衆議院

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第5号 平成30年3月22日(木曜日)

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平成三十年三月二十二日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 井上 信治君 理事 池田 道孝君

   理事 橘 慶一郎君 理事 原田 憲治君

   理事 務台 俊介君 理事 武内 則男君

   理事 奥野総一郎君 理事 高木 陽介君

      井林 辰憲君    小倉 將信君

      大隈 和英君    大西 英男君

      金子万寿夫君    川崎 二郎君

      神田  裕君    菅家 一郎君

      木村 次郎君    木村 哲也君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      左藤  章君    佐藤 明男君

      杉田 水脈君    田畑  毅君

      高木  啓君    谷  公一君

      冨樫 博之君    中曽根康隆君

      鳩山 二郎君    百武 公親君

      穂坂  泰君    三浦  靖君

      三ッ林裕巳君    宗清 皇一君

      山口 俊一君    山口 泰明君

      岡島 一正君    高井 崇志君

      長尾 秀樹君    山花 郁夫君

      井上 一徳君    小川 淳也君

      寺田  学君    太田 昌孝君

      原口 一博君    本村 伸子君

      丸山 穂高君    吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         野田 聖子君

   総務副大臣        坂井  学君

   総務大臣政務官      小倉 將信君

   総務大臣政務官      小林 史明君

   会計検査院事務総局第五局長            堀川 義一君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           林  幸宏君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    福岡  徹君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   林崎  理君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           吉田 眞人君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  讃岐  建君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山田真貴子君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       巻口 英司君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            渡辺 克也君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 武笠 圭志君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       高橋 俊之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           土屋 喜久君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         石原  進君

   参考人

   (日本放送協会会長)   上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 坂本 忠宣君

   参考人

   (日本放送協会専務理事・技師長)         児野 昭彦君

   参考人

   (日本放送協会理事)   根本 佳則君

   参考人

   (日本放送協会理事)   松原 洋一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   黄木 紀之君

   参考人

   (日本放送協会理事)   大橋 一三君

   参考人

   (日本放送協会理事)   中田 裕之君

   参考人

   (日本年金機構理事長)  水島藤一郎君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     高木  啓君

  新藤 義孝君     百武 公親君

  谷  公一君     田畑  毅君

  穂坂  泰君     中曽根康隆君

  山口 俊一君     工藤 彰三君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     大隈 和英君

  田畑  毅君     谷  公一君

  高木  啓君     神田  裕君

  中曽根康隆君     木村 哲也君

  百武 公親君     杉田 水脈君

同日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     山口 俊一君

  神田  裕君     木村 次郎君

  木村 哲也君     穂坂  泰君

  杉田 水脈君     三ッ林裕巳君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ林裕巳君     新藤 義孝君

    ―――――――――――――

三月二十日

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として内閣府規制改革推進室次長林幸宏君、消費者庁審議官福岡徹君、総務省大臣官房長林崎理君、大臣官房総括審議官吉田眞人君、行政評価局長讃岐建君、情報流通行政局長山田真貴子君、情報流通行政局郵政行政部長巻口英司君、総合通信基盤局長渡辺克也君、法務省大臣官房審議官武笠圭志君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官高橋俊之君及び厚生労働省大臣官房審議官土屋喜久君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長堀川義一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 まず、趣旨の説明を聴取いたします。野田総務大臣。

    ―――――――――――――

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

野田国務大臣 日本放送協会の平成三十年度の収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第七十条第二項の規定に基づき、総務大臣の意見を付して国会に提出するものであります。

 まず、収支予算について、その概要を御説明申し上げます。

 一般勘定事業収支につきましては、事業収入が七千百六十八億円、事業支出が七千百二十八億円となっております。

 一般勘定資本収支につきましては、資本収入、資本支出がともに千二十三億円となっております。

 次に、事業計画につきましては、国民・視聴者の信頼と多様な要望に応える質の高い番組の提供、国際放送の充実、経済成長の牽引力として期待される4K、8Kの推進等に取り組むこととなっております。

 総務大臣といたしましては、この収支予算等について、おおむね妥当なものと認められるとした上で、繰越金の現状や平成三十一年度以降も引き続き見込まれる事業収入の増加等を踏まえ、既存業務全体の見直しや受信料額の引下げの可能性を含めた受信料のあり方について検討を行うこと、中期的な観点も視野に入れた協会のあり方について、ガバナンスも含めた一体的な改革について引き続き検討すること、二度と働き過ぎによってとうとい命が失われることのないよう、徹底した働き方改革の取組を行うことを求めるとともに、国民・視聴者の受信料によって支えられていることを十分に自覚し、業務の合理化、効率化に向けた努力を行うこと、国民・視聴者に対する説明責任を果たしていくことが必要であるとする意見を付しております。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

古屋委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長上田良一君。

上田参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の平成三十年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明を申し上げます。

 新しい三カ年経営計画の初年度となる平成三十年度の事業運営に当たりましては、自主自律を堅持し、放送を太い幹としつつインターネットも活用して、正確な情報を公平公正に伝え、命と暮らしを守る報道に全力を挙げるとともに、多彩で質の高いコンテンツの充実を図ります。また、積極的な国際発信により日本と国際社会の相互理解を促進するとともに放送サービスを通じて地域社会に貢献してまいります。

 さらに、三十年十二月に4K・8Kスーパーハイビジョンの本放送を開始し、普及に努めるとともに、人にやさしい放送サービスの充実に取り組みます。

 受信料については、公平負担の徹底に向け、受信料制度の理解促進と営業改革を一層推進し、支払い率の向上に努めてまいります。

 なお、三十年度より受信料の免除対象の拡大による負担軽減策を実施します。

 関連団体を含めたNHKグループが一体となり創造的で効率的な経営を推進するとともに、時代にふさわしい働き方ができる組織へと改革を進めます。

 次に、建設計画においては、緊急報道設備や4K・8Kスーパーハイビジョン設備を整備するとともに、いかなる災害時等にも安定的に放送サービスを継続するための設備整備等を実施いたします。また、東京渋谷の放送センターの建てかえを着実に進めてまいります。

 以上の事業計画に対応する収支予算は、一般勘定の事業収支におきまして、受信料などの収入七千百六十八億円、国内放送費などの支出七千百二十八億円を計上しております。事業収支差金は四十億円となり、全額を4K、8K設備などの建設費に使用します。

 また、資本収支は、収入として、減価償却資金など総額千二十三億円を計上し、支出には建設費千二十三億円を計上しております。

 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものであります。

 以上、平成三十年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その概要を申し述べました。事業計画の一つ一つの施策を着実に実行し、公共放送として視聴者の皆様の期待に応えてまいりたいと存じます。

 委員各位の御理解と御支援をお願いいたします。あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。

古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。菅家一郎君。

菅家委員 おはようございます。自由民主党の菅家一郎でございます。

 質問の機会を与えていただきまして、厚く御礼を申し上げたいと存じます。

 まず初めに、ラジオ体操、これにちょっと触れてみたいと思うんですが、私の地元でも、鶴ケ城の本丸でラジオ体操、大勢の方が集まって体操されている。高齢者が多いですかね。ですから、長寿大国でありながらも、やはり健康寿命といいますか、このためには、ラジオ体操は、私、非常に有効ではないか、このように思うんですね。

 今でも国民運動として広く取り組んでおられますが、やはり二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、更に組織的に、更に国としてもNHKと連携を組んで対応すべきではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。お考えをお示しいただきたいと思います。

野田国務大臣 お答え申し上げます。

 今、菅家委員御指摘の、誰もが知っているラジオ体操を全国に更に普及させて、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて機運の醸成を図っていくことは大変意義のあることだと思っています。

 ラジオ体操の普及推進については、東京都では、開催期間に当たる七月二十四日から九月の六日までを毎年重点期間とされ、そこで、みんなでラジオ体操プロジェクトというのを取り組み、機運の醸成に、あとは健康増進等も図っているということを聞いておりますし、かんぽ生命、NHK等による夏期巡回ラジオ体操・みんなの体操会など、これまでも関係者においてさまざまな取組が行われていると承知しています。

 ラジオ体操の普及を通じて、一人でも多くの皆さんに東京オリンピック・パラリンピックへの関心を深めていただければ、大会の成功にもつながるものと期待しているところです。

 総務省としても、関係者の一層の取組をしっかり応援してまいりたいと考えております。

菅家委員 さて、次に、実は、先週の、三月十二日なんですが、タイ・バンコクの日本料理店で開催を予定していた福島県相馬沖で水揚げされたヒラメなどを提供する、いわゆるうまいものフェア、これが実は中止になりました。タイの消費者団体から、福島の魚を食べると危険だなどと訴え、東京電力第一原発事故に伴う放射性物質の汚染を懸念する声が上がったためだそうです。

 ヒラメは、今月一日、福島県産鮮魚としては、原発事故後、ようやく初めて海外輸出されたそうであります。福島県漁連が放射性物質の検査を行い、全て検出下限値未満でありまして、いわゆる世界一安全基準、百ベクレル・パー・キログラム以下をクリアしておりますので、まさに深刻な風評被害だと言っても過言ではありません。その原因は、安全、安心である正しい情報が伝わっていないことだ、私はこのように思うわけであります。

 資料をお示しいたしますが、これは、食品の放射性物質検査のいわゆる安全基準の資料なんでありますけれども、日本の現状は、飲料水が十ベクレル、牛乳が五十、乳児用食品が五十、一般食品が百、これはベクレル・パー・キログラムですね。

 これをほかの国と比較してみますと、EUが、飲料水が千ベクレル、乳製品も千ベクレル、乳児用食品も四百ベクレル、一般食品も千二百五十ベクレル。アメリカは、食品が千二百ベクレルですね。コーデックス、コーデックスというのは消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保等を目的とし、国際連合食糧農業機関及び世界保健機構により設立された国際的な政府関係機関なんですね。約百八十七カ国が加盟しています。このコーデックスであっても、千ベクレル。

 つまり、日本のこの安全基準というのは、例えばEUと比べて、飲料水は百分の一、牛乳だって二十分の一かな。ですから、飲料水というのは、お酒なんかそうですね、酒は実は百分の一の厳しい安全基準をクリアしているんですね。このように、一般食品も、この世界的なレベルで見ますと、まず、もう十分の一以下という数字をクリアしているものしか出ていない。

 私は、こういったことが、関係者だとか政府間だとか、それは通じているんですけれども、我が国の国民の末端まで、あるいは世界における方々の一国民、庶民の方々までこの情報が伝わっているのかというのが今回大きな課題で、これが伝わっていなかったために、タイの消費者団体からクレームがついて中止になった。当然ながら、タイ政府では、きちっとモニタリング検査したら、検出されなかったというデータが出ているわけです。これも、報道の仕方では、やはり風評被害を払拭できないことになるんですね。

 例えば、これは環境放射線量の資料、二〇一七年三月一日時点のものです。単位はマイクロシーベルト・パー・アワーなんですね。これもそうです。福島県の各都市の環境放射線量のデータが赤字で示されているんですが、この値が果たしてどうなのか。やはり世界の、例えば郡山が〇・一〇、これはシンガポールと同じ値なんですね。東京〇・〇五、これはパリと同じだ。あるいは福島も、ソウルとほとんど、余り違わない。

 いわゆる、世界の環境放射線量の水準と比較することによって、福島であったり日本の線量の比較であって、これを見ますと、福島県内の空間線量率は海外主要都市とほぼ同水準だと言っても過言ではないわけですね。

 先ほどの食品におけるデータもそうなんですけれども、まさにデータだけオープンにしても、これが果たして安全、安心なのかというのはわからないわけですよ。比較することによって安全、安心を伝えることができる、このように思うわけですが、まさに、情報を正しく国際社会に発信をして理解を促進するということもNHKの重要な使命と考えますが、その報道の仕方であったり、比較であったり、ぜひ前向きに対応してほしいと思うのでありますが、お考えをお示しいただきたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 福島県産の農水産物の安全性をめぐりましては、NHKといたしましても折に触れて報じておりまして、御指摘のイベントにつきましても、今月十三日のニュースウオッチ11で報じております。

 この際の報道では、福島県産のヒラメをPRするイベントが中止になったものの、タイ政府が独自に実施した検査では放射性物質は検出されなかったこともあわせてお伝えいたしました。このニュースは国際放送のNHKワールドTVでも速やかに海外に発信し、日本の農水産物の安全性を国内外に広くお伝えしました。

 先月、二月の二十八日には、福島県産のヒラメの出荷式が福島県相馬市の漁港で行われたニュースも放送いたしました。

 風評被害を発生させないような報道に努めることは極めて重要なことだと認識しておりまして、そのためには、正しい情報を早く、速やかに伝えることが何よりも大切だと考えております。

菅家委員 復興庁では、福島県における風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略、これに取り組んでいくことになっておりますが、その中の「発信の工夫」という中で、海外居住者にはさまざまな機関からの情報発信、県外居住者にはメディアミックスを活用した放射線に関する正しい知識等の情報発信に取り組む、このようにされているわけですね。

 ですから、やはりNHKとしても、国の方でメディアミックスを活用していくんだというような方針が出されているわけですから、当然ながら、NHKも国、復興庁と連携を図って積極的に私は取り組んでほしいし、その情報の提供の仕方も、正しい情報、それが、先ほど申し上げたように、では世界的な基準ではどうなっているのか、比較、どこどこと比較して安全だということ、安全、安心をどう伝えていくかというのは、そういうような国際的な標準との比較であったりという、それも重要な視点だと思いますから、それらも含めて取り組んでいただきたいと思いますが、お考えをお示しいただきたいと存じます。

木田参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、風評被害を発生させないような報道に努めることは極めて重要なことだと認識しております。そのためには、正しい情報を速やかに伝えることが何より大切ではありますが、今委員御指摘のように、伝え方の工夫、それから、いろいろな角度からの伝え方等々についても、いろいろと考えていきたいというふうに考えております。

 特に、日本の高い安全基準についても、国内放送だけではなく、国際放送でも広く海外に発信したい、それによって風評被害の払拭に努めてまいりたいというふうに考えております。

菅家委員 ぜひやはり、浸透していない、我が国国内においても海外においても、こういった安全だというような科学的なデータ、しっかりやっているわけですから、その辺をしっかり情報提供に努めていただきたいとお願いを申し上げたいと存じます。

 相馬の漁連の組合長、立谷組合長と、電話があって、大変残念だと、もう何度も何度も検査しても安全だったのに、タイ政府も安全を確認したのに、フェアが中止になってしまったことは本当に悔しいし残念だというような言葉を、現地の声を承っておりますので、ぜひひとつ、力を入れて払拭にお願いしたいと存じます。

 さて、次には、大規模災害時において迅速的確な情報が求められるわけでありますが、特に地域放送局によるテレビ、ラジオ、これを通じたきめ細かい情報提供が大変有効だと思います。

 私は、特にラジオ。これは、例えば、停電でテレビが見れない場合とか、体育館などに避難している方々とか、あるいは外で、例えば農作業とか、屋外で働いている方々、これはテレビを見れませんから、等に災害情報を伝える、私は大変有効な手段だと思っているので、災害時を踏まえれば、ラジオというのももう少し力を入れてほしいというふうに思っているんですね。

 しかし、例えば私の地元、会津地域の山間部などでは、一部、不感地域があるんです。この地域も、NHKラジオは、実は首都圏放送電波、これは受信できるわけですが、地元の情報が実は得れないというような今現状にあるんですね。ですから、災害が起きた場合、きめ細かい情報が入手できない。

 NHKは、このような状況に対しての御認識と、今後どのように対応されるのか、お伺いをしたいと思います。

児野参考人 お答えします。

 NHKの中波ラジオ放送はほぼ全国をカバーしていますが、一部の山間部において、聞こえづらい地域や、夜間に外国電波の混信、妨害を受けている地域があります。

 NHKでは、このようなラジオ難聴の相談に対しまして、適切な受信方法の周知ですとか、受信状況調査を含む受信アドバイスなどを実施しています。

 また、必要に応じまして、平成二十六年に制度化されました、FM方式によるAMラジオ放送の補完中継局、いわゆるFM補完局の置局などにより、難聴地域の改善を進めているところであります。

 会津地域の難聴地域につきましては、受信者や自治体からの相談に対し、現地調査を実施しまして、受信方法や聴取可能な周波数などを説明させていただいています。

 今後も、引き続き、自治体等とも相談しながら、地域の実情を踏まえた適切な対応をとってまいりたいというふうに思っております。

 それから、先ほどの会長の答弁でニュースウオッチ11と申し上げましたけれども、正しくは「ニュースチェック11」でございました。訂正いたします。失礼いたしました。

菅家委員 いわゆる一刻を争う緊急事態等で情報を得るには、ラジオ放送というのが一番身近なといいますか、最も身近であるために、私はやはり災害のときを踏まえたことを考えますと、不感地域であったり難聴地域というものを今後どうするのか、やはり改善していく、いわゆる情報難民をなくすための早急な整備も必要だと思うんですが、この点についてお考えをお示ししていただきたいと思います。

山田政府参考人 委員御指摘のとおり、ラジオは大規模災害時におきまして被災地等に情報を伝える重要な手段でございます。ラジオ難聴地域解消は重要な課題であるというふうに認識をしております。

 総務省では、民放ラジオ難聴地域解消のために、難聴解消を目的とする中継局整備に対する補助制度を設けております。平成三十年度予算案では約十八億円を計上しているところでございます。

 また、今御議論のございましたNHKラジオ難聴地域解消につきましては、NHKにおいてその地域の地方公共団体あるいは住民の方々の御意見を伺ってしっかり取り組んでいただきたいと考えておりますし、総務省といたしましては、引き続き、放送事業者の難聴地域解消の取組をしっかりと促してまいりたいと考えております。

菅家委員 ぜひひとつよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 次に、いわゆる4K、8Kの放送ですね、これが十二月からスタートされるわけであります。しかし、視聴者には正確な情報がほとんど伝わっていないのではないか、こんなように思うんですね。

 例えば、今販売されている4Kテレビ、4K放送を実は視聴できないということとか、あるいは4K、8Kには衛星契約が必要なこととか、あるいは4K、8Kが始まっても従来の地上、衛星は見られるようなことなど、いわゆる周知がまだまだ私は不十分ではないかな、このように思うんですが、この辺、今後どのように対応していかれるのかをお示しいただきたいと思います。

坂本参考人 お答え申し上げます。

 ことし十二月から本放送が始まります4K、8K放送の視聴のためには、今後発売が予定されております4K、8Kの衛星放送に対応したチューナーを内蔵したテレビが必要となります。

 また、現在市販されております4K対応テレビなどを利用する場合は、発売が今後予定されております対応のチューナーを追加することで視聴ができます。

 次に、受信アンテナですけれども、4Kの本放送は現在使用されている放送波で行うために、今のアンテナがそのまま使えます。一方、8Kの方ですけれども、新しい放送波に対応した受信アンテナが必要になることに加えまして、ブースターや分配器、テレビ端子、信号ケーブルなどの交換も必要になる場合がございます。

 いずれにしても、4K、8Kをできるだけ多くの方に認知してもらいまして利用していただくには、視聴方法を含めて理解を深める丁寧な説明と周知、PRが何よりも重要だというふうに考えております。今後、国や関係機関、業界団体などとしっかり連携しながら、NHKとしてもしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

菅家委員 時間になったので終わりますが、やはりNHKとして、先ほどの風評被害の払拭、情報の出し方もあるし、どのように払拭していくか、どのように正しい情報を伝えて、安全なもの、安全だと理解してもらえるような放送の仕方、ぜひ前向きに取り組んでいただきますようお願いを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、三浦靖君。

三浦委員 自由民主党の三浦靖です。

 平成三十年度のNHK予算に関する質疑という大変貴重な機会を頂戴いたしまして、感謝申し上げる次第でございます。

 私は、昨年十月の衆議院総選挙で初当選し、きょうが初質問ということで大変緊張しておりますが、地方議員出身者としての矜持を胸にしっかりと質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど、地方議員出身と申し上げましたが、昨年十月の選挙公示まで私の前職は、生まれ育ったふるさとの島根県大田市で市議会議員を三期務めておりました。

 大田市は、島根県の中央部に位置し、北は日本海に面した白砂青松の美しい海岸線、南は中国山地を背に国立公園三瓶山、さらに世界遺産石見銀山を有する緑豊かな自然に恵まれたゆえに、地域のほとんどが中山間地というところが私のふるさとでございます。

 中山間地域のため、以前は、地域の多くが難視聴地域であり、アナログ放送の時代には、放送受信のため集落ごとに共聴アンテナの組合を組織して、やっとテレビを見ることができたものです。

 二〇〇三年から三大都市圏を中心に先駆けて地上デジタル放送が始まり、エリアが拡大するにつれ、大田市でも、集落の多くが地デジに移行する必要性、受信アンテナの改修が必要不可欠となりました。それを契機に、自治体と地元有志が一念発起いたしまして、二〇〇九年にケーブルテレビ会社を設立し、それを受皿として中山間地域、難視聴地域でも受信できるように環境整備を進めたところでございます。

 今では、世帯加入率も七割を超え、島根県内にある他のケーブルテレビ会社では加入率が九割に及ぶようなところもございますけれども、ケーブルテレビ網が発達した地方では、特に中山間地域を多く抱えた地域では、総じて加入率も高いのではないでしょうか。

 私は、公共放送を運営されるNHKが、こうした地域に根差したケーブルテレビ網をもっと活用すべきではないかと考えるところでございます。

 NHKは、四十七都道府県全てに地域放送局があり、一方、ケーブルテレビは、それより更に細かいエリアでサービスを提供されております。ケーブルテレビにはこうした地域密着の情報があり、それをNHKで活用していただきたい。逆に、NHKからはもっと大きく専門的な視点で捉えた情報をフィードバックしていただき、ケーブルテレビで活用することを積極的に進めていただきたいと思います。

 特に、NHKの使命である災害報道、災害情報に関しては、相互連携が欠かせないものであり、NHKとケーブルテレビは共存共栄、ウイン・ウインの関係であるべきではないかと考えておりますけれども、NHKは公共放送として、ケーブルテレビとの協力関係についてどのような基本的な方針で臨んでいらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 ケーブルテレビ事業者との連携につきましては、これまでも、番組面、技術面、営業面を中心に多面的な協力関係をつくり上げてまいりました。地域に密着し、地域の皆様から喜ばれる放送サービスを提供しているケーブルテレビは、これまでも、そしてこれからも重要なパートナーであると考えております。

 今後も、このような連携を深め、地域貢献、そして放送文化のさらなる向上のために、相互協力関係の維持発展に努めてまいりたいと考えております。

三浦委員 NHKの三十年度予算では、受信料の支払い率を八一%、衛星契約割合を五二%と見込まれていらっしゃいますけれども、こうした目標を達成するためにも、ケーブルテレビとのさらなる連携が必要不可欠ではないかと考えております。

 とりわけBS契約割合を高めるためにはケーブルテレビとの連携が非常に重要であり、それは、BS放送の受信料に関して団体一括支払いという徴収方法を採用されているわけでございますけれども、営業面でどのような取組を進めていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。お願いいたします。

松原参考人 お答えいたします。

 受信料の支払い率や衛星契約割合を向上させていくためには、ケーブルテレビ事業者との連携が大変重要であるというふうに認識をしております。

 現在、ケーブルテレビ事業者とは、ケーブルテレビの加入者の衛星契約の取次ぎ、それからケーブルテレビの利用料と受信料を一括収納の業務を委託をして、連携をしているところでございます。

 また、放送とかイベントの連携による受信料制度の理解促進活動を協力して実施するとともに、ケーブルテレビの自主チャンネルで受信料のPRに取り組んでいるというところでございます。

 引き続き、支払い率や衛星契約割合の向上に向けて、ケーブルテレビ事業者との連携を推進していきたいというふうに考えております。

三浦委員 さて、全国各地には郷土が誇るべきすぐれた先人、偉人を検証する事業に取り組んでいる自治体がございます。以前に、私のふるさとであります大田市においても、自治体が中心となって、私のふるさとの社会教育だとか郷土愛を醸成する、そういったものの一環として同様な事業を企画いたしました。それも地元ケーブルテレビ局の協力を得ながら企画をいたしたところでございます。

 その中におきまして、NHKさんが過去に制作されました大変質の高い特集番組を何とか資料提供という形でお貸しいただけないでしょうかというお願いをしましたところ、著作権だとかそれから価格、そういった非常に高いハードルがございまして、実現に至りませんでした。

 この企画は、当然、営利を目的とするものではなく、純粋に、郷土が輩出した偉大な先人を畏敬し、あわせて地域を盛り上げていこうという、そういった思いでございまして、このような事業であるならばNHKも積極的に協力してほしかったなという思いがして、残念でならなかった記憶がございます。

 そこで、制作番組、コンテンツにつきましてもNHKとケーブルテレビで相互の連携を積極的に進めるべきではないかと考えるところでございますが、御所見をお伺いしたいと思います。

木田参考人 お答えいたします。

 NHKは、ケーブルテレビとの共存共栄という基本方針に基づき、諸施策を通じて相互協力関係の維持発展に努めてまいりました。

 このうち、番組面での連携について、良質で安価なソフトを安定的に供給してほしいというケーブルテレビ事業者の皆様からの要望に応えて、ケーブルテレビへの番組ソフトの提供を行っており、現在、子会社を通じて実施しているところであります。ただ、出演者の権利処理の関係などで希望する番組ソフトを提供できない場合がどうしても出てまいります。この点についてはどうか御理解いただきたいというふうに思います。

 いずれにしても、番組面に限らず、多面的な協力関係をつくり上げるために、引き続き努めてまいりたいというふうに考えております。

三浦委員 非常に厳しいハードルがあるというのは私も存じておりますけれども、営利目的ではないという点に関して言えば、できる限り各方面に協力を得て、ぜひともこれから進められるであろう自治体に対しての協力関係というものを築いていただきたいと思います。

 次の質問をいたします。

 放送番組のケーブルテレビ網を通じた受信について、中山間地域など電波が良好に受信できない地域においてはもちろんのこと、都市部のように電波が良好に受信できる地域であっても、ケーブルテレビを通じた受信に移行して自宅のアンテナなどを撤去している世帯もあり、放送番組を住民の方々に確実に届ける上で、ケーブルテレビは極めて重要なインフラではないかと考えております。

 特に、地元島根県は十二局のケーブルテレビ網が整備されており、加入率は五五・一%と全国平均の五二・三%を上回るなど、全国でもケーブルテレビの重要性が高い地域となっておるところでございます。

 こうしたNHKの番組を受信する手段を専らケーブルテレビに頼っている世帯に対して、NHKが災害報道の提供などを通じて引き続きその公共的役割を果たしていくためには、また、今から進められようとしております4K、8K、こちらを着実に普及させていくためにも、ケーブルテレビにおいて、ネットワークの強靱化そして光化を進めていくことが重要と考えます。

 総務省においては、ケーブルテレビネットワークの強靱化それから光化に向けてどのような支援を行っているのか、お聞きしたいと思います。

小林大臣政務官 まず、青年局時代に切磋琢磨をさせていただいた三浦委員をお迎えをしてこうやって御質疑ができることを、本当に心強く思っておりますので、引き続き叱咤激励をお願いをしたいと思います。

 その上で、三浦委員御指摘のとおり、テレビ放送を広く確実に国民に行き届かせるためにも、テレビ放送の再放送を主な業務としているケーブルテレビの役割は極めて重要であります。

 昨今、大規模地震や風水害などの自然災害が多発する中で、NHKによる災害報道などの国民の生命財産の確保に不可欠な情報を確実に届けるためには、ケーブルテレビのネットワークにおいても耐災害性を高めていく必要が非常に強くあります。

 また、本年十二月より開始される新4K8K衛星放送における超高精細で大容量の番組をケーブルテレビを通じて安定的に伝送するには、ネットワークの高度化も進めていく必要があります。

 総務省においては、ケーブルテレビネットワークの強靱化、高度化を進めるために、ケーブルテレビ事業者が行うネットワークの光化や二ルート化等に対する補助を行っておりまして、平成二十九年度補正予算及び平成三十年度当初予算案において所要の予算を十七億円計上しております。

 総務省としても、引き続き放送ネットワークの強靱化、高度化に努めてまいりたいと思います。

三浦委員 ありがとうございます。

 全国各地から強靱化、光化に向けた要望が来ておると思いますけれども、できる限り総務省の方では受けていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 大規模災害におきまして国民の生命財産を確保するためには、災害のインパクトについての情報だけではなく、例えば、避難所の開設状況だとか、水道、ガス、電気などライフラインの情報、瓦れきの収集の情報といった地域のきめ細やかな情報を提供することが必要ではないかと思っております。

 この点につきまして、ケーブルテレビにおいては、NHKの番組を再放送してこれを確実に伝達する役割だけではなく、コミュニティーチャンネル、自主放送を通じて、住民の安心、安全確保に向けきめ細やかな情報を提供する役割を果たすことも重要ではないかと考えておりますが、総務省の認識はいかがでございましょうか、お知らせいただきたいと思います。

小林大臣政務官 こちらも三浦委員御指摘のとおり、ケーブルテレビは、地域住民や地域社会において密着した公共的なメディアとして近年その重要性を増しております。

 災害時に地上波や衛星放送ではカバーしにくいところですが、そこを、住民生活にとっては不可欠な地域の情報を提供する手段として、ケーブルテレビのコミュニティーチャンネルは極めて有効と考えております。

 また、さきの熊本地震では、地元のケーブルテレビ局がライフライン情報や生活情報などをコミュニティーチャンネルで提供したほか、避難所にWiFiスポットを設置するなど、ケーブルテレビが地域住民の情報収集に貢献した事例が報告をされております。

 総務省としても、こうした事例の周知啓発や、ケーブルテレビ事業者と地方自治体との災害放送協定の締結の推進などを通じて、地域におけるケーブルテレビの取組を促進してまいりたいと思います。

 御指摘のとおり、やはりケーブルテレビにとってコミュニティーチャンネルというのは大変重要だというふうに思っていまして、地域に、どんなに頑張っても、やはりそれを伝えるメディア、そしてそのストーリーを紡ぐメディアがなければ、地域の頑張りというのはつながっていかない、こういうふうに思っております。

 そういう意味でもケーブルテレビ事業者の皆さんへの期待は高まるものだと思っておりますので、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

三浦委員 おっしゃるとおりだと思っております。ぜひとも、自治体と災害時における連携というもの、それからケーブルテレビ網を通じたそういった連携をお願いしたいと思っておるところでございます。

 話はかわりますけれども、ことしのお正月の我が家のうれしい一こまを御紹介させていただければと思っております。

 社会科が非常に苦手、特に歴史が不得意な我が家の長女が、これまでNHKの大河ドラマに全く興味を示していませんでした。どちらかというと、私が大河ドラマを見ようといたしますと、大変申しわけないですけれども、ほかのチャンネルに変えようとする子供であったんですけれども、その長女が、お正月から始まりました大河ドラマ「西郷どん」、こちらを私と一緒に見ることができました。そして、番組が、第一話が終わったときに、お父さん、おもしろかったねと私に言ってくれました。

 非常に歴史が苦手な子供が、こういったドラマを通じて歴史に興味を持ってくれたというのが、非常に、私にとりましても、親にとってもうれしかった出来事、お正月からいいプレゼントをいただいたな、お年玉をいただいたなという気持ちであったわけでございます。

 ところで、この大河ドラマをめぐっては、観光面における地域活性化につながるということで、全国各地から誘致の要望があると思います。実際に、大河ドラマで取り上げられた地域は、注目を集めて、交流人口の拡大に成果を上げていらっしゃいます。

 そこで、お尋ねいたしたいと思いますけれども、大河ドラマの題材の選定に当たっては、どのような基準で選ばれているのか、お知らせいただければと思います。お願いします。

木田参考人 NHKにとっても大変うれしいエピソードをどうもありがとうございました。

 大河ドラマは、視聴者のニーズや時代の動きを酌み取り、毎年の時代設定も長期的な視点からバランスを配慮するなど、番組制作部門で十分に検討を重ねた上で企画を決定しております。

 企画を決める際には、次のような点に強く留意しています。

 一つは、一年にわたって視聴者の興味を引きつけ続けることができる波乱に満ちた生涯を送った主人公が存在すること、また、主人公の生き方を通じて時代に即したメッセージを伝えることができること、さらに、時代設定が特定の時代に偏らないようにすることなどです。

