衆議院

メインへスキップ



第2号 令和2年11月12日(木曜日)

会議録本文へ
令和二年十一月十二日(木曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 石田 祝稔君

   理事 橘 慶一郎君 理事 寺田  稔君

   理事 冨樫 博之君 理事 松本 文明君

   理事 務台 俊介君 理事 岡島 一正君

   理事 岡本あき子君 理事 國重  徹君

      畦元 将吾君    安藤 高夫君

      井林 辰憲君    石田 真敏君

      小倉 將信君    門  博文君

      川崎 二郎君    木村 哲也君

      木村 弥生君    小島 敏文君

      佐藤 明男君    斎藤 洋明君

      繁本  護君    杉田 水脈君

      鈴木 淳司君    田畑 裕明君

      谷川 とむ君    出畑  実君

      深澤 陽一君    古川  康君

      穂坂  泰君    本田 太郎君

      宮路 拓馬君    山口 俊一君

      池田 真紀君    奥野総一郎君

      神谷  裕君    櫻井  周君

      高木錬太郎君    松尾 明弘君

      松田  功君    道下 大樹君

      山岡 達丸君    山川百合子君

      山花 郁夫君    桝屋 敬悟君

      本村 伸子君    足立 康史君

      井上 一徳君

    …………………………………

   総務大臣         武田 良太君

   総務副大臣        熊田 裕通君

   総務副大臣        新谷 正義君

   厚生労働副大臣      山本 博司君

   内閣府大臣政務官     岡下 昌平君

   総務大臣政務官      谷川 とむ君

   総務大臣政務官      古川  康君

   総務大臣政務官      宮路 拓馬君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  時澤  忠君

   政府参考人

   (内閣官房領土・主権対策企画調整室土地調査検討室次長)         木村  聡君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 新井 孝雄君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 村手  聡君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           長谷川周夫君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局次長)         三原 祥二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           前田 一浩君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           吉田 博史君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           竹村 晃一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  横田 信孝君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  高原  剛君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  内藤 尚志君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            秋本 芳徳君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       佐々木祐二君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            竹内 芳明君

   政府参考人

   (消防庁次長)      山口 英樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 河邉 賢裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 田島 浩志君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           間 隆一郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           望月 一範君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          飯塚  厚君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          諫山  親君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          田中  進君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          市倉  昇君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十二日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     出畑  実君

  金子万寿夫君     門  博文君

  木村 弥生君     木村 哲也君

  小林 史明君     本田 太郎君

  田嶋  要君     山川百合子君

同日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     繁本  護君

  木村 哲也君     木村 弥生君

  出畑  実君     小倉 將信君

  本田 太郎君     深澤 陽一君

  山川百合子君     池田 真紀君

同日

 辞任         補欠選任

  繁本  護君     小島 敏文君

  深澤 陽一君     畦元 将吾君

  池田 真紀君     山岡 達丸君

同日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     小林 史明君

  小島 敏文君     金子万寿夫君

  山岡 達丸君     田嶋  要君

    ―――――――――――――

十一月十二日

 郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社専務執行役飯塚厚君、日本郵政株式会社常務執行役諫山親君、日本郵政株式会社常務執行役田中進君及び日本郵政株式会社常務執行役市倉昇君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官時澤忠君、内閣官房領土・主権対策企画調整室土地調査検討室次長木村聡君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長新井孝雄君、内閣府大臣官房審議官村手聡君、内閣府地方創生推進室次長長谷川周夫君、個人情報保護委員会事務局次長三原祥二君、総務省大臣官房総括審議官前田一浩君、大臣官房総括審議官吉田博史君、大臣官房総括審議官竹村晃一君、大臣官房地域力創造審議官大村慎一君、行政管理局長横田信孝君、自治行政局長高原剛君、自治行政局公務員部長山越伸子君、自治行政局選挙部長森源二君、自治財政局長内藤尚志君、情報流通行政局長秋本芳徳君、情報流通行政局郵政行政部長佐々木祐二君、総合通信基盤局長竹内芳明君、消防庁次長山口英樹君、外務省大臣官房参事官河邉賢裕君、外務省大臣官房参事官田島浩志君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官佐原康之君、厚生労働省大臣官房審議官間隆一郎君及び国土交通省大臣官房審議官望月一範君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。務台俊介君。

務台委員 自由民主党の務台俊介です。

 武田総務大臣への質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 防災担当大臣としての武田大臣に、ちょうど昨年のこの十一月にも質問させていただきました。一年ぶりでございます。武田大臣には、地方行政から郵政、情報通信、放送行政、統計、消防、行政管理など幅広い分野での御活躍を期待申し上げます。

 大臣は、菅内閣発足後、閣議後の居残り回数が最も多い大臣だというふうにきのう報道されておりました。総理からの期待も大きいというふうに感じております。所信の中でも、特に、社会全体のデジタル化を大きく進めるんだという並々ならぬ思い入れを伺い、頼もしく感じました。我々もそれをしっかり後押ししていきたいというふうに思います。

 さて、まず、今回の米国の大統領選挙を経て、選挙制度を運用されておられる立場から見て、今回の大統領選挙のやり方、問題点をどのようにお感じになっているのか、率直な思いを伺いたいと思います。

 緩和された郵便投票など、日本であれば考えられないようなやり方も多々見受けられました。彼我の差はどのようにして生じたのか、この実態を見て日本として何を学ぶべきか、伺いたいというふうに思います。

武田国務大臣 まずは、数々の励ましをありがとうございます。

 議院内閣制と大統領制、政治体制がもう根本的に違うわけですけれども、やはりアメリカならではの価値観というか、アメリカならではの特質というか、ただただ驚くばかりなわけでありますけれども、この先どういうふうになっていくのかということを、今、ただただ興味深く見守っておる状況であります。

 郵便投票についての御質問がありましたが、アメリカでは、そもそも州によっては郵便投票が原則のところ、一般的な投票所により、特別に許可された者が郵便投票を認められるというところ、いろいろあるんでしょうけれども、我が国でも過去において、昭和二十年代、郵便投票が採用された経緯があるように聞いております。しかし、やはり、数々不正が横行したりなんかして一旦取りやめられたみたいなんですけれども、今は一定の重度障害者の皆さん方に認められているというところであります。

 いずれにしましても、社会背景や歴史的経緯、そうした国々の実情に応じて、その国民がルール、選挙制度を決めるわけでありますけれども、日本はわかりやすく公平公正な制度というものを維持するために今後とも努力していきたい、このように考えています。

務台委員 米国では、大統領選挙と軌を一にして、新型コロナの拡大が大きくなっております。我が国でも、コロナの影響を受けながら、衆議院選挙、総選挙が一年以内に行われるということになります。その場合、どんな点に留意して適正な選挙執行を行うのか、準備を伺いたいというふうに思います。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 コロナ禍においても、選挙の管理、執行におきまして、選挙人の安全、安心に配慮しながら、その万全を期す必要があると考えているところでございます。

 総務省といたしましては、各選挙管理委員会に対し、数次にわたって留意事項を示すとともに、これまで実施された選挙についての参考となる感染症対策の取組事例を取りまとめ、その周知を図ってきておりまして、具体的には、投票所におけるマスクの着用や消毒液の設置、使い捨て鉛筆の活用、筆記具持参の呼びかけなどの感染症対策、あるいは期日前投票などの積極的な利用による選挙人の混雑回避対策と情報の提供などの助言をしてきているところでございます。

 引き続き、新型コロナウイルス感染症の動向に注意し、今後執行される選挙において選挙人の安全、安心に配慮しながら、滞りなく執行できるように努めてまいりたいと存じます。

務台委員 コロナ感染症拡大の中で民主主義の適正な手続をどのように確保するのか、大変重大な職責があると思いますので、よろしくお願いします。

 次に、大阪都構想について、二度目の住民投票で大阪市民の判断で否決が決まったわけでございます。私自身は、どちらかというと、大阪府が大阪市をのみ込む大阪都というよりも、大阪市が大阪府から抜け特別市となる方が地方自治の観点からは筋がよいというふうに感じておりました。欧州にもその例があり、私が勤務したイギリスでも、県の機能を市に統合した一層制の自治体であるユニタリー自治体が存在しております。

 第三十次の地方制度調査会でもこの特別市構想の議論がなされ、その際、警察事務をどうするのか、税の徴収をどうするのかなどの課題が指摘されたと承知しております。仮に特別市の議論が進んだ場合には、県庁所在地をそもそも特別市から移転するかどうかといった議論も出てくるのではないかというふうに思われます。

 大阪都構想の議論を機に、改めて大都市制度のあり方について政府の内部でも検討を期待する政令指定都市側の意見もあると承知しておりますが、総務省の考え方を伺いたいと思います。

熊田副大臣 大都市制度のあり方につきましては、先ほど御指摘ありました第三十次地方制度調査会において議論され、全ての都道府県、市町村の事務を一元的に処理する特別市についても取り上げられたところでございます。

 答申においては、特別市の意義は認めた上で、周辺自治体に対する都道府県の行政サービス提供への影響の懸念等が指摘され、都道府県から指定都市への事務と税財源の移譲を可能な限り進め、実質的に特別市に近づけることを目指すとされたところでございます。

 政府といたしましては、同答申を踏まえ、県費負担教職員に関する事務等の指定都市への移譲とそれにあわせた税源移譲、指定都市と都道府県の事務処理を調整する指定都市都道府県調整会議の設置、住民自治の拡充のための総合区制度の創設などの必要な見直しを行ってきたところでございます。

 大都市制度につきましては、これまでも累次の地方制度調査会などで検討が行われ、必要な制度の見直しを講じてきており、そのあり方につきましては、それまでの検討経緯や制度の活用状況も踏まえつつ、慎重に検討すべき課題と考えております。

 以上です。

務台委員 先週、日本郵政が、オーストラリア物流会社のトール・ホールディングスがオーストラリアで手がける宅配事業の売却方針を明らかにしました。

 五年前に六千二百億という巨額の買収をし、その後、四千億円の減損処理、さらに、業績不振で宅配事業を売却。言ってみると、絵に描いたようなずさんな買収劇と言われても反論できないのではないかというふうに感じられます。会社の説明を伺いたいのと、六三%もの議決権を有する大株主である政府として、この間の道行きをどのように捉えているのか伺いたいと思います。

 ただでさえさまざまな課題を抱えている日本郵政が、背負わなくてもよい荷物をみずから背負ったことは、株式相場にもその影響があらわれ、政府としても大きな損失をこうむっている、このように感じられますが、どのように立て直しを図るのか伺いたいと思います。

諫山参考人 お答え申し上げます。

 トール社は、過去に積み重ねてまいりましたMアンドAによりまして、バックオフィス等の重複が多く、コスト競争力に弱みがあったため、二〇一五年に買収をしましたが、その後、マネジメント、経営陣の変更に加え、不採算事業の売却、あるいは人件費削減等の施策を実施してまいりました。

 しかしながら、オーストラリアで自社のネットワークを活用して企業間物流などを提供しておりますエクスプレス事業につきましては、オーストラリア経済の減速や厳しい競争環境などから赤字が続いております。加えて、新型コロナウイルスや標的型サイバー攻撃の影響によりまして、最近では赤字幅が急拡大している状況でございます。トール社の本年度第一・四半期の営業損益でございますけれども、八十二億円の赤字でございますが、その中でエクスプレス事業は七十一億円の赤字となっているところでございます。

 このように、エクスプレス事業がトール社全体の業績不振の主要因となっていることから、この事業の売却の検討を開始することとしたものでございます。これによりまして、損益の改善を一歩前に進めるとともに、残るロジスティクス事業及びフォワーディング事業につきましても、引き続き事業の採算性の向上に努めつつ、さまざまな可能性を検討してまいりたいと考えております。

新谷副大臣 お答え申し上げます。

 トール社につきましては、これまで日本郵便から、オーストラリア経済の減速、サイバー攻撃事案対応、新型コロナウイルス対応などを要因として業績が悪化していること、これを挙げられております。それを踏まえ、同社の不採算部門・事業の整理やコスト削減施策の徹底、アジア顧客への営業強化などにより経営改善を図っていきたいと考えている、そのように聞いたところでございます。

 総務省としましては、日本郵便の国際物流事業をよい方向に軌道修正できるようにしっかりと取り組んでいただきたい、そのように考えております。

 その上で、日本郵政グループにおいては、郵便局ネットワークを通じたユニバーサルサービスの提供を確保しながら、企業価値の持続的な向上につながる取組を行い、健全な経営の確保に取り組んでいただきたい、そのように考えております。

務台委員 この問題は郵便法の改正案にも若干絡まる議論になるかと思いますので、しっかり説明責任を果たしていっていただきたいと思います。

 新型コロナ感染症で地域経済が疲弊し、令和三年度の地方税収見込みが現時点で三・六兆円落ち込むという見込みが立っております。この結果、来年度の地方の財源不足が十兆円を超えるとも見込まれておりまして、新型コロナ対策のみならず地方創生や減災・防災対策で多額の歳出が求められる自治体に対して、お金を気にして対策がおろそかになる事態は何としても回避しなければならないと思います。

 そのために、自治体に抑制効果を及ぼす財政政策ではなくて、政府として自治体の背中を押す財政政策を行うべきと考えております。具体的には、財源対策として、臨時財源対策債の発行ということよりも、むしろ交付税の総額を確保するために、交付税の特例的な加算、場合によっては武田スペシャル交付税特例加算というような名前をつけてもいいと思うんですが、そういうことが必要ではないかというふうに思われます。来年度の地方財政対策における総務大臣の取組姿勢を伺いたいと思います。

 私の地元では、コロナ対策でほかの行政課題に金が回らなくなっている、そういう声も出始めておりまして、こうした面への国としての目配りをぜひお願いしたいと思います。

武田国務大臣 御指摘のように、地方税収入は大幅に減ってくるということが見込まれておる中で、各地方自治体というのは、感染症対策、また地域経済、これの両立にさまざまな面で財政を出動していかなくてはならない大変厳しい状況が予想されるわけであります。

 また、あわせて国土強靱化政策、災害に強い対策というものもしていかなくてはならない、そういう中でも安定的な行政サービスというものも提供していかなくてはならないわけであって、我々としては、とにかく一般財源総額というものをしっかり確保しながら、地方交付税総額というものをしっかりと確保してまいることが一番の責務だろうかと思います。しっかりと対応してまいりたいと思います。

務台委員 人口急減地域に若者を呼び込む受皿となる事業協同組合制度がこの六月から施行されて、半年がたとうとしております。制度の運用は総務省の仕事になっております。我々も、議員立法でこれをつくり上げた自負があります。現状の取組、設立に向けた動きについて伺いたいと思います。

 コロナ後の世の中のあり方を考えた場合に、この制度がしっかりと活用され定着できれば、一極集中是正の手法として強力な武器となり得ると考えております。ぜひ関係省庁と連携して普及に努めていただきたいと思いますが、現状の取組姿勢を伺いたいと思います。

宮路大臣政務官 お答え申し上げます。

 務台委員も制度創設にかかわられました特定地域づくり事業協同組合制度は、地方における担い手の確保と安定的な雇用の創出のために極めて重要な仕組みでありまして、全国町村会と連携した町村長への直接の働きかけや、実務を担う都道府県、市町村に対しまして現地に赴いての説明会を行うことなどを通じて、制度の活用を促しているところであります。

 現段階、一例目として、島根県海士町において年内の事業開始に向けた取組が進んでいるところでございまして、さまざまなその他具体的な動きが出ていると承知をしております。

 総務省としては、人口急減地域において本制度の活用と定着が進むよう、農林水産省など関係省庁ともしっかり連携して、制度の普及を促進してまいりたいと考えております。

務台委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

石田委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 早速質問に入りたいと思います。

 最初に、コロナ対応の地方創生臨時交付金の取組をちょっと議論したいと思います。それは地方創生特別委員会でやれという御指摘になるかもしれませんが、総務大臣も非常に重要な立場でございます。

 一次、二次補正で三兆円もの大変な地方創生臨時交付金、毎年の地方創生推進交付金とは別に、新たにコロナ対策で積まれたものでございまして、この配分については総務省も十分コミットメントされました。

 あるいは、全国の自治体が大変な苦労をして、九月末までに事業計画を出さなきゃいかぬと。三兆円のお金を、年度当初に内示があって、九月末までに事業計画、議会を通して上げてこいと。これはもう大変な国家的むちゃぶりでありまして、大変苦しんでいるわけであります。

 そういう意味でも総務大臣の御認識を確認しておきたいと思いますが、九月末までに全自治体から事業計画が出てまいりまして、大体全容が見えてきた、仄聞されているのではないかと思いますが、一時期、全国知事会が、足らない、あと五千億足らぬぞ、最近は六千億足らないというようなこともおっしゃっているようでございまして、全国の自治体の取組なども含めて、総務大臣の今の状況に対する認識を聞かせていただきたいと思います。

武田国務大臣 先生御承知のように、コロナウイルスの対応については、基本的に全額国費対応とさせていただいておる一方で、自治体の判断によって、自由度高く地方単独事業に取り組むことができる制度となっております。

 全国知事会の方からの報告によりますと、都道府県の地方創生臨時交付金の不足額、先ほどの数字ですけれども、六千百三十四億円というふうに発表されております。

 いずれにせよ、内閣府の方においてこの取扱いについては適切に御検討いただくものと考えておりますけれども、今なお、各地方団体というのはその現場を担って感染症対応や蔓延防止のために取り組んでいただいておるわけであって、今後も積極的に取り組んでいただけるように、総務省としても、引き続き、関係省庁としっかりと連携して適切に対応してまいりたいと思います。

桝屋委員 六千百三十四億円、これが本当に不足分と考えるかどうか、ここはしっかり審査しなきゃいかぬと思いますけれども、しかし、やはり地方団体の声でありますので。さらに、コロナの感染状況も容易ならざる事態に今立ち至っているわけでありまして、恐らく自治体は九月議会までに一応の整理をしてお出しいただいているんだろうと思いますが、更に新たな需要ということも想定されるわけでありまして、我々公明党は、必要に応じて、場合によっては基金を積み増ししてでも、この地方創生推進交付金、更に手当てをする必要があるんじゃないかというふうに考えている次第でございます。

 もう一点、今と同じような観点でお話を伺いたいのでありますが、テレワーク。

 公明党はずっとテレワークを推進ということを言い続けてまいりましたが、コロナ禍において一気にテレワークの活用が進んでいるというふうに思っております。働く人の三割、四割、もっとそれ以上の方がテレワークを経験されている。

 来年度の概算要求の姿を見ておりましても、総務省も、あるいは地方創生を担当しております内閣府においても、テレワークの予算を確保して取組を進めたい、このようにしているわけでありますが、総務省と、地方創生を担当しております内閣府の、向こうは百五十億ぐらい概算要求をされておりまして、テレワークの部分で。どういう役割分担をされておられるのか。

