衆議院

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第5号 平成31年2月26日(火曜日)

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平成三十一年二月二十六日(火曜日)

    午前九時六分開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 あかま二郎君 理事 井上 信治君

   理事 小倉 將信君 理事 小林 史明君

   理事 西銘恒三郎君 理事 高井 崇志君

   理事 奥野総一郎君 理事 桝屋 敬悟君

      青山 周平君    井林 辰憲君

      池田 道孝君    大西 英男君

      金子万寿夫君    川崎 二郎君

      木村 次郎君    佐藤 明男君

      杉田 水脈君    田野瀬太道君

      冨樫 博之君    長坂 康正君

      鳩山 二郎君    福田 達夫君

      福山  守君    船橋 利実君

      穂坂  泰君    三浦  靖君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      村井 英樹君    山口 俊一君

      山口 泰明君    伊藤 俊輔君

      岡島 一正君    中谷 一馬君

      長尾 秀樹君    山花 郁夫君

      稲富 修二君    日吉 雄太君

      國重  徹君    本村 伸子君

      足立 康史君    吉川  元君

      井上 一徳君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   総務大臣         石田 真敏君

   内閣官房副長官      西村 康稔君

   総務副大臣        鈴木 淳司君

   総務大臣政務官      大西 英男君

   総務大臣政務官      國重  徹君

   総務大臣政務官      古賀友一郎君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      平井 裕秀君

   政府参考人

   (内閣官房国土強靱化推進室審議官)        石川 卓弥君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)       伊藤 明子君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)       井上 誠一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大西 証史君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 黒田 岳士君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 米澤  健君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   多田 明弘君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   増島  稔君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       横田 信孝君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        佐々木 浩君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  北崎 秀一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  林崎  理君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  内藤 尚志君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山田真貴子君

   政府参考人

   (消防庁次長)      横田 真二君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 石岡 邦章君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 小野平八郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     土田 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         小林 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 藤澤 勝博君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       高橋 孝雄君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  織田  央君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         江口 秀二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 鳥居 敏男君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君

   参考人

   (統計委員会委員長代理) 北村 行伸君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     杉田 水脈君

  福田 達夫君     福山  守君

  山口 俊一君     船橋 利実君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     村井 英樹君

  福山  守君     福田 達夫君

  船橋 利実君     山口 俊一君

同日

 辞任         補欠選任

  村井 英樹君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     田野瀬太道君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案(内閣提出第五号)

 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案(内閣提出第六号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。石田総務大臣。

石田国務大臣 統計委員会の西村委員長は、二十三日付で、御自身の国会出席に関する御意向を文書で表明されました。

 この文書の前に国会内に出回った文書があり、これは、総務省が西村委員長とやりとりをする中で作成したメモで、広く出回ることを想定したものではありませんでした。

 不正確なものが国会内に出回ってしまい、西村委員長を始め関係者の皆様に御迷惑をおかけし、大変申しわけなく思っております。

     ――――◇―――――

江田委員長 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として統計委員会委員長代理北村行伸君及び日本放送協会専務理事木田幸紀君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房日本経済再生総合事務局次長平井裕秀君、内閣官房国土強靱化推進室審議官石川卓弥君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補伊藤明子君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補井上誠一君、内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房内閣審議官大西証史君、内閣府大臣官房審議官田中愛智朗君、内閣府大臣官房審議官黒田岳士君、内閣府大臣官房審議官米澤健君、内閣府政策統括官多田明弘君、内閣府政策統括官増島稔君、内閣府子ども・子育て本部審議官川又竹男君、総務省大臣官房政策立案総括審議官横田信孝君、大臣官房地域力創造審議官佐々木浩君、自治行政局長北崎秀一君、自治行政局公務員部長大村慎一君、自治財政局長林崎理君、自治税務局長内藤尚志君、情報流通行政局長山田真貴子君、消防庁次長横田真二君、法務省大臣官房審議官石岡邦章君、財務省大臣官房審議官小野平八郎君、厚生労働省大臣官房長定塚由美子君、厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官土田浩史君、厚生労働省政策統括官藤澤勝博君、厚生労働省雇用環境・均等局長小林洋司君、農林水産省農村振興局農村政策部長高橋孝雄君、林野庁森林整備部長織田央君、国土交通省大臣官房技術審議官江口秀二君及び環境省大臣官房審議官鳥居敏男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岡島一正君。

岡島委員 皆さん、おはようございます。質問の機会をいただきました、立憲民主党・無所属フォーラムを代表して、岡島でございます。

 今、国会は統計問題で大揺れでありますけれども、私は本日は、地震などの揺れで、それをどう対策するかという災害のことについて、地方税法の一部を改正する法律案を入り口にお伺いしたいと考えておりましたが、昨夜から時間の配分などいろいろありましたので、その中で導入のところからの質問ということになります。

 地方税法をめぐる今回の改正については、経済面だけではないと思いますが、特に経済面での、東京に一極集中が進む中でほかの道府県の財政基盤をどうするかという配慮が必要だという観点からつくられていると解釈を私はしています。

 さらに、ふるさと納税とかいろいろありますけれども、もう一つの柱の一つには、やはり車体課税ということもあるだろうと思います。これは、地方税収の減収をどういうふうにするかという形で、避ける形で、自動車のユーザーの方の負担をいかに減らそうかという努力だろうというふうに理解したいと思っております。

 そうした中で、きょうの質問は基本的には災害ということがあったのですが、それにたどり着けるかどうか、まず、税法の中で、東京一極集中の点から質問させていただきたいと思っています。

 今回の税制改正で、政府は、平成二十八年度の決算ベースから、全体の四分の一が東京都に集中している地方法人二税に関する偏在是正措置を講じているとなっております。偏在是正の措置というのは、当然地方の財政にとって必要なことですし、大事だと私も理解しておりますが、しかし、そもそも考えていくと、四十七都道府県のうち東京都という一団体に集中している、法人事業税を含めてそういった税収の上がりがですね。

 そうした現状について政府はまずどう認識しているのかということを、再確認の意味を込めてお聞きしたいと思います。これは総務省の方から。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 人口動態や地域経済の現状は、東京集中に歯どめがかかった状況にはなっていないと認識をしております。

 これを地方税の側面で見てみますと、人口動態の面では、全国で東京圏に対して転出超過となっておりまして、その大半は大学進学時や就職時に転出する若年層でございます。こうした人材に支えられた企業の税収が大都市部の地方団体に集中する状況が生じていると考えております。

 また、産業面では、インターネット取引等、店舗を必要としない事業形態の拡大でございますとか、大法人の本店の集中等の状況が生じておりまして、企業の事業活動の実態以上に大都市部に税収が集中する状況が生じていると考えております。

 こうした状況のもと、近年、地方税収が全体として増加する中で、地方交付税の交付団体においては、赤字地方債である臨時財政対策債の残高が累増する一方、不交付団体においては、財源超過額等が増嵩している状況にあるなど、地域間の財政力格差が拡大しておりまして、これへの対応が喫緊の課題となっていると認識をしているところでございます。

岡島委員 そういった状況での対応ということで、今できることをするという意味において、その点について私も理解できます。

 しかし、構造的に、法人課税というのは、そもそも本社企業が東京に集中しているという中での仕組みになっている、そこがあるわけですね。恐らく、今後もいろんなベンチャーが地方でもできるでしょうけれども、東京への今の人口の流入状況を見たりしていますと、今後もそうした企業の本社機能が、まだまだ、パソコンでインターネットでつなげばどこでもできると言いつつも、やはり東京に集中している傾向があるし、恐らくそれは、一極集中が加速化するんじゃないかという懸念もあるわけであります。

 そういった中で、偏在是正をその都度やるだけで本当に大丈夫なのかというふうに思うわけですね。根本的に、東京の方に集まる本社機能などのそういった流れをどういうふうに捉えているのかということをお聞きしたいと思います。総務省から。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 企業の本社が東京に集中しているという一方で、地方の疲弊は限界に達し、東京一極集中の是正が急務であります。

 こうした中において、二つの明るい兆しがあるのではないかと考えております。

 一つは、生活環境を変えたいという若者の意識の変化でございます。

 昨年、NPO法人ふるさと回帰支援センターへの移住相談件数は過去最高の約四万件となっており、年代別に見ても、二十代、三十代が五〇%を超え、四十代まで含めると七〇%を超えているという状況がございます。

 もう一つは、ソサエティー五・〇を支える技術革新の着実な進展でございます。

 既に実用化されている技術で地方を大きく変えるものもあり、今後の技術進化が加速することによって地方を更に大きく変えていくものもございます。こうした変化を地方にとってのチャンスにしていくということが必要ではないかと考えております。具体的には、人々が地域で支え合う持続可能な地域社会を構築していくため、地域において担い手の確保や働く場の確保、生活支援サービスの提供等に取り組んでいくということが必要だと考えております。

 昨年末、総務省に大臣を本部長とする地域力強化戦略本部を立ち上げ、「ソサエティー五・〇時代の地方」をキーワードとして、革新的技術の実装例などを全国の首長と共有し、また地方からも優良事例や必要な施策を提案いただくなど、双方向かつ持続的なやりとりを進めてきているところでございます。

 税制面のみだけではなく、こうした取組を通じ、ソサエティー五・〇の進化に伴う持続可能な地域社会の構築を実現し、東京一極集中の是正につなげていければと考えております。

岡島委員 今の御説明の中に、若者の、地方に移住というか、出て、そちらを拠点にしたいという思いの方が四十代で七〇%ですかというようなお話もありましたが、市県民税の今話じゃなくて、例えば、若者が行っても、そこに大きな企業があって就職できるのか、働けるのか、そして、そうした企業がそういった法人税を納めていけるだけの力があるのかを含めて、東京に企業が本社として一極集中に近い形で集まっているということをどう是正するかということについてお聞きしたいと私は思っているのでありまして、若者が行っても、田舎暮らしで農業をしたい、あるいは、非正規雇用でも食べていければ田舎の方が安いからいいとか、その理由が田舎に企業があってしっかり働けるからという理由かどうか、これはちょっと違うと思うんですね。

 そういった意味では、そういう企業の東京集中というものをどうするかということが対策としてきちんとないといけないのではないかと思うんですが、いかがですか。

石田国務大臣 議員御指摘のとおりでありまして、そういう点が非常に問題でありますが、一点は、今回の偏在是正の中で大きな今までの偏在というものをある程度改正できたものというふうに思っております。

 また、それから、今担当の方から答弁させていただきましたけれども、やはり若い人たちが地方へ行っていただく、この流れをつくるということは非常に大事だというふうに思っております。

 そんな中で、東京の本社機能、これをどうするか、これは非常に難しい部分がありますけれども、先日の所信でも申し上げましたが、私、和歌山県の白浜町のサテライトオフィスを視察に行かせていただきました。あるいはテレワークとかいろんな形の中で、東京にだけ集中するのではなくて、地方への展開をしても企業活動は大きな支障を来さない、そういうこともこれから起こり得るんだろうと思っておりまして、企業に対しても、やはり、どうしても東京に置いておかなければいけない部門、それはあると思います。しかし、そうでない部門については、例えば、建機のコマツが石川県の方に本社機能の一部を移転されたとか、そういうことをしっかり企業にもお願いをしてまいりたいなというふうに思っております。

 また、実際に若い人たちが東京に来られる、そのきっかけは、就職もありますし、大学進学というのもありまして、東京圏内での大学の入学者数というのは二十五万、二十六万足らずということでございます。そのうち、首都圏以外から八万五千人ぐらい見えているということでありますから、こういうあたりも、これから地方大学を充実させる中でどうやっていくか、そういう別の角度のいろいろな検討も非常に重要になってくるんだろうというふうに思っております。

岡島委員 そういった努力が必要なことの認識は、多くが共有しているところだと思っております。

 地方法人課税に対する新たな偏在是正措置を進めているという中ですけれども、現行の東京一極集中のあり方に問題意識を持っておられるということもわかりました。

 しかし、これは、税財政の仕組み、制度をとりあえず変えるだけでなくて、民間ですから、企業というのは、政府がこうしなさいと指示はできないとはもちろん思いますけれども、さりとて、やはり、今申し上げたような、企業の本社機能が東京に一極集中していることをどうしたらいいかというのは、やはり大きな課題だという認識を大臣もお持ちだというふうに今解釈しました。

 地方に企業や若者や人が多く行っても、働き、企業として成り立つような社会をつくるべきだという認識もお持ちだろうと思います。

 であるならば、人とかまちづくりなどについて、じゃ、そういったことを踏まえた地域のまちづくりを政府は設計しているのか。

 単に人口だけ移って田舎暮らしをしてもらえればいいという発想じゃないはずでありまして、地域のまちづくり、人づくり、そして、そこで企業が行けるのかとか、そういった視点においてのまちづくりの状況、目指すものを、これは内閣府になるのかな、人づくり、まちづくりという視点から、どういう取組をして、税財政の是正措置というものだけではない、そういった一極集中問題の取組について教えていただきたいと思います。どなたか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まち・ひと・しごと創生総合戦略におきましては、東京一極集中の是正を基本的視点として掲げております。これは、過度な東京一極集中の課題として、東京圏において、生活環境面で多くの問題を生じさせていることのみならず、出生率が相対的に低い東京圏への人口集中は日本全体のさらなる出生率の低下につながりかねないこと、また、委員御指摘のとおり、災害のリスクということがあるということもあり、その是正は喫緊の課題だというふうに考えております。

 このため、政府といたしましては、これまで、地方への新しい人の流れをつくるため、文化庁を始めとする政府関係移転の地方移転ですとか、あるいは生涯活躍のまちの推進、きらりと光る地方大学づくり、あるいは地方への企業の移転、拡充を支援する地方拠点強化税制など、多岐にわたる施策を推進するとともに、熱意ある地方公共団体に対して、情報、人材、財政面において積極的に支援をしている、こういうことでございます。

 また、さらに、来年度予算案において、地方創生推進交付金を活用して、UIJターンによって地方で起業、就業する若者たちに最大で三百万円を支給する新しい制度を盛り込んでいるところであります。

 その際、当然、委員御指摘のとおり、魅力的な住まい、まちづくりということも非常に大切だというふうに思っておりまして、こういったことについて、総合的に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

岡島委員 そういうふうに、今の話だけで企業や法人などが地方に行って若者を雇用する仕組みが映像としてなかなか浮かんできませんから、多分、もっと具体的にそういったことを取り組まなきゃならないだろうと思います。

 そうした中で、首都の一極集中という視点でいいますと、ある意味、この国の改革という視点でもいいんですけれども、考えたときに、民間は本当に、我々政治家、国会あるいは官庁、それぞれの新しい時代への対応以上に新しい時代の流れを生み出しているのはやはり民間でありまして、その流れに対してどう対応するかということを行政だったり政治もしなきゃならない、あるいは見通さなきゃならないという視点もありますが。

 いずれにしても、そういった中で、いろんな改革が、さっきからおっしゃっているようなソサエティー五・〇というのも、民間の新しい社会の流れを見通しながら対応しているように私は思いますけれども、実は一番おくれている改革というのは、ある意味、国会の改革というのは全然言われていなかったり、これが一極集中と関係あるのかと言われると、あるような気がしてならない。あるいは、首都機能というものをどう守るのかといったことの視点での東京一極集中という視点もあるだろうと思うわけですね。

 そういった中で考えたときに、今回の国土強靱化計画ですかを読ませていただきましたけれども、あの中に、首都機能を何かあったらどう守るんだ、全国のインフラを整備して国土強靱化をするのは各省庁が書いていますけれども、しかし、首都機能をいかに守るのかということについての触れている部分が決して多くないと私には見受けられました。

 そういった意味で、国土強靱化の取組において首都機能の維持にどのように取り組んでいるのか、そういったことを、これは内閣府になるんですか、お聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕

石川政府参考人 お答えいたします。

 国土強靱化基本法に基づきます国土強靱化基本計画におきましては、いかなる災害が発生しても国家及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持されることが基本目標の一つとして定められております。

 このため、首都直下地震など大規模自然災害の発生に備えて、政府中枢機関など重要施設の耐震化、電気、ガス等のエネルギーや交通ネットワークの確保等、首都機能の維持に努めるということとしております。

 一方で、過度な集中によるリスクの分散を図ることも重要でございまして、このため、基本計画におきましては、代替拠点の確保、金融システムのバックアップ、自立分散型エネルギーの導入等を推進するなど、自律・分散・協調型国土構造の実現を促すこととしております。

 今後とも、大規模災害発生時における首都機能の維持を始め、自律・分散・協調型国土構造の実現のための具体的取組について、有識者の意見も踏まえつつ、各関係府省庁と連携して検討してまいりたいと思っております。

岡島委員 国土強靱化に関するそちらの資料も見ましたけれども、こんな厚い中で、首都機能をどう維持するかについては数行ずつ数カ所に書いてあるだけでありました。そういったものも大事だという取組はしていくという姿勢を持っていることは、今の言葉でもわかります。

 がしかし、三十年以内にいつ起こるかわからない東京湾直下型、加えて、南海トラフという大きな災害が来るだろうことが、比較的、今の科学的な推察において可能な範囲では一番高い。三十年以内ということは、もう数年前から言われておりますが、あしたかもしれません。

 そういった意味で、首都機能の中には国会もあれば各省庁もあります。霞が関が中央として維持されて、きちんと全国を、安全を維持していく機能を持つことは私は賛成でありますけれども、しかし、東京一極集中というか、東京になくてもいい機能がないのだろうか。

 かつて、首都機能移転という話が、私がマスコミにいた時代からありました。首都機能を移転するということが大きな課題だった、そういう政治課題だった時代があったのですが、いつの間にやら、首都の機能については余り論じられることなく、東京一極集中などの問題がある状態をまさに常態として捉えたままの、じゃ、どうするということが、税制においても、国づくりにおいても、人づくりにおいても行われていると私には思えてなりません。

 そういった意味で、最後、大臣に、そうした首都機能の移転ということが例えば一部可能なのか。これが総務大臣の所管でないのかもしれませんが、しかし、日本政府の大臣、閣僚として、そういった視点からの税制であり、国づくりでありといった、また、私は、もっと言うと、国会の一部機能が地方に行ってもいいと思っていますから、本会議をやるときに地方を回って開会式をやるぐらいだって、地方の活性化につながるかもしれません。

 そういった意味で、通常国会の最初、最後は、じゃ、地方でやろうとか、もし国会が潰れたら、仙台とか地震の可能性が低いであろうところへ、そこに国会を開ける機能を持っておくとか、そういったことも踏まえて、私は、私見ではいろいろ考えていますけれども、大臣として、首都機能の維持をどうするかということについて、もう一度お聞かせ願いたいと思います。

石田国務大臣 実は、私が十六、七年前に当選させていただいたときにはその特別委員会がございまして、私は自分の意思で入らせていただいたんですが、間もなく委員会が廃止になったんですね。私は、そのときは、やはり国民的な機運がなかったんだろうなというふうに思います。

 そういうことからいいますと、今、先ほど来御指摘いただいたように、例えば首都直下型とか南海トラフとか、本当に現実味を帯びてきました。また、富士山の噴火というものも言われているわけでありまして、そんな中で、政府関係だけではなしに、企業もそれにどう備えるかというのは現実味を帯びてきた。その議論の中で、私は、これから今までとは違う展開が起こってくるのではないかなと思っています。

 そしてもう一つは、先ほどお話ありましたが、二つの明るい兆しということを申し上げました。若い人たちの意識の変化、生活環境を変えたいという変化、あるいはソサエティー五・〇に代表される革新的技術、こういうものが相まって一つの大きな動きになっていっていただきたいなと思いますし、そうなる可能性は高いのではないかというふうに思っております。

岡島委員 じゃ、最後に一言だけ。

 そういった大臣の思いも理解しました上で、やはり、首都を維持する、どうするかという視点、その首都機能を分散、移転することが国益につながるのではないかという視点などを含めて、これからも総務委員会やさまざまなところで議論させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

桝屋委員長代理 次に、日吉雄太君。

日吉委員 国民民主党・無所属クラブの日吉雄太でございます。

 本日も、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は法案の審議でございますが、まず初めに、少しだけ統計問題について触れさせていただきたいと思います。

 先ほど大臣より、昨日の、西村統計委員会委員長の言葉のような形で出回っていた文書につきまして御説明がございました。本来であれば、なぜそういった本人が知らないところでそのような文書が出回っていたのか、本来であれば、どういう仕組みがあってそのようなことがないようにしているのかということが説明があってしかるべきだったのかなと思うんですけれども、そのあたりが理解できなかったところでございます。

 この問題、総務省が総務省としてしっかりとオーソライズされないところで文書を出す、非常に問題のあることだったのではないかなというふうに思っております。本来であれば、西村統計委員長に、この文書でいいですかという確認をする、そして、省内で、それを提出してもいい、こういった手続があってしかるべきだったと思います。

 厚生労働省のように、委員会の議事録を何年も公表しない、委員に確認しているので公表しないというのもこれも問題ですけれども、そういった確認もしないで提出してしまうということはもっと問題だと思います。その点をまず申し上げまして、厚生労働省における毎月勤労統計不正につきまして、少しお伺いいたします。

 公的統計の整備に関する司令塔機能の中核としての重要な役割を担う統計委員会を設置する総務省を担当する大臣にまずお伺いいたしますが、厚生労働省の統計不正問題についてどのような思いであるか、まず改めてお伺いさせていただきます。

石田国務大臣 公的統計は、国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報でございまして、私といたしましては、公的統計全体に対する信頼を損ないかねない事案が発生した、そのように認識いたしておりまして、今回のような事態が二度と生じないよう、徹底して検証を行い、信頼を取り戻すことが何より重要であると考えております。

日吉委員 公的統計全般について御担当、所管されているということでございますので、今御答弁いただいたような内容になるのかなというふうには思いますが、その中で、大臣の責任についてどのように考えているかということをちょっと後ほどお伺いしたいなと思いますが。

 その前に、もう一点確認させていただきたいんですが、毎月勤労統計のベンチマーク更新時のデータ補正廃止を容認していたとの政府統一見解がございますが、二十二日の衆議院予算委員会で石田大臣は、総務委員会のメンバーに事実関係を確認していなかったとされていました。一方で、根本厚労大臣は、統計委員会にデータ補正廃止について申請していたということで、お話が食い違っていたように思いますが、これは政府統一見解に統一されているということで、統計委員会に諮っている、了解のもとであるということをもう一度確認させてください。

石田国務大臣 統一見解につきましては、予算委員会の方でそういう御指摘がございました。それで、統計委員会の議事録等を精査の上で作成したものでございまして、統計委員会の了承を得たものではなかったということでございます。

日吉委員 統計委員会の了承は得ていない、そういうことでよろしいわけですね。

石田国務大臣 はい。私、答弁でそのように答弁をさせていただきまして、そしてその後、予算委員会の方で申し上げましたのは、もし国会、委員会の方でそういう御指示があればそういう対応をさせていただきますということで、野田委員長の方で、後刻、理事会にて協議をいたしたいと思いますという形で引き取られたものでございます。

日吉委員 それでは、ちょっとお伺いいたします。

 今回の毎月勤労統計の統計手法が変更になるような場合において、この統計手法の変更、こういったときに、統計委員会に、改めて、やり方についてどうかとかそういった申請をされるかと思うんですけれども、そのときの手続というのはどのようになっているんでしょうか。

横田(信)政府参考人 お答えいたします。

 毎月勤労統計調査のような基幹統計の変更を行う際の手続というお尋ねでございました。

 承認を受けました基幹統計調査を変更しようとするときは、統計法第十一条第一項の規定に基づき、あらかじめ総務大臣の承認を受けることとされております。

 その際、総務大臣は、変更承認の申請があったとき、統計法第十一条第二項の規定に基づき、統計委員会が軽微な事項と認めるものを除き、統計委員会に諮問し、その意見を聞かなければならないということでございます。

日吉委員 そうしますと、今回、厚労省における毎勤統計の手法の変更におきまして、総入れかえ方式から部分入れかえ方式にするという、このときのこの変更についての手続というのはどのようになっているんでしょうか。

横田(信)政府参考人 先ほど申しましたように、基幹統計調査を変更しようとするときには、規定に基づき統計委員会に諮問し、その意見を聞いた上で総務大臣が承認するという手続に一般的にはなってございます。

日吉委員 今回の場合、諮問をして承認をしたということでしょうか。

横田(信)政府参考人 お尋ねの点につきまして、どの点の変更によるかということにもよりますけれども、基本的に、承認いたしました統計調査に係る計画に明示してあるものについては行わないといけないということになります。

日吉委員 総入れかえ方式から部分入れかえ方式に変更するところについて、どのような対応をされたのでしょうか。

横田(信)政府参考人 いわゆるローテーションサンプリング方式に直したということにつきましては、委員会の方にも諮問し、答申を受けたという形になってございます。

日吉委員 済みません、もう一度。委員会の方で承認を受けた、そういうことですね。

石田国務大臣 ちょっと私の方から答弁させていただきますが、いわゆるローテーションサンプリングについては委員会としての議題として取り上げられるわけでありますけれども、ベンチマーク更新についてはこの審議の対象外になっているということは申し上げておきたいと思います。

日吉委員 そうしますと、整理しますと、ベンチマーク方式、これの更新時のデータ補正廃止、ここは審議の対象外になっておりまして、総入れかえ方式、部分入れかえ方式への変更、これについては統計委員会として了承した、こういうことでよろしいですか。

横田(信)政府参考人 ローテーションサンプリングの導入につきましては、委員会の方での議論になっております。

 それから、ベンチマークの変更の件につきましては、これは諮問、答申の中には明示されていなかった、そういうことでございます。

日吉委員 それは、なぜ対象外になっているんでしょうか。おわかりになったら教えてください。

横田(信)政府参考人 これは、法律上、基幹統計調査の承認を行うときに、あらかじめ、申請するための記載事項というものがございまして、その中に列挙されておるかいないか、そういうことに係るものでございます。

日吉委員 そうしましたら、もう一点お伺いさせていただきます。

 統計委員会というのは、中立公正な第三者機関として総務省に設置されているということでございますけれども、この統計委員会の中立性、公正性を確保するために、どのような手続というか、規定といいますか、そういったものが定まっているのでしょうか。

横田(信)政府参考人 統計委員会につきましては、公的統計は中立性及び信頼性が確保されるように作成されなければならないという統計法の基本理念を実現するため、統計法に基づき設置される、学識経験を有する委員のみで構成される合議制の第三者機関として設置されておるところでございます。これが統計法上の理念でございます。

 また、統計委員会の委員はそれぞれ、統計ユーザー、統計作成者、報告者の立場を有しており、統計委員会はこれらの委員の合議により統計技術的な視点から審議を行うという形で委員構成をとっておるところでございます。これにより、中立性の確保を図っているということでございます。

日吉委員 例えば、その委員の方がその統計を利用される方との関係性が強いというような形で恣意的な判断なりをする可能性がないかとか、そういった利害関係的なもの、こういったものを何か調査されているんでしょうか。

横田(信)政府参考人 これにつきましては、あらかじめ、委員を任命する際には、それぞれどういう立場のお方かということも含めまして手続を進めておるところでございます。あわせまして、それぞれのお立場の方がバランスよく入るようにという形で配慮しております。

 更に申し上げれば、合議制の第三者機関ということでございますので、結論としては、この委員会での議論により結論が出るということでございまして、特定の委員の方の意見がこの委員会のそのものの意見になるという形にはならないようになってございます。

日吉委員 統計委員会、中立性、公正性ということで、そういった点で非常に重要なところだと思います。

 そういった中で、この件につきましてもう一度大臣にお伺いいたしますが、日本の統計全般を見られる、担当される大臣としまして、また、今回の西村委員長の書簡が総務省においてある意味ひとり歩きしてしまったようなところ、こういったことも含めて、ガバナンス的なところ、このようなことをどのように考えているか、それについての責任をどのように考えられているか、御答弁いただけますでしょうか。

石田国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、公的統計は、国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であるということでありまして、私といたしましても、公的統計全体に対する信頼を損ないかねない事案が発生したというふうに考えているわけでございまして、今般の毎月勤労統計の事案を受けて、緊急点検を行った、そういうことの中でいろいろな手続等に問題があった、そういうことについてはまことに遺憾でございますし、同時に、各担当の府省で速やかに処理、対応をしていただけるものと考えております。

 そしてまた、全体のお話につきましては、まず毎月勤労統計につきましては、今現在、厚生労働省の特別監察委員会で調査が行われておりますし、賃金構造基本統計については総務省の行政評価局が調査を行っております。また、統計委員会におきましても、点検検証部会を設置をいたしまして、その会合を始めたところでございまして、基幹統計及び一般統計調査について、再発防止や統計の品質向上といった観点から徹底した検証を行うこととされているところでございまして、このような結果を踏まえまして、今後の統計全体を考えていく中で総合的な対策を講じてまいりたいと考えております。

日吉委員 それでは、森林環境税についてお伺いさせていただきます。

 一部の地方自治体におきまして、課税自主権を活用して、森林環境、水源環境の保全等を目的とした超過課税を行っております。都道府県では三十七府県に上り、市町村では横浜市が導入しております。

 私の地元静岡県は、荒廃した森林を再生し、山地災害の防止や水源の涵養などの森の力を回復させる森の力再生事業の財源として、森林づくり県民税を平成十八年度から導入しております。平成二十七年度までに一万二千三百七十四ヘクタールの荒廃森林を整備しましたが、この十年間で森林所有者による整備が困難な森林では新たに荒廃が進行しており、山地災害発生のリスクが高まっている状況でございます。

 このため、森の力再生事業を継続することとして、森林づくり県民税は、税率等は変更せずに、課税期間を五年間延長して平成三十二年までとしております。

 内容として、平成十八年度から三十二年度までの十五年間、個人は、個人県民税均等割に年四百円を上乗せして徴収をしております。また、法人税等につきましては、法人県民税均等割の税率に五%を上乗せして、資本金によって税率の変動はありますが、年千円から四万円となっております。平成十八年度から二十七年度の十年間で九十五億円の税収があり、二十八年度から五年間の課税では八十五億円余りの税収を見込んでいます。

 静岡県でもこれだけの取組をしておりますが、今回の法律案によって地方団体に譲与される額は、森林整備を行うに必要かつ十分な額となり得るか懸念されますが、御答弁をお願いいたします。

織田政府参考人 お答えいたします。

 森林整備の推進に当たりまして、条件が不利な私有林では、経営意欲の低下などによりまして、所有者の自発的な施業への支援を基本とする従来の施策のみでは適切な間伐等を進めることは困難となっているところでございます。

 このため、森林環境税の制度検討過程におきましては、そのような条件不利な私有林における間伐量を年平均十万ヘクタール程度と推計をいたしまして、この間伐等を市町村主体で進めることを前提に、森林整備やその促進に要する費用を農林水産省として試算をしたところ、年間六百億程度となったところでございます。

 市町村にこの森林環境税を活用していただいて、条件不利な森林整備等が進むことによりまして、従来施策分もあわせまして森林整備量全体が増加し、地球温暖化や山地災害の防止、水源涵養等の森林の有する多面的機能の発揮が図られるものと考えているところでございます。

日吉委員 それでは、ちょっともう少し角度を変えまして、先般の総務委員会でもありましたが、そもそも、国は、今回の六百億円の予算で二〇三〇年度の国際目標達成のために足りるのかどうか、この六百億円の予算で足りるか、ちょっとはっきりしませんでした。

 税の中立、簡素、公平という原則からしますと、定額の課税というのは極めて珍しい課税だと思います。納税義務者数は六千万人強いるので、その人たちから千円徴収すれば六百億円になる、この予算であればどのようなことができるか検討するというような、逆の手法がとられたかのように感じるところでございます。

 そもそも、二〇三〇年度の国際目標達成のためにはこういうことをやっていかなければならない、そのためにはどれだけ予算が必要なのか、その予算を捻出するにはどうするべきか、こういったことを考えて予算を、税収、税のあり方がどうであるべきかということを検討していくのが本来の姿ではあると思います。まず国民から千円ずつ集めよう、千円だからそんなに批判はないのではないか、こういったところから六百億円が集まるので、じゃ、これで何かをしましょうというような感じも受けているところでございます。

 そういった意味で、今回、二〇三〇年度の国際目標達成は大丈夫なのかどうか、もう一度確認をさせてください。

織田政府参考人 お答えいたします。

 パリ協定に基づく我が国の森林吸収量目標を達成するためには、二〇二一年から二〇三〇年において、年平均四十五万ヘクタールの間伐等の森林整備を実施することが必要と見込んでいるところでございます。

 森林環境税の制度検討過程において推計いたしました、条件不利な私有林を対象に市町村主体で進める十万ヘクタール程度の間伐につきましては、この四十五万ヘクタールの内数ということでございます。

 このため、森林環境税のみで吸収源対策としての必要な整備量等が確保されるものではないということでございまして、農林水産省といたしましては、引き続き、従来施策である国の森林整備予算等の確保に努めつつ、森林環境譲与税も市町村に活用いただきながら、条件不利地も含め、必要な森林整備量全体が確保されるように取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

日吉委員 ありがとうございました。

 そうしますと、時間も少なくなってまいりましたが、あと、地方消費税の歳入について、残された時間で少し質問をさせていただきます。

 お手元に資料を配付させていただいております。これは総務省さんに作成していただいたものですが、地方消費税の歳入の平成二十八年から三十一年までの推移を表にしたものでございます。譲渡割、貨物割、合計ということになっておりまして、それぞれ、地財計画でどうなっているのか、収入見込み、これは計画を上期の実績に置き直して着地点を見た数字で、実績は実際の収入実績ということになります。

 この表を見ていただきたいんですが、譲渡割のところでの実績欄、平成二十八年度が三兆四千七百二十六億円となっております。平成二十九年度は三兆四千四百六十七億円。そして、平成三十年度はまだ実績が出ていないんですけれども、収入見込みで三兆三千三百五十五億円。三十一年度の地財計画は、消費税の引上げ分を除きますと三兆三千四百五十三億円というふうになっております。これを見ますと、消費税収入が実績ベースで減少傾向にあるように見受けられます。

 本来、経済見通しなり、経済としましては消費が回復してきている、堅調になっているというようなこういった中で、何となく、譲渡割、資産を譲渡することによってかかる消費税が、これが消費がふえているのであればもっとここの部分というのがふえていくだろうというようなことが想定されるんですけれども、減少傾向にあるように見受けられます。

 そこで質問なんですけれども、平成二十九年度から平成三十年度のこの減少、これはなぜでしょうか、教えてください。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、平成二十九年度の地方税収でございますけれども、このうち譲渡割の実績が高かった理由といたしまして、一部の団体において大規模な資産の譲渡等があったという特殊事情もございました。

 それに加えまして、地方消費税には、譲渡割のほか、先ほどお話がございましたように貨物割があるわけでございます。事業者が貨物を輸入し国内で消費者に販売した場合、輸入者に貨物割を納税していただく一方、確定申告時に譲渡割から仕入れ税額控除を行うこととなります。

 このため、輸入が増加をいたしますと、貨物割に係る税収が増加する一方、譲渡割に係る仕入れ税額控除の額が拡大することとなってまいります。

 貨物割は、通関月に随時納付されますが、譲渡割に係る仕入れ税額控除は確定申告時に行われますため、時期が若干ずれることとなります。

 そのため、平成三十年度の譲渡割への輸入の仕入れ税額控除の影響を見るためには、平成二十九年度の輸入の状況を見る必要がございますけれども、貿易統計によりますと、輸入総額は、平成二十九年一―三月期以降、前年度比マイナスからプラスに転じておりまして、このことが平成三十年度の地方消費税の譲渡割に影響いたしまして、抑制方向に働いたものと考えております。

日吉委員 平成二十九年度に特殊事情があって、想定よりも税収が多かったというお話がございました。

 今、仕入れ控除の関係で御説明いただきましたけれども、ただ、トレンドとしては、消費が伸びれば譲渡割も貨物割も全体として税収というのは伸びていくものだというふうに考えられておりまして、そういうトレンドになるのかなというふうなところにおきまして、例えば、政府経済見通しの概要という資料がございますけれども、これによりますと、平成三十一年度は、同年十月に消費税率の引上げが予定されている中、当初予算において臨時特別の措置を講じるなど、各種政策の効果も相まって、我が国経済は雇用・所得環境の改善が続き、内需を中心とした堅調な景気回復が見込まれる、こういうような見通しをしております。