 今後も、幅広い視聴者の皆さんから共感していただき、支持していただける大河ドラマを開発、制作していきたいというふうに考えております。

三浦委員 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、太田昌孝君。

太田(昌)委員 公明党北陸信越ブロック選出の太田昌孝でございます。

 質問をさせていただきます。どうか御回答よろしくお願いをいたします。

 平昌冬季オリンピックに続きまして、冬季パラリンピック大会が先ごろ閉幕されました。日本勢も、出場した全五種目でメダルを獲得した村岡桃佳選手の活躍もあり、前回のソチ大会を上回る十個のメダルを獲得されました。選手を始め関係者のこれまでの御努力に対しまして、敬意と祝意をここで申し上げておきたいというふうに思います。

 私もかつて、二十年前でございますが、長野パラリンピックの組織委員会の職員として活動をさせていただいておりまして、当時の映像担当者から今回大変な喜びの声が寄せられました。というのも、今回のパラリンピック大会では競技がライブで行われていた。また、オリンピックに比べてパラリンピックというのは、カテゴリー分けとか大変に、若干わかりづらい部分もあるんですけれども、そうしたこともきちんと解説がなされていた。

 そういう意味では、とりわけ障害者スポーツの枠を超えて、パラリンピックというのは、これはまさにアスリートの世界になったというふうに私は思いますけれども、そういう中で大変に理解も進んだのではないか。

 ちなみに、当時は、オリンピックの盛り上がりもあったために、開会式、閉会式はBSで放送されましたけれども、通常の競技におきましては、組織委員会で作成をしたサマリーというんですけれども、これを毎晩、十五分から二十分程度の枠で、ダイジェスト版で放送されるにすぎなかった。そういう意味では、隔世の感と申しますか、時代も随分と変わったな、大変に喜ばしく思っているところでもございます。

 そういう中で、今回、そうしたパラリンピックのもとに、オリンピックもでありますけれども、放送のバリアフリーという観点の中で、NHKとして今回の大会においてどのような取組を行ったのか、まず伺いたいというふうに思います。

木田参考人 お答えいたします。

 平昌オリンピック・パラリンピックでは、障害のある人もない人もみんなで楽しめる放送、ユニバーサル放送と呼んでおりますが、に積極的に取り組みました。

 オリンピックのハイライトをお届けする「みんなで応援! ピョンチャン二〇一八 オリンピック」では、字幕と音声解説に加え、手話も交えてお伝えしました。それから、パラリンピック期間中ですが、毎朝放送した「みんなで応援! ピョンチャン二〇一八 パラリンピック」でも、字幕、音声解説に手話も交えて放送したほか、NHKが公募した障害者リポーターが現地でリポートしました。

 また、主な競技の中継と番組「パラリンピックタイム」の副音声では、主音声の実況解説よりも詳しい実況解説を行い、視覚に障害のある人でも競技の魅力が伝わりやすい放送を試みました。平昌では、このような副音声による別実況を、オリンピックでは十二時間三十三分、パラリンピックでは十七時間四十二分、放送いたしました。

 二〇二〇東京に向けて、ユニバーサル放送の充実に引き続き取り組んでまいります。

太田(昌)委員 今、二〇二〇年に向けて取り組んでいくというふうにおっしゃいました。この二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会に向けて、同じ観点から、どのような取組を、具体的なことで聞かせていただければと思います。

 その上で、例えば障害者スポーツなども、まだまだ理解を進めなきゃいけないという途上にあるというふうに考えます。そういう意味では、イベントの時期だけでなく、日常的な放送で取り上げられることで更に理解も進み、あるいは競技に携わる選手が、大変にスポンサー等々厳しい状況にある方もたくさんいらっしゃるものですから、そういう関係者の支援にもつながると考えますが、この点について更にお伺いをしたいと思います。

木田参考人 お答えいたします。

 先ほども申しましたとおり、二〇二〇東京オリンピック・パラリンピックに向けては、ユニバーサル放送サービスの一層の充実に向けて取り組んでまいります。

 聴覚障害者向けの手話を交えたトークコーナーや、視覚障害者にもわかりやすいスタジオでの解説コーナーなどを交えたユニバーサル版ハイライト番組であるとか、副音声を使って競技をわかりやすく伝える実況放送など、平昌大会での実績と課題を踏まえて、さらに充実させていきます。

 そのほか、平昌でも活躍していただきました障害者リポーターも、さらに活動の幅を広げてまいります。

 それから、委員御指摘のように、障害者スポーツを放送することは、障害者スポーツへの理解を深めるだけでなく、バリアフリーなど、障害者を取り巻くさまざまな問題への関心を呼び起こすことにもつながります。このことは公共放送が果たすべき大切な役割だと考えておりまして、NHKではこれまでも、ドキュメンタリー番組やニュースなどで障害者アスリートもさまざま紹介していますけれども、今後も、機会を捉えて障害者スポーツを取り上げていきたいというふうに考えております。

太田(昌)委員 ありがとうございます。ぜひ、積極的な取上げをよろしくお願いをしたいと思います。

 さて、今回の経営計画の中でも、人に優しい放送ということで位置づけられておりますけれども、この人に優しい放送に関する研究予算、どの程度計上されておりますでしょうか。また、現在までの研究について、具体的な事例も含めましてお聞かせをいただきたいと思います。

児野参考人 お答えします。

 人に優しい放送に関する研究費は、研究内容によりまして増減はありますけれども、この十年間はおよそ三億円から四億円で推移しています。

 NHKでは、人間の視覚や聴覚に関する長年の研究成果と最新技術を組み合わせまして、高齢者、障害者、あるいは日本語以外を母語とする方も含め、誰もがお好みの手段で豊かで高度な放送サービスを楽しめるよう、人に優しい放送の研究開発を進めています。

 研究開発の結果、実用できた例といたしましては、音声認識による字幕制作装置、高齢者や障害者の方が音声を聞きやすくなる話速変換技術を使ったテレビ、ラジオ、それから、視覚に障害のある方にスポーツの競技進行を人工の音声で伝える音声ガイドなどがあります。

 また、試行段階ではありますけれども、手話CGにも取り組んでいるところです。

太田(昌)委員 同様に、総務省では、昨年の九月から、視聴覚障害者等向け放送に関する研究会を設置しまして、三十年度以降の字幕放送であったり解説放送等々の普及、あるいは、視聴覚障害者等に向けての放送に関する施策について研究をされまして、この二月には、放送分野における情報アクセシビリティに関する指針が定められております。

 これにつきましても、内容及び普及の目標などについてお伺いをいたします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 視聴覚障害のある方も含め、全ての視聴者が放送の内容を理解し、情報アクセスの機会を確保できるようにするためにも、字幕放送、解説放送及び手話放送の拡充というのは重要な課題です。

 総務省は、今お話がありましたように、放送事業者の字幕放送、解説放送及び手話放送に関する普及目標を指針として策定して、放送事業者の取組を促しているところです。

 総務省としては、引き続き、放送事業者の取組を積極的に促し、放送分野における情報アクセシビリティーの向上に取り組んでまいります。

太田(昌)委員 そうした情報アクセシビリティに関する指針の中でも、例えばNHKの目標については、対象の放送番組の全てに字幕が付与できるように努めていきたいというような形にもなってございます。

 そんな中で、国会中継については字幕が入っていないわけでございますけれども、このことについて、これまで取組がおくれているようなことの理由、あるいは現状についてお伺いをいたします。

木田参考人 字幕放送の国の指針は、総合テレビの七時から二十四時の番組のうち、技術的に字幕付与不可能な番組を除く全ての番組について、平成二十九年度までに字幕付与することを目標としております。

 NHKは、平成二十八年度は、対象となる番組の九七・四%に字幕を付与し、今年度も目標達成に取り組んでいるところであります。

 生放送の字幕付与は、文字の間違いであるとか、字幕表示のおくれが避けられません。特に国会中継は、事前の準備が難しく、国政に関する専門用語が頻繁に使われるため、字幕の付与については、正確さや政治的公平性の保障が難しいなど、課題が多い状況であります。

 視聴者の関心が高い国会審議について特設ニュースとして放送を行う場合、審議日程が早い段階で確定していたことであるとか、審議のテーマがある程度限定され事前の準備が可能であるなどの条件が整えば、字幕を付与しております。正確さ、公平性を損なわず、国会審議の放送に字幕を付与できる条件が整う場合については、今後も、実施できるよう努力してまいります。

 所信表明演説や施政方針演説など事前の準備が可能なものについては、できるだけ早く字幕付与できるよう準備を進めてまいりたいというふうに考えております。

太田(昌)委員 ありがとうございます。

 確かに、国会はなかなか専門用語も多くて、しかも、それがちょっと間違えただけで随分と議論の方向が変わってしまうというようなことを考えると、なかなか取組が困難だというふうにも思います。

 ただ、このことにつきましては、公明党のプロジェクトチームの中でも、さきに、官房長官あるいは衆参両院議運委員長に対しまして、この字幕放送実現のために支援を要望もさせていただいたところでもございます。

 また、今おっしゃったとおり、所信とか施政方針演説等々、事前にある程度情報が入手できるというようなことについてはこれからも取組が進んでいくということで、御期待を申し上げたいと思います。

 更にもう一歩、例えば本会議についての質疑なども、事前に情報など随分入るかと思います。先ほどの所信、施政のほかにもそんなところも対象になるのではないかと思いますが、ちょっとこの点について重ねて御見解を伺います。

木田参考人 どの程度事前の準備ができるかにかかってはいると思いますけれども、まず、着実にできるところから進めていくという考えでおりますので、御理解いただきたいと思います。

太田(昌)委員 ここまで、放送のバリアフリー、とりわけ、さまざま課題を抱えた方々にとって、情報を得る、そうした大切な放送機関であるわけでございますので、そうしたNHKの取組について伺わせていただきました。

 さきの質疑の中でもございましたけれども、当然、災害時などにおいても、NHKの放送というのはやはり人の命を守ることにもつながる、あるいは、先ほど申し上げたとおり、課題を抱えた方々にとってみれば大変に大きな後押しにもなるというふうにも思ってございます。

 また、最後に申し上げましたとおり、国会の議論というのも、ぜひ、そういう方々にとって、私どもの議論がちゃんと届くということも大事だというふうにも思っております。

 どうか、NHKのこうした視聴覚障害者に向けての施策の充実、推進、更にお願いをしておきたいというふうに思います。

 予算について伺います。

 平成三十年度の予算額につきまして、事業支出、これが七千百二十八億円ということでございますけれども、それに対して、財政安定のための繰越金が七百六十七億円と見込まれております。また、受信料収入も、向こう三年間、これは増収の見込みとも伺っております。

 今後も、繰越金、まだまだふえるのではないかというふうに思料いたしますが、これは、総務大臣の意見の中でもこんなことに言及もされておられます。これだけの内部留保、NHKにとって必要であるということについて御説明をいただきたいというふうに思います。

大橋参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の財政安定のための繰越金は、例えば、大規模な災害、事故、それから物価の高騰など経済状況の急激な変化による事業収支の不足への対応、それに設備投資の財源などに対応する資金でございます。EUでは、公共放送の財源として繰越金の規模を支出の一〇%程度とするガイドラインを定めてございます。日本の場合は地震等の災害リスクが高いことを勘案いたしますと、NHKといたしましては、事業支出の一〇%以上の繰越金が事業運営上必要だと考えております。

 このため、三十年度末の七百六十七億円は決して過大ではないというふうに認識しております。

 なお、次の三カ年経営計画の中では、4K、8Kの設備投資の財源として繰越金を充てる計画でございますので、二〇二〇年度末、三カ年経営計画の最終年度には六百六億円に減少するというふうに見込んでございます。

太田(昌)委員 一割程度、EUの基準などでは必要である、また災害も大変に多い、また、これから4K、8Kに対しての支出も行われるので、今後、この内部留保といいますか、財政安定のための基金、これから減少をしていくであろうというようなお答えでございました。

 しかしながら、そうした、今も、今回の予算の中でも、4K・8Kスーパーハイビジョン設備投資も既に行われている、あるいは、今も、先ほど御報告もありましたとおり、渋谷の放送センターの建てかえまで行われている。本来であれば大変な大きな事業を今まさに行われている最中でございます。

 それだけの支出があって、大きなイベントもありながら、これだけの内部留保があって、しかも、NHKにおいては借金もないというような形で経営を行っているわけですから、そのような意味においては、さらなる視聴者に対しての還元策、あるいは、受信料体系そのもののあり方についてもこれまで言及されたこともございましたけれども、今まさにその検討をすべきときと思いますが、この点についてお伺いをいたします。

上田参考人 お答えいたします。

 次期経営計画では、4K、8Kなど放送サービスの充実強化を図った上で、受信料収入の増加と業務全般にわたる経費の削減によって、三カ年で百七十億円規模の原資を生み出しました。

 その上で、受信料制度等検討委員会の答申や視聴者の皆様から寄せられた御意見を踏まえ、今回、社会福祉施設への免除拡大や奨学金受給対象などの学生への免除など、四つの負担軽減策を優先して実施することといたしました。

 今後の負担軽減策、受信料体系の見直しにつきましては、中長期的な事業計画や収支見通しを踏まえた上で検討すべき課題だと認識いたしております。次期三カ年の受信料収入の状況も踏まえながら、中長期的な視点に立って対応してまいりたいと考えております。

太田(昌)委員 ありがとうございました。

 おっしゃったとおり、私どももずっと求めておりました社会福祉施設への軽減でありましたり、あるいは学生等々に対しての軽減、そんなことも進めてもいただいてもおります。収支の中でできる限り視聴者に還元をする、そんな思いの中で経営を進めていただければということを御期待を申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、山花郁夫君。

山花委員 立憲民主党の山花郁夫でございます。

 NHK予算の本題に入る前に、総務大臣に一点伺いたいことがございます。

 もう既に報道などでもコメントを取り上げられたりしておりますけれども、森友学園の問題について、私どもが財務省の文書の改ざんではないかというふうに申し上げており、多くの民放でも改ざんというタイトルで報じられているところ、財務省と同様にNHKが書きかえと報じているこの問題について、どのようにお感じになられていますでしょうか。

野田国務大臣 総務大臣として財務省のことについて申し上げる立場ではありませんが、一般論として申し上げれば、法令を遵守して適正に事務を執行することは行政府として当然のことです。それが行われていなかったのではないかということで、今、参議院予算委員会を核に、さまざまな議論そして原因究明が行われていることと承知しているところです。

 いずれにしても、公文書管理法の趣旨を踏まえれば、適切に管理を行っていくことは極めて当たり前のことだと思っています。

 事案に関しては、まず財務省においてきちんと説明が果たされることが必要であるということが肝要であって、多くの、NHKを始めとするさまざまなメディアがしっかりと報道していただき、国民の皆さんもしっかり関心を持っていただき、かつ私たちもその国民の関心を受けて真摯な議論をして、そして一日も早く原因究明をすることが必要だと思われます。

山花委員 本来国会での答弁というのは、資料に基づいて、事実に基づいて答弁をされるべきところを、何か、答弁に合わせて書きかえられてしまうなんということは本来あってはならないと思いますし、また、それでは本当に議論が成り立たないと思うからこそ、私たちは問題だということを申し上げているということでございます。

 あと、ちょっと通告はしていないんですけれども、一点念押しをさせていただきたいことがありまして、先般、総務大臣の所信に対する質疑の中で、私は、性同一性障害の問題について、政府として旗振り役がいないのだというお話をいたしました。ちょっと改めて議事録を見直したところ、大臣から、「縦割りのようなことで、ちょっと妙な感じがしますけれども、担当は法務省、法務大臣ということになります。」という形でお答えされています。

 当時の質疑のやりとりを見ていて、私も違う役所でそちら側に座っていたことがあるので、答弁勉強会というと、委員が前提として置くことについてはカットして、問い立てのところだけ、問いと答えになっているものだから、自分もそちらに座っていると、この人、何言い出したんだろうというような経験もあるので、この間、私がこの質疑をしている最中に、大臣は、後ろの多分秘書官の方に、えっ、そうなのみたいな感じで聞かれていたのではないかと推察するんですが。

 法務省というのは、これは性同一性障害の戸籍変更に関する特例法を所掌しているので、所管しているので法務省ということなんですが、例えば男女共同参画担当大臣、これは野田大臣、内閣府というところが音頭をとっています。ただ、個別にでいうと、例えば、労働に関して男女の差別があればこれは厚生労働省でしょうし、何か差別的な待遇というか取扱いがあったとなればこれは人権問題で法務省でしょうけれども、政府全体としてこんな目標を立てましょうとか、こういうことをやりましょうというのが内閣府という位置づけだと思います。

 それに対応するのが例えば性同一性障害だとかLGBTについては存在していないというのが今実態で、要するに、統一的な旗振り役がいないんですよということを当時申し上げたかったということを改めて、別に答弁は結構ですので、申し上げておきたいと思います。

 それでは、ちょっとNHKの方に予算の関連で質問したいと思います。

 平成二十六年(オ)第一一三〇号、受信契約締結承諾等請求事件、この大法廷判決について、どんな判決だったのか、また、会長としてどのように受けとめられているのか、簡潔にお述べいただきたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 今回の最高裁判決は、受信料制度の仕組みは憲法の保障する表現の自由のもとで国民の知る権利を満たすために採用された制度で、その目的にかなう合理的なものと解釈されるとの考えを示し、公共放送の意義を認め、受信料制度は合憲であるとの判断を示したものであると理解いたしております。

 その上で、受信契約の締結は法的義務であることや、受信契約は判決の確定によって成立すること、受信機の設置の月から受信料を支払わなければならないことなどについて判示した内容となっていると理解いたしております。

 引き続き、公共放送の役割や受信料制度の意義について視聴者の方々に丁寧に説明し、公平負担の徹底に努めてまいりたいと考えております。

山花委員 その上で、きょうはちょっと公共放送の役割ということについて改めて考えてみたいと思っておりますけれども、ちょっとその前に、判決では受信機を設置をしたときからということなんですけれども、正直に二十年前から設置していましたと申告をされた場合、これはどのように対応されるんでしょうか。

松原参考人 お答えいたします。

 受信契約の締結に際しては、基本的に、視聴者からの御申告に基づき、受信機の設置日などを確認をしております。したがって、仮に過去から設置をしていますというお申出があれば、我々としては、最高裁判決に従って、お申出があった設置月から受信料の支払いをお願いしていくということになります。

山花委員 ただ、それにしても、自動的にということではなくて、契約ですので相手方の承諾も必要なのではないかと思いますし、また、一般的に言うと、二十年とかなってしまうと、その前に時効が、援用されればそういうことになるのかなと思うわけでありますけれども。

 この判決の補足意見というのがついています。判決書の二十ページのところですけれども、なるほどなと思ったんですけれども、今の法律ですと、世帯単位で契約をするのだということになっていて、誰がということが法律上明文で書いておりません。これは「直ちに一戸の家屋に所在する誰かを締結義務者であると確定することにならない場合もあると思われる。」というようなことが述べられているんですけれども、これは役所の方で結構ですので、これを受けて法改正とかの必要性はないかどうかということについて、どのようにお考えでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 制度的には、放送法六十四条におきまして、受信設備を設置した者に受信契約を義務づけております。受信契約の単位につきましては、この六十四条に基づいてNHKが定めるということでございまして、総務大臣がこれに対して認可をするということで、認可の対象になる日本放送協会放送受信規約において規定をされております。

 今先生御指摘のとおり、具体的には、同規約におきまして、個人について申し上げれば、生活の単位である世帯が受信契約の単位でございます。

 補足意見におきまして、世帯のいずれの者に受信契約を締結する義務があるかという規定は置いていないところでございまして、受信契約の締結が強制される場合に、どの人が締結義務を負うかということについて明文で特定していないことについて問題が指摘されたところでございますけれども。

 この点も含めまして、受信契約のあり方についてはさまざまな御指摘がなされております。営業の実態等も踏まえまして、まずはNHKにおいて、このような指摘も踏まえながら検討をしていただきたいと考えておりまして、総務省といたしましては、今お話のございました法的な対応も含めまして、まずはNHKの御検討の結果を踏まえて、必要があれば対応を行う、そういうスタンスでございます。

山花委員 あと、この裁判に当たりましては、法務省から意見書、法務大臣が意見書というのを出しております。結構大部なものでありますけれども、公共放送という観点から指摘があるのが、三十ページの下から二行目から三十一ページの三行目ぐらいまで。どんなことが書かれているのか、法務省、お願いいたします。

武笠政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の意見書の御指摘の部分でございますけれども、「このように、公共放送には、地震、津波、台風等の天変地異等や、武力や化学兵器等による内外からの攻撃について、公共放送を受信することができる受信設備を通じて、国民に、時々刻々と変化する状況に関する情報を正確かつ具体的に提供し、国民が自らの生命、身体、財産等を最大限守るために適切な行動をとることができるようにするという重大な使命がある。」と記載がされております。

山花委員 公共放送の役割として、まさにこういう応急時の情報提供のあり方ということが問題になるんだと思うんですけれども、一般的には、こうした応急時の情報提供、NHKに対する期待というのは非常に高いと思うんですけれども、大規模災害のときにはもうちょっときめ細やかな対応をしてほしいなというのが率直なところでございます。

 実は、東日本大震災のときに、私、外務大臣政務官を務めておりまして、当時は、どこの役所だからということを言っている場合じゃなかったので、私、岩手の方で現地対策本部長をしばらく務めていたんですけれども、東京で見るような、例えば、これだけの方が被害に遭いましたであるとか、津波でこんなことがありましたということよりも、本当に、避難所にいらっしゃる方にとっては、どこどこの理髪店がオープンしましたとか、物資がここに届きましたとか、実際、私が経験したのは、商船三井の大型客船が、大型客船ですので大きなお風呂があって、お風呂を提供してくれたというのがすごくありがたかったんですけれども、そういう情報というのは、実は、地域のFM局とかそっちの方が強かったりというのを実際現場で経験をしておりますので、ぜひ、こういった、なかなか大変かもしれませんけれども、対応というのを検討していただきたいと思いますけれども、現在、どんな取組をされていらっしゃいますでしょうか。

木田参考人 NHKとしても、災害時のきめ細かいライフライン情報の発信が重要だとは考えております。東日本大震災の経験を踏まえ、実施体制と設備の強化に取り組んでいるところであります。

 おととしの四月の熊本地震では、発災翌日から二カ月にわたり、きめ細かい対応を含めたライフライン放送を行いました。

 今後の対応としましては、大規模災害時には、テレビ、ラジオとインターネットを最適に活用して、生活情報などきめ細かい情報発信に力を入れてまいります。

 また、大規模災害に備え、災害を想定した放送訓練や、ライフライン情報を収集、集約するシステムの整備などにも平時から取り組んでまいりたいというふうに考えております。

山花委員 ぜひ、それは取り組んでいただきたいと思います。

 応急時の情報提供なんですけれども、一方で、これだけインターネットなども発達している中で、NHKがという、何か絶対的な存在でもないのかなというような形の中で、公共放送とは何だろうということをちょっと改めて考えてみたときに、文字多重放送というのは一つのヒントなのかなと思っています。

 字幕が出る映像というのは、アナログ放送の時代というのは何か専用のチューナーを備え付けないとできなかったらしいんですけれども、文字多重放送というのはチャンネルで字幕が出る。この試験放送というのが、一九八三年から試験放送が始まっていて、クイズではないので答弁は求めませんけれども、大臣、これはすごく視聴率をとった番組からスタートしているんです、「おしん」という、あれでスタートしたということのようです。だんだん今それが発達していって、オペレーターによるタイピングだとかで、本当にリアルタイムでできるようになったということであります。

 先ほども少し議論で出ておりました、文字だけじゃなくて、NHKの技研の方で、今、手話のCGでの研究というのも始まっているようです。

 字幕がいいのか手話がいいのかというのは、人によってとか、あと番組によっても随分違うということでありまして、我々よりもっと上の世代ですと、聾学校でも、手話がむしろ教えることを禁じられていた時代がありますので、聾学校を出てもみんなが手話ができるわけじゃないから、唇の読み取りをという教育が行われていた時代もかつてはあったのでということと、あと、今、手話ができる人でも、例えばニュースなのかドラマなのかスポーツなのかによって、どっちがいいという好みもあると聞いております。

 この技研の手話で、例えば、災害が起こった緊急時にそれぞれの地域とかで手話通訳ができる人を手配するということはなかなかできませんから、こういったCGを使ってというのは非常に期待をしているわけであります。ただ、他方、当事者の方から、手話というのは、私も手話は少しできるんですけれども、表情とあわせてでないとちょっと理解できないことがあるので、なかなか技術的には難しいかもしれませんけれども、手の動きだけではなくて、表情についても研究していただければと思います。

児野参考人 お答えいたします。

 NHKでは、聴覚に障害のある方にも放送サービスを楽しんでいただけるよう、今、手話CGで、手始めに、気象情報を伝えるための技術研究を行っています。これは、気象電文から手話CGを自動生成するというものなんですけれども。手話では、手指、これらのほかに、顔の表情ですとか口の動きなどが重要な役割を果たすというふうに言われています。これまでにNHKでは、例えば激しい雨とか猛暑などという特定の表現で、CGによる表情の効果を、試しに行ってその効果を確認しています。

 今後も、より多くの言葉に適切な顔表情がCGで付与できるよう、引き続き研究開発を進めていきたいというふうに思っております。

山花委員 その脈絡の中で、先ほど、パラリンピックの中継について評価が高かったというお話がありましたけれども、ぜひ、デフリンピックの中継も検討していただきたいなと思っております。

 実は、パラリンピックよりデフリンピックの方が歴史が古くて、パラリンピックというのは、東京オリンピック、六四年の、あれが第二回と言われているぐらいいわば最近の競技でありまして、デフリンピックというのは、一九二四年にフランスで夏季大会が、一九四九年にオーストリアで冬季大会が始まっていて、夏季の大会は百カ国も参加をいたしております。NHKの「みんなの手話」で講師を務められて、表情が大事だと一生懸命言われていた早瀬憲太郎さんも出場されておりましたけれども、実は、来年、イタリアのトリノで冬季大会があるということでございます。

 ちょっと時間がなくなったので、答弁は結構ですので、要望として申し上げておきたいと思います。

 さて、どうしてこういった問題を取り上げるのかということについてですけれども、大臣、私は、自分自身、人権の問題とかに一生懸命取り組んできたという自負があります。大臣も、多様性を大事にするということを言われておりますけれども、これは、何かかわいそうな人とか恵まれない人を助けてあげるみたいな側面も、否定はしないですけれども、また、人権問題といえばそうかもしれません。

 ただ、こういう、何か不自由があったりとかハンディがある人にとって優しい社会というのは、例えば足が悪い人のためにバリアフリーにすれば、ベビーカーを引く親御さんにとっても優しいし、健常者でも足をけがしちゃうこともあるかもしれません。そういう全ての人に優しい社会になるからだと私は思っているんですけれども、多様性を大事にされるということの意味合いは同じようなことだと認識してよろしいでしょうか。

野田国務大臣 お答えする前に、お見事な手話でございました。私も時々息子と手話でコミュニケーションをとるんですけれども、息子の方は学校でどんどん覚えてきますが、親が対応できずに、なかなか、息子を怒らせることが多く、自分も勉強しなきゃいけないなと。

 さっきお話があったように、必ずしも全ての方が手話が使えるわけではなくて、年をとってお耳が聞こえなくなると、そこまでのトレーニングができていませんから、そこから覚えようとしても容易でないということはもう本当に明らかで。

 多様性というのは、とにかく、例えば障害児者に特化して申し上げるとするならば、障害児者がいらっしゃるんだけれども、大多数ではないわけですね。まだ人数的には国民の中の八百万人前後と言われている中で、常に二十四時間一緒に生活をともにする機会がなかったりすると、どうしても、今委員がおっしゃったような、何かしてあげなければならないとかいうところで立ちすくむ人もいるわけですが、常にそばにいれば、例えば家族であれば、障害者ということを意識せずに、家族の一員とか、男性とか女性とか、男の子、女の子として暮らしていくわけですね。

 できれば、こういうメディアを通じて見える化をしていただいて、なれていただくという言い方も変かもしれませんが、ふだん接し得ない人に対して心の距離があれば、常に当たり前化、常態化することによってすぐ隣にいる友人というような感覚で認め合っていただければ、その外見から、自分と違うことによって気の毒じゃないかと思うことも、実は自分よりもはるかに能力があるということを、多くの、今回、平昌のパラリンピックで気がつかれた方があるんだと思いますね。

 そういうことで、多様性というのは、まだまだ、今大変な人口減少が進んでいる、少子高齢化、特に少子化は深刻です。私は静かなる有事というふうに呼んでいるんですけれども、そういうものを克服している、そういう危機を克服していくパートナーがまだまだたくさんいるんだ、そんなような思いで多様性を受けとめているところです。

山花委員 幾つか質問があったんですけれども、ちょっと今の話の関係で紹介したいお話がありまして、ウィリアム・ホイというメジャーリーガーがかつていました。六二年に生まれて、リンカーン大統領の時代に生まれて、ジョン・F・ケネディの時代に亡くなった方です。九十九歳でシンシナティ・レッズ対ニューヨーク・ヤンキースのワールドシリーズ第三試合の始球式で投球をしているという。

 小林政務官も若いけれども、きょとんとされているから多分知らないのではないかと。実は、聾の大リーガーで、第六十三回青少年読書感想文全国コンクールで絵本にもなっているので、むしろちっちゃい子の方が知っているかもしれません、大人の方が知らなくて。

 この方が何でこんな絵本になっているかというと、耳が聞こえないものですから、当時大リーグも、審判、アンパイアは、ストライク、ボールと叫んでいるだけだったそうです。なので、三振したのに気がつかないでずっとバッターボックスに立っていて笑われたとか、悔しい思いをされたというエピソードがこの本にも出てきます。

 で、なぜ有名なのかというと、この人の考案で、ストライクだとかセーフだとか、そのエピソードが出てくるという話であることが一つ。

 それだけだったら何も、委員会で絵本を持って話すのは初めてですけれども、それだけだったら言わないんですけれども、このことで、「観客たちもよろこびました。場内アナウンスも大液晶画面もない時代です。審判のジェスチャーを見れば、声が聞こえなくても、遠くからでも、ストライクとボールの判定がわかったからです。」と。

 つまり、先ほど、バリアフリーにすれば普通の健常者もという話もいたしましたけれども、このケースというのは、聞こえない人のためだけじゃなくて、このことによって我々の生活も豊かになったし、見る人にとっても幸せができた、こういうケースではないかと思うんです。

 そういった意味合いで、ややちょっと強引かもしれませんが、総務大臣意見の中で、国内放送の充実の中で、字幕放送だとか解説放送、手話放送についてということで意見を述べられておりますので、最後に一言、チャレンジドの方々が勇気が出るような一言をいただければと思います。

野田国務大臣 お答えします。

 むしろ私が今勇気をいただきました。とにかくできることは何でもやろうじゃないか、最初に何か前提をつくらずに取り組んでいけば、結果として、今、山花委員が御指摘があったように、その当事者だけでなく、幅広に社会にいろいろな花が咲いてくるんだろう。例えばこういう字幕に関しても、障害児者のためではなくて、結果的に、高齢社会になってくれば、高齢によってお耳が遠くなられる方も当然ふえてくるわけで、その方たちにとっても役に立つツールになってくるんだ、そんなふうに思っております。

 ありがとうございます。

山花委員 終わります。

古屋委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。

 私も、本題に入ります前に総務大臣に一問お聞きしたいと思いますが、公文書改ざんの問題についてでございます。

 野党の私が言うよりも、新聞各紙の社説の見出しを読めば国民の皆さんがいかに怒っているかというのがわかるんじゃないか。朝日新聞「民主主義の根幹が壊れる」、毎日「立法府欺く前代未聞の罪」、読売新聞「行政への信頼を失墜させた」、産経新聞「国民への重大な裏切りだ」と。

 読売新聞や産経新聞もこのように書いている、あるいは、テレビや、ニュースだけじゃなくてお昼のワイドショーなどでももう連日取り上げられている。

 このことを、やはり、我々はその改ざんされた文書をもとに一年間国会で審議をしてきたわけです。この一年間どうしてくれるんだと、これはもう本当に与野党を超えて立法府として怒らなければならないということだと思います。

 これは、野田大臣、政府の一員として、そして、私は前回も申し上げましたけれども、野田大臣は総裁選への出馬も表明されている、総理を目指すということでありますから、そういうお立場としてこの件をどのように考えておられますか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 もう既に明らかになりましたとおり、公文書が正常な状態ではなかったと。これは、何度も申し上げているんですけれども、公文書管理法の趣旨というのがございまして、特に、その第一条で、公文書というのは「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」というふうにうたっております。私たちもそれを前提に、大前提に、ここでの、国会での議論を積み重ねていくわけですね。

