衆議院

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第2号 令和3年1月26日(火曜日)

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令和三年一月二十六日(火曜日)

    午後四時四十三分開議

 出席委員

   委員長 石田 祝稔君

   理事 橘 慶一郎君 理事 寺田  稔君

   理事 冨樫 博之君 理事 松本 文明君

   理事 務台 俊介君 理事 岡島 一正君

   理事 岡本あき子君 理事 國重  徹君

      石田 真敏君    小倉 將信君

      金子万寿夫君    川崎 二郎君

      木村 弥生君    高村 正大君

      佐藤 明男君    斎藤 洋明君

      杉田 水脈君    鈴木 淳司君

      田畑 裕明君    高木  啓君

      谷川 とむ君    深澤 陽一君

      古川  康君    穂坂  泰君

      宮路 拓馬君    山口 俊一君

      奥野総一郎君    神谷  裕君

      田嶋  要君    高木錬太郎君

      武内 則男君    松尾 明弘君

      松田  功君    道下 大樹君

      宮川  伸君    山川百合子君

      山花 郁夫君    桝屋 敬悟君

      本村 伸子君    足立 康史君

      井上 一徳君    高井 崇志君

    …………………………………

   総務大臣         武田 良太君

   総務副大臣        熊田 裕通君

   総務副大臣        新谷 正義君

   総務大臣政務官      谷川 とむ君

   総務大臣政務官      古川  康君

   総務大臣政務官      宮路 拓馬君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  冨安泰一郎君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  巻口 英司君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            秋本 芳徳君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            竹内 芳明君

   参考人

   (日本放送協会会長)   前田 晃伸君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 松坂 千尋君

   参考人

   (日本放送協会理事)   林  理恵君

   参考人

   (国立研究開発法人情報通信研究機構理事長)    徳田 英幸君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十六日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     高木  啓君

  井林 辰憲君     深澤 陽一君

  奥野総一郎君     武内 則男君

  櫻井  周君     山川百合子君

  田嶋  要君     宮川  伸君

  井上 一徳君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     安藤 高夫君

  深澤 陽一君     井林 辰憲君

  武内 則男君     奥野総一郎君

  宮川  伸君     田嶋  要君

  山川百合子君     櫻井  周君

  高井 崇志君     井上 一徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

 国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、昨二十五日に終了いたしております。

 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。本村伸子君。

本村委員 日本共産党を代表して、地方交付税等改定案に対する反対討論を行います。

 新型コロナウイルス感染拡大により地方税の大きな減収が見込まれる中、減収補填債の適用を拡大する措置は、財源のやりくりに苦しむ地方自治体の強い要望に応えたものであり、妥当なものです。

 しかし、国税減収に伴う地方交付税総額の減額に対する加算のやり方は、国と地方の折半ルールを踏襲して、将来の地方交付税の財源を先食いすることによってつじつまを合わせるもので、賛成できません。

 地方交付税法は、毎年度の交付税総額の見積りは総務大臣の権限と責任であり、地方財政計画の策定は内閣の義務であることを規定しています。毎年度当初に見込んだ地方交付税の総額は、国の責任で確保するべきです。

 新型コロナウイルス対策を始め、今後、地方自治体が住民の皆様の命と暮らしを守る役割を一層果たしていくためにも、国の責任を明確にして、地方交付税総額の確保について、その在り方を見直すべきです。

 以上申し述べ、討論といたします。

石田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより採決に入ります。

 地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

石田委員長 次に、内閣提出、国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。武田総務大臣。

    ―――――――――――――

 国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

武田国務大臣 国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 将来における我が国の経済社会の発展の基盤となるビヨンド5Gの実現に不可欠な革新的な情報通信技術の創出を推進するため、国立研究開発法人情報通信研究機構について、高度通信・放送研究開発に係る助成金交付業務の対象を拡大するとともに、当該業務並びに情報の電磁的流通及び電波の利用に関する技術の研究及び開発に関する業務のうち一定の要件を満たすものに要する費用に充てるための基金を設ける必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、機構による助成金交付業務の対象について、高度通信・放送研究開発の一部から高度通信・放送研究開発の全体に拡大することとしております。

 第二に、機構は、令和六年三月三十一日までの間に限り、革新的な情報通信技術の創出のための公募による研究開発等に係る業務であって一定の要件を満たすものに要する費用に充てるための革新的情報通信技術研究開発推進基金を設けるものとし、あわせて、これらの基金の運用方法の制限や、基金を廃止する際の残余金の処理等について規定することとしております。

 第三に、機構は、基金に係る業務については、特別の勘定を設けて経理しなければならないこととしております。

 第四に、機構は、毎事業年度、基金に係る業務に関する報告書を作成して総務大臣に提出するとともに、総務大臣は、当該報告書に意見をつけて、国会に報告しなければならないこととしております。

 第五に、機構は、基金に係る業務の成果について評価を行った上で、当該評価に関する報告書を作成し、令和六年三月三十一日までに総務大臣に提出するとともに、その概要を公表しなければならないこととしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石田委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会会長前田晃伸君、日本放送協会専務理事松坂千尋君、日本放送協会理事林理恵君及び国立研究開発法人情報通信研究機構理事長徳田英幸君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官冨安泰一郎君、総務省国際戦略局長巻口英司君、情報流通行政局長秋本芳徳君及び総合通信基盤局長竹内芳明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岡本あき子君。

岡本(あ)委員 質問の機会をいただいて、ありがとうございます。

 一番最初に、コロナワクチンの、マイナンバーに関してちょっと伺いたいと思っています。

 コロナの関係で本当に最前線で頑張ってくださっている職員、関係者、全ての方々に感謝を申し上げます。また、お亡くなりになった方々に心から哀悼の意を表したいと思います。

 昨日、河野大臣が、コロナワクチン接種にマイナンバーを使うと公表されました。マイナンバーそれからマイナンバーカード、カードの方は総務省の管轄だと伺っております。

 マイナンバーカードとマイナンバーの違いが分からなくて、カードを持っている人しか接種できないんじゃないか、そんな不安の声も私のところに寄せられました。また、高齢者の接種に間に合うように、リアルタイムで把握をするという発言もあり、自治体から、詳細が分からないのにと困惑の声もあります。

 今日、内閣官房にお越しいただいておりますけれども、接種会場ごとに端末が必要になる、ならない、あるいは入力の体制が大丈夫なのか、スケジュールはどうなっているのか、財政負担はどうなっているのか、この点について、分かる範囲でお示しください。

冨安政府参考人 御答弁申し上げます。

 御質問ございました、ワクチン接種情報の管理に関するシステムでございますけれども、現在、河野大臣を補佐する小林内閣府大臣補佐官の下、ワクチン接種を円滑に実施するために、国として、マイナンバーの活用も含め、効率的に接種記録を把握できる仕組みが必要との考え方に立ち、検討を行っております。

 今先生からお話がございました、マイナンバーカードかマイナンバーかということで申し上げますと、マイナンバーの活用も含めて検討しているということでございます。

 このシステムにつきまして、例えば、引っ越し等で当初と異なる自治体での接種を行う際にも円滑に接種が行えるよう広域で対処する必要があるなどのニーズもございまして、そういうことも背景として、鋭意検討を行っているところでございます。

 また、現在既に厚生労働省あるいは自治体の皆様が取り組んでいらっしゃいますワクチンの配送ですとか接種の取組には影響を与えないように、そういうことを前提といたしまして、追加で新しいシステムの構築を検討しようとしているところでございます。

 また、財政負担、これにより発生するコストにつきましても、国が負担する方向で検討しております。

 このシステムの導入のスケジュールもございましたけれども、につきましては……(発言する者あり)

石田委員長 じゃ、もうちょっと大きな声でしゃべって。

冨安政府参考人 はい。失礼いたしました。

 このシステムの導入スケジュール、時期につきましては、現時点で確定的なことを申し上げられませんですけれども、先ほど申し上げました、現在既に厚生労働省あるいは自治体で取り組んでおられますワクチンの配送とか接種の取組には影響を与えないという前提でスケジュールを考えているところでございます。

 いずれにしましても、自治体の皆様の意見も聞きながら、検討を更に深めてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 自治体に負担をかけないという御答弁ですが、本当に信じられるかどうか。ちょっと、ここからに懸かっています。

 元々、各市町村が有する予防接種台帳というシステム、これはマイナンバーにひもづけしていいことになっていて、一部の自治体はつながっているんですね。

 ところが、河野大臣の発言を聞いていると、新しいシステムをつくるような発言がございます。自治体にもう一月十五日に手引が渡っていますが、予防接種台帳に入力をしなさいとまで書いているんですね。ということは、下手したら二つ入力しなさいということも起きかねないんです。なので、先ほど自治体に新たな負荷をかけないというふうに私は受け止めたので、その言葉どおり実行していただきたいと思います。

 これだけ各保健所、忙しくしているときに、人を雇って入力してもらうことも可能かもしれませんが、ただ、二つのシステムに同じ情報をそれぞれ入れなさいみたいなことになるのであれば、デジタル化に逆行することにもなりかねませんので、是非その点は頭に置いていただきたいと思います。

 メーカーからのワクチンがいつ承認になるのか、その後の追加になる承認もいつなのか、どのくらい来るのか、あるいは十六歳未満の方はどういう扱いになるのか、あるいは病気を持っている方々が、あるいは妊婦さん、授乳期の方々、ワクチンを受けていいのかどうか、それすらまだ、承認を受けていないので、一切情報が出てきておりません。

 報道では、十六歳未満は対象外じゃないかという報道がなされていますが、今、情報が全くない中で自治体が困惑しているのに、加えてこのマイナンバーの話が出ておりますので、少なくともマイナンバーに関しては、一切自治体に負担をかけない、むしろ楽になる、そういうメッセージを出して実行していただきたいと思います。

 この点、お答えいただけますか。

冨安政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、このシステムによりまして追加的に発生するコストにつきましては、国が負担する方向で考えたいと思っております。また、このシステム、なるべく効果的、効率的にと思っております。

 どのようなシステムになるか、今検討中でございますので、ちょっと確たることを申し上げられませんですけれども、自治体の皆様の作業の負担につきましても配慮しながら進めてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 資料五を配っております。これは予防接種台帳のことなんですが、右側の円グラフのちょっと下に、今、予防接種台帳というのは、一か月に一回程度入力をしているというペースでやっていらっしゃるところが七五%、随時やっているのは一七%にすぎません。しかも、データじゃなく紙で管理をしているところもまだ一割残っております。

 ですので、今まで紙だったところとかは、新たにシステムを入れたら入力の仕方から学ばなければいけないという点もありますので、是非、自治体の負担、御答弁いただいたところを信じたいと思いますので、よろしくお願いします。

 そして、総務省の方、もし大臣がお分かりになればですが、マイナンバーカードとマイナンバー、今、カードを持っていないと受けられないんじゃないかとか、いろいろな誤解が飛び交っておりますので、その点、カードとマイナンバーは別で、カードを持っている、持っていないに違いはあるのかないのか、私はないと思っているんですが、その点、もしお答えできる方がいたらお答えください。

武田国務大臣 御趣旨がちょっとよく分からぬのですが。カードというのは存在しますので。カードはカードでしょう。マイナンバーは、皆さんマイナンバーを持たれているわけですから。

岡本(あ)委員 マイナンバーカードを持っている人とマイナンバーカードを持っていない人でワクチン接種に何か違いがあるのか。カードを持っている方がメリットがあるとか受けやすくなるとか、そういうことにはならないですよねというところの確認をしたいと思っています。

