衆議院

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第6号 令和4年2月17日(木曜日)

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令和四年二月十七日(木曜日)

    午後二時二十分開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 新谷 正義君 理事 田所 嘉徳君

   理事 岡本あき子君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 輿水 恵一君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      石田 真敏君    加藤 竜祥君

      川崎ひでと君    坂井  学君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      西野 太亮君    鳩山 二郎君

      古川 直季君    保岡 宏武君

      柳本  顕君    渡辺 孝一君

      石川 香織君   おおつき紅葉君

      鈴木 庸介君    馬場 雄基君

      道下 大樹君    阿部 弘樹君

      沢田  良君    福重 隆浩君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

    …………………………………

   総務大臣         金子 恭之君

   総務副大臣        田畑 裕明君

   総務大臣政務官      鳩山 二郎君

   総務大臣政務官      渡辺 孝一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  川上恭一郎君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           新井 孝雄君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           山野  謙君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           竹村 晃一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        馬場竹次郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局新型コロナウイルス感染症対策等地方連携推進室地方連携総括官)          大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  前田 一浩君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            二宮 清治君

   政府参考人

   (消防庁次長)      小宮大一郎君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 青木 孝徳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       茂里  毅君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官)           笠原  隆君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  武井 貞治君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           塩見 英之君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十七日

 辞任         補欠選任

  石川 香織君     馬場 雄基君

同日

 辞任         補欠選任

  馬場 雄基君     石川 香織君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官川上恭一郎さん、内閣府地方創生推進室次長黒田昌義さん、内閣府地方創生推進室次長新井孝雄さん、総務省大臣官房総括審議官山野謙さん、大臣官房総括審議官竹村晃一さん、大臣官房地域力創造審議官馬場竹次郎さん、自治行政局長吉川浩民さん、自治行政局新型コロナウイルス感染症対策等地方連携推進室地方連携総括官大村慎一さん、自治行政局公務員部長山越伸子さん、自治財政局長前田一浩さん、自治税務局長稲岡伸哉さん、総合通信基盤局長二宮清治さん、消防庁次長小宮大一郎さん、財務省大臣官房審議官青木孝徳さん、文部科学省大臣官房学習基盤審議官茂里毅さん、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官笠原隆さん、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官武井貞治さん、厚生労働省大臣官房審議官宮崎敦文さん及び国土交通省大臣官房審議官塩見英之さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申出がございますので、順次これを許します。石川香織さん。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織です。今日は、よろしくお願いいたします。

 まず、ほかの委員からも質疑、要望もありましたので、冒頭、触れさせていただくだけにいたしますけれども、除排雪に対する財政支援ということについて、私からも要望させていただきます。

 今年の雪は本当にすさまじいものがありまして、対応する現場は、ダンプ不足であったり人手不足、こういったことも含めて本当に大変であります。

 私もいろんな方からお話を聞いたんですが、例えば訪問介護の方々なんかは、現場にたどり着けないということで、利用者の方からすると、サービスを受けられない、事業所からすると、サービスを提供することができないことによって報酬が減ってしまう、なくなってしまうということもありまして、高齢者の方ですとか障害がある方々にとっては、お買物とか通院ができないということで、本当に生活に支障が大きく出ているということです。

 除排雪事業に対する総務省からの財政支援を本当に必要としているところなんですが、現在、特別交付税措置の三月の交付に向けて算定作業を進めていらっしゃるということですので、この状況もしっかり鑑みた上で、迅速に算定をしていただいて交付をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 では、質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、保健所についてお伺いをさせていただきます。

 コロナ禍において公立・公的病院の役割というものの重要性が際立った中で、同時に、保健所の役割も非常に負担を増しているという状況にあります。日々、コロナ感染者が入院する際の病院の手配であったり、自宅療養の方の健康観察、薬や食料などの手配も含めて、本当にたくさんのお仕事があるということです。

 コロナだけを対応しているわけではもちろんなくて、夏は食中毒も起きますし、冬は別の感染症ですとか、それから難病の方の対応などもあって、赤ちゃんからおじいちゃん、おばあちゃんまで、健康な人から体調の悪い方々まで、保健指導、健康観察等を行うということで、本当に、この三年近く続くコロナ禍の要になっているということなんですが、そんな保健所なんですが、やはり数が少ないことが非常に業務過多になっている要因になっているとされております。

 一九六〇年代から一貫して八百か所を上回っていましたが、一九九二年の八百五十二か所をピークにしまして、今、半分近くまで減少をしています。

 例えば東京都ですけれども、東京都の保健所の職員定数、九六年度は八百八十二名でしたけれども、九七年度は六百九十五人になりまして、二〇〇四年度は五百人、一九年度も四百五十一人と、減少の一途をたどっているということです。政令指定都市であっても保健所が一か所というところもあるということです。

 そこで、まずお伺いをしていきます。

 保健所の数が大幅に減少されてきたことが問題でありますけれども、保健所の中でも、感染症の対応業務に従事する保健師が大幅に減らされたということがこのコロナ禍における混乱の一因になったのではないかということを考えますと、保健所の特にこの感染症対応業務に従事する保健師の方々の増員は急務だと思いますけれども、総務省としてどのような取組をされるかということについてお伺いします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえまして、各地方団体において、感染症対応業務を担う保健所の体制強化に取り組んでいただくことが必要であるというふうに認識しております。

 総務省といたしましては、保健所の恒常的な人員体制強化を図りますため、感染症対応業務に従事する保健師を、令和三年度と令和四年度の二年間で、コロナ禍前の約一千八百名から、一・五倍の約二千七百名に増員できますよう、令和四年度においては、地方財政計画上、四百五十名増員いたしますとともに、地方交付税措置として、道府県の標準団体において六名増員することとしているところでございます。

 これを踏まえまして、保健所の体制強化に取り組んでいただきたい旨、各地方団体に周知を行っておるところでございまして、今後とも、厚生労働省とも連携しつつ、必要な支援に努めてまいる所存でございます。

石川(香)委員 増やすということなんですが、やはり保健師は専門職でもありますので、養成するのに一定期間を要するということです。

 私も今日、ちょうど自治労の衛生医療評議会という、保健所で働く方々のアンケートというのをいただきましたけれども、そこの中の声は、そもそも自治体には定数条例があって職員数を増やすことは難しい、保健師を増員できても、結局ほかの事務職員などが減員される可能性があるために、最終的には定数を増やす必要があるんじゃないかという声がありました。人員を増やすにしても、教育する側にも一定の業務負担が出てくるために、やはり計画的な人員増が必要であるといった声もありました。

 そんな中なんですけれども、保健所の業務が非常に多くなっているということは、今非常に大きな課題の一つだと思います。

 この保健所の歴史なんですけれども、一九九四年に、保健所法から地域保健法への改定によって、これまで十万人当たり一か所設置するという設置基準が廃止された。国内の疾病構造が感染症疾患から非感染症疾患へと変化する中で、どちらかというと、地域の実情に合わせた健康づくりを進めるという国の方針に沿って、身近な住民サービスが保健所から市町村の保健センターへと移管されていったということもありました。

 財政面でも、当初国の負担であった保健所の運営交付金が、一九九四年から全て地方交付税扱いになったということで、その後、小泉政権時の三位一体改革における地方交付税削減措置もあって、保健所統合につながったのではないかという指摘があります。

 言うまでもありませんが、地域や住民が必要とする行政サービスを担っているのは地方公共団体であり、この地方団体が安定的にサービスを供給できる、提供できる財政基盤が確立されて初めて、地域の魅力ですとか底力が発揮できると思います。