 ですから、私は、総務大臣としても、これはあってはならないことだ、大変深刻な問題だと受けとめて、少なくとも私が総務大臣としてできる限りのことは取り組み始めているつもりでございます。

高井委員 これは本当に政府全体として考えていただかないと、やはり、我々はこうやって今審議をしていますけれども、その土台、前提が全部崩れるということでは本当に審議できない。これは別に何か我々が拒んでいるとかいたずらに拒否しているということじゃなくて、本当に根本的な問題だと思いますので、これはしっかり考えていただきたいと思います。

 それでは、質問に入りますが、まず、NHK会長にお伺いします。

 これはちょっと地元の話題で恐縮なんですが、大河ドラマの件。

 私の地元の岡山に、備中松山藩の藩政改革をなし遂げた山田方谷という立派な方がいます。この方が、我々岡山県の関係者を中心に、二〇一二年の十月から約六年かけて九十四万人の署名を、これは過去最大、最高の署名の数だと聞いておりますけれども、ぜひ大河ドラマの主人公にできないかと。

 これは岡山だけじゃなくて、四十七都道府県の全ての県からこういった要望が上がっているということで、我々国会議員も、きょう池田先生いらっしゃいますけれども、超党派で要望の活動をしておりまして、先日も、ちょっと我々国会議員は本会議があったので行けなかったんですけれども、岡山県の関係者が会長のもとに行って、会長からは、熱心な地方に何らかの形で応えていきたい、そういう前向きなお答えもいただいたと聞いておるんですけれども、改めて、今その検討状況、いかがでしょう。

上田参考人 お答えいたします。

 地元の方々からそういう強い御要望があることは、私も重々承知いたしております。

 ただ、大河ドラマに関しましては、先ほど、別の先生からの御質問に対しまして木田専務理事の方からお答えいたしましたように、決めるときのある程度の基準を設けていまして、一年にわたって視聴者の興味を引き続けることができる波乱に満ちた生涯を送った主人公が存在すること、それから、主人公の生き方を通じて時代に即したメッセージを伝えることができること、それから、時代設定が特定の時代に偏らないようにすること、そういったことを考慮しながら、さまざまな地域からの大河ドラマへの要望をいただきながら、今申し上げたような観点から総合的に判断しているわけで、大河ドラマ視聴者のニーズの動きを酌み取りながら、毎年、時代設定も長期的な視点からバランスを配慮するなど、番組制作部門で十分に検討を重ねた上で企画決定しているわけです。

 大河ドラマも引き続きこの山田方谷先生のことも検討させていただきますけれども、つい先日、「英雄たちの選択」というので山田方谷先生を取り上げさせていただきまして、約一時間の番組で、私もしっかり見ましたけれども、非常にいい番組にでき上がっていたんじゃないかと思います。

 大河ドラマに関しましては、いろいろな、先ほどから申し上げているような考慮を踏まえながら、引き続き検討させていただきたいと思います。

高井委員 今の基準にも、私は大変合致していると。この山田方谷先生は、わずか八年間で巨額の財政赤字を立て直した、まさに江戸時代屈指の藩政改革者、今の我が国にも通じる、極めて重要な、現代にマッチした課題だと思っておりますので、ぜひ御検討いただけたらというふうに思います。

 それでは、続いて、お願いをした後に今度はちょっと厳しいことを申し上げなければなりませんが、先般の二月二十二日の総務委員会で取り上げました佐戸未和さん、二〇一三年の夏に三十一歳の若さで過労死をされた、きょうは御両親も来ていただいております。

 実は、ちょっとこの間、連絡をとらせていただいて、先般の、二十二日の総務委員会の会長の答弁では、やはりまだまだ納得できないというようなお考えでありました。

 会長は、佐戸さんの御両親にも、この件は決して風化させない、そういう趣旨の約束をされたそうです。しかし、これは昨年の十月、亡くなってから四年後にNHKはようやっと公表することにしたわけですが、その直前に御両親から話を聞く機会を設けたということなんですが、しかし、これは四、五十人ぐらいの会で、しかも、その公表する直前に、何かちょっと急にやったというような感じを受けなくもないということであります。

 あるいは、その後、働き方改革宣言をNHKは出すわけですけれども、これも、発表した後に御両親のところに報告に行ったというような形で、やはり御両親からすると、御遺族に寄り添ったというふうには感じられないということであります。

 やはり御両親の思いは、娘さんの死を無駄にしたくない、もう二度と同じ悲劇を起こしてほしくないということでありまして、そうすると、やはりNHKの職員の中にもっとこのことを知ってもらわなきゃいけないけれども、恐らくNHKも、職員でも報道でしか知っていないという方もいるし、報道を見ていなければ知らないという職員もいるんじゃないかと思います。

 やはり、もっとNHKとして、さまざまな研修の機会でこのことを取り上げて、御両親に来ていただいてお話を聞くであるとか、あるいは、七月二十四日の命日にはしっかりと職員に対して周知をするというような機会を設けるとか、そういう取組が必要じゃないかと思いますが、改めて、会長、きょうは御両親もいらっしゃいますし、また全国中継もされています。ぜひ、こういう不幸な出来事は決して起こさない、過労死は絶対起こさない、その決意を改めて申し述べてください。

上田参考人 お答えいたします。

 若く未来のある記者が亡くなりましたことは痛恨のきわみで、我が子を失われた御両親の思いは察するに余りあるものがあります。改めてお悔やみを申し上げたいというふうに思います。

 佐戸未和さんが過労死の労災認定を受けられたことは、私としては大変重く受けとめておりまして、公共放送をともに支える大切な仲間を失うことは二度とあってはならないということを強い決意をいたしております。

 過労死の事実、これを風化させず、命と健康を守ることを最優先として、昨年十二月に公表した「NHKグループ 働き方改革宣言」の実現に取り組んでまいりたいと思いますし、今、高井先生がおっしゃいましたようなことで、我々としても組織の中でこれを風化させないようにいろいろな形で共有してやっていきたいと思いますし、働き方改革の進捗については適宜御両親にも報告し、あわせて御意見なども伺って、二度とこういった過労死を起こさないようにしっかりと取り組んでまいる決意であります。

高井委員 本当に言葉だけでなく実行に移していただきたい。特に、やはり御両親が納得をされるような対応でなければ私は再発防止策ということにはならないと思っていますので、今後も引き続きNHKの取組は注視したいと思います。

 総務大臣にも、前回も、前回は通告なしで、今回は通告させていただいたと思いますが、この件、これはもうNHKだけのことじゃなくて、総務大臣として、あるいは、さっきも申しました、総理を目指す方として、こういった過労死は絶対起こさないんだというその決意、これを総務大臣からもお聞かせください。

野田国務大臣 お答えいたします。

 その前に、佐戸未和さんの御両親がきょうは委員会に来ていただいているということをお聞きしました。心から御冥福をお祈り申し上げまして、本当に、御両親の悲しみ、尽きることはないんだと思います。おかけする言葉もない中、ただ、しっかりと、未和さんが一生懸命生きてこられたこと、そして未和さんが無念のうちに亡くなられたことを忘れずに、そのかわり、しっかりと、次世代の、又は仲間の皆さんが同じようなことがないように、しっかりと生きていただけるようなことを私たちは考えて、答えを出していかなきゃいけないなと思っているところであります。

 私自身も女性ですから、ちょうど未和さんのころの私はどうだったかとか思いをはせておりました。一回の選挙で落ちまして、落選をして、浪人をしておって、本当に苦しかったです。でも、その次の年に初当選させていただいて今があるということを思えば、まだまだ、本当に未和さんに残された夢や希望というのは大切なことであったと思うし、思いは尽きません。

 先ほどお話がありました、風化させないという話です。今、私は総務大臣として地方自治を担っていますから、東日本大震災のこと、また他のさまざまな大規模災害で被災された方等々について寄り添わさせていただいているんですけれども、風化をさせないということは、言うには簡単なんですけれども、やはり少しずつ少しずつそのことから時間がたってしまうと離れてくるのは現実の厳しさだと思います。

 私自身は、東日本大震災、なぜ自分はいつも思っていることができるかといえば、たまたまですけれども、その年に息子が生まれたからです。息子が成長するたびに、やはり東日本の皆さんの被災されたことをもう一度思い出すし、あのときこうだったということを思い出すことができるので、自分は国会議員として常にそのことを思うことができました。でも、そうでなかったらどうかなと自分にも自問自答することがあります。

 今回、佐戸未和さんの思いを多くの人たちが忘れない、受けとめてちゃんとやっていくというためには、確かに言うだけではだめだと思います。

 実は、少し前に、このことが起きたときに、働き方改革をしますということで、NHKの上田会長がいらっしゃいました。私は、それだけでは何となく不十分であるかもしれませんということを申し上げました。具体的には、佐戸未和さんのお名前を少しいただいて、やはり未和さんのその無念の、そして、お命があったればこそ次の人たちはいい働き方ができているんだよということを、常に会社の人たち全員が意識できるような、そういう取組をしてほしいということを実は申し上げていたところでございます。

 ぜひ、NHKには前向きに捉えていただければと思っております。

高井委員 本当にこの問題だけで私は何十分も質問をさせていただきたいですけれども、きょうはほかの質問もありますのでこのあたりにいたしますけれども、この件、非常に、本当に重く受けとめていただいて、これからもうこういうことが二度と起こらないようにしていただきたいということを申し上げておきます。

 それでは、続いての質問になりますが、マスメディアと政権との距離について、これは去年のこの委員会の場でも私は取り上げました。

 私は、NHKというのは視聴率をやみくもに追う必要はないんじゃないか、一部の方が視聴率をとるために政権の懐に飛び込んでいって、そしてスクープをとる、しかし、そんなことをNHKがする必要があるのかということをこの委員会で取り上げました。

 きょうは、そのことは言いません。

 私は、それと関連して、やはり今のマスメディアと政権のあり方、特に総理が、第二次安倍内閣になって約六十回、新聞の報道だけ見ても、大手メディアの幹部と会食をしているという事実、これは、本当にもう海外のメディアの方からは、信じられない、メディアというのは本来権力を監視する役割なのに、その権力と癒着しているように見られるような行動を大っぴらにやるなんてことは、欧米では、先進国ではあり得ないということをいろいろな方から言われるわけです。

 その結果かわかりませんけれども、報道の自由度ランキングというのも、かつて十一位だったのが今は七十二位、こういう悲惨な状況です。

 これは日本的慣習だと言う人もいるんですけれども、しかし、歴代の政権は結構抑制的だったんですよね。安倍内閣になってから、六十回という異常な数にふえていますけれども。

 総務大臣、これは放送を所管する大臣という意味で、放送のトップもかなりの数、会食をされていますし、また繰り返しますけれども、総理を目指される方として、こういう状況をどうお考えですか。もし総理になったら、野田大臣も同じようにされるんですか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 御指摘の点については、こちらで正確な事実関係を承知しておりません。今の回数のことも、正直、今教えていただいた次第です。

 放送法上の制約等もないことでございます。ですから、この場で総務大臣としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

高井委員 通告すると、こういう逆に弊害があるなと思いますけれども。

 これは総務大臣として、まあそうですかね、だから、それは言ってみれば放送法上は別に禁止されるものではないということを言いたいんだと、官僚の皆さんがつくった答弁はそうなんでしょうけれども、メディアの中の放送という一部ですけれども、そこをやはり所管する大臣として、そして、それはこの場では答えられないとおっしゃるかもしれないけれども、やはり、一人の政治家としてでもいいですよ、この問題は、野田さんとして、政治家として、どうお感じになりますか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 節度を持ってきちっと対処すればよろしいと思います。

高井委員 きょうはこれは全国でも中継されていますから、多分国民の皆さんは、大変期待しているというか関心を持っていると思うんですよね。

 もう一回だけ聞きます。

 総理大臣を目指しておられる、総裁選にも出馬を表明されている野田さんとして、野田さんが総理大臣になってもこんなふうに続けるんですか。

野田国務大臣 仮定の話について、私個人のことであってもお答えすることができません。

 ただ、これまでも私自身は、いろいろな方とお話をする機会があったり会食の機会がありましたけれども、常に自分は自重して、節度を持って政治活動にいそしんできた、そういうつもりであります。

高井委員 これは本当に個人の問題じゃないですよね。海外の方がこれだけおかしいと思われる、そして、日本人の中だってもちろんおかしいと思っている人はいっぱいいますけれども、しかし、海外に比べればそういったことを言う人が少ないという指摘も海外からあります。

 これはやはり、政治家というか、政府の、権力を持った側の矜持として、もちろんマスメディアの側にも矜持を持ってもらわなきゃいけないわけですけれども、やはり大きな問題だと考えておりますので、よくお考えいただきたいと思います。

 それでは、次は、これは今、安倍政権のもとで放送改革をしようという話がいろいろ新聞でも出ています。

 三月十五日には、共同通信が政府の文書を入手したということで、通信、放送で異なる規制を一本化しようとか、あるいは放送法四条、政治的公平を撤廃しよう、そして多様な事業者をどんどん参入を認めていこうというような改革案。

 それに対して、読売新聞は、三月八日には、「安倍「放送」改革に潜む落とし穴」、それから三月二十一日は、放送見直し、政府内対立をしているというような見出しで記事を書いております。

 私は、この通信・放送融合というのは、これは実は私も総務省時代に、ちょうど二〇〇〇年に、電気通信役務利用放送法という通信・放送融合の先駆けの法案をつくった、起案した一人でございまして、これは大変重要な課題、そしてまた進めていかなければいけない必然の課題だと思っています。

 しかし、今回この件が懸念をされるのは、安倍政権の中に何かちょっと意図があるんじゃないかと。

 一つは、やはり、政治的公平性をこれで撤廃をするということになると、党派色の強い番組ができてしまう。奥野委員が予算委員会で取り上げていましたけれども、選挙の直前にAbemaTVに三時間総理が出演をしていたということも、これは放送じゃないからできるということでありますし。

 あるいは、これは多分読売新聞なんかも懸念をしているのは、結局、電波を与えられている放送局が、電波じゃなくて、ネットでも同じように番組を流せる、いろいろな番組ができるということになると、結局、電波が取り上げられてしまうんじゃないか、そうなると、やはり放送局に対するこれは無言の圧力になっているんじゃないかということがいろいろ懸念をされるわけであります。

 総務大臣は、放送を所管する大臣ですけれども、恐らくこの案というのはまだ正式なものじゃないと言われると思いますし、しかし、間違いなく安倍官邸が主導して進めようとしている案だと思いますが、こういった案について、総務大臣としてはどのように考えておられますか。

野田国務大臣 全体の案については、本当に、まだ手元にも何も来ておりませんし、あの報道で知る以外のすべがございませんので、お答えすることはいささか難しいところですけれども、放送法第四条が定める番組準則というのは、一般論を申し上げると、放送事業者は、四条を含めた放送法の枠組みの中で、自主自律によって放送番組を編集することにより、重要な社会的役割を果たしていただいてきたと認識しているところです。

 四条の中には四つありますけれども、非常に重要なことがございまして、むしろこれを多くの国民が今こそ求めておられるのではないかということもございます。例えば、仮定の話というのはなかなか難しいですけれども、そういうことがなくなった場合は、この四つの定めるところの一つである、公序良俗を害するような番組とか事実に基づかない報道が増加するということの可能性が考えられるのではないかと思います。

高井委員 もう時間だと思いますので、最後、もう一問だけ、受信料のことをNHK会長に聞きたいと思います。

 私もかつて受信料の集金のアルバイトをやっていて、そのときに大変感じたのは、受信料を払っている人と払っていない人がいるのはやはり不公平だと。今だんだん収納率は上がってきましたけれども、しかし、これも外部委託をやって無理やり上げているような感じがあります。

 私は、やはりもっと制度としてしっかり受信料を集める方法、海外のを、これは朝日新聞の記事なんですけれども、見ると、イギリスもフランスもドイツも韓国も全て支払い義務が明文化されていて、罰則のない日本の今の制度というのは極めて特殊だという報道になっていますし、それらの国は全部、イギリス九三、フランス九九、ドイツ九八、韓国一〇〇とか、それだけの収納率になっています。

 私は、この義務化ということも含めて、受信料の考え方、今の会長の考え方を最後にお聞きいたします。

上田参考人 お答えいたします。

 放送法に受信料支払いの義務を明文化するということであれば、放送法で契約義務を課し、放送受信契約で支払い義務を定めるという現在の二段構えの構造を放送法に一本化するもの、こういう御意見だと受けとめています。

 支払い義務については、現在も総務大臣の認可を得て定めました放送受信規約で規定されておりまして、現状でも受信料の支払い義務があることは明確だというふうに考えております。

 支払い義務の明文化には放送法の改正が必要であり、仮に改正を行う場合には、国民的な議論が十分行われ、視聴者の理解が得られることが何より重要だと考えております。

 また、罰則つきの義務化というお話ですと、私の方では有識者から成る受信料制度等検討委員会に諮問しているわけですが、「罰則等の法制化を伴う支払義務化を行うことは、NHKの公共放送としての性格への影響等を考慮すると、慎重に検討すべきものである。」という御意見を賜っております。

 いずれにいたしましても、NHKとしては、こういった答申も踏まえまして、今後の受信料制度のあり方について検討を続けてまいりたいと考えております。

高井委員 払っている人がばかを見る、やはりこれはおかしい、七十数%じゃ足りない、一〇〇に近づけるように努力していただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございます。

古屋委員長 次に、武内則男君。

武内委員 立憲民主党・市民クラブの武内則男です。

 実は、地方創生特別委員会でも梶山大臣にお伺いをいたしましたが、今回は通告もさせていただいております。まず冒頭に、公文書管理あるいは行政監視という任を担う総務省、総務省がそういう任を担っているということを前提に、私自身の経験も踏まえて、大臣にちょっとお伺いをしたいと思います。

 安倍政権のもとで、財務省のみならず厚労省やあるいは文科省含めて、とんでもない事態が今国家行政をめぐって出てきている、ゆゆしき事態だというふうに認識しています。

 私自身も役所時代に、地方組織ではありましたけれども、地方自治体ではありましたが、さまざまな許可をおろしたり、いろいろな住民と直接、前線で対応してきました。二十五年勤める中で、いわゆる自分の職場に利害関係者が乗り込んできて恫喝をし、おどしをして、それでも何ともならぬき、結局、その課長であったりあるいは副部長であったり部長であったり副市長にまで話が上がっていくんですね。

 そういう事態を迎えたときに、決裁文書を上げていくときというのは、上からの指示がない限り、担当部署だけでこんな公文書を改ざんするなんということは、私、一度も経験したことがありません。そういうことが今財務省の中で起こっています。

 これは、財務省の中だけで、理財局という局の中だけで物事が判断をされ、やられたものじゃありません。地方自治体でさえ、そんなことはしません。きちっと公文書、決裁文書は上へ上げていきます。上からの圧力がない限り、それを書きかえるなんということはないんです。だから、そこはちゃんと出せというふうに、きちっとやってくれというふうに、僕ら、何ぼ市長らに言われても、できませんと言ってずっと突っぱねている。

 ぎりぎり何かをするときというのは、法律と、それに基づいてつくられた条例、少なくともこの二つに違反をしない、ぎりぎりのところで何かできるかということを考えます。そうしたときは、例えば許可をめぐっては、警察と連日協議をして、そして、道路交通法あるいは道路法という法律に基づいて、我々がもし許可を出せるとしたら、こういう条件をつけて、きちっと条例や法に違反をしない形で許可を出すという手続を踏みます。

 しかし、前段は、そんなことはできませんと言うのが普通あるべき行政です、幾ら恫喝されようが。それが、国家であれ、地方であれ、行政の本来あるべき姿です。それが、こういう事態を迎えています。

 そうした中で、その発端のもとである財務省で起こったこの改ざんというものを財務省が調査をするということについては、非常に私は違和感がある。そこは、きちっと違う部署、そういう行政監視を担ったり、あるいは第三者機関がきちっとそのことを調査をして、そして真実を明らかにするということが本来あるべき姿だと僕は思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 財務省のことについて、ここで申し上げる立場にありませんけれども、やはり、何度も申し上げてまいりましたけれども、そもそも、法令を遵守し適正に事務をするということが行政として大前提というか、それがなければ、いろいろな国会での議論というのは積み重なっていかないわけですし、ただ、今のところ、財務省がしっかりとこの事案については説明責任を果たしていかなければならない、そういう思いが私の中にはございます。

 今も武内委員から御指摘ありました公文書の管理等につきましては、例えば公文書管理については、昨年九月に、行政評価局の調査結果に基づいて、全府省に対して、ガイドライン等に則した保存期間の設定や、法令等の遵守を図るための実効性ある点検、監査や研修の実施などを求める勧告を行ったところであります。

 その後、このたびの事案が明らかになったことを受け、総務省としては、公文書の管理は、まず、みずからの責任を持って対応することが重要であるという認識のもと、総務省内の決裁書類について改めて確認するように指示をしたところです。

 政府全体の公文書管理については、現在、昨年末の公文書管理のガイドラインの改正を踏まえて、年度内に各府省が行政文書管理規則を改正し、厳格なルールのもとで公文書管理の適切な運用を図るとともに、研修の充実などにより各職員へのルールの徹底を図ることとしています。

 総務省としては、まず、業務効率化として、行政文書の適切な管理を図るため、電子決裁を推進しているわけですが、これは、あわせて、決裁を電子的に処理することによって更新履歴が自動的に残るということになり、決裁文書を適正に保存するという観点でも有意義であることから、一層の推進を図っているところです。

 あわせて、昨年九月に行った勧告については、このような事態が緊急に生じていることを踏まえて、勧告した内容を着実に実施していただけるよう、私どもから速やかに全閣僚に改めて要請をしてまいります。

 総務省としては、まず、こうした取組をしっかり進めていきたいと思っております。

武内委員 総務大臣として、総務省を所管する大臣としてそういう御答弁をされるということについては、我々としてもちゃんと受けとめておきます。

 しかし、ある自治体なんかで、いわゆる所管の財務省のエリートと麻生財務大臣の指示でもって物事が動くなんということは僕は多分ないと思うんです。逆に言うと、そういう事例がなぜあったかというと、決裁文書を書きかえた人とお会いもしています。非常に苦しんだ経験を、この問題が明らかになってきて苦しんだ職員を見ています。これは地方の職員ですけれども、その職員と、ある人にお願いをして、ずっと悔やんでいます、ぜひ、メンタル的なことも含めてきちっとケアをして、ちゃんと寄り添っておけというふうに指示をおろしています。それは上から来ています、全部。

 本当に、職員がこうした改ざんに手を染めざるを得なかった、あるいは染めてしまったということは、そんないろんな思いを持ってみずからの命を絶ってしまった、この事実は消えません。

 ですから、この問題は、財務省の中だけ、あるいは理財局の中だけで起こっていることではないんだということをちゃんとおなかに入れておいていただきたいというふうに思います。

 それでは、NHK予算について御質問をいたします。

 働き方改革について。

 五年前の佐戸記者の長時間労働による過労死をきっかけにして、労働時間抑制にもしっかりと取り組んできて、二度とこういうことを起こさないという思いのもとで努めてこられたというふうに承知をしています。その意味でも、今日までも、働き方改革を進め、二度と過労死を起こさないという決意が、過労死の公表によってなされてまいりました。

 経営計画に盛り込まれた「NHKグループ 働き方改革宣言」は、これを契機として業務を根本的に見直し、公共メディアへ進化するための力を生み出し、単なる時間抑制ではない、新たな経営指針を示しているというふうに私は見ています。

 そこで聞きます。

 働き方改革はどういうふうにしていくのかが一つ。それと、組織文化とかあるいは組織風土に問題があったとは捉えていないのか。三つ目が、公共放送の使命がゆえに十分な管理を行わず、自己犠牲を強いるような風土がこれまでになかったと言えるのか。以上三点、お答えをいただきたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKでは、これまでも、働き方総点検、それから働き方改革に取り組んでまいりました。改革を更に加速するためには、グループ全体が共通理念のもと、更に踏み込んだ取組が必要と判断して、NHKグループ働き方宣言を公表いたしました。

 長時間労働を前提としがちだった組織風土を改め、あらゆる業務を点検し、スクラップ、集約、フローの改善、一体化など、体制の見直しという取組に加え、意識改革を徹底して、公共放送にふさわしい、めり張りのきいた新しい働き方をつくり上げてまいりたいと考えております。

 既に、この働き方改革宣言を踏まえて局内でいろんな会議も持っているわけですが、そこで私の方からも直接申し上げておりますけれども、まずは、コンプライアンス重視といいますか、長時間労働、これを改めて健康を確保すると同時に、やはりNHKとしての使命を達成するためには、働き方の中でいろんな創造性を生かしていく、こういったことも極めて大事になってくると思います。

 それと、私も一年余りこのNHKの直接的な経営に携わらせていただいて気がついたんですが、非常に多様性を持った職場です。報道と番組制作では相当に違う職場の労働環境がありますし、したがって、私は、それぞれの役員にも申し上げているんですが、現場を踏まえて、いろいろな、今申し上げましたような創造性を生かし、志を持ってNHKに入ってきてくれた人たちがその自己実現をできるような、そういう職場づくりをどうしたらいいのかというのを、それぞれのところでコミュニケーションを密にしてしっかりととってもらうということを強くお願いしていますし、私もその点からしっかりとフォローしていきたい、こういうふうに考えております。

武内委員 ありがとうございます。

 次に、抜本的な改革とは一体、具体的にどのようなものを想定をしているのか、その抜本的改革と言われるその評価の見方、これについて少し御見解をお聞きしたいと思います。

根本参考人 お答えいたします。

 「NHKグループ 働き方改革宣言」にお示ししましたように、まずは、長時間労働に頼らない組織風土をつくるということ、そして、業務の改革やスクラップを進めて効率的な働き方を追求することなどが柱になっております。

 具体的には、今、放送現場では、拠点局を除く地域放送局の記者の泊まり業務を、緊急対応の整備を進めながら段階的に廃止することを目指しています。また、本体番組のスタジオ収録を原則二十二時で終了させることを目指しています。

 こうした施策は、業務のあり方を大きく見直すものであり、これまでの慣行を打破する抜本的な改革というふうに言えるのではないかというふうに考えております。

 以上です。

武内委員 あわせて、働き方改革のことで引き続いて聞きたいんですが、単に労働時間を削減をするだけでは、公共放送としての使命が果たせなくなるのではないかという懸念も一方であります。ですから、公共放送の使命をどのように見て、今後の業務を推進しつつ働き方改革を進めることが可能だというふうに思われているのか、御見解をお聞きしたいと思います。

根本参考人 お答えいたします。

 「NHKグループ 働き方改革宣言」で掲げているのは、単なる労働時間の削減ではございません。業務の改革やスクラップを進め、効率的な働き方を追求することで、生産性や職員の創造性が一層高まり、結果として視聴者サービスの維持向上にもつながるものというふうに考えております。

 NHKとして、常に公共放送の使命達成を目指すというのは当然のことだと考えております。ただし、その使命を達成するために、業務に携わる全ての人が健康であることが大前提であるということだと思います。公共放送の使命達成と全ての人の健康は切っても切り離せるものではなく、NHKの働き方改革を進めていく上で車の両輪であるというふうに考えております。

武内委員 ありがとうございます。

 続きまして、特殊法人、公共放送事業体としてのあり方についてお伺いをしたいと思います。

 行政改革が進む中、NHKは、表現の自由を担う大きな役割があるがゆえに、現在も、特殊法人として、また、税金ではない安定財源によって大きな自律性を委ねられています。マスメディアの事業を大規模に扱う事業者として、より主体的な意見を表明し、積極的に議論を喚起すべきだというふうに思います。済みません、途中抜かってしまいました。特殊性、また現在の社会的なメディア環境の激変に伴い、マスメディアの事業を大規模に扱う事業者として、より主体的な意見を表明し、積極的に議論を喚起すべきだと思います。もう既にこれは世界の公共放送ではなされているというふうに私は承知をしています。

 そこで、NHKが公共放送であることは昨年の十二月の最高裁判決でも認められていますが、今後、公共メディアを目指していく上では、より視聴者の理解が得られることが必要であると考えています。国会としても、NHKの自律性を尊重し、業務内容にできるだけ踏み込まないということを是としてきたというふうに思いますが、これから公共の意味も問われていくような時代に、NHKが受動的な姿勢ではいかがなものかというふうに考えます。専門家ですから、もっと積極的に意見を述べる時代を迎えているのではないかと考えますが、御所見をお伺いをします。

上田参考人 お答えいたします。

 私といたしましても、視聴者・国民の皆様にNHKの公共放送としての性格を御理解いただくことは、大変重要なことだと認識いたしております。

 また、昨年十二月の最高裁大法廷判決におきましても、NHKの財政的基盤を確保するために、NHKの目的や業務内容を説明するなどして、受信契約の締結に理解が得られるよう努めることが望ましいとされているところでありまして、NHKとしても、引き続き、公共放送の役割や受信料制度の意義について丁寧に説明してまいりたいというふうに考えています。

 その上で、NHKは、メディア環境が大きく変わる中でも、放送を太い幹としながら、インターネットを活用し、できるだけ多くの人に正確で迅速なニュースや質の高い多彩な番組を届けることで公共的価値の実現を追求していきたいと考えておりまして、次期三カ年経営計画で、NHKが追求する六つの公共的価値を初めて整理し、今後、インターネットを含めてサービスを展開していくに当たって、何のために実施するのか、その目的を明確に打ち出しました。

 これまでの基本姿勢を堅持しながら、公共メディアへの進化を目指すことに全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

武内委員 多分、最初にいろいろなアドバルーンを上げて、それに伴って、いろいろな改革を含めて、そしてNHKのあり方、公共放送としてのあり方というものを不断にずっと求めていかれるんだと。

 ぜひ、いろいろな細かなことに対してもしっかりとホウレンソウをしながら、よりよいものにしていくためにぜひ御奮闘していただきたいというふうに思います。

 最後に、籾井体制と上田体制の違いについてお伺いをいたします。

 今回の経営計画では、公共メディアへということが前面に押し出されていますが、本来であれば、別段、四年前に、籾井会長時代に既に進められていてもよかったのではないかというふうに僕は思っています。この数年間、技術がどんどんどんどん進展をして、放送が置き去りになっているというふうに、落選中ではありましたが、そういうふうに見ていました。

 公共放送が公共メディアへということでありますが、いま一つ、何か妙に判然としません。受信料の有効活用という面からも、経営指針が明確でないという意味でも困ります。そもそも、本来であるならば、放送からメディアへの変化やアイデアをNHKが積極的に打ち出しておくことが、視聴者への有効な還元につながったのではないでしょうか。それがさまざまな問題で浪費された面があると思いますが、協会としての御見解をお伺いいたします。

上田参考人 お答えいたします。

 御指摘ありましたように、公共放送から、インターネットも活用して、放送と通信の融合時代にふさわしい公共メディアへの進化を図る必要があると認識いたしております。

 実は、三年前に策定いたしました現在の経営計画でも、二〇二〇年に向けた六年間のNHKビジョンを示し、放送を太い幹としつつ、インターネットも活用し、最高水準の放送サービスを実現することを目標に掲げておりました。

 今回の二〇一八年度からの三カ年経営計画は、そのNHKビジョンの第二ステップと位置づけておりまして、インターネットも活用した新たなサービスの具体化に取り組みながら、いつでもどこでも視聴者の皆様の期待にしっかりと応えられる、情報の社会的基盤としての役割を果たすために全力で邁進してまいりたいと考えております。

武内委員 もう一つお伺いします。

 前体制下であっても、NHKの自律性は、表現の自由から大事だというふうに思います。

 ただ、NHKの自律性を否定するつもりは全くございませんが、編集の自由を含むその大事な自律性が、本来視聴者が知るべきことを知らせない、知りたいことを拒否することに使われたという印象をこの数年持っています。公共メディアになるのならば、ますますこの点は非常に重要になってくるんだというふうに思いますが、最後、御見解をお伺いします。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKといたしましては、放送法にのっとり、番組編集の自由を確保し、公平公正、不偏不党、自主自律を貫くことが、視聴者から信頼されるかどうかの生命線であると考えております。

 国民の知る権利に応え、特定の利害に左右されることなく、意見が対立している問題は多角的に取り扱うなど、基本的な姿勢を堅持することは重要と考えておりまして、これからも、この認識を常に持ち、業務の執行に当たってまいりたいと考えております。

武内委員 終わります。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 寺田です。

 質問の時間をいただきましたこと、心から感謝申し上げたいと思います。そしてまた、上田会長におかれましては、前勤めていた会社の入社時の、他の部局とはいえ部長で、上司に当たりますので、非常にやりにくいですが、厳しい立場でNHK予算に対して質疑をさせていただきたいというふうに思っています。

