衆議院

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第5号 令和2年2月20日(木曜日)

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令和二年二月二十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大口 善徳君

   理事 大西 英男君 理事 古賀  篤君

   理事 坂井  学君 理事 冨樫 博之君

   理事 中根 一幸君 理事 高井 崇志君

   理事 吉川  元君 理事 國重  徹君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      石田 真敏君    小倉 將信君

      金子万寿夫君    川崎 二郎君

      木村 次郎君    木村 弥生君

      小林 史明君    佐藤 明男君

      斎藤 洋明君    鳩山 二郎君

      穂坂  泰君    松野 博一君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      山口 俊一君    山口 泰明君

      岡島 一正君    奥野総一郎君

      佐藤 公治君    重徳 和彦君

      長尾 秀樹君    西岡 秀子君

      福田 昭夫君    緑川 貴士君

      山花 郁夫君    太田 昌孝君

      本村 伸子君    足立 康史君

      井上 一徳君    初鹿 明博君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        長谷川 岳君

   厚生労働副大臣      稲津  久君

   内閣府大臣政務官     藤原  崇君

   総務大臣政務官      木村 弥生君

   総務大臣政務官      斎藤 洋明君

   厚生労働大臣政務官    小島 敏文君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        辻  庄市君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 茨木 秀行君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        木村  聡君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           奈良 俊哉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           秋本 芳徳君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        境   勉君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  高原  剛君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  内藤 尚志君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  開出 英之君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            吉田 眞人君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長事務取扱)        谷脇 康彦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 竹内  努君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 小野平八郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官)           笠原  隆君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    橋本 泰宏君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       鈴木 良典君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           出倉 功一君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小林  靖君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       塩見 英之君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 青木 健至君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  奥野総一郎君     福田 昭夫君

同日

 辞任         補欠選任

  福田 昭夫君     奥野総一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)


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     ――――◇―――――

大口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長、内閣府地方創生推進事務局審議官辻庄市君、内閣府大臣官房審議官茨木秀行君、内閣府地方創生推進事務局審議官木村聡君、総務省大臣官房総括審議官奈良俊哉君、大臣官房総括審議官秋本芳徳君、大臣官房地域力創造審議官境勉君、自治行政局長高原剛君、自治行政局公務員部長大村慎一君、自治財政局長内藤尚志君、自治税務局長開出英之君、情報流通行政局長吉田眞人君、総合通信基盤局長事務取扱谷脇康彦君、法務省大臣官房審議官竹内努君、財務省大臣官房審議官小野平八郎君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官笠原隆君、厚生労働省大臣官房審議官奈尾基弘君、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君、厚生労働省医政局長吉田学君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長橋本泰宏君、農林水産省大臣官房生産振興審議官鈴木良典君、農林水産省大臣官房参事官出倉功一君、林野庁森林整備部長小坂善太郎君、国土交通省大臣官房審議官小林靖君、国土交通省水管理・国土保全局次長塩見英之君及び防衛省地方協力局次長青木健至君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。務台俊介君。

務台委員 質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。自由民主党の務台俊介です。

 令和二年度の地方財政計画、地方税法、地方交付税法の改正に関連してお話を伺いたいと思います。

 今回の提案の中身は、現下の課題に的確に対応した中身だと承知しております。全国の自治体が今、予算編成の真っただ中であり、この作業を円滑にバックアップするために、早期の改正の賛成をお願いしたいというふうに思います。

 さて、高市総務大臣は、所信の御挨拶の中で、都市部から地方への人の流れを創出すると、創出という言葉を使っておられます。私の地元でも、多くの若い層が現に移住をし、また、移住を考えておられます。高速インターネットの普及で、今やどこに住んでも快適に仕事ができる、そんな環境が出現しつつあると思っております。

 過日、私は、長野県と新潟県との県境に所在する小谷村で、愛知県から移住してきた若い女性の方とお話をする機会がありました。彼女は、人混みの喧騒から解放され、美しい自然の中で生活しつつ、インターネットを活用した財務コンサルタントの仕事をされておられます。気が向くと新幹線で都会に出ていく、そして戻ってくる、そんな生活をされています。

 実際に山間地に住んでいる彼女は、感受性も鋭く、地方のよさ、そして課題を実感しておられました。彼女は村が用意した村営住宅に住んでいますが、本当は古民家をリノベして住みたい、ところがその出物がない、そんな問題意識も持っておられました。夜になると通信のトラフィックが混雑し、インターネットがつながりにくくなる、そんな問題意識もお持ちでした。私は、その声を村に伝えるべく村長を御紹介したところ、村長さんは快く会って彼女の話を聞いてくれた、そんなこともありました。

 さて、地方を目指す若者のこうした生き方を国として税制、財政により支援していくまとまった取組があれば、若い人たちは都会を離れ、地方で活躍するという機運が更に高まるものではないかというふうに考えております。

 そこで伺いたいんですが、今次の税制改正、あるいは地方財政計画の枠組みの中で、こうした都市部から地方への人の流れを加速する制度改正、この中身に合致するものがどのようなものがあるか、御教示いただきたいと思います。

境政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省といたしましては、地方への人の流れの創出に向けまして、令和二年度からスタートいたします第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略も踏まえまして、関係府省とも連携して、しっかりと取り組んでまいります。

 具体的には、令和二年度税制改正におきまして、地方への人や資金の流れを飛躍的に高める観点から、地方拠点強化税制あるいは企業版ふるさと納税を拡充いたしますとともに、地域課題の解決に資するローカル5Gにつきまして、一定の償却資産に係る固定資産税の特例措置を創設することといたしております。

 また、地域おこし協力隊につきまして、令和六年度までに八千人という目標に向けまして、一層の制度のPR、応募者の裾野の拡大、隊員の起業や事業承継の支援、隊員OB、OGのネットワークづくりなどを進めてまいります。

 特定の地域に継続的に多様な形でかかわる関係人口につきましても、地域との継続的な協働事業などに取り組む自治体に対しましてモデル事業による支援を行いまして、取組を深化させますとともに、深化した取組を全国へ横展開し、定着させることといたしたいと考えております。

 さらに、地域経済の活性化に向けまして、地域資源を活用した地域エネルギー事業の立ち上げを支援いたします分散型エネルギーインフラプロジェクトを拡充いたしますとともに、地域資源を活用し、地域の雇用創出を図るローカル一万プロジェクトを推進してまいります。

 また、まち・ひと・しごと創生本部事務局におきましても、東京から地方へ移住して起業、就業する際に、最大三百万円を地方創生推進交付金により支援いたします移住支援事業の対象者や対象企業の拡大や、あるいは、地方での副業、兼業に要する移動費を三年間で最大百五十万円支援することなどによります関係人口創出、拡大の支援などの取組が行われるものと承知しております。

務台委員 いろいろな取組が盛り込まれていると思います。これがしっかり活用される、それが大事だと思いますので、ぜひ、PR方、よろしくお願いしたいと思います。

 今、境審議官の話にもありましたように、5G投資というのは、こうした地方定住を加速する決め手の投資になると考えております。地方にいても都会と遜色のない5G利用環境が享受できるとなると、地方へ拠点を移す際のハードルが格段に下がると思います。

 今回、5G投資促進税制が提案されておりますが、この税制を適用していく上で、都会よりも地方での整備が優先されるような投資に対してこの税制を優先適用するという考え方が必要ではないかというふうに思います。地方創生の観点から5Gを捉える総務省の考え方を伺いたいと思います。

秋本政府参考人 お答え申し上げます。

 5Gは、二十一世紀の基幹インフラでございまして、さまざまな社会課題の解決を図るために重要と考えております。

 そのため、都市部のみならず地方でも着実に5Gの整備が進められるように、総務省では昨年の夏に5G投資促進税制の創設を要望させていただきました。与党の先生方の御指導を得まして、昨年の年末に閣議決定されました令和二年度税制改正の大綱におきまして、その創設を盛り込んでいただいたところでございます。

 都会よりも地方での整備が優先されるような投資に対して税制を優先適用するのだという点についてお尋ねをいただきました。

 その点につきましては、ローカル5Gの一定の設備につきまして、取得後三年間の課税標準を二分の一とする固定資産税の特例措置を設けさせていただきたいということで、現在、提案をさせていただいております。

 また、ローカル5Gのみならず、開設計画を前倒して整備されます携帯電話事業者の全国5G基地局の一定の設備につきましても、一五%の税額控除又は三〇%の特別償却をお願いする法人税の特例措置をお願いしているところでございます。

 総務省といたしましては、5Gの速やかな全国展開を推進するために、投資促進税制を始めとする必要な取組を着実に進めてまいりたいと考えております。

務台委員 ローカル5Gは、もちろん地方がメーンだと思います。そうではなくて、一般のメーンの5G、前倒し5Gの方も、地方での整備が前倒しされるような、そんな御指導を政府としてもお願いしたい、そんなふうに思います。

 ところで、地方創生を実現する観点に立って、都会に集中する税源を地方に回そうという発想で、個人のふるさと納税、そして企業版のふるさと納税が導入をされています。前者は非常に普及しております。一方で、後者は期待したほど普及していないように感じられます。この両者の差異は何だとお考えでしょうか。

開出政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる個人版ふるさと納税と企業版ふるさと納税には、寄附の主体や対象税目、控除割合、事務手続など、制度上さまざまな違いがあります。

 個人版ふるさと納税は、個人が地方団体に対して支出した寄附金のうち二千円を超える額について、一定の上限の範囲内で、所得税及び個人住民税から原則として全額を控除するものです。

 一方、企業版ふるさと納税は、法人が地方団体に対し地方創生を応援する寄附を行った場合に、法人住民税などから税額控除を行い、損金算入措置と合わせて最大で寄附金額の約六割の税負担を軽減するものであります。

 また、個人版のふるさと納税は、個人の意思により気軽に利用できるものであり、全国のほとんどの地方団体が寄附者に対して返礼品を提供している実態があるものと承知しております。

 こうした違いに加え、企業版ふるさと納税制度を所管、運用する内閣府からは、地方団体や企業から手続面での煩雑さや寄附時期の制約等について改善要望があったと聞いており、そういった面も制度の普及、活用に影響していると考えられ、今回、必要な見直しを行うこととされております。

務台委員 今局長からお話がありましたが、私は、この両者の制度の差異の最大のものは、個人のふるさと納税には返礼品が許される、そして企業版のふるさと納税にはそれがないということ、つまり、インセンティブの差異に活用の差が出ているというふうに思います。

 なぜ、個人では返礼品など寄附者への利益供与が認められ、後者ではそれが禁止されているのか、その理由を伺いたいと思います。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 企業版ふるさと納税制度におきましては、経済的利益の供与の禁止規定がございますけれども、この規定につきましては、寄附を受ける地方公共団体と寄附を行う企業の癒着につながらないよう、内閣府令において規定されているものでございます。

 本税制は法人に対する政策税制でございまして、個人に比べ社会的にも影響力の大きい法人が地方公共団体の行政運営に影響を及ぼす事態にならないよう、規定を設けているところでございます。

 今回の制度改正におきましても、企業から地方公共団体へ健全な寄附が行われることを担保するため、この規定は維持しているところでございます。

務台委員 確かに、企業の場合は癒着が懸念されるということで厳し目に対応している。個人の場合は癒着ということはありませんが、果たして個人と法人で一かゼロかのデジタル対応のような差を設けていいのかどうか、これは微妙なところではないかというふうに思います。

 泉佐野市の過剰な返礼品が問題になり、泉佐野市は、総務省がふるさと納税制度から市を除外したことを不服として訴訟まで起こしました。大阪高裁は、泉佐野市がその決定の取消しを求めた訴訟で、先月の三十日に、市の請求を退け、国勝訴の判決を言い渡しました。私もその内容を読みましたが、極めて妥当な、常識的な判断だと思いました。

 一方で、国地方係争処理委員会の判断が少し曖昧模糊としていたという印象です。大阪高裁のような判断を係争処理委員会でもいただいたらよかったなというふうに思うと、残念で仕方がありません。

 ところで、このふるさと納税が惹起した問題の本質は、国が性善説に立って、よかれと思ってつくった制度を、ある意味で、言葉は悪いかもしれませんが、悪用し、制度のすき間を狙って濫用を促したという点にあるのではないかというふうに思います。都会から地方、農山村部にお金が行くことを想定したところ、かえって都会にお金が集まってしまう、これは本当に制度の根幹にかかわるような運用ではないかというふうに思います。

 今回の泉佐野市の行為は、ふるさと納税制度を制度として廃止に追い込む危険性すらあったものと考えております。

 そこで伺いたいんですが、ふるさと納税を今後維持していく場合に、総務省の運用指導という形ではなく、制度としてモラルハザードを起こさせないような仕組みを考えていく必要があるのではないかというふうに思いますが、総務省はどのようにお考えでしょうか。

開出政府参考人 お答えいたします。

 返礼品への対応としては、平成二十九年四月以降、二度にわたる総務大臣通知を発出するとともに、あらゆる機会を通じて、過度な返礼品を送付する地方団体に対して、良識ある対応を要請してまいりました。

 しかしながら、全国のほとんどの地方団体が必要な見直しを行う一方で、一部の地方団体が過度な返礼品によって多額の寄附を集める状況が続くことで、制度の存続が危ぶまれることとなりました。

 こうしたことから、与党税制調査会及び国会における慎重な御審議を経た上で、昨年度、地方税法が改正され、総務大臣が指定する地方団体がふるさと納税の対象となるよう、制度の見直しが行われたところであります。

 この指定制度においては、返礼品を提供する場合、返礼割合を三割以下かつ地場産品に限ることとしております。また、指定を受けた地方団体が法令の基準に適合しなくなったときは、総務大臣は指定を取り消すことができることとされたところであり、ふるさと納税の適正な運用が確保されるよう、制度的な対応を行ったものであります。

務台委員 確かに指定制度というのは制度的な対応だとは思いますが、指定制度を運用するに当たって、総務大臣の裁量というのが相当出てくるように思います。

 同じ制度改正をするのであれば、例えば、企業版ふるさと納税と同じように、寄附を禁止する、あるいは大きく制約するような制度設計が必要ではないか、そして、寄附先の自治体の数を限定するということも必要ではないか、あるいは、今、過疎法の見直しがなされておりますが、ふるさと納税は過疎地に限って認めるなどということもあるのではないかというふうに思います。

 そして、そもそもなんですが、ふるさと納税を寄附と捉えるのではなく、納税先の分割と捉える考え方もあるというふうに思います。

 私は、ふるさと納税の導入以前に、ふるさと納税を納税先の分割という手法でできるのではないかという提案をしたことがあります。自分に合理的な縁のある自治体を登録し、そこに住所地に納める税の一部を納められるようにする、そんな提案でございます。自分が生まれ、教育を受け、育ったふるさとに、自分の意思で幾らかでも納税できるというイメージです。あくまでも納税ですから、受け取った自治体は寄附だという理解ではなく、返礼品を出さないと気が済まないという気持ちにはならないという理屈でございます。

 今は、テレワーク、二地域居住など、空間を超越したライフスタイルが急速に普及しているところでございます。住所は一つでなければならないという固定的な考え方は古いのではないか、そんなふうに思えて仕方がありません。総務省も発想を柔軟にしていただく必要があるのではないか。

 今回の一連の騒動を経て、ふるさと納税の抜本的制度改革を考えるべき時期であると考えますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

高市国務大臣 今、さまざま御指摘をいただきました。恐らく議員は、平成十九年十月、ふるさと納税研究会の報告書などのときに随分議論があった点について今おっしゃっていただいたことだと思います。

 やはり、ふるさとというのは全ての方にとって存在するんですが、あのときも、出生地、出生した場所なのか、養育地なのかといったようなことを納税の条件として厳密に証明することが容易ではないとか、納税者がどこをふるさとと考えるか、その意思を尊重することが重要なんじゃないかと、かなり広い観点を認めるという意見となりましたし、また、税の分割という形で考えると、また理論的、制度的な問題点があるんじゃないかということで、特に個人住民税として考えると、受益と負担の原則ということに反する、理論的な困難があるというお話もありました。

 それで、寄附金税制というものを応用する形で、ふるさとに貢献したいというふるさと納税の趣旨を円滑に実施した方がいいんじゃないか、こういう意見が当時まとめられたところであります。

 さまざまな御意見が今もあることは承知をいたしておりますけれども、今、寄附者と寄附先の地域との交流ですとか、また、災害時の被災地支援といった非常によい事例が生まれてきております。現在は、先ほど説明を申し上げましたとおり、ふるさと納税指定制度のもとで、各地方団体が法令の基準を遵守しながら制度運用を行っていただいております。

 ですので、今後、各地方団体の御協力、納税者の皆様の御理解を頂戴しながら、ふるさと納税制度の健全な発展に向けて取り組んでまいりたいと存じております。

務台委員 最初の質問で、都市部から地方への人の流れを創出する観点の制度改正の内容を御教示いただきましたが、もっと踏み込んだ制度改正のあり方を考えていく、そんな時期に来ているように思います。

 例えば、税制であれば、中山間地などの地方に居住する場合には所得税が安くなるというような対応も考えられるのではないでしょうか。場合によっては、富裕層が東京から地方に居住地を移す、こんなことも起こるのではないかと思います。逆に、東京に本社を置く大企業に特別の税を課すということもあるかもしれません。こうすれば、大企業の地方移転がある程度進む。

 これだけ東京の一極集中が進む中で、これまでにない大胆な発想で物を考える時期になっているように思います。例えば十年間の時限措置としてこうしたことも考えていいのではないか、そんなことも思うところでございます。

 今後の税制のあり方として、都市部から地方への人の流れをそれこそ大胆に創出する枠組みの議論、あえて言えば、一極集中是正税制のような議論が必要ではないかと考えますが、お考えを伺いたいと思います。

藤原大臣政務官 ありがとうございました。

 都市部から地方へ人の流れを創出することは、第二期のまち・ひと・しごと創生総合戦略においても引き続き基本目標の一つに掲げており、その促進に取り組んでいくべき重要な政策課題であると認識しております。その中で、ただいま委員御指摘のような貴重な問題意識をいただきました。これについてもしっかりと受けとめさせていただきながら、取組をさせていただきたいと思っております。

 委員御承知のとおりと思いますが、御存じのとおり、現時点においては、税制としては地方拠点強化税制、企業が本社機能を東京から地方に移転する場合に、移転に係るコストを支援しております。これについても、令和二年度税制改正において、インセンティブの強化であるとか制度の簡素化などの見直しを行うこととしております。

 また、税制以外においても、地方大学・地域産業創生交付金による地域の中核的産業の振興等に取り組むなど、地方への移住、定着を更に促進してまいりたいというふうに思っております。

 加えて、地域とつながる人や企業をふやす取組として、関係人口の創出、拡大などを強く推し進め、地方への人の流れを重層的な形で力強いものにしていきたいと考えております。

務台委員 一つ一つは納得できる制度の提案があると思いますが、踏み込んだ対応というのをやる、そんなことも必要な時期に来ているというふうに思います。

 さて、日本の農山漁村は本来美しい景観を持っています。その景観を美しくしていく上で、税制の役割は大きいと思います。美しい集落は多くの人を引き寄せ、若者の地方定住にもつながります。固定資産税のあり方は、その上で大きな役割を果たします。

 今回、所有者不明土地等に係る制度改正が地方税法改正案に盛り込まれておりますが、もっと早く取り組んでもいい仕組みだったというふうに思います。

 地方の景観を取り戻す方策として、例えば住宅用土地の軽減措置のあり方など検討すべきではないかというふうに思います。長い間住んでいない廃屋も、撤去しない状態が各地で見られます。その理由を聞いてみると、住宅を撤去すると土地に課される住宅用土地の軽減措置が撤廃され、事実上の増税になるので放置するという意識があるようでございます。長期の空き家はもはや住宅ではございません。放置した空き家について、底地を含め、逆に重課するような仕組みということも検討すべきではないでしょうか。建物を建てるということは、地域の景観に影響を及ぼし、所有者の責任を伴うものであるという意識を育てる必要があるというふうに思います。

 地域の景観をよりよくするための固定資産税制のあり方について、総務省の考え方をお伺いしたいと思います。

斎藤大臣政務官 お答えを申し上げます。

 空き家が放置される要因には、解体費用の問題でありますとか相続等の権利関係の問題、さまざまございますが、固定資産税の住宅用地特例も一つの要因ではないかという御指摘は、かねていただいております。

 住宅用地特例は、御案内のとおり、住民の日常生活に必要な住宅用地の税負担を軽減するという住宅政策上の見地から設けられておりますので、対象は人の居住の用に供する家屋の敷地に限定をされております。

 このため、必要な管理を怠り、今後も人の居住の用に供される見込みがないような空き家でありますとか、空き家対策特別措置法に基づき除却等の勧告を受けた特定空き家等に係る敷地につきましては、本特例の対象から除かれているところです。

 この住宅用地特例は、適用されている納税者の裾野が大変広うございます。したがいまして、見直しにつきましては慎重な検討が必要ではございますが、住宅用地特例を含む今後の固定資産税制全般のあり方につきまして、住宅政策、土地政策との整合性も図りつつ、関係省庁とも十分に検討してまいる必要があると考えております。

務台委員 ぜひ、地域の景観をよりよくする観点で固定資産税制の活用を検討をお願いしたいというふうに思います。

 昨年の臨時国会で成立させていただいた地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律について伺います。

 この法律は、若者の地方移住を促進する、ある意味で究極の仕組みだというふうに我々は考えております。この法律成立を受け、政府ではどのような予算を確保し、交付税措置でどのような対応を行い、さらに、この六月からの法律施行に合わせてどのような準備を行っているか、伺いたいと思います。

 この法律は、使いようによっては、中山間地を抱える地域社会を活性化させる起爆剤になり得ると考えております。私の地元の新聞社も社説でこれを取り上げ、新法の趣旨に異存はない、これを生かせるかどうか、地域の取組にかかるとその効果への期待感を示しております。ぜひ、制度が狙った成果をしっかり生むよう、政府には頑張っていただきたいと思いますが、取組についてお伺いしたいと思います。

境政府参考人 お答え申し上げます。

 人口急減地域特定地域づくり推進法に関する予算といたしましては、令和二年度の内閣府予算案に五億円が計上されております。同法に基づいて地域内の事業者に人材を派遣する事業協同組合の運営経費を市町村が助成する場合、その二分の一を国交付金で支援することといたしております。

 地方財政措置につきましては、国交付金事業に伴います市町村負担や組合の設立支援に係る地方単独事業の市町村負担につきまして、特別交付税措置を講じることとしております。また、既存の移住、定住対策に係る特別交付税措置の活用もできることになっております。

 令和二年六月の本法律の施行に向けまして、現在、地域ブロック別説明会を行っておりまして、今後、三月を目途に施行規則やガイドラインを策定することといたしております。内閣官房や厚生労働省、中小企業庁などの関係省庁とも連携しつつ、本法律の円滑な施行に向け、しっかりと取り組んでまいります。

務台委員 ぜひこの制度の周知をお願いしたいというふうに思います。私の地元も過疎町村が非常に多い。この制度に期待をするところが大きいです。ただ、なかなか、自分たちで事業協同組合をつくって、これに多くの人を糾合していくということについてなれていない自治体が多い、商工会が多い。そういう中で、ぜひ、かゆいところに手が届くような、そんな支援をお願いしたいというふうに思います。

 最後になりますが、新型コロナウイルス感染症の拡大は、社会のありように警鐘を鳴らしたというふうに思います。集中というものがいかに脆弱なものか、その問題点を露呈したというふうに思います。

 日本貿易会の中村邦晴会長は、テレワークや時差出勤を推奨し、感染リスクを下げる取組を説明している中で、今回の感染症の拡大について、災い転じて福となすとして、働き方改革を進めるいい機会と捉えるべきと語っておられますが、人口の地方分散ということこそが最も究極的なその対策ではないかというふうに考えております。

 通告はありませんが、それについての大臣のお考えを伺いたいというふうに思います。

高市国務大臣 今回の新型コロナウイルス感染症だけではなく、自然災害ということを考えましても、リスク分散ということから、やはり地方への人口の流れの創出というのは非常に重要なことだと考えております。

 あわせて、テレワークにつきましても、総務省は、かねてよりテレワークを推進しておりますので、テレワーク関係団体及び企業のネットワークを持っておりますので、総務省の方から、先般、テレワーク推進に関する要請のお願い文書を発出したところでございます。

務台委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

大口委員長 次に、長尾秀樹君。

長尾(秀)委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの長尾秀樹でございます。

 どうぞよろしくお願いします。

 私からも、地方税法等並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案について質疑をしたいと思います。

 その前に一点、総務省、総務大臣に要望したいと思います。

 今もお話ございましたように、新型コロナウイルス感染症対策、大変重要な局面だと思います。もし今後更に感染が拡大をするということになりましたら、各自治体での、公衆衛生研究所、保健所での対応が大変大事になってくる、地方自治体の業務が拡大をするということにつながります。ぜひ総務省としてもしっかりとフォロー、支援の体制を整えていただきますよう要望しておきたいと思います。

 それでは、質疑に入らせていただきます。

 まず、国税収入見込み額の見積りと経済見通しについてお聞きします。

 先般審議いたしました二〇一九年度補正予算も、年度途中で国税の減額補正が行われました。その法定率分だけ地方交付税が減少いたします。この減少分は、一旦は国の一般会計からの加算で穴埋めされますが、最終的には後年度の交付税額から減額して精算をされることとなります。

 来年度二〇二〇年度は、平成二十年、二〇〇八年度、平成二十一年、二〇〇九年度、二十八年、二〇一六年度、三年度分の国税減額補正に伴う精算分について、交付税の総額が二千三百五十五億円減額をされることとなります。また、その次、二〇二一年度には、今回の減額補正に伴う精算分も加わって、三千四億円減額されることとなります。

 このように、地方交付税の原資となります国税の見積りが下振れした場合、見積りの誤りは国の責任であるにもかかわらず、地方側に長期間にわたって大きな影響が生じます。このため、極力過大な国税の見積りは避けるべきと考えておりますが、来年度の国税の見積りも過大になっているのではないかと懸念をしております。

 国税収入予算額は、毎年度、政府経済見通しによる経済諸指標、予算編成時点までの課税実績、収入状況等を勘案して見積もられると承知しておりますが、まず、来年度の政府経済見通しについて、内閣府にその数値をお伺いいたします。

茨木政府参考人 お答え申し上げます。

 政府経済見通しにつきましてでございますが、令和二年度の我が国経済は、総合経済対策を含む各種施策の効果も相まって、雇用・所得環境の改善が続き、経済の好循環が進展する中で、内需を中心とした景気回復を見込んでおりまして、実質GDP成長率は一・四%程度、名目GDP成長率は二・一%としているところでございます。

 この経済見通しの策定におきましては、制度改革を含む各種政策の効果についても考慮しておりまして、先般の経済対策の裏づけとなる令和元年度補正予算や令和二年度当初予算に盛り込まれた措置による効果を始め、政府として取り組む生産性向上、就労促進に係るさまざまな施策が各需要項目に与える影響を織り込んでおるところでございます。

 ただし、一月下旬以降、新型コロナウイルス感染症の影響という新しい経済の下押しリスクも生じておりまして、その影響については十分に注意をしていく必要があると考えております。

 こうした先行き懸念に対応するためにも、新型コロナウイルス感染症に対する緊急対策による予備費の執行、あるいは、先般成立した令和元年度補正予算の迅速かつ着実な執行を図ってまいりたいと考えております。

長尾(秀)委員 実質GDP成長率一・四%程度、名目成長率二・一%程度ということであります。しかしながら、民間の大手シンクタンクの九機関の成長率予測の平均は、実質GDP成長率で平均〇・五%であります。政府の見通しとは〇・九ポイント開きがあります。名目成長率も平均一・一%、政府の見通しとは一・〇ポイントの開きがございます。

 先般公表されたGDPの速報でも、年率換算で実質GDPマイナス六・三%という速報値が発表されたところでございます。正式には二月の発表ですけれども、昨年の十一月、十二月の段階でそういう経済動向はわかっていたはずで、なぜこのように過大な見積りになるのか納得がいきません。

 もう一度、内閣府、その点、お答えください。

茨木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の方から、民間のシンクタンク等の見通しではもう少し低いんじゃないかという御指摘でございますけれども、当然、民間機関の見通しはさまざまでありまして、我々、その辺については、どのように作成しているかというのは承知はしておりませんけれども、概して言えば、個人消費を中心として、我々の政府経済見通しと比べると若干低目となっているのは承知をしております。

 ただし、個人消費を取り巻く環境につきましては、雇用環境については引き続き改善をしている、賃金も緩やかに増加しているということでございまして、こうした中で、政府としては、この二〇二〇年度におきましても、経済対策に盛り込んだキャッシュレスポイントの還元、あるいはマイナンバーカードを活用した消費活性化策、こうした取組をやっていくということでございまして、こうした政策の効果も相まって景気が回復していくというふうに見込んでおるところでございます。

長尾(秀)委員 いや、なかなか納得しがたいですが。

 それでは、総務大臣にお聞きをしたいと思います。

 この政府経済見通し、閣議決定ということですので、総務大臣としては、大き過ぎるのではないかということで、何か大臣は発言されたでしょうか。それから、もし来年度予算についても、国税が見通しを下回った場合、これまでどおり地方自治体の負担にするべきではない、国がもっと面倒を見るべきであると思いますけれども、二点、お聞きをしたいと思います。

高市国務大臣 令和二年度の政府経済見通しについては、先ほど内閣府から答弁のあったとおりのことで見込まれたものだと思います。

 ただし、この経済見通しが甘過ぎた場合には、委員も御指摘のとおり、これは地方交付税の法定率分に影響が出てまいりますので、この旨については西村大臣にもお伝えをしたところでございます。

 ただし、先ほど、内閣府から見通しについての内容の答弁はございましたが、来年度に向けて考えてまいりますと、新型コロナウイルス感染症による影響ですとか、それからまた、気候変動が非常に激しい中で、大規模な自然災害の発生ということも考えられますし、また、諸外国の経済政策の変更ですとか景気の減速など、外的要因による下押しリスクというものは考えられますので、ここには十分な注意が必要だと考えております。

長尾(秀)委員 引き続き、今後も議論したいと思います。

 では次に、地域社会再生事業費と技術職員の充実等についてお聞きをいたします。

 今回の地方財政計画では、地方法人課税における新たな偏在是正による財源を活用して、地域社会の維持、再生に取り組むための新たな歳出項目ということで、地域社会再生事業費四千二百億円が計上されております。その事業費を普通交付税で算定するため、基準財政需要額の算定項目として地域社会再生事業費を創設するということにしております。

 そもそも、この法人事業税の偏在是正措置は、自治体間で財源を奪い合うということで、地方自治に逆行するということで、我々としては昨年の法案に反対をいたしました。しかし、今回そういう、少子高齢化や過疎化が進む地域に厚く配分されるような算定方法を採用するということについては、一定評価をしております。

