衆議院

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第3号 平成30年2月22日(木曜日)

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平成三十年二月二十二日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 井上 信治君 理事 池田 道孝君

   理事 橘 慶一郎君 理事 原田 憲治君

   理事 務台 俊介君 理事 武内 則男君

   理事 奥野総一郎君 理事 高木 陽介君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      井林 辰憲君    泉田 裕彦君

      上杉謙太郎君    小倉 將信君

      大西 英男君    金子万寿夫君

      川崎 二郎君    菅家 一郎君

      木村 次郎君    黄川田仁志君

      小林 史明君    左藤  章君

      佐藤 明男君    高木  啓君

      谷  公一君    津島  淳君

      冨樫 博之君    鳩山 二郎君

      百武 公親君    穂坂  泰君

      本田 太郎君    宮路 拓馬君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      岡島 一正君    高井 崇志君

      長尾 秀樹君    山花 郁夫君

      井上 一徳君    小川 淳也君

      寺田  学君    太田 昌孝君

      原口 一博君    本村 伸子君

      丸山 穂高君    吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         野田 聖子君

   総務副大臣        奥野 信亮君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   総務大臣政務官      小倉 將信君

   総務大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    小林 史明君

   財務大臣政務官      長峯  誠君

   政府参考人

   (内閣官房社会保障改革担当室審議官)

   (内閣官房人生100年時代構想推進室次長)    大島 一博君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 川合 靖洋君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 松尾 泰樹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 米澤  健君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小田部耕治君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   林崎  理君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           武田 博之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        池田 憲治君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  讃岐  建君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山崎 重孝君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          佐々木 浩君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  内藤 尚志君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       巻口 英司君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 新川 浩嗣君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   市川 健太君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    山名 規雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           成田 裕紀君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       田中 誠二君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           丸山 雅章君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       太田 豊彦君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    渡邊  毅君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            高科  淳君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     青木 由行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           東   潔君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           早川  治君

   政府参考人

   (観光庁次長)      水嶋  智君

   参考人

   (日本放送協会会長)   上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   根本 佳則君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          原口 亮介君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  新藤 義孝君     宮路 拓馬君

  鳩山 二郎君     穴見 陽一君

  三浦  靖君     本田 太郎君

  山口 泰明君     百武 公親君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     鳩山 二郎君

  百武 公親君     山口 泰明君

  本田 太郎君     泉田 裕彦君

  宮路 拓馬君     津島  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     上杉謙太郎君

  津島  淳君     黄川田仁志君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     安藤 高夫君

  黄川田仁志君     新藤 義孝君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     高木  啓君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     三浦  靖君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本放送協会会長上田良一君、日本放送協会理事根本佳則君及び日本郵政株式会社専務執行役原口亮介君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房社会保障改革担当室審議官・人生一〇〇年時代構想推進室次長大島一博君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長川合靖洋君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長松尾泰樹君、内閣府大臣官房審議官米澤健君、内閣府子ども・子育て本部審議官川又竹男君、警察庁長官官房審議官小田部耕治君、総務省大臣官房長林崎理君、大臣官房総括審議官武田博之君、大臣官房地域力創造審議官池田憲治君、行政評価局長讃岐建君、自治行政局長山崎重孝君、自治行政局公務員部長佐々木浩君、自治行政局選挙部長大泉淳一君、自治財政局長黒田武一郎君、自治税務局長内藤尚志君、情報流通行政局郵政行政部長巻口英司君、財務省大臣官房審議官新川浩嗣君、財務省理財局次長市川健太君、国税庁課税部長山名規雄君、厚生労働省大臣官房審議官成田裕紀君、厚生労働省大臣官房審議官伊原和人君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長田中誠二君、農林水産省大臣官房審議官丸山雅章君、農林水産省農村振興局農村政策部長太田豊彦君、林野庁林政部長渡邊毅君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長高科淳君、国土交通省大臣官房建設流通政策審議官青木由行君、国土交通省大臣官房審議官東潔君、国土交通省大臣官房審議官早川治君及び観光庁次長水嶋智君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。原口一博君。

原口委員 おはようございます。

 まず冒頭、委員長を始め理事の皆様、委員の皆様にお礼を申し上げたいと思います。ちょうどこの同時刻に予算委員会をやっておりまして、その御配慮を、本当に心から感謝申し上げたいと思います。

 本議題の二法案に関して、まず地方交付税についてでございます。

 きょうは、税のあるべき姿、地方交付税のあるべき姿についても議論をしていきたいと思います。

 地方交付税は、国税の一部等を原資として、一定の算定率に基づいて国から個々の地方自治体へ交付される、使途が自由な財源、地方の自主財源であるというふうに思っていますが、基本的な認識を総務大臣に伺いたいと思います。

野田国務大臣 おはようございます。

 かつて総務大臣をなさった原口委員のおっしゃったことで、そのとおりだと思います。

原口委員 いや、おっしゃったことだからそのとおりって、ありがとうございます。ちょっと調子が狂うな。

 交付税には二つ側面があって、マクロの財源保障、これは総額の決定ですよね、それからミクロの財源保障。この二つについて、少し議論をしておきたいと思います。

 マクロの財源保障については、国税五税の一定割合、法定税率分が原資になるわけですけれども、所得税、法人税の三三・一%、酒税の五〇%、それから消費税の二二・三%、地方法人税の全額、それから法定税率分で不足見込みを加算等で調整をしています。

 そこで、きょうも、委員長、お許しいただいて、資料配付をさせていただきたいんですが、この間も出させていただいたこの一般会計税収で、私はこの地方分も出すべきだというふうに思っているんですけれども、そこで、総務大臣に伺います。

 今回も各自治体から言われるのは、自主財源、財源保障制度の確立ということでございまして、地方交付税の総額を確保するためには、今申し上げたマクロの財源保障、つまり法定率を引き上げるべきじゃないかというふうに思うんですが、どのようにお考えでございましょうか。

野田国務大臣 重複するところもありますけれども、今、原口委員の御指摘のとおり、地方交付税というのは、地方団体間の財源の不均衡を調整する、そして、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するためのものであります。このような財政調整機能については今後ともしっかり堅持する必要があるということは変わりありません。

 一方、地方財政というのは、平成三十年度においても六・二兆円の財源不足が生じています。地方財政の健全な運営のためには、本来的には、今お話がある法定率の引上げ等により地方交付税を安定的に確保することが望ましいと私も考えています。

 国、地方とも大変厳しい財政状況にありますから、法定率の引上げは容易ではありません。でも、今後とも、法定率の見直し等による交付税総額の安定的確保に向けては、粘り強く主張して、政府部内で十分に議論していきたいと思います。

原口委員 さらなる法定率の引上げに努力をお願いをしたいと思います。

 資料二をごらんになってください。

 これは、この間、こういう国、地方のプライマリーバランス論をとっちゃいかぬというふうに言ったんですが、ただ、中長期の経済財政に関する試算の一例として出させていただいたものでありまして、これは成長実現ケースでもなかなかプライマリーバランスが均衡しない。地方の自主財源を確保するとともに、不断の行財政改革、これに取り組んでいかなければいかぬというふうに思っています。

 そこで、ミクロの財源保障の方に少し論点を移したいと思います。

 交付額の決定で、よく、私たちも民主党政権で行政刷新会議をつくって、一番やり玉に上げられたのがこの交付税なんですよ。交付税が見えにくいんだ、ブラックボックスになってはいないかという財務省側からの議論ですね。

 しかし、私は本当にそうなのかなと思います。つまり、さまざまな行政需要を、ディメンジョンを立てて、そこに一定の加算率を加えるから、逆に言うと、複雑ではあります、計算式は複雑ですけれども、その分、公平公正で、いわゆるさまざまな恣意的な判断の入る余地が少なくなる。そういう意味じゃ非常に公正な制度であるというふうに思いますが。

 これは二論あるんですね。

 僕らが挑戦を受けたいわゆる学者さんたちが、交付税は非常にわかりにくいから一気に簡素化せよ、なくしてしまえ、こういう議論に立つのか。

 それとも、今私が申し上げた、複雑であっても公正であればいいし、そして、日本はカリフォルニアと同じぐらいの面積なんですね、カリフォルニアと同じような面積の国土で、きょうは竹島の日ですけれども、その中に限界集落があったり、住めないような島があるということ自体が間違っている。私は、地方交付税のいわゆる格差是正機能というものをしっかり確保して公正性を確保するためには、ミクロの財源保障、交付額の決定というのは一定以上、合理性があるんじゃないかというふうに思っているんですが、大臣の御所感、御所見を伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 地方交付税は、今お話があったように地域間に大きな税源偏在があります。その中で、財政力の格差をしっかり調整して、全国どのような地域にあっても一定水準の行政を確保するために必要な財源を保障するものです。

 そのために、交付税の算定に当たっては、社会保障や教育など、法令により一定の基準づけをしている事務事業について、精緻な算定を行うことによって的確に財源保障をする必要があると考えています。

 その一方、算定の簡素化の観点も重要だと考えておりまして、補正係数の削減を進めてきたり、平成十九年度からは、国の基準づけがない、あるいは弱い行政分野については、人口と面積を基本とした簡素な算定方式を導入するなど、簡素化に取り組んでいるところです。

 このように、交付税の算定に当たっては、それぞれの経費の性質等に応じて、精緻な算定と簡素化のバランスを保ちながら、適切に算定を行うことが必要だと思います。

原口委員 大体同じ考えですね。つまり、多次元解析が難しいから一次関数にしてしまえみたいな、そういう粗っぽい議論はやはりよくないと思いますね。

 次は、臨財債です。

 臨財債、私どものときは、臨財債の交付もできるだけ抑えて、それはやはり、財政的な自由度の高い都道府県の方を臨財債で、申しわけないけれども、財源が足りないから都道府県にお願いをして、市町村にはキャッシュ、現ナマ、こういう考え方をしていたんですが、それにしても、やはり臨財債を出せば、その分、行財政努力というかインセンティブは見えにくくなります。ここは一定の抑制が働くべきであるというふうに考えていますけれども、総務大臣のお考えを伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 平成三十年度の地方財政対策においては、臨時財政対策債の発行額について、概算要求時点では対前年度〇・五兆円の増と見込まれていたところですが、可能な限り、今御指摘のように抑制をして、〇・一兆円減の四・〇兆円とするなど、地方財政の健全化に今努めています。

 しかしながら、臨時財政対策債の発行残高というのは増加して、平成三十年度末には五十四兆円程度になる見通しです。

 地方財政の健全な運営のためには、本来的には、臨時財政対策債のような特例債に頼らない財務体質を確立することが重要であります。

 このため、今後とも、歳入面では、地域経済の好循環を一層拡大することなどにより地方税等の増収を図るとともに、歳出面では、国の取組と基調を合わせて、めり張りをつけて歳出構造を見直すことで財務体質の強化を図ってまいりたいと思います。

原口委員 特に三位一体改革のときによくされた議論ですけれども、国の財政再建と地方の責任を重視する立場から、交付税の総額を圧縮して、それで財源保障の程度を縮小すべき、いわゆる竹中路線と言われる路線ですね。

 私、結局これは、日本の力を弱めると思っているんです。一見競争を強くするように見えるかもわからないけれども、きょうもこうやって雪が降っています。日本は、非常に残念なことに、国土も狭隘で災害が多いところです。ということは、より強く国民を守る、あるいは地域を守るというメッセージを出して政策を実行した方が、かえって競争力も、それから国土の均衡ある発展も、それから我が国の発展もうまくいくんじゃないか、私はそう考えているんですが、野田総務大臣、どのようにお考えでしょうか。

野田国務大臣 お答えします。

 御指摘のように、ここ、大変な大規模災害があったり、大雪の被害があったり、さまざまな自然災害で多くの地方が苦しんで、痛めつけられています。そんなことを思うと、今、原口委員が御指摘のような考え方に基づいて、安心、安全を確保して、担保した上で、それぞれ伸びやかに個性を発揮していただける地方を育てていく、見守っていく、伴走していくというのは、私自身もそうありたいと願っています。

原口委員 考え方は似ていますよね。私は、こちらの方が、より立場の弱い人たちをより強く守るというその政策をやった方が、例えば、今世界で一番競争力の強い国はどこでしょうか。例えばフィンランド。フィンランドだと、働く人たちの時間が三時に終わって、そして、おうちに帰って、子供たちにいろいろな物語を聞かせている。国語力が非常に高い。あるときの統計をとれば、フィンランドが一番なんですね。

 きょう、たくさんの皆さんが来られていますが、きのうも、レクをしたときに、皆さん、働き方改革やっていますかと言うとみんな下を向くんですよね。今も笑っているけれどもね。僕も多分、ちょっと今、過労死ラインぐらいなんですよね。

 でも、そういうことをやっていたら、逆に言うと生産性は落ちる。むしろ余裕をしっかりと持って、そして一人一人を強く守るというメッセージが政治には必要なのではないかなというふうに思います。

 さらに、ちょっと税について。

 私、ちょっと意外だったのは、政府税調、私たち民主党政権のことばかり言って悪いんですが、総理がよく民主党政権のことをおっしゃいます。まあ、民主党政権を愛してくださって本当にありがたいなと思うんですけれども、私たちのときは、税調会長は財務大臣でした。同格で総務大臣。総務大臣は閣内でナンバースリーですね、非常に位の高い大臣ですが、総務大臣は同格の税調会長代行でした。つまり、国の根幹の税を財務大臣と総務大臣がしっかりグリップするというのが私たちの政権の大きな特徴だったんです。

 安倍内閣の総務大臣は、政府税調においてはどのような役割を果たしておられるんでしょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、政府税調におきましては、会長を学識経験者の方にお務めをいただいておりまして、基本的には専門的な議論を行う場として機能しているところでございます。

原口委員 いやいや、それは、大臣、問い十三です。ごめんね、飛ばして。

 それはやはりどこか変ですよね。僕らの場合は、新しい公共というのも私が提案をして、そしてそれを地域主権改革的に進めたんです。佐賀県は、自分の県を言ってあれですけれども、NPOの税額控除が最高の五〇%なんですね。ですから、大変、NPOというか市民公益の活動が盛んになりました。これを大臣主導でやっていったわけです。

 専門家だから、今ちょっと答えがよくわからなかったけれども、専門の人たちに任せている、それはおかしいでしょう。やはり、政治の根幹は税ですから、その部分にやはり積極的に野田大臣がかかわっていただけるように、そのことを希望するんですが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 失礼しました。民主党政権時代のちょっとプロセスを承知していなかったので、今確認をさせていただきました。

 今の政権においては、自民党と公明党、与党にそれぞれ税制調査会というものがございまして、そこで議論をずっと積んできています。傍ら、政府においても、政府税制調査会での議論のほか、関係省庁間の議論も活発に行っているところです。その上に、政府そして与党が緊密に連携して、与党における議論を踏まえた上で、政府が具体的な税制改正案を閣議決定していて、まあ、形の上では違いますけれども、中身としては政府・与党一体という形で税制改正を進めてきています。

 私はもちろんのこと、政務三役、特にきょう一緒にいてくれる奥野副大臣も中心的に党税制調査会に出席をして、逐一御報告する中でのやりとりをしているわけですけれども、いずれにしても、しっかり、税制改正のプロセスの中には、こういう形、民主党のように政府税調には入っていないけれども、別に切り離されているわけではないということをぜひ御理解いただければと思います。

原口委員 確かに、党税調というのは、すごいのがありますよね。この間、西表島に行きましたら、西表島の防災センターの前に山中貞則先生の銅像がありました。すごいなと思います。私もいろいろ学ばせていただきました。

 党の税調はそれでいいんですよ、だけれども、やはり、大臣、政府税調の会長であること、あるいは会長代行であること、このことによって、その持つ力は全然違うと思いますので、ぜひ、恐らくそこのところは大きく変わってしまっていると思いますので、御再考をください。

 さて、今度は、地方税の方についても少し議論をしておきたいと思います。

 個人所得課税の見直し、これは事務方で結構ですけれども、今回の概要について教えてください。

内藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の個人所得課税の見直しにおきましては、個人住民税におきましても、所得税と同様、働き方改革を後押しする観点から、働き方の多様化等を踏まえた見直しを行いますとともに、給与所得控除等の適正化を行うことといたしております。

 具体的には、特定の収入のみに適用されます給与所得控除等を十万円引き下げまして、どのような所得にでも適用される基礎控除を同額引き上げること、そのほか、給与所得控除につきまして、子育て世帯等には負担増が生じないよう措置を講じつつ、控除額が上限となる給与収入を八百五十万超に引き下げること、公的年金等控除につきましては、公的年金等収入が一千万円を超える場合に控除額に上限を設けるなどとすること、基礎控除については、合計所得金額二千四百万円超から控除額が逓減し、二千五百万円超で消失する仕組みとすることなどの見直しを行うことといたしております。

 これらの見直しは、所得再配分機能の回復に資するとともに、働き方やライフスタイルに左右されない税制に向けた見直しだと考えております。

原口委員 要するに、働き方が随分変わってきた、だから、それに応じて、フリーランスの人たちもいらっしゃるので、給与所得控除についても見直すんだ、ここが柱ですよね。

 もう一つの柱である電子化、これも前からお願いをして、私どもの政権でやれなかったことなんですけれども、これは麻生さんとずっと勉強会をやってきたんですが、自治体の情報の電子化、自治体情報の標準化、これを早急に進めていただきたい。

 クラウド化も進めているんだけれども、それぞれの自治体でばらばらです。まだ、サーバー型だ何だとやっていて、昔、公共事業、今は、電子公共事業とあえて言いましょうか、ベンダー側に、かなりの売り手市場になってしまっている。そのために、地方が莫大なこの電子化のコストを払っているんじゃないかと思うんですね。

 ぜひ、これは野田大臣にお願いをしたいんですけれども、各地方団体の業務や保有する情報を標準化する、これは、ここにいらっしゃる奥野先生に、前のとき、自治体情報標準化法をつくってくださいとお願いをして、私はそのままちょっとけがをしたのでいなかったんですけれども、そのままになっています。ぜひ政府においても自治体情報の標準化と低コストでセキュリティーが高い仕組みを先導していただきますように、今回の法律の中にも一部入っています、野田大臣の御所感を伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答えします。

 原口委員の御指摘のとおりだと思います。それぞれの地方団体の税務システムは、一層のコスト削減とか、また、セキュリティーの確保を図る必要があります。そのためには、やはり、業務の標準化を前提とした税務システムの共同化、クラウド化というのはとても重要だし、強力に推進しなければならないと思っています。

 ただ、今御指摘があったように、従前、当時では先進的に電子化を取り入れたところがレガシー化してしまっていて、それがあるがゆえに、負担があるがゆえに、なかなか切りかえられないという現実の問題があるとするならば、速やかに、更新時等々をつかまえて、捉まえて、どんどん標準化、クラウド化ができるように応援していきたいな、そういうふうに思っています。

 地方税については、納税者に対しての電子申告などのシステムであるeLTAXは、全地方団体が共同で運営しているところでありますし、個別の税務システムの共同化、クラウド化のみならず、このeLTAXのさらなる活用を通じて、税務事務の効率化というのにも取り組んでいきたいと思います。

 クラウドというのが出現してから、平成二十年前後のことだったんで、ようやくそういうことができる体制ができたということで、その前にやっていたところは、残念ながら、今おっしゃったような話の中で、相当な負担を強いられて個別の取組をしていると思うんですけれども、いずれにしても、やはり、そちらの方向に行かなければならないということで認識しておりますので、強力に推進してまいります。

原口委員 ここ、まさに、今はやりのシンギュラリティーというんですかね、そのシンギュラリティーを逆に起こさなきゃいかぬ、起きる分野だと思っていて、私のところも、例えば医療間のネットワークというのは、これは早くできたんですね。ピカピカネットとかいうのかな。それが早くできたために、これはサーバー型なんです。サーバー型というのは、家でいうと、ドアがいっぱいある家と同じ。ドアがいっぱいあればあるほど、そこから侵入される、危ない。だから、クラウドにしなきゃいかぬ。

 クラウドにして、今、福岡市がやっておられるような、私の主治医が今、福岡でICTを使ったかかりつけ医制度というのをやっているんですね。それはもう、電子上で、クラウド上で、家にいながらにして、さまざまな医療相談やそういったものができるというのを今の内閣でやってくださっているんです。

 ところが、これがなかなか広がらないのは何かというと、前のシステム、今大臣がおっしゃったように、先進的なところであればあるほど、前のシステムが入っている。そこでやっているその担当者は、もうICT化なんか懲り懲りだ、もう、一博、近づくなと。そういうアレルギーですね、難しいので。だけれども、そういうことをやっていたんでは、やはり、この膨大に膨らむ社会保障費、医療費、これを変えることはできないと思いますので、ぜひ、総務大臣のリーダーシップで頑張っていただきたいと思います。

 問いの六ですけれども、一方で、今回の法律というか、僕は、こういうことはやめた方がいい。

 アメリカの共和党と民主党でいうと、私たち民主党政権は、意外なことに共和党的だったんです。それは何かというと、市場に任せることは市場に任せて、余計なことを政府がしない。企業経営者が、政府の方を見ながら、今なんかも日銀の方を見ながら経営をやっているような、そういう状況は必ずしも好ましくない。それよりも、自由に、そして、みずからが稼いだお金を、納税の権利としてお国に役立ててもらう。減税、減税、税をまけてもらうことを考えるんじゃなくて、ちゃんと税を払う方に、あるいは、政府の機能を限定する方に私たちは考えていたわけです。

 ところが、今回、償却資産に係る固定資産税の特例についてというのが入っていて、これは市町村の計画に基づく投資を対象とする仕組みというんですか、事業者の、市町村に計画をつくってもらって、それに基づいて投資をすれば、固定資産税を二分の一からゼロにするというわけでしょう。

 これは事務方で結構ですから、今、固定資産税、総額どのぐらい入っていますか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年度決算額で申しますと、固定資産税全体で八兆八千億余りでございます。そのうち、償却資産の収入につきましては一兆六千億余りでございます。

原口委員 じゃ、重ねて聞きますけれども、今回の税制改正措置でどれぐらいを見込んでいるんですか、どれぐらいの収入減を見込んでいるんですか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平年度ベースでお答えさせていただきたいと存じますが、約百十億程度を見込んでいるところでございます。

原口委員 大臣、お聞きになりましたね。総額が八・八でしょう、償却資産ベースが一・六に対して百十億、このぐらいなんですよ。ということは、実際の一%ぐらいでしょう。

 制度をつくり、市町村が計画をつくるその負荷に対して、いや、やらないよりやった方がいいという考え方もあるけれども、しかし、私たちは余計なことはやらぬ、税のドライブをこういったことに使わぬ、税の軽減によって投資が促進されるというわけじゃなくて、むしろ逆に、さっきから申し上げているように、一人一人、立場の弱い人たちも含めて地域が強く守られるということの方が投資に向かうと僕は思うんです。

 で、税を細かく細かく、こうやって制度をつくっていくと、作業だけで大変なことになる。これはちょっとよその例なので、適切かどうかわからないんですけれども、昔、米の臨特というのがありました。米の臨特で、私も農協青年部というのに入らせていただいていて、説明会があるんです、三日間。三日間その説明会に出て、じゃ、幾ら減税されるかというと、千二百円、一年間。三日間そこに出て、複雑な制度でして、その制度を聞いてやるよりも、その時間や労力をもっと別のことにやった方がいい。私は、政策の、これは一つの大きなポリシーだと思うんです、こういうことをやらないというのが。

 大臣の御所感を伺いたいと思います。まあ、法律を出しているから、これはいかぬとは言えぬと思うけれども、どうでしょう。

野田国務大臣 今回の償却資産に係る固定資産税の特例について、私もじっくりと検討させていただいたものの一つです。

 なぜかというと、そもそも固定資産税というのは市町村の行政サービスを支える基幹税ですから、これは非常に、創設、特例をするに当たっては極めて慎重に、それぞれの市町村の持っているものに対してかかわっていくわけですから、考えていかなきゃいけない。

 と同時に、国としては、新たに、産業基盤を強くする、企業の構造改革とかを進めるために、生産性革命の名のもと集中的に取り組もうということになっています。やはり、古い機材を新しくすることによって生産性を上げていくとか、当然、当たり前のことですけれども、なかなか声をかけるだけでは動けない、動きづらい、とりわけ地方の中小企業もあるわけですね。

 そんな中で、補助金もあるけれども、こうやって、固定資産税の中で特例措置もあるということが一つの呼び水になって、生産性を償却資産をかえることによって上げていけば、結果として、一時的には固定資産税を失うけれども、その企業、地元にいる企業が、新しいコンピューターなりさまざまな機械によって収入を得ていただければ、その分また地方に還元できるということで、その両方を相見合ってこのような形をとった次第です。

 ですから、例えば市町村が絡むということに対しても、これも自由にやらせろということなのかもしれませんが、やはり、市町村の持っている固定資産税を特例的にするに当たっては、市町村にとって、はかりにかけるという言い方は適切じゃないかもしれないけれども、それに見合うものであるかどうかも責任を持って主体的に考えて、やはりともに、その事業者とそこに事業者がある市町村が前向きに答えを出していただきたいということで、割と見た目は煩雑かもしれませんけれども、一方的に市町村にある事業者が勝手にやるのではなく、やはり市町村を潤すという、双方に利益が上がるような形をどうにか取り組めないかということで、まさに、その市町村にとって、いろんな得手分野を知っている、また不得手分野を知っている商工会の皆さんがかかわることによって取組の効果をよりよくしていきたい、そういう形でこのようなセットにした次第です。

原口委員 昔のコルホーズとかソホーズじゃないんだから、僕は、できるだけ自由にしておいた方がいいし、行政の方を経営者が見ておかなきゃいけないというようなものは、また市町村にとっても、もっと別のことをやれる、これに向かう、さっきの百十億で、それはもう基本的な考え方の違いだと思います。

 四半世紀前、私、御党の青年局長をさせていただいていましたけれども、そのころは、余りこういうものは、もうやめた方がいいよねという人の方が多かったような気がする。

 一方で、新自由主義、僕は自由主義者だけれども新自由主義者じゃありません。新自由主義というのは、ちょっと後で言いますけれども、もっと別のものです。

 ちょっと地方のことについてはまた後で戻ってきますけれども、きょう、日本郵政に来ていただいているので、ちょっと日本郵政についても幾つか、まだ年初の議会なので聞いておきたいと思います。

 オーストラリア物流会社のトール社、これを買収しましたね。これは、たしか民営化のときに、国際物流にも乗り出すといってINGと連携しようとしたんだと記憶をしています。

 INGは、オランダの郵政が民営化された巨大なコングロマリットで、たしか、社徽というかな、会社のシンボルがライオンだったと思うんですね。私、オランダにあのとき郵政民営化委員会かで行かせていただいたときに、そのスタートアップの直後に行きました。何か社屋に本物のライオンを放って、ライオンが捕まらなくなって、みんなが入れなくなったと、まあ、冗談でしょうね、そんな話をしていました。まさにそのライオンの象徴であるように、よそをどんどんどんどん吸収合併していって、じゃ、私たちが、あなた、INGをどうやって食べることができるんですかと言ったら、黄金株があってあなた方には食べられませんという、そういうものでした。

 でも、たしかそのINGとの契約というのは今やられていなくて、国際物流に向かうためのプラットホームをつくろうと思ってこれを買収をしようとしたんじゃないかと思うんですけれども、専務、きょう来ていただいていますが、お答えをいただければと思います。

原口参考人 お答え申し上げます。

 やはり、我が国の場合、国内の郵便市場、どうしても人口減少とかインターネットの影響もございまして、縮小傾向にございます。そういうような中で、日本郵便といたしましては、国際物流事業をいわゆる手がける総合的な物流企業としてやはりそういう成長をしていかなければならない、そういうことを目指しているところでございます。

 そういう中で、トール社というのは、いわゆる今後の物流の増加が見込まれますアジア・パシフィック地域、そういう部分で非常に高いプレゼンスを有している企業でございます。そういうような視点から、日本郵便のグローバル展開における、先生のおっしゃるとおりでございますが、グローバル展開におけるプラットホーム企業として位置づけて、いわゆる同社の有する知見、経験を生かして国際物流事業を拡大していく、そういう狙いのもと、買収することとしたものでございます。

 以上、お答えさせていただきました。

原口委員 これはすごい額、たしか毎年二百億ずつ処理をしていく、二十年の二百億だったかと思いますが、一遍に減損処理をしましたね。その理由とその経営判断、現状について伺いたいと思います。

原口参考人 お答え申し上げます。

 トール社というのは、先生おっしゃるとおり、これまでMアンドA等で非常に成長してきた企業でございます。そういうことに伴いまして、例えば、そのバックオフィスが重なるとかシステム関係が重なるとか、コスト競争力においていろいろ問題がございました。ただ、それでも、やはり豪州経済が好調なときはそのような問題点はなかなか表面化しなかったわけですけれども、やはり資源価格の低迷に端を発しまして、豪州経済が減速いたしました。そのような中で、トール社の業績が急激に悪化いたしまして、買収前の営業利益の二〇%以下になるようなところまで悪化したところでございます。

 そういうことの中で、損益の見直しを行ったところ、先生おっしゃるとおりでございますけれども、二〇一七年三月期末において、四千三億の減損を計上することとしたということでございます。

 本件、本当に結果として大きな損失を招いたことにつきまして、またグループ連結の決算赤字に陥ったことについては私ども非常に重く受けとめているところでございますけれども、この減損処理でございますが、これも先生御指摘のとおりでございますが、このような処理を行いませんと、今後、日本郵便の経営に対して毎年二百億近い支出といいますか追加的支出が起こる、そういう事態でございました。

 ただ、それはやはりいかがなものかということで、このたび、いわゆる長期間、本来であれば長期間にわたるのれん償却を一括的に処理することといたしまして、日本郵便の経営を改善したい、そのような経営判断から行ったことでございます。

 今後、私どもといたしましては、やはり所期の目的でございます、トール社をグローバル展開のプラットホーム企業として、いわゆるグループの利益に貢献できるように早期に経営の改善をしていく、それが私ども一番やらなければならない大切なことだというふうに考えているところでございます。

 以上です。

原口委員 原口さんに聞くのはちょっとつらいけれども、これは高づかみさせられているんじゃないですか。これは自民党さんの中でも議論されたんでしょうね。これは誰が責任をとっているんですかね。買収時点での時価総額、一株当たり六・〇八豪ドル、約四千百億円で、確かにおっしゃるようにオーストラリアは資源大国です。鉄鉱石とかなんとかの物流を世界に出す、これはとても大事なことですけれども、このトール社は、さっきのINGではないけれども、買収に買収を重ねて、非常に接ぎ木に接ぎ木を重ねたような状況であった。

 これを、アドバイザリー体制があったはずですね。アドバイザリー体制、会計、税務、IT、法務、金融、これはどこがやりましたか、教えてください。

原口参考人 お答え申し上げます。

 会計、税務、ITの関係はKPMG、それから法務の関係は西村あさひ法律事務所、金融の関係はみずほ証券株式会社でございます。

 以上、お答え申し上げました。

原口委員 これは、アドバイザリー契約、今の三つに支払った総額は幾らですか。

原口参考人 三社に支払いました総額、約十六億円でございます。

原口委員 そういうものを払って、今、原口専務がおっしゃったように、このまま減損処理をしないと日本郵政のバランスシートに大きな穴をあけると。まさに愚かな海外買収の典型のような事案で、たしかこれは、このときの日本郵政のトップはもう亡くなっているので、どこでどのように経営の判断をしたのかというのは、しかし、それにしても、検証されるべきだと私は思っています。

 総務大臣として、トール社に関する、これは、まだ日本郵政、あれはたしか三三・三三三%まで国が持つということで、今株式売却をしても、五六ぐらい、きょうは財務省を呼んでいないからそこの確認はしませんけれども、今でも五六%ぐらい持っていると思うんですね。国民の大変な財産であったわけです。

 これがこんな状況になっていることについて、野田総務大臣の御見解を伺いたいと思います。

野田国務大臣 今お話がありましたとおり、トール社の業績悪化に伴って、日本郵政においてトール社に関する四千三億円の減損処理が行われたことは残念に思います。現状、経営改善に向けた取組を行い、業績の回復に努めているものと認識しています。

 いずれにしても、引き続き、トール社の経営改善に取り組んでいただくとともに、ユニバーサルサービスをしっかり安定的に提供し、利用者目線に立ったサービスを行うこと、収益の多角化、強化、経営の効率化などを進めることが重要であり、しっかり取り組んでいただきたいと考えます。

原口委員 いや、そのときの総務大臣は何をやっていたのかなと思うんですね。

 今回の日本郵便のトール社買収について、誰がどのように責任をとったのか。原口さん、僕のときの、役所にいた方だからなかなか言いにくいんだけれども、誰が責任をとりましたか、これは。

原口参考人 今回の減損処理に対する責任ということにつきましては、私ども経営全体の責任ということでございまして、日本郵政及び日本郵便の全役員が報酬の一部を六カ月間返納することとしたところでございます。

 以上、お答え申し上げます。

原口委員 大体、無能な経営者に限って、全体の責任とか言うんですよ。やはりこれはしっかりと検証されるべきだと私は思います。

 総務大臣、トール社買収の決定プロセスに問題が私はあったと思っているんですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

野田国務大臣 日本郵便におけるトール社の買収に関しては、日本郵政及び日本郵便において、社内規程に基づく手続を経て決定したものと私は聞いております。

原口委員 それは社内規程に基づいているでしょう。違法なことがあったとは僕は言っていない。しかし、国民の大変な財産である。おとといか、議論しましたように、歩いて行ける距離につくった、まさに公共インフラですよね。その公共インフラを放っておくと、まあ、食い散らすようなことがあってはならぬと私は思っているんです。

 私のときもありました。ゆうパックともう一つのところを合併させて、あのときも約一千億の損失を、それは損切りしなきゃいけないような、そういう状況でした。これは巨大ですから、放っておくとそういうものがくっついてくるんじゃないかなというふうに思います。

 さて、郵政のところで、私どものときは、そのとき、えらく批判を受けました、天下りの人間を社長にしているんだと。斎藤さんという、大蔵省を十年ぐらい前にやめた方、それから、坂さんという、この方も財務省でした。持ち株の社長と副社長でした。

 当時、私たちは連立政権で、民主党は天下り禁止ということを言っていましたが、郵政担当大臣は亀井大臣で、ちょっとプロセスは守秘があるので言いませんけれども、亀井大臣が主導をされました。毎この総務委員会で、天下りを認めた、民主党うそつきと言われたわけですけれども、自民党さんは天下りは認めておられるわけですね。

 例えば、日本郵便の代表取締役、この方は総務省の方だったと思いますけれども、これは天下りではないんですか、大臣。(野田国務大臣「えっ」と呼ぶ)えって、大臣です。(野田国務大臣「私でいいんですね」と呼ぶ)だってそれは、天下りかどうかを見るのは。日本郵政でもいいですけれども。

野田国務大臣 まず、天下りの語義というか、言葉の意味、これは質問主意書で確認してあるんですけれども、府省庁が退職後の職員を企業、団体等に再就職させることをいうとあります。

 それを踏まえて、日本郵政株式会社の、御指摘、今お話がありました鈴木康雄上級副社長については、郵政行政その他の分野において卓越した指導力を発揮し、豊富な業務経験を有していることから、日本郵政の指名委員会において適任であると評価され、日本郵政から取締役選任の認可申請があり、そして総務省において認可したものであると聞いています。

原口委員 私、実名はあえて言っていないので、名前を言わぬように。個人の人を責める気がないからです。天下りじゃないでしょう。ということは、私たちのときの斎藤さんも坂さんも、天下りじゃないですよね。

原口参考人 お答え申し上げます。

 恐縮でございますが、当時の社長、副社長が選任された経緯、私一切存じておりませんので、ちょっとこの場では答弁控えさせていただきますというか、できない状況でございます。恐縮でございます。

原口委員 役所の方でも結構ですよ。いや、同じじゃないですか、違いますか。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 斎藤氏の場合でございますが、日本郵政において、指名委員会及び取締役会といった社内の手続を経ずに、株主総会において、株主である政府が提案して就任されたということでございまして、手続上の問題があるものだとは思っておりません。

原口委員 いや、僕は、きょうここで民主党政権の仕返しをしようと言っているんじゃないんですよ。むしろ、逆に言うと、そういう知見がある人は、あるいは郵政に対して思い入れのある人は、積極的に活用していいと思っているんです、さっきあなたが実名を挙げた人も含めて。

 逆に言うと、むしろそれよりも、バーチャルな金融経済の中で、まさに金融ハイエナのようなものについて私たちはもっと警戒をすべきじゃないかと思っています。

 岸田外務大臣と前議論をしたときに、金融市場というのは実際どれぐらい実体経済と違うのかと。岸田大臣は、金融市場の規模がGDPの約四倍ぐらいあるというふうに答弁をされました。

 一九二九年のあの世界大恐慌の後で、ハーバード大学のゲイ学長がこういうふうにおっしゃっています。実際の経済の実態とバーチャルな貨幣が余りにも乖離をしてしまった。本当はこれぐらいの価値なんだけれども、それが、この部屋全体、いや、このビル全体ぐらいになってしまった。そのことをある日みんなが気づいた。その乖離の余りの大きさに、みんながそれを取り戻そうとした、それが世界大恐慌だと。

 前と同じようなことをやろうとして、そして、多くの国民は政策資源をどんどん失っていた。これはずっと続いているんですよ。リーマン・ショックもそうですし、きのう予算委員会でも議論しましたけれども、今起きているのは、恐らくは中央銀行市場バブル。中央銀行がバランスシートを物すごく大きくして、バーチャルなマネーを大きくして、それが実体経済と物すごく乖離をしている。そのために何が起きているかというと、三年に一回ぐらいの金融危機が起きて、そして、各国はそれをリカバーするために財政出動でもって大きな財政赤字を抱える。

 これを何とか変えたいということで、二〇〇五年に、私、当時ニューヨーク連銀の総裁でありました、後で財務長官になるんですけれども、ティモシー・ガイトナーさんと議論しました。それはどういうことかというと、お金を減価させなきゃいけない、タヌキの葉っぱのお金のように土に返さなきゃいかぬということを言ったわけであります。

