衆議院

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第14号 平成30年6月12日(火曜日)

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平成三十年六月十二日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 井上 信治君 理事 池田 道孝君

   理事 橘 慶一郎君 理事 原田 憲治君

   理事 務台 俊介君 理事 武内 則男君

   理事 奥野総一郎君 理事 高木 陽介君

      井林 辰憲君    小倉 將信君

      大西 英男君    金子万寿夫君

      川崎 二郎君    菅家 一郎君

      木村 次郎君    小寺 裕雄君

      小林 史明君    左藤  章君

      佐藤 明男君    新藤 義孝君

      谷  公一君    冨樫 博之君

      鳩山 二郎君    百武 公親君

      穂坂  泰君    三浦  靖君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    岡島 一正君

      高井 崇志君    長尾 秀樹君

      山花 郁夫君    原口 一博君

      緑川 貴士君    太田 昌孝君

      本村 伸子君    丸山 穂高君

      吉川  元君    井上 一徳君

      小川 淳也君

    …………………………………

   総務大臣         野田 聖子君

   総務副大臣        坂井  学君

   総務大臣政務官      小倉 將信君

   総務大臣政務官      小林 史明君

   会計検査院事務総局第五局長            堀川 義一君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           林  幸宏君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  讃岐  建君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山田真貴子君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江崎 禎英君

   参考人

   (日本放送協会会長)   上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 坂本 忠宣君

   参考人

   (日本放送協会理事)   松原 洋一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   松坂 千尋君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十二日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     百武 公親君

  谷  公一君     小寺 裕雄君

同日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     谷  公一君

  百武 公親君     小倉 將信君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 日本放送協会平成二十四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日本放送協会平成二十五年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 日本放送協会平成二十四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書、日本放送協会平成二十五年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書の両件を議題とし、審査に入ります。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両件審査のため、本日、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両件審査のため、本日、政府参考人として内閣府規制改革推進室次長林幸宏君、総務省行政評価局長讃岐建君、情報流通行政局長山田真貴子君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君及び経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官江崎禎英君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長堀川義一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 まず、総務大臣から説明を聴取いたします。野田総務大臣。

    ―――――――――――――

 日本放送協会平成二十四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日本放送協会平成二十五年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

野田国務大臣 日本放送協会平成二十四年度及び平成二十五年度財務諸表等について、その内容の概要を御説明申し上げます。

 本資料は、放送法第七十四条第三項の規定により、会計検査院の検査を経まして国会に提出するものであります。

 まず、平成二十四年度の貸借対照表の一般勘定については、平成二十五年三月三十一日現在、資産合計は九千三百億円、負債合計は三千二百十四億円、純資産合計は六千八十六億円となっております。

 損益計算書の一般勘定については、経常事業収入は六千五百九十一億円、経常事業支出は六千四百六十九億円となっており、経常事業収支差金は百二十一億円となっております。

 次に、平成二十五年度の貸借対照表の一般勘定については、平成二十六年三月三十一日現在、資産合計は九千三百四十二億円、負債合計は三千七十三億円、純資産合計は六千二百六十九億円となっております。

 損益計算書の一般勘定については、経常事業収入は六千五百五十二億円、経常事業支出は六千四百九十六億円となっており、経常事業収支差金は五十六億円となっております。

 何とぞ慎重御審議のほどお願いいたします。

古屋委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長上田良一君。

上田参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の平成二十四年度及び二十五年度財務諸表等の概要につきまして御説明申し上げます。

 初めに、平成二十四年度につきまして御説明申し上げます。

 貸借対照表における一般勘定の当年度末の資産総額は九千三百億円、一方、これに対する負債総額は三千二百十四億円、また、純資産総額は六千八十六億円でございます。

 続いて、損益計算書における一般勘定の経常事業収入は六千五百九十一億円、経常事業支出は六千四百六十九億円でございます。

 以上の結果、経常事業収支差金は百二十一億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は百九十五億円となりました。

 なお、当期事業収支差金につきましては、全額、事業収支剰余金として、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。

 引き続きまして、平成二十五年度につきまして御説明申し上げます。

 貸借対照表における一般勘定の当年度末の資産総額は九千三百四十二億円、一方、これに対する負債総額は三千七十三億円、また、純資産総額は六千二百六十九億円でございます。

 続いて、損益計算書における一般勘定の経常事業収入は六千五百五十二億円、経常事業支出は六千四百九十六億円でございます。

 以上の結果、経常事業収支差金は五十六億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は百八十二億円となりました。

 なお、当期事業収支差金につきましては、全額、事業収支剰余金として、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。

 以上につきまして、平成二十四年度及び二十五年度の財務諸表とも、監査委員会の意見書では、会計監査人の監査意見は相当と認めるとされており、また、会計監査人の意見書では、財務諸表が、放送法、放送法施行規則及び我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、全ての重要な点において適正に表示しているものと認めるとされております。

 以上をもちまして概要説明とさせていただきますが、今後の協会運営に当たりましては、公共放送の原点を堅持し、事実に基づく公平公正で正確、迅速な放送をお届けしてまいります。さらに、視聴者の皆様から一層信頼される公共放送を目指し、NHKグループの経営改革を断行し、コンプライアンスの徹底と効率的な経営の推進に取り組んでまいる所存でございます。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。

古屋委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院事務総局第五局長堀川義一君。

堀川会計検査院当局者 日本放送協会の平成二十四年度及び二十五年度の決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。

 協会の平成二十四年度及び二十五年度の財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説明書等は、二十四年度につきましては二十五年七月九日、二十五年度につきましては二十六年六月三十日にそれぞれ内閣から送付を受け、その検査を行って、それぞれ二十五年十一月七日、二十六年十一月七日に内閣に回付いたしました。

 協会の二十四年度の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 また、二十五年度の決算につきまして検査いたしました結果、検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件であります。

 これらは、いずれも職員の不正行為による損害が生じたものでありまして、検査報告番号三九九号は、放送技術研究所の職員が、工事を行わせたように装い、技術調査研究費を領得したものであります。

 検査報告番号四〇〇号は、旭川、釧路両放送局の職員が、虚偽の航空賃で支払い請求を行って旅費を領得したものであります。

 なお、これら二件につきましては、損害額の全てが補填済みとなっております。

 以上をもって概要の説明を終わります。

古屋委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 きょうは、質問の機会を与えていただきまして、理事の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。

 また、きょう十時から歴史的な米朝首脳会談が行われているということで、会議の成功といいますか、中身があるのと同様、きょうの質疑が実り多いものでありますことを願っております。できる限り、短い時間でございますので、端的にわかりやすい答弁をお願いをしたいと思います。

 質問に入る前に、実は先週の日曜日、全国植樹祭で私は福島に行ってまいりました。森林・林業に自分としては力を入れているということと、被災地で三・一一以来初めての植樹祭ということ、また、今上陛下も、両陛下も最後の植樹祭ということで、行かせていただきました。大変すばらしい植樹祭でございました。

 その植樹祭をNHKは全国中継をされています。いろいろお尋ねしますと、植樹祭とか、豊かな海づくりとか、国体とか、全国中継されている。正直なところ、その開催地以外はほとんど無関心というか余り関心がないということで、視聴率もそう高いとは思えません。ただ、順繰りに全国各地を回る大きなイベント、しかも、スポーツであるとか、森林を守るということ、あるいは海を守り育てるということ、そういう大きなイベントは、引き続き、NHKの方でも、国民の皆さんに喚起する意味でも全国放送を続けていただきたいと思いますが、上田会長、御所見がありましたら、この点についてちょっと一言お願いしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 ただいま谷先生から御指摘がありましたように、私も、植樹祭、豊かな海づくり大会には参加させていただいておりますけれども、ぜひ今後もしっかりと放送を続けていきたいというふうに思います。

谷委員 それでは質問に入りたいと思います。

 きょうは、三点、一つは、放送と通信の融合の問題、二つ目は、放送センター建てかえの問題、三つ目は、防災、復興報道、時間がありましたら、その他の点についても御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、放送と通信の融合の問題です。これからの放送事業のあり方を方向づける大きな課題だと思います。

 今月の四日に規制改革推進会議が答申を出されました。多岐にわたります。多岐にわたりますが、きょうは常時同時配信に絞ってお尋ねをしたいと思います。

 さて、この規制改革推進会議の答申、これを上田会長はどういうふうに受けとめられましたか、お尋ねします。

上田参考人 お答えいたします。

 政府の規制改革推進会議の第三次答申の内容につきましては今後精査してまいりたいと考えておりますけれども、常時同時配信は、NHKが公共的な情報の社会的基盤の役割を果たしていくために実現すべきサービスであると認識いたしております。

 東京オリンピック・パラリンピックを前に、二〇一九年度に常時同時配信を開始したいという考えに変わりはございません。常時同時配信の実現には、国による法制度の整備が必要であり、NHKだけで進められることではないと承知いたしております。関係者や視聴者・国民の理解を得る努力を丁寧に行いつつ、できる準備を進めてまいりたいと考えております。

谷委員 NHKとしての立場は、今、上田会長が御答弁されたように、従来から、東京オリンピックまでに、オリンピック・パラリンピックには常時同時配信をやりたい、そういう強い意向であろうかと思います。

 しかし一方で、民放連の方は、NHKは受信料で成り立っていて、財政基盤も大変強い、毎年七千億の受信料収入が入る、借金は、長期借入金は事実上ゼロだ、だからできるのであって、NHKだけが先行するのはいかがなものかな、そういう懸念がたびたび言われています。

 そういう民放連の懸念について、NHK会長としてどういうふうに考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 これまで、NHKと民放放送の二元体制の中で、お互いがさまざまなジャンルの番組で切磋琢磨することにより、視聴者の多様な要望と期待に応えるとともに、日本の放送文化の向上に努めてまいりました。今後とも、この二元体制を更に発展させられるように努めてまいりたいと考えております。

 常時同時配信は、放送と通信の融合時代に、NHKが情報の社会的基盤としての役割を果たしていくために必要であると考えております。限りある経営資源の中で公共メディアとしての役割をしっかり果たしていくため、放送サービスの経営資源の再配置などについて検討してまいりたいと考えております。

谷委員 大変真面目な、模範的な答弁であったかと思います、やや抽象的ですけれども。

 さて、総務省の方はどうお考えなのか。

 規制改革推進会議答申では、同時配信は避けて通ることのできない課題であり、NHKの同時配信の是非について早期に結論を得るとあります。

 野田大臣、今後、どういう段取りで、どういう場で、恐らく有識者の検討会議ですか、そこの場であろうかと思いますが、どういうスケジュールで、これは法改正も要するかと思いますが、上田会長の御希望どおりオリンピックに間に合わせるということであれば、来年の通常国会というのが常識的に考えられるかと思いますが、その辺はどう大臣としてお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

野田国務大臣 谷委員にお答えいたします。

 規制改革推進会議の第三次答申におきまして、「NHKの常時同時配信の是非について早期に結論を得る。」と記載されていることは承知しております。

 NHKの常時同時配信については、現在、総務省の有識者検討会において取りまとめに向けた検討を進めているところです。

 公共放送としてのあるべき姿について活発な議論をしていただき、放送全体として新たな技術にも対応した発展を目指していただくことを期待しているところです。

 現時点では、常時同時配信について特段のスケジュールを決めているわけではありません。常時同時配信を含めた公共放送のあり方については、何よりも国民・視聴者の理解を得ていくことが重要であり、引き続き丁寧に総務省では議論していきたいと思っております。

谷委員 それでは、大臣に改めて、確認の意味でお尋ねします。

 いろいろ新聞あるいはメディアを見ると、一方で、同時配信はまだ早いのではないか、あるいは、そういう放送とネットの、放送のネット化というんですか、それは国民は望んでいないよというふうに主張される有識者もおられる。あるいは、三・一一のように大規模災害や国民的関心事項が発生した場合だけ同時配信すればいいんじゃないか、そういう意見もございますが、一方で、それに対して答申は、同時配信は避けて通ることのできない課題だとはっきり言われている。