武田国務大臣 それはないと思います。

岡本(あ)委員 ちょっと、総務省に伺うと、そのことも含めてまだ内閣官房の方で設計が見えていないんですが、カードを持っていないことで不利益になることがないようにはしたいということだったので、是非、総務省としても力強く、カードを持っているからメリットがある、カードを持っていない方が不利益を被る、こんなことは絶対ないということを総務省の責任で内閣官房にお伝えいただきたいと思います。

 この点です。もう一回大臣にお答えいただきたいと思います。

武田国務大臣 しっかりと内閣官房に伝えます。

岡本(あ)委員 ありがとうございます。

 それでは、国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案について伺います。

 今回、補正予算に組むということです。二点、ちょっと、なぜ補正予算でなければならないかについてお答えいただきたいと思います。

 一つは、やはり補正予算というのは、原点に立ち、当初予算にはなかったものを追加で、緊急に必要な場合、組む、これが補正予算の本来ではないかと思います。

 それから、このビヨンド5Gというのは、年度内に結果を出すものとも限りません。かなり長く見なきゃいけないものだと思っております。長期にわたって取り組むべき事業であるので、あえて補正予算で組まなきゃいけない、この理由をお答えいただきたいと思います。

 大臣、お願いします。

武田国務大臣 先生もお聞きになったと思いますけれども、我が国は相当な有能な技術を持っていながら、5Gでいろいろなところに後れを取ったという反省がございます。今の、中韓そして欧米主要国というのは、もう研究開発の競争が始まり激化しておる中において、我が国が国際競争力というものを確保するためには、今すぐ相当な覚悟と程度で研究開発に着手する必要があると思うんです。

 しかしながら、我が国の民間企業における研究開発投資については、やはりコロナのダメージ、影響により、鈍化というものが見られます。

 そこで、政府の支援というものが急務となってきたわけであって、このため、令和二年度第三次補正予算において、ビヨンド5Gの研究開発に係る所要の予算を計上したところであります。

岡本(あ)委員 政府が本気になって国際競争、国際協力の中で取り組んでいくんだという決意の表れとしてのタイミングだったということで受け止めさせていただきたいと思います。

 ただ、やはり、今のこの基金でいくと、二年、三年という期間設定はいかがかと思っています。また、規模も多分、世界をリードする諸外国は二桁上の規模のお金、研究開発費、兆円単位で使っていると思います。

 この三百億円という金額、それから、まずは二年でというこの設定はどうしてなんでしょう。

武田国務大臣 ビヨンド5Gの要素技術というものを早期に確立するためには、立ち上げ期、この初期の二年が特に重要ではないかなと考えております。この間は、年度をまたいだ研究計画の変更など柔軟な研究活動の実施が不可欠であることから、弾力的な支出が可能な基金により対応することとまずはいたしました。

 もちろん、二〇三〇年頃のビヨンド5Gの実現に向けては、御指摘のように継続的な取組が必要と考えておりまして、今般の基金を含め、電波利用料も更に活用しながら、当面五年間で一千億超の予算確保を目指し、研究開発というものを積極的に後押しをしてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 今回は、まず補正予算ということで三百億で、更にしっかり上積みをして、当初予算、更にその先も見据えた形で予算設計と研究開発の促進に取り組んでいただきたいと思います。

 ちょっと懸念だけ申し上げますけれども、これは御答弁は結構ですが、補助金を外郭団体に委託をして、外郭団体が助成をする。残念ながら、ちょっとコロナの関係とかでも、補助金を丸投げをして、その先がよく分からない、そういうことも、総務省ではないですけれども、事例がございます。

 ですので、この基金の助成の審査、それから実際、事務、今まではここの機構はやったことがないんじゃないかと思います。体制も必要ですし、そもそもスキルがあるのかというところも疑問が残っております。基金を積んだから後はお任せではなくて、しっかりと、適宜検査、検証できる仕組みも構築をするということを申し伝えたいと思います。これは時間の関係で答弁は結構です。

 5Gにおいて、先ほど御答弁でも、日本が世界に遅れたとおっしゃっておりました。ビヨンド5Gでは世界をリードしていくんだという決意がございました。日本の強みというのは一体何でしょうか。お答えください。

武田国務大臣 やはり技術力にほかならないと思います。あと、優秀な人材ですね。

岡本(あ)委員 技術力と優秀な人材、強みなのに5Gはなぜ負けたんでしょうか、今の御答弁ですと。

武田国務大臣 いろいろな要因があると思うんですけれども、やはり競争に対して安易に考え過ぎていたんじゃないかなと思うんです。

 やはり、諸外国というのは物すごく露骨に攻めてくる。そうした競争の中に対して、日本は競争意識というものにちょっと、かち込んでいくんだというか、勝っていくんだという気概というものがちょっとなかったのではないかなという感じが私としてはいたしております。

岡本(あ)委員 先ほど、人材と技術力、ここは是非期待をしたいと思いますけれども、なかなか環境という面では、日本は非常に、研究開発、厳しいのかなと思っています。今回、そういう意味で、研究開発に政府が本気で取り組んでいくんだという決意なんだと思いますので、是非実行力を上げていただきたいと思います。

 今、5G、取り組まれていますけれども、これは民間の市場経済に任せていると、結果として、日本全国のエリアまでカバーするというのはなかなか時間がかかるものだと思います。総務省で、そういうところも踏まえて、条件不利地域に関してはローカル5Gとかいろいろな手だてを考えていると思いますが、同じように、これはビヨンド5Gでも起こり得るものだと思います。日本全国、まあ世界中もそうですけれども、少なくとも日本全国で同じように享受できる環境がなければ、通信の技術はある、内容も整った、世界のトップに行ける、でも日本人が利用できない、そんなことがあってはならないと思います。

 条件不利地域に対して官主導でインフラ整備、ビヨンド5Gでも想定をして、同時並行あるいは先んじてでも取り組むべきじゃないでしょうか。いかがでしょう。

竹内政府参考人 お答え申し上げます。

 5Gの全国整備は重要な政策課題でございます。

 5Gの早期の全国展開を図る観点から、二〇一九年四月の5G周波数の割当てに当たりまして、従来の人口カバー率重視の考え方を変更し、全ての携帯電話事業者に対して、都市、地方を問わず、早期かつ広範に整備することを条件といたしました。

 携帯電話事業者四社の計画を合わせますと、二〇二三年度末の5G地域カバー率が九八%となることが見込まれております。

 総務省では、5Gの整備を更に加速するため、5G投資を促進するための税制支援措置や、過疎地などの条件不利地域における基地局整備支援のための補助金といった予算措置を講じており、こうした取組により、5Gエリア展開を急速に進め、二〇二三年度末までに、当初計画の約四倍となる約二十八万局の5G基地局の整備を見込んでおります。

 また、5G全国展開において重要となる光ファイバーの整備については、本年度第二次補正予算により五百億円を超える予算を計上いたしまして、来年度末までに、市町村が希望する全ての地域で着実に整備を進めることとしております。

 総務省としては、情報通信基盤の全国整備をスピード感を持って推進してまいります。

岡本(あ)委員 5Gの取組、今伺いました。

 ビヨンド5Gについても同じように、あるいは先んじてでも、不利地域の通信基盤の整備というところを視野に入れるべきじゃないでしょうか。その点はいかがでしょう。

竹内政府参考人 お答え申し上げます。

 ビヨンド5Gの実用化の時期は、約九年後、二〇三〇年頃が見込まれております。

 ビヨンド5Gにつきましては、まずは基盤技術をつくっていこうという段階でございますけれども、このビヨンド5Gの早期展開を図っていく上でも、まず5Gの全国展開をきちんと進めておくという、5Gの展開戦略というものをきちんと遂行してまいりたいと思っております。

 その基盤の上に立って、技術が確立したビヨンド5Gについてやはり全国展開を戦略的に進めていくということで、その技術の確立を踏まえつつ、全国展開の具体的な計画というものをしっかり作ってまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 よろしくお願いします。

 研究開発費が、政府負担割合、OECD平均で、日本というのは低い状況にあります。今回、先ほどから官で責任を持ってということを強調させていただいておりますし、その心意気なんだと思いますけれども、最初の基金は政府で用意するけれども、後々は民間で用意しろよ、そのウェートを高めていく、そういうことではなく、官がしっかり責任を持つんだということで間違いないでしょうか。もう一度お答えください。

巻口政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、OECDの調査によれば、我が国における研究開発費における政府負担割合は約一五%ということで、OECDの平均を下回っているところでございます。

 我が国が持続的な経済成長と社会的課題の解決の両立を図っていく上では、研究開発費について、例えば、民間等では十分な研究開発投資がなされないもの、研究開発が進展した場合には大きな社会的、経済的効果が期待されるものなどにつきまして、政府として必要な投資を行っていくことが不可欠であると考えており、菅総理の施政方針演説におきましても、五年間で約三十兆円の政府研究開発投資が目標として掲げられたところでございます。

 総務省といたしましても、今般の基金を含め、電波利用料も活用しながら、当面五年間のビヨンド5Gの研究開発に必要となる一千億円超の予算の確保を目指すことを始めとして、情報通信分野における研究開発投資に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

岡本(あ)委員 今日はNICTの理事長にもお越しいただいているかと思います。ありがとうございます。

 先ほど総務大臣からは、技術力と人材だという話でございます。是非、やはり日本人の研究者というところにどんどん力を入れていただきたいと思います。

 資料二では、残念ながら、日本では、課題として、若手研究者を取り巻く状況が厳しくて、研究者の魅力が低下をしているといういろいろなデータがございます。

 資料三の一なんですが、これはNICTさんの公開している、ディスクロージャーのデータになります。研究員、ちょっと下の棒グラフを見ると、若手研究者がほとんどいなくて、しかも給料も厳しいというのが現実なのかなと思っておりまして、制度を調べたら、国家公務員の給与に準ずるという項目を見つけました。

 研究者として、NICTさん自ら、やはり研究者の処遇というのを考えたときに、単純に国家公務員の給与体系で本当にいいのだろうか、特に若手研究者というところに日を当てるとすると、もうちょっと独自性というのもあってもいいんじゃないかとつい思ったものですから、理事長から、研究者の育成、まず自分の機構の中での人材育成についてもしお考えがあれば、お示しください。

徳田参考人 お答え申し上げます。

 中長期目標において、総人件費、給与水準に関しまして、政府の方針や国家公務員の給与水準を十分考慮し、適切な水準を維持するものとされております。

 NICTでは、こうした目標を踏まえまして、職員の給与については、国家公務員の給与水準も参考にしながら、職務内容や責任の度合いなどに応じて処遇することといたしております。

 研究員の給与水準につきましては、先端的な研究分野の民間の給与水準も十分考慮しまして、研究員の人材確保のため、例えばAIなどの重要プロジェクトを指定しまして、当該分野の研究者に対しましては能力や実績を踏まえて処遇するなどの工夫を行っております。

 また、おおむね五年の研究期間の後、審査を経てパーマネント職員に移行できるテニュアトラック研究員制度、特に若手の研究者を対象としておりますが、テニュアトラック研究員制度の推進や、魅力ある研究環境を整えることなどにより、若手研究員を始めとした優秀な人材の確保に努めております。

 以上でございます。

岡本(あ)委員 残念ながら、NICTさんも、今募集しているのを、ちょっと採用情報を拝見したんですが、テニュアトラックも今の時期は募集をされていないというのもあって、全て一年以内の有期研究者になっています。

 ノーベル賞を受賞された方々、おおむね三十代にその研究に着手をして、十数年かけてノーベル賞を受賞しているという実績があります。ちょうど三十代、若い世代の方々が一年任期や三年任期で次の職を探すような繰り返しで本当に研究者が育つんだろうかという疑問を非常に感じております。