 十年前にも、私もこの総務委員会でNHK予算の質疑をさせていただきました。十年たってみても変わっていない問題をこれからやりますが、NHKに対する見方は変わってきました。端的に言うと、子供を授かる前と授かった後では、NHKに対するありがたさというか、すばらしさが変わってくるなと。教育放送はすばらしいですよ。

 番組名を挙げていいかどうかわかりませんが、「0655」って、会長、御存じですか。「0655」は秀逸ですね。五分間の番組ですけれども、非常に、ユーモアと、あと、子供と一緒に親も見て親も楽しいという番組ですので、良質な番組、それ以外にもさまざまつくられていますが、NHKに対しては、番組内容に関しては本当に応援していきたいなと思っております。

 が、十年前にも議論したんですけれども、解決されていない問題、そしてまた、解決どころか、よりその問題にかかわる方がふえてきている問題があります。十年前ぐらいですけれども、いわゆる衛星放送の受動受信という問題です。

 野田大臣も委員としてお聞きになっていただいていたかもしれませんけれども、わかりやすく言うと、衛星放送が始まってもう三十年ですか、衛星放送が始まったころって、我が家は実家は一軒家だったんですが、アンテナがついて、当時チューナーを買ったんですかね、見られるようになって、おお、衛星放送だと喜んだ記憶があります。が、三十年たって、特に地デジに移行してからというもの、最近、集合住宅では共有のBSアンテナが入り、そして、テレビを買いかえたらほぼ例外なくBSのチューナーが入っています。なので、映ってしまうんです。

 昔はやはり、先ほど申し上げたとおり、アンテナを設置し、チューナーをみずから買う行為によってその受信環境を整える、まさしくユーザー側から選べる形にはなっていたんですが、今は、集合住宅に行くと、一軒家でもケーブルテレビによってはなりますけれども、映ってしまうということが、当時、菅大臣と、鳩山大臣を含めて議論させていただき、当時の会長とも議論しました。通称、いわゆる受動受信問題ということでやっています。

 この問題に関して、十年たっても何ら進展はありません。もちろん、NHK、総務省双方によって理屈はあるかもしれませんが、もともとの衛星放送が持つ位置づけと、今ユーザーが置かれている位置づけが、時代の変遷、技術の変遷、環境の変遷によって変わってきているという問題だと思います。

 NHK側に、会長以外の参考人の方、理事の方で結構ですけれども、お伺いしますけれども、衛星放送の位置づけ、三十年近くになりますけれども、改めて、衛星放送はどういう位置づけなんですか。

坂本参考人 お答え申し上げます。

 衛星付加受信料は、衛星放送が本放送になりました平成元年度に導入をしております。これは、衛星放送の実施に当たって直接必要となる経費について、衛星放送の受信という受益を考慮し、基本受信料に付加して衛星放送を受信できる環境にある方にその負担を求めることとしたものであります。

寺田(学)委員 付加受信料です。これは、なぜ、付加、つけ加えるという形の名称になっているんですか。

坂本参考人 お答え申し上げます。

 NHKの番組、地上放送のほかに、今回、衛星放送ということで業務を続けておりますけれども、地上放送に加えて、より魅力的な多彩な番組をお伝えしようということで衛星放送を開始したということであります。

寺田(学)委員 直接答えていないですが、当時の環境を思い出していただきたいと思うんですけれども、当たり前のことですけれども、当時のことを考えると、家庭側というか、契約者側が、見るか、見られる環境をつくるのか、つくらないか選択できるような環境であった、当初そういう形だったと思いますが、間違いありませんか。

坂本参考人 先ほどもお答えしましたけれども、衛星放送の受信ということについて受益を考慮し、その基本受信料に付加して衛星放送を受信できる環境にある方にその負担を求めるということでスタートしたものだというふうに考えております。

寺田(学)委員 いや、質問に答えていただいてないんですが、それはもう三十年前のころ、三十年前にさかのぼらなくてもいいですよ、自分で選べましたよ。ただ、現状、自分で選べない、勝手に映ってしまう、いわゆる受動受信問題というものは今なお残っていると私は思っていますが、NHK側としての認識はどうですか。

上田参考人 お答えいたします。

 受信環境の変化による意図しない衛星放送の受信、今、寺田委員がおっしゃっていますいわゆる受動受信ですが、これにつきましては、NHK衛星放送を受信することのできる受信設備を設置する意思がないのに衛星契約が必要となるというのは不合理という、こういった御意見があることは十分承知いたしております。

寺田(学)委員 不合理という意見があることを御承知いただいていますが、不合理ではないですか。

上田参考人 お答えいたします。

 御本人が意図しない衛星放送の受信につきましては、設置の意思がないのに衛星契約が必要となるのは不合理であるとの御意見だ、こういうふうに理解いたしておりますが、一方で、現行の放送法に基づき、受信契約の締結をお願いすることもNHKとしての責務であるというふうに理解いたしております。

 いわゆる受動受信につきましては、引き続き検討を進めてまいりたいと考えていますけれども、制度的な解決に向けては課題が多くて、直ちに結論を出すことは困難な状況であることを御理解いただきたいと思います。

 抜本的な解決に至るまでは、衛星契約の締結に当たりましては、衛星放送を受信できる環境にあることを確実に把握した上で、受信料制度の意義を説明するなど、引き続き丁寧な対応を徹底させてまいりたいというふうに考えております。

寺田(学)委員 放送法というのが出てきました。もちろん、NHKですから、その放送法の定めにのっとった上で受信料を徴収するということは必要だと思います。

 これは、大臣なのか、総務省の参考人でも結構ですけれども、こういう問題がずっと放置され続けてきたわけですよ。放置され続けて、対象になるような方、みずからの意思がないのにテレビを買いかえたら衛星放送が映ってしまって、月千円弱ですよ。いや、ここにいらっしゃる方々は給料がいいですから、千円なんてと思うかもしれませんが、年金暮らしのおばあちゃんとか、これは実際私の親族から来たんです、いや、もう本当に月千円追加で払うなんてできないと。

 見るつもりもなかったけれども、テレビを誰かから譲り受けたら、それの中にチューナーが入っていて、アパートですから映ってしまう。そのときには、徴収員の方々が来て、リモコン見せてと。ほら、BS映るじゃないか、ボタンがあるじゃないか、じゃ、千円プラスねと言われて、気の弱い方はそれに対して抗弁できないですし、理屈もわからないですよ。こういうことがずうっと放置され続けてきたんです。

 NHKさん側の理屈もわかります。いや、放送法で定められているので、その放送法のとおりにやらざるを得ないんです、問題はあるけれどもと。

 総務省にお伺いしたいんですが、これはどう解決するんですか。放送法ということになれば、総務省と、まさしく立法府の問題になってくると思いますので、総務省として何かお考えがあるとすればお話しください。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる受動受信問題、今委員御指摘のものでございますが、難しい課題があるということは承知しております。

 過去、総務省の方で検討会を開いたり、あるいはNHKさんの方に再検討の要請をしたりといった行動はとってきているところでございますけれども、NHKの方からは、さまざまな課題があって、特例的な取扱いの実施は困難であるといったような御回答をいただいているところでございます。

 まず、NHKにおいてその解決に向けて引き続き真摯に検討を進めていただきたいと思っておりますし、また、国民・視聴者の御理解を得るべく、幅広い関係者への丁寧な説明を行うように努めていただきたいと考えているところでございます。

寺田(学)委員 いや、いいか悪いかですし、NHKはお手上げだと言っているんです。放送法に書かれている以上、そうせざるを得ませんと言っているんです。放送法を変えるか、放送法の解釈を変えるしかないんじゃないですか。引き続き検討するといったって、十年たったって何にも変わっていないじゃないですか。十年間の間にいろいろな検討をしたんですか。何か新しい考え方を出しましたか。

 基本的なことを聞きますけれども、いわゆる受動受信ということが問題として今なおあることを総務省としては認知していますか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の問題に関しましては、認知しているからこそ、私どもとしても、検討会を開いたり、あるいはNHKに対して検討を要請したり、そういったことを行ってきているところでございます。

寺田(学)委員 受動受信に関して検討されたのは、最後はいつぐらいになりますか。ちょっと私の勉強不足かもしれませんが、わかっていませんけれども、いつごろですか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 過去の経緯を申し上げますと、二十四年の九月にNHKに対して検討の要請をしております。それで、典型的な受動受信について類型を整理した上で、それらに対する取扱いの可否について検討するようにNHKに要請をしたところでございます。

 それに対してNHKの方からは、二十五年の三月だというふうに承知しておりますが、相当程度の減収が見込まれることや運用面での困難性など、容易に解決のつかない課題が多くて、特例的な取扱いの実施は困難であるという回答がございまして、そういった経緯でございます。

寺田(学)委員 説明を受けている限りって、五年間たなざらしじゃないですか。平成二十四年の話でしょう、それは。

 野田大臣にお伺いしたいんですが、いや、NHKの言い分もわかるんです。放送法に書かれている以上、それは、映る環境にあるんだったら料金を徴収しなきゃいけないんだというのは一つの理屈だと思いますよ。どっちかに押しつけ合ったってしようがない話で、ひとつ、放送法を所管する総務省として、総務大臣としても、問題を認知しているのであれば、何かしらの対策を、抜本的な対策を立てるのか、抜本的な対策が立つまでの間、何かしら暫定的な措置を考えるのか、さまざまなことはしなきゃいけないと思うんです。

 大臣に、この問題に関してのお考えをお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 私も、これまでの十年の経緯というのを見ていて、さまざまな、政権がかわっても、研究やいろいろ検討をしてくれていたというトレースは理解いたしましたが、残念ながら、その都度、研究会なりなんなりで出したものが実現できないという、その繰り返しだったと思っています。

 これからも総務省としては、NHKの検討を踏まえて、必要があれば、制度面を含めて対応を行っていきたいと思っています。

寺田(学)委員 必要はあるんです。NHK側としても、やれることは幾らでも、幾らでもというか、さまざま検討の余地はあると思います。

 私は賛成しませんけれども、スクランブルも一つだと思います。ただ、私は、スクランブルを衛星にかける、設置をする、しない、そういう環境を視聴者が求めた場合、求めない方にはスクランブルをかけるというのは一つの考え方かもしれませんが、公共放送というもの自体が見る、見ないというところで判断されかねないというので、私はやや慎重です。

 なので、私自身としては、徴収のあり方というものを、受信契約の契約のあり方というものを、もっともっと視聴者目線に立って、そういう受動受信の問題が起きているからこそ、今はもうなくなっていると信じたいんですが、こういう質問をすると、大概、いろいろなところから、インターネットを含めて連絡が来ます。うちはこういうような受信契約を結ばされたとか、うちのお母さんはこういうことで契約をさせられたということは、現場では起こっているのかもしれません。

 私自身としては、リモコンを見せろ、ほら、BSがあるじゃないか、ここのマンションには共用の電波のアンテナがあるんだから契約しなさいというような乱暴なやり方は徹底的にやめさせるということは、NHKとして取り組むべきだと思います。それぐらいの御意思は会長としてもお示しをいただきたいと思うんですが、どうですか。

上田参考人 お答えいたします。

 先ほどもお答えいたしましたけれども、抜本的な解決に至るまで、衛星契約の締結に当たっては、衛星放送を受信できる環境にあることを確実に把握した上で、受信料制度の意義を説明するなど、引き続き、丁寧な対応を徹底してまいりたいと考えております。

寺田(学)委員 厳密に言うと、環境にあるかどうかを確実に調べるというよりは、その環境に勝手になってしまうところにこの問題があるわけですから。いずれにせよ、いや、あなたのところは映っちゃうでしょう、映っちゃうならお金を払うんですよ、契約してくださいというようなやり方が、視聴者と意思が全然つながらないのであれば、そこは現場において強権的なことはしてはいけないし、総務省としても抜本改正に向けてしっかり取り組まなきゃいけない問題だというふうに私は思っています。

 個人的に言うと、もう地上と衛星一本、あと、後ほどやりますけれども、オンデマンドも含めて、全てのことに関して一括した料金にするというのは、私は一つの解決策だとは思っています。そういうことも含めて議論していただきたいと思います。

 もう一個の方ですけれども、これも時代の変遷によって、昔では考えられなかったことが今できるようになっていますけれども、オンデマンド放送です。

 これは以前、十年前もお話、ここで議論したかどうかわかりませんけれども、視聴者として、公共放送を支えるものとして、受信できる環境にあるからこそ受信料を払って、それをもとに番組はつくられているわけですけれども、その番組をインターネットを通してもう一度見たいと思って見るときに何でお金がかかるのか、受信料でつくったものじゃないかというのが、私も含めて視聴者、支える側、受信料契約者の一部の中にはそういう声があると私は認識しています。

 NHK側にお伺いしたいんですが、私たちの受信料でつくった番組を、何で、もう一回見ることに関して、もちろん無料のものもありますが、有料なんでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKオンデマンドのサービスは、特定の利用者からのリクエストに応じまして、放送済みの番組をインターネットを通じて提供するサービスです。インターネットで配信するには、新たな著作権料や配信費用などの追加の費用がかかるために、NHKオンデマンドは、放送法の規定により、放送などの受信料業務とは区分して経理することとされております。

 これを踏まえまして、費用を受益者に負担していただいて実施させていただいております。

寺田(学)委員 まだ議論が表には立っていないでしょうけれども、インターネットを通じながらNHKを見る、放送を見る場合においても受信料を取る、取らないというような議論がこれから技術的な意味を含めて起こり得ると思うんです。

 そのときに、先ほどの受動受信も含め、このオンデマンドの問題も含めて、これから、私も、ネットフリックスはと言っていいかどうかわかりませんけれども、そういうもので物すごい番組を見るようになってきています。時代のテクノロジーの移り変わりは物すごい速いですので、おくれるような形での放送法の改正ではなくて、こういう公共放送の受信料のあり方が時代の技術にしっかりとのっとった上での法改正になることを願っております。

 大臣に簡潔に最後述べていただいて、終わります。

野田国務大臣 NHKオンデマンドについてでもですけれども、やはり動画配信サービスの普及なんかで代表されるように、昨今、大きな環境や消費者ニーズの変化の中で、やはり何が国民・視聴者の利益になるかという観点からNHKにおいては検討していただきたいと考えます。

 先ほど同様、総務省としては、NHKの検討を踏まえて、必要があれば、制度面を含め、対応を行っていくということでございます。

寺田(学)委員 終わります。

古屋委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 小川淳也です。

 まず、公文書の偽造についてお聞きいたします。

 大臣には複数質問が飛んでいますので、この際、会長、少し所感を聞かせてください。

 本来、日本放送協会を指導監督する立場にあった政権内部において大規模に公文書が書きかえられているという事実が明らかになっています。みずからも公共企業体のトップでいらっしゃる。この事態をどう受けとめておられるか、感想でも所感でも結構です、一言お聞かせください。

上田参考人 お答えいたします。

 NHK会長としての答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

小川委員 正しい姿勢だと思いますが、一言、事の重大性に鑑みて、御自身のお考えなり感想をお述べいただきたかったところであります。

 大臣、大臣には、この背景なり原因について大臣なりのお考え、どのようなものをお持ちか、これはここで発言できる範囲で結構ですので、この背景なり原因にどういうことが考えられるか、大臣の所感をお聞きしたいと思います。

野田国務大臣 お答えしたいところですけれども、まさに今、国会の、参議院の予算委員会始め各委員会で、それが、さまざまな与野党の国会議員の皆さんによって議論をされているところだと思っております。

 私自身は、そういうこともやはり起きてしまっていること、公文書が書きかえられたというゆゆしき事態に対して、二度と起こらないために、まず隗より始めよということで、総務省をお預かりしていますから、総務省でできるだけのこと、そして総務省がやっていることで他省庁にもできること、例えば電子決裁を速やかに進めていただいて、先ほど申し上げましたけれども、履歴が明らかになる、そういった意味で、書きかえ等ができにくくなるようなことを一日も早くつくり出すことが、特に国民の不信を解消するのには絶対だと思っているところです。

小川委員 技術的にはそれは一つのアイデアだと思います。

 私、申し上げたいのは、最近、流行語にもなっているそんたく、行き過ぎたそんたく、配慮、これの背景には私は人事権があると思っています。高級官僚の人事権を官邸が掌握したというのは恐らく歴史上初めてのことだろうと思います。

 ここは少し、民主党政権時代に内閣人事局構想をぶち上げて、残念ながら実現には至りませんでした。それを第二次安倍政権が実現された。そのことがあたかもおかしいことかのように議論する風潮も一部にありますが、私は、最高責任者が人事権を掌握するというのは当たり前のことであり、大事なことだと思っているんです。問題は、そのシステムや仕組みより、人事権を行使する側のモラルあるいは徳性、そういったものこそが問われていると私は感じています。

 今般の一連の経過で、この問題に限りません、さまざまな問題について、ひたすら政権の顔色をうかがい、そして、尻拭いに尻拭いを重ねた人が必ず人事で報われるという慣行が二度三度、表から見えるだけで繰り返されていること自体が、組織のモラルと社会の規範とを乖離させる極めて不当な人事権の行使ではないかと思います。

 大臣に一つだけお尋ねします。

 今、審議官以上の高級幹部の人事権は内閣人事局、官邸の手中にあると思いますが、本来、総務大臣たるもの、少なくとも総務省内の局長、審議官、特別職の人事権はみずからが主導的にその人事権を行使してこそだと私は思うんですが、実態はどうなっているんですか。官邸と総務大臣との人事権は、事高級幹部に関してどうなっているんですか。

野田国務大臣 総務省においては、人事を決めるのは私の仕事で、それを官邸と協議するということになります。

小川委員 実質的によく協議されているんですか、官邸とは。

野田国務大臣 実は、私、八月に大臣になったばかりなので、まだその時期に至っておりません。これからのことです。

小川委員 四月に大きな人事があるでしょう。既に内定が出ているんじゃないですか、三月に。

野田国務大臣 ちょっと四月のことはわからないですが、通常七月に大きな人事があります。

小川委員 指定職以上はそうですか、ほとんど七月ですか。それは受けとめたいと思いますが。

 本来、私が申し上げたいのは、政権は閣僚に対して人事権を持っていますから、その閣僚が組織内で有効に人事権を行使できれば求心力は発揮できるはずなんです。

 しかし、歴代の慣行によって、余り、現場で閣僚が官僚に対する人事権を行使することにある種おっかなびっくりになってきた経緯があります、実態として。したがって、次官の人事は歴代次官が行うというような変な慣行もあるわけですよね。ですから、本来は、閣僚が主導的に我が省内の人事権を行使するというのが最も健全な姿なんです。しかし、それに実効性がないがために、内閣人事局という大がかりな仕掛けをつくって各省庁の人事権を掌握しようとしたという一連の経緯にあります。

 したがって、二つ申し上げたいのは、大臣には有効にみずからの人事権を行使していただかなければならない。しかし、行使するに当たっては、極めて重大なモラルなり、あるいは国民との関係における説明責任なり、徳性が極めて厳重に求められるということの自覚を持って、私は、この公文書偽造の問題が、内閣の人事権が悪いかのように議論されることに違和感を感じていまして、それは行使する側が問われているんだということをもって、この議論はぜひ建設的に進めていただきたいと思っております。

 会長、冒頭の御質問にはお答えいただけなかったんですが、御就任から間もなく一年強ですか、この一年、いかがですか。成果とそして課題、簡潔に振り返っていただくと、会長みずからの、トップとしてのこの一年の任期、振り返られていかがですか。

上田参考人 お答えいたします。

 今先生がおっしゃいましたように、一月の二十五日に就任いたしましたので、一年二カ月ということになります。

 この間、残念なことで申し上げますと、やはり不祥事が後を絶たなかったということで、これに関して私は非常に申しわけなく、かつ、残念に思っていまして、二度と、過労死の問題は私以前ですけれども、こういった問題も含めまして、やはりまずはコンプライアンスに関して徹底した対応をとっていきたいと考えております。

 その上で、私は、できるだけコンセンサス経営といいますか、役員の間で、ともすれば縦割りと言われがちな組織でしたので、たまたま新しい三カ年の経営計画を策定するという時期でもありましたので、この一年間、十二名の役員の間で、恐らく数十時間といいますか、大変に長い時間を使って、NHKが抱えている経営課題に関しては皆で情報を共有し、それぞれの経験、立場を踏まえて意見を述べてもらうということでやってまいりました。

 私は、三年間をホップ、ステップ、ジャンプというふうに呼んでいまして、このホップ期間に、課題の洗い出し、それから、次の経営計画を含めた目標、ビジョンというのをある程度示せたんじゃないかと考えておりまして、次のステップの期間に、例えば三つの改革を今掲げているんですが、一つは働き方改革です。これはしっかり取り組んでまいります。それからもう一つは、やはりグループ経営をどうするかという問題がありまして、このグループ経営改革。それからもう一つは、地方に寄り添うという意味で、地方改革と呼んでいますけれども、この三つ、具体的にどういう形で、組織的な対応も含めてやっていくかということの、そういう仕組みを組織の中にしっかりと埋め込むということをやっていって、三年目のジャンプの期間で、それをしっかりとビジョンに向かって着実に積み上げて実行に移していく、そういう心づもりで経営の旗を振っております。

小川委員 前会長が非常に個性の際立った方でありましたので、新会長就任後、外目には、協会運営は落ちついてきているのかなという印象は受けとめています。

 これは一月四日ですか、会長の年頭所感を拝読させていただきました。今まさにお述べになったとおり、意外なほどにといいますか驚くほどに、この働き方改革をイの一番に挙げておられるということを私なりに受けとめさせていただきました。それだけ、さきに明らかになった過労死の問題を含めて、重大な関心を会長御自身が寄せておられる。また、政権の主要課題にこの働き方改革が掲げられているということも背景としてあるような気がいたします。

 ただ、残念なのは、この会長の年頭所感の中に、この過労死の事実あるいはそれを長年公表してこなかったことについては一切触れられておりません。こうしたことを率直に触れてこその改革マインドではないのかという点は、少し不満に感じます。

 その上で、協会内部で現在裁量労働制はどのように適用されているのか、その適用状況をお聞きしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKでは、以前、事業場外みなし労働時間制を導入していましたけれども、佐戸未和記者がお亡くなりになったことを踏まえまして、これを契機に、労使で記者にふさわしい勤務制度について協議を重ね、昨年四月に専門業務型裁量労働制を導入いたしました。

 制度導入の検討に合わせて、記者の働き方を見直すプロジェクトを立ち上げまして、長時間労働の抑制や休日の一層の確保等に取り組んでまいりました。

 その結果、休日の確保が着実に進み、昨年四月から九月の上半期は、前年の同じ時期と比べまして、一人当たり月平均一日、半年では六日ふえております。

 制度の導入に当たっては、給与体系については旧制度と同様とし、総体として処遇水準を維持することとして設計いたしております。

 専門業務型裁量労働制は、勤務状況に応じた健康確保措置が義務づけられており、導入により、記者に求められる自律的な働き方を担保しながら、勤務管理や健康管理の強化が図られてきているというふうに考えております。

小川委員 月に一日休日がふえたというただいまの御報告でありますが、昨年、労働基準監督署から注意を受けていますよね、NHKは。このみなし労働時間の適用状況について御報告ください。

根本参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、裁量労働制につきましては、全国、NHKの取材記者九百人におよそ適用させていただいております。

 今先生御指摘の指導の件ですけれども、昨年十二月十四日に労働基準監督署から指導票を受領しております。

 指導の主な内容は、昨年四月から記者に導入している専門業務型裁量労働制について、制度内容の見直しなどを求めるものでありました。

 具体的には、専門業務型裁量労働制において、労使協定で定めるとされているみなし労働時間について、実態を踏まえて適切な水準に定めるよう、業務の見直しも含めて対応を求めるものでありました。

 NHKとしましては、労働基準監督署からの指導を重く受けとめまして、健康被害を防止する必要な措置をとりたいということで、現在、労使で協議をしているところでございます。

小川委員 いや、質問に答えてください。今、何時間、みなし労働時間になっているんですか。

根本参考人 現在のみなし労働時間は七・五時間ということになっております。

小川委員 会長、報道の現場の御経験はありませんよね。記者としての経験もない。記者の方に一日七・五時間のみなし労働時間を適用しているということは御存じでしたか、会長御自身は。

上田参考人 お答えいたします。

 先ほど根本の方から説明させていただきましたが、労働基準監督署の指導票は、制度自体を不適切としたものではなく、みなし労働時間と勤務の実態との間に乖離があるのではないかという観点からの、みなし労働時間について労使で検証し、その結果に応じて適正な水準に定めるように求められたものと考えておりまして、これを議論する過程においては私も七・五時間というのは理解いたしておりました。

小川委員 これは大臣始め政治家の皆様もよく御存じだと思います。現場の、これは政治部に限らず、記者の方々のお仕事ぶりたるや、いわゆる夜討ち朝駆けですか、ちょっと尋常とは思えない勤務時間、勤務体系、それを一日七・五で丸めるということ自体、少し理解できませんし、また、法令上、確かに、この報道職は裁量労働制の対象に明示的になっているんですよね。

 しかし、よく考えると、いわゆる本来の企画業務、極めて集中的な頭脳労働によって高い付加価値を生むという職種も確かに世の中にはあるでしょう、クリエーティブな仕事を始めとして。しかし、現場記者の労働形態たるや、どちらかというと肉体労働ですよ。特に、取材対象者に肉薄をして、いや、家族より取材対象者と長く一緒にいるんだと豪語される記者も一人や二人ではありません。極めてその労働時間、拘束時間に比例する形で、情報をとって、情報機微に触れて、人間関係をつくってという職種形態なんですよね。それからすれば、確かに法令上そうなんですが、ましてや七・五時間という形で丸める、一まとめにした労働契約そのものが極めて妥当を欠くと思います。

 現在、労使でその見直しを協議しているということだと思いますが、再三会長が口にされておられる働き方改革、そして職員の心身の健康、さらには現政権が掲げているこの制度改革の趣旨等に鑑みて、極めて働く者の立場に立ったこの裁量労働制の適用の見直しを、組織の責任者として、会長として、誠実に労使協議に臨み、それを、この春、四月ですか、実現するということをここでお約束いただきたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 今後のみなし労働時間につきましては、先ほどから何度か申し上げていますように、労基署からの指摘もありますし、よく組合と検証、議論しながら、適切な水準を見きわめてまいりたいというふうに考えております。

小川委員 ぜひ、四月には、目に見える形でいい結果をお出しいただくことを御期待を申し上げ、受信料や番組内容についても少しお聞きをしたかったのですが、また機会を改めたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十八分開議

古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。井上一徳君。

井上(一)委員 こんにちは。希望の党の井上一徳と申します。

 質問をさせていただきます。

 最初に、昨年、北朝鮮の弾道ミサイルの発射が続いておりまして、また今日では、首都直下の地震それから南トラフ地震など、こういった大規模地震の危険性が指摘されております。

 そういう中で、緊急時において国から住民に瞬時に伝達するシステム、全国瞬時警報システム、Jアラートとよく言われておりますけれども、これの重要性が増してきております。

 政府がこのJアラートシステムを使って発信した情報が自治体に伝わると、防災行政無線が自動的に起動し、屋外スピーカーから警報が流れるほか、個人スマートフォンや携帯電話に緊急速報が配信される仕組みになっております。実際に、このJアラートについては、もう経験された方もたくさんおられるのではないかというふうに思います。

 残念ではありますけれども、ことしの一月十六日に、NHKがニュースサイトや防災アプリで北朝鮮ミサイル発射の模様と速報を掲載し、五分後に職員が誤報だと訂正した事案があったというふうに承知しております。

 Jアラートは出ておらず、テレビ画面での速報通知はなかったとのことも承知しておりますけれども、なぜこういう事案が生起してしまったのかという原因と今後の再発防止策について伺いたいと思います。

木田参考人 今回のミスは、テレビのニュース速報を送出する機器と同じ機器を使って芥川賞の速報をネットに配信しようとした際、緊急対応用にあらかじめ準備していたJアラートの速報を過って選択してしまい、それに気づかないまま配信してしまったというものでした。

 再発防止策としては、一つ、機器の改修、二つ目、運用の改善、三つ目として、チェック体制の強化を行いました。

 具体的には、一つ目は、ニュース速報の機器を改修し、Jアラートの速報を送出するときの機器と速報をネットに配信するときの機器とを分けました。二つ目として、ニュース速報を送出する機器の画面にJアラートの速報などをあらかじめ準備しておくことをやめました。三番目として、ニュース速報を配信する際に内容を確認する操作をもう一段階加え、チェック体制を強化しました。

 今回のミスは絶対にあってはならない誤りであります。国民・視聴者の皆さんの信頼を裏切る事態を招いたことを深く反省するとともに、今後の運用に当たっては細心の注意を払って対応していきたいと思っております。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 私自身は、このJアラートと先ほどのニュースサイトや防災アプリ、自動的なシステムだというふうに理解していたんですけれども、これについては今後どうなる、自動的なシステムになるんですか。それとも、やはり機械は分かれたままで、手動でやるということになるんでしょうか。

木田参考人 Jアラートにはいろいろな情報が、地震とか、あるいはこういう今回のような内容のものだけではなく火山であるとか豪雨であるとか、いろいろなものが含まれておりますので、気象の速報については、また、NHKとしては気象庁からいただくとか、ほかの方法も持っております。ですので、Jアラートが自動的にそのまま速報につながると、いろいろ重なってしまったり、いろいろするおそれがありますので、一旦チェックさせていただいてから放送ないしは配信するという形をとっております。

井上(一)委員 いずれにしても、国民にとっては非常に重要で、システム自体も非常に高い信頼性が求められると思いますので、その維持管理には十分な体制を確保していただきたいと思います。

 この点についてはちょっと会長には事前に通告しておりませんけれども、この重要性について一言コメントいただければと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、Jアラートというのはとても大事な情報でありますので、今後二度とこういった間違いがないように最大限注意を払って対応していきたいというふうに考えております。

井上(一)委員 それでは、続きまして、放送法におきまして、NHKは、放送番組の編集及び放送に当たって、地方向けの放送番組を有するようにすること、我が国の過去のすぐれた文化の保存並びに新たな文化の育成及び普及に役立つようにすることが義務づけられるというふうに承知しております。これは、それぞれの地域の実情に合わせて充実した放送サービスを届け、地域に貢献することだと認識しております。

 今、東京一極集中、これの是正に向けてまさに政府挙げて対策に取り組んでいるというふうには承知していますけれども、なかなか正直うまくいっていないというふうに思っています。

 NHKも、この地方の活性化にやはり大きく貢献していくことが求められるのではないかというふうに思っています。そのためにも、地方局の体制を充実する、これが必要だというふうに思っています。

 NHKの平成三十年度予算案、これを見させていただくと、地域放送番組費、これは前年比の七・六億円増の百六十二億ということで、昨年度に比べたら手厚くなっているとは思いますけれども、全国放送番組費千六百七十八億円の約十分の一ということでございます。

 現在の本部と地方局の職員の配置の割合、それから、本部と地方局の番組制作の割合、それは現状ですけれども、それを今後どういうふうに将来的には方向づけようとしているのか、お答えいただきたいと思います。

木田参考人 地域放送サービスの充実は、全国の視聴者に支えられる公共放送の責務であるというふうに考えております。

 NHKでは、全職員の半数以上、これを地域の放送局に配置し、地域放送に必要な要員を確保しております。平成三十年度の予定では、本部は四七・六%、地方は五二・四%という割合の予定でおります。

 これまでも、要員の効率化に当たっても、地域の放送現場については削減数を抑制しつつ、地域放送のサービス充実に努めてまいりました。具体的には、平成二十年度と三十年度を比較すると、全体としては四・八%の要員を削減しているのに対して、地域の放送現場は〇・六%の減という形で進んできております。

 今後も、全国ネットワーク機能を維持しつつ、限られた経営資源を効果的に活用し、多様な地域放送サービスの充実に必要な体制を確保していこうというふうに考えております。

 また、地域局の番組ですけれども、平成三十年度は、全国に向けて地域の自然や文化の魅力、切実な課題などを積極的に発信し、各地域の視聴者の方々の期待に応えるサービスの強化を図っていこうと思っております。地域放送番組の放送時間の、これはまだ計画値ですけれども、平成三十年度もテレビでは一時間三十分程度を放送していこうというふうに考えております。

井上(一)委員 いろいろな人に聞くと、やはり地方局の職員が減って、イベントの取材も、NHKの方に来てくださいと言ってもなかなか対応できない状況にあるというふうに聞いておりますので、ぜひ地方に手厚く職員を配置していただきたいというふうに思っております。