 そこで、平成三十年度の収入見込みと平成三十一年度の地財計画を見たときに、若干増加はしているんですけれども、この年、平成三十一年度、消費税増税が予定されている、この効果は地方税収入としては翌期以降に反映されるという御説明を受けているんですけれども、駆け込み需要等ございますので、こういった駆け込み需要というのは上期四月から九月の間に大きく発生し、その反動減というのは、十月から三月に減少するだろうということになると、この第三十一期では、相当な駆け込み需要があって、もっと伸びてもいいんじゃないかな、そういったことを考えると、思ったほど税収が上がっていないんじゃないのかなというふうに思われるんですけれども、これにつきまして、政府の経済の見通し、消費の堅調さと税収との関係につきましてどのように見られているか、御答弁をお願いできますでしょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、譲渡割と貨物割の両者が密接なかかわりを持っておりますので、個人消費との関連を見るということになりますと、双方合わせた地方消費税収全体の動きを見ることが適切ではないかと考えているところでございます。

 そういう意味で、譲渡割と貨物割を合わせました地方消費税収全体で見てみますと、先ほど申し上げました特殊要因を除いた二十九年度税収が四兆六千八百億円程度、三十年度の収入見込み額が四兆七千百億円程度、税率引上げ分を除きました三十一年度の地財計画額が四兆七千七百億円程度となりまして、地方消費税全体のトレンドを見ますと増収傾向にございまして、個人消費は持ち直しているとの傾向に沿ったものであると考えております。

日吉委員 今、合計でという話がございましたけれども、先ほども申し上げましたように、それぞれで見ても、多分増加トレンドというのは同じだと思いますので、そういった中で、最後、大臣にお伺いをさせていただこうと思います。

 政府の、この内需を中心とした堅調な景気回復がなされているというのと、税収、これは十分な税収が入ってきていると考えられるのか、それとも、景気回復というのが税収の実態から見るとそれほどでもないのではないか、このあたり、どのようにお考えでしょうか。

    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕

石田国務大臣 先ほどより局長が答弁申し上げておりますように、地方消費税収に関しましては、個別の年度においては、国税における収納時期と都道府県への払込み時期のずれや特殊要因等により、若干の増減が見られるところではありますけれども、地方消費税全体のトレンドを見ると、増収傾向にあると思っております。

 このことから、地方消費税の税収の見通しは、個人消費が持ち直しているとの傾向に沿ったものであると考えております。

日吉委員 時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

江田委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子です。

 どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 森林環境税についてお伺いをしたいと思います。

 森林環境税は、ほかの委員からも御指摘がございましたけれども、企業負担が、とりわけ大企業の負担がないのは余りにもおかしいというふうに感じております。

 CO2排出量削減について、産業界や企業は石油石炭税の上乗せなどで既に税負担をしているというふうに言いますけれども、その一部は料金などに転嫁をされ、国民の皆様、住民の皆様も負担をしているわけでございます。また、森林の多面的機能には、災害の防止や水源の涵養などもございます。この恩恵は、排出企業かどうかにかかわらず、全ての企業が受けているというふうに思います。

 現に、地方自治体が既に導入している森林環境税では、ほとんどの自治体が企業負担を求めております。とりわけ大企業の負担を求めるべきではないかと思いますけれども、大臣、答弁をお願いしたいと思います。

石田国務大臣 まず、地球温暖化対策ということにつきましては、二酸化炭素の排出抑制対策と、それからもう一つは森林吸収源対策の両面から推進する必要があると考えております。

 このうち、二酸化炭素排出抑制対策につきましては、産業界はこれまでも、自主行動計画等の枠組みの中で温室効果ガスの排出削減を実現するとともに、地球温暖化対策のための税、いわゆる石油石炭税の上乗せ措置も負担していることなど、地球温暖化対策に係る取組に既に一定の貢献をしていただいているところであります。

 一方で、森林吸収源対策につきましては、森林整備等に必要な財源に充てるため、今般、森林環境税を創設するものでありまして、森林の有する公益的機能は広く国民一人一人が恩恵を受けているため、国民に広く均等に御負担いただくこととしておりまして、法人に対してはさらなる負担を求めないことといたしております。

 このように、地球温暖化対策につきましては、二酸化炭素排出抑制対策と、それから森林吸収源対策の両面を通じて、個人、法人双方に相応の負担をいただくことになるものでございます。

 なお、超過課税につきましては、地方団体が財政上その他の必要があると認める場合に行うものでございまして、その税率や納税義務者等については、実施する地方団体がそれぞれ検討した上で決定しているものでございます。

本村委員 そもそも、排出抑制のための税負担について経済界、産業界は一貫して負担を嫌がっておりました。一方で、温暖化対策を始め地球規模での環境保全の取組が必要という認識が国際的な共通認識となる中で、日本も避けて通れなくなったということで、そういう状況の中で、政府は、財界、産業界の意向を酌んで企業負担のない仕組みを入れただけではないかと言わざるを得ないというふうに思います。

 林野庁は、二〇一六年度税制改正要望の中で、森林吸収源対策の財源確保に係る税制上の措置の中で三つの改正の要望をされております。

 一つはこの森林環境税の導入なんですけれども、あとの二つは何か、お示しをいただきたいと思います。

織田政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省におきましては、森林吸収量目標の達成に向けて必要な施策を推進できるよう、平成二十八年度の税制改正要望におきましては、森林環境税の創設のほか、一つは、地球温暖化対策のための石油石炭税の税率の特例の活用等、森林吸収源対策に充てることのできる税収枠の創設、それからもう一つは、揮発油税の当分の間税率を森林吸収源対策に優先的に充当する措置を検討していただくよう要望したところでございます。

本村委員 ありがとうございます。

 この二つの要望が通らなかった理由をお示しをいただきたいと思います。

織田政府参考人 お答えいたします。

 森林吸収源対策に関する税制上の措置につきましては、平成二十八年度与党税制改正大綱におきまして、森林整備や木材利用を推進することは、地球温暖化防止のみならず、国土の保全や地方創生、快適な生活環境の創出などにつながり、その効果は広く国民一人一人が恩恵を受けるものであり、このため、都市、地方を通じて国民にひとしく負担を求め、市町村による継続的かつ安定的な森林整備等の財源に充てる税制(森林環境税)等の新たな仕組みを検討する、こういうことが明記されたところでございます。

 農林水産省といたしましては、このことを踏まえまして、平成二十九年度以降の税制改正要望におきましては、森林環境税の創設に絞って要望を行ってきたところでございます。

本村委員 林野庁は直近まで産業界にも負担を求める案を出しておりました。それらの要望は通らずに、国民、住民の皆さん個人に負担を求める案だけが通ったわけでございます。温暖化対策において吸収源対策は重要だと言いながら、原因者に負担を求めないというのは、やはりおかしいというふうに思います。

 次に、森林環境税の非課税措置についてもお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、非課税措置の基準はどうなるのか、個人住民税の均等割と同じになるのかという点をお聞きをしたいと思います。

内藤政府参考人 森林環境税でございますけれども、国民に広く均等に税を御負担いただいた上で、税を負担する住民の所在をする区域を越えて、森林整備等を行う地方団体に適切に帰属させるため、国税として制度設計しているものでございますけれども、賦課徴収は市町村が行うこととしているところでございます。

 これらを踏まえまして、森林環境税の非課税につきましては、個人住民税の非課税と基本的にほぼ同様の規定を置くこととしているところでございます。

 具体的には、生活保護の規定による生活扶助その他これに準ずるものとして政令で定める扶助を受けている者、年度の初日の属する年の前年の合計所得金額が百三十五万円を超える場合を除く障害者、未成年者、寡婦、寡夫又は単身児童扶養者、それから、前年の合計所得金額が政令で定める金額以下である者、いわゆる非課税限度額と呼んでいるものでございますけれども、これを規定することとしているところでございます。

 この非課税限度額につきましても、今後、森林環境税と個人住民税均等割の非課税限度額の参酌基準が一致するよう対応してまいりたいと考えております。

本村委員 市町村の現場で混乱がないようにするためには、均等割とほぼ同じような金額にするということになるかというふうに思います。

 均等割は、所得割が非課税になる人でも納めなければならない、非課税の基準となる額も、生活保護や、その少し上の方や、あるいは所得がかなり低い人でないと非課税にならないということでございます。

 温暖化対策で必要だから、恩恵があるからといって低所得の方々に千円を課税する、一方で、大企業には負担を求めないというのは、やはりこれはおかしいというふうに言わざるを得ないというふうに思います。こういう点はやはり正していただきたいというふうに強く求めておきたいと思います。

 研究会報告ですとか税制改正大綱では、森林環境税・譲与税について、新たな森林経営管理システムの導入を前提としております。森林環境税・譲与税は、森林経営管理法で新たに市町村に課せられる森林整備についての財源として位置づけられているという理解でよろしいでしょうかということを確認をさせていただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 森林環境譲与税の使途につきましては、法律上、森林の整備に関する施策及び森林の整備の促進に関する施策と規定しているところでございまして、この範囲内で活用が可能でございます。

 各地方団体においては、この使途の範囲内において、地域の実情に応じて幅広く弾力的に事業を実施することが可能でございまして、森林経営管理法に基づく事業につきましても活用可能でございます。

本村委員 森林経営管理法は、管理がなされていない私有林について、市町村が所有者に意向調査をして、みずから管理をする意思がない場合には、同意を得て、経営管理権を設定し、管理又は再委託を行うというものでございます。

 しかし、所有者が不同意の場合や所有者が不明の場合にも、一定の手続を経て管理権の設定が可能になる仕組みとなっております。

 所有者の意思に反して個人の財産である森林の管理権が取り上げられるということがあってはならないというふうに思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

織田政府参考人 お答えいたします。

 森林経営管理法では、市町村が経営管理権を設定するに当たりましては、原則、森林所有者の同意を得ることが必要でございます。このため、個人の意思に反して無理やり経営管理を行う権利を奪うことは基本的にはないということでございます。

 ただ、公益上の理由で、所有者さんが経営管理の意向も示さない、要は、所有者としての責務を果たさない、一方で、公益上の理由で絶対しっかり整備しなきゃいかぬという場合には、やむを得ず、市町村長による勧告、それから都道府県知事の裁定等の一定の手続を経て、同意を得られなくても市町村に経営管理権を設定することができるということでございまして、これは公益上の理由でやむを得ない場合ということでございます。

本村委員 公益上やむを得ない理由ということですけれども、この問題は、憲法に定められた財産権の問題でもあり、大変危険な中身を持っているというふうに思います。

 機械的にこれが運用されると大変危険な面がございまして、所有者が意欲がないから問題だということで言われておりますけれども、背景にはこれまでの歴史があるというふうに思います。安い外材の輸入自由化で木材の価格が下落をし続け、経営が成り立たないということがございます。

 私も、地元の森林組合の会長さんにお話をお伺いをいたしました。そういう中で、杉の木を六十年間育てて五百立方メートルの木を切ったとしても、山主の手元に残るのは平均で二十九万円くらいだというお話でございました。これではやる気にならない、助成していくことが必要だというお話がございました。

 六十年かけて育てても結局二十九万円ということですから、やはりここを改善して、森林所有者の方が意欲が出るようにしていくということが何よりも大事だというふうに思います。

 所有者の方にはさまざまな事情がございますし、それぞれ、決められた木を切る期間じゃなくて、もっと長期で切りたいんだとか、いろいろお考えがあって現状があるわけでございます。それを、義務化したんだ、主伐をしないから意欲がないんだと決めつけをして、同意がなければ機械的に管理権を取り上げる手続に入りますということでは、やはり財産権の侵害ということにもなりかねないということでございます。

 森林経営管理法は、機械的に運用されれば、憲法に定められた財産権を侵害する大変危険な仕組みを持っております。所有者の意思に反して管理権を取り上げることは絶対にないようにしていただきたいというふうに思います。答弁をお願いしたいと思います。

織田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、個人の意思に反して無理やり経営管理を行う権利を奪うことは基本的にないということでございますし、また、先ほどの不同意森林の特例の場合も、しっかり、その辺が委員御指摘のようなことがないよう運用されるように、しっかり指導してまいりたいというふうに考えてございます。

本村委員 ありがとうございます。

 森林環境譲与税による財源確保について、森林経営管理法の質疑の中で、参考人の野口俊邦信州大学名誉教授はこうおっしゃいました。最も安定的な財源は一般会計だ、一九九三年並みに林業予算を確保すればプラス六千億円の財源が確保できるという御指摘がございました。これはもっともな御指摘だというふうに思います。

 また、必要な自治体に必要な財源を保障するということでいえば、地方交付税でということも考えられたはずだと思いますけれども、そうしなかったのはなぜかという点をお示しいただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 森林整備等のための財源を地方団体に帰属させる手法といたしましては、地方交付税や国庫補助金の仕組みを活用することもあり得るかと存じます。

 この点、地方財政審議会に設置いたしました森林吸収源対策税制に関する検討会におきまして、地方財源としての性格を明確にしつつ、地方団体が、事業実施箇所の選定や実施手法等について現場でのニーズに応じて裁量を持てるようにすること、確実に森林整備等の財源に充てるために使途を定めることのできる仕組みとすることとするため、地方譲与税の制度を活用することが適当であると提言されたところでございます。

 あわせまして、地方譲与税は、客観的な指標によって譲与額の算定が行われますので、予見可能性が高く、地方団体が中長期的に計画的な事業に取り組みやすく、森林整備等に必要な人材の安定的な雇用等にもつながりやすいという利点も有する仕組みであるとも提言されております。

 こうしたことを踏まえまして、森林環境税及び森林環境譲与税を創設することとしたものでございます。

本村委員 市町村は、この森林経営管理法のもとで非常に重い責任を負うことになりました。経営管理権の設定一つをとっても、誠実に対応しようとすれば、当然、職員の負担はふえてまいります。

 行革で市町村全体の職員の数が減っている。林業専任の職員の数は少ないところが大多数でございます。人をふやしていく、この点も、林業専任職員の方々をふやしていく必要があるというふうに思います。

 施業の委託費なども含めてトータルでかかる経費を考えれば、総額六百億円での譲与であっても到底足りないという自治体が多いのが実態ではないか。しかも、六百億円、満額配られるのは十四年後ということになってまいります。

 一方で、東京二十三区への譲与額の合計額は、森林面積の多い県の市町村全ての譲与額合計を上回っております。広く国民一般に負担を求めるがために、結局、肝心の森林面積の多い自治体にお金が十分行かない仕組みになってしまっております。

 森林整備を重要な課題として位置づけ、林業を重要な業だということをしっかりと位置づけていくということをするべきだというふうに思いますし、やはり、国の一般会計で林業予算の配分をふやし、地方交付税の法定率をふやすなどして、実際に森林整備を行う自治体にこそ十分な財源が回るように対応するべきだということを強く求めておきたいというふうに思います。

 次に、統計不正について質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、統計委員会の点検検証部会と政府統計検証チームとの関係をお示しをいただきたいと思います。

横田(信)政府参考人 お答えいたします。

 一月三十日の統計委員会におきまして、新たに点検検証部会を設置いたしました。そこにおいて、基幹統計や一般統計調査について徹底的な点検、検証を行うこととされたところでございます。

 総務省といたしましては、統計委員会の庶務を処理することとされているところ、この統計委員会の点検、検証は対象が多く、また作業量が膨大となることが見込まれる上、スピード感を持って取り組む必要があるということを踏まえまして、この統計委員会の点検、検証事務のあくまでサポートを行うという位置づけで政府統計検証チームを二月一日に立ち上げたということでございます。

 今月十九日には点検検証部会の初回会合が開催されたということでございまして、再発防止や統計の品質向上といった観点からの審議がなされていくという予定でございます。政府統計検証チームといたしましても全力でこの点検検証部会を支えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

本村委員 その点検検証部会ですけれども、各委員の先生方、五十六の基幹統計、二百三十三の一般統計について十分点検、検証ができる時間的保証がちゃんとあるのか。

 先日、統計委員長がこの場で答弁をされましたけれども、さまざまな課題を抱えていて、毎月勤労統計調査は優先度が低かったと述べられましたけれども、そうならないように、点検検証部会ではどの統計も十分な点検、検証をしてもらわなければ困るわけでございます。そして、全ての統計が正確なものになるようにしてもらわなければ困るわけでございます。

 十分点検、検証できる委員の先生方の時間的保証はちゃんとあるのかどうか、この点、答弁をお願いしたいと思います。

横田(信)政府参考人 点検検証部会は、統計への信頼確保に向け、基幹統計や一般統計調査について徹底的な点検、検証を行うため、新たに設置されたものでございます。

 委員の方々には、現在の状況のもと、短期間で集中的に審議を行う必要がある旨、これをあらかじめお伝えした上で、御協力いただける方にお願いしているというところでございます。

 点検検証部会では、二つのワーキンググループを設置し、並行して集中的な審議を実施することとされており、この中で日程調整を丁寧に行うなどにより、各委員に必要な審議時間を確保していただけるよう努めてまいりたいというふうに考えております。

本村委員 次に、政府統計検証チームですけれども、どのような職員を集めたのか、改めてお伺いをしたいと思います。どこの省庁、どこの部署、それぞれの人数ですね、そして、検証専任なのか兼務なのか、お答えをいただきたいと思います。

横田(信)政府参考人 政府統計検証チームにつきましては、スピード感を持って取り組む観点から、政策統括官、これは統計基準担当の政策統括官でございますけれども、このもとに在籍した職員、これに加えまして、省内の他部局や総務省から他府省に出向中の職員のうち、過去にこの統計基準や統計局に在籍していた者を中心に人選しておるところでございます。

 このうち、従前から政策統括官の下に在籍していた職員の中には各府省からの出向者も含まれているところでございます。

 それから、発令上は、全員併任、形式的には検証チームを兼務するという形になってございます。一方で、業務としては、その多くの職員はこの業務に専担で従事しておるという形になっておるところでございます。

本村委員 どこの省庁、どこの部署というのはお答えいただけなかったんですけれども。

 政府統計検証チームのことは詳しくは午後お伺いをしたい、間に合えば午前中にもお伺いしたいというふうに思いますけれども、きょう、やっと資料を出していただきまして、配付資料の一枚目ということで皆様方にも出させていただきました。

 二月十九日の私の質問に対して総務大臣は、統計委員会の「点検検証部会は、再発防止、統計の品質向上の観点から、各府省が所管する統計について、春までをめどに統一的な審査を行い、その結果をもとに重点的に検証を行うべき統計や項目を絞り込んだ検証を行いまして、夏の時点で一旦結論を得ることを念頭に進める」というふうに御答弁をされました。

 そこでお伺いしたいんですけれども、統一的な審査とはどういうことでしょうか、そして、統一的な審査の結果をもとに重点的に検証するというのはどういうことでしょうか、お示しをいただきたいと思います。

横田(信)政府参考人 点検検証部会が行います統一的な審査でございます。これは、全ての基幹統計を対象に、再発防止、統計の品質向上に関する統一的な視点によって行う点検検証であり、部会のもとに二つのワーキンググループを設置して、春までをめどに実施される予定ということで承知しております。

 それから、重点的な検証でございます。これは、統一的な審査の後、一般統計も含め、統計の重要度や問題発生のリスク等を勘案して、より深く検証すべき対象、これは、どういう統計か、あるいはどういう視点かといったようなことも含めてでございますけれども、こういうことを絞り込んだ上で重点的に実施される検証でございます。

 これらの結果をもとにいたしまして、六月から七月までに一定の結論を取りまとめる予定ということで承知してございます。

本村委員 二月五日、この委員会の中で、私は、繊維流通統計の不正処理の問題を受けて総務省が二〇一七年一月から行った一斉点検、この一斉点検が、関係府省への実地調査もなく、いわば書類審査に終わったということで、同じようなことになってはいけないということを痛感をしております。この二〇一七年の一斉点検では、毎勤統計の不正も見抜けなかったわけでございます。

 この繊維流通統計調査の不正の原因分析で明らかになった問題点、先日も言ったんですけれども、十分な人材育成や統計の職員体制、プログラムの際のダブルチェックができる体制になっているか、管理者の統計の重要性の深い認識に基づいて担当者にチェックがされているか、十分な遵法意識を持っているのか、適切な行政文書の管理がされているのか、踏み込んだ外部からのチェックがやられているのか、この点についてしっかりとチェックをして統計不正を二度と起こさないようにするべきだというふうに質問をいたしました。

 そのときに、石田大臣は、今御指摘いただいた点を含めまして、この点検検証部会で、徹底的に、再発防止、あるいは統計の品質向上を目指して検証が行われるものと思っている、総務省として、三十人から成るチームを編成して、統計委員会の活動をしっかり支えていきたいと御答弁をされております。

 そこでお伺いをしたいんですけれども、点検検証部会、そして政府統計検証チームは、五十六の基幹統計、二百三十三の一般統計について、一体、どういう役割分担で、どういう点検検証を行うのかという点、そして、今回も承認された調査計画と実態が異なる場合は報告をしてもらうというようなことでやるのか、あるいは、この間の毎月勤労統計や賃金構造基本統計調査、総務省の小売物価統計などの、不正調査となった背景を視野に入れてヒアリングや実態調査、実地調査を含めたものにするのか、その点、確認をさせていただきたいと思います。

横田(信)政府参考人 統計委員会に設置されました点検検証部会におきましては、公的統計のいち早い信頼回復に向け、専門的かつ中立公正な立場から、客観性や透明性を確保しつつ、再発防止、統計の品質向上を目指した徹底した検証を行っていただきたいというふうに考えておるわけでございます。

 総務省は統計委員会の庶務を処理しているということでございます。この統計委員会の点検検証は、先ほど御指摘ございましたように、非常に対象が多く、作業量が膨大となることが見込まれているところでございます。さらには、スピード感を持って取り組む必要があるということで、先ほど御答弁させていただきましたけれども、サポートを行う体制として政府統計検証チームを立ち上げたということでございます。

 これから具体的にどうしていくかということでございますが、二月十九日の点検検証部会の初会合におきましては、部会運営に当たっての基本的な方針が議論されました。その中に、「必要に応じて各府省に対して質問し、回答を求める。」ということとされております。したがいまして、この審議の中で、必要に応じて、書面だけではなく、各府省に対するヒアリングも行うということで考えてまいりたいと思います。

本村委員 例えば、地方の労働局ですとか、あるいは都道府県に対して実地調査をするということはお考えでしょうか。

横田(信)政府参考人 こちらも、今御指摘ございましたように、点検検証部会におきましては、政府統計全般、これは五十六の基幹統計、二百以上の一般統計を対象としているということでございます。

 これにつきまして、まず点検を行っていくということでございまして、その中で具体的にどういう形で検証、さらには、深掘りした形で調査を進めるかということにつきましては、この検証部会、点検検討部会の構成員の審議の皆様で御議論していただきながら作業を進めてまいりたいということで考えてございます。

本村委員 二〇一七年の総務省の一斉点検と、この二〇一九年の点検検証と決定的に違う点、どこが違うのかという点をお示しをいただきたいと思います。

横田(信)政府参考人 先ほど御紹介ありました、二〇一七年に実施いたしました一斉点検、これは、承認された計画と実態が異なる場合に各府省からその内容の報告を求めたということで、書面での調査が中心でございました。

 一月に実施いたしました基幹統計の点検におきましても、承認された計画と実際に行われている調査の内容、方法に相違がないかということについて確認したわけでございますけれども、今回は、部局長級の統計幹事のリーダーシップのもとで、各府省において、特に毎月勤労統計事案で問題となった事項に関し重点的に確認いたしました。

 このほか、各府省が点検の時点で把握した不適切な事案についても報告を受けたところでございます。

 今回一番大きな違いと申しますのは、総務省において、こういった点検を行うだけではなく、先ほど来申し上げておりますように、統計への信頼回復に向けて、点検検証部会において、再発防止、統計の品質向上の観点から徹底的な検証を行うということにしておるところでございます。この審議の中で、必要に応じて、先ほども申し上げましたような各府省に対するヒアリング等も行っていきたいというふうに考えておるところでございます。

本村委員 十九日のこの委員会の中で、西村統計委員長も、統計にかかわる予算と人員の増員と人員育成を強調されておりました。昨年七月には総務大臣に対する建議も行ったというふうに言われておられました。

 統計委員会の平成三十一年度における統計行政の重要課題の推進のための統計リソースの重点的な配分に関する建議の最後には、来年度政府予算案が決定された後、速やかに各府省における統計リソースの確保と既存のリソースの再配分、最適配置の状況を把握し、その結果を当委員会に報告することとしております。その後、統計不正が発覚をし、リソース、予算と人員の問題が一層浮き彫りになったというふうに思います。

 統計委員長が、統計のリソース、予算と人員が危機的な状況にあると、かなり危機感を持って答弁をされたと私は受けとめました。今回の点検、検証では、今回の不正の問題を受けてのリソース、予算と人員の問題も当然点検、検証されるということでよろしいですね。

横田(信)政府参考人 統計委員会におきましては、点検検証部会において、再発防止や統計の品質向上といった観点から徹底した検証を行うということは先ほど来述べたところでございます。

 この検証の具体的な進め方や視点に当たりましては、先ほどの統計委員会での御認識、これは非常にリソースの問題が大きいということも含めまして議論が進められることになろうかと思っております。具体的には点検検証部会の審議により定められることとなると考えておりますが、その中には、各府省の体制といったことについても議論がなされるものというふうに考えておるところでございます。

本村委員 ありがとうございました。

 統計委員長がこの場で語られたことは非常に重要な点があったというふうに思います。やはり予算と人員が全く足りないんだという危機感を持ったお話だと痛感をいたしました。

 午後にもこの統計不正の問題もやりたいというふうに思いますけれども、午前中はこれで終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは法案審議ということでございますので、ふるさと納税に絞って質問させていただきます。

 この後、対総理の質問の機会をいただいていますので、そこでは、かねがね申し上げているマイナンバーの話とか、それから統計不正、そんな話も短い時間ですがさせていただきたいと思いますが、石田大臣に対するこの法案審議、対総理も法案審議ですが、この場ではふるさと納税一本に絞ってお願いをしたいと思います。

 まず、質疑に入る前に、前回かな、二十一日の私のこの総務委員会での質疑について、何か共産党さんの方から、いろいろ問題だというお話があります。

 きょうも理事会で何か言いかけていらっしゃいましたが、結局、五日たっても、私の質疑のどこがどう問題なのか一切発言されません。私が何度も本村委員に聞いているんですけれども、いや、もうそんなことはどうでもいい。どうでもいいんじゃなくて、問題があるから何か言っているんでしょう。(発言する者あり)じゃ、どこが、僕の議事録のどこがどう問題があるのか言ってくださいよ。もう五日たっているんですよ。だから……。

 あれっ、何か問題ありますか。

江田委員長 足立君、質疑は議題の範囲内で行っていただきたい。また、関係のない発言に対しましては御注意を願いたいと思います。十分注意して御発言ください。

足立委員 質問、ちゃんとします。しかし、僕の発言できるのはここだけですからね。しっかり言うべきことは言いますが、委員長の御差配にはしっかり従いたいと思います。

 さて、ふるさと納税でありますが、ちょっときょう、パネルを、テレビ入りじゃありませんがパネルをちょっとつくってきました。見えますかね。

 ふるさと納税について、なぜ私たち、あるいは私がこだわっているかというと、これは国と地方の関係そのものなんですね。

 地方税は、国がルールを決めます。今はそういう、日本の統治機構は、地方税についても国が国会で全て決めることになっているんです。それは仕方ありません。今の憲法、憲法じゃなくて、今の法体系がそうなっているからですね。まあ、憲法か。憲法でもそうなっているわけでありますが。

 我々は一方で、政府・与党も、累次の制度改正の中で、国と地方公共団体は対等だ、かつてのような、地方公共団体は国の出先ということではなくて、国と地方公共団体は対等だと言っているわけですよ。そうであれば、ルールは国で決める、法律で決める、国会で決める、それはいいですよ。しかし、そのルールのもとで地方公共団体がどう活動するのかについては、これは全国に千七百ある地方公共団体が切磋琢磨する。

 決められたルールのもとで、自分を選んでくださっている有権者、市であれば市民の皆さん、町であれば町民の皆さんの福祉を、あるいは厚生を最大化するために、政治家は、首長、張っているんですよね。そういう当たり前のことが、自民党政権、政府・与党はわかっていません。

 安倍さんはわかっていますね。安倍総理はやはり、戦後最高の総理だと月刊誌に私が書いたとおりの、さすがですね、ここに書かせていただいているように、二月十五日の衆議院本会議で、私がふるさと納税について安倍総理に質問した際に、一定のルールの中で地方団体が切磋できる環境を整えていく、はっきりとおっしゃいました。私は、それについては、当然だ、あるいは正しい御認識であるということで、敬意を持って受けとめたわけであります。

 ところが、その後、この総務委員会で石田大臣とやりとりする中で、先ほどから共産党がわあわあ、ああ、ごめんなさい、もう共産党のことは控えますが、その二月二十一日の衆議院総務委員会の場で石田大臣は、自治体間の競争を前提とした制度ではないと明言をされました。

 余り総務省がプレッシャーをかけるものだから、千代松市長もちょっと、さすが政治家です、バランスをとって、四月以降は一旦受入れをストップして、来年度は新たな泉佐野のスタイルを構築して再スタートしていくということをきのう記者会見でおっしゃったと報道されています。

 私は、別に千代松さんは友達でもないし、彼は、どうだろう、維新でもないんじゃないかな。僕は、本件、泉佐野市とは一切話をしていません。千代松さんとも、会合でお会いしたことはあるけれども親しくはありません。

 僕は単に、これがもし泉佐野市が大阪府じゃなくても、北海道でも沖縄でも、僕は同じことを言っていると思いますよ。維新の会は、別に大阪のための政党じゃありません。国と地方の関係をしっかりと整理した方がいいんじゃないかということを中心的なテーマとして掲げている政党でございますから。僕は千代松さんのためにやっているんじゃないんですよ。国と地方の関係を整理しましょうと言っているんです。

 大臣、総理と石田大臣、これは御意見をたがえていませんか。

石田国務大臣 お答えさせていただきます。

 たがえておりません。

 ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった自治体への感謝の気持ちを伝えることや、税の使い道を自分の意思で決めることを実現するため、個人住民税の一部を実質的に地方団体間で移転させるものでございまして、結果として個人住民税が減収となる地方団体も生じるものであるため、都市と地方それぞれの団体が制度の趣旨を踏まえた対応をすることで成り立つ制度であると考えております。

 したがって、ふるさと納税制度は、趣旨に反して過度な返礼品や過度な宣伝広報によって寄附金の受入額の多寡を競い合うための制度ではなく、そのような趣旨で申し上げたものでございます。

 各地方団体におきましては、制度の趣旨を踏まえながら、ふるさと納税を通じて得られた資金を有効に活用して、地域産業の振興や雇用の創出、あるいは地域課題を解決するためのプロジェクト等に取り組むことを通じて、地域経済の活性化を図り、地方創生に貢献することを期待するものであります。

足立委員 今の大臣の御答弁は、二十一日にも伺った、全くそのとおりの、官僚答弁をお読みになられています。いやいや、官僚答弁って、官僚の皆さんが大臣の御指示のもとつくられた答弁ですね。だから、大臣の御意思だと思いますよ。

 しかし、よくわからないんですよ。

 制度の趣旨を、制度の趣旨、制度の趣旨とおっしゃいます。大臣がおっしゃっている制度の趣旨というのは二つあります。ふるさとやお世話になった自治体への感謝の気持ちを伝えること。それはそうですね。まさに、自分が育った町、村、あるいは被災地、そういうところに寄附をできる、寄附をすればその分控除される。そういう制度ができたんだから、それをやればいい。それはすばらしいと思うし、僕は、ふるさと納税の趣旨はすばらしいと思うんですよ。そして、もう一つの趣旨は、税の使い道を自分の意思で決めること。同じです、すばらしいと思います。維新の会もそれは大賛成です。だからこそ、我々はふるさと納税はすばらしいと言っているんです。

 何でこれは返礼品が要るんですか。もし大臣がおっしゃるように制度の趣旨を徹底するんだったら、返礼品とか、あるいは返礼品に係る広報、広報ですよ、広報、禁止したらいいんじゃないですか、大臣。

石田国務大臣 お答えさせていただきます。

 まず、先ほど来趣旨については申し上げまして、足立委員からもその趣旨に御賛同いただいておるわけでございます。

 そういうことから申し上げますと、まずは、恐らく、この制度が始まって以来、ふるさと納税、ふるさと、あるいはお世話になった地域、あるいは自分の意思で何らかの対応をした、特に被災地への支援などが例として挙げられると思うんですけれども、そういうことでなされた。それに対して、受入れ側の自治体から、当初は過度なものではなかったと思いますけれども、せっかくそういうふうに思っていただけるんであれば、地方の特産品とか我々が取り組んでいることとか、いろんなことをお知らせをする、あるいは返礼として差し上げたい、お礼の気持ち、そういうことであったと思います。

 ところが、それがだんだんだんだんとエスカレートをしてきた中でいろいろと御批判が出始めたというのも事実でございまして、そういうことを鑑みて、一定のルールの中で行うことがいいんではないかということで、今まで二度にわたって総務大臣から通知をさせていただいたわけでありますけれども、なかなかそれが守られていないところもあるということでございます。

 しかし、今御指摘のように、それでは禁止をしたらいいんではないかということでありますけれども、そういう活動の中で、やはり、それぞれの地域の産品が活性化する、あるいは地域の取組が活性化してきているという、一方でそういう事実も生じているわけでございまして、我々といたしましては、その双方をにらむ中で、今国民的な御理解をいただける範囲はどこか、それがまさしく一定のルールという言葉に集約されているわけでございまして、そういう中で健全なる発展をぜひ遂げていただきたい、そういう思いで今までも申し上げてきたところでございます。

足立委員 私が再三この委員会で、総務省、大臣、石田大臣始め総務省の皆さんに御質問しているのは、まさに今大臣がおっしゃった、健全の中身ですよ。健全の中身が総務省の差配でいろいろされるのは、地方公共団体からしたらたまりませんと言っているんです。

 それで、繰り返し、今大臣は地域活性に役に立っているとおっしゃいました。でも、大臣、何度も私に御答弁されているこのふるさと納税の趣旨の中に、地域活性化、入っていますか。何回も大臣、私に答弁いただいていますけれども、いつも二つあると。一つはふるさとへの感謝の気持ちを伝えること、もう一つは税の使い道を自分の意思で決めること。いずれの趣旨にも返礼品は要らないじゃないですか。

 だから、やはり趣旨を、今回、もしこういう制度でもう一回再出発するということであれば、地域活性、私はそれを景気対策と言っています、消費拡大策と言っています、景気拡大策と言っています、それは私の表現です。大臣は地域活性化とおっしゃいました。そういう趣旨を大臣も認めていらっしゃるのであれば、ちゃんとそれを正式に認めてくださいよ。その健全の中身に入れてほしいんですよ。どうですか、大臣。

石田国務大臣 健全化というために、今までお二人の総務大臣が、皆さん、全国的な、ある程度、御意見をいろいろ聞く中で、こういう範囲ではということで通知を出されたということであります。

 それが、三割以下とか、あるいは地場産品に限ってはどうかとか、まあ、そういうようなことが今まで議論されてきたわけでありますけれども、それについて御同意をいただいた団体も多数あるわけでありますけれども、そうでない団体もあるということの中で、今回新たな制度をつくろうということで、今検討させていただいておるところでございます。

足立委員 いやいや、まあじゃなくて、これは大事なことなんですよ。だって、地方公共団体は、この制度の趣旨を踏まえ、そのルールのもとで切磋琢磨するんでしょう。安倍総理のおっしゃる切磋琢磨するんですよ、ルールの中で。もう一回上げましょうか。安倍総理は本会議で、衆議院の本会議場で、一定のルールの中で地方団体が切磋できる環境を整えたいとおっしゃっているんですよ。総理大臣ですよ。

 さて、そうしたときに、じゃ、その制度の趣旨って何なんだと言っているんです。そのときに、大臣は再三、二つしかおっしゃっていません。ふるさとに感謝の気持ちを伝えることと、税の使い道を自分の意思で決めること、それは、返礼品なんかなくたって両方できる。むしろ返礼品がない方が。返礼品を禁止する、僕は返礼品はあってもいいと思うんですよ。百歩譲って、返礼品は認めるとしましょう。でも、返礼品の広報だけは禁止したらいいんじゃないですか。

 何で返礼品を広報する必要があるんですか。返礼品を広報することは、ふるさとに感謝の気持ちを伝える、その気持ちを傷つけませんか、逆に。そして、税の使い道を自分の意思で決めることに反しませんか。だって、返礼品のところにみんな行っちゃうわけですよ。どれだけのものがふるさとに行っているのか、どれだけが被災地に行っているのか把握していないというわけですよ、総務省は。

