衆議院

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第5号 令和4年2月15日(火曜日)

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令和四年二月十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 新谷 正義君 理事 田所 嘉徳君

   理事 岡本あき子君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 輿水 恵一君

      井野 俊郎君    井原  巧君

      石田 真敏君    大串 正樹君

      加藤 竜祥君    小森 卓郎君

      坂井  学君    鈴木 英敬君

      武村 展英君    西野 太亮君

      鳩山 二郎君    古川  康君

      保岡 宏武君    柳本  顕君

      渡辺 孝一君   おおつき紅葉君

      奥野総一郎君    鈴木 庸介君

      野間  健君    道下 大樹君

      湯原 俊二君    渡辺  創君

      阿部 弘樹君    沢田  良君

      福重 隆浩君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   総務大臣         金子 恭之君

   内閣府副大臣       赤池 誠章君

   総務副大臣        田畑 裕明君

   総務大臣政務官      鳩山 二郎君

   総務大臣政務官      渡辺 孝一君

   総務大臣政務官      三浦  靖君

   財務大臣政務官      藤原  崇君

   政府参考人

   (内閣官房小型無人機等対策推進室審議官)     新川 達也君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         内田 幸雄君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室長)          寺崎 秀俊君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   山本 和徳君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   原  邦彰君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        馬場竹次郎君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  白岩  俊君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  清水 正博君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  前田 一浩君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            吉田 博史君

   政府参考人

   (消防庁次長)      小宮大一郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森田 正信君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            前島 明成君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           平井 一彦君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 町田 一仁君

   参考人

   (日本放送協会会長)   前田 晃伸君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 松坂 千尋君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十五日

 辞任         補欠選任

  石川 香織君     野間  健君

同日

 辞任         補欠選任

  野間  健君     渡辺  創君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺  創君     石川 香織君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本放送協会会長前田晃伸さん及び日本放送協会専務理事松坂千尋さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房小型無人機等対策推進室審議官新川達也さん、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官内田幸雄さん、内閣府地方分権改革推進室長寺崎秀俊さん、内閣府地方創生推進室次長黒田昌義さん、デジタル庁審議官山本和徳さん、総務省大臣官房長原邦彰さん、大臣官房地域力創造審議官馬場竹次郎さん、行政管理局長白岩俊さん、行政評価局長清水正博さん、自治行政局長吉川浩民さん、自治行政局公務員部長山越伸子さん、自治財政局長前田一浩さん、自治税務局長稲岡伸哉さん、情報流通行政局長吉田博史さん、消防庁次長小宮大一郎さん、法務省大臣官房審議官堂薗幹一郎さん、文部科学省大臣官房審議官森田正信さん、農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官前島明成さん、経済産業省大臣官房審議官蓮井智哉さん、中小企業庁事業環境部長飯田健太さん、国土交通省大臣官房審議官塩見英之さん、国土交通省航空局安全部長平井一彦さん及び防衛省大臣官房審議官町田一仁さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申出がございますので、順次これを許します。吉川元さん。

吉川(元)委員 おはようございます。立憲民主党の吉川元です。

 本日は、地方税、交付税の法案質疑ということで、早速ですけれども、まず、地方財政計画について質問いたします。

 地方税収が伸び、一般財源総額や交付税が適正に確保される一方、財源不足額は今年度と比較すると大幅に減り、折半対象財源不足が生じない、ある意味でいうと、ここ数年でいうと最も、まあ、よいと言えるかどうか分かりませんけれども、健全化に近づいた計画かなというふうには見ております。しかし、だからといって、地方財政が安定しているというふうにはとても言えないのが実情だというふうにも思っております。

 地方税収、今年度の当初見積りからは二・九兆円増えておりますが、昨年の当初見積りと比較をしますと〇・三兆円増えたにすぎませんし、財源不足も二・五兆円程度にまで減ってはおりますが、約一・三兆円、これは秋の臨時国会でも議論させていただきましたけれども、交付税の繰越金がなければもっと厳しい結果になっていたというのは間違いないというふうに思います。

 今回、コロナ禍の中で、地方財政が何とかかんとかここまで来られているのも、新型コロナ感染症対策での、例えば、飲食店への協力金の八割が国負担で、残り二割も地方創生臨時交付金の地方単独事業分でカバーできた、こういうふうに、コロナ対策に係る経費のほぼ全額が国費対応だったということは非常に大きな要因だったというふうに思っております。

 地方創生臨時交付金、累計で十五・二兆円が確保され、地方財政にとってこれは大きな役割を果たしてきました。今、第六波がずっと、全国、続いておりますし、今後も、第六波が仮に収束したとしても、この間の経験からいうと、また次の波が来る可能性を否定はできないというふうにも思います。

 感染状況が今後悪化をした際には、臨時交付金の増額分を含め、引き続き感染症対策での国費対応が必要だと考えますけれども、まずこの点について大臣に伺います。

金子(恭)国務大臣 吉川委員にお答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回の新型コロナウイルス感染症のような非常事態への対応につきましては、自治体が財政面での心配なく積極的に取り組んでいただけるよう、国においてしっかりと財源を確保することが重要と認識しております。

 このため、今回の新型コロナウイルス感染症への対応では、ほとんどの事業が全額国費対応とされており、また、自治体の判断によって自由度高く取り組むことができるよう、内閣府所管の地方創生臨時交付金が累次にわたって措置されてきています。

 今後も、各自治体が積極的に感染症対策に取り組むことができるよう、総務省といたしましても、引き続き、関係省庁としっかりと連携して、適切に対応してまいります。

吉川(元)委員 よろしくお願いしたいと思います。

 それで、税収見積りの基礎になる政府の来年度の経済見通しですけれども、実質で三・二、名目で三・六、非常に高い成長を見込んでおります。これは毎度のことなんですけれども、民間の予想、民間シンクタンク等々が予測しておりますけれども、それを見ますと、十八社の平均で実質三・〇%ということで、政府の見通しはかなり高めなのではないかというふうに思います。

 毎月勤労統計によると、昨年十二月の実質賃金は対前年比マイナス二・二%で、賃金が減少している、あるいは停滞していることに加えて、現在、原油が高騰しておりますし、エネルギー価格が前年同月比で一六・四%も上昇する、非常に高い上昇だというふうに思いますけれども、こういう物価高が、物価が上がれば当然、名目賃金が同じであれば実質賃金は下がることになりますから、実質賃金を押し下げる傾向にあります。

 こんな状況で、政府が見通す民間消費の四%増、これはちょっとなかなか、果たして実現可能なのかというふうにも思わざるを得ません。

 ちなみに、昨年十二月の企業物価指数、前年同月比でプラス八・五%というふうになっております。取引価格や小売価格にコスト高を転嫁しづらい、とりわけ中小零細企業というのはなかなか転嫁しづらい側面がありますし、目下の物価上昇というのは、これは企業経営にも大きな打撃を与える可能性も否定できないというふうに思います。

 また、政府の施策によるいわゆるゼロゼロ融資、無利子無担保などによって、昨年一年間の企業倒産件数あるいは休業、廃業件数は極めて低い水準に抑えられました。しかし、このゼロゼロ融資など、政府対応のコロナ関連融資残高は、昨年九月末時点で、民間そして政府系金融機関を合わせますと、来年度政府予算案の半分以上の五十六兆円、ここまでに達しております。既に元金の返済が始まっておりますが、融資を受けた企業のうち約八%が返済猶予あるいは追加融資を受けているとも聞いております。ここもしっかりとした着地点を考えておかないと、無利子無担保とはいえ、膨れ上がった債務が、今後、倒産、廃業へと企業を追い込むことも十分考えられます。

 高い成長を予測し、国税、地方税とも税収増を期待する政府予算案、地財計画ですけれども、大きなリスクを抱えているんじゃないのかというふうには考えますが、大臣はこの点についてどのような御認識をお持ちでしょうか。

金子(恭)国務大臣 お答えいたします。

 令和四年度の国税収入につきましては、見積り時点で把握可能なデータ等に基づき、適切に見込まれているものと承知しております。

 近年、地方交付税の原資である国税五税が減額補正となった場合には、地方交付税の法定率分の減少について、一般会計からその全額を加算した上で、当初予算における財源不足の補填ルールに基づき、後年度に精算を行っております。

 仮に、令和四年度にそのような事態が生じた場合には、財政当局とも協議の上、自治体の財政運営に支障が生じないよう、適切な補填措置を講じてまいります。

吉川(元)委員 非常に国際情勢を含めて不透明感が広がっておりますし、今後の経済、これはもちろん国内のコロナの状況もありますけれども、先ほども申し上げましたとおり、原油高やあるいは様々な不安定要素によっては大変厳しい状況になる。その場合、やはり地方財政をしっかり守る立場で発言を是非お願いをしたいというふうに思います。

 次に、この委員会でも以前取り上げられ、同僚議員からも質問がありましたが、地方創生について少しお聞きしたいというふうに思います。

 過疎地域に指定された自治体、前回、前々回かな、この委員会でも言われましたが、全国千七百十八市町村の過半数を超える八百八十五市町村に達しているということであります。全自治体の半分が過疎というのは、ちょっと、私自身も聞いて驚く状況でありますし、一九七〇年に指定制度が始まってからは初めてということであります。

 まず、大臣、前回もお答えになられたかとは思いますけれども、この状況についてどのように考えていらっしゃいますか。

金子(恭)国務大臣 委員御指摘のとおり、令和二年国勢調査の結果に基づきまして過疎地域が追加されますと、過疎関係市町村数が全国の半数を超えることとなります。

 過疎地域の要件は、昨年議員立法により制定いただいた過疎法において定められているものですが、日本全体の人口が減少する中、地域によっては、中長期的な人口減少率が拡大し、また、高齢化比率が上昇する一方、若年者比率が低下する状況となっております。こうしたことを反映し、過疎関係市町村数が増加したものと考えております。

 厳しい状況にある過疎地域に対しまして、総務省としては、過疎法に基づく各種の支援措置を十分に活用して、各自治体において地域の課題解決に取り組んでいただけるよう、関係省庁と連携をし、支援してまいります。

吉川(元)委員 様々な対策、そのうちの一つが過疎債、過疎対策事業債だというふうに思いますが、この発行額、推移を総務省、作っていただいておりますけれども、ここ二十年程度の間で、二〇一二年の二千四十五億円を底にして、以来、過疎債の発行額はずっと右肩上がりで増え続けております。来年度五千二百億円が予定されておりまして、十年間で約二・五倍、そういう発行額の増加になっております。

 この十年間を振り返りますと、そのうち、二〇一五年から一九年までの地方創生五か年計画の期間が含まれております。過疎地域や過疎債の発行額だけを指標にするというわけではありませんけれども、人口減少等、都市部、とりわけ東京への一極集中是正も含め、政府が進めた地方創生、率直に言って、成果が余り上がっていないのではないかというふうに考えます。

 大臣は、この点、どのように評価をされておられるでしょうか。率直なところをお聞かせください。

金子(恭)国務大臣 お答えいたします。

 政府といたしましては、まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づきまして、関係人口の創出や地域のデジタル化等、様々な地方創生の取組を進めてまいりました。

 総務省としても、人の流れの創出や自立分散型地域経済の構築、過疎地域の支援等に総力を挙げて取り組んできております。

 これらの取組は一定の成果を上げてきたと考えておりますが、災害リスクや地方の担い手不足などの点から、過度な東京一極集中の是正は引き続き課題でありますし、また、過疎地域を始めとして、人口減少や少子高齢化、働く場や交通への不安など、依然として様々な課題を抱えているのも事実でございます。

 これらの課題の解決を図り、地方創生を更に推進していくため、岸田内閣では、最重要施策の一つでありますデジタル田園都市国家構想に取り組んでいるところでございます。

 私も、かねてから、地方の繁栄なくして国の繁栄なしと考えておりまして、デジタル田園都市国家構想の実現に向けて、また、活力ある地域づくりの実現に向けまして、関係省庁と連携しながら、総務省一丸となって全力で取り組んでまいります。

吉川(元)委員 今、大臣、デジタル田園都市構想にも触れられました。

 ちょっとこの点についてお尋ねしたいんですけれども、総理、就任以来、新しい資本主義というものを掲げて、その主役は地方である、こうしたことは施政方針演説でも述べていらっしゃいました。デジタル田園都市構想を推進し、地方から全国へボトムアップの成長を実現する、こういうふうにも言われております。

 先ほど大臣、答弁の中で、地方創生の中でデジタル化を進めながらやってきたんだというふうに話をされました。結果的に言うと、成果があったとおっしゃるのは、まああったんだろうというふうには思いますけれども、ただ、客観的に見ますと、先ほど言ったとおり、過疎地域に指定された自治体は、基礎自治体の半分以上がもうその対象になっている。あるいは、過疎債を見ても二・五倍に増えてきている。

 こういう客観的な事実があるわけで、ちょっとお聞きしたいのは、このデジタル田園都市構想というのは、これまで政府が進めてきた地方創生の延長線上にあるというふうに理解していいのか、それとも、ちょっと違うんですよ、観点を変えてやっていくんですよということなのか、そこら辺はどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 若干答弁は重なりますが、これまで地方創生に取り組む中で一定の成果を上げていると認識をしておりますが、先生御指摘のとおり、人口減少や高齢化など、地方が抱える様々な課題は依然として残っており、結果として東京圏への転入超過が続いているのは事実でございます。

 先生御質問のデジタル田園都市国家構想につきましては、これまでの地方創生の成果を踏まえつつ、デジタル技術を活用してこれまでの取組を一層高度化、加速化させることにより、地域の個性を生かしながら地方を活性化し、持続可能な経済社会を目指す、こういうものでございます。

 構想の実現に向け、デジタル田園都市国家構想推進交付金の創設や従来の地方創生関係交付金のデジタルシフトなど、新たな取組も始めることとしておりまして、これらの取組を通じて地方から全国へとボトムアップの成長につなげてまいります。

吉川(元)委員 ちょっと聞いていても、違うのか、一緒なのか、答弁を聞いていると延長線上にあるようにも聞こえますし、ただ、私が言いたいのは、この間の地方創生の中で、じゃ、地方の、さっき言った過疎でありますとか人口減少、人口流出、こうした事態に歯止めがかかっていない現状、これはもう大臣を含めてお認めになられるところだというふうに思います。

 そこで出てきた新しい構想というのがこれまでやってきたものの延長であるならば、方向性が同じであれば、結局、なかなか今の状況を変え得るだけの、量が不足しているということなのか、それとも質的な転換が必要なのか。私は、そこら辺はきちんと総括を地方創生に関してされてから進んだ方がよいのではないかというふうに思います。

 ただ単に、今ちょっと答弁を聞いていて、デジタルの方の新しい交付金なり補助金なりをつけますよというだけでは、今の地域、地方が抱える課題に的確に果たして対応できるのか、そこら辺も疑問に思わざるを得ませんし、もちろん、いわゆるデジタルデバイドと言われる都市と地方の格差、これを解消していくことについても、これは私も賛成でありますが、それで、果たして、じゃ、全ての問題解決につながるのか。全部とは言わないまでも、今の抱えている地方の課題を全て解決できるとは私にはなかなか思えないというふうにも思います。

 是非、ここは、この数年続いてきた地方創生ということについて、何が不足をしていたのか、どこが、まあ、私が聞いている限りだと、どうも実際のニーズとずれているようなところもあるのではないかというふうに思いますので、きちんとここの点については総括をしながら次に進んでいただければというふうに思います。

 次に、来年の一般財源総額、今年度とほぼ同じ規模、六十二兆円、いわゆる一般財源総額実質同水準ルール、これが機能したということになるんだろうと思います。これについては、私も以前から、この総務委員会でも質問もさせていただきましたし、金額が同じだけじゃ駄目だよ、いわゆる、提供されるサービス、その質が同じものでなければいけないというようなことも言わせていただきましたが、他方で、少し気になるのは、財源不足が生じた際には、このルールというのは一般財源総額を確保する財源保障の役割を果たしますけれども、一方で、来年度のように財源不足が縮小していくと、逆に、足かせ、歳出抑制のブレーキを演じるのではないかという点も危惧をしております。

 近年の社会保障の伸びを見ておりますと、地方財政計画上も、一般行政経費、とりわけその社会保障費の補助事業分が大きな割合を占めるようになって、地方が独自の単独事業を執行する余地、これが大変狭くなっております。また、一般行政経費の補助事業分の伸びを保障するために、投資的経費やあるいは給与関係経費が減らされてきたことは周知のとおりであります。

 高齢化によって今後も社会保障費の補助事業分が伸び続けるというのは、これはもう想像に難くないというふうに思いますが、それに合わせる形で投資的経費と給与関係経費を減らす、これはもう限界に来ていますし、そういう意味では、先ほどの地方創生とも関わるんですけれども、やはり、地方がいろいろな自分たちの地域のニーズに合った形で行政サービスを提供していく上でも、この投資的経費等々についてはしっかり確保されていかなければいけないというふうに思います。

 給与関係経費についても、見ますと、来年度が前年プラス五千四百二十六人ということで、前年比プラスでいいますと、二〇一七年から六年連続で増えているという状況です、計画上は。

 今回の新型コロナもそうですし、それから、災害対応なんかを見ていても、人の数を減らすのはもう限界だし、結果的に言えば、コロナを見ておりますと、十分に対応できないところも一部出てきているというのも明らかだろうというふうに思います。

 この実質同水準ルール、前年並みの一般財源総額を確保すること、これは最低限必要な、これを下回るようなことがあっては絶対ならないと思うんですけれども、そろそろこの実質同水準ルール、これを超えて、一般財源の規模や質を充実させる必要があるというふうに考えますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 基本方針二〇二一において、地方の一般財源総額につきましては、令和四年度から六年度までの三年間、令和三年度地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保することとされております。

 これは、地方の歳出水準について、国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、社会保障関係費や公債費の動向などの増減要素を総合的に考慮し、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額を確保していくという趣旨でございます。

 令和四年度の地方財政計画では、その歳出において、地域社会のデジタル化などに対応するために必要な経費を計上するとともに、社会保障関係費の増加を適切に反映した上で、一般財源総額につきまして、交付団体ベースで、令和三年度を上回る六十二兆円を確保いたしました。

 その中で、地方交付税総額につきましては、令和三年度を〇・六兆円上回る十八・一兆円を確保しつつ、臨時財政対策債について、発行額を令和三年度から三・七兆円抑制をし、残高を二・一兆円縮減することとしております。

 今後も、基本方針二〇二一に沿って必要な一般財源総額を確保するとともに、地方交付税総額をしっかりと確保し、臨時財政対策債を抑制できるよう努めてまいります。

吉川(元)委員 必要最低限を守るということは当然なんですけれども、やはり地方が創意工夫できる、そういう財政的な担保をしっかりと確保していただきたいというふうに思います。

 時間が余りないので、少し質問の順番を変えまして、給与関係経費について少しお伺いしたいと思います。

 来年度の地財計画上の職員数、一般職員で今年度から、先ほども述べたとおり、五千四百二十六人増えるというふうになっておりますが、他方、退職手当を除く給与費は、今年度から千五百二十四億円減少すると。人は増えるけれども給与費は減る、こういう状況になっております。

 恐らくこれは、この後、内閣委員会等々で議論される給与法との関係なのかなというふうには思いますけれども、職員数の増による給与費の増加額と、昨年のマイナスの人勧と、それからそれを夏のボーナスに組み入れた給与費の減少分、それぞれどの程度なんでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度地方財政計画におけます給与関係経費の総額は十九兆九千六百四十四億円でありまして、令和三年度に比べ、一千八百九十六億円減少しているところでございます。

 これは、令和三年度に対しまして、職員数五千百六十人の増により百七十九億円増加し、また、共済組合負担金の改定により六百九億円増加する、その一方、期末手当の引下げなど、給与改定によりまして二千七百九億円減少することなどによるものでございます。

吉川(元)委員 それに関連して、もう一点、直接地財計画とは関係ないんですが、お聞きしたいことがあります。

 先ほども述べたとおり、これから国家公務員の給与法の改正が行われるということになろうかと思いますが、本来であれば、秋の臨時国会の中で、通常であれば、この給与法改正が行われるはずでしたが、今回は年を越して、恐らく、成立するのは三月の年度内も難しいのではないかという話も聞いております。

 例年、人事院勧告が閣議決定される際に、地方公務員の給与改定について、副大臣通知が発出をされております。昨年の十一月二十四日にこれも出ておりまして、私も読ませていただきましたが、例年とちょっと違うところがあります。これは各自治体に発出するものですけれども、通常、例年であれば、自治体職員の給与改定に当たって、均衡の原則及び情勢適応の原則にのっとり、国における給与法の改正の措置を待って行うべきとする文言が例年入っております。

 ところが、昨年十一月に発出された副大臣通知では、国における給与法の改正を待ってという文言はなく、「地域の実情を踏まえつつ、国家公務員の取扱いを基本として対応すること。」こういう表現に変わっております。この点、なぜでしょうか。

田畑副大臣 お答え申し上げます。

 地方公務員の給与は、地方公務員法に規定する均衡の原則にのっとり決定されるものであり、国家公務員給与も考慮事項の一つとされてございます。

 国家公務員の給与改定は、国会における審議を経て、法改正により、その取扱いが定まるものでございます。今、吉川委員のおっしゃるとおりでございますが。

 このため、総務省といたしまして、地方公共団体における給与改定の実施について、地方公務員法の趣旨に沿うよう、国における給与法の改定の措置を待って行うところを基本としているところでございます。

 その一方で、今年度の給与改定につきましては、期末手当の調整時期や給与法の改定の審議日程が例年とは異なる状況であったことから、今回の副大臣通知におきまして、国における給与法の改定の措置を待って行うべきとの文言を記載しなかったものでございます。

吉川(元)委員 つまり、今回は秋の臨時国会で給与法ができない、大幅に法改正が遅れるということもあるので、国を待たず、各自治体で、県や政令市なんかは人事委員会を持っておりますから、その勧告と、それからいわゆる人勧、中央の人勧、こうしたものも見ながらやってもらって結構ですよ、そういう理解でよろしいんでしょうか。

