衆議院

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第7号 令和2年2月28日(金曜日)

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令和二年二月二十八日(金曜日)

    午後零時五十五分開議

 出席委員

   委員長 大口 善徳君

   理事 大西 英男君 理事 古賀  篤君

   理事 坂井  学君 理事 冨樫 博之君

   理事 中根 一幸君 理事 高井 崇志君

   理事 吉川  元君 理事 國重  徹君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      石田 真敏君    小倉 將信君

      金子万寿夫君    川崎 二郎君

      木村 次郎君    木村 弥生君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      佐藤 明男君    斎藤 洋明君

      野中  厚君    鳩山 二郎君

      古田 圭一君    穂坂  泰君

      松野 博一君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    村井 英樹君

      山口 俊一君    岡島 一正君

      奥野総一郎君    佐藤 公治君

      重徳 和彦君    長尾 秀樹君

      西岡 秀子君    緑川 貴士君

      山花 郁夫君    太田 昌孝君

      本村 伸子君    足立 康史君

      井上 一徳君    初鹿 明博君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        長谷川 岳君

   総務大臣政務官      木村 弥生君

   総務大臣政務官      斎藤 洋明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  藤崎雄二郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 辻  庄市君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 菅家 秀人君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 伊藤  信君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 榎本健太郎君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        木村  聡君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           前田 一浩君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           奈良 俊哉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           秋本 芳徳君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        境   勉君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  高原  剛君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  内藤 尚志君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  開出 英之君

   政府参考人

   (消防庁次長)      米澤  健君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        石岡 邦章君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 三村  淳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  吉田  学君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     工藤 彰三君

  宗清 皇一君     古田 圭一君

  山口 泰明君     村井 英樹君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     井林 辰憲君

  古田 圭一君     宗清 皇一君

  村井 英樹君     野中  厚君

同日

 辞任         補欠選任

  野中  厚君     山口 泰明君

    ―――――――――――――

二月二十八日

 新たな過疎対策法の制定に関する請願(小渕優子君紹介)(第二一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 持続可能な地方税財政基盤の確立及び東日本大震災等への対応に関する件


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     ――――◇―――――

大口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官藤崎雄二郎君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長辻庄市君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長菅家秀人君、内閣府大臣官房審議官伊藤信君、内閣府大臣官房審議官榎本健太郎君、内閣府地方創生推進事務局審議官木村聡君、総務省大臣官房総括審議官前田一浩君、大臣官房総括審議官奈良俊哉君、大臣官房総括審議官秋本芳徳君、大臣官房地域力創造審議官境勉君、自治行政局長高原剛君、自治行政局公務員部長大村慎一君、自治財政局長内藤尚志君、自治税務局長開出英之君、消防庁次長米澤健君、出入国在留管理庁出入国管理部長石岡邦章君、財務省大臣官房参事官三村淳君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君、厚生労働省大臣官房審議官奈尾基弘君、厚生労働省医政局長吉田学君及び林野庁森林整備部長小坂善太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大口委員長 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。冨樫博之君。

冨樫委員 自由民主党の冨樫博之と申します。

 時間の関係上、早速質問に入らせていただきます。

 新型コロナウイルスに対してさまざまな対策を講じておりますが、患者数は地方でも増加の傾向を見せており、各種の催しも自粛傾向にあることから、地域経済を考える上で大きな問題となっております。地方に対しても、政府には一層の対策と支援をお願いしたいと思います。また、現下の経済状況を考えると、一日も早い、当初予算、そして地方税法等の予算関連法をしっかり成立させ、予算を執行する体制を整えることが重要と考えています。

 これらに対する総理のお考えをお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 ここ一、二週間が今後の国内での感染拡大を防止する上で極めて重要な時期と認識をしております。

 国や地方自治体、医療関係者、事業者、そして国民が一丸となって対策を更に進めていくため、二月二十五日に政府として基本方針を取りまとめたところであり、日々刻々と変わる情勢の先を見据えて、政府として先手先手で対応を行ってまいりたいと思います。

 また、観光業を始めとする地域経済に影響が出始めており、年度内においても、第一弾として先般取りまとめた緊急対応策にとどまらず、必要な対策をちゅうちょなく実行し、感染拡大、重症化の防止、医療提供体制の整備に加えて、国内企業等への影響に対しても順次必要な対応を迅速に実行してまいります。

 その上で、来年度予算には、水際対策を含め新型コロナウイルス感染症対策を進めていくための経費や、経済の下押しリスクに備えて策定した総合経済対策に盛り込まれた施策が盛り込まれており、予算の一日も早い成立が重要と考えております。

冨樫委員 いずれにしても、国民の安全、安心と健康を守るためにも、総理には総力を挙げて取り組んでいただきたい、このことを申し上げたいと思います。

 続いて、安倍内閣では、政府を挙げて地方創生に取り組んでいますが、最近の人口動態を見ても、東京一極集中の流れは続いているのが現状です。私は、地方の元気なくして日本の元気なし、地方の活力こそ我が国の発展のかなめと考えています。

 ついては、改めて総理に、地方創生にかける思い、決意をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 まさに、日本という国、私は「美しい国、日本」というものを掲げてきたところでございますが、まさに地域が、日本の伝統、あるいは環境、そして歴史を紡いできた日本の基本だろう、こう思っているところでございますが、世界に誇るべき特色が地方にたくさんあります。

 委員の御地元の秋田県には、例えば秋田犬がありますが、この秋田犬のマサルはザギトワ選手との関係でも話題となり、もはや世界ブランドと言ってもいいんだろうと思いますし、伝統食の切りたんぽも外国人に人気であります。また、あきたこまちは香港のスーパーでは日本の二倍の価格で売られております。

 こうした地方ならではの魅力を生かすことで日本はまだまだ世界に向かって成長できる、まさに、地方の元気なくして日本の元気なしだと思います。

 そうした魅力を一番よく知っているのは、それぞれの地方に住んでおられる皆さんだろうと思います。地域の皆さんの情熱とアイデアを全力で後押しすることで、全国津々浦々、地方創生を力強く進めていきたいと考えております。

冨樫委員 総理、ありがとうございます。

 私は、何といっても、地方創生はあすの日本の未来を切り開く大事な政策であり、各種政策を力強く進める、このことを地方は求めていると思います。更に地方創生に力を入れていただきますこと、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、令和二年度地方財政計画において、前年を上回る一般財源総額が確保されるとともに、地方創生の推進、防災・減災対策を始めとする重要な取組が反映されていると考えています。

 改めて総務大臣から、今回の地方財政対策、ポイントをお伺いいたします。

高市国務大臣 まず、一般財源総額につきましては、地方財政計画の歳出に、地方団体が地域社会の維持、再生に向けた幅広い施策に自主的、主体的に取り組むため、新たに地域社会再生事業費を計上するとともに、会計年度任用職員制度施行に伴う経費の増や、まち・ひと・しごと創生事業費などを適切に計上し、前年度を〇・七兆円上回る六十三・四兆円、水準超経費を除く交付団体ベースでは前年度を一・一兆円上回る六十一・八兆円を確保することができました。

 その中でも、地方交付税総額につきましては、前年度を〇・四兆円上回る十六・六兆円を確保し、臨時財政対策債を前年度から〇・一兆円抑制しております。

 また、防災・減災対策の推進として、河川氾濫による浸水被害などの未然防止対策を進めるために、緊急浚渫推進事業費を創設しました。災害防止、国土保全機能強化などの観点からは、森林整備を一層推進するために、森林環境譲与税を前倒しで増額しました。技術職員の増員により、市町村支援や災害時の中長期派遣要員の確保推進、このような取組を進めることとしております。

 私といたしましては、厳しい財政状況の中で最大限の対応ができたものと考えておりまして、地方六団体からも御評価をいただいております。

冨樫委員 総務大臣にもう一問お聞きいたします。

 新たに計上された地域社会再生事業費は、社会の維持、再生に取り組む地方団体にはぜひとも有効活用していただきたいと考えています。地方団体にどのような対応を期待するのか、総務大臣からの見解をお伺いいたします。

高市国務大臣 地域社会の持続可能性の確保は、地方創生を推進するための基盤でもあり、早急に対応を進めていく必要があると思います。

 地域社会再生事業費は、偏在是正措置による新たな財源を活用して計上したものであり、各地方団体におかれましては、この趣旨を踏まえ、積極的な取組を行っていただきたいと考えております。

 また、この財源は使途が自由な一般財源でございます。各地方団体の創意工夫により、例えば、医療や移動手段、買物支援など生活を支えるサービスの確保や、集落維持対策、空き家対策など、地域コミュニティーの再生など、地域の実情に応じて幅広い施策を展開していただくことを期待しております。

冨樫委員 ありがとうございます。

 最後になりますけれども、このたびの法案を成立させ、森林環境譲与税の増額を実現することによって、我が国の森林整備は一層加速することになります。今後とも、地方団体の財源をしっかり確保しつつ、地球温暖化対策や国土強靱化の観点も含め、森林整備を進めていかなければなりません。

 今後、こうした点も含め、我が国の森林整備はどうあるべきかについて、総理のお考えをお伺いします。

安倍内閣総理大臣 我が国の森林は、戦後植林されたものが本格的な利用期を迎えていますが、十分に利用されず、適切な管理が行われていないという課題に直面をしています。このため、森林バンクを活用し、意欲と能力ある経営者に森林を集積、集約化するとともに、所有者のみでは手入れが行き届かない森林については、森林環境譲与税も活用し、市町村等による整備を進めています。

 今回、森林環境譲与税を増額することにより、従来の予算措置とあわせ、森林整備を更に加速をし、地球温暖化の防止や国土の保全といった公益的機能を有する豊かな森林をしっかりと次世代へ引き継いでいく考えでございます。

冨樫委員 時間になりましたけれども、いずれにしても、来年度の、この今回審議しております当初予算、しっかりと我々も責任を持ってこれをなし遂げることを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

大口委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。

 まずは新型コロナウイルス対策について、総理にお聞きをいたします。

 私は、二月十三日の衆議院本会議でも、この問題は政争の具にすべきではないと申し上げました。この思いは今でも変わりません。

 ただ、やはり、この間の政府の対応、私はこれは総理だけのせいじゃないと思います。政府、あるいは我々国会議員も、与野党含めて、やはり反省しなきゃいけない点が多々あるんじゃないかということで、ちょっと、私が直接聞いた、私の妻の友人から聞いた話をぜひ総理にも聞いていただきたいんです。

 クルーズ船にこの方の御両親が乗船していました。お父様は八十代で、四日間、三十九度以上の熱が出たのに、医者にすら診てもらえずに、解熱剤だけ。ようやく四日たって検査をしたら、陽性でした。そして、奥様、七十代は、七十代だという理由だけで更に診てもらえず、解熱剤だけで、毎日、一日四回解熱剤を飲んで、もう飲めなくなって、そしてようやく検査をしてもらったら、やはり陽性。しかも、この後下船して、別々の県の病院に入って、いまだに面会もできないし、お医者さんに聞いても、なかなか病状も聞けない。こういうことを直接この方からお聞きをしました。

 恐らく、私が聞いてこういう例があるんですから、ほかにもあるんだろうと思いますし、このクルーズ船で現に四名の方が亡くなっているわけですし、また、下船した方がその後陽性で判明して、それで四国の徳島で、四国で唯一の方はこのクルーズ船の下船者であるということ。

 あるいは、水際対策も、本来であれば、やはり中国の全土からの制限をすべきだったんじゃないか、こういったこともあります。あるいは、PCR検査の問題も、これも本当に日本ではなかなか受けられない。お隣韓国は一日七千五百、検査を受けられるのに、いまだに日本では平均して九百という現状。

 それから、一昨日ですかね、基本方針を出したその翌日には、イベントの自粛を更にまた要請をするという事態。あるいは、昨日の小中高校の全国一斉休校の要請も非常に唐突感が否めない。