 しかも、これから世界と戦っていく研究者を育てようという中で、一方で、過去に働き方改革の議論をしたときに、高プロとかそういうことで、世界で戦っていくんだという話を前に当時の厚労大臣から言われましたが、それでも一千万ですね。諸外国は二千万でも三千万でも引っ張っていくような、技術者、研究者の取り合いになっているときに、今のこの環境では、なかなか日本で世界と戦える研究者が、特に基礎研究、長くやらなきゃいけない研究、こういう分野の人材が育つのかというのは非常に疑問に思っております。

 今日、ちょっと資料はつけられませんでしたが、中央省庁の審議会の委員さん、確かにいろいろな国の意思決定に携わる方々ですが、この方々が、大体、常勤の方で一千八百万の処遇でございます。年齢を見ると、六十代中から後半の方々が多いです。一人一人は確かに優秀な方ですけれども、若い、これから日本を引っ張っていく、世界のトップに立つような人にこそ、その方を下げろとは言わないですが、比べても、若手を育てていくということを本気で考えられるような環境が必要なのではないかと思います。

 これはNICTを所管をしている総務大臣に伺いたいんですが、特に通信分野、情報通信は本当に世界の最先端に行かなければいけない分野です。そこの若手の研究者、単純に国家公務員のちょっと年功序列にプラスしたような処遇でいいのかというところは、是非機構さんとも相談をして、研究者を本気で育てていくんだ、そういう処遇も考えるということも必要なんじゃないかと思います。総務大臣はいかがお考えでしょう。

武田国務大臣 ちょっとその件にお答えする前に、先ほど、技術の中で、やはり我が国の強みというのは、超高速大容量通信、テラヘルツ波無線技術、また光ネットワーク技術というような件で技術的優位というものを確立しておるということをまずは御説明をさせていただきたいと思います。

 今、NICT徳田理事長の方からも御説明ありましたし、理事長を始めスタッフの皆さん方が一番その件で頭を抱えているんじゃないかなと思います。

 データ、そしてまたいろいろな環境等で相当な経費というものをかけなければ、国際競争力、勝っていけないんですけれども、これは、この分野のみならず、日本がちょっとみんなで見直していかないかぬのは、もうちょっと日本も人材に金をかけないかぬということだと思うんです。これは全ての分野に言えると思うんです。国際競争力に負けてきたありとあらゆる分野を検証してみたら、やはり絶対的な投資額が日本は少な過ぎるんですね。

 官民結束して、それぞれの役割分担を決めて、総力で今からはこのビヨンド5Gの問題には臨んでいく、そして、これにはお金がかかるんだ、投資が必要なんだということをしっかりと理解して進めていく、このことが重要だ、このように考えております。

岡本(あ)委員 力強いお言葉をいただきました。是非これは閣議でも発言をしていただきたいと思いますし、政府を挙げて日本の研究者、人材を育てていくんだということを進めるための一つのきっかけとしてこの提案を受けたいと思います。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、松尾明弘君。

松尾委員 立憲民主党の松尾明弘です。

 私からも、今回の国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案について、NICTにビヨンド5Gの研究開発を促進する競争的資金として設ける基金、この本基金についてお伺いをいたします。

 先ほども大臣の方から、もっともっと人材に投資をすることが必要だという御発言がありました。本基金も、ビヨンド5G、いわゆる6G通信に向けた革新的な情報通信技術の創出のための研究費用に充てるものとされています。

 本基金の総額は、現時点では三百億円というふうに予定がされています。先ほど、岡本委員からもお話ありましたが、私も、これはもう二桁、桁が違うんじゃないかというふうに考えています。

 6Gの通信技術の開発競争は既に世界中でスタートをしています。その相手は巨大なIT企業、GAFAと呼ばれる企業であったりとか、5Gで既に通信機器のシェアが高いファーウェイとかエリクソンとかそういった企業が相手となってまいります。

 資料一を御覧ください。

 これは研究開発費の一覧を並べてあります。これを見ても、二〇一九年度、アルファベット、グーグルの持ち株会社だと約二・七兆円、アマゾンだと約三・七兆円、ファーウェイでも二兆円、サムスン一・九兆円、エリクソンも比較的少ないといっても四千八百億円です。各社これだけの研究費を投じています。

 国内に目を向けてみると、情報通信分野で一番多いと言われているNTTであっても約二千億円ということです。全てがもちろん6Gの基礎研究ではないにしても、ファーウェイとNTTで約一・八兆円もの差があります。

 これを考えると、日本の企業、日本が主導権を握っていくということを考えると、三百億円という今回の予算、規模感、余りにも少額ではないかというふうに私は思っています。この規模感を埋めていく、各国とのギャップを埋めていく、そのような方法について、この規模感や意義について大臣のお考えをお聞かせください。

武田国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 今回、このケースで基金化を図ったということ、これは重いと私は考えております。これは、毎年毎年の予算で審議してやっておったりして柔軟性がなくなったら、競争にはとても勝てる環境にはないと思うんです。

 財政当局と原局との方で熱心に議論を重ねて、最初の初年度は三百億円ということになったんですけれども、これはあくまでも呼び水というか第一歩というか、そう私も考えております。

 先生おっしゃるように、丸が何個か違うんじゃないか、そのとおりだと私も思うんですね。ですから、今から具体的に計画を練って、何に対してどれだけの金額が要るんだ、投資額が要るんだということも具体的にしっかりと検証しながら、国際競争力に勝っていかなくてはならないというふうに思っております。

 研究開発の立ち上げ期におけるまた民間自らによる研究開発投資というものも促進されることを期待していかなくてはならないわけでありますけれども、今後ともしっかりと、一千億を超える予算の確保を目指し、研究開発を積極的に推し進めてまいりたいと考えております。

松尾委員 分かりました。

 それでは、続きまして、資料二を御覧ください。

 6Gに関する、ビヨンド5Gに関する国の戦略として、昨年、令和二年の六月三十日にビヨンド5Gの推進戦略がまとめられました。その一部、頭だけを資料二として配付をしています。しかし、ここの日付を見れば分かるように、六月です。もうそれから既に七か月が経過をしてしまっています。

 情報通信の世界は、ドッグイヤーと言われるぐらいに技術の進歩が速いと言われています。それにもかかわらず、この七か月間、ここから手つかずのまま置いておいたというのは、もう遅きに失しているのではないかというふうにも言わざるを得ません。基金という形で、様々、柔軟に対応するというふうにもおっしゃっていましたけれども、もっともっと速く進める方法があったのではないかというふうに思っています。

 なぜこのように時間がかかってしまったのか、そして、これからどのようなスケジュール感、スピード感を持ってやっていくのか、お考えをお聞かせください。

巻口政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、昨年六月にビヨンド5G推進戦略を策定をいたしました。それを受けまして、関係者などからのヒアリングなども行いつつ、また、今回の基金に係る準備も進めるとともに、昨年の十二月には、産学官の連携体制でありますビヨンド5G推進コンソーシアムなど推進したところでございます。それを受けまして、今回の基金という形で研究開発を精力的に進めていくという体制を整えたところでございまして、これに基づきまして、国際競争力、打ちかつための研究開発を力を入れて進めてまいりたいと考えております。

松尾委員 今のお答えで今までのことは分かったのですけれども、もう一つ、私からの質問で、これからどのようなスピード感を持ってやっていくのかというところについてもお聞かせください。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 今回、この基金の設立をお認めいただけましたら、早速公募にかけまして、既に、コロナ禍の下で、中小、ベンチャーも含めて民間企業の研究開発意欲があるところがこの基金を待っておりますので、至急公募にかけまして、研究開発を促進して進めてまいりたいと考えております。

松尾委員 ありがとうございます。

 そうしたら、この基金による研究開発の評価についてお伺いをしたいというふうに思っています。

 先ほど私の方からも、三百億円という金額が少額ではないかというお話もさせていただきましたが、とはいえ、三百億円というのは非常に大きな金額でもあり、その原資は皆様からお預かりしている税金でもあります。これがきちんと使われて、適正に使われることが必要だというふうに考えています。

 今回の法改正によって、NICTが助成する範囲について、これまでの、成果を用いた役務の提供又は役務の提供の方式の改善により新たな通信・放送事業分野の開拓に資するものという制限が外れ、広く基礎研究も含めて研究の対象となることとなりました。

 これまで応用研究に対してのみ助成をしてきたNICTが、これまでやっていなかった基礎研究分野について、助成金の交付の是非をきちんと審査をして、研究の成果を適切に評価できるのでしょうか。新しい分野の評価のために人員を強化したりとか、又は違う方法を取ったりするのでしょうか。その審査、評価体制の変更について教えてください。

巻口政府参考人 お答え申し上げます。

 NICTは、情報通信分野におけます我が国唯一の国立研究開発法人でございまして、ビヨンド5Gの要素技術につきましても、自ら研究を行うことなどにより、既に豊富な知見を有しているところでございます。

 今回の基金を活用して実施します研究開発案件の採択の評価に当たりましても、ビヨンド5G分野に豊富な知見を有するNICTが事務局となり、また、高い見識を有する有識者に加えまして総務省も参画するなど、万全の体制を整備する予定でございます。

 また、評価の基準等の詳細につきましては、外部の有識者による御意見も聞きつつ採点方式による評価を実施し、効果的な研究開発が実施されるよう設定してまいりたいと考えております。

松尾委員 万全の評価体制を取られるというのは非常に望ましいと思っています。

 その評価基準について、採点方式で行うということでしたけれども、具体的なその評価基準というものがどういったものか教えていただけますか。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 詳細につきましては、これからNICTあるいは有識者の皆様とも相談をさせていただきながら定めていきたいと思っておりますけれども、具体的な研究の成果、どのぐらいの期間をかけてどのような成果が上がってくるのかという、それぞれの公募の内容を見て判断していくことになるかと思います。

松尾委員 ありがとうございます。

 一般論としては、こういった基礎的な研究に対する評価というものが非常に難しいということは私自身も理解はしております。ただ、その評価の基準が、例えば、有識者の方によって、革新的であるとか先進的であるとかそういった定性的な評価だけでやると、それが本当に適正なのかどうかということをどうやって担保するんですかという話になってくるんですね。

 ですから、その評価の基準の中においては、例えば、論文が何本提出された、どれだけ引用された、特許権の出願がどれだけなされた、そういった定量的な評価を入れるべきではないかと考えていますが、いかがでしょうか。

巻口政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のありましたような点につきましても、応募してくる研究者のこれまでの実績なども踏まえて評価していきたいと考えております。

松尾委員 ありがとうございます。

 それでは、少し話が変わりまして、今回の国際標準化、ビヨンド6Gの点についてお伺いをします。(発言する者あり)ビヨンド5Gですね、失礼しました。

 資料五を御覧ください。

 これは、ビヨンド5Gの推進戦略ロードマップ、総務省の方で公表されたものです。今回の法改正であり本基金の創設を基礎づけるものとして発表されました。

 この中の中段において、研究開発戦略と並び、知財・標準化戦略というものの中で、国際標準化活動というものが挙げられています。ここで言っている国際標準というものは、具体的にどのような状態になるということを想定し、目標としているのでしょうか、お教えください。

武田国務大臣 5Gまたビヨンド5Gなどの国際標準化とは、一般に、国際的な標準化団体である3GPPやITUなどにおいて規格として技術が規定されることを指しております。

