衆議院

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第3号 平成30年11月29日(木曜日)

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平成三十年十一月二十九日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 あかま二郎君 理事 井上 信治君

   理事 小倉 將信君 理事 小林 史明君

   理事 西銘恒三郎君 理事 高井 崇志君

   理事 奥野総一郎君 理事 桝屋 敬悟君

      穴見 陽一君    井林 辰憲君

      池田 道孝君    大西 英男君

      加藤 寛治君    金子万寿夫君

      神山 佐市君    川崎 二郎君

      木村 次郎君    小林 鷹之君

      佐藤 明男君    田野瀬太道君

      冨樫 博之君    長坂 康正君

      西田 昭二君    鳩山 二郎君

      福田 達夫君    穂坂  泰君

      三浦  靖君    宮川 典子君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      山口 俊一君    山口 泰明君

      小川 淳也君    岡島 一正君

      中谷 一馬君    長尾 秀樹君

      村上 史好君    山花 郁夫君

      稲富 修二君    古川 元久君

      國重  徹君    本村 伸子君

      足立 康史君    吉川  元君

      井上 一徳君

    …………………………………

   総務大臣         石田 真敏君

   総務副大臣        佐藤ゆかり君

   総務大臣政務官      大西 英男君

   総務大臣政務官      國重  徹君

   会計検査院事務総局第五局長            堀川 義一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  北崎 秀一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  吉田 眞人君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山田真貴子君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       金子  修君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           吉田 博史君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         石原  進君

   参考人

   (日本放送協会会長)   上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 坂本 忠宣君

   参考人

   (日本放送協会専務理事・技師長)         児野 昭彦君

   参考人

   (日本放送協会理事)   黄木 紀之君

   参考人

   (日本放送協会理事)   鈴木 郁子君

   参考人

   (日本放送協会理事)   松坂 千尋君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十九日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     加藤 寛治君

  福田 達夫君     神山 佐市君

  宮川 典子君     西田 昭二君

  山花 郁夫君     村上 史好君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 寛治君     穴見 陽一君

  神山 佐市君     小林 鷹之君

  西田 昭二君     宮川 典子君

  村上 史好君     山花 郁夫君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     金子万寿夫君

  小林 鷹之君     福田 達夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 日本放送協会平成二十六年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日本放送協会平成二十七年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 日本放送協会平成二十六年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書、日本放送協会平成二十七年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書の両件を議題とし、審査に入ります。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両件審査のため、本日、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、総務省自治行政局長北崎秀一君、自治行政局選挙部長大泉淳一君、国際戦略局長吉田眞人君、情報流通行政局長山田真貴子君、法務省大臣官房政策立案総括審議官金子修君及び経済産業省大臣官房審議官吉田博史君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長堀川義一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 まず、総務大臣から説明を聴取いたします。石田総務大臣。

    ―――――――――――――

 日本放送協会平成二十六年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日本放送協会平成二十七年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石田国務大臣 おはようございます。

 日本放送協会平成二十六年度及び平成二十七年度財務諸表等につきまして、その内容の概要を御説明申し上げます。

 本資料は、放送法第七十四条第三項の規定により、会計検査院の検査を経まして国会に提出するものであります。

 まず、平成二十六年度の貸借対照表の一般勘定については、平成二十七年三月三十一日現在、資産合計は九千九百七十一億円、負債合計は三千三百五億円、純資産合計は六千六百六十五億円となっております。

 損益計算書の一般勘定については、経常事業収入は六千七百三十億円、経常事業支出は六千五百六十一億円となっており、経常事業収支差金は百六十九億円となっております。

 次に、平成二十七年度の貸借対照表の一般勘定につきましては、平成二十八年三月三十一日現在、資産合計は一兆四百三十二億円、負債合計は三千四百七十八億円、純資産合計は六千九百五十四億円となっております。

 損益計算書の一般勘定については、経常事業収入は六千八百五十九億円、経常事業支出は六千六百七十億円となっており、経常事業収支差金は百八十八億円となっております。

 何とぞ慎重御審議のほどお願いいたします。

江田委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長上田良一君。

上田参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の平成二十六年度及び二十七年度財務諸表等の概要につきまして御説明申し上げます。

 初めに、平成二十六年度につきまして御説明申し上げます。

 貸借対照表における一般勘定の当年度末の資産総額は九千九百七十一億円、一方、これに対する負債総額は三千三百五億円、また、純資産総額は六千六百六十五億円でございます。

 続いて、損益計算書における一般勘定の経常事業収入は六千七百三十億円、経常事業支出は六千五百六十一億円でございます。

 以上の結果、経常事業収支差金は百六十九億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は三百九十六億円となりました。

 このうち、建設積立金繰入れは三百八十六億円であり、事業収支剰余金は十億円でございます。

 なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。

 引き続きまして、平成二十七年度につきまして御説明申し上げます。

 貸借対照表における一般勘定の当年度末の資産総額は一兆四百三十二億円、一方、これに対する負債総額は三千四百七十八億円、また、純資産総額は六千九百五十四億円でございます。

 続いて、損益計算書における一般勘定の経常事業収入は六千八百五十九億円、経常事業支出は六千六百七十億円でございます。

 以上の結果、経常事業収支差金は百八十八億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は二百八十八億円となりました。

 このうち、建設費に充てた資本支出充当は九億円であり、建設積立金繰入れは二百七十八億円でございます。

 以上につきまして、平成二十六年度及び二十七年度の財務諸表とも、監査委員会の意見書では、会計監査人の監査意見は相当と認めるとされており、また、会計監査人の意見書では、財務諸表が、放送法、放送法施行規則及び我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、全ての重要な点において適正に表示しているものと認めるとされております。

 以上をもちまして概要説明とさせていただきますが、今後の協会運営に当たりましては、公共放送の基本姿勢を堅持し、事実に基づく公平公正で正確、迅速な放送をお届けしてまいります。さらに、視聴者の皆様から一層信頼される公共放送を目指し、NHKグループの経営改革を断行し、コンプライアンスの徹底と効率的な経営の推進に取り組んでまいる所存でございます。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。

江田委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院事務総局第五局長堀川義一君。

堀川会計検査院当局者 日本放送協会の平成二十六年度及び二十七年度の決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。

 協会の平成二十六年度及び二十七年度の財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説明書等は、二十六年度につきましては二十七年六月三十日、二十七年度につきましては二十八年七月八日にそれぞれ内閣から送付を受け、その検査を行って、それぞれ二十七年十一月六日、二十八年十一月七日に内閣に回付いたしました。

 協会の二十六年度及び二十七年度の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。

 以上をもって概要の説明を終わります。

江田委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。池田道孝君。

池田(道)委員 おはようございます。自由民主党の池田道孝でございます。

 本日のトップバッターを務めさせていただきます。よろしくお願いを申し上げます。

 あってはならないことでございますけれども、ことしも全国各地で台風、地震、集中豪雨と大きな災害が発生し、たくさんの方々が亡くなられました。

 今、私、岡山でございますので、岡山県も、過去に例のないような大災害が発生し、もう既に七月六日から五カ月を迎えようとしておりますけれども、地域住民の方々、そしてまた県、市町村一体となって災害の復旧復興に努めておりますけれども、なかなか一朝一夕にはまいりません。私のうちにも、七月六日から被災者がずっと避難生活を送っておりますが、全く今後の見通しが立ってないというのが、皆様方同じ、一致した気持ちでございます。

 石田大臣も、西日本豪雨において被害を受けた広島県、あるいは地震で災害を受けた北海道を訪問しておられます。県あるいは市町村は、専決処分あるいは補正予算等で、非常に財政逼迫しておる中、厳しい財政運営を強いられながらやっておりますけれども、大臣行かれた、訪問されたところ、そしてまた災害を受けられた自治体を含めて、今後の財政支援もあわせ、復旧復興への取組についての御決意をお尋ねをいたします。

石田国務大臣 まず、災害に遭われた皆様方に心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 御指摘いただきましたように、私も、就任後、広島県そして北海道をお伺いをさせていただきまして、現場も見せていただきましたし、首長の皆さん方ともお話をさせていただきました。

 そのときに、本当に大変な御苦労をされているということを見聞きをさせていただいたわけでありますが、その中で特に、首長の皆さん方からは、財政支援、それから人的な支援、そして避難誘導等のソフト面での支援、こういうことについてしっかり取り組んでいかなければならないし、総務省としても対応してもらいたいという御要望をいただいたところでございます。特に財政支援につきましては、本当に補正予算等で御苦労されているということをお聞きをいたしました。

 この七月豪雨については、まず、発災後に速やかに普通交付税の繰上げ交付を行わせていただきました。

 また、先般成立をいたしました補正予算に計上いたしました災害復旧事業等に伴いまして、被災団体に生じる財政負担に対して適切に地方財政措置を行ってまいりたいというふうに思っております。

 今後とも、被災団体の実情を丁寧にお伺いしながら、特別交付税措置、あるいは地方交付税、さらには地方債、そういうことをしっかり対応いたしまして、被災自治体の財政運営に支障が生じないように適切に対応してまいりたいと思っております。

池田(道)委員 ありがとうございました。ぜひ復旧復興に力をおかしいただければと思います。

 先般、同じ岡山出身の高井委員も御指摘をされておられましたけれども、ちょうど一番大きな被害を受けたのが倉敷市真備地区でございます。大体五千件以上の家屋が床下、床上浸水をいたしました。床上といっても二階まで来ておるわけでございますが。

 小田川という一級河川が、そして支流が、堤防が決壊し、氾濫したわけでございますけれども、被災を受けた方々が、当然気も立っておられると思うんですが、常に、NHKを含めた、民間放送も含めまして、真備地区を中心に全国放送をされるわけでございます。まず、隣の市の方から、真備地区だけではないよ、我々のところも被災をしとる、あるいは、ちょうど隣の町が、私が住んでおるところでございますが、同じように決壊をして被災を受けているわけでございまして、何とかNHKさんに文句を言ってもらえぬだろうかというお話が多々ありました。

 それも、テレビ中継車は、災害で道路も寸断されておりますので現場へなかなか行けないということもございます。そういうことは説明はするんですけれども、なかなか、先ほど申し上げましたように、非常に厳しい状況の中に置かれておりますので、納得はしていただけなかったわけでございますが、そうした、いわゆる公共放送としてのNHKの放送に対するお考えについてお尋ねをいたします。

木田参考人 お答えいたします。

 七月の西日本豪雨災害は、長時間にわたって広い範囲で雨が降り続き、被害も広範囲に及びました。NHKでは、通常の番組を中止し、自治体による避難の呼びかけやどこで災害の危険性が高まっているかなどを報道し続けました。

 ただ、今回の災害で二百人以上の方が犠牲になったことを重く受けとめ、豪雨災害が切迫した場合には、住民に最も近い各地域の放送局がローカル放送で避難の呼びかけや状況の変化をきめ細かく伝えるローカル優先モードというのを実施することに決めました。

 西日本豪雨の後、台風二十一号や二十四号が接近、上陸した際には、この方針に従ってローカル放送を実施し、よりきめ細かく、避難の呼びかけや、どこで災害の危険性が高まっているかなどをお伝えしました。

 今後も、視聴者・国民の皆様からの御意見を参考にしながら、国民の生命と財産を災害から守るため、テレビやラジオ、防災アプリなどさまざまな伝達手段を活用し、防災・減災報道の改善強化に努めていきたいと思います。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 ローカル放送も同じように真備地区ばかり放送しておりましたので、余計そうした住民の方々の御意見があったんだろうと思います。

 続きまして、御承知のように、NHKは受信料によって賄われております。その受信料でございますが、もう既に七千億という大きな金額になりました。

 NHKさんには申しわけないんですけれども、年々受信料は上がっておりますけれども、昔、いろんな不祥事の中で、受信料の不払い運動というのがございました。前会長のときも不祥事が続きました。上田会長になられて、やんだかなと思ったら、また続いております。

 そうした中で国民の皆様方は受信料をよく払っていただけるんだなというような一方では思いもするわけでございますけれども、そうした、受信料によって成り立っておるNHKという経営体、そして、先ほども上田会長、コンプライアンスも言われましたけれども、その思いについてのお考えをお尋ねいたします。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKは、視聴者の皆様からの信頼によって支えられております。その信頼を損なう不祥事が発生したことにつきましては、改めて深くおわび申し上げます。

 営業現場においては、不祥事についてお客様から厳しい御意見をいただいており、丁寧に御説明し、御理解いただくよう努めております。

 公共放送が視聴者の皆様からの受信料で支えられていることを役職員一同肝に銘じて、コンプライアンスをNHKグループ隅々まで改めて徹底するよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 その受信料でございますが、やっと支払い率が八〇パーを超えました。そしてまた、特に、不払いの方以上に、衛星の未契約の方々が過半数おられます。そうした対策をもって、毎年一ポイントずつ支払い率を上げていくということでございますけれども、そうした不払い率の向上あるいは未契約の方々に対する対策についてのお尋ねをいたします。

上田参考人 お答えいたします。

 公共放送NHKは、視聴者の皆様に広く受信料を御負担いただくことにより成り立っており、公平負担を徹底するために、支払い率を更に向上させることが重要であると考えております。

 今後、世帯数やテレビ保有率の減少など、営業活動が難しくなっていくことが予想されますが、法人委託のさらなる拡大や、公益企業等との連携強化、文書を活用した効果的な契約勧奨の開発、推進などの営業改革に不断に取り組み、支払い率の向上に努めてまいりたいと考えております。

 先生から御質問がありました衛星契約についてですが、衛星契約割合は二〇一七年度末で五一%となっております。現経営計画におきましても、毎年度一ポイントずつ着実に向上させ、二〇二〇年度末には五四%を目指すこととしております。

 衛星契約割合を着実に向上させるために、ケーブルテレビ事業者等とのさらなる連携強化や、衛星放送のメッセージを活用した契約勧奨の推進に取り組んでまいります。

 また、受信料の未払いに対しては、訪問や電話により公共放送の役割や受信料制度の意義を丁寧に説明することに加え、支払いを促す文書を工夫するなど、収納活動の強化に取り組んでまいります。

池田(道)委員 衛星の特に未契約につきましては、私もよく家庭を訪問したときに、相手の方は自慢げにお話をされるんですが、このテレビは字がちゃらちゃらちゃらちゃら右下あるいは左下に出るねと言ったら、いや、これは無料ですよと。どういう形で無料でされるのか私もようわかりませんが、とにかく、まあ八〇パーと言いませんが、未契約の方々の解消を少しでもよろしくお願いを申し上げます。

 そして、受信料につきまして、つい先般、NHKさんの方で値下げということが発表をされました。来年の消費税二%値上げのときにそのまま据え置く、そして二〇年度には二・五%、計四・五%減額するということでございますが、このことにつきましては、前籾井会長の退任前ぐらいにもそういうお話があったやに聞いておりますけれども、今の段階でなぜそういうことを、下げるということは非常にいいことなんでございますけれども、決断をされたのか、お尋ねをいたします。

上田参考人 お答えいたします。

 公平負担の徹底に取り組んだことに加えまして、昨年十二月の最高裁判所判決以降、自主的に受信契約を申し出る方がふえていることなどにより、計画を上回る収入を確保できる見通しになっております。一方、支出につきましては、二年前に見通せなかったBS4K、8K対応の経費など、大型の支出に対する備えに一定のめどが立ちました。

 今後、世帯数が減少に転じ、テレビ保有率も減少傾向となるなど経営環境は厳しさを増すと考えられます。そうしたことも念頭に置きつつ、NHKが果たすべき公共の役割、中長期的な事業計画や収支の見通しを真剣に検討した上で、収支相償の原則にのっとり、今できる最大限の値下げを決断いたしました。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、終わります。

江田委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 早速、同僚議員に続いて、NHK二十六年、二十七年度決算について審議をしたいと思います。

 ただいま池田議員から放送受信料の話が出たわけでありまして、そこの続きから始めたいと思います。

 先ほどのお話で、十一月二十七日、経営委員会において受信料の値下げが議決されたというふうに聞いております。二段階の実施で、二〇二〇年までに四・五%の引下げ、先ほど会長は、今できる最大限の、こういう表現をされましたけれども、本当に今できる最大限の値下げというふうに理解してよろしいんでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 今回、受信料を、二〇一九年十月と二〇二〇年十月の二段階で、合わせて二〇一八年度の受信料収入見込みの四・五%程度、金額にいたしまして三百二十八億円値下げし、既に一部実施に移しております四つの負担軽減策、金額にいたしますと九十四億円と合わせ、単年度で四百二十二億円、二〇一八年度の受信料収入見込みの六%相当に当たる還元を行うことを決断し、経営委員会の御承認を頂戴いたしました。

