衆議院

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第13号 平成30年6月5日(火曜日)

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平成三十年六月五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 井上 信治君 理事 池田 道孝君

   理事 橘 慶一郎君 理事 原田 憲治君

   理事 務台 俊介君 理事 武内 則男君

   理事 奥野総一郎君 理事 高木 陽介君

      井林 辰憲君    小倉 將信君

      大西 英男君    金子万寿夫君

      川崎 二郎君    菅家 一郎君

      木村 次郎君    小林 史明君

      左藤  章君    佐藤 明男君

      谷  公一君    冨樫 博之君

      鳩山 二郎君    穂坂  泰君

      三浦  靖君    宗清 皇一君

      山口 俊一君    山口 泰明君

      岡島 一正君    高井 崇志君

      長尾 秀樹君    山花 郁夫君

      斉木 武志君    緑川 貴士君

      太田 昌孝君    本村 伸子君

      丸山 穂高君    吉川  元君

      井上 一徳君    小川 淳也君

    …………………………………

   総務大臣         野田 聖子君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   法務副大臣        葉梨 康弘君

   防衛副大臣       山本ともひろ君

   総務大臣政務官      小倉 將信君

   総務大臣政務官      小林 史明君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 鎌田 光明君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 川合 靖洋君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (文部科学省大臣官房審議官)           信濃 正範君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君

   政府参考人

   (内閣府民間資金等活用事業推進室室長)      石崎 和志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           宮地  毅君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        池田 憲治君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山崎 重孝君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          佐々木 浩君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       巻口 英司君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   谷脇 康彦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 山内 由光君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官)    塩見みづ枝君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       坂根 工博君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           眞鍋  純君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       清瀬 和彦君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 田中  聡君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          衣川 和秀君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          谷垣 邦夫君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十一日

 辞任         補欠選任

  左藤  章君     坂本 哲志君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本 哲志君     左藤  章君

六月五日

 辞任         補欠選任

  原口 一博君     斉木 武志君

同日

 辞任         補欠選任

  斉木 武志君     原口 一博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社専務執行役衣川和秀君及び日本郵政株式会社常務執行役谷垣邦夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長鎌田光明君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長川合靖洋君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長・文部科学省大臣官房審議官信濃正範君、内閣府大臣官房審議官田中愛智朗君、内閣府民間資金等活用事業推進室室長石崎和志君、総務省大臣官房総括審議官宮地毅君、大臣官房地域力創造審議官池田憲治君、自治行政局長山崎重孝君、自治行政局公務員部長佐々木浩君、自治行政局選挙部長大泉淳一君、自治財政局長黒田武一郎君、情報流通行政局郵政行政部長巻口英司君、政策統括官谷脇康彦君、法務省大臣官房審議官山内由光君、文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官塩見みづ枝君、厚生労働省職業安定局雇用開発部長坂根工博君、国土交通省大臣官房審議官眞鍋純君、国土交通省水管理・国土保全局次長清瀬和彦君及び防衛省地方協力局次長田中聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鳩山二郎君。

鳩山委員 皆様、おはようございます。自由民主党の鳩山二郎でございます。

 本日は、三十分という質問の貴重な機会をいただきまして、改めて感謝申し上げます。

 私は、わずか三年ほどでありますけれども、大川市の市長をさせていただいたその経験に沿って、きょうは、基礎自治体に対する質問を中心に質問をさせていただきます。

 それでは、早速質問に入らせていただきますが、まずは、合併特例債について御質問をさせていただきます。

 合併特例債は、かつて平成の大合併を推し進めるために進められてきたわけでありますが、その主な主眼は、やはり行政の効率化であり、スリム化が主な主眼だったわけであります。そして、そのインセンティブとして、いわゆる新しく合併をしても交付税の総額は減らしませんよというお約束をされて、さらには、新たにできた自治体が新しい負債を起こすときには国が七割を負担をするという、まさにそれが合併特例債でありますが、ありきたりの質問で申しわけありませんが、一応お聞きをしたいわけでありますが、この合併特例債の本来の目的とは何であったのか、御答弁をお願いいたします。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 合併特例債は、合併した市町村が、合併後の一体性の速やかな確立や均衡ある発展ということをなし遂げるために、合併前に市町村同士で市町村建設計画というものを決めまして、これに基づきまして公共的施設を整備する、そういう事業に充てるものでございます。

 そういった意味で、財源措置をすることによって新たな合併市町村のまちづくりをやっていくということでございまして、地域住民の生活にとって必要な社会基盤の整備に多く活用されているというふうに認識しております。

鳩山委員 御答弁ありがとうございます。

 それで、当初、この合併特例債は十年間という期限付だった、期限が区切られていたわけでありますが、それが、十五年、二十年と延長をされております。もちろん、考えてみたらこれは当たり前のことなんですが、やはり、離島を抱えている自治体や中山間地域、とりわけ限界集落を抱えている基礎自治体は行政を効率化すること自体が大変困難であると私自身も聞き及んでおりますし、さらに言えば、そういった離島や限界集落でなくても、急激に行政のスリム化を進めると、これは郡部が中心なんでしょうが、やはり地域力そのものが失われてしまう、地域が喪失しかねないという問題があるわけですから、当然このスリム化というのは時間をかけるべきであって、やはり延長というのは当然すべきだ、私自身そう思っておりますが。

 ここで私があえてお話をしたいのは、いわゆるインセンティブを設けて平成の大合併で合併してください、そういう政策を打ったわけですが、近隣の基礎自治体にどうしても魅力的だと思われなかった基礎自治体は、合併をしたくてもできなくて取り残されてしまったわけであります。

 これは、申し上げにくいんですが、私が市長だった大川市も例外ではないわけで、これは私が市長になる前の話ですが、伝え聞いてきただけでありますが、やはり、大川に関しては、例えば、基金が思ったほど、少ないだとか、負債が多いだとか、あるいは産業の衰退、そういったいろんなものを勘案されて、近隣の自治体と合併したくても合併することができなかったわけであります。

 こういう言い方は正しいかどうかわかりませんが、国が主導をして、基礎自治体の皆さん、結婚してください、そしたらお祝い金を差し上げますからと言ったわけですが、近隣の自治体から魅力的だと思われなかった自治体は、そもそも結婚、合併することができなかったわけであります。

 その結果どうなったのかというと、これは私自身が市長として見てきたこと、体験したことでありますが、近隣の自治体で合併をして、合併特例債をいただいているところは、公共事業のスピード感がまるで違うわけであります。言いかえると、ハード事業が打てるところと打てないところが、きれいに分かれてしまっているような感じであったのを私は印象に残っております。合併したところはどんどんどんどん新しい公共施設ができているのに、取り残されたところはそれが全然できていないということでありますから、これは全国的にも同じことが言えるんだと思いますが、インフラを中心にいわゆる差別というか格差がどんどん広がっていってしまうのではないか、私はそのように懸念をしております。

 ここでぜひ御質問なんですが、合併できなかったところに対して、平成の大合併の際に、何か特別な支援策というのはお考えなんでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 平成の合併を進めるに当たりましては、かなり時間を置きまして、地域での合意というものをしっかり形成していただくように話合いを進めていただきました。そういった意味で、私どもとしては、合併を選択されたところについてできるだけよいまちづくりをしていただく、これをまず優先したわけでございます。

 ただ、その上で、合併しなかった、あるいは合併できなかったところにつきまして、持続可能な行政サービスをどう提供していくかということは非常に大きな課題でございます。

 その後で、実は、定住自立圏という政策を用いまして、中心的な市が人口五万人程度、昼夜間人口比率が一、そういったところにつきまして、周りの市町村と一緒になって、フルセットの行政から脱して同じ役割分担をいろんなことでしていくということを考えてまいりました。

 その上で、連携中枢都市圏というのも行っております。

 この基本的流れというのは、結局、今先生御指摘ありましたが、それぞれの市町村が全ての施設を公共投資して持つというのに無理がありますので、そこにつきまして役割分担をしてお互いに活用し合う、こういうことを進めてまいりたいという発想でございます。

 そういった意味で、定住自立圏政策、それから連携中枢都市圏政策、こういったものを進めてまいる。その上で、また、県による市町村の補完ということも考えてまいりたいというふうに考えてございます。

鳩山委員 御答弁ありがとうございました。

 合併できなかったところはまだまだ苦しんでいる自治体、全国的にたくさんありますから、何か温かい施策をこれからもぜひ御検討願いますようにお願いをさせていただきます。

 次の質問に移らせていただきますが、地方自治体の公共施設の老朽化についての御質問でございます。

 これも、私が市長時代に施行された法律で、建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案という法律でございますが、要はこれは、公共施設として不特定多数の方が多く利用をされ、なおかつ一定の床面積以上の大きさを持つ公共施設は、平成二十七年十二月三十一日までに耐震診断をして、それを公表しなければいけないという法律でございますが、まずは、この法律の本来の趣旨は何であるのか、御答弁をお願いいたします。

眞鍋政府参考人 耐震改修促進法についての御質問をいただきました。お答えしてまいります。

 平成七年に発生いたしました阪神・淡路大震災で、特に昭和五十六年に現行の耐震基準が導入される以前に建築された住宅建築物の倒壊によって、大きな被害が発生しました。こうしたことを踏まえまして、既存建築物の耐震化を促進することが急務とされ、同年、耐震改修促進法が制定されました。

 その後、東日本大震災等が発生し、他方、南海トラフ巨大地震や首都直下地震の発生の切迫などが指摘される中、地震時に国民の生命財産を守るためには建築物の耐震化をより一層加速させることが必要であると認識されました。

 このため、平成二十五年に、今御指摘のありました耐震改修促進法を改正いたしまして、一定の建築物の所有者に対して耐震診断の義務づけを行いました。この耐震診断の結果については、所管行政庁に報告され、それを公表するということも義務づけられております。

 具体的な建物につきましては、二つございます。一つは、地震発生時に国民への影響が大きく、優先度が高いと考えられる、ホテル、旅館、商業施設、学校など不特定多数の方、あるいは避難弱者が集まる大規模な建築物、二つ目は、地震発生時における倒壊などによって避難活動や救助活動に支障を来すおそれがあるという観点から、地方公共団体が指定する防災拠点、あるいは避難輸送道路沿道の建築物、そうしたものについて所有者に診断を義務づけた、こういう趣旨でございます。

鳩山委員 御答弁ありがとうございます。

 私、これは市長としての感覚、今でも覚えております。この法律が施行されたときに、少し不思議というか違和感を感じたわけであります。今御答弁されましたが、不特定多数の方が利用をする、一定の床面積以上の大きさだということですから、公共施設としては文化ホールのようなものが対象になるわけですが、私が感じた違和感というのは、これは市役所や町役場が対象になっていないというのは私は非常に違和感を感じたわけですが、なぜこの法律で市役所や町役場は対象にならなかったのか、御答弁をお願いいたします。

眞鍋政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁させていただいたとおり、平成二十五年の耐震改修促進法の改正では、一定の建築物について耐震診断の義務づけを行うという改正をしてございます。

 この中で、市町村の庁舎については、さまざまな性格のものがございますので、全てを一律に耐震診断の義務づけの対象にしたわけではございません。

 具体的に言いますと、事務所機能、執務機能のみを有する場合には耐震診断の義務づけの対象にはしておりません。しかしながら、防災拠点として指定され位置づけられたもの、あるいは窓口機能が大規模なものなどにつきましては、先ほど御答弁いたしましたカテゴリーに該当いたしますので、耐震診断の義務づけの対象として取り扱っているところでございます。

鳩山委員 御答弁ありがとうございます。

 なぜ私が今このような御質問をさせていただいたかというと、地方自治体が持っている公共施設で最も老朽化が進んでいるのは、やはりこれは市役所であり町役場であります。もちろん、中には庁舎を新しく建てかえられた自治体も一定数あるんだろうと私は思っておりますが、現状は、どの自治体もぎりぎりな中で耐震補強をしているのが現状ではないかな、私はそのように思っております。

 そんな中で、熊本地震が起きました。振り返ってみますと、災害復旧の心臓部であり司令塔である庁舎が倒壊をしてしまった。被害状況がいかほどかということも把握できないという状況になってしまったわけであります。

 私のこれは強い思いでございますが、やはり市役所や町役場、庁舎の建てかえというのは待ったなしなんだろう、私はそのように感じております。ただ、これは市民や町民の皆さんの厳しい視線というのもあって、なかなか基礎自治体は及び腰であります。費用も莫大な予算がかかるわけでありますから。ですから、私は、ぜひこれはPFIを最大限に活用することが重要なのではないかな、そのように思っております。

 そこで、御質問ですが、国として、庁舎の建てかえについてPFIの利活用を更に促進する、そのようなお気持ちがあるかどうか、御答弁をお願いいたします。

石崎政府参考人 お答えいたします。

 我が国の厳しい財政状況等の中で、できるだけ効率的に公共施設を整備する事業手法として、PFI制度がございます。

 平成十一年にPFI法が施行されましてから平成二十八年度末までに、公共団体の庁舎におきまして、PFI法に基づきまして実施方針が公表された事業が十二件ございます。これらの案件については、このPFIの導入によりまして、公共がみずから建設するという従来の手法に比較しますと、一定の財政削減効果が図られ、効率的な事業執行が図られたというふうに認識してございます。

 このため、内閣府といたしましても、効率的な事業実施と、選択肢の一つとしてこれらの事例の周知を行うなど、庁舎を始めとする地方の公共施設についてPFIの導入を推進しているところでございます。

鳩山委員 御答弁ありがとうございます。

 これからもぜひ、PFIの利活用の促進、積極的にお願いをいたします。

 次に、地方自治体間の公共施設の広域的な利活用について御質問をさせていただきます。

 その昔、我が国も人口増加時代があったわけですが、その人口増加時代の中で、とりわけ地方の自治体の最大のライバルは、申し上げにくいんですが、やはりこれは、私が見た限りでは、近隣の自治体が一番最大のライバルだったわけであります。自分たちの隣町に八百席を有する文化ホールができたならば、我々の自治体では千二百の文化ホールをつくらなければいけない、違う自治体が物すごく立派な総合体育館をつくったら、我々はそれに負けない総合体育館をつくるんだ、そういうことができた時代であります。

 当然、人口がふえていたわけですから、税収もふえていたので、そういった公共施設を新しくつくりやすい環境があったのかもしれませんが、その結果、どうなってしまったかというと、やはり狭いエリアに重複した公共施設が物すごくいっぱいできてしまったわけでありまして、今人口が減っている中で、そのさまざまな公共施設が重複した、これが、老朽化も相まって、維持管理に莫大なお金がかかってしまう、結果、それぞれの自治体のまちづくりに、それが足かせになっているという例がございます。

 私が市長だった大川市も、文化ホールが毎年六千万か七千万ぐらいの赤字でありました。総予算が百五十億ぐらいの自治体ですから、相当大きな割合を占めているわけであります。

 私は、人口が減っている中で、もはやこのような総花的なまちづくりというのを地方自治体がやっていくというのは限界があるのではないか、そのように思っております。

 ですから、やはり、あるエリアを区切って公共施設の数を一定数減らして、大事なことは、市町村間の垣根を越えて、そこに住む住民の皆様方がさまざまな公共施設を相互利活用できるように私はもっともっと進めるべきだと思いますが、そのことについて御答弁をお願いいたします。

山崎政府参考人 事実関係を御説明いたしますと、私どもも、圏域単位で公共施設の利用を進めないとやはり容易じゃないことになる、二〇〇八年から人口減少トレンドになっておりますので。

 例えば、連携中枢都市圏でいけば、宮崎市が、自分のところでつくりました発達支援センターを、中心都市の施設の広域受入れをしているとか、それから、姫路市が、図書館につきましては、相互貸出しで、全て自分の市民と同じように扱うというようなことをしておるとか、そういう動きが出てまいっております。

 私どもとしては、もうそういう時代だということを認識しながら進めてまいりたいと思っております。

鳩山委員 御答弁ありがとうございます。

 連携中枢都市圏のお話がありましたけれども、私は、もっともっとインセンティブを与えていただきたいというふうに思っています。もっとダイナミックに相互利活用ができないかな、そのように思っております。それは、連携中枢都市圏でもいいのかもしれませんが、やはり、全体的な、長期ビジョンや総合計画を共同で近隣の自治体が策定するなど、そういったことを全体的にダイナミックに推し進めていただきたいと思いますが、このことについて、野田大臣、何か所感がございましたら、御答弁をお願いいたします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 鳩山委員御指摘のとおりで、今後、人口減少が進む中で、公共施設の維持更新への対応というのは重要な課題だと私も認識しています。

 ことし四月二十六日に取りまとめられました自治体戦略二〇四〇構想研究会第一次報告、ここにおいても、二〇四〇年ごろまでの課題として、長期的な課題として、老朽化したインフラ、公共施設が増加する、そして公共施設及びインフラ資産の将来の更新費用は、現在の更新費用を大きく上回るということが指摘されました。そして、二〇四〇年ごろを見据えた自治体戦略の基本的方向性として、組織、地域の垣根を越えて、資源、施設などを賢く戦略的に活用する、個々の市町村が行政のフルセット主義を排して、圏域単位で、あるいは圏域を越えた都市、地方の自治体間で有機的に連携することで都市機能等を維持確保していく必要があるというふうにされたところであります。

 現在、自治体戦略二〇四〇構想研究会におきまして、自治体行政の課題とその対応策について引き続き検討していただいているところです。六月中をめどに最終報告を取りまとめていただくことになっています。