 ビヨンド5Gにつきましては、我が国企業の海外市場参入機会の創出、またサプライチェーンリスクの軽減の観点から、我が国技術の国際標準化を進めることは極めて重要と我々は考えておりまして、総務省では、ビヨンド5Gの国際標準化に向け、令和二年六月にビヨンド5G推進戦略を策定し、まずは、国際共同研究などを通じ、戦略的パートナーとの連携体制の構築を進めるとともに、二〇三〇年時点におけるビヨンド5Gの必須特許数シェアの一〇%以上の獲得を目指すことといたしております。

 また、体制面から国際標準化及び知的財産権の取得を支えるため、昨年十二月にビヨンド5G新経営戦略センターを設立し、産学官一体となって戦略的に取り組む体制を整えたところであります。

 さらに、本法案で設置することとなる基金では、研究開発支援対象の募集に対して、標準化活動への取組に関する計画の提出を求めることとしており、支援対象企業・研究機関による国際標準化の取組を促すこととしております。

松尾委員 ありがとうございます。

 ごめんなさい、私が聞いた質問は、国際標準化、国際標準を日本が取っているというのはどういう状態なんですかというのが質問だったんですけれども、今のお話の中だと、特許のシェアで日本がトップシェアを占めるであったりとか、存在感を示すとか、そういうことが目標になるんでしょうか。

武田国務大臣 まさに御指摘のとおりだと考えております。

松尾委員 ありがとうございます。

 ビヨンド5Gでそのような状態を目指していくのは非常に重要なことだというふうに私も思っています。

 資料三を御覧ください。

 これも同じようにビヨンド5Gの推進戦略の一部を抜粋したものであるのですが、この一番頭に、展開戦略の考え方として、ビヨンド5Gの早期かつ円滑な導入の実現には、5Gがあらゆる分野や地域において浸透し、徹底的に使いこなされているビヨンド5Gレディーな環境を早期に実現することが必要であるというふうにされております。しかし、残念ながら、日本は5Gの浸透というものは諸外国に比べると一歩遅れているのではないかというふうにも言われております。

 続けて、資料四の円グラフを御覧ください。

 こちらは、主に5Gの携帯電話の基地局市場の状況、右側の円グラフが世界のマーケットとなっております。基地局の世界シェアにおける日本企業の占める割合は……

石田委員長 ちょっと大きくしてください。ちょっと聞こえにくいから、大きな声で話してもらうと。ちょっと背が高いから、マイクがね。

松尾委員 はい。

 資料四を御覧ください。

 これは携帯電話基地局の世界市場、右側が世界市場なのですけれども、日本の企業を挙げますと、NECが〇・七%、富士通が〇・六%で、トータルで一・三%にとどまっています。5Gに関連する、標準化に関連する必須特許出願件数であったりとか標準化団体への寄与文書提出件数でも水を空けられている、そんな状況になっております。

 先行者が特に優位となるこの情報通信産業の特性を踏まえると、スタートダッシュが大切だという先ほどの大臣の発言、私も同意するところです。しかし、実際に5Gでは後れを取ってしまっており、ビヨンド5Gで同じ轍を踏むわけにはいかないというふうに考えます。5Gのこのような現状を踏まえ、6Gでは必ず国際標準化を実現するんだという戦略についてお聞かせください。

武田国務大臣 ビヨンド5Gの国際展開に当たっては、まずは海外市場参入機会というものをしっかりと創出しなきゃならないと思います。そして、そのためにまた国際標準化や知的財産権の取得というものに積極的に取り組んでいく、まずはこのことが重要だと思います。

 それに加えて、ビヨンド5Gが最初から世界で活用されることを前提としたグローバルファーストの方針の下、各国・地域が抱える様々な課題を解決する世界規模での利活用を当初から念頭に置く、このことが重要になってくるのではないかと考えております。

 そのため、具体的には、ビヨンド5G推進コンソーシアムを通じた有志国との国際的なアライアンスの形成、また、ビヨンド5Gに関する国際カンファレンスの開催などに積極的に取り組んでいきたいと考えております。

 そうした場を活用しながら、5G国際展開に向けて今後とも取り組んでいきたいと考えております。

松尾委員 すばらしい方針だというふうに思っています。しかし、5Gのときも、恐らく同じような議論があったのではないかなというふうに思います。5Gのときも、5Gに関する研究開発及び標準化に関する調査研究を行う産官学合同の第五世代モバイル推進フォーラムというものが設立されています。ただ、結果としては先ほど述べたとおりです。

 5Gではできなかったけれども、ビヨンド5G、6Gでは実現できるんだ、この違いは何なのか、教えてください。

武田国務大臣 まずは、反省も含めた教訓というものがあるということが一番大きいのではないかと思いますし、やはり相当、技術者の皆さん方も研究者の皆さん方も、悔しい、歯がゆい思いをされたと思うんですね。それがばねになって、今から全ての分野で協力しながらいけば、必ずや、私は、国際競争力に打ちかつだけの気概と能力を我が国は持っている、このように確信しております。

松尾委員 ありがとうございます。その気概と能力を最大限発揮するためにも、もっともっと支援をしていきたいなというふうに思うところです。

 そうしたら、今回の基金による助成の対象者について少しお伺いをします。

 本基金は、民間の企業、その研究に対して支援をするための助成だというふうになっております。本基金が助成をする対象となる民間事業者、どのようなものを想定されているでしょうか。

 資料六を御覧ください。

 先ほどの大臣の答弁の中にもありましたビヨンド5G新経営戦略センターのキックオフシンポジウム、この案内の紙をつけております。

 これは、パネルディスカッションが行われているのですが、パネリストとして登壇するのは、大臣始め総務省の方や学識経験者の方、学者の方、それに加えて企業の方も入っています。ただ、そこに並んでいるのは、NECであったり、富士通、NTT、NTTデータや楽天モバイルといった大企業が並んでいます。

 少ないとはいえ、総額三百億円の助成金、それが何者かに分かれたとしても、億単位の助成を受けて、レバレッジを利かせて、何倍もの研究開発費としていくことになります。しかも、すぐに収益化するわけではない基礎研究であるということを考えると、それなりの体力があるところでしか、この助成を受けて研究をするということはできないのではないでしょうか。

 しかし、その一方で、本基金の目的でもある革新的情報通信技術、これを創出するためには、やはり裾野を広くしていき、幅広く知恵を集中させる、これが何よりも肝要であるというふうに思っています。

 そこでお伺いしますけれども、本基金による助成の対象事業者、具体的にどのようなところを想定されているのでしょうか、お願いします。

武田国務大臣 委員の御指摘というのは、何だこれは、大企業、またでかいベンダーばかりであって、スタートアップ企業とか、技術シーズを創出する大学、中小、ベンチャーというのは全く入っていないじゃないかという御指摘だ、このように承っております。

 我々、求めないかぬのは、やはり多様なプレーヤーの研究開発力というものを結集しなきゃいかぬということが重要だと思っております。様々な研究機関というものがこれは対象となってくるんだろうと思いますけれども、この基金で実施する研究開発の公募においては、技術力を有する大学や中小、ベンチャーなどによる研究開発を支援するプログラムの実施というものも想定しておりまして、多様なアイデアからイノベーションを生み出す仕組みというものを今からつくり上げていきたいと考えております。

松尾委員 そのプログラムというものは、今から内容を精査していくものなんでしょうかね。もうあるものなんですか。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 現在考えておりますものは、ビヨンド5Gに求められる技術分野を定めて、それをトップダウン的に支援するというものもございますし、あるいは、国際共同研究的なものを進めていくプログラムもございます。また、特にベンチャーとか中小とかいったものを対象にするものとしましては、シーズ創出型プログラムというものを考えておりまして、基礎的あるいは基盤的な研究や技術の市場化、スケールアップを目指し、ボトムアップ的に出てくるものを支援していくといったことを考えております。

松尾委員 ありがとうございます。

 そうしたら、ちょっとまた大臣の口からも、中小企業であったりとかベンチャー企業の、スタートアップ、シーズの技術をきちんと育てていくために、きちんと別枠で支援をしていくんだということをお聞かせいただけますか。

武田国務大臣 そうした有能な技術、能力を持った方々が生きれる、生かす、そうした環境づくりにしっかりと努めていきたいと考えております。

松尾委員 ありがとうございます。

 それでは、少しまた違う話をお伺いします。

 このように、ビヨンド5G、次世代の通信技術については、他の研究機関においても研究がされているということだというふうに思っております。

 具体的には、経済産業省が所管をしている国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、略称NEDOと言われているところ、ここにおいても、ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業というものが行われていて、先導研究として、ポスト5Gでは実用化に至らない可能性があるものの、ポスト5Gの後半から5Gの次の通信世代にかけて有望と考えられる技術課題について、先導的な研究開発に取り組むとされています。そして、この事業には全体で千百億円の予算がつけられております。

 同じようなことを複数のところでやっても、やはりお金の無駄になってしまいます。このNEDOでの研究開発と、本基金、NICTによる助成、これは一見すると重複するかのようにも見受けられるのですが、NICTとNEDOとの間のすり合わせ、調整についてはどのようになっているのでしょうか、お答えください。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 NEDOの基金を活用しました研究開発の対象は、現行の5Gが超低遅延でありますとか多数同時接続等で機能強化されました、いわゆるポスト5Gというものでございまして、通信規格としましては、現行の5Gの範囲内にとどまるものであると承知をしております。

 一方、今般の基金は、二〇三〇年頃の実用化が見込まれますビヨンド5Gの実現に向けて必要となる要素技術の研究開発を対象としたものでございまして、NEDOのポスト5G基金とは対象が異なっているものだというふうに考えております。

 ただ、しかしながら、ビヨンド5Gの一部要素技術の確立に当たって、ポスト5G基金の成果が活用されるということも十分考えられます。

 したがいまして、双方の事業につきまして、総務省と経済産業省の間で情報共有を行うなど連携をしまして、効率的に進めてまいりたいと考えております。

松尾委員 ありがとうございます。

 また少し毛色が変わりまして、今回のNICTの基金による助成によって様々な研究開発が行われることによって、知的財産権、これが生まれてくるというふうに思っております。

 知的財産権は、基本的には、こういった助成においては受託者、事業者の方に帰属をするということは承知はしているのですけれども、やはり、税金が一部原資となって生まれた知的財産権、有効に活用してもらわなければいけないというふうに考えております。

 この知的財産権が有効に活用されるために、どのような仕組みを考えているのでしょうか。例えば、審査のときにきちんと知的財産権の活用について誓約を取っていくとか、その知的財産権が事後的に活用されなかった場合にはその権利を移転できるような仕組みにするとか、様々考えられると思いますが、何かお考えがあるようでしたら教えてください。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 基金の事業では、NICTから民間企業に対して委託それから助成という研究開発を想定しているところでございます。

 委託につきましては、いわゆる日本版バイ・ドール制度と呼ばれます国の委託研究開発における知財の取扱いを定めた制度に基づきまして、知財に関する報告義務であるとか、知財移転の事前承認義務などの一定の条件を前提に、研究開発による知的財産権は民間企業などに帰属するということになります。

 また、助成につきましては、そもそも民間企業が研究開発主体ということでございますので、研究開発による知的財産権は原則民間企業に帰属するということになります。

 それで、お尋ねの点でございますが、いずれにしましても、今般の基金で生み出された知財につきましては、研究開発を実施した民間企業等に帰属するわけでございますが、昨年十二月に設立しましたビヨンド5G新経営戦略センターとも連携をいたしまして、例えば、基金で生み出されました知的財産権を活用したいというふうに考える企業等とのマッチングを行うなど、知的財産権が有効に活用されるような取組を進めてまいりたいと考えております。