 こういった一連のこと、まだまだ挙げれば切りがありませんけれども、相当やはり国民の皆さんの中には不満がたまっています。

 ここは、今後のためにも、まずは総理が、やはり後手に回ってしまったと、官房長官が記者会見で先手先手だったなんとおっしゃっていますけれども、そういうことではなくて、まさにこれは、総理だけじゃない、もう我々も含めて真摯に反省をして、そして国民の皆さんにはおわびをして、そしてこれからの改善策に向かっていかないと、なかなか、国民の皆さんにいろんな要請をしても、私はついていってくださらないと思うんですけれども、総理、この点、率直に反省していただけませんか。

安倍内閣総理大臣 クルーズ船の乗客や乗員の皆様に対しては、船内での感染が初めて確認された二月五日から十四日間の健康観察期間が続き、精神的にも肉体的にも厳しいという御意見があった中で、感染拡大防止に最大限の措置を講ずる必要がありました。こういった状況の中で、チャーター便における知見や、船内での感染拡大防止が有効に行われていたという専門家の御指摘も踏まえて、下船をしていただくという判断をしたところであります。

 政府としては、新型コロナウイルスは未知の部分が多いウイルスであることに鑑み、専門家の御意見も踏まえて、下船された方に対して、さらなる健康フォローアップ体制の強化、あるいはまた、公共交通機関の利用を避けることや極力外出等は控えることを対象者に依頼をし、感染拡大防止と重症化予防に全力で取り組んでいるところであります。

 他方で、国内の感染状況については、複数の地域で感染経路が明らかではない患者が散発的に発生しており、一部地域には、小規模の患者集団、いわゆる患者クラスターの発生が把握をされています。現時点では、まだ大規模な感染拡大が認められている地域があるわけではなくて、今後の徹底した対策により、感染拡大の防止を図ることができる状況と考えています。

 まさに今が、今後の国内での健康被害を最小限に抑える上で極めて重要な時期であり、国や地方自治体、医療関係者、事業者、そして国民が一丸となって対策を更に進めていくため、二月二十五日に政府として基本方針を取りまとめたところであり、今後の感染拡大の動向を注視しながら、万全の対応をとってまいりたいと考えています。

高井委員 総理、ぜひ私は総理の思いのこもった言葉を聞きたかったんですね。今も原稿を読まれているのがありありですし、予算委員会なんか見ても、もうほとんど加藤厚労大臣が答弁をされている。

 私、なぜ、総理がみずから記者会見を開いて説明をされないのかと。過去の有事、東日本大震災までいかなくても、いろんなことがありました。阪神・淡路や九・一一やイラン・イラク戦争とか。そういったときには、やはり総理が記者会見するのが普通です。しかし、今回に限っては、総理は全然記者会見をされない。対策会議で発言しているのをテレビで撮られているからいいじゃないかと言うけれども、それでは、やはり国民の皆さんに気持ちが伝わりません。

 そして、やはり、記者会見で記者からの質問にも答えるという形で、いろんなことを国民の皆さんに今お願いしているわけじゃないですか。特にきのうの小中高の一斉休校なんて、相当今混乱が来ていますけれども、こういったことも、きょうの午前中の予算委員会で総理はいろいろ説明されていましたけれども、こういったことをもっと直接国民の皆さんに語りかけていれば、安心を国民の皆さんもされるし、そして、その総理の決意があれば、皆さん、応えてもらえるんじゃないかと。それを自治体任せにしたり、あるいは厚労大臣任せにしているから、どんどん国民の皆さんの不満が高まっていると思うんですけれども、総理、記者会見、あるいは、総理はよくテレビ各局を回って、夜のニュースとかで、自分の出たいときはやっているじゃないですか。ああいうことをなぜ今回やらないんですか。

安倍内閣総理大臣 二月の二十五日に決定した基本方針は、現在講じている対策と今後講じていくべき対策について整理をし、お示しをしたものであります。

 対策本部の場においては、これは委員も御承知のとおり、私から全ての閣僚に対して、この方針に基づき、対策を具体化し、速やかに実行に移すよう指示をしているところでありますが、また、対策本部においては、これまで十五回開催をし、その都度、私自身がカメラの前で、国民の皆様に対し、その時々の状況や決定事項について、直接説明や呼びかけを行っているところでございます。

 また、この一、二週間が感染拡大防止に極めて重要であることを踏まえまして、二月二十六日には、基本方針を踏まえて、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等については、大規模な感染リスクがあることを勘案をし、今後二週間は、中止、延期又は規模縮小等の対応を具体的に要請するとともに、昨日には、何よりも子供たちの健康、安全を第一に考え、多くの子供たちや教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクにあらかじめ備える観点から、全国の小学校、中学校、そして高等学校、特別支援学校について、来週三月二日から春休みに入るまで臨時休業を行うよう要請をしたところでございます。

 官房長官も一日二回記者会見を行っておりますし、加藤厚労大臣もほぼ毎日説明を行っている、会見を行っているところであります。もちろん、必要とあれば、私が更に国民の皆様に直接御説明をするという場も設けたい、このように思っております。

高井委員 今こそ必要がある場なんかないですよ、本当に。今こうやって私が聞いても、相変わらず文章を読み上げるだけ。これで本当に国民の皆さんに伝わりますか、気持ちが。次の質問にも同じくまた文章を読むんですかね。私は、やはりこの総理の危機感のなさが国民の皆さんを不安にしているし、あるいは政府の対応も後手後手に回っている原因だと思っているんですよ。

 その一つの例が、これは何度か言われていますけれども、総理が対策会議の後とかに、夜、会食をされていますよね。私、ちょっと数えてみたんですよ。二月の十二日から、土日は私邸に戻られることもあるから、土日を除いて、ウイークデーがきのうまでで十一日間ありました。その十一日のうち、会食をされたのは九日です。会食していないのは十九日ときのうだけですよ。あとは、マスコミとか経営者の方が多いんですけれども、あるいは国会議員、与党の皆さんとの会食。

 こういう状況で、今、民間企業が飲み会自粛にどんどんなっているんですよ。町に行ったら、ほとんど居酒屋さんとかあいているんですよ。こういう状況の中で、総理が十一日間中九日間会食というのはやはり、そして、二月十二日から数えたんですけれども、二月十二日にはもう既に二百人感染者が出ている、そういうときから数えてこれだけ会食されるというのは、私はちょっと異常だと思います。

 せめて今後、会食を自粛される考えはありませんか。

安倍内閣総理大臣 何か委員は少し勘違いをされておられるんだろうと思います。会食というのは、別に、いわゆる宴会をやっているわけではなくて、さまざまな方々と意見交換を行っております。

 例えばその中で一つは、金美齢さんや日華懇の若手議員の皆さんにお話を伺ったのは、先般の台湾の総統選挙を受けてどのような対応をとっているのか、あるいは台湾で今どのような対応をとっているのかというお話を伺いました。それが果たして何かいけないことなのかということでございますし、また、経営者の皆さんがこのコロナウイルス等に対して、感染症に対してどのような対応をとっているか、あるいはどのような働き方を行っているのかというお話も伺わなければならない。夜は当然食事はするわけでありますから、その場を生かしてお話を伺う。

 これは別に物すごい大人数の会食というわけでもございませんし、高井議員が想像されているようないわゆる宴席でももちろんない、全くないわけでございまして、そういう機会を活用しながら総理大臣としていろんな方々からお話を伺うということも、私は大変大切な機会ではないのかな、このように考えているところでございます。

高井委員 首相動静は公表されていますから、きょうもパネルにでもして持ってこようかと思いましたけれども、まあそんなことをしてもねと思いましたけれども、今の話のような方とは思えませんよ、この名前を見ると。会社の経営者の方とか、もともと仲がよかった方。

 恐らく前から予定が決まっていたんでしょう、なかなかそれはキャンセルできないのかもしれませんが、しかし、きのう、首相補佐官がパーティーを開いたというようなことも今、国会で取り上げられていますけれども、やはりこの総理の姿勢を国民は見ていると私は思いますから、ぜひここは、今からでも遅くないですから、しっかりそういう危機感を持った姿勢をリーダーが示すということは本当に大事だと思いますから、ぜひ考えていただきたいと思います。

 そういう意味では、今回の対策、私は後手後手に回っていると思いますが、やはりそれを感じたのは、きのう、報道によれば、各省庁に対して必要な法案の指示を出したと。きのうですかと思いました。

 それから、補正予算についてはいまだに指示を出していないですよね。日本は百五十三億ですか。これはもう何度も言われていますけれども、シンガポールは五千億ですよ、GDP三十五兆の国。日本のGDPでいえば、三兆円規模の今対策をやっている。香港は、これは有名になりましたが、一人十四万円、一兆円。これはGDPの四・八%だそうです。日本でいえば、二十七兆円の対策ですよ。

 こういったものを各国が次々と、アメリカだって台湾だって出している中で、日本が補正予算の検討すらしていない。これはどう考えてもおかしいと思いますが、早期に検討を指示していただけませんか。

安倍内閣総理大臣 まず、今般の予算について、第一弾としての対策については既に委員も言及をしておられるわけでございますが、例えば、三月においては、今年度内においては、まだ予備費が二千七百億円を超える額があるわけでございまして、必要とあれば、これをしっかりとこの年度内に投入していくということも十分に可能であります。

 また、予算の見方というのはいろいろあるんですが、資金繰り等に対する貸付け等については、五千億円の予算を既に手当てをして行っている、実施をしているところでもあるわけでございまして、そうしたもの等もしっかりと含めていただきたい、他の国々との予算の比較においては。それはそういうものも入っているのではないか、こう思うところでございますが、必要な額については。我々も現在、必要であればしっかりと対応していきたい、こう考えているところでございます。

高井委員 必要に決まっているじゃないですか。ここで使わずして、どこで使うんですか。世界各国、いろいろ今挙げましたけれども、日本はことし東京オリンピック・パラリンピック、やるんですよね。だったら、世界のどの国よりも、この対策、真剣にお金をかけて、予算をかけたってやらなきゃいけないじゃないですか。それを、まだ必要があればとおっしゃっている時点で、国民は不安になるわけです。

 きのうの小中高の一斉休校だって、やはり、じゃ、一人親の方はどうするんだ、あるいは非正規雇用の方、会社なんかそんなに簡単に休めないんだよ、そういうものを補償してくれるのかと。シンガポールだったら一日八千円補償してくれるんですよ。香港だったら十四万円支給しているんですよ。こういう手当てとセットで、パッケージで総理が説明すれば、国民の皆さんは納得すると思うんですよ。しかし、それができていないから今のこの国民の皆さんの不満につながっているわけです。

 私は、これは本当に大変な事態になると思いますよ。リーマン・ショック級あるいは東日本大震災級の景気後退が、ただでさえ去年の消費増税で、GDPで六・三%の減。これは実は、二〇一四年の消費増税の七・四%以来の大きな、ただでさえ、このコロナウイルスのことがなくてそうだったんですよ。

 これは、今このコロナウイルスの問題で明らかにこれから世界経済が低迷していく中で、私は、大規模な、大胆な経済対策を必要だと考えますけれども、総理、リーマン・ショック級のことが起これば消費増税は延期するとおっしゃいました。もうこれから起こるんですよ。もし今後リーマン・ショック級の景気後退になったら、私は、消費税をもう一度戻す、八%に小さく戻すよりも、もっと、国民の皆さんに大きな対策として五%ぐらいまで戻すぐらいのことを考えてもいいと思いますし、あるいは財政出動ももっともっと、今この非常事態ですから、私は国債を発行してやってもいいと思うんです。