 この前、大臣のお話を聞きますと、御所見では、テレワークの全国規模での普及、サテライトオフィス環境の整備を推進することによって、地域によらず新しい働き方や暮らし方が可能となるよう取り組む、このようにおっしゃったわけでありまして、ちょっとここの整理を教えていただきたいと思います。これは審議官でも結構でございます。

竹村政府参考人 テレワークは、国民一人一人の生活スタイルに合った新たな働き方を可能とするものであり、新型コロナ感染症への対策としても有効と考えております。

 総務省は、ICTを活用した新たな働き方としてのテレワークを普及させるべく、テレワークの実態調査、セキュリティーに係るガイドラインの策定、システム面などからの企業への助言などに取り組んでおります。

 一方、内閣府では、東京圏への一極集中是正などの観点から、地方への新しい人の流れの創出に取り組む地方公共団体などを支援するテレワーク関連予算を要求していると承知をしております。

 お尋ねがあった総務省と内閣府の役割分担でございますけれども、総務省の事業は、例えば都市部の企業に勤務する方が通勤をせずに自宅でテレワークを行うケースなども含め、幅広い形態の働き方を念頭に置いている一方、内閣府の事業は、都市から地方への移住、滞在を前提としてございます。

 総務省としては、事業の執行に当たって、内閣府を始め、関係府省とも緊密に連携を図ってまいりたいというふうに考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 コロナの状況かどうかですが、一極集中も流れが少し変わったようでありまして、これは両省がしっかり連携をしてテレワークの取組も進めていただきたいことをお願いしておきたいと思います。

 今の地方創生臨時交付金も絡む話でありますが、光ファイバーの整備について確認をしておきたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症への対応を進めるということで、新たな日常、これをどう構築するかということが問われているわけでありまして、GIGAスクール等、全国的な展開の中で、特に光ファイバーの整備が急がれるというふうに考えております。

 総務省では、令和二年度の二次補正で五百億円の予算を計上して、高度無線環境整備推進事業に取り組んでおられるというふうに承知をしております。

 これは、地方創生臨時交付金とうまく抱き合わせて、場合によっては過疎債あたりも活用して、地方自治体の負担が極力少なくなるようなスキームもできているわけでありまして、総務省がしっかりPRをされたおかげで一気に地方団体の取組が進んでいる、ひょっとしたら五百億の予算じゃ足らないんじゃないかというふうに私は大変危惧をしたわけでありますが、応募件数あるいは事業費の状況をここで御教示いただきたいと思います。

竹内政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの高度無線環境整備推進事業について、総務省では、本年度第二次補正予算などにより、五百億円を超える予算を計上し、市町村が希望する全ての地域で光ファイバーの整備ができるよう支援を進めております。

 本年六月から、数次の締切りを設けて公募を行っております。現時点での応募状況は、一次補正、二次補正合わせまして三百件、補助金額ベースで四百七十六・五億円、また総事業費の合計としては千四百四十六億円となっております。

 なお、現在は、十一月二十日を締切りとして更に公募を行っているところでございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 何とか予算の範囲内でということで一安心しているんですが、これは、よもや、どこか大口をばさっと切り捨てたということではないんだろうな、こう思っているんですが、当初、相当総務省が前倒しでやろうということでPRをされたわけでありまして、それに応えた自治体も多いわけでありますから、どうぞ執行方、よろしくお願いしたいと思います。

 そこで、ケーブルテレビを取り組むに当たってちょっと気になっているのは、一つは、今ケーブルテレビ、全世帯の半分ぐらいが利用されていると思うんですけれども、今回の光化もそうでありますけれども、加入者ニーズというのはどんどんどんどん進むわけでありまして、インターネットの高速化、あるいは4K、8Kなどの映像サービスへのニーズなどなど、やはりニーズは高まってくる。また、老朽化した幹線の更新とか伝送路の二重化など、ネットワークの強靱化も求められている。いろんなニーズがあるわけでありまして、直営あるいは第三セク、自治体の出資でやっているところはその都度ハード整備で負担を求められるわけで、これは将来少し考えなきゃいかぬのではないかと私は悩んでおります。

 もう一つ悩んでいるのが、放送と通信、両面からの取組が必要でありまして、通信は今回五百億ということがございましたが、放送の分野でこの光化の取組、支援が必要ではないかと思いますが、その点、確認しておきたいと思います。

秋本政府参考人 お答えいたします。

 ケーブルテレビの放送面の取組についてお尋ねをいただきました。

 ケーブルテレビは、自主放送や地上放送の同時再放送によりまして地域情報を住民にお届けするなど、地域の情報通信基盤として重要な役割を担っていただいております。また、近年、甚大な自然災害が頻発している状況を踏まえますと、このケーブルテレビのネットワークの耐災害性を強化いたしまして、災害時においても通信、放送、両様にわたってその機能を確保することは、国民生活、住民生活の安心、安全につながるものであると考えております。

 このため、総務省におきましては、従来から、ケーブルテレビネットワークの光化を支援する予算事業を推進しております。令和二年度当初予算におきましては十億円を措置させていただいておりますし、来年度の概算要求におきましてもこの要求を積ませていただいているところでございます。

 総務省といたしましては、ケーブルテレビが地域にとって重要な情報通信基盤である、生活基盤であるということを踏まえまして、今後とも必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

桝屋委員 この点は各自治体の強い声、要請の声があるということを改めて申し上げておきたいと思います。

 最後に総務大臣の御所見を伺いたいと思うんですが、今まで光の話をしてまいりましたが、総務省のICTインフラ地域展開マスタープラン、これを、光の整備目標を二年前倒しで令和三年度末までにやるということでございますが、大臣の御決意を伺って、終わりたいと思います。

武田国務大臣 テレワークを始め、遠隔教育、遠隔医療、国、地方を問わず、また誰一人取り残さず、全ての方々がこの恩恵を享受できる仕組みをつくっていかなくてはなりません。そのためには、光ファイバーであったり、5G基地局であったり、こうした情報通信基盤の整備というものは、総力を挙げて取り組むことが必要になってまいります。

 御指摘のように、ICTインフラ地域展開マスタープランというものを改定しまして、光ファイバーの全国整備の目標を二年前倒しいたしました。令和三年度末までに、市町村が希望する全ての地域で着実に整備を進めることとしております。

 一刻も早いこの基盤整備が全国的につながりますように、全力を挙げて取り組んでまいります。

桝屋委員 ありがとうございました。

 先ほど務台委員からもお話がありました。ことし、コロナということで、かつてない状況、来年度の予算編成作業もいつにない作業になっているわけでありまして、地方の税財源の安定的な確保のために我が党もしっかり取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、岡島一正君。

岡島委員 きょうは、武田大臣の所信に対する質疑ということでお時間を賜りまして、やらせていただきます。

 武田大臣は、台風十五号、十九号、私の地元でもありましたけれども、千葉県も被災しました。また、熊本の先般の大雨など、防災担当大臣として、本当に、我々の要望にも即座に対応していただいたこと、またみずから足を運んで現場に入られたこと等々など、敬服する次第であります。

 私も災害対策というものをNHK時代から一つのライフワークにしておりますし、加えて、放送の問題とか、私にとって武田大臣は、ドラえもんのポケットみたいに、私が聞きたいことは全部武田さんに聞けばいいというぐらいの存在でありまして、本当の私の専門は外交ですから、次、外務大臣になられたときも質問したいと思っております。しかし、きょうは総務大臣としての武田大臣に所信の質疑をしたいと思っております。

 まず、コロナです。コロナ禍で日本がどうするか、これは全てのことに共通する今の課題です。

 未知との遭遇でした。インフルエンザは私たちもかかったことがありますが、コロナ、この言葉さえ知りませんでしたから。そういった中で、これまでの政府の対策について振り返ってみると、一生懸命頑張っておられることはもちろんわかっていますが、しかし、政府全体として十分であったのかということについては、日々追加の対策をすることを見ても、なかなか十分と言えないという側面があると思います。

 そういった意味では、緊急事態の宣言がやはりおくれたのではないかとも思いますし、あるいは休業補償や給付金なども、手続の問題を含めて的確な対応ができていなかったという側面は否めないと思います。私、PCR検査を絶対早くからふやさなきゃだめだと、非常事態宣言解除の議運の質疑でも申し上げましたけれども、そういったことも対応がおくれていると思います。

 そういった中で、コロナがほかの諸外国と比べて、感染者の人数など、亡くなった方など、比較的多くないんじゃないかという指摘もあります。これは、日本国民、日本にいるさまざまな方々の不断の努力によるところが大きいだろうと私は思っています。

 そんな中で、政府はやはり、もちろん経済は大事です、私もそう思いますが、命と経済といえばやはり命だろうし、経済による命の問題も起こるのもわかります。しかし、経済政策優先という中で、今、地方では、医療機関、それから公共団体、学校、福祉施設、そういったところで本当に黙々と働く皆さんがいる中で、対策をもっとという声が届いています。

 そういった中で、大臣に、コロナ禍の日本という意味において質疑をさせていただきたいと思っています。

 感染症対策の現場は医療機関だったり福祉施設だったり、あるいは学校だったり、司令塔は自治体というふうになるわけでありますが、自治体には特措法などでさまざま責任を負わされていますけれども、一方で、権限とか財源が、特措法にはなかなか位置づけが弱いこともあって、十分ではないということが起きてきたわけです。

 そういった中で、今、第三波と言っていいのかどうか、少なくとも、二日、三日前ですか、東京で感染者、陽性者が三百人を超えたと、八月以来という報道、発表がありました。本当に第三波だというぐらい、市中感染という言葉はなかなか難しいですが、全国的なクラスターの発生が起きているということは間違いないです。

 そういった中で、自治体の方ではさまざまに対策を練っていますけれども、しかし、公務員や医療機関のボーナスまでカットせないかぬというところも出るぐらい厳しい財政状況にあります。

 そうした中で、現在の地方の自治体など支援のための国からの財政措置について、国からの、総務省だけでなく、財政措置について、どういうものがあるのか、どう対応しているのか、これは役所の方で結構です、お答えいただけますか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、ほとんどの事業を全額国費対応とする一方で、自治体の判断によって、自由度高く地方単独事業に取り組むことができる財源といたしまして、内閣府所管の地方創生臨時交付金が措置されているところでございます。

 また、総務省といたしましても、当面の資金繰りに困らないよう、地方税の猶予に対する猶予特例債の創設でございますとか、地方債に対する公的資金の増額確保などの支援を直ちに講じますとともに、今後の税収動向を踏まえまして、減収補填債の対象税目の拡充を検討することといたしております。

 いずれにいたしましても、各地方団体は、その現場を担い、感染症対応でございますとか蔓延防止のために一生懸命取り組んでいただいておりますので、今後とも積極的に感染症対策に取り組んでいただけますよう、関係省庁としっかり連携して対応してまいりたいと考えております。

岡島委員 そうした支援の交付金など、厚労省の管轄の、新型コロナウイルス感染症対応の地方創生臨時交付金ですか、これは使い勝手がいいように設計されているという声が知事会や市長会などでも聞こえてきまして、またさらに、きょうは厚生労働の方は呼んでいませんけれども、厚生労働省の方から交付金、コロナウイルス感染症緊急包括交付金ですかという仕組みもあるようです。

 しかし、そういったことが出ていますけれども、このコロナの特徴は何かというと、さっき申し上げましたけれども、これは未知との遭遇ですよね。誰が、どこで、何がどうなっているかわからない。わからないけれども感染者はふえている。亡くなる方も残念ながらいる。そういう、突然に、きょう、緊急事態として次々に起きてくる。ワクチンの開発もまだおくれている。

 そうした中で、やはり自治体の財政というのが非常に切迫している中で、それをどう支えていくのか。これは大臣の所信でも、コロナ対策と経済の問題、両方やっていくんだという指摘もありました。そういった中で、未知との遭遇ということは、即座にやらなきゃいけないことが多いということですね。すぐ対応しなきゃいけない、特に自治体の長などが。

 それを支える仕組みとして、これは私、市民の代表ですし、財政の専門家じゃありませんけれども、例えば、総務省がそういうコロナ禍の日本の自治体を支えるという意味での交付金といったものが使えないのか、出せないのかということを私なんか思ってしまうんですが、そういったことについてはどういうお考えがあるのか、可能なのか、お答えできますでしょうか。大臣が答えてもいいですけれども。お考えです、これは。仕組みというより、そういうことについてどうお考えでしょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたように、基本的には、地方団体が財源の心配をすることなくコロナ対策に対応していくということが重要だと考えておりますので、関係省庁と連携をいたしまして、ほとんどの事業を国費対応というような対応をさせていただいておりますし、先ほど申し上げました地方創生臨時交付金というものが三兆円措置されているところでございます。

 したがいまして、今後も状況を踏まえてしっかり対応してまいりたいと考えております。

岡島委員 国として対応している、各省庁と連携してということは私も理解しておりますが、今私が申し上げたのは、総務省としての交付金の仕組みなどを使ったことは可能なのかどうかということを素朴に思ったということであります。そういったことも含めて、このコロナ禍での地方財政を大臣を先頭にしっかりお支えいただきたいというふうにお願い申し上げておきます。

 次に、コロナの中での災害、複合災害ということが懸念されるほど災害が、さまざま災害がありますけれども、自然災害、台風とか大雨、地震とコロナの状況が重なった場合、複合災害、それにこれまでのインフルエンザが重なったらトリプル災害というんでしょうか、そういったことが起きているという中で、私も災害の現場には、災対特の理事をしているときに、それこそ熊本も行かせていただきましたし、福島や千葉県、あちこち回らせていただきました。そうした中で見えてきた課題もありました。

 立憲民主党では、私たちは、特に住民の避難などに当たっては、インクルーシブ防災ということ、これは国連がずっと提唱していますけれども、ということをしっかりやるべきだという観点に立っています。高齢者や子供、障害を持つ人たち、そうした人たちが避難行動などにおいて伴う困難を乗り越えて避難行動をするには、そういった方々、いわば災害弱者の方々みずからが意見を述べ、取り入れ、立案にも加わり、みずからの命を守っていこうということです。

 そうした視点に立って私たちは活動しておりますけれども、この熊本、私は、球磨村ですか、入りましたけれども、千寿園にも伺ってお線香を上げさせていただきましたけれども、あの球磨村なんかを見たら、熊本県でボランティアが足りない。

 要するに、日本の災害が起きた場合、発災後の初動とか復旧については、実は、ボランティアに依存するところが非常に大きいということが、ある意味、もう国の、あるいは自治体にとって前提となっているところがある。これは仕方ないところがありますけれども。しかし、ボランティアがコロナで来られないわけですね。

 それで、起きていることは、建設関係の仕事の方にいかにお願いするか、これはただではできませんから、財源をどうするか、そういう問題が多々ありました。

 そうした中で、避難行動の検証をすると、そういう問題だけでなく、さらに、法制度も含めていろいろな課題があるということが見えてまいりました。

 東日本大震災の教訓として、障害のある方、高齢者、外国人とかお子さんたちとか、いわゆる災害弱者の方々の避難行動をしっかりやるためには、どういう人がそういう方に当たるのか、名簿づくりが欠かせないということで、これは平成二十五年八月ぐらいから、そういったものにきちんと名簿づくりを含めて対応していこうと災対法に位置づけられてきていると思います。

 そういった中で、本当に、今回の熊本などを含めて、高齢者や災害弱者の方が避難において適切な行動が十分とれたかということの観点から見てきたときに、やはり名簿だけじゃ使えないんですよね。名簿があっても、個々の人たちがどういう障害を持ったり、困難を持っているか、調べていなきゃいけないということがありました。

 これは、災対法の四十九条の十一第三項、ここに、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、避難行動要支援者の生命又は身体を災害から保護するために特に必要があると認めるときにはということで、本人、つまり避難行動に支援を要する人、本人の同意がなくても名簿の利用が可能だ、提供が、自治体の中でと記されていますけれども、でも、これはどのような場合が必要と認めるときかというのをどのように誰が判断するのかということが明確じゃないし、基準が現場で急には判断できにくい。だから、これを個別にチェックしていって個別計画をつくって、あのおじいちゃん、あの人、あの方はこうしようということを準備しておく、そういう必要があるんだろう。

 そういったことを進める上で、実態として、例えば熊本の大雨、この前の、そういう現場でどういう困難があったのか、これは消防庁にお聞きしたいと思います。

山口政府参考人 お答えさせていただきます。

 本年の七月豪雨におきましても、委員御指摘のとおり、大変多くの犠牲者も出られましたし、また、千寿園等での被害もあったところでございます。そういった中で、私ども消防庁といたしましても、災害者、避難行動要支援者の名簿の作成ですとか情報提供、並びに個別計画の策定について進めているところでございます。

 個別計画の策定状況について、とりあえず全国の状況で御説明をさせていただきますと、令和元年六月一日現在で、名簿掲載者全員について作成済みの市町村が二百八、また一部について作成済みの市町村が八百六十二ということで、全部又は一部作成済みの市町村数は千七十ということでございまして、名簿作成済み市町村の六二%ということでございます。

 そういう意味では、熊本県も含めまして、個別計画の作成を引き続き進めていく必要がある、このように承知しております。

岡島委員 そういったことを進めているということはわかりました。私も存じ上げています。

 しかし、これは、平成二十五年の八月から、こういうことに取り組んでいこうと、いわゆる取組指針がずっと示されているわけですね。平成二十五年八月ということは、七年以上たっているんですか。その中で、七年間に災害がどれだけありましたか。どれだけあったのか。

 という中で、七年間の中で、じゃ、今の数字は件数を言っています。これは、件数だと全然わからないんです。何%なのかが大事ですね。例えば、支援者名簿、そして名簿に沿った個別計画について、全国の中で市区町村の策定状況を、例えば、名簿はどのくらいできているのか、あるいは個々の個別計画の完了度合いは何%か、それぞれパーセンテージでお答えください。

山口政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、避難行動要支援者名簿の作成状況でございますけれども、令和元年六月一日現在で、調査対象市町村千七百四十市町村のうち千七百二十市町村、九八・九%におきまして名簿の方は作成をされているという状況でございます。

 それに対しまして、個別計画の策定状況でございますけれども、個別計画につきましては、先ほども答弁させていただきましたが、全部又は一部作成済みの市町村数は千七十ということで、昨年の名簿作成市町村のうちの六二・二%ということでございます。

岡島委員 私が調べている数字では、それは一緒くたに、途中のも含めて計画が進んでいるものをおっしゃっているけれども、私が聞いたのは、完全に個別計画が完了しているところ、私の調べた政府の数字では、市区町村は一二・一%にすぎません。違いますか。そして、一部だけ策定が完了している、一部だけ、やりかけているというところで五〇・一%。ということは、やっていないところは四九・九%で、本当に安心できるところは七年間で一二・一%だけということだと思います。違いますか、消防庁。