 近い将来、世帯数が減少し、テレビ保有率が低下するなど、一層、経営環境は厳しさを増すと認識しております。世帯数は、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、二〇二三年をピークに減少に転じるほか、今後、テレビ保有率も低下すると見ております。

 こうした状況を見据え、中長期的な収支の見通しを総合的に勘案した結果が、経営として責任を持って最終的に判断したものでありますが、今回お示しした値下げを含む還元の規模であります。還元の規模としても、二年前に提案した受信料値下げと比較いたしますとおよそ二倍で、前回、平成二十四年に実施いたしました値下げの規模と比較いたしましても、それに近い規模となっております。また、過去の事業収支差金の規模と比較いたしましても、今回の規模はそれを大きく上回る規模となっております。

 今回お示しした内容は、経営として責任を持ってお示しできる、現時点では最大限の規模だと考えております。

桝屋委員 先ほどから議論がありますが、今の会長のお話は、今できる最大限ということでございますが、先ほどから出ていますように、昨年のあの最高裁判決なども追い風になりまして、受信料の支払い率が非常に好調に推移しているというようなこと、それを、単に上振れ分を回しただけじゃないかとか、あるいは、今後常時同時配信も行われる、そのためのアリバイづくりではないのか、本当にこれで十分なのかという声もあるわけでありますが、もう会長には二度目のお尋ねはしませんが、総務大臣、これはどう感じますか。合わせて四・五%。

 先ほどの会長のお話では、今まで取り組んできた四つの負担軽減、これで一・五%程度ある、合わせて年間四百二十から四百三十億円、六%程度だと。前回が七パーでございましたから、精いっぱいの努力だ、こういうことでございましょうが、総務大臣としては、今回の経営委員会の議決についてどう感じておられるか、率直に伺いたいと思います。

石田国務大臣 お答えさせていただきます。

 受信料につきましては、今までもNHK収支予算に付する総務大臣意見におきまして受信料の値下げに関する検討を求めてきたところでございまして、こうした総務省の求めを受けて、今回、経営委員会が経営計画において受信料の値下げを盛り込むことを議決したこと、そのこと自体は評価させていただきたいと思います。

 ただ、総務省としては、来年、NHKから提出される平成三十一年度の収支予算案、これを精査の上、必要に応じて意見を付して国会に提出させていただきたいと考えているために、現時点において具体的内容についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、NHKにおいては、やはり何といいましても、国民・視聴者からの受信料によって支えられているということを十分に踏まえていただいて、今後も、徹底的な業務の合理化、経営ガバナンス改革に努めていただきたいと考えておるところでございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、来年度の当初予算の審議でも、しっかり我々も議論したいと思いますが、今回の値下げの状況が、視聴者の皆さんが本当に納得できる水準なのかどうかということは、極めて大事な視点だというふうに思っております。

 そこで、実は、きょうは二十六年、二十七年決算でありますが、私、二十七年予算のときは委員長席に座っておりまして、えらい苦労したのを覚えております。奥野先生や高井先生から厳しい御指摘もいただきながら、何とか年度内に上げることができた思い出があるわけでありますが、まさか、出口までこうやって議論をするようになろうとは思いませんでした。

 そういう意味では、あの時代を振り返りながら、あのとき、NHKアイテックにおける不正行為なども相続きまして、大変厳しい社会的な批判もあったわけであります。NHKは、そうした事態を受けて、グループ経営改革の方針、これが二十八年一月に定められて、さらに、それをできることから早急にやる、積極的に取り組むというような議論がこの委員会でもありまして、特に、関連団体の組織のあり方を抜本的に検討する、そして、グループ内の重複業務なども洗い出して、管理方針のルールの統一化などをしっかりと進めていく、このような議論があったと思いますが、そうした成果というのは、その後どういうふうになっているのか、会長に伺いたいと思います。

黄木参考人 NHKアイテックにつきましては、自主事業の内容を見直しまして、NHKからの委託業務や公共的事業を軸とした業務に集中するなど、整理を進めてまいりました。さらに、4K、8K放送ですとか、放送センターの建てかえ、今後のネット展開や情報セキュリティー対応など、NHKに必要な業務に迅速かつ効率的に対応する体制をつくるために、技術系の子会社のNHKメディアテクノロジーとNHKアイテックを統合することといたしました。来年四月の統合に向けて準備を進めております。

 また、番組制作分野でも、地域改革の推進及び制作力強化のために、グループのあるべき体制について、現在、具体的な検討に入っております。

桝屋委員 統廃合については、今のお答えでは、メディアテクノロジーとそれからアイテックについて来年の四月と、やっとそういう体制まで来たという御報告でありました。

 これでどれぐらいの統合の実を上げられるか、合理化できるかということも、しっかり我々は見ていかなきゃならぬと思いますが、こうしたグループ経営の改革の取組というものが、先ほど会長がおっしゃった、今できる限りの値下げです、こうおっしゃったんだけれども、こうした取組を国民の皆さん、視聴者の皆さんにしっかりわかりやすく説明をしなきゃならぬだろう、このように私は思っておりまして、どんな取組をしてきたのか、どれほどの効果を上げたのかということは、きちっと、やはりわかりやすく説明していただきたいなと。

 視聴者への還元が値下げだとすると、そうしたお取組がどの程度、数字の上で寄与したのか。さまざまな取組もあったと思いますが、二、三、紹介をいただきたいというふうに思います。

黄木参考人 まず、関連団体の業務につきまして、いわゆる見える化を進めました。子会社のNHK取引の営業利益率を、平成二十六年度の四%台から平成二十八年度以降は二%台に抑制することで、受信料を効率的に使う取組を進めております。

 次に、子会社の利益剰余金の適切な還元につきましても、配当性向を三五%から五〇%に引き上げますとともに、特例的な大型配当を実施いたしました。この結果、子会社からの配当は、平成二十八年度は五十一・四億円、平成二十九年度は五十六・三億円となりました。このような特例的な大型配当は、来年度、再来年度にも実施する予定でございます。

桝屋委員 先ほど会計検査院からも話がありましたが、当時も、子会社の内部留保について指摘があったというふうに私は記憶しておりまして、今のような取組をしっかりと国民の皆さん、視聴者の皆さんに御説明をいただきたいというふうに思う次第であります。

 時間がないので最後の質問に移りたいと思いますが、私が委員長であの席に座って、NHK予算を議論するときに、本当に相続く不祥事が次から次に出てまいりまして、大変悩んだことを覚えております。再びこの総務委員会に帰ってまいりましたら、先日も、取材音声ファイルの誤送信、しかも、間違ってアレフ広報部に送信したというようなこともありました。これはえらいことでありまして、相変わらずではないかというふうに思った次第であります。

 こういう出来事が視聴者にどういう影響を与えるのか、本当に私は心配でありまして、ぜひ、こうした不祥事の再発防止に改めて決意を持って取り組んでいただきたいと思いますが、ここは会長に、会長じゃない、はい、じゃ、お願いします。

木田参考人 住民インタビューの音声ファイルを住民と対極の立場にある宗教団体に誤送信することは、報道機関としては全く許されることではありません。大きな不安を感じさせてしまった施設周辺の住民の皆様には、地域の会合で説明をさせていただいたり、警察などの関係機関と連携したりして、不安解消のための取組を進めてまいりました。緊急に再発防止策を取りまとめ、実行できるものから速やかに着手しております。

 具体的には、放送素材を扱う際のNHKのルールの強化、徹底、また添付ファイルを自動暗号化するなどのシステムの改修、更に放送倫理とITリテラシーの再教育を徹底する研修の実施等に取り組んでおります。

 いずれにしましても、公共放送に携わる者がこうした不祥事を引き起こすことは、あってはならないことであります。あらゆる機会を通じて、コンプライアンス意識の徹底を図るとともに、視聴者の皆様の信頼を取り戻すべく、全力で再発防止に取り組んでいきたいと考えております。

桝屋委員 今の御答弁ですが、私が委員長時代に何度もそんなお話をNHKから伺いました。コンプラ、それから、こうした話が何度も議論されて、その都度、不正行為の再発防止策を打つわけであります。もちろん、処罰もされる、処分もされたわけでありますが、ここは、大臣、NHKもこれほど不祥事が続くということは、NHK、公共放送としてのガバナンスのあり方、コンプラのあり方を、やはりどこかにまだ抜本的に見直さなきゃならない部分が私はあるのではないかと。これほどずっと続くのは、そのたびに報道を見ながら心を痛めるわけで、聞く視聴者もたまらないわけであります。

 私は、そろそろその時期が来ているのではないかということをお願い申し上げて、我々も検討をいたしますけれども、ぜひ要請をして、きょうの質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 立憲民主党・市民クラブの小川淳也です。よろしくお願い申し上げます。

 まず、上田会長にお聞きします。

 二十六年度と二十七年度の決算、今、平成三十年です。三年も四年も前の決算を今ごろ国会で審議するということ自体、異常であり、大変残念なことだと思いますが、籾井前体制、そして、会長は、監査委員また経営委員長として無関係ではなかったと思います。

 一連の経緯に鑑みて、三年も四年もたった今、この決算をこの総務委員会で審議せざるを得ない一連の経緯、この受けとめについて、まずお聞きします。

上田参考人 お答えいたします。

 長年にわたる決算の審議が遅延したことに関しては、私も大変遺憾に思っております。

 今回、二年分御審議いただけるということで、私の方では感謝いたしておりまして、できるだけ誠意を持ってお答えして、この決算の審議をやっていただきたいというふうに思っております。

小川委員 通常、予算も決算も、与野党の壁を越えて全会一致で審議をし採決に臨むという大きな慣例がありましたが、前体制下においてはそれは大きく崩れました。そして、当の前会長御自身に大きな責任があったと私は思いますし、その反省の上に立って現上田体制はあるというふうに受けとめております。

 体制発足後の予算については平穏な審議の中で既に進んでおりますし、また、今回の決算審議も、三年、四年たっているという異常な事態は受けとめていただきたいと思いますが、今後も、NHKの運営そのものにおいて、一連の経過を踏まえて現在があるということはよく頭の片隅に置いていただきたいと思います。

 決算を拝見すると、順調ですよね、その意味においては。受信料も伸び、そして一定の経費の枠内におさめ、順調に黒字が積み上がっている。しかし、やはり公共企業体ですから、三菱商事とは違いますから、もうければもうけるほどいいんだという話にはなりません。

 その意味で、バランスシートをちょっと拝見したんですが、いよいよNHKの総資産が一兆円を超えてきていますよね。他の民放との横並びを少し整理していただきました。TBSが八千億、日テレが八千億、フジが一兆二千億、テレ朝が四千億、テレ東が一千億。まあまあ遜色ない規模と受けとめています。

 意外と、きょうも報告がありましたが、純資産が多いんですよね。借金がない、これ自体悪いことじゃないでしょう。これも横並びをちょっと手元に数字を整理いただきましたが、NHKが六千億、TBSが六千億、日テレが七千億、フジが七千億、そしてテレ朝が三千億にテレ東が八百億。純資産がです。これだけ大きくなっている。

 こうなりますと、やはり、きょうも既に議論になっていますが、受信料の値下げという形で視聴者に還元すべきではないか、あるいは、適切な投資を行って、より番組のクオリティーを高めるべきではないかと。公共企業体ですから、当然そういう議論になるわけです。

 そこで、参考までに、これも整理いただいたので御紹介します。よく比較されるのが、さっき国内の民間放送局との比較は申し上げましたが、イギリスのBBC、総資産六千億に対して純資産は一千七百億です。NHKは、総資産一兆円に対して純資産は六千億。

 よく比較される公共放送体との関係でいえば、比較でいえば、ちょっと純資産が厚過ぎるんじゃありませんか。

上田参考人 お答えいたします。

 公共放送として、収支相償というのが一つの大原則だというふうに理解いたしております。そういう観点から、受信料の公平負担の徹底に組織を挙げて取り組んだことに加え、昨年十二月の最高裁判所判決以降、自主的に受信契約を申し出る方がふえていることなどによりまして、計画を上回る収入を確保できる見通しになっているという状況にあります。ただ、近い将来には、世帯数が減少に転じる見通しで、テレビの保有率も低下していくことが想定され、受信料収入も減少局面に入っていくと見ております。

 一方、支出の面では、4K、8K放送のコンテンツ強化、常時同時配信を含むインターネット活用業務の充実、国際放送の充実、地域に寄り添う放送サービスの強化、情報セキュリティーの強化、働き方改革に資する諸整備、災害に備えた放送機能強化などに必要な予算を確保していく必要があります。

 今後は、最高水準の放送サービスを実現する東京オリンピック・パラリンピックのある二〇二〇年度をピークとして、それ以降の事業規模、事業支出を一定の適正な水準におさめるよう厳正に管理していく所存です。

 こうしたことを念頭に置きつつ、中長期的な事業計画や収支の見通しを真剣に検討した結果、受信料収入の六%相当、四百二十二億円の還元を決めまして、中長期的に、一時的には非常に苦しい状況になると思いますけれども、中長期的にはそういった環境の悪化も踏まえて収支相償が達成できるという水準に持っていくように、今回の値下げを決めたわけであります。

小川委員 会長、原稿を読まずに簡潔に、ちょっと聞かれたことに答えていただきたいんですが、BBCは純資産率二五%です、総資産との関係でいえば。NHKは純資産率六〇%です。一年や二年の収支が合っている、合っていないという規模を超えていますよ、これは。純資産の積み上がりは。したがって、値下げもいいんですが、もうければもうけるだけいいという会社ではありませんから、その点は、改めて、もう少し長期的な観点なり、また本質的な理解に立った御答弁をぜひいただきたかったわけであります。

 それで、時間も限られていますから、この値下げについてなんですが、全体で四・五%の値下げですけれども、ちょっと気になるのが、来年の十月に消費税が上がりますよね。消費税が上がった分、値上げしませんので、それは値下げですと言っているんですよ。そこまで言う必要はありますか。値下げしています、値下げしていますというのを無理やりアピールしているように私は感じるんですが、消費税分据え置きますで寸どめするのが私は事態の推移に照らして適切だと思いますが、余りしゃかりきになって値下げ値下げとPRする必要はないんじゃないですか。

上田参考人 お答えいたします。

 中長期的な事業計画と収支の見通しを踏まえまして、先ほど申し上げましたように、収支相償の観点から収入を適正な水準にするため、できるだけ速やかに値下げを実施する必要があると考え、総合的に勘案した結果で、消費税率引上げ時に料金を据え置く今回の方法が最も適切だと判断いたしました。その際、料額を改定しないため、消費税引上げ分は実質的な値下げとなることから、実質二%値下げと説明いたしております。

 今回の値下げを含めた還元の考え方については、視聴者の皆様にしっかりと説明して御理解を得てまいりたいというふうに考えております。

小川委員 いや、ちょっとそこにしゃかりきさを感じますよと申し上げているわけです。消費税引上げ分を値上げしない、それはそれでいいでしょう。これに異を唱えるものではありません。しかし、それが実質的に値下げだ値下げだとPRするのはちょっとおこがましいんじゃないですかと申し上げているわけです。

 それで、総務大臣、何でNHKがこういう言い方を一生懸命するのか。これは、政権与党から値下げ値下げというプレッシャーがかかっているからですよ、総務大臣。私、不適切だと思いますよ。政府の立場から外部の企業体に対して、やれ料金設定がどうだとか。

 それは、携帯電話についてもいろいろ議論はあるでしょう。ちょっと、所管の総務大臣以外の官房長官がしゃかりきになっていることも私は首をかしげますが、携帯料金。それから、今度はあれですか、消費税引上げに伴って五%のポイント還元。クレジット会社の手数料にまで介入するんですか。

 ちょっと政府、やり過ぎじゃありませんかね、総務大臣。ちょっと見解を求めたいと思います。

石田国務大臣 先ほど桝屋先生の御質問にもお答えをいたしましたけれども、値下げについて経営委員会で決められたことについては評価しますけれども、その内容等についてコメントする立場にはございません。

 そして、今、小川委員からお話がありました点について、私どもの方からNHKに対して何か申し上げたという事実もございません。

小川委員 みんなわかっていますからね、大臣。暗黙、表裏、さまざまなところからプレッシャーがかかっているんですよ、NHKに対して。

 いいんですよ。値下げそのものに反対するわけじゃないし、合理化努力は必要だし、今指摘したように純資産は積み上がっているという状況ですから、これそのものに異を唱えるものではないんですが、政権の体質について言っています。

 社会主義ですか、日本は。それとも、安倍官邸は万能の権力を持っているんですか、民間企業の経営や料金設定にまで介入できて。これは無視できませんからね、企業の側からすれば。むしろ、極めて謙虚に抑制的に、こうした発言は控えるべきだと思いますよ。

 大臣、いかがですか。

石田国務大臣 先ほど来答弁申し上げましたけれども、そういうことを申し上げたわけではありませんし、特に、携帯のお話もありましたけれども、これはやはり競争環境がどうかということを今有識者の皆さん方にも御議論いただいている段階であるということでございます。