 そういう基本的な認識は、大臣としては、あるいは総務省としては、これは避けて通ることができないという問題意識はそのとおりだというふうに理解させていただいてよろしいですか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 放送と通信の融合という言葉がございまして、これはかれこれ二十年ぐらい前に言い出した言葉です。当時は、技術的なイノベーションによって、放送でしか見れない動画が、インフラ整備によって、通信においても同じような速度で、大容量で見れるようになるので、放送で見てもPCで見ても同じように見えてくる、視聴者にとって。こういう時代が来ることについて、どう、やはり、差別化なのか融合させていくのか、そういうことが問題提起された時期がありました。

 ただ、今のところまだ、今日まで、技術の方は、予言どおり、見た目はほとんど、動画については普通の視聴者でも同じように見えてきます。ただ、じゃ、今の放送のコンテンツを全て通信でカバーできるかというと、それは容量的に不可能であったり、又は放送の内容については、やはり自主自律の中で一定の、放送法四条等によって規律がつくられている中、ネット上ではそれが全くないという、似て非なるものであるわけですね。

 ですから、これは、いずれにしても、視聴者の前では同じように見えてきているものがある、だけれども、実態は全然違う、法律は全然違うものということに対してのやはり議論はしていかなきゃいけない。

 さらに、多くの人たちが、かつてなかったスマホを持つことによって、加速している、動画を見る機会がふえている。それについては、やはりきちっと今の段階で、放送と通信の融合という粗っぽい言葉ではなくて、実際に技術的にどうなっていくのか。そしてさらには、そのコンテンツについては、非常に規律のかかっている放送と、同じ動画であってもそれがない、縛りのないネット上の動画についてどういうふうにリテラシーを国民に伝えていくかということは、もう早急にやっていかなければならないというふうに私は理解しています。

谷委員 ぜひ、技術的な面も含めてしっかりとした議論を、しかし、そうゆっくりはできないと思います。中身の濃い議論を早急に始めていただければと思います。

 この問題の最後なんですけれども、NHKにお尋ねします。

 ネット同時配信を行う場合、受信料はどうなるのか、徴収するのかということで、当面ネットだけの人からの徴収は考えていないということですが、これは当面ですか、NHKにお尋ねします。

坂本参考人 お答え申し上げます。

 常時同時配信の開始に当たりましては、公平負担の観点も考慮して、受信契約をいただいております受信契約世帯向けに、追加負担なく利用できるサービスとして実施したいというふうに考えております。

 ただ、テレビを持たない世帯に対しても公共性のある情報や番組を常時同時配信によって広く届けるという観点はとても重要であるというふうに考えております。

 テレビを持っていない家庭への対応については、今後サービスを進める中でさまざまな御意見もいただきながら検討をしてまいりたい、そういうふうに考えております。

谷委員 要は、当面は徴収しないけれども、テレビを持っていない世帯からは、今後検討するという答弁ではなかったかと思います。

 それでは二つ目に、放送センター建てかえについてお尋ねをいたします。

 東京一極集中、私も自民党で地方創生実行統合本部の事務総長という肩書をいただいているんですけれども、人口、経済、企業、政府機関の東京一極集中が言われますが、実はメディアとか出版などはそれ以上かと思います。

 NHKは、全国民から、全国各地から受信料をいただいている。もう少し地方を拠点とした番組を制作していただきたいというふうに常々思っています。

 私は兵庫ですから、いろんな制作スタジオを関西につくれなんということは言いません。そうではなくて、私は、東北、特に福島ということを前からよく言うているんです。なぜ福島でつくってあげないのか。震災復興にも資するんじゃないか。東京から大阪よりも、あるいは京都よりも、東京から福島の方がはるかに近い。ぜひその辺を考えていただきたいと思います。

 NHK予算に対する総務大臣意見でも、「地方からの情報発信、地方創生への貢献の観点から、あるいは、災害時のバックアップ機能の充実の観点から、機能の地方分散についても積極的に検討する」、こうあるわけです。

 広島出身の小林政務官、どうですか、お尋ねします。

小林大臣政務官 以前から谷委員が地方創生の観点から機能分散をというふうにお話をされていたことは承っておりますし、その思いも背負って出ているんだろう、こういうふうに思っております。

 そういう意味では、もう既に、御指摘いただいたように、地方活性化だけではなくて、やはり災害対策の意味でもこの分散化というのは意味があることだろう、こういうふうに思っています。

 そういう中で、御地元の関西ではなくて被災地に、こういうことでありました。我々も、そういった思いも踏まえて、この総務大臣意見で、放送センターの建てかえに合わせて機能の地方分散というのを書き込ませていただいていますので、NHKにおいては、委員御提案の地方局におけるスタジオ設備の充実も含めて、さまざまな可能性について積極的に検討いただきたいというふうに考えております。

谷委員 大変積極的な御答弁でありました。

 イギリスのBBCの例は、よく知られているように、スコットランドの分離独立を抑制するという意味合いもありますけれども、スコットランドに制作スタジオを、既に大きなものをつくっています。そういう動きを考えるならば、何も全然不可能ではないと思います。

 大きな、ビッグプロジェクト、建てかえの時期にぜひ積極的に考えていただきたいと思いますが、NHKのお考え、できる限り前向きな答弁をお願いをしたいんですけれども、よろしく頼みます。

松坂参考人 お答えいたします。

 機能分散や地方活用は重要だと考えております。

 おととし公表しました放送センターの建てかえの基本計画でも、今後の検討課題の一つとして、「地方のさらなる活用検討」を挙げております。

 建てかえ後の放送センターについて、現在、具体的な機能やそこに入る部局などの詳細を検討しておりますけれども、本部以外に配置することが適当な機能はないのかなど、最適な機能配置を考えていきたいと考えております。

 また、放送センターの建てかえを進めるに当たりましては、番組制作を一部地域の放送局で行うなどの対応が必要になります。緊急時などに総力で情報発信できるように本部への機能集中を図る一方で、リスクを分散させる観点からも、本部以外に機能配置することを検討する必要性があると認識しております。

谷委員 どうもやや役所的な答弁で、どう受けとめたらいいのか、あれでございますけれども、ぜひ、これから長い期間で、一期、二期というふうにあるわけでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 あと災害をやりたかったんですけれども、質問、持ち時間が終了しましたというメモが参りました。これで質問を終わらさせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、山花郁夫君。

山花委員 立憲民主党・市民クラブの山花郁夫でございます。

 きょうはNHKの決算の審議ということですけれども、冒頭、NHK予算のときに、ウィリアム・ホイという聾のメジャーリーガーのお話を紹介をいたしました。先日、NHKを見ておりましたところ、「静かで、にぎやかな世界〜手話で生きる子どもたち〜」という番組をやっておりまして、非常に考えさせられる番組でございました。聾の子供が、野球のジェスチャーというのは聾の人が考えたんだよという寸劇を何か誇らしげに、また楽しげにやっておりましたけれども。

 私があのとき申し上げたのは、難聴覚者の配慮ということが、ひいては全ての人にも裨益をするのではないかという趣旨でお話をいたしました。

 実は、あの後、もう一回、視聴覚障害者向け放送に関する研究会というこの冊子を、附箋を立てて中を読むのを一生懸命でして、タイトルに書いてありました、「〜すべての人に優しい放送のために〜」とございまして、ぜひ大臣もその立場からまた御指導いただければということを、重ねて冒頭申し上げておきたいと思います。

 さて、先ほど谷委員から規制改革推進会議の答申についての指摘がございましたけれども、その中で、いっとき、放送法四条を撤廃するんじゃないかみたいなことが、懸念が当委員会でも表明をされておりましたけれども、それは見送られたと認識をいたしております。

 放送法を所管する大臣として、この四条に関する考え方について、改めてお聞きをしたいと思います。

野田国務大臣 山花委員にお答えいたします。

 放送事業者は、四条を含めた放送法の枠組みの中で自主自律により放送番組を編集することによって、重要な社会的役割を果たしてきたものと認識しています。

山花委員 この放送法四条のことなんですけれども、この総務委員会にかかわる話だけではなくて、今、憲法改正の国民投票法について、例えばスポットCMについてどう考えるべきかということなども議論になっているところであります。

 英国でEU離脱の国民投票をやったときも、紙媒体については、これは表現の自由の問題があるので規制はないんですけれども、放送に関しては一切基本的には禁止している中で、例えば賛成派と反対派に放送枠を割り当てるとか、そういう公平性ということについて配慮をしているという話も伺っているところです。

 別にここで議論すべき話ではないかもしれませんけれども、もし放送法四条を、というか、今の日本の国民投票法制というのは放送法四条があることを前提としてつくられておりますので、万が一にもこれがもしなくなるということになると、そちらの議論にも影響いたしますということを指摘をしておきたいと思います。

 さて、ところで、政府は、4K、8K放送の早期普及を図るということで、4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合というのを開きまして、平成二十七年七月に第二次中間報告というのを公表しております。改定ロードマップというふうに呼んでいるようですが、これで、オリパラが開催される二〇二〇までに4K、8Kが普及して、多くの視聴者が市販のテレビで4K、8K番組を楽しんでいること、二〇二五年まではBS左旋及び百十度CS左旋において多様な実用放送を実現することなどが目標とされているわけであります。

 地上デジタル放送については、この4K、8Kについて具体的な実施目標というのは示されておりませんけれども、現時点では研究開発段階という認識でよろしいんでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、国、放送事業者、受信機メーカー等関係者の共通の目標として、今御指摘の4K・8K推進のためのロードマップを策定しておりまして、4K、8Kに関する具体的な取組を進めているところでございます。

 このロードマップにおきまして、地上放送における4K、8Kについては速やかに総合的な研究開発の取組を進めるとされております。

 これを踏まえまして、現在、総務省において平成二十八年度から予算も確保いたしまして研究開発を進めておりまして、委員の御指摘のとおり、研究開発の段階にあるところでございます。

山花委員 この4K、8Kというのは、フルハイビジョンテレビ、2Kに比べると、画素数がそれぞれ四倍と十六倍ということであります。もう既に一般向けには販売が始まっていて、電子情報技術産業協会というところが統計を出していて、昨年一年間の出荷実績では、4Kテレビについては百四十九万台というすごい量が売れているんですけれども、売れているのはいいんですが、これは、今のままでは、4K、8K、そのままでは衛星が視聴できないということです。

 テレビを見ていると、これからこんなすばらしい画像が配信されますよということはやっているんですけれども、今売られているのでは見れませんよということはやっていないんですけれども、これは何で見れないという事態が発生しているんでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでに販売されております4K、8K対応のテレビで、十二月から始まります新4K8K衛星放送を視聴いただくには、新たな放送方式に対応するチューナーが必要になります。

 この新たな放送に対応するチューナーやチューナー内蔵テレビ等の受信機につきましては、現在各テレビメーカーが開発を進めておりまして、一部メーカーでは、既にチューナー内蔵テレビの発売が開始されたところでございます。

 また、受信機にはコンテンツ保護を図るための暗号機能の強化等が図られた新たなCASが搭載される必要がございますが、ACASと言っておりますけれども、このACASについても現在開発が進んでいるところでございます。

 残すところあと半年弱と限られた時間の中ではございますけれども、放送開始に向けたさまざまな取組が急ピッチで進んでいるところでございます。

 総務省といたしましても、関係機関と連携して、今委員御指摘のとおり、受信機に関するしっかりした知識を消費者の方に持っていただくように周知を強化するなど、これからの取組を支援していきたいと考えております。

山花委員 恐らく、楽しみにして家電量販店に行って、買おうかなと思ったら見れませんと言われて、あらという方も結構いらっしゃったのではないかと思います。新しいのが発売されましたと言うけれども、まだ今月に入ってからのことだと承知をいたしておりますので。

 これまでは、例えば今のテレビも、B―CASというんでしょうか、いわば暗号化されて送られてきている、例えて言うと鍵みたいなものがこのCASという機能だと思うんですけれども、これについては無償貸与されてきたので、利用者としては負担感がなかったわけです。

 外づけのであれば、例えば故障したとしてもそれだけ取り出して修理ということなんでしょうが、内蔵されちゃっていると、テレビ丸ごと修理に出さなければいけないみたいなことになるのではないかとか。