 しかし、そもそも、今申し上げましたように、財源が東京都などの大都市の減収分を充当したものであるということでありまして、本来は国税と地方税の税源配分を見直すべきである。例えば、偏在性の少ない地方消費税の拡充、あるいは住民税率の引上げなどによって財源は確保されるべきであるというふうに思いますが、総務省の考えをお聞きいたします。

開出政府参考人 地方創生、地方分権を推進するためにも、その基盤となる地方税の充実確保は不可欠であり、これまでも、個人住民税における三兆円の税源移譲、消費税率引上げに際しての地方消費税の拡充などに取り組んできたところであります。

 国と地方の税源配分につきましては、国、地方とも厳しい財政状況にあることや、国と地方の役割分担の議論なども踏まえて検討することが必要と考えております。

 いずれにいたしましても、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組むとともに、地方の行政サービスをできる限り地方税で賄うことができるよう、地方税の充実確保に努めてまいりたいと考えております。

長尾(秀)委員 後ほど総務大臣にもお聞きをしたいと思います。

 さて、この地域社会再生事業費を財源として、技術職員の充実等に取り組むということになっております。特に、小規模市町村を中心に技術職員の不足が深刻化しているということで、都道府県が技術職員を増員をして、平時に技術職員不足の市町村を支援するとともに、大規模災害発生時の要員を確保する場合に地方財政措置を講ずることとしております。

 技術職員の数については、平成二十四年、二〇一二年ごろまでに大幅に減少をしておりまして、土木、建築、農林水産の技術職員のいずれかが配置できていない市区町村数は千百八十九団体、全体の六八・三%に上っております。また、被災自治体からの復旧復興事業に従事する技術職員の派遣ニーズに十分対応できていない、昨年時点で、必要数千五百四十二人に対し充足数六百八十八人という状況になっているというふうに聞いております。

 しかし、そもそもこの技術職員の不足という問題は、過去に総務省が地方に対して、自治体に対して数次にわたって定員削減を要請をしてきた、そのことによって、各自治体は、欠員不補充や民間委託を推進をして、結果として職員数の減少を招いたということが背景にあると考えております。

 こういう国による定員削減要請が与えた影響について、総務省としてどのように考えているのかお聞きします。

大村政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体の職員数につきましては、平成十七年から平成二十二年の五年間、国、地方を通じた効率的で質の高い行政の実現を図る観点から、行政改革推進法などに基づいて、各地方公共団体に対して、具体的な削減目標を掲げました御指摘の集中改革プランを要請しておりました。

 この集中改革プランの期間終了後は、行政の合理化、能率化を図り、地域の実情を踏まえつつ、適正な定員管理の推進に取り組む旨を毎年助言をしております。

 地方公共団体の技術職員数につきましては、平成十年以降、公共事業の減少などに伴いまして減少傾向にございましたが、近年では、相次ぐ震災への対応や国土強靱化への対応の必要性などから増加に転じておりまして、行政需要に応じて技術職員数も変動しているものと認識をいたしております。

 例えば、土木技師は平成二十四年から七年連続で、建築技師につきましても平成二十一年から十年連続で増加をしている傾向にはございます。

 今後とも、地方公共団体において、地域の実情に応じて必要な人員配置が行われていくものと考えております。

 以上です。

長尾(秀)委員 今、集中改革プランというお話も出ました。まさにそれが、技術職員も含めて職員数減少の元凶ではないかと私は思いますが、全く反省がないのは残念であります。後ほどまとめて総務大臣からもお聞きしたいと思います。

 次に、この地域社会再生事業費について、法人に対する課税であるということで、景気に大きく左右をされます。また、都道府県ということになっていますが、職員として一旦採用すれば簡単に増減できない。本当に将来的にも必要な財源が各自治体確保できるのかというおそれがあると思います。

 したがって、この偏在是正を財源として利用するのは適切ではないのではないか、恒久的な位置づけをもって財政的裏づけをすべきではないかという点についてお聞きをいたします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 技術職員の充実を通じまして防災・減災対策等を推進し、地域の安心を確保いたしますことは、地域社会の維持、再生にとっても大変重要と考えております。

 また、新たにスタートする取組でもございますので、まずは、新たに財源を確保した地域社会再生事業費の中に位置づけまして、地域社会の維持、再生に向けた取組の一環として普及を促すこととしたところでございます。

 将来的に取組が各団体に幅広く普及してきた段階におきましては、給与関係経費に移しかえることも検討してまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、技術職員の充実に係ります人件費につきましては、継続的に財政措置を行っていく必要があると考えているところでございます。

長尾(秀)委員 それでは次に、人材確保の点についてお聞きをいたします。

 そもそも、さまざまな分野で人手不足、人材不足であります。土木、建設など、民間需要もそこそこ旺盛であります。働き手の不足は、人口減少という中で今後も継続をすると思われます。あるいは、自治体が採用する際、民間と比べると給与等の待遇に格差がある、果たしてこれでよい人材が確保できるかという問題があると思います。

 人材確保の現実的な可能性についてどう考えているか、お聞きをいたします。

大村政府参考人 御答弁申し上げます。

 防災、減災、国土強靱化などへの対応の必要性から、近年、地方公共団体の土木や建築などの技術職員の総数自体は増加に転じております。

 しかしながら、官民を問わず高いニーズがあることから、多くの団体において、さらなる獲得には課題がある状況だと認識をいたしております。

 このため、技術職員のさらなる確保のためには、新卒採用、中途採用はもとより、定年退職者の再任用や任期つき職員、フルタイムのさらなる増加などの方策も考えられるところでございます。

 また、官民双方で技術職員に対する強い需要があることを踏まえまして、大学、高校などにおける専門人材の育成の充実ですとか、採用側から学生に対する積極的な広報なども必要であると認識をいたしております。

 このため、地方三団体などや関係省庁などとも連携して、今後必要な技術職員の確保に向けて更に取り組んでまいりたいと考えております。

長尾(秀)委員 今、以上三点お聞きをいたしました。それらについて総務大臣にもお考えをお聞きしたいと思いますが、あわせまして、都道府県から一定期間派遣される職員より、当該市町村における技術の継承やポストの問題もあろうということで、その地域を職場とする技術職員の方が、より精通してよりよい行政ができるし、結果としても災害にも強いのではないかというふうに考えます。

 そういうことで、地域事情に即した技術職員を正規に一定数確保していくべきではないかという点もあわせて、全体的に総務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

高市国務大臣 近年は、多発する自然災害への対応や公共施設の老朽化を踏まえた適正管理が求められる中で、小規模の市町村を中心に土木職などの技術職員の不足が深刻化しております。また、大規模災害において技術職員の中長期派遣を求める声が強いということなんですけれども、やはり恒常的に不足しているという状況です。

 このために、今般、都道府県などが技術職員を増員して、平時には技術職員不足の市町村を支援するということとともに、今後大規模災害が発生した場合に、復旧復興に必要な中長期派遣要員を確保する場合、この増員された職員人件費に対して地方財政措置を講ずることといたしました。

 恐らく、長尾委員の問題意識ということは、市町村業務、市町村の技術職員としてもともと採用すればいいのではないかということだと思うのですが、確かに、市町村業務で技術職員に対するニーズというのはあるんですね。あるんですが、とりわけ小規模の市町村においては、採用に努めても、単独で技術職員を確保する、そしてまた育成するということが難しい状況で、場合によってはなかなか行政運営上支障になるということも懸念されております。

 こうしたことから、小規模市町村で確保がなかなか難しいという技術職員を都道府県などで増員して、新たな技術職員群としてまとめて確保して市町村業務への支援を促進するということにいたしました。

 今後とも、地方公共団体の実情を丁寧にお伺いしながら、適切に対応してまいります。これは始まった、始まるばかりのものでございますので、実情をよくよくチェックをして、フォローアップしていきたいと考えております。

長尾(秀)委員 引き続き、よりよい制度として運用されるように努力をお願いしたいと思います。

 それでは次に、ふるさと納税制度についてお聞きをいたします。

 先ほども議論がございましたが、いわゆる過熱する返礼品競争ということが問題視をされて、総務省は返礼品について通知を発出をして地方団体の対応を求めたということですが、過度な返礼品ということで、昨年六月一日から指定制度が導入をされました。

 その指定制度では、総務大臣が定める基準に適合する地方団体への寄附のみがふるさと納税制度の適用対象ということで、返礼品は地場産品かつ返礼割合が三割以下ということになりました。二〇一九年度、今年度、指定を申し出た千七百八十七団体のうち四団体が過度な返礼品で著しく多額な寄附金を集めたということで不指定となりました。

 しかしながら、このような行き過ぎた返礼品競争を招いたのは、そもそも制度創設時における制度設計の不備が原因ではないかと私は思いますが、総務省のお考えをお聞きします。

開出政府参考人 お答えいたします。

 ふるさと納税の創設に向けて平成十九年度に開催されたふるさと納税研究会の報告書におきましては、返礼品についての懸念が示されていましたが、基本的には各地方団体の良識によって自制されるべきものであり、懸念があるからといって直ちに法令上の規制の設定が必要ということにはならないとし、各地方団体の良識ある行動を強く期待することとしておりました。

 制度の施行後、徐々に地方団体が寄附者に返礼品を提供する取組が広がってきましたが、これに対しまして法規制によるのでなく総務大臣通知の発出により対応してきたのは、研究会報告書の内容を踏まえ、地方団体の自主性、自立性を重んじ、制度運用を行ってきたからでございます。

 しかしながら、一部の地方団体が過度な返礼品によって多額の寄附を集める状況が続くことで、制度の存続が危ぶまれることとなったため、昨年度、地方税法の改正により制度の見直しを行ったものでございます。

長尾(秀)委員 私は、別に泉佐野市の肩を持つ気は全然ありません。非常識なやり方だと思いますけれども、少なくとも、法令には違反をしていなかったはずであります。

 総務省の通知は数次にわたって出されましたけれども、改めて言うまでもなく、平成十一年、一九九九年に成立した地方分権一括法によって、国の地方団体に対する通知は、あくまで法的拘束力のない技術的助言であるとされたはずであります。通知に従わないことをもってそういうペナルティーともいうべき措置が四団体に対して行われたということは、地方分権の趣旨に反すると私は思いますが、総務省の見解をお聞きします。

開出政府参考人 お答えいたします。

 昨年、一部の地方団体を不指定とした判断は、改正後の地方税法の規定と、その規定の委任を受けて新たに制定した告示の規定に基づいて行ったものであり、過去の技術的助言に従わなかったことを理由としたものではございません。

 当該告示の規定は、募集方法のみでなく、著しく多額の寄附金を集めるという結果、その双方を満たすことを要件とするものであり、技術的助言の内容よりも更に限定されたものとなっていることからも、過去の技術的助言に従わなかったことを理由としたものではございません。

 今後とも、地方自治法の趣旨にのっとり、地方団体の自主性と自立性が発揮されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

長尾(秀)委員 いやいや、なかなか納得できません。大阪高裁判決も余りに政府寄りだと私は思います。引き続き議論したいと思います。

 それから三点目に、応益性の原則との関係。

 ふるさと納税によって住所地の地方団体に納税をせずに行政サービスを受ける。受益に応じて負担するという応益性の原則に反するということになると思いますが、この点、ちょっと簡潔にお答えを願います。

開出政府参考人 御指摘の点につきましては、ふるさと納税研究会報告書においても、寄附金額のうちどの程度の割合まで税額控除の対象として認めるかについて、負担の公平感を損なわない程度の水準とする必要があると指摘されたところでございます。

 このような指摘も踏まえ、ふるさと納税の制度設計に当たっては、住所地の地方団体に納付される個人住民税額が大きく減少することのないよう、特例的な控除額は個人住民税所得割の二割を上限としているところでございます。

 これによりまして、個人住民税の大半は住所地団体に残ることとなり、応益性にも配慮した仕組みとなっていると考えております。

長尾(秀)委員 以上、三点お聞きをいたしました。

 このふるさと納税制度は、高所得者ほど寄附金控除上限額が高い、返礼品で得られる利益も大きいということで、高所得者優遇という指摘もあります。地方財源の地方自治体同士の奪い合い、一過性の予算の増減による税収の不安定さということを指摘する声もあります。

 さまざま、問題点が多いと思います。制度の廃止も含めて抜本的な見直しを今行うべきではないかと考えますが、総務大臣の見解をお聞きします。

高市国務大臣 ふるさと納税についてはさまざまな御意見があるということは承知をいたしておりますけれども、多くの地方団体や納税者の方々にとって意義のある制度でもあると考えております。寄附者と寄附先の地域との交流、災害時の被災地支援など、よい事例が生まれております。

 現在は、ふるさと納税指定制度のもとで、各団体が法令の基準を遵守しながら制度運用を行ってくださっておりますので、今後も、各地方団体の御協力、そして納税者の皆様の御理解を賜りながら、ふるさと納税制度の健全な発展に向けて取り組んでまいります。

長尾(秀)委員 それでは次に、森林環境譲与税についてお聞きします。

 今回、前倒しの譲与額が倍増される、あるいは財源が変わるという案になっております。森林整備に関する財源確保という観点では、この譲与税は一定評価ができるわけですが、課題も多くあると思いますので、お聞きをしたいと思います。

 まず、譲与基準についてお聞きをいたします。

 市区町村への譲与基準として、私有林人工林面積によって五〇%、林業就業者数によって二〇%、そして人口によって三〇%配分されるということになっております。初めて譲与がされた昨年九月、この結果、最も多いのは横浜市の七千百万円、次いで浜松市の六千六十万円、三番目が大阪市、五千四百八十万円となりました。逆に、配分額が少なかったのは、全部沖縄県ですが、渡名喜村八千円、北大東村一万三千円、粟国村一万四千円の順となっております。

 人口の多い都市部にこのように譲与税が多く配分されるということは違和感を覚えます。この人口による配分割合三〇%とした合理的な理由について説明をしていただきたいと思います。

開出政府参考人 森林環境譲与税につきましては、都市部の住民を含めた国民全体の理解も得ていく必要があることから、木材利用の促進や普及啓発を使途の対象としております。

 また、都市部の地方団体が間伐材等の木材利用を進めることで、山間部における森林整備から都市部における木材利用までの間の好循環が生まれることが期待されております。

 さらに、多くの府県等で実施されている森林環境の保全等を目的とした超過課税において、平均すればおおむね三割程度を森林整備以外の事業に充てている状況にございます。

 こうしたことを総合的に勘案し、森林環境譲与税のうち三割を木材利用の促進や普及啓発等に相関する指標である人口を基準として譲与することとしております。

長尾(秀)委員 次に、計画的な森林整備の必要性についてお聞きをいたします。

 時間がなくなりそうですので、二つまとめてお聞きをしたいと思います。

 森林経営管理法が新規立法されたことによって、森林経営管理制度ということが始まっております。

 そこで、各市町村における間伐等の森林整備の実施状況と、それから、そもそも森林法において、市町村は森林整備計画を立てるということになっておりますが、この新たな管理制度創設、譲与税の譲与開始ということで、市町村は整備計画の見直しを行っているのか、お聞きをしたいと思います。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 今年度の森林環境譲与税を活用した間伐等の森林整備の実績につきましては今後取りまとめることとなりますが、昨年九月にこの税の予算化等の状況について市町村にお聞きしました。

 そのところ、森林経営管理法に基づく意向調査などの準備作業を含め、全市町村の約六割の市町村において森林整備に取り組むということになっております。この六割の市町村における私有林人工林を合計しますと、全国の私有林人工林の約九割をカバーしているということで、かなりカバーされた中で森林整備に取り組んでいただいているかなと。

 こうした中、現時点では、例えば埼玉県の秩父市、兵庫県の養父市などにおいて準備作業を終え、森林環境譲与税を活用した間伐が行われるなど、具体の事例も上がってきているところでございます。

 また、計画制度のお話がございました。

 市町村は、五年ごとに、十年を一期とする市町村森林整備計画を立てることになっています。この中に、市町村が森林環境譲与税も活用しつつ、森林経営管理制度に基づく森林整備を行う、こういったことを位置づけることはふさわしい内容だと思っております。

 そうしたことから、林野庁におきましても、市町村に対して適宜計画に位置づけるよう指導を行っているところでありまして、都道府県からの報告によりますと、適宜市町村において順次計画の見直し、位置づけが進んでいるというふうに聞いているところでございます。

長尾(秀)委員 次に、人材の確保あるいは市町村の実施体制ということでお聞きをしたいと思います。

 通告の順番と逆になっているかもわかりませんが、まず、森林整備のため、林業従事者の点についてお聞きをしたいと思います。

 減少傾向、二〇一五年で四・五万人という数字かと思います。高齢化率は依然として全産業平均と比べると高いということで、森林整備事業を行う人材が不足をしていれば森林整備は円滑に進まないということで、これらの担い手不足について現状はどうなのか、まずお聞きします。

小坂政府参考人 林業労働力の現状についてお答えさせていただきます。

 議員御指摘のとおり、現場作業等に従事する林業従事者数は、平成十二年の六・八万人から平成二十二年の五・一万人、さらに、平成二十七年には四・五万人と、長期的に減少傾向で推移しております。また、平成二十七年の六十五歳以上の割合は二五%というふうになっております。

 こうしたことから、若手を中心とした林業労働力の確保が課題と考えておりまして、緑の雇用等の施策を通じてその確保に努めているところでございます。

長尾(秀)委員 それに加えて、市町村の実施体制、この譲与税の使途の一つには人材育成、担い手の確保ということもございます。市町村の多くは専門人材とノウハウ不足ということで実施体制が整備されておらないということかと思います。

 これらの各自治体、市町村の現状について、総務省、お聞きいたします。

開出政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体定員管理調査によりますと、平成三十一年四月一日現在の市町村における林業部門の職員数は三千百四十九人となっております。

長尾(秀)委員 以上、森林環境譲与税、いろいろお聞きをいたしました。

 最後に、総務大臣にお聞きをしたいと思います。

 先ほども申し上げましたように、森林整備が真に必要な自治体に譲与税は手厚く配分をされるべきでありますし、その有効活用ということが大事だと思います。また、市町村の実施体制の充実ということについても必要でございます。

 これらの点について総務大臣にお聞きいたします。

大口委員長 高市総務大臣、簡潔にお願いします。

高市国務大臣 森林環境譲与税につきましては、今年度から地方団体に譲与を行い、森林の整備に取り組んでいただいております。

 さらに、今般の税制改正で、災害防止、国土保全機能強化などの観点から、森林整備を一層促進するために、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を令和二年度から令和六年度までの五年間で二千三百億円活用し、譲与税を前倒しで増額することとしておりますので、しっかり、各地方団体におかれましては、この増額の趣旨も踏まえて、森林整備などを一層推進していただきたいと考えております。

長尾(秀)委員 以上で終わります。

大口委員長 次に、岡島一正君。

岡島委員 本日は、地方税法の一部を改正する法律案などを入り口にして、総務省所管のさまざまな事案について質問をさせていただきたいと考えております。

 その前に、コロナ感染が地方にも広がっているという実数も昨日も新たに出てきていましたけれども、コロナ感染について、まず、これは厚生労働省に参考人をお願いしていますので、できればけさ現在の、可能ならば、でなければ最新ので結構ですが、コロナ感染が、流行という言葉はまだ使いませんが、はやっているとは言いませんが、広がっているという実数、実態、御説明願いたいと思います。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 昨夜時点でございますけれども、新型コロナウイルス関連感染症の方の数でありますが、都道府県別で分けることができないチャーター便帰国者とクルーズ船の乗客を除きますと、四十七都道府県中、現在十一都道府県において計七十名が確認されているところでございます。このうち、都道府県別に感染者数の多いところといたしましては、東京都、和歌山県などとなってございます。

岡島委員 既に発症している方の割合というのは、この七十名の方だと思いますが、これは感染をしていることが確認された方なんですかね。この数字の意味を説明してください。

奈尾政府参考人 感染者には有症状の方と無症状の方がいらっしゃいまして、無症状の感染者十人を含んだ数字でございます。

岡島委員 自治体の名前まではあれでしょうが、これは決して、今出た和歌山、近畿圏とか首都圏、東京とかに限らず、ほかの、例えば九州や中国地方や東北地方、北陸、北海道等々の地方においてもそういったものが確認されてきているということでよろしいでしょうか。

奈尾政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、首都圏以外にも、例えば愛知とか北海道、京都、三重、大阪、奈良、沖縄といったところに感染が広がっているという状況でございます。

岡島委員 ということは、このコロナウイルスについて、全国的に、全国の地方において感染が広がる実態が確認されつつあるという認識でよろしいですか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど十一の都道府県に広がっているという状況を申し上げました。

 このような状況につきまして、日曜日ですけれども、二月十六日に、政府対策本部のもとで、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議というのがございますけれども、こちらの方でも、国内の状況につきましては、感染経路が特定できない可能性のある症例が複数認められる状況であって、患者が増加する局面を想定した対策が必要という見解をいただいたところでございます。

岡島委員 対策が必要かどうかは、対策が必要に決まっているのでありまして、私がお聞きしたのは、少なくともコロナ感染が、先ほど申し上げたように、九州であったり中国であったり東北、北陸であったり、日本全国の大きな地域に広がっているということで私は認識していますが、それでよろしいですね。

奈尾政府参考人 十一の都道府県に広がっているという状況でございますので、多くの地域に広がっているという認識でございます。

岡島委員 わかりました。厚生労働、ありがとうございました。

 つまり、今、コロナウイルスが日本国内で、私は決して流行だとかパンデミックという言葉は使いませんけれども、しかし、全国の自治体、地域に広がっている、それが数字としてもあらわれ出しているということだと思います。私、細かい数字を本当は持っていますけれども、それを今ここで、コロナのことをやる総務委員会というふうには思っていませんから出しませんが、そうすると、自治体においてどういう対応をすべきかということが課題になってきます。

 実は、災害対応についても、経験があるところとないところでは対応が全然違いました、過去の例を見ますと。これは自然災害ではありませんが、大きな社会的な問題になっているわけですから、そして地域に広がっているという実情を踏まえた場合に、できれば、方針、見解ですので大臣に、地方自治体に対して、このコロナに対してどういう対策、経験値がないところもあるでしょうし、新型といえば、ないわけですから、そういった意味で、どういう御指示、御指導をしているのか、その方針など教えてください。

高市国務大臣 これまでも総務省としましては、また消防庁としましては、全国の地方公共団体、そして全国の消防本部、そしてまた総務省所管の関係団体や企業に対しまして、継続的に必要な情報提供を行ってきております。

 そして、その一環としてでございますが、昨日、改めまして、私から、全国の都道府県知事及び市区町村長の皆様に対する大臣からの一斉メールの仕組みがあるんですが、これを活用しまして、新型コロナウイルス感染症に対する住民の皆様への情報提供をお願いする内容のメールを発出しました。必要な情報も添付したものでございます。

 また、緊急対応策が決まりましたが、このうち一部の事業については地方負担が見込まれますので、地方団体の財政運営に支障が生じることのないように、手厚い地方交付税措置を講じることといたしました。

 今後も、地方公共団体の御要望を伺いながら、適切に、迅速に対応してまいります。

岡島委員 必要な情報を流していただく、そして財政的にも今後視野に入れていくということも含めてお答えいただきました。ただ、そのときに、必要な情報というのは、今、このコロナに関しては、実態以上にというか科学的見地以上に、いろいろなことがうわさも含めて流布も含めて広がっているわけですから、そこを総務省が厚生労働省ほかの省庁と一緒に協力して、本当に安心につながるような、あるいは本当にケアしなきゃいけない問題についてのやはりきちんとした正確な情報をぜひ自治体に、対処について御指導願いたいとお願いいたします。

 ここからは、きょうの、総務省の法律案についての質問に、本題に入ってまいりたいと思います。

 昨年の相次ぐ台風被害を教訓とした対応というものが今求められていると私は思っています。私は、災害対策特別委員会の方でも仕事をさせていただいておったり、党の方でも災害局の方の仕事をしていますが、そういった関係で、今回の、地方自治体の災害対応を支援するという意味での財政措置などが盛り込まれていることに対しては、ぜひそれは実行していただきたいし、評価するものでもあります。

 その上で、ことし、去年の台風十五号や十九号のような、千葉県民である私などにとっては予想を余りしなかったような台風がほかの地域でもまた襲ってくる、来襲といいますか、その可能性を否定できない状況はあると思います。そういった意味において、各自治体、また、総務省などが音頭をとって関係省庁が協力していくことが大事だという前提があると思っています。

 そんな中で、今回の財政措置などについて質問させていただきますが、大きな見解は大臣というふうにお願いすると思いますが、細かな数字など、データを含めてそうしたことは参考人の方というふうに思っております。

 予算案には、しゅんせつ工事に対する財政措置が盛り込まれておりました。

 問題は、この夏以降、先ほど申し上げましたように、またああいう予想もしなかったような地域、予想もしなかったような風、雨などの大型の災害をもたらすような台風が来るとも限りません。

 そういった意味において、今、冬の間に、雪がことしは少ないなどありますが、雨は当然少ないわけであります。そうした中で、こういう水がかさ上げされていないこの時期にさまざまな対応をとるべきじゃないかと思いますが、そういったことを急ぐという意味においては、大臣の御見解を教えていただけますか。

高市国務大臣 緊急浚渫推進事業ということにつきましても委員の先生方の御理解を求めているわけでございますけれども、これも国土交通省ともしっかり連携をしながら、できるだけ速やかに対応できるように進めてまいりたいと思います。

 もう既に、全国の都道府県知事、市区町村長の皆様に対しましても、このような対応を計画している旨はお伝えいたしておりますので、早期に活用いただけることを期待いたしております。

岡島委員 ぜひ、この今の時期、コロナウイルスなどはありますが、自然災害ということについては、今こそ対応を急ぐべきだという視点からお取り組み願いたいということを申し上げておきます。

 その中で、私、総務省の資料を読ませていただきましたけれども、これはなかなか、私などから見ると、一つ一つの事業が、違いとか特性なり含めてわかりにくいという印象を持ちましたので、その点についてお伺いします。

 今回、緊急浚渫推進事業というのが盛り込まれ、また、次は防災・減災・国土強靱化緊急対策事業があって、次に緊急自然災害防止対策事業というのがあるんです。次に市町村役場機能緊急保全事業というのがあって、さらには緊急防災・減災事業などが載っていました。それぞれ専門に取り組まれている役人の方には、いや、これは全然違うんだということだろうとは思います。

 が、私は今回、先般、昨年の台風十五号、十九号、千葉県内を含めて各自治体をかなり回りました、毎日のように。その中でいくと、やはり地方の町役場の役人さんとか首長さんにしても、国の事業が何が当てはまるかわからないというのがよくあるわけです。

 そうすると、命の問題にかかわる災害対策について、この事業、これはどう理解していったらいいか、どういう事業なのかということが私たちの視線では類似のように見えてしまうので、それについて、ぜひわかりやすく簡潔に御説明いただければと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地方団体の防災・減災対策の推進のための財政措置でございますけれども、政府の防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策の一環であるか否か、そして補助事業と単独事業のいずれであるか、あるいはインフラ整備を対象としているか否かなどにより区分をいたしまして、それぞれの事業の性格に応じた地方債措置を講じているところでございます。

 御指摘にございましたように、減災・防災対策に係る財政措置につきましては複数の地方債措置で成り立っておりますので、地方団体に対しまして、それぞれの趣旨や内容等についてわかりやすくお示しすることが重要だと認識をしております。

 このため、これらの地方債措置の具体的な対象事業でございますとか財政措置、活用事例等の詳細につきまして、「自治体施設・インフラの老朽化対策・防災対策のための地方債活用の手引き」として取りまとめまして、地方自治体にお示しをし、周知を徹底しているところでございます。

 今後とも、地方団体がこれらの個別の地方債措置を積極的に活用していただきまして必要な防災・減災対策が推進されますように、丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。

岡島委員 ぜひ、わかりやすく御説明いただけるような仕組みや御指示、御指導をいただきたいと思います。

 そうした中で、昨年のやはり十五号、十九号など、八月以降の、佐賀の大雨を入れれば八月以降になりますけれども、大きな台風とそして大雨による被災について振り返ってみますと、昨年の秋の十九号などでは多摩川の水位が急激に上昇したわけであります。多摩川というのは東京都と神奈川県に挟まれております。そうすると、多摩川の本流の水位が上昇したときに、どちらの都県とは言いませんけれども、自治体、県なり都によって対応措置にタイムラグが生じたり措置の仕方が違ったりすると、被害の状況が変わっているということがありました。水門を早く閉じた自治体と水門を閉じることがずれた自治体では、ずれた方に水が流れ込むというような実態がありました。

 そういった意味において、私、福島なども、阿武隈川とかも、宮城の方とか見てきましたけれども、やはり、国と、県が管理する、自治体が管理する河川との接合部分というか、つながっている部分などでは、自治体によって対応が違えば起こる現象が違うわけです。

 そういった意味において、知識とか経験とかを含めて自治体は持っていますけれども、国から見た自治体の対応とか、国の対応を含めると、やはり災害対策の、水位など河川のコントロール、これは国が主導してやるべきだというふうに考えるんですけれども、これは大きな方針として、大臣、お答えできれば、方針のことですのでお願いできますか。

 国が主導して、そういった災害時の河川などの水位コントロールなども国が積極的に自治体と連携してすべきだという指導が必要だと思いますがいかがでしょうかという、方針です。大臣、できれば。

高市国務大臣 これは内閣府の防災担当大臣が大きな方針をお示しになるべきことであろうと思いますけれども、今回、私どもでは、国土交通省、つまり国の方で対応できない都道府県や市町村の河川について、何とかふだんから維持管理ができるようにということで、ようやくこの緊急浚渫推進事業というものをつくったわけでございます。

 先ほど委員がおっしゃったような、水門を閉めるタイミングですとかそういった運用面につきましては、これは総務省の所管ではないとは思いますけれども、できるだけ、国土交通省、また総務省、内閣府防災、地方公共団体、連絡を密にしながら、的確な判断ができるようにしていくべきであると思っております。

 また、消防庁からも全国の消防本部に対しまして、特に消防団の方が危険にさらされるというような事例もありますので、適宜適切に情報提供もし、また助言もしているところでございます。

岡島委員 今大臣がまさにおっしゃったように、総務省の所管だけではなかったり、消防庁の所管でないという側面が災害現場にはあります。

 このしゅんせつ工事の事業、各種見ていますと、これを見ていると、じゃ、国土交通省の直轄の事業との関連、連関というか、あるいは、もっと言うと連携はどうできているのかということが、だから気になってしまうわけでありますが、そういった意味において、これは役人の方で結構ですけれども、先ほど私がわかりにくかったと言った数々の事業について、こういったものは他省庁、特に国土交通省などとの連携というのは図られてきていると思いますが、簡潔に状況、経過をお示しください。