 そのためにも、安定的な地方一般財源総額の確保、充実というのは必要不可欠になってきますけれども、そんな中で、三位一体改革の中で地方交付税総額が大幅に削減されたということで、まずこの理由、それから、今もやはり地方公共団体の方々からは、三位一体改革の地方交付税の大幅な削減がその後の地方の疲弊につながったという指摘がいまだにありますが、この意見があることへの総務省の見解を伺います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十六年度から平成十八年度までに行われましたいわゆる三位一体の改革は、地方の自由度を拡大いたしますことに加えまして、国、地方を通じた財政の健全化も目的としていたものでございます。

 地方の自主性、主体性を高めるため、国庫補助負担金の廃止縮小を行いましたが、同時に、地方がその事務事業を行うために必要な財源は税源移譲という形で対応したものでございます。

 一方、国、地方共に極めて厳しい財政状況の下で、地方歳出の見直しを行い、結果として地方交付税総額も抑制されたところでございます。

 具体的には、平成十五年六月の基本方針二〇〇三、俗に言う骨太の方針二〇〇三でございますけれども、その中におきましては、平成十八年度までに、地方財政計画計上人員を四万人以上純減させる、あるいは、単独事業の投資的経費、これを平成二から三年度の水準を目安に抑制するなどの記述がされておりまして、これに基づいて地方財政計画の歳出を抑制した結果、平成十六年度から平成十八年度までの三年間で、地方交付税及び臨時財政対策債の合計が約五・一兆円の減となったところでございます。

 委員お話しの、地財ショックというふうに語られている、地方の方々の受け止めでございますけれども、一つには、今申し上げましたが、十六年度から十八年度までの三年間で、地方交付税、臨財債が五・一兆円減になったというこの減の大きさと、それから、今も申し上げましたが、平成十五年六月の骨太の方針の中では、地方歳出の抑制の方針というものは示されてはおったんですけれども、当時は今とは異なりまして、いわゆる概算要求で仮試算のようなものは示しておらず、交付税の額も、前年同額で仮の要求をするというふうな形にしておりましたので、地方団体の方にとりますと、年末の地財対策の決着で初めて絵姿を知ったというそのタイミングは、我々といたしますと、骨太の方針にそういう地方財政等歳出の抑制の方針は書いてあったんですよ。

 ただ、現場の地方団体の受け止め方としては、それが具体の数字になって初めて分かったという意味でのタイミング上のショック、額とそういうタイミング上の二つの要素が重なってそういう受け止め方をされているのではないかというふうに私自身は考えております。

石川(香)委員 自治体が予期しないほどの大幅削減であった、五・一兆円というお話がありました。それから、タイミング的なところもお話がありました。急遽予算の組み直しをせざるを得なかったりしたということもありまして、財政運営に大きな混乱を来したというところがあると思います。

 地方側からいたしますと、やはり、歳出削減は地方に偏っているということもあって、地方の犠牲の上にこの財政再建が進められたのではないかという批判が今なお残る中で、総務大臣にお伺いをしますが、やはり、この地方財政ショックのようなことが二度と起こることのないように地方交付税総額を安定的に確保していく、そういう必要性があると思いますけれども、その重要性と必要性について総務大臣にお伺いします。

金子(恭)国務大臣 冒頭、石川委員から、もう前から要望いただいておりますが、大雪に対する除排雪経費について国の支援を頼むということはお話を聞いております。

 北海道を始めとして、北日本そして日本海側、本当に切実な思いを聞いております。片側二車線ある道が、雪が捨場がないとかということで片側一車線ずつになって、交通渋滞を起こして緊急車両が行けないとか、生活、医療、介護、そういったものまで大変大きな影響を受けているということを聞いております。

 三月の特別交付税の交付に向けて、今まさしく、北海道を始めとした豪雪地帯の皆さん方から丁寧に御意見を聞いておりますので、しっかりと適切に対応できるようにしてまいりたいというふうに思っております。

 今、三位一体の改革に基づいて、現状についての御指摘がございました。

 三位一体の改革により、国から地方へという大きな流れの中で、所得税から個人住民税への三兆円規模の税源移譲による地方の自主財源の強化、補助金改革による地方の自由度の拡大といった改革を通じて、地方の自立や地方分権が図られたものと認識しております。

 一方で、平成十六年度の地方財政計画において、地方交付税と臨時財政対策債の合計額が二・九兆円、一二%の減となるなど、地方交付税の削減が急激に行われ、特に、財政力の弱い自治体には厳しい面もあったと認識しております。

 こうしたことから、自治体からの要望も踏まえ、平成十七年度以降、財政運営の予見可能性を高めるため、夏の段階において、翌年度の地方財政収支の仮試算を公表しているところでございますし、引き続き、自治体に対し適切に情報提供を行ってまいりたいと思います。

 その上で、自治体が地域に必要な行財政サービスを確実に提供しながら安定的な財政運営を行えるよう、平成二十三年度以降、いわゆる一般財源総額実質同水準ルールに基づいて、地方交付税を含めた地方の一般財源総額について、前年度の地方財政計画の水準を下回らないよう、必要な額を確保してきているところでございます。

 今後とも、基本方針二〇二一に沿って、必要な一般財源総額を確保するとともに、地方交付税総額をしっかりと確保できるよう努めてまいりたいと思います。

石川(香)委員 豪雪地帯については、現状にも触れていただきながら御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 今、丁寧に御説明いただきました。自治体の要望というものも、今、聞いていただくということですけれども、日本の半分の自治体が過疎ということで、財政的にも非常に厳しいということですので、地域をしっかり守っていく上でのこの地方交付税をしっかり安定的に確保していくということを重ねてお願いを申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

 では、次の質問に移ります。

 コロナ禍で、東京一極集中の是正につながったのではないか、つながるのではないか、これは地方のチャンスになるのではないかという機運が高まったのですが、今の現状、どうなのかということについてお伺いをさせていただきます。

 一月の二十八日に発表しました二〇二一年の住民基本台帳の人口移動報告によりますと、東京二十三区は初めて転出が転入を上回ったということでした。

 具体的には、東京二十三区では、区外や他県への転出者から転入者を差し引くと一万四千八百二十八人の転出超過だったということです。

 一方、東京都に転入した人から転出した人を差し引いた転入超過も、五千四百三十三人ということで、比較可能な一四年以降で最少を更新したということでした。

 東京都全体への転入超過は、二〇年に比べて八割減ということで、二年連続で最少を更新したということになりますが、この傾向、この要因はどのようなところにあるかということについてお伺いします。

馬場政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたように、一月二十八日に公表いたしました二〇二一年の住民基本台帳人口移動報告によりますと、東京都特別区部におきまして、同年一年間で一万四千八百二十八人の転出超過となっており、外国人を含む集計を開始しました二〇一四年以降、初めて転出超過となったところでございます。

 その要因ということでございますが、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中で、東京圏等への人口集中のリスクが改めて浮き彫りになったこと、あるいは、テレワークが新しい働き方として広く認知をされたことなどによりまして、地方への移住に対する関心も高まるなど、国民の意識、行動に変化が生じていることも要因の一つであるというふうに考えております。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 今、この要因の一つに、テレワークなどの普及も進んだという分析があるというお話もありましたが、では、テレワークはどのぐらい日本の企業の中で進んでいるのかということについてお伺いをします。

竹村政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省の通信利用動向調査によりますと、企業におけるテレワーク導入率は、令和二年八月末時点で四七・五%と、前年の二〇・二%から大きく増加をしております。

 一方、令和三年版情報通信白書によりますと、令和二年十一月における企業の従業員のテレワーク実施率を地域別に見ますと、関東が三六・三%、中国、四国、九州は一一・二%となっており、地域ごとにかなり差が生じている状況でございます。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 地域ですとか業種の違いなんかでも、テレワークの浸透度にも大きく影響していると。

 私もいろいろなものを、いろいろなアンケートなどもありますが、調べてみると、業種でいうと、情報通信業それから技術サービス業などでは実施率が高かった一方で、どうしてもテレワークが不可能な現場というのもあります。例えば、医療、介護、福祉、運輸、郵便業では実施率が低いといった特徴もある。