小川委員 新規参入を促すとかやればいいと思いますよ、それは。しかし、料金体系がどうだとか何割値下げだとか、総務大臣直接ではないと受けとめていますが、所管外の官房長官が何か声高に、沖縄知事選でしたっけ、大きな声でおっしゃっていたのは。極めて違和感を感じます。ここに安倍政権の体質の本質を感じるんですよね。

 それは、一強政権で、なかなか向かうところ敵なしなのでしょうから、いろいろ言いたくなる気持ちもわからぬでもありませんが、極めて権力の行使の仕方として不適切だとあえて強く指摘をしたいと思います。

 それから、ちょっとこれは時節柄お尋ねしておきたいと思いますが、あさってからですよね、十二月一日から、いわゆる4K、8K放送が始まるんですよね、もうあさってから。あさってからですよ。その割に、世の中の受けとめというのは、よく言えば冷静だし、悪く言うと余り盛り上がっていないというふうに私は感じます。

 もう番組表までできているみたいですね。あさって、一日の十時から、空から日本を見ようとか、旅行番組、それからドラマも一部あるんですか。十時から二十四時までこの4K、8K放送をする。

 ちょっとこれは御存じない方もたくさんいるんでしょうから、概要だけ聞いておきましょうか。担当理事の方で結構です。あさってから、何時から、どういう放送がどのように始まるんですか。

木田参考人 お答えいたします。

 BS8K放送は、朝十時から夜の二十二時十分までであります。4K放送は、同じく朝十時から二十四時までの予定であります。

小川委員 個人的なことでちょっと逡巡しますが、聞きます。

 会長は準備されているんですか。4K、8K放送を見る準備は御家庭でなさっているんですか。

上田参考人 お答えいたします。

 会長室の方で8Kも見れる仕組みを、テレビを設置いたしました。(小川委員「家庭では」と呼ぶ)家庭では、4Kを購入しておりますが、ちゃんと見れるような仕組みが、マンションに住んでいまして、まだ私の方で、8Kも含めまして準備がちょっと、申しわけないんですが、できていません、テレビそのものは購入していますけれども。

小川委員 大臣はいかがですか。

石田国務大臣 大臣室は予定をしております。ただ、私どもの家庭は、まだ今のテレビ十分見えていますので、いずれ、4K放送が成ってからしっかり買いたいなと思っております。

小川委員 かく言う私も、対応テレビはこの間購入したんですけれども、まだチューナーをつけていないんですよ。

 というような状況ですよ。日本の国内で最も責任あるお二人がこういう状況ですから、国全体たるや、推して知るべしです。

 それで、ちょっと指摘しておきたいのは、4K、8K放送番組をつくるのに相当お金かかっていますよね。いただいた手元の資料だと、約、4K放送に二百億、8K放送に五十億、二百五十七億円の番組制作費を投入しています。していますが、これを見られる人はどのぐらいいると推測していますか。

坂本参考人 お答え申し上げます。

 十二月一日、あさっての本放送開始を控えまして、BS4K、BS8Kが受信できるテレビ、チューナー、録画機等がメーカー各社から販売をされているところであります。

 それにつきましては、JEITA、電子情報技術産業協会の最近の調査によりますと、チューナーを接続すれば視聴できる4K対応テレビは、累計出荷台数が約五百万台に上っております。二〇二二年までに4Kテレビ及び4K対応テレビは約二千百万台、8Kテレビ及び8K対応テレビは約五十万台の国内需要が見込まれております。

 NHKとしても、4Kでは、超高精細映像に触れてもらう入り口として、魅力的な番組を編成していきたいと思います。また、8Kにつきましては、フラッグシップチャンネルとして最高品質の放送を提供したいというふうに考えているところです。

小川委員 五百万台、ちょっとこれは推計ですけれども、国内に五千万台ぐらいテレビがあるんだそうですね。五百万台ということは一割。しかし、それは、今大臣や会長も御答弁になられましたが、対応テレビの話であって、チューナーまで含めると本当に寂しい状況でしょうね、恐らく。

 それで、ちょっと指摘したいのは、この約二百五十億の制作費は一般受信料から充てられています。しかし、一般受信料を支払っている視聴者は、大きく見積もっても一割しか見られない。一割なんというのは幻想でしょう。数%じゃないですかね、今国内で4K、8Kを見られる人は。ですから、受信料体系と受益者、負担と受益とがかなり乖離した状態でこの4K、8Kは放送がスタートするということは少し肝に銘じていただいて、これはチャンネル新設するわけですから、場合によっては料金体系を変更するとか、4K、8K用の受信料を設定するとか、何かそういうことまで考えないと、ちょっと今の普及率を前提に大量に一般受信料から制作費を投入するというのは、受益と負担の乖離という観点から問題があると思います。この点、ちょっと指摘をしておきたいと思います。

 それから、これは触れざるを得ませんので、先ほど桝屋委員も御指摘になられましたが、メールの誤送信、これも、事と次第によっては重大な結果につながった可能性があります。

 それから、ことし明るみになったことに限ってですけれども、もう一つ、ちょっと看過できないと思っていますが、間もなく年末恒例の紅白歌合戦、まさに今もってなお国民的行事と言っていいでしょう、の責任者が、セクハラで八月に停職三カ月の処分を受けていたという報道があります。これは事実ですか。

上田参考人 お答えいたします。

 事実です。

小川委員 今まで、この事実は、報道はされても認めないというふうに聞いていましたが、お認めいただけるんですね。

松坂参考人 お答えいたします。

 今、会長が申しましたとおり、事実でございますけれども、今回の件につきましては、被害に遭われた方の、関係者のプライバシーとか意向も踏まえた上で対応しておりますので、公表はしておりません。

小川委員 ここで認めたということは、公表したも同然ですよ。これは、きちんと事案を改めて説明するなり、世間に対して、してください。

松坂参考人 お答えいたします。

 NHKでは、懲戒処分を公表する基準を定め、該当する事案について公表しております。

 この基準では、関係者のプライバシーなどの権利利益を侵害するおそれがある場合などは公表しないこともあると定めておりまして、被害を訴えた関係者の意向なども踏まえて対応しております。

 詳細については控えさせていただきたいと思います。

小川委員 ちょっと矛盾しているんですけれどもね。私も、被害者の素性を明かせとか、具体の対応を明らかにしろとか申し上げているわけではありません。

 しかし、相当程度責任ある立場の方の看過できない行為でもって処分までされているわけですから、これは、どこの誰とまで言う必要はないのかもしれませんが、きちんと事案の概要を明らかにして、NHKとして公表すべきだと思うんです。それができないのであれば、本当にできないのであれば、どうしてもできないのであれば、ここで認めちゃだめじゃないですか。矛盾していますよ、言っていること、やっていること。

 ハラスメント防止規程というのがNHKにはあるというふうにきのう連絡を受けていますが、これは、いつつくったものですか、いつできたものですか。

鈴木参考人 済みません、遅くなりました。

 お答えいたします。

 二〇一四年につくりました。(小川委員「一四年」と呼ぶ)はい。

小川委員 昭和とか言われなくてちょっとほっとしていますけれども、やはりパワハラとかセクハラとか、急にといいますか、世間の厳しさが格段に増しています、ここ数年特に。

 ですから、公表のあり方もそうでしょうし、処分のあり方もそうでしょうし、また、把握の仕方、相談体制を含めて、一四年にできたからこれで最新だ、アップデートの必要がないということには私はならないと思います。今回の事案も含めて、まさに最先端の取組をこれはお願いしなきゃいけないと思います。

 一連、NHKの関連についてお聞きしましたが、内閣改造後初めての国会であり、また、私自身もこの総務委員会で初めて質疑に立たせていただいていますので、ちょっと所信的観点から佐藤副大臣と大西政務官に、二、三、お聞きしたいと思います。

 まず、大西政務官にお聞きします。

 現内閣は、既に閣僚の資質等を含めて相当大きな議論、物議を醸していますし、また、それは政務三役についても、私は、同様の重責であり、そして資質は厳しく問われなければならないと思っています。

 その点、大西政務官、かねてから非常にバラエティーに富んださまざまな御発言、私は興味深く拝聴しておりましたが、きょう、こうして真意をお聞きできる機会を持つことができて、大変光栄に思っております。

 まず、NHKについて関連してお尋ねしますが、一三年の三月、この総務委員会におきまして、特定の、もう国会で言及された名前ですから挙げますが、孫崎さんですか、評論家、外交官出身の、をNHKに登場させるのは不適切だと個人名を挙げてNHKの対応を批判していますが、これは今もお考えに変わりありませんか。

大西大臣政務官 お答えします。

 小川委員も、鳩山、菅内閣時代、総務大臣政務官をお務めになったと伺っています。大先輩でございます。

 やはり、政府の中に入りますと、発言については、政府の方針あるいは総務省の方針、これにしっかりとのっとって発言をしていかなければならないと思っております。過去の経緯も踏まえまして、これからの政務官としての発言につきましては、重々慎重に発言をしてまいりたいと思っております。

小川委員 模範回答だと思いますよ。

 そうすると、過去の個人的な政治家としての発言には責任を持てない、あるいは反省しているということでいいですね。

大西大臣政務官 お答えします。

 ただいま申し上げたとおりでございます。

小川委員 マスコミ批判はこれだけではありません。

 これは沖縄に関連してだと思いますが、一五年の六月ですかね、マスコミを懲らしめる、広告料収入をなくせばいいんだということを自民党内の会議で発言されたようでありますが、これもちょっと真意を教えてくれませんか。

大西大臣政務官 お答えをいたします。

 政府の一員として、発言には重々気をつけてまいりたいと思っております。

小川委員 ちょっと一通りいきましょうか。

 一六年の三月、これはどこですかね、北海道ですか、補選の応援に行って、神社の境内でみこさんに会った、ねえ、政務官。みこさんに支援を依頼したら、自民党は余り好きじゃないと言われた、おい、みこさんのくせに何なんだと思った。どういう意味ですか、これは。

大西大臣政務官 お答え申し上げます。

 過去の発言につきましては重々反省をして、政府の一員として、今後、過ちのないようにしっかりと務めてまいりたいと思います。

小川委員 ちょっと結論に行く前に一通りいきますよ。

 これも委員会中ですね。これは一四年の四月か。上西議員に対して、早く結婚して子供を産めと。大西政務官は、場内からも非常に活発な御発言をいただいて、委員会審議を守り立てていただいておりますけれども、上西議員に対して、早く結婚して子供を産めという発言、これも不適切ですね。

大西大臣政務官 先ほども申し上げたとおりでございます。過去の発言につきましては重々反省をして、今後、このようなことがないように気をつけてまいりたいと思います。

小川委員 最後に。がん患者の方々に、受動喫煙の議論に関連して、働かなくていいんだと。これもまた自民党内の会議で発言されているようであります。

 じゃ、ちょっと角度を変えて聞きますが、これは、当初、発言を認めませんでしたね。手元に文書の写しがありますが、メディアからの問合せに対して、がん患者は働かなくていいんだとの発言を私が行ったものではないかとのお問合せですが、こうしたお問合せがあることに驚いております、私が御指摘のような発言をしたことは絶対にありません、平成二十九年五月十九日、大西英男と、文書でまで残っています。なぜ最初にうそをついたんですか。

大西大臣政務官 お答えをいたします。

 私のブログをお読みになったようです。その後のブログに、その経緯については詳細にわたって記載をしてございます。どうぞごらんをいただきたいと思いますが、こうした過去の発言については、重々気をつけながら、今後、政務に邁進をしてまいりたいと思います。

小川委員 今聞いたのはあれですよ、発言の内容というよりも、最初に、いや、拝見しましたよ、どういう経緯なのか、誤解があるんじゃないかという御主張については拝見した。しかし、最初にマスコミに聞かれたときにうそをついているじゃないですか、そんな発言はしていないと。後になって認めて謝罪するんですけれども。最初に聞かれたときにうそをついている。そのことについて聞いています。なぜ認めなかったんですか、最初から。

大西大臣政務官 お答えをいたします。

 そうした経緯についても、詳細に私どものブログで説明をしております。

 以上です。

小川委員 最後に確認ですが、政府の一員として発言を慎重に、あるいは過去の御発言を反省されている。これはまあ受けとめるとしましょう。政務官の任期は、もちろん、ある程度長期にわたってきちんとしたお仕事を御期待申し上げたいと思いますが、永遠ではありません。任期が切れたらまたもとに戻るんですか、奔放な発言に。それだけちょっと確認しておきたいと思います。

大西大臣政務官 お答えいたします。

 小川委員の座右の銘で、人に歴史ありということを書いておられます。私も、そうした今日までの人生の生きざまについて、経験を踏まえて、今後の政治生活に処していきたいと思っております。

小川委員 言論の場ですから、いろいろと御自身の思想信条もあるんでしょう。しかし、政府に入った途端にその発言に責任を持てないような発言は、政府にいるとき以外も慎むべきだと思いますよ。

 今後も含めて、ぜひ大西政務官、これは御勇退後もでありますが、恐らくまたこの委員席に戻られて、どういう姿勢で委員会審議に臨まれるのかも含めて、よく注視をさせていただきたいと思います。

 最後に、佐藤副大臣、これも所信的にお聞きします。

 郵政事業の御担当ですね。今、郵便貯金や簡保含めて経営は大変だと思います、マイナス金利ですから。それを推し進めてきたのは、アベノミクス、安倍政権、そしてこれに呼応してきた日銀の黒田総裁です。目的は、デフレからの脱却でした。国債を異常なほどに買い集めています。日本の名立たる大企業は、その多くが日銀や年金基金が筆頭株主という状況にもなっています。しかし、物価は上がらない。物価の上昇目標は先送りし続けています。

 副大臣、このアベノミクスの金融緩和でデフレ脱却、これは正しいんですか、効果があるんですか、どう評価していますか。エコノミストとしてお聞きします。

佐藤(ゆ)副大臣 お答えいたします。

 私は今、総務副大臣という立場でございますので、所管以外のお問合せでございますが、個人的な、エコノミストとしての問いというふうに理解をいたしますので、できる範囲でお答えをさせていただきたいと存じます。

 物価がなかなか上がらないというのは歴史的な事実でございます。その中で、超低金利の金融緩和、あるいはマイナス金利という政策が進められているわけでございます。

 ただ一方で、技術革新もございますし、また情報通信分野での価格の低下、さまざまな日進月歩の技術革新によりまして、物価というものが下がりやすい傾向にあるというのも経済の実態として事実であるというふうに考えております。

 そういう意味では、これからこの技術革新に伴います物価の下落というものを、質は向上していながら物価が下落する、こういう傾向もございますので、どのように適切にこうした付加価値を反映して物価統計の中に織り込んでいくか、こうしたことも含めて、適切な価格の動向というものを見きわめながら金融政策というものも判断していく必要があろうかというふうに考えております。

小川委員 もう少し踏み込んでお答えいただきたいんですが。

 黒田総裁はこう言っていますよ。問題はデフレマインドだ、したがって、明確に物価上昇目標を掲げ、インフレターゲットですね、それが実現するまで金融緩和を続ければ、だんだん国民は物価が上がると思い始める、マインドさえ切りかえれば、切りかわれば物価は安定的に上がっていくんだと言っている。マインドの問題だと言っている。思い込みの問題だと言っている。これは正しいんですか。

佐藤(ゆ)副大臣 先行き、経済がよくなると思えば、物価の上昇期待というものが生まれてくるということでありますし、そういう意味では、若干経済もよくなっておりますので、今後の物価の動向に期待をしたいというふうに考えております。

小川委員 所管外のことについて発言を控える役割もあるでしょう。しかし、エコノミストとして、気鋭のエコノミストとして御活躍なさった経歴がある。そして、現在も郵政事業の金融部門の経営環境というのは極めて厳しいですからね。その観点からも、内閣の一員として、現在の経済政策、金融政策をどう評価するか、御自身ならではの知見なり、内閣に対して提言、提案すべきことがあるんじゃないですか。だから私はお聞きしているんです。

 私の方から御紹介しましょう。

 これは、二〇一〇年ですかね、「強い円、強い日本経済 佐藤ゆかり」という本を書かれている。いいことを書いていますよ。一部拝読させていただきましたが、

 日本経済がデフレから脱却できないのは、果たして金融緩和の実施が機動的でない日銀スタンスの問題だけなのでしょうか。本当に、デフレの進行が景気悪化を長期化させている日本は、日銀の政策対応の遅さが最大の原因なのでしょうか。私はそうは思いません。

