衆議院

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第14号 平成31年4月18日(木曜日)

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平成三十一年四月十八日(木曜日)

    午前八時三十五分開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 あかま二郎君 理事 井上 信治君

   理事 小倉 將信君 理事 小林 史明君

   理事 西銘恒三郎君 理事 高井 崇志君

   理事 奥野総一郎君 理事 桝屋 敬悟君

      青山 周平君    井林 辰憲君

      池田 道孝君    岩田 和親君

      大西 英男君    加藤 鮎子君

      金子万寿夫君    神田  裕君

      木村 次郎君    佐藤 明男君

      田野瀬太道君    冨樫 博之君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      鳩山 二郎君    福田 達夫君

      穂坂  泰君    堀内 詔子君

      三浦  靖君    三谷 英弘君

      宮路 拓馬君    山口 俊一君

      山口 泰明君    伊藤 俊輔君

      池田 真紀君    石川 香織君

      小川 淳也君    高木錬太郎君

      中谷 一馬君    村上 史好君

      山花 郁夫君    稲富 修二君

      日吉 雄太君    國重  徹君

      本村 伸子君    串田 誠一君

      吉川  元君    井上 一徳君

    …………………………………

   総務大臣         石田 真敏君

   総務副大臣        佐藤ゆかり君

   総務大臣政務官      大西 英男君

   総務大臣政務官      國重  徹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター内閣審議官)          山内 智生君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      菅久 修一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山田真貴子君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            谷脇 康彦君

   政府参考人

   (総務省サイバーセキュリティ統括官)       竹内 芳明君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         石原  進君

   参考人

   (日本放送協会会長)   上田 良一君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     青山 周平君

  川崎 二郎君     加藤 鮎子君

  佐藤 明男君     神田  裕君

  長坂 康正君     中山 展宏君

  福田 達夫君     三谷 英弘君

  務台 俊介君     岩田 和親君

  宗清 皇一君     宮路 拓馬君

  山口 泰明君     中谷 真一君

  岡島 一正君     村上 史好君

  長尾 秀樹君     池田 真紀君

  足立 康史君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     池田 道孝君

  岩田 和親君     堀内 詔子君

  加藤 鮎子君     川崎 二郎君

  神田  裕君     佐藤 明男君

  中谷 真一君     山口 泰明君

  中山 展宏君     長坂 康正君

  三谷 英弘君     福田 達夫君

  宮路 拓馬君     宗清 皇一君

  池田 真紀君     石川 香織君

  村上 史好君     岡島 一正君

  串田 誠一君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  堀内 詔子君     務台 俊介君

  石川 香織君     高木錬太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  高木錬太郎君     長尾 秀樹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 電気通信事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電波法の一部を改正する法律案及び電気通信事業法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長石原進君及び日本放送協会会長上田良一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター内閣審議官山内智生君、公正取引委員会事務総局経済取引局長菅久修一君、総務省情報流通行政局長山田真貴子君、総合通信基盤局長谷脇康彦君及びサイバーセキュリティ統括官竹内芳明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。あかま二郎君。

あかま委員 自由民主党のあかま二郎でございます。

 限られた時間でございますが、党内での議論を踏まえ、政府への要望等を交えながら質問をさせていただきます。

 まず、今回の電波法改正案でございますが、ソサエティー五・〇の実現に向け、今後飛躍的に拡大することが見込まれる電波ニーズに対応するため、我が国のあらゆる社会経済活動の基盤となっている電波の有効利用を一層促進するものだというふうに認識をしております。

 当委員会での議論にもございました電波利用料の増額による影響に関してでございますが、経営基盤の厳しいローカル局にとっては、料額改定による負担増は経営に大きな影響を与えかねません。それだけに、今後にあっても、ローカル局が地域の暮らしの安心、安全など重要な役割を果たしていくことができるよう、政府にあっては、ローカル局の経営基盤の強化に向け、一層取り組んでいただくようお願い申し上げます。

 また、電波利用料の見直しの一年前倒しについてでございますが、これに関しても一言申し上げさせていただきます。

 一年前倒しについては、政府は、5GやIoTの普及拡大に向けて、より迅速かつ的確に対応する必要性、こうした理由を挙げております。もちろん、その必要性というものは十分理解をするところではありますが、少なくとも、今後においては、三年を待たずに電波利用料を改定することについては、いわゆる事業者の予見性等に十分な配慮を望むところであります。

 さて、電波の有効利用の促進を求める今般の電波法改正であります。とりわけ電波のニーズが非常に高い携帯電話用周波数については、少しでも有効に利用できる事業者に割り当てる、言いかえれば、割当てプロセスを通じて携帯電話事業者により一層の電波の有効利用を求めるというふうに言えようかと思います。

 そこで、お尋ねをいたします。

 携帯電話事業者の周波数割当ての審査に周波数の経済的価値を加えるという改正を盛り込んでおります。諸外国では、御案内のとおり、オークションを導入しておりますが、今回、オークションではなく、比較審査の一項目として周波数の経済的価値を加えるという形にした、こうした工夫、この結果だと思いますが、そのような制度を採用することとした理由についてお尋ねをいたします。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 オークション制度は、金額の競り上げを行いまして、専らその金額の多寡によって周波数の割当てを受ける者を決める制度でございます。したがいまして、落札額の高騰により、インフラ整備がおくれたり、事業運営に支障が生じるおそれがあるといった点が課題として挙げられております。

 このため、今回の電波法改正案におきましては、金額の多寡だけではなく、カバー率やMVNO促進、安全、信頼性対策なども含めて比較審査を行う制度を導入することとしたところでございます。

 なお、申請者の予見可能性を高め、合理的な評価額を算出できるよう、事前に周波数の経済的価値の標準的試算を示すことを考えており、今後、専門家による検討を進めてまいりたいと考えております。

あかま委員 オークション制度の課題、これを克服しつつ、電波の有効利用を一層図るよう新たな制度を導入することとした意義、これについては理解をいたしますが、電波というものが国民共有の財産であること、こうしたことを踏まえ、電波の割当て手法がどのようにあるべきかについては、国民が十分な情報を知り得た上で、今後についても多様な視点からの検討を期待するところであります。

 一方で、高い周波数帯を使う5Gでございますけれども、これについては、工場内など、ごく限られたエリアだけで使うことが可能となっております。

 そのような利用ニーズを見据え、総務省では、5Gの割当てについて、携帯電話で行われている比較審査とは異なるいわゆる先願方式、この割当てをローカル5Gとして行うと伺っております。

 そこで、5Gという革新的な技術によるイノベーションを最大化させるためには、電気通信事業者だけでなくさまざまな主体がこれにかかわれるようにすること、これが大切であろうというふうに理解をいたします。その意味でも、ローカル5Gという考え方、これについてはしっかりと推し進めるべきだというふうに思っております。

 総務省として、このローカル5Gについて今後どのような方針で割当てを進めていくつもりなのか、お尋ねをいたします。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 5Gは、超高速、超低遅延、多数同時接続といった技術的な特性を生かして、さまざまな産業への応用や地域の課題解決が期待されておりまして、速やかな全国への展開が求められているところでございます。

 このような多岐にわたる5Gへのニーズに応えるため、総務省では、自治体や地域の企業などさまざまな主体が免許を取得し、工場内などの限られたエリアで独自の5Gシステムを構築できるローカル5Gにつきまして、制度化に向けた検討を行っているところでございます。

 具体的には、現在、ローカル5Gを実現するための技術的条件等につきまして情報通信審議会で御審議をいただいておりまして、特に、一部の帯域につきましては、年内にも制度化をし、免許申請を受け付けたいと考えております。また、その他の帯域につきましても、検討を急ぎ、来年の夏には制度化を行う予定でございます。

 総務省といたしましては、携帯電話事業者のみならず、多様な主体が5Gネットワークをみずから構築できるローカル5Gを推進し、全国各地で5Gが早期に展開できる環境を整えてまいりたいと考えております。

あかま委員 5G、これはまさにソサエティー五・〇の実現に欠かせない通信手段であり、まさに根幹であるというふうに言えようかと思います。

 今、全国津々浦々という話がございました。都市部よりも地方部により大きな恩恵をもたらすものとも考えております。しかしながら、5G用周波数を事業者に割り当てて、その後は事業者の経営努力によるネットワークの整備に任せる、そういった状況だと、地方部の5Gの展開は必ずしもうまくいかないのではないかという懸念、危惧もございます。

 我が国では、先週にようやく最初の5G用周波数が事業者に割り当てられたところでございますが、既に米国や韓国では5Gサービスが開始をされております。

 そこで、諸外国の動きに我が国がおくれをとらないためにも、ローカル5Gを含め、利用者が5Gを全国で利用できるよう、5Gインフラ整備の早期の展開が極めて重要だと考えております。そのために総務省としてどのような施策を講じるおつもりなのか、お尋ねをいたします。

佐藤(ゆ)副大臣 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおりでございまして、5Gは、高速道路や新幹線と同様に、地域の活性化や活力の向上を図るために不可欠な二十一世紀の基幹インフラでございまして、速やかに全国への展開をすることが極めて重要であるというふうに考えております。

 総務省におきましては、ローカル5Gの制度化に向けました検討を進めておりますほか、全国サービスの二〇二〇年の商用化に向けて、この四月十日には、携帯電話事業者四者に対して、我が国初の5Gの開設計画の認定を行ったところでございます。

 その際の開設計画の認定に当たりまして、各者に対して、二年以内に全都道府県でサービスを開始することを義務づけるということとともに、広範かつ着実な全国展開を求める条件を付したところでございます。

 また、5G基地局の展開に必要な光ファイバーの整備につきまして、まずは通信事業者がみずから整備いただくのが基本ではございますけれども、整備がおくれがちな条件不利地域につきましては、光ファイバー整備費用の一部を補助する事業を予算案に計上したところでございます。

 総務省といたしましては、こうした5Gや光ファイバーなどの通信インフラが地方を含む全国各地で早期に整備されますよう、必要な支援を今後とも実施してまいりたいというふうに考えております。

あかま委員 今御答弁いただきましたとおり、条件不利地域であるとかそういったエリアについては特段の御配慮をぜひお願いをいたしたいと思います。

 続いて、電気通信事業法改正案についてお尋ねをいたします。

 御案内のとおり、携帯電話市場はこれまで、たび重なる規制の撤廃、さらには規制の緩和などを行いながら、事業者間の競争を促して市場規模を拡大してきたところでございます。しかしながら、昨今の移動通信市場にあっては、三つのグループの寡占状態となり、適正な競争が機能せず、携帯電話料金が高どまりしているという実態もございます。

 その背景として、これまで携帯会社は、端末代金を大幅に値引きする一方で、その原資を捻出するために、利用者を二年契約や四年契約で囲い込み、毎月の通信料金を高目に据え置くといった商慣行がいわば定着化し、こうしたセット販売による利用者間の不公平、料金プランのわかりにくさが競争を妨げているという指摘がございます。

 こうしたことを踏まえ、本改正案では、競争の促進を図るため、通信料金と端末代金の完全分離や行き過ぎた囲い込みの禁止が盛り込まれたものと承知をしております。この法案に盛り込まれている、これら完全分離また期間拘束の是正については、総務省としてこれまでも取り組んでこられたと思います。

 そこで、伺います。

 これまでの総務省の取組による料金引下げ策について、その効果をどのように評価をしているのか。また、あわせて、本改正案により携帯電話料金の値下げが果たして本当に実現するのか、その見通し、またその根拠等をお教えいただければと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省におきましては、これまでも、わかりづらい通信料金プランや、期間拘束を伴う通信契約に対しまして、ガイドラインの策定や事業者に対する要請など、現行法のもとで可能な措置を講じてきたところでございます。

 しかしながら、通信料金と端末代金の分離に関しまして、ガイドラインでは販売代理店を対象としておらず、販売代理店における過度なキャッシュバックが行われていること、また、期間拘束やその自動更新を伴う通信契約に関しまして、個々の事象に対応して事業者に対する要請により改善を図ってきたため、新たな事象に十分対応できなかったこと、こうしたことが指摘をされております。

 このため、有識者会合におきまして、抜本的な見直しが行われるよう、総務省におきまして必要な措置を講ずることが適当と提言をされたところでございます。

 本法案によりまして、通信料金と端末代金の完全分離や行き過ぎた囲い込みの是正等が実現することで、利用者は通信料金のみで携帯電話事業者を比較、選択できるようになること、また、利用者による自由な携帯電話事業者の乗りかえが可能となることといった効果が期待されるところでございまして、その結果として、競争の促進を通じた携帯電話料金の低廉化が進むものと考えているところでございます。

あかま委員 携帯電話の低廉化というふうなことが実現するという見通しをお示しになりましたけれども、その見通しに対して今度、いわゆる5Gの普及という観点からこれもまた質問させていただきますけれども。

 本年秋には5Gの試験的導入、また来年春にはオリンピック、パラリンピックの開催時に商用サービスの開始。高精細な動画配信など、5Gならではのサービスを使うには、5G規格に対応したスマホに買いかえる必要があります。このことは、携帯キャリアのみならず、国内の携帯端末メーカーや販売代理店にとって大きなビジネスチャンスとも言えると思います。しかしながら、本改正案の完全分離で消費者の端末買いかえ意欲の減退が生ずるようであれば、5Gの普及のブレーキにもなりかねません。

 そこで、お尋ねをいたします。

 端末代金が高くなり5Gの普及を阻害するのではないか、こうした懸念の声に対して、また、モバイル市場の競争の活性化の観点から、そうした懸念というものをどう考えるのか。さらには、例えば5G対応の携帯端末については完全分離の対象から外し、普及を図ることができるようにするなども検討の必要性があるのではないか、こうした点についてぜひ所見を伺いたいと思います。

佐藤(ゆ)副大臣 お答えをいたします。

 本法案では、携帯電話の通信料金と端末代金の完全分離を図ることによりまして、利用者が通信料金のみで携帯電話事業者を比較、選択できるようになりまして、結果として、競争の進展を通じて通信料金の低廉化が進むというふうにまず考えているところでございます。

 他方で、端末の割引等が今より縮小しまして、特に高価格帯の端末のニーズが減少することが想定されますけれども、一方で、中古端末などを含めました手ごろな価格帯の端末の供給が拡大することも期待をされるというところでございます。

 また、欧米諸国におきまして、日本のように、最新端末を購入する利用者に対して大幅な割引などを広く行っている例というものは承知しておりませんで、本法案によって日本での5Gの普及が特におくれるということは考えていないということでございます。

 いずれにいたしましても、本法案によりまして、利用者が通信料金と端末代金のそれぞれを正確に理解できるようになることで、さまざまな通信サービスと端末の中からみずからのニーズに合った選択が可能となるということで、5Gも含めて全体として利用者利益が向上すると考えているところでございます。

 なお、御指摘もございますが、公正競争を促進するためには、やはり同じ市場で競争していると考えられるサービスについて通信料金と端末代金の完全分離を広く適用することが必要であると考えられますことから、対象外となるものは限定的とすべきであるというふうに考えておりまして、原則、5Gについても適用するべきであるというふうに考えておるところでございます。

 ただ、5Gの活用が見込まれますIoT機器向けの通信サービスにつきましては、スマートフォン向けのものと比べて競争環境などが異なる面も考えられることから、通信料金と端末代金の完全分離等の対象とするか否かについては、その状況を踏まえて検討する必要があるというふうに考えております。

あかま委員 モバイル市場の競争の活性化、また適正な市場の確保という両面にあっては、しっかり政府にあってはウオッチしていただきたいと思います。

 質疑時間が終了いたしましたので、終わらせていただきます。

江田委員長 次に、三浦靖君。

三浦委員 自由民主党の比例中国ブロックの三浦靖でございます。

 貴重な質問時間を頂戴いたしまして、本当にありがとうございます。

 それでは早速、電気通信事業法につきまして質問に入らせていただきたいと思いますが、今月、四月は、年度の始まりということで新学期、入学式や入社式等、新しい出会いの季節でもございます。かく言う我が家も、長女が高校に進学し、先日、入学式を終えたばかりで、残念ながら私は出席はできなかったんですけれども。

 こうした新しい出会い、新しい社会のスタート時には、当人、また我々のような保護者ともに、まずは連絡先の交換、又はクラスや部活動などの連絡網を作成することになります。

 皆さんも経験があろうかと存じますけれども、連絡先に関しましては、近年は、固定電話ではなくて、携帯電話やメール、若しくはLINEのようなSNS、特に最近の若い世代の皆さんにとっては、こちらの方が簡易で利便性にすぐれているということから、圧倒的に多いのではないかと思われます。

 総務省の平成三十年版の情報通信白書によりますと、二〇一七年、モバイル端末の世帯保有率は九四・八%、スマートフォンに限って見ても七五・一%と高く、また、携帯電話の契約数は一億七千万件を超えるという、日本の国民の一人が一台以上持っている、こういった状況を見れば、当然のことのように思われます。

 ちなみに、我が家も、高校に入学した長女を新たに加えまして、六人家族のうち既に五人が保有しているということになってしまいました。

 そんな中、一方で心配になるのが、家計における通信費という出費でございます。保有台数がふえるたびに通信費はかさみ、家族割やセット割など、店頭窓口で相談し契約を見直すことで、少しでも出費を抑えることに努力をしてきたところではございますけれども、今回の法改正により通信料の引下げが見込まれるというのは、家計にとっても懐にとっても大変うれしい、期待されるところでございます。

 そこで、今回の改正案は、公正な競争を促進し、利用者利益の保護を目的とし、その阻害要因となっている日本の携帯電話会社、いわゆるキャリアによる特殊な、また年限による割引、端末とのセット割引という行き過ぎた囲い込みを禁止することが主な柱であると私は認識しております。

 ただ、このことによって訪れる携帯通信料の新しい料金形態、個々のユーザーに最適な契約プランというものを具体的に想像するのが非常に難しく、ある面で、現行の料金形態というのが自分に適していたのではないかというユーザーが相当数出てくるのではないかと思われます。

 総務省といたしまして、今回の法改正により、キャリアから提示される新料金形態がどのようなものになるであろうと想定しているのか、そして、それがユーザーにとってどの程度恩恵があるものか、どう想像されていらっしゃるのか、現時点での所見をお伺いしたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の携帯電話料金につきましては、総じて海外に比べて高く、またその推移についても、料金が下がる傾向が鈍い状態にございます。

 その原因といたしまして、モバイル市場は、電波の有限希少性等から、大手携帯電話事業者三社が約九割のシェアを占める寡占的な状況にございまして、競争が十分に働いていないとの指摘が見られるところでございます。

 本法案によりまして、通信料金と端末代金の完全分離や行き過ぎた囲い込みが是正される結果、利用者にとって低廉でわかりやすい料金体系が実現し、利用者は、通信料金単体での事業者の比較が可能となるとともに、事業者間の乗りかえが容易になるものと考えているところでございます。

三浦委員 今回の改正案、非常に世間の関心は高く、最近もワイドショー等、本当に盛んに報道しているところでございまして、そういった報道をごらんになられましたユーザーの中には、自分はどうしたらいいんだろうと悩んでいらっしゃる方も少なくないかと思われます。

 既に、大手三社は新料金の形態を発表されておりまして、また、今後、新規参入も予定されているということから、純粋に通信料を競い合うものとなり、ユーザー獲得のために、結果、通信料の引下げが実現するということになるのでしょうけれども、大手キャリアだけではなく格安スマホも含めて、使用者個人にふさわしい契約を選択するために、いわゆるユーザーの選択眼、消費者としての自覚がかなり問われることになろうかと思われます。

 しかし、そのような選択眼を持つユーザーというのは少数であろうかと思われますし、そうすると、キャリアからの勧誘だけではなくて、今回の法改正につけ込んだ詐欺のような行為があらわれることも想像にかたくありません。

 今回、事業者、代理店の勧誘の適正化を法改正に盛り込んでございますけれども、その範疇を超えた犯罪への注意喚起というものが必要ではないかと心配しておりますけれども、総務省としてどのようにお考えでいらっしゃいましょうか、お答えください。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 電気通信サービスは、さまざまな社会経済活動の基礎であるとともに、国民にとって不可欠なコミュニケーションの手段となっていることから、利用者に対して必要な情報の周知を行うことが極めて重要であると考えております。

