衆議院

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第10号 平成30年5月10日(木曜日)

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平成三十年五月十日(木曜日)

    午前十一時三十分開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 井上 信治君 理事 池田 道孝君

   理事 橘 慶一郎君 理事 原田 憲治君

   理事 務台 俊介君 理事 武内 則男君

   理事 奥野総一郎君 理事 高木 陽介君

      井林 辰憲君    小倉 將信君

      大西 英男君    金子万寿夫君

      菅家 一郎君    木村 次郎君

      木村 哲也君    小林 史明君

      左藤  章君    佐藤 明男君

      新藤 義孝君    谷  公一君

      冨樫 博之君    鳩山 二郎君

      穂坂  泰君    三浦  靖君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    岡島 一正君

      高井 崇志君    長尾 秀樹君

      山花 郁夫君    泉  健太君

      原口 一博君    緑川 貴士君

      太田 昌孝君    本村 伸子君

      串田 誠一君    丸山 穂高君

      吉川  元君    小川 淳也君

    …………………………………

   総務大臣         野田 聖子君

   総務副大臣        奥野 信亮君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   防衛副大臣       山本ともひろ君

   総務大臣政務官      小倉 將信君

   総務大臣政務官      山田 修路君

   総務大臣政務官      小林 史明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  南  俊行君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 渡邉  清君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 米澤  健君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局長)        住田 孝之君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           林  幸宏君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      菅久 修一君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            栗田 照久君

   政府参考人

   (金融庁証券取引等監視委員会事務局次長)     天谷 知子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           吉田 眞人君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        池田 憲治君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  讃岐  建君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山崎 重孝君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          佐々木 浩君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  内藤 尚志君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山田真貴子君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       巻口 英司君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            渡辺 克也君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   谷脇 康彦君

   政府参考人

   (消防庁次長)      緒方 俊則君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           成田 裕紀君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           伊原 和人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           早川  治君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          諫山  親君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月七日

 辞任         補欠選任

  井上 一徳君     緑川 貴士君

  寺田  学君     泉  健太君

同月十日

 辞任         補欠選任

  穂坂  泰君     木村 哲也君

  丸山 穂高君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 哲也君     穂坂  泰君

  串田 誠一君     丸山 穂高君

    ―――――――――――――

五月九日

 統計法及び独立行政法人統計センター法の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 統計法及び独立行政法人統計センター法の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社常務執行役諫山親君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房内閣審議官南俊行君、内閣府大臣官房審議官渡邉清君、内閣府大臣官房審議官米澤健君、内閣府知的財産戦略推進事務局長住田孝之君、内閣府規制改革推進室次長林幸宏君、公正取引委員会事務総局経済取引局長菅久修一君、金融庁総務企画局参事官栗田照久君、金融庁証券取引等監視委員会事務局次長天谷知子君、総務省大臣官房総括審議官吉田眞人君、大臣官房地域力創造審議官池田憲治君、行政評価局長讃岐建君、自治行政局長山崎重孝君、自治行政局公務員部長佐々木浩君、自治行政局選挙部長大泉淳一君、自治財政局長黒田武一郎君、自治税務局長内藤尚志君、情報流通行政局長山田真貴子君、情報流通行政局郵政行政部長巻口英司君、総合通信基盤局長渡辺克也君、政策統括官谷脇康彦君、消防庁次長緒方俊則君、厚生労働省大臣官房審議官成田裕紀君、厚生労働省大臣官房審議官伊原和人君、国土交通省大臣官房審議官早川治君及び防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宗清皇一君。

宗清委員 ありがとうございます。自由民主党の宗清皇一です。

 本日は、三十分、質問の時間をいただきました。ありがとうございます。

 早速質問に移らせていただきますが、きょうは、自治体のコストの見える化についてちょっと話を進めたいと思います。

 実際、自分が住んでいる自治体に税金を払っているわけでございますけれども、納めた税金がどこで、どれぐらい、いつ使われているのか、ほとんどの方が知らないと思いますし、実際、地方議員を経験した私もわかっていないのが現状ですし、一つ一つ、その都度役所に聞いても、実は役所の方も把握をしていないのがほとんどで、これはうちの東大阪だけかもしれませんが。

 そして、よく住民が、自分たちが納めた税金が自分たちのところに使われるということを言われるんですが、ほとんどの自治体が不交付団体ではございませんから、国から交付税というものをもらっていますね。これは再分配もしているわけで、補助金や地方債も発行しているわけですから、どういった負担でどういうサービスを受けているのかという事実というのは、ほとんどの住民の皆さんが知らないわけでございます。

 一例をちょっと申し上げますと、私が住む東大阪市のことしの当初予算額というのは二千八十億なんですが、一人当たりに直しますと、四十二万五千円なんですね。でも、それだけ税金が使われているということはなかなか実感としてはわからないわけで、これは一般会計ですから、特別会計も入れたらもっと大きな金額になるんですけれども、これはぴんとこない額なんです。

 そして、多くの自治体は、これは借金の方をちょっと申し上げますと、二十八年度の、東大阪市のホームページには、起債残高というのは、一千八百九十六億円借金があって、市民一人当たり三十八万四千円、これだけ大きな借金がある、こう書いてあるわけで、地方議員の人たちが選挙で、自分のところの市民一人当たり幾ら借金があるというようなことを、選挙のときに行政を批判したりする材料にしてよく使いますから、借金の一人額というのはよくひとり歩きしている数字だと思うんですが。

 一方で、複数の自治体のものを調べて、ホームページを調べてみました。住民当たりの借金額は出ているんですけれども、資産とか、資産がどのようにふえてきたかというものとか、行政サービスをどれぐらい受けているのかという細かい資料というのは余り出ているところがないわけです。先進事例というのはたくさんあるとは聞いているんですが。

 そこで、提案もしたいんですが、どの分野に実際どれぐらい税金が使われているのか、住民の皆さんに正確にお示しをすることによって、まさに自分たちの税金が、どこに、いつ、どれぐらい使われているのかということを実感できるというように思います。そして、そういうふうなことが進んでくれば、住民の方の意識というのは変わってくると思いますし、きちんと使われていることがわかれば、地域社会に対する考え方というのも、かかわり方も変わってくるんじゃないかというように思います。そして同時に、世代間の不公平というんですかね、何で借金が多くなってきたかとか、そういうことについても理解が深まってくるんじゃないかと思うんです。

 少しちょっと具体的なことを申し上げていきたいと思いますが、例えば小学校、中学校もそうですが、規模によりけりですけれども、年間で恐らく一人当たり数十万円ぐらいのコストというのはかかっているんじゃないかと思うんです。

 それで、一時間当たりの授業、こういうのは、じゃ、幾らかかっているのかはなかなかわからないんですが、今の会計基準でいいましたら、一校当たりどれぐらいのコストがかかっているかとか、人件費の案分になるわけですけれども、一授業どれぐらいかかっているか、一学年どれぐらいかかっているか、一人どれぐらいかかっているかということは出せるだけの技術というのは自治体に出てきているというふうに思います。

 もう一つ事例を申し上げたら、待機児童、これは解消していかなければならない問題だと思っていますけれども、随分これは時間もかかりますし、お金もかかるんだと思います。

 これはもう批判は承知はしていますけれども、園によって、土地代とか規模とか人件費、それぞれ異なると思いますけれども、例えば、ゼロ歳の、ゼロ歳児でどれぐらいかかっているんだと。一歳、二歳、三歳、これは年齢別に出そうと思ったら、今、僕は出せるんじゃないかなと思います。特にゼロ歳とか一歳というのは非常にコストがかかりますから、一人当たり二十万円とも三十万円とも、それ以上ともというようなことを聞いています。

 こういう個別具体の、その人が今受け取っている行政サービスが幾らかかっているのかという、この瞬間瞬間の実態というものをお示しをすることによって、行政に対する理解が深まると思います。

 そして、どの分野においても、よく無償化という言葉が言われますけれども、この無償化というのも、誰かがどこかでコストを負担しているから無償化が起こっているわけで、これはただじゃないんですね。

 そういう、誰がどういうふうに負担しているかということをわかってもらう意味でもコストの見える化は非常に大事だと思いますし、これは住民の皆さんが理解を進めることで政治参加につながってくるんじゃないかなと思っております。

 そこで、この三月で、地方自治体の会計基準では統一的なものが、これは総務省主導でやっていただいて、できたと思うんですね。これはまさしく、つくるということが目的ではなくて、実際に活用をどんどんしていただくということが大事だと思いますので、これは大臣に御見解を聞きたいわけですが、先頭に立って、これはすばらしい先行事例もたくさんあると聞いていますし、そして、総務省でわかりやすい例示みたいなものもたくさんつくっていただいて、コストの見える化というものを積極的に推進をしていただきたいと思いますけれども、所見を聞かせてください。

野田国務大臣 宗清委員にお答えします。

 今、大変興味深く話を聞かせていただきました。

 地方公会計については、統一的基準による財務書類等を平成二十九年度までに作成するよう要請しておりまして、ほとんどの地方公共団体で整備をしていただいたところです。

 今後、各地方公共団体におきましては、整備した財務書類等を分析して、そしてわかりやすく公表することによって、まさに今御指摘の、行政コストの見える化を進めていただきたいと考えております。

 総務省では、昨年度、地方公会計の活用の促進に関する研究会、これにおいて、財務書類や指標による分析手法、先進事例などについて報告書を取りまとめました。この中で、先進事例として、図書館など施設別や、小学校給食事業など事業別の行政コスト計算書を作成して、住民に対して公表している事例も紹介させていただいております。

 引き続き、総務省が作成している地方公会計マニュアルの充実や研修等を通じて先進事例の横展開を図るとともに、さらなる地方公会計の活用方策についてもしっかり検討してまいります。

宗清委員 ありがとうございます。

 ぜひ積極的にこのコストの見える化というのをやっていただきたいというように思います。

 住民の皆様方に、繰り返しになりますが、行政コストという意識をしっかり持っていただく意味で、これは政治参加にも大きくつながってくると思いますし、政治参加ということを申し上げたら、最近では、地方議会のなり手不足、これも政治参加の一つの大きなテーマだというように思います。

 各党各会派でいろいろ御議論もしていただいておりますし、私も実は地方議員出身でございますから、このなり手不足とかこれからの地方自治ということに大きな関心を持っていますし、こういう機会に各党各会派で、地方議会、そして地方自治体の役割、そして処遇、大切さ、そういうものに高い関心を持って、これから議論が進んでいくことを望むわけでございます。

 一方で、年金に加入をする、こういう議論も進んでいるわけでございますが、私は、これは対症療法であって根本的な解決策には至らないんじゃないかなというふうに思っております。

 理由を申し上げましたら、そもそも、東京都若しくはごく一部の自治体以外では、ほとんどが急速に人口減少と高齢化が進んでおりまして、最も高齢化が進む二〇四〇年以降、二〇四〇年というのはそんなに遠い未来ではないわけですから、そのときになりましたら、八百以上の自治体で機能不全、やっていけなくなるんじゃないかということが言われております。

 それは、地方議会のなり手不足だけじゃなくて、地方議会そのものがもうやっていけなくなる、地方自治体がやっていけなくなるという問題で、これが存続できるかどうかというのは、住民の皆さんの幸せ、これはもう地方の問題ではなくて、国として取り組むべき大事な問題だと思いますので、そういう全体の中の一部に、この地方議員のなり手不足も地方議会のあり方もぜひ検討を加えていただいて、大きい視点でぜひ総務省の中で考えて、解決策を、これは一つではないと思いますので、いろいろ出していただきたいと思うんです。

 そして、地方議会のなり手不足だけじゃなくて、行政がかかわるサービス、例えば医療、介護、教育、保育、例えば公共事業等も、農業、林業、こんなものも全部人手不足になってくる、なり手不足になると思います。

 解決策をここで申し上げるだけの知見というのは私も持っておりませんけれども、かなり思い切った施策を展開していかないと、これはもう手おくれになるんじゃないかなと思いますが、大臣の現状認識であったり、今後どのようにしていったらいいのか、お考えがあれば聞かせていただきたいと思います。

山崎政府参考人 まず、地方議会のことにつきまして整理をさせていただきたいと思います。

 私どもも、なり手不足というのは非常に深刻だと思っておりまして、直近の平成二十七年の統一地方選挙、これで見ますと、まだ指定都市は、無投票当選者は一・七%で、その他の市は三・六%なんですが、町村では二一・八%に上っている。ですから、立候補される方自体が不足してきているということでございます。

 それから、先生今おっしゃいましたように、極小化していく人口ということを考えますと、大川村という高知県の村で、ここは三百数十人の自治体なんですが、有権者数が三百人ちょっとでございます。ここでも、やはり議会が存続できないというお話がありまして、町村総会という、有権者全部が集まってやったらどうだという話にもなりました。これに実は私どもは衝撃を受けまして、大臣の指示もございまして、研究会を開いたわけでございます。

 その中でやはり、まず議会に関してだけ申し上げますと、やはり、先生も地方議会の御出身とおっしゃいましたが、非常に広範な事項を議決対象にしておりまして、専門性が高くなっておる。拘束時間が非常に長くなっておる。それから、各市町村でも、行革の観点もありまして定数削減に努めてきた結果、一人一人の議員の先生方の負担が増加しておる。それから、議員報酬だけですと、小規模市町村だとなかなか生計を立てていけないような状況にある。こういうふうないろいろな問題がございまして、それから、平日昼間にすごく拘束されるので、ほかの職業を持っていられないとか、かなり大きな問題がここに潜んでいるというふうに思っております。

 そういった意味で、研究会の報告書も出しましていろいろ整理しておりますけれども、私どもとしては、今までと違う不連続な発想で、二〇四〇年ころ、一番人口が高齢化する時期を見越して、いろいろなことをバージョンアップするなり、OSの書きかえなりをしていく必要があるなというふうに思っているところでございます。

野田国務大臣 お答えいたします。

 私もかつて地方議会におりましたので、事を共有するところがあるのかなと思います。

 委員御指摘のように、今後本格化する人口減少、そして急速に進む少子化というのは我が国が抱える最大の危機、見えざる有事だと考えています。総理はこれを国難とおっしゃっています。

 しかし、人口減少時代にあっても、地方自治体というのは、持続可能な形で、これまで培ってきた行政サービスというのをしっかり提供していかなければなりません。

 そこで、今局長からも少し話がありましたけれども、総務省では、高齢者人口がピークになる二〇四〇年ごろの各行政分野における課題、それを整理して、そこから逆算する形で、今後の自治体行政のあり方を展望するために、自治体戦略二〇四〇構想研究会を昨年の十月に立ち上げまして、先月二十六日に第一次報告が取りまとめられました。

 その報告の中で、放置しておけば、このままスルーしていれば生じ得る内政上の危機の一つとして「若者を吸収しながら老いていく東京圏と支え手を失う地方圏」という形で、三つの大きな課題を提示しました。これらの危機は自治体と関係府省で協力して対応しなければ乗り越えられないとしています。

 総務省としては、人口減少にあっても、自治体と各府省の施策がいわばアプリケーションとしてうまく機能するよう、局長が言ったように、OSである自治体行政のバージョンアップについてしっかり検討していきたいと考えています。

宗清委員 よろしくお願いいたしたいと思います。

 時間の都合があってこれ以上ちょっと深掘りは、ほかの質問をさせていただきますのでできませんけれども、先ほど、行政コストの見える化というようなことを僕は申し上げましたけれども、本当に自分たちの自治体の財布とかがどうなっているのか、行政の中が本当にどうなっているのか、これから先どうなっていくのかということを本当に住民の皆さんに情報提供をしていくことこそが、やはりなり手不足にも関心を持ってもらうことが大事だと思いますので、つながっていけるんじゃないかと。こういう問題については、これからも主体的に私もかかわっていきたいなと思います。

 次に、ふるさと納税のことについて少し話をしていきたいと思います。

 以前もこの総務委員会でお話をさせていただきました。このふるさと納税自体には、私もこの趣旨はもう大賛成でございますけれども、しかし、総務省の方から大臣通知を出して、三割程度に、良識ある対応をしてほしいということを通知を出しているんですけれども、いまだに高額で公益性を疑うような返礼品がまだあると聞いているんですが、今でも、もうカタログショッピングのようなことをやっている自治体があると思うんですが、総務省がどういうところまで把握をしているのかお聞かせをいただきたいと思うんです。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年四月に総務大臣通知が発出された後、多くの地方団体におきまして、通知の内容を真摯に受けとめまして、その内容に沿って必要な見直しを行っていただいたということでございます。

 しかしながら、一方で、現在もなお一部の地方団体におきまして、通知に沿った返礼品の見直しを行わない団体や、地場産品以外の返礼品を送付し、批判を受けるような事例が見受けられるところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、昨年四月の通知を徹底する趣旨を含めまして、本年四月一日付で改めて通知を発出し、地方団体に対しまして、責任と良識のある対応をお願いしたところでございます。

宗清委員 具体的な、自治体がどのようにやっているということは、この委員会で職員の方から申し上げにくいと思いますので、まあ、少し進めていきたいと思いますが。

 ほとんどの自治体が、大臣の通知を守っていただいて、この趣旨、ふるさと納税の趣旨を守るからこそ、目的を理解して守っていただいているんだ、良識ある対応、これは苦しいけれどもしていただいていると思いますね。

 総務省の二十八年度の資料を見たら、例えば、私は大阪なんですが、大阪府の例をちょっと申し上げますと、泉佐野市が一番突出して多いんですが、これは、収入が五百八十億ぐらいのところを、これは二十八年度ですけれども、約三十五億円がふるさと納税で、これは六%強なんです、収入の。これは二十八年度の話で、二十九年度というのはどうなったか、少し、これは当市に、泉佐野市に電話して聞いてみましたら、大臣通知を出した後ですよ、実は百三十五億円になっているんですね。実は四倍でありまして、もう大阪、ひょっとしたらこれは全国で一番大きな数字になっているんじゃないかな。歳入に占める割合は二割を超えるというように聞いています。そして、この寄附金を集めるために、経費を入れましたら、七割強を返礼品に使っている。これが泉佐野市の担当者から聞いた実態なんです。

 そうしますと、泉佐野市の近隣もやはりこういうことをやらざるを得ないということになってきますから、近隣市、もう名前は挙げませんけれども、換金できるような旅行券みたいなものを配っているんですね。そうするとやはり寄附額が多くなるわけです。