 今、日本の、この国の財政は確かに大変です。しかし、一方で、財務省が認めているとおり、自国の通貨建てで国債を発行している国で、先進国でデフォルトした国なんかないんですよ。こういうことを考えれば、期限限定でもいいですよ、あるいは、今インフレがなかなか進まない、デフレがもう二十年間も続いて、経済が二十年間成長していない国なんて、日本だけなんです。

 この状況を脱却するためには、例えばインフレ率が二%、三%になるまでという期限をつけてもいいですから、国債を発行して財政出動をする、こういった減税と財政出動、このくらいのことをやらないと本当にこの国の経済は今危機的状況に陥ると思いますけれども、総理、そういう考えはありませんか。

安倍内閣総理大臣 全国において小中高等学校の休校を要請したことについて、その際、お父さん、お母さんがお子さんのお世話で休まなければいけないという状況についてどう対応していくかということにつきましては、例えば、企業に対しては、有給休暇をとりやすい状況をつくってくださいというお願い、またあるいは、中小企業や小規模事業者の皆さんに対する対応、雇用調整助成金等々も活用しながら対応していきたいと思っておりますし、また、パートの皆さんがお休みをとることによっての収入減に対する対応、給付等も勘案しながら、対策をしっかりと、政府として責任を持って対応していきたい、こう考えております。

 そしてまた、今委員がおっしゃった経済への影響ということでございますが、今後引き続き消費税率の引上げによる影響等については注視をするとともに、今般の新型コロナウイルス感染症が景気全体に与える影響、世界経済に与える影響も含めて、先般、経済の下押しリスクに備えて策定した総合経済対策を着実に実行することで適切に対応したいと思います。

 その上で、新型コロナウイルスへの対応については、第一弾として先般取りまとめた緊急対応策に基づき、感染拡大の防止に加えて、事業者の皆さんに対する五千億円の資金繰り支援や雇用調整助成金を活用した雇用対策など、必要な対策を直ちに実行しているところであります。

 今後も、年度内においては既定経費と今年度予備費を活用して必要な対策をちゅうちょなく実行し、感染拡大、重症化の防止や医療提供体制の整備に加えて、国内企業等への影響に対しても順次必要な対応を迅速に実施をしていく考えであります。

高井委員 きょう私が質問した項目は、全部総理じゃないとできないことなんです。ぜひ総理の決意を示していただいて、必要があればって、必要に決まっていますから、一日も早く、きょうにでも指示を出していただきたい、そのことを質問して、終わります。

 ありがとうございます。

大口委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 総理が議長を務めておられます経済財政諮問会議では、地域医療構想の実現に向けて、二〇二五年における病床機能ごとの病床数の見込みは、必要量と比べて大きな開きがあるというふうにして、病床数の削減を推し進める議論をしております。

 新型コロナウイルス感染症対策では、二十五日、高市総務大臣が、公立病院にベッドを確保するように要請をされております。パンデミックになったときなど、感染症対応で本当に医療体制は大丈夫なのかという懸念がございます。

 そして、南海トラフ巨大地震がいつ起きてもおかしくないというふうに言われております。

 私の地元、東海エリアでは、想定の負傷者数、愛知県では約十万人、そして静岡県では約九万二千人、三重県では六万六千人の負傷者が想定をされております。災害拠点病院などでは対応できないということは明らかで、DMATも被害想定区域全域で約二千二百以上のチームが足りないというふうに言われております。南海トラフ巨大地震などの大きな災害時に医療体制は大丈夫なのかということが懸念されているわけでございます。

 この災害時、感染症がパンデミックになったときに、医療体制について、経済財政諮問会議ではどのような精緻な議論がされているんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 高齢化が進む中、地域の医療ニーズの変化に合わせた地域医療体制を確保するため、地域医療構想の実現に向けた取組を進めております。

 お尋ねの経済財政諮問会議においては、厚生労働大臣や総務大臣も出席した上で、地域医療が抱える課題や対応策などについて議論を行っており、地域の事情を勘案しながら、機械的な議論を行っているわけではないわけでございまして、この場においてはしっかりと突っ込んだ議論を行っているところでございます。

本村委員 災害時ですとか感染症対応のときにどうするのか、医療体制は大丈夫かという真剣な議論が見えないからこそ、こういう議論をさせていただいているわけでございます。

 こういう心配がある中で、経済財政諮問会議の議論、あるいは骨太方針で、病院やベッドを減らせと言っているという状況でございます。

 この経済財政諮問会議の議論や骨太方針をもとに、厚生労働省は、公立・公的病院の病院名リストを公表いたしまして、具体的対応方針の再検証が必要というふうにしまして、ことしの一月十七日、局長の通知を発出して、期限を定めて再検証を求めております。

 総理に明言をしていただきたいんですけれども、これは技術的助言ということでございますから、押しつけることはありませんね。地域の皆さんの思いや、あるいは自治体の皆さんの判断を尊重しますねということを総理にお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 地方自治法に基づく技術的助言として厚生労働省からこの通知を発出したものでございますが、したがって、都道府県が策定した地域医療構想の実現に向けた地域の判断は、当然尊重されるべきものと考えています。

 そのため、各地域において、地域の実情や今般の公立・公的医療機関等の診療実績の分析結果を踏まえつつ、将来を見据えた医療提供体制の構築に向けた議論を尽くしていただくことが重要と考えております。

本村委員 今、地域医療をどうしていくかというふうに考えたときに、自治体の皆様が一番求めているのは医療従事者の確保でございます。

 私も、医師の確保など質問させていただきましたけれども、そのときの答弁は、地域医療介護総合確保基金を使うようにという答弁でございました。

 しかし、この地域医療介護総合確保基金について、経済財政諮問会議では、病院の統廃合やベッドの削減に使える財源に重点化を図ることが議論をされ、それを反映した骨太方針二〇一九ということが閣議決定をされているわけでございます。

 私の地元でございます愛知県からは、この基金について、病院統廃合とかベッドの削減の方のお金よりも、医療従事者の確保や在宅医療の充実に使える財源をふやしてほしいというお声を聞いております。岐阜県からも、医療従事者の確保の財源をふやしてほしいという声を聞いております。厚生労働省にそれを求めますと、骨太方針に位置づけられており、それはできないというふうに言われているわけでございます。

 総理は、先日の本会議の私の質問に対して、地域において、将来あるべき医療体制の議論を深めていただきたいというふうに答えられました。地域の声は、医療従事者確保の思いが強いわけでございます。

 この地域医療介護総合確保基金の使い道に色をつけるのではなく、柔軟に、地域が必要なところに使えるようにするべきだと思いますけれども、総理にお答えいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 地域医療構想の達成のためには、医療機能の転換に伴う医療機関の施設又は設備の整備にあわせて、在宅医療や医療提供者、医療従事者の確保が図られることが必要であると私も考えております。

 このため、地域医療介護総合確保基金では、これらに必要な財政支援をバランスよく行う観点から、都道府県からの要望も踏まえて、それぞれの予算を区分した上で配分をしているところであります。

 なお、医療従事者の確保や在宅医療の提供に関する事業については、令和二年度予算案において、前年度予算より二十七億円増額をして計上しており、地域の声も踏まえて、地域におけるこれらの事業に対する財政支援の強化を図っております。

本村委員 二十七億円ふやしたということですけれども、四十七都道府県に配分をいたしますと、一県当たり五千万円増額ということになってまいりまして、全然足りないわけですよ。ですから、病院のリストラのためのお金じゃなくて、医療従事者確保のために柔軟に使わせてほしいというのが愛知県の皆さん方が言われていることなんです。ぜひ、そういう柔軟な使い方ができるように変えてください、総理。

 医療従事者の確保のために基金を柔軟に使えるように変えるべきです。病院名のリストについて、地域で議論する材料を提供したというようなことを言いながら、結局、基金でも使い道を病院リストラの方向に重点化をして縛っている、これは本当におかしいというふうに思います。

 この病院名リストの公表について、安倍首相のお地元である山口県でも、十四の公立・公的病院名がリストに挙げられ、不安が広がっております。

 岩国市の岩国市立錦中央病院が統廃合リストに載っておりますけれども、ここでは、広島市の安佐南区からふるさとの岩国市にUターンした住民の方からは、この錦中央病院には甲状腺を患う妻が通院している、もし病院がなくなってしまったら、もう一度広島に戻ることも考えなければいけなくなるというふうに語ったという報道もございます。病院が縮小、なくなってしまうことで、住み続けることができなくなってしまう不安が語られております。

 安倍首相がやっていることは、地域医療を壊し、地域を寂れさせる方向でございます。病院をつくり、病院を支えてこられた方々の努力に顔向けできない方向をやっているというふうに思います。

 病院名リストの公表で、既に実害が出ております。静岡県の公立病院では、内定していた薬剤師が採用直前で辞退をした、愛知県内の公立病院の院長は、大変苦労して勤務を承諾してもらった医師が保留になってしまった、こういう実害が既に出ております。そして、岐阜県の多治見市民病院の院長からは、厚生労働省が分析したデータが直近の二、三年の経営努力を無視している、多治見市民病院を対象にした根拠も不明で名誉毀損に相当する、業務妨害であり厳重に謝罪を求めるという声が出ております。

 各地でこういう怒りの声が噴出をしております。今、国がやるべきことは、安心して暮らせるように医療を充実させていくということが必要だというふうに思います。

 こういう実害さえ出ている病院名リストを出したことについて謝罪をしていただきたい。そして、撤回をしていただきたい。そして、これを絶対に押しつけない、病院リストラを押しつけないということを、ぜひとも明言をしていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 先ほどの、基金については、都道府県からの要望も踏まえて、それぞれの予算を区分した上で配分しているところでございます。いわば、厚労省が、そういう都道府県からの要望も踏まえずにやっているというわけではもちろんないということは申し添えておきたいと思います。

 お尋ねのリストについてでございますが、それぞれの地域において、構想の実現のために、医療機関が今後の医療機能のあり方を考える際の材料としてお示しをしたものでありまして、病院が将来担う役割やあり方、統廃合の方向性を機械的にこれは決めるものではございません。

 政府としては、地方団体の御意見も十分に伺いながら、こうした点について関係者に丁寧に御説明をし、そして、地域において、その実情を踏まえながら、将来あるべき医療提供体制の議論を深めていただきたいと考えております。

本村委員 地域医療を壊し、地域を壊すようなこうした病院リストラの撤回を求めて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大口委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 この来年度の予算、それから地方税、また財金でも、きょうは三つの柱でやっておるわけでありますが、特に税制ということでいうと、例えば、自民党で大変な議論があって法案に盛り込まれました未婚の一人親への公正公平な税制、これは大変大きな前進であると思います。

 そうした意味で、我々維新の会は、そもそもの統治機構、税制も含めて、大変大きな違いがある、今の政府・与党とは大きな違いがありますが、今回の税法については、今申し上げた未婚の一人親への対応を含めて、大変高く評価しているところであります。

 ただ、そういう公正公平な制度をつくるときに、単に税制だけじゃなくて、この国会でもいろいろ議論になった、例えば選択的夫婦別氏。

 総理、総理のお手元には資料もあると思いますので、これはマスコミ向けに、ちょっと向こうへ向けていいですか。見えますか。

 これはぜひ、マスコミの皆さんもよく映していただきたいんですが、これだけのバリエーションがあるんです、選択的夫婦別姓といっても。昨年の参院選で、安倍総理だけ手を挙げなかったといっていろいろありましたが、私、すごく表面的な議論しかできていないと思うんです。

 ここにあるように、維新以外の野党の提案は、戸籍制度を抜本的に変える、今の戸籍の同一戸籍同氏の原則を修正するものです。それに対して、我々維新の会が参院選のマニフェストに提案している、旧姓に一般的法的効力を与えるということであれば、これは別に、民法、戸籍法を手直しせずともできます。