田畑副大臣 先ほど答弁もさせていただきましたが、今年はちょっと例年と異なるということで、こういう判断で通知を出させていただいたということでございます。

吉川(元)委員 いやいや、私が聞いたのは、今回は給与法改正が遅れるから、だから、それを待ってやっていたら遅くなっちゃうので、地方の自治体の皆さん、それぞれ国の方を見ながら判断してもらって結構です、つまり待たなくてもよいということだという理解でよろしいですね。

山越政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員の給与改定に関する方針が閣議決定されました十一月二十四日に、総務省としては、地方公務員の給与改定については、期末手当の調整時期については地域の実情を踏まえつつ、国家公務員の取扱いを基本として対応することを要請したところでございます。

 また、先ほど副大臣から御答弁申し上げましたとおり、地方公務員の給与は、地方公務員法により、国家公務員の給与を考慮した上で定めるということがされておりますので、各自治体において職員の給与の改正を適正に行うためには、国家公務員の給与に関する国会の議論にも留意することが望ましいということを基本としていることはこれまでと同様でございます。

吉川(元)委員 いや、だから、去年と今年で、去年というか、今年度と昨年度の通知の文言が違うわけですよ。いつもなら、待て、国公の給与法が決まるまで待てよという文言があるんだけれども、今年はそれがないということは、国公の方を待ちなさいということについては、それは意味があって触れていないわけですから、私が今言ったような、非常に粗っぽい言い方にはなっていますけれども、そういう理解でいいんですよね。違うんですか。やはり待てということなんですか。

 これは非常に重要なんですよ。なぜかというと、去年の秋、各自治体はどう対応していいのか大変困ったわけです。先に、年末、十二月のボーナスをもう目の前にして、基準日を目の前にして、やるべきなのかやらないべきなのか、よく分からないんですよ。非常に混乱をしてしまったということもありましたので、この点は私の理解でいいんですよね。端的に答えてください。

山越政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、総務省としては、地方公共団体における給与改定については、国における給与法の改正の措置を待って行うことを基本としているところでございます。

 ただ、今年度につきましては、期末手当の調整時期や給与法の改正の審議の日程が例年とは異なる状況にありますことから、各団体におきまして条例改正を給与法の改正前に行わざるを得なくなったとしてもやむを得ないものと考えております。

吉川(元)委員 最初からそうやって答弁していただくと早く終わるんですけれどもね。

 じゃ、そうしたら、もう一点伺います。

 ここ十年程度、この数年の間に秋の臨時国会で給与法が改定されなかったことは今年度以外にもありますね。それはいつですか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年でございます。

吉川(元)委員 平成二十七年、二〇一五年です。通常国会は九月末まで行われて、結果的に秋の臨時国会は行われませんでした。結果的に給与法は越年をいたしました。その際に、同じように副大臣通知が出されております。このときの改定の中身は月例給の引上げと一時金の引上げです。ところが、まあ、今回と同じパターンですよね、状況的には。法改正はできていない。

 そのときに、副大臣通知ではこういうふうに書いてあります。二〇一五年、平成二十七年の通知ですね。今回と同じ状況の中で、「地方公共団体における職員の給与改定の実施は、国における給与法の改正の措置を待って行うべきものであり、国に先行して行うことのないようにすること。」こういうふうに書いてあるわけです。

 同じ状況で、今回はこの文言がない。だけれども、二〇一五年の引上げの際にはこういう文言があった。明らかにこれは御都合主義じゃないですか。ダブルスタンダードじゃないですか。この点、どうですか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年の十二月に発出いたしました副大臣通知におきましては、御指摘のとおり、「給与法の改正の措置を待って行うべきものであり、」という通知を出させていただいております。

 このときは、引上げのタイミングでもございまして、速やかな対応は求められるが、後から追加支給するということも可能であるという状況でございまして、この給与法の改正の措置を待っていただくということを助言したものでございます。

吉川(元)委員 時間が来ましたので終わりますが、私自身、聞いていて、御都合主義なんじゃないかなというふうに思わざるを得ません。この点については、しっかりまた大臣と議論をさせていただきたいと思います。

 以上で終わります。

赤羽委員長 次に、おおつき紅葉さん。

おおつき委員 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉です。

 本日は、質疑の機会をいただくことになりまして改めて感謝申し上げるとともに、引き続き、コロナ感染拡大にお見舞いと、前線で対策に当たる全ての関係者に敬意と感謝を申し上げます。

 さて、法案質疑に先立ちまして、私の地元北海道では今季これまで経験したことのない大雪に見舞われておりまして、要望等々、少しお伺いしたいと思います。

 日本では、地理的、地形的国土条件により日本海側を中心として毎年大量の降雪、積雪があり、雪下ろしなど除雪作業中の事故や雪崩災害により多くの人的、物的被害が発生しているほか、特に近年は、高齢化と過疎化に伴い、雪下ろし等の担い手の確保や空き家の除雪なども課題となっています。また、冬の北海道では、農業分野において施設園芸の産地化が進む中、農業施設の除雪という負担に直面し、ハウス、骨組みの破損、倒壊といった被害もあります。

 そこで、今季の全国的な大雪に際して、先週十日、国交省は、地方公共団体における除雪費用の更なる追加支援の必要性を検討するため、聞き取りを開始されました。

 また、私たち立憲民主党は、豪雪地帯対策特別措置法の改正案を今国会に提出しました。この法案においては、こうした課題に対処できるよう、国の財政上の措置の義務化や、地域における除雪や排雪の円滑な実施のための交付金の創設等の措置を講じることとしております。

 そのことを踏まえた上で、大雪対策は関係省庁が機動的に連携し、更なる緊急的な追加支援が必要と考えますが、総務省における地方自治体向けの除雪支援措置、そして、農水省においては、農業施設等への除雪支援及び被害を被った場合の復旧施策についてお伺いします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年末から北日本や日本海側を中心に大雪となっておりまして、降雪量の多かった地方団体においては、多額の除排雪経費が生じているものと承知しているところでございます。

 地方団体の除排雪経費につきましては、普通交付税の算定において標準的な所要額を措置し、実際の所要額がその措置額を超える場合には、特別交付税により更に対応することとしております。

 現在、地方団体の状況を丁寧に伺いながら、特別交付税の三月交付に向けて算定作業を進めているところでございまして、地方団体の財政運営に支障が生じないよう、しっかりした対応をしてまいる所存でございます。

前島政府参考人 お答えいたします。

 大雪などによる被害を受けた農業用ハウスなどの復旧につきましては、農業共済及び長期低利融資で対応することを基本としております。

 過去に例のないような甚大な気象災害が発生した場合には、他の支援策についても検討することとなりますが、昨年十二月からの大雪などによる被害につきましては、現時点では平年並みにとどまっているところでございます。

 今後、まだ大雪の可能性もございます。引き続き、被害状況の把握に努めるとともに、農業者の方々に対して警戒を呼びかけてまいります。

おおつき委員 ありがとうございます。

 雪が解けてからじゃないと分からないような被害もありますので、是非、十分な支援措置をお願いしたいと思います。

 それでは、まず、地方交付税法改正案に関連して、地方がにぎわいを取り戻すために地域が取り組んでいる人口問題対策に大きく影響を及ぼす、令和四年度の地方財政対策についてお伺いしたいと思います。

 さて、地方六団体は、今回の令和四年度地方財政対策に先立ちまして、主に、一般財源総額の確保、地方交付税総額の確保、そして、臨時財政対策債の発行抑制の三点を要望されておりました。

 これに対しまして、今回の地方財政対策では、一般財源総額については、交付団体ベースで前年度と同水準の六十二兆円が確保されました。また、地方交付税は、〇・六兆円増の十八・一兆円が確保され、交付税総額が十八兆円を超えたのは十九年ぶりでした。さらに、赤字地方債である臨時財政対策債の発行額は、三・七兆円減って一・八兆円に抑制され、発行額一・八兆円という水準は、創設時である平成十三年度に次いで二番目に少ないものです。

 よって、この度の地方交付税総額の確保、そして臨時財政対策債の発行抑制につきましては、恐らく、地方が期待していた以上の結果になったのだろうと思っております。

 そこで、なぜ、今回、交付税総額の増額、そして臨時財政対策債の大幅抑制が可能となったのでしょうか。その要因につきまして、総務省にお伺いします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度の地方財政計画では、その歳出におきまして、地域社会のデジタル化や公共施設の脱炭素化の取組の推進、消防防災力の一層の強化に対応するために必要な経費を計上いたしますとともに、自治体が行政サービスを安定的に提供できますよう、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行いました。その上で、一般財源総額につきまして、交付団体ベースで前年度を上回る六十二兆円を確保したところでございます。

 その中でも、地方税や地方交付税法定率分が増加したこと、令和三年度からの繰越金があったことなどによりまして、折半対象財源不足が解消され、委員からも御指摘ございましたけれども、地方交付税総額につきまして、令和三年度を〇・六兆円上回る十八・一兆円を確保しつつ、臨時財政対策債につきましては、発行額を令和三年度から三・七兆円抑制することが可能となった、かように認識しております。

おおつき委員 ありがとうございます。

 そのような大きな要因があったとは思うんですが、現在、オミクロン株の急拡大によりまして、地域経済は更に厳しい状況になっていると認識しております。このため、令和四年度の地方税制、国税五税の法定率分がいずれも過去最高額だと言われましても、何だかぴんとこないといいますか、国民の実感と合わないなというのが正直な感想です。

 そこで、総務省は、コロナ禍における地方財政の現状について、どのようにお考えでしょうか。また、地方財政がコロナ禍により打撃を受けている一方で、令和四年度の地方税収、国税五税の法定率分がいずれも過去最高額となったことについて、どのように認識しているのでしょうか。

田畑副大臣 お答え申し上げます。

 現下の地方財政は、新型コロナウイルス感染症への対応が求められているほか、地方の借入金残高が約二百兆円規模となっており、依然として厳しい状況にあるというふうに認識をしてございます。

 地方税収、国税の法定率分が過去最高額になったことにつきましては、足下の令和三年度の税収実績が堅調であることや企業の業績見通しが改善していること、給与や企業の生産活動の伸び、消費の回復が見込まれていることなどによるものというふうには認識をしているところでございます。

おおつき委員 ありがとうございます。

 さて、令和四年度の国税、地方税の税収見積りにつきましては、昨年十二月時点で判明している令和三年度の税収の動向、令和四年度の政府経済見通しで示された指標などを踏まえて行われたものと承知しております。

 しかし、新聞報道、令和三年十二月二十三日付の日経新聞によりますと、令和四年度の政府経済見通しについては、実質GDP、個人消費、住宅投資、設備投資などの主要指標で、民間十八社の予測の平均よりも高くなっております。また、今年一月以降のオミクロン株の急拡大による地域経済への影響は、今回の税収見積りには反映されておりません。

 これらのことを踏まえますと、令和四年度の地方財政計画の前提となっている国税、地方税の税収見積りは本当に適切なのかと不安になるわけです。

 さらに、令和四年度の交付税の法定率分は、令和三年度から二・六兆円も増加するとのことですが、増加分の約七〇%は景気変動の影響を受けやすい法人関係税となっております。このため、オミクロン株による影響が長引けば、国税収入が当初の見込みよりも大きく減少する可能性があると思います。

 そこで、金子大臣にお伺いしますが、国税収入が当初見込みよりも大きく減少する可能性はあるのでしょうか。また、その場合、地方財政にどのような影響が及ぶのでしょうか。お願いします。

金子(恭)国務大臣 おおつき委員にお答え申し上げます。

 令和四年度の国税収入については、見積り時点で把握可能なデータ等に基づき、適切に見込まれているものと承知をしております。

 近年、地方交付税の原資である国税五税が減額補正となった場合には、地方交付税の法定率分の減少について、一般会計からその全額を加算した上で、当初予算における財源不足の補填ルールに基づき、後年度に精算を行っております。

 仮に、令和四年度にそのような事態が生じた場合には、財政当局とも協議の上、自治体の財政運営に支障が生じないよう、適切な補填措置を講じてまいります。

おおつき委員 ありがとうございます。

 予算編成時に税収を完全に見通すことは不可能だとは思いますが、去年三月、この委員会の決議では、「地方交付税の原資となる税収の見積りに当たっては、特に減額による混乱を回避するため、正確を期すよう、万全の努力を払うこと。」とされております。是非、地方財政に影響が出ないよう、税収の見積りに当たっては、今後とも最善を尽くしていただきたいと思います。

 続きまして、地方財政に関わる財源不足の補填方法についてお伺いします。

 地方財政につきましては、昭和五十一年以降、約半世紀にわたっていつも財源不足が生じております。このため、その財源不足をどのように補填するかが長年課題となっているわけですが、平成十三年度以降の財源不足については、折半ルールによって補填することとなっています。

 まず、この折半ルールとは具体的にどのようなものなんでしょうか。説明をお願いいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、平成十三年度から基本的にこの折半ルールでやっておりますけれども、直近の部分では令和二年度から令和四年度間が定められているところでございまして、この令和二年度から令和四年度までの間、財源不足が建設地方債の増発等によってもなお残る場合には、この残余分を折半対象財源不足といたしまして、当該額を国と地方が折半して補填する、これがいわゆる折半ルールでありまして、これを適用しているところでございます。

 この折半ルールにつきましては、令和二年度の地方財政対策において、地方交付税法第六条の三第二項に基づく制度改正として、令和二年度から令和四年度までの間に適用する特例措置として定めたものでございまして、折半対象財源不足が生じる場合には、国負担分につきましては国の一般会計からの加算、これを臨時財政対策特例加算と称しておりますけれども、これによりまして、また、地方負担分につきましては臨時財政対策債により補填措置を講ずる、このようにしているものでございます。

おおつき委員 ありがとうございます。

 さて、総務省の地方財政審議会は、財源不足について、地方財政若しくは地方行政に関わる制度の改正又は法定率の変更により、その全額について国が対処することが望ましいが、国の財政状況を踏まえ、いわば次善の策として、国と地方の折半により対処してきているとしています。

 そこで、本来であれば、財源不足の全額について、地方財政若しくは地方行政に関わる制度の改正又は法定率の変更によって国が対処することが望ましいという指摘だと考えますが、この点について、総務省も同じ考えでしょうか。

鳩山大臣政務官 御質問にお答えをさせていただきます。

 地方財政は、令和四年度においても二・六兆円の財源不足が生じており、地方財政の健全な運営のため、地方財政審議会の意見では、「地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正又は法定率の変更により、その全額について国が対処することが望ましいが、国の財政状況を踏まえ、いわば次善の策として、国と地方の折半により対処してきている。」と言及した上で、「地方交付税の法定率の見直し等により地方交付税総額を安定的に確保し、臨時財政対策債の発行額をできる限り抑制するべきである。」としているところであり、こうしたことが望ましいと考えております。

 交付税率の引上げについては、現在、国、地方とも厳しい財政状況にあるため容易ではありませんが、今後も交付税率の見直し等により地方交付税の総額を安定的に確保できるよう、粘り強く主張し、政府部内で十分に議論してまいります。

おおつき委員 そもそも、地方交付税法に基づけば、本来、法定率の引上げなどによって国が財源不足の全額を補填すべきということになると思います。しかし、実際には国と地方の折半により対処してきたということです。

 では、なぜ国と地方の折半なのでしょうか。財源不足が生じる原因は、地方財政計画の歳出が歳入よりも多いためだと思いますが、総務省の地方財政計画の歳出の分析という資料によれば、地方財政計画の歳出の大部分は、国の法令や制度等に基づく経費であるとされています。そうであれば、財源不足については、地方にたくさんの事務をしてもらっている国の責任が大きいのではないでしょうか。それなのに、なぜ国と地方が半分ずつ負担することになったのでしょう。その経緯と理由について説明をお願いいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方の財源不足の補填方法につきましては、様々な変遷を経て、現在の国と地方が折半して補填する方法となっておりますが、国と地方の財政状況が厳しくなりました昭和五十年代以降、国と地方が財源不足を二分の一ずつ補填することを基本としてきたところでございます。

 これは、国と地方の厳しい財政状況を踏まえますと、地方税を徴収し地域の行政サービスを提供する地方財政の運営主体であります地方と、法令等により多くの行政分野で地方に支出を義務づけている国、この両者が地方の財源不足の補填について責任を持つ必要があること、そして、国と地方を合わせた租税総額のうち、地方税、地方譲与税及び地方交付税法定率分として配分されるものがおおむね二分の一になっていること、こうしたこと等を踏まえたものでございます。

おおつき委員 ありがとうございます。

 財源不足については国と地方の両者が責任を持つということで、国と地方が折半して補填するということだと思いますが、やはり国の責任の方が大きいと思います。

 令和四年度でこの折半ルールの期限が終了しますが、その後の財源不足の補填方法につきましては、折半ルールをただ延長するのではなく、法定率の引上げも含めてしっかりと基本的なところから検討してほしいと思いますが、金子大臣の見解をお願いいたします。

金子(恭)国務大臣 おおつき委員御指摘のとおり、地方の財源不足については国と地方が折半して補填する現行の折半ルールにつきましては、令和四年度までの特例措置となっております。

 なお、令和四年度におきましては、地方税の増収などにより財源不足は大幅に縮小し、折半対象財源不足は解消しているところでございます。

 令和五年度以降に財源不足が生じた場合の補填方法につきましては、これまでの取扱いを踏まえつつ、自治体が地域に必要な行政サービスを確実に提供しながら安定的な財政運営を行えるよう、令和五年度地方財政対策において適切に検討してまいります。

 その際には、地方交付税総額確保の観点から、交付税率の見直しなどの議論も行ってまいります。

おおつき委員 ありがとうございます。

 是非、地方がにぎわいを取り戻すためにも、最善の策をよろしくお願いいたします。

 続きまして、いわゆる特会直入論についてお伺いします。

 今回の地方財政対策のように、交付税の法定率分が増加し財源不足が縮小していきますと、国の財政の方が地方の財政よりも厳しいなどとして、交付税の法定率を引き下げるべきという主張がなされることがあります。しかし、交付税は国が地方に代わって徴収する地方税であり、地方固有の財源であります。国が一方的に法定率を引き下げるということはあってはなりません。

 そうであるにもかかわらず、交付税の法定率を引き下げるべきという主張がなされるのは、交付税対象税目のうち、所得税、法人税、酒税、消費税の四つの国税の法定率分につきましては、一旦国の一般会計に入ってから、地方交付税交付金という名称で交付税特別会計に繰り入れられるという仕組みになっているからだと思います。

 この点につきまして、地方財政審議会は昨年十二月の意見において、「地方の固有財源としての性格をより明確にするため、国税四税の法定率分を、地方法人税と同様に、国の一般会計を通さず、交付税特別会計に直接繰り入れることとすべきである。」と提言しています。このいわゆる特会直入論につきまして、地方財政審議会は毎年、意見の中で同様の提言を続けております。

 国会の会議録を確認しますと、総務省も国税四税の交付税特別会計への直入について望ましいとの立場ですが、交付税を一般会計から除くと、国の一般会計において主要税目の状況を一覧性のある形で示せなくなるという意見もあるとして、今後の検討課題の一つとしています。

 そこで、総務省にお伺いします。

 交付税を一般会計から除くと、国の一般会計において主要税目の状況を一覧性のある形で示せなくなるという課題について、地方分権改革推進委員会の第四次勧告にあるように、国の主要税目の状況に関して国民から見た一覧性を確保する工夫や、交付税特別会計の収支内容について国民に分かりやすく説明するという措置を講ずればクリアできそうなものですが、なぜ国税四税の特会直入は実現していないのでしょうか。ほかにも何か課題があるのでしょうか。お答え願います。

前田政府参考人 もとより、私どもも、これまでの地方財政審議会意見等については承知しているところでございます。

 地方交付税は、形式的には国税として国が代わって徴収した上で地方団体に配分するものでございまして、国税の一定割合が地方団体に法律上当然帰属するという意味におきまして、地方の固有財源として位置づけられるものでございます。

 このような地方交付税の地方の固有財源としての性格をより明確にする見地から、国税の法定率分につきまして交付税特別会計へ直接繰り入れることが望ましいものと考えているところでございます。

 ただ、その一方、この国税の法定率分につきまして交付税特別会計へ直接繰り入れることとした場合、委員からも御指摘ございましたが、国の一般会計において主要税目の状況を一覧性のある姿で示せなくなるといった意見のほか、国の一般会計の歳出総額の一五%程度のシェアを占めます地方交付税が一般会計から除かれることで、一般会計の規模が国の財政の実態を反映しないこととなるといった意見もございまして、残念ながら、財政当局と合意を見るには至っていないところでございます。

 そのような中で、平成二十六年度の地方税制改正におきまして法人住民税の一部を国税化することにより創設されました地方法人税につきましては、地方の固有財源である地方税について、形を変えて、同じく地方の固有財源である地方交付税で確保しようとするものであることを明確にすることが適当である、交付税原資化の対象が地方法人税収の全額であることなどから、財務省と協議の上、交付税特別会計に直接繰り入れることとしたところでございます。

 他の税目の交付税特別会計への直接繰入れにつきましては、今後とも、検討課題の一つといたしまして、財務省と議論を重ねてまいりたいと考えております。

おおつき委員 まさにその交付税が地方の固有財源であることを明確にするためにも、地方財政審議会などで特会直入論の実現に向けてしっかりと検討してほしいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 それでは次に、地方税法等の一部改正案について、前回の大臣所信質疑で申し上げました、これからの世代が将来直面する日本の二〇五〇年問題の一つである地球温暖化と環境問題の側面からまず伺いたいと思います。

 政府の気候変動対策としての方向性を踏まえ、令和四年度の国税の改正案では、所得税における住宅ローン控除について、カーボンニュートラル実現の観点から、省エネ性能の高さに応じて税制上の優遇に差を設けることとしています。さらに、令和六年以降は、一定の省エネ性能を満たさない新築住宅を取得した場合には住宅ローン控除の対象外とする内容も盛り込まれております。