内藤政府参考人 今御指摘ございました各種財政措置を講じるに当たりましては、関係省庁と十分な連携を図っているところでございます。

 例えば、今回の緊急浚渫推進事業につきましては、その制度設計に当たりまして、地方団体に対します事業量調査を国土交通省と共同で実施をいたしますとともに、緊急にしゅんせつが必要な基準につきましても国土交通省の意見を踏まえて作成しており、十分に連携を進めてきたところでございます。

 今後とも、緊密に連携してまいりたいと考えております。

岡島委員 きょうは国土交通省の方にも来ていただいていますので、そうした連携について、国土交通省の方からも、地方自治体あるいは総務省との連携等々、ほかの省庁との連携について一言お願いいたします。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の緊急浚渫推進事業の制度設計に当たりましても、また今後の運用に当たりましても、総務省さんの方と緊密な連携を図って対応してまいりたいと考えておりますが、特に、先ほど先生御指摘いただきましたように、河川の場合には、水が、どこか一カ所だけじゃなくてほかのところに必ず影響が出るということでございますので、今回のしゅんせつ事業の実施によって影響が出る上下流あるいは対岸といったようなところでの事業との調整がきちんとされているかといったようなことについての確認も、私どもの方でしっかりさせていただきたいと考えてございます。

岡島委員 よろしくお願いします。

 それでは、次は、総務省がアドバルーンを上げて、国民も大きな期待を寄せている5Gについてお伺いしたいと思っています。

 5Gインフラなど最新の移動通信システムの開発や導入は、国家にとって本当に大きな、基幹インフラそのものだと私も認識しております。

 そうした中では、やはり、過去の基地局の整備だとか3Gとか4Gとか、そういったものの課題をいかに克服していくのかということを含めて、早期に進めるべきだと私は考えていますが、重要インフラである通信が、昔は、私が子供のころは無線じゃなくて有線でしたし、有線からだんだん無線に移っていく、シフトするという経緯をたどってくるわけです。

 移動通信システムというのは、三十年間のうちに、過去を振り返っても、第一からずっと来て第四世代まで進化してきたという経緯があると思います。さらに、今度、第五世代のより高度なシステムというふうになるわけで、5Gが登場して、これが二〇二〇年代中には全国に行き渡るだろうという計画だと聞いております。

 そういったものを築くに当たっては、5Gとは何だろうということは、私たちもこの委員会で勉強させてもらったりしてある程度知っていますが、国民の視線に立つと、いま一度復習という意味で、これは役人の方で結構なんですけれども、今の4Gと比べてどのような違いがあるのかということを一言お願いしたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 第五世代の携帯電話システム、いわゆる5Gでございますけれども、大きく分けて三つの特徴がございます。まず一つ目が超高速という特徴、二点目として超低遅延という特徴、三つ目として多数同時接続という特徴がございます。

 4Gとの比較で申し上げますと、超高速につきましては、現行4Gの百倍のスピード、また、超低遅延につきましては、4Gの十倍の精度、また、多数同時接続につきましては、現行4Gについては数個の機器が接続可能であるというものに対しまして、5Gでは約百個の機器が同時に接続できる、こういった特徴があるわけでございます。

岡島委員 それが一〇〇%機能すればすばらしい機能で、まさに社会にとって必要な基幹インフラと私も思います。

 私は、きょうは基本的に、災害を主に、私の向き合っている、課題として活動している者として、災害時におけるという意味において質問させていただきたいのですが、毎年のように台風や豪雨がこれだけ来ています。そういった中で5Gの今説明いただいたような機能を発揮できるかどうかということが実は大事になってくる。そういった意味では、耐災害性の強化というか、そういったものが実は大きな課題だろうと思うわけであります。

 この前というか、去年ですか、台風の十五号、十九号のときも、あのときも、普通、子供のころ、テレビを見てニュースを見る、情報をとるというのがありましたけれども、今はもう携帯電話でチェックする人がかなり多いわけです。まさにこれが情報インフラの根幹に既になっているんですよ、実は。5Gが基幹インフラというよりは、携帯電話に象徴される移動通信システムが既に情報入手の基幹的なインフラですね、日本国民にとって。

 そんな中では、昨年の台風のときに、4G、3Gでさえも、実は携帯電話がつながらなくなった地域が多々ありました。私はすぐに、十四日の未明から活動しましたけれども、南房総、鋸南町に向かったら、入れなかったりするけれども、鋸南町に近づくにつれて電話が通じません。これは会社の名前を言うわけにはいきませんけれども、A社のは、僕のはつながらなかった。N社はつながるわけですね、つながります。あります。だけれども、人によっては、一社しか携帯を持っていない人は、それはつながらないわけですね。だから、そういった意味において、耐災害性というものがどうなっているのかということがやはり気になるわけであります。

 そういった意味では、総務省は、昨年の台風十五号などの災害以降、あの台風十五号の停電、あるいは十九号、あるいはその前のさまざまな災害時におけるそういったもののつながらなかった検証とかそういったものをどのように進めてきているのか、その検証実績あるいは進捗状況などがあればお教え願いたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、携帯電話はもはやライフラインでございまして、国民の皆様にとって貴重な情報を得る非常に重要な手段だというふうに理解しております。

 先般の台風第十五号などに伴う停電によりまして、委員御指摘のとおり広範な通信障害が発生したことを踏まえまして、政府全体の検証チームや、それから総務省と通信事業者との連絡会におきまして、今回の通信障害の原因ですとか改善策の検証を行ってきたところでございます。

 こうした検証を踏まえまして、市町村役場などの重要拠点をカバーする携帯電話基地局の予備電源を用いて、少なくとも二十四時間にわたる停電対策を講じることを義務化するための制度化を本年六月末までを目途に行うことを含め、具体的な検討を行っているところでございます。

 5Gにつきましては、ことしの春から商用サービスが開始をされるわけでございますけれども、5Gにつきましても、引き続き、予備電源を用いて携帯電話基地局の停電対策を強化すること、予備回線を設置して複数の経路を確保すること、また、通信設備について複数の地域に分散して設置することなどを徹底することを通じまして、災害等における5Gネットワークの強靱化に努めてまいりたいと考えております。

岡島委員 5Gのシステムを全国に広めるためには、当然、基地局をふやさなければならない。5Gの特性ということでいえば、これは指向性は更に厳しくなるでしょうし、伝わる電波の力は同じ出力では弱いでしょうし等々、基地局の建設という意味では、これまでの基地局よりは多分間隔が狭まってつくらなきゃいけないとか、あるいは、多分将来的には出力を上げなければ6Gという話にならないかもしれないし、そういうものを含めて、5Gの基地局建設について、どういった点について皆さんが細かく留意していっているのか。

 つまり、これまでよりは基地局が多分ふえなきゃいけないと思うんですよね、間隔も狭めて。今までのを使って再建築できるところもあるでしょうし、新たな場所で基地間の距離を縮めなきゃいけないところも出るでしょうし、そういった意味での細かいケアを皆さんはどうしているのかをお聞かせ願いたい、今後の建設の上で。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、5Gにおきましては、これまでよりも高い周波数を使用しております。その結果、現行の4Gなどの周波数と比べて大容量の通信が可能である一方で、電波の飛距離が短く、エリアカバーのためには、より多くの基地局を整備する必要があるということでございます。

 このため、5Gにおきましては、周波数の割当ての際に、携帯電話事業者に対しまして、都市、地方の別を問わずあまねく整備を促進するため、十キロメートル四方のメッシュ、これは全国四千五百ございますけれども、五年以内に五〇%以上のメッシュで5Gの高度特定基地局を整備することなどを義務づけているところでございます。

 総務省としては、こうした取組を通じて、各携帯電話事業者による早期でかつ広範な5Gの全国展開を促してまいりたいと考えてございます。

岡島委員 そういったことを進めるに当たって、新しいライフラインであったり基幹インフラとなり得る5Gですが、ほかの民間企業なども参入するかもしれないし、その利用に当たっては。そういった中で本数もふやさなきゃいけない。

 しかし、これは、条件不利地域、つまり、そういったもの、基地局の設置がなかなか簡単にいかないとか、電波がなかなか届きにくい地域というのは、3G、4Gでも実は、数字上九九%、人口をカバーしていますといっても、つまり一〇〇じゃないわけでありまして、結果、そういった状況を考えると、条件不利地域のことを、やはり採算だけでは国民を守れないということがさまざまな分野でもわかっているわけですから、そういった意味では、条件不利地域での基地局の建設などについては、これは総務省の資料にも言葉はありますが、インフラシェアリングとか、携帯会社が、企業が共同で開発、開発というか敷地を共有したり基地局を建設したりということを進めた方が費用対効果が高いと思うんですね。

 そういったことは、企業同士というよりは国が、条件不利地域というのは携帯が通じにくい地域にもなるわけで、住民にとっては。そういった対策という意味において、国が積極的にそういったインフラシェアリングなどをリードしていくという意味での積極的関与が必要だと思いますが、それはいかがでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、条件不利地域で効率的にインフラ整備を進めていく上で、設備の共用、いわゆるインフラシェアリングによる取組は極めて重要だと考えております。

 このため、総務省におきましては、このインフラシェアリングの活用によるインフラ整備を推進する観点から、平成三十年十二月にガイドラインを策定をいたしまして、電気通信事業法や電波法といった関係法令の適用関係について明確化を図ったところでございます。

 これを受ける形で、携帯電話事業者共同での基地局整備については、既に携帯電話事業者などにより共同で基地局などの整備を行う動きが出てきているところでございます。

 また、こうした動きを総務省としても加速すべく、5G基地局の共用技術に関する研究開発に来年度から取り組むこととしておりまして、来年度当初予算で七・九億円を計上しているところでございます。

 今後とも、5Gインフラの全国的な早期展開を推進するため、インフラシェアリングを含む携帯電話事業者などの取組を後押しできるように、私どもとしても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

岡島委員 そうした事業を展開していって、これは、平時ならそれがうまくいけばいいなで済むんですが、我が国は、災害がいつ起きるともわからないということをある意味想定した国家の運営とか社会生活が必要な国であります。そういった意味において、万が一、さまざまな地域、あらゆる地域で災害が起きた場合に、基地局を建設しても壊れるかもしれないし、さまざまに移動通信システムに障害が出るだろうと思います。

 そういった意味において、例えば、テレビ局など放送について言えば、総務省の資料によれば、過疎地などの地理的に条件が不利な地域において公共団体が整備しているんですけれども、無線通信事業者が高度化設備など整備するために、今おっしゃった、その事業費の一部を補助する携帯電話のエリア整備事業、十五・一億円ですか、来年度計上しておられると思います。

 また、災害時などを考えて、放送については、テレビ局などの放送、ラジオとかについては、大規模災害時における中継局からの放送はやはり継続しなきゃいかぬというときのために、テレビやラジオの中継局などが、まさに基地局的なものですね、災害の被害に遭った場合、その耐災害性を強化するためには、費用の一部を補助する地上基幹放送などに関する耐災害性強化支援事業として一・六億円を来年度予算に計上しておられると思います。

 今、私、思うのは、放送による情報の入手とか放送による国民への情報提供と、携帯電話などの通信システムを利用して、いわゆるこれまでの大メディアの放送じゃない、携帯電話による、放送も参入し出しましたけれども、いずれにしても、そういったものの災害時における支援というものも考えておかなきゃいけないんじゃないか。

 放送は電波使用料から算出して支援するんでしょうけれども、しかし、やはり、ライフラインの一つ、基幹インフラという方針の中で、災害時にもし通信システムの基地局なりに問題があった場合にどうするのかという財政措置は考えておく必要があると私は考えます。

 これは、方針だけ、もし大臣、方針としてそういったことに何かお考えがあれば一言お聞かせ願えればと思いますが、無理であれば参考人でもいいですよ。

高市国務大臣 重要インフラとなる5G基地局は、地上基幹放送と同様に耐災害性強化を図るということは極めて重要でございます。

 この強化につきましては、これまで、総務省令に基づいて、必要とされる停電対策などについて通信事業者の取組を促進してまいりました。引き続き、通信事業者みずからの取組を促してまいります。

 これらの取組に対する政策支援のあり方については、これは必要に応じて検討させていただくということにさせてください。

岡島委員 今や、携帯などの情報を得るための移動システムは、電波、これまでの放送と同等あるいはそれ以上に災害時には有効な手段であり、国民が頼る命綱にも私は例えてもおかしくないと思っていますので、それに対する災害時の万全の対応は大臣の方針としてぜひお持ちいただきたいし、総務省は準備はしていただきたいというお願いであります。

 そういった中で、私が心配していることは、5Gの関連でいいますと、これは、みんな5Gを持っていれば、総務省の描いているような、情報が早く大量に渡る社会ができますよね。しかし、国会の院内を歩いていても、昔のガラ携的な形をしたもので、中身は3Gなのか4Gか知りませんが、持っている人もたくさんいるし、あるいは、地方に行くと、おじいちゃま、おばあちゃまは使いなれた携帯電話を手放せない、なれているのがいいという方もいらっしゃるし。つまり、5Gがきちんと行き渡るかどうかというのはとても大きな問題なわけです。

 そうすると、私が心配するのは、社会のシステムとしての通信のシステムがどんどんどんどん進化する、しかし一方で、古いものとかこれまでのものが手放せないという状況が十年ぐらい、行き渡るまでかかる間に、この過渡期にもし何かあったときに、情報格差社会がつまり災害においてこの前、起きたんですね。鋸南町でも、私の住んでいる市原市の、養老渓谷の中の方ですね、中部、これは情報が来なくなっちゃうわけです。上げられなくなっちゃった。そういったことが5Gで解消できればいいなと私は思っていますけれども、それはやはり使う側が5Gを使っていなきゃできないわけですからね。そういった意味での情報格差というのが起きないようにしていただきたいし、したいと私も思っているわけです。

 その中で、必要なことの中で、総務省のいろいろな仕組みを見てみると、Lアラートというのがありますけれども、これは、皆さんのシステムとして、自治体が情報を上げたら、それがLアラートとしてマスコミなどに伝わって情報として流されるという仕組みなんだろうと思うんですけれども、そういったものが台風十五号、十九号のときに十分機能していたのかなと実は感じる場面が多くありました。

 ほとんど情報が、電話もつながらない、それからテレビも電気が来ない、見れない、そういう状況とか、例えば鋸南町の町長さんは言っていましたね、四日も五日も、県庁の対応もありましたけれども、情報が上がらないと。上がらなければLアラートも発せられないだろうと思ったわけですけれども、基本的に、台風十五号、十九号を例えば例にとれば、Lアラートは本当に機能して、マスコミなどを通じて自治体の被災状況を伝えることはできたのか、反省点はなかったのかについて、簡潔にお答えください。

秋本政府参考人 委員からLアラートについてお尋ねをいただきました。

 このLアラートは、地方公共団体などから発信される避難勧告などの情報を放送局など多様なメディアに一斉に配信する共通基盤でございまして、一般財団法人マルチメディア振興センターの方で運営がなされております。

 平成二十三年から全国普及に取り組んでまいりまして、昨年、平成三十一年四月からは全国四十七都道府県からの情報発信体制が整備されているところでございます。これによりまして、放送メディアのみならず、ネットメディアに対しましても配信が行われる体制が整っております。(岡島委員「十五号、十九号でどうだったかということだけでいいんです」と呼ぶ)はい。

 十五号、十九号のときどうだったかという点につきましては、まず、令和元年十五号、房総半島台風の際には、九月六日から十日までの五日間の間に都道府県などから五千百五十一件の情報発信がございました。これによりまして、放送局の本放送に加えて、速報スーパーやL字型のデータ放送、ホームページでの伝達、さらにネットメディアへの情報伝達が行われているところでございます。

 また、昨年、令和元年の台風十九号、東日本台風におきましては、十月十日から十六日までの間、一週間の間に、都道府県などから二万二千八百五十六件の情報発信がございまして、やはり放送メディア、通信メディア、ネットメディアへの配信が行われているところでございます。

 ただ、その発信の主体について見てまいりますと、県ごとに、多い県もあれば、まだまだそれほどの、発信件数が少ない県もございまして、その発信に習熟していただくということも今後の課題になってこようかと思っております。

岡島委員 ぜひ、そのシステムは幾ら先進的であっても、習熟度や、あるいは運用に対するふだんのケアがなければ十分な機能を果たせないと思います。十五号、十九号を振り返って、その点についてケアしていただきたい。

 あと一点だけ。質問時間がもう来ているんですけれども、一つだけ。

 台風十五号のときに、私、千葉県なものですから、千葉県の対応が遅かった、森田県知事が家に行っているからだめだったんだとかいう話でよく話が来ていたんですけれども……

大口委員長 岡島君、時間が来ています。

岡島委員 知事だけの責任じゃないと思うんですよね、森田知事の。森田知事がそういう対応が苦手だとすれば、どうカバーするかが大事で、そのときに、副知事などは総務省から行っているわけですよね。そうすると、総務省は、森田さんがちょっと十分機能を果たし切れないとしたら、副知事まで出しているんだから……(発言する者あり)いやいや、大事なことなんです。

大口委員長 時間が来ていますので、これで終わっていただきたいと思います。

岡島委員 そういったものもぜひ統括して管轄してほしいということをお願いします。

 済みません、以上で終わります。

大口委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 共同会派、社民党吉川です。

 きょうは、地方税、交付税の質疑ということでありますが、まず冒頭、私からも、新型コロナウイルスに関連して何点か、厚労省そして大臣にお聞きをしたいというふうに思っております。

 去年の九月に、厚生労働省は、四百二十四の公的病院のリストを突然明らかにして、再編、統廃合の検討が必要だと。これは、私の地元にも対象となった病院がございまして、地元では、困惑、不安の声が大変広がっております。

 その後、ことしに入ってリストが修正、七つ減らして二十程度を追加をされた。減ったものは明らかにしておりますけれども、新たにつけ加えられた二十程度の医療機関についてはその名前が公表されていないということで、一体どこなんだと、これもまた不安をかき立てております。

 この一月、たしか十七日だったと思いますが、リストの修正を行った上で、今年度末、つまり三月末までに再検証し、そして、ことしの秋までに再編統合について結論といいますか、そういうものを求めるというようなことも報じられております。

 一方、厚生労働省は、感染症指定医療機関を指定しております。全部で三つのカテゴリーに分かれておりまして、特定、それから第一種、第二種、こういうふうなカテゴリーで指定医療機関を指定しております。

 まずお聞きしたいのは、この指定医療機関のうち、感染症病床、結核病床、一般又は精神病床、第二種ではこの三つの病床のカテゴリーに分かれておりますが、このそれぞれの病床ごとですけれども、この指定医療機関で、昨年そしてことしの一月、リストの修正後に指定をされた医療機関が幾つあって、また、今言った、第二種は三つに分かれておりますので、この三つのカテゴリーごとに幾つの床がその対象となっているのか、この点をまずお聞きしたいと思います。

小島大臣政務官 お答え申し上げます。

 厚生労働省のホームページで公開しております、平成三十一年四月一日現在の「感染症指定医療機関の指定状況」で掲載している特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関及び第二種感染症指定医療機関は、五百五十一施設五千八百五床であります。

 このうち、現時点で公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証の対象となった医療機関は、五十三施設七百六十七床であります。そのうち、感染症病床は、二十六施設百六床保有されております。

吉川(元)委員 七百七十六、これは、いわゆる感染症病床、それから結核病床、一般又は精神病床、全て合計したものということでよろしいですよね。(小島大臣政務官「はい」と呼ぶ)はい。

 それでは次に、つまり、感染症というのは一類から五類か六類ぐらいまでいろいろ、エボラ出血熱から始まって、鳥インフルエンザやあるいは新型インフルエンザ等々、こういうものにかかった場合にこうした病床に入っていくということになるんだろうと思いますが、また結核病床の場合は結核ということになろうと思いますが、通常は、そうした対象者がいない場合には、いわゆる空きベッドといいますか、何か起こったときに常に対応できるようにベッドをあけてあるという認識でよろしいでしょうか。

小島大臣政務官 委員御指摘の感染症指定病床は、感染症の患者などの入院のためのものでありまして、感染症の患者などが入院しているとき以外は、原則として空床にしておくことになっております。

吉川(元)委員 それでは、次に伺いますが、今回、新型コロナウイルス、連日さまざまな報道がされておりまして、先ほども同僚議員からも質問がございましたけれども、全国的な広がりを見せ始めている。また、市内の感染、いわゆる感染経路がはっきりわからない感染も、けさニュースを見ておりますと、北海道の方で明らかになったというお話であります。

 そういう意味でいいますと、全国各地どこで何が起こるかというのは、これから、しっかり厚生労働省としても対応していただきたいと思うんですが、当然、この新型コロナに感染、あるいは感染の疑いのある方についてこうした病床を利用すること、これは可能だというふうに考えてよろしいんでしょうか。

小島大臣政務官 新型コロナウイルス感染症は、二月一日に施行されました政令改正によりまして、感染症法における指定感染症となっております。このため、患者につきましては、原則として感染症病床に入院することになります。

吉川(元)委員 そうしますと、今回、どの地域で起こるのかもうわからない状況の中で、こうした地域の公的病院が持つ、この感染症指定病院、もちろん今回の厚生労働省がつくった再編統合のリストに漏れている病院もたくさん、そっちの方が多いというのは事実でありますけれども、他方で、今、最初におっしゃられたとおり、五十三の医療機関と七百床を超える、七百七十六床、これがいわゆる今回の再編統合の対象になっているというふうになります。

 そうしますと、これは再編統合ですから、全部なくすということではないというふうにおっしゃられるかもわかりませんけれども、なおかつこれは、通常、感染症の方が発生していない場合は、先ほど、原則として空きベッド、つまり、いつ何が起こっても対応できるように、リスクに対応できるような病床であります。これが地域ごとにあることによって、仮に何かが起こったときでも、そちらに入っていただく。そして、感染を拡大することを防ぐことができる。

 そういう病院、公的な病院を今回統合再編をしていく、三月末までに検証して、秋まで何とかしろと。これはやはりおかしいんじゃないかと思いますけれども、厚生労働省、いかがですか、このことについては。

小島大臣政務官 お答え申し上げます。

 今般、地域医療構想の実現に向けた取組を進めていく観点から、地域において、医療機関が今後の医療機能のあり方を考える際の材料としていただくために、公立・公的医療機関等の診療実績の分析結果をお示ししたところでございます。これは、将来、医療機関が担うべき役割やあり方を機械的に決めるものではなく、また、医療機関の廃止を求めているものでもございません。

 今回の分析は、一般病床の急性期機能に着目して行ったものでありまして、感染症病床で提供されている診療実績を分析したものではございません。したがって、感染症指定医療機関であっても再検証対象医療機関となったものでございます。

 ただし、地域で議論いただく際には、一般病床の急性期機能についての見直しを行うとともに、委員御指摘のような、感染症患者が発生した際に必要とされる医療体制の整備を行うことについても、地域の実情を踏まえながら議論を尽くしていただきたいと考えております。

吉川(元)委員 それは、今回のリストでは、感染症のことについて、それを見てやっていないというのは、それはそうだ、当たり前の話だと思います。急性期医療に関して着目してリストをつくったという話ですけれども、だけれども、同じ医療機関なんですよ。ですから、急性期医療だけ着目したとしても、そこには、今言った五十三医療機関については、少なくともこの五十三医療機関については、感染症の病床も持っている指定をされた機関なわけです。これは、一体のものとして、医療機関として存在をしているわけです。こっち側は見ていないからいいんだという話にはならないわけですよ。

 廃止を求めていないというふうにおっしゃいますけれども、今回のいわゆるリスト化をされて公表されたことの中で、将来、この病院はなくなっていくんじゃないか、そういうふうに不安が地域に広がっていますし、また、一部では、そこに勤める医師の皆さんが、将来、この病院はなくなるとすれば、今のうちに別の病院に移ろう、そういう動きもあるやに聞いております。

 だとするならば、今回のこのリスト、今回の新型コロナウイルス対策も含めて考えたときに、やはり地域における中核的な医療機関であるこうした公的病院について、この再編統合の考え方、これをもう一回、一から考え直す必要があります。

 一回リストはなしにするということでやらないと、今回、新型コロナウイルス、これが全国的に、非常に今問題が大きくなっておりますけれども、これから先も新たな未知の感染症が、外国発なのかわかりませんし、国内発なのかもわかりませんが、とにかく起こり得る、そういうリスクに我々は直面をしている。しかも、これだけ世界的に人の移動が活発に行われておりますから、世界のどこか遠くの国で起こったことでも、それは国内にその感染症が持ち込まれる可能性がある。そのときに、いや、もう実は公的病院、整理統合して、それを対応できる病院が、以前はあったんですけれども、もう今はありません、これじゃまずいと思うんですけれども、もう一回、この点どうですか。

小島大臣政務官 地域医療構想については、二〇一七年、一八年、ずっと実は各都道府県、第二次医療圏等議論をしてきた経緯があります。

 そういう中で先般発表したわけですけれども、基本的には、やはり県知事が中に入られて、決してこれは、なくすんじゃなくて、機能分担をしましょうということですから、そういうことも、感染症のことも含んで、これからしっかりと地域において、都道府県において議論していただきたいと考えております。

吉川(元)委員 まさに今、先ほどおっしゃられた地域医療構想、この中で、急性期医療に着目をしたというふうにおっしゃられました。その時点では感染症については着目をしていないわけです、簡単に言えば、逆の言い方をすれば。

 今回のこの新型コロナを通じて、感染症というもの、新たな感染症に対する医療ニーズというのは急速に高まっていくわけでありまして、だとすれば、感染症対策ということを観点に入れていない地域医療構想についてはもう一回一から練り直さないと、さっき言ったように、急性期医療だけに着目して、これだけで再編統合という話が進んでいけば、今言った感染症の部分が置き去りにされてしまう。

 その点、ぜひ厚生労働省の中で、うなずいていらっしゃいますけれども、御議論をしっかりもう一度していただいて、これはやはり一からやり直しだというつもりで御議論いただきたいというふうに思います。

 あわせて、大臣に伺います。

 今は公的病院ですけれども、その中核を担っているのは公立病院だというふうに思いますし、公立病院を所管する総務省、総務大臣として、まさに今の新型コロナ、感染が拡大を示し始めたこの状況、そして今後、新型の感染症が広がっていく、この中で、やはり公立病院が果たす役割、大変重要だというふうに思いますが、この点、いかがお考えですか。

高市国務大臣 感染症病床は、厚生労働省が定める指定・配置基準を踏まえて、都道府県知事が基準病床数を定めることとされております。きょうの吉川委員の質問を通じて、厚生労働省にもよく御理解をいただいたことであると感じております。

 また、公立病院は、これも厚生労働省の医療施設調査による数字ですが、感染症病床全体の約六割を占めておりますので、感染症医療においては非常に重要な役割を担っております。

 総務省としても、従前から、感染症病床の確保に要する経費に係る一般会計繰り出し金に対して特別交付税措置を講じております。

 今後、厚生労働省の方でもしっかり御検討いただくと同時に、各地域で地域医療構想調整会議において御議論が進んでいくと思いますので、ぜひとも、病院の役割、それから地域の実情、また住民の皆様のお気持ち、希望、こういったものに配慮しながら議論を進めていただきたいと思っております。

吉川(元)委員 ぜひ、厚生労働省そして総務省、地域の中核を担う公的な病院、公立病院含めて、感染症対策という観点からもしっかり検討いただきたいということをお願いをしたいと思います。

 ここで、小島政務官については、お忙しいと思いますので、御退席いただいて結構であります。

 続きまして、これもちょっとまた地方税、交付税とは少し趣旨、角度が違うのでありますが、地元の話でもありますし、大変地域の住民の皆さん不安に感じておられることでありますので、防衛省にきょうは来ていただいておりますけれども、何点か尋ねたいというふうに思います。

 私の地元、大分県、今現在、陸上自衛隊の日出生台演習場で、今月の十二日から二十一日までの予定で、沖縄の米海兵隊による実弾砲撃訓練が行われております。これは、九九年以降ですから、かなり長い期間、毎年ではありませんけれども行われております。

 大分県と地元の三市町が二〇一七年に、九州防衛局との間で、砲撃の終了時間については午後八時とする、こういう確認書を結んでおります。これは、この間の経過から、八時以降の砲撃についてはだめだよということについて、協定書と同じ重みを持っているというふうに聞いております。

 ところが、現在行われております日出生台での演習、連日のように午後八時以降の砲撃が繰り返され、住民の感情あるいは不安、そうしたものをかき立てているというのが今の現状であります。

 この地域、大変静かな地域であります。恐らく皆さんも御存じだと思いますが、温泉で有名な湯布院も入っている。大変静かな、夜になると星がきれいに見える、そういう地域でありますが、八時以降も砲撃がやまない。

 まず、防衛省にお聞きしますけれども、事前に、確認書に沿った訓練をするよう、米側と調整はきちんと行われていたのでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 日出生台演習場におきましては、従来、日出生台演習場管理規則により、二十一時までの射撃が認められています。

 他方、平成二十四年九月以降、関係自治体、大分県、由布市、九重町及び玖珠町からの要請に基づきまして、陸上自衛隊西部方面総監が冬季の射撃を二十時までに自粛したことを踏まえまして、九州防衛局と関係自治体との間で、在沖米海兵隊の訓練についても可能な限り射撃時間が短縮されるよう努めることが確認をされています。

 防衛省といたしましては、地元負担の軽減は重要であると考えております。これまで二回行われました事前の計画会議におきまして、米側に対して、可能な限り射撃を二十時までに完了するよう申し入れるとともに、日々行われております調整会議においても同様の申入れを行っております。

吉川(元)委員 可能な限りじゃなくて、これは協定書と同じ重みを持つ確認書を結んでいるわけです。可能な限りやめてくださいと言えば、可能な限り努力しましたけれどもできませんでしたという話になってしまうわけで、今回の、ちょっとけさの地元紙を見ますと、きのうの夜も十分間で三十発を超える砲撃が行われたというような、そういう記事も出ておりました。

 結果的には、この確認書が守られていない、あるいは、防衛省が、短縮、八時以降はやめてほしいということが守られていない。これについて米側にどのような抗議を行ったのか。

 これは、確認書の内容を無視するのであれば、約束がほごにされるわけですから、だとするならば、そもそも訓練自体できない、そういうふうに考えるんですけれども、この点、いかがですか。

青木政府参考人 米海兵隊によります二十時以降の射撃が確認された二月十四日以降、九州防衛局から米海兵隊現地責任者に、二十時までに射撃を完了するよう、二十時以降の射撃が行われた都度、申入れをしております。また、防衛省の担当部局からも、在日米軍司令部に対し、二十時までに射撃を完了するよう申し入れているところでございます。