鳩山委員 大臣、御答弁ありがとうございます。これからもぜひ、野田大臣のリーダーシップのもとで広域連携が図れますことを心からお願いをいたします。

 次に、人口減少対策についてお伺いをいたします。

 内閣としてといいますか総務省としてこの人口減少の分析をされているのかどうか御質問をしたいわけですが、要は、離島を抱えている基礎自治体や中山間地域を抱えている自治体、あるいはインフラ整備のおくれている自治体とか、あるいは鉄道が走っていない、駅がないような自治体といった、そのようなさまざまな事柄を総合的に勘案をして、どういう自治体だと人口減少が激しいのか、そういった総合的な分析というのはされているんでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今、二〇四〇研究会では、それぞれの人口段階ごとに、二〇四〇年にどれくらいの人口になるかということは、全て固有名詞で一回発表しております。これがどういう条件にあるかというのはこれからの議論になりますが、総じて申せば、大都市部については東京圏を中心に増加傾向が強まっている、それから、特に人口が三万未満のところについては減少傾向が強まっておりまして、五年前の推計と比べても相当違うトレンドになっております。

 これは、先生御指摘のように、今からしっかり議論を進めてまいらないといけないというふうに思っております。

鳩山委員 御答弁ありがとうございました。

 私がここで申し上げたいのは、先ほども申し上げましたが、離島や中山間地域、限界集落を抱えている自治体は、当然人口の減り方は激しいわけでありますが、ただ、私の選挙区を見てみますと、ただそれだけではなくて、インフラ的に弱い立場に置かれた自治体も、やはり人口の減り方が激しいのを私自身感じております。

 例えば、私の選挙区で、似た人口の町が二つあるんですが、隣り合わせですが、片っ方は人口の減りが激しくて、片っ方は人口維持をしていて、人口を維持しているところは、もっと言いますと、若い方々がふえております。それはなぜかというと、答えはただ一つで、鉄道が走っているか走っていないか、駅があるかないかということでございまして、やはりインフラ的に弱い立場の基礎自治体というのは、なかなか若い方々に魅力だと思ってもらえない、そういった現状があるのではないか、私はそう認識しております。

 ここで御質問ですが、そのようなインフラ的に弱い立場に置かれた基礎自治体に対する何か支援策というのはお考えでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 過疎地域を始めとする自然的、社会的条件が不利な地域におきましては、地域格差の是正等の観点から、過疎地域自立促進特別措置法を始め離島振興法などに基づきまして、社会資本整備につきましては、国庫補助金の補助率のかさ上げでありますとか、市町村事業の都道府県代行などの特例措置を講じております。

 これにあわせまして、地方財政措置として、過疎地域等において、計画に基づいて行います社会資本の整備事業に対する特例的な地方債や交付税措置を講じております。

 また、直接的な条件不利地域対策ということではありませんが、公共施設等適正管理推進事業としまして、平成三十年度から、老朽化対策等につきましては、財政力に応じまして算入率を引き上げる等の措置も講じております。

 この条件不利地域における社会資本整備に対しましては、地方団体の意見も十分に踏まえながら、今後とも適切な財政措置を講じてまいりたいと考えております。

鳩山委員 御答弁ありがとうございました。

 次に移らせていただきますが、次に、人口減少という観点からと、それと絡めて、幼児教育無償化について御質問をさせていただきます。

 幼児教育無償化は、人口減少時代に突入した我が国にとって、子供の数をふやしていくということではとても大切な施策であり、私自身、強烈に推進をしていかなければいけない、そのように思っておりますが、ただ、少し心配なのは、全国一律に無償化にしてしまうと、結果的に東京を中心とする大都市部に若い方々の人口がなだれ込んでしまわないかということであります。今、地方創生、それぞれの基礎自治体が懸命に汗をかかれておりますが、基礎自治体が追いつかないような人口の流れをつくってしまうのではないか、私はそこを少し懸念をしております。

 先ほど、インフラがおくれている地域、インフラ的弱者の自治体のお話をしましたし、大川市も間違いなくインフラ弱者の自治体でありますが、インフラ的におくれている自治体が何で勝負をするかというと、結果的にソフト事業で勝負せざるを得ない現状でございます。そう簡単にハード事業をどんどんできるわけでもありませんし、民間企業である鉄道が新たな路線をつくっていただくこともないわけでありますから、ソフト事業で勝負せざるを得ない現状であります。

 なので、私も市長時代に、福岡県で保育料を一番下げました。国基準で大幅に減額をしたわけでありますが、なかなかインフラ的に不利な立場にある自治体は、そういったソフト事業、子供政策を必死に打っております。

 ですから、私がここで申し上げたいことは、これは御質問ですが、地方創生も確実なものにする、なおかつ、幼児教育無償化も確実なものにしなければいけなくて、これは両者がともに成功をしなければいけない、そのためには、やはり内情が厳しい基礎自治体に対する何らかの策を私は講じるべきではないかな、そのように思いますが、どのようにお考えでしょうか。

鎌田政府参考人 先生御指摘のとおり、地方創生の基本方針、まち・ひと・しごと創生基本方針におきまして、若い世代の結婚、出産、子育てというものを一つの柱としているところでございます。

 考え方といたしましては、少子化の状況あるいは要因につきましては地域によって異なるということから、地域ごとに要因の分析、課題設定、対策の検討をしていただくということを基本としております。

 とりわけ、先生が御指摘になられた経済的な負担もございますけれども、出生率に大きな影響を及ぼすものの一つとして、雇用形態あるいは賃金、労働環境など働き方もあるということで、地域の関係者が主体となりまして、地域アプローチによる働き方改革というのも一つ進めているところでございます。

 具体的には、都道府県、労働局、労使団体、金融機関などの皆様から、地域働き方改革会議を設置していただきまして改革に取り組んでいただいているところでございます。

 私どもといたしましても、こうした地域の取組を支援しているところでございますが、具体的には、先進的な取組を見える化そして横展開する観点から、地域少子化・働き方指標をつくり、そしてそれを手引としてまとめて提供することですとか、関係の府省あるいは専門家の方々による支援チームを構成いたしまして、助言や情報提供をしております。さらに、国としても、そうした先進的な取組に対しまして地域創生交付金というものを交付することとしております。

 こうした働き方改革のほか、若い世代の経済的な安定、あるいは、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援、ワーク・ライフ・バランスの実現などを進めまして、地域の皆様がその特性に応じた取組を進めて、そして地域の少子化の状況が改善するよう、支援を進めてまいりたいと考えているところでございます。

鳩山委員 御答弁ありがとうございます。

 時間が残り少なくなってきましたので、次に移らせていただきます。

 次に、東京二十三区内の大学に関する新たな法律についてでございますが、まずは、東京都内の大学における外国人留学生についてでありますが、増加傾向にあるというふうにお伺いをしておりますが、その推移をお答えをいただきたいと思います。

信濃政府参考人 外国人留学生の推移についてでありますけれども、日本学生支援機構の調査によりますと、平成二十五年度から平成二十九年度までの五年間、これで、全国の大学の学部に在籍する外国人留学生の数は一五%ふえております。同じ期間に、事務局本部が東京都にあります大学の学部に在籍する外国人留学生の数は二六%ふえておりまして、平成二十五年五月一日時点で二万九百三十八人となっております。

鳩山委員 御答弁ありがとうございます。

 この新しい法律は、要は、東京二十三区内の大学は、新しい学部は原則つくらせないということと、既存の学部の定員増は認めない、ただし、例外があって、既存の学部の定員増に関しては外国人留学生の分の枠は認めます、こういうことでありますが、私、ここも少し心配をしておりますのは、日本の国内の若い方々の人数は減っておりますので。ですから、もし、この法律の趣旨の一つとして地方の大学を元気にさせる、そういった流れをつくるというものであるならば、日本の若者は減っているわけですから、日本の若者が減っているスピード以上に東京の大学の定員は減にしていただいて、先ほど答弁がありましたけれども、留学生の数がふえているわけでありますから、定員減の部分は留学生の皆様方で充足をする、私は、そういったことができないかな、そんなふうにも考えておりますが、ぜひ、最後の質問ですが、地方の大学をどうやってこれから活性化させていくお考えなのか、御答弁をお願いいたします。

信濃政府参考人 お答えに先立ちまして、今ほどの答弁で、私、二十五年五月一日時点と申し上げましたけれども、二十九年五月一日時点で二万九百三十八人でございました。訂正させていただきます。

 それで、地方大学を振興するためには、まずは地方創生を担うことができる人材の育成、あるいは大学を核とした地域産業の活性化の観点から、さまざまな支援策を講じることが重要であると考えております。

 一方で、十八歳人口が今後減少する中で、これらの支援策の実効性を高めるためには、都市部の大学の定員を増加させないということも必要であろうと考えております。

 こういったことを踏まえまして、文部科学省におきましては、例えば、国公私立大学を通じまして、地域の複数大学が、自治体や地域の企業、民間団体等と協働して学生の地元定着あるいは雇用創出を図る、地(知)の拠点大学による地方創生推進事業、COCプラスと呼んでおります、これの推進、あるいは、国立大学につきましては三つの重点支援の枠組みをつくりましたけれども、この中で、地域のニーズに応える人材育成、研究の重点支援、さらに、私立大学につきましては、複数大学の間での連携、自治体、産業界等との連携を進めるなどの改革、これに取り組んでいる大学への重点支援、こういったことを行っているところでございます。

 こういったことも踏まえまして、地方創生の中核を担う地方大学の振興に引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

鳩山委員 御答弁ありがとうございました。

 時間ですので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、長尾秀樹君。

長尾(秀)委員 立憲民主党・市民クラブの長尾秀樹でございます。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

 質問に入ります前に、一言申し上げたいと思います。

 昨日、森友学園問題、財務省の公文書の改ざんの問題で、調査の結果と処分が発表されました。財務省の職員にのみ責任を押しつける、政治が責任をとらない、国民は到底納得できない内容であるというふうに言わざるを得ません。

 加計学園の問題についても、総理と理事長との面談は、発言はうそであったということが一方的に明らかにされて現在に至っておりますが、もしそれが本当であるとしたら、愛媛県、今治市の側、地方自治体にとっては、そのうその発言に基づいてその後の事業を展開をしたということになりますので、到底自治体の職員として耐えられない問題であるというふうに考えております。

 これらの問題について、私ども、引き続き追及をしていく決意である、そして、必要があれば、野田総務大臣にもお考えをお聞きする場合があるということだけを本日の時点では申し上げて、質問に入らせていただきます。

 先ほど鳩山委員からもございました、人口減少の問題、そして多文化共生社会についてお聞きをいたします。

 資料を提出をさせていただいております。

 少し見づらくて申しわけございませんが、ごらんのように、日本の人口は八都県で増加しておりますが、それ以外は減少が著しい。先輩委員諸氏には釈迦に説法だと思いますが、人口ピラミッドと言われる図でも、大正九年の第一回国勢調査では富士山型、そして昭和五十五年は釣鐘型、平成二十七年にはつぼ型となり、二〇六五年には、すぐにもこけてしまいそうな、いびつな底の狭い姿になってしまうというふうに推定をされております。

 少子高齢化、人口減少対策は長年の課題でありまして、これまで国として有効な対策が行い得ていない結果であるとも言わざるを得ません。人口減少の克服というのは喫緊の課題でございます。その克服は本当に可能なのか、克服するために具体的などのような施策を実施すべきなのか、深刻な問題として考えていかなければならないと思っております。

 安倍政権では、二〇一五年の少子化社会対策大綱、二〇一六年、ニッポン一億総活躍プラン、二〇一四年には、まち・ひと・しごと創生の長期ビジョン、総合戦略、二〇一七年、新しい経済政策パッケージの人づくり革命など、次々と掲げてきておられますけれども、人口減少問題を真っ正面から取り上げる取組にはなっていないのではないかというふうに思います。

 そこで、野田大臣にお聞きをしたいと思います。

 以前から大臣は、人口減少は日本の危機だと言ってこられたと承知をしております。また、総務省の有識者の研究会などで議論もされていると思いますが、人口減少にどう立ち向かうべきとお考えか、その具体的方向性はお持ちかどうか、お聞きをいたします。

野田国務大臣 長尾委員にお答えいたします。

 おっしゃるとおりで、今後本格化する人口減少、既に始まっている人口減少と急速に進む少子化というのは、日本が抱える最大の危機、そして私は見えざる有事だと考えています。深刻に考えています。

 総務省では、それを踏まえて、高齢者人口がピークを迎える二〇四〇年ごろ、これは今の団塊の世代ジュニアの方たちも高齢者になるということ、また二〇二五年には、圧倒的人口を誇る東京都も人口減少のトレンドに入っていくという、そういう流れが出てくる中で、どちらかというと、これまで長期的なその検討というのが余りここ数年なされていないような気がいたしましたので、そこのやはり一番危機的な状況をスタートラインとして、逆算する形で、各行政分野における課題を整理し、そして、今から何ができるかという対策のために自治体戦略二〇四〇構想研究会というのを昨年の十月に立ち上げたところです。

 四月の二十六日には第一次報告を取りまとめていただきました。その検討された中で出てきた、放置すれば生じ得る内政上の危機というのは、若者を吸収しながら老いていく東京圏、そして支え手を失う地方圏などという三つの大きな課題を示していただいたところであります。

 このような危機に対処するためには、関係府省が自治体とともに進める施策がその機能を最大限発揮できるようにする必要があるわけです。自治体と各府省の施策がいわばアプリケーションとしてうまく機能するように、OSに当たる自治体行政の書きかえをしっかり大胆に構想しなければならないというふうに考えています。

 今、自治体戦略二〇四〇構想研究会では、自治体行政の課題、そしてそれの対応策について引き続きの検討をしていただいているところです。六月中には最終報告を取りまとめていただく予定となっています。

長尾(秀)委員 ありがとうございます。安倍総理にも大臣の思いが受けとめてもらえるよう頑張っていただきたいと思います。

 我々国会としても、国家の重要課題としてぜひとも早々に議論できる場をつくっていくべきだと考えておりますので、私も努力をしていきたいと思います。

 次に、人口減少に悩む自治体の事情を、最近の事例からお聞きをします。

 多文化共生推進プランというのが策定をされておりますが、その中で、外国人の定住率向上の目標を定める自治体、安芸高田市や出雲市という例も出てきております。人口の減少は、自治体や地域の存続又は消滅にもかかわることであり、深刻な問題であります。

 公益財団法人日本国際交流センターが都道府県及び政令指定都市を対象に昨年二月実施をした、多文化共生と外国人受入れについてのアンケート調査の報告書によれば、政府がとるべき外国人受入れ政策として、包括的な移民政策を検討すべきと五団体が回答しております。そのうち三団体は、包括的な移民政策が必要な理由として、人口減少の中、日本社会の持続のためには外国人の力が不可欠であるためとしております。

 総務省として、地方自治体が外国人の移住や定住促進を図ることによって自治体や地域が存続をしようとする動きについてどのように考えておられるか、お聞きをします。

野田国務大臣 人口減少、少子高齢化が進み、日本人住民の減少が続く中、平成二十九年一月一日現在の外国人住民人口は、前年比で約十五万人増加、六・八%増と高い伸びとなっており、今後、地域社会の重要な構成員として、その役割は増していくものと考えています。

 そのような中で、外国人の地域での活躍や市外からの移住、定住を促すため外国人の受入れ体制の充実を図り、多文化共生のまちづくりを進めている自治体、例えば広島県の安芸高田市とか、定住を望む外国人住民を対象に日本の社会ルール、文化、日本語の学習などの支援を行うことにより外国人の定住化を支援している自治体、岐阜県美濃加茂市など、外国人の移住、定住の促進に取り組んでいる自治体もあると伺っているところです。

 私は、将来にわたって活力のある日本社会を維持していくためには、外国人のみならず、女性、また障害者、高齢者等、全ての人々が活躍して支え合う、多様性を備えた社会の実現を目指していく必要があると考えています。

 これまでも、総務省として、多文化共生推進プランの策定等を通じて、地域における多文化共生に関する施策の推進に取り組んできたところですが、引き続き、地域が抱えるさまざまな課題を踏まえた地方の取組を積極的に支援してまいります。

長尾(秀)委員 地域における多文化共生推進プラン、平成十八年三月、策定をして、自治体に通知をされて、その後、このプランをモデルに多文化共生施策の推進に関する指針等を策定をして取り組んでいる多くの地方自治体等の事例を、多文化共生事例集ということで、総務省として平成二十九年三月に発行されております。

 その中で、「四、地域におけるグローバル化・地方創生の推進」の項におきまして、「日本においては、人口減少・高齢化の進行と、地方から東京圏への人口一極集中による地域経済の縮小が大きな課題となっており、持続可能な活力ある社会を維持するための地方創生の取組が求められている。 このような状況の中、地域経済における貴重な労働力として、また地域社会の重要な構成員として、外国人住民の役割は増していくであろう。」という記載がございます。

 このように、多くの自治体において成果を上げている一方で、自治体の多文化共生の取組には不十分な部分もございます。

 共同通信が平成二十八年に実施をしたアンケート調査では、外国人住民を支援する専門部署を設置している自治体は約一割程度にとどまるというふうになっております。平成二十九年度当初の時点で、多文化共生の推進に係る指針、計画の策定団体も四四%ということで、半数以下であります。

 このように、地域における多文化共生推進プランの作成から十年以上が経過をした現在、改めて多文化共生の取組を国として促す新たな方策も必要ではないかと考えますが、総務省のお考えをお聞きをいたします。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 多文化共生プランは、地方自治体における多文化共生施策に関する指針や計画の作成に資するためにお示しをしております。