 例えば、平成二十七年の電気通信事業法の改正により初期契約解除制度などの利用者保護に関するルールを追加した際には、関係する事業者への周知に加えまして、総務省ホームページや定期的に発行するパンフレットへの情報の掲載などによりまして、利用者に対して内容の周知を行っているところでございます。

 本法案につきましても、成立の暁には、その内容が利用者にも直接に影響を及ぼすことから、利用者に対して同様の手段で周知を行っていきたいと考えております。

 また、その際、改正後の内容を利用者が正確に理解し、委員御指摘の詐欺のような行為の被害に遭うことがないよう、周知の際に事業者や利用者に注意を促すこと、また国民生活センターと連携するなどして苦情、相談の内容を分析すること、また法律の履行状況について継続的なモニタリングを行うことなどによりまして、必要な対処を進めてまいりたいと考えております。

三浦委員 ぜひとも適切な指導、またそれから指示をお願いしたいと思っておりますけれども、今回の法案によって、端末の代金と通信料が完全に分離され、端末代金が明確になり、特にハイスペックの端末の高額さが浮き彫りになることにより期待されるのが中古市場の活性化ではないかと私は考えております。

 日本は、国民性によるものかもしれませんけれども、新品かつ最新モデルに対する信仰が強過ぎるのか、携帯端末に限らず中古市場というものが非常に未熟であるように思われます。

 事実、我が家でも、長女が欲した新しいスマホは何がいいかということを聞いてみますと、当然、リンゴのマークのついた最新モデルが一番欲しいんだということを言われてしまいまして、端末代金だけを見ればびっくりするような金額でございまして、料金を負担している親の方が、むしろ変わらない、古いものを使っているという状況でございます。

 しかし、資源の有効活用は今後の世界の潮流になっていくべきだと考えますし、今回のことを受けて携帯端末の中古市場が活性化することは大いに歓迎すべきものだと捉えております。

 ただ、携帯端末の場合は、データの消去など個人の情報、適切な取扱い、そういったものが担保されないと、供給側それから需要側、双方に不安を残すことになりまして、せっかくの法案が成立したとしても中古市場の活性化にはつながらなくなってしまうことが懸念されています。

 そして、携帯端末の場合、データ消去など特殊なシステムや技術が使われている点から、中古市場業界と端末メーカーやキャリアとの連携協力が必要になり、その安全性を担保するシステムを構築していただかなくてはなりません。

 そのために、総務省におかれましては、それぞれに対しての指導や助言が求められると思われますけれども、どのように対応なされるおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者が中古端末を利用しやすい環境を整えるため、中古端末の関係事業者による検討会が、端末内のデータ消去の方法や中古端末の格付基準などを定めたガイドラインを本年三月八日に公表したところでございます。総務省は、実はこの検討会にオブザーバーとしても参加をしております。

 そして、この検討会におきましては、業界として、利用者が安心して中古端末を購入し、又は売却できるように、今後も必要に応じてガイドラインを見直すこととしておりまして、総務省といたしましても、引き続き必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

三浦委員 それでは、最後の質問になろうかと思われますけれども、来春以降展開が始まる5Gについてお話を聞かせていただければと思っておりますけれども。

 地方議員、そして地方公共団体の首長を経験され、本当に地方のことをよくおわかりになっていらっしゃる、また、地方の実情をよくおわかりになっておられて、地方行政に寄り添った石田総務大臣のもとで、この革新的な技術により、いよいよ、かつて夢に描かれたような、空想のような未来社会が実現するものと大いに期待を寄せている一人として質問をさせていただければと思っております。

 私は、先般の実施されました統一地方選挙前半戦でございますけれども、県議会議員選挙でございましたが、若い候補者に対しての応援演説の中で、このように申し上げました。

 現在、IoT、AI、5G、ソサエティー五・〇など難しい横文字の言葉が氾濫しており、皆さん大変困惑されていることでしょう、自分たちには関係ない、そんなものは都会だけの話ではないのかと思っていらっしゃる方も多くはないかと思われます。しかしながら、IoTやAI、5Gという革新技術がもたらす社会、ソサエティー五・〇は、地方、とりわけ不便で課題多き中山間地域に住む我々こそがその恩恵を享受することになろうと思われます。

 具体的には、担い手不足で悩んでいる一次産業、農業についてスマート農業を導入するとか、交通弱者対策、中山間地の交通インフラが非常におくれているようなそういったところについては自動運転、医師不足対策に悩んでいるところは遠隔医療の導入など、山積する課題に苦しむ地方にとって、その方が恩恵が都市部に比べて大きいことから、このような技術革新を柔軟に取り入れていただける若い人材に力強い御支援をお願いしたい。

 このように応援演説で申し上げさせていただきました。

 少子高齢化、過疎化が急速に進みまして、人口急減対策が急がれる地方にとって、また地方創生の観点からも、地方で速やかに5Gが利用されるようにするためには、インフラ整備に加えまして、地域の利用ニーズの掘り起こし、つまりは、どのような地域課題に5Gが活用できるのか、そういったことを幅広く考えていかなくてはなりません。

 総務省としてどういった取組をなさっていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。

佐藤(ゆ)副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおりでございまして、5Gを全国に早期展開するためには、インフラ整備と同時に、やはり5Gで何が実現できるのかという重要な観点について、地方を含めて広く御理解をいただくことが極めて重要であるというふうに考えております。

 地方部では、公共交通手段の衰退や医師、医療機関の不足等の社会課題の解決が急務となっておりまして、5Gが実現する自動運転ですとか遠隔医療などが問題解決の切り札として期待をされているところでございます。

 このため、総務省では、自治体や企業など多様な地方の主体の参画を得まして、遠隔医療や建機の遠隔制御など、さまざまな分野に5Gを応用した総合実証試験を全国で実施しておりまして、その成果が実用化されることで、地域でのニーズの掘り起こしにつながっていくものというふうに考えているところでございます。

 また、昨年度は、地方発のアイデアを掘り起こすことを目的としまして、5G利活用アイデアコンテストを実施いたしております。これで、個人も含めて全国から七百八十五件の応募がございましたけれども、優秀と評価されたアイデアを今年度の実証に取り込んでいくということをさせていただきます。

 総務省といたしましては、こうした地方を含めた全国各地で5Gを実証などを通じまして早期に展開をして、課題先進国として、5Gの運用面で世界トップを目指してまいりたいというふうに考えております。

三浦委員 質問時間が終わりましたので、ありがとうございました。

江田委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井でございます。

 きょうは、電気通信事業法の質疑でございます。大変重要な法案で、質問したいことはたくさんあるんですけれども、その前に、ちょっとどうしてもNHKの関係で看過できないことがありますので、若干、冒頭。

 きょうは、NHK会長と経営委員長、大変お忙しい中来ていただきまして、ありがとうございます。

 早速質問いたしますが、先般、四月の九日の経営委員会で、NHKの専務理事の同意について、極めてこれは異例だと思いますけれども、委員の二名の方が反対というか棄権をされたと聞いております。

 これは、過去にもこういったことはあるかとちょっと事務方に聞いたら、事務局が出した資料が不十分で、こんなんじゃいいも悪いも判断できないじゃないかみたいなことで保留をしたというケースは、何か一、二回あるようでございますけれども、明確に棄権をされたというのは極めて異例、初めてと言っていいんじゃないかと思いますが。

 これは、経営委員長、お伺いしますが、この四月九日の経営委員会、まだ議事録が出ていませんけれども、いずれ議事録は出ますので、どういう議論で決まったのか、ちょっと教えていただけますか。

石原参考人 お答えいたします。

 年齢構成やもともとの職種、女性の登用という観点において全体的なバランスが気になるという話や、理事候補者に関する意見としては、板野氏の印象についての話などもありました。

 板野氏につきましては、NHKエンタープライズの社長を務められた経験を生かして、NHKの最も重要な改革事項の一つであるグループ経営をうまく推進していけるのではないか、また、内部監査室にいた経験も踏まえて、コンプライアンスの強化においてもその実力を発揮していただけるのではないかと期待する意見もありました。

 経営委員会としては、会長からの提案を伺い、現三カ年経営計画の実現に向けて適材適所の人選がされていると受けとめ、同意したところでございます。

高井委員 ちょっと私もお名前を言うかどうか迷ったんですけれども、今委員長からもう板野さんという名前が出たので、板野専務理事について特に異論が出たということです。

 これは、議事録をしっかり出してくださいね。今後出る、月末に出ると聞いていますけれども、異論を唱えた委員もいらっしゃるし、そういった方が外で発言したりして、またそれが議事録と違うじゃないかみたいなことにならないように、もうずっとこの委員会で、何度もこの議事録問題、情報公開、NHKのあり方として議論をしていますので、こういう特に大事な点は、しっかりと議事録で出していただきたいと思います。

 会長に伺います。

 これもちょっと調べたんですけれども、専務理事だった方が子会社に行かれてまた専務理事に戻る、これは私、初めてじゃないかと。理事から外郭団体に行って専務理事になったとか会長になったとか、そういう、昇格した方というのはいますけれども、同じ役職で戻ったというのは、私が調べた限りは過去例がないと思います。

 そういう極めて異例な中で、これは会長が経営委員会に諮るわけですから、会長が抜てきしたということになりますけれども、抜てきした理由は何ですか。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKのグループ経営強化に向けた当面の最大の課題は、来年四月に予定されているNHKエンタープライズとNHKプラネットの合併であり、これを成功させるため、エンタープライズの社長を二年間務め、現場をよく把握している板野をグループ経営改革を統括する専務理事として呼び戻し、担当させることにいたしました。

 二年前には、旧NHKメディアテクノロジーの社長だった児野を専務理事として戻しましたが、その結果、短期間で旧NHKメディアテクノロジーと旧NHKアイテックの合併を決め、ことし、一日に新会社NHKテクノロジーズを誕生させ、グループ内の技術部門のガバナンス強化に貢献しています。

 ちなみに、執行役員の経歴はさまざまでありますけれども、板野の専務理事の再指名もその一つであります。現執行部では、副会長の堂元、また専務理事の木田と児野が関連団体からの起用であり、新たに板野が加わると四人目となります。NHK本体から関連団体へのガバナンスをしっかりときかせる意味で、有効な人的配置だと考えております。

 いずれにせよ、今回の執行部人事に当たっては、より強力な経営陣を実現しようと、適材適所を貫いて人選を行いました。協会の業務を総理する会長として、しっかりとガバナンスを発揮してまいりたいと考えております。

高井委員 私も、余りこういう個別の人事について取り上げるのはどうかという思いを持ちながら、しかし、本当に多くの国民の声でもありますし、今の説明も、私は会長の本心なのかなと、何か原稿を読んでいる、読まされているという感じがしてならないんですけれども。

 というのは、会長、御記憶ですよね、三年前からずっとこの委員会で、当時監査委員でした、籾井会長時代にこの質疑でいろんなことがありました。ちょっと私も、過去のことなので、改めて議事録を読み直してみました。

 幾つか紹介しますけれども、三年前、二〇一六年の二月二十四日の当委員会で、NHKの籾井会長が、子会社の土地取引問題という、三百五十億円を使って、会長の独断でやろうとしたんじゃないか、それに対して、当時の板野専務理事が急遽反旗を翻して、そんな話は聞いていないと言って、それが結局ボツになったという件を私は取り上げました。これは何度板野専務理事に聞いても、聞いていないとおっしゃったのは本当ですかと、会長は、説明していたと言うんですね。結局は、何か正式には聞いていないみたいな。

 あと、実はこのときも、一時間二十分あった会議の議事録がわずか数行なんです。だから、我々は板野専務理事に、どういうことをおっしゃったんですかと聞いたら、三回ぐらい、全て議事録のとおりでございますという答弁なんですよ。こういうやりとりがあった。

 そして、同じ日に、関連団体ガバナンス調査会というのがあって、これは、籾井会長が私的に親しい人に随契で五千六百万円の調査を出したんじゃないかと奥野委員が随分追及していました。ところが、これも問題なんですけれども、これと全く同じような内部監査が、実は、板野理事、コンプライアンス担当理事のときに五千万円発注されていたと。この問題も取り上げたら、三回、記憶にございませんと。

 その翌々日のこの委員会、二月二十六日に、記憶にございませんというのは間違いでしたと謝罪をされているわけです。

 しかも、その後に、会計検査院の報告を怠っていたということがわかって、その翌週に、二年前に出しておかなきゃいけなかった会計検査院の報告を慌ててNHKは出しているんですね。これも私、三月十日に追及をしましたが、これも、失念をしていたという答弁ですよ。当時、上田監査委員に私は質問していますから、監査委員としてこのことどうなんですかと。

 これは、三千万円以上は会計検査院に報告しなきゃいけないんですけれども、年間千三百件報告しているんですよ。二件だけですよ、報告していないのは。このガバナンス調査委員会と板野理事が発注した内部監査、この二件だけを会計検査院に報告していない。これはどう考えても、失念じゃなくて、意図的に隠していた。誰が見てもそうじゃないですか。そういう議論をしているわけです。

 その次、三月二十二日、このときも、「クローズアップ現代」の国谷キャスターが降板になった、これも結構問題になりましたよね。これも籾井会長に聞いたら、それは板野総局長が決めたことだというような趣旨の答弁でした。板野さんもそれを否定していません。

 だけれども、国谷キャスターは著書でこう書いています。まさか番組をやめることになるとは想像もつかなかった、それから、菅長官のインタビューが思い浮かんだとか、あるいは、制作現場のプロデューサーたちは上層部に最後まで抵抗してくれたと。本の中でそこまで書いているんですね。

 それと、三月二十二日、これは、法政大学の水島教授の分析で、最近の、二〇一六年当時、板野放送総局長のときですよ、NHKと民放のニュース番組を比較すると、明らかに安倍総理が話す場面が非常に長い、それから、過去と比べても明らかに多くなっている、こういう問題なんかも私は指摘しているわけです。

 これをずっと会長は審議の中で聞いてこられ、そして、会長就任になってから、私は何度も、人事が大事ですよ、そして公共放送の使命をやはり理解した人を登用することこそが会長の最大の使命だと申し上げました。

 やはりマスメディアというのは、権力に対して常に距離を置く、独立して、そして批判的で私はあるべきだと思います。イギリスのBBCがあれだけやはり評価されているのは、かなり政権に対して批判的な報道をするから、公共放送としてしっかり支持されているわけです。

 これはやはり、事実じゃないとしても、例えば杉田官房副長官と親しいんじゃないかとか、そういうことが疑われる時点で、誤解を招くようなことはやらない、避ける、これが何としてもNHKにとって私は必要だと。もし、本当に官邸の言いなりだなんということが国民から思われたら、もうNHKは終わりだと私は思います。

 そういう観点から、ぜひ会長、これは、今は決まった人事をどうこう言いませんけれども、やはり今後、何度も私は申し上げていますが、改めて、公共放送の使命というものを理解した職員をきちんとふやして、そして、そういう方をきちんと登用するということを肝に銘じていただきたいと思いますが、会長、御所見を伺います。

上田参考人 お答えいたします。

 御指摘のような懸念を抱かれることがないよう、先ほども申し上げましたけれども、協会の業務を総理する会長として、しっかりとガバナンスを発揮してまいりたいと考えております。

 NHKは、放送の自主自律の堅持が信頼される公共放送の生命線であるという認識に基づきまして全ての業務に当たっておりまして、放送とは直接関係のない業務に当たりましても、この基本的な立場は変わらないというふうに考えております。

 しっかりとやってまいりたいと考えております。

高井委員 先ほどの、板野専務理事を登用した理由は、何か書いているものを読んでいる感じがしましたけれども、今のは会長の真の言葉だなと思いました。何か、後ろから紙を入れるのを断って、御自身の言葉で話をされましたので。

 これは本当にお願いしますよ、NHKの未来が会長のこれからの判断、行動にかかっている、これは経営委員長もぜひお願いをいたします。

 きょうはこのくらいにしたいと思いますので、済みません、お忙しい中来ていただきまして、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

江田委員長 どうぞ御退席を。

高井委員 それでは、本題に入りたいと思います。

 きょうは、携帯電話料金の引下げ、四割引下げというのが非常にいろいろと報道されるわけでありますけれども、実は、この携帯電話料金をめぐる政策というのは、これまでもずっと経緯があります。

 さかのぼると、二〇〇七年には、今の谷脇局長が当時課長だったと記憶していますけれども、モバイルビジネス研究会というところで、料金と端末を分離すべきだというのは、もうここから出ていますよね。それから、最近でも、二〇一五年、一六年、一七年、一八年と、毎年のように検討会を開き、そしてそのたびにガイドラインを出して行政指導を行ってきた。

 しかし、なかなかこれがうまくいっていないというか、イタチごっこのような形になって、料金も何か複雑化してきてしまっているということだと思いますが、これは総務省として、こういった、今までやってきた検討会などで出した政策というのを、しっかり総括、PDCAですよね、これをきちんと行っているのかどうかというのはちょっと疑問に感じるんですけれども、どうなんでしょうか。それとあわせて、今後、今回の政策についても、PDCAをしっかりやっていくのか、あわせてお伺いします。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省におきましては、モバイル市場の公正な競争の促進の観点からさまざまな施策を講じてきたところでございまして、これらの施策の効果につきましては、有識者会合におきまして検証、評価を行い、その結果を踏まえ、事業者に対する要請やガイドラインの策定などの措置を講じてきたところでございます。

 例えば、平成二十八年三月に策定をいたしましたスマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドラインにつきまして、平成二十九年一月に、有識者会合での指摘を踏まえて、許容される端末購入補助の額の明確化を行うとともに、平成三十年十二月にガイドライン違反をした事業者に対する行政指導を行うなどの措置を講じてきております。

 しかしながら、昨年十月より開催しております有識者会合におきまして、これまでの取組を踏まえても、なお通信料金と端末代金の分離が不十分であるなど、いまだにわかりづらい料金プランとなっていることや、期間拘束やその自動更新により事業者の乗りかえが行いづらくなっていること等の課題が指摘されたことを受けまして、今般、本法案を提出することとしたものでございます。

 本法案の施行後におきましても、引き続き、モバイル市場における公正競争の促進に関する取組の効果などにつきまして、定期的に検証、評価を行うほか、本法案の附則の三年後見直しの規定に基づきまして、改正法の施行の状況について検討を行い、必要があれば所要の措置を講じてまいりたいと考えております。

高井委員 谷脇局長は、二〇〇七年に課長で、十年ぶりぐらいに戻られて、局長がいない間のことを聞いたわけで、ひょっとすると局長もじくじたるものがあったのかなと思わないこともないんですが。

 大臣、お伺いいたしますけれども、今、谷脇局長から御答弁いただきましたけれども、改めて、大臣として、今まで行政指導でやってきたものを、今回、法改正ということでかじを切ったわけです。また、これは、料金規制の自由化というのをずっとこれまでやってきたものを、やはり人によっては、政府による料金への介入じゃないか、料金規制をまたやるということなんじゃないかという意見もあるわけですけれども、これは料金規制の自由化方針を転換するということになるんでしょうか。大臣の見解を伺います。

石田国務大臣 通信料金と端末販売の分離あるいは行き過ぎた囲い込みの防止に関しましては、これまでのたび重なる事業者に対する要請やガイドラインの策定などの取組を踏まえても、なお代理店における端末販売の場合で過度なキャッシュバックが行われていること、また、携帯電話事業者の乗りかえを難しくするいわゆる四年縛り等の新たな手法が登場していることなどが有識者会合において指摘されたことを受けまして、本法案により、抜本的な対策を講ずることとしたものでございます。

 また、本法案は、公正な競争を促進するため、携帯電話事業者が競争を行う際の基本的なルールを定めるものであり、携帯電話料金は市場競争を通じて決定されるものとの従来の考え方を変えるものではございません。

高井委員 そういう意味では、確かに、菅官房長官が料金四割下げろというようなことを言われ、そのとおりにそういう規制をまたやるということなら大問題だと思いますが、今回は、よく考えられたというか、ルール整備にとどまったと言えなくもないと思いますので、そこのところはまた。

 ただ、今後も、しっかり今の御答弁を踏まえて、時代の流れからして、今さら料金規制をやる、政府が価格を決めるなんというのはやはりちょっと、到底、世界的にも受け入れられないし、日本でも受け入れられないと思いますので、そこはぜひ慎重に、今後省令などでもいろいろ決めていくことになりますけれども、そこを非常に皆さん心配していますので、十分に御注意いただきたいと思います。