 きょう、ここに、この間積み残した緑の分権改革ですけれども、緑の分権改革は何かというと、ちょっと迂遠な話をしているかに思われると嫌なんですが、太陽のエネルギーを、私たちは、固定化と言うんですけれども、私たちが使えるようにしてエネルギーに変えています。太陽のエネルギーを私たちが使うことができるその媒体となれるのは植物だけでした。植物だけ。だから、長い間、ナイル川を管理できた人はファラオと呼ばれ、黄河を管理できた人は皇帝と呼ばれ、佐賀は三十六万石ですけれども、大名は、一年間に独占できるエネルギー量、つまり穀物の量が権力の大きさだったわけです。つまり太陽エネルギーの固定化のできるその量。これが圧倒的に変わったのが産業革命で、エネルギーのタイムカプセルを地下から持ってきて、そしてそれを独占する。

 だから、ちょうどことし明治維新百五十年と言いましたけれども、百五十年前は私たちは何を、どういう挑戦を受けたかというと、フローのエネルギーで回っていた日本社会が、ストック、地下から石炭というエネルギーを持ったアメリカに挑戦を受けたわけです。どっちが強いかといえば、それはもう一目瞭然なわけです。

 しかし、このパラダイムを続けている限りは資源をめぐってとり合うだろう。そして、どんどんどんどん実体の経済とバーチャルな経済が離れていくだろう。それを変えるためには、トリクルダウンではなくて、通貨を腐らせて、減価させて、そしてそれを地域に回す必要があるだろう。

 ここに書いていますように、エネルギーもそれから通貨も地域を回って、そして地域にある歴史や伝統や文化やあるいはクリーンなエネルギーや、分散自立の地産地消、低炭素の社会に向けた新しいパラダイムをつくっていこうというのが緑の分権改革であります。

 これは、地域通貨をかませなきゃいけなかったから、なかなか、今言った、理念上はできても、それを実体化するのは難しかった。しかし、今、仮想通貨のもとともされているブロックチェーン技術ができまして、この緑の分権改革はより実現ができるんじゃないかというふうに思っております。

 そこで、総務大臣に伺いたいんですけれども、私たちは、こういう大きなパラダイムチェンジをやりたいと思っている、それで、資源やエネルギーを争奪しながら社会が争う、そういう社会をもう抜けたいと思っているんですが、総務大臣の基本的な御認識を伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 今、原口委員が御提唱されている緑の分権改革、これは引き続き、私、総務大臣をやらせていただいていますけれども、考え方は、プラットホームというか類似の考え方のもとで、やはりこれからの地方そして国を考えていこうということに違いはありません。

 今、そういう、いただいてきたベースをもとに、地域の資源をしっかり活用して地域経済の好循環を創出する、そして、人々が地域で支え合って持続可能な地域社会を構築していくことが重要と私は考えています。

 総務省では、今、地域の資源を活用し、産学金官などの地域の関係者が連携して、地域経済の好循環を拡大し、地域の雇用創出と消費拡大を図る取組を推進していて、もう既に分散型エネルギーインフラプロジェクトとかローカル一万プロジェクトなどに取り組んでいます。

 平成三十年度からは新たに、シェアリングサービスを活用して地域の共助の仕組みを再構築し、地域社会の課題解決や経済活性化を図るシェアリングエコノミー活用推進事業に取り組むこととしています。

 これらの取組というのは、繰り返しになりますけれども、原口委員の緑の分権改革と相通ずると考えておりますし、積極的に取り組んでいきたいと思います。

 また、地域通貨につきましても、御指摘のようにブロックチェーンによって可能になってきたということもあり、総務省では、マイキープラットフォーム構想の中で、既に、クレジットカードのポイントとかマイレージとかさまざまなものを自治体ポイントとして置きかえることによって、私自身もそれによって地方自治体の特産品を購入する機会を得たわけですけれども、これもしっかり取り組んでいけるのではないかと思っているところです。

原口委員 人によっては、里山資本主義と言う人もいます。大規模独占集中、それから未来へのツケ回しのパラダイムにかえて、小規模、分散、共同、そして未来への責任の、そういうスキーマをつくっていただきたいというふうに思います。

 残された時間で少し、おとといも少しやらせていただきましたが、行政管理機能について。

 おととい、合併特例債については、野方図というのは認識していないと総務大臣はおっしゃいましたけれども、やはりエビデンスを示さなきゃいかぬと思いますので、資料を用意をしてきました。

 これは、資料七をごらんになってください、A市における合併特例債の発行状況について。合併年月日が平成十八年、合併特例債の発行期限が平成三十二年、もう間近に期限が迫っているわけです。最初にこれは計画を立てますから、そのときの発行予定額は百四十一億円、既に発行された額が六十八億円です。残りの七十三億円をこれからやるわけです。それで、こういうことをやれば何が起きるかということをやはりよほど考えてほしい。だから、合併特例債の期限の延長というのも一つ視野に入るんだと思います。

 また、私は、地方自治について、この国会で一つ一つを具体的に挙げるというのは、地域主権改革の観点からも、謙抑的であるべきだと思っていますが、例えば、今治市については、土地を無償譲渡している、それで、三十六億円だと言っているけれども、三十六億円はそこにかかった価格であって、実際に幾らなのかはまだ見えていない。百九十二億円のうちの半分を払うということで、これは予算委員会でもやりましたけれども、獣医学部の建設等が、坪単価がもう何百万もする、本当にそういったことがあっていいんだろうかと。

 それで、私は、行政のダブルチェック、本来は、地方がそれをみずからでチェックすべきだと思います。しかし、ここでの議論にもあったように、もう地方議員のなり手がない、定員割れをしている、そういう状況の中で、本当に地方はみずからの地域をみずからでチェックができるんだろうかと思うわけであります。

 行政評価局に伺いたいと思うんですが、やはり、こういう地域の補助金の使われ方、合併特例債の使われ方についても、しっかりと関心を持っておくべきだというふうに思います。

 そして、重ねて評価局に伺いますが、もう一つ、この国会、幾つもの国会で言われたのは、文書管理です。文書管理の所管はもう内閣府に移っています。内閣府でガイドラインをつくって各省がやっているというのは知っていますけれども、余りにもひどい。どこに何の文書があるかわからない。法律相談の文書が、後でわかったというふうに出てくるというのは、どういう管理なんだろうと。

 文書管理責任者を決めて、そして、どこにどういう文書があるか、それをその人が全て把握をして、そしてちゃんと管理をしているというふうに思うんですけれども、私は、総務省にこの部分の総ざらい、棚卸しをやってほしい、総チェックをしてほしい、行政の信頼のもととなる文書について、あるかないか。

 きょうも、またこれから、例のあの裁量労働制のデータについての議論をします。百幾つが、もう考えられないように、週の方が月より長いというようなデータがあって、本当にその中央省庁の行政管理はどうなっているんだろう、文書管理はどうなっているんだろうと思うんですが、チェックする立場の評価局からお話を伺いたいと思います。

讃岐政府参考人 お答えいたします。

 二つ御質問がございました。

 まず、合併特例債ということでございますけれども、先般も大臣からお答えしたとおり、合併特例債につきましては、合併した市町村が市町村建設計画に基づいて実施する公共的施設の整備事業等に活用できるものであり、また議会における審議を経て実施されるものであると理解しております。

 国の各行政機関の業務の実施状況の評価、監視を担う行政評価の観点からは、このような地方の自律性を前提とした合併特例債のあり方については、その趣旨を十分に踏まえて、状況を注視していくことが適切であると考えております。

 また、文書管理の問題でございますが、国民への説明責任を全うするという観点から、公文書の管理を適正に行うことは極めて重要であると考えています。

 公文書の管理につきましては、公文書管理法を所管する内閣府が政府共通のガイドラインを示し、これを踏まえて、各府省がそれぞれ行政文書管理規則を定め、これに沿って公文書管理を実施しております。

 昨年、公文書管理のあり方に関するさまざまな指摘があったことを踏まえて、内閣府においてガイドラインの改正が行われており、新たに文書管理者がその事務を補佐する文書管理担当者を置くなど、文書管理体制の強化を図るための内容も盛り込まれているところであります。

 こうした改正を踏まえ、現在、各府省において行政文書管理規則の見直しに向けた検討が行われているものと承知しており、まずは各府省における検討及び制度官庁である内閣府の対応を注視してまいりたいと考えています。

 総務省といたしましては、これらの状況を踏まえ、必要に応じ行政評価・監視機能を適切に発揮し、行政運営の改善に努めてまいりたいと考えています。

原口委員 いや、そう読まなきゃいけないんだと思うんですけれども、森友学園の件では、近畿財務局では、会計検査院に提出すべき法律相談の文書が、私たちから言わせると、提出期限まで間に合っていない、もしかすると恣意的に隠されていたんじゃないか、公文書管理の体制がなってないのではないかというふうに思うわけです。行政機関における公文書の管理体制について、行政評価局が積極的に調査をすべきだと思うんです。

 行政文書管理について、さっきお話しになりました、内閣府のガイドラインに基づいてまた改革をしようとしているといっても、もう次から次に出てくるじゃないですか、実はここにありました、いや、またここにありましたと。どうしてこんなことが起きるのか、説明がつかない。特に、今回の場合は、財務省は税金を預かる立場であるにもかかわらず、文書管理がもう本当に不行き届きで、税金を扱う資格がない、あるいは国税を集める資格さえ問われているんじゃないかと考えます。

 もう一回伺いますが、総務省として調査を行うべきではないですか。少なくとも、文書管理については省庁横断的な大規模な調査を行って、そしてどこに問題があるのか。今、担当者をもう一人ふやせと、そんな話じゃないと思いますよ。もう一回御答弁をお願いします。

讃岐政府参考人 改めて御答弁申し上げますけれども、まさに今、各府省におきまして、文書管理体制の強化を図るための内容も含む行政文書管理規則の見直しを行っているところでございます。

 行政評価局といたしましては、各府省における見直しに向けた検討状況、またその実施状況等を注視していくということがまず必要であるというふうに考えております。

 これらの状況を踏まえて、必要に応じて行政評価・監視機能を適切に発揮して、行政運営の改善に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

原口委員 いや、それは前の答弁と同じじゃないですか。じゃ、この一年間、注視だけ続けてきたわけですか。行政評価局は何をやってきたんですか。

 私は、人員管理についても、内閣人事局というものをつくって、そして一元化したことは、もう一回総括されるべきだと思っています。

 財務省が財政管理を、それから総務省が、あのときは人恩局だったと思いますけれども、人員管理をして、そして人事院が処遇を、労働三権の制約にかわる処遇を見ている。つまり、三つの役所がそれぞれの人事を牽制をしていたわけですね。それが一元化してしまって、多くの職員の皆さんが、言葉は悪いけれどもヒラメのようになっている、上だけを見ている。結果、何が起きているかというと、一番大事な国民への説明責任、その説明責任を果たすエビデンスとなる書類がずさんに扱われているんじゃないかと思うわけであります。

 もう一回答弁をしてください。この間、行政評価局は、これだけ、南スーダンの日報の問題もありました、この間、じゃ、指をくわえてずっと注視し続けてきたんですか。最後に答弁をいただいて、質問を終わります。どうぞ。

古屋委員長 讃岐行政評価局長、簡潔にお願いいたします。

讃岐政府参考人 この間、昨年の九月に、公文書管理についての調査結果、一年ほどかけた調査結果を公表し、勧告をしたところであります。主に歴史的公文書についての調査をしたところでございます。

 今御指摘の問題については、各省の検討状況、取組状況をしっかりと注視、監視してまいりたいと考えています。

原口委員 もう終わります。

 総務大臣のリーダーシップを期待して、質問を終えたいと思います。

 御清聴ありがとうございました。

古屋委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 よろしくお願いいたします。

 まず最初に、地方自治体の基金の増加と今後の地方財源をめぐる議論について質問をさせていただきたいと思います。

 本会議で、野田大臣から、地方団体は、行革や経費削減に努めながら、さまざまな将来の備えのために基金を積み立てており、基金残高を理由として地方交付税等を削減することは妥当ではないという答弁をいただきました。

 総務省は、地方自治体の基金積立てについて調査結果を示しております。資料一にも出させていただいておりまして、これとの関係なんですけれども、この調査というのは基金ごとに、基金の種類ごとに積立状況を調べております。

 まず最初に、基本的なことですけれども、財政調整基金、減債基金、特定目的基金、それぞれの性格、果たす役割について説明をいただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 財政調整基金につきましては、地方公共団体の年度間の財源調整を行うためのものでございます。それから、減債基金につきましては、地方債の償還を計画的に行うための基金を積み立てるものでございます。さらに、特定目的基金につきましては、財政調整基金、減債基金の目的以外の特定の目的のための資金を積み立てるものでございまして、地方財政におきましては、それぞれの地方公共団体の歳入歳出の変動につきましては基金により対応することが制度上の前提とされているところでございます。

本村委員 答弁されましたように、中でも財政調整基金については、それを適切に積み立てたり取り崩したりして財源を調整するということを通じて、毎年度望ましい歳出の水準を実現するというものでございます。

 資料一なんですけれども、交付団体について見てみますと、制度的要因ということで見ますと、合併に伴う特例措置終了への備えということで一・七兆円、国の施策に基づく基金増加〇・五兆円というふうになっております。また、将来の歳入減少、歳出増加への備えということで見ますと、公共施設の老朽化等ということで一兆円、災害〇・六兆円、社会保障費の増大〇・三兆円といった、歳出の増大に備えていることがわかるというふうに思います。

 合併に伴う特例措置の終了にしても、公共施設の老朽化、災害、社会保障費の増大にしても、中期的な将来、現実的な問題として、歳出が増加するということが迫られている。だから、財政調整基金などの基金の増加になっているというふうに思いますけれども、その点、確認をさせていただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、将来的な費用の増大に対応して基金を積み立てている部分がございます。あと、合併につきましては、合併算定がえの特例がございまして、それで特例的に算定する部分につきまして、これを将来の財政運営に使っていくという観点で積み立てる部分もございます。

本村委員 野田大臣にもお伺いしたいと思うんですけれども、私、こうした地方の将来不安は、特に地方交付税に頼っている財政力の小さな自治体ではより多く影響しているのではないかというふうに思っております。

 基金の増加を市町村ごとにまとめた表を、資料二に示しております。資料二というのは、交付団体で特別区と一部事務組合を除く基金残高の比較でございます。二〇〇六年度から二〇一六年度の比較では、財政調整基金の部分を見たいと思うんですけれども、倍率は書いてないんですけれども、都道府県で二・一三倍、市で一・八九倍、町で二・〇五倍、村で二・三三倍というふうになっております。

 個別の県で見ても同様なことが言えるのではないかと思うんですけれども、村や町は、こうした将来不安に備えて財政調整基金を積み立てる傾向が強く出ているのではないかというふうに思います。

 野田大臣の認識を伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 平成二十八年度末の財政調整基金の残高を平成十八年度末と比較すると、市が八九%増加しているのに対して、町村では一〇九%増加しており、おっしゃるとおり、町村における増加率が大きくなっております。

 また、町村については、公共施設等の老朽化など、さまざまな将来不安が要因となって基金を積み立てていることが、総務省の調査結果からもわかっているところです。

 こうした調査結果を踏まえて、総務省では、地方公共団体の財政面での将来不安を取り除くことが重要であると考えております。

 平成三十年度地方財政対策においても、前年度を上回る一般財源総額を確保するとともに、臨時財政対策債については対前年度〇・一兆円の減としたところです。

 さらに、町村においては、公共施設等の老朽化対策の備えが基金積立ての大きな要因となっていることから、公共施設等適正管理推進事業債について、来年度からは、長寿命化事業等の交付税措置率を財政力に応じて引き上げるなど、財政力が弱い団体であっても必要な取組を着実に推進していただけるよう、環境整備を図ってまいります。

本村委員 町村では、特に将来不安に備えて積み立てている傾向があるということでございます。

 総務省の基金の積立て状況の調査を踏まえて、今後の方向性ということで幾つか対応を推進するというふうにしているわけですけれども、その第一に掲げられているのが、「地方の将来不安を取り除くためには、本来的には、法定率の引上げなどによる地方税財源の安定化が望ましい。」という推進方向を総務省さんが打ち出されているわけでございます。

 野田大臣も、本会議で、法定率の引上げについて、国、地方とも厳しい財政状況にあることなどから、法定率の引上げは容易ではないが、今後とも、法定率の見直し等による交付税総額の安定的確保について、粘り強く主張していくというふうに答弁をされております。

 これから、特定の地方の財源確保をめぐって厳しい議論になってくるかというふうに思いますけれども、総務省として、法定率の抜本的な引上げということをしっかりと据えること、あわせて、自治体の財政需要を正しく把握して、地方の財政の一般財源総額を確保するということが今まで以上に求められているというふうに思いますけれども、総務大臣の御認識を伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答えします。

 政府において、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、本年の骨太方針においてプライマリーバランスの黒字化達成時期及びその裏づけとなる具体的な計画を示すこととしており、二〇一九年以降の地方の一般財源総額のあり方についても、この中で議論されるものと考えています。

 その際、地方団体が、予見可能性を持ちながら、必要な行政サービスを提供しつつ安定的な財政運営を行っていけるよう、地方交付税を始め、一般財源総額を確保すべく、最大限の努力をしてまいります。

本村委員 ぜひ、法定率の抜本的な引上げということを据えて議論をしていただきたいというふうに思います。

 次にですけれども、地方自治体が、住民の皆さんの福祉や暮らしを守るために、単独事業を始め頑張っている分野がさまざまあるというふうに思います。たくさんあるというふうに思います。その自治体の財政需要をしっかりと正しく反映していくことが求められているということだというふうに思いますけれども、その一例が障害児保育だと思います。

 厚生労働省の提出資料を配付資料三というところに出させていただいておりますけれども、総務省に伺いたいと思います。

 来年度の地方財政計画では一般単独事業四百億円の増加がされておりまして、地方交付税の算定では、障害児保育に対する交付税が大幅増額算定となっております。

 来年度から、障害児保育に要する経費に係る交付税措置についてどういう見直しを行ったのかという点、御説明いただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 障害児保育につきましては、本年度、厚生労働省におきまして、平成二十七年度に導入されました子ども・子育て支援新制度のもとでの実態を調査しましたところ、受入れの障害児数が十年前と比べて約二倍になっていることなどが明らかになりました。

 これまで、地方交付税におきましては、障害児保育に要する経費としまして約四百億円を算定しておりましたが、こうした実態を踏まえまして、平成三十年度から約八百億円に拡充することとしております。

 また、この算定におきまして、市町村ごとの受入れの障害児数に差がありますので、この算定額の拡充にあわせまして、それぞれの市町村の障害児保育に係る財政需要をより的確に反映するために、それぞれの市町村の実際の受入れ障害児数に応じて算定することとしております。

本村委員 ありがとうございます。

 今の御説明でも明らかですけれども、厚生労働省の実態調査の結果を踏まえて見直しをしたということだというふうに思います。

 認可保育所、保育園型認定こども園、幼保連携型の認定こども園における障害児保育の実施箇所数あるいは受入れ児童数、推移を含めて、実態調査というのは何を調査したのかという点、また、交付税算定をめぐって、総務省との間でどういう要求をされたのか。これは厚生労働省にお伺いしたいと思います。

成田政府参考人 厚生労働省が行いました障害児保育に関する調査では、ただいまお話がありましたように、平成二十八年度において、障害児を受け入れた保育園等が約一万六千カ所、保育園等で受け入れている障害児は約六万五千人、主として障害児の保育を行うことを目的として配置された職員は約三万一千人となっておりまして、受入れ障害児は十年前と比べて約二倍となっております。

 こうした状況を踏まえまして、厚生労働省におきましては、保育園等における障害児の受入れ増加に対応できるよう、地方交付税の増額を要望したところでございます。

本村委員 そこで、総務省にお伺いをしたいと思います。

 包括算定と個別算定による算定方式から、障害児数による算定、個別算定に算定方式を変更しているというふうに思いますけれども、理由はどういう理由なのか、お示しいただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 これまでの算定方式でございますが、障害児保育に要する経費として算定している約四百億円のうち、その一部につきましては、包括算定経費におきまして、それぞれの市町村の人口に応じて算定してまいりました。

 ただ、この平成三十年度からは、市町村ごとの受入れ障害児数に差がありますので、算定額の拡充に伴いまして、それぞれの市町村の障害児保育に係る財政需要を的確に反映するために、実際の受入れ障害児数に応じた算定を行うこととしております。

 このように、実際の受入れ障害児数に応じた算定を行うためには、人口及び面積に応じました簡素な算定を行う包括算定経費ではなく、個別算定経費に一括して算定する必要がございますので、全額を社会福祉費におきまして算定することとしたところでございます。

本村委員 包括算定方式は幾つかの分野で導入をされてきましたけれども、総務省にもう一点確認をしたいというふうに思います。

 導入された包括算定方式を個別算定方式に戻した、又は改めたという事例は、ほかにどういうものがあるんでしょうか。

黒田政府参考人 包括算定経費の導入に際しましては、できるだけ基準づけのない経費を中心に、個別算定経費から包括算定経費に移してまいりましたが、逆に、包括算定経費から個別算定経費へと移行した例としましては、消費者行政推進費につきまして、平成二十一年度に包括算定経費から地域振興費に移行いたしました。

 この理由は、消費者庁が設置されました平成二十一年度に、消費生活相談員に係る処遇改善など地方財政措置を拡充した際に、財政需要をより的確に反映する観点から行ったものでございます。

本村委員 財政需要をより的確に把握するためにということで、この方向はとてもよい方向だというふうに思っております。

 財政需要を詳しく精緻に把握するためには、包括算定方式から個別算定方式にするということも大きな意味を持つということで、総務省がそう判断されたということは、私は重要なことであったというふうに思っております。

 この障害児保育の算定の変更というのは、障害児の受入れを進めて、障害児の健やかな発達を後押しするという点でも、積極的で非常に重要な対応だというふうに思っております。

 野田大臣にお伺いしたいんですけれども、野田大臣の政治家としての、個人としてのいろいろな問題意識もあるというふうに思うんですけれども、総務大臣として、自治体の財政需要を正しくつかむという点で、今回の措置はどのように捉えておられますでしょうか。

野田国務大臣 お答えします。

 地方交付税の算定に当たっては、各経費の性質等に応じて精緻な算定と簡素化のバランス、先ほどもお話ししましたけれども、を保ちつつ、適切に算定を行うということが必要だと思います。

 今回の障害児保育に要する経費に係る算定方法の見直しにつきましては、受入れ障害児数の増加を踏まえて算定額を拡充するとともに、市町村ごとに受入れ障害児数の差があることから、各市町村の実際の受入れ障害児数に応じて精緻な算定を行うこととしたものです。

 今後とも、地方交付税の算定については、地方団体の標準的な財政需要を的確に算定するため、社会経済情勢の変化や時代の要請等を踏まえ、適切に改善を図ってまいります。

本村委員 ありがとうございます。

 より詳しく精緻に把握をしていただきたいというふうに思います。

 多くの自治体では、保護者の皆さん始め地域の皆さん、住民の皆さんとともに、障害児保育実施要綱などを策定してきた経過がございます。

 例えば、私の手元にある自治体の育成保育実施要綱を紹介いたしますと、その第一条には、目的として、この要綱は、心身の障害にかかわらず、子供たちが保育園においてともに育ち合う中で、お互いにわかり合い、助け合える豊かな人間性を育み、安全で健やかに生活できる統合保育を目的とするというふうにされておりまして、対象児童を、保育園における保育を必要とする児童としております。

 こうした自治体の要綱には、保護者の皆さんの就労とか疾病等による保育に欠けることを要件とするだけではなく、障害の予知、早期発見、障害の種別、程度の個別の検討、最も適した集団の場、保育、養育の場の確保などを掲げた、子供さんにとって最適性を基準にした障害児保育というものをやってきているわけでございます。

 大臣にお伺いしたいんですけれども、こうした住民の皆さんと築いてきている障害児保育が、障害児の子供たちの健やかな発達と、障害を持った子供たちを持つ保護者の方々への支援に果たす役割について、どういう認識をされているか、ぜひお聞きをしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 私個人も障害児の母として七年目を迎えました。さまざまな困難に直面して、その都度、仲間のお母さんたちやお父さんたちと愚痴を言い合いながら、又はそのいろんな知恵を交換し合いながら生き延びてきた感がございます。

 国会では待機児童の議論がなされているんですが、そもそも、重い障害を持つということは、待機するところもない、入れてもらえるところもないというのが現実というところを御理解いただければいいなと思います。

 そういう点では、今回こういう形で、委員も褒めていただいたんですけれども、変わり行くことで、今まで門戸を閉ざされていた、障害を持つがゆえに保育園にも行けない、幼稚園にも行けないという子供が、うちの息子を含めてたくさんおりますので、そういう子供たちも、今委員がおっしゃったように、社会の一員として、共生の中で健やかに生きていけるような、温かい日本でありたいと思っています。

 いただいた資料の中にも、実は障害児保育の概要の中に区分があるんですけれども、身体、知的、精神、発達障害というのまで入っています。ただ、発達障害というのも、きちっと、他の障害と違って、手帳の有無とか、いろいろまだまだ悩ましい問題もありますし、私の息子の障害の場合は、おととしの法改正で、ようやく医療的ケア児ということで新たな障害児として一員に加わったわけですけれども、それ以前は障害児としても認めてもらえず、過去につくられた障害児の対応の中に、すき間として、もがいていた親がたくさんいます。

 そういうことをやはり変えていくために、こういう、常々算定を見直すことによって、どちらかというと、障害児というのは親が面倒を見るべきという何か流れがあります。そうでなく、やはりみんなで、地域で支え合っていこうというような社会形成が、こういうような形で醸成されると非常に喜ばしい、個人的にはそう思うところであります。

本村委員 ありがとうございます。大臣のお話は胸に詰まるお話だというふうに思います。より充実していくためにも、力を合わせていきたいというふうに思っておりますけれども。

 次に、内閣府にお伺いをしたいというふうに思います。

 子ども・子育て新システムでは、保育の必要性についての認定、あるいは障害児を受け入れる状況はどういうふうに行われているのかという点、御説明をいただきたいと思います。

川又政府参考人 お答え申し上げます。

 子ども・子育て支援新制度におきましては、保育所等を利用するに当たり、子ども・子育て支援の実施主体であります市町村から保育の必要性の認定を受けることとなっております。

 この保育の必要性につきましては、保護者の方の就労、妊娠、出産、疾病、求職活動中かどうかいうことのほかに、虐待やDVのおそれがないかといった事由を考慮の上、認定を行っております。

 さらに、その上で、一人親家庭、生活保護世帯、あるいは、本日御議論いただいております、子供が障害を有している、あるいは育児休業明けであるといった個別の事由を優先的に考慮の上、それぞれの市町村におきまして入園する保育所等を決定しております。

本村委員 ありがとうございます。

 子ども・子育て新システムでは、市町村が保育の必要性を認定し、その認定証を交付して、保護者が認定証を持って施設や事業者と直接契約してサービスを利用するということになっていると思います。

 保育の必要性の認定に当たっては、一つ目に、事由ということで、保護者の就労とか疾病等ということがありまして、二つ目に、区分ということで、保育標準時間、保育短時間の区分による保育必要量について、国が設定した基準に沿って行われるというのが基本だというふうに思います。

 障害を持つ子供さんの保護者の皆さんが新システムを利用したいという場合、就労等の要件が一つの壁になるのではないかというふうに思うわけでございます。

 子供の育ちに対する最適性を基準とした保育の必要性を認定する道というのがなかなか遠いのではないかという問題があるというふうに思いますけれども、内閣府さんとしてはどのように認識し対応しているのか、お示しをいただきたいと思います。

川又政府参考人 お答えいたします。

 市町村におきます保育の必要性の認定に当たりましては、まずは子育ての第一義的な責任を有しております保護者の状況というものを踏まえて判断ということになりますけれども、この保育の必要性の認定に当たりましては、就労、求職活動といった事由のほかに、保育の必要性がより高い子供が保育所等に入園できるように、子供が障害を有していること、あるいは虐待を受けていることなど、個別の事情を考慮するよう市町村に対してお願いをしているところです。

 それぞれの市町村の地域の実情、それから保護者、お子さんの個別の事情に応じて取り組んでいただいているところというふうに考えております。

本村委員 改めて確認ですけれども、新システムにおける保育の必要性の事由に基づく判断というのは自治体が行うものになるわけですけれども、自治体がさまざまな実態を踏まえて事由を判断するということになるのでしょうか。

川又政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、保育の必要性の認定に当たりまして、認定事由の判断というものは、子ども・子育て支援の実施主体であります市町村が行っております。その際には、国が定める基本指針におきまして、市町村は、障害児等が円滑に保育所等を利用できるよう、必要な調整を行った上で保育の提供体制を確保する、あるいは、保育所等も、障害児等特別な支援が必要な子供の受入れを推進するということを定めているところでございまして、こうした指針に基づいて、各自治体において、市町村において、適切に障害児の受入れが実施されるよう、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

本村委員 自治体の判断でできるということを確認をさせていただきたいというふうに思います。

 ニーズの高い障害児の受入れを今後とも進めていく点で、新システムが実施されていく過程の中で、十分な問題意識を持ち、ふさわしい対応を検討していくということが必要なのではないかというふうに思いますけれども、内閣府さん、お願いしたいと思います。

川又政府参考人 お答え申し上げます。

 国は一定のガイドライン等をお示しをしておりますけれども、保育の実施主体というのは市町村でございますので、それぞれの自治体の地域の実情に応じて、あるいは、保護者あるいはお子さんの状況に応じて、個々に取り組んでいただくということだというふうに認識をしております。

本村委員 システムとしてしっかりと対応できる体制をとっていただきたいということで、強く求めておきたいというふうに思います。

 野田大臣にお伺いをしたいんですけれども、障害児保育の交付税算定の変更ですとか、地方自治体が障害者保育を受け入れることに対して果たしてきた役割などについて質問をしてまいりましたけれども、この問題というのは、行政需要の問題も含めて、障害児保育に限ったことではないというふうに思います。そのほかにも、自治体が努力して頑張っている分野があるのではないかというふうに思います。

 例えば、学校現場でいいますと、発達障害の子供たちに対する支援なども、さまざまな工夫が行われておりますけれども、まだまだ本当に不十分な現状があるわけでございます。社会保障分野を始め、自治体が担うさまざまな財政需要をしっかりと把握していく、こういういろいろな分野で把握していくという必要があるというふうに思います。

 大臣には、そうした財政需要を正しく把握するために、今後の具体的な方針をぜひ持っていただきたいと思いますし、あればぜひ御披露いただきたいと思います。

野田国務大臣 先ほど委員からお母さんたちが大変苦労しているという話を聞きまして、いろいろと思い浮かべておりました。そのお母さんたちのさまざまな意見が反映されて、いろいろ障害児の政策というのは変化を遂げてきたんじゃないかと思います。

 ただ、これはお母さんだけの問題ではなくて、家族全員の問題だし、地域社会において、やはりまだまだ、私も振り返ってみて、今、地域包括ケアシステムとかいろいろ動きがある中で、実は、障害児というのは、特段の配慮をされているのかどうか、特別支援学校に行く子供が多いわけですね。そうすると、同じ地域にいる子供たちとはほとんど相まみえることがないという人生を送るわけですね。最終的に、総務省として地方を、地域をと言いながらも、やはり障害を持つとそこから外されてしまうのかな、そういう不安というのは常に感じているところです。

 親亡き後、子供たちが生きていくためには、周り近所の人たちにやはり支えてもらいたい、愛されてもらいたいという思いは強いんですけれども、なかなか、今の障害児に対しての配慮が、結果として地域の中では存在が希薄になってしまうということも、今後、地方自治のあるべき姿を検討する中で考えていきたいなというふうには思います。

 それとともに、今の御質問にお答えいたしますと、一般行政経費のうち地方単独事業費については、地方団体の自主性、主体性を尊重する観点から、個別経費の積み上げではなく、決算の状況等を踏まえて、枠として計上しています。

 その上で、今般、障害児保育に係る経費について、厚生労働省の実態調査を踏まえ、増額が必要となったことなどから、一般行政経費単独の枠を拡大したところです。

 今後とも、地方団体の自主性、主体性を踏まえつつ、地方団体が必要な行政サービスを提供することができるよう、地方財政計画の歳出を適切に計上した上で、一般財源総額をしっかり確保してまいりたいと思います。

本村委員 私も名古屋市の状況などを聞いてまいりましたけれども、愛知県内を見ても、もともと、この交付税の関係でいいますと、重度、中度身体障害、知的障害、精神障害というところから始まったわけです。それで、軽度と発達障害ということで拡大をしているわけですけれども、重度の子供たちが入れない、待機になっている。通園施設に行くんだけれども、それは週二回、三回ということで、親御さんが働くということが想定されていない問題ですとか、こういった、さまざま、まだまだ不十分な点があるというふうに思いますので、これを拡充していくためにも、ぜひ総務省としても、財源を確保していただくという点で御努力をいただきたいというふうに思っております。

 次に進みたいというふうに思いますけれども、交付税の財政需要額の関係なんですけれども、総務省は、二〇一五年度に創設したまち・ひと・しごと創生事業費一兆円のうち、人口減少等特別対策事業費六千億円については、そのうち一千億円を、必要度から成果度へ段階的に配分をシフトするというふうにしております。

 二〇一六年度は、当初、必要度五千億円として、成果度一千億円を据え置きました。しかし、二〇一七年度は三百三十億円をシフトし、二〇一八年度もさらに三百三十億円をシフトし、二〇一八年度は、必要度四千三百四十億円、成果度千六百六十億円というふうになっております。

 段階的に三百三十億円ずつシフトするわけですけれども、財政力が小さい自治体にとってみれば、影響は少なくないというふうに思うわけです。財政力の小さな自治体により厳しい状況になるんじゃないかというふうに思いますけれども、総務省の、総務大臣の御見解を伺いたいと思います。

黒田政府参考人 算定内容についてお答えいたします。

 御指摘の人口減少等特別対策事業費につきましては、地方創生の取組を促進するために、平成二十九年度から、取組の必要度から取組の成果、これに応じました算定へ、段階的に三年間かけて一千億円シフトすることとしておりまして、平成三十年度の算定におきましては、平成二十九年度と同様、三百三十億円シフトすることとしております。

 御指摘のように、このシフトに当たりましては、成果を発揮する際の条件が厳しいと考えられる地域への配慮を行っております。具体的には、財政力が低く、過疎地域自立促進特別措置法等の条件不利地域に係る法律の対象となっている団体などにつきましては、算定額の割増しを行いますとともに、人口増減率等の指標につきましては、政令市及び中核市、都市、町村といった、区分ごとに改善度合いを比較することで成果を反映することとしております。

 平成三十年度につきましても、引き続きこのような条件不利地域に配慮した算定を行うこととしております。

本村委員 小さい自治体によっては、短期間に人口減少というものをとめることはなかなか難しいわけでございます。成果がすぐに出るという状況ではないというふうに思います。

 それは、自治体が努力していないからではなく、地理的な条件なども含めてそれぞれの事情があるわけです。来年度、更に三百三十億円シフトすれば、やはり小さい自治体は更に追い詰められていくことになります。

 愛知県の三百三十億円シフトした場合の状況なども見させていただきましたけれども、財政力があるところはプラスになりますけれども、財政力が小さいところは、市であっても財政力が小さいところはマイナスになっているわけでございます。

 やはり、こういうことを総合的に考えますと、成果度へのシフトというのはやめるべきだというふうに思いますけれども、大臣、御答弁をいただきたいと思います。

野田国務大臣 今局長からお話ありましたとおり、条件不利地域にはしっかり配慮して算定をしている中、やはり成果、地域が人口減少を克服していこう、そういう取組で結果が出たことについて、やはりそういう目標を持っていただくことも、一つ、地方の自立として、私としてはぜひ取り組んでいただきたいなと。

 それぞれのやり方があると思いますけれども、くどいようですけれども、これに当たってはしっかりと、厳しいなと思われるところについては総務省としても十分な配慮をさせていただくということで、御理解いただければと思います。

本村委員 ぜひ成果度へのシフトはやめていただきたいというふうに思います。

 次に、地方債の関係なんですけれども、先ほども大臣から御答弁がありましたけれども、社会基盤施設の長寿命化事業についてお伺いをしたいと思います。

 資料の四ページ目に、その事業の概要について資料を出させていただいておりますけれども、総務省は、基金の増加状況の調査を踏まえて、老朽化対策など真に必要な事業は適宜適切に実施していける環境整備をするというふうにしております。その一つとして、公共施設等の適正管理推進事業費、千三百億円を増加して四千八百億円の事業費として、そこに地方債の充当率、交付税の措置率を引き上げるというふうに言われております。

 二〇一七年度の長寿命化事業の実績は直近では幾らであったかという点、そしてまた、二〇一八年度に社会基盤施設の長寿命化事業について拡充となった対象施設について、お答えをいただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のインフラ長寿命化事業につきましては、公共施設等適正管理推進事業債の一つとして創設したものでございますが、道路、農業水利施設等を対象施設としまして、平成二十九年度に創設いたしました。このため、まだ年度を通じた活用状況の見込みは明らかではございませんが、現時点における今年度の起債予定額は約八十六億円となっております。

 平成三十年度からは、地方団体の老朽化対策の取組を一層推進するために、関係省庁と協議いたしまして、対象施設に新たに河川管理施設、港湾施設、砂防関係施設などを加えることとしております。

 また、財政力の弱い地方団体におきましても、この長寿命化事業を適時適切に実施できますよう、交付税措置率を財政力に応じて引き上げることとしております。

本村委員 ありがとうございます。

 それで、確認をさせていただきたいんですけれども、災害復旧事業は対象になるのかという点でございます。

 熊本地震などでも、被災者の方々が困っているのは、災害復旧事業の対象にならない、住宅の裏などの傾斜地、のり面には手がつかないという問題でございます。被災自治体も、単独ではなかなか手が回らないという実態がございます。ここに応えることはできないのかという点、伺いたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 この熊本地震の災害対応につきましては、現行制度をできる限り活用しまして、できるだけの対応をするという前提で財政措置を講じております。

 その中で、特に、この激甚災害の指定によりまして国庫補助負担率がかさ上げされていることに加えまして、この地方負担分につきましても、手厚い地方財政措置を講じているところでございます。