 その一方で、令和四年度の地方税法改正案では、一般の新築住宅に関わる固定資産税の減額特例について、適用期限を二年間延長することとしています。

 この特例は、住宅ストックが不足していた高度成長期、今から約六十年前に、住宅建設の促進を目的に法制化されたものです。しかし、現在は、人口減少や、住宅も十分供給されており、特例創設当時と時代背景が異なっていることから、地方財政審議会は、昨年十一月に総務大臣に提出した地方財政審議会意見の中で、住宅政策の観点から、税制上支援すべき住宅への重点化等を検討すべきだと指摘しています。

 また、東京都の税制調査会も、この特例は、制度創設から六十九年が経過し、当初の目的は達成したと考えられることから、対象を環境性能が優れた住宅に重点化していくべきだと指摘しています。

 そこで、カーボンニュートラルの実現に向けた観点からいえば、一般の新築住宅に関わる固定資産税の減額特例についても、国税の住宅ローン控除の見直しと同様に、省エネ性能の高さに応じて税制上の優遇に差を設けるほか、一定の省エネ性能を満たさない新築住宅は対象外とするなど、特例措置の見直しを行う必要があると考えますが、政府の見解をお聞かせください。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 新築住宅に係ります固定資産税の減額措置は、住宅取得者の初期負担の軽減を通じまして、耐震性能などが確保されました住宅の建設を広く促進しようとするものでございます。

 このうち、一定水準以上の省エネ性能などが確保されました認定長期優良住宅につきましては、現行税制におきましても、その建設をより促進するために、減額措置に係ります上乗せが行われているところでございます。

 省エネにつきましては、本年秋から、長期優良住宅の認定の際に求めます省エネ性能の基準、これを引き上げる予定でございます。これに伴いまして、御指摘の税制が持っております省エネ性能の高い住宅への誘導機能、これがより高まるものというふうに考えてございます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けましては、こうした税制上の措置だけでなく、省エネ基準への適合を全面的に義務化する規制の見直しや各種の予算措置などを総合的に組み合わせることによりまして、住宅の省エネ性能等の向上に取り組んでまいりたいと考えてございます。

おおつき委員 ありがとうございます。

 これからの世代のためにも、是非、最善の策をよろしくお願いいたします。

 時間が来ましたので、こちらで終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、奥野総一郎さん。

奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。

 今日は税法メインでありますけれども、お忙しい中、前田会長にお見えいただいていますので、先にNHKのお話をさせていただいて、終わったら御退室いただきたいと思います。

 まず、このタイミングでなぜこの問題を取り上げたかと申しますと、BS1の字幕問題ですね、BS1スペシャルの報道に関する調査報告書が、ちょうど直近の十日にこういう形で出ております。やはりこれはきちんとNHKの側から国会の場で御説明を改めていただきたいと思って、今日は会長に来ていただいております。

 まず、本件調査結果について、前田会長の受け止め、それから、処分をなされたわけでありますが、処分の根拠は恐らく、NHKガイドライン上問題だと書かれていますが、どこがどう問題なのかということも含めて御答弁いただきたいと思います。

前田参考人 お答え申し上げます。

 昨年末に放送いたしましたBS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」で、誤った字幕をつけた放送がございました。この問題で、NHKでは、松坂専務理事を責任者として、放送現場から独立した調査チームを設置し、関係者十一人から、延べおよそ三十回にわたるヒアリングを実施いたしました。

 その結果、担当のディレクターが、たった一度の取材時点での曖昧な情報を基に、裏づけ取材も行わないままに番組の制作が進み、上司によるチェックも十分行われず、誤った内容の字幕が放送されたことが明らかになりました。さらに、既に導入されております事実確認のためのルールも守られず、チェック機能が働かなかったことも判明いたしました。

 今回の事案につきましては、一言で言って、ずさんな対応であったと思います。誠にお粗末だと言わざるを得ません。誠に申し訳ないと思っております。

 NHKの放送ガイドラインでは、自らを律するためにこれを定めておりまして、放送現場で働く職員にとって基本となるものでございます。

 放送の基本的な姿勢の項目の冒頭には正確さを掲げ、NHKのニュースや番組は正確でなければならない、正確であるためには事実を正しく把握することが欠かせない、しかし、何が事実であるかを確かめることは容易ではなく、取材、制作のあらゆる段階で真実に迫ろうとする姿勢が求められると決めております。

 今回の番組では、担当したディレクター、チーフプロデューサー、それに、上司であります専任部長のいずれも、定められたルールを守らず、それぞれに与えられた役割と責任を十分に果たさず、放送ガイドラインから逸脱していたと判断いたしました。番組を制作いたしました大阪拠点放送局の担当者らを停職一か月などとする懲戒処分といたしました。

 誤った内容の字幕を放送したことにつきまして、番組に御協力をいただいた東京五輪公式記録映画の関係者の方々や五輪反対デモに参加した方など、番組で取り上げさせていただいた方々、そして視聴者の皆様に重ねて深くおわびをするところでございます。再発防止に向けまして、全局的に取組を進めているところでございます。

 今回の件は、BPO、放送倫理・番組向上機構の放送倫理検証委員会で審議入りすることになったと承知しております。ヒアリングなどにつきましては、委員会からの要請があれば真摯に対応してまいりたいと思います。

 改めておわびを申し上げます。

奥野(総)委員 再発がないように。以前も私がこの場で審議をしたときに、「クローズアップ現代」の問題で同じような話があったんですけれども、その教訓を踏まえてチェックシートなども導入しているにもかかわらずまたこういうことが起きてしまったということですので、改めて再発防止にしっかり取り組んでいただきたいと思うんですが。

 この報告書を見ると、ちょっと私が分からないところがあります。

 何がこれは問題かといいますと、字幕は「五輪反対デモに参加しているという男性」、「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」、こう書いてあって、プロの反対側、こういう表現が使われたようですが、お金をもらって動員されているだけじゃないか、そういう運動が行われていたんじゃないか、こういうふうに取られるような番組になっているわけですね。もちろん番組の本筋とは違うんですが、その中で、こうした誤解を与えるようなコメント、少なくとも真実かどうか分からないようなコメントが載っていたということが問題であります。

 ポイントは、一つは、もちろんデモに参加したかどうかというのもそうなんですが、お金をもらってデモに動員していたような事実があるのかどうか、オリンピックについてそういう事実があるかどうかというところが、一つ、私はポイントだと思うんですね。

 その点について、これは実は触れていないんですよ。反対のデモに参加する可能性はあるという話を聞いただけで、参加していたとやったところが問題だと言っているんですが、実はお金をもらって動員されている、ここのところ、そういうことがあったのかどうかということがきちんと検証されていません。

 この報告書の中では、カメラが回っていないところで、デモに参加することで二千円から四千円もらうことがある、五輪反対のデモに参加する可能性はあるという話を聞いたと書いてあるんですが、この二つの話、デモに参加することで二千円から五千円もらうことがあるということが五輪デモの話なのかどうなのかということがきちんと検証されていないんですよ。この二つがつなげて使われているんですね。

 これ、どうなんですか。この二千円から四千円もらうとか、あるいは、御飯代ぐらいのお金をもらっていろいろなデモに参加しているということにオリンピック反対のデモというのが含まれているんですか。この男性はデモに参加していないと言っているわけですから、少なくとも本人はもらって出ていないということなんでしょうけれども、そういうことがあった、そういう事実がある、あるいはお金をもらってオリンピックのデモに勧誘されているような事実があったんですか。そこがなぜ検証されていないんですか。

松坂参考人 お答えいたします。

 今の御指摘の点ですけれども、ディレクターは、この点については記憶が曖昧だとしながらも、男性から、カメラを回していない状況で、デモに参加することで二千円から四千円をもらうことがあるという趣旨の話を聞いたとしております。また、五輪反対デモに参加する可能性はあるという趣旨の話も聞いたとしております。

 しかし、ディレクターは、この話を聞いて、最初の話は五輪反対デモということではありませんけれども、五輪反対デモにかかわらず、デモに参加すれば男性がお金をもらうというふうに思い込んだ上、また、反対デモに行く可能性があれば字幕の内容に問題はないと誤った思い込みを持ち続けていたということであります。

 いずれにしても、一番大事な、ディレクターが、五輪反対デモに参加したかどうかということを男性に直接確認したり、デモに関する裏づけを取るための追加取材をしたりしておりません。取材、制作者としての基本姿勢から逸脱していたことは明らかであります。

 こうした誤った内容の字幕を放送して視聴者に誤解を与えてしまい、五輪反対デモに参加した方々にも不快な思いをさせてしまったことは、大変申し訳なく思っております。

奥野(総)委員 もう一度確認ですが、五輪反対デモで、お金を配って動員しているというような事実はない、少なくともこの男性のコメントの中ではそういうことはないということでいいんですよね。

松坂参考人 はい。去年の八月七日にこの男性に取材した時点で、過去に参加したデモで御飯代ぐらいのお金をもらったことがあるというような内容のことは言っているほか、デモに参加することで二千円から四千円をもらうことがあるという趣旨の話を聞いておりますが、これが五輪反対デモだということを前提に聞いた話ではございません。

奥野(総)委員 そこはやはりちゃんと打ち消しておかないと、出席したかどうか、デモに行ったかどうかだけにフォーカスされていて、五輪反対デモにお金が配られているかどうかというところはちゃんと打ち消しておいてもらわないと、そこは残ってしまうと思うんですよ。そこは一つポイントだと思うんですね。

 今、答弁ありましたけれども、これは報告書に入っていませんが、少なくともそういう事実はないということでよろしいですよね。会長、うなずいておられますけれども、そこはよろしいですよね。ということで、これは大事な点だと思います。

 それから、もう一点。ディレクターが、五輪反対デモに行く可能性があれば字幕は問題ないと思い込んでいて、チーフプロデューサーの指示に従わなかった、きちんと確認をしなかったということなんですが、これはよく分からないんですよ。なぜそうなのか。チーフプロデューサーは確認してこいと言ったのに、なぜ、直接確認しないで、立ち話の、行った可能性があるということだけでいいと思ったのか。

 これは、うがった見方をすれば、チーフプロデューサーの指示が曖昧で、そういうことも許容しているようなことがあったんじゃないかと思われますが、そういうことはないんでしょうか。どうですか。

松坂参考人 お答えいたします。

 行く可能性があれば問題ないと思ったというところなんですけれども、この点については、調査チームとして、ディレクターに対するヒアリングでも繰り返し質問しましたけれども、説明は変わりませんでした。長年私も番組取材、制作に関わってきましたけれども、行く可能性があれば行ったことになるということは、これは理解できないことであります。ただ、誤った思い込みに基づくもので意図的なものではないと考えております。

 この点について、ディレクターそれからチーフプロデューサーも、制作過程で、男性がデモに行っているかどうかについてきちっと確認するというようなことを行っておりません。これが非常に問題だったというふうに思っています。男性が五輪反対デモに参加したかどうかを男性に連絡して直接確認したりというふうなことはやっておりません。

 この点については、上司のチーフプロデューサーも含めまして、どのように事実確認が行われたのかというようなことについて、具体的に問いただしておりませんし、議論が行われておりません。非常に、制作に当たる者としてずさんな対応だったと考えているところであります。

奥野(総)委員 なぜこういうことをまた聞いているかというと、当時、オリンピックになかなか、政府が旗を振っているものに反対しにくいんじゃないか、こういう空気が、世の中あるいはNHKの中にあったんじゃないかということを心配しているんですね。

 たしか、何かスペシャル番組が取りやめになった、いろんな五輪の賛否について議論するスペシャル番組が取りやめになったというような一部報道もなされていましたし、NHKの中でオリンピック開会に反対しにくい雰囲気が何となくあって、それにこのディレクターが忖度をした、あるいはそのチーフプロデューサーも忖度をしたんじゃないか、お金をもらって動員しているんだ、そういう印象を与えるというような忖度が行われたんじゃないか。うがった見方をするとこうなってしまうんですが、そこを私は非常に心配している。

 ディレクターは少なくとも、意図的に、故意にそう思い込んで、この字幕をつけたんじゃないんですか。そこは絶対そういうことはないと言い切れますか。

松坂参考人 お答えいたします。

 調査結果を通じて、意図的又は故意にこうした字幕をつけたということはないというふうに考えております。

 東京オリンピックにつきましては、様々な意見とか受け止め方がありましたので、こうした字幕について、非常に細心の注意を払って、十分検討してつける必要があったと思うんですけれども、その点について、きちんとした制作でのチェックなどが行われていない、確認などが行われていなかったということは非常に問題だというふうに思っております。

奥野(総)委員 念のため、会長、そういった忖度とか雰囲気とかはNHKの中にはないんですよね。これは故意じゃないとはっきり言い切れますかということです。

前田参考人 お答え申し上げます。

 故意ではないと私は申し上げることはできると思います。先ほどから申し上げているとおり、これだけ、ある意味では微妙な問題ですけれども、ここに関する感度が全くない。感度が全くない人が故意に何かやるということはございませんで、要するに、余りにずさんなのを、私は、申し訳ないんですけれども、本当におわびするしかございません。

 それから、複眼的なチェックが利かなかったと。これは、私は、やはりNHKは縦割りの組織、非常に強いものですから、今、一生懸命直している最中なんですけれども、縦が強くて、やはり上下関係にあったりしますと、要するに、誰かがこうだと言ったら、それを違うんじゃないと、普通に、おかしいというのがなかなか言えない雰囲気が、特にこういうものを作るときにはございます。

 それをなくすために複眼チェックとかいうのを入れているんですけれども、その複眼チェックが利かないという、そういう意味では、ちょっと組織的な問題もございまして、ここはちょっと、私も全力で是正している最中でございますので、是非御理解いただきたいと思います。

 意図的にやるのであれば、もうちょっとちゃんと意図的にやるんだと思いますが、こんなずさんなことで何かをやり遂げようという、とても私には理解できません。

 以上です。

奥野(総)委員 これは、NHKがちゃんと公正中立な報道をしているかどうかという疑念を呼び起こすような非常に重大な事件なんですよ。それは、会長が指示しているなんてことは全く思っていないんですけれども、何となくそういう空気があって、そういうふうな作りにすれば評価されるんじゃないかというような空気があったとすれば問題だと申し上げているところでありますので、十分そこは留意いただいて、公正中立な報道にちゃんと努めていただきたいと思います。

 最後、大臣なんですが、これは放送法四条の問題もあると思うんですね。先ほどガイドライン違反だと言っていましたけれども、事実を多角的に報じなきゃいけないとか、報道は真実を伝えなきゃいけない、当たり前のことですけれども、放送法四条から見て問題はないんでしょうかね。

金子(恭)国務大臣 奥野委員御指摘の事案につきましては、公共放送であるNHKに対する国民・視聴者の信頼を損なうものとして、遺憾でございます。

 NHKにおきましては、先週十日に公表いたしました調査報告書を踏まえ、再発防止に全力で取り組んでいただきたいと考えております。

 なお、放送法は、放送事業者が自らの責任において放送番組を編集する自主自律を基本とする枠組みとなっております。したがって、御指摘の個別の番組に関わる問題について、放送法第四条第一項の規定に抵触しているか否かは、まずは放送事業者であるNHKが自ら判断すべきものと考えております。

奥野(総)委員 放送法四条にそもそも法規範性があるのかないのかという論争が昔からあって、昔は、ないんだ、努力義務だということがずっと言われてきたんですが、最近は、ここに法規範性があって、停波の対象となり得るというような答弁も行われているわけですよ。

 私も、個々の番組に立ち入るべきではないと思いますが、しかし、問題があるときは行政として、これまでもそういう運用をしてきましたから、きちんと判断いただきたいというふうに思います。

 都合のいいときだけ規範性があるというのはやめていただきたい。私は、これは結構本当にNHK自体にとって重要な問題だと思っていますので、この問題を取り上げさせていただきました。

 大分時間も使ってしまいましたので、この問題については以上で終わりたいと思います。

 会長、どうもありがとうございました。もうこの問題はこれで終わりにしますので、御退席いただきたいと思います。理事の皆さんも。

 それで、税法の問題に入っていきたいと思うんですが、実質賃金は、これは予算委員会でも取り上げていますが、一九九七年を一〇〇として、二〇一六年に八九・七まで低下しています。今や、実質賃金で見ると韓国より下回っているんですね。この間、バブルがはじけた後、アメリカも、先進国はちゃんと実質賃金が上がっているんですよ。日本だけが下がっている、こういうことになります。

 だから賃上げが必要なんですが、今回、国税も含めて賃上げ税制というものが導入され、制度を改めて、より効果が出るようにということでありましょうが、改めて導入されています。

 これまでの適用の実績、一番減税額、税額控除額が多かった年について、国税、地方税、ちょっと教えていただきたいと思います。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 国税、地方税それぞれ最も適用額が多い年度の実績でございますが、国税が、平成二十九年度において十二万九百七十七件、三千八百四十九億円と伺っております。地方税につきましては、法人事業税における措置が平成三十年度において四千六百三十八件、四百七十九億円となっております。

奥野(総)委員 大体合わせて、年が違うのかもしれませんけれども、数千億で、地方税はそんなにないということが見て取れます。

 今回で若干仕組みが改まるんですが、地方税における賃上げ税制の仕組みを簡単に御説明いただけますか。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 地方税における賃上げ税制の概要でございますが、法人事業税につきましては、外形標準課税の対象法人に対して、法人税における賃上げ税制に合わせ、継続雇用者の給与総額を一定割合以上増加させた場合に、付加価値割の課税標準から、雇用者全体の給与総額の対前年度増加額を控除する措置を講ずることといたしております。

 また、法人住民税についてでございますが、法人住民税の法人税割の課税標準は法人税額となっております。中小法人については、法人税における賃上げ税制による税額控除後の法人税額を課税標準とすることにより、税負担が軽減されることになるということでございます。

奥野(総)委員 外形標準課税が適用になるのは資本金一億円以上の大法人ということになりますから、一億円未満の中小企業については、国税も含めてですが、赤字企業についてはこの税制は恩恵がないということでよろしいんですかね、改めて。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、法人事業税付加価値割からの控除措置でございますが、中小法人は外形標準課税の対象ではございませんので、当然ながら、中小法人にこれは適用はございません。

 それから、法人税における賃上げ税制は赤字法人には適用されませんので、法人税額を課税標準とする法人住民税については赤字法人には適用されない。したがって、赤字の中小法人についてはいわゆる賃上げ税制の適用はないということでございます。

奥野(総)委員 それからもう一点、付加価値割のところですが、大法人ですね、今回、法人事業税の所得割、付加価値割ではなくて所得割の方が一律一%になって、これは負担増となる企業が出てくると思うんですけれども、付加価値割の減税効果を打ち消すんじゃないかと思うんですが、なぜ改めてこういう制度をするんでしょうか。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、法人事業税所得割の軽減税率についてでございますが、これは本来、中小法人の負担軽減を目的とした制度でございまして、法人税における軽減税率は中小法人のみを対象としていることや、法人事業税においても外形標準課税部分には軽減税率がないことなどを考慮しまして、制度間、法人間の公平性や申告事務の簡素化といった観点から廃止が適当であると考えたものでございます。

 法人事業税における賃上げ税制の見直しは、企業の積極的な賃上げを促すため、一定以上の賃上げを行った企業に限って付加価値割の負担の軽減を行うものである一方、軽減税率の見直しは、先ほど申し上げたような観点から、広く薄く対象企業に負担を求めるものであり、その対象が異なるということでございます。

 また、軽減税率の廃止による税負担の増加は、最大でも一社当たり十三万円程度ということでございまして、大法人の事業税の負担額からいたしますと僅少ということで、軽減税率の見直しは賃上げ促進に影響を与えるものではない、このように考えておるところでございます。

奥野(総)委員 トータルで減税額の方が大きいということをおっしゃっているんだと思います。それにしても、今伺うと、中小企業については、赤字企業については賃上げ税制はなかなか減税効果がないと。国税もそういうことになります。

 もう一つ、問題が私はあると思うのは、赤字法人がメリットが余りないということと、もう一つの問題は、これはその年だけなんですね。その年、賃金を引き上げたものについて、その年だけ税額控除になるんですけれども、これは基本給を上げると毎年負担が増えていくわけですよ。だから、そのときだけ税額控除しても、後々負担が重いんですよ。

 だから、よほど当初の減税額を大きくするか、先ほどトータルで国税でおよそ数千億、地方税で数百億という減税額、過去の例ですが、出ていましたけれども、よほどイニシャルの引下げを大きくするか、あるいは毎年減税効果が及ぶような仕組みにしないと、基本給の増額につながりにくいんじゃないかと思うんですね。

 二点、今聞いています。赤字法人についてはどう対処するのか、それから基本給の増額にはつながりにくいんじゃないかという点についてお答えいただきたいと思います。

飯田政府参考人 まず初めに、中小企業の赤字法人の賃上げの促進に向けて御答弁させていただきます。

 中小企業の赤字法人につきましての賃上げ税制の活用につきましては、今、総務省さんの方からお答えがあったとおりでございますけれども、中小企業庁といたしましては、こうした赤字の中小企業につきましても、生産性向上によるその黒字化、あるいはその賃上げの両立に向けて様々な支援を実施しております。

 まず、幾つかの補助金審査に当たりまして、赤字の企業には補助率の引上げを実施しております。例えば、赤字事業者が賃上げをした場合に、設備投資を支援するものづくり補助金、これにつきましては、中小企業向けの補助率を二分の一から三分の二に、また、小規模事業者持続化補助金については、三分の二を四分の三にそれぞれ引き上げる措置を盛り込んでおります。

 また、中小企業にとって、労務費の上昇をちゃんと下請価格に適切に反映していただくということが大切だと思っておりまして、そういった取組、下請取引の適正化や親事業者への働きかけなども取り組んでおります。

 一つ御紹介しますと、昨年九月に初めて実施いたしました価格交渉促進月間、あるいは、先週二月十日に、パートナーシップ構築推進会議などの場において、労務費などの上昇を含めた価格交渉の促進を親事業者に働きかけております。

