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第3号 令和3年2月9日(火曜日)

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令和三年二月九日(火曜日)

    午後零時十分開議

 出席委員

   委員長 石田 祝稔君

   理事 橘 慶一郎君 理事 寺田  稔君

   理事 冨樫 博之君 理事 松本 文明君

   理事 務台 俊介君 理事 岡島 一正君

   理事 岡本あき子君 理事 國重  徹君

      安藤 高夫君    井林 辰憲君

      小倉 將信君    金子万寿夫君

      木村 弥生君    高村 正大君

      佐藤 明男君    斎藤 洋明君

      杉田 水脈君    鈴木 淳司君

      田畑 裕明君    谷川 とむ君

      古川  康君    穂坂  泰君

      宮路 拓馬君    山口 俊一君

      神谷  裕君    櫻井  周君

      田嶋  要君    高木錬太郎君

      松尾 明弘君    松田  功君

      道下 大樹君    山花 郁夫君

      桝屋 敬悟君    本村 伸子君

      足立 康史君    井上 一徳君

    …………………………………

   総務大臣         武田 良太君

   総務副大臣        熊田 裕通君

   総務副大臣        新谷 正義君

   総務大臣政務官      谷川 とむ君

   総務大臣政務官      古川  康君

   総務大臣政務官      宮路 拓馬君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、武田総務大臣から所信を聴取いたします。武田総務大臣。

武田国務大臣 総務委員会の御審議に先立ち、所信を申し述べます。

 まず、昨年末からの大雪においてお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げ、御遺族にお悔やみを申し上げますとともに、除雪中の事故等により負傷された皆様方に心からお見舞いを申し上げます。

 また、今般、総務省幹部職員の行動について、国民の疑念を招く事態となったことに関し、総務大臣としておわびを申し上げます。総務省職員には、改めて、公務員倫理の遵守を強く意識した行動を取るよう指示したところであります。今後、行政に対する信頼を取り戻すべく、総務省一丸となって、全力で職務に取り組みます。

 総務省は、新たな国家像、社会構造を築く上での基盤となる多くの政策を担っています。デジタル変革を通じた新しい地域と社会の構築に向け、昨年九月の大臣就任以来、私が先頭に立って職務に当たってまいりました。

 その成果の一端を挙げれば、まず、携帯電話の料金については、事業者間の競争が働く環境づくりを通じて、各事業者から低廉な新料金プランが発表されるなど選択肢が広がりつつあります。

 また、社会全体のデジタル変革と新たな日常の構築に向け、国、地方を通じた行政のデジタル化やデジタル庁の創設について、関係大臣と協力し昨年末に基本方針を策定するなど、着実に前に進めています。

 さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により地方税等が大幅な減少となる中、令和二年度の減収補填債の対象税目を拡大するとともに、令和三年度地方財政計画において交付団体ベースの一般財源総額、地方交付税総額共に前年度を上回る額を確保するなど、地方にしっかりと軸足を置いた政策が実現できる環境を整えました。

 引き続き改革の手を緩めず、一つ一つの課題に正面から取り組み、結論を出していきたいと考えております。

 以下、当面、特に力を入れて取り組みたい政策の方向性について、一端を申し述べます。

 第一に、社会全体のデジタル変革の加速により、新たな日常を構築していきます。

 まず、行政のデジタル化を徹底し、行政サービスの質の向上や業務の効率化を進めるため、各府省が共通で利用する情報システムの効率的な整備や安定的な運用に取り組みます。地方団体の情報システムについては、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案を今国会に提出するとともに、二〇二五年度を目標時期として、地方団体がクラウド活用を原則とした標準準拠システムに円滑に移行できるよう、関係府省と連携し、財源面を含めた支援を行ってまいります。昨年末に策定した自治体デジタル・トランスフォーメーション推進計画に基づき、地方のデジタル化を進めます。

 マイナンバーカードの普及拡大については、未取得者への申請書の個別送付を行うとともに、マイナポイント事業の対象者を三月末までにカードを申請した方にまで拡大し、事業期間を九月まで延長することとしています。また、住民への申請促進と円滑な交付のための体制整備を支援するとともに、関係府省と連携し、健康保険証としての利用やカード機能のスマートフォン搭載など、利活用、利便性向上を推進してまいります。