 ただ、御指摘の事案でございますが、仮に、復旧すべき公共土木施設がそもそもないということになりますと、御指摘いただきました、この公共施設等の適正管理推進事業債につきましても、これはあくまでも公共施設等を対象としたものでございますので、この事業債の対象にすることは困難だと考えております。

本村委員 こういうところが、なかなか被災自治体も単独では手が回らないという実態があるわけですから、しっかりと財政措置をしていただいて、手が回るように、ぜひ改善をしていただきたいというふうに思います。

 この社会基盤施設の長寿命化事業を実施する中で、地方自治体の実情や要望を更に入れていくべきだというふうに思います。自治体にとって十分活用できる運用を求めたいと思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 インフラの老朽化対策は地方の重要な課題でありまして、地方から、公共施設等適正管理推進事業債の拡充の要望はたくさんあるわけであります。

 このような地方の声を踏まえて、このたび、公共施設等適正管理推進事業債のインフラ長寿命化事業について、先ほども申し上げましたけれども、対象事業を追加するとともに、財政力に応じて交付税措置率を引き上げるといった拡充を行うこととしました。

 引き続き、地方の意見をしっかり丁寧に伺いながら、既存のインフラの長寿命化対策を計画的に進めることによって、将来にわたる財政負担の軽減や平準化を図るというインフラ長寿命化事業の趣旨をしっかり踏まえつつ、制度のあり方や運用について検討を重ねてまいります。

本村委員 ぜひ、自治体にとって十分活用できる運用を求めたいというふうに思います。

 次に、災害対策に関連して、二点質問をさせていただきます。

 まず、被災者生活再建支援制度について伺いたいと思います。

 昨年八月七日に発生した台風五号の竜巻によって、愛知県豊橋市では、住宅が、全壊三棟、半壊六棟、一部損壊五十二棟の被害がございました。住宅以外の被害もございました。被害に遭われた方々に心からのお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 住民の命や財産を守る地方自治体に関する業務を所管する総務大臣に、まず、前提としての確認なんですけれども、災害によって住宅が全壊するなどの被害に遭われる方々がおられます。全壊という被害に遭いながら、救済される被災者と救済されない被災者があるということはあってはならないと思いますけれども、確認をさせていただきたいと思います。大臣。

米澤政府参考人 お答えを申し上げます。

 内閣府で所管しております被災者生活再建支援制度は、被災市町村や都道府県のみでは対応が困難な著しい被害を及ぼす、一定規模以上、例えば、一市町村で全壊家屋十世帯以上、こういった規模の自然災害が発生した場合に、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により支援金を支給するものでございます。

 このような制度の趣旨でございますので、同じ全壊であっても、この制度の対象となるものとならないものがあるものでございます。

本村委員 大臣にお伺いしたいんですけれども、救済される被災者と救済されない被災者がいる、こういうことはあってはならないと思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 初めに、被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 災害が発生した場合、被災された方々の生活の再建を支援し、生活の安定を図っていくことは重要だと考えます。

 今お話があった被災者生活再建支援法は、被災した地方団体のみでは対応困難な一定規模以上の自然災害が発生した場合に、全都道府県の相互扶助及び国の財政支援による対応を定めているものと承知しています。

 どのような災害を法の対象とするかについては、今内閣府がお話をしてくれましたけれども、所管する内閣府が検討するべきものと考えていますが、総務省としては、一部地域において被災者生活再建支援法が適用された自然災害について、都道府県が支援法の適用対象とならない地域の被災世帯に対して同等の支援を行う場合に、特別交付税措置により措置をしています。

 今後とも、被災者の生活再建を含め、被災団体の実情を丁寧にお伺いして、特別交付税措置を含め、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じて、その財政運営に支障が生じないよう適切に対応してまいります。

本村委員 先ほども内閣府の方からお話がありましたように、被災者生活再建支援制度は、一自治体十戸以上の全壊世帯を対象に最大三百万円を支給するというものでございます。

 しかし、この豊橋市のケースでは、市内で全壊が三棟だから、そして、ほかに被災者生活再建支援法の適用がないから、一つの市町村で全壊十棟未満、だから救済しないということになっているわけでございます。被災者の方々からは、何とか救済する制度はないだろうかという本当に切実な訴えがあるわけでございます。

 なぜ、同じ全壊という被害に遭いながら被災者生活再建支援法の適用がないのか、本当におかしいというふうに思います。同じ全壊という被害であれば同じように救済するのが当然ではないでしょうか。

米澤政府参考人 被災者生活再建支援法につきましては、私有財産である個人財産への支援につきましてさまざまな御議論がある中で、公助としての側面的支援を充実を図ったものでございます。

 この公助の中身といたしまして、国として支援するもの、地方公共団体が地方共通財源で支援するもの、また地方公共団体が独自の御判断で支援するもの、そういった類型がさまざまあろうかと思います。

 一方で、公助としての支援には一定の限界がございます。そういったことを前提といたしまして、住宅の災害による被害に対しましては、内閣府といたしましては、保険への加入など自助努力により対処していただきたいということも申し上げているところでございます。

本村委員 大変冷たい御答弁だったというふうに思います。

 資料を出させていただいておりますけれども、資料の五ですけれども、内閣府さんが各都道府県担当部局長宛てに通知を出されております。

 この通知ですけれども、被災者を支援するために出されたんじゃないんですか。

米澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の通知につきましては、最近、災害による被害が相次いで発生している状況に鑑みまして、内閣府防災部局が所管をしております被災者支援全般、例えば被災者台帳の整備ですとか罹災証明の発行ですとか、そういったものも含めまして、留意事項として、ここ数年、年度当初に発出をしているものでございます。

 被災者生活再建支援制度につきましては、各都道府県及び市町村に対しまして、災害発生時の迅速、円滑な支援金の支給事務、あるいは、平時からも含めて、自治体によるさまざまな支援の実施の検討をお願いするという趣旨で発出したものでございます。

本村委員 この通知の中には、被災者生活再建支援制度の対象にならない一定規模以下の災害については、各都道府県及び各市町村において支援措置の実施について検討するなど、被災者の生活再建支援について、必要な対応を講じていただくようお願いいたしますと書かれております。

 しかし、この豊橋市の竜巻の被災者の方でいいますと、愛知県は、制度が、被災したときにはございませんでした。そして、つくろうと今しているんですけれども、この方々は対象外なんだというふうにされているわけでございます。

 国は、この間、被災者生活再建支援法が適用された災害であるにもかかわらず、同法の対象にならない被災世帯に対しては、同法と同じ支援措置を都道府県が行った場合には、支給額の二分の一について特別交付税を措置するという対応をしてきたわけでございます。

 ただし、この豊橋市の場合でいいますと、被災者生活再建支援法が適用された災害、ほかのところで適用された世帯がないものですから、特別交付税も支給できないというふうになっております。

 内閣府の国の支援のあり方に関する検討会が二〇一三年十二月に提言を出しているわけですけれども、それ以降、国の検討が十分進んでいないのではないかというふうに言わざるを得ないと思います。

 都道府県の救済策というのはこの間拡大をされておりまして、今、三十四団体というふうに把握をしているわけですけれども、独自の支援策が出てきております。

 政府みずからが、被災者生活再建支援制度を、こうした不公平な取扱いがないように、被災者の救済への道を開くように検討するべきではないかというふうに思いますけれども、これはまず内閣府にお願いしたいと思います。

米澤政府参考人 繰り返しになりますけれども、被災者生活再建支援制度につきましては、被災市町村や都道府県のみでは対応が困難な著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により、支援金を支給するものでございます。

 このような制度の適用対象につきましては、過去の災害の被災者との公平性、あるいは他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案し、慎重に検討すべきものと考えてございます。

本村委員 ぜひ早急に検討をしていただきたいというふうに思います。

 先ほども申し上げましたように、愛知県がつくろうとしている制度でしても、豊橋市の竜巻被害を受けた被災者の方は救済されないわけでございます。

 県の救済制度がない場合でも、市町村が独自に被災者支援をすると決めた場合には特別交付税を交付するなど、何らか国としての財政措置をとるべきだと思いますけれども、総務省にお願いしたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来御答弁がございますように、被災者生活再建支援法につきましては、被災した地方団体のみでは対応困難な一定規模以上の自然災害が発生した場合に、全都道府県の相互扶助及び国の財政支援による対応を定めておりまして、この支援金の支給につきましては、都道府県の事務となっております。

 特別交付税措置につきましても、この被災者生活再建支援法と一体となりまして講じているものでございますので、都道府県を対象としております。したがいまして、市町村が実施する独自支援策については、措置の対象とはしていない状況でございます。

 市町村が実施する支援策によりまして、仮に市町村の財政運営に支障が生じるような場合、そういうことがございますようなことがありましたら、その実情等をよくお伺いしながら、適切な対応を考えてまいりたいと考えております。

本村委員 この問題、では最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、同じ災害によって、同じ災害といっても、台風五号という意味ではなく、災害によって被災を受けても、救済される方々と救済されない方々がいるということでございます。

 こうした事態をなくし、全ての被災者を救済する仕組みを、内閣府、そして総務省などが連携して検討していくことが求められているというふうに思います。野田大臣に、ぜひ検討をお願いしたいと思います。

野田国務大臣 被災者生活再建支援法については、まずは、制度を所管する内閣府、きょうはいろいろ先ほども答弁がありましたけれども、地方の御意見を十分に聞いていただき御検討いただく必要があり、総務省としては、その検討状況を踏まえながら対応していきたいと考えます。

 今後とも、被災者の生活再建を含め、被災団体の実情を丁寧にお伺いし、特別交付税措置を含め、地方交付税や地方債による地方財政措置を講じ、その財政運営に支障が生じないよう、今局長がまさに答弁しましたけれども、適切に対応してまいります。

本村委員 ぜひ、全ての被災者の方々が救済される仕組みを検討していただきたいというふうに思います。

 次に、災害時における自治体職員の派遣についてお伺いをしたいというふうに思います。

 総務省が制度化を検討している、大規模災害時の被災自治体への応援職員派遣についてでございます。対口支援方式と言われるそうですけれども、制度の概要と制度化に向けた今後の予定について、御説明をまずいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、熊本地震の成果と課題を踏まえ、大規模災害発生時に被災市区町村を支援するための全国一元的な応援職員の派遣の仕組みとして、被災市区町村応援職員確保システムの構築を検討しています。

 本システムでは、都道府県及び指定都市が原則として一対一で担当する被災市区町村に責任を持って応援職員を派遣する対口支援方式で支援を実施、それでも応援職員が不足する場合には全国の地方公共団体から派遣、応援側の都道府県は原則として応援側の区域内の市区町村と一体的に支援を行うこととしています。

 また、このシステムでは、被災市区町村の災害マネジメントを支援するため、災害対応の知見を有する地方公共団体の職員をあらかじめ災害マネジメント総括支援員として総務省に登録し、応援職員の一員として派遣することとしています。

 地方三団体及び指定都市市長会などの実務者による検討会での議論を得て、現在、実施に向けた要綱の策定段階に入っており、年度内に要綱を取りまとめ、全国の地方公共団体に対して本システムを周知し、協力して運用してまいりたいと考えています。

本村委員 もう一点伺いますけれども、東日本大震災また熊本地震による被災地方公共団体への地方公務員の派遣状況はどうなっているか、派遣人数、職種別派遣人数、お示しをいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 応援職員の派遣の状況についてですが、平成二十九年四月一日現在、東日本大震災の被災地方公共団体に対して、一般事務職員八百五十四名、土木建築職員七百三十七名など、計千七百八十二名が派遣されています。

 また、熊本地震の被災地方公共団体に対しては、一般事務職員九十六名、土木建築職員百三十名など、計二百七十九名が派遣されています。

本村委員 ありがとうございます。

 今も多くの職員の方が被災自治体へ支援に入っているわけですけれども、技術系の職員の方々や、一定経験、専門性を持った職員の方々への需要が高いわけでございます。しかし、一方で、こういう職員の方々というのは、もともと数が少ない、新規で募集しても確保が難しい現状にあるというふうに思います。

 この技術職や専門的な職員に限らず、集中改革プランのもとで、自治体の職員の削減、行政サービスのアウトソーシングということで、地方公共団体の公務員全体が、マンパワーが余裕がない現状にあるわけでございます。

 この問題については、日本共産党、田村貴昭衆議院議員も質問をこの委員会でしてきたというふうに思いますけれども、総務省は、応援職員を派遣してもらえるように要請をしているというふうに言っているわけですけれども、しかし、派遣を行う自治体も人員に余裕がなく、要請に応えたくても応えられない実態があるというふうに思います。

 昨年三月十六日の新聞報道によれば、京都府十一町村は、一七年度から東北への職員派遣をやめたということでございます。その理由は、府町村会の調整役の方がお願いに回っても、退職者が多く、派遣元の日常業務に当たる職員すら足りないと断られるということだったということでございます。

 人員がぎりぎりになってしまうと、やはり応援したくてもできないということになってまいります。職員派遣の制度を整えるというのは非常に重要なことですけれども、自治体職員の数、とりわけ、継続して行政サービスに当たることができ、経験を蓄積できる正規職員の数がふえなければ、安定的に機能することはできないのではないかというふうに思います。

 また、平時から一定余裕を持った職員の数を確保できるように、財政措置も含めた支援を行うべきだというふうに思いますけれども、二つまとめて大臣にお願いしたいと思います。

野田国務大臣 まず初めに、地方公共団体が災害対応に関するノウハウを蓄積して災害対応能力を高めて、発災時にはそのノウハウを発揮して災害対応に当たることは大変重要だと認識しています。

 また、全国の地方公共団体においては、被災地方公共団体に応援職員を派遣することなどにより、災害対応に関するノウハウが蓄積される面があると考えています。

 こうした点を踏まえつつ、定員管理に関しては、災害対応を含め地域の課題をしっかり解決していくため、各地方公共団体において、組織として最適と考える任用、勤務形態の人員構成、めり張りのある人員配置など、適正な定員管理に取り組んでいただくことが重要であると思います。

 二つ目ですけれども、そして、各地方団体においては、災害対応を含め地域の課題をしっかり解決していくため、組織として最適と考える任用、勤務形態の人員構成、めり張りのある人員配置、重複しますけれども、そのことをしっかり取り組んでいただかなければならない。

 平成三十年度の地方財政計画におきましては、教職員等を除く一般職員については、職員数が、今お話がありましたように、防災とか福祉関係を中心に増加している実態等を勘案して、増を見込んでいるところであります。

 今後とも、地方団体の実態等を踏まえながら、適切な職員数の計上に努めてまいります。

本村委員 ありがとうございます。

 災害による突発的な行政需要がふえるということに対応するための職員派遣の制度ですけれども、派遣する側と派遣される側、受け入れる被災自治体の側にも一定マンパワーがなければ、復興復旧ということがなかなかうまくいかないというのは、熊本地震の支援に入った全国町村会の報告でもございます。

 また、昨年九月の第四十六回「都市問題」公開講座のパネルディスカッションで、岩手県の大槌町の平野公三町長は、今、七年を過ぎて、ソフトランディングということで、応援含めた職員の人数を減らしておりますけれども、復興と地方創生という課題を前に、本当に震災前と同じ百三十人という職員数でいいのか考えているところでありますというふうに言われております。

 ぜひとも、平時から一定余裕を持った職員数の確保のためにも、財政的な措置も含めた支援をお願いしたいと思います。

 最後に、建設職人基本法の問題についてお伺いをしたいと思います。

 総務省自治財政局財政課が出した一月二十日のいわゆる内簡の中にも、この建設工事従事者の安全及び健康確保の推進に関する法律の問題が書かれております。

 総務省に伺いたいんですけれども、現在、都道府県計画の策定はどうなっているのか。

 そしてもう一点、この法律のかなめというのは、安全衛生経費が、工事費とは別枠で、重層的な下請構造のもとでも、現場で働いている下請中小企業の方々、一人親方の方々を含めて、現場で働く人たちにしっかりと支払われるということだというふうに思います。そのことを都道府県、市町村に徹底していただきたいと思いますけれども、その二点、まず総務省にお願いしたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 建設職人基本法によりまして都道府県が策定するよう努めるものとされております都道府県計画につきまして、国土交通省が昨年十一月から十二月にかけて実施した調査によりますと、平成三十年度までに十二の団体が策定する予定となっております。

 総務省といたしまして、これまで都道府県に対して、さまざまな機会を捉えて積極的な取組を要請してきておりまして、具体的に都道府県計画の策定に向けた検討を進めている団体があると承知しているところでございます。

 今後とも、関係府省と緊密に連携いたしまして、都道府県に対して、建設工事従事者の方々の安全及び健康の確保が推進されるよう働きかけてまいります。

 また、安全衛生経費についてでございますが、これは、平成二十九年の八月に関係省庁の申合せによりまして策定された建設工事における適正な工期設定等のためのガイドラインというのがございまして、そこにおきましては、安全衛生経費などの必要経費にしわ寄せが生じないよう、請負代金内訳書などに明示すること等によりまして、適正な請負代金による請負契約を締結することが明記されたところでございます。

 また、下請契約におきましても、これらの必要経費を含んだ適正な請負代金による下請契約を締結することが明記されております。

 総務省といたしまして、ガイドライン策定に合わせ、各地方公共団体に対して、ガイドラインの遵守のため、速やかに準備を整え、取組を強化するよう、国土交通省との連名通知により要請したところでございます。

 今後とも、適切な機会を捉えて、安全衛生経費などの必要経費を含んだ適正な請負代金による請負契約が締結されるよう、地方公共団体に対して要請してまいりたいと思います。

本村委員 国交省や厚労省の方にも来ていただいたんですけれども、時間がなく、答弁していただけなくて大変申しわけないと思います。この問題については引き続き取り組んでいきたい、質問していきたいと思いますので、その機会にお願いしたいと思います。

 建設現場で働く人たちの命が労災事故によって奪われることがないように、ぜひ総務省としても力を尽くしていただきたいと思います。

 大臣も、御答弁をお願いしていましたけれども、申しわけありません、また次の機会にお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 私も、本日は一時間いただきまして、この税法の質疑をさせていただきたいと思います。昼までの残りの時間、私が最後だとは思いますが、おつき合いのほど、よろしくお願い申し上げます。

 まず最初に、北陸等の今回の豪雪での災害について大臣に改めてお伺いしたいんですけれども、さきの予算委員会でこの現状のお願いをさせていただいて、大臣から、しっかり御検討いただくというお話をいただきました。その後、これがどうなっているのか、そして、大臣としての思いを含めまして、改めて、この総務委員会でも大臣のお言葉をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 本年度は、福井県を始め、全国的に降雪量が多い状況であると承知しております。私も、今回の大雪の被害に遭われた複数の地方団体から、除排雪の経費についての御要望を承ってまいりました。

 地方団体の除排雪経費については、普通交付税の算定において標準的な所要額を措置するとともに、実際の所要見込み額が普通交付税の措置額を超える場合には、三月分の特別交付税により措置しています。

 総務省としては、地方団体の除排雪経費の実態を丁寧に把握して、しっかりと対応してまいります。

 また、大雪に見舞われた地方団体の積雪の状況や御要望等を踏まえて、三月分の特別交付税の繰上げ交付について、あした、二月二十三日金曜日に決定して、二十六日の月曜日に現金交付をする予定になっています。

丸山委員 あした決定して月曜日に交付ということでございます。非常に、この雪の関係で、繰上げでの、前倒しでの特別交付税を望んでいらっしゃるところは多いと思いますので、適切なタイミングはもう来ています、しっかりとあした以降やっていただきたいと私からも重ねてお願い申し上げます。大臣、よろしくお願いします。

 この後は、ちょっと、税法ということで、かなりテクニカルな、細かいものも含めてお伺いしていきたいので、大臣そして副大臣、政務官も、きょう来ていただいていますが、お時間あれでしたら退席いただいても、私の時間、構わないんですが。

 今聞いたら、役所側から、いや、ちょっと状況があれなんで、いてもいいですかみたいなことをおっしゃっているんですけれども。これは、私は思うんですけれども、予算委員会でも申し上げたんですが、質疑者もいいと言っている場合には、柔軟に御対応いただいた方が、本当に国家としてのお仕事として大事だと思います。

 ただ、どうしても私の質疑が聞きたいとおっしゃるならいていただいてもいいんですが、済みません、そこまでの質疑じゃないと思いますし、何より、事務方にお伺いする中での、細かいことを聞いていきたい時間ですので、もうそこは御自由に、いていただいても構いませんが、お時間もあると思うので、自由に退席いただいて構いません。これ以降はそういう形でよろしくお願い申し上げます。

 そうしましたら、本題へ入っていきたいというふうに思うんですが、まず、個人所得税、個人所得課税についてお伺いしていきたいと思います。

 今回、かなり変更がなされていると思います。所得税、そもそもややこしいんですけれども、今回の改正でもっとややこしくなっているなというのが私の、お聞きして、そして調べていく中での感想でございます。

 国民の皆さんに御説明するときに、今回の改正でどうなったのというふうに聞かれたときに、どう説明するべきなのかなというふうに考えている中で、ちょっと役所の中と話していますと、これに対しては少し異論があるという話もあったんですが、私の理解としては、今回の税制改正で、お金を持っていらっしゃる方、特に、年金生活でもほかに所得があってお金がある方、又はサラリーマンの方であっても、高所得の方々で、なおかつ扶養家族のいない方々、こういう方々から、所得の再分配としてお金をいただいて、どういう方に行くかというと、フリーランスで働いていらっしゃる方にお金が全体的に流れるような税制の、所得税の改正かな。

 一言で言えば、お金を持っている扶養家族のいない方からフリーランスの方に再分配をするような改革なんじゃないかなというふうに思ったんですが、どうやら、役所の方は、いや、これは、四つほど区分があるんですけれども、全然違うんです、一応違うという分類をさせてくださいというお話だったんですけれども、役所として、じゃ、この点、どういうふうに考えるのか、まずはお伺いできますか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の個人所得課税の見直しの内容は、今お話ございましたが、大きく四つの内容があると考えております。一つは給与所得控除等から基礎控除への振りかえ、給与所得控除の見直し、公的年金等控除の見直し、基礎控除の見直しでございます。

 まず、給与所得控除等から基礎控除への振りかえでございますけれども、これは、働き方の多様化等を踏まえまして、働き方改革を後押しする観点から、特定の収入のみに適用される給与所得控除等から、どのような所得にでも適用される基礎控除に控除額の一部を振りかえるものでございます。

 次に、給与所得控除の見直しでございますけれども、これは、給与所得控除が給与所得者の勤務関連支出あるいは主要国の概算控除等と比べて過大となっていることを踏まえまして、子育て世帯等には負担増が生じないよう措置を講じつつ、控除が上限となる給与収入を八百五十万円超に引き下げるものでございます。

 次に、公的年金等控除の見直しでございますけれども、これは、世代内、世代間の公平性を確保する、そういう観点から、公的年金等収入が一千万円を超える場合に控除額に上限を設けるなどとするものでございます。

 四つ目の基礎控除の見直しでございますけれども、これは、所得再分配機能の回復の観点から、高所得者にまで税負担の軽減効果を及ぼす必要性は乏しいとの指摘を踏まえまして、所得が一定額を超えると控除額が逓減、消失する仕組みを導入することといたしております。

 今回の見直しは、個人所得課税の各種控除につきまして、それぞれの見直しの必要性に基づき措置を講じようとするものでございます。

丸山委員 という御説明をいただくわけなんですけれども、多分、国民の皆さんが聞いたら、結局どういうことなのという話だと思うんですけれども。

 今回、今御説明いただいたように、個人所得課税に関しては大きく四つのカテゴリーで見直しが行われる。昨今、安倍総理一押しの働き方改革ということで、ここの税制でも何とか働き方改革というのを入れていかなきゃいけないなということでの部分もあると思うんですが、働き方改革の後押しをする観点からやっていると役所側は言われる。今御説明もありましたけれども、給与所得控除と公的年金等控除、今ある部分を基礎控除に上乗せする。

 でも、現実にはフリーランスで働いていらっしゃるような方々は今こういった給与所得控除のようなそもそも控除がないわけで、それが基礎控除に十万円分足されるということであれば、フリーランスの方々はお得なわけです、現状と比べた場合に。そうすると、その方々に関しては恩恵がある。

 一方で、その他三つほどあるのは、大体、給与所得控除の見直しも、公的年金控除の見直しも、基礎控除の見直しも、全部お金持ちの方、所得が多い方に対して今よりも負担がふえる部分であって、一言で言えば、お金を持っていらっしゃる方々からこのフリーランスの方々等への再分配、移転かなというふうに捉えるんですけれども。

 まず、具体的にお伺いしていきたいのは、今述べられた四つの部分で、それぞれこれは税金が増減するわけで、ふえたり減ったりするわけで、どういう動きになるのかをお伺いしたいんですが、お伺いできますでしょうか。

    〔委員長退席、原田(憲)委員長代理着席〕

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の個人所得課税の見直しにつきまして、平年度の増減収見込み額を申し上げますと、まず一つ目の給与所得控除等から基礎控除への振りかえによりまして、国税は三百七十億円程度の減収、地方税は三百二十億円程度の減収でございまして、合計いたしますと六百九十億円程度の減収を見込んでおります。

 二番目の給与所得控除の見直しでございますけれども、国税では七百三十億円程度の増収、地方税では二百九十億円程度の増収、合計で千二十億円程度の増収を見込んでいるところでございます。

 三番目の公的年金等控除の見直しでございますけれども、国税は七十億円程度の増収、地方税は三十億円程度の増収で、合計で百億円程度の増収を見込んでおります。

 四番目の基礎控除の見直しでございますけれども、国税は三百五十億円程度の増収、地方税は八十億円程度の増収、合計で四百三十億円程度の増収を見込んでいるところでございまして、これら見直し全体で申しますと、国税は七百八十億円程度の増収、地方税は八十億円程度の増収ということで、合計で八百六十億円程度の増収を見込んでいるところでございます。

丸山委員 今細かい数字を御説明いただきましたけれども、結論から言うと、八百六十億円程度が再分配されるということだと思います。

 結局、お金が、増税、負担される方々はお金持ちの方ですね。その中から、減税分になる方は今申し上げたようにフリーランスの方々なので、今お話をされた合計の八百六十億円分がこうした方々に再分配されるというのが今回の所得課税、一言で言えばそういうことかなと思ったんですけれども。

 財務省の皆さんは、いや、結果的にそう見えるかもしれないけれども、でも、それぞれ一応ばらばらに、働き方改革は最初にお話のあったようなフリーランスの方々の部分だけなんですよというような言い方とか、おっしゃるんですけれども、なかなかこれは、税制、特に所得税は国民の皆さんに密接に関係する税の一つです。そうした中で、なかなか御説明するにも複雑な制度によりなりつつあるなというふうに感じております。

 細かい話を更に言い出すと切りがないんですけれども、一つ気になるのは、給与所得控除の部分です。何かといいますと、今回、子育てや介護を行っている方には、負担増が生じないような措置という形で、基本的に除外されているわけです。この意図についてお伺いしたいんです。

 というのは、私も独身なので、これを聞くと、我々としては負担増だなというふうに思います。でも一方で、国全体としては、やはりそういった子育てや介護の方々への負担というのは減らしていこう、なるべく子育てしやすいような世の中にしようというのは十分わかるところで、やっていかなきゃいけないところだと思います。

 一方で、扶養者控除という意味では、現行、別の制度が既にあるわけで、その点から見れば、実は、もう既にあるのにまた二重にここで課税を免除するというか負担にならないようにするというのは、目的からしても二重の控除になってくるんじゃないかなという疑問は自然に生じると思うんですけれども、そういった意味で、それは違うんだという御意見だと思いますので、そこに関して政府としてどのようにお考えなのか、御発言をお願いします。

    〔原田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 扶養控除でございますけれども、これは、十六歳以上の扶養親族がいる者につきまして、その税負担能力の減殺を調整する趣旨から設けられている所得控除の一つでございまして、税負担を減少させるという効果を持つものでございます。

 一方、今回の給与所得控除の見直しにおきまして、控除が頭打ちとなる給与収入を八百五十万円超に引き下げるに当たりまして、子育て世帯に適用される所得金額調整控除でございますけれども、これは、子育て世帯に配慮する観点から、給与収入が八百五十万円を超えていても、二十三歳未満の扶養親族がいる方につきまして税負担の増加が生じないように措置を講ずるものでございます。

 このように、扶養控除と今回新たに設けられます子育て世帯への配慮措置とは、その趣旨、対象等が異なるものと考えております。

丸山委員 という御説明なんですけれども、私もこれを伺って、そういうカテゴリーの仕方もあるけれども、しかし、実際に税金を取られる方としては、そういう解釈というよりは、私が申し上げたような解釈をおとりになる方も多いかなと思います。

 これはしっかりと、違うんだという御説明は要ると思うし、ただ、結果として、向かうべき国の方向性としては私は間違っていないと思いますし、簡単に言うと、独身の所得の高い方からお金をいただきましょうよというところだと思います。独身だけとは限りません、結婚されてもお子さんがいらっしゃらない方もいらっしゃいます、また、独身でも扶養家族がいらっしゃる方もいるので、一概には言えませんが、しかし、そういった方向性になっていくということだと思います。

 しっかりとこれは御説明を、複雑になる中で国民の皆さんにしていかなきゃいけないと思いますので、財務省も、これは総務省もどちらも気をつけていただいて、わかりやすい、できる限り簡素な税というのは国全体の根本の部分だと思いますので、やや複雑になりがちですから、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 そうしましたら、個人所得課税からかわりまして、たばこ税をお伺いしていきたいと思います。

 私はたばこを吸う者でございますので、個人的な思いもあるのかもしれませんが、去年もずっと、財務委員会だったので、財務委員会でもたばこ税の話をさせていただいて、その関連も含めて去年からの動きも少しお伺いしていきたいんです。

 改めまして、今回たばこ税見直しということで、簡単に言うと、価格が、税額が上がります。私、初めに申し上げますと、これはしようがないと思いますし、じわじわと上がっていく部分に関して、国民の皆さん、仕方ないなと思っていらっしゃる方は多いと思います。時代も、受動喫煙の今法案が出るか出ないかも含めてもめていますけれども、やはり、分煙にしていこう、禁煙にしていこうという流れの中で、一定のたばこ税という形でお願いしていくというのは必要なことだと思います。

 そういった意味で、だめだというわけじゃないんですが、やはり税金をお支払いする方としては、合理性、若しくはほかとの関係の中での合理性ですね、つまり、相関的に見ても妥当だと納得できる税のあり方というのが非常に大事だと思いますので。

 今回、いろいろ変わっていきます。特に、税金が上がるというのが一つと、もう一つ、今かなり急激にふえておりますいわゆる加熱式の電気たばこ、アイコスだとかグローとかプルーム・テック、私も全部吸ったことがありますし、今はプルーム・テックをよく愛飲していますけれども、そうした中で、加熱式たばこの課税方式を見直す。現実にこれは見直すとどうなるのかというと、結局高くなるんですけれども、税額が高くなるという形の改正をするわけで、このあたり、どういう理屈で、どういう根拠で変えていくのかというのを具体的にこの後お伺いしていきたいと思います。

 まず、紙巻きたばこ、これはわかりやすいので、これはどういうふうに変えていくのか、ここの部分について、現在の税額、そしてこれは法が成立すればどうなるのかという部分について、財務省、御説明できますか。総務省からですかね、よろしくお願いします。

内藤政府参考人 紙巻きたばこの税額の改正前、改正後の御質問にお答えを申し上げます。

 紙巻きたばこにつきましては、その本数に税率を乗じて税額を算出するというふうな仕組みでございまして、税率は、国と地方を合わせて一本当たり現在十二・二四四円となっております。

 改正後の税率につきましては、国と地方を合わせて一本当たり三円引き上げることといたしておりまして、国と地方を合わせて一本当たり十五・二四四円となるものでございます。

丸山委員 つまり、十二円の税金が十五円になる。二十本入っている箱が多いので、そうすると一箱当たり六十円ぐらいが大体上がっていくのかなというふうに思います。

 あと、麻生大臣、シガーがお好きらしくて、財務委員会でもいろいろシガーの話をさせていただいたんですけれども、シガーとか、あと、特殊な、今まであるような、加熱式の新しいたばこじゃなくて、パイプたばこ、少しカテゴライズが違います。木とか、燃えないような材質でつくられた喫煙具のところにたばこ葉を自分で詰め込んで火をつけるようなもの。

 あとは、実は、去年までは電子たばこも税法上もパイプ式たばこのカテゴライズだったんです。そのカテゴライズで去年議論をしたんですけれども、ことし初めて加熱式たばこというカテゴライズで税法をいじるということで変わるんですが、ただ、事業法の方は変わらないという話でして、私は、きょうは財務省さんに来ていただいているので、やはり税法と事業法がずれていくとおかしくなっていくと思います。

 一方で新しいカテゴライズになる。今までは入っていましたという話ですけれども、明らかに、シャーロック・ホームズが吸っているようなパイプと加熱式たばこを一緒のカテゴライズにしていくというのはやはり変だと思います。この事業法もぜひ変えていっていただきたいなというふうには思うんですが、これは、今回の、今から申し上げたい趣旨とは違うんですけれども、パイプたばこですね。

 あと、たばこでいうと、かみたばこという形で、口の中に含むみたいなものも市販されている中では大きくあるんですが、まず、じゃ、そこの部分についても、これは税額は変わるんでしょうか。そして、どれぐらい変わるのかを含めて、お役所の方、お答えいただけますか。

内藤政府参考人 お答えをいたします。

 たばこ税の課税対象となります製造たばこでございますけれども、今お話がございましたけれども、喫煙用の製造たばことして、紙巻きたばこ、パイプたばこ、葉巻たばこ、刻みたばこがございます。それから、喫煙用の製造たばこ以外のものとして、かみ用の製造たばこ、嗅ぎ用の製造たばこに分類をされているところでございます。

 紙たばこ以外につきましては、その重量を紙巻きたばこの本数に換算した上で、この当該本数に税率を乗じて税額を算出するという仕組みでございますので、紙巻きたばこの税額が上がりますと、同様に上がってまいります。

丸山委員 複雑で、紙たばこは本数でやるんですけれども、一方で、シガーとかパイプたばこも含めて、そこのグラム数でやっていく、一定のグラムの価格を本数に置きかえるという非常にややこしいやり方をしているんです。

 一方で、今、最新式のと出てきている加熱式たばこに関しても、実は同じように、今までは、重量〇・四グラムごとで紙巻きたばこ一本という形で換算してやっている方式なんですが、これが今回、課税方式見直しということで変わるんです。

 どう変わるのかというと、今まで、実はたばこの部分じゃなくてフィルターの部分も一応重量換算していたんですけれども、葉っぱだけじゃなくて、なぜか。まあ、それは廃止したんですけれども、それは除く。でも、次は、吸うための溶液、リキッドというのがあるんですけれども、リキッドの部分も、これは全然たばこの成分は入っていないんですが、基本的にここも入れるようにするという新しい方針になる。

 同時に、更にややこしいのは、これを更に半分の部分に圧縮して、残り半分のところに、小売価格を一本当たりの平均で割って、紙巻きたばこだったらどのぐらいの価格になるかなみたいなものを換算して、そういった価格から見た要素みたいなものをつけ加えることで、こっち半分、そっち半分、合わせて一本みたいな。すごく複雑な税制に、この加熱式たばこは変わろうとしているんです。

 この意図は何なんですかと聞いていったら、どうやら、いろいろな種類があるんです。そうした中で、高い税率のたばこと低い税率のたばこというのはどうしても出てきてしまって、具体的に言えば、アイコスとかグローとか、たばこ葉を多目に使っているような、もともとの、あと本数、一本、二本と紙巻きでしているような部分に関しては、加熱式たばこも税率、普通のものよりは安いですけれども、しかし、ある程度の価格はあると。一方で、プルーム・テックというJTさんが出しているやつは、基本的に紙を使っていないので、たばこ葉の原料も少ないんですね。

 そうしたタイプの加熱式たばこに関しては税率が非常に低くなって、そうした中で、不公平じゃないか、そういうお声が業界の、加熱式たばこをつくっていらっしゃるところの、特に税率が、高目か低目かといったら高目の方から、こっちだけ低いままじゃ、どういうことだということで今回の提案が来ている。

 同時に、紙巻きとの互換性があるので、そういった意味では、たばこ税法としては、税法体系としては、こちらからも取っていきたい、税収確保の意味でも取っていきたいということなんですが、これはちょっと個人的な部分も入ってくるかもしれないんですけれども、今、健康志向の話も出てきて、今紙巻きを吸っていらっしゃる方が電子たばこの方に行きつつある。全く害がないわけじゃ絶対ないと思いますし、もちろんニコチンを吸うわけですから。一方で、紙巻きに比べたら圧倒的に健康的には悪くないだろう、徐々に減らしていこうという形でおっしゃっている方々は健康志向も含めて流れていっているわけで、世の中的には、方向性としては一つの流れなんだと思います。

 そうした中で、こちらも税を上げていくということは、その流れとしてはどうなんだろうという部分は一つあると思いますし、同時に、明らかにアイコスやグローといった形のたばこ、お吸いにならない方はちょっとわからないかもしれませんが、そちらと、今回更に税額が上がる、プルームという方なんですけれども、プルーム・テックという方を見ると、そうした意味で、周りに与える影響という意味では余り、むしろアイコスやグローといった、もともと加熱式たばこの中でも税率が高目のところの方が影響がでかくて、今回大幅に上がるだろうと言われているJTが出しているプルーム・テックみたいなところは、それに関しては軽減している部分なので、世の中としては、できれば、それはどんどんなくなっていくというのが大きな世の中の流れなんでしょうけれども。

 そうした中でも、できる限り影響の、よそに及ぼさない、また本人にも健康の害が少ない、そうした部分に向かおうとしている中で、少しこれは逆行しているんじゃないかなというふうに感じるところはあります。

 ただ、全体の流れとしては、課税していくということは私も仕方がないと思いますし、必要な部分もあると思いますので、そこに対して反対するわけじゃないですが、今回の税法によって、今申し上げたような世の中の流れに逆行しているんじゃないかという点が一つ。

 もう一つ。今申し上げているだけでややこしいんですけれども、お聞きになっている方はもっとややこしくお感じになっていると思いますし、なおかつ、吸わない方は何を言っているんだと多分思っていらっしゃると思います。