山口政府参考人 大変失礼いたしました。

 御指摘のとおり、名簿登載されている全ての方について名簿を作成いただいている市町村は、全国で二百八、委員御指摘のとおりの一二・一%にとどまっております。一部のみ策定しているところが八百六十二で五〇・一%、合わせて六二・二%ということでございます。

岡島委員 それを最初から言っていただければ、時間がもうちょっと短く済んでいるのでありますが。

 要するに、名簿はかなり、ほぼそろってきたけれども、その名簿に沿って避難行動要支援者はわかってきたけれども、どういう避難行動の支援が必要かをはかるための個別の計画、面談などを含めたことがおくれている。ある意味、全く進んでいないですね、七年間で一二%ぐらいですから。

 じゃ、それを踏まえて、避難支援、全国で消防団の方とか消防署員の方とかが当たるわけでしょう。その一二・一%の現状で、どういう方策が必要で、どういう工夫をしているんですか、今消防庁は実際の、発災時の避難行動を支援することにおいて。

山口政府参考人 現状では、災害対策基本法で義務づけられました災害者、要支援者の名簿の作成というのをまず全国的に進めていこうということで取り組んでまいりました。また、それを、委員御指摘の消防団始め、あるいは民生委員、あるいは社会福祉協議会、あるいは福祉関係者、こういった方々と情報共有をしていただきたいといったような形で、内閣府と一緒に取り組んできたところでございます。

 内閣府の方におきまして、各自治体のいろいろな事例を事例集という形で整理をさせていただきまして、それを全国の市町村に提供する形で、少しでも後押しをできればといった形で取り組んできております。

岡島委員 この名簿を、それから個別計画をやればやるほど、これは個人情報との関連も出てきます。そういった意味においては、計画に記載された個人情報を、地方の条例でこれは守られているわけですから、そういったものを踏まえてその名簿を個別計画に、策定にかえていく。困難が伴うところですね。

 そうすると、やはり、災害対策基本法にそういう名簿の作成を位置づけた、今度は個別の計画策定を位置づけていく必要性があると僕は思うんですけれども、それについて内閣府の方から何か見解はありますか。

村手政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃるとおり、災害対策基本法におきましては、避難行動要支援者名簿の作成義務はございますけれども、個別計画についての記載がないということでございます。

 昨年の台風十九号等もございまして、その検証を踏まえまして、今、避難のあり方というものをどう考えるかということで検討を行ってございます。

 現在、内閣府で設置した有識者会議におきまして、高齢者などの避難の実効性を確保するために、高齢者や障害者など、みずから避難することが困難な方々の避難に関する個別計画の策定を促進するためということで検討を進めておりまして、中間取りまとめをしたところでございます。中間取りまとめにおきましては、個別計画の策定の制度的位置づけの明確化が必要というようなことも指摘されたところでございます。

 今後の有識者会議の議論も踏まえまして、しっかりと制度的位置づけの明確化等に取り組んでまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

岡島委員 じゃ、次、大臣に聞きますので。難しいことじゃないんですね。

 大臣は、防災大臣として本当に行動力がある方で、私はそれは本当に尊敬しているわけですけれども、続いて、この総務大臣の立場で災害対応もあるわけですね。

 この災害対策基本法は、主たる所管というのは確かに内閣府ですけれども、実はこれは消防庁との共管になっているわけですから、消防庁をまさに仕切る立場の大臣として、やはり、名簿だけそろって、ほとんど、九八%、九九パーできたのに、ちゃんと対応できる人は一二%しか七年間でいない。これを災対法に位置づけてしっかり進めていくことが、熊本や九州、福岡、千葉、東北、何かあったときにすぐ対応する。あの千寿園なんか、千寿園はまあ名簿はわかっていますよ、内容も。だけれども、近くのおじいちゃん、おばあちゃんはわからなかったわけですから。大臣、やはり災対法にそれを位置づけていく、共管省庁の大臣として、これはいかがでしょうか。

武田国務大臣 先ほど、個別計画も含めて、まさに備えあれば憂いなし、しっかりとした情報というものを入手して、それを各機関共有し、管理をする。ただ管理するだけではなくて、それを実効性あるものにするためには、やはり実践で役立つための訓練、それが重要になってくると思います。

 しっかりとした情報、それを反映して人命を助けられる、そこにつながるためには、やはり今のままではちょっと物足りない部分があるわけですから、それぞれの災害で培った経験というものをもとに、不断の見直しをしながら実効性あるものにしていきたい、このように考えております。

岡島委員 そのための根底にあるのが、災害対策基本法に避難行動の要支援者の位置づけを、名簿だけでなく、その個別の計画を策定することも位置づけていくことが、大臣が言っておられる現場対応の支えになると私は思いますので、災害対策基本法の改正、この点については、内閣府防災担当大臣にもお願いしますけれども、大臣もこの災対法の共管の省庁ですから、ぜひ御検討いただきたいとお願いをしておきます。

 以上で災害対策などについての質問を一旦終えさせていただきます。

 放送についてきょうはお伺いしたいと思っています。

 私はNHKに二十年いましたので、NHKの問題を余り私がやるのは何か身びいきしているとか勘違いされたら困るなとなるべく控えてきましたけれども、NHKがどうのこうのじゃないですね、公共放送が危ない、公共放送の独立性、自律性は大丈夫か、これは本当に思いました、この数年間。だから、公共放送は、我々国民にとって、ある意味さまざまな情報を見る上でのベースにもなるような、公平で中立な、あるいはファクトチェックをちゃんとした、ファクトチェックに基づいた情報をちゃんと流す機関でなきゃならないと思っています。

 そういった意味で、きょうは公共放送のあり方、その独立性をいかに守るのかという点で、NHKのテーマを入れながら、残りの時間、質問させていただきます。

 私、NHKで報道カメラマン、記者試験で入って、みんなで特派員になろうと言って、私、特派員になります。私、新人のとき福岡にいました、天神のNHKに。岩田屋の裏のところですね、バスターミナルの裏に。大臣が多分中学生ぐらいのときに、僕は大臣のふるさとにしょっちゅう行っています。本当にしょっちゅう行っていました。多分お会いしたことがあるかもしれませんが。余り記憶にはないんですけれども。いずれにしても、福岡を拠点に、沖縄に五年いました。その後東京に帰って、それからアジアの国々をずっと回ったわけです。

 僕の、自分のことをちょっとだけ言えば、アフガニスタン、カンボジア、私、戦争取材がかなりメーンでしたので、紛争取材が。アフガニスタンのナジブラ政権が倒れたときも、日本のムービーで残ったのは僕だけでしたし、機銃掃射を受けながら、カメラを回してリポートをしたことが何度もありました。俺が伝えなかったら事実が伝わらない、公共放送の役割だと僕は思いました。やはりそういう使命感を私持っていましたし、多分、今の、民放の方も含めて、あるいは新聞媒体にしても、メディアの人たちの多くは、自分が事実を伝えなきゃならないと、正義感、ジャスティスに基づいてさまざまな報道への取組をしていると私、信じています。

 信じているんですけれども、今の放送界、とりわけNHK、この総務委員会でもかなりいろいろな議論が行われてきましたので、そういった意味で、安倍政権以来、政府が放送にどうかかわっているのかに対して、ちょっとおかしいんじゃないかなと思う事態が、各メディアやテレビを通じて、国民も思っているという報道は少なくともたくさんあります。報道はあります。

 そういう中で、大臣にちょっとお考えだけ聞きたいんですけれども、放送を、とりわけ公共放送を維持する上で最も大切なことは何だとお考えですか。短くても結構ですから。

武田国務大臣 やはり、国民そして視聴者の負担金によって成り立つ、極めて公共福祉そしてまた社会的使命が強い団体でありますので、国民・視聴者の支持というものを得られるかどうか、今NHKに対して国民がどういう目で見ているか、そこのところをしっかりと認識した上で、健全な運営を図っていくことがNHKにとって一番重要ではないか、このように考えています。

岡島委員 大臣、今のは本当に大臣のお考えを述べられたと思っています。ここで放送法の一条がどうのこうのというだけでは、大臣所信の答弁としてはおかしいなと思っていましたから。

 そういった中で、放送事業者の中、私は別にNHKだけを言ったわけじゃないんですけれども、放送全体ですけれども、放送事業者の中でとりわけNHKには、今大臣がおっしゃったように、受信料で成り立っている、それで全国津々浦々まで電波が届く仕組みを構築してきた事情等々を鑑みれば、高い公共性が求められているわけですが、この公共性の中で、いかなる政治的な圧力などにも屈することなく、あるいは偏ることなく、NHKが自主的、独立的に業務が行えるように、これに出ているわけです。これは、放送法の四条にも政治的公平性ということが書かれていますよね。

 この政治的公平性という条項が四条にある、これはなぜだと大臣は思われますか。大臣のお考えでいいんです。法的な成り立ちじゃなくていいんです。政治的な公平性というのが放送法四条に書かれていますけれども、これはなぜそこに設けられているのか、その政治的公平性の意味を総務大臣はどういうふうにお考えですか。大臣のお考えでいいんです。

武田国務大臣 それは、まさに政治的のみならず、全てにおいて公平性を求められている、これが重要なポイントだと思います。

岡島委員 全てにおいてということで、当然政治も入ってくると。全てということは、いかなる団体やいかなる圧力からも独立性があるということを裏返した答弁だと私は思いますけれども。とすれば、本当にそれが守られているのかと視聴者が思っている、そういうことが、今の懸念があると私は申し上げているわけですね。

 それで、大臣は、NHKの受信料について、産経新聞のインタビューでしたかね、国民の声とか、そういうのがあればそれは検討せないかぬというような趣旨のことをおっしゃったと思います。この受信料値下げについては、なぜそう思われるのか教えてください。

武田国務大臣 携帯電話の値下げの問題に取り組んでおりましたときに、多くの国民の皆様の方から、携帯電話よりむしろNHKの受信料を考え直すべきだという意見が多数寄せられたんです。それが今NHKに対する国民の純粋な気持ちだと思っているんです。

 以上です。

岡島委員 国民の気持ち、私もそれを否定できないと思っています。

 NHKにも不祥事が時々起こっていますね。後を絶たないという表現もできるかもしれません。そして、NHKのガバナンスのあり方とか、肥大化、あるいは外郭団体などの関連団体のあり方、組織の合理化等々言われてきましたけれども、この受信料値下げ要求もその一つだと思います。私も、今の受信料制度でいいとは思っていませんし、値下げした方がいいだろう、値下げすべきだという議論、賛成です。

 しかし、ここで大事なのは、先ほど申し上げましたけれども、放送の独立性とかを考えたときに、あるいは放送の使命、一番最初に申し上げました、公共放送の使命、みんなそれを胸に、命をかけて闘ってきた。今もそうだと思っている。その公共放送の使命をいかに遂行し守っていくのか、放送の独立性をどう守るのかということと、NHKの肥大化や受信料値下げの問題、国民からの厳しい声、これはセットであわせて考えなきゃならないと私は考えています。

 それについて大臣はどう考えますか。

武田国務大臣 私も同様に考えております。

 記者の使命感、これは必ずや守っていかなくてはならないし、表現の独立、放送の独立ということも守っていかなくてはならないと思います。

 しかし、やはりNHKも考え直さなければならない点はたくさんありまして、余剰金の問題であるとか、公共放送としてこのコロナ禍において国民のために何ができるかということも考えるのが公共放送としてのあるべき姿だと思うんです。それは何かといえば、家計の負担を減らす受信料の値下げ、まずそれから着手するのが公共放送としてのあるべき姿だと私は考えています。

岡島委員 その視点に私は同じ思いを持ちます。

 ただ、そのときに、先ほど申し上げた公共放送の独立性、自律性の中で判断していかなきゃならないし、公共放送の持っている使命というものを果たせる組織でなきゃならないし、そういった中で受信料の、余剰金などの国民への還元とかそういった問題があるんだ。単に足し算引き算で、利益率だけでという、なかなか民間企業のようにはいかない、マスメディア、放送としての役割をどうするかということを踏まえながらの議論が最も国民にとって有益だと私は思っています。

 そうした中で、義務化という仕組みなんかもあるんですけれども、議論がありますよね、いろいろな。受信機の設置とかそういうことに、義務化して報告しようという議論なんかもあるように聞こえますが、大臣、これについてはあと一言だけですけれども、国営放送と公共放送、何が違いますか。

武田国務大臣 受信料というか料金を国が徴収するか、NHKの方が受信料を徴収するか、決定的な違いはそこにあるのかと思います。

岡島委員 やはり財源をみずから徴収する、そういったことが原点にあるだろう、私もそう思っていますけれども。いずれにしても、放送に独立性があるかどうかというのが実は根幹にあって、そのために直接受信料を徴収することが仕組みとしてあると私は思っているわけですね。

 そうした中で、総務省に一つだけ聞きますけれども、今、公共放送のあり方の検討とか開かれていて、もう十回ぐらいそういう検討会をやっていると思いますけれども、その中で、放送の独立性をどう守るのか、どうするのかということについての観点の議論、方向性はありますか。そこだけお答えください。

秋本政府参考人 お尋ねいただきました。

 総務省で本年四月から有識者会議を開催しておりまして、直近まで十一回の会合を開催しております。この中で、受信料制度についても御検討いただいております。

 今御質問いただきました自律性という点につきましては、特に財源の自律性について、有識者、構成員から御議論をいただいております。それは、今の、受信料をNHKみずから徴収する、その財源上の自律性を引き続き維持することが必要だという観点から審議が行われているところでございます。

岡島委員 今のお答えは、大臣が先ほど、国営放送と公共放送の違いは、受信料と言われるものをみずからの組織が集めるという仕組みで成り立っているのは、そこは公共放送だとおっしゃいました。そして、今の答弁でも、財源の自律性というものを維持することがという方向性もあると。要するに、それは全て、公共放送の独立性を維持するためには財源の自律性が基本だからだということになるわけです。

 私は、別にNHKを守るとかそういうことじゃないです。公共放送を守りたい。そういった意味で、ぜひ、放送の独立性が根源にあって自律性の受信料があるという中でこれからもいろいろ議論を進めていってほしいというお願いをしたいと思っています。

 もうちょっとだけ時間がありますので、NHKで、私、すごく気になっていることがあります。今、菅総理が任命拒否したという、学術会議ですね、六名の任命を拒否した問題がありました。あれを見て、説明が余り詳しくないままに官邸が恣意的にそういうことをしたのならばこれは大問題だ、独立機関に対して政治的圧力が入っちゃいけないと思っています。これが政治的圧力かどうかは、大臣と私、見解が分かれるところです、多分。しかし、国民からはそう映るという事実がある。

 そういった中で、NHKの会長人事を見ても、私、ここ何年も不思議なことがある。NHKの会長人事というのは、経営委員会が最後は指名委員会を開いて決めるわけですね。だけれども、前の石原さんが経営委員長のときに、次の委員長を、今の前田さんですかね、連れてきて……(武田国務大臣「前田さんは会長。委員長じゃない」と呼ぶ)前の石原さんがです、石原さんが委員長のときに、前田さんを次の会長にと連れてくるわけですね。済みません。そこで指名委員会が開かれて決まるわけです。

 でも、私はNHKに長くいたし、NHKの仲間もいっぱいいますけれども、石原さんが、何の理由で、どこからどう、相談を誰として、どこから前田さんを連れてきたか、実はわからない。国民は多分わからない。きのう、ある記者に聞いたら、全然わかりませんと。ブラックボックスだ。

 私は、上田さんがよかったとか前田さんがだめ、そんなんじゃない。両方とも見識がある、二人とも立派な方です。前田さんが経営者の感覚からNHK改革することを私は反対するわけじゃない。ただ、会長を指名するやり方が、突然石原さんが知り合いを連れてきて、同じ九州出身かどうかわからないけれども、中津の仲間を連れてきたかもしれないけれども。でも、前田さんがいい悪いじゃないんですよ。私が言いたいのは、国民とか、多分NHKの職員にとっても、あれ、どこから誰が連れてきて、何で連れてきたかわからない。そこのブラックボックス、そういうところを解決していかないと、本当の公明正大なNHKの放送をつくったり、国民のためのNHKに変えていくことはできない。

 私は、経営委員会こそ、そのガバナンスであったり仕組みこそ変えるべきだと思っている。BBCの、BBCトラストをやめてOFCOMをつくった。オフィス・オブ・コミュニケーションをつくった。第三者機関が規制をする。ガバナンスはBBCがやる。別に、BBCとNHKは仕組みが違います。だけれども、そういう第三者機関がびっちりと経営の規制を持つ。権力を持つところをちゃんと外部で持つ。そういう経営委員会をつくっていくことが日本の公共放送、民主主義を守ると私は思うんですね。

 大臣、最後、そこだけ。どう思われますか。

武田国務大臣 健全な経営委員会の必要性、同感だと思います。

岡島委員 では、最後に一つだけ。

 いずれにしても、反対意見、少数意見をきちんと紹介して報道する、そういう、政府に都合悪くてもちゃんと報道する。大統領選挙でそう思いました。トランプの演説中に中継を切っちゃったんですからね、あるテレビ局は。つまり、報道機関としての自律性があってこそ民主主義が機能します。ぜひそのことを、大臣、一緒に、力をかしてください。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)委員 会派、立民・社民・無所属の岡本あき子でございます。

 今回、総務委員会での質問に立たせていただきますこと、感謝を申し上げたいと思います。

 まず、コロナと闘っている患者さんにお見舞いを、そして、支えていらっしゃる全ての方に感謝を申し上げたいと思います。

 私からは、最初に携帯通信料金の引下げについて伺いたいと思います。

 菅総理の所信表明演説でも、携帯電話料金の引下げを、約束した改革と称し、成果を実感いただきたいと表明されました。武田大臣も就任早々、報道では、家計負担の軽減とおっしゃっております。

 改めて伺いますが、携帯電話料金の引下げが必要な理由は何なんでしょうか。大臣、お答えください。

武田国務大臣 今、人口は一億二千万、契約台数一億八千五百万台。もはや携帯電話というものはぜいたく品ではなくなりました。また、災害等、国民の重要なインフラとしての役割を担っているわけであります。

 そうした環境の変化がありまして、現在、モバイル業界を見渡したところ、健全な市場競争が、競争原理が働いていないということがまず挙げられます。それと、利用者、ユーザーにとって極めてわかりにくい制度である。そして、それぞれのユーザーの自由な選択を阻害するシステムがたくさんある。これを解決しなければならない。それをすることによって、自然にマーケットが料金の低廉化というものを生んでくるのではないかなと思います。

