情報の提供を行うこと、それから位置情報の提供について利用者の認識、予見可能性を確保すること、位置情報について適切な取り扱いを行うこと、第三者と提携の上でサービスを提供する場合は、提携に関する契約に係る約款等の記載により利用者のプライバシー保護に配慮することなどが考えられます。

 以上でございます。

吉川(元)委員 一般的な話なんですが、GPSの端末を例えば設置する場合、先ほど言いましたとおり、警備会社がそういうサービスを提供する、GPS端末を提供して、それを自分の車だとか家族等々に渡したりして迷子にならないようにだとかいうようなことをする場合、これも旧ガイドラインでは、前回お話ししましたが、この記載がありますし、新ガイドラインでも解説の中で記載があるというふうに思いますけれども、これも同様の扱いをすべきものだというふうな認識でよろしいんでしょうか。

富永政府参考人 電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインは、電気通信事業を行う者を適用対象としております。

 委員御指摘のGPS端末を設置して提供される位置情報サービスにつきましては、先ほども申しましたように、さまざまな形態があり得ると考えられますので一概には申し上げられませんが、契約者にGPS端末を貸与して、そのGPS端末からの情報を電気通信設備を用いて当該契約者が取得できるようにするサービスにつきましては、基本的には、御指摘のとおり、このガイドラインが適用されると考えております。

 以上でございます。

吉川(元)委員 それでは、前回の質問で、これは通告なしで質問した関係もあったかと思いますけれども、富永政府参考人の方から、端末を借りて、その端末を単に設置しただけだと、ネットワーク側ということで、電気通信事業者としての大手警備会社が業をしているということにはならない、そうした答弁がございましたが、今私がるる説明をしてきた、話をしてきた、貸与して位置情報を提供していくということ、これはまさに、このガイドラインの範疇の中にあるというふうな理解でよろしいでしょうか。

富永政府参考人 携帯会社が電気通信事業者として届け出を行って、電気通信事業として位置情報サービスを提供するということであれば、先ほども申しましたとおり、このガイドラインの適用対象になり得ると考えております。

吉川(元)委員 あと、そうなりますと、このガイドラインを守るべき人は誰なのかということ、ちょっと繰り返しの質問みたいになってしまいますけれども。

 GPS端末を、それを業として実際に大手の警備会社は行っているわけですけれども、貸与して、それによって位置情報を利用者に提供していくといった場合に、このガイドラインを守らなければいけない、このガイドラインに従って行っていかなければならないその主体というのは、一体誰になるんでしょうか。

富永政府参考人 本件ガイドラインでございますけれども、電気通信事業を行う者を適用対象としておりますので、電気通信事業を行う者そのものがガイドラインの対象となるということでございます。

吉川(元)委員 そうしますと、やはりこれについては、例えば、大手警備会社が電気通信事業者としてその業を行っている場合においては、この大手の警備会社がこのガイドラインに従ってやっていかなければいけないというふうな理解でいいんだというふうに私自身も思います。

 それで、警察庁にお聞きをしたいと思います。

 前回の委員会で、各都道府県警察が使用している移動追跡装置に係るサービスを提供する事業者について、その多くは大手警備事業者のサービスを利用しているものと承知をしているという答弁がございました。

 そこで、改めて尋ねますけれども、三月十五日の最高裁判決で、令状のないGPS捜査、これはだめだよ、強制処分に当たるよということが判示されたわけですけれども、このときの契約主体は一体誰なのか。恐らく大手警備会社ということだろうと思いますけれども、会社名が出せないというのであれば、その会社というのは、いわゆる電気通信事業者としての届け出が出されている会社なのかどうなのか。

 それからあと、契約内容、特に、使用目的が何だったのか。つまり、実際に行われた捜査というのは、GPSの端末を被疑者の車等に設置してひそかに位置情報を警察が取得していたということになりますけれども、こうした被疑者の位置情報、本人の了解を得ないまま、被疑者の位置情報を取得するために貸与を受けるといったような内容の契約を結ばれていたんでしょうか。