 現に、これはちょっと直接聴取をしているわけではないので、報道ベースでしか、ごめんなさい、承知していないんですけれども、主婦連合会というところが、総務大臣と消費者担当大臣宛てに、ACASをテレビに内蔵してコストを消費者が負担するのは反対であるというような申入れ書を出していると聞いているんですけれども、この経緯といいましょうか、それに対する対応といいましょうか、どのように対応されていらっしゃいますでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の要望書でございますが、一月に主婦連合会から出ているものでございます。

 また、実態としては、新4K8K衛星放送につきましては、ACASに対応する受信機が必要でございます。こういったことにつきまして、消費者への積極的な説明を関係機関に対して依頼をしております。

 また、総務省といたしましても、消費者団体等含めまして丁寧な説明をするなど、広報等に取り組んできているところでございます。

 今後とも、さまざまな機会を捉えまして、関係者と連携をしながら消費者への周知等に取り組んでまいりますし、また、テレビメーカー等におきましても、今委員御指摘もございましたけれども、消費者の負担に配慮した商品開発が進んでいるところでございまして、現在発売中のACASに対応したテレビでは、希望者にACASを無償で届けるという、そんな形で進む、そういった事例もあると承知をしております。

 そういったいろいろな、今までのテレビと違う事情もございますので、しっかりと周知を図ってまいりたいと考えております。

山花委員 繰り返しになりますけれども、恐らくすごく期待感はある割には、まだそんな、もうあと半年で始まるというのにというような印象を持ちますし、ちょっと余り知られていない印象を持っておりますので、ぜひその周知等々はしっかりやっていただきたいと思います。

 さて、きょうは決算の審議ということですので、NHKにお伺いしますけれども、この4K、8Kのこと等に関連いたしまして、決算ベースでいうと、例えばこの二年間、二十四年、二十五年で研究開発にどれぐらいコストを投じてきているのか、また、この二年間だけじゃなくて、これまでの累積でどれぐらいかかっているのかということを教えていただけますでしょうか。

松坂参考人 お答えいたします。

 4K、8Kに係る研究開発費ですけれども、平成二十四年度決算、二十五年度決算ともに十六億円であり、この二カ年で合計で三十二億円です。それから、研究を開始しました平成七年度から平成二十八年度までのトータルでは百九十二億円となっております。

 このほか、4K、8Kに係る研究のための設備を整える経費ですけれども、二十四年度決算、二十五年度決算ともに三億円で、この二カ年で六億円です。平成七年度から二十八年度までのトータルでは四十一億円となっております。

山花委員 結構な額であります。今のBS放送をつくったときもそうだと思うんですけれども、なかなか民放でこれだけのお金をかけて開発せよといってもそう簡単な話ではないので、まあ、こういう研究開発はNHKの役割かなと思うんですけれども。

 ただ、ちょっと気がかりなことがありまして、例えば、今のBS放送、衛星放送が始まったときには、いわば投下資本の回収じゃないですけれども、BSはBSで今度受信料を取ることにして、それで研究開発費などに充てていったんだと思いますけれども、4K、8K放送独自の受信料というのを徴収する予定というのはあるんでしょうか。

坂本参考人 お答え申し上げます。

 4K、8K本放送の開始に当たりましては、新たに4K、8K付加受信料を設定する考えはございません。公平負担の徹底に努め、受信料収入を確保し、その中で効率的、効果的に4K、8K放送の充実を図ってまいりたいと考えております。

 衛星放送受信者の中で4K、8K受信者を区別して把握することが技術的にも難しいことなども考慮しているところであります。

山花委員 受信料を取らないということでありますけれども、先ほどのお話と関連させますと、つまり、まだ、衛星放送じゃなくて地上波では4K、8Kはまだ研究段階というか、まだこれから、こういうことです。そして受信料も取らないということになると、普通の4K、8Kが見れない状態の視聴者からすると、受信料は払っています、だけれどもそれは見れませんというのは、負担と受益の関係が何か不明確になるのではないか。

 別に受信料を取れと積極的に申し上げるつもりはないんですけれども、受信料だったら、対価との、サービスとの関係がはっきりするんですけれども、この公平負担という観点から、もう一度ちょっと、どう考えるべきなのかということについて御説明ください。

坂本参考人 お答え申し上げます。

 4Kや8Kで制作する番組につきましては、現在の2Kの番組として地上波や衛星波でも放送をするという一体化制作を基本に進めることにしております。4K、8K放送と同じ内容のコンテンツを2Kでも視聴者の皆様にお届けすることで、現在、衛星放送、BS1、BSプレミアムの放送の充実にもつなげていきたいと考えております。

 効率的、効果的な番組制作などによりまして、4K、8Kの新しい放送文化の創造という先導的な役割を果たしながら、衛星放送全体の放送サービスの向上に努めて、視聴者の皆様の御期待に応えてまいりたいというふうに考えております。

山花委員 その4K、8Kに関連してですけれども、これは上田会長に御答弁いただきたいんですけれども、記者会見で、ことし十二月にBSで4K、8Kの実用放送を新たに開始するということをめぐりまして、チャンネル数の問題について言及されています。国の基幹放送普及計画でも見直すことが示されており、視聴者にとって何が有益かという視点に立って検討を進めたいと。ちょっと、このコメントを読んでも、よく、どういうことなのかなというのがわからないんですけれども。

 チャンネル数を一個持つということは、民放でいえば一つの会社をつくるぐらいの話ですし、それがだからふえるということは、民放の方からすると、何かNHKがまた肥大化するんじゃないかみたいな懸念も言われておりますけれども、それとあわせて、それは多分、恐らく職員の配置とかも関連することだと思います。そういう全体像的な、ロードマップ的なことというのは今後検討されるということでよろしいんでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 三カ年経営計画では、4K、8Kの普及段階を見据えた衛星放送のあり方など、二〇二〇年度以降の放送サービスについても検討を進め、経営資源の再配置に着手するということを掲げました。

 国の基幹放送普及計画、これは平成二十八年四月に変更されておりますけれども、ここでも、BS左旋の超高精細度テレビ放送が普及した段階で、NHKのBS放送全体のチャンネル数について見直すことが示されております。

 限りある経営資源の中で公共メディアとしての役割をしっかり果たしていくため、視聴者にとって何が有益かという視点に立ち、この三年間のうちに、二〇二〇年度以降の放送サービスや経営資源の再配置などについて検討してまいりたいと考えております。

山花委員 このNHKなんですけれども、職員の採用した年次によって、かなりたくさん採用したときとそうでないときとありまして、ここ数年でということではないんですけれども、いっとき大量に採用された方がだんだん定年に近づいていく時期が、十年単位で見るとあるんだと思います。

 そのタイミングと、それこそ4K、8Kの放送が始まって動き出すぐらいのところがだんだん近づいてくるのかな、そういう問題意識もありますので、これからの、具体的に言うとチャンネル数のことになると思うんですけれども、どれだけのスパンでどういう人員配置をして、かつチャンネル数をどうしていくのかということを、今、三カ年計画の中でということですけれども、そういうことも含めて出てくるということで、ちょっともう一回確認させてください。

上田参考人 お答えいたします。

 今、山花先生から御指摘がありましたように、将来的な要員の動向も踏まえて、この三年間で二〇二〇年以降の放送サービスのあり方についても検討してまいりたいと考えております。

山花委員 きょうは4K、8Kの話を中心にさせていただきましたけれども、今、最後に指摘をさせていただいたように、これからのNHKの組織全体のこととも関連いたしますので、その計画については、ぜひ多くの方が認識して、納得感が得られるような形で計画を立てていただきたいということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 国民民主党の奥野総一郎でございます。

 NHK決算、早速質問をさせていただきます。

 この二十四年、二十五年度というのは松本会長時代の決算。審議の仕方について両筆頭に御苦労いただいたんですが、私がお願いしたのは、松本時代と籾井時代を分けて審議してはどうかということを提案させていただきました。それぞれの会長の個性に合わせて議論した方がいいということで分けさせていただいたんですが。

 この松本会長時代というのは、いろいろな改革が進んできて、例えば、ハイブリッドキャストですか、これが始まった、ネットを使って双方向の番組をやろうとか始まった時代でもありますし、それから、NHKオンデマンド、これは二〇〇八年に始まったサービスですけれども、なかなか黒字にならなくて、今も累積七十億だか八十億だか赤字が残っているはずですが、これが黒字に転じたのが二〇一三年ですか、松本会長時代だったというふうに思います。だから、そういう意味で肯定的な評価をしているんですけれども。

 まず、今例として挙げたNHKオンデマンド、その後どうなっているのか。民放ではTVerというのがあって、調べますと、月間、ことしの三月で三千八百万回再生しているというんですね。一カ月で三千八百万回も再生があるというんですが、NHKオンデマンドは大体どういう、並びの数字があるのかないのか、どのぐらいの方が見ているんでしょうか。

木田参考人 お答えいたします。

 NHKオンデマンドは、お客様が直接NHKオンデマンドのホームページから視聴する場合、これを直接提供型と呼んでおりますが、それと、外部プラットホーム会社を通じて視聴する場合があります。NHKで把握しているのは、直接提供型の視聴数であります。

 直接提供型のNHKオンデマンドの平成二十九年度の視聴数は、月間では、ばらつきはありますが、六十四万から八十一万の間であります。年度合計では、およそ八百七十三万であります。なお、登録会員数は約二百二十万人となっております。

奥野(総)委員 間接提供って、ケーブルテレビなんかでたしか申し込むようなパターンだったと思うんですが、私もあれをやろうとしたんですが、なかなかたどり着かなくて、結構面倒なんで、結局見なかった記憶があるんですが、直接の方がむしろやりやすいということでしょうか。

 それでもTVerに比べると、TVerが三千八百万回ですから、月間多くて八十万回というのは、数字のとり方にもよるんでしょうが、再生した回数というふうに捉えれば、随分差があるなと思うんですね。

 番組の質でいえば、大河ドラマとかも、いろんなドラマとかもありますから、NHKが決して劣っているというわけじゃないと思うんですね。だから、提供の仕方の違いかなと。

 スマホでTVerだとぱっと見れる。しかも無料なんですよね。だから、非常にアクセスしやすいところがある。一方、NHKのオンデマンドは有料ということで、ちょっと敷居が高いのかなと。せっかくいいもの、コンテンツがあるわけですから、もっと多くの方に見ていただくようになればいいと思うんですが。有料という整理がなされたんですが、そこをやはり、常時同時配信に合わせて見直してはどうかと思うんです。

 通告では常時同時配信の意義を伺うということにしていましたけれども、先ほど谷委員の方からも質問がありまして、ちょっと聞き方を変えてみますが、常時同時配信になったときに、受信料を払っておられる方は見られるということなんですけれども、このオンデマンドのようなサービスも、受信料を払っておられる方、そもそも受信料でできた番組でありますから、受信料を払っておられる方が無料でこういう見逃しコンテンツを見られるようにするというのを常時同時配信に合わせて検討したらどうかと思うんですね。

 もうちょっと踏み込んで言うと、TVerのようなプラットホームで一緒に見れるようにすれば、もう少し視聴がふえていくんじゃないかと思うんですけれども、ちょっと通告と若干違いますが、そういう検討をこれからされるのかどうか、伺いたいと思います。

木田参考人 平成二十九年九月二十日の放送を巡る諸課題に関する検討会において、NHKは、テレビ放送の常時同時配信について、サービス開始時の基本的な考え方を示しました。

 その際、見逃し配信については、NHKオンデマンドとの関係を整理した上で、試験的提供の結果や他局のサービスなど市場への影響等も踏まえて、一定期間の視聴を目指すというふうに表明させていただいております。

 常時同時配信における見逃し配信と、それからNHKオンデマンドの見逃し配信との関係をどう整理していくかなどの課題については、今検討を行っているところであります。

奥野(総)委員 普通に考えれば、民放さんもTVerというのがあるわけですから、同じようなプラットホームでやるのは自然だと思いますから、ぜひ、あわせて検討をしていただきたいというふうに思います。