 防衛省といたしましては、防衛省本省あるいは九州防衛局から、このように粘り強く、重ねて強く申し上げているところでございますけれども、引き続き、二十時から二十一時までの間の射撃につきましては、自粛するよう強く申入れをしていきたいと思っております。

吉川(元)委員 これは、今回は日出生台の話ですけれども、ほかの地域でも、米軍の訓練を受け入れた際に、いろいろな地元自治体と、防衛省といいますか、それぞれの、例えば九州であれば九州防衛局が約束をするわけです。こういう約束でやりますからこの訓練をさせてください。地元は望んでこの訓練を受け入れているわけじゃないんですよ。ある意味でいうと、苦渋の決断をしながらこの訓練を受け入れている。だけれども、最低この約束が守られるという前提で受け入れてきたわけです。

 ところが、約束が全く守られない、あるいは防衛省が守らせることができない。となれば、もともとの約束自体が守られないということであれば、訓練そのものを中止するしかないですよ。

 米側は、そもそも、確認書を遵守する、そういう考えはあるんでしょうか。その点についてどういうふうに聞いていますか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍の意思につきましては、防衛省の立場でお答えすることは困難でございますけれども、米側も、地元の懸念は理解しているが、訓練の目的を達成するために夜間演習はせざるを得ないと述べているほか、また、累次、先ほど申し上げましたように、当省からも申入れを行っておりますので、米側も地元負担の軽減は重要であると認識していると考えております。

 いずれにいたしましても、防衛省としては、今般米軍が当省の申入れに応じなかったということにつきましては、大変残念であると考えております。

 引き続き、地元の意向を踏まえまして、粘り強く調整を実施していきたいと思っております。

吉川(元)委員 いや、夜間の砲撃訓練が必要だということまで否定していないんですよ。

 ですから、地元との確認書の中では、八時までに終わってくれと。八時から夜間が始まるんじゃなくて、夜間はもうその前に始まっているんですよ。八時までは我慢しましょうという、その約束すら守らないし、守らせることができない。

 昨日、地元大分の、これは県の方だったと思いますけれども、九州防衛局のトップが来られたそうであります。自粛を強く県の方でも要請をしているわけですけれども、その中で、九州防衛局の局長が、その後の囲み取材の中で、本省とも相談しながらやっていきたいというふうに答えられているということですけれども、どういった相談がございましたか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 日々、地方防衛局と我々本省の地方協力局とでは連絡をとり合っておりますけれども、米側に対してどのような申入れをしたのか、その際の反応、その他連絡調整をしておるところでございます。

 また、今先生おっしゃいましたように、地元の自治体、広瀬知事を始め、九州防衛局に対しまして申入れがなされておりますので、そちらにつきまして、確認をしながら調整を行っているというところでございます。

吉川(元)委員 いや、九州防衛局の広瀬局長が、本省と相談して対応していきたいと。

 一般論として、訓練についていろんな調整をする、あるいは協議をする、あるいは情報を提供する、それはあるんでしょうけれども、今回の夜間の砲撃に関してどのような、九州防衛局から相談を受けているんですか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、九州防衛局から、二月十四日以降現地の部隊に申入れをしていたところでございますけれども、その状況も踏まえまして、現地での状況も確認した上で調整をいたしまして、本省の方から、十七日及び十八日に在日米軍司令部に対して、二十時までに射撃を完了するよう申入れをしております。

 これは米側に対しての状況でございますが、地元の意向につきましては、九州防衛局に伝えられた状況につきましては、本省の方でも確認をしながら対応を考えて検討しているという状況でございます。

吉川(元)委員 これも地元紙ですけれども、こんなふうに書かれているんですよ。国も制御できない状態になっている、米軍の行動について。これでは、苦渋の決断をして受け入れている地元の住民はやるせないですよ。国に言うしかない、防衛局に言うしかない。だけれども、それが米軍に伝わっても、伝えても、全く守られない。これではどうしようもないと思います。

 あわせて、これもちょっと、びっくりしたんですけれども、海兵隊員、今回派遣されている方、これが、演習場外でジョギングをしたいという旨の申出が行われて、九州防衛局が外出を認めたと。

 本来は、演習地、指定された地域から外に出ないという約束で今回のこれを受け入れているわけですよね、この演習、訓練について。ところが、外に出てジョギングをしたいというふうな要望があった。もちろん人間ですから、ジョギングをしたいということもあろうかと思います。しかも、敷地の外に出たい、指定された区域以外に出たいといったときに、これを認めるのは、認めたということなんですけれども、本来であれば職員も同行すべきなのではないかというふうに思いますが、この必要なしということで、ある意味でいうと、海兵隊の隊員が、本来ここには来ませんよというところをジョギングをされていたと。この判断は妥当なんですか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 訓練期間中に沖縄等から部隊が来ておるところでございますけれども、少なからず、基本的には部隊、演習場の中にいるということになっていると思いますが、必要に応じ外出するということはあるというふうに認識しております。

 その際、我々といたしましても、具体的な状況を踏まえながら個別に対応しているということでございます。

吉川(元)委員 やはり、地元の不安にきちんと応える、その立場に立っていろんな対応をしていただくということをまず基本に置いてもらいたいというふうに思います。

 本来所管外ということで、総務大臣にお聞きするのもあれですけれども、結局、米海兵隊が大分に入って以降、離県するまでの間、万が一の事態に備えて、演習場周辺の小中学生というのは、タクシーでの登下校を余儀なくされております。また、地元の集落では、この演習、訓練に伴って地元から転出をしていく住民も多くて、地域のコミュニティーの存続にも暗い影を落としている、こういう指摘もされております。

 これだけの負担を強いられながらも、地元はこの訓練を受け入れてまいりました。にもかかわらず、約束が守られない、いとも簡単に破られる。これは当然、約束してくださいということを言うのは、県や、あるいはさっきの三市町、地元自治体なわけです。これが九州防衛局に行って、当然、国と地方は対等でありますし、訓練を受け入れる以上、約束をするということでいえば、その約束がきちんと誠実に履行されていない、これはやはり、地方自治にも大きく影響してくる。

 国がやったことについて、自治体と約束したことを守ることができない、これは大きな問題だと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

高市国務大臣 対米軍ということでいいますと、これは防衛省が、今対応されているという説明がございましたけれども、ただ、住民の皆様の安心を確保するということ、これは非常に重要なことでございます。

 ぜひとも、防衛省におかれましては、地方公共団体及び住民の皆様に対して、もっと丁寧に対応していただきたいということを希望いたしますし、この場をおかりしてお願い申し上げます。

吉川(元)委員 ぜひ、防衛省の皆さん、今大臣もおっしゃられましたけれども、本省に戻って、しっかりと対応を考えていただきたいというふうに思います。

 それでは、いよいよ本題の方に入っていきたいというふうに思います。余り時間がありませんので、質問の順番を少し変えて質問させていただきます。

 まず、今回の森林環境譲与税について尋ねたいというふうに思います。

 防衛省の皆さん、御退席いただいて結構であります。

 森林整備の促進のために、交付税特会からの財源借入れをやめて、今回、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金、これを活用して、地方への譲与額を前倒しで増額することが予定をされております。

 私の地元も毎年のように大きな災害が発生をして、また、山が崩れて、そこから木が流れて、それが川の桟橋等々にかかって、そしてそこから水があふれ出る、こういう災害も多発をしております。そういう観点から、森林整備の財源を手厚く確保していくこと、これに異論はございません。

 ただ、今回のやり方、スキームですけれども、地方公共団体金融機構の金利変動準備金、これを使ってやる、譲与税として。

 譲与税というのは、本来、国が集めたお金を譲与するというのが譲与税でありますけれども、これはもともと地方公共団体のものでありまして、これを譲与税として使うという、これは果たしてどうなのかと。そういうことについては非常に疑問に思いますし、何かあると金利変動準備金を活用するということが再三にわたって行われております。

 そういう意味でいうと、これを活用する際の基準の明確化も必要なのではないか、そういうふうにも感じております。ただ、きょうは、もうその点についてはあえて問いません。

 きょうお聞きしたいのは、この譲与基準についてであります。

 現在、この譲与税については、人工林面積割、それから林業就業者割、それから人口割、この三つで分割をされております。そのうち人口割が今三割、三〇%ということでありますけれども、この人口割三割ということになりますと、これは以前もただしたことがあるんですが、譲与額のトップは横浜市で、三億円超というふうに聞いております。三位が大阪市、八位は名古屋市ということで、林業費の支出ゼロの自治体、大都市が名前を連ねます。これはなぜかというと、今言った人口割、これが三割を占めている。そのことからすると、当然、人口の大きな大都市にもお金が回っていく。

 森林環境譲与税に関する法律の第一条というのは、森林の有する公益的機能の維持促進を目的にしております。この趣旨からいうと、もちろん都市部においても何らかの、以前聞いたときにも、いわゆる国産材需要を喚起するためとか、いろんな理由があるというふうな答弁をいただきましたけれども、しかし、これだけ全国で災害が多発をして、また、森林が非常に今荒廃をしている、その対策を打つための、いわゆる森林を持つ地方の、小規模な自治体を含めて財源が非常に苦しいということを考えると、第一条の目的、趣旨に従えば、人口割の配分を低くして、そして林業需要の高い自治体に譲与額を増大させることが必要なのではないかというふうに考えますけれども、この点、いかがお考えでしょうか。

高市国務大臣 森林環境譲与税の譲与基準につきましては、法律上の使途と相関が高い指標として定めております。

 法律上の使途に森林の整備というものが入っておりますので、私有林人工林面積五割、それから、法律上の使途として人材の育成及び確保ということで、林業就業者数二割、普及啓発、木材利用ということで、今御指摘の人口三割ということになっております。

 この割合につきましては、木材利用を促進することによる間伐材の需要の増加が重要であるということと、都市部の住民の皆様を含めて、国民全体の森林環境税への理解が必要であるということなどを総合的に勘案して、まずは木材利用の促進や普及啓発に相関する人口を三割に設定しました。

 ただ、譲与基準の見直しにつきましては、これは、昨年の三月に衆参の総務委員会でも附帯決議をいただいております。森林環境譲与税を財源とした各地方団体の森林整備の取組や施策の実施状況を見きわめて検討してまいりたいと存じます。

吉川(元)委員 今三つの、面積、林業就業者、それから人口ということですけれども、ぜひこの中に林業費を、今実際に自治体でやっている林業費、これもその中にぜひ加えていただいて、そしてこの人口割を少し減らしていただかないと、資料をいろいろ見させていただくと、これで来るお金が年間五万五千円というところも、小規模の自治体であればあるわけです。林業費はそれなりに支出をしている。その自治体からすると、せっかく森林環境譲与税ができたとしても、これによって譲与される税額が年間五万五千円だったら、ほぼ何も、これによってすることは、もちろん何もできないとまでは言いませんけれども、ほぼ何もできない。例えば一回どこかに出張すればそれで消えてしまう、そういう状況ですから、この点ぜひ検討いただきたいというふうに考えます。

 また、基礎自治体の林務担当者、これは先ほどの技術職のお話でもありましたけれども、非常に確保が難しい状況でありますし、林務担当者の育成やあるいは確保についても国の責任で進めていただきたい。

 そして、林業労働者そのものの、これは総務省の所管というよりも農林水産省、林野庁の所管ということになるかと思いますが、林業労働者の育成のためにも、林業従事者の賃金あるいは労働安全対策などについても力を注いでいただきたいということをお願いとして、しておきたいと思います。

 次に、これもちょっと時間がもう余りないので、会計年度任用職員について伺います。

 昨年の十二月二十日以降、今回の会計年度任用職員について、留意事項、そしてことしに入ってからは、二回にわたって、制度についてのQアンドA、これを追加して発出をされております。この通知やQアンドAを追加をして、かなり手厚くといいますか、丁寧に通知あるいは周知が行われているわけですけれども、聞くところでは、自治体の中では、この制度の趣旨にそぐわない、そうした例が起こりかけているというような話も報道等では伺っております。

 今回の、わざわざ通知やQアンドAを追加で出したのは、この制度の趣旨にそぐわない例が起こる可能性が非常に高い、あるいは既に起こっている、そういう認識でいらっしゃるんでしょうか。

大村政府参考人 お答えいたします。

 昨年十二月に発出した通知、そして一月に行った質疑応答の追加、御指摘のとおりでございますが、こういったものにつきましては、昨年末の地方財政措置の対策を経まして、また、本年四月からの制度施行に向けた準備の最終段階になってまいりましたので、地方公共団体から寄せられた問合せなどを踏まえて、改めて円滑な施行に向けた留意事項を通知した、こういった趣旨でございます。

 その中でも特に、先ほど御指摘があった、単に財政上の制約のみを理由とした、合理的理由なく短い勤務時間を設定し、フルタイムでの任用について抑制を図ることですとか、新たに期末手当を支給する一方で給料や報酬について抑制を図ることは、制度の趣旨に沿わないものであることを改めて指摘して、適切に対応していただくように要請をしているところでございます。

吉川(元)委員 これは報道ですけれども、見ておりますと、期末手当を支給する一方で月額の給与や報酬を抑制、あるいはフルタイムからパートタイムへの転換、さらには外部委託にしてしまう、こういうことが散見されるというようなことを報じられております。

 こうしたものが出てきた場合、これは趣旨とは違うわけですから、当該自治体に対して総務省としてはどのように対応されますか。

高市国務大臣 そういうことを懸念したものですから、事務処理マニュアルや助言通知を発出し、また各種の説明会も開催して、各地方公共団体に周知するとともに、ヒアリングを通じて個別に助言もしてまいりました。

 仮に委員御指摘のような状況が起こらないとも限らないわけでございますので、制度導入後の取組状況についてもフォローアップ調査を実施して、適正な任用、勤務条件の確保が図られますように取り組んでまいります。

吉川(元)委員 ぜひ、趣旨を逸脱することがないように、総務省としても万全を期していただきたいと思います。

 時間が参りましたので、以上で終わります。

大口委員長 次に、山花郁夫君。

山花委員 立国社共同会派の山花郁夫でございます。

 先ほど、同僚の岡島委員からは、台風の関係で千葉のお話がございました。今回、地方債計画で十九号の関係も入っておりますので、そのことを中心に質問をさせていただきたいと思います。

 私は、住まいが東京都調布市でございまして、昨年の十九号では、調布も浸水の被害がございました。お隣が狛江市で、狛江というのは、昔「岸辺のアルバム」というドラマで、ニュース映像でも、家が多摩川にそのまま流されていってしまう、あれが描かれたところなんです。

 かつてはそうやって水が非常に出たところなんですけれども、その後多摩川は、水害訴訟にもなったりとかして、護岸工事であるとか堤防の工事なども随分進みまして、ここのところは、大きな台風も何度か来ていたんですけれども、ちょっと私自身も不明を恥じますが、まあ、そうはいってもみたいな雰囲気が実際ありまして、自治体の方も、地域防災計画といっても、大体地震のことを中心に立てておりました。現に、調布市というのは、市政始まって以来初めて水があふれるかもしれないというので、避難勧告というのが出たということでございます。

 当委員会の先生方はいろんな地域から来られていますから、そういう経験もされていて、当たり前じゃないか、今さら何をというお叱りを受けるかもしれませんけれども、どうしても地震のときを中心に災害計画を立てていると、避難所も、近くに逃げなさい、公の施設に、小中学校だとか、こういうことになっているんですけれども、水が出るケースでは、当たり前ですけれども、近くに行くよりも高いところに逃げるのが適切なわけであります。

 こういったことから、今、自治体でもそれぞれ、今回、いろいろ検証して、ちょっとまずかったなということがいろいろあって、一例を挙げると、地域防災組織というのをやっているんですけれども、これも、今回何もしていなくて、何をしていたのと言ったら、いや、あれは地震のときの対策ですからと。こういうことだったりしたんですけれども、見直しが進んでいるところであります。

 それぞれ役割分担があって、先ほど県の話もありました、それぞれの市町村での役割もあると思いますが、今回、地方債の関係でも、総務省として、自治体の防災・減災対策の整備に対してバックアップするよという役割があると思いますけれども、大臣、ここのことについてちょっと簡単に御説明ください。

高市国務大臣 地方団体の防災・減災対策推進の観点から、これまでも緊急防災・減災事業債や緊急自然災害防止対策事業債などによる財政措置を講じてきております。

 特に、緊急防災・減災事業債については、令和二年度の地方債計画においても五千億円を計上し、緊急に実施する必要が高く、即効性のある防災、減災のための地方単独事業について、地方債充当率一〇〇%、元利償還金の交付税措置率七〇%の地方財政措置を講じることにしております。

 今委員から浸水被害のお話もございましたけれども、令和二年度からは、令和元年台風第十九号による大規模な浸水被害を踏まえまして、指定避難所や災害対策の拠点施設の浸水対策事業などを新たに対象とすることとしております。

山花委員 今のお話、御答弁の関係で、今からちょっと細かい話を聞きますので、事務方の方にお答えいただきたいと思います。

 今、指定避難所や災害対策の拠点施設の浸水対策がありますよというお話がありましたけれども、ちょっと具体的な中身について御説明いただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 指定避難所や災害対策の拠点施設の浸水対策事業等の内容でございますけれども、学校、公民館等の指定避難所、あるいは庁舎、消防署等の災害対策の拠点施設におけます、例えば電源設備が水につからないよう、そのかさ上げをいたしますとか上層階へ移設をするというようなこと、あるいは機械施設への止水板ですとか防水扉を設置するというようなこと、あるいは排水ポンプの整備などが考えられると考えております。

山花委員 今、お答えの中で、学校、公民館というような言い回しがございました。

 実際、自治体でこういう避難所ということになると、国のお金の出どころでいうと、本当にいろんなところがあります。厚生省からお金が出ているところ、小中学校だと文科省なのかなというようなところだとか、もちろん公民館なんかはそれぞれの自治体でやっているんでしょうけれども。

 そういう中で、今回、指定避難所として入っていれば小学校や中学校なども、学校で何か建てかえとか改修とかというお金になると、普通は文科省のお金なのかなという気が感覚的にするんですけれども、小学校とか中学校も入るということで、中身にもよりますけれども、それは確認させていただいてよろしいでしょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 指定避難所等について、避難者の生活環境の改善等のために地方単独事業として実施いたします施設整備につきましては、対象としております。

 このため、指定避難所でございます小中学校における施設整備も本事業債の対象でございます。

山花委員 この施設整備の内容なんですけれども、先ほど御説明があったのは、電気の関係だとか浸水しないようにとか、そういった具体的な事例がございました。今回、私も、この十九号の関係で、先ほど地元の自治体でも初めての避難勧告だったという話をしました。これで、実際にやってみて、先ほど申し上げたとおり、ほかの自治体ではそういう経験があるところはたくさんあるのかもしれませんけれども、自分も、ああ、そういうことなのかなと思ったことがあります。

 これは幾つかあって、今からちょっと例示しますけれども、必ずしもここで何とかしてくれという話ではないことも含めて申し上げますと、例えば、台風のときには物すごい、風と雨がすごかったものですから、窓も閉め切っていて、防災無線なんかも全然聞こえませんでしたというような話があるんですけれども、よくよく考えてみると、これは聾の方、耳が聞こえない方なんか、日常的にそういう状態にあるということも考えなければいけないのかなというふうに思いました。

 また、避難所は開設したんですけれども、中には、何にも、健常者という言い方が適切かどうか、特にハンディがない方については別に、行けばいいんでしょうけれども、ちょっとメンタルのハンディがある方で、やはり大勢の人のところに行くと過呼吸になっちゃうとか、そういう症状がある方も中にはいらっしゃるわけです。例えば体育館などだとちょっとなかなかそういう配慮は難しいのかなと思いますけれども、小学校なんかだと、教室をあけてあげれば対処できたのになとか、そういった教訓があったと思います。

 これは、それぞれの自治体でやはりいろいろ考えてもらうということだと思いますし、ちょっと当委員会で話す話じゃないかもしれないけれども、例えば学校の教室のことでいうと、学校の校長先生の了解が得られればあけられるんだけれども連絡体制ができていなかったとか、いろいろありました。

 その中で、これはさすがにちょっと総務委員会で議論させていただきたいなという話がありまして、といいますのも、先ほど、地震のときと風水害、台風のときとは違うんだよねという話をさせてもらいましたけれども、地震のときですと、近くに逃げる、家が壊れちゃっただの何だのということで、近くに行くというのが適切な行動だと思います。それは、時間的な余裕もないということもありますし。

 ただ、今回のケースですと、十九号のケースですと、もう前日から、来るぞ、来るぞという話がありました。それで自治体も、早目に逃げていただいた方がいいですよというアナウンスもしていました。そうすると、地震のときと違うことが起こりました。

 つまり、普通だと、逃げるのに手間がかかる人、時間がかかる人、つまり足が不自由だったりとか車椅子を使われている人が、むしろ、早目に移動しようということで、早目に避難所に行きます。ところが、現場でどういうことがあったかというと、別に調布に限ったことじゃないです、近隣でも聞いたんですけれども、学校とかでトイレが、車椅子用のものが、対応していないところがあって、非常に困ったと。

 今回のケースでいうと、これは不幸中の幸いなんですけれども、少なくとも、私が住んでいるような東京ですと、深夜にはもう台風が行きましたので、二時ぐらいには、帰っていいですよという話になりましたので、帰って用を足された、こういうことだと思うんですけれども、むしろ、早い時間から避難されて、ずっとそこにいて、トイレにも行けない、こういう状態だったわけで、これがもし一晩じゅうだったらどうだったんだろうと、後で考えるとちょっとおっかない話なんです。

 先ほどの整備の話に、ちょっと、私がいただいている書類で見る限りは、トイレの改修が入っていないのかなという気がするんですけれども、これについては、入るのか入らないのかということでいうと、どちらなんでしょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 この事業債の対象でございます施設整備でございますけれども、具体的には、指定避難所である小中学校について実施をいたします避難者の生活環境の改善のための空調設備の整備でございますとかトイレ改修、あるいは防災備蓄倉庫や非常用電源の整備等について、本事業債の活用が可能でございます。

 内閣府が定めております避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針で、指定避難所をバリアフリー化することが望ましいとされているところでございます。

 したがいまして、緊急防災・減災事業債につきましては、指定避難所における避難者の生活環境の改善のためのトイレ等のバリアフリー化も対象としているところでございます。

山花委員 それは入るということで一つ確認がとれたので、よかったのかなと思います。

 きょうは文科省にもお越しをいただいておりますけれども、こういう防災という観点からではなくて、日常、ノーマルな状態でも、学校などについての、今のトイレの話です、車椅子対応のということについて取組があるのかどうか、また、もし防災のという観点で特別な何か予算措置とかあるのかどうかということについてお答えいただきたいと思います。

笠原政府参考人 先生から、学校施設の多目的トイレの設置等のバリアフリー化推進についての御質問をいただきました。

 学校施設は、子供たちの学習、生活の場であるのみならず、その多くが災害時の避難所としての役割も果たすことから、避難所となる学校施設における多目的トイレの整備を含めたバリアフリー化の推進というのは重要というふうに認識してございます。

 文部科学省といたしましては、避難所となる学校施設におけるバリアフリー化に関しまして、従前よりバリアフリー化の重要性や整備における留意事項等について各種提言、指針等を取りまとめ、通知をするとともに、近年の災害からの教訓や自治体の取組に関する事例集をまとめるなどして周知をしてございます。

 さらに、国庫補助の観点でございますけれども、新築、増築、改築時はもとより、既存施設の改修時におきましても、多目的トイレの設置などのバリアフリー化の推進を図っているところでございます。

 今後とも、各地方公共団体の要望を踏まえまして、地域の実情に応じた取組が進められるようしっかりと取り組んでまいります。

山花委員 しっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、また、特に学校については、身体的な性と性自認が異なるようなケースですと、トイレのことが一つ課題になりますので、そのことも含めて取り組んでいただきたいということを申し上げて、文科省はこれで退席をしていただいて結構です。

 ぜひ頑張ってくださいねということで次に行くつもりだったんですけれども、大臣、ちょっとこれは考えていただきたいことがあるんです。

 というのも、役所的な説明はこれで非常にきれいなんですよ。なんだけれども、いや、別に答弁は求めませんので、場合によってはうなずいていただければ結構なんですけれども。

 つまり、総務省の話も、これは単独事業としてやるときにはお金が出ますよ、こういう話です。ということは、自治体がそのやる気があるかないかということにかかわります。今の文科省の話も、これは補助金ですから、補助金は当然申請主義ですので、これもある意味、申請するかどうかというのは自治体の判断です。

 先ほども自治の話が出ていました。住民自治とか団体自治とかということ、自分たちの特徴を出しましょうというのは、それは国が余り物を言うべきことじゃないと私は思いますし、あと、補助金なんかでも、例えば大雪のときに申請するとかしないとかという補助金があります。これは地域の特性ということになると思います。

 これ、通告した後にふっと思ったんだけれども、役所の説明的にはきれいにいくんだけれども、これは本当に、災害時の車椅子の方のトイレの話ですよ、自治体のそれぞれの特徴の話じゃないんじゃないか、これはナショナルミニマムとして確保しなきゃいけない話なんじゃないかというふうに思うわけです。

 車椅子の話というのは、別に障害者手帳を持っている人だけじゃなくて、我々だってあしたけがして車椅子に乗るかもしれないというときに、余り、何か自分のことだから真剣に考えるというのはよくないけれども、そういう、誰しもがそうなる可能性がある問題ですので。

 にわかにお答えを求めて、ちょっとディフェンシブな答えをされてもあれなので。いいですか。前向きなことを言っていただけるのであれば。手を挙げていただいてあれなんですけれども。もし検討しますということであればうなずいていただいてということで、御検討いただければと思うんですけれども。

 つまり、国の方で、こういうことについて、何か申請主義とか自治体のということじゃなくて、やはりナショナルミニマムとして確保すべき課題なんじゃないのというような問題意識を、これは大臣だけじゃなくて与党の先生方も、これは多分主義主張の話じゃないと思いますので、ぜひ御検討いただきたいということでございますが、よろしいですか。

高市国務大臣 もうバリアフリーの必要性については、内閣府を中心に発信もされており、多くの国民の皆さんにはむしろ浸透していると私は思っております。ただ、委員がおっしゃるとおり、地方自治体の長の考え方によりまして、その首長さんの考え方によりまして取組に差があるとか、それから、国がつくった政策に対するアンテナの高さが違うというのはあると思います。

 今、総務省からはできるだけ、新しい施策について皆さんに知っていただかなきゃ何にもなりませんので、発信をするようにしておりますが、委員のおっしゃるとおり、これはもうナショナルミニマムの一つと既になっているし、そうしていかなきゃいけないと思います。

 そういうことで、総務省の今回の起債の対象に加えた、トイレの改修も、しかも、そのバリアフリーを含めて加えたということでございます。

山花委員 ありがとうございます。

 なかなかこれも、いろんな役所のセクショナリズムがあって、この手の話になると厚労省じゃないのとか、建物によってはさっきの文科省じゃないのみたいな感じがあるものですから、ぜひ、我々政治の側でそういったことについて議論もリードしたいと思うし、きょう、それぞれの党派の方がいらっしゃると思いますけれども、御地元に帰られたときに学校のトイレなども見ていただきたいと思います。

 さて、ちょっと話はかわります。

 今回の台風の十九号によって河川が氾濫して、大規模な浸水被害等を考慮してということで、新たに緊急浚渫事業費というものが計上されていますけれども、ちょっとこのたてつけについてです。

 先日、大臣はこの趣旨説明で、地方財政法第五条の規定にかかわらずという発言をされておりますけれども、これはどういう意味なのかということについて御説明いただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地方財政法第五条におきましては、地方団体の財政運営の健全化を図る観点から、地方債の発行対象を公共施設等の建設事業等に限定をしております。

 このため、地方団体が維持管理として実施いたします河川等のしゅんせつにつきましては、建設事業に該当しないことから、地方債の発行対象外となっております。

 他方で、河川等のしゅんせつにつきましては、緊急に実施が必要な事業費が多額になるということが見込まれておりまして、地方団体がその全てを一般財源で対応することは困難な状況にございます。また、その防災・減災面での効果は将来世代にも及ぶと考えております。

 これらのことから、緊急かつ集中的に実施が必要な河川等のしゅんせつ事業の財源に地方債が活用できるよう、地方財政法の改正案を今国会に提出させていただいているところでございます。

山花委員 ただ、今少し説明で流れた感じがしますけれども、もともと河川のしゅんせつ、要するに、いろんなものがたまったりとかということで、詰まってはいけないというのは、もともと自治体の仕事ですから、本来であれば、それは基準財政需要額に組み込んで普通地方交付税で交付するというのが本来のあり方ではないかと思いますけれども、それをあえてこういった形にするというのは、同じ説明になっちゃうかもしれないですけれども、どういう理屈なんでしょう。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地方団体が維持管理として実施する河川等のしゅんせつに要する標準的な経費につきましては、これまでも単位費用によりまして普通交付税措置を講じておりまして、地方団体におきまして、通常の維持管理としての河川等のしゅんせつが実施されております。

 一方で、昨今の相次ぐ河川氾濫でございますとか水害等を踏まえまして、本年度、国土交通省等と連携をいたしまして、地方団体が緊急に実施する必要がある河川等のしゅんせつ事業について調査を実施いたしましたところ、必要な事業費が四千九百億円と極めて多額となることが明らかとなりました。

 このため、地方団体がこれらの緊急に実施する必要がある河川等のしゅんせつ事業に今後五年間で集中的に取り組むことができるよう、緊急浚渫推進事業費による特例的な地方債措置を講じた上で、しゅんせつ事業費に応じて交付税措置を講ずることとしたところでございます。

山花委員 ただ、今回のは、令和二年から六年度までの五年間に行われるというものでございますけれども、台風十九号に関して言うと、もうこれは気象庁を始めいろんなところが言っている話ですが、何でこんなに大きな災害になったのかというと、普通だったら上陸する前にもうちょっと勢力が弱まるべきところ、海面の温度が高かったものだから、勢力が弱まらないで入ってきたんだというようなことは、割と一般的に理解されていることだと思います。かつ、これが気候変動の影響じゃないのというようなことも多く指摘されているところであります。

 そうだとすると、これは十九号、もうこれだけの話よというようなたてつけが本当に適切なのかどうか。今後も起こり得る話ではないかと思いますけれども、ちょっと時間の関係でそういう問題提起だけさせていただいて、別にここでお答えいただいたからこの後どうなるということでもないような気がしますので、今後の議論に続けさせていただきたいと思います。

 さて、先ほど吉川委員からも、この台風で、要するに倒木などが流れてきてみたいなような話があったと思います。やはり、上流の方の環境、森林の環境整備などが非常に重要だと思うんですけれども、きょうは林野庁もお越しをいただいていますが、昨年の当委員会質疑でも、二十九年創設の地域林政アドバイザーについて質問をさせていただきました。