 なぜできるか、今やっているところがあるんです。どこがやっているか、最高裁です。裁判所です。裁判所は既に、平成二十九年の九月一日から、旧姓併記じゃないですよ、自民党の皆さん、旧姓併記にこだわっていらっしゃる古い方が多いようですが、旧姓併記じゃないんですよ。旧姓だけで判決は書けるんですよ、今でも。何で裁判所だけやって、行政府はそれを法案対応しないんですか。

 高市大臣には、この総務委員会で、総務省の所管法令だけでもいいから調べてくれと申し上げたら、大臣は調べると。このテーマはしっかりやってこられたしね。

 それから総理、旧姓というのは、氏というのは戸籍で公証していますが、既に昨年十一月から旧姓、旧氏についても住民票で公証しているんです。

 ぜひこの国会で議論を深めて、この選択的夫婦別姓、要は、不便を解消する問題については、私はできると思っているので、自民党総裁としても、また内閣のリーダーとしても、ぜひ、この話をこの国会でけりをつけるぐらいの思いで取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 政府においては、今御紹介をいただきましたが、旧姓を使えないことによる不便を軽減する観点から、各種の国家資格、免許への旧姓使用の拡大に取り組んできました。昨年からは、マイナンバーカードや運転免許については旧姓併記が可能となっております。

 国の制度についてはさまざまなものがあり、一概に申し上げることは困難でありますが、まずは、不便の軽減、解消の観点から、各種の国家資格について、旧姓使用の現状を幅広く調査をしたいと思います。

 現状をしっかりと把握した上で、柔軟に旧姓使用を拡大をしていきたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 しっかり、旧姓併記ではなくて、旧姓だけで社会生活が営める。要は、司法府にできて行政府にできないわけがないじゃないですか。ぜひやりましょう。

 それから、今ずっと大変なテーマであります新型コロナでございます。

 これは総理、まさに二十五日の基本方針でも示されたように、まさに今です、まさに今。

 そうした意味で、これは緊急事態のパネルでありますが、まず、大阪府が、既に検査対象を国の決めたものよりも広げています。そして、そのルートも、保健所ルートだけでは、医療機関と今もめていますから、医療機関との調整を図るために、医療機関向けの新型コロナ受診・検査相談センターを新たに設置して、大阪ルールで、今、吉村洋文大阪府知事のリーダーシップでやっています。

 こういう、全国には四十七都道府県ある、二十政令市ある。全国のいい例は、ぜひ国もそれを採用して、国基準として、いいものは採用して、どんどん、これはまさに今が勝負ですから、ぜひいい例は取り入れていく、お願いをできないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 詳細については必要であれば政府参考人から答弁させますが、政府としては、大阪府の取組等も踏まえながら、引き続き、医療機関の判断に基づき、確実に検査が受けられるような検査体制の確保を進めていきたいと思っています。

 さらに、来週中を目途にウイルス検査を保険適用とすることも検討しておりまして、こうした取組により、より幅広い医療機関において検査を受けられる体制が整うものと考えております。

足立委員 今総理は保険適用とおっしゃいました。保険適用をやったらいいですよ。やったらいいんです、そんなものは。しかし、問題は、保険適用する範囲ですよ。その範囲について、吉村知事、我々維新の会は、国が決めている範囲に加えて、医療機関からは、これは診てくれ、検査してくれというのがいっぱい上がってきているけれどもはじかれている。例えば、原因不明の肺炎患者でウイルス性が疑われる者、あるいは、呼吸器症状の急性な悪化、そういう要件を追加して、今大阪府では取り組んでいる。ぜひ、きょうにも、これを全国で、このルールを適用、私はしたらいいと思いますよ。ぜひお願いをしたいと思います。

 最後に、あと二分ほどでございますが、総理、これもう、通告は以上です。通告は以上でございますが、本当に危機感は共有しています、維新の会は。

 二十五日の基本方針、それからおとついの大型、大規模イベント、そしてきのうの学校、総理のこの三日間のリーダーシップには心から敬意を表します。まさに一国の首相たるリーダーシップだと思いますよ。いろいろ課題はある、でも、課題は各閣僚が持ち場持ち場で支えていけばいいと思いますよ。私たちも国の大きな動きの中で、例えば学校だって、吉村知事、松井市長は同じ意見ですよ。これは、まさに今だから、私は、総理のリーダーシップに敬意を表します。

 ただ、きのうも、法案ということをちょっとおっしゃった。私は、踏み込んだ方がいいと思いますよ。インフルエンザ特措法の緊急事態宣言、ここに、政令要件です、政令要件。これを見てください、もう満たしていますよ、満たしています。だから、私は、しっかりと法令を、法律案を整備をし、協力します、緊急事態宣言並びの措置をしっかりととっていく。

 きょう、総務大臣もいらっしゃいますが、選挙だって、これ、できますか。私の地元でも、四月に入ると選挙があります。みんな心配しています。いろんな法律を整備しなければならない課題が山積をしてきている。法律で手当てしなければいけないテーマが幾つかあるんです。

 総理、ぜひ、維新の会も協力しますので、緊急な立法、前に進めていただきますようお願いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 昨日の政府の対策本部において、私から、今後、新型コロナウイルス感染症の国内におけるさらなる感染拡大も懸念されるため、既存の各種対策の実効性を更に高めるとともに、感染拡大を抑制し、国民生活や経済に及ぼす影響が最小となるようにするため、必要となる法案について、早急に準備するよう指示をしたところでありますが、法案の内容については、新型インフルエンザ等対策特別措置法を参考に早急に検討することとしております。

 検討し、早期にこれは成立をさせなければなりませんので、足立議員を始め野党の皆様の御意見も伺いながら、御協力もいただきたい、このように考えております。

足立委員 時間が来ましたので終わります。

 ありがとうございました。

大口委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 まず最初に、新型コロナウイルス対策について総理にお伺いしたいと思います。

 まさにここの一、二週間が、拡大に向かうのか収束に向かうのか、本当に重大な局面にあるということで、日本の国家の危機管理、これの真価が問われている状況だと思います。

 昨日、総理が、小中高校に対して休校を要請されたということでございました。予算委員会でもいろいろ議論がありました。私も聞いておりましたけれども、私は総理の判断を全面的に支持したいと思います。やはりこれから、この一、二週間で絶対収束させるんだという強い意思が伝わってきましたし、これは、多少の混乱はあってもやむを得ない措置だったと私は評価しております。

 総理、これは質問通告していないんですけれども、今、きょうの午前中に私も知ったんですが、熊本県内でトイレットペーパーが消えてしまったというのを御存じですか。消えたらしいんです。それで、東京都内でもトイレットペーパーが今買えない、ないというようなことを聞きました。これはやはり買占めが起こっているんだというふうに思います。

 それで、私ちょっと提案で、質問通告していないので聞いておいていただくだけでいいんですけれども、災害対策基本法、この百五条に、災害緊急事態を布告すると。これは、災害対策緊急事態を布告すれば、百八条の三において、生活物資を買い占めないように首相が国民に協力を求めることができるという規定があるんです。私は、ぜひこういった規定も検討していただきたいということをちょっと要望したいと思います。

 それで、次は、質問通告をさせていただいた、基本方針にある水際対策です。

 総理の強い意思は、私はよく感じ取れるんですけれども、この基本方針の水際対策だけは、正直まだまだ危機感が薄いのではないかなというふうに思っていまして、きのうも質問をしたんですが、国内への感染者の急激な流入を防止する観点からということになっているんですけれども、やはりここは流入を徹底的に防止する、そういう観点が必要ではないかと思っているんです。

 そういう観点からすると、ちょっと二ページ目に、中国の、手書きで書いてあるんですけれども、今、中国からの入国制限は湖北省と浙江省しかしていないわけですが、この湖北省の隣、河南省、湖南省、江西省、それから、ちょっと離れた広東省、こういったところの感染者数は浙江省に並ぶぐらい多いし、それ以上のところもあるわけです。それから、十万人当たりの感染確認数、江西省でいえば二・〇一、浙江省と並ぶぐらいにあるわけです。

 そういうような状況ですと、私はやはり中国全土に入国制限を広げるべきではないかというふうに思っているんですけれども、総理、この点についてはいかがお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 これまで、政府においては、新型コロナウイルス感染症が蔓延している中国の地域から来訪する外国人や、感染症が発生しているおそれのある旅客船に乗船する外国人について、当該地域や旅客船を対策本部において報告し、公表することにより、入管法に基づき迅速に入国拒否の措置を講じることができるようにするなど、機動的な水際対策を講じてきたところでありますが、中国については、感染者数や移動制限措置の有無、医療体制の状況等のさまざまな情報や知見に基づき検討し、総合的に判断し、湖北省及び浙江省を対象地域として入国拒否の措置を講じてきているところであります。

 加えまして、韓国大邱広域市及び慶尚北道清道郡における感染者の急増等の状況を踏まえて、これらの地域に滞在歴がある外国人についても、特段の事情がない限り、昨日から入国拒否の措置を講じることとしたところであります。

 新型コロナウイルスの感染拡大の状況が時々刻々と変化をしている中で、どの地域を危険地域として考えるべきなのか、入国拒否の措置の対象地域をどのように定めるべきなのかについては、政府としても、感染者数の動向等を分析をし、今後とも弾力的な措置を講じていきたいと思いますし、これは、何よりも国民の命と健康を守る、これを最優先に判断をしたい、そのために必要であればちゅうちょなく判断をしたいと考えております。

井上(一)委員 力強い答弁、ありがとうございました。

 産経新聞の世論調査を見てみても、中国全土からの日本入国を一時的に禁止すべきだとの意見があるが賛成かというような問いに、賛成が六七・七%と、もう国民の三分の二の方がそういうふうに思っておられるということで、国民の不安感を払拭するためにも、国民の生命を守るためにも、ぜひ、中国全体への拡大、これを検討していただきたいということを強く要望して、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

大口委員長 これにて内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構です。

 質疑を続行いたします。西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党、共同会派立国社、衆議院西岡秀子でございます。

 総務委員会におきましては、初めて質問の機会をいただきます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速、新型コロナウイルス感染症に対する質問から始めさせていただきたいと思います。

 先ほどからも議論があっております、二十五日に政府から基本方針が発表をされました。基本方針の中では、感染の水際対策、そして感染者が出たときの対応、また、感染が拡大してからの対応を含め、さまざまな対応、多岐にわたる対応、これは大変、地方自治体が最前線で対応する問題ばかりでございます。

 総務省として、まず、この基本方針を受けまして取り組んでいく、その基本的な取組方針についてお尋ねをいたします。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 総務省といたしましては、二十五日に決定された新型コロナウイルス感染症対策の基本方針を受けまして、地方自治体及び関係事業者と速やかにこの基本方針を情報共有するとともに、地方自治体や所管関係団体に対し、テレワークの積極的活用を改めて要請いたしました。

 また、都道府県知事及び公立病院を運営する市町村長宛ての大臣書簡を発出し、新型コロナウイルス感染症に係る病床確保の積極的な取組などを要請いたしました。

 さらに、総務省と都道府県、政令指定都市の幹部との連絡体制を強化し、さらなる情報共有を図ることとしております。

 そして、同じ二十五日に全国知事会に設置されました全国知事会新型コロナウイルス緊急対策本部の構成員として三名の総務省関係課長が参画し、連携を密に図ることとしております。

 そのほか、総務省職員の勤務形態に関し、テレワークや時差出勤の活用により、おおむね二週間の間、本省職員の五割を目安として通勤混雑時間帯の出勤を回避するよう省内に周知するとともに、総務省訓令を改正し、当分の間、勤務開始時間を追加したところでございます。