 そして、実施する、居住都道府県別では、やはり東京圏は非常に高いということで、なかなか環境が整わないとできないということで、このコロナ禍で、テレワークの選択肢という、新しい働き方の選択肢の一つにはなったわけですけれども、なかなか全国的にはまだまだ広がっていかない、いろいろな環境整備も含めて課題なのかなと思いました。

 今、政府も、テレワークの推進も引き続き求めながらも、出勤者数の七割削減の目標は削除したということでありました。

 このテレワークですけれども、地域とか業種によってかなり差があるということで、結局、テレワークの浸透度合いを見ますと、このことが逆に首都圏、東京圏と地方との格差が開く要因にもなりかねないのではないかということも考えられると思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

金子(恭)国務大臣 お答えいたします。

 ICTを利用し、時間や場所を効果的に活用して柔軟な働き方を実現するテレワークは、地方にいても都市と同じように仕事をし、収入を得ることも可能となり、都市と地方の差を縮め、活力ある地域づくりにも貢献するものでございます。

 一方で、テレワークの普及については、地方と都市部で差が生じており、特にテレワークの導入や利用が進んでいない地方において、その普及促進に力を入れていく必要がございます。

 これを踏まえ、総務省では、専門家の派遣やオンラインによる無料相談、社労士会や商工会議所と連携した、地域の中小企業などのテレワークの導入支援、先進的な取組を行っている企業、団体の表彰や、テレワークの取組事例集の公表に取り組んでいるところでございます。

 こうした取組を通じ、引き続き、厚生労働省などの関係府省とも連携をしながら、地方におけるテレワークの更なる普及、促進にしっかり努めてまいりたいと思います。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 政府の地方創生の基本方針の中に、転職なき移住という方針もあるということで、テレワークが可能な人は、やはり選択肢の一つにしていくということは非常にいいと思います。

 ただ、小さな子供がいる方が働きながら家の中で仕事をするということも、一方でこれはこれで大変なのかなと思うこともありまして、やはり、やってみて、その方の環境ですとか、仕事の内容ですとか、そういうことにも影響するのかなと思います。

 そういうことも含めて、非常に、このコロナ禍で新たな選択肢になったテレワーク、これからもいろいろな意味で分析をしていただいて、広げていける人は是非実施をしていただくということが、地方が盛り上がる機運の一つになるのかなと思っております。

 では、次の質問に移ります。

 前回の質問でも少し触れさせていただいたんですが、地方公共団体の技術職員の不足ということについて、もう少し改めて伺いたいと思います。

 まず、根本的なところをお伺いするんですけれども、技術職員が不足している原因というもの、これをまずどのように認識をされているかということについてお伺いします。

山越政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員につきましては、全般として受験者数や競争率が減少傾向にありますが、この背景といたしましては、人口減少や少子高齢化の進展が大きく影響しているものと考えております。

 その中でも、特に技術職員につきましては、近年の防災・減災、国土強靱化の推進や、公共施設の老朽化への対応のためにその確保が重要になっている一方、大量採用世代の退職や、民間との競合による採用難等によりまして、特に小規模市町村を中心に課題を抱えている状況と承知をしています。

石川(香)委員 様々な要因があるわけなんですけれども、技術職員数は平成二十四年頃までに大幅にばっと減っていったということで、土木、建築、農林水産の技術職員のいずれかが配置できていない市区町村数というものがありますが、これは全体の七割に上るということで、非常に高い割合になっています。

 平成三十一年の段階では、この技術職員が配置できていない市区町村数というのは千百八十九団体あったそうですけれども、これがその後どうなっているかということについてお伺いします。

山越政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の千百八十九団体、これは市町村等の技術職員のうち、統計で把握いたしております土木技師、建築技師、農林水産技師のうち、いずれかが配置されていないという市区町村の数でございます。令和三年四月時点では千百九十六団体となっておりまして、二年前と比べて七団体増加をしているという状況でございます。

 内訳といたしましては、土木技師が配置されていない市区町村、あるいは建築技師が配置されていない市区町村、これは配置が進んだ結果それぞれ減少しておりますが、一方で、農林水産技師が配置されていない市区町村の方が増加をしているという状況でございます。

 ただ、市町村等の技術職員のうち、その総数、土木技師、建築技師、農林水産技師の総数の職員数自体は、令和三年四月現在で七万四千八百三十人となっておりまして、二年前と比較しますと五百九十四名の増となっているところでございます。

石川(香)委員 全体としては、残念ながら、この技術職員のいずれかが配置できていない市区町村数というのは増えてしまったということになりますが、ただ、土木技師、建築技師、農林水産技師、それぞれを見ると、増えているものもありながらということでした。

 次に、地域社会再生事業費による技術職員の充実に係る算定というものについてお伺いしますが、令和三年度の算定における技術職員の増員数は百二十七名でしたが、これは令和二年度の増員数百四十二人よりも減少してしまっています。この理由についてお伺いします。

山越政府参考人 お答えいたします。

 復旧・復興支援技術職員派遣制度に基づきます技術職員の人件費に対する地方交付税措置につきましては、都道府県などが技術職員の増員を行った人数の範囲内で、市町村支援業務に従事する技術職員数と、今後大規模災害が発生した場合に中長期派遣可能な技術職員数の登録者数の、いずれか小さい方の人数の人件費について、交付税措置をすることとされているところでございます。

 令和二年度から令和三年度にかけて措置人数が減少した主な理由は、中長期派遣可能な技術職員の登録者数が減少した団体があったことによるものでございます。

 この中長期派遣可能な技術職員数の登録者数が減少したのは、令和二年七月豪雨により被災した団体が、自らの復旧復興業務に技術職員を従事させる必要が生じたこと、それから、令和二年七月豪雨の被災団体に、本制度に基づき実際に技術職員を派遣したことなどによるものでございます。

石川(香)委員 都道府県別に見てもばらつきがあるということなんですが、この増員数について、都道府県でばらつきのある理由というものもお伺いできるでしょうか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 地方交付税措置の対象となる技術職員数の三つの要件のうち、特に技術職員の増員のところでございます。四十七都道府県中十七団体が地方交付税措置の対象者がゼロとなっている状況でございますが、これは、ほとんど技術職員の増員ができていないことが要因ということでございます。

 この確保ができない要因というのは様々でありまして、この場で全体を御説明するのは困難ではございますが、都道府県にお聞きをしますと、やはり、募集をしてもなかなか確保ができないという実態もあるというふうにお聞きをしているところでございます。

石川(香)委員 これは一応目標も立てていらっしゃっていまして、中長期の応援職員派遣というものですけれども、大規模災害からの復旧復興を支援するという目的ですけれども、必要数に対して、平成三十一年の段階で充足数六百八十八人ということなんですが、千名程度の目標というものがありますけれども、これはいつまでに達成するという見込みになっているのか、そのことについてお伺いします。

山越政府参考人 お答えいたします。

 復旧・復興支援技術職員派遣制度によります中長期派遣、対応をいただく技術職員の登録者数につきましては、初年度、令和二年度が百八十八名でありまして、今年度は、既に派遣中の二十六名も含め、二百七名ということになっています。

 総務省では、当面、数年をかけまして、千人程度の体制を確保できるように取り組む所存でございますが、この千人程度を確保する時期については、現時点ではお示しできる状況にはございませんが、目標達成に向けて様々な取組をしているところでございます。

 具体的に申し上げますと、大臣書簡によりまして、全国の都道府県知事宛てに格別の御協力を依頼をするとか、あるいは、今年度からスタートをいたしましたが、国土交通省、農林水産省、林野庁と連携をいたしまして、各都道府県の技術職員が所属し、その人材確保に関心の高い事業担当部局、こちらに対してもこの制度の周知等を図ることをしております。