 それで、先ほど長尾委員の質疑の中でも、市町村の森林とか林業で、担当している職員が三千百四十九人というお答えがあったと思いますが、専ら林務を担当する職員というのがゼロから一人程度のところが市町村の三分の二を占めている、こういう状況であります。

 せっかく地域林政アドバイザーをつくっても、野球でいえば、コーチを一生懸命つくっても、プレーヤーがいなかったら機能しない、ゲームにならないわけでありまして、森林管理制度に基づく、市町村が主体となった森林整備を促進するというためには、国が責任を持って市町村の林務担当者の育成と確保ということを図ることが必要だと考えますけれども、いかがでしょうか。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 市町村が、森林環境譲与税を有効に活用し、主体的に森林整備を進めるためには、先生御指摘のとおり、その実行体制の整備が極めて重要だというふうに考えております。

 このため、農林水産省としても、市町村が林業技術者を地域林政アドバイザーとして雇用する取組の推進、それに加えまして、例えば、国の森林技術総合研究所、そこにおいて、市町村職員を対象とした実務研修の実施であるとか、さらには、市町村職員への指導助言を行えるような、そういう技術者を養成するような事業、さらには、国有林野事業をやっております、国有林の技術力とか組織力を生かして、現地検討会等を開催し、その場で市町村の皆さんに技術支援をしていく、そういう取組を進めております。さらに、税が始まりまして、いろんな先進的な事例も出てきております。そういうものも取りまとめ、事例の収集、共有、そういうことも進めております。

 こういった取組を進めるに当たりましては、昨年の四月から、林野庁の中に森林集積推進室、そういう新しい組織をつくりました。そういう推進室のメンバーが市町村等への助言を専門的かつ継続的に行うということをやっているところでございます。

 引き続き、都道府県とも連携を図りながら、市町村の体制整備を支援し、森林整備が円滑に進むように頑張っていきたいというふうに考えているところでございます。

山花委員 もう一問用意していたんですけれども、ちょっと時間の関係で、以上で結構でございますので、御退席いただいて結構でございます。

 今のように、結局、自治体の方の職員の関係もあります。確保するためには、やはり、それこそ、本当に必要な要員というのは、総務省としても、一人この分野に確保したからどこか削ってねみたいな話はやめていただきたいなということを申し上げておきたいと思います。

 きょうは国交省にもお越しいただいているんですが、これも私の地元の経験で恐縮ですけれども、実は、先ほど、狛江で水が出ましたという話をしました。

 狛江市には多摩川住宅という、これは住宅供給公社の建物なので、ちょっとここでの議論が適切かどうかというのはありますが、一般化して言うと、都道府県営住宅だとか市町村営住宅、それぞれの町にあると思います。廊下型、階段型とありますけれども、廊下型というのは、例えば、二〇一、二〇二、二〇三、二〇四と横につながっているやつですけれども、階段型というのは、二〇一、二〇二といって、二〇三はまた下におりていってというようなつくりのところが、大臣、副大臣のところにもあるのではないかと思います。非常に高齢化が進んでいまして、若いうちは四階、五階、階段でも平気だったけれども、最近はエレベーターをつけてほしいわみたいな陳情があるんですが、廊下型のところと比べて階段型のところというのはエレベーターだと効率が悪いのでみたいな話がいろんなところで恐らくあると思います。

 これは何の話をしているのかというと、先ほど、水が出たときに、地震のときと水害のときとは違うよね、こういう話なんですけれども、地震のときは近くに逃げるのが適切なんですが、水が出るよという話は事前にわかっています。水が出てから車で動くのは危ないのでやめた方がいいと思いますけれども、あした来るよという話のときに遠くに逃げるというのは適切だと思います。

 今回、本当にこれはあった話なんだけれども、そういう高齢化が進んでいる地域です。先ほど言ったように、近くの小学校、公民館というのはかえって危ないのでもっと離れたところに逃げてください、こういう話です。ところが、お年寄りが多いので、とてもじゃないけれどもそんなところに行くの大変だわと。それで、終わった後、自治会の方々と最初は笑い話で言っていたんだけれども、いや、もうこれからは四階、五階の方とお友達になるしかないわねみたいな話をされていた。最初は僕も笑っていたんだけれども、考えてみると、それというのは適切な行動なんじゃないの、こう思うわけですよ。

 まあ、それは自助努力でやっていただくとして、きょう、国会の場ですので、それぞれの都道府県議会とか、それぞれでやってもらえばと思いますが、国交省に来ていただいたのは、URなんかでも結構空き部屋があるじゃないですか、上の方、できるだけお年寄りを下の方に住まわせたりとかしていて。恐らく、空き部屋というのは、次に入ってくるためのリフォームとかしたりとかなんとかでできるだけいじりたくないというのはわかるんだけれども、こういうときに、何か、別にずっといろというんじゃないですよ、一晩、例えば下の人が上にいるぐらいの工夫というのはあってもいいんじゃないかと思うんですけれども、国交省、いかがでしょうか。

小林政府参考人 お答えをいたします。

 災害時におきまして、UR、都市再生機構の賃貸住宅にお住まいの方の安全を確保することは大変重要だと私どもも認識をしております。

 このため、URでは、賃貸住宅に入居されている方のために、住まいのルールなどを記載した住まいのしおりをお渡しして、その中で災害時の注意点などを周知してございます。

 また、URの賃貸住宅にお住まいの方はもちろんなんですが、その地域の公共団体との間で協定を締結した場合には、地域の住民の方も含めて、建物の廊下、階段、エレベーターホールなどの共用部分を一時的な避難所として提供するということは取り組んできているところでございます。

 お尋ねの、発災時に上階の空き住戸を開放するということにつきましては、空き住戸の鍵をあけるUR職員が団地に常駐をしておりませんので、誰がいつ鍵をあけるのかということ、それから、解錠者の安全をどのように確保するかといった課題があることも事実でございます。

 こうした課題も踏まえまして、UR賃貸住宅にお住まいの方や地域住民の方の災害時における安全を確保するために、引き続きURと連携をして対応してまいります。

山花委員 技術的にいろいろ難しいことはわかりますよ。鍵をどうするんだとか、今言ったような話もありますけれども、ただ、本当に、台風が来ているときですからね。廊下等共用部分でいいですよなんという話はちょっと違うのかなと思いますので、何らかの形で検討していただければと。きょう、ここでこうしろというあれはありませんけれども、ということで、要望させていただきたいと思います。

 以上で結構です。

 最後に、大臣にお伺いしますけれども、事ほどさように、林野の話もありました。災害のときはいろんなことが起こります。

 私の近隣のことの経験でいうと、今、非常勤の職員が非常にふえていまして、別に非常勤の方を悪く言うつもりはないけれども、避難所に行ったんだけれども、なかなか責任を持った対応がちょっとねということがあったりとか、あと、そもそもで言うと、この間のケースで、計画運休がされたので、外から来ている職員の方、出勤といってもなかなか大変だったから、どうしても近くの非常勤の方ということがありました。

 ということで、防災とかの観点からすると、先ほども少し議論がありましたけれども、何となく、これまで公務員削減のトレンドがあって、役所の方に聞くと、いや、必要な部分は充てていいんですよと言うんだけれども、どうしても何か、充てる分、何か削らなきゃいけないんじゃないかみたいなマインドが少なくとも自治体にはあると思います。そういうことがあってはいけないと思うんですけれども、その点について、最後にお伺いしたいと思います。

大口委員長 高市総務大臣、時間が来ておりますので簡潔にお願いします。

高市国務大臣 確かに、地方公共団体の総職員数は減少基調で推移してきたんですが、最近の総職員数はほぼ横ばいに転じております。防災関係の職員、また、土木・建築技師、児童相談所などの職員は増加ということで、社会環境の変化に応じて、それぞれの団体において自主的に判断をいただけていると認識をしております。

山花委員 ありがとうございました。

大口委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

大口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。福田昭夫君。

福田(昭)委員 立国社の福田昭夫でございます。

 きょうは総務委員会で久しぶりの質問なんですけれども、貴重な時間をいただいてありがとうございます。

 アメリカやイギリスのメディアから消費税の増税は大失敗だったと指摘されるように、非常に経済の失速が心配される中で、地方財政が一段と厳しさを増しております。消費税の根本的な問題点を指摘をして、今こそ原点に返って、法人税、所得税、消費税の抜本的改革が必要だ、そういうことを指摘をさせていただいて、議論を行いたいと思っております。高市大臣始め答弁者は簡潔にお答えいただきたいと思っております。

 まず、我が国の消費税が抱える根本的な問題点についてであります。一つは、国、地方公共団体の一般会計、本来業務までが多額の消費税を負担していることについてであります。

 第一点、地方公共団体の一般会計が消費税を負担していることを高市大臣は御存じですか。

高市国務大臣 消費税につきましては、地方公共団体に対するものも含め、事業者が行う課税資産の譲渡等を広く課税対象としております。よって、地方公共団体が物品を購入する際や役務の提供を受ける際には、消費税を含む価格を支払うこととなるものでございます。

福田(昭)委員 それを国民の皆さんは知っていると思いますか。

高市国務大臣 おおむね御承知だと思います。

福田(昭)委員 多分、ほとんどの国民は知りません、大臣。国民は、国や地方自治体が本来業務をやりながら消費税を負担しているなんてことはほとんど知りません。それは、国も自治体も公表していないからです。

 例えば、今年度は決算時に消費税を幾ら国が払いました、あるいは地方自治体が幾ら払いましたというのは公表しておりません。国に聞いても統計をとっておりません。だから、国も幾ら払ったか、全く記録を出すのには容易じゃないんです。これはちゃんと明らかにすべきだと思っております。

 第二点ですけれども、全ての都道府県、市町村で、じゃ、どれくらい負担をしているか、大臣は聞いたことがありますか。

高市国務大臣 消費税につきましては、売上げに係る税額から仕入れに係る税額を控除して納税額を計算する仕組みでございますけれども、地方公共団体の一般会計に係る消費税につきましては、売上げに係る税額と仕入れに係る税額を同額とみなすとされておりますので、仕入れに係る消費税額の把握は不要でございます。ですから、決算統計においても調査の対象としておりません。

 ですから、総務省では、地方公共団体の一般会計が負担をしている消費税の額は把握をしておりません。

福田(昭)委員 それが根本的な間違いなんですよ、大臣。今これから議論をしていきたいと思いますが。

 私が衆議院の調査局の絶大な御支援をいただいて推計をしてみました、私の事務所でですね。そうしたら、都道府県で、これは平成二十九年度の決算統計に基づいて試算をしていますが、都道府県分で約五千四百二十六億円、市区町村分で約一兆五百七十三億円。合わせますと、全国の地方自治体で一兆五千九百九十九億円ぐらい負担をいたしております。

 これは、総務省でも、全自治体が毎年作成している決算統計の中でぜひ明らかにして集計すべきだと思いますが、どうですか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体の一般会計の歳出でございますけれども、例えば工事請負費でございますとか委託費のように、消費税負担額が明らかなものもございます。

 一方で、他会計への繰り出し金、例えば病院事業に対しまして救急医療の確保等に要する繰り出し等を行っておりますけれども、その繰り出しが、例えば、人件費に充てられているのか、あるいは消費税を含む物品購入等に充てられているのか、それを一般会計側で把握することはなかなか難しゅうございます。

 仮にそういう実質的な消費税額を算出しようとする場合、それぞれが課税対象となる支出かどうか仕分した上で積算する必要がございまして、複雑かつ相当な事務量になりますことから、慎重に検討する必要があると考えております。

福田(昭)委員 内藤財政局長、ちょっとそれは違うと思いますよ。

 なぜかというと、消費税法上は、一般会計は一般会計、特別会計はそれぞれ特別会計ごとに事業主として実は納めるようなんですよ。ですから、病院は病院の特別会計として負担をするということになっておりますから、今、内藤財政局長の話は事実誤認ですから、それは指摘しておきたいと思います。

 第三点です。地方公共団体は、消費税法上、先ほど大臣からは、事業主としてと言いましたけれども、事業主ですか、それとも消費者ですか。

 先日の予算委員会では、主計局長が両方言うんですよ。事業主のときもあったり、消費者のときもあったり。そんなことはあり得ないので、消費税法上は、地方公共団体は何になっておりますか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 消費税法上、事業者とは個人事業者及び法人をいうこととされておりまして、お尋ねの地方公共団体も法人でございます。

 消費税法第六十条第一項というものがございまして、地方公共団体が一般会計に係る業務として行う事業又は特別会計を設けて行う事業につきましては、当該会計ごとに一の法人が行う事業とみなして消費税法の規定を適用することとされているという規定がございまして、消費税法の事業者に当たるということでございます。

 他方、消費者かどうかということでありますが、消費税法上、消費者という定義はございませんけれども、国、地方が物、サービスを購入する場合には消費税を負担しているということだけ申し上げさせていただきます。

福田(昭)委員 地方公共団体が事業主か消費者なのかと聞いているのであって、それ以外のことを答えなくていいですよ。

 そこの規定、第六十条の第一項が問題なんですね。一般会計又は特別会計ごとに一つの法人が行う事業とみなしてというんですよ。このみなしてというのが怪しいんですよ、これ。こんなところに、厳格な税金にみなすなんという言葉を使っちゃ、これは国民をだますことになりますよ。一応、事業主として今は捉えておきたいと思いますけれども。

 第四点。事業主は納税義務者ですけれども、消費税法上、納税義務者が事業主なんですけれども、地方公共団体には、一般会計ですけれども、本来業務を執行するときに、売上げとか仕入れがありますか。どうですか。

小野政府参考人 一般に、国や地方公共団体のような場合は、歳入の方が税収がかなりの部分を占めておるということがありますので、売上げというものは多くはないと思いますけれども、一定の事業なんかを行う場合には、売上げ、仕入れが立つ場合はあろうかと思います。

福田(昭)委員 じゃ、例えば学校をつくりました、地方自治体が。そのとき、売上げや仕入れはありますか。いかがですか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 ちょっと、学校の場合はサービスの方が公共サービスになりますので、なかなかお答えしにくいんですけれども、例えば国や自治体が公有財産を貸付けして賃料をいただくような場合、賃料の方は課税売上げということが立つ場合があろうかと思います。

福田(昭)委員 それは答えになっていないじゃないですか。

 鉛筆やボールペンを買ったって、売上げありますか、仕入れありますか。官房審議官。

小野政府参考人 お答えいたします。

 国や地方公共団体がその業務に必要な、例えば文房具のようなものを購入する場合、それは事業者としてではなくて、最終購入者、最終消費者として購入をいたしますので、当然、消費税を含んだ価格で調達をするということになっております。

福田(昭)委員 何か、小野審議官のその答弁は矛盾だらけですよ。

 じゃ、小野審議官、例えば、納税義務者が事業主として譲渡をするんだけれども、資産等の譲渡等に税金、消費税がかかるんだけれども、譲渡という意味はどういう意味ですか。譲渡するという意味はどういう意味ですか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 資産の譲渡、まさに言葉のとおりでございまして、わかりやすい例でいえば、例えば、何か物を売られるような事業を行う場合、物を売ること、これも資産の譲渡であると考えます。

福田(昭)委員 私も広辞苑、調べてきたんだけれども、広辞苑では、譲渡とは、権利や財産などを譲り渡すことと書いてありますよ。

 そうしたら、学校をつくったときに、権利や財産を譲り渡しますか。これは譲渡じゃないでしょう。どうなんですか。

小野政府参考人 学校をつくるということでありますと、それは、例えば自治体が学校をつくるという場合、みずからの事業としてつくるわけで、その学校自体をどなたかに譲渡するとか、そういうことではございませんので、その時点で資産の譲渡ということは発生しないと思います。資産の譲渡ということであるのは、例えば、物を有償であれ無償であれ譲渡するという場合、先ほど申し上げたように、例えば物を売るような場合、典型的ですけれども、該当するということでございます。

福田(昭)委員 そうすると、消費税の課税対象外になっちゃうじゃないですか。だって、資産を譲っていないんだから。そこに消費税を上乗せして払うというのは、これは余りにも無理筋ですよ。

 では、次に、第五点目。消費税法第六十条第六項に規定されているように、課税標準額に対する消費税額と仕入れ控除税額が同額となる、こういうふうにみなしているわけでありますけれども、これは本当に同額になりますか。

小野政府参考人 国や地方公共団体の場合、おっしゃられるように、売上げ、仕入れに係る消費税額が同額となるかどうかというようなものは、そういうデータを持っておりませんので、同額になるかどうかということはわかりません。

 ただ、物の考え方といたしまして、国や地方公共団体の一般会計につきましては、その一般会計自体に消費税収あるいは地方消費税収が受け入れられるという関係になっておりますので、仮に一般会計が一般会計に対して消費税を納税したとしても、それは、みずからがみずからに納付をするということと同じことになりますので、それは不要だろうということで、同額とみなすという規定を置かせていただいて、現実にはそういう計算をしなくて済むという仕組みになっているということでございます。

福田(昭)委員 とてもとてもおかしな答弁ですね。

 これは、民間事業者に対しては第三十条から第三十九条までいろいろ細々と規定しておりますよ。これらの規定にかかわらず、消費税額と仕入れ控除税額が同額とみなすと書いてあるんです、これも。みなすだから、イコールじゃない。だから、この規定も無理があり過ぎです。これは帳簿をつけてみれば一発でわかります。これ、帳簿も免除されているんだけれども、こんなでたらめな税金はありません。

 では、次、第六点に行きます。第六点ですが、国と地方公共団体は、なぜ、消費税法第五十八条に規定されている帳簿の備付けと記帳などが適用外となっているんですか。第六十条第七項の規定により適用外となっているんですけれども、どうしてですか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 国、地方の一般会計につきましては、先ほども御答弁いたしましたし、委員からも御指摘ありましたように、売上げに係る消費税額と仕入れに係る消費税額を同額とみなして、納税も還付も行われない仕組みになっております。

 したがって、納税や還付も生じないということですので、消費税の納税額の計算や確認に必要となる取引事実等の帳簿への記録及び保存義務を課すことはしていないということでございます。

福田(昭)委員 一応、法律上はそう規定してありますが、同額にならないものを同額とみなして消費税を負担させるわけですよ。それは、帳簿をつけたらば違いがはっきりしちゃうんですよ。事業主には、一方、大変な事務作業をさせておいて、国と地方公共団体は、消費税を納めさえすれば帳簿の備付けも記帳も要らないというんですよ。これは余りにも不公平過ぎないですか、同じ事業主として位置づけたからには。

 おかしいじゃないですか、審議官。違いますか。だって、事業主と位置づけて、国や地方自治体の一般会計にも負担させるんですよ。ほかの事業主はちゃんと帳簿もつけて、備え付けておくんだ。こんな不公平なやり方はないじゃないですか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 最初に御答弁いたしましたように、国や地方公共団体も消費税法の事業者でございます。したがって、根源的には納税義務者となるわけでございます。

 ただ、そのうち一般会計につきましては、消費税収あるいは地方消費税収そのものがその会計に入ってくるものですから、先ほど申し上げたような、みなす規定を置いて、現実には申告不要ということにしておりますけれども、例えば、国の特別会計等におきましては、原則に戻りまして申告納税していただいているというふうに承知しております。

福田(昭)委員 特別会計は、民間事業者と同じように仕入れ税額控除方式が入っていますから、お客さんからいただいた消費税、預かった消費税から自分が仕入れのために払った消費税をマイナスして、残りだけ納めればいいわけですよ。特別会計もそうなっているわけですよ。

 でも、一般会計は、先ほどから言っているように、売上げもない、仕入れもないんですよ、なのに負担させられている。これはおかしな話ですよ。

 では、次、第七点。消費税は、なぜ経済、景気の変動に強いと言われるんですか。その理由を教えてください。

小野政府参考人 お答えいたします。

 消費税は、消費を課税ベースにしております。これに対しまして、例えば、法人税は企業収益、それから、所得税につきましては所得それから資産価格等を課税ベースにしているということでございまして、このうち、特に企業収益や資産価格につきましては、景気変動等の影響を大きく受けるということでございまして、消費は比較的景気の変動に左右されにくいと言われております。

 実際に、過去の税収の推移を見てみましても、消費税の税収というものは、例えば所得税、法人税に比べますと安定的に推移しているものと承知しております。

福田(昭)委員 確かに、日本の消費は底がたいものがありますから、それなりに納めてくれるような状況はありますけれども、しかし、税率が上がれば上がるほど、だんだんだんだん消費は減っていきますよ。今回がそうなんじゃないですか。昨年一〇%に上げたら、急に消費が冷え込みましたよ。ですから、これからどんどんどんどん税率を上げるなんということになれば、どんどんどんどん冷え込んでいきますよ。

 先日も予算委員会で指摘しましたけれども、消費税は累進税率が入っていないんですよ。累進税率が入っていればより公平な税制になりますけれども、年収百万の人も二百万の人も五百万の人も一千万の人も一億の人も、みんな一〇%と八%ですから。これではどんどんどんどん格差は開くし、消費は冷え込むじゃないですか。経団連は、一方では、消費税率を上げれば上げるほど還付金がふえるんだもの、上げろ上げろと言いますよ。こんなとんでもない税金はありません。

 第八点目ですけれども、二〇一九年度の補正第一号での法人税と消費税の減額補正が今回なされました。法人税は今回、一兆千四百三億円、消費税は三千三百億円減額補正をいたしました。景気に比較的強いと言われている消費税も、今回、減額補正せざるを得なかった。これは、一月から三月、またこのコロナウイルスだのいろいろな問題があって、また最終的に、更に法人税も消費税も減額補正が必要になるのではないですか。どうなんですか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 経済の先行きにつきましては、不確定な要因が多々ございますので、申し上げられないことは御理解いただきたいと思います。

 ただ、消費税減額約〇・三兆円ということでございますけれども、今回、補正予算で法人税一・一兆円、委員のおっしゃった一・一兆円に加えまして、所得税〇・九兆円の減額補正をしておりまして、消費税は、先ほども申し上げましたけれども、やはり、この主要税目の中で比較いたしますと、安定的な税収というものが見込めるとは言えるのではないかと考えております。

福田(昭)委員 減額幅が、三つの中では三千三百億円と一番少ないですけれども、しかし、先ほども申し上げましたが、これは次の機会にやりますけれども、国が納めている、一般会計が納めている消費税と自治体が納めている消費税、合わせると二兆円を超えるんですよ。それが底がたさを物語っているんじゃないですか。それで二兆円がなかったら、本当に惨たんたる状態になっていると思いますよ。これは後で財務大臣たちとやりますので、ここでは聞きませんけれどもね。

 その次の九番目は時間の関係で省略して、次に行きます。

 二つ目ですけれども、国、地方公共団体の一般会計が負担する消費税を廃止することについてであります。

 第一点、消費税は社会保障の充実が目的のはずなのに、法人税と所得税、住民税減税の穴埋めに消えてしまったということであります。

 資料の一をごらんください。これは、中央大学の富岡名誉教授が作成したものを私の事務所で更に見やすくしたものであります。消費税で、三十一年間、累計額で三百九十七兆円いただきました。法人三税と所得税、住民税減収額が余りにも大きくて、これは百七十六兆円の税収的には赤字です。

 毎年、平均すると五・六兆円から七兆円減税してきたのに、残念ながら、経済も成長せず、それこそ給与も下がり、税収も減って、国と地方の借金が一千百兆円を超えちゃったんじゃないですか。まさに失われた三十年と言われております。その間、格差はどんどん拡大をしました。こうしたことを御存じですか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 委員の資料、拝見させていただきまして、平成の頭、まさにバブル期絶頂から比べますと、所得税、法人税が水準としてはかなり落ちてきているということは事実として承知しております。まさにそういう中である中で、消費税の場合、景気の変動に左右されにくく、税収が安定しているということを先ほども申し上げましたけれども、そういうことも踏まえまして、社会保障の財源ということで位置づけられているものと承知しております。

福田(昭)委員 先ほども申し上げましたが、国と地方で二兆円も消費税を納めているんですよ、負担しているんですよ。これがなくなったら、それどころじゃなくなるじゃないですか。

 次、第二点、行きますけれども、世界で、税金で、どういう税金かわかりません、所得税か消費税か法人税かわかりませんけれども、その他の税金かわかりませんけれども、税金で消費税を納めている国があったら、具体的な名前を挙げて教えてください。具体的な名前を挙げてください。

小野政府参考人 お答えいたします。

 消費税を納めているという意味ですけれども、消費税を負担している、まさに、二兆円という数字をおっしゃいましたけれども、そういう意味で負担しているという意味でありますれば、私ども承知している限り、OECD、三十五カ国だと思いますけれども、全ての国において同様の仕組みだと承知しております。

福田(昭)委員 それは虚偽答弁です。そんなうそを言っちゃいけません、審議官。具体的な名前を挙げろと言ったじゃない。挙げられない。そんなうその答弁は許されません。

 じゃ、それをちゃんと証明していきますから。

 第三点。消費税とEUの付加価値税は本質的には同じものです。もともと付加価値税は、日本で導入しようと思いましたが、導入できませんでした。それを、フランスがウルグアイ・ラウンドのときに上手に取り込んで、実はEUのルールになってしまった、こういう歴史がありますけれども、EUでは、政府や地方公共団体等、公的機関は基本的に納めていません。納めていますか。今、世界の国は納めていますか、本当に。まあ、いいか。まあ、いいよ。同じ答えだろうから、いいですよ。

 次に行きます。

 じゃ、資料の二を見てください。資料の二は、これは財務省からいただきました、財務省の主税局の調査課から。EUの付加価値税の共通システムに関する理事会指令です。

 これを見ていただきますと、この第十三条、国や地方の政府当局及び公法上の団体は、公共の権限の行使者として活動又は取引を行う場合、それらの活動又は取引に関連して税、料金、拠出金又は支払い金を徴収するときであっても、課税対象者とみなされないものとすると書いてある。下の附属書1の十三条一項の三段階で言及されている活動のリスト、これについては例外として支払うということになっています。

 次の、資料の三を見てください。資料の三は、これは衆議院の調査局からいただきましたけれども、「欧州諸国の付加価値税における公共部門の取扱い」、ここにもちゃんと書いてあります。

 EUでは、付加価値税の課税対象を経済的活動に限定していることから、本来の政府活動は課税対象外となる、したがって、公共部門は非課税法人とし、その物品やサービスの供給を行っても課税対象とならず、また、物品やサービスを購入しても、税額控除の権利は認められない、公共サービスの供給を行う政府を納税義務者から除外していると書いてある。日本は、消費税、除外していないじゃないですか。事業主として位置づけているじゃないか。それで、例外。納税義務者からの除外が経済競争面で重大なゆがみをもたらす場合等には、例外として納税義務者とみなす、例えば、旅客や貨物の運送、水、ガス、電気等の供給などであると書いてあります。

 資料の、次の三の二を見てください。これが、「ヨーロッパ諸国における国・地方自治体に対する消費課税(仮訳)」です。ここにも書いてあります。

 EUの指令における公的機関の活動に対する扱い。原則、国等の公共団体は、課税対象者とみなされない。例外の一、競争のゆがみをもたらすような活動。そして例外の二、民間部門の活動。公的機関が無視できる規模以外の何らかの形で民間部門によって行われている活動を行っている場合、それは課税対象とみなされる。例えばだけれども、ここにありますように、EUの指令の附属書1に記載された活動が対象、電気通信サービス、水、ガス、電気又は熱エネルギーの供給、旅客運送等と書いてあるじゃないですか、審議官。

 これを読んで、どうですか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 るる御指摘ございました、例えば、委員の資料の最後の三の二でしょうか、「ヨーロッパ諸国における国・地方自治体に対する消費課税(仮訳)」というものでありますけれども、国等の公共団体は、公的機関としての活動や取引に関して、手数料等を徴収する場合であっても課税対象者とみなされないというふうにあり、そのとおりでございます。

 ここで、私どもの理解は、この手数料等を徴収する場合というところがかなり重きがあって、日本の場合でも、いろいろな行政手数料の場合は所得税が非課税になっているというようなものが数多くございますけれども、そういうことを意味しているものだというふうに理解しております。

 他方で、物品を購入したりする場合、この場合には消費税を負担していただくというのが、OECD、先ほど三十五と申し上げましたが、三十六カ国共通の仕組みであるというふうに私どもは理解しております。

福田(昭)委員 じゃ、審議官、その証拠を示してください、そんなことないはずだから。ちゃんと示してくださいよ。

 じゃ、次行きますよ。

 四番目、第四点ですけれども、まさに、国や地方自治体の一般会計が負担しなければ財政を支えられないような税金、本当は経済の、景気の変動にもそんなに強いわけではない。その上、世界に類を見ないような、税金で税金を負担するという国民を愚弄するような仕組みは、やはり廃止する必要があるんじゃないですか。審議官、いかがですか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 消費税につきましては、国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く分かち合うという意味で多くの方に負担していただけるという意味もございまして、社会保障の財源というふうに位置づけられておりまして、この重要性というものは今後とも変わらないものと理解しております。

福田(昭)委員 そういううそを言っちゃだめだよ。

 ちゃんと、さっき言ったように、じゃ、委員長、悪いですけれども、審議官に答えさせてください。ちゃんと具体的な国の名前、税金で税金を納めている国の名前、さっきの話、ちゃんと資料として出してください。委員長、頼みます。

大口委員長 では、理事会で協議いたします。

福田(昭)委員 そういううそをついちゃだめですよ、本当に。

 次に、地方財政改革のポイントについてちょっと指摘をして、時間があればお答えをいただきたいと思っています。

 まず一つ目は、地方法人課税の偏在是正措置による地域社会再生事業費創設について。三つまとめてお伺いします。それから二番目の地方債の発行による緊急浚渫推進事業費の創設について、三番目の地方公共団体金融機構の金利変動準備金の活用による森林環境譲与税の増額についてであります。

 これはそれぞれ、まさに今の日本が抱えている課題、地方が抱えている課題に対応しようとするものでありますので、やろうとすることそのものについては私も一定の評価をいたしております。しかし、どうも財源のつくり方が、余りにも、まあ工夫はしたんでしょうけれども、余り素直じゃないなと。

 ですから、地方法人課税の偏在是正措置も、たくさん法人がある東京などから分捕って地方に再配分する、こういう話でありますし、それからしゅんせつについても、わざわざ起債をさせて、少し交付税で返してやるから起債をしてやれという話でありますし、さらに、金融機構の金利変動準備金もわざわざ取り崩さなくちゃ、それこそ山林の被害やそういうことになかなかたえられない、森林の適正管理にもたえられないということで増額しようという話なので、私は、そういう意味では、もっと真っ当な税金で、例えば消費増税前の税制を参考にして、法人税、所得税、消費税の抜本改革が必要だ、こう思っておりますけれども、財務省はどう考えておりますか。

