衆議院

メインへスキップ



第2号 令和4年2月3日(木曜日)

会議録本文へ
令和四年二月三日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 新谷 正義君 理事 田所 嘉徳君

   理事 岡本あき子君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 輿水 恵一君

      青山 周平君    井野 俊郎君

      井原  巧君    石田 真敏君

      大串 正樹君    加藤 竜祥君

      小森 卓郎君    坂井  学君

      武村 展英君    西野 太亮君

      鳩山 二郎君    古川  康君

      保岡 宏武君    渡辺 孝一君

      石川 香織君   おおつき紅葉君

      奥野総一郎君    鈴木 庸介君

      馬場 雄基君    道下 大樹君

      湯原 俊二君    阿部 弘樹君

      沢田  良君    守島  正君

      福重 隆浩君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   総務大臣         金子 恭之君

   デジタル副大臣      小林 史明君

   総務副大臣        田畑 裕明君

   総務副大臣        中西 祐介君

   総務大臣政務官      鳩山 二郎君

   総務大臣政務官      渡辺 孝一君

   総務大臣政務官      三浦  靖君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室長)          寺崎 秀俊君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   犬童 周作君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   原  邦彰君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           竹村 晃一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        馬場竹次郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局新型コロナウイルス感染症対策等地方連携推進室地方連携総括官)          大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  前田 一浩君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            吉田 博史君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       今川 拓郎君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            二宮 清治君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   吉開正治郎君

   政府参考人

   (消防庁次長)      小宮大一郎君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 松坂 千尋君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     鈴木 英敬君

同月三日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     青山 周平君

  石川 香織君     馬場 雄基君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     井野 俊郎君

  馬場 雄基君     石川 香織君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会専務理事松坂千尋さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府地方分権改革推進室長寺崎秀俊さん、デジタル庁審議官犬童周作さん、総務省大臣官房長原邦彰さん、大臣官房総括審議官竹村晃一さん、大臣官房地域力創造審議官馬場竹次郎さん、自治行政局長吉川浩民さん、自治行政局新型コロナウイルス感染症対策等地方連携推進室地方連携総括官大村慎一さん、自治行政局公務員部長山越伸子さん、自治行政局選挙部長森源二さん、自治財政局長前田一浩さん、自治税務局長稲岡伸哉さん、情報流通行政局長吉田博史さん、情報流通行政局郵政行政部長今川拓郎さん、総合通信基盤局長二宮清治さん、政策統括官吉開正治郎さん、消防庁次長小宮大一郎さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田所嘉徳さん。

田所委員 自民党の田所嘉徳でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、統計の問題につきまして質問をさせていただきます。

 公的統計は、国の政策策定において、よるべき基準であって、これが正確でないと的外れな政策や計画ができてしまうという大変重要なものであります。統計法を所管し、統計局を有する総務省の役割は大変大きいというふうに思っております。

 そこで、今般の国交省の受注統計、動態調査を見てみますと、全国の建設業者から寄せられたデータを集計するときに、遅れて出てきたものを、その報告の処理などで適正に行われないで、二重に計上していたということが一番大きいんだろうというふうに思っております。本来なら、ここで是正をし、公表をする必要があったわけですけれども、それを怠っていたというところが問題であって、また、この問題が会計検査院の調査の中から出てきたということも、内部のチェック機能の問題というものが表れているんだろうというふうに思っております。

 そこで、統計制度を担当する総務省として、特に重要な基幹統計において誤りがあった本件のような場合に、すぐに是正、公表等の対応をしなかったことについて、どのように考えているのか、また、かかる問題が再発しないようにどのような対策を行おうとしているのか、お伺いをいたします。

 この総務省においても、予算案の国会審議に関する資料である総務省所管一般会計歳出予算各目明細書に誤りがありました。入力ミスや確認作業を怠っていたことが原因であると言われておりますけれども、正確性が命である資料についてこのような間違いが発生したことは、仕事の品質に非常に疑問が生じるというものでございます。

 当然、人が作成する資料において間違いが発生しやすいことは理解されているはずですから、何らかのマニュアルに基づいて幾重にもチェックをしたのだろうと思いますけれども、どのような管理がされていたのか、また、今後の再発防止にどのように取り組むのか、金子総務大臣にお伺いをいたします。

金子(恭)国務大臣 田所委員にお答えを申し上げます。

 各府省が作成した統計に誤りがあった場合は、まずは、各府省が誤りの是正や公表、再発防止などを責任を持って行うことが基本であります。

 その上で、毎月勤労統計の不適切事案を受けまして、誤り発生時の対応ルールを定めるなど、政府全体で再発防止に取り組んでまいりましたが、こうした中でこの度の建設工事受注動態統計調査における事案が起きたことは大変遺憾なことであると考えております。こうした取組が浸透するに至っていなかったものと受け止めております。

 今般の事案を受けて、統計委員会においては、総理からの指示を踏まえ、今後、国土交通省の検証委員会の報告書等を精査の上、各府省の基幹統計の集計プロセスの点検を行っていただくとともに、その結果を踏まえつつ、再発防止策や統計作成のデジタル化、統計人材の育成などの公的統計の改善施策を取りまとめていただくこととしております。

 総務省としては、こうした統計委員会における検討を全面的に支援しつつ、公的統計に対する信頼回復に取り組んでまいります。

 また、総務省所管の一般会計歳出予算各目明細書の積算内訳に誤りがありました。大変遺憾であり、おわびを申し上げます。

 各目明細書につきましては、担当する会計課等において複層的なチェックを適切に行っていた箇所もあるものの、今回見つかった誤り箇所については確認作業が適切に行われておりませんでした。

 総務省としては、今後、全ての作業工程を精査し、しっかりと課題を把握した上で、事務作業を適正に実施するためのマニュアルの作成、複層的チェック体制の強化、幹部職員から一般職員までの意識づけの強化など、再発を防止するための様々な取組を、デジタル技術の活用も含め、進めてまいります。

田所委員 大臣所信の中でも統計作成のデジタル化というようなことも記してありましたが、私は、今やデジタル化でありまして、音声認識についても前後の文脈で内容を変えていくような、そんなこともできる時代、あるいはAIも活用される、そういう中で、その文言を修正しチェックしたり、あるいは転記ミスをなくすような、そういう取組というものも行ってもらいたいというふうに思います。

 次に、デジタル田園都市国家構想についてお伺いをいたします。

 私は、コロナ禍は、大都市への人口集中から活力ある地方の時代を開く、その契機にもなるというふうに考えているわけでございます。現に、東京都の特別区におきましては転出超過というようなことになっておりまして、そういう動きが、もうこのコロナ禍もあって見えているわけでありまして、これは総務省統計局で聞きましたので、間違いはないということだろうというふうに思っております。

 私は、コロナ禍で、大都市が非常に感染症等には弱い、あるいは、考えてみれば、地震やあるいは豪雨災害等にも非常に脆弱であるということだろうと思っております。そういう中にあって、デジタル化の進展、さらにはテレワーク等のICTの活用というようなことで、私は、この脆弱な大都市から自然豊かな地方に人や企業がシフトする、そういう新しい地方の時代が生まれるだろうというふうに思っております。

 そのような状況を捉えて、岸田総理も、デジタル田園都市国家構想が打ち出されておりまして、アフターコロナの豊かな新時代を開きたいものだというふうに考えております。

 そこで必要となるのが、5Gなどの高速大容量の通信網の構築であります。

 5Gは、外延を含めますと大変大きな技術変革でありまして、まさに世界との競争時代にもあるというふうに言えると思います。基盤整備を加速しなければなりません。

 このスピード感を持って基盤整備を進めるについて、利活用の推進のために人口カバー率をまず高くするということが重要だろうと思いますし、それとともに、今言ったような地方の時代を開く、地方も取り残さないような、そういう基盤整備も進めるという、ある意味相反する難しい命題がある中で、総務省としてどのように5Gネットワークの整備を進めていくのか、金子総務大臣にお伺いをしたいと思います。

 さらに、5Gによる情報通信技術が生きるデジタル田園都市国家構想とはどのようなものか。そのデザインが描けなくてはこれを推進することはできませんので、これをやはり、すぐにとは言わなくても徐々に、よく分かるようにしっかりと構築する、そういったプロセスが必要なんだろうというふうに思っております。

 5Gの超高速、低遅延、同時多数の接続ができるという特徴から、地方において高度な医療が受けられたり、あるいは、厳しい労働から解放されるスマート農業とか、インターネットを活用した働き方改革等、新たな豊かさの創出ができるというふうに考えるわけでありますけれども、5G活用による未来像をどのように描いているのか、金子総務大臣にお伺いをいたします。

金子(恭)国務大臣 5Gなどのデジタル基盤の早期の整備は、岸田内閣の最重要課題でございますデジタル田園都市国家構想を実現するために必要不可欠でございます。

 このため、総務省においては、補助金や税制などの支援措置を講じ、地方も含めた5Gネットワークの整備を後押ししております。

 さらに、昨年末には、携帯電話事業者に対して、5G基地局の整備の加速化を求める要請を行いました。

 現在、二〇二三年度までに人口カバー率を九割に引き上げることを目標としておりますが、要請の結果を踏まえて、これを上回る新たな整備計画を今年度中に策定をし、公表する予定でございます。

 こうした取組を通じ、5Gネットワークの整備を強力に進め、できるだけ多くの方々に5Gを活用いただけるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 また、5Gは、委員御指摘のとおり、超高速、超低遅延、多数同時接続などの点で非常に優れている技術であり、デジタル田園都市国家構想を実現するため、特に地方において5Gを活用する環境を整備していくことが必要不可欠でございます。

 委員からも具体の例示をいただきましたが、5Gを活用し、例えば、トラクターの自動運転、AIを利用した画像解析による製品の検査、建設機械の遠隔制御など、様々な地域、分野において具体的な取組が進められていると承知しております。

 特に、ローカル5Gは、特定の地域において、個別のニーズや課題に応じて独自のシステムを柔軟に構築できる技術であり、総務省では、現実の活用場面を想定した開発実証を行うなど、その普及促進に向けた支援を行っております。

 昨年十二月には、北海道岩見沢市に出張いたしまして、ローカル5Gを活用したトラクターの自動運転を視察するとともに、関係者の皆様と車座対話を行い、農業の担い手不足などの地域の課題解決の手段として5Gに高い期待が寄せられていることを改めて認識をいたしました。

 今後とも、5Gなど、地方におけるデジタルの実装を強力に推進し、活力ある地域づくりに向けてしっかりと取り組んでまいります。

田所委員 テレワークと、通信と放送の融合は飛ばしまして、マイナンバーについてお伺いをしたいと思います。

 マイナンバーカードの普及のために、マイナポイント第二弾として、合計二万円のポイントを付与するために、補正予算に一兆八千億円の予算を計上し、令和四年度末までに、ほぼ全国民へこのカードが普及するように、これを目指しているわけであります。

 その巨額な投資からして、意気込みは理解できるのでありますが、私は、付与されたポイントを他のカードに移さなければ使うことができないのは、誠に迂遠であって、また機能的ではないというふうに思うのであります。

 私は、マイナンバーカードで直接キャッシュレス決済ができるようにすれば、本当に他の機能と併せて便利なツールになって、黙っていてもカードが普及していくというふうに思っているわけでございます。

 本人確認ツールとしてだけでなく、直接キャッシュレス決済ができるようにすべきであると思いますが、いかがでしょうか。

 次に、これまでは、住民票や資格証明書を役所で発行してもらって、同じ役所にまた添付するというような、非常に不合理な手続があったわけであります。転勤、転居等についても、ワンストップでなかなかできないということであります。

 そこで、マイナンバーカード等を活用して、行政手続の負担軽減や効率化を行うべきであると考えますけれども、そのために、運転免許証やその他の国家資格、在留カード等の一体化等、活用範囲を積極的に私は広げていくべきだろうというふうに思っておりますけれども、これらをどのように進めようとしているのか、デジタル庁小林副大臣にお伺いをいたします。

小林副大臣 田所委員の御質問にお答えいたします。

 委員の御趣旨は、やはりマイナンバーカード普及には、カードの利用できる便利なシーンをたくさんつくるべきである、こういう御趣旨だと思っております。

 御提案いただいたような、キャッシュレス決済のツールとしてどうかということなんですが、現在も技術的に可能であります。ですので、こういった技術的に可能である部分を多くの事業者の皆さんにもお知らせをしながら、事業者の皆さんにとっても費用対効果が合えばそういったことを進めていただけるというふうに思っていますので、マイナンバーカードで何ができるのかということをしっかりお知らせをしながら、利便性の高い環境をたくさんつくっていけるように、民間の事業者の皆さんと情報共有しながら取り組んでいきたいと思っております。

 その発展形として、今お話をいただいたような国家資格の確認というもの、これを進めてまいりたいと思っておりまして、例えば、運転免許証との一体化、令和六年度、在留カードとの一体化、令和七年度、医師等の国家資格のデジタル化、令和六年度等、これを強力に推進をしてまいります。

 これをやっていくと、資格等の添付書類の省略であったりとか、登録情報の更新作業を簡単にできるというような利便性が出てきますので、そういったものをしっかりやりながら、マイナンバーカードを持ってよかったと思ってもらえる方が増えるように、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

 以上です。

田所委員 分かりました。

 これまで、自治体にポイントを与えてやろうというのを転換しておるわけでありまして、技術的にはできるわけでありますので、是非それはもう進めてもらいたいということを申し上げたいというふうに思います。

 郵便局において、マイナンバーカードの普及や、あるいは利活用をどうするかということについて聞きたいと思っております。

 全国に張り巡らされました郵便局ネットワークは、超高齢社会における身近な拠点として大いに活用すべきである。そのような中で、更なる利活用の促進について実証実験も行っておりますので、これから積極的にこの身近な拠点を使ったマイナンバーカードの普及や利活用を進めてもらいたいということを申し上げまして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、輿水恵一さん。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、心より感謝を申し上げます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 金子大臣は、社会のデジタル変革を加速させ、活力ある地方をつくると力強く所信で表明をされました。まさに今、社会のデジタル化への流れが加速する中、あらゆる場面で誰一人残されないデジタル社会の実現は大変に重要な課題であると思います。

 そこで、改めて、総務省として地方自治体のデジタル化の必要性と課題についてどのように認識されているのか、お聞かせください。

田畑副大臣 輿水委員の質問に御回答させていただきます。

 本格的な人口減少社会を見据え、自治体の業務の在り方そのものを刷新することが必要であり、地方自治体のデジタル化を推進する意義は大変大きいと考えてございます。

 また、今般の新型コロナウイルス感染症対応において、行政のデジタル化について、一つに、行政の情報システムが国民視点で十分に構築されていなかったこと、二つに、国、地方公共団体を通じて情報システムや業務プロセスがばらばらで、地域、組織間で横断的なデータの活用が十分にできないことなどの課題が明らかになりました。

 そのため、総務省では、令和二年十二月に策定をいたしました自治体DX推進計画に基づき、地方自治体における情報システムの標準化、共通化、また、行政手続のオンライン化などを支援をしてまいります。

 以上です。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 少子高齢化や人口減少の進展により、あらゆる現場で人手不足が叫ばれる中で、持続可能な公共団体構築のためには、コンパクトな組織で多種多様なサービスを自在に提供できるデジタル化が不可欠であると思います。迅速かつ的確な地方公共団体のデジタル化をよろしくお願いを申し上げます。

 さて、令和三年に成立いたしました地方公共団体情報システムの標準化に関する法律、いわゆる標準化法は、情報システムを統一することで住民の利便性の向上及び地方公共団体の行政運営の効率化に寄与する事務について、ガバメントクラウド等の活用を義務づけています。一方で、憲法には、地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有するとされており、その自主自立性がうたわれております。つまり、地方公共団体には、住民のデータを主体的に管理し、そして住民の多様なニーズに応えられるデジタル化が求められていると思います。

 そこで、地方公共団体のシステムの自主自立性と、デジタル庁が進めようとしている標準化の両立についてどのように考えているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 デジタル社会形成基本法第十四条では、地方公共団体は、デジタル社会の形成に関し、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施することと規定されており、委員御指摘のとおり、デジタル化に当たっては、地方公共団体には、住民データを主体的に管理し、住民の多様なニーズに応えていくことが求められているものと認識しております。

 地方公共団体の情報システムの標準化、共通化は、各地方公共団体におけるシステム改修や維持管理に係る負担の軽減を図るとともに、地方行政のデジタル化の基盤となり、住民の利便性の向上や行政運営の効率化に資するものでございます。

 また、標準化、共通化の対象事務につきましては、政令で二十の事務を定めておりますが、これらは各地方公共団体において事務処理の内容が共通しているものに限定しておりますことから、標準化、共通化は地方の自主性、自立性を損なうようなものではないと考えております。

 今後とも、標準化、共通化の取組を進めていくに当たりましては、地方自治の本旨を尊重し、自治体の御意見も丁寧に伺ってまいります。

輿水委員 どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 続きまして、地方自治体のデジタル化におけるマイナンバーカードの位置づけについてお伺いを申し上げます。

 マイナンバーカードの機能は大きく三つあります。一つ目は、顔写真つきの身分証明書、二つ目が、自分のマイナンバーが裏面を見れば確認ができる、そして三つ目が、カードに組み込まれたICチップを活用してオンラインでの公的個人認証ができることでございます。

 茨城県つくば市では、二〇二一年から、スマートフォンとマイナンバーカードがあればオンラインで転出手続ができるようになりました。このサービスは、クレジットカード決済による手数料振り込みまで完結をするものでございますが、二〇二一年三月には、二百五十六件の転出手続がオンラインで完結したとのことでございます。

 このように、このマイナンバーカードの公的個人認証を活用して地方公共団体では独自のサービスの展開が可能となり、行政の効率化と利便性の向上が期待されるところでございますが、地方公共団体におけるマイナンバーカード、デジタル化におけるマイナンバーカードの位置づけについてどのようにお考えなのか、お聞かせください。

吉川政府参考人 マイナンバーカードの機能につきましては、委員御指摘のとおりでございまして、行政手続のオンライン化など、地方公共団体のデジタル化においても非常に重要な役割を担うものと考えております。

 昨年十二月に閣議決定されましたデジタル社会の実現に向けた重点計画におきましても、原則、全ての地方公共団体で、特に国民の利便性向上に資する行政手続について、マイナポータルからマイナンバーカードを用いたオンライン手続を可能にするとされているところでございます。

 御指摘の転出手続につきましては、つくば市を始め一部の市区町村において、マイナンバーカードを用いたオンラインでの手続が可能となっております。また、昨年成立いたしましたデジタル社会形成整備法により、令和四年度中に、全ての市区町村において、マイナンバーカード所有者がマイナポータルからオンラインで転出届と転入予約を同時に行えるようになる予定でございます。

 総務省といたしましては、こうしたマイナンバーカードの利活用を所管するデジタル庁など関係省庁と連携しながら、カードの一層の普及に取り組んでまいります。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 次に、ちょっと素朴な質問でございますが、マイナポイントの給付金としての活用の可能性について伺います。

 現在、保険証や公金受取口座のマイナンバーカードのひもづけにより、マイナポイントがそれぞれ七千五百円分付与される事業が進められております。このマイナポイントは様々な電子マネーとして使えるものであり、ここで、給付金の給付において少しでも地方公共団体の事務負担を軽減し、受け取る側も速やかに受け取れる給付を実現するために、マイナポイントを給付として活用できる可能性はあるのかどうなのかについて伺います。

馬場政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナポイントは、マイナンバーカードによる本人確認を経て、キャッシュレス決済サービスのポイントを付与するものでございます。

 現在、マイナポイント第二弾を、デジタル庁、厚生労働省とも連携して実施をいたしており、本事業を通じて、マイナンバーカードの普及やマイナポイントの利用者の拡大を図っているところでございます。

 また、総務省では、自治体が多様な独自の給付をマイナポイントで行う自治体マイナポイントの普及につきましても取り組んでいるところでございます。

 これらの取組を進め、マイナンバーカードをより一層普及すること等により、マイナポイントの活用の可能性は広がっていくものと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。是非、マイナポイントまたマイナンバーカードを活用していただければと思います。

 続きまして、マイナンバーカードではなく、マイナンバーを活用しての情報連携サービスの現状と今後について伺います。

 マイナンバーカードの公的個人認証ではなくて、現在、既にマイナンバーの活用による行政機関の情報連携も進められていると思います。このマイナンバーの制度は、行政手続等における特定の個人を識別するための制度であります。

 具体的にどのようなサービスが今展開されているのか、また、今後どのようなことが進められようとしているのかについてお聞かせください。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバー制度は、委員御指摘のとおり、行政機関間での情報連携を可能としまして、国民の利便性の向上、行政の効率化、公平公正な社会の実現のためのデジタル社会の基盤であるというふうに考えてございます。