 また、地方公共団体が行っています技術職員を採用するための様々な工夫、例えば、技術職員を独立させて採用試験区分を新設をするとか、受験資格の年齢上限の引上げ、撤廃などの取組につきまして、他の地方公共団体にも周知するなどの取組を行っているところでございます。

 地方公共団体における技術職員の確保には様々な課題がありまして、地方公共団体にとっても大きな課題であるというふうに認識をしておりまして、今後とも、地方団体の状況もよくお聞きしながら、技術職員の登録者数の確保に向けて、関係省庁と連携して取り組んでまいります。

石川(香)委員 専門職と経験が必要ということで、大変難しい問題だと思います。

 時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、中司宏さん。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 本委員会に付託されています地方税法及び地方交付税法等の改正法案について質問させていただきます。

 金子大臣始め担当の皆様には、同様のテーマで繰り返しの質問となり恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

 まず、令和四年度の地方財政計画の策定過程において明らかになった財源不足について伺います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度の財源不足額でございますけれども、地方税の増収などによりまして、令和三年度の十・一兆円から二・六兆円に大幅に縮小し、折半対象財源不足が解消したというふうな状況でございます。

中司委員 ありがとうございます。

 ただ、今年度への一兆三千億円の繰越財源がなければ、単純に計算すれば三兆八千億円の不足になると思います。

 また、今年度は、コロナの影響で当初は十兆円規模の財源不足を見込まれていましたが、補正予算での交付税増額、臨時財政対策債の償還、また、繰越分等を仮に相殺したとすれば、不足額はおよそ四兆円規模になるでしょうし、また、令和二年度、元年度共におよそ四兆五千億円の不足額ですから、構造的に毎年四兆円前後の不足額で推移している。つまり、今年度も含めて、今後もこの傾向は続くものと想定しているわけでございます。

 そうした中、コロナの状況も厳しい中で、臨時財政対策債の発行を抑制された、そしてまた残高も縮減された。こういうことについて、私たち自身は基本的に臨時財政対策債は廃止すべきと考えていますけれども、この間の縮減等に取り組まれた当局の取組については一定評価させていただいております。

 とはいえ、この委員会でも重ねて各委員さんから質問がありましたように、令和四年度末で交付税の特別会計の残高が二十九・六兆円、また臨時財政対策債の残高が五十三・二兆円、これを合わせて八十二・八兆円となります。交付税特別会計は償還計画はあるとはいえ、臨財債の方はまだ膨らんでいくことが想定されます。

 こんな状況で、果たして今後償還スキームがつくれるのでしょうか。伺いたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 現下の地方財政は、お話にございましたが、臨時財政対策債及び交付税特別会計借入金を含めまして、約二百兆円規模の借入金残高がございまして、依然として非常に厳しい状況にあると認識しております。

 地方財政の健全化の観点からは、各年度におきまして、必要な一般財源総額を確保することをまず前提としつつ、借入金残高の縮減を進めていくことが必要であるというふうに考えております。

 このような認識の下、まず、臨時財政対策債につきましては、お話にもございましたが、令和四年度の地方財政計画におきまして、その歳出に、臨時財政対策債の元利償還額として四・三兆円、うち元金分が三・九兆円でございますが、これを計上いたしますとともに、地方税の増収などにより財源不足を大幅に縮小し、臨時財政対策債の発行額を一・八兆円に抑制した結果、残高を二・一兆円縮減することができたところでございます。

 このように、臨時財政対策債の残高縮減のためには、財源不足を縮小させることが必要でございます。

 一方、今後の地方の財源不足につきましては、地方税及び地方交付税の原資となります国税収入の動向や、国庫補助事業等の国の歳出の動向など、様々な要素によって変動せざるを得ません。

 このため、臨時財政対策債の発行につきまして具体的な見通しを立てることは困難でございますけれども、今後とも、経済あっての財政の考え方の下、経済を立て直し、地方税などの歳入の増加に努めますとともに、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うことにより、財源不足を圧縮し、臨時財政対策債の発行抑制に努めてまいります。

 次に、交付税特別会計借入金でございますが、令和四年度の償還額を一千億円から五千億円に、令和五年度の償還額を三千億円から五千億円にそれぞれ増額し、令和四年度から令和六年度まで各年度五千億円の償還を行うよう償還計画を見直し、この結果、借入金残高を三十兆円を割り込む二十九・六兆円まで縮減することとしております。

 令和七年度以降は、これまでの償還計画と同様に償還額を段階的に一千億円ずつ増加させ、令和十一年度からは一兆円の償還を行うこととしておりまして、この結果、見直し前と比べ一年前倒しとなります令和三十六年度に償還を完了することとしております。

 今後とも、交付税特別会計借入金の着実な償還に努めてまいりたいと考えております。

中司委員 一定理解しておりますが、臨財債については見通しが困難ということでございます。

 次に、ここ数年の地方税の税収の方はどのようになっていますか。お聞かせいただけますか。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 令和四年度の地方財政計画では、地方税及び地方譲与税の税収は四十三・八兆円となり、前年度の地方財政計画から三・九兆円の増となっておりまして、これは過去最高という状況でございます。

 このように、地方税等の増収を見込んでおりますのは、足下の令和三年度の税収実績が堅調であり、地方財政計画額を上回ると見込まれることや、企業の業績の見通しが改善していることなどによるものでございます。

中司委員 ありがとうございます。

 税収の方はリーマン・ショック以前の水準に戻りつつあるということだと思います。

 そこで、骨太の方針の二〇一三におきまして、地方交付税の不交付団体、すなわち財政力の豊かな、高い自治体の数ですね、これをリーマン・ショック以前の水準、つまり平成十九年度、二〇〇七年度の百四十二団体にするように目指す、そういうふうにされているわけですけれども、そこで伺いますが、令和元年度以降の不交付団体の数はどうなっていますでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 不交付団体の数でございますけれども、令和元年度は八十六団体、令和二年度は七十六団体、令和三年度の当初算定におきましては五十四団体というふうになっております。

中司委員 税収が増えれば、一般的には不交付団体の数も増えてくると思うのですけれども、この点の認識はどうでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 普通交付税の算定に当たりましては、基準財政需要額が基準財政収入額を超える額、我々、財源不足額というふうに言っておりますけれども、これを交付するということになっておりまして、算定の結果、この財源不足額が生じない団体は、普通交付税が交付されない不交付団体となります。

 このため、不交付団体の増加には需要と収入の両面の影響があるため、一概には申し上げられませんが、仮に基準財政需要額に大きな変動がなく、地方税が増収となり、基準財政収入額が増加する場合は、不交付団体数の増加につながる傾向があると考えております。

中司委員 ありがとうございます。

 地方の税収がリーマン・ショック以前の水準に戻っても、不交付団体の数がリーマン・ショックのときの半数である、この現状なんですけれども、つまり、伸び悩んでいるということになりましょうか。その原因についてはどう分析されているでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十三年度以降、年度間の増減、凸凹はございますけれども、地方税収が増加傾向にはあります。にもかかわらず、不交付団体数が大幅に増加していない要因といたしましては、大きく二つあると考えております。

 一つは、平成二十六年度及び平成二十八年度の税制改正によりまして法人住民税法人税割の交付税原資化などが行われておりまして、近年の税制改正におきます地方法人関係税の税率引下げが行われておりまして、これによって、景気回復に伴う地方法人課税の税収増が従前ほど生じていない、生じることがなかなか難しくなっているということがございます。

 それともう一つは、比較的税収が多い都市部の地方団体、言ってみますと不交付団体予備軍とでも称した方がいいのかもしれませんが、そういったところでは、高齢者数の増加が非常に著しいということがございます。そのため、高齢者保健福祉費などの社会保障関係の基準財政需要額の増加が特に大きいというふうな部分がございます。