 また、取引適正化の実効性を確保するための措置として、全国百二十名、今おります下請Gメンの倍増などによりまして、取引の適正化にも努めてまいります。

 こうした取組を通じまして、赤字の中小企業の賃上げについて後押ししてまいりたいと思っております。

蓮井政府参考人 二点目の御質問についてお答えをいたします。

 各企業の置かれている経営環境、業績状況は様々でございまして、各社が自社の実情に合った賃上げの方法を多様な選択肢の中から選び、その中で、より多くの企業の賃上げが実現していくことが重要と考えてございます。

 こうした観点から、今回の賃上げ促進税制は、基本給と賞与を含めました給与総額を対象としてございます。その上で、政府といたしましては、御指摘の基本給も含め、民間企業の持続的な賃上げを促していくため、賃上げ税制について、税額控除率を大胆に引き上げるといった抜本強化に加えまして、事業再構築補助金等による生産性向上の支援、ものづくり補助金等における賃上げ等に取り組む赤字企業の特別枠設定、先ほども答弁ございましたが、パートナーシップ構築宣言の拡大等による下請取引の適正化などの環境整備に全力で取り組みまして、社会全体の賃上げに向けた機運をつくり上げていきたいと思っております。

 これらの施策によりまして、賃上げに向けた取組を強力に後押しをします。成長の果実をしっかりと分配し、消費を喚起することで、次の成長、そして持続的な賃上げにつなげてまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 答弁がいろいろありましたが、いろいろやっているのは分かるんですけれども、補助金にしたって、直接賃上げ部分に支給されるものじゃありませんから、なかなか効果がないんですよ。過去ずっとやってきているけれども、結局、日本の実質賃金というのは下がっているし、賃金は伸びていないんですよね。だから、思い切った手を取らなきゃいけないと思うんですが。

 内部留保課税とよく言われています。これは二重課税になるんじゃないかとおっしゃる方もいらっしゃいますが、日本も、特定同族会社の留保金課税制度とか、諸外国でもあるんですよ。やり方を工夫すれば、積み上がる内部留保を吐き出させるような課税ができると思うんですが、この点について、ちょっと時間が、もう一問だけ聞きたいので、簡潔にお願いします。

藤原大臣政務官 お答えいたします。

 内部留保への課税については、二重課税に当たる等の指摘があることから、慎重な検討が必要になると考えております。

 一方で、企業が内部留保をため込むだけでなく、投資や賃上げ等、積極的に取り組むことは重要と考えております。そのため、今般の税制改正等を活用していただき、積極的な賃上げや設備投資に取り組んでいただきたいと考えております。

奥野(総)委員 ありがとうございます。

 是非思い切った手をやっていただきたい。内部留保が積み上がっているのは事実なんです。コロナ禍においても増えているんですね。だから、もうかっているところはもうかっていますから、そういうところも含めて考えていただきたいと思います。

 最後、消防団について質問させていただいていますが、減少が止まらないということで、いろいろな施策、報告書をまとめられておりますが、その中で、報酬等を直接団員に支給をするということがうたわれています。一方、これは所得扱いになって課税されるんじゃないか、あるいは百三万の壁を越えるんじゃないかというような不安が団員の中にあるんです。

 今回、直接支給にしたことの狙いと、それから、負担増につながるということなんですが、そういうことはないのかということを簡潔にお答えいただきたいと思います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 消防団員の報酬等の直接支給につきましては、これは、これまで直接支給しておらないようなケースもございましたことから、直接支給を行うことによって消防団員の処遇改善につながりまして、ひいては消防団員の増につながるというようなことから、積極的にしっかりと直接支給をしていただくような形で、報酬等の基準を制定をさせていただきました。

 課税関係につきましては、現在、年額報酬は、五万円以下のものは課税されず、出動手当は、費用弁償の性格を有していることから課税されない取扱いとなっております。

 昨年四月に定めました消防団員の報酬等の基準の適用日である令和四年の四月一日以降、原則として、消防団員の報酬等は、年額報酬、出動報酬及び出動に係る費用弁償となりますが、これらに係る課税の取扱いにつきましては、現在、国税庁と協議中でございます。

奥野(総)委員 最後、大臣、今協議中と言っているんですが、年度が明けたらこれは決めなきゃいけないと思うんですね。現場の団員の皆さんは非常に不安に思っている方もいらっしゃるんですよ。

 ですから、是非年度内に取扱いを決めて、できれば、私の希望を言えば、五万円のところもそのまま、それから出動費についても課税対象にならないということで頑張っていただきたいんですが、年度内に是非決めて通達を出していただけるということでよろしいんですよね。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 今、次長から答弁しましたとおり、現在、総務省消防庁と国税庁とで協議をしているところでございますが、この協議が調いましたら、速やかに、各市町村を通じて消防団員の皆様に周知してまいります。

奥野(総)委員 ちょうど時間となりましたので、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、鈴木庸介さん。

鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属の鈴木庸介です。質問をさせていただきます。

 まずは、賃上げと成長の好循環における総務省の役割についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 減税規模の妥当性というところなんですが、去年の十二月、岸田総理大臣は衆議院の本会議で、民間企業に賃上げを促す際には、賃上げと成長の好循環をつくり出して、持続的な賃上げを可能としなければなりませんと演説をされております。平成二十五年度から国税では賃上げ促進税制が講じられておりますが、地方税についても平成二十七年度より、一定の要件を満たす場合、法人事業税付加価値割の課税標準から一定額を控除できる仕組みが導入をされているところであります。また、令和四年の与党大綱では、成長と分配の好循環の実現へ向けて、賃上げに係る税制措置を抜本的に強化するというところであります。

 ところが、賃上げ促進税制の令和二年度の適用件数は約十万件となっております。また、令和元年分の法人数が二百七十四万社、そのうち利益計上法人が百五万社で、残りの欠損法人が百六十九万社となっている現状から鑑みると、この十万件というのは極めて少ない適用条件と言えるのではないでしょうか。

 今回の賃上げ促進税制の改正における国税の減税規模は千六百四十億円ということなんですが、地方税においては僅か四十六億円。つまり、その効果や、さらには、いわゆる赤字企業には無縁の話というところで、税制だけで賃上げすることには限界があるなど、多くの批判が出ていることも事実だと思います。

 そこで、質問をさせてください。

 当該税制は、賃上げにどの程度有効と考えていらっしゃいますでしょうか。さらに、賃上げと成長の好循環や、持続的な賃上げをこの程度の額で実現すると決定に至った根拠について伺えればと思います。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、地方税における賃上げ税制の概要について申し上げますけれども、法人事業税におきまして、法人税における賃上げ税制に併せ、継続雇用者の給与総額を一定割合以上増加させた場合に、付加価値割の課税標準から、雇用者全体の給与総額の対前年度増加額を控除する措置を講じることといたしております。

 法人税におきましては、対前年度増加額の一定割合を控除する、いわゆる税額控除措置が取られている一方、法人事業税においては、これまでも税額控除措置によらず課税標準からの控除という仕組みを講じてきたところであり、今回も同様の対応を行うこととしております。

 減税規模についてのお話がありましたが、減収額につきましては、法人税においては、大法人について最大三〇%という控除率である一方、先ほど申し上げましたとおり、法人事業税におきましては、課税標準からの控除を行う法人事業税付加価値割の税率が一・二%であるということから、減収規模は国税と比べて小さくなり、四十六億円というふうに見込んでいるところでございます。

 このような減少額というか減収規模でございますけれども、これまでも税額控除ではなく課税標準からの控除といった措置を取ってきたところであり、御理解をいただきたいと考えておりますし、賃上げに向けましては、政府全体としてあらゆる施策を総動員して取り組むこととしておりまして、私どもとしては、企業においてはこの税制措置も活用して持続的な賃上げに取り組んでいただきたい、このように考えておるところでございます。

鈴木(庸)委員 是非、私の周りの零細企業の経営者の皆さんも、賃上げに関しては全くインセンティブが働かないような言い方をされている方も多いので、御努力をいただきたいとお願いを申し上げます。

 次に、住民税の現年課税についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 よくプロ野球選手とかで聞く話なんですけれども、引退した翌年にどかんと個人住民税が来て、支払い切れずに大変な思いをする、こういった話をよく聞くところでありますが、これは我々政治家も同じ状況だと思うんですけれども、所得税が現年課税である一方で、住民税は翌年度課税というのが今の国の仕組みであります。これを変えましょうという話は、昭和四十三年の政府税制調査会の答申から触れられているんですね。ただ、残念ながら、まだまだ全然変わっていない、検討の余地が残されているところかと思います。

 特に最近では、コロナの影響で、解雇や雇い止め、また、フリーランスの方でも仕事の減少によって収入が激減した方が多々いらっしゃる中で、払えなくなっている人がいらっしゃるのも現状です。ここから派生すると、結婚している間は夫の扶養に入っていた人も、離婚をして、その後就労することになった場合に、就労の当該年には納税する必要がなかったのに、翌年からは住民税が課税することになって困惑する、こういった話も直接聞こえてまいりました。こうした、現年課税でないために起こる問題というのが極めて多く見られるところでございます。

 一月一日現在どこに住んでいたのかというのを確定するという作業が大変なのは分かるんですけれども、所得発生時点と納税の時点を近づけることによって負担感が減少すること、また、徴税が収入発生時に行われることから徴税が容易になること、さらには、所得税と同時期に課税が行われるため、税を負担する側にとっても分かりやすいということがメリットとして挙げられるのではないでしょうか。

 今後、デジタル田園都市国家構想など、また、eLTAXの普及、デジタル化、マイナンバーカードの普及が進んでいる前提に立つと、この住民税の現年課税化、これを進めるべきなのではないかと考えますが、個人住民税の現年化について、総務省はどのような課題意識と今後のスケジュール感を持っていらっしゃるか、教えていただければと思います。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 個人住民税の現年課税の問題というのは、長きにわたって議論をされてきた課題であるところでございます。私どもといたしましても、この現年課税化につきましては、学識経験者や企業、地方団体等を構成員とする検討会を設置し、議論を行ってきたところでございます。

 先ほど委員からも御紹介がありましたが、企業の事務負担につきましては、個々の従業員の一月一日時点の住所を正確に把握するための事務が生じるほか、業務が多忙になる年末に、所得税の年末調整事務に加えて、住民税の年末調整事務が生じるなどの課題が指摘されております。

 これが企業サイドにおける課題でございますが、地方団体サイドから見ますと、地方団体において還付事務というのが多く発生することになるんだろう。それから、これが極めて大きな問題でございますけれども、現年課税への切替え時に、移行前年分と当年分の二年分の課税が発生する、こういった課題も指摘されております。

 また、デジタル化につきましては、eLTAX、地方税共通納税システムの導入により、現年課税化の現実性が高まったという意見がある一方、デジタル化が進展してもなお企業の事務負担の増加を懸念する声もございます。

 こうした様々な課題がありますけれども、私ども、デジタル化の状況等も踏まえて、この問題については、実務上の様々な課題を整理して、引き続き丁寧に議論をしていくことが大事ではないかと考えております。

鈴木(庸)委員 タクシーに乗ると、タクシー広告に出てくるのは、ほとんど、御案内のように、企業広告、企業のソフトウェアの広告だったりしますし、世の零細企業は、弥生ソフトとか、そういうのを使いながら、何とか自分のところの会社を回しているという現状の中で、このeLTAXの仕組みを結構抜本的に改革するとか、ゼロベースでソフトウェアの在り方を見直していただくようなことも含めて、この問題の解決に向けて頑張っていただければとお願いを申し上げたいと思います。

 二地域の居住について、次に伺わせていただきます。

 受益者負担の原則に沿って、個人住民税は住所地の市町村に納められておりますけれども、このコロナ禍でテレワークが拡大して、住民票はあるけれども、その地域ではなくて、別の地域で住民サービスを受けているという方も増えてきているのも現状であります。地方暮らしへの関心やニーズ、機運が高まっていることに加えて、住民票がないために、受けられる行政サービスが限られていて不便だ、そういった声も一部の方からは伺うところでございます。

 均等割が大きな金額でない中で、地方での暮らし先である自治体でも標準税率を設定するといった議論も一部ではあると伺います。また、ふるさと納税といった制度もあるわけですから、将来的に制度を現状に近づけていくことに大きなハードルはないのではないかと考えるんですが、総務省として、この二地域居住に係る個人住民税の今後の在り方についてはどのようにお考えになっておりますでしょうか。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 個人住民税につきましては、毎年、一月一日現在の住所地である地方団体が課税をするということとされております。

 住所地以外の地方団体へ個人住民税を納税する仕組みについては、平成十九年度において総務省に設置されたふるさと納税研究会で検討が行われましたが、住所地以外の地方団体に強制性を伴う課税権を認めることは難しいとされたことから、寄附金税制であるふるさと納税制度が創設された、こういった経緯がございます。

 現在、このふるさと納税を活用することによりまして、個人住民税の一部を実質的に住所地以外の地方団体に移転をさせるということが可能となっておりますので、御理解を賜りたい、このように考えております。

鈴木(庸)委員 是非、これから二地域居住というのは広まっていくと思いますので、それに合わせた体制の在り方というものを早急に議論をいただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 次に、新型コロナウイルスに係る地方財政の課題について質問をさせていただきます。

 令和二年度と三年度については、感染拡大に伴い、地方税収は大幅な減収が見込まれました。こうした中でも、地方団体は、感染症拡大防止策や医療体制の整備、雇用の維持、事業の継続など、多くの事業を実施しなくてはなりません。このため、政府は、ほとんどの事業を全額国費対応ということで、地方創生臨時交付金を創設して、累計で十五・二兆円を確保されておりますけれども、これは地方にとっても大きな安心になったと思います。

 そこでお伺いしますけれども、令和四年度においても、感染症への対応については全額国費対応とする方針でしょうか。地方創生臨時交付金の増額を行う可能性も含めて伺えればと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 地方創生臨時交付金につきましては、委員御指摘のとおり、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援すべく、各自治体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施できるよう、自由度の高い財源として措置されているところでございます。

 この中でも、特に地方単独事業分、これにつきましては、これまで、感染防止対策及び事業継続に困っている中小・小規模事業者への支援、飲食、観光、交通事業者への支援を行うなど、地域経済やそれを支える事業者の財政面を下支えするとともに、マスク、消毒液の確保など、地域の実情に応じた感染拡大防止策を行ってきたところでございます。

 この地方単独事業分につきましては、先頃の補正予算で一兆円分につきましてお認めいただき、各自治体に交付限度額を昨年末に通知をいたしております。地域の実情に応じた対応策を今現在講じていただいているところでございます。

 今後とも、切れ目なく、自治体が財政上の不安なく対応ができるように、適切に支援してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

    〔委員長退席、あかま委員長代理着席〕

鈴木(庸)委員 この地方創生臨時交付金については、大変使い勝手がいいと言われているんですけれども、特に地方単独事業分については、地域の実情に、今御答弁もいただきましたけれども、幅広い事業に活用されてきたというところがあると思います。

 その一方で、財政制度等審議会では、感染症対策ではなくて、元々予定されていた事業の代替財源として使われるケースも考えられると指摘をしております。

 この地方創生臨時交付金がコロナ禍の地方財政運営に果たしてきた役割について、まず総務省はどう評価しているのか、改めて伺いたいということとともに、この一般財源の肩代わりになっているという指摘に対してはどのように考えていらっしゃいますか。そのことを教えていただきたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘ございましたが、今回の新型コロナウイルス感染症のような、いわゆる非常事態、こういった場合には、やはり自治体が財政面での心配なく積極的に取り組んでいただくことが非常に重要でございまして、やはり国の責任でしっかりと財源を確保するということが重要であるというふうに認識しております。

 こういったことも踏まえて、今回の新型コロナウイルス感染症への対応、これがほとんど全額国費対応というふうにされているほか、先ほど内閣府の方からも御答弁ありました地方単独事業について、地方創生臨時交付金が措置されているということでございます。

 当然のことながら、そういった制度の趣旨に基づいてこれらの交付金というものは支出されているというふうに我々も認識しているところでございまして、御指摘がありましたような件の部分につきましては、所管省庁においてしっかりしたチェックがなされているものと我々は認識しているところでございます。

鈴木(庸)委員 分かりました。

 次に、デジタル田園都市国家構想と総務省との関連について伺いたいと思います。

 先ほど吉川委員からもありましたけれども、このデジタル田園都市国家構想なんですが、令和三年及び四年度に限り、地方財政計画に、地域デジタル社会推進費ということで、各年度二千億円を計上するとされております。この財源には公庫債権金利変動準備金の活用が予定されていたと伺っていますけれども、この活用を取りやめて、後年度に活用されることとなったとも伺っております。

 そこで、この合計四千億円について、今後どのような経費に充てることを想定しているかを教えていただきたいと思います。

 また、それに加えて、地域デジタル社会推進費については、デジタル田園都市国家構想関連施策の全体像の中で、地域の課題解決や特色ある地域づくりを分野横断的に支援するための施策の一つとして位置づけられておりますけれども、これに関連して、二〇二四年度までにデジタルの実装に取り組む地方公共団体を千団体にするという目標も掲げられております。これはなかなか意欲的な数字であるとは思うんですけれども、是非結果を感じられるデジタル化に取り組んでいただきたいと思います。

 しかしながら、地方財政計画への計上は令和四年度までということを考えると、そんなに早く結果が出るのかなというのも疑問を持つところでございます。

 そこで、先ほどの後年に活用するとされた公庫債権金利変動準備金の総額四千億円を活用して、例えば令和六年度まで二年間延長するといった考え方はありますでしょうか。そこを伺わせてください。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、令和三年度地方財政対策におきまして、地域社会のデジタル化を集中的に推進できますよう、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を活用いたしまして、令和三年度、四年度の二か年度の措置として、地域デジタル社会推進費を各年度二千億円計上することとしたところでございます。

 その後、令和二年度国税決算及び令和三年度国税増額補正に伴いまして、令和三年度の年度途中に地方交付税法定率分が大幅に増加いたしました。また、その一部を令和四年度に繰越しをいたしました。これによりまして、令和三年度及び令和四年度において、準備金を活用しなくても地方交付税総額を確保できるというような状況になったところでございます。

 このような状況を踏まえまして、令和三年度及び令和四年度におけます地域デジタル社会推進費の歳出規模を維持しつつ、その財源として予定しておりました準備金、各年度二千億円の計四千億円については、地方の財源として後年度に活用することとしたところでございます。

 この準備金四千億円の取扱いについてでございますけれども、今春、デジタル田園都市国家構想実現会議におきまして取りまとめられる予定になっております実行すべき具体的なデジタル田園都市国家構想、これなども踏まえまして、今後しっかり検討してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(庸)委員 まだ決まっていないということですね。かしこまりました。

 田園都市国家構想というと、御案内のように、大平さんのおっしゃった地域間格差の是正がデジタル田園都市国家構想の基本理念にはあると思いますけれども、デジタル化による都市と地方の格差解消は是非実現していただきたいと思います。

 しかし、正直申し上げて、これまでの政権との取組の違いが見えづらいなというのも考えております。デジタル技術の活用で地域の個性を生かしながら持続可能な経済社会を実現するということには、どうにも既視感がありまして、安倍政権でも菅政権でも、地方自治体のデジタル化を目指す自治体DX推進計画などに取り組んできたのではないでしょうか。また、田園都市国家構想の主軸は、農地や山間地と都市のメリットが調和した形で生かされる社会の重要性、生産性の高い工業と農業、都市と地方が高い次元で融合された社会とありますけれども、これまで具体例として示されている幾つかの例については、その考え方に基づいているのかについても検証の余地があるのではないかと考えています。

 そこで、質問です。

 現政権における地方創生という視点からのデジタル田園都市国家構想と自治体DX推進計画の違いは何なんでしょうか。そして、自治体DX推進計画についてはどのような評価をして、そこと、デジタル田園都市国家構想というのはどのようにつながってくるんでしょうか。その点を教えてください。

    〔あかま委員長代理退席、委員長着席〕

赤池副大臣 委員御質問の、地方のデジタル推進計画に関しては、内閣府の所管ではないので、改めて総務省なりにお答えをいただきたいと思いますが、デジタル田園都市国家構想担当の副大臣としてお答えをまずさせていただきたいと思います。

 委員、冒頭、大平内閣のことを触れながらデジタル化というお話をしていただきました。大平内閣の田園都市構想、四十年前以上の構想とはいえ、大変先見性があり、それを踏まえて、また、同じ自民党政権でありますから、安倍、菅政権の継承と発展の上に、今回、岸田内閣としてデジタル田園都市国家構想を提唱させていただきました。

 昨年末、全体像として、大きく四つの柱をお示ししております。一つは、デジタル基盤整備。この辺が、デジタル推進の地方の計画とつながってくると思います。二つ目は、人材育成。そして、三つ目は、地域の課題を具体的にデジタル技術を活用して解決していく、実装していくということを考えていて、最後、四つ目が、誰一人として取り残さない。この大きな四つの全体像をお示しする中で、一つ一つ様々な、先ほど御質問いただいた財政措置、様々な措置を使って具体的に実現していこうということであります。

 そういう面では、継承と発展という言葉を使わせていただきましたが、従来持っていたものをしっかり踏まえて、それを全体像として、政権の総合力として、一つ一つ具体的に地域の課題を解決していく。少子課題、地域格差、様々な課題を解決していくというのが、デジタル田園都市国家構想だというふうに認識しているところであります。

 以上です。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 ただ、デジタル田園都市国家構想という名を名のるからには、済みません、ちょっともう時間もなくなったので大分はしょるんですけれども、名のるからには、大平さんのおっしゃった、文化、御案内のように、この田園都市国家構想の中には文化という要素を物すごく入れていらっしゃったと思うんですね。でも、残念ながら、今のデジタル田園都市国家構想の中で、いろいろな事業があるとは存じているんですけれども、まだちょっと文化の薫りがしないなというのがありまして、そこについてはどうやって整合性を取るような考えをお持ちなんでしょうか。教えてください。