 現在、児童手当の申請など約二千三百の税、社会保障手続等の事務におきまして、行政機関間の情報連携を行いまして、これらの手続における住民票の写し、課税証明書等の添付書類の省略等を実現しているところでございます。

 また、昨年五月に成立しました公金受取口座登録法に基づきまして、これまでも、子育て世帯生活支援特別給付金等を特定公的給付に指定することによりまして、市区町村が、指定された給付事務を行う際に、所得情報等の確認、利用が容易になるということ、それから、マイナンバーを利用した管理が可能になること、これに基づきまして、受給対象者からの申請を待つことなく、プッシュ型に近い形で、市区町村によってスピーディーに給付事務が行えるような仕組みとなってございます。

 デジタル庁としましては、引き続き、マイナンバー制度の情報連携の対象事務の拡大に取り組みまして、社会保障、税、災害対策以外の行政分野の拡大につきましても、国民の理解を得ながら検討を進めてまいりたいと考えてございます。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 デジタル化で、様々なそういった業務がまた効率化され、便利になっている。そのような中で、やはり地域には、スマートフォンが使えない、あるいはスマートフォンをお持ちでない方々もたくさんいらっしゃるわけでございまして、こういったデジタル化されたサービスの提供について、こういった皆さんに対して、どのようにそのサービスをちゃんと行き渡らせようとしているのかについてお聞かせください。

犬童政府参考人 お答え申し上げます。

 行政サービスのデジタル化の進展に伴いまして、デジタル庁としては、誰一人取り残されない温かいデジタル社会の実現に向けまして、デジタル機器やサービスに不慣れな方々へのきめ細かなサポートが必要だと考えてございます。

 また、デジタル機器等の利用が困難な方もいらっしゃいますし、利用しないという方もいらっしゃいますので、そういう方にとっては、例えば窓口での行政手続の負担軽減のためのサポートを行うとか、そういったことも必要かと考えてございます。

 現在、デジタル庁におきましては、デジタルに不慣れな高齢者等をサポートするデジタル推進委員の制度化に向けて検討を進めてございまして、総務省を始め関係府省庁、関係団体と連携しながら、その具体化を図ってまいりたいと考えてございます。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 いよいよ金子大臣のリーダーシップの下で、光ファイバーと5Gネットワーク等が日本中に張り巡らされる中で、行政の効率化と行政サービスの利便性の向上の恩恵を全ての住民が享受できる、誰一人取り残されないデジタル社会の構築に期待が膨らみます。

 そこで、金子大臣の、デジタル化という手段を活用した地方公共団体の在り方や、目指すべき理想の実現に向けての御決意をお聞かせ願えますでしょうか。

金子(恭)国務大臣 輿水委員御指摘のとおり、各自治体において、デジタルの力を活用して住民の利便性向上や行政サービスの更なる効率化を進めていくことが重要であります。

 総務省では、令和二年十二月に策定をいたしました自治体DX推進計画に基づきまして、自治体のデジタル化の取組を支援しているところでございます。

 デジタル化の一例としては、行政手続のオンライン化により、住民にとっては、二十四時間、いつでもどこでも手続を行うことができる環境が整います。

 さらに、自治体が保有するデータを利用しまして、プッシュ型で行政サービスの情報提供を行うことができるようになるなど、住民ニーズに即した新たなサービスの実現も期待されております。

 また、行政手続のみならず、ICT技術を活用した高齢者の見守り支援や鳥獣害対策など、地域が抱える課題をデジタル実装によって解決する取組も進められているところでございます。

 総務省としては、自治体DX推進計画に基づく各自治体の取組をしっかり支援するとともに、先行的な事例紹介を行うことなどを通じて、自治体に対して、デジタル化を通じた新たな行政サービスの未来像を示してまいりたいと思います。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 地方公共団体のデジタル化による繁栄と発展に期待し、質問を終わらせていただきます。大変にありがとうございました。

赤羽委員長 次に、石川香織さん。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織でございます。

 私、初めて総務委員会の所属になりましたので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 今日は、自治体職員の現状からまずお伺いしていきたいなと思うんです。

 コロナ禍で自治体の役割が非常に大きくなっているということは、負担も大きくなっているということで、私、今日午前中は予算委員会の質疑に立っていたんですが、その中では、例えば、ごみ収集の現場で、検査キットを気軽に使えるようになりましたが、どうも捨て方が、ちょっと自治体によってばらつきもあり、住民からの問合せであったり、ごみ収集の現場からの問合せに関しても、なかなか自治体がどうしたらいいか分からないといった困惑の声もあるということで、この検査キットの捨て方についても、しっかり、こういうふうに捨ててくださいというような、そういう周知もしてほしいというような、今日、質疑をさせていただいたんですが、コロナワクチンの接種の間隔もどんどんスピードアップしていく中で、様々な段取りなども非常に苦労されているというのは、私たちみんなが共有をしているところだと思うんです。

 今日の質疑に当たって、いろいろな自治体の職員の方々にお話も聞いたんですが、例えば、事前に準備していた案内文書の発送の段取りが、この間隔が早くなったことによってやり直しになってしまったとか、それから、医療機関との個別の協議も一旦やり直しになったりだとか、あと、今、ウェブの説明会の開催というのをやっていますけれども、そういう案内があっても、説明会の前の日にニュースで大きな方針転換が伝えられてしまって、数日後に正式な通知が来たとか、あらゆる現場の方々が、今、コロナ対策、対応に追われている中で、こういうのは一生懸命やってくださっているので仕方がない面もあるかと思いますけれども、接種会場の確保であったり、余力のある自治体はもっと早く打ってくださいとか、いろいろなその一言一言に自治体の現場は非常に振り回されてしまっているということです。

 先日、金子大臣が岸田総理直々に、このコロナ対応のことで御指示を受けたというふうに聞いておりますが、まず、その御指示の内容についてお伺いしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 石川委員にお答えいたします。

 本当に現場の声をしっかりお届けいただきまして、心より感謝を申し上げたいと思います。

 新型コロナワクチンの追加接種については、一月、二月、山場を迎えるということで、前倒し接種のペースアップに取り組むよう、本年一月、私に直接総理から御指示がございました。

 具体的には、今後、オミクロン株への感染が高齢者に広がると重症者が発生する割合が高くなるおそれがあるという指摘が専門家からされているということを踏まえて、高齢者への三回目接種は極めて重要である、前倒し接種のペースアップに向け、厚労大臣やワクチン担当大臣等と力を合わせて、現場で接種に当たる自治体と緊密に連携をしながら取組を強化せよとのことでございました。

 この総理からの指示をしっかり実現すべく、私を本部長といたします、総務省の中に、新型コロナ対策地方連携推進本部において丁寧な課題の把握と支援に努め、関係省庁とも連携しながら、自治体の対応を後押ししてまいりたいと思います。

石川(香)委員 金子大臣も、本当にコロナ対応も含めて御苦労も多いかと思いますが、やはり、まず一番最初に自治体の味方であってほしい、総務省は味方であってほしいという思いもありますので、そういった観点で、様々な現場の課題についても引き続きお伺いしてまいります。

 今、年度末が迫っておりまして、何かと忙しい時期だと思います。確定申告ですとか転出、転入も含めて、先ほど言ったようなワクチンの対応ももちろんそうでありますが、特にワクチン、これから子供のワクチンも入ってくるということもあって、三回目のワクチンと子供のワクチンの様々な案内とか準備が重なっているということもありますが、ワクチンはファイザー製とモデルナ製があって、保管方法とか用量とか用法が全て異なって、つまり、冷蔵庫も別々に管理をしなきゃいけないということで、何か間違ってはいけないということで、かなり緊張感のある日々だそうです。様々な封入作業なども、本来は業者の入札でするということが多いみたいなんですが、時間がないので、職員の皆さんが土日返上で残業してやっているというようなお話もありました。

 そんな中で、度々新聞ですとかいろいろなところで見受けますのが、都道府県に対してのアンケートですね。二月末までにどのくらいの都道府県が高齢者の三回目のワクチン接種ができる体制が整うかというようなアンケートを取ったということで、九七%に達したと。もしかしたらもっと増えているかもしれませんけれども、こういうアンケートは度々やっておられると思います。

 一回目のワクチン、二回目のワクチンもそうでしたけれども、これは間違いなく、自治体の頑張り度合い、それから努力がしっかり数字として見えるという見方もできるわけですが、一方で、各地方、いろいろな現状、事情がある中で、一律に比べていいのかという思いもしています。

 例えば、雪が降る地域であったり、打ち手がなかなかいない、病院が少ないとか、大都市か地方かということでも違うかもしれませんけれども、実際、職員の方々が感じるのは、やはり接種のスピードの競争を、何かあおられているような感じがすると。こういった、一律に結果が出てしまうことに対してかなり負担を感じるというような声もあったんですが、このことについて御答弁いただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 今、三回目接種のお願いをしているところでありますが、昨年、二回目接種も、最初は国からお願いをしてもなかなか進まなかった。そこで、総務省が、やはり自治体と寄り添って今までもやってきたので、こういう指示がある、でも現場では、そうはいっても会場がなかなか取れないとか、さっきお話があった医療従事者の確保ができないとか、いろいろなできない理由があったんですね。それをしっかり総務省が受け止めてフィードバックをして、関係省庁も対応しながら、徐々にこれは進んだ経緯がございます。

 昨年も、岸田総理になってからも、総務省、しっかり頑張ってくれよということを、一月の前にもお話をいただいたところであります。

 オミクロン株による感染者が急増する中、重症化リスクの高い高齢者を始め国民の健康を守るため、総務省としても、追加接種前倒しのペースアップに向けて自治体の取組を後押ししているところでございます。

 先ほども申し上げましたように、私を本部長といたします新型コロナ対策地方連携推進本部において、自治体に寄り添って、それぞれの現場の実情を十分にお伺いしながら、関係省庁にフィードバックするなど、丁寧な支援を心がけております。

 また、調査の実施に当たりましては、なるべく簡素な調査となるよう努めながら、結果の公表に当たっても、個別の市区町村名は非公表とするなど、自治体の皆様の負担にならないよう配慮しているところでございます。

 引き続き、接種の促進に向け、関係省庁と連携をし、自治体の立場に立って丁寧な支援に努めてまいります。

石川(香)委員 都道府県のランキングがばあっと出ると、では、我が町はどうなんだということで、地元の新聞紙だとかいろいろなところがそういうことも探ってきて、結局、ここが遅いとか早いとかということにもなってしまう、そういうことがどうしても出てしまうんですが、今、しっかり自治体に寄り添ってということも言っていただきました。

 自治体は、これまでの一回目、二回目のワクチン接種のノウハウもしっかり蓄積をして、現場の知恵で様々な業務の効率化を図ってきて、今ほぼ最速のペースでやれているということもおっしゃっている方々も多かったですので、引き続き、バックアップ、寄り添うということについて、重ねて要望させていただきたいと思います。

 コロナ禍の中で、それぞれの生活がいろいろ大変だというようなこともあるんでしょうか、自治体職員へのカスタマーハラスメントもこのコロナ禍で増えてきているということも聞いています。

 自治労の調査の中で指摘をされていましたが、いわゆるカスタマーハラスメントというのは、住民からの悪質なクレームであったり、それから迷惑行為、これを受けたことがある自治体職員がおよそ半数に上るということもありまして、こういったことに悩む職員の救済策ですとか支援策というのはやはり大事だと思うんですが、この辺りについて御答弁をお願いいたします。

山越政府参考人 お答えいたします。

 ハラスメントは、個人の尊厳や人格を不当に傷つける許されない行為であるとともに、職員の能力の発揮を阻害し公務能率の低下を招くものであることから、地方公共団体においてハラスメント対策に適切に取り組むということは重要であるというふうに思っております。

 地方公共団体にも適用される労働施策総合推進法によりまして、地方公共団体は、厚生労働大臣指針に定めるパワーハラスメント防止のための必要な措置を講じる義務を負っていますが、いわゆるカスタマーハラスメント対策については、事業主が行うことが望ましい取組とされているところでございます。

 ただ一方、国家公務員におきましては、人事院規則等においてカスタマーハラスメントへの対応についても規定をしておりまして、その苦情相談があった場合に、組織として対応し、その内容に応じ、迅速かつ適切に職員の救済を図ることが示されているところでございます。また、職員は、各府省の相談員のほか、人事院に対しても苦情相談を行うことができるという仕組みになっております。

 総務省としては、これらを踏まえまして、公務職場の特有の要請に応える観点からも、地方公共団体におきましてもカスタマーハラスメントについて国と同様の対応を行っていただきたいこと、具体的には、任命権者による相談窓口の設置等の取組のほか、人事委員会等に対しても苦情相談ができる旨を職員に周知していただきたいなどの要請をしてきたところでございます。

 昨年六月時点で、全国の対応状況でございますが、このような措置が講じられていない団体が市区町村を中心に一部見受けられましたことから、先月、改めまして、適切な対応を要請する通知を発出したところでございます。

 今後とも、地方公共団体における取組状況をフォローアップしつつ、カスタマーハラスメントを含めた各種ハラスメント対策の実効性が確保できるよう助言してまいります。

石川(香)委員 国家公務員、地方公務員限らずしっかり措置を取っていただけるように、フォローアップを引き続きよろしくお願いを申し上げます。

 自治体の職員の減少、自治体職員が少ないということは以前から問題視されていますけれども、特段厳しい状況に置かれているのが技術系の職員の不足の問題です。

 例えば鹿児島県では、民間企業などの職務経験者を対象にして、技術系の採用試験の受験資格を、これまで三十歳から三十九歳にしていたそうなんですが、五十九歳以下に改めるということで、職務経験の要件を緩和したりして門戸を広げている努力をされている。

 自治体職員の中でも、とりわけ技術系の職員の確保や育成について、総務省がどのような支援をしているのかということについてお伺いをさせていただきます。

山越政府参考人 お答えいたします。

 近年の防災・減災、国土強靱化の推進や、公共施設の老朽化を踏まえました適正管理が求められる中で、小規模市町村を中心に技術職員が不足し、その確保が課題になっていると認識しております。

 こうしたことから、総務省では、令和二年度に、復旧・復興支援技術職員派遣制度として、まずは都道府県などにおきまして技術職員を増員し、平時に技術職員不足の市町村を支援するとともに、大規模災害からの復旧復興の際に広域的に応援していただく仕組みを創設し、その人件費について、必要な地方交付税措置を講じているところでございます。

 この制度を活用した技術職員の採用、増員につきましては、全国の都道府県知事に対する大臣書簡などによりまして格別の御協力をお願いするなど、地方公共団体の技術職員の確保に取り組んでいるところでございます。

 また、技術職員の人材育成につきましては、専門的な知識、技能の習得のためには各所管省庁において研修等を企画、実施いただいていると承知していますが、総務省としましては、地方公共団体に策定いただいている人材育成基本方針においても、地方公共団体の行政サービスを支える多種多様な職種の職員について、多様で高度な専門能力や、特定の分野における高度な業務に対応できる能力の養成など、それぞれの職種にふさわしい研修を検討するよう助言しているところでございます。

 引き続き、必要な情報提供を行うなど、各団体の取組を支援してまいります。

石川(香)委員 今御答弁あったように、近年災害も頻発をしていますが、一月二十八日の国交省の発表でこんなデータがあるんですけれども、二〇一九年度から二〇二〇年度に道路施設を点検した結果、橋二万三千八百十五か所、トンネル千百三十五か所は、老朽化で鉄筋が露出するなどして、緊急かつ早期に修繕が必要と判断されたと。

 ただ、これは自治体管理が多いということなんですが、財政難という問題と併せて、やはり現場の技術系の職員がいない、足りないということで対応が進んでいないというケースもあるということです。緊急措置段階とされた橋のうち百九十か所、トンネルは五か所全てが自治体管理だったということです。

 同時に、水道関係も同様でして、昨年の十月に和歌山県で水道管が通る橋が崩落をして、広範囲で断水が発生をしたということがありましたけれども、耐用年数を超えた水道管は全国で十三万キロあると言われているそうです。

 やはり、こうした背景にも、行政のスリム化であったり、団塊世代の大量退職で、技術系の方々を始め人材も不足してしまっているということも影響があるのではないかということで、改めて、自治体の職員の皆さんの養成というのは、将来的にも日本のインフラがしっかりと守られる、支えられているということに直結をしますので、先ほど言ったカスハラも、メンタルヘルスの面も含めてでありますけれども、自治体の職員の皆さんが長く勤めていけるような環境づくりというのは最重要課題の一つであるなというふうに感じています。

 では、次でありますけれども、いわゆる十増十減についてお伺いします。

 今、昨年十月の衆議院選挙をめぐって、弁護士グループが、投票価値を定めた憲法に反するとして、二百八十九小選挙区全てに選挙無効を求める訴訟を起こしていますが、まず最初に、二月一日に高松高裁が違憲状態であるという判断をいたしました。

 昨年の衆議院選挙で、議員一人当たりの有権者数が最も少ない鳥取一区と、一番多かった東京十三区、この格差が二・〇八倍になったということで、このように格差が二倍になってしまった選挙区は全部で二十九小選挙区あるということでした。

 さらに、その判決が出た前の日の一月三十一日ですが、衆議院の選挙区画定審議会、区割り審ですね、これが開かれました。その中で、議員数が減ることになるであろう県からは、地方の声が反映されなくなるですとか、人口による定数配分の見直しにも言及があったと報道されています。

 これに関しては、この十増十減ということに関しては、岸田総理も国会での答弁で、粛々と進めていくといった趣旨の答弁をされていますけれども、一方で都道府県からこういった声が上がっているということで、まず、こうした都道府県の声に対しての政府の見解を金子大臣にお伺いをしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 一月三十一日に開催されました衆議院議員選挙区画定審議会では、都道府県知事に対する意見照会への回答について事務局から報告を行ったと承知しており、知事の回答の中には、地方選出の国会議員が減少することを懸念する意見があったと聞いております。

 政府の最重要施策として取り組んでおりますデジタル田園都市国家構想を始めとして、地方の人口減少を食い止めていくことは重要な政策課題と認識しております。

 しかしながら、都道府県別定数は、法に規定されるいわゆるアダムズ方式によりまして、令和二年国勢調査の日本国民の人口に基づき計算することとされており、審議会は、都道府県別定数による区割り画定案の勧告を、法に基づき、本年六月二十五日までに行うものとされていると承知しております。

石川(香)委員 今日の朝日新聞にも、朝日新聞独自の試算として、二〇四〇年には十六増十六減といった見通しになるという記事も掲載をされています。これもやはり定数が一番増えるのは東京なんですが、東京の場合は二十五から更に増えて三十三の小選挙区になる見通しになるという試算をされています。

 こういった状況の中で、この十増十減に関しては、様々な報道も増え、議員の発言も度々聞かれます。一部の自民党議員も、これでは地方の声が反映できないという批判が高まる中で、腹立たしいというコメントもありました。細田議長の発言も、これは本当に大変問題視される発言だと思います。

 このアダムズ方式は、本来は自民党が主導で進めて、これは各党で決めた方針ですので、それは、自分の選挙区がなくなるかもしれないというような局面で批判するということであれば、一票の格差の問題はどうしたんだ、国民に説明がつかないじゃないか、それは党利党略と言われても仕方がないと思いますが、方針としては十増十減である。

 このことを重々理解した上で、決められたアダムズ方式にのっとるというのは大前提なんですが、ただ、この区割りの画定によって地方の声が国政に届かなくなるのではないかという思いは、私自身もそれは感じております。

 このことについて、どのように地方の声を届けていくか、国政に反映をさせていくべきかということについてお伺いをさせていただきます。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 審議会の事務局も務めておりますので、私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。

 区割り画定案を作成するに当たりましては、衆議院議員選挙区画定審議会設置法の規定によりまして、選挙区間の格差については厳格に二倍未満とするということとされておるわけでございますけれども、その場合に、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならないこととされておりまして、区割り審におきましても、地域の様々な事情を考慮しながら区割りの方は行われることとなるものと考えているところでございます。

石川(香)委員 今、自治体の半分以上は過疎という状況の中で、このままでは、やはり都市部ばかりに選挙区が増えて、議員が増えてしまう、一方で、地方の選挙区が巨大になっていくという問題もあるんですよね。