 泉佐野市のホームページを見たら、本当にまさしくカタログショッピングなんですね。こういうことを放置しておくということは、総務省のこの大臣の通知を守って一生懸命やっていただいているところ、真面目にやっているところがばかを見るということになってはだめだと思います。

 そして、この自治体の支出というものは、あくまでも、私は、カタログショッピングと申し上げましたが、税金が原資になっていますから、その支出に関しては、必ず公益性というものを伴う必要がございますし、これは、地方財政法、自治法から考えても、これらの度を超えた返礼品というのは、これは違法性が問われかねないよということを総務省としてもっとはっきり示して、ぜひとも是正をさせるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

内藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 各地方団体の支出が違法かどうかにつきましては、個別の事案において、それぞれ関係する法令の規定により判断されるものと考えておりますけれども、あくまで一般論として申し上げますと、例えば、地方財政法第四条第一項には、「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。」との規定がございまして、地方団体がふるさと納税に対して返礼品を送付する場合にも、この規定の趣旨を踏まえて行われる必要があるものと考えております。

 また、同じく地方財政法第二条第一項におきまして、地方公共団体は、「他の地方公共団体の財政に累を及ぼすような施策を行つてはならない。」と規定されておりますので、総務省が発出した通知におきましても、一部の団体においてふるさと納税の趣旨に反するような返礼品が送付されている状況が続けば、他の地方団体に対しても好ましくない影響を及ぼすことが懸念されると記述をしているところでございます。

 これらを踏まえまして、総務省といたしましては、ふるさと納税の健全な発展に向けまして、ふるさと納税ポータルサイトの運営事業者に対しましても、新たに今回の通知を踏まえて対応を行っていただくよう協力を要請いたしますとともに、地方団体に対しまして、地域の実情をよく把握しております都道府県と連携いたしまして、あらゆる機会を通じて責任と良識のある対応を働きかけてまいりたいと考えております。

宗清委員 今の御答弁を素直に解釈をいたしましたら、やはり、先ほど私が申し上げたようなことは問われるべきですし、是正されるべきですね。やはり、最小限度の支出でないし、公益性も問われると思いますし、他の自治体に、これはやはり、少なからず悪影響、少なからずというか大きな影響が出ますので、ぜひ総務省としても、これは是正に向けて最善の努力をお願いしたいというふうに思います。

 続いて、地方公務員さんの働き方の改革について話を進めたいと思いますが、きょうは総務委員会ですから、国家公務員の皆様方のことについてはちょっと遠慮して、地方公務員さんのことについて少し話を進めたいというふうに思いますが、ちょっと問題意識を持っていますのは、自治体によっては、人員削減等どんどん進んでいるところもございまして、それが原因で人手が足りない。部署によってはということになるのかもしれませんが、残業続きで健康状態も悪くて、本当に過労死するんじゃないかなと思うような自治体の職員さんを私も地方議員の時代に見てきたんですね。

 でも、そんな状況にもかかわらず、職場の改善というのはなかなか進んでいないところもあると思うんです。働き方改革で、残業時間を減らせ減らせと上司から言われましても、そうはいっても、仕事が減らない。人数がふえなかったら、仕事が減らなかったら残業時間は減らないわけでございまして、そうすると、早く帰れと言われると、仕事をほったらかして帰るか、そういう公務員さんはいないと思いますが、家に持って帰ってやるか、休日出勤していないようにして休日に出てくるか、タイムカードを押して帰ったようにして、実は部屋にこっそり残って仕事をするか。これは、国の役所も同じなんだろうと勝手に想像はするんですが、これが実態じゃないかなというふうに思います。

 そこで、ちょっと確認をしたいんですが、全国の自治体で、例えば私がちょっと問題だなと思っている百時間を超えるような過重労働、これはあるんじゃないかなと思うんですが、総務省の見解を聞かせてください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 総務省として、個々の自治体における職員の時間外勤務等の実態は把握しているわけではありませんが、平成二十八年度に、地方公務員のワークライフバランスの推進等に資するための基礎資料を得ることを目的に、都道府県、政令指定都市及び政令指定都市を除く県庁所在市に対して、地方公務員の時間外勤務に関する実態調査を行ったところであります。

 この調査においては、地方公務員の年間の時間外勤務時間数について調査するとともに、労災認定基準において、業務と脳・心臓疾患の関連性が強いと評価できるとされている時間である月八十時間を超える時間外労働の実態等について調査を行ったところであります。

 この調査によれば、地方公務員の年間の時間外勤務時間数は約百五十八時間であり、民間労働者百五十四時間とほぼ同等で、国家公務員二百三十三時間より少ないという状況であること、一月当たり六十時間を超えて時間外勤務を行っている職員が全体の二・八%、八十時間を超えて行っている職員が一・一%存在している、そういうような状況になっております。

宗清委員 今御答弁いただいたことが本当に実態をあらわしているかどうかというのは、少し実は疑問なんですね。八十時間若しくは月に百時間を超えるようなことをやらせている自治体が実はもっともっとあるんじゃないかなというように思いますが、この調査というのは、タイムカードとかICカード、いわゆる客観的な記録だけじゃなくて、これは職場からの申告なんかによってやっている調査が半分以上だというふうに理解をしていますので、実態を把握するには少し少ないと思いますね。

 例えば、そのパソコンのログインとかログアウト、入退庁のタイムカードというのを徹底管理をさせて調査をさせないと、本当の実態というのはなかなかわからないんじゃないかと思いますので、そういうことを徹底してこれから調査をお願いしたいというように思います。

 先ほど少し申し上げましたけれども、違法なといいますか、サービス残業みたいなものが自治体では横行しているんじゃないかと思いますが、このサービス残業を地方公務員にさせること、そしてまた、自発的にそういうことをすること、そういうことは違法になるのかどうか、そして、この場合、違法に問われる方がいるのか、罰則はあるのかどうか、ちょっと確認したいと思います。答えられますでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員の時間外勤務につきましては、地方公務員法等に基づき、正規の勤務時間を超えて時間外勤務命令を発して勤務させた場合においては、時間外勤務手当を支給すべきものとなっております。したがって、そうした支給を行っていない団体は違法でございます。

 それぞれの地方公共団体において、法律の規定を踏まえ、条例の定めにより、時間外勤務手当の支給等について適切に対応すべきものであると考えております。

宗清委員 御答弁のとおりになっていくことを望みます。

 なぜこのような質問をするかと申し上げますと、最近になって地方公務員の中で精神疾患の方がふえていると聞いていますので、現状どのようになっているのかお聞きをしたいと思いますし、そして、公務員といいましてもさまざまな職種の方がいるわけですが、わかる範囲で、例えば消防とか警察、教員、今精神疾患の数、若しくは、それで休職をしている方の数はどうなっているのか、確認をしたいと思います。

佐々木政府参考人 地方公務員の健康状況についてでございますが、一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会が、都道府県、政令指定都市、特別区、県庁所在市、人口三十万以上の市及びその他の百八十のサンプル市町村、抽出市町村の、これは警察、消防、教員を除く地方公務員を対象に調査を行っているところでございます。

 この調査によれば、地方公務員の十万人当たりの自殺者の状況は、平成十八年度から平成二十六年度まではおおむね二十人前後で推移し、平成二十七年度以降、二年連続で減少し、平成二十八年度は十二・九人となっております。

 また、長期病休者数の状況は、平成十九年度から平成二十八年度までの十年間は、おおむね二千四百人前後で推移しております。

 しかしながら、長期病休者数を疾病別で見ると、精神及び行動の障害による長期病休者は、平成二十八年度に一千三百三十七・八人となり、例えば十年前の平成十八年度に比べ約四割増加し、全体の五五%を占める状況になっております。

 なお、消防、警察、教員に係る長期病休者の状況の調査については、それぞれ所管の省庁により必要に応じて行われるというところでございます。

宗清委員 精神疾患は、この十年で一・四倍、そして十五年前の三倍になっておりますので、これは一般の行政職員ですね、地方公務員で、七十四万人ぐらいですけれども、これは去年ですか、九千九百七十四人の方が長期病休者で休んでいるんですね。一万人の方が仕事ができない状況というのは本当にもったいない話で、優秀な方がこれだけ職場復帰できないということは、税金が有効に使われていないという見方もできるわけで、こういう問題についてしっかり分析なりをして、これからも対策をしていただきたいと要望しておきます。

 そして、教員の方についても病気の休職者というのは五千人程度と聞いていますから、これについても非常にもったいない話でございまして、こういう方々が職場復帰をできる環境をぜひ整えていただきたいと思います。

 ほか、いろいろと申し上げておきたいこともあったんですが、ちょっと時間の関係でいろいろ割愛をさせていただきたいと思いますが、私がこういうお話を申し上げるのは、公務員さんの中で、最近、自殺者もなかなか減っていない。自殺というのはあってはならない話だと思いますし、人生の大半を職場で多くの時間を過ごすわけですから、職場が全く、精神疾患になったり自殺の原因に無関係だということは少ないのではないかなというように思いますから、改善をやはりやっていきたいなというように思っております。

 一つは、長時間労働もあると思いますが、行き過ぎた公務員バッシングもやはりあるんじゃないかなというように思っています。国家公務員の皆さんも含めて、一生懸命仕事をしても、なかなか国民の皆さんによくやってもらったと評価をされることも少ないと思いますし、批判はされても、なかなか日の目を見ない仕事だと思います。そして、時によっては退職金や給料までカットせいと、退職後の道まで制限がかかってくることもありますから、こういうことがあって、生き生きと国民、自治体のために頑張ってほしいというのはなかなか無理があるというように思いますから、私はそういう公務員さんも応援していきたいなと思っております。

 そして、こういう問題を提起しまして、ぜひ、総務省の皆様方もそういう問題意識を共有をしていただいて、この問題解決について一緒に努力をさせていただきたいことをお約束を申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十一分開議

古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井でございます。

 きょうは一般質疑ということで、ちょっといろいろな分野、たくさんの質問を用意しました。いろいろな、ほかの、総務省以外の省庁にも来ていただいていますので、答弁はぜひ簡潔にお願いできたらと思います。

 それでは、まず最初に質問したいのが地域公共交通についてであります。

 これは実は、以前、二月の二十二日の当委員会でも取り上げました、また翌日の予算委員会でも私取り上げましたが、地元岡山で起こった話なんですが、これは岡山の問題だけじゃなくて、日本全国恐らく共通する問題だと思うので、改めて取り上げます。

 どういうことが起こったかといいますと、改めて申し上げると、岡山にバス会社があります。そのバス会社が、もともと、大体どこも、全国もうバス会社というのは、黒字路線が三割ぐらい、それから赤字路線が七割ぐらいで、その黒字部分で赤字を賄って全体でトータルでやっている。地域公共交通というのはやはり、そのくらい、なかなか採算が難しい分野であります。ところが、この黒字路線に別の新規参入会社が四割安い料金で認可申請をしてきて、それはおかしいんじゃないかと思いましたけれども、国交省が認可をしてしまった。このため、岡山では、この既存のバス会社が赤字路線の廃止届を出す、結局それは取り下げたんですけれども、そういった事態になったり、あるいは労働組合がストを計画する、そういう事態にまで発展をしています。

 この問題でまず一つ国交省にお聞きしたいんですが、今回の新規参入事業者の認可申請が、実は、バス停の設置に道路占用許可をとっていることが前提なわけですが、それが、このバス会社が調べたら幾つか道路占用許可がとれていないという疑いがあるんじゃないかという指摘があったわけでございます。そうなると、そもそもこの認可申請自体の適正性、適法性が疑われる。

 そういう事態になったにもかかわらず、結局これは、認可が取り消されたり、あるいは、真相が明らかになるまでその執行を私は少し延ばせばいいんじゃないかと思うわけですが、そういった措置をとらずに放置して、そのままこの新規参入の会社のバスは運行されてしまったわけですけれども、この点について、国交省、いかがお考えでしょうか。

早川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの件につきましては、指摘のあったその認可に関しまして、中国運輸局が行いました一般乗合旅客自動車運送事業の事業計画変更認可処分、これを取り消すことなどを求める訴訟が、今御提示のあったそのバス会社などから東京地方裁判所に現在提起をされているという状況にございます。

 したがいまして、この件に関する答弁ということは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、この本件認可処分等に対する国の考え方等につきましては、裁判において今後明らかにしてまいりたいと考えております。

高井委員 こんなのが、一々裁判の結果を待たなきゃないとなると、本当に何のための国交省かなという気もいたします。

 少なくとも疑いがある間は、そこは認可取消しまでしなくてもいいですけれども、一旦運行を延期するとか、そういう措置があってしかるべきではないかなというのは非常に思います。

 それで、そもそもの問題をぜひ聞きたいんですけれども、この委員会でもあるいは予算委員会でも聞きましたけれども、黒字部分にのみ参入するということは、これは経済学的に言えばクリームスキミングという立派な競争阻害行為なんですね。しかも、それをちゃんと防止するために、道路運送法では三十条の二項で、一般旅客自動車運送事業者は、事業の健全な発達を阻害する結果を生ずるような競争はしてはならない、そして四項で、前項に規定する行為があるときは、当該行為の停止又は変更を命ずることができるというふうに書いているわけです。

 これに照らせば、今回のような認可は、私はやはり認めるべきではないと。こういったことを認めてしまうと、今までこんなことはないだろうとみんな思って全国のバス会社はやってきたわけですけれども、これが認められると、どんどん黒字路線だけ安い料金で参入するバス会社が出てきたら、本当に地域公共交通というのは成り立たなくなって、結局、赤字路線を廃止してしまったら、これはもう自治体が運営するしかないわけですよ。そうしたら、今まで民間の中でできていたことをわざわざ自治体が税金を使ってやらなきゃいけなくなる、そういう事態になる。

 こんなことは、道路運送法の法の目的からしても、どう考えてもおかしいと私は思いますけれども、この法をちゃんと運用すれば認可をやめるということもできると思うし、それが、国交省も再三、これは認可せざるを得ないんだという答弁であれば、私は道路運送法そのものをもう変えなきゃいけないと思いますけれども、国交省の見解はいかがですか。

早川政府参考人 お答えいたします。

 委員から御指摘のありました道路運送法三十条につきましては、その第二項において、一般旅客自動車運送事業の健全な発達を阻害する結果を生ずるような競争をしてはならないとされておりまして、第四項で、当該行為の停止又は変更を命ずることができることとされておりますが、この二項の「事業の健全な発達を阻害する結果を生ずるような競争」というのは、運賃のダンピングを行ったり、不当に旅客の争奪を行ったりするようなことと解釈しておりますけれども、これは、事業者において事業が行われていく中でこのような不適切な行為が行われた場合に是正させるという目的で置かれている規定でございます。

 そのうち、公共交通への影響という御指摘がございましたけれども、我が国において人口減少や高齢化が進む中、地域において必要な、バスを含めた公共交通の維持を図っていくということは、私どもといたしましても重要な課題であると考えております。

 国土交通省といたしましては、岡山を含めまして、各地域におけるバス事業の状況も把握、検証しつつ、地域公共交通活性化再生法を活用した地域における公共交通維持への取組を支援することを始めといたしまして、地域公共交通政策をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

高井委員 全然答えが変わっていないんですけれども。

 ダンピングの場合は適用するって、ダンピングなんか当たり前じゃないですか。ダンピングなんか、国交省じゃなくても公正取引委員会が出てきてそんなのは取り締まってくれますよ。そうじゃなくて、公共事業だから、公共交通だからわざわざ道路運送法というのを設けてこうやって条文までつくっているわけですから、こういうクリームスキミングを、じゃ、もう無制限に認めるんですか。そういう基準も何もなく、形式的な審査でオーケーだから認可したなんということを繰り返していたら、私は全国からこういう事業者がどんどん出てくることを本当に懸念しています。

 そして、世界的に見ても公共交通というのはやはり難しいんですよ。独立採算、日本ぐらいじゃないですか。こんなに民間でうまく回っている国というのは珍しくて、後で質問しますけれども、私、ゴールデンウイーク、ちょっとドイツを見に行ってきましたけれども、ドイツなんかも、やはり都市によって違うんですけれども、ハンブルクという市では完全に民営化したら大失敗だった。あるいはイギリスでも規制緩和をやり過ぎて大失敗だった。

 そういう経験があって、日本だって二〇〇二年の規制緩和で今の制度になったんですけれども、その結果、三十一のバス会社が倒産しているという実態もあります。このままいくと、地域公共交通、特に過疎地に行けば行くほど、赤字で成り立たなくなってくる。

 これは、この総務委員会で取り上げるのは、地方自治の非常に重要な問題にもかかわってくる問題だと思いますので、ぜひこれは大臣にも、この間の議論を聞いていて、地域公共交通を維持するという観点から、この問題についてどういうふうに考えますか。

野田国務大臣 まず、この件に関しては国土交通省所管ということでコメントはしませんが、地域公共交通について申し上げるならば、もちろん通勤通学など日常的に必要な移動の手段、それを提供するとともに、私たちの趣味や余暇のための移動などの需要を満たしてくれる、そして、地域住民の活動を活発化させる役割を担っています。

 したがって、二〇〇二年という話がありましたが、もはや二〇〇二年ではございませんで、今の日本は人口減少や特に高齢化が著しい過疎地域になっています。そこで、地域公共交通を維持することは、とりわけ重要な課題と私たちは認識しています。

 総務省としては、地域公共交通の確保、維持の役割を担う過疎市町村の取組に対しては、過疎交付金などのさまざまな措置を講じて応援しているところです。

 今後とも、地域公共交通対策を含め、さまざまな過疎対策に積極的に取り組んで、過疎地域に暮らす今の住民の、人口減少が始まり、高齢化が著しいということをしっかりと置いて、皆様の安心、安全な暮らしの確保に努めてまいりたいと思います。

高井委員 どの自治体の方、特に過疎地の自治体の方と話せば話すほど、やはりこの地域公共交通、バス、足をどう確保するかというのは本当に切実な問題です。今大臣から二〇〇二年から状況が変わっているという貴重なお話がありました。本当にそう思います。あれからもう十六年たっているわけですから、やはり国交省もこういう事例があったということを踏まえて、本当に、法律の見直しも含めて、ちょっと本気で考えていただかないと、この問題は岡山にとどまる問題ではないということを指摘しておきたいと思います。

 関連して、ちょっと通告では一番最後にしましたけれども、ドイツに私が行ったときに、シュタットベルケという、聞いたことありますかね、ドイツでは千五百ぐらいあるんです。