 多分吸っている方も、ほかの加熱式たばこというのは余り吸わないので、私はこういう新しいガジェットが大好きなので、いろいろなものを試したくなるんですけれども、アイコス吸って、グロー吸って、プルーム・テック吸ってとかやるんですけれども、例えばプルーム・テックだけを吸われている方は、アイコスってどうやって吸うのかもぴんとこなかったりするので、お聞きになっている方はちょっとわかりにくいかもしれませんが、非常に大事な論点なのでちょっと聞いていきたいんです。

 この加熱式たばこが、アイコスとグローとプルーム・テックを主に挙げました。今市場で流通している、大きいのはこの三つだと思うんですけれども、それぞれ、現在の税額と、法成立後、税額はどれぐらい変わっていくのか、この三つにつきまして役所から答えていただけますか。

内藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、加熱式たばこでございますアイコスでございますけれども、現在、小売定価四百六十円に対しまして、たばこ税額は約百九十二円、紙巻きたばこ比で約八割程度となっているところでございます。

 一方、見直し後の税負担水準でございますけれども、これは先ほどもおっしゃられましたけれども、今後メーカーが設定する小売価格によって価格に応じた課税部分が決まることとなりますために、確たることを申し上げることはなかなか難しゅうございますけれども、仮に現在の小売価格を前提に一定の仮定を置いて機械的に試算をいたしますと、アイコスの税負担割合は、引上げ後の紙巻きたばこ比で約九割の水準になるというふうに考えているところでございます。

 次に、グローでございますけれども、これは小売定価四百二十円に対しまして、たばこ税額は国と地方を合わせて現在約百二十円、紙巻きたばこ比で約五割程度となっているところでございます。

 見直し後の税負担水準につきましては、アイコスと同様、確たることを申し上げられませんが、仮に一定の仮定を置いて機械的に試算いたしますと、グローの税負担割合は、引上げ後の紙巻きたばこ比で約八割の水準になると見込まれるところでございます。

 三つ目のプルーム・テックでございますけれども、小売定価四百六十円に対しまして、たばこ税額は国と地方を合わせて約三十四円、紙巻きたばこ比で約一・五割程度となっているところでございます。

 見直し後の税負担水準につきましては、同様でございますけれども、プルーム・テックの税負担割合は、引上げ後の紙巻きたばこ比で約七割の水準になると見込まれるところでございます。

丸山委員 今、総務省から、役所の方から具体的な数字をお聞きしました。今、私がその前に申し上げたように、アイコスやグローといった部分と、全然、JTが出しているプルーム・テックという加熱式たばこは負担率がかなり違うわけです。現実の税金でも、現時点では、アイコスやグローというのは百九十二円や百二十円の税負担をしているんですが、JTのプルーム・テックは三十四円しか、価格的にはほぼ、四百六十円、四百二十円、変わらないラインでやっている。

 何でかというと、結局、たばこ葉がほとんど入っていないんですよ、JTの方は。そういうのを見ても、仕組みが違うので違うという中で、今回の税法改正で、でも、吸うために、実はリキッドという別のものを使って、これは特殊なまた違うやり方なので、このプルーム・テックは、JTの出している税金が今安い方は使っているんですけれども、この溶液に税金をかけたり、若しくは小売価格全体で平均で割って、普通の今の、じゃ、JTさんがこの価格で出したいんだったら、大体この価格だったらこんなものだよねみたいな、価格からの税金額を足して、それを足し合わせた額でやれば、今お話をしたように、役所の試算では、ほかのものが九割、八割負担しているものを、JTが今出そうとしているものも大体七割ぐらいは負担いただけるんじゃないかなというのが今試算で出してきたんですけれども、非常に、財務省や総務省、言っていましたけれども、今までないような税金のかけ方をしているわけです。

 小売価格に関して、価格の要素を入れて、平均価格で割って紙巻きたばこに換算するという、いまだかつて、税法上、ほかの税を見てもないようなやり方を実は特殊にやっていまして、どちらかというと、何とかこの部分の税金を上げたい、上げたいから、何かこう理屈を考えなきゃいけなくて、今こういうふうになっているなと。正直、複雑だし、合理性という意味では、どういうことという疑問符をつけざるを得ません、細かい点で言えば。わかりにくい上に合理性がない。

 そこに対して非常におかしいと思いますけれども、しかし、全体として税負担をお願いしていかなきゃいけない中で、何とか苦心をしていくということなんですけれども。

 そうすると、第三のビールのときも、酒税も同じだったんですよ。財務省さんともさんざんやりましたけれども、結局、やはり税金を何とかお酒も下げたいということで、企業側が企業努力で第三のビールを生み出してきた。あれは酒税がすごく低いので、しかも価格も安くできて、消費者の中でもうれしい、それで売れているんですけれども、結局、今回また第三のビールを上げるという話になって、企業努力は何だったんだというお声もあるわけですよ。

 実は、たばこも私は似たようなものだと思っていまして、そういう意味では、新しい部分を阻害するものにならないかなということと、企業もやはり考えますので、そうしたら、この税制で当たらないものは何かという話になるんですけれども。

 今回、私、不可解なのは、さっき、JTさんの方のプルーム・テックの溶液に関して税金を課すわけです。たばこの要素も何もないんですよ。ただのグリセリンとかですかね。吸ったら水蒸気になるというものに関して税金をかけるんですけれども、そこに関して税金をかけていくと、さっきの、どうやったら安くなるか、第三のビールじゃないですけれども、非常に、その辺を考えていくと、リキッドだけを売るとかいうことで安くできることになっていきます。

 現に、実は今、リキッドに現時点の税法では税金はかかっていないんですけれども、ネット通販とかで見ますと、アマゾンとか見ていますと、JTが出しているプルーム・テックの液体だけ売っているんです、リキッドだけ。互換リキッドが売っていまして、現実に今でもあるわけで、それこそパチンコの三店方式じゃないですけれども、JTさんはたばこ葉だけ売って、リキッドだけ別の企業が売ってしまえば、リキッド部分は別にお金がかからないわけで、じゃ、一体そこはどうなるんだみたいな、非常に税法が実は現実を複雑にしかねない要素もあるんです。

 現時点でちょっと聞いておきたいんですけれども、このプルーム・テックの互換リキッドには今回の新法でも課税されないということでいいのか、今回の課税される重量の要素の溶液の部分に関してどのように定義されているのかを含めて、御説明いただけますでしょうか。

内藤政府参考人 今回の加熱式たばこの見直しでございますけれども、製品構造の違いに影響されず、たばこが消費者に与える効用を適切に反映した課税方式とする観点から、重量の要素につきましては、従来の製品重量から、たばこの味わいと吸い応えに直接影響いたします葉たばこと溶液の合計重量に見直すことといたしまして、プルーム・テックのリキッド部分についても、たばこ税法及び地方税法上の製造たばことみなして課税の対象とすることといたしております。

丸山委員 つまり、済みません、定義を聞きたいんですけれども、互換リキッドだけ売っている分には、これは課税されないということですね。たばこ葉と一緒に売っていれば課税されるんですか。この辺の、法文上どういう定義になっているのか、御説明できますか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 新たに製造たばことみなされますリキッドの範囲でございますけれども、加熱式たばこの喫煙用具であって加熱により蒸気となるグリセリンその他の物品又はこれらの混合物が充填された製品というふうにしておりますけれども、その上で、「たばこ事業法第三条第一項に規定する会社その他の政令で定める者により売渡し、消費等又は引渡しがされたもの及び輸入されたものに限る。」というふうに限定をしているところでございます。

丸山委員 非常に、法律上、今お話のあった要件を幾つか課しています。このリキッドを、喫煙の用に供する、そして、成分上、一応こういったものが入っているものという切り方と同時に、今お話のあったように、その事業者でも切り口をやることで、基本的には、リキッド単独で売っているような方にはかからないという理解でいるんですけれども、今、役所側もそううなずいていただいています。

 そうすると、今、お話を最初からしているように、分けて売るというのは、普通に考えれば、やろうというふうに考えますし、現に、これはカテゴライズが難しいんです。というのは、プルーム・テックの場合は、液の先っぽにたばこ葉のあれをつけて吸うことで、そこにニコチンを生じさせるんですけれども、この先っぽを別にほかのものにかえても吸えますし、それを吸っているような方もいらっしゃいます。

 つまり、互換用リキッドで、ニコチンは全然ない、コーヒーのフレーバーだけで楽しむとか、要は、電子たばこで、ほかにもベイプみたいなのが海外ではあったんですけれども、これなんかは、ニコチンの全く要素はない、たばこの要素もなく、香りを楽しむ。別に未成年も吸っていいわけで、現に法律上もいいんですけれども、そういう商品もそもそもあるんですよ。

 そうしたら、恐らく、リキッドだけ売るという要素に関しては全然需要は減らないと思いますし、むしろ、そういう製品というのは今後も存在し得る、出てくると思うんですけれども、今回の税法によって、ここに関して、たばこ葉と一緒に売っている事業者だけこういうふうに課すんだけれども、一方でほかのところには課さないとなってくると、非常に、今申し上げたような、微妙な、現場に対してよくわからない影響を与えていく。下手をすると、私は、パチンコみたいな三店方式じゃないですけれども、そうした、ほかの事業者が別事業だと言って売っちゃえば、その分は税金はかからないわけですよ。

 これは、JTさんはやらないとはもちろん思いますけれども、しかし、JTさんのようなたばこ事業者がたばこ葉の部分だけ売っちゃえば、税金上すごく安いわけで、新しい技術であるがゆえに、役所の方に、どうして、どういうことだとは責めませんけれども、非常に研究が要りますし、不断の見直しが要る分野なんですね。

 だから、毎年、税法はありますけれども、しっかりやはりチェックしていって、市場の動向を見ながら、とはいえ、バランスは難しいんですけれども、新製品、第三のビールが潰れていったように、企業努力を余り潰すような流れは私はしてほしくないんです。ただし、一方で、さっき言ったような、何か変な、バランスがとれないようなおかしな方向に行く場合には、これは不断の見直しが要ると思うんですけれども、もちろんそういった不断の見直しをやっていくという理解でよろしいんですか。

内藤政府参考人 加熱式たばこにつきましては、近年登場した商品でございますので、御指摘のような商品が大量に流通するというような可能性も否定できないところでございますけれども、いずれにせよ、市場の動向や消費実態等をよく注視してまいりたいと考えております。

丸山委員 しっかり見ていただいて、不断の見直しをお願いしたいと思います。

 去年来、ここは去年はそこまで話していないんですけれども、去年お伺いして、ぜひ検討いただきたいと言ったことに関して、どういう状況になっているか、最後にお伺いしたいんです。

 電子たばこというのは、実は、吸わない方は御存じじゃないかもしれませんが、普通の紙巻きたばこには、どれだけのタール数やニコチン数が入っているというのが大体ミリ数で書いてあるんです、一ミリだとか九ミリだとか書いてあるんですけれども、電子たばこの箱はどれも、アイコスにしろグローにしろプルーム・テックにしろ、全く、ニコチンが、どれぐらい吸えばとか、どれぐらいのタールの量がというのは書かれていないんですよ。

 これは、健康の状況とか国民のニーズを考えたら、書いてくださいよ、やはり書いた方がいいですよという話を、去年もずっとこの話をさせていただいて、去年のお言葉だと、実は、たばこ税法もたばこ事業法も、これはパイプたばこの、要はシャーロック・ホームズが吸っているあれと同じカテゴライズで、あれは自分で手に入れるので、どれぐらいの一吸いだとか一回の喫煙でタールが含まれているかわからないので、ちょっとカテゴライズは難しいですと。

 同時に、技術面でもまだまだ、テクニカル的に、一回吸ったときにどれぐらい出るかみたいな基準がないのでなかなか、世界的基準もないので、これに対して同一基準を押しつけるのは難しいですという話が二個あったんですけれども、こっちの前提が今崩れ始めていまして、加熱式たばこという新しいカテゴライズでやろうとしているので、実はこれは、先ほど少し申し上げましたように、結局、税法が今回改正をするので、事業法の方も、そろそろ加熱式たばこというのは整理していかなきゃいけないなと私は思っているんです。

 同時に、この基準の方は、国として率先してやればいいと思っていまして、どういうふうに考えていくかというのも含めてやっていかないと、もうこれだけ市場で、加熱式たばこ、右見ても左見ても、結構皆さん吸っていらっしゃる中で、普通の紙巻きにはミリ数、タール数が書いてあって、これだけ健康志向だと言っているのに、一方でこっちの方は書いていないというのはやはりアンバランスだと思いますので、この点、しっかりやっていただきたいなと思うんですけれども、これは一年たっていますけれども、どうなっていますか。

市川政府参考人 お答えいたします。

 紙巻きたばこの含有物につきましては、ISO、国際標準化機構において標準的な測定方法が定められておりまして、我が国たばこ事業法においても、その方法を用いることによりニコチン量及びタール量を測定し、製品に表示することを義務づけております。

 一方、加熱式たばこにつきましては、近年新たに開発された製品で、その製品特性もメーカーごとに異なっております。このため、いまだ標準的な測定方法も確立されておらず、現時点ではニコチン量等の表示を義務づけることは困難であることを御理解賜りたいと存じます。

 ただし、財務省といたしましては、喫煙と健康等の観点から、たばこ製品に関する客観的情報を消費者に提供することは重要と考えております。このため、加熱式たばこの各メーカーに対し、たばこベイパー、これは紙巻きたばこの煙に相当するものでございますが、このたばこベイパーに含まれるニコチンやその他の成分の量についての情報をできる限り開示するよう要請しているところでございます。

 その結果、うち二社が昨年十二月までに、自主的取組として、これはそれぞれの各社の測定方法によるものではありますが、ニコチン及びその他のたばこベイパー中の成分について、数値をもってホームページ上に開示しているところでございます。

丸山委員 去年、私がぎゃあぎゃあ言いまして、それで財務省さんの方も、今お話しいただいたように、業界の方に言っていただいて、今二社がホームページの方に、独自の検査方法ですが、書いていただいているということです。

 一方で、独自でいいのかという声が必ずあると思います。そうなると、結局、やはり最後に要るのは統一的な、どういう基準で出すのかということだと思います。これは世界を待っていたら、多分ずっとまだまだつかないと思います、それは世界が早ければいいんですけれども。

 これは、国としても、ないならやりましょうよと呼びかけていかなきゃいけないと思いますし、何よりまず日本で基準をつくってもいいわけだと思いますので、そうした方向性についても、それは難しい部分もあるのはもちろんわかっている、技術的なものもありますけれども、しかし、できる限り決め打ちしていくというのも一つ要る要素じゃないかと思います。

 税法に関しては、非常に、価格、税額を決めるのが難しい中で、なぜか今回、価格の要素、小売価格みたいなものを出してこられて、それを平均価格二十円で割るとかいういまだかつてない税法を新たに編み出して決める。税金に関しては、財務省さんはすごく、取る方に関しては、かっちり、ぼやっとしているのにきちっと当てはめてきますけれども、一方で、表示の方に関しては、いや、いまだ技術が確定していないのでとおっしゃるのは若干変だなと。

 決め打ちするというのも一つだと思います。やり方はいろいろあると思いますけれども、しかし、一歩ずつでも、今二社開示していただいていることでやっていただいているのは評価しますが、できる限りこういう形で消費者の皆さんに情報が出ていくように、前に進めるように検討をいただきたいと思いますが、そういう方向性でよいですね。

市川政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のございました、加熱式たばこに係りますニコチンやその他のたばこベイパー中の成分の表示のあり方につきましては、加熱式たばこに係る各種健康影響等の研究、あるいは、今申し上げましたような各メーカーの取組、それからやはり測定方法に係る国際的な動向など、こういうものを全て踏まえながら、引き続き検討してまいりたい、そのように考えております。

丸山委員 しっかり前に進めていただきたいと思います。

 たばこに関して、最後、お伺いしたいんですけれども、地元を回っていましたら、売っていらっしゃる方からよく言われるのが、たばこを売る方には、未成年者喫煙禁止法とかで、未成年の方に売らないようにするために、ピッと押したり、あと身分証を確認したり、二十歳以上ですかということを確認するために義務を課している。これは非常に大事なことだと思うし、しっかり確認いただきたいんですけれども、売っていらっしゃる方にも不満があって、売る方だけ義務があって、買う方には義務がないんです、今、法律のたてつけ上。

 なので、例えば拒否、何でそんなもの見せなきゃいけないんだとか、ひどい方はある意味暴力的な言い方をされたり、非常に、売る方だけにかかっているのは不公平じゃないのと。買う方にも提示義務だとか、違反、罰則もあるんですけれども、違反、罰則なども、そろそろ時勢的には買う方にも、未成年者の喫煙ですから、しっかり取り締まっていくという意味では要るんじゃないかというお声が多うございまして、確かにそれはそうだなと思っているんですが。

 警察さんに聞きますと、ちょっとそこは警察さんは御意見が違うということだったので、ちょっと警察さん、どういうふうにここに関してはお考えなのか、お伺いできますでしょうか。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 未成年者喫煙禁止法は、たばこ販売業者等に対しまして、未成年者の喫煙の防止に資するために、年齢確認その他の必要な措置を講ずべき旨を定めているところでございます。これは、二十歳未満の者に対しましてたばこを販売している実態がなくならないという状況を踏まえまして、平成十三年の同法改正におきまして、未成年者の喫煙の防止に一層資するため、たばこ販売業者に対しまして、年齢確認等必要な措置を講ずることとされたものと承知しているところでございます。

 年齢確認等の措置のこのような趣旨や国民の負担等を考慮いたしますと、現時点におきましては、購入者に対しまして、お尋ねのような義務や罰則を定める必要があるとは認識していないところでございます。

 ただ、年齢確認の際にトラブルが発生した場合の対応につきましては、警察といたしましても、たばこ販売店に対する警察の通報等に関する要請の実施や警察官による立ち寄り等に努めているところでありまして、そういった暴行などのトラブルがあった場合には厳正に対応しているところでございます。

 今後とも、適切に対応を進めてまいりたいと思っております。

丸山委員 義務を買う方にまで課すのはちょっとやり過ぎだなと警察は今考えていて、しかしトラブルになっている現状はわかっていただいたということなので、しっかりトラブルの現場に、もし売る方の方に何かそういうのがあれば、すぐ警察に対して連絡いただく、対応できるような対策を整えていきたいという御答弁だと思うんですけれども。

 なかなか、買う方に罰則まで科すというのは、確かに、非常に国民の皆さんに負担をかけるという意味では慎重になっていらっしゃるのかなというふうには思うんですけれども。一方で、売る方にだけかけて、買う方にかけないとなると、結局、未成年者、まだ買っていらっしゃる方はいらっしゃる、減らしていかなきゃいけない、ゼロにしていかなきゃいけない中で、やはりこのバランスというのは非常に大事だと思います。

 今回、時間が少しなくなってきましたので何度も何度もお伺いしませんが、この点、実際に現場からはこういったニーズの声が出ているということはまずは知っておいていただきたいというふうに思います。

 たばこに関してはまだまだ個人的にはあるんですが、時間、ほかに聞きたい税法が幾つかありますので、このあたりにしておきまして、残りの税法を聞いていきたいと思います。

 国際観光旅客税、いわゆる出国税、国を出るときにお金をいただきましょう、税金をいただきましょうという新しい税金が今回追加されています。

 この政策意図と、ちょっと二個目を重ねてしまうんですが、今も、国民からしたら、あれ、出るときお金を取られているよねというのがありまして、空港使用料とか空港税とか取られているじゃない、何、また取るのというイメージがあるんですけれども、これは違うんですよね。この違うというデマーケーションを含めて、役所からお伺いできますでしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 政府では観光を地方創生の切り札、成長戦略の柱といたしまして位置づけてきたところでございますけれども、昨年の訪日外国人旅行者数は対前年で一九%増の二千八百六十九万人、五年連続で過去最高を更新しておりまして、訪日外国人旅客数がこの五年間で約三・五倍に拡大する、着実に成果も上がっているのかなと思っておるところでございます。

 他方、二〇二〇年には訪日外国人旅行者数を四千万人にしようといった政府の目標がございまして、こういった目標達成のためにはまだ道半ばでございます。また、今後の東京オリンピック・パラリンピックの開催も踏まえますと、より高次元な観光施策を展開していくことが急務となっておるというふうに考えておるところでございます。

 このため、受益と負担の関係も踏まえまして、国際観光旅客税を創設し、出国旅客に御負担を求めることによりまして、こうした観光施策の充実に必要な財源の確保を図りたいというふうにしてきたところでございます。

 なお、この税の検討の経緯といたしましては、一昨年三月の観光ビジョンというものでございますとか、昨年六月の未来投資戦略二〇一七において、観光施策に充てる財源の確保を目指すとされていることを踏まえたものでございます。

 昨年九月には外部の有識者や関係者も交えた観光庁の有識者検討会ということをスタートをさせていただきまして、諸外国の事例を参考にしつつ、関係事業者や地方自治体の御意見も幅広く伺いながら、ゼロベースであらゆる選択肢について御丁寧に御議論いただいたところでございまして、こういった検討会での御提言も踏まえつつ、今回の新税の要望に至ったということでございます。

 それと、次に御指摘のございました、空港使用料やそういったものとの違いでございますけれども、我が国におきましては、空港を利用する航空会社や航空旅客の皆様などが負担するものといたしまして、空港又は空港ビルの管理主体が徴収をしている、いわゆる空港使用料などといったものがございます。

 ちょっと細かくなりますけれども、このうち、着陸料などにつきましては、国、地方自治体、空港会社などの空港管理者などが航空会社などに対しまして、滑走路などの空港施設利用などの対価として徴収をさせていただいているものでございます。また、一部の空港で導入されております空港施設利用料というものにつきましては、これは空港のターミナルビルの管理主体が航空旅客の皆様に対し、ビル施設の利用の対価として徴収をさせていただいているということでございます。

 一方で、今回の国際観光旅客税でございますが、これは観光先進国の実現に向けた観光基盤の拡充強化を図るための財源を確保するといった観点から、航空旅客を含めた出国旅客に対して国が御負担をお願いするものでございまして、こういった点におきまして空港使用料などとは異なるものであるというふうに考えているところでございます。

丸山委員 ということなんですけれども。

 これは幾らなんですかと聞いたら、千円だというふうにおっしゃるんですけれども、一回出るのに。何で千円なんですかと。まあ、税というのは、なぜその額なのかという合理性がないと、取られる方からしたらたまったものじゃないんです。何で千円だというと、先ほどお話のあった業界、いろいろなところに聞いている中で、余り高いとちょっと勘弁してくれという部分の中で、諸外国との関係でお決めになったという話なんですけれども。

 これは、単純に考えると、経済学的には、プラスの料金がかかるとその分需要が減るので、出国するような方が減るんじゃないかと思うんです。まあ、千円ぐらいだったら余り変わらないという御意見もあると思うんですけれども。現実にこの千円を取った場合にどれぐらいの税収を見込んでいて、さらに、次の問いをくっつけちゃいますけれども、出入国者数に影響があると考えられての試算かどうかも含めて、どれぐらいなのかというのをお考えなんでしょうか、お伺いできますか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず最初に、税収の見込みでございます。

 税収につきましては、本税の創設によりまして、平年度ベースで四百三十億円の増収を見込んでおります。この見込みに当たっては、直近の終了年度であります平成二十八年度の出国者数の実績値である約四千三百万人を用い、税額を乗じることにより計上したものでございます。

 それから、この千円の水準が出入国者数に与える影響ということでございますが、この国際観光旅客税、二〇二〇年の四千万人の目標あるいは東京オリンピック・パラリンピックの開催を踏まえまして、高いレベルの施策を展開するための観光財源の確保を図る観点から創設されるものでございます。したがいまして、インバウンドの伸びに水を差すようなことは本末転倒であろうと考えております。

 そこで、この千円の影響でございますが、例えば、我が国を訪問いたします外国人の日本滞在中の支出の平均額は約十五万円とされてございます。今度は日本人の海外旅行費用の平均額は約二十五万円となっておりまして、これらと比較いたしました場合、千円は円・ドルの為替レートでは一円にも満たない水準ということが言えようと思います。

 また、既に出国旅客への課税を行っているドイツあるいはオーストラリアにおきましては、税の導入や税額の値上げにより特段需要への影響は見られない、こういう事例もございます。

 したがいまして、今回の千円の課税による需要への影響はないものと考えております。

丸山委員 日本は元来、観光関係の税金の使い道が少ないんじゃないかという御指摘が多うございます。現に、我々も、我が党としても少ないなと考えていまして、しっかりこれは充てていかなきゃいけないんですけれども、じゃ、財源はどこにあるんだというと、なかなか財務省さんとしても厳しいなと考えている中で、観光庁とどうしたらいいんだということで、この新税だと思います。

 この使い道が非常に大事だと思いますけれども、もちろん観光要素に今回絞るんだという話でお聞きしていますし、既存の観光の予算とは違う新しい部分の取組でやっていくんだというふうにお聞きしていますが、ちょっと時間もなくなってきたんですが、大事な話なので、できるだけ短目に、これはどういう用途で使うんだとかっちり決められていると思いますけれども、よろしくお願いします。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 この国際観光旅客税の税収の使途でございますけれども、昨年十二月の観光立国推進閣僚会議におきまして、二〇二〇年訪日外国人旅行者数四千万人などの目標に向かいまして、第一に、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、第二に、我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化、第三に、地域固有の文化、自然などを活用した観光資源の整備などによる地域での体験滞在の満足度の向上、この三つの分野に充当するということとされておるところでございます。

 また、観光財源を充当する施策につきましては、既存施策の単なる穴埋めをするのではなくて、受益と負担の観点から負担者の納得が得られ、先進性や費用対効果が高い取組であることなどにつきましても、この閣僚会議で定められておるということでございます。

 あわせて、税収を充てる施策でございますけれども、日本人を含めた負担者の皆様の納得が得られることなどを基本的な考え方としておりまして、これらの内容を盛り込んだ国際観光振興法の改正案を今国会に提出をさせていただいているということでございます。

 こういった考え方に基づきまして、具体的に、平成三十年度予算における税収の活用につきましては、この税が三十一年の一月七日から徴収ということを想定しておりますので、総額六十億円の歳入があるということを見込んでおりまして、これらの使途につきましては、最新技術を活用した顔認証ゲートや税関検査場電子化ゲートの整備などによるCIQ体制の整備など、特に新規性、緊急性の高い施策に充てることとしております。

 また、平成三十一年度以降の税収を充当する具体的な施策、事業につきましては、先ほど申し上げました基本的な考え方を十分に踏まえまして、民間有識者の意見もいただきながら、中身をしっかりと精査してまいりたいと考えておるところでございます。

丸山委員 しっかりこれはやっていただきたいというふうに思います。

 別の税制ですが、中小企業の償却資産の特例措置がありまして、今回これを大きく変えて、特例の率を三年間、ゼロか若しくは二分の一以下みたいな形で市町村の条例で定められるようになっています。

 これは大きな税改正の部分だと思うんですけれども、固定資産税、当然、市町村からしたら減収するんですが、交付税として国から補填されるという理解でいいのかどうか。そして、そう考えると、通常は、不交付団体からしてみれば、アンフェアじゃないかなと思うところもあると思います。隣の交付団体はお金をもらう、七五%負担されるということなので、そんなんされるんだったら、基本的にゼロにしちゃおうと考えますけれども、不交付団体は、交付してもらえないので、その分、負担額がふえるわけですから、そうしたら、ちょっとゼロまでは無理だという形で、非常に、この辺、アンフェアじゃないかという声も出てくると思うんですけれども、それに対して政府としてはどのように御説明されるのか、お答えいただけますか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の固定資産税の特例措置でございますけれども、これにつきましては、今御指摘がありましたように、最初の三年間、ゼロ以上二分の一以下の範囲内において市町村の条例で定める特例率で減免するという新たな仕組みとされたことから、地方交付税の基準財政収入額の算定におきましても、これに即しまして、市町村が条例で定める特例率を用いることとしております。

 このため、交付団体の場合、特例率の適用によって減少した基準財政収入額は地方交付税で補填されることになります。

 不交付団体については財源保障がされずに不公平ではないかという御指摘でございました。

 少し理念的な話になってしまいますが、交付税につきましては、基準財政需要額と基準財政収入額を比較しまして、不足する部分を地方交付税で補填するという仕組みでございます。これを言いかえますと、基準財政需要額の範囲で財源を保障する仕組みでございますし、逆に、不交付団体の財源超過分については調整の枠の外にある、こういう仕組みでございます。

 したがいまして、先ほど申し上げましたような基準財政収入額の計算の結果、不交付団体になった部分につきましては、今の仕組みの中では、基準財政需要額の範囲で補填されているという仕組みでございますので、これは制度の仕組みとして御理解いただきたいと考えておりますし、全ての地方税法の特例措置につきまして同様の対応をしております。これにつきましても、御理解をいただいて、算定をしているところでございます。

丸山委員 時間もなくなってきましたが、最後、お伺いしたいのは、今回の税法にはないんですけれども、法律が出てきます。森林環境税です。

 国民の皆さん、住民税を払っていらっしゃる方、一律に、今回、千円プラスでいただいて、森林の保護に充てていこうということなんですけれども、この千円って何でだとまた思うんですけれども、この算定理由、どういうことか。

 あと、配分比率とか、都道府県に一割、市町村に九割とか、その配分の中でもまたややこしい分け方をされていまして、私有林人工林面積五〇%、人口三〇%、林業就業者数二〇%でございます。

 非常に、こういう税金を決めるときだけ、役所の皆さん、さくさくと、根拠なく、きっちり決めていかれるんですけれども、何でだというふうな、国民、取られる方からしたら、すごく思うんですけれども、この二点に関して、役所側はどのように、千円、どういうふうに、何で千円なの、こういう算定割合はどうやっているの、どうやって決めたのというのをお伺いできますか。

古屋委員長 内藤自治税務局長、簡潔にお願いいたします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、千円ということでございますけれども、森林環境税の税収規模を検討するに当たりまして、パリ協定の枠組みのもとにおける我が国の温室効果ガス排出削減目標を達成するために必要な森林整備やその促進に要する費用等につきまして、林野庁から六百億円程度との試算が示されているところでございます。

 また、森林環境税につきましては、個人住民税均等割の枠組みを活用することといたしまして、その納税義務者数は六千万人強と見込んでいるところでございます。

 この千円の税率につきましては、これらの必要な財源、あるいは国民の負担感等を総合的に勘案し、年額千円としたところでございます。

 また、譲与基準でございますけれども、基本的には、森林環境譲与税は市町村に対して譲与することが基本でございますけれども、都道府県によりまして、市町村がこれまで以上に森林整備等について積極的な役割を果たすためには、さまざまな支援をしていただく必要がございます。この支援をしていただく必要性や、あるいは地方団体からの御意見等を踏まえまして、都道府県に一割の譲与をするということでございます。

 また、譲与基準につきましては、森林環境譲与税の使途でございます間伐や人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発とそれぞれ相関の高い指標として私有林人工林面積、林業就業者数、人口を用いることとしておりまして、その割合につきましては、森林整備等が使途の中心であることを踏まえますとともに、木材利用を促進することが間伐材の需要増に寄与することや、納税者の理解が必要であること等を勘案し、設定したものでございます。

丸山委員 時間が来たので終わりますけれども、これは、同様の税金を各都道府県がつくっていまして、例えば大阪府なんかも三百円たしか取られるんですよね。そうしたらこれも二重課税じゃないかとか、いろいろな議論がまだまだ生じます。まだこれは税法は出てきていませんので、今後の議論も必要だと思います。

 時間が来ましたので、きょうのところはこのあたりで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、交付税、地方税について質問させていただきたいというふうに思います。

 さて、一般財源総額実質同水準ルールによって、来年度の地方財政計画における一般財源総額、今年度の水準が維持をされました。財務省によれば、私はこれはもう根拠薄弱な言いがかりだというふうに思うんですが、基金残高の問題等々の中で、総務省としてもそれなりに努力をされたんだろうというふうに思います。

 もちろん、地方財政の規模、額、大変大切ですが、もう一つ問われるのはその質です。その観点から、財源の確保にせよ交付のあり方にせよ、かなり今無理が生じてきているような感もあります。そのあたりを中心に質問させていただきたいと思います。

 最初に、総務省の自治財政局の名前で出されている平成三十年度地方財政計画のポイント、こういう紙が出されております。それを読みますと、おやと感じるところがありましたので、まずその点をお聞きしたいと思います。

 一般財源総額の確保等の項目で、精算減の繰延べ、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用等により地方交付税の原資をできる限り確保し、地方交付税について十六兆円を確保というふうに記述をされております。

 さまざまなやりくりの中で概算段階よりもふやしたということもありますが、ただ一方で、地方交付税法の第二条においては、地方交付税について、こういうふうに規定をされております。「第六条の規定により算定した所得税、法人税、酒税及び消費税のそれぞれの一定割合の額並びに地方法人税の額で地方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように国が交付する税をいう。」こういうふうになっているわけです。だとすれば、交付税の原資というのは、私は、国税四税の法定率分ということではないのかと。

 そうしますと、交付税の全体の額を総務省の努力でできる限り確保したかもしれませんが、やはり原資としては不十分なものなのではないのかというふうにも感じますが、この点、どのような認識をされているでしょうか。

小倉大臣政務官 お答えをいたします。

 来年度の地方財政対策におきましては、地方交付税につきまして、吉川委員御指摘の法定率分のほか、総額を確保する観点から、平成二十八年度国税決算に伴う精算減の繰延べや地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用などによりまして、財源を確保しております。

 委員御指摘の資料、地方財政計画のポイントにおきましては、地方交付税の原資をできるだけ確保と記述しておりますが、今申し上げた趣旨で、原資というふうに記述をしているところであります。

吉川(元)委員 この間、総務省としても、法定率の引上げというのは求めてはきているんだろうというふうに思います。そういう意味でいうと、原資という書き方をしてしまいますと、やはりそこら辺がどうなのか、ほかから持ってくればいいではないかというようなふうにとられかねないのではないか、そういう危惧を持ちますし、より法定率の引上げについて総務省として努力をしていただきたいというふうに思います。

 また、交付税の第三条「運営の基本」では、地方団体はその行政について合理的かつ妥当な水準を維持するよう努めるべきとされております。要するに、合理的で妥当な行政水準を維持する責務といいますか、責任が自治体にはあるわけです。

 来年度の地財計画で、一般財源は今年度と同水準が確保されております。ただ、その同水準確保の期限が切れる二〇一九年度からこれがどうなっていくのか、これは特別国会でも質問させていただきましたが、恐らく自治体の関係者の多くの方は、ことしの骨太方針はどうなるんだろう、どういう記述になるのかというふうに注視をしているんだろうと思います。

 ただ、考えてみると、そもそも、合理的かつ妥当な行政を維持する責任、これが自治体に課せられている一方で、その裏づけとなる財政の規模あるいは財源の確保、これが経済財政諮問会議の議論に、委ねられるという言い方はおかしいですけれども、そこで決まっていくというのは、ちょっとおかしいのではないか。最終的には、総務大臣、財務大臣の間での折衝に委ねられることになりますけれども、これも、自治体の声が直接反映をされていないのではないか。

 いろいろな形で、意見書等々を聞きながら、財務省との折衝に総務大臣も当たられて、地方の財政を守る立場で努力されているということは理解をいたしますが、あるべき合理的かつ妥当な行政水準とその財源の保障の決定の過程に自治体みずからが関与できる、あるいは参画できるような、そういうシステムが必要だと考えますけれども、大臣いかがお考えでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 地方財政計画の策定に当たりましては、国と地方の協議の場、又は総務大臣・地方六団体会合などさまざまな機会を通じて、地方団体の皆さんと意見交換をさせていただいております。

 今御指摘のあった経済財政諮問会議ですけれども、私は常時メンバーとして出席しておりまして、昨年も、実際に地方団体の基金について、その増加に対してのさまざまな議論がございました。

 私の方からは、協議の場とか六団体の会合、又は出張先で出会った知事さん、首長の皆さん方のいろいろな意見をいただきながら、基金残高を理由に地方財源を削減することは妥当でないという、皆さんの総意の意見をしっかりと申し上げてまいりました。結果として、基金残高を理由とした地方交付税の削減は行われておりません。

 このように、平成三十年度地方財政対策は、地方団体からの意見を踏まえ、決定したものとなっており、その対応については、地方六団体の皆さんに現在評価をしていただいているところと思っています。

吉川(元)委員 地方の声をしっかり聞きながら、言うべきことを言うということでお願いしたいと思うんですけれども、やはり、自治体といいますか、地方公共団体がこういう議論の中に直接参加できるようにしないと、経済財政諮問会議の議事録等々を読みますと、地方自治が何たるか、地方自治の本旨は何たるか、そういう基本的な認識に欠けているような議論というのがいろいろされる。

 もちろん、そういう意見がある方はいてもいいですけれども、だとするならば、もう一方で、地方自治を実際に担われている、その当事者の声を直接反映できるような私はシステムをつくっていくことがやはり必要なんじゃないかというふうに思いますし、観客席にいて、はらはらどきどきしながら見なきゃいけない、そういう状況というのはやはり改善していくべきだろうというふうに思います。

 関連してお聞きいたします。

 地財計画における歳出構造の近年の流れというのは、一般行政経費がふえ、その増加分を投資的経費と給与関係経費の減少で補ってきている、そういう構造が見えてまいります。さらに、一般行政経費の伸びの中心を担っているのは、社会保障経費、わけても、国庫補助負担金を伴う経費の伸びによるものです。

 一般行政経費のうち、国庫補助負担金を伴うものは、今年度四・一%、来年度も二・三%ふえます。一方、国庫補助負担金を伴わない、いわゆる地方単独事業経費は、今年度マイナス〇・一、来年度ふえるとはいえ、率にして〇・三%にすぎません。ここ十年余り見ても、一般行政経費の地方単独事業経費はほぼ横ばいという状況になっています。

 この状況について、総務省はどのような認識をされているんでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 地方財政計画の歳出におきましては、社会保障関係費の自然増のように増となる経費がある一方で、国の予算編成等と基調を合わせまして減となる経費もございます。

 このように、地方財政計画の歳出におきましては、増となるものや減となるものはございますが、全体としましては、標準的な行政水準を確保できるよう地方財源を保障するという地方財政計画の枠の中で、経済・財政再生計画で示されました一般財源総額については二〇一五年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するとの方針を踏まえまして、所要の一般財源総額を確保することとしております。