 こうした、収入と需要の両面の構造的な要因が影響しているものと考えております。

中司委員 よく分かりました。

 ただ、これから、高齢化の進展に伴って、社会保障費、これは増える一方だと思います。加えて、今後公共施設の老朽化が進んでくる、さらに、災害対策等も踏まえましたら、一旦縮小になった投資的経費も今後増大すると思います。このため、地方の財源不足、これからますます大きくなってくるものと思われます。

 骨太の方針二〇二一では、令和四年から三年間の地方の歳出水準について、今年度の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する、こうされています。一般財源の総額を実質前年度と同水準にしていく、そうなると、社会保障費等を確保すること自体が困難になると思うんですけれども、そのことの見解を伺います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 お話にありました基本方針二〇二一におきましては、地方の一般財源総額につきまして、令和四年度から六年度までの三年間、令和三年度の地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するとされております。

 これは、令和三年度の一般財源総額と全く同額という意味ではなく、地方の歳出水準につきまして、国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、社会保障関係費や公債費の動向などの増減要素を総合的に考慮し、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額を確保していくという趣旨でありまして、そのため、同水準、実質的同水準というふうな表現も用いているところでございます。

 令和四年度の地方財政計画におきましては、その歳出において、地域社会のデジタル化などに対応するために必要な経費を計上いたしますとともに、社会保障関係費の増加を適切に反映した上で、一般財源総額について、交付団体ベースで令和三年度を上回ります六十二兆円を確保したところでございます。

 今後も、基本方針二〇二一に沿って、必要な一般財源総額をしっかり確保してまいりたいと考えております。

中司委員 ありがとうございます。

 一般財源をしっかり確保していただきますようにお願いいたします。

 新型コロナウイルスの感染症の対応についてですが、地方創生臨時交付金によって、地域の実情に応じた対応を行ってきておられます。全国知事会が重ねて要望されていますけれども、感染拡大の状況に応じて今後も機動的に対応できるよう、財源の確保と弾力的な運用を行うこと、これについては可能でしょうか。お伺いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金につきましては、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援し地方創生を図るため、各自治体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業ができるよう、自由度の高い財源として措置されたものでございます。

 この中でも、特に地方単独事業分につきましては、今後の感染症対応や地域経済回復のため、知事会等の要望も踏まえまして、一兆円につきまして、各自治体に交付限度額を通知し、現在、地域の実情に応じた対応策を講じていただいているところでございます。

 今後とも、感染状況に応じて、各自治体が財政上の不安なく、切れ目ない対応ができるよう、しっかりと対応してまいりたいと思います。

中司委員 よろしくお願いいたします。

 地方交付税の総額ですけれども、これは国税の五税に法定率を掛けて決定されている。構造的、慢性的な地方の財源不足を補填するために、交付税特別会計、そしてまた、平成十三年度以降、臨時財政対策債で賄われている。しかも、令和四年度まで特例措置として折半ルールが適用されている。こんな状況でございます。地方の財源不足について、本来、法定率の引上げにより対応すべきものと私は考えております。

 こうした状況に対し、地方六団体からは、地方交付税の法定率の引上げなど、本来の姿に立ち戻って対処すべきである、特例措置に依存しない持続可能な制度の確立を目指していただきたい、このような共同声明が出されています。

 金子大臣は、令和五年度以降の財源不足の対応について、地方財政対策の中で法定率の見直しの議論を行う、このように答弁されていますが、具体的にどういう議論を行われるのか、お示しいただきたいと思います。

前田政府参考人 私がある意味、第一線に立ってその辺の議論を財務省としなければならないので、そういうことで、私の方から答弁させていただきたいと思います。

 交付税率の見直しの議論につきましては、幾つかキーになるポイントがあるというふうに考えておりまして、一つには、地方財政収支におきます地方の財源不足の状況。そしてもう一つは、国、地方の財政を取り巻く諸情勢、それぞれの財政状況と言った方がいいのかもしれません。ないしは、今の新型コロナウイルス感染症の状況下において、国が例えばどういう財政上の役割を求められているのかというようなことも含めて考える必要もあろうかと思います。それからもう一つは、税制改正をめぐる議論の状況、こういったものも勘案しなければならない。

 こういった諸点を十分踏まえる必要がありまして、予算の議論等と併せつつ、そのときの状況に応じて具体の議論を展開せざるを得ないというふうな構造を持っているというふうに考えております。

 別に交付税率の見直しそのものではございませんけれども、私もこれまで何回か地方財政対策の仕事は行ってまいりましたけれども、一年として論点が同じである、全くかぶるということはないわけでありまして、その年その年のいろいろな諸情勢というものが変わり、それに伴って論点も変わってまいります。

 したがって、法定率の議論をするときにも、今申し上げましたようなことで、どういったことを気をつけていかなきゃいけないのかということが変わってまいります。可変性があるというふうに御理解いただければと思います。

 したがいまして、あらかじめ、来年度においてどのような議論を行っていくかということを、現時点においてその見通しをお答えするのは、実はすごく難しいということでございます。

 そして、具体の議論の際には、例えば、新型コロナウイルス感染症が拡大している、こういう中にあって、自治体の取組のための財源確保も含めて、国において多額の赤字国債の発行が余儀なくされ、極めて厳しい財政状況に置かれているといった事情も無視するということはできないというふうにも思っております。

 いずれにいたしましても、地方財政の健全な運営のためには、本来的には、交付税率の引上げなどにより地方交付税総額を安定的に確保することが我々としても望ましいというふうに考えておりまして、予算編成過程において財政当局と丁寧に議論を重ねてまいりたいというふうに考えております。

中司委員 後ほど大臣にもお答えいただきたいと思うんですけれども、今のお答えで、なかなか見通しはできないということでございますが、しっかり、これは長年の議論ですので、対応していただきますようにお願いしたいと思っています。

 次に、特別交付税について伺います。

 特別交付税ですが、これは交付税の六%相当を割り当てているということですけれども、この根拠は何でしょうか。

前田政府参考人 一つには、やはり歴史的沿革というものがあるんですけれども、地方交付税制度が創設された当初、なるべく、普通交付税という、単位費用と測定単位と補正係数というものを用いた客観的、公平な形の需要額の算定と、それに基づく交付税の配分ということが望ましいということでもちろんスタートはしたわけでございますが、ただ、当然、日本全国の地方公共団体の財政需要というものは、そういった計算式だけでは捕捉できない。

 さらには、普通交付税の算定自体も、どの時点の数値で計算するのかということが必要になります。現在の制度ではこれは四月一日現在というふうになっておるわけですけれども、そうしたら、例えば夏とか秋になったときには、ではその年の普通交付税の算定額に反映できないのかということで差し障りが出てくる。特に災害とかはそうですね。

 そうしたことも踏まえまして、経験則に基づきまして、大体六%程度を、あらかじめ、今申し上げましたようなことのためにキープする必要がある、それで特殊な財政需要を算定するということに至っているものと認識しております。

中司委員 経験則からということでございますが、過去に四%にするという議論もあったようなんですけれども、その後の経過についてちょっとお聞かせいただけたらと思います。お願いいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、ちょうど民主党政権下のときに、四%への引下げというふうな議論がございました。これはかなり具体的な絵姿のところにも行ったんですけれども、実は、災害が多発した。私も非常に印象に残っておりますのは、その当時、平成二十三年の通常国会に四%にするための法案というものが出ている段階で、二十三年ですから、委員も御記憶あるかと思いますけれども、まさに東日本大震災が発災するということがありまして、そのほか、そこまでの規模じゃない災害とかも重なるということを踏まえると、やはりそういったことに対応できる財源が必要なのではないかということで、再び六%のものが恒久化されたというふうに認識しております。

中司委員 経過は分かりました。

 毎年一定額が必要な固定費的な項目、こういうものについて、普通交付税で算定できそうなものがある、そういうところまで特別交付税に算入しているという声もありますし、また、交付額の結果について、自治体側からは、検証ができない、そんな声をよく聞くんですね。ですから、この交付税の算定について、特交の算定について、そこに例えば政治力が働いたり公平性が損なわれるようなことがあってはならないと思いますし、一定整理をして、透明化を図るべきだと思っています。