 プランの策定以降、都道府県や政令市のほとんどで、多文化共生の推進に係る指針や計画の作成がなされているところでございます。地域における多文化共生の推進は、着実に進んでいるものと考えています。

 近年、外国人住民の出身地の多様化、高齢化など、日本における外国人を取り巻く状況も変化しているということで、先生の御指摘にもございましたが、地域における優良な取組をまとめた事例集を昨年三月に公表しております。

 今後とも、このような先進的な取組を普及、展開することを通じまして、外国人住民が生活する自治体における多文化共生のさらなる推進に努めてまいりたいと考えております。

長尾(秀)委員 これに関連しまして、日系ブラジル人等の外国人住民が多数居住する七県一市で構成される多文化共生推進協議会が、平成二十九年八月、多文化共生社会の推進に関する提言を出しておられますが、その中で、中長期的な視点に立った外国人全般の受入れ方針を策定するということを提言しております。

 今後も、国内に居住する外国人が増加することが見込まれることを踏まえまして、この点についての政府の見解をお聞きいたします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 多文化共生推進協議会からは、在住外国人が地域を担う一員となるために必要となる施策について提言がなされています。

 外国人住民の生活環境整備については、内閣官房を中心に関係省庁によって、「生活者としての外国人」に関する総合的対応策が取りまとめられており、そこには、自治体における多文化共生の推進も含まれています。

 総務省として、御指摘の協議会など自治体の御意見もよくお聞きしながら、地域における先進的な取組の普及、展開などを通じて、自治体の多文化共生施策のさらなる推進に努めてまいります。

長尾(秀)委員 ぜひしっかりとお願いをしたいと思います。

 次に、外国人労働者の問題、とりわけ地方において、働き手としてのみならず、地域の文化の担い手としても外国人に依存しつつある現状についてお聞きをしようと思っておりましたが、時間がなくなるといけませんので、とりあえずそれは飛ばさせていただきまして、次に、ヘイトスピーチ解消法にかかわってお聞きをしたいと思います。

 平成二十八年に、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律、いわゆるヘイトスピーチ解消法が制定をされ、ちょうど一昨日、六月三日で施行二年目を迎えました。

 ヘイトスピーチ解消法は、国民に、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に対する理解を深め、差別的言動のない社会を実現するために国や地方公共団体に必要な施策を求める理念法であります。

 この制定によりまして、国は相談体制を整備するなどしております。また、制定の結果として、川崎市でのヘイト差止め仮処分決定など、司法の判断にも一定の影響を与えているというふうに思っておりますが、そういった意味では、我が国は、差別的言動のない社会を実現するという目的に向かって少しは前進をしてきていると言えると思います。

 しかし、この法律には罰則規定がなく、実効性は薄いという声があるのも実情であります。実際に、ネット上での差別的な書き込みがいまだ絶えません。また、ヘイトを唱える市民グループによる徒歩デモについても、ヘイトスピーチ解消法制定後は一旦減ったものの、ここ最近ふえ始めております。

 そこでまず、ヘイトスピーチ解消法施行から二年、現状をどう評価しているのか、法務省にお聞きをしたいと思います。葉梨副大臣、お願いします。

葉梨副大臣 お答えいたします。

 ヘイトスピーチ解消法の成立時でございますけれども、私も、自民党の差別に関する特命委員会事務局長として与党案を作成いたしました。そしてまた、当時、法務常任委員長でしたのでその成立にもかかわらせていただいたわけなんですけれども、当時ですが、この施行によって、その事実や法律の趣旨、これが報道等で大きく取り上げられたことなどを契機として、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動は許されないものであるということが社会の中で認識されつつあるというふうには考えています。

 他方、本邦外出身者等に対する差別意識やいわゆるヘイトスピーチが完全に解消されたとは言えない、また、ヘイトスピーチの問題を知らなかったり関心がなかったりする方もやはり一定数おられるのが現状だと思っています。

 無知や無関心、これはヘイトスピーチがあってはならないとの認識を社会に広める上での妨げとなると考えており、法務省としては、このような認識を国民の皆様にも広く深く共有していただくための粘り強い人権啓発活動をより一層充実させる必要があると考えています。

長尾(秀)委員 引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。ヘイトスピーチ解消法の前文にも掲げられておりますとおり、不当な差別的言動は許されないということを宣言をして、国として差別的言動のない社会の実現に向けて現在も取り組んでいるということだと思います。

 今申し上げましたように、前文には、我が国の地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動については、不当であって、あってはならない、このまま看過することは、国際社会において我が国の占める地位に照らしても、ふさわしいものではないというふうにございます。

 そこで総務省にお聞きをしたいわけでありますけれども、ホームページで公表をされております政治団体の一覧を拝見をいたしますと、そこには、今申し上げたような、我が国の地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動と言える名前の政治団体が掲載をされております。名称は、朝鮮人のいない日本を目指す会という政治団体、平成二十八年十二月二十七日設立届出ということになっております。

 そこで、まず法務省にお伺いしたいと思います。一般論として、このような名称、朝鮮人のいない日本を目指すというような言動は不当な差別的言動に当たると思いますが、いかがでしょうか。

葉梨副大臣 朝鮮人のいない日本を目指すという言動についてのお尋ねでございますけれども、この言動、ある言動がヘイトスピーチや不当な差別的言動に当たるかどうか、その言動が行われた具体的状況や前後の文脈、趣旨などの諸事情を総合的に考慮して判断されるべきと考えています。ですから、ちょっと一概にはお答えすることは困難だというふうに思います。

 ただ、いわゆるヘイトスピーチ、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動、これはあってはならないと認識しておりまして、一般論として申し上げますと、合理的な理由なく特定の集団を我が国や地域社会から一律に排除、排斥することをあおり立てる趣旨で行われた言動は、いわゆる差別的言動、ヘイトスピーチに当たり得る場合があると思っています。ただ、具体のものについては一概にお答えすることは困難ということでございます。

長尾(秀)委員 具体のあれではなく一般論としてということですが、そういう御答弁でございます。

 常識的に考えて、私としては、朝鮮人のいない日本を目指すというような言動は不当であって、あってはならないと考えております。ヘイトスピーチ解消法の理念に反するだけではなく、憲法十三条の他人の人格権を侵害するものでもあるというふうに思っております。

 事前に総務省にお聞きをいたしましたところ、政治団体の名称の審査というんですか、については、類似名称がないことなど以外は、公序良俗に反しないのであれば原則自由ということでありましたが、改めて総務省にお聞きをしたいと思います。特定の民族に対してその民族を地域社会から排除するといったような名称は公序良俗に反すると私は思いますが、公序良俗に反するかどうかという点について、差別的な名称は含まれないんでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 政治資金規正法においては、政治団体の名称は、公表された既存の政党又は政治資金団体の名称及びこれに類似する名称以外の名称であれば、他の法令に違反しない限り制限されていません。

 一方で、御指摘のとおり、政治団体の名称が公序良俗に反する場合は届出を受け付けないこととしており、個人の資質について誹謗中傷するもの、わいせつな文字が含まれるものなどがそれに該当するおそれがあると解しています。

 お尋ねの、朝鮮人のいない日本を目指す会については、届出の形式審査において、当該政治団体の名称を構成する語句などから見て差別的であることが明らかとまでは言えず、直ちに公序良俗に反する名称に該当するとは認められないため、当該政治団体の設立の届出を受け付けたものです。

長尾(秀)委員 なかなか納得しがたい御答弁であります。形式的審査とはいえ、ヘイトスピーチ解消法が制定をされたということを前提とすれば、私は、こういう名称の政治団体設立届を受理することは、先ほども申し上げましたが、ヘイトスピーチ解消法第四条の国と地方公共団体の責務にも反している、さらには人種差別撤廃条約にも違反していると思います。

 このような名称、目的を、目的というのは、この団体が朝鮮人の排斥ということを目的としているというふうに聞いておりますが、そういう目的を掲げる団体を政治団体として結果として国が公認することになるということは、ヘイトスピーチ解消法前文にある、「不当な差別的言動はあってはならず、こうした事態をこのまま看過することは、国際社会において我が国の占める地位に照らしても、ふさわしいものではない。」という前文の項目に当たると思います。

 今、野田大臣から答弁をいただきましたが、そういうことも踏まえて、再度お聞きをいたします。

 その上で、現行法上、こういう名称の団体が政治団体たり得ないということについて法律上の規定が明確でないならば、速やかに、名称に関する規定を早急に検討、整備すべきと考えますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 政治活動の自由や結社の自由は、憲法上保障された基本的人権であり、最大限尊重されるべきものです。そのため、政治活動の自由を尊重し、本来自由であるべき政治活動に対する行政庁の関与を必要最小限にとどめるべきであるとの観点から、政治資金規正法上、総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会に認められている権限はいわゆる形式的審査権であり、政治団体の実態等について調査するいわゆる実質的調査権は付与されておりません。

 総務省が政治団体の規約の内容について実質的な審査を行う権限を有しておらず、規約の内容から差別的な言動を行う政治団体であるかどうかを判断し、届出を不受理とすることはできないことを、まず御理解いただきたいと思います。

 そして、政治団体の名称など政治団体のあり方については、繰り返しになりますけれども、憲法上保障された基本的人権である政治活動の自由や結社の自由と密接に関連したものでありまして、行政庁の関与は必要最小限にとどめる認識であります。

 何度も繰り返しになりますけれども、その上で、政治団体のあり方について議論することは、各政党、各政治団体の政治活動の自由の根本にかかわるものであることから、各党各派において御議論をいただくべき問題だと考えているところです。

長尾(秀)委員 特定の民族出身者を日本から排除することを内容とする政治団体の名称、目的は、いずれも、まさしく解消法が許されないと宣言している不当な差別的言動に当たると思います。人種差別撤廃条約にも基づいて、そういう団体を後援、援護、支持せず、むしろ、非難し、根絶、解消する責任を国及び地方自治体は負っているというふうに思います。各会派で議論をすべきという御答弁は一定受けとめさせていただきまして、政治資金規正法の政治団体届出の改正については、議論を引き続きしていきたいというふうに思います。

 まだ時間があるようですから、先ほど飛ばしました点について質問させていただきたいと思いますが、簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。

 要は、日本は既に外国人の労働力なくして農業も漁業も成り立たなくなっているのではないかということを踏まえて、地方には地方の守るべき仕事や文化が存在をしているにもかかわらず、大都市での仕事に人が集中をしている、地方では働き手としてのみならず、多文化共生の事例集にあるように、地域の文化の担い手としても外国人に依存をするようになってきているという現状についてどのように考えておられるか、見解をお聞きをしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、人口減少、少子化が進むこの国において、今後、地域社会の重要な構成員として外国人住民の役割というのは増していくものと考えています。

 そうした状況の中で、地域の文化活動に外国人住民が参画し担い手となることは、地域の活性化につながると同時に、日本人住民と外国人住民との間の異文化理解の機会を創出、そして地域における多文化共生の推進に資するものです。

 外国人を含め、地域に暮らす全ての人々が活躍して支え合う社会の実現を目指し、総務省としては、将来を見据えた地方の取組を引き続き積極的に支援してまいります。

長尾(秀)委員 それでは野田大臣に、最後に総括的にお聞きをしたいと思います。

 少子高齢化、人口減少、人手不足そして外国人に対する依存という問題は、緊密につながっている問題と考えております。

 大臣のホームページを拝見をさせていただきました。「政策一 「チーム力」を掘り起こす」という項目を読ませていただきました。極めて同感できる内容だと私は思っております。

 女性活躍、障害者や高齢者など、この社会にあっては人と人との間に何らかの偏見や差別じみたことが発生し得るということを前提にして、共生社会ということで、あらゆる偏見や差別などが解消、撤廃されるよう努力をしていく、日本人同士のみならず外国人も含めて、基本的人権が尊重される気風づくりが求められていると考えております。

 大臣の、ユニバーサル社会の実現、共生社会の構築についての決意をお聞きをいたします。

野田国務大臣 お答えします。

 ホームページを見ていただいて、ありがとうございます。あれは三年前にアップして、ずっと実現するまで載せておこうと思っているわけなんですけれども。

 私は、まだまだこの国の中でそのポテンシャルを生かされていない人たちはたくさんいると思っています。私たち女性を含めて、年齢とか性別とか障害の有無を問わず、きょうは外国人のお話もございましたけれども、本当に全ての人がみずから望む生き方を選択して力を発揮することができる、そういう多様性という社会がこれからの日本にとって大切であり、それがやはり少子化、人口減少に直面するこの国のそういう弱みを克服する大きな取り柄だと考えています。

 高齢者や障害者が持てる能力を余すことなく発揮して、社会で働く自立した生活者として日本を支える側に回る、ユニバーサル社会、共生社会を構築することというのが極めて重要だと思っています。

 総務省としては、そのためにはテレワークの活用、AI、IoT等を活用した障害者の就労支援、そして公共施設等のユニバーサルデザイン化などを推進することによって、全ての人々が支え合う、暮らしやすくて働きやすい社会の実現に向けて、これからも一生懸命取り組んでいきたいと思います。

長尾(秀)委員 ありがとうございました。一緒に取り組めることは一緒に取り組みたいということを申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 お疲れさまでございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士と申します。

 質問の時間をいただき、ありがとうございます。

 私からは、来年度で十年がたつ、制度発足から十年を迎える、地域おこし協力隊の制度についてお尋ねをいたします。

 都市部から過疎地域などに住民票を移し、生活の拠点を移した人を自治体が地域おこし協力隊員として委嘱し、一定期間地域に入って、ブランド化や地場産品の開発、販売、PRなどの地域おこしの支援のほか、農林漁業に携わったり、住民への生活支援を行って、隊員みずからもその地域への定住、移住を図ろうという取組であります。

 私の地元秋田について少し御紹介しながらという形になるんですけれども、秋田県内には多くの隊員が活躍しておりまして、私の住んでいる大館市では、ロシアの、この前、平昌オリンピックでフィギュアスケートの女子金メダリストのアリーナ・ザギトワ選手に贈ったことで話題となりました秋田犬、この魅力の発信、また、日本人初のNBA選手として活躍した田臥勇太選手の母校がある能代市は、バスケの町のPRというように、地域資源を有効に発信していく取組が隊員たちによって進められております。

 また、鹿角市というところでは、隊員みずからを移住コンシェルジュと称して、東京や大阪といった都心の出身者である彼ら先輩移住者たちが相談対応とか情報発信をすることによって、他県の若者の呼び込みへの大きな力になっているということです。

 秋田県では、このように、昨年度、六割の市町村で協力隊を受け入れているんですが、その市町村の一つに男鹿市というところがあります。男鹿半島というお名前、皆さん聞いたことあると思うんですが、この男鹿半島はなまはげ発祥の地であります。泣ぐ子はいねがと、なまはげが仮面をつけて、包丁を片手に持って子供たちを怖がらせる、そのことによって悪事とか怠け心を戒める、そういう神の化身であるとか、神の使いであるというふうに言われております。

 この男鹿で、隊員として地域おこしに取り組んでいる二十代の女性にお話を先日伺いました。

 秋田には、県外から、全国から集まる美術工芸の大学があるんですけれども、県外出身のその女性は、その大学の在学中に県内をいろいろと旅をするようになりまして、一層秋田が好きになって、地域の役に立ちたいという思いで、卒業後に男鹿市の地域おこし協力隊の隊員になりました。美術工芸の大学では、彼女は木造の彫刻とか漆塗りの技術を学んだということで、そのスキルを生かして、木でできたなまはげのお面を町内行事のイベント向けに提供したりとか、なまはげがデザインされた米袋があるんですけれども、お米が入った形で、その米袋を地元の観光案内所で販売するなどして、なまはげを活用した町おこしに力を入れていらっしゃいます。

 隊員のおよそ七割が、今の女性含めて二十代から三十代、隊員の四割が女性という地域おこし協力隊の任期は最長で三年、短くて一年というふうに言われています。隊員の地域への定住を図りながら、将来的には、その地域で起業させるということも期待している制度なんですが、調べによると、これまで隊員として任期を終えた人のうちの六割がその地域に残って定住している。また、隊員として当時活動していた市町村にその後も定住している人の三割が起業しているということです。

 こうしたデータがあるんですが、これらの数字、政府としてどのように捉えていらっしゃるでしょうか。

野田国務大臣 緑川委員にお答えいたします。なまはげの由来をしっかり教えていただき、ありがとうございました。

 御指摘のとおり、約六割という隊員が任期終了後も同じ地域に住み続けていただいております。地域への定住、定着を図る取組としても一定の成果が上がっているものと考えています。

 定住した隊員の多くが地元企業やNPO法人等に就職しているほか、就農するなど、地域の担い手として活躍していただいているところです。

 これも御指摘ですが、さらには、同一市町村内に定住した方の三割がみずから起業するなど、地域で新しい仕事を生み出していただいています。

 このように、地域おこし協力隊員には、任期終了後も地域のさまざまな分野の担い手として、新しい人と仕事の流れを生み出すことに貢献していただいておりまして、定住を希望される隊員の一人でも多くの方に定住をしていただきたいなと考えています。

 引き続き、受入れ、サポート体制の強化に取り組むとともに、起業に加えて、全国的に大きな課題となっている事業承継についても新たに支援を行うなど、総務省としても、さらなる隊員の定住促進にしっかり取り組んでまいります。

緑川委員 野田大臣のいつも着られているスーツ、お召しのスーツの色が、ふだん青色だったと思うんですけれども、なまはげのお面の色がちょうどそれに近い、深い青色ということで、きょうは触れたいというふうに思っていたんですけれども、ちょっと紺色のスーツということで、私も、済みません、ちょっと言葉を選んでおりましたが。