 平成三十年度の地方財政計画におきましても、地方の一般財源総額につきまして、今御指摘ございましたような社会保障関係経費を含めまして、歳出を適切に計上した上で、前年度を上回る六十二・一兆円を確保しているところでございます。

吉川(元)委員 見ておりますと、その社会保障経費、国の施策に基づくサービスを保障するものについてはあるんですが、地方が独自にいろんなことをやりたいと思っても、単独事業経費がほとんど伸びていないという中では、なかなかそうはならない、物足りないなという感じを受けざるを得ません。

 総理が打ち出しました消費税の増税の財源の使途変更による二兆円規模の政策パッケージには、幼児教育の無償化や保育所整備などのメニューが並んでいます。これらの施策を進めていけば、新たな地方の負担というのが予想されるわけですけれども、これについて総務省はどのように対応していこうというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

小倉大臣政務官 お答えをいたします。

 委員が言及されました、消費税の使い道を見直すこととし、幼児教育の無償化や真に必要な子供たちに限った高等教育無償化など、人への投資を今回拡充をすることといたしました。

 各地方団体におきましては、二兆円規模のパッケージ、新しい経済政策パッケージに基づくこれらの取組とは別に、それぞれの地域の実情に応じて、関連する地方単独事業も実施することも考えられますが、国として現時点で具体的に想定している事業はございません。

 いずれにしましても、総務省といたしましては、地方団体がさまざまな地域の課題に取り組みつつ、安定的な財政運営を行うことができるよう、地方財源の確保に努めてまいります。

吉川(元)委員 先ほどから、諮問会議の問題、いろいろ取り上げておりますが、この単独事業についても、とんでもないこと、議論がされている状況にあります。

 先ほど大臣の方から、基金残高の問題、議論があったということでありましたが、これだけ伸びがほとんどない、横ばい状況の一般行政経費の地方単独事業費についても、実は、その諮問会議の場で民間委員の方から、基金と同様に内訳が明確ではないというような、こういう発言が出されております。

 見ていると、地方自治体というのは国の、何というんですか、下請だけやっときゃいい、ほかのことは何もしなくていいみたいな、そういう考えに立った発言というのが実はこの諮問会議の中で行われている、これはやはり大きな問題だというふうに思いますし、ちょっと通告はしておりませんけれども、大臣、このあたりについてはどういうふうにお感じになられているでしょうか。

野田国務大臣 私も常にその経済財政諮問会議に出ておりまして、やはり意見の相違、考え方の相違を感ずることはあります。多様性を重んじるこの国ですから、いろいろな立ち位置で考え方が違うのは受容するとしても、できる限り、やはり、本当の地方のあり方とか目指すべき姿については、しっかりとその場で申し上げてまいりたいと思っています。

吉川(元)委員 ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、財源不足の中でいろいろと工夫を、工夫といいますか、されているということについて、幾つかお聞きをしたいというふうに思います。

 ちょっと、一つ飛ばしまして、金利変動準備金について伺いたいと思います。

 財源不足対策として、地方公共団体金融機構の金利変動準備金が今回四千億充当されることになっております。全自治体が出資する自治体向け融資機関が旧地方公営企業金融公庫から引き継いだ債権の金利変動準備金の不用額というふうに認識をしております。全ての権利が譲渡をされて、これはもう地方公共団体の金融機構が行う事業でありますが、これを財源不足対策に使うというのはいかがなものなのかなというふうにも感じざるを得ませんが、その点については、また別の機会に質問させていただきたいと思います。

 いずれにしても、二〇一七年度から三年間で九千億円を活用するというふうになっております。既に今年度四千億使って、来年度も四千億使う。そうすると、二〇一九年度、再来年度については、九千億以内でということで決められていますから、残り一千億しか存在をしない。今後、この金利変動準備金をどのようにしていくのかということについて、お考えをお聞きします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金につきましては、平成二十九年度から三年間で、機構の経営状況を踏まえて可能とされた九千億円の範囲内において活用することとしまして、二十九年度には四千億円、三十年度には四千億円を活用することといたしました。

 このため、御指摘のように、三十一年度における活用可能額は一千億円となりますが、これにつきましては、平成三十一年十月から消費税率の引上げが予定されていること、政府としては経済再生に向けた取組を着実に進めることとしていることなども踏まえたものでございます。

 したがいまして、活用額の拡大につきましては、現時点では考えておりません。

 いずれにいたしましても、平成三十一年度におきましても、地方団体が安定的に財政運営を行うことができるよう、地方財政対策におきまして必要な地方税財源を確保したいと考えております。

吉川(元)委員 関連してお聞きいたしますが、機構の金利変動準備金ですけれども、旧公庫から引き継いだ引当金が三・四兆円あったんだというふうに記憶しております。二・二兆円については、二〇〇八年度から十年分割で一般勘定に繰り入れられ、旧公庫が発行した債券の借りかえによって収益が生じた場合に、変動準備金として積み立てられているものというふうに承知をしております。

 ゼロ金利、異次元緩和によって、近年、借りかえ収益はふえていると聞いておりますが、金利変動準備金の残高は直近でどの程度の額に達しているんでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の直近の残高につきましては、平成二十九年度中間決算時点、これは二十九年の九月末になりますが、約一兆二千億円となっております。

吉川(元)委員 そうしますと、これも少しお聞きしたいんですけれども、昨年度から三年間で九千億を活用するというふうになっているわけですが、この残高と活用できる金額との間に何らかの基準といいますか、決まりというのは何かあるんでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 基本的には、活用できる準備金につきましては、機構の健全な経営を損なわない範囲でということで決まっておりますので、この範囲で機構と調整をして決めております。

吉川(元)委員 これをやったがゆえに機構が困ったことになるというようなことがないように、しっかりとやっていただきたいというふうに思います。

 次に、臨財債についてお聞きをしたいと思います。

 来年度の臨財債発行額は減少して、折半ルールで発行する臨財債の額もかなり減っております。とはいえ、既往の臨財債の元利償還金はふえ続けておりまして、来年度は三兆七千三百五億円に達しております。財源不足額の六〇・四%、それから、臨財債発行額全体では、九四%近くがこの償還金に充てられる。

 もともと、交付税の財源不足については、先ほどからずっと言っておりますけれども、国税四税の法定率を引き上げる、これが正しいあり方だというふうに思いますし、総務省もそういうふうには思っているんだろうというふうに思います。

 ただ、今の状況で言いますと、元利償還額を後年度の交付税の基準財政需要額に算入する措置というのは、借金を借金で返していく、結果的に言うと膨らむばかりというふうになっていて、当面、数年間の間であればそういうこともあり得るかと思いますけれども、これだけ長期にわたってこの臨財債の発行が続いていくということ、これは、いずれにしても、この先ずっとこれでやり続けられるというふうには到底思えません。

 そこで、大臣にお聞きしたいんですけれども、この出口といいますか、この先これはどういうふうにしていくべきなのか、この点について伺います。

野田国務大臣 お答えします。

 平成三十年度地方財政対策においては、臨時財政対策債の発行額について、概算要求時点では対前年度〇・五兆円の増と見込まれておりましたが、可能な限り抑制をいたしまして、〇・一兆円減の四・〇兆円とするなど、地方財政の健全化に努めているところです。

 一方、臨時財政対策債の発行残高は、御指摘のように増加し、平成三十年度末には五十四兆円程度となる見通しです。

 地方財政の健全な運営のためには、本来的には、臨時財政対策債のような特例債に頼らない財務体質を確立することが重要です。

 このためには、歳入面では、地域経済の好循環を一層拡大することなどにより地方税等の増収を図るとともに、歳出面では、国の取組と基調を合わせて、めり張りをつけて歳出構造を見直すということで、臨時財政対策債のような特例債に頼らない財務体質を確立することが必要であると思います。

 今後とも、地方財政の健全化に努め、まずは、国と地方で折半すべき財源不足が解消され、折半分の臨時財政対策債を発行しなかった平成十九年度及び平成二十年度のような状況をなるべく早く実現することを目指してまいります。

吉川(元)委員 歳出の削減等々おっしゃられますが、やはりここは基本に立ち返って、何度も繰り返しになりますけれども、やはり法定率を上げないことにはこれはできない、法定率が上げられないがゆえの苦肉の策としてやっているわけでして、そういう面でいうと、大もとのところからしっかりやっていかないと、これはなかなか、経済の好循環云々となればいいですけれども、ならなかったときを含めまして考えると、これは、この先の地方財政、大変厳しい状況はまだ続くし、残念ながら、今の状況でいうと、簡単に出口が見えない状況なのではないかという指摘をさせていただきます。

 それから、あと、これは財源不足対策ではないんですが、交付税を圧迫する要因の一つになっている交付税特会からの借入金の償還額についてお聞きします。

 来年度でいうと、四千億が償還費用に、マイナスでなっていますが、充てられる。また、支払い利子分として八百四億円も特会に戻すということになっております。今年度の地財計画で償還計画がこれは見直されまして、二〇一九年度までは四千億ですけれども、そこから後、毎年一千億ずつふやしていく。二五年度には毎年一兆円を償還しなければいけないという、そういうことになっております。

 で、出口含めて、さっきのお話もありましたが、財源の確保、これは非常に困難なんじゃないかというふうにも思いますが、この点についてどのような見通しを持っておられるんでしょうか。

奥野副大臣 御質問、御心配をいただいている交付税特別会計借入金ですけれども、償還計画と償還財源と、それから、それへ向けての鍵という形でお答えしたいと思います。

 まず、償還計画は、今お話にあったように、二十九年度から三十一年度までは毎年四千億円、それから、三十二年度から三十六年度までは償還額を一千億円ずつ増額して、三十七年度からは一兆円の規模になるということであります。これが基本的な償還計画でありまして、その償還財源については、これは皆様方も御案内だろうと思いますが、三十一年十月実施予定の消費税率一〇%への引上げや地方法人税の税率引上げに伴って、平年度で一兆円を上回る地方交付税法定率分の増が見込まれている、これは見込まれているということでありまして、また、内閣府の中期試算においても、国税収入が増加し、地方交付税法定率分の増加が見込まれています、こういうことですけれども、じゃ、本当にそのとおりいくのかというところが一番の鍵だろうと思うんです。

 いずれにしても、今後とも、歳入面では、日本全体の経済あるいは地域経済の好循環を一層充実していかないと、この考え方が絵に描いた餅に終わってしまうということになると思います。そういう意味で、経済の好循環というのをいかにしてつくり上げていくかというのがこれからの政治課題だろうと私は思っているんですが、地方税収の増収を図るとともに、歳出面でも、国の取組と基調を合わせて、めり張りをつけて歳出構造を見直すことで、財務体質の強化を図り、着実にこの償還計画が実行できるように努めてまいりたいと思っております。

 ちょっと余分なことを言いますと、先ほど委員がおっしゃった、地方は国の下請かというような感覚ではこれはだめであって、お互いが努力しながら経済を持ち上げていくような政策を積極的に進めていくということがこれからの鍵だろうと思います。

吉川(元)委員 今、消費税増税分等々もあるというお話でしたけれども、消費税増税に関して言いますと、これは、社会保障あるいは子育て含めて、今から財政需要が出てくる話であります。それを償還の財源に充てるというのは、充てるといいますか、お金に色がついているわけではありませんけれども、やはりそれはちょっと筋が違うのではないかというふうにも感じます。

 それで、もう余り時間がありませんので、少し歳入の面についても伺いたいと思います。

 徴収率の引上げでお聞きをしたかったんですが、少しそれは置いておいて、これに関連して、ちょっと何か問題が現場で発生をしているように伺っております。

 昨年の十月の、これは東京新聞だったと思いますが、記事が出ておりました。「地方税滞納 過酷取り立て 各地で強権的徴収 違法判決も」というふうに報道されております。パートの給与が振り込まれた当日、ほぼ全額が口座から引き落としで差し押さえられた事例、あるいは、二カ月に一度振り込まれる厚生年金約二十四万円が、支払い日にほぼ全額差し押さえられた事例。こうしたことが新聞では報じられておりました。

 前者の事例で徴収に当たっているのは、全国的に設置が進む県の地方税滞納整理機構だそうですけれども、設立当初二一%だった滞納徴収率が、十年間で五五%に伸びたと。滞納の徴収率が上がること自体は、それはそれで必要なことだと思いますが、ただ、そのやり方が余りに過酷ではないかというふうに思います。

 地方税法の十五条では、滞納処分の停止要件として、「滞納処分をすることによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。」としておりますし、また、地方税の徴収にも準用される国税徴収法の七十五条でも、「滞納者及びその者と生計を一にする親族の生活に必要な三月間の食料及び燃料」を差押禁止財産というふうにしております。

 もう生きていけないように追い込むことはだめなんだというふうになっているわけですけれども、新聞報道ですから、私が全て、どういう事実だったのかというのを詳細にはわかってはおりませんけれども、ただ、新聞に書かれたようなことが行われているとすれば、これは明らかにルールから逸脱をしたやり方なのではないか。

 今後、徴収率を引き上げていく、これは上位三分の一の徴収率に合わせて、残り三分の二も上げていけというようなことを今行われておりますし、これは現年の徴収だということも昨日お話を伺いましたが、いずれにしても、徴収率の引上げの努力に当たっては、職員、あるいは徴収機構のような外郭団体に対して、少なくとも法令を遵守をさせる教育や研修が必要というふうに考えますけれども、どのように対応されていくおつもりでしょうか。

小倉大臣政務官 お答えをいたします。

 地方税の滞納につきましては、公平公正な徴収事務を行い、その解消に努めていくことは言うまでもございませんが、一方で、委員にお示しをいただきましたように、地方税法十五条の七におきましては、滞納処分をすることによって滞納者の生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは、その執行を停止することができる、このようにされております。

 一般論といたしまして、各地方団体におきましては、滞納者の個別具体的な実情を十分に把握をした上で、法令に基づいて適正な執行に努めていただいているもの、このように考えております。

 それで、総務省の対応といたしましては、宮城県の事例を挙げられましたけれども、個別具体の事実関係を承知をする立場にはございませんが、税務行政の運営に当たっての留意事項を示した通知におきまして、滞納者の個別具体的な実情を十分に把握した上で適正な執行に努めるよう示しているところでありまして、各地方団体におきまして、今後とも関係法令や通知に沿って適切に対応していただきたい、このように考えております。

 また、地方団体、地方自治体の職員向けの研修につきましては、総務省自治大学校を始め、さまざまなところで徴収事務に関する研修が行われておりまして、総務省といたしましても、御指摘を踏まえまして、引き続き、徴収事務に従事する職員の質の向上に努めてまいりたい、このように考えております。

吉川(元)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、ちょっと新聞記事を読んで、私も非常に衝撃を受けました。通帳が写真で出ておりまして、パートの振り込みがあったその次に、差押えということで残高がゼロになっている。この方はどうやって生きていけばいいのか。こういうことが現実に今起こっているということ、詳細はわからないということですけれども、ただ、こういうことが起こらないようにしっかりと教育、研修をお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。

古屋委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。

 きょうは、私ごとでございますけれども、実は郵政省の出身でございまして、平成五年に郵政省に入ったんですけれども、その五年後、たしか平成十年、小渕内閣のときに、野田郵政大臣、当時三十七歳十カ月と史上最年少で郵政大臣ということで、私も大変期待をして、本当に雲の上の存在だったわけですけれども、誇らしく見ておりました。

 その後は、いろいろ紆余曲折ありましたけれども、また総務大臣として戻ってこられて、今や総理・総裁を目指す総裁候補ということでもあり、総理に直言できる数少ない方のお一人じゃないかなと思いますので、きょうはぜひ、きょうに限らずこれからも、総務大臣というだけじゃなく、大きな視点に立って、ぜひ御答弁いただけたらなと思っております。

 実は、質問に入る前に、NPO法人のフローレンスの代表の駒崎さんという方が、ブログに「全NPOが泣いた!」というブログを書いて、これが今かなりネットで話題になっているんですね。

 これはどんなブログかというと、公明党の山本香苗議員が世耕経産大臣にNPOのことを質問した、ものづくり補助金にNPOが対象になっていないじゃないかという質問をした際に、世耕大臣が、最初に官僚が書いた答弁を読み上げて、官僚はこう言っていますが、しかしといってつけ加えて、大臣としてのかなり前向きな、踏み込んだ答弁をされた。これがすばらしいといって、ネットでかなり評価されているんです。

 私は、ちょっと世耕大臣ずるいなと思います。それは、大臣なんですから、別に官僚はこうだけれども自分はこうと言う必要はなくて、大臣としてこうなんだと言えばいいし、多分そんなことをしている大臣はいっぱい、野田大臣だってそうだと思います。官僚が言っていること以上のことをやはり大臣が、逆に言えば、ただ、この委員会で聞きたいのはやはりそこなんですね。やはり、どうしても官僚の皆さんが答弁を書くときは慎重に慎重にならざるを得ない。だけれども、やはりそこから一歩踏み込んで、一歩でも前に進めたい、そのためにはやはり政治決断が必要で、だからこそ大臣にお聞きをすることがあるわけですから。

 ぜひ、そういう意味では、ただ単に官僚答弁を読むのではなくて、大臣の言葉で、これは、やると言うのはなかなか勇気が要る、部下に相談せずにやるとまで言うのは難しくても、例えば検討するとか検討を指示するというのは、検討した結果だめでもそれはしようがない。だけれども、検討するということは、それは一歩前進というか、我々としては、検討すらしないことはやはりおかしい、せめてちゃんと検討はしてくれという思いで質問をいたしますので、ぜひ、そういう視点からお願いをいたしたいと思います。

 それでは、きょうは地方自治、交付税法なのですが、実はこれも、ちょっと最初から苦言めいたことばかりで恐縮ですが、実は私はずっと総務委員会のメンバーなんですけれども、調べてみたら、去年の五月三十日以来、質問していません。それはなぜかというと、国会が閉会されてしまって、その後、臨時国会がずっと開かれなかった。特別国会が若干開かれましたけれども、そのときはもう本当にわずかでしたから、質問のチャンスはなかった。

 そういう意味では、我々、憲法五十三条に基づいて四分の一の議員が臨時国会の召集を求めているにもかかわらず、九十八日間国会が開かれず、そして開いた途端に衆議院解散で、百三十二日ですか、特別国会が開くまで間があいている。

 私、実は、来週、岡山地裁に、これは憲法五十三条違反だといって、私、原告になって岡山の弁護士の皆さんと訴訟することにしております。司法の判断を得たい。これは憲法違反だと我々考えていますけれども、こういったこともあって、きょうは質問したいことがたくさんたまっていますので、ちょっと、地方交付税以外のこともたくさん聞きますけれども、お許しいただきたいと思います。

 それで、まず冒頭に、NHK会長、きょうはお忙しいところ来ていただきました。ありがとうございます。

 実は、我々野党六党で、今裁量労働制の問題がかなり予算委員会でも大きなテーマになっていますが、やはり、過労死の問題を取り上げるに際して、過労死された方々の御遺族の皆さんあるいは当事者の皆さんからヒアリングをお聞きしてまいりました。

 その中で、実は、NHKの職員だった佐戸未和さんがいらっしゃるわけでございます。佐戸さんのお母さんから私もお話を伺って、本当に、その場にいる一同、もう涙なくしては聞けない、すすり泣く声がたくさん上がるような、本当に悲しい出来事でありました。

 ちょうど東京都議選と参議院選が同じ時期に重なった二〇一三年の夏、佐戸さんは記者としてその両選挙の取材に駆け回って、本当に大変な過労を続けられて、三十一歳の若さでお亡くなりになった。

 婚約中だったそうです。御遺体にはその婚約者が婚約指輪を添える、そんな状況だったということで、佐戸未和さんのお母さんからも、その日以来、心から笑える日はもう一生来ないと思う、そういうお話でしたし、別の部署に異動する送別会の終わったその日の夜に、家に帰ってそのまま倒れてしまった。そして、発見されるまで少し時間がかかってしまって、ベッドで携帯電話を握り締めたままお亡くなりになった。お母様は、その電話を自分にかけたかもしれないと思うと、本当に胸がえぐられる思いだ、そういうことをおっしゃっておられます。

 NHKは、この間、このことを公表せずに、去年の十月になって公表したわけでありますけれども、私は、きょうこのテーマだけするわけにいきませんから、まずは会長にお聞きしたいのは、この佐戸未和さんのお母さんの話、私、本当にもう胸が詰まる思いでしたけれども、会長は佐戸さんのお母さんのお話を聞かれたことはあるんでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 佐戸未和さんの御両親とは、過労死の労災認定の事実を公表いたしました二日後の昨年十月六日に御自宅に伺い、線香を手向けると同時に、三十分間余り御面会させていただきました。

 私からは、過労死を防げなかったことを謝罪いたしますとともに、二度と過労死を繰り返さない決意を申し上げました。御両親からは、娘を亡くした無念の思いや、再発防止に向けた要望などをお聞きいたしました。

 かけがえのない我が子をお亡くしになった御両親の思いは、今先生がおっしゃいましたように、私も、察するに余りあるものがあります。御両親の思いを重く受けとめ、命と健康を守ることを最優先として、昨年十二月七日に公表いたしました「NHKグループ 働き方改革宣言」の実現にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

高井委員 この間、ヒアリングでお聞きしたときには、会長は聞かれていないと私はちょっと聞いたんですが。そして、NHKの方は、じゃ、聞かれたんですかと聞いたら、何か四、五十人ぐらいの方が集まった研修の場で十分ぐらいお話は聞いていただいたと。ただ、じゃ、その中に役員とかはいたんですかと言ったら、いなかったと思います、そういうことでした。

 私は、これは、今会長、再発防止の決意を述べられましたけれども、NHKの、全職員というのは無理かもしれませんけれども、やはり役員とか、最低でも役員とか管理職の方、人事担当の方、そういった方は一度、佐戸未和さんのお母さんの恵美子さんのお話をぜひ聞いていただきたいと思いますが、いかがですか。

上田参考人 お答えいたします。

 昨年十月に、NHKとしては、佐戸未和さんの過労死の件を公表しましたけれども、その前の九月に、御両親をNHKにお招きしまして研修会を行いまして、その際、放送担当の三人の理事が御両親にお会いし、過労死を防げなかったことを謝罪するとともに、御両親の思いもお伺いいたしました。

 昨年十二月には、報道担当理事が御自宅を訪問し、NHKグループの働き方改革宣言と、その具体的な取組についてお話をさせていただきました。その際にも、御両親のお気持ちを伺い、娘を亡くした無念の思いや再発防止に向けた御要望などをお聞きいたしております。

 私や担当の理事がこれまで御両親から伺った話は、役員間でしっかりと共有いたしております。御両親の言葉を全ての役員が重く受けとめ、現在、NHKグループ全体で取り組んでおります働き方改革を更に前に進めてまいりたいと考えております。

 働き方改革の進捗につきましては、適宜御両親にも御報告し、あわせて御意見を伺ってまいりたい、こういうふうに考えております。

高井委員 会長、本当に何かきれいごとというか、NHKはちゃんとやっていますというような、言いわけめいた答弁に聞こえるんですけれども、実際お母様とお話しして、やはりそんな、NHKにはよくやっていただいているという感じではありませんので、もうこれ以上きょうのこの場ではあれですけれども、少なくとも、やはり私が今提案したような役員全員の研修とか、そういったものはぜひやっていただくことを強くお願いしたいと思います。

 総務大臣、ちょっと通告していませんけれども、今のやりとりを聞いて、監督官庁としてNHKに申すことはないですか。

野田国務大臣 通告いただいていないので、個人的な意見になるかもしれません。

 まず佐戸未和さん、すばらしい女性だったとお聞きしました。三十一歳の若さでお亡くなりになったことは本当に悲しいことだし、親御さんのことを思うと胸が痛くなります。

 くしくも、きょうは私の最初の子供の命日でございまして、私の場合、まだおなかの中にいたので実感がないけれども、いまだ、やはりきょうは大変私にとって重い日になります。そういうことを思えば、三十年余育てられたお嬢さんが突然亡くなられてしまう、それも働き過ぎで亡くなってしまうということは、本当にいたたまれない気持ちで、気持ちを共有させていただきたいと存じます。

 また、少し視点は変わりますけれども、私は女性活躍担当大臣でもあるんですね。本村委員もいますけれども、この政治の世界でも、認められたかったら、ちゃんと仕事がしたかったら、私たち女性は、男性のように働け、男性並みに働け、いや、男性以上に働けということをしばしば強要されることがございます。

 これはやはり、日本の社会はまだまだそういう、男性側からするとそんなふうに感じていないかもしれないけれども、我々女性からすると、男性並みに、いや、男性以上に働かなければ認めてもらえないというような風潮はまだ残っているということもぜひこの際改めていただいて、NHKには、働き過ぎによってとうとい命が失われるということはあってはならないことなんです、それをしっかりと受けとめていただいて、NHKのあり方については刷新していただきたいと思っています。

 私の方は、NHKの平成三十年予算の中で、毎回総務大臣意見というのを付すことにしているんですけれども、そこで、今後このようなことが二度と起きないように徹底して取組強化をやってほしいということを申し上げさせていただいたところです。

高井委員 突然の指名で、ありがとうございました。

 せめて、本当に、佐戸未和さんのお母さんの話、これをやはり、局員で共有していますといったって、又聞きでそんなのは共有できません。やはり直接聞かれて、その思いを皆さん胸に秘めるのが何よりの再発防止策ですから、そのことをぜひ会長にお願いしたいと思います。

 では、会長とNHKの方はもうここで結構でございます。

 続きまして、同じく裁量労働制の問題で、総務省あるいは地方自治体がこの裁量労働制を導入する可能性があるのかという質問をしようと思ったんですが、総務省は何か、公務員全体だから人事院じゃないと答えられないということなので、地方公務員、地方自治体の職員への裁量労働制の導入の可能性というのはあるんでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 地方公務員については、労働基準法が原則適用されているところですが、民間企業などで利用されている裁量労働制に関する規定である第三十八条の三及び第三十八条の四については適用除外となっています。

 また、地方公務員の勤務時間は、地方公務員法第二十四条第四項により、国家公務員との権衡を失しないように考慮することが求められているところです。

 地方公務員の裁量労働制を導入するか否かについては、国家公務員において裁量労働制が導入されていないこと、地方公務員は法令や予算に基づいて組織的に行政を執行していることから、業務の遂行を職員それぞれの自律性に委ねることはなじみにくいことから、慎重な検討が必要であると考えています。

高井委員 今回の裁量労働制は、我々、適用は反対だという立場、拡大はですね。それは、何より、過労死がふえるだろうということであり、また、ところが政府は、厚生労働省は、そのデータが、本来比較してはいけない、比較すべきじゃないデータを二つ並べて、それを国会で答弁、総理まで答弁をしていたということが発覚して、今、予算委員会でも、ちょうど同じ時間、山尾委員、逢坂委員がやっていると思いますけれども。

 ちょっと通告していなくて申しわけないんですけれども、統計を所管していますよね、総務大臣は。統計上、比較できないデータを比較するというのは、これはあり得ることなんですか。

野田国務大臣 申しわけありません、通告いただいておりませんので、一般論として、それはおかしなことだと思います。

高井委員 一般論でもおかしいとおっしゃっていただいて、まあ、おかしいですよね、どう考えても、明らかに。

 私ちょっと、あるところで大臣が、いや、おかしいよねとおっしゃっているのを聞いたので。いや、それは絶対おかしいでしょう。まあ、この場でも、一般論もくそも、おかしいのはおかしいですよ。ですから、これは引き続き、この委員会じゃありませんけれども、また問うていきたいと思います。

 それでは、きょう、いろいろたくさん、地方自治の話や地方交付税の話も用意したんですけれども、ちょっと時間が大分押してきましたので、去年からちょっと聞きたかったことを少し幾つか聞かせていただきます。

 まず、私、シェアリングエコノミーを大変期待をしています。シェアリングエコノミーというのは、内閣官房が全体の取りまとめをやっていたんですけれども、私は前から、総務省がもっとやるべきだと。ICTを所管している総務省が、前の大臣のときは全然、大臣というよりも役所の皆さんが余り、後ろ向きな答弁が多かったんですけれども、大臣になって、かなり、シェアリングエコノミー協会の方とも会っていただいたりとか、非常に力を入れていただいていると聞いているんですけれども、改めて、大臣、このシェアリングエコノミーについてどんな取組をする御予定でしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 確かに、八月に就任したときには、総務省の中で、やはりシェアリングエコノミーという言葉自体が浸透されていなかったなということは感じておりました。

 どちらかというと、テレコムの関係で、ICTに携わっている人たちは、それを使って、シェアリングエコノミーというのがアメリカを中心にもう発生していて、それが結構な経済効果を生んでいたりするということは理解しておられました。

 反面、やはり、先ほどから、地方の、地域の経済の好循環とか地方の自立とか、また、人をふやすとかいう話が出てくるんですけれども、その一つとしてシェアリングエコノミーが存在するということの認識は若干薄かったと思います。

 その二つの、やはり地方の自立に向けた一つの手段としてのシェアリングエコノミー、これが中核になるかもしれませんが、そういうものを、各省集まっていただいて、それで、今まさに、シェアリングエコノミーについて、多様性であったり包摂だったり持続可能というのが私のキーワードなんですけれども、そういうものを新たに、なくなりつつある地域、市町村でつくり上げていただける、その仕組みとして利用していただきたいなというふうに今取り組んでいるところです。

 総務省は、IoTサービス創出支援事業とかシェアリングエコノミー伝道師等を通じて、シェアエコの実証に係る支援や理解の醸成等をやってきたそうです。これからは、もっともっと中核に据えて、そこから新しい経済の強さとか、やはり人づくりとか、そして新しい地方の姿、創生というのが導き出せるよう、シェアリングエコノミー活用推進事業をしっかり平成三十年度から実施することとしています。

 いずれにしても、頑張ってまいります。

高井委員 御自身のお言葉で答えていただいて、ありがとうございます。思いは伝わりました。

 ただ、私が一つ申し上げたいのは、地方自治というか、市町村が、地域活性化の手段としてもシェアリングエコノミーは大変有用です。ただ、私はそこにとまってほしくないんです、総務省には。

 やはり、地方自治を所管しているというよりもICT全般を所管していて、シェアリングエコノミーというのはもう社会変革そのものです、これはもうICTなんていうものも超えるような大きな社会の変革ですから、これはどこが担うというのは難しいんですけれども、ただ、内閣官房は、本来、内閣官房かもしれないけれども、人もお金もありません。ですから、総務省がやはり音頭をとってですね。

 私は、前からの持論なんですけれども、IT総合戦略室というのが内閣官房にありますけれども、それは、二年前に内閣府のスリム化法というのができて、内閣府はもう一回省庁に権限もつけて戻そうと。残念ながら、IT総合戦略室は行かなかったんです、総務省、ほかの省には。内閣官房にとどまっているんですけれども、私は総務省がこれをやるべきだと思っていますので、きょうは答弁を求めませんけれども、ぜひそれは考えておいていただきたい。総理候補の総務大臣だからこそ、お願いしたいと思います。

 それで、実は、このシェアリングエコノミーには、ただ、いろいろな課題があります。特に、現行法のグレーゾーンの部分が多いんですね。民泊とかライドシェアとかは代表的な例で、非常に話題にもなりましたけれども、実は、例えばこんなのがあるんです。

 ペットを預かろう、ペットシッターサービスみたいなのをこのシェアエコでやろうと思っても、現行法だと、何かこれがペットホテル業みたいな、そういうのが動物愛護管理法にあって、それの何か規制を受けないとできない。

 だけれども、別に、動物をちょっと預かりたいという人はいるわけですよ。特に高齢者の方とかお一人の方とか、動物を一週間だけ預かって、それはそれでうれしい、しかし、それなりのコストもかかるからそのコストは頂戴するみたいなことは、このシェアエコでできるわけですけれども、こういったサービスがなかなか、グレーゾーンで、できないことはないんですけれども、いろいろ、環境省とか、あと、これは実際、自治体が、保健所が担当するので、保健所の判断になって、何か地方自治体によってはいいとか悪いとかみたいなことが起こる。

 こういうこともありますので、ぜひ、大臣、今の話なんかは地方自治体とも絡む話ですし、環境省に任せておくと余りいいことになりませんので、やはりシェアエコを推進するという立場から、こういったものについてはぜひ取り組んでいただきたいと思いますけれども、これも通告していないけれども、ちょっといいですか、感想をひとつ。

野田国務大臣 おっしゃるとおりで、シェアリングエコノミーというのは、そういう規制を取っ払って初めてなし遂げられるコンテンツばかりだと思います。

 なぜ地方にこだわっているかというと、地方では既に人手不足の中で、失われたもの、例えば、過疎の方ではタクシー会社がなかったりした際には、やはりシェアリングエコノミーで既存の企業と対立することなく進められるというメリットがあったので、地方から、その足らず前のところを率先してシェアリングエコノミーでカバーしていっていただきたい。

 それで、まさに委員御指摘のように、地方から発信したとはいえ、ICTの世界ですから、ネットワークはもうグローバルなわけですね。ですから、今までの有体のものではなく、実体のものではなく、そこでできたサービスというのが、実は九州で成功したものが一気呵成に北海道のところでも利用できるというのがシェアエコの強みだと思っているので、そういう観点から、今おっしゃったように、まず大切なところは、そこを変えられるかどうか。

 そこで、まずは、不足している地方がやはり一番効果が絶大であろうということで取り組みたいと思っています。御理解をお願いします。

高井委員 ありがとうございます。

 実は、グレーゾーン解消制度というのが経産省にあって、そういう疑義があるものは申請したら判断するという制度はあるんですけれども、これは、もし、これでだめと言われたら、だめなことがお墨つきがついちゃうわけですね。これはなかなか使いにくいんですよ、実は。

 こんなの、どう考えたって、ペットをちょっと預かるサービスなんてこれからどんどん普及していくべきだし、スマホとかシェアエコの仕組みで今までできなかったものができるようになって、それが、現行の規制とか法律が邪魔をしてできないのであれば、それは法改正すればいいんだけれども、やはり運用でできるものはどんどん運用でしていくということだと思いますので、ぜひ総務大臣のリーダーシップでお願いをいたします。

 シェアサイクル、聞きたかったんですが、ちょっと時間がなくなってきたので、済みません、ちょっと飛ばさせて、後で時間があれば聞かせていただきます。

 今度は、これは小林政務官にきょう来ていただきました。マイナンバーカードと健康保険証の連携というのを、去年、二年前でしたか、この総務委員会で、小林委員は与党の少ない時間の中で立たれて追及して、厚労省、きょう来てもらっていますけれども、厚労省に何でこれはできないんだと言ったら、厚労省が、いや、通信回線が落ちたら困るのでなんという答弁をして、結構、一同失笑したということがありましたけれども、あれからマイナンバーカードと健康保険証の連携、厚労省、今どんな状況でしょうか。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバーカードの利便性を高めて普及促進を図ることは、重要な課題だと認識しております。

 こうした観点から、御指摘いただきましたマイナンバーカードと健康保険証の連携につきましては、医療機関の窓口でこのマイナンバーカードを提示いただければ医療保険の資格が確認できる仕組みの導入に向けた検討を進めております。

 実際にこれを導入するに当たりましては、実務的な課題がございます。その一つが、現在、医療保険というのは世帯単位で被保険者番号をつくっておりますけれども、これを全て個人単位に改める必要がございます。それから、もう一つが、運用方法とか費用負担のあり方につきまして、実際、当事者である医療保険者、それからあと医療関係者の御理解をいただいて進める必要があると考えております。

 こうした理由もございまして、昨年の十二月に具体的な取組の方針を閣議決定いたしましたけれども、来年度から試験的な運用を行いまして、二年後の二〇二〇年度から全国で本格運用をしたい、このように考えております。

高井委員 あのときの答弁よりは大分前に進んだな、小林政務官のお力もあるのかなと思いましたけれども、ただ、やはり、これは本当に、マイナンバーカードを普及させるための大きな一歩というか、非常にキーコンテンツだと思いますし、あれだけ小林政務官も頑張っていたわけですから、政務官になられたわけですから、担当になったわけですから、ぜひ、これを実現していただくその決意を政務官からもお聞かせください。

小林大臣政務官 高井委員から応援演説をいただきまして、本当にありがとうございます。

 先ほどの答弁を聞いていただいても、かなり前向きに進んでいるということは御理解をいただけたんじゃないかと思っていまして、重要なところは、マイナンバーカードの普及の大きなキーポイントになるのは確かなんですが、決して目的と手段が逆になってはいけないと思っていまして、一人一人に合った社会保障サービス、そして税の効率的な徴収とバックオフィス改革、これがやはりマイナンバー制度の根幹であります。

 今回のこの健康保険証の一体化をやはり理解をいただく意味では、各関係者にこのメリットをしっかりお伝えをしていくことが重要だと思っています。

 そういう意味では、今病院で私たちが医療にかかると、レセプトデータというのをちゃんと病院が支払い側に申請をする必要があるんですが、このうちの二〇%が、健康保険証の記載内容を転記するのを間違えて差し戻されているというのが実はあるんですね。これは相当生産性を奪っています。

 さらに、支払い側もそれを全部確認するという作業が起こっているわけですが、これがマイナンバーカードを使ってやることができれば、リアルタイムに保険資格も確認できますし、この記載も必要がなくなるわけですから、相当生産性向上になる。

 こういった部分もしっかりPRをしながら、きっちりとした制度をつくって現実的に進めていきたいと思っておりますので、ぜひ、さらなる後押しもいただけたらと思っています。よろしくお願いします。

高井委員 わかりました。

 こういうのは本当に超党派で与党も野党も関係なく進めていくべきもの、特にICTはそうだと思います。さっきのシェアエコも小林政務官が御担当だと思いますので、ぜひ大臣と一緒に進めていただきたいと思います。

 それでは、次は、地域の公共交通の問題を取り上げたいと思います。

 これは実は私の地元の岡山で起こった事例なんですが、でも、これは岡山だけの問題じゃありません。今、全国ニュースでもトップに出てくるような大きな問題があって、本来、国交委員会でやるべきなんでしょうけれども、地域公共交通ですから、総務委員会にも大きく絡むので、ちょっと取り上げたいと思います。