 会長に伺いたいんですが、規制改革会議の答申が出ました。

 NHKについていろいろ触れられていまして、もちろん、「常時同時配信の是非について早期に結論を得る。」という部分もありますし、あるいは「NHKの技術開発成果や設備の活用の在り方について検討する。」というところもありますし、あるいは、国際部門の充実強化だったり、アーカイブの活用だったり、多岐にわたって書かれているわけですが、この答申全体について、どのように評価されているか。

上田参考人 お答えいたします。

 政府の規制改革推進会議について私どもが評価する立場にはございませんけれども、答申には、常時同時配信やアーカイブなど、NHKにかかわる内容も含まれており、今後精査してまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、政府の検討において、公共放送の役割が尊重されることを期待いたしております。

奥野(総)委員 私は、常時同時配信というのは、世界各国、どの国でもやっているわけですから、民放も含めて、用意ドンで一緒にできるようになるのが望ましい、それも一刻も早くするのが望ましいと考えていますし、この評価、難しいとおっしゃっていましたけれども、NHKにとってはいい書き方の部分もあるのかなと思いますが、逆に、それを言うと、NHKのひとり勝ちだとか、焼け太りだとか、こういう評価も出てきてしまうんですが。

 よく言われるのは、常時同時配信をやるに当たって、やはり民放ともっと協調していくべきじゃないか、こういう声もあるわけですね。このあたり、これからちょっと伺っていきたいと思うんですが。

 「新たなプラットフォーム・配信基盤」ということがこの答申で出てきています。これはNHKも恐らく含んでのことだと思うんですが、この答申に書かれている「新たなプラットフォーム・配信基盤」というのは、具体的にどういうイメージなんでしょうか。

林政府参考人 お答えいたします。

 規制改革推進会議において、通信・放送の融合が進展するもとでのビジネスモデルの展開の方向性を検討する中で、プラットホームや配信基盤について、多くの有識者より、さまざまな改革案が提起されております。

 例えば、ネット配信では、共通サイトなどの構築や、放送では、現在は縦系列が多いわけですけれども、縦系列、横系列の併存が必要であって、その中で望ましいプラットホームをつくっていかなくてはいけないといった意見などがございました。

 こうした意見を踏まえまして、インターネット同時配信を推進するとともに、通信網、放送波の配信方式にかかわらず、視聴者にとってより利用しやすく、既存の放送事業者や新規参入者を含む多様な事業者が利用できる、新たなプラットホーム、配信基盤の構築についての提言があったと承知しております。

奥野(総)委員 わかりにくいんですが、要すれば、あれですかね、一つはラジコのテレビ版のようなもの。ポータルサイトがあって、そこにアクセスすれば各局が見れる。それを、テレビで、大画面テレビにつなげば、電波の送信なのか、あるいはネットからの経由なのかもわからないようなものになる、こういうことですかね。

 それから、もう一つ、今、縦系列、横系列というような話もありましたけれども、いわゆる今の電波を使った放送についても、共通のプラットホームというのをお考えなんですか。そのあたり、もう少し伺いたいと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 規制改革推進会議における検討の過程で、有識者より、新たなプラットホーム、配信基盤の構築に当たり、NHKと民放を含むオール・ジャパンで推進するべきだといった御意見も寄せられております。

 そういった観点で、今後のプラットホームについて検討がなされていくものではないかと考えております。

奥野(総)委員 ちょっと、先ほど、わかりにくかったのは、縦と横とおっしゃっていましたけれども、それはどういう意味なんですか。既存の地上波の枠組みを超えて、例えば上下分離のようなことで、他局の設備を使ってローカルコンテンツを流す、そういうイメージなんですか。

林政府参考人 縦系列、横系列というのは、放送法に基づいて現在いろんなビジネスの形態というのは認められておるわけなんですけれども、必ずしもその縦系列、横系列を使った形でのサービスというのが十分に行われていないのではないかといった有識者の御指摘があったということでございます。

奥野(総)委員 いや、いまいちよくわからないんですが。

 縦系列、横系列というのがあって、縦というのはあれですかね、キー局があって、縦、ローカル局がある。で、横というのはどういう意味なんですか。横系列。キー局の下に入っている系列局全体という意味ですか。

林政府参考人 お答えいたします。

 横系列という意味で有識者の方がおっしゃっておられたのは、私どもの理解では、いろんな放送を横で一つの社が流していくとか、そういったこと、ないしはその伝送部分について、横で、一体としてやっていくというふうなことも含めて検討がなされているべきではないかというふうな御意見だったのではないかと承知しております。

奥野(総)委員 そうすると、先ほど私が言ったように、他社の設備を使ってローカルコンテンツを流していく、なかなか経営的に厳しいローカル局については他社の設備を使ってローカルコンテンツを発信していく、こういう文脈で捉えていいのかという話と、それと、答申の中で「新たなプラットフォーム・配信基盤の構築に向けた環境整備を行う観点から、必要に応じたNHKの技術開発成果や設備の活用の在り方」という言葉が出てくるんですが、この「設備の活用」というのは、NHKの無線設備を使ってそういうほかのコンテンツを流すという意味合いなんでしょうか。

林政府参考人 お答えいたします。

 まず、縦系列、横系列の関係ですけれども、いずれにしても、これは、プラットホームを構築するというふうな観点で総務省を中心に検討がなされていくのではないかと考えております。

 さらに、NHKの設備の活用というふうな件ですけれども、先ほど、NHKと民放を含むオール・ジャパンで推進するべきだというふうなことを申し上げましたけれども、NHKは公共放送でございまして、その技術開発や設備はいずれも受信料で支えられているということも踏まえて、第三次答申におきましては、新たなプラットホーム、配信基盤の構築に向けた環境整備を行う観点から、必要に応じたNHKの技術開発成果や設備の活用のあり方についても検討されるよう求めているものと承知しております。

奥野(総)委員 時間もなくなってきたんですが、今の話だと、あれですかね、無線局の活用なんかも視野に入っているということなんですかね。

 会長にまた戻しますけれども、一つは、さっき話しかけた、民放との協調という意味で、会長が会見でおっしゃっていた、要するに、TVerのフレーム、あそこを運営している会社に出資することは可能性としてはあり得るんだと、たしか会長会見でおっしゃっていますね。だから、この共通のプラットホーム、ネットについては民放と一緒に構築していこうというお考えがおありなのかどうか。

 それから、さらに含めて、じゃ、どういう協調の仕方がほかにありますか。

 よく民放の方と話すと、協調していきたいみたいな話もあるんですが、NHKさんはなかなか、要するに、二元体制に今なってしまっているので、協調すべきだという声を聞くんですけれども、具体的にどういう協調か、お考えでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 テレビ放送の常時同時配信につきましては、民放との共通の課題も少なくありません。課題を共有し、相互にメリットをもたらす提携ができるのであれば、さまざまな可能性について検討したいということを私は申し上げました。

 テレビ放送のネット配信については、今申し上げましたように、権利処理や配信基盤など、民放と共通の課題も少なくないということがありますので、昨年度実施した同時配信の試験的提供の実験結果は民放とも共有いたしております。

 また、先ほど奥野先生の方からも引用がありましたが、民放ラジオ局などと共同で運営いたしますラジコで、NHKラジオを実験的に配信いたしております。

 こうした課題を共有し、相互にメリットをもたらす提携ができるのであれば検討してまいりたいというのが私どものスタンスです。

奥野(総)委員 なかなか常時同時配信の話が進まないというのは、一つは、民放さんのローカル局問題がある、もう一つは、NHKの受信料をどこまで負担してもらうのかということで、なかなか話が進まないわけです。今回、この答申を機に、ローカルコンテンツをどうやって、ローカル局をどうやって生かしていくか、あるいはどうやってNHKが協調していくかということで、一つきっかけになるとは思うんですね。

 時間もなくなってきたので、大臣に最後に二つ、ごめんなさい、通告していないので。

 一つは、四条の問題ですね。放送法四条について、この間いろいろ議論があった。規制改革推進会議の方も、四条については検討しているということはお認めになられていたわけですけれども、結果として四条は入らなかったということについて、大臣にまず評価を伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 規制改革会議で放送法四条をテーマに議論がされたということではなく、いろいろなレクチャーの中で、大学の先生から、放送法四条とは何であるかという事実確認のような時間があったということは受けとめております。

 いずれにしても、何度も繰り返しますけれども、放送事業者は、この四条を含めた放送の枠組みの中で自主自律によって放送番組を編集することにより、これまで重要な社会的役割を果たしてきた、これには変わらず、そういうふうに認識しているところです。

奥野(総)委員 結局、この検討は、私は残念だったのは、この四条の話とか放送業界の再編みたいな話に話が行ってしまって、肝心のコンテンツ振興みたいな話が余りされなかったんじゃないかというのは非常に残念なんですね。一応この答申では、常時同時配信の話とかローカルコンテンツの振興の話は入っているんですが、そのあたりについての大臣の評価。

 今、推進会議の方からも、上下分離の話もちらっと出ましたよね。例えば、NHKの設備を使ってローカルコンテンツを、そうはっきりとはおっしゃっていなかったけれども、そうとれるようなニュアンスでしたけれども、この答申についての評価、そういう他社の設備を使ってローカルコンテンツを流すようなことについて、大臣としてはどうお考えか。

野田国務大臣 お答えします。

 答申の詳細についてコメントすることは差し控えたいと思っていますが、規制改革推進会議におけるこれまでの検討結果が示されたものだと受けとめているところです。

 いずれにしても、総務省としては、答申を踏まえた規制改革実施計画の閣議決定に向けて、引き続きしっかり協力していくとともに、当該実施計画において示されたさまざまな項目については、関係府省とも連携しながら取組を行ってまいります。

奥野(総)委員 時間が参りました。どうもありがとうございました。

古屋委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 本日は、二〇一二年度、二〇一三年度のNHK決算の審議ですけれども、まず冒頭、二〇一三年七月、NHK記者だった佐戸未和さんが過労死をされました。心から哀悼の意をささげたいと思います。

 このNHK過労死事件については、NHKの予算審議の際にも質問をさせていただきましたけれども、その佐戸未和さんのお母様は、熱心に国会や官邸前に来られております。五月三十一日、衆議院で強行され、今参議院の審議に入っております働き方改革一括法案に、全国過労死を考える家族の会の皆様とともに強く反対を訴えられております。

 お母様は、未和は私の宝、生きる希望、そして支えでした、過労死で我が子に先立たれるのは地獄の苦しみです、もう二度と心から笑えなくなりました、私たちと同じ苦しみを背負う人をふやしたくないと訴えられております。そして、労働時間を管理しない高度プロフェッショナル制度は、過労死をしても労災認定が難しくなる、自由に働けるなんて机上の空論です、過労死促進法と言われている法案を成立させるわけにはいかないというふうに訴えられております。

 野田大臣には、内閣の一員として、そして与党の皆様にも、こうした御遺族の悲痛な声に応えて、強行はやめ、廃案にするべきだということも強く申し述べたいというふうに思います。

 今回の決算の内容ですけれども、二〇一三年度の年度途中、二〇一四年一月に籾井会長が就任をいたしました。就任会見で、政府が右と言うものを左とは言えないという発言をされました。上田会長は、当時のNHK経営委員としてNHKの経営にかかわっておられました。経営委員として、三度にわたって異例の厳重注意を籾井会長、当時のNHK会長にしておられます。

 三度にわたる厳重注意というのは一体どういうものなのか、詳し目にお示しをいただきたいというふうに思います。そして、なぜ厳重注意をしたのかという点、お示しをいただきたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 御指摘の前会長に対する三度の注意と申しますのは、まず一つは、就任会見の発言に対する注意、これは平成二十六年一月のものです。それから二つ目は、経営委員会での発言に対する注意、これは平成二十六年二月のものです。それから三つ目は、ハイヤー利用をめぐる経理処理に対する注意、これは平成二十七年四月に行ったもので、この三度の注意だと承知いたしております。

 その理由につきましては、経営委員会は、当時、会長というみずから置かれた立場に対する理解が不十分であったことや、ハイヤーの経理処理について、支払いに関する注意喚起や適切な指示を怠った責任があったことを指摘したというふうに承知いたしております。