 それでは地方の声は国政に反映されなくなるのではと思うわけなんですが、この質問をするに当たって、広い選挙区ベストテンというのをちょっと調べていただいたんですけれども、私の選挙区が二番目に広い選挙区で、どれぐらいのサイズ感かといいますと、大体岐阜県と同じぐらいのサイズが私の選挙区。私の戸籍が足寄町というところにありますけれども、これが香川県と同じぐらいの大きさなんです。ちなみに、このベストテン、ちょっと今データは元にないんですけれども、六つか七つは北海道の選挙区でした。

 もしこれが、本当に区割りが将来起こるとしたら、これ以上大きくなる選挙区になるといって、自分がどういうふうに活動できるかなということも考えるわけなんですけれども、お隣が数キロ離れているというところもかなりあるわけでして、このままだと広大になってしまうということがあるわけなんですが、それは一方で、有権者が候補者、政治家に対して触れる機会、触れる情報も少なくなってしまうのではないか、そういう機会も減ってしまうのではないかということも考えられると思います。

 これが、今非常に問題視されています投票率の低下であったり、政治的関心の低下を更に招くことにもなるのではないかということも予想されるわけですけれども、この点についてお伺いをします。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 区割り審の勧告に際しまして、一票の格差に例えば優先してまで面積の要素を考慮に入れるようなことということは、法の規定やこれまでの最高裁判決などに照らして困難ではないかと考えられるわけでございますけれども、衆議院小選挙区選出議員の選挙においては、一定以上の面積などの要件を満たす選挙区について、候補者等が設置することのできる選挙事務所の数や選挙運動費用の上限額、こういったものについての特例も設けられておるところでございまして、このような点で、御指摘の点についても考慮はなされているものと承知をしているところでございます。

 いずれにしても、選挙区の大きさにかかわらず、できるだけ多くの有権者の皆様に投票に参画いただくことが必要と考えておりまして、総務省及び選挙管理委員会におきまして、有権者の投票しやすい環境を確保するとともに、啓発にもしっかりと努めてまいりたいと存じます。

石川(香)委員 例えば、選挙のときに人がたくさんいるところには優先的に選挙カーが走り、人がいないところは選挙カーが余り走らないなんということになってはいけないわけなんです。

 私が今後の議論で注目しているといいますか、一つの提案なんですが、選挙区の飛び地ですね。飛び地の選挙区、これについてちょっとお伺いしたいんですが、つまり、地方の選挙区と都市部の一部をくっつけて一つの選挙区にする。

 実は、これは毎回、この飛び地の議論というのは区割り審の中の議論ですとかで出ていまして、ただ、前回の審議会の中では、やはり飛び地になってしまうと、地域のつながりであったり、交通の便なども含めて、それが懸念材料とされて、選挙区は飛び地にしないものにするとわざわざ記載までされています。

 ただ、飛び地にすること自体は、法律違反では今の時点ではありません。衆議院議員は、地域の代表でもありますが、国民の代表でありますので、飛び地であっても決しておかしくない。むしろ、自分の選挙区が、地方の目線と都市部の目線、両方を見ることができるのであればそれはそれでいいのではないか、どちらにも目配りできる議員というのは必要ではないかという観点で、選挙区の飛び地ということについても選択肢として排除されることでもないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

森政府参考人 審議会の事務局として、私の方からお答えさせていただきたいと存じます。

 今回の区割り改定における飛び地の取扱いにつきましては、今後、審議会において議論がなされるものというふうには承知をしておるところでございますが、その考え方として、平成六年の当初の区割り画定の際に、飛び地を設けないにこしたことはないけれども、このために市区の分割が避けられないような場合には慎重な対応が必要であるという意見はあったのですが、選挙区の隣接性、連続性の観点、選挙人の情報の共有の観点から飛び地は設けるべきではない、市区が連担して生活圏の一体性があればその市区を分割しても合理性があるのではないかといった議論がありまして、その結果、選挙区は飛び地にしないものとするという旨が区割り基準に盛り込まれまして、以来ずっと、これまでの区割り改定時においても踏襲されてきているものと承知をしております。

 審議会の議論ということで御紹介を申し上げたところでございます。

石川(香)委員 もちろん、これは例えば地方議会の選挙区に影響も及びますし、それから、選挙管理委員会が複数またがってしまうというような問題もありますし、何より、地域が遠いので、地域の方々と議員のつながりが薄くなってしまうのではないか、そういう懸念は確かにありますが、議論が今行われているというところですので、あくまで、これは何とか知恵を出さなきゃいけないという意味で、問題提起だけ今日はさせていただきたいと思います。

 このままいくと、ただただ都市部の選挙区が増えていくということになりますが、実は、本来、アダムズ方式というのは、各都道府県の人口を同じ数字で割って小数点以下を切り上げた整数ですので、都道府県の、実は地方に厳しい選出方法かといえば、小数点以下を切上げなので、二を確保しやすい方式でもある。そうであっても、やはり四〇年には十六増十六減という数字を見ると、今のこの議論というのは非常に必要であろう、その議論の必要性というものも感じてしまいます。

 ただ一方で、冒頭お話ししたような様々な意見が、党内でも、議員の中からも出ているということで、この区割り審、新たな区割りの勧告後、相当議論が紛糾することも予想されます。

 総務大臣にお伺いしますけれども、今後の流れとして、区割りの審議が行われて、区画審が内閣総理大臣への区割りの改定案を勧告するということになっていますが、この勧告を盛り込んだ法案を速やかに提出するということについて、しっかり総務大臣の決意というものも伺っておきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 石川委員おっしゃるとおり、衆議院議員選挙区画定審議会設置法に規定されるいわゆるアダムズ方式により、令和二年国勢調査の日本国民の人口に基づく都道府県別定数を計算すると、十増十減となります。審議会は、この都道府県別定数による区割り改定案の勧告を、同法に基づき、本年六月二十五日までに行うものとされていると承知をしております。

 総務省としては、審議会から区割り改定案の勧告があったときは、当該勧告に基づき、速やかに、必要な法制上の措置を講ずることとなるものと考えております。

石川(香)委員 いろいろとお話しさせていただきました。一票の格差の是正は本当に最重要です。これからもこの議論をしっかり見守っていきたいなと思っております。

 選挙の区割りを考えたときに、その大きな背景は、やはり人口減少、特に地方での人口減少という問題になるのかなと思っています。高齢化も進みまして、選挙の在り方自体も変化していく必要があるのではないかと思うことが度々あります。

 今回の四十九回の衆議院選挙の中では、投票所が移動してくる、移動式の投票所であったり、部活帰りの学生たちが投票ができるように、学校で投票できる工夫なんかもあったということで、こういった取組は、きめ細やかな取組であって、推し進めていってほしいと思うわけなんですが、ただ、行政や選挙管理委員会の負担も一方で増えていくということも、これまた懸念の一つであります。

 一方、投票用紙の在り方もやはり考えていく必要があるのかなと思っています。

 日本は、候補者の名前を自筆で書いてもらって投票するということが一般的ですけれども、実は、この方法は世界的には例外的な部類に入るようです。

 アメリカの投票用紙は、各州で様式が違うようですけれども、大部分はマークシート式でありまして、機械が自動で集計できて、効率も非常にいい。韓国では、マル・バツを記入する代わりに赤い判こを押す方式だそうで、最近では電子投票も広がっている。メキシコは、所属政党のロゴマークが並んでいるところに記載された候補者の名前に印をつける。ロシアでは、候補者の名前や略歴が細かく書いてあって、有権者はチェックをつけるということで、識字率の違いなどは当然ありますが、やはり自筆で書くということは世界ではメジャーではないということが、私もいろいろ調べて分かりました。

 やはり、投票していただく身としては、自分で名前を書いてくださったというのは、これは大変うれしいわけなんですが、一方で、疑問票と言われるものも非常に多いというのも、選管の皆様の負担を重くしているということもあります。書き間違いであったり、判読不能の問題というものがどうしても発生をしてしまう。

 また私の選挙区の話で恐縮なんですが、二〇一七年の衆議院選挙で、総票の中の一割が無効票になってしまっていました。白紙なども含むんですけれども、書き間違いというものがかなりありまして、私というか、石川さゆりさんという名前を書いた方とか、それから石川知裕、私の夫なんですけれども、あと、石川香織頑張れとかですね。

 それぞれの選管の判断だそうです。私もどこまでがオーケーになったか分からないんですが、特に、石川さゆりさんという名前であれば、石川さゆりさんは著名人ですので、別人格でカウントした選管もあれば、恐らく石川香織と書きたかったんだろうという認定をしてくれたところもあるということで、私としましては本当に残念なんですけれども。逆に、せっかく投票所に来て投票していただいたのに、それがしっかり投票されていないというのも、これまた残念な話で、もったいないわけでありますが。

 候補者の名前を手書きにするということ、これがどのような経緯でなったのか、それから、変えていこうという議論はあるのかということについてお伺いします。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国では、選挙制度発足当初に、立候補制度が取られていない状況におきまして、選挙人が候補者の氏名を自書することにより投票を行う、いわゆる自書式投票が採用され、大正十四年に立候補制度が採用された際も、投票用紙に候補者名を印刷し投票所に配付することは困難であるとの理由から、自書式投票は維持されたところでございます。

 衆議院議員の選挙につきまして、平成六年に現在の小選挙区比例代表並立制が導入された際には、公職選挙法の改正により、候補者の氏名に対し丸の記号を記載することにより投票する記号式投票によることとされましたが、一度も実施をされないまま、平成七年に議員立法により自書式投票に改められたところでございます。

 この自書式投票に改めた理由につきましては、提案理由説明の中で、候補者数や衆議院名簿届出政党等の数が多数になると、有権者が投票用紙の中から投票しようとする候補者や政党を見つけ出すことは容易ではなく、有権者に無用な混乱を与えるおそれがあること、立候補届出締切り後に投票用紙を調製しなければならないなど、選挙管理委員会に過重な負担をかけることなどが述べられていたところでございます。

 なお、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙については、昭和三十七年及び昭和四十五年の公選法の改正によりまして、当該地方団体の条例で定めるところにより、記号式投票の導入も可能となっております。

 いずれにしましても、公職選挙法の改正を伴う投票制度の見直しにつきましては、選挙制度の根幹にも関わることで、各党各会派で御議論いただくべき事柄というふうに存じているところでございます。

石川(香)委員 各党、各議員でということでございました。正しい名前を書いてもらえるようにするためには、まずは自分が活動を一生懸命頑張れということだと思いますので、それも頑張っていきたいと思います。

 一つ飛ばしまして、森林環境譲与税についてお伺いさせていただきます。

 森林環境譲与税は、地方自治体にとっても歓迎されて、悲願であったというものでした。二〇一九年度から制度が始まりまして、既に一九年度と二〇年度は各市町村に配分をされています。ちなみに、この森林環境譲与税ですけれども、二四年度からは、個人住民税に一人当たり年間千円を上乗せして徴収する森林環境税が収入の原資になるということです。

 今の、この一九年、二〇年度についてですけれども、市町村の、およそ五割強、五四%、金額にして二百七十一億円が使われていない、未支出ですね、この結果について、どのような分析で使われていなかったのかということについてお伺いさせていただきます。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 森林環境譲与税の市町村での活用実績についてでありますが、令和元年度及び令和二年度の二年間で、市町村への譲与額が五百億円であるのに対し、約五割が執行され、残りは基金に積み立てられているという状況でございます。

 市町村において基金に積み立てている理由を聞き取りましたところ、森林所有者への意向調査等の準備作業から取組を開始しており、本格的な間伐等の森林整備事業に今後活用するため、あるいは、次年度以降の木造公共施設の建築事業に活用するためなどの回答があったところでございます。

 一方、各年度の活用額を見ますと、令和元年度は約六十五億円、令和二年度は約百六十三億円と増加してきておりまして、間伐等の取組が本格化しつつあることに加え、森林環境譲与税を活用した様々な取組が進んでおり、この横展開を積極的に進めておりますことから、今後も活用額は伸びていくのではないかと考えております。

 総務省としては、森林環境譲与税を有効に活用した市町村の取組が進むよう、林野庁とも連携をし、市町村を支援してまいりたい、このように考えております。

石川(香)委員 多くが基金に積み立てている、今後どんどん使われていくことを望みたいということなんですが、かなりこれは自治体間でも差がありまして、金額が最も多かったところは横浜市でして、一九年度も合わせると四億四千万円、今年度は三億百九十五万三千円ということでして、最少は沖縄県の渡名喜村の三万六千円ということで、非常に自治体間で差が大きい。確かに、三万六千円で何ができるかと考えれば、もう少し金額が積み上がるまで基金に積み立てようというのは、理解はできます。

 問題なのは配分の仕方なんですが、自治体への配分は、私有の人工林の面積五〇%、人口三〇%、林業就業者数二〇%で配分するということになっていますが、蓋を開けてみると、人口比がかなり多く影響していまして、横浜市、次いで浜松市、大阪市といったように、森林資源は乏しいが人口は多いといったところに集中している。

 やはりこれからも、森林が多い地域にしっかり配分できるように、制度の変更というもの、これからも求められていくと思いますが、このことについて総務省の見解をお聞きして、質問を終わりたいと思います。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 森林環境譲与税の譲与基準につきましては委員御指摘のとおりでございますが、譲与基準の見直しにつきましては、これまで、衆参両院の総務委員会の附帯決議におきまして、各地方団体の森林整備の取組や施策の効果を検証しつつ、必要がある場合には所要の見直しを検討するとされているところでございます。

 令和二年度の活用実績でございますが、間伐等の森林整備について、森林所有者への意向調査を行っている団体も含めますと、七割以上の市町村において取り組まれておりますし、八割程度の政令市や特別区におきましても、木材利用や普及啓発に関する事業に取り組んでいるなど、地域の実情に応じた様々な事業への活用が一定程度進んでいるものと受け止めております。

 森林環境譲与税による効果を検証するためには、今後も事業の実施状況を見極める必要があると考えており、これらを踏まえ、森林環境譲与税の譲与基準の見直しについて、引き続き検討してまいりたいと考えております。

石川(香)委員 終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、湯原俊二さん。

湯原委員 こんにちは。湯原俊二でございます。

 金子総務大臣の所信に対して質疑をさせていただきます。

 まずもって、冒頭でありますけれども、質問の機会をいただきましたことに感謝申し上げたいと思いますし、現在、コロナで、感染拡大していっておりますけれども、罹患された方々に対してお見舞い申し上げるとともに、最前線で御尽力いただいている医療福祉関係者、あるいは、先ほど石川さんからもありましたけれども、保健所を中心とする行政関係者にも改めて敬意を表したいと思います。

 さて、金子総務大臣、安倍政権以降のこの十年ほどの自民党政権で、アベノミクスと同時に地方創生、地方創生というある意味でキャッチフレーズみたいな言葉がどんどんと繰り出されてきたわけでありますけれども、この地方創生という施策で地方の実態はよくなったのか。先ほども若干北海道の事例がありましたけれども、とりわけ過疎地域の実態はよくなったとお考えなのか。

 金子総務大臣のホームページを見ますと、「地域の繁栄なくして、国の繁栄なし。」こう上がっておられますけれども、この十年間の自民党政権の地方創生、地域の実態はよくなったでしょうか。まず、この点についてお聞きしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 湯原委員にお答え申し上げます。

 岸田内閣においても地方創生には引き続き取り組んでおり、私も、常日頃、先ほど御紹介いただきましたが、地方の繁栄なくして国の繁栄なしと申し上げているところでございます。

 こうした中で、委員御指摘の過疎対策については、昭和四十五年以来、五次にわたり、議員立法として過疎法を制定いただき、地域間格差是正という基本的な考え方の下、取り組んでまいりました。

 この結果、地域の担い手不足、移動手段の確保、集落の存続などといった課題はあるものの、産業の振興、交通、生活環境、福祉等の施設整備、情報通信環境の確保など、多くの分野において一定の成果が上がっているものと考えております。

湯原委員 ありがとうございます。御答弁いただきました。

 岸田政権も引き続き地方創生をやっていく、昭和四十五年以降、五次にわたって議員立法をやってきた、地域間格差の是正を頑張ってきた、一定の成果があったというふうにお答えになったと思いますけれども、成果はあったことは認めますけれども、現実的に、多くの地方、地域に住む方々、過疎地域に住む方々が、一定の成果はあったと思いつつ、かといって今の現状で満足していらっしゃるかというと、私は違うんじゃないかなというふうに思っています。

 お手元に、一枚のペーパー、皆さん方にも配付させていただいておりますけれども、ありますでしょうか。これは、お世話になって国会図書館に作っていただいたものであります。

 先ほど金子大臣が昭和四十五年からということでありますように、いろいろ法律は変わってきましたけれども、昭和四十五年からの過疎地域の指定の団体数の推移が書いてあります。右側については国勢調査、基となる国勢調査、それを受けて過疎地域の指定になりますので、そういう数字であります。

 当然、途中では、経年によっては市町村合併等々ありますので、一概に団体数だけでは比較できないと思いますけれども、若干申し上げると、昭和四十五年時点、一九七〇年時点で、全体の市町村数の中で過疎地域に指定された数、自治体数でいうと当時は七百七十六団体とありますけれども、二三・二%であります。これは全体の二三となる。面積的にいうと二七・四%であります。ちょっと書いておりませんけれども、私が計算したものであります。

 昭和五十五年、金子大臣がちょうど大学を卒業前後ぐらいの時期であると思いますけれども、これが市町村数で、指定団体数でいうと千百十九。このときの市町村数の全体、全国でどのぐらいの割合だったかというと、先ほどは二三・二%であったのが三四・四%になります、十年間で。面積的にいうと、先ほど、昭和四十五年、最初のときに二七・四%の面積の過疎地域は、金子大臣が学校卒業時ぐらいには四四%まで面積が広がってきています。

 ずっといきまして、平成二十九年、ここの時点で二十団体が新たになるわけでありますけれども、市町村数でいうと、過疎地域指定、平成二十九年、これが四七・五%ということであります。面積でいうと実に五九%、六割近くが面積でいうと過疎地域指定になってきているのでございます。

 もう一つ申し上げると、これは、国勢調査を受けて、それに基づいて過疎地域を指定していきますので、どうしても実態のところからタイムラグが出てきます。これを見ますと、御覧いただきたいのが、平成二十二年、五十八団体が新たに指定になっています。

 これはいろいろな分析の仕方があると思いますけれども、これは鳩山由紀夫政権、民主党政権でありますけれども、鳩山政権で五十八団体がなったのでありますけれども、私の見方は、国調のあった時点、その前の政治は何かというと、私から申し上げると、二〇〇一年、平成十三年から二〇〇六年、平成十八年にあった小泉政権、ここで三位一体の改革をやって、私の立場でいうと非常に地方には冷たい、地方財政にとっては冷たい政治があったのでありますけれども、この五十八団体、平成二十二年になったのは五十八団体、これは小泉政権の結果が、ある意味で五十八団体増えた、こういうことであると思っています。

 そして、現在、速報値で各自治体に通達しておりまして、正式には今年の四月になりますけれども、六十五団体(予定)としてあります。これは、そこに書いてありますように、国調は令和三年であります。第二次安倍政権が二〇一二年から、つまり平成二十四年から二〇二〇年、令和二年までが安倍政権でありました。つまり、国調はこの次の年に取ったものであります。

 実に八百五十五団体、これがなるわけでありまして、この数字が、いわゆる先日も、仄聞するところにあるように、五一・五%、全体でいうと五一・五%の自治体が過疎地域に指定になる、こういう状況になりまして。

 先ほどは、小泉政権の五年間が平成二十二年の五十八団体の追加になり、私から申し上げると、アベノミクス、地方創生と言っておられますけれども、アベノミクス、格差拡大させる政治の結果が今度の六十五団体指定、つまりは、過疎地域指定が五一・五%までになってしまう、こういう結果に結びついていっているんじゃないかなというふうに私は思っておりますけれども、金子大臣、改めて所見があれば求めたいと思います。

金子(恭)国務大臣 湯原委員には、詳しく御説明いただきまして、ありがとうございます。

 先ほど、一定の成果があったというふうに申し上げたんですが、実は、過疎地域における指標というのがございまして、都市部に比べると大したことがないのかもしれませんが、企業立地数でいくと、平成二十二年が三百九十三件あったものが、令和元年には六百五十件に増えております。市町村の道路舗装率、昭和四十五年が二・七%だったんですが、令和元年には七一・四%に道路の舗装率が上がっております。水洗化率につきましては、平成十二年が四六・五%だったのが、令和元年には七八・九%。携帯電話サービスエリアカバー率は夜間人口ベースで九九・九五%ということで、一定の成果が上がっているというふうに申し上げたわけであります。

 累次の過疎法の成果として、地域間の是正は進んだと考えておりますが、一方で、過疎地域では、人口の減少や少子高齢化はなお著しく、経済指標や道路等の公共施設の整備水準などにおいて過疎地域以外の地域との格差が依然としてあるほか、地域の担い手不足、移動手段の確保、集落の存続といった多くの課題に直面しております。