赤池副大臣 委員御指摘の文化というのは大変重要な視点だというふうに感じております。様々な地域の移住とか定住を考えたときに、やはり、文化力、文化、許容性、そういった視点というのは大変重要だというふうに認識しておりまして、先ほどお示ししたデジタル田園都市国家構想の全体像の三つ目の地域課題を具体的に解決する中身として、具体的に文化というのも位置づけさせていただいております。

 今、それぞれの有識者や地方公共団体の首長さんにも入っていただいて、デジタル田園都市国家構想の実現会議というものを関係省庁で連携してやっておりまして、その中でも大きな柱は文化でありますので、しっかりその辺で議論を詰めて、今春、具体的な全体像を踏まえた計画をまたお示しをさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。

 以上です。

鈴木(庸)委員 ありがとうございました。

 名前が、こういった田園都市国家構想といって、国民の皆さんにかなり分かりにくいという声も聞こえてきますので、理念も含めて、昭和五十四年のNHKのインタビューをちょっと拝見したんですけれども、大平さんが、これはもう完全に理念である、この理念がなくては田園都市国家構想は成り立たないというのがありましたので、是非是非、文化について国民が納得できる形で政策を進めていただければと思います。

 済みません、最後はちょっと時間がなくなったので端的に伺わせていただきたいんですが、課税自主権について伺わせてください。

 個人的には、地域の問題を解決して税収も増やす、一石二鳥に見えるんですけれども、全体的に、全国には何件ほど導入されていて、総務省としてはその評価についてはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。教えてください。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 課税自主権についても幾つかの取組があるわけでございますが、そのうち法定外税について申し上げますと、法定外税、現在、三十四都道府県、二十市区町村において、計六十五件の法定外税が実施され、令和二年度決算額で五百九十七億円となっております。

 各地方団体が地域の実情に応じて法定外税の活用を進めているものと認識しております。

鈴木(庸)委員 是非、地域のユニークな法定外税の取組といったものについても促進していただければと思います。

 以上で質問を終わります。

赤羽委員長 次に、道下大樹さん。

道下委員 立憲民主党の道下大樹です。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それではまず、私からは、豪雪対策について伺いたいと思います。

 私の地元北海道、今年の冬は、本当に大雪というか、一度に大量に雪が降るというのが、一月、そしてこの二月上旬もありました。私の選挙区札幌市におきましては、本当にこれまで経験したことのないほど、私もまだ四十六歳なので、札幌に住んでまだ二十四、五年なのでまだそんなに長くはありませんけれども、本当に大雪が降りました。

 札幌市では、観測史上最多の二十四時間当たり六十センチの積雪を観測。また、札幌市内では、除排雪が追いつかず、幹線道路、生活道路共に各所で大渋滞。交通機関が麻痺して、バスは運休状態が続き、また、JR北海道も、昨日やっと平常運行に戻りましたが、二月六日の昼から札幌駅発着の列車が運休になり、札幌圏、通勤通学等、経済が止まったような状況でございます。

 また、幹線道路、生活道路、車が一台通るのもやっと、又は通れない、雪の穴ぼこだらけというところもあり、救急車の搬送がなかなか進まなかった、時間がかかったということも発生いたしました。

 こうした事態になったのは、一度に大量の降雪があったこともありますけれども、様々な要因が考えられます。いろいろと、人手不足ではないか、トラック不足ではないか、除雪車、ロータリー、そうしたものが足りないのかという意見もあるんですけれども、そこで働くダンプカーの運転手さんの話では、札幌市内中心部に近い雪堆積場、雪捨場ですね、これがどんどん埋まって満杯になって、そして遠くまで雪を捨てに行かなきゃいけない。その分、往復の時間がかかるわけですから、そうしたことによってなかなか除排雪が進まない、そういう課題も話には出ておりますが、いずれにしても、降雪時の迅速な除排雪体制は、非常に雪国、北国にとっては重要でございます。

 立憲民主党は、先日、国の財政上の措置に関する規定の義務化などを示しました豪雪地帯対策特別措置法改正案を国会に提出しました。

 このように、本当に今、気候変動で温暖化が進む中で、また、これまで考えられなかったような降雪もあるわけでございます。こうした除排雪事業に対する、総務省におきましては、何らかの財政支援というものが必要だと考えますが、交付税に関連して、様々な支援措置、どのようなことをお考えなのか、伺いたいと思います。

金子(恭)国務大臣 ただいま、道下委員の御地元北海道における大雪に対する切実な状況について御報告いただいたわけでございます。

 昨年末以降、北日本や日本海側を中心に大雪となっており、降雪量の多かった自治体においては、多額の除排雪経費が生じておると承知しております。

 自治体の除排雪経費につきましては、普通交付税の算定におきまして標準的な所要額を措置し、実際の所要額がその措置額を超える場合には、特別交付税により更に対応することとしております。現在、特別交付税の三月交付に向けて算定作業を進めております。

 引き続き、降雪の状況等を注視しつつ、除排雪経費の実態を丁寧にお伺いしながら、特別交付税の適切な交付により、自治体の財政運営に支障が生じないよう、しっかりと対応してまいります。

道下委員 今大臣から御答弁いただきました。

 普通交付税で標準のもの、そして、それ以上かかったものについては特別交付税ということで、今算定していただいているということなんですけれども、迅速に算定していただいて、交付していただきたいということ。

 もう一つは、雪が降ったら、業者に頼んで、ここを除雪してくださいねという、降った分だけお願いするということでは今できないんですね。除雪を請け負っていただく民間業者も、様々な計画だとか、ダンプを確保したり、人員を確保したり、やはり計画、年度計画でやらなきゃいけないわけですので。

 そうした意味で、自治体も、降る、降らないにかかわらず、ある程度基本の契約というものをするわけですので、そうした意味では、今の人件費の高騰だとか燃油価格の高騰に関して、今、そういう契約金も本当に上がってきている状況でございます。

 そうした意味で、そうした地域の実態も是非十分に把握していただいた上で、普通交付税また特別交付税の算定というものを行っていただきたいというふうに要望しておきます。

 今回、豪雪対策なんですが、多くの住民の皆様から私のところにも、自衛隊の皆様に災害派遣要請しないのかというようなお話を伺っております。

 今日は防衛省から大臣官房審議官に来ていただいています。お忙しいところ、ありがとうございます。

 札幌は一九九六年に、また、札幌ではありませんが、最近では二〇一二年に岩見沢市で大雪が降って、そのときに自衛隊に災害派遣要請をお願いいたしました。

 このときには、幹線道路の除雪だとか、高齢者、独居老人、そこで道路とか窓がもう雪で埋まって出られない、そして自治体も、そうした雪で埋もれた家の除雪、なかなか人手が足りないというときに、自衛隊の方に来ていただいて、そうした高齢者の方の家の周りの除雪、そして救出ということをしていただきました。

 自衛隊への災害派遣要請というのは、三つの要件がございます。一つには、災害から人命や財産を社会的に保護する必要性があるかということの公共性。それから、状況が切迫していて、今すぐにでも救援が必要であるかということの緊急性。また、自衛隊の派遣以外にほかに適当な手段がないかという非代替性。この三つの要件を満たす必要があるということでございます。

 今回、二月上旬、札幌を中心とします北海道内での雪害においては、北海道や札幌市はこの要件を満たしていないというふうに考えまして要請していないわけでありますが、今回の状況に関して、もし災害派遣要請があった場合に、この派遣の可否について防衛省としてどのように認識をされているのか、伺いたいと思います。

町田政府参考人 お答えさせていただきます。

 自衛隊の災害派遣につきましては、自衛隊法第八十三条に基づき、「都道府県知事その他政令で定める者は、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊等の派遣を防衛大臣又はその指定する者に要請することができる。」とされております。

 これは、都道府県知事等が地域の被害状況を全般的に把握し、都道府県等の御自身の災害救援能力を考慮した上で、自衛隊の派遣の要否を判断するのが最適との考えによるものでございます。

 今般の札幌を中心とする北海道内の大雪につきましても、札幌市内、そして北海道知事が、北海道内における災害救援能力を考慮した上で、私たち自衛隊の災害派遣要請の要否について判断されたものと考えております。

 いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊としては、引き続き、各種災害に適切にかつ迅速に対応できるよう、平素からの準備、待機態勢を取っておりますので、引き続きこの態勢を取ってまいりたい、そのように考えておるところでございます。

道下委員 ありがとうございます。

 今、御答弁いただきました、御説明いただきました。災害派遣要請の要件も十分理解しておりますし、また、道や札幌市がその要件に満たしていないということで要請はしなかったということも、ある程度理解をいたしております。

 ただ、ちなみに、札幌市におきましては、幹線道路でさえも完全な除排雪の完了が十九日までかかるということで、二週間近く、幹線道路ですよ、私の自宅の近くに、札幌と小樽という、旧五号線というんですけれども、そこの北五条手稲通りというのがあるんですけれども、高速バスだとか普通の路線バスが通る大きなところなんですけれども、いつもは二車線あるんですけれども、一車線で本当に大渋滞なんですね、朝は。

 そうしたことを考えると、公共性、緊急性、非代替性にはかからないかもしれないけれども、そして、先ほど申し上げましたように、救急車がなかなか行き来、患者さんのところにたどり着くまで、また病院にたどり着くまで時間がかかるということを考えたら、社会的、また人命的にも、ある程度必要性があるのではないかということを考えますので、こうした三要件も柔軟に検討していただいて、自衛隊とそして自治体が連携し合って、必要なときに派遣を要請する、そしてそれを受けるというような仕組みを是非御検討いただきたいというふうに要望しておきます。よろしくお願いいたします。

 次に、燃油価格高騰と交付税について伺いたいと思います。

 これについて、先日の予算委員会で我が会派の後藤祐一議員が防衛省に対して質問したものなんですけれども、防衛省においては、戦車だとかいろいろなものを動かすための燃料費の経費を予算に計上しているんですけれども、令和三年度の予算では、例えばガソリン一リットル当たり百四十円という基準で積算根拠にしていたということなんですが、皆様御承知のとおり、今ガソリン価格は一リットル百七十円、ニューヨークの原油先物取引も一バレル当たり九十五ドルということで、七年五か月ぶりに高値水準に達しました。

 そうしたことを考えますと、政府の省庁の燃料経費と同様に、地方自治体における燃料経費というものも非常に費用がかさむというか、上がっている状況でありまして、それについて、国からの地方交付税交付金について、燃油価格の高騰に対してどのように交付税が連動しているのかということを伺いたいというふうに思います。燃油価格が高騰したときに、どのように交付税が変動するのか、しないのか。又は、私は、こういう価格高騰時には、補正予算でも組んで追加交付など、こういったものをしっかりとやるべきではないかというふうに思いますが、伺いたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 警察や消防、救急の自動車の燃料費、これにつきましては、普通交付税の警察費や消防費の単位費用において措置しております。また、庁舎施設等の暖房、除排雪経費につきましては、普通交付税の寒冷補正において、寒冷地域や積雪地域において必要となります燃料費等を措置しているところでございます。

 こうした経費の積算に当たりましては、基本的には、毎年度、ガソリンに係ります消費者物価指数等の対前年伸び率を用いて物価の動向を反映しているところでございます。

 例えば、具体的に申し上げますと、令和四年度の単位費用につきましては、令和三年十一月に消費者物価指数の令和三年十月分が公表されたことから、令和三年一月から十月までのガソリンに係る消費者物価指数の対前年伸び率を用いて物価の動向を反映しております。

 なお、年度途中の社会情勢等の変化により生じます普通交付税では捕捉できない地方団体の財政需要、これにつきましては、特別交付税により措置することを基本にしているところでございます。

 例えば、令和三年度におきましても、原油価格が高騰していることに加え、十一月に閣議決定されましたコロナ克服・新時代開拓のための経済対策に基づいて、灯油購入費の助成など地方団体が行う原油価格高騰対策に対し、特別交付税措置を講じることとしております。

 この特別交付税措置の対象となる経費の調査に際しましては、学校を始め地方団体の施設の暖房費への影響分等についても併せて調査をしておりまして、これらの経費についても、三月分の特別交付税の算定に反映することを検討している。

 かような方法を用いているところでございます。

道下委員 今御答弁で、令和三年一月から十月までの石油価格を見据えてという、それを参考にということだったんですけれども、石油価格の高騰、ちょうど九月、十月ぐらいから上がり始めたんですね。この一月に入ってどんと上がってきたんですね。そうしたことも踏まえて是非算定していただきたい、また交付をしていただきたいと思います。

 もう一つなんですけれども、これはちょっとまた後にさせていただきたいというふうに思いますが、パトカーとか消防車とかの燃料というのは、その都度、ガソリンスタンドに行って給油してお金を払うわけじゃなくて、これは一年間とかの契約でありますので、そんなに、上がった下がったで経費が大幅に変動するというわけではないと思いますけれども、令和四年度は結構高い価格での契約になるのではないかというふうに思いますので、是非十分に考慮していただきたい。非常に財政が厳しい中で自治体も何とかやりくりしているわけですので、そういった意味では、十分な交付をお願いしたいというふうに思います。

 次に、自治体の行政システムについて伺いたいと思います。

 今年二月八日に、公正取引委員会が官公庁における情報システム調達に関する実態調査というものの報告書を出しました。

 この調査は、行政のデジタル化の推進が喫緊の課題となっており、競争政策の観点から、今後の情報システム調達について、ベンダーロックインが回避されることなどにより多様なベンダーが参入しやすい環境を整備することが重要であるとの認識の下、国の機関及び地方公共団体における情報システム調達の実態を把握するための調査ということで、二月八日に報告書が公表されました。

 その中身を見てみますと、業者がシステム受注の際に不当な囲い込みをした場合、独占禁止法違反に当たるおそれがあるとの考え方を初めて示しました。

 このベンダーロックイン、私も今までもよく聞いていました。まず、最初のシステムをつくるときに、入札を出すけれども、例えば一円だとか、安い価格で応札して落札する。その後の、後継の、システムの改修だとかいろいろなことで、そっちで利益が得られるからということで、そうしたベンダーロックイン。ほかにも、特許を自社で持って、そしてほかのベンダーにはシステムの改修とかができないような、そうした様々な問題が、今回この報告書によって改めて示されたわけでありまして、そのほかにも、自治体の専門人材不足という問題も列挙されているわけであります。

 今回の公正取引委員会の報告書も踏まえて、政府としてどのように認識して、課題解決に向けてどのように取り組んでいこうとお考えなのか。まず、今日お越しいただいているデジタル庁の山本審議官、ありがとうございます、に御答弁いただいた後、総務大臣にも御答弁いただきたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 デジタル庁といたしましても、ベンダーロックインにつきましては、システム整備や運用費用が高止まりになる、そのような問題があると認識しております。

 デジタル社会の実現に向けまして、今回の報告書も踏まえまして、公正取引委員会を始め総務省など関係省庁と連携して競争環境の整備に取り組んでまいりたいと考えておるところでございまして、具体的には、御指摘のありました競争政策上の観点を踏まえること、これらに加えまして、個々のシステム活用の目的や状況に応じまして、セキュリティーは十分に確保されているかどうか、利便性や効率性が維持されているかといった点を踏まえていくことが必要だと考えております。

 情報システムのオープンな仕様の設計やオープンソース化等の取組を行いますとともに、集積されたベンダーロックイン防止のための知見や事例、これらを周知してまいりたいと考えます。

 また、行政側の人材不足についての御指摘もございました。

 これらにつきましても、デジタル庁内の高い専門的な知見を有する人材等も生かしつつ、IT専門人材の採用のノウハウの提供でありますとか、研修体制、マニュアル整備といった取組に努めてまいる所存でございます。

金子(恭)国務大臣 道下委員御指摘の報告書では、多様なベンダーが参入しやすい環境を整備することが重要であるとの認識の下、総務省に対して、自治体の情報システムのベンダーロックインを防止するための対策などをデジタル庁や自治体と連携して講じることが望まれると指摘されております。

 今デジタル庁からも御答弁がありましたが、総務省としても、かねてから、ベンダーロックインによる弊害を回避することは重要と考えております。このため、業務全体に係るコストを抑え、他のベンダーへの移行も可能となるよう、自治体の情報システムの標準化、共通化に取り組むとともに、自治体に対する情報提供や研修の支援などにも取り組んでおります。

 引き続き、デジタル庁を始めとする関係省庁と連携をしまして、これらの取組を通じて、競争環境の適切な確保を図ってまいります。

道下委員 競争環境をしっかりと整えるということのお話がありました。

 私は、それも大変重要だと思いますが、もう一つは、この報告書にもありますとおり、自治体における専門人材ですね。システム担当の部署だとか担当係とかは設けているけれども、本当に高度な知見、専門的な知識とか技術を持っている人が職員としてそこでずっといるのかというと、そうではないという回答もあるわけでございます。

 そうした意味で、人材の、システムエンジニアだとかそういう方々の採用というものも自治体にとってみれば重要なんですが、今の自治体の給与体系から考えたら、システムエンジニアなどそういう高度な知識、技術を持った人の給与は、民間でいくと、地方の自治体職員の、国家公務員もそうかもしれません、一・五倍とか二倍と三倍とか、給与が高い。本当にニーズの高い職種でございますので、それと民間と競争しても、自治体はそういう高度な専門知識を持つ人をなかなか採用できないということもありますので。

 ここは柔軟に、採用の制度だとか、若しくは、一自治体ではなかなかできませんので、それはもちろんデジタル庁や総務省と協力しながらだと思いますけれども、こういう広域的な団体というものもつくりながら、若しくは連携を促進、支援しながら、こういう高度な人材を自治体側にしっかりと持っておく、そういう環境も是非つくっていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、放送番組における差別や人権侵害について伺いたいと思います。

 この問題については、最近の問題ではなく、以前からありました。最近では、事実ではない字幕をつけて問題になった番組、また、アイヌ民族に対する差別表現があった番組、やらせ疑惑とネット上での誹謗中傷によって出演者が自死してしまった番組、沖縄での米軍基地反対運動に対する人権侵害ヘイト番組など、差別や人権侵害の事案がこういう放送番組によってなされているということは誠に残念であり、私は遺憾であるというふうに思っております。

 もちろん、そういう放送番組、表現の自由、また、総務省といえども、こうした番組に対しての介入ということは私はあってはならないと思いますし、公平性、中立性ということは非常に重要だというふうに思っております。

 ただ、こうした番組における差別や人権侵害については、これは私は根絶しなければならないというふうに思っております。

 こうした事案について、放送行政を所掌する総務省として、どのように認識して、どのように再発防止、また、こうした問題の根絶を図ろうとお考えになって取り組んでおられるのか、大臣に伺いたいと思います。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 放送法は、放送事業者が自らの責任において放送番組を編集する自主自律を基本とする枠組みとなっております。差別や人権侵害はあってはならないことであり、放送事業者におかれては、こうした放送法の枠組みの下で、自らの責任において再発防止の徹底に取り組んでいただきたいと考えております。

道下委員 私、以前もアイヌ民族に対する差別的表現の番組についての質問を、総務委員会、そして国土交通委員会でもさせていただきました。たしかそのときに、赤羽さん、金子さんもいらっしゃいましたね、国土交通委員会で。

 そのときにも、番組一つ一つ、また放送内容については、政府、国としてそうしたものには具体的に意見は述べられなかったわけでありますけれども、やはり放送というのは、子供たちも含めて、我々の思想だとかまた心理的にも様々な、いい面もあるし悪い面もあるわけでありまして、そうした意味では、こういう放送というもの、放送法によって担保されている自由な表現、放送というものもあるんですけれども、一方で、我々視聴者がしっかりとそれを見ていかなきゃいけないということもあると思います。

 そうした意味で、昨今、テレビがインターネットに凌駕されているというふうに出てきて、テレビ番組だとか放送におけるスタッフとか人員とかがどんどん削られている。まず、番組の制作予算が、制作費が削られている。それによって、十分なチェック体制、ダブルチェック、トリプルチェックというものがなかなかできていないのではないかというふうにも思います。

 そうした意味で、これはNHKや民放に対して、もちろん自主的な、又は放送団体が自主的に、そうしたものをないように取り組む必要があるんですけれども、ただ、私は、それだけではなくて、総務省もしっかりと目を光らせるという姿勢が必要ではないかというふうに思いますので、その点について、どうぞよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次の質問は、その目を光らせるのと、もう一つ、総務省と放送会社や情報通信会社との癒着の問題がありました総務省幹部接待問題について伺いたいと思います。

 総務省の幹部が衛星放送関連会社や情報通信会社から違法な接待を受けていた問題について、総務省が設置した第三者による情報通信行政検証委員会が昨年十月に最終報告書を取りまとめて、当時の武田総務大臣に提出しました。

 最終報告書には、幹部らが違法な接待を繰り返し受けていたことについて、不自然な点は見当たらず、会食の影響も確認できないと結論づける一方で、政策立案上有意義だなどとして参加を正当化していた、政策の信頼性にどのように影響するかといった想像力に全く欠け、単なる法令の知識の欠如で片づけてはならないなどと厳しく指摘しています。

 検証委員会の座長を務められた元検事の吉野弦太弁護士は、調査には限界があり、全てを解明できたわけではない、ただ、解明できない会食をやっていることが問題、説明責任を果たすという行政の本質を自覚してもらいたいと述べられております。

 総務省の今回のこの問題と最終報告書に対する認識、それから信頼回復に向けた取組を伺いたいと思います。

金子(恭)国務大臣 委員御指摘の倫理法令違反の会食につきましては、昨年、多数の幹部職員が処分を受けたことについては非常に重く受け止めております。

 総務省では、省独自の再発防止策として、幹部職員、管理職員への研修の実施による意識づけの徹底、省内各部局の利害関係者一覧の作成、利害関係者との飲食については原則全て事前事後に届出といった対策を講じております。