 それでは、今度、今回料金と端末が分離されるということなんですけれども、これがやはり、端末の台数が減るんじゃないかと。これは、実は二〇〇七年も、先ほど谷脇課長のときのモバイルビジネス研究会で料金端末分離政策を打ち出した途端に一年で三割減少したというんですね。当時、谷脇不況なんて呼ばれて、本当に谷脇さんも大変な思いをされたんじゃないかと思いますが。

 今回だって、先ほどから言われている有識者会議でも、野村総研の北さんが、スマホは二、三割は減るだろうとおっしゃっていますし、何より大臣が、先日の岡島委員の四月十一日の本会議の答弁で、高価格帯の端末のニーズが減少することが想定されると言われているわけです。

 これは何を心配しているかというと、5Gなんですね。5Gは端末価格がまだ高いです。二十万近くすると言われている。これを、これからやはり5Gにどんどん移っていこうということを、こんなのは私は国がもっと力を入れてやるべき政策だと思うんですけれども、それに水を差すんじゃないか、5Gの端末の普及にマイナスなんじゃないかというふうな意見がありますけれども。

 総務大臣、改めて、本会議でも答弁されたことかもしれませんけれども、ちょっと私はあれでは不十分だと思っているので、改めて大臣の御見解を伺います。

石田国務大臣 今回の法案では、事業者間の公正競争促進によりまして、携帯電話の通信料金と端末代金の完全分離を図ることとしております。これによりまして、利用者が通信料金のみで携帯電話事業者を比較、選択できるようになり、競争の進展を通じて通信料金の低廉化が進むと考えているわけであります。

 他方で、端末の割引等が今より縮小し、特に高価格帯の端末のニーズが減少することが想定されるものの、先ほど副大臣も答弁されましたけれども、中古市場とかそういう形で、手軽な価格帯の端末の供給が拡大することが期待されるところであります。

 利用者が通信料金と端末代金のそれぞれを正確に理解できるようになることで、さまざまな通信サービスと端末の中からみずからのニーズに合った選択が可能となり、5Gを含め全体として利用者利益が向上すると考えているところであります。

高井委員 メリットもわかります。確かに、今の端末が高過ぎたんだ、やはり販売奨励金があることによって高機能化してしまって高どまりしていた、あるいは中古市場が活性化しないというのはわかります。

 ただ、タイミングが、5Gがこれから始まるときになぜというのが結構市場関係者の大きな思いなので、私は、これはもうやるのは仕方ないと思いますけれども、やはりこの5Gが普及することもあわせて同時にやっていかないと、これで本当に5Gの普及がおくれると、これは通信業界だけの話じゃないですよね。5Gというのはあらゆる世の中、社会を変革していくインフラで、世界じゅうが、特にアメリカ、中国が今覇権争いをしているような状況の中で、日本が端末が普及しないから5Gがおくれたなんということがあったら、これは大問題だと思いますので、ぜひここは、マイナスの影響を回避する策というのを総務省において考えていただきたいと思います。

 次の質問ですが、料金と端末を完全分離ということなんですけれども、例外を設ける、シェアが総務省令で定める基準を超えない場合は例外だということを考えておられるようですけれども、これはどういう事業者を想定しているのかという質問です。

 よもや、一部報道で出ましたけれども、MNOですね、つまり携帯三社に今四社目が加わる、楽天が加わるわけですけれども、この携帯四社、MNOがまさか外れる、あるいは、MVNOでシェアの大きい事業者というのも結構いるわけですけれども、こういうものも外れるとなると、やはり、何のためにやっているかというか、非常に利用者は混乱しますし、法改正の趣旨が損なわれると思うんですけれども、こういう事業者まで想定をしているんでしょうか。

石田国務大臣 本法案では、通信料金と端末代金の完全分離等の対象について、競争への影響が少ない事業者は、総務省令で定める基準により除かれることとしております。

 具体的な基準は、本法案の成立後、総務省において検討することになりますが、通信料金と端末代金のそれぞれについての事業者間の競争を促進するためには、広く完全分離を適用することが必要であり、対象外となるものは極めて限定的とすべきだと考えているところであります。

 こうした考え方を踏まえますと、少なくともみずから周波数の割当てを受けてネットワークを運用する事業者については、競争への影響が少ないとは言いがたいことから、例外となることはないものと考えています。

高井委員 MNOは例外にならないということを明言いただいたと思いますし、事前に事務方から聞いているところではMVNOもシェアの大きいものは入らないと聞いております。

 やはり、省令でこういったことがさじかげんで決まるということは非常によくない、裁量行政だし、不透明な行政になりますので、ここはぜひ、極めて限定的だと今大臣おっしゃいましたので、そういう形で運用していただきたいということは強くお願いをしておきます。

 それと、今回、法律が通った後、施行するまでにちょっと間がありますね、どうしても。省令をつくったりしますから、早くて十月、十二月ぐらいかと思いますが、その間に、まさに駆け込みで、過度なキャッシュバックを行うとか過度な顧客の囲い込みをやるというような、そういうことが起こると、本当にこの改正法の趣旨が没却されてしまう、意味をなさなくなってしまいますので、こういったことが起こらないようなことも、当然、総務省は考えていただいていると思うんですけれども、そういったことは考えていただいていますでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の施行までの間に、委員御指摘のとおり、改正後の法によって禁止される過度なキャッシュバックや行き過ぎた囲い込み等が駆け込み的に行われるおそれがあるということは認識をいたしております。

 本法案が成立した暁には、省令で定める禁止の内容につきまして、審議会への諮問、意見招請といった手続を可及的速やかに開始をし、制度の具体化を進めたいと考えておりまして、携帯電話事業者等の関係者におきましては、本法案で措置される内容等を踏まえ、その施行を待つことなく、料金プランや販売手法の見直し等の取組を積極的に行うことを期待をしております。

 また、総務省におきましても、携帯電話事業者に対して行政指導を行いまして、携帯電話事業者が現行の端末購入補助に関するガイドラインを遵守すること、また、携帯電話事業者や販売代理店が不適切な広告を行わないことを促すとともに、不適切な行為が行われていないかについて積極的にモニタリングを行ってまいりたいと考えております。

高井委員 私は、行政指導というのは余り好ましくないというか、推奨派ではありませんけれども、しかし、今回のこのケースは、法律が通ったら、やはり、それが施行されるまでの間に尻抜けしようというのは、明らかに悪意というか、利用者のためにもならない、市場全体の発展にもなりませんから、今、行政指導もやるというふうな御答弁でしたけれども、確かに、法的な穴というか、法律上はどうしようもないかもしれませんけれども、しっかりこれは行政指導をやるべきだ、国民、利用者からもそれは評価をされることだと思いますから、そこはしっかりやっていただきたいと思います。

 それでは、今回、似たような質問なんですけれども、改正法が施行されたとしても、既に契約をしている現行の契約が継続すると、事実上、二年程度の拘束が継続されてしまうということになります。

 これも何とかできないだろうかということで、既に契約した分もこの法改正の趣旨を踏まえて条件変更するということも、これはやはり、法を改正した趣旨からすれば、私はそういったこともやっても不利益な変更には当たらないと考えるんですけれども、そのあたりは、総務省、いかがでしょう。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで一般論として申し上げますと、利用者の予見可能性や法的安定性の観点などから、規制を遡及的に適用することは控えるべきであり、本法案でも、施行前に約した内容について見直しを義務づけることとはしておりません。

 しかしながら、利用者がみずからのニーズに応じた料金、サービスを適切かつ自由に選択することができるようにすることは極めて重要でございまして、本法案に対応して導入される新しい料金プランについて利用者に対して十分に周知を行うなど必要な措置を講ずることにつきまして、各携帯電話事業者に積極的に働きかけをしてまいりたいと考えております。

高井委員 これも同じように行政指導ということかもしれませんけれども、やはり国民、利用者の方にとってもためになる行為、法改正の趣旨をよりはっきりさせるというか、利益を利用者の方にも還元するという措置だと思いますので、ぜひこれもしっかりやっていただきたいと思います。

 それでは、次の質問ですが、今回の改正案では、通信料金と端末代金の分離や期間拘束の禁止の対象として、法の第二十七条の三で、「電気通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれがある利益の提供として総務省令で定める」とされています。この省令の内容がやはりどうなるかによって、非常に過度な市場介入にもつながるおそれがあるというふうに考えています。

 この「適正な競争関係を阻害するおそれがある利益の提供」という言葉が非常に曖昧なので、関係者は、何か政府の過剰な介入になるんじゃないかというふうに懸念をしているわけですけれども、これは具体的に何を想定しているのか。できれば、その基準みたいなものもお聞かせいただけるとありがたいんですが、これは具体的に何でしょう。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案第二十七条の三第二項第一号の、今委員御指摘の、「適正な競争関係を阻害するおそれがある利益の提供」は、法律で規定をされております端末購入を条件とする通信料金の割引に加えまして、禁止行為の対象となる利益の提供の具体的内容を省令で定めることとしております。

 その内容につきましては、本法案の成立後、総務省の審議会に諮問するほか、意見募集を行うなどして検討していくこととなりますけれども、現時点におきましては、通信サービスの利用者に対して、通信サービスの継続利用を条件とする端末代金の割引、キャッシュバック等を約することなどを定めることを想定をしております。

高井委員 もう少し御答弁いただきたかったという気もするんですけれども、いろいろ事務方と話していても、本当に余りまだ、これから省令で決めますみたいなことが結構多くて、これはちょっと全般的に苦言を申し上げたいと思いますけれども、やはり今回の検討が少し拙速だったのではないかなという感じはします。

 去年の八月に菅官房長官が、携帯電話料金、四割下げれると言われて、去年の秋に総務省の検討会が立ち上がって、たしか一月に緊急提言という形で出されて、検討会自体はずっとまだ続いているわけですけれども、この料金の部分についてだけは非常に緊急に出された。今国会のこの法律に間に合わせるためだと思うんですけれども、本来であれば、私はやはりもう少ししっかり検討して、省令の中身も決めた上でこの審議もやるべきだと。

 先ほどから言っているように、省令に委ねているところが大きいと、非常に不安になります。国会の中でも、省令のこともできれば議論したいと思っているんですが、ここはまた、法案審議じゃなくても、一般質疑とかいろんな機会で、この省令がどんなものになるかということは私もしっかり注視してまいりたいと考えておりますので、ぜひ、そういう不安にならないような省令というものをしっかりつくっていただきたいと思います。

 それでは次ですが、この通信料金と端末代金の分離については、キャッシュバックやポイント付与など通信料金と端末代金がリンクするサービスについては禁止するということだと理解していますけれども、販売代理店によるアプリケーションなどの販売、これは今回の禁止行為の対象にはならないというふうに考えてよろしいんでしょうか。

石田国務大臣 本改正案の第七十三条の四に規定する販売代理店に対する業務改善命令は、本法案により追加する禁止行為に違反した場合のほか、従前から規定している利用者への通信サービスの契約時の提供条件の説明義務及び禁止行為に違反した場合といった法律の規定に違反した場合に限り命ずることができ、一定のルールのもとで競争の促進及び利用者利益の保護を確保するものであります。

高井委員 済みません、ちょっと私が質問の順番を間違えたというか、質問の仕方が悪かったでしょうかね。

 今の大臣の御答弁は、私が質問通告したのは、販売代理店に対する業務改善命令は、禁止行為違反と契約時の提供条件の説明義務違反に当たる場合に限られ、自由な事業活動を阻害するものではないと考えてよいかということのお答えということでよろしいですかね。はい。済みません、一問飛ばしてしまいましたので、ちょっと混乱をさせてしまいましたけれども。

 代理店は、実は大手携帯電話会社のキャリアショップというのは、もう九九%が販売代理店による運営だと言われていまして、非常にこの販売代理店は、営業利益率は二から三%だというふうに聞いています。この販売代理店の経営が揺らげば、販売代理店は、例えば高齢者に対するスマートフォンの使い方の指導とか、青少年向けの有害サイトのフィルタリングサービスの設定作業とか、そんなのを無料でやったりとかしておりますので、やはり販売代理店の経営ということも十分考えていただきたいということで、今総務大臣からお答えがありましたので、そこもしっかりお願いをしたいと思います。

 そういう意味では、その次に質問をしようと思っていた、アプリケーションの販売が禁止行為の対象になるかどうかというのは、どうでしょう。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 電気通信事業分野は、サービスの内容や料金などが多様化、複雑化しておりまして、その変化が激しいことから、通信サービスの勧誘や提供における各場面におきまして、利用者の利益を阻害する新たな行為に迅速、柔軟に対応することを可能とするため、本法案では、法律において規定する勧誘等に関する禁止行為のほか、省令において禁止行為を定めることができるとしております。

 省令において定める内容につきましては、総務省に寄せられる苦情、相談などを踏まえ、今後検討することとなりますけれども、現時点において、今委員御指摘の販売代理店によるアプリケーション等の販売について定めることは想定しておりません。

高井委員 明確な御答弁、ありがとうございます。

 それでは、もう一つ、期間拘束の禁止について、現行のいわゆる二年縛りとか四年縛りと言われているものも、これも今後は一切認められないということになるのか、それとも認められる余地というのがあるのか。できればその基準というものもあればお示しいただきたいんですが、いかがでしょう。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、通信サービスの契約に際し利用者による契約の解除を不当に妨げる条件を課すことを禁止することとしております。

 具体的に禁止される条件につきましては省令で定めることとしておりますけれども、現時点においては、新たに定める上限を上回る高額な違約金や期間拘束の有無による著しく高い料金の差を設定することなどを禁止することを想定しております。

 その結果、法改正後は、二年間の契約をあらかじめ約束することを条件に割引を行うこと自体は許容されますけれども、現在大手携帯電話事業者が提供しているような、高額な違約金や期間拘束の有無による著しく高い料金差が設定されている、いわゆる二年縛りは禁止されると考えております。

 また、本法案での通信料金と端末代金との完全分離におきましては、通信サービスの契約に際し、通信サービスの継続利用を条件とする端末代金の割引を禁止することを検討しております。

 この点、いわゆる四年縛りと呼ばれる大手携帯電話事業者が提供する端末買いかえサポートプログラムは、端末の買いかえ時に割賦残債の免除を受けるために、買いかえまでの間、当該事業者との通信契約を維持することを実質的に求めていることから、通信サービスの継続利用を条件とする端末代金の割引に当たるものとして、禁止をする方向で考えております。

高井委員 詳細な御答弁、ありがとうございます。なかなか専門的で、私も今聞いただけではちょっと理解できなかったんですけれども、また後で議事録を見て、しっかりまた意見交換させていただけたらと思います。

 続いては、ちょっとこの法案の直接の中身とはかわりますけれども、この電気通信事業法の関連で、今、GAFAと言われる、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、こういった、プラットフォーマーとも呼ばれていますが、こういう海外の巨大IT企業が個人情報を大量に集積している。それはある意味ビジネスモデルになっているわけですけれども、実は、これは電気通信事業法上非常に、私はもう随分前からこれを指摘してきました。

 私、五代前の電気通信事業部長に、安藤さんという方にこの問題を言いに行ったことをよく覚えているんですけれども、当時は余り総務省も取り合っていただけなかったんですが、ようやく今回、有識者検討会で通信の秘密に、国内事業者は電気通信事業法が適用されるので、通信の秘密になる。つまり、我々がメールをやりとりしたりしているものを事業者が何か分析したりするのは難しいと。ところが、海外にサーバーがある企業は、この電気通信事業法が適用されないというんですね。これは海外事業者と国内事業者で対等な競争にならないじゃないかということを私は前から指摘をしているんですが。

 今回、このGAFA問題というものが非常にクローズアップされているということもあって、谷脇局長が戻ってきたということも私は理由じゃないかと思っていますが、ようやく通信の秘密の域外適用を検討いただいているようですが、これは具体的に、どういうスケジュールで、どういう法改正になるんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、ウエブメール等を提供する海外のプラットフォーム事業者のプレゼンスが増大するとともに、こうしたプラットフォームサービスと通信サービスの融合、連携が進んでいるところでございます。また、これらのサービスを通じて大量の利用者情報が取得、活用されております。

 こうした利用者情報の活用は、利用者利便の向上に資する一方、昨今の相次ぐ大量漏えい事案も相まって、その取扱いに対する不安、懸念も高まっているところでございます。

 こうした現状を踏まえまして、総務省におきましては、昨年十月から、プラットフォームサービスに関する研究会を開催し、プラットフォーム事業者による利用者情報の適切な取扱いの確保のあり方等を検討しているところでございます。

 先般公表された中間報告書では、ウエブメール等を提供する国外のプラットフォーム事業者についても電気通信事業者に定める通信の秘密の保護規定が適用されるよう、法整備を視野に入れた検討を行うことや通信の秘密の適用対象範囲を明確化すべきことなどが示されたところでございます。

 総務省としては、本報告書を踏まえまして、国外プラットフォーム事業者に対する通信の秘密の保護規定の適用、また、その履行を確保するための方策に関しまして、法整備を含む所要の対策の実現に向けて可及的速やかに取り組んでまいりたいと考えております。

高井委員 このGAFA問題というのは非常に重要な、政府でも、今、総務省、経産省、それから公正取引委員会、三省庁で検討もされている。ちょっとその状況も聞いたんですけれども、ただ、何かちょっと、余り進んでいないなというか、非常に重要なテーマな割には不十分だなと。そことはまた別に谷脇局長の部署で法改正の話はやっているわけですけれども、ぜひここはよく連携をとっていただいて、私は、これからの情報通信社会、総務省の仕事として極めて重要なテーマだろうと。

 やはり、個人情報が自分たちの知らないところで勝手に使われるということを、一方で、データは流通した方が便利になるので流通させてほしいんですけれども、やはり本人の同意のあり方というか、本人が自己決定できるようなものをしっかり考えていただきたいと思います。

 谷脇局長が非常に早口の答弁なので、たくさん用意したんですけれども、最後まで質問できることになりました。

 最後に、じゃ、一問。

 5Gの話ですけれども、5Gは、私はやはり、世界に比べてまだまだおくれているんじゃないかと思います。恐らく総務省は、いやいや、一部地域で、アメリカ、韓国はやっているけれども、日本は面的にはこれから追いつくんだというようなことかと思いますけれども、私は、ネットワークだけの発想じゃなくて、やはり使う面も含めて、この5Gが、次どこが覇権をとるかというのは非常に重要な問題だと思っていますので、ぜひ、この5G、私はおくれていると思いますが、おくれを取り戻す方策を最後に聞いて、質問を終わりたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 米国では、昨年十月より、一部都市における一般家庭へのインターネットアクセスサービスとして5Gのサービスが開始をされたところでございます。また、本年四月には米国及び韓国におきましてスマートフォン向けの5Gサービスが開始をされたところでございます。

 我が国では、御案内のとおり、本年四月十日に、携帯電話事業者四者に対しまして、我が国初の5Gの開設計画の認定を行ったところでございますが、本年九月にスタジアム等で5Gの先行サービスを提供し、来年春に商用化をする予定となっておりまして、世界的に見て、5Gの取組、我が国の取組がおくれているわけではないというふうに認識をしております。

 総務省といたしましては、5Gが高速道路や新幹線と同様、地域の活性化、活力の向上を図るために不可欠な二十一世紀の基幹インフラとなると考えておりまして、可能な限り速やかに全国においてサービスが提供できるようになることが重要だと考えております。

 このため、開設計画の認定に際しまして、各者に対して、二年以内に全都道府県でサービスを開始することを求めるとともに、早期かつ広範な全国展開を求める条件を付しております。

 また、委員御指摘のとおり、5Gサービスの普及に当たりましては、単にネットワークインフラを整備するというだけにとどまらず、全国各地で多様なサービスが円滑に開始されることが極めて重要であると考えております。

 こうしたことから、平成二十九年度から総務省が実施をしております5Gの総合実証試験で、遠隔医療や建機の遠隔制御など、さまざまな分野に5Gを応用することを想定し、自治体や企業など多様な主体の参画を得て実証を行っておりまして、引き続きこうした実証試験に取り組んでまいりたいと考えております。