松尾委員 ありがとうございます。

 日本は、今もう既に岐路に立っていると言われ続けていて、かなり厳しい状況に追い込まれているんじゃないかなと私はすごい危機感を持っています。この状況を逆転させるような集中と投資が求められています。

 日本は技術の国であって、優秀なエンジニアがたくさんいます。選択と集中をして投資をしていくことによって、ビヨンド5G、6Gで世界で標準化を取っていく、イニシアチブを取ることも十分に可能であるというふうに私は思っています。

 しかし、それについては、やはりこの規模感、三百億円という規模感はどうしても少ない。本気でイニシアチブを取るのであれば、本当に一兆円規模で投資をしていく、そのぐらいの気概を持ってやっていかなければ、先ほども述べたように、諸外国に対峙をしていく、逆転をしていくことは難しいというふうに思っております。

 菅総理大臣も施政方針演説において、ポスト5G……

石田委員長 松尾君、もう申合せの時間が過ぎておりますので、まとめてください。

松尾委員 はい、分かりました。

 ポスト5G、6Gをめぐる国際競争が過熱化する中でフロントランナーを目指すと言っているわけです。是非、重点的な投資を行い、十年後にはファーウェイに取って代われるような日本企業を育てていけるようにお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

石田委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 今回、法改定をし、総務省から情報通信研究機構に補正で三百億円の補助金を出し、そしてそのお金でビヨンド5G、6Gの研究開発を推進する、競争的に使う基金をつくって、企業や大学に委託、助成を行うとしております。その基金で行う支援の内容、国民、住民の皆さんへの還元がどのように行われるものなのかという点でお伺いをしたいというふうに思います。

 ビヨンド5G推進戦略懇談会がまとめました「ビヨンド5G推進戦略 6Gへのロードマップ」では、基本方針として、具体的には、ビヨンド5Gのインフラ整備を構成するハードウェア及びソフトウェアの世界市場において、パートナー企業とともに市場シェアの三割程度を獲得することなど、具体的目標を示しております。また、グローバルな協働は、各プレーヤーがお互いに強みを持ち寄って行われるという前提の下、我が国プレーヤーがその協働に効果的に参画できるようにすることが重要、この観点から、国が取り組む必要性の高い施策に絞り、一定期間集中的にリソースを投入するというふうに書かれております。

 現在ですけれども、情報通信白書によりますと、世界市場におけるシェア、マクロセル基地局の出荷額は、二〇一九年、NECで〇・七%、富士通で〇・六%、一%にも満たない状況でございます。

 こういう現状の中で、民間の動きについて報道等が出ております。新聞等で出ておりますけれども、昨年六月、NTT、NECが連携をすると報じられました。5Gだけではなく、その次の6Gの超高速無線、海底ケーブル、そして宇宙空間など、最先端の通信基盤を共同に開発すると報道されておりました。

 その中で、NECの社長さんは、一社で抱え込むビジネスのままでは勝ち目がない、オープン化でメーカーを競わせるため、全体の整備コストも下がるとされる、NECの利益率も下がる懸念はあるというふうに述べられております。

 ドコモの担当者は、オープン化の今後の課題は、国際標準に適合する機器の製造メーカーをいかに増やすかだと指摘をしております。

 国際標準、オープン化ということでございますけれども、多数の企業あるいは国内外の企業と連携していくということが求められているというふうに読み取れます。

 戦略の中で、世界市場においてパートナー企業とともに市場シェアの三割程度を獲得するというふうにしておりますけれども、このパートナー企業というのはどのような対象を想定しているのでしょうか。

武田国務大臣 ビヨンド5Gを実現するに当たって乗り越えなければならないハードル、またコストを考慮すれば、御指摘のように、我が国一国のみで取り組むのではなく、我が国の通信事業者や機器メーカー等が信頼できる諸外国のパートナー企業と連携して取り組むことが求められると考えております。

 具体的なパートナー企業としては、我が国企業と協力して必要な要素技術の共同研究開発や関連技術の国際標準化に取り組む諸外国の通信事業者や機器メーカーを想定いたしております。

 我が国企業が諸外国のパートナー企業と効果的な連携を進めていけるよう、しっかりと連携をしてまいりたいと考えております。

本村委員 パートナー企業というのは海外の事業者も想定しているということですけれども、この法案で設置をする基金で支援をしていく対象をどのようにしていくのかということをお伺いしたいというふうに思います。

 先ほども少し御議論がございましたけれども、具体的に受託できる方の条件はどのようになるのでしょうか。また、国内外の研究者、事業者、この分野で既に実績のある方など、どのようになるのか。また、委託、助成をしていく対象は、実用化していく事業者にとって必要な研究開発ですとか事業者と限られてしまうのではないかという懸念がありますけれども、いかがでしょうか。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 先端的かつ多岐にわたるビヨンド5G関連技術の研究開発を推進するため、官民の多様なプレーヤーの研究開発力を結集して取り組む必要があると考えております。

 このため、今回の基金では、NICTにおきまして研究開発に関する公募を実施する際、事業者であることや実績の有無により限定されることはなく、国内に研究開発拠点を有する通信事業者、通信機器ベンダー等の民間企業に加え、イノベーションの担い手である大学や中小、ベンチャーなどからも優れた提案を募ることを想定しております。

本村委員 助成について、法改定をいたしまして対象を拡充する基礎研究というのはどのようなものなのか。ビヨンド5Gに必要とされる技術研究なので、テーマも限定されていくんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 本法案によりまして、NICTの助成金交付業務の対象となる基礎的な研究としましては、例えば、革新的な情報通信技術を創出する土台となる新たな知見を獲得するための研究などが想定されております。

 具体的な技術領域といたしましては、超高速大容量通信を可能としますテラヘルツ波無線技術や光ネットワーク技術などが想定されております。これらの領域における基礎的な研究につきましても、民間における取組を促進することにより、我が国の研究開発力全体の底上げを図ってまいりたいと考えております。

本村委員 基金で行われた研究開発は国民的にどのように共有されるのかという問題ですけれども、国民に広く研究内容が示されるようになるのか。

 基金は、財源は税金ですので、やはり公的研究として国民、住民の皆様に広く共有されるべきだというふうに思いますけれども、大臣、お伺いしたいと思います。

武田国務大臣 御指摘のとおりであります。

 今般の基金を活用した研究開発については、国費を投入して行われたものであり、適切な成果が得られたかについて検証するとともに、その成果を広く社会に共有し、国民の理解を得ることが重要となってまいります。

 このため、今般の基金では、研究開発を受託した事業者等においてノウハウが蓄積されることに加え、本法案の規定により、NICTが外部専門家等も交えて研究開発の成果を評価し、その結果の概要を広く一般に公表することとしております。

 また、今般の基金を活用した研究開発の成果については、将来的には、我が国の経済社会の基盤としてのビヨンド5Gの導入という形で広く国民に還元されることになると理解しており、早期の実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。

本村委員 改めまして、知的財産権の取扱いについてお伺いをしたいというふうに思います。

 基金による研究開発の特許など、知的財産権の所有はどうなりますでしょうか。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 基金事業では、NICTから民間企業等に対する委託及び助成による研究開発を想定しているところでございます。

 委託につきましては、いわゆる日本版バイ・ドール制度と呼ばれる国の委託研究開発における知的財産権の取扱いを定めた制度に基づきまして、知財に関する報告義務や知財移転の事前承認義務など一定の条件を前提に、研究開発による知的財産権は民間企業等に帰属することとなります。

 助成につきましては、そもそも民間企業等が研究開発主体でありますことから、研究開発による知的財産権は原則民間企業等に帰属するということになります。

本村委員 一方、NICT、研究機構が自ら行う研究開発で知的財産権を得た場合、どのような取扱いになるのか。ポリシーでどのように規定をし、そして社会的な還元をどういうふうに行うのか、お示しをいただきたいと思います。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 NICTが自ら行う研究開発の成果としまして知的財産権が得られた場合でございますが、NICTが保有することとなるわけでございますけれども、NICTが定めます知的財産ポリシーにおきまして、「NICTの研究開発により創出された知的財産を積極的に外部へ展開し、社会において効果的に活用されていくことが必須である。」というふうにされているところでございます。

 例を申し上げますと、多言語音声翻訳におきましてNICTの技術を用いて様々な民間企業による活用が進んでおりますが、このように、NICTが所有する知的財産が社会で最大限に活用されるよう、民間企業への技術移転など社会実装の取組を進めてまいりたいと考えております。

本村委員 VoiceTraなどは、本当に、今コロナ禍の中で私も外国人の方から御相談を受ける際に活用させていただいて、もっともっと進展していくといいなというふうに思っているんですけれども、NICTさんが開発した場合は知的財産権はそういう取扱いだということになります。

 今回、民間企業が開発を行った場合、知的財産権の取得を行う研究開発に携わる者というのは企業であることが予測をされるわけでございます。企業の利益となっていくだけではないか、国民にどのように還元されていくのかという点、検証が今後引き続き必要だというふうに思っております。

 そもそもの話なんですけれども、NICTの人員、基礎研究の拡充こそ必要なのではないかというふうに思っているわけですけれども、今回の基金が三百億円だと。情報通信研究機構の二〇二〇年度の運営費交付金の規模は約二百八十億円、NICTの収入合計も三百六十五・五億円ということになってまいります。

 今回、研究機構が基金交付に当たって公募を行い、受託者とのやり取り、国への報告、経理業務などを行うことになります。日頃より研究開発されておりますので、技術的にはできないことはないということは理解できますけれども、業務量が大変増えるということで、NICT職員の増員が必要なのではないかというふうに思います。

 基金の交付のために新たな雇用はするのでしょうか。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 NICTは、情報通信分野における我が国唯一の国立研究開発法人として、自ら研究開発を実施しているほか、研究開発の外部委託及び助成についても実績を積み上げてきており、一定の資金配分能力を有しているものでございます。

 今般の基金の設置に当たりましては、NICTにおいて資金配分業務に係る人員を増強することにより万全の体制を整備することとしておりまして、必要な研究開発に対して適切な支援が行われるというふうに考えております。

本村委員 私、二〇一八年にもこの情報通信研究機構の人員を正規でということでお話をさせていただいたんですけれども、その当時も既に正規は四割、非正規は六割という状況でございました。

 基礎研究を担うこの情報通信研究機構の足下で安定的な人員の確保が軽視されているのではないかという印象を持っております。

 改めて伺いますけれども、この研究機構の雇用、正規、非正規の方々、どうなっているのか、二〇一八年からの数字、お示しをいただきたいと思います。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 NICTにおけます職員数の構成比は、二〇一八年度から二〇二〇年度までにかけて、いわゆるパーマネント職員が三九%から三七%に、有期の雇用職員が六一%から六三%にという形で推移はしておりますが、特段の大きな変化があるものではないというふうに認識をしております。

 有期の雇用職員につきましては、近年、研究者の働き方の多様化が進んでおり、特に最先端の技術を扱う研究者には、特定の雇用先との長期雇用にとらわれない柔軟な働き方が広がっている実態があることや、随時外部の高度専門人材を組織に取り入れることにより研究開発プロジェクトが活性化されるといったメリットも考えられるところでございます。

 今後とも、NICTにおきまして、革新的な情報通信技術を創出するため、研究者のニーズも踏まえつつ、適切な形で人材を確保していくことが重要であると考えております。

本村委員 現場のお声を聞いておりますけれども、やはりパーマネントを増やしてほしいというのが現場のお声でございます。

 私、二〇一五年度からも調べておりますけれども、右肩上がりで有期雇用の職員の方々が増えているということで、やはりこれでは人材育成という点でも本当に深刻な状況だというふうに思います。