 これの関連で、五年前の二〇一三年度に新たに地域職員の制度、これを導入したというふうに聞いております。いわゆる地方局の発信力を高めるために地方に精通した人材を採用する制度だというふうに思っていますけれども、まだ一割にも満たない人数だとも聞いております。

 私としては、やはり地元の専門家をふやすことが重要だと考えておりますので、その拡充が必要ではないかと思っておりますが、この地方職員制度の内容、それから、今後の拡充の方向性について伺いたいと思います。

根本参考人 お答えします。

 地域職員につきましては、二〇一四年四月からの制度の導入でございます。

 NHKは、全国各地域の視聴者からの受信料で成り立つ公共放送として、地域に立脚した事業運営を推進していくことが重要な使命の一つと考えております。

 地域職員は、地域に根差して地域の視聴者との結びつきを深め、地域サービスの向上に資する役割を担うことが重要な使命の一つであり、今後、採用数をふやしていきたいというふうに考えております。二〇一九年度の職員採用におきましても、三月から地域職員の募集を開始しておりまして、一定数の地域職員を採用する予定でございます。

 以上です。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 ふやしていく方向性については理解しましたけれども、今一割にも満たない人数だと聞いておりますけれども、大体何割ぐらいにする計画か、今あれば教えていただきたいと思います。

根本参考人 今、二十九年度時点で地域職員というのは九十人程度、かなり少なくなっておりますけれども、二〇一九年度の採用数といたしましては、三十人以上を採用させていただきたいということで今計画を立てております。

 最終的な目標数につきましては今検討しているところでございます。

井上(一)委員 関係者の方からは働き方改革にもつながるいい制度だというふうに聞いておりますので、ぜひ拡充をする方向で検討を深めていっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして、次の質問です。

 先日、十六日に行われました放送記念日記念式典、私も出席させていただきました。その授賞式がありましたけれども、当初からロボコンに携わられました東京工業大学名誉教授の清水先生が放送文化賞を受賞されておりました。

 NHKは、三十年前の一九八八年にロボットコンテストを創設し、高専の学生がアイデアを競い合う様子を放送することで、物づくりを担う若者たちの教育、それから技術力の向上に大きく寄与してきたというふうに思っております。私の地元舞鶴にも高専がございまして、この高専は昨年も出場し、十五回目となる高専ロボコン全国大会に出場したということでありますけれども、今では高専のみならずアジア太平洋二十八カ国・地域が参加するまでとなっておって、日本のみならずアジア太平洋各国における技術者の育成にも大きく貢献しているというふうに聞いております。

 こういうふうに非常に物づくりを応援する姿勢については大変評価するものでございますけれども、NHKにおいて今後どういう形でこの物づくりを応援していこうとしているのか、伺いたいと思います。

木田参考人 お答えいたします。

 ロボコンは、若い人たちにロボットづくりを通してみずから発想することの大切さ、物づくりのすばらしさを共有していただくという趣旨で昭和六十三年に放送を開始し、ずっと継続してお伝えしてまいりました。

 また、最先端の技術開発を社会の発展につなげようという取組の例として、今年度は「クローズアップ現代+」で「ロボット大国・日本の逆襲」というテーマで最先端のロボット開発の現場を紹介したほか、「探検バクモン」や「プロフェッショナル」などの番組でも工場を取材した番組を数多く放送しております。

 引き続き、さまざまなジャンルの番組で、これからの物づくりを担う若い世代から熟練の職人まで広く取材し、さまざまな視点で日本の物づくりを取り上げていきたいというふうに考えております。

 なお、先ほどの私の答弁で、地域放送時間を一時間半、総合テレビ一日一時間半とお伝えしましたが、二時間半の誤りでした。訂正させていただきます。失礼いたしました。

井上(一)委員 引き続き、日本の物づくりの支援ということで、よろしくお願いしたいと思います。

 NHKにおきましては、全国の放送局のネットワークを活用しながら、多様な自然、歴史、文化、人々の暮らしなど、それぞれの地域ならではの魅力を多く伝える番組を制作していると承知しております。NHKの大河ドラマ、それから朝ドラ、地方の新たな魅力を再発見するものとなり、観光資源の開発にもつながっております。

 ちょっと私の地元京都におきましても、本能寺の変で有名になりました戦国時代の知将であります明智光秀、それから光秀の娘である細川ガラシャなど、ゆかりの地でありますので、地元の福知山市、舞鶴市、綾部市、宮津市、京丹後市等々、多くの関係市町村が一体となって大河ドラマの誘致活動も行っております。

 それから、綾部市にはアパレル事業で有名なグンゼがありまして、その創始者、波多野鶴吉と、その妻でありますはなの波乱万丈の生涯を広く紹介するために、朝ドラの、朝の連続テレビ小説の誘致活動を行ったりしております。

 そういうことで、非常に、こうした取組といいますのは、やはり余り注目されていなかった魅力ある地域が多くの目に触れる機会がふえる、それによってまた地域の励みになると思います。地方の活性のためにも、NHKだからこそできるという取組、こういう取組を更にふやしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKは、次期三カ年経営計画で、重点方針の一つに多様な地域社会への貢献を掲げ、地域の魅力や課題を広く発信することを目指しております。

 放送で取り上げる地域につきましても、地方の大都市や著名な場所にとどまらず、全国的に余り知られていないような場所の魅力や課題も、さまざまな切り口で取り上げて発信していく所存です。

 例えば、定点観測で人々の営みを見詰める、総合テレビの「ドキュメント七十二時間」や、全国各地の視聴者の思い出の地を自転車で訪ねる、BSプレミアムの「にっぽん縦断こころ旅」など、それぞれの番組ならではの切り口で地域を取り上げ、豊かな自然、文化、人々の暮らしを伝えてまいります。

 また、地域向け放送では、総合テレビの夕方六時台のニュースや金曜午後七時半からの地域放送番組の内容を一層強化し、サービスの充実に努めてまいりたいと考えております。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 こういった地方というか地域の魅力を伝える番組をより多く制作、放送することで、地域のみならず日本の魅力の発信につながっていくと思います。

 そこで、この日本の魅力を発信していくという観点から、海外向け放送の現状、それから、今後より効果的に発信していくにはどういうような取組が必要と考えているのか、伺いたいと思います。

木田参考人 日本各地の魅力を世界に発信することは、国際放送の重要な役割の一つだと考えております。

 NHKワールドTVでは、旅、食、文化などの多彩な番組を通じて地域の魅力を世界に発信しており、特定の地域を取り上げた番組を一定期間で集中的に放送する特集編成も展開しております。

 また、ニュースでも、地域放送局と連携して、毎年二百本以上の地域関連企画を放送しております。

 さらに、国際放送のキャスターが現地から伝える、キャラバンと呼んでおりますけれども、そういったような企画も昨年度からスタートするなど、拡充を図っております。

 こうした番組の多くにつきましては、放送に加えてインターネットでのビデオ・オン・デマンドでも提供し、いつでもどこでも視聴できる環境を整えております。

 今後は、こうしたコンテンツの多言語化、英語だけではなく、いろいろな言葉でそれが理解できるようにするなどの努力を推進するなどして、更に多くの視聴者に地域の魅力を届けてまいりたいというふうに考えております。

井上(一)委員 質疑時間が終了いたしましたので、これで終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 希望の党の奥野総一郎でございます。

 十五分ですので、早速始めさせていただきたいと思います。

 きょうはパネルを用意してまいりました。総理が進める放送改革、放送の将来にかかわることでありますから、NHK予算ではありますけれども、これを中心に取り上げさせていただきたいと思います。

 私は、実は、二月六日、野田大臣もおられましたけれども、予算委員会で総理に御質問を最初にさせていただきまして、総理の言う放送改革とは何ですかという質問をしたんですね。それに対して総理からは明確に答えはなかったんですが、しかし、総理の側から、フェアネスドクトリン、要するに、政治的公平性の規定の削除の例を持ち出されて、随分勉強しておられるなと。それから、総理の方からも、ネットには新しい規制を課しませんと、これは一つ明確な方針だったんですけれども、通信と放送の融合が進んでいく中で、ネットについては新たな規制は課さないんだと、これは一つ明確な答弁をいただいていますね。

 そのあたりがお話があったんですが、その後、三月に入って、このパネルにありますように、ちょっと見にくいんですが、共同通信が報じました。

 いろいろ書いてありますが、ポイントは、通信と放送で異なる規制、制度を一本化する、放送法四条などの撤廃をしていくんだ、それから、ソフト、ハード分離を徹底していく、いわゆる上下分離をやっていくんだ、それから、NHKは公共放送から公共メディアへ、これはNHKが主張されていることと同じことですね、同時再送信などもやっていくんだということが記事になっているわけであります。

 さらに、その後に読売新聞の方で大きく取り上げられまして、「首相、批判報道に不満か 放送業界は「解体」警戒」、こういう新聞の記事も出ているわけであります。

 これを読むと、こういった報道がなされ、首相の動きに、放送業界は、民放解体を狙うだけではなく、首相を応援してくれる番組を期待しているのではないか、政権のおごりだと警戒を強めている、そうした見方が広がるのには理由がある、首相は、政府・与党に批判的な報道を広げる一部の民放局にいら立ちを募らせてきたからだ、特に、森友・加計問題をめぐる報道には強い不満を漏らしている、これは公の新聞の記事ですけれども、読み上げさせていただきましたけれども、こういう報道もなされているところであります。

 まず、こういうタイミングですから、森友の問題がこれだけメディアに取り上げられている中でこの放送改革の話が出てきたというのは、この記事にも一理あるのかなと思ってしまうわけであります。

 内閣府の方に伺いたいんですが、実際こうした検討がなされているのかということですね。

 実は、私、こういう紙を入手していまして、これは記事の内容とほぼ同じなんですが、内閣府の皆さんが有識者、関係者に根回しをしている、こういう紙で根回しをしているということについても伺っていまして、これは本物かどうかわかりませんが、こういうペーパーも見ているところであります。

 じゃ、こういうペーパーがあるのか、あるいはこういう検討をしているのかということを伺いたいと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 現在、規制改革推進会議におきまして、放送をめぐる規制改革について議論をしておるところでございます。現時点で改革の方向性を決めているものではございませんで、幅広く関係者からヒアリングを行っているところでございまして、今後、これらの議論を踏まえて、会議で改革の方針について検討されるものと承知しております。

 放送について議論がなされることになった経緯をちょっと若干付言いたしますと、昨年、規制改革推進会議で電波制度改革を取り上げまして、その中で、放送事業の未来像を見据え、放送用に割り当てられている帯域について、周波数の有効活用などにつき、イノベーション創出の観点等から行う提案募集なども含めて検討を行うとともに、会議においても引き続き検討するというふうな答申が行われております。これを受けて議論を開始しているところでございます。

奥野(総)委員 議論を内々していると。今、特に反論なさいませんでしたが、このような恐らく内容、このようなペーパーを使って今議論をしているということですね、もし違ったら反論していただきたいんですが。

 そこで、もう一度確認しておきたいんですが、政府、総理の答弁の中で、先ほど、インターネットには新しい規制は課しませんと言っている一方で、通信と放送で異なる規制、制度一本化ということを言っているわけですから、ネットが、要するに規制がない方にそろえる、こういう理解でいいんですか。

 しかも、それは恐らく四条の削除ということも、ネットには放送法四条の規定はないですから、整合性がとれますし、あと、例えば三条、報道への権力の介入を禁じている三条、ここも、ペーパーを見ると、放送法四条等の撤廃となっていますから、三条のような撤廃も視野に入っているのかということを改めて伺いたいと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 現在のネット放送などインターネット上の映像配信サービスにつきましては、青少年インターネット環境整備法に基づいてフィルタリング提供義務などの規制が課せられておると承知しております。

 一方、放送事業者には、放送法に基づいて番組準則の遵守などの規制が課せられておりまして、また、規制当局による認定等が行われているものと承知しております。

 総理の御答弁は、インターネットについて、こうした放送法の規制をそのまま適用することは考えていないとの御趣旨であると理解しております。

 いずれにしても、現在、規制改革推進会議においては、幅広く関係者からヒアリングをしているところでございまして、今後、これらの議論を踏まえて、会議で改革の方針について検討されていくものと承知しております。

奥野(総)委員 検討中ということで明確にお答えいただいていないんですが、論理的にはそうなるわけですね。ネットには新たな規制を課さない、そして、通信と放送の規制をそろえるというと、通信には規制がかかっていないわけですから、四条を削除、あるいは、四条のみならず、報道への権力の介入、放送番組への権力の介入を禁じている三条も削除、こういう論理的な帰結になると思うんです。

 大臣、一般論として、私と四条の話を何回かしてきていますね。私の立場というのは、放送法四条の政治的公平性について、必要だけれども、それは法規範性を持たせない、あるいは、一部の番組だけについて適用しちゃいかぬということで議論してきたと思います。大臣は、放送法四条は明確な法規範で、それをもとに、行政指導の根拠にもなるし、それから、場合によっては、ないとは言っていますが、停波の根拠にもなり得るんだというお立場で答弁されてきたと思います。

 改めて伺いたいんですが、四条の撤廃についてどうお考えになりますか、あるいは三条、報道の自由を明確に規定している三条について、これらは必要だと思われますか。

野田国務大臣 お答えします。

 まず、一般論ということでよろしいということですが、放送法は、第三条において放送事業者の放送番組の編集の自由を定めております。さらに、第四条において、例えば、「報道は事実をまげないですること。」といった番組準則を規定しています。

 ということで、一般論で申し上げれば、放送事業者は、第三条及び第四条を含む放送法の枠組みの中で自主自律により放送番組を編集することによって、重要な社会的な役割を果たしていただいてきたと私は認識しております。

奥野(総)委員 少なくとも今の放送法においては絶対に必要だ、こういうことですよね。

 それから、上下分離の話が今ありました。ちょっと通告の内容と若干違うかもしれませんが、参議院の総務委員会では、山田局長の方から、上下分離については、制度的には、今、分離の選択肢もあるんだ、だけれども、そこは、各社の判断として採用されていないと。実際、今一社も採用していないということのようですね。

 じゃ、そこで改めて、これは通告していないんですけれども伺いたいんですが、今各社の経営判断で必要とされていないものについて、あえて上下分離を法律で強制する必要があるとお考えですか、それとも今のままでいいというふうにお考えですか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 先般、参議院の方でも御議論がございました。平成二十二年の放送法改正で、経営の選択肢を拡大する観点から、いわゆるハード、ソフト分離の制度を導入したものでございます。現在、全ての地上放送事業者はハード、ソフト一致を選択しておりますけれども、放送事業者としての自主的な経営判断の結果であるというふうに認識しておりまして、現行の制度はこういう形でございまして、現在、総務省として、ハード、ソフトの分離に関してさらなる検討をしているということはございません。

奥野(総)委員 全く同じ、今の問いは、それでもなお本当に、大臣に伺いたかったんですが、上下分離というものが制度として新たに必要ですか、今ここで議論されているような、内閣府で議論しているとおっしゃっていましたけれども、上下分離は必要ですかということを伺っているんですね。

 それと、もう一つ申し上げれば、内閣府で検討している、まさに大臣、四条、三条は必要だとおっしゃいましたけれども、こうした議論をしているという報道があるわけですが、大臣の方から内閣府の方にこれは協議はしないんですか。

 確かに、総務省では今議論はしていないということは再三おっしゃっていますけれども、しかし、総務省所管に係ることについてこれだけ報道もされていて、検討もしているとおっしゃっているわけですから、特に四条、三条、それから上下分離については、今総務省も制度をつくっているわけだけれども、実際は今入れている、上下分離しているところはないわけですよね。そうした現状を踏まえて、内閣府ときちんと議論をするつもりはないんですか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど内閣府の方からも御答弁がございましたけれども、昨年来、周波数の有効活用という観点から、規制改革推進会議の方で御議論をされておりまして、総務省の方もその検討に参加をしているところでございます。

 放送に関しましても、昨年の答申の中で、第二次取りまとめの中で行われたものを受けまして、総務省の方で、現在、諸課題検の中に分科会を設けて、周波数の有効活用等に関して検討しているところでございます。

奥野(総)委員 大臣にちょっとそこはお答えいただきたいんですが、今までの議論について、こういう議論、内閣府でされているということですが、総務省としてはどうかかわっていくおつもりですか。

野田国務大臣 今局長が答弁したように、電波の有効利活用については、もう既に省内での議論の場で話合いが行われ、積み重ねてこられているので、うち、その答えは出していくんですが、今新聞の記事も出ました。奥野委員は何か内閣府の紙を持っていますという話ですけれども、私には全くそういうことはございませんし、内閣府の今のお話も、きょう初めて聞くような次第でありまして、私の思いだけかもしれませんが、総務省は風通しがよいので、少しでもそういう話が規制改革の会議で出てくれば、私のところに報告が来ているはずですが、まだ一切ないので、これについては、まだそういう仮定の話になってしまうので、きょうはコメントは差し控えたいと思います。

 ただ、局長が言ったとおり、上下分離についてはもう既にできることになっているので、それは、平成二十二年ですか、事業者の方たちにも歓迎されているということを聞いておりますので、その推移をずっと見守ってきたところだと理解しています。

奥野(総)委員 ちょっと時間が過ぎてしまいましたが、最後、会長に、三条、四条の重要性、それから、NHKが、ここに触れられていますが、公共メディアへ進化というこの意見について、どのようにお考えですか。

古屋委員長 上田会長、簡潔にお願いいたします。

上田参考人 お答えいたします。

 御指摘のような報道があったことは承知いたしておりますけれども、検討されている内容を承知していませんので、その報道に関してはコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、放送法第三条は、放送番組編集の自由を確保するものであり、放送の自主自律を堅持するための規定であります。

 また、放送法四条は、政治的に公平であることや、報道は事実を曲げないですることなどを掲げており、ニュースや番組においては遵守すべきものと考えております。

 NHKの放送ガイドラインでも、放送の自主自律の堅持が信頼される公共放送の生命線であることや、放送の基本的な姿勢として、正確、公平公正などを掲げております。

 NHKといたしましては、自主自律を堅持し、これまでどおり、ニュースや番組の内容に責任を持って放送を実施していく考えであります。

奥野(総)委員 どうもありがとうございました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 この際、お諮りいたします。

 参考人として日本年金機構理事長水島藤一郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 NHKの予算関係も聞いていきたいんですが、まず最初に、この間、非常に重要な問題が明らかになってきました。この件につきましても、きょうは厚労省とそして年金機構の皆さんにも来ていただいていますので、聞いていきたいと思います。

 何の件かといいますと、年金機構が委託した業者が、五百万人分もの方々の個人情報の入力を中国の企業に対して再委託していたという件でございます。それによって、また年金の入力ミスがあって、受給できる方ができなくなっている、少なくなっているみたいな状況も生じています。

 詳しく伺っていきたいんですけれども、政府の把握状況はどうなっていますか。これはマイナンバーは含まれていないというふうなお答えもあるんですけれども、本当にそうなんですかね。どうでしょうか。

高橋政府参考人 まず、今回、日本年金機構におきまして、扶養親族等申告書の入力業務の委託事業者との関係におきましてさまざまな契約違反があり、さまざまな御迷惑、御心配をおかけしていることにつきましておわびを申し上げます。

 日本年金機構におきましては、扶養親族等申告書のデータ入力業務を委託した株式会社SAY企画という会社でございますけれども、その間との契約では、主体的業務、中心的な業務の再委託は禁止してございます。また、履行場所は国内に限定するという契約でございます。

 しかしながら、SAY企画は、日本年金機構に無断で、中国に所在する関連事業者に、申告書のうち氏名部分のみを切り出した画像データに基づく入力業務の再委託を行っておりました。マイナンバーでございますとか住所でございますとか、それから、さまざま、所得額でございますとか、そういうものは一切含んでいないものでございます。

 SAY企画が再委託した中国の関連事業者は、SAY企画の社長によれば、みずからが設立にかかわり、現在も役員を務めている、こういう会社だということでございます。

 日本年金機構におきましては、再委託の事実を把握した後、情報セキュリティー対策支援の業務契約を締結しております日本IBMとともに実地監査を行いまして、その結果といたしまして、当該再委託先の事業者におきましては、情報セキュリティー対策が組織体制面、業務面いずれにおいても適切に講じられておりまして、委託された入力情報も適切に管理し、削除されている、特段の問題はなかった旨の報告を受けてございます。

 また、今般、SAY企画の入力漏れや入力誤りによりまして、二月の年金の支払い時に正しい源泉徴収税額を反映することができなかった事案が発生してございますけれども、これは、中国の関連事業者への再委託はこの問題とは直接関係しないということでございます。

丸山委員 報道だと、今おっしゃったSAY企画は、実際にはマイナンバー収集、管理のBPOサービスを請け負っているんじゃないか、担当しているんじゃないかという報道もあるんですけれども、今の御報告どおり、ないのかどうか、きょう、ちょっとお伺いしたかったので年金機構の方に来ていただきましたが、これはマイナンバーは含まれていないということでいいのかということ。

 もう一つお伺いしたいのは、一月時点で査察に入られているわけですよ、十二月末に内部通告があって、それで発覚して確認をしている。その前にもいろいろ、業務に差しさわりがあるみたいな情報もあったりして、事前にわかっているわけで、そうした中で、今このタイミングで出てきて、非常にこのタイムラグがあることに対しておかしいと思いますし、もっと早目に明らかにして対応していれば、今の年金の受給が、もらえない方とかいう点も含めて、今の問題、少し最小限に抑えられたんじゃないか。

 何より、これは中国の企業ですから、中国は、今、国内法でサーバーを全て中国に置かなきゃいけないということで、こういう個人情報に関しては非常にセンシティブで日本国としてもあらなきゃいけないと思うんですけれども、非常にこのタイムラグについても問題だと思いますが、まずマイナンバーの点、そして、このタイムラグが何で生じたのか、お伺いできますか。

水島参考人 まず初めに、このたび、二月のお支払いに際しまして、委託先のミスとはいえ、入力漏れ、入力誤りが大量に発生をいたしました。多くのお客様に大変な御迷惑と御心配をおかけいたしましたことにつきまして、まず心からおわびを申し上げる次第でございます。

 その上で、マイナンバーを中国に委託したことはないかという御質問かというふうに思いますが、このSAY企画がもしかすると外部に委託しているかもしれないという情報を入手をいたしまして、私どもが特別監査を入れましたのは一月六日でございました。その時点でも、セキュリティー委託業者でございましたIBMを同行いたしておりますが、その時点で、外部委託をし、中国に委託がなされているのではないかということを把握をいたしました。

 SAY企画、国内のシステムに関しましては、その後、継続的に調査を続けてきておりますが、これは中国・大連の企業でございましたが、大連の企業に対しまして、セキュリティー委託業者のIBMに、私どもの職員も同行いたしておりますが、委託をいたしまして、大連の調査をいたしました。

 そして、SAY企画が言っておりますことは、氏名と振り仮名だけをトリミングしてクラウドに入れて、そのクラウドを共有をしているという説明でございました。

 この内容について正しいかどうかということについて確認をいたしましたが、その結果、IBM、委託業者も含め、私どもの職員も同じでございますが、それしかデータは渡っていないということについては確認をいたしてございます。したがいまして、氏名及び振り仮名以外は中国に委託されていないということに関しましては確認をしているというふうに考えております。

 その上で、なぜ今になったのかということでございますが、率直に申し上げまして、その間に、極めて大量の未届け、あるいは、お返しを申し上げて再提出していただかなければならない方等がお客様にいらっしゃいましたので、その対応に追われておりましたことも事実でございますが、その間、SAY企画の全てのパソコンについてフォレンジック調査等々を行ってまいりました。

 三月の九日にIBMから終了したという報告がございまして、正式には、三月十六日に、フォレンジック調査の結果、情報が外に出ている形跡はないという報告を受けました。そのような報告を踏まえまして、このたび発表させていただいたという経緯でございます。

丸山委員 その時点で明らかにすることはできたと思うんですけれども、この一月の段階から、この今の、二月中旬に停止して、報道が今なわけですよ。この間のタイムラグについては、どうして明らかになっていなかったのか。

 なおかつ、もう一つ大事なのは、今回の件が関係ないんじゃないかという厚労省の話もありましたけれども、今回の年金の支給のおくれ、若しくは減額になってしまっている、これを四月に今回繰り延べてお支払いされるということですけれども、これは、じゃ、影響はなかったというのは年金機構も同じようにお考えになっているのか、この二点、お伺いできますか。

水島参考人 SAY企画が中国に再委託をした内容は、扶養親族のお名前でございました。したがいまして、この入力の内容につきましては、源泉徴収額には影響を与えないものでございます。まず、その点を御理解をいただきたいというふうに思います。

 この間でございますが、私どもといたしましては、まず、本当にSAY企画が言っていることが正しいのかということについて、途中段階でかなり外に出ている、あるいは情報が流出しているというおそれはないというふうに判断をいたしましたが、その内容についてより正確に把握をした上で発表するのが適当だというふうに考えたということでございまして、やはり極めて影響が大きい事象であるというふうに考えておりましたので、正確を期したということでございます。

丸山委員 厚労省にはいつ報告されたんですか。一月の段階ですぐに報告されたということでいいんですか。

高橋政府参考人 本件につきましては、年末年始に、機構の法令違反通報窓口に、何らかのそのSAY企画の実施方法につきましての通報がございまして、それにつきましては、それを機構が確知した年始に直ちに私の方に連絡がございました。それから、IBMとともに休日に現地調査に入った、こういうことにつきましても逐一報告をいただいております。

丸山委員 これはしっかり確認していかなきゃいけないですし、その中での年金機構の役割、非常に負っている、批判される立場です。これはしっかりとまずは見きわめていく、そして、その先に、責任者の皆さんに対してやはりきちんとした私は対応を求めたいというふうに思いますが、どういう形かは、まずはその全容を見てからだと思います。

 一方で、これは、ほかの国が抱えるデータ全てに影響する非常に大事な、問題な観点だというふうに思います。

 この問題の事業者のSAY企画なんですけれども、調べていくと、ほかの省庁の、国民の生活に関係する、捜査に関係するようなシステムの業務に関して入札を繰り返しています。法務省の国籍申請処理システムだとか、あと東京都庁もそうです、厚労省、経産省、内閣府、いろんなデータの受注をしている、入札を繰り返しているような企業です。

 今回の年金機構の件で、こういった状況、明らかに再委託してはいけないという状況がある中で、しているのが発覚したという中で、これはほかの省庁も含めてしっかり確認していかないと、どういうことやねんと国民の皆さんは思っていらっしゃると思いますよ。

 特に、今申し上げたような、中国の国内法で企業は全てサーバーを国内に置かなきゃいけないという話で、委託先で情報を再構成していけば、その信用情報だとか、何より安全保障上、今、日本にスパイの防止法がないと言われている中で、人物の成り済ましだとか、そういった部分の危惧、いろんな点から、何より個人情報を守っていくという点からしても非常に問題がある内容で、今この状況が明らかになった段階で、しっかり国全体のデータの受注のあり方、漏れていないのかどうか確認していく必要があるというふうに思います。

 もちろん、このSAY企画が受注したもの、関係したものは全部見ていかなきゃいけません。でも、同時に、ほかの企業だって、今回たまたま内部の方からの通報があって明らかになりましたけれども、これがなかったらわからなかった可能性がある。適当なデータが出てきたからようやくわかったわけで、それは、ちゃんとしたデータが出てきていたらわからなくなる。たまたまなんですよ、今回出てきたのは。

 非常に危険ですし、国家安全保障上、問題な案件だと思います。これはしっかり国として確認していっていただきたいですし、確認すべき案件だと思いますが、政府の回答を求めます。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 政府全体というお話でしたけれども、私ども、まず総務省の関係について申し上げます。

 総務省としては、この今出ておりますSAY企画とは、過去五年間、平成二十五年度から二十九年度の間、調べましたけれども、一般競争入札では八件、八件合計で四千四百万円余りの契約があったところでございます。これらについては、いずれも確認いたしましたけれども、再委託は行われていないという状況でございました。それから、今、一般競争入札のお話を申し上げましたけれども、少額随意契約、額が小さいものがあるんですけれども、これについては現在まだ調査中という状況です。

 それから、個人情報でございますけれども、これは、契約書におきまして、紙媒体、電子データを問わず、総務省から開示を受けた個人情報については厳重な保管管理を義務づけるなど、その管理に必要な措置を講じることとしております。

 今のそのSAY企画以外、その他の事業者も含めまして、総務省として、およそ契約を結ぶ場合には、契約書におきまして、委託事業者が契約の全部を再委託することはできないというのをまず明確にしております。それから、契約の一部を必要があって再委託する場合、その場合には、総務省の承認を受けなければならない、こういったことを取決めをしております。個人情報につきましても、同じく契約書におきまして、先ほど申し上げたのと同じですけれども、紙媒体、電子データを問わず、総務省から開示を受けた個人情報については厳重な保管管理を義務づけるなど、その管理に必要な措置を講じる、そういうことを決めているところでございます。

 他府省庁と株式会社SAY企画との契約状況等を私ども承知をする立場にはないわけではありますけれども、一般論として申し上げれば、それは、契約に係る事務を適切に行うということはもう当然のことでございます。行政に対する信頼も揺らぎかねない話でございますので、各府省庁それぞれの責任で適切に事務処理がなされるべきものでございます。

 私ども総務省における契約におきましても、委託をされた事業者が、今申し上げた契約内容ではありますけれども、その契約内容をしっかり遵守をしていただいて、個人情報についても適切に管理していただくということが大変重要でございますので、事業者等の契約内容の遵守状況について、私どもとしても、今後ともしっかり確認するようにしてまいりたいと考えている次第でございます。

丸山委員 これは非常に難しいんですけれども、お聞きしたいのは、確認したというのは、どういう確認のされ方をしたんですか。SAY企画に聞かれて、ありましたかと聞いて、SAY企画からないですよと、それで確認なんでしょうか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今おっしゃられたとおりでございまして、SAY企画側に確認をしたということでございます。

丸山委員 聞いていらっしゃる方は、それじゃわかんないでしょうと思っていらっしゃると思いますけれども、正直これはすごく難しい問題だと思います。相手側に確認するしかない部分があるのかもしれませんが、実は、今回の件だって、恐らく、ばれていなければ、SAY企画の方は、いや、そんな外部に委託するなんて契約違反のことをするわけないじゃないですかと言ってしまえば、今の調査じゃ、ありませんでしたで終わってしまうんですよ。本当にこれでいいんですかね。

 このやり方、済みません、私も、これは提案という意味では非常に難しいですが、まず、契約する者をしっかりチェックしていくというそもそもの部分が必要だと思います。

 しかし、このSAY企画、今まで述べられたように、いろんな行政のデータを受注しているわけですよ。受注する実績があった。過去にやった実績があって、で、今この状況なんですよ。恐らく、ほかの省庁も、調べていただいたらいっぱい出てくると思います。

 これは行政の根幹を覆す非常に重要な問題だと考えていますけれども、総務大臣、いかがでしょうか。総務省全体だけでなく、閣僚として、今、内閣全体で取り組んでいかなきゃいけない大事な話だと思いますけれども、いかがお考えですか。

野田国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど官房長から申し上げたとおりで、まず、総務省については、必要な確認をしっかり行っていきたいと思います。また、各府省庁とも、行政に対する信頼が揺らぐことのないよう、それぞれの責任において適切に事務処理がなされるべきものと考えております。

丸山委員 後半、NHKの予算の話をしたいので、まず今回は第一弾として、この件、ここで終わりたいと思います。まだまだしっかりと調べていただかなければなりませんし、国全体で見ていくことで、二度と同じようなことがないようにしていかなければならないと思います。過去、もしかしたらあるのかもしれません。今のこのタイミングで、しっかりとこの国のデータ管理のあり方、ただしていただきたいというふうに思います。

 それでは、NHKのお話に移りたいんですが、やはりこの件を聞いていますと、NHKも大丈夫かなと普通に考えたら思うんですけれども、この点、NHKもいろんな個人情報を扱っていらっしゃると思いますし、何より各世帯で受信者の情報があるわけで、日本じゅうの世帯で登録されているわけですから、膨大なデータがあると思いますが、そういった意味で、個人情報の管理はしっかりされていますでしょうか。外部委託や、まさかこんな流出みたいなことは起こり得ないでしょうか、大丈夫でしょうか。

中田参考人 受信契約者の個人情報は、外部と完全に分離したネットワークで管理しております。端末は、USBメモリーなどの記録媒体の接続ができないようにしております。また、訪問員が使用する携帯端末も、暗号化などのセキュリティー対策を施すなど厳重に管理しており、個人情報が流出することのないよう対策を講じています。