小野政府参考人 お答えいたします。

 税制は生き物でございますので、常に見直しは必要でございますが、やはり、基幹的な国税といたしましては、消費税、所得税、法人税ということでございますので、こうした税目のバランスをとりながら考えていくべきものと考えております。

福田(昭)委員 小野審議官は財務省だからよく御承知のことだと思いますけれども、ちなみに、消費税をつくったときに、どういうふうに所得税や法人税などが、あるいは住民税が変化をしてきたかということをこれからちょっと申し上げたいと思います。

 まず、法人税。基本税率でありますが、昭和五十九年は四三・三%でした。これが、何と安倍さんになってどんどんどんどん下がってきて、平成三十年度以降は二三・二%です。何と二〇・一%も大幅に減税しています。法人税ですよ、基本税率。

 所得税の最高税率は、昭和五十九年から六十一年、課税上限額八千万円超七〇%、五十八年は八千万超七五%でしたけれども、これが、しばらくの間は、消費税をつくってから、課税上限額一千八百万円超、これは四〇%でした。平成二十七年度からは四千万超が四五%になりました。一千八百万超でしたから、昭和五十九年から六十一年と、一時下がった一千八百万超四〇%を比較すると、課税上限額は何と六千二百万円下がりました。税率は三〇%下がりました。

 こんなに法人税を引き下げて、富裕層は更に豊かに、法人、大企業は更に巨大企業になってきた、格差がどんどん拡大してきた。

 さらに、住民税も、これもいつの間にか、昭和六十年、四千九百万円超が一八%でした、都道府県と市町村で。平成元年度は一気に、五百万円超が一五%、三段階になる。平成十九年度以降は一律一〇%と大幅に減税されました。

 まさに、法人税の引下げ、三税の引下げ、そして所得税、住民税の大幅引下げ、これで税収は入ってこなくなっちゃった。ふえたのは赤字国債だけ。格差がどんどん拡大をしてきた。こんな税をつくって、財務省は国民を不幸にして、財務省の役目って国民を幸せにするのが役目じゃないの。

 ところが、こんな国民を不幸にするような税制をつくって、この税率をまだ上げるというんだね。一〇%じゃ足りないから、経団連と一緒になって、早く一五にしろ、二〇にしろと議論しているんだよね。こんなことが、こんな異常なことが許されると思いますか、審議官。

小野政府参考人 お答えいたします。

 委員から、所得税、法人税等についての過去の経緯について御説明ございました。

 経緯としてはそのとおりでございますけれども、例えば所得税、今、住民税と合わせた最高税率は五五%でございますが、この率は主要先進国の中では最高でございます。これを更に引き上げるようなことを仮にすると、勤労意欲の低下ですとか、あるいは人材流出といったような問題が生じ得るというふうに考えておりまして、そう簡単ではないのではないかと考えております。

 法人税率につきましても、地方と合わせた実効税率、二九・七四という水準でございますけれども、これも主要先進国ではおおむね三〇%前後ということになってきておりまして、これはまた、極端に引き上げていくということがございますと、立地競争力、ひいては雇用、賃金への影響もあるものと考えております。

 他方、消費税につきましては、先ほど来申し上げておりますようなメリットもございますので、やはり、こういった税目のバランスをとりながら税制を考えていくべきだと考えております。

 なお、消費税の一〇%以降の件につきましては、政府として検討しているという事実はございません。

福田(昭)委員 それは審議官、私は過ちだと思う。個人が、だって、基本的に、日本人の所得階級を見ると、国税庁がつくっている国税年報を見ると、日本人は一億円以上の所得がある人はいっぱいいる、数万人いる。だから、別に、その人たちが逃げていくとも限らない。それは、逃げていく人も中にはいるでしょう。しかし、私は、日本ほどいい国はないと思っているから、そう簡単に逃げていく人は少ないと思っています。

 それから、法人も、租特だとかその他の特例を考えたら、楽に九兆円か十兆円おまけされていますから、その上、輸出免税還付金で多額の還付もされていますから、日本から逃げていく法人があったらこれは見ものです。こんなに優遇されていて、逃げていくはずがありません。逃げていくはずがありません、審議官。逃げていく法人があったら見ものですよ。こんな優遇されている国からどうやって逃げていくの。

大口委員長 福田君、時間です。

福田(昭)委員 時間が来ましたか。

 そういうわけで、この次また、次の機会がいただけそうなので、今度は麻生大臣、主税局長、主計局長とやりたいと思っていますので、よくお伝えください。うそばかり言っちゃだめだということを指摘して、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

大口委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 災害時の医療体制の確保についてまずお伺いをしたいというふうに思います。

 二〇一八年八月に、この総務委員会の委員派遣で高知県へ行き、七月豪雨災害の被害の調査、あるいは自治体の皆様から御要望を伺ったりもいたしました。また、南海トラフ巨大地震の対策などもお話をお伺いしてまいりました。高知県の皆様方の、とにかく命を守るんだという本当に真剣な取組に感銘を受けたわけですけれども、その中で、医療の点についても私はお話を伺ってまいりました。

 南海トラフ巨大地震があったときに、高知県の場合、想定負傷者は四万七千人、想定死者数は二万五千人、そのうち重症、中等症の患者さんは約一万四千百人、うち重症者は約四千七百人と、高知県の年間三次救急の患者さんを超える数だということでございました。災害拠点病院等で処置できる可能な人数は合計約三千八百四十人。そうしますと、DMATが対応すべき重症、中等症の患者さんの方々は約一万二百人。被災地の外からの派遣DMAT四十三チームによる処置数というのは約二千人だと。処置できずに残る重症、中等症の方というのは約八千二百人という検討をされておりました。こういうふうな検討をしますと、更に百七十チーム以上のDMATが必要だというふうなことでございました。

 これは、全国のことでならしますと、同じように計算をいたしますと、南海トラフ巨大地震、全国の想定負傷者は六十二万三千人ということになってまいります。処置できずに残る重症、中等症の患者さん方は約十万九千三百人にも上るという想定がなされております。そうしますと、全国的に二千二百チーム以上のDMATが必要だということになってまいります。

 高知県では、総力戦の体制づくりと、総力戦の場所と資機材の確保、総力戦の人材確保、地域をバックアップする体制づくりということで、本当に真剣な取組が行われ、それは一時的なものではなくて、やはり継続的に体制をつくっていくことが必要なんだということで、この高知県での真剣な検討、取組は、厚生労働省の救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会でも取り上げられております。

 災害時の医療体制をどう確保するか、これは大変大きな課題となっているわけでございます。

 そこで、確認ですけれども、南海トラフ巨大地震の際に、医療の体制についてどういう課題があるというふうに国は認識されておりますでしょうか。きょうは厚生労働副大臣に来ていただいておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

稲津副大臣 お答えをさせていただきます。

 南海トラフ地震に対する災害医療の課題、特に、今委員からはDMATについても御指摘をいただきました。

 この令和元年の五月に作成されました、南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画、ここにおきまして、南海トラフ地震では、建物の倒壊、火災等による多数の負傷者の発生、それから、医療機関の被災に伴う多数の要転院患者の発生により医療ニーズが急激に増加をするということ、そして、被災地内の医療資源のみで果たして対応できるのか、こうしたことが想定されると言われております。

 また、この計画におきましては、全国から災害派遣医療チーム、DMATを始めとする医療チームによる応援を迅速に行い、被災地内において安定化処置など救命に必要な対応が可能な医療体制を確保すること、これが必要でございます。被災地内の地域医療搬送を支援するとともに、被災地で対応が困難な重症患者を被災地外に搬送し、治療する、いわゆる広域医療搬送を実施する必要がある、こうしたことについても指摘がなされているところでございます。

 厚生労働省としては、医療体制確保のため、DMAT隊員のさらなる増加のための養成研修を行うとともに、迅速な派遣を可能にする等の課題を解決するために、DMAT事務局の体制整備についても進めているところでございます。

 広域医療搬送実施のため、毎年、内閣府とも、都道府県と連携して、いわゆる都道府県を超えた連携を視野に入れた大規模地震のときの医療活動訓練等を行うなどとしているところでございます。

 今後とも、こうした取組を充実強化しながら、南海トラフ地震の対策に当たってまいりたいと考えております。

本村委員 ありがとうございます。

 南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ第一次報告、各都道府県での負傷者が最大となるケースが出ておりますけれども、私の地元東海エリア、委員長もそうだというふうに思いますけれども、例えば、想定負傷者数は、愛知県は約十万人、静岡県は約九万二千人、三重県は約六万六千人となっているわけでございます。

 愛知県でいいますと、海抜ゼロメートル地帯、マイナス、ゼロメートル地帯、こういうところが日本で一番広いという地域でございまして、例えば、尾張大橋をかけかえて堤防をかさ上げしてほしい、そういう長年の住民の皆さんの御要望、ハードの面も当然整備をしていただきたいんですけれども、同時に、高知県のお話をお伺いいたしますと、私の地元も、災害時、医療体制が全く足りなくなるんじゃないかということを大変懸念しております。

 そういうときに、今、政府が、病院を減らせ、ベッドを減らせと圧力をかけている。全国的に平時から人員も病院も余裕がなければ、災害時の派遣はできません。DMATだって余裕がなければできないわけでございます。

 公立病院も災害時に重要な役割を担うことになってまいります。先ほども申し上げましたように、災害拠点病院だけでは足りないということは明らかでございまして、やはりこういうことをちゃんと考えていかなければいけないというふうに思うんです。

 高市大臣にお伺いをしたいんですけれども、政府は、災害時の医療体制について本当に真剣に考えてくれているのかという点、大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

高市国務大臣 私が申し上げられるのは公立病院についてということになりますけれども、公立病院は、災害時の医療確保を含む不採算医療の提供、これを期待されております。特に、災害拠点病院に指定された公立病院は、災害時における救急医療を担い、DMATの受入れや派遣機能を有するといった重要な役割を担っております。

 そのため、災害拠点病院など災害時の医療確保に必要な公立病院につきましては、その施設整備について、通常よりも手厚い地方財政措置を講じております。

 さらに、来年度から、過疎地など経営条件の厳しい災害拠点病院など、地域における中核的な公立病院に対する特別交付税措置を創設することとしたところでございます。

本村委員 自治体の仕事の中で、災害対応というのは非常に大きな仕事になってくるというふうに考えております。ところが、将来の地域の医療をどうしていくか、これを考えるときに、地域医療構想などの議論のときに、災害の視点がないというのが私は大問題だというふうに思います。

 地域の医療体制をどうしていくかというときに、災害時、南海トラフ巨大地震ですとか首都直下型地震ですとか、そうしたことを想定した医療体制、病院、診療所、医師、看護師、医療スタッフ、人工透析の点では大丈夫なのかということも含めて議論が必要なのではないかというふうに思いますけれども、厚生労働副大臣、お願いしたいと思います。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 災害時の医療体制、また、将来に向けた、いわゆる地域医療構想を含めたお考えだと思いますけれども、今般の地域医療を進める上での診療実績のデータ分析に当たりましては、災害医療を行っているか否かも実は評価事項として設定をされております。公立・公的医療機関等が災害拠点病院として指定されている場合には、当該医療機関でなければ担えない機能に重点化が図られているとして、「診療実績が特に少ない」の分析で配慮をしています。

 今後、当該分析結果も踏まえつつ、今回の分析だけでは判断し得ない地域の実情を補いながら、地域全体として不足のない災害医療の提供体制の構築を議論していただくことが重要なことである、このように考えております。

本村委員 やはり、地域の医療をどうしていくかという点で、その地域医療構想の議論でも、調整会議などで、災害に着目した議論は大変重要だというふうに思います。

 今、急性期から回復期というふうになってまいりますと、全体に医師、看護師の数が減っていくということにも病院としてはなりまして、そういうことも含めて、災害時、大丈夫なのかということが心配になるわけでございます。やはり、災害時の医療体制含めて、地域の医療をこれからどうしていくかということをしっかりと議論していかなければいけないというふうに思っております。

 次に、感染症の問題なんですけれども、今回の新型コロナウイルス感染症についても、検査体制の拡充ですとか保健所の体制、病院の体制などが問題になっております。

 再検証の分析対象となっている公立・公的病院の千四百五十五の病院のうち、感染症のベッドを持っている病院は何病院、何%あるでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

稲津副大臣 お答えいたします。

 平成三十一年四月一日時点で、特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関及び第二種感染症指定医療機関は合計五百五十一施設でございます。そして、今回の分析対象とした公立・公的医療機関等において、感染症指定医療機関は四百五十八施設含まれ、割合は二九%でございます。

本村委員 感染症対策も、やはりこの公的・公立病院が大変重要な役割を担っているというふうなことですし、いざというときに公的・公立病院は使えるんだということもしっかりと視野に入れなければいけないと思います。

 この新型コロナウイルスの問題で、地元の愛知県にあります藤田医科大学岡崎医療センターは、横浜港で検疫中のクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号より、陽性反応は出ているけれども発症がない乗客乗員の方を受け入れるということで、受入れを始めております。ただ、発症のないということでしたけれども、肺炎の疑いがある方がおられ、そして、愛知県内の医療機関へ搬送されるというふうになっております。

 藤田医科大学の皆様方の決断というのは非常に大変なものだというふうに思います。この藤田医科大学の方からはこういう声明も出されております、経過説明がされております。

 船内感染者が四百五十人を超え、感染者の受入先確保が急がれる中、厚生労働省より要請をいただきました、さまざまな困難が予想されますが、医療機関として、日本のため、乗客乗員のためにできることを考えたとき、このような結論にいたしましたという経過が説明をされております。大変な御決断だというふうに思います。

 この受入れの数時間前ですけれども、岡崎市内で住民の皆様方への説明会がございました。説明が遅くなったということに対して謝ってみえたのは、藤田医科大学の方が謝ってみえたということでございます。そもそも、この週末に藤田医科大学に来た話だというふうに聞いておりますし、岡崎市へも、決まってから厚生労働省から聞くというような、事後報告だったのではないかというふうにも皆様方から言われております。岡崎市としては、住民の皆さんの不安に対して応えなければいけないし、さまざまな問合せについても答えなければいけないということでございます。

 もともとこの問題は、二月上旬から、乗客乗員の方を一体どうするのかということが問われてきたのに、なぜこんなぎりぎりになったのか。事前に岡崎市の方に、あるいは住民の方々の方に話があってしかるべきなのではないかというふうに思いますけれども、対応はどうだったのかということをお答えいただきたいと思います。

稲津副大臣 お答えいたします。

 まず、今回のこの藤田医科大学岡崎医療センターの御協力に対して、心からお礼を申し上げさせていただきたいと思います。また、愛知県、岡崎市、関係自治体、さまざまな行政機関にも、大変な、また地域住民の皆さんにも御協力いただきましたことに、重ねてお礼を申し上げたいと思います。

 確かに、今回のこの藤田医科大学岡崎医療センターへの患者の搬送は、急を要する状況の中でとり行う、そういう準備で、進めたものでございます。移送決定前の段階で、愛知県や岡崎市に対しては、国として受入れを要請していること、センター内で行われる支援の内容、自治体やセンターと連携して対応していくことなどを御説明しておりまして、いわゆる一方的な事後報告であるということではございません。

 また、この周辺地域にお住まいの方々の抱える不安をできるだけ解消するために、岡崎市からの要請を受けて住民説明会を開催させていただきました。今回の受入れは厚生労働省からの要請に基づくものであること、これは厚生労働省側から説明をさせていただいています。また、新型コロナウイルスは飛沫・接触感染をするものであること、そして、センター職員の万全な防護策や動線管理等により、職員や市内への感染防止に全力で取り組むこと、これは医療機関の方から御説明をいただきました。こうしたことをお住まいの地域住民の方々にお伝えさせていただいたところでございます。

 今後、厚生労働省といたしましても、説明会でいただいた御意見、これを踏まえて、県そして市の御支援もいただきながら、全面的に今回の藤田医科大学における受入れの取組をバックアップさせていただきたいと考えております。

本村委員 岡崎医療センターは、岡崎市も財政支出をしている、大きな額を出している病院で、それなのに、決まってから、本当に直前に住民説明会とかいうことで、地元の方々はそういうことを問題だというふうに受けとめております。

 岡崎市では、発症のない方を受け入れるということでございましたけれども、既に四名の方、また出たということもあるかもしれませんけれども、肺炎の症状があった方を岡崎市の消防本部の救急車で県外の医療機関へ搬送したということがございまして、その搬送の際に使用した二台の救急車は、感染拡大予防のために、新型コロナウイルスの患者の皆様の専属の救急車として、岡崎医療センター内で待機をするというような対応もとってくださっております。

 そうした自治体の努力、そして、医療機関、地元の皆様の努力、困難をぜひ支援していただきたいというふうに思います。

 昨日、十九日ですけれども、岡崎市長から加藤厚生労働大臣宛てに、藤田医科大学岡崎医療センターでの新型コロナウイルス感染症患者受入れに係る支援について、依頼という文書が出されております。

 御要望、御依頼の一枚目の依頼文ですけれども、一、救急隊員用の資材等ということで、感染予防キット、防護服等八百セット、出動二百回分。搬送の重複が予想されるため、県内消防、DMATの派遣一隊。消毒用アルコール千本。二つ目、小学校、岡崎医療センターの隣接校の支援について。児童にわかりやすい感染症の説明と予防の指導。保健師相当職員六名、各学年一名の派遣。三つ目、民生用資材の優先確保について。アルコール、マスク、ハンドソープの優先的確保ということが言われ、二つ目の依頼文では、一つ目、症状が急変した乗客の受入れ医療機関の確保。陽性で無症状の乗客が、最初の受入れで早くも四名が救急搬送された。この状況が続くと岡崎市だけでは対応できない。愛知県、近隣県等広域での対応をお願いしたい。この体制ができないと岡崎医療センターでは受入れができなくなる。二つ目、リエゾンとして県職員の岡崎医療センターへの派遣。岡崎市職員だけでは対応できないので、県職員の派遣をお願いしたい。

 この岡崎市からの依頼には確実に応えていただけますね。副大臣、お願いしたいと思います。

稲津副大臣 お答えいたします。

 岡崎市長から厚生労働大臣に出された要請に対しての対応についてでございますが、今回の岡崎市から厚生労働省に対しての、この受入れに関して、今御説明もいただきまして、一部重複しますけれども、もう一度整理してお答えしたいと思います。

 まず、患者の救急搬送業務を行う救急隊員用の防護服の確保、また、周辺地域におけるマスク等の優先的な確保、隣接する小学校の児童に対する感染症の説明への支援、それから、受入れ患者の容体急変に備えた広域的な医療提供体制の構築、こうした御要望をいただいたところでございます。

 厚生労働省として、今回御協力をいただいている岡崎市の要望をしっかりと受けとめて、愛知県とも連携をしながら、医療体制の確保、また住民の安全の確保に全力を挙げてまいる所存でございます。

本村委員 岡崎市長から厚生労働大臣に出されておりますこの依頼については、確実に対応していただきたいというふうに思います。

 患者の皆様の健康を守ると同時に、やはり住民の皆様は本当にさまざまな不安がございます。風評被害への不安が大変大きい状況にもう既になっております。

 受け入れた自治体、地域の皆様、そして御商売をされている皆様が、損害が出ることがないように、風評被害の防止の対策ですとか、もう既にキャンセルですとか、あるいは小売販売についての影響、損害が出ております。こうした、ほかの自治体のところでもそうなんですけれども、もし損失が出たときの損失補償をしっかりとしていただきたいということ。

 先ほども、マスクの件を市長が御要望されておりましたけれども、マスクや消毒液が手に入らないという問題がございますので、地域に届くように、そして、保育園、学校、子供たちが過ごすところにしっかりと、マスクとか消毒とか、そういったものを配置できるように、また、持病を持った方ですとかお年寄りですとか、そうした方々への配慮もぜひしていただきたいというふうに思います。

 また、医療従事者に対する対策を万全にしていただきたい。防護マニュアルを徹底して、病院内外での動線を明らかにするということ。医療従事者以外にも出入りする方々、お弁当ですとか清掃ですとか、派遣の方もいらっしゃるそうなんですけれども、そういう方にはなかなか感染に関する情報が伝わっていないということも聞いておりますので、そういった方々についてもマニュアルを徹底して、病院内外での動線を明らかにしていただくということ。また、患者さんのプライバシーに配慮をしながら、院内の情報をできる限り周辺の住民の方々に提供していただくということ。そして、住民の皆様の不安にしっかりと応える、要望にしっかりと応える窓口を国としてつくっていただくということなど必要だというふうに思います。

 住民の方々の不安にしっかりと応えていく、御要望にもしっかりと応えていく。これは、厚生労働省とそして総務大臣にお願いしたいと思います。

稲津副大臣 お答えをさせていただきます。

 今回の国内における新型コロナウイルス感染症に対する不安が高まる中で、状況に応じて国民の皆様の不安をしっかり解消していく、その対応をとることは極めて重要であると考えております。

 今、議員から御指摘のございました風評被害等につきまして答弁をさせていただきたいと思います。

 まずは、風評被害の損失防止、補償等についてですが、このことについては、まずはこの新型コロナウイルス感染症に対する緊急対応策、これにおきまして、国民及び外国人旅行者への迅速かつ適切な情報提供、観光業等の中小企業、小規模事業者対策等、あるいはまた雇用対策、これらの対応を行うこととしているところでございます。

 マスク、消毒液等につきましては、この物資は、関係団体を通じまして、製造販売業者の方々や卸売業者の方々に、増産体制あるいは分割納入などを既に要請させていただいているところでございます。

 引き続き、生産、流通、その動向を把握しまして、物資をしっかり供給できるように取り組んでまいります。

 それから、子供さんたちへのわかりやすい情報提供についてのお話もございました。

 これは、文部科学省にも協力をいただきまして、各学校に対して、いわゆる手洗いやせきエチケットなど、感染症対策のそうした指導、アドバイスできるように要請しているところでございます。

 それから、医療関係者の方々への情報提供についてのお問合せもありました。

 この感染症の基本的な知識と同時に、予防策、これは今、新型コロナウイルスに関するQアンドAを作成いたしまして、患者の発生状況ですとか感染予防、あるいはまた潜伏期間などの基本的情報について、厚生労働省のウエブサイト等さまざまな媒体、また、自治体、関係機関等に周知をさせていただいているところでございます。

 それから、住民の皆様の不安の声に応える窓口の設置等について御質問がございました。

 国民の皆様の不安の声に応えるために、既に厚生労働省内にコールセンターを設置いたしておりまして、あわせて全都道府県においても相談窓口を整備していただいて、相談体制の整備強化を行っているところでございます。

 引き続き、国民の皆様の不安を解消するために必要な対応をとってまいります。

高市国務大臣 総務省消防庁からは、全国の地方公共団体及び消防本部に対しまして継続的に情報提供を行っております。

 それから、十三日に決定しました緊急対応策のうち、一部事業につきましては地方負担が見込まれます。これはもう災害並みの措置を講ずる必要があるということで、例えば、有症患者が入院することができる病床整備に係る備品購入等の支援、また地方自治体の相談窓口設置の支援、こういったことに対して補助を実施する場合に手厚い地方交付税措置を講じることといたしました。

 今後も、地方団体の声をしっかり聞きながら、必要な対応を行ってまいります。

本村委員 今申し上げましたことを含めて、さまざま御地元には住民の皆様の御要望がございますので、ぜひ、そのお声を聞いていただいて、対応していただきたいというふうに思います。

 この感染症の対応でも、もしある病院で院内感染の疑いがあるということであれば、受け入れられないということになってまいりまして、じゃ、別のところということにもなってまいりますので、やはり、その地域に一つあればいいというんじゃなくて、複数備えておくことも必要だということが今回のケースでもはっきりしているというふうに思います。

 そういう点でも、もう一度、病院の再編、統廃合の問題についてお話をさせていただきたいんですけれども、本会議でも伺った問題でございます。

 政府は、全国の公立・公的病院に対して、入院の病床数を全体で五万床減らす地域医療構想に即した改革プランを求めております。しかし、削減が思うようにいかないということから、全国四百二十四の病院を突然名指しをして、プランを再検証して二〇二〇年九月までに再編統合、機能移転、ベッドの数を減らすという計画を具体化するように求めてきたわけでございます。

 そもそも、この四百二十四の病院名リストというのは、物すごい乱暴なものでございました。例えば、三重県のリストを見てみますと、桑名南医療センターが載っております。でも、この桑名南医療センターは存在していないんです。存在していない病院がリストの中に載っていたと。二〇一七年のデータだというふうに言っていますけれども、どれだけ現場を知らない、いいかげんなものなのかということがよくわかる事例だというふうに思います。こういういいかげんなもので自治体に圧力をかけるということに、本当に憤りを持っております。

 厚生労働省のリストの公表に対して、名指しされたところからさまざまな声が上がっております。

 例えば、岐阜県内でも、飛騨の市長さん、山間地の公的医療機関の役割を無視した議論だ、もとデータの信憑性もない、混乱が広がるのは当然のことで極めて遺憾というふうに表明をされております。

 そして、多治見市長も、更に充実しようとしているところに公表は寝耳に水だ、極めて遺憾だという発言をされております。また、多治見市の市民病院の院長さんは、厚生労働省が分析したデータは直近の二年、三年の経営努力を無視している、多治見市民病院を対象にした根拠も不明で名誉毀損に相当する、業務妨害であり厳重に謝罪を求める、こういうお声でございます。

 また、恵那市立の恵那病院も、建てかえて、そして今、産婦人科も開設をして、二百五十人近くの赤ちゃんが生まれている、町の希望の星だというふうに言われている病院でございます。その院長も、上から言ってくるのはおかしいというふうに声を上げておられます。各地で怒りの声がこういうふうに噴出しているんです。

 総務大臣にお伺いをしたいんですけれども、必死に地域医療を支えている方々の声、特に市町村の皆さんの声をどのように受けとめておられますでしょうか。

高市国務大臣 昨年の九月の末に厚生労働省からの公表があり、地方からは懸念や不安の声が寄せられました。

 地域の実情をよくお聞きするために、国と地方が協議する場の設置を指示いたしました。そして、十月にそれを立ち上げ、これまで地方三団体、厚生労働省及び総務省によって地域医療確保に関する議論を深めてまいりました。

 協議の場において、地方側からは、民間病院も含めた病院全体のデータが必要、関係者間の合意を得るための十分な時間を確保すべき、公民の別なく国費で財政支援をすべきなどの意見が出されました。こうした地方からの御要望を踏まえて、国において新たな財政支援の創設などを行いました。年末には、このような国の取組に対して一定の評価はいただいたところでございます。

 しかしながら、今後とも、協議の場を通じて地方の声はしっかりと受けとめてまいりたいと存じます。

本村委員 地域の医療の体制を確保するために御努力されている方々の声をしっかりと聞くべきだというふうに思います。

 そして、そもそも、こういういいかげんな病院名リストは即刻撤回するべきだというふうに思います。本会議でも、総理に撤回するべきだということを私は申し上げました。そうしましたら、病院名リストについて、医療機関が今後医療機能のあり方を考える際の材料としてお示しをしたというふうに答弁をされました。けれども、結局、具体的対応方針の再検証を求めているわけでございます。

 厚生労働副大臣にお伺いをいたしますけれども、なぜ三月末までに対応策を出せというふうに求めているんでしょうか。

稲津副大臣 お答えをさせていただきます。

 この地域医療構想の再検証の三月末までの期限という御質問でございますけれども、地域医療構想の実現に向けて、これまで急性期機能を中心に担ってきた公立・公的医療機関に対し、民間では担えない医療に重点化すべきとの観点から、今後担う医療機能についての検討を先んじて求めてまいりましたが、その検討結果について、全体として急性期からの転換が進んでいないという御指摘がございます。

 こうした状況において、二〇二五年に地域医療構想を実現するためには、早期に地域における再検討の議論を進める必要があるため、骨太の方針二〇一九におきまして、再編統合を伴わないケースについては原則として二〇一九年度中に対応の方針の見直しを求める、このようにされているものでございます。

 なお、地域における議論の進捗状況や自治体等からの意見も踏まえながら、ことしの夏の骨太方針に向けて、二〇二〇年度から地域医療構想の目標年である二〇二五年に向けての具体的な進め方を整理することにしている、このような流れでございます。

本村委員 今、骨太方針の話もありましたけれども、それに至る議論も大変おかしいものがあるというふうに思います。

 二〇一九年五月の経済財政諮問会議、財務大臣がこういうふうにおっしゃっております。地域医療構想は、二〇二五年に達成すべき病床数に沿ったものとなっておらず、不十分、再合意に向けて適切な基準を設定することは重要というふうに指摘をし、再合意の具体的期限の設定、見える化、知事の権限強化など、実効性を高める仕組みが必要というふうに上から目線でおっしゃっております。また、民間議員からも、公立病院等の見直しも全体として二〇二五年に達成すべき病床数等に沿ったものになっていない、適切な基準を新たに設定した上で、期限を区切って見直しを求めるべきと、一貫して病床数の削減、再編を狙っている、迫っているわけでございます。

 そして、経済財政運営と改革の基本方針二〇一九、骨太方針を閣議決定して、その方針を地方自治体に押しつけているということでございます。

 国と自治体は対等な関係のはずでございます。にもかかわらず、こういうやり方は、閣議決定して地方自治体に押しつけるというやり方は、やはりおかしいというふうに思います。

 それで、こういう骨太方針を受けて、ことし一月十七日に、各都道府県知事宛てに厚生労働省の医政局長が「公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証等について」という文書を出しております。

 まず、確認をいたしますけれども、この文書、地方自治法第二百四十五条の四第一項の規定に基づく技術的助言であって、これをやらなかったからといって、ペナルティーは当然ないですね。

吉田(学)政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘いただきました文書につきましては、御指摘いただきました地方自治法に基づきます技術的助言として通知を発出しているものでございます。

本村委員 ペナルティーはないですね。

吉田(学)政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げましたように、この通知につきましては、地域医療構想を進めるに当たりまして、私どもとしての技術的助言でございます。ペナルティーという言葉の意味ではございますけれども、私どもとして、それによる具体的なペナルティーは予定してございません。

 私どもとしては、政府全体として、この地域医療構想が進むための支援策につきましては、別途、私どもとしても全力を挙げて取り組ませていただきたいと思っております。

本村委員 地方自治体に押しつけるということがあっては絶対にならないというふうに思います。

 この医政局長の文書ですけれども、この中には、都道府県は、公立・公的医療機関等に対し、具体的対応方針について再検証を要請すること、都道府県から要請を受けた再検証対象医療機関は、以下一から三について検討を行い、その結果を反映した具体的対応方針について、地域医療構想調整会議において、再検証を経た上で合意を得ること、一、現在の地域における急性期機能や、将来の人口推計とそれに伴う医療需要の変化等の医療機関を取り巻く環境を踏まえた、二〇二五年を見据えた自医療機関の役割、二、分析の対象とした領域ごとの医療機能の方向性、ほかの医療機関との機能統合や連携、機能縮小、機能廃止等、三、一、二を踏まえた機能別の病床数の変動、こういうことを書いております。