いいこと書いているじゃないですか、副大臣。続けます。

  私には日銀を擁護する意図はありませんが、日本経済が低空飛行から上昇飛行へと転換できない最大の理由は、金融政策そのものの問題なのではなく、日銀が金融緩和で供給するおカネを銀行から借り入れようとする、資金需要を増やす有効需要の構造改革が遅れていることにほかなりません。真に時代に見合う新しい成長戦略を立案できないために、政治家の多くは責任転嫁して、日銀は思い切った金融緩和をしていないと批判し、国民の不満の向かう矛先をほかに仕向けているようにしか思えません。

すばらしい指摘じゃないですか。これは安倍総理に向かって言うべきですよ。

 金融政策が何か万能で、そんなものだけで今日本が抱えている構造問題を解決できるかのごとく幻想を振りまいてきたアベノミクスの罪は極めて重い。出口も見えないじゃないですか。

 エコノミストとして、気鋭のエコノミストとして覚悟を持って政界に入ってきたんでしょう。どういう役割を果たしに来たんですか、ここへ。私は本当にそう思うんです。

 それで、最後に、これは本当にいいことをおっしゃっているんですよ。高齢化と人口減少について、このことによって総需要が縮小しているという指摘なんですね。それによって需給バランスが崩れる、だから物価が下がる、だからデフレが常態化する。そのとおりなんですよ。そのとおりなんです。

 したがって、こんな問題は、とてもではありませんが、日銀の金融緩和程度で何とかなる問題ではない。そのことだけは明確に最後に答弁してください。(発言する者あり)

江田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

江田委員長 速記を起こしてください。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

江田委員長 それでは、速記を起こしてください。

 それでは、続けます。

 小川君。

小川委員 質問しましたが、このデフレは構造問題であり、背景には高齢化と人口減少がある。したがって、日銀の黒田総裁が言うように、あるいは安倍総理が追認しているように、これは思い込みとかマインドの問題じゃない、構造問題だ。したがって、構造問題にアプローチしない限り、日本経済の復活はない。そのことだけは明確に、最後に答弁してください。

佐藤(ゆ)副大臣 大変貴重な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 アベノミクスでは経済の成果も出ておりますし、また、果敢なる構造改革も進めていると認識いたしておりますので、私は、総務省の所管として、情報通信、郵政等でその政策の推進に取り組んでまいりたいと存じます。

小川委員 質問に答えてください。デフレは、マインドの問題ではない、構造問題だ、したがって、金融緩和でどうにかなる問題ではない、あなたが書かれていることですから。ここで答弁してください。

佐藤(ゆ)副大臣 拙著を記しましたときから時間もかなり経過をいたしております。経済状況も変わってまいりました。そういう中で、当然、金融政策、財政、そしてまた産業政策等々の中で、私は総務副大臣として、所管の分野で経済が再生できますようにしっかり努めてまいる所存でございます。

小川委員 ちょっと時間がまだ残っていますので食い下がりますよ。

 デフレはマインドの問題ではない、構造問題だ、これだけで結構です。

佐藤(ゆ)副大臣 状況、今の現状を鑑みますと、デフレはさまざまな要因がございますが、構造問題、あるいはデフレに対するインフレ期待等々、さまざまな要因の中で、きちっと経済が立て直るように取り組んでまいりたいと存じます。

小川委員 先ほど、本を書いてから時間がたったというお言葉がありましたが、ここで主張された本質的な理解は変わっているということですか。

江田委員長 時間が来ておりますので、簡潔に。

佐藤(ゆ)副大臣 経済政策の処方箋というのは、状況が変わりますとその都度変わるものであるというふうに考えます。

 そういう意味では、日本の経済もかなり状況が変わってまいりましたし、浮揚もしてまいったと認識しておりますが、今後、更に発展できますように努めてまいりたいと存じます。

小川委員 大変残念な答弁であります。また機会を改めたいと思います。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 国民民主党の奥野総一郎でございます。

 石田大臣、よろしくお願いいたします。

 先ほど小川委員からもございましたが、これは平成二十六、二十七年度の決算ですね。今ごろ、籾井さんがいなくなって一年以上たって、この時期というのは、私も、いろいろな事情があるにしろ、どうかと思うんですね。

 ちょっと通告はしていなかったんですが、私見を述べさせていただいて、御提案をさせていただきたいんです。

 本来、この間も理事懇の場でも申し上げましたけれども、決算を踏まえて予算を審議するのがベストだと思うんですね。一年、間はあきますが、前々年度の決算を踏まえて、前年度か、翌年度の予算を審議するというのが本来ベストだと思うんですよ。

 秋の臨時国会というのは、この総務委員会は今は余り案件がありませんから、秋の臨時国会に間に合うように最新の決算を出していただければ、そこで毎年審議をする。その審議結果をもって翌年度の予算に臨むというのがあるべき姿じゃないかというふうに思います。

 二十九年度決算は、まだ国会に、間もなく出てくると思いますが、提出されていないと思うんですね。これを、例えば、九月いっぱい、年度が終わって半年以内に出していただければ、大体秋の臨時国会、開かれない年もあるんですが、大体十月から十二月上旬というのは普通行われていますから、この場で審議をすれば、毎年毎年、滞りなく決算が済んでいく。こういうルールをつくればどうかという御提案なんですが、ちょっと通告はしていませんが、もう少し決算を前倒しで出すということはできないんでしょうか、NHKさん。

松坂参考人 お答えいたします。

 毎年度の決算につきましては、例年、六月にまとめて、前年度の決算については六月にまとめております。その時点での財務諸表などもまとめている、そういうスケジュールでやっております。

奥野(総)委員 いや、あれですよ。国の決算もそうなんですが、たしか会計検査院が入ったりして、いろいろな手続があるので、国への提出がおくれているということだと思うんですが、そこはそうなんでしたっけ。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 法律上、NHKにおかれましては、今お話がございましたとおり、毎年六月末までに、三カ月以内に総務大臣に提出をいただくということで、その後、会計検査院に検査をしていただきます。現在、会計検査院の検査に大体四カ月程度かかっているということでございまして、その後、総務大臣の意見を付して、閣議を経て国会に出させていただいている、そういう手順でございます。

奥野(総)委員 通告していなくて申しわけないです。

 そうすると、大臣に、ここはお願いというか検討いただきたいんですが、少しその手続を早めていただいて、秋の臨時国会が始まる直前ぐらい、九月ないし十月の上旬ぐらいに決算を国会に出していただければ、それを慣例として秋の臨時国会で毎年毎年きちんと処理していく、こういうふうにできると思うんですが、御検討いただけないでしょうか。

石田国務大臣 今、山田局長から御答弁申し上げたような手順がございますので、なかなか難しい面があろうかと思っております。

奥野(総)委員 急だったので、なかなかお答えは難しいと思うんですが、会長も経営委員長も民間出身ですから、いかにも遅いというふうに感じておられると思うんですね。ですから、決算をもう少し何とか前倒しで出していただいて、そうすれば、出てくれば、我々も、野党も審議の協力をして、きちんとやっていけるというふうに思うので、ぜひ、ここは大臣にお願いをしたいと思います。

 済みません。これから本題に入っていきますが、先ほど来、皆さんから質問が出ていますけれども、受信料の値下げ、四・五%、こういうふうに報道されていますが、もう少し詳細に、五十九円という数字も出ていますが、消費税、来年の十月に合わせて据置分が幾らで、その後、実際に引き下げる、実質ではなくて実際に、いつ、幾ら引き下がるのか、分けてちょっと御説明いただけないでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 今回、受信料を二〇一九年十月と二〇二〇年十月の二段階で、合わせて、二〇一八年度の受信料収入見込みの四・五%程度を値下げすることにいたしました。継続振り込み二カ月払いの場合には、地上の月額は五十九円、年間では七百八円、衛星の月額は百二円、年間では千二百二十四円となります。

 二〇一九年十月に料額を改定せず据え置く分の値下げ相当額は、地上契約は月額二十四円、衛星契約は月額四十二円となります。ちなみに、年額では、地上契約は二百八十八円、衛星契約は五百四円となります。

 また、二〇二〇年十月の追加値下げ分は、地上契約は月額三十五円、衛星契約は月額六十円と見込んでおります。年額は、地上契約は四百二十円、衛星契約は七百二十円です。

 中長期の収支見通しを踏まえ、収支相償の原則にのっとり、可能なところから直ちに値下げをする必要があると考えました。通常、値下げに当たって受信料の請求、収納に関するシステムの改修に一年程度の時間がかかっておりますので、料額を改定しない場合システム改修を最小限に抑えられるということがありまして、消費税率引上げの際に料額を据え置く形での実質の値下げをすることといたしました。

奥野(総)委員 御努力はされているというのはよくわかりますが、先ほど小川委員からもあったんですけれども、一般の人が四・五%引下げと聞くと、四・五%、五十九円下がるんだろうなと普通に感じると思うんですが、今のお話ですと、もちろん消費税に合わせて引き上げない部分があるとしても、実際に下がると感じられるのは月額三十五円であり、衛星は六十円ということなんですね。

 ですから、そこはもう少しわかりやすく説明をしておかないと、一般の国民はわからないと思うんですよ。だから、ちゃんと正確に、より正確に、実際下がるのはこれだけですよ、そのほかは経営努力で、消費税に合わせての引上げもしませんし、さらには免除措置を拡充していきますよ、こういうわかりやすい説明を心がけていただきたいと思います。これだけ下げているんだと言いたいのはわかりますが、もう少しわかりやすく説明をいただきたい。

 それで、今回の根拠、大体年間受信料収入の六%相当、四百二十億円分を引き下げるというか、経営がかぶるということだと思うんですが、その財源ですよ。どういう根拠でこの四百二十億という数字が出てきているのか。どういう見込みをされているんでしょうか。それで経営は持続可能なのかということを伺います。

上田参考人 お答えいたします。

 受信料額の検討に当たりましては、中長期的な事業計画や収支の見通しを踏まえて判断すべきものと考えておりまして、今回の値下げの実施に当たりましては、今年度の受信料収入額を約七千六十億円規模と見込んでおりまして、現在の経営計画からは各年度六十から七十億円増といたしました。

 一方で、支出は、4K、8K本放送、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック対応、放送センターの建てかえなどの大型支出に対する備えに一定程度のめどが立ったと考えております。

 今後は、効率的、効果的で持続可能な業務体制を構築し、NHKグループ一体で業務改革に取り組んでいくこととし、将来の事業規模、事業支出を一定の適正な水準におさめるよう厳正に管理していく所存です。

 こうした取組を含め、中長期の収支を見通し、計画に盛り込んだ負担軽減策に加えて、受信料の値下げを決断した次第です。

奥野(総)委員 それは当然経営に影響がないように考えておられるんでしょうが、ちょっと視点を変えてというか、違った形で質問します。

 籾井体制の最後のときにこの引上げの議論があったと記事が流れていまして、毎年二百億円ぐらい余るので引き下げてはどうかという議論があり、経営委員会としては、まあ、正式に経営委員会にかかったかどうかというのはありますが、認めなかったというような報道がなされています。

 そのときと今と、状況はどう変わったのか。そのときは引下げを決断しなかったわけですが、今、現段階において引下げを決断された理由というのは何でしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 さきにもお答えさせていただきましたけれども、収入の見通しが、最高裁の判決、それから受信料収入、公平負担の観点から努力したことによってある程度見通しが立った、それから支出の方も、大きな支出が大体見通しが立った、そういうことで、中長期的な収支の見通しが立ったところで、最大限どのぐらい還元できるかということを検討いたしまして、前回議論のありました約二百億円規模のものから、約二倍の還元を実行するということを決断したわけであります。

奥野(総)委員 それは、籾井時代の最後のときの議論も、放送センターの建てかえの話が一段落ついて、もう建設勘定に積み立てなくていいんだという流れの中で出てきているんですが、更にそれよりも受信料収入がふえていくという見通しが立ったということなのかと思います。

 たまたま二十六年度決算の要約というのを持っておりますが、二十六年度の事業収支差金を見ると、三百九十六億円、決算ですね。予算が八十億円ですから、三百億も決算ベースで上回っている。

 翌年は、ちょっと今手元にないんですが、さっき調べてみたら、大体、事業収支差金は二百八十八億円ということでありまして、予算を保守的に見積もるというのはそうなんですが、毎年二、三百億ずつぐらい予算を上回って事業収支差金が出ている、それだけ余分に入ってきている。

 事前にいただいた資料、財政安定のための繰越金を見ると、これも毎年百億、二百億ふえている。無理に使ってという言い方はしませんが、支出もふやしながら、使っても使い切れないというふうに理解をしています。

 この中間決算、平成三十年度の中間決算を見ると、事業収支差金、予算四十億のところ、中間段階においても三百六億円という数字が出ていましたけれども、ちょっとこれも通告はちゃんとしていないんですが、去年の判決を受けて、更に事業収支差金がふえる傾向にある。

 これは、ちょっとごめんなさい、ちゃんとわかっていないんですが、半期でこの額ということは、年度末になるともっとふえる、単純に言うと倍になるんでしょうかね。ということは、数百億オーダーでお金が余っているという、去年の判決を機に更にお金が、収入がふえているという理解でいいんでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 平成三十年度の中間に絡めましては、支出が下期の方に偏っているというNHKの収支構造がありますので、中間決算よりも更に下がったような形になるのではないかというふうに予測しています。

 それから、過去の収支差金のお話が今ありまして、平成二十六年、三百九十六億とありますが、このうち百五十億は、持っていた不動産を売却した一過性の特別な利益が入っておりまして、一般的には、過去のレベルでいいますと、二百億弱から二百億強という、このぐらいの水準で収支差金は推移している。

 それを勘案いたしますと、四百二十億というのはかなり思い切った数字というふうなことが御理解いただけるんじゃないかというふうに思います。

奥野(総)委員 毎年、二百億、二百数十億ずつ余っている部分を引下げ、値下げに使っていくと。

 じゃ、足りない部分、四百二十億、足りない部分というのはどうなるんですか。

上田参考人 お答えいたします。

 大きな支出が見込まれている、例えば、東京オリンピック・パラリンピック、それから4K、8K、こういった、一過性といいますか、かかる費用がありまして、この一過性の大きな支出が一段落いたしますとある程度の水準に落ちついてくるということで、あとは経営努力によって、持続可能な経営の収入の水準まで下げても大丈夫だということで決断したわけであります。

    〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕

奥野(総)委員 決算ベースの受信料収入もいただいていますが、大体百億、百五十億ぐらいですかね、多い年で、ふえていますよね。これはどこかで頭打ちになるんでしょうが、支払い率はまだまだ、一%ずつ毎年上げていくということですから、今八〇%ぐらいですかね、これはどこまで上がるかわかりませんが、まだまだお金が入ってくることもあり得るわけですよね。

 そこで、ちょっと大臣に伺いたいんですが、もう少し、さっきもありましたが、このタイミングで本当に引下げをするんですか。後ほど触れますけれども、常時同時配信の話もまだ正式には決まっていない中で、それに幾らお金をかけるのかとか、不確定な支出の部分もありますし、それから、更に収入が入ってくる、受信料収入が入ってくる可能性もありますから、もう少し様子を見て決めてもいいんじゃないか。もう少し言えば、もう少し様子を見て、もう少し大きな幅で下げることもできるんじゃないのか。

 きのうの日経新聞に出ていましたが、総務省内とか有識者の中では、八%ぐらい下げられるんじゃないかという声もあったと書かれていますが、総務大臣として、今の引下げ幅についてどうお考えになるか。

 そして、このタイミングですが、もう少し待って、今、後ほど質問しますけれども、諸課題検討会でいろいろ議論をしているわけですから、その状況を見ながら、大きな幅で、かつ経営に影響が出ない形で引下げを求めてはどうかと思うのですが、大臣、いかがお考えでしょうか。

石田国務大臣 受信料の引下げの問題については、先ほど来、桝屋委員の御質問にもお答えをさせていただきました。

 今までずっと、総務省として、大臣意見におきまして、受信料の値下げについて検討を求めてきたところでございまして、今回、それを受けて経営委員会で議決されたということで、そのこと自体は評価をさせていただきますが、具体的内容については、今後、三十一年度の収支予算案等の精査ということもございますので、コメントは差し控えさせていただきたいなというふうに思います。

 ただ、御指摘のように、受信料の支払い率というのは、まだ、今現在八〇・四%、速報値では八一・五%ということでございます。公平負担の徹底を図るということからいいますと、NHKで一層の努力をしていただきたいというふうに思っておりまして、その上で、今後、国民・視聴者の理解を得られる形で対応していくことが重要だと考えております。

奥野(総)委員 先ほど来指摘がありますが、この常時同時配信を認めるさまざまな条件がここに書かれているわけですが、その中にも、受信料の体系のような話も書かれていますね。ですから、その条件整備の一環としてこのタイミングで引き下げる、そうは皆さんおっしゃらないのかもしれないけれども、明らかにそう見えるわけですよ。だから、もう少しそこは、拙速な値下げよりは、きちんと経営の方向を見据えて下げるべきではないかというふうに思います。