 紙で保存している個人情報についても、保管を厳重にし、廃棄処分を委託する場合には、委託先事業者の選定のルールを定め、外部に流出することがないよう対策を徹底しております。廃棄処理の工程についても、個人情報を搬出する時点や処理完了の時点での確認を厳格にしております。

丸山委員 情報管理、どこの企業も今、時代的にセンシティブですが、NHKこそしっかりやっていただかなければならないと思います。受信料をいただいているわけですから、もし万が一、万々が一漏れてということになれば、恐らく国民の皆さん、非常にお叱りを受けると思います。しっかりこれはやっていただきたいというふうに思います。

 国民の皆さんの声、いろいろ伺っていますと、いろいろなお声があります。そもそもNHK、お褒めの言葉もしっかりあると思います。いろんな御批判も多いですが、例えばNHKが出されているコンテンツ、大河ドラマとかおもしろいとか、朝ドラもいつも毎朝見ているよという、地元を回っていると、お母さんの声だとか、本当にコンテンツに対して非常に楽しみにされている方もいらっしゃる。何より報道で、民放がやらない部分に、NHK中継もそうですが、やってくださっている部分で大事な部分はあるというのが前提で、しかしながら、やはり国民の皆さんの声で、ここは変えていってほしい、ここはしっかりやってほしいという部分を、引き続きの時間で伺っていきたいというふうに思います。

 一番多いのは、やはり受信料の話なんですよね。受信料、結構高いわというお声もあります。そうした中で、総務大臣も、受信料の値下げのあり方、受信料のあり方ですね、これは非常に、幾つか言及されていると思います。改めてお伺いしたいんですけれども、受信料のあり方について、どのように総務大臣はお考えなんでしょうか。

野田国務大臣 お答えします。

 NHKは、国民・視聴者に御負担をいただく受信料によって支えられている、それをしっかりとやはり思っていてほしいなと思います。受信料については、国民・視聴者にとって納得感のあるものにしていく必要もあると考えています。

 NHK平成三十年度予算に付する総務大臣意見において、繰越金の現状や平成三十一年度以降も引き続き見込まれる事業収入の増加等を踏まえて、既存業務全体の見直しや、今お話があったように、受信料額の引下げの可能性を含めた受信料のあり方について検討を行うべきである旨指摘をしたところです。

 NHKにおかれては、総務大臣意見を踏まえ、真摯に検討を進めていただきたいと考えています。

丸山委員 という総務大臣の御意見で、非常に役所的用語ですが、しかし前向きに書いているなというのは、正直、私も役所出身なので、結構踏み込んでいると思うんです。

 一方で、NHKさんは、どちらかというと、やはりここの部分は、下げればその分事業収入は減るわけで、外から見たら後ろ向きなんじゃないかと思われがちですが、実際は、三年間ですか、奨学金の学生の世帯のところには免除されたり、いろんな部分でやられるというのは聞いております。

 それも含めて、どういう対応、特にその後が気になるんですよね。その後の対応も含めて、きょうはNHK会長に来ていただいていますので、NHKの受信料のあり方、我々としては値下げも含めて考えてほしいというのが国民の声だと思いますけれども、どのようにお答えになられますか。

上田参考人 お答えいたします。

 若干繰り返しの部分もありますけれども、次期経営計画では、4K、8Kなど放送サービスの充実強化を図った上で、受信料収入の増加と業務全般にわたる経費の削減によって、三カ年で百七十億円規模の原資を生み出しました。その上で、受信料制度等検討委員会の答申や視聴者の皆様などから寄せられた、社会福祉施設への免除を拡大してほしい、また、親元等から離れて暮らす学生の負担を軽減してほしいといった御意見も踏まえまして、今回の受信料の負担軽減策を優先して実施するということにいたしました。

 先生御指摘の、今後の受信料額の適正な水準とか、この受信料に関する検討に関しましては、やはり中長期的な事業計画や収支見通しを踏まえた上で検討すべき重要な課題だという認識を持っております。

 次期三カ年の受信料収入の状況も踏まえながら、中長期的な視点に立って、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

丸山委員 上田会長、すごくお人柄もよくて、前会長は、いろいろ御発言、問題があったので荒れた時期もありましたが、数年間は非常にしっかり国会でも質疑できていますし、その中で、全会派一致で予算採決というのは多うございます。

 そうした中で、今御答弁を読んでいただいたんですけれども、ちょっと逆に本音の部分も聞きたいなと思っていまして、値下げ、どうですか。会長として、値下げまではちょっと踏み込みづらいなとか、お言葉は難しいとは思いますけれども、そういう声が多いのは認識されていると思うんですけれども、そういう国民の声についてどうお考えになりますか。

上田参考人 そういった値下げに対する要望があるということも重く受けとめておりますけれども、受信料制度に関しましては、きょうの午前中の質疑でも取り上げられていましたけれども、衛星契約をどうするのかとか、それから、通信の、インターネットの世界に入っていったときにトータルとして受信料制度をどうするのか、いろんな、受信料、トータルとしてやはり検討していく必要があると思います。

 したがいまして、私は、会長に就任してすぐさま受信料制度等検討委員会というのを立ち上げまして、第三者の意見もしっかりと聞きながら、それを踏まえた上で、NHK独断でやるのではなくて、しっかりと対応していきたいと思っていますし、最終的にはやはり国民の皆様の御理解を得るということが最大の課題なので、その辺もしっかりと踏まえて対応していきたい、そういうふうに考えております。

丸山委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 NHKの不払い訴訟等起きておりますし、昨年末ですかね、最高裁判決も出ておりますね。そういった意味で、国民の皆さんの中で、これは誤解ないように言いたいのは、払わなきゃいけないものはしっかり払っていただかなきゃならないと思います。

 でも一方で、そういった御不満の声があるというのは真摯に受けとめなきゃいけないと思いますし、あと、やはりよくお話があるのは、徴収の、今民間委託されていますね、この委託されている方々が少々強引なやりとりをされるということです。

 私も先日、選挙区内から選挙区内、少し引っ越したんですけれども、引っ越したときにすぐにNHKの委託されている方が来られて、この場所は住んでいなかったみたいなんですけれども今回お住まいになられるんですか、NHK契約、どうなっていますかという話を、私、この後すぐ出なきゃいけないのに、来られて、もともと払っていますし、移転のやつを出しますので大丈夫ですという形で言ったんですけれども。そういった部分で、いきなり来られるのは、すごい、個人情報をぱっと御存じなんだなという、要は、マンション、どこに住んでいるとかそういった部分だとか、あと、衛星の契約についても何かお電話いただいたり、非常に熱心にやっていられる部分はあるんだと思います。

 だからこそ、今受信が伸びているんだと思うんですけれども、一方で、やはりこういうところに対する国民の皆さんの不満の声というのもあるわけですよ。しっかりこの部分に対して応えていっていただきたいと思います。

 最高裁判決も出ましたが、そこも踏まえて、このあたりについてどうお考えか、お答えいただけますか。

松原参考人 お答えします。

 最高裁判決では、受信料制度は合憲で、NHKの公共的な価値も認めていただいたということですが、一方では、その契約については、きちんと協会の役割とか取組を説明をした上で、その上で受信料制度に理解をいただいて、合意をもって契約をいただくということを言われていますので、まさにそのとおりの活動をしていかないといけないというふうに思っていますから、今委員御指摘のとおり、受信契約やお支払いいただく場合は、受信料制度の趣旨をよく説明して、御理解をいただくということが一番大切で、そのことなくして、視聴者との関係というか、信頼関係はあり得ないというふうに考えています。

 このため、丁寧な視聴者対応の徹底ということに向けて、本部に専任チームを昨年から設置をするとともに、視聴者対応に関する定期的な講習の実施、あるいは、契約をいただいた視聴者に電話やはがきで訪問員の対応を確認するという取組も進めています。

 今後も、訪問員の育成に重点を置き、視聴者に対する丁寧な対応を一層徹底をしていきたいということで、行き過ぎた契約勧奨とか収納活動が行われないようにしたいというふうに思っています。

丸山委員 今お話のあったように、最高裁判決でも合意を求めているわけで、しっかりこの点、合意ですから、合意なく徴収できるわけではないということなので、しっかりこれはコンプライアンスに沿ってやっていただきたいですし、こういった声が少しでも減っていくように取り組んでいただきたいというふうに思います。

 そういった意味で、よく、多いのは、とはいえ、NHKの皆さんのお給料も高いんじゃないかという、維新の会はやはりこういった部分を少し確認していかなければなりません。

 会長の年間の給料を言うのは心苦しいんですが、明らかになっていることなので、三千万円以上いただいているということで、副会長も二千六百万円、理事等も二千万を超える。非常に、民間の方から見れば結構、かなり高額な。ただ、フォローしますと、ほかの大企業の方はもっともらっている方もいらっしゃいます。

 そういった意味で、ほかの、外部から来られた会長にとってこれが適切かというのは私は議論があると思いますが、一方で、受信料収入をいただいている部分なので、この適正性に関してはきちんとNHKとしても御説明ができなければならないと思います。

 そういった意味で、この部分に関してどのようにNHKとしてお答えになられるのか、お答えいただけますでしょうか。

根本参考人 NHKの職員の給与につきましては、NHKの財源が受信料であることに鑑み、適正かつ効率的なものとなるよう配慮しなければならず、給与制度改革などにも今まで取り組んできたところでございます。

 一方で、NHKの場合、人材確保上、競合する在京民放さんや大手新聞社さんなど同業他社の水準にも考慮する必要があると考えております。現状では、比較しますと一、二割程度低い水準だというふうに考えております。

 今後も、人材確保面で競合する同業他社などのほかに、公務員また民間企業の給与水準なども注視しながら、職員のモチベーションの維持向上やNHK全体のパフォーマンスの向上という観点も踏まえて、適正な水準を維持するように努めていきたいというふうに考えております。

丸山委員 報道の公正性についてもお伺いしたいんですけれども、非常に、ほかの民放と比べてこの公正性というのがNHKは余計問われる組織だと思います。

 具体例を挙げるわけじゃないですけれども、報道番組を見ていたり朝の情報番組とかを見ていると、ニュースに対してかなりコメントをされる番組も今ふえてきていると思います。ほかの民放さんがやはりけんけんがくがくの議論をされたり派手な演出をされたりするので、NHKさんもいろいろ工夫されている努力があるんだろうとは思うんです。

 一方で、行き過ぎた発言により公正性を損ねるということはあってはならない部分だと思います。非常にこれはセンシティブに考えていただかなきゃいけないと思います。

 あと、個人的によく気になるのは、国会中継、映してくださるのはいいんですけれども、いつも最後時間が切れて、うちの会派は一番少数会派で最後の時間なんですね、ここでNHK中継を終わりますというところによく当たってしまうので、そういった意味でも、時間の割り振り、もともと決まっているもの、例えば、国民の皆さんは相撲をごらんになりたい方も多くて、相撲との関係で、それは相撲がもともと決まっているんだったら仕方がないとか、いろんなものもありますが、しかし、深夜に移されると全然また視聴率が変わってきたりします。

 そういった意味で、公正性、難しい部分でありながら、きちんと確保していただきたいというのは、国民の皆さんももちろん思っていらっしゃるし、我々野党側もしっかりこれは見ていかなきゃいけないところなんですが、この点についてどのようにお答えになられるか、公正性についてどのように今NHKは考えているのか、お答えいただけますか。

木田参考人 NHKは、放送法に基づき、公平公正、不偏不党、自主自律などの原則を守って放送することを求められており、国内番組基準でも、事実を客観的に取り扱い、ゆがめたり、隠したりしないなどと定めています。

 いろいろなタイプの報道番組あるいはニュースがあるんですけれども、そういった番組ではこうしたことを踏まえて対応しているというふうに考えております。

 今委員御指摘の声があることも、現場も含めそれは受けとめておりますけれども、我々の自主的な考え方、判断で、一応今こういう形でお伝えしているということについては、御理解いただきたいと思います。

丸山委員 NHKさんは影響力の大きいメディアですから、しっかりこの点は引き続き留意をいただいて、我々も見ていますので、とはいえ、我々も、逆に言えば、我々目線に陥りがちかもしれません。そういったほかの、逆の意見もあるかもしれません。公正性には御注意いただいて、しっかりとした報道の方をよろしくお願い申し上げます。

 時間がないので、次の方を伺いたいんですが、いわゆる難視聴地域というんですかね、まだNHKをごらんになれない地域があるということで、これは非常に、公平性という意味で、ほかの民放とは全然違う部分ですから、これはしっかり対策が必要だと思うんですけれども、現在、この日本国においてどれぐらいの方が、難視聴地域というのか、見れない方々なのか、割合や件数はどれぐらい残っていらっしゃるのか、そして、しっかりとした対策が必要だと思うんですが、これをどういうふうにされているのか、お伺いできますか。

児野参考人 テレビ放送につきましては、当時の全国地上デジタル放送推進協議会により、平成二十七年三月末までに難視対策が完了したものと認識しています。

 ただ、福島原発避難地区への対応ですとか気象の影響による電波の異常伝搬、あるいは外国波による混信などにつきましては、国の対策計画に合わせてNHKとしても対応していくこととしています。

 一方、ラジオ放送につきましては、これまで自治体から十五地区の改善要望が寄せられており、中継局やFM波による補完局を順次置局することで、既に半数程度の改善を行っています。残りの地区につきましては、中継局のための土地の確保や効果的な受信改善に今課題がありまして、引き続き技術検討を進めていくところです。

 NHKでは、視聴者からの見られない、聞こえないという相談に対して、今後ともきめ細かく対応していくことにしております。

 以上です。

丸山委員 しっかり対応いただきたいと思いますが、そういったときのための、私、インターネットの常時配信という部分もあるんだと思います。非常に、この点、ほかの国に比べてもおくれているなというのが正直私は思うところで、国営放送や若しくは公共放送がインターネットで見られないというのは、非常にほかの国では少なくなってきていますけれども、一方で、国際放送はインターネットで見れるんですね。それはまた実はおかしな話で、国内放送の、国民の皆さんは、受信料を払っていらっしゃる方々が実はインターネットでは見れないんですけれども、一方で、出張に行ったときはもちろん見れますが、海外にお住まいの方というのは自由に国際放送が見れる。

 我々ももちろん、国民の皆さんも、ネットを見れば国際放送を見れると思うんですけれども、でも、本当に一番見たいのは、そもそも流れている、本体の地上波で流れている部分だと思います。

 そういった意味で、恐らく国民の皆さんは、もっと推進しようよという声は多いと思います。NHKも、もちろんこれは前にできる限り進めていきたいというふうに思っていらっしゃるんだとは思うんですが、いろんな政治的動きもあるとはお聞きしています。

 一方で、試験的提供をやられていたというふうに伺っていますが、この辺の、どのような状況だったのか、また、導入したときにどれぐらいコストがかかって、そもそもどんな障害があってなかなか今進みづらいのか、そういったものも含めて、お答えいただけますでしょうか。

坂本参考人 お答え申し上げます。

 NHKでは、去年の十月から十一月にかけまして、同時配信実験を実施しております。全国を対象に、十六歳から六十九歳までの五千四百人に参加していただいた一般向け調査では、日ごとの利用率ですけれども、二〇%前後で推移をしております。継続的な利用があったということで、期間中の四週間の累計利用率は六〇%ということでありました。利用状況全体として、継続利用でばらつきもないということで、日々の利用については手応えが感じられたかなというふうに思っております。

 また、参加者へのアンケート等も行いましたけれども、同時配信の満足度は八九%ということで、これも各世代に大きな違いはありませんでした。

 こうした試験的提供を、実験を続けておるわけですけれども、常時同時配信を本格的に始めた場合、維持運用コストということになりますけれども、この辺のところは年間五十億円前後というふうに試算をしております。また、サービス開始時の初期投資というところも、およそ五十億円前後というふうに試算をしているところです。

 今後、こうした費用を精査しながら、総額の上限を定めて効率的に運用をしていきたいというふうに考えております。

 NHKとしては、二〇一九年度に常時同時配信を開始したいという考えを表明しておりますけれども、実現までには国による法制度の整備が必要であります。NHKだけでできることではないというふうに承知しておりますので、引き続き、関係者や視聴者・国民の理解を得る努力を真摯に行ってまいりたいというふうに考えております。

 また、インターネットで同時配信する場合、権利処理というのも大きな課題になっておりますので、こうした点についても引き続き要望してまいりたいというふうに考えております。

丸山委員 今、八〇%以上の方が満足だというお話をされたように、非常にこれは関心の高い部分だというふうに思います。

 これは総務大臣、最後伺って、私、丸山穂高の質疑を終わりたいんですけれども、非常にこれは声は大きいと思いますし、今の時代の効率化を考えたら、やって当たり前の話だと思います。いろんな抵抗、お声もあるんだと思いますけれども、最後、総務大臣の御発言を伺って、私、丸山の質疑を終わります。

野田国務大臣 お答えします。

 NHKの今要望している常時同時配信については、有識者検討会で取りまとめの検討を行っているところです。現時点では、常時同時配信については特段のスケジュールを決めているわけではありません。受信料制度を含めて、公共放送のあり方については、何よりも、繰り返しになりますけれども、国民、やはり視聴者の理解、そして納得感が大変重要だと思っております。それを踏まえて、引き続き丁寧に議論をしていきたいと思います。

丸山委員 終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず冒頭、森友学園国有地売却公文書改ざん問題では、国民主権、民主主義の根幹が崩される大問題でございます。なぜ改ざんに至ったのか、政治の関与、圧力がなかったのか、解明をするためにも、二十七日の佐川宣寿元国税庁長官に対する証人喚問にとどまらず、安倍昭恵氏、そして交渉当時の理財局長であった迫田英典氏、そして昭恵氏付職員だった谷査恵子氏の証人喚問をし、疑惑と改ざん事件の真相を解明することを政府そして与党の皆さんに強く求めたいというふうに思います。

 総務省は、行政監視そして情報公開法所管でございます。この分野にもかかわる問題でございますので、ぜひそのことを強く求めておきたいと思います。

 きょうは、NHK予算にかかわる質疑ということですけれども、NHKにおいて過労死を二度と起こさせないために過労死事件の問題、そして受信料をめぐる問題について、質問をさせていただきたいと思います。

 NHK首都圏放送センターに配属をされ、記者として働いていた佐戸未和さん、三十一歳。二〇一三年七月二十四日、参議院選挙の後に、うっ血性心不全で亡くなられました。二〇一四年五月に過労死認定され、労災死とされました。心から哀悼の意をささげたいというふうに思います。

 そして、きょうも午前中から傍聴に来られておりますけれども、宝物であった佐戸未和さんを亡くされた御両親を始め御遺族の方々に心からお悔やみを申し上げたいというふうに思います。

 佐戸未和さんが亡くなられた二〇一三年は、六月には東京都議会議員選挙、七月は参議院選挙でございました。お母様は、先日、御遺族のお一人として、そして東京過労死を考える家族の会のお一人として、新宿の街頭でお話をされております。その一部を御紹介をさせていただきたいと思います。

 勤務記録表を見たとき、私たちは泣きました、こんなむちゃな働き方をしていたのかと。都内各地での候補者や政党の取材、演説への同行、出口調査、街頭調査、局内では夜中の票読み会議、形勢展望会議、選挙情勢についてのテレビ報道やテレビ出演、当確判定業務などに奔走し、土曜も日曜もなく連日深夜まで働いており、異常な勤務状況でした。まともに睡眠をとっていませんでした。私たちが調べた結果、亡くなる直前の一カ月の時間外労働時間は二百九時間、その前の月は百八十八時間でした。上司は死後、記者は時間管理ではなく、裁量労働で個人事業主のようなものと何度も言いました。死んでいった未和が悪かったと言われているようでした。社員の労働時間の管理は上司の責任ではありませんか。

 こう語られておられました。

 NHKが社員の労働時間管理を徹底させていなかった、こんな異常な働かせ方をしていた、このNHKの責任というのは本当に重大だというふうに思います。

 佐戸未和さんが勤務していた首都圏放送センターでは、労働時間の把握はできない勤務だったんでしょうか。NHKのさまざまな力を注いでも、上司は絶対に労働時間を把握できないような勤務だったんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

根本参考人 お答えを申し上げます。

 今、先ほど佐戸未和さんのお母様の声を紹介されましたけれども、再三会長からも申し述べておりますように、私たちにとりまして、若く未来のある佐戸記者が亡くなったことは痛恨のきわみというふうに考えております。私からも心からお悔やみ申し上げたいというふうに思っております。

 佐戸さんが過労死の労災認定を受けたということにつきましては大変重く受けとめております。当時、記者は事業場外みなし労働時間制という勤務制度を適用しておりましたけれども、勤務時間はタイムレコーダーの記録や記者自身がシステムに入力した勤務の始まりと終わりの時間を上司が承認する形で把握しておりました。佐戸さんの過労死を防ぎ切れなかったということは、やはり勤務状況に応じた健康確保措置の実施や意識の面などで不十分なところがあったのではないかと考えているところでございます。

本村委員 労働時間を把握していたという御答弁だったというふうに思います。

 佐戸未和さんは首都圏放送センターで働いてみえましたけれども、そこには労働時間を把握する上司もいたし、何人かのグループだったわけでございます。そもそも、事業場外労働みなし労働制の対象となる業務だったのかという疑問があるわけでございます。

 そこで、厚生労働省に伺いますけれども、一般論として、事業場外労働みなし労働制の対象とならない業務、お答えをいただきたいと思います。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 労働基準法第三十八条の二に規定をする事業場外労働に関するみなし労働時間制の対象となりますのは、労働者が事業場外で業務に従事をし、かつ、使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間を算定することが困難な業務ということでございます。

 したがいまして、例えば、何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合や、事業場外で業務に従事をするけれども、無線などによりまして随時使用者の指示を受けながら労働している場合、あるいは、事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的な指示を受けた後に、事業場外で指示どおりに業務に従事をし、その後事業場に戻るといったような場合には、使用者の具体的な指揮監督が及んでいる場合として労働時間の算定が可能であるので、みなし労働時間制の適用はないというふうに考えております。

本村委員 今のお答えを見ましても、やはりポイントは、労働時間を算定しがたいときはということがポイントだというふうに思いますけれども、やはりNHKが佐戸未和さん始め記者の皆さんを事業場外労働みなし労働制にしてしまう中で、本来はそういう業務じゃなかったかもしれないわけですけれども、可能性が高いわけですけれども、そういう中で佐戸未和さんが犠牲になられたのではないかということで、このことも本当に悔やまれるわけでございます。二度と過労死をさせないために、厳しい労働時間管理というものがどうしても必要だというふうに思います。

 佐戸未和さんの過労死を受けて、記者の方々については、先ほども議論がありましたけれども、事業場外みなし労働時間制から、二〇一七年四月から専門業務型の裁量労働制に変えたということですけれども、例えばソニーの専門業務型裁量労働制では七時間四十五分がみなし所定就業時間だった、二〇一五年のケースですけれども、体調を崩したある労働者の方は残業にかわる手当が月二十五時間分相当で、これは年間三百時間分だった、しかし、実際には残業は年七百八十時間だった、手当を上回る残業は年四百八十時間だった、深夜の割増し賃金も支払われていなかったということで報道をされております。

 そこで伺いますけれども、NHKは記者の皆さん約九百人に専門業務型裁量労働制を適用しているわけですけれども、先ほども答弁あったんですけれども、みなし労働時間は何時間なのか、そして残業にかかわる手当というものがあるのであれば残業を月何時間と見ているのか、そして一日の所定労働時間、協定で定める時間ですね、労働基準監督署長の方に届けている時間、どうなっておりますでしょうか。

根本参考人 記者など専門業務型裁量労働制の適用業務につきましては、その性質上、業務の具体的な遂行を労働者の裁量に委ねる必要があるために、使用者の具体的な指揮監督になじまず、通常の方法による労働時間の算定が適切でない業務とされているというふうに承知しております。

 現在の記者の専門業務型裁量労働制では、所定労働時間は七・五時間、これをみなし労働時間としておりまして、いわゆる残業時間という考え方はございません。しかし、深夜労働、休日労働につきましては、法律に基づき、時間把握を行い、働いた時間に応じて割増し賃金を支払っております。

 また、タイムレコーダー等により記録した出勤、退勤時刻をもとに、休憩時間も含めた勤務時間を暦月積算したものを健康管理時間として把握しております。この時間数に応じて段階的な健康確保措置をとるということになっております。

 今、専門業務型裁量労働制の内容につきましては、ちょうど労使で協議中でございまして、詳細は差し控えたいと思いますけれども、記者の健康確保を一層推進する観点から、記者の実態を踏まえて、健康確保措置の強化、そしてみなし労働時間の見直しというものを図ってまいりたいというふうに考えております。

本村委員 ソニーのように実際の労働時間と乖離があってはならないというふうに思います。

 昨年の十二月七日、参議院総務委員会で日本共産党の山下芳生参議院議員が取り上げましたけれども、二〇一七年四月からは専門業務型裁量労働制に変わったということですけれども、この専門業務型裁量労働制の適用者に対する健康確保措置、一段階から四段階まであるわけですけれども、健康管理時間に対応した健康確保措置を行うというふうになっていると思います。

 健康管理時間というのは出勤時間と退勤時間の間の時間を暦月算定した時間、休憩等を含む時間ということですけれども、佐戸未和さんの亡くなる一カ月前の総拘束時間は三百四十九時間でございました。七月は二百九時間も時間外労働をしているわけでございます。健康確保措置は一段階から四段階までのうちでも一番軽い措置の第一段階にとどまっている、未和さんは第一段階で亡くなっている、未和さんの教訓が生かされていないではないかということで山下芳生議員が質問をいたしました。そのときに根本理事からお話が、御答弁があったんですけれども、「まだまだ記者の勤務の在り方につきましては改善をするべき点があると思いますので、見直しをできる点につきましては速やかに検討を進めてまいりたい」、こう答弁をされましたけれども、その後、どう見直されているんでしょうか。

根本参考人 NHKでは、昨年十二月七日に公表しました「NHKグループ 働き方改革宣言」にのっとりまして、今さまざまな取組を進めているところでございます。

 記者の働き方でいいますと、まず、現在、記者に適用している専門業務型裁量労働制の内容につきまして、現在、労使協議中ではございますけれども、記者の健康確保を一層強化するという観点から、現在の健康確保措置を拡大するとともに、みなし労働時間の見直しを図りたいというふうに考えております。

 また、休暇取得の推進を図っております。年度内に九連続休暇を一回、五連続休暇を一回、三連続休暇を三回、こうした連続休暇の完全取得を目指す。そして、緊急時にも原則呼び出しを行わない休日を設ける、いわゆる必ず休む必休制というものも運用を行うようにいたしました。

 また、具体的な記者の業務改革でございますけれども、例えば、拠点局を除く地域放送局の記者の泊まり業務について、緊急対応の準備を進めながら、段階的に廃止していくということも目指しております。また、本部の泊まり業務につきましても、要員を確保して負担感を減らす取組を行っているところです。

 そして、適切な勤務管理でございますけれども、深夜、休日労働の事前申告、そして上司の把握というものを徹底するほか、外勤の多い記者の勤務を迅速、正確に把握するために、業務用スマートフォンでの勤務打刻もできるシステムをこの三月から試験的に導入いたしました。

 こうした取組を積極的に行いまして、今後とも記者の健康確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

本村委員 二〇一七年四月に専門業務型裁量労働制になり、そして、その導入されてから、二〇一七年十二月十四日に労働基準監督署から、専門業務型裁量労働制の協定内容について労使で検証し、適切な水準のみなし労働時間を定めることと指導をされているわけですけれども、実際に、みなし労働時間と実際の労働時間と乖離があったということですね。

根本参考人 今、記者勤務につきましては、先ほど申しましたように、労使で協議中でございますので、ちょっと詳細は差し控えたいというふうに思っております。よろしくお願いします。

本村委員 実際の労働時間とみなし労働時間と乖離があったということでよろしいでしょうか。労使協定の前提だと思うんですけれども。

根本参考人 お答えいたします。

 裁量労働制では、みなし労働時間が適用されても、深夜労働や休日労働については、別途割増し賃金の支払いが必要というふうにされておりまして、協会では、法の定めに基づいて、記者が休日及び深夜に労働した時間については把握して、そして割増し賃金を支給しておりますので、ソニーのような、御指摘のような乖離はないというふうに考えております。

本村委員 じゃ、記者の皆さんの労働時間は七時間半だったということでよろしいでしょうか、実労働時間が。

根本参考人 現行のみなし労働時間、七・五時間につきましては、労使合意の末に定めたものでございまして、労基署に届けたということでございますけれども、昨年、その労基署から、もう一度みなし労働時間につきまして、労使で検証して、その結果に応じて適切な水準に定めるようにという求めがございましたので、今その実態に即した見直しをできるように労使で協議をしているということでございます。

本村委員 今の御答弁を聞いても、やはり実際の労働時間とみなし労働時間に乖離があったということだというふうに思います。

 労使協定で定めるみなし時間というのは、業務の遂行に通常必要となる時間ということで、やはり、七時間半ということは、実態と乖離しているということだというふうに思います。実質、サービス残業になっていたということでございます。

 御遺族の方がどういう悲痛な思いで皆さんに生き抜いてほしいと言われているのか、NHK全体として本当に真剣に受けとめているのかということが問われております。

 未和さんが亡くなられても労働基準監督署から指導を受けるようでは、真剣に佐戸未和さんの過労死を重く受けとめ、絶対に過労死を出さない決意でやっているのかということの疑問が湧くわけでございます。もっと真剣に御遺族の方々の声を聞き、向き合っていただきたいと思います。社員全員で佐戸未和さんの御遺族のお話を聞くなど、ぜひ徹底をしていただきたいと思いますけれども、これは会長に、ぜひ、先ほども答弁ありましたけれども、いま一度お願いしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 今御指摘ありましたように、私も何度も答弁させていただいていますように、この件に関してはしっかりと対応していきたいと考えておりますけれども、過重労働で健康を害するというのはもう最悪の事態なので、こういった労働時間を適切に管理して、過労死ラインを意識して長時間労働を抑制していくことは当然であるというふうに考えております。一人一人の働き方に丁寧に目を配っていくことが基本だと認識いたしております。

 専門業務型裁量労働制を導入している記者につきましても、休日をきちんと確保するとともに、勤務状況をしっかりと把握し、勤務時間の段階に応じた健康確保措置を確実に実施してまいります。

 昨年十二月に公表いたしました「NHKグループ 働き方改革宣言」に掲げましたように、NHKで働く全ての人の健康を守ることを最大の目標として、長時間労働に頼らない組織風土づくりなど、働き方改革に不断に取り組んでまいりたいと思っていますし、経営計画の中でも、働き方改革というのを最大の経営課題というふうに掲げて、それにしっかりと対応していきたいというふうに考えております。

本村委員 もう一点確認をさせていただきたいんですけれども、NHK全体として働き方改革をやるんだとおっしゃっておりますけれども、残業時間の上限を定める三六協定、そして特別条項、佐戸未和さんの過労死を受けてどのように改善されてきたのか、お示しをいただきたいと思います。

根本参考人 再三申しておりますけれども、佐戸未和さんの過労死を重く受けとめ、NHK全体で今働き方改革を推進しているところでございます。

 記者を除く一般職でいえば、二十五年度と比べて、年間総労働時間は平成二十八年度で四十九時間の減少をしておりまして、二十九年度も、現時点で二十八年度を下回る見込みというふうになっております。これは、長時間労働に頼らない組織風土をつくるということで、意識改革、業務改革等を今進めている途上でございますけれども、数値としては減少傾向にあるということです。

 また、記者につきましても、専門業務型裁量労働制の導入前後で比較しますと、休日の確保は着実に進んでおりまして、上半期で、月に平均一日程度ですが、ふえております。

 以上でございます。

本村委員 質問は、三六協定、特別条項はどうなっているかという質問なんですけれども、ちょっと時間がないので、事前に聞いておりますけれども、特に特別条項を引き下げる労使協議をしているということをお伺いしております。

 最後に、この問題では最後なんですけれども、NHKでは、労働時間をしっかりと管理をし、どんな労働時間制であっても、残業時間、普通の通常の所定内労働時間以上の残業時間という意味ですけれども、過労死ライン月八十時間未満にするべきだと思いますけれども、会長の答弁をお願いしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 協会の三六協定は、一日、先ほどから何度も出ていますけれども、七・五時間の所要労働時間を超える時間数と全ての休日労働とを合算した時間数を制限しております。このため、協会の労働時間の上限と法定労働時間に基づく過労死ラインを単純に比較できないという問題がありますが、こうした基準を踏まえまして、協定を見直したいと考えております。