 このように、総務省といたしましては、世界に先駆けて5Gを活用した多様なサービスが全国で展開されるよう、必要な取組を引き続き推進してまいりたいと考えております。

高井委員 そのおくれているわけではないと総務省が認識しているところが問題だという指摘もありますので、ぜひ力を入れて頑張っていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。

江田委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 それでは、早速質問に入らせてもらって、大臣はちょっと生理現象のようなので後ほど質問するといたしまして、まず、電波法の電波利用料の方から入っていきたいと思いますが。

 電波利用料ってわかりにくいんですけれども、まず歳出が決まって、必要な額が決まって、それを無線局の免許を持っている人たちが配分していく、負担していく、その配分のあり方を料額算定の具体化方針というもので決めて負担が決まっていく、こういう仕組みになっているようであります。

 今回特徴的なのは、携帯電話の周波数について、公共的な利用であるということで、係数を掛けて、本来の負担額よりも、負担割合よりも減らすということを初めてやった。そうすると何が起こるかというと、ほかの部分、他の免許については負担がふえる。あらあらこういう仕組みになっているというふうに思います。

 しかし、急にふえると、負担が大きくなると、事業や経営、あるいは個人の方もいらっしゃるでしょうから、よろしくないということで、激変緩和というものがこの具体化方針の中で定められてきたということなんですね。

 今回問題になるのは、激変緩和も、従来は二割を上限にということだったんですが、それが五割が上限ということに変わっている。負担がふえやすくなっているというふうに言えると思います。

 まず、ちょっと順序を変えますが、伺いたいんですが、この激変緩和が今回適用になった無線局というのは、具体的にどういう局種があるんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 激変緩和措置の適用対象となり料額が五割上昇する無線局の例ということでございますけれども、キー局やNHKが使用する大規模放送局のほか、衛星通信用の地球局、無線局数の比較的多い地域で使用されるマイクロ固定局、逼迫している周波数帯域を使う一部の人工衛星局等がございます。

奥野(総)委員 マイクロって随分懐かしい言葉なんですけれども、まだマイクロも残っているということなんですね。上がるということでマイクロから光ファイバーに変わっていくとか、そういうプラス面もあるのかもしれませんけれども、特に、放送がふえているという、ここがちょっと気になるんですね。放送というのは非常に公共的なものでありますし、まして、ローカル局が今非常に厳しいと言っている中で、こういう負担増がもろに直撃するんじゃないかというところが非常に気になるんですけれども。

 そこで、ちょっと視点を変えて伺いますけれども、激変緩和措置、今五割とおっしゃっていましたが、実際は、これは後で聞きますが、ローカルについては二割ということになっているようですけれども、講じない場合、みんなで激変緩和措置を講じずに割り振った場合というときに、放送の負担額は幾らぐらい、あるいは何%ぐらいふえることになるんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 電波利用料の料額につきましては、携帯電話や放送、人工衛星などの無線局の種別ごとに、その無線局が使用している電波の帯域の逼迫状況、使用する帯域幅や電波の出力等の要素を勘案して算定するものでございます。

 したがいまして、激変緩和措置の比率が変更になる、あるいは変えるということによって、他の事業者がどの程度負担がふえるのかといったような試算は行っておりません。

奥野(総)委員 もう一回聞きますが、激変緩和がなかったとして、じゃ、そもそも放送の負担は幾らだったんですかということなんですけれども、それもない。そういう質問をしているんですよね。

 五割を上限にしていると言っているので、実際は、じゃ、幾らなんですか、あるいは二割を上限、実際幾らなんですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたような手法によりまして電波利用料額の算定を行っておりますので、特定の仮定を置いた試算については行っておりません。

奥野(総)委員 これがなかなかわかりにくくて、きちんと免許人には説明しているのかもしれませんが、減らすと残りがふえるんですよね。全体のパイをみんなで割っている計算ですから、例えば放送を五割とか二割とかと抑えると、本来徴収すべきであった部分がよそに回るわけですよ。ほかの免許人に影響が出てきてしまうんですね。

 だから、本来であれば、激変緩和を講じない数字をきちんと示した上で、みんなで議論をして決める、その方が透明性があると思うんですね。いきなり、仮定を置かないとおっしゃっているけれども、きちんと積算をして、その上で、本来ならこういう額になるんだけれども、公共性が高いので、あるいは非常に負担が多くなってしまうので激変緩和措置を講じます、残りを皆さんで負担してくださいというふうにやるのが、非常に透明性があってみんなが納得すると思うんですね。

 非常にそこがわかりにくいんですけれども、本当に、じゃ、これは積算していないんですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで答弁させていただきましたように、電波利用料額につきましては、具体的なルールに基づいて客観的に算定をしているものでございます。

 したがいまして、特定の仮定に基づく計算というものは行っておりませんし、また、特定の免許人の経営状況等を勘案するということも、そういったそもそも性格ではないということでございますので、今委員が御指摘のような数字あるいは試算というものは持ち合わせておりません。

奥野(総)委員 では、もう一度問いますが、激変緩和というのは何のために設けているんですか。もちろん個人もいらっしゃる、経営状況に配慮したものじゃないとしたら、この激変緩和というのは何のための措置なんですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 激変緩和の措置でございますけれども、これは、当然のことながら、電波利用料全体の例えば歳出規模というものが変化をする、それに伴って電波利用料額、各免許人の負担をいただく電波利用料額が変わるわけでございますけれども、その際の変更の幅というものを一定の範囲に抑えるために、激変緩和措置というものを講じているものと認識をしております。

奥野(総)委員 経営に一切配慮することないとおっしゃっていましたけれども、結局、免許人のお財布に配慮しているんですよね。だから、激変緩和、急にふえるのはよくないから配慮しているということじゃないんですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 各免許人の負担をする電波利用料額について、変更額あるいは負担がふえる部分について一定のキャップを置くということと、免許人の経営状況であったり収益がどの程度上がっているのかということは論理的に結びつかないと考えております。

奥野(総)委員 経営状況とは論理的に結びつかないというのは、論理的にそうかもしれませんが、急に負担をふやしちゃいけない、激変緩和というのは、結局、免許人の財政状況あるいは個人のお財布に配慮してということですよね。

 申し上げたいのは、経営状況が悪いから激変緩和の割合を一割にすべきだとか二割にすべきとか、そこは恣意的に結びつけちゃいかぬとは思いますが、しかし、実際は、それぞれの懐の状況に配慮したからこそ、キャップをはめているんですよね。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 電波利用料の料額でございますけれども、あくまで、大幅な料額の変更というものをひとしく免許人に対して防ぐという観点から行っているものでございます。

 したがいまして、その結果として、料額改定を一定程度の改定幅に抑えることによって、結果的に事業者あるいは免許人の収支に影響を与えることは否定はできませんけれども、これを一体のものとして考えるということは、論理的に必ずしも正しくはないと思います。

奥野(総)委員 同じことを言っているんだと思いますけれども、いや、利益の多い少ないに応じて段階的に額を決めていくというんじゃないということをおっしゃっているんだと思いますが、しかし、広い目で見たときに、当然、なぜ激変緩和かというと、負担が急にふえて困るから抑えているわけですよね。だから、結局、それぞれの懐事情に配慮してやっている措置だということだと思うんですよ。そこがまずわかりにくいんですが。

 さらに、従来二割だったんですね。激変緩和というのは、従来二割だったものが、急に五割になった。これは、パブコメでも、なぜ五割になったんだ、しかも五割というのは激変じゃないのか、五割というのは緩和じゃなくて激変、まさに激変じゃないか、こういうパブリックコメントもあったんですね。

 伺いたいんですけれども、これはなぜ、これまで二割激変緩和、二割キャップだったものが、五割キャップに今回ふえたんですか。それについて、どういう議論が平場で行われたのか、なぜ五割に決まったのか。そして、その場合に、どこで激変なのかという、二割が激変なのか、五割が激変なのか、あるいは二倍が激変なのか、その判断基準というのは、一体どういう基準でなされたんですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 料額改定につきましては、前回の平成二十九年の料額改定時におきましては、歳出総額規模がその前回の平成二十六年の改定時と比べますと減少傾向にある中で、増加率の上限を二割に設定をしていたところでございます。

 他方、今般の料額改定では、前回の料額改定時から歳出総額が約百三十億円と約二割増加する予定でございまして、歳出総額が増額される中で負担の適正化も図りつつ歳入を確保する必要があるという点で、歳出総額の減少傾向が続いていた近年の改正、トレンドとは状況が異なっていることから上限を五割としたところでございます。

 この増加率の上限を五割と設定することにつきましては、昨年十二月から本年一月にかけて意見募集を行った上で決定をした、電波利用料の見直しに係る料額算定の具体化方針に盛り込んだところでございます。

 激変緩和措置において設定すべき数値につきましては、電波利用料のあくまで歳出規模を踏まえながら、免許人等の負担や予見可能性の観点から、適時適切に判断することが適当であると考えております。

奥野(総)委員 確かにパブコメには出ているんですが、じゃ、そこにその五割となった理由が書かれているかというのは、どこにも書かれていないんですね。じゃ、なぜ二割から五割になったかというのは、どこか審議会とか研究会とか、平場できちんと関係者に説明がなされたのかというのが、質問が一点。

 それから、今の答弁でよくわからないのは、従来よりも歳出の規模がふえたから、状況が変わったから五割にしたんだとおっしゃっていたと思いますが、負担がふえるんだったら激変緩和をもっと低目に抑えるべきじゃないんですか。負担をふやさないようにする、過度の負担を個々の免許人にかけないようにするのが激変緩和ですから、歳出の負担がふえているから激変緩和も上げましたというのではまさに、激変緩和の意味合いが違うんじゃないですかね。ふえるからこそ激変緩和をきちっと守らなきゃいけない。ふえるから激変緩和も引き上げましたというと、それは激変緩和措置になっていないんじゃないですか。

 以上二点。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁を申し上げましたとおり、今回の電波利用料の歳出総額というものが約百三十億円増加しているということを申し上げました。これは約二割増加をしているということでございますから、委員御指摘の激変緩和措置二割ということを仮に考えた場合に、それは平均的な増加分であるということになろうかと思います。したがって、その場合、二割というものがそもそも激変緩和措置なのかという点が一つ議論の対象になろうかと思います。

 いずれにいたしましても、歳出総額が大きく膨らむ中で、今回はこのキャップの部分について五割というふうに設定をしたということでございます。

奥野(総)委員 いや、でも、平均的だけれども、何か負担がふえるところがあるわけですね。先ほどもおっしゃっていたけれども、特に放送なんかはふえるわけですよね、キー局なんかはふえるわけだから。そこを激変緩和として二割にならすというのは、まさに激変緩和措置の目指すところじゃないんですかね。放送のキー局がもうかっているから、取りやすいからというのはさっきの話とも違いますよね。各局の経営状況は見ないんだ、こうおっしゃっているんですから、激変緩和というなら、一律の基準で二割に抑えるというのはまさに激変緩和措置そのものだと思うんですね。ふえたから引き上げたというのは何か激変緩和の意味合いが違うと思うんですが、いかがですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 電波利用料の料額でございますけれども、委員もよく御案内のとおりでありますけれども、まず料額ありきというものでは当然ございません。電波利用料の歳出総額というものを、政策ニーズを検証した上で総額を確定をさせまして、その上で、それをどのように各免許人に御負担をいただくのかという点について、それぞれの、例えば出力あるいは使用している周波数帯、こういったものを勘案してそれを割り振っていくという形になるわけでございますから、議論の出発点として、電波利用料額がどうあるべきかというところから今回の議論が始まるわけではないというふうに考えております。

奥野(総)委員 これはわかりにくいんですよね。これは言っても繰り返しになって、すれ違いになるので、時間もあるので、ちょっと視点を変えますが。

 結局、じゃ、どうなったんですかということなんですよね。結局、例えば放送局についてどうなりましたか。キー局、準キー局、ローカル局とあると思いますが、これはそれぞれ激変緩和で負担割合はどのぐらいになったんですかね。それぞれ違った、最終的に何か違った基準になったというふうに聞いていますけれども、キー局は五割前後、ローカルは二割を切るぐらい、準キー、それぞれ局によって負担割合は変わっていると思いますが、これは正確にお願いしたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 放送関連の電波利用料額、増加率ということでお答えを申し上げますと、放送の無線局に係る料額の増加率でございますけれども、キー局が使用する大規模放送局が現行の料額から五〇%の増、ローカル局が主に使用する中規模放送局が現行の料額から一二%の増となっております。

奥野(総)委員 中規模というのは準キー、ローカルを入れてということですね。これは結局二割におさまったんですが、これは政策的な配慮をした結果ということですか。それとも、政策的な配慮をせずに、その数字が一二%ということですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員が御指摘の政策的配慮というものが何を指すのか必ずしもつまびらかではございませんけれども、私どもは、先ほど来申し上げておりますように、一定の算式に基づいて負担をいただく電波利用料を算定したということでございます。

奥野(総)委員 ちょっと聞き方が悪かったんですが、激変緩和措置が講じられた結果の一二%ですかという。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 電波利用料の料額につきましては、携帯電話や放送、人工衛星などの無線局の種別ごとに、その無線局が使用している電波帯域の逼迫状況、使用する帯域幅あるいは電波の出力等の要素を勘案して算定をする、これが一定のルールということでございます。

 テレビ放送の無線局につきましては、個々の無線局の空中線電力に大きな差が認められるために、空中線電力を勘案して区分を細分化した上で、無線局へ配分する金額を計算をし、料額を設定するとしております。

 こうした料額算定の基本的な考え方につきましては、先ほど委員からも言及がございました、本年一月に策定をいたしました電波利用料の見直しに係る料額算定の具体化方針においてお示しをしているところでございます。

奥野(総)委員 そうすると、確認しますけれども、激変緩和一律五割が適用になって、ほかの、例えば無線局種別に応じて激変緩和のキャップが動いたということはないんですね。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 ございません。

奥野(総)委員 これは非常に不明確、不透明なんですよね。特に放送業界から、ローカル局への配慮というのもあったんですが、そうした中で決まってきたということだと思うんですよ。

 それで、最終的にこれは法律で出てくるからいいじゃないかとおっしゃるかもしれないけれども、パブコメを受けて、じゃ、その料額の算定の考え方についてもう一度きちんと、再度パブコメをする、あるいは公表すべきじゃないかと思います。五割というのは激変緩和になっていないじゃないかと意見もあった中で、最終的にローカル局は低く落ちつき、そしてキー局は五割を超えているということで、そのあたり、非常に議論がわかりにくい。しかも、先ほど議論しましたけれども、なぜ五割になったのか、じゃ、それは本当に激変措置なのかというのは非常に不透明だというふうに思います。

 このあたり、これはやはりこれから議論する、電波利用料は次の見直しもあるんですが、もう少し透明度を持って、しっかり議論を公表していただきたいというふうに思います。従来二割と言ったものがいきなり五割に上がり、そして、ローカル局、キー局、準キー局の決まり方も非常に不透明なところがあると思います。

 これで、もう一点なんですけれども、皆さん盛んに聞いていますが、三年ごとの見直しが、なぜ今回二年になったのか。いや、5G対応だ、こうおっしゃっていますが、もし財源が急に足りなくなったのであれば、余剰の電波料、一千億ぐらい積み上がっているわけですよね。そもそも、この制度をつくったときには、使い切れないところは一般会計の中で、プールといって、基金じゃないんですが、そういうものを基金的にプールをしておいて、それを必要に応じて出していこうということだったと思うんですね。

 今回、わざわざ二年にする。これも、事業者からすると予見可能性が損なわれると思うんです。三年間はこの負担で済むと思っていたものが、突然一年前倒しになりましたというのは、ビジネスに与える影響も非常に大きいと思うんですね。こういうときにこそ余剰の一千億を使ってきちんと三年で回していくべきではないんですか。なぜそうしなかったんですか。

石田国務大臣 今後の我が国にとって必要不可欠な5GやIoTの普及拡大に向けて、迅速かつ的確に対応する必要があるわけでありますが、特に、5Gにつきましては、四月十日に電波を割り当てる事業者を決定したところであり、来年度以降の本格的なサービス提供の開始に向けまして、高速な5Gを支える光ファイバー網の整備に対する支援、5Gの周波数を拡大していくための既存の無線システムとの周波数共用技術の確立といった取組を速やかに開始する必要があります。

 また、昨年六月に閣議決定されました規制改革実施計画におきましても、電波利用料の負担の適正化に向けた法案を平成三十年度中に提出することとされ、従来は三年ごとに行ってきました電波利用料の見直しを今回は一年前倒しし、今国会に法案を提出することとしたものでございます。

 また、委員御指摘の過去の歳入歳出の差額については、必要があると認められるときは、後年度に予算の定めるところにより、電波利用料の歳出に充てるものとされております。

 しかしながら、今回の電波利用料の増額の主な要因であります高速な5Gを支える光ファイバー網の整備への支援等は、来年以降の本格的サービス提供の開始に向け、継続的かつ計画的に取り組む必要があるため、毎年度の電波利用料の収入により着実に賄えるようにすることが適当と考えております。

 ただ、委員御指摘の歳入と歳出の差額につきましては、取り組むべき課題と考えているところでございまして、このため、今後も、免許人の負担に配慮しつつ、緊急性や必要性等も勘案し、適切に活用できるよう、関係省庁と検討してまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 これは財務省だと思うんですよね。財政が厳しい中でということで、これはこのままだと使えないですね。一千億、召し上げられたまま使えなくなってしまうんですね。こういうときこそその一千億を取り崩して、先に、必要ならばですよ、免許人の負担にならないようにやるべきだと思うんですね。ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 それから、もう一点。今回、三年が二年の前倒しになった理由の一つとして、先ほどの激変緩和もそうなんですが、放送業界への懲罰的な措置じゃないかといううわさもあるんですよね。

 これは去年、放送改革の問題、私も予算委員会で取り上げて、この委員会でも、要するに、放送法四条の削除、政治的公平性の削除、あるいは、場合によっては地上波を全部召し上げて、全部ネットに持っていこうなどというような絵が描かれていて、結局、世の中の反対が大きくて頓挫をしたという中で、最終的にこの利用料の話とか疑似オークションの話が流れの中で出てきたというところで、うがった見方をして、一年前倒しをして放送に負担をかけさせよう、あるいは、従来二割だったものを五割にするということで、放送業界へのにらみをきかせるための手段じゃないか、こういう見方もあるんですよね。こういう見方が出ること自体が問題でして、放送へのプレッシャー、報道の自由への萎縮につながるんじゃないかと。

 これは私、ずっと、安倍政権、この問題を見てきましたけれども、言われているからこそ、慎重にやっていただきたい。今回も、だから、非常にこの三年が二年になったのも不透明ですし、二割が五割というのも、先ほど議論していますが、よくわからないんですね。料額がふえるからこそ負担を抑えるようにすべきなのが激変緩和のはずなのに、とりわけ放送狙い撃ちの形で、ほかにも無線局はあるようですが、負担をふやすというのは、私は、そういう疑念を生んでも仕方がない、そう見えると思いますが、大臣、こういったことはないんでしょうね。

石田国務大臣 電波利用料の見直しにつきましては、先ほども申し上げましたけれども、昨年六月に閣議決定された規制改革実施計画におきまして、放送事業者と比べて負担が重くなっている携帯電話事業者の負担の適正化や、周波数ニーズをより正確に反映した料額算定方法の見直しを含む法案を平成三十年度中に提出することとされたところでございまして、これを受けて、本改正案におきまして、現在放送に適用している公共性等を勘案した軽減係数を携帯電話に同様に適用することとしたことによりまして、放送局を含む他の無線局の電波利用料の負担割合が影響を受けることとなったものであります。

 また、周波数の逼迫度をこれまで以上に電波利用料の負担割合に反映したことによりまして、無線局の周波数帯に応じ、電波利用料の料額が増減することとなりました。この結果、ラジオ放送事業者や防災行政無線を設置する自治体の負担は減少することとなったところであります。

 このように、今回の電波利用料の料額の改定は、負担の公平性や周波数の逼迫度を考慮して、電波利用料の負担の適正化を図ったものであり、放送を狙い撃ちにしたものではございません。