 今後も基本方針に基づいてしっかりと取組を進めてまいります。

西岡委員 御説明ありがとうございます。

 基本方針が二十五日に出されたときに、ちょうど文部科学省からも、コロナウイルス感染症が発生した場合の対応について、第二報ということで、これは二十五日時点でございますけれども、その中に、感染者がいない学校も含む積極的な臨時休業という項目で、公共団体の方に情報が発信をされております。このときは、全国の全国公立の小中学校の休業ということではなくて、地域によって、その地域全体で、感染者が出ていない学校も休業することも考えられるという発信を文科省としてされておりました。

 そして、この二日後に、私たちからすると突然という形で全国の小中学校の休業ということが発信をされまして、大変国民も戸惑っているというのが先ほど高井委員からも御指摘がありました。特にお子様をお持ちの保護者の皆さんは大変不安な気持ちで今いっぱいな状況ではないかと思っております。

 先ほど総理大臣からいろいろな御説明がございましたけれども、この全国の小中高校また特別支援学校の休業については、この内容は、学校設置者、そしてまた地方自治体に大変その判断を任されているという状況もあると思いますけれども、今回発表されました小中学校、特別支援学校の休業を受けて、総務省としての、所感も含め、取組についてお尋ねをいたします。

 こちらは直接通告をいたしておりませんでしたけれども、この事態を受けて、もし何かお話しいただけることがあればお願いいたします。

奈良政府参考人 申しわけありません、通告を受けていなかったものでございますから。

 ただ、先ほど私申し上げましたように、地方公共団体とはいろいろなチャネルで情報共有することを私ども総務省の立場からやってございますので、本来的には文部科学省の所管の話ではございますけれども、私どもとしても、いろいろ地方公共団体からのお声とかを伺ったり、そういったことは引き続き取り組んでまいります。

西岡委員 ありがとうございます。

 この基本方針の中で、テレワークの推進ということ、軽症、症状が軽い方については在宅で、テレワークを推進をするということが盛り込まれております。

 テレワークの推進ということについては今回の高市総務大臣の所信表明の中でも触れられておりますけれども、特に、この感染拡大が、今、この一、二週間が大変大事だという状況の中で、子供さんをお持ちの保護者の方々、共働きの方や一人親の方、そしてまた、そういう意味では、どうしても休めない医療関係者の方や福祉関係者の方、そういう方も含めて、いろいろな意味で、休暇制度も含め、休めない方というのは別ですけれども、会社の方でテレワークをすることができる方については、テレワークの推進ということが大変貴重なこととなると思いますけれども、特にこのことについて、今後、この政府の方針を受けて取り組まれるということについて、もし御説明いただけることがあればお願いいたします。

秋本政府参考人 お答えいたします。

 通勤ラッシュや人混みを避けて働くことのできますテレワークは、新型コロナウイルスの感染拡大防止としても有効な対策と受けとめております。

 総務省におきましては、所管関係団体及び各地方公共団体宛てにテレワークの積極的な活用を要請するなど、広くテレワークの実施を呼びかけているところでございます。

 非常時に活用していただくためには、平常時からテレワークを利用していただくことが不可欠でございます。そこで、総務省では、これまで、関係府省とともに集中してテレワークを実施いたしますテレワーク・デイズによる意識の醸成や、専門家の派遣を通じた企業のテレワーク導入の支援などに取り組んでまいりました。

 今後は、中小企業を支える団体とも取組を進めまして、テレワークサポート体制の整備を早急に進めていくこととしております。

 また、地方自治体に対しましては、来年度から、地方公務員向けテレワークの導入経費を対象といたしまして特別交付税措置を講ずる予定としております。

 これらを通じまして、中小企業や小規模自治体を含めたテレワークの推進に一層取り組んでまいりたいと考えております。

西岡委員 今御説明の中でございましたけれども、やはり中小企業については大変導入率が低いという状況もございますので、こういう緊急時にもテレワークの推進というのは大変重要でございますので、このことはしっかりと取り組んでいただきたいと思っておりますし、満員電車というものが大変感染のリスクを高めるということで言われておりますので、特にそういう意味でも積極的な働きかけをぜひお願いをしたいと思います。

 それでは、続きまして、チャーター機による帰国者及びクルーズ船を下船された方など、感染リスクのある方々の居住又は滞在している自治体への情報提供のあり方についてお尋ねをいたします。

 初めて下船をされたときの情報提供が大変遅かったという指摘があっておりますけれども、実際に、下船された方の中から、発熱をされて新たに感染が確認された方もおられます。

 また、昨日、一度陰性になり退院された方が再び陽性になられたという事態も起こってきております。これは、再感染のリスクとともに、検査にひっかからないレベルのウイルスが体に残って再燃をしたという可能性も専門家の方から指摘をされているところでございまして、陰性になったからといって、やはりしばらくの間は感染をするリスクがあるということが考えられるということではないかと思っておりまして、中国においては、退院患者の一四%が再び陽性になったというお話も報道でございました。

 こういう意味では、特に、健康観察や、感染リスクのある方を含めて感染拡大防止の必要性というのが、大変重要であると思っておりますけれども、この中で、自治体に対する情報提供のあり方、これは先ほど、連絡協議会といいますか、いろいろお話をできる場をつくられて、総務省の方も入られたということでございますけれども、この連携体制、情報の共有化についてお話をいただきたいと思います。

奈尾政府参考人 お答えいたします。

 感染リスクがある方についての自治体への情報提供でございますけれども、まず、クルーズ船関係でございますが、健康観察期間を終えてダイヤモンド・プリンセス号から下船された方につきましては、二月十九日、専門家会議をやったわけでございますけれども、その議論も踏まえまして、念のため、保健所等からの健康フォローアップというものを毎日実施してございます。

 このため、厚生労働省からは、健康フォローアップを行う上で必要な情報を居住地のある都道府県等に提供してございます。

 一方、武漢市からのチャーター便で帰国された方につきましては、基本的に、健康観察期間を国が用意した施設でお過ごしいただき、また、御帰宅等いただけるかの判断に当たっては、複数回のPCR検査の結果によってその可否を判断するということでございますので、帰宅された後で居住地のある都道府県等に引き続き健康観察をお願いすることは想定してございませんけれども、チャーター便で帰国された方につきましても、都道府県等からの求めがあれば、必要な情報を提供しているところでございます。

 新型コロナウイルスにつきましては、国と地方自治体が連携して対応することが極めて重要でございますので、議員の御指摘や自治体の御意見も踏まえつつ、引き続き適切な連携を図ってまいりたいと考えております。

西岡委員 やはり、陰性から陽性に再びなるという事態も含めて、今後の体制をしっかりとっていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、そういう体制の中で、自治体において対策をしていくときに、大変財政的なものが必要になると思いますけれども、自治体における対策についての財政措置について御説明をお願いいたします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 二月十三日の新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして決定いたしました緊急対応策のうち、一部事業につきましては地方負担が見込まれますので、総務省といたしましても、地方団体の財政運営に支障が生じることのないよう、手厚い地方交付税措置を講じることといたしております。

 具体的には、有症患者が入院することができる病床整備に係る備品購入でございますとか、地方自治体の相談窓口の設置などの厚生労働省の国庫補助に係ります地方負担につきまして、災害並みの地方負担額の八割を基本として特別交付税を措置することとしたところでございます。

西岡委員 さまざまな体制整備というものが、保健所を含め、大変必要となってくると思いますので、その裏づけとなる財政措置というのがやはり大変重要だというふうに思っております。

 次に、自治体のその体制をしていく上で、人員体制というのが大変重要かと思っております。限られた人員の中で、感染者が発生をした地域においては大変な状況になっております。最前線の業務に当たられている職員の方自体が感染をされるという事例も起きておりますけれども、人員体制の強化についてお尋ねをいたします。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 地方自治体におきます国内の感染防止の役割は非常に重要なものでございます。このため、例えば、地方自治体におきましては、全ての都道府県におきまして、二十四時間対応で帰国者・接触者相談センターというのを設置しております。そこでは、感染が疑われる方から電話で相談を受ける等の業務や、地域の実情に応じた最適な対策を講じることができるよう、国内での感染拡大防止に取り組んでいただいてございます。

 こういった業務を滞りなく行うために、議員御指摘のとおり、地方公共団体の対策のために必要な人員体制を確保することは、厚生労働省としても重要な課題であると認識してございます。厚生労働省といたしましては、地方公共団体や関係機関と十分な連携を図るとともに、地方公共団体の対策のために必要な体制につきましては、今後の状況の推移に応じて適切に対応してまいりたいと思っております。

西岡委員 しっかりこの体制についてはバックアップをいただいて、体制を整備するためにぜひお力添えをいただきたいと思います。

 それでは、安定的な地方財政基盤の確保についてお尋ねをいたします。

 やはり、地方自治体におきましては、言うまでもなく、将来にわたって安定的な財源を確保するということが大変重要でございます。しかし、これまでも委員会質疑でも指摘をされてきましたように、国税収入の見込みが近年大変甘いために、地方財政にも大きな影響を及ぼしているという実態がございます。交付税の財源である国税が減額補正され、その金額が多額であるために、次年度から多年度にわたって精算、返済をしていかなければいけないということがございます。

 こういう状況の中で、今後、安定的な地方財政を確保するためには、法定税率の見直しも含めた抜本的な見直しが必要ではないかと思いますけれども、総務省としてのお考えをお願いいたします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 令和元年度の補正予算におきまして国税が減額補正されたことに伴います減少額につきましては、その全額を国の一般会計から加算して補填することとしたところでございます。

 この精算の方法につきましては、来年度の地方交付税総額を確保する観点から、令和三年度から精算を開始することといたしまして、また、各年度の地方交付税総額への影響をできる限り緩和をするという観点から、十年間に分割をして行うということとしておりまして、将来の地方財政への影響も踏まえ、できる限りの対処を行ったところでございます。

 一方で、御指摘ございましたように、地方の財源不足につきましては、令和二年度においても四・五兆円となっておりまして、依然として巨額でございます。

 今後、地方の財源不足を更に縮小していくためには、地域経済の好循環を一層拡大することなどによりまして税収の増加を図るとともに、国の取組と基調を合わせ、めり張りをつけて歳出構造を見直すことが重要でございます。

 その上で、地方交付税総額を安定的に確保いたしますため、これまでも法定率の引上げにつきまして事項要求を続けてきたところでございますけれども、国、地方とも厳しい財政状況でございますので、実現には至っていないところでございます。

 今後とも、法定率の見直しなどによります交付税総額の安定的確保につきまして、粘り強く主張してまいりまして、政府部内で十分議論してまいりたいと考えております。

西岡委員 やはり抜本的な見直しというものが必要だと思いますので、引き続いての取組をぜひお願いいたします。

 次に、今回創設をされました地域社会再生事業費のことについてお尋ねをいたします。

 従来、法人事業税の偏在是正による財源というものは、平成二十年度地方財政計画において、特別枠として地方再生対策費が創設をされました。その後、ほかの制度と統合された後、今、廃止となっております。

 今回創設されました地域社会再生事業については、地域社会の維持、再生へ向け、各地域によってさまざまな施策に活用される予定となっております。今年度の予算が計上されておりますけれども、今後もこの予算規模で引き続きこの制度を活用していくのかということについて、今後の方針について、しっかりこの事業費が確保されるのかという視点でお尋ねをさせていただきます。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 お話ございましたように、令和二年度の地方財政計画におきまして、地方法人課税の偏在是正により生ずる財源の全額を活用して、地方団体が地域社会の維持、再生に向けた幅広い施策について自主的、主体的に取り組むための経費として、地域社会再生事業費四千二百億円を計上したところでございます。

 地域社会の維持、再生でございますけれども、これは息の長い取組が必要なものでございます。したがいまして、現時点におきましては具体的な終期は想定をしておりませんで、当分の間ということにしているところでございます。

 また、地方財政計画への計上額につきましても、その目的でございます地域社会の維持、再生のための取組を継続的に推進することができますよう、令和三年度以降も当分の間は安定的に計上することが適当と考えているところでございます。