 常時同時配信の話に移りますけれども、諸課題検の報告書が、二次取りまとめ、中間報告的なものが出ていますが、これを受けて、来年の通常国会に向けて、常時同時配信、これは法律改正が必要だと思いますが、法案はお出しになられるのでしょうか、大臣。

石田国務大臣 今御指摘いただきましたように、本年の九月に有識者の検討会、第二次取りまとめにおきまして、お話がありましたように、NHKの常時同時配信の実施に当たっては、受信料水準あるいは既存業務の見直し、子会社を含むガバナンス改革等を求めるとされているところでありまして、常時同時配信を含むNHKのあり方については、今後やはり、先ほども申し上げましたけれども、国民・視聴者の理解を得ていくことが重要でございまして、総務省といたしましては、第二次取りまとめを踏まえたNHKの対応、さらには民放連の要望等も踏まえつつ、丁寧に検討してまいりたいと思っております。

奥野(総)委員 民放連の要望もあるんですが、NHKの肥大化を恐らく懸念しているというようなこともあると思いますが、今現在、インターネット活用サービスは、今行われているものについては、受信料収入の二・五%を上限として行われている、そういう形で認可されていると思いますが、今後、この常時同時配信について、これはどのぐらいの予算になるんでしょうか。二・五%がやはり上限になるのか。これは、民放連さんはたしかそういう求め方をしていると思いますが、あるいは、これを上回るのか。もう少し言えば、今回の経営計画を変更せずに常時同時配信ができるのか、値下げをしても大丈夫なのかということを会長に伺いたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 常時同時配信のサービスを本格的に始めた場合の運用に係るコストは、受信契約の照合などに係る費用なども含めまして年間で五十億円前後と試算しております。ただし、この中には、インターネット配信のための権料、権利処理の費用は含まれていません。

 NHKが受信料によって放送を実施する目的で運用されていることを踏まえますと、常時同時配信を含むインターネット活用業務に係る費用に上限を設けて適正に運用するという視点は重要だと認識いたしております。適正な上限の中で抑制的な管理に努め、会計上の透明性を確保し、事業費の内訳などをよりわかりやすく説明してまいりたいと考えております。

 今後、充実強化が必要と考えられるインターネット活用業務の費用につきましては、適切に確保してまいりたいというふうに考えております。

奥野(総)委員 五十億という数字が出てきましたが、大体これは受信料収入の〇・七%ぐらいですかね。今、二・二%ぐらいでしたっけ、インターネット活用業務は。足すと三%近くになるんですが、ということは、答えとしては、二・五を上回るということでよろしいんでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、適正な上限の中で抑制的な管理に努め、会計上の透明性を確保し、事業費の内訳などをよりわかりやすく説明して対応してまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 時間がなくなってきましたので、最後にもう一点だけ確認しますが、じゃ、その上限は今の上限よりも変わる可能性があるということでよろしいですね。

坂本参考人 お答え申し上げます。

 先ほど答弁しましたように、適正な上限管理の中で抑制的な管理に努めるということで、まず、会計上の透明性を確保する、そういうところをきちんとやって対応してまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 余りこればかりやっても、細かい話なんで、あれですけれども、経営に与える影響ということでちょっと伺いました。

 諸課題検では、受信料の抜本見直しということが書かれているんですけれども、負担の公平性といったときに、スマホとかパソコンで見るものは、ネット経由ですから、通信でありますから、いわゆる放送の受信に当たらないと思うんですね。ということは、パソコンだけで見る人、スマホで見る人というのは受信料を負担していないわけですから、彼らは見ることができないか、あるいは別の名目でお金を取らなきゃいけないんですが、その辺はどう考えているんでしょうか、NHK。

    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕

坂本参考人 お答え申し上げます。

 常時同時配信は、放送の補完として実施する考えであります。受信契約世帯の構成員につきましては、追加負担なく利用できるということになります。常時同時配信の開始に当たりましては、公平負担の観点からということも考慮しまして、受信契約世帯を基本として設計しているところです。

 その一方で、テレビを持っていない方々への対応につきましては、今後、サービスを進める中で、さまざまな御意見もいただきながら検討していきたいというふうに考えております。

奥野(総)委員 明確にお答えいただけないわけですけれども、大臣、そういう問題があるんですよね。だから、例えば、ドイツなんか世帯課金にしてしまっていますよね。受信機を持っている人が受信料を払うというのは、今の時代、果たしてどうなのかということもあると思いますが、抜本的な見直しですよね。諸外国を例にしながら、受信料体系の抜本的な見直しを検討するお考えはおありでしょうか。

石田国務大臣 やはり受信料というのは、NHKが公共放送の社会的使命を果たすために必要な財源でございまして、広く国民・視聴者に公平に御負担いただくための特殊な負担金と位置づけられているわけでございます。

 今御指摘のような受信料のあり方については、環境変化も踏まえまして、放送全体の将来像あるいは受信料を含む公共放送のあり方とあわせて検討を行うべき課題と認識いたしておりまして、国民・視聴者の理解を得られる、そういう前提の中でいろいろ議論を進めてまいりたいと思っております。

奥野(総)委員 大分時間がなくなってきました。せっかくこうやって、例の放送改革、あれは、いい悪いありましたけれども、を機に放送の議論が進んでいるわけですから、そういう受信料体系のあり方なども含めて、公共放送のあり方全体をもっと大きな視点で御議論いただきたいと思います。今回、せっかくこういう議論なので、もったいないなと思っています。

 最後ですけれども、経営委員長に来ていただいていますが、籾井会長時代の決算二年分ですから、籾井会長時代を振り返っていただいて、総括、いい面、悪い面を述べていただければと思います。

石原参考人 お答えいたします。

 籾井前会長が会長を務めた三年間、受信料収入の確保や支払い率の向上、それから国際放送の充実、大変熱心でございました。それから、4K、8Kなどの技術開発、あるいは放送センターの建てかえなど、NHKの懸案事項について積極的に取り組んでいただきました。また、実績もあったと思います。支払い率も大分上がりました。

 一方で、誤解を招くような発言がございまして、国会や視聴者の皆様にさまざまな御指摘をいただきました。経営委員会からも注意や申入れを行う事態となったこと、そしてNHK予算が三年連続で国会での全会一致をいただけなかったことは大変残念なことであったと考えております。

 以上です。

奥野(総)委員 確かに、支払い率が上がって、今回の値下げにつながっている面もあるんじゃないかと。

 しかし、ガバナンスの問題、不祥事は相変わらずです。あの当時、タクシーチケット問題、私も随分質問しました。桝屋先生が委員長、それから石田大臣が筆頭でお世話になりましたけれども、さまざまな不祥事があったわけですよね。しかし、相変わらず不祥事が続いているということであります。セクハラ問題、先ほどもありましたし、アレフの問題もありましたけれども。

 時間がそろそろあれかな、最後に大臣に伺いたいと思いますが、何が問題だと思いますか。そして、この報告書にもガバナンスの話が出ていますが、これは、どう制度として改革をしていくのか。

 ちなみに、民主党時代に我々も対案を出したことがあったんですけれども、そこでは、理事会を議決機関にしましょうと。当時は、会長が言えば理事がはいと言うことを聞く、そうじゃなくて、理事会を合議制にして議決機関にしましょうとか。あるいは、服務規定、役員の服務準則のところに例示として定款遵守とか忠実義務を書いたらどうかなんという提案もさせていただいたことがあるんですね。今そういう議論が、三、四年たって、与党の方あるいは政府の方でもされていると伺っていますが、最後、大臣、このガバナンスについてどう改革していくか。

石田国務大臣 委員から御指摘のありましたいろいろな不祥事については、これはもう全く遺憾なことでありまして、私からも上田会長に再発防止等について厳しく御指摘を申し上げたところでございます。いずれにいたしましても、やはり、NHKの関係の皆さん、高い公共性、それから社会的責任があるということをまず自覚をいただくことだというふうに思っております。

 そういう中で、上田会長におかれては、その後、速やかに処分さらには再発防止等についての対応をされたということでございます。これからも、NHKのそういう再発防止策、適切に履行されていくかどうか継続してしっかり確認をしてまいりたいと思っております。

奥野(総)委員 時間が参りました。

 以上で質疑を終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、NHKの決算ということで、よろしくお願いをしたいと思います。

 きょうは、こちらに来させていただくに当たって、何か国対委員長からメッセージが来まして、遠藤国対委員長から、のりを越えないようにお願いします、各方面より心配の連絡が入っていますので心がけておいてくださいという、各方面が何か心配されているそうでありまして、済みません、もうこの国会からは余りのりは越えないようにしながら、でも、しかし、言うべきことは申し上げるということで、しっかり国会議員としての責任を果たしてまいりたいと思います。

 きょうは、NHKの決算でございますが、ちょっとこの場をおかりして、少しちょっと、会長、休憩しておいていただいて、ちょっと一つ二つ、せっかくの機会をいただきましたので、確認をさせていただきたいことがあります。

 まず、今、この臨時国会の最大のテーマは入管法でございます。この総務委員会でも議論をさせていただいたマイナンバーカードの問題、これは、衆議院で可決するに当たって、自民党、公明党と維新の会の修正合意で、しっかりと在留管理を強化していく、そのために、マイナンバーカード、その活用を含め、速やかに検討すると。これは、もちろん条文上は、入管法改正案の公布後、速やかにとなっていますが、もう衆議院は可決をしました。

 法務省金子政策立案総括審議官、きょうおいでをいただいていますが、検討をぜひ始めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

金子政府参考人 お答えいたします。

 衆議院で可決されました入管法等の改正法案に対する修正案の内容も踏まえまして、的確な在留管理の実現のため、今後、在留カード番号等の各種識別番号やマイナンバーカードの活用について検討してまいります。

足立委員 金子審議官、ちょっと余りやる気が感じられないんですけれども、もう少しちょっと思いをお願いします。

金子政府参考人 ただいま申し上げたとおりでございますが、もちろん、修正案は、今、衆議院ではそのとおり可決されておりますので、それに沿ってマイナンバーカードの活用も含めて検討を進めてまいります。

足立委員 余り、こう、参議院で反対しますよ、真面目に。これは、しっかりやってもらうという前提で賛成しているんですよ、法務省。法務省がやらないと、幾ら石田大臣が旗を振っても、法務省がちゃんとやらないとこれは前に進みませんよ。余り審議官に言っても仕方ないのかな。また山下大臣には直接話をしておきますが。

 石田大臣、いいですよね、特に何か。もういいですね。

 きょう、マイナンバーカードについては、内閣審議官、向井審議官においでいただいています。せっかくおいでいただいているので、ちょっと一言お願いします。

向井政府参考人 お答えいたします。

 今回の修正におきましては、個人を特定する番号等について検討しろというふうに書いてございます。

 その中で、マイナンバーそのものは、違憲訴訟等があり、なかなか難しいところもございますが、一方で、マイナンバーカードというのは、番号というのは、もともとやはりITと結びついて効率性を発揮し、また正確性を発揮するものでございますので、その番号が結びつくITの手段といたしまして、マイナンバーカードというのは極めて、マイナンバーカードに搭載しております公的個人認証というのは極めて有効な手段だと考えております。

 この公的個人認証をうまく使って、そういうふうな、先生のおっしゃるような趣旨が実現できないか検討してまいりたいと考えております。

足立委員 ぜひ、向井審議官、浅岡企画官、皆さん頑張っておられるお取組、ふだんからよく承知をしておりますので。

 ただ、法務省はやはり勉強不足ですよ。前も申し上げたけれども、知らないんだから。大体、マイナンバーとマイナンバーカードの違いさえわかっていないわけですから。しっかり法務省入管局には、これだけの大政策をこれからやろう、日本の社会を変えようとしているんだから、その在留管理を強化するために、もうそこにツールが落ちているんだから、そこにあるんだから、すぐにできるんだから。

 特に、今、向井審議官がおっしゃったように、マイナンバーの拡張性というものを、今すぐにそれが実現できるかどうかということについてはいろんな課題がある。しかし、マイナンバーカードを外国人の本人確認に使うというのはあしたからできるんですよ、あしたから。

 法務省、もう一言お願いします。

金子政府参考人 衆議院で可決されました修正案の内容にございますとおり、在留カード番号、今多く活用されているこの制度がございますが、これにつきましても、在留管理のほか、雇用管理や社会保険制度のために活用していくことを検討を加えなさいとなっています。もちろん、マイナンバーカードの活用についてもこの修正案の内容に含まれているというふうに理解しておりますので、そこも含めて検討させていただきます。

足立委員 国民の皆様にしっかり見ていただければ、霞が関の縦割りが、どれだけ安倍総理が御苦労されて、石田大臣が御苦労されて、内閣府が御苦労されても、なかなか役所が動かないということがよく国民の皆さんに見ていただけると思います。山下大臣、私も、今は偉くなっちゃいましたけれども一応飲み友達でしたから、また法務大臣にもしっかりお願いをして、検討を急いでいただくということをやっていきたいと思います。

 それから、ちょっとNHK会長にはもう少しお待ちをいただいて、もう一つだけ。

 国民民主党の大西健介代議士に係る報道が相次いでいます。大丈夫ですよ、悪口を言うんじゃないから。僕は、大西先生はいろいろお世話になっていまして、友人でもあります。今回の報道を見ていると、朝日新聞、秘書の交通反則金、政治資金で支出、国民の大西衆議院議員とか、毎日新聞、政治資金で交通反則金、大西議員の事務所職員が違反とか、いろいろ書いています。ひどい報道でね。

 私は、政治活動をしていて、事故って反則金を払う、それは収支報告書に載せてもいいと思いますよ。むしろ政治資金規正法という、政治資金規正法の目的あるいは基本理念、一条、二条を読めば、政治資金の入りと出をしっかりと国民の皆様に知っていただくのが法の趣旨なんですよ。

 いや、別に、税金で払わなくていいですよ。自分のポケットから出してもいい。でも、ポケットから出したら、そのポケットから出したお金を入りとして書いて、それで、出を書いたらいいんですよ。だって、収支報告書に書いているからわかったんでしょう。わからない方がいいんですか、皆さん。おかしいでしょう。おい、朝日新聞、いいかげんにしろよ、こう思って新聞を読んでいたわけですよ。

 かつて私が赤旗にたたかれたことがあります。去年の政治資金、開示をされた、ちょうど去年の今ごろですよ。赤旗が、ひどい新聞ですけれども、あっ、ごめんなさい、新聞はどうかわかりません、この記事はひどい記事です。大阪府選管に届出、政治資金で飲食二千六百六十二万円といって、維新が一番多い、維新の飲食費の半分は足立だって書いてあるんですよ。いや、そうです。私は、政治活動で飲食をしたものは全部書いています。それをポケットから出したら、寄附をして、政治団体に、すなわち、全部出しているんですよ。だから、一年間で五十二件、百二十二万円を大阪九区内などで飲食に支出と。共産党、ああ、本村先生はいい人ですけれどもね。ああ、済みません。とにかくこういう報道が、それで僕はえらい目に遭うわけですよ、これは。

 きょうは選挙部長に来ていただいています。これは、反則金であれ飲食であれ、収支報告書に載せるのは法の趣旨にのっとっていますよね。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の政治団体の活動については、この場でコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、一般論として申し上げれば、政治資金規正法上の政治団体の会計責任者は、その年の十二月、毎年の十二月三十一日現在で、その政治団体に係るその年の全ての収入、支出、資産の状況、また、規定されている明細などを記載した収支報告書を作成して提出しなければならないとされております。

 したがいまして、政治団体に係る支出ということであれば収支報告書にその旨を記載していただく必要がございますが、そうでないという場合であれば、それは記載の義務はないということになってまいります。

 具体の、個別の事実がどうかということにつきましては、具体の事実に即して判断されるべきものと考えております。

足立委員 まあ、そう言うとおりですが、要すれば、皆さん、これは同僚議員の皆様はもう釈迦に説法でありますが、我々がお金を扱うときには三種類あります。大きく言うと三種類あります。政治家個人で扱う場合、後援団体で扱う場合、それから政党支部で扱う場合、三つあるわけですね。今選挙部長がおっしゃったのは、政治団体、後援団体あるいは政党支部で扱ったときはその収支報告書に載せてくれ、個人でやった場合は載せなくてもいい。それはそのとおりですよ。

 でも、私は、足立康史は、極力出した方がいいという立場で、全部出しているんです、どちらかの団体で。でも、ほとんど出していない人もいますよ。きょう、ある議員さんに聞いたら、ある同僚の議員に聞いたら、いや、うちは一件も出していませんと言っています。