 まず……(発言する者あり)そうですね、ありがとうございます。

 地域おこし協力隊の隊員の数が、おっしゃるように、どんどんふえていらっしゃるわけです。制度が発足した二〇〇九年は八十九人だったこの数が、昨年度は四千九百七十六人と、これは五十五倍以上になっています。協力隊の制度を利用しているこの市町村の団体の数を見ても、制度発足時の三十一団体から、昨年度九百九十七団体、三十三倍になっております。

 地域おこし協力隊の認知度がやはり来年十年を迎える中で高まっている中で、全国平均では定住率は六割なんですが、これは資料を、ちょっとお配りしたものを見ていただきたいんですが、その定住割合には地域ごとに相当開きがあります。

 秋田県で、私の地元を見ていただきたいんですが、制度発足以降、任期を終えた方が三十八人いらっしゃるんですが、そのうちの十四人が、隊員として当時活動していた市町村又はその周辺の地域に定住しています。その定住率は三六・八%、四割近くなんですが、この秋田県より例えば人口が少ない徳島県、またごらんいただきたいんですが、隊員の数が五十九人、そのうちの四十二人が定住し、任期終了後の定住率は七割を超えている。こういう県もあるんですね。

 地域間でこうした隊員の偏在が起きている。また、その定住率も地域によって差が出てきているわけなんですが、これらの状況を国として是正していくために、どのように取り組んでいくお考えでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お示しいただきましたように、受け入れている地域おこし協力隊の隊員数につきましては、自治体によって幅があるところでございます。

 これは、地域おこし協力隊の実施主体が地方自治体でございまして、隊員にどのような地域協力活動を行っていただくのか、どのような人材を、どの程度の人数を受け入れたいのかということについて、自治体の内部ですとかあるいはその自治体と地域との間で十分に検討した上で、地方自治体が募集し、任用などを決定し、受入れを行っている、その結果としてこうした結果になっているものというふうに認識をしております。

 この仕組みは、御指摘ありましたように、都市から地方への人の流れを創出する取組でございます。地方自治体にさらなる活用につきまして一層の広報、周知を図ったり、また隊員のなり手の裾野拡大に努めてまいりたいと思っております。

 また、定住率についてお話がございました。

 これは、地域ごとの隊員数の多い少ないも踏まえてこれを見る必要があるかというふうには思いますけれども、いずれにいたしましても、多くの隊員が任期終了後も定住をしたいという希望を持っておられます。

 このことからも、受入れ側の地方自治体と地域の住民の方々、また隊員のその三者がコミュニケーションを十分に図っていただきまして、任期終了後も見据えて、思いを共有していくことが重要でございまして、地方自治体が主体的に地方の、地域の実情に応じて受入れ体制をしっかりと構築していくことが必要かと思っております。

 総務省といたしましては、地方自治体の担当者を対象とした受入れ体制の整備や活動支援についての研修会、これをブロック別に開催いたしますとか、隊員の受入れに当たっての留意点などをまとめたチェックリストを含んだ受入れに関する手引を作成し、自治体や地域の取組を支援をしております。また、隊員に対しましても初任者の研修を開催し、また起業に関する研修や支援を行っておりまして、任期終了後の定住が円滑に進むようにしております。また、平成二十八年度からは、サポートデスクを開設いたしまして、隊員、地方自治体の担当者からの相談にも対応しているところでございます。

 こうした取組を通じて、今後も、受入れ、サポート体制の構築に向けて重層的に支援をしてまいりたいと考えております。

緑川委員 ぜひ、その自治体の担当者に対するノウハウの共有、そしてこの隊員たちに対する地域協力活動への日ごろの取組へのアドバイス、そしてその後の起業へのまた指導、さまざまなもので、どうか情報を共有していただきたいというふうに思います。

 自治体は、それぞれが誇る地域資源、我が町の自慢なんですね、それを、それぞれすばらしいものがあるんですけれども、なかなか発信できないという場合もあります。

 また地元の紹介で恐縮なんですが、小坂町というところでは、昨年、地元のブドウを加工するワイナリーができました。火山灰が堆積した土壌のために水はけがいい、そして、冷涼な気候を生かしたブドウづくりがこの小坂町で盛んなためにワイナリーがこのほどできたんですけれども、このワイナリーというイメージ、皆さん、大変いいイメージをお持ちで、興味が湧いてくる言葉だと思うんですが、事、就農とかブドウ栽培ということになると、実際なかなかなり手が見つからないという現場のお話であります。地域によって、隊員の確保がやはり課題になっているんですね。

 来年度で発足から十年を迎える中で、地域おこしや生活支援の活動をより実効的なものにしていくために、各市町村の取組状況をぜひ共有しながら、これまでの取組で効果を上げてきた部分とそうでない部分をしっかり仕分しながら検証していくことも必要であるというふうに考えますが、野田大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 私は、四月に開催された経済財政諮問会議におきまして、暮らしやすく働きやすい社会の実現に向けて、地域づくりの担い手として活躍が期待される地域おこし協力隊の拡充を発表したところです。

 今、緑川委員の御指摘のとおりで、地域おこし協力隊をより発展させていくために、これまでの課題等に対する対策を検討していく必要があると考えています。

 今、総務省では、全国十カ所において都道府県の地域おこし協力隊担当課と意見交換を実施しており、制度面や運用面での課題等の聞き取りを進めているところです。

 今後、これまで制度の発展に携わっていただいた有識者の方々からも御意見を伺った上で、地域おこし協力隊のさらなる拡充に向けた取組の方針を取りまとめてまいりたいと思います。

緑川委員 ぜひ、十年を迎えるに当たって、国がリードして、更にこの制度の進展を図っていただきたいというふうに思います。

 この制度を利用している自治体、その地域で活動に取り組む隊員たちにとっても、ただ、今の制度でさえも利用しにくい部分があるということも聞かれます。その一つが予算の問題です。

 地域おこし協力隊に必要な経費に対して国が特別交付税としてお金を出すわけなんですけれども、この交付税措置に対しては、総務省で通知していることは、各地方自治体の取組実績を事後的に調査の上、特別交付税の対象経費を算定するというふうにされています。

 地域おこし協力隊一人に対して活動経費として国から最大で四百万円の特別交付がつきますが、期待されていた内容とはちょっと違う、つまり、事後的な交付措置であることによって四百万円全てを使うことができない自治体が出ているというふうに聞いています。

 例えば、隊員の年間の報酬がおよそ二百万円、割り当てられている車のリース料など四十万円、家賃などの住居費の補助が三十五万円、ガソリン代などの通勤費とその他雑費等々がありますが、それら全て足し合わせても四百万円には達していないために、本来まだ経費としてほかのものも見込めるというふうに思うはずなんですが、これ以上の申請ができないところがあるんですね。

 というのは、自治体によって、各課、各部のその年度の予算がかつかつに組まれている以上、協力隊に係る経費を計上できる余力がないところもあるわけです。国からの事後的な交付、つまり、来るべきお金がすぐに来ない、このことによって本来の予算が圧迫されてしまっているという場所があります。そうなると、結果として、隊員の活動経費としてもっと使えるはずであるのに四百万円分申請されない。自治体の担当者が四百万円全て出るわけではありませんと隊員に説明しているところさえあるんですね。

 この特別交付税、つまり地方交付税のそもそもの目的は、自治体の財源の偏在を調整するために本来あるはずなんですが、財源になかなか余裕の持てない自治体が十分に交付税を活用できないという皮肉な状況になっております。

 地方財政措置のこのタイムラグ、来るべきものがすぐに来ない、事後的な措置という仕組みを見直していくことが求められているというふうに考えますが、いかがでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、地域おこし協力隊に取り組む地方自治体に対しまして、御指摘ありましたように、特別交付税による財政措置を講じているところでございます。

 地域おこし協力隊の特徴といたしまして、地方自治体が自主的、主体的に取り組むものということがございます。国の補助事業のように、国に対して事前に申請をして、国の採択を受けて、そして事業実施後に国の確認を受けて補助金を受ける、そういった流れではなくて、地方自治体が自主的、主体的に取り組んでいただいたその実績を調査いたしまして財政措置を講じるということがこの仕組みの特徴でございます。

 その財政措置につきましては、特別交付税に関する省令という総務省令に明記をしております。また、具体的な対象経費につきましても地域おこし協力隊推進要綱に記載しておりまして、地方自治体があらかじめ財政措置について把握できるようにお示しをしているところでございます。

 最近、地域おこし協力隊に取り組む地方自治体がふえておりますので、より理解を深めていただくということは大切だと思います。こうした制度の周知にも一層取り組んでいきたいというふうに考えております。

緑川委員 国のこの財政措置の仕組みが、やはり自治体でも、もちろんわからないところがあるわけですね。

 この事後的な交付という部分については、少なくとも、地方の財源の偏在の調整機能がやはりこれはフルに発揮されていないんじゃないかというふうに思いますので、どうか、財政措置のあり方、いま一度、抜本的な見直しも含めて、視野に入れていただきたいなというふうに思います。

 自治体がこの交付税をやはり活用できない、今実質できていないこともあるわけで、これが、隊員が実費を負担することになっている、さらには隊員の活動範囲を狭めてしまうという形で、現場にはね返っている話なんですね。

 地域おこし協力隊が各地から一堂に集まる情報交換の会合などもありますが、この会合は、現役の隊員同士の横のネットワークを深めたり、又は隊員のOBとの貴重な懇談の機会であったりするかもしれません。

 こういう地域活動以外の経費が予算に含まれていない場合には、行政からお金が出ないというふうに言われてしまったり、自分でお金を出してその会合に行きますというふうに話をしても、それは問題になるので行かないでくれと行政側から活動の制限をかけられるケースもあるそうです。で、結局、行政との折り合いがつかず協力隊を続けることを断念してしまった、そういう方もいらっしゃいますが、それは、隊員がかかわってきた地元の方々にとっても、とても寂しいことではないでしょうか。

 経費で車を使えたりまた使えなかったり、携帯電話が貸与されていたり実費であったり、イベント参加にかかる費用の負担が公費であったり自腹であったり、それが障害となって、地域への思い半ばで、この地域おこしや生活支援の活動がまたこれはできなくなるとすれば、隊員にとっては不本意であって、とても残念なことにも感じます。

 この制度は、確かに、おっしゃるように、自治体が自発的に利用するものであり、自治体、隊員の努力が大切と言ってしまえばこれは簡単ですが、地域間で比べたときの待遇の差を少しでも縮めて、着任したときの取り組みやすさのスタートラインをできるだけ整えてあげる、このことが地域で取り組んでいることの充実感、納得感につながるというふうに考えておりますが、野田大臣、いかがでしょうか。

池田政府参考人 活動経費についてお話がございまして、私自身、財政措置の仕組みについて、市町村の首長あるいは担当者から、例えばこう改めてほしいというようなお話は伺ったことはございませんが、隊員の方とお話をする中で、例えば自分の活動のための経費を要望してもそれが時間がかかったりだとかするといったようなお話は伺ったことがございます。

 隊員の活動経費、これも自治体の予算に計上されて議会での議決を経た上で執行されるもの、これは仕組みとしては当然のことなんですが、自治体の担当者にとっては当たり前のことであっても、行政経験のない隊員にとっては、そういう行政の意思決定の仕組みですとか、予算を立案し執行するスケジュールとか、そういう感覚については初めてのこともあろうかと思います。

 我々、先ほども御紹介いたしました受入れの手引というところでも、行政の仕組みというものを丁寧に、繰り返し説明していただくよう、これは自治体に対してもお願いをしているところでございます。

 また、総務省としても、研修ですとか、あるいは全国の隊員が一堂に会するサミットというイベントを提供いたしまして、いろいろな資質の向上ですとか、あるいは交流の場を設けているわけですが、そういったところにはできるだけ参加していただけるよう、これは隊員に対しても、あるいは自治体に対しても要請をしているところでございまして、最終的にはその自治体あるいは隊員の判断ではございますけれども、そういうふうな意義があるようなものにしていきたいというふうには考えております。

緑川委員 この制度からもう十年がたつに当たって、やはりOBの方々もどんどん、運用に当たってふえているわけですね。現役の隊員と……

古屋委員長 申合せの時刻が来ております。

緑川委員 ありがとうございます。

 行政の関係だけではなくて、OBと現役隊員の関係を、やはり連携を深めていくことも私は大切だというふうに思っております。

 長くなりますが、関係人口という総務省のお考えも今進めている中であるというふうに思いますが……

古屋委員長 申合せの時刻が来ておりますので、まとめてください。

緑川委員 こうした、ふるさとに何らかの形でかかわっている人たち……(発言する者あり)最後、最後の御挨拶です。

 今の制度を一層進展させていくことを求めて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、斉木武志君。

斉木委員 国民民主党の斉木武志です。

 本日は、野田大臣に、福井市への特別交付税措置について伺いたいと思います。

 まず、二月の福井豪雪のときに予算委員会で質問させていただきまして、大臣、対応、どうもありがとうございました。対応していただいたんですけれども、実は、その福井市が今、未曽有の財政難に陥っております。

 福井市から、例えば、市の職員に対して、七月から来年の三月まで給与を一〇%一律にカットをしたい、お金がないから給与を削減してくれないかという提案がなされまして、今職員からは猛反発が起きております。除雪を不眠不休で頑張ったのに何で減給されるんだ、年度末まで減給されると住宅ローンの支払いもできないじゃないか、こういった声も上がっております。

 そのほかにも、市当局としても、百五十の公共事業の削減若しくは縮小、これを打ち出しまして、例えば、市民生活にも今影響が出始めております。

 この夏、全国で、小学校のプール、無料開放されると思うんですね。学校の児童とか地域の住民、子供たちが使う憩いの場ですけれども、これがこの夏、福井市では取りやめになるということになります。五十、小学校があるんですが、プールの監視員を雇う人件費が市として担保できない、監視員が雇えないからプールの無料開放をやめますであるとか、お年寄りに対して、米寿を迎えた高齢者の方に対して祝い金であるとか祝いのお品を配っていたんですが、これも財政難だからやめるということを市長さんが発表されております。

 こうして市民生活にも広く影響が今出ていて、市の財政は一体どうなるんだろうか、今住民の間にも不安が広がっております。

 私は、特別交付税措置そのものに少しちょっと課題があったのではないかなというふうに感じておりまして、じゃ、実際に福井市がこの福井豪雪でどれぐらい除排雪費用がかかったのか。これは国の特別交付税措置の算定対象となるもので、四十七億円かかりました。一方で、国が推定した、これだけかかるだろうなと、年度末は推定するしかありませんので、推定した除排雪費というものが三十一億円をもとに計算して、福井市に交付をしておりました。十五億円低く、国としては除排雪費を低く見積もって福井市に交付していたということになります。

 一体、十五億円少なく計算したというのは、どういった計算式、見積りに従って福井市には交付されたんでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 市町村分の除排雪経費につきましては、標準的な所要額につきまして、道路橋梁費に算定することによりまして、普通交付税で措置しますとともに、実際の所要見込み額がこの普通交付税の措置額を超える場合に、三月分の特別交付税により措置しております。

 具体的には、所要見込み額が普通交付税措置額を上回る額の五〇%、又は所要見込み額の七五%から普通交付税措置額を控除した額、このいずれか大きい額を特別交付税措置をしております。

 また、措置対象となります除排雪経費の所要見込み額につきましては、それぞれの地方団体の二月中旬までの除排雪経費の実績額に二月中旬以降の見込み額を加える形で算出しておりまして、この見込み額につきましては、その団体の過去の二月中旬以降の実績額を基礎として計算しております。

 昨年度の福井市の除排雪経費の所要見込み額は、二月十三日までの実績額であります二十九・九億円、これは福井市から出された数値でございます。それから、二月十四日以降の見込み額として計算した〇・九億円を加えた三十・八億円としております。

 その上で、この七五%に当たる二十三・一億円から、普通交付税による措置額七・〇億円を控除した十六・一億円を特別交付税により措置したところでございます。

斉木委員 ということは、二月十三日までの実績値は正確に出ているけれども、私、今お聞きした、二月十四日以降の〇・九億円、九千万円しか見積もっていなかった、ここに一番課題があったんではないかと思いますが、この見積額と、福井市、私が聞いておりますのは、あの福井豪雪というのは数十年来の大雪でした。ですので、除雪業者が下請、孫請、ひ孫請ぐらいまで頼んで、その伝票が上がってくるのにすごく時間がかかったので、ほとんど二月下旬以降の請求になってしまって、また伝票が出てくるのかという状態だったそうです。そういった、請求がおくれたというのが一つ。

 それと、公園に山積みになっていたり、また、歩道を除雪していなかった、四車線を二車線開通させたのを四車線化した、二月中旬以降、非常に除排雪経費が、移動経費、排雪も含めて膨らんだんですね。こういったところは、ということは、見れていなかった、今回の措置には見れていなかったということなんでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 二月中旬以降の見込み額につきましては、私どもは、過去五年間の実績額の平均値を使って計算しております。

 それで、今の御指摘の実績額につきましては、福井市の方からは二月中旬までの実績額としていただいたものを私ども経費に使いましたので、そのときに今御指摘のようなものが既に発生していたとしたら、そこは反映されていなかったということになります。

斉木委員 ぜひ、これは市民生活にも、冬の雪で夏のプールが取りやめになるとか、全国のニュースにもなっておりますけれども、これは非常に対応が必要であるというふうに考えるんですが、この十一億円、実績値よりも低く見積もられているというところなんですけれども、大臣、今後、市民生活にも影響が出ないように、どのように対応していかれるおつもりでしょうか。