 そして、今、コロナ禍で地域経済というものは低迷しています。家計の負担でも、住居、教育、次に来るのは通信費というぐらいに、かなりの負担を強いています。今、地域経済を活況づけるためにも、家計の負担、全ての家計の負担を減らすことも、これまた政治の役割ではないかなと思っているわけであります。

 そうした全てのことを考えながら、やはりここは、健全な競争原理を導入し、わかりやすい自由な選択をユーザーに与える環境をつくることこそが必要だ、このように考えました。

岡本(あ)委員 今、コロナ禍で、家計の負担が、通信料が厳しいというお声がありました。

 これは、通信料とか、使うのを少なくするというよりは、可処分所得を全体をふやす方にまずは努力をするべきだということを最初私からは申し上げたいと思います。(武田国務大臣「そう言っているんだよ」と呼ぶ)いや、通信料の負担が大きい、家計に占める負担が大きいとおっしゃったので。もう一回。

武田国務大臣 家計における通信費の負担を軽減することは、当然、可処分所得につながるということであります。

岡本(あ)委員 私は、可処分所得総額、世帯が収入として得られるところをふやすべきであるということを私の考えとして申し上げたいと思います。所得が厳しい中で、だから使えるお金のところをどんどんどんどん下げていくというと、やはり物価にも影響するということにもなりかねないと思っております。

 それから、大臣がおっしゃっている中で、アクションプランにもありましたが、国民が求める適正な価格、それから国際水準にちなんで適切な価格水準ということもおっしゃっておりました。

 そもそも、私からすると、政府が企業の価格に介入をするということはミスリードではないかと思っています。なので、競争の環境を整える、そういう意味でいくと、その部分は理解を示したいと思います。ただ、MNOでは、四社の中でかなり熾烈な競争は行っていると思います。そのやり方がいいのかどうかは別としても、競争がないわけではないということも指摘をしたいと思います。

 国際水準にちなんで適正な価格水準。海外に比べると、特に大容量は日本は高過ぎるという指摘が当初あったと思います。

 資料一をごらんください。これは、通信品質とそれから価格というのを表にしたものです。これは、競争ルールの検証に関するワーキンググループでICT総研さんが提出をされておりました。

 要は、国際価格と比べてといいますと、ドイツやフランス、イギリスに比べて日本は高いじゃないかと。それで、ごめんなさい、グレーのところがよく見えないのですが、韓国でございます。米国、韓国に比べても、そこら辺と同等だけれども、欧州の諸外国に比べると日本は高い、だから、国際水準で見ると適正な価格というのはもっと安く抑えられるんじゃないかという議論が当初あったと思います。

 ただ、一方で、やはりフランス等は、郊外や地下鉄でもつながりにくいという現象もあります。

 私は、日本の企業が高品質で大容量で提供しているということは非常にすぐれたことだと思います。品質が高い分、一定のやはり料金価格があるということも必要なんだと思いますが、議論をした中で、当初、国際水準にちなんで適正な価格水準を実現するために、諸外国に比べて日本が高いという議論を提起をしたときには、この品質という部分は考慮しての比較になっていたんでしょうか。これは当局の方で、あっ大臣、よろしいですか、お答えいただきたいと思います。

武田国務大臣 当然、クオリティーのよさというのは日本は誇るべきところでありまして、そうしたものも料金に入っていると思うわけですけれども、しかし、それにしても高いというのが国民の声なんです。

 いろいろな団体の方と、直接我々は意見をお聞きしました。全ての団体の方が、日本の携帯料金は高い、こういう声が届きました。

岡本(あ)委員 当初、このワーキングとかに出ていた総務省が提出する資料のところには、品質というところは多少ばらつきがあった前提での価格のグラフだったと私は思います。ちょっときょう資料を用意しておりませんけれども。

 ちょっと、当局の方はいかがお考えですか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 総務省の行っております電気通信サービスに係る内外価格差調査におきましては、東京を含む世界主要六都市の携帯電話料金などについて国際比較を行っておりますが、その際、サービス提供エリアや通信品質については、現在、考慮には入れておりません。

 委員御指摘の通信品質の違いを加味して客観的に料金を比較する手法につきましては、現時点では国際的に見ても確立をしていないところでありまして、直ちにこれを実施することは困難と考えているところでございます。

 このため、委員が示された資料にもありますように、総務省が開催しております有識者会合におきましても御議論をいただいているところであります。適切な比較方法のあり方について、まずは諸外国や民間における手法の研究を進めてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 ワーキンググループで検討した段階では、容量は同じぐらいの基準でしたけれども、通信品質、速度ですとかカバー率とか、そういうのは考慮されない段階で議論が始まっていたということは御指摘をさせていただきます。

 品質も、先ほど大臣がおっしゃったように、それにしても高いという一般的な御意見だと。高品質を求めて高く出してもいいという方もいらっしゃると思います。逆に、そこまでは要らないけれども、自分の身の丈に応じた、要は自分の使う実態に合わせたメニューが欲しいとおっしゃっていることも事実だと思います。

 なので、国民にとって選択肢がふえるという意味での環境を整えるということについては私も賛同いたしたいと思います。ただ、条件が、異なっている条件のもとに、イギリスやフランスやドイツに比べると日本は高いんだから下げろというだけの議論になるとすると、非常にそこは心配をしております。

 資料三をごらんいただきたいと思います。

 利益率のところも御指摘がありましたけれども、アメリカなどの通信会社は利益率三〇%を超えているというところも報道されておりました。5G対応、ビヨンド5G、災害時の対応のために、研究開発や設備投資のためにも、一定の余力は私は必要なんだと思っています。

 政府は、IT業界はGAFAと戦えと言う割には、通信料金の設定や利益率もアメリカを参考にしろとは言わず、ドイツやフランス並みを目指せというような議論になっているというところについては違和感を感じています。総務省が示す低料金を提供する国をライバル視するよりも、もはや通信分野直接参入も狙っているGAFA、その国であるアメリカ、ITで主導権をとろうとしている韓国や中国、そちらと比較ということも大事なのではないかと思います。

 次世代に向けての余力を持つことの必要性についてもお答えいただきたいと思います。

 選択肢をふやすということについては、私は全く異論はございません。ただ、大容量で高いメニューだから下げろというような印象を与える、こういう議論というのは、私とすると、ミスリードにつながるんじゃないかという指摘。

 もう一つは、利益率の問題をよくおっしゃっておりますけれども、やはり利益をちゃんと次の、次世代の設備投資に回せよという方向に行くべきであって、結局、利益を還元するだけが、次のビヨンド5Gを狙う、それも国として、官民一緒に協力して国際のトップを、主導権を握っていこうという意気込みでいきますと、必ずしも利益率が高いだけが問題だということにはならないんじゃないかというところも指摘をしたいと思いますので、大臣、お考えがあればお答えください。

武田国務大臣 利益率に対して、私、どうこう言ったことはないんです。ただ、公共の電波を使ってやる事業である限りにおいては、やはり国民生活への還元は考えていただかなくてはいけないということです。

 この値下げによって将来に対する投資というものが滞るのではないかという御懸念を指摘されたと思うんですけれども、大手の皆さん方が会見で述べられておりました。手を緩めずに投資はするんだ、しかし、その上で値下げの余力はある、事業者の方はそうおっしゃっておりましたし、これは5Gで出おくれたという日本は、ビヨンド5G、6Gで巻き返してフロントランナーとして今からやっていくためには、事業者にも頑張っていただかなくてはなりませんが、我々政府も一体となってこの問題に取り組んでいかなくてはならないと思います。

 数々のそうしたバックアップ体制というものを制度化して、我々もともに励んでまいりたい、このように考えています。

岡本(あ)委員 これからITの世界というのは、やはり世界の中でも、どの国がリードをしていくのか、乗りおくれてはいけないという課題を、使命を持っているというのは事実でございます。しっかり、ビヨンド5G、6Gの世代に対応できる設備投資、官民協力をして進めていただきたいと思いますし、言葉として、値下げ、値下げ、値下げという言葉が飛び交うということについては、私としては違和感を感じています。

 メニューをふやせという部分については、全く異論はございません。諸外国に比べて、高品質を下げてまで、品質を下げてまで同じようにしろということにつながりかねないので、やはりそこの選択肢をふやすという御努力をしていただきたいということを御指摘させていただきたいと思います。

 続きまして、デジタルガバメントの推進、これはちょっと所管する担当に伺いたいと思うんですが、例えば、資料四にございます。実は、母子保健法というのがございまして、母子健康手帳というのは、多分、お子さんをお持ちの方は必ず手にしたことがあると思います。冊子で出されておりますけれども、下線を引いたところ、「母子健康手帳に必要な事項の記載を受けなければならない。」。これは、市町村、自分の自治体でも確認したんですが、手帳に記載を受けなければいけないということをもって、紙なんだという話になっております。

 厚労省さんは、これをもとに、様式は冊子で、ひもでくくった冊子にすることが望ましいとまで書いているんですが、デジタルガバメントを推進しようと思うと、こういうことを、デジタルを基本でいけ、もう紙ではなくてデジタルでいけということが、この法律があることがネックにはなりますでしょうか。これは内閣ですか、お答えいただければと思います。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 個別の案件については私どもも十分に答えられないところがございますけれども、政府全体のデジタル化ということで私たちが取り組んでおりますのは、まず、手続をデジタル化するということでございまして、昨年、デジタル手続法案を施行されました。その中で、デジタル三原則というのを我々掲げておりまして、デジタルファースト、ワンスオンリー、そしてコネクテッド・ワンストップということでございまして、その三原則のもとで行政手続の原則デジタル化を進めております。

 また、デジタル・ガバメント実行計画というのを立てておりまして、その中で、デジタル化の方針というのを示しております。そこでは、デジタル化が目的とならないように、まず事前に、対面原則でありますとか書面原則などの制度そのものを見直してほしいということ、それから、利用者と行政機関間のフロント部分だけではなくて、バックオフィスも含めましたエンド・ツー・エンドでデジタルを前提として業務プロセスを再構築する業務改革、こういったことを実施してほしいということを徹底しておりまして、国民の利便性と行政運営の簡素効率化を図るということを求めております。

 そういうことを現在取り組んでおりますので、更に徹底をしていきたいというふうに思っております。

岡本(あ)委員 今、一つの事例として挙げたんですが、これは、先ほどおっしゃったように、書面の原則から脱却をするという意味でいくと、デジタル化したらどうですかということを言える担当というか、言える組織というのはあるんでしょうか。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、デジタル手続でありますとか、デジタル・ガバメント実行計画上に書いてあることにつきましては、我々、今、IT室が基本的にそういう旗振り役ということになっております。

 ただ、今現在議論されておりますデジタル庁、これはまだ具体的な所掌事務は検討中でありますけれども、社会全体のデジタル化という観点から役割を果たしていくということで議論が進められておりますし、政府全体の情報システムの整備につきましても、これに関与できるような権限を持つというようなことで議論を進めておりまして、デジタル関係の政策全般について責任を持って強力に進める体制を構築できるように引き続き検討しているところでございます。

岡本(あ)委員 私、一つの事例として挙げましたけれども、やはり所管をする担当庁からすると、余り大きく仕事の流れを変えるというのには抵抗がある部分はあるんだと思うんです。

 ただ、例えば母子健康手帳、今、二十代、三十代、四十代の方が交付を受けている中でいきますと、もうこれはスマホでいいんじゃないか、何も冊子をもらって一冊を夫と共有する、生まれた子供と共有を、渡しながら確認をするということも、もう時代としていかがなのかというのは、手帳を受けている方からの要望としては結構出ていらっしゃいます。実際、電子化している部分もあるんですが、紙がベースで、重ねて電子も使うという二重の作業をやっているというのが、今の、この例だけをとれば。

 法律上は、多分、IT戦略室の解釈とすると、この記載をもってだめだとはなっていないと思うんですが、厚労省、それから自治体に対して、ここはデジタル化してもいいんだよという情報も伝わっていなければ、こういうところからやっていけよと言えるところも今のところはないと私は感じています。デジタル庁ができれば、他省庁のことだけれども、こういう視点でいったら紙ベースから脱却をするということができますよということも必要なんじゃないかと思っています。

 ぜひ、ちょっと武田大臣にもお聞きをしたいんですけれども、デジタル社会について、所信挨拶の中で三割近くデジタルのお話をされたんですね。なので、行政のデジタル化を徹底して、デジタル化を前提とした業務の見直しをするとまで御挨拶でおっしゃっている意味で、デジタル庁に期待することも含めてですけれども、やはり、横串を通すような仕事をすることについて、ノウハウ的には、総務省が既存から持っていらっしゃるノウハウもあると思いますので、ぜひ、横串を通すぐらいの力を発揮するべきじゃないかという、このデジタル庁への期待のことに対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。

武田国務大臣 やはり行政効率を上げることと行政手続の利便性を国民に提供するという上では、どの省庁がどうだということよりも、先生御指摘のように、まず隗より始めよ、霞が関そしてまた永田町と全て一体となって、これは全員野球で取り組まなければいけない問題だと思っておりまして、そうしたことからも、各省庁連携してこのデジタル化推進に邁進していきたいと思います。

岡本(あ)委員 所信の御挨拶をお聞きする上では、やはりデジタル化社会に向けてという並々ならぬ思いを武田大臣御自身が持っていらっしゃる。それから、自治体に対する指導とかあるいはアドバイスというのは持っていらっしゃいますけれども、やはり同じノウハウとして、他省庁に対しても必要なノウハウはぜひ提供していただきたいと思います。

 続きまして、地方財政計画、地方創生について伺います。

 コロナの影響で、行革のもと減らし続けてきた保健所の職員、それから業務が急増している生活困窮者対応、各種相談事業、いつ起こるかわからない災害への備えの増強など、自治体職員の体制強化は待ったなしです。

 資料五にありますとおり、ずっと行革で自治体の総職員は減らされてきて、ここ数年、災害がふえた中での横ばいというのが続いておりますが、やはりこのコロナの影響を受けた上で、地方財政計画上の定数そのものをふやす方向で見直すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

内藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 地方財政計画上の職員数でございますけれども、警察官や義務教育教職員など国の法令により定数が定められているものは、当該定数に基づいて算出をいたしますとともに、その他の職員につきましては、地方団体における職員数の実態等を勘案して、必要な職員数を計上しているところでございます。

 令和二年度の地財計画におきましては、地方団体において、一般職員の職員数が増加している実態を踏まえた上で、児童虐待防止対策の強化による児童福祉司等の増を見込むこと等によりまして、職員数全体で対前年度比二千六百二十五人の増としたところでございます。

 さらに、本年八月に新型コロナウイルス感染症対策本部で決定されました新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組におきまして、保健所等の恒常的な体制強化が今後の課題とされております。

 したがいまして、令和三年度に向けましては、このような課題でございますとか地方団体の実態等を踏まえながら、適切な職員数の計上に努めてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 適切なという言葉、私は前向きに捉えさせていただきたいと思いますが、やはりコロナの影響を受けた中で、公衆衛生分野あるいは社会的な不安を抱えたときの行政サービス、より丁寧にというところは、特に、虐待のお話もありましたが、求められているところでございますので、ぜひその点をしっかり考慮していただきたいと思います。

 地方財源不足のことも聞こうと思ったんですが、務台先生が御質問されて、確保するという答弁がありましたので、その点は割愛させていただきたいと思います。

 それから、地方創生臨時交付金の質問も、公明党さんの議員さんからもありましたので、この点も、共通しますので割愛をさせていただきます。

 最後に、地方に仕事をつくること、所得が上がる仕組みにすることが地方創生だと私は考えています。

 まず政府機関の地方移転を率先垂範するべきだと思うんですけれども、これは内閣のまち・ひと・しごとの分野だとお聞きをしましたが、資料六、二〇一九年に、地方に仕事をつくるというところ、赤で、これは二〇一九年度の基本方針で、二〇年度に取り組む中身で、政府機関の地方移転と書いていたんですが、ことしの基本方針に、政府機関におけるリモートワークの方向性について調査検討という表現になっています。

 私からするとトーンが下がったのではないかと思うんですが、政府関係機関の地方移転、コロナの影響があるからこそ更に検討を進めるべきだと思うんですが、これは、内閣、いかがお考えでしょうか。

新井政府参考人 お答えいたします。

 政府関係機関の地方移転の取組についてでございますけれども、令和元年十二月に閣議決定されました第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略におきまして、政府関係機関の地方移転の取組について、二〇二三年度中に地方創生上の効果、国の機関としての機能の発揮等について総括的な評価を行い、これを踏まえて必要な対応を行うこととされております。

 また、今般の感染症による厳しい状況を克服し、地方創生の実現を目指し、本年七月に閣議決定されました、まち・ひと・しごと創生基本方針二〇二〇におきまして、政府関係機関の地方移転の取組については、総括的な評価に向け、有識者からの意見も考慮しつつ、政府においてフォローアップを引き続き進めることとされております。

 先ほど移転の成果について御質問ございましたけれども、中央省庁の移転の取組につきましては、京都におきます文化庁の全面的移転ですとか、徳島におきます消費者庁の恒常的拠点等の設置のほか、研究機関、研修機関等におきましても、拠点の設置や共同研究の開始等を通じまして、地方創生上の効果があらわれ始めているというふうに承知をしております。

 まずは、二〇二三年度中の総括的な評価に向けまして、具体的な成果が得られるよう、関係省庁において、総合戦略に基づいて、取組を着実に進めていただくとともに、有識者からの意見も考慮しつつ取組のフォローアップを進めてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 私は、コロナのこの影響を受けて、先ほど桝屋先生からございました、テレワークを進めろ、いい機会だという御意見もあった、環境が変わった中で、やはり計画どおりというのはいかがなのかなと思います。

 今回、だからこそ、リモートワークの方向性で、移転という言葉が消えているということについては非常に違和感を覚えております。本文にはうたってあることは重々承知ですけれども、取組の姿勢という意味ではやはりしっかり移転を、更に、コロナの影響も受けて、もっとできることを、可能性を探っていくんだぐらいの勢いが必要かなと思っています。

 最後に大臣に伺わせていただきます。

石田委員長 岡本君、もう時間が来ております。

岡本(あ)委員 はい。

 所信の挨拶の中では、デジタル化、地方回帰という言葉が非常にあふれているんですが、残念ながら、予算も総務省の概算要求の中にあるのですが、担当が総務省じゃないというような、内閣が担当するんだという、ちょっと総務省が少し引いているような気がしております。

 ただ、このデジタル社会の実現、それから地方回帰、デジタルを活用して地方回帰を力強く進めるんだというのは、やはり大臣の思いが必要なんだと思いますので、最後にそのお考えをお聞きしたいと思います。