 でも、出していない人と出している人とどっちが偉いんですか。出している人でしょう。ところが、出している人を赤旗はたたくわけですよ。おかしくないですか。

 一応、赤旗の記事を分析すると、私は、二万円ぐらいの会食も出しています、一件当たり。維新の会の平均は八万円です。逆に言うと、小さいのは出していないということです。自民党大阪府連の出しているものは八十万円です。八十万円以上の、平均して八十万円のものは書いています。国民の皆様にわかるようにしています。でも、それ以下のものはわからないようにしています。公明党さんは百万円です。

 いいんです、いいんです。別にそれは、法はそれを認めているわけだからいいんだけれども、私が申し上げたいことは、隠している人より出している人の方が偉いのに、法の趣旨にのっとっているはずなのに、出した人がたたかれる。

 この大西さんの件は、大西先生の件はまさに、反則金を政治資金で賄ったとかいってたたかれているわけですよ。違うんですよ。その原資が税金なのかポケットマネーなのかは分析しないとわからないでしょう。朝日新聞、分析していません。

 だから、私は、大西健介代議士のこの取組は、何か報道を読むと、たたかれたから、ごめんなさいと謝って、それをだから削除するような報道もあります。違うんですよ。書いておいた方がいいんですよ。書いておいたから、マスコミあるいは国民がそれを、事故ったんだなということを知ることができたんです。

 政治資金についてはそういう真反対の報道がまかり通っていますので、きょう選挙部長にお越しいただいて、その点を確認をさせていただいたということでございます。

 いずれにせよ、NHK決算の時間をちょっととりまして、申しわけありませんでした。

 早速、NHKの4K、8Kに入りたいと思いますが、たびたびこの場でも取り上げさせていただいているACASチップの問題であります。

 まず、議論の前提として、無料の衛星放送に係る、衛星放送には無料放送と有料放送があります、無料の衛星放送を見るためのテレビ、つまりスクランブルを解除するだけの機能を有するテレビであれば、ソフトウエアによって、要は、チップがなくても、受信機、安価なテレビをつくれると私は理解していますが、よろしいですか、総務省。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 スクランブル解除の方法につきましては、チップに内蔵する場合と、またソフトウエアで実現する場合と、両方のやり方が技術的には可能かと存じます。

足立委員 これは技術的にできるんですよ。今局長がおっしゃったとおりです。ソフトウエアでできるんですよ。

 きょうは経産省にもお越しをいただいています。お忙しいところ、済みません。

 ニーズはこれはないんですか、ソフトウエア。

吉田(博)政府参考人 お答えします。

 4K8K衛星放送を視聴するためには、現在のところ、テレビに、一般社団法人新CAS協議会が指定する、放送暗号の解除や視聴者の識別等の機能をあわせ持つチップを組み込むことが必要な仕組みとなってございます。

 こうした状況では、放送暗号の解除機能のみを実装したテレビを生産する環境が整っているとは申し上げられず、テレビメーカーとしても、具体的なニーズを把握するには現段階では至っていないと承知しております。

足立委員 今、大変簡潔明瞭な御答弁で、私はよくわかりますが、ただ、一般の方はよくわからないと思うんですが、結局、放送局あるいは総務省がB―CASあるいはACASについて余り国民の皆様にしっかり御相談せずに、あるいは国会でもしっかり議論をすることなく、NHKが中心になって議論してきたものだから、今、経産省から御答弁をいただいたように、そもそもそういう、技術的には選択肢を用意できるはずなのに、その選択肢を用意できないような、メーカーがそういうものを用意できないような環境を、NHKを含む放送事業者、そして総務省がつくってきたんですよ。これは、さかのぼればもう何十年ですよ。

 結局、日本の放送というのはガラパゴスで、よくスクランブルという議論がされますが、日本の放送電波はスクランブルがかかっています。受信機のところで解除しています。そのために、2K放送ではB―CASカード、そして4K、8KテレビではACASチップというものが実装されるようになっています。でも、そうじゃない道も本当はあったのに、あるんですよ、あったのに、そういう道をつくってこなかったのは総務省と放送事業者ですよ。

 そして、そういう、私が今申し上げているような議論を、私もそうだし、規制改革委員会で議論をいただいて、ことしの規制改革会議の報告書で、年内に新たなCAS機能、要は、私が申し上げているACASチップにかわる、かわるじゃないな、局長は先日の総務委員会で併存するとおっしゃいました、もう一つの選択肢を検討する場、新たなCAS機能の検討委員会を年内に立ち上げる、立ち上げるようにという閣僚会議の決定があり、そして、総務省がそれをこれからやるということになっているわけですが、この新たなCAS機能の検討委員会、本当は十二月一日の4K、8K放送の本格運用の前にやっとかなあかん議論です。これは順番がひっくり返っているわけです。

 早くやった方がいいと思うんですけれども、スケジュールはいかがですか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の規制改革実施計画に基づきまして、新たなCAS機能の今後のあり方につきまして、消費者を含む幅広い関係者の御意見を聞きながら検討を行う場、これは確実に年内に設置をしてまいります。そのための準備を現在鋭意進めているところでございます。

 御指摘を踏まえまして、視聴者目線での議論を重視して検討を進め、早期に取りまとめるよう取り組んでまいります。

足立委員 山田局長のいろんなお仕事、敬意を持っていますが、年内に始めるわけでしょう、まだメンバーとかいつスタートするとか決まっていないんですか。

山田政府参考人 調整を今進めている段階でございます。近々発表できるというふうに考えております。

 日程に関しましては、まだ十二月の何日というふうには申し上げられませんけれども、確実に十二月中には必ず発足をしてまいります。

足立委員 ぜひ、山田局長、そして石田大臣にもお願いをしておきたいのは、これは普通に議論していても出てきませんよ、こんな議論、ちゃんと。要すれば、放送事業者、NHKを始めとする放送事業者と総務省がずっとつくってきた土壌があるんです、土壌が。それはガラパゴスな土壌なんです。いいんです、別にガラパゴスでも。それが日本の国益に沿うものであれば、日本国民の利便性、日本国民の視聴者の利益に通じるのであれば、それでもいいんです。いいんだけれども、それは議論していないんですよ、ちゃんと。

 だから、総務省がリードしてきた今のような、スクランブルをかけてそれを受信機の方で解除させる、無料放送でもですよ、こんなことをやっているのは日本だけですよ、世界で。日本だけなんです。テレビにチップを埋め込んでいるのも日本だけなんです。それでいいんですかと。いや、結論はそっちでもいいんです。でも、ちゃんと議論をオープンな場でしていただきたいということがきょうの私からのお願いでございます。

 今申し上げたチップですが、このチップをリードしてきたのはACAS協議会という、何だったかな、NPOだったかな、まあ、団体でございます。このACAS協議会の代表理事は坂本専務、事務局長、運営委員長、いずれもこのACAS協議会の柱となるメンバーは、全てNHK関係者がお務めだと聞いておりますが、事実でしょうか。会長。

上田参考人 お答えいたします。

 新CAS協議会は、四K、八K放送のセキュリティーを高めるための新たなCAS方式を開発するために、平成二十七年十月に設立されました。現在の会員は、有料放送、民放及びNHKで構成されていると承知いたしております。協議会の代表理事は、定款に基づき、理事会の互選により坂本忠宣が務めていることは承知いたしております。協議会における役職と担当は、内部規定に基づき、会員間の協議により適切に任命されているというふうに承知いたしております。

足立委員 ごめんなさい、時間が来ますが、事務局長と運営委員長もNHK関係者ですか、そこだけ。事務方でも結構です。会長、お願いします。

上田参考人 繰り返しになりますけれども、協議会における役職と担当は、内部規定に基づきまして、会員間の協議により適切に任命されているというふうに承知いたしております。

足立委員 ここで答えられないというんですか、会長。ちょっとあれだな。

 時間が来ましたので、そんなことだと、決算、賛成できないじゃないですか。あっ、終わらないといけないな。

 とにかく、この問題は、こういうACAS協議会の閉鎖性、これが、先ほど私が指摘したような、国民の理解を促す形になっていないことを改めてお訴えをして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

江田委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 二〇一四年度と二〇一五年度のNHK決算について質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 二〇一四年一月、籾井勝人氏がNHK会長に就任をいたしました。籾井氏は、就任時から、政府が右と言うものを左とは言えないなど発言をし、国家権力からの独立、表現の自由の確保という、公共放送として貫くべき基本姿勢、これを大きく揺るがし続けてまいりました。公共放送としてのNHKに対する国民の皆様、視聴者の皆様の信頼が大きく傷つけられてきたことは大変重大な問題だと認識をしております。

 二〇一六年一月に就任をいたしました上田会長も、放送法にのっとり、公共放送としての責務を果たすと繰り返し述べておられます。視聴者・国民の皆様の信頼回復というのは道半ばであり、一層の努力を強く求めておきたいというふうに思います。

 あわせて、二〇一四年度、二〇一五年度は不祥事、不正経理などに対する対応も問われました。二〇一四年一月、NHK職員によるタクシー券の不正利用が発覚し、全国の点検では、同様の事例が明らかになりました。また、籾井前会長は、NHK関連団体ガバナンス調査委員会を設置しましたけれども、NHKビジネスクリエイトの不正経理事案、あるいはNHK出版の架空発注などの子会社の不祥事、不正経理、これを暴くことはできず、その調査も事実関係の後追いで、結果も概要だけの公表ということで、報告書は非公表というものでした。

 二〇一四年度、二〇一五年度の決算期を通じて、こうした不祥事、不正経理などの原因を究明し、視聴者・国民の皆さんに対する説明責任と解決への具体策を明らかにすることが果たされてきたとは到底言えないというふうに思います。

 過去にこうした対応、問題があったわけですけれども、そこでお伺いをしたいと思います。

 NHK石原進経営委員長は、十一月十三日、経営委員会の中で、不祥事が相次いでいるということについて再発防止を徹底する旨のコメントを語られておられると思いますけれども、その内容についてお示しをいただきたいと思います。

石原参考人 お答えいたします。

 十一月十三日の経営委員会で、放送素材の誤送信について、並びに前佐賀放送局長の懲戒処分について、会長から報告を受け、私から次のようにコメントをさせていただきました。

 まず、誤送信についてでございますが、今回、とりわけ厳格に扱わなければならない取材情報が、一週間余りのうちに二度までもメールの誤送信という形で漏えいしました。このことは、報道機関として、組織運営の根幹に深刻な影響をもたらす重要な問題であり、まことに遺憾です。番組の制作過程において、さまざまなICT技術を活用した業務がありますが、今回、このように決められたルールが遵守されなかったことは大変残念であり、コンプライアンス意識が欠如していると言わざるを得ません。NHKで働く全ての者が、このようなことを二度と起こさないという強い自覚を持ち、情報管理等のコンプライアンスを徹底し、再発防止に向けた取組を実施することを強く求めます。

 もう一つ、前佐賀放送局長の懲戒処分についてであります。

 地域放送の先頭に立つべき放送局長に職員の服務規定に反する不適切な行為があり、処分を受けたことは極めて遺憾であり、大変残念でなりません。また、本件を含めて不祥事が続いていることは、NHKにはコンプライアンスの精神が極めて欠如していると言わざるを得ません。執行部は、このことを厳粛に受けとめ、NHKの社会的責任に対する自覚を組織全体に根づかせ、コンプライアンス意識の徹底と再発防止に全力で取り組んでいただくようお願いします。

 以上です。

本村委員 ありがとうございます。

 経営委員長のコメント、そして経営委員会での議論などを受けて二週間がたっておりますけれども、NHK会長に伺いたいと思います。

 この事実の原因究明、そして再発防止の具体策を進め、そして懲戒処分の制度をより厳正なものにしていくということをしていくべきだというふうに思っております。どうしていくのか、お示しをいただきたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 一連の不祥事は、公共放送の信頼を著しく損なうもので、決してあってはならないことであり、大変重く受けとめており、改めて深くおわび申し上げます。

 特に、住民インタビューの音声ファイルを住民と対極の立場にある宗教団体に誤送信することは、報道機関として許されることではありません。放送素材を扱う際のNHKのルールが守られなかったことが原因であり、緊急に再発防止策を取りまとめ、実行できるものから速やかに着手いたしております。

 具体的に申しますと、放送素材を扱う際のNHKのルールの強化、徹底、添付ファイルを自動暗号化するなどのシステムの改修、放送倫理とITリテラシーの再教育を徹底する研修の実施に取り組んでおります。

 あらゆる機会を通じて、コンプライアンス意識の徹底を図るとともに、国民・視聴者の信頼を取り戻すべく、全力で再発防止に取り組んでまいります。

 一方、地域放送局の先頭に立つべき局長が不適切な行動により懲戒処分を受ける事態となったことは、言語道断であり、重く受けとめております。

 人事担当理事などから全国の局長に対して、綱紀粛正を求めるとともに、みずから先頭に立って信頼回復に取り組むよう指示を行いました。また、特に局長などの人事につきましては、一層慎重に対応してまいりたいと考えております。

 懲戒処分制度の運用に当たりましては、役員で構成される責任審査委員会で、複数の外部弁護士の意見も踏まえて厳正に処分を決定しておりますが、制度や運用ルールにつきましては、見直すべきところがないかどうか、日々点検を行ってまいっているところであります。

本村委員 今回は、過去のような不祥事に対し不十分な対応ではなく、原因の徹底究明、そして、視聴者・国民の皆さんに対する説明責任を果たし、再発防止の抜本的な対策を通じて、視聴者・国民の皆様の信頼回復を図るということに努めていただきたい、そのことを強く求めておきたいと思います。

 こうした不祥事が繰り返されるその背景ともなりますけれども、働く職員の皆さんの個人の尊厳を守ること、そして、人権の尊厳に厳正に対処し、職場から差別あるいは格差、ハラスメントをなくしていくということが一層重要になってくるというふうに認識をしております。

 そこで、伺いたいと思います。NHKとNHKグループ子会社において、過去十年間、セクハラ、性暴力事件はどのようになっているのか、お示しをいただきたいと思います。

鈴木参考人 お答えいたします。

 過去十年に、NHK本体が三十件、それから関連団体を入れて三十五件、セクハラ等により懲戒処分を受けた件数がございました。それで、このうち性犯罪事件につきましては、本体三件、関連団体を含めると五件になります。

本村委員 資料の一にお示しをさせていただきましたけれども、毎年セクハラや性暴力事件が起きまして、三十五件、懲戒処分を受けた件数があるわけでございます。佐賀の局長もセクハラ、性暴力だったわけですけれども、先ほども御議論がございましたように、かなりの幹部職員がセクハラ事件を起こしたということが事実だとNHKもお認めになりました。

 セクハラ被害に遭われた被害者の方々は、心身ともに大変大きなダメージを受けることが多いわけでございます。被害者保護を何よりも大切にしていかなければならないというふうに思います。

 現状では、セクハラ被害者の方がやめざるを得ないケースも少なくなく、裁判に訴えても、長期間裁判で闘っても本当にごく少ない慰謝料しか取れない、職場に復帰できる保証もないということで、泣き寝入りも大変多いわけでございます。

 だからこそ、抜本的な法改正を与党には求めておきたいと思いますけれども、NHKはこの十年間、わかっているだけでも三十五件の被害があったわけですけれども、被害者がNHKあるいはNHK子会社をやめるということはあってはならないと思いますけれども、ないですね、そういうことは。

鈴木参考人 お答えいたします。

 NHKでは、そのようなケースはないというふうに認識しております。関連団体につきましては、調べた範囲では把握しておりませんが、ないと思われます。

本村委員 把握していない部分はあるんですけれども、被害者の方々はやめていないということは、これは会社の対応として非常に重要なことだというふうに思います。どのように被害者を保護してきたのか、ポイントについてお示しをいただきたいと思います。

鈴木参考人 お答えいたします。

 NHKでは、二〇一四年にハラスメント防止規程を定めるとともに、ハラスメントを許さない、働く全ての人を守る、被害があれば毅然と対応するという三つの原則にのっとって対応しております。

 ハラスメント被害の相談の対応に当たりましては、ハラスメント防止規程に基づいて設置している職場の上司や総務担当管理職による社内の窓口、それから社外の専門家に匿名でも相談することができる社外の窓口の二つを設けて、プライバシーにも配慮して、相談しやすい体制を整えております。

 また、具体的な相談があった場合には、被害者の保護を最優先に対応を行いまして、事実関係の確認段階から関係者に対しては守秘義務を課すとともに、処分に関する情報の取扱いを含めて、相談者等のプライバシーに配慮した対応をとっております。

本村委員 重大な人権侵害であるセクハラなどの女性に対する暴力は、女性が平等に社会に参画していくに当たって大きな障害になるもので、絶対になくしていかなければなりません。