 今後も、こうした再発防止の取組についてしっかりと運用をし、コンプライアンスの確保と国民の信頼回復に努めてまいります。

道下委員 この最終報告書、検証結果報告書の最後の「おわりに」というところには、国家公務員倫理法に抵触する多くの会食を重ねるのみならず、それらの会食が行政をゆがめていなかったことを証明する記録や資料も十分に残していなかったことによって、信頼を失ってしまったというふうに記載されております。

 公務に携わる皆様においてはというか、やはり公文書、こうしたものが非常に重要であるということは、皆様、一番お分かりいただいていると思いますし、また、その公文書というのは誰のものなのかというふうに考えたら、もちろん、今ここに書かれているとおり、会食が行政をゆがめていなかったことを証明する資料、こういう場合は総務省の皆様のための資料、公文書かもしれませんが、これは国民みんなの資産というか、公文書というものは我々国民のものだという認識に立てば、こうした資料、又は会食する、誰かと会う、誰かから電話が来たを含めて、しっかりとこうした書類に残して、そして後日、このようなもので、行政の信頼だとかまた正当性だとか、そうしたものを裏づけるためには大変重要だというふうに思っております。

 そうした意味で、こうした公文書というものについて、余りにも軽視したり、若しくは問題を隠蔽する目的で残していなかったということも考えられるわけでありまして、私は、これは総務省のみならず、私たち立法府に携わる者も大変そうしたものは重要であると思っていますので、是非、今回のこの倫理規程違反を一つのきっかけとして、総務省として、こうした記録や資料というものを大切に保管して、もちろん、隠蔽、改ざん、捏造、廃棄、そういうことはしないように是非取り組んでいただきたいと思っております。

 時間が来てしまいました。残りの質問はまた後日にさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

赤羽委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

赤羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。湯原俊二さん。

湯原委員 立憲民主党の湯原俊二です。

 まずもって、質問の機会をいただいたことに感謝申し上げたいと思いますし、いまだなおコロナ禍にあって、罹患された方々にお見舞いを申し上げますとともに、医療福祉関係者あるいは行政関係で最前線で御尽力いただいている方に改めて敬意を表したいと思います。

 では、質問に入らせていただきたいと思います。

 初歩的なことを改めて確認させていただきますけれども、来年度、地方の財源不足は幾らで、この財源不足というのはいつ頃から始まったのかということをまずもって確認させてやってください。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度の財源不足につきましては、令和三年度の十・一兆円から二・六兆円に大幅に縮小し、折半対象財源不足は解消したところでございます。

 一方、依然として、引き続き巨額の財源不足であることは事実でございまして、地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当する状況となっております。

 地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当いたしますのは、平成八年度以来、二十七年連続でございます。

湯原委員 御答弁いただきました。

 財源不足ですけれども、十兆円余から二・六兆円で、大分、大幅という言葉を使われましたが、よくなったということでありますけれども、これも、二・六兆円といえども財源不足には変わりないということでありますし、平成八年という数字をもって、それ以来、この六条三の二ということで、平成八年以前はどうだったんでしょうか。ちょっと確認の意味でお願いしたいと思いますけれども。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 済みません、ちょっと手元にないんですけれども、昭和五十年代に財源不足額というものが、まさにオイルショックを契機に生じました。

 その後、御案内のとおり、日本経済、バブルにより景気が非常に向上したという時代を迎えまして、その間、財源不足額というものが事実上解消したというふうな状況になっています。

 その後、バブルが崩壊いたしまして、平成六年度に財源不足額が三・〇兆円という形で生じたというところでありまして、地方交付税法第六条の三第二項に該当するという一つの要件が、財源不足と認定されるその状況が二年連続生じ、三年度以降も引き続き見込まれる場合ということになっていますので、先ほど申し上げましたとおり、六条の三第二項に該当するという事態は、六年度から二年度間経過した平成八年度からというふうな状況になっているところでございます。

湯原委員 ありがとうございます。

 地方交付税法第六条の三の二に該当するのは平成八年ということでありますけれども、先ほどあったように、昭和五十年代、オイルショック以降ということでありました。

 私の認識としては、やはり、慢性的に地方財政というのは大変厳しい状況、地方団体が不安に思っている状況、あるいは、国会においても、委員会においても、ずっと地方財政の確保というものが議論にならざるを得ないような状況が長年続いてきたんじゃないかなというふうに思っております。

 裏を返せば、私の認識でありますけれども、やはりシステム自体がなかなか対応できていないところがあるんじゃないか。確かに、六条の三の二、こういう対応策があるわけでありますけれども、抜本的な改革が私はもっと求められるべきじゃないかなというふうに思っております。

 午前中、おおつき紅葉さんが言っていました。昨年の十二月の地方六団体の令和四年度の地方財政対策についての共同声明でも、特例措置に依存しない持続可能な制度の確立を目指すようということで地方六団体も要望していると。持続可能性を求めてきているということであります。抜本的な私は改革が必要だということであります。

 皆さん方御案内のように、質問されたように、来年度の臨財債、臨時財政対策債の残高見込みは五十三・二兆円、五十三兆円でありますし、今の臨時財政対策債、財源不足の中で地方に借金をさせ、それを後で交付税措置をするというこのシステム自体が、私はこれから先も持続可能なものとは到底思えないのであります。だからこそ、地方六団体始め多くの方々が、臨財債はやはり抑制していこう、こういう声に表れてきているのかなというふうに思っております。

 そして、もう一つ、皆さん方御懸念ある、交付税特別会計の借入金。これも残高が二十九・六兆円。合わせて八十兆円を超える借金は抱えているという状況であります。

 この特別会計借入金でありますけれども、見ますと、令和十一年以降二十五年間にわたって一兆円ずつ返していくという。これまた、ある意味で、大変、大丈夫なのかなというような返済計画でありまして、やはり、先ほど来申し上げているように、地方財政、皆さんが懸念するところに対して抜本的な改革が必要ではないかと私は思っております。

 金子総務大臣、やはりここは、政治がちゃんとリーダーシップを持って、本来ある、皆さん方が懸念されている点について、ちゃんとリーダーシップを持って対応策を、抜本的な見直しを求めるべきだと思っておりますけれども、御所見をいただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 湯原委員におかれましては、地方の財源について御心配いただいております。令和四年度におきましては、地方税の増収などにより財源不足を大幅に縮小し、折半対象財源不足は解消しているところでございます。

 今後とも、経済あっての財政の考え方の下、まずは経済を立て直し、地方税などの歳入の増加に努めてまいります。あわせて、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うことにより、財源不足をできる限り縮小するよう努めてまいります。

 その上で、引き続き、巨額の財源不足が発生する場合には、地方交付税総額確保の観点から、交付税率の見直しなどの議論も行ってまいります。

湯原委員 ありがとうございます。

 今、金子大臣から、先般来の本会議場の答弁と大体同じようなトーンかなと思っております。経済あっての財政ということと、国も併せて歳出改革をと。

 やはり、皆さん懸念しているのは、地方財政が毎年毎年不安がられるような状況を改善しなきゃいけないということでありまして、私自身は、国の財政危機、国、地方合わせて一千二百兆円ともなる財政危機が、最終的に地方財政においてもしわ寄せが来ているんじゃないか。大本の国が財政危機であるがゆえに、法定率もなかなか変えられない、あるいは、臨財債制度、借入金制度がこういう状況になってきているということを思っておりまして、やはり、地方財政を安定的なものにするためには、大本の国の財政をちゃんとしなければならないというふうに思っております。

 大臣は、経済あっての財政だということをおっしゃいましたけれども、私は、やはり、財政というものは安定財源を確保していくという立場に立っております。

 幾つかの提案をさせていただきたいと思います。

 一つが、財源確保の意味では、やはり、支出の面において税金の無駄遣いをなくす。税金の無駄遣いをなくすときには、今日午前中、鈴木議員が質問しておりますけれども、地方創生臨時交付金の話をしておられましたけれども、やはり、現場の自治体が使い勝手がいい、柔軟に対応できて無駄遣いのないようにできる、これが無駄遣いをなくすための方策の一つであると思っております。

 一方で、財源確保では、私の考え方でありますけれども、金子大臣とはちょっと違うかもしれませんけれども、安倍政権以降のこの何年間かで、法人税が二回、三回と減税になってまいりました。私は、応分の負担も、今日も吉川さんからもありましたけれども、四百八十兆円の内部留保もあるわけでありまして、やはり大企業に対しても応分の負担を求めていく、財源確保を図っていくべき。

 そしてもう一つは、岸田総理は、自民党総裁選挙のときに金融資産課税を表明されておりました。今、富裕層がどんどんとコロナ中であったとしても資産が増えていっている現状でありまして、こうした富裕層に対する金融資産課税、これを強化して財源の確保を図る。

 つまりは、国の財政のところをできるだけ健全化することによって、地方にできるだけしわ寄せをさせない、こういう対応が必要ではないかなというふうに思いますけれども、金子大臣の答弁をお願いしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 湯原委員から、様々な御提言といいますか、思いをいただきました。

 先ほど申し上げましたように、経済あっての財政ということで、まずは経済を立て直さなきゃいけないということもございます。そのことも含めて、国そして地方、それぞれしっかりと財源を確保できるようにこれからも努力をしていきたいと思います。

湯原委員 金子大臣、ありがとうございます。

 答弁としてはそういう答弁なのかもしれませんけれども、これからも確保していくという、委員会、本会議場でそういう答弁をされるわけでありますけれども、答弁だけでは実態の地方財政の危機というもの、あるいは国の財政危機というものは乗り越えられないのでありまして、やはり是非、政治がリーダーシップを持って立ち向かっていかなければいけない、私はそう思っております。まずこの点、申し上げておきたいと思います。

 そして、先ほど一つ目で、税金の無駄遣いを見直しをかける、無駄遣いをしないようにするためには、地方分権、地域の自治体が自分たちの裁量で柔軟にお金を支出できるようにした方がいいということを申し上げましたけれども、その点について関連して、これから質問をさせていただきたいと思います。

 皆さん方のお手元に、今日、資料を、何枚物かをお渡しさせていただいておりますが、まず、上から二、三枚のものは、これは、令和二年十月に全国の知事会が、地方分権推進委員会あるいは地方分権改革の推進に向けた研究会、全国の知事会が出した報告書から抜粋をしたものであります。三か所、三点について書かれたところを抜粋させていただきました。

 まず一つは、従うべき基準という記述がこれにはあるわけでありまして、一ページ目を御覧いただきたいと思います、従うべき基準。

 この全国知事会が令和二年に出した報告書の記述を見ますと、基本的方向として、「「従うべき基準」をはじめとして、制度の細かな運用の部分まで国の法令が関与するなど、地方が自ら意思決定するための自治立法権を十分に行使できない現状も依然として存在し続けている。」

 その下のパラグラフは飛んで、一番下の三、具体的な方向として、知事会が、この研究会が出した報告書の中身は、現状として、「地域の自主性を著しく制限する「従うべき基準」については、例えば、福祉分野においては百五項目にわたる規定が存在し、全国知事会等が行ったアンケート結果においても、「従うべき基準」による支障事例を多くの地方自治体が実感し、抜本的な見直しを求める声がある。」つまりは、従うべき基準によって、地方自治体がいろいろ支障があると。

 今日は、午前中、鈴木さんが、先ほど申し上げたように、地方創生の臨時交付金で使い勝手がいいという言葉がありましたけれども、それの裏腹で、反対のところで、従うべき基準が、結果的に、地方自治体が税金、予算を支出するときに非常にハードルになっているというか弊害を生んでいるという記述があるわけですけれども、この点についてどのような見直しを行うべきか、所見を求めたいと思います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からただいま御指摘ございましたように、地方公共団体の条例に委任する際、条例の内容を拘束する、いわゆる従うべき基準につきましては、平成二十年の地方分権改革推進委員会第二次勧告以来、これまで累次の見直しを進めてまいったところでございます。

 平成二十六年からは、地方からの提案に基づきまして地方分権改革を進めておりますけれども、例えば、平成二十九年提案に基づきます放課後児童クラブの従事者に関する資格、定数基準の見直し、令和二年提案に基づきます小規模多機能型居宅介護の利用定数基準の見直しなどが実現したところでございます。また、直近の令和三年提案におきましても、保育所等における居室面積基準に関する緩和期間の延長など、地方の自主性を強化し、自由度を拡大するための対応方針を閣議決定したところでございます。

 今後とも、地方公共団体からの提案に基づきまして、この従うべき基準につきましても、引き続きその見直しに取り組んでまいりたいと考えております。

湯原委員 少しずつだけれどもやっていますよという御答弁だったかと思いますけれども、依然として、全国知事会で、これだけの、支障事例という言葉まで使って報告をされているということは、国サイドとはちょっと見方が違うということをまず御認識いただきたいなと思っています。是非これは、現場に基づいた自治体の声をちゃんと聞いていただいて、改善できるところをしていただきたいなと思っています。

 同様に、この報告書に、計画の策定という項目があります。一枚はぐっていただいて、二ページ目を御覧いただきたいと思います。横のグラフであります。

 平成十二年、これが二〇〇〇年、地方分権一括法が施行になった年がそうでありますけれども、機関委任事務が廃止になったところであります。計画等を策定する、これを、国が自治体に計画等を策定させた数字でありますけれども、平成十二年に地方分権一括法の施行の翌年には百九十七件でありました、実際に計画を策定したものが。それが、およそ二十年間たって、実に計画の策定が倍になっている、三百九十件になっているわけであります。

 そもそも、地方分権の改革の論議が始まった平成四年に比べると、三倍までいきませんけれども、二倍強になっている。こういう状況でありまして、言葉では、国の姿勢としては、地方分権、以前の民主党でいえば地域主権と言っておりますが、権限を地方に移譲していきますよという方向性を言いながら、実態は、現場サイドでは、計画を作って、そこに財政的インセンティブを働かせているということであります。

 一枚めくっていただいて、三ページ目が、先ほどと同じように、令和二年十月の地方分権改革推進に向けた研究会報告書に、計画策定についての記述があります。この四角の箱の中ですね。これは、現状として書いてあるように、「国庫補助金の交付に当たっては、補助要綱が細部にわたって規定され、交付の要件として計画等の策定が求められるなど、国の過剰な関与が存在し、その対応に多大な労力を要するといった課題がある。」と。

 この多大な労力、つまり、省庁の皆さん方は、地方自治体に計画策定をと、補助金の要件のように言うわけでありますけれども、受け手の地方自治体からくると、やはり、職員の人数も限られますし、対応方が非常に労力がかかってしまう、こういう状況が見受けられるわけであります。

 そして、その下に書いてあります、「財政的なインセンティブを絡めるケースが増加傾向にあり、法令だけでなく、通知等に基づいて計画等の策定を求める事例も存在している。 こうした傾向は、」下線部に入ります、「第一次地方分権改革後に、引き続き国が地方に対する関与を維持しようと意図し、「努力義務」又は「任意」による計画等の策定を促し、場合によっては財政的なインセンティブを絡めることによって地方を誘導しようとする手法に転換したものと推察される。」これは全国知事会の研究会の報告書であります。

 これが令和二年にありまして、これに基づいてかどうかは分かりませんけれども、昨年十一月の国と地方の協議の場、私、これ以降の国と地方の協議の場の議事録と全国知事会の議事録をずっと拝見をさせていただきました。そして、この計画の策定についての記述を見たわけでありますけれども、国と地方の協議の場、昨年十一月十二日、計画づくりが、今、地方の大きな課題になっています云々、こういうことでありますね。

 そして、それに対する答えとして、野田担当大臣は、「地方分権改革というのは、地域が自ら発想と創意工夫をもって課題解決を図るための基盤であります。」こうおっしゃっているんですけれども、具体的に何をどうするかというふうには受け取られないのであります。地方分権を進めましょうよと言っているけれども、具体的に、野田大臣は、残念ながら答えていらっしゃらないということであります。

 そしてもう一つ、昨年の十一月二十六日、これは全国知事会の議事録から拝見させていただいたものでありますけれども、広島県知事ですね、湯崎さんが、「法令等に基づき、地方に課せられている行政計画がございますが、補助金交付条件になっているようなものもありまして、策定に係る事務負担と併せて、地方の自主性を損ねるものであるというふうに考えております。制度的な課題として、計画策定などを規定する法令の見直しや計画の統廃合などの見直しを行っていただきたいと思っております。」こう意見を言っていらっしゃって、知事会で。

 岸田総理は、下に書いておりますけれども、御指摘の計画策定等を含め、地方の自主性、自立性、これを高めるための改革と考えております。具体的に答えていらっしゃらない状況でありまして、実際、依然としてこの計画によって、地方自治体が国から財政的インセンティブも絡められながら、自主性が損なわれている。

 冒頭申し上げたように、予算の使い方として、現場に合っていない、柔軟な対応ができない状況があるのではないかというふうに思いますけれども、これについての御所見を求めたいと思います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘ありました計画策定等につきましては、計画策定に関する法律の条項数がこの十年間で約一・五倍に増加していることを踏まえまして、令和三年の地方からの提案募集における重点募集テーマとして設定した上で、寄せられました二十九件の地方からの提案につきまして、地域の自主性を強化し、自由度を拡大するための対応方針を昨年末に閣議決定したところでございます。

 加えまして、この対応方針におきましては、計画策定等につきまして、「地方の自主性及び自立性を高めるための検討を引き続き行う。」とされたことから、内閣府の地方分権改革有識者会議の下で開催されております、計画策定等に関するワーキンググループにおきまして、見直しの視点等について御議論をいただいているところでございます。

 今後、これらの議論を令和四年の提案募集に反映し、地方からの提案に基づき、見直しの検討を更に進めてまいりたいと考えております。

湯原委員 ありがとうございます。

 内閣府からありましたけれども、金子総務大臣、今の計画の問題ですけれども、知事会あるいは国と地方の協議の場、様々なところで、この計画策定が重荷になっている、あるいは財政的インセンティブを絡められて、やはり、簡単に言うと不本意だという声が上がっているわけでありますけれども、この点について、先ほど内閣府の方から答弁があったわけでありますけれども、所見があれば求めたいと思います。

金子(恭)国務大臣 湯原委員御指摘の自治体の計画策定については、今、内閣府の方から御答弁いただいたわけでございます。私も、国と地方の協議の場には出席をさせていただいているわけでございますが、地方からの提案に基づいて見直しの検討が進められているものと承知をしております。

 総務省としても、国が、自治体が関わる制度を設ける際には、自治体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにすることが重要と認識しております。政府として、地方分権改革を進める中で、法令上の義務づけ、枠づけの見直しなどを推進してきております。

 今後とも引き続き、自治体側の御意見も伺いながら、計画の策定や記載内容の義務づけを緩和をし、自治体の事務負担を軽減するなどの観点から、必要な意見を各府省に述べることなども含め、内閣府とも連携しながら取組を進めてまいります。

湯原委員 時間の関係で、次に移りたいと思います。

 先ほど、国と地方の協議の場、金子総務大臣も御出席されているということはありましたけれども、これについて、この報告書を見ますと、次のページでありますけれども、ここで求められているのが、分野別の分科会を是非設置していただきたいという地方の声があります。あと、開催申出を、地方から開催申出に応じてもらうようにできないか。あるいは、協議結果の遵守義務等々挙がっております。

 あるいは、報告書の中では、中略でありますけれども、箱の中の下の部分でありますけれども、地方との事前の十分な調整がないまま、新たな事務や義務づけ、枠づけに係る規定が設けられる場合があるため、内閣提出法案に関して制度化されている意見提出権やその前提となる事前情報提供制度などのような地方の意見を反映させるための仕組みが求められると。そして、中略があって、実務レベルでも国、地方の協議を行うことが必要ではないか、こういう報告書の中身になっております。

 そして、それを受けて、昨年六月の知事会でも、要望の中で、分野別の分科会を設けてほしいということが挙がっております。

 ここにもう一つあるのが、国と地方の協議の場については、地方からの申出、これも同じような記述があるわけであります。

 そして、昨年十一月に、これは知事会であります。長野県知事でありましたけれども、これは、脱炭素社会に絡む長野県知事の発言の中で、新たな法制度やルールの創設、規制緩和等の社会の様々な仕組みや価値観の変革が必要であります、国と地方が一体で取り組まなければなりません、そのため、国と地方の恒常的な協議の場の設置をお願いしたい、つまりは、脱炭素で分科会を設けてほしいという、こういう御意見ではないかなというふうに思っております。

 これに対して、岸田総理は、伺ってすぐであったかと思いますけれども、国と地方が密接に連携して対策を進めることが重要であると。これは言うまでもないことであります。ある意味で、具体的には答えていらっしゃらないわけであります。

 そして、十一月二十六日の知事会で、先ほどの広島県知事も、全国知事会地方分権推進委員会の委員長として発言させていただきます、現在設置されております国と地方の協議の場の前段として、分野別の分科会、これを是非お願いしたい、こういうふうに要望をされているわけであります。

 この国と地方の協議の場では、様々な要望が出てきております。先ほど申し上げたように、分科会の設置であったり、あるいは開催申出に応ずる義務、協議結果の遵守義務、あるいは内閣提出法案に対しての意見提出権等々の、こういうシステムをつくったらどうか。あるいは、実務レベルの国と地方の協議の場を設けたらどうか。こういう意見が出ているわけでありますけれども、この点について、対応策、お考えになっているところがあればお伺いしたいと思います。

寺崎政府参考人 御答弁申し上げます。

 国と地方の協議の場は、平成二十三年の法施行以来、着実に開催実績を重ね、これまで、地方分権改革、地方創生、骨太方針や予算編成など、国の重要政策について幅広く議論したところでございます。地方からは、国と地方の実効性のある対話の場として期待、評価されているものと認識しております。

 また、こうした国と地方の協議の場での対話に加えまして、関係大臣と地方の代表等との間で個別テーマに関する協議や意見交換会を随時行っているものと承知しております。

 引き続き、こうした様々な協議の場などを活用し、地方の声に十分耳を傾けてまいりたいと考えております。

湯原委員 内閣府の方、ありがとうございます。

 大臣と各自治体で、個別に協議の場もつくっていますよということで、今後もしていきますということですけれども、地方側として、地方六団体、特に知事会の方で納得していたらこういう発言になっていないと思うんですね、分科会を設けてくれとか様々な点。是非こうした点、改善するところを、地方の声に基づいて改善していただきたいなというふうに思っています。