武田国務大臣 新たなる日常に向けてしっかりと取り組んでまいります。

岡本(あ)委員 ありがとうございます。挨拶のとおりしっかり進めていただきたいと思います。

石田委員長 次に、高木錬太郎君。

高木(錬)委員 立憲民主党の高木錬太郎です。どうぞよろしくお願いします。

 一問目、私も地方への財政支援について伺おうと思っておりましたが、与党の委員の皆さんからも、そして岡島筆頭からも、岡本次席は割愛されましたけれども、同趣旨のことでありまして、私の方では、済みません、通告した話とはちょっとニュアンスが異なる、表現が異なると申しますか、聞き方をちょっと変えるんですが、通告したジャストの中身ではないので大変恐縮なんですが、お考えをお聞かせいただければと思うんです。

 来年度予算でしっかり財源を確保する、ぜひお願いします。それから、政府におかれましては、第三次補正も編成の指示が出て、取り組まれていると思います。がしかし、目の前で既に地方は財源について大変厳しい状況にあるというのはもう皆さん御承知のとおりで、そのような危機感のもとで、先ほど来与党の委員の先生方からも、そして我が党の方からも財政支援について質問が重なってきているんだと思っています。皆さん共通の認識なんだと思います。

 そこで、目の前でもう既に厳しい状況にありますから、予備費七兆円がまだあるわけでありますので、これを閣議決定して、一刻も早く地方のさまざまな対策に打てるように、その財源に使っていただけるように政府として取り組むべきではないか、総務大臣としても、総務省としてもその後押しをすべきではないかというふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 予備費の使用につきましては、新型コロナ感染症の感染の状況等を勘案いたしまして、政府全体として検討されるべきものと考えております。

高木(錬)委員 地方は待ったなしだと思います。ぜひ大臣、よろしくお願いします。

 大臣とは、実は私はずっと災害対策特別委員会におりまして、さきの常会では大臣と決算行政監視委員会で、先ほど来皆さんが触れておられます地方創生臨時交付金の取扱いについて、私は避難所の開設、運営にフォーカスしてさまざま伺っていきました。

 あのときと状況が一緒だと思っていまして、つまり、避難所開設、運営に関する備品ですね、資機材の購入について、それも地方創生臨時交付金で使えるという話になっていまして、それは大変結構なことだと思ったんですけれども、残念ながら、ことしも七月に大変大きな災害があり、一時期は、中国地方、四国地方、九州地方で二十万人の方々が避難をされ、現場は大変難しい判断も迫られ、そこでもう既に一回開設をしたりしていますので、あの時点で購入していた資機材はもうそのときに使ってしまっているわけであって、今後、台風シーズンは過ぎたとはいえ、いつ地震が起こるかもわからない、自然災害がいつ起こるかもわからない中で、更に地方公共団体においてはさまざまな災害対応の資機材の備蓄をしていかなければいけないという状況にあろうかと思うんですね。

 であるからこそ、一刻も早くその財源としての地方創生臨時交付金をお手元に届けるということが求められると思うんです。来年とか年明けてからとかということではなくて、予備費があるんですから、七兆円あるんですから、ぜひともそこは改めて大臣にお願いを申し上げておきたいと思います。

 次に行きます。

 順番を変えさせてください。先に郵政について伺いたいと思います。

 郵便法の改正案が出てきておりまして、これから当総務委員会でも郵便事業の未来像、あり方なども骨太な議論をしていきたいなと思うところであります。

 しかし、皆さんもう既に御承知のとおりに、昨年発覚したかんぽ生命保険不適切募集問題、そして、ゆうちょ銀行キャッシュレス決済サービス不正利用問題などが影響しまして、経営は大変厳しい数字になっています。四―六の数字も出ておりました。あしたでしょうかね、決算の発表があろうかと思うんですけれども、大変厳しい数字になろうかと思います。コロナの影響もあります。

 そういった中で、今触れました不祥事、不正があり、他方、先ほども申しました改正案があり、ただ、この改正案を見ますと、郵便サービス水準の引下げにつながるのではないかという指摘もあり。

 そこで、このタイミングで、非常に厳しい数字になっている状況の中で、郵便サービスの水準の引下げではないかと思われるものが提出され、こういったことが続くと、どうでしょうかね、国民の皆さんの信頼に基づいて郵便事業はこれまでずっと行ってきたんだと思うんですけれども、まさにその国民の信頼の回復、それから、その前提は当然再発防止ということになるわけでありまして、それが、このようなタイミングでこの法案が出てくることに大変私は懸念を持っているわけであります。

 きょうは日本郵政グループの各社の皆さんに御出席いただきまして、今私が申し上げました国民からの信頼回復そして再発防止について、それぞれから具体的にどのように取り組んでいかれるのかをお聞きしたいと思います。お願いいたします。

市倉参考人 まずは、このたびのかんぽ商品の募集に係る問題に関しまして、お客様を始め関係する皆様に……

石田委員長 もうちょっと大きい声で言って。もっとくっついて。

市倉参考人 このたびのかんぽ商品の募集に係る問題に関しまして、お客様を始め多くの皆様に多大なる御心配と御迷惑をおかけいたしましたことを改めておわび申し上げます。

 委員お尋ねの信頼回復それから不正の再発防止策につきまして、かんぽ生命におきましては、一月末に公表いたしました業務改善計画に全社を挙げて取り組んでおります。再発防止策や内部管理体制の強化など、おおむね当初の計画どおりに進捗をしております。

 また、御契約調査を通じましてお客様からお申出のあった御要望につきましても、お客様の御意向確認や契約復元等の措置を含め対応しております。お客様の御都合によるものを除きまして、おおむね完了をいたしております。さらに、これらの調査のほか、お客様への訪問などを通じまして、御契約内容について再度御確認いただくなどの活動にも取り組んでおります。

 今後とも、全社を挙げてこれらの取組を実施することによりまして、お客様からの信頼回復に努めてまいります。

諫山参考人 今回のかんぽ不適正募集問題につきましては、お客様に多大な御迷惑をおかけしたことを改めておわび申し上げます。

 十月五日から信頼回復に向けた業務運営を開始しておりまして、窓口に来られたお客様、それから金融商品のアフターフォローを実施するお客様に対しまして、おわびと、それからお客様の信頼回復に向けた約束の御説明を実施しているところでございます。お客様からは、信頼していただけに裏切られた落胆が大きいという厳しいお言葉も数多くいただく一方で、御期待あるいは激励のお声もいただいているところでございます。この活動を通じまして、一人一人のお客様としっかりと向き合い、信頼回復に取り組んでまいりたいと思います。

 また、業務改善計画等に掲げるさまざまな改善策を着実に実施することによりまして、再発防止に努めてまいりたいと考えております。

田中参考人 ゆうちょ銀行の分につきましては、私から御回答を申し上げます。

 私どものキャッシュレスサービスの不正利用によりまして、被害に遭われたお客様、また、一部、現在サービスを停止をしておりまして、お客様に御不便をおかけしておりますことを、まずもって深くおわびを申し上げます。

 このキャッシュレス決済サービスについては、九月の二十五日に社長直轄のタスクフォースを立ち上げておりまして、セキュリティーの総点検に取り組んできております。十一月九日、今週の月曜日でございますが、第三者の評価もいただいた上でその結果を公表いたしておるところでございます。今後は、今回の総点検の結果を踏まえまして、セキュリティーの強化策を着実に実行してまいります。

 あわせまして、総合的な苦情相談対応体制の強化、あるいはセキュリティーの検証体制の強化、補償方針の明確化等、お客様に安心、安全にサービスを御利用いただけるよう体制整備を可及的速やかに進めてまいりたいと考えております。

飯塚参考人 お答え申し上げます。

 日本郵政株式会社として、全体を統括する立場でお答えを申し上げたいと思います。

 今先生御指摘の、かんぽ商品の不適正募集の問題、それから、ゆうちょ銀行のキャッシュレス決済サービスにおける不正出金の問題、これらにつきまして、お客様に多大なる御迷惑をおかけいたしまして、また、先生方にも多大なる御心配をおかけしましたことに対しまして、心からおわびを申し上げたいと思います。

 このようなグループの危機的な状況に対しまして、持ち株会社でございます日本郵政として、しっかりとリーダーシップを発揮をいたしまして、各社から今御答弁させていただきましたように、業務改善計画に掲げるさまざまな改善策でございますとか、あるいはタスクフォースの報告書に盛り込まれましたセキュリティー強化策、これらを着実に実施することによって再発防止に努めてまいりたいと考えております。

 また、現在、日本郵政におきましては、リスク感度の向上を図るために、リスク事象に対する社員の声を把握するためのグループの内部通報制度の見直しに努めております。

 また、お客様から寄せられる声、苦情等につきましても、これをきちっと把握、分析していくために、AI等の技術を活用しながら、どうしていくか、こういうことも今検討しておるところでございます。

 さらに、取締役会の機会に、社外取締役の方、複数いらっしゃいますので、これらの皆様方からグループの重要課題について御意見を伺い、また、本年四月に、外部の委員に入っていただいてJP改革実行委員会というものをつくっております。この委員の方々にも、専門的見地からいろいろなことに、グループ改革について御意見を伺っておりますし、今後とも伺ってまいりたいと考えております。

 また、来年度から、次期グループ中期経営計画が始まります。今、策定過程に入っておりますけれども、このグループ中期経営計画の中でも、信頼回復に向けた取組、こういったものを盛り込んでいきたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、これらの取組を通じて、国民の皆様、また郵便局を利用されるお客様からの信頼回復に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

高木(錬)委員 今のそれぞれの御発言を聞いて、大臣所信でも大臣は、監督責任をしっかり果たしてまいりますと述べられておりますが、今の御発言、各社さんからの発言を聞いて、改めて大臣からも、指導監督、大臣としての、信頼回復と再発防止、具体的にどのように取り組んでいかれるのか、お話を聞きたいと思います。

武田国務大臣 今それぞれの方から私もお話を伺いましたけれども、その教訓をもとに必ず再発防止に努めるんだということをまず行動で示していただきたいということを期待をいたしたいと思います。

 我々としては、顧客に不利益を生じるということは、これは見逃せないことであって、信頼回復に努めるためにはあらゆる努力をしていかなくてはならないわけでありますけれども、毎年度の事業計画の認可等を通じて、しっかりとこのような問題の再発を防止して、我々としての責任を果たしていきたいと考えております。

高木(錬)委員 このコロナの中で、雨の日も猛暑の中でも配達している郵政の職員の皆さん、私も友達がいます。みんな、本当に頑張っておられて、つらい思いもしたりしている。そういった社員の皆さんが誇りを持って業務に努められるように、会社側も、そして監督責任がある総務省も、引き続き取組を進めていっていただきたいというふうに思います。

 最後に、デジタル庁と総務省の関係性について一問だけ。ちょっと何問か用意しておったんですが、時間がありませんので、準備していただいていた職員の皆さんには申しわけないんですが、一問だけ伺いたいと思うんです。

 総務省の業務でありますので、自治体との関係性においてどう進めていくのかということでありまして、強い権限を持たせるデジタル庁になろうか、平井大臣はいろいろなところでそうおっしゃっておりますけれども、もう一点、平井大臣あるいは菅総理も、あと、スピード感を持って、これまでにない、今までにないスピード感を持って取り組むと。

 スピード、大変結構なことでしょう。また、コロナの中で、非接触型の行政手続というのは国民のニーズであるというのも理解しますし、それは進めていかなければいけないとはいえ、既に菅内閣発足以前から、安倍前政権から、デジタル・ガバメント実行計画があり、閣僚会議もあって、それの方向性のもとにもう既に動いているんだと思うんですよね。自治体もそうだと思います。

 その中で、今、加速だ、スピードだと言われたり、あるいは、そもそもそこに、自治体の現場においては、住民のニーズの問題があったり、自治体の仕様を変えることを、同じ時期に、全国一斉に統一な仕様で発注して導入することになるかもしれないということも、データを移行すること、自治体の職員の皆さんが使えるようにすること、これまで公正な競争のもと選ばれた地元のベンダーさんとの信頼関係のことなどなど、自治体の現場ではさまざまな不安と懸念が巻き起こってくる可能性があると私は思っています。実際そういう声も聞きました。

 スピードもいいんですが、自治体の実情をよく考えながら、鑑みながら、丁寧に、きちんとコミュニケーションをとって、地方団体に過重な負担にならないように進めていっていただきたいなと私は切に求めるところなんですが、大臣、その点について御答弁をお願いします。

武田国務大臣 最もこうした変化の際に起こる負担については我々はしっかりと配慮をしていかなくてはならないと考えております。

 しかしながら、スピード感について言えば、やはりこれは、スピーディーにという意味合いもあるかもしれませんけれども、しっかりとした目標を持って結論を出すということが重要になってくるんだと思います。しっかりと意見を聞きながら、状況を見ながら、連携しながら取り組んでいきたいと思います。

高木(錬)委員 用意した質問の中に、新しくできるデジタル庁と総務省さん、公共団体にとってどっちが窓口になるんだという話も質問しようと思っていました。これから具体的にデジタル庁の具体像も出てくるんだと思います。そこで、私たちも注視させていただいて、来年、年が明けたら関連法案が出てくると思いますので、またそこで議論もできればと思いますが、くれぐれも丁寧に、自治体のことを考えながら進めていっていただきたいということと、最後に、この間、質問準備で、自治体の現場で働いている皆さんや郵政で働いている皆さんからいろいろなお声を聞かせていただきました。そのことに感謝申し上げ、また、この間、立て続けに説明に総務省の若手職員が連日来てくれました。そのことにも感謝申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 政府が推進しているマイナンバー、マイナンバーカードについて伺いたいと思います。

 個人情報の流出、個人情報の集中、監視社会につながるのではないかという懸念がございます。日本学術会議の問題を鑑みれば当然のことだというふうに思います。

 マイナンバーの個人情報流出事件について、まず個人情報保護委員会に実態をお伺いしたいと思います。二〇一五年以降、どうなっておりますでしょうか。

三原政府参考人 お答え申し上げます。

 個人情報保護委員会は、行政機関等や事業者において特定個人情報の漏えい事案等が発生した場合には報告を受け付けることとなっております。

 マイナンバーの漏えい事案等の報告といたしましては、平成二十七年度八十三件、平成二十八年度百六十五件、平成二十九年度三百七十四件、平成三十年度二百七十九件、令和元年度二百十七件、合計千百十八件の報告を受け付けております。

本村委員 これだけの個人情報が流出しているという問題でございます。

 重大な事態については、直近の報告が一番多いわけでございます。二百二十万人の個人情報が勝手に再委託された問題ですとか、三万三千四百九十人分の個人情報が入ったUSBがなくなってしまったり、そういうずさんな管理が行われているという中で、個人情報の流出の問題について多くの皆様が御心配されるのは当然のことだというふうに思います。

 マイナンバーカードについても、他人がマイナンバーカードを取得する事件や、あるいはカードの偽造も起きております。政府の調査でも、マイナンバーカードを今後も取得する予定はないというふうにお答えになっておられる方が五三%おられます。そのマイナンバーカードなんですけれども、結局のところ、一〇〇%国が国費でやるということになっているんですけれども、地方公共団体情報システム機構、いわゆるJ―LISが発注などをしております。

 そこでお伺いしますけれども、マイナンバーカード、全く個人情報が入っていないカード、これは何枚発注が終わっているのか、また、発行された個人情報が入っているICカードは何枚なのか、お示しをいただきたいと思います。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 令和二年十一月九日時点で、ICカードの調達枚数は八千五百万枚であり、実際にJ―LISに納入されたICカードは六千四百十万枚となっております。このうち、市区町村に送付したカードは三千二百八十九万一千十四枚でございまして、実際に交付されておりますのが二千八百十八万六千四百二十四枚ということでございます。

 以上でございます。

本村委員 五千万枚以上も余分に発注をしているということで、かなり過大な発注、過剰な発注が行われているということだというふうに思います。

 もう一つお伺いしたいんですけれども、個人情報が入っていない白地のカード、そして個人情報が入っているカード、一枚当たり単価は幾らなんでしょうか。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 J―LISにおきましてICカードの一枚当たりの調達価格を公開した場合、次回以降の調達においては、当該価格に提示された必要枚数を乗じることで事業者側が予定価格を容易に類推できることとなり、競争性が働かない可能性もあることから、現時点において、一枚当たりの調達価格を非公開にしているというふうに聞いております。

 しかしながら、この運用につきましては改善の余地があるのではないかと考えておりまして、改めてJ―LISに検討させ、適切に対応してまいります。

本村委員 情報公開法も所管をしている総務大臣にお伺いをしたいんですけれども、マイナンバーカードの白地のカード、また個人情報が入ったカード、これの単価については情報公開させてください。

武田国務大臣 単価、調達価格というのを公開した場合、その単価掛けるの必要枚数を、乗ずることで事業者側が次回のときに予定価格というものをすぐに類推できる状況が生まれて、健全な競争が果たせなくなるという一つの問題が出てまいります。そのため、一枚当たりの調達価格を現在のところ非公開とさせていただいているようでありますけれども、こうしたことについても運用の改善がなされないか検討させていきたい、このように思います。

本村委員 ぜひ公開させていただきたいんです。

 それで、健全な競争が本当に働いているかという問題もあるわけでございます。

 二〇一五年度から二〇二〇年度の今現在、四つお伺いしたいんですけれども、マイナンバーカードに関し、全体は幾つの契約があったのか、二つ目、その中で幾つの契約がNTTコミュニケーションズなのか、三つ目、それは何%なのか、四つ目、NTTコミュニケーションズの契約額の総額、お示しをいただきたいと思います。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 二〇一五年度から二〇二〇年度までJ―LISが締結したマイナンバーカード関係の契約の件数でございますが、十一月九日時点で八十三件の契約を締結しております。そのうちNTTコミュニケーションズとの契約については、五十三件、六三・九%でございます。

 以上でございます。

本村委員 かなりNTTコミュニケーションズに契約が独占というか、されているという状況だというふうに思います。

 それで、資料を見ていただきたいんですけれども、資料一ということで見ていただきたいんですけれども、結局、このマイナンバーカードの製造については、NTTコミュニケーションズと凸版印刷、二社で交互にとっているのではないかというふうに見えるわけでございます。

 それで、入札調書、開札調書もいただきましたけれども、黒塗りの部分が多くてわからない部分があるわけですけれども、資料二を見ていただきたいんです。特に、資料二の二〇一九年六月二十四日の入札の部分なんですけれども、調達Aは、個人番号カード用ICカード製造業務等、二千万枚ということで、NTTコミュニケーションズ一社しか入札に入っておりませんけれども、幾つもめくっていただきますと、何度も不調になって、結局、随意契約になっております。