奥野(総)委員 大臣もずっと、この分野、お詳しいですし、非常に見識をお持ちですから、よくわかっておられた上でおっしゃっていると思いますが、くれぐれも、さっきのNHKの話もそうなんですが、メディア、報道の自由を尊重するように行政をしっかりやっていただきたい。今の安倍内閣の中ではなかなか難しいのかもしれませんが、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 ちょっと放送が長くなってしまいましたが、次に、先ほど高井委員からもあったんですが、電気通信事業法の話ですけれども。

 改めて確認しますが、もう具体名を出しますが、先ほどもう答弁がありますが、楽天については、この規制、今回の規制の適用免除にならないということを改めて確認したいと思います。

 それから、駆け込みのキャッシュバックの話が出ていましたけれども、ガイドラインによって行政指導していくという話なんですが、ただ、これは法律が施行されないと、直接の電気通信事業者はいいんですが、キャリアはいいんですが、その先の販売代理店、あるいは再々委託した代理店についてはなかなか指導も及ばないと思うんですね。やりようによっては、いや、勝手に販売代理店、委託先がやっているのであずかり知らぬと事業者が言う可能性もあるんですが、こういった行き過ぎたキャッシュバック等について、どのような防止策を考えておられるんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 二点、お尋ねをいただいたかと思います。

 まず、第一点目でございますけれども、禁止行為を適用除外にする範囲というのをどう考えるかということでございますけれども、本法案では、通信料金と端末代金の完全分離等の対象につきまして、競争への影響が少ない事業者は、総務省令で定める基準により除かれることとしております。

 具体的な基準につきましては、今後、総務省において検討することになってまいりますけれども、事業者間競争を促進するという観点からは、完全分離の適用範囲については可能な限り広くする、逆に、対象外は極めて限定的であるべきだと考えております。

 そういった意味で、少なくともみずから周波数の割当てを受けてネットワークを運用する、いわゆるMNOにつきましては、例外になるということはないというふうに考えているところでございます。

 また、法施行までの間、どのようにしていくのかということでございますけれども、なるべく省令案を早く策定をし、その内容を広く周知するとともに、それに沿った形で、携帯電話事業者においてもこれを先取りするような形で取組が進むように期待を申し上げておりますほか、これまでのガイドラインについては、現行、今の段階においても有効でございますので、こうしたものをきちんと守っていただく、また、景表法上の不適切な広告、これは消費者庁からガイドラインも出ておりますけれども、こうしたものをきちんと守っていただく、これについて、私どもとしてもモニタリングをきちんとしていく、こういったことを進めてまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 さっきの、もう時間がないからあれですけれども、二年縛りの駆け込みとか、それから販売代理店のキャッシュバックというのは、なかなか直接は規制しづらいと思うんですが、今回の法の趣旨を踏まえて、しっかり、混乱がないようにやっていただきたいと思います。

 もうあと時間が数分しかないんですが、今回、そもそも、この電気通信事業法の改正のきっかけとなったのが、菅官房長官が四割下げると言ったと。その四割というのが、今回の消費税の増加分、負担の増加分とぴったりじゃないか、こういうことを言う人もいます。

 じゃ、四割下げると言ったこの菅長官の言葉というのは、政府としてそのように考えているのか。四割を引き下げる、この四割というのは、じゃ、通信料金のみなのか、端末料金も含めてなのか。二点ですね。この四割というのはどういう範囲を言っているのか、そしてそれが政府の目標なのかどうかということをまず伺いたいと思います。

石田国務大臣 官房長官が、携帯電話料金について今よりも四割程度下げる余地があると発言されたことは御指摘のとおりでありまして、これは、OECDの調査によると、我が国の携帯電話料金はOECD加盟国平均の二倍程度であり、他の主要国と比べても高い水準にあること、また、携帯電話事業への参入を表明した楽天は、みずから周波数の割当てを受けてネットワークを運用する事業者としても、現在のMVNOとして提供中の大手の半額程度の料金プランで十月から提供予定としていることを踏まえて発言されたものと承知をいたしております。

 本法案によりまして、事業者間の公正な競争が促進されることによって、低廉でわかりやすい料金、サービスが実現されるものと考えております。

奥野(総)委員 時間が来つつありますが、今、明確にお答えになっていないです。これは政府の目標ではないということですねというのが一点。それから、しかし、世の中的には、これは四割下がるんだと宣伝されていますから、皆さん思っていると思うんですね。もうちょっと言うと、一般の人は、端末も含めて下がるんじゃないか、こう勘違いする人もいると思うんですけれども、ただ、端末の料金と通信料金を分離するということは、通信料金を引き下げるということは、逆に言えば、端末の料金が上がるという可能性があるということですね。

 気になるのは、さっきもありましたが、5Gですよ。5G端末を、私は、極端なことを言えば、ただでばらまいてもいいと思うんですね。日本の国策として、ただでばらまいて、みんなに使ってもらう、普及を促進していくというような政策もあると思うんです。今回、しかし、これは逆行するんじゃないですかね。

 伺いたいのは、じゃ、政策的に5Gについて今回の規制の対象外とする、これは省令に書けばこの5Gサービスだけ除くことはできるはずですから、対象外にしてはどうですかという御提案です。いかがですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、前段で委員から御指摘がありました、四割が政府の目標なのかという点につきましては、そもそも携帯電話料金というものは競争場裏の中で決まってくるものでございますから、したがいまして、これは各携帯電話事業者が決めるものでございますから、そもそも数値目標というものにはなじまない、政府としての目標というわけではないというふうに考えております。

 また、5Gを今回の禁止行為の適用除外にすべきではないかといったような御指摘がございましたけれども、本法案では、通信料金と端末代金の完全分離あるいは行き過ぎた囲い込みを禁止する対象については、競争への影響が少ない事業者は、総務省令で定める基準により除かれることとしております。

 具体的な基準は、本法案成立後、総務省において検討することになりますけれども、基本的には、公正競争を促進するためには、同じ市場で競争していると考えられるサービスについて、本法案で定める禁止行為を広く適用することが必要であることから、対象外は限定的とすべきであり、5Gについても原則として適用すべきであると考えております。

 ただし、5Gの活用が見込まれるIoT機器向けの通信サービスにつきましては、スマートフォン向けのものと比べて競争環境が異なる面もあると考えておりまして、通信料金と端末代金の完全分離等の対象とするか否かにつきましては、その状況を踏まえて検討をしていく必要があると考えております。

奥野(総)委員 今、最後のところ、時間がないですけれども、IoTについては考えていただける、これは非常に大事な答弁だと思います。

 そもそも、私は、やはり過度の政府の介入はよくないと思っています。競争をできるだけ促進させて、その中で全体として端末も通信料金も下がるというのがあるべき姿だと思います。

 以上で終わりたいと思います。

江田委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 電気通信事業法の改正案について質問をさせていただきますけれども、この法案については、政府は、モバイル市場の競争の促進及び電気通信市場の環境の変化に対応した利用者利益の保護を図るために必要な措置を講じるというふうにしております。

 具体的には、携帯電話等の通信料金と端末料金の完全分離、期間拘束などの行き過ぎた囲い込みの是正、そして、販売代理店への届出制度の導入、自己の名称等を告げずに勧誘する行為などを禁止する内容となっております。

 この法案には賛成なんですけれども、具体的内容を総務省令で定めるとしておりまして、総務省令ということで、恣意的な運用にならないようにということで、改正の目的が担保されるのかという点で確認をさせていただきたいというふうに思います。幾つか重なる質問もございますけれども、改めて確認をさせていただきたいと思います。

 まず、電気通信事業者の禁止行為についてなんですけれども、総務大臣は禁止行為の適用を受ける電気通信事業者を指定するというふうにされておりますけれども、ただし、市場における契約数のシェアが総務省令で定める割合を超えない場合は除外するというふうになっております。

 この割合はどの程度を想定しているのか、割合を定めない可能性もあるのかという点、確認をさせていただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、通信料金と端末代金の完全分離や行き過ぎた囲い込みを禁止する対象について、競争への影響が少ない事業者は、委員御指摘のとおり、総務省令で定める基準により除かれることとしております。

 具体的な基準は、本法案の成立後、総務省において検討することになるものでございまして、現時点においては具体的な基準は決めておりません。

 ただ、委員御指摘のとおり、具体的な基準を定めないということはございません。

本村委員 三月二十一日の日経新聞には、携帯電話規制、楽天は除外という見出しの記事がございます。この記事の内容は事実でしょうか。

    〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 事実誤認でございます。

本村委員 禁止行為が適用される事業者と適用されない事業者が存在するということは、利用者保護の観点から、私は問題があるというふうに思っております。

 そもそも、通信料金と端末料金の完全分離や行き過ぎた囲い込みを、その禁止、是正を盛り込む、そして、料金プランをわかりやすくする、高額な違約金を伴う二年縛りなどの改善はどの電気通信事業者にも適用されるべきだというふうに考えております。

 利用者利益の保護を図るというのであれば、少なくとも電波免許を取得して事業を展開する事業者は全て規制の対象とするべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 事業者間の競争を促進するためには、広く完全分離等の規律を適用することが必要でございます。したがいまして、委員御指摘のとおり、少なくともみずから周波数の割当てを受けてネットワークを運用する事業者、一般にMNOというふうに呼んでおりますけれども、これにつきましては、競争への影響が少ないとは言いがたいことから、例外とすべきものではない、きちんと対象の範囲に加えるという方向感で考えているところでございます。

本村委員 次に、省令で定める禁止行為の具体的内容について確認をいたします。

 通信料金と端末代金の完全分離を図るための競争関係を阻害するおそれのある利益の提供、また、行き過ぎた囲い込み是正を図るための契約の解除を不当に妨げる提供条件について、それぞれ具体的な内容はどうなっているんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、省令の具体的な内容につきましては、本法案成立後、総務省において検討していくことになりますけれども、現時点におきましては、まず、競争関係を阻害するおそれのある利益の提供としまして、通信役務の一定期間の継続利用を条件とする端末代金の割引やキャッシュバックについて定めること、また、契約の解除を不当に妨げる提供条件といたしましては、違約金の額、契約期間の長さなどについて定めることを想定をしております。

本村委員 通信料金と端末代金の完全分離が図られることで通信料金単体での比較が可能となるということで、端末料金と通信料金との区別がよくわからず利用者が何に対して幾ら支払っているかというのが理解しづらい問題がありまして、それが解消されるということはいいことだというふうに思うんですけれども、完全分離された後に料金プランが理解しやすいものになるかということなんですけれども、電気通信事業者には、シンプルでわかりやすい料金プランの提示が求められております。

 総務省は、理解しやすい料金プランとは、どんなプランを念頭に置いているのでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、総務省の有識者会議におきまして、通信料金と端末代金の分離が不十分であるなど、いまだにわかりづらい料金プランとなっていることなどの課題が指摘をされまして、総務省において必要な措置を講ずることが適当と提言されたことを受けまして、提出をしたものでございます。

 本法案では、携帯電話の通信料金と端末代金の完全分離を図ることとしておりまして、これにより、利用者が通信料金と端末代金をそれぞれ正確に理解した上で比較、選択できるような、シンプルでわかりやすい料金プランが提供されるものと考えております。

本村委員 理解しやすい料金プランであるか否かは、どのように調査、確認するんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省におきましては、携帯電話の通信料金と端末代金の分離が徹底されているかどうかを含めて、改正後の法の遵守状況のモニタリングを行ってまいりたいと考えております。

 その手法でございますけれども、公表されている料金プランの内容の確認、分析、あるいは、利用者からの苦情、相談の内容の分析、また、店頭における調査の実施、こうしたことを想定をしております。

 法の遵守を徹底することによりまして、シンプルでわかりやすい料金プランの実現に取り組んでまいりたいと考えております。

本村委員 この法案によって本当に携帯電話料金の低廉化につながるかという点について、次に質問をしたいというふうに思うんですけれども。

 これまでも、携帯電話料金を引き下げるために、SIMロックの解除、あるいは、行き過ぎたキャッシュバックの禁止などの措置がとられたものの、料金の低廉化が進まなかった経緯がございます。

 総務省の家計調査によると、携帯電話の年間通信料は、二〇一七年に初めて十万円を超え、消費に占める通信料は増加傾向が続いております。

 昨年八月二十一日に、菅官房長官が、携帯電話料金について四割程度下げる余地があるというふうに発言をいたしました。携帯電話料金の値下げが実現する見通し、根拠はあるんでしょうか。

石田国務大臣 携帯電話料金につきましては、事前規制が撤廃されておりまして、各事業者が市場競争の中で決めるものであって、行政の役割は、携帯電話事業者間の競争がしっかりと働く環境を整備することであると認識いたしております。

 既にNTTドコモでは、本年六月一日から提供を開始する新たな料金プランを発表しているところであり、従来より二割ないし四割の料金低廉化が図られると承知いたしております。

 今回の法改正により公正な競争環境を整備することにより、一層の通信料金の低廉化や、わかりやすい料金プランの提供が実現するよう、引き続き取り組んでまいりたいと思います。

本村委員 キャリア三社と呼ばれるドコモそしてKDDI、ソフトバンクが大きな収益を上げておりますけれども、この携帯電話事業者の利用者への還元、値下げの必要性について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

石田国務大臣 携帯電話市場につきましては、依然として大手三社が九割のシェアを占める寡占的状況にあり、その大手三社の平成二十九年度の売上高営業利益率はいずれも二〇%前後と高い水準にあると認識をいたしております。

 一方で、東京の大手携帯電話事業者のスマートフォンの通信料金は総じて海外に比べて高く、また、その推移を見ても料金が下がる傾向が鈍い状況にあるわけであります。

 こうした点からも、事業者間の競争がしっかりと働く環境を整備をし、低廉でわかりやすい料金、サービスの実現を促すことが重要と考え、本法案を提出したところでございます。

 引き続き、携帯電話市場の競争を活発なものとし、低廉でわかりやすい料金、サービスをできる限り早く実現してまいりたいと考えております。

本村委員 先ほども大臣が御答弁されましたように、NTTドコモは四月十五日に、最大四割お得という六月からの新しい料金プランを発表いたしました。

 条件を満たすと従来より最大で四割通信料が安くなるというふうに言いますけれども、この新料金プラン、どのような内容なのか、また受けとめはどのようなものか、御答弁をお願いしたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、NTTドコモが新たな料金プランを発表したことは、私どもとしても承知をしているところでございます。

 その内容でございますけれども、基本料金とデータ通信量の組合せではなくてパッケージ料金としまして、料金プランをシンプル化しております。また、従来より二割から四割程度の料金の低廉化を行うというものでございます。

 これに対する私どもの受けとめということでございますけれども、個社の個別の料金プランでございますので具体的にコメントすることは差し控えたいと存じますけれども、あくまで一般論として申し上げれば、携帯電話事業者が競争を通じて料金の低廉化やサービスの多様化を図るということは、利用者利益の向上につながるものだと考えております。

本村委員 それで、その料金プランの値下げなんですけれども、家族三人以上の加入など対象者が限られるものではなくて、家族が割引されるというのはよろしいんですけれども、さまざまな御家庭がございますし、さまざまな困難を抱えてみえる方々もいらっしゃいます。また、性的指向、性自認、パートナーシップ制度がない中で、家族とは何かとかそういう議論もございまして、多様なライフスタイルを、やはりそうしたことに配慮が必要なのではないか。誰かが安くなって、それに入らない人は高くなるというようなことがないように、平等に値下げの恩恵が受けられるように、そういう配慮が必要なのではないかと思いますけれども、その点、大臣、いかがお考えでしょうか。

石田国務大臣 通信料金につきましては、原則として事業者間の競争を通じて決められるものと考えております。

 委員御指摘の、性的マイノリティーの方も含めて、いわゆる家族割引の対象となる料金プランは、一部の大手携帯電話事業者から提供されているところでございまして、総務省としては、事業者間の競争を通じ、例えば性的マイノリティーの方にもひとしく適用される料金プランも含め、広く利用者にとって低廉でわかりやすい料金、サービスが提供されることを期待いたしております。

本村委員 性的マイノリティーの方の御配慮、御答弁いただいたんですけれども、御家庭にさまざまな困難を抱えておられる方々もいらっしゃるわけでございます。そうした方々への配慮をぜひしていただいて、平等に値下げの恩恵が受けられるようにということで、ぜひ喚起をしていただきたいというふうに思います。

 通信料金と端末代金を完全分離するだけでは、携帯電話料金の値下げ、料金負担の軽減につながるという保証はないわけでございます。実質的な料金引下げの効果が期待できる方法として、例えばプライスキャップ規制、上限価格の規制という、導入も一つの考えではないかというふうに思います。

 携帯電話は、契約数が一億七千万を超え、広く国民、住民の皆さんが利用する日常生活に不可欠なライフラインということになっております。そして、大事なコミュニケーション手段になっております。災害時にも欠かせないわけでございます。

 そういう重要な役割を果たしているわけですけれども、こういう、生活に不可欠な携帯電話の料金について、やはり市場任せにしないような議論を開始する必要があるのではないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話料金でございますけれども、現行電気通信事業法のもとにおきましては、特段の規制がないわけでございます。

 委員御指摘の、いわゆるプライスキャップ制度でございますけれども、これは、行政が上限価格をあらかじめ設定をして、料金水準がそれを超える場合については、総務大臣の認可を要するという制度でございまして、これは電気通信事業法の中にもこうした制度がございますけれども、現在、NTT東西が提供する加入電話などの音声伝送サービスを対象としております。

 これは、NTTによりこれらの加入電話等のサービスが実質独占的に提供されておりまして、市場競争を通じた適正な料金水準の形成が困難であったという経緯を踏まえているものでございます。

 他方、携帯電話のマーケットを見てみますと、本年十月には楽天が第四の事業者として参入するなど、独占的な状態というところとは異なるわけでございまして、携帯電話サービスをプライスキャップ制度の対象とするということは、制度の趣旨に鑑みますと、必ずしも適切ではないというふうに考えております。

 総務省といたしましては、本法案により、公正な競争が促進され、通信料金の低廉化等が実現することにより利用者利益の向上が図られることを期待しているところでございます。

    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕

本村委員 固定電話とスマートフォンの世帯普及率を見てみますと、ここ数年、スマートフォンが急激に伸びて、二〇一七年には、スマートフォンを保有している世帯が固定電話を保有している世帯を初めて上回ったわけでございます。料金の規制について検討を求めたいというふうに思います。また、低所得の方への配慮なども必要ですので、ぜひ、そうした御検討をお願いしたいというふうに思います。

 フィーチャーフォン、いわゆるガラ携というふうに呼ばれているものですけれども、そこからスマホへ移行を考えている高齢者の方々や、あるいは低パケット利用層、通話中心の利用層へのメリットも考慮されるべきではないかという声もございますけれども、その点、どのように検討されているんでしょうか。

石田国務大臣 委員御指摘の、通話がメーンの利用者に適した料金プランについては、現に、大手携帯電話事業者各社から提供されているところと認識をいたしております。

 総務省としては、今後も、通話がメーンの利用者も含め、事業者間の競争を通じて、広く利用者にとって低廉でわかりやすい料金、サービスが提供されることを期待いたしております。

本村委員 次に、販売代理店への届出制度の導入について伺いたいと思いますけれども、新たに導入する販売代理店への届出制度は、行政が販売代理店を直接把握し、法の規定の適正な履行の監督及びこれらの違反に係る業務の改善命令の円滑な執行を担保するというふうにしております。

 行政による迅速な把握を行い、業務改善命令を可能とするものであり、これは必要な措置だというふうに考えております。

 確認をしたいんですけれども、届出の具体的な内容なんですけれども、届出先、書面やオンラインなど届出方法、あるいは届出主体はどこなのか、個々の代理店が届出を行うのか、あるいは事業者経由で行うのか、その点、確認をさせていただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 届出事項につきましては、法定されております販売代理店の名称、住所等のほか、総務省令において販売代理店の業務を把握するために必要な事項を定めることとしておりまして、その具体的な内容については今後検討をしてまいりたいと考えております。

 届出の提出先でございますけれども、これは総務省の各総合通信局等とすることを想定してございます。

 また、届出の方法でございますけれども、当初は、必要書類を持参又は郵送していただくことを想定しておりますけれども、遠からず、オンライン手続にも対応できるように対処をしていきたいと思っております。