 男女雇用機会均等法で、セクハラを防止する措置義務をNHKは会社として負っておりますけれども、報道では、NHKの労働組合のことし五月の局員アンケートで、過半数がハラスメントを受けたことがあると回答し、その六割以上が局内で受けたというふうに回答をしているという報道がされておりました。これが事実であれば、大変深刻なことだというふうに思います。

 三十五件もセクハラ、性暴力事件があり、これはセクハラの防止を図る措置義務を果たす、その措置が、実効性が問われているというふうに思います。改めてしっかりと、セクハラ事件にかかわってきた弁護士の方々や、あるいは研究者の方々、専門家の方々の御意見、あるいは労働組合の御意見も聞きながら、セクハラ、性暴力を防止するためにハラスメント禁止ということを徹底をし、ハラスメントをなくすために実効ある制度に改善すること、そして研修、教育のあり方を見直すということをぜひやっていただきたいと思いますけれども、会長、お願いしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKでは、ハラスメント防止規程を定めるとともに、ハラスメントに対する基本姿勢である、ハラスメントを許さない、働く全ての人を守る、被害があれば毅然と対応するの三つの原則に沿って対応いたしております。

 ハラスメント防止規程に基づき、職員等からの相談を受け付ける窓口を社内と社外に設け、匿名相談も受け付けられる利用しやすい体制を整えるとともに、各種研修や、局内ホームページ等でハラスメント防止に向けた周知啓発を図っております。

 ハラスメント事案が発生した場合には、被害者保護を第一に、プライバシーに配慮した対応を行い、行為者に対しては、内規に従って厳正に対処いたしております。

 今後も、ハラスメント防止に向け、さまざまな専門家の知見も取り入れ、実効性のある取組をやってまいりたいと考えております。

本村委員 ぜひ、重大な人権侵害であるセクシュアルハラスメントを始め、ハラスメントがないNHKにするために、一層対策の強化を求めておきたいと思います。

 次に伺いたいと思いますけれども、NHKでは、女性職員の割合、女性管理職の割合、どうなっておりますでしょうか。

鈴木参考人 お答えいたします。

 NHK本体で、職員に占める女性の割合は一七・四%、それから、管理職に占める女性の割合は八・七%でございます。

本村委員 管理職は八・七%ということですけれども、資料二を見ていただきたいんですけれども、NHKの放送文化研究所の「放送研究と調査」九月号を見て、私、大変驚きましたけれども、よくNHKと比較をされますイギリスの公共放送であるBBCの報告書のニュースが載っておりました。BBCでは、女性職員の割合は四七・七%、女性の管理職の割合は四三・三%ということでございました。

 NHK会長にお伺いをしたいと思います。BBCとこれほどの差がある、こういう現状ですけれども、BBCから何を学ぶべきだとお考えでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKでは、さまざまな方針決定に女性が幅広く参画できるよう、二〇一六年三月、行動計画を公表し、管理職への登用を進めております。具体的には、二〇二〇年の女性管理職の割合は一〇%以上にすると掲げておりまして、今年度は、今お示しいただきましたように、八・七%となっております。

 また、女性の積極的な採用、登用にも努めており、女性の採用割合はここ十年以上、約三割を超えておりまして、これもお示しいただいた表にありますように、二〇一八年度定期採用は三六%となっております。

 BBCでは、二〇二〇年までに職員の五〇%を女性職員、管理職とすることを目標にしており、ジェンダー、人種、障害の有無などにかかわらず活躍できる組織づくりが進んでいると伺っております。

 NHKでも、昨年十二月に公表いたしました「NHKグループ 働き方改革宣言」の中で、多様な人材が生き生きと活躍できる職場の実現を約束しており、BBCの事例を大いに参考にしながら、公共メディアとして多様性のある組織づくりを実現してまいりたいと考えております。

本村委員 ありがとうございます。

 セクハラ、性暴力が毎年起こるような土壌がNHKにあるのではないか、女性の尊厳をおとしめるような意識がまだ根強くあるのではないかと思わざるを得ない現状がございます。そうした点をぜひ改善をしていただきたいというふうに、組織の構成としても改善をしていただきたいというふうに思います。

 もう一つお伺いしますけれども、NHK女性職員の平均賃金、男性職員の平均賃金、格差の実態を把握されておりますでしょうか。

松坂参考人 お答えいたします。

 職員の給与体系ですけれども、男女によって差を設けてはおりませんため、男女別の把握はしておりません。

本村委員 平均勤続年数も差がございます。男性は十八・七歳、女性は十二・五歳ということで、その平均勤続年数の差も問題だというふうに思いますけれども、その差以上の男女賃金格差になっていないのか、チェックする必要がございます。

 女性の職員の平均賃金、男性の職員の平均賃金、ちゃんと調査をするべきだというふうに思いますし、もう一点、続けて言わせていただきますけれども、女性と男性の統計を分けてとるというのは基本中の基本でございます。本当に男女の平均賃金の格差がないのか、客観的にお示しをいただきたいと思います。そして、昇進に差がないのか、任せられる仕事に差がないのか、評価に差がないのか、客観的に男女の格差はないということをわかるように示していただきたいと思います。

 そして、現状では、BBCに追いつくためには何十年もかかる、今のなだらかな右肩上がりでは何十年もかかってしまうというふうに思います。男女の賃金格差をなくしていくためにも、女性の採用、登用を抜本的に引き上げるアファーマティブアクション、数値目標を持って、数値目標を引き上げてやるべきだと思いますけれども、会長、答弁をお願いしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 まず、女性と男性の間で給与体系及び考課や昇進、昇格の差を設けないことは、先ほど、理事の松坂から答弁させていただいたとおりでありますが、NHKでは、業務機会や処遇についての性別による格差は、制度的にも運用上も存在していません。また、採用における女性割合も一定水準に達しており、継続勤務年数の男女差も改善が進んでおります。

 一方で、行動計画で公表したとおり、育児休職から復職した女性の配置やキャリア形成などについては一定の課題があると考えておりまして、今後も、多様な働き方が可能となる働き方改革を通じて、女性が活躍できる環境づくりを進めてまいりたいと考えております。

本村委員 ぜひ抜本的に数値目標も引き上げて、職場における男女平等、実現をしていただきたいと思います。

 次に、障害者雇用について伺いたいと思いますけれども、NHKの障害者雇用の実態は二・一三%で、法定雇用率を達成しておりません。一方で、BBCですけれども、一〇・四%。管理職の方も九・五%いらっしゃるということで、ここでも格差が、差が出ているわけでございます。早急に障害者雇用の法定雇用率の達成をしていただくというのは当然でございます。

 そして、障害者の方々が非正規ではなく正規で働ける職場環境をつくっていくこと、そして、障害を持った方々が生き生きと働けるサポート体制、合理的配慮を含めた職場環境をつくっていく決意、会長にお伺いをしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 BBCの障害者雇用率の詳細については承知いたしておりませんけれども、NHKといたしましては、今後も、働きやすい環境の整備を進め、障害者の雇用をふやす努力を引き続き努めてまいりたいと考えております。

本村委員 ぜひ、先ほど申し上げました合理的配慮を含めて、障害者の方がしっかりとサポートを受ける体制もとってやっていただきたいと思います。

 そして、もう一つお伺いしますけれども、BBCはLGBTの方々の雇用の割合も出しております。一一%ということですけれども、カミングアウトするかしないかは本人の思いが一番大事だということで、配慮をしなければ、尊重しなければならないというふうに思います。

 また、LGBTだけではなく、それではくくれない個々人のセクシュアリティー、人間の性のあり方というものがございますけれども、NHKにおいても、その人がその人らしく生き、働くことができる、そのことを保障する環境をつくることが大事だというふうに思います。

 名立たる大企業の中には、結婚休暇、結婚祝い金、忌引休暇、慶弔金、慶弔電報の発信、養子の子も含めた育児休業、子の出生休暇、介護休業など、結婚、育児、介護など同性パートナーも配偶者として認める、そういう企業が、名立たる企業で既にございます。

 NHKでもぜひそうした制度を確立するべきだというふうに思いますけれども、会長、このことを一点目、ぜひ答弁をお願いしたいのと、あと、NHKの職員の方にお伺いをいたしますと、LGBTの方々の人権保障の取組について、昨年度、職員の方々百人を対象にしたセミナーを開催したということですけれども、どういう取組だったのか。一層、性の多様性を尊重するような積極的な取組を進めていくべきだというふうに思いますけれども、会長の答弁を求めたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKは、NHK倫理・行動憲章の中で、人権、人格の尊重や不当な差別、ハラスメントの禁止を掲げており、誰もが十分に能力を発揮できる、多様性を尊重した活力ある職場環境を追求しております。その人らしく働くことができる環境づくりは今後も着実に進めていく所存です。

 BBCにおけるLGBTの職員の比率公表については、同性婚が認められるなど、LGBTに関する法制度が整い、教育なども進むイギリスの社会的背景によるものと考えております。

 日本でも、二〇二〇東京オリンピック・パラリンピックに向けて、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重理念の実現を目指す取組や、LGBTに関する理解促進が一層加速するものと考えておりまして、同性パートナーを認める制度の確立などについては、そういった国内の動きや他社の事例を参考にしながら、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

本村委員 個人の尊厳が保障される放送局になっていただくことを強く求めて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 最初に、出席されている会長以下NHKの役員の方々に対し、一言申し上げます。

 公共放送、これからは公共メディアへ発展しようとするNHKにとって何より大切なのは、視聴者である国民からの信頼です。あえて具体的な事象は取り上げませんが、石原経営委員長の言葉をかりれば、組織運営の根幹を揺るがすような不祥事が頻発をしております。襟を正し、再発防止に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 さて、私からは、既に他の委員からも質問がありましたけれども、先般、二十七日の経営委員会で承認をされました受信料の値下げについて尋ねたいと思います。

 実は、籾井前会長が退任する直前にも、地上契約分の受信料を五十円引き下げる提案が執行部からされましたが、経営委員会は、将来的な事業計画と収支見通しがはっきりしていないこと、放送と通信の融合の時代の受信料のあり方を抜きにした引下げは拙速、かいつまんで言いますとこの二点から、経営委員会は値下げを見送ったというふうに私は理解をしております。

 今回の値下げ、この二点をクリアしたというふうな認識なのでしょうか。何が変わったのか、経営委員長に尋ねます。

石原参考人 お答えいたします。

 二年前は、事業計画と収支見通し、放送と通信の融合時代の公共放送と受信料制度という二つの側面から、中長期的な見通しが不十分だったため継続審議といたしました。

 しかし、今回は、昨年十二月の最高裁判決や営業努力により受信料収入が好調に推移し、現経営計画の収支計画を大きく上回る収入が確保できる見通しとなっていること、支出については、4K、8K放送やインターネット活用業務など、新たなメディア展開と経費の見通しに一定のめどをつけるとともに、さまざまな改革を進めることにより経費削減を盛り込んでいること、テレビ保有率や世帯数など、社会情勢の変化を考慮した長期的な見通しを踏まえたものとなっていること、以上の点から、執行部が提案した値下げを、値下げは妥当なものであり、中長期的に見ても、NHKが公共放送、公共メディアとしての役割を果たしていくことができると判断いたしました。

吉川(元)委員 先ほど、どなたかの質問に際して答弁されていたんですけれども、常時同時配信について、受信料のあり方については、既にテレビを持って契約を結んでいる方については補助的ということで取らない、あと、テレビを持っていない方については今後慎重に検討していくというような答弁が先ほどあったんですけれども、もう一回確認ですけれども、これでよろしいですか。

松坂参考人 お答えいたします。

 実施を希望しております常時同時配信につきましては、サービスを開始する時点では、受信料支払い者の方を対象にして、放送の補完として始めるということにしております。

 その後は、利用の状況ですとか利用している方々の要望、意見なども聞きながら考えてまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 そうしますと、先ほど二点にわたって、籾井会長時代にはまだ拙速だ、よくわからないということでなった、二つ目の放送と通信の融合の時代の受信料のあり方について、これについてはまだ不透明なものが残っているということになるのではないかというふうに思いますが、その点はいかがですか。会長でも結構ですし、経営委員長でも結構ですが。

石原参考人 お答えいたします。

 今回の値下げは、二〇一九年度からの実現を目指しているインターネットへの常時同時配信を放送の補完と位置づけて、受信契約世帯に対して追加負担なく利用できるサービスとするとの方針を前提に検討しました。

 ただし、長期的な視点に立てば、テレビを持たずにインターネットで番組を視聴する人がふえると、公平負担の観点から、テレビを持たない人への不公平感が高まるおそれがあることも考慮する必要があります。

 執行部には、NHKが信頼される公共メディアとなるために、放送と通信の融合時代に即した、新たな受信料制度の研究については継続課題として検討するようお願いしております。

 経営委員会も、執行部とともに考えてまいりたいと思います。

吉川(元)委員 籾井前会長のときに、はっきりしないと言っていたのは、つまり、常時同時配信の場合に受信料が取れるのか取れないのか、取るのか取らないのか、これではっきりしないと。これは私は理解できます。

 結果的に言うと、今テレビを持っている世帯については、これは取らない、補完的な役割を果たすから取らないということでいうと、いわゆる、NHK側にとってみれば、お金を取れないわけですから、一番収入が少ないといいますか、収支の観点からいうと、決してプラスにはならない。

 もう一つ、テレビを持たない人についてどうしていくのか、公平な負担の観点からどうしていくのかといった場合は、これはまだ決まっていない。

 とすれば、籾井前会長時代と大きく何かが変わったというふうには私はちょっと認識ができない。仮に、同時配信でも受信料を取りますというふうに決めるのであれば、それはわかりますけれども、それは取らないということは、ゼロ回答なわけです。とすれば、それほど変わったというふうには思えないんですが。

 もう一つの観点、将来的な事業計画と収支見通しがはっきりしていないということでありますけれども、例えば、経営の三カ年計画、修正前のやつを見させていただきますと、収支差金、本年度はプラス四十億、来年度と再来年度はゼロになる計画です。これはもう既に負担軽減策が組み込まれたものとして計算されているんだろうと思いますが、これにプラスをして、値下げが、二〇一九年度で六十五億円、二〇二〇年度で二百二十三億円というふうになっております。

 ということは、つまり、受信料収入が、これを超える、あるいは、これと同額にならない限り赤字になるということで、そういう理解でよろしいでしょうか。

松坂参考人 お答えいたします。

 現在、業務改革に取り組んでおり、中長期的に、効率的、効果的で、持続可能な業務体制の構築を目指しておりますけれども、4K、8K本放送、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック対応などの大型支出が予定されておりますので、今後数年は事業収支差金が赤字になるというふうに想定しております。

吉川(元)委員 これを見させていただきますと、修正したやつを見させていただきますと、二〇二一年度以降は値下げ額が、二〇二〇年度は二百二十三億円ですけれども、二一年度以降、平年化した場合には三百二十八億円というようなマイナスになるというふうに出ております。そうすると、今後も赤字が続いていく可能性はあるのではないか、そういう危惧を持たざるを得ません。先ほど、経営委員長から収支見通しのお話もございました。

 だとするならば、NHKの経営計画、二〇一八から二〇二〇年度というものの修正版がありますけれども、この中には収支計画が、細かいのがあるのかもわかりませんが、出ておりません。イメージ的に棒グラフは出ていますけれども、例えば、二〇一八年度は事業収入は幾らになって、受信料は幾らになってというような細かな数字が全く出ていないんですけれども、これ、収支が、見通しが立っていないということですか、それとも、立っているけれども出ていないということですか。

松坂参考人 現在の三カ年計画の収支については修正することになりますけれども、来年度予算、二〇一九年度予算を今編成しておりますので、その作業が終わって予算事業計画としてまとめる際に、二〇一九年、来年度の収支、及び、あと二〇二〇年度の現時点での見通しというものはお示ししたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 だとすれば、最初の質問じゃないですけれども、収支見通し、まだはっきりしていないじゃないですか。していないにもかかわらず、籾井前会長時代には言っていたその二つの大きなポイントがクリアを十分されていないにもかかわらず、今回値下げを踏み切る。何か聞くところでは、常時同時配信をするために値下げをしたのではないかというような話も、決めたのではないかという話もありますけれども、やはり、これでは非常にまずいんじゃないかと。

 しばらくの間は赤字が続くという先ほど御答弁でしたけれども、その赤字というのは、結局、財政安定のための繰越金を使うということでよろしいんでしょうか。

松坂参考人 お答えいたします。

 事業収支差金が赤字となる場合は、財政安定のための繰越金を使用することにより補うことが考えられると思います。

 今後も、収入面では、受信料収入の確保に努める一方、支出面では、効率的、効果的で、持続可能な業務体制を構築し取り組んでいくことで、今後、将来の事業規模、事業支出を一定の適正な水準におさめるよう厳正に管理していくことにしております。このことによって、赤字の期間や規模の抑制に努めてまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 これは、まだ収支計画が来年度以降できていないということですから物の言いようがないんですけれども、少なくとも、もともとある収支計画でいいますと、今、二〇二〇年段階で六百六億円の財政安定のための繰越金がある。今ほどの値下げを、二〇一九年度、それから二〇二〇年度行うとこれが三百四十七億円にまで減ることになります、仮に受信料収入がふえなければ。