野田国務大臣 斉木委員にお答えします。

 福井市において、昨年度の除排雪経費に係る実績額が特別交付税の算定に用いた所要見込み額を上回る結果になったと伺っております。

 これは、御指摘のとおり、昨年度の除排雪経費の総務省への報告は二月上旬の大雪以降の二月十三日時点としていたものの、福井市ではそれ以降に例年以上の経費が生じたことが要因だと考えられています。

 今後につきましては、福井市を含め、全国の状況をよくお伺いしながら、除排雪経費に係る特別交付税の適切な算定に努めてまいりたいと思います。

斉木委員 これは、やはり制度的な穴があったと思うんですね。

 福井市というのは、ふだんは余り雪が降らなくて、ただ、収束帯が長時間かかって、あのような自衛隊が出動するような降雪があると、実績値が五年、十年のものは低いので、見込み額が〇・九億円という低い額になる。でも、実際は二十億円ぐらいかかってしまう。

 こういったことにも、これは、二月中旬以降、推定値で渡さざるを得ないという制度の限界もあると思うんですけれども、ぜひこのあたりを、十一億円、実際は国の推定よりもかかっているんだ、普通はこの掛ける七五%ですね、これが地方に渡されるお金として、福井市としてもぜひ交付をしていただきたいなと思うんですけれども、一兆円という枠のある中で、災害がどこで起こるかわからないという事情はよくわかるんですけれども、ぜひ、発生してしまった除排雪経費、対応していただきたいなということを申し上げて、本日の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

古屋委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 郵便にかかわる問題で質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 ことしの五月一日ですけれども、ある団体の皆様のところに、日本郵便副社長から次のような文書が届きました。郵便物の集荷見直し等についてのお知らせ、お願いという文書でございます。その中には、今般、次の郵便物等の集荷を取りやめさせていただきたく、お願い申し上げます、なお、御同意いただけない場合は二〇一八年五月三十一日木曜日をめどに集荷を終了させていただく予定というふうに書かれてございます。

 報道にもございますけれども、このケースの場合は五月末なんですけれども、報道では六月末というふうに書かれておりますけれども、法人、団体の集荷をやめるということですけれども、これはどういうことか、端的にお示しをいただきたいと思います。

谷垣参考人 お答え申し上げます。

 郵便物の集荷についてのお尋ねでございますけれども、郵便物の差し出しにつきましては、原則として、ポスト投函あるいは郵便物をお持ちいただくというのが原則でございますけれども、これまで、個別の事情に応じまして、弊社が必要と認めたときは無料で集荷を行ってきたところでございます。

 しかしながら、御案内のとおり、昨今の労働需給の大変厳しい状況、当社も含んだ運輸関係の有効求人倍率は大変高い水準にございますし、その中で、当社の取り扱ってございますゆうパックにつきましては、昨年度の競合他社の料金改定等の影響もございまして、昨年度、二五%を超える水準で増加をしたところでございます。また、今年度に入ってもまだ増加が続いているということでございます。

 このような経営環境を踏まえまして、今後とも、お客様に確実に、郵便物と、それからゆうパック等の荷物をともにきちんとお届けするということができるための安定的な配達体制を構築するように、郵便物の集荷を見直し、集荷を行っていた社員を配達に転換するということで配達体制の強化を図ろうとしたものでございますので、どうか御理解をよろしくお願いいたします。

本村委員 人手不足の問題があるということですけれども、その解消の努力はできることがあるということを後で質問をさせていただきたいというふうに思います。

 集荷の廃止の対象に第三種郵便も入ってきます。

 そこで、ちょっと確認をしたいんですけれども、第三種郵便の趣旨、総務省に端的にお答えをお願いしたいと思います。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 第三種郵便物制度は、国民文化の普及向上に貢献すると認められる刊行物の郵送料を安くして購読者の負担軽減を図ることにより、その入手を容易にし、もって社会、文化の発展に資するという趣旨で設けられたものでございます。このため、第三種郵便物は第一種郵便物よりも低廉な料金とされているところでございます。

 また、第三種郵便物のうち、心身障害者団体が心身障害者の福祉を図ることを目的に発行するものにつきましては、一般の第三種郵便物よりも更に低廉な料金が適用されているところでございます。

本村委員 ありがとうございます。

 資料にも出させていただきましたけれども、この第三種郵便というのはユニバーサルサービスの一つでございます。

 実際に、ある団体の方で考えられていることなんですけれども、自動車などでみずから運べないといった事情がある、そういう場合に、業者さんに郵便局まで郵便物を運んでもらうというふうに検討しなければいけない。そうすると、費用が新たにかかることになる。これでは、低料で利用できるという趣旨が薄まってしまうというふうに思います。業者を探すのも一苦労だというふうに言われておられます。郵便物を業者に運んでいただけたとしても、郵便局に行って手続をしなければいけないということもございます。

 先ほども総務省の方から御説明がありましたように、心身障害者用の低料第三種郵便物制度というのもございまして、障害を持った方々も郵便のサービスを利用できるように配慮をされてきたのだというふうに思います。集荷がなくなれば、障害を持った方々あるいは高齢者の方々を始め、足腰が不自由な方の団体あるいは患者さんの団体、郵便局が遠くて、車を持っていない、そういう団体、法人が、ユニバーサルサービスの郵便を使えなくなるのではないかという懸念がございます。

 集荷の廃止で、第三種郵便などの郵便、ユニバーサルサービスの利用が困難になるということがあってはならないというふうに思いますけれども、総務大臣の見解をお願いしたいと思います。

野田国務大臣 本村委員にお答えします。

 外出が困難で郵便局や郵便ポストに行くことができないような障害者や高齢者の方々であっても、当然郵便サービスを利用できることは重要なことだと思っています。

 今回、日本郵便からは、このような障害者及び高齢者の方が差し出す郵便物については引き続き集荷を継続するというふうに聞いているところです。また、交通弱者の方については、その方の個別の事情に応じて、例えば郵便物等を配達するタイミングに合わせて引き受けることを御提案するなどの対応を行うということも聞いています。

 日本郵便においては、これらの方々に十分配慮し、利用者目線で丁寧な対応をしていただきたいと考えています。

本村委員 丁寧な対応をという御答弁でしたけれども、しかし、先ほど申し上げました副社長からのお願い文書の中には、相談に乗るとかそういうことは一言も書かれておりません。こういう対応はおかしいと思いますけれども、大臣、是正をさせていただきたいと思います。

野田国務大臣 副社長のお手紙というのは、私、しっかり読んでいなかったので、ごめんなさい。

 日本郵便においては、繰り返しになりますけれども、誰もが郵便物を簡単に差し出すことができる環境を維持するということが利用者利便の観点から重要だと考えております。

 ただ、郵便サービスをコストに見合った料金でなるべく安く提供するという観点からは、先ほど答弁があったように、郵便物の集荷を無償で行うことには限界があって、日本郵便は郵便物の集荷を法令上義務づけられていないわけであります。

 今回、日本郵便からは、郵便物の集荷の見直しに当たっては、繰り返しになりますけれども、外出が困難な障害者や高齢者の方については引き続き集荷を継続すると聞いているところです。

 総務省としても、日本郵便に対しては、この五月に、利用者に丁寧な説明を行うこと、そして、集荷を取りやめる時期については利用者の納得を得られるよう柔軟に対応すること、そして、集荷の見直しに伴い郵便局窓口等での混乱が生じないよう適切に業務を運行すること等はもう既に要請しているところです。

 日本郵便からは適切に対応していくと聞いていますので、まずは日本郵便の今後の対応を注視していきたいと考えております。

本村委員 五月一日に出されたこのお願い文書には、相談に乗るということは一言も書かれていないわけですから、ぜひ丁寧な対応をお願いしたいと思います。

 そこで、日本郵便さんにもお願いしたいと思うんですけれども、団体や法人の集荷のサービスの廃止というのは見直すべきだというふうに思いますし、サービスを維持するべきだというふうに思います。

 先ほど来大臣からも御答弁がございましたように、少なくとも、個別に、丁寧に相談に乗るということ、対応するということ、そして、こちらのお願い通知には、五月末で廃止と、もう廃止ということになっておりますけれども、それ以降もこれは何も相談に乗りますとも書いてございませんので、当然それ以降でも相談に乗っていただけますねということを確認をさせていただきたいと思います。

谷垣参考人 お答え申し上げます。

 これまで集荷をしていたお客様へ郵便局への持込みとかポスト投函をお願いするものでございますので、当然丁寧な対応に努める所存でございます。

 個々のお客様の御事情に応じまして、その御案内している見直し時期を経過した後も、持込み方法とか、あるいは集荷から持込みへの切りかえ時期の御相談など、丁寧に対応させていただきます。

本村委員 済みません、何か、今の話だと、結局持込み前提、それ以外は認めないという話のように聞こえるんですけれども、しっかりと、障害者の方々あるいは高齢者の方々、患者団体の方々、そういった方々に対してちゃんと配慮をして、集荷をするんだということをお約束いただきたいと思いますけれども。

谷垣参考人 お答え申し上げます。

 高齢の方でございますとか障害のある方で外出が困難なお客様につきましては、従来から集荷を行ってきたところでございますが、この取扱いについては変更ございません。

本村委員 ぜひ、各団体、丁寧にやっていただきたいというふうに思います。

 先日は、郵便局ネットワークを守るために、その交付金、拠出金制度、新たな仕組みをつくることもいたしました。また、昨年六月一日に郵便物の値上げというものもやったわけでございます。二〇一六年度と比べて、二〇一七年、業績がよくなっているというふうにお伺いをしておりますし、トール社の関係では四千億円の損失を計上したけれども、しかし、株主配当は二〇一七年やっているということも聞いております。

 そういう状態からしても、団体や法人の集荷サービス廃止というのは、やはり納得がいかないというふうに思います。サービスの維持を強く求めておきたいというふうに思います。

 次に、日本郵便の非正規雇用六十五歳雇いどめ問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先ほど来、郵便局では、配達、集荷の人手不足にあるんだというふうに言われますけれども、私、働きたいという方のお声を聞いてまいりましたので、そのお声も含めて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 日本郵政グループが非正規雇用の労働者を六十五歳で一律に雇いどめをしている問題ですけれども、非正規労働者というのは、正社員と比べて賃金が三分の一で、六十五歳で切られて、結局、年金がかなり少ないという中で、日本郵便で働いてきた方々が生活困窮に陥るという事態になっております。それで、一律雇いどめを見直してほしいというふうに裁判に訴えられたわけでございます。

 二〇一七年十月五日の東京高等裁判所の判決の中でも、日本郵便の非正規社員の年金や貯蓄が少額であり、雇いどめで生活困窮者が出るということを指摘しております。そして、高等裁判所の裁判長は、次のように異例の呼びかけを行っております。六十五歳になっても必要な能力を維持している者が一般的だとうかがえる、六十五歳という年齢をもって期間更新の上限としていることについては、政策的には再検討の余地があるというふうに異例の呼びかけを行っております。

 この東京高裁の裁判長の呼びかけに応えていくべきだというふうに思いますけれども、日本郵政の方にお答えをいただきたいと思います。

谷垣参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の訴訟は、現在、最高裁においてまだ係争中の事案でもございまして、会社としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論で申し上げますと、六十五歳以降の働き方につきましては、社会情勢の変化等も踏まえまして、今後、必要があれば検討を行うべきと考えているところでございます。

 現時点においては、期間雇用社員の雇用上限については、六十五歳ということについては変更ございません。

本村委員 必要な時期というのは今だというふうに思うんです。人が足りないから集荷サービスをやめると言う前に、人を確保する努力、まだできることがあるということで、今質問をさせていただいているわけですけれども。

 六十五歳以上の方々の雇用を促進していこうというのは、高齢社会対策基本法に基づく高齢社会対策大綱ですとか、あるいはニッポン一億総活躍プラン、あるいは働き方改革実行計画の中でも書かれておりまして、例えばニッポン一億総活躍プランの中では、六十五歳以降の継続雇用延長を行う企業等に対する支援を実施し、企業への働きかけを行うというふうに書かれております。

 そこで厚生労働省に確認をいたしますけれども、六十五歳以降の継続雇用延長について、当然これは日本郵便にも働きかけているということでよろしいでしょうか。

坂根政府参考人 お答えいたします。

 今委員からお話があったとおりでございまして、ニッポン一億総活躍プランにおきましては当該記述がされているところでございます。

 したがって、厚生労働省といたしましても、例外を設けることなく幅広い企業に対して働きかけを行っているところでございます。

本村委員 日本郵便にもこれは働きかけられている問題であるということでございます。

 私どもは、支給年齢の先送りをするために高齢者の方々に働けというのは反対でございます。しかし、高齢期になっても働きたい、あるいは年金が少ない中で働かないと暮らしていけないということは実際にあるわけでございます。六十五歳以上の方々にも働ける環境を整えていくというのは本当に重要なことだというふうに思っております。

 日本郵便は日本郵政が一〇〇%株を持っていて、その日本郵政は八〇%以上の株を国が持っている企業でございます。社会的な要請に先頭に立って応えていくべきだというふうに思っております。

 日本郵政に確認をもう一つさせていただきたいんですけれども、五月十五日発表された日本郵政グループ中期経営計画二〇二〇では、高齢者の雇用について、「高齢者の活躍」、グループで一万人雇用というふうにございますけれども、これはどういうものなのか、端的にお示しをいただきたいと思います。

衣川参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま委員から御質問のありました「高齢者の活躍」という項目でございますけれども、グループ共通施策としての「ダイバーシティマネジメントの推進」項目の一つとして「高齢者の活躍」を記載しているものでございます。

 この取組は、具体的には、正社員が現在六十歳定年制、以降五年間は高齢再雇用社員として雇用されている現状におきまして、正社員退職者のさらなる活躍の観点から、六十五歳までの定年延長も見据えた雇用制度の見直し、専門的業務への従事、短時間勤務等の働き方の柔軟化などについて検討していくために設けたところでございます。

本村委員 今のお答えですと、正社員だけと。非正規労働者は関係ないというのは、私は余りだというふうに思います。六十五歳まで勤め上げた方はそれだけ日本郵便に貢献をしてきたという方々だというふうに思います。

 現に、二〇一一年九月三十日をもって、日本郵便の期間雇用社員を約一万四千人、六十五歳で雇いどめ、解雇をして、生活の糧を奪われております。その結果、配達のおくれですとか、郵便物の廃棄ですとか、労働基準法違反ですとか、さまざまな問題が郵便の現場で起きているわけでございます。

 日本郵便に確認をしたいというふうに思いますけれども、日本郵便で非正規で働く皆さんの支えがあってこそ日本郵便の仕事が回っていく、非正規の皆さんがいなかったら仕事は回っていかない、基幹的な仕事をしているんだ、大事な存在であるというふうに日本郵便、日本郵政さんはそういう認識がちゃんとあるのかということ、確認をさせていただきたいと思います。

谷垣参考人 お答え申し上げます。

 二〇一八年、ことし四月現在におきます日本郵便株式会社の非正規社員数というのは約十九万三千人でございまして、その中で更に郵便、物流事業に限って言いますと約十五万三千人で、物流事業全体の社員総数に占める割合は六一%くらいとなってございます。このように、期間雇用社員を含めた多くの非正規社員を雇用してございまして、業務の重要な担い手となっているということについては認識してございます。

本村委員 その非正規労働者の方の生存権あるいは勤労の権利からいっても、六十五歳一律雇いどめというのは、私は不当だというふうに思います。

 日本郵便の非正規労働者は、正社員と同等の業務を担いながら、賃金は三分の一でございます。正社員にはあるさまざまな手当はゼロ、正社員と同様の責任だけは課せられる、労働条件には大きな格差があるのに一律に六十五歳で雇いどめだと。退職金もなく、厚生年金はごくわずかで、定年後の生活保障はない。年金が少ない中で六十五歳以上でも働き続けたい、生活していく上で当然の願いだというふうに思います。

 日本郵便は、安く働かせてきた責任があるというふうに思います。そして、そもそも、ずっと働き続けることができるといって雇われた方々もいるわけでございます。

 日本郵便の職場で非正規で働いてこられた女性の方は、次のようにおっしゃっております。

 給与、福利厚生、退職金その他の条件を前提に、正規社員には定年制があります。そういう条件を一緒にするなら、非正規の定年制もわからなくはありません。でも、差別はそのままで、納得できませんというふうに言われております。

 日本郵便は、機械的な、非正規労働者六十五歳という年齢を期間更新の上限としている政策を見直すべきだ、見直すときは今だというふうに思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。

谷垣参考人 お答え申し上げます。

 日本郵政グループといたしましても、六十五歳以降の働き方につきまして、社会経済環境の変化でございますとか経営状況を踏まえつつ、検討しているところでございますけれども、例えば、加齢に伴う身体機能の低下が業務支障を来すおそれはないかとかそういう安全衛生管理上の観点とか、あるいはどういう業務を高齢者の方に担ってもらうかとか、どのような労働力の構成が適切であるかとかそういうことを踏まえて、中長期的に検討していきたいと思ってございます。

本村委員 先ほど業務に支障がとか言われているんですけれども、実際に、現場で人が足りなくて六十五歳以上の方を雇っている実態があるわけでございます。

 東京高等裁判所の判決の中でも、六十五歳になっても必要な能力を維持している者が一般的だとうかがえるというふうに書かれております。先ほども厚生労働省が答弁したように、社会的な要請もあるわけでございます。年齢によって一律で見るべきではないというふうに、この大綱にも書かれているわけでございます。