 ベッドを減らす議論をしろというようなことまで書いてあるわけですけれども、先ほども申し上げましたように、国と地方自治体は対等な関係のはずでございます。やはりこの医政局長の文書というのは上から目線で、おかしいと思いますけれども、その点、副大臣、いかがでしょうか。

稲津副大臣 お答えいたします。

 この一月十七日付の医政局長の通知の件でございますけれども、地方自治法に基づく技術的助言として御指摘の通知を出しておりまして、当該通知は、国と地方自治体が対等である、この前提のもとに出されたものと考えているところでございます。

 また、御指摘の通知につきましては、昨年十二月二十四日の第三回地域医療確保に関する国と地方の協議の場におきまして、その骨子を協議した上で発出したものでございまして、地方自治体と調整をさせていただいたものでございます。

本村委員 国と地方自治体、市町村は対等な関係でございます。決して国の政策を押しつけるというようなことがあってはならないということを念を押しておきたいというふうに思います。

 再検証ということなんですけれども、公立・公的病院のこと、地域医療をどうしていくかということを考えるときに、やはり一番大事なのは患者さんの声や住民の皆様の声だというふうに思います。

 公立・公的病院のことを考える、地域の医療をどうしていくかということを考えるときに、患者の皆様や住民の皆様の声を聞くというのは当然だと思いますけれども、高市大臣、御答弁をお願いしたいと思います。

高市国務大臣 今回の再検証要請病院の分析、公表を受けまして、先ほども申し上げましたが、昨年十月から地域医療確保に関する国と地方の協議の場を開催しております。地方側から、地域での実情が考慮されていない、地域で不安や不満が出ているといった指摘がございました。

 その後、厚生労働省におかれまして、地方との意見交換会を順次開催して、丁寧に説明がなされたと聞いております。

 今後は、それぞれの地域において地域医療構想調整会議がございますので、ここで議論が進められてまいります。各地方公共団体において、今回の分析データも踏まえながらですが、病院が将来担うべき役割などについて、地域の実情を踏まえながら議論を尽くしていただくということとともに、地域住民の皆様の御理解を得るということが重要だと考えております。

本村委員 十分、住民の皆さん、患者の皆様の声を聞くというのが大事だというふうに思います。

 例えば、リストに載っております愛知県の碧南市民病院、ここでは、同じく愛知県の西尾市にございます西尾市民病院と碧南市民病院を一つに統合しようという動きがございました。そのときに、西尾市では住民アンケートをとりまして、あるいは地域のお医者様のお声も、御意見もお伺いをした。その結果、病院の建物を一つにするというのはなくなったわけでございます。碧南市の方は、市の当局はやらなかったそうですけれども、私ども日本共産党の碧南市会議員団が住民の皆様にアンケートをとりましたら、九割の皆様が市民病院を守れという御意見でございました。

 それぞれの病院は、地域の皆様、働く皆様の長年の御努力で、志などによって支えられてきたもので、地域の大切な財産なわけです。先ほども申し上げましたように、まちづくりの希望の星というふうにも言われている財産でございます。

 そういう地域の皆様にとって財産である病院を今後どうしていくのか、医療体制をどうしていくのかということを議論するときに、やはり患者の皆様や住民の皆様の声を丁寧に聞いていくということがまず大事だというふうに思います。その点もお答えをいただきたいというふうに思いますし、三月までに出せとか九月までに決めろとか、期限ありきで国の政策を押しつけるというやり方そのものがおかしいと思いますけれども、厚生労働副大臣、お願いしたいと思います。

稲津副大臣 お答えをさせていただきます。

 御指摘のとおり、地域における医療供給体制の議論に当たっては、地域の置かれているさまざまな経緯ですとか実情、これを踏まえることが必要である、このように考えております。

 そのために、住民の皆様の声を含め多面的に意見を聞くことが必要である、そのように考えているところでございまして、このために、病院が将来担うべき役割を国が機械的に一律に決める、そういうことはございません。

 地域医療構想会議において公立・公的医療機関等の具体的な対応方針を再検証していただくということとしておりまして、その際に、地域住民に対する協議の透明性を確保する観点から、先ほど大臣からも御指摘ございましたように、原則、調整会議を公開して開催するようお願いをさせていただいているところでございます。

 なお、地域における議論の進捗状況や自治体等からの意見も踏まえながら、ことしの夏の骨太方針に向けて、二〇二〇年度から地域医療構想の目標年である二〇二五年に向けての具体的な進め方を整理することとしているところでございます。

本村委員 地域の住民の皆様の声、患者の皆様の声を丁寧に聞いて、その地域で医療をどうしていくか、災害時も含めて、感染症も含めて、その地域の医療をどうしていくかというのを丁寧に議論していくということが何よりも大事だというふうに思っております。

 先ほど、ペナルティーは考えていないというふうに御答弁を局長はされましたけれども、ことしの一月十七日の医政局長の文書を見ますと、早く具体的対応方針を出した方が有利になるのではないか、地域医療介護総合確保基金の箇所づけなどで差をつけるんじゃないかというふうに思われるような記述があるわけです。

 この地域医療介護総合確保基金の、いろんな使い方があるんですけれども、とりわけ愛知県でも御要望が多い、そして岐阜県でも多いわけですけれども、医療従事者の確保、こういう部分ですとか、在宅医療の充実ですとか、働き方の改善の部分ですとか、そういうところは、再編統合するところとかベッドを削減するところが有利になるというふうなことじゃなくて、やはりそれぞれの自治体の判断、それぞれの住民の皆様の判断を尊重するべきだというふうに思いますけれども、副大臣、お願いしたいと思います。

稲津副大臣 お答えをさせていただきます。

 今お話がありました地域医療介護総合確保基金のいわゆる配分のことであるというふうに思いますけれども、二〇二五年に向けて、病床の機能分化、連携、在宅医療・介護の推進、医療・介護従業者の確保、勤務環境の改善等、いわゆる効率的でかつ質の高い医療提供体制の構築と、そして地域包括ケアシステムの構築、これを実現するために、地域医療介護総合確保基金については各都道府県で設置をしたものでございます。

 その配分に当たって、経済財政運営と改革の基本方針二〇一九、ここにおきまして、めり張りをしっかりつけていこうということとされております。令和二年度の配分を行う際にも、この地域医療構想の着実な実施を図り、次のところが大事だと思うんですけれども、効率的でかつ質の高い、さらに、持続可能で地域のニーズに応じた医療提供体制を構築する、こうした観点から、いわゆるめり張りということになってございますが、具体的な配分方針については、こうした観点を踏まえて今後検討を行っていくところでございます。

本村委員 骨太方針にのっとって、この基金の予算の配分も、病院再編、統廃合のところが分厚くなっていて、愛知県からも岐阜県からも御要望が高い医療従事者の確保というところが全然足りないわけですよ。再編、統廃合の方じゃなくて、こっちに、医療従事者の方に予算をもっと配分してほしいという御要望を受けておりますので、骨太方針に沿っていけばいいというわけじゃないということも強調させていただきたいと思いますし、実際に、愛知県とか岐阜県から聞いたお話は、医療従事者の確保ですとか在宅医療を充実するためのところをもっと分厚くしてほしいんだ、予算を、基金を分厚くしてほしいんだ、そこの部分をちゃんとやっていただきたいというふうに思います。

 いろいろ数字で、機械的にやっていくと大変なことになっていくという一つの事例が、国立病院の話なんですけれども、東尾張病院という精神科の病院があるんですが、ここは結核モデル病床というのがあって、精神疾患プラス結核というベッドがあるんですけれども、今回、ベッドの稼働率が悪い、八割を切っているということで、この病棟自身をなくすということで、愛知県内で精神科でかつ結核というのがゼロになってしまうんですね。

 こういう乱暴なことを本当に国が認めてしまっていいのかという点を厚生労働副大臣にお伺いしたいというふうに思いますのと、今もいろいろ議論させていただきましたけれども、最後に、高市大臣に、やはり、地域の実情を無視した乱暴な病院名リストは、地方自治にも反するものでありますし、撤回するべきだということを、ぜひ厚生労働大臣に強く言うべきだというふうに思います。

 この二点、お答えをいただきたいと思います。

稲津副大臣 お答えいたします。

 御指摘の独立行政法人国立病院機構東尾張病院の病棟の廃止につきましては、精神科医師の確保が非常に厳しくなってきたことに伴い、結核モデル病床が含まれている病棟を閉鎖し、病棟集約を図るものであり、結核モデル病床の廃止については愛知県とも相談の上行うもの、このように聞いているところでございます。

 一般に、精神疾患と結核を同時に患う患者さんに係る対応については、患者さんの病状を踏まえつつ、関連する診療科が連携をとりながら、医療機関において適切に判断されるもの、このように承知しております。

高市国務大臣 先ほど本村委員が例示された、現在存在しないような病院も入っているリストということですが、これも、厚生労働省から、利用可能な最新データである病床機能報告二〇一七年のデータを機械的に用いて行っているなど、説明を受けておられるようでございます。この件も、厚生労働省から自治体などに対して、各地で意見交換会を実施して、丁寧な説明が行われたと聞いております。

 また、総務省も参加しております国と地方の協議の場でもこの趣旨が説明され、昨年十二月の会議では、地方側から、議論の正常化に向けて道筋がついたという発言がございましたので、一定程度国と地方の相互理解も進んだと思います。

 しかしながら、御指摘のとおり、地域の住民ですとか地方団体のお声を丁寧に踏まえながら対応していかなければなりませんので、今後、各地域の地域医療構想調整会議で実効性のある議論が行われるということを期待したいと存じます。

大口委員長 本村君、時間が来ております。

本村委員 お呼びをしたのに御答弁いただけなかった方がみえます。大変申しわけありませんが、ありがとうございました。

大口委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 先日の大臣所信質疑において、NHK会長にもお越しをいただいて、新型コロナの話を少ししました。きょうは地方税について議論させていただく委員会でございますが、ちょっと最初、若干お時間を頂戴して、新型コロナとNHKということで若干質問させていただきたいと思います。

 先日も議論しましたように、私はスマホを持っておりまして、スマホにいろいろなアプリがありますが、例えば、ニュースでスマートニュースというアプリがあります。スマートニュースというふうに開けると、トップページに、皆さんお持ちですか、スマートニュースなんか、ああ、使っている、初鹿さんは使っている……(発言する者あり)そうそう。

 スマートニュースというのは、タブが幾つか並んでいるんです。一番トップのタブのところを開くとまず何が出てくるかというと、トップページに新型コロナウイルスチャンネルで、チャンネルというのはもう一つ隣の新しくつくられているタブ、それが新型コロナウイルスチャンネルです、そのチャンネルで最新情報を提供していますと出てくるわけです。このアプリを開くと最初にそれが出てくるわけです。それを押すと、新型ウイルスというタブにつながりまして、その新型ウイルスのタブのトップには、厚生労働省の例のページ、新型コロナウイルスに関するQアンドA等々に飛ぶようになっている。

 民間の、営利と言っていいのかな、そういうニュースアプリであってもこれだけのことを当然のようにしているのに、なぜNHKはぽうっとしているんですかということを、先日、NHKの会長に申し上げましたが、何か紙を読むだけで帰っていかれました。だから、もうあほらしいので、きょうは呼んでいません。

 そういう公共放送たるNHKがぽうっとしているときに、じゃ、総務省は何かできないのかなと。もちろん報道ですから、報道というか放送番組ですから、例えば、民放の番組の編成や番組内容についていろいろ口出しをすることが適当だとは思いません。しかし、公共性の高い、受信料で成り立っている公共放送NHKが、これだけの国家的な危機のときにぽうっとしている。やはりおかしいというのが、もう感じざるを得ないんですね。

 例えば、科学的な情報、技術的な情報、あるいは、先日の、十七日ですか、受診の目安。この受診の目安も、報道はしてくれていますよ。

 ところが、NHKでさえ、民放はもっとコメンテーターが適当なことを言っていますけれども、NHKでさえ、どこのお医者さんかわからないお医者さんを呼んで、政府、内閣として発信をしているこの受診の目安を取り上げて、これはわかりにくいですねみたいなことで、三十七・五度以上の熱が四日以上続いたらということになっているんだけれども、四日も我慢できませんよねとか言って、我慢できないときは医者に行くんだけれども、マスクして行ってください。

 まあ、いいんだけれども、NHKであれば、もう少しやはり国民の利益のために、前に申し上げた青いL字、L字ってこう、こういうのもありますね、地震とか津波のときに出るような、そういう青いL字形の画面を用意して、既存の番組は全て流しながらでいいですよ、必要な情報、新型コロナに関連する最新のニュース、そしてQRコード、そういったものをずっと張りつけておいたらいいじゃないですか。

 大臣、これはやはり、総務大臣として何かできることはありませんか。

高市国務大臣 放送法上、残念ながらできません。

 放送法上、総務大臣がNHKに対して放送事項について要請することができるのは、国際放送の実施要請に限られます。でも、その場合においても、NHKの放送番組の編集の自由に配慮しなければならないとされております。

 ただ、一般論として申し上げますと、国民の生命と財産を守る正確で迅速な報道を行うというのは、公共放送の担い手としてNHKに求められる最も大切な役割の一つだと存じます。ですから、NHKでは、公共放送としての社会的使命を踏まえて、テレビ、ラジオ、ネットを適切に用いてきめ細やかな情報提供を行って、国民・視聴者の皆様の負託に応えていただきたいと思います。

足立委員 結局、自律的な組織、団体というかがその自律性を維持していこうと思ったら、やはり、その責任、社会的責任、あるいは法律が求めている公共性、そういったものをしっかりと使命を自覚して、当事者がですよ、国会や政治家が言うんじゃなくて、政府が言うんじゃなくて、当事者、NHKがみずからのガバナンスの中でしっかりその責務を果たしていくために、もっとコンシャスになってやっていかなければならないと思うし、そういうことがもし実現できないのであれば、法改正で、いや、できないんだったら仕方ないよね、しっかりとしかるべき枠組みをつくって、そういう国家的な必要性に限定して、必要な科学的、技術的情報を国民にしっかりと伝えていく枠組みが私は必要だと思うんですよね。

 まあ、高市大臣は御見識のあられる方ですから、そういう乱暴なことはないということかもしれませんが、私は、NHKが本来の公共放送としての役割を果たせないのであれば、法的枠組みの見直し、これも検討すべきだと思いますが、これは更問いですが、大臣、どうでしょうか。もう何かばしっと言っちゃってください、ニュースになるようなことをちょっと。

高市国務大臣 ニュースになるのは足立委員で十分だと思います。

 二月七日に国会に提出させていただいたNHK予算及び総務大臣の意見というのがありますが、その総務大臣意見には、国民の生命と財産を守る正確で迅速な報道など、また、大規模自然発災、発生時などはあらゆる手段できめ細やかな情報提供を行うことといったことは書かせていただいております。

 その上で、法改正ということですが、仮に何か政府が放送内容について事前に確認を行うとかいうことになりますと、憲法が禁止する検閲につながるおそれがございます。

 ただ、放送事業者は間違ったことは放送しちゃいけない、これは現行法でも、放送法上、事実を曲げないで報道すること、また、仮に間違った情報を放送した場合には訂正放送を行うことが求められておりますので、これをしっかり守っていただくということになるかと存じます。

足立委員 ありがとうございます。御見識だとは思います。

 きょうは小島政務官にお越しいただいています。ありがとうございます。お忙しいですね、いろいろと、あっちもこっちも。

 今、大臣から、間違った報道内容、放送内容はあかんわなという話がありました。私は、放送番組であれネットの番組であれ、誤った情報が流れることはあり得ると思っていますが、そして、厚生労働省として、新型コロナについてもし間違った情報が展開されていれば、それをしっかりとチェックして言うべきことを言っていく、これは当然だと思いますが、いかがですか。

小島大臣政務官 御答弁申し上げます。

 今、足立委員がおっしゃったように、こうした新型コロナウイルス感染症に関しましては、国民の方々に迅速に、またはっきりと情報を提供することは重要というふうに考えております。

 そのために、厚労省としましては、テレビやインターネット上で発信されている情報を確認した上で分析し、誤った情報が広がっていれば正しい情報を厚生労働省のホームページ等で積極的に発信しているところでございます。

 また、SNS業者にも御協力いただきまして、厚生労働省の公式アカウントを開いておりまして、正確な情報を発信しているところでございます。

 引き続きまして、省としましても、テレビやインターネット上で発信される情報を確認いたしまして、これからも迅速かつ正確な情報を国民の皆様に提供していきたいというふうに考えておるところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 今おっしゃったのは、放送とかにかかわらず、もし間違った情報があればしっかりとチェックして是正して、是正というのは正しい情報を伝えていく、こういう御答弁だったと思います。これはしっかりお願いをしたいと思います。

 それから、ちょっと戻りますが、大臣、ごめんなさい、通告じゃないのでわかればでいいんですが、先ほど国際放送の話をされました。ちょうど今、世界から日本が相当いろいろな厳しい見方をされている。あるお医者さんの情報、ユーチューブなんかも含めて大騒ぎになっています。だから、こういうとき、いや、これもまた、国際放送も放送ですから、議論は先ほどあったように限定的な話ですが、こういうときこそ、やはりNHK国際放送がちゃんと国益に即した、国益って、ごめんなさい、また政治的な話じゃないですよ。事実が世界に伝わっていない、特定のお医者さんが発信している情報だけが拡大していることは、やはり私は問題だと思うんだけれども、国際放送について何かできることはあるでしょうか。

高市国務大臣 国際放送については、放送法第六十五条に規定されております。総務大臣は、協会に対して、放送事項、これは邦人の生命、身体及び財産の保護に係る事項、国の重要な政策に係る事項、国の文化、伝統及び社会経済に係る重要事項その他国の重要事項に係るものに限る、括弧書きがついてあるんですが、その他必要な事項を指定して国際放送又は協会国際衛星放送を行うことを要請することができるとなっております。

 この国際放送は、受信料で行われているほかの放送と違って、税金が別途入っております。ただし、この六十五条に二項がありまして、総務大臣は、前項の要請をする場合は、協会の放送番組の編集の自由に配慮しなければならないとされております。

 過去に、私ではない総務大臣が、拉致問題について具体的な要請をしようとしたときに大問題になってしまったというようなことがあって、私自身もいろいろ申し上げたいことはございますけれども、国民の生命に係ることなども含めて申し上げたいこともございますけれども、ただ、法律に従って、抑制的な要請はしなければならないんだろうと思っております。

足立委員 今大臣が申し上げたいこととおっしゃったのは、拉致の話、それか新型コロナについて、ちょっとよくわからなかったんですが、私は、当然これはあっていい、だって法律がそうなっているわけですから。もちろん抑制的にハンドリングしなければいけないにしても、まさに今がそれではないかと私は思いますよ。

 高市大臣、拉致の問題、以前の大臣の取組について私はちょっと改めてまた復習しておきたいと存じますが、今、新型コロナについて国家的な大事になりつつある中で、私は今こそ、高市大臣が今おっしゃった、御指摘いただいたNHK国際放送、税金で成り立っている、国民が支えている国際放送を使って、国の危機を、あるいは国民が、世界じゅうから日本国民が、例えば海外のおすし屋さんに落書きされたりとか、実際に激しい風評、私は風評に近いものがあると思いますよ。

 きょう、この後、予算委員会にも立たせていただきますので、関係大臣に新型コロナの問題、加藤大臣も含めて質問させていただきますが、いろいろ課題はあるが、そんなもの、世界じゅうからわあわあ言われる話じゃない。じゃ、クルーズ船の話だってイギリスとの関係はどうなんだ、いろいろな議論があるわけです。

 正確に、特定の個人の医者の発信だけがクローズアップされるのではなくて、もっと正確で日本国民の安全の確保につながるような発信を世界に対してしていく、これは今こそNHK国際放送がなすべきであり、それは高市大臣が要請をされるべき事態に至っていると私は思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 あくまでも法律に従って、協会に対しては、邦人の生命や身体及び財産の保護に係る事項、国の重要な政策に係る事項と、その他国の重要事項に係るものに限るとありますが、この範囲で要請は行ってまいります。

足立委員 ありがとうございます。

 とにかくいろいろな課題、憲法改正も必要だし、自衛隊の中東派遣も大変なことにチャレンジをいただいているし、選択的夫婦別姓も大事、拉致の問題も解決していない、経済をしっかりと、経済成長を図っていく必要もある。政府はさまざまな課題に取り組まれていますが、まさに今回の新型コロナの問題は大変な事態です。いや、これは大丈夫だと言う人がいるんだけれども、ワクチンができていないんですから、まだ。ピークをできるだけ後ろ倒しをさせる、そういう中で、しっかりと国民の生命をお守りをしていく体制を整える時間稼ぎをしていく、これは大変に重要なことですので、国内、あるいは特に世界から何か日本が誤解をされるようなことが決してないように、ぜひ大臣のリーダーシップをお願いをしたいと思います。

 もう議論していただいたので、一問飛ばしてもいいんですが、ちょっとやっておきますと、先日の所信質疑で、NHK会長に、放送と通信の大融合時代にNHKの受信料制度はどうあるべきか真面目に考えてくれと言ったら、ぽわぽわぽわっとしていました。

 高市大臣はこの問題は正確に御理解をされている貴重な大臣であると思っていまして、イギリスのボリス・ジョンソン首相が、BBCの受信料制度の改革、これは、半分は政治的な、極めて政治的な駆け引きをやっている、これはよく理解をしておりますが、少なくとも、受信料制度の改革を打ち出し、ペイ・パー・ビューのような、ネット時代にあるべき、公共放送であっても、受信料制度にかわる新しい制度にする改革を体を張ってやるんだ、こういう発信をされています。

 私は、高市大臣の間に、これまでもNHKについては果敢にいろいろ御指導をいただいてきていることはよく承知をしていますが、特にネット同時配信についていろいろガバナンスのことを御指摘いただいているのはよく承知していますが、私が申し上げているのはそれよりももっと大きな話。

 そもそも受信料制度は大丈夫か。NHKの貴重なプログラムを、今、家の中に受信機を設置していない、スマホしか持っていないような方にもしっかりとプログラムを届けていく。もう、こういうやり方で見ることができますとか細かいことはいいんです。根本的に、そういう、設置型の受信機とネット時代のスマホ、要は、電波の受信機と、インターネットの、通信の世界ですね、ネットで画像を、コンテンツを受け取る、ここをどう調整をしていくのかという課題は、結局、私は、総務省はまだはっきりとそこについてめどを立てていないように承知をしていますが、大臣、御在任中に、ぜひ、長期政権を総務省だけでも維持していただきたいと思いますが、ちょっとそこをお願いします。

高市国務大臣 先ほどイギリスのBBCの例を挙げられましたけれども、きょう現在で、イギリス政府で何か正式な決定があったという状況ではありません。

 もうネットと、要は、通信と放送の融合の時代でございますから、受信料制度のあり方そのものにつきましても、これはタブー視せずに議論を始めなければいけないと私は強く思っております。今、その環境を整えるべく調整をいたしております。

足立委員 ありがとうございます。

 私たち日本維新の会も、さきの参院選でも、もういわゆる公共分野とそれからいわゆる民間の番組、例えば有料放送とか民放とか、そういうところでできるような番組はもう民営化して、完全民営化して、民営化という言い方が適当かわかりませんが、そして、公共的な役割、きょう前半で議論したような公共的な役割を担う部門は分けて、分割してしかるべき制度をつくっていく以外に、世界で進みつつある大激動の時代、インターネットの時代、放送と通信の大融合時代に対応していくことはできない、こう思っていますので、またぜひ大臣とこの議論は、この委員会でも討議、討論をさせていただきたいと思います。

 話は地方税に入りますが、先日、私の地元大阪府の池田市で、即席麺、チキンラーメンがふるさと納税の対象として、報道ベースでいうと復活というような報道がされています。

 経緯が若干ございますので、開出局長から御紹介をいただければと思います。

開出政府参考人 大阪府池田市におきましては、平成二十年九月以来、ふるさと納税の返礼品としてインスタントラーメンを提供しておりましたが、昨年六月のふるさと納税指定制度の施行に伴い定められた告示における地場産品に係る基準のうち、区域内で製造、加工等が行われているという規定に該当しないものとして、同市の判断により提供を取りやめたと承知しております。

 返礼品の再開に向けては、同市におきまして、インスタントラーメン発祥の地であること、インスタントラーメンが市民に深く愛されており、市にはカップヌードルミュージアムも設置され、町おこしの一環としてPRに取り組んでいること等から、地場産品として扱う余地がないか検討を進めてきたと承知しております。

 総務省としては、告示に定められた地場産品の基準のうち、地方団体の広報の目的で生産された当該地方団体のキャラクターグッズ、オリジナルグッズその他これらに類するものとの規定について、その趣旨や解釈をお示しするなど、市からの相談にお答えをしてまいりました。

 これらの経緯を経て、池田市において、同規定についての解釈を踏まえ、関係企業とも協力の上、基準に適合する形となるよう、提供する返礼品についてオリジナル性を高める等の工夫を凝らし、先般、提供再開に至ったものと承知しております。

足立委員 ありがとうございます。

 まさに今御紹介いただいたとおりでありまして、今、法務省、森大臣のところで何か法律の解釈みたいなことで大もめにもめておりますが、やはり解釈ってあるんですよ、一定の幅で。その中で、やはりその法令の本旨、法令の趣旨に、立法意思みたいなものにしっかりとのっとりながら、その範囲で地域でしっかりと工夫をしていくことが大変重要だと思っています。

 その中で、昨年の四月に新しく市長に着任をされた冨田裕樹池田市長と私もいろいろ議論をしながら、また、総務省に法令解釈をめぐるさまざまな照会もさせていただきながら、開出局長を始め、あるいは高市大臣を始め総務省の皆様の丁寧なそういうガイダンスというかをいただきながら、池田市の工夫によって、こうしてチキンラーメンが法の趣旨に沿って再開ができたということを大変ありがたく、ありがたくというか、喜ばしいことである、こう思っております。

 一応、開出局長にも、まあ、経産省で御一緒した、余り言わない方がいいですね、僕と御一緒したと言うと余りプラスにならないですね。経産省に御出向いただいていたときに同じ部署で働いていたことがありまして、大変開出さんも偉くなったななんて、失礼ですが、思っておりまして。でも、そういう立派な方々が霞が関で頑張っていただいているおかげで、こうして、地域でも新しい、あるべき展開を実現できたということを、市民の皆様、国民の皆様にも御報告をしておきたいと思います。

 本件の経緯は、詳細は、私のユーチューブチャンネル、「あだチャン」というチャンネルがありまして、大臣、足立康史チャンネルで「あだチャン」というのがありまして、「あさチャン!」じゃなくて「あだチャン」という、ここで、チキンラーメン、今局長から御紹介いただいた事の経緯を、詳細、冨田市長と私のトークとして紹介をしております。大変おもしろいと言っていただいていますので、ぜひ皆様も、お時間がありましたら、コーヒーブレークのときにごらんをいただければと思います。

 残る時間は、今回の地方税の見直しには、いわゆる個人住民税における未婚の一人親に対する税制上の措置云々ということで、いろいろな議論が活発にマスコミも巻き込んで行われてきました。

 関連として、これは予算委員会で私がお見せしたことがあるパネルをもう一度お持ちをしました。

 きょうは、法務省からも竹内官房審議官、ありがとうございます。お若いですね。まあ、どうでもいいか。よろしくお願いします。

 ここに書いてあるように、これからの時代、私たち維新の会あるいは私は、国民の社会生活を支える制度は、できるだけ多様な選択肢、さまざまな境遇、さまざまな環境の中で国民一人一人が懸命に生きている、働いているわけでありますから、また、家庭を営んでいるわけでありますから、できるだけ多様な選択肢を用意して、新しい、自由で安心な社会をつくっていく、これが私自身の政治信条であります。

 そうした観点からは、私は、かねてリベラル政党の国対委員長をなじっていたことがありまして、どうしても何か、右派というか、保守系の人たちから、もっとやれとかとよく言われるんですが、こういう選択的夫婦別姓の話をやると、選択的夫婦別姓に賛成だという足立さんの意見だけは許せないとかいってネットでたたかれるわけです。しかし、私はもう、今、この選択的夫婦別姓に関するツイートをツイッターの一番上に固定しています。大変重要なテーマだと思っています。

 もうちょっと言うと、並行して、皇室の議論があります、皇位継承の話が。

 昨年の七月の参院選で、私は大変批判をしているわけですが、野党第一党の代表が、街頭で、まとめると、こういうことをおっしゃいました。多様性を認める時代だから、選択的夫婦別姓は当然実現をしなければならないし、女性天皇、女系天皇も実現をすべきだと。これをまぜて議論をしていったんですね。ふざけるなと。ね、大臣。むしろ逆だと思いますよ。社会がどんどん変化をしていく、社会が多様な選択肢を認めていく、それと並行して、それを進めれば進めるほど、伝統はもっと強く守っていかないといけない。

 私は、先ほど申し上げた、できるだけ多様な選択肢を用意して、新しい、自由で安心な社会をつくっていくのと並行して、逆に、同時に皇室のあり方を検討するに際しては、できるだけ、できるだけ伝統を重んじるべきだ、こういう話を主張しているわけであります。これを理解できない右派とか保守系というのはよくわからないですね、何を考えているか。

 さて、そこで、この選択的夫婦別姓を実現するために、去年の夏に、私、サイボウズの青野社長のところに行きました。国会の中でさまざまな超党派の勉強会が今始まっていますが、それが始まる前は、サイボウズの青野社長は一人で、作花さんという弁護士さんと、司法府で、裁判所で司法闘争をされていました。

 私は、サイボウズの青野社長のところに飛び込みで行きまして、そして、青野社長と、もう、司法闘争もいいけれども、国会に来てくださいと申し上げて、国会にお力添えをいただけるようにお願いをしてきた経緯があります。

 私は、そこで実現すべき、国会で議論すべきテーマは、実は、これまでは、今の制度、この青いのが、今の制度に対して、別氏を選択できるいわゆる選択的夫婦別姓の議論を、実現をするかしないかで空中戦をやっているわけですが、本当に大事なのはその下のレイヤー、まあ、上と言ってもいいんですよ、そしてもう一つのレイヤー。要は、子供の氏はどうするんですか。開出さん、お忙しかったらもういいですからね。でも、おもしろいでしょう、これ。ぜひ聞いていってくださいね。子供の氏をどうするのか。むしろ小島さん、大丈夫ですよ、ありがとうございます。頑張ってください。応援しています。