 それから、届出主体でございますけれども、本法案におきまして、販売代理店の運営主体が届け出る旨を規定をしてございます。

 いずれにいたしましても、これらの内容については、販売代理店の運営主体にとって過度な負担を求めるものにならないようにしてまいりたいと考えているところでございます。

本村委員 販売代理店の届出制の導入によって販売代理店に対する事業者の指導義務というのは変わらないですねということを確認したいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 電気通信事業者の販売代理店への指導等を講ずる義務、これは、販売代理店の業務の適正化について、基本的には電気通信事業者を通じて行うこととするという趣旨で、平成二十七年の電気通信事業法改正において導入をしたものでございます。

 本法案におきまして販売代理店の届出制度を導入いたしますのは、販売代理店の契約関係が複雑化をしており、電気通信事業者において必ずしも末端まで十分にその把握、指導が行えていない可能性があるため、販売代理店の業務の適正化について、電気通信事業者による指導とあわせて総務省が進めることができるようにするものでございます。

 したがいまして、販売代理店への届出制度の導入によりまして、電気通信事業者の販売代理店への指導等を講ずる義務の趣旨に変更が生じるものではございません。

本村委員 今言われたように、やはり、総務省自身も仕事がふえるわけでございます。とりわけ、届出先となっている地方総合通信局、先ほど本省は言われなかったですね、はい。じゃ、地方総合通信局の方では仕事がふえるわけでございます。

 その点、やはり人員体制の強化というのは重要だというふうに思います。ぜひ人員体制の強化をしていただきたいと思いますけれども、総務大臣、お願いしたいと思います。これは大臣に通告をしているんですけれども。

石田国務大臣 今般導入する届出制度は、許認可等の行政手続のように提出書類についての内容面での審査等を伴うものではないことから、行政事務への影響は限定的であると考えております。

 しかしながら、届出制度の対象となる販売代理店は数万存在すると想定をいたしておりまして、一定の事務が発生することが見込まれるため、届出書を確実に受理し、内容をデータベース化するための作業の一部を外部委託する等、より効率的な事務処理を図ることを考えているところでございます。

 また、総合通信局等に関しましては、人員強化についても検討してまいりたいと考えております。

本村委員 ぜひ、業務がふえて過労になるようなことがないようにしていただきたいというふうに思います。

 改正で盛り込まれました、事業者、販売代理店が、自己の氏名若しくは名称、勧誘である旨を告げずに勧誘する行為を禁止するというふうになっておりますけれども、これは、消費者保護の観点から当然の措置だというふうに思っております。

 「利用者の利益の保護のため支障を生ずるおそれがないものとして総務省令で定めるものを除く。」というふうにありますけれども、省令はどのような内容を考えているんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 適用除外とする行為の具体的な内容につきましては、今後検討することとなりますけれども、現時点におきましては、例えば、利用者が新規契約の締結のために店舗に来店してそれに対応する場合に自己の名称等を告げずに勧誘する行為等を定めることが想定されるところでございます。

本村委員 ありがとうございます。

 その販売代理店に対する指導については、二〇一五年、電気通信事業法の改正がありまして、強化をされたわけですけれども、その二〇一五年の法改正後、事業者、販売代理店に業務改善命令が出された数というのはゼロだというふうに聞いておりますけれども、しかし、消費者保護のルールの導入以降も、苦情相談件数は少し減ったものの、依然として高どまりだというふうに思われます。

 改善につながらない理由は何なのかという点と、苦情相談の要因となった販路、販売主体、苦情相談の内容はどのようなものなのかという点、お示しをいただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、二〇一五年の電気通信事業法の改正による利用者の利益の保護のための措置の導入以降、電気通信分野の苦情相談の件数は減少しておりますけれども、電気通信サービスの高度化、多様化、複雑化や、消費者の高齢化などを背景として、苦情相談の件数は依然として多い状況にあると認識をしております。

 苦情相談の中で最も多くの割合を占めるのは、FTTHサービスに係るものでございまして、これはFTTHサービスで卸売サービスが開始をされるといった市場環境の変化もありまして、勧誘主体について誤解を与える勧誘や勧誘目的を明示しない勧誘が行われていることなどにより、苦情相談の件数が多くなっているものでございます。

 なお、こうした勧誘に対処するため、今回の法律改正で、自己の名称等を告げずに勧誘する行為等を禁止することとしておりまして、苦情相談の縮減に寄与するものと考えております。

 また、もう一点お尋ねの、販路、あるいは販路ごとの代表的な苦情相談の内容ということでございますけれども、二〇一八年四月から九月までの半年間、全国の消費生活センターや総務省に寄せられた苦情相談の傾向分析を行いましたところ、MNOサービスにつきましては、キャリアショップ等の店舗を販路とする苦情相談が半分を占め、内容としては、通信料金の請求や解約の条件、方法に関するものが多うございます。

 また、FTTHサービスにつきましては、電話勧誘を販路とする苦情相談が半分を占めております。内容といたしましては、誤認による事業者等の変更や、解約の条件、方法に関するものが多いという結果になっております。

 また、MVNOサービスにつきましては、店舗を販路とする苦情相談が約三分の一を占めておりまして、内容としては、解約の条件や方法あるいは通信料金の請求に関するものが多いという結果が出ているところでございます。

本村委員 消費者保護のワーキンググループの中間報告では、中でも六十歳以上のトラブルの割合が増加しているというふうになっております。この点、どうしていくおつもりなのかという点も確認をさせていただきたいと思います。

石田国務大臣 電気通信サービスの利用につきましては、光回線サービスの卸売や携帯電話の契約に係る苦情相談が全国の消費生活センター等において多く発生しており、中でも六十歳以上のトラブルの割合が増加しているところでございます。

 総務省としては、高齢者が安心してネット社会に参画できるようにするため、契約締結の際の十分な情報提供と利用者側の意向確認を徹底するとともに、スマホ教室の推進等による高齢者のICT及び契約に関するリテラシー向上を図ることが肝要と考えておりまして、引き続き、事業者団体及び各事業者と緊密に連携をとりつつ、消費者保護の充実を図ってまいりたいと考えております。

本村委員 携帯ショップに来店しても、なかなか予約がいっぱいで気軽に相談できないという状況が現在ございまして、やはり気軽に相談できる窓口が身近にあること、人や店舗をふやしていくということも大事だというふうに思いますし、都市部だけではなく、やはり地方への配慮も必要だ、地方に行ったら店舗がないというようなことがないようにしていただきたいというふうに思います。あと、モニタリングと市場調査ですね、法施行された後の。

 その点も最後に大臣にまとめて御答弁をいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

石田国務大臣 携帯電話の販売代理店は消費者の身近な相談窓口として重要であるとの御指摘はそのとおりと認識をいたしておりまして、消費者が、店舗窓口において御自身の契約内容についてきちんとした説明が受けられるよう、携帯電話事業者及び販売代理店において、人材の確保と育成に適切に取り組んでいただくことは重要と認識いたしております。

 携帯電話代理店の業界団体におきましては、従業員の定着率向上に向けて、働き方改革や従業員研修に積極的に取り組んでおられると承知しており、総務省としてもそのような取組を支援してまいりたいと考えております。

 また、今回の法改正は、携帯電話サービスのあり方や市場環境に大きな変化をもたらすものでございまして、利用者保護の観点からフォローアップすることは極めて重要と考えております。

 このため、法改正後は、携帯電話料金を含めた事業者間の競争状況、消費者トラブルの状況あるいは販売代理店の状況等、携帯電話市場の状況につきまして定期的に評価、検証を行い、問題が認められる場合には速やかに対処してまいりたいと考えております。

本村委員 ありがとうございました。

江田委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田でございます。

 質問通告を時間に十分なつもりでしてきたんですが、どうしても重複ということもありますので、多少ちょっとずれる質問があるかと思います。答えていただける範囲内で答えていただければいいかなと思っているんですが。

 まず最初に、携帯電話とかスマホとかというのが、ずっと今議論が出ていまして、もちろんそういう法案なんですけれども、それが、料金が安いということは大変消費者、使用者にとってもありがたいことなんですが、一方で、ますます公衆電話がなくなっている。

 災害のときに電波事情が悪くなって公衆電話に駆け込みたいという人もいるでしょうし、うっかりスマホを忘れてしまっていて、スケジュール管理もできない、今度、翌日予定を入れられるかどうかというチェックもできないということになって、公衆電話を探してみるんですが、公共施設、例えば裁判所にさえも一台も電話が置いていないというような状況になっているんですけれども、この公衆電話を設置する、何となく、そういうルールづくりとか、公共施設には必ず一台ぐらいは置こうよとか、そういうものというのはないんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 電気通信事業法の枠組みにおきまして、ユニバーサルサービス制度、あまねく電話というサービスの制度がございます。これは、国民生活に不可欠なサービスにつきまして、現行ですと一番号当たり二円、月額でございますけれども、御負担をいただきまして、これをユニバーサルサービスに充てているというものでございます。

 具体的に、このユニバーサルサービスの中身でございますけれども、三点でございます。一つが加入電話、それから二点目が緊急通報、そして三点目が委員お尋ねの公衆電話でございます。

 この公衆電話の中でユニバーサルサービスに該当するものといたしまして、規則上は、都市部においては五百メートル四方のメッシュの面積の中に一つ、また都市部以外におきましては一キロ四方のメッシュに一つ必ず公衆電話を置いていただくというようなことで、これを維持するためのコストをユニバーサルサービス制度の中で御負担を皆様方に頂戴をしているというものでございます。

 委員御指摘のとおり、とりわけ、災害時などにおきましても、公衆電話はいわゆる優先的に通信が疎通できるというものでございまして、やはりライフラインとしての重要性というものも極めて高いものであろうというふうに認識をしてございます。

串田委員 通告していなかったんですけれども、すばらしい回答をいただきまして、これなら通告も要らないんじゃないかというような気がいたしておりますが。

 五百メーターというのは初めて今聞きましたが、確かに、五百メーターというのはかなり近いとは思うんですけれども、公共施設で、ないときに探すわけですよ。そのときに一台もない。例えば横浜の家庭裁判所には一台もない、これは私は確認しています。そういうようなときに、期日とかチェックができないんです。そのときに、五百メーターのところで公衆電話を探すってすごく大変なんだと思うので、最低でも、公共施設には一台ぐらいあっていいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、委員御指摘のとおり、公共施設における公衆電話の設置というものは、ユニバーサルサービスの枠内での設置義務というものはございません。したがいまして、公共施設におきましても公衆電話が現実に減ってきているというのは事実かと思います。

 他方、公共施設に公衆電話を設置する場合のコストというものを、また改めて、一番号当たり二円に上積みする形で御負担をいただくということについて国民、利用者の皆様の御理解が得られるのかどうか、ユニバーサルサービスの範囲を拡大するということについて、改めてこれは丁寧に、さまざまな観点から検討をしてまいる必要があるんだろうというふうに考えてございます。

串田委員 横須賀の総合庁舎もなかったんですね。そのときには、やはり公衆電話がいかにも置いてありそうな、ちょっと横に入ると公衆電話がすっかり、あっただろうというところから、ごっそり公衆電話の電話機だけがないという、要するに、設置したんじゃなくて、設置されたものを撤去しているわけですよ。それはちょっと、サービスとしていかがなものかなという気がするんです。

 必ずしも、携帯やスマホを持って行っているわけじゃなくて、うっかりやはり忘れている人もいるわけですから、そういう意味で、一台ぐらいは置いてあるということは、やはり国民の理解も得られるのではないかなと思いますので、その点、ちょっと御検討いただきたいなと思います。

 次に、これは通告をさせていただいているんですが、昨年の官房長官の四割下げるという話がありまして、それも何人かの委員から質問があったんですけれども、この四割を下げるということに対して政府目標ではないというお話もありましたが、四割という数字が唐突に出るというのもちょっと違和感を感じるんですけれども、どうして四割という数字が出たのかという背景を教えていただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一点目でございますけれども、四割の背景でございますけれども、OECDの調査によりますと、これは携帯電話料金の国際比較をしているものでございますけれども、我が国の携帯電話料金はOECD加盟国平均の二倍程度ということでございまして、他の主要国と比べて高い水準にございます。

 また、携帯電話事業へ、ことしの十月から参入する予定となっております楽天でございますけれども、現在はMVNOとしてモバイルサービスを提供しておりますけれども、MNOになった段階におきましても、現在提供中の料金プランで提供していくという意思表明をしておられます。現行の料金プランといいますのは、実は同程度の契約内容の他の事業者の料金の約半額程度でございます。

 こうしたことを踏まえて、官房長官におかれましても、今よりも四割程度下げる余地があるというふうに発言をされたものと承知をしております。

串田委員 私も、おととい質問させていただいたら、海外よりも二倍ぐらい高いというお話があったので、五割というのはちょっと、一致するというのは難しいのかもしれませんが、努力目標として四割という数字が出たのかなと推測はしていたんですけれども、そういう回答だったということなんですが。

 一方、スマホだとかは、これから、例えば、去年成立をいたしました、文科省で、私もそのときは文科委員でもあったんですが、学校教材がデジタル化していって、タブレットを非常に利用する、そして学校の教材はダウンロードするような形で利用していくというようなことが、昨年成立をいたしました。

 そういう意味で、学校の、スマホというもの自体が、個人の便宜的なものだけではなくて、要するに、義務教育としての、タブレットなどを利用する上での通信網というものを子供に要求をしていく時代になってきているわけです。そういったときの要するに料金体系。あるいは、現在子供がどこにいるのかということを把握するための防災という観点から、スマホを持たせている親もいるというふうに聞いております。

 そういう意味で、子供があるいは大人がただ単に娯楽で利用する、あるいは便宜で利用するだけではなくて、防災の観点から、あるいは学習の観点から、そういったような形で利用してくる分野がどんどんふえてくると思うんですけれども、こういう部分についての料金体系、ちょっと特別に扱ってもいいのかなと私は思うんですが、いかがでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおり、例えば教育の現場などで、通信があるいは端末というものがさまざまな形で利用されていく。これが更に今後ということでいいますと、いわゆるIoTということで、医療分野であったり観光分野であったり、さまざまな分野で使われていくことになろうかと思います。その中には、公的な分野、公共サービスというものも含まれるのかというふうに理解しております。

 そうした中で、通信料金についても可能な限り低廉で、わかりやすく、かつ多様なものが望まれるところでございますけれども、私どもとしては、まずは競争環境を十分に整える中で、多様な、そして低廉な料金がさまざまな分野で実現するように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

串田委員 端末料金と通信料金の話が出ましたので、この点についてお聞きをしたいんですが。ここら辺をはっきりしていくというのは非常に大事だと思うんですけれども、一方で、テレビのCMを見るとパソコンが売られている。そのパソコンは非常に安い値段で売られている。何でこんなに安いんだろうと思うと、そのCMの最後に、通信ができるUSB型の通信端末の契約が条件ですよというのが最後についてくるわけですね。

 先ほどからずっと、携帯電話やスマホに関する端末と通信というものを区別するんだという話なんですが、こういう、パソコンにつなげる、要するにUSB型の通信端末というものが合体してしまうと、やはりわけがわからなくなってしまう気がするんですけれども、この点についての規制というものは考えているんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本日御審議をいただいております電気通信事業法の改正法案におきまして、通信料金と端末代金の完全分離ということを目指しているわけでございますけれども、これをどこまで適用するのかという点につきましては、関係する省令の中で規定をしていくことになろうかと考えております。

 その中で、当然のことながら、スマートフォンなどにつきましては完全分離を実施をしていくというわけでございますけれども、それ以外の、今委員御指摘のようなUSBをパソコンに差すようなタイプであったり、通信モジュールと呼ばれるものでございますけれども、こういったものであったり、あるいはIoTの機器、例えばセンサーと通信機器が一体となっているようなもの、こうしたものはスマートフォンのマーケットとはある意味違う別のマーケットだというふうに考えることも可能でございますので、こうしたものを対象にするのかどうかという点については、慎重に検討をしてまいりたいというふうに考えてございます。

串田委員 IoTは確かにそうかなとは思うんですけれども、通信のモジュールに関してはかなりスマホに近いのかな、そういうところの、ドコモなどが出したりしているわけですから、そこら辺はやはり一体として省令で、検討するときにはしっかりと検討していただきたいな、消費者に誤解を与えないような形でしていただきたいなというふうには思うんですけれども。

 MVNOの話が出ましたが、ここの部分について、ちょっときっちりお聞きしたいんですけれども、普通のキャリア、三つの大きなキャリアの枠の中でMVNOが利用していくということで、それを強化するというような方向ではあるんですけれども、そうなりますと、三つのキャリアが要するに枠を転売するような形になるのかな、利用するということ、そういう理解でよろしいんですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 MVNOは基本的に、いわゆるMNOと言われている、周波数を割当てを受けてみずからネットワークを構築しているMNOという通信事業者からネットワークを借りて、そこに付加価値をつける形でエンドユーザーに対してモバイルサービスを提供しているという通信事業者でございます。巷間、格安SIM事業者といったような言い方もしているわけでございます。

 したがいまして、MVNO事業者というのは基本的に、MNOのネットワークのリソースの一部を借りてサービスを提供しているという形になってございます。

 ちなみに、MVNOのマーケットシェアでございますけれども、全体のモバイルマーケットの約一一%ということで、まだまだマーケットを拡大していく政策ニーズというものがあるんだろうという分野だというふうに認識をしております。

串田委員 質問したかったのは、そのMNOをMVNOに貸すというのが、いわゆる貸す、使用料というものを取るという理解でよろしいんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございまして、MVNOが通信サービスを提供する場合には、MNOからネットワークを借りてサービスを提供するわけでございまして、このネットワークを借りる料金というものが、通常、接続料というふうに呼ばれているものでございます。

 したがいまして、MVNOの通信料金の低廉化ということを考えていく上では、MNOが提示する接続料をいかに低廉化するか、それによってMVNOにとってのコストを下げて、結果において小売料金を引き下げていくということが、モバイル市場全体の活性化であったり競争促進につながってくるものというふうに認識をしております。

串田委員 その際、MNOは、政府の助成だとかそういったものは一切受けていないという理解でよろしいんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 MNOは、政府からの助成等は一切受けておりません。むしろ、電気通信事業法の規制の枠組みの中で、第二種指定電気通信設備制度というものがございます。これが適用されるMNOの場合には、接続約款というものをつくりまして、みずからが、MVNOに提供する場合の接続料あるいは接続条件というものを明確に約款に定めまして、同等性を持ってMVNOに貸し出さなければいけないという仕組みになっております。

 また、MNOがMVNOに提供する場合の接続料そのものにつきましても、行政が適正かどうかということを、事後的ではございますけれども、これを検証するような仕組みというものもあるということでございます。

串田委員 なるほど、わかりました。

 もし助成などが起きている場合には、その枠を又貸しをすることによって料金を取るというのは、これはやはり問題があるのかなと思いましたが、そうでないという回答をいただきましたけれども。

 一方で、その又貸しをするときに通信速度が遅くなるというような話がちまたでよく言われますけれども、そういうことが事実なのか、利用させるときにそういう通信速度を下げるというようなことをMNOが行うこと自体が許されるのかどうか。

 というのは、今回、MVNOを促進する、強化するというようなことが方針としてあるので、そういう意味では、MNOがそれを阻害するようなことも企業の市場取引の中では許しているのかどうかということをちょっと確認したいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 MNOがMVNOに対して接続料を対価としてネットワークを貸し出す場合に、差別的な取扱い、つまり、異なるMVNOに異なる通信速度を提供するということは、同等性の確保が行われていない、あるいは、みずからのMNOとしてのサービスと、それから、そこから貸し出されるMVNOのサービスの通信速度というものについても、基本的には同等であるということが基本かと思っております。

 ただし、MVNOのネットワークが混み合ってきた、お客様がいっぱいついてきたときに、通信容量の買い増しをしなければいけないということになります。この場合には、MVNOがMNOから通信容量の買い増しをするわけでございますけれども、この場合のいわゆるロットであったり、あるいは、そもそも接続料の水準であったり、こうしたものがまだまだ高いのではないか、もう少し接続料を下げる必要があるのではないか、こうした議論がございまして、実は現在、総務省におきまして、競争ルールの包括検証というものを進めております。

 この中でも、今のMNOの接続料水準のあり方について議論が出ているところでございまして、総務省におきましては、この夏を目途に、こうした接続料水準のあり方について改めて検証を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