 だから言っているんです。そうであれば、趣旨の中に、ふるさとへの感謝と税の使い道の自己選択というものに加えて、地域活性なり景気対策なりという三番目の趣旨を明確に位置づけるべきじゃないですかという、私は当たり前のことを言っているんですよ。だって、総務省はそういう法案を出してきているんだから。返礼品はいいですよ、広報もしてもいいですよ。

 一回局長に振りますか。

石田国務大臣 もう一度申し上げますと、先ほど来申し上げているように、まず、ふるさと納税制度、これは十年前に始まったわけですね。そのときには、先ほど来申し上げているように、ふるさと、あるいはお世話になった地域への感謝の気持ち、さらには税の使い道ということで、被災地への支援、こういうことで始まったわけでございます。

 そして、当初は、その返礼品というのを想定されていたかどうかわかりませんが、恐らく大きなものはされていなかったと思います。そういう中で、感謝の気持ちをあらわすということで、受入れ団体からそういうものが送られるようになって、それがだんだんだんだんとエスカレートしていったというか、過大になっていった。

 そういう中で、いろんな方から、少しこれはおかしいのではないかということの中で、では一定のルールを決めた方がいいということで、法改正もございます、その前提として二人の総務大臣から通達を出させていただいて、大方の皆さんはそれに従っていただいて、寄附をいただいた中で、今回の改正でもそうですけれども、半分ぐらいはやはり趣旨に沿って使わせていただく、そういうことから考えると三割ぐらいが返礼品の限度ではないか、そういう議論になってきて、それを一定のルールとして皆さん方に御理解いただく中で、このふるさと納税制度、健全に発展していってもらえればありがたいなということになったわけでございます。

 確かに、おっしゃるように、その三割という枠の中で、地域の地場産品が活性化する、あるいは新しく生まれる、そういうことがあることについては、我々は、今回の改正の中では了としているということでございます。

足立委員 今回の改正の中では、そういう趣旨も了とされているんですよ。だって、本当に大臣がおっしゃるとおりの趣旨であれば、三割、五割だって認めなければいいし、認めるとしても、広報は禁止したらいいんじゃないですか。広報を認めているということは、制度の趣旨にそういう部分を、そういう部分というのは地域活性とか景気対策という趣旨を認めたわけでしょう、総務省は。

 認めるという法案が出ているのに、口では認めないと言うから。だって、大臣は二十一日、こんなこともおっしゃっているんですよ。市町村の首長の中には、ふるさと納税の趣旨を重んじて返礼品は送付しないという方もいらっしゃる、災害支援として、返礼品がなくても国民の皆さんから温かい御支援が寄せられていると言っているんですよ。

 じゃ、それが趣旨であれば、今大臣がおっしゃった三割、五割、三割の範囲内で、ルールのもとで地域活性のために頑張る首長は趣旨に反することをしているんですか。大臣の趣旨からいえば、返礼品がなくても寄附をしてくださる国民の皆さん、あるいはふるさと納税の趣旨を重んじて返礼品は送付しないという方々、これが趣旨に合致しているのであって、三割の返礼品の内容について切磋琢磨する自治体は、趣旨と違うところで、よこしまな、ちょっといかがわしいことをやっているんですか。

 ちゃんと総務大臣として、趣旨として認めてやってくださいよ、それは。趣旨として、三番目の趣旨として。

石田国務大臣 私が申し上げましたのは、そういうふうに返礼品を出さないという方、あるいはこういうふるさと納税制度をもうやめた方がいいのではないかと言われる方もおられるということを御紹介したわけでありまして、一方では、もっと大きく拡大しろという方がおられるわけであります。

 そういう中で、我々として、一定のルールというのをやはり決めた方がいいのではないか、双方の御理解を得られるのではないかということの中で、今回、こういう法案を出させていただくことにしているということでございます。

足立委員 これは、与党の皆さん、どうですか。井上筆頭、井上筆頭に語りかけちゃいけませんね。

 ごめんなさい、こんなことで時間を全部使うつもりは毛頭なくて、いろいろほかにもふるさと納税の議論はあるんですけれども、これは入り口のところですよ。

 だって、大臣が今改めて御答弁されたように、そういう、もっと拡大すべきだという意見もある。そうですよ、私はそういう意見ですよ。これは景気対策になる。だって、高額の税を納税してくださっている方に、全額消費に回る。全額消費に回るんですよ、これ。

 アマゾンは、いろいろ議論はあるけれども、アマゾンは、千代松市長が、上から目線で総務省が来たもんだから、地方公共団体の首長としての矜持を示すために飛び道具で使ったところもあるので、僕はまあいいと思うんですけれども。

 趣旨に入れないと、これは大変なことになりますよ。この後、安倍総理の質疑で、安倍総理、こればかりやりますよ。趣旨三つ目に入れないと、これは大丈夫ですか。

石田国務大臣 足立議員の議論には少し飛躍があると思いますね。先ほど来聞いておりますと、足立議員も、三割以下だったらいいんだろうという話の御趣旨に聞こえました。

 いや、我々が言っているのは、それはもう高市大臣の通達のときからある程度その方向は出しているわけでございます。そして、今回それを法制化しようとしているわけでありますけれども、二度の通達においても三割を超えてなされたところがあったということでございまして、そういうような過度な返礼品というのは趣旨に反するのではないかと。

 ですから、我々、一定のルールと申し上げているのは、三割の中でやっていただくということについては今回認めさせていただく、それはもうずっと、この提案をさせていただいている趣旨から申し上げてもそういうことでございます。

足立委員 いやいや、それは静岡県の小山町でしょう、それは。小山町と千代松市長の泉佐野を一緒にしちゃいけませんよ。

 だって、千代松さんは三割守っているんですよ。ただ、どこかのサイト、返礼品の広報をする民間のサイトかどこかに手数料を払うんだったら、その分は納税者に還元していったらいいということで五割とかいう議論があるので、それは総務省の通達が頭が悪いから、千代松さんは自分の頭で考えて、総務省の趣旨の根本にのっとればこれでいいんだろうということで、それは対等な関係で千代松さんは矜持を示しているわけですよ。だから、小山町と泉佐野市を一緒にするなんということは、私はもう論外だと思うし。

 それから、何か今、総務省は、行いの悪いやつは今度外すとかね。行いが悪いって、だから、総務省のたてつけがおかしいんですよ。先ほど大臣は、通達、通達とおっしゃっているけれども、通達でやるようなことですか、税の話が。税は法律で決めるんですよ。だって、そんなものを通達一本で左右されたら、それは地方公共団体、たまりませんよ。だからこそ、総務大臣は今回、総務省は今回、法律案の形で出してくれたんでしょう。だから、法律案の形で出してくれることは、それはいいですよ、だからこうやって審議しているんだから。ね、中谷先生。

 しかし、そのルール、先ほど大臣がおっしゃった、もっと拡大しろという意見もあるから、三割というルールをもう一回法律に書いたんでしょう。三割というルールを法律に書いたことは、僕はいいと思いますよ。そうであれば、その三割分は何かというと、地域活性でしょうと言っているんですよ。

 なぜ、三割分について、返礼品を用意し、かつ、それを広報するんですよ。広報を認めているんですよ、総務省のルールは。そうであれば、ふるさとへの感謝、自己決定に加えて、地域活性、景気対策、消費活性化という趣旨があるはずなのに、何でそれを入れないんだということです。

 それを入れておかないと、安倍総理がおっしゃった意味での、一定のルールの中で地方団体が切磋琢磨できる環境を整えていくんだという趣旨にならないじゃないですか。さっきの二つの趣旨だけだったら、広報は要らないじゃないですか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、私の方から事実関係についてお答えを申し上げたいと存じます。

 泉佐野市につきましては、私ども、十一月から十二月の状況あるいは一月時点における状況につきまして、各地方団体の皆様方に調査をさせていただき、御回答をお願いしたところでございますけれども、残念ながら泉佐野市からは御回答がいただけず、今実情は把握できていない状況にございますけれども、私どもが把握している限りでは、例えば、ピーチポイントで返礼割合が五割とか、そういう三割を超えるものを出されていたことも把握はしているところでございます。

足立委員 繰り返し言うけれども、二割がどこかのようわからないサイトの事業者に行くぐらいだったら納税者に返す方が、だから、総務省が期待していることよりも千代松市長がやったことの方が、国民の厚生、地域の厚生の増大に資するんですよ。だから、総務省があほだから、千代松さんは教えてやっているんですよ、こうやったらもっとうまくいくよと。

 それから、何か質問、問合せに答えなかったとか言うけれども、いや、知らぬよ、僕は友達じゃないから、千代松さんは僕は友達じゃないからよく知らないけれども、本件も、僕は泉佐野市と一切コンタクトしていないんですよ。報道ベースですよ。そのときに、アンケートに答えなかったって、それはアンケートが悪いんじゃないの。僕たちだって、国会議員だって、何かしようもない団体からしようもないアンケートが来たら答えませんよ。それは総務省のアンケートが、対等な関係である地方公共団体に対して大変失礼な質問だったんじゃないですか、知らぬけれども。

 だから、今の局長の答弁が上から目線なんですよ。俺らが聞いたんだから答えろ、答えないんだったら対象から外す、そういうルールが僕はおかしいと言っているんですよ。

 局長、それはおかしいと思わないんですか。ちょっと局長、もう一回。自分の今の答弁は上から目線だと思いませんか。局長、もう一回。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、制度をさまざま検討するときに、地方団体がどういう実情にあるのかということを承知した上で制度を立案する必要がございますので、さまざまな点で調査をさせていただいているところでございます。

足立委員 僕らだって、僕らは国政調査権を持っているんだよ。僕らだって知りたいと思って質問しているんだよ。ところが、答えないじゃない、大臣も局長も。私は、今回の法体系であれば、趣旨は三つでしょうと言っているんですよ。でも、答えないじゃない。

 そういうことを、だから、総務省は国会議員の質問に対してちゃんと質問に答えないことが許されるのに、対等な関係である地方公共団体に紙でぺっとアンケートを投げたら、アンケートがあほでも、できの悪いアンケートでも答えないといけないって、おかしくないですか、それ。少しは反省しないんですか、総務大臣。

石田国務大臣 先ほど来の議論で、お答えをさせていただいていると思います。

 まず、当初は、足立議員が御指摘のように、二つの趣旨に基づいて行われていた。そして、その後、恐らく想定されていなかったと思いますけれども、当初はですね、それがだんだんと返礼品というものが過大になっていった。その中で、二人の総務大臣が、一定のルールの中でやったらどうかということを通知として出された。それが三割という数字が出てきたわけでございまして、ということは、裏を返せば、一定の、三割の中であれば国民的な御理解を得られるのではないかという趣旨であったと思います。そして、我々としては、そういうものを今回法律化しようということで、法案を提出させていただいているわけであります。

 それで、安倍総理の発言を先ほどパネルで御紹介いただきましたけれども、安倍総理の発言も、一定のルールの中で地方団体が切磋琢磨できる環境を整えたいと言われていることでありまして、我々とのそごは全くございません。

足立委員 いや、ごめんなさいね。僕は、全く会話が成立していない。

 これは多分、また動画とかで見ていただいたら国民の皆さんも御理解いただけると思うけれども、当初の趣旨はわかりましたよ。当初の趣旨は二つです、当初の趣旨は。でも、今回、改正法が出てきたわけです。この改正法案の趣旨は、明らかに、三割を法律で認めているわけだから、その三割を法律で認めた部分の趣旨を入れてあげないと説明が完結しないでしょう。

 新しいふるさと納税は、今回できる新しいふるさと納税は、ふるさとへの感謝の気持ちを伝えること、そして、税の使い道を納税者の意思で決めることに加えて、地域活性や景気対策や消費拡大という趣旨が追加されているんですよ。それを認めないと、また地方公共団体はわからない。総務省、ちょっとこれは趣旨から外れているから、後でいじめられるんじゃないかといって、対等な関係じゃなくなりますよ。これぐらいのことを大臣の一存で、いや、わかった、三つ目の趣旨はそうだなと言えないというのは、大臣、国務大臣というのはそんなもんですかね。

 僕は、これは本当に、法務省にも私は痛い目に遭っていますから、だんだん、自民党政権というのがこういうものだということをね。大事なことは自民党の中で決める、国会では新しいことは決めない。こういうことをやっているから、もう次の選挙、わからないですよ、自民党。いや、失礼、失礼。いや、僕は二十年自民党に仕えてきましたから、官僚時代に。だから、維新がなければ自民党が一番いいと思いますよ。まあ、いいや。

 大臣、もうあと一、二分ですけれども、二つの当初の趣旨しか認めない、今回の改正にもかかわらず趣旨は追加されていないと強弁されるのであれば、これはもう徹底的に闘うということを申し上げたいと思います。大臣。

石田国務大臣 足立議員には十分御理解いただいていると思いますけれども、もう一度、私が先ほど答弁申し上げたところを答弁させていただきます。

 各地方団体においては、制度の趣旨を踏まえながら、ふるさと納税を通じて得られた資金を有効に活用して、地場産業の振興や雇用の創出、地域課題を解決するためのプロジェクト等に取り組むことを通じて、地域経済の活性化を図り、地方創生に貢献することを期待するものであるということを先ほど答弁申し上げました。

江田委員長 足立君、申合せの時間が来ています。

足立委員 それが官僚答弁だと言っているんですよ。当初の趣旨を維持しながら、期待するとかなんとか言って、その趣旨には入れないんでしょう、三つ目を。そういうのが官僚のびほう策というんです。

 大臣がそういう官僚のびほう策に乗っかっているようでは安倍総理もかわいそうだなと申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

江田委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 足立議員に引き続いて、私もふるさと納税について質問をしたいと思いますけれども、私は、ふるさと納税について、特に地方財政との関係について質問をしたいと思います。

 それで、まず、事実関係としまして、最新時点におけるふるさと納税額、この総額、それから住民税控除額の総額、控除適用者数について教えていただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年度におけますふるさと納税受入額の総額でございますけれども、約三千六百五十三億円となっております。

 また、平成三十年度課税におけるふるさと納税に係る住民税控除額、これは平成二十九年一月から平成二十九年十二月の寄附金につきまして控除されるものでございますけれども、この控除額の総額は約二千四百四十八億円、控除適用者数は約二百九十六万人でございます。

井上(一)委員 それでは、続いて、最新時点におけるふるさと納税額、これが多い上位五位の自治体、そしてそれぞれの額について教えてください。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年度におけるふるさと納税受入額の大きい団体でございますけれども、一位が大阪府泉佐野市の約百三十五億円、二位が宮崎県都農町の約七十九億円、三番目が宮崎県都城市、約七十五億円、四番目が佐賀県みやき町、約七十二億円、五番目が佐賀県上峰町、約六十七億円となっております。

井上(一)委員 じゃ、引き続き同じように、ふるさと納税による控除額が多い上位五位の自治体、それぞれの額について教えてください。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年度課税におけますふるさと納税に係る住民税控除額の大きい団体につきまして、一番目が神奈川県横浜市、約百四億円、二番目が愛知県名古屋市、約六十一億円、三番目が大阪府大阪市、約五十五億円、四番目が神奈川県川崎市、約四十二億円、五番目が東京都世田谷区、約四十一億円でございます。

井上(一)委員 増収となった自治体につきましては、交付税の算定上、寄附金、これを収入にカウントするようなことはしないということを承知しておりますけれども、減収となった自治体についてはどのような措置がとられることになりますか。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 地方交付税の算定に用います基準財政収入額、これは、各地方公共団体の標準的な税収入見込み額などを合理的に測定するものでございまして、地方税法の特例措置の規定に基づき生じます標準的な減収、これは基準財政収入額の算定に反映しております。

 例えば、日赤の支部に対する寄附、こういったものは寄附金控除適用になるわけでございまして、こういったようなものと同じように、ふるさと納税制度による寄附金の税額控除によって住民税が減少する場合、これにつきましても、その減少分の七五%が基準財政収入額に反映されることとなっておるところでございます。

 このため、寄附者の住所地の地方団体が交付団体である場合には、住民税の減少分のうち七五%について基準財政収入額が減少しますので、その分交付税が増額するということになります。

井上(一)委員 このふるさと納税額、寄附金の地方財政計画への計上なんですけれども、平成二十八年以降ふるさと納税額が急増したため、平成二十九年度からは、ふるさと納税額の収入見込み額の半分程度、これを三年かけて段階的に地方財政計画に計上することになったというふうに承知しておりますけれども、この考え方と三十一年度の計上額、これを教えてください。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 地方財政計画の計上についてでございますけれども、いわゆる一般的な寄附金収入につきましては、これは、寄附が任意によるものでございますし、地方団体にとって受動的に収納するのみということでございますので、一般的には地財計画には計上されていないわけでございますけれども、今委員御指摘のように、ふるさと納税に係る寄附金収入につきましては、これは、ほとんどの地方団体において募集の取組が行われていることなどを踏まえまして、翌年度に見込まれる額を雑収入の中に一定額計上しているところでございます。

 具体的には、ふるさと納税に係る寄附金収入につきまして、先ほど申し上げました、寄附は任意によるもの、これは一緒なんでございますけれども、ふるさと納税の受入額、これは地方団体ごとに大きなばらつきがあって、全部、全額を標準的な歳入として計上するということは、これはなじまないだろうということを勘案いたしまして、翌年度に見込まれる受入額の半分を今御指摘のように計上することとしているところでございます。

 三十一年度におきましては、ふるさと納税に係る寄附金収入を四千五百八十六億円と見込んだ上で、この半分の二千二百九十三億円、これを雑収入として計上しているところでございます。

井上(一)委員 それでは、三十一年度まではとりあえず激変緩和の観点から段階的に計上してきたということですけれども、三十二年度以降はこの計上方法はどのようになるんでしょうか。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 ふるさと納税に係る寄附金収入につきまして、三十一年度地方財政計画、先ほど申し上げたようなとおりでございますが、その先、三十二年度以降につきましては、三十一年度の計上方法も踏まえながら、各年度の地方財政計画を策定していく中で検討することとしております。

井上(一)委員 ふるさと納税に係る地方財政計画の計上方法、それから普通交付税の算定方法の考え方、これは異なっているわけですけれども、その考え方に違いが生じている理由を教えていただきたいと思います。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 地方交付税の基準財政収入額につきましては、これは、地方財政計画に計上しております歳入のうち、地方税、地方譲与税、それに関連する交付金などの標準的な収入額を算定することとしているところでございます。

 一方で、地方財政計画の歳入には、補助金、負担金、手数料、使用料のほか、寄附金、財産収入などを計上しているところでございますけれども、これは地方交付税算定上の基準財政収入額には算入していないところでございます。

 考え方でございますけれども、地方税につきましては、これは行政主体である地方団体が強制的に徴収することができるという本質を有しておりまして、経常的な収入となるものでございますけれども、御指摘のふるさと納税による寄附金につきましては、そうではなくて、あくまでも個人の自発的な意思に基づく収入であり、また、年度間の変動が大きく、経常的な収入とは言えないということが一つございます。

 このため、社会保障関係費を始めとした基準財政需要額で算定している経費を賄う財源と位置づけることは適当ではない、こういった考えで基準財政収入額には算入しない取扱いとしてきたところでございます。

 なお、いわゆるふるさと納税制度ができるに至る際に、総務省の方でふるさと納税研究会というのが設置されて、いろいろ検討されたんですけれども、平成十九年十月の報告書の中では、ふるさと納税の趣旨を踏まえれば、寄附を受領した地方団体の地方交付税が減少することのないようにすることが望ましい、こういったことも議論されてきたところでございます。

井上(一)委員 足立議員がいろいろ議論されましたけれども、やはり、こういうふるさと納税制度を法律で書くと、今まで様子見だったところも、ふるさと納税、これはやっていくと思うんです。そうすると、地方団体が切磋琢磨できる環境を整えたい、それから競争を前提とした制度ではないと言いつつも、やはり各市町村は競争せざるを得ない状況になってくるのは、これは間違いないと思うんです。

 そうすると、今まではふるさと納税、大体、先ほどの最新額でも、三千六百五十三億円がふるさと納税額の総額でしたけれども、やはりこれはもっともっと大きくなっていくし、控除額も恐らく相当大きくなっていくと思います。市町村はやはり競争せざるを得ませんので、強いところはどんどんどんどん増収するし、そういった経営的感覚のない、特に小さい村とかそういうところはやはり減っていかざるを得ないと思うんです。

 そういう中で、今のような地方財政計画で、これはある程度ゆがみを補おうとはしているとは思いますけれども、これからどんどんどんどん差が開いていくので、これは制度的に本当に安定的な制度なのかなというのは、正直、今のところ私は疑問に思っています。

 これからこの制度を、法律ができて本格的になってくるとすると、そういった根本的な問題は必ず出てくると思いますので、ぜひそういった、副作用というと変かもしれませんけれども、よく見ていただいて、もしそういう、変調というかおかしいなというところが出てくるのであれば、やはり法律もまた見直すということをぜひしていただきたいと思います。これはちょっと通告もしておりませんので、意見にとどめたいと思います。

 じゃ、ちょっと中途半端になりますけれども、どうですかね、一回とめておいた方がいいですか、次の質問。けれども、総理が来られるまではやっておいた方がいいでしょうか。

江田委員長 はい。ちょっとやってください。

井上(一)委員 はい。じゃ、やるとしましょう。

 じゃ、続きまして、激甚災害、これの関係でちょっと御質問したいと思います。

 昨年は、七月の豪雨災害を始め、大変災害の多い年でありまして、私の地元京都府北部でも大きな被害がありました。

 激甚災害として指定がなされますと、公共土木事業などにおいて、国庫補助率のかさ上げ措置、それからさまざまな交付税措置、これが講じられることになります。それで、全額国の方で負担になればいいんですけれども、やはりそれでも自治体の負担は残ってしまいます。

 こういった大規模な災害が連続する時代になっていることを考えると、特に小さい市町村、こういうところの自治体の負担、これは大災害が起こったときにはもうゼロにする、そういうような仕組みが必要じゃないかと思います。この点について政府の考え方を聞かせていただきたいと思います。

米澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました激甚災害制度につきましては、著しく激甚である災害が発生した場合に、地方財政の負担を緩和し、又は被災者に対する特別の助成を行うために、国の地方公共団体に対する特別の財政援助等を行うものでございます。

 これによりまして、例えば公共土木施設の災害復旧事業で申し上げますと、通常よりも高率な国庫補助率が適用されます。それに加えまして、激甚災害に指定されることによりまして、補助率が更に一から二割程度かさ上げされます。さらに、地方公共団体の負担分につきましては、全額を起債し、その元利償還金の九五%が基準財政需要額に算入できる、こういった地方財政措置が講じられることになります。こういったことで実質的に地方公共団体の負担は大幅に軽減されているところでございます。

 引き続き、内閣府といたしましては、被災自治体の財政負担が軽減されるよう、適切な制度の運用を行ってまいりたいと考えております。

井上(一)委員 今御説明ありましたように、大幅に負担が減るのは、それは今の制度でそうなっているわけですけれども、私は、やはりこれはゼロにすべきだというふうに思っております。ぜひ、与党の先生方にも御理解いただいて、やはり、こういった大災害が起きたときに市町村で負担が生じるというのは、財政上非常に大変な状況になりますので、大災害が起きたときにはもうゼロにするというような形をぜひ進めていきたいなと思っています。

 最後の質問になりますけれども、同じような質問で、この七月豪雨災害で、京都府北部を運行している京都丹後鉄道、これは第三セクターの鉄道会社なんですが、通勤通学に利用されておりまして、極めて公共性が高い鉄道であります。

 災害時における補助について、これは鉄道ではなくて道路の場合ですね。道路の場合には、三分の二が国庫補助を受けて、さらに、激甚災害に指定された場合には更に一、二割程度補助率がかさ上げされるということに制度上なっています。

 他方で、鉄道の場合には、災害時における補助は、道路の場合は三分の二でしたけれども、これが四分の一にとどまっており、激甚災害となった場合のかさ上げもありません。ということで、道路と違ってそういった特別の制度がないということです。

 やはり、第三セクターの鉄道、これは道路と同じように地域住民にとって欠かすことのできない交通手段でありますので、道路と同様な特例的な取扱い、これをぜひしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

江田委員長 国土交通省江口大臣官房技術審議官、答弁は、時間が来ておりますので、簡潔明瞭にお願いいたします。

江口政府参考人 お答えいたします。

 鉄道事業は、営利を目的とする鉄道事業者により営まれるものでありますことから、鉄道施設が災害により被害を受けた場合には、鉄道事業者がみずからの判断のもと、みずからの資金により復旧することを基本としています。

 しかしながら、経営が厳しく、鉄道事業者の資力のみで復旧することが著しく困難な場合には、復旧について鉄道事業者と地方公共団体の間において合意がなされることを前提とした鉄道軌道整備法に基づく支援制度があります。

 この支援制度につきましては、昨年の通常国会におきまして改正されまして、黒字の鉄道事業者であっても一定の要件を満たせば補助することが可能となりますとともに、大臣が特に必要と認める場合には、補助率を四分の一から三分の一に引き上げることが可能となりました。また、こうした国庫補助に加えまして、地方財政措置による支援制度もあると承知しております。

 さらに、昨年の平成三十年七月豪雨の際には、鉄道事業者と国土交通省関係部局から成る連絡調整会議を設置しまして、道路や河川などの関連事業と連携、調整することにより円滑な鉄道の復旧を進める仕組みを構築したところでございます。

 国土交通省としましては、被災した鉄道が早期に復旧されるよう、鉄道軌道整備法による支援などとともに、他事業との連携も含め、必要な支援を行ってまいります。

井上(一)委員 これからも要望を続けていきますので、よろしくお願いいたします。

 では、残余の質問は午後にさせていただきます。

江田委員長 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。

 私からは、今この総務委員会でも連日問題となっています統計の問題、特に毎月勤労統計のサンプル入れかえの件、御質問いたします。

 きのう提出された厚労省のメールによれば、二〇一五年の九月八日に、厚労省は検討会の座長に対して、姉崎統計部長は部分入れかえ方式には否定的だという趣旨のメールを送っています。そして、現に、九月十四日の午後二時までは、報告書案には、総入れかえ方式が適当となっています。ところが、その日の午後十時、八時間後には、部分入れかえ方式も引き続き検討と修正されて、タイトルも、報告書だったのが中間的整理に変わっている。

 じゃ、この間何があったのか。

 これは、十四日の午前中に中江総理秘書官と姉崎統計部長が面会をしていて、その後に厚労省からは、委員以外の関係者と調整している中で、部分入れかえ方式で行うべきとの意見が出ましたと阿部座長にメールをしている。

 そして、その翌々日の九月十六日の第六回検討会では、姉崎統計部長が部分入れかえ方式を検討したいと発言をして、阿部座長も欠席し、そして委員も三名しか出席していないような中で、中間報告書は、引き続き検討。

 そして、その後検討会は開かれないまま、二カ月後の十二月十一日の統計委員会では、厚労省の担当者から、部分入れかえ方式が適当、そういう資料が出ています。

 これは、四カ月にわたって議論した経過が、報告書提出の前々日に差しかわっている。タイトルまで変わっている。そして、九月八日までは、姉崎統計部長は部分入れかえ方式には否定的だったんです。それが、急転直下、十四日に方針が百八十度変更になるのは、これはやはり十四日の午前中に中江秘書官と姉崎部長が会ったからだというのは、誰が見ても明らかではないでしょうか。

 こうした状況を見れば、考えられるのは三つです。一つは、総理が中江秘書官に指示をしたのか。二つ目は、中江秘書官が総理の意向をそんたくしたのか。三つ目は、厚労省が中江秘書官の意向をそんたくしたのか。これは、もう従来のように、統計的な、専門的な議論の結果という答弁であり得ないということは、誰が見ても明らかです。

 ただ、私は、きのうの予算委員会で枝野代表が申し上げましたけれども、総理が指示したとは思いません。だとすれば、これは中江秘書官か厚労省がそんたくしたとしか考えられないんですけれども、これは総理の見解をぜひ伺いたいんです。

 ただ、総理、今までのように、サンプルの入れかえをしないと三年間段差ができるとか、中身の話を私は聞きたいんじゃないんです。中身がいいか悪いかじゃなくて、きのう小川委員が質問したように、プロセスがどうかということですから、今私が申し上げた経緯からすれば、やはりそんたくがあったと言わざるを得ないんですけれども、総理、見解を教えてください。

安倍内閣総理大臣 毎月勤労統計における最終的な調査方法の見直しについては、統計委員会を始めとする専門家の検討を経て、統計的な精度向上の観点から行われたものであると承知をしております。

 私や私の秘書官の意向をそんたくしたものではないことは、これまでの予算委員会等での厚生労働省の答弁などでもこれは明らかなんだろう、こう思っているところでございます。

高井委員 いや、明らかに全くなっていないと思いますね。それは、今私がちょっと早口で、きょうは時間がないから早口で申し上げましたけれども、今の経緯を丁寧に見たら、厚生労働省が幾らそう言っていたって、それは後づけでそう言ったとしか思えないんですよ。

 本当に、私がきょう質問したいのは、中江秘書官じゃなくて、私は、官邸の意向とかいうよりも、厚労省がやはりそういったことをおもんぱかってしまう、そういう体質を問題にしたいと思っているんです。厚労省が悪いとか、そういうことでこの問題を片づけてはいけない。

 それは、昨年の森友学園にしろ、加計学園の問題にしろ、裁量労働制のデータ捏造にしろ、いずれも、これは官邸からの明確な指示ということではなかったかもしれませんが、やはり総理や官邸の意向をおもんぱかった、財務省であり、内閣府であり、厚労省のそんたくが原因だと、私はそう考えます。

 私は、総理のせいだとだけ言うつもりはありません。これは、ある意味、総理も勝手にそんたくされているんだということかもしれません。しかし、こういったそんたくということが起こることを、この原因を究明しない限り、こうした問題はこれからも起こるんです。そこの原因のところをしっかり、私は総理がその原因を考えるべきだと考えますが、こういったそんたくが続く原因を総理はどのようにお考えですか。

安倍内閣総理大臣 これは、厚労省がそんたくをしていたかもしれないという御質問なんだと思うんですが、まず、いわゆる不正な調査が十五年間にわたって行われていた統計問題とは全く関係のない事柄でございます。サンプリングの入れかえを、全部入れかえるのか、一年ごとに半数入れかえるのかということであって、精度の向上ということにおいては、これは阿部座長もそのように述べておられるわけでございます。

 先ほど、中身はというお話なんですが、やはり中身ということなのかなと私は思っているところでございます。安倍政権をそんたくしたとおっしゃったんですが、予算委員会でも申し上げたんですが、ここで、二〇一五年では、一年ごとに入れかえるということが安倍政権の経済政策をよく示すのかと言われれば、三年間ずっと入れかえなければ、むしろ段差が大きくなって大きく見せてしまうわけでありまして、それで三年後に全数入れかえしますから、これが落ちる。これは、後、三年間さかのぼっていくということであったわけでございまして、普通に考えれば毎月毎月出ているんですが、これは三年後にならないと実は上がらないよという統計で果たしていいのかという、いわばユーザーのニーズが、随分そういう声があったというのは事実なんだろうなと。普通、思っていても、これはどうなのと私は当然思うのではないか、こう思う次第でございます。

 いずれにせよ、一五年入れかえても、実際に入れかえるのは、決めても、入れかえるのは一八年から入れかえるということになっていくわけでございますから、実際、じゃ、これはどうなのか、入れかえた結果どうなのかとはっきりとわかってくるのは一九年。一五年、当時はまだ私の総裁選の任期って二期ですから、一八年にこれは終わるわけでありまして、一九年の人のことを考えて、それは私のことをそんたくしたということにはならないのではないかなと。そもそも、それは全然、論理としてどうなのかということでございまして、先ほど申し上げたとおりでございます。

高井委員 ただ、その中身を総理は必ずおっしゃいますけれども、今のプロセスを見たら、明らかにやはり異常なわけですよ。姉崎統計部長、ずっとそれまで専門家が四カ月にわたって議論をしてきて、そして姉崎部長も、九月の八日の時点では座長に対して総入れかえ方式でいきたいと言っていたものが、しかも十四日の朝までその報告書だったものが、中江秘書官に会って突然変わるというのは、私も役所で働いていましたけれども、そんな急な変更というのは、これはやはり異常なことですよ。

 総理、そうやって逃げますけれども、私は、だから、総理が指示したと言っていないんですよ。総理が指示していないけれども、役所がそういうふうな空気になっているということをもうちょっと自覚をされて、そこを考えていかないと、同じことがまた起こりますよ。

 私は、この原因は何かと。これは、小川委員も予算委員会で取り上げていますけれども、やはり人事だと思います。しかも、いろんな人事がありましたけれども、決定的だったのは二〇一三年の内閣法制局長官人事ではないでしょうか。

 これまで、法の番人と言われて、代々内部から、もう一九五二年から、第一部長から法制次長をやった方が法制局長官という、やはり独立性や中立性というのが非常に大事にされたこの内閣法制局の長官人事を、総理は、集団的自衛権の解釈を変えたいということで、突然外務省のOBの方を起用された。これは本当に霞が関は震撼したと思います。

 こういった人事が、宮内庁長官の人事もそうです、私はこれを菅長官に内閣委員会では何度も質問しました。もう適材適所としか答えられないんですけれども、しかし、そこで片づけてしまっていることがこの問題を大きくしているということだと思います。

 これは、こういった人事の問題がこうしたそんたくを生んでいると私は確信していますし、多くの国民はそう思っていると思いますが、総理はどのようにお考えですか。

安倍内閣総理大臣 幹部人事の一元管理制度は、縦割り行政の弊害を排除して、内閣の重要政策に応じた戦略的な人事配置を実現することを目的に導入されたわけでございまして、任命権者である大臣による人事評価に基づく適格性審査と任免協議の二つのプロセスを通じ、複数の視点によるチェックが行われ、能力・実績主義に基づく公正中立な人事配置を行う仕組みとなっており、強権的との指摘は、これは当たらない、こう思う次第でございます。

 また、経済財政諮問会議は、まあ経済財政諮問会議については触れておられませんから、この人事だけについて申し上げますと、これはやはり、政治主導ということにおいて、我々国会議員というのは、基本的に任期四年でございますが、選挙で選ばれるわけでございます。国民の意を受けて、そこで公約したことを実行していく、大きなこの理念、基本的な政策のもとに政権を運営をしていくわけでございまして、それを実行していく上において配置をどうしていくかということを考えていくのは、政治主導、ある意味、正しい民主主義国家における政治主導ということにおいては当然のことだろう、こう思っておりますが、それも、ただ単に、今申し上げましたように、恣意的に行うのではなくて、複数の視点によるチェックが行われ、能力・実績主義に基づく公正中立な人事配置を行う仕組みとなっているということでございます。

高井委員 これは本会議でも取り上げましたけれども、私は、内閣人事局という制度自体が間違っていたとは思いません。しかし、それをどう運用するかというところで大きく変わってくるんだということを申し上げたいと思います。

 もう一つ、菅官房長官の強権的な政治の象徴が、先般の内閣記者会に対する抗議文だと思います。

 これは、二月十二日の予算委員会で、菅長官は、東京新聞の望月記者の質問に、これは決め打ちだと批判をされました。しかし、決め打ちだったら、これは会見で聞く必要はないですよね。国民の知る権利を確保するために事実を確認するのが記者会見であって、たとえ不正確な情報であっても、それを問いただすことによって事実を確認する。これが否定されたら、権力側が認めた事実しか認めないんだということであれば、これはもう民主主義国家とは言えません。

 また、これも私、そんたくじゃないかと思うんですけれども、質問中に報道室長が何度も何度も遮るんですね。一分半の質問に七回も遮る。これはもう見ていて本当に見苦しいですよ。一生懸命菅長官に仕えようとしているんですが、これはやはり対外的に見ても非常にマイナスだと思います。

 これは、官房長官にこの文書、抗議文書を撤回させるという考えは、総理、ありませんか。

安倍内閣総理大臣 知る権利は当然大切なものでありますし、それは民主主義を機能させていく重要な柱であろう、こう考えております。

 私どもとしましては、このいわば記者会見等が、これは内閣記者会によって運営されているというふうに承知をしているわけでございますが、この趣旨にのっとって運営されていくことを期待をしているところでございます。

高井委員 こうしたさまざまなことがマスコミの自由度ランキングもどんどん下げているということも、これもあわせてぜひ総理には御自覚をいただきたいと思います。

 最後の質問にしますけれども、これは、きのうの予算委員会でも取り上げられましたけれども、この総務委員会でも問題になっていますが、統計委員長が非常勤の公務員であるということで、この委員会に出席できないという話がありました。

 私は、これはそもそも統計委員会の位置づけそのものにやはり問題があるんじゃないかと思います。やはりこれだけの問題が起こっている統計で、私は、公正取引委員会とか個人情報保護委員会のような三条委員会、そして常勤の委員を、委員長を選任する、そういう委員会にすべきだと考えますが、総理の見解を伺います。