 これらの課題解決に向けた過疎地域の取組を引き続き支援するため、御案内の、昨年三月、過疎対策事業債などの様々な支援措置を盛り込んだ新たな過疎法を議員立法により全会一致で制定いただきました。

 本法律の趣旨を踏まえ、地域間格差の是正に向けた取組を更に支援してまいるとともに、地方移住への関心が高まる中、地方への新たな人の流れの強化や、地域おこし協力隊などの多様な外部人材の活用を推進することで、活力ある地域づくりを進めてまいります。

湯原委員 大臣、ありがとうございました。

 追及は、原稿を出しておりませんので、申し訳ないとは思いますが、もう一度、私なりの思いをお伝えしたいなと思っています。

 先ほど、大臣は、企業立地の数字、市町村の舗装率ですかね、あるいは水洗化率、あるいは携帯電話のカバー率、どんどん上がってきたということで、一定の成果と。私もそれは認めます。

 ただ、その後に大臣がおっしゃった、過疎地域以外との格差。そこに住んでいる人から見れば、昔の自分たちが住んでいるところよりも、水洗化率が上がった、企業立地がある、道路の舗装率が伸びてきましたよねということで、以前の自分が住んでいるところ、過疎地域に住んでいるところよりは、もちろんよくなってきた。ただ、他の、過疎地域以外と比較した場合にどうかということを申し上げたいと思います。

 私は、これは思いだけ、質問にならないかもしれませんけれども、お叱りを自民党議員の皆さん方にはいただくかもしれませんけれども、残念ながら、昔の自民党とは政策の中身が違ってきたんじゃないかなと思っています。

 金子大臣が学校を出られて田代先生や園田先生におつきになった、先ほどの昭和五十五年時代の自民党の皆さん方は、私なりに見ておりまして、地方のこと、農林水産業のこと、中小零細企業のこと、日々の国民の皆さん方の、過疎地域の方も含めて、もっともっと声を上げていらっしゃったんじゃないかなというふうに私は思っております。後でお叱りいただくかもしれませんけれども。

 そういう意味で、先ほど小泉政権と安倍政権のことを申し上げながら、過疎地域が広がってきたんじゃないかというふうに申し上げましたけれども、是非、ここは金子大臣に踏ん張っていただいて、政権の中で、思いを申し上げると、地元で生まれ育って、地元の高校、人吉を出られて、選挙区に帰られたら、そうはいっても過疎地域が広がっていらっしゃるわけでありまして、私も鳥取でありますけれども、同じでありますけれども、是非その思いを岸田政権の中で改めて声を上げていただきたい。これは与野党を超えて、過疎地域を何とかして応援したいという思いで申し上げたいと思いますが、是非この点をお願いを申し上げたいと思います。

 この点について、改めて御所感があれば、お願いしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 私の生い立ちから含めて御紹介いただいたわけではございますが、私の実感としては、私が秘書になったときと、国会議員になったときと、現在においても、岸田総理がおっしゃっている、国民の意見をしっかり聞くという意味では、野党から見られるとそうなのかもしれませんが、一切変わっていないと思っておりますし、そのことによってこれまで政権を担わせていただいているものというふうに考えております。

 特に、岸田総理からは、私を総務大臣に指名していただいた中で、あなたは地方のことはよく分かっている、地方の出身である、そして被災地を抱えている、そういう意味では、地方にしっかり頑張ってほしいということで、総理に御指名いただいていると思います。

 そういう意味では、今御意見いただいたことも含めて、皆さん方に誤解を招かないように、しっかりと前に向いて頑張っていきたいと思います。

湯原委員 私なりに金子大臣のお言葉を聞いて力強く思いましたので、是非。

 付言をさせていただくのは次の質問でありますけれども、総務大臣として、所管ももちろんあるのは承知しておりますが、一方で、地方、先ほど、水洗化率とか道路の舗装率とか様々な数字を挙げて、よくなったんじゃないか、大臣自身も、秘書さん時代等々と余り変わらないんじゃということをおっしゃっておりましたが、次の質問は、残念ながら私の捉え方、立場が違うからそうかもしれませんけれども、幾つか、今、地方、地域、過疎地域が抱えている問題を挙げさせていただきたいと思います。所管外かもしれませんけれども、一つ一つについての是正策を求めているわけじゃなくて、所感を求めたいと思っているんです。

 一つが農業面であります。

 御案内のように、コロナによってお米の需要が減って、米価が下がりました。中山間地域では稲作農家のウェートが大きいわけでありまして、稲作農家の皆さん方の中には、私にこうおっしゃいます、年金をつぎ込んでまで米を作らなければならないのかと。それほど、非常に厳しい状況であります。これが続いていけば離農、稲作をやめざるを得ない、こういう声も聞こえるわけであります。

 一方で、畜産あるいは酪農関係であります。

 これをひもづけしたら怒られるかもしれませんけれども、アベノミクスによって円安が誘導され、結果として今物価がどんどん上がってきているわけでありますけれども、御多分に漏れず、輸入している飼料、餌とか、農業資材も上がってきている。過疎地域における酪農、畜産も大変な打撃を受けている。つまり、農業全般においても、以前に比べても大変厳しい状況になっているのかな、こう思います。

 もう一つが金融面。

 昨日も、予算委員会で我が党の階議員が申し上げていましたけれども、これも、アベノミクスでマイナス金利政策が取られて、地方銀行が、体力が消耗してきた。私の地元では、地方銀行の中には、山合いの町に、今までは支店、窓口があったんですけれども、支店を統廃合していって、今そこの自治体には、地方銀行ですけれども、ATM一個しかない。金融面での、大分疲弊もしてきたという、こういう面があるのではないか。

 商業、製造、経済面ではどうかというと、大型店舗がどんどんと各地に出てきている。金子大臣の地元の方でもそうだと思いますけれども、結果として、今まで、地元のスーパーさんにも厳しくなりますけれども、そこに卸していた製造業のメーカーも大変厳しくなる。

 つまり、簡単に言うと、地元のメーカーさんで、例えば豆腐を作っていたとして、地元のスーパーに卸していた。ところが、大型店に今どんどんなりますので、大型店で、じゃ、地元のメーカーが作った、簡単に言うと豆腐みたいなものが売られるかというとそうではなく、大きい製造メーカーから来たものを売られる。そうすると、結果的に、そういった地方における、今まで地場でやっていたメーカーのものもだんだん売られなくなってきて、雇用も危うくなる。こういう状況も見受けられます。

 運輸、交通面はどうかというと、公共交通でいえば、今コロナで、私は鳥取ですからJR西日本でありますけれども、コロナを契機にして経営が悪化している。今、列車の本数も間引いていっている。こういう状況であります。

 先ほど石川さん、北海道でありますけれども、JR北海道では、前回のダイヤ改正で駅が十八個廃止をされ、この三月からのダイヤ改正では七個駅が廃止されるという。つまり、コロナを契機として、どんどんと公共交通機関も厳しくなる。多分、コロナ、これがなくなったとしても駅は復活しないんでありましょうけれども、そういう状況が地域にある。

 今、トリガーのことをやっておりますけれども、地方ほど、マイカーで移動するに当たっては当然負担が大きい、こういう状況があるわけでありまして、ちょっと長くなりましたけれども、大臣、こうした所管外であっても、地方のこういう窮状、厳しい状況、さっきの舗装率、水洗化率等々は分かりますけれども、現在の過疎地域あるいは地方の現状について、この点について御所見があればお願いしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 今まさに、地方の実態を御紹介いただいたわけであります。

 私も、自慢するわけじゃありませんが、人口二千人の村で生まれ育ちました。舗装もありませんでした。水洗もありませんでした。信号もプールもありませんでした。バスが一時間に一本来るぐらいです。私の選挙区も、東京都の約二倍ありまして、平家の落人伝説のある、本当に限界集落と言われるようなところから、離島も含めて、本当に地方のあらゆる課題を抱えたところでありますので、過疎地域の実情というのはよく分かっているつもりであります。

 先ほど一つの指標を紹介したのは、そうはいっても、それぞれ過疎地域以外とは条件は違っても、かなりそれでも、過疎法も含めて国会の先生方が一生懸命になって過疎地域を応援していこうという中でかなり進んだものだということで、紹介をさせていただいたところでございます。

 過疎地域においては、御指摘のような農業、公共交通等において様々な課題があると考えております。その中で、過疎団体が活力ある地方づくりを行えるよう、過疎法の主務の責任を持つ大臣として、先頭に立って関係省庁と連携して頑張っていきたいと思います。

 特に、地方行財政を始めとした国民生活に密着した幅広い分野を担っている総務省としましては、徹底して現場主義を貫いて、地域の生の声、本音の声を聞きながら、関係省庁とも協力をしながら、政策に生かしていきたいと思います。

湯原委員 ありがとうございました。

 このテーマで、所管外のテーマで追及を予定しておりましたけれども、今の大臣のお言葉で安心しました。

 関係省庁と是非連携をしていただいて、徹底して現場、こういうことでありましたので、今おっしゃったことで、所管外であっても、岸田政権の中で、今地方はこうなっている、所管外だけれども、地方を応援する立場の総務大臣としては、こうじゃないかということを是非声を上げていただきたいということで、これは要望に付させていただきます。

 次に、所管内。先ほどは所管外のことをるる、たくさん申し上げて申し訳なかったけれども、今度は所管内のことを申し上げたいと思います。

 今回の、いろいろお勉強させてもらいますと、総務省内で、公立病院の経営強化のガイドラインの策定が今予定されておりますね、公立病院の経営強化のガイドライン。その次の年、あるいはその次年度から、地方団体にも経営強化のプランを作ってもらう、こういう考え方を今教えてもらっています。

 一方で、地方税制の改正では、地域医療構想、地域の医療構想に基づいて病院が再編される、医療機関が再編される、その過程において、取得する不動産についての課税は軽減するといいますか、再編しやすいように、不動産取得がハードルにかからないようにする、ハードルの、かからないんじゃないんですけれども、ちょっと低くする、こういうことを打ち出されておりまして。

 ただ、懸念するのは、一定方向に、公立・公的病院を不動産取得、再編するときは軽減しますよとか、あるいは、プランに基づいて、地方が大変厳しくなっているので、人も少なくなっている、高齢化していっているので、病院経営も赤字が多くなってきているので統廃合、こういうレールが敷かれては私はいけないというふうに思っておりまして、そういう立場で質問をさせていただきたいと思います。

 昨年十二月に、この問題について、国と地方の協議の場、六団体でありますけれども、地域医療構想について、六団体の声としては、再編統合を前提とせず、地域医療の確保という観点から検討を行うこと、これが六団体の意見であります。再編統合を前提とせずであります。

 どうしてここまで六団体が言うかというと、私も当時は鳥取におったんですけれども、二〇一九年九月に厚生労働省が、全国の公立病院の再編統合について検討すべきだとして、突如として全国の四百二十四病院を発表したわけです。地元の意見も聞かずに、四百二十四、ばあんと再編統合すべきだと。御地元の熊本では多分七病院が対象になったと思います。こういう状況がいきなり出てきた。

 当時において、この厚生労働省の四百二十四、公立病院、公的病院再編統合について、当時の知事会は、「住民の不安を招きかねず、地域の個別事情を無視するもので、公平な視点とは言い難い。」そういうふうに反発をしたわけであります。

 そこでであります。今回の部分も私は非常に懸念するところがあって、是非、大臣のお言葉から、できたら違いますよということを言ってもらいたいんでありますけれども、今回の公立病院の経営強化のガイドラインの策定においても、前回の二〇一九年の厚生労働省が出したような、上から目線で、国がこうすべきだという、頭ごなしに地域の声を無視したようなそういう考え方ではなく、あくまでも再編統合を前提としない、あくまでも地域の住民に立脚した、地域の自治体の立場に立った、そういうことで受け止めていいでしょうか。確認したいと思います。

金子(恭)国務大臣 私の地元でも、公立病院が地域の拠点病院として非常に地域住民の安心をいただいておるところでありますが、同じような不安はあります。

 今回、公立病院が医師不足などによる厳しい経営状況に直面する中、地域に必要な医療提供体制を確保するため、総務省では、今年度末までに公立病院経営強化ガイドラインを策定することとしております。

 御指摘の地域医療構想については、地方三団体、総務省、厚生労働省を構成員とする地域医療確保に関する国と地方の協議の場において、昨年十二月に、厚生労働省から、病床の削減や統廃合ありきではなく、各都道府県が地域の実情を踏まえ主体的に取組を進めるものとの表明がございました。その上で、総務省からガイドライン策定について説明し、地方側の御理解を得たところでございます。

 このガイドラインでは、各自治体に対して、地域の実情を踏まえた公立病院経営強化プランを策定していただくよう要請する予定でございます。

 総務省としても、御指摘のような、公立病院の再編統合を前提とすることは考えておりません。

湯原委員 ありがとうございました。私もそれで感謝申し上げたいと思います。

 是非、やはり総務省として、お国の立場もあるでしょうけれども、地域の実情、地域からの声に基づいた国の行政をしていくということで、是非、地域の立場に立ったということで、再編統合を前提としないということで、万々が一、厚生労働省の方からいろいろな、レールを敷くかのような話があったときには、金子大臣、先頭に立って是非はね返していただきたい、こういうふうに思うわけであります。

 次に、ふるさと納税についてであります。

 私は、ふるさと納税については、立場としては、私の思いは反対の立場であります。

 果たしてこのふるさと納税、今見ておりますと、東京に出てきてテレビを見ておりますと、ふるさと納税のサイトのコマーシャルがどんどん流れているのを拝見して、ああ、こういうことを、東京のテレビのCMでは流れているんだなというふうに思いますし、地域の自治体においては、返礼品といいますか、この品物を一生懸命になって探す。国民、住民の方は通販のカタログを見るかのように品物を選んでいって、品物ありきで、次に自治体を選ぶ、こういう状況も見え隠れしておりまして、これが果たして本当に税の在り方としていいのかなという疑問を持つわけでありますけれども、大臣の所見を求めたいと思います。

金子(恭)国務大臣 御案内のとおり、ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった自治体への感謝の気持ちを伝え、税の使い道を自分の意思で決めることを可能とするものとして創設された制度でございます。

 制度が普及する過程で過度な返礼品競争が行われたことなどを背景に、本来の制度趣旨から逸脱しているとの指摘もございました。こうしたことから、令和元年六月に指定制度が導入され、返礼割合を三割以下かつ地場産品とすることといった基準が法令で定められました。

 様々な御指摘はありますが、現行制度の下で、各自治体の御協力と納税者の皆様の御理解をいただきながら、今後とも、ふるさと納税制度が適正に運営されるよう取り組んでまいります。

湯原委員 ありがとうございました。

 私は、ふるさと納税を勉強させていただいて、やはり、自治体間の税財源の偏在を直すという、ある自治体がいいから寄附するというのもありますけれども、一方で、税財源の偏在をなくす、こういうことも一つの目的かのように言われているわけであります。

 私は、この税財源の偏在については、これから、来週以降議論になります地方交付税とか、様々なシステムを用いて、あるべき姿というのを議論して、そこで地方の税財源の偏在をなくしていく、これが本来、王道といいますか、あるべき姿ではないかなというふうに思いまして、このふるさと納税を通じて、カタログを見るかのようにこうやっていって、それをもって、ある意味、税財源の偏在を是正していく、これは、まあ、言葉は失礼かもしれませんけれども、邪道に近いんではないか、こういうふうに思うわけであります。

 私の思いとしては、地方税財源偏在を是正するならば、是非、財務省等と渡り合っていただいて、別な形で、地方交付税の増額等を含めて、税財源の偏在を是正していただきたいというのが思いであります。

 お時間の関係で、実は、過疎地域の再生エネルギーの質問を用意しておりましたけれども、えらい申し訳ございません、またの機会にさせていただきます。政府委員の皆さんには出てきていただきまして、えらい申し訳ございません。次の機会ということでお許しいただきたいと思います。

 最後に、金子大臣、時間になりますので、思いを一つだけ申し上げて、また、政策論争にならないかもしれませんけれども、今回初めてでありますので、思い対思いで議論させていただいて、また次の機会からは、もうちょっと深掘りの政策論議をさせてもらいたいと思います。

 実は、今回質問するに当たって、過疎の問題を取り上げさせていただきました。私は、都会対地方とか、都会対過疎なんという、バーサスの意味は持っておりません。日本がよくなるためには、もちろん、東京を始めとする大都市圏もよくなっていかなきゃいけませんし。ただ、片一方で、地方とか過疎地域にももっともっと光が当たって、国土の均衡ある発展という言葉がありますけれども、可能な限り、できるだけひとしく発展していく、こういう考え方の下で質問させていただきました。別に、地方さえよければいいとか、過疎地域さえよければという発想でしていないということはお認めいただきたいと思います。

 そこで、今回質問するに当たって、総務省の過疎対策室というところでいろいろな資料をいただきました。国会図書館を通じて資料を取り寄せさせていただきました。

 過疎対策室は、数次にわたって過疎の地域の実態調査、現況調査といいますか、されております。本当に細かくされております。感心したわけでありますが。その中、やはり、もっと厳しいこと、大臣にではないですよ、過疎地域にとって厳しい数字が出ておりましたので、申し上げたいと思います。

 消滅した集落数であります。

 過疎地域において集落がありますね、二十軒とか三十軒とか五十軒とかいろいろ、大臣の御地元でもあると思いますけれども。消滅した集落数の数字が上がっていました。

 これが、二〇一〇年から二〇一五年までで九十九市町村、百九十集落。二〇一五年から二〇一九年までで九十六市町村、百六十四集落。

 消滅した集落の跡地の管理状況はというと、良好に管理されていない集落が半数。つまり、半数以上はもうほったらかしに近い状況で、この総務省の過疎対策室が出した報告書においても、国土管理上課題である、こういうふうに上がっております。

 そして、その上で、今後十年以内あるいはいずれかの将来において過疎地域における全集落の五%が消滅をする、こういうことさえも記述になっております。それだけ厳しい状況。

 私は、過疎地域がなくなれば、結局は、国土の保全がなくなり、集中豪雨時には中山間地域では洪水が起きるようになる、これが大切な問題だと思っております。

 私は、質問するに当たって、中山間地域のことをやっておりましたけれども、先日、党内の離島議連、離島の議連に出ておりましたら、離島もある意味ですごいなと思って聞いていました。

 それは何かというと、日本の国土は三十七、八万平方キロでありますけれども、離島があるがゆえに、日本の領土、領海というのが四百四十七万平方キロ、世界第六位の海洋国家である、こういうことがありまして、この離島においても人がお住みになって暮らしていらっしゃるからこそ日本があるということでありまして。

 時間になりましたので、総務大臣、引き続いて、中山間地域、離島も含めて過疎地域に対して、私も一生懸命大臣を応援しますので、是非、地方の過疎地域、各省庁に目を見張って応援していただきますように、よろしくお願い申し上げます。

 質問を終わります。以上です。

赤羽委員長 次に、おおつき紅葉さん。

おおつき委員 ありがとうございます。

 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉です。

 本日は、諸先輩方に格段の御配慮をいただきまして、初めての質問に立たせていただくことになりました。改めて感謝を申し上げます。

 コロナ対策に当たる医療従事者、そして自治体関係者の方々に感謝を申し上げます。

 さて、私は、昨年初当選をさせていただいた新人議員でございますが、これまで政治部の記者として、政治の世界を現場から取材を通じてつぶさに見てまいりました。

 かれこれ二年近くに及ぶ新型コロナウイルスの影響で、我が国の経済そして社会構造も大きく変わってきており、当然、政治もこれまでどおりというわけにはいきません。

 その現状と現在の政治の流れを変えるため、そして、日本国民の一人として一番身近な自分の生まれ育った地域の再生を図るため、さらに、これからの世代が将来直面する日本の二〇五〇年問題、超高齢化社会と人口減少、地球温暖化と環境問題、そして技術革新に伴う社会問題に取り組むため、国政の道へ進むことを決意した次第です。

 現場での対話を大切にし、根本課題に取り組み、構造改革を進め、社会の持続可能性を回復し、未来への責任を果たす、私は、その挑戦を牽引できる政治家になりたい、そう思います。

 地域の声をしっかりと聞きながら総務委員会に全力で取り組む所存ですので、金子大臣を始め行政府の皆様、そして赤羽委員長を始め所属委員の皆様、何とぞよろしくお願いいたします。

 さて、現在、我が国は、人口減少そして少子高齢化という大きな課題に直面しています。特に地方では、若者の都市部への流出が激しく、地域の担い手不足が課題になっています。