串田委員 ちまたで速度を落としているのではないかというようなことを言われていますけれども、現実にはそれはない。ただし、貸与している枠の中が多くなってしまうと、詰まっているというような、そういう混雑状態で事実上おくれているという理解という説明を受けましたが、それでいいのかどうかということなんですけれども。

 それ以外に、もしそうだとすると、全く条件が同じであるとすると、みずからの販売に関して、MVNOに貸したがために同じ条件であるのにもっと格安になるということになると、みずからの市場を奪うことをさせることになるわけですが、そういう意味で、市場的な競争原理からすると一瞬矛盾するような感じの中でMVNOというものを強化することが果たしてできるんだろうか、そういう疑問もあるんですが、その点いかがでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、MNOにつきまして、MVNOにネットワークを貸し出す場合のいわゆる接続料ということをお話を申し上げたわけでございますけれども、この接続料等について定めた接続約款というものを総務省にMNOは届け出ていただくということが必要でございます。

 その場合、この接続料が適正かどうかという点につきましては、接続料が適正な原価に適正な利潤を乗せたものとして合理的に認められるものかということを、提出をいただいた接続約款につきまして私どもも検証をするわけでございます。

 そして、ここで算定された接続料というものでMVNOに対してネットワークが貸し出されるというわけでございますけれども、この原価というものが、MNOの中で原価計算をする場合の原価とMVNOに貸し出す場合の接続料の算定ベースとなる原価というものは異なるものであるということですと、これは公正競争に反するものであるというふうに考えますので、こうした合理的な基準に基づいて適正性というものを判断していく必要があるというふうに考えております。

串田委員 ここの問題は、昨年の四割というかなり消費者を驚かすような数字が出て、これはありがたいことではあるんですけれども。一方で、三つ競争がなされていたにもかかわらず高どまりになっていた。今回はその競争を促進するような手だてをしていくということなんですが、三つキャリアがあるにもかかわらず競争がなされないまま、ほかの国からすると二倍程度の高どまりになっていたその原因というのは一体何だったのでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 もともと、この携帯電話市場というものは、電波資源が有限希少であるということから、参入できる事業者数にもおのずと限界がございます。現行は三社、楽天が参入をいたしますが、それでも四社ということでございますので、そもそも、モバイル市場というのは、寡占的な市場であるということが言えようかと思います。

 したがいまして、競争ルールによって競争を一層促進させていくということが極めて有益な手法であろうというふうに考えております。

 しかしながら、大手携帯電話事業者におきましては、通信サービスと端末のセット販売に際して大幅な割引などを行うことでいわば新規利用者を誘引をいたしまして、獲得した利用者をいわゆる二年縛りなどで長期間囲い込むというビジネスモデルを構築しているわけでございます。

 これは、大手携帯電話事業者が、利用者による端末の買いかえのタイミング、ここを捉えて、新規利用者の獲得の有効な機会というふうにしているということ、それから、恒常的な通信料金についての競争をいわば回避をして、利用者を獲得、維持できる仕組みであることから、各社で行われているものだというふうに考えております。

 しかしながら、携帯電話市場というものが、右肩上がりの成長期から次第に成熟期というふうになってきた段階で、いわば顧客を囲い込むということによって、追加的なコストというものがもし通信料金という形で反映されるのであれば、これは社会的なコストでございますので、ここは競争促進を進める必要があるだろうということで、今回の改正法案によりまして、携帯電話料金と通信端末の価格の完全分離等を進めていくという方向感を持っているわけでございます。

串田委員 今、回答の中で二年縛りというのがあって、これは消費者にとっても大変不満なことだと思うんですけれども、結果的には、この二年縛りというのはなくなるんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、通信サービスの契約に際し、利用者による契約の解除を不当に妨げる条件を課すことを禁止することとしております。

 具体的に禁止される条件は省令で定めるとされておりますけれども、現時点においては、新たに定める上限を上回る高額な違約金や期間拘束の有無による著しく高い料金の差を設定することなどを禁止することを想定しております。

 その結果としまして、法改正後でございますけれども、二年間の契約をあらかじめ約束するということを条件に割引を行うということ、それ自体は許容されるものと考えておりますが、現在、大手携帯電話事業者が提供しているような、高額な違約金や期間拘束の有無による著しく高い料金差が設定されているいわゆる二年縛りについては廃止されるべきというふうに考えております。

串田委員 今の回答のように、二年間利用してくれるのであれば割り引きますよというのは、これは私としてもわからなくはないんですね。

 ただ、現在は、二年たつと、契約の解除ができる期間が一カ月とか設けられていて、それを過ぎるとまた二年が始まるというのは、これは全く合理性が私はないと思うんですが、この後半の二年縛りはできなくなるということで確定していただくということでよろしいんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 現行、一般の利用者の方が携帯電話の契約を締結をされる際には、いわゆる二年契約で加入をされて、ただ、二年間が経過後、更新がない、期間拘束がないものに転換されるもの、これが一つでございます。それから二つ目として、二年間の期間拘束が行われて、今委員が御指摘の三カ月間の期間を経た後、自動的に更新をされる、これが実は一番拘束力が強いものでございます。それから三つ目として、全く期間拘束がない、無期限で契約が結ばれる場合というものがございます。

 この三つのものを比べてみた場合に、いわゆる更新つきの二年契約が最も有利であって、更新機能がない二年契約あるいは期間拘束がない契約に比べて、相当程度有利な、あるいは低水準の料金になっている。

 また、違約金、二年契約を解除する場合の解約手数料が九千五百円という水準でございますが、これも合理的なのかという点については疑義がございます。

 こういったものを見直しをいたしまして、今申し上げた三つのオプションのいわゆる値差というものをなるべく小さくしていくことによって、特定のプランに追い込むという二年縛りというものをなくしていくというのがあるべき方向感ではないだろうかというようなことを考えているところでございます。

串田委員 そこは本当にしっかりと検討していただきたいんですが。

 質問をかえますと、スマホとかそういったような、人体への影響があるということで、おととい、本村議員が非常に細かな質問をしていただきましたが、それは利用者に対する障害ということでございました。前から言われているような、優先席に座っているところでは携帯電話は利用しないようにというのがかつてありまして、今どうなのかということなんですけれども、この点についての障害事由というようなことは、どんなような今環境になっているんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話が発する電波というものが人体に与える影響についても、私ども、国際的な議論を踏まえた検証あるいは一定の基準というものを持ち合わせているわけでございますけれども、これに加えまして、機器、具体的には身体に埋め込まれたペースメーカーなどの植え込み型の医療機器を装着された方々の影響につきましても、総務省において毎年度、携帯電話等がこうした機器に及ぼす影響に関する調査を実施をしております。

 その調査結果を踏まえまして、例えば、携帯電話端末を植え込み型医療機器の装着部位から十五センチメートル以上離すといったような指針を作成し、これを公表するとともに、その概要をパンフレットとして配布するなど、その影響の防止を図っているところでございます。

 総務省といたしましては、電波の安全性につきまして、今後とも研究や検証を進めるとともに、国民の皆様への周知など、引き続き必要な取組を行ってまいりたいと考えております。

串田委員 今質問した趣旨といいますのは、優先席というのは、わからなくはないので、いろいろ疾患のある方がお座りになられるということなんでしょうけれども、必ずしも優先席がいつもあいているわけではないですし、ラッシュアワーのときなどはかなり混雑をしていて、立っている乗客というのが非常に多いわけですね。

 そういった中で、やはりペースメーカーを利用されている方もたくさんいらっしゃると思うんですが、何となく、優先席の近くでは使っちゃいけないけれども、それ以外は別に問題ないんだという意識がかなりあるんじゃないかと。

 今のお話ですと、混雑をしているときには、やはり障害があるわけですよね。とすると、それの周知徹底というのはちょっと足りないのかなという気がいたしますが、その点いかがでしょう。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 公共交通機関におけるこうした、例えばスマートフォンの利用における注意事項の一つということかと存じます。

 総務省だけで対応できるものではございませんけれども、先ほど申し上げましたような、国民の皆様への周知だとかパンフレットの配布ですとか、こういったことにつきまして、例えば国土交通省と連携をしたり、国土交通省を通じて公共交通機関への情報提供であったり注意喚起ということを行うということも当然視野に入ってくるんだろうというふうに思っております。

 今後とも、そうした点について留意をしてまいりたいと考えております。

串田委員 終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 他の委員からも質問ございました。私からも改めて聞かせていただきたいと思いますけれども、昨年八月の菅官房長官、携帯電話料金について四割程度下げる余地がある、こういう発言がございました。

 端的に聞きますけれども、今回の法改正とこの官房長官の発言、要は通信料の引下げですが、どのような関係にあるのか、また、法改正によって通信料の引下げが期待できるのか、お答えください。

石田国務大臣 総務省では、これまでも、より低廉で利用しやすい携帯電話料金を実現するため、さまざまな公正競争促進の取組を進めてきたところでございまして、昨年八月の十日には、大臣会見で、電気通信事業分野における新たな競争ルール等の包括的検証を審議会に諮問する旨を発表したところでございます。

 その後、昨年八月二十一日に菅官房長官から委員御指摘の発言があり、これは、我が国の携帯電話料金がOECD加盟国平均の二倍程度であり、他の主要国と比べても高い水準にあることや、携帯電話事業への参入を表明した楽天が、大手携帯電話事業者の半額程度の料金を予定していることを踏まえたものと承知をいたしております。

 本法案は、総務省の有識者会議での提言を踏まえ、通信料金と端末代金の完全分離や行き過ぎた囲い込みの是正等によって、公正競争を一層促進しようとするものであり、これにより、料金低廉化が促進されることになるものと考えております。

吉川(元)委員 携帯電話の料金、非常に通信料が高どまりをしているということでございます。これが引き下げられること自体について反対をするものではありませんし、ぜひ、消費者にとって安い通信料が実現できるということは、それにこしたことはないだろうというふうに思います。

 携帯大手の三社の営業利益を見ますと、当然、携帯電話は、国内市場ですけれども、約二兆六千億円以上の巨額の営業利益を上げております。一方で自動車、トヨタ、ホンダ、日産、この三社を合わせますと三兆八千億、それから電機、ソニー、日立、パナソニックで一・八兆。ちょうどこの二つの中間にあるのが携帯電話の市場なんだろうというふうに思います。先ほどの自動車や電機は、これは世界を相手に商売をしておりますが、一方、携帯電話は一億二千万人の、そういう意味でいうと、世界の中からいうと非常に小さなところでこれだけの利益を上げているというのは、やはり、私は何らかの問題があるんだろうというふうに思います。

 三社は三社で競争はしているんだろうと思います。ただ、その競争のあり方が、先ほど局長も少し触れられましたけれども、料金の競争ではなくて、いかに利用者を囲い込むのか、この競争になってしまっている。そういう意味でいうと、非常にゆがんだ形になってしまったんじゃないかというふうに思いますし、この点についてはまた後ほど少し詳しく聞かせていただきたいと思います。

 そこで確認なんですが、官房長官のその四割、これは通信料を指したものと理解してよろしいんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 官房長官の御発言でございますけれども、これは、端末価格を含んでいない携帯電話料金について今よりも四割程度下げる余地があるというふうに御発言されたものと承知しております。

吉川(元)委員 先ほど、大臣、それからその前にも局長が答弁をされておられましたが、今回の数字というのは、OECDの主要国と比べて高い、あるいは、楽天の発言等々によって、四割ぐらいは下げることができるのではないかというお話でございました。

 ただ、ちょっと気になるのは、楽天に関して言いますと、三木谷さんはたしか産業競争力会議の議員、メンバーでもあります。そして、その産業競争力会議の中で、この携帯電話の料金に関してもいろいろな形で発言をされておられます。的を射た発言もございますが、その者の言うことをそのまま官房長官が、全部ではないですけれども、OECDのものも根拠にしながらということではありますけれども、そのまま発言をされるというのは、やはりやや違和感を感じざるを得ませんし、料金について、先ほど言ったとおり、料金の引下げの適正な競争というものを促すこと自体については必要だと思いますけれども、料金そのものについて発言をするということは、やはり私自身は避けるべきではないかというふうにも思います。

 今、官房長官の四割というのはこれは通信料だというお話でございましたが、利用者にとっては、携帯電話料金が高いか低いかの判断基準というのは、例えば、これはだんだんなくしていくという話ですけれども、二年縛りで二十四回払いにした端末代と通信料金を合算した一カ月当たり、例えば、携帯電話会社からこれだけの金額が毎月口座から引き落とされる、それをやはり携帯電話料金というふうに認識をしているのではないかというふうに感じます。

 この金額、総額を比較した際には日本の携帯電話料金というのは必ずしも高いとは言えないというような指摘もあるわけです。そういった比較というのはされているのでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省が昨年の九月に公表いたしました電気通信サービスに係る内外価格差調査におきまして、通信料金と端末代金の合計額につきまして、世界六都市の国際比較を行っております。この世界六都市といいますのは、東京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、デュッセルドルフ、ソウルの六都市でございます。

 この結果を見ますと、世界の主要六都市における最も契約者数シェアの高い事業者の料金プランにつきまして、特定の端末、同じ端末を購入したとする前提で比較を行った場合、我が国は、使用するデータ通信量のいかんにかかわらず、大体中ほどから少し上ぐらいの料金水準になっているという結果が出ております。

吉川(元)委員 今のお話ですと、飛び抜けて高いというわけではない、中位程度というお話でございました。

 携帯電話をめぐっては、これまで、SIMロックの解除あるいは高額キャッシュバック、ゼロ円端末の禁止などを行ってまいりました。これらの施策が適正な価格競争や通信料の引下げにどのような効果をもたらしてきたと総務省は考えているのか、聞かせてください。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省におきましては、これまで、ガイドラインを策定することによりまして、携帯電話事業者に対してSIMロック解除に応じることを義務づけるとともに、行き過ぎたキャッシュバック等の適正化を図ってきたところでございます。

 これによりまして、利用者は、SIMロックを解除することで、端末を買いかえることなく事業者を変更できるようになり、また、携帯電話事業者による行き過ぎたキャッシュバック等は行われないようになったところでございます。

 しかしながら、総務省の有識者会合におきまして、期間拘束やその自動更新を伴う通信契約によって、利用者による事業者の乗りかえが依然として行いづらいということ、また、ガイドラインでは販売代理店を対象としておらず、販売代理店における過度なキャッシュバックが行われていることにより、十分な競争が行われておらず、携帯電話料金の低廉化が進んでいない旨の指摘がされたところでございます。

 このため、事業者間の公正な競争の促進を通じて携帯電話料金の低廉化を図るため、本法案を提出することとしたものでございます。

吉川(元)委員 先般、電波法の質疑を行いましたが、その際、5Gの本格実施に備え、一年前倒しの利用料金の改定で、通信事業者の利用料は二割ほどアップをしております。また、十日に四者に対し5Gの周波数を割り当てましたが、これ以降の申請については、利用料とは別に開設料、これを支払うということになっております。通信事業者の利用料は、これは放送事業者と比較をすると大変高額で、加えて、5Gを展開しようとすると、今後は開設料が加わってくる。いずれにしても、これらは最終的には利用者に価格が転嫁をされていく可能性というのは私は否定はできないんだろうというふうに思います。

 通信料を下げるための方法としては、この電波利用料や開設料のあり方についても検討すべきだと思いますが、そうした議論は行われたのでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の電波利用料の料額見直しや特定基地局開設料の制度の導入に当たりましては、総務省におきまして、有識者で構成される懇談会を設置をいたしまして、この懇談会におきまして基本的考え方の検討を行うとともに、免許人等の利害関係者からのヒアリングや意見募集などを実施した上で、昨年八月に報告書を取りまとめたところでございます。

 この懇談会の報告書では、携帯電話事業者の負担する電波利用料の料額見直しに当たっては、携帯電話が国民への電波利用の普及に関する責務を有することとして、電波利用料の負担を軽減する措置、すなわち新たな特性係数の適用について提言が盛り込まれておりました。

 また、特定基地局開設料制度の導入に当たりましては、懇談会におきまして、オークション制度は料金コスト増などデメリットが多く、慎重な検討が必要などの意見が携帯電話事業者から出され、このような懸念も踏まえて、価格が高騰しないような仕組みの検討を行ったところでございます。

 このように、電波利用料の料額の見直しや特定基地局開設料の導入につきましては、これを負担する免許人等の意見も踏まえながら、法案として提出をさせていただいているところでございます。

 なお、今回の電波利用料見直しでは、携帯事業者全体の負担増は年間八十億円程度を想定しておりまして、現在の携帯電話端末の数が約一・七億台であることを踏まえますと、一台当たりの電波利用料の増分は月額約四円となっておりまして、携帯電話の通信料金と比較して少額であることから、ほぼ影響はないものと考えております。

吉川(元)委員 関連して、通信料引下げのための方策ということでもう一点お聞きしたいんですけれども、5Gの周波数の割当てに際して、計画書では、いわゆるカバー率でドコモが最も高く、そして、四社目として楽天が入りますけれども、最も低いということでありますが、恐らく、四社合わせますと、おおよそ二兆円程度の基地局のための整備の費用がかかるのではないかというふうに推測をされます。

 これもやはり最終的には利用者の負担になっていくわけでありますし、また、きのうお聞きしたところ、十キロ平米を一つのエリアとするということでありますが、そこに四つの社の基地局が入り、また中継局等々も入ってくるんだと思いますけれども、そうなりますと、ある意味でいうと、基地局というのは、場所にもよるとは思いますが、共有化をして四社がそれぞれ使えるようにすることでこの負担が減る、それが料金の引下げにもつながっていくのではないか。

 電力の世界では、送電網、送電の分離、送配電の分離という話もございましたけれども、また、電電公社がNTTになったときの、その際にも、いわゆる固定電話等々についての接続料、これの引下げについても議論がございましたが、こういった、共通局の、まあ、基地局の共有化、こうしたことについては議論はされたのでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、基地局等の整備には多額の設備投資が必要になるわけでございますけれども、特に5Gの導入に当たりましては、一つの基地局の電波が届く、いわゆるセルというふうに呼んでおりますが、このセルが非常にちっちゃくなってくる、電波が届きにくいということから、小セル化になってまいります。これによりまして、電波を広く伝搬させるためには多数の基地局が必要となるため、これまで以上に基地局等の設備共用が重要になってくるというふうに認識をしております。

 昨年の八月から九月にかけて行いました5Gの利用に係る調査、また同じく昨年の十月に行った5Gの公開ヒアリングにおきましても、携帯電話事業各社から設備共用についての一定の考え方が示されているところでございます。

 また、委員御指摘の基地局そのものを共有するという考え方のほかにも、例えば基地局を設置する鉄塔を共有するといったようなオプションも考えられるところでございます。

 いずれにいたしましても、こうしたことを踏まえて、総務省では、関係法令の適用関係を明確化し、設備共用をしやすくするためのガイドラインを昨年の十二月に策定をしたところでございます。

 設備共用を行うかどうかは各事業者の経営判断ではございますけれども、総務省としては、設備投資負担の軽減になり、通信料金の引下げにもつながり得る設備共用の活用を通じて、移動通信ネットワークの円滑な整備を推進してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 次に、MVNOについて伺いますが、この間、MVNO向けのSIMロックを廃止するなどいろいろな措置が講じられてきましたが、残念ながら、そのシェアというのは一一%程度ということで、これは高いか低いかというのはいろいろ見方はあろうかと思いますけれども、思ったほど私は伸びていないのではないか。

 MVNO事業者からは、回線を借りる際の接続料が、主要携帯電話事業者の回線ですね、これを借りる際の接続料が高過ぎる、こういう指摘がされていることをよく耳にいたします。

 これは、通信料の安さが売り物のMVNOにとっては大きな問題、壁ともなるわけでありまして、この接続料のあり方についてはどのように検討されているでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 モバイル市場において公正な競争が行われるためには、MVNOが携帯電話事業者、MNOに支払う接続料の適正性が重要であると考えております。

 こうした観点から、総務省におきましては、一定規模を超える携帯電話事業者に対し、接続料について約款の策定、届出等の規律を課す第二種指定電気通信設備制度のもと、平成二十二年には接続料の算定方法に係るガイドラインを整備いたしまして、さらに、平成二十八年にはこのガイドラインの内容を省令として規定するなど、接続料の適正化に取り組んできたところでございます。