 これは何かというと、本来、市町村がやるべき仕事を民間に委託して、委託といっても一〇〇%市の出資なんです。ですから、では第三セクターかなと思うとそうでもなくて、純粋な民間会社で、市は本当に出資をしているだけで、社長は民間企業の方。市の天下りとかそういう人は一切行っていない。そして、民間から来た人で、運営も公務員じゃないんですね、民間の人が運営をしている。ただし、市の意向、公共事業をやるわけで、じゃ、どんな事業かというと、電力、ガス、上下水道、それからこの公共交通、それから公営施設の管理とか、こういった事業を、しかも全体をやっているんです。日本だったらそれぞれの分野ごとに公営企業がやっているというケースがありますけれども、全部をやっている。

 このすばらしいところは、赤字部門を黒字部門で補填しているんです。つまり、公共交通はドイツでも赤字なんです。あと、公営施設の管理も赤字なんです。ですが、今エネルギー事業なんかで、太陽光とか風力とかで利益を得て、それで補助しているという仕組みをつくっていて、そして、ですから、このシュタットベルケの社長を選ぶのは、実は、市長が議長となって、私が視察に行ったオスナブリュック市というところでは、市議会議員が八名と、それから労働者側、市の職員、労働組合から五名で、監査会というのを設置して、そこで社長を選んでいる。あるいは、大きな会社の方針は、その監査役会がいろいろ決めている。

 しかし、実際の経営は、まさに経営のプロに任せている。天下りとかないんですかと言ったら、いやいや、まあ、市の職員は優秀だけれども、経営のプロではないから、経営は経営者に任せているんですと。極めて合理的な、私は、このシュタットベルケというのは非常にいい制度だなと。

 日本でも最近広まり始めていて、ただ、エネルギーの問題に特化しているんですね。福岡県のみやま市なんかはこのドイツの町とも連携して、かなり日本でも普及し始めていますが、私は、このシュタットベルケは、まさにその一分野でやるんじゃなくて、今言ったその地域公共交通なんかも含めてやれるというメリットがあるということと、あるいは、やはり日本の三セクとは違う、そういう経営ノウハウをしっかり入れるという形として、大変見習うべき事例だと思います。

 これは自治体の話かもしれませんけれども、自治体で一個一個やっていくのは大変なので、ぜひ総務省で研究して、自治体にも、こういう仕組みはどうだというのをアドバイスしたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 高井委員がシュタットベルケについて御質問いただけるということで、私もにわか勉強させていただきました。今、人口減少の中にある市町村のあり方を問うさまざまな本の中に、まさにこのシュタットベルケ、私、ドイツ語はちょっと苦手なので済みません、シュタットベルケのような形をどんどん日本でも取り組むべきだということを書かれているものが随分多くなったと思っています。

 ドイツの場合は、この仕組みを始めたとき、やはり国内では、無理だ、赤字になるよと言われていたけれども、結果的には、エネルギー部門で相当黒字を出すことによって、他の赤字部門をしっかりと支えることができているというようなことが書かれておりました。

 では、日本ではどうかというと、日本の現行制度においても、地方自治体が一定の出資を行う株式会社が複数の事業を経営する場合には、黒字事業の利益で赤字事業を賄うことも可能というふうに考えられているところです。

 ぜひとも、実際にそういう事例も日本で、細々とですけれども出てまいりましたので、しっかり、どのような課題があるのかも含めて、研究してまいりたいと思います。

高井委員 私も、大臣に知っていただきたいという趣旨で、あえて大臣答弁をお願いしたんですけれども、今聞いていただいたら、大臣ですから、これはいい制度だなと思っていただいたと思いますので、ぜひこれから研究していただいて、自治体に、いいものはどんどん取り入れていくということが大事じゃないかなと思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 それでは、次の質問は全然またかわりますけれども、携帯電話、通信事業について、これは小林政務官に前回も、四月五日の総務委員会で御質問しましたが、そのときは、実は、楽天が携帯電話に参入する前の日だったんですね。開設計画の認定の前日だったので、余り踏み込んだ答えはいただけなかったと思うので、改めて質問したいと思います。

 今回、楽天が四社目に入ってくる、これは非常にインパクトのあることで、いろいろな会社がふえて料金も安くなるなら、これはハッピーなわけですけれども。ただ、私もIT業界に結構ずっと、長くいるんですけれども、やはり非常にみんなびっくりしています。世界的に見ても大体三社体制というのが限界だと言われていて、アメリカが唯一というか、四社だったわけですが、今回、スプリントとTモバイルは合併をして、二〇一九年からは合併する。つまり、アメリカですら三社体制になる中で、ここで本当に日本は四社にして大丈夫なのかと。業界では、本当に大丈夫か、総務省、大丈夫かという声が多いんですね。

 なので、私も聞きたいと思いますが、これは、開設計画の認定のあった四月六日の電波監理審議会の吉田会長も、こんなことを言っています。例えば、携帯電話の基地局確保、これは大きな課題ですねとおっしゃっています。それから、技術者の確保もこれは大きな課題だと。あるいは、こんなことを言っていますね。今回は確かに財務的に大変、六千数百億かかる、これは楽天が調達すると言っているわけですけれども、しかし、本当にそれで済むのかという、今回の認可のあった4Gですらそうなのに、今後は5Gがやってくる、その中で大丈夫なのかと、この電監審の会長みずからが言っているわけですね。六千三百億という金額も、これは必要最小限の設備を打つにはクリアしていると、電監審の会長自体が非常に懐疑的なというか、不安を述べながらの認可で、こんな形でやってみていいんだろうか。

 いろいろな競争で、いろいろなサービスが出てくるのはいいと思うんですけれども、この携帯電話というのは電波が割り当てられているわけですし、また、多くの、大体一千万加入ぐらいを楽天は目指しているということですが、これはもし、一千万ぐらいとって、いや、やはり事業が成り立ちませんでしたとなったときに、では、利用者は本当に困らないのか、守られるのか、そういう問題もあるわけでございます。

 こういったことを考えると、私は一概に反対しているわけではないんですけれども、やはりいろいろな業界から不安の声があります。なかなか総務省に聞きづらい人たちから不安の声を私も聞きますので、ぜひこの辺、専門家である小林政務官からちょっと答弁をいただきたいと思います。

小林大臣政務官 専門家の高井委員から専門家と呼んでいただいて、大変光栄でございます。

 その上で、問題意識は本当に受けとめた上で、とはいえ、成り立たなくなったときにどうするのかというのはやはり仮定の話でありますので、そこのコメントは差し控えたいと思いますが、四社体制が難しいんじゃないかというお話で、確かに、アメリカがスプリントの話が出てきているということですが、まだこれは完全に決まったわけではない。そして、他の国を見ると、イギリス、フランスはまだ四社体制でありまして、三社がスタンダードであるということも、まだまだ言い切れないところはあるというふうに思っています。

 ただ、一般論として申し上げれば、認定を受けた事業者においては、まずは、みずからの経営努力で、開設計画とこれに付した条件に従って、しっかりとした事業運営を行っていただきたいと思います。さっき電監審の懸念点というのもありましたが、これについても、楽天のみ付した条件の中にこれも入っておりまして、しっかりその条件を確保することということも付させていただいています。

 その上で、総務省としては、これは割当て後も、四半期ごとにきっちり報告等で状況を把握しまして、その結果を踏まえて、利用者利便を損ねることがないように適切な措置を講じてまいりたいと思いますが、先ほどのバスについてのお話もそうですし、シュタットベルケの話もそうだと思いますが、規制をどんどん緩和して新規参入を促す、チャレンジをどんどん促すということと、やはり市場をある程度安定させていくということ、このバランスはとても重要なんだと思っています。

 そういう意味では、先ほど高井先生からお話があったように、シュタットベルケというのは、いろいろな事業で赤字を補填しているという話だった。この楽天さんも、Eコマースやポイントサービス、さまざまやっていらっしゃる。まさに、こういうさまざまな事業の中で連関性が生まれて、更に価値が生み出せるんじゃないか、こういうことでもあろうかと思いますので、少し冷静に見て、最後、利用者にしっかりケアできるようにしていきたいと思っております。

 ありがとうございます。

高井委員 本当に、これは総務省としては大きな判断、決断だったと思いますので、これは本当に、成り立たなくなったら、やはり日本にとっても大きな損失だと思いますから、しっかりとフォローしていただきたいというふうに思います。

 それでは、もう一つ、この携帯電話について質問ですけれども、実は、ちょっと細かい話になりますけれども、携帯電話のアプリケーション、これを今いろいろなコンテンツプロバイダーという方が提供しているんですけれども、これが実は、今の携帯三社、この三社がみずから提供していたり、あるいは、みずからが関与して推奨するアプリというのだけを販売店なんかに行くと売られてしまう。

 そうすると、新しい、いろいろなベンチャー企業とかがいろいろなサービスを提供しても、ほとんど買ってもらえないという事態が起きていて、これが、一昨年の八月に、公正取引委員会、きょう来ていただいていますけれども、公正取引委員会が携帯電話市場における競争政策上の課題というのを公表したんですね。それに伴って、総務省も一緒になってガイドラインというのを、もともとあったんですけれども、その改正もしている。この問題を取り上げていただいたんですが、しかし、一向にこの問題は改善していないと聞いています。

 ところが、二月の七日に公取の事務総長が記者会見で、この競争政策の課題のフォローアップの調査をするという発表があったんですが、そのフォローアップの調査の中に、どうもこの項目は入っていないんじゃないかということが懸念されていますが、私は、この問題も含めて、公取はしっかり調査すべきだと考えますが、いかがですか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会は、委員御指摘のとおり、平成二十八年八月二日に、通信役務市場と端末市場、そしてアプリ市場を対象に調査を行った結果を、「携帯電話市場における競争政策上の課題について」ということで公表をいたしております。

 このうち、通信役務市場と端末市場はMNOを対象といたしまして、また、アプリ市場は、OS提供事業者、又はアプリ提供事業者を対象といたしまして、独占禁止法上問題となるおそれがある行為についての考え方を示しているものでございます。

 今回実施しておりますフォローアップ調査におきましては、特にMNOとMVNOとの間の競争に焦点を当てておりまして、通信役務市場と端末市場を中心に調査を行っております。このため、今回、アプリ市場はこの調査の対象にはしていないわけでございますが、委員から御指摘ありました電気通信事業分野における競争の促進に関する指針、この中で、例えば、市場において相対的に高いシェアを有する電気通信事業者が、端末販売事業者に対して、指定する事業者以外の商品、サービスを顧客に提供することを禁止することなど、こうした行為は独占禁止法、問題になり得るということを明らかにしておりまして、この商品、サービスにはアプリも含まれるということでございます。

 したがいまして、公正取引委員会といたしましては、従来から公表しているこの考え方に基づきまして、独占禁止法上問題となる行為が認められた場合には、個別の事案に即しまして、調査の上、厳正に対処していきたいと考えております。

高井委員 一昨年八月にそういう指摘をして、改善されていないんですよね。だからこそ聞いているわけで、本来私は調査すべき、対象にすべきだと思いますけれども、もう今さらできないということであれば、それは別に改めて調査とか公表してとかやらなくてもいいですから、しっかりフォローしていただきたいと思います。

 あと、これは、何で公取がやっているのかなという感じがするんですよね。総務省ももっとかかわっていただいて、小林政務官、ぜひこの分野も、公取とよく話していただいて、私は総務省がやった方がいいんじゃないかと思いますけれども。本当にこれは、昔から、何年か前は総務省がやっていたんですよね。ですけれども、ちょっと最近余り総務省がかかわらなくなっている感じを受けますので、ぜひこの分野はしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、次に行きます。

 次は、官民が保有するデータの活用の問題。これは、大変重要だということはもう皆さんよくおわかりだと思いますし、一昨年には官民データ活用推進基本法という、超党派で、議員立法でつくったこともございます。

 ところが、これが、地方自治体が持っているデータが、加工するときのルールというのがばらばらでして、これをそれぞれの自治体が条例でばらばらに決めているものですから、業界では二千個問題なんて言っています。千七百以上の自治体がそれぞれあって、更にほかのいろいろな団体も入れると二千ぐらいの別々のルールがあって、こんなのではデータ活用が進まないということで、実は去年の五月に規制改革会議が提言を出していて、これ、立法措置で、全体で解決したら、やった方がいいんじゃないかと。各自治体の条例に任せていては同じことに、個人情報保護のときもそうだったんですけれども、同じことになってしまうということを、提言を出しているんですね。

 規制改革会議は、私、この後取り上げるつもりですけれども、放送制度の見直しは、規制改革会議がやることは大反対ですけれども、この官民データで言っていることは、私は規制改革会議は正しいと思っています。

 これを受けて、総務省が実は検討会をやって、ことしの四月二十日に報告書が出たんですが、これはどう見てもやはり不十分だということで、更にまた四月二十四日にはこの規制改革会議から意見書が出されたと。立法措置すべきじゃないかということも含めて、三つの措置の意見が出ているんですけれども、私もそうすべきじゃないかと考えますが、総務省の見解はいかがですか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省といたしましても、パーソナルデータの利活用を適切に進めていくこと、これは重要な課題であるというふうに認識しておりまして、昨年六月に閣議決定されました規制改革実施計画なども踏まえまして検討会を開催し、地方公共団体や民間事業者の意見も丁寧に伺いながら検討を進め、先月、今御指摘がございました報告書が取りまとめられたところでございます。

 現在の個人情報保護法制では、地方公共団体が保有する個人情報については条例により規律することとされておりますが、非識別加工情報の定義や加工の基準などについて条例で定める場合には国、民間と同等のルールで導入されるように、総務省では条例改正のイメージをお示しするとともに個別に相談に応じるなどの対応を行っているところでございまして、報告書では、こうした取組を充実する必要があるとの御指摘をいただいております。

 同時に、報告書におきまして、地方公共団体とは別の組織において、地方公共団体から個人情報の提供を受けて非識別加工情報を作成すること、これを報告書では作成組織と言っておりますが、この作成組織について、その機能や検討の前提となる課題について論点整理がなされたところです。

 そして、こうした組織を検討する場合には、国などにおきます非識別加工情報の活用の動向も踏まえる必要があると指摘されておりまして、まずは、具体的な活用事例の整理に取り組む必要があると考えております。

 総務省といたしましては、この報告書において整理されました論点について検討を進めることにしておりまして、引き続き、地方におきます非識別加工情報の利活用に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

高井委員 これは、余りのんびり検討していると、もう五百近い自治体が条例改正を準備しているんですよね。また条例をつくっちゃったらもう変えられませんから、ぜひ、これは別に我々野党が言っているんじゃなくて、与党の、自民党の平井卓也さんとかIT特命委員会とかでも同じようなことをおっしゃっているはずですし、超党派の議員連盟で、官民データ活用の議員連盟でも同じことを申し上げていますので、ぜひ総務省、これは政治家の判断で、これは小林政務官、御担当ではない。(小林大臣政務官「ではないんですけれども」と呼ぶ)はい、わかりました。では大臣でも、ぜひこれは政治家の決断でやっていただいた方がいいんじゃないかなというふうに思います。

 それでは続いてなんですが、これもまたちょっと全然違う話で、きょう、厚生労働省に来ていただきましたが、不妊治療の問題を取り上げたいと思います。

 実は野田大臣も不妊治療で十年間苦労されたという話を本などで読ませていただきました。実は私も、今、もうすぐ四十九になりますけれども、まだ結婚して間がないものですから、妻もそんな若くはなくて、年は言いませんけれども、不妊治療をずっとやっていますが、これは本当に大変なんですね。大臣はよくわかっていただいていると思いますけれども。

 ともかく、不妊治療という言葉が悪いんじゃないかな。おじさんが不妊治療で会社を休みますとか言うと、何か本当に、どんな病気なんだとか思われるみたいですけれども、そういうことじゃなくて、やはり、最近子供ができにくい。なかなか、ホルモンの関係であったり、あるいは社会の、生活パターンであったりとかで、どんどんできにくくなっている中で、やはり、人工授精とか体外受精とか、そういったものをお医者さんに行ってマッチングするということで妊娠率が上がるわけですけれども、そのために非常に、一回五十万ぐらいかかって、しかも、お金だけの問題じゃない。

 女性は大体、行くと三日ぐらい連続で病院に行って、しかもすごい人気だから、二、三時間平気で待たされるんですね。だから、午前中全部潰れてしまったり、あと、突然その周期が来るので、いつ行ったらいいかわからないから、しかも一カ月に一回のことですから、仕事なんかを一生懸命している人は本当にできなくて、だから妊活で仕事をやめるという女性もたくさんいる。やはり、これは女性の方が圧倒的に不利なんですね。

 こういったことを、私、ほかの委員会、内閣委員会とか予算委員会でも取り上げて、例えば、今、不妊治療の支援には一応補助制度はあるんですけれども、それは五十万円もかかりますから補助できるんですが、でもこれは医療保険は適用されないんですね。だから高いんです。だから、もう医療保険を適用したらどうかということを提案したり、これも厚生労働省は全くゼロ回答ですし、あるいは、それは年齢制限があるんですよ。四十三歳で打切りなんです。これは、本当にやはり四十三歳を超えた女性は憤りを感じていまして、これも何とかやはり撤廃をしてほしいと思っていますが。

 そういったことばかりを言っていてもしようがないので、私も考えました。

 実は、そもそも不妊治療を受けなくても、というか不妊治療に行っている方の何割か、二割とか三割は、別に病院に来なくてもできる、ちゃんと知識があれば、周期をちゃんと把握していればできるという例が多いんですよ。

 実は、民間の携帯事業のアプリのサービスで、商品名は言いませんけれども、大半の若い女性が入っているあるアプリがあって、そのアプリに入っていると、月経の周期とかそういったもので、いわゆるタイミング法ですよね、そのタイミングがいつかということがわかりやすいサービスがあるんです。

 これは無料で入れるんですけれども、やはり、よりいろいろな分析をして本当にいいタイミングを指摘するためには、月四百円なんですけれども、わかる。ところが、これを入っていない、やはり四百円を払えない、あるいは払わない人が結構いて、こういった方法をもっと広めれば、この会社の試算では一八%妊娠率が上がるはずだというデータもあるんですね。

 こういったことを、私は、ぜひ厚生労働省には、治療に行った補助金、五十万円のうち三分の一とか二分の一とかを補助するだけじゃなくて、こういったものをもっと普及させていく。もちろん、この不妊の課題にはもっと教育が大事だとか働き方の改革が大事だ、もちろんそうですよ。だけれども、そっちはなかなか大変じゃないですか、これを変えていくこと。だけれども、この今のサービス、これを全対象者に導入したら、もし、例えば全額補助するとすれば、あり得ないと思うけれども、三十三億なんですよ、年間。不妊治療の全体の、病院に行った場合の補助金は百六十三億なんですよ。こういう金額から考えても、私は、こういうことを検討する余地はあるんじゃないかと思いますが、厚生労働省、いかがですか。