 そうすると、二〇二一年度以降は三百二十八億円値下げで減るわけですから、赤字がふえるわけですから、これはもう、二〇二二年度以降は、実質的に財政安定のための繰越金がゼロになるという可能性だってあるというふうに思います。

 この点についてどのように考えていらっしゃいますか。

松坂参考人 お答えいたします。

 来年度と再来年度、二〇二〇年度の収支については、執行部内では検討して、それをもとに今回の値下げを提案しております。

 来年度の予算におきましては、今最終的に検討、作成作業を進めておりまして、年明けには経営委員会で議決をいただいて、公表することにしております。あわせて、その際に二〇二〇年度の収支の大まかな計画についても出すことにしております。

 それから、中長期的な収支につきましても、執行部内である程度、どのような支出があるのか、どのような収入があるかということについてシミュレーションなどを行いまして、今回の値下げを提案させていただいたということでございます。

吉川(元)委員 だとすれば、その数字も含めて確定した上で値下げの話をしないと、我々は、実際に執行部の中で議論されている数字が今手元にないわけです。先ほどは今から見通しを含めてつくるんだと言ったけれども、既にもう見通しがあるというのであれば、それを出してもらわないと議論のしようがないんですよ、この値下げの問題については。本当に収支の見通しがきちんと立っているのかどうなのか、それも含めて、例えば、国民・視聴者の皆さんに、だからこういう値下げができるんですというふうに示さない限り、何か見切り発車のようなイメージを持たざるを得ません。

 会長に伺いたいんですけれども、今回の値下げ、これはこれから、執行部の中では細かな話はしているということでありますけれども、やはりNHKの経営に影響が出てくるのではないか、その点についてどのように考えているのか。

 それともう一点、もう時間が余り、最後の質問ですけれども、職員にしわ寄せが行くようなことがないように、とりわけ働き方改革、過労死で亡くなられた方が出ました、その中で働き方改革をやっているわけで、それをパアにするような、なくすような、そういうことは絶対にないということだけ明言していただきたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 今回、現経営計画の中で負担軽減、お示ししている金額を合わせますと、フルできいてきたときに四百二十二億円の還元ということになりまして、受信料収入の六%という、決して平たんな道では、委員御指摘のとおり、ないと考えております。

 ただ、したがいまして、東京オリンピック・パラリンピックへの対応など、公共メディアとして視聴者の皆様の期待に応える必要な事業を行う中で、今回の値下げによって事業収支差金は数年間は赤字になる見通しです。

 こうした厳しい経営環境を見据えて、将来にわたって、効率的、効果的な、持続可能な業務体制を構築するため、業務改革推進会議を改革のエンジンに、NHKグループ一体で抜本改革を進めておりまして、事業規模、事業支出を一定の適正な水準におさめるよう、覚悟を持って厳正に管理してまいりたいと考えております。また、公平負担の徹底による収入の確保にも努めてまいります。

 値下げを行っても、先ほど御指摘ありました働き方改革に対する対応、放送サービスの質を落とさない、こういったことは決して行わず、視聴者・国民から期待される公共放送、公共メディアとしての役割はこれまでどおりきちんと果たしてまいります。

吉川(元)委員 時間が参りましたので、終わります。

江田委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 私は、まず、大災害などに対するNHKの危機管理体制、これについて質問させていただきたいと思います。

 平成二十三年に東日本大震災を経験しまして、日本全体で、危機管理体制のあり方について教訓それから反省が得られて対策がとられているわけですが、NHKにおいても、当然のごとく、教訓、これを踏まえた災害対策、機能強化が進められているというふうに承知しております。

 それで、まず放送センターですけれども、大災害時における報道拠点として極めて重要な施設になるわけですが、これが運用開始から半世紀余りが経過して、建物の劣化それから狭隘化が進んでいるということで、二〇二〇年から二〇三六年にかけて順次建てかえるということが決まっております。

 災害対策の観点から、この順次建てかえにおいてどのような配慮がなされているのか、まず上田会長にお尋ねしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 放送センター建てかえの基本計画では、防災・減災報道の拠点にすることを基本コンセプトの一つに掲げております。

 最初に建設いたします情報棟は、防災・減災報道の中心的な役割を担うことから免震構造とするなど、どのような災害が起きても放送の機能を維持し、放送を出し続けられるよう強靱な建物とする予定です。

 情報棟の後に建設いたしますほかの建物につきましても、震度七の地震に耐えられる構造とし、いかなる災害時にも放送を継続できるようにいたす所存です。

井上(一)委員 万が一、首都直下型地震それから南海トラフ大地震、こういった大地震があった場合には、最悪の場合にはその放送センターの機能全体が壊滅的な被害を受ける、機能が発揮できないということもやはり考えておかないといけないということで、そのためのバックアップ機能を確保しておくということも、これは総務大臣の意見でも御指摘されておりますが、このバックアップ体制について、今、大阪局がバックアップの拠点になると聞いておりますけれども、具体的にどのような体制を確保されているのか、お尋ねしたいと思います。

木田参考人 首都直下地震により東京渋谷の放送センターが機能喪失する事態を想定して、今御指摘のように、大阪放送局にバックアップ機能を設けております。

 具体的には、大阪放送局から放送衛星を経由して、全国の各放送局の地上波にテレビ、ラジオを放送する計画になっております。バックアップを担う大阪放送局では、放送設備を増強しまして、全国各局と連携した訓練を毎年定期的に実施するなど、体制も強化しております。

 このような、いかなる災害時でも放送を継続し、視聴者の皆さんに必要な情報を届けるため、引き続き万全のバックアップ体制をとっていこうと考えております。

井上(一)委員 本来であれば、東京の放送センター、この機能が壊滅的な打撃を受けて使えないとなれば、すぐに大阪ということではなくて、神奈川とか埼玉、やはり近くのところの放送局をどう生かすかということをまず考えた上で、それでも無理だったら大阪というような順番じゃないかとは思うんですけれども、これはちょっと指摘にとどめさせていただきたいと思います。

 それで、そういう大規模な災害があったときには、当然のことながらNHKの幹部職員も含めて職員を緊急に参集をしておく必要があって、そのための計画をつくっておく必要があるわけです。それをよく業務継続計画とかBCPとか言っていますけれども、それもNHKにおいて定められているというふうに聞いております。また、参集訓練も行っているというふうにも聞いておりますが、具体的にどのような計画を定めておられるのか、それから、どのような訓練を行われておられるのか、お聞きしたいと思います。

木田参考人 首都直下地震などの大規模災害時、本部の各職員が放送センターや取材拠点などどこに参集するかという動員、参集計画は、毎年作成しております。ことし九月の訓練では、本部の全部局が参加して、この計画に基づいて、要員がどう参集して体制をつくっていくか、そういうシミュレーションを実施しました。この訓練で洗い出した課題を事業継続計画の見直しに反映させているところであります。

 放送センターには、報道や技術などの要員が二十四時間体制で勤務しております。これに参集する要員が加わって、災害時の対応に万全を期そうというふうに考えております。

井上(一)委員 計画をしっかりつくって、特にやはり実践的な訓練をやっていただきたいというふうに思っております。

 そういう意味で、職員にすぐ駆けつけてもらえるという観点から、政府の方でも、危機管理宿舎の整備、こういうことをやって、無料で住めるわけですけれども、そのかわり、直ちに駆けつけないといけない。

 やはり緊急事態にはそういったNHKの職員も緊急に放送センターに駆けつけていただく必要があると思いますが、例えば、宿舎がないにしても、住居面でどのような配慮がなされているのか、この点についてお聞きしたいと思います。

木田参考人 緊急対応に当たる必要がある職員に対しましては、放送センター周辺地域の住宅を確保して、今貸与しているところであります。

 首都直下地震などの緊急時には、こうした職員を始め、放送センターまで歩いて参集できる職員などで体制をとり、初動の対応は担っていこうというふうに考えております。

 毎年九月の防災の日に合わせて、放送センターから五キロ圏内に住む職員を対象に、徒歩又は自転車で参集する訓練を実施しているところであります。放送センターまでの所要時間であるとか、橋あるいは老朽化した建物など、地震の被害で通れなくなる場所がないかなどをその折に確認しております。

井上(一)委員 済みません、これは通告はしていないんですけれども、きのうも聞いたんですけれども、大体何人ぐらいがその五キロ圏内に住んでおられるのか、もし数字があれば教えてください。なければいいですけれども、住んでいるからというだけではなくて、それで本当に必要最低限の人数が集まるのかとか、そういうところはやはりしっかり精査しておく必要があるんじゃないかと思いますので、その点についてはまた御検討をしっかりしていただきたいと思います。

 いずれにしても、NHKというのは危機管理を担う重要な公共機関でもあると思いますので、そういった危機管理意識も持った上で体制の強化に努めていただきたいと思いますし、今いろいろ効率化の話も出ましたけれども、それは、効率化を進めるというのは非常に重要なことだと思いますが、他方で、やはり危機管理の重要な公共機関でもありますので、そういった分の予算というのはしっかり確保していただきたいというふうに思っております。

 次に、サイバーセキュリティーはこれも重要だということは当然のことですけれども、特に放送局の場合、被害に遭ってはならないと思いますが、サイバーセキュリティーについてどのような対策をとっておられるか、お聞きしたいと思います。

児野参考人 お答えいたします。

 NHKにおけるサイバーセキュリティー対策としましては、サイバー攻撃を受けても放送を継続すること、それから受信契約者等の個人情報を守ることが最も重要であるというふうに考えております。

 そのため、NHKグループ全体の通信を二十四時間三百六十五日監視できるようにするとともに、重要なシステムはインターネットから分離するなどの施策を進めてきました。特に、放送機器におきましては、万一大規模なサイバー攻撃を受けても放送が継続できるようなバックアップ設備の整備も行っております。

 また、セキュリティーの組織体制、それから人材育成の強化など、NHKグループ全体で、サイバー攻撃に対する防御力、回復力の向上に取り組んでいるところでございます。

 今後も、サイバーセキュリティ基本法及び第四次行動計画のもと、政府の情報セキュリティー戦略をつかさどる内閣官房セキュリティセンター、NISCですとか、放送・通信業界の攻撃情報共有組織、ICT―ISACなどのセキュリティー関連組織と連携しながら、重要社会基盤の事業者として、セキュリティー対策の強化を図っていく所存でございます。

 以上です。

井上(一)委員 サイバーセキュリティー、非常に重要ですので、しっかり取り組んでいっていただきたいと思います。

 質問時間が来ましたので、最後にさせていただきたいと思いますが、ちょっと話はかわりまして、平成三十二年の大河ドラマ、これは、明智光秀を主人公にした「麒麟がくる」に決まりまして、誘致活動を熱心に進めてこられた地元京都北部の皆さん、大変喜んでおります。

 それで、京都北部には、明智光秀、明智光秀の娘である細川ガラシャ、それからその夫でもある細川忠興、こういった方々にゆかりのある史跡、名勝がたくさんございます。例えば、明智光秀が建てた福知山市の福知山城、細川ガラシャの隠棲地があったと言われる京丹後市、それから細川忠興、その父、細川藤孝がいた、幽斎ですね、舞鶴市の田辺城跡、こういうたくさんの名勝、史跡がございます。

 それで、平成二十七年度予算の総務大臣意見の中でも、「地方の創生の観点から、地方の魅力の紹介や、地域経済の活性化に寄与するコンテンツについて、その充実や国内外に向けた積極的発信を行うなど、地域からの情報発信の強化に一層努める」と。地方創生の視点も十分生かすようにという意見があったと思います。

 京都北部、こういった名勝、史跡が大変多くありますので、ぜひ、この「麒麟がくる」のロケーションを京都北部の幅広い地域で実施していただきたいと思いますが、この点、上田会長、お一言いただければと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 番組の制作過程につきましてはお答えしておりませんけれども、ドラマのロケ地、これは、企画内容の予算規模、場面や設定にふさわしい風景、交通の便など、さまざまな要素を総合的に勘案し、番組制作部門が決定いたしております。

 さまざまな御要望をいただいておりますが、今挙げましたような観点から、引き続き、総合的に検討してまいります。

井上(一)委員 この点については、また引き続き、この委員会でも質問をさせていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、ほかにも、京都府北部の綾部市、これはアパレル事業で大変有名なグンゼというのがあるんですが、このグンゼについては、創始者の波多野鶴吉、その妻のはなの波乱万丈の生涯について、これをまた広く紹介したいということで、同じように、朝の連続テレビ小説での誘致活動を行っておりますので、地方創生のためにも、NHKとしてぜひ取り上げていただきたいと思います。

 この点を御要望して、質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

江田委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより両件を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。本村伸子君。

本村委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一四年度、二〇一五年度NHK決算に対する討論を行います。

 二〇一四年の一月、籾井勝人氏がNHK会長に就任しましたが、籾井氏は、その就任時から、政府が右と言うものを左とは言えないなど発言し、国家権力からの独立、表現の自由の確保という、公共放送として貫くべき基本姿勢を大きく揺るがし続けてきました。

 日本共産党は、公共放送に対する国民の信頼が大きく傷つけられる中で、二〇一四年度、二〇一五年度NHK予算に反対してきました。

 二〇一四年度予算については、消費税増税を理由にして受信料の値上げを盛り込む点でも看過できないものでした。その予算執行である二〇一四年度及び二〇一五年度決算についても反対するものです。

 また、この間、不祥事、不正経理などに対するNHKとしての対応も問題となりました。

 二〇一四年一月、NHK職員によるタクシー券の不正利用が発覚し、全国点検では同様の事例が明らかになりました。

 二〇一四年三月、籾井前会長は、NHK関連団体ガバナンス調査委員会を設置しましたが、この調査委員会は、NHKビジネスクリエイトの不正経理事案やNHK出版の架空発注といった子会社の不祥事、不正経理を暴くことはできず、これらは東京国税局の摘発によって初めて明らかにされました。

 鳴り物入りで設置されたガバナンス調査委員会の調査は、事実関係の後追いで、結果も概要だけの公表、そして報告書は非公表という姿勢も大きな批判を受けてきました。

 籾井前会長によるハイヤーの私的使用とNHKの代金立てかえ払い問題などが不信を広げ、二〇一五年度の決算を通じても問題は改善されず、視聴者・国民の皆様の不信は更に深刻になりました。

 不祥事、不正経理などの事案の原因を究明し、視聴者・国民の皆様に対する説明責任を果たして、解決への具体策を明らかにする責任を果たされたとは言えません。

 以上の点から、二〇一四年度及び二〇一五年度のNHK決算について反対であることを申し述べ、討論といたします。

江田委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党を代表し、二〇一四年度並びに二〇一五年度NHK決算に反対する立場で討論いたします。

 反対の第一の理由は、当時の籾井会長が、放送の不偏不党や政治的公平性に抵触する発言を繰り返したほか、ハイヤーの私的利用問題などにより、公共放送NHKへの信頼を著しく傷つけたことです。

 反対の第二の理由は、この期間に重大な不祥事が続き、NHKのガバナンスが大きく問われたことです。捏造ややらせを疑われたクローズアップ現代、子会社での架空売上計上事件、架空外注費計上事件などがそれです。

 さらに、NHKが立ち上げた調査委員会とは別に、五千万という多額の費用をかけ、随意契約で別の監査法人に調査依頼をしていたことも発覚し、国会で問題になりました。

 調査結果に基づき、関連団体ガバナンスプロジェクトに取り組んだにもかかわらず、その後に子会社で出張旅費不正受領が発覚したことを踏まえれば、この期間、NHKのコンプライアンスに問題があったことは明らかです。

 以上が反対の大きな理由ですが、当時の籾井会長の資質の欠如は、二〇一四年度から三年間、NHK予算の承認で全会一致が崩れた主要な要因であったことをNHK執行部には肝に銘じていただきたいと思います。

 他方、受信料収入が順調に伸び、NHKの経営自体に大きな影響を与えなかったことは、NHK職員の努力として評価すべきと考えます。

 上田会長を始めとする現執行部におかれましては、この期間のNHKのあり方、ありようを改めて検証し、公共メディアへの改革の糧とすることを期待し、討論とします。

江田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより両件について順次採決に入ります。

 まず、日本放送協会平成二十六年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書について採決いたします。

 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立多数。よって、本件は異議がないものと決しました。

 次に、日本放送協会平成二十七年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書について採決いたします。

 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立多数。よって、本件は異議がないものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

江田委員長 次回は、来る十二月四日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十四分散会


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