本村委員 重大なことは、籾井当時の会長が、その後も放送法に背く発言を繰り返し、視聴者の皆さんや国民の皆さんの信頼を取り戻されることなく、そういう発言を続けてきたという問題でございます。

 NHKにお伺いをしますと、NHKの全ての役職員の皆さんが放送ガイドラインを胸に番組制作に当たっているというふうにお聞きをしておりますけれども、そのNHKの放送ガイドラインの冒頭には、こううたわれております。

  NHKは、公共放送として、憲法で保障された表現の自由のもと、正確で公平・公正な情報や豊かで良質な番組を幅広く提供し、健全な民主主義の発展と文化の向上に寄与する。

  この役割を果たすため、報道機関として不偏不党の立場を守り、番組編集の自由を確保し、何人からも干渉されない。ニュースや番組が、外からの圧力や働きかけによって左右されてはならない。NHKは放送の自主・自律を堅持する。

  全役職員は、放送の自主・自律の堅持が信頼される公共放送の生命線であるとの認識に基づき、すべての業務にあたる。

というふうに書かれております。

 この放送ガイドラインに照らしても、やはり籾井氏の繰り返された発言については、大変重大な問題だというふうに思っております。

 日本共産党は、二〇一三年のNHK予算の承認には賛成をいたしました。しかし、年度途中にNHK会長に就任した籾井氏の就任会見時の発言を始めとする一連の発言が、一時的な問題にとどまらず、視聴者の皆さんや国民の皆さんのNHKに対する信頼を大きく傷つけた事態は非常に重大だというふうに認識をしております。

 NHKは、今もなお、視聴者の皆さんや国民の皆さんの信頼を回復する途上にあるという認識を絶えず持つべきだというふうに思いますけれども、会長の御認識を伺いたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKのよって立つところは、視聴者・国民の皆様からの信頼であり、その信頼を得るための取組に終わりはなく、不断に追求すべきものであると考えております。

 こうした認識のもと、NHKは、放送法や、先ほど本村先生から引用がありました放送ガイドラインにのっとり、自主自律、公平公正、不偏不党を貫いて放送に当たっておりまして、今後ともこの姿勢に変わりはありません。

 また、公共放送のトップである会長、私には、高い倫理観と説明責任が求められているということであり、この点をよく自覚し、引き続き、みずからも厳しく律して行動してまいりたいと考えております。

本村委員 更に会長にお伺いをしたいと思うんですけれども、今、森友学園の疑惑や加計学園の疑惑を始め、国政の私物化と権力の濫用など、日本の民主主義の根本が問われる事態となっております。

 こうした中で、森友学園の問題で貴重なスクープをしてきたNHK大阪放送局の記者の考査室への人事異動についての報道がございます。このことについて、国民の皆さんからさまざま疑念の声があるわけでございます。

 NHKの職員の人事についてはNHKの判断で行うというのは当然のことでございますけれども、しかし、視聴者の皆さんや国民の皆さんから疑念が持たれているという点からお伺いをしたいというふうに思っております。

 研究者、弁護士の有志の方々、この中には元NHKの経営委員の方も入っておりますけれども、その方々から、今月初め、六月一日に、NHK会長宛てに要請書が提出をされております。権力監視報道に立ち戻り、報道現場の萎縮克服を求めますという要請でございます。

 こういう問題意識に今耳を傾けるべきだというふうに思うわけでございます。

 要請項目、幾つか御紹介をしたいと思いますけれども、受信料で支えられている公共放送機関としてのNHKは、権力から独立して自主自律の放送を貫く中、権力を監視し、国民の知る権利に応える放送を続けているという視聴者の信頼を得ていることが大前提です、NHKが日々の報道でも人事においても、こうした前提をみずから壊すような言動は視聴者への背信行為であり、厳に戒めること、NHK報道局の上層部は取材、番組制作の現場の職員を萎縮させるような人事権を含む権限の濫用を退け、事柄の核心に迫ろうとする意欲的な取材、番組制作への職員のモチベーションを支え、高めるような役割と職責を果たすべきという要請内容、一部紹介をさせていただきました。

 この要請書は会長宛てに出されているものでございます。会長にも届いているはずだというふうに思いますけれども、この御指摘、どういうふうに受けとめておられますでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKといたしましては、ニュースや番組は、報道機関として自主的な編集判断に基づいて放送いたしております。NHKは、公平公正、自主自律を貫き、視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝えていくことが役割だと考えております。

本村委員 報道局など取材、番組作成の現場の職員を萎縮させることがないようにということがとても大事な点だというふうに思っております。

 全職員の方々の共通認識となるような、あるいは視聴者の方々に、国民の皆さんに、NHKはこうしています、萎縮をさせないんだということを宣言するような、良心条項と呼ばれるような、経営陣や上層部の編集方針を、その良心から、あるいは専門職能としての価値規範と本人が考えるものから見て、拒否をするということができる、拒否しても不利益をこうむることがないというような保証を仕組みとして、現場が自由に物が言えるような、そういう雰囲気を仕組みとして、国民の皆さんにもしっかりと明らかにしていただきたいというふうに思いますけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKは、公共放送あるいは今変革しようとしている公共メディアとして、自主自律に基づき、公平公正、不偏不党の立場で情報を多角的に伝えていくという、先ほど申し上げましたような役割をしっかりと果たしていきたいというふうに考えております。

本村委員 ぜひシステムとして、仕組みとして、しっかりと条文として明記をして、取材、番組作成の現場の職員の方々が萎縮することがないようにということを明確にしていただきたいというふうに思います。

 次に、インターネットの常時同時配信について、先ほど来いろいろ議論がありましたけれども、私からも伺いたいというふうに思います。

 先ほど来議論がありますように、規制改革推進会議の第三次答申では、通信・放送の枠を超えた新たなプラットホーム、配信基盤の構築に向けた環境整備、NHKの常時同時配信の是非について早期に結論を得ること、そして同時配信に係る著作権処理の円滑化などが盛り込まれました。

 その具体的な検討は総務省に託されているというふうに思っておりますけれども、一方、上田会長は、七日の定例会見の中でも、東京五輪・パラリンピック前の二〇一九年度に開始したいという考えは変わりないというふうにしております。

 総務大臣にお伺いをいたしますけれども、常時同時配信となれば、放送法の改正が必要だというふうに思います。早期に結論を得るということは、いつまでにという認識なのか、先ほども御答弁ありましたけれども、また改めてお願いしたいと思います。

野田国務大臣 本村委員にお答えいたします。

 NHKの常時同時配信については、現在、総務省の有識者検討会において、取りまとめに向けた検討を進めているところです。公共放送としてのあるべき姿について活発な議論をしていただいて、放送全体として、新たな技術にも対応した発展を目指していただくことを期待しているところです。

 現時点では、常時同時配信について特段のスケジュールを決めているわけではありません。受信料制度を含めて、公共放送のあり方について、国民・視聴者の理解を得ていくことが何より重要であり、引き続き丁寧に議論をしていきたいと思っているところです。

本村委員 総務省は、昨年七月なんですけれども、NHKが同時配信を開始するに当たって、三つの要件というものを出されております。

 一つが、放送の補完的な位置づけとして、国民・視聴者の十分な支持を得るとともに、具体的なニーズを明らかにすること、二点目が、既存の事業全体について、公共放送として適当であるか検討を進めること、三つ目が、関連団体への業務委託の透明性と適正性を更に高めることということで要件を出されておりますけれども、野田大臣もこの要件については踏襲しているというふうにお伺いをしております。

 ニーズの問題なんですけれども、NHKは配信実験をしております。二〇一六年の実験では、インターネットの同時配信の利用率は六%という結果だったんですけれども、昨年、二〇一七年十月から十一月の実験では五九%というふうになっておりまして、NHK幹部の方が、継続利用に手応えを得たというふうにしております。

 しかし、これは単純には比較ができない数字なんだ、十分な裏づけになっていないですとか、あるいは、先ほど五九・〇%と申し上げましたのは、一秒以上利用したという数値ですので、十分、三十分などの長い時間の利用者の割合も出さないと本当のニーズがわからないということなど、民間放送関係者の方々も含めて、指摘がございます。

 この調査が、先ほど言ったニーズを調べるのに十分な調査だと総務省として考えているのか、お示しをいただきたいと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 NHKが昨年度行いましたネット同時配信の一般向け調査におきましては、今御指摘のありました、一秒以上サービスを利用した方が全体の約五九%、また、日別平均の利用率約二〇%などとする結果を公表したことは承知しており、一定程度のニーズが示されたものと受けとめております。

 ただ、この結果につきましては、あらかじめNHKの同時配信実験と明示した上でモニターを募集した、あるいは、実験について毎日複数回アプリでプッシュ通知するなど積極的な周知を行ったなど、一昨年の実験とは手法が異なっておりまして、その結果を単純比較することは難しいと考えているところでございます。

本村委員 これは十分な政策判断を行うエビデンスになっていると大臣はお考えでしょうか。

野田国務大臣 今局長が報告したとおりで、それをしっかり検討材料として議論をしていただいていると理解しています。

本村委員 なかなか、この調査については、にわかには十分なエビデンスとは言えないような内容だというふうに思いますので、しっかりと総務省としても検証をしていただきたいというふうに思っております。

 最後ですけれども、第三次答申では、ハード、ソフトの分離について、本格的には言及をされておりません。そして、放送法四条の撤廃についても、懸念されたような言及は見送られております。しかし、規制改革推進会議の議論では、これらはまだ排除されていないというふうに認識をしております。

 規制改革推進会議の投資等ワーキング・グループがことし四月十六日に論点整理をしましたけれども、原座長は、放送法四条撤廃やハード、ソフトの分離の議論についても、通信・放送の融合の妨げになるということであれば、今後も考えられるのかという記者の質問に対して、何がこれからの課題になるのかということを幅広く議論していくというふうに言っております。

 規制改革推進会議の議論は今後も続くわけでございます。その行方によっては、NHKが同時配信の開始に当たって措置するという内容についても、今後ともそれが継続されるということでもないのではないかというふうに思うわけでございます。

 常時同時配信をとにかく開始して、国民の皆さんの理解なしに広げていくやり方はとるべきではないというふうに思いますけれども、最後に総務大臣にお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 NHKの常時同時配信については、現在、総務省にあります有識者検討会において、取りまとめに向けた検討を進めているところです。

 常時同時配信を含めた公共放送のあり方を検討するに当たっては、何よりも国民・視聴者の理解を得ていくことが重要であり、引き続き、さまざまな関係者の御意見を承りながら、丁寧に議論をしてまいります。

本村委員 ありがとうございました。終わります。

古屋委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 NHK決算ということで、放送と、報道も含めて、常日ごろ、報道とか放送の皆さんは、政治に対する批判、それだけじゃなくて、いろんなものに対する批判をされていくのがお仕事の一つではありますけれども、では、自分たちはどうなんだというところに関しては、私、はっきり言って、放送の分野を含めて、既得権の塊だというふうに思います。これをしっかりと、若い世代のために未来を考えていくと、これを打破していく、改革していくというのは非常に大事な観点だというふうに思うんですね。

 特に、昨今インターネットも急激に普及して、みんな一台ずつスマートフォンを持っている時代に、いまだに放送と通信の融合という形で、リアルタイムでテレビ番組がインターネットで見れないという状況に関しては、私はおかしいと思いますし、しっかりこの部分に関してはやっていかなきゃいけないというふうに思うんです。

 一方で、問題も幾つもあって、特に、NHKさんに関しては、受信料を徴収されていらっしゃるわけですから、しっかりこの辺の切り方はどうあるのか、また、国民の皆さんから見て本当に公共放送としてふさわしい放送をされていらっしゃるのか、こうした国民の厳しい声がある中で、どういう対応をとっていくのかが非常に大事ですし、政府としても立場を明確にしていかなきゃいけないと思うんですけれども、前大臣、高市前大臣は、これは記者会見だったと思うんですけれども、このインターネット同時配信、NHKに関して、番組が、ネット同時配信が実現した場合には、特に先ほど申し上げた受信料に関して、ネットだけで視聴される世帯に対して徴収する場合に対するコメントなんですけれども、多岐にわたる問題があると前大臣は述べられています。