成田政府参考人 厚生労働省といたしましても、子供を持ちたいと願う夫婦の希望に応えることは重要であり、不妊に悩む方への支援を推進していく必要があると考えているところでございます。

 御紹介いただいた事例も含めまして、民間企業においても妊娠等に関するさまざまなサービスが提供されていると承知しております。

 厚生労働省といたしましても、ただいま御指摘がございましたように、これまで、不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、高額な治療費がかかる体外受精や顕微授精について、その費用の一部を助成しているほか、不妊等に悩む夫婦への相談指導や情報提供を行うための不妊専門相談センターの設置促進などを進めてきたところでございます。

 これらの支援を含め、引き続き、子供を持ちたいと願う夫婦への支援を行ってまいりたいと考えております。

高井委員 ほとんどゼロ回答というか、これはぜひ総務大臣に聞いていただきたかったんですね。というのは、厚生労働省は、私は何度も言っていますから、全然やはりいい答えは返ってこないんですね。でも、本当に深刻です、この問題。

 私、この不妊治療を始めて気づいたんですけれども、三十代、四十代の方、物すごく多いです、やっている方。ふだん、こんな会話はしないんですよ。だけれども、自分がしてみると、たまに飲んだ席とかで、実はやっているんだよねとか言ったら、私も、私も、私もと、すごい多いですよ。これは病院に行っていただいてもわかると思いますけれども、これは本当に大きな社会問題ですから、そんな三十億とか百億とかのレベルで少しでも解決するのなら、私は絶対やるべきだと思っています。

 また、これは、例えば地方自治体なんですね、この実際のサービスを提供するのは。総務省にも聞こうと思ったんですけれども、いやいや、厚労省がやったら補助裏としてはつけますみたいな、そんな答弁を聞いてもしようがないので、もうあえて通告しませんでしたけれども、ぜひ、この問題、総務大臣、関心がおありだと思いますので、少し検討して、厚労省とも話していただけたらと思います。

 それでは、次に行きます。

 次は、電子投票について聞きます。

 これは、今回、ドイツと一緒にエストニアにも行ってまいりました。エストニアでは、これはマイナンバーとも絡むんですけれども、IDカードが十五歳以上の国民に義務づけられているんですね。そのことによって、実は、免許証にもなる、健康保険証にもなる。まあ、健康保険証はようやく何かなりそうみたいですけれども、あと、公共交通の定期券にもなるし、あるいはオンラインバンキングにも使える、そしてこの電子投票にも使えるということで、大変進んでいるなと。確かに、人口百五十万の国ですから、規模が違うといえばそうですけれども、しかし、私は日本だってやってやれないことはないと思いました。

 この電子投票は、二〇〇五年からエストニアはやっています。最初は、電子投票をする人は二%だったそうです。しかし、今、九回やって、三二%の人が電子投票をやるようになったということで、私はセキュリティーのことを随分聞きました。サイバーアタックとかがあって、改ざんとかされたらどうするんですか、あるいは本人確認、あるいは投票の秘密は守られるんですかと相当詳しく聞きましたけれども、大丈夫ですよ。あれだけやっていれば十分できると私は確信をいたしました。

 これは本当にぜひやるべきだと思いますし、ただ、マイナンバーカードが普及しないと、これは確かに本人確認できませんから、マイナンバーカードが前提なんですが、しかし、マイナンバーが前提なんですが、これはもう鶏と卵で、電子投票をやり始めれば、マイナンバーカードの普及も私はするんじゃないかと思います。

 やはりこういうことをどんどんやっていかないと、マイナンバーも、何か使えるということを示さないとできませんから、そういうことも含めて、この電子投票、インターネット投票、ぜひやるべきだと思いますが、いかがですか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 大変偶然なことなんですけれども、この委員会の直前に、今お話がございましたエストニアの経済通信大臣とお目にかかる機会がございまして、高井委員がおっしゃったこと、まさにお話をしていただきまして、極めて効果的であるということでございました。

 日本においては、私たち、投票率が低下傾向にあります。その中で、外務大臣なんかが指摘されているんですけれども、海外居住者などの投票しにくい状況下にある有権者の投票環境をやはり向上させていくということは大変重要なことなんだと認識をしています。

 今、投票環境の向上方策に関する研究会、これにおきまして、委員御指摘のICTや選挙制度を専門にされている有識者、選挙事務に精通した実務者等に御参加いただきまして、ICTの活用などによるこうした有権者の方々の投票環境の向上に向けたさまざまな課題についてまさに御議論をいただいているところです。

 インターネット投票につきましては、過去の研究会の報告、平成二十八年九月において、本人確認の確実な実施や投票の秘密の確保、セキュリティー対策、システムダウン対策やデータ改ざんへの対応、事後的な投票内容の検証、手段等についての課題が指摘されるとともに、本人確認の確実な実施を前提に、在外投票等からの導入を検討すべきという意見がございました。

 今回の研究会では、こうした論点につきまして更に検討を深めていただく、そして、議論の中では、在外選挙人名簿システムを導入していない小規模団体もある中で、二重投票防止のため、オンラインでどのような名簿対照を行うのか、想定されるリスクがどの程度あり、セキュリティー面の対策をどの程度講ずればよいのか、コスト負担はどの程度になるのかなど、更に具体的に検討すべき課題があるとの意見も出ています。

 なかなか困難な点もありますけれども、私自身は、これまでもずっと取り組んできて、だめから始まっています。でも、これをやはり変えていくところから始めていく検討にしていただけるよう、しっかりと見守っていきたいと思っています。

高井委員 期待しています。

 今、エストニアの経済通信大臣と会ったと言われましたけれども、ドイツも経済通信大臣なんですね。そういう意味では、きょう質問できませんでしたけれども、私は、情報通信省、ぜひつくるべきだと思っていますので、またこれは議論させてください。

 ありがとうございました。終わります。

古屋委員長 次に、原口一博君。

原口委員 国民民主党の原口一博でございます。

 委員長並び理事、委員の皆様に、質問の機会をいただきまして心からお礼を申し上げたいと思います。

 私たちは、自由、共生、未来への責任を基本理念として結党いたしました。特に、民主党政権でも一丁目一番地であった地域主権改革、そして、私たちは、小さい人たち、若い方々、孤立して生きざるを得ない方々、社会的マイノリティー、難病や障害のある方々、非正規雇用で働く方々の、いわゆる声の届きにくい方々に寄り添って、その政策を遂行していきたいと思います。

 きょうは、まず、その中でも最も大きな柱である、命を守るということで、少し総務大臣と議論をしたいと思います。また、その後段では、今、政治と行政、立法府と行政府の関係が問われています。そのことについてただしていきたいと思います。

 私たち国民民主党では、防災士の役割を非常に重く考えています。防災士制度、これは内閣府大臣官房審議官で結構ですが、法に基づくものじゃありませんね。今後、国家資格制度として検討する余地があるのかどうか、私たち、ぜひここにいらっしゃる皆様にも防災士としての資格を取っていただきたい。東日本大震災でも防災士の役割が非常に大きかったというふうに考えておりますが、基本的な認識を政府に聞いておきたいと思います。

米澤政府参考人 防災士制度は、NPO法人でございます日本防災士機構が行っております民間認証制度によるものでございまして、法的根拠に基づく制度ではないということで、いわゆる国家資格ではございません。

 防災士は、地域の防災力を高めるために、地域における防災のリーダーとして活躍されていると承知しております。災害の多い我が国におきましてこのような役割は非常に重要でございまして、防災士を始めといたしまして、各自治体による人材育成の取組や、自主防災組織などさまざまな主体により、こういった地域における防災の取組がなされているところでございます。

 このような状況の中で、地域の防災リーダーを単一の国家資格制度として育成するということではなくて、防災意識の普及啓発活動や地域の防災計画の策定促進など、幅広い省を通じて人材育成をすることが重要と考えているところでございます。その際には、防災士によって構成されます日本防災士会等とも連携を図ってまいりたいと考えているところでございます。

原口委員 そうですね。何も公的機関がやるから進むわけじゃない。私たち、これも民主党時代に新しい公共税制ということで提案をしましたけれども、NPOやNGO、そういう公益の自由化、市民化といったことが大事だと思います。

 また、防災士を取得するまでどのような研修プログラムを実施し、災害時にどのように役立っているのか、災害時における防災士の活動に対する政府としての見解を伺っておきたいと思います。

米澤政府参考人 防災士になるためには、まず、日本防災士機構が認証いたしました研修機関が実施いたします講座を受講して、履修証明を取得する必要がございます。また、同機構が実施いたします防災士資格取得試験を受験をして合格をする必要がございます。また、全国の自治体や消防署、日本赤十字社などの公的機関等が実施する救急救命講習を受講し、修了証を取得する必要がございます。こういったことを全て取得をいたしまして、日本防災士機構へ防災士認証登録申請を行って防災士になるという仕組みだというふうに承知をしてございます。

 災害の多い我が国におきまして、地域の防災力を高めることが重要でありまして、行政による公助のみならず、地域の住民などによる自助、共助の精神に基づく防災活動が極めて大切であるというこの観点で、防災士が平素から子供たちに向けて出前講座を行うことによる防災啓発活動、あるいは発災時の避難所の運営支援などに取り組んでおられることは、自助、共助の取組として重要なことであると考えているところでございます。

 内閣府といたしましても、防災士を始めとする地域のリーダーが、地区防災計画の策定や防災意識の普及啓発活動などに積極的に参画し活躍できるように、環境整備を図ってまいりたいと考えております。

原口委員 ぜひ政府としても特段の支援をお願いします。

 次に、これは総務大臣に伺いたいと思いますが、やはり、公共サービス基本法というのを私たちは起案しました。これは成立しましたけれども、公共サービスを担う人たちの人権保障、それもとても大事だというふうに思います。

 そこで伺いますが、消防職員の、これは私が総務省をお預かりしているときに検討させていただいたんですけれども、団結権、これは消防職員の心の問題やいろんなことを見ますと、大きな閉ざされた組織では明らかに自殺率が高いんですよ。組織の風通しをよくして、一人一人が強く守られる、そういう自覚があってこそ、私たちの命を守る消防の行政というのが成り立つんだと思いますが、ぜひ、もう一度、野田総務大臣におかれては、消防職員に対する団結権の付与、この問題に前向きに取り組んでほしいと思うんですが、御所見を伺っておきたいと思います。

野田国務大臣 原口委員にお答えいたします。

 消防職員の団結権を含む地方公務員の労働基本権のあり方については、国家公務員制度改革基本法附則第二条において、「国家公務員の労使関係制度に係る措置に併せ、これと整合性をもって、検討する。」こととされているところです。

 国家公務員の労働基本権のあり方については、安倍総理からも、多岐にわたる課題があることから、これまでの経緯などを踏まえ、引き続き慎重に検討する必要があるとの認識も示されています。

 これからも、消防職員の団結権を含む地方公務員の労働基本権のあり方については、国家公務員についての動向をしっかり踏まえながら、関係者の御意見をよく伺いながら対応してまいります。

 なお、消防職員の意見の適切な反映を図る仕組み、これはとても重要なんですが、消防組織法に基づく消防職員委員会制度というのがございます。現在、その運用状況の実態調査を行って、結果を取りまとめているところであります。今後、労使双方からの意見聴取も予定しています。

 これらを踏まえて、必要と判断される場合には消防職員委員会の改善策をまず検討していくこととしており、引き続き、労使双方と十分協議しながら、そのさらなる円滑な運営に向けて取り組んでまいります。

 原口委員始め多くの委員からも同じような御指摘をいただいてまいりましたので、今の、しっかり報告を取りまとめて、改善策を検討していきたいと思います。

原口委員 公務員制度改革のときに、これは与野党を超えて私たちも協力しました。しかし、消防職員の団結権を始めとするこの処遇のところが置き去りになっているんです。そのことはぜひ、ここにいらっしゃる皆さん、確認をしておいていただきたいというふうに思います。

 使用者の意見を聞くといっても、消防庁の人たちが集まったもので、彼らが反対するんですよ。私は、自衛隊もそうですけれども、やはり、閉ざされているということ、しかも、非常に危機と面と向かいますから、大変なリスク管理をしなきゃいけないから、やはり、どうしてもそこには、さまざまな、人権に対する、あるいはハラスメント、こういったものも外に出にくいんですね。だから、やはり、自分たちの権利をみずからが団結することによって保障をしていくということは、これは二十一世紀の消防においては絶対に必要なことだということを指摘をし、次に伺いたいと思います。

 これもNPOなんですけれども、災害救助犬による救助活動。これはとても大きいんですね。地方公共団体と関係団体との応援協定などを結んで、そしてやっていただいています。現在の締結状況についても聞きましたけれども、ぜひ、これは胸に刻んでおいてください。これは答弁は、きょうは指摘だけでとめておきますけれども。この間も土砂崩れがあって、そして貴重な人命が失われました。そこに救助に行く人たちもまた、二次災害、三次災害の危険の中に行っているんだということを指摘をしておきたいと思います。

 この項目の最後ですが、救急活動の時間の短縮。これは、私も近親者を運ぶのがおくれて亡くしました。本当に社会が高度化して、複雑化していくと、救える命なのに救えないということがあってはならぬというふうに思います。

 これは事務方でも結構ですけれども、現状どうなっていますか。一時はたらい回しだ何だということで、子供たちの病院に運ばれる時間、あるいは妊婦さんの病院に運ばれる時間、それを事細かく私たちはチェックをして、いかに短縮するかという努力をしてきたんですが、最近また延びてきているんじゃないでしょうか。

 認識を伺って、ぜひ、その上で総務大臣に、時間の短縮の取組を積極的に行っていただきたい。AIといったこともこれから出てきますけれども、あわせて、続けて御答弁をいただければと思います。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 救急の活動時間の短縮の観点のお話かというふうに承知いたしております。

 まず、現状でございますけれども、救急車が現場に到着するまでの時間につきましては、一一九番の通報開始から約八・五分というふうになっておりまして、十年前と比べていきますと一・九分延びている、そういったふうな現状がございます。

 また、平成二十八年中の傷病者が病院に収容されるまでの要する時間でございますけれども、一一九番の通報開始から約三十九・三分となっておりまして、十年前に比べまして七・三分延伸している、そういったふうな現状がございます。

野田国務大臣 お答えいたします。

 救急活動時間が延伸する要因の一つとして、受入先の医療機関が速やかに決まらない、こういうことが挙げられます。

 そこで、妊婦さんのあの事故、死亡事故がございました折の平成二十一年の消防法改正により、傷病者の円滑な搬送、受入れを図るため、適切な搬送先を選ぶための医療機関リスト、搬送先医療機関が速やかに決定しない場合のルールなどを定める、傷病者の搬送及び傷病者の受入れの実施に関する基準の策定を都道府県に義務づけているところです。

 こうした取組の結果、全国的に見ると、命に影響を及ぼすような緊急性の高い事案や、産科、周産期及び小児事案などについては、受入れ医療機関に何度も照会するケースが減少傾向にあります。現場での滞在時間が三十分以上になるケースの割合は、増加傾向から横ばい、あるいは減少傾向に転じているところです。

 ところが、一方で、地域別に見ると、こういったケースの割合が特に高い地域もございます。

 引き続き、各地域の実情を踏まえた実施基準の改定や、その的確な運用については、都道府県の支援をしっかり行うなど、傷病者の円滑な搬送、救急活動時間の短縮に努めていかねばならないと思います。

原口委員 やはり延びていますよね。救急車も足りない、あるいは人員も足りない。やはりふやすべきなんですよ。

 それから、これだけAI化が進んできているにもかかわらず、なぜ病院が見つからないのか。今、そういった根本的な原因を突きとめて、改善をしていただきたいというふうに思います。

 さて、行政と立法府との関係に質問を移します。

 この委員会でも何回も、総務省の行政管理機能をフルに生かしてくださいというお願いをしました。

 きょう、財務副大臣、来ていただいていますが、森友文書、決裁文書、去年の四月十日に、私は、当時の佐川理財局長と議論をして、決裁文書については見たと思っていました。私、それをもらったと思っていました。それはうそでした。

 そして、ちょうど一カ月前のきょう、安倍総理に、十四分の一しか出ていない、しかも電子決裁文書も改ざんされていた。十四分の十三については、総理が速やかに出しますと予算委員会で私に約束をしていただきましたけれども、これはまだ目にしていないんですけれども、財務副大臣、これはどうなっていますか。

うえの副大臣 お答えいたします。

 森友学園への国有地の処分に係る近畿財務局の十三件の決裁文書につきましては、これを提出するように鋭意努力をさせていただいているところでございます。

 大変恐縮ではございますが、履歴が残る電子決裁とは異なり、紙の文書で差しかえておりますので、書換え前の決裁文書の全体というものが残されていないわけであります。言いわけになりますが、分量も多く、全体で数千ページに及ぶものになりますので、その確認作業に時間を要しているというようなことが実態としてございます。

 私どもとしては、一定の時間を要することにはぜひ御理解を賜りたいと思いますが、速やかに提出をさせていただくことができますように、最大限努力をさせていただきたいと思います。

原口委員 本当のものを見せるのに一年一カ月かかっているんですよ。信じられないですね。数千ページある、千ページ以上あるわけですか。

 つまり、それは何を言っているかというと、私たちに見せたのは、その中のほんの一部だったということじゃないですか。とんでもない話だと思います。

 しかも、これは、国対委員長の間で、与党の皆さんからも、財務省の調査結果については、まず書換え前の文書を連休明けをめどに公表できるよう更に努力させる、ここまでおっしゃっているんですよ。もう連休明けていますよ。

 きょう、予算委員会では、たしか、五月の十八日、これは検察の捜査とパラレルにやっているんでしょう、検察が一応の結論を出すのが今月の末だとか、漏れ聞くところによると。それに合わせて、国会から追及されないためにやっているとしか思えない。もう実に不誠実だということを申し上げておきたい。

 私たちの審議の基本が成り立たないというふうに思いますので、財務副大臣、ぜひ督励をいただいて、そして、これは文書管理責任者が決まっているんですから、去年の、一年一カ月前に佐川さんがその人は誰かと言いましたよ。その人に聞けば、全部出せとやれるじゃないですか。それをこうやって引き延ばすということを強く抗議をしておきたいと思います。