 これはどういう事件かというと、両備グループという岡山のバス会社があります。ここが、突然、三十一の路線の廃止届を出したんですね。不採算、赤字の路線三十一廃止、もうびっくりしました。みんな、えっ、あしたからどうするんだと。しかし、これには伏線があって、実は、その黒字の路線、岡山市の中心部から西にある西大寺というところに走っている黒字路線に新規事業者が参入してきた。そこだけ参入してきたわけですね。

 そうしますと、そこの黒字でもってそのほかの赤字路線を維持していた両備グループとしては、両備バスというのは黒字が三割で、赤字が七割だそうです、それでは成り立ちません。こんなもの、認可されないだろうと思ったら、国交省は認可したわけですけれども、これは何で認可したんですか。

早川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のバス路線の新設申請につきましては、道路運送法に基づき厳正に審査を行いました結果、審査基準を満たしておりますことから、中国運輸局が認可を行ったものでございます。

高井委員 では、もうちょっと具体的に聞きますけれども、審査基準はそうなのかもしれませんけれども、道路運送法三十条の二項に、健全な発達を阻害する結果を生じるような競争をしてはならないと。つまり、地域公共交通が破壊されるような競争はしてはならないというのは三十条に書いていますよね。これに違反しませんか。

早川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、道路運送法第三十条二項におきましては、一般旅客自動車運送事業の健全な発達を阻害する結果を生じるような競争をしてはならないというふうにされておりまして、同条第四項では、国土交通大臣は、そういったことに該当するような行為があるときは、当該行為の停止又は変更を命ずることができるというふうにされております。

 ここで言います「健全な発達を阻害する結果を生ずるような競争」といいますのは、運賃のダンピングを行ったり、不当に旅客の争奪を行ったりすることということになりますけれども、この規定の適用につきましては、実際にそのような行為があるということが要件とされているものと解釈をいたしておりまして、これを踏まえますと、この規定を適用して、その路線新設の認可を審査する際の準則ということでこの規定を適用するということではないものというふうに考えております。

高井委員 これは、皆さん、両備バスさん、両備グループさんというのは、実は、両備グループを擁護して私は言っているんじゃないんですよ。この会社は、かつて、和歌山電鉄がもう廃止になりそうなときに、あそこを岡山からわざわざ和歌山に行って立て直して、たま駅長というので有名になって、あれで見事に立て直したり、あるいは、小林政務官の地元じゃないですかね、中国バス、赤字でどうしようもなかったのを立て直したり、それから、井笠鉄道といって第三セクターがやっていた、これももう廃止になっちゃったのを全部引き取って、バスをやって地域の路線を維持してきているんですよ。

 こういう会社が今回三十一路線廃止をするという、もう今までの蓄積というか栄光というか、実績を全部捨ててもこれをやらなきゃいけなかったというのは、これはもう地域公共交通が、岡山だけじゃなくて、こんなことを認めたら、全国でいろいろなところで起こって、黒字のところだけ入ってきて、赤字路線は全部廃止しなきゃいけない。では、それは赤字のところを、しようがないから、今度自治体が税金で補助金とかを使ってやるとしたら、何で今まで民間企業だけでできていたところにわざわざ税金を投入してやらなきゃいけないんだと、それは今度国民や市民が怒りますよ。

 これはやはり道路運送法がおかしいんじゃないですか。道路運送法に基づいて許可せざるを得ないんだったら、道路運送法を変えるべきじゃないですか。

早川政府参考人 お答えいたします。

 道路運送法の新規路線新設等の認可に対しての判断ということに関しましては先ほど申し上げたとおりでございますが、他方におきまして、我が国において人口減少、高齢化が進んでいる中で、地域における必要なバスを含めた公共交通の維持を図っていくということは重要な課題であるというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、今、全国各地でというお話もございましたけれども、全国各地域におけるバス事業の状況も把握、検証しながら、地域公共交通活性化再生法を活用した地域における公共交通維持への取組を支援することを始めといたしまして、地域公共交通政策をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。

高井委員 これは実は二〇〇二年に規制緩和して、需給調整条項を撤廃して、そこでもう三十三のバス会社が破綻したんですね。行き過ぎた規制緩和なんですよ。その反省で交通政策基本法ができたり、地域公共交通活性化再生法ができたりしているのに、この道路運送法が旧態依然としていては本当に整合性がとれません。

 きょうはこのくらいにして、実はあした、予算委員会の分科会で私は国交省をやれることになったので、国交大臣に直接聞きたいと思います。きょうは総務大臣にもぜひ聞いていただきたいと思ったのであえて取り上げましたけれども、続きはあす、予算委員会でやりたいと思います。

 それでは、だんだん時間がなくなってきましたが、きょう、今度はソーラーシェアリング、これをひとつちょっと、これも皆さんにぜひ知ってほしいんですけれども、大臣にもぜひ知っていただきたいんです。

 太陽光発電なんですけれども、農地の上にソーラーパネルを設置する、そうすると光が通らないじゃないかというので、ちょっと三十度ぐらい角度をつけると、太陽光が注いで、農業もできるし、太陽光発電もできる。だから、今のメガソーラーだと自然環境破壊とか農地は使えないというのが、両方できるということで大変今注目されている。小泉純一郎元総理なんかが大変力を入れておられますけれども。

 これは、きょう農水省に来ていただいていますけれども、このソーラーシェアリングについて、農水省としては今後進めていくおつもりなのかどうなのか、いかがですか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 営農型太陽光発電、いわゆるソーラーシェアリングにつきましては、営農の適切な継続がなされることにより、作物の販売収入に加え、売電による継続的な収入等が期待できる取組手法であると考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、太陽光発電設備の設置についての農地法に基づく一時転用許可の取扱いを明確化すること、専門家による指導助言、優良な事例を情報提供すること等に努めているところでございまして、この営農型太陽光発電の取組が更に広がるよう取り組んでまいりたいと考えております。

高井委員 進めるつもりはあるということなんですけれども、ただ、実は幾つか問題があって、一つは、農地転用と今おっしゃいましたけれども、農地転用の許可が三年しか認められないんですね。三年ごとに更新。

 そうなると、太陽光パネルは基本的に十年か二十年は使いたいわけですよ。それを、三年後に、設置したけれども三年で転用がやはりだめになったなんてなったら、設置できないし、あと、お金が借りられないんですね。銀行が融資してくれない。だから、この農地転用を三年から十年とか二十年にふやしてもらえないだろうかということ。

 それから、あとは、価格も補助金とかをもっと出してほしいというのもあるし、FIT価格も優遇するとか、そういったいろいろな課題があるんですけれども、本当に、農業をやりながら太陽光発電できるという、それがもう現実にできているところが幾つもあるわけですから、私はこれはどんどん進めていくべきだと思います。

 農水省、もう一度、今の農地転用とか、あと補助金について、FIT価格は経産省なので、まず農水省に、その二つ、いかがですか。

太田政府参考人 まず、農地転用につきましてお答えを申し上げます。

 今議員おっしゃったとおり、営農型発電設備の設置に係る一時転用許可につきましては三年ということになっておりますけれども、これは、下部の農地、下の農地において営農が適切に継続されるということを前提にしております。

 そういう意味では、農業は一年一作ですので、一年ごとということも考えられるんですけれども、それでは過度の負担になるということで、三年ごとに許可を行うという仕組みにしております。

 今先生おっしゃったように、この一時転用許可につきましては、許可期間中の営農といいますか、農作物の収量から見て営農に支障が生じているということがなければ再度許可をされるということでございますし、また、それにつきましてQアンドAをつくって広く周知をしているというところでございます。

 それから、補助金につきましては、平成三十年度の政府予算案におきまして、実証試験等の取組への支援というのが新たに計上されているところでございます。

 今後とも、経産省を含め、関係省庁間で連携を図りながら、各種の施策を通じまして、営農型太陽発電の取組の推進に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

高井委員 まだまだ不十分だと思いますし、答弁する人がかわるあたりも何かちょっとどうなんだと思いますけれども、ぜひ、農水省を挙げて、あるいは経産省、総務省も、実は、総務大臣に聞いていただきたいんですけれども、これは市町村ごとに運用が違っているのがまたネックなんです。

 農水省からの通知でやっているものですから、例えば千葉とかは物すごい、今千カ所ぐらい大体許可されているんですけれども、千葉だけで百とか二百とかあるんですが、私の地元の岡山は一個か二個しかない。要するに、県庁とか市町村の担当者の認識がないと、非常にしゃくし定規に規制とかを当てはめるとできないという事態になっていますので、このあたりは、ぜひ総務大臣に音頭をとっていただいて、農水省や経産省と、これは本当に日本のエネルギーの革命的な新しい技術だし、もう実用可能なものですから、問題は規制とかあるいは初期費用とかですから、ぜひこれは御検討いただきたいと思います。

 大分時間がなくなってきたので、ちょっと空き家対策を先に行きたいと思います。

 これはもともとは国交省が担当なんですけれども、今全国で空き家が大変ふえているのは、これはもう総務省としてもそういう認識を持たれていると思いますが、今、市町村で空き家バンクというのをつくっているところが約四割、七百六十三自治体あります。それから、空き家バンクの設立準備中というのは二百七十六市町村あります。

 これを、去年の十月に国交省が全国版の空き家・空き地バンクというのをつくって、今二百ほどの自治体に登録してもらっているんですけれども、総務省として、この空き家対策、どのような取組を考えておられますか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 空き家の問題は、倒壊等の保安上の問題や衛生上の問題、さらには景観上の問題等が生じ得ることから、重要な課題であると認識しています。

 特に、人口減少や高齢化が著しい過疎地域においては、空き家の増加が多くの集落で問題として今認識されています。

 一方、空き家は、地域の活性化等の観点から、移住、定住に有効活用するなど、地域の資源として活用することができるとも考えているところです。

 総務省としては、危険な空き家の解消に取り組む自治体への支援として、空き家の除去等について特別交付税による措置を講じています。

 また、空き家の有効活用による地域活性化に取り組む自治体へは、支援としては、移住、定住に利用可能な空き家を自治体において登録し、今お話がありましたけれども、空き家バンクの運営等についても特別交付税による措置を講じています。

 さらに、過疎地域において空き家の有効活用に係る取組について、過疎交付金により定住を促進するための空き家の改修に必要な経費について補助を行っています。

 今後とも、各自治体の実情、それぞれありますので、踏まえて、関係省庁と連携して空き家対策の推進に取り組んでまいります。

高井委員 ありがとうございます。

 実は、さっき、国交省がつくった全国版の空き家・空き地バンクと市町村をつなぐ役割をこれから果たすために一般社団法人ができました。全国空き家バンク推進機構というんですね。これは、理事長をしているのが元佐賀県の武雄市長で樋渡啓祐といって、私は実は総務省の同期、彼は総務庁出身なんですけれども、彼が頑張ってやっていますので、ぜひ、総務省としても、市町村をつなぐ役割ですから、応援していただけたらと思います。

 それでは、ちょっと戻りまして、経産省、せっかく来ていただいたので、風力発電の話を一つ聞かせてください。

 二月七日に、風力発電の調達価格算定委員会で、来年度からFIT価格が、今まで五十五円だったのが二十円と急に下がりました。これは、ある意味、仕方ない面もあるんですけれども、しかし、幾ら何でもというか余りに急激なことなので、申請を、経産省もちょっと考えてくれて、二月末まで待ちましょうということにしてくれたんですけれども、今、全国から、二月末じゃとても対応できない、せめて三月末、年度内とか、できればもうちょっと猶予期間を設けてほしいという、今、パブコメ中で、そういう意見も出ているんじゃないかと思いますけれども、経産省、いかがですか。

高科政府参考人 お答え申し上げます。

 調達価格等算定委員会におきましては、小型風力発電の調達価格やその経過措置も含めた来年度以降の調達価格等につきまして、昨年九月から事業者ヒアリングを含めて計七回の審議が行われまして、今月七日に委員会意見が取りまとめられたところでございます。

 小型風力発電につきましてですけれども、これは例外的ではありますけれども、真に開発中で、確度の高い案件に限って経過措置を設けることとしまして、具体的には、土地の確保を証明する賃貸借契約書等の書類を含む接続契約以外の必要書類を全てそろえた上で、FIT認定の申請及び接続契約の申込みを、議員御指摘のとおり、二〇一八年二月末までに完了し、かつ二〇一八年七月末までに接続契約の締結が確認できた案件に限って、二〇一七年度の価格で買い取るという経過措置の対象とする、そういった意見が取りまとめられたと承知してございます。

 経済産業省といたしましては、この委員会意見を受けまして、パブリックコメントを実施しておりまして、年度末までに、この意見を尊重して、調達価格等を決定するということになってございます。

 委員会におきましては、コスト低減を図って最大限導入を目指すという政府の方針と同じ方向性で審議され、委員会意見に至っているものと承知しておりますけれども、経過措置も含めた個別の調達価格等につきましては、現時点では、パブリックコメントが続いている中でありまして、コメントを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

高井委員 恐らくパブリックコメントでもかなり私と同じ意見が出ると思いますので、それは十分しんしゃくしていただいて、決定していただけたらと思います。

 もう恐らく最後の質問になると思うので、自治体のセキュリティーの話を最後にさせてください。

 これは、マイナンバーでいろいろ問題、トラブルが起こったりして、自治体のセキュリティーを、ネットワークを分けなきゃいけないという話で、平成二十七年の補正予算で二百五十五億かけて自治体にシステムを導入しました。

 当時から議論があったんですけれども、メールとかファイルを無害化するソフトというのは、実はイスラエルの会社の製品しかなくて、このイスラエル製を入れたんですね。それはイスラエルでも別にいいんですけれども、ところが、この製品がもう今やイスラエルの中でも陳腐化してしまっている。あるいは、今、国内会社でも結構こういったことをやれるサービスが出てきて、本当は変えるべきなんだけれども、五年契約になっているから変えられないという話があります。

 これはなかなか難しいとは思うんですが、これは政府参考人で結構ですが、こういうセキュリティーとかというのは日々技術が進歩して、ソフトとかも進歩するので、やはり随時変えられるのが必要だし、現場で何が起こっているかというと、都道府県や市町村の財政課長が、五年前に入れたんだからいいでしょう、もう予算なんかつけられませんよと。でも、セキュリティーというのはそういうものじゃないんですね。

 だから、財政課長は、多分、旧自治省から多くの人が行っていますから、ぜひ、こういったことも含めて、臨機応変なセキュリティー対策を総務省としてどのように取り組む考えか、お聞かせください。

池田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年に日本年金機構における個人情報の流出事案が判明した後に、総務省といたしまして、各地方公共団体のシステムネットワークの総点検を行いまして、その結果などを踏まえ、また、マイナンバーによる情報連携の稼働を見据えまして、マイナンバーを利用する端末などからの情報持ち出しを禁止するなど、地方公共団体に情報セキュリティー対策の抜本的強化に取り組むことをお願いしたところでございます。

 委員御指摘のとおり、情報セキュリティー技術というのは日々向上する一方で、セキュリティー上の脅威というものもこれも大きくなってきております。

 総務省といたしましては、地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインを策定し、地方団体にお示ししているところでございますが、そのガイドラインを逐次改定するとともに、民間の高度なセキュリティー人材と連携しながら、全国の地方公共団体と最新の技術や対策などの情報共有を図っているところでございます。

 いずれにいたしましても、情報セキュリティー対策には絶対というものはございませんので、全国の地方団体とともに、不断に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

高井委員 池田さん、財政課長にくれぐれも言ってください。ここは財政課長がキーですから。

 質問を終わります。ありがとうございます。

古屋委員長 次に、長尾秀樹君。

長尾(秀)委員 立憲民主党・市民クラブの長尾秀樹でございます。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、事前に準備をしておりました質疑に入ります前に、一点、野田大臣にお聞きをしたいと思います。

 二月十四日の予算委員会における遠山委員の発言についてお聞きをしたいと思います。

 今、資料を配っていただいているところでございますが、二月十四日の衆議院予算委員会、速記録を、コピーをお配りしております。十九ページ中段のところ、マーカーしておりますところを読ませていただきます。

 去る二月四日、沖縄県名護市で市長選挙が行われまして、御承知のとおり、自民党、公明党そして日本維新の会が推薦をしました渡具知武豊氏が、相手候補である現職市長に三千四百五十八票の差をつけて初当選をいたしました。飛ばしまして、私も、公明党沖縄方面本部長という立場で全力で応援をさせていただいた立場から、この場をおかりして、御支援をくださった皆様に心からお礼を申し上げたいと思っております。

 以下省略をいたしますが、これはさすがにアウトじゃないでしょうかね。公選法違反でしょう。

 資料一枚目に、公選法関係のところ、おつけをいたしております。第百七十八条「選挙期日後の挨拶行為の制限」の中に、後段、「当選又は落選に関し、選挙人に挨拶する目的をもつて次に掲げる行為をすることができない。」、その第四号「第百五十一条の五に掲げる放送設備を利用して放送すること。」

 当日はNHKのテレビ中継が入っておりました。

 百五十一条の五というのは「選挙運動放送の制限」、「選挙運動のために放送をし又は放送をさせることができない。」ということになっております。

 この点について、総務大臣の見解をお聞きをいたします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 総務省としては、個別の事案については、具体的な事実関係を承知する立場にはないので、お答えを差し控えさせていただきます。

 その上で、公職選挙法の規定について、一般論として申し上げますと、公職選挙法第百五十一条の五においては、何人も、政見放送等を除き、放送設備を使用して、選挙運動のために放送をし又は放送をさせることが禁止されています。

 また、公職選挙法第百七十八条においては、何人も、選挙の期日後において、当選又は落選に関し、選挙人に挨拶する目的をもって、公職選挙法第百五十一条の五に掲げる放送設備を利用して放送することは禁止されています。

 いずれにしましても、個別の事案がこうした要件に該当するか否かについては、具体の事実に即して判断されるべきものと考えております。

長尾(秀)委員 ありがとうございます。

 個別の事案は答えられないということはわかっておりますけれども、今、一般論でお答えをいただきました。

 きょうのところはこれ以上はお聞きをいたしませんけれども、ほかの委員会でも取り上げさせていただいております。本日以降も引き続きこの問題については取り上げさせていただくということを申し上げまして、地方財政計画、地方交付税法、地方税法の改正案についての質疑に入らせていただきます。

 まず初めに、午前中にもございましたけれども、森林環境税等の創設についてお聞きをいたします。

 与党の税制改正大綱によりまして、今通常国会における森林関連法令の見直しを踏まえ、平成三十一年度税制改正において、森林環境税及び森林環境譲与税を創設するということとされております。

 森林環境税は平成三十六年度からの課税ということで、大分先のことかなと思っておりましたけれども、森林環境譲与税は平成三十一年度から譲与が行われる、こういうことだそうでございますので、きょうお聞きをいたします。

 総務省の森林吸収源対策税制に関する検討委員会報告書、昨年十一月二十一日に出されておりますが、この新たな税制の必要性について、森林は、地球温暖化防止や災害防止など多面的な機能を有し、国民一人一人に恩恵があるというふうにしております。この趣旨には賛成でございます。

 しかし、まず一点目にお聞きをいたしますけれども、この税の趣旨に沿って事業を展開できるだけの市町村の人的体制については、総務省として、この検討の中でどういうふうに検証されたのか、お聞きをいたします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 市町村の事業実施体制については、地方財政審議会に設置されました森林吸収源対策税制に関する検討会において、林野庁から現状や課題を聴取し、森林現場の視察も行い、地方団体から事業実施体制に係る要望をお伺いするなど、問題意識を持って検討をしてきたところです。

 このような検討過程を通じて、市町村による事業の実施体制が地域によってさまざまであることは十分承知しており、このことを踏まえて、森林環境譲与税の使途に、人材の育成や担い手の確保に関する費用を含めることとしています。

 また、都道府県に市町村の体制整備等の支援を行っていただけるよう、都道府県にも森林環境税の一部を譲与することとしています。

 こうした仕組みにすることで、各市町村において、地域の実情に応じた森林整備等を行うことができる体制が確保されるということを期待しているところです。

長尾(秀)委員 あわせまして、都道府県にも、森林整備を実施する市町村の支援に関する費用として譲与されることになっておりますが、都道府県の役割については具体的にどういう役割を考えている、期待しているのかもお聞きをいたします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 都道府県分に係る森林環境譲与税の使途については、平成三十年度税制改正の大綱におきまして、森林環境譲与税を森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用に充てなければならないとされています。

 その具体的な内容としては、検討会での議論を踏まえますと、まず、森林整備を実施する市町村の体制整備のための支援を行うことや、市町村が森林所有者の意向調査をする際に広域団体の立場から助言、指導を行うこと、また、市町村が間伐を行う際の事業発注について、積算システム等を作成して市町村に配布する等、ノウハウを生かした支援を行うことなどが想定されています。

 都道府県が管内市町村の実情を勘案しながら、必要に応じて適切な支援を行っていただくことを期待しています。

長尾(秀)委員 さきに挙げました報告においても、課題として、市町村の事業実施体制の確保ということが挙げられておりますので、しっかりお願いをしたいと思います。

 それから、森林環境税につきましては、既に三十七府県と一市が似たようなものを導入をいたしております。森林整備という目的、あるいは住民税に上乗せをするというやり方もほぼ同じでございます。

 税の利用先が違うとも言えますけれども、住民から見れば二重課税に見えるのではないかということで、今後、地方税としての森林環境税との調整についてはどう考えておられるか、お聞きをいたします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 今おっしゃったとおり、現在、森林整備等を目的として、三十七府県及び一政令市において独自の超過課税が行われていると承知しています。

 一方、国の森林環境税は、農林水産省が今国会に提出する予定の森林経営管理法案を踏まえて、主に市町村が行う森林の公的な管理等の財源として創設するものです。

 府県等が行う超過課税は、その税額や使途もさまざまでありまして、両者の使途が重複する可能性もありますが、国の森林環境税は平成三十六年度から課税することとしており、それまでの間に、全ての超過課税の期限や見直し時期が到来するため、関係府県等において必要に応じて超過課税の取扱いを検討していただけるものだと考えています。

 総務省としては、森林環境税との関係の整理が円滑に進むよう、林野庁とも連携しながら、関係府県等の相談に応じて助言を行ってまいりたいと思います。

長尾(秀)委員 それでは次に、地方消費税の清算基準の見直しについてお聞きします。

 与党の平成二十九年度の税制改正大綱で、検討事項ということでこの見直しが盛り込まれました。三十年度の大綱において、これまで販売額基準七五%、人口基準一七・五%、従業員基準七・五%だったものを、販売基準が五〇%、人口基準五〇%に変えることになりました。

 地方消費税については、最終消費地と税収帰属地が一致することが必要という点については私も認識をしております、そのとおりだと思っておりますが、その上でお聞きをいたします。

 いわゆる統計カバー率を七五%から五〇%に下げて、統計カバー外の代替指標である人口基準を五〇%に変更した客観的根拠は何でしょうか。

内藤政府参考人 お答えいたします。

 地方消費税の清算基準につきましては、平成九年度に導入されて以来二十年が経過をいたしておりまして、その間の社会経済情勢や統計制度の変化等を踏まえまして、地方消費税の税収をより適切に最終消費地の都道府県に帰属させるため、抜本的な見直しを行うこととしたものでございます。

 具体的には、地方財政審議会のもとに設置いたしました、学識経験者を交えました検討会での専門的な議論を踏まえまして、統計データの利用方法を見直し、統計の計上地と最終消費地が乖離しているもの、あるいは非課税取引に該当するものにつきましては、最終消費をあらわす統計データとして利用することが適切ではないことから除外をいたしまして、これに伴い、統計カバー率が現行の七五%から五〇%となりまして、統計カバー外五〇%について、消費の代替指標として最も適当である人口を用いることとしたものでございます。

 こうした見直しの結果、地方消費税の税収が最終消費地の都道府県により適切に帰属することになるものと考えております。

長尾(秀)委員 消費の実態に合わせるという意味で、もっと私は統計カバー率を上げるべきだと思います。それを人口基準で代替するというのはいかがなものかと思いますが、それは後ほど大臣にもお聞きをいたしますが。

 その前に、この人口基準が五〇%になったことによって、かえって、地方において、地元の商店街や流通業に影響を与えるという可能性があるのではないかというふうに思います。

 元総務大臣の片山善博早稲田大学教授が、自治日報二月二日号で、人口に応じて自動的に配分される部分のウエートが大きくなると、住民が他県の大都市圏に出かけて買物をしても、住所地の県にとっては財政上のダメージはさほど大きくない。すると、地産地消にも熱が入らず、地元の商店街は一層疲弊すると指摘しております。

 地元の経済にもかえって悪影響を与えるのではないかという可能性について、お考えをお聞かせください。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の見直しでございますけれども、統計データの利用方法を見直し、清算基準として利用することが適切でないものについて除外した結果として、消費の代替指標としての人口の比率が高まることとなったものでございます。

 できる限り統計を活用して最終消費の額を把握するという観点に立ちまして、例えば、日常的な消費でございますとか飲食サービスなどにつきましては、引き続き商業統計及び経済センサス活動調査を利用することといたしておりまして、消費活動を活性化させれば税収に反映させるという基本は維持しているところでございます。

 いずれにいたしましても、今回の見直しの結果といたしまして、地方公共団体が安定的に行政サービスを提供するための基幹税目でございます地方消費税の税収が最終消費地の都道府県により適切に帰属することとなるものと考えております。

長尾(秀)委員 今も御答弁の中にもありましたけれども、あるいはこの総務省の検討会でも指摘されておりますように、できる限り統計を活用し正確に最終消費の額を把握する、これが基本だと思います。

 今回の見直しが最終形ではない、より消費の実態に近づけるよう引き続き検討、努力をするべきと考えますが、大臣の見解をお聞きします。

野田国務大臣 先ほども答弁にありましたように、二十年ずっとたっていて、その間、統計のありようも大きく変わってきたことを踏まえて、より精緻に最終消費地と税収の帰属地を一致させるということで今回の取組があったと御理解いただければいいと思います。

 地方消費税の税負担というのは最終消費地に求めるものであるということから、その税収も最終消費地の都道府県に帰属させる必要があり、そのために清算制度が導入されてきたところです。

 今回の清算基準の抜本的な見直しについても、地方消費税の税収をより適切に最終消費地の都道府県に帰属させるために行うものであり、最終消費地と税収の帰属地を一致させるという原則は変わりありません。

長尾(秀)委員 再度申し上げますけれども、人口基準というのはそんなに消費とは比例しないと私は思いますし、地方交付税制度があるわけですから、そういう基準ではない、本当に、統計でカバーをしていただきたいことを再度申し上げておきたいと思います。

 それでは次に、トップランナー方式についてお聞きをいたします。

 平成二十八年度、二〇一六年度から、普通交付税算定にいわゆるトップランナー方式が採用をされました。このトップランナー方式については、そもそも客観、中立であるべき交付税の算定という考え方からして私はいかがなものかと思っておりますが、その点はまた違うときに議論をしたいと思います。

 このトップランナー方式について、平成三十年度及びそれ以降の取組予定についてお聞きをします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、平成二十八年度より、地方交付税の算定におきましてトップランナー方式を導入し、多くの団体が業務改革に取り組んでいる業務につきまして、その経費水準を単位費用の積算基礎としております。

 平成三十年度におきましては、新たな業務への導入は行わず、平成二十八年度及び平成二十九年度に導入しました本庁舎の清掃や情報システムの運用などの十八業務につきまして、段階的な反映の一環として、二年目又は三年目の見直しを実施することとしております。

 また、今後は、窓口業務の委託につきましては、地方独立行政法人の活用、また標準委託仕様書の作成、全国展開などの取組を強化することとしておりまして、その状況を踏まえまして、トップランナー方式の平成三十一年度の導入を視野に検討していくこととしております。

長尾(秀)委員 平成三十年度はなし、三十一年度以降に窓口業務への導入も検討しているということかと思います。

 そもそも、交付税法の第二条の六、いわゆる単位費用の定義では、標準的条件を備えた地方団体が合理的かつ妥当な水準で地方行政を行う場合又は標準的な施設を維持する場合に要する経費を基準とするとしております。また、逐条解説では、行政の規模や内容が自治体の平均的レベルに近い、通常自治体の必要経費を単位費用に設定すべきとしておられます。

 平成二十八年度から導入をされております例えば本庁の関連業務、清掃は、総務省の民間委託の調査では、一〇〇%近くが委託ということになっておりますし、学校給食でも、市区町村では六二%ということです。平均というのをどう考えるべきかということになると思いますが、仮に五〇%以上ということであれば、既に委託率が高い業務にトップランナー方式を導入することは一定考えられなくもないというふうに思います。

 しかし、窓口業務につきましては、いまだそういう状態にないのではないかと思います。平成二十七年四月一日現在、ちょっと統計が古いので、窓口業務委託化は全市町村の一五・四%に総務省の調査でなっております。もし直近の数字があれば、まずお聞きをします。

山崎政府参考人 平成二十九年四月一日現在速報値での窓口業務の民間委託導入率は、全市区町村で一七・三%となっております。内訳を見ますと、指定都市では八〇%、中核市では六八・八%となっている一方、委託可能な業務量が少なく、民間事業者等の担い手の確保が難しい町村では四・三%となっております。

長尾(秀)委員 一七・三%というお答えでございます。こういう低い委託率の数字では、到底自治体の平均レベルとは言えないというふうに思います。

 総務大臣にお聞きをいたしますが、このままの委託率で窓口業務をトップランナー方式に加えることはできないと考えますが、いかがでしょうか。

黒田政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、窓口業務につきましては、審査、決定など公権力の行使にわたる事務を除く必要がございますので、現時点では民間委託は進んでいない状況でございます。

 このため、平成三十年度におきましては、窓口業務の委託につきまして、地方独立行政法人の活用や標準委託仕様書の作成、全国展開などの取組を強化することとしまして、窓口業務へのトップランナー方式の導入は見送ることといたしました。

 今後、これらの取組による窓口業務の民間委託の進捗状況等を踏まえまして、平成三十一年度の導入を視野に入れて検討してまいることとしております。

長尾(秀)委員 大臣、どうですか。もう一度。だから、三十一年度は無理でしょう、客観的に。

野田国務大臣 お答えいたします。

 今局長が答弁したとおり、そのままになってしまいますけれども、窓口業務というのは、もともと公権力の行使にわたる事務というのが多くございまして、それを除く必要があるということから、今は民間委託が進んでいないということは御承知のとおりだと思います。

 今局長も答弁しましたとおり、今後は、三十年度においては、委託について、地方独立行政法人の活用、そして標準委託仕様書の作成、全国展開、それぞれの取組を強化することとして、窓口業務へのトップランナー方式の導入は見送ることとしました。

 今後は、これらの取組による窓口業務の民間委託の進捗状況等をしっかり踏まえて、平成三十一年度の導入を視野に入れて検討していきたいと思います。

長尾(秀)委員 ですから、一年間でそんなに進むとは思えないので、三十一年度は無理じゃないですかと再度申し上げておきます。

 それから、今事務方の答弁にありましたように、ことしの四月から改正地方独立行政法人法が施行されて、自治体の窓口業務を地方独立行政法人に委託することが可能となります。今も、このトップランナー方式とセットで進めていきたいような御答弁でしたけれども、地方交付税制度を使って自治体の窓口業務の委託化を誘導するということに、セットでおっしゃられますとなりかねませんので、そういう地方交付税を使った政策誘導はすべきではないと考えておりますが、きょうのところは指摘にとどめておきます。

 次に、これも午前中出ておりましたが、基金残高と地方交付税の削減のリンクの問題についてお聞きをいたします。

 この間、財務省は、地方全体として地方自治体の基金の残高が増加をしていることを理由に、地方財政に余裕があるということで、交付税の抑制につなげようとしております。しかし、基金の残高は、あくまで自治体の努力や歳入不足に対するために自治体が積み上げてきたものであり、基金残高と交付税の削減をリンクをさせる議論は不適切だと思います。

 その上で、総務省にお聞きをいたします。

 総務省としても、昨年、基金の実態の調査をしておられますが、残高がふえた要因についてどう分析をしておられますでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体の基金につきましては、平成十八年度末と平成二十八年度末の比較で七・九兆円の増加となっております。

 御指摘の、昨年行いました地方公共団体の基金の積立状況等に関する調査によりますと、この増加は、国の施策や合併といった制度的な要因や、公共施設の老朽化対策や災害など、さまざまな将来への備えが主な要因でありまして、多くの団体が行革や経費節減に努めながら基金の積立てを行っていることによるものと把握しております。

長尾(秀)委員 午前中もございました、平成十八年度から二十八年度末にかけて、交付団体の増加額は五・三兆円、そのうち、制度的な要因による増加額は二・一兆円、その他の将来の歳入減少、歳出増加への備えが三・一兆円ということであります。

 その内訳を見ますと、公共施設の老朽化への対応、災害への備えが〇・六兆円、法人関係税の変動への備えが〇・五兆円などとなっております。自治体としては、基金を積む合理的な理由があるというふうに思っております。

 既に何度もお答えになっているかと思いますが、基金残高を理由にして交付税を始めとする地方財政を圧縮させることは筋違いと思いますが、大臣の見解をお聞きをいたします。

野田国務大臣 長尾委員の御指摘のとおりで、地方団体は、さっきも局長から答弁ありましたけれども、行革とか経費節減の結果として、それも将来のさまざまな備えのために基金というのを積み立てているところで、基金残高を理由として、経済財政諮問会議でも随分私もそういうことを言われましたけれども、地方交付税等を削減することは妥当ではないと考えています。

 以上です。

長尾(秀)委員 ありがとうございます。

 しかし、財務省はまだ諦めていないというふうに思います。今後の経済財政諮問会議の議論でも、引き続き、基金残高と地方交付税などの削減をリンクをさせる議論が予想されます。

 総務省として、地方自治体の立場に立って、こういう基金の残高と交付税などの削減とのリンクについては認めない立場で引き続き対応していただきたいと思いますが、改めて大臣の見解をお聞きします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 平成三十年度の地方財政対策においては、基金残高の増加を理由に地方交付税等を削減するといったことは行っておりません。

 その上で、前年度を上回る一般財源総額六十二・一兆円を確保したところです。

 これからも、地方団体が安定的に財政運営を行うことができるよう、地方交付税を始めとした一般財源総額の確保にしっかり努めてまいります。

長尾(秀)委員 引き続き、そういう立場でしっかりとお願いをしたいと思います。

 次に、公共施設などの適正管理の推進についてお聞きをいたします。

 これも午前中あったかと思いますが、平成三十年度の地方財政計画では、歳出特別枠の廃止に伴って、公共施設などの老朽化対策を進めるため、公共施設等適正管理推進事業費を三千五百億円から四千八百億円に増額をしたということでありまして、この点は評価をいたします。

 その上で、交付税の措置率につきまして、長寿化事業やユニバーサルデザイン化事業などについては、財政力に応じて三〇%から五〇%に拡充をするということになっております。この拡充は、具体的にどういう基準に基づいて措置率を決定をするのか、お聞きをいたします。

小倉大臣政務官 公共施設等適正管理推進事業債の拡充の具体的な基準についてお尋ねがございました。

 現在、公共施設等適正管理推進事業債におけます長寿命化事業等につきましては、元利償還金の三割を事業費補正によりまして後年度の基準財政需要額に算入をしてございます。

 今般の見直しにおきましては、財政力の弱い団体であっても適切な事業実施が可能となるよう、都道府県、市町村ともに、財政力指数が〇・八以上の団体につきましては、これまでどおり交付税措置率を三割としつつ、財政力指数が〇・八を下回る団体につきましては、交付税措置率を財政力に応じて引き上げ、財政力指数〇・四以下の団体につきましては五〇%とすることといたしております。

 以上です。

長尾(秀)委員 ありがとうございました。

 それでは、地方財政に関する最後の質問ですが、二〇一九年度以降の地方一般財源総額の確保についてお聞きをいたします。

 既に、十五日の本会議におきまして、平成三十年度地方財政計画、地方税法等改正案、地方交付税法等改正案の趣旨説明が行われ、立憲民主党を代表して武内則男議員が質問に立たせていただきました。その際も、二〇一九年度以降の地方一般財源総額の確保について、大臣の決意を問わせていただきました。大臣からは、地方が自由に使える一般財源総額を確保すべく最大限の努力をしていくという答弁をいただきました。

 地方自治体にとりまして、社会保障を始め、行政ニーズはますます拡大をしております。この地方の行政ニーズに対応した一般財源総額を確保するためには、地方交付税率の引上げや財源保障のあり方などについて、地方六団体などとも連携をして、引き続き総務省として御尽力をお願いをしたいと思います。

 改めて、総務大臣の決意をもう一度お聞きをしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 しっかり取り組んでいきたいと思います。

 政府においては、これまでの経済・財政一体改革の取組をしっかり精査した上で、本年の骨太方針において、プライマリーバランスの黒字化達成時期及びその裏づけとなる具体的な計画を示すこととしておりまして、二〇一九年度以降の地方の一般財源総額のあり方についても、この中で議論されるものと考えています。

 その際には、地方団体が予見可能性を持ちながら、社会保障など必要な行政サービスを提供しつつ安定的な財政運営を行っていけるよう、地方が自由に使える一般財源総額をしっかり確保すべく最大限の努力をしてまいります。

長尾(秀)委員 しっかりとお願いをしたいと思います。私どもも応援をしたいと思います。

 それでは次に、水道事業についてお聞きをいたします。

 まず、先日来、福井県を始め北陸地方、東北地方を襲った記録的な豪雪被害につきまして、お亡くなりになられた皆さん、被害に遭われた皆さんにお悔やみとお見舞いを心から申し上げたいと思います。

 テレビ、マスコミ報道等でも、国道八号線で立ち往生した車を自衛隊の皆さんが夜を徹して雪かきを行っておられる様子など、いろいろ報道がされておりました。この豪雪被害の中で、それぞれの地域の水道についてもいろいろ大変な事態であったというふうに報道がされております。

 水道につきましては、一たび急激な寒波に見舞われると、水道管が凍結をして破裂事故などが多く起こる事態となります。事前に少しずつ水を流しておくとか水道管に凍結対策をするということを行ったとしても、それを上回る寒波が起これば、今回もそうであったように、多くの地域で破裂事故が頻発をいたします。