 こういう、どちらかというと否定的な見解をされているんですけれども、これは確かに重要な指摘で、これはしっかりとNHKも胸に手を当てて、変えるところは変えなきゃいけないとは思うんですが、現大臣、野田大臣は、この点どのようにお考えなのか、率直な御回答をいただきたいんですけれども、よろしくお願いします。

野田国務大臣 丸山委員にお答えいたします。

 今御指摘された点については、常時同時配信を本来業務として位置づける考え方について、昨年七月の閣議後会見で、高市前大臣より、多岐にわたる課題があるとの発言があったと承知しています。

 この点については、NHKが昨年九月に示したサービス開始時の基本的な考え方において、常時同時配信は放送の補完と位置づける、受信契約世帯の構成員は追加負担なく利用できるようにするとの方針を示していると理解しています。

 一般論として申し上げれば、NHKがネットだけで視聴する世帯からも受信料を取ることについては、さまざま検討すべき課題があるものと考えているところです。

丸山委員 今の野田大臣のお答えも、問題がある、さまざまあるんじゃないかというお答え、まあ、同じだというふうに思うんですけれども、きょうはNHK会長も来ていただいていると思います。前大臣も現大臣もこういう回答です。私も地域を回っていますと、やはり受信料徴収に関しては非常に厳しいお声もまだまだ多いと思います。そこは真摯に、先ほども申し上げたように、胸に手を当ててやっていかなきゃいけないと思います。

 一方で、今後の技術的なことを考えたときに、特に災害時等、リアルタイムでNHKの放送がネット上で見れるというのは非常に国民の皆さんにとって便利な部分、非常に大事な部分でもあると思います。この課題、多岐にわたる課題だという指摘がありますけれども、課題をクリアしていかなきゃいけないというふうに思いますが、NHKとしてどのように捉えられるか、今の大臣の発言を受けて、どのように捉えられますか。

上田参考人 お答えいたします。

 特に受信料に絡む部分に関しましては、野田大臣のお答えにもありましたように、インターネットの常時同時配信の開始に当たっては、公平負担の観点も考慮いたしまして、受信契約世帯向けに追加負担なく利用できるサービスとして実施したいというふうに考えております。

丸山委員 まさかですけれども、テレビを持っていらっしゃる世帯に、更にネットを使っているからと追加で取るなんということはないというふうに思いますし、まあ、今うなずいていらっしゃいますけれども、それだけじゃないと思いますね、国民の皆さんが見ていらっしゃるのは。

 しっかり集めたものをどう使っていらっしゃるのか、そして、放送のあり方として、公共放送としてふさわしいのかどうか、偏向報道をされていないかどうか、そういうところも含めていろんな部分で見ていらっしゃると思いますので、そういった意味で、まだまだ壁、高い部分がありますが、時代が急激に進んでいますので、しっかりNHKの改革、前に進めていただきたいというふうに思います。

 NHKだけじゃないんですけれども、やはり電波を持っている放送局自体が襟を正していかなきゃいけない部分、多々あると思います。

 特に我が党は、電波オークションに関しては法案も提出、過去しておりまして、そういった意味でなるべく早くやるべきだと。特に先進国を見ていましても、多くの国でこのオークション制度で、ある意味税収を上げて、そこからそれを有意義に使うということをやっていますが、残念ながら日本は、我々から見れば、既得権があって、なかなかこの部分、進まない部分があるというふうに思います。

 大臣も、この間うちの片山虎之助代表が参議院の方で質疑されたときに、総務大臣として、さまざまな改革をしなきゃいけないという思いは一緒だという御回答だとか、議論の経緯、しばらく見守ってほしいと御回答されていますが、一方で、今回、三次答申を見ましたら、残念ながら、今回この電波オークションには触れられていない。まあ、第二次答申とちょっと切り口が違うので触れられていないんじゃないかという話だそうですが、本当にそうなのか。

 内閣府、これは、電波オークションの検討は引き続きやっていくんだということでよろしいんですよね。確認したいと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 第二次答申で電波制度改革を取り上げた際に、放送用帯域の有効利用について、放送事業の未来像も見据えて更に検討を深めることとされ、第三次答申での放送をめぐる規制改革がテーマとなっておりますけれども、あくまでも第二次答申にある改革に加えて検討を行ったものでございます。

 第二次答申では、入札価格の競り上げによって割当てを受ける者を決定するオークション制度について、メリット、デメリット、導入した各国におけるさまざまな課題も踏まえ、引き続き検討を継続すると提言されておりまして、昨年十二月八日に閣議決定されました新しい経済政策パッケージにおいて、第二次答申で示された実施事項を着実に実施するとされております。

 また、今後関係府省と協議の上で策定する予定の規制改革実施計画におきましても、当該部分の記述を含めて、第二次答申で示された実施事項も盛り込む方向で検討しているところでございます。

丸山委員 大体、霞が関で検討しますというのは、やらないということだとよくやゆされますけれども、これはやらないんじゃなくてしっかり議論を進めていただきたいですし、大臣、議論の成果を見守ってほしいということなんですが、正直、外から見ていますと、進んでいるのかなと国民の皆さんも不安に思うところはあると思います。こうした声にどうお答えになられるのか、大臣としてどうお考えか、お答えいただけますか。

野田国務大臣 お答えします。

 今内閣府から答弁がございました。それを受けて、総務省では今、電波有効利用成長戦略懇談会、ここにおいて電波制度改革の検討を行っているところです。

 電波は言うまでもなく国民共有の財産でありますし、技術革新等も踏まえながら、さらなる有効利用に向けて不断の改革を進めていくことが必要です。

 今委員から御指摘のあったオークション制度も含めた電波割当て制度のさらなる改革について、引き続き検討を継続してまいります。

丸山委員 ぜひ、今の大臣の御発言が霞が関的な検討じゃない、本当の意味での検討だということを信じておりますし、前に進めていただきたいというふうに思います。引き続き我が党もこれはチェックしていきたいと思います。

 もう一つ、やはり国民の皆さんの声が大きいのは、本当にこの放送、新聞もそうですけれども、公正公平な、いわゆる放送法第四条に基づく報道がされているのかどうかというのは私個人としても疑問に思いますし、国民の多くの皆さんが果たしてそうかなと思っていらっしゃるというふうに思うんですけれども、今般、この放送法四条の部分、撤廃するのかどうか議論がなされて、多くの報道でもありましたし、また政府の中でもあったんじゃないかという話が出ております。

 これはいろんな声があって、逆に放送側の方々からすれば、例えばスポンサーで政治勢力を応援するような革新的なスポンサーがついたときに、逆にそれによって偏った報道がされてしまうんじゃないかみたいな、報道の中立性が、この四条、なくなることでなくなってしまうんじゃないかという声もあるんですけれども、でも一方で、もう既に、四条があろうがなかろうが、残念ながら中立性というのは今ないんじゃないかと私は思っている方なんですけれども、いろんな議論があると思います。

 確認しておきたいのは、今回の三次答申でこの四条の撤廃についてはいろいろマスコミで騒がれた割に触れられていない、落とされているという状況だと思うんですけれども、まず確認したいんですけれども、内閣府さんに聞きたいんですが、これはどうして落とされているんですか、触れられていないんでしょうか、お答えいただけますか。

林政府参考人 お答えいたします。

 規制改革推進会議では、特定の条文や制度に焦点を当てて議論をしておりませんで、有識者から放送法第四条を撤廃すべきといった意見もなく、今回の答申には放送法第四条の改革は盛り込まれておりません。

 政府としては、今後、本答申を踏まえ、関係府省間で協議の上、規制改革実施計画を策定する方針でありますけれども、計画に放送法四条の撤廃を盛り込むことは検討しておりません。

丸山委員 検討していないということですが、これは規制改革会議の議題にも上がっていないということでよろしいんですね。

林政府参考人 委員おっしゃるとおり、特定の条文や制度に焦点を当てて規制改革推進会議で議論をしておりませんで、そこは、その放送法四条も含めた議論も含めて、特定の条文、そういう制度について議論をしていないということでございます。

丸山委員 正直、大山鳴動してネズミ一匹じゃないんですけれども、特に安倍総理、幾つか御発言もされていますが、慎重に御発言されているのは議事録を見たら思うんですけれども、一方で、じゃ、結局、今の御回答のように規制改革会議においては議題にも上がっていないという答弁ですよ。

 一方で、じゃ、何でこんな、議題にも上がっていない、結局落とされているものに関して、これだけマスコミが、毎日のように各紙が、放送法四条撤廃反対、反対、反対、反対と、さんざん書きまくってやっていました。新聞でも、テレビでも、いろんなコメンテーターが述べていましたけれども。

 本当に、自分たちの既得権、ある意味、既得権だと私は思っているんですけれども、自分たちを守るところにはすごく抵抗します。

 例えば、数年前、消費税の、一〇%に上げるかどうかという話をしたときに、軽減税率の話を私はずっと財務委員会でやっていたんですけれども、あれもおかしな話で、どうして新聞だけ軽減税率が適用されるのかというのは論理的に誰も答えられないんですよ。この話をずっとやっていても、新聞報道は一切されない、ニュースでもされない。それはやはり自分たちの厳しい部分に関して光を当てることをしないからだと思うんですけれども。

 こういう姿勢自体が、正直、今後の放送のあり方に対して、みずから襟を正していくという、自分自身が他者を批判するのなら自分自身の襟も正していかないとという部分で、私は若干危惧していますし、若干というよりはかなり危惧していますし、このままではいけないんじゃないかというのは思うところなんですが。

 大臣、こうした部分、率直に、報道の今の現状をどうお考えなのか、大臣の率直なお声を聞かせていただきたいんですけれども。

野田国務大臣 お答えします。

 何度も繰り返し申し上げているんですけれども、放送事業者、放送法第四条を含めて放送法の枠組みの中で自主自律によって放送番組を編集することによって、重要な社会的役割を果たしてきたものと認識しているところです。それには変わりありません。

丸山委員 大臣もお答えが紋切り型にしかなりませんが、しかし、総務省、監督庁としてはそういうことだというふうに思いますけれども。

 放送も、今後、恐らく時代が大きく流れていく中で変わっていかざるを得ないと思いますし、我々政治家も、そして一視聴者としても、これに対してはしっかり厳しい目を向けていかなきゃいけないなと改めて今大臣の御答弁を聞いて思ったところです。

 時間もなくなってきましたので、一つどうしても聞いておきたい、総務省にも関連しますので、クールジャパンの案件を聞きたいというふうに思います。

 クールジャパン機構での問題も出ていますが、補助金もクールジャパン関連はたくさんついていまして、これに関連して、総務省の行政評価局の方で、これはおかしいんじゃないのと、幾つか、この使い方はないでしょうというのを指摘されて、勧告を出されています。私も読ませていただきましたが、なるほどなという、確かに、しっかり、これはおっしゃるとおりだなという指摘だと私は思いますし、これは総務省としても、行政評価局、仕事されているんだと思うんですけれども。

 こうしたところも含めて、クールジャパンのあり方、今、最近の報道だと、機構がつくった、伊勢丹のクアラルンプールの百貨店の話まで出てきます。クールジャパンは、本当に国がやる上でこのやり方でいいのかというのは今後大きな議論になりつつあると私は見ていますが、こうした部分に関して、大臣、全体、勧告も含めて、大臣としての所見をお伺いできますでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 総務省は、この五月に、クールジャパンの推進に関する政策の評価を公表したところですが、この中で、クールジャパン政策に関する具体的な数値目標、KPIとして掲げられた分野別の売上高、輸出額等の伸びは全て目標を上回っている、あるいは達成の見込みであることなどから、全体としては相当程度進展と評価されるとの認識を示しているところです。

 一方、一部の事務事業については改善すべき課題が見られました。例えば、事業者への呼び水効果を狙った一部の補助事業については、補助を受ける前から事業を実施していた事業者も補助対象とされていたことから、今後の当該分野における支援に当たっては、より効果的、効率的な支援となるよう検討すべきことを所管省、経済産業省に勧告をいたしました。