 防衛副大臣にも来ていただきました。

 これもすごいことですよね。政治家に対して国会前で、おまえはばかか、気持ち悪い、国益を損なう、国民の命を守ることと逆行するということを言った、これは本人が言っていますからね、この空自の三佐に対してどういう処分をしましたか、防衛副大臣。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 今委員が御指摘の行為は規律違反の行為である、自衛隊法第四十六条第一項第二号の規定におきまして、自衛隊員たるにふさわしくない行為を行った、つまりは、自衛隊員の品位を傷つける、さらには自衛隊の威信を失墜させる行為を行ったものであるということにおきまして、訓戒という処分をしております。

原口委員 いや、四十六条だけじゃないでしょう。自衛隊法第五十八条、品位を保つ義務、これに明らかに違反しているじゃないですか。それから、自衛隊法の六十一条、政治的行為の制限というのがあるでしょう。自衛隊法施行令、ここに、「特定の政党その他の政治団体を支持し、又はこれに反対すること。」これはできないはずです。また、「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること。」

 国会の前で国会議員に対して、おまえの行為は国民の命を守ることと逆行すると言っている人間をあなた方はどこに配置しましたか。航空自衛隊西部航空方面隊司令部。これは福岡でしょう。福岡のたしか春日市にありますよ。私、隣だからよくわかります。今、西部航空方面隊はどうなっていますか。スクランブルはどれだけですか。今ぎりぎりですよ。我が国の防衛のために、高い士気を持って本当に日夜身を粉にして働いているその人たち、しかも、今、朝鮮半島、こういう状況の中で何が起こるかわからぬというときにそこに配置したんですか。これはどういう了見だ。教えてください。

山本副大臣 自衛隊・防衛省の人事に関しては、適材適所で常に運用を心がけております。

原口委員 あなたが今おっしゃった、品位を保つ義務に反し、自衛隊の威信を傷つけた人間を、最も過酷な、最も我が国が国防の中で枢要とするところに送るんですか。それが適材適所ですか。あなたとは松下政経塾で学びましたけれども、もう一回松下政経塾に行って原点を確認してください。とんでもないと思うし、しかも、これは政治的行為でしょう。私、隊友会の顧問もさせていただいているけれども、そこも政治的行為をしていた。本当に規律が緩んでしまっている。

 これはニューヨークの市長だったジュリアーニさんがおっしゃっています。ブロークンウインドーズ理論といって、一つの穴があいてしまえば、あと、ほかが瓦解してしまうんですよ。強くこのことについては、しかも、このあなた方の報告書を見ますと、本人の言っているままじゃないですか。被害に遭った国会議員、そこからは聞き取りしていないじゃないですか。その人が官房に言ったこと、そのことを両論併記しているんです。

 とんでもないということを申し上げて、お二人、副大臣、帰られて結構です。もう一回、省に行って、大臣ともよく相談をしてください。

 財務省については、この後セクハラについてお話をしますので、セクハラについて答えることがあったら残っておいてください。

 防衛副大臣はお帰りになって結構です。

 さて、総務大臣の方に……(発言する者あり)

古屋委員長 防衛副大臣、御退席になって結構です。

原口委員 さて、前回に引き続いて、日本郵政の問題についてもただしておきたいというふうに思います。

 きょうは金融庁に来ていただいています。

 これは、前回、驚くべき答弁でした、トールの買収を決めたときにデューデリをまだ続行していると。そんな、デューデリを続行しながら決める買収なんかあるのか。

 金融庁に伺いたいと思いますけれども、二つですね。デューデリジェンスの重要性、このことについて、金融庁に、一般論で結構です。それから、日本郵政は金融庁の監督対象なのか。そして三番目、企業買収を行おうとする者が、自社の株価を不当に上げようとして、買収先企業のデューデリジェンスを完了しないまま買収を行うことを決定、公表し、株価が上昇した場合、これは相場操縦に該当するか。きょうはSESCも来ていただいています。

 この三点について続けて伺います。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、第一点目のデューデリジェンスに関してでございますけれども、近年、我が国の金融グループにおきましては、内外の金融機関を買収するなど、MアンドAが非常にふえておるわけでございますが、MアンドAの実施に当たりましては、各金融グループが買収先の事業の実態を十分に調査の上、財務、法務、人事、システム等のさまざまなリスク、課題を客観的に評価し、企業価値の向上に向けて適切な経営判断を行うことが重要であるというふうに考えております。

 それから、二点目、日本郵政株式会社が金融庁の監督対象かどうかという点でございますが、日本郵政株式会社につきましては、ゆうちょ銀行を子会社とする銀行持ち株会社であり、かつ、かんぽ生命保険を子会社とする保険持ち株会社でございますので、このような観点から金融庁の監督対象になるということでございます。

天谷政府参考人 お答えさせていただきます。

 三点目についてでございますけれども、一般論として申し上げますと、金融商品取引法におきましては、相場操縦行為及び相場の変動を図る目的をもって行う風説の流布、すなわち、うわさ、合理的な根拠のない風評等を不特定又は多数の者に伝達する行為でございます、また、偽計行為、他人に錯誤を生じさせる詐欺的な、不公正な策略、手段を用いること、こうした行為等は、市場の公正性、健全性を阻害し、かつ、一般の投資家に不測の損害を与える可能性が生じるということで禁止されているところでございます。

 今委員の御指摘ございましたような行為が、じゃ、今申し上げました金融商品取引法上禁止されているその不正行為に該当するかどうかという点につきましては、これは個別事例に即して判断されるということでございますので、一概に申し上げることは困難であると申し上げさせていただきたいと思います。

原口委員 続いて、SESCに伺いますけれども、ある会社の株主が、当該会社が買収する企業のデューデリジェンスが完了していないことを事前に知りながら、デューデリジェンスの重要性については先ほど金融庁からお答えがございました、また、日本郵政は金融庁の監督対象であるということが答弁でわかりました、デューデリジェンスが完了していないことを事前に知りながら、買収公表後に当該会社の株を売り抜けた場合、これはインサイダー規制等何らかの違法行為に該当するんじゃないかと私は思いますが、法令の解釈について教えてください。

天谷政府参考人 お答えいたします。

 金融商品取引法におきましては、上場会社の会社関係者は、上場会社等の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすものを知りながら、その公表前に当該上場会社の株式の売買を行うということは禁止されております。これはいわゆる、御指摘がありましたインサイダー取引規制でございます。

 御指摘にありましたような行為が実際に金融商品取引法上禁止されているインサイダー取引規制その他の不正行為に該当するかどうか、これにつきましては、重ねてでございますけれども、個別事例に即して判断されるべきものでございますので、一概に申し上げることはできないということを申し上げさせていただきます。

原口委員 今回、六千億を超える大きなMアンドAというか買収です。SESCについては、法令に従って厳正なる運用をお願いしたいと思います。

 そこで、ちょっときょうは日本郵政にも来ていただきました。

 トール社買収公表時、これは二〇一五年の二月十八日でございまして、買収が二〇一五年の五月二十八日、そして何と、それから二年もたたないうちに四千三億円もの損失を出して、損切りをするわけです。これは不思議でならない。

 買収時の、買収を決めたときのトール社のROEは幾らですか。そして、そもそもトール社というのはどういう会社ですか。いわゆる、皆さんがゆうパックとかでやっておられる、そういう会社じゃないでしょう。鉄鉱石や、そういった非常に重いものを運ぶ、資源を運ぶ、そういう会社じゃないんですか。どういう会社なのか、ROE、そして業績が急速に悪化していった理由を教えてください。いや、もうこのときに実質は赤字だったんじゃないですか。

諫山参考人 お答え申し上げます。

 日本郵便がトール社と買収実行契約を締結するに当たりましては、事前に会計、税務、法務、金融、IT等の専門家とともにデューデリジェンスを実施しているところでございます。

 また、議員から御指摘もございました契約後のデューデリジェンスでございますけれども、これにつきましては、二〇一五年二月十八日の買収実行契約締結後におきまして、実際に買収手続を完了し、また支払いを終えるまでには数カ月の期間がかかる予定であったため、この数カ月の間にトール社の業績が著しく悪化するような事象が発生しないかどうか、していないかどうかを検証するための補完的な手続として、確認的なデューデリジェンスということで実施をしたものでございます。

 買収決定直前期のROEにつきましては、公表資料にもございます、割り算をしていただければすぐ出る数字でございますけれども、一〇%をちょっと超えているところでございました。

 トール社はどういう会社かということでございますけれども、トール社は、オーストラリア、ニュージーランドを中心といたしまして、世界五十カ国以上におきましてフォワーディング、ロジスティックス等の国際総合物流事業を幅広く提供している企業でございます。小包の扱いにつきましても、オーストラリア国内では一定程度のプレゼンスを有する事業を展開しているところでございます。

 日本郵便といたしましては、トール社が今後物流の増加が見込まれるアジア・パシフィック地域で高いプレゼンスを有しているということで、同社をグローバル展開におけるプラットホーム企業と位置づけて、同社の有する知見、経験を活用し国際総合物流事業を展開していく、そういう戦略のもとで行ったところでございます。

 急激な業績の悪化の原因でございますけれども、その後、資源価格の低迷に端を発するオーストラリア経済の減速があり、また、MアンドAで成長してきたトール社でございますので、バックオフィス等の重複が多くコスト競争力が弱い、そういう同社固有の事情も景気減速期には顕在化をしたということもございまして、二〇一七年三月期におきまして、トール社の業績、買収前の営業利益に対しまして二割以下の水準まで悪化したところでございます。

 ただ、トール社の買収直前期及び直後の期でございますけれども、トール社の決算において赤字を計上したという事実はございません。

 以上でございます。

原口委員 ROEが一〇そこそこだということがわかりました。よくこんな会社を買いましたね。

 総務大臣に聞きます。

 トール社買収のため、六千億円もの多額の資金がゆうちょ銀行の自社株買いにより調達されたとの認識をしていますけれども、総務省に対して事前の相談はあったのか、そのことについて事実を確認しておきたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 トール社の買収に要した約六千二百億円の資金は、日本郵便の手元資金を使用して行ったものであり、ゆうちょ銀行の自社株買いにより調達されたものではないと承知しています。

 日本郵便による企業買収や株式取得については、同社の経営判断であり、法律上、総務大臣への事前の報告等の義務は課せられていないので、事前の相談はありませんでした。

 一方、日本郵便の平成三十年度事業計画認可の際に、国際物流業務の改善状況等に留意するとともに、引き続き、収益力の多角化、強化、経営の効率化、さらなる推進、コンプライアンス管理体制を始めとするガバナンスの強化などを着実に進めることを要請しています。

原口委員 いやいや、認可について、まあ、それはあなたのときじゃない、あなたの前の人ですね、高市さんかな、そのときだけれども、やはりこの認可については責任があるわけで、監督官庁として、それでいいかどうかというのは、これは検証されるべきだと私は考えています。

 また、そもそもこれは、与党の方もこれでいいんですかね。これは日本郵便に責任を押しつけて、日本郵政、持ち株の相談なしに買えますか、これだけのものを。

 六千二百億の手持ち資金というのは、それは何ですか。日本郵政、答えてください。

諫山参考人 お答えいたします。

 トール社の買収に要しました資金、約六千二百億円でございますけれども、先ほど御答弁がございましたように、日本郵便の手元資金を使用して行ったものでございます。

 なお、増資でございますけれども、日本郵便の経営基盤を強化するとともに、郵便、物流ネットワーク再編等の成長のための投資を実施するためにということで、日本郵政株式会社を引受先として行ったものでございまして、トール社の買収を前提として行ったものではございません。

原口委員 ちょっとよくわからない。

 ちょっと時間がございませんので、郵政のユニバーサルサービスについても指摘をしておきたいと思います。

 離島、過疎地を含めて、だからお互いに郵政民営化に反対したんですよ、金融社会権というのがあって、これは、ゆうちょ銀行、かんぽ生命に対しては法令上のユニバーサルサービスは課されていないでしょう。これだけ高齢化が進んでいて、そして、御高齢の方、あるいは過疎地に住む方、離島に住む方の決済手段、これは金融社会権ですよ。その社会権がまさに侵されようとしているじゃないですか。

 今回、私たち超党派の議員立法で交付金を使った制度も考えますけれども、しかし、そこの税をあなた方は丸々もうこれで失っているじゃないですか。私はこれは引き続き責任追及をしていくということを申し上げて、セクハラについて総務大臣に尋ねておきたいと思います。

 総務大臣、私、これは海外から来る方々にいつも言われる、日本のテレビというのはどうなっているんですかと。私たちは政治家ですから、個別の放送内容には立ち入りません。しかし、本当に恥ずかしい。弱い人たち、あるいは、特にジェンダー、そういう人たちをあからさまに辱めているような番組がいっぱいある。

 今回、財務省。財務省のこの調査についても、総務大臣は違和感を持つと四月十六日の記者会見でおっしゃっています。また、きのう、おとといですかね、セクハラについてはやはり法文化すべきだ、そういうこともおっしゃっていると聞きます。私もそうだと思います。娘二人を持っています。本当に、この子たちが、こんな、セクハラして、性的抑圧のある社会に出ていくかと思うとぞっとします。それは早く変えなきゃいかぬというふうに思っていますが、財務省の調査について違和感をお持ちになったというその違和感はどういうものだったのか。

 ここに財務省の調査がありますけれども、これは調査ですか。本当にコンプライアンスそのものがなっていないと思いますよ。私も、違和感どころか、こんなことをやっていたんじゃ行政に対する信頼は全くなくなると思っています。たったの二枚ぺらですよ、福田事務次官に対する処分について。二枚ぺらなのに、大臣が言ったことはセクハラの二次被害、三次被害でしょう。それから、世界に対して我が国がいかにこのセクシュアルハラスメントに対して後進的であるかということを示してしまった。私はその罪は非常に重いと思いますが、大臣の御所見を伺っておきたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 セクシュアルハラスメント、ハラスメントの中には、先ほど委員が御指摘になったパワーハラスメント、モラルハラスメント、そしてセクシュアルハラスメントとあるわけですけれども、代表的なものが。特にセクシュアルハラスメントの場合は、その特異性というのは、やはり被害者がほとんど女性ということです。ですから、男性社会の中にあって、余りアテンションされない。自分たちが被害を受けない分、やはりそれに対する感度が低いというのが今回あからさまに露呈されたのではないか。もう既に男女雇用機会均等法の中においてセクシュアルハラスメントはだめなんだということを言いつつ、随分時間がたっているけれども、結局、当時そういう目に、被害に遭った人からすれば、全く変わっていないじゃないかというのが今回の事案だったと思います。

 まず、財務省の調査に対して違和感を感じたのは、やはり被害者の立場というのを全く考えていなかったこと。加害者の組織の中の人たちから名乗り出よと言われることが、自分がそういうふうに言われたときにどんな気持ちになるか、そういう、委員のお言葉をかりれば、弱い方の立場に全く配慮がない。ましてや、弁護士だ、公正中立だといっても、加害者の側からあっせんしている弁護士でありますから、相当の傷を得た被害者からすると、全てが徒党を組んだように見えるのは当然のことだと思います。

 やはり私たちにとってセクシュアルハラスメント、一番大事なのは、人権侵害事案に対して被害者を保護すること、そして救済することが大前提の中で、そういう配慮に欠けたのではないか、被害者側に立った際にはそれが如実に見えてきたということであります。

原口委員 ありがとうございます。

 もう時間が来たので終わりますけれども、やはり、これは隗より始めよで、私たち、この国会の中にも、セクシュアルハラスメント、あるいは性的暴行や、あるいはパワーハラスメントというのを聞きます。だから、私たち国会議員みずからも襟を正し、そして、特にこのごろ聞くのは大学ですね、大学でのセクハラ、パワハラ、要するに閉ざされている、そういう実態について、政府、国会を挙げて一元的に調査すべきだと考えます。

 そして、もうこれで最後にしますが、ぜひ、委員長、これは前から、私、オブザーバーで参加させていただいているときから訴えておりますけれども、ぜひ、国会として、公文書の書換えについては、超党派で調査のそういうプロジェクトをつくっていただきたい、また、この委員会としても、総務省に対してそれを体系的に組織的に調査をするように命じていただきたい、このことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、野田大臣に、内閣の一員として、先ほども原口先生からお話がございましたけれども、財務省事務次官のセクハラ問題について、基本的な認識をお伺いしたいというふうに思います。

 総務省も人事院のパンフレットを配付されたということをおっしゃっておりましたけれども、セクハラというのは、個人としての尊厳を不当に傷つける社会的に許されない行為であるということは、これは厚生労働省の事業主向けパンフレットにも書いてある基本中の基本の認識だというふうに思います。これについては、野田大臣と共有できるというふうに思っております。

 もう御存じかというふうに思いますけれども、四月十九日未明にテレビ朝日が記者会見を開き、セクハラを受けたとされる記者の中にテレビ朝日の女性社員の方がいたということ、そしてセクハラの被害があったと判断したということを明らかにいたしました。そして、四月二十七日、財務省は、セクハラがあったと認め、前事務次官を処分をいたしました。

 このテレビ朝日の被害に遭った女性の社員の方は、財務省の事務次官という社会的に責任の重い立場にある人物による不適切な行為が表に出なければ、今後もセクハラ被害が黙認され続けてしまうのではないかという強い思いから、雑誌社に連絡をして取材を受け、録音の一部を提供したということでございます。

 今後もセクハラ被害が黙認され続けてしまう、それではだめだというふうに声を上げているセクハラの被害者の方が不利益を受けることがないように対応する、このことは当然のことだというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 御指摘のとおり、セクハラというのは、女性に対する、最近では男性も被害者になっている方がおられるということも承っております、人権侵害なんですね。これは、だから、絶対あってはならないということはもう明らかなことです。

 今回、私、連休中に、これを契機にさまざまな実態調査をさせていただき、また、どうして、今回の事案については何が問題だったかというのも、いろいろな角度からお話をさせていただきました。

 まず、やはり、先ほど申し上げたように、厚生労働省の男女雇用機会均等法の中に、セクハラはいけないことだというふうに規定されてありますし、公務員においては人事院の規則でそれが同様に言われていますが、今回は、そういうことがセットされているにもかかわらず、機能していなかった。