 同じく二〇一九年六月二十四日、調達Bなんですけれども、調達Bも二千万枚ですね。これは凸版印刷一社しか入札していないということで、これも何度も何度も不調になって随意契約になっております。

 なぜこんなことになっているのかということで、このICカードの製造業務の入札については、黒塗りの部分ですとかあるいは情報開示していただけないという部分が多いんですけれども、本当に適正な入札、契約が行われているのか、これは調査するべきだと思いますけれども、大臣、お答えいただきたいと思います。

武田国務大臣 二〇一九年六月二十四日にJ―LISが実施しました個人番号カード用ICカード製造業務等における一般競争入札につきましては、従来の数百万枚規模の調達事業に比べ、数千万枚規模の調達事業となったため、事業者におきまして新たな設備投資や体制強化が必要との判断となり、事業者側の入札価格が予定価格を上回る結果となったため、不調となったものと聞いております。

 御指摘の、落札に至らなかった事業者名につきましては、資料提供時点で事業者の同意が得られなかったため、非開示の状態で提供したと伺っておりますけれども、J―LISにおいて、改めて事業者名を公開できるよう準備をしていると承知をしておりまして、今後、同様の事例についても公開できますよう、適切に指導してまいりたいと思います。

本村委員 この間、私、総務省ともやりとりをしてまいりましたけれども、地方公共団体情報システム機構、J―LISの情報公開とか情報管理というのは、かなりずさんだということを痛感をしております。

 マイナンバーカードにかかわる契約実績の資料をいただきまして、それで、これがおかしいというふうに指摘すると、やはりこれがありましたというふうに次々出てくるような状況がございまして、きょうも、二〇一九年度の契約、今までもらっていたのは二〇一九年度は十五件ですよというふうに言われていたのに、きょうになって、やはり二十六件でしたというふうに急に契約の件数も変わって、契約金額全体も変わりまして、全部、NTTコミュニケーションズにかかわるものが隠されていたといいますか、御報告いただけなかったという状況がございます。

 私も国交省から入札調書などをいただいておりますけれども、国交省では、入札した、落札はしていないけれども入札をした方の名前も、会社の名前も公表されますし、幾らで入札したのかということも含めて情報公開されておりますので、ぜひ情報公開をしていただきたいというふうに思いますし、こういうずさんなあり方についても、やはり是正をしなければいけないというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

武田国務大臣 J―LISにおいては、地方公共団体によりその事務を共同して運営するために設立された組織の性格や業務の内容を踏まえ、国の行政機関情報公開法の趣旨にのっとり、定款や情報公開規程に基づき情報公開制度を運用していると承知をしております。

 個々具体の公開請求の事案については、地方公共団体が共同して運営する組織として、まずはJ―LISにおいて適切に判断し、情報公開に努めていただきたいと考えております。

本村委員 国民、住民の皆様の大切な個人情報を扱う機関がこんなずさんな状況だということでございます。

 ちょっとテーマはかわるんですけれども、次に、マイナポイントの事業に議論を移させていただきたいと思うんです。

 十一月五日の参議院予算委員会で指摘がありましたように、マイナポイント事業の委託費の流れということで、総務省から、結局一社しか来なかったということで、環境共創イニシアチブという会社と契約をしているんですけれども、これは電通さんとか凸版印刷さんとかが入ったところですけれども、約三百五十億円で、マイナポイント事務局の補助金ということで委託を受けて、それからまた電通さんに行って、電通ライブさんに行って、そして再々々委託に行って、恐らくその後も再々々々委託というのもあるんじゃないかというふうに思われるんですけれども、こういう重層的な下請構造がある中で、中抜きがあるんじゃないかとか、本当に現場で働いている人たちがしっかりと賃金を払われているかという問題にもつながる、下請単価もちゃんと払われているのかということもあるというふうに思うんです。

 この問題、持続化給付金では経産省さんが中間検査を行われておりますけれども、総務省もこのマイナポイント事務にかかわるお金の流れ、第三者の調査、検査をするべきじゃないでしょうか。

武田国務大臣 当事業が適正に執行されますよう、決済事業者に対する審査登録業務が完了した本年七月末までの経費支出状況について、中間検査を行っているところであります。

 なお、中間検査では、公認会計士にも加わっていただき、委託関係や委託金額などについても調査を行っております。

 中間検査の結果を今後の事業執行に反映させるとともに、事業完了後の確定検査において改めて事業全体の執行状況を確認して補助金額を確定することとしており、マイナポイント事業の適正な執行を確保してまいりたいと考えています。

本村委員 大臣は、もっとマイナンバーカードを普及しようということで地方自治体に対して書簡も送られているわけですけれども、各自治体に対して、毎月何枚普及が必要ですよというようなノルマを示すような資料も出して、自治体を動かそうとしているわけでございます。

 今さまざま御指摘がありましたように、新型コロナで、今、命とか暮らしとか営業を守ることにこそ自治体は力を発揮しなければいけないときだというふうに思いますけれども、そういったマイナンバーカードを普及するために人や予算を振り向けていくというのは、やはりおかしいというふうに思うんですね。

 先ほども申し上げましたように、国民の皆さんや住民の皆さん、今後も取得する予定はないと半数以上の方がお答えになっている中で、二千億円以上もマイナポイントで、まあ、マイナポイントもなかなか普及はしていないんですけれども、目標に全然行っていないんですけれども、そういう二千億円もマイナポイントに使うという、やはりこういうやり方は、本当にこういうごり押しはやめるべきだということも指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 次に、副大臣、来ていただいていますでしょうか、厚生労働副大臣。ありがとうございます。参議院の審議があったということで順番を変えさせていただいたんですけれども、次に、医療機関への減収補填についてお伺いをしたいというふうに思います。

 自治体病院も大変減収になっておりまして、地方自治体が減収補填を一般会計から繰り出しという形でやっている自治体もあるわけですけれども、総務省はその実態をつかんでいないというお話を昨日も聞いているんですけれども、時間がありませんからちょっと一問カットをさせていただきまして、総務大臣にお伺いをしたいと思います。

 交付税のまち・ひと・しごと創生事業費の算定では、経常的経費削減率などを使用しております。経常経費というのは、人件費とか、一般会計からの繰り出し金などが含まれているわけですけれども、この新型コロナ対応を含めて、人件費はふやしていかないといけませんし、公立病院への特別会計、あるいは水道の特別会計など、一般会計からの繰り出しもふえるわけでございます。

 この経常的経費削減率で自治体を競わせる、こういう算定方式はやめるべきだという点と、病院にかかわって、稼働病床で普通交付税も特別交付税も計算するように変わってしまったわけですけれども、今、新型コロナで空床を確保しておかなければならなかったり、あるいは病院内でクラスターなどが発生してしまった場合に受け入れることができないという実態になったり、さまざまあるわけでございます。この稼働病床で計算する方式はやめて、やはり以前の許可病床数で計算するということに変えるべきだというふうに思います。また、総務省としても自治体病院への支援を強めるべきだというふうに思いますけれども、大臣、お答えいただきたいと思います。

武田国務大臣 まず、まち・ひと・しごと創生事業費の交付税算定についてでありますけれども、御指摘の経常的経費削減率は、地方団体の長期的な行政改革の取組を反映する指標であります。全国におきまして経常的経費が高かった約二十年前から現在までの各地方団体の削減率を算出し、これを全国の削減率と比較して、算定に反映をしております。

 一時的には、それぞれの地域が直面する行政課題に対応するために、個別の分野において経費が増加することもありますが、各地方団体においては、極めて厳しい地方財政の現状を踏まえ、歳出全般にわたり徹底した見直しを長期的な観点から行い、めり張りのある歳出の実現と行政運営の効率化に努めております。こうした取組を総体的、長期的に評価する指標として経常的経費削減率というものを用いることといたしております。

 次に、公立病院の病床数を算定基礎とする普通交付税の基準財政需要額につきましては、算定の適正化の観点から、厚労省において稼働病床数が把握可能となったことを機に、平成二十七年度より、算定基礎を許可病床数から稼働病床数に変更したものであります。今後とも、厚労省の稼働病床数の把握結果などを参考としつつ、公立病院の運営に支障が生じないよう、関係府省とも連携しながら適切に対処をしてまいります。

本村委員 時間がないので次に進みたいというふうに思いますけれども、厚生労働副大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 十一月二日、衆議院の予算委員会で厚生労働大臣は、医療機関への減収補填を求める質問に、「状況を我々も把握しながら、やはり地域医療機関がもしものことがあれば健康を国民の皆様方は保てないわけでありまして、しっかり支援していく体制を整えてまいりたいというふうに思っております。」というふうに答弁をされました。

 それで、状況なんですけれども、資料の四を見ていただきたいんですが、これは医労連の皆様方が出しているリーフレットでございます。それの二ページ目を見ていただきたいんですけれども、「これ以上の医療・介護の切り捨ては限界です」というタイトルの下に、「欧米と比べても、日本の医師、看護師不足は明らか」ということで、ドイツ、フランス、アメリカ、イギリスに比べても、医師数も看護師数も足りない。そういう中で、現場では本当に必死に頑張ってみえるというふうに思うんですね。

 そういう中で、医療機関で働く方々の冬のボーナスは、ではどうなっているかということで、今労使交渉が行われております。熊田副大臣のお地元である愛知・名古屋の事例なんですけれども、今労使交渉が行われておりまして、医労連の皆様方に、愛知のケースですけれども、十一月に回答があった五つの医療機関のうち四つの医療機関が冬のボーナスはカットという提示でございます。四医療機関とも、新型コロナウイルス感染症の患者さんを受け入れた病院でございます。そして、四医療機関中、二つは民間の病院ですけれども、二つは労災病院の回答でございます。

 感染症病床では足りなかったときに、名古屋で足りなかったとき、真っ先に患者さんを受け入れてくれたのが労災病院だったんですね。そこも〇・六カ月のボーナスカットという提示がございました。本当にひど過ぎるというふうに思います。

 新型コロナの包括支援交付金が現場に行っても、なお減収の穴埋めには足りず、ボーナスカットの提案になっております。夏のボーナスもカットされ、冬のボーナスもカットされという病院もございます。

 実際に、名古屋市内で、医師がやめてしまったという医療機関もございます。新型コロナ受入れ医療機関以外のところでも、このままいけば冬のボーナスは出せないというふうに言われて、現場では、医師や看護師や医療従事者の方々が医療現場から去ってしまうんじゃないかという心配があるわけです。

 慰労金があるからというふうに言われるかもしれないんですけれども、慰労金というのは、今までの給与やボーナス、これの上にプラスされるということだというふうに思うんですけれども、給与やボーナスを減らして慰労金を支払うというのでは、医療従事者のモチベーションは保てないというふうに思います。

 愛知県からも要望書が来ておりまして、つい最近ですけれども、十一月に入ってからですけれども、医療従事者や保健所職員は、長期にわたる感染防止対策など、日々緊張を強いられ、肉体的にも精神的にも疲労している、この事態を国家レベルの危機事案と受けとめ、対策強化をという要望書が来ております。

 医療の現場の皆さんは、人数がこういうふうに欧米諸国と比べても少ない中で、本当に必死に頑張っているわけですから、その現場の皆さんが希望が見えるようにぜひしていただきたいというふうに思います。

 夏のボーナスをカットされた医療機関もありますから、その医療従事者の方々の個人の減収分の補填ができるようにするべきですし、医療機関への減収補填を冬のボーナスに間に合うように今すぐやっていただきたいと思いますけれども、副大臣、お願いしたいと思います。

山本副大臣 本村委員にお答えを申し上げたいと思います。

 今の委員御指摘ございました病院団体の調査結果によりますと、六月賞与の支給状況につきまして、満額支給と回答しましたのが、有効回答病院千四百五十九病院のうち七一・三%、減額支給と回答しましたのが二七・二%、支給なしと回答しましたのが〇・八%あったと承知をしている次第でございます。

 賞与を支給するか否か、これは一義的には各医療機関の経営判断や労使の話合いによるものと考えますけれども、その一方で、新型コロナの影響による診療体制を弱体化させることなく、医療機関が診療を継続できるようにしていくということは大変重要であると思っております。

 このために、これまで補正予算、予備費を合わせまして実施してまいりました三兆円の支援におきまして、コロナ患者への対応を行っていない医療機関への支援も含めて、医療機関の支援として、新型コロナウイルス感染症受入れ医療機関の診療報酬や病床の確保料の引上げであるとか、医療機関、薬局等における感染拡大防止のための支援や、さらには、発熱患者等を対象とした外来体制をとる医療機関への補助なども行うとともに、医療従事者等を直接支援する慰労金の支給なども講じられたところでございます。

 まずは、これらの支援を医療現場の皆様に速やかにお届けするとともに、現下の状況に対応しまして、地域医療の提供体制を維持、確保するための支援につきまして、先ほど御指摘ありました地域ごとの感染状況やレセプトの状況、さらにはWAMからの借入れ状況等、地域のそうした状況等を、しっかり類型ごとの医療機関等の経営状況等も把握しながら、そのあり方を検討していきたいと思います。

 いずれにしても、地域の医療提供体制が確保されますように万全を期すことが重要でございますので、適切に対処してまいります。

本村委員 人手不足の中で本当に必死に頑張っている医療現場の方々が希望が持てるように、すぐ減収補填をしていただきたいというふうに思います。

 次に、保健所の問題について伺いたいと思います。時間がないものですから、いろいろカットをさせていただいて申しわけないんですけれども。

 地方交付税の積算内容を都道府県、百七十万人の標準団体で見ますと、保健所の積算の内容なんですけれども、一九九四年度と二〇二〇年度を比べますと、保健師の数というのは、資料を出させていただいております、資料の五で出させていただいておりますけれども、一九九四年度は百十二人だったんですけれども、二〇二〇年度は八十八人と大変減らされているわけでございます。

 交付税の算定の内容については、こうやって八十八人に算定上減らされているわけですけれども、これまで行革だ行革だといってどんどんどんどん減らされてきて、こういう実態になって、結局のところ、PCR検査が受けられなかったり、患者さんを保護できなかったりしているわけでして、そういう実態になってきたというふうに思います。

 現場の皆さん方から、本当に通常から人員が足りないんだというようなお声ですとか、毎日残業、土日出勤、代休すらとれない、早朝まで仕事を行ったとか、そういうお声があるわけです。今、現場では、正規の保健師をふやしてほしいというのがお声でございます、叫び声でございます。

 以前は十万人に一カ所保健所があって、それで百十二人になっていたわけですけれども、そういう一九九四年の段階まで人員を抜本的にふやせる交付税の算定基準に、あるいは仕組みに変えるべきだというふうに思いますけれども、総務大臣、お願いしたいと思います。

武田国務大臣 本年八月、新型コロナウイルス感染症対策本部で決定されました新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組において、保健所等の恒常的な人員体制強化に向けた財政措置について検討されることとされました。

 これを受けまして、現在、総務省と厚労省におきまして、保健所の実態を把握するとともに、地方公共団体の御意見を伺っているところであり、保健所が今後果たすべき感染症対策の機能などを踏まえて、恒常的な人員体制のあり方について検討してまいりたいと思います。

 総務省としては、令和三年度に向けて、今般の新型コロナウイルス感染症への対応状況を踏まえながら、厚生労働省としっかりと連携し、必要な財政措置について検討を進めてまいりたいと考えております。

本村委員 ぜひ正規で保健師をふやしていただきたいということを切に強調いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、地方自治、大都市政策について、武田大臣始め、御質問申し上げたいと思います。

 都構想については否決ということになりました。これは厳粛に民意ということで受けとめているところでございますが。

 まず、二十九日の代表質問で武田大臣のお手も少し煩わせました。二十九日の代表質問、ちょうど直前ですね、十一月一日の住民投票の直前に、菅総理それから武田大臣に、本会議で馬場幹事長から御質問申し上げました。

 あれは、松井代表からも、余りお手を煩わすなということを言われていまして、もう法律はできているわけですから、大都市法という法律ができているわけでありますから、改めて取り上げる必要はなかったんですが、その直前の二十六日に、毎日新聞が捏造記事を、捏造と言ってもし語弊があるのであれば、もう少し正確に申し上げると、大阪市財政局、当然、大阪市は廃止をされるのが都構想ですから、大阪市職員の中には、何とか自分が働いてきたこの組織を維持したい、そういう方もいらっしゃるかもしれません。

 そういう中で、大阪市の職員を毎日新聞社の記者がたぶらかして、たぶらかしてというのもまた後で問題になるかもしれませんね。いろいろ誘導して、誘導した証拠は、実際に、毎日新聞の記者は、これで書きますよということを、事前にその草稿を大阪市財政局の財政課長に渡していました。そういうマスコミと大阪市職員の合作でできたその二十六日毎日新聞夕刊の一面ですよ、一面。これね。こういうことが大変重要な住民投票に水を差したということは、私は言えるのかなと思います。

 きょうは、そういう中で、私は、大阪市と毎日新聞をもうここで言うつもりはありません。毎日新聞がそういう新聞社だということはみんな知っていますから、改めてここで、武田大臣がいらっしゃるこの総務委員会、時間をとるつもりはありませんが、悪いのは自民党ですよ、大阪の自民党。

 十日には、あれは国会でやったのかな。岡下さん、どこに。岡下政務官、きょう、おいでいただいていますが、あれは岡下さんも出ていらっしゃった。国会ですね。どこで。議員会館。議員会館に大阪市会議員も呼び寄せて、そこで何をやったかというと、報道によると、大都市法に欠陥がある、なぜ二度も、なぜ二度も住民投票をやったんだと。もう三度目は許さないとかいう、よくわからない、そういうことを言ったか言っていないかよく存じ上げませんが、そういうことがあったんです、武田大臣。大変残念な、もう大阪の自民党は自民党とも思えない。

 やはり自民党は、僕は自民党は立派な政党だと思いますよ。六十年やってきて、もう還暦を迎えています。日本維新の会は、まだ小学校に入ったばかりです。だけれども、野党になったときの立ち居振る舞いが大事なんですよ。

 ところが、大阪の自民党、大阪では野党です。共産党と一緒になって、今申し上げた毎日新聞の報道に乗っかって、これをでかいパネルに張って、住民投票の街頭に立っているわけです。それも、政府に入っていらっしゃる大阪自民党の政務官たちが、こうやって、この毎日新聞を街頭のつじつじに掲げて終盤戦を戦ったんですね。

 自民党は天下の自民党だし、私は、日本維新の会あるいは大阪が日本のもう一つの翼になるべきだ、日本にはもう一つの翼が必要ですということを地元で訴えています。立憲、共産ではだめだ、維新の会が二大政党の一翼を担うべきだと言っているんだけれども、その相手である、チャンピオンである自民党がこういうことでは困るんで、きょう、岡下政務官、おいでをいただいています。