 クールジャパンは、日本の魅力を効果的に発信し、産業育成や海外需要の取り込みに結実させることが目的とされています。このため、政府からもさまざまな支援策が実施されていますが、これらが効果的、効率的に行われていくことが重要であると考えているところです。

丸山委員 先ほど述べたようなクアラルンプールの話、大分ニュースになっていますけれども、非常に閑散としているということです。これは、半分クールジャパン機構が出資して、三越伊勢丹がクアラルンプールにつくったということですが、大赤字が出ているということなんですが、個別の件も、これはどうなっているのというのはまず聞きたいんです。

 同時に、これだけじゃなくて、非常に赤字累積がたまっていまして、会計検査院によると四十四億円、これまでで。これは、でも二年ぐらい前の話ですので、今聞くと更に十億ぐらい積み増しているんじゃないかなという話が出ているんですが、大赤字なわけですよ。

 一方で、あの当時、もう五年前ですけれども、私、経済産業委員会で、この法案を最初につくるというときに議論しました。維新は反対だったんですけれども、その理由は、民間でできることを国がやる限りは、やはり変になっていくんじゃないの、結局、今までやってきた部分、エルピーダもありましたし、いろんなものがありましたけれども、余りうまくいっていない、そうした中でこれを国がやる意味があるんですかというのをさんざん聞いたんですけれども、いやいや、呼び水にさせてください、呼び水にする、そして、赤字にはしないですよ、とんとんに最終的には持っていきますというのがずっと政府の答弁だったんですよ。

 でも、現実、今、まだ五年ですが、半分若しくは四分の一たって、これだけ大きな赤字を抱えているのは、非常に国民の目も厳しくなっていくというふうに思います。こうした部分、巨額の損失だとか計画未達成も含めて、経産省、どう考えるのか、お答えいただけますでしょうか。

江崎政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のマレーシア・ジャパン・ストア事業でございますけれども、日本の最先端のライフスタイルを発信することを目的に、平成二十八年十月から開始されたものでございます。

 当初から、日本食やファッションの一部は好調でございましたけれども、他部門の苦戦によりまして全体の売上が目標を下回り、赤字を拡大してまいりました。

 こうした状況を打開するため、今般、クールジャパン機構におきましては、当該法人の保有株式を譲渡し、本事業を三越伊勢丹ホールディングス現地法人の一〇〇%子会社とすることで現地別店舗との一体経営による効率化を図るなど、事業の再建を行うことになったものと承知しております。

 また、委員御指摘の、もともと、クールジャパン機構でございますけれども、民間が投資をためらうようなハイリスクな事業への投資、これを目的としまして、平成二十五年十一月に設立されました。これまで、食・サービス、そしてメディア・コンテンツ、ライフスタイル関連を中心に二十八件、五百七十億円の支援決定、公表を行ってきたところでございます。

 御指摘の事業投資案件でございますけれども、事業の立ち上げ期にあるものも多いため、会計検査院からは、十分な収益を上げていないとの御指摘をいただいているところでございます。

 しかしながら、おかげさまで、現在では、投資案件の二倍以上の投資収益を上げている案件も生まれつつあるところでございます。

 なお、クールジャパン機構の収益性の全体の評価でございますけれども、平成四十六年三月三十一日の業務終了時におきまして最終的な収益が一・〇倍超、すなわち黒字になることを目標としております。

 現在、その収益性向上に向けまして、支援決定プロセスの迅速化やキャッシュフロー改善に向けたポートフォリオの明確化、さらにガバナンス改革などに取り組んでいるところでございます。

 こうした不断の事業見直しを通じまして、その政策的意義の実現、そして収益性の向上に向けて努めてまいりたいと考えております。

丸山委員 時間が来たので終わりますけれども、より個別の案件にも全体にも国民の皆さんの厳しい目が光っているということを肝に銘じてやっていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、二〇一二年度、そして一三年度、この二年間のNHK決算が議論の対象ということであります。

 前年の二〇一一年には、東日本大震災、そして福島第一原発事故、未曽有の災害が発生をいたしました。その中で、公共放送としてのNHKの報道のあり方が改めて問われた時期だろうというふうにも思いますし、また、受信料のあるべき姿、あるいは、昨年度まで五年間、職員給与が段階的に削減されてきましたが、それが開始されたのも二〇一三年度ということであります。

 そういう意味でいいますと、この一二年、一三年度というのは、公共放送とは何か、NHKの報道姿勢はどうあるべきか、それに伴う業務や組織のあり方がまさに問われた時期だと思いますし、全体最適という組織、業務改革が始まるなど、NHKにとって非常に大きな意味を持っていた期間だったというふうに思います。

 そこで、少しまず数字のことをお聞きをしたいと思うんですが、二〇一二年の十月から受信料が一部値下げが行われました。当然、予算はその減収を見込んで予算が立てられているんですが、一二年度も一三年度も、予算と決算を見ますと、大体百億円、一二年度で百二億円、それから一三年度は百二十四億円、予算よりも決算の方が大きくなっているということになっております。

 受信料の引下げで収入減を見込みながら、結果的には予算段階の見込みよりも決算の方が大きいというこの状況というのは、要因はどこにあったというふうにお考えでしょうか。

松原参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年度それから平成二十五年度とも、受信料の値下げにより大幅な減収の影響がありましたが、営業部門における営業改革の推進だけでなくて、全組織を挙げて業績の確保それから受信料制度の理解促進に取り組んできました。その結果、受信料の減収を最小限にとどめることができたというふうに考えております。

吉川(元)委員 関連して、これは、二〇一二年度それから一三年度、それぞれいわゆる黒字決算ということになっております。予算はもともと均衡だったはずですけれども、決算では黒字決算になっている。

 今お話ありました、その受信料収入の落ち込みが軽微に、現場の努力で軽微にとどまったということも要因と思いますが、それ以外に二年連続して黒字決算となった要因というのはどこにあったと考えているんでしょうか。

松坂参考人 お答えいたします。

 二十四年度、二十五年度とも、全組織を挙げた取組等による受信料の増収で事業収入が予算を上回っておりますけれども、それに加えまして、番組制作ですとか給与費の抑制など、業務全般にわたる効率的な運営で支出の抑制を図ったことにより、収支が改善したと考えております。

吉川(元)委員 そういう意味でいいますと、受信料の値下げということがありつつも、営業を中心とした現場の努力、あるいは政策部門での効率化を含めて努力をされた、その結果としての黒字決算だというふうに理解をさせていただきます。

 そこで、関連してお聞きしたいんですけれども、先ほど少し冒頭に触れましたが、二〇一三年度に、職員の給与を五年かけて約一〇%削減をするということが労使合意されました。また、二〇一二年度と一三年度を合わせて職員数も百八十人削減となりました。二〇一二年度の予算に対する総務大臣意見を見ましても、経営改革の項目で、「給与等について、国民・視聴者に対する説明責任を十分果たしていくこと。」という指摘がされている。その影響かというふうにも思います。

 何をもって給与が高いのか低いのか、これは論ずるのはなかなか難しいわけですが、一〇%の給与削減ということになりますと、これはかなり大きな幅でありますし、また、時限的なものではなくて恒久的なものということになりますと、職員の生活あるいはモチベーションにも影響を与えたのではないかというふうにも思います。

 受信料の値下げに伴って収入が減るということが予想される、そのことも給与引下げの要因の一つだったのではないかというふうにも思いますが、実際のところ、その給与削減の目的というのはどこにあったんでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 平成二十五年度から実施いたしました給与制度の改革は、管理職、一般職の給与について、年功序列的な要素を抑え、努力や成果をより反映させる制度に見直しを行ったものであり、受信料の値下げを受けたものではありません。

 また、人材確保面で競合する同業他社のほか、公務員、民間企業の給与水準も注視しつつ適切な水準を維持するよう努めていくことにしたものであります。

吉川(元)委員 受信料の収入が減るからということは理由ではないというふうにおっしゃられますが、やはり、一〇%の給与の削減というのは、これはかなり大きな削減なんじゃないか。普通の民間企業で一〇%の賃金カットとなると、赤字決算が続いて経営が危機に瀕しているという中で行われるようなレベルの賃金カットだったというふうに思います。

 ところが、先ほどの決算のお話をさせていただきますと、二年連続で黒字になっているということでありますから、給与の制度をいろいろ変えていくということについては、もちろん、労使それぞれで努力をしていただければというふうに思いますけれども、それを通じて給与を下げるということをやると、それはあしきいろいろな前例がございます。モチベーションも含めて、そういうこともしっかりと経営側は考えてやっていただかなければいけないんじゃないかというふうに思います。まず、そのことを指摘させていただきます。

 今、地域職員というものが採用をされているというふうに聞いておりますが、二〇一三年度に地域職員というものを入れるということが決まって、一四年度から本格的に採用がスタートしております。大体どの程度の方が地域職員として採用されているんでしょうか。

松坂参考人 お答えいたします。

 地域職員制度は、公共放送として、地域に根差し、地域文化の向上と社会の発展に取り組むすぐれた人材を確保するために導入しました、ワーク・ライフ・バランスにも配慮した職員制度であります。

 今お話がありましたように、二〇一四年度、平成二十六年度から運用を開始しておりまして、これまでに八十八人を採用し、全国各地域の放送局に配属しております。

吉川(元)委員 ちょっともう余り時間がないので、昨日の質問通告の際にお話を伺ったんですが、大体一五%程度、地域職員は給与が低い、基本給が低いというようなお話も伺いました。

 今まさに、働き方改革、同一労働同一賃金というような議論もさせていただいて、もちろんその地域限定ということでありますから、全国的な配置転換というのはないということはあるにしても、仕事自体は同じようなことを、同じ仕事をされている、その中でのこの一五%ぐらい低いということについては、やはり、今の働き方改革の中で、しっかりNHKとしても労使の間で議論していただきながら、改善を図っていただきたいというふうに思っております。

 最後に二点、会長に伺います。

 まず初めに、先ほど冒頭でも申し上げたとおり、東日本大震災あるいは原発事故、そして受信料引下げ、そして今質問させていただきましたが職員給与の削減など、これが実施されたこの期間、NHKにとっては実は大変大きな意味を持っていた、そういうふうに考えるわけです。

 当時の松本会長は、公共放送の原点に立ち返る、原点に立ち返りながら変革に臨むことなくしてNHKの今後はあり得ないといった趣旨の御発言をされております。まさにそういう意味で重要な時期だということだったんだろうというふうに思います。

 その間に経営委員にもなられているということだというふうに思いますけれども、二〇一二年からのこの二年間、NHKが直面した課題は何だったのか、そしてどのような成果をおさめたと考えておられるのか、会長、お答えください。

上田参考人 お答えいたします。

 平成二十四年度にスタートした三カ年経営計画で、初年度の十月に受信料値下げを実施いたしましたが、公平負担の徹底と営業経費の抑制の営業改革に加えまして、組織を挙げての受信料制度の理解促進活動などにより、計画を大幅に上回る増収を確保いたしました。

 一方、給与制度改革など経費の抑制に取り組み、計画を下回る支出とした結果、平成二十五年度は、赤字の見通しだったものを、収支均衡予算を編成できるようにし、決算では黒字を確保することができたと承知いたしております。

 これは、受信料値下げによる減収の影響を最小限にとどめようと、収支両面にわたって、全役職員が危機感を持って、まさに全員野球で厳しい局面を乗り切るための努力を行ったことによる成果だったというふうに受けとめております。

吉川(元)委員 松本会長時代、受信料の値下げにもかかわらず、受信料収入はそれほど大きなマイナスにはならなかった、そしてまた今、人件費も含めて徹底的な合理化をした、個人的にはそういう私も印象を持ちます。

 その点でいうと、経営の効率化はかなり推進された時代というふうにも思うんですが、他方、NHKの業務のあり方、加えて給与削減の中での職員の働き方について、経営の効率化と並行して改革が進んだのか、これが実は私は置き去りにされてしまったのではないかというふうに思わざるを得ません。