 例えば、私の地元北海道小樽市では、人口が昭和三十九年の二十万人をピークに減少し、特にこの十年間の減少は著しいです。十年で二万人、一年当たり二千人も人口が減少しました。私の生まれ育った町内会の方と話をしたとき衝撃を受けたのは、去年、町内で生まれた子供の数、僅か二人でした。

 このままこの流れを変えることができなければ、将来的には、経済規模の縮小、国民生活水準の低下を招き、地域社会が維持できなくなります。このため、国、地方、民間事業者、地域住民がこの課題を自分のこととして共有し、力を合わせて人口問題を解決していかなければならないと考えています。

 岸田総理は、さきの臨時会で、地域が抱える人口減少、高齢化、産業空洞化などの課題をデジタルの力を活用することによって解決していくとして、デジタル田園都市国家構想を推進すると表明されました。

 ただ、デジタル化の推進はこれまでの流れを大きく変える契機となりますが、それだけで全ての地域課題が解決できるわけではありません。

 そこで、総務省には、デジタルの活用による地域課題の解決と併せ、現場である地方の側に立った地域活性化のための様々な施策を是非とも打ち出してほしいと思います。

 それでは最初に、私と同じ、地方出身、熊本県の出身ですね、金子大臣にお伺いします。

 大臣の出身の熊本県も、二〇四五年の推計人口は百四十四・二万人となり、二〇一五年比で約二〇%減少、約四割が六十五歳以上になると見込まれております。特に、人口減少時代における地域活性化という、我が国が直面する喫緊の課題に臨む姿勢についてお伺いしたいと思います。

 そこで、まず、金子大臣、人口減少問題に対する強い危機感をお持ちでしょうか。

金子(恭)国務大臣 おおつき委員にお答えいたします。

 皆さん熊本に必ず触れていただいて、恐縮しております。

 これまでも質疑の中で、地方に抱える過疎の問題とか、いろいろなお話をいただきました。まさに、地方に抱える問題というのは、それぞれ地域や環境は変わりますけれども、同じような苦悩をしているんだなということを思っております。

 先日公表いたしました住民基本台帳人口移動報告の結果において、二〇二一年の一年間における東京圏の転入超過数は八万一千六百九十九人でありまして、前年に比べて縮小はしているものの、依然として転入超過が続いております。

 やはり、過度な東京一極集中は、災害リスクや、過疎、高齢化が進む地方における地域社会の担い手不足などの点から、その是正が喫緊の課題であると認識しております。

おおつき委員 ありがとうございます。

 是非、その地方への思い、大切にしながら、ちょっと次の質問に進ませていただきます。

 元産経新聞の論説委員で、人口政策や社会保障関係に詳しい河合雅司さんの「未来の年表」シリーズの各書において具体的なイメージで示されているように、当面、我が国の人口減少が急速な高齢化と並行して続いていくことは、避けられない危機的な状況にあります。

 これからの日本においては、人口減少下の経済社会で生じる様々な問題について、いかに国家として持続可能性を保つかということが最重要であると考えております。

 そこで、金子大臣は、大臣を引き受けてから、これまでの自民党政権が担ってきた三十年間、特に直近の十年間の人口減少対策について、戦略的な検証を行いましたか。

金子(恭)国務大臣 これまでも、都市部から地方への人の流れの創出とか地域経済の活性化などを通じて、過度な東京一極集中の是正に向けて取り組んでまいりました。

 特に、先ほど御紹介いただきましたが、岸田内閣においては、人口減少や少子高齢化、あるいは働く場や交通への不安など、様々な課題を抱える地方からいち早くデジタルの実装を進め、これらの課題を解決すべく、デジタル田園都市国家構想を最重要政策の一つとして推進しております。東京一極集中を是正する観点からも、総務省としても大きな役割を果たしていくべきだと考えております。

 なかなか一気にということは難しいわけでありますが、今後も、具体的には、地域おこし協力隊の充実強化とか、あるいは、地域プロジェクトマネージャーや地域活性化起業人を推進してまいりたいと思います。

 また、テレワークの導入支援、5Gや光ファイバーなどのデジタル基盤の整備にも積極的に取り組んでまいります。

 先ほどから御紹介いただいておりますが、地方の繁栄なくして国の繁栄なし。私自身もしっかりと、思いの中で総務大臣を引き受けておりますし、総理も、私に対して、そのことをしっかり頑張れということで激励もいただいているところでございます。

 デジタル田園都市国家構想の実現、ひいては活力ある地域づくりの実現に向けて、関係省庁とも連携しながら、総務省一丸となって全力で取り組んでまいります。

おおつき委員 ありがとうございます。

 理解はいたしますが、正直、人口減少に歯止めがかかっていないので、やはりこれまでの検証というのは重要だと思いますので、その点を念頭に置きながらこれからの施策を進めていただきたいと思っております。

 ただ、人口減少問題を後ろ向きに捉える必要はなく、急速に進化しているICTやAIなどの技術革新を適切に社会で実現していく、そして、その際に、より人口が減少している地域に対する視点を絶対に忘れず、むしろ前向きに対処していくという姿勢が重要だと考えております。

 そこで、金子大臣、人口減少下の経済社会における持続可能性の確保については、総務省は地域もICTも所管されておりますが、とりわけ超高齢化社会の中で、ICTの発展が速やかに進み、地域に浸透していくと思いますか。特に、世代間の格差を埋める具体的な対策を教えてください。

金子(恭)国務大臣 やはり、デジタルの効用をみんなで分かち合っていかないと、この先、なかなかうまくいきません。

 例えば、スマートフォンなどについては、昨年一月の内閣府の調査によれば、十八歳から五十歳未満の九割以上の方が利用している一方、七十歳以上の高齢者については約六割の方が利用していないという状況でございます。

 このため、社会全体のデジタル化が進む中で、世代間等におけるデジタル格差を解消し、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる環境を整備することが喫緊の課題となっております。

 これを踏まえまして、総務省では、デジタル活用に不安のある高齢者を対象として、オンラインによる行政手続など、スマートフォンの利用方法を教える講習会を、今年度から、携帯電話ショップなどを中心に全国約二千か所で開催しているところでございます。

 実は、先日、高知県に出張いたしまして、この講習会に御協力いただいている講師の方々と車座対話を行いましたが、講習会に参加された方々の多くは、その内容に満足されていると伺いました。

 来年度は、この講習会の実施箇所数を約三千か所に拡大するほか、携帯電話ショップのない地域、実は、全国に、令和三年十一月十日付で、携帯電話ショップのない市町村が七百五十あるんですね。ですから、地方公共団体とも連携しながら、講師の派遣、これを実施するとともに、講師についても、地域の人材を育成して拡充していく予定でございます。

 こうした取組を通じて、できるだけ多くの高齢者の方々にデジタルを積極的に御利用いただけるよう努めてまいりたいと思います。

おおつき委員 ありがとうございます。

 私の選挙区でも、最寄りの携帯ショップまで車で一時間以上というところもございますので、是非、拡充に向けて努力をしていただければと思います。

 次に、ここに一つのデータがあります。国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口によれば、日本の総人口は二〇六五年には八千八百八万人になり、今よりも約三割近く減少するというデータがあります。このような状況の下、次世代に対して何をすべきなのかということが問われており、よく取り上げられるのは、コンパクトシティー、集約型都市構造に向けた取組です。

 しかし、国交省で国土計画などを担当された大木健一さんは、今から十年近く前の論文「コンパクトシティをどう考えるか」において、コンパクトシティーは二十一世紀の都市が目指すべき方向である、しかし、多くの地方都市において拡散型都市構造は相当程度進行しており、人口が減少し投資余力が低下した現在、このトレンドを逆転させ、短期間にコンパクトシティーにつくり変えるのは困難であると指摘されていました。

 確かに、人口減少下の日本社会では、政府、自治体が進めるコンパクトシティーは理想ではありますが、現実には、今の過疎地域から想定される空間利用を前提にして、持続可能性を確保したまちづくりを考えていく必要があると思います。

 そうしますと、持続可能性の確保のためには、買物や医療機関のアクセスのよい市街地への人口集中と同時に、個々の地域性を生かす、地元に根差したなりわいなどを中心として、郊外や周辺農山地域を含めた住民全体に貢献し、また、支持されるまちづくりでなければならないと私は考えますが、金子大臣の御所見をお願いいたします。

金子(恭)国務大臣 おおつき委員から御指摘がございました、持続可能性を確保したまちづくりを進める上で、将来にわたり、地域住民が暮らし続けることができるよう、中心地だけではなくて、周辺地域も含めた対策を講じることが重要であると思います。

 近年、過疎市町村内の周辺部では、人口減少や高齢化の進行により、集落機能の維持が困難な集落が増加しておりまして、このような地域においては、基幹集落を中心に周辺の複数集落を一つのまとまりとして、集落機能を確保する集落ネットワーク圏を形成する取組が有効だと考えております。

 また、地域の暮らしを守るため、地域住民が中心となり、地域運営組織を形成いたしまして、高齢者の見守りや買物支援など、多様化する地域課題の解決に向けた取組を行うことも重要であると思います。

 総務省としては、こうした取組に対して交付金や地方交付税措置により支援しており、今後とも、国土交通省などとも連携をしながら、持続可能性を確保したまちづくりに向けた地域の取組を支援してまいります。

おおつき委員 ありがとうございます。

 私は、コンパクトシティーよりも小さな単位、小さくてもにぎわいを持つ地域を拠点とするまちづくり、イメージはヨーロッパの中世都市や江戸時代の城下町や宿場町などですが、単に人を集約するのではなく、各地域の特性を生かした、にぎわいが人を自然と呼び込むようなまちづくりを目指していくために、総務省も、地域行政の立場から、積極的な支援を是非ともお願いしたいと思います。

 続きまして、先ほど湯原議員からも質問がありました過疎地域の拡大についてです。

 令和二年の国勢調査の結果を受けて、四月一日付で新たに六十五市町村が過疎地域に追加公示されるとの報道がありました。

 先ほど質問がありましたので、まず、私からお尋ねさせていただきたいのですが、今回、なぜ過疎地域の市町村がこんなに大幅に増加して、なぜ過半数を超えることとなったのか。また、ここまで広がった過疎地域において、住民が安心して暮らし続けることができるよう、地域社会の担い手の確保、雇用の創出、子育て環境の充実、そして医療確保、生活機能の維持などに、これまでにない新しい支援が必要であると考えますが、今後、どのような支援を講じていく予定でしょうか。

馬場政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、令和二年国勢調査の結果に基づいて過疎地域が追加をされますと、過疎関係市町村数が全国の半数を超えることとなります。

 過疎地域の要件は、昨年議員立法により制定をしていただきました過疎法において定められているものでございますが、日本全体の人口が減少する中で、地域によっては、中長期的な人口減少率の拡大、高齢者比率の上昇、若年者比率の低下などが生じておりまして、このような状況を反映し、過疎関係市町村数が増加したものと考えております。

 今般の過疎法の制定に際しまして、過疎対策の目標として、従来から規定をされておりました安定的な雇用機会、医療、交通機能の確保などに加えまして、新たに、人材の確保、育成、情報通信技術の活用、子育て環境の確保などが追加をされますとともに、過疎対策事業債や税制特例措置の対象事業を追加をするなど、各種支援措置が拡充をされておりまして、これらを十分活用し、地域課題の解決に取り組んでいただけますように、過疎団体を支援してまいります。

おおつき委員 ありがとうございます。

 やはり、これまでの施策の検証をすることによって、これだけなぜ過疎地域が増えていくのかということが分かってくると思いますので、それに合わせまして、改めて過疎地域への応援をお願いしたいと思います。

 続きまして、地域おこし協力隊についてお伺いします。

 過疎地域などにおいて、地域社会の担い手を確保するための施策として最も評価されているのが、大臣も所信で述べられていたような、地域おこし協力隊です。

 地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域などに住民票を移すことが前提となっており、隊員は、その地域に移住しながら、農林水産業への従事、地場産品の販売、見守りサービス、地域のPR活動、そして観光ルートの企画立案、学校行事の支援など、様々な活動を行っております。

 令和二年度には、全国一千六十五団体で五千五百六十人が活躍しており、私の地元北海道でも、百五十三団体で六百八十六人が活躍しています。任期終了後には約六割が同じ地域に定住しているとの成果も出ており、地元北海道の場合は定住率が七二・一%と高くなっています。

 ただ、地元を歩いておりますと、地域おこし協力隊には課題もあると伺いました。近年、協力隊員を受け入れる自治体が急激に増加したため、自治体における隊員の受入れ、サポート体制が確立されていない自治体もあり、受入れ地域、受入れ自治体、そして隊員の三者のミスマッチが原因で、任期中に退任する隊員も多かったと聞いております。

 そこで、政府は、令和六年度に現役隊員数を八千人とするとの目標を掲げ、強力なPRによる隊員のなり手の掘り起こし、未導入団体や応募が集まらない団体へのフォローアップなどを進めるとしていますが、確かに協力隊員の数を増やすことは重要ですが、これによって活動の質が低下してしまったら、制度そのものの信頼を損なうのではないかと懸念をしております。

 また、政府は、受入れ地域、受入れ自治体、隊員のミスマッチを防ぐため、平成三十一年度に、おためし地域おこし協力隊、そして令和三年度に、地域おこし協力隊インターンを創設されたと承知しております。

 そこで、これらの制度の活用状況や効果はどうなっているんでしょうか。また、これらの施策によって、ミスマッチで退任する隊員は実際減少したんでしょうか。お願いいたします。

馬場政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ございましたように、地域おこし協力隊は、平成二十一年度には、三十一団体八十九人から開始をいたしましたが、令和二年度には、千六十五団体において五千五百六十人が様々な地域協力活動を行っていただいております。

 任期終了後にも、約六割の隊員の方が同じ地域に定住をしており、引き続き、地域の活性化に大きく貢献をしていただいております。

 委員御指摘のミスマッチによる早期退任を防止をしていくためには、まずは隊員の相談先を充実させることが重要であると考えており、総務省では、平成二十八年九月から、地域おこし協力隊サポートデスクを開設し、隊員や自治体関係者からの相談に対応しております。

 また、隊員同士がつながりをつくりつつ、基本的な知識を身につけるための初任者向けの研修でございますとか、隊員の円滑な受入れに向けた自治体職員向けの研修など、各種の研修についても実施をさせていただいております。

 さらに、おためし地域おこし協力隊は、地域おこし協力隊に任用される前に二泊三日程度、地域協力活動を体験し、受入れ地域とのマッチングを図る取組でございまして、令和元年度から開始をさせていただきました。

 こうした取組の結果、ミスマッチによる早期退任者数は、令和元年度の百十八名から令和二年度には七十九名になったところでございます。

 令和三年度からは、二週間から三か月地域協力活動に従事をする地域おこし協力隊インターンも開始をしたところでございまして、引き続き、令和六年度に隊員数を八千人とする目標の達成に向け取組を進めますとともに、隊員のミスマッチの防止にもしっかりと取り組んでまいります。

おおつき委員 ありがとうございます。

 理解いたしますが、地元では、財政支援の拡充と、三年という任期からもう少し延長してほしいという声もございますので、是非お考えいただけたらと思います。

 そして、地域社会の担い手を確保するための施策として、総務省の所管外にはなるんですけれども、過疎地域などの地方の人材不足に資する外国人技能実習生制度があると指摘せざるを得ません。今般の新型コロナの蔓延によって、外国人技能実習生とのマッチングがうまくいかず、人手不足に悩む話は地元でもよく聞きますし、全国で課題となっております。

 地元北海道の後志という地域で多く聞くのは農家の人材不足であり、第一次産業や土木、建築分野及び観光分野、これらの分野は、これまでそれぞれの技能実習生が活躍しているフィールドであるとともに、地方経済の柱でもありました。

 この度のコロナ禍で外国人実習生の制度利用がうまくできていない場合は、その穴を埋める代替的な施策が必要と考えますので、総務省におかれましても、地域活性化の観点から、是非とも人材不足に資する施策をお願いしたいと思います。

 続きまして、ローカル一万プロジェクトについてお伺いいたします。

 過疎地域などに人を呼び込むためには、地域の特性を生かした新たな雇用を創出する必要があります。総務省においても、このような観点から、平成二十四年度以降、ローカル一万プロジェクトを実施していると承知しております。

 この取組は、地域の資源と資金を活用して、雇用吸収力の多い地域密着型事業の立ち上げを支援するものであり、具体的には、事業化に取り組む民間事業者等の初期投資費用に対して地域経済循環創造事業交付金を交付するもので、特徴は、地域金融機関等から融資を受けること、そして地方自治体が助成することの二つを要件としています。

 事業の実績は、令和三年十二月時点で、四百三十八事業、事業費三百五十三億円となっており、目標の一万事業にはほど遠いんですが、公費交付額の一・四倍となる地域金融機関からの融資が誘発され、地域における資金循環に貢献しているとの評価があります。

 ただ、ローカル一万プロジェクトについては、都道府県ごとに活用状況にばらつきがありまして、兵庫県では、県と十七市町村で五十七件、北海道では、道と二十一市町村で二十六件の交付決定が行われているのに対して、ほかの県では、活用団体数も交付決定件数も一桁のところが多くなっております。

 また、交付決定件数も、平成三十年度は当初見込みの八十五件に対して二十一件、令和元年度は五十五件に対して三十件、令和二年度は三十六件に対して十五件となっており、なかなか活用が広がっていないのも事実であります。

 そこで、ローカル一万プロジェクトが当初見込みほど活用されていない理由と、その改善策について総務省にお伺いします。

 あわせて、ローカル一万プロジェクトは、雇用吸収力の大きい地域密着型事業の立ち上げを支援するものとされていますが、この事業によって、平成二十四年度以降、地域にどの程度の雇用が創出されたのか、伺います。

馬場政府参考人 お答えを申し上げます。

 ローカル一万プロジェクトは、地域の資源と資金を活用した地域密着型事業の立ち上げを支援する事業であり、平成二十四年度の創設以来、昨年末までに四百三十八事業を採択しております。

 全都道府県において採択される事業が生まれてきている一方で、御指摘のように、予算執行率が低い状況が続いております。

 その要因としては、創業支援ニーズの掘り起こしが十分ではなかったことが考えられます。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、一部で事業の実施を見合わせる動きもあったとも聞いております。

 そのため、自治体はもとより、金融庁や中小企業庁とも連携して実施をしております全国会議などを通じまして、地域金融機関や商工会、商工会議所など関係機関への周知を行っております。また、全国の自治体、事業者が今後事業化に取り組もうとする際に参考となるハンドブックの作成や、優良事例の紹介を行っております。

 こうした取組に加えまして、新型コロナウイルス感染症の感染状況にも留意をさせていただきながら、首長や地域金融機関への直接の働きかけを行うなど、更なる周知、普及に向けて取り組むことにより、本プロジェクトを強力に推進をしてまいります。

 また、雇用の創出に関しましては、調査によって把握をしております平成二十九年度以降の各年度について、実施中の事業のうち、決算期を複数回迎えた事業において、平成二十九年度は千四百六十三人、平成三十年度は千四百七十二人、令和元年度は千五百二十三人、令和二年度は二千七十五人の雇用が創出をされたと承知をいたしております。

おおつき委員 ありがとうございます。

 次に、時間が迫っておりますので、カーボンニュートラルの脱炭素化事業関係についてお伺いいたします。

 昨今、地球温暖化対策推進法改正や地域脱炭素ロードマップの決定等、地域環境政策をめぐる様々な動きが見られ、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた地域における脱炭素の取組は、これから一層加速していくものと思われます。私たちは、大切な地球の構成員として、この問題に責任を持って臨み、脱炭素化に向けて、二酸化炭素などの温室効果ガスやプラスチックごみなどの排出を減らし、引き下げることに努め、人と環境への配慮に基づいた生活を心がけていく必要があると考えます。

 現在、政府は、二〇五〇年までのカーボンニュートラル実現に向けて、地域での脱炭素を次々と実現していく脱炭素ドミノを生み出すことを目指していると承知しておりますが、カーボンニュートラルの実現には、特に二〇三〇年までの十年間が重要と言われており、そうすると、実質、残された時間は限られています。このため、それぞれの地域が主体性を持って、最新技術を最大限に活用しながら、可能なところから脱炭素化を早く進めていく必要があると考えます。

 そこで、まず、鍵となる地方公共団体の取組の支援についてお尋ねします。

 地域脱炭素ロードマップや地球温暖化対策計画では、二〇三〇年度までに百か所以上の脱炭素先行地域を設け、地域の特性などに応じた先行的な脱炭素への取組実施の道筋をつけるとしています。