高木政府参考人 お尋ねの事案におきます契約の相手方は大手警備事業者でございまして、電気通信事業法に基づく届け出をしているものというふうに承知をしております。

 契約の内容でございますが、大阪府警察におきまして当該事業者と契約しておるものでございまして、警察庁において詳細な内容については把握しているものでございませんけれども、契約の内容といたしましては、携帯電話などによりまして事業者の設ける専用ホームページにアクセスをして、契約番号や暗証番号などを入力すると当該端末の現在地について回答が得られるということについて契約をしているものというふうに承知をしております。

吉川(元)委員 もう一回確認ですけれども、捜査、とりわけ被疑者の位置情報をひそかに取得するためにこの端末を借りますという契約はされたのかされていないのか、その点をもう一度答弁お願いします。

高木政府参考人 GPSを利用した位置情報提供サービスを、都道府県警察において、必要に応じて民間事業者と契約をしております。これを捜査に活用していくに当たりまして、個々の契約ごとにその内容は異なっているものでございまして、お尋ねの大阪の事案におきます具体的な契約の内容については承知をしておりません。

 個々の契約ごとに内容はさまざまでございますけれども、捜査に利用する旨を説明している場合はあるものというふうには承知しております。

吉川(元)委員 いや、ただ単に、捜査に利用しているということを明記しているかどうかではないんです。例えば、もちろんそれは、捜査員がみずから持って、自分は今ここにいるよということを常時警察の方に、県警なり府警なりに情報を知らせる場合もあるでしょうし。

 ただ、私が聞いているのは、被疑者の車なりなんなりにひそかに取りつけて、本人の同意を得ないままその位置情報をとるということを契約の中で明記されているのかどうか、この点を私は聞いているんです。

高木政府参考人 捜査に利用する旨を説明している場合におきましても、捜査の具体的な方法については、そういった具体的な内容にわたる説明はしていないものというふうに承知をしております。

吉川(元)委員 つまり、被疑者の位置情報をひそかに取得するために使うというようなことは、明示的には契約の中では明らかにしていないということですね。

 そうしますと、ガイドラインの中で、これは旧ガイドラインの解説の方ですけれども、「第三者と提携の上サービスを提供する場合は、提携に関する契約に係る約款等の記載により利用者のプライバシー保護に配慮をすることなどが考えられる。」というふうに書かれております。これは一体どういう中身なんでしょうか、どういう意味なんでしょうか。ちょっとこれは通告していませんが、ガイドラインの中身の話なので。

富永政府参考人 今委員御指摘の解説の中身でございますけれども、まさに利用者に対する配慮という趣旨で書かれたものでございますので、書いてございますとおりでございます。

吉川(元)委員 より詳しくその後にガイドラインの解説の中で書かれているのは、約款等において、第三者において上記のプライバシー保護、つまり、利用者の意思、それから利用者の認識、予見可能性、それから位置情報についての適切な取り扱い、このようなプライバシー保護措置が確保されることを担保することというふうに書かれております。

 「利用者のプライバシーが不当に侵害されていると判断される場合には、位置情報の提供を停止できるようにしておくこと」というふうにこのガイドラインの解説では書かれていますけれども、としますと、今まさに警察庁の方から御説明がありました行為というのは、上記の一、二、三、まあ三はちょっとわかりませんが、少なくとも、利用者の意思、あるいは認識、予見可能性、これらが実際上はそのとおりに行われなかったというふうに考えますけれども、総務省としてはどのように認識されますか。

富永政府参考人 プライバシーガイドラインの解説の中で電気通信事業者が行うべきこととして書かれていることは、私ども、ふだんから周知を行って、電気通信事業者にやっていただくべくお願いしております。

 一方、このガイドラインの制定経緯でございますが、平成十年に位置情報に係る規定が制定されました。その際、この規定の対象としては、高齢者の見回りですとか車両の盗難防止を目的とした位置情報サービス等が想定されておりました。

 それから、この解説の一部が平成十九年に改正されましたが、その際は、この規定の対象といたしまして、子供の見守りですとか従業員の動態管理を目的とした位置情報サービス等が想定されておりました。