安倍内閣総理大臣 西村統計委員会委員長は、お忙しい中、支障のない限りにおいて、国会には協力する所存とおっしゃっていると承知をしております。これまで国会に四回出席をし、意見を述べていただいていると承知をしております。

 我が国の統計機構では、各府省が所管行政に関連する統計作成を担い、統計委員会は統計整備の司令塔機能を果たしてきました。また、統計委員会委員長については、他の職についている方からも広く登用することができるよう、非常勤としています。

 さらに、統計機構の一体性を確保するために、昨年の統計法改正により統計委員会の機能が強化され、各府省の所管する統計調査について、予算や人材の配分を含め、自律的、機動的に政策提言等を行うことができるようになったところであります。まずは、こうした機能を十分に活用していくことが重要であります。

 また、今回の統計をめぐる問題を受けて、統計委員会に点検検証部会を設置し、第一回会議を先週開催したところであります。各府省が所管する統計について、再発防止に向けて徹底した検証を行うこととしており、そうした結果も踏まえつつ、総合的な対策を講じてまいる所存であります。

高井委員 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 国民民主党・無所属クラブ、奥野総一郎でございます。

 総理、きょうはよろしくお願いをいたします。

 最初に、ちょっと通告はしていないんですが、県民投票の話を伺いたいと思います。

 昨日来話題になっていますが、県民投票の結果が出ました。それを受けて、総理はどう対応されるのか。

 前回県民投票が行われたのは一九九六年ですね。このとき、橋本龍太郎首相が、その結果を受けて、大田知事とすぐに、二日後に会談した。このときは、米軍基地の整理縮小と日米地位協定の見直しがテーマだったんですが、沖縄の圧倒的な民意を受けてすぐに会談したという事実がございます。

 今回、総理、玉城知事とこの結果を受けて話合いをされるおつもりはおありでしょうか。済みません、通告はしていませんが。

安倍内閣総理大臣 米軍基地が沖縄県に集中をしているという現状を我々は到底是認することはできません。沖縄の基地負担の軽減にこれからも努力をしていく考えでございます。その中で、今回の県民投票の結果を真摯に受けとめまして、今後も基地負担の軽減に努力を積み重ねていく考えでございます。

 同時に、住宅や学校に囲まれた、世界で最も危険と言われる普天間基地の固定化により、危険な状況が置き去りにされたままになることも避けなければならないわけであります。

 日米において普天間基地の全面返還が合意されて二十年以上が経過をしようとするわけでございますが、いまだに実現されていない。もはや先送りすることはできない、この考え方につきましては沖縄県の皆さんも同じだろう、こう思っているところでございます。

 いずれにいたしましても、玉城知事から求められれば、お目にかかってお話をしたい、このように考えております。

奥野(総)委員 いい答弁でありました。

 やはり、沖縄の民意にしっかり耳を傾けるということが今大事だと思うんですね。このままだと日本が分断されてしまいますから、総理、ぜひ、じっくり耳を傾け、胸襟を開いて知事と話し合っていただきたいとお願い申し上げます。

 それから、続いて、通告の中身に入っていきますが、最初は地方創生についてであります。

 地方創生の法案ができたときに、総理はこう答弁しています。国は、東京一極集中の是正など、地方だけでは解決できない構造的な問題に全力で取り組む、まず一極集中を国が解決していくんだ、そして、地方は、地域の実情を踏まえて、雇用創出、少子化対策、移住促進などの施策をしていくんだ、こういう答弁を、当時、地方創生の方の審議のときにされているわけであります。

 思い起こせば、東京一極集中を、ストップをかけて、地方で定住をしてもらって、そこで働いてもらって、ゆったり暮らしていくことで少子化にストップをかけていく、そういう地方創生の狙いがあったかと思うんです。

 きょうは、資料をお手元にお配りをしています。資料一、二というところでありますが、その中で目標とされたのが、一つは、二〇二〇年まで五年間の、これは二〇一五年スタートですから、二〇二〇年までに、基本目標2というところですけれども、東京圏への転入転出を均衡させるということですね。これ以上東京圏の人口をふやさないんだという、この資料一の基本目標2という目標。これは先日総理が我が党の階委員に答弁して、非常に難しくなったという趣旨の答弁をされています。

 そして、もう一つが、地方に定住するために、地方に若者の働く場をつくろうというのが基本目標の二であります。これは、二〇二〇年までの五年間に三十万人の若い世代の雇用創出だ、こう書いて、現状二十七・一万人となっているんですね。ここは達成できていると書いてあるんですが、じゃ、何で東京圏への流入がとまらないのかということなんです。

 それで、一枚めくっていただいて、資料二というのをお配りをしていますが、二十歳から三十四歳、地域別雇用者数ということであります。これは、総務省統計局の労働力調査、統計ですね、統計はやはり大事なんですよ。

 見ると、南関東というのは、注を打ってありますが、埼玉、千葉、東京、神奈川、まあ東京圏なんです。南関東圏はふえている。しかし、ほかの地域は、沖縄はふえていますが、ほかの地域は減っているんですね。

 これは、二〇一二年というのは民主党政権最後の年、安倍政権ができる前の年ですけれども、そこから比べてどうなっていますか。実は、地方の雇用者数は減っているんですね。これは、まさに今、東京圏への流入がとまらないという話と一致しているんですよ。

 それで、なぜこの違いが起きるのかということなんですが、これは、実はバーチャルな数字を使っていて、実際、外国人も入っていれば、やめた人も入っているし、いろんな統計の手法、統計というか計算を駆使して、バーチャルにこの二十七万人という数字をつくっているようなんですね。だから、大事なのはこの統計実数なんですよ。

 こういうのを見ると、地方創生の評価、うまくいっていないんじゃないか、むしろ失敗なんじゃないかと。東京圏への流入がとまらない、あるいは地方での雇用が創出されないということは、当初の狙いどおりいっていないんじゃないかと思いますが、総理、地方創生についての評価を伺いたい。

安倍内閣総理大臣 大変重要な御指摘だと思います。

 この資料二を見ていただきますと、これは一二年までしかさかのぼっていないわけでございまして、確かに、この安倍内閣の六年間で三十万人減少しているのは事実であります。

 でも、これは、さかのぼって、二〇一一年、一〇年、九年がどうだったかというと、この三年間において実は百万人減っているわけでございまして、これは別に民主党が悪いということを言っているのではなくて、だけの問題ではなくて、若者世代全体の人口が減る中で、今世紀に入ってから一貫して減少傾向が続いてきたものであります。

 確かに、安倍内閣の六年間で三十万人程度減少は事実でありますが、その前の六年間は実は二百万人以上減少したことに比べれば、明らかに減少傾向に歯どめがかかったということは事実だろうと思っています。

 二〇一六年、史上初めて全ての都道府県で有効求人倍率が一倍を超えて、地方に仕事が生まれる中、この年、南関東を除く地方の若者雇用の数は十年ぶりに前年比プラスに転じたところであります。さらに、足元でも、昨年は六万人増加し、北海道、北陸、九州など多くの地域で増加をし、その伸びは今世紀に入って最大の伸びとなっております。

 東京一極集中、東京圏への転入超過が、地方創生において、これは事実、最大の課題でもありますが、その大半を十代後半、二十代の若者が占めていますことを考えれば、地方に魅力あふれる学びの場、働く場をつくり、若者の地方への流れを太くすることが重要であります。

 このため、引き続き、地方創生推進交付金などを活用し、魅力あふれる地方大学づくりや地域おこし協力隊の拡充、そして、地方へ移住し、起業、就業をスタートする際に、最大三百万円を支給する新しい制度によって、地方にこそチャンスがあると考える若者たちの背中を後押ししていきたいと考えております。

奥野(総)委員 いや、私が申し上げているのは、民主党政権時代はどうだったのかということではなくて、それはリーマン・ショックも、いろいろありました、言いわけをする気はありませんが。

 ただ、やはり目標は達成できていないわけでありますね。統計の数字をやはり真摯に見て、じゃ、本当に地方創生交付金一千億は有効に機能しているんですか、本当にお金の使い道として大丈夫なんですか、もっと違うやり方をそろそろ考えられたらどうですかというのが私のきょう申し上げたいことであります。

 ちょっと、これもまた、統計の話が出たので、少し。

 統計はやはり大事なんですよ。だから、統計をきちんと、信頼を取り戻さなきゃいけないと思います。だから、総理にもう一度確認なんですが、今の統計の問題について、今、監査委員会でやっていますが、きちんと調査をして、隠蔽がなかったのか、それから官邸の関与がなかったのか、統計が信頼を取り戻せるように早期に報告を公表していただきたい。これは予算の審議の前提だと思うんですが、早期に客観的な報告を出していただきたいんですが、どのようにお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほど、私は別に民主党政権を批判したわけではなくて、そういうトレンドであったと。我々が政権をとる前の三年間で百万人減少していましたが、その前の三年間、第一次安倍政権も含めての自民党政権の三年間も百万人以上減少しているんですから。この合わせての六年間で二百万人以上減少している中において、今回の六年間では約三十万人にとどまっているというのは、相当この流れを食いとめているのではないかということを申し上げているわけでございまして、リーマン・ショックとこの減少は余り関係のない話であります。

 実は、景気が悪くなりますと、景気がすごい、非常に悪くなると、これは菅政権でありますが、非常に景気が悪いと東京への流入はぴたっととまってくるわけで、東京に行っても仕事がないんですから。いわば、仕事がないと、非常に景気が悪いときには東京への流入はとまります。景気がいいときにいわば流入が起こってくるというのが基本的な流れで、景気がいいにもかかわらず今流れはとまっているということを申し上げているところでございますから、景気が悪かったからということではないということでございます。

 それと、当然、統計においては、マクロ政策を進めていく上においても、さまざまな政策を進めていく上においても極めて重要でございますから、十五年間にわたり不適切な調査が続けられてきた、それを見抜けなかったことについては行政府の長として深く反省をしているところでございまして、しっかりと徹底的に検証し、再発防止に努めていくことで責任を果たしていきたいと考えております。

奥野(総)委員 最後に一問だけ、さっきの話に戻りますが、地方創生交付金という中央集権的な手法ではなくて、やはりもっと分権を進めていくべきじゃないか。道州制とか、それから地方の自主財源、財政自主権とかというのをもっと、あるいは我々が進めてきた一括交付金、こういうのはもっと分権的手法を取り入れるべきじゃないか。

 もうちょっと言えば、例えば憲法についても、地方自治については非常に記載が少ないわけですね。最近総理は、憲法、諦められたのか、おっしゃられませんが、憲法も含めてそういう議論をしてはいかがかと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 道州制の導入については、現在、引き続き与党において検討がされてきておりまして、政府とも連携しつつ取り組んでまいりたい、こう考えております。

 そしてまた、憲法改正についての話でございますが、確かに現行憲法においては地方自治についての記述が少ないのだろう、これは多くの人が指摘をしているところでございますが、内閣総理大臣として答弁をしておりますので、この場でお答えすることは差し控えたいと思いますが、こうした議論はぜひ憲法審査会の場において御議論いただければ、このように思うところでございます。

奥野(総)委員 以上で終わりたいと思います。

江田委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

 総理に、冒頭、二日前の沖縄県民投票で、辺野古の新基地建設反対という沖縄の皆様の明確な民意が示されました。今すぐ埋立工事をやめ、国家権力を総動員した沖縄への嫌がらせをやめることを強く求めたいと思います。

 きょうは、セクシュアルハラスメント、性暴力の問題で総理に質問をいたします。

 財務省のセクハラ事件では、麻生財務大臣が、はめられたとか、男性の番記者にかえればとか、セクハラ罪はないなどと言い、被害女性を一層傷つけ、被害者が声を上げたら攻撃されるという最悪の事例をつくり出しました。その後も、産まなかった方が問題などと、個人の尊厳を踏みにじる発言をしております。

 さらに、自民党の衆議院議員の盗撮、性暴力について、名古屋市の女性から準強制性交容疑で刑事告訴されております。重大な人権侵害行為を行った議員は、議員を辞職させるべきです。甘い処分は絶対に許されません。この問題に対し、衆議院議長、そして文部科学大臣、財務大臣、労働大臣、防災担当大臣、国家公安委員会委員長まで務められた自民党の重鎮の議員が、問題にならないようにやらなだめだよな、同じことをやるにしてもと、信じられない発言をいたしました。

 総理は、自民党の総裁でございます。議員を公認している立場でございます。被害女性に、国民の皆様に謝罪をするべきではないですか。

 そして、日本は、ジェンダーギャップ指数が調査対象の百四十九カ国中百十位、ジェンダー平等は国連のSDGs、持続可能な開発目標の五番目の目標でございます。それにもかかわらず、日本は世界の中で大変おくれた状況となっております。

 今挙げたような大臣や国会議員の意識、そして長年の自民党政治が日本のジェンダー平等の足を引っ張っている、そういう自覚は総理にはありますか。

安倍内閣総理大臣 個別の事案についてお答えすることは差し控えますが、女性に対する暴力やセクハラは、重大な人権侵害であり、決して許される行為ではありません。

 その上で、全ての女性が輝く社会づくりに向けた政府・自民党の決意は揺るぎません。一つ一つの政策を実行することで、しっかりと前に進んでいく考えであります。

 ジェンダーギャップについての御質問がございましたが、我が国のジェンダーギャップ指数が国際的に低いことについては、経済分野における女性管理職の割合や政治分野における女性議員の割合が低いことが主な原因であると認識をしております。

 こうした中で、有価証券報告書への女性役員数の記載を義務づけることとともに、コーポレートガバナンス改革に取り組み、女性役員の数はこの六年で二・七倍にふえました。

 また、昨年、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が成立をいたしました。国会におきましても、高市早苗議員が衆参両院を通じて初の女性の議運委員長に、また野田聖子議員が衆議院初の女性の予算委員長に就任をしたところは御承知のとおりであります。内閣においても、五名の女性副大臣は過去最高でございますし、また、地方議会でも女性議員の数や環境整備の現状を比較できるよう見える化を推進しており、女性参画を促していく考えであります。

 今後とも、具体的な政策の実行を通じて、女性活躍社会の実現を目指していく考えであります。

本村委員 総理のお言葉は、実態が伴っていないというふうに思います。女性閣僚はたった一人ですし、今も参加している議員は、女性は私一人でございます。

 私たち野党は性暴力被害者支援法を出しておりますけれども、審議をしていただいておりません。そして、性暴力被害者支援交付金も物すごく少額でございます。

 麻生財務大臣を含め、財務省のセクハラ事件で、セクハラ問題の日本の実態は全然だめだと。外国専門家その他から、日本はひどい、ジェンダーギャップ指数が低いのがこれで証明されたという発言を、内閣府男女共同参画、女性に対する暴力専門調査会の会長が調査会の中で述べております。深刻なほど日本はおくれている、そういう自覚を持っていただきたいと思います。

 この国会には男女雇用機会均等法の改定の案が出されるというふうに言われておりますけれども、出ている要綱案を見てみても全く不十分な内容でございます。

 安倍政権、日本政府に対して、国連女性差別撤廃委員会からも、セクハラ禁止規定を入れるように求められております。均等法にはセクハラ禁止規定がなく、何が禁止される行為なのか法規定がないために、被害者が救われておりません。被害者が心身に甚大なダメージを受け、眠れなくなる、働くことができなくなる、退職に追い込まれる事例が後を絶たないわけでございます。そうやって仕事をすることができなくなれば、老後だって年金は少なくなり、女性は貧困に陥れられるということになるわけでございます。人格権を侵害され、働く権利を奪われ、そして生存権さえ踏みにじられております。

 日本の被害女性の実態と、そして世界の常識を取り込んで、セクハラ禁止規定を入れ、何が禁止される行為なのかを法規定で明確にし、被害者を一刻も早く救済する制度にするべきです。総理、お答えをいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 職場におけるセクシュアルハラスメントは、働く方の尊厳や人格を傷つけ、職場環境を悪化させるものであり、あってはならないことと考えております。

 政府としては、昨年の厚生労働省の審議会での議論を踏まえ、今後のハラスメント対策の法整備の中で、セクハラは許されないものであり、他の労働者に対する言動に注意を払うよう努める趣旨を明確化することや、労働者が事業主にセクハラの相談を行ったことを理由とした不利益取扱いを禁止することなどを通じて、ハラスメントのない職場づくりを目指してまいります。

本村委員 相談したことによる不利益取扱いの禁止は当然のことでございます。でも、それだけではだめなわけでございます。被害者の方々は、セクハラと認めてほしい、謝罪してほしい、二度とないようにしてほしいというのが被害者の願いでございます。

 被害者の方々が厚生労働省の労働局に訴えても、どちらが悪いという判断はできないと言われたり、セクハラと判断ができないというふうに言われております。

 資料としても出させていただいておりますけれども、厚生労働省の各都道府県労働局宛ての文書を見ますと、下線、資料四ですけれども、法及び指針は、個々のケースが厳密に職場におけるセクシュアルハラスメントに該当するか否かを問題にするものではないので、この点に注意することというふうに書かれております。

 ですから、セクハラと判断できない、労働局に訴えてもセクハラと判断できないわけでございます。セクハラかどうかわからないままでは、加害者はまた同じ過ちを繰り返すということにもつながり、また被害者が出てしまうということにもつながってしまいます。

 セクハラと認めてほしい、謝罪してほしい、二度とないようにしてほしいという被害者の願いが実現できる、迅速に被害者を救済できる制度に変えるべきだというふうに思いますけれども、総理、改めて答弁をお願いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 政府としては、昨年の厚生労働省の審議会での議論を踏まえ、今後のハラスメント対策の法整備の中で、セクハラは許されないものであり、他の労働者に対する言動に注意を払うよう努める趣旨を明確化することや、労働者が事業主にセクハラの相談を行ったことを理由とした不利益取扱いを禁止することなどを通じて、ハラスメントのない社会を、職場づくりを目指していく考えでございます。

本村委員 資料三を見ていただきたいんですけれども、世界銀行の二〇一八年レポートでは、OECDの高所得の国の中でセクハラの法規制がないのは日本だけと名指しをされております。OECD高所得のほかの国よりもセクシュアルハラスメントの被害者の方々の保護が不十分だ、世界におくれているという自覚は総理にはないんですか。

安倍内閣総理大臣 今回提出を予定している男女雇用機会均等法の改正案においては、労働者が事業主にセクハラの相談を行ったことを理由として不利益扱いを受けることを禁止することとしておりますが、これにより、不利益取扱いがあれば労働局が事業主に対する必要な指導を行うこととなりますが、この規定の創設によって、労働者がちゅうちょすることなく相談ができるようになり、被害者救済に一層資するものと考えております。

 こうした点について周知徹底を図ることなどにより、セクハラ行為に対する十分な牽制が働くよう、労働局においてしっかりと制度運用を図っていくことが重要と考えております。

江田委員長 本村さん、時間が来ております。

本村委員 セクハラ被害者が迅速に救済される制度を強く求め、質問を終わらせていただきます。

江田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、総理入りで総務委員会、開かれておりますが、本当はこれは地方税法の審議なんですよね。まあ、別に、ほかのことをやるなとは言いませんけれども、真面目に私たちは地方分権政党としてやっておりますので、地方税法、重要広範で総理まで入っていただいているのに、その法律案について議論しないというのがちょっと理解しがたいところでありますが。

 委員の中で、きょうは、希望の党の井上先生なんかはしっかりふるさと納税について議論していただきました。私も、先ほど総務大臣にふるさと納税についてやらせていただきましたが、総理にも、ふるさと納税についてもやります。ただ、先ほどちょっと統計不正の話がありましたので、若干時間を頂戴して、統計不正、やりたいと思います。

 そもそも、今の国会で、統計不正について的を得た議論がされているとは思えません。なぜこれは間違っているかというと、皆さん、毎勤統計は厚生労働省だけでやっていると思っているんですか。毎勤統計というのは予算が必要なんですよ。総務省の承認もとらなあかぬ、財務省の予算もとらなあかぬのですよ。そういうのを一般に総合調整といいます。教えてあげるよ、総合調整というんです。

 だから、ちょっと簡単につくってきましたよ、きょうはテレビ入りではありませんが。

 これは当たり前ですよね。縦割りの、各省庁が一番下にあります。

 厚生労働省は、毎勤統計改善検討会が開かれる二十七年の六月三日、当然、それ以前にも、当たり前ですよね、厚生労働省の官僚は阿部座長とかにお願いに行くわけです、こういう趣旨で検討会をやりたい。でも、いずれ、それで結果が九月か何かに出た、十月に出た、そうしたら、それを予算要求せなあかぬわけですよ。だから、翌年の二十八年の十月には総務省に承認申請をしています。当然、二十九年度予算に反映しているわけですよ。

 きょう、厚生労働省、財務省も来ているのかな。財務省でも厚生労働省でもどっちでもいいです。これは、毎勤統計改善検討会は予算にはねていますよね。どうはねていますか。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御紹介いただきましたように、毎勤調査につきましては、毎勤統計改善検討会で検討された後に統計委員会でも検討されまして、総務省の承認を経て、実際に方式を改定したというものでございます。

 この方式の改定の際、二十九年度予算において部分入れかえを導入するということに伴いまして、予算の増額、約五千万円程度でございますが、増額をしているところでございます。

足立委員 いや、それは、方式を変えれば予算にはねるんです。これは当たり前ですよ、こんな、役人、役人というか、永田町、霞が関では。そういうのを、だから財務省や総務省というのは総合調整官庁と呼ばれているわけです。縦割り官庁じゃないんです。総務省統計委員会は偉いんです、財務省主計局は偉いんですよ、だって総合調整するんだから。そこだけ見ているんじゃなくて、ほかも見て予算を配分するんでしょう。その上に諮問会議や官邸があるわけです。

 これは総合調整の仕組み、先ほど総理が政治主導とおっしゃいました。だから、私は、これは別に総理秘書官が、いや、今回のケースは総理秘書官の影響は受けていない、それは厚生労働省がそう言っているんだから受けていないんでしょう。受けていないんだけれども、僕は受けていてもいいと思うんですよ。

 これは総理、どうですか。いや、今回は受けていないで、僕はそんな異論ないですよ。でも、私は、仮に諮問会議で、だって諮問会議で統計の議論をしていますよ、総理官邸、だって、僕は二十年間役人をやっていましたけれども、毎日、総理秘書官と話していましたよ。当たり前じゃないですか、総合調整しているんですから。森羅万象、総理は森羅万象を見ている。その森羅万象を秘書官に割り振って、へまなことにならないかどうか、ずっと秘書官が目を光らせているわけですよ。僕は、秘書官がアプローチしていてもおかしくないし、その影響を受けていてもおかしくない、今回は受けていないが、受けていてもおかしくないと思いますが、どうですか。

安倍内閣総理大臣 お尋ねの、この当時の秘書官が問題意識を伝えた点については、毎月勤労統計のサンプルかえによって大きく統計数値が変わることに対して、その理由を尋ねたり、あるいは、専門家の意見も聞いてみてはどうかとした当時の秘書官の反応は私は至極当然のものであろう、こう考えているところであります。

 また、厚労省の検討会の阿部座長も、新聞報道によれば、統計の精度を改善するための意見と受けとめ、統計データを前年比で上振れさせるような政治的な意図は感じていない、こう述べておられると承知をしております。

 いずれにいたしましても、毎月勤労統計における最終的な調査方法の見直しについては、最終的には統計委員会を始めとする専門家の検討を経て統計的な観点から行われたものと承知をしておりますが、何度も述べておりますように、そこで、総理秘書官が報告を受けたことに対して、見識の範囲内において問題意識について意見を述べることは私は当然なんだろう、こう考えております。

足立委員 そうなんですよ。当然なんですよ。こういうふうに、官邸、諮問会議と総合調整官庁たる財務省、総務省と厚生労働省でやりとりは毎日あるんです。総理秘書官だって毎日どこかに電話しているんですから。

 その上で、じゃ、その事実はどうかという、皆さん、野党の皆さんが何か二十七年の九月の話をされていますけれども、これは、だから、予算要求で、さっき官房長から御紹介があったように、予算にはねているんだから、例えば、二十八年、二十九年度予算の予算要求の資料を見たらいいじゃない。見た、僕も見ていないけれども。予算要求の資料に、僕が厚生労働省の役人だったら書きますよ、総理秘書官御関心ですって。もう役所が予算要求をするときは予算をとってこないといけないんだから、何でも書きます。うそじゃない、うそじゃない範囲内で盛ります。盛りますよ。必死で各省庁は予算要求しているんだから、私はそれは当然だ、こう思います。

 それから、きょうは法案審議ですから一問だけ、ふるさと納税について。

 総理、本会議で安倍総理は、切磋琢磨ということをおっしゃっていただいた。私は、安倍総理は国と地方の関係をよく御理解いただいていると思いました。ところが、この総務委員会では、石田大臣は、ふるさと納税は自治体間の競争を前提とした制度ではないということで、三割、法定しているにもかかわらず、それの切磋琢磨を否定されているんですよ。これはどういう関係ですか。

 総理、ぜひ、石田大臣、競争はあるんだから、競争は認めろと、ちょっと御指示をお願いします。

安倍内閣総理大臣 ふるさと納税は、ふるさとや地方団体の取組を応援する納税者の気持ちを橋渡しするとともに、地方団体がみずから財源を確保して、さまざまな施策を実現するために有効な手段となっていると考えております。

 その一方で、一部の地方団体が過度な返礼品を送付し多額の寄附を集めていることが制度そのものに対する批判につながっていることから、制度が健全に発展するよう、今般の税制改正において、寄附金の募集を適正に行う地方団体をふるさと納税の対象とする見直しを行うこととしております。

 ふるさと納税制度は、過度な返礼品や過度な宣伝広報によって寄附金の受入額の多寡を競い合うための制度ではないと認識をしております。

 今回の制度見直しにより、法律上定められた一定のルールのもとで、地方団体の創意工夫により、ふるさと納税を通じて応援してくださる方々の理解と共感を得ながら、各地方団体が地域活性化のための努力を重ねていくことを期待しているところでございます。

 もちろん、これは、創意工夫を、今申し上げましたように、否定しているわけではなくて、自分たちの地域の魅力をお互いに切磋琢磨してこれは発信していくということも大変重要だと思っておりますが、今申し上げましたように、これは、余り過度になると制度そのものをゆがめるのではないかということではないかと思っております。

足立委員 最後に、総務大臣、今改めて総理から切磋琢磨というお言葉をいただきました。そうであれば、趣旨が、ふるさとへの感謝の気持ちを伝えること、第一に。第二に、税の使い道を自己決定する。それに加えて、三つ目に、地域活性、景気対策、消費拡大、この趣旨を入れるべき、明示すべきだと思いますが、大臣、どうですか。

石田国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたけれども、今回の改正におきましては、一定のルール、いわゆる三割以下、そして地場産品ということを明記させていただいておるわけでございまして、その中で切磋琢磨をいただくという趣旨だと思っております。

足立委員 以上、終わります。

江田委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 まず、総理に伺います。

 先ほどもありましたが、日曜日に行われました沖縄の県民投票、これをどのように受けとめておられるでしょうか。

安倍内閣総理大臣 沖縄県に米軍基地が集中する現状は、到底是認できるものではありません。沖縄の負担軽減は政府の大きな責任であります。今回の県民投票の結果を真摯に受けとめ、これからも政府として基地負担の軽減に全力で取り組んでまいります。

 住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対避けなければなりません。これは地元の皆様との共通認識であると思います。

 普天間の全面返還を日米で合意してから二十年を超えた今もなお、返還が実現しておらず、もはや先送りは許されないと思っています。長年にわたる地元の皆様との対話の積み重ねの上に、これからも御理解を得る努力を続け、普天間飛行場の一日も早い全面返還の実現に向けて全力で取り組んでいく考えであります。

吉川(元)委員 この間、沖縄の問題で総理は常々、沖縄県民の思いに寄り添うというようなことを何度も発言されておられましたが、その姿勢は今も変わりませんか。

安倍内閣総理大臣 この姿勢は、今も変わってはおりません。

吉川(元)委員 それでは、現在行われている辺野古の埋立て、これを一時中断するお考えはありますか。

安倍内閣総理大臣 日米でいわば合意をしたのは、世界でも危険と言われる普天間基地の全面返還でございます。しかし、全面返還する上においては、当時の橋本内閣とクリントン大統領、またモンデール大使との間で合意したものは、それは県内に移設をしていくということでございました。その後、小渕内閣において、辺野古に移設をするということが決定をしたわけでございます。

 これが順調に進んでいれば、既にこれは普天間の全面返還が間近になってきたのではないか、こう思うところでございますが、それが目的であるということをまず明確にさせていただきたいと思います。

 普天間飛行場の一日も早い全面返還の実現のために、これからも、今後とも全力で取り組んでいく考えでございます。

吉川(元)委員 しっかり答えてください。

 辺野古に今土砂投入がされておりますけれども、これを一時中断する考えがあるのかないのかを聞いているんです。

安倍内閣総理大臣 今申し上げましたように、実際に世界でも危険と言われているこの普天間飛行場を固定化させないためには、これは辺野古へ移設していくことが求められているわけでございますし、実際に、その中におきまして、今まで果たしてきた機能の三分の一しか移さないわけでございます。また、現在、防音工事が必要な一万戸、普天間においては一万戸の皆さんに防音工事を施さなければならないという状況があるわけでございますが、辺野古に移ればこれはゼロになっていくということになるわけでございます。

 こうしたことも含めて、負担の軽減を全体的に今進めているわけでございまして、まさにこの普天間の全面返還のために全力で取り組んでいく考えであります。

吉川(元)委員 ちょっと、委員長、言ってください。私が聞いたのは、今土砂を投入しているこの工事を一時中断することを考えているのかいないのか、するのかしないのかを聞いているんです。

江田委員長 安倍内閣総理大臣、関連して御答弁ください。

安倍内閣総理大臣 今申し上げましたように、この問題というのは、では、普天間飛行場を、普天間基地を、全面返還を実現するためには、辺野古の基地を完成させていく必要があるわけでございまして、そうして初めて普天間の全面返還が実現されるわけでございます。

 これを進めていくという条件のもとに、さまざまな負担の軽減が実現をしているわけでありまして、先ほど申し上げましたように、三つの機能のうち一つしか移らないという中におきましては、十五機の……(吉川(元)委員「同じことはいいです」と呼ぶ)これは、同じことではないんですが、十五機の空中給油機を岩国に移転をしたわけでございます。そういう理解をしながら、また米国側の理解も得ながら進めてきているわけでございまして、これを進めていくということがまさに私のお答えでございます。

吉川(元)委員 私が聞いているのは、今行われている土砂投入を一時中断するかどうかを聞いているんです。それに答えてください。

江田委員長 関連して御答弁いただいていると思うんですが、もう一度。

 安倍内閣総理大臣。

安倍内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますように、我々は、この工事につきましては、まさに普天間飛行場の全面返還を実現するために進めている……(吉川(元)委員「目的を聞いているんじゃないんです」と呼ぶ)目的を説明しなければ、これは根本的な説明にならないんだろう、こう思うわけでございまして、大切なことは、そうした一部を取り出して議論するのではなくて、何のために行っているのか、そして、果たして負担軽減は進んでいるのかどうかということではないのか、こう考えるわけでございまして、北部訓練場がこれは返還をされたわけでございますが、これは、沖縄返還後最大の返還になるわけでございまして、こうしたことは、まさに……(吉川(元)委員「土砂投入をするのか、一時中断するのかどうかを聞いているんですよ」と呼ぶ)再編成を進めていく中において、辺野古の基地を建設をして、そこに移設を進めていくということを進めていく中において米側が了解をしているわけでございます。そういうことも御理解、御了解をいただきたい、こう考えているところでございます。

吉川(元)委員 一時中断するのか、しないのかを答えてくださいよ。そのぐらい答えられるでしょう。しないということでいいんですか、じゃ。一時中断はしないということでいいんですね。

安倍内閣総理大臣 今、全面返還のために取り組んでいくというふうにお答えをさせていただいているつもりでございます。

江田委員長 吉川君、それが答弁だと思ってございます。

吉川(元)委員 いやいや、一時中断をするのかしないのか。中止をするかどうかでない、一時中断をするのかしないのか、それも答えられないんですか。ちょっとおかしいですよ。きちんと答弁してくださいよ。

江田委員長 吉川君、時間が終了しておりますので、まとめてください。

吉川(元)委員 いやいや、答弁をきちんとしてもらえば終わりますよ。

江田委員長 今、答弁は、なされたところが答弁ということになろうかと思います。できる答弁。

吉川(元)委員 答えてくださいと言っているんです。中断するのかしないのか、イエスかノーかですよ。(発言する者あり)

 わかりました。もう時間が来ましたので、終わります。

江田委員長 時間が来ておりますので、御理解ください。

 それでは、最後に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 まず、安倍総理に、あすから予定されております米朝首脳会談、これは、報道の中では、朝鮮戦争の終結それから具体的な非核化措置、こういうことは協議されるというふうにありますけれども、総理は、この米朝首脳会談、どのように期待をされているでしょうか。

安倍内閣総理大臣 あすからハノイで行われる第二回米朝首脳会談に向けて、先般、トランプ大統領と日米電話首脳会談を行い、北朝鮮の核、ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題の解決に向けて緊密に方針をすり合わせたところであります。

 朝鮮半島の完全な非核化に向けた検討は、例えば、核弾頭、核物質再処理、ウラン濃縮施設、弾道ミサイル及びそれらの製造施設等の廃棄や、検証のあり方等、多くの要素を含む複雑なものであると認識をしており、その具体的な進め方や、そして、朝鮮半島の平和と安全をめぐる議論を含め、米国との間で緊密にすり合わせを行ってきておりますが、この場では詳細については控えさせていただきたいと思います。

 最重要課題である拉致問題については、肉親の帰国を強く求める拉致被害者御家族の切実な思いを丁寧に説明をいたしました。

 前回と同様、今回の米朝首脳会談においても、拉致問題に関する協議を要請をいたしました。これに対して、トランプ大統領から、前回と同様に、今回も協力を約束する旨の力強い発言があったところでございまして、第二回米朝首脳会談が拉致、核、ミサイル問題の解決につながっていくことを強く期待をしております。そのために、引き続き、日米で緊密に連携をしてまいります。

井上(一)委員 もし、朝鮮戦争の終結、こういうようなことになると、これまでの東アジアの戦略環境が激変するということになると思います。それだけに、私は、日米安保体制を堅持する意義、これが一層重要になってきているんだろうと思っておりまして、在日米軍が今後とも国民の理解を得て安定的に維持していくためには、特に沖縄において、やはり自衛隊も含めて、自衛隊、米軍、それの整理統合、それから地位協定の抜本的な見直し、これをやることが多くの国民の理解を得る道だというふうに私は思っております。この点は指摘にとどめさせていただきます。

 次に、特別地方法人事業税と特別法人事業譲与税に関しまして、これは総務委員会でも質問させていただいたんですけれども、今回、偏在是正措置が行われまして、東京都、大阪府、愛知県が減収となって、それ以外の道府県で増加することになっております。大体四千億円以上の偏在是正措置の効果が出てくるというふうに見ておりますけれども、私自身は、これは道府県のみならず、厳しい財政状況にある市町村にもこの効果が及ぶべきだというふうに考えております。

 平成二十年度の法人事業税の偏在是正措置の際にも、道府県のみならず市町村に対してもこういった是正措置の効果が及ぶような仕組みがとられたと承知しておりますので、この点について、ぜひ政府を挙げて検討していただきたいと考えておりますが、総理のお考えを聞かせていただきます。

安倍内閣総理大臣 平成二十年度の地方法人課税の偏在是正措置では、この措置で生じる財源を地方のために活用するため、地方財政計画に四千億円の地方再生対策費を計上し、財政状況の厳しい地域に重点的に交付をしております。

 今般の偏在是正措置で生じる財源についても、平成三十一年度与党税制改正大綱では、「地方が偏在是正の効果を実感できるよう、必要な歳出を地方財政計画に計上するなど、その全額を地方のために活用する。」とされております。

 具体的な財源の活用のあり方については、偏在是正措置による税収の影響が生じる平成三十二年度に向けて、大綱に沿って、地方団体の意見も伺いながら検討を進めてまいります。

井上(一)委員 ぜひしっかり検討していただきたいと思います。

 最後になりますが、消防団員の方への報酬についてということで、これは資料も配らせていただいておりますが、消防団員の方々の報酬が、一応、基準額としては、地方交付税の算入額で年三万六千五百円、それから出勤手当は一回当たり七千円となっておるんですが、地方自治体によって、これは条例で定めることになっておりますので、随分大きく差が出ております。