西岡委員 条件が大変不利な地域にとりまして貴重な財源だと思いますので、しっかりと地方の状況も見ながら、今後ともこの事業については当面の間確保するということでございましたので、引き続いて十分有効に活用されるように運用をしていただきたいというふうに思います。

 次に、東京一極集中是正についてお尋ねをいたします。

 このことについては大臣所信の中でも述べられておりますけれども、一極集中は、改善されるどころか、むしろ加速をしている状況にございます。二〇一九年には十四万五千五百七十六名の転入超過数であったというデータが出ておりまして、過去十年間で最高の数字となっております。そして、転入超過数の大多数が、若年層、十五歳から二十九歳の若い方が占めているという状況もございます。私の地元長崎県も、今、人口流出が大変深刻な状況になっておりまして、その中でも若い方、そして特に女性が都市部に流出をしているという状況がございます。若い世代の女性が県外に流出をしていくということは、将来の人口減少というものとも密接につながる大変深刻な問題でございます。

 総務省として、特に女性の都市部への流出についての認識とその対策について、もしお話しいただけることがあれば、大臣からお願いをいたします。

高市国務大臣 今委員が御指摘になったとおり、流出というのは、十代、二十代、非常に若い層が多うございます。東京に向けて出ていくということではそうでございます。これはやはり就職とかその前の進学を機に出ていかれるということが多いんですけれども、総務省としては、東京から地方への人の流れをつくるという中で、既に成果が上がっている政策がございます。

 地域おこし協力隊、創設時は八十九名でスタートをしましたけれども、今は約五千五百名になっております。そして、大体一年から三年という任期でございますが、任期終了後も六割の方がその地域に定住をしてくださっています。

 また、地域おこし協力隊のメンバー、隊員の四割が女性でございます。非常にすばらしいアイデアを持って、地域の特産品の開発ですとか外への発信ですとか、いろいろなことをやっていただいていますので、彼女たちがその地域に定着していただけますように、これから特に、ビジネスを起こす支援、また事業承継の支援などに力を入れてまいりたいと思っております。

 さらに、関係人口をふやして、また横展開していく、そのモデルとなる実証事業というものに力を入れてまいりたいと思っております。

西岡委員 ありがとうございます。

 やはりさまざまな取組が必要ではないかと思いますので、地方においてもしっかりいろいろな施策を今講じているところでございますけれども、やはり国でしかできないことというのがまだまだあると思いますので、引き続き、都市部から地方への人の流れというものを、ぜひいろいろな施策を通じて取り組んでいかなければいけないと思いますし、総務省としても、ぜひまた大臣の方でもいろいろなアイデアの中で取組を進めていただきたいと思っております。

 次に、地方創生という中で、今、高校の機能強化ということが大きな政策の柱として地方創生の中で取り組まれようとしております。今までも取組を進めていただいておりましたけれども、特に重点的に取組を進めていただける方向になっております。

 特に、地方においては、地域に一校しかない高校が統廃合でなくなることによって、その地域が大きく衰退をして、本当に深刻な人口減少が起きるという状況が起きてきております。

 逆転の発想で、高校を大変魅力あるものにしていくことによって、そこで人の流れをつくっていって、そこで地域を活性化していくということが大変大切な施策ではないかと思っております。

 このことについて、高校の機能強化のことについて、御説明をいただきたいと思います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 高等学校が地域と協働して、地域そのものを学びの対象とすることにより、その魅力を高めていくということは、実践を通じた学びの選択肢の創出と地方創生の双方に資するものでございまして、地域を分厚く支える人材の育成に向けて、地域と協働した高等学校の機能強化を進めていくことが必要であると認識しております。

 文部科学省におきましては、高等学校が自治体、高等教育機関、産業界等と協働してコンソーシアムを構築し、地域課題の解決等の探求的な学びを実現する取組を推進する事業を本年度から実施しており、令和二年度予算案においても必要な経費を計上しており、地域ならではの新しい価値を創造する人材の育成、地域の産業界等との連携、協働による実践的な職業教育を推進するという取組を展開しているところでございます。

 現在、中央教育審議会におきまして、高等学校における地域社会との協働による教育のあり方を含む新しい時代の初等中等教育のあり方について検討を行っているところでございまして、地域振興の核としての高等学校の機能強化に取り組んでまいります。

西岡委員 ありがとうございます。

 やはり、高校で地域への愛着というものが育まれた生徒というのは、将来その地域を担っていく大変大切な人材に育っていくというふうに思います。

 特に、一般高校もそうですけれども、産業高校、農林水産畜産高校というような産業高校においては、本当に今、人材、後継者不足の農林水産畜産業においても、また、地域の本当の担い手として育っていく大切な子供たちでございますので、より一層、そういう意味でも、高校の機能充実、最先端の技術に対応できる学校のいろいろな設備も含めまして、一層のお力添えをぜひいただければと思います。

 余りもう時間がなくなりましたけれども、次に、政治分野における男女共同参画推進法についてお尋ねをいたします。

 この法律は、平成三十年五月二十三日に公布、施行されました。その後、参議院選挙が行われました。その後、次は衆議院選挙が、参議院選挙より前に任期があるわけでございますけれども、特に衆議院においては、女性の議員の割合というのは本当に一割という状況で、大変、まだまだ女性の議員をふやしていくという状況、今大変困難な状況ではございますけれども、この法律が施行されまして約二年の時間がたっております。

 その中で、この推進法で明記をされました事柄につきましての今の取組状況、そして特に、この附帯決議には、総務省と内閣府、それぞれ三項目ずつの附帯決議がついております。この附帯決議について、総務省に対する附帯決議につきましての今の進み状況をお聞きをしたいというのが一点でございます。

 それに関連をいたしまして、きょうお配りをいたしております、この問題については、地方議会においては、選挙のときは例えば通称、旧姓で選挙に立候補することはできますけれども、地方議会においては、議会活動はそれが認められないという議会がございます。これは議会の判断によるところが大きいと思いますけれども、選挙では通称が認められ、別の、もともとの名前、戸籍名の名前で議員活動をするということは、政治家本人にとっても大変な状況がございますし、有権者の皆さんにとっても大変わかりにくい状況もあると思います。

 まず、ちょっとこの点について高市総務大臣に、大臣のお考えを含め、このことは議会が決めることでございますし、総務省が所管をしていることではないかもしれませんけれども、特に大臣がこのことについてやはり是正をしていかなければいけないというような方向性を示されるというのは大変大きな影響があると思いますので、ちょっと大臣の御見解をお聞きをさせていただきたいと思います。

高市国務大臣 総務省では、既に所管分野において旧姓使用を可能にする取組を強化することとしております。

 地方議員が議会活動において旧姓を使用することについては、各地方議会の判断によって認められるものですけれども、一部の地方議会ではそれが認められないという報道があることも承知をしております。

 総務省では、現在、女性を始め多様な人材が地方議会に参画しやすくなるための方策について検討するために、三議長会の代表者である議長にも参画をいただき、地方議会・議員のあり方に関する研究会を開催しています。先週開催された研究会では、有識者の構成員から、旧姓使用について、選挙では使用できるが議会活動では使用できないという例がある、議長会において統一的な対応を検討いただきたいという御指摘がございました。

 総務省としても、地方議会における旧姓使用について三議長会と連携して取り組んでまいります。

 それから、さきの、一問前の質問もあわせてお答えしてよろしゅうございますか。(西岡委員「はい、お願いいたします」と呼ぶ)はい。

 それでは、男女共同参画推進法の附帯決議の取組についてお尋ねがございましたが、総務省では、まず、法第五条の実態の調査及び情報収集に関しては、地方公共団体の議会の議員及び長について、毎年、男女別の人員数やその構成比を調査、公表していますし、国政選挙時には、男女別の立候補者及び当選人の数をまとめた選挙の結果を公表しております。

 また、七条の環境整備に関しては、昨年六月から、今ほど答弁申し上げました研究会を開き、女性を始め幅広い層が地方議会に参画しやすくなるための方策について議論を行っております。

 第八条の人材の育成等に関しましては、女性の政治参画マップなど、内閣府の取組を選挙管理委員会に紹介して、出前授業などに活用していただいております。また、地方公共団体向け各種研修の場において女性模擬議会の取組を紹介することなどで、優良事例の横展開を行っています。

 また、地方議会議員、議会事務局職員を対象に開催している地方議会活性化シンポジウムにおきまして、女性議長や女性議員の方々を登壇者としてお招きして、女性模擬議会の取組や、また出産、育児に伴う休暇規定の整備など、各地方議会の実践例を御紹介していただいたりしております。

西岡委員 大臣から御説明をいただいて、ありがとうございます。

 さまざま今お取組を進めていただいておりまして、先ほどの件についても、研究会の方でそのように御紹介をいただいたというのは、それぞれの議会の御判断ではありますけれども、やはりそういう状況があるということについては各自治体の方にも認識をいただくいい機会にはなったというふうに思いますので、引き続き、ぜひ大臣の方で、そういう機会がございましたら、認識の共有化というものを図っていただければと思います。

 また、いろいろな、附帯決議三項目のお取組も進めていただいておりますけれども、まだ女性模擬議会についてもなかなか実現をできない議会もあるように聞いておりますので、引き続きこのお取組をよろしくお願いいたします。

 時間となりましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

大口委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 共同会派立国社、社民党の吉川元です。

 本日は、地財計画等々を中心に質問をさせていただきたいというふうに思っておりますが、私からも、冒頭、新型コロナについて一言。ちょっと通告していないので、もしあれでしたら、お願いということもあるんですが、大臣、ぜひお聞きいただきたいんです。

 昨日、皆さん御案内のとおり、総理が対策本部の中で、来週の月曜日から、小中高、これはもう既にきょうの予算委員会でも話題になっておりましたが、一斉の休校というものを要請していくという旨の発言がございました。

 私の携帯にも、きのうの夕方以降、たくさんの電話が入ってまいりました。恐らく、全国の小中高の職員室は、このニュースに触れて悲鳴が上がるような状態だったのではないかというふうに思いますし、お子さんのいらっしゃる御家庭でも、夜のニュースを見て大変驚かれ、困惑をされている方もたくさんいらっしゃったんだろうというふうに思います。

 報道を見ますと、実質三日でという報道もありますけれども、学校にとってみれば、来週月曜日からですから、きょうが最後の日になるわけです。学年最後の日あるいは学校最後の日というのが、きのうの夜突如として、あしただよという話になったわけで、成績をどういうふうにするのかだとか、あるいは学年末の、当然試験をどうしていくのか、本当にどうしていけばいいのかというのが今の現場の率直な思いだと思いますし、御家庭にとっても、とりわけ共働きの御家庭あるいは一人親の御家庭にとっては、もし仮に、総理のおっしゃるとおり学校が休みになれば、来週の月曜日以降どうしていくのか、これは非常に大きな課題だというふうに思います。

 もちろん、学校については文部科学省所管でありますけれども、恐らく自治体等々にも、さまざまな問合せを含めてあろうかというふうに思いますし、また、自治体がこれから判断をしていかなければならないいろんな対策も出てくるだろうというふうに思います。

 その面でいいますと、総務省のみならず、厚生労働省、文科省を含めてではありますけれども、ぜひ地方自治体のさまざまな疑問の声に大臣もしっかり耳を傾けていただいて、きのう、ニュースを見ておりますと、総理のすぐ隣の隣ぐらいに大臣も座られていた場面もありましたので、ぜひ、対策本部の中でも、そういう地方の声をしっかりとお伝えしていただきたい、そのことを、ぜひ大臣、お約束をお願いしたいと思います。