 まず第一に、テレビ朝日が、その社員が被害を受けたにもかかわらず、事業主の義務であった、その被害に対する対応を当初怠ったということ。

 そして、人事院の方は何かといえば、やはり教育が行き届いていなかった。これは、調べてみますと、若手の研修は必須みたいになっているんですけれども、むしろ、今御指摘のように、ハラスメントというのは、上位の人が下の人に対して、その力をもって、暴力であったり言葉であったり、さまざまないじめをするわけですね。ですから、本来ならば、役職が上がるほどしっかりとハラスメント教育というのは受けなければならなかったけれども、そういうところを怠っていたんじゃないか。

 あとは、雇用機会均等法は民間企業、そして人事院は公務員ということで、想定が職場内ということになっていたので、今回のような、本来ならば職場の外でも対応できるようにしてあるんだけれども、その考え方がちょっと至っていなかったんじゃないか。さまざまな、せっかく取り組んできた制度が生かされていなかったということもあります。

 ぜひとも一番最初に考えていただきたいのは、やはり、まだ男の方に、たかがセクハラと思っている方がいるんだと思います。確かに、被害を受けるのは女性ですけれども、その知識がないがゆえに、みずからが築き上げてきたキャリアを失うことになるのも、実は男性であるわけですね。

 そういった意味では、男女ともに、萎縮することなく、やはり正しいセクシュアルハラスメントへの対応というのをしっかりと学び直していただかなければ、まずはならないなということを実感しているところです。

本村委員 るる述べていただきましたけれども、セクハラの被害者の方が声を上げたことによって不利益を受けることがないようにということは、基本中の基本だというふうに思います。

 しかし、財務省のトップである麻生財務大臣が、個人の尊厳を不当に傷つける許されない行為であるセクハラの認識を、上辺だけではない認識がちゃんとあるのかということを疑わざるを得ない発言を何度も繰り返しているということでございます。被害者保護についてちゃんとわかっているのかということを本当に何度も疑問に思う発言をしております。

 例えばですけれども、被害を受けた方が女性記者であったということから、男性の番記者にかえればいいという発言をしたり、あるいは、大臣のネットワークの中で見聞きをしたということだそうですけれども、わざわざ、はめられたというような声をあえて選択して紹介をし、被害者を傷つけ、侮辱するような発言をしたり、あるいは、セクハラ罪はないということを述べて、セクハラが何か軽いものであるかのようにとられるような発言をしております。

 さらに、財務省は、セクハラがあったと認めて処分をしたわけですけれども、マニラでは、財務省は、役所に迷惑をかけた、品位を傷つけたから処分をしたということしか言わなかったわけでございます。

 本来、麻生大臣が言うべきは、セクハラがあり、被害者の尊厳を不当に傷つけ、許されない行為を行ったから処分をしたと、セクハラを防止するべきその責任がある財務省のトップとして謝罪をするというのが本来あるべき態度だというふうに私は思っております。

 やはり、麻生大臣については、個人の尊厳を不当に傷つける問題なんだ、そういう認識が欠けているのではないか、被害者の保護を第一に考えるという考えが、認識が欠けているのではないかというふうに思わざるを得ないというふうに思います。

 こういうトップの認識を正さなければ、やはり被害を受けた方が声を上げても、攻撃をされたりしてしまうんだということで諦めてしまうということになってしまうのではないかというふうに思いますけれども、このことを大変危惧しておりますけれども、野田大臣の見解を伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 一連の麻生大臣の発言については、その真意は御本人に確認していただかなければならないと思いますし、私の方でのコメントは差し控えたいと思います。

 一般論を申し上げれば、例えばこういうことが起きたときに、男の人にかえれば解決するというのは、国際社会においては性差別と捉えられて厳しく追及されることになるわけであります。国際社会の一員として日本があるとするならば、こういうことは当然あり得ないということになります。

 セクハラ罪という言葉もありました。これも多分、刑事罰についておっしゃりたかったのかもしれませんが、例えば小学校でいじめがあって、私たちは大変心を痛めているわけですね、それを解決することに私たちは党を超えて取り組んでいるわけですけれども、その際に、では、いじめ罪がない、あるという議論はないわけですね。つまり、ハラスメントは、本当に、ある意味、弱い者いじめであります。そういうことを考えたときには、そういうことをしっかり学習してきた人からすると、決して適切な表現ではないということは明らかであります。

 そして、先ほど申し上げたように、セクハラの一番大切なことは、被害者の保護であります、救済であります。なかなか言い出しにくい事柄に関して、耐えかねて、やはり思いを遂げようとしている人に対して、職場内または企業内、そして受けとめた側が、その人のその後の身分をしっかり守っていけるような最善の努力をしなければならないということは明らかであります。

本村委員 ありがとうございます。

 セクハラを根本的になくすことも、そういう麻生大臣の発言は困難にしてしまう発言であるというふうに思っております。セクハラは個人としての尊厳を不当に傷つける行為であるという認識や、被害者保護を何よりも大切にしなければならないという認識や、財務大臣は財務省職員のセクハラを防止する責任があるという認識に欠けている麻生大臣は、財務大臣、副総理の座にふさわしくないというふうに思っております。

 野党は共同して辞任を求めてまいりましたけれども、野田大臣には少なくとも、内閣の一員として、財務大臣の認識を早急に正していただきたいということを強く求めたいというふうに思います。

 次に問題を移らさせていただきますけれども、航空自衛隊の日報の問題でございます。

 私は、二〇一七年二月二十三日の衆議院予算委員会分科会で、航空自衛隊小牧基地所属のC130輸送機が、二〇一六年七月、大規模な戦闘があったと陸上自衛隊の日報にあったときに、まさにそのときに南スーダンへ向かった航空自衛隊の活動に関して、こういう質問をいたしました。「七月十一日に出発した小牧基地C130輸送機三機の現地に派遣された隊員の方が書かれたレポート、あるいは、その報告を毎日聞き取った報告、これは日々報告という名前になるかわかりませんけれども、その第一次資料を提出していただきたい」ということで、提出を求める質問をさせていただきました。

 それに対して、当時の稲田防衛大臣は、航空自衛隊のC130輸送機が南スーダンPKOのための輸送を行うに当たっては、陸上自衛隊の派遣施設隊の日報のような文書は作成しておりませんと答弁をいたしました。また、当時の辰己統合幕僚監部総務官も、航空自衛隊の活動につきましては、陸上自衛隊のような日報は作成しておりませんと答弁をいたしました。

 先日、イラク派遣にかかわった航空自衛隊の日報が、たったの三日分ですけれども、出てまいりました。そうしますと、やはり、本当に南スーダンPKOやあるいは邦人等輸送の任務で、日報やあるいは日報のような文書がつくられていなかったのかと大変疑問になるわけでございます。

 この稲田大臣と辰己統合幕僚監部総括官の答弁は真実なのかという点を確認させていただきたいと思います。

 そして、日報というのはかなり狭い概念のようでございまして、日報、あるいは、海外派遣の現地から府中の航空支援集団、そこから上部にあるいは政務三役に日々報告する報告書を本当につくっていなかったのか、確認をさせていただきたいと思います。

 副大臣にお願いいたしたい。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 まず、本村委員御指摘の、稲田大臣と当時の辰己総括官の答弁は真実なのかということでございましたけれども、もちろん真実でございます。

 御指摘の昨年二月二十三日の衆議院予算委員会第一分科会において、本村議員から、防衛省職員の方に七月十一日に出発したC130輸送機の日報を提出してほしいということをお願いしたら、日報はないとの話だったが、大臣はそれを信じることができるのかと質問をされたことに対し、当時の稲田大臣が、航空自衛隊のC130輸送機が南スーダンPKOのための輸送を行うに当たっては、陸上自衛隊の派遣施設隊の日報のような文書は作成していませんと答弁をしております。

 また、同分科会において、本村議員から、全活動がわかるものを提出いただきたいと思いますけれども、お約束していただけますでしょうかとの質問に対し、当時の辰己総括官から、「航空自衛隊の活動につきましては、陸上自衛隊のような日報を作成していません。」と答弁をしております。

 このときの答弁は、航空自衛隊が、陸上自衛隊の南スーダン派遣施設隊が作成した日報と形式や記載内容が同一のものは作成していないとの趣旨を述べたものであり、行動命令に基づき海外で活動する現地の部隊による上級部隊への定時報告を否定したものではありません。

 この輸送に際しては、防衛大臣の命令を受けて、航空支援集団司令官が発出した南スーダン国際平和協力業務の実施に関する航空支援集団行動命令のもとで、現地の航空隊長などは、航空機の運航状況、要員及び装備品等の状況などについて、電話などを含む手段により上級部隊に報告することとされ、報告された内容は、航空支援集団において、例えば派遣された航空自衛隊機の運航経路図などに取りまとめてございます。

 以上です。

本村委員 いろいろ言って隠蔽しようとしたんだなということを思うわけですけれども。

 航空自衛隊南スーダンPKOの活動に関して、部隊がかわるごとに、小牧基地所属のC130輸送機、武器弾薬を運んでおりました、その武器弾薬などを運ぶ輸送の活動と同時に、先ほど申し上げました大規模な戦闘という陸上自衛隊の日報、モーニングレポートに書かれた時期に、南スーダンで邦人等輸送の任務を行っておりました。

 この南スーダンでの邦人等輸送の任務も全部日々電話を用いて報告したんでしょうか。

小波政府参考人 お答えいたします。

 ただいま本村委員から御指摘の、南スーダンにおける在外邦人輸送については、南スーダン情勢を受け、平成二十八年七月十一日に、岸田当時の外務大臣からの依頼を受けまして、自衛隊法八十四条の四の規定に基づく在外邦人等の輸送の準備行為として、自衛隊のC130輸送機をジブチへ移動、待機させるための閣議決定がなされ、その上で、中谷当時の防衛大臣から命令を発出し、C130型機三機を小牧基地からジブチへ移動させたことは御指摘のとおりでございます。

 その上で、同年七月十四日、C130型機三機がジブチに到着後、同じく岸田当時の外務大臣からの依頼を受けまして、中谷当時の防衛大臣が、在外邦人等輸送の実施に係る命令を発出し、C130型機一機を南スーダンの首都ジュバに移動させ、在南スーダン大使館員四名をジブチに輸送したところでございます。

 ここから本題でございますが、ただいまのこの輸送に際しまして、防衛大臣の命令を受けて、航空支援集団司令官が発出した在南スーダン共和国邦人輸送等の輸送の実施に関する航空支援集団行動命令のもとで、現地の空輸隊長等は、航空機の運航状況、要員及び装備品等の状況等について、電話等を含む手段により、上級部隊、航空支援集団司令部に報告することとされておりました。

 ですから、ただいま御指摘のような命令に基づきまして、電話等の手段によりまして報告等を実施したということでございます。

本村委員 南スーダンPKOにかかわっては、先ほども申し上げましたように、航空自衛隊は武器弾薬を運んでいたわけです。この武器弾薬を運んでいたということですけれども、それも全部電話を用いた報告だったのか、それとも、その報告要領の中には、定時報告の中には、電話等が可だというふうに書いてあるとなっておりますけれども、一切文書は報告としては出ていないということでしょうか。

小波政府参考人 失礼いたします。

 ただいま本村委員から、るる武器弾薬の輸送というお話ございました。

 この南スーダンPKOに派遣された航空自衛隊の部隊は、南スーダン国際平和協力業務実施計画に基づき、日本と南スーダンのジュバとの間の航空輸送を実施いたしました。具体的には、陸上自衛隊南スーダン派遣施設隊の交代時期に合わせて、日本の空港とジュバ国際空港との間を、五年四カ月の施設部隊の活動期間中、合計十四回往復をし、陸上自衛隊が現地で活動するに当たって必要な武器弾薬等、その施設用器材等の、衛生の、輸送を行ったところでございます。

 ですから、あくまでも武器弾薬だけの輸送を行ったわけではございませんで、当然のことながら、人員の輸送を行う際に、必要な武器弾薬を輸送したところでございます。

 ただいま御指摘のございました電話等の確認手段等についてということでございますけれども、当然のことながら、電話等の確認手段によって、当然この命令に従いまして上級部隊に報告することとされておりました。

 ただ、この個々具体的な報告手段等につきましては、定時報告の際にどのようなことを行っておったかまでについては確認されておらず、当時、上級部隊への報告をどのような、実施手段について網羅的にお答えすることは困難かと存じますけれども、電話等ということでございますので、電話、それに類似するような形の手段を用いて報告を行っていたものだと考えております。

本村委員 改めて確認なんですけれども、南スーダンPKOと南スーダン邦人等輸送の任務にかかわる航空自衛隊の活動は、日々電話で報告を行っているということが基本だったようなんですけれども、どこの部署に、どのような立場の人が受けていたのか。また、その電話報告を聞きとめた文書を日々作成していなかったのか。府中の航空支援集団、そこから上部に上げるような、あるいは政務三役に上げるような、そういう文書は、私、その現地から聞き取った文書も第一次資料として出してくれと当時言っておりました。その点、確認をさせていただきたいと思います。副大臣がほとんど答えてくださると事前には聞いていたんですけれども。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 先ほど、私の答弁の後に本村委員から隠蔽ではないかという御指摘がございましたけれども、我々は決して隠蔽をしておりませんので、それはつけ加えさせていただきたいと思います。

 まず、お尋ねの件でありますが、南スーダンPKOに派遣された航空自衛隊の部隊は、南スーダン国際平和協力事業実施計画に基づき、日本と南スーダンのジュバとの間の航空輸送を実施しました。具体的には、陸上自衛隊南スーダン派遣施設隊の交代時期に合わせて、日本の空港とジュバ国際空港との間を五年四カ月の施設部隊の活動期間中合計十四回往復し、陸上自衛隊が現地で活動するに当たって必要な武器弾薬のほか、施設用資材や緊急セット等の衛生資材の輸送を行いました。

 南スーダンにおける在外邦人輸送については、南スーダン情勢を受けて、平成二十八年七月十一日に、岸田外務大臣当時からの依頼を受けて、自衛隊法第八十四条の四の規定に基づく在外邦人等の輸送の準備行為として、自衛隊のC130輸送機をジブチへ移動、待機させるための閣議決定がされ、その上で、中谷防衛大臣当時から命令を発出し、C130輸送機三機を小牧基地からジブチへ向け移動させました。

 その上で、同年七月十四日、C130機三機が……

古屋委員長 山本副大臣、簡潔に答弁をお願いします。(本村委員「聞いたことに答えてください」と呼ぶ)

山本副大臣 いや、それに今一生懸命お答えをしているんですが……(本村委員「電話を受けて、それを……」と呼ぶ)

古屋委員長 本村伸子君、もう一度質問をお願いします。

本村委員 はい。

 電話を受けますね、現地の部隊から。その現地の部隊から電話を受けて、それを書き取ったものはつくっていないのか。それを上官に上げていないのか、あるいは政務三役。シビリアンコントロールをきかせるためにもそれは大事だと思いますけれども、残しておくというのは。

山本副大臣 お答えいたします。

 これまでの探索作業の結果、現時点で、当該航空輸送における日報を含めた定時報告の存在は確認されておりません。当時、上級部隊への報告をどのような手段により実施したかについて、網羅的にお答えすることは困難であります。

本村委員 南スーダンPKOというのは、昨年五月に撤退した問題です。そして、邦人等輸送の任務は二〇一六年の話ですから、結構最近の話なんですね。それで、電話で聞いたものを、誰か御担当の方、今でもいらっしゃると思うんですよ、その方に聞いていただければわかると思うんですけれども、そういうことも調べていないんですか。

小波政府参考人 申しわけございません。

 ただいま、本村委員から御質問ございました点でございます。

 当然のことながら、電話等を受けまして、それらは適時適切に上級部隊に報告するとともに、政務三役等にも適時適切な形で報告は上がっております。それらの物事につきまして、もし先生の方で提出等の御依頼等があるようでございましたら、この点につきましては私ども検討させていただいて、補助させていただきたいと考えておりますが、先ほど来副大臣からるる申し上げておりますのは、あくまでも、南スーダンの日報に類するような、日々報告に当たるようなものは今までのところ発見できていないという趣旨でございまして、それ以外のものが御用命ということであれば、提出について検討させていただきたいと思います。

本村委員 私は、昨年の二月二十三日の予算委員会分科会でこのことを求めて、日報はつくっていないんだというあの答弁があったわけでございます。こういう防衛省の、やはりこれは隠蔽、ごまかしと言うしかないというふうに思います。

 最後に、野田大臣にもせっかくですからお伺いしたいというふうに思うんですけれども。

 こういう、るる隠蔽、改ざん、そして圧力、セクハラ、シビリアンコントロールの崩壊などなどあるわけですけれども、捏造もあるわけですけれども、やはりこういう問題が起こったときに、行政監視、行政評価、このことを見直して強化するべきだというふうに思いますけれども、大臣の御答弁、これは最後の質問ということで御通告をさせていただいたんですけれども、お願いしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 行政機関における不祥事の未然防止のためには、まずは服務規律、ルールの徹底や職員の意識向上のための研修、啓発、そして当該機関内部での監査、点検等の内部チェックや、仮に不祥事が発生した場合の原因究明などの各行政機関における自律的なプロセスの強化とともに、当該機関と異なる立場にある、例えば行政評価局などの機関が必要に応じてチェックを行うことなどの取組が重要だと考えられています。

 行政評価局としては、仮に不祥事が発生した場合において、申し上げたように、まずはその原因究明と、それを踏まえた再発防止のためのルールの徹底見直しなどの取組をしっかり注視して、必要な場合において行政評価・監視機能を発揮することとしております。御指摘の事案についても同様の立場に立っているところです。

 膨大で多様な業務を担う行政機関における不祥事の未然防止、再発防止については、まず、組織内部の自律的プロセスや必要に応じた外部チェックなどの重層的な取組によることが必要です。したがって、行政評価局の調査権限を何らか、いずれか強化することにより不祥事の未然防止が図られるものではないと私は思います。

本村委員 終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 野田大臣には、予算委員会の分科会でIoTの質問をさせていただきました。インターネット・オブ・シングスということで、パソコンにウイルスとかマルウエアとかが入っているというのはよく聞くんですけれども、パソコン以外に、防犯カメラだとか、ひどいところでは冷蔵庫だとかエアコンだとか、今インターネットにつながっている電器、家電というのは非常に多いわけでございまして、こういう電器、家電をターゲットにした、そういうウイルスというようなものが非常に今問題になっているということを質問させていただいて、総務省としては、お聞きしている範囲内では、大変対応されていらっしゃるということをわかった次第でございます。