 これは都道府県の平均ということですので市町村レベルになるとまた違うんですけれども、真ん中の方の山梨県では一万二千円、それから埼玉県では六万一千二百円ということで、随分差が、ばらつきがあります。

 私としては、やはり消防団員の皆さんはボランティアということで、報酬を目的に活動を行っている方はほとんどおられませんけれども、その活動に報いるためには、やはり報酬をきちんと上げていくべきではないかというふうに思っております。

 消防団員、非常に頑張っておりますので、消防団員に対する激励も含めて、消防団員の報酬について総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 消防団員は、国民の生命財産を守るという責務を果たすため、一たび災害が発生すれば、先陣を切って災害現場に駆けつけ、我が身の危険を顧みず命がけで消火や人命救助に当たっておられます。国民は、地域防災力の中核として献身的に活動する彼ら、彼女らに大きな信頼と期待を寄せており、私も敬意を表しているところでございます。

 私の地元でも消防団員の皆さんは本当に頑張っておられますし、非常に過疎化が進むところにおいては、若い消防団員の皆さんは、消防団員であり、PTAの会長であり、自治会の役員も務めていただいているという方が大変多いわけでございますが、その中で、やはり地域を守りたいという強い熱意を感じているところでございます。

 このような消防団員の活動環境を整備するため、消防団員の処遇の改善を図ることが必要と考えております。

 これまで、平成二十五年に成立をした地域防災力充実強化法を受け、政府としては、地方公共団体の長に年額報酬等の引上げを要請するなどの取組を進めてきたところであります。

 今後、年額報酬等が極めて低額な市町村に対し、総務省から市町村長等に引上げを直接お願いするなど、工夫を講じて、消防団員の処遇改善を図り、消防団の充実強化に努めてまいりたいと思います。

井上(一)委員 以上です。ありがとうございました。

江田委員長 これにて内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。

 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時十三分開議

江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。長尾秀樹君。

長尾(秀)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの長尾秀樹でございます。

 どうぞよろしくお願いします。

 きょうは、NHKさんに来ていただいております。木田専務理事、長らくお待たせいたしました。ありがとうございます。

 ということで、まず、NHKの問題についてお聞きをしたいと思います。

 二月十七日に毎日新聞、二月二十三日に朝日新聞の報道がございました。NHKの制作局で組織再編が検討されているということであります。週刊誌の報道もございました。

 まず、六月にそういう組織改正、計画をしておられるというのは事実かどうか、事実であればその内容についてお聞きをしたいと思います。

木田参考人 お答えいたします。

 制作局は、二つのセンターと八つの部を廃止して、ジャンルに基づいてグループ構成にする組織改正を実施いたします。これは、限られた経営資源で最高水準の放送サービスを継続的に実施していくため、創造性と効率性をより発揮し、視聴者の求める新しい放送サービスを戦略的に開発し、人を育て、一人一人が多様な能力を発揮できる組織としていくためであります。

 具体的に業務体制をどう再編するかは、今後また検討していく予定です。組織改正は本年六月に実施する予定であります。

長尾(秀)委員 具体的な中身は今後これからということですが、今、制作局で八つある部が再編をされるということであります。新聞報道では、六つのユニットですかになるという案になっているというふうにも報道がされております。

 今、専務理事がおっしゃったような位置づけで検討していると、二月十八日付ですか、NHKのホームページにも「組織改正の検討について」ということでアップがされております。

 そういう位置づけで、より流動的な、人事の配置も含めて部の再編を行うということについては、一般的にそういうこともありだというふうに思いますけれども、新聞報道では、ほとんどの部が合併や横滑りでほぼ存続する中、唯一、文化・福祉番組部ですかが分割される可能性があるというふうに言われておりますが、この点、いかがでしょうか。

木田参考人 再編の具体的なところはまだ検討中ではありますけれども、いずれにしても、文化番組や福祉番組を制作する体制は確保していこうというふうに考えております。

長尾(秀)委員 制作体制は確保していく、当然そうあってほしいと思うわけですけれども、これから検討といいながら、もうかなり成案に近い状況じゃないかと思うんですけれども、文化・福祉番組部だけではなく、今の名前でいいますと音楽・伝統芸能番組部についても同じことが言えるのかもわかりませんけれども、これまでそういう部として蓄積してきたノウハウといいますか、これまでの番組づくりということが継続されるのかどうかということが問題だと思います。

 その点、どう考えておられますでしょうか。

木田参考人 各番組ジャンルで培った専門性はしっかりと保持していき、さらにまた充実させていきたいと思います。

 同時に、専門性の異なる集団が、交流が盛んになることによって、幅広いスキルを持つ人材育成も図れると思いますし、公共放送が目指す多様で質の高いコンテンツやサービスをお届けできるものというふうに考えております。

長尾(秀)委員 そういう一般的な位置づけについては否定をするものではもちろんないわけですけれども、例えば文化・福祉番組部でいえば、これまで「ETV特集」とか「ハートネットTV」、「ろうを生きる 難聴を生きる」、そういう、視聴率はそんなに高くないかもわかりませんけれども、大事なというか重要な番組を制作してこられたということで、その体制は引き続き維持はされるという御説明ですけれども、しかし、現在の部が再編をされるということになって、将来的にもそれが保証されるのかどうかということが問題ではないかと思います。

 ホームページでも、公共放送にふさわしい充実したサービスということを視聴者の皆様にお届けしてまいりますというふうに書いてありますけれども、どのようにそれを、再編が行われたとしても維持をしていくというふうに考えておられるのか、お聞きをします。

木田参考人 「ETV特集」とか「ハートネットTV」については、来年度も継続することにしております。

 それぞれの番組は、全ての番組を実は毎年見直しをしておりまして、それは、公共放送の社会的な使命の実現にそれぞれの番組がしっかりと寄与しているかどうかという観点から見直しております。

 その中で、これからもどういう番組がどういうふうな役割を持っていってくれるか、それをしっかりと評価して、更に充実を図りたいというふうに考えております。

長尾(秀)委員 要するに、再編されても当面今の体制が維持されるということはわかるんですが、再編によって将来的に番組への影響があるのかどうかということが問題だと思います。

 ともすれば、最近のNHKは、視聴率重視に傾いているのではないかという危惧の声もあります。あるいは、効率化のためにのみそういう再編が行われるということであれば、問題ではないかと思います。あくまで、番組の多様性を維持する、公共放送としての役割を維持をしていただくということが大事だと思いますので、今後、具体的なことは検討ということですが、ぜひ、そういう点も踏まえて具体的な検討はしていただきたいというふうに思いますので、その点、お考えをお聞きしたいと思います。

木田参考人 今委員がおっしゃったことは大変重要なことだと受けとめております。

 公共放送の社会的使命を達成すべく、さまざまな公共的価値を多様性を持って追求していこうというふうに思っております。

長尾(秀)委員 では、しっかりお願いしたいと思います。

 この問題については、引き続き、機会があればこの総務委員会でも議論をしたいと思います。

 NHKの内部の組織のことですので総務省さんにお聞きをしてもお答えはないかもしれませんが、せっかくですから、何か感想があれば、総務省のお考えもお聞きしたいと思います。

石田国務大臣 お答えします。

 放送事業者は、放送法の枠組みの中で、自主自律によりまして放送番組を編集することとされておりまして、具体的にどのような番組を放送するかについて、総務省としてコメントすることは差し控えたいと思います。

 NHKは、国民・視聴者からの受信料により支えられており、今後とも、放送法に照らして、公共の福祉のため、豊かで、かつ、よい番組を放送するなど、公共放送としての社会的使命を果たしていただきたいと考えております。

長尾(秀)委員 それでは、ありがとうございました。NHKさん、御退席いただいて結構でございます。

江田委員長 それでは、どうぞ御退席ください。

長尾(秀)委員 それでは、次に、今問題の統計不正の問題について少しお聞きをしたいと思います。

 冒頭、石田大臣からも釈明がございましたけれども、西村統計委員会委員長、その出席をめぐりまして、正式でない文書が出回ったということについて釈明がございました。西村委員長としては本務に支障のない限り御出席する意向であるというふうに、当然のことですけれども、お聞きをして、そのようにお願いしたいと思います。

 本日、御出席いただけないのは残念でございます。かわりまして、北村委員長代理さんですか、後ほど御出席いただけるということで、私からは質疑ができません。今問題になっている点については、後ほど高井委員の方から質疑があるかと思いますので、そこに譲りたいと思いますが、一言。

 先ほど総理の質疑の中で、我が会派の高井委員の質問中に、総務委員会には珍しく多くの不規則発言がございましたけれども、私としては、やはり、この統計の問題に限りませんけれども、今、安倍内閣のもとで、霞が関全体、官僚組織全体に共通する問題があるというふうに思っております。高井委員は、そんたくというふうに言われました。別の言葉で言えば、官僚の皆さんが悪い意味で政治化をしているというふうに言わざるを得ないと思います。ぜひ、そういう状態は改められるべきである。優秀な官僚の皆さんには、本来発揮すべき専門性をぜひ発揮をしていただきたいというふうに思っております。

 私から申し上げるまでもなく、今、少子高齢化、人口減少社会、資源が日本は限られているという中で、医療、福祉、教育等々、全ての分野で政策の選択、費用対効果、諸問題の原因、その分析が必要でございます。そのためにこそ、国家公務員、官僚の皆さんが、その専門性に基づいて分析、そして検討がされるべきである、ぜひそのような御活躍をお願いをしたいということは私からも申し上げておきたいと思います。

 そこで、統計の問題なんですが、一点、まずお聞きをいたします。

 昨年、統計法が改正をされました。その中で、統計委員会の所掌事務の追加ですとか統計委員会の体制強化、これは法律の公布と同時に施行になっております。昨年六月一日でしょうか。それ以外、本年五月一日施行になっているものがございます。それは、なぜ二段階の施行になっているのか、まずその理由をお聞きします。

横田(信)政府参考人 昨年の統計法改正につきましては、大きく柱が二点ございました。

 その一点目の統計委員会の機能強化に係る改正規定については、今おっしゃられたように、昨年六月一日、公布日の施行となっているところでございます。

 一方、もう一つの柱でありますところの調査票情報の提供対象の拡大等それ以外の改正につきましては、施行に必要な政省令の整備を統計委員会への付議等を経て行う必要があるほか、その周知の期間を含めて一定の期間が必要とされたところでございます。このようなことを踏まえ、先般、この施行日については本年五月一日としたところでございます。

 現在、その施行に向けまして、一つは、調査票情報の提供に当たっての手数料等を定める統計法施行令の一部を改正する政令、これは平成三十年十二月二十一日に公布されております。それから、調査票情報の提供できる条件や調査票情報の適正管理義務を具体的に定める統計法施行規則の一部改正省令につきましては、その案につきまして、昨年十月に統計委員会に諮問したというところでございまして、答申をいただき、三十一年二月二十二日に公布されたところでございます。

 今後、本年五月一日の施行日に向けまして、統計法改正の施行につきまして、ガイドラインの作成等の準備や、関連学会、都道府県等の関係者に対する周知を行っていくという予定でございます。

長尾(秀)委員 済みません、ちょっと今よく聞こえませんでしたが、五月一日施行と決めたのはいつですか。

横田(信)政府参考人 これは、必要な準備期間等を踏まえて、五月一日とさせていただいたところでございます。

 具体的には、先ほど申しましたように、統計委員会への付議であるとか、あるいは周知、広報といったようなことで少し間をあけさせていただいたということでございます。

長尾(秀)委員 いや、そうじゃなくて、いつ五月一日施行と決定されたんですか。

 それとあわせて、今御説明の中にはなかったように思うんですが、その五月一日施行の中に、法律でいいますと、三条の二ですかね、行政機関等の責務等というのも入っていると思うんですが、それで間違いないですか。

横田(信)政府参考人 前者につきましては、公布、先ほど申しました平成三十年の十二月二十一日ということでございます。

 後者のお尋ねにつきましては、同じく五月一日ということでございます。

長尾(秀)委員 十二月二十一日公布ということですね。では、多分、それを閣議決定したのが十二月十八日ということだと思います。まあ、偶然かもわかりませんけれども、今回の統計不正が発覚した前後に公布決定されたという経過になっているわけです。

 それで、今お聞きをしました、行政機関等の責務、これは今まで規定がされていなかったのがおかしいといえばそういうことかもわかりませんけれども、各行政機関等の責務について、より明確に、より責務が重くなったというふうに理解をいたします。

 五月一日施行ということでございますけれども、その責務については、今回改めて規定をされておりますけれども、現状においても変わらないという理解でよろしいですか。

横田(信)政府参考人 まだ施行されているというわけではございませんけれども、基本的な考え方は今のそのとおりでございます。これを新たに、今般明記したというふうに御理解いただければと思います。

長尾(秀)委員 そこで、石田大臣にお聞きをいたします。

 そういうことで、行政機関等の責務、責任は重大であります。とりわけ、総務大臣ということですから、重大であるというふうに思います。

 前回、二月五日のこの委員会におきましても、総務大臣の受けとめ、お聞きをいたしましたけれども、改めて、今回、衆議院だけじゃない、議事録も読ませていただきまして、参議院総務委員会では、本当に申しわけないことでというふうにおっしゃっておられる。あるいは、大臣の記者会見でも、申しわけなく思っておりますけれどもという言葉がついているんですが、この衆議院での答弁では、単に、遺憾に思うという御答弁しかいただけていないわけでございます。

 もちろん、今回の統計不正問題が重大な問題である、あってはならないというふうに認識しておられると思いますけれども、改めて、その責任の重さに鑑みて、もう一度、謝罪するなりなんなり、その受けとめをお聞きをしたいと思います。

石田国務大臣 従来申し上げておりますように、公的統計は、国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であります。私どもといたしましては、公的統計全体に対する信頼を損ないかねない事案が発生したと認識をいたしております。

 その上で、今般の毎月勤労統計の事案を受けて緊急点検を行ったところでございまして、手続等に問題があったものがあったことはまことに遺憾でございまして、これらにつきましては、総務省及び各府省において速やかに必要な対応がとられるところでございます。

 この一連の動きの中で、統計の利用者を始め、皆さんに御心配あるいは御迷惑をおかけをいたしましたことに、まことに申しわけなく思っておる次第でございます。

 そして、今現在は、毎月勤労統計については厚生労働省の特別監察委員会で、そして、賃金構造基本統計については総務省の行政評価局で調査を行っているところでございます。さらに、統計委員会におきましては、今回の事案を受けまして、新たに点検検証部会が設置をされたところでございます。こういうところで、それぞれ再発防止等につきまして徹底した検証を行うこととしているところでございます。

 我々といたしましては、こうした結果を踏まえつつ、今後の統計全体を考えていく中で総合的な対策を講じてまいりたいと考えておる次第であります。

長尾(秀)委員 それでは、そういう認識に立ってしっかりお願いをしたいと思います。

 そこで、前回もお聞きをいたしましたが、今後、どのような対策というか、全体的に統計について改革をしていくかということで、石田大臣、前回、「統計調査の体制を確保する上で必要な予算、人員の確保、特に統計に関する専門性を有する人材を確保、育成することが重要である、」というふうに答弁をされております。

 予算、人員の確保ということなんですが、いろいろな報道で、この間、統計の人員が減っている、国の統計職員が減っているというふうに報道されております。ちょっと、細かい通告はしておりませんが、もしわかれば、どれぐらい減っているのか、お答え願えればと思います。

横田(信)政府参考人 失礼いたしました。

 統計職員につきましては、かなり大幅に削減されているということにつきましては御指摘をいただいていたところでございます。

 これにつきましては、これまで、統計業務の特殊性、これはすなわちICT化、あるいは外部委託、それから出先組織の組織再編といったようなことで合理化が進められてきたというものでございます。

 具体的な統計職員の推移につきましては、平成二十一年度には三千九百十六人、これは農水省の関係の組織再編以前のものでございます。その後、平成二十五年度で千九百九十一人、それから、直近でございますが、平成三十年ですと千九百四十人ということになっております。

 これは、統計改革ということで、昨年来、いろいろと御理解も得ながら、ようやっと最近必要なところに統計職員の増員等も図られつつあるというところではございますけれども、以前と比べますと、まだこれから相当長期間をかけてやっていかなきゃいけないということであろうかと思います。

 いずれにいたしましても、職員の関係、それから予算の関係につきましては、単年度ではなかなかいかないということでございますので、引き続き私どもも努力していきたいというところでございます。

長尾(秀)委員 いつと比べるかという問題があるかと思います。今御答弁ございましたけれども、多分、二〇〇四年から比べれば三分の一、二〇一〇年と比べても二分の一ぐらいに減っているのではないかというふうに思われます。必要な予算、人員はしっかり確保されるべきであるというふうに思いますが、特に、専門性を有する人材の確保、これが大事であるというふうに思います。

 その点、何か今具体的に、今後の対策が、考えておられればお聞きをしたいと思います。

横田(信)政府参考人 御指摘のとおり、統計に関しては、非常に専門的な知識が必要だということでございます。

 近々、現在進めておるところでございますけれども、総務省におきまして、政府職員全体を対象とした統計知識や統計的思考力の習得のための研修の充実、これは研修所で行うもの、それからオンライン研修も含めて考えておるところでございますけれども、まず研修の受講機会の拡大に取り組んでいくということを行っていきたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、この研修につきましても、相当時間をかけながらやっていかないとなかなか専門的な人材の裾野が広がらないということでございますので、その辺に力を入れてまいりたいと考えております。

長尾(秀)委員 今、参考人からそういうふうにお伺いをいたしました。

 改めて、総務大臣に、統計にかかわる予算、人員、そして専門性を有する人材の確保、今後の総合的な対策についてお考えをお聞きします。

石田国務大臣 先ほど来も申し上げましたけれども、公的統計、これは非常に国民にとって重要なものでございますし、皆さんから信頼をいただくということは、私は非常に、基本的に重要なことだというふうに思っております。

 このことが起こって以来、皆さんからさまざまな御提言もいただいておるわけでございまして、今委員御指摘いただきましたように、人材の確保、育成の問題、あるいはそれについての人員、予算の問題、あるいは調査項目、あるいはICT化、さらには研修等のさまざまな御指摘をいただいておるわけでございます。

 我々といたしましては、先ほども申し上げましたけれども、今、毎月勤労統計については厚労省の特別監察委員会で調査をし、そして賃金構造基本統計については総務省の行政評価局で調査を行っておりますし、また、統計委員会でも点検検証部会で行っておりまして、それぞれが検証を十分にしていただいた上で、それらを踏まえて、また皆様方からの御提言を踏まえて、今後の統計全体を考えていく中で総合的な対策というのを講じてまいりたいと思っております。

長尾(秀)委員 しっかりとお願いしたいと思います。

 我が党、我が会派としても、今回の問題を受けて、統計行政への信頼回復に向けて、提言等もなるべく早く取りまとめて提言したいと思っております。引き続きこの委員会でも議論をしていきたいということを申し上げまして、統計の問題は終わらせていただきます。

 次に、四法案についてお伺いをいたします。

 これまでも、また本日もいろいろ議論ございましたが、ふるさと納税についてお聞きをいたします。

 総務省のホームページを見ますと、ふるさと納税について、

  多くの人が地方のふるさとで生まれ、その自治体から医療や教育等様々な住民サービスを受けて育ち、やがて進学や就職を機に生活の場を都会に移し、そこで納税を行っています。

  その結果、都会の自治体は税収を得ますが、自分が生まれ育った故郷の自治体には税収が入りません。

  そこで、「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた「ふるさと」に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」、そんな問題提起から始まり、数多くの議論や検討を経て生まれたのがふるさと納税制度です。

とされております。そのような説明を石田大臣もしておられます。

 しかし、このことは、今回改正が成立すれば違いますが、今までの地方税法にはこういうことは全く書かれていないわけであります。したがって、これは、現行制度においては総務省の誘導である、本質と違うことを言っているという指摘もあります。

 しかしそれは、そういう趣旨についてはいいことだということを前提といたしましても、現状の状態はこの問題意識からかけ離れているというふうに私は思いますが、大臣の認識はいかがでしょうか。

石田国務大臣 けさほども申し上げましたけれども、ふるさと納税の趣旨といいますか、それ自体は、ふるさとやお世話になった地域への感謝の気持ち、あるいは税の使い道をある程度自分で決めたい、そういう皆さん方の思いということでありまして、制度として発足してから十年余りたちまして、随分と国民の中に根づいてきたのではないかなというふうに思います。

 そして、いい方に根づいてきたということは当然あるわけでございますけれども、一方で、やはり、一定のルールを踏み外したといいますか、御批判をいただくような返礼品とか、あるいは過度な宣伝とか、そういうことが、事態が起こってきたという中で、やはりある程度国民的理解の得られる方向でやっていきたいということで、今まで総務大臣も二度ほど通知を出させていただきました。その上で、今回、また改めて一定のルールというものを策定して、そして、このふるさと納税制度が国民的理解の中で健全に発展していく、そういう方向に持っていきたいということで、今回法改正をお願いしているところでございます。

長尾(秀)委員 それで、今回の法改正では、返礼品の競争が過熱したため、返礼品を寄附額の三割以下の地場産品に限定するということだそうですが、この三割という根拠は何かあるのでしょうか。

 また、本来、寄附というのは対価を求めない行為で、見返りがあるのはおかしいわけです。返礼品をなくすという議論はしなかったのか、あわせてお聞きをします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、返礼品の三割の根拠というお尋ねでございますけれども、返礼割合につきましては、平成二十九年四月の総務大臣通知を発出する際に検討いたしまして、ふるさと納税の募集に際しまして、過度な返礼品を送付せず、平均的な取組を行っていると考えられる地方団体における返礼割合がおおむね三割であったことなどを踏まえまして、少なくとも三割以下という基準を設定したところでございます。

 その後、累次にわたり、返礼割合を三割以下とするよう、地方団体に対しまして良識のある対応を要請してきた結果、現在、ほとんどの団体で返礼割合が三割以下となっているところでございます。

 また、それに加えまして、地域を応援したいという納税者の思いに応えるためには、寄附金のうち少なくとも半分以上が寄附先の地域の活性化のために活用されるべきと考えておりまして、返礼品の調達以外の送付料や広告料等の費用が平均で二割程度であることも踏まえれば、返礼割合を三割以下というふうにしたところでございます。

 それから、返礼品の廃止ということについて検討したのかというお尋ねでございます。

 現在、返礼品を送っている団体も多くあるわけでございますけれども、返礼品を地場産品とすることによりまして、地域の活性化あるいは地場産業の振興等につながっている面もあるということで、過度な返礼品を送るということは今回是正すべきということで見直し案を提出させていただいておりますけれども、返礼品を廃止するというような判断にはなっていないところでございます。

長尾(秀)委員 去年の十二月三十日の朝日新聞朝刊では、ふるさと納税で六割の自治体の財政が悪化したという記事が載っておりました。一部の自治体にふるさと納税が集中して、多くの自治体で収支が悪化したということだと思います。

 総務省として、ふるさと納税が自治体の財政にどのような影響を与えているのか、調査、把握をしておられますでしょうか。また、このような記事の指摘についてのお考えをお聞きいたします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、平成二十七年度以降、地方団体におけるふるさと納税に関する現況を毎年度調査し、公表しているところでございます。

 具体的には、全国の全ての地方団体千七百八十八団体を対象といたしまして、ふるさと納税の受入額及び受入れ件数、ふるさと納税に係る住民税控除額及び控除適用者数、ふるさと納税を募集する際の使途の選択、ふるさと納税を財源とした具体的な事業、ふるさと納税の受入額の実績や活用状況の公表等、ふるさと納税の募集や受入れ等に伴う経費などについて調査を実施しているところでございます。

 それから、新聞記事をもとにの御質問でございますけれども、過度な返礼品や過度な宣伝広報によりまして不適切な形で寄附金を集めることによりまして、当該団体に寄附が集中し、これにより他の地方団体に減収が生じているという実態もあるかと認識をしておりまして、今回是正すべきであるということから、今回の制度見直しを御提案させていただいておりまして、この見直しによりまして、こうした状況を改善し、制度の健全な発展に向けて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

長尾(秀)委員 最初に申し上げましたように、ふるさと納税の当初の理念はともかくとして、現状はそうなっていない。また、一部、返戻金という形で分配されるということで、高所得層ほど有利な節税の手段にもなっている。自治体の側から見れば、地方税を奪い合うという形になっているわけです。

 地方交付税制度もある中で、都市と地方の格差是正というのは一定程度図られているということもあります。そういう観点からすれば、ふるさと納税制度については廃止をするという選択肢もあると考えますが、制度そのものの廃止、あるいはまた返礼品の廃止について、総務大臣のお考えをお聞きいたします。

石田国務大臣 廃止等についてどうかというお考えでございますけれども、これはけさほども答弁申し上げました。このふるさと納税制度、十年たった中で、いろいろな御意見がございます。それこそ廃止をすべきだという御意見もあれば、もっと拡大すべきだという御意見もあるわけでございます。

 何度も申し上げておりますけれども、ふるさと納税制度自体の趣旨は、やはりお世話になったふるさと、あるいはお世話になった自治体に感謝の気持ちをあらわしたい、あるいは、自分の意思で、例えば被災地への支援、そういうのをふるさと納税という形で行いたい、いろいろなそういう皆さんの気持ちを、うまく対応できるようにということで行ったわけでございます。

 当初は、今御批判されるような、返礼品についての大がかりなものは私はなかったと思っておりますけれども、せっかく寄附をいただいた、それに対して、地域の何がしかの産物をお送りしたいとか、そういう本当に前向きな気持ちから行われてきた。それがだんだんだんだんと、少しルールを逸脱するといいますか、批判の対象になってきたということも事実でございます。

 そういう中で、今回見直しを我々としてはお願いをしておるわけですけれども、同時に、適正なルールの中ででも、地域資源を活用して地域の経済の活性化につながっている、そういう事例もたくさん見えているわけでありまして、恐らく全国のほとんどの地方団体におきまして、この制度を大事に思っていただいているのではないかと考えております。

 それだけに、廃止とか、あるいはもっと広めるとかということではなしに、皆さん方の御理解をいただけるような一定のルールを決めさせていただいて、その中で健全に発展をしていく、そういうふうなことを期待をして、今回も法案の提出をさせていただいておりますので、よろしく御理解をお願いいたします。

長尾(秀)委員 繰り返しになりますが、当初の導入の動機や思いと現実の運用、制度は、およそかけ離れていると言わざるを得ません。そのことだけ再度指摘をしておきたいと思います。

 次に、森林環境税・譲与税の創設についてお聞きをします。

 去年もこの点は質疑をいたしました。改めて、森林環境の保全ということで、大変重要な目的があるということかと思いますが、あえてこの森林環境税・譲与税、新設をした目的と、住民税の均等割に千円上乗せという根拠についてお聞きをいたします。簡潔にお願いします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 森林環境税及び森林環境譲与税は、パリ協定の枠組みのもとにおける我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から創設するものでございます。

 検討会を設置したわけでございますけれども、その検討会で、森林整備等による効果が国民に広く及ぶものであることを踏まえて、必要な負担を国民一人一人が広くひとしく分任する仕組みとすることが望ましい、この点、個人住民税均等割は、森林環境税の考え方に最も合致するとの提言がなされたところでございまして、こうしたことを踏まえて、森林環境税は、個人住民税均等割の枠組みを活用することとしているところでございます。

 なお、千円の根拠ということでございますけれども、林野庁から、六百億円程度が森林整備やその促進に要する費用として必要だというような試算が示されましたのに加えまして、納税義務者数、均等割の枠組みを活用いたしますと六千万人強ということで見込んでおりますので、これらの必要な財源や国民の負担感などを総合的に勘案し、年額千円としたところでございます。

長尾(秀)委員 住民税均等割ですので、国税が上乗せというのは若干そぐわない、国税の基本原則は応能性ではないかということだけは指摘をしておきます。

 次に、譲与基準、お伺いをいたします。

 私有林人工林面積が五割、林業就業者二割、人口三割となっております。

 この人口割合が三割という結果、どういう自治体にこの譲与税が一番多く収入として入るというふうに試算をしているのか、お聞きをいたします。

内藤政府参考人 御指摘のとおり、森林環境譲与税の譲与基準は、私有林人工林面積で五割、林業就業者数で二割、人口で三割としているところでございます。

 どういうところに譲与が多く行くのかというような御質問でございます。

 平成三十一年度の森林環境譲与税の譲与額につきまして、これは総額二百億円ベースということになりますけれども、機械的に試算をいたしますと、上位三つの団体は、例えば、横浜市が一億四千二百万円、浜松市が一億二千百万円、大阪市が一億一千万円というような形になるわけでございます。

長尾(秀)委員 もちろん、森林がなくても、木材需要をふやす、あるいは啓発という意味で、都市部でもこの使途はあるというふうには思いますけれども、余りに偏っているんではないか、ずっと三割でいいのかどうか、検討の余地があると思います。実際に森林関係事業を行う自治体にできるだけ譲与されるべきではないか、今後、分析、調整が必要ではないかというふうに思っておりますが、時間がありませんので、これは指摘にとどめます。

 総務大臣にお聞きをしたいと思います。

 譲与税の使途についてですけれども、森林環境保全や林業関係の業務に従事する職員の人件費に充てることは可能なのかどうか。森林管理については自治体みずから行う、譲与税と別に地方財政計画の給与関係経費などで人件費を担保する必要があるのではないかと思いますが、見解をお聞きします。

石田国務大臣 森林経営管理制度の開始に伴いまして、経済的に成り立たない森林につきましては、市町村みずからが経営管理を行うなど、地方団体が森林の整備等に取り組むことが必要となります。

 これらの取組に必要な人件費につきましては、森林環境譲与税を充てることが法律上可能ではありますが、既存の人件費の単なる振替等については、森林環境税を御負担いただく国民の御理解を得にくいのではないかと考えております。

 このため、平成三十一年度の地方財政計画におきましては、既存の林業関係の業務に従事する職員を含めて地方団体の人件費を計上しつつ、新たに森林環境譲与税を財源として実施する森林の整備等の所要額について、二百億円を重点課題対応分として計上しているところでございます。

 今後、地方団体におきまして、着実に森林の整備等が実施できるよう、関係省庁と連携し、引き続き適切な地方財政計画の計上に努めてまいりたいと思っております。

長尾(秀)委員 次に、地方財政対策関連についてもお聞きをしたかったんですが、だんだん時間がなくなってまいりました。

 一点、まち・ひと・しごと創生総合戦略、二〇一九年度で五年経過します。戦略の見直しということになるかと思いますが、今確保されているこの一兆円の財源については、総務省としては引き続き確保されるよう努力をお願いをしたいと思います。これは要望にとどめさせていただきます。

 最後に一点お聞きをいたします。

 二〇二〇年度からは会計年度任用職員制度が開始をされます。各自治体からは、処遇改善のための財源確保が必要と言われております。地財計画で必要な財源を確保する必要があると考えますが、大臣の考えをお聞きいたします。

石田国務大臣 臨時、非常勤職員の給与につきましては、今般の改正法によりまして、非常勤職員である会計年度任用職員に対しまして期末手当を支給できることとしたところであります。

 会計年度任用職員制度に係る必要な財政措置につきましては、今後、移行準備状況の調査を行う予定でありまして、当該調査の結果などを踏まえ、しっかりと検討してまいりたいと思います。

長尾(秀)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 最初に、ちょっと通告をしておりませんが、きょうこの開会がおくれた原因となりました、予算委員会でも大臣に御答弁をいただいていますが、西村委員長のペーパーの事件というのがあります。

 大臣からは、冒頭おわびの、予算委員会でも、またこの委員会でもおわびの言葉がありましたけれども、ちょっとひっかかるのが、二枚目、二月二十三日、西村委員長の名前のクレジットの入ったペーパー、これが西村委員長の言葉ということのようなんですが、ここもやはり、一枚目は、最初に出た詠み人知らずのペーパーは、統計委員長は非常勤の時間給のアルバイト公務員でしかなく、私は本務として、学者としての教育研究、そしてその他企業関連の取締役や顧問の仕事を幾つも抱えていますと。こっちの方が大事なんだということが書いてあって、本音と言われれば本音が書いてあるのかなと思うんですが、ただ、本人は否定されていますから。

 ただ、統計委員長って、これは、すごい今重要な職責なんですよね。基幹統計や一般統計を始め、全ての統計をこれからチェックしていこうという場ですし、日本の統計のかなめですから、いや、本当にこういうことを言ったかどうかはともかく、こちらの西村委員長の発言、本人が認めているペーパーにも、研究教育等の本務があることを認識していただきたい、こう書いてあるんですが、やはり統計委員長も本務だと思ってもらわなきゃ困るんですよね。

 そこはどうなんですかね。やはり統計委員長は本務と思って私はしっかりやっていくべきだと思いますが、大臣としてはどうお考えですか。(石田国務大臣「もう一遍言って、統計委員長」と呼ぶ)

 統計委員長が、この参考二って西村さんの名前の入ったペーパーの中で、研究教育等の本務があることを認識していただきたいと思いますと。これは国会との関係をおっしゃっているんですが、国会になぜ呼ばれているかというと、統計委員長だから呼ばれているわけですよね。だから、統計委員長もやはりしっかり本務として認識していただかないと困るんじゃないですかと私は思いますが、大臣はいかがお考えですか。

石田国務大臣 けさほど、私の方から総務大臣コメントということでコメントをさせていただきまして、皆さんに大変御迷惑をおかけをいたしました。

 国会に出回った文書は、これは総務省が西村委員長とやりとりをする中で作成したメモでありまして、広く出回ることを想定したものではございませんでした。そういう中で、新しく二月二十三日付で西村委員長からペーパーが出されておりまして、これが国会に提出された初めての正式なペーパーということになります。

 この中でも書かれておりますように、研究教育等の本務があることを認識していただきたい、その上で、それに支障のない限りにおいて国会に協力する所存ですというコメントをいただいておるわけでございます。

 いろいろな公職についていただく方々については、おおむねやはりそういういろいろな役を持っておられる中でやっていただいておりますので、これは、西村委員長は私はしっかり取り組んでいただけると思っておりますけれども、どうしても支障がある場合は、それは皆様にも御理解をいただきながらしっかり頑張っていただくということで、御理解いただきたいと思います。

奥野(総)委員 今大臣もお認めになっていましたが、この最初のペーパーも、委員長がおっしゃったことをまとめたものだという認識のようなんですね。だとすると、これは、いや、読み物としてはすごくわかりやすいんですよ。確かにそのとおり、非常勤の時間給アルバイト公務員だと言われるとそうなんでしょうが、しかし、やはりこの大事な局面ですから、そんなことをおっしゃらないで、きっちり本務として、そういう研究と同じぐらいの並びでやっていただきたいな、こう思うわけですね。

 だから、ぜひ大臣の方からも、西村委員長には本務としてしっかり統計委員長の職責を果たしてほしいということをお伝え願いたいし、もちろん国会は、民間の方ですから常に来てもらえるわけでないというのは承知しておりますが、しかし、これもまた大事な、統計の信頼回復にとって大事な審議でありますから、お時間のつく限りは、あるいは体調の許す限りは、ぜひ国会の方にお越しいただきたいと、大臣の方からも、任命権者でありますから、お願いいただきたいと思いますが、いかがですか。

石田国務大臣 これは私から申し上げるまでもなく、委員長御自身がそのペーパーにおいて、支障のない限り国会には協力する所存ですと明言されておりますので、私としてはそういうふうに感じております。

奥野(総)委員 確かに、二枚目のペーパーは、国会に協力していただける旨は書いてあるんですが、しかし、相変わらず、本務に支障のない限りにおいて、こう書いてあって、その本務って何ですかというと、このペーパーに書いてあることは、全面的に正しいかどうかは別として、最初のペーパーは、おっしゃったことの聞き書きだそうでありますから、企業関連の取締役や顧問の仕事というのが本務だ、こう言われているわけですよね。だから、そういう認識はやはり改めていただかないといかぬなと私は思います。これ以上言ってもあれですから、大臣、ぜひお願いしたいと思います。

 それから、最初、森林環境税、この時間は税の話をしたいと思いますが、森林環境税についてですけれども、森林というのは、当然、温暖化防止には非常に重要なんですね。間伐をしていかないと、間引いていかないと、なかなか木が大きく育たなくて、CO2を吸収してくれないということでありまして、間伐を一定程度、間引きを一定程度しないといけないということになっています。これは非常に、二〇二〇年以降の温室効果ガス削減のためには必要なんですが、現在の間伐の達成状況はどうなっているでしょうか。

織田政府参考人 お答えいたします。

 我が国の森林吸収量の目標達成に向けまして、農林水産省といたしましては、これまで森林整備事業等の予算措置によりまして森林整備の推進を図ってきたところでございますけれども、厳しい財政状況の中で、近年、十分な森林整備量を確保できていないという状況でございます。