高市国務大臣 やはり地方との情報共有体制、それからこちらからの情報提供体制というのが物すごく重要になっていると思います。

 昨夜も、私の携帯電話に地方自治体の長の方々から、学校休校に関してのお問合せが随分ございました。また、保育園や幼稚園の方はどうなるんだというようなお問合せもございました。

 二十五日に政府が基本方針を決めましたので、そのときに、総務省でも、全ての都道府県と政令都市に対して一人ずつ職員を張りつける形、つまり、副知事クラスですが、向こうも一人、こちらも一人で、全部の都道府県、政令都市との連絡体制を構築いたしました。

 ここに、恐らく総務省所管以外の分野についても、地方自治体がお困りの声を、各都道府県や政令市が集約されたものが入ってくると思いますので、できるだけ迅速にその関係省庁にもお伝えをし、そしてまた、特に重要なもの、内閣全体で判断しなければいけないものについては、新型コロナウイルス対策本部に私も毎回出ておりますので、その場でしっかりと情報共有をさせていただく、申し上げさせていただくつもりでございます。

吉川(元)委員 ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、地財計画について尋ねたいと思います。

 今回、地財計画に盛り込まれたまち・ひと・しごと創生事業費一兆円に関連をし、最初に地方創生について質問させてもらいます。

 総合戦略の第一期、五年間が今年度で終わります。これに続く第二期総合戦略が策定をされ、地財対策としても一兆円の事業費が継続して確保されましたが、地方の疲弊というのは依然として続いているというふうに言わざるを得ません。

 政府の目玉政策だった地方創生という言葉、アベノミクスと並んで最近耳にしないなと思っておりましたら、総理の方から、この常会の冒頭、施政方針演説で久々にその言葉を聞きました。

 総理はその中で、幾つかの成功例ということで御紹介されていたんですけれども、ただ、成功例だけを取り上げて、地方創生の新しい時代をともにつくり上げようではありませんかと呼びかけた総理のこの言葉には、私は違和感を覚えました。

 なぜかというと、今年度で終わる第一期の期間、本当にしっかりとこれの期間を検証したのかどうか、地方の現状を見れば、残念ながら成果が出ていないのではないか、そう考えるからであります。

 二〇一四年に策定された第一期の総合戦略では、人口減少と地域経済縮小の克服、これを命題に掲げました。

 この人口減少の克服ですけれども、昨年十二月に厚労省から、二〇一九年の人口動態の年間推計、国内の出生数が八十六万四千人、前年比六%の大幅な減少、こういうことが発表されました。一八九九年の統計開始以来初めて九十万人を割り込むと。これは予想よりも二年早いペースということでありますし、出生数が死亡数を五十一万人下回る、こういう状況であります。少子化、人口減は克服どころか加速をしているのではないでしょうか。

 また、東京一極集中の是正についても、東京圏へのいわゆる転入超過、東京に入ってくる人から東京から出ていった人を引いた数ですけれども、二〇一八年は十三万六千、二〇一九年は十四万八千人と。むしろ東京への集中が進んでいるのが今の現状であります。

 総合戦略、五カ年計画の中で、こうした人口減、あるいは出生数の低下、東京圏への人口集中がむしろ進んでしまったのではないか。こうした点も含めて、この第一期の五年間、どのように評価を下しているのか。とりわけ、今後の課題はどこにあるのかということについて答弁を求めます。

菅家政府参考人 お答え申し上げます。

 第一期の期間におきましては、地方ならではの強みや魅力を生かした取組が全国で行われております。国としては、そうした地方の取組を強力に支援をし、全国各地で魅力ある地域づくりが行われてきたところでございます。

 また、データの面で見ましても、地方における若者の就業率、外国人の延べ宿泊者数、生産農業所得、こういった点は増加傾向にあるなど、仕事の創生に関しては、こういった数字の面で見ても一定の成果が見られたところというふうに考えてございます。

 他方で、確かに委員御指摘のように、人口減少、それから東京圏への一極集中、これは続いているところでございます。こういったことから、これらの対策が大きな政策課題というふうに認識をしておりまして、さらなる地方創生の取組が必要と考えております。

 このため、昨年十二月に閣議決定をいたしました第二期の総合戦略におきまして、関係人口の創出、拡大、あるいは企業版ふるさと納税の拡充など、東京圏への一極集中の是正に向けた取組の強化や、また、地域の実情に応じた少子化対策の取組を推進することとしております。

 今後とも、第二期の総合戦略に基づきまして、まち・ひと・しごとに関するあらゆる施策を総動員をいたしまして、人口減少対策、東京圏への一極集中の是正に全力を尽くしてまいりたいと考えてございます。

吉川(元)委員 これも総理の施政方針演説で取り上げた地方への移住、定着なんですが、総理の施政方針演説では、地方の創意工夫を一千億円の地方創生交付金で引き続き応援します、こういうふうに述べられています。

 この一千億の地方創生交付金を使った自治体による移住相談会の多くが民間企業への外注だ、こういうふうに聞いておりますが、その中で、一部企業が、相談会への参加者、つまり、私は移住について少し関心があります、移住について関心があるんです、だからちょっと説明会に行ってお話を聞かせてください、そういう参加者なんですが、これが実はアルバイト、つまりサクラの動員だったというようなことが昨年十二月に報道されておりました。

 まず、これは内閣官房になるんですかね、このような事例、事実として把握をしているんでしょうか。

菅家政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年十二月に今委員からお話のございました報道があったことは承知をしてございますが、その具体的な事実関係、具体的な企業名等は承知をしておらないところでございます。

吉川(元)委員 それは、報道があって読んで、それをそのまま、ああ、何か報じられているなで終わったんですか。

菅家政府参考人 お答え申し上げます。

 報道がございました翌日に、国としては全国の地方公共団体に対しまして事務連絡を、文書を発出してございます。その中で、まずは、移住相談会の開催や外部委託の留意事項等を書いた注意喚起、これが一つございます。それから、同じく文書の中におきまして、外部委託における契約違反等の事実が明らかになったときは、その状況や対応方針について速やかに国へ御報告いただくという内容の文書を発出をしているところでございます。

吉川(元)委員 これは報道ベースなのであれですけれども、読んでおりますと、ちょっとびっくりするような話があるんですよ。

 外注した民間企業、外注された一次というか、いわゆる請け負った企業が更に下請企業に出して、二〇一七年七月から一八年九月まで二千人を動員をしていた可能性があるというような指摘がされています。それから、アルバイトで動員に来ていただいた人に現金を渡すわけですが、アルバイトですから、その受け取ったことを自治体側に漏らさないように誓約書までとっていた、こういうことも報じられておりますけれども、こうした事実はいわゆる内閣官房としては調べていない、こういう報道があったから、各自治体の皆さん気をつけてください、何かあったら教えてくださいね、そういう対応にとどまっているということでいいんでしょうか。私は、これはちょっと、幾ら何でも悪質だろうと思います。

 なぜばれたかというと、当然、この相談会にたくさんの方が来られました、うちのブースはいっぱい来ましたといって報告するわけですよ。そうすると、自治体は、おっ、これはうちに移住の本格的な相談が来ると待ち構えるんだけれども、待てど暮らせど誰も問合せは来ない、こんなことが起こっているんですよ。

 これはやはり内閣官房としてもしっかり、私は企業名も含めて公表すべきだというふうに思いますし、こうしたことは本来の趣旨からも大きく逸脱をするわけですから、その点、今後いかがされるのか。

菅家政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、基本的な考え方といたしましては、そういった報道の内容につきましては、一般論として、地方公共団体等が委託をしている民間事業者等が、移住希望のない方々に日当を払って移住相談等に動員するような行為があるとすれば、これは適切でない、そこは一般論としてそう考えてございます。そういう考え方のもとに、昨年の末に先ほど御説明申し上げました事務連絡を発出をしているところでございますが、現時点では具体的な報告はないというところでございます。

 それから、十二月末のその新聞記事のまた後に、若干、県を特定したような具体的な報道もあったものですから、その県に直接私どもから問合せをいたしましたが、それを受けて、その県でもいろいろ詳しくお調べをいただいておりますけれども、その結果におきましても、そういった事実はないという報告は受けているところでございます。

吉川(元)委員 何か、全部自治体にそこの部分は丸投げをしているといいますか、いや、もちろん、自治体が創意工夫をしながらいろんな説明会を開いたりしていく。そこで、そういうノウハウがありませんから、外注をしていく。ところが、その中に悪質な業者がまじっていた、まじっている可能性がある。だけれども、自治体からするとこれはわからないですから。

 だとすれば、こうした問題を引き起こした、まあ、世間に広く公表する必要はありませんけれども、しっかり調べて、各自治体に対して情報提供ぐらいはしていただきたいということをつけ加えさせていただきたいと思います。

 関連してですが、東京の企業が地方に移転するあるいは地方拠点を拡充した場合、地方でふやした設備投資額や雇用者数に応じて法人税を軽減する、いわゆる地方移転優遇税制、これについて尋ねます。

 制度は二〇一五年に創設されたものと思いますが、二〇二〇年までに七千五百件の移転や拡充を目標としていたというふうに聞いております。直近での制度利用者、件数、これを教えていただけますか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございました、二〇二〇年までに地方の拠点強化を七千五百件実現するとともに雇用者を四万人創出するという目標でございますけれども、この目標は、御指摘ございました地方拠点強化税制だけではなくて、地域再生法に基づく支援施策等の効果も勘案した形でお示ししたものでございます。

 そうした支援施策の一つでございます地方拠点強化税制につきましては、二〇一五年度から二〇一八年度末までの間で百七件の適用実績がございました。それらの対象となりました案件では、企業の実績報告をもとに推計をいたしますと、約三千二百人の雇用が創出されたものと考えられるところでございます。

吉川(元)委員 まあ、ほかの施策も含めて七千五百だということ、だから百七件は、私はそれでも百七件というのはちょっと少ないんじゃないかと言わざるを得ないというふうに思います。

 やはりこれは、先ほどもそうですけれども、東京の中心でいろいろ、あれをしよう、これをしようと考えてやるんですけれども、それはいわゆる地方の実情とかみ合っていない、そういう施策になってしまっているのではないかというふうに思いますし、その点はもう少しきちんと総括なり検証なりをしていく必要があるんじゃないかというふうに思います。

 引き続き、この地方創生第一期の評価について質問いたしますが、昨年五月三十一日に、総合戦略に関する検証中間整理、これが公表されています。検証に当たっては、KPIの手法を使って、総数で百三十一件の政策目標の達成度合いを点検をしています。

 その中で、目標達成に向けて進捗している、なおかつ、数値目標を定めており、現時点で目標を達成している政策の数は百三十一件のうち十二件、全体の九%にすぎません。もちろん、数値目標を定めていない政策や、数字の実績が把握できない政策もありますが、それを差し引いても、達成率は、私が計算しますと、一三%に届いていないという現状であります。

 この中間整理では、基本目標二の「地方への新しいひとの流れをつくる」と、基本目標の三「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」については、「現時点では効果が十分に発現するまでに至っていない。」としています。

 要は、東京の一極集中の是正や出生率の改善で効果が十分ではなかったということだろうというふうに思いますし、そういう控え目な総括というふうになっているんですが、それにとどまらず、政策目標全体で達成度合いが低いようにも思いますが、このKPIの結果はどのように受けとめていらっしゃいますか。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 KPIの達成率の数字につきましては、今委員から御指摘いただいたとおりでございます。

 ただ、一点だけ御留意いただきたい点がございます。第一期の総合戦略でございますけれども、これは二〇一五年度から一九年度までの五カ年の戦略でございまして、KPIの多くは二〇二〇年以降の達成を目標としておりますけれども、昨年その進捗状況の点検を行った際には、統計の制約もございまして、その多くが二〇一八年以前の数値を現在値として評価しているという点は御留意いただく必要があろうかと思います。