 次に、新たな日常の構築には、テレワークや遠隔教育等を支える情報通信基盤の整備が不可欠です。電波の更なる有効利用に取り組み、5Gや光ファイバーを一刻も早く全国に整備するとともに、新たな価値の創造に資するローカル5Gの展開を促進します。

 携帯電話の料金については、昨年公表したアクションプランや、公正取引委員会、消費者庁との連携強化のために内閣府特命担当大臣と開催した二大臣会合に基づく取組を通じて、引き続き、消費者の立場に立って、事業者間の競争が働く環境づくりを行います。

 また、社会全体のデジタル変革の中、誰もがデジタル機器を使いこなすことができる環境の構築に向け、地域の幅広い関係者と連携しつつ、オンラインによる行政手続等に関して高齢者等に対する支援を行います。

 あわせて、安心、安全で信頼できるサイバー空間の確保のため、サイバーセキュリティーに関する情報分析と人材育成に一体的に取り組む環境の構築や、量子暗号通信などの技術開発に取り組みます。

 また、SNS上の誹謗中傷対策として、発信者情報の開示命令などの裁判手続を創設し、被害者の迅速な救済を図るための特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の改正案を今国会に提出します。あわせて、啓発活動や相談体制の強化など、総合的な対策を進めます。

 さらに、将来の社会産業基盤であるビヨンド5Gを見据えた研究開発に、国立研究開発法人情報通信研究機構に設置する基金を活用し、官民の英知を結集して取り組むとともに、知的財産権の取得や国際標準化を推進します。

 加えて、世界のデジタル変革へ貢献すべく、5G、光海底ケーブルなどの海外展開を図るとともに、AIの利用やデータの流通に関する国際的な共通認識を醸成します。また、地域の魅力を紹介する放送コンテンツの制作、世界への発信を支援します。あわせて、郵便、消防、行政相談、統計などの国際展開を進めます。

 第二に、東京一極集中の是正に向けて、ポストコロナの社会に向けた地方回帰を支援してまいります。

 まず、地域おこし協力隊に短期のインターン制度を創設するとともに、新たに地域プロジェクトマネージャーを創設します。また、テレワークの普及やサテライトオフィス環境の整備、二地域居住の推進により、地域によらず新しい働き方や暮らし方が可能となるよう取り組みます。

 次に、地域の資源と資金を活用して地域密着型事業の立ち上げを支援するローカル一万プロジェクトや、エネルギーの地産地消を進める分散型エネルギーインフラプロジェクトの推進を通じ、自立分散型地域経済の構築に取り組みます。

 さらに、過疎法の期限切れを見据えた新たな過疎対策にも取り組んでまいります。

 第三に、防災・減災、国土強靱化の推進に取り組みます。

 まず、閣僚全員が復興大臣との強い思いの下、東日本大震災からの復旧復興に全力で取り組みます。

 また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた安全、安心対策に万全を期します。

 昨年も集中豪雨など自然災害が相次ぎました。

 防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を踏まえ、緊急自然災害防止対策事業費及び緊急防災・減災事業費について、対象事業を拡充し、事業期間を五年間延長します。あわせて、昨年、農林水産大臣及び内閣府防災担当大臣と開催した三大臣会合における合意内容を踏まえ、防災重点農業用ため池等について緊急浚渫推進事業費の対象施設に追加するなど地方財政措置を拡充します。

 技術職員の不足に対応するため、復旧・復興支援技術職員派遣制度について、引き続き必要な派遣要員を確保し、被災団体の応援ニーズに応えられるよう取り組みます。

 次に、地方団体が感染拡大防止にも留意しながら、災害応急対策などを迅速かつ的確に遂行できるような体制を構築するとともに、消防団、自主防災組織など、自助、共助による地域防災力の向上を図ります。特に、地域防災力の中核を成す消防団については、団員数が二年連続一万人以上減少する危機的な状況にあることから、現在、処遇改善など団員確保に向けた方策を検討しており、積極的な取組を進めてまいります。

 地域衛星通信ネットワーク整備など国、地方の連絡・通信手段のバックアップ機能強化、緊急消防援助隊の車両、資機材の充実に取り組みます。

 火災予防関係手続の電子化など消防分野のデジタルトランスフォーメーションの推進、救急隊員等の感染防止対策、住民が急な病気などの際に救急車を呼ぶべきか相談できるシャープ七一一九の全国展開などに取り組みます。