 私も議事録を見ました。内閣府としては一生懸命やっていらっしゃるということでありますけれども、私も認めますが、議事録を見ますと大体形式的になっております。最初に総理が発言をする。六団体の長である知事会のトップが発言をする。そこでマスコミが引く。そして、その後、六団体がそれぞれ要望事項を、簡潔にまとめてくださいといって言われる。それを六団体が言った後に、総理はもう引けてしまって、各大臣が答える。総時間が大体四十五分から一時間弱で、国と地方の協議の場は終わってしまう。これが年に三回。こういうことであります。

 やはり、実務レベルの協議を持ってくださいということもあると思いますけれども、こうした国と地方の協議の場がより実効性高いものに、形式的ではなく実効性高いものにしていただきますようお願い申し上げて、あと金子大臣から御所感があればお伺いして、質問を終わりたいと思います。

金子(恭)国務大臣 湯原委員からは、地方の立場に立って様々な御意見をいただきました。

 自治体と国とが緊密に連携協力して様々な課題に立ち向かっていくことが重要であります。法律に基づく協議の場に限らず、様々な機会を通じて地方の声を十分に伺っていくことが重要だと考えております。ありがとうございます。

湯原委員 終わります。

赤羽委員長 次に、阿部弘樹さん。

阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹でございます。

 私は、総務委員会、どんな仕事をしているのかなということで、総務省の仕事について資料を読んでおりますと、行政評価局の調査というのが目に留まりました。

 会計検査院の検査、それと並んで総務省が行う行政評価・監視というものが、ほかの省庁にも様々な鋭い視点で取り組んでいることに非常に深い感銘を受けまして、そして、いい仕事をなさっているなということで、まず、この仕事、総務大臣に意義についてお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

金子(恭)国務大臣 阿部委員におかれましては、行政評価・監視の意義について御質問いただきまして、心より感謝申し上げたいと思います。

 総務省が行う行政評価・監視は、各府省と異なる立場から、政策効果や業務運営上の課題を実証的に把握、分析をいたしまして、改善事項を関係府省に指摘し、改善を促すものであります。

 行政評価・監視を実施するに当たっては、現場主義を徹底するとともに、行政相談委員や国民の生の声にしっかり耳を傾けることを心がけ、国民に信頼される行政、効果的、効率的な行政の実現に貢献できるよう、全力で取り組んでまいります。

阿部(弘)委員 ありがとうございました。

 その評価調査報告書、見ておりますと、二つの調査報告に関心を持ちましたので、質問させていただきます。

 まずは、火山防災対策、これは、御嶽山の噴火の後にこういう調査が行われ、市町村の進捗状況を調べられたと思います。実際は霧島などでございますが、こういう火山、火山予知連絡会は、五十か所の火山について、そう遠くない時期に噴火が見られるだろうということでございます。自主的な改善を期待するわけでございますが、シェルターなど、そういったものをお造りになる。

 この火山防災対策の評価・監視については、総務省はどのようなレポートをお作りになられたか、お答えいただければありがたいですが、お願いします。

三浦大臣政務官 御質問にお答えいたします。

 最近の火山活動の活発化、委員の御地元の九州地方では、九つの常時観測火山を抱えているといった理由から、火山防災対策には非常に御懸念、御関心をお持ちであると私の方では理解しております。

 先ほどおっしゃっていただきましたように、本行政評価・監視は、平成二十六年九月の御嶽山噴火を契機に改正された活火山法に基づく取組状況、市町村に対しまして、自治体に対しまして、令和二年度から調査を行っておるところでございます。

 令和三年七月には、霧島山における取組の現状について先行して取りまとめまして、火口ごとに、関係する市と町全てで避難計画を策定していること、一方で、避難促進施設の指定が難航している例があることなどを公表したところでございます。

 現在、霧島山のほか、大雪山、磐梯山、白山も調査を進めておるところでございまして、その結果を踏まえまして、関係行政機関に必要な改善を促すこととしておるところでございます。

阿部(弘)委員 こういう火山がある自治体というのは、ともすれば、小さな村であったり、小さな町であったりするわけでございます。是非とも、交付税、そういった点でも、防災にしっかりと予算配分が行くようにお願いしたいと思っております。

 また、最近は、海底火山、トンガの火山噴火は皆さん御記憶に新しいところと思いますが、また、鹿児島県の火山や、あるいは洋上の火山噴火は、枚挙にいとまがないというふうに思っております。是非とも、そういった視点も、総務省の皆様方あるいは関係省庁の皆様方が関心をしっかり持って、早めの対応をしていただければいいなというふうに私は思っておるところでございます。

 次に、行政評価レポートの中で、少し、他省庁のことでございますが、国立大学への入学時における保証人契約の適正化に関する実態調査。もうそろそろ、国立大学の入学試験も終わって、四月には入学が始まるんじゃないかなということでございます。これは非常に、私は、面白い、行政評価局がいい仕事をしたなということでございますが、そのレポートの概要をお願いしたいと思います。

三浦大臣政務官 お答えいたします。

 国立大学への入学時における保証人契約の適正化に関する実態調査は、総務省に寄せられました行政相談をきっかけに、国立大学が入学手続に際して学生に提出を求めている保証書の実態について調査したものでございます。

 私自身も、大学生、さらには受験真っただ中の子供を抱えている身でありまして、非常に関心の高い御質問をしていただいたなと思っておりますけれども、調査の結果、保証人の具体的な責任範囲が明らかではない、連帯保証人とすべきところを保証人と記載するなど、契約の種別が正確に記載されていない、また、保証金額の上限を定めることとされた民法改正に対応しておらず、無効な契約となっている、こういった事例が見られました。

 このため、保証を求める場合には、保証内容を具体的かつ正確に記載すること、改正民法に対応して保証金額の上限を定めた契約を締結すること等について、全国の国立大学に見直しを促すよう文科省に求めたものでございます。

阿部(弘)委員 ただいまお答えいただきましたように、調査結果は、保証書等の書面上は学校が求める具体的な保証内容が不明なもの、あるいは保証契約の種別に係る学校の認識が保証書等の記述と異なっているもの、あるいは改正民法に全く対応していないものなどがあるわけでございます。

 具体的には、事例一では、学校は保証人に対して、授業料の納付、不法行為等の損害賠償についての金銭保証や、身分異動の同意など学生の身分に係る役割を求めています。しかしながら、保証書等の書面では、本人在学中に生じた一切の義務との抽象的な記述になっており、学校が求める具体的な内容は分からない。あるいは、インフルエンザ等に罹患したときの連絡対応について、インフルエンザ等に罹患したときの連絡対応及び自家用車による送迎など。あるいは、連帯保証、責任が重い連帯保証と保証人が余り区別されていない。そもそも、民法では成人年齢が引下げになる、こういうときに、こういう保証人制度を設けているということでございます。

 余り本委員会の趣旨と外れてはいけないと思いますが、令和二年の四月一日に民法が改正され、保証契約、金銭債務に関する保証に関しては、その限度額を書かないとそもそも契約が無効となりますよということが民法改正になってありますが、その対応も行っていないということでございます。

 今後も、このようなことを、何らかの御指導をいただけるのかどうか、文科省の方にお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学への入学時における保証人契約、これは、一般的に、授業料や寄宿料といった債務の保証でございますとか、在学中、学生に学則等を遵守させることの保証などの趣旨で各国立大学法人の判断で設けられているものと考えております。

 御指摘いただきました昨年の行政評価の指摘を受けて、国立大学の入学時の保証人の在り方については、昨年二月、各国立大学法人に対しまして、保証人契約の必要性についていま一度検討するとともに、保証人契約を締結する場合には、今御指摘いただきましたような内容の明確化や金額の上限の明記など、関係法令に沿った適切な方法で行っていただきたいという旨の注意喚起を行っているところでございまして、今後も適切な対応を促してまいりたいと考えております。

阿部(弘)委員 国立大学もそれぞれ法人化されまして、御指導の方もなかなか難しいところはあると思いますが、民法が改正されておりますし、様々な入学者に、十八歳以上の大学生でしょうから、契約を交わされるときには、法令を遵守したしっかりしたものになっていただきたい、そのような御指導を賜りたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 次は、行政不服審査法についてであります。

 私も、短い期間ではございましたが、霞が関に、旧厚生省に所属しておりまして、免許の、資格の取消しを行ったことがあります。当時、資格の取消しを行って、審査員は、当該処分を行った課じゃなくて、官房の課長補佐さんに審査員を行っていただきました。いずれにしても、申立人と、それと申立てを受ける処分省庁と、それと審理員が同じ省の中でその処分を決めてしまうということが、今から、そうですね、二十数年前の制度でございました。しかし、平成二十六年に改正されまして、本当によかったなというふうに思っておるところでございます。

 しかし、一方では、私は、厚生省を辞めた後に、小さな町のふるさとの町長をやったんですが、町長をやりますと、行政不服審査、例えば、生活保護も含めまして、いろいろな不服の申立てがあります。法的にそれを不服審査まで設けることはないわけで、窓口でいろいろ住民の方と話して済むことが多いんですが。しかし、この不服審査法を見ますと、どうも小さな自治体にもこういうものをつくってくれと。なり手がいないんですね、なり手がいない。ましてや、なろうとする、審査を行う人にしっかりと研修を行っていただきたいということは、常々思っておるところでございます。

 この行政不服審査法を読めば読むほど深いものがありまして、法定受託事務であった場合には、その不服申立てが例えば国交省に行ったりするわけなんですよ。

 そういうことで、自治体間の不服申立てについても、これは不服審査法の対象になってくる。情報公開についても、非常に不服審査の対象になっていくのかなと思ったりもするところでございます。

 是非とも、不服審査法が二十六年に改正された趣旨に従って適切に運用されることが大切でございますが、この法の改善に向けた検討会最終報告を踏まえて、総務省はどのように地方自治体への支援を行うのか、お答えいただければ幸いでございます。

三浦大臣政務官 お答え申し上げます。

 御指摘の検討会は、令和三年五月から十二月の間に六回開催しておりまして、本年一月に最終報告を公表したところでございます。

 検討会の最終報告におきましては、地方公共団体の支援に関し、審理手続の担い手の確保、育成や、不服申立てに対応する体制の整備などの二つについて、特に積極的な改善を図るべきとの指摘を受けておるところでございます。

 このような指摘を踏まえまして、総務省といたしましては、まずは地方公共団体の職員に対し、実践的な研修の充実を図ってまいります。さらには、地方公共団体からの相談に対する窓口の設置や、審理員等をサポートする人材を派遣する仕組みなどを整備してまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。

阿部(弘)委員 ありがとうございます。

 これからも、行政行為に不服を申し立てるというものは、住民、国民である場合もありますし、自治体である場合もあります。それぞれの不服申立て制度というのは非常に大切でございますので、是非ともよろしくお願いします。

 それでは、次に移らせていただきます。

 出生届。出生届というのは戸籍でございますから、本来は法務委員会かもしれませんが、しかし、分権一括法で、この事務というのは法定受託事務になり、基準財政需要額でも交付税の積算になっていると思いますが、その点はいかがでございましょうか。参考人の見解をお願いします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方団体の戸籍事務に係ります人件費につきましては、普通交付税の基準財政需要額におけます単位費用、戸籍住民基本台帳費において措置しているところでございます。

阿部(弘)委員 ありがとうございました。

 私は医師でございまして、実は、医師免許を取って二年間、研修医の頃は、養育院、渋沢栄一さんがおつくりになられました養育院の附属病院を前身とする東京都の老人医療センターに勤務しておりました。老人医療センターでございますから産科と小児科はありませんが、お隣の豊島病院に産科と婦人科の研修に行きまして、産婦人科も二か月ほど研修、実際、臨床医として行ってまいりました。出産も何例か取り上げております。

 出産の場面というのは、医師や助産婦、看護師がいなければ、母親と子供だけの世界でございます。古い時代は、そこに、家の者がお産に立ち会い、そして様々な支援を行ったということは容易に想像できます。私は昭和三十六年生まれですが、この時期が施設分娩と自宅分娩のちょうど境の時期でございます。統計上は半数の方が自宅で分娩を終えられた。

 この度の内密出産のこと、国民民主党の代表質問の中にも出てきましたが、内密出産のことについて私はお伺いしたいというふうに思っております。

 熊本の慈恵病院、予期せぬ妊娠をした女性の孤立出産を防ぐために、病院以外に身元を明かさず出産する内密出産について、独自に導入されたということでございます。

 私も少し勉強しましたら、「こうのとりのゆりかご」、こちらはお子さんを預けるということで、氏も名前も全く明らかにされない。しかし、内密出産の場合は、お母さんがその施設で分娩されるからお母さんの名前は分かるが、その名前は公表してほしくないということでございます。

 その辺のところを、把握してあるところを、もしよろしかったら、法務省の方、お聞かせ願えますでしょうか。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 御質問は、「こうのとりのゆりかご」と内密出産におけるそれぞれの戸籍の記載事項ということでよろしいでしょうか。

 まず、「こうのとりのゆりかご」に預けられたお子さんにつきましては、その後に父母が判明しない限り、戸籍法五十七条に定める棄児として取り扱われるということになります。

 同条によりますと、棄児につきましては、その子を発見した者又はその子を発見したとの申出を受けた警察官の申出に基づきまして、市区村長が調書を作成し、これに基づき戸籍に記載されるということにされております。

 ただ、この場合には、その子の父母は不明であるということになりますので、戸籍の子供の父欄及び母欄は空欄となりまして、その氏名欄には市区町村長がつけた氏名が、本籍欄には市区町村長が定めた本籍が記載されることになります。

 また、内密出産により出生したお子さんにつきましては、棄児には直接は当たらないものの、日本で生まれ、子の父母を把握することができないため、市区町村長が職権で子の戸籍記載をする場合には、棄児に準じて、同じように、子の父欄及び母欄は空欄とし、その氏名欄には市区町村長がつけた氏名が、本籍欄には市区町村長が定めた本籍が記載されることになるということでございます。

阿部(弘)委員 私も厚労省を辞めた後に町長をしましたが、棄児の出生届を受理することはありませんでした。ですから、名づけ親になることもなかったわけでございます。

 しかし、この制度というのは、何も世界的に珍しいことでもないし、日本でも珍しいことではないというふうに私は考えております。

 実は、先ほど養育院のお話をさせていただきましたが、戦災孤児の方々を多く、渋沢栄一さんがつくられた養育院でございますが、養ってこられた。その際、戦災孤児、もちろん、自分の名前が言える子供たちは親のことや住所のことの記憶もあるかもしれませんが、戦災孤児の中にはよく言葉をしゃべれない子供たちもいたように思います。

 終戦後のそういう棄児の扱いについて、戦災孤児の扱いについてはどのように取り計らわれたのか、お聞かせ願えれば幸いです。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 当時の取扱いでは、児童相談所が関係機関などを通じて調査をしても本籍、氏名、生年月日、父母の氏名などが判明しない戦災孤児につきましては、先ほどの戸籍法五十七条を適用して、棄児として取り扱うことが可能とされていたところでございます。

 もっとも、そのようなケースにおいても、本人のため、法令によって法定代理人の職務を行うべき機関などにおいて、戸籍法第百十条の規定により就籍の手続といったことを取ることが望ましいとされていたところでございます。

 したがいまして、戦災孤児の方につきましては、これらのいずれかの方法で戸籍に記載されていたものと承知しているところでございます。

阿部(弘)委員 ドイツでは、もう内密出産が余りにも実例として多くて、それを後追いする形で行政の仕組みができてまいりました。フランスも、内密出産については同様でございます。

 私も、海外旅行やあるいは留学中に美術館に行きますと、三位一体の絵というものが必ずあります。聖霊が聖母マリア様に祝福のメッセージを送り、おなかの中に子供が宿ったと。ですから、そういう宗教観もそういう国々にはあるのかもしれないなというふうに思っておるところでございます。

 国会が中心になって、あるいは行政が中心になってこの仕組みが制度化されていくことも日本ではあり得るかなというふうに願っているところでございますし、一方、この慈恵病院というところはキリスト教の病院でございます。そういったものも何か御縁があるのかなというふうに思っております。

 ちょっと時間は早いんですが、内密出産、母親の氏名、情報というのは一人の方に知らせられると報道で伺っております。そうすると、お子さんが成人に達する時期にその情報というのは知り得ることができるんでしょうか。もしよかったら、そのことについてお聞かせ願えれば。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる内密出産により出生したお子さんの対応につきましては、今議員の方で御指摘がありました、子の出自を知る権利といいますか、そういった権利を含めまして、様々な課題があると認識しているところでございます。

 ただ、戸籍について言えば、先ほど申し上げましたように、出生届が提出されない場合であっても、国籍法によりそのお子さんが日本国民となる場合には、無戸籍となることで各種の不利益を被ることがないよう配慮をする必要性が高いと考えられることから、法務省としては、戸籍を作る取扱いを予定しているところでございます。

 御指摘の、内密出産により出生した子の出自を知る権利をどう考えるかなどにつきましては、そもそも、内密出産の当否やその在り方に係る議論を含め、様々な角度から検討されるべき事柄であると認識しているところでございます。

阿部(弘)委員 この戸籍業務というのは市町村長が行う業務だということを最初に説明していただきました。是非とも、この総務委員会や法務委員会、あるいは国会の先生方が大いなる議論をしていただき、また政府とともにその仕組みができることを希望いたしまして、時間は少し早いですが、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、沢田良さん。

沢田委員 日本維新の会、埼玉の沢田良です。

 先月、航空自衛隊のF15戦闘機が石川県沖の日本海に墜落した事故で、隊員二名の死亡が確認されました。我々の当たり前の日々は、見えない場所で日々命を懸けて行動してくださる方々によって守られていることを再認識いたしました。我が国の防衛のために尽くしてきた最新鋭の操縦者である二人の貴重な命が失われたことは、痛恨の極みであり、御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。同時に、心よりお二人に御冥福をお祈り申し上げます。

 今回の予算計画に、消防、防災についてのものがありました。常に危険と隣り合わせの消防職員の皆様、消防団員の皆様の現状や今後の取組を理解し、更なる消防防災力の強化につながるような質問や提案をさせていただきたいと思っております。

 本日も、金子総務大臣、関係省庁の皆様、委員部の皆様、よろしくお願いいたします。

 我が国日本は、海と山に囲まれ、水資源が多く、四季に彩られた美しさと豊かな自然に恵まれております。その一方で、自然がもたらす災害に関するニュースや話題も頻繁に耳にします。外国に比べて、台風、大雪、洪水、土石流災害、地震、津波、火山噴火などの自然災害が発生しやすい国土です。例えば地震では、日本の国土の広さは全世界の一%にも満たないのに、世界で起こる地震の二割は何と日本で発生しています。自然災害による被害額も、全世界の被害総額の二割以上を日本が占めています。

 このような災害大国である日本は、更なる危機も想定されております。例えば、今後三十年の間に約七〇%の確率で発生するとされている南海トラフ地震と首都直下型地震です。

 国土交通省ホームページによると、南海トラフ地震において想定される被害は、太平洋沿岸の広範囲において強い揺れが発生し、巨大な津波が短時間で沿岸に襲来、最大で死者は約三十二万人、経済的な被害は約二百二十兆円に上り、都市機能の麻痺等の深刻な事態も想定されます。

 また、首都直下地震では、首都圏全域に強い揺れが発生し、最大で死者は約二万三千人、被害額は約九十六兆円になるなど、甚大な被害の発生が予想されています。

 このような災害が起これば、経済の機能は麻痺し、国家的危機に陥ることは間違いありません。

 また、近年、集中豪雨、台風、地震、豪雪などの自然災害が頻発化、激甚化、そして広域化する中で、人命に直結する発災時の応急対策がより重要となっていること等を踏まえ、消防防災力を一層強化に向けた緊急防災・減災事業費の対象事業の拡大は急務であると考えます。消防本部における災害対応ドローンの整備、消防緊急デジタル無線の機能強化、応援職員の受入れ施設等の整備、連携協力によるはしご自動車等の整備など、どれも必要な提案と考えます。

 私は、特に災害時におけるドローンの利活用を進めていきたいと考えております。理由は、消防、防災は、助ける側も助けられる側も、命に直結する状況があるからです。

 質問させていただきます。消防、防災に関わる消防団員、また消防職員の方々の殉職者数、また負傷者数を直近二年分、教えていただけないでしょうか。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 令和元年の公務中の死傷者数につきましては、消防職員は死者八名、負傷者は千二百六十名、消防団員は死者四名、負傷者は九百六十九名となっております。

 令和二年は、消防職員は死者六名、負傷者は千百二十七名、消防団員は死者一名、負傷者は二百九十七名となっております。

沢田委員 どうもありがとうございます。

 これだけ時代が先に進んでも、こうやって命を懸けて私たちの当たり前の暮らしを守ってくださる方がいることを痛感いたします。正直、これだけ多くの方が亡くなっている、我々の暮らしを守っていただくために動いていただくというのを実はこうやって初めて聞きました。元年で合わせて十二名、令和二年で七名。

 事前に消防庁の方から少しお話を聞かせていただいた内容として、令和二年度はコロナの影響もあり、消防団員の皆様の活動は少なかったというふうにお伺いしておりますが、やはり、こういった中で多くの方々が、大変な負傷と、そして命を懸けて私たちの暮らしを守っていただいている。これについては、本当に私たち、命を守るためにこの国の役割を担っている国会議員として、大変な重責を持っていかなければいけないというふうに思っております。

 余談とはなりますが、私のいとこは数十年にわたり地域消防団員をしており、昨年、藍綬褒章をもらいました。

 消防団員は正規の消防職員とは違い、非常勤公務員となり、仕事をしながら参加する方もいらっしゃいます。地域防災を担う大変重要な役割となりますが、報酬は団員で年額三万六千五百円、団長でも八万二千五百円となります。地域により違いもあるとは思いますが、何かあれば命を懸けて動くことに消防職員も消防団員も変わりはありません。殉職者も出るほどに大変危険な役割でもあります。