 そういう経緯もございまして、御指摘の規定の制定等の経緯がありまして、いわゆる警備会社が電気通信事業としてこうした一般的な利用を目的とするサービスを提供する場合においては、先ほど委員御指摘の規定が対象になるというふうに認識しております。

吉川(元)委員 一般的な人が利用する場合はそうだということですので、当然、警察も一契約主体として、他の普通の一般の人と変わらない契約を結ぶ、警察だから別なんだという話にはならないというふうに思いますが、その点、いかがでしょうか。

富永政府参考人 特定の電気通信事業者と警察機関が結んでおられる契約については私ども承知いたしておりませんので、中身についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。

吉川(元)委員 では、警察庁に伺います。

 当然、こうしたガイドライン、遵守されるべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

高木政府参考人 ガイドラインの直接の対象者は事業者であるというふうに考えておりますけれども、その内容につきましては、私どもといたしましても、事業者において遵守されることが尊重されるように努める必要があると考えております。

吉川(元)委員 もう時間が来ましたので終わりますが、先ほど当委員会でも、ICTの利活用というお話が出てまいりました。そういう意味でいいますと、ICTの利活用というのは、ある意味でいうと、さまざまな可能性がその先に開けていくものだろうというふうに思いますが、一方で、その大前提となるのは、やはりプライバシーをしっかりと保護する、それがたとえ警察であろうと公権力であろうと、そこからプライバシーがしっかりと保護されることが全ての前提だというふうに私は思います。

 今回の事案については、明らかにこれはプライバシー、このガイドラインも含めたプライバシー保護の観点から逸脱しているということを指摘して、質問を終わります。

     ――――◇―――――

竹内委員長 次に、内閣提出、地方自治法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方自治法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市国務大臣 地方自治法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、地方制度調査会の答申を踏まえ、地方公共団体等における適正な事務処理等の確保並びに組織及び運営の合理化を図るため、所要の措置を講ずるものです。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、地方自治法等の一部改正に関する事項であります。

 まず、都道府県知事及び指定都市の市長は、財務に関する事務等の適正な管理及び執行を確保するための方針を定め、これに基づき必要な体制を整備しなければならないこととし、その他の市町村長には、これらについて努力義務を課すこととしております。

 また、当該方針を策定した地方公共団体の長は、毎会計年度、当該方針及びこれに基づき整備した体制について評価した報告書を作成し、議会に提出しなければならないこととしております。

 次に、監査委員が監査等を行うに当たっては、各地方公共団体の監査委員が策定する監査基準に従うこととし、総務大臣は、地方公共団体に対し、監査基準の策定について、指針を示すとともに、必要な助言を行うこととするほか、監査制度の充実強化として、勧告制度の創設等の見直しを行うこととしております。

 また、地方公共団体の長等は、決算が不認定となった場合において、当該不認定を踏まえて必要と認める措置を講じたときは、その内容を議会等に報告し、公表しなければならないこととしております。

 さらに、地方公共団体は、条例で、地方公共団体の長や職員等の当該地方公共団体に対する損害を賠償する責任を、その職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、賠償の責任を負う額から、政令で定める基準を参酌して、政令で定める額以上で当該条例で定める額を控除して得た額について免れさせる旨を定めることができることとするとともに、地方公共団体の議会は、住民監査請求があった後に、当該請求に係る行為または怠る事実に関する損害賠償または不当利得返還の請求権その他の権利の放棄に関する議決をしようとするときは、あらかじめ監査委員の意見を聞かなければならないこととしております。

 第二は、地方独立行政法人法の一部改正に関する事項であります。

 まず、地方独立行政法人の業務に市町村の長その他の執行機関に対する申請、届け出その他の行為の処理に関する事務であって定型的なもの等を処理することを追加することとしております。

 また、地方独立行政法人の業務における適正を確保するため、必要な体制の整備に関する事項を業務方法書に記載しなければならないものとする等の見直しを行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十七日水曜日午後一時、参考人として岡山県真庭市長太田昇君、中央大学名誉教授今村都南雄君及び弁護士黒岩哲彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十六日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.