 一方、森林現場には、所有者の経営意欲の低下などの課題がございまして、所有者の自発的な施業への支援を基本とする従来の国の予算事業のみでは必要な森林整備を進めることが困難な状況になってきているということでございます。

 このような状況を背景に森林経営管理法を制定していただいて、これを踏まえまして、新たに市町村が担うこととなる森林の公的な管理を始めとする森林整備等の財源として、森林環境税・譲与税が創設されることとなったというところでございまして、農林水産省といたしましては、引き続き国の森林整備予算等の確保に努めつつ、森林環境譲与税も市町村に活用いただき、必要な森林整備量全体が確保されるように取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

奥野(総)委員 これは、目標があるらしくて、年平均五十二万ヘクタール間伐をするということなんですが、なかなかそのとおりいっていないみたいなんですね。平均ですから、おくれた分は後で取り返さなきゃいけないんですけれども、これを解消していくということで、大きな目標がありますので、この森林環境税等を使って、あるいはもっと予算措置をして、ぜひ解消していただきたいと思います。

 それから、自治体の職員ですね。林務職員というんだそうですが、全国で三千人ぐらいしかいらっしゃらない。市町村の森林・林業職員は全国で三千人程度ということで、専ら林業を担当する職員がゼロから一人という程度の市町村が三分の二以上ということで、体制が不十分だと思われます。

 また、この森林経営管理法に基づいて、市町村森林計画の整備、作成とか、あるいは林地台帳、所有者を確定したり境界を確定したりということも必要なわけでありますが、国が責任を持ってこうした市町村の職員の育成確保を図る、あるいは、こういう台帳整備のために、所有者の確定とか境界の確定とかに予算を費やすべきだと思いますけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

織田政府参考人 お答えいたします。

 市町村が主体的に森林整備を進めるためには、その実施体制の整備が非常に重要だというふうに考えてございます。

 農林水産省といたしましても、市町村が林業技術者を地域林政アドバイザーとして雇用する取組を推進するということに加えまして、市町村職員を対象とした実務研修の実施ですとか、あるいは国有林の技術力を生かした技術的支援に取り組んでおりますほか、平成三十一年度予算案には、市町村職員への指導助言を行う技術者を養成する事業、こういったものも盛り込んでいるところでございます。

 また、近隣市町村との事務の共同実施ですとか、都道府県で技術者を雇用して複数の市町村へ派遣することも含めまして、現在、市町村等への助言に努めているところでございまして、引き続き、都道府県との連携も図りつつ、市町村の体制整備をしっかりと支援してまいりたいと思います。

 また、いろんな、予算の関係も含めまして、今までも森林整備事業あるいは所有者境界確認を行う事業、こういったことを行ってございますので、農林水産省といたしましては、こういう国の予算事業もしっかり確保しながら、森林環境税と双方の取組を推進することによって森林整備等をしっかり進めていけるよう努めてまいりたいというふうに考えてございます。

奥野(総)委員 ぜひ、これは地球の温暖化防止にもつながるわけですから、しっかりやっていただきたいんですが。

 この森林環境税なんですけれども、徴収が平成三十六年度からなんですね。譲与がこの三十一年度からといいますと、借入れをして先に譲与を始めるということなんですが、その分、借入れのコストもかかりますし、最初の五年間は譲与の額が少ないわけですよね。

 なぜこういうことになっているのか。どうせ徴収するんだったら、最初から徴収をして、年予算六百億円ぐらいですか、最初からきちんと市町村に譲与、配分した方がいいんじゃないかと思いますが、こうした対策のために急ぐべきだと思うんですが、なぜでしょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 森林環境税及び森林環境譲与税でございますけれども、森林整備が喫緊の課題であることや、昨年成立いたしました森林経営管理法に基づく新たな森林経営管理制度が四月から施行されることも踏まえまして、森林環境譲与税は平成三十一年度から地方団体に対して譲与することとしているところでございます。

 一方で、森林は、地球温暖化防止や災害防止等の公益的機能を有し、広く国民一人一人が恩恵を受けておりますことから、その整備等に必要な財源となる森林環境税は国民に広く均等に御負担いただくこととしておりまして、その負担感につきましては十分配慮する必要があると考えております。

 本法案によりまして、森林環境税の創設に国民の御理解をお願いすることとする一方、この国民の負担感ということを考えた場合でございますけれども、全国の地方団体による防災施策の財源を確保するため、平成二十六年度から十年間、個人住民税均等割に千円上乗せする税制上の措置が講じられていることを踏まえまして、更にそれに森林環境税を上乗せすることはせず、この防災施策の財源を確保するための上乗せ措置が終了した後の平成三十六年度から課税を開始することとしたところでございます。

奥野(総)委員 せっかくやるんですから、事情はいろいろもちろんあるし、消費税の引上げ等もあるし、いろんな事情はあるんですけれども、ちょっとわかりにくいなという気がします。

 それでは、厚労省、来ていただいていますから、きょうはこの時間、統計集中も兼ねていますから、お願いをしたいんですが。

 きのう通告をしている中で、まず、きょう資料をお配りしていますが、資料五と書いてあるメールですね。九月四日から十四日までのメールの紙がありますが、その資料五の三枚目、三ページ目か。九月四日の、阿部座長に手計補佐が送ったメール。最後のところに、官邸関係者に説明をしている段階と。

 この官邸関係者というのは厚労省から派遣されている参事官だということが、きのう予算委員会で明らかになったわけですが、じゃ、この説明なんですけれども、誰が説明をしていたのか。姉崎さんなのか、手計さんなのか、石原さんなのか、一体誰が説明したのか。そして、何を使ったのか。これは資料が、添付資料で素案がついているんですね。見え消しのついた素案がついているんですが、この素案をもって説明したのか。

 これは、きのう、紙で通告していますから、お調べいただいていると思うので、お答えいただきたいと思います。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 当時の担当補佐に確認いたしましたところ、担当課長が、当時、官邸参事官を始めとする官邸関係者に、毎月勤労統計調査の月次の公表予定資料を事務的に送っているということでございまして、その際に、検討会の議論の概要を簡単に報告したかもしれないということでございますが、詳細については承知していないということでございました。

 その上で、当時の担当課長に確認いたしましたところ、当時、やはり毎月勤労統計調査の月次の公表予定資料を官邸関係者に事務的に送付するとともに、補足説明のため電話でやりとりするということがあったということでございます。

 この当時の記憶については定かではないということではございますけれども、ひょっとすると、サンプル入れかえの際にギャップが発生し、それに対応して遡及改定することが問題になっているということで、検討を行っていますというようなことを一部の官邸関係者に話したかもしれないということでございました。

奥野(総)委員 早口だったのであれですけれども、遡及改定について問題になっているから、それについて検討状況を報告したということですね。

 資料は、簡単な説明だったということで、資料は特に使っていないということでよろしいんでしょうか。要するに、この素案を使って、この時点の素案を使って説明しているかどうかということなんですが。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 当時の担当課長は、記憶が定かではございませんけれども、当時、電話で補足的な説明を行うことが多かったということでございますので、資料ということではなくて、口頭で、電話で、そういった、現在検討しているということを話したかもしれないということでございます。

奥野(総)委員 その補足的な説明というのがよくわからなくて、補足的な説明をするからには本体があって、本体を補足して説明するということなので、本体があったんじゃないですかというのが疑問点、問いの一つ。

 それから、ちょっと時間がなくなっているので次の質問もあわせて聞きますが、この素案について、見え消しが入っていますよね。これは資料の四となっていますが、「素案」が見え消しになっていて、十ページに「まとめ」というのが載っているんですが、この見え消しを指示をしたのは誰ですか。まず、これは誰が書いていて、恐らく手計さんなんでしょうが、書いていて、じゃ、誰がこの修正をこの時点で指示をしていますか。姉崎さんということになるんでしょうけれども、どうですか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほどの点でございますけれども、当時、毎月毎勤の公表資料が出ますので、それを事務的に送っておりますので、それについて電話で内容等につきまして簡単に説明するということを常日ごろやっていたということでございますが、その電話の際に、ひょっとしたら、検討していますというようなことを話したかもしれないという趣旨のことでございます。

 その後の質問でございますけれども、当時、担当者に確認しましたところ、この検討会の報告書案等の執筆者ということでございますが、全体といたしましては、当時の担当課長が骨子的なものをつくりまして、それにつきまして補佐が細かな肉づけをする、当時、係長以下が図表等を作成するというようなことをそれぞれ主に担当していたというように聞いております。

 また、この阿部座長に送付したメールに添付されている報告書案につきましては、これは担当補佐が修正したものでありまして、特に上司からの指示を受けてそういった修正作業をしたものではないということでございました。

奥野(総)委員 ただ、これは外に出すという話をしていますね。阿部座長に、各委員にこれで投げますよという確認をしているわけですよ、この見え消しについて。当然、それを独断で課長補佐がやるとは思えないので、普通は上司にちゃんと確認をすると。姉崎さん、これは会議にも出ているわけですから、当然了解をとっていると思うのですが、これは了解はしているんですよね、当然。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 この点、元統計情報部長に確認いたしましたところ、当時は、特に、統計情報部長、入れかえ方式等につきましては反対の立場ではなかったということでございますが、具体的な修文の指示を部長みずからしたのは九月十一日か十四日だったので、この八日のメールの時点では、担当補佐は、元部長が当面総入れかえ方式でいくという方針について賛成していると思ってそのように書いたのではないかということでございました。

奥野(総)委員 じゃ、あれですね、勝手に、きのうの答弁ですけれども、コミュニケーションがうまくいっていなくて、言おうと思ったんですけれども、この見え消しは明らかに総入れかえ方式に有利なように書きかえているように見えるわけですけれども、今のお話だと、姉崎部長とは相談をせずに、補佐が勝手に、姉崎部長は総入れかえでいくんだろうと勝手に思って直したというのが今の答弁ということですね。

 それから、もう一つは、さっきのメールですが、資料の五の……。

 じゃ、時間があれですね、もう次に行きましょう。

 九月十五日に姉崎部長へのレクを行うという記載がありますね。時間を、厚労省に来るのでレクをしたいんだという記載がメールにあります。それは実際行われたのか。

 一方で、後藤委員が質問した中で、電話で済ませたと。新聞記事で、電話の中で、手計さんがフリーハンドを与えてほしいという内容の電話をしたということがあるんですが、これは最終的に、この九月十六日の検討会に出される資料というのは、どういう経緯で阿部座長はオーソライズしたんでしょうか。ちゃんと最後まで読んで、レクを受けて、オーケーと言って出したのか。最終的に、この中間的整理案については、阿部座長はいつ、どの時点で了解をして会議に出したのかということを伺いたいと思います。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 阿部座長との打合せでございますけれども、結局、座長が前日から体調不良というようなことで行われなかったというふうに聞いております。

 また、御指摘の報道にあるような電話ということでございますが、これにつきまして当時の担当部長、課長補佐に確認しましたところ、いずれも記憶にはないということでございました。

 また、第六回の中間的整理案につきまして、同じように当時の担当部長、課長補佐に確認いたしましたところ、事後的に阿部座長に了承をいただいたはずということではございますが、いつ、どのような形で了承をいただいたかにつきましては、いずれも記憶にはないということでございました。

奥野(総)委員 いや、これ、極めていいかげんな話で、座長の了解をいつとったか、とれているかもわからないし、記憶にないって、これはとっていないんじゃないですかね。座長は了解していないんじゃないですかね。

 ということを指摘して、終わりたいと思います。

江田委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 私からも、まず冒頭、西村統計委員長にかかわる文書の問題、私も非常に驚いております。本人が書いていない文書が、あたかも本人が書いた文書のごとく流布されて、実はそれは違っていたと。こうしたことが起こると、総務省から出てくるさまざまな文書も含めてその信頼性が揺らいでしまいますので、ぜひ、二度とこうしたことが起こらないように、しっかり大臣、監督責任を果たしていただければというふうに思います。

 それでは質問に入りたいんですけれども、実は先ほど、対総理質疑の際に、あわせて総務大臣の見解も尋ねようと思ったんですが、私の質問に正面からなかなか総理が答えていただけなくて、結果的に総務大臣に質問をすることができませんでしたので、ちょっとこの時間を使って大臣に質問させていただければと思います。

 総理にも伺ったんですけれども、今回の住民投票の結果について、総務大臣として、地方自治を預かる総務大臣としてどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。

    〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕

石田国務大臣 普天間飛行場の辺野古への移設につきましては、関係省庁が現在取り組んでいる事柄であり、総務大臣として答弁は差し控えさせていただきます。

 いずれにいたしましても、関係省庁において、投票の結果を真摯に受けとめ、これからも沖縄の基地負担の軽減に向けて全力で取り組んでいくべき事柄であると考えております。

吉川(元)委員 答弁を差し控えるということでありますけれども、地方自治を預かる大臣の答弁としては、私は非常に残念だというふうに思います。

 今回の県民投票については、法的拘束力がないというようなお話がよくされます。しかし、そもそも、辺野古に基地をつくるというもの、そのもの自体が法的な根拠がないわけです。仮に法的な根拠を設けようとすれば、一自治体に係る特別法でありますから、当然、その自治体でのいわゆる住民投票が必要に、本来ならばなってくるわけです。

 そういう面でいうと、今回、これはもう憲法の九十五条にそのように規定をされておりますから、そういう意味でいうと、非常に重たい住民投票だったんだ。しかも、その結果が、圧倒的に、辺野古への土砂投入も含めまして反対だという声が上がっている。それに対して国が全く耳をかそうとしないというのは、私は大変大きな問題だということを指摘をさせていただければと思います。

 それでは、税法の方に少し入っていきたいというふうに思います。

 まず、森林環境税、森林環境譲与税について尋ねたいと思います。

 森林整備が極めて重要な課題であるということは、私も全く同じ意見であります。温室効果ガスの削減に向けた第二約束期間である二〇一三年から二〇二〇年の間、政府は、年平均で五十二万ヘクタールの間伐などによって森林吸収源対策を着実に履行すること、これを目標にしてきました。しかし、林野庁の予算は二〇一四年に千七百億円削減され、それ以降横ばいの状態が続き、それに歩調を合わせるように、間伐実績も目標の五十二万ヘクタールを下回り続けております。

 森林環境税、森林環境譲与税の創設に伴い、地方が自主的に間伐を始めとした森林整備を進めることができるよう、総務省の後押しも必要になっているんだというふうに私自身も考えます。

 さて、森林、水源環境の整備については、既に、課税自主権を活用して、三十七府県、一政令市、人口でいうと六九%を占める区域で超過課税が行われております。今回の森林環境税が制度化されるに当たり、既に行われている独自課税との関係はどのように整理をされているのでしょうか。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、現在、三十七の府と県及び一つの政令市におきまして、森林整備等を目的として地方独自の超過課税が行われていると承知をいたしております。

 一方、国の森林環境税は、昨年成立いたしました森林経営管理法も踏まえつつ、主に市町村が行う森林整備等の財源として創設するものでございます。

 したがいまして、両者は財源の帰属主体が基本的に異なっているというわけでございますけれども、ただ、府県等が行う超過課税の使途はさまざまでございますので、使途において重複する可能性があるわけでございます。その点につきましては、国の森林環境税が平成三十六年度から課税をすることといたしておりまして、それまでの間に、全ての超過課税の期限や見直し時期が到来をいたしますので、関係府県等におきまして超過課税の取扱いを御検討いただけるもの、このように考えております。

 なお、現時点におきます地方団体への聞き取り結果によりますと、平成三十年度末に期限等を迎える超過課税を実施している五団体につきましては、いずれも森林環境税の導入を見据えて御検討いただいておりまして、両税の考え方を整理した上で超過課税を延長する方向、延長する予定であると伺っております。

 総務省といたしましても、森林環境税との関係の整理が円滑に進むように、林野庁とも連携をしながら、関係府県等の相談に応じ、助言を行っていきたい、このように考えております。

 以上でございます。

吉川(元)委員 それでは、少し伺うんですけれども、森林環境整備のための財源を確保することには異論はございませんが、税制のスキームとしてはいささか疑問な点があります。

 まずお聞きしたいのは、来年度、今まさに、この森林環境譲与税というのは市町村が対象だということでお話ございましたが、譲与、配分の上位と下位、三番目ぐらいまでで結構ですので、教えていただければと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十一年度の森林環境譲与税の譲与額でございます。これは総額二百億円ベースでございますけれども、機械的に試算いたしましたところ、上位三団体は、一つ目が横浜市、約一億四千二百万円、二番目が浜松市の約一億二千百万円、三番目が大阪市の約一億一千万円でございます。

 下位三団体でございますけれども、沖縄県渡名喜村の約一万数千円、二番目が沖縄県の北大東村の約二万数千円、三番目が沖縄県の粟国村の約二万数千円でございます。

吉川(元)委員 政務官、ちょっとお聞きしたいんですけれども、先ほど、超過課税については府県がやっていると。ただ、一政令市も入っているというふうに思います。

 先ほどのお話、整理の仕方として、この超過課税というのは府や県レベルのもので、今回の譲与税については、これは市町村レベルだ、だからすみ分けができる、調整はもちろん必要ですけれどもすみ分けができるんだというお話でしたけれども、今お話があったとおり、一位は横浜市です。恐らく、この一政令市というのは横浜市のことだというふうに思うんですが、これはまさに両方重なっているんですけれども、この点はいかがお考えでしょうか。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 まさにそこが、それぞれ地域の実情に応じて、みずからの独自課税をどういった使途に使っていくかというところの検討が必要になるもの、このように考えております。

 横浜市さんにおかれましても、いわばナショナルミニマムで整備をする部分と、それから、それぞれの地域の実情に応じて、自分の団体ではこういったところに使っていこう、そういった御検討がなされることを我々は期待をいたしております。

 以上でございます。

吉川(元)委員 今聞いた上位、横浜、浜松、大阪、いずれも政令市だろうというふうに思いますし、一億を超えるような譲与税が入るということでありますけれども、正直言って、余り森林というイメージが湧かない都市、どちらかといえば都市、最近合併して大きくなっていますからあれですけれども、そういう感じがいたします。

 何でこんなふうになったのか。本来、森林の多いところ、とりわけ中山間地域の自治体を含めて、そちらに配分されるべきものなのではないかというふうに私自身は考えていたんですけれども、実際の配分状況は、今言ったような形で、沖縄の三町村が一万数千円というレベルの譲与税だと。僕も細かな地理はわかりませんけれども、恐らく少ないところほど、一概には言えませんが、森林をたくさん抱えている人口の少ないところ、そういうところなんじゃないかというふうに思います。

 何でこうなっているのかというと、結局、配分について、人口の割合を十分の三にしたというところからこういうことが出てくるんだろう。今、横浜市、政令市三市、挙げられましたけれども、各府県においてはいわゆる県庁所在地といった自治体が当然人口が一番多いわけですから、そこが上位に来る結果になっているのではないかというふうにも推測をされます。

 森林面積がそれほど多くない自治体、そこにかなりの金額の配分がされるというのは、これは非常に疑問を感じざるを得ないんですけれども、そもそも、その配分基準に人口を盛り込んだ理由、そして、その割合がなぜ十分の三という非常に高い、三割は人口で配分するんだというふうに決めたのか、その根拠を教えていただけますか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 森林環境税につきましては、都市部の住民も含めた国民全体の理解も得ていく必要がございますので、都市部においても実施される木材利用の促進や普及啓発を使途の対象としているところでございます。

 また、森林整備が進みますことで間伐材の供給がふえてまいります。そういたしますと、間伐材の値段が下落をいたします可能性がございますので、都市部の地方団体で木材の利用が進みまして、間伐材の値段が維持あるいは上がっていくことによって更に間伐が進み、山間部における森林整備から都市部における木材利用までの間の経済の好循環が生まれることを期待しているところでございます。このことは、林業経営という観点から見ても重要なことと考えているところでございます。

 さらに、多くの府県等で実施されておられます、先ほどございましたけれども、森林環境の保全等を目的とした超過課税につきましても、平均すればおおむね三割強を森林整備以外の事業に充てているところでございます。

 こうしたことを総合的に勘案いたしまして、森林環境譲与税のうち三割を木材利用の促進や普及啓発等に相関する指標でございます人口を基準として譲与することとしているところでございます。

吉川(元)委員 今局長がお話しになったこと、別にそのこと自体を否定をするつもりはありませんが、ただ、割合が余りにも人口に偏っているじゃないかと。

 都市部で間伐材を使ってくれるためには都市部でそういうお金が必要なんだ、そうすると間伐が進んで森林の整備が進むんだ、まるで風が吹けばおけ屋がもうかるような、そういうことではなくて、もうちょっとやはり、先ほど、下位は一万数千円なんという、こんなお金で一体何を、じゃ、やれというのか。実際にはほとんど何もできない金額しかおりていかないというのは、私はやはりおかしいんじゃないかなというふうに思います。

 今後、市町村が中心になって森林整備を進めていくことが期待されるわけですけれども、一方で、市町村の森林・林業職員というのは全国で三千人程度というふうに伺っております。そして、専ら林務を担当する職員がゼロないしは一人といった市町村、これが全体の三分の二を占める。大変心もとない状況にあるのも事実だというふうに思います。

 市町村が主体となって森林整備、そのための市町村の体制強化に向けた国の支援、これについてお聞かせ願えますでしょうか。

織田政府参考人 お答えいたします。

 市町村が主体的に森林整備を進めるためには、その実施体制の整備が非常に重要だというふうに考えておりまして、農林水産省といたしましても、地域林政アドバイザー制度の推進、あるいは市町村職員を対象とした実務研修の実施、さらには、国有林組織の技術力を生かした技術的支援等に取り組んでおりますほか、平成三十一年度予算案におきましては、市町村職員への指導助言を行う技術者を養成する事業を盛り込んでいるところでございます。

 また、近隣市町村との事務の共同実施ですとか、都道府県が技術者を雇用して複数市町村へ派遣するということも含めまして、現在、市町村等への助言に努めているところでございまして、さらに、四月からは、林野庁に新たに一つ室を設けまして、市町村への助言等をしっかり行っていくこととしているところでございまして、引き続き、都道府県との連携も図りつつ、市町村の体制整備を支援してまいりたいというふうに考えてございます。

吉川(元)委員 今、森林アドバイザーのお話がございました。ただ、聞いていきますと、なかなか、市町村が欲している人材とミスマッチが起こっているというようなことも伺います。

 また、いわゆる地域林政アドバイザーの賃金は五百万円が想定をされて特別交付税措置されているというふうにも理解しておりますけれども、措置率は〇・七ということですから、残りは自治体が負担をしなければいけない。先ほども言ったとおり、小規模自治体等々ではかなりこの捻出が難しい、きついというようなお話も伺います。また、今五百万と言いましたけれども、五百万は全て本人の賃金に回るわけではなくて、そこには旅費等も含まれるということも聞いております。そうしますと、この処遇を引き上げていかないと人材もなかなか確保できないのではないか、そういうふうにも思います。

 今ほど、地方の声に耳を傾けるというようなお話もありましたけれども、このアドバイザー制度、もっと使いやすい制度にしていくために、自治体等々とも協力をしながら、また総務省とも相談をしながら改善を進めていくべきだと考えますけれども、この点、いかがでしょうか。

織田政府参考人 お答えいたします。

 地域林政アドバイザー制度につきましては、市町村の森林・林業行政の体制整備を目的に、市町村が林業技術者の雇用等を行う制度として平成二十九年度から開始してございまして、その経費につきましては、御指摘ございましたように特別交付税措置の対象となっているところでございます。

 また、市町村の支援強化のため、平成三十年度からは、都道府県が技術者を雇用して複数の市町村の指導助言を行うことを可能とする拡充も行ったところでございます。

 農林水産省といたしましては、本制度を効果的に活用して、市町村がそれぞれの実情に応じた処遇や人員配置を採用しつつ体制整備をしていけるよう、都道府県との連携を図りながら、市町村への助言や技術者情報の提供、アドバイザー対象者に対する研修等に取り組んでまいる考えでございます。

吉川(元)委員 では次に、特別法人事業税と譲与税について伺いたいと思います。

 率直に言わせていただきまして、この特別法人事業税、自治体の独自財源である地方法人税を使って偏在是正、財源調整の原資とする。地方税、地方の固有の税を一旦国税化をするに等しくて、大変私は筋の悪い税制だというふうに思います。

 まずお聞きしたいのは、是正すべき偏在というのは一体どういう基準で出しているのか。

 なぜかといいますと、都道府県別の人口一人当たりの税収額、これは総務省が数字を出しているんですけれども、地方法人二税では、二〇一六年度で約六・一倍でした。じゃ、ここ数年、偏在度が急速に拡大しているのかというと、そういう様子はありません。二〇〇〇年代でいいますと、二〇〇七年や二〇〇八年の数値の方が二〇一六年度よりも高くて、もっとさかのぼって、一九八九年、バブルのころですけれども、八九年は八・六倍、一九九〇年は七・七倍だったわけで、今になってにわかに地方法人二税の偏在性が顕著になっているというのはちょっと的外れなのではないか。

 そういう意味でいいますと、二〇〇〇年代に入ってから、偏在度は横ばいあるいは低下傾向にすらあるようにも思えます。偏在度の過去の数字と比較した場合、殊さら近年偏在度が高まっているというふうには思えないんですけれども、先ほどの基準といいますか、このぐらい開いているから偏在是正をするんだという理由がどこら辺にあるのか教えていただけますか。

    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、地方税には税源の偏在がございまして、人口一人当たりという見方をいたしますと、地方税収の差は、最大と最小の都道府県で比較すると、地方税全体では二・四倍、偏在の大きな地方法人課税では六・〇倍となっております。

 近年、地方税収が全体として増加をしているところでございまして、地方法人特別税・譲与税制度を創設した平成十九年、平成二十年の状況を上回り、過去最高水準となっているところでございます。

 こうした中で、地方交付税の交付団体においては、赤字地方債でございます臨時財政対策債の残高が累増する一方で、不交付団体においては、財源超過額等が増嵩している状況にあるということで、地域間の財政力格差が拡大しておりまして、これへの対応が喫緊の課題となっているということでございます。

 また、地方法人課税という点で見ますと、産業構造のサービス産業化やインターネット取引の拡大といった経済社会構造の変化等を背景として、大都市部には企業の事業活動の実態以上に税収が集中している状況にあると考えております。

 具体的には、地方法人課税の税収と、地域における事業活動により生ずる付加価値の総計でございます県民総生産の分布状況につきまして、人口一人当たりで最大と最小の都道府県を比較いたしますと、県内総生産では約三倍、偏在の大きな地方法人課税では約六倍となっているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、地域間の財政力格差の拡大や経済社会構造の変化等に対応し、企業の事業活動の実態以上に大都市部に税収が集中する構造的な課題に対処しよう、そういうことで新たな偏在是正措置を講じようとするものでございます。

吉川(元)委員 もう時間がありませんので、あえて尋ねませんけれども、やはり本来それは地方交付税が果たすべき役割なんだろう。

 この間、累次にわたって法人税が、税率が引き下げられてきました。当然、法人税には一定の法定率を掛けて地方交付税の財源になっていく。財源の保障をしていくということなのであれば、本来、こちらに手をつけるべきものでありますし、例えば、国の法人税を、税率を引き上げる、あるいは法定率を引き上げる、そのことを通じて財源の対策をしていく、保障していくことが私は必要だと。都市部にはお金があるから、そこから法人税を召し上げてほかのところに配るというやり方というのは、これは本来の筋からすると違うのではないかということだけ指摘をさせていただきたいと思います。

 次に、統計の問題、きょうは北村委員長代理に御出席をいただいておりますので、何点かお聞きしたいと思います。

 それで、ちょっと質問の順番を変えますけれども、まず、毎月勤労統計のギャップ、いわゆる上振れ分ですけれども、前回の二〇一二年のベンチマーク更新時は、二〇一〇年にさかのぼって均等して上乗せをしてきた。今回のベンチマーク更新に当たっては、二〇一三年にさかのぼって六年で均等化せずに、二〇一八年に一括計上しております。

 これは予算委員会でも問題になって、統計委員会の了解を得ていないことが明らかになりました。その後、総務大臣、厚労大臣の意見が予算委員会で少し違うんじゃないかということで、統一見解が出されていると承知をしております。

 その中で、段差補正と一体的に議論をされてきたというふうに整理されたと承知しておりますけれども、過去の議事録を見ましても、一体的に議論されてきた形跡が余り見られないんですが、一体、サンプル入れかえと一体的に議論されてきた経緯というのは、どこに存在をしているのでしょうか。

北村参考人 お答えいたします。

 統計委員会におきましては、毎年、勤労統計の改善に関する検討を、平成二十七年六月以降、数年にわたって行ってきております。

 平成二十七年十二月十一日の統計委員会の基本計画部会では、これは私が担当しましたけれども、未諮問基幹統計として毎月勤労統計を審議し、厚生労働省から、ベンチマーク更新時の補正方法の取扱いを含めた説明が行われております。

 二十八年三月の統計委員会の基本計画部会では、ベンチマーク、いわゆるウエートですけれども、の更新によるものを含む断層の補正方法も検討されるなど、早い段階からこのような断層についての議論は行ってまいりました。

 その上で、統計委員会は、御指摘の大きな上振れとなった平成三十年一月の調査結果の公表時の断層について、厚生労働省に対して、その要因等について報告を求め、サンプル入れかえに伴う断層よりもベンチマークの更新に伴う断層が大きいということが明らかになりました。

 その報告を踏まえ、議論を行い、平成三十年八月二十八日に開催された統計委員会において、ベンチマーク、ウエート更新に伴う断層については遡及改定を行わないという現在の方法が標準的であるという対応に落ちつきましたということです。

吉川(元)委員 予算委員会を聞いていると、一体的な議論が行われたと。今のがそうなのかどうなのか、私は非常に理解に苦しむんですが。

 なおかつ、これは大臣が答弁されていることですけれども、両省の統一見解ということで一体的に議論をされてきたということについて、統計委員会にそもそも聞いていないと。聞いていないのになぜ一体的に議論ができたというのは、御理解、理解というか、そういうふうにわかるのか、その点、どういうことなんでしょうか。

石田国務大臣 統一見解、これは総務省と厚労省で行ったわけでありますけれども、実は、御指摘を予算委員会でいただきました。そして、そのときに、西村委員長からいただいたペーパー、あるいはそれまでの議事録、そういうものを厚生労働省そして総務省で精査をして、厚労大臣と総務大臣の答弁の違いについて、どういういきさつの中でそういう答弁になったかということの説明をするための統一的な説明文書として、この見解ということを出させていただいております。

吉川(元)委員 一体的に議論がされているということで統一見解を出されたんだと思うんですよ。それでいいんですよね。

石田国務大臣 それは、先ほど北村委員長代理からも御答弁がありましたけれども、二十七年の時点から、統計委員会の基本計画部会で厚労省の方からの説明があったことはあったんだということでございます。ただ、二十八年六月から九月にかけてのワーキンググループで議論をしたわけではないということでございます。

 そういう意味で申し上げますと、この統一見解を読んでいただいたらわかりますけれども、厚労省としては、この統計委員会での基本計画部会ワーキンググループ、こういう一連の中で説明をさせていただいたというような見解であったようでありますが、総務省といいますか、統計委員会の事務の方としては、明示的にそういうことが諮問がなされたわけでも答申がなされたわけでもないという立場で、私の総務大臣としての答弁をしたわけでございます。そういうところの整理をさせていただいたということであります。

吉川(元)委員 いや、私が聞いているのは、断層等々について話題になった、見ていると、これはどうやらここでも何となく議論をしているよねということで統一見解というふうになったというふうに今の話を理解するんですけれども、だとするならば、こういうふうな統一見解といいますか、こういうことだよねということを統計委員会に聞かないと、それはわからないんじゃないんですか。何で聞かずにこんなものが出てくるのか、非常に私自身は理解に苦しむんですけれども。

石田国務大臣 私が答弁で、総務大臣が答弁で申し上げましたのは、平成二十九年、二〇一七年の毎月勤労統計に係る諮問にはベンチマーク由来の断層補正の取扱いは明示的に含まれていなかったということを答弁を申し上げました。

 一方で、厚生労働大臣は、それまでの統計委員会での議論の経緯を踏まえ、先ほど来御説明したことでありますけれども、ベンチマーク由来の断層補正を含め、遡及改定しないことを前提に計画の変更申請を行ったという趣旨の答弁をされたと承知いたしております。

吉川(元)委員 答えていないと思うんですが。

 当該の委員会に、こういうことで話があった、例えば、こういう議論は一連の議論としてやったという話であれば、それはそれで、統計委員会もそうですねということであればわかるんですけれども、そもそも、そこに聞かずにこうした統一見解を出せるのが、私は非常に不思議でなりません。

 きょうはもう時間が参りましたので。

石田国務大臣 ですから、先ほど申し上げましたように、これは、先ほど私が申し上げた、総務大臣と厚労大臣の答弁の違いがあった、それはどういうことなんだという、それについての統一見解を出せということでありましたので、こういうようないきさつの中で違いがあったということを御説明している文書であります。

吉川(元)委員 ちょっと得心がいかないので、また別の機会に尋ねたいと思います。

江田委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井でございます。

 きょうは、北村統計委員会委員長代理、お忙しいところお越しいただきまして、まことにありがとうございます。

 北村委員長代理は、統計委員会の委員長代理であると同時に、基本計画部会で、毎月勤労統計、今かなりいろいろ議論になっている、これの主査をしていただいていますので、ちょっとその両方の立場から何点かお聞きをしたいと思います。

 まず一点目、通告をしておりますが、ちょっと私、通告を間違えてというか、慌てていたものですから、二〇一五年九月十六日の毎月勤労統計改善に関する検討会の第六回、中間整理がされた、その前に、統計委員長代理が、総務省、当時の内閣府やあるいは厚生労働省から、この毎勤統計についてどんな説明を受けましたかというちょっと質問通告をしたんですが、よく考えると、統計委員長代理は、その後の統計委員会の、だから、十二月十一日の基本計画部会に向けて恐らく説明を受けているんじゃないかと思うんですが、ただ、せっかく通告をしておりますので、あと、この九月十六日の毎勤統計の検討会の前後、何があったかというのは、かなり、この委員会でも、あるいは予算委員会でも大きなテーマになっていますので、ちょっと通告どおりに、北村委員長代理が、二〇一五年九月十六日の開催の前に、総務省あるいは厚生労働省から何か説明を受けておられたら、お聞かせください。

北村参考人 お答えいたしますが、厚労省から、我々に対して、私に対して、御説明というのが、九月十六日以前にはあったわけではありませんが、統計委員会といたしましては、二十七年の六月二十五日に、毎月勤労統計については二十七年十一月以降に審議を行うというような、未諮問統計ということで審議を行うという決定をいたしております。

 我々、そういう意味では、未諮問になっているので何か検査をしなければいけないということは認識しておりましたけれども、具体的な、研究会で、おっしゃったような内容についてアプローチはありませんでした。

高井委員 ありがとうございます。

 それで、本来質問したかったのは、その同じ年の十二月十一日に基本計画部会が開かれて、十月二十六日の、その前、第六十四回で北村さんは主査になりますね、この毎月勤労統計の担当の主査に西村部会長から指名をされる。そして、約一月半後の十二月十一日に、この毎勤統計の審議が行われるわけですが、当然、そこの前には、当時の事務局は内閣府、今は総務省が引き継いでいますが、当時の内閣府、総務省、あるいは、もう毎勤統計は厚労省の所管ですから、この両者から何らかの説明があったと思うんですけれども、どのような説明があったかをお聞かせください。

北村参考人 お答えいたします。

 十二月の会議のときですけれども、ローテーションサンプリングの導入とか、母集団情報、標本抽出の方法、ギャップの状況について、あるいは、ギャップを縮減する補正方法について議論をいたしました。それから、速報値と確報値の間で改定される要因とかそういうことについて議論するということが議題でございました。

高井委員 ちょっと私の通告の仕方が悪かったので申しわけないですが、ちょっと改めてお聞きしたいんですけれども、その当日の議論の中身を聞いているのではなくて、それは議事録を読めばわかるんですけれども、厚労省なり、総務省は多分いろんな説明があったと思うので、厚生労働省から何か直接説明を聞かれたということはございますか。

北村参考人 厚生労働省からは、もちろん、どういうアプローチをしているのかということについて説明をしていただいたんですけれども、それが、かなり最初の説明では具体性に欠けるということで、それから、二月の十六日までかけて、数値計算をしてもらったり、いろいろな形で改定をしてもらったという経験があります。そのときに、ギャップの修正をどうするかとか、要因分解をどうするかというようなことを具体的に指導いたしました。