 さらに、災害時における通信基盤の早期復旧に向けた官民の連携体制の整備等を進めるとともに、ケーブルテレビネットワークの光化や、災害情報を共有するLアラートの活用を促進し、災害時にも情報を確実に届けられる環境を整備します。

 第四に、経済社会を支える地方行財政基盤を確保します。

 まず、令和三年度地方財政計画については、冒頭述べたように、交付団体ベースで令和二年度を上回る一般財源総額を確保するとともに、地方交付税総額を増額確保することに加え、地域社会のデジタル化を集中的に推進するため、新たに地域デジタル社会推進費を計上しました。

 また、防災・減災、国土強靱化の推進のため、緊急自然災害防止対策事業費及び緊急防災・減災事業費の対象事業を拡充するとともに、緊急浚渫推進事業費の対象施設を追加するなど、所要の経費を適切に計上しました。これらの内容を踏まえた地方交付税法等の改正案を今国会に提出しています。

 次に、令和三年度税制改正については、現下の経済情勢などを踏まえ、固定資産税の令和三年度の評価替えに当たり、現行の土地に係る負担調整措置等を継続した上で、令和三年度に限り、負担調整措置等により課税標準額が増加する土地について前年度の課税標準額に据え置く特別な措置を講ずるとともに、住宅及び土地の取得に係る不動産取得税の税率の特例措置の適用期限の延長、自動車税及び軽自動車税の環境性能割の税率区分等の見直しなどを行うこととしています。こうした内容の地方税法等の改正案も今国会に提出しています。

 さらに、地方団体におけるテレワークの推進を始め、地方公務員の働き方改革に取り組んでまいります。また、会計年度任用職員制度について、引き続き、適正な運用が図られるよう取り組みます。

 なお、地方公務員の定年引上げについては、地方公務員法の改正案を昨年の通常国会に提出し、継続審議となっているところです。

 二〇四〇年頃にかけて顕在化する人口構造等の変化やリスクに対応し、持続可能な形で行政サービスを提供するため、地方団体間の多様な広域連携を進めます。

 第五に、持続可能な社会基盤を確保します。

 まず、郵政事業については、引き続き、社会基盤としての信頼回復が行われるよう、監督責任をしっかり果たすとともに、ユニバーサルサービスを確保します。また、デジタル時代における郵便事業の利便性向上等の方策を検討するため、引き続き、郵便局ネットワークや莫大なデータを活用した新たなビジネスモデルの構築について議論してまいります。

 次に、NHKについては、受信料の適正かつ公平な負担を図るための放送法の改正案を今国会に提出し、国民・視聴者の立場に立って、月額で一割を超える思い切った受信料の引下げにつなげます。

 さらに、国勢調査については、本年六月に人口の速報を公表するべく、鋭意取り組みます。また、我が国の経済の実態把握に向けて、本年六月に、全ての事業所、企業を対象とする経済センサス活動調査を実施します。

 社会の重要な情報基盤である公的統計の品質向上と信頼確保のために改定した公的統計基本計画に盛り込まれた施策を着実に実行します。

 加えて、行政評価調査については、ポストコロナ時代の喫緊の課題を探り、その迅速な改善につなげていきます。また、各府省の政策評価の取組を制度官庁の立場から支援します。

 行政相談については、行政相談委員と協働しながら、困っている方々への積極的な情報提供や外国人相談、コロナ時代の新しい相談などに取り組みます。なお、今年は行政相談委員制度が六十周年を迎えます。これを機に、国民への広報、関係機関との一層の連携に取り組んでまいります。

 最後に、主権者教育や投票しにくい状況下の有権者の投票環境整備に努めます。

 以上、所管行政の当面の課題と政策の方向性について申し上げました。

 副大臣、大臣政務官、職員とともに、一丸となって国民の皆様や国家のために全力で職務に取り組んでまいりますので、石田委員長を始め理事、委員の先生方の御指導と御協力を賜りますようお願い申し上げます。