 実際、もう既にこの委員会でも指摘されておりましたけれども、過労死された佐戸記者が心不全で倒れられたのは二〇一三年七月ということで、まさにこの期間であったわけです。経営の効率化が進む一方、働き方を含めた業務全般の見直し、これは実際、この期間はどうであったのか、その点については、会長、いかがお考えでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKが公共放送の使命と役割を果たしていくために、要員と業務量のバランスを適正化して、安定的で持続可能な業務体制を整えることを目指す取組の必要性は、当時も今も変わらないと認識いたしております。

 公共メディアへの進化を目指すNHKが将来にわたって持続可能な業務体制をつくっていくためには、業務に携わる全ての人の健康を最優先に考えながら、関連団体も含むNHKグループとして、創造と効率を追求する体制をつくっていくことが課題だと考えております。

 未来のある記者が亡くなられたことは、痛恨のきわみでありまして、大変重く受けとめております。

 これまでの慣行を打破して働き方を抜本的に見直すため、昨年十二月に公表いたしました「NHKグループ 働き方改革宣言」の実現に取り組んでまいります。

吉川(元)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、先日、規制改革推進会議で厚生労働省が出した資料によりますと、いわゆる放送関係の方で月八十時間以上の残業になっている方というのは六人か七人に一人という非常に高い割合になっております。この中でNHKはどうなのかというのは、ちょっとこの資料だけではわかりませんが、ぜひ、残された課題、働き方改革について、しっかり取り組んでいただくことをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

古屋委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 本日は、主に、日本に滞在する外国人の方々に向けての公共放送のあり方、これについて質問させていただきたいと思いますけれども、冒頭、まず、二〇二〇年の大河ドラマに明智光秀を主人公とする「麒麟がくる」、これが決定されまして、地元でも大変喜んでおります。地元関係者、京都北部、中部、大変盛り上がっております。観光、これを活性化していきたい、多くの人を呼びたい、こういうことで盛り上がっておりますので、地域振興の観点から、NHKとしてもいろいろ御配慮、御支援、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、本題の、日本に滞在する外国人に向けての公共放送のあり方、これについて、NHKに質問させていただきたいと思います。

 平成二十九年の在留外国人数、二百五十六万人となっております。五年前は、平成二十四年、二百三万人でしたので、五十三万人の増加ということであります。そのうち外国人の労働者の人数は、平成二十九年で百二十八万人、五年前、同じ平成二十四年は六十八万人でしたので、ほぼ二倍の大幅な増加になっているということであります。それから、外国人技能実習生、これについては、平成二十九年で二十七万人、平成二十四年が十五万人ですので、同じように大幅な増加となっております。

 私自身は、日本の相撲界ではありませんけれども、やはり、日本社会にとっても、もう外国人はなくてはならない存在になってきていると思いますし、更に重要になってくるのではないかと思っています。

 そういう意味で、多くの外国人に日本を訪れてもらうというだけではなくて、やはり実際に日本に住んで働いてもらうということが、この急激な人口減少を迎える日本にとって重要な課題だというふうに思っております。

 そのためには、外国人の方々にも暮らしやすく、そして働きやすい社会環境、こういう環境を整備していく必要があると思っておりまして、公共放送もやはりそういう視点での取組を強化していくべきなのではないかと思っております。

 それで、まず、報道によりますと、これから少子高齢化で人手不足が深刻化する中、外国人が就労可能な新たな在留資格を創設して、そして、受入れを拡大することが政府の経済財政運営の基本方針の原案に盛り込まれた、一定の技術水準と日本語能力を身につけた人を対象に五年間の在留を認めるというような内容の記事でありました。

 私も六月四日に品川にございます外国人技能実習機構に研修に伺いました。技能実習の適正な実施、それから技能実習生の保護を目的とした機構で、ベトナム語、中国語、インドネシア語など、八カ国の母国語で懇切丁寧に外国人技能実習生に対する相談対応にも当たっておられるということで、職員が熱意を持って仕事に取り組んでいる姿を拝見をさせていただきました。

 そこで、まず外国人技能実習生の拡充、それから、先ほどの記事にあった新たな在留資格制度の創設など、外国人労働者の受入れを今後どのように拡充していく考えなのか、法務省に伺いたいと思います。

佐々木政府参考人 まず、技能実習制度でございますけれども、開発途上国等への技能移転を通じた国際貢献という意義を有する制度でありまして、外国人労働者の受入れは技能実習制度とは別に議論されるべきものであると考えています。

 その上で、技能実習制度につきましては、昨年十一月に施行された新たな技能実習制度によりさらなる適正化を図っておりまして、そのことを前提として、優良な監理団体等への実習期間の延長、受入れ人数枠の拡大などの拡充策をとっているところでございます。

 他方、委員御指摘の今回の新たな外国人材の受入れにつきましては、本年二月に開催された経済財政諮問会議におきまして、総理大臣から、深刻な人手不足が生じており、専門的、技術的分野における外国人受入れの制度のあり方について制度改正の具体的な検討を早急に開始するよう、官房長官と法務大臣に対して指示がありました。

 この御指示を受けて政府内にタスクフォースを設置して検討を行い、今月五日の経済財政諮問会議において示された骨太の方針二〇一八の原案に新たな外国人材の受入れについてその基本的な方向性が盛り込まれております。

 現時点では、いまだ原案でございますけれども、深刻な人手不足の状況に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人材の受入れ制度を拡充し、真に必要な分野に着目して、一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材について、就労を目的とした新たな在留資格を創設して受け入れるということを検討しているものでございます。

 法務省といたしましては引き続き関係省庁と連携し、しっかりと検討を進めてまいります。

井上(一)委員 いずれにしても、やはり今後更にふえていくということが想定される外国人の方々が住みやすい社会環境を整備していくということが大事だと思っております。

 NHKに幾つか質問させていただきます。

 まず、日本は災害大国とも言われております。地震などの災害が発生した際には、外国人観光客を含む外国人の方々に迅速で正確な情報を伝達することが何よりも重要だと思っています。

 日本国内にいる外国人の方々へは、わかりやすい日本語とともに、特に緊急を要する情報については母国語でも情報を伝達することが重要ではないかというふうに考えておりまして、実際、在住外国人に災害情報はどう伝わったか、中越地震被災外国人アンケートというのがあって、その調査結果を見ますと、五二%の人が母国語によるニュースを、それから、一九%の人がもっと簡単な日本語の震災ニュースを希望しているというような調査結果もありました。

 NHKとしてこうした外国人への緊急情報の提供は現在どういうふうにして行っているのか、それから今後どういうような取組を考えているのか、伺いたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 総合テレビでは主なニュース番組で二カ国語放送、日本語と英語ですが、を実施いたしております。具体的には「ニュース7」「ニュースウオッチ9」のほか、「ニュース シブ五時」のうち午後六時から十分間で実施いたしております。

 また、津波災害時には四カ国語放送を実施いたしております。具体的には大津波警報、津波警報が発表された場合、副音声で英語、中国語、韓国語、韓国語は朝鮮語ですね、それからポルトガル語の四カ国語の放送を実施いたしております。この際にはテレビ画面に英語の字幕を付しておりまして、副音声やラジオ第二への誘導も行っております。

 大規模災害時には、平仮名なら理解できるという外国人の方や小さな子供のために、放送画面に平仮名で、「つなみ」「にげて」などのスーパーを付しております。このスーパーは、一定間隔で自動的に避難を促す英語表記もできるようになっております。また、英語による外国人向けテレビ国際放送NHKワールドJAPANでは、強い地震や津波警報などについて、総合テレビで放送に使っている呼びかけ文を参考に、英語で放送をいたしております。その際、外国人にはなじみが薄い日本の震度や津波の解説をつけて、端的でわかりやすい内容にいたしております。

 観光客や在日外国人の方々の安全、安心を守るため、ことし二月から、地震、津波などの緊急時に、スマートフォンなどで英語で速やかに情報を伝えるプッシュ通知サービスを始めております。

 以上です。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 外国人の方々の生命の保護にもつながるやはり重要な情報提供だと思いますので、さらに、最近はやはりベトナムの方もふえてきているというふうに聞いておりますので、その母国語の拡充なんかもちょっとぜひ検討していただきたいと思います。

 それから、日本に滞在する外国人の方々が日本語を学べる機会をふやすということも大事だと思っています。

 外国人の労働者の方々がふえるとともに、外国人の子供たちの数もふえてきておりまして、日本語指導が必要な外国人児童生徒は平成二十六年で二万九千人程度いるというふうにされております。

 日本語教育の番組は一層重要になってきていると思っておりまして、NHKでもさまざまな取組がなされていると承知しておりますけれども、他方で、Eテレでは、日本語講座の番組が二〇一七年三月をもって終了になったというふうにも聞いております。

 日本語講座の番組の現状と今後の取組について、伺いたいと思います。

木田参考人 お答えいたします。

 ラジオ国際放送では、日本語初級講座「やさしい日本語」を十七言語で発信しております。また、この番組サイトでは、復習ができることもありまして、大変人気が高く、テキストや音声ファイルをダウンロードできるようにもなっております。また、この講座はNHKワールドJAPANの番組ホームページや無料アプリで国内で聞いていただくことができます。さらに、ラジオ第二放送では、この番組の英語版も放送しております。

 また、訪日外国人に向けては、映像化したミニ番組「Easy Travel Japanese」を制作し、NHKワールドJAPANの番組ホームページ上で五言語で提供しております。

 このように、国際放送での外国人向け日本語講座が充実してきましたし、国内でもインターネット上で聴視できる環境が整ってきたことから、現在、このようなサービスを実施しているところでありますが、今後も、いつでもどこでも学習できるという視聴者にとっての利便性を重視する観点からサービスの充実に努めていきたいというふうに考えております。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、もう質問を終わりますけれども、番組編成においては、さまざまな方からの意見を参考にしていると思いますけれども、ぜひ外国人の方々からも意見聴取を行って、番組の充実を図っていっていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより両件を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。本村伸子君。

本村委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一二年度、二〇一三年度NHK決算に対する討論を行います。

 NHK決算に当たっては、当該年度の予算内容の執行状況とともに、視聴者・国民の皆様の信頼に支えられる公共放送としてのNHKの経営姿勢が、放送法にのっとり、国家権力からの独立、表現の自由の確保という基本姿勢を貫くものであるかどうかが問われます。

 二〇一三年度NHK予算について、日本共産党は、受信料値下げの通年化による減収を見込む一方で、営業活動の強化による収支差金ゼロを目指すものであり、公共放送の機能強化や国民負担の軽減につながることを考慮して、その承認に賛成しました。

 しかし、年度途中に会長に就任した籾井勝人氏は、政府が右と言うものを左とは言えないなどと発言し、NHKに対する国民の皆様の信頼を深く傷つけ続けてきました。国民の皆様の信頼が一気に傷つけられる事態となったことを看過することはできません。

 二〇一三年十月には、内部通報により、放送技術研究所の元主任研究員が音響機器会社に架空工事を発注し、物品を受領し、逮捕、起訴された事案が発覚しました。また、NHK出版の編集長が架空の校正業務を発注して金品を受領していたこと、さらに、NHKビジネスクリエイトの営業部長による売上げ水増し計上事案が明らかになりました。

 こうした不祥事、不正経理事件についても、その原因を究明し、視聴者・国民の皆様に対する説明責任を果たし、解決への具体策を明らかにする責任が果たされているとは言えません。

 以上の点から、二〇一二年度決算については賛成、二〇一三年度決算については反対といたします。

 二〇一三年七月、NHK記者だった佐戸未和さんが過労死されました。NHKには、二度とこうした悲惨な事件を起こさないよう、長時間過密労働の抜本的な是正を求めます。

 加えて、第百八十六臨時国会以降、NHK決算の審議が行われてこなかったことは重大です。

 国民の皆様からの受信料に支えられているNHKの決算であり、適宜、十分な国会審議をすることが本来の姿であることを申し述べ、討論といたします。

古屋委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより両件について順次採決に入ります。

 まず、日本放送協会平成二十四年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書について採決いたします。

 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古屋委員長 起立総員。よって、本件は異議がないものと決しました。

 次に、日本放送協会平成二十五年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書について採決いたします。

 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古屋委員長 起立多数。よって、本件は異議がないものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

古屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十八分散会


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