 特別交付税の算定方法はどのようになっているのかということと、今後、分かりやすい形とか検証しやすい形に変えていく考えはないのかどうか、お伺いします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、どういった形の算定かというお話でございますが、先ほども申し上げましたけれども、特別交付税は普通交付税を補完する役割を担っておりまして、普通交付税の算定方法では捕捉されなかった特別の財政需要、これを対象として算定しているものでございます。

 具体的には、離島航路や地方バス路線の運行、維持に要する経費など、普通交付税のいわば画一的、客観的な算定方法において捕捉されなかった財政需要、あるいは、先ほども申し上げましたが、災害対策や除排雪に要する経費など、普通交付税の算定期日後に生じた財政需要、こうしたものを積算いたしまして、普通交付税の不交付団体の財源超過額等を控除することにより、個別の地方団体ごとに算定しているものでございます。

 こうした算定を経まして、毎年度、十二月と三月の年二回に分けて交付額を決定し、地方団体に交付しているところでございます。

 御指摘のございました算定方法の透明化ということでございますが、我々も当然そういった問題意識は持っておりまして、ただ、普通交付税のように算定方法を完璧に算式化し、算定の客観化、明確化を進めるということも考えられなくはないんですが、特別交付税の算定の対象となります財政需要、先ほどのようなものがあるわけですけれども、これらは年度によって大きく変動するものや、限られた地方団体において生ずるもの、こうしたものが多いため、算定方法を全てやはり単純に算式化するといった客観化、明確化というものには限界があり、また、適当でもないというふうに思っております。

 その上で、算式分の項目数を増やしていきまして、算定方法についてできる限り省令に明記するように努めてきております。

 令和二年度におきましては、前年度に比して算式分を十一項目増やしておりまして、本年度、令和三年度の十二月算定においても、四項目を新たに設けたところでございます。

 今後とも、地方団体の特別な財政需要に適切に対応するということを基本としつつ、その中で算定方法の客観化、明確化を図ってまいりたいと考えております。

中司委員 順次改定していただいているということはよく分かりました。

 自治体側から見て納得できる、そんな形で進めていただければありがたいなというふうに思っています。

 先ほどの臨時財政対策債と交付税特別会計の合わせて八十兆円以上という、計画的な償還スキーム、なかなかはっきりできない。交付税特別会計については順次返していただいておりますけれども、臨財債についてはまだまだ増えていく。その中で、償還のスキームがなかなかはっきりしない、こんな状況でございまして、やはりこれは健全化していかなければならないと思っています。

 これを地方団体からも何とかしてほしいという声が上がっているんですけれども、とりわけ、令和四年度と二年度、元年度を除いては、平成十三年の発行以来全ての年度で、臨時財政対策債の元利償還総額より発行総額の方が多いという状況は、やはり、償還財源を丸々臨時財政対策債発行で賄っている、こんな状況になっていると思いますね。そして、更に足らない分を上乗せして発行している。こんな状況が見えるわけですから、借換えのために臨時財政対策債を発行している、借金を借金で返している、こんな状況が見えるわけでございます。

 こういう形は、いわば自転車操業というふうに受け取られかねないわけでありますので、これは健全ではないと思っております。

 重ねてになりますけれども、今後の見通しと残高抑制の取組について、もう一度お聞かせいただきたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどと似たような答弁にはなりますけれども、令和四年度の地方財政計画におきましては、地方税の増収などにより財源不足を大幅に縮小し、臨時財政対策債の発行額を令和三年度から三・七兆円抑制し、残高を二・一兆円縮減することとしております。

 一方で、今後の地方の財源不足につきましては、地方税及び地方交付税の原資となる国税収入の動向や、国庫補助事業等の国の歳出の動向など、様々な要素によって変動せざるを得ません。

 このため、臨時財政対策債の発行について具体的な見直しを立てることは困難でございますけれども、今後とも、地方税などの歳入の増加に努めますとともに、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うことにより、財源不足を縮小し、臨時財政対策債の発行抑制に努めてまいりたいと考えております。

中司委員 よろしくお願いします。

 ちょっと資料を見ていて疑問に思ったんですけれども、臨時財政対策債の発行に際して、財政力が豊かな自治体ほど、財源不足に対し、臨時財政対策債の発行率が多い。そして、財政力が弱い自治体ほど発行比率が低い、すなわち、交付税の充当分が厚くなっているという状況があります。これは一見すると公平性というかバランスを欠いていると思うんですけれども、この措置の根拠について、お願いいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 臨時財政対策債のそれぞれの団体の発行可能額につきましては、各地方団体の財源不足額を基礎としながら、財政力に応じた補正を講じて算定しております。

 これは、財政力の強い団体につきましては一般的に地方債による資金調達力が強い、このことを勘案し、財政力の強い団体ほど財源不足額に対し臨時財政対策債をより多く配分するということに対応しているものでございます。

 なお、臨時財政対策債の元利償還金につきましては、普通交付税の算定におきまして、その全額を基準財政需要額に算入することにより、各地方団体が確実に償還できるよう財源保障を講じているところでございます。

中司委員 ある市長さんから、昨年末の補正で交付税が増額になった、このことはありがたいけれども、既に市として臨時財政対策債を発行してしまっていると。国の指導では減債基金に積むように言われたということですが、実際、この厳しい時代に、基金に積むよりも繰上償還をしたいということでした。これは制度上可能ですか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年度の臨時財政対策債を償還するための基金の積立てに要する経費を措置いたしますため、令和三年度補正におきまして臨時財政対策債償還基金費を措置することとし、地方交付税の追加交付を行ったところでございます。

 既に発行済みの令和三年度臨時財政対策債につきましては、将来の計画的な償還を行う場合は、追加交付された額を減債基金へ積み立てることが適切と考えておりますが、地方交付税はあくまで一般財源でございますので、貸し手との協議の上、繰上償還できる場合において、地方団体の判断で、追加交付された地方交付税を活用して繰上償還することも可能であると考えております。

中司委員 ただ、可能であっても、繰上償還に充てようとしても、利息の先払いとか補償金の発生とか、そういうことで、早く減らしたいけれども、なぜそういう形になるのかというような話があります。

 繰上償還に伴う補償金ですけれども、過去に、平成十七年から二十四年度ぐらいにかけて免除したという例がありますけれども、免除されれば、繰上償還する自治体も増えて、総じて残高の減少にもつながると思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年度の補正予算に際しまして、令和三年度の臨時財政対策債につきましては、昨年八月に各地方団体の発行可能額を定める省令を既に公布しておりまして、昨年十一月時点で総額の九五・五%が届出又は同意済みという状況であり、既に多くの自治体において臨財債が発行され、様々な事業の財源として活用されている、そういう状況でございましたので、発行可能額そのものを減額することはできないと判断し、対応したものでございます。

 具体的には、令和三年度の発行可能額どおりの臨時財政対策債が発行されることを前提とした上で、臨時財政対策債の償還財源として償還基金の積立てに要する経費を措置することといたしまして、その名称も、臨時財政対策債償還基金費としたものでございます。

 先ほども申し上げましたが、制度的には、既に発行済みの臨時財政対策債について、自治体の判断により繰上償還することも可能ではございますけれども、あくまでも発行可能額どおりの臨時財政対策債を発行されることを前提とした措置でございますので、自治体の自らの判断により任意で行う繰上償還に際し、補償金が生ずる場合であっても、当該補償金の支払いに要する財政措置というのは特段講じてございません。

 なお、お話にございました補償金免除の繰上償還というのは、過去、公的資金に関わります高金利分の繰上償還、それに伴うものでございまして、今回の話とちょっと同列に論じるのはいかがなものかなというふうに思っております。