 本日は、インターネットのソフト的な利用の側面についてお聞きをしたいと思います。

 どこの委員会に行っても、例えば文科委員会に行けばデジタル教科書、法務に行けば訴訟のIT化、そして本日では電子投票ということで、もう本当は国会もIT化ばかりなんですが、ただ、その点について質問しようとしますと、結構、省が分散化していまして、きょうも内閣府との質問で政府参考人に来ていただいているんですけれども、これは総務省で、これは内閣府でと、いろいろと分担していまして、ここまで委員会が、IT化がいろいろとなっているのであれば、IT省とか電子省とか、何かまとまったところをつくらなければいけないような時代にもなってきているのかな、そんなような気もいたしております。

 きょうの問題意識といいますのは、数日前でしょうか、高価買取りのチケットというような、高価チケットの販売ですね、著名なタレントさんが何名か来られまして、今、コンサート会場だとかでそういうライブのチケットを大量に買って、そしてそれを十倍にして売っているという、そういう人の努力を利用して利益を得ているというような、そういったようなことが行われていると。

 これはやはりインターネットがあるからこそ売ることが比較的にしやすいんじゃないかな、もし店舗だとかそんなことであれば、すぐに身元がわかってしまって、また、そんな高額なチケットを売るというのもなかなか難しいんだと思うんですけれども、自分のホームページに非常に人気のあるライブを掲げて、チケットを高く売れば、それに対して、若い子供たちは非常に関心があって、無理してでも買うというような、そんなようなことであるので、こういったようなこともやはりインターネットを利用した、悪用ではないかなと思うんです。

 もう一つは、海賊版、これは後半ちょっと聞かせていただきたいんですが、人の著作権というものを利用して、何ら努力もなく利益を得ているというような、これもやはりインターネットを利用した部分ではないかと思います。

 ですから、ハードに対するいろいろな問題点の改善というものもさることながら、インターネットが熟成していく上においては、それを利用する、悪用というようなものも非常にこれからは取り上げていかなければいけないのかなと思うんですけれども、現在における我が国のICTの利用実態数、まずはお聞きをしたいと思います。

渡辺(克)政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のインターネットの関係でございますが、我が国におけるインターネットの推計利用者数でございますが、総務省の通信利用動向調査によれば、二〇一六年において一億八十四万人ということで、一億人近い方々が利用されているというふうな状況にございます。

 この利用の、年齢別のこういった利用率というのを申し上げますと、十三歳から五十九歳までは各階層で九割を超えているという状況でございますが、特に、十三歳から十九歳までの青少年の方々、これが九八・四%ということで、これはスマートフォンの普及等にももちろんよる部分もございますが、青少年のインターネット利用が非常に広がっているというふうな状況でございます。

 また、このインターネットは、ホームページの閲覧ですとか電子メールの送受信という利用だけではなく、委員御指摘の、いろいろなビジネスで使われているのも実態でございまして、先ほどの同様の調査によれば、二〇一六年において、電子商取引、こういったものを実施している企業の割合は約四八・六%ということで、ほぼ半数が実施している状況でございます。

 こういった形で、インターネットを活用したビジネスですとか、いろいろな形で、我が国のいろいろな経済関係を含めて動いているというのが状況だろうというふうに認識をしているところでございます。

串田委員 今、十三歳から十九歳が九八%以上ということで、十九歳に区切ったというのは未成年者という趣旨なのかなと思うんですが、今、法務省の方でも十八歳成年年齢引下げ法案というものが審議されるようになりまして、そうなりますと、十八歳以上はインターネットで売買をしてももう契約を取り消すことができないというような、そんなようなこともなってきますので、ますます、インターネットによる若者に対する被害というか、そういったようなものも拡大していくのではないかなと思った次第でございます。

 次に、そういうようなネットの負の側面について、総務省としてはどういうような現状認識なのかをお聞きしたいと思います。

渡辺(克)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、インターネットは非常に便利なものであり、国民生活に不可欠なツールとして進展している状況でございますが、一方で、いわゆる負の側面の課題も幾つかあろうかというふうに思ってございます。

 総務省が行いました平成二十八年度の通信利用動向調査によりますと、インターネットの利用に関しまして、約六割の個人の方々が何らかの不安を感じているというふうな結果になってございます。

 具体的に申し上げますと、八七%程度の個人の方々が個人情報等の漏えいが、また、六七・四%の個人の方々がコンピューターウイルスへの感染、さらに、五一・六%の個人の方々が架空請求ですとかインターネットを活用した詐欺、こういったものの不安というのを感じているというふうなことでございます。

 また、特に青少年のインターネットの利用の関係で申し上げますと、暴力的な表現ですとか、アダルトサイトの青少年に有害な情報を閲覧する可能性があるほか、インターネット利用に関するトラブルというのもある状況でございます。

 例えば、SNSやネットで知り合った人に実際に会ってトラブルや犯罪に巻き込まれたという事例ですとか、無料通信アプリなどによる悪口とか仲間割れ、こういった問題ですとか、あるいは、スマホの長時間利用による生活習慣の乱れ、睡眠不足、それによる健康への影響の問題、さらには、オンラインゲームに夢中になって有料アイテムを購入し高額な請求になった、こういった幾つかの課題も挙げられる状況でございまして、これらへの対応を図ることが一つの重要な課題だろうというふうに認識しているところでございます。

串田委員 今、たくさんの方々が不安になられている。特に青少年に対するインターネットのそういったような問題というのは、やはり親御さんもすごく感じているんだと思うんですね。

 そういう意味では、自分の子供にはインターネットを利用させないというような、そんな親御さんもいらっしゃるというのを聞いているんですが、一方では、文科省においては、この前、デジタル教科書というものが審議されているというのはおわかりだと思うんですけれども、学校で要するにタブレットだとかパソコンを使わないと教科書を読むこともできないような、そんなようなことを国が根底的な部分で用意をしてくるという部分もあるわけで、なお一層若い人たちがインターネットに接する機会というのを国が率先してつくり上げていくという面も、これは否定できないんじゃないかなと思うんです。

 そういう意味からすると、いろいろなウイルスだとか、そういう架空請求というのは、これは民間人がやっていることではあるかもしれないんですが、そういったようなものに対する被害を青少年が受ける機会というのを国がつくり出していくということの側面も、やはり責任を持っていかなければいけないんではないかなと思うんですけれども、こういうネット上の負の側面に対して、総務省としてはどのような改善策をお考えでしょうか。

渡辺(克)政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、委員御指摘の、青少年が安全にインターネットを利用できる環境に向けましての幾つかの課題等において取り組んでいる状況でございます。

 まず一点目としましては、携帯電話の利用におきまして、青少年に有害な情報をブロックするためのフィルタリングの利用、これを推進しているところでございます。

 またさらに、青少年あるいは保護者の方々に対して、情報リテラシーですとか情報モラルの向上、こういったものを図るために、ICTの専門家の方が学校等に出向きまして、ネットトラブルの予防ですとか対策、こういったものに対する講義を行う、e―ネットキャラバンと言っておりますが、これを全国で開催している状況でございます。

 また、あわせまして、関係省庁や自治体とも連携して、各地域でのセミナー、イベント等の啓発活動の実施等を行いながら、ネットトラブルの予防とかフィルタリングの必要性の啓発というものを実施しているところでございます。

 また、こうした取組につきましては、総務省において、従前より、有識者や事業者、消費者団体等も構成員とした検討会におきまして具体的な対応策を議論いただいているところでございまして、そういった形で、青少年の方々が安心してインターネットを利用できるような、そういった環境づくりの構築に向けまして、関係省庁とも連携しつつ、推進していきたいというふうに思ってございます。

串田委員 今のような対策を充実させていただきたいなと思います。

 今、未成年者という表現がありました。

 未成年者に対して有害なものを見せないというブロッキングとか、そういったのはあるんですけれども、今回、成人年齢が十八歳化ということになりますと、高校生の中で成人になった者となっていない者とがあらわれたりして、そうなると、十八歳になったときにブロッキングというのはどうなっていくのかとか、そういう意味で、高校を卒業するまでは成人にはしないというような、そんなような意見もあったかとは思うんですけれども、基本的には十八歳で成人するというような形の法案がこれから審議されていくんだと思うので、そこら辺の部分、今後、未成年者という表現がどういうふうになっていくのか、十八歳という言い方なのがどういうふうな形になっていくのかというのも検討していただくしかないのかなと思います。

 次に、セキュリティーに関して、ハードの面、ちょっと取り上げたいと思うんですが、総務省としては、今、どんな現状でセキュリティー対策を行っていらっしゃるんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在、サイバー攻撃は、引き続き急速に複雑、巧妙化をしてきているところでございますけれども、先ほど委員も御指摘のとおり、近年は特に、IoT機器の普及に伴いまして、IoT機器を狙ったサイバー攻撃が急増してございます。こうした状況の中で、我が国の社会経済活動の阻害要因となり得ることから、早急に対策を講じていく必要があるというふうに考えております。

 このため、総務省におきましては、昨年の十月に、IoTセキュリティ総合対策を策定、公表したところでございます。この中では、IoT機器の脆弱性対策に係る体制の整備、研究開発の推進、民間企業等におけるセキュリティー対策の促進、人材育成の強化、国際連携の推進という五項目に基づきまして、さまざまなセキュリティー対策を進めておりまして、平成三十年度につきましても、必要な予算を計上し、対策を推進していくこととしております。

 また、国立研究開発法人情報通信研究機構の業務に、パスワード設定に不備のあるIoT機器の調査等を追加する法案を今通常国会に提出をし、本委員会でも御審議をいただいたところでございます。

 サイバー空間における脅威がますます深刻化する中、総務省といたしましては、関係府省とも連携をしながら、必要なサイバーセキュリティー政策を積極的に推進してまいりたいと考えてございます。

串田委員 分科会でも大臣と質疑をさせていただいているときにも、IoTに対する対策というのはすごく大変だというのは私もすごく実感したわけでございます。

 パソコンですとウイルスチェックというソフトがたくさん出回っているんですが、今やIoTというのが、要するに、家電製品、極端な話は、冷蔵庫だとかエアコンだとか、インターネットにつなげると、外から帰る前にエアコンがつくとかいろいろな、冷蔵庫の温度を変えられるとか、非常に便利ではあるんですけれども、インターネットに接続することによってその家電に対するサイバー攻撃が行われていくというのが今一番問題になっている。

 ところが、家電に対してはウイルスチェックのソフトというのを見たことがないし、どうやってインストールしているのかというのもわからないわけで、非常に巧みな形の中でサイバー攻撃が行われてきたときに家電をどうやって守るのかというのは、極めて難しい部分があるかと思うんです。

 先ほど人材というようなお話がありましたが、総務省として、その人材育成に関してはどんなようなことを考えていらっしゃるんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、サイバーセキュリティーの分野における人材育成は、極めて重要かつ喫緊の課題だというふうに認識をしております。

 二〇一五年に策定されましたサイバーセキュリティ戦略におきましても、現在、二十六・五万人のセキュリティー人材がおりますけれども、うち十六万人は、残念ながら、一定の水準まで達していない。プラス、これに加えまして、八万人、絶対数が不足しているというふうに言われているところでございます。

 こうした現状に鑑みながら、総務省におきましては、これまで、行政機関や民間企業等に対するサイバー攻撃への対処方法を体験する実践的なサイバー防御演習の取組を行ってきております。

 昨年、平成二十九年四月には、先ほど申し上げました情報通信研究機構、NICTにナショナルサイバートレーニングセンターを組織をいたしまして、セキュリティー人材の育成の取組のさらなる強化を図っているところでございます。

 具体的には、国の行政機関、地方公共団体、重要インフラ事業者等に対する実践的なサイバー防御演習であるCYDER、また、二〇二〇年の東京大会に向けたセキュリティー人材の育成を行いますサイバーコロッセオという実践的な演習、加えて、二十五歳以下の若手のICT人材を対象とした若手セキュリティーイノベーターの育成を行いますSecHack365、こうした事業に取り組んでいるところでございます。

 総務省では、こうした取組を平成三十年度以降も引き続き実施をいたしまして、内閣サイバーセキュリティセンターを始め、関係府省と連携しつつ、政府一丸となって、我が国のセキュリティー人材の育成に努めてまいりたいと考えているところでございます。

串田委員 本当に、イタチと追っかけごっこみたいな感じになってしまうんだと思うんですけれども、このセキュリティー対策に関して、総務省としては、大臣としては、将来像としてどんなようなことをお考えでしょうか。

野田国務大臣 串田委員にお答えします。

 今議論の中でありましたように、社会全体のICT化が進展し、それはそれで喜ばしいことかもしれませんが、利便性とともに、やはりサイバーセキュリティーの強化がますます重要になっております。

 特に、日本は二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控えていて、これは過去もそうですけれども、その年のその地方、都市というのは必ず通常よりも多いサイバー攻撃に遭うという実例をずっと承ってきたところなので、そういった意味で、まさにそれを控えている日本は、どの国よりもサイバーセキュリティーの確保というのが喫緊の課題になってきます。

 特に、局長からお話があったと思いますが、IoT機器というのは、とにかく急速に普及している。これは消費者にとって大変手軽に購入できますし、そしてまたもう一つは、IoTだと意識せずに、先ほどお話があった冷蔵庫、家電なんというのは、購入するときに、これはIoTだと思って買っている人が少なかったりするわけです、無意識で買ってしまっている方がおられて、これは本当に対策が極めて重要だと考えていて、システム全体を俯瞰した総合的な対策を講じていく必要があると思います。

 総務省では、IoTセキュリティ総合対策に基づいて、IoT機器のセキュリティー対策、そして、そのための人材育成に加え、民間企業等への対策の促進、研究開発、国際連携など、総合的にセキュリティー対策の取組を進めています。実は、これは日本が非常に先駆けて取り組んでいることで、非常に誇りに思っているところであります。

 総務省としては、安全、安心なICT社会の実現に向けて、便利な社会をつくるために、その便利だけを追求するのではなくて、やはり、その裏腹にある安全性、セキュリティーをしっかり確保していくということを全力を挙げて取り組んでいきたいと思っています。

串田委員 ありがとうございます。

 きょうは、朝、ニュースで宇宙線ということも報道されていました。宇宙線の線というのはラインということなんですけれども、宇宙からそういうラインがずっと放射されていて、それが半導体に当たるということで、ソフトエラーという表現をされているらしいんですが、二〇〇八年、オーストラリアの飛行機が急降下したというようなのも、半導体に宇宙線が当たってソフトエラーを起こしたということらしいんです。

 これに対して、研究所が千個の半導体を一カ月置いて、放射線、宇宙線がどれだけ被害を与えるか、そういう実験をしましたところ、十一個の半導体がソフトエラーを起こしたということだそうでございます。

 昨日はロシアの軍事パレードというのがありまして、そこに無人兵器がいろいろと発表されたわけでございますし、今、ドローンだとかが物を運搬するというようなこともこれからどんどんどんどん開発される中で、ウイルスとかではなくて、宇宙線が半導体を攻撃して何らかの誤作動を起こしていくということも今後は考えていかなきゃいけないと思いますので、ぜひそういう、これが総務省でやることかどうかはちょっとわかりませんけれども、ウイルスだけではなくて、そういう意味では、自然的な宇宙線というものの影響を受けるということも、これからちょっと研究していただくということが必要かなと思います。

 次に、海賊版について、いろいろ世間を騒がせ、また注目を浴びたこともあると思いますので、今回の緊急対策に関してどのようなことを行ったのかという現状認識について、御説明をいただきたいと思います。

住田政府参考人 先般、先月でございますけれども、知財本部・犯罪対策閣僚会議におきまして、インターネット上の海賊版サイトに関する緊急対策を決定したところでございます。

 この対策におきましては、まず、運営者の特定が困難で、侵害コンテンツの削除要請すらできないような、こういう悪質な海賊版サイトが登場してきて、被害も拡大してきたということを踏まえまして、こういった特に悪質な海賊版サイトのブロッキングに関する考え方の整理をいたしました。

 その上で、当面の対応といたしまして、法制度整備が行われるまでの間の臨時的かつ緊急的な措置といたしまして、民間の事業者による自主的な取組として、三つのサイト及びこれと同一とみなされるサイトに限定してブロッキングを行うことが適当と考えられるという考え方を整理するなど行ったものでございます。

 その後、この三つのサイトにつきましては、現時点で閲覧あるいは侵害コンテンツの再生ができない状況になっているというふうに承知をしておるところでございます。

串田委員 総務省の方でもポルノのサイトに対してブロッキングが行われたというようなことを聞いているんですけれども、そのときはどういうような整理の仕方をしたのでしょうか。

渡辺(克)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の児童ポルノのブロッキングでございますが、これは、インターネット上で児童ポルノが流通し、児童の権利が著しく侵害されている状況に対応するための対策として実施されてきたものでございます。

 具体的には、平成二十二年の犯罪対策閣僚会議におきまして、インターネット利用者の通信の秘密や表現の自由に不当な影響を及ぼさない運用に配慮しつつ、ISP等の関連事業者が自主的に実施することが可能となるよう対策を講じるということとされたことを受けまして、民間事業者が自主的な取組として実施しているものでございます。

 なお、ブロッキングは、通信の秘密を形式的には侵害する行為でございますが、児童の権利に対する著しい侵害が現に発生しており、他の方法では十分な保護ができない状況においては、刑法第三十七条の緊急避難の要件を満たし、その違法性が阻却されるものと考えられるというふうな整理をされているところでございます。

串田委員 児童ポルノのときには緊急避難という違法性阻却事由ということだったようなんですけれども、今回の緊急対策の考え方はこれと同一なんでしょうか。それとも違いがあるんでしょうか。

住田政府参考人 今回の緊急対策におきましても、先ほど御説明のございました児童ポルノのブロッキングにおける考え方を踏まえまして、仮にISP事業者のブロッキング行為が通信の秘密の侵害に当たるといたしましても、刑法第三十七条の緊急避難の要件を満たすという場合には違法性が阻却されるものと考えられるというふうに整理をしたものでございます。

串田委員 民間の、民民の中での緊急避難という形なんだと思うんですが、今後、その法整備というような話も聞いております。これになると非常に難しい話になるかとは思うんですけれども、今後の進め方について、最後にお聞きしたいと思います。

住田政府参考人 今回の緊急対策は、あくまで法制度整備が行われるまでの臨時的かつ緊急的対応というものでございます。したがいまして、今後、必要な法制度整備を実施するということを、検討をこれからしていくということでございます。