 こうした制度的な枠組みの中で接続料はこれまで一貫して減少をしてきております。

 さらなる取組といたしまして、有識者会議の中間報告書案におきまして、接続料について、予見性が低いとの指摘を踏まえ、将来原価方式の導入等の必要性が盛り込まれているところでございます。

 総務省といたしましては、この中間報告書の取りまとめの後、その内容を踏まえまして、MVNOを含む事業者間の公正競争を一層促進し、多様なサービスが低廉な料金で提供されるよう、必要な取組を着実かつ速やかに実施してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 それと関連してですけれども、今回の法改正、これがMVNOの普及にどんな効果を与えるのか、どのように考えていらっしゃるんでしょうか。

 今回の法改正を通じて、通信料が総体として低くなっていくとすれば、通信料の安さというのを武器にしているMVNOにとっては、必ずしも、普及にとってプラスにはならないような気もいたしますが、そういった点についてはどのようにお考えでしょうか。

佐藤(ゆ)副大臣 お答えいたします。

 本法案によりまして、まず、通信料金と端末代金の完全分離や行き過ぎた囲い込みが是正される結果、利用者が通信料金単体で事業者を比較できるようになり、また、利用者が現在と比べて容易に事業者を変更できるようになることなどを通じまして、MVNOにとって競争環境がより一層整うものと考えているところでございます。

 総務省といたしましては、先ほど局長から申しましたとおり、MVNOの接続料の適正化も含めまして、MVNOを含めたモバイル市場の公正な競争を促進してまいる所存でございます。

吉川(元)委員 ちょっと、もう時間が余りないので、少し飛ばして質問させていただければと思いますが。

 十五日に、最大手のドコモが、法改正、これを反映したものだろうと思いますし、また、官房長官の発言もかなり意識したのではないかというふうに感じますが、新たな料金プランを発表いたしました。データ通信量に応じた段階的な価格設定になっているわけですが、ところが、さまざまな特典は継続をされています。例えば、ずっとドコモ特典、これでポイント還元、最大三千ポイントかな、ギガホ割あるいはドコモ光セット割、さらには、はじめてスマホ割、こういったさまざまな特典メニューが残っておりますし、さらには、家族加入で料金を最大四割安くなる、こういうことが行われております。

 私は、やはりこれは一種の囲い込みなのではないか。モバイル研究会の緊急提言でも言及されている同一サービス同一料金、これから乖離してしまうのではないかというふうに思いますし、家族での利用者と単身者、一回線利用者との間での通信料の格差を生み出すことになるのではないか、この点はどのように整理をされているんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、端末購入を条件とする通信料金の割引、あるいは、利用者による契約の解除を不当に妨げる条件を課すことを禁止することとしております。

 今、委員御指摘の、家族が複数名で同じ携帯電話事業者のサービスを利用する場合に行われる割引等につきましては、これは端末購入を条件とするものではないこと、また、契約の解除を不当に妨げているとの指摘が見当たらないことから、現時点において直ちに禁止すべきものとは考えておりません。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、これが行き過ぎることによって、利用者による契約の解除を不当に妨げる行き過ぎた囲い込みとなるのであれば、当然に規律の対象になり得るものだというふうに考えております。

 したがいまして、総務省としては、引き続き、市場環境の変化などをよく注視し、検証を行いながら、制度の見直しを進め、こうした割引がモバイル市場の公正競争を阻害するようであれば、必要な対策を速やかに検討してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 時間が参りましたので、終わります。

江田委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 携帯電話の契約数は一億七千万台ということで、もう一人一台以上になっているわけですけれども、その中で、きょうもいろいろ議論がありますが、モバイル市場、実質的に大手三社の寡占的状態ということで、競争環境が十分ではないということで今回の法案も出されたというふうに認識しておりますけれども、この三社の、大手三社の寡占的状態がどうしてこのように続いてきたのか、この原因をどういうふうに分析しているのか、まず公正取引委員会にお聞きしたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会は、携帯電話市場におけます取引慣行等につきまして競争政策上の課題の検討を行いまして、昨年六月、「携帯電話市場における競争政策上の課題について」という実態調査、報告書を公表しております。

 委員御指摘のとおり、この報告書に書いておりますとおり、MNOが実質的に三グループに収れんして、市場が寡占化しているという指摘がございます。

 また、この報告書の中では、競争が十分に進んでいないという状況として、例えば通信と端末のセット販売、それらにつきましても、これが依然として中心となっていて、端末の大幅な値引きが行われる一方、通信料金単独では大幅に値下がりしていない、こういうところも含めまして全体として競争が十分に進んでいるとは言えないということで、寡占化している状況が続いているというふうに考えております。

井上(一)委員 こういう、公正取引委員会、平成二十八年度にも調査をされ、更にこれをフォローアップをするということで平成三十年度も調査されたということで、継続的にやっておられると思います。

 こういうような公正取引委員会の調査、こういうのも踏まえた上で今回の法案が出たものだと思っているんですけれども、改めて総務大臣に、今回の法案を出した趣旨、背景、説明いただきたいと思います。

石田国務大臣 総務省では、これまでも、より低廉で利用しやすい携帯電話料金を実現するため、さまざまな公正競争促進の取組を進めてきたところでございまして、昨年の八月十日には、大臣会見で、電気通信事業分野における新たな競争ルール等の包括的検証を審議会に諮問する旨を発表いたしました。

 その後、昨年八月二十一日に、菅官房長官から、我が国の携帯電話料金がOECD加盟国平均の二倍程度であり、他の主要国と比べても高い水準にあることや、携帯電話事業への参入を表明した楽天が大手携帯電話事業者の半額程度の料金を予定していることを踏まえたものと承知をいたしております。

 本法案は、総務省の有識者会議での提言を踏まえ、通信料金と端末代金の完全分離あるいは行き過ぎた囲い込みの是正等によって、公正競争を一層促進しようとするものでございまして、これにより、料金低廉化が促されることになると考えております。

 また、今御指摘の、公正取引委員会が昨年六月に取りまとめた調査結果につきましては、独占禁止法の観点から携帯電話市場の競争政策の課題について整理、検討するものと承知いたしております。

 その後、昨年十月から開催をされました総務省の有識者会議に、公正取引委員会にはオブザーバーとして参加いただくなど連携しつつ、それぞれ所管する法律の観点から、携帯電話市場の公正な競争環境の確保と利用者利便の一層の向上に取り組んでいるところでございます。

井上(一)委員 公正取引委員会の三十年度調査、この中で、ポイントは、やはり議論で出ていますけれども、MVNOですね。これの新規参入の促進をしていく、こういう観点から、幾つか指摘されている中で、これは三浦委員も御指摘になったと思いますけれども、やはり中古端末の流通を図っていく必要があるんだということで、この調査では、平成二十八年度のスマートフォンの出荷台数は三千十三万台であったのに対して、中古スマートフォンの販売数は百五十八万台、シェアはわずか五%であったということで、この数字が平成二十八年度調査以降も変わっていない。これは、MNO三社が中古端末のSIMロック解除に対応していないということが一つの原因として挙がっていると思います。

 そこで、これはちょっと質問通告していないんですけれども、この中古端末のSIMロックの解除の現状と今後の方向性ということをちょっと教えていただきたいと思います。それによって中古端末の流通がどのような見通しになっていくのか、教えていただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、中古端末市場というものをこれから更に伸ばしていくためには、SIMロックの解除ということは極めて重要だと考えております。

 既に、NTTドコモにおきましては、過日、中古端末についてもSIMロックの解除というものを実施をいたしております。また、他の携帯事業者につきましても、本年九月までにSIMロックの解除、これは中古端末でございますけれども、を実施するということになっております。

 したがいまして、この九月の段階で、中古端末につきましてSIMロック解除ということが全体として出そろう形になるというふうに認識をしております。

井上(一)委員 済みません、念のため確認なんですけれども、ことしの九月から中古の端末についてはSIMロックが解除されている状態になる、そういうことでよろしいでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございます。

井上(一)委員 続きましては、先ほども議論がありましたけれども、接続料ですね。これについて、もう少しMNOが接続料を引き下げる、こういうインセンティブを持つような制度設計が必要だということも言われています。

 これについては、例えば、接続料等の周波数割当ての活用ということで、いろいろ周波数割当ての審査、こういうところにおいて、MVNOに対する利用を促進する計画を有しているかどうか、こういうようなことを審査するというようなことになっておりますけれども、更に審査基準を、もっとMVNOが利用しやすいような、そういう審査をしていくということは十分検討に値すると思いますけれども、この点についてはいかがお考えですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の5Gの周波数割当てに先立ちまして、周波数割当ての方針でございます開設指針というものを策定、公表したところでございます。これに基づいて5Gの周波数割当てを行ったわけでございますけれども、この中で、審査基準の一つといたしまして、5Gの周波数の割当てを受けようとする者の中で、MVNOをいかに受け入れる計画を持ち合わせているかということが一つの評価項目でございました。

 ただ、これも、計画だけというわけにはいきませんので、開設指針の中で、次回の追加割当てを行う場合には、今回表明したMVNOの受入れ計画について、実際にどれくらい計画が進捗したのかという実績を評価するということにしてございます。

 また、総務省におきましては、電波利用の状況につきまして定期的に動向調査を行っております。この結果は公表しておりますけれども、この中でも、MNOがMVNOをどの程度受け入れているのか、こうしたことについても実際に評価を行い、これを公表をしてまいりたいというふうに考えてございます。

井上(一)委員 よくわかりました。MVNOの参入を促進する政策をぜひ進めていっていただきたいと思います。

 それでは、次、ちょっと危機管理の観点から、首都直下地震とか南海トラフ地震、こういう大災害が起こった場合には、通信障害が生じる可能性が当然あるわけです。こういった通信障害を防ぐためにも、基地局のバックアップ体制、これを充実させておくことが必要だと思いますけれども、このバックアップ体制についてどのような取組を行っているか、聞かせていただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十三年の東日本大震災を受けまして、総務省では、通信設備の停電対策や、重要な伝送路の冗長化、二ルート化、三ルート化等でございますけれども、こうしたことに関係する省令、技術基準等でございますけれども、これを平成二十四年、翌年に改正をいたしまして、これに基づきまして通信事業者が対策を講じてきたところでございます。

 また、携帯電話につきましては、現在もはや欠くことのできないライフラインになっておりますけれども、昨年のたび重なる災害等を受けた緊急点検を行いました結果、被災直後の役場付近において通信サービスの被害を正確に把握できていなかったことや、応急復旧手段の不足により大規模災害時に主要基地局の機能維持が難しいおそれがあることが判明をいたしました。

 これを受けまして総務省では、的確かつ迅速な初動対応のため、平素からの通信事業者との連携体制を構築するとともに、応急復旧手段としては、機動性にすぐれた移動型設備の活用が有効であることから、車載型の携帯電話基地局数の増設の取組を通信事業者に働きかけているところでございます。

 今後とも、さまざまな規模、態様の災害時に国民の皆様が安心して通信を利用できるよう、引き続き、事業者や関係省庁と連携をしながら取組を進めてまいりたいと考えております。

井上(一)委員 先日議論された電波法の改正案、その中で、大規模な災害が発生した場合の対策として、耐災害性強化支援事業、これを電波利用料の使途に、地上基幹放送は含めるということで、言うなれば、地上基幹放送に限定して耐災害性強化支援事業が行われるということだと理解しておりますけれども。

 先ほどあったように、携帯電話の基地局、これも非常に災害時に重要な役割を果たすわけですので、この電波利用料の使途に、携帯電話の基地局、これも対象とすべきだったのではないかと思いますが、この点についてはいかがですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、通信事業者におきましては、車載型基地局等の配備を現在進めていると承知しております。

 現時点では、携帯電話基地局への予算支援がなくても、災害時に的確かつ迅速な応急復旧を行っていくことが可能であるというふうに私どもとしても見込んでおります。

 また、携帯電話事業者各社から総務省に対しても、現時点では具体的な要望をいただいているところではございません。

 したがいまして、携帯電話基地局の耐災害性の強化につきましては、少なくとも当面の間は、携帯電話事業者の自助努力できちんと進めていただくことを基本と考えているところでございます。

井上(一)委員 わかりました。

 これから5Gの世界に入ってくるということで、そうなってくると、いろいろ身の回りのものをインターネットでつなげる、いわゆるIoTということで、こういう世界になってくると、サイバー攻撃に対するリスクも大きくなるということであります。

 それで、本年の二月二十日に総務省は、国内の約二億個の機器のセキュリティー対策の調査を開始したということを聞いておりますけれども、今、このセキュリティー調査の現状がどうなっているのか、説明いただきたいと思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 IoT機器を悪用したサイバー攻撃の深刻化を踏まえまして、本年二月二十日より、国立研究開発法人情報通信研究機構がサイバー攻撃に悪用されるおそれのある機器を調査し、インターネットプロバイダーを通じて利用者に注意喚起を行う取組としてNOTICEを実施しているところでございます。

 現時点では、情報通信研究機構との覚書の締結等が終了しているインターネットプロバイダー十四社の約四千万のIPアドレスを対象に調査を実施しているところでございます。

 具体的には、パスワード設定が脆弱で容易にログインできるIoT機器を特定いたしまして、当該機器の機種の特定や具体的な対策手法の確認等を行いまして、順次、ユーザーに対してパスワード変更等を行うようにインターネットプロバイダーを介して注意喚起を求めることとしております。

 今後、この取組に参加するインターネットプロバイダーをふやすなど取組の推進に努めてまいりたいと考えております。

井上(一)委員 ぜひしっかり調査を進めていただきたいと思います。

 最後の質問にいたしますけれども、今、自動運転とか、そういう世界がこれからどんどん広がるとなると、言われているのは、自動運転の車をハッキングしてテロに利用する、そういう可能性もあるんだということを言われていますけれども、今後、5Gの世界におけるセキュリティー対策、これは政府全体としてどういうような取組をされているか、お聞かせいただきたいと思います。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 サイバーセキュリティー対策につきましては、サイバーセキュリティ基本法に基づきまして、基本計画であるサイバーセキュリティ戦略を定めて、さまざまな対策を進めることとしております。

 現行の戦略につきましては、昨年の七月に閣議決定をされました。この中では、サイバー空間につながるさまざまなもの、先ほど委員が御指摘になったような自動運転に頼る自動車、それから、先ほどのお話にもございましたIoT、インターネット・オブ・シングス、物がつながります、サイバー空間につながるさまざまなものというものが急速に広がる、これが経済社会の発展に不可欠なインフラとなってまいりますので、サイバーセキュリティー対策は喫緊の課題であるということを申し上げているところでございます。

 これを踏まえまして、今後、この戦略に基づいて、官民が連携をして、安全なIoTシステム、インターネットが、さまざまなものにつながります、このようなシステムの構築に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

井上(一)委員 サイバーセキュリティーは、各省庁ごとに取組も行われておりますし、民間でもやっておりますし、やはり日本全体として総合的に取り組む必要があると思いますので、ぜひ内閣官房の方でリードをとって、よろしくお願いしたいと思います。

 では、以上で終わります。

江田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

江田委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、電波法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。本村伸子さん。

本村委員 私は、日本共産党を代表し、電波法の一部を改定する法律案に対し、反対の討論を行います。

 本法案は、安倍内閣が進めるソサエティー五・〇の基盤となる5G等の拡大による電波利用ニーズの飛躍的拡大に対応するとして、電波利用料や周波数割当て制度の見直しを行うものです。

 反対理由の第一は、減免となっている公共用無線局について、非効率な技術の利用と認められれば、電波利用料の徴収をするというものになっているからです。

 地方公共団体等の水防事務に供するものや地域防災計画のもとで防災上必要な通信を行うことを目的とする無線局等も対象となります。こうした公共用無線については、政府も、人命、身体や財産に対する被害から国民、住民を保護するもので、民間ではなし得ない業務であるとして免除の対象としてきたものです。

 電波利用料の決め方に当たっては、電波利用の公共性について十分な評価と考慮が行われるべきものです。これに逆行するものであり、反対です。

 第二は、5Gの普及促進対策を急ぐために、電波利用料の料額改定を一年前倒しし、総額規模を大幅に拡大することから負担増となり、その結果、放送事業者により重い負担増を押しつけることなど、負担のバランスがとれない料額改定となっているからです。

 ローカル局、ミニサテライト局への影響もあります。ローカル局の経営基盤強化は、放送政策上も重要な課題であり、この間の政府のローカル局の経営基盤強化策とも整合性がとれません。

 なお、特定基地局開設料については、運用と実施状況の詳細を明らかにし、電波の公正、有効な活用という観点からの検証が必要と考えます。

 以上申し述べて、討論といたします。

江田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより採決に入ります。

 電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、あかま二郎君外六名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本維新の会、社会民主党・市民連合及び希望の党の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。あかま二郎君。

あかま委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 今後の電波利用料の見直しに際しては、電波の利用状況等の環境の変化に応じ、負担の公平確保を旨として予算規模及び料額の算定に当たること。なお、算定に当たっては、議論の透明性を確保すること。また、電波利用料の使途については、制度の趣旨に鑑み、電波利用料負担者の理解を十分得られるよう、更なる適正化を図ること。

 二 電波利用料の料額については、免許人が負担の増額について予見できるよう、見直しに関しては、料額が急激に増加することのないように留意しつつ、原則として三年ごとに検討し、必要があると認めるときは、その検討結果に基づいて所要の措置を講ずること。なお、事情の変更により三年の期間内に電波共益費用の財源が不足した場合は、電波法第百三条の三第二項の規定に基づき、過去の電波利用料の余剰金を優先的に活用することとし、安易な電波利用料額の引き上げは慎むこと。

 三 特定基地局開設料の使途について、電波の公平かつ能率的な利用を確保する電波法の趣旨に鑑み、最大限効率的に活用されるよう適正化を図るとともに、その実施状況について公表するなどの透明化を図ること。

 四 公共用周波数の割当て・用途の開示を進めるとともに、公共用無線の高度化を促すための財政措置等を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

江田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。石田総務大臣。

石田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

江田委員長 次に、電気通信事業法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 電気通信事業法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、あかま二郎君外七名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、日本維新の会、社会民主党・市民連合及び希望の党の八派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    電気通信事業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 携帯電話料金について、わかりやすい料金プランの提示がなされているかも含め、事業者による料金設定の動向を注視し、必要に応じ関係事業者に対して適切な指導を行うこと。

 二 利用者の自由な選択に基づく良質なモバイルサービスの提供を促進するため、モバイル市場における公正かつ自由な競争環境の確保に努めるとともに、事業者の経営判断及び健全な事業活動を阻害することのないよう十分に配慮すること。

 三 通信料金と端末代金の分離にかかる事業者の指定の除外は、事業者間の公平性及び利用者の適切なサービス選択の確保に配慮し、慎重に行うこと。

 四 行き過ぎた顧客の囲い込みについて、その内容を総務省令で定めるに当たっては、利用者の自由なサービス選択が阻害されることのないよう配慮するとともに、公正な競争の促進を目的とする電気通信事業法の趣旨に鑑み、具体的に規定すること。

 五 事業者・販売代理店の勧誘に係る禁止規定については、事業者及び利用者に混乱を生じさせないよう、その内容に関するわかりやすい情報を事業者・販売代理店及び利用者に提供するなど、所要の措置を講ずること。また、電気通信サービス等に対する苦情等については、利用者保護の観点に立って、消費者庁等関係各省庁とも連携し、必要に応じ関係事業者に対して十分な指導を行うこと。

 六 携帯電話が国民生活にとって大きな役割を果たしていることを踏まえ、法律の施行によるサービスの提供条件等の急な変更により利用者の混乱が起きないよう、また、変更後も携帯電話の安心・安全な利用が確保されるよう十分な準備期間の設定等の利用者の保護への配慮をすること。

 七 改正法施行までの期間、行き過ぎたキャッシュバックや顧客囲い込み等の改正法の趣旨に反した競争により利用者間の不公平を生じさせ、適切なサービス選択が阻害されることのないよう、事業者に対して、必要な措置を講ずること。

 八 5G時代に向けて、新たなサービスが進展し、創意工夫やイノベーションが阻害されることがないように、法の運用に努めるとともに時代に合わせて見直しを図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

江田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。石田総務大臣。

石田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

江田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

江田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十二分散会


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