 また、地球温暖化対策計画では、地方公共団体は、自ら率先的な取組を行うことにより、区域の事業者、住民の模範となることを目指すべきであるとされています。

 総務省は、地方自治体における公共施設の脱炭素の取組を推進する意向を示しておりまして、令和四年度地方財政対策では、公共施設等適正管理推進事業費の対象に脱炭素化事業を追加することや、公営企業の脱炭素化を盛り込んでいます。今後、老朽化により更新の時期を迎える公共施設が増えてくることが想定されていることから、この分野における脱炭素化事業が一層進み、公共部門が脱炭素化の取組において、地域の事業者や住民の模範になれることを期待しております。

 そこで、総務省として、地方公共団体が公共施設を中心に円滑に脱炭素化事業を実施していく上で、それぞれの抱える事情や課題に応じた適切な支援の在り方について具体的にどのように考えているか、その方向性をお尋ねして、質問を終わりたいと思います。

馬場政府参考人 お答えを申し上げます。

 地方公共団体が脱炭素化のための地方単独事業を計画的に実施できるよう、令和四年度から、公共施設等適正管理推進事業費の対象事業に、新たに脱炭素化事業を追加することといたしました。

 具体的には、公共施設及び公用施設における、太陽光発電の導入、建築物におけるZEBの実現、省エネルギー改修の実施、LED照明の導入を対象とし、公共施設等適正管理推進事業債を九〇%充当できることとしております。

 また、先ほども御答弁申し上げましたけれども、地域の資源と資金を活用した地域密着型事業の立ち上げを支援いたしますローカル一万プロジェクトのほか、地域エネルギー事業を立ち上げるマスタープランの策定を支援する分散型エネルギーインフラプロジェクトを推進もしております。

 これらを通じて、地方公共団体の脱炭素化事業の支援に取り組んでまいります。

おおつき委員 ありがとうございました。

 終わります。

赤羽委員長 次に、鈴木庸介さん。

鈴木(庸)委員 立憲民主党の鈴木庸介です。

 今日は、質問の機会を与えていただいて、ありがとうございます。

 私も初めての質問となりますので、一生懸命御説明をさせていただければと思います。よろしくお願いを申し上げます。

 今日は、放送と通信の融合について質問をさせていただければと思います。

 御案内のように、昨今の放送業界を取り巻く状況というのは大変厳しいものがあると言わざるを得ません。インターネットによる動画視聴など、視聴者の視聴スタイルが急激に変化し、そして固定化しつつある中で、放送と通信の境界線については線引きをするのか、するならばどのような形で行うのがいいのかなど、我々政治と行政がどうすればいいのかと立ち往生している間に、テレビまた既存のメディア離れは加速を続けております。

 電通の調査によりますと、新聞広告費、雑誌広告費、ラジオ広告費、そしてテレビメディア広告費のいわゆるマスコミ四媒体広告費は二兆二千五百三十六円、前年比八六・四%ということで、六年連続の減少となっております。全て、大きく前年割れです。コロナの影響を差し引いても、この傾向は今後も続くものと推察をされます。民間放送も広告収入依存からの脱却を図っているちょうど最中に、このコロナ禍ということになったわけであります。

 こうした状況に際して、放送法の第十五条と第二十条では、公共の福祉のためにNHKが果たす役割、そして、果たすことのできる業務として、協会の保有する施設又は設備を一般の利用に供する、また賃貸できるとしています。

 この視点から申し上げると、現在の総務省の姿勢とも言えます、NHKに対して、剰余金を還元してとにかく受信料を下げろという姿勢だけではなく、剰余金を活用して、民放を含む全国の地域放送を維持する経費に活用する、こうしたことなども検討課題として我々は持っていかなくてはいけないのではないでしょうか。

 そこで、まず、NHKの受信料収入の前提となります放送法の六十四条についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 放送法の六十四条では、協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなくてはならないとあります。これが、PCや携帯電話などのネットワーク接続については、今のところ受信設備とは定義しておりませんけれども、NHKプラスなど、インターネットで視聴できるNHKのコンテンツが拡大される中で、今後、こうしたものも受信設備の対象とするのでしょうか。大臣にその見解を伺わせていただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 鈴木委員にお答え申し上げます。

 もうこの業界のことはよく御存じのことだと思いますが、放送法第六十四条では、NHKのテレビジョン放送を受信することのできる受信設備を設置した者がNHKと受信契約をしなければならないとされております。

 受信料は、NHKが公共放送としての社会的使命を果たすために必要な費用を広く国民・視聴者に公平に御負担いただくものでございます。したがって、インターネットを通じたコンテンツ視聴の急速な拡大などの環境変化を踏まえた今後の受信料の在り方については、幅広く国民・視聴者の皆様からの御理解を得る必要があると考えております。

 総務省としては、御指摘のような、テレビを設置していない方を新たに受信料の対象とすることは、現時点で考えておりません。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 携帯電話にワンセグとかがついている場合は当然受信設備とする判決が出ているということは承知しているんですけれども、大臣からそうした答弁もいただきました。どうもありがとうございました。

 この受信契約については、昨日の総務省さんからの発表でも、これからメールアドレスや電話番号についても届け出るものとするとありました。これは今日の正午の時点なんですけれども、ヤフーニュースではもう七千五百件ものコメントがついていて、NHKの受信料の徴収の範囲そして在り方というものをどこまで広げているかということには、世間の大変関心事であるということを申し上げたいと思います。

 また、受信料契約の際に電話番号とメールアドレスを記す件については、先ほど総務省に確認したところ、電話やメールでの受信料の督促というものもあり得るということでお話を伺いました。

 つまり、受信設備、将来的にPCや携帯電話もそう定義されて、受信料の徴収がそういったところにも波及してしまうのかどうかということは国民の皆様の大きな関心事でございますので、今のところということは理解しましたが、今後についてもできるだけ早く明確な定義をお示しいただけますことを心よりお願いを申し上げます。

 続きまして、NHKのインターネット活用業務費の上限についてお伺いをさせていただきます。

 この上限については、収入の二・五%だったり、また二百億円だったりと、上限ありきで議論が行われてきたのではないかと考えております。

 しかし、どこの会社も、通常、新しい事業を始める際には、まず必要な経費を積算して、最終的にそれを財政状況と比較する、こうしたビジネスの始め方が一般的かと考えますけれども、NHKのインターネットの進出をめぐっては、特殊法人として法人税の納税義務が免除されるなど恵まれた環境にあるNHKが、その規模をネット空間に膨張させることについて、大きな危惧の声が上がっていることも事実であります。

 そこで、お尋ねをいたします。

 この二百億円とした積算の根拠を教えてください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 NHKのインターネット活用業務は、任意業務として実施されるものであります。この業務については、まず、放送法において、テレビを設置した方が受信契約をしなければならないこととされている趣旨に照らして不適切でないこと、あるいは、事業の実施に過大な費用を要するものでないことなどが求められています。

 これを踏まえ、インターネット活用業務の実施基準の認可の審査基準におきまして、費用の上限を適正かつ明確に定めるということを求めているものでございます。

 具体的な費用の上限につきましては、NHKがインターネット活用業務実施基準において定めております。

 二百億円とした算定根拠といたしましては、まずは、NHKにおいて、常時同時配信等の業務、あるいは、それ以外の国内インターネット活用業務、国際インターネット活用業務、それぞれについて、令和三年度から五年度までの要する費用の見通しを試算しております。この費用の見通しを踏まえまして、さらに、想定を超える利用増による費用の増加、あるいはNHKによる新規の取組の開始などの支出増があり得ることを考慮いたしまして、事業年度ごとに二百億円を超えないものと定めたものと承知しております。

 なお、事業年度ごとに要する費用の予算額については、費用削減の努力を進める一方、新規の取組の必要性も総合的に勘案した上で、NHKにおいて、各事業年度の予算、事業計画において明らかにすることとしております。

鈴木(庸)委員 どうもありがとうございました。

 先ほども伺わせていただいたんですけれども、NHKの剰余金、これについては、今国会でも、剰余金を積み立てて受信料を下げる財源にするという法案が出てくるということを聞いております。

 ただ、私は、単に受信料を下げるのではなく、先ほども申し上げたんですけれども、全国の地域放送を維持する、こうした経費に活用することなども是非検討をしていただきたいと考えております。

 今後の地方放送のインフラ維持等への活用ということは本当に考えていかなくてはいけないことで、地方の放送をめぐっては、放送対象地域の拡大など県域免許の見直し、また、経営統合など地域メディアの再編など、各社、生き残るために必死に経営努力をされているとのことで伺っております。

 そうした中、民放連さんからも、ローカル局の経営が苦しくなる中で、民放のハード、インフラの維持にNHKの受信料を充てられないかといった提案がなされております。

 例えば、ミニサテと呼ばれる、電波が届きにくい地域に設置している小規模な中継局、これの設備に係るコストを、これまではNHKと民放各局で等分負担をしていたんです。しかし、条件不利地域へのユニバーサルサービスの維持という発想で、受信料財源を持つNHKがより多く負担するという考え方も成り立つのではないかという話になっています。

 このNHKの剰余金を、単に受信料を下げるためだけに使うのではなく、民主主義の根幹たる、きめの細かい、裏づけの取れた一次情報や、地方からのニュース発信の担保に使われるべきだという考えもあるかと思います。

 そこで、質問です。まず、このNHKの剰余金を値下げの原資以外で地域の放送設備の整備に使うことについて、総務省のお考えをお伺いさせていただきたいと思います。その上で、実際に既に検討されている具体的なプロジェクトとかその試算がありましたら、併せて教えていただければと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 現在検討しております還元目的積立金、これは、NHKにおいて剰余金が生じた場合にその一部を受信料の値下げの原資として積み立てる仕組みとして考えております。

 放送インフラの維持管理費用のような事業運営に必要な費用、これは当然、毎年度の収支予算に計上していくことになります。このような必要な費用を支出した上で、事業収支差金にプラスが生じた場合、それを剰余金として一定ルールの下で積み立てるというものでございます。

 また、放送インフラの維持管理の在り方についてでございますけれども、現在開催されております、デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会というものがございまして、そちらにおける論点の一つとなっております。

 放送インフラに係るコスト負担を軽減する観点から、設備共用であるとか、あるいはブロードバンド代替などについて検討が行われているところでございます。

 本年夏に検討会において取りまとめが予定されておりまして、それに向けまして更に検討を進めていただく、そういう段階でございます。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。是非前向きな検討をお願いできればと思います。

 続いて、マスメディア集中排除原則についてお伺いをさせていただきます。

 そもそも、多元性、多様性、そして地域性の三原則を実現するために行われてきたこの制度でございますけれども、今回の総務省の有識者会議の中で、この見直しが検討されているとお伺いをしております。まあ、報道されていますというところでしょうか。

 県域ごとに異なる番組を流すよう定めております条例の見直しや、認定持ち株会社制度、これの見直しの議論などが出ていると伺っておりますが、総務省として、マスメディア集中排除原則が見直された場合のメリットとデメリット、それぞれについてどのような見解を持たれているか、伺えればと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の、デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会におきましては、一月二十四日の第四回会合におきまして、事業者側からマスメディア集中排除原則の緩和の要望が出されております。

 例えば、認定放送持ち株会社のうちの一社から、認定放送持ち株会社傘下で支配する放送事業者の数の制限がございます、具体的には、放送事業者の放送対象地域の全部又は一部を含む都道府県の数という形で制限しておりますが、これを撤廃するなどの要望がされたところでございます。

 マスメディア集中排除原則の緩和のメリット、デメリットという御指摘でございますが、例えば、経営の選択肢を増やすという利点がある一方で、委員もおっしゃいました放送の多元性、多様性、地域性をどう確保していくのかという課題もあると認識しております。

 検討会におきましては、今申し上げたような観点も含めまして、マスメディア集中原則の在り方について御議論いただいているところでありまして、総務省としても、検討会の取りまとめを踏まえ、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 本当に地方放送局の経営は厳しいところで、また、民放キー局の、仮にキー局の全国で同時配信が行われるとなったときは、地方局を見る方はますます減って、それぞれの地方局は本当に壊滅的な打撃を受けてしまうのではないかと推察されます。

 そうした状況において、キー局の傘下に入ること、これは、地域発信のニュース量が圧倒的に減り、また、情報の一極集中が進むといった事態が起こるのではないかとも危惧しております。総務省さんにおかれましては、そうしたところにも十分留意された上で、このマスメディア集中排除原則についての議論を進めていただきたいとお願いを申し上げます。

 次に、NHKのコンテンツについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 御案内のように、動画サービスは、今、多様化が進んでおります。ネットフリックスは、同時視聴端末の数や画質によって差異はありますけれども、月に九百九十円。アマゾンプライムは五百円といったところで、これまで想定をしていなかった、ほかの事業者がNHKの受信料よりも安い価格でコンテンツを提供し始めたことで、NHKさんには、現在の衛星契約、クレジット、口座振替で二千百七十円、地上単独契約でも千二百二十五円という、この受信料を気持ちよく払ってもらえるよう、言い方を換えると、視聴者に納得感を持って見ていただけるようなコンテンツ制作に対する取組が欠かせないと考えております。

 しかし、NHKの二〇二一年から二〇二三年までの経営計画を拝読しても、個人的には、3DやAR、VR、インターネット技術などを活用して、よりリアルな視聴体験をもたらすメディア技術の研究開発、こうしたところには興味を持ったんですけれども、全体としては、良質で多様なコンテンツとか、NHKらしさを実現するための人事制度改革といった大変漠然とした言葉が散見されて、概要ということもあるとは承知しておりますけれども、そうはいっても大変漠然とした言葉が散見されて、具体性に乏しい印象を強く持ちました。

 その一方で、不当に受信契約に応じなかった場合の割増金の増加についての法案が今国会で提出されるといったことも伺っております。

 NHKは、災害報道などでは圧倒的な信頼とそして優位性を保っていると考えておりますけれども、それ以外について、これからどのような改革を通じて、先ほど申し上げました様々なコンテンツ業者の中で質の高いコンテンツの制作を進めていくのか、できるだけ具体的にお伺いをさせていただければと思います。

松坂参考人 お答えいたします。

 今委員からも御指摘がありましたけれども、放送と通信の融合が加速しまして、インターネットによる動画視聴の普及ですとか、若者を中心とした視聴者のテレビ離れが進む中、新しいNHKらしさということを掲げておりますけれども、その実現に向けたコンテンツの強化、それが非常に重要だということは考えております。

 そのためには、業務を見直しまして、スリムで強靱なNHKに生まれ変わって、経営資源をNHKならではのコンテンツに集中させていく、これが大事だと考えております。

 具体的には、放送波やチャンネルを中心としたこれまでの編成の考え方を見直して、ジャンル別の管理に移行して、重複する内容の番組を整理、削減して制作の総量を見直すとともに、将来性のあるコンテンツ、領域に重点投資していく。また、次世代の看板番組を生み出すため、トライ・アンド・エラーがありますけれども、番組開発にも今挑戦しているところであります。

 加えて、重要だと考えておりますのは、委員からも災害報道ということがありましたけれども、災害報道の中でも、これをより細かく伝えるための地域主導、ローカル放送最優先の考え方に立った災害報道を実施していく、これが大事だと思っておりますし、地域情報の発信強化、これに向けて、各地域放送局では、コンテンツ部門を制作強化するためのパワーシフトも取り組んでいきたいと思っております。

 来年度、二〇二二年度の予算では、事業支出全体は減少しておりますけれども、地域関係の予算は増額させております。

 このほか、NHKならではの国際発信の強化、それからユニバーサルサービス、この辺にはしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。

 そして、公共メディアとしては、インターネットを通じて番組や情報を届ける意義や役割、多様化しております視聴者のニーズなどを検証するため、社会実証を今年四月以降実施する予定で、その結果もしっかり検証して、視聴者の方々にどのようなコンテンツを届けていくのか、また、視聴者の方の利便性が高まるにはどういったことが必要なのかというようなことに取り組んでいきたいと思っております。

 基本は、正確で信頼できる情報、命と暮らしを守るために必要な情報、そして、豊かな文化を育む多様な番組、これらですけれども、これらを、放送に加えましてインターネットも活用して広く届けるということがNHKの責務であるというふうに考えております。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 こうしたコンテンツを通じて、放送と通信の融合した時代にあるべき放送をつくっていくため、先ほど政府参考人からもありましたけれども、インターネット活用業務実施基準に係る実証実験がこれから始まると伺っております。

 この実証実験では、テレビの受信契約のない方も含めて一回当たり最大三千人の方々にネット配信をするということで伺っておりまして、新聞協会などからは、その実施方法などについて懸念が示されているところでもございます。

 この実証実験の具体的な運用を、現在決まっている範囲で結構ですので、教えていただければと思います。

 ただ、こうした実証実験、例えば自分が被験者の一人になったとしても、ただヒアリングだけしてもコメントの濃淡というものがかなり出てくるのかなと思っておりまして、NHKとしては、この実証実験を通じて、具体的にどんな情報を得て、それを経営課題の解決にどう反映させていくのか、できるだけ具体的に教えていただければと思います。

松坂参考人 お答えいたします。

 社会実証ですけれども、放送と通信の融合が進む中で、テレビを日常的に利用していない方などを対象に、インターネットを通じて番組や情報をお届けする意義や役割、そして、多様化しております視聴者のニーズを検証するために行うことを考えております。

 内容については現在まだ検討中でございますけれども、報道、教育、教養、娯楽の各分野、それから分野横断したものなど、現在、NHKプラスというものでインターネットでは番組を提供しておりますけれども、そうした番組と、「NHK NEWS WEB」などで提供している情報とをシームレスに組み合わせて、こうしたものをアプリですとかウェブサイトで提供することを検討しております。

 こうしたNHKのコンテンツとか情報の提供内容が皆さんにどのように受け止められるのか、今回のサービスの提供を通じて公共メディアとしての目的や意義がどのように認知されるのか、評価されるのか、また、今のコンテンツの作り方がどのように受け入れられるのかなどについても検証したいというふうに考えております。

 今年四月以降の実施に向けまして、詳細は現在検討を進めておりますが、決まり次第、事前に公表することにしておりますし、この社会実証の結果についても同様に公表したいというふうに思います。

 情報空間における公共性を検証するなど、この結果をしっかり検証して、視聴者の方の利便性が高まり、今後の日本のためになるような、そういうふうに取り組んでいきたいというふうに考えているところであります。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 最後に、いわゆるアテンションエコノミーについて伺わせていただきたいと思います。

 このアテンションエコノミー、最近出てきた言葉ですけれども、人々の関心や注目の度合いが結局経済的な価値を持つという概念であります。

 このアテンションエコノミーの中で、とにかくキャッチーな言葉がいいんだというような風潮が進む中で、裏を取った正確な情報の価値が扇動的なニュースに押されて、民主主義の根幹が揺らいでくるといった事態が今後想起されてまいります。

 その一方で、総務省の、令和二年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書、こちらでは、メディア別信頼度では、十代から六十代まで全ての世代で、テレビや新聞がほぼダブルスコアで、インターネットより信頼の置けるメディアとして認知をされております。

 ここで、NHKに質問です。

 シェアは奪われているけれども信頼は揺るがないという、これまでにない立場にいる放送業界なんですが、とりわけ公共放送として、このアテンションエコノミー時代にあるべき公共放送の姿というのは一体どういったものであるのか、お答えいただければと思います。

松坂参考人 お答えいたします。

 今御指摘がありましたけれども、情報空間においてコンテンツにアテンション、注意を向けさせる、いわゆるアテンションエコノミーと言われているんですけれども、そういうコンテンツが非常に、注意が向いてアクセスなどを増やすということがありますし、インターネット上には不確かな情報もあふれておりますし、フェイクニュースやフィルターバブルというような問題も顕在化しているというふうに承知しております。

 こうした中で、受信料で成り立つ公共放送、公共メディア、NHKが果たすべき役割は大きいと考えております。

 NHKが行った調査では、利用するメディア、これは放送ですとかネットですとか新聞ですとか、そういうものにかかわらず、不確かな情報の拡散や、互いのつながりの希薄化が進む中で、社会にとって必要とされる基本的な情報が十分に提供されていないというふうに感じている方が七〇%を超えているという調査結果もございます。

 正確で信頼できる情報とか、命と暮らしを守るために必要な情報に加えまして、豊かな文化を育む多様な番組や情報を、放送だけでなくインターネットも活用して、いつでもどこでも届けていく、それが更に重要になっているというふうに考えております。