 市民より直接電話を受けて破裂の知らせを聞いたところについては、漏水修繕作業など、大雪の中で対応されましたけれども、いわゆる空き家で、水道メーターの手前で、わからない間に漏水をしているような事故も多発をして、浄水場では市民生活や企業活動に必要な水量を確保できなくなって、応急給水を近隣市町村に頼んだという事態になったというふうに報道がされております。ということで、空き家の漏水の場合は対応が難しいという課題が今回浮かび上がったんじゃないかと思います。

 いずれにしても、この間、水道事業の職員が大雪の中で、どこかわからない空き家の雪かきを数日間の間行いながら漏水調査を繰り返してきたというふうに聞いております。多くの地方自治体の職員、市民生活を支える水道事業の職員が、この記録的な寒波に立ち向かわれたことに改めて敬意を表したいと思います。

 そこで、総務大臣にお聞きをいたします。

 公営企業である水道事業の重要性について、改めて大臣の見解をお聞きをいたします。

野田国務大臣 お答え申し上げます。

 今、長尾委員より、水道事業に携わる皆さんの大変な御苦労、とりわけ大雪のときのお話もありましたし、恐らく、日常、三百六十五日、さまざまなところで汗をかかれておられると思います。私も心から敬意を表したいと思っています。

 水道事業は、住民の日常生活に直結し、その健康を守るために欠くことのできないライフラインであります。また、公衆衛生の向上や生活環境の改善という点では非常に公共性の高い事業でありますが、あわせて企業の経済性を発揮するために、地方の公営企業として行われているものだと認識しています。

 このため、水道事業を将来にわたって安定的に経営していくことがとても地域にとって重要だと考えています。

長尾(秀)委員 そのとおりだと思います。

 今現在の水道事業を取り巻く環境は非常に厳しいと言われております。人口減少あるいは節水機器の普及など、水道事業の料金収入が減少している。収入が減る一方で、施設、管路等の老朽化に伴う更新投資の増大があるということで、必要な支出はふえております。業務委託をしておりますところについても、受託企業の労働条件の問題等から、定着する人材の確保自体が課題であるというような事例も聞いております。

 老朽化した施設の更新や事業の運営に必要な財源や人、技術力ということを十分確保することができなければ、水道事業の経営、運営の基盤そのものの劣化につながってしまいます。

 水道事業の経営基盤を強化するために、地方への財政措置も更に講じていくべきだと思いますけれども、大臣の見解をお聞きします。

野田国務大臣 水道事業というのは、人口減少の中にあって、また節水型社会への移行も伴い、そして、今御指摘のように施設等の老朽化もどんどん進んでいます。更新投資の増大があるわけで、経営環境の厳しさが日々増しつつあるということは私も認識しています。

 そのため、水道事業の安定的な経営に向けて、施設等の統廃合、民間活用、広域化等による合理化や必要に応じた財源の確保に計画的に取り組む必要があると考えています。

 そうした中で、今後、必要な更新投資の実施に伴い、中長期を見通したときに、経営努力を行っても持続的な経営が困難な団体が出てくることが懸念されているところ、水道財政のあり方に関する研究会を設置しまして、必要な対応策を今検討しているところです。

 この研究会における有識者の御意見をしっかり伺いながら、水道事業の持続的な経営を確保していくための対応策等について検討してまいります。

長尾(秀)委員 今大臣の御答弁にもありましたように、総務省として、水道財政のあり方に関する研究会を設置して検討をしておられるということで、くしくも、この第一回目の開催は、さきの寒波の最中の一月二十九日であったというふうに聞いております。

 水道は、住民の安心、安全、この国に暮らす全ての人にかかわる命の水であることからも、水道事業に関する議論、検討については、効率性のみを追求するのではなく、健全で持続的な経営と運営能力を確保する事業体を形成していくという議論、検討を行っていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 それで、最後に、マイナポータルについてもお聞きをしたいと思います。

 昨年の特別国会でもマイナンバーについてはお聞きをしました。実施がおくれていたマイナポータルの運用も始まっております。マイナポータルは、行政機関などが持っている自分の特定個人情報が確認できる、情報提供ネットワークシステムを通じた住民の情報のやりとりの記録を確認ができる、行政機関から個人に合ったきめ細やかなお知らせを確認できる、地方公共団体の子育てに関するサービスの検索やオンライン申請ができるなど、行政サービスが利用しやすくなる、また、自己情報がどのように利用されているかをチェックできたりするというものであると説明されております。

 行政サービスの観点からも、自己情報コントロール権の観点からも、全ての住民が享受すべきものと考えております。全ての住民という以上は、外国籍住民も含まれているということだと思います。

 現在、在日外国人は二百三十万人以上、その中で、百万人以上が外国人労働者。日本で生まれる約三十人に一人が外国人にルーツを持つ子供たちという状況でございます。

 せっかくのマイナポータルも、現在のところ、日本語の利用しかできない。多くの外国人住民には利用が困難な状態となっております。

 以前から多言語化を望む声が寄せられているというふうに思います。二〇一五年以来、NPOなどの団体が内閣官房に要請をしてきておられます。前向きの御回答もいただいていたようですが、年々何か後ろ向きになってきているような印象ということでございます。

 そこで、お聞きをいたします。マイナポータルの多言語化について、現在はどういう状況になっているでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 マイナポータルの中身について、今委員から非常に詳しく御説明をいただきました。先ほども、マイナンバーカードがなかなか普及されないという中にあって、このマイナポータルというのは、マイナンバーカードを取得していただくと、今委員がお話しくださったようなことにつながっていくということで、非常に、カードを持つ利便性の一つだと思っていますので、ぜひ、この場をおかりしまして、皆様方にも広く御理解いただければいいなと思っています。

 外国人の皆さんへのということですけれども、既にカードの方は外国人の方用の仕様ができておりますし、今後は、マイナポータル、日本語表示になっておりますが、御指摘もいただきましたので、しっかり英語を始め多言語に表示できていくように頑張っていきたいと思います。

長尾(秀)委員 ありがとうございます。

 英語を始めということですが、具体的にはいつからとかはまだわからないんでしょうか。

 改めて申し上げますけれども、現在、多様性、調和は世界の潮流です。二〇二〇年には東京でオリンピック、パラリンピックが開催がされます。その基本コンセプトも、多様性と調和というふうに考えられております。「人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治、障がいの有無など、あらゆる面での違いを肯定し、自然に受け入れ、互いに認め合うことで社会は進歩。」する。「世界中の人々が多様性と調和の重要性を改めて認識し、共生社会をはぐくむ契機となるような大会とする。」というふうにしておられます。

 そのような意味からも、外国人住民に対してもできるだけ速やかにマイナポータルが利用できるよう、多言語化を推し進めるべきものと考えます。

 先ほどは省略をいたしましたが、二〇一五年時点では、システム上では十言語ぐらいは対応できるようになると思う、二〇一六年十一月には、今回の設計、開発において、将来的に複数の言語への対応を考慮して、多言語対応を実現できるような設計、開発を念頭に行っている、十言語程度で見積りをとるなどしているというふうな御回答だったそうですが、本格運用を開始された二〇一七年十一月の時点では、現時点では具体的なスケジュールをお示しできません、検討中ですという回答に変わったということでございます。

 この検討中というのはどういうことなんでしょうか。もう一度、多言語化について、大臣の取組、方針をお聞かせいただきたいと思います。

野田国務大臣 御参考までに、内閣府で取り組んでいるわけですけれども、もう既に、マイナンバーカードの総合サイトにおいては、現時点で英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガルに対応しているわけであります。

 マイナポータルの方でも当然連動する話でございますので、しっかりと、三十年度予算では内閣府も予算を計上しているということでありますので、この中で多言語化についてともに対応を検討していきたいと思います。

長尾(秀)委員 ありがとうございました。

 先ほども申し上げましたように、多くの外国人の方が日本でお住まいになっておられます。住民サービス、住民のための行政サービスということでこのマイナポータルも取り組まれているはずでございますので、ぜひ多言語の対応につきまして、実際の本格運用が昨年十一月から開始をされているわけですから、当初に御回答いただいていたように早急に具体化をしていただきたいという要望をしておきたいというふうに思います。

 少し早いですが、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 希望の党の小川淳也です。

 徹底的に闘う野党でありますので、誤解なきようにお願いを申し上げたいと思います。

 冒頭、奥野副大臣にあえてお礼を申し上げたいことがあります。

 昨年の暮れでした。大変お忙しい中、私ども、ある議員連盟で地域交通を支える活動をしています。その要望時間のお時間をいただきました。そこで要望した、JRを中心とした地域交通の配慮措置を継続いただく措置、今回の地方税法の改正案に盛り込んでいただいております。このことをお礼を申し上げます。

 同時に、野田大臣は政務御多忙ということでお時間いただけなかったんですが、ことしも固定資産税の配慮措置の議論がやがて出てまいります。北海道や四国を中心に地域交通がかなり厳しい状況にあることは既に議論があったとおりでございまして、ぜひ、野田大臣、お忙しいとは思いますけれども、こうした活動にも与野党を超えてお力添えをお願いしたい、冒頭このことを申し上げます。

 それから、もう一点、先ほど吉川委員の質疑の中で、特会の借入れの償還の議論がございました。副大臣からは、明確に、今後も償還を続けていくという御答弁があった。

 野田大臣、このことなんですが、実は、初めて返し始めたのは、特会の借入れです、政権交代時なんですね、〇九年。私、担当政務官でして、返したいと言ったんですよ。その気持ちを受けとめてくださったのは、今ここにおられる黒田財政局長です。検討して、一千億ずつからでいいと。三十兆ありますから三百年かかるんですよ、一千億ずつ返しても。それでも返そうと。それまでは毎年法改正して、ゼロ償還を繰り返していました。武士の一分です、まさに。

 総務大臣がかわるたびにこれだけちょっとお聞きしているので。今後も、私、四千億とか一兆とか無謀な数字は、法律上、今置かれていますけれども、これはできないと思います。一千億でいい、三百年かけていいと思います。しかし、今後も償還をちゃんと進めていくと、先ほど奥野副大臣のお言葉がありましたので、野田大臣、一言聞かせてください。

野田国務大臣 お答え申し上げます。

 奥野副大臣と私は心一つでございますので、副大臣がおっしゃったことは私が思っていることと御理解いただければよろしいかと思います。

 もう一つ、黒田局長とのお約束ということでしたけれども、私も大臣になってから黒田局長と御一緒に仕事をさせていただいており、その誠実な取組、うそのない仕事には敬意を表しているところです。

 政務官として始められたこと、約束をしっかり守っていくことをお約束しますし、また次にもつないでいけるよう、総務省の中でそういう運びをしていければと思います。

小川委員 余計なことですが、私、自治省入省当時、係員だったときに、黒田先輩は課長補佐で、最前線の指揮官でいらっしゃって、誠実なお仕事ぶりはもちろんでありますが、極めて有能、能力の高い、後輩の私が申し上げるのもなんですけれども。それから、そこにいらっしゃる諸先輩方は皆さんそういう方ばかりでございまして、本当にいい人材に恵まれてお仕事をされているんだろうと想像をしております。

 それから、敬愛をいたします古屋範子委員長に一つお聞きしたいことがあります。

 残念ながら、昨年までは、一昨日行われた大臣所信の質疑、野党の審議時間が四時間半でした、与党が三十分でした。一昨日は野党が三時間四十五分、与党が一時間十五分。そして、地方税法の改正案に対する審議時間ですが、きょう、たまたま野党だけやっています、朝から七時間。来週どうするのか知りません。理事会の現場で、武内、奥野両理事は奮闘していただいていると思いますが、これはなぜ野党の質疑時間を減らすんですか、委員長。

古屋委員長 質疑時間につきましては、与野党でさまざまな議論があったということを伺っております。

 しかしながら、質疑時間の配分につきましては、与野党また各会派間の間で協議をし、そして理事会でお決めをいただいていることでございます。その質疑時間、またその配分につきまして、委員長としてお答えする立場にはないのではないかと考えているところでございます。

小川委員 現場で、とにかく武内、奥野両理事は奮闘されているでしょうから、そのことには敬意を表したいと思います。それから、与野党間の理事間でいろいろ議論はあるでしょう。

 しかし、委員長、総務委員会の運営に関する最終の決裁権者ですから、理事会での協議事項とはおっしゃいますが、そのことは一たび胸にとどめていただきたい。

 昨年の国会以降、この野党の審議時間を減らすということは何か既成事実のようになっていますけれども、日本の国会は与野党相まって政府と対峙しているんじゃありませんよ。内閣の任命権限は、議会多数派たる与党の皆さんにある。罷免権限もある。

 そして、この法案審議。現在、予算委員会で審議されている予算案。与党内の審議を経て、オーケー、ゴーサインを出して、慣例により、それを受けて政府は国会に提出している。

 私ども野党は、与党はこれだけの議席を持っていますが、絶対得票率は二〇%ですからね。全国民の十人に二人です。それだけでは酌み尽くせぬ民意を私たちは酌み取ろうと努力をしています。したがって、提出された予算案や法案について、この場で、ニュートラルではありません。批判的立場から検証を重ね、それにたえ得るものかどうか吟味をし、そして必要な修正点を議論し、賛否を明らかにし、物によっては成案となり、物によっては廃案となり、物によっては修正され継続審議となっていく。

 したがって、委員長、私申し上げたいのは、与党の審議時間をふやすことに反対ではないんですよ。それは総審議時間を拡大して、幾らでもそれは確認したいこともあるでしょう。新人の活躍の場が必要だという議論もあっていい。しかし、それは、野党の審議時間を削ってそこに与党の審議時間を入れるということ自体、日本の議院内閣制にとってふさわしくない。

 委員長、この間の二度、この国会で行われた総務委員会の審議、来週以降もあると思いますが、前例とはしないと、先ほど理事間の協議だとおっしゃいました。前例とはしないということは委員長の職責において、権限において、一言明言してください。

古屋委員長 繰り返しになりますが、質疑時間につきましては、各会派の協議で、理事会で決定をしている事項でございます。質疑時間について御意見があるとすれば、御党の理事を通して理事会で御協議をいただきます。

小川委員 理事会は非公開ですから、武内、奥野両理事にはさらなる御奮闘をお願いしたいと思いますし、また、委員として援護射撃するのは当然じゃないですか。だと思いますよ。私の言っていることが筋道が間違っていたら、委員長、おっしゃっていただいたらいい。そのことは厳しく指摘をし、今後の委員会運営について御配慮をお願いしておきたいと思います。

 それから、地方税法等の中身に入る前に、昨年の衆議院選挙以降、私初めての発言の機会ですから、野田総務大臣の基本的な政治姿勢等について、あわせてお聞きしたいと思います。

 まず、野党の立場からいえば、野党自体もふがいないですよ、本当に。国民の皆様に対して申しわけないと何度思ったかしれない。

 しかし一方で、この五年にわたる安倍一強という体制の息苦しさや閉塞感は、非常に、これは与野党を超えて場合によっては感じているんじゃないですか、霞が関も含めて。

 そういう中にあって、たった一人果敢に、安倍総裁に、反旗とは言いません。時に異を唱え、反安倍と非安倍とどう違うのかわかりませんけれども、総裁選にチャレンジしようとし、そして私生活においてもさまざまなことを抱えながら闘っておられる野田聖子という政治家は、私は好きですし、見事だと思います。

 しかし一方で、ちょっと確認したいのは、やがてこの秋自民党の総裁選挙がやってくる。ことしこそ出馬されるんだろうと思いながら外野から拝見しています。そういう野田大臣の姿勢に一筋の光を感じる一方で、私は少なからぬ違和感も感じている。なぜ、総裁選出馬の意欲が本気であるなら、総務大臣という職責を受けたのか。総務大臣就任後、なお自民党総裁選への出馬を明言されるのはなぜなのか。一体、総裁選出馬意欲は現時点においてあるんですか。その場合、何が対抗軸なんですか、何が対立軸なんですか。

野田国務大臣 御質問ありがとうございます。

 ここは総務委員会の場で、総務大臣としての答弁が最優先されるので、私一国会議員の思いというのをここでとうとうと述べることは野党の皆さんに申しわけないと思います。

 ただ、申し上げたいのは、大臣を就任したからといって、総裁選に出てはいけないというおきてはこの自由民主党にはありません。ですから別に違和感はありませんし、また、総裁選に出るに当たって、必ずしも対立をしなければならないということでもないと思います。むしろ自民党というのは国民政党で、さまざまな国会議員が選出されてきます。多様性を重んじて、開かれた政党ということを標榜している中で、私からすると、若干女性の活躍が足りていないな、そういう思いの中で独自の活動をしてきたところです。

 それで御理解いただければと思います。

小川委員 総務大臣の職責にかかわるから聞いているんですね。

 安倍内閣として、閣内一致が求められる政権運営、政策課題、政策目標、そして政治の運営が行われている。その主要なプレーヤーたる総務大臣が総裁選に出馬表明を早々になさるというのは、オーソドックスな事態ではありません。これが野田聖子という政治家だから許されるのか。将来を嘱望され、女性初の総理候補、総裁候補という、誉れ高く、そして知名度、実績においても申し分ない存在なんでしょう。

 これは安倍内閣の閣僚、何人いるんですかね。二十人ぐらいいらっしゃるんですか。みんながみんな、俺も出る、あれも出る、これも出る、総裁選にですよ、そんなことを言い続ける状態はあり得ないでしょう。これは野田聖子だから許されるんですか。それとも、国会で言えないなら、何で外で言うんですか。一月十六日の東京都内の講演、なぜ国会で言えないことを外で言うんですか。外で言ったことを国会で言えないというんですか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 実は、参議院の総務委員会でも同じような御質問をいただきまして、外で言っていることと同じことを答弁いたしました。

 野田聖子だからというよりも、閣内一致というのは、やはりそこに至るまでのプロセスがあります。会議があったり、又はバイであったり、さまざまな、非公開であったり公開であったり、そういう場で議論するわけですね。

 先ほど議論のありました基金についても、これはやはり財務省と総務省の意見が対立しているところでありますけれども、経済財政諮問会議等の議を経て、そしてやはりしっかりと官邸にそれぞれの立場を申し上げて、結果として今があるんだと思っていますから、閣内一致というのは、閣議決定のその段階で賛成をしないということだと思うんですけれども、それまでの間に私たちができる、私ができることはたくさんあって、それで、そこにコンセンサスを求めていくということが大臣としての仕事かなと思います。

小川委員 結論の出る話ではありませんが、まず閣僚全員が俺も出る、あれも出る、これも出るという状況はあり得ませんよね、安倍内閣の運営において。野田聖子だから許されることもあるのかもしれません、政治的には。しかし、そのことに御自身が厳しい姿勢を持っておられる方が私は望ましいと思いますよ。出過ぎたことを申し上げているようですけれども、あえて申し上げます。非常に、希望と同時に少なからぬ違和感を感じています。

 それから、同時に、政治資金について幾つか聞かせてください。

 一部から、大臣、二年前ですか、三年前ですか、お父様を亡くされていらっしゃるのは。その点に関しては、本当に党派を超えて、心より哀悼の意を表し、また御冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 その上で、これは一応お聞きしなければなりませんのでお聞きします。お父様から相当額の政治献金がこの間なされてきており、しかも、それはお亡くなりになる直前になって相当な金額に膨れ上がっているという一部の指摘がございますが、これは事実でしょうか。そして、総額は幾らぐらいになるんですか。

野田国務大臣 今御指摘のように、私の父は平成二十七年に亡くなりました。生前、私の関係政治団体において父から寄附を受けていたところです。

 政治資金規正法において、個人から政治団体への寄附は一定の制限の範囲内で行うことが認められております。

 父からの寄附も、全て関係法令に基づいて適正に行われてまいりました。

小川委員 総額はわかりますか。

野田国務大臣 済みません、事前にお尋ねいただいておりましたか、その質問について。でなければ、また後日、調べてお答えはできると思います。

小川委員 四日前に、御尊父からの政治献金について聞きますということを四日前に通告しました。

 それで、どういうことですか、金額を聞きますとか、一々質問事項を起こせということですか。それはちょっと不親切じゃありませんか。

 今直ちにわからないなら、後ほど、委員会、理事会に資料提出を求めたいと思います。委員長。

古屋委員長 後刻、理事会にて協議をいたします。

小川委員 では、確認がとれませんので、一部報道の指摘も含めてお尋ねしますが、確認できるだけで八千万を超えるという指摘があります。

 当初は、いわゆる一政治団体に対する寄附制限額である百五十万円を意識した献金が行われている。しかし、お亡くなりになる少し前から、政党支部を含めた、総額規制というのですか、年間二千万の寄附が行われているというのが一部の指摘です。それが事実だとすれば、これは、事実上、贈与税の課税回避であり、相続税逃れだという指摘があることはやむを得ない、あり得る指摘だと思うんですが、大臣、この点はいかがですか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 今御指摘の、父からの寄附が贈与税又は相続逃れの節税策ではないかという報道があったことは十分承知しております。

 しかしながら、これらの寄附は、ゆえあって、私の両親は私が十六歳のときに別れました。以来、母子家庭で育って今日になるわけですけれども、そんな家族の関係が疎遠であったわけで、父が私の政治活動に、静かに応援する趣旨で長らく続けてくれてきたものだと受けとめています。亡くなる直前に政治献金、その場だけいただいているわけではなく、ずっと長きにわたって私の活動をそういう、間接的に支えてくれたのだと思っています。

 ですから、そういうことを思えば、贈与税とか相続税対策のために政治献金を節税策として使ったという指摘には私は当たらないと思っています。

小川委員 形式上、政治資金収支報告に上がるわけですから、形式上は政治献金であることは疑いありません。

 しかし、課税の実態というのは、いわゆる実質主義と言われているようでありまして、形式に実態が伴っているのかということは極めて重要です。だからこそ、時に査察や税務調査が行われ、形式上、会計帳簿上、整理されている数字と実態とが符合しているのかどうかに関して厳しく審査が行われる。そのことによって、ある意味、納税の信頼感や公平感が社会的に担保されているという背景があります。

 その前提で、やはり尋常な額ではありませんから、総額で八千万円というのは、確認できるだけで。純粋に言えば、政治家野田聖子に対する政治的共感、政治的支援によって行われることが望ましい。しかし、娘がかわいいから、娘に資金譲渡をしたいという実態が多少なりともある場合、そこはまさに、法律の実質主義からして疑義が生じることはやむを得ない。

 野田大臣は、税法と政治資金規正法の所管大臣です。その意味では、より厳しくこうしたことに対しては、ある意味自制が求められる立場であり、加重された説明責任を負った立場であるということも踏まえていただきたい。ここは法律論争、司法認定する場ではありませんから、この程度にとどめたいと思いますが。

 加えて、私自身ちょっと拝見したところ、野党議員の中には年間四百万円のガソリン代で大変な追及を受けた議員もいます。そのうちの半額ぐらいは事務所の詐欺行為だったという形で、一応の整理がなされているようです。

 野田大臣のガソリン代、拝見すると、毎年約三百万円。これは車の車種にもよると思いますが、当時よく言われたあれでいうと、地球五周から、燃費のいい車だと恐らく十周ぐらいできるんでしょうね。大臣の選挙区は岐阜一区ですから、どう考えても、全国の数ある小選挙区の中で、恐らく一番狭いぐらいの選挙区でしょう。ちょっと違和感を感じます。これはもう、指摘にとどめる部分も含めてお許しをいただきたいと思いますが。

 それから、もう一つは慶弔費です。慶弔費に関連して、少なくとも資金管理団体含めて、慶弔費が見当たらない。

 私自身の名誉にもかかわるので、ここをちょっと質問なんですが、私自身は、政党支部で慶弔費、最低限の交際費を計上したことを一部メディアから指摘を受けました。

 ここが非常に難しいところなんですが、政治資金収支報告を見る限り、恐らく野田大臣は、こういった慶弔費については、私費で賄われているんだろうと思います。が、これは公職選挙法違反ですよね、私費で賄うことも含めて。それだけちょっと確認させてください。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 制度についてお答え申し上げます。

 公職選挙法は、それぞれ寄附制限を設けておりまして、それぞれの主体別に規制があるところでございます。一つは公職の候補者等の寄附制限、それから、政党支部を含めた団体の構成員であるときの寄附制限、それぞれございます。

 それで、公職の候補者等についての寄附制限は百九十九条の二というところでございまして、これは、政党その他の団体に対するものとか親族に対するものを除きまして、「当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。」ということで書いてございます。これは、香典の供与等についても同様でございます。

 一方、公職の候補者から選挙区内にある者に対する寄附の罰則につきましては、平成元年の公選法の改正前は、選挙に関するもののみ罰則がある、あるいは、通常一般の社交の程度を超える寄附について罰則がございましたけれども、平成元年の改正で、一般的に寄附に罰則がかかっているということでございます。

 一方……(小川委員「いやいや、答弁、簡潔に。もうそれで結構です」と呼ぶ)いいですか。政党支部の方については、選挙に関するもののみ罰則がかかるということは残っておるというところでございます。

 ただ、公職の候補者についての罰則につきましては、葬式にみずから出席し、その場においてする香典、あるいは、葬式の日までの間に弔問し、その場においてする香典につきましては、罰則の対象とならないということとなっております。

小川委員 大臣、今お聞きになられましたか。つまり違法なんです。違法だけれども罰則がないんですよ。そこをはっきりさせてくれと聞いているんです。公職選挙法の担当大臣……(発言する者あり)いや、だから、そういう誤解をしている議員が多いから確認しているんですよ。香典の供与なりは公職選挙法百九十九条の二に違反するんです。違法なんですよ。ただし、罰則がない。罰則はかかっていない。

 そこが、野田大臣、公職選挙法の残酷なところなんですけれども、罰則がないから、違法だけれどもどんどんやれよということなのか。それとも、私は違法行為が嫌なので、政党支部は氏名表示、氏名類推を避け、そして選挙に関連しているという推定を避け、極めて慎重に寄附行為を行った場合には合法である可能性がある。

 したがって、いや、これは与野党問わず本当に悩ましいことなんですよ。それは私もよく理解している。違法だけれども罰則がないから個人でやるのか。それとも、合法の可能性を追求し、氏名表示、氏名類推を避け、政党等の団体行為に限定するのか。これは極めて悩ましいところなんです。しかし、政党行為に限定した場合は資金収支報告で明らかになりますから、時としてそちらの方が信用毀損、心証毀損されかねないような報道にさらされるリスクがある。ここが公職選挙法の極めて残酷なところです、今、現状ですね。

 ですから、野田大臣、多くの方が誤解されているようですから改めて申し上げますが、違法なんですよ、個人による香典の供与は。しかし、罰則がたまたまない。したがって、頻繁に一般的に行われている。そのことを改めて、我々一同、心すべきであるということを指摘させていただきます。

 もう一点、女性活躍、男女共同参画担当大臣としてお聞きいたします。

 きょうも第一子予定だったお子様の命日であるということをこの場で御報告されるなど、本当にすごみのある対応でございました。そして、御長子が大変なハンディキャップと闘いながら成長をされているということの御労苦も、率直に申し上げて、閣僚、国会議員という仕事をしながら、そうした家庭環境を前向きに捉えて努力、活動しておられる姿勢には本当に頭が下がるといいますか、それすらも私には申し上げる資格がないとすら思います。

 本当にこれは、本当に心から健やかな御成長をお祈りをし、そしてどういう社会で、御長子が社会に出るころに、我々の責任においてどういう社会で社会に迎え入れるのか。そして、まさに親亡き後とおっしゃった。どういう社会が、包摂とそしてお互いの支え合いと信頼の中で社会を成り立たせていくのか。社会が傷んでいる今だからこそ、本当に大きな課題だと思います。

 そのことと、これは非情です、野党ですからきちんと質問します、御家族を連れて海外での御公務をこなされたということとを私は必ずしも混同視してはいけないと思っています。

 そこで、これは必ずしも追及でもなければ批判でもありません。御家族を同伴されて海外公務をこなされたということは、総務大臣たる野田聖子さん、野田総務大臣にとってどういう成果とどういう課題を抱えて帰国されましたか。

野田国務大臣 いろいろ温かい言葉をありがとうございます。厳しい議員だと思っていましたので、大変うれしく思いました。

 フィリピンへの出張につきましては、まず私が行くことでどういう成果があったかというと、フィリピンのトップであるドゥテルテ大統領との直接の話合いの場、交渉の場を設けることができた次第です。

 私どもは麻生総理のあたりからずっとフィリピンとは友好的な関係を持っており、そこで日本の地上波デジタル、日本方式というのを世界じゅうに広げているんですけれども、なかなか受けとめていただけない国がある中、フィリピンというのは希有の国の一つでありました。

 自国が使うだけでなく他国に対してもPRしていただくということで、今後もやはり、日本のイノベーションをどんどん進めていく上で大変友好なパートナーということで、これは、奥野副大臣がいるので申しわけないんですけれども、仮に日本側が副大臣ということになれば、当然、ドゥテルテ大統領と直接の交渉、お話をすることができなかったと思っています。

 ですので、その責任も感じており、ややもすると、やはり女性というのは、ワンオペレーション育児と言われる中で、どんなに仕事を持っていても、共稼ぎ等々でいると、やはり子供がいるからということでチャンスを失している人はたくさんいらっしゃいます。しかし、それは本人のチャンスを失しているだけでなくて、企業なり組織なり、そこの損失でもあるわけですね。本来ならば第一人者が行くべきなのを、次善の策として違う男性が行くということで、そこの失うものは大きいのではないかと私は思うんです。

 でも、なかなかやはり女性たちからそういうことを、みずからのことを言い出せない中、私はもうずっとたたかれてきましたから、この政治の中で、私がやはりファーストペンギンになって、いろいろ批判がある中でも、次の時代、次の人たちが、そういう批判を受けずに、子供がいても何があっても、やはりしっかりと女性たちが仕事ができるような環境というのをぜひ残していきたいなという思いがあります。

 あと、前後しますけれども、息子のことをお気遣いいただき、ありがとうございます。本当に私もよくやってるなと自分で思います。きょうのこの総務委員会に向けても、朝四時に起きて、息子の用意をして出かけてくるわけで、気力だけでもっているような感じがします。

 でも、何でこんなに頑張るかというと、まさに小川委員がおっしゃった、私たちは、これまでのストックの中でどうにか人生を送れるかもしれないけれども、この後の子供たち、障害があろうとなかろうと、これだけの人口減少、これだけの少子化、これだけの高齢化、そしてさまざまな厳しいグローバル経済の中で、ちゃんと生きていけることができるかというのを大人たちはやはり不安に思わなくちゃならないと思います。

 幕末は、そういう志士の皆さんが、男性の皆さんが考えていてくれたとよく史実で言われているんですけれども、やはりこの時代は、私たち女性もしっかりと、母親としても大人としても、本当に子供たちにちゃんとした日本が残せるかということをやっていかなきゃならない。

 そういった意味で、今後とも、小川委員の厳しい批判にさらされながらも、やはり前へ前へと歩いていきたいな、そういうふうに思う次第でございます。

小川委員 私は、これは冷静にちょっと聞いているところでして、公表日程をベースにお聞きすると、初日はドゥテルテ大統領に面会されています、夕刻。この後、夕食会があったのかどうかはわかりません。それから二日目は、三時四十五分の現地の副大臣との会談後、公式日程はありません。この日も夕食会があったのかどうかはわからない。

 ここは大変シビアなところなんですが、やはり閣僚の海外出張というのは非常に責務の重いものであり、また、国民に対して成果を残さなければなりません。それからいうと、今回の御家族同伴は、極めて大臣御自身の情緒的な安定やあるいは将来の女性の働く姿にとって貢献があったのではないかと想像する反面、一方で、総務大臣としての職責を国際社会において果たす、それに徹するという意味においては、一つのハンディキャップといいますか、重荷になった面もあるのではないか、そこを冷静に聞きたかったわけであります。

野田国務大臣 まず、抜けている日程とすると、一月九日の夜は、大使との懇談会を持ちまして、フィリピンの情勢についていろいろと、よく御存じだと思いますけれども、そういう機会をいただきまして、相当遅く、どんどんずれ込みまして、たしかドゥテルテ大統領と会談を終えたのが相当遅い時間になって、結局、スタートが八時、九時ぐらいの会食になってしまったことを記憶しています。

 次の日は、こうやって公務をやった後、夜、リオ大臣代行との会食をセットしようと思ったんですけれども、夜、御都合がつかないということで、実は、一月十一日の朝の朝食兼懇談会というふうに日程をつくらせていただきました。よって、一月十日の夜は、そういう会合は持ちませんでした。ただ、記者懇とかそういうものをもろもろ入れて、大体ホテルの居室に戻ったのが七時半ぐらいだったと記憶しています。

小川委員 大変非情な質疑者に映っているかもしれませんけれども、やはり、私一つ思いますのは、家族の事情というのは本当にさまざまなんですよね、どの家庭も。それは、見えるものもあれば、見えないものもあります。そういう中で、その人なりに、どう家庭とそして仕事、社会との接点を、バランスをとっていくのかというのは、それぞれの家庭なりに苦労があると思います。

 一方、やはり、残酷なようですが、総務大臣の職責というのは、重ねて、極めて重く、そして、なかなか生半可で務まるものでもない。そういう状況の中で、都度、本当に重ねての負荷になることは恐縮ですが、やはりそこらあたりの説明責任なり、あるいは成果と課題に対する御本人なりのシビアな評価なり、そういったものについては、職責の重さに鑑みて、改めて、なおざりにはしていただきたくない、そのことは申し上げたいと思います。

 済みません、大臣、インフルエンザはもう完治されているんですかね。私も、本当にちょっと風邪で体調が悪くて、申しわけない、ちょっと聞き取りにくい面もあろうかと思うんですが、最後に、地方税についてお聞きします、三分。

 その前に、私、ちょっとこの森林環境税は違和感があるんですよね。三十五年までせっかく復興関連の千円の住民税を国民に御負担いただき、三十六年からそれが衣がえして森林環境税になるということは、これは人頭税ですから、所得にかかわらず一律千円というのは極めて重い税のかけ方ですから、慎重であるべきだ。森林環境税には極めて大きな違和感を感じています。

 それから、お聞きするのは、もうこの一点に絞ります、基礎控除についてです。

 私の理解では、基礎控除は、当該納税者の最低生計費に係る部分、そこには租税は介入しないという、ある種の租税世界の理想論であり、理念であり、哲学であり、ある種の制度的な美しさが込められている制度が基礎控除。同様に、配偶者控除、そして扶養控除、これも基本的に、養うべき家族の最低生計費には租税は介入しない。そこには所得の多寡は関係ない。たとえ富裕層にも、億万長者にも、租税法上評価されるべき、しかるべき最低生計費というものがある。そういった考えを背景に存立してきた制度です。ここに所得制限を持ち込んで、配偶者控除からそうですが、所得再分配にこの控除、基礎的な控除を利用するということは、極めて制度の趣旨にもとる。

 その点、民主党政権のときは、森林環境税に関連して言えば、きちんと地球温暖化税を創設しましたよ。石油石炭税に上乗せをしてやった。所得再分配に関しては、きちんと最高税率を引き上げた。筋の通った対応をしてきています。

 このわけのわからない森林環境税を創設するぐらいなら、石油石炭税、地球温暖化対策税を増税すべきだ。基礎控除に所得制限を入れるような邪道なことをせずに、こそくなことをせずに、最高税率の引上げなり、ブラケットの見直しなり、正々堂々と正面から高所得者に負担を求めるべきだ。

 野田大臣、いかがですか。

野田国務大臣 基礎控除の話ですが、他の控除と組み合わせ、一定の所得金額までは税負担が生じないという課税最低限を構成するものです。

 今、小川委員の御指摘のような考え方もあると聞きました。しかし、私、今総務大臣として、現行のお預かりしている所得課税については、制度上、いわゆる生計費に相当する額を非課税としているわけではなく、公的サービスを賄うための費用について、どの範囲の方に負担を求めるのが適当かといった観点も踏まえて基礎控除等を設け、一定の所得金額までは非課税としているところです。

 今回の見直しにおいては、基礎控除について、主要国、例えばアメリカとかイギリスの制度なども参考にして、人的控除の中で最も基本的な控除であることを踏まえつつも、高所得者まで税負担の軽減効果を及ぼす必要性は乏しいという指摘も踏まえ、所得が一定額を超えると控除額が逓減、消失する仕組みというのを導入いたしました。

小川委員 まさにそこが本質的に議論のあるところで、やはり筋目の通った対応を重ねていくべきだということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 総務委員会では初めての質問です。皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、最初に野田総務大臣に、先週、本会議で代表質問をさせていただきましたので、幾つか質問をさせていただいた後に、地方創生、特にきらりと光る地方大学づくり、その後は放置竹林、日本全国に今竹林が放置されている、急速に拡大している問題、これについて質問をさせていただこうと思います。

 まず最初に、野田総務大臣に、地方公共団体の基金残高の問題、これを質問しようと思っていましたけれども、多くの同僚議員に答えられていますので、引き続き、基金残高を理由として地方交付税が削減されることがないように頑張っていただきたいと思いますので、簡単に決意だけお願いいたしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 しっかり取り組みます。

井上(一)委員 これも同じですけれども、地方交付税の法定率について。これについては、総務省、平成三十年度予算の概算要求において事項要求していたということでありますけれども、法定率の引上げは平成二十七年度以降実現していないというふうに聞いております。

 大臣は、「今後とも、歳入面では、地域経済の好循環を一層拡大することなどにより地方税等の増収を図るとともに、地方交付税を安定的に確保することが重要です。」というふうに答弁していただきました。

 地方財源不足の解消に向けて、法定率の引上げに、これはやはり粘り強く取り組んでいく必要があると思いますけれども、大臣の決意を伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 本当に御指摘のとおりで、各委員からもそのお話がございまして、本来ならば法定率の引上げをしっかりやって地方交付税を安定的に確保することが望ましいわけですが、御承知のように、今、国そして地方とも非常に財政的に厳しいということもあって、大変な状況になっています。

 引き続き、粘り強く政府部内で取り組んでいきますので、さらなる御支援をお願いしたいと思います。

井上(一)委員 大臣への質問は以上なんですけれども、ちょっとやりとりの中でまた感想とかを聞くことがあるかもしれませんので、よろしくお願いいたします。

 次に、まち・ひと・しごと創生事業費の関係で、これも代表質問で聞いたんですけれども、まち・ひと・しごと創生総合戦略の期間である平成三十一年度までは継続し、少なくとも一兆円規模を確保するとの方針が示されておりますけれども、三十二年度以降の取扱いは決まっておりません。この点について麻生財務大臣に質問で聞いたところ、これについては、まち・ひと・しごと創生総合戦略の取扱いなどを踏まえて検討するというふうに答弁をされました。