 ただ、こうした点を割り引いたとしても、委員おっしゃるとおり、現時点で目標を達成しているKPIが全体の約九%にすぎないということも事実でございまして、地方創生に向けてさらなる取組が必要であると考えているところでございます。

 今後とも、第二期の総合戦略を踏まえまして、地方創生の取組を更に強化してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

吉川(元)委員 五年間でやるやつで、三年半か四年ぐらいやってまだ届いていないんだという話ですけれども、それにしても、やはり達成率がかなり低いのではないかと言わざるを得ません。

 いずれにしても、残念ではありますが、総合戦略第一期は十分な効果を示していない、効果を出せていない、これは紛れもない事実だろうというふうに思います。

 それで、ちょっと気になったのが、第一期の総合戦略では、「人口減少克服」、こういう言葉がよく使われているんですね。ところが、来年度から始まる第二期の総合戦略では、「人口減少を和らげる」、こういう表現に表現の仕方が変わっているんです。これは、読み方によっては目標を下げたようにも感じられます。表現を変えたことに何らかの意味があるんでしょうか。

菅家政府参考人 お答えを申し上げます。

 地方創生の第一期におきましては、二〇一四年十二月に閣議決定をいたしましたまち・ひと・しごと創生長期ビジョンにおきまして、二〇六〇年に一億人程度の人口を確保すること、これを中期展望としてお示しをした上で、第一期の総合戦略におきまして、「人口減少と地域経済縮小の克服」、これを掲げて取組を進めてきたところでございます。

 第二期におきましては、昨年末に閣議決定をしました長期ビジョンの改訂版におきまして、第一期と同様に、二〇六〇年に一億人程度の人口を確保すること、これを中長期展望として示した上で、第二期総合戦略におきまして、「将来にわたって「活力ある地域社会」の実現」を掲げ、その中で「人口減少を和らげる」ことを目指すということとしてございます。

 表現ぶり、委員が今御指摘になったとおりでございますけれども、この点につきましては、長期ビジョンに示す中長期展望の意味合いでございます。人口が減少する、これはトレンドとして事実なんですけれども、事実というか、そう見通されているわけでございますが、極力減少幅を小さくしていく、そういう意味合い、これを国民の皆様にわかりやすくお伝えする表現、これを検討した結果、和らげるという表現を使ったものでございますけれども、二〇六〇年に一億人程度の人口を確保するというここの内容は、改定の前後で変更はございません。

 したがいまして、人口減少に対する取組姿勢にいささかも後退はないところでございます。

吉川(元)委員 いや、やはり、克服するということと和らげるということは、これは意味が違うと思いますよ。募ると募集は違うというふうに言われる政権が、克服すると和らげるは同じ意味で使っているんだというふうに言われちゃうと、これはちょっと違う。

 まあ、克服するといっても、いろんな使われ方があると思います。人口が減少して、その結果として社会にいろいろな不安が生まれるものを、これを克服していくんだという言い方は、これはできると思います。和らげるというのは、これはどういう意味なのか。

 そういう意味でいうと、時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、やはり、先ほどから何度も言っているように、実態に合っていないものがたくさんあるんだというふうに思いますし、それでいうと、本当に地方自治体、人口が減っていいと思っている自治体はありませんから、みんなそこを何とかしたいと思っているのであれば、しっかり、自治体が自由にいろいろな発想ができるような、そういう制度設計を最後お願いをして、質問を終わりたいと思います。

大口委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大口委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。高井崇志君。

高井委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムを代表して、両案に反対の立場から討論をいたします。

 まず、地方税法等の一部を改正する法律案について申し上げます。

 地方分権、地方自治の観点から、税源移譲を始めとする税の分権化が求められています。しかしながら、本案は、企業に対して手厚い減税策が並ぶ一方、国民生活に寄り添う税制改革とはなっていません。

 また、森林環境譲与税については、依然として譲与割合における人口割が三割を占めることにより、森林のない都市部に譲与額が偏重する問題が解決していません。森林の有する公益的機能の維持増進に資するよう、譲与割合を見直して、林業が盛んな自治体への譲与額をふやす仕組みに改めるべきです。

 地方交付税法等の一部を改正する法律案については、地方交付税総額は二年連続でふえ、地方が自由に使える一般財源総額も過去最高を更新している点や、緊急防災・減災事業費の対象事業の拡充や、台風や集中豪雨時の河川の氾濫に対応する浚渫推進事業費の創設などについては評価できるものの、地方財政計画は、前提となる経済成長見通しが極めて甘く、今年度同様、交付税の減額補正を余儀なくされる可能性があるなど、問題点が多いと言わざるを得ません。

 最後に、新型コロナウイルス感染症について一言申し上げます。

 国難ともいうべき危機的状況の中、政府の危機感、そして国民の命を守るとの決意が見えません。自治体や民間任せにするのではなく、安倍総理が強いリーダーシップを持って各省庁を束ね、国民の不安を払拭することを強く要望し、反対討論といたします。

大口委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 私は、日本共産党を代表し、地方税法、地方交付税法等の改定案に対して反対の討論を行います。

 第一は、地方交付税の算定のまち・ひと・しごと創生事業費の地域元気創造事業費についてです。

 行革努力分の指標は経常的経費削減率などに変わりましたが、経常的経費とは、人件費、扶助費、一般会計繰り出し金であり、住民の生活を支えていく上で欠かせない経費です。地方税徴収率も競わせ、生活困窮者を追い詰める危険もあります。一般会計の繰り出し金の削減は、高過ぎる国民健康保険料、税の一層の引上げでますます貧困を広げ、公立病院の経営悪化で安心を土台から崩すことになってしまいます。地域から元気を奪うこんなやり方はやめるべきです。

 第二は、地域社会再生事業費の財源が、地方税の法人事業税から取り上げる特別法人事業税であるという問題です。

 これは地方税の拡充による地方自治の前進という点で逆行しています。

 第三は、企業版ふるさと納税の拡充、延長の問題です。

 企業と地方自治体の癒着を防ぐ仕組みもないまま、破格の控除で寄附を募る制度の拡充は、自治体間の税収の奪い合いを助長し、地方税の原則をゆがめるものであり、反対です。

 第四は、森林環境譲与税の問題です。

 今回の見直しは、譲与総額を前倒しで増額するだけのものです。譲与基準の見直しもなく、災害への対応など真に森林整備の財源を必要としている自治体の需要に応えるものではありません。重要な課題である森林整備の財源は、逆進性の高い森林環境税ではなく、国の一般会計での森林予算の増額や地方交付税によって保障するべきです。

 最後に、一般財源総額を実質同水準確保したと言いますが、地方負担のある折半ルールに基づく補填措置で、引き続き、財源確保の国の責任は果たされないままです。

 地方交付税は、地方固有の財源であり、財源保障機能と財政調整機能という役割を果たすものですが、財源不足が毎年生じています。地方交付税の法定率の引上げで抜本的解決を図るべきです。

 以上申し述べ、反対討論といたします。

大口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大口委員長 これより両案について順次採決に入ります。

 まず、地方税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

大口委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、中根一幸君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党、日本維新の会・無所属の会及び希望の党の五派共同提案による持続可能な地方税財政基盤の確立及び東日本大震災等への対応に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。吉川元君。

吉川(元)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    持続可能な地方税財政基盤の確立及び東日本大震災等への対応に関する件(案)

  厳しい地方財政の現状を踏まえ、地方公共団体が必要な行政サービスを安定的かつ効果的に提供していくためには、持続可能な地方税財政基盤の確立が不可欠であることに鑑み、政府は、次の諸点について措置すべきである。

 一 地方公共団体が、人口減少の克服、地域経済の活性化、地域社会の維持・再生等の重要課題に取り組んでいくためには、地域の実情に応じた自主的かつ主体的な取組を長期間にわたって実施していく必要があることに鑑み、令和三年度以降も地方公共団体の安定的な財政運営に必要な一般財源総額が、予見可能性を持って安定的に確保されるよう、全力を尽くすこと。

 二 地方交付税については、本来の役割である財源調整機能と財源保障機能が十分発揮できるよう、引き続き、地方税等と併せ必要な総額の充実確保を図るとともに、法定率の引上げを含めた抜本的な見直しを検討し、臨時財政対策債等の特例措置に依存しない持続的な制度の確立を目指すこと。また、基準財政需要額の算定に当たっては、条件不利地域等、地域の実情に十分配慮すること。

 三 地方交付税の原資となる税収の見積りに当たっては、特に減額による混乱を回避するため、正確を期すよう、万全の努力を払うこと。

 四 地方公共団体の基金については、それぞれの団体が、将来の歳入減少や歳出増加への備えとして積立てを行っており、その財源は行政改革や経費削減等により捻出されているものであることに鑑み、その残高が増加していることをもって、地方交付税等の財源を一方的に減額しないこと。

 五 地方税については、地方財政の自主性・自立性を確立するとともに、安定的で充実した財源の確保を可能とする地方税制の構築を図ること。また、減収が生ずる地方税制の見直しを行う場合には、代替の税源の確保等の措置を講ずるほか、税負担軽減措置等の創設や拡充に当たっては、真に地域経済や住民生活に寄与するものに限られるよう、慎重な対処を行うこと。

 六 個人住民税における控除の在り方については、住民が公平感を持って納税することができるような税体系の構築を目指して不断の見直しを進めること。

 七 電気・ガス供給業に対する法人事業税の課税については、法人事業税が都道府県の重要な基幹税であることを踏まえ、収入金額課税制度の堅持を基本としつつ、その在り方について検討を行うこと。

 八 森林環境譲与税の使途を適正かつ明確にしつつ、市町村が主体となった森林整備を促進するために、国は責任を持って、市町村の林業部門担当者の確保に係る地方財政措置等、市町村の林務行政支援策を拡充すること。また、これまでの森林施策では対応出来なかった奥地等の森林整備を着実に進めることに鑑み、各地方公共団体における森林の公益的機能増進への効果を検証しつつ、必要がある場合には、森林環境譲与税の譲与基準をはじめ、所要の見直しを行うこと。

 九 巨額の借入金に係る元利償還が地方公共団体の財政運営を圧迫し、諸施策の実施を制約しかねない状況にあることも踏まえ、臨時財政対策債を始め、累積する地方債の元利償還については、将来において地方公共団体の財政運営に支障が生ずることのないよう、万全の財源措置を講ずること。また、引き続き、臨時財政対策債の発行の抑制に努め、地方財政の健全化を進めること。

 十 地方債については、財政力の弱い市町村が円滑に資金を調達できるよう、地方公共団体金融機構の機動的な活用を含め、公的資金の確保と適切な配分に最大限の配慮を行うなど円滑な起債と流通、保有の安全性の確保を図ること。また、地方債の発行に関する国等の関与の在り方については、協議不要基準の緩和等による地方財政の健全性への影響に留意しつつ、地方公共団体の自主性・自立性を高める観点から、運用を含め、更なる検討を進めること。

 十一 東日本大震災の被災地方公共団体に対しては、その復旧・復興事業の更なる加速化を図るため、引き続き、所要の震災復興特別交付税額を確保する等万全の支援措置を講ずること。また、近年、住民生活の安全・安心を脅かす自然災害が多発している状況を踏まえ、防災・減災対策の推進及び被災地の復旧・復興のための十分な財源を確保すること。

 十二 新型コロナウイルス感染症から国民の生命と健康を守り、経済への影響を最小限に抑えるため、検査・医療体制の整備、観光・運輸分野、サプライチェーン等への経済的影響等に関し、地方公共団体が協力できるよう必要な措置を講ずること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

大口委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大口委員長 起立多数。よって、本動議のとおり、持続可能な地方税財政基盤の確立及び東日本大震災等への対応に関する件を本委員会の決議とするに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。高市総務大臣。

高市国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

大口委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時九分散会


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