石田委員長 次に、令和三年度総務省関係予算の概要について説明を聴取いたします。熊田総務副大臣。

熊田副大臣 令和三年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。

 本予算案につきましては、令和二年度第三次補正予算と合わせ、新型コロナウイルス感染拡大防止と社会経済活動の両立を図りつつ、ポストコロナの新しい社会の実現を目指し、中長期的な成長力強化の取組を推進していくという政府方針の下、総務省として、デジタル変革の加速による新たな日常の構築、ポストコロナの社会に向けた地方回帰支援、防災・減災、国土強靱化の推進、経済社会を支える地方行財政基盤の確保、持続可能な社会基盤の確保に特に力を入れて取り組むために編成したものであります。

 まず、一般会計について御説明いたします。

 一般会計の予算額は、十六兆五千九百五十二億円であります。

 具体的には、マイナンバーカードの普及、利活用の促進といたしまして、マイナンバーカードの円滑な交付のための体制整備の支援の実施、マイナポイントによる消費活性化策の拡充などに必要な経費として千三百二十六億円、テレワークや遠隔教育、遠隔医療を支える情報通信基盤の整備といたしまして、5G、光ファイバー等の全国展開の推進、ローカル5Gを活用した課題解決の促進などに必要な経費として二百二十億円、先端技術への戦略的投資といたしまして、量子暗号通信網の構築、AIによる多言語翻訳技術の高度化等に関する研究開発に必要な経費として六百二十五億円、デジタル化の進展に合わせたサイバーセキュリティーの確保といたしまして、サイバーセキュリティ統合知的・人材育成基盤の構築、ナショナルサイバートレーニングセンターの強化などに必要な経費として六十三億円、新しい働き方、暮らし方の定着、デジタル格差対策の推進といたしまして、デジタル活用環境の整備、テレワークの推進などに必要な経費として三十八億円、総務省の政策資源を総動員した海外展開の推進といたしまして、5G、光海底ケーブル等のICTインフラシステム、放送コンテンツ等の海外展開に必要な経費として七十四億円を計上しております。

 次に、自立分散型地域経済の構築、過疎地域の持続的発展等の支援といたしまして、ローカル一万プロジェクト、分散型エネルギーインフラプロジェクト、新たな過疎対策の推進などに必要な経費として十五億円を計上しております。

 次に、国土強靱化の推進といたしまして、ケーブルテレビの光化などに必要な経費として十六億円、大規模災害等に対応した総合防災力、地域防災力の充実といたしまして、緊急消防援助隊の充実、消防の広域化の推進、地域防災力の中核となる消防団員の活動環境の整備及び装備の充実強化などに必要な経費として八十六億円、災害時の情報伝達手段の確保といたしまして、地方公共団体における防災情報の伝達体制の強化などに必要な経費として五十八億円を計上しております。

 次に、地方の一般財源総額の確保等といたしまして、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるために必要な経費として、地方交付税財源等十五兆九千四百八十九億円、米軍や自衛隊の施設が市町村の財政に与える影響等を考慮した基地交付金及び調整交付金として三百六十五億円を計上しております。

 次に、郵政事業のユニバーサルサービスの安定的な確保といたしまして、郵便事業の適正な実施に関する調査などに必要な経費として八億円、恩給の適切な支給といたしまして、受給者の生活を支える恩給の支給に必要な経費として千三百六十億円、令和三年経済センサス活動調査の実施などに必要な経費として百七十億円、行政運営の改善を通じた行政の質の向上といたしまして、行政評価局調査機能及び行政相談機能の充実強化などに必要な経費として十一億円、主権者教育の推進と投票しやすい環境の一層の整備といたしまして、主権者教育の推進、在外選挙人の投票環境の向上に必要な経費として二億円、そのほか、衆議院議員の任期満了に伴う衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査に必要な経費や政党助成法に基づき交付する政党交付金として九百九十六億円を計上しております。

 次に、東日本大震災復興特別会計について御説明いたします。

 本特別会計の歳出額のうち、総務省所管予定額は、震災復興特別交付税財源千三百二十五億円であります。

 次に、交付税及び譲与税配付金特別会計について御説明いたします。

 歳出額は、五十一兆八千四十七億円であります。

 具体的には、地方交付税、地方特例交付金、交通安全対策特別交付金、地方譲与税譲与金及び借入金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰入れなどに必要な経費を計上しております。

 以上、令和三年度における総務省所管予算案の概要の御説明を申し上げました。

石田委員長 以上で説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十六分散会


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