鈴木(庸)委員 ありがとうございました。

 人口減少時代に入り、過疎化も進む、今日度々議論されているところでございますが、こうした中、放送業者が今までと同じく、あまねく受信義務とあまねく受信努力義務を達成し続けることは困難になっております。そうした中で、放送と通信の融合については、その理想的な在り方について早急に結論を導き出さなくてはならない課題でございます。

 地域放送の多様化をいかに維持するか、経営状況が厳しくなっても、いかに質の高い、裏づけの取れたニュースを配信し続けるか、また、重要なコンテンツ制作者としての放送業界をどう守っていくのか、課題は山積をしております。

 情報空間でのアテンションエコノミーの存在感が増す中で、いわゆるインフォメーションヘルス、このために、総務省とNHKそして民間事業者の果たす役割は、時代によって形を変えつつも、日本の民主主義にとって大変重要なものであることを確認いたすとともに、金子大臣のリーダーシップに期待を申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

赤羽委員長 次に、阿部弘樹さん。

阿部(弘)委員 十月に国会に当選させていただきまして、初めての質問になります。どうぞよろしくお願いします。

 まず、大臣にお尋ねします。

 デジタル田園都市構想の加速や不採算地域におけるブロードバンドサービスの提供、ビヨンド5G、法改正でしっかりと取り組んでまいるということでございます。また、ビヨンド5G新経営戦略センターを活用する。すばらしい所信のお言葉でございます。

 私は、デジタル時代における放送制度についての検討会が設けてありますので、その意気込みと意義を大臣にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

    〔委員長退席、輿水委員長代理着席〕

金子(恭)国務大臣 阿部委員にお答えいたします。

 現在、インターネットによる動画視聴の普及など、今の放送を取り巻く環境は急速に変化しており、既存の枠組みにとらわれない変革が求められています。

 このような問題意識から、昨年十一月より有識者検討会を開催いたしまして、放送コンテンツのインターネット配信をどのように推進していくのか、放送ネットワークインフラについて、デジタル技術の導入等によって効率的なコスト構造への転換をどのように図っていくのかなどについて検討を進めているところでございます。

 本年夏には議論を取りまとめ、デジタル時代において目指すべき放送の将来像を示していただく予定でございます。これを踏まえ、総務省として、制度改正等の必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

阿部(弘)委員 次に、局長にお伺いしたいと思います。

 テレビを見る時間というのは、若い世代に至っては、どんどんどんどん年を経るごとに低下してきている。また、スマートフォンの普及と、メディアの利用時間は、もう既にテレビよりもスマートフォンなどのインターネット利用が、利用時間を追い抜いている。

 さらに、先ほどお話がありましたアテンションエコノミー。広告料収入は、既にテレビよりもインターネットが超えてきている。アテンションエコノミーとは、人々の関心や注目度の度合いが経済的価値を持つという概念でございます。インターネットの普及が情報量の爆発的増加と情報そのものの価値の低下をもたらし、情報の優劣よりも注目を集めること自体が重要視され、資源又は交換財となるという概念、関心経済というふうに訳されております。

 こういった中、この検討会が設けてあるわけでございますから、私も質問時間が非常に短いわけでございますから、ヨーロッパなどは既に、番組を作る部門と、それを番組として放送する部門が分離されております。放送法も、概念上では、平成二十二年に法改正でその分離がなされておるわけでございます。

 これから、5Gや6G、先ほどの委員からの御質問があったように、放送設備の配信予算というものは莫大なものになってくる。4Kから8Kに変わるだけでも相当な費用は増えてくる。そうしたところに、地方の民放が放送基地局を自前で調達するというのは、これからますます難しくなってくるというところであります。

 ですから、平成二十二年にもう既に放送を送信する部門と番組を作る部門を分離して、そして、公共でそれを行っていけば、これからの放送技術革新、デジタル時代に沿った運営ができていくんじゃないか。

 特に、先ほど議論があっておりました過疎地域、過疎地域は、親局や、あるいは小規模中継局ではありません。辺地共聴というんですかね、あるいはミニサテライト局、こういったものこそ、行政が音頭を取りながら、そして過疎地域の、あるいは離島の方々にもそういう放送を届ける役割を果たしていく。

 私が自分で調べたわけじゃないですよ。検討会の資料を読み込んでいくと、そういうことが出てくるわけでございます。

 NHK共聴、親局では百八十円のコストのものが、NHK共聴では二万四千円、莫大な費用がかかる。これが更にかかっていくというのは当然のことでございますから、是非とも、送信と番組作成の別会社に。ヨーロッパはもう既に課金制度に入っております。BBCも放送料を取らずに課金制度で運営をしていくというふうに転換しておりますので、その点について、局長にお伺いしたい。

 もう一つは、ネットフリックスやTVer、ユーチューブは放送法の対象外であります。ですから、この委員会の議論でも全くないわけですよ。でも、そういうところにアテンションエコノミーで広告料が多く流れていっている、そういうところをどういうふうに考えるか。通信事業法は、通信の中身を、規律を及ぼさない。そういう放送だけでネット空間で事業を展開するメディアも、全くこの委員会の対象外でもあるわけです。

 ですから、そういったことに向けて、局長、どのようにこれから報告書をまとめていただくのか。特に、電波送信と番組作成、これを切り離す議論をしっかりしていただけるのかどうか、お伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

吉田政府参考人 委員御指摘のとおり、現行の放送法においては、ハード、ソフト一致かハード、ソフト分離かということにつきまして地上放送事業者が選択可能な制度となっておりますが、一時期、ハード、ソフト分離を採用した事業者もございましたけれども、現状では、全ての地上テレビ、ラジオ放送事業者がハード、ソフト一致という形態を選択しておるところでございます。

 他方で、放送ネットワークインフラの在り方については、先ほど来おっしゃいました有識者検討会において議論をしておりまして、一定の品質、信頼性を確保することを前提に、経済合理性の視点も勘案し、デジタル技術の導入等による効率化を図ることを検討していくべきではないかという議論が行われております。

 具体的には、中継局設備について、特定の事業者が設備の保有、維持管理を行う共同利用型モデルや、ブロードバンドを活用していく、あるいはマスター設備の一部機能の集約化といった、従来のハード、ソフト一致型にこだわらない柔軟なインフラ形態ということの可能性についても御議論いただいているところでございます。

 総務省としては、本年夏に予定されております検討会の取りまとめを踏まえ、必要な制度整備を進めてまいりたいと考えております。

 また、インターネット上の件でございます。アテンションエコノミーということではございませんが、例えば、誹謗中傷などにつきまして大きな社会問題になりつつございまして、それについて、私ども、政策パッケージをつくるなどの取組をしているところでございます。

 このような取組を通じまして、国民の皆様に情報を送り届けるという機能を、きちんと環境を整えるということを私どもとして取り組んでまいりたいと存じます。

阿部(弘)委員 ありがとうございました。

 ほとんど私の質問の内容は、この検討会の資料の内容、特に面白いのは、千葉大学の名誉教授の多賀谷一照先生の報告でございます。

 六十代から七十代までは死ぬまでテレビを見続けるが、三十代から四十代の人はテレビを見ない、テレビを持たないんですよ、テレビを持たない若者世代にどうやって受信料を払っていただくんですか、その転換期にまさに今来ているんじゃないかということです。スリム化した公共放送、ニュースや天気予報、児童番組やあるいは災害の放送、そして、ドラマや他のコンテンツ事業については課金制度。

 まさにNHKさんにお聞きしようと思ったんですけれども、NHKプラス、いいですね。これはいいんですよ、受信料を払っていたら、これをしたらすぐに見られる。ただし、はがきで手続を取るものだから、一週間もかかっちゃう。

 私は大河ドラマが大好きで見ているんですよ。小栗旬さん、ガッキーさん、見たいと思ってここに申し込んだら、一週間かかって、前の週の番組が見られない。これは何とかしてもらえませんか。NHKさん、課金制度に取り組むかもしれませんが、これでは、一週間かかっていたら困るものだから。後でお答えください。

 本当に、イギリスでは、ハードはマルチプレックス事業で周波数免許、ソフト、デジタル事業はそちらの方の事業免許でございますから、そういった形に早急に変化していく。アテンションエコノミーの時代にはそういう対応をしていかないと、あっという間に、今余剰金があっても、その余剰金が尽きることになるということを私は考えております。

 では、次は、NHKさんにちょっとお伺いしたいと思います。

 これはネットの情報で大変恐縮なんですけれども、NHKに大改革の嵐が吹いている。NHK放送局長は一月十九日の会見で、新年度は改革を実感していただく年にしたいということを言ってあります。ためしてガッテン、バラエティー笑百科、シブ五時などは聖域なき改革の対象になる、NHKは変わったことをこの四月に示せと職員に檄を飛ばしたということでございます。

 紅白歌合戦も例外ではないようだというふうなネットの話ですが、そういう大改革、宣言してありますが、どういう改革なのか。そして、紅白歌合戦は打ち切られるんですか。そのこともお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

    〔輿水委員長代理退席、委員長着席〕

松坂参考人 お答えいたします。

 最初に、私は放送関係の役員ではありませんけれども、紅白歌合戦、様々な御意見をいただいておりますし、演出の方法なども含めていろいろと工夫しておりますが、多くの方に見ていただいているという事実もあります。こうしたことを踏まえまして、更に内容をよいものにしていくという取組が必要かなというふうに思っております。

 それから、今の御質問なんですけれども、中期経営計画、三年間ありますけれども、この四月からは二年目となります。NHKは変わったと実感していただけるようなコンテンツやサービスの改革など、改革の成果を視聴者の方に目に見える形でお示しする、そうした年にしたいと思って取り組んでいることであります。安全、安心を支えて、多様で質の高いNHKならではのコンテンツ、これを合理的なコストでお届けし、新しい番組開発ですとか視聴者のニーズに応える番組編成を実施していきたいというふうに考えております。

 ただ、コンテンツを作る際には、やはりスリムで強靱なNHKとしての事業運営ということが重要でありますので、例えば、訪問によらない営業を進めて営業経費の削減をしたりとか、あと、放送波やチャンネルを中心とした編成を見直してジャンル別管理へ移行して、重複する番組を整理して制作の総量を見直す一方で、今後、将来性のある領域、コンテンツに重点投資していく、そうしたことをやっていきたいというふうに思っています。

 既に公表しておりますけれども、二〇二三年度の受信料の値下げ、それから、今四波あります衛星波の一波削減、これも含めて構造改革を進めてまいりたいというふうに思っております。

 あと、委員からさっきありましたけれども、NHKプラス、確かに登録に手続、時間がかかるということがありますので、この点については改善を進めることにしております。

阿部(弘)委員 紅白歌合戦のことについてはお答えいただけなかったんですが、NHKの会長があと一年で、任期があるものですから、しっかりとそういう改革に取り組まれるということで、大変期待しております。

 次は、最後、ちょっと耳が痛い質問をさせていただきます。NHK、反対デモの字幕問題でございます。

 匿名チェックシートとか、様々な、複眼的試写とか、NHKさんはそういういろいろな、誤解を招くようなことがないようにということで取り組んであったんですが、なぜこういうことが起きてしまったのか。

 それと、NHK内部で調査をなさってありますが、BPOなどを活用して、第三者の調査というものはないのか。

 その点についてお伺いします。

松坂参考人 お答えいたします。

 今御指摘ありました、昨年末に放送しましたBS1スペシャルで、字幕に裏づけのない不確かな内容があって、先月、一月九日の夜に、関係者と視聴者の皆様に対するおわびの放送を行いました。このような事態を招いたことについて、深くおわびいたします。

 先月二十四日、私を責任者とする調査チームを設置して、原因の究明を進めております。これは十五人から成っておりまして、弁護士も加わっております。

 これまでの調査で、原因は、取材、制作の基本である事実関係の確認が不十分だったことと、事実関係のために定められているルールが守られず、チェック機能が働いていなかったことだというふうに考えております。

 再発防止のために、できることから今始めておりまして、匿名のインタビューを使用する際に、それが必要なのか、内容は真実なのかチェックする匿名チェックシートですとか、番組を第三者的な立場でチェックする複眼的試写が行われていなかったことから、これらを徹底するために、BS1スペシャルを含め、ノンフィクション系の全ての番組、デジタルコンテンツで実施することとしております。

 今回、ジャーナリストの基本である事実確認がおろそかになったことに加えまして、チェック機能がきちんと働かなかったことを重く受け止めておりまして、原因と背景を究明した上で厳正に対処するとともに、再発防止に向けた取組を徹底してまいります。

 また、BPOに対して、真摯に対応していきたいというふうに思っております。

阿部(弘)委員 もう質問は終わりですが、さきに、NHK受信契約の際には電話番号もメールアドレスも必要になってくるということでございます。是非とも不祥事が起きないように、名簿流出などゆめゆめ、情報流出などゆめゆめありませんように是非ともお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、沢田良さん。

沢田委員 日本維新の会の、埼玉の沢田良と申します。

 現在、オミクロン株が大変に強い感染力で拡大しております。三十四の都道府県に対して蔓延防止等重点措置と、東京では一日二万人を超える陽性者が出ております。この場をおかりいたしまして、多くの国民の皆様の御理解と我慢によって今の日本は支えられておりますことに、まずは感謝を申し上げます。同時に、引き続きの御理解と御協力をよろしくお願いいたします。

 一日でも早く国民の皆様に安心した毎日を過ごしていただけるよう、日本維新の会、そして私、沢田良は、政党や主義主張にこだわらず、全力で動いていくことをお約束いたします。

 昨年十二月の臨時国会において、私も、短い時間ではございますが、この総務委員会で質疑をさせていただきましたら、所属いたします浦和北ロータリークラブの先輩方よりも、もう少し分かりやすい方がよかったとアドバイスをいただきました。本日も、この場所にいる方々だけでなく、動画、今、リアルタイムで見られている方々もいらっしゃいます。丁寧に分かりやすくを心がけ、質問をさせていただきます。

 金子大臣を始め、日々日本のために動いてくださっている関係省庁の皆様、本日はよろしくお願いいたします。

 コロナという危機の中、注目を浴びたのは、各地域のリーダーである知事や市区町村長です。地域のリーダーの判断でいろいろな住民サービスやワクチン接種のタイミングなどが変わるということを多くの方が気づいたことによります。

 私は、さいたま市南区の辻というところに住んでおり、さいたま市と戸田市、蕨市の三市がほぼ隣接するような場所となりますので、地域の違いというのを大変強く感じておりました。ただ、その反面、国、都道府県、市町村の役割を正確に把握する方は政治関係者の中でも少ないのではないのかというふうに感じております。金子大臣の所信表明にありました活力ある地方をつくる、そのためには、今の地方と国の役割、現状を正確に把握しておく必要があると考えます。

 最初の質問をさせていただきます。地方と国の仕組みの軸となるものは、地方交付税制度というものがございます。地方交付税制度とは一体どんなものなのか、簡単に御説明いただけないでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国におきましては、義務教育や社会保障を始め、国民生活に密接に関連いたします行政は、そのほとんどが国の法令等に基づきまして地方団体において実施されております。その一方、税源の偏在によりまして、地方団体間では地方税収に大きな格差がございます。

 こうした中で、地方交付税は、地方団体間の財源の不均衡を調整いたします財源調整機能とともに、全国どのような地域であっても一定水準の行政サービスを提供するために必要な財源を保障する財源保障機能、これを果たしておりまして、我が国の内政において重要な役割を担っているものと認識しております。

 また、このような地方交付税の性格といたしましては、形式的には国税として国が代わって徴収した上で地方団体に配分するものでありまして、国税の一定割合が地方団体に法律上当然帰属するという意味におきまして、地方の固有財源と位置づけられるものでございます。

沢田委員 ありがとうございます。分かりやすい説明でありました。ありがとうございました。

 まずは一度国で集めた税金を地方にお渡しするというこの地方交付税制度が、ある時期よりうまくいかなくなった。借入金で足りない費用を賄うということが始まりました。その借入金の名前が交付税特別会計借入金というものになります。

 質問です。この借入金は、いつから、どんな背景で生まれたのでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 交付税特別会計借入金につきましては、国と地方の財政状況が厳しくなりました昭和五十年代、かなり前の話にはなりますが、におきまして、地方の財源不足が生じた際には、この交付税特別会計において借入れを行い、地方交付税総額を加算することによりまして財源不足を補填した上で、その償還金につきまして、国と地方が二分の一ずつ折半して負担するということにより対応することを基本にしてきたところでございます。

 その後、時代は平成に移りまして、バブル経済によります活況、これを経た上でその崩壊を迎えたところでございまして、このバブル経済の崩壊に伴い、平成六年度の地方財政対策におきまして、大幅な財源不足が生じる中で、交付税特別会計借入金による補填が再開され、これが平成十二年度まで基本的に続けられてきたところでございます。

沢田委員 ありがとうございました。

 諸要因があったにしろ、仕組みとしては借金に頼らざるを得ない運用が大分続いているということになります。

 そして、現在は、交付税特別会計借入金というものから仕組みが変わりまして、本来、国から交付金として地域にお渡ししなければならない額の中で足りない分を地域で借金してもいいという、臨時財政対策債という名前の仕組みに変わりました。借入金も債券も、分かりやすく言えば借金です。当然、返済の必要と、利子が発生します。

 質問です。交付税特別会計借入金と臨時財政対策債の残高、令和四年度実績の利払い金額は、各々幾らとなりますか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、交付税特別会計借入金の令和四年度末の残高の見込みでございますが、これは二十九・六兆円、利払い費の見込みは四年度で七百億円程度でございます。

 一方、臨時財政対策債につきましては、令和四年度末の残高の見込みは五十三・二兆円でございまして、利払い費は、四年度、三千六百億円程度を見込んでいるところでございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 ちなみに、私の方で調べました平成二十三年から令和三年までの交付税特別会計借入金の返済実績は、十一年で約三兆五千五十億円でした。一年当たり約三千二百億円となります。実績と残高を考えると、約百年近く返済がかかるのではないかなというふうに思われても仕方ないと思います。

 もちろん、この返済に充てられるお金も、国民の皆様からお預かりしている税金が使われております。さらに、臨時財政対策債の残高も利払いも残っております。

 私は、借入金や債券を含めて、借金をすること自体が悪いと言うつもりはありません。緊急事態や一時的に必要になるもの、又は投資リターンの出るものでしたら、積極的に借金をして構わないという考え方です。ただ、大分前から借金に頼らざるを得ない仕組みには大変大きな問題があると考えます。

 また、上がり続ける税金や負担の中で、国民の皆様の負担率は四六%まで上がっており、多くの国民が大変な生活の中、捻出してくださっている税金が、仕組みの運用ではない、利払いだけで四千三百億円も使われていることに、納税者の皆様は納得がいくのでしょうか。

 金子大臣に質問です。現在の地方交付税制度が長い間借金に依存してしまっている状況について、制度の改革や新しい仕組みの検討などが必要と考えますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

金子(恭)国務大臣 沢田委員には、地方財政について御心配いただいておりまして、心より感謝を申し上げたいと思います。

 地方財政の健全化のためには、本来的には、臨時財政対策債になるべく頼らない財務体質を確立することが重要であります。

 令和四年度の地方財政対策におきましては、地方税の増収などにより、財源不足を大幅に縮小いたしまして、臨時財政対策債の発行額を前年度から三・七兆円抑制いたしまして、残高を二・一兆円縮減することができました。

 今後とも、経済あっての財政の考え方の下、経済を立て直し、地方税などの歳入の増加に努めるとともに、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うことにより、財源不足を縮小し、臨時財政対策債の発行抑制に努めてまいりたいと思います。

沢田委員 大臣、ありがとうございます。

 改革という言葉を使っていただきましたが、具体的に、歳出改革ということでしたので、できるだけ仕組みの方で考えていただければと思います。

 民間で働いてきた私の感覚では、この状況は大変に厳しい、早急に仕組みを見直す必要があると感じております。

 我々日本維新の会は、大阪という地域にある課題解決のために生まれた国政政党でもあり、既存の地域と国の在り方の枠を超えて、活力ある地域づくりに挑戦してまいりました。その一つが、既存の政令指定都市と都道府県の在り方を見直せる大都市法の改正などです。

 私から是非大臣に提案をさせてください。現行の制度を微修正して延命する流れから、仕組み自体を見直しませんか。今までのピラミッド形の、国が地方を管理していく地方交付税という手段から、地方が主役になり動いていく、道州制を含む地方分権というアイデアです。地方が独立し、協力し合い、競争する未来にこそ、大臣も所信でおっしゃっていた活力ある地方をつくるにつながると考えます。

 金子大臣に質問です。大臣は所信表明にて自立分散型地域経済の構築という言葉を使われておりましたが、自立分散型という言葉は、ピラミッド形の対極で使われることが多いと感じます。地方が独立し、協力し合い、競争するという提案には、どのように思われますか。