 なお、三六協定は労使協議事項であり、内容の詳細は差し控えさせていただきたいというふうに思います。

本村委員 御遺族の方の二度と過労死を出さないための痛切な思いを重く受けとめ、ぜひ御遺族の方々としっかり向き合って、人間らしい働き方をNHKで実現することを強く求めたいというふうに思います。引き続きこの点は追っていきたいというふうに思います。

 次に、受信料にかかわる問題について質問をいたします。

 放送法は、NHKがその使命を他者、特に政府からの干渉を受けることなく自主的に達成できるように基本的事項を定めております。NHKが公共放送を担う事業者として皆様に信頼を寄せていただく会社になって、そして健全な民主主義の発達に資するような、公平公正なよりよい番組をつくって、そして皆様に、自分たちの放送局だ、支えていこうというふうに思っていただき、受信料を払っていただく努力が不可欠だと思いますけれども、会長の認識を伺いたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKは、正確で公平公正な情報提供や、安全、安心への貢献、豊かで質の高い文化の創造といった公共的価値の実現を追求してまいりました。これからも、さらなる実現度の向上を目指し、放送と通信の融合時代に、いつでも、どこでも視聴者の皆様の期待にしっかりと応えられる情報の社会的基盤としての役割を果たしてまいりたいというふうに考えております。

 受信料の公平負担につきましては、これを徹底することが重要であると認識しておりまして、新三カ年計画においても、支払い率を毎年度一ポイントずつ向上させる計画としておりますけれども、受信料の契約収納活動につきましては、社会経済状況の変化により影響を受ける部分もあると認識いたしておりますが、受信料制度の理解促進を図るとともに、面接が困難な方への活動を一層強化していくこと等により、支払い率を向上させていくことに努力したいというふうに考えております。

本村委員 健全な民主主義の発達に資するような公平公正なよい番組をつくって、自分たちの放送局だ、応援していこうとなるような努力を一層していただきたいということを強く求めたいと思います。

 受信料を支払ってもらうために、契約のために回ってみえる方々の現場感覚ですと、本当に払えない世帯もあるんだと。二〇一八年度は支払い率八一%にするんだと数値目標をNHKは持ってみえますけれども、視聴者・住民の皆様の生活実態というものをどのように認識されておられるのか。

 その点もお伺いしたいんですけれども、日本の中で所得が最も少ない一〇%の層の所得というのは、一九九九年百六十二万円だったものが、安倍政権になってからの二〇一四年では百三十四万円と、この点では下がり続けているわけです。貧困は深刻になっております。今、所得だけに注目した受信料の減免制度というのは、生活保護の方だけというふうになっておりますけれども、生活保護の世帯だけではなく、生活保護を利用していない低所得の方々、減免制度を広げるべきじゃないかと思いますけれども、会長の答弁をお願いしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 受信料の免除は、NHKの放送の普及という使命に照らしまして、教育的な見地や社会福祉的見地等に立脚しながら運用いたしております。

 その上で、次期三カ年経営計画におきましては、社会福祉的見地からの受信料の負担軽減策として、社会福祉施設への免除拡大と、経済要件を課した奨学金受給対象などの学生への免除を実施することといたしました。

 しかしながら、受信料の免除につきましては、他の負担者の負担の上に成り立つ制度であり、外部の有識者から、受信料制度等検討委員会の答申においても、限定的に運用するという基本的な方向性を継続することが適切であるという指摘を受けております。このため、今後の受信料免除の拡大につきましては、慎重に検討することが必要であるというふうに考えております。

本村委員 後からも議論するんですけれども、本当に払えないんだという方もいるわけですから、ぜひ減免制度を広げていただきたいと思います。

 先ほども答弁ありましたけれども、二〇一八年度から学生へのNHK受信料減免制度が創設をされるということで、これは当然の対応だというふうに思います。非課税世帯、奨学金を受けている学生さんということですけれども、奨学金は教育ローンのようなもので、卒業時に三百万、五百万と借金を抱えることに不安を持つ方もおられて、そういう理由から奨学金を受けないというケースもございます。

 私は、学生全体にもうこの受信料減免制度を広げるべきだというふうに思いますけれども、会長、お願いしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 受信料の免除につきましては、外部の有識者から成ります受信料制度等検討委員会の答申におきまして、真に免除が必要な経済弱者に対象を限定することが重要であるというふうに指摘を受けております。

 学生の中には、親元が経済的に恵まれている世帯の場合もあります。必ずしも全ての学生が経済弱者であると限らないため、親元等が非課税世帯又は経済要件を課した奨学金を受給している学生を対象に、まず実施することといたしました。

本村委員 ぜひこの減免制度は広げていただきたいということを重ねて申し述べておきたいと思います。

 別の問題に移りますけれども、私のところに御意見が参りました。こういう御意見でございます。

 ことしの一月、NHKの訪問員が突然訪問されて、昨年末、最高裁判所が契約は合憲と示されて、契約は義務、衛星放送に変更しないと裁判するぞと大声を出して説明して、家内を脅迫して契約を迫り、テレビの種類、放送設備も確認しないで、さらに、免除世帯に対して正規料金を記入して、契約書に署名押印したら二度と訪問しないことを約束したため、家内は恐怖におびえて署名捺印をしていますと。

 この方は重度障害の方で療養中で、何とか消費者センターにメールを送ったそうです。消費者センターの職員の方の指示で免除がなくなることを防ぐことができたそうですけれども、その上で、こういうお訴えでございました。

 そこで、お願いします。免除世帯、全額免除、半額免除世帯に対して、新規契約、契約変更時に免除申請方法について丁寧に説明するように、大声を出して、裁判するぞと脅迫しないでほしいです、全国免除世帯の中で、私たち、家内が受けたような契約方法により、知らないまま正規料金で引き落とされたり、払い続けている世帯がいると思いますというふうに求めておられます。

 この方は消費者センターにメールをし、事なきを得たわけですけれども、消費者庁にここで確認をしたいと思います。消費者庁がつかんでいるNHKに関する相談はどうなっているのか、また、強引な契約の事例、生活に困って受信料が払えないという相談もあるようですけれども、どういう具体例をつかんでいるのか、お示しをいただきたいと思います。

福岡政府参考人 消費者庁でございます。

 今、NHKの受信料等に関しまして、全国の消費生活センターに対する消費生活相談の状況につきまして御質問がございました。

 その件数でございますが、増加傾向にございます。二〇〇八年度に二千二百四十四件であったものが、二〇一七年度におきましては、本年の三月十四日までの登録分でございますが、九千百七十件となっておりまして、ここ十年間で四倍を超える件数となっております。

 その内容につきまして、例えば、一例を挙げますと、相談してこられた方の御友人が生活保護を受給中にもかかわらず、放送会社の来訪を受けて受信契約をさせられてしまった、おかしいのではないかというものとか、相談者の自宅に勧誘員の方が深夜に訪問してくる、集合住宅に住んでおり、近隣にも迷惑なのでやめてほしいといったもの、こういった相談が寄せられているところでございます。

本村委員 資料を示させていただいておりますけれども、NHKに関する相談事件というのは、本当に右肩上がりでございます。

 この右肩上がりの状況、どういう原因だということを事前にNHKの方にお伺いしましたら、これまで行っていないところに手をつけてきたということ、あるいは、法人委託で、訓練されていない人がいることが原因と思われるというお話をいただきました。受信料を徴収するために、契約取次ぎのために、NHKは法人委託をされております。法人委託に伴ってクレームの数がふえているんじゃないでしょうか。

松原参考人 お答えします。

 受信料の苦情、要望等が増加していることについてはさまざまな要因が考えられると思いますが、契約収納活動の法人委託化に伴って新たに業務を開始する訪問員がふえてきていることも、御指摘のように、一因だというふうに認識をしています。

本村委員 ありがとうございます。

 法人委託でクレームが増加している要因の一つに、訪問員が次々とやめて、勤続年数が短い方が多いのではないかということ、教育訓練が行き届いておらず、そこでトラブルが多いのではないかということだというふうに思いますけれども、法人委託のケースでは勤続年数はどのくらいになっているのか。調査をやっていないということですけれども、ぜひ実態調査をやっていただきたいと思いますけれども、答弁お願いしたいと思います。

松原参考人 お答えします。

 今委員御指摘のとおり、法人委託先の企業の個々の訪問要員の勤続年数の把握は今していません。我々としては、できるだけ長く契約収納業務に従事し、お客様対応に習熟した要員をふやすということが大切だというふうに思っています。

 このため、平成三十年度の予算の中には、法人事業者の処遇改善のための経費を盛り込み、安定的な要員の運用に努めていくことにしたいというふうに思っています。

本村委員 ぜひ、働き方の実態調査をしていただきたいと思います。委託をして、再委託がないか、その方が一人親方のような個人事業主になっていないか、そういうことも含めてぜひ実態調査をしていただきたいというふうに思います。

 NHKでは、今年度の受信料支払い率八〇%、来年度は八一%と、支払い率の目標を持っておりますけれども、数字がひとり歩きをするだとか、あるいは、歩合制の給与とか単価なものですから、先ほどの障害者の方への対応のように、数字を上げようということで乱暴な対応になるのではないか。衛星放送のためのアンテナがないのに単価の高い衛星を契約させたり、こっちの方が単価が高いから、衛星放送の施設がないのにそういう契約をさせたり、クレジット支払いの方に誘導したりと、こういうノルマと歩合制で追い立てられて、実質的に丁寧な対応ができていないのではないかというふうに思わざるを得ないわけです。

 NHKは受信料の支払い率を言っておりますけれども、最高裁の判決を振りかざして、徴収強化などをして、生存権を脅かすような無理な徴収は絶対にやってはならないというふうに思います。お一人お一人への丁寧な対応、会長にぜひお答えをいただきたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 最高裁判決を受けて、訪問員に対しましては、お客様対応時に最高裁判決について言及することがないよう文書を発出するなど、指導を行っております。

 最高裁判決においても、受信契約の締結について視聴者の理解を得られるように努め、これに応じて受信契約を締結した方に支えられて運営されていくことが望ましいと判示されております。

 今後とも、これまでどおり、公共放送の役割や受信料制度の意義について丁寧に説明していくことに努めてまいりたいと考えております。

本村委員 ぜひ、お一人お一人への丁寧な対応をお願いしたいと思います。

 先ほども申し上げましたように、歩合制ですとか、支払い率八〇%、八一%と追い立てるのではなく、NHKが視聴率に左右されずに、自主的に、自律的に、公正公平に大事なことを放送するというのは、その根拠となる、土台となるのは受信料でございます。

 この受信料や契約取次ぎにかかわる訪問員の方々は、やはり、大事な仕事をしているわけですから、NHKの職員として、待遇をよくして、丁寧な対応ができる条件をつくるべきじゃないかと思いますけれども、会長の答弁をお願いしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 受信料の公平負担の徹底に向けて訪問員の安定的な運用は必要であると考えておりまして、平成三十年度予算では法人事業者の処遇改善のための経費を盛り込んでおります。

 ただし、訪問員を直接雇用することにつきましては、民間のノウハウを活用する等の法人委託化の目的や、地域状況や従事する業務の内容に応じて柔軟に業務を実施することが可能な地域スタッフの利点を損なうことになる、こうした事由等によりまして、訪問員を直接雇用することは、今のところ考えておりません。

本村委員 受信料あってこそのNHKでございます。その受信料にかかわる訪問員の方々が丁寧な対応ができるような労働条件にすることを強く求めたいというふうに思います。

 これからも公平公正なよい番組づくりができる環境をつくっていくために、私たちも応援をしていきたいと思っております。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、原口一博君。

原口委員 民進党の原口一博でございます。

 通告に従って、無所属の会を代表して、NHK予算について質問したいと思います。

 その冒頭、佐戸未和さんの過労死に際し、私からも心からお悔やみを申し上げ、御遺族の方々、どんなにかおつらかっただろうと、お見舞い申し上げます。

 会長に伺いますが、先ほど答弁の中で、労働時間を把握していたと。労働時間を把握していてどうして過労死になったんですか。そこを教えてください。それから、実労働時間とみなし労働時間の乖離はないと言っている。乖離があったからこういうことになっているんじゃないんですか。

 働き方改革をこの改革の三本柱の一番に上げるということでございますから、会長に、まず基本的な御認識を聞きたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 佐戸未和さんの過労死を防ぎ切れなかったことは痛恨のきわみでありまして、何度申し上げても済まないぐらいに、申しわけないと本当に思っています。

 勤務状況に応じた健康確保措置の実施や意識の面などで不十分なところがあったのではないかと考えておりまして、佐戸さんの過労死を重く受けとめ、長時間労働の抑制や休日の確保など、健康確保に向けた取組、働き方改革を更に進めていきたいというふうに考えております。

 現行のみなし労働時間、七・五時間につきましては、労使合意の末に定めたものでありますけれども、昨年十二月に、労基署から、みなし労働時間について、労使で検証し、その結果に応じて適切な水準に定めるよう求められておりました。具体的な見直し内容につきましては、現在、労使協議中でありまして……(原口委員「いや、聞いたことだけ答えてください」と呼ぶ)はい。

 佐戸記者が働いていらしたころは事業場外みなし労働制というのを導入いたしておりましたので、その限りにおいては、その制度に基づく時間把握をやっていたということであります。

原口委員 本当に、時間が把握されていて、意識の問題に逃げちゃだめだと思うんですよ。現実に、現場の誰が責任を持ち、どのような労務管理をしていたかといったことを明らかにしない限り、このことはまた起こってしまう。大変な、三十一歳という若さでこの世を去らなければいけなかった、その思いを考えても、答えにならぬということを申し上げて。

 そして、委員長にお願いをしたいと思いますが、この通告をしてからきのうの間に、二つの大きなことが明らかになりました。

 一つは、フェイスブック。SNSが、多くの日本の国民も利用されていますけれども、情報発信のツールというよりも、むしろ個人情報を掌握されるツールになっていたのではないか。これはアメリカの議会もヨーロッパの議会も大きく揺るがしています。

 ぜひ、個人情報、ICTのそういう、ベンダーといいますか、SNSの提供者についての参考人を呼んで集中審議をしていただきたいと思います。

 個人情報ということでいえば、きょう、日本年金機構の理事長にも来ていただいています。お認めいただいてありがとうございます。

 今回、五百万人の情報が中国企業に流れたということで、先ほど、誰か、委員が聞いてくれたということですけれども、なぜ日本年金機構は、再委託、これはやっちゃいけないことになっていますね。再委託はやっちゃいけないことになっているのを知りながら、そのままにしていたのか。経緯とその理由を教えてください。

水島参考人 改めまして、このたびの事態を招きましたことに深くおわびを申し上げる次第でございます。

 今回の事象の概要からちょっと……(原口委員「いや、聞いたことを答えてください。概要はさっき答えたでしょう」と呼ぶ)申し上げますと、まず、海外に出ておりますことを把握をいたしましたのは、十二月の末に法令違反窓口に通報がございました。一月四日に私に報告がございまして、一月四日の時点で事態を把握をいたしましたので、すぐに特別監査を入れることをそこで決定をいたしました。

 一月六日、土曜日でございましたが、できるだけ早く入れるべきだというふうに考えまして、土曜日にSAY企画が業務をやっているということを確認をいたしましたので、特別監査を入れた次第でございます。

 その結果、再委託を行っている、そして、中国に再委託を行っているということを確認を、社長から証言を得ましたので、セイ委託の国内の状況について確認をいたしますとともに、大連がその委託先でございましたが、大連の企業に対しまして、セキュリティー関係の委託業者でございました日本IBMに委託をいたしまして監査を実施した次第でございます。

 その結果でございますが、SAY企画は名前と振り仮名しか委託をしていないというふうに言っておりましたが、私どもが確認した結果も同じ内容でございました。

 さらに……(原口委員「経過を言ってくれと言っているんじゃないですよ。なぜ、知っていたのにとめなかったかと聞いているんですよ」と呼ぶ)その時点で、一月の十日でございますが、そこから、最終的に委託をとめたのは二月五日でございました。その間、私ども、仕事を進めなければいけませんので、その仕事を進める前提で、セイ委託の委託は継続をいたしましたが、仕事の内容につきましては、全て職員が内容を確認をいたしました。そして、二月五日の納品分、二月五日発注で二月十三日納品でございますが、それをもちまして新規の発注はとめたということにいたしております。

原口委員 委員長、ぜひ、これはこれだけのことをやっていて、質問にそのまま答えてほしいんですよ。その経過は聞いていますよ。そして、監査を入れた、IBMの職員を中国に派遣したと言うけれども、あなた方と二人でしょう。

 そして、本当に氏名と振り仮名だけが行ったかどうかというのは確認できませんでしたよ。本当にその五百万件も、それはマイナンバーとか所得の状況とかがそちらに漏れていないとは確証できませんでした。私、きょう、ヒアリングしましたけれども。

 ぜひ、これは、何でこういうことを言うかというと、NHKも、会長、大きな個人情報を扱います。先ほどの業務委託の話もありましたけれども、まさに、ここに引っ越したら即来る、個人情報の山なんですね。個人情報についてはよほど注意をしなきゃいかぬ。ましてや、中国企業にそれが行っていたということについては、ゆゆしきことだと思います。

 ですから、総務大臣、私は、行政管理機能を持っている日本年金機構は、社会保険庁からこういう構造を持っている。なぜ業務委託をやめられなかったかというと、一者応札でほかにやってくれるところがなかったからでしょう。それをとめてしまうと、番号が違っていたり、額が違っていたりして、実際の受給者に御迷惑がかかるから、オンゴーイングでとめられなかったんでしょう。

 だから、総務大臣、私たちのときには、この総務委員会でもチェックできるように、年金業務監視委員会というのを総務省に置いていたんですよ。これは事務方で結構ですから、年金業務監視委員会が、まさに社会保険庁から引き継ぐこの構造的な問題を幾つも自主的に表にしてくださって、たくさんのことが解決したと思いますが、主に三つ挙げてみてください。

讃岐政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の年金業務監視委員会においては、平成二十二年から二十六年までの四年間、年金業務に関する重要事項について調査審議いたしました。

 主な実績として三つ挙げさせていただきますと、平成二十二年七月に、紙台帳等とコンピューター記録との突き合わせ業務に係る入札案件問題に関する所見の取りまとめ、二つ目として、平成二十三年三月、いわゆる運用三号の取扱いに関する意見の取りまとめ、三つ目といたしまして、平成二十六年三月、失踪宣告を受けた者に係る死亡一時金の消滅時効等に関する問題等に関する意見の取りまとめなどがあります。

 以上です。

原口委員 大臣、お聞きになりましたか。この失踪というのは、東日本大震災で流された方々、その方々の年金一時金がこの制度の中では受け取れないようになっていたんです。それを年金業務監視委員会の方々が指摘いただき、私たちはここの委員会で議論をして、受け取れるようにしたんです。

 ぜひ、あなたの決断で、もう一回総務省に。今みたいな答えなんですよ。何回も何回もこれはやって、厚労省とそれから年金保険機構で、その中で報告をし合えばそれで大丈夫だ、どうぞ、もう皆さん、総務省の皆さん、総務委員会の皆さん、安心してください、自分たちでやりますからといって、年金業務監視委員会を解いた結果がこれですよ。五百万人の情報は戻ってきますか。来ないでしょう。

 ぜひ、総務大臣、あなたのリーダーシップで、もう一回、年金業務監視委員会を再起してもらうように、このことを強く求めます。所感をお願いします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 年金業務監視委員会は、旧社会保険庁が廃止され、日本年金機構が発足した直後に、年金行政に対する信頼の早期回復のために、期間を定めた特別かつ異例の取組の一環ということで総務省に置かれました。

 これは、時限ということで、平成二十六年三月末の設置期限到来をもって活動を終了したところです。

 その後は、特殊法人である日本年金機構に対し、直接の監督権限を有している厚生労働省が適切に年金業務を管理していく本来の体制に加えて、平成二十六年四月から、同省の社会保障審議会に年金事業管理部会が置かれました。そこでは、外部有識者によるチェックが行われているところです。

 また、総務省行政評価局としても、年金業務監視委員会の廃止後も年金業務の動向等を常に注視しておりまして、必要な場合には、行政評価・監視を実施することとし、現在、国民年金を中心とした年金業務運営に関する調査を実施しているところです。

 このように、年金業務の適切な運営に責任を有する厚生労働省による指導監督と、そして、そのような状況を評価、監視の対象とする総務省行政評価局の機能の両方により、十分なチェック体制が整備されていると考えています。

 今のところ、総務省に年金業務監視委員会を再設置する必要はないというふうに私は今考えているところです。

 いずれにしても、今回の事案についてですが、厚生労働省から日本年金機構に対し、年金受給者の立場に立った確実な業務遂行を徹底すること、業務委託をする場合における事務処理のあり方等の見直し、再発防止に万全を期すことなどを指示したと聞いています。

 まずは、年金行政を所管する厚生労働省において、きちんと責任ある対応をとっていただくことが私は重要であると考えているところです。

原口委員 がっかりしましたね。それができなかったからわざわざ、消えた年金五千万件の問題が起き、そして、分限免職もやり、そして、社会保険庁を日本年金機構にし、そして、その結果が今ですよ。考え直すように強く求めます。

 NHK予算に戻ります。

 今回、会計検査院が幾つも指摘をしています。会計検査院にもきょう来ていただいています。

 きょう、なぜこういう議論をするかというと、NHKは受信料によって成り立っています。ですから、これをごらんいただいている皆さんの信頼、信頼なくして立たないからであります。しかし、その割にはたくさんの問題が、これは私のときも指摘をしました。総務大臣も、総務大臣意見という形で出していますけれども、結構深いですね。

 会計検査院、この五年間でNHKに対してどのような指摘をしましたか。関連団体との契約の状況について、関連団体の役職員の状況について、関連団体の利益剰余金の状況について、まとめてこの三つについて聞きます。

堀川会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院は、この日本放送協会に対する指摘といたしまして、過去五年間では、平成二十五年度決算検査報告において、不当事項を二件、掲記いたしております。これらは、いずれも職員の不正行為による損害が生じたものであります。

 また、会計検査院は、平成二十八年五月二十三日に参議院から、国会法第百五条の規定に基づき、日本放送協会における関連団体の事業運営の状況について会計検査を行い、その結果を報告することを求める要請を受け、二十九年三月にこれに関する報告を参議院に提出しております。

 続けさせていただきます。

 さらに、先生からお尋ねの、まず、日本放送協会と関連団体との契約の状況についてでございますが、検査いたしましたところ、関連団体との契約につきましては、その契約に占める競争性のない随意契約の割合が平成二十六年度以降増加しており、二十七年度は、件数で八三・二%、金額で九二・七%となっておりました。

 関連団体は、日本放送協会の業務を補完、支援して効率的に業務を進める目的で設立されており、単純に競争性のある契約方式に移行するのは難しい業務も多いものの、業務を切り出すなどして競争性のある契約への移行が可能なものが見受けられますことから、今後とも業務内容の勘案、検証を行った上で、競争性のある契約への移行をより積極的に進めていくことなどに留意する必要があるとしております。

 続けさせていただきます。

 先生お尋ねの関連団体の役職員の状況についてでございます。

 平成二十七年度末における関連団体二十六団体の役職員数は、計六千五百三十一人となっております。そして、関連団体の常勤役員に占める日本放送協会の出身者の割合は、子会社におきまして五七・一%から一〇〇%、関連会社におきまして二五%から五〇%、関連公益法人等におきまして六〇%から一〇〇%となっておりまして、この割合が一〇〇%となっている関連団体は、子会社十三社のうち九社、関連公益法人等九団体のうち七団体、計十六団体となっておりました。

 続けさせていただきます。

 関連団体の利益剰余金の状況についてでございます。

 検査いたしましたところ、関連団体のうち子会社の利益剰余金残高は、平成二十二年度末以降は増加傾向となっていて、二十七年度末で九百四十八億余円となっておりましたことなどから、日本放送協会において適切な特例配当の要請を行うことを検討し、子会社の利益剰余金額を適切な規模とするための指導監督を適切に実施していくことなどに留意する必要があるとしております。

 以上でございます。

原口委員 会長、お聞きになりましたか。

 資料一が、皆様のお手元をごらんいただきたいんですが、今、会計検査院がおっしゃった子会社と関連会社の定義です。

 そして、資料二をごらんください。協会における契約の状況。ほとんど随意契約じゃないですか。それは、クリエーティブなことをやる、そういったことについては随意契約も必要かもわからぬ。しかし、余りにもひどい。しかも、これがふえている。

 資料三をごらんになってください。関連団体の役職員の状況。五七・一%から一〇〇%。しかも、一〇〇%が幾らでしたか、十六団体ですか。まさに天下り先じゃないですか。

 これで受信料取れますか。百数十億ふえたと言っているけれども、本当にこれでいいんですか。

 資料四をごらんになってください。平成十七年度末及び二十七年度末の関連団体における役職員数。協会の出身者の占める割合が一〇〇%のが幾らありますか。これだったら、もうNHKそのものじゃないですか。これを放置するんですか。

 そして、資料五。これが利益剰余金です。利益剰余金は、関連会社、関連団体まで入れると一千二百億円超えている。今、会計検査院が指摘をされたように、特別配当しなさい、そういうことでしたけれども、この予算の中に特別配当、どこが入っていますか。会長、教えてください。

上田参考人 大変申しわけありません。今、御質問の特別配当がどこに……(原口委員「この予算の中に、どこに上げられていますか」と呼ぶ)

 平成三十年度は特別配当は入っておりません。この三年間の中で特別配当をしっかりとっていこうと考えていますが、平成三十年度収支の状況を見ながら、最終的には、特別配当は三十一年、三十二年というような形で入れ込んであります。

原口委員 私たちは三十一年度予算を審議しているんじゃないんですよ。三十二年度予算を審議していません。

 本年度予算で、今、会計検査院が剰余金が多過ぎるだろう、そして、ちゃんと特別配当して、国民にもNHK本体にも利益を還元しなさいと。そういうことでしょう。入っていないじゃないですか。

 何でこんなにも、子会社への役職員が一〇〇%もあるんですか。それを教えてください。なぜこんな状況ですか。

上田参考人 お答えいたします。

 NHK関連団体が行う業務の多くは、NHKからの委託業務や展開業務などであります。その際に、NHK退職者が在勤中に培った知識経験、人脈を生かして、高品質で効率的に業務を担ってもらうことは、経済的で合理的であるというふうに考えております。

 したがいまして、いわゆる天下りとNHK関連団体への再就職とは異なっているという認識をいたしております。こうした再就職は、グループ経営を遂行する上で必要なものであると考えております。

 さらに、技術やノウハウの移転、継承など、人材活用の観点や高齢者雇用の観点からも重要なことと考えております。

 NHKでは、六十歳定年制を導入しておりますが、高齢者雇用安定法に基づく六十五歳までの雇用継続への対応も踏まえて、NHKグループ全体で適材適所の人材配置を行っております。

原口委員 会計検査院、もう一度皆さんの、私にいただいた資料、お手元の資料四ですね、関連団体における役職員数についての問題意識について、会計検査院の指摘を教えてください。

堀川会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 先生お尋ねの関連会社の役職員の状況についての報告でございますが、繰り返しになりますが、関連団体の常勤役員に占める日本放送協会の出身者の割合は、子会社におきまして五七・一%から一〇〇%、関連会社におきまして二五%から五〇%、関連公益法人等におきましては六〇%から一〇〇%となっておりました。

 そういうことで、一〇〇%となっているところが、子会社で九社、関連公益法人等で七団体、計十六団体となっておりました。

原口委員 こういう指摘を受けているわけですね。技術的だと。どんどんどんどん肥大化しているんじゃないですか。だったら、自分のところに戻せばいいじゃないですか。

 これは後で結構ですから、会長、子会社が幾ら税金を払っているか、教えていただけますか。

 そして、私もこういうのをNHKの会長に聞くのはつらいんですよ。なぜかというと、会長のなり手というのは、総務大臣もわかると思うけれども、なかなか、こうやって国会でも追及される、だからなり手がないんですよ、なかなか難しい。その中で上田会長がなっていただいているというのは私はありがたいと思うし、お隣の石原委員長におかれては、私のときにお願いをして、本当につらい時期をNHKを安定させていただいて、心から感謝しています。

 しかし、それはそれとして、ここでは、会計検査院が最低でも指摘したことを私たちは国民を代表してたださなきゃいけない。だから、そこはぜひ誠実に答弁をしていただきたい。

 じゃ、関連団体のために用地を取得しようとした際に不適切な手続がありましたね。これは、どういった点が誤っていましたか。また、その教訓を生かしてどう対応されたのか。

 たしか、会長は当時、監査委員でいらっしゃいました。当時の会長と私たち民主党のプロジェクトチームで、何でこんなことになっているのかということを厳しく追及したんですけれども、あの関連団体の土地取得をめぐる動きについて、何が誤っていましたか。

上田参考人 お答えいたします。

 関連の子会社が、土地の買受けを申し込み、優先交渉権の内定を得た後、金銭的な損害が生じない段階で、理事会の審議や経営委員会での意見交換を踏まえ、当時の会長の判断で計画を撤回した案件であります。

 これは、当時、明確な放送法違反や、関連団体運営基準違反は認められなかったと認識いたしております。

 しかしながら、重要な事項についての検討や契約締結実行のための手順、日程など、十分な意思統一が図られていなかったことなどの状況があり、この種の経営の重要案件については、より慎重な対応が求められるとして、改めて、関連団体運営基準にのっとって厳格に運用が行われるように徹底いたしております。

原口委員 会長はそのとき大変公正な調査をしていただいた、そう認識をしています。ありがとうございました。

 ただ、それから今に至るまでも不祥事はずっと続く。先ほど寺田委員が、NHKオンデマンドの現在の利用状況で、コンテンツは受信料で制作したものだから、何で有料にするのかと御質疑がございました。今、オンデマンドの収支、約二十億、収入が二十億、そして支出が二十億ですね。これは支出の内訳を教えていただけますか。これは事務方で結構です。

木田参考人 支出は大きく分けまして、著作権処理、著作権料とそれを処理するお金、それから、配信する……(原口委員「だから幾らですか」と呼ぶ)額ですか。額はちょっと、後ほどでよろしいでしょうか。

原口委員 いや、通告していますから。

 だって、先ほど、寺田議員に、オンデマンドを無料にした場合、新たに著作権の費用とかが賄えないから、そういう答弁でしたね。幾らですか。そんなの、今予算審議をしているんですよ。この予算書の中にあるじゃないですか。教えてください。わからなかったら時間をとめてください。

古屋委員長 それでは、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

古屋委員長 速記を起こしてください。

 木田専務理事。

木田参考人 お答えいたします。

 事業支出の内訳は、配信費用が十九億、それから広報費〇・二億、給与〇・九億、退職手当等〇・三億、共通管理費〇・四億、減価償却費〇・一億というぐらいで、三十年度は二十一億の支出を考えております。

原口委員 会長、お聞きになったでしょう。著作権、幾らですか。二十一億の内訳をあなたはお手元に持っていますね。先ほどの会長答弁だと、新たに無料に配信すると、著作権とか複雑な問題はそれは出るでしょう。だけれども、出ていないじゃないですか。幾らですか、著作権。今読まなかったでしょう。

上田参考人 お答えいたします。

 第三者権料、音楽著作権料等、四億三千万円となっております。

原口委員 それでいいですか。まあ、ちょっとここは確認しますけれども、先ほどの十九億と、広告費なんとか入れたら四億幾らあって、入れたら二十三億ぐらいになるじゃないですか。額が合いませんよ。ちょっと時間が限られているので次へ行きますけれども。

 いかにも著作権で大変だということを言いわけをするけれども、少なくとも十九億が別の費用でしょう。

 私は、NHKが制作するコンテンツには非常にいいものがあると思います。そして、将来の放送技術を開発するための投資なども評価をしています。必要な経費は十分投資していくべきだし、これからは、放送用の一般コンテンツと当初から海外等を念頭に置いたコンテンツを色分けして制作していく必要があるというふうに思っています。

 ちょっとここで、経営委員長もお見えいただいたので。

 今回のNHKの方針の中にさらっと入ったのが、公共放送から公共メディアへ、奥野議員がきょう取り上げてくださったところです。

 経営委員長、本当にありがとうございます。

 NHKを公共放送から公共メディアにするというのは、経営委員会でどんな議論をされましたか。

石原参考人 公共放送、これは放送法第四条に基づいて公平公正ということでやっているわけでございますが、公共メディア。

 最近、若い人たちを中心に、インターネットの方に相当視聴が移って、放送の方から移っているという現実があるなと。我々は、あまねく、できる限り多くの皆様に公共放送としてNHKを見ていただきたい。それが民主主義の発展の基盤になるし、それから同時に、災害対応、そういったことにも役立つということを常に理念として持っていますので、インターネットの方にも我々の放送を視聴できるようにできないのかなということの議論でございますね、そこで公共メディアという言葉も出てきたわけでございます。