 非正規で安い賃金で働いてきた日本郵便に貢献をされてきた方々の生存権ですとか、あるいは勤労の権利にかかわる問題を簡単に片づけてはいけないというふうに思います。

 日本郵政グループ、日本郵便にかかわっては、先日、先ほども申し上げましたように、交付金、拠出金制度、特別な仕組みをつくる、そういう法律をこの委員会で可決をいたしました。人手の確保が必要なんだということは、共通の認識だというふうに思います。ベテランを切っては、やはりユニバーサルサービスを守ることもできなくなってしまう、困難になってしまうというふうに思います。

 煩雑とかコストとかそういうことを言わずに、一人一人丁寧に対応して、六十五歳以上でも働き続けることができる環境をつくるべきだというふうに思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

谷垣参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたように、当社では、働き方について、社会経済環境とか当社の経営状況等を踏まえ、高齢者の方々にどういう役割を担っていただくか等を踏まえて、中長期的に検討しているところでございます。

本村委員 中長期ではなくて、今、人が足りなくて集荷サービスをやめると言っているんですよね。人が確保できれば、やめなくて済むわけですよね。今確保する努力をするべきじゃないですか。

谷垣参考人 お答え申し上げます。

 今のところは、人が足りないというよりも、現在の要員で超勤等を使ってやりくりをしてございますけれども、今後の状況等を踏まえて、労働政策については考えていきたいと思っています。

本村委員 低い賃金で働かせて、低い年金で生活困窮になっている、その非正規労働者の方々の生存権を守るためにも、ぜひ対策を打っていただきたいということを強く申し述べて、質問を終わらせていただきます。

古屋委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 私からも一般の質疑、二十五分間よろしくお願い申し上げます。

 きょうは、通信の関係というか、サイバーセキュリティーの関係というか、昨今、特に公文書の管理について非常に国民の皆さんから厳しい御意見が多くなっている、特に森友の改ざんの件含めまして、非常に、国民の皆さんから、これは何とかしてよと言われている中で、しっかりこの辺の公文書の管理、もちろん、紛失しない、そして偽造、改ざんができないようにしていく。何より、将来の、歴史的に顧みたときに、このときに、この政治家、為政者はどういう判断をしたんだというのは、恐らく五十年後、百年後、二百年後を見ていったときに非常に大事になっていきますので、そうした意味で、きちんと残していかなきゃいけないというのは、今政治を預かる我々にとってみても、将来にとってみても、非常に大事な観点だというふうに思います。

 そうした観点で、現在の日本のこうした部分、どうなっているのかというところをまず初めに伺っていきたいんですけれども、昨今、通信手段が多くなっていまして、昔であれば、基本的には紙、若しくは電話、ファクスという、残りやすい、電話はともかく、残りやすい紙で残すというのが多くなっていますが、しかし、最近は電子化が進んでおりますので、そういった意味で、その残し方というのは非常にこれから考えていかなきゃいけない。これからというよりは、本当はもう既に考えていかなきゃいけないところだと思うんですけれども。

 アメリカなんかだと、前の大統領選挙のときに、ヒラリー・クリントンさんが、私用のメールで要は業務のやりとりをしていたみたいなことでアメリカで追及されていましたが、その関連で、日本は大丈夫かなというのを聞いていきたいんです。

 まず聞きたいのは、特に、重要な判断をする政務三役の皆さん、政務官、副大臣、大臣もきょうは来ていただいていますけれども、こうした皆さんの通信手段、もちろん、ふだん、公務だけじゃなくて、政務もおやりになっていますし、何より、ふだんの私生活もあるわけなので、御家族とのやりとりもされるわけで、もちろん皆さん携帯もお持ちで、その中でメールをやられたり、あとは、通信アプリだとメッセンジャーだとか、若しくはLINEみたいな形のアプリを非常に使っていらっしゃる方は多いというふうに思います。

 こうした中で、公務のやりとりも、ついついそうした私用のメールやLINEみたいな形で、政務じゃなくて、公務の方はきっちり管理していかなきゃいけないと思うんですけれども、この公務の部分もこうした私用メールやLINE等の通信アプリで使用されている状況があるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、こうした部分もあるのかどうか、そして、その通信の頻度、使用実態というのを政府としてきちんと把握されているのかどうか、このあたり、お伺いできますでしょうか。

野田国務大臣 丸山委員にお答えいたします。

 総務省の政務三役の公務における通信手段について、私用メールアドレス等を使用しているか否かを含め明らかにすることは、情報の保全等に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを控えさせていただきます。

丸山委員 つまり、使っているか使っていないかも言えない、そういうことでよろしいんでしょうか。そして、それは、これは何を言っているかというと、これはきっちり管理していかないとだめだと思うんですよ、政府全体として、今後のことを考えたときに。しかし、じゃ、どこが管理しているのかというのも、これは、この質問通告のやりとりで聞いたら、頻繁にお電話いただいたんですけれども、内閣の情報通信を見ている室がありますけれども、そこも全体は見ていないという話で、じゃ、各省庁、見ているんですかというと、いや、各省庁のことは各省庁でとおっしゃる。政府全体としてはそういう状況なんですが。

 一方で、じゃ、総務省としての今お答え、大臣がお答えになったということで、総務省、まず単独のお答えだと思うんですけれども、使っている状況、あるのかどうか、そこすらお答えいただけない、そういう状況だということですか、大臣。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで総務省における実態ということでございますけれども、私どもにおきまして、政務三役も含めた実態の把握というものは行っておりますけれども、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、通信の頻度など実態については、通信手段、通信内容及びこれらに関する情報漏えい対策を明らかにすることになりますので、情報の保全等に支障を及ぼすおそれがございますので、回答は差し控えさせていただきたいと思います。

丸山委員 つまり、きちんと把握はしているけれども、情報の漏えい等のおそれがあるのでできない、やっていらっしゃる、把握しているということでいいんですね。各職員をきちんと見ている。政務三役もどういう通信状況にあるのかを見ていらっしゃるんですね。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 政府全体で申し上げますと、情報セキュリティー対策については、政府統一基準というもので定めております。また、これに基づいて、総務省情報セキュリティポリシーというものを策定し、これを運用しております。これが適正に運用されているかどうかという点については、私どもで把握をさせていただいております。

 ただ、今委員御指摘の、具体的な通信の頻度であったり、そういった実態の詳細については、私どもは把握はしてございません。

丸山委員 ごめんなさい、把握はしているけれども、頻度は把握していないという、いまいちよくわからない回答なんですけれども。

 つまり、確認の仕方は、通信状況、データ、パケット量、どうなっている、どこの回線を使った、こういうのを把握しているんじゃなくて、サーバーをもって、サーバーを見ているという意味じゃなくて、例えば今の話だと、わからないけれども把握しているということは、やっていますか、やっていませんか、こうやってヒアリングをして、それで聞いているということですか。どういうふうにそれは把握されているんですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 取り扱う情報の機密性に応じて、扱うべき端末、これは公用携帯であったり私用携帯であったり、異なる場合があるわけでございますけれども、どのような端末をどのような目的、カテゴリーに分けるわけでございますけれども、に使っているかということについては、私どもで把握をさせていただいております。

丸山委員 でも、それは、私用携帯は把握できていないんですか。むしろ、私用携帯すら把握している、きちんとやっているという認識でいいんですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な通信の中身あるいは頻度等について私ども把握はしてございませんけれども、どのような端末、例えば公用携帯をどのような目的で使っているのか、それから私用携帯を例えば政務でお使いになっているのか、こういった点については、定性的な調査といいましょうか、聞き取りをさせていただいておりまして、これがセキュリティポリシーに適合しているかどうかということについて、私どもも運用を注視をしているということでございます。

丸山委員 つまり、聞き取りで、どういう私用携帯を使って、どういう公用携帯を使ってやっているかを聞いているということだという理解でよろしいですね。

 つまり、どういう端末でどういうやりとりをしているかを、データを保存しているわけじゃないですし、何かしら私用携帯でこういうのをやっているということを把握するのは、聞き取りでしかわからないので、つまり、その人が、実は公務の内容を私用でやっちゃいましたと言わない限りわからないということでよろしいんですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで通信の内容、これは通信の秘密に該当するものもございますので、私どもが通信の中身あるいは通信の頻度について把握をしているという事実はございません。

丸山委員 逆に言えば、公用携帯でやりとりしたデータ、これは国民の財産での携帯ですよね、そこでやりとりした情報というのは、同じく公文書に当たると思うんです。これは保存をされないんですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、公的な端末あるいは私ども総務省がみずから若しくは外部に委託をして運用しているサーバーに残っている通信の中身については、そのサーバーの許容量が許す範囲において保存をしているという状況でございます。

丸山委員 ごめんなさい、例えば、わかりやすく言えば、防災携帯なんかを職員の皆さんは持っていらっしゃると思うんですね、公用の。こうした携帯のやりとり、メール、やりとりしていると思うんですが、これはサーバーは外部サーバーだと思うんですけれども、それは外部サーバーに残しておいてねと言ってあるということですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで一般論として申し上げますと、サーバーの供給能力といいましょうか蓄積能力の範囲内において、公用で用いたメール等の中身については、これは蓄積をし保存をしているということでございます。

丸山委員 首をかしげながらお話しいただきましたが、ただ、お言葉は明瞭で、公用の携帯でやったものは、サーバーの限度範囲内、これはどれぐらいかわかりませんし、財務省のときも、基本的には保存期間が一年ということで、さっさとなくなってしまったのが問題の端緒だったと思いますが、公用の部分はきちんと残しているという今御答弁だったんですけれども、逆に言えば、私用の部分は、見ていない、ここは関知できないということでよろしいんですね。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、私用の部分については、私どもが把握しているという事実はございません。

丸山委員 規則の詳しいところをお伺いしたいんですけれども、もし、私用携帯をもってこうした公用の、公的な公務についてのやりとりをした場合、何かしらの規則違反という形になるのかどうか、注意を受けるのか、罰則を受けるのか。そういった意味で、情報漏えいにおいて非常に大事な観点だというふうに思うんですけれども、このあたり、詳しくお伺いできますか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省におきましては、取り扱う情報の機密性などの格付に従いまして、行政事務においてセキュリティーリスクを排除した適切な情報処理がなされるよう、政府全体の政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準に基づきまして、必要な安全管理措置などのルール、具体的には、先ほど御答弁させていただきました総務省情報セキュリティポリシーというものを定めております。

 委員御指摘のとおり、情報漏えいなどが発生することによりまして第三者への損害あるいは行政の信頼性が損なわれることから、総務省の職員が行政事務の遂行に当たってこのセキュリティポリシーのルールを遵守する必要があると考えております。

 委員御指摘の規則違反に該当する事案ということでございますけれども、これは、具体的な事案に即して検討されるべきものでございまして、一概にお答えはできませんけれども、あくまで一般論として申し上げますと、当該事案の深刻度を総合的に勘案して、必要に応じて所要の処分を行うことになるというふうに考えております。

丸山委員 済みません、それは、何かしらの問題があった場合には、罰則、公務員なので懲戒関係なのか、刑法罰なのか、両方あると思うんですけれども、そういったものも存在するということなんですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで一般論として申し上げますと、公務員が服するべき規律に照らして適正に判断をされるべきものというふうに考えております。

丸山委員 つまり、それは、違反があった場合にはそうした処分の対象となり得る可能性があるということでよろしいんですね。

谷脇政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

丸山委員 つまり、今のお答えをまとめますと、公用の携帯、お持ちだと思いますけれども、公用携帯に関しては、基本的には、サーバーに残せる範囲で残しますよという話なんですね。

 問題は、今回お聞きしたくて明らかにしたかったのは、私用携帯を公務に使った場合には、ここにアンタッチャブルで触れることはできませんし、それに関して何かしら確認するためにはどうするかといったら、結局、聞き取りの調査で、聞き取って、使いましたか、使っていませんかという部分しか結局わからないというのが現状で。

 じゃ、そうした中で、皆さん、本当に私用の携帯で使っていないのかどうかというところは非常に危惧すべきところですし、何より一番の問題は、使った、使っていないじゃなくて、便利なので、私は、使ってもいいようにしても、それを残すような仕組み、公文書という形できっちり記録を残していくというのは、どういう形であっても必要ですし、最初に申し上げたような、今後の、百年後、二百年後の、歴史を問うていかなきゃいけないタイミングを考えたときに必ず必要になってくると思います。

 本当は、もっと申しますと、先ほどのサーバーの容量のという話がありましたけれども、今のサーバーの容量を考えたら、正直、こんな公文書の文字、文字の処理数なんて、動画じゃないんですから、知れているわけですよ。全部保存しようと思ったら可能だと私は思っています。

 そこまでは今は言いませんけれども、しかし問題は、明らかにもならず、そしてなおかつ、あるかどうかもわからないし、罰則をかけられるかどうかもわからない、私用のメールの部分を含めて保存されない公文書というのが多分にしてある状況というのは、正直、私、森友の件もそうなんですけれども、この公文書の問題が出ているタイミングでしっかり、ほかの欧米各国に合わせる形でしっかり将来の疑問に答えられるような管理の仕組みを整えていかなきゃいけないというふうに思うんですけれども。

 この公文書が保存されず、将来の検証ができないというのは、非常に私は危惧しているんですけれども、大臣、このあたりについてどのようにお考えか、その見解をお伺いできますでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 内閣府が所管する公文書管理法、これにおいて、意思決定過程等の合理的な跡づけや検証に必要となる行政文書について、適切に作成、保存等の管理を行うことが求められているということを承知しています。

 こうした対応については、例えば、電話でのやりとりなども含めて、どのような通信手段を用いるか等にかかわらず、可能な限り適切に行う必要があるというふうに考えています。

丸山委員 大臣、読んでいただいたのは、それはそれでいいと思いますけれども、ふだん携帯もお使いになられるでしょうし、もちろん私用の部分もあって当然で、人間なのであると思うんですね。一方で、携帯の電話番号を分けてやっているかというのは、なかなかそこも難しい、何なら何番、取り分けるか難しいという場合に、結局、私用の携帯で公務に使うみたいな話もないとは私は言えないと思うんですよね。だから、やはり、きょうはこれ以上申し上げませんけれども、しっかり、この問題、実は通信を預かる総務省としても非常に大事な部分だと思いますし、公文書管理、全体の行政管理を見ていく中で大事な部分だと思いますので、頭の片隅で構いませんので、こういう問題もあるんだというのを置いておいていただければというふうに思います。

 そうした中で、これは国だけじゃなくて地方自治体もこの文書の管理というのが非常に問われている時代だと思いますが、四月に、前橋市において、小中学校の子供さんと保護者の個人情報、これを保管するサーバーが、これは不正アクセスですけれども、を受けて情報が流出したみたいな話が報道されていました。

 こうした中で、総務省として、自治体とか関連団体に対してどんな対策をとるようにと言っていらっしゃるのか、通達されているのか、総務省、見解をお伺いできますか。どちらでも。

池田政府参考人 前橋市教育委員会におきまして発生した事案を受けまして、これは文部科学省から各教育委員会の教育長等宛てに、「教育の情報化に対応した情報セキュリティの確保について」として緊急の注意喚起が行われたところでございまして、総務省からは、各地方公共団体の情報セキュリティー担当課に対しまして当該文書を参考送付したところでございます。

 あわせて、総務省から、各情報セキュリティー担当課に対し、教育委員会とも連携を図りながら、改めて、各地方公共団体におきます情報システムからの情報の漏えい等を防止するための対策に漏れがないか点検するなど、情報セキュリティーの確保に万全を期することを要請したところでございます。

丸山委員 これは、自治体の数を考えても、自治体の規模を考えても、特に小さな自治体ほどどんどんどんどんこの点は難しくなっていきますし、置いてきぼりになりがちだというふうに思うんですね。

 こういった意味で、全体としてどう対策をとっていくのか。その中で、外注も含めて、どのように、困難な情報処理の、後進的と言ったら言い過ぎかもしれませんが、うまくいかない、うまくわかる人が少ない、そうした地域においてもしっかりこうした対策を進めていくというのは非常に大事だと思います。

 その自治体に住んでいらっしゃる方はいらっしゃるわけで、そうすると、その方々の個人情報も含めて、どちらが大事かというのはありませんので、ただ、情報セキュリティーなので、場所にとらわれませんから、対策される方がそこに住んでいらっしゃる必要はないかもしれませんし、逆に言えば、その自治体の職員の方じゃなくても相互に連携をとることで対応が可能かもしれません。そうした中で、私、総務省さんのリーダーシップは非常に大事だというふうに思うんです。

 そういった意味で、このセキュリティー対策について、まず把握されているのかどうか。各自治体はしっかりやっているのか、どういう取組をしているのか、把握されているかどうか、確認しているのかどうか、このあたりについてどのようにお答えになりますでしょうか。

野田国務大臣 私からお答え申し上げます。

 まず、地方公共団体の情報セキュリティー対策について、既に総務省の方では、インシデント発生時の即応体制の強化、そして業務システムにおけるセキュリティー対策の抜本的強化など、総合的な対策を推進してきているところです。

 特に、抜本的強化策としましては、マイナンバー利用事務系では、端末からの情報持ち出し不可設定等を図って住民情報流出を徹底して防止すること、そして、マイナンバーによる情報連携に活用される地方公共団体間の専用回線であるLGWAN環境のセキュリティー確保に資するために、LGWAN接続系とインターネット接続系を分割すること、そして、都道府県と市区町村が協力して、自治体情報セキュリティクラウドを構築して、高度な情報セキュリティー対策を講じること、この三層から成る対策というのを推進して、現在でも全ての地方公共団体において対策が行われているところです。