中司委員 済みません、もう時間がありませんので、最後に、金子大臣に伺います。

 それ以外の質問については、準備していただきましたけれども、また次回に回したいと思います。

 この間、いろいろと繰り返し大臣にもお聞かせいただいておりますし、お聞きしておりますけれども、地方の自主財源を拡充すべきという立場から、交付税の法定率の引上げ、臨財債の制度の見直し、それから税源配分の見直し、これについてお聞かせいただきたいと思います。

 私たち日本維新の会は、持続可能な日本の行政システムへと、国と地方の役割分担をしっかりと明確に分けた上で、そして地方が自立していく、そんなような行政の統治機構を目指しているわけでございます。地方団体の水平的な調整機能を強化するためにも、地方共有税の導入も提案しているわけでございます。併せて大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 地方財政の健全化のためには、本来的には、臨時財政対策債になるべく頼らない財務体質を確立することが重要と考えております。臨時財政対策債の発行抑制に努めてまいります。また、交付税率の引上げについては、容易ではありませんが、政府部内で十分に議論してまいります。

 また、いわゆる水平的な財源調整も非常に課題であると思いますが、一定水準の行政サービスを提供できるように財源を保障することは国の責務であり、これを自治体相互間の調整に委ねることは課題が多いものと認識しております。

 以上です。

中司委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わらせていただきます。

赤羽委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、委員会で質問の機会をいただきまして、委員の皆様には御礼を申し上げ、また、立憲民主党、日本維新の会の皆様には、質疑時間につきまして御配慮いただきましたことを感謝いたしながら、質問に入らせていただきます。

 まず、法案質疑に入る前に、水際対策強化措置の緩和を三月から段階的に行うという報道がなされております。この水際対策の段階的な緩和につきまして、政府の方針についてお伺いをしたいと思います。

川上政府参考人 お答えいたします。

 水際対策につきましては、現在、当面の対応として、二月末までということで、外国人の新規入国の停止、入国者総数の上限を一日当たり三千五百人をめどとするなどという現在の対策の骨格を維持することとしておりまして、その中で、人道上、国益上の観点から、必要な対応を行っているというところでございます。

 今後の三月以降の水際対策につきましては、状況が様々変化している中で、変異種も含めたオミクロン株に対する科学的な知見の蓄積も進んでおりまして、内外の感染状況の変化や海外の水際対策のありようなどを総合的に勘案した上で、新型コロナウイルス感染症対策全体の中で、緩和に向けた検討を進めているところでございます。

西岡委員 今、緩和に向けた検討をということでございましたけれども、今晩岸田総理から発表があるということの中で、具体的なことについては今の時点ではお伺いすることが大変難しいというふうに思いますけれども、報道によりますと、待機時間の短縮、又は、相手国のリスクの度合いによっては撤廃も検討されるという報道がございます。

 第五波においては、検疫待機施設が不足をしまして、その施設の確保と同時に、昨年十二月十日には、一部入国者については自宅待機に切り替えられたという経緯もございます。また、その施設が不足をしたために、政府が自治体に宿泊施設の協力を要請したということもございました。

 自治体が陽性者用に確保したホテルや、官公庁の研修施設の活用を含めて、当時一万室超を確保されたと承知をいたしておりますけれども、現在の国内における、オミクロン株が急拡大して陽性者が大変急増しているという中で、現在、この検疫の待機施設、どれぐらいの施設を確保しておられるのかということについてお尋ねをしたいと思います。

武井政府参考人 お答え申し上げます。

 水際対策における待機施設につきましては、各国の感染状況等を総合的に判断の上、リスクに応じて、三日、六日、十日間の施設待機措置を組み合わせて、現時点で計八十二か国・地域を指定しているところでございます。

 こうしたG7で最も厳しい水準の水際対策により、海外からのオミクロン株流入を最小限に抑え、国内感染の増加に備える時間を確保してまいりました。

 現在、検疫の待機施設については、全国で約二万室を確保しており、現在の入国者数に対して、必要な施設を運営しているところです。

 今後も引き続き、必要な施設の確保に取り組んでまいります。

西岡委員 現時点では二万室確保されているということをお伺いをいたしました。

 国民民主党としても、昨年四月から既に、感染防止対策と経済を両立するという、コロナ三策という政策を打ち出しをさせていただいております。ビジネスの往来ですとか留学生、またスポーツや文化の面で、強い水際対策を長時間続けていくことは、大変国家としても大きな損失があるということも理解をいたしております。

 ただ、諸外国と比べて、我が国のワクチン接種は、二月十六日公表時点で三回目の接種が一一・一%でありまして、そのワクチン接種の進め方も大きく諸外国とは異なっているということを念頭に、冒頭、内閣官房の方から御発言がありましたけれども、やはり、科学的な知見に基づいた対策、また、国民に対しても、科学的な知見に基づいた説明というものをしっかり国民に対して打ち出すことが大変重要だと思っておりますので、そのことを政府に要請をさせていただいて、これから法案質疑に入らせていただきたいと思います。

 地方税法等の一部を改正する法律案に関連して質問をいたします。

 まず、賃上げ促進税制について質問させていただきます。

 岸田政権も賃上げを最重点政策として取り組む方針を掲げられておりますけれども、国民民主党としても、さきの衆院選において、給料が上がる経済政策の実現を掲げまして、今国会を賃上げ国会とするべく、取組を進めております。

 国税においては、平成二十五年度から、賃上げ促進税制として、一定の要件の下で法人税の減免措置を講じてまいりましたけれども、今回、税制上抜本的な強化をして税額控除額の拡充措置を講じたとしても、赤字企業にはそもそも波及効果がないこと、また、これまでの実績から、大きな効果を望むことが大変難しいという指摘もございます。

 地方税においても、同様の措置として、平成二十七年から、法人事業税付加価値割の課税標準から一定額を控除できる仕組みが導入されました。拡充措置とともに、本改正では、該当する法人に適用されている所得割に係る軽減税率を廃止することも盛り込まれており、税負担が逆に増すのではないかという指摘もございます。

 今回の改正に伴う賃上げ促進の効果について、見解をお尋ねいたします。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 賃上げは、税制のみならず企業収益や雇用情勢等に影響を受けるものであり、税制の効果だけを取り出して経営者の賃上げ判断への影響を測ることや、この税制の導入による賃上げの効果を定量的にお示しすることは難しいと考えております。

 今般、法人事業税においては、国税である法人税における賃上げ税制の抜本的な拡充に合わせて、赤字法人でも課税されます外形標準課税の対象法人に対して、一定割合以上の賃上げを行った場合に税負担を軽減する措置を講ずることとしております。

 いずれにいたしましても、賃上げに向けては、政府全体として、あらゆる施策を総動員して取り組むことが重要であると考えております。

西岡委員 今般、賃上げ税制について、適用要件とされておりますのが給与等支払い総額となっておりますけれども、時間外や休日労働による支給額も含まれておりまして、本来、それを除外した算定とすべきではないかと考えますけれども、このことについての見解をお伺いいたします。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 法人事業税における賃上げ税制の適用要件は、法人税と同様といたしておるところでございます。

 御指摘の点につきましては、各企業の給与体系が多様になっており、様々な支給方法に対応する必要があること、企業の実務面を踏まえ、煩雑ではない制度設計とする必要があることに加え、重要な課題である賃上げをより多くの企業に行っていただきたいとの考え方に立ち、一時金を含めた給与総額が増加した法人を対象としているものと承知いたしております。

西岡委員 先ほどお話がありましたように、税制だけで賃上げというのは大変難しいということも十分承知をいたしておりますけれども、国民民主党として、先般、国会に、赤字企業も賃上げ減税の対象となる独自の税制改正法案を提出をいたしております。法人事業税、固定資産税、消費税と、減税効果を幅広く行き渡らせ、賃上げに結びつく法案となっております。