高井委員 この議事録を読むと、十二月十一日、もう大分前の話なので、三年も前の話なので恐縮なんですけれども、これを見ると、北村主査がおっしゃるように、厚生労働省の課長、石原課長に、説明をするようにということでるる説明があるんですけれども、ここを読むと、これはもう、ローテーションサンプリング、つまり部分入れかえ方式ですね、これを、もう厚生労働省は、これで行きますという説明だったという理解でよろしいですか。

北村参考人 それも含めて、今までの全入れかえ方式も含めて議論していただいたんですけれども、ローテーションサンプリングを導入した場合、どういう効果が出るかということをより具体的に示していただかないと、我々もそれが正しい方法なのかどうかということがわからないので、そういう数値例を出してくださいということを申し上げました。そういう意味では、事前にローテーションサンプリングが決まっていて、それを正当化するような計算結果を出せというようなわけではございませんでした。

高井委員 それでは、委員長代理は先ほど、この年の六月二十五日にはもう統計委員会としても毎勤統計を取り上げるということが決まっていたということで、関心を持っていたというふうに聞いておりますが、この間に、厚生労働省では六回にわたって毎勤統計の改善検討会というのをやっていたんですけれども、その状況がどういう状況であったかみたいなことは関心を持って見ておられましたでしょうか。何か、そのとき、どんなふうに見ておられましたでしょうか。

北村参考人 そのときの様子は、十二月十一日に基本計画部会をやったときに初めて研究会での報告書及び議論の結果をお聞きしたということです。それまでは、私は存じておりませんでした。

高井委員 それでは、今盛んにこの国会でも問題になっているんですけれども、第五回目までは部分入れかえじゃなくて総入れかえ方式をずっと議論して、そういう結論になりかけたんだけれども、最終回、中間報告の直前で部分入れかえ方式になったということについては、そういうふうな認識はなかったということですか。

北村参考人 その際の議論については、私は全く認識しておりませんでした。

高井委員 ありがとうございます。

 それでは、最終的に、北村主査のもとで、この基本計画部会あるいは統計委員会として、この部分入れかえ方式が決まるわけですけれども、これは通告しておりますけれども、その方式が適当と判断した理由は何でしょうか。

北村参考人 部分入れかえ方式といいますのは、数年に一回、一斉に変えるのではなくて、毎年徐々に変えていくというやり方で、そういうふうにした方が、入れかえの際に生じる乖離、ギャップというふうに言っていますけれども、が小さくなるということが想定されましたし、それから、実は、サンプルサイズが、今議論になっているのは第一種事業所といいまして、三十人から四百九十九人までのサイズのところなんですけれども、それより小さい五人から二十九人までのサンプルのところでは、もう既に部分入れかえ方式が最初から導入されておりまして、そっちの結果も見つつ分析したということでございます。

高井委員 それでは、ちょっと統計委員長代理、少しお休みいただいて、後でまた聞かせていただきますが。

 この毎勤統計の検討会、先ほど奥野委員の質問で、最後にちょっと、私も少し驚いたんですけれども、結局、きょう厚労省来ていただいてありがとうございます、阿部座長が最後これは了解していないんじゃないかというふうな終わり方だったんですけれども、これは、阿部座長は、きちんと、中間取りまとめの案は、出す前に了解しているんでしょうか。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 事前に私にいただいておりました通告が、検討会の第六回で報告書が中間的整理となった理由は何なのか、その件に関する当時の阿部座長の見解はどうかというお尋ねでございます。

 当時の統計情報部長は、第五回の検討会では、ローテーションサンプリングについて、実務面での問題点やギャップが完全に解消されない可能性がある一方で、早い時期により正確なデータをとるための方法である等の意見があり、また座長から修文について言及があったことから、第五回検討会の時点の報告書の案文を第六回に向けて書き直す必要があると判断するとともに、十一月以降に統計委員会における未諮問基幹統計の議論が控えていたことから、報告書の結論を取りまとめるべきではないと述べているものと承知をしてございます。

 いずれにいたしましても、第六回検討会の中間的整理案の内容は、検討会での各委員の御意見を踏まえつつ整理をされたものと承知をしております。

 当時の阿部座長の見解でございますけれども、阿部教授に確認をいたしましたところ、第六回検討会の資料が中間的整理案となりましたことや、中間的整理案の表現が、「サンプルの入れ替え方法については、引き続き検討することとする。」に変わった経緯につきましては、もともと、それまでの議論において、ローテーションサンプリングについては、実務面での課題が論点の中心であり手法そのものが否定されていたわけではなかったこと、樋田委員がその方法に肯定的であったこと、同年十一月以降の未諮問統計の確認作業を控える中での総合的な判断であったことなどを受けとめていらっしゃったと承知をしております。

 なお、今お尋ねの、第六回に提出された中間的整理案について阿部座長にどのような形で了承をいただいたのかということでございますが、当時の担当部長、課長、補佐に確認をしておりますけれども、事後的に阿部座長に了承していただいたはずであるが、いつ、どのような形で了承していただいたかは、いずれも記憶にないということでございました。

高井委員 記憶にないわけですか。

 ちょっときょう、藤澤統括官、大変な中で来ていただいて、まことにありがとうございます。

 ただ、こうして質疑していると、やはり、現職の方に聞いても、まず通告していないと過去のことは全く答えれませんし、通告していてもやはり伝聞というか、こう聞いているという答弁ですので、やはり、これは、この件を真相を解明するには、予算委員会のように、当時の方に来ていただかないとなかなか進まないということは、ちょっと重ねて委員長にも申し上げておきたいし、また、ぜひそういった方々の参考人招致も検討いただきたいと思いますが、委員長、お願いします。

江田委員長 後刻、理事会で協議します。

高井委員 それでは、今度はちょっと、統計委員長代理としての北村さんに、この毎勤統計のことに限らず、少し大きな視点からお聞きしたいと思いますけれども、ちょっとこれは通告していないので、ただ、ちょっと感想的なことで結構ですので、今回のこの一連の統計不正問題を見て、まさに統計の司令塔のナンバーツーをやっておられる代理として、どのように見ておられますか。

北村参考人 もちろん、私、統計というのは国家の基礎的なものであると思いますし、全ての政策は、統計の情報に基づいて、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングということは、政府でもおっしゃっているように、それを推進していくための統計委員会と思っております。

 統計の品質管理、それから技術的な問題を向上させるということは統計委員会の任務だと思っておりまして、それが果たせなかったといいますか、かなり長い期間にわたって間違った情報が提供されていたということは非常に残念だと思っておりますし、それを改善するための方法については、あらゆる側面から検討していく必要があると思っております。

高井委員 この委員会でもたびたび取り上げているんですけれども、今回の事件が起きて、その後の政府の対応なんですけれども。

 例えば、同じ厚生労働省の不正があった賃金構造統計については総務省がこれを監査する、それから、毎月勤労統計については厚生労働省が特別監察チームをつくってやるというようなことで、これは新聞なんかにも、社説なんかで、全く構造は同じで、同じ構造なのに、なぜこうして別々なところがやるのか、そういう指摘があり、政府にも、総務大臣にもお尋ねしましたけれども、私としては、私というか多くの国民は、新聞の社説になるぐらいですから、釈然としないものを感じているわけですけれども、このあたりは、統計委員長代理としてどのようにお考えでしょうか。

北村参考人 先ほど申しましたように、統計というのは、国家のインフラストラクチャーのうちの非常に重要な部分ですので、それについての審査といいますか、事後的な問題についての評価というのは、なるべく独立的な、中立的な機関が行うべきだと思いますし、そういう側面から、それぞれの任務を、委員会を立ち上げて検討していただいているものと理解しております。

高井委員 これも、この委員会でも取り上げたんですけれども、あと、非常に体制も不十分だと思うんですね。

 ほかの、民間企業のこういった不正があったときの、例えばスルガ銀行のときの第三者委員会というのは、調査期間も四カ月とって、それから電子メールも三百六十六万件分析した。それから、全役職員三千七百人にアンケートを行うとか、あと、内部通報窓口も設置している。これは、雪印種苗の不正のときも同じような体制で取り組んでいるということに対して言えば、やはり今回の厚生労働省の、あるいは総務省、そして統計委員会としても、これから、こういった全ての統計を検証していくということになるわけですけれども、こうした民間の取組に比べて、やはり少し、少しというか大幅に足りないんじゃないかという指摘があるんですけれども、そのあたりはどのように受けとめておられますか。

北村参考人 全体的な統計の見直しということについては、点検検証部会というのを立ち上げまして、それで対応していくということだと思いますし、どういうガバナンスといいますか、チェック機能を果たせばいいのかということは、もっと広く長く、大きな面から議論していく必要があると思いますので、国会の方あるいは政府の方でも検討していただければと思っております。

 統計委員会としても、もちろん、それに最善の努力をして、検討していきたいと思っております。

高井委員 それでは、ちょっと今後の話、この不正をどうするか、解明するかということにとどまらず、今回のこの問題を契機に、いろんな方々から統計改革に関する提言が寄せられています。

 私も、これは読売新聞、二月二十日の読売新聞に、北村委員長代理も投稿していただいていますけれども、ここに尽きているのかもしれないんですが、改めて、北村委員長代理は、この統計改革、今後の統計改革は、どのようなふうに進めていく、どういう改革がふさわしいと思っていらっしゃるか、お聞かせください。

北村参考人 お答えいたします。

 統計改革は、やはり時代の流れに沿ったものでなければいけないと思っておりまして、幾つか時代の流れというのはあると思うんですけれども、人口の高齢化とか少子化、あるいは財政的な逼迫、いろいろなことがある中で、統計だけ人員をふやしてということを言っても、実際にはなかなか実現しないだろうと思われますので、できる範囲内でやるためにはどうすればいいのか。例えば、ネットの情報を使うとか、もう少し、業務統計といいますか、実際の業務で使っているような行政記録とかそういうものを使って調査にかえていくとか、工夫をして統計情報を充実させていくということを図るべきだろうと思っております。

高井委員 ちょっと、私の方からも具体的に通告の際に申し上げたんですけれども、今おっしゃっていただきましたインターネットの活用ですね。やはり、調査員が一人、一軒一軒行って紙で集めて歩くという、まさにもう戦前からやってきた手法をいまだに基本にしておられるわけですけれども、世の中、もうインターネットが普及し、またデジタルデータで、各企業の方なんかに聞くと、そのデジタルデータを紙に転記するのがもう大変なんだ、だから調査票を書きたくないんだというふうにおっしゃる方もかなりいらっしゃる。こういったインターネットかデジタルデータの活用ですね。

 あと、もっと言うと、今、ある程度大きな企業になると、もう自分たちの商品の価格とか、それから販売先とか、そういったものも全部ビジネスのためにデータで持っていて、かつ、当然、社員さんの給与とか、こういったものもデータで持っていますので、これをそのまま一括してもらうという仕組みをつくれば、実は、そんなことができるかと思われるかもしれませんけれども、スイスなんかでは既に連邦統計局でやっていると聞いております。ヨーロッパもスイスをまねてそういったものをやっていこうというふうなことを聞いているんですけれども、こういったものを日本でも取り入れていくということを統計委員会のリーダーシップでぜひやるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

北村参考人 お答えいたします。

 今おっしゃっていただいたインターネットの活用とか民間企業の保有するデータの活用ということについては、部分的には既に政府統計でも行っているんですけれども、まだまだ規模が少なくて、それから本格的な形で一体的にそういう統計を集める仕組みというのはできておりません。それはもう本当に先進国に追いつかないといけない部分でありまして、そこについては、私がどれぐらい貢献できるかわかりませんけれども、そっちの方向に進めていくために努力したいと思っております。

高井委員 それでは、ちょっと、この同じ読売新聞に小峰隆夫さんという大正大教授のコメントがありまして、先ほどこの北村代理のを読んでいたらこっちも目にとまったものですからちょっとお聞きするんですけれども、今の統計委員会は総務省に置かれていますけれども、しかし、この小峰さんいわく、総務省も家計調査などみずから統計もたくさん所掌しているということで、そういう意味では、監視役が身内に甘くなるという疑いが常につきまとうのではないかというような指摘をされておりますけれども、こういった指摘はいかがですか。

北村参考人 私、統計委員を八年近くやっておりまして、最初は内閣府に属しておりまして、今は総務省に属しているということで、経験が両方にあるんですけれども、基本的にはかなり独立した第三者委員会として機能しておりまして、総務省の下に入っているといっても、全く独立したものとして機能しております。

 総務省の統計だから手心を加えるとか、そういうことは一切ありませんで、かなり科学的にといいますか技術的に審査しているという意味では、独立していると言えると思います。

高井委員 わかりました。北村さんのお考えはわかりましたが、ちょっと総務大臣にもこれは通告をしております。これは実は先ほど総理にもお聞きをして、ちょっと総理と同じ答弁なのかもしれませんが、今回も、冒頭、総務大臣からも謝罪のコメントがありましたとおり、今回、統計委員長、西村委員長が非常勤の公務員という立場で、本業もあり、なかなか国会の出席もできないというような話があり、委員会でも、我々の審議日程に合わせて来ていただくというのはなかなか難しいという状況であるわけですが。

 ただ、これはやはり統計委員会の重要性というのをもう一度考えていただいて、かつまた、今回のこういった統計の不正の事案などが起こったときを考えると、これはやはり今の八条委員会という形ではなくて、いわゆる三条委員会、国家行政組織法上の三条に由来する公正取引委員会とか、あるいは個人情報保護委員会、原子力規制委員会などのこういった委員会と並びで、そうすると、大体こういった委員会は常勤の委員がいて、ですから、国会でもよく答弁に来ていただくわけですけれども、こういった三条委員会にすべきではないかというふうに考えますが、総務大臣、いかがでしょうか。

石田国務大臣 まず、西村統計委員会の委員長は、今日までも、委員会の審査のために、国会に四度にわたって出席をいただきまして意見を述べてきていただいております。その委員長から、先ほども御紹介をさせていただきましたけれども、研究教育等で支障のない限りは協力をさせていただくと、国会に協力させていただくという答弁をいただいておるわけでございまして、その委員長のお立場、お考えを尊重させていただきたいなというふうに思っておりますが。

 統計委員会の権限強化ということにつきましては、これはもう繰り返しになりますけれども、我が国の統計機構では、各府省が所管行政に関係する統計作成を担い、統計委員会が統計整備の司令塔機能を果たしてきたわけでございます。

 また、昨年の統計法改正によりまして統計委員会の機能が強化されたところでございまして、自律的、機動的に政策提言等を行うことができるようになったところでありまして、まずはこうした機能を十分に活用していくことが重要であるというふうに考えております。

 同時に、議論になっております毎月勤労統計につきましては厚生労働省の特別監察委員会で調査が行われ、また、賃金構造基本統計については総務省の行政評価局が調査を行っているところでございますし、先ほども議論のありました統計委員会におきましては、この事案が起こって以来、点検検証部会において、基幹統計及び一般統計調査について再発防止や統計の品質向上といった観点から徹底した検証を行うこととされているところでございます。

 こうした結果を踏まえつつ、今後の統計全体を考えていく中で総合的な対策を講じてまいりたいと考えております。

高井委員 私、ちょっと今後のことをお話ししましたけれども、当然、西村委員長にも、先ほど吉川委員からもお話があったように、大臣からも、この統計委員会も本務であるということで、ぜひ国会の審議には来ていただけるように、大臣の方からも、お願いしたいと思います。

 それでは、ちょっと残り少ないんですけれども、ちょっともう一度、北村委員長代理に、これも通告していなくて恐縮なんですが、統計の専門家、大家として、ちょっとお聞きするんですが、今回の統計の一連の問題、これは、統計法では、調査方法の変更は総務大臣の承認を義務づけているということで考えれば、これは承認をとっていない、ですから違反、違法ではないかという指摘がありますけれども、いかがでしょうか。

北村参考人 法律的な違法とか合法とかということについて、私は専門家じゃないので何とも申し上げられないんですけれども、それは、我々が期待していたことではないということが起こったということは言えると思います。その後の法的な対応については、別の専門家の方に判断していただければと思います。

高井委員 わかりました。

 それでは、もう一問、北村委員長代理に。

 この読売新聞の記事を見ると、かなり今、予算委員会や総務委員会あるいは本会議でも、統計の一元化という話が出ています。それぞれの省が、世界は集中型と分散型があって、日本は分散型だけれども、集中型の国が結構多いし、時代の流れもそういう集中型の方に向かっているんじゃないか、分散型であることが今回の弊害になっているんじゃないかという指摘がある一方、北村委員長代理は別のお考えを持っているようにも読めるんですけれども、ちょっとこのあたりの統計の一元化についての北村委員長代理の御所見をお聞かせください。

北村参考人 統計をどういうふうに管理するかということについては、分散化もありますし一元化もある、それぞれメリットとデメリットがあって、それについては、政府といいますか国会で決めていただければいいと思うんですけれども。

 ただ、私がその記事で書きましたのは、歴史的経緯があって今分散型になっているんだ、それで、もし分散型の問題があるとすれば、一元化をするようなメリットをある程度導入して分散化の機能を強化していくという形もあるんじゃないか。いきなり一元化にシフトして、統計省なり統計庁みたいなものをつくってやるという形にすると、それはそれでまたコストもかかりますし、いろいろ摩擦も生じるかもしれないので、分散型の中でメリットを生かしつつ運営していていくのがいいんじゃないかということが私の見方でございました。

高井委員 ありがとうございます。

 きょうは、北村委員長代理、本当にありがとうございました。

 最初は、少し毎勤統計の主査としてのお考えを伺おうと思ったんですけれども、二〇一五年の九月十六日の前後で、今、何があったかということが非常に国会においては問題になっておるわけでありますけれども、北村委員長代理はその後聞かれたということでございましたので、そこの部分については、きょうは余りお聞きいたしませんでした。

 また、これから統計改革、我が党も、立憲民主党も、今統計ワーキングチームというのを立ち上げまして、いろんな有識者の皆さんからアドバイスをいただいて、よりよい統計の姿をお示ししようと思って今鋭意作業中でございますので、またお力添えいただけたらと思います。

 それでは、本日はありがとうございました。

江田委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 奥野でございます。

 本日、三回目になります。最後ですので、よろしくお願いいたします。

 ベンチマーク補正についてちょっと議論を、御指導いただきたいと思います。

 諮問しているかどうかという話があるんですが、私が伺った、理解した限りによると、諮問しなければならないのは統計の調査手法であって、統計処理については必ずしも諮問しなくていいということなんですよね。ですから、ベンチマーク補正については、ギャップの補正については必ずしも諮問をする必要はない、必要的な付議事項ではないという整理になります。

 じゃ、なぜローテーションサンプリングがこの議論の中に登場するかというと、調査手法に関連するからだということですよね。どこを、どの事業所を調査するかということがローテーションサンプリングの導入によって左右されますから、そこは、諮問の中に入ってきて、ローテーションサンプリングの議論が諮問の中でも行われるというふうに理解をしています。

 だから、ベンチマーク補正については、そもそも、諮問もなければ、審議の中で議論にはならないわけですよ。だからこそ、あえて、北村委員長代理が務められたワーキンググループ、新旧データ接続ワーキンググループというのをつくってこういったことも議論しようということだったんですが、しかし、これまでの議論でわかったように、このベンチマーク補正については、必ずしも議論が、そこに絞った議論はなかったというふうに理解をしています。

 しかし、この八月二十八日の統計委員会に出された資料、資料七というのをお配りしていますけれども、このワーキングの結果をまとめたものが抜粋して出ています。これを見ると、一応やはり触れられているんですね。資料七の一番最後のページのところをごらんください。

 これは、新旧データ接続ワーキンググループのこと、「WG」と書いてあるのはそのことでありまして、「各種統計調査の接続方法に係る「望ましい方法」として次のとおり結論付けた。」ということ、しかし、ここはあくまで一般論だということですよね。ただ、一般論なんだけれども、この「4母集団情報の変更に伴う更新」、これはいわゆるベンチマークの更新なんかのことを言っている、「5標本交替による新旧断層への対応」、これはローテーションサンプリングの話をしている、こういう理解だと思います。

 ところが、この4を見ていくと、最初の星のところに、「全数調査などベンチマークとなるものが存在する場合、それを利用して数値を確定する」、括弧の中に「毎月勤労統計調査労働者数が該当」、ここに実は明確に出てくるんですね、毎月勤労統計の労働者数が該当すると。そういうものについては、星の二つ目で、全数調査などベンチマークがあるものについては、遡及改定によって断層を解消するんだと言っているわけですよ。さらに、三番目の星で、その遡及改定の内容については対外公表する、あるいは、見送った場合はそれをちゃんと公表しなさいと。諮問の中で出てこないからこそ、ちゃんと公表してねということを恐らくこの話はしているんだろうと思います。

 となると、話がちょっと違うように思うんですが、ただ、聞くと、これは労働者数の話だ、こう厚労省はおっしゃるんですが、じゃ、この労働者数について遡及改定をしているんですかということになるわけですよ。

 じゃ、厚労省に伺いますが、労働者数については、要するに、常勤雇用とか労働者数、数字がありますよね、これは遡及改定をしていますか、そして、それを公表していますか。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の「毎月勤労統計調査労働者数が該当」との記載のところでございますけれども、毎月勤労統計調査のうち、労働者数に関します常用雇用指数でございますけれども、ベンチマークとなる全数調査、これは経済センサス基礎調査でございますけれども、がございますので、既に、ベンチマークの更新に伴い、平成三十年一月分確報の発表時に、過去にさかのぼって改定していることを指しているものでございます。

 それから、それを公表しているかという御質問だと思いますけれども、これは、御指摘のベンチマークの更新に伴いまして、厚生労働省のホームページや、あるいは各月の毎月勤労統計調査結果の公表資料に掲載をしてございます。

奥野(総)委員 そこで、ちょっと委員長に伺いたいんですが、これはなかなか難しい話なんですけれども、今度は賃金水準の話になるんですけれども、賃金水準は、もちろん確かに全数調査ではないので、ストレートに読むとこれに当たらないかのように読めるんですが、ただ、抽出したものを各産業別に膨らませていく、各産業別の常勤雇用者数が遡及改定して出てくるわけですよね。今、労働者数については遡及改定していると言っていますから、労働者数については遡及改定されているわけですよね。そうすると、賃金水準もそれに合わせて遡及改定できるんじゃないですか。これはセットの話だと思うんですよ。

 要するに、賃金水準についてはサンプリングなんだけれども、それをベンチマークによって補正をして膨らませて、その産業の全賃金水準を算出していく、あるいはそれを足し合わせて全産業の賃金水準を出していくということで、これは不可分だと思うんですが、委員長、いかがですか。

北村参考人 労働者数については、今御説明があったように全数がわかりますので、きっちりした数字が出るわけですね。それが、それまで見ていた数字と違っていれば、それを直す、過去にさかのぼって直すということは当たり前なんですけれども、賃金については全数調査をしておりませんので、全数調査をしていないものについては遡及しないという一応取決めをしましたので、そういう形になっているということです。

奥野(総)委員 ちょっと、私もこれはよく理解しているわけじゃないので、違っているのかもしれませんが、この中間的整理を見ても、最後のまとめのところで、「サンプル入れ替えと労働者数のベンチマークを同時に更新する場合は、賃金・労働時間指数について、新旧サンプルの差に伴うギャップの補正と併せて、新旧ベンチマークの差に伴う労働者構成のギャップの補正(三角修正方式)を行う。」こう書いてあるんですが、これはまさにそういうことを言っていて、労働者数が補正されるんだったら当然あわせて修正できるはずですから、あわせて遡及して修正するということを言っていると理解できるんですが、いかがですか。

北村参考人 統計は、全数調査というのは国民全体の労働者数とかがきっちりわかるわけですけれども、サンプルでとった賃金については、それを膨らませて、全国の全体の平均はこれぐらいだろうということは、それは推定といいますか、予測の範囲で誤差が入ってくるわけですので、それに基づいて遡及していくということはかなり問題があるということで、なるべく、本当のデータがわかるものについては戻るけれども、そうでないものについては戻らないという決まりにしたということです。かなりリスクがあるというふうに判断したということだと思います。

奥野(総)委員 じゃ、もう一回確認しますが、ここのベンチマーク、最初の星のところは、賃金水準や賃金指数については対象外だ、あくまで労働者数に係る部分について限定的に書いているということでよろしいでしょうか。

北村参考人 そのとおりでございます。

奥野(総)委員 残念ながら、これ以上私は突っ込む能力がないので、そうですかと言うしかないんですが、としても、次の問題があって、「母集団情報の変更に伴う更新」ということであるんですが、一番下のところになお書きで、諮問対象外であるため答申にはないが、労働者数において、これも労働者数において限っているんですが、賃金水準について、ベンチマークについて段差が生じることについて遡及改定しなかったということを公表する義務というのは、この三番目の星でかかってこないんでしょうか。

 先ほど、ベンチマークについては、この4のところで読むんだ、賃金水準についても読むんだという話をされていましたが、だとすれば、その最後の星が生きてきて、「(遡及改訂を見送る場合はその事由)を対外公表する。」こうなっていますが、ここはかかってくるんでしょうか。

北村参考人 賃金の場合は、全数調査をしていないので、それにかかってこないので、説明する必要はないと……。

奥野(総)委員 とすると、今ので逆にわかることは、このワーキングでは、その賃金についてのベンチマークの段差の補正については、一切射程に入っていないということでいいんですか。

北村参考人 サンプルを入れかえたときに出ますよね、ギャップ、それを直接つなぐという形にするということで、直接つないで、更にそれを過去にさかのぼって修正するというようなことはもうしないことにしたということです。

奥野(総)委員 だから、要するに、センサスが変わったわけですね。六年に一回の調査、センサスが変わりましたと。その影響について補正をするかどうかということについては、このワーキンググループの議論では対象外と、もう一回聞き方を変えますが、いいんでしょうか。

北村参考人 新旧接続ワーキンググループでは、もうちょっと大きな、ほかの統計も含めて議論しましたので、そういうケースもいろいろ議論しましたけれども、今回の毎月勤労統計については、全数調査の賃金データがないということで、さかのぼっては補正しないということで、一応合意を得ています。

奥野(総)委員 ちょっといろいろ言いましたが、結局、射程に入っていなくて、今の話だと、ここでは議論は対象になっていないということですね、今の答弁は。

 これはやはり、だから厚労省の話と違うんですよ。厚労省は、ここで議論はされてきたんだと言っていますが、ここでは議論されていないと今おっしゃったわけですよね。議論の射程外だったとおっしゃったわけですよ。そもそも全数調査が入っていないから。だから、やはり厚労省の話と違うんですよね。

 だから、この資料を、お配りした中の資料六をごらんいただきますと、これは統一見解ですが、四のところで、ベンチマークになる存在に該当がしない、だから遡及改定をしなくて、そのまま接続することが標準的な対応になると理解されると書いてありますが、そうではなくて、遡及改定をしない、してもいいとも悪いとも、これは結局言っていないということですね。ここに書いていないから、遡及改定をするしないということは言っていないということでいいですね。ここの統一見解だと、ベンチマークがないから、1の考え方も援用して、1の考え方は、新旧ギャップ、標本交代によるギャップの考えも援用してそのまま接続したということまでお墨つきを与えたと。要するに、センサスの交代に伴うギャップ補正はしなくていいんだということまでお墨つきを与えたとこれは言っていますが、今の議論だと、そもそも射程に入っていないんだから、議論されていないということでいいんですよね。ちょっと済みません。

北村参考人 昨年の八月の合意についておっしゃっているということですか。(奥野(総)委員「ワーキングの中でそもそも射程に入っていませんね、ということは、議論を、いいとも悪いとも言っていないですね」と呼ぶ)いいとも悪いとも言っていない……(奥野(総)委員「遡及改定してもいいとも悪いとも言っていないということでいいんですねという確認です」と呼ぶ)それはワーキングでの……(奥野(総)委員「ワーキングでの」と呼ぶ)はい。今回の統計についての議論ではないということです。

奥野(総)委員 とすると、結局、ワーキングでは議論されていないし、諮問の場でも議論されていないし、遡及改定しても、可否については結局どこでも議論されていないんですよ、今の話だと。そういう理解でいいんですかね、厚労省。

藤澤政府参考人 総務省、厚生労働省のこの統一見解の三番と、それから四番のところについての御議論だと思いますけれども、三で、今御答弁ございましたように、横断的課題検討部会新旧データ接続ワーキンググループでこのような整理が行われて、それを総務省、厚生労働省、四でございますけれども、「毎月勤労統計の賃金に当てはめると、労働者数と異なり賃金についてはそもそも全数調査がないため、2に言う「全数調査などベンチマークとなるものが存在する場合」に該当しない。」ということで、「このため、賃金指数等に係るギャップ補正については、遡及改定をせず、1の考え方も援用して、新旧計数をそのまま接続することが標準的な対応になる」ものと理解をして、それで総務省に申請に至ったものでございます。

 なお、ベンチマーク由来のギャップについても遡及改定しないということにつきましては、昨年八月の統計委員会の評価でも標準的な対応とされているところでございます。

奥野(総)委員 いや、これは結局、今委員長おっしゃったけれども、いいとも悪いとも言っていないんですよ、これはそもそも射程外だから。いいとも悪いとも言っていないのに、勝手に、議論していないからいいんじゃないか、1の考えも、厚労省が自分の考えで勝手に援用してやってしまっているわけですよね。

 じゃ、このことについて、どこかに公表しましたか。その一月の段階、あるいはどこかの段階で、世の中に明らかになっているのは、この毎勤統計の中間的整理、これは明らかになっているんです。ここでは、三角補正を労働者数についてやりながら、あわせて賃金水準もさかのぼって改定していくと書いてあったんですが、それについて一切議論も行われず、こういう自分なりの解釈で、そのまま接続していいんだとやっているわけですが、そのことをきちんとどこかに書いてありますか、あるいは、どこかに公表していますかというのはどうですか。

藤澤政府参考人 毎月勤労統計調査の昨年、平成三十年一月分の確報を公表しました際に、その利用上の注意の中で、「調査事業所のうち三十人以上の抽出方法は、従来の二〜三年に一度行う総入替え方式から、毎年一月分調査時に行う部分入替え方式に平成三十年から変更した。賃金、労働時間指数とその増減率は、総入替え方式のときに行っていた過去に遡った改訂はしない。常用雇用指数とその増減率は、労働者数推計のベンチマークを平成三十年一月分確報で更新したことに伴い、平成三十年一月分確報発表時に過去に遡って改訂した。」というふうな記載をしているところでございます。

奥野(総)委員 今度、総務大臣に。

 この間、予算委員会で、この統一見解について、統計委員会の委員の先生方との確認をしましたかということで、していませんと、これは役所ですり合わせたものがこれだということなんですが、やはりちゃんと、今、統計委員長代理、ワーキングの座長もおっしゃっていましたが、射程外で明確に議論がされていないんですよね。それを厚労省が、今の議論だと、勝手に解釈をしてやっているということのようなんですよ。

 だからこそ、きょういらっしゃれないんですけれども、西村統計委員長は、最初の段階ではペンディングだった、こうおっしゃっているわけですね。だから、もう一度、きちんとこれは、統計委員は専門家ですから、専門家の目できちんと、この統一見解が正しいかどうかというのは確認していただけますか。

石田国務大臣 この問題は、先ほどちょっと答弁申し上げましたけれども、予算委員会の理事会で協議をされるということになっております。それを受けてということになろうかと思います。

奥野(総)委員 私も、これはやっていて非常に理解が浅いのでなかなか突っ込めないんですけれども、ぜひこれは専門家の目ということでお願いしたいと思います。

 委員長、ありがとうございます。

 それで、最後ですが、組織的隠蔽については認めない、特別監察委員会は認めない方向で検討中との報道が出ていますが、ちょっとこれはやはり気になるんですけれども、何点か気になっているところがあって、まず、石原室長は、復元していないことを知っていたわけですが、復元していないということは歴代の室長はずっと引き継いで知っていたということなんでしょうか。

藤澤政府参考人 復元処理をしていないことについて歴代の担当室長がどうだったかという御質問だと思います。

 特別監察委員会の報告書によりますと、東京都において抽出調査を開始をした当時の担当課長、当時は課長でございましたが、によりますと、「抽出していたとしても労働者数に戻す復元を行っていれば問題ない。」「復元プログラムを入れたか否かの記憶もない」との認識であり、復元プログラムを入れたか否かの記憶はないということでございました。

 また、「一度改修されたシステムのプログラムの該当部分は、それに関連するシステム改修がなされない限り、」「長期にわたりシステムの改修漏れ等が発見されないことがあり得る。」とのことを指摘をした上で、「雇用・賃金福祉統計室長(当時)Fは、これまでの調査方法の問題を前任の室長から聞いて認識していた。」「東京都についても復元処理がなされるよう、システム改修を行うとの指示を部下に行っていた」とされておりまして、F及びその前任者についてはその認識があったことが示されております。

 なお、それ以外の者については、復元処理について認識があったか否かについては明示をされておりません。

 いずれにいたしましても、現在、特別監察委員会で継続して厳正な調査を行っていただいているところでございまして、予断を持たずに、調査が取りまとまるのを待ちたいと思っております。

奥野(総)委員 例えば、こういう重要な話も抜けているんですね。復元のところは、なかなか、余り触れたくないのか、きちんと調査をしていないんですよ。抽出調査についてはさかのぼってずっと書いてあるんですけれども、じゃ、いつの時点から復元していないことに気づいていたか。あるいは、これは歴代室長の引継ぎ事項かもしれないわけですよね。そういったところの調査が全然なされていないんですね。だから、どうも、復元について触れたくないようなところが見えるんですよ。

 例えば、これまた復元の話ですけれども、十二月十三日に、これは最初、統計委員長が指摘をして、十八日に初めて担当部局の参事官が厚労審議官、官房長、総括審議官に報告する場面が出てくるんですが、このときは復元の話が出てこないんですよね。翌十九日には復元していないという話が上がるんですが、十八日、この最初の段階は出ていないんですよ。十三日の統計委員長への報告にも、私、予算委員会で質問しましたけれども、復元の話はしていないんですよね。

 あの報告書によると、当時の統括官に、酒光さんに対して、野地室長になるのか、当時の室長は、復元をしていないということを十三日の段階で報告をしているんです。十三日、総務省に説明しなきゃいけないからといって、復元していないということを報告しているんだけれども、しかし外には言っていない。十八日も、中でも言っていない。どうも隠そうとしているように思うんですよ。これは、十八日の日になぜ復元の話をしていないんですか。

藤澤政府参考人 昨年の十二月十八日に、五百人以上規模の事業所において全数調査すべきところ、東京都において抽出調査を行っていたということを、厚生労働審議官、官房長、総括審議官に十八日に一報したことは、これまでも過去に国会でも答弁をしております。

 その上ででございますが、御質問の、なぜその際に復元を行っていなかったことを報告しなかったのかにつきましては、毎月勤労統計における当時の処理や判断を含めて、現在、特別監察委員会で継続して厳正な調査を行っていただいているところでございます。予断を持たずに、調査が取りまとまるのを待ちたいと思います。

奥野(総)委員 それから、予算委員会でも質問したんですが、この報告書、監察委員会の報告書で、大臣に最初に上げたときに復元の話が出てこないんですよね。最初に政策統括官Jから厚生労働大臣になされた第一報というのは、東京都の規模五百人以上の事業所が調査計画と異なり抽出調査となっている旨の一報がもたらされたと書いてあって、これも復元の話が出てこないんですね。しかし、大臣は受けたと言っているから、これはこの報告書が間違っているということでいいんですね。

定塚政府参考人 お答え申し上げます。

 十二月二十日に大臣に政策統括官等から報告した内容は大臣の答弁のとおりでございまして、抽出を行っていた、それから、復元処理を行わずに集計していたことについて報告を受けたということでございます。

 なお、御指摘の点も含めた報告書の内容については、特別委員会において御判断いただくものでありますので、今私から申し述べることは差し控えたいと考えております。

奥野(総)委員 これは初動のおくれがすごくあるんですよ。十二月十三日に聞いて、最初に報道発表、大臣が会見したのは一月の八日ですよ。その一月八日の段階で、復元されていないことは話していないんですよね。一月の十日に初めて新聞が復元されていないんだということを書いて、初めてこれが世の中に明らかになるんですね。そこから大騒ぎになっていくわけですよ。その復元しないということをどうも抑えようとしたんじゃないか、隠蔽しようとしたんじゃないかというおそれが、可能性が非常にあるんですよ。

 これを見ると、大臣なんかにも、ちゃんと実は伝えていないんじゃないかということもあります。大臣が知っていたのなら大臣が隠蔽の指揮をとったことになるし、大臣にちゃんと知らせていなかったら事務方の問題だ、こういう、どっちにしてもこれは明らかにしていくべき問題がたくさんあるんですね。