 私としては、やはりこの地方創生というのは我が国の最重要課題の一つであって、引き続き精力的に取り組んでいく必要がある課題だと思っております。

 地方が長期的視点に立って地方創生の取組を進めていくことができるように、このまち・ひと・しごと創生総合戦略の第二弾というか、次の戦略について、これはいろいろ議論が出ていましたけれども、これまで成果が出ていない要因も含めて、早急に検討を開始すべきだと考えておりますけれども、地方創生担当の長坂政務官のお考えをお伺いしたいと思います。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 まち・ひと・しごと創生法におきまして、国はまち・ひと・しごと創生総合戦略を定めることが義務づけられております。また、二〇一四年十二月に閣議決定されましたまち・ひと・しごと創生長期ビジョンにおきましては、中長期展望として、二〇六〇年に人口一億人程度を維持することが示されておりまして、地方創生は中長期にわたり取り組む必要があると考えております。

 そのため、今後、現行の二〇一九年度までの総合戦略の総仕上げを目指すとともに、その進捗状況について点検を行った上で、二〇二〇年度以降の次期総合戦略の策定に取り組んでまいりたいと考えております。

井上(一)委員 それでは、きらりと光る地方大学づくり、これについて質問をさせていただきたいと思います。

 安倍総理は、所信表明の中で、高知大学を例に挙げまして、「オランダと協力し、世界レベルの園芸農業研究を行う高知大学には、フィリピンやケニアなど世界中から学生が集まり、日本人学生の九割は県外からやってきます。 地方への若者の流れを生み出す。先端科学、観光、農業など特定の分野で世界レベルの研究を行う、キラリと光る地方大学づくりを、新たな交付金により応援します。」というふうに述べられております。

 私の地元にも公立大学で福知山公立大学というのがありますので、このきらりと光る地方大学づくり、それに伴う地方創生には大いに期待しているところでありますので、このきらりと光る地方大学づくりについて、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 まず、新たな交付金の対象となる地方大学、これは等となっているんですけれども、地方大学等の範囲を教えていただきたいと思います。

 先ほど申し上げた福知山公立大学のほかに、二年制の京都府立農業大学校というのが綾部にあるんですけれども、こういう専門の大学校は対象にならないのでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の新たな交付金でございますけれども、これは、概要を申し上げますと、首長のリーダーシップのもとで、産学官連携による地域の中核的産業の振興、そしてまた専門人材の育成などを行うすぐれた取組を重点的に支援するということでございます。これによりまして、日本全国そしてまた世界じゅうから学生が集まるような、きらりと光る地方大学づくりを進めるということでございます。

 先生御指摘の対象となる大学でございますが、こういった目的を達成するために、地方創生に資する取組を行う国公私立の大学、これは短期大学も含みますが、国公私立の大学が交付金の対象となるものでございます。

 また、こうした大学の取組にあわせまして、高等専門学校あるいは専門学校、農業大学校等の機関が取組を行う場合も、交付の対象となるというふうに考えてございます。

井上(一)委員 確認なんですけれども、大学が入るのがマストで、それ以外の専門学校等は、入ることができるという理解でよろしいでしょうか。

松尾政府参考人 はい、おっしゃるとおりでございます。

井上(一)委員 これから始める事業ですので、今後の取組を見ていく必要はあると思いますけれども、専門の大学校とか高専、こういうものが単独で主体となれるような検討も、今後していただければというふうに思います。

 次の質問です。

 私としては、やはり、地方を創生する、それからきらりと光る地方大学をつくるという理念であれば、まさに人口が少ない地域に所在する大学を念頭に置いてほしいと思っておるのですが、東京圏や大都市圏の大学等も対象になるんでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 新たな交付金でございますが、これは東京圏以外の大都市圏の大学も対象としてございます。

 また、東京圏の大学についてでございますが、これは地方の取組におきまして、その知見、大学が持っている知見を活用する場合などに交付金の対象となり得ます。

 しかしながら、その審査に当たっては、これはそもそもの目的が地方への新しい人の流れづくりということ、それを通じて東京の一極集中の是正ということでございますので、そういった観点もしっかりと審査項目としたいというふうに考えてございます。

井上(一)委員 続きまして、この新たな交付金の総額、それから採択予定件数、一件当たりの交付予定額、これを教えてください。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 新たな交付金でございますけれども、これは合計して七十億を、今、三十年度の予算案に計上してございます。

 具体的には、地方大学・地域産業創生交付金二十億、そしてまた地方創生推進交付金活用分五十億、この合計の七十億でございます。

 また、この交付金でございますけれども、国の有識者委員会におきまして、中核的な、先ほど申し上げました中核的な産業の振興、そしてまた専門人材育成などにつきまして、地域が一丸となって本気で改革に取り組むすぐれた事業に限定して採択をするということになってございます。

 現時点で交付予定件数は決まっておりません。むしろ、件数ありきということではなくて、事業内容次第で交付を決定するということにしてございますが、一計画当たりの国費の上限の目安額は七億円程度というふうになってございます。

井上(一)委員 そうすると、まだ採択予定件数は決まっていないということですけれども、仮に七億とすると、多分十件程度になるんだと思いますけれども、この七億の根拠というのは何かあるんでしょうか。

松尾政府参考人 他のさまざまな事業を勘案して七億としてございますけれども、事業全体で申し上げますと、これは基本的には交付金でございますので、全体の事業のベースといたしまして、二分の一補助でございます。それに加えて、例えば先端的な事業等々であれば、二分の一ではなくて三分の二あるいは四分の三という補助になるわけでございまして、そういうことも勘案いたしまして、一計画当たりの国費の上限の目安は七億円程度ということにしてございます。

井上(一)委員 これも私、代表質問の中で、きらりと光る地方大学づくりによって、具体的にどの程度、東京圏への転入超過を減らすことができるとお考えでしょうかという質問をさせていただいたんです。

 梶山大臣は、「こうした取組により、」これはきらりと光る地方大学づくりによる取組のことを指しているというふうに思いますけれども、「東京圏への転入超過数の大部分を占める十五歳から二十九歳の若者について、地方への修学、就業が促進され、東京圏への転入超過の緩和に寄与するものと考えております。」というふうに答えられたんですけれども、先ほどの採択予定件数、恐らく最高でも十件程度だと思いますけれども、これだけだとなかなか、正直、東京圏への転入超過の緩和に寄与するのかなというふうに思っております。

 やはりもっと大胆に取り組まないと、なかなかその転入超過の緩和に寄与するというところまではいかないのではないかなということで、これは安倍総理大臣も予算委員会の中で言っておられましたけれども、この十五年間で、地方から五百万人若者が消失した、減少したわけであります、若者こそが地方の活力の源泉でありますというふうに言っておられますので、私としては、これからの取組だと思いますけれども、各都道府県、都については議論があるところかもしれませんけれども、最低一つぐらい採択するというような取組をしてもよいのではないかというふうに考えますけれども、長坂政務官、その辺はいかがでしょうか。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほども政府委員が申しましたように、新たな交付金は、首長のリーダーシップのもと、産官学連携によりまして、地域の中核的産業の振興や専門人材育成などを行うすぐれた取組を重点的に支援するものでございます。

 したがいまして、各地方自治体に一律的に支援することは適当ではなく、地域が一丸となって本気で改革に取り組むすぐれた事業に限定し、めり張りのある支援を行う必要があると考えております。

 こうした取組によりまして、東京圏への転入超過数の大部分を占めます十五歳から二十九歳までの若者について、地方での修学、就業が促進され、東京圏への転入超過の緩和に寄与するものと考えております。

井上(一)委員 東京圏への転入超過の緩和に寄与するという観点もぜひ取り入れていただきたいというふうに思っています。

 次の質問ですけれども、地方公共団体は、この計画案の作成に当たって、大学及び事業者等と地域における推進会議を組織するというふうになっておりますけれども、この事業者等というのはどういう業種を念頭に置かれていますでしょうか。先端技術のみならず観光事業とか文化事業、こういうのも幅広く含まれると認識していますが、それでよろしいでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の分野でございますけれども、例えば、今先生言われたように、先端科学、先端技術、そして観光、農業といった分野を想定しておりますけれども、特に国といたしまして特定の分野を限定するということは考えておりません。これはあくまでも地方公共団体がその地域の中核的な産業の振興を目指すということでございますので、自主的、自立的に分野を選択していただきたいというふうに考えてございます。

井上(一)委員 わかりました。ありがとうございます。

 これで、新しい交付金の申請に当たって、地方公共団体が作成する計画においては、当該計画の地域内における産業の雇用者数の増加数、地元就職・起業者数をKPIとして設定すると。KPIというのはその目標値のことだと思いますけれども。余りにこの手続のハードルが高いと、小さい地方公共団体であると、申請すらなかなか尻込みしてしまうんじゃないかというふうに思いますけれども、こういう意欲のある小さな地方公共団体が名乗りを上げたいといったときには、国が全面的にサポートするようにしていただきたいと思いますけれども、長坂政務官、いかがでしょうか。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 新たな交付金につきましては、支援対象経費や支援規模等を踏まえますと、地域において一定の産業や大学等の集積がある都道府県や政令指定都市からの申請が中心となると想定はいたしておりますけれども、委員御指摘のような、意欲のある市町村からの申請も可能であると考えております。申請に当たりましては、市町村も含め、地方公共団体から直接国へ申請することを想定しております。

 国といたしましては、これまで、本交付金への申請を検討しております地方公共団体に対して事前相談を実施するなど、きめ細かに対応してきたところであります。今後も引き続き、地方公共団体における検討や申請の負担感の軽減に努めてまいりたいと考えております。

 また、KPIのお話がございました。

 事業を効果的、効率的に実施するとともに、効果検証によりPDCAサイクルを実施するためには、KPIの設定は必要不可欠なものと考えております。

 国といたしましては、KPIの設定の仕方等も含めまして、地方からの事業前の相談等に丁寧に対応してまいりたいと考えております。

井上(一)委員 採択する場合に、やはり特定の地域とか特定の事業に偏ることがないようにしないといけないと思いますけれども、採択する際の審査基準、これはどのような内容になって、審査は誰が行うことになるんでしょうか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 具体の審査でございますけれども、先ほど申し上げましたような、地域の自立性、地域の優位性、あるいは地域全体への波及性、産業振興とそして専門人材育成の一体性、KPIの実現の可能性などの基準により、多面的な観点から実施をするということになります。

 また、計画認定に当たりましては、国の有識者委員会において専門的、客観的に審査を行うこととしておりまして、地域が一丸となって本気で改革に取り組むすぐれた事業を重点的に採択をしていきたいというふうに考えてございます。

井上(一)委員 認定された場合に、地方公共団体に対して国も積極的に人の派遣を行うとか有識者を紹介するなど支援すべきだというふうに考えていますけれども、長坂政務官、いかがでしょうか。

長坂大臣政務官 本交付金において認定されました事業の円滑な実施のために、国といたしましては、委員おっしゃるような、専門的な知見を有する有識者委員会や専門調査機関による助言を行うなど、地方における自主的、自立的な取組を伴走的に支援してまいる予定でございます。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 それでは次に、放置竹林、竹林をそのままに放置していく問題について質問をさせていただきたいと思います。

 今、日本各地でこの放置竹林が問題となっていて、竹林というのは、低い樹木を枯れさせて周囲を竹林化させてしまうということで、水源涵養とか土砂の崩壊防止、二酸化炭素吸収などの機能低下、それからイノシシなどの害獣への餌場、隠れ場所となるということで、非常に危惧されております。竹は、縦に根が生えるのではなくて横に根が生えますので、特に傾斜地では崖崩れの危険性を高めるというふうに言われております。

 私の地元でも、舞鶴市に千三百五十一ヘクタール、東京の小さな区と同等の面積ぐらいになるらしいですけれども、福知山に六百ヘクタール、綾部に約三百と、いろいろなところにあるんですけれども、これで大きな問題となっております。

 まず、林野庁に、この全国各地の放置竹林の問題についてどのように認識されているか、伺います。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 竹は、昔から身近な資材として生活に利用されてきましたけれども、代替材の普及や安価な輸入品の増加などによりまして利用が減少し、管理不足の竹林が多く見られるような状態になってきております。

 竹林の管理が不足いたしますと、先生御指摘のように、竹林が荒廃いたしまして、景観の悪化ですとか隣接施設への倒伏による支障、損害のほかに、周辺の森林への竹の侵入によりまして植栽物の生育を阻害するなどの悪影響があるのではないかと懸念しているところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、森林、山村の多面的機能発揮対策や森林整備事業によりまして、竹材利用のための竹林の整備や、侵入した竹の除去などを支援しているところでございます。

井上(一)委員 この放置竹林対策としては、竹の伐採、それから遮蔽板の埋め込み、除草剤によって竹を枯れさせるなど幾つか方法があるらしいのですが、やはり竹材の利用をふやしていくということが重要じゃないかと思っていますけれども、この点については、林野庁はいかがお考えでしょうか。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、竹林の適切な管理を進めていくためには、竹の利用拡大を通じて、竹林からの伐採、搬出を進めていくことが重要だと認識をしております。

 このため、農林水産省では、現在、竹の利用拡大を図るために、竹の加工品などの市場調査や製品開発、販売促進の活動を支援しているほか、竹材の生産、加工、流通施設の整備、竹林から低コストで竹を伐採、搬出する技術の開発もあわせて支援をしているということでございまして、今後とも竹の利用拡大を進めてまいりたいと考えております。

井上(一)委員 平成三十一年度に森林環境譲与税、これが創設されるということで、きょうも議論になっておりましたけれども、この平成三十年度税制改正の大綱の中では、市町村は、森林環境譲与税を間伐や人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用に充てなければならないというふうにされております。

 この使い道については、限定的なものなのか、それとも例示的なものなのか、具体的にどのような内容を想定しているのか教えていただきたいと思います。

 私としては、先ほどの放置竹林の問題を解決するためには竹材利用を促進することが重要であり、この竹材を利用する加工業者等の支援もできるような内容にぜひしていただきたいと思っておるのですが、奥野副大臣、いかがでしょうか。

奥野副大臣 森林環境譲与税というものが創設されるわけですが、これは森林環境税とセットで議論をしないとなかなか答えが見えないということだろうと思います。

 その二つの税は、パリ協定の枠組みのもとで、我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止を図るため、森林整備に必要な地方財源を安定的に確保して供給する観点から、平成三十一年度税制改正において、最初に森林環境譲与税をセッティングして、そして三十六年から森林環境税を実施する、こういうことになっているわけであります。これは皆さん方御案内だろうと思いますが。

 今委員から御紹介のあったとおり、市町村分にかかわる森林環境譲与税の使途については、平成三十年度税制改革の大綱において、今おっしゃられたように、間伐や人材育成、担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用として使える、こういうことになっているわけでありまして、これを、では誰がどういうふうに使っていこうかということを決めるかというところがまた次のポイントだろうと思いますが、これは、各市町村といいますか、各地方団体において、こうした使途の範囲内で、それぞれの地域の実情に合わせて考えて、森林の整備及びその促進に対する事業を幅広く弾力的に実施できるものだと私どもは考えているわけであります。

 具体的に言えば、私もエンジニアなものですから余り詳しくわかりませんが、竹といえども植物であり、竹林といえば、あれは森林だというふうに理解できますので、使えるように、使えるものだと私は解釈しておりますけれども、徹底のため必要であれば、私どもの方からそういう、農林水産省とちゃんと議論をした上で、市町村の方へ展開するようなことも考えていきたいな、こういうふうに考えます。

井上(一)委員 奥野副大臣、ありがとうございました。

 私としては、やはりこの放置竹林の問題を解決するということは非常に重要だと思いますので、ぜひまた御支援ください。

 では、どうもありがとうございました。

古屋委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 きょう最後のバッターになりました。いつもは午前中にやることが多いのでありますけれども。皆さんお疲れさまでございます。最後、頑張っていきたいと思います。

 先ほど、小川委員の方からの質問時間の話がございました。一昨年でしたか、重要広範になって、たしか十四時間、総理も入っていただいて十四時間審議したこともあったんですね。やはり、この地財、税法というのは予算の最も大きな根幹部分ですから、もう少ししっかり時間をとって議論してもいいというように私は思います。

 十四時間、あのときはしっかりやれたんですね。ですから、今回九時間、私はちょっと短い気がするんです。我々野党からしても、去年も九時間だったんですが、持ち時間、与党一時間の野党八時間でやっていました。今回は与党が二時間とられて野党が七時間。野党の我々からすると、非常に残念、時間が短い。これだけ広い範囲、税法にしても地財にしても、ありとあらゆることが詰まっているわけですから、もっとしっかり時間をとって議論していただきたいと思います。

 よく、与党の方から予備日を使いたいと、この体制になってから頻繁に申出があるんですが、予備日を使ってもいいんですよ、いいんですけれども、例えばあしたは金曜日じゃないですか。予備日を使ってもう一日これをやってもいいぐらいなんですよ。与党の皆さんも質問したければどんどん質問して、しっかり時間をとって議論することが私は大事だと思います。

 この問題の本質は、いかにきちんと議論をしていくか、いかに時間をとって議論を尽くすかということじゃないでしょうか。ですから、与党の理事の皆さんも、ぜひ、そこを踏まえて、官邸を見ながらじゃなくて、後ろを見ながらじゃなくて、しっかり議論していきたいと御提案をさせていただきたいと思います。

 それでは、質問に入っていきたいと思いますけれども、幼児教育の無償化について、地方の方、私の地元もそうですし、政令市、主として大都市、中核都市だと思いますが、地方負担があるんじゃないかとすごく懸念する声が上がっています。彼らにすると寝耳に水なわけですよね。全然何も相談を受けていない、聞いていないと。

 それはそうでありまして、私も、幼児教育の無償化、教育の無償化は賛成であります。党の憲法調査会の方でも無償化の案文を今つくっているところでありますから、そのこと自体は賛成なんですよ。

 ただ、我が党は、自民党案と違うのは、同じ教育無償化でも、同時に財政再建条項を憲法に入れよう、こういう議論をしています。というのは、野方図にお金をばらまいてもよくない、きちんと財源のめどをつけて議論すべきだ、それはやはり憲法にもきちんと書いておくべきだということで、教育の無償化を憲法に入れるんだったら、同時に財政再建条項、中長期の財政均衡を求めるような条文を憲法に入れられないかという検討も今しているところなんですね。

 今、気になるのは、選挙の直前に幼児教育の無償化というのがぼんと打ち上がって、生煮えの議論じゃないか。財源、確かに、新しい政策パッケージの中に書いてはあるんですね。書いてはあるんですが、よく読むと、「消費税率の二%の引上げにより五兆円強の税収となるが、この増収分を教育負担の軽減・子育て層支援・介護人材の確保等と、財政再建とに、それぞれ概ね半分ずつ充当する。前者について、新たに生まれる一・七兆円程度を、本経済政策パッケージの幼児教育の無償化、「子育て安心プラン」の前倒しによる待機児童の解消、」云々かんぬん「介護人材の処遇改善に充てる。」というふうに書かれています。

 たしか、消費税二ポイント分というのは五・六兆円に当たるわけですね。その半分、二・八兆円を財政健全化に充てると言っていますが、もともと後代への負担のツケ回しの軽減といって、四兆円財政再建に充てると言っていた部分が、二・八兆円に恐らく減ってしまったのだろうということだと思います。

 それから、残りの二・八兆円について、もともと、一・一兆円分、社会保障の充実、安定化の財源に使う、そういう決め事があったと思うんですね。二・八引く一・一で一・七兆円分が、ここに言っている、子育ての無償化であったり保育士の処遇改善であったり高等教育の無償化であったり介護人材の処遇改善に充てられる、こういうふうに読めるわけです。

 もう一度確認したいんですが、消費税を八%から一〇%に引き上げる、これは三党合意とか、八%に引上げ時とか、もともとの取決めはどうで、それが今回どう変わったのかということを改めて伺いたいと思います。

    〔委員長退席、原田(憲)委員長代理着席〕

大島政府参考人 お答えいたします。

 消費税が八%から一〇%に引き上がりました際の増収分五兆円強、仮にこれを一%当たり二・八兆円と置けば五・六兆円ということになりますが、そこにつきまして、これまで想定していましたのは、先生がおっしゃいましたとおり、従前は一・一兆円程度を社会保障の充実に充てる、残りを社会保障の安定化あるいは財政の健全化に充てるということとしておりました。

奥野(総)委員 そうなんですよね。

 ですから、まず、そこで財政再建に充てる分を減らしました、それを子育て支援とかいろいろなところに回していこうという新たな使い道をつくった、それが一・七兆だということなんですよ。ですから、その分、当然、地方も国も財政健全化が遠のくということになるわけですよね。

 もう一点伺いたいんですが、この一・七兆円の内訳ですね。これは、閣議決定、政策パッケージを見ても、一・七兆円程度を幼児教育の無償化、待機児童の解消、保育士の処遇改善、高等教育の無償化、介護人材の処遇改善に充てると書いていますが、これは内訳はどうなんですかね。それぞれ幾らぐらい、幾らとお考えでしょうか。

    〔原田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

大島政府参考人 新しいそのパッケージで定められました内容につきまして、詳細はまだ、例えば幼児教育の無償化の、認可外保育施設に対する取扱い等決まっていないところもございまして、現時点で正確な積算をすることは困難な状況がありまして、実質的に制度がスタートします二〇一九年度以降の各年度の予算編成過程の中で明確にしていくことになると考えております。

奥野(総)委員 新聞記事なんですが、これはいつかな、日経か何かだったと思いますが、幼児教育と保育の無償化には約八千億円、大学や専修学校など高等教育の無償化にも約八千億円、それから介護人材には約一千億円、保育士には三百から四百億円という記事が出ていますが、これは大体合っているんですか。

大島政府参考人 今の中で、保育の受皿整備につきましては、これは大体三千四百億ぐらいで、子育て安心プランの中で額が決まっておりますが、幼児教育の無償化ですとか高等教育の無償化につきましては、まだ中身の詳細で議論を要するところが残っておりまして、それらにつきましては、まだ額が幾らになるかは今の段階ではきちんと積算ができない状況であります。

奥野(総)委員 これは、では逆に、その一・七兆という数字はどうやって出てきたのかということだと思うんですよね。いや、読むとすっと頭に入ってきて、半分ですね、半分を財政再建、将来世代へのツケ回しをやめます、残り半分のうち一・一兆円は使い道が決まっていますから、一・七兆円がそういった幼児教育の無償化等に充てられますよ、こう言っているんですが、そもそもどうやって、半分は財政再建、半分はと決まったのか。

 普通なら逆で、きちんと積算が、ある程度の積算ですよ、細かい積算はなかなか難しいのかもしれませんが、ある程度のめどが立っていないとこんな数字は出てくるはずもないし、しかも、やはり、PB、プライマリーバランス、財政健全化目標とか言っている中で、反対に、それをえいやで二・八兆、今まで四兆円、財政の健全化に充てると言っていたものが、一兆円ぼんと減らす。腰だめでいいわけがないので、もう一度伺いますが、ある程度の積算はあったんじゃないんですか。

大島政府参考人 人づくり革命として実施します項目は、全体で二兆円規模のパッケージとしておりまして、一・七兆円の消費税と〇・三兆円の企業からの拠出金によって成り立っております。

 このそれぞれの内訳につきましては、あらあらの構成の規模といいますか、規模感を持っております。

奥野(総)委員 それで、さっきの話に戻りますが、そのあらあらの規模というのは、今、私が言った数字、保育の無償化、幼児教育の無償化が八千億、高等教育の無償化、無償化と言っていいかどうかあれですけれども、高等教育への支援が八千億、それから、介護人材が一千億、保育士は三百から四百億、これも世上、結構評判が悪くて、保育士さんの賃金を引き上げなきゃいけないときに、こんなんで足りるのかという批判も浴びていますが、もう一度確認しますが、あらあらの数字というのはこれでいいんですか。

大島政府参考人 今の段階で設計が決まっています子育て安心プラン、保育の受皿は、先ほど申し上げました三千四百、介護の賃金上昇が一千億、それから保育士の処遇改善が二百億でございますが、幼児教育の無償化と高等教育の無償化につきましては、今後まだ制度設計の詳細が残っておりまして、現時点で幾らの金額かというのは出しておりません。

奥野(総)委員 確認しますが、保育の方は三千四百億、それから保育士さんの方が二百億で、三千六百億、それから介護人材が一千億で、四千六百億は決まっていますよと。そうすると、それは一・七兆以内なんですか、それとも、企業が出す三千億というのは、それはどこに入るんですか。

大島政府参考人 保育の受皿に入りますので、二兆円の中ということになります。

奥野(総)委員 ちょっとごめんなさい。そうすると、計算で、今、四千六百億が決まっていますよと。では、その四千六百億の中に三千億が入っているということですかね。ということは、二兆から、四千六百億と、一兆五千四百億円が、幼児教育の無償化、保育の無償化、それから高等教育の支援、無償化見合いということでいいんですかね。

大島政府参考人 そういうことでございます。

奥野(総)委員 大体、そうすると、あらあらこの記事も合っていて、これ以上聞いても答えてくれないでしょうが、大体七千億から八千億、それぞれということで大体いいんですかね。もう一度。

大島政府参考人 両者合わせた中においては、そのとおりでございます。

奥野(総)委員 それで、改めてまた伺いたいんですが、これは、先ほどの話ですが、地方自治体が負担を求められるんじゃないか、こういうことで、横浜市も試算をして、約五十億負担しなきゃいけないんじゃないかとか、あるいは、中核市の皆さんなどが、地方自治体に負担を生じさせず、国の責任で着実に推進をという要望を出しているとか、いろいろ記事になっています。

 これは、今、保育園について言えば、三分の一が親御さんが負担されて、残りの三分の二を国と地方で、二対一対一ぐらいですかね、国が半分、それから、その残りの半分を県と市町村で分けている、二対一対一で分けているということになると思うんですが、普通に考えれば、例えば保育だけ見れば、その三分の一のところを無償にするわけですから、同じ割合で案分しようと考えても不思議じゃないんですが、そこはどうなんでしょうか。

大島政府参考人 現行の保育所の施設型給付は、国が二分の一、県が四分の一、市町村が四分の一。一方、新しい子ども・子育て制度に移行していない幼稚園は、国が三分の一、市町村が三分の二となっておりますが、今回の幼児教育の無償化におきまして、地方の負担割合をどうするかにつきましては現時点では決まっておりません。

 今後、総務省を始めとする関係省庁と連携して検討していく予定にしております。

奥野(総)委員 では、今の時点で、負担がないとはっきり言えますか。

大島政府参考人 現時点では、負担がある、ない、あるいは負担割合が幾らということは決めておりません。

奥野(総)委員 繰り返しになりますが、今までも負担をそれぞれ地方に求めてきたわけですよね。ですから、当然、残りの部分、保護者の方が負担した部分について案分するということは検討されているんでしょうか。

大島政府参考人 先生御指摘のように、今ある運営費の仕組みに国と地方が分担しているというのはそのとおりでございまして、ただ、保育所と幼稚園で割合も違っていますし、それらも踏まえて、今回の幼児教育の無償化の国と地方の負担割合をどうするかというのは、現状も踏まえて当然考えることにはなると思いますが、現時点ではまだ、こういうふうにする方向だとかいうこともまだ決まっておりません。

奥野(総)委員 これは否定できないと思うんですよね。制度上、そういうふうにこれまでもやってきているわけだから、当然、そこだけ国が全部見る、役所の側からすると、国が全部見るという話にはなかなかならないということですよね。もう一度。

大島政府参考人 現状の仕組みを前提とすれば、地方も一定程度負担するということが常識的な考えではないかとは思います。

奥野(総)委員 ようやく認めていただきましたけれども、なかなか大変なんですが。

 要するに、負担になるんでしょうということを前提に、総務大臣にここで伺いたいんですが、普通にやれば半分、半分は地方、県と市町村が持つ、半々になるということですね。新たに発生する負担について、これまでの例によれば、国と地方が折半して負担しなきゃならないということに恐らくなるんですが、これに対して、非常に地方から不安の声が上がっている。

 私は千葉市なんですが、千葉市長は非常によくやって、頑張っていますが、千葉市長なんかも、何の話も国から今は受けていないんだと、しかも、何十億というお金が地方が求められるかもしれない、少なくとも相談があってしかるべきだし、もともと、社会保障、千葉市は一生懸命子育て支援とかやっていますから待機児童もほとんどいなくなっていますから、更に充実に使いたいところが持っていかれるのは非常に残念だ、こう言っているわけですよ。

 地方自治所管の大臣として、どう思われるか。地方負担はどの程度発生する、そもそも今、総務省に相談がこれはあるんですか。大臣はそれを認めておられるんですか。

野田国務大臣 幼児教育無償化というのは、先ほど奥野委員も進めるべきだと、私もそう思っていましたし、なかなかそういうことがこの国でできないなという中、ようやく具体の動きが出てきたということは肯定的に受けとめていきたいと思います。

 これまでも、幼児教育無償化については、国、地方が負担を分担しつつ、段階的に無償化の範囲を拡大してきたところです。

 今回は、特に人づくり革命ということで、デフォルメして、幼児教育の無償化について、国、地方を通じて、消費税の一〇%への引上げ、これによる増収分などを活用することということは決まっています。ただ、国と地方の役割分担や負担のあり方の詳細については、今後整理していくことになるわけです。

 今、不安の声を聞いているということで、私自身も地方の皆さんからそういうお声は聞いているところです。

 いずれにしましても、地方団体が、幼児教育の無償化を着実に進めながら、そして、安定的な、これまでの仕事の財政的な運営を行えるよう、財源の確保に努めていきたいと思います。

奥野(総)委員 ちょっと視点を変えますが、これは八から一〇に上がることで大体増収が幾らぐらいになるんですかね、地方消費税分の増収分と交付税経由で来る分とありますから、これは八から一〇に上がるときに大体どのぐらい増収になるのかということを伺いたいと思います。

小倉大臣政務官 お答えをいたします。

 消費税率の八%から一〇%への引上げに伴う地方の増収分につきましては、消費税率を、一%を二・八兆円として仮定した場合、地方消費税分がおよそ一・四兆円、地方交付税法定率分が〇・三三六兆円でございますので、合わせまして平年度でおよそ一・七兆円と見込まれます。

奥野(総)委員 もともとそこは想定されていて、一・七兆円ふえるんだろうと。そのうち使途が決まっていたのは、さっき言った充実分の一・一兆円の地方負担分が恐らくもともと決まっていたんですね。そこに今度新たに、今言った地方負担、幼児教育の無償化、保育の無償化の地方負担、大学、高等教育は地方負担があるかどうかちょっとわかりませんが、新たな負担が加わってきたわけですよ。

 今、大体、伺うと、一・五兆円ぐらい、高等教育と幼児教育、合わせて一・五兆円ぐらい。このうち地方負担が幾らになるかわかりませんが、かなりの部分、そのふえるはずの一・七兆円の中に食い込んでいくということだと思います。

 これは、それぞれ自治体の皆さんは増収を当てにして、これまでも非常に厳しい財政を乗り越えてこられたわけですよね。税収がなかなかふえない中で、後で触れますが、人件費を減らしながら、投資的経費を減らしながら、苦しい中、社会保障費を吸収してきた。これからますますふえていく中で、この消費税の増収分というのは虎の子の増収だと思うんですね。そこにいきなり新たにまた負担を求められる。

 しかも、これは急ですよね。さっきも言いましたけれども、去年の選挙直前、まさに選挙のためと言ってもいい、直前のタイミングで、よく詰めないままに、しかも地方の皆さんに相談もないままに、こういう負担が新たに課されたわけであります。

 これは、心配する声、例えば都市部などでは無償化によってもっと潜在的な保育の需要がふえるんじゃないか、こういう声も出ていますよね。場合によっては赤になってしまうと。無認可をどうするかとか、預かり保育をどうするかなんという話もありますが、需要が喚起されてみんなが預け出すと、地方負担分を求めた場合に、せっかく来た消費税の増収分も赤になってしまうんじゃないか、こういう心配をする声も、これも記事になって出ていましたけれども、あります。

 大臣にもう一度伺いたいんですが、地方負担についてどう考えるか。国として、例えば、じゃ交付税をふやすとか、あるいは別の交付金をつくるとか、地方負担を減らすような措置はお考えなんでしょうか。

野田国務大臣 奥野委員がずっとお話をされているとおり、幼児教育の無償化という、幼児教育については、国のみで実現できるものではなくて、やはり地方との連携が不可欠、これまでもそうであったし、これからもそうということは変わらないと思います。

 幼児教育の無償化については、地方からは、少子化対策というのは地方にとって大変重要な課題であるということで、二兆円の新しい経済政策パッケージに盛り込まれたことは大変評価をいただいたところなんです。また、その実施に当たっては、地方と十分に協議を行う、そして地方において必要となる安定財源をしっかり確保する、そういうような御意見をあわせていただいております。

 これからも、幼児教育の無償化の円滑な実施に向けては、やはり現場を担う地方の意見というのを十分踏まえながら、しっかり丁寧に検討を進めていくことが大事だと思います。

奥野(総)委員 これは、全然、無認可をどうするかとか、預かり保育をどうするかとか、これから詰めていかないと、じゃ一体幾らかかるのかも見えてこない。しかも、きちんとモデルをやっていかなきゃいけないのは、それで新たに需要が喚起されて、ますます待機児童がふえてしまうとか需要がふえてしまう、そういうこともあり得ると思うんですよね。

 だから、僕はちょっとこれは、政策自体はいいと思うんですが、選挙のためにと言うと何か、選挙の前に打ち出した生煮え、すごく生煮えで拙速だったんじゃないかと思います。ですから、ここはゆっくり、大臣には、地方の代表として、心ある首長さんたちの声を聞きながら、これからますます地方財政は厳しくなるわけですよ、だから、そうした視点に立って制度設計にかかわっていただきたいというふうに思います。

 残りの時間なんですが、そういう意味で、なかなか財源も大変な中で、大臣も、予算の効率化ということで先日の本会議では答弁をされておりました。ということで、トップランナーについて、最後伺いたいと思います。

 先ほど質問をされていましたけれども、もう政令市とか大都市は、ほぼ窓口の委託が進んでいるという数字だったと思います。問題は地方ですよね、地方。

 これは昨年か、地方独法の活用について法律改正をして、地方独法で地方の窓口を受託できる、こういう改正をしたんですが、これはことしの四月から施行と伺っていますが、四月施行であれば、既に準備をしている自治体があってもいいと思うんですが、具体的に窓口の委託をしようとしている自治体はあるんでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、地方独立行政法人の一部改正法、昨年六月に成立しまして、本年四月から施行されます。

 今回の改正では、地方独立行政法人の業務に公権力の行使を含めた一連の窓口関連業務を追加する、それから、市町村は、自分で法人を設立しなくても、連携中枢都市圏の中心都市など、そういう中心都市が設立した独立行政法人に窓口関連業務をやってもらえる、そういうことも入れております。そういった意味で、特に中小規模の市町村にとって、外部資源の活用につながるものであると考えております。

 実際、今まで、地方公共団体向けの説明会、それから講演会等で働きかけを行ってきました。既に複数の地方公共団体から相談を受けていますけれども、具体的な検討はこれからという段階にあるという感じでございます。

 私どもの方は、いろいろなお問合せがありますので、今一生懸命それに応じまして、いいものとしてやっていただきたいなというふうに思っております。

 そんなことで、現在、期待を持ちながら働きかけを行っているという段階でございます。

奥野(総)委員 私は郵便局長もやったことがあるので、郵便局は、過疎地の郵便局なんかも自治体の出張所のかわりに窓口業務ができないことはないと思うんですが、そういった検討は進めておられますか。

山崎政府参考人 御指摘のように、郵便局は全国で二万四千局ありますので、非常に、住民に最も身近な窓口機関の一つだというふうに思っております。

 住民票の写しの交付だとか五種類の業務につきましては、地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律ということに基づきまして、現在、既に委託することができるようになっています。百七十市区町村、六百三郵便局で窓口業務の取扱いを行っています。

 私どもとしては、これから小規模な地方公共団体は大変、大変になっていくだろうと思います。そういった意味で、業務効率化の観点、それからマンパワー不足、そういうことから考えましても、郵便局の活用について積極的に検討していきたいというふうに思っております。そういう動きも出ておりますので、また支援をしてまいりたいと思います。

奥野(総)委員 さっきも申し上げましたけれども、各自治体は、本当に財政が厳しい中、結構、委託できるところは委託してしまっていて、人件費を切り詰めるところは切り詰めてしまっていて、だから非常勤の雇用の問題とかも起きているわけですよね。だから、トップランナーもいいんですが、例えば、窓口について言えば、もうやっても余り意味がないんじゃないか、もうやれるところはやってしまっているような気がします。

 大事なことは、きちんと一般財源総額を確保していただく、ことしで切れますけれども、きちんと財源総額を確保していただく。そうしないと、トップランナーというのは単に地方の財源を削る道具にしかなりませんから、財源総額をきちんと確保していただき、そのことによって、例えば、今問題になっている臨時、非常勤職員の処遇、同一賃金同一労働とかけ声はかかっていますが、なかなかそうはいかないわけですよ、地方は財源がないわけですから。

 そういう意味で、きちんと一般財源総額を来年度以降も確保していただいて、地方財政をバックアップする。最後、大臣にお願いしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 大臣に就任して以来、今、奥野委員がおっしゃったことを肝に銘じて取り組んでいるところです。

 これからもしっかりと財源確保に向けて取り組むことをお約束し、また、トップランナー方式に関しては、今おっしゃったように、改革意欲を損ねないように、改革することでその分が地方団体に還元するということが大事なんだと思います。

 これまでも地方単独事業等の経費の増に充ててきておりますので、引き続き、そういうことに取り組んで、地方のやる気を減じないように応援してまいりたいと思います。

奥野(総)委員 最後、そうやって交付税をそういう誘導の道具に使うのは私は邪道だと思っていて、自治体は賢いですから、ほっておいても進んでいるわけですよね。

 だから、大事なことはきちんと財源を確保することだと思います。

 以上です。

古屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十分散会


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