 時間がないものですから、少し飛ばさせていただきます。

 三次補正予算でも、整備予算、百九十九億円ついているんですけれども、これまでも補正予算によって一時的に施設整備の確保が行われております。

 その後の維持管理の費用が入っていないんじゃないかということが現場から言われておりまして、それが入っていないと、人件費ですとか研究費ですとか、そういうところを食ってしまうということで、やはり、新たに整備された設備の維持管理費もしっかりと財政措置するべきだというふうに思いますけれども、研究費や人件費、それを維持管理費が食ってはいけないということで、是非大臣、御答弁いただきたいと思います。

武田国務大臣 御指摘の維持管理費についてですけれども、これまでもNICT運営費交付金から支出をされております。

 この施設等の維持につきましては、研究の実施状況やニーズなどを踏まえ、不断の見直しを図りながら、NICT運営費交付金の中でその費用を賄ってきたと理解しております。

 委員御指摘のように、今後とも、この研究現場、そして施設等の維持に支障がないように、必要な予算というものをしっかり確保してまいりたいと考えています。

本村委員 最後になるかというふうに思いますけれども、先ほどもどんどん有期雇用契約の割合が増えているこのNICTの現状、研究者の方々、研究を支える人の確保、育成が本当に必要だというふうに思います。大臣としてどのようにお考えか。また、運営費交付金、基礎研究費の部分が、この三年間を見てみますと、三年の中でも一番少ないわけでございます。やはり、基礎研究を支える運営費交付金をしっかりと増額をしていく、基礎研究の支援こそ必要だというふうに思いますけれども、二問まとめて大臣に伺いたいと思います。

武田国務大臣 まず、人材につきましては、先ほどから質問が相次いでおりまして、やはりしっかりと、いい人材が、このNICTはもとより、日本から逃げないように、非常に厳しい競争、世界の中で人材獲得競争も激化しておりますので、その方々が安心して伸び伸びと、遺憾なくその才能を発揮していただける環境、また待遇というものはしっかりと考えていく、このことがまずは重要なことではないかなと思っています。

 また、基礎研究費の確保についての御指摘でございました。

 この基礎研究に係る費用は、基本的には国から交付される運営費交付金によっておりまして、外部から獲得した資金と合わせて、二〇一八年度三百三十四億、二〇一九は三百八十九、二〇二〇年度は三百七十二億円で現在推移をしております。

 NICTの努力もあり、一定の研究費は確保してきておるんですが、NICTが世界をリードする研究機関であり続けるためにも、総務省としては、NICTと連携し、必要な研究費をしっかりと確保してまいりたいと考えております。

本村委員 基礎研究の支援こそ先々の技術に広く貢献していくということになると思いますので、是非強力にお願いしたいと思います。

 失礼いたします。ありがとうございました。

石田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 武田大臣、ちょっと通告しておりませんが、今日、予算委員会で、我が党の馬場委員長からワクチン接種の話を申し上げました。費用の話はもう既に昨日この場で議論させていただいて、今日、河野大臣からも馬場幹事長に御答弁いただきましたので、それはもう結構です。

 あと、やはり、私も周りのお医者さんに聞くと、お医者さん自身が、ワクチンを打つでしょうと言ったら、いや、私は打たないという人が多いんですよ。

 今日、馬場幹事長は数字を挙げておっしゃっていましたが、大学病院によっては半分ぐらいの方が、これは余り中途半端な情報はここで言うべきじゃないのでやめておきますが、またそれは開示をしていただいたら結構ですが、少なくとも医療関係者の中に、ちゅうちょさせるようなことをおっしゃる方は、少なからずこれはいます。特に地域においてですね。

 これから、河野大臣がロジをされる、田村大臣がポリシーをされる、そういう中で、実際にそれを現場で場所を作ってリードしていくのは、それぞれ千七百の市町村長さんたちであります。

 財源の話は申し上げたとおりでありますが、今日、そういう中で、馬場幹事長が、やはりリーダーが率先して打つ、ぶちゅっと打つとおっしゃいました。いや、馬場さんが言ったんですけれども。そうしたら、河野大臣が、まだ決まっていないが、もし国民が足踏みをするようなことがあってはならないので、また検討するが、率先して接種することもあり得る、このように御答弁をされ、もう既にニュースになって流れています。

 私は、武田大臣も打っていただいたら、閣内ですから、打っていただいたら結構だと思うんですが、武田大臣は御自分が打つ、打たないじゃなくて、全国の千七百の首長さんが打ってもいいんじゃないか、私はそう思います。それぞれの首長さんが打つ、打たないというのもややこしいんですけれども、そういうことを希望される首長さんがいれば、そういうことを可能にするようなガイド、これを、田村大臣あるいは河野大臣と連携しながら、武田大臣もその辺の差配をしていただいたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。

武田国務大臣 この件に関しては、やはり、強制するという問題ではなかなかないわけであって、ただ、政府として、国民の全ての皆さん方にワクチンを安心して接種していただける環境をどうやってつくり上げていくかということは、これは重要なテーマになってきていると思うんです。昨日、井上議員からも私は指摘されましたし、今日も予算委員会でそうした話がございました。

 国民の皆さん方に安心感を与えるために、我々でよければ、そうした努力というのは惜しむというものではありませんけれども、現在のところ、厚労省の下で、やはり、医療従事者、そして御高齢者、疾患を持っている方々、そうしたいろんな順序を決められているということでありますので、それにのっとった形でやっていきたいと考えております。

足立委員 ありがとうございます。ありがとうございますというか、もう一言いただきたい。

 要するに、首長の中で、やはり地域の皆さんに安心していただくために率先して打ちたいという首長がおられたらどうですか。どうですかって、それは総務大臣として、いや、それは待ちなさいと言うのか、田村大臣、河野大臣と相談されるのか、いかがでしょうか。

武田国務大臣 まず、打つ、打たないかは、それぞれの、皆さん、人格を持たれていますから、判断であろうかと思っております。

 いずれにせよ、これは、全地域、そして日本全国的な問題でありますので、そうした厚労省が定めたルールというものに、皆さん、のっとっていただくことをまずはお願いしたいと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 では、本題に入りたいと思います。今日は、ビヨンド5Gということでございます。要するに、電波ですね。

 まず、大臣、冒頭、電波の重要性について一言いただけないでしょうか。

 私たちは、馬場幹事長のこの国会冒頭の代表質問でも触れましたが、デジタル改革を進めるに当たって、その裏表の関係で、電波の重要性は、日本の経済的繁栄を続けていくためにもますます重要になると考えていますが、いかがでしょうか。

武田国務大臣 携帯電話を始めとする電波につきましては、経済社会、また国民生活にとって極めて重要な基盤となってきているわけであります。

 今、携帯電話問題に取り組んでまいりましたけれども、人口よりかはるか上の数に契約数が上っているということで、市場の拡大も一層進んでいるのが現状であります。

 また、電波の利用用途につきましても、従来型の携帯電話としての利用だけではなく、センサーが搭載された機器からの情報収集やドローン制御のように、新たな利用形態というものが次々と生み出されてきておるわけであって、このようなことからも、御指摘のとおり、ますます重要性が高まっていると認識しており、有効利用というものをどんどん進めていきたい、このように考えています。

足立委員 ありがとうございます。

 電波の有効利用ということになると、当然、NHKが出てくるわけであります。特に、最近は、Eテレについても様々な場所で喧伝をされています。そういう観点で、今日は前田会長にもお越しをいただきました。

 前田会長、まず、ちょっと電波の前に、ちょうど、NHKの中期経営計画、今年、二〇二一年から二三年度の中期経営計画の内容が公表されているわけであります。これはそのパンフレット、あっ、見せちゃいけないんだな、パンフレットでありますが、冒頭、一番強調されている目立つところに「新しいNHKらしさの追求」というのをかぎ括弧で示され、そこをアンダーラインまで引かれています。

 この「NHKらしさ」というのは、私、これを見て、これはたしか、昨年三月十三日のこの場で私がいろいろ前田会長に質問申し上げたのに対して、自分は中期経営計画の案を今考えているが、その中で、自分が先頭になって中期経営計画をまとめる際には、そのキーワードはNHKらしさの追求にしたいと思っているんだ、こういうふうに御答弁をされました。まさに私とのやり取りの中で初めて出てきたワードが今回、NHK中期経営計画のキーワードとして採用されていることを見て、前田会長の御決意を改めて私は感じました。

 私、私はどうでもいいんですが、余りどうでもよくないんですが、前田会長と私とのやり取りの中で出たワードであるという事実関係はそうですね。一応、ちょっと御紹介をいただきたいと思います。

前田参考人 昨年三月だったと思いますけれども、足立委員から鋭く質問されまして、私も当時、新しい中期経営計画のキーコンセプトをどうしようかとちょっと悩んでいる最中でございまして、そのとき、確かにお答えしたのは、NHKらしさの追求ということでございます。

 今回、その後、実は経営委員会を何回もやりまして、「新しい」というのを実はその上につけました。これは要するに、NHKらしさの追求となりますと、昔に戻るのか、懐古趣味でやるのかという、そういう懸念がございますので、私はそこに更に「新しい」というのを加えまして、新しい時代に合ったNHKらしい番組を作る、民放のまねをしないという意味でもございますし、NHKしかできないものを作る、そういう意味でキーコンセプトにさせていただきました。

足立委員 ありがとうございます。NHKの中期経営計画のコンセプトの形成に一役買えたということで、光栄に考えております。

 ただ、これは会長、もし難しければ、関係の方もいらっしゃっていますね、NHK。会長を余りいじめるつもりはないので。会長は改革をしたいんです、NHK改革をしたいんです。でも、NHKの組織が、あるいは民放が邪魔をしています。

 私との当時の、今、前田会長が御紹介くださった昨年三月十三日のこの総務委員会の議事録を読みます。前田会長はこうおっしゃいました。私は今年の夏頃までに、昨年の夏頃ですね、放送と通信の融合時代を目指すNHKの姿を盛り込んだ次の中期経営計画の案を私が先頭になってまとめていくんだ、そのキーワードはNHKらしさの追求だ、こうおっしゃいました。

 今申し上げましたよね。繰り返します。放送と通信の融合時代を目指すNHKの姿を盛り込んだ中期経営計画とおっしゃいました。事務方で結構です。中期経営計画に、放送と通信の融合について書いてありますか。会長、分かりますか。お願いします。

前田参考人 お答え申し上げます。

 放送と通信の融合の時代が来ているのは事実でございます。私どもも半年以上かけて中期経営計画を作りましたが、現状は、放送法では放送と通信の融合という形になっておりませんので、残念ながら、今回の中期経営計画までに、そこまで一足飛びの形の経営計画は作ることはできませんでした。

 ただ、諸外国の例を見ますと、かなり融合が進んでいるのは事実でございます。いろいろな意味で、そういう形になればいいと私は思っております。

足立委員 前田会長、私は、その前田会長の思いを一緒になって実現していきたいと思いますね。前田会長はやりたいんですよ。だって、私におっしゃった、放送と通信の融合時代を目指すNHKの姿をつくっていきたいんだと。ところが、今回の中期経営計画にはそれが入っていないんです。

 私は、武田大臣は尊敬しておりますが、やはり放送法の取組が遅いんですよ。放送法が止まっているから、NHKは今、法律にそれが書いてないからできないんだと、端的に言うとそうおっしゃったわけです。