 あるいは、一番下の、戸籍法や民法をどうするんですかということで、大変な幅があるときに、いわゆる赤いところは、共産党やかつての民主党、今の立憲民主党や国民民主党が出している議員立法は、子供の氏は出生時に決めるという極端な案を出しています。彼ら、彼女たちの悪いところはこれですね。絶対に自民党が乗れない案を出して、わざわざもめさせる。彼ら、彼女らは夫婦別姓を実現したいんじゃないんです、もめさせたいんですねという国民の声をよく聞きます。

 でも、それをやると、一番右の、戸籍の廃止に行き着きます、極端な場合は。それに対して、かつて民行審、今の法務省の法制審が答申をした内容は、この二つの氏と書いてあるところで、要すれば、別氏を認めるというところまでは答申しました。でも、そのときに、どういう戸籍法、どういう民法にするかというのは、特に戸籍のあり方についてはこれからまたみんなで議論しましょうというたしか内容だったと承知をしています。

 これは、二つの氏が並び立つと書いている。でも、そうすると、なぜこれを自民党が蹴飛ばしたかというと、私の理解は、いわゆる今の戸籍制度の根幹の、背骨であるところの同一戸籍、同氏制という大原則が崩れるからです。

 そこで、今、政府は、自民党政権、自公政権はどうしているかというと、旧氏、その者が過去に称していた氏であって、その者に係る戸籍又は除かれた戸籍に記載又は記録されているものをいう云々と、この旧氏、旧姓を住民票で公証することによって、そして、その公証した旧姓を、旧氏をマイナンバーカードとかに併記ができるようにする、これが今の自公の制度です。

 でも、私は、これはだめだと思いますよ。まず、括弧というのが何かよくわからない。併記というのがよくわからない。今やっているのは併記なんです。

 先日も、予算委員会で外務大臣が御答弁されていました。ややこしいので、もう仕方ないから、わかった、パスポートにこれは旧姓だって明記するからとか言って、わけのわからぬというか、わけはわかるんだけれども、びほう策の中の更にびほう策を答弁されていました。恥ずかしいですね、自民党の皆さん。むしろ、今せっかく総務省の世界で住民票に旧姓が、旧氏が公証されているんだから、それに一般的法的効力を与えたらいいじゃないですか。併記じゃなくて、旧姓、旧氏、要は、戸籍ではない住民票で公証されているところの旧姓、旧氏に一般的法的効力を付与する措置を検討すべきだと私は思います。

 こういうふうにきのうレクで申し上げたら、総務省の方々が、いや、一般的法的効力というのは日本国が持っている全ての法律だから、私たちには答えられませんと言うんですね。それはそうですよ。これは総理大臣しか答えられません。でも、安倍さんも今、外交とかでお忙しいので。

 私は、高市大臣には、総務省が所管している法律から始めましょうよと。総務省が所管されているさまざまな法律がある。単に、住民票で公証する、マイナンバーカードに併記するではなくて、住民票で公証した上で、その住民票で公証されているところの旧姓、旧氏に、あまねく総務省が所管しているあらゆる法令がそれで機能するように法律改正したら、済みですよ。そうすれば、一切、民法、戸籍法の枠組みの根本のところをさわらなくても、この旧姓を公証といって書いてあるところ、これは私の、足立案です。自公案、現状維持というのは旧姓併記です。旧姓を公証する、これは足立案です。二つの氏と書いているのが法務省の民行案、要すれば法制審案。それで、民主党、共産党案です。

 私は、私の案、すなわち、旧姓を住民票で公証している今の制度の延長線上で、各省がそれぞれの持っている法令を、当該旧氏、旧姓は公証されているんだから、それに一般的法的効力を付与すれば、完璧に、今不便を感じていらっしゃる配偶者の方の氏や姓をめぐる、結婚時の、強制的に同氏にするといって非難している方がいる、そのいわゆる不便を解消することが簡単にできると思うんですね。大臣、検討していただけませんか。

高市国務大臣 夫婦別姓の議論につきましては、私自身が、随分昔になりますが、戸籍上の夫婦、親子は同姓としてファミリーネームを残した上で、通称使用、旧姓ですけれども、旧姓使用の利便性を高めることが望ましいと考えまして、免許証やパスポートやいろいろな公的な書類を併記にする、それからまた、事業者などがちゃんと職場でみんなが旧姓を使っても大丈夫よということで努力をしていただくような議員立法案を過去に起草したことがあるのですが、これは自民党内でも随分意見が分かれまして、結局、国会に提出はなりませんでした。

 しかしながら、やはり旧姓使用の拡大はすべきだと考えましたので、前回総務大臣だったときに、そのために、マイナンバーカード及び住民票などに旧姓併記を可能とできるようにしようということを主張しまして、ようやく昨年十二月に関係政令を施行しました。これで、旧姓をマイナンバーカードに記載して、公的な証明はできるようになりました。

 ただ、選択的夫婦別姓制度そのものにつきましては、やはりこれは、法務省において、戸籍法及び民法の議論が大事だと思います。

 せめて総務省が所管する法律だけでもということですが、私が見る限り、かなりの法律関係についてはもう既に旧姓で大丈夫になっています。地方公務員、消防職員、行政書士、消防設備士、危険取扱者、公職の選挙もそうです、最高裁判所の裁判官の国民審査もそうです。

 ただ、全ての所管法律を全部精査はまだできておりません。一つ気がついたのが、電波法で、無線局免許の条文が氏名と書いてあるので、その氏名というのをマイナンバーカードに併記した旧姓で認めてもらえているところとそうでないところがあるんじゃないかと思いましたので、これは通知を発出して、旧姓でもオーケーというようにするように指示をしております。

 残り全部精査をした上で、まずは総務省の法令から旧姓を堂々と使えるようにしていきたいと考えております。

足立委員 ありがとうございます。高市大臣の御答弁、これまでのお取組も含めて、心から敬意を表したいと思います。

 ただ、今大臣がおっしゃった、旧姓を使えるとおっしゃっているのは、併記ですよね。じゃないのかな。ちょっと、小林さん、知っている。小林さんを名指ししたらあかんな。いや、私の理解は、例えば住民票で公証したその旧姓を例えばマイナンバーカードに併記できるというのが、ちょっと違っていたら教えてください、事務方でもいいですよ、併記できる。

 でも、結局、併記だけだと、氏みたいなものが、旧姓は氏ではありません、旧氏です。でも、氏と旧氏が併記されていることが実は大変な混乱をもたらしているという議論もあるので、私の提案は、旧氏だけで社会生活が営めるようにしたらどうかと。

 旧氏、旧姓だけで社会生活に何の支障もない、そういう社会をつくることが、法務省だけは、法務省は重たいんですよ、法制審というのは。だから、法務省はちょっと、森大臣はまた議論したいと思いますが、法務省だけはおいておいて、要は、戸籍のあり方とかを議論し出すとまた大議論になるので、せっかく高市大臣のイニシアチブで、戸籍で氏を公証、氏名を公証するのではなくて、住民票で旧氏、旧姓を公証していただいている、これはすごいインフラだと思うんです。その高市大臣がつくられたすごい画期的なインフラをまだ日本社会は受容していない。どうやって受容しているかといえば、私の理解では、併記という形で受容しているわけです。それも、これからです、法令は。

 今大臣は、できるだけ総務省の法令は見ていくわということで御答弁いただいて、それは感謝ですが、私は、もう、併記じゃなくて、旧姓、旧氏だけで社会生活を営むことに何ら支障がない社会は、法制審や戸籍法、民法をちょっと脇に置いておいても実現できると思うんですが、どう思われますか。

高市国務大臣 例えば、最高裁判所の裁判官の国民審査、あれは旧姓のみで名前が書いてあっても大丈夫ですし、私たちの出る国政選挙も、旧姓及び通称の登録をすれば大丈夫ですよね。だから、これは旧姓のみということが可能でございます。

 ただ、消防設備士とか行政書士とか、先ほど私が例を挙げましたのは、これは併記でございます。これはちょっとそれぞれの士業によって違うんです。それぞれ所管している役所も違いますけれども、今は総務省に関して、所管している士業だけ申し上げましたけれども、その団体の内規によって、これは旧姓だけでも大丈夫ですよとか、併記ですよとか、戸籍名でしかだめですよとか、いろいろ団体によってばらばらでありました。総務省の所管団体も、全部が全部とはまだ言い切れませんが、おおむね併記という状況になっております。

 委員がおっしゃるように、どうでしょうか、旧姓だけということにする必要があるのかどうかということも、もしも何か戸籍に連動した法令があった場合にはなかなか本人の確定が難しくなるということと、マイナンバーカードを持っていていただいたら、写真もついていますし、戸籍名も、そして、ちゃんと届けを出せば旧姓も併記されますので、本人確認もできますし、それが一番いいんだろうと思っております。

足立委員 大変御丁寧に御答弁いただいて、ありがとうございます。

 これは本当に、大臣、大変重要な論点でありまして、私は、やはり特定の者が複数の氏を使い回すということが混乱を結構生んでいると思っているんです、実は。だから、本当に旧氏、旧姓が社会的に使えるようになれば、変な話、氏はちょっと使用を控えていただくというか、結局、旧姓を使いたい、選択的夫婦別姓を望んでいらっしゃる配偶者の方の多くは、私は、もう一つの戸籍上の氏を、両方、二つの氏を使い回したいんだなんという方を聞いたことがありません。だから、併記というのは複雑にしているだけなんです。私の仮説ですよ、私の仮説。

 ぜひもっと調査をしていきたいと思いますが、もしそうであれば、例えば戸籍は戸籍で、これは戸籍を重視する方も多いので、これはおいておいて、でも、繰り返しになりますが、せっかく高市大臣が、住民票で、住んでいるところに、利便性がある。要は、私が着目しているのは、伝統とか戸籍とかじゃないんです、利便性です。

 日本国民の社会生活上の利便性を、今、同姓、同氏制を強制されるといって不便を感じていらっしゃる方がおられるのであれば、その方々が住民票で公証されているところの旧姓、旧氏を使うことによって、それだけで社会生活を営むことによって、また、そのときには、それを選ぶのであれば、ちょっと、まあ、戸籍上の氏はどうするかわからないけれども、そこは議論ですが、例えば、そのときに、じゃ、今おっしゃった、今これから私たちが社会生活を営んでいくときの最も重要な社会インフラとして拡大をしようとしているマイナンバーカード。

 例えばマイナンバーカードには、選択をした人は旧姓、旧氏だけ書くようにすれば、法務省はおいておいて、戸籍はちょっと脇に置いておいて、脇というかど真ん中に置いておいて、社会生活上は、住民票とマイナンバーカードをうまく組み合わせることによって、複数の氏を使い回すなんということではなくて、旧姓、旧氏を使いたい人は、それを住民票で公証し、マイナンバーカードにはその選択した氏をしっかりと明記すること、場合によってはそれだけを明記することによって、その方が旧姓、旧氏で社会生活を営むことに何ら支障がない社会というのをつくれると私は思います。

 しっかりこれは議員立法とかでも議論していきたいと思いますが、きょうわかったことは、もう高市大臣がほとんどつくり込んでいただいているということで、私が大きな声で騒がなくても、高市大臣がまず総務省の法令をよく見ていただいて、先ほどの、私は併記じゃない方がいいと思う、じゃ、住民票で公証している枠組みの上に、併記をする今の世界、それから、今おっしゃった、一部、単独で、旧姓、旧氏だけで社会生活を営める法令もある、じゃ、総務省の全ての法令で、旧姓、旧氏だけで社会生活を営めるのかどうかということをやはり検討していただくのは簡単に僕はできると思うんですね、総務省であれば。

 ぜひ、大臣、まず総務省からそれを検討していただいて、また追って一般質疑とかで御議論させていただきたいと思うんですけれども、チェックだけはいただけないでしょうか。

高市国務大臣 戸籍名と旧姓の併記については、関係法令についてはもう一度精査をして進めさせていただきますが、委員がおっしゃるように、選んでマイナンバーカードに書けばそれで全部通すということになりましたら、これはまた、いわゆるファミリーネームを残すか残さないか、親子やまた兄弟の氏をどうするのか、そういった議論になりますので、総務省単独ではできません。やはり法務省を中心に検討していただくべきだと思います。

足立委員 時間が来ましたので終わりますが、大臣、ぜひ、先ほど大臣がまさにいみじくも御紹介いただいたように、今でも旧姓、旧氏だけで通用している法令もあるわけです、先ほどの裁判官の何とかとか。そうであれば、私は、それを広げていけば、事実上、選択的夫婦別姓の制度は、不便を解消するという一点では、もう、すぐにできる、こういうふうに主張をし、また、大臣がまた御指導いただけるように、御検討いただけるようにお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

大口委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 午前中、務台先生から、特定地域づくり事業推進法について話がございました。この法律は、地域で人口が減少している、そこに事業協同組合をつくって、定住してきた人に仕事の場、それから給与、収入を確保するということで、本当にこれは地域づくりの大きなきっかけになる法律だと思います。これについては、務台先生からも、周知徹底と、それから、かゆいところに手が届くような、相談に乗ってほしいという話がありました。私も全く同感です。

 ぜひ、この制度の周知徹底と、いろんな意味で温かい相談に総務省も乗っていただきたいということを私からもまず要望させておいていただきたいと思います。

 それでは、ちょっと通告の順番は違うんですけれども、最初に、大臣が肝いりでやっておられた緊急浚渫推進事業費、これから質問をさせていただきたいと思います。

 私も、地元に戻ると、いつも記録的な大雨で川が氾濫して、それで、毎年毎年、浸水被害に遭う、もうこれを何とかしてほしいというような要望があります。

 ただ、なかなかこれは地方自治体でも手当てができないということで延び延びになっていた事業でありまして、今回、高市大臣が記者会見の中で、これは私の悲願でもありました新たな政策でございますというふうに申し述べられておりまして、もうこれは高市大臣が本当に先頭に立ってやられた事業だと思います。本当に感服したいと思いますけれども。

 まず、この事業をここまで思いを持って進められてきた背景というか思いをちょっと御説明いただきたいと思います。

高市国務大臣 昨今の台風被害では、河川において堆積土砂の撤去や木の伐採ができていないことによって、河川が越水するという状況が多々見られました。

 個人的な話で恐縮ですが、おととし、私の事務所の近所の自治会長さんが、増水した川に、それも中小河川に転落して、そのまま随分遠くの大きな河川まで流されて亡くなるということもございました。

 国土交通省にも、地方では維持管理のお金が出ないので、この維持管理のお金について何とかならないだろうかという相談も、一政治家としてしてきたようなこともございました。

 特に、昨年の台風第十九号でございましたが、七十一河川百四十カ所の河川堤防が決壊して、多くの方々が犠牲になられました。これで、都道府県や市町村が管理する河川などにつきまして、維持管理としてのしゅんせつはもう緊急に必要だと考えまして、さらに、それらが国庫補助事業の対象とならないということも踏まえまして、新たにこの緊急浚渫推進事業を創設することといたしました。

 ですから、もちろん法改正が必要なことは承知をいたしておりますが、これが通りましたら、各団体でこの事業を積極的に活用していただいて、まずは住民の皆様の命を守っていただきたいと思っております。

井上(一)委員 まさに、本当に国民、市民の安全、安心に大きく寄与する施策だと思っております。引き続きよろしくお願いいたします。

 それで、もうこれは事務方で結構ですので、この緊急浚渫推進事業費、これの概要について、ちょっとわかりやすく説明していただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 緊急浚渫推進事業でございますけれども、地方団体が単独事業として緊急に河川等のしゅんせつを実施できるように、令和二年度の地方財政計画に新たに九百億円を計上いたしますとともに、その地方負担額に特例的に地方債を充当できるように、地方財政法の改正案を提出させていただいているところでございます。

 事業期間につきましては、令和二年度から令和六年度の五年間といたしまして、地方債の元利償還金の七〇%に交付税措置をすることといたしております。

 また、本年度、国土交通省等と連携をいたしまして、地方団体が緊急に実施する必要がある河川等のしゅんせつ事業につきまして調査を実施いたしましたところ、必要な事業費が四千九百億円と多額に見込まれることが判明をいたしました。このことを踏まえまして、全体事業費につきましては、五年間で集中的に取り組みまして危険箇所を解消する、そういうような観点で、全体事業費四千九百億円を見込んでいるところでございます。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 京都府でも九億円の予算を積んでいるというふうに聞いております。

 そして、私としては、地方自治体ができる限り速やかに、いつ豪雨が来るかわかりませんので、もう速やかに事業に着手してもらいたいと思っているんですけれども、総務省でもいろいろこの点については配慮を考えているというふうに聞いておりますけれども、どのような配慮を考えておられるでしょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 緊急浚渫推進事業につきましては、地方団体が河川等の各分野の個別計画に緊急的に実施する必要がある箇所として位置づけたしゅんせつを対象とすることといたしております。

 このため、地方団体が来年度から本事業を活用して早期に河川等のしゅんせつを実施できるよう、各分野の個別計画の記載事項等につきまして、総務省から地方団体にお示しをいたしまして、周知をしているところでございます。

 また、それに加えまして、事業初年度となります来年度でございますけれども、個別計画に位置づける前に着手したしゅんせつも本事業の対象とすることといたしております。

 地方団体に本事業を積極的に御活用いただけるよう、今後も丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。

井上(一)委員 ぜひ、その趣旨を各自治体に周知徹底していただきたいというふうに思います。

 それでは次に、企業版ふるさと納税について伺いたいと思います。

 京都北部、私の地元でも、この企業版ふるさと納税を使ってさまざまなプロジェクトを実施しているということで聞いております。そしてまた、舞鶴市では、オリンピック、パラリンピック期間中には首都圏が混雑する、交通が大変混雑するので、テレワークの推進というのを政府も今言っておりますけれども、企業版ふるさと納税を活用して、テレワークを実施する企業の誘致に力を入れていく、都内から舞鶴市の交通費を補助するということにふるさと納税を活用してみたいということを言っております。

 企業版ふるさと納税については、いろいろ使い勝手がよくなかったというようなこともあって、なかなか使われなかったというふうに聞いておりますけれども、それを改善するということで今取り組まれたということですが、具体的にどのような点を改善して、今後どのような拡大を見込んでいるのか、御説明いただきたいと思います。

辻政府参考人 企業版ふるさと納税につきまして、今般の税制改正におきましては、地方への資金の流れを飛躍的に高めるという観点から、税額控除の特例措置を令和六年度まで五年間延長すること、税額控除割合を現行の最大三割から最大六割に引き上げ、損金算入による軽減効果と合わせ、税の軽減効果を最大約九割とすること、それから、認定手続の簡素化を図ること等を行うことといたしております。

 使い勝手というお話がございましたけれども、認定手続の簡素化につきましては、個別事業ごとの認定から包括的な認定といたしまして、地方再生計画の記載事項を抜本的に簡素化したところでございまして、地方公共団体の認定手続に係る事務負担を軽減し、企業とのパートナーシップの構築や魅力的な事業の企画、実施に注力していただきたいと考えてございます。

 今般の税制改正でございますが、企業と地方公共団体からの要望に応え、使いやすい仕組みとなるよう大幅な見直しを行うものでございまして、企業等を地方公共団体が積極的に活用し、志のある企業の寄附を活用した地方創生の取組が進むことを期待しているところでございます。

井上(一)委員 わかりました。

 次いで、最初に通告したものに戻りまして、地域社会再生事業費、これについて質問したいと思います。

 この地域社会再生事業費、これは、偏在是正の財源を使って、四千二百億円を道府県分と市町村分にそれぞれ二千百億ずつ配分するというふうに聞いております。

 私も、昨年の二月二十六日の総務委員会で安倍総理に、これは道府県だけではなくて財政的に非常に厳しい市町村にも手厚く行き渡るようにしてほしいということでお願いして、市町村分に二千百億円が計上されたということで大変評価しております。

 この地域社会再生事業費、これは将来はどういうふうになっていくのかも含めて、この事業費の概要について御説明いただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 お話ございましたように、地方法人課税の偏在是正による財源を活用いたしまして、地域社会の維持、再生に向けた幅広い施策について地方団体が自主的、主体的に取り組むための経費として、令和二年度地方財政計画に地域社会再生事業費四千二百億円を計上したところでございます。

 これを受けまして、地方交付税の算定におきましても、新たな基準財政需要額の算定項目、地域社会再生事業費を創設して、四千二百億円程度を算定することといたしております。

 この算定方法でございますけれども、お話もございましたように、道府県分と市町村分の算定額を同額程度といたしまして、測定単位を人口といたしました上で、地域社会の維持、再生に取り組む必要が高い団体に重点的に配分を行う観点から、人口構造の変化に応じた指標及び人口集積の度合いに応じた指標を反映することといたしております。

 このような算定を行うことにより、人口減少や少子高齢化の進展により地域社会の持続可能性への懸念が生じております地方に重点配分することといたしております。

 地域社会の維持、再生に向けた取組でございますけれども、これは息の長い取組ということになろうかと存じます。それでございますので、現時点におきまして、具体的な終期を想定はしておりませんで、当分の間の措置というふうにしているところでございます。

 したがいまして、しばらくの間このような形で、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思っているところでございます。

井上(一)委員 これは、当分の間ということは理解するんですけれども、当分の間、金額的には、四千二百億という金額はどういうような見通しになるんでしょうか。

内藤政府参考人 先ほど申し上げましたように、息の長い取組が必要というふうに考えておりますので、当分の間、四千二百億円というのを維持してまいりたいと考えております。

井上(一)委員 よくわかりました。

 続いて、人口減少等特別対策事業費、これについて質問したいと思います。

 この人口減少等特別対策事業費、これは、取組の必要度と取組の成果によって算定されることになっておりまして、令和元年度は、取組の必要度が四千億、それから取組の成果に応じて二千億円が算定されるということでしたけれども、骨太の方針二〇一九で、この取組の成果、これをもうちょっと比重を上げて、成果を反映した配分を五割以上とすることを目指すということになっておりますけれども、なぜ取組の成果を重視するようになったのか、その理由を教えていただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 人口減少等特別対策事業費の算定におきましては、人口減少対策に積極的に取り組み、成果を上げた団体では全国標準以上の財政需要が生じていると考えられることから、取組の成果の指標を算定に反映をしているところでございます。

 取組の成果に応じた算定につきましては、お話ございましたように、骨太の方針二〇一九におきまして、前向き、具体的な行動に取り組む地方の取組を支援する仕組みの強化の観点から、成果を反映した配分を五割以上とすることを目指すとされたところでございます。

 このため、第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略の期間を踏まえまして、令和二年度から五年間かけまして、段階的に、取組の必要度に応じた算定から取組の成果に応じた算定へ一千億円シフトすることといたしているところでございます。

井上(一)委員 そうしますと、この令和二年度における事業費の配分、これが具体的にどうなるか。まず、指標の考え方、それと、この対策事業費が、この六千億が、道府県、市町村ごとに、そして取組の必要度、取組の成果にどういうような形で配分されるのか、教えていただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、指標の関係でございますけれども、取組の必要度及び取組の成果の算定に用いる指標につきましては、全国的かつ客観的な指標で、地方団体のデータが存在するものを用いることといたしております。また、全国各地で取り組まれております人口減少対策のさまざまな取組について、その財政需要に関連すると考えられる指標を幅広く用いているところでございます。

 令和二年度から、第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定を踏まえまして、道府県分の取組の成果の指標につきまして、東京圏への転出入人口比率、県内大学進学者割合及び新規学卒者の県内就職割合を追加するなどの見直しを行うこととしております。

 令和二年度におきましては、人口減少等特別対策事業費として、前年度と同額の六千億円程度を算定することといたしております。

 このうち、取組の必要度に応じて三千八百億円程度算定することとしておりまして、うち、道府県分千二百六十億円程度、市町村分二千五百四十億円程度を算定することといたしております。

 また、取組の成果に応じまして二千二百億円程度算定することといたしておりまして、うち、道府県分七百四十億円程度、市町村分千四百六十億円程度を算定することとしているところでございます。

井上(一)委員 前回の総務委員会で関係人口の創出、拡大ということを高市大臣とも議論させていただきまして、私も、この関係人口の創出、拡大、これはもっともっと進めるべきだというふうに考えておりまして、今回の取組の成果においても、関係人口の創出、拡大、こういうのも指標に用いることが各自治体のインセンティブにつながるのではないかということで、レクのときにもいろいろ議論させてもらったんですけれども、やはり関係人口の定義づけが難しいんです、これからいろいろな各省庁で議論していきますというふうにおっしゃっていました。

 私は、ぜひ早急にこの関係人口の定義なりを決めてもらって、この関係人口の創出、拡大、これを指標にぜひ入れていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

内藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 地方交付税の算定に用いる指標につきましては、算定の正確性ですとか公平性を確保する観点から、全国的かつ客観的な指標で、各地方団体ごとのデータが存在している必要がございます。しかしながら、特定の地域に継続的に多様な形でかかわる関係人口の具体的な姿が地域ごとに異なりまして、関係人口に関して全国的かつ客観的なデータは、残念ながら、今のところ存在をしていないということでございます。

 このため、関係人口を取組の成果の指標として用いることは現時点においては難しい状況ではございますけれども、関係人口というもののデータが全国的かつ客観的なデータということになってきた場合には、また改めて検討してまいりたいと考えます。

井上(一)委員 政府としても、この関係人口の創出、拡大ということをうたっているわけですから、ぜひ、何らかの指標をつくっていただいて、これを取り入れていっていただきたいということをちょっと要望したいと思います。

 それでは、残りの時間で5Gについてお聞かせいただきたいと思います。

 きょうもいろいろ5Gについては議論がございました。第五世代の移動通信システムということで、きょうも局長の方から、その特徴として、超高速、4Gに比べて百倍、それから超低遅延、それから多数同時接続といった性能があるという御説明をお伺いしましたけれども、これによって、具体的に、特に地方においてどういうような、5Gを導入することによって社会が変わっていくのか、何かイメージがわかるように御説明いただければありがたいんですけれども。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、5Gは、超高速、それから超低遅延、それから多数同時接続という三つの特徴がございます。

 これを使うことによりまして、例えば、地域の工場におきまして、データを集めることによって効率的な生産を行うスマートファクトリーであったり、あるいは、センサーをたくさん設置することによるスマート農業の実施、あるいは、エンターテインメントなどの分野におきましても、この高速大容量というものを生かした新しい、価値性の高いサービスが提供されるということが期待をされているかと存じます。

井上(一)委員 このほかにも、恐らく、遠隔医療とかそういった、地方においても画期的なシステムになるのではないかというふうに思います。

 まさにこれは、いろいろ聞いてみると、都市より地方において、よりニーズが高いシステムじゃないかなというふうに感じたところなんですけれども、そうすると、この基盤整備については、都市のみならず地方においてもバランスよく整備していくことが非常に求められていると思いますが、特に地方への整備についてはどのような考え方で進めておられるでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 5Gは、まさに地域の発展に不可欠な、二十一世紀の基幹インフラであると考えております。全国への速やかな展開が極めて重要でございます。

 このため、平成三十一年四月の5Gに係る周波数割当ての際に、各携帯電話事業者に対しまして、二年以内に全都道府県でのサービスを開始することを義務づけるとともに、都市、地方を問わず、早期かつ広範に全国展開をするよう条件を付したところでございます。

 また、総務省におきましては、令和元年六月に、今後五年間を見据えたICTインフラ地域展開マスタープランを策定しておりまして、これに基づきまして、5Gやこれを支える光ファイバーなどの全国的な整備を早急に推進してまいりたいと考えております。

井上(一)委員 何かいろいろ勉強してみますと、特にこの基地局の整備については、やはり4Gに比べても到達する距離が短いので、かなりの基地局を整備しないといけないというふうに聞いております。

 そして、まさに先ほど申したように、遠隔医療とか、そういったスマート農業、まさに過疎地や離島などにおいて非常に重要になってくると思いますけれども、このような条件不利地域への5G設備についてどのような支援策を考えておられるか、御説明いただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどマスタープランについて御説明をさせていただきましたけれども、その具体化に向けまして、来年度の予算案に、携帯電話事業者等が条件不利地域で5Gの基地局やこれを支える光ファイバーなどを設置する場合の費用の一部を補助するために必要な経費、これを盛り込みますとともに、5G基地局の前倒しの整備やいわゆるローカル5G整備を促進するための5G投資促進税制を創設することとしております。

 総務省といたしましては、こうした取組を通じまして、条件不利地域におきまして5G基地局や光ファイバーの整備を支援するとともに、あわせて5Gの利活用促進策についても一体的に取り組むことによって、5Gの早期全国展開を後押ししてまいりたいと考えております。

井上(一)委員 私も、やはり特に離島なんかではなかなか整備が進まないんじゃないかなと思って、例えば、一番西の離島、与那国とか、それから南の小笠原、こういうところにはなかなか整備が進まないのかなというふうに思ってちょっと聞いたら、もうこれは二〇二三年には整備がなされるということで、安心しております。

 そして、次はローカル5G、ちょっと聞きたいんですけれども、これは、地方自治体もローカル5Gができるということで、今、東京都と徳島県が申請をしているというふうに聞いていますけれども、このローカル5G、これについては、どのようなものなのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 ローカル5Gでございますけれども、いわゆる全国5Gと言われております、携帯電話事業者が商用サービスとして行う5Gとは違いまして、地域の企業や自治体などさまざまな主体が、それぞれのニーズに応じて、みずからの建物の中や敷地の中で柔軟に5Gのネットワークを構築、運用できるようにするというものでございまして、これによりまして、きめ細かくニーズに応えられる、地域の課題解決や地方の活性化に寄与することを私どもとして期待をしているところでございます。

井上(一)委員 私も、このローカル5Gが地方に、地方というか、ローカル5Gの展開が進んでいくということを非常に期待しております。

 先ほど言った東京とか徳島、こういった自治体も申請しているということですけれども、いろいろな自治体がこのローカル5Gを導入を進めていくという、方向づけるためにも、自治体が設置するローカル5G、これに対して支援を考えたらいいのではないかと思うんですけれども、これを最後に質問して、終わりたいと思います。

秋本政府参考人 委員から何度か御指摘いただいておりますとおり、5Gは、遠隔医療、農業、建設現場、観光などさまざまな課題の解決の切り札として期待されておりまして、地域における活用を推進することは重要な課題と認識しております。

 このため、総務省では、来年度予算案に、5Gを活用してさまざまな課題を解決する上で有効なユースケースを創出するための開発実証に係る経費を計上しているところでございます。

 インフラ整備とあわせまして、こうした5Gの活用策の推進についても積極的に講じてまいりたいと考えております。

井上(一)委員 なかなか真正面からはないんですけれども、ぜひ地方自治体に対する支援というのも検討していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、質問を終わります。

大口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十七分散会


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