 先般の閣僚会議あるいは知財本部の合同会合におきましても、臨時的、緊急的対応としての措置についての考え方を整理するとともに、関連の法制度整備についても速やかに検討を進めるということを確認をしております。

 法制度整備の検討に当たりましては、通信の秘密など関係の論点を含めて検討を行いまして、関係者の理解を得つつ、十分な議論を踏まえて、関係省庁とともに検討してまいりたいというふうに考えております。

串田委員 通信の秘密ともかかわりますので、丁寧な検討をしながら進めていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は一般質疑ということで、総務省も内閣府と共管をする情報連携に関して質問させていただきたいと思います。

 実は、昨年の四月と六月に、この委員会におきまして、医療保険でのマイナンバー利用について質問させていただきました。その後どうなったのかということも含めて、まず何点かお聞きしたいというふうに思います。

 昨年質問した時点で、医療保険の情報連携に必要な中間サーバーの運営費、昨年七月からことし三月にかけての九カ月で約七十五億円という答弁がございました。自治体の中間サーバーの運営費と比べると大変高額なものでありまして、医療保険者からも批判の声がかなり上がっていたと記憶をしております。

 この運営費、最終的には保険加入者とその家族が月額でおよそ九・八七円負担するということになり、その根拠についても質問いたしましたが、納得できるようなものではございませんでした。

 また、運営費を引き下げることはできないのか、そして、情報連携の本格稼働前に厚労省の方ではその旨交渉しているというようなことも答弁されております。

 そこで、伺いますけれども、本格稼働前、システム運営費は幾らということで決着をしたのでしょうか。

    〔委員長退席、原田(憲)委員長代理着席〕

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 医療保険者の中間サーバーシステムに係る平成二十九年度分の運営経費につきましては、運用条件の詳細が固まる前の二十九年一月段階では、先生から御指摘ございましたように、加入者一人当たり九・八七円としておりましたが、最終的には加入者一人当たり六・六四円という形で決着いたしました。

 こうした運営経費の削減につきましては、運用、保守事業者との交渉を行いまして、システム運用時間を短縮するとか、あるいは、この運用時間短縮に伴いまして保守対応の時間も短くするとか、あるいは、この保守体制の縮小に伴いまして拠点を集約化する、こうした見直しを行うことによって引き下げたものでございます。

吉川(元)委員 九・八七円から六・六四円、年間で恐らく六十四億円程度になるというふうに思います。約三分の二に下がった、いろいろ見直しを行った結果、ここまで引き下げたということですけれども、そうなりますと、当初の見積額というのは一体何だったのかと言わざるを得ません。

 そこで、ちょっと質問の順番を変えますけれども、再引下げについても検討をされているというような報道がされております。たしか二月だったと思いますけれども、六・六四円から更に引き下げて、五・八六円に再引下げをする案が示されたというようなことも報じられておりますが、これは実際のところどうなっているんでしょうか。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 三十年度の運営経費につきましては、最終的に、四月から六月までは月額六・〇九円、七月以降につきましては月額五・八六円という形で決着しております。

 これは、昨年七月以降システムが稼働いたしましたが、一定期間が経過しまして、定常的な運用へ移行しました。こうしたこともございましたし、さらに、その後の保守、運用業務を見きわめまして、日中の保守体制を縮小する、あるいは、職員の業務成熟度が上がりましたので、職員体制も縮小する、それからサービスデスクの効率化を図る、こうした見直しを行うことで実現した次第でございます。

 なお、本年七月から更に単価が引き下がりますけれども、これは、共済組合が新たに共同利用ということで一緒に参加することになりまして、その費用負担を共済組合が行っていただくことに伴って下がるものでございます。

    〔原田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

吉川(元)委員 こうやってだんだんだんだん下がっていくわけですよ、大臣。

 私、下げることが悪いことだとは言いません。これは、先ほど言いましたとおり、最終的には国民の皆さんの負担になっていくわけですから、下げることについて問題があるというふうには言いませんけれども、だとするならば、最初のその九・八七円というのは一体どういう積算根拠でこの金額をはじき出したのか。

 逆に言いますと、私、非常に疑いの目を持つのは、結局ITの関連の会社がやられるんだと思いますけれども、その言い値で、十分な積算をせずに言い値で最初契約を結んだのではないか。その後たくさんの批判が出た結果として、いろいろやってみたらここまで引き下げられたということになるとすると、一番最初のその積算の根拠が余りにも希薄だったのではないかというふうに思うんですが、その点いかがですか。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 一番最初にスタートするときの九・八七円につきましては、もちろんシステムが稼働するという最初の年ですので高くなるということがございましたし、それからもう一つ申し上げますと、この九・八七円という数字は、実際に各健保組合が予算編成をするためにあらかじめ通知することが必要ですので、お示しした数字でございます。

 その設定に当たりましては、当然のことながら事業者から見積りをいただきましたが、我々としましては、保険者からの利用料が、実際の契約額がそれよりも高くなってしまって払えなくなるということがないように、一定の安全を見込んで設定した次第でございます。

 その後、実際の契約に向けて、保険者の負担を極力引き下げるという観点から運用、保守事業者と交渉を行いまして、昨年度の数字につきましては六・六四円というふうにさせていただいた次第でございます。

 三十年度の数字が更に下がった理由は、先ほど申し上げましたように、実際、定常運用という形で普通の運用に切りかわっていったということと、職員自身もだんだん作業になれてきた、こういうことが背景にあると考えております。

吉川(元)委員 いやいや、そういうことは最初からわかるでしょう、それは。だんだんなれてくるというのは、別に、ことしになって初めて実は仕事になれてくれるんだという話ではなくて、それは、稼働前からそういう熟練といいますか練度が上がっていくというのは、当然想定すべきことなんじゃないか。

 ですから、一番最初の事業者から出てきた見積りについて、その査定が余りに私はずさんだったんだと。これは、先ほどから何度も言っておりますけれども、国民が負担をする、最終的には負担をする金額であります。それの積算根拠が余りにも曖昧であれば、これは信頼が揺らぎかねない、そういう事態だということをまず指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 それで、昨年の四月と六月にも質問させていただきましたが、当時、医療保険で本格的な情報連携が始まる直前の時期でした。ただ、結果的には、情報連携の開始、昨年七月から十一月に延期をされています。ずれ込んだ理由を教えてください。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバー制度の情報連携につきましては、国、地方公共団体等との間の情報提供ネットワークシステムの稼働を平成二十九年七月から開始できるよう準備を進めてきたところでございます。

 そして、情報連携の開始とともに、できれば添付書類を削減したいというふうに考えているところでございますが、実際に添付書類の省略を開始するに当たっては、自治体の窓口職員の事務の習熟等、情報提供ネットワークシステムの運用の準備を十分に行う方がむしろ窓口の混乱を来さないということで、平成二十九年七月から三カ月程度は情報連携の試行運用期間といたしまして、試行運用期間中におきましては、申請者等には従来と同様、書類提出をいただきながら、情報提供ネットワークシステムによる情報連携の処理を並行して実施し、窓口運用やシステム処理の確認等を行うこととしたものでございます。

 その結果を踏まえまして、平成二十九年十一月十三日より、添付書類の省略を開始する情報連携の本格運用を開始することとしたものでございます。

吉川(元)委員 関連してもう一点尋ねますが、十一月になったということでありますけれども、自治体が保有する税情報をオンラインで照会するサービスについてはいまだ利用できない状態で、システムの改修がことし七月までかかるというふうな報道もされております。なぜ税情報の連携がおくれているんでしょうか。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバーによる医療保険者と自治体との情報連携につきましては、地方税関係情報のうち、先生御指摘のように、一部の情報、具体的には株式の譲渡所得、あるいは各種繰越控除についての情報につきまして、現在、医療保険者側に提供されていない状態でございます。

 これは、情報連携の対象となりますデータ項目を整理しましたデータ標準レイアウトというものがございまして、これが、地方税関係の一部の部分が医療保険者側に提供される項目となっていなかったために生じた事態でございます。

 こうした項目につきましてはデータ標準レイアウトに追加する措置を既に講じておりまして、本年七月からは情報連携が可能となると考えております。

吉川(元)委員 再び運営費に戻りますが、昨年七月予定、紙をもう全部なくしてしまうという予定にしていた七月から、それが結局できるようになったのは十一月、また、税情報に関してはことしの七月からようやく稼働するというお話でありましたけれども、システムのこの運営費についてはいつから支払いが始まっておりますか。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 医療保険者等の中間サーバーシステムの利用料につきましては、保険者に御負担いただくことになっておりますけれども、この支払いは平成二十九年七月十八日分から御負担いただいているところでございます。

吉川(元)委員 ちょっと一般的な、私自身が持つ常識なのか世間一般の常識なのかわかりませんが、いわゆる鳴り物入りで入ってきて、こういうことができますよということが実際にはできていない、まだできない。いわゆる情報連携をしながら、同時に、紙媒体の情報も持ってきてくださいと。恐らくそれは、実際にその現場で正しく表示をされているのか、紙と見比べながら現場ではやるわけですよね。これは物すごく負担をかけているということにはなりませんか。そういう自覚はおありですか。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年七月から十一月までの間、試行実施という形でさせていただきましたが、この試行運用期間というのは、まさに各保険者がこのシステムを使いながら、実際これを習熟していただく、それからもう一つ、これが正しく行われているかどうかを検証していただく、こういうふうに位置づけておりました。

 したがいまして、当然、紙媒体も国民の方に出していただくということは必要ですけれども、それを見ながらちゃんとやられているかどうかをしっかり確認していただくということを目的として行っていたものでございまして、ある意味、保険者の方々にとっても必要な作業であったというふうに考えておりまして、その部分につきましても御負担をお願いした次第でございます。

吉川(元)委員 いや、何かまるで利用者側が習熟してもらうために試行期間を設けたというような言い方ですけれども、だけれども、そうじゃないでしょう。このシステムをつくって、これが本当に正しく動くのかどうなのか、動いているのかどうなのか、その確認をする側面の方が強いんじゃないんですか。

 だとすれば、その期間、つまりお試し期間なわけですよね、お試し期間で実際にうまく動くかどうかもぜひ確認してくださいと利用者側にお願いをしているその立場の人間が運営費を取るというのは、普通の社会では、逆であればまだ理解できますけれども、普通はこれは運営費は取れないんじゃないか。それをなぜ、まだ本格稼働、言うとおりのスペックで言われるとおりのことができないにもかかわらず、利用料は、運営費は正規の運営費を取るというのは、これは明らかにおかしいと思いますけれども、その点、どのようにお考えですか。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 この情報連携システムというのは、医療保険者にとりましても事務の効率化につながるという観点からつくられているものでございまして、その運営自身は、医療保険者が共同して実施するという仕組みでございます。したがいまして、もともと、御負担いただくというか、その費用につきましては医療保険者の側で御負担いただくというのが基本的な考え方でございます。

 それに対しまして、国の方としても、立ち上げの開発費用とかそういうところにつきましては国としても支援をしようということで、二十九年の六月までの部分について補助をしてきた、こういうことでございます。

吉川(元)委員 いや、今回のシステムをつくるというのは、別に、いわゆる保険者側が、ぜひつくってください、情報連携でこれをぜひつくってくださいというような、そういう声が上がった結果としてできたのではなくて、国主導でつくってきたシステムなんじゃないんですか。

 まるで保険者が、ぜひやってほしい、そのためにはうちは運営費については負担をいたしますからやってくださいという話ででき上がったシステムじゃないと思いますよ。どちらかというと、保険者は、今までどおりで十分だ、紙媒体でやる方が効率的だ、そういう声も実際に上がっているというふうに聞いております。

 そこで、ちょっと関連してお聞きいたしますけれども、これは鳴り物入りでスタートしたわけですけれども、本当に利便性が高いのかどうなのか。例えば、会社をやめて市町村の国民健康保険に改めて加入をする場合、勤務していた会社の健保組合などの証明書類がこれまでは必要だった。だけれども、マイナンバーを使えばこの書類は不要になりますというようなことで入っているわけです。

 ところが、実際にそのシステムを呼び出そうとしても五分程度待たされる、実際には。画面を見て、呼び出しても、五分ぐらいじっと待ってなきゃいけない、そういうことが実際に起こっているというようなこともありますけれども、これは事実なんでしょうか。また、もともと想定されていたことなんでしょうか。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 この情報連携のシステムにつきましては、全国に千七百ある保険者が一つの中間サーバーを共同して運営しております。これはまさに、セキュリティーへの対応を効率的にやろうということもありますし、実際コストをそれぞれの保険者が運用するよりもまとめた方が安くできるということから、こういう仕組みを採用しております。

 その結果といたしまして、このシステム上、処理が集中してしまってシステム負荷が高くなってしまってはまずいので、情報の提供の求めを受けたときに、それらのお応えにつきましては、即時に実行する方式ではなくて、複数段階による処理方式を採用しております。その結果として、五分というケースもあるかもしれませんが、一定の時間がかかるということだと承知しております。

 ただ、先生の御指摘のように、書類を提出すれば待ち時間が要らなくなるからこのシステムはどうなんだという御指摘でございますけれども、今回、情報連携が可能となることによりまして、国民お一人お一人の方にとってみると、添付書類を取得しなきゃいけない、とりに行くとかいう作業が不要になります。それからまた、保険者側にも書類を発行する手間が省けるということがございます。

 確かに待ち時間の議論はあるかもしれませんけれども、全体からしてみると国民の負担の軽減になるというふうに考えております。

吉川(元)委員 例えば、退職時期、三月三十一日で退職をして、四月一日から国民健康保険に入るという方はたくさんいらっしゃると思います。いっときに大量の方が来られる場合があります。例えば、列を見ていたら十人待っていた、一人五分かかる、それだけで五十分待たなきゃいけないんです。紙の場合であればそんなことはないわけです。これが利便性が上がっているとはとても私は言えないと思いますし、逆に、こういう事例があるというふうにも聞いております。

 例えば三月三十一日に会社を定年退職をして、国民健康保険、病気やけがはいつ起こるかわかりませんから、すぐ四月一日に国保の手続に行ったところ、やめた会社の側がまだ手続が終わっていなかった。そうすると、当然データの呼出しもできませんし、結局、役所に行ったけれども、国保には入れない、また別の日に来てください、こういうことが実際に起こっているというふうにも聞きますが、これは事実ですか。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生が御指摘いただきましたように、会社をやめて、いわゆる被用者保険をやめて国民健康保険に移る際におきましては、どうしても、健保の保険者は退職した事実を知るには事業主経由で一回届出を出していただかなきゃいけないので、タイムラグが生じます。いわゆるシステムに登録するまでの間に一定の期間が発生してしまいます。したがいまして、例えば、やめた次の日に国民健康保険の手続に市役所に行ってもシステム上反映されていないというケースがございます。

 したがいまして、こうした健康保険の資格を喪失して国保に加入する場合につきましては、やはり健保の資格喪失の証明書をとっていただくということが一般的だと考えております。

吉川(元)委員 語るに落ちたといいますか、結局紙の方が便利じゃないですか、今の説明だと。紙をとらなきゃいけないということじゃないですか。

 最後に一点だけ、ちょっと時間が来ましたけれども、一点だけ確認させてください。

 情報連携、全体で千八百七十二項目の事務手続が対象になる。今、八百五十三項目が稼働しております。現在、どの程度、情報の照会、提供件数があるのか、この点、質問いたします。

向井政府参考人 お答えいたします。

 情報連携を行うための情報提供ネットワークシステムを活用した情報照会、提供業務の処理件数につきましては、昨年の七月のシステム稼働以降、約百五十八万件となっているところでございます。

吉川(元)委員 九カ月で百五十万件強、年間通すと二百万件。

 政府は何というふうにこれを説明していたか。一億件の処理ができるというふうに言っていたんです。確かに、まだ稼働しているのは四六%程度ですから、そのとおりにはならなかったとしても、少なくとも一年で四千万件ぐらいはできていないとおかしい。ところが、実際には二百万件しかできていない。膨大なお金を使って国費、それから保険者に、あるいは国民に負担を求めながら、先ほども言ったとおり結局紙を持ってきてくれという話ですし、利用件数も全く伸びていない。私は、これは究極の無駄遣いだということを言わざるを得ないというふうに思います。

 時間が参りましたので、この問題については引き続き注視しながら質問していきたいと思います。

 終わります。

     ――――◇―――――

古屋委員長 次に、内閣提出、統計法及び独立行政法人統計センター法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。野田総務大臣。

    ―――――――――――――

 統計法及び独立行政法人統計センター法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

野田国務大臣 統計法及び独立行政法人統計センター法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国の経済社会構造が急速に変化する中、限られた資源を有効に活用し、国民により信頼される行政を展開するためには、統計改革推進会議最終取りまとめ等に基づき、EBPMと統計の改革を車の両輪として一体的に推進することが必要であります。

 この法律案は、統計の改革として、公的統計の効率的な作成及び調査票情報の活用を図るため、事業所母集団データベースに記録されている情報を利用できる調査の範囲等の拡大、調査票情報の提供対象の拡大、統計委員会の機能強化、独立行政法人統計センターの業務の追加等の措置を講じようとするものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、統計法の一部改正に関する事項であります。

 まず、行政機関等は、基本理念にのっとり、公的統計を作成する責務を有することとし、また、公的統計が合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であることに関して国民の理解を深め、公的統計の作成に関して関係者等の協力を得るよう努めなければならないものとするとともに、基幹統計を作成する行政機関の長から必要な資料の提供等の協力を求められた関係者等は、その求めに応じるよう努めなければならないこととしております。

 次に、総務大臣が整備している事業所母集団データベースに記録されている情報を利用できる範囲について、公的統計の全ての作成主体が行う事業所に関する統計を作成するための調査に拡大することとしております。

 また、調査票情報の提供対象について、情報保護を徹底しつつ、学術研究の発展に資する統計の作成等を行う者等に拡大するとともに、提供した調査票情報を用いて作成された統計等の公表に関する規定を整備することとしております。

 さらに、統計委員会の所掌事務に、統計及び統計制度の発達及び改善に関する基本的事項の調査審議、公的統計基本計画の実施状況に関する勧告等を追加するとともに、統計委員会に幹事を置くこととしております。

 第二は、独立行政法人統計センター法の一部改正に関する事項であります。

 統計センターの業務に、国の行政機関又は地方公共団体の委託を受けて、統計調査を実施すること等を追加することとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしておりますが、統計委員会の所掌事務に係る改正規定等は公布の日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十一分散会


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