 余り武田大臣に難しい質問はしたくないんですけれども、私はこのままでは、これから春に、春というか、もう来月にもいろいろ議論が本格化するNHKの来年度予算とか、様々な放送と電波の関係法令、今日の法律は賛成しますよ、しかし、とてもじゃないけれども賛成できないですね。

 大臣、この放送と通信の融合、通告をちゃんとしているんだろうか、ちょっと忘れましたが、今申し上げたような観点での改革ということを、NHK改革ということもあるけれども、放送法、放送と通信の融合、そういう中での民放の在り方、公共放送の在り方、武田大臣、私は武田大臣の実行力でやはり何らかの足跡を、形を、爪痕を在任中に残していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

武田国務大臣 公共放送にしても民放にしても、放送の在り方というもの、将来を見据えた上で、相当厳しい時代がやってくると思うんです。将来、国民がNHKを果たして求めるかどうかという問題もあるし、非常に今国民の目も厳しい、そしてまた、選択肢というものが非常に増えてきている中で、今後のことを考えていかなくてはならない。

 NHKというもの、公共放送の重要性ということも私は十分認識しているつもりではありますけれども、これを維持するためには国民の理解というものが不可欠となってくるわけであって、維持するために放送法が障害になっているのであれば、これは国会に委ねてどんどん変えていけばいいと私は考えております。

足立委員 力強いお言葉、ありがとうございます。

 私は、この中期経営計画を見て落胆をしているんです。前田会長、だってこれは三年計画でしょう。じゃ、NHKはこの三年間は放送と通信の融合に踏み込まないわけです、本格的には。三年は長いですよ。これだけハイスピードで世界が競争している中で、日本だけ三年間凍結して、凝り固まっていると。

 武田大臣、この三年間、二〇二三年までのNHKの経営計画、NHKの経営計画に総務大臣が縛られる必要はないですよね。(武田国務大臣「ない」と呼ぶ)ない。だから、NHKの中期経営計画はこういうものにとどまっているけれども、この三年内であっても、放送法を始めとする、放送と通信の大融合時代に、一体この今おっしゃった放送というのはどうなっていくんだと。これはやはり武田大臣、そこは三年、NHKの経営計画を超えて、行政府と立法府の責任を共に果たしていくということでよろしいでしょうか。

武田国務大臣 先生、御理解いただけると思うんですけれども、現状、NHKは、将来のことを語る前に現状の改革をしなきゃいけなかったんですね。

 御承知のように、剰余金の問題に関しても、受信料で賄う経営の中にあって、税金でも保険でも年金でも、徴収し過ぎた場合にはお返しするというのが当然のことで、ずっとため込んでおった。このそもそもの体質から改善していかなくては、次のことを幾ら考えても国民は賛同してくれないと思うんです。

 ですから、この三年先の中期経営計画については、今まで積み重なったちょっとおかしな部分というものをどんと変えていく一歩を踏み出す三年にしていきたい。そこでしっかりと責任を果たして、国民に対する約束を果たした上で、その先の公共放送の姿というものを議論していきたいと考えております。

足立委員 今、国会はコロナ一色であります。もちろん、コロナがもう本当にこれは戦争に匹敵する有事ですから、国会を挙げてやる、それは当然でありますが、コロナを乗り越えた先の経済社会はやはり私たちがつくっていかなければならないので、私は並行して、本予算の予算委員会も含めて、そういう議論を政府・与党に問いただしていく予定であります。

 その際に、この電波はやはり大事で、足下で様々な、民間、例えば私の経済産業省の先輩である原英史さんなんかは、Eテレを改革したら、これはもう大臣、細かいことは御答弁を求めません。

 ただ、例えば携帯電話の料金引下げ、御熱心にやっていただいている。ただ、私は、若干、行政指導的な、若干、腕力で、まあ腕力があられるからいいんだけれども、腕力でやるのもいいんだけれども、やはりきれいな競争政策、誰が見ても美しい政策、透明で公正公平な競争政策をもってやっていくべき側面も大きい、多分そういうふうにお考えだと思う。

 そのときに一番大事なのは、例えば、三大キャリア以外のキャリアに対してプラチナバンドをしっかりと提供する、そういうことが私は当たり前だと思いますよ。

 そのときに、じゃ、プラチナバンドを用意できるかといったら、今、四十チャンネル分の帯域をどんと地上波が持っているわけですよ。それは携帯のプラチナバンドの隣ですよ。土地でいうと隣地です。隣地を地上波がどんとやっているわけです。だから、私は、そこをちゃんと少しでも調整すれば、携帯の競争環境を格段に引き上げることができると思います。これは提案です。

 大臣、ちょっと、非常に踏み込んだ御提案ですので恐縮ですが、何かそういう、少し未来に向けた、いや、値段を下げるというのは国民のためにはなると思うんだけれども、僕らは国権の最高機関ですから、共に議論しながら、そういう未来につながる改革を是非検討していただく。いかがでしょうか。

武田国務大臣 国民の大切な財産が電波でありますし、冒頭、その重要度についてもお尋ねがありました。これを有効利用して国民に還元するためには何が、どうすべきか、しっかりと、今までの考えに固定されず、不断の見直しを行っていく、しっかりと国民に還元できるように施策を打っていく、この考えで進めてまいりたいと考えています。

足立委員 ありがとうございました。終わります。

石田委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。

 今日は、井上委員にお願いをして差し替えをしていただきました。お許しいただいた皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 今日はNICT法の改正が議題でございますが、結論から言えば、我が会派は賛成でございます。

 会派内で議論をいたしました。やはり、NICT、非常に優秀な職員もそろっていますし、非常に重要な5G、6G、是非進めるためには強力に応援をしたいということでありますが、一方で、少し反対の意見もありました。それは、何で補正予算でやるんだということであります。

 ここは、私もこの後、衆議院の本会議でも申し上げようと思っているんですけれども、やはり、重要な政策が補正予算に何でもかんでも最近は行っているなという傾向があります。これは総務省のみならず各省がそうでありますので、重要政策であればむしろ本予算でやるというのが筋だと思いますので、その点は付言をしておきたいと思います。

 先ほど大臣には別の委員が聞かれていたので、この質問はもう省略をいたしまして、それでは、今日はせっかく前田会長に来ていただいておりますので、私も、やはり放送の技術をまさに担っているのはNHKでございますので、NHKのことをちょっと聞かせていただきたいと思っております。

 私は、NHKの受信料の値下げ、非常に大きな国民の関心事でありまして、これはすばらしいと思います。本当に、武田大臣それから前田会長の大英断だと。恐らくNHK内部では相当な反対があって、去年の夏、秋頃はもう値下げはないという報道もあったわけですけれども、それが値下げということになったことは大変評価をしております。

 ただ、やはり、どうせならというか、武田大臣は記者会見などでこうおっしゃっていますね、コロナ禍に苦しんでいる国民の負担を軽減するためにNHK受信料を値下げするんだという旨の発言をしていますが、ただ、二〇二三年度からというのがNHKの発表なんですね。二〇二三年度、あと二年三か月後ですよね。それまでコロナが続くのか。

 続くかもしれませんけれども、しかし、やはり今のコロナ禍で苦しんでいる方を救いたいという思いからの大臣の発言であり、思いが前田会長を動かしたんじゃないかと思っていますが、武田大臣、二〇二三年度からで十分ですか。

武田国務大臣 コロナ禍における家計の負担を軽減し、とにかく少しでも元気になっていただく、そして地域経済をもう一回よみがえらせていただく、そのためには、全ての固定費というものをどんどんと削減していくことが重要である、そうした観点から私はコメントを差し上げたわけであります。

 今でも私は前田会長の方にお願いしているんです。一分一秒でも早く、もう早くやってくださいと。少し遅れるごとに国民の負担というのは多くなっていくわけですから、軽減するなら少しでも早く軽減していただきたいと今でも思っております。

 一方で、私自身がNHKの経営陣ではない、結局経営に関していいかげんなことは言えないわけでありますけれども、今後の収支の見通しだとか財源の確保というのは、これは重要な経営者としての責任になってくるわけです。それを前田会長は負っているわけで、今後の我々としての要望、希望については積極的に申し上げますけれども、経営たる、責任者の裁量というものは、ここを侵すわけには我々はまいらないわけであって、その収支見通し、また財政確保によって適切に前田会長は判断していただける、このように期待しておきたいと思います。

高井委員 大臣の思いは伝わりましたけれども、なかなか現実には難しいということなんですが、我々も今日は是非提案型の質問をさせていただきたいと思っていますので、どうやれば値下げが来年度からでもできるかということをちょっと提案したいと思いますので、是非、それを受けて会長あるいは総務大臣にまた聞きたいと思います。

 まずは、今、繰越剰余金がございます。これが千二百十三億。これは建設の、NHKの新社屋とは別に千二百十三億あるわけで、大体、今NHKが発表しているのは一割、三百円とか一割と言っていますけれども、一割だとすると七百億ですね、その原資は。そうすると、千二百十三億のうちの七百億ですから、これを半分使えば、五百億ぐらい残しておけば、かつては剰余金というのは五百億とか、もっと少ないレベルだったわけですから、来年度すぐにでも値下げは可能です。

 ただ、これは、そうすると一回限り、ワンショットということになりますので、継続した値下げはどうなるのかということで、恐らくNHKも中期経営計画などで、電波の見直し、衛星波、音声波の見直し、削減、あるいは営業経費の削減ということは言って、恐らくそれに時間がかかるから二〇二三年度までだという答えはちょっと予想できるんですけれども、しかし、これは、先ほど申し上げた繰越剰余金を使うことによって来年度はまずやり、それから一年あるわけですから、そこで今のNHKさんが考えている衛星波等の削減などをやる。

 これでも私はまだ不十分だと思うんです。まだまだ私はNHKは余地があると思っていまして、それをちょっと、これから三つ申し上げたいと思います。

 一つは、子会社の改革です。子会社だけで剰余金が八百七十億ぐらいあると思っています。この剰余金を使うこともできます。あと、剰余金も、これも一回限りで終わっちゃうじゃないかということがありますけれども、そもそも子会社が要るのか。

 この子会社をいろいろ見ると、この委員会でも何度も話題に出ていますけれども、例えば、子会社と本体との随意契約率は九三・五%であるとか、あるいは、子会社の中には、社員が十六人なのに役員が十一人いるとか、あと、役員の出身を見ると大半がNHK出身者であるというような問題とか。あるいは、私はこの委員会でも取り上げたことがありますけれども、NHKエンタープライズという会社は、NHKが作った番組の素材、過去の例えばオリンピック映像とかこういうものを、うちの会社は子会社だから使えますよなんと言って、ほかの会社と、民間企業と競合しながら映像制作なんかをやっている。あるいは、NHKのスタジオも借りられますよ、便宜を図りますよなんという営業をやっているという実態を私は直接聞いたことがあるんです。

 こういった、やはり子会社にいろいろな問題がある、こうした子会社改革を抜本的にやるというのがまず一つです。

 それから、二つ目は人件費です。この二つは通告していますので、後でお答えいただきたいと思うんですが、これも、今年度、来年度はNHKは赤字ですよね。民間企業であれば、赤字だったら給料が下がる、ボーナスカットされるのは当たり前ですけれども、NHKの場合、なかなかそうなっていない。あと、福利厚生費と人件費を合わせると一人当たり千八百万円というある試算があって、これはもし、通告しているので、間違っている数字なら後で改めてもらってもいいんですけれども、それだけの福利厚生費がある。であれば、ここも、受信料の値下げの原資にできるんじゃないかということが、この人件費にメスを入れるというのが二つ目です。