 そこで、この監査委員会の射程なんですけれども、どうも抽出調査のところに偏っていて、今言ったように復元の話には余り触れていない、現段階のものにおいては。今度の報告についてはきちんと復元についても、こういったところを調べてあるのか。

 それから、十二月十三日以降の対応ですよね。ここが大事なんですよ、ここが。予算の組み替えまで、出し直しまでやっているわけですから。一カ月以上、十三日に発覚してから、たしか一月の十七か十八の統計委員会で初めて全貌が明らかになっていくわけですから、それまで一体何をしていたんですかというところが、やはり大臣も含めて、今の事務方の初動について、しっかり、隠蔽する意思がなかったのかとか、適切な対応があったのかというのは射程にすべきだと思いますが、そこはきちんと議論しているんでしょうか。

定塚政府参考人 お答えします。

 既に一月二十二日の報告書におきましても、復元していなかったということについてはかなりのページ数を割いて書かれているところでございます。

 また、三十一年調査の実施に当たっての事実関係の中で、十二月十三日の厚労省と統計委員会委員長、総務省とのやりとり、あるいは十四日以降の総務省と厚労省とのやりとり、二十日の大臣への一報などを書いているところでございます。

 いずれにしても、特別監察委員会で、現在、中立的、客観的な立場から厳正な調査を行っていただいているところでございますので、御指摘のような点をどう扱うかも含め、委員会の判断でお決めいただく、このように考えているところでございます。

奥野(総)委員 これは総理も、きょう、厳正にやるとおっしゃっていましたけれども、いつを目途に報告をまとめる予定なんでしょうか。これは、予算の重要な審議資料の一端になるわけですから、いつを目途にやっておられるんでしょうか。

定塚政府参考人 特別監察委員会、まさに中立的、客観的に調査を行っているということでございまして、どのようなスケジュールで議論を進めていくかは委員会の判断でお決めいただくということになっております。

 一月三十日の特別監察委員会において、追加報告等の時期はこの委員会で決める、拙速な議論を避けて、委員の合意のもとにスピード感を持って取り組むという旨が再確認されたと伺っているところでございまして、これまで委員による追加のヒアリングが実施され、精力的に御議論いただいていると認識しているところでございます。

奥野(総)委員 最後、ちょっともう一問やりたかったんですが、時間が来てしまいました。要は、事務局が非常勤だということで、厚労省が手伝っているか否か、非常に重要な問題なんですが、またの機会にしたいと思います。

 以上、ありがとうございました。

江田委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 臨時、非常勤の公務災害補償について質問をさせていただきます。

 臨時、非常勤職員の公務災害補償の問題についてですけれども、二〇一五年に、北九州市で、児童家庭相談を担当されておられました非常勤職員の方が職場でパワハラに遭い、退職後にみずから命を絶つ痛ましい事件がございました。心から哀悼の意を申し上げたいと思います。

 二〇一六年に御遺族が公務災害申請をしようといたしましたけれども、北九州市には被災職員の方又は御遺族の方からの申請を受け付ける制度が条例、規則にないということで、申請さえもできませんでした。昨年、御遺族の方から当時の野田聖子総務大臣に訴えがあり、大臣が対応を約束をいたしました。

 その後、総務省は二〇一八年七月二十日に非常勤職員の公務災害補償に係る条例改正を行うよう通知を出していると思いますけれども、その後の自治体の対応状況、どうなっているのか、お示しをいただきたいと思います。

大村政府参考人 お答えいたします。

 非常勤職員等の公務災害補償につきましては、常勤職員や労災保険との均衡を図る観点から、地方公共団体に対して条例規則の案を示させていただいております。

 今般、総務省として改めて仕組みを検証いたしまして、公務災害の可能性のある事案について職権で探知することが難しい場合があること、また、被災職員などの申出が認定に十分生かされていない場合があること、こういったことから、平成三十年七月二十日付で御指摘のように規則案の改正について地方公共団体に通知をいたしたところでございます。

 その後、総務省におきまして、平成三十年十月に各地方公共団体の規則案の改正状況を調査いたしました。

 その結果、都道府県、政令指定都市では六十七団体の全てが改正済み又は改正予定でございました。具体的には、九月末までに改正済みが十三団体、十二月末までに改正予定が三十二団体、一月以降に改正予定が二十二団体でございました。

 また、市区町村、一部事務組合等では、一千四百四十三団体のうち一千四百二十九団体が改正済み又は改正予定でございまして、未定等の団体が十四団体でございました。具体的には、九月末までに改正済みが五百四十四団体、十二月末までに改正予定が四百五十八団体、一月以降に改正予定が四百二十七団体というところでございました。

本村委員 総務省が資料を取りまとめていただいたものを資料の二でお渡しをしておりますけれども、全ての自治体の被災職員の方又は御遺族による申出が可能となるように、総務省としても引き続き実態を把握して、未定の団体については助言を行うなどして、対応をぜひしていただきたいというふうに思います。

 非常勤職員の方の場合、対象となる制度が任期によって違うために極めて複雑になっております。どの制度の対象となるのかということを申請を行う当事者が知らなくては意味がないというふうに思います。非常勤職員お一人お一人に、あなたはこの制度が利用できます、申出も可能なんだということをしっかりとお知らせする必要があるというふうに思います。全ての自治体が非常勤職員の方への周知を徹底するよう助言するべきだと思いますけれども、総務省、お答えをお願いしたいと思います。

大村政府参考人 お答えいたします。

 今回の規則案の改正につきましては、昨年の七月二十日に通知を発出いたしました後、昨年の八月に開催をいたしました都道府県、政令指定都市の人事課長、市町村担当課長の会議等、こういった各種の会議の場におきましても地方公共団体に対して説明をし、周知を図ってきたところでございます。

 さらに、今回の規則案の改正状況について、先ほど御説明いたしました調査結果を取りまとめ、そして地方公共団体への通知をいたしました際に、あわせて、規則案の改正が済んでいない団体に対しては速やかに御対応いただくこと、また、被災職員等から申出ができることなどについて非常勤の職員の皆様等へ周知を徹底するように助言をいたしたところでございます。

 今後とも、引き続き、適切に対応いただくように地方公共団体に対して助言をしてまいりたいと考えております。

本村委員 ありがとうございます。ぜひ徹底をしていただきたいと思います。

 この補償の財源についてはどうなっているのかということを総務省にお伺いしたいと思います。

大村政府参考人 お答えをいたします。

 地方公務員災害補償法第六十九条の規定に基づく非常勤職員に対する公務災害補償に要する経費につきましては、その八割を特別交付税措置により措置をするということといたしております。

本村委員 被災をされた方がきちんと補償を受けられるように十分な財源措置をしていただきたいということも強く申し述べたいと思います。

 条例に基づく非常勤職員の方の公務災害の申請、認定などの補償状況について総務省はつかんでいるんでしょうか。

大村政府参考人 お答えをいたします。

 総務省におきましては、今年度、非常勤の地方公務員の公務災害補償等に関する実施状況の調査を行いまして、現在その内容を精査しているところでございまして、確定的なお答えはできかねますけれども、現時点の概数について申し上げますれば、平成二十九年度中に発生した公務中及び通勤の災害の発生件数と前年度からの繰越分とを合わせた件数は二千五百件程度となっておりまして、そのうち、二十九年度中に処理されたのは約二千三百件であります。その中で九九%弱が公務上の災害として認定をされているというところでございます。

本村委員 調査をするようになったというのはとてもよいことだというふうに思います。

 なぜ、どういう原因でけがをされたのか、亡くなられたのか、あるいは精神疾患になったのかなどがわかるような、被災の事由については調べておられますでしょうか。

大村政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申し上げました、平成三十年度に行いました非常勤の地方公務員の公務災害補償等に関する実施状況の調査、ここにおきまして、公務災害認定の事案の事由についても調査をいたしております。

 その内容は現在精査中でございますが、例えば、負傷の場合には、職務遂行中なのか出張中なのかなどについて調査をいたしております。また疾病の場合には、公務上の負傷による疾病なのか、職業病に該当したのかなどについて調査をいたしております。

 このほかにも、いわゆる過労死等と認定された事案につきましては、脳・心臓疾患におきましては一カ月平均当たりの超過勤務時間数別の件数について調査をし、また精神疾患におきましては、異常な出来事への遭遇、仕事の量、質、対人関係等の職場環境などの業務負荷別の件数について調査をしているところでございます。

本村委員 実態を見てこそ改善ができるというふうに思いますので、ぜひ事由についても詳細に取りまとめていただきたいと思います。

 労災では、被災の事由などについても取りまとめて、転落でお亡くなりになった方々ですとか、そういったことで公表、取りまとめをされておりますけれども、また国家公務員の場合は、常勤も非常勤も同一の制度で、補償状況も統計として公表しております。詳しい調査をぜひしていただいて、公表していただきたいということも強く求めておきたいと思います。

 命と健康、働く皆さんの尊厳にかかわる部分で、任用形態ですとかあるいは任期の違いによる格差があっては絶対にならないというふうに思います。常勤、非常勤の身分にかかわらずしっかりと補償が受けられるように、条例が改正された後も、しっかりと運用されているか、非常勤職員の方が必要な補償が受けられているのか、きちんと調査をして、改善すべき点を改善していく必要があるというふうに思います。

 非常勤、臨時職員の方々の待遇にかかわる最大の問題は、自治体の財政上の都合で、正規職員と同じ仕事、責任を負いながら、低賃金、不安定な立場に追いやられているということだというふうに思います。でも、仕事はかなり専門性の高いお仕事をされているわけでございます。家庭や子供たちの問題に対応する相談業務ですとか、専門性、専門的な知識、経験を必要とする重要な職の多くを非常勤職員の方々が担っているのが現実でございます。

 この方々の待遇をしっかりと改善していかなければ、地方の行政サービスが求められている役割を果たすことが困難になってしまうというふうに思います。同一労働同一待遇、臨時、非常勤の方々の待遇改善をして正規への転換を進めることができるように、財政措置を含めて早急に対応をするべきだというふうに思いますけれども、総務大臣、お願いしたいと思います。

石田国務大臣 お答えをいたします。

 地方公共団体におきましては、多様化する行政ニーズに対応するため、また、働く側からも多様な働き方が求められていることから、任期の定めのない常勤職員を中心とする公務の運営を原則としつつ、事務の種類や性質に応じまして、臨時、非常勤職員など、多様な任用、勤務形態が活用されてきたものと認識をいたしております。

 職員の任用につきましては、つけようとする職の職務内容、勤務形態等に応じまして、任期の定めのない常勤職員や臨時、非常勤職員等のうち、いずれが適当か、基本的には各地方公共団体において適切に判断されるべきものでございます。

 なお、標準的な業務に必要な職員給与費につきましては、引き続き、適切に財政措置を講じてまいりたいと考えております。

本村委員 臨時、非常勤の方々の待遇を改善する、そして正規への転換を進めることができるように、財政措置を含めて早急に対応をしていただきたいということを強く申し述べておきたいというふうに思います。

 続きまして、先ほども議論をいたしましたけれども、統計不正の問題について質問をいたします。

 きょう、資料を出させていただいておりますけれども、資料一の方ですね、政府統計検討チームの名簿を見ますと、内閣官房内閣人事局からも政府統計の検証チームに企画官が入っております。内閣人事局の職務は内閣法に規定をされておりますけれども、どんな職務に関係してこのチームに入っているんでしょうか。

横田(信)政府参考人 この政府統計検証チームにつきましては、スピード感を持って取り組む観点から、総務省の政策統括官のもとに在籍していた職員に加え、省内他部局や他府省に出向中の職員のうち、過去に政策統括官や統計局に在籍した者を中心に人選しているということを先ほど申し上げました。

 この内閣人事局の人間でございますけれども、これも総務省から出向中の職員でございます。ということで、内閣人事局の業務に特に関係するということではなくて、総務省の職員で経験者であるということを考慮した人事という理解でございます。

本村委員 同じく資料一の政府統計検証チームの名簿を見ますと、内閣官房が三人入っております。なぜ内閣官房が入っているのか、お示しをいただきたいと思います。

横田(信)政府参考人 お答えいたします。

 こちらも同様でございまして、この内閣官房の職員二人も総務省から出向中の職員でございます。ということで、経験者ということで、こちらの業務の応援ということで特にお願いした、そういうことでございます。

本村委員 官邸からの圧力などいろいろ言われている中で、内閣官房の副長官補付という内閣官房の内閣審議官などが入っております。

 第三者性ということもとても大事だというふうに思います。政治からの独立ということもとても大切なことだというふうに思います。

 点検、検証にも圧力がかけられるのではと疑念を持たれるような体制ではだめなのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

横田(信)政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、疑念を持たれないようにということは大変重要なことだと思います。

 私どもも、先ほど来申し上げていますように、この点検検証部会での議論を踏まえて、その指示のもとに動いていくということをもって中立性を担保していこうというふうに考えておるところでございます。

本村委員 ただ、いろんなことを事務局の皆さんがお支えする中で、やはりその圧力がかけられるのではないかという疑念を持たれるような体制ではどうかというふうに思いますけれども、大臣にお伺いしたいと思います。

石田国務大臣 お答えいたします。

 今、横田の方から答弁させていただきましたように、そういうことのないように行っていきたいと思っております。

本村委員 統計委員長にもお伺いをしたんですけれども、最後に、総務大臣にもお伺いをしたいというふうに思うんですが、改定統計法のもとでの統計委員会の話なんですけれども、十九日の委員会で、西村統計委員長に、各府省の統計幹事は部局長クラスで、当然、内閣人事局の人事評価の対象となる、統計の政治からの独立性、中立性の担保はどうとれるのかということを統計委員長に聞いたところ、国家公務員制度については、余りつまびらかでないのでコメントは差し控えるという答弁でございました。

 総務大臣にこの点をお伺いしたいんですけれども、総務大臣として、統計の政治からの独立性は、この体制でどのように担保されるというふうにお考えでしょうか。

石田国務大臣 各府省の部局長クラスの人事に関しましては、その適切な人事管理の徹底の観点から、内閣において一元管理が行われているところであります。

 一方、統計幹事は、各府省の統計部門を取りまとめる部局長クラスの職員のうちから、内閣総理大臣が任命し、統計委員会の所掌事務について、委員、臨時委員及び専門委員を補佐させるものであります。その幹事の職位が、幹部職員人事の一元管理の対象となっているわけではございません。

 いずれにしても、統計法第三条第二項のとおり、公的統計は、適切かつ合理的な方法により、かつ、中立性及び信頼性が確保されるように作成されなければならないものであり、その基本理念を徹底してまいりたいと考えております。

本村委員 先ほども御議論がありましたけれども、統計委員会の位置づけと機能が全く弱いというふうに思います。

 本来ならば、統計の司令塔というのであれば、統計委員会は、総務大臣の下にあるのではなく、総務大臣の上にあるような存在でなければならないというふうに思います。

 司令塔の機能の弱さがさまざま指摘をされておりますけれども、統計の政治からの独立を担保する統計委員会の司令塔機能の強化を強く求め、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、三度目の質問の機会をいただいております。ありがとうございます。

 一応、統計集中という趣旨ですので、あくまでも統計に絞って質問させていただきたいと思います。

 西村長官、お忙しいところ、済みません、また、きょうは、何か時間がずれ込んでいまして、大丈夫ですか。大丈夫。済みません。

 早速、西村長官、きょう、総理にもお越しをいただいて、質問させていただきました。私は、ちょっと僣越ながら、こういうちょっと、適当な絵ですけれども、こういうものを御用意して、総理とやりとりをしました。これの意図するところは、結局、厚生労働省のこの毎勤統計の改善検討会といっても、これは、何か中立とか第三者とか、まあ、それは検証だけれども、中立公正とかいう議論をするけれども、結局、行政機構ですから、この検討会を準備したのは厚生労働省の役人だし、実際、この検討会の結果を受けて、総務省の統計委員会に承認申請をし、また、財務省に予算要求をして、実際、予算も措置されている。その総合調整官庁の上に、更に、その大所高所からの官邸のリーダーシップや、あるいは諮問会議がある。別に、その官邸のリーダーシップとか諮問会議というのは、別によこしまなことを言っているんじゃなくて、統計のあるべき姿について、統計改革を政治がリードするというのは、私は全然問題ない、こう思うんですね。

 だから、もう大体総理の御答弁をいただいているから、そういう意味では、もう副長官に改めて伺うこともないんですが、せっかくの機会なので、ちょっと深掘りして討論させていただきたいんですが、総理も、総理秘書官が、毎勤統計のそのサンプリングの仕方について理由を尋ねたり、専門家の意見を聞いてみてはどうかと示唆するのは、これは至極当然のことだと総理は御答弁されました。私もそう思います。また、阿部座長も、何か特定の意図は感じなかったというふうに、日経でしたか、そういうやりとりがある、これも総理から御答弁いただきました。

 したがって、今回の見直しは、専門家の検討を経て統計的な観点から行われたものと承知をしているが、いずれにせよ、総理秘書官が見識の範囲内で問題意識について意見を述べるのは当然だというのが総理の答弁でした。

 西村副長官も私も、同じ通産省、経産省で役人をやっていましたから、しょっちゅう秘書官から電話がかかってきますよね、普通に仕事をしていたら。要は、森羅万象を見ている総理のもとでやっている秘書官たちは、いろいろやっているわけです。だから、いろいろ相談があれば意見も言う。僕は、だから、この図にあるように、この赤い矢印にあるように、いろんなインタラクションがあっても全然構わないんじゃないかなと思っているわけです。

 副長官、どうですか。これは全然問題ないですよね、こういうやりとりがあること。例えば、総理秘書官が見識の範囲内で問題意識を開陳すること。

 僕は、全然、何が一体、だから、この数日というか、また一カ月、二カ月たっているのかもしれませんが、国会で行われている議論で、いろんな、元官僚の政治家も自民党にもたくさんいらっしゃいます、元官僚の自民党の同僚議員、あるいは元官僚の公明党の同僚議員、あるいは野党の皆さんでも心ある人に、これは結局何を議論しているんだと言ったら、みんな、いや、わからないと言って、意味のある議論がなされているとは思えないという感想、みんな思っていますよ。

 副長官も言っちゃってください、もう最近の質問は意味がないって。

西村内閣官房副長官 足立議員にお答えをしたいと思います。

 まさに今御紹介ありましたけれども、安倍総理も、けさの質疑でもそうだったと思いますけれども、まさに、当時の秘書官が問題意識を伝えた点については、このサンプルがえによって大きく統計数値が変わることに対して、その理由を尋ねたり、あるいは専門家の意見を聞いてみたりしたらどうかという、こうした当時の秘書官の反応は至極当然のものでないかと思うという答弁をされたところでありまして、まさに私もそのとおりだと思います。よりこの統計を実態に近づける、精度を上げていく、こういう問題意識で言われたことは至極当然だというふうに思います。

足立委員 ありがとうございます。

 せっかく副長官にきょう来ていただいたのは、総理質疑で一旦終わっているんですけれども、もう一言ちょっと確認したいんですね。

 何でかというと、実は、森友のときも加計のときも、それから今回の統計のときも、とにかくそんたくと言っています。高井野党筆頭は、僕は結構実は尊敬していまして、立憲民主党の中では大変見識のある方のグループ、しようもないことを言わない方がいいか。高井先生、高井委員のきょうの質疑なんかでも、そんたくという、要すれば、そんたくと言うんですよ。

 総理始め政府・与党は、そんたくはなかったと言うんですね、そんたくはなかったと言う。実際、厚労省も、影響は受けていない、だからそんたくはしていない、そんたくはないと言っているんですよ、今、政府・与党。僕は、でも、そんたくはあってもいいと思うんですよ。だから、今回の統計についてはそんたくはなかった、厚生労働省は総理秘書官の影響は受けていない、いいですよ、今回のことはいいです。

 ただ、副長官、一般論として、この表にあるように、だって、財務省、総務省、予算要求する前に財務省と全く話さないかといったら、それは話しますよ、いろんなところで。総務省の統計委員会だって、正式に書類を認可申請といって出す前だって、それは、これでいっていいかなといって、しゃべりますよね、普通は。だから、財務省、総務省であっても、正式に書類を出す前にさまざまなコンタクトはあります。

 だから、統計改革について発言をされている、麻生財務大臣が諮問会議でどうしたとか、あるいは総理秘書官がどうしたといろいろ喧伝されていますけれども、それは、そういうコミュニケーションはまず今回もあった、コミュニケーションはあったけれども、そんたくはないとみんな言っているんです。だから、いいですよ、今回はそんたくはなかったでもいいんですよ。

 私は、そんたくがあってもいい、何か統計法に違反しますか。統計法は総務省、教えてくれたらいいけれども、私は、仮に役人の一部が、官邸なり諮問会議の面々なり、あるいは財務省なり総務省なりをそんたくするというのは、だって、僕なんか、二十年間官僚をやっていたときは毎日官邸をそんたくしていましたよ。当時の総理大臣をそんたくしていましたよ。

 だから、きょうはぜひ、西村副長官から、そんたくはあってもいいんだという御答弁をいただいて帰りたいんですね。ちょっと、いかがですか。そんたくはあってもいいんだと。

西村内閣官房副長官 まず、誤解がないように申し上げますけれども、今回の件につきましては、安倍総理、何度も答弁をしておりますけれども、今回の件について、中江秘書官に何ら指示も行っておりませんし、その意向を伝えたことはないということは、まずそのことは申し上げておきたいと思います。

 更に言えば、中江秘書官も答弁されていますけれども、まさに、先ほど私も申し上げましたけれども、統計の精度を上げよう、より実態に近づけよう、そういう、秘書官である中江氏個人としてのその問題意識を厚労省にお話し申し上げた、こういうふうに答弁しているとおりでありますので、まさに個人としてのことを答弁したというふうに理解をしております。

足立委員 副長官、ちょっとここはこだわりますが、仮に厚生労働省が、統計的に、統計というのは中立な、そういうものだと言われています、それはそうだと思いますよ、でも、統計的におかしなことを厚生労働省がやっていて、統計的にですよ、統計的な観点から厚生労働省の検討会もおかしなことを言っていて、厚生労働大臣も厚生労働省の官僚もおかしなことを言っていて、それを総理秘書官が見つけたと。

 そういう、まさに先ほど御紹介があったような見識を持って、官邸なり諮問会議なり内閣官房なりが、縦割り官庁である厚生労働省を、もちろん財務省と総務省は総合調整官庁として指導しますよ。それは、だけれども、官邸や諮問会議だって、縦割り官庁である厚生労働省が見つけられなかったミスを見つけたら、だっていろいろあるじゃないですか、派遣法で何か、罰則の以上と以下で間違っていたりとか、そういう客観的な間違いだってあるわけですよ。そういうものを、こら、ちゃんとそれは以上じゃなくて以下だろうとかいうことを言う。

 それと同じように、統計的な、総理もおっしゃっているように、至極当然の指摘を内閣官房がする。そこにその一部である官邸や総理秘書官がする。それに反応する、あっ、ごめんなさい、間違っていましたと。いいでしょう、別に。

 だから、それを、言われる、ちょっと示唆されたらそれをそんたくして、一言われたら十を理解して、そんたくというのは、一言われたときに十理解するのがそんたくですよ。僕は、そんたくがなければ、日本政府なんて運営できないと思いますよ。だって、十やってもらうときに、十とか十一説明せなあかんかったら面倒くさいじゃないですか。霞が関というのは、一言えば十わかるネットワークなんですよ。

 だから、一言えば十わかることをそんたくと呼ぶとすれば、ここで仮に定義しましょう、上司が一言えば部下は十わかることをそんたくと言えば、そういうことはあっていい、お願いします。

西村内閣官房副長官 私も足立委員と同じ経産省に、当時は通産省でありましたけれども、仕事をしておりました。

 そのときの経験も踏まえてですけれども、私は、全ての公務員が、国家国民のため、世の中のためになると思うことを進めていく、その良心に従って仕事をしているというふうに思いますので、そういう観点から、何か統計的に間違ったことを見つけたり、より精度を上げていく、より実態に近づけよう、そういう問題意識で仕事をする、これは当然の、本当に至極当然のことだと思いますし、それを聞いて、このケースでは専門家の多くの人もそういう思いを持っていたようでありますし、姉崎部長、当時の部長もそういう問題意識を以前から持っていたというふうに答弁されていますので、そういうこと、中で仕事が進んでいくというのは、至極当然のことだというふうに思います。

足立委員 特に、今回のケースは予算にはねているんですよ。だから、例えば僕が厚生労働省の統計の統括官だったら、これを部分入れかえにしたら予算はふえちゃう、常識的にわかりますよ。ふえちゃうときに、財務省に持っていくんだけれども、秘書官の一言、アドバイスがあれば、財務省の主計官というか主査だって言うことを聞いてくれますよね。

 だから、私は、繰り返しになりますけれども、繰り返しになりますけれども、そういう形で、縦割り官庁と総合調整官庁と内閣官房がインタラクションを持ちながら統計行政というものが発展していくということはいいわけだから、繰り返しますが、西村長官、そんたくはあり得るんだと。(発言する者あり)

 いや、もちろん、さすが高井先生、僕は最後に、きょうの出口、もう一問、実は通告させていただいているのは、まさにそういう、私が申し上げているようなピラミッドの中での総合調整ということについて、課題はあると思うんですよ、課題。それはまさに、私が敬愛する立憲民主党の高井先生がおっしゃられたように、やはり全部残していった方がいいと思うんですね。

 例えば、総理秘書官のアドバイスが影響したのだったら、ちゃんと検討会の議事録とかにそういうことを残すとかという形で、誰が見ても、こういう、ここで一体、政府の中で何が起こったかということをちゃんと国民が知ることができるという仕組みをしっかりと整えていく。

 でも、今回はそういうものは残っていないとすれば、それはなかったということなんだけれども。自民党政権の場合は、全部、面倒くさいじゃないですか、国会で共産党から追及されるとね。だって破防法の監視団体ですよ。

 僕は、破防法の監視団体だと言ったら角が立つから、破防法の監視団体だと言ったら角が立つから、わざわざ丸めて二十一日の日に共産党に言及したら、共産党が謝れと言うんですよ。僕は、これから、中途半端な言い方をすると……

江田委員長 足立君、議題の範囲内で御発言ください。

足立委員 いやいや、これはだって、はい、委員長の差配ですからね。

 だから、これからはっきり言おうと思うんですよ、国会の中に破防法の監視団体が歩いているということをね。

 その中で、政府も、これは大事なことだから、委員長、そういう中で、政府・与党は、そういう国会にさまざまな資料を出すときに、どうしても守りに入るわけですよ、守りに。その結果が理財局の公文書改ざんだったんですよ。あれは、別に総理のそんたくじゃないんです。国会に波を起こすことを嫌っただけなんですよ。

 だから、私は、もう小泉進次郎さんが、何か平成のうちにという国会改革をいろいろ主張されていましたけれども、どうでもいいんです、あんなものは。そうじゃなくて、本当の国会改革というのは、政府・与党が、いや、できれば、破防法の監視団体を国会から排除して、しっかりと、普通の、真っ当な、真っ当な政党が国会に集まる、国権の最高機関なんだから。その国権の最高機関には、政府・与党はできるだけ本当のことを全部出す。できれば、自民党の中でどういう議論があったかも全部出す。そういうことをしながら、本当に建設的な、このチームAとチームBがプランAとプランBを闘わせる、そういう論戦の場に国会をしていくべきだということを常々私は申し上げているものだから、だから、そんたくはあるよねと。

 それをあると言うと面倒くさいから、ないと言っているんですよ。面倒くさいだけなんです。西村副長官は、もう面倒くさい。共産党いるから面倒くさい。もうそんたくはないことにしておいた方が議論が短時間で済むから、そんたくはないことにしているんです。でも、絶対にありますから。与党の先生方もみんなそう思っている。だって、組織というのは、組織というのはそんたくがあるから回っているんです。

 ふだんから、僕だって、毎日、松井代表の記者会見、ぶら下がり、毎日ユーチューブで見ていますよ。馬場幹事長の会見。だって、誰もレクなんかしてくれませんから。私たちの上司、国会議員でさえ、政党の中の、より上役の、幹事長の会見、代表の会見、毎日こっちで勉強して、言われなくてもそんたくするわけです。それを、代表が記者会見で一を言っていたら、その十を理解して活動しているわけです。

 ぶら下がり会見で松井代表が、ふるさと納税について、千代松泉佐野市長のことをきょうも評価するとおっしゃった。代表が、千代松さんの取組を、維新の政党の代表は評価すると言っている。大阪府の知事は評価すると言っている。その一言を取り上げて、私は一時間国会質問をするわけですよ。これはそんたくですよ。うちの党がどういう方向に向いているのかということを必死でそんたくしながら、日々国会活動をしている。

 それは、政党だってそうだけれども、政府だってそうでしょう。そういう組織の中に当たり前にあるそんたくというのを否定していたら、僕は安倍政権は信用されないと思うんです。でも、総理が急にそれを言ったらまたややこしいから、ここは一肌脱いで、西村副長官がそんたくはあると一言言って帰ってください、きょう。

西村内閣官房副長官 私も、官房副長官として、首脳会談のブリーフを行ったり、日々自分の責任を果たしているところでありますけれども、もちろん、足立委員がおっしゃったように、安倍総理の思いを受けとめながら、私自身はその思いをしっかりと、まさに、一言われたことを十を理解をして記者会見なりに臨んでいるところであります。

 ただ、そんたくという言葉の意味が、これは必ずしも明確でないですし、一般的には何となく悪いイメージで今世の中では捉えられているところもございますので、ここでそんたくがある、ない、官僚の一人一人が、そんたく、ある、ないというのは、私からは答えるのは控えさせていただきたいと思います。

足立委員 時間が来ましたので終わりますが、ありがとうございます。

 私はとにかく、そんたくという言葉のイメージを悪くしたのは籠池さんのせいだけれども、これを、改めて、そんたくというのはいいものなんだと、組織をよくしていくためのそんたく、そんたくには悪いそんたくといいそんたくがあるんだ、いいそんたくはどんどんやればいいんだということを改めて国会の中に定着させるべく努力することをお誓いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

江田委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 きょう最後の質問をさせていただきます。希望の党の井上一徳です。

 私は、最後は、今回延長が予定されています狩猟税、それから、今なお全国的に被害が継続している鳥獣被害、これについて質問をさせていただきたいと思います。

 鳥獣被害については、かなり全国的にも被害がひどいということで、平成十九年に鳥獣被害防止特別措置法が成立しまして、被害対策の担い手の確保とか、捕獲の一層の推進、捕獲鳥獣の利活用、こういうことが定められて、鳥獣被害防止が進められているわけですけれども、これを更に抜本的に強化するということで、平成二十五年に環境省それから農林水産省が策定した抜本的な捕獲強化対策、こういうのがあります。

 これによりますと、平成二十三年に、鹿、イノシシ、鹿が三百三万頭でイノシシが九十四万頭、約三百九十七万頭あった。これを、平成三十五年には約百九十七万頭、半分にするという目標を立てて、この捕獲強化を進めるということでありました。

 平成三十年に一応進捗状況を確認して、必要に応じて目標を見直すということでありましたが、今現在、この捕獲強化対策がどのような形で進んでいるのか、御説明いただきたいと思います。

鳥居政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、農林水産省とともに、抜本的な鳥獣捕獲強化対策として、ニホンジカ、イノシシについて、平成二十三年度を基準年とし、その生息数を、平成三十五年度、つまり二〇二三年度までに半減する目標を設定してございます。

 平成二十九年度のニホンジカ、イノシシの捕獲数速報値はそれぞれ六十万頭、五十五万頭となり、平成二十三年度と比較して、捕獲率がそれぞれ一・三八倍、一・八七倍と大きく伸びたところでございます。

 また、捕獲強化に伴い、平成二十八年度末時点のニホンジカ、イノシシの推定個体数は、それぞれ平成二十七年度から継続して減少傾向を示しておるところでございます。

 半減目標の達成に向けて、さらなる捕獲の強化を図ってまいる所存でございます。

井上(一)委員 済みません、確認なんですけれども、基準年、平成二十三年だと三百九十七万頭でしたけれども、平成三十年ではこれは何万頭になっているんでしょうか。

鳥居政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年度のデータはございませんで、直近のデータは平成二十八年度でございます。この推定個体数を申し上げますと、ニホンジカが二百七十二万頭でございます。そして、イノシシが八十九万頭ということになってございます。

井上(一)委員 ということは、単純に足すと約三百六十万頭ということで、もし目標がそのままうまくいっているようであれば、大体三百万頭ぐらいに近づいていないといけないと思いますけれども、現時点で、必要に応じて目標を見直すということなので、必ず目標を見直すということではないと思いますけれども、この目標を見直す考え方はございませんか。

鳥居政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年度に策定した目標については、引き続き堅持をしていきたいというふうに思っております。

井上(一)委員 別に目標を見直すことが目的ではありませんので、ぜひ、目標に進むように、この捕獲強化対策を更に進めていっていただきたいと思います。

 狩猟税に関しまして、平成二十年度にこの税率を二分の一に軽減して、さらに、平成二十七年度には課税の免除ということまでやったわけですけれども、このような特例的な課税の免除について、どのような効果があったか教えていただきたいと思います。

鳥居政府参考人 お答えいたします。

 狩猟税の特例措置につきましては、平成二十五年に策定されました抜本的な鳥獣捕獲強化対策の推進のため、有害鳥獣捕獲従事者の担い手確保を目的として、平成二十七年度より措置されております。

 本措置も含めた鳥獣の捕獲の担い手確保の取組の結果、平成二十四年度には過去最低の約十八万人だった狩猟免許所持者数は、平成二十八年度に約二十万人にまで増加するなど、本措置による一定の効果が見られていると考えております。

 有害鳥獣捕獲従事者となる狩猟者においては最大一万六千五百円が減免される措置内容となっておりまして、大日本猟友会等の狩猟者団体や都道府県からも、本措置が狩猟者の意欲の向上及び狩猟者の増加等に大きな効果を発揮しているとの評価をいただいているところでございます。

井上(一)委員 レクの際にも、新規の免許取得者が近年増加傾向にあるというふうに聞いておりますので、一定の効果はあるんだろうというふうに思います。

 私は、こうやって狩猟者数の免許をふやすということも大事なんですけれども、やはりジビエを拡大していくというのは非常に大事じゃないかというふうに思っております。

 特に、鹿やイノシシによる被害が大きいということで、この鹿、イノシシをジビエとして利用できれば、更に効果的に鹿、イノシシが減っていくんじゃないかということで、私の地元、京丹波町にアートキューブという会社がありまして、ここは国産ジビエ認証施設の第一号となったということで、ここの会社の代表の垣内さんに聞きましたところ、ジビエというのは非常に処理加工が重要で、特に血抜き、これをしっかりやれば本当においしい肉ができるんだということで、安心、安全なジビエを消費者に提供しようと精力的に取り組んでおられます。

 こういったジビエ利用というのは、鳥獣被害対策だけではなくて、地域活性化にもつながるのではないかと思っています。今のジビエ利用の現状、それから今後の取組について教えていただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 有害鳥獣の捕獲頭数が増加し、そのほとんどが埋設や焼却により処理されている中で、ジビエ利用を推進し、農村地域の所得向上につなげることは、地域の活性化の観点から重要であると認識しております。

 農林水産省といたしましては、安全で良質なジビエの利用拡大を図り、ジビエ利用量を三十一年度までに倍増させるという政府目標の達成に向けまして、ジビエ利用モデル地区を始め、ビジネスとして持続できる安全で良質なジビエの安定供給に向けた取組、ジビエ利用に係る衛生管理の徹底を図るため、委員からも御発言のございました、国産ジビエ認証施設第一号である京都府の株式会社アートキューブを始めとする国産ジビエ認証制度の普及に向けた取組、全国的な需要拡大のためのプロモーション等につきまして、鳥獣被害防止総合対策交付金による支援に加えまして、専門家や農水省職員によるキャラバンを実施するなど、ジビエ利用の全国展開を推進しているところでございます。

 今後とも、地域の実情に応じた鳥獣対策を実施するとともに、有害鳥獣を利用して農村地域の所得に変えていく、マイナスをプラスに変えるジビエ利用の取組を、関係省庁とも緊密に連携しながらしっかりと推進してまいる所存でございます。

井上(一)委員 お聞きしましたところ、まだ国産ジビエの認証制度で認証を受けたところは二者ということですけれども、ぜひ、この国産ジビエの認証制度、まだまだ周知されていないと思いますので、全国的に周知されるように一層取り組んでいただきたいと思います。

 では、質問を終わりたいと思います。

江田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十六分散会


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