 その十日、何をみんなで訴えていたんですか。ちょっと、ここで繰り返してください。

岡下大臣政務官 御質問にお答えさせていただきたいと思います。

 本日は、内閣府大臣政務官として出席依頼を足立委員からいただきまして、出席をさせていただいております。この場で一議員としての活動に対してコメントする立場ではございませんので、回答は差し控えさせていただきたいと存じます。

足立委員 こうなるんだな。これが、日本の国会を私が茶番劇と、僣越ながら、僣越だと思いますよ、僣越だけれども、日本の国会は役に立っていないと言っている理由の一つですよ。だって、答えないんだから。

 普通、安倍総理なんかは、私が戦後最高の総理大臣だと尊敬してやまない安倍総理大臣なんかは、国会の場で、憲法改正は国会で議論することだからお答えは差し控えると言いながら、ただ、質問されているので、あえて申し上げればということで、ぎりぎりのところを追求しているんですね。総理・総裁としての憲法改正の熱意を訴えてこられた。

 岡下政務官、ちょっと、答えられないが、お問合せであるので、あえて申し上げればというせりふを前につけていただいて結構ですから。誰も怒りませんよ、そんなこと。皆さんも、答えるなと言いませんよね、そんなこと。だって、政務官は政務官なんですよ。大臣だって、大臣は大臣ですから、例えばパーティーは、大臣規範ということで、やらないようにしている。だから、どこ行っても政務官は政務官なんですよ。ちょっとそこは、議員だと逃げないで、ちゃんと答えてください。

岡下大臣政務官 繰り返しになって大変恐縮でございますが、内閣府大臣政務官という立場で今こちらにおりますので、その件に関しての回答は差し控えさせていただきたいと存じます。

 その上で申し上げれば、さきの会合では、住民投票の制度も含めて、大都市制度のあり方について意見交換を行ったということでございます。

 以上です。

足立委員 これが国会が役割を果たせない証拠ですね。

 委員長、ぜひ、総務委員会、まあ、でも総務委員会だね、大都市法だからね。岡下政務官始め、こういう大都市法の、要は自民党がつくった、最後は七会派で、提出者ですよ、自民党は。賛成者だけじゃない、提出者でもあるんです。大都市法をつくった政党の、政府の中に入っている政務官が、大都市法には瑕疵があるんだということを公然と訴えているわけですから、私は、しっかりと答弁をしていただくか、できないのであれば自由討論、しっかりとそういう関係者を入れた自由討論をこの総務委員会で開催すべきだと思いますので、ぜひ理事会で御検討いただけないでしょうか。

石田委員長 理事会で検討します。

足立委員 といっても、自民党、公明党さんは、大人ですから、こういうことはやりません。だから、いろんなところで、私もユーチューブとかで、仕方ないのでしゃべっていますが。

 岡下さん、どこかで対談をやりませんか。ユーチューブで、あだチャンで対談。ちょっと答弁。申し込みますので、ちょっと、検討するぐらい言ってください。

石田委員長 足立さん、それはお互いでやってください。委員会でやる話では私はないと思います。

足立委員 それはそうですね。後で、サイドでちょっと申し込ませていただきます。

 さて、大臣、今申し上げたように、大都市法には瑕疵がある、問題がある、こういうことを自民党大阪府連は公然と、政府のメンバーも入って公然と言っていますが、私は、大都市法に瑕疵はない、こう思いますが、大臣はどう思われますか。

武田国務大臣 それぞれの政党の活動、そしていろんな議論につきまして、私の方からコメントは差し控えさせていただきたい、このように思います。

足立委員 ただ、大臣、しかし、大都市法は、大臣じゃなくてもいいんだけれども、いや、僕は武田大臣を余りこういう下世話なことで煩わせたくないんですけれども、大都市法という法律は国会で成立をして、その大都市法を総務大臣として執行されているお立場で、その総務大臣として執行している大都市法に何か瑕疵があると。要は、二度も住民投票をやった、二度の住民投票を許した法律は、法律が悪いんだと彼らは言っていると私は聞いているんですが、二度目のこの間やった住民投票は、これは何か問題があったとお考えじゃないですよね。

 あれは、ちゃんと総務大臣も了とされて、要は協定書、協定書をちゃんと、法定協議会、大都市法に基づく協議会でつくったパッケージを、総務大臣もこれは問題なしという判こをついていただいたもので住民投票をやったんです。この住民投票に問題があると言われると、いや、我々は負けたんですよ、否決されたんだけれども、この十年の私たちの取組を何か問題だなんということを政務官が吹聴しているのはちょっと許せないんですよ。

 住民投票をやった、大都市法を執行してきたその執行、だって、総務大臣は判こを押してくださっているんだから。それは問題ないですね。

武田国務大臣 委員が先ほどから御説明があっている内容について、瑕疵があるかないかも含めて、どなたからも私はそういう御指摘を今日まで受けたことはございません。

足立委員 当然ですね、問題ないんだから。それを、大阪自民党が大阪市民をたぶらかして、だって、こんな情報で選挙をやったんですよ。

 で、その情報については、ちょうどきょうの毎日新聞が、ちょっと紹介しておくと、皆さん、私たちがなぜこの住民投票にこだわるかというと、いずれ憲法改正するんでしょう、自民党の皆さん。ねえ、大臣。憲法改正やりましょうよ。私の友人である玉木雄一郎代表も前向きに検討してくれているおかげで、少し空気が変わってきました。来週には憲法審査会の自由討論があるということも聞いておりますので。憲法改正の国民投票になったらこの比じゃないですよ。だから私たちは、住民投票、国民投票のど真ん中でこういう報道がまかり通ること自体が許せないし、それを天下の公党が吹聴するということは二度とないようにしなければ憲法改正もままなりませんから、申し上げているわけですね。

 さて、岡下政務官、この二百十八億円については、大阪市長はこれは捏造だとおっしゃり、それから毎日新聞についても、これは問題があったということでけさの毎日新聞にも出ています。

 この二百十八億円に何か、大阪都構想の賛否に係る大阪市民への情報提供として、この二百十八億円という毎日新聞の捏造記事は意味があったとお思いですか。私は関係ないと思います。どっちですか。

岡下大臣政務官 たびたび繰り返しになって大変恐縮でございますが、私がお答えする立場にないということでございます。

足立委員 いやいや、僕は見解を聞いているんです、見解を。

 自民党としてどんな会合をやりましたかというのは、確かに、委員長の差配で、それはちょっと違うだろうと。いいですよ。でも、二百十八億円という数字について、私たちは、大阪市民をたぶらかしたと思っている。私は思っているんです、私はですよ。大阪維新の会のメンバーは上品だからこういう言葉は使いませんが、明らかに言葉の意味においてたぶらかしたんですよ。残念ですよ。ただ、否決は厳粛に受けとめますよ。でも、私はおかしいと思う。

 だから、岡下さん、政府の一員として、この二百十八億円、大阪選出なんでしょう、まあ小選挙区は落ちているかもしれないけれども。ちゃんと、この二百十八億円というのは大阪都構想について大阪市民に御判断をいただく際に参考になる数字ではないと私は思いますが、どっちですか。それぐらい答えてくださいよ。答えても怒られないですよ。菅総理に言いましょうか、答えてもらうって。

岡下大臣政務官 先ほど来から足立委員の御質問の御趣旨というのは、私、一議員としての御質問だと受けとめております。

 足立委員にとって理解しがたい内容であったのかもしれませんけれども、私は今ここに内閣府大臣政務官という立場でおりますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。御理解ください。

足立委員 では、総務省に伺います。

 通告、ちゃんとできていないかもしれぬけれども、ちょっと助けてよ。総務省、この二百十八億円という大阪市財政局がつくった試算、恐らく自治行政局長はごらんになられていると思いますが、この数字は、大阪都構想の協定書について大阪市民の皆様に判断いただく際に何か関係のある数字だと思われますか。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 二百十八億円の報道は承知しておりますが、大阪市財政局が試算されたということで、総務省として内容は承知をしておりません。ただ、協定書の内容にはこの数字は特段入っていないというふうには認識しております。

 以上です。

足立委員 じゃ、局長、こういう聞き方をしましょう。

 今回の数字は、まさに先ほど、冒頭申し上げたように、二十九日の本会議で総務大臣に馬場幹事長が御質問させていただいた。そのときに大臣から御答弁いただいたように、基準財政需要額の試算において、さまざまな補正係数がある中で、上振れする段階補正、今大臣うなずいていただいている、そういうやりとりをしましたよね。金額が上振れする段階補正係数、段階補正という補正係数だけを計算し、下振れするもろもろの係数は全部無視した数字なんです。

 そういうことを、総務省として、基準財政需要額の試算において、一部の補正係数だけを、一つだけ取り出して数字をはじくことに地方交付税法上意味はないと私はレクを受けていますが、局長、後ろの方も、そうだよね、ちょっと局長にちゃんと、意味ないって答えられるよね。はっきり、はっきり言ってください。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 制度面から申し上げますと、特別区の基準財政需要額の算定については、特別区の区域全体を一つの市町村とみなして、さまざまな補正を適用して算定するということでございます。

 その上で、大阪市財政局の試算について、私ども、その詳細なところまでは承知していないという状況でございます。

足立委員 いやいや、ちょっと、もうこれずっと総務省とやっているんだから。ちょっと、相談してよ局長、後ろと。要すれば、二百十八億円の意味ということについてはもう何度もやっているんですよ、僕、総務省と。何度もやっているんですよ。やっているよね。何度もやっている。

 それで、補正係数、地方交付税法上、一部の補正係数だけを恣意的に取り出して計算することに何ら意味はない、むしろそういうことはしないんだと。地方交付税法はそういう計算の仕方を認めていないんですよ。地方交付税法が認めていないような計算をしたんです。

 ちょっと、準備してよ、大丈夫。別に首とらないからさ。とる力もないから、僕らには。だから、大臣、これ、怒らないよね、何答えても。大臣、立派だから大丈夫だよ。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 御指摘のように、基準財政需要額の算定についてはさまざまな補正を本来適用しなければならないところでございますが、それが十分に適用できたかどうかというところは、まさに大阪市財政局の試算ということなんだろうと思っております。

 以上でございます。

足立委員 大阪市財政局は、毎日新聞から求められて、こうこうこういう恣意的、僕は恣意的と言うんですけれども、一部の補正係数だけを掛けた計算をしてくれと頼まれたんですよ。意味はないが、意味はないが、そういう計算をしてくれと言われたからした、こう言っているわけです。報道されているんですよ。

 それで、だから、この毎日新聞の当時の見出しには、ここ、「都構想巡り」と書いてありますよ。都構想と書いていないんですよ。市を四分割と書いてあるんです。特別区とは書いていないんです。ひどいでしょう、大臣。

 いや、大臣、これは単なる背景、バックグラウンドとして知っておいていただきたい、大阪の自民党の議員たちがいかにけしからぬかということを。いやいや、大臣を余り巻き込んだら嫌だね。やめましょう。

 大臣は関係ない、これは。関係ないが、総務委員の皆様には二度とこういうことをしてほしくないんですよ、自民党の議員さんに。書いていないんですよ。巧妙に逃げているんですよ。だから、毎日新聞は、これは都構想と関係ないという、多分、裁判をしたら、関係ないと主張するんです、彼らは。これは都構想と関係ないんです。

 ところが、これを後追いしたNHKは、あ、掲げない方がいいね。

石田委員長 足立君に注意申し上げます。

 理事会で承認を受けていない資料を掲げることは、今までにそういうことはしておりませんから、やる場合は理事会で事前に了承をとってください。

足立委員 はい、そのとおりですね。しっかりいたします。ちょっと忙しかったもので、済みません。

 それを後追いしたNHKはこういう見出しです。特別区でコスト二百十八億円増試算という、NHKですよ。

 だから、後追いした人たちは毎日新聞の巧妙なたくらみがわからないものだから、天下のNHKがこれは特別区だと誤解をして、NHKは特別区のコスト増と報道したんです。後に、特別区でを消して市分割でに差しかえていますけれども、途中で。こんなことが起こっているんですね。二十六日です、十月の二十六日です。

 ここからは推測ですよ、推測ですが、これは恐らく自民党と共産党の合作なんです。なぜか。大臣、ごめんなさい。大臣がいないところでやった方がいいよね。大臣には心から申しわけないと、巻き込んでしまっていることについては申しわけないと思うが、この二百十八億円の試算、自民党はずっと前から知っていました。でも、二百十八億と言うとばれるから、裏でつながっていることが。だから、二百億円と丸めてずっと言っていました、法定協議会で二百億、二百億と。恐らく大阪市財政局の一部とつながっていたんでしょう。

 都構想の住民投票の前に行われたNHKかどこかのテレビの討論会で、共産党の大阪市会議員が、松井代表から、いや、そんな、何か二百億、二百億と自民党みたいな丸いこと言うなよといって、共産党に、ちゃんと数字があるなら出しなさいということを松井代表が共産党に言いました。共産党がぱっと紙をめくって、テレビですよ、テレビ、二百十八億円という数字があるのよと。必要なら見せますよなんということをいきがっていました。

 それは毎日新聞が報ずる前ですから。毎日新聞が草稿を渡して大阪市財政局とうんたらうんたらやっている。その横で、テレビで、自民党と共産党はその人たちとつながって、先ほど局長からあった、全く意味のない数字をテレビで流しまくったわけですね。それが大阪の自民党と共産党だということは、残念ながら申し上げておかざるを得ないわけであります。

 きょうは、本当は大都市政策について高尚な議論を用意していましたが、残念ですが、時間があともう三、四分となりました。もうきょうはこの話で終わっちゃうので、まことに関係の皆様には、準備いただいて、これは必ずまた総務委員会でやりますから、つくっていただいた資料は全部役に立ちますが。

 行政局長、もう一度ちょっとはっきり教えてほしい。一般論でいいですよ。一般論として、数ある補正係数の中で段階補正係数だけを適用するというような計算の仕方は地方交付税法にはない。それはそうでしょう。そうですと言ってください、ちょっと。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 大阪市のホームページにおきましても、複数の報道機関からの依頼に対して、新たな特別区制度に即した正確な試算はできないことを前提として機械的に作成いたしましたと。しかしながら、単純に大阪市を四つの政令市に分割する簡略な算式での試算であり、実際の交付税の算定ルールにはない考え方に基づくものとなったというふうにホームページに出ているということなので、そのとおりだと思います。

足立委員 そのとおりだ。

 ただ、私はまだこだわっているんですよ。それは、単に市を四分割した計算だからおかしいのもそうですよ。特別区のこと、事務のいろいろ配分も違うということを全然、東京都みたいな計算をしていないんだからおかしいんだけれども、もう一つ、補正係数ですよ、補正係数。

 補正係数について、特定の補正係数だけを恣意的に取り上げるというような枠組みは地方交付税法にはない。いいですね。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 当然、そういった補正係数については、全てを掛け合わせていくということでございまして、特定のものだけを用いるということはないんだろうというふうに思います。

足立委員 ほぼ、この岡下政務官を始め自民党大阪府連の国会議員さんのたくらみについては、きょう明らかにできたと思います。地方交付税法が全く認め、あっ、もう拍手は要らないですからね、きょう、僕、質問を終わっても。どうせないと思うから。

 大体、こういう本質的な議論をすると、誰も拍手してくれないんですよ。これが国会というところなんです。国会というところは、意味のない質問をすると拍手が出るんです。こういう意味のあることをすると、傷つく人がいるでしょう。傷つく人がいるよ。だって、岡下さんは傷つくよ。でも、悪いことをしているんだから、悪いことをした人が傷つくのは当たり前でしょう。そういうことをやりましょうよ、国会で。

 だから、今申し上げた、今行政局長がおっしゃった、地方交付税法が認めていない、考えてもいない恣意的な、段階補正係数だけを取り上げた試算を、大阪市財政局の一部の職員と自民党、共産党が連携をして、住民投票直前、それも最終盤に出した。毎日新聞の、巧妙につくられた毎日新聞の記事に引きつられる形で、NHKを始めとする電波が、この世にありもしない、全く都構想と無関係の数字があたかも都構想で大阪市民の住民サービスが低下をするエビデンスであるかのように擬制されて、公党である自民党と共産党が、手をつないでいないね、手をつなぐと手をつないだと怒られるものだから、今回は手をつながないようにしていましたが、明らかに共産党と自民党は、毎日新聞が報じる前に、連携をして、同じタイプの数字を出していた。

 これだけは、大阪市民の皆様、日本国民の皆様、都構想を応援してくださってきた皆様に私は明らかにしてお伝えをする責任があると思い、きょうは質問させていただきました。

 一旦、大都市法に基づく都構想のチャレンジはこれで終わりとさせていただきますが、政令市で苦労されているのは、日本全国二十政令市ございます。これから日本の大都市政策をアップデートしていくために、議員立法も含めて政策を打ち出していくことをお誓いして、質問を終わります。

 大臣、大変失礼しました。ありがとうございました。

石田委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 国民民主・無所属クラブの井上一徳です。

 まず、武田大臣、御就任おめでとうございます。実力大臣として、日本国民のため、国家のため、遺憾なく力を発揮していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私は、今、足立先生も言われましたけれども、大都市の政策の問題、これは、都市集中と地方衰退、これを絶対解消していかなければ日本の未来がないと思っているんです。その思いから質問させていただきたいのと、もう一つは、外国人による土地買収の問題。これも、地方、京都北部を回っておりますと、多くの方々から心配の声を聞きますので、この大きな二つについて質問をしたいと思います。

 まず一つ目、資料でお配りしておりますけれども、この「日本列島改造論」。これは、一九七二年、今から五十年前に書かれた本です。

 これをちょっと読みますと、「明治百年」、明治が、一九六八年ですから、それから百年たった一九六八年の意味ですけれども、

  明治百年をひとつのフシ目にして、都市集中のメリットは、いま明らかにデメリットへ変わった。国民がいまなによりも求めているのは、過密と過疎の弊害の同時解消であり、美しく、住みよい国土で将来に不安なく、豊かに暮していけることである。そのためには都市集中の奔流を大胆に転換して、民族の活力と日本経済のたくましい余力を日本列島の全域に向けて展開することである。工業の全国的な再配置と知識集約化、全国新幹線と高速自動車道の建設、情報通信網のネットワークの形成などをテコにして、都市と農村、表日本と裏日本の格差は必ずなくすことができる。

 これは、今読んでも、もうこのとおりなんです。これは一九七二年に書かれて、あれから五十年たって、私は、この田中角栄元首相の問題意識は、今こそ鮮烈に沸き上がっているんだと思います。