 質問です。殉職してしまった消防職員、消防団員への個々の補償内容、またそれに付随するような内容について、ありましたら、できるだけ詳しく教えてください。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 消防団員で亡くなられた方の公務災害補償につきましては、消防組織法に基づく制度となっておりまして、例えば勤務年数ですとか階級に応じまして基礎的な金額がまずは定まりまして、それを踏まえまして、遺族補償年金ですとか、葬祭の補償費、お葬式の補償費ですとか、遺族特別給付金ですとか、遺族特別援護金ですとか、あるいは奨学援護金といったような、一時金ですとか年金も含めたトータルでの支援ということになっております。

沢田委員 済みません、消防職員の方も教えてもらっていいですか。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 消防職員につきましては、平均給与額を基本的な基礎といたしまして、遺族の補償年金ですとか、あるいは先ほど申し上げましたようなお葬式の補償ですとか、あるいは遺族の特別の援護金ですとか、そういったような、年金と一時金とを含めた制度となっております。

沢田委員 ありがとうございます。

 ちょっと金額が分かりづらいので、できれば金額で教えていただきたいと思うんですけれども、多分細かい仕組みでなっていると思うので、一時的に支払われる金額というところでの比較で、もう一度教えていただけませんか。消防職員と消防団員で、一時的に支払われる金額ですね。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 例えばでございますけれども、一つの例といたしまして、殉職した職員の方が、奥様がお一人と十八歳未満のお子さんが二人で、平均給与額が日額一万円といったような消防職員の方の例で申しますと、葬祭補償が一時金で六十一万円、遺族特別援護金が一時金で千八百六十万円、遺族特別支給金が一時金で三百万円でございます。

 消防団員の方でございますけれども、これも、例えば、在職年数十年未満の副分団長さんで、扶養の御親族が奥様と小学校と中学生のお二人というような例で申し上げますと、一時金につきましては、葬祭補償費が六十九万円、遺族特別支給金が三百万円、遺族特別援護金が一千八百六十万円、奨学援護金が年額で三十八万円ということになっております。

 以上です。

沢田委員 済みません。ちょっと、多分質問内容がお答えづらかったと思うので、申し訳ありませんでした。

 やはり、こういった補償の体制がしっかりしているかどうかというのは、いろいろな分野といろいろな状況で考えていかなければならないと同時に、その中で、年度年度、ほぼ毎年のように殉職者が出ている。これは消防職員の皆様の中にも、そして消防団員の皆様にも出ているという現状の中で、しっかりと議論をしていかなければいけないというふうに思っております。

 別の質問をさせていただきます。

 今、私の地元でも、地域の消防団員が高齢化が進んでしまっている、又はなり手が少ない、こういった声を大変多く聞きます。我々政治関係者は、地方議員の皆様で消防団に入られているという方が多いので、どうしてもやはり、今いらっしゃる皆さんも、大変身近なところに消防団というものがあると思います。

 けれども、普通に暮らしている方々にとっては、余りこの消防団の存在を知らないという方もすごく多くて、私は今、学校のPTAの会長もやっているんですけれども、そういう中で、いろいろなところからそういった声を集めたときに、まず知らないということをお伺いします。

 こういったことも含めて、今後なり手を増やしていったり、又は、今実際何を抱えているのか、こういったことを消防庁の方はどう判断されているのか。こういった組織体制の中での高齢化やなり手不足など、顕在化している問題もありましたら、是非教えていただければと思います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 消防団員数は、令和元年四月一日現在で八十万四千八百七十七人と、三年連続で一万人以上減少し、六十歳以上の方の割合は、平成二十年度の二・九%の倍以上となる七・六%となり、高齢化も進んでおります。

 総務省消防庁では、消防団員の確保に向けまして、消防団員の報酬等の処遇改善を図りますほか、来年度の予算案に消防団の力向上モデル事業として二・五億円を計上いたしておりまして、例えば、消防団員等による小中学校などでの防災教育の充実、また、女性や若者が消防団活動に参画するための工夫など、全国の先進的な取組を支援することとしております。

 また、災害時におきまして消防団がより効果的な救助活動を行えますよう、消防団設備整備費補助金の対象にドローンを追加するなど、装備の充実も行っております。

 これらの取組を進めまして、消防団の高齢化と団員数の減少に対応してまいります。

 済みません、先ほど冒頭で、団員数につきまして、令和元年と申し上げたかと存じますが、令和三年の四月一日でございます。

沢田委員 御丁寧にありがとうございました。

 やはり高齢化がかなり進んでいるなということと、一万人ずつ減られているということがまた同じように続いているなというふうに感じます。是非、現場からも更に声をまとめていただき、今後、引き続き改善をしていただければと思います。

 また、組織体制については、地域消防という面だけでなく、やはり地域の自治会、こういったものを含めて、どうしても、共助の部分の仕組みが私は地域で崩れてきてしまっていると思っています。どうしても、そのなり手でも、私の自治会でも、私が今四十二歳ですけれども、次がもう五十代ぐらいになってしまって、更にその上が一気に七十代、八十代になってしまう。四十人集まっても、そのうち六割、七割がもう七十代を超えているというような形で、しっかりと地域を守るための動きは続けていっても、どうしても、これから共助の在り方を考えていかなければいけないというふうに思っております。

 消防団については、特に私たちの暮らしを守っていただく大変充実した活動となっておりますことを考えると、新しい取組をして地域の消防団への参加を促すと同時に、ドローンなどの先端技術を取り入れて消防を担っていく仕組みを同時に進めていくべきと考えます。

 先ほども立憲民主党の奥野委員からも御指摘ありましたが、消防団員への直接支給について、税の在り方の議論も、なり手不足の中、不利にならないよう、しっかりと取り組んでいただければと思います。

 消防や防災といった命に関わる手段としてドローンを考えていくときに、ドローンの生産や技術保有についても考えなければなりません。

 現在、日本製ドローンの世界シェアは四%と言われており、日本で出回るドローンはほとんどが海外製品となります。また、二〇一七年にアメリカ軍がDJI製品のドローンを禁止した例などを考えれば、安全保障の観点からも、ドローンの拡大を意識しなければならないと考えます。

 質問です。政府として、何か指針を持って進めているということはありますか。また、その取組で具体的に動いていることがございましたら、紹介もお願いいたします。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 ドローンは、人口減少や少子高齢化といった我が国が抱える社会課題の解決に資する有力なツールとして期待されている一方、諸外国ではドローンを用いたテロ事案も生じておりまして、その使用方法によっては、国民生活や経済活動に影響を与えることが懸念をされます。

 このため、政府としては、ドローンの利活用拡大と、安全、安心の確保の両面から政策を推進することが必要であると考え、平成三十年十月に内閣官房に小型無人機等対策推進室を設置し、小型無人機に係る関係府省庁連絡会議や小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会を開催し、関係施策の整合的な推進や、技術開発や利活用に関するロードマップを作成するなどの取組を実施しているところでございます。

 今後とも、関係省庁等と連携しつつ、ドローンの利活用拡大と、安全、安心の確保を車の両輪として、政策を強力に推進してまいります。

沢田委員 ありがとうございます。

 消防は市町村単位の動きとなり、安全保障は国家全体の動きとなりますことで、一体となって動くのは少々難しいとは思いますが、是非、細かな情報共有を含めて、垣根を越えて、安全で安心できる体制づくりに御協力いただければと思います。

 少し話がそれるのですが、今ちょっと御説明いただいた内閣官房小型無人機等対策推進室というのがあるのを初めて知ったのですが、どのような構成で、どういったことに取り組む組織なのか、御紹介いただけませんか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房小型無人機等対策推進室につきましては、内閣官房に設置された部屋としまして、関係省庁から出向された職員から成り立っております。経済産業省もそうでございますし、国土交通省、警察庁といったところから出向いただきまして、その組織を運営しております。

 また、先ほど申し上げました関係府省庁連絡会議であるとか、それからあと、民間と合わせました官民協議会といったものを主宰するということとともに、ドローンの政策全体を描きましたロードマップといったものを策定して、整合的な施策の推進に努めているところでございます。

 以上でございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 いろいろな省庁が入っていただけているということで、縦割りの行政を超えて、やはりこのドローンの、国に、取り扱う方法であったり、そういったロードマップを担っていただければと思うんですけれども。

 やはり、ヒアリングをさせていただいて、今現状の消防で使っているドローンの在り方であったりすると、私自身が世の中で見ているドローンのスピード、どういったものがドローンとしてあるのか、未来でいうと、アマゾンみたいなああいう配送センターがどう使うのか。こういった未来とはちょっとまだかけ離れた、あくまで人的な、コントローラーで操作をして持っていくというような、ちょっとアナログなことをやられているなというふうに、正直、感じています。

 今、本当に、全自動でGPSの場所を把握して、そこにドローンが飛んでいく、もうこんな時代です。こうなったときに、センサーをつければ、私たちが今まで目で知見できなかった人間の動きであったり、温度を判定することも当然できます。そして、先ほども、殉職者、何人も出ておられます。ああいった方々がまず現地に着くまでに情報収集を行って、一目散に必要な装備を現場に届けることができる、こういったことが十分に可能だと思っております。

 是非、こういった新しい技術を積極的に取り入れていくチームとして、この内閣官房の小型無人機等対策推進室というものを進めていっていただければと思います。

 続きまして、機体の話から、ドローンを実際に飛ばす際におけるルールについて質問をさせていただきます。

 過去になりますが、平成二十八年に発生した熊本地震、平成二十九年七月の九州北部豪雨の際、ドローンが捜索救助活動に運用されたとも聞いております。また、私の選挙区にあるさいたま市消防局でも、二〇一七年三月に栃木県那須町において発生した雪崩事故に対しドローンを出動させ、捜索活動を行ったという経緯もあります。

 質問です。ドローンやラジコン等、いわゆる無人航空機を飛行させることについては、航空法や小型無人機等飛行禁止法で様々な制約、制限がかかっていると思いますが、防災や災害時にドローンを使用したい、飛行をさせて状況を迅速に把握したいという場合、航空法では何か特別な措置やルール等はありますでしょうか。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 航空法では、無人航空機の飛行に関し、航空機の航行及び地上の人又は物件の安全を確保する観点から、無人航空機の飛行の禁止空域や無人航空機の飛行の方法を定める等の措置を講じております。

 具体的には、無人航空機を空港周辺であったり高度百五十メートル以上などの空域で飛行させる場合や、目視外あるいは夜間などで飛行させる場合には、国土交通大臣の許可、承認を必要としております。

 一方、事故や災害時に、国や地方公共団体、また、国や地方公共団体から依頼を受けた者が捜索又は救助を行うために無人航空機を飛行させる場合については、国土交通大臣の許可、承認を受けることなく飛行することが可能となってございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 では、事故、災害等の特例があれば、現場に予算がついて大きなガイドラインができれば、今のドローン技術であれば人を介さない運用や新しい取組にもつながると私は考えます。

 大臣に私から要望なんですが、毎年のように殉職者又は負傷者が出ている環境の中、地域防災の担い手である消防団の高齢化などといった、なり手不足も問題となっています。最先端のドローンは、操作をしなくても、プログラミングをすれば、全自動で、迅速で、そして広範囲な情報収集に効果を発揮することも見込まれています。今回の予算を皮切りに、今後、地域防災の主力として、ドローンの使用拡大を総務省として更に深めていっていただけないでしょうか。

金子(恭)国務大臣 沢田委員には、熊本地震やあるいは豪雨災害のときの事例を御紹介いただきまして、ありがとうございます。

 自然災害が激甚化、多様化する中で、災害が発生した初期の段階においてドローンによる俯瞰的な視点でリアルタイムに状況を把握することは、迅速的確な部隊運用につながり、災害の被害軽減に効果があると認識しております。

 また、消防隊が進入困難なエリアにおける要救助者の捜索、土砂崩れが発生する危険のある箇所の監視など、消防隊員の安全確保や負担軽減の面からも有効であると考えております。

 実際の現場においても、昨年七月の熱海市の土石流災害に際して、ドローンの活用によりまして効果的な情報収集などができたと考えております。

 こうしたことを踏まえ、総務省消防庁といたしましては、令和三年度補正予算によりまして、ハイスペックドローンを全国の緊急消防援助隊に無償で貸与して配備することとしております。また、全国の消防本部における災害対応ドローンの整備を推進するため、令和四年度から新たに緊急防災・減災事業債の対象に加えることといたしました。

 総務省消防庁といたしましては、地域の実情も踏まえまして、今回手当てする有利な財源を活用し、災害対応ドローンの整備を積極的に進めてまいりたいと思っております。

沢田委員 大臣、ありがとうございます。

 しっかりと大臣の方向性に、総務省、皆様方、是非お力添えいただいて、とにかく、先端技術の積極採用で、我々が今まで救えなかった命、失ってしまった命を救える社会をつくっていきたいというふうに考えております。

 既に複数の消防本部でのドローン運用が行われており、総務省消防庁によると、令和三年六月時点で、消防本部は全国七百二十四本部あり、その中でも、ドローンを活用しているのは三百八十三本部になります。年々増加傾向にあるといいますが、取り扱うドローンや組織体制もやはり市区町村単位となりますので、地域ごとに大分異なっているということで、是非、総務省消防庁が主導して、運用の拡大をしていただければと思います。

 まずは一一九番をしたら自動でドローンが現地に誰よりも先に来てくれる、そういった迅速に現場の把握をできる、こういう当たり前の景色ができるような提案をこれからも続けていきたいと思いますので、是非、大臣、よろしくお願いいたします。

 続きまして、前回の二月三日の総務委員会にて質疑をさせていただきました臨時財政対策債と交付税特別会計借入金という借金が、各々二十九・六兆円と五十三・二兆円、合わせて八十二・八兆円と積み上がっており、直近の利払いが一年で約四千三百億円と莫大なものになっているという答弁をいただきました。

 質問です。二十九・六兆円ある交付税特別会計借入金の返済計画について、説明をお願いいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 交付税特別会計借入金につきましては、新型コロナウイルス感染症による影響が生じる前の令和元年度及び令和二年度の地方財政対策において、当該各年度に五千億円の償還を行うこととしておったところでございます。

 今般、令和四年度地方財政対策に際しまして、同年度、つまり四年度以降の償還計画を見直すに当たりまして、令和四年度の地方税や地方交付税法定率分の水準が令和二年度計画額を上回っておりますことから、令和四年度以降、令和二年度地方財政対策と同規模の五千億円の償還は可能であると考えられること、その一方で、感染症の動向等により先行きが不透明でありますため、感染症による影響が生じる前の償還額である五千億円を超える償還は行わないというふうにしたところでございます。

 この考え方に沿いまして、令和四年度の償還額を一千億円から五千億円に、令和五年度の償還額を三千億円から五千億円にそれぞれ増額いたしまして、結果、令和四年度から令和六年度まで各年度五千億円の償還を行うよう、償還計画を見直しすることとしております。

 令和七年度以降は、これまでの償還計画と同様に償還額を段階的に一千億円ずつ増加させまして、令和十一年度からは一兆円の償還を行うこととしており、この結果、見直し前と比べて一年前倒しとなります令和三十六年度に償還を完了することとしております。

 今後とも、交付税特別会計借入金の着実な償還に努めてまいりたいと考えております。

沢田委員 御答弁ありがとうございます。

 ただ、平成二十三年から令和三年までの返済実績は、十一年で約三兆五千五十億円と、一年当たり約三千二百億円なんですね。単純計算で九十三年かかると感じていただけに、本当にその想定で、毎期毎期一兆円も返すとおっしゃっている根拠というところはどこになるんでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 この交付税特別会計借入金につきましては、長年、なかなか実際の償還に手がつけられなくて、まず最初に一千億円から償還を始めたといういきさつもございます。

 先ほども私、答弁申し上げましたが、その段階でも、一千億円ずつ増やしていって返していく。ただ、これはあくまでも、当然、交付税特別会計借入金の全額を最終的には返していかなきゃなりませんので、一千億円増やしていきつつ、一定の年限をもって返していこうということで償還計画を立てているところでございます。

 率直に申し上げまして、一兆円の償還というものはなかなか簡単なものではないというふうに思っておりますが、とにかく、なるべく頑張ってこれを返していかなければ、先ほど委員からの御指摘もございましたけれども、利払い費等も生じているわけでございまして、もちろんその時々の財政状況に左右される面もありますけれども、私どもといたしましては、これを確実に返していきたい、そのために頑張ってまいりたいということでございます。

沢田委員 お気持ちはすごく伝わるんですけれども、実際、民間で、このような返答でお金が借りられるか。また、それを債務者が、こうやって返していきたいんです、頑張りますと言って、融資を断られるパターンは何度もあると思います。

 やはり、年額四千三百億円も負担させられている納税者の方々、本当にどう思うんでしょうか。私は小さなお店をやって、そして中小企業をやって今ここにいますけれども、そういった中で、仕組みがこうやって制度疲労を起こしたときに、どうしてもそれを無理に引きつなごうとした瞬間ずつに、お金がどんどんどんどん積み上がっていく。この状況は、小さなお店が潰れていくさまと私は全く同じように見えてきます。今の地方交付税の交付金の制度には大きな限界を感じるとともに、地方と国との役割分担を見直す、道州制を含む地方分権へ進めていくべきと改めて申し上げておきます。

 ちなみに、今回は、税収増の背景もありましたが、臨時財政対策債の発行を大幅に圧縮となりました。地方の側としては、このように圧縮してくれるのであれば、今後も圧縮してほしいという声が当然出てくると思います。

 質問です。臨時財政対策債の今後の見込みについても、御説明をお願いいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方財政の健全化のためには、本来的には、臨時財政対策債のような特例債になるべく頼らない財務体質を確立すること、これが重要であると考えております。

 令和四年度の地方財政計画におきましては、地方税の増収などによりまして財源不足を大幅に縮小し、臨時財政対策債の発行額を令和三年度から三・七兆円抑制し、残高を二・一兆円縮減することとしております。

 この地方の財源不足でございますけれども、地方税及び地方交付税の原資となる国税の収入の動向や国庫補助事業等の国の歳出の動向など、様々な要素によって変動せざるを得ません。

 このため、臨時財政対策債の発行につきまして具体的な見通しを立てるということは困難でございますけれども、今後とも、経済あっての財政の考え方の下、経済を立て直し、地方税などの歳入の増加に努めますとともに、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うことにより、財源不足を縮小し、臨時財政対策債の発行抑制に努めてまいりたいと考えております。

沢田委員 ありがとうございます。

 先ほどの繰り返しとはなりますが、地方と国の在り方という大きなテーマとなりますが、五十年近く増大し続ける借金が莫大な利払いにつながってしまっている仕組み、これを客観的に見れば、これ以上延命することは、国民の皆様にとって大きな不幸しか、私は見えません。是非、今の時代に合った仕組みを、金子大臣を筆頭に、総務委員会にて今後も議論させていただければと思います。

 ただ、そのために、納税者への誠実で正直な姿勢は常に求められます。

 今回の法案の中に、震災復興特別交付税という項目がありました。付随して、東日本大震災復興特別会計という制度があります。東日本大震災からの復興に関わる国の資金の流れの透明化を図るとともに、復興債の償還を適切に管理するため、平成二十四年度から新たに設置されたものです。

 この財源の中に、復興特別所得税という税金があります。これは、平成二十五年から令和十九年まで二十五年間、全ての納税者に、各年分の所得税に二・一%を乗じた金額を所得税と併せて納税していただくという仕組みとなっております。この復興特別所得税や復興公債金などが財源となり、地方交付税交付金等に充当され、震災復興特別交付税として復旧復興事業のために使われております。国民の皆様には、令和十九年まで増税をお願いしている現状があります。

 一方、平成二十四年五月に施行された国会議員歳費減額特例法という法律があります。震災復興のために、国会議員は給料の二割相当を負担しようという目的の法律です。しかし、この歳費削減は、平成二十六年までのたったの二年間で元に戻りました。そして、この事実をほとんどの国民の皆様は知りません。日本維新の会では、こういった不誠実な姿勢にくみしまいと、今も、被災地への寄附として、給料の二割を受け取らない行動を我々国会議員団として続けております。

 大臣に質問です。

 私は、この話を一般人という立場で聞いたときに、強い憤りを感じました。何でもかんでも国会議員が負担をすればいいとは思いません。ただ、我々国会議員は、大きな権限と責任を持って税の在り方を考えており、国民負担率四六%という厳しい状況を国民の皆様にお願いしておきながら、自分たちだけには甘いと誤解されていることをして、こういう部分については身を律するべきと考えております。痩せ我慢でも、行動を続け、国民の皆様とともに乗り越えていかなければならないときがあります。

 大臣は、先ほどの答弁で信頼という言葉を使われました。そして、誠実と覚悟といった面から、たったの二年で自分たちだけ給料を元に戻したことをどう感じますか。

金子(恭)国務大臣 お答えいたします。

 日本維新の会が、率先垂範して身を切る改革を続けてこられていることについては、よく承知をしております。

 復興財源に係る国会議員の歳費削減は、議員立法で定められたものと承知をしております。いずれにせよ、国会議員の歳費については、議会政治や議員活動の在り方にも関わる課題であり、国会において御議論いただくべきと考えております。

沢田委員 大臣、ありがとうございました。

 答えづらい部分だとは思いますが、しっかりと、私自身は、東日本大震災をきっかけに政治に入った立場として、この部分について、私自身、まず自分が身を律して行動を続けていきたいと思っております。

 少し短くなりましたが、総務委員会の一員として、今後も全力でこの国のために動いていきたいと思っております。

 以上で、本日の質疑とさせていただきます。

 日本維新の会、埼玉の沢田良でした。どうもありがとうございました。

赤羽委員長 以上で、本日予定されております質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十七日木曜日午後二時十分理事会、午後二時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十九分散会


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