原口委員 委員長、ありがとうございます。

 私、これは質問通告を二回やっていて、会長が今おっしゃったようにインターネットで全部出しています。だから、通告していないとか言っても、ちゃんと残っていますので、ちゃんと答えられるように、NHKさん、次からしてください。

 そこで、放送法第四条の撤廃が検討されていると。先ほどの質疑じゃ、総務大臣は、それを知らぬ、ここで初めて聞いたということですけれども、放送法については、ここにいらっしゃる山口先生を中心に、私たち、何回か、言論のとりで、絶対に公平、公正、中立で、そして誰からも侵害を受けない、そういう放送をつくるんだということで、山口先生、二回ぐらい改正しましたかね、御一緒に。ちょっと見えないんですけれども、やりました。私、この四条をすごく大事にしているんですね。

 総務大臣、放送法第四条が撤廃された世界というのはどういう世界になるのか、あなた自身はこの四条の撤廃というのを考えているのか、教えてください。

野田国務大臣 お答えします。

 仮定の質問にお答えするのはすごく困難なんですけれども、一般論としてお答えさせていただくならば、四条をごらんいただくと、例えば、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」「政治的に公平であること。」「報道は事実をまげないですること。」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」とございます。

 仮に放送法第四条を撤廃した場合には、今のような、例えば公序良俗を害するような番組や事実に基づかない報道が増加する等の可能性が考えられます。

原口委員 会長、そのとおりだと思うんですよ。ですから、この放送法の四条といったところは、やはり絶対譲れないところだ。

 資料九をごらんください。

 これが、当時私どもが政権におったときに、クロスメディア所有についてと。

 何を言いたいかというと、石原会長がおっしゃったように、これからは単に地上波の放送だけじゃなくてマルチな、インターネットも入れた情報発信、受発信になっていく。だからこそ、先ほどお願いをしたように、フェイスブックのようなことがあるとこれはもう世界的な問題になります。

 ちょっと委員長に確認するのを失念しましたので、ぜひ集中審議を、このフェイスブックの情報流出の問題について、日本法人でも結構です、いや、ザッカーバーグ氏でも、これは来ていただきたいぐらいの話だと思います、ぜひ集中審議をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

古屋委員長 理事会において協議をさせていただきます。

原口委員 そこで、この九ページがクロスメディア所有。

 クロスオーナーシップ、なぜこれをやるかというと、先ほど石原会長がおっしゃったような世界になった場合に、インターネットも放送もそしてラジオもあるいは新聞も一つの資本でやってしまうと一つの色になってしまう、だからあらかじめ私たちはその資本規制をしておくべきだというのがクロスオーナーシップ規制の私たちの、当時の民主党の基本的な考え方でした。

 ところが、民放を中心に、自分らに規制が来るんだと誤解をされて、結果、参議院がねじれてしまって、このクロスオーナーシップ規制は今の放送法の中には入っていないんですよ。私、これは諦めていないということをここでしっかりと言っておきたいと思います。

 それから、十ページをごらんになってください。

 これが、今後のICT分野における国民の権利保障の在り方を考えるフォーラム、これの当時のメンバーであり、言論の自由を守るとりでに関する国民の権利と議論すべき論点をまとめたものであります。

 そこで、何点か残りの時間で伺っておきたいんですけれども、総務大臣、通信と放送の融合が進展しているというのであれば、報道されているような放送制度の改革を進めるようじゃなく、さっき奥野委員が指摘をされたようなことをやるのではなくて、巨大な資本を持つネット企業等が言論空間を支配することのないよう、今こそクロスオーナーシップ規制の強化を検討すべきだというふうに考えますが、総務大臣の基本的な認識を伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答えします。

 少し前もそのことについて原口委員から御説明をいただき、取組についてのお話を頂戴しました。

 クロスメディアオーナーシップ規制を含めた放送分野におけるマスメディア集中排除原則については、総務省としてこれまで適正に運用してきているところです。

 今お話がありましたように、メディア環境は大変変化しておりまして、それを踏まえて現行規制を見直すべきだという指摘については、放送以外のメディアを含めた多様なメディアのあり方に関する問題であります。我が国の言論報道に影響を及ぼすものであるため、慎重な対応が求められると私は認識しています。

 総務省としては、御指摘をいただいているので、諸外国の状況等々、メディア環境の変化等を見きわめながら、この件に関する議論はしっかり積み重ねていきたいと思います。

原口委員 もう時間があとわずかなので、幾つか指摘をしておきたいと思います。

 朝の連ドラ、大河ドラマも、やはり、会長、特定地域に偏っていませんか。たまたま、会長が長崎、経営委員長は福岡、私は間の佐賀ですけれども、本当に、大阪だったら大阪、明治維新だったらもう出てくるところははっきりしている。これによって、相当、都道府県のイメージも違ってくるんですね。ぜひ、公平な扱いをお願いをしたいと思います。

 また、NHKの記者は約千百人おられるというんですけれども、このところ、いわゆるスクープというのかな、それはどれぐらいありますか。先ほど書きかえと改ざんの議論もありましたけれども、本当に社会の根底をしっかりとえぐるような、そういうパフォーマンスというのは、このところほかの部門に比べて劣ってきているんじゃないかという御指摘もございます。

 さあ、これで最後にいたします。

 きょうは、子会社、関連会社を中心に議論をさせていただきました。会計検査院の指摘というのは、会長、最低限の指摘です。きょうは私はそこにとどめた指摘をしましたけれども、ぜひ公共放送として新しい姿を国民の皆さんの信頼を持ってつくっていただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 まず最初に、新三カ年計画について尋ねます。

 会長はことしの年頭の挨拶で、公共放送の真価、それから、そこに加えて公共メディアへの進化、この二つのシンカの重要性を指摘されています。そして、この二つを実現するためにはNHKの公共性が問われるというお話をされています。

 放送と通信の融合が進む時代の中でNHKが担うべき公共の意味が問われている、その認識については私も全く同感であります。

 そこで、放送からメディアへと進化、発展していく際に求められるNHKの公共性とは何か、会長のお考えを尋ねます。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKは公共放送として、憲法で保障された表現の自由のもと、正確で公平公正な情報や豊かで良質な番組を幅広く提供し、健全な民主主義の発達と文化の向上に寄与する役割を担っています。

 インターネットの浸透により、いつでも気軽にさまざまな情報を取得、交換できるようになりましたが、一方で、不確かな情報の拡散や人と人とのつながりの希薄化が深刻に受けとめられています。これらの時代、世界や日本の課題を広く共有し、正確な情報で人と人をつなぐメディアの公共的な役割はますます重要になると考えております。

 また、大規模災害時には、多様な伝送路を活用し、一人でも多くの人の命を守るための情報を届けることもNHKの公共的な使命だと考えております。

 こうした公共的な使命、目的を明確にするため、次期経営計画では、NHKが追求する公共的価値を具体的に明示したもので、放送を太い幹としつつ、インターネットも活用して、情報の社会的基盤の役割を果たしてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 この新三カ年計画が報道された際に公共メディアへの進化を打ち出したということですけれども、他の民放連あるいは新聞協会など、多くの方から、NHKの肥大化を懸念する声が聞かれました。

 NHKに求められる公共性とは何か。報道、番組の内容、事業規模、受信料のあり方等々、NHKの側から発信をし、国民合意を得るべき多くの課題が依然として横たわっているのではないかというふうにも思います。

 本来ならば、前の会長の時代、その三年間に解決していく課題だったというふうに思いますけれども、残念ながら、その本筋から外れた問題の対応に追われてしまった感は否めません。

 上田会長のもと、この三カ年計画の期間中に、NHKの側から公共性のありようについてしっかりと発信をし、そして答えを出していただきたいというふうに思います。

 続けて、受信料のあり方に関連して、何点かお聞きします。

 昨年十二月、受信設備を設置した際のNHKとの契約義務を定めた放送法第六十四条一項の合憲性について、最高裁が合憲との判断を示しました。この判決の後、受信契約の申出数が急増した、去年十二月は例年の五倍というふうな報道もされております。この最高裁の判決が影響したのではないか、そのようにも感じられるわけです。

 一方、その判決の理由を見ておりますと、国民の知る権利を実質的に充足し健全な民主主義の発達に寄与することを究極的な目的とし、そのために必要かつ合理的な仕組みを形づくろうとした場合において放送法第六十四条一項は法的拘束力を持つ、そういう内容だったというふうに思います。

 これは、逆に言えば、常に国民の知る権利を充足し健全な民主主義の発達に寄与しなければ、放送法六十四条一項、合憲というふうに言われますけれども、それが実質的には形骸化をしてしまうのではないか、そのような警告が最高裁から発せられたのではないかというふうに私自身は受けとめています。

 だとすると、この判決、NHKに対して改めて大変重い責任を負わせたもの、そういうふうにも理解いたしますが、この点についてどのように受けとめていらっしゃいますか。

上田参考人 お答えいたします。

 最高裁大法廷判決は、NHKの存立意義と事業運営の財源を受信料によって賄うこととしている趣旨について、委員御指摘のとおり、「国民の知る権利を実質的に充足し健全な民主主義の発達に寄与することを究極的な目的とし、そのために必要かつ合理的な仕組みを形作ろうとするもの」と判示いたしております。

 この判決は、公共放送の意義を認め、受信料制度が合憲であるとの判断を示したものではありますが、国民の知る権利を充足することや健全な民主主義の発達に寄与することがNHK存在の根幹をなすものであるということを改めて心に刻み、今後の事業運営に当たってまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 一番最初の質問で、公共性とは何か、どういうふうに考えておられるのかというのを尋ねました。公共性というのは、いろいろな、こういうことですよというふうに先ほど会長から御説明いただいたわけですけれども、その公共性を担うNHKの組織がどうあるべきか、この点が私は非常に実は重要なのではないかというふうに思います。

 最高裁の判決を見ておりますと、原告、つまりNHKですね、NHKを、民主的かつ多元的な基盤に基づきつつ自律的に運営される事業体として位置づける、こういう文言が入っております。また、放送法第四条を含めまして、不偏不党でありますとか、あるいは真実及び自律を保障すること等々についても言及をされております。

 つまり、NHKの組織が、幾ら高い公共性ということを述べたとしても、そのNHK自身が自主自律の組織運営ができていなければ、結局、お題目といいますか、公共性と言うだけで終わってしまう。

 私自身は、この間、NHKの予算、去年は上田会長のもとで行われましたけれども、それ以前のNHKの予算の審議に参加させていただきましたけれども、とても自律的あるいは自主的というふうには言えないような状況が残念ながら続いたということがあると思います。ですから、ぜひこの点をしっかりと肝に銘じていただいて、公共性、それを支えるものは何なのか、その基盤は何なのかということをぜひ考えていただきたいというふうに思います。

 関連してお聞きします。

 NHK四半期決算業務報告において、年二回実施している十四の経営指標についての世論調査結果、これを掲載をしております。

 昨年七月に実施した世論調査結果では、公平公正あるいは正確、迅速な情報提供、さらに多角的論点の提示、こういった項目については、期待度が八〇%前後と大変高くなっておりまして、また、その実現度も七五%以上という高い数字を出しております。期待度と実現度の乖離が余り見られない状況であります。

 一方、受信料制度の理解促進、受信料の公平負担、こういった指標については、大体期待度は六〇%ぐらい、それから実現度が三〇%程度ということで、開きがかなり見られています。

 受信料をめぐって期待度と実現度に大きな乖離が見られる、この原因はどこにあるというふうに考えていらっしゃいますか。

上田参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、受信料に関する二つの指標の期待度と実現度の乖離につきましては、今年度末に八〇%という過去最高の支払い率を達成する見込みではありますが、さらなる公平負担の実現を求める声が多いということだと受けとめております。

 受信料の公平負担につきましては、新三カ年経営計画におきましても、営業改革を着実に進め、支払い率を毎年度一ポイントずつ向上させる計画としております。

 今後も、視聴者の期待に応えるべく、公平負担の徹底に向けて最大限取り組んでまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 今、一ポイントずつ引き上げていく目標ということでありました。

 現状を見ますと、これはほかの委員からも指摘されていたというふうに思いますけれども、受信料収入や、あるいは財政安定のための繰越金がふえてきております。その受信料の引下げあるいは還元のあり方、これはたびたび議論になってまいりました。これに対して、NHKは、新三カ年計画の期間中、受信料の免除や軽減による総額百七十四億円の負担軽減策、これで対応する判断を下したというふうに理解をしております。

 しかし、収支計画を見ますと、先ほど会長から言われたとおり、毎年一ポイントずつ上積みしていくというふうになってきますと、二〇二〇年度の受信料収入は、この百七十四億円の負担軽減分を上回って、三年間で二百十六億円ふえるということになります。

 もちろん、東京オリンピック・パラリンピック、それから4K、8Kの本格実施、あるいは、この後少し時間があれば質問させていただきますが、常時同時配信など控えて、さまざまな投資が必要になってくるということは理解できます。ただ、二〇二〇年以降においては、増加した受信料収入、これをどう活用していくのか、あるいは視聴者に還元をしていくのかが、その意味では本当に問われることになるというふうに思います。

 このあたりについてどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせください。

上田参考人 お答えいたします。

 次期経営計画では、二〇二〇年度に最高水準の放送サービスを実現することを掲げておりまして、事業支出はふえることとなりましたが、一九六四年以来の東京開催となるオリンピック・パラリンピックに伴うものであることや、4K、8Kの普及推進に欠かせない支出を含んだ計画であることを御理解いただきたいと思います。

 一方、業務全般を見直して、経費の削減などを行い、効率的な経営を推進していくほか、視聴者の皆様への負担軽減策も織り込みました。

 さらに、次期三カ年のうち、二〇二〇年度以降の放送サービスについての検討を進めることにしており、ポスト二〇二〇を見据えた経営資源の再配置や支出の見直しも検討してまいります。

 今後の受信料の負担軽減策については、中長期的な事業計画や収支見通しを踏まえた上で検討すべき課題だと認識しております。次期三カ年の受信料収入の状況も踏まえながら、中長期的な視点に立って対応してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 二〇二〇年度までは、とりあえずオリンピック・パラリンピック、4K、8Kということで、それは私も理解しないわけではありませんけれども、今聞いておりますと、非常に漠然と、これから検討して考えていきますということでありまして、そういう意味でいいますと、さまざまな還元の仕方を含めて、二〇二〇年度はもう目の前ですから、しっかり対応していただきたいというふうに思います。

 次に、これも他の委員から指摘がありましたが、働き方改革について尋ねたいと思います。

 過労死認定されました佐戸記者の悲劇、これはもう二度と繰り返してはならない。労使がしっかりと合意形成し、とりわけ、経営側の責務として、職員のかけがえのない命、健康を守るための施策を徹底していただくよう、まず冒頭、要望いたします。

 さて、昨年十二月に取りまとめられた働き方改革宣言、上田会長は、年頭挨拶でも、最優先の経営課題というふうに位置づけられました。労務政策の一つではなくて経営課題としての位置づけ、これは大変重たい位置づけをされたというふうに思います。職員の働き方の改革を通じてNHK自体を変えていく、そういう意思表示とも受けとめております。今後の対応については私自身も注視をしていきたい、そのようにも思っております。

 そこで尋ねますが、働き方改革宣言には、これまでの慣行を打破して働き方を抜本的に変える、長時間労働に頼らない組織風土をつくる、こういうふうにされております。端的に伺いますが、打破すべきこれまでの慣行、変えるべき組織風土、これは具体的に一体どういうことを指されているのか、認識されているのか、尋ねます。

上田参考人 お答えいたします。

 世の中の課題や最新事情、信頼できる情報をいち早く伝えるニュース、命と暮らしを守る防災・減災、緊急報道や質の高い多彩なコンテンツの制作の現場は、長時間労働を前提とした働き方になりがちでありました。そうした組織風土を変えていくということであります。長時間労働を改め、公共放送にふさわしい、新しい働き方をつくり上げてまいりたいと考えております。

 「NHKグループ 働き方改革宣言」では、これまでの慣行を打破すると掲げたのは、長年続けてきた働き方や職場のルール等が現時点においても本当にベストと言えるのか、もう一度しっかり見直す、変えるべきところは変えるという判断をしていくという決意のあらわれであると御理解いただきたいと思います。

 不断の業務改革に取り組んでまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 ちょっと、聞いていて、やりますとしか言っていないように聞こえるんですけれども。

 今後、4Kや8K本格実施、これはチャンネル数が当然ふえてきます。これは、同時に番組数もふえるということを意味します。ネット上での同時配信、これをやれば、またこれはこれでコンテンツの充実が必要になってきます。このままいくと間違いなく業務は拡大をしていくというのは、これは誰が考えても当たり前なんじゃないか。

 そういう意味でいうと、具体的にもう少し、何をスクラップしていくのか、あるいは改革をしていくのか、どういった青写真を描いていらっしゃるのか、これは事務方で結構です、答弁いただけますか。

根本参考人 お答えいたします。

 ことし十二月のスーパーハイビジョンの本放送開始を始め、二〇二〇年に照準を合わせました最高水準の放送サービスの実現のためには、今後業務量が増加するという課題意識は持っております。

 そのため、経営レベルで働き方改革の方針案を決定し、必要な事項を議論する働き方改革推進委員会において、現在、見直しやスクラップを必要とする業務について検討を進めているところでございます。各職場でも、公共放送としてのサービスの質を落とさないことを前提に、聖域なく業務の集約やフローの見直しを進めているということでございます。あわせまして、最新技術を活用した定型業務の効率化などにも着手しました。

 長時間労働を前提とした働き方になりがちな組織風土を変えていきたいというふうに考えているところでございます。

吉川(元)委員 関連して大臣に尋ねたいというふうに思います。

 今回、総務大臣意見がつけられております。年々これは長くなっていって、十年後にはどうなるんだろうというような気がしないでもないですが、その中で、この働き方改革についても、働き過ぎでとうとい命が二度と失われることのないよう、徹底した取組を強く求めるというふうになっております。

 ちょっと私、びっくりしたのは、そのすぐ下の項目で、これは経営改革の推進の項目なんですが、要員数の削減も視野に入れた業務の合理化、効率化を求めていらっしゃいます。配意せよということになっております。一方で、質の高い番組を提供せよ、あるいはサービスの高度化をしていけ、こういうことが配意すべき課題としてずっと掲げられています。

 これを書いた方は、矛盾なくこういうことが書けるのかなというふうにも思います。

 もちろん、受信料で成り立っているNHKですから、無駄なお金は使ってはならないという、これは私自身も理解をいたしますが、しかし、長時間労働、働き過ぎを是正するとなると、これは今スクラップをされるというふうにNHKの方が言われていらっしゃいますが、今後、先ほど言いましたとおり、オリンピック、パラリンピック、4K、8K、ネット、いっぱい仕事がふえていくわけです。

 そうなると、結局、一方で質の高い番組をつくり続けなさい、高度化しなさい、一方で働き過ぎ、徹底的にそれを改善しなさい、で、職員の数を減らせと。これは一体どうやったら成り立つのか、私自身は理解不能ですし、これを、大臣名ということですけれども、恐らく総務省の中で検討されてつけられた意見だとは思うんですけれども、明らかに前後で矛盾をしているような内容になっているのではないか。

 そういう意味でいうと、長時間労働を是正するときには、やはり人員もしっかり配置をしない限り、質も高めながら、なおかつ人を減らす、そういうことは不可能だと思うんですけれども、なぜこういう意見になったのか、その真意をお聞かせください。

野田国務大臣 お答えいたします。

 私も、これはしっかり自分で取り組んで出した意見ですので、極力自分の言葉で申し上げたいと思うんですけれども。

 まず、どんな組織にでも、もう不要になっている仕事とか、そういうのがあるはずです。そういうものをやはり、そこへの要員は、せっかく皆さんから受信料をいただいていますから、そういう、何かに置きかえられるとか、もう既に時代とともに不要になった仕事というのは、どの組織にも必ず出てまいります。それに対しては要員の削減をするということで、必ずしも全組織の人を減らせということを言っているわけじゃなくて、適正に、この仕事が収益の負荷にかかるものはちゃんと合理化していこう、そして、常に要員数については適正化を図ると言っていますから、必ずしも減らす一方ということは申し上げていないつもりです。必要なところにやはり必要な人をつけていただかなければならないと思っています。

 あと、無駄な仕事というのは例えばどういうものがあるかな。先ほども委員の方から、夜討ち朝駆けというんですか、そういうので長時間労働をせざるを得なくなっている記者さんたちがいるという話がありました。それをやめるということも一つの働き方改革になるのではないか。

 恐らく、皆さん、できないと思っている人が多いわけですけれども、少なくとも総務省の記者クラブの方とは、私が就任した当時、きちっと話合いをしまして、私は、夜に来ていただいても朝に来ていただいても、特段、何かスペシャルな話をすることはありませんので、こういうやはり長時間労働につながることは控えてくださいということで、納得していただいて、少なくとも私に対してはそういうことをなさらないということは決まっています。

 だから、そういうこともやはりちゃんと、やれないということじゃなくて、やろうと思えば信頼関係のもとでできるということで取り組んでいただきたい、そういうふうに思っているわけであります。

吉川(元)委員 技術革新を含めまして、ここにはもう人は要らないだろう、もっと減らせるだろう、それはもちろんあると思います。そして、その浮いた要員を、今必要なところに適材適所で異動していくということ、これもあると思います。

 だとするならば、この意見の中で、わざわざ、「コスト意識を持ち要員数の削減も視野に入れ」というような文言を入れる必要性は、その適切な要員の配置ということでそれは済む話だ、今大臣がおっしゃられたことは、まさに適切な配置を行うということで言いかえられることだというふうに思います。

 そういう意味でいうと、こういう言葉が入ると、これは結局、普通に読むと、普通の日本語として読むと、これを書いた、あるいはこれをつくった人というのは、自分が矛盾していることを書いているという認識がないのではないか、それこそ決まり切った文句を書いているだけなんじゃないか、そう指摘をせざるを得ません。

 余りもう時間がないので、ちょっと少し順番を変えまして、4K、8Kについてなんですけれども、これは総務省にお聞きをいたします。

 4K、8Kについて、日本再興戦略二〇一六で、二〇二〇年に全国の世帯の約五〇%で視聴されることを目指すというふうに明示されております。成長戦略の中に位置づけられているんだろうというふうに思いますが、まだ実際に4K、8Kが本格的に放送が行われているわけではありません。そして、二年先に五〇%の家庭で4K、8Kが見られるようになる、これは一体どういう根拠でもってこうした数字が出されているのか、お答えください。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の数字でございます普及目標でございますけれども、JEITA、電子情報技術産業協会による統計の実績値と予測値、それから、内閣府の消費動向調査に基づくテレビ受信機の買いかえ期間などをもとに推計をしております。

 具体的には、二〇一一年に完了した地上デジタル放送移行を契機として一斉に購入されたテレビが買いかえ時期をだんだん迎えつつあるということ、また、JEITAの統計によりますと、一月現在、4K対応テレビがテレビ出荷台数の約四割を占めているということでございます。

 更に4K、8Kの魅力や視聴に必要な情報の周知、広報に取り組みながら、この目標達成に取り組んでまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 4K、8Kのテレビと今言われましたけれども、それはあれですよね、新たにチューナーをつけないと4K、8Kは見られない、いわゆる4Kテレビと書かれているもので、今買って、それは、4Kが放送が始まってもそれだけでは見られない数字も含まれているということですか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる4K放送の視聴の仕方はいろいろございまして、例えばそういう高精細の映像でございますと、インターネット経由で見られるというものもございますし、またケーブルテレビ経由もございます。

 今度、十二月から始まります新4K8K衛星放送につきましては、チューナーをつけていただく、あるいは、そのチップを内蔵したテレビを新たにお買い求めいただく、そういう形になってまいります。

吉川(元)委員 ですから、今、4K、8K対応のテレビ、出荷の中の四割を占めているとおっしゃいましたけれども、本格放送が始まっても見られないわけですよね、その単体では。それでもって五〇%という数字を出すのは、ちょっとやはり私は無理があるのではないかというふうに言わざるを得ません。

 あともう一つ、放送コンテンツの海外展開について尋ねます。

 総務大臣意見の中で、放送コンテンツの海外展開の二番目のところに、「国際放送の充実等による総合的な海外情報発信の強化」において、昨年に続いて、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構、JICTの活用も含めた放送コンテンツの海外展開に努めるよう配意せよというふうになっております。

 このJICTというのは、もちろん総務大臣の認可と監督を必要として、政府が常時、株式の二分の一以上を保有しております。ただ、そうはいいつつ、一株式会社であることには変わりないわけで、海外にコンテンツを展開してくださいねというのは、それはそれで結構ですけれども、そのとき、わざわざこのJICTという一株式会社を例示するというのが、これは非常に違和感を持つんですが、なぜこうしたことをされたのか、尋ねます。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、JICTは総務大臣の認可を受けて設立された法人でございます。もちろん、海外展開に関しましては、今のJICTのみならず、例えば放送コンテンツ海外展開促進機構、あるいは国際交流基金等、さまざまな機関と協力をしながら推進をするということではございますけれども、今申し上げたとおり、総務大臣認可で、かつ、さまざまな政府方針にも位置づけられておりますJICTを例示として書かせていただいたところでございます。

吉川(元)委員 今の答弁だと、総務省の大臣が認可、監督をするから、だから、ここに名前をわざわざ入れたということでしょうか、今の答弁だと。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 もちろん認可をした法人ではございますけれども、さまざまな政府方針の中に位置づけられておりますので、そういった意味合いで大臣意見の中に位置づけさせていただいたところでございます。

吉川(元)委員 やはり私は非常に強い違和感を持たざるを得ません。

 一株式会社の、いわゆる、ほかにも幾つかあるだとか、あるいは、ざくっとした、官民ファンドを利用しなさいだとか、使ってみてくださいというんだったらわかりますけれども、固有名詞が、しかも株式会社の固有名詞が大臣意見の中に出てくるというのは、私は非常に強い違和感を持ちます。

 そして、このJICTのことが言われておりますけれども、NHKの海外情報発信強化に関する検討会というのが二〇一五年一月に中間報告を取りまとめております。そこでは、官民連携組織である一般社団法人、先ほどお話ありましたが、放送コンテンツ海外展開促進機構と、それから政府の観光局、クールジャパン機構、国際交流基金が連携してコンテンツの海外展開を進めるべき、そういう中間報告をまとめております。

 この時代にはまだJICTは設立されておりませんから、その名称はありませんが、実際にJICTの活動を見ておりますと、放送コンテンツの展開事業というのは、ほとんどまだ行われていない。見ますと、ミャンマーの事案が一件あるだけという状況です。

 なぜ、JICTがこれは中心になったんでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からも御指摘いただきましたけれども、先般、ミャンマーにおける事案に関しまして、JICTの方で支援を行うこととしたところでございまして、この事業にはNHKグループからも支援が行われる予定でございますが、この事業を通じまして、NHK等の放送コンテンツが継続的に発信されるということを期待しているところでございます。

 JICT、こういう形で例示はさせていただいておりますけれども、何度も繰り返して恐縮ですけれども、さまざまな機関と協力していただくことを期待しているところでございます。

吉川(元)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、やはりちょっと私は違和感を持たざるを得ない、そのことを指摘をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。

古屋委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。

 本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古屋委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 この際、ただいま議決いたしました本件に対し、橘慶一郎君外七名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、公明党、無所属の会、日本共産党、日本維新の会及び社会民主党・市民連合の八派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。長尾秀樹君。

長尾(秀)委員 立憲民主党・市民クラブの長尾秀樹でございます。

 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)

  政府及び日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 協会は、平成二十五年に首都圏放送センターの記者が過労で亡くなられた事実を重く受け止め、協会の業務に携わる者の命と健康を最優先とし、長時間労働による被害を二度と起こさないよう、全力で取り組むこと。

 二 協会は、NHK及びNHKグループの職員による一連の不祥事に対し、国民・視聴者から厳しい批判が寄せられていることを踏まえ、協会一体となって綱紀を粛正しコンプライアンスを徹底した運営を行うことで、信頼回復に努めること。また、子会社を含むグループ全体としての経営改革に組織を挙げて迅速かつ確実に取り組むこと。

 三 協会は、放送番組の編集に当たっては、事実に基づく放送に強い責任を自覚し、かつ政治的公平性を保ち、我が国の公共放送としての社会的使命を果たすこと。また、寄せられる様々な意見に対し、必要に応じ自律的に調査し、その結果を速やかに公表し、国民・視聴者に開かれた公共放送として信任を得られるよう努めること。

 四 政府は、日本国憲法で保障された表現の自由、放送法に定める放送の自律性に鑑み、協会を含めた放送事業者の番組編集について、引き続き自主・自律性を尊重すること。また、経営委員の任命に当たっては、社会に対する重大な職務の公共性を認識し、公正な判断をすることができる経験と見識を有する者を、教育、文化等の各分野及び全国各地方が公平に代表されることを考慮して幅広く選任するよう努めること。

 五 経営委員会は、協会の経営に関する重要事項を決定する権限と責任を有する最高意思決定機関であることを深く認識し、監督権限を行使すること。役員に不適切な行為がある場合、又は、公共放送の倫理観にもとる行為がある場合には、監査委員会と十分連携しながら再発防止の観点から厳格に対処すること。

 六 協会は、その運営が受信料を財源としていることを踏まえ、国民・視聴者に対し、情報を十分に開示し、説明を尽くすこと。また、そのために、経営委員会及び理事会等における意思決定過程や、財政運営上の規律、不祥事に伴う処分、子会社等の運営の状況、調達に係る取引等を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、議事録の適切な作成・管理に努めること。

 七 協会は、放送センターの建替えに際し、受信料を財源としていることを踏まえ、透明性を確保するとともに、建設費の大幅な増大が生じないよう万全を期すこと。

 八 協会は、昨年十二月の最高裁判決にも鑑み、公共放送の存在意義及び受信料制度に対する国民・視聴者の理解の促進や信頼感の醸成に協会一体となって、一層努めること。また、受信契約の締結に際しては、視聴者の理解を得ながら適正に行われるべきことを、職員及び業務委託先に指導し、周知徹底すること。なお、繰越金の現状や今後の事業収支の状況を踏まえ、国民・視聴者の理解を得られる受信料の在り方について、受信料額の引き下げの可能性も含めて、業務やガバナンスの在り方と併せて検討すること。

 九 政府は、インターネット常時同時配信を含む協会の業務の在り方については、民間放送事業者等の見解に十分留意しつつ、受信料制度及びガバナンスの在り方とともに丁寧に検討を進めること。

   また、協会は、インターネット常時同時配信等通信分野での業務について、国民・視聴者のニーズや動向を的確に把握し、国民・視聴者に対する情報提供や関係者間での情報共有及び連携を図り、通信分野での協会の在り方について、できるだけ明確にその姿勢を示すよう努めること。

 十 協会は、国際放送については、我が国の経済・社会・文化等の動向を正しく伝え、我が国に対する理解を促進するよう努めること。また、番組内容の充実、国内外における国際放送の認知度の向上等に努めること。

 十一 協会は、自然災害が相次いでいる現状に鑑み、地震災害、風水害、雪害等、いかなる災害時にも放送・サービスが継続され、正しい情報が国民に伝達されるよう、地方局と連携し、放送設備と体制の強化を図ること。

 十二 協会は、本年開始される4K・8K実用放送の整備に当たっては、過剰投資、多重投資とならないよう十分な計画性を持って実施すること。併せて、4K・8K放送普及後の衛星放送のあり方についても、検討すること。

 十三 協会は、サイバーセキュリティ基本法に定める重要社会基盤事業者であること及び2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けてサイバー攻撃の脅威が高まっていることに鑑み、関係機関と緊密な連携を図り、サイバーセキュリティの確保に取り組むこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

古屋委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古屋委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、野田総務大臣及び日本放送協会会長上田良一君から発言を求められておりますので、これを許します。野田総務大臣。

野田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

古屋委員長 次に、日本放送協会会長上田良一君。

上田参考人 日本放送協会の平成三十年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御承認を賜り、厚くお礼申し上げます。

 本予算を執行するに当たりまして、御審議の過程でいただきました御意見並びに総務大臣意見の御趣旨を十分生かしてまいります。

 また、ただいまの附帯決議は、協会運営の根幹をなすものでございますので、十分踏まえて、業務執行に万全を期したいと考えております。

 本日は、どうもありがとうございました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

古屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十分散会


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