 それから、三つ目の提案は営業経費の削減。なかなか地道にやっていくのは難しいと思います。私は、もうここは、これは総務大臣にも関わるんですけれども、税方式といいましょうか、実は二年前に、この総務委員会でヨーロッパ視察に行きました。フィンランド、スイス、スペイン、三か国行って、どこも今もう受信料というのは税と一緒に集める。まあ税金だとNHKも抵抗があると思うんですけれども、税と同じタイミングで集めれば、これはもう全部徴収できるわけです。今八五パー、六パーの収納率は、これはもう一〇〇パーに限りなく近くなるわけですし、また、その営業に係る経費、これが約一割、七百億ぐらいかかっていますけれども、ここで働いている人をどうするかという問題はありますけれども、しかし、この削減もできる。

 私は、特にインターネットの時代になって、もうテレビを設置する人がどんどん少なくなって、インターネットでテレビを見る時代ですから、ヨーロッパもインターネット対策なんですね。インターネットとテレビがもう融合してごちゃごちゃになっちゃっているから、やはり税方式で取った方がいい。それで、税方式で取ればその分一〇〇%収納できますから、値下げもできるということ。

 こういった三つのことを具体的に提案申し上げたいと思いますが、是非会長に、今の提案も含めて、この二〇二三年度の値下げ、もっと早くできないかということをお答えいただきたいと思います。

前田参考人 ただいま委員から、子会社の改革、人件費、それから営業経費について御質問がございました。

 子会社の改革は、御指摘のとおりの部分がございまして、今回、中期経営計画でも、中間持ち株会社を含めて徹底的に改革をしようと思っております。

 それから、人件費につきましては、私がデータで見る限りでは、NHKはそんなに人件費がめちゃくちゃに高いということでは……

石田委員長 会長、もうちょっと大きい声でしゃべってください。

前田参考人 めちゃくちゃに高いということではありませんで、比較をしてみますと、国家公務員レベルと比較しますと、三十五歳モデル、年収六百六十一万ですが、このレベルと同じくらいの水準でして、競合する民放、大手新聞社より大幅に下がった水準になっております。

 既に、人件費は大分前に大幅に、一割下げております。これは、私は、NHKの職員の年齢構造が実はかなり高齢化していまして、これによる影響がかなり大きいと思います。逆に、新しく入ってこられる方の給与は非常に実は低いものですから、辞める方が続出している、そういう構造問題を抱えておりますので、ちょっと構造問題を是正しないと、ただ下げればいいということではないと思います。優秀な人材が全く来なくなりますと、現在の放送がちゃんと続けられないということになります。

 今委員が言われた、今年度直ちにできないかということでございますが、昨年の十月から受信料は二・五%下げておりますし、昨年の五月、コロナが大きくなったときに、直ちに私どもは、持続化給付金対象の方々に対しては受信料免除という扱いをさせていただいておりまして、現在でも受付をしております。三月まで、一番苦しんでおられる方に対しては直ちに免除という形でやっておりますが、現実にお届けをいただいた方がまだ少ないという状況にあります。私どもは、金額でいうと三十億ぐらいの還元をしようということでやりましたけれども、今の実績は十億弱でございます。DMを出したりいろいろな形で、是非申請していただきたいということでございます。

 それから、受信料引下げにつきましては、私はやはり、中期経営計画でお示ししましたけれども、NHKの構造を変えませんと一過性のものになってしまうと思います。

 全体の事業規模が今まで完全に右肩上がりでずっと来たんですけれども、今回の中期経営計画は、二〇一五年レベルまで水準を落とすという、六千七百か五百億レベルまで落としますので、そこに落とすためには、波を減らすとかいろいろなことを全部やらなきゃいけないんです。

 それをやらないで一過性だけで済むのでしたら、剰余金をちょっとお返しすればいいんですけれども、先々、放送が成り立つようにしなければいけませんので、そういう意味ではやることが山ほどありまして、これを全部私はこの三か年でやり切って、それで成果はしっかりとお返しする、そういうお約束をしたいと思っております。

高井委員 よく分かります。一過性のものに終わってはいけないというその決意はすばらしいと思うんですが、ただ、これは大臣、是非、今の回答を聞いてどう思われたかということと、あと、私の提案ですね。繰越剰余金、千二百十三億あるわけですから、やはりそれを来年度なり、若しくは、来年度はちょっと予算ももうすぐ出すからということであれば、その次の年とか、せめて二〇二三年度じゃなくて二〇二二年度には、その剰余金を使ってまずやって、値下げして、その上で、今会長がやろうとしている改革、私のさっきの提案も是非検討していただきたいんですけれども、そういう改革をやれば、私は、十分値下げは可能だ、恒常的な値下げは、それはやってみなくてもできると思います。

 ですから、これはもう大臣の決断で、確かにNHKの経営の中身まで突っ込むのはというのはありますけれども、そうはいっても、受信料で成り立つ特殊法人ですから、やはり総務大臣がそれはもういろいろな面で監督をしていくわけで、是非これは大臣、やっていただけないですか、値下げを。

武田国務大臣 先ほども申しましたけれども、私自身も、NHKの存在、この公共放送というのはやはり必要だなと思う部分はあるんですね。このNHKをずっと継続して、存在するためには、やはり絶対に受信料という壁にぶち当たるんです。国民が納得するかしないかというのは、もちろんコンテンツのクオリティーもありますけれども、まず最初は料金なんです。

 今、オンデマンドで、いろいろな通信で、いろいろな安い、安価なサービスというものを国民にどんどん提供する時代。比較するものがある時代と比較するものがなかった時代では全然違うんですね。その中において、今なお料金を下げないということになれば、必ず国民からNHKは見捨てられると思います。

 このことをよくよくNHKの皆様方には、国民の目線に立って、国民の側からNHKを見たときに何を最低限しなければならないかといえば、値下げをずっとしていく。そこのところはやはり避けて通れない道であるということは認識した上で、更なる公共放送の充実に向けて頑張っていただきたいと期待をしていきたいと思います。

高井委員 明言はされませんでしたけれども、やはり今の二〇二三年度ではちょっと遅いという気持ちが、最初の言葉にも、一秒でも一分でも早くというふうにおっしゃっていましたから、私は大臣の本音ではないかと拝察しましたので、是非この後また議論を続けていって、やはりできれば、本当にコロナ禍のためということであれば来年度ですし、四月からですし、どうしてもそれが無理なら再来年度、一年後の四月には値下げができるよう、是非、総務省、それから前田会長も、NHK内部は大変だと思いますけれども。

 そこまでやって私は本当に、そして、やはり継続していくためには、先ほど提案した、今日、通告していないので税方式のことはもうこれ以上聞きませんけれども、私は、これは実は二年前、総務委員会で行ったときは、行ったメンバー全員賛成でした。与党の先生も、みんな、これいいねと。やはり……(発言する者あり)行ったっけ。じゃ、一人反対だったかもしれませんが、そういう意見が与野党ともありましたので、そこは是非御考慮いただきたいと思います。

 それと、もう一つ今日取り上げたいのは経営委員会です。

 今日、経営委員長は来ていただいていませんが、やはり去年、おととしからずっと問題が続いておりまして、この経営委員の報酬も、実は月二回の出席で六百万ぐらい非常勤でももらっている、この辺もどうなんだというところもありますし、あと、やはり去年から問題になっている議事録の問題ですが、私も久しぶりに一番直近の議事録を見てみたんですけれども、何というか、枚数は結構あるんですけれども、重要な中期経営計画についてとか来年度予算編成についてとか、そういうのは何か意見交換を行ったとか審議したという一行で終わっていて、どういう審議か書いてないんですね。何か一人だけ質問して答えたみたいのが、ちょっと言い訳程度に載っていたり。

 あと、長々と載っているのは、実は総務省がやっている検討会に出席して、総務省がこんな説明をしていましたみたいな、そんなのは総務省のホームページに出ていますから経営委員会のホームページに載せる必要は全然ないですし、全く経営委員会の体質は変わっていないなというのを改めて感じましたので、これは大臣に通告していますので、経営委員会の在り方、是非お答えください。

武田国務大臣 経営委員会の皆さん方には、透明性というものを常に確保してもらって、国民の期待に応えていただきたいということがあるんですけれども、議事録の公開の在り方について、これは、御承知のように放送法の規定に基づいて経営委員会の皆様方が独自の判断でなされるべきと思います。

 いずれにせよ、やはりNHKをチェックする役割であります。いろいろと、過去にいろいろな問題があったことも存じ上げておりますけれども、やはり、国民のいわば代弁者として、委員の選出についても、これは国会に関わる問題ですから、国民の代弁者としてしっかりと、NHKに対して指導といいますか、国民の気持ちというものを伝えていただいて、健全かつ国民の納得のいく公共放送の姿に変えていただくように今後とも期待していきたい、このように考えています。

高井委員 私、NHK大好きです。よりよいNHKになってもらいたいと思って前向きな提案をしていますので、これからもよろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

石田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。本村伸子君。

本村委員 日本共産党を代表して、国立研究開発法人情報通信研究機構法改定案に対して反対の討論を行います。

 本法案は、ビヨンド5Gを実現する革新的な情報通信技術の創出を推進するためとして、情報通信研究機構の助成対象業務の対象を拡大して新たな基金を設置するとしています。

 しかし、5Gの段階でも情報通信研究機構を通じて技術開発支援を行っていますが、技術開発の方向性や手法が適切だったのか、全く検証されておりません。

 にもかかわらず、本法案は、技術で勝てても市場では必ずしも勝てなかったとしたビヨンド5G推進戦略懇談会の指摘に基づき、基金を通じて巨額な国費を情報通信企業の活動への助成に使うものであり、賛成できません。

 今、補正予算で求められているのは、新型コロナ感染症への対策です。コロナ対策と関係のない本法案を提出し、補正予算関連法案として、このような僅かな時間で審議をして通してしまうやり方に厳しく抗議をいたします。

 以上申し述べ、討論とさせていただきます。

石田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより採決に入ります。

 国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、橘慶一郎君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本維新の会・無所属の会及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。神谷裕君。

神谷(裕)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 令和二年度第三次補正予算関連である本法の緊要性を踏まえ、国立研究開発法人情報通信研究機構における基金の設置を速やかに進め、これを活用した研究開発の実施に早急に着手すること。

 二 ビヨンド5Gにおける我が国の国際競争力を確保するため、グローバル展開を前提とした、ビヨンド5Gの研究開発、標準化及び実装に戦略的に取り組むこと。

 三 本法及び令和二年度第三次補正予算で措置される基金を含むビヨンド5Gの研究開発等については、ビヨンド5Gを含めた情報通信技術がアフターコロナの時代に不可欠なものであることに鑑み、継続的な支援措置の構築について検討すること。

 四 新型コロナウイルス感染症等の新たな感染症が発生した場合においても社会経済活動を継続的に行うためには、あらゆる分野のデジタル化とともに、高度な情報通信技術を利活用できる5Gをはじめ光ファイバなどのブロードバンド環境が必要であることに鑑み、過疎地域等を含む全国どこでもだれもが利用できるブロードバンド環境を早期に実現すること。

 五 新型コロナウイルス感染症の拡大とともに情報通信の果たす役割の重要性が再認識されたことに鑑み、国立研究開発法人情報通信研究機構においては、我が国唯一の情報通信に特化した公的研究機関としての使命を再認識し、不断に研究開発に勤しみ、コロナ禍においても我が国の社会経済活動が円滑に運営できる環境整備に貢献すること。また、政府は、そのために必要な人員・予算等について確保するよう努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

石田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。武田総務大臣。

武田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

石田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

石田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時五十八分散会


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