 ただ、情報セキュリティー対策に絶対ということはありませんので、全国の地方公共団体とともに、情報セキュリティーの確保には不断に取り組んでまいりたいと思います。

丸山委員 大臣、その進め方でいいと思いますが、お聞きしたかったのは、やってくださいねと言うのは非常に大事で、それはやってくださっているんですけれども、本当にやっているかどうかというのは非常に大事なところなんですけれども、その確認をされているかどうかということをお伺いしたかったんですけれども。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣から説明をさせていただきました三層から成る対策をこれは推進しておりまして、これにつきましては、全ての地方公共団体において対策が行われております。

丸山委員 つまり、確認して、しっかりやっているというふうな回答があるということですね。

池田政府参考人 はい、御指摘のとおりでございます。

丸山委員 まあ、これは疑い出したら切りがないですし、ただ、さっきの話で、やっている、やっていると言っても実は穴があったとか、非常に悩ましいところだと思いますが、言っていくしかないと思いますので、しっかり言っていくとともに、今後、新たにどんどんどんどんセキュリティーの分野というのは前に進んでいくと思いますので、それに合わせてしっかり自治体の方のフォローもやっていただけるようにお願い申し上げたいと思います。

 残りの時間で、ちょっと話題がかわりますが、お話ししたいのは福井の件なんです。

 私、福井に党務で最近よく行くんですけれども、福井の今話を聞きますと、いろいろな、あわら温泉の老舗の宿が焼けてしまったとか、非常にそういった悲しい事件もあるんですけれども、もう一つ大きな話題はあの大雪で、大臣にも御尽力いただきまして、費用をいただいて、交付金をいただいて対応していますが、一方で、やはり財源が足らなくなって、そうした中で、福井の政治家、特別職ももちろん大幅カットですが、職員の皆さんも一〇%カットということになっております。

 維新の会は、基本的には、無駄遣いをなくしていく、その前に、無駄遣いがあるのならまず議員や職員から襟を正していくんだという姿勢なんですが、一方で、この非常事態において、こういった状況になることについては懸念もあるなというふうに私は思っていまして、こうした意味で、まず、この大雪での財源不足についてどのように政府は捉えられているのか、政府の見解をお伺いしたいというふうに思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 福井市は、まず、年々増加する障害福祉や子育て支援などの扶助費、それと、ことし二月に発生しました大雪、それらによって多額の経費がかかっていたために、平成二十九年度において、財政調整基金及び災害対策基金の全額を取り崩して対応したということを承りました。

 また、今年度も約十二億円の財源不足が生じる見込みとなったために、大型事業の先送りとか各種事業の中止、縮減や職員給与の削減の方針が示されたと伺っています。

 御承知のとおり、地方公務員の給与については、地方公務員法第二十四条に定めている給与決定原則に基づいて、各地方公共団体において条例で定められているものであります。

 既に、独自の給与カットを実施している団体では、それぞれの財政事情等を踏まえ、住民の理解と納得が得られるように議会等で十分議論がされているというふうに理解しておりまして、ぜひ福井市においても十分御議論いただければと考えているところです。

丸山委員 最終的には自治体の判断ですけれども、私、財政調整基金が切れるというのは、何のための財政調整基金やねんというふうに市民の皆さんも思いますし、我々から見ていても、どういうことやねんというふうに思うと思うんですけれども、これが取崩しになっている状況というのは余り自治体でも、まあ、たまにある、たまにあると言ったら怒られますけれども、あるところもあるということなんですが、そもそも、じゃ、結局なくなるんだったら基金の意味ないじゃないかという話も出てくると思います。

 特に福井は、国体の誘致や、あとは道路、新幹線の整備等々、いろいろな部分でこれまで使ってきた。そこに緊急な大雪の対策があってという事情もあるんですが、しかし、そうした事情のための基金が全額ないというのは、非常に私はゆゆしき事態だというふうに思うんですが、こうした部分について見解をお伺いしたいんですけれども、どのようにお考えになりますか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 まず、福井市の基金の状況でございますけれども、二十八年度末残高、御指摘いただきましたように、二十億円という状況でございます。

 この財政調整基金の標準財政規模に対する割合を見ておりますと、福井市は三・四%ですけれども、類似団体によっては一二・七%という状況でして、今いろいろと御指摘があったようなことも含めまして、財政調整基金の額が比較的少額の団体であったということは間違いないと思います。

 この中で、この二十億円と災害についての対策事業費に充てるための災害対策基金八億円を全額取り崩したために、二十九年度末残高がゼロになる見込みと伺っております。

 さらに、二十九年度決算につきましては、扶助費の追加であるとか三十七年ぶりとなる大雪への対応などのため、これら二つの基金の残高を全て取り崩してもなお二億円程度の実質赤字になる見込みと伺っております。

 このような厳しい財政状況にあることから、福井市においては、平成三十年度から三十五年度までの間に、収支均衡した財政構造と計画最終年度の財政調整基金残高三十億円を目標とした財政再生に向けた新たな計画を策定しているとお聞きしております。こうした取組について当面注視してまいりたいと考えております。

丸山委員 時間が参りましたので、続きは次の機会に。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、総務省に設置されました自治体戦略二〇四〇構想研究会の第一次報告や最近発表された推計人口の数字に関連して、何点か質問いたします。

 最初に、平成の大合併についてお聞きいたします。

 平成の大合併などで役場の本庁がなくなった旧市町村区域、約千五百カ所ほどあるそうですが、そこの人口が二〇〇〇年から二〇一五年の間に平均で一七・五%減少したということが四月に報じられておりました。一方、本庁が残った約五百九十の区域の人口減少率は八・一%、合併をしなかった一千百十八市町村も人口減少は約九%にとどまっているとされています。

 合併で本庁を失った旧市町村区の人口減少率が、本庁が残った区域の二倍以上のスピードで人口減少が進んだということですけれども、このような数字、総務省はかねて把握をしていたのでしょうか。

    〔委員長退席、原田(憲)委員長代理着席〕

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 実は、今回の御質問を受けまして、改めて算定をしてみました。

 御指摘のように、平成十二年と二十七年の国勢調査人口を比較しますと、役所、役場の本庁が残った旧市町村の人口減少率は八%、それから本庁がなくなった旧市町村の人口減少率は約一八%となっております。

 今回、実は先ほどまで分析をしておりましたのですが、実際問題として、平成十八年の三・三一まで平成の合併をかなり強力に推進してまいりました。平成二十年以降、人口減少局面に入っておりまして、総じて小規模な団体ほど人口減少率が激しゅうございます。

 例えば三ないし十万人の団体でございますと、本庁が残った旧市町村の人口減少率はマイナス三・九四%、ところが、なくなった市町村、三十四団体ですが、これは五・一%に増加しております。ところが、二千人未満の団体でございますと、本庁が残ったところがマイナス二九・二二%、なくなったところは三三・八七%と。

 今回、非合併市町村も比べておりますけれども、全体にトレンドとしては人口減少の波が非常に来ておりまして、合併、非合併、それから本庁があるなし、これはある程度関係はありますが、小規模な団体ほど人口減少しているという傾向が出てございます。

吉川(元)委員 私の地元の大分でも合併がかなり進んでまいりました。その中で、対等合併もありますし、それから市と周辺の町村が合併をした場合もございます。

 押しなべて見ますと、やはり本庁に機能がだんだん集約をされていって、出張所や支所あるいは振興局という形で残っていた出先の機関の職員の数が減っていく。今、小さな市町村は押しなべてそうだというお話をされましたけれども、だけれども、実感として感じるのは、かつてそこに、確かに小さな町村であれば職員五十人とか六十人の町村もありましたけれども、そういう人たちがほとんどいなくなる、そうなると、その周辺で、さまざまな関連をして、例えばお昼のお弁当だとか、夜の一杯飲むところかどうかわかりませんけれども、そういうものも含めて潰れてなくなっていく。それが結果的に周辺部の人口減少に更に拍車を私はかけてきたのではないかと。

 合併市町村内で、人口の減少の格差がやはり生まれているんですね。これについて、総務省は、平成の大合併の当初からこうしたことが起こり得ると想定をされていたのか、また、そういう方向でいくんだというふうに考えていらっしゃったんでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十年四月に、第二十五次地方制度調査会の市町村の合併に関する答申というのがございます。そのときに、合併を進める上での障害、合併に踏み切らないというときはやはり理由があるんだろう、その理由として、合併後の市町村内の中心部と周辺部で地域格差が生じるとの懸念があるという指摘がされております。

 実は、私もその当時この仕事をしておりましたが、平成の合併を行う前に、昭和の合併のときにやはりそういう議論がございました。

 そういった意味で、私どもといたしましては、全部の役場が全て本庁に機能を一緒にするのではないとか、それから、それぞれの何か出先機関として残るとか、それから、合併前に市町村のビジョンをつくります、市町村建設計画、できるだけ、まだ全国的には人口減少局面になっておりませんでしたので、投資をすることによって、周辺の市町村も何とか、地域住民の連帯強化とか、それから地域振興等に使えるような基金をつくってやっていくというふうな戦術、戦略を立てておりました。

 私どもとしては、そういった意味で、合併前に、旧市町村でこういう事業をし、こういうふうな支所を置きということで、いろいろなことの弊害はある程度防げるのではないかと思っておりましたけれども、先ほど申し上げましたように、相当の人口減少局面に来ている。

 実は、そのときに新しい制度も入れまして、地域自治区とか合併特例区とか、そこで自治のまとまりもつくれる、住民の意見も反映するという仕組みを入れました。そういった意味で、平成の合併を行うに当たっては十分意識したつもりでございますが、こういうふうな今トレンドになっているということは事実でございます。

    〔原田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

吉川(元)委員 私自身は、ある程度防げるという認識はやはりかなり甘かったのではないかというふうに思わざるを得ません。

 少子高齢化、人口減少という中で、地方分権の担い手たる基礎自治体にふさわしい行財政基盤の確立、これを旗印として、合併特例債の発行等々、そうした措置も伴いながら、平成の大合併というのは強力に、いわゆる国主導で私は進められたというふうに思います。

 ところが、合併算定がえが終了しても交付税算定で財政支援を余儀なくされている事実を見ただけでも、合併で行財政基盤が確立したというふうにはとても私は言えないだろうと。そこに加えて、今ほど指摘をいたしました、本庁を失った旧市町村、そこでの急速な人口減少、これが合併した市町村内での格差を生み出しているとしか言いようがないのではないか。

 当然、本庁がなくなれば、先ほど言いましたとおり、そこに勤務していた職員もいなくなりますし、その周辺部も、そこにサービスを行っていたところもなくなる。また、非常に不便に、もちろん出先として残ってはいますけれども、そういうのも加味して不便になっていく。それが更に人口減少に拍車をかけたのではないかというふうにも思います。

 今後、人口減少、それから少子高齢化、これは更に進んでいくんだろうというふうに思いますが、この点も踏まえて、平成の大合併についてやはりもう一度きちんと検証する必要があるのではないかというふうに思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。

野田国務大臣 吉川委員にお答えいたします。

 平成の合併は、地方分権の担い手となる基礎自治体の行財政基盤の確立を目的として、平成十一年から約十年にわたって進められました。

 平成の合併の検証については、平成二十二年三月に、「「平成の合併」について」と題して、平成の合併の総括を公表しております。その中で、市町村合併の主な効果として、専門職員の配置など住民サービス提供体制の充実強化、強化された行財政基盤を生かした少子高齢化への対応、広域的なまちづくりの推進が挙げられています。

 一方で、平成二十五年六月の第三十次地方制度調査会の答申では、平成の合併の現状について、「市町村合併による行政区域の広域化に伴い、旧市町村地域の振興や公共施設等の統廃合の難航等の課題に加え、住民の立場からは、住民の声の行政への適切な反映などについて課題が生じている場合がある。」と指摘されています。

 総務省としては、合併した市町村において、まず、一体感を醸成するような工夫が行われるとともに、時間とともに合併の効果があらわれてくることによって、住民が合併のメリットを更に実感できるようになるものと期待しているところです。

吉川(元)委員 合併の効果が時間とともに感じられなくなってくるというのが今の現状といいますか、今の実際の状況というのは、いや、合併したけれどもこんなはずじゃなかったよね、こういうふうになるとは思っていなかったよねというのが、とりわけその周辺部で住んでいる住民の皆さんの率直な感想だというふうに私は感じます。

 そこで、これまた大臣にお聞きしたいんですけれども、ことしの四月に、総務省は昨年十月一日現在の人口推計を発表いたしました。総人口は前年から二十二万七千人減って七年連続の減少、減少幅も二年連続で拡大、人口減少に歯どめがかかっておりません。一方で、東京への一極集中というものも依然として続いている。

 人口減、高齢化に拍車がかかっている、こういう事実が示されているわけですけれども、この人口推計の数字についてどのような認識をお持ちでしょうか。

野田国務大臣 お答えします。

 御指摘のとおりで、総務省が本年四月に公表した平成二十九年十月一日現在の人口推計によれば、総人口は一億二千六百七十万六千人、前年に比べて二十二万七千人、〇・一八%の減少で、七年連続の減少となっています。一方、東京都の人口は前年に比べ十万人、〇・七%の増加になっています。

 地方創生の目標の一つは東京一極集中の是正ですが、人においては、地方からの人口流出がいまだとまっておりません。

 私は、地方創生の原点は人だと常に考えています。地域で暮らす人や、地域とかかわりを持つ人に直結する政策というのが必要だと思います。

 そのために、今総務省では、地方への新しい人の流れをつくるため、地域おこし協力隊のさらなる活用や、ふるさとワーキングホリデーの推進、そして新たに関係人口の創出に取り組んでいるところです。

 また、テレワークは移住の可能性を大きく開くものであり、わざわざ都会に行かなくても地域で働けるという意味もありますが、シェアリングエコノミーの活用による地域における共助の仕組みの再構築や、地域へのICT、IoTの導入によって、つながりのあるコミュニティーを維持できる新たな地域づくりを目指してまいります。

 地方創生は安倍政権の重要政策になっています。梶山まち・ひと・しごと創生担当大臣としっかり協力して、関係省庁とも連携しながら、引き続き、元気で豊かな地域づくりに取り組んでまいります。

吉川(元)委員 関連して内閣府にお聞きをいたしますが、二〇一六年の出生数は、統計が存在する一八九九年以来初めて百万人を割って、約九十七万七千人という状況です。出生率も一・四四と、二年ぶりに下がってしまいました。先日、二〇一七年の数字が出されましたが、そこでは更に数が減って九十四万六千人、合計特殊出生率は一・四三ということで、今はこういう状況が続いております。

 政府のまち・ひと・しごと創生総合戦略は、来年度が五カ年計画の最終年度になりますが、人口減少と高齢化、出生率の低下、それから、既に先ほど指摘をしましたけれども、地方の内部での人口格差の進展に歯どめがかかっているというふうには到底思えない状況であります。

 来年度が最終年度ということですから、ことしも含めるとあと二年ございますけれども、これはどういうふうに今後していくというふうにお考えでしょうか。

田中副大臣 委員御指摘のとおり、今、日本の総人口、これは減少が続くとともに、足元の出生率も微減している状況にあります。

 少子高齢化、また人口減少の克服については、やはり一朝一夕に効果が出るものではございませんが、そんな中で、二〇六〇年、これを見据えて、次の世代、またその次の世代へと危機感を共有して、長期的に取組を進めていきたい、そのように考えております。

 五カ年計画でありますこのまち・ひと・しごと創生総合戦略の効果についてでありますが、中間年に当たる昨年度、梶山大臣のもとに、有識者による検証チーム、これを開催しまして総点検を行った結果、実施した施策の大宗においては一定程度進捗しているという評価をいただいたところであります。

 一方、地方への新しい人の流れをつくる、この取組については、東京一極集中の傾向が続いていることから、一層の取組強化により達成を目指すべきとされたところであります。

 そのために、今後は、地方への新しい人の流れ、これをつくるための施策の拡充に取り組むこととしております。今国会で成立した法案に基づきまして、地方大学の振興ですとか企業の地方拠点の強化税制の拡充等に今取り組んでいるところであります。

 また、新たに、包括的かつ大胆な政策について今検討を進めて、六月中に閣議決定を予定しておりますまち・ひと・しごと創生基本方針二〇一八に盛り込んでまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 地方創生は、地方に五カ年計画の策定を求めて、自治体独自の努力も求めております。

 ただ、しかし、社会全体のあり方がやはり変わっていかないと、人口減少の歯どめにはならないんじゃないか。

 あるいは、東京一極集中、いろいろなことを、私は反対ですけれども、東京の大学の定員を十年間ふやさないだとかそういうことが、私は文部科学委員会なんですが、文部科学委員会で議論することなく、内閣委員会の場で決まってしまう。ある意味でいうと、私は、それは教育の機会均等も含めて大きな問題がありますし、非常にこそくなことをやられているなというふうに思わざるを得ません。

 そういう意味でいいますと、出生動向基本調査、これは最新のものが二〇一五年度のものですが、夫婦の理想の子供の数、予定の子供の数、ともに過去最低の数字になっているということは見せていただきました。そして、理想の子供の数を持たない理由のトップが、依然として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるから、こういう回答も断トツのトップで五六・三%というふうになっております。