金子(恭)国務大臣 御意見ありがとうございます。

 私は、重ね重ね言いますが、かねてから、地方の繁栄なくして国の繁栄なしをモットーにしておりまして、活力ある地方の創出に全力で取り組んでおります。

 活力ある地方の創出のためには、今おっしゃったような地域経済の活性化が不可欠であります。地方への資金の流れの拡大とともに、地域における経済循環を促進し、自立分散型地域経済の構築を進めていく必要があると考えております。

 総務省におきましては、地域の資源と資金を活用して地域密着型事業の立ち上げを支援するローカル一万プロジェクトの推進などによりまして、自治体の取組を後押ししております。

 自治体はもとより、関係省庁とも連携し、地域金融機関や商工会、商工会議所にも御協力をいただきながら、自立分散型地域経済の構築に全力で取り組んでまいります。

沢田委員 当たり前の話とはなるんですが、今、世界一経済規模の大きいのはアメリカとなります。そのアメリカの強みの一つとして、既存の大企業や既得権益者を打ち負かす新興勢力が台頭し続け、常に健全な新陳代謝が促される環境というものがあります。それを支えているのが高度な地方分権であり、内政、ミクロ経済の権限が地方にあり、規制撤廃や税率引下げに関しても地方間で競争になっていることが大きいと考えます。

 日本では東京一極集中がずっと言われている中で、アメリカでは田舎にも世界的企業の本社がごろごろあるのは、地方の権限が強く、独自に規制緩和が行えることと、税率を自由に決められることが極めて大きい効果を発揮していると考えます。地方分権を余り知らない方、又は不安な方には、是非、効果的に実績を出している国が身近にあるということも知っていただければと思います。

 そして、日本の現状は、少子高齢化が加速していきます。厚生労働省がまとめました人口動態統計では、二〇六〇年には人口は現在の一億二千五百万人から八千万人台まで減ってしまいます。決して楽観的なシナリオにつながるものはありません。上がり続ける税金や負担で仕組みを延命しようとしても、更に国民負担が増えるだけとなる可能性が大きいのです。

 今の日本の国民の負担率は四六%、給料における税金や社会保険料、こういう負担による比率です。江戸時代の言葉で四公六民というものがあります。四割が税金、負担の上限と言われて、五公五民では一揆が起こるという言葉が残っておるように、国民の皆様は限界に達しています。

 全ての状況を踏まえて、我々総務委員会の役割は、今までの国と地方の枠組みにとらわれず、この厳しい状況の中、英知を集めて、活力ある地方づくりとは何かを議論し尽くしていくことと考えます。是非、金子大臣の任期中に、地方交付税の在り方の見直しと、道州制を含む地方分権の議論を真剣に考えていただくことをお願いいたします。

 続きまして、マイナンバーについて伺います。

 我々日本維新の会は、さきの衆議院選挙において、ベーシックインカムという、全ての方に六万円から十万円を毎月支給し、多過ぎる分については確定申告で返してもらうという仕組みを提案させていただきました。公平公正に多過ぎる分というものを判断するためには、当然、収入だけでなく資産も把握する必要があります。

 特に、年末に行われました十万円の給付は、曖昧な収入基準の中、一部の方だけに支給をするのはおかしいと、我々日本維新の会は予算に反対をし、消費税の減税、これを訴えさせていただきました。

 また、コロナ対応で十万円の定額給付金のときも、議員、公務員、又は年金だけで生活をしている方や生活保護者などの収入や受給が変わらない方にもお金が配られているということについて、おかしいのではと私も地域で直接言われました。本当に必要な場所に必要な額が届いていないことがこういう声につながっていると感じます。給付は手厚く、そして全員にして、後で多過ぎる分は確定申告をして返していただくことの方が公平、効率に近づくと考えております。

 その入口として、全預貯金口座へのマイナンバーひもづけの義務化による収入と資産の捕捉が必要と感じます。

 一月二十六日の衆議院予算委員会での、牧島大臣と日本維新の会足立議員の全預貯金口座へのマイナンバーひもづけ義務化についてのやり取りの中で、牧島大臣から、メリットがまだ浸透していない、そういう答弁がございました。ロジックや合理性ではなく、単に理解が進んでいないという話がありましたが、マイナンバー制度をフルスペックに活用した未来では、ベーシックインカムだけでなく、本当に困っている方を一瞬で見つけ、すぐに現金給付など必要な手を差し伸べることが可能となります。

 金子大臣に質問をします。マイナンバー制度の理解はマイナンバーカード普及にも直結すると考えますが、牧島大臣がおっしゃった、相続時や災害時に口座の所在を的確に確認できるメリット、そういったものを実際により理解していただくための工夫や啓発を、マイナンバーカード普及事業などに追加して伝えていただくことはできないでしょうか。

金子(恭)国務大臣 マイナンバーカードを活用していただくということは、地域住民サービス、あるいはそれぞれの個人が、そういう給付金とかそういったものにも将来的には活用できるものだと思っております。

 そういう意味では、マイナポイント第二弾が既に始まっております。一月一日からは五千ポイント、それから、六月からは公金口座のひもづけとそれから健康保険証ということでありますので、そういうものが、少しでも国民に理解をしていただき、ああ、便利なんだと。そういう意味では、そういうことをしっかりと、マイナンバーカードの利点、メリット、そういったものをこれからも広報していきたいと思います。

沢田委員 大臣、よろしくお願いいたします。是非考えていただければと思います。

 続きまして、質問です。大臣所信にありました救急業務におけるマイナンバーカードの活用について詳細を教えていただきたいんですけれども、よろしくお願いいたします。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 現在、一一九番要請を受け現場に到着した救急隊は、適切な搬送先の選定や応急処置を行うに当たりまして、傷病者本人や家族などの関係者から、病気やけがの症状、既往症、服用している薬など、必要な情報を聞き取りしております。これらの情報を正確かつ早期に把握できればより迅速かつ円滑に活動ができることになることから、来年度、救急隊が救急現場においてマイナンバーカードを活用して薬剤情報などの医療情報を閲覧する実証実験を、複数の消防本部において行いたいと考えております。

沢田委員 ありがとうございました。

 まさに多くの個人情報を取り扱う分、ハードルは高くなると思いますが、メリットを理解していただくことに大きな可能性を感じる提案と思います。是非、消防に関わる皆様がより効果的に人命を守れる環境の強化のためにも、進めていただければと思います。

 最後になりますが、現状の政府提案に対して日本維新の会の新しい提案を、この質疑を見てくださった全ての方々の中で是非比較して考えていただければと思います。

 本日は、金子大臣ほか関係各省の皆様、御準備、また御対応、ありがとうございました。

 以上で、日本維新の会、埼玉の沢田良からの質疑とさせていただきます。

赤羽委員長 次に、中司宏さん。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は私で最後でございますので、大臣始め皆様、お疲れでございましょうが、しばらくよろしくお願い申し上げます。

 早速質問に入りますが、まず、地方分権改革について伺います。

 今国会冒頭の岸田総理の施政方針とおとといの金子総務大臣の所信のどちらにも、地方分権改革に触れる部分はありませんでした。分権改革や統治機構改革を進めようとする立場からは、大変残念に思います。

 そこで、地方分権の取組について、まず、担当する内閣府にお聞きいたします。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 平成七年の地方分権推進法以来行われてきた第一次分権改革、及び平成十八年の地方分権改革推進法以来の第二次分権改革におきましては、時限で設置された委員会の勧告に基づく国主導による集中的な取組を行い、これらは一定の成果を得たところでございます。

 平成二十六年からは、それまでの成果を踏まえ、提案募集方式を導入し、政府としての恒常的な推進体制の下、地方の発意に根差した息の長い取組に転換したところでございます。

 令和三年の提案募集につきましては、令和三年の地方からの提案等に関する対応方針を先般閣議決定したところであり、法改正事項につきましては、今国会に所要の法案を提出することを基本としております。

 今後とも、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って、地方分権改革を着実に進めてまいります。

中司委員 分権改革を着実に進めるということでございますので、一定は了解をさせていただきます。

 全国知事会などの地方団体から毎年、分権改革の、とりわけ税源移譲について要望が出ていると思いますが、金子総務大臣の地方分権についての認識はどうでしょうか。

金子(恭)国務大臣 中司委員とは先日の予算委員会で、地方分権に対する大変な思いを受け止めさせていただいております。

 今、内閣府から答弁がございましたとおり、これまで、地方の自主性、自立性を高めるための地方分権改革を推進してまいりました。自治体は、保健、福祉、教育、消防など様々な行政分野で、広く住民生活に身近な行政サービスを担っており、日頃から地方自治の第一線で、住民の福祉の増進のために力を尽くすなど、極めて重要な役割を果たしております。

 このような自治体の機能を最大限に発揮し、地域の実情に応じて、住民ニーズにきめ細やかに対応していく上で、地方分権の推進は極めて重要なことだと考えております。

中司委員 極めて重要なことという答弁、ありがとうございます。

 平成五年に衆議院の本会議において全会一致で採択された決議には、地方分権を積極的に推進するための法制度を始め、抜本的な施策を総力を挙げて断行していくとうたわれています。

 その後、機関委任事務が廃止されたのを皮切りに、これまで、十一次にわたる地方分権一括法などにより、国と地方は対等、平等として、国から地方への権限移譲が一定進んだと理解しております。

 地方分権を推進するに当たっては、その基盤となる地方税の充実も不可欠であります。ですから、我が党の前共同代表で、当時の片山虎之助総務大臣が打ち出された片山プラン、そして三位一体の改革によって、国から地方への税源移譲が進められた。その結果、平成九年度までは国税の比率が六割を超えていたのですけれども、平成二十一年度には、国税と地方税の比率は五三・四対四六・六にまで税源移譲が進みました。しかし、消費増税による国税総額の増加などで再び国税の比率が増加し、令和三年度見込みでは、また国税が六一・〇、地方税が三九・〇の比率に戻ってしまっています。

 先日の予算委員会で大臣にこのことについてお尋ねしたところ、実質的な地方財源の特別法人事業税を含めた地方税は充実しているという趣旨の答弁をいただきましたが、しかし、ただ、特別法人事業税を地方の財源に加えましても、比率は五九・七対四〇・三と一・三ポイント改善するだけで、根本的な比率は変わらない、構図は変わらないと思っています。

 片山総務大臣、そしてその後の麻生総務大臣共に、国と地方の税源配分の割合を五対五に見直すということが基本方針とされまして、経済財政諮問会議においても、骨太の方針として明記をされています。

 当時からの基本的な問題は、地方の歳入が四割、そして地方の歳出は六割、こういう、歳出に見合った歳入になっていないことが問題でありまして、その構造が解消されない以上は税源の配分の見直しを目指す基本方針も何ら変わりはない、こう思っています。

 国と地方の税財源の配分についてどのような見解をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 先日の予算委員会でも、かなりこの部分については強く御意見をいただいたところでございます。

 地方税の充実に関しましては、これまでも、所得税から個人住民税への三兆円の税源移譲、地方消費税の拡充などに取り組んできたところでございます。

 国、地方の税源配分については、国、地方とも厳しい財政状況にあることや、地方団体間の財政力格差などへの配慮も必要と考えております。

 いずれにしても、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組むとともに、地方の行政サービスをできる限り地方税で賄うことができるよう、地方税の充実確保に努めてまいります。

中司委員 今、心強い答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 地方自治体間の財政力の差、これは歴然とあるわけなので、それを解消するために、自治体間の財政調整機能、これは当然必要だと思います。その役割を担う交付税、地方交付税が、実際には、国の政策の誘導的な運用など、本来の地方自治の在り方にそぐわない面があるのではないか。先ほど沢田委員の方からも質問でありましたが、借金の依存体質になっているのではないか、そうしたこともあります。結果的にそうなっていないのではないか。

 そういうところから、我々維新の会では、自治体間の財源調整を交付税に依存するのではなくて、調整財源の配分を地方が合議で決める新たな制度として、地方共有税の創出というものを打ち出しているところでございます。

 自治体間で財源の調整機能を果たすということは大変な厳しい作業だと思いますけれども、こうした取組を通じて、地方が自己決定能力、そして自己責任能力、これを身につけて、そうしてこそ、東京一極集中の中央集権体制から、真の地方分権体制の確立、ひいては道州制への移行が可能になるものと考えています。

 第三十三次地方制度調査会において、岸田総理は、コロナ後を見据えた、あるべき基本的な国と地方との関係、これを議論する時期に来ている、こういう認識を示されています。あるべき基本的な国と地方との関係、この議論には、国と地方の税財源の配分の問題、これを十分踏まえたものにしていただきたい、このことを申し入れておきたいと思います。

 さて、地方に権限を移譲して、より身近な行政がよりニーズに沿った効果的な施策を展開するということは、分権改革の目指す方向でございます。

 しかし一方で、自治体が法律に基づく事業を行う際、財政支援の条件として、国が様々な計画の策定を義務づけるケースが多くなってきています。こうした計画の策定は、自治体にとってコストなど大きな負担となるだけでなくて、地方の自立を促す地方分権に逆行するもので、改善すべきであります。

 国が求める計画には、策定を法的に義務づける規定や努力義務規定、任意規定などがありますが、問題なのは、努力義務規定や任意規定であっても、補助金等、財政支援の要件になっているものが多い。自治体にとっては、実質的に義務規定になっていることであります。

 例えば、児童福祉法に基づく市町村整備計画、次世代育成支援対策推進法に基づく市町村及び都道府県の行動計画、地域再生法に基づく地域再生計画などで、これは、任意規定であっても、それぞれが交付金の交付などに当たって計画の策定が前提として求められている状況でございます。

 全国知事会からの見直しの要請を受けまして、先月、対応方針が閣議決定されたと思っておりますが、今後どのように改善されるのか、お聞きいたします。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の計画策定等につきましては、策定に関する法律の条項数がこの十年間で約一・五倍に増加していることを踏まえまして、令和三年の地方からの提案募集における重点募集テーマとして設定した上で、地方から寄せられた二十九件の提案につきまして、地域の自主性を強化し自由度を拡大するための対応方針を閣議決定したところでございます。

 加えまして、この対応方針におきましては、計画策定等について、地方の自主性及び自立性を高めるための検討を引き続き行うこととされたことから、現在、地方分権改革有識者会議の下に開催しております計画策定等に関するワーキンググループにおきまして、見直しの視点等について御議論いただいているところでございます。

 今後、これらの議論を令和四年の提案募集に反映し、地方からの提案に基づき、見直しの検討を更に進めてまいりたいと考えております。

中司委員 ありがとうございます。地方に過度の負担にならないようによろしくお願いをいたします。

 さて、昨年十二月に発生しました大阪市北区のビル火災を受けて、大臣は所信で、調査結果を取りまとめ、有識者で構成する検討会で必要な対応を検討すると述べておられます。こうした火災に巻き込まれた方々に対し、申し上げるべき言葉もないくらい残念でなりませんが、今できることは、二度と同じような悲劇を繰り返さないことであります。被災したビルには法令違反はないが、現在の基準は満たしていない、いわゆる既存不適格の建築物と聞いています。同様の雑居ビルが多く存在する地域であり、多数の犠牲者が出たことを考えますと、悲劇を繰り返さないために何らかの対応策が必要と考えます。

 今後、全国の雑居ビル三万棟への調査結果を踏まえ、有識者検討会で検討し、必要な対策を講じるとのことですが、見解を、決意をお聞かせください。

金子(恭)国務大臣 おっしゃるとおり、昨年十二月に大阪市で発生した雑居ビル火災では、多数の死傷者が発生をいたしました。このような火災が生じたことは誠に残念であり、犠牲となられた方々の御冥福をお祈りするとともに、負傷された方々に心からお見舞い申し上げます。

 今般の火災を受けて、総務省消防庁では、現在、消防法に基づく消防庁長官による火災原因調査を実施しているところでございます。また、全国の消防本部に対しては、今回の火災建物と類似の、階段が一つしか設置されていない雑居ビルを対象に、火災時の避難経路の管理等について緊急立入検査の実施を要請しており、結果につきましては、二月上旬を目途に報告を求めております。

 今後、火災原因調査の結果を取りまとめるとともに、近日中には学識経験者や関係行政機関等により構成する検討会を立ち上げ、今後取り組むべき防火、避難対策等について検討してまいりたいと思います。

中司委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 今、異常気象等で災害が多発する、あるいはまたコロナ禍で救急需要が逼迫する、そんな状況でございます。そして今、消防救急事象がますます複雑多様化している、そんな状況の中で消防力の強化というものが急務だと思います。とりわけ小規模自治体の消防本部では、様々な災害への対応力、高度な装備や資機材の導入、専門的な人材の育成などの課題を抱えています。

 令和三年版の消防白書によりますと、令和三年四月の人口十万人未満の小規模消防本部ですが、全国で四百二十九ある、全体の約六割を占めております。消防力の強化に向けて、消防組織の統合や広域連携による消防の広域化が求められていますが、一朝一夕で済まないのも現実であります。

 私の地元の交野市も、人口七万五千人で、単独の小規模消防本部ですけれども、隣接エリアの枚方寝屋川消防組合との広域化、通信指令の業務以外はまだ進んでおりません。

 今後、四百を超える小規模消防本部に対し広域化を促していくには、何らかの支援策も必要だと考えております。どのように広域化を進めようとされているのか、お聞きいたしたいと思います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 小規模な消防本部におきましては、出動体制、保有する消防用の車両、専門要員の確保に限界があるなど、消防の体制として必ずしも十分ではない場合が多いと認識をしております。

 また、昨今、人口減少が進む一方、大規模災害が頻発している現状を踏まえますと、消防本部の更なる体制強化が重要であり、消防の広域化や消防の連携協力をこれまで以上に推進していく必要があると考えております。

 消防庁といたしましては、これまでも、消防指令センターの整備を始めとする、広域化などに伴い必要となる経費に対する財政措置や、消防広域化推進アドバイザーの派遣などを通じて、必要な支援に取り組んでまいりました。

 令和四年度は、消防指令センターの共同運用に取り組む市町村などに対する都道府県の支援に対する経費について特別交付税措置を講ずるほか、財政措置の拡充を行うこととしておりまして、今後とも、消防の広域化及び連携協力を積極的に進めてまいります。

中司委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 最後に、電波オークションについてですけれども、電波オークションに関しては、先般の予算委員会の中でも、携帯電話の周波数の割当てについて、新たな携帯電話用周波数の割当方式に関する検討会で検討している、現在、諸外国の事例を踏まえながら調査分析を進めているということでございました。

 多くの国で導入されているこの電波オークションですけれども、現在の総務省による比較審査方式に比べて、電波の効率的な活用とか、手続の透明性や迅速性の確保、また、新規参入やイノベーションの促進、国際競争力の強化などが期待されています。

 そこで、電波オークションに向けた具体的なスケジュールについて伺います。また、携帯電話だけではなくて民間放送においても、オークション方式の導入についてどう取り組まれるのか、併せて伺います。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、5Gの導入等によりまして携帯電話用周波数の利用ニーズが急増しており、電波の有効利用を促進する観点から、総務省では、昨年十月より、新たな携帯電話用周波数の割当方式に関する検討会を開催をしているところでございます。

 携帯電話用周波数の割当て方式につきましては、本検討会において、オークション方式も含めて、諸外国の状況を踏まえながら調査分析を進めているところでございます。

 具体的に申し上げますと、電波オークションについてデメリットとされている事項、例えば、落札額の過度な高騰でありますとか、特定事業者への周波数の集中でありますとか、そういったデメリットに関する事項に対しまして、諸外国の対応を含めまして事例調査を現在進めております。それに加えまして、携帯電話事業者からのヒアリングも行ってきたところでございます。

 本年度内に調査分析結果を取りまとめをいたしまして、我が国に望ましい割当て方式の在り方について検討いたしまして、本年夏頃を目途に、その取りまとめを行ってまいりたいと考えております。

中司委員 民間放送局についてのオークション方式のことについては答弁がなかったですが、またこれは次回に持ち越したいと思います。

 先日、総務省の幹部の方から、コロナ禍の大変な中で、国と地方との役割分担が曖昧な中で本当に地方はしっかりとコロナ対策をやっている、そういう声がありました。本当にそのとおりだ、しっかりと地方も取り組んできたと思っています。

 金子大臣におかれましては、先ほど、活力ある地方の創出と言われたところでございますけれども、どうか地方の思いをしっかりと受け止めて、分権改革が更に進展しますように、旗振り役として頑張っていただきたい、このことを期待して、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 以上で本日の大臣所信に対する質疑は終了いたしました。

 次回は、来る八日火曜日委員会を開会することといたしまして、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.