 それで、今は、安倍政権のときにも東京一極集中と地方創生ということで掲げられましたが、残念ながら、むしろ東京一極集中は加速化しており、地方衰退も加速化している。この大きな流れをやはりみんなで力を合わせて変えていかないと、私はこの日本というのは本当にすかすかの国になってしまうんじゃないかと思っているんです。私は、多分、その問題意識は共有できると思うんです。

 東京一極集中是正と地方創生、これに向けて、やはりもっと力を入れて全員でやっていかないと、私は本当に日本の将来がないと思っているので、実力大臣たる武田大臣、これに対して政治家としてどう取り組んでいくのか、ちょっと思いを聞かせていただきたいと思います。

武田国務大臣 均衡ある国土の発展というものを目標に掲げてもう久しくなってきておりますけれども、御指摘のように、一極集中というのが加速化して、地方の衰退というのも加速化して、今となっては大変重大な社会問題となっているんです。

 一極集中は、災害リスクというものも伴いますし、また、地方の担い手がいなくなってくるという、地方の力というものも衰退する原因にもなってくる、さまざまな悪影響を及ぼすわけでありますけれども、このコロナ禍の中において、我々は、新たなる日常というものを見出す。この新たなる日常とは何なのかといえば、地方にいてもしっかりと都会の仕事ができるんだ、都会ではちっちゃな高いマンションしか住めないけれども、アパートしか住めないけれども、そのお金があったら、もっと自然環境豊富な、子供の教育上もいい、環境のいいところに住めるんだ、いろいろな将来の新たなる日常に向けて、我々は地方への回帰というものを進めていく、一つ一つの努力が大事だ、このように考えております。

 さまざまな面で今、地方おこし隊始め、さまざまな方々が運動を展開していますけれども、今なお、まだその解消には至っていないということは、これは国家的問題として位置づけて、我々もありとあらゆる英知を結集して取り組んでまいりたい、このように考えております。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 それで、もう一つ、「日本列島改造論」の中で書いてあるのは、こういうことが書いてあるんです。

  ここで問題になるのは、明治の廃藩置県によってつくられた現在の府県制度との兼合いである。結論からいえば、現在の府県制度は行政区域としてはせますぎるし、行政単位としても国と市町村のあいだに立ってあいまいな性格をもっている。このため、こんごの経済発展と行政の広域化に対応しにくい。したがって、現行制度の改廃を含めて将来の府県制度のあり方を根本から検討する時期にきている。

 これも、まさに五十年前、田中元首相が言った話です。けれども、全く何もできていません。私は、こういう大胆な改革に取り組まないから、東京一極集中、地方衰退、これが続いているんだと思っているんです。

 そういう意味で、この間の大阪都構想、残念ながら否決はされましたけれども、本当に大都市制度に一石を投じるすばらしいチャレンジだったと思っています。それから、務台先生、先ほど御指摘されましたけれども、政令指定都市会が提言を出された特別自治市制度、これも大きな改革を目指したものだと思います。

 私は、こういった大胆な改革に取り組んでいかなければ、先ほど言った、日本の未来はないというふうに思っておりますが、その中で、平成二十五年の六月の第三十次地方制度調査会答申、ここで政令指定都市の話を出していまして、こう言っているんです。政令指定都市の規模、能力が高く、都道府県庁所在地であることも多いこと等から、政令指定都市と都道府県との実際の行政運営の中で、いわゆる二重行政の問題が顕在化している、こういうふうに指摘しております。

 この点について、総務省としては、現在、政令指定都市それから都道府県、この関係についてはどのような認識をお持ちでしょうか。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 いわゆる二重行政の問題でございますが、法令等で明確に役割分担が定められていない分野を中心に、例えば、都道府県側それから市町村側で同じような施設をつくる、あるいは、観光政策などのように重複的にソフト施策をするといったような問題はやはりあるんだろうというふうに思います。

 ただ、そういったものは、やはり都道府県あるいは市町村の間の現場の調整というか、そういった知恵で解決していくべき問題でございまして、先生御指摘いただきました三十次の地方制度調査会については、特に、指定都市と道府県の事務が競合し、あるいは両者間の事務処理に関する調整が整わない問題に対して、例えば政策を調整する場の法制化ですとか、そういったことの答申がなされたというふうに考えております。

 以上でございます。

井上(一)委員 二重行政というのは、これはもう間違いなくあるということで、この問題はやはり解決していかないといけないわけです。

 資料二でおつけしていますけれども、これは総務省の資料です。

 ここにおられる皆さんはもう御承知のとおり、政令指定都市の権限、これはほとんど都道府県と一緒のものだということはもう御承知のとおりです。残されているのは三つだけ。まだ細かいものはあるとしても、主なものは三つ。社会基盤に関する事務として河川の管理、それから教育に関する事務として学級編制、教職員定数の決定、それから治安、安全に関する事務ということで警察。権限としては大きくこの三つしかないわけです。ほかのあらゆる権限は、京都市を例にとれば京都市にあるわけです。

 それで、ちょっと次のページ、資料三で、各道府県における政令指定都市の選出議員、これをホームページから引っ張ってきて調べてみました。

 それぞれずっと書いてあるわけですけれども、例えば神奈川県。神奈川県には政令指定都市が三つあるわけです。そうすると、都道府県の議員数は百五人いるわけですが、政令指定選出議員数、四十、十八、八ですから、六十六人。過半数以上は政令指定都市の出身議員。それから、京都の場合でも、六十人のうち三十四人は政令指定都市、京都市出身。大臣の御出身の福岡でも、八十六人のうち三十九名、半数近くが政令指定都市の選出議員。

 政令指定都市の選出議員は、もうほとんどそこの政令市で権限は持っているわけですから、正直なところ、そんなに何かやることがあるのかという素朴な疑問がありまして、その点について、ちょっと大臣、答えにくいかもしれませんけれども、どういうふうに思われますか。

武田国務大臣 かねてから多くの方々がその点を指摘されているんですね。警察行政、河川、そして教員に関するこの三つの業務のためにどうして県会議員を政令市に置かなきゃいけないのか、これは本当に多くの意見が寄せられております。

 これは、投票価値の平等、人口比例によって議員が選出されるということ、投票価値の平等という観点から今その制度が導入されているんでしょうけれども、今から人口が減ってくる、そして行政のデジタル化が進んでくる、やはりありとあらゆる制度というものを国、地方ともどもに見直していかざるを得ないときがやってくるわけです。

 さまざまな状況に備えて、さまざまなシミュレーションをして、何が一番地域住民のためになるか、国民のためになるか、国民の負担を軽減することにつながるか、こうしたことを考えていかなければならない、こういうふうに思います。

井上(一)委員 大臣、本当にすばらしい答弁をありがとうございました。

 それで、その観点からいくと、先ほど務台先生も言われた政令指定都市会が出している提言の特別自治市、これは、以前にも特別市というのが地方自治法の中にあったんですけれども、それが消えてしまって今の政令指定都市になっているわけです。私は、この特別市の復活、いわゆる特別自治市をぜひやったらいいんじゃないかというふうに思っているんです。

 それによって、例えば、京都府の場合ですと、京都府の人口二百五十五万のうち、京都市は百四十万いる。もうそれは一つの形として独立する。それで、あらゆることは京都市で決めてもらう。残りの部分を京都府知事は専念するんだと。

 例えば、京都北部だったら、京都北部はどんどんどんどんやはり地方衰退というか、過疎が多いわけです。そういうところに、京都府知事は、京都市のことは京都市長がやってください、そのかわり、私は、京都、残ったところですね、残ったところのあらゆる課題に専念しますと。京都市の選出の京都府議はその分もう要らなくなるわけですから、もっと手厚く、例えば府議だったら地域に振り向けることができるかもしれない。それによって、あらゆる課題に細かく気配り、目配りできた議論ができるんじゃないか、私はこういうふうに思っているんですけれども、大臣、これについてもちょっと御答弁いただけないでしょうか。

武田国務大臣 第三十次地方制度調査会において、全ての都道府県、市町村の事務を一元的に処理する特別市について議論が行われました。

 その答申におきましては、その意義は認めた上で、周辺自治体に対する都道府県の行政サービス提供への影響について懸念が指摘され、都道府県から指定都市への事務と税財源の移譲を可能な限り進め、実質的に特別市に近づけることを目指すとされたところであります。

 政府としては、同答申を踏まえまして、県費負担教職員に関する事務等の指定都市への移譲とそれにあわせた税源移譲、指定都市都道府県調整会議の設置、総合区制度の創設などの必要な見直しを行ってきたところであります。

 大都市制度については、これまでも累次の地方制度調査会などで検討が行われ、必要な制度の見直しを講じてきており、そのあり方につきましては、これまでの検討経緯や制度の活用状況も踏まえつつ、慎重に検討すべき課題と考えております。

井上(一)委員 ぜひ、慎重にではなくて前向きに検討していただきたいというふうに思います。これはやはり日本の将来のための改革だと思いますので、大臣、実力者としてぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、続いて、外国資本による土地買収規制に関する質問です。

 先ほど言いましたように、私、京都北部なんですけれども、北海道とか対馬では外国人による土地買収の問題が報道されていますけれども、やはり京都北部を回っていても、外国資本によってこの土地が買われているのではないでしょうかというような不安を持っている方が本当にたくさんおられるんです。やはりこれは今の内閣として取り組まれるということは非常に私も評価したいと思います。

 まず、この間ですかね、九日の日にこれに関する有識者会議が開かれたというふうに新聞で見ておりますけれども、この政府の問題意識、それからどういうふうに検討していこうとしているのか、御説明いただきたいと思います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 外国資本によります防衛施設周辺等の土地の取得等につきましては、安全保障にかかわる重要な問題と認識してございます。

 骨太方針二〇二〇におきましても、「安全保障等の観点から、関係府省による情報収集など土地所有の状況把握に努め、土地利用・管理等の在り方について検討し、所要の措置を講ずる。」と閣議決定されたところでございます。

 内閣官房では、骨太方針二〇二〇を踏まえまして課題などの整理を行ってきてございます。

 その上で、担当の小此木大臣のもと、国際関係、行政学、民法、土地制度といった幅広い分野の専門家の方々から成ります有識者会議を設置いたしまして、去る十一月九日に第一回の会議を開催したところでございます。

 この第一回会議では、例えば、国民は目的が明らかでない土地取引に不安を感じている、あるいは、まずは土地の所有、利用状況の実態把握が必要、あるいは制度の検討に当たっては内外無差別を前提とすべきといった趣旨の御意見を頂戴したところでございます。

 本件は長年の懸案となっておりますので、政府といたしましては、有識者会議での御意見も踏まえながら、外国資本による取引に対象を限定せず、今後の政策対応の方向性についてしっかりと検討を進めてまいりたい、このように考えてございます。

 以上でございます。

井上(一)委員 今いろいろ言われた中で、やはりこの問題を考えるのが非常に難しいのが、内外無差別、いわゆる内国民待遇、GATSですね。貿易のルールの中で、日本は、諸外国の人に対しても、外国人に対しても日本人と同じようないわゆるサービスを提供するというようなことで、それはGATSということで決まっているんですけれども、外国資本の土地取得について、我が国ではこのGATSについてどういうような取扱いをしているのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。

田島政府参考人 井上委員の御質問にお答えいたします。

 我が国が締結している国際約束のうち、今御質問にありましたGATS、WTOのサービス貿易一般協定、それから投資協定、経済連携協定におきましては、サービスの貿易や投資活動について外国人や外国企業に対して日本人と同等の待遇を与える義務、いわゆる内国民待遇義務が規定されています。

 この観点から、日本人を対象とせず、外国人、外国企業のみを対象とした土地取得の規制を行う場合には、これらの国際約束との整合性に留意する必要があります。

 御指摘の安全保障のための例外に関しては、GATS及び我が国が締結する投資協定、経済連携協定に設けられておりまして、こうした例外規定に基づいて一定の措置をとることは妨げられません。

 ただし、いかなる措置がこれらの例外に該当し得るかについては、当該措置の具体的内容、必要性などを踏まえ、個別の規定に照らして検討して、ケース・バイ・ケースで判断する必要があります。

 なお、国際約束上、日本人及び外国人の双方を対象として合理的目的及び手段で土地の取引を規制するということは可能であります。

 いずれにいたしましても、我が国として土地利用、取得のあり方について検討することは重要であると考えておりまして、外務省としても、引き続き関係省庁と連携してまいりたいと思います。

井上(一)委員 今の説明では、GATSで原則としては内国民待遇、日本人も外国人も差別なく扱う、ただ、安全保障上の例外規定はある、そこは慎重な運用、取扱いが必要だということでありますが、やはり今の国際情勢を考えると、安全保障上の例外措置、これをやはりしっかり私たちも踏まえた対応をとっておかないと、私たちのこの大事な国土が本当に外国人にどんどんどんどん買われていってしまう、そういうような状況になってしまっているわけです。これを一刻も早く是正しなければならない。

 それで、諸外国でもこの外国人の土地買収についてはいろいろな規制を設けておるというふうに聞いております。アメリカでも、最近になって、外国投資リスク審査近代化法、FIRRMAと呼んでおりますけれども、このFIRRMAを改正して、CFIUS、対米外国投資委員会、これは略称CFIUSと言っておるんですが、ここが厳格な審査をして、外国人が土地を買う場合には、例えば防衛施設周辺だったら審査しますよ、こういうような仕組みを取り入れているわけです。

 この点について、ちょっと政府の方として把握している範囲で御説明ください。

河邉政府参考人 お答え申し上げます。

 米国における規制の一例といたしまして、本年二月に外国投資リスク審査現代化法の下位規則が新たに施行されたと承知しております。

 この規則によりますと、外国投資家による土地取引のうち、軍事・安全保障関連施設の近接地、周辺等における土地購入等が一定の条件のもとで投資審査の対象になることとなったと承知しております。

 近接地、周辺の範囲につきましては、施設の境界線から一マイル、約一・六キロでございますが、一マイルの土地を原則として対象としておりますが、施設の特性に応じて百マイルまで範囲を拡大することができることになっていると承知しております。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 そのように、アメリカはやはり厳格に外国人の土地買収について審査するという仕組みをつくっているということであります。

 新聞なんかを読んでいると、これはちょっと資料五につけているんですが、日本経済新聞に、赤線で引いたところであります、下の方ですけれども、「米国は土地取得を許可制にしており当局の判断で外資の取得を却下できる。米国はGATS加盟時に土地取得を制限する留保条項を付けたため厳格な規制が可能だ。」ということで、日本は留保条件をつけていないので厳しい措置がとれないんだというような見方にこの記事だけを読むと思えるんですが、これについてアメリカはどういう整理をしているんでしょうか。

河邉政府参考人 お答え申し上げます。

 米国がとっている規制内容と米国のGATSにおける留保状況との関係性については、我が国政府としてお答えする立場にはございませんが、米国は、GATSにおいて、連邦政府の所有する土地の初期販売を米国民に制限するなど、外国人の土地取得について留保を行っている、そういうふうに承知してございます。

井上(一)委員 私もこのアメリカのGATSに対する留保条件を調べてみたんですが、一部の州がそういった規制を設けているので留保条件をつけたということで、アメリカ全体として留保条件をつけているというふうな理解はしていませんので、日本も、留保条件はつけていないとしても、この安全保障上の例外規定を踏まえて、やはり厳しい措置をとることができるんじゃないかというふうに私は考えております。

 アメリカは先ほど説明いただきましたが、ほかにも、報道では、例えばイギリスやフランス、豪州、韓国等、いろいろな報道がありますけれども、それらの国では外国人の土地規制に関してどういうような仕組みを設けているか、御説明いただきたいと思います。

河邉政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の各国における規制状況につきまして、主なものを御説明申し上げます。

 イギリスにつきましては、外国人による土地取得に関する規制はないと承知しております。

 フランスにつきましては、自国民、外国人を問わず、国防の用途を理由に、私人の土地所有権を制限することが可能になっていると承知しております。

 オーストラリアでは、防衛エリアや防衛航空エリアを指定することによって、自国民、外国人を問わず、これらのエリア内の立入り制限、動産等の撤去が可能になっていると承知しております。

 中国では、自国民、外国人ともに、土地取得は認められていないと承知しております。

 また、韓国につきましては、外国人による軍事基地、軍事施設保護区域等の土地取得については、所在地を管轄する市長等の許可が必要になる、そういうふうに承知してございます。

井上(一)委員 ここで常々、いろいろな委員会でも疑問で出されていますけれども、やはり相互主義なんですね。

 日本人は中国の土地を買うことはできない。なぜかというと、中国は使用権しか認められていないからですね。誰も買えない。使用権しかない。けれども、中国の人は、中国では土地を買えないけれども、日本では土地が買える。どんどん買う。これはやはり相互主義の観点からしてもおかしいんじゃないか。これは当たり前の指摘なんですね。

 それから、韓国でも、軍事施設周辺の土地は買えないわけですね。けれども、日本に来たら買える。これはおかしいんじゃないか。

 こういった、国民一般的にも、これは誰もおかしいと思うんですよ。やはり、こういうようなおかしいと思えることをきっちり規制できるような仕組みをつくっておかないと、私は、政府のこの有識者会議の名前が国土利用の実態把握等に関する有識者会議で、実態だけ把握しておけばいい、まずは実態把握しようと。多分、これは大きな一歩ではあるんですけれども、正直なところ、国民の不安に応えるような仕組みにはならないと思うんです。

 ぜひ、そういった先ほどの米国のCFIUSじゃないですけれども、きっちり審査をして、これは国防上、安全保障上問題がある、影響があるといったものについては、やはり土地の売買をできない、規制する、そういう仕組みをぜひともつくっていただきたい。だから、法整備をそういうような法整備にしていただきたいということを強く希望しまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

石田委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。武田総務大臣。

    ―――――――――――――

 郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

武田国務大臣 郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 郵便の役務のなるべく安い料金によるあまねく公平な提供を確保するとともに、日本郵便株式会社と一般信書便事業者との間の対等な競争条件を確保するため、郵便業務管理規程の認可基準のうち郵便物の配達日数及び送達日数に係る基準の緩和並びに配達地により異なる額の料金を定めることができる郵便物の範囲の拡大を行うとともに、一般信書便事業についても同様の緩和等を行う必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、配達地により異なる額の料金を定めることができる郵便物の範囲を拡大するほか、日本郵便株式会社が郵便業務管理規程を定め、又はこれを変更しようとする場合における総務大臣の認可の基準のうち、郵便物の配達の方法に係る基準について、一週間につき六日以上郵便物の配達を行うこととされている規定を一週間につき五日以上郵便物の配達を行うことに緩和するとともに、郵便物の送達の方法に係る基準について、国際郵便を除いた郵便物を、差し出された日から原則として三日以内に送達することとされている規定を四日以内に送達することに緩和することとしております。

 第二に、一般信書便役務の定義等に関し、第一で申し上げた内容と同様の改正を行うこととしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.