 そういう意味でいいますと、少子化対策あるいは一極集中是正といったときに、こうした部分をしっかり対策をとっていくことが何より肝要だろうということを指摘をさせていただきます。

 続きまして、総務省に設置されました自治体戦略二〇四〇構想研究会の第一次報告が取りまとめられました。非常に興味深く読ませていただきました。

 見出しといいますか目次を見ますと、「若者を吸収しながら老いていく東京圏と支え手を失う地方圏」「スポンジ化する都市と朽ち果てるインフラ」、非常に刺激的な言葉が並んでおります。

 ある意味でいうと、非常に強い危機感を持って出された報告だったのではないかというふうに思いますけれども、取りまとめに当たって、大臣、どのような印象をお持ちでしょうか。

野田国務大臣 今後本格化する人口減少と急速に進む少子化、これらは私たちの国が抱える最大の危機、そして見えざる有事だと私もずっと考えておりますし、多くの人たちがそれを共有していただけるようになってまいりました。

 そんな中、四月二十六日に取りまとめられた第一次報告では、それをしっかりと、有識者の皆様に集まっていただきまして、放置すれば生じる内政上の危機として三つの大きな課題が提示されたうちの一つが、今委員が御指摘になった「若者を吸収しながら老いていく東京圏と支え手を失う地方圏」ということになっています。

 危機という言葉を、いたずらに国民の皆さんの不安をかき立てることは避けなければならないとは思いますけれども、本研究会のように、長期的な視野に立って、想定される課題を整理してあらかじめ対策を講じようとする試みは、これからの日本にとっては意義のある取組だと私は考えています。

 今後、二〇四〇年ごろにかけて迫りくる危機をしっかり乗り越えていくためには、自治体と全ての府省で内政上の危機に対する認識をまず共有し、そして政策資源を最大限に投入する必要がございます。

 その上で、将来にわたって国民の皆様が安心して暮らしていただけるよう、自治体が持続可能な形で住民サービスを提供するプラットホームであり続けるための方策を検討していかなければならないと考えております。

吉川(元)委員 もう余り時間が残っておりません。少し質問を飛ばさせていただいて、最後、一問大臣にお聞きしたいと思います。

 経済財政諮問会議、いよいよ山場を今迎えつつあるということであります。以前も質問させていただきましたが、今年度まで三年間、一般財源の水準を確保するルールがあり、これがことしで切れるわけです。来年度以降はどういう方向に行くのか、これは非常に、地方も含めて固唾をのんで見ている。

 私が危惧するのは、今後高齢化が進んでいくと、必要な行政サービスはふえていくわけです。その上で、その水準をしっかりと守っていくためには、地方財政を確保していくことが何より不可欠だというふうに思います。

 この諮問会議に向けて、大臣のお考えをお聞きして、質問を終わりたいと思います。

野田国務大臣 私はこれまで、経済財政諮問会議において、何度も何度も、個性と活力ある地域経済と持続可能な財政を実現することが重要であり、そのためには、地方団体が予見可能性を持ちながら計画的な財政運営を行うことができるよう、一般財源総額を安定的に確保することが不可欠であるということを主張してまいりました。

 こうした議論を踏まえて、先月、五月二十八日の諮問会議では、民間議員提出資料において、二〇一九年度から二〇二一年度の地方の歳出水準に関して、一般財源の総額について、二〇一八年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保すべきとの提案をいただいたところです。

 私も、そのような方向で経済財政運営と改革の基本方針、骨太の方針の取りまとめを行っていくことが必要だと考えており、引き続き一般財源総額の確保に向けてしっかりと対応してまいりたいと思います。

吉川(元)委員 時間が来ましたので、終わります。

古屋委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 最後の質問になります。よろしくお願いいたします。

 野田総務大臣に質問をする前に、一問、冒頭、防衛省に御質問をさせていただきたいと思います。

 私の地元、京都府京丹後市、ちょっとまた後で使うんですけれども、資料で配らせていただいておりますけれども、この地図でいう、今合併してしまって京丹後市になってしまったんですが、その前の丹後町、この突端に経ケ岬があるんですけれども、そこの経ケ岬には米軍の通信所があります。そこで、ドクターヘリによる救急搬送の件で、遅延したという事案がありましたので、これについてちょっと御質問をさせていただきたいと思います。

 防衛省近畿中部防衛局の発表、それから報道によりますと、五月十五日に、宮津与謝消防組合消防本部が、ドクターヘリによる救急搬送のため、米軍経ケ岬通信所に対し電波の停止を要請したところ、意思疎通が円滑に行われずに、当初予定の着陸場を変更することになって、そのため救急搬送が十七分おくれるという事態が発生しております。幸い疾病者の症状に別状はなかったというふうに聞いておりますけれども、いずれにしても、人の生命にかかわりかねない事態でありますので、まことに遺憾なことだというふうに思います。

 本件につきましては、京都府知事の西脇知事からも防衛大臣に宛てて抗議がなされたというふうに承知しておりますけれども、今後こういう事態が二度とあってはならないと思います。本件が発生した原因、それから二度とこういう事態が起きないような再発防止策について防衛省に伺いたいと思います。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございますが、本年の五月十五日午前九時ごろ、宮津与謝消防組合消防本部から米軍経ケ岬通信所に対して、ドクターヘリによる救急搬送のためレーダーの停波を要請をしましたが、消防本部と米軍の間の意思疎通が円滑に行われず、停波することができませんでした。その結果、ドクターヘリは、当初予定していた場外離着陸場を変更しまして、近隣の航空自衛隊の基地を活用することになりました。ドクターヘリとけが人との接触が、御指摘のとおり、十七分程度遅延したということであります。

 幸いにけが人に別状なかったということでございますが、防衛省としましては、日ごろから、停波要請手続が迅速かつ確実に行われるよう、米軍と消防本部等の関係機関との間で定期的な訓練を実施してまいりました。このような事態が発生し、けが人の方を始め関係者の皆様に御迷惑をおかけしたことは、まことに遺憾に存じます。

 今回の事案については、近畿中部防衛局は、関係者から事情を聴取し、内容をもとに、六月一日に事案の概要を公表いたしました。今後、米軍と関係機関との会議を開催し、検証したいと思います。

 停波要請手続の迅速かつ確実な実施がなされるように、今後、再発防止策に取り組んでまいりたいと思います。

井上(一)委員 消防本部と米軍、しかも、なれていない人とか人事異動でかわったりすることもあって、やはり意思疎通がうまくいかないこともあったんだとは思いますけれども、そういうことがないように、やはり、訓練をできる限り頻繁にやっていただいて、そういった意思疎通が滞ることのないように、よろしくお願いしたいと思います。

 じゃ、副大臣、これで結構です。ありがとうございました。

古屋委員長 じゃ、副大臣、御退席になって結構でございます。

井上(一)委員 それでは、野田総務大臣に御質問をさせていただきたいと思います。

 前回の統計法の質疑の際に御質問させていただいたときに、野田大臣から、これまでも議論はありましたけれども、少子化、それから人口減少こそがこの国の最大の危機とずっと考えていますということで、私もそのとおりだと思っております。

 本日は、そのような問題意識を踏まえて、市町村それから道州制、そういうのも含めて、基礎自治体、それから広域自治体のあり方について、本当に初歩的な質問をさせていただきたいと思います。

 平成の大合併ということで、行政の広域化に対処する、それから地方自治の強化を図ることを目的にして行われたというふうに承知しておりまして、三千三百あった市町村の数が約千七百まで減少しております。

 私の地元でも、参考資料で配らせていただいておりますけれども、合併が行われまして、この網線で引いたところ、これが今、京丹後市ですけれども、六町が合併して平成十六年に京丹後市ができました。それから、平成十八年には、福知山周辺の大江、夜久野、三和町、こういうのが合併して大きな福知山市になりました。それから、その上の加悦、野田川、岩滝、これが合併して与謝野町というのができたところです。

 それで、この京丹後市につきましては、平成十七年から平成二十三年の五年間で、人件費が四十五億七千万円削減できた、それから公債費の比率も目標の一九%台から一六・七%に達したということであって、また、住民のアンケート調査をしてみても、中心のところとそれから周辺のところで不満に差が出ているということを示す要素はなかったというふうに聞いております。

 他方で、再編がよかったのか、合併がよかったのかということについては地元でもやはりいろいろな意見がありまして、それで、たまたま、石原信雄元官房副長官、それから元自治省事務次官の回顧談、これを読んでおりますと、

  この再編成が良かったのか悪かったのか、いろいろ意見が分かれているね。ほんとうの意味での地方自治を実現する上で広域の単位にした場合には、基礎的な自治体の在り方としてはかえってマイナスだという意見が結構ある。

  基礎自治体は、住民の目の届くところ、お互いにコミュニケーションができる範囲でなければいけないので、それ以上は広域行政として都道府県なりがやればいいのであって、行政単位としての市町村を見た場合には、住民の生活圏との関係でそんなに大きなものはかえってふさわしくない地域が今でもあるし、僕もその辺の議論は傾聴すべきだと思うね。

というふうにおっしゃっております。

 確かに、規模を大きくすることで行政の受皿として機能が強化されたという面はあったと思いますけれども、先ほどの石原官房副長官が言われるように、この市町村合併については、市町村が住民から遠い存在になってしまったという面もやはり否定できないように思います。

 それから、総務省に設置されました市町村の合併に関する研究会、これが平成二十年に合併の評価、検証、分析というのを出しておりまして、それを読みますと、やはりいろいろな意見があるということで、住民の連帯感が更に薄れて、地域社会意識が崩壊しているというような後ろ向きの声が多いという評価がある一方で、合併を契機に住民の自立に向けた動きが新たに広がってきたというような評価も記載されております。

 そこで、これから人口減少を迎え、これを克服していかなければならないわけですけれども、さまざまな意見がある中で、この市町村合併に対する評価、それから今後の市町村のあり方について、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

野田国務大臣 井上委員にお答えいたします。

 平成の合併は、地方分権の担い手となる基礎自治体の行財政基盤の確立を目的として、平成十一年から進められて、平成二十一年六月の第二十九次地方制度調査会の答申において、「従来と同様の手法を続けていくことには限界がある」とされたことなどを踏まえ、平成二十一年度をもって一区切りとなっております。

 その結果、平成十年度末時点では、今お話があったように、三千二百三十二団体あった市町村数は、平成二十一年度末時点には千七百二十七団体に減少し、行財政基盤が強化されるなどの成果が得られたと認識しています。

 平成の合併後も、全国には小規模な市町村がなお相当数存在しており、そうした地域においても持続可能な形で行政サービスが提供されることが重要なんだと思います。

 総務省としては、市町村が単独であらゆる行政サービスを提供するフルセットの行政、総花というんでしょうか、フルセットの行政の考え方から転換をしまして、近隣市町村との有機的な連携というのを視野に入れ対応することが必要だと考えていて、連携中枢都市圏とか定住自立圏などの広域連携施策を推進するとともに、連携協約や事務の代替執行などの制度を設けてきたところです。実際には合併しなくても、中身的に一緒にやっていくような形をつくってきました。

 今後、各市町村においては、自主的な合併に加え、こうした多様な手法の中から最も適したものをみずから選択しながら、持続可能な行政サービスを提供していくことが重要だと考えています。

 私の地元岐阜市も合併をいたしましたが、残念ながら、予定していた全ての町との合併は、産廃事案が発生したことによって至りませんでした。いいところと悪いところ、それぞれあるわけですけれども、今後、人口減少という、合併によってではなく、やはり全国的に進んでいる日本の少子化に対応できるような、しなやかな基礎自治体づくりというのは非常に重要だと私は思っています。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 今大臣からも、連携中枢都市圏、この話が出ましたけれども、これについては、地方創生の総合戦略においても、地域と地域の連携を掲げて、経済成長の牽引などの機能を有するということで、これを進めていくというふうにされております。これについては、制度的には、隣接する二つの市の人口が二十万人を超えて、かつ双方がおおむね一時間以内の交通圏にある場合に、その関係市が連携協約を締結して、国も地方交付税によって財政措置で支援を図るという制度だと承知しております。

 しかし、私の地元舞鶴を含む七市町でその条件を満たす自治体がないものですから、北部地域連携都市圏形成推進宣言ということで、一応みんなで一緒にやりますよという宣言はして、観光、産業、教育、医療、交通で連携を図っていこうとしております。こういう取組を総務省においても評価していただきまして、舞鶴市は地方自治法施行七十周年記念総務大臣表彰を受けたところでもございます。

 他方で、先ほど申し上げたように、やはり、連携中枢都市圏の制度では、先ほどの私の地元では地方交付税による財政措置が受けられないということですので、今後、そういうことであれば、こういった要件を緩やかにして対象範囲を拡大していってほしいという要望もありますので、そういった方向でぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、連携中枢都市圏は、もともと、実は東京圏に対しての産業的な基盤とか生活基盤とかをつくって、東京にある人たちをむしろこっちに持ってこようというふうな、かなり強い都市圏域を考えてつくった制度でございます。そういった意味で、それを引っ張る中心市は、指定都市と中核市、しかも昼夜間人口比率一以上ということを基本にしてございます。

 そういった意味では、もともとこの政策が、十何年前からやっております定住自立圏という、人口五万以上で昼夜間人口比率一のところを中心に圏域をつくって、生活機能を確保していくということにプラスアルファして更にその強化をしたというふうなものになってございます。

 そういった意味で、我々としては、現在のところ、六十一圏域が中心になるのでございますが、まだ二十八圏域しか形成されていないということでこれを進めているところでございます。そういった意味で、私どもとしては、定住自立圏と連携中枢都市圏と両方が相まってというふうに考えております。

 ただ、今回、先生の御指摘を受けまして、当該圏域を見ましたら、なかなか大変だなと思いましたのが、それぞれの都市、それぞれの町が割と完結的で、大体七万八千とか八万三千とかという人口があって、しかも昼夜間人口比率が一以上のところと〇・九台ということで、かなり生活圏域で合併をなし遂げたという状況になってございます。

 そういった意味で、総務省では、委託事業でこの圏域について一緒に議論させていただきました。ただ、こういう圏域について、今までの定住自立圏政策で十分なのかどうか、昼夜間人口比率一で七万八千の都市が中心になって全部まとまれるかどうか、こういう議論があると思いますので、十分研究をしてまいりたいと思います。

井上(一)委員 ありがとうございました。ぜひ研究をよろしくお願いしたいと思います。

 これも政府から出された答申で、今後の地方自治制度のあり方に関する答申というのがあるんですけれども、その中で書いてあるのは、「広域自治体としての都道府県のあり方が改めて問われるようになってきている。」ということで、「現行の都道府県に代わる広域自治体として道又は州から構成される制度の導入を検討する必要がある。」というふうにされております。

 他方で、先ほどの石原元内閣官房副長官によりますと、明治以来の四十七都道府県はそれなりに定着しておるし、それぞれの県民意識もできているということで、道州制には若干否定的な意見もあると思います。

 それから、先ほどの中枢連携都市圏構想、こういうのを進めていくとなると、都道府県の役割も大きく変わっていくんではないかというふうに思います。都道府県と市町村のあり方、いわゆる広域自治体と基本自治体のあり方について、ちょっとこれは質問しようと思っていましたけれども、ぜひまた、これも含めて研究していただければというふうに思います。

 では、最後に、地元の由良川の治水対策について、ちょっと国土交通省に質問をさせていただきたいと思います。

 平成二十六年八月に福知山市域で観測史上最大の降雨がありまして、由良川が氾濫して約三千三百戸が家屋浸水するという被害が発生いたしました。

 国土交通省におきましては、緊急に治水対策をとっていただいて、しかも前倒しで取り組んでいただいておりますけれども、残念ながら、昨年の台風でも大きな被害が出たところでございます。

 五月十二日には、国交省の簗政務官、それから西脇京都府知事、それから地元の大橋福知山市長も参加する大規模な総合水防演習も行われております。

 この由良川の治水対策、市民にとっては、安全、安心を守るために早急な対策を求める声が本当に強い事業であります。今後の治水対策の取組について、国土交通省から伺いたいと思います。

清瀬政府参考人 お答えいたします。

 由良川水系では、これまでたびたび浸水被害が生じてきております。近年におきましても、平成二十五年九月には、本川からの氾濫等により約千六百戸の浸水被害が発生、また、平成二十六年八月には、法川や弘法川など支川の氾濫等により福知山市街地を中心に約三千三百戸もの浸水被害が発生、また、昨年の十月にも、本川からの氾濫等により浸水被害が発生しておりまして、委員御指摘のとおり、本川、支川含め、治水対策が急務となっていると承知しております。

 このため、国土交通省では、まず、由良川本川への対策といたしまして、山間の狭い平地に集落が散在している下流部におきましては、効率的に住家を浸水被害から防ぐために、輪中堤や宅地のかさ上げを、また、綾部や福知山といった市街地が氾濫原となっております中流部におきましては、連続堤防の整備や河道掘削等を実施しているところでございます。平成三十年代半ばを目途に完成するよう進めているところでございます。

 また、支川に対しましては、平成二十六年八月豪雨と同程度の降雨に対しまして床上浸水被害をおおむね防止できるようにということで、国土交通省は排水機場の整備、京都府は河川改修や調節池、排水機場の整備、また、福知山市が下水道のポンプ施設の増強、雨水貯留施設の整備などを、平成三十一年度を目途に完成するように実施しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、関係機関と連携しつつ、由良川の治水安全度が少しでも早く向上するように事業を推進してまいりたいと考えております。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 このほかにも、総合治水対策として調整池の整備、これもありますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

古屋委員長 次回は、来る十二日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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