 当然、地方税収が減収する面についてはしっかりカバーをするという前提でございますけれども、税制だけではなく、インフレ懸念が大変強まっている中、賃金上昇率が物価上昇率プラス二%になるまでマクロ経済政策でも賃上げを支援するという方向性を明確にいたしました。

 幅広く企業を後押しする、税制も含めた政策が必要だというふうに思いますけれども、金子総務大臣のもし御見解をお伺いできればと思います。

金子(恭)国務大臣 西岡委員にお答え申し上げます。

 先ほど局長からも御答弁いたしましたとおり、今般、地方税における賃上げ税制については、法人事業税において、赤字法人でも課税される外形標準課税の対象法人に対して、一定割合以上の賃上げを行った場合に税負担を軽減する措置を講ずることとしております。

 賃上げに向けては、政府全体として、あらゆる施策を総動員して取り組むこととしており、企業においては、こうした措置も活用し、持続的な賃上げに取り組んでいただくことを期待しております。

西岡委員 引き続き、この賃上げという大変重要な政治課題に私どももしっかり取組を進めていきたいと思っております。

 続きまして、住宅ローン控除についてお尋ねをさせていただきます。

 今回の改正では、会計検査院の指摘を踏まえまして、毎年の住宅ローンの控除額が当該ローンに係る支払い利息額を上回るいわゆる逆ざや是正のために、控除率を現行の一%から〇・七%に引き下げることが盛り込まれました。

 控除率を一律〇・七%に引き下げるということでございますけれども、この一律〇・七%ということを決められた理由について、また一方で、今回の改正後もこの逆ざやが解消されない割合が三割以上存在することについて、どのように捉えておられるのか、今後の取組も含めて、財務省にお伺いをいたします。

青木政府参考人 住宅ローン控除の控除率について御質問いただきました。

 今回の改正では控除率の引下げを行っておりますが、制度の簡素性も勘案いたしまして、一律〇・七%とすることとしております。これは、会計検査院のデータによりますと、住宅ローン控除の適用を受ける方のうち、金利が〇・七%以上であった方は全体の六割強を占めるということでございまして、そういったことから控除率を〇・七%としたものであり、この場合につきましては、いわゆる逆ざやは生じないということになります。

 また、適用金利が〇・七%よりも低い方につきましても、金融機関に別途支払います事務手数料等を加味しますと、不要なローンの借入れといった現象は起こりにくくなるというふうに考えております。

 また、加えて、今回の見直しにおきましては、所得要件の引下げということも行っておりまして、全体として、本来住宅ローンを組む必要がない高所得の方による借入れや控除の適用が起こりにくい仕組みへと見直しをしております。

西岡委員 ありがとうございます。

 今回の改正におきましては、カーボンニュートラルの実現へ向けまして、認定長期優良住宅の住宅ローン控除の借入限度額の上乗せ措置が盛り込まれておりますけれども、この政策的効果について、長期優良住宅普及促進やCO2削減にどの程度貢献していくのか、具体的な見積りについてまでお示ししていただくのは大変難しいと思いますけれども、どのような見込みを持って今回の改正をされたのかということについて、国土交通省にお尋ねをいたします。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 長期優良住宅の供給の促進、あるいはCO2の削減につきましては、補助金あるいは税制、融資、さらには制度や基準等、総合的に組合せをして実現を目指していくものでございまして、今回の住宅ローン減税のみによる効果の算出というのは大変困難でございますけれども、長期優良住宅と申しますのは、耐震性の向上や断熱材の使用、さらには広い面積を確保するといったような形で通常よりも建築費が高くなるものでございますので、住宅ローン減税によりましてより優遇した支援を行いますことで、供給が促進される一定の効果があるというふうに見込んでございます。

 また、長期優良住宅につきましては、この税制による支援以外にも、認定制度をより使いやすくするような法改正を昨年五月に行っております。

 また、認定に当たっての技術基準なども、新しい技術開発を踏まえた見直しなどを行っていくことを予定してございまして、こういった様々な供給促進策と併せまして、認定に当たって求める省エネ性能の基準につきましても引き上げる。双方をやることで、長期優良住宅の戸数の拡大とカーボンニュートラルの実現、双方に取り組んでまいりたいと考えてございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 今、御答弁の中で、通常より大変この住宅は費用が高くなるということがございましたけれども、この長期優良住宅については、その取得について一般住宅と比べて費用がかかる。まさにその普及や促進を図るためには、中低所得者層の方にも恩恵のある制度であることが大変重要だというふうに思っておりますけれども、今回の改正のそこの部分への効果も含めて、国土交通省に見解をお尋ねいたします。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 カーボンニュートラルの実現の観点からは、中低所得者層も含めまして、住宅を取得される方全体において、省エネ性能の高い住宅の取得を促進することが重要でございます。

 今回の税制改正におきます住宅ローン減税の見直しにおきましては、長期優良住宅などの省エネ性能の高い住宅に借入限度額の上乗せ措置が講じられますことで、省エネ住宅の普及拡大につながると考えてございますけれども、中でも、中低所得者層以下の納税者の方々にとりましては、今回、控除率の引下げと併せまして、新築住宅等に関わります控除期間が十年から十三年に延長されるということで、従来の制度では毎年の税額が少なくて満額まで控除できていなかったのに対しまして、改正によりまして控除期間トータルの控除額が増えるといった支援の充実につながりまして、省エネ性能の高い住宅の取得が中低所得者層につきましても促進されるというふうに考えてございます。

 本法案の成立の暁には、この税制が積極的に活用されますように、分かりやすい周知等に努めてまいります。

西岡委員 今、住宅ローン控除についてお伺いをしたわけでございますけれども、住宅政策という面で考えてみますと、これまでの住宅政策というのは、そもそも、住宅の建設促進ですとか、持家制度を前提とする中で進められてまいりました。現在、全国各地で、空き家問題や、また賃貸住宅が大変増加をいたしているというライフスタイルも大変大きく変化をいたしております。そのことを踏まえまして、家賃補助ですとか住宅手当など、幅広く国民に恩恵が行き渡る住宅政策というふうに転換をすべきではないかと考えております。

 先般、本会議においても、斉藤大臣から、福祉政策の面での国交省のお取組については御説明をいただいたわけでございますけれども、賃貸による住まいを選択している世帯への支援、この部分をもっと充実をさせていくこと、大変重要だと思っておりますし、地方創生や東京一極集中の是正という面から見ましても、住宅政策が大変極めて重要な施策であるとの観点から、国土交通省の見解をお尋ねしたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 国民の方々の住宅に対する意向というものを見てみますと、これは平成三十年に国土交通省が行いました調査でございますけれども、持家を所有したいと考えておられる方が約六割を占めております。一方で、今後の住み替え先として賃貸住宅を選択をされている方の割合が増加をしている傾向がございます。このような、持家、貸家、双方の居住ニーズに応じまして、住まいの確保を支援していく必要があると考えてございます。

 このうち、賃貸住宅への支援につきまして申し上げますと、まず、全ての借家人の方が対象で、家賃の消費税が非課税とされております。

 また、先生先ほど御指摘がありました、低所得者を対象とした公営住宅の供給でございますとか、高齢者、子育て世帯などの住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅でございますセーフティーネット登録住宅の確保などにこれまで取り組んできたところでございます。

 さらに、令和三年度の補正予算からは、ただいま申し上げましたセーフティーネット登録住宅への家賃低廉化補助につきまして、これは子育て世帯を対象ということでございますけれども、これまで収入分位二五%以下の世帯を支援の対象としてきたところでございますが、それを拡大いたしまして、四〇%以下の世帯まで支援をするというふうに拡充しているところでございます。

 こういった取組のほかにも、先生御指摘の空き家の利活用の推進、これも大変重要な課題でございますし、また、最近では、住まいに関します様々なニーズが生まれております。二地域居住でありますとか、三世代の同居、ライフスタイルに合わせて柔軟に住み替える、こういった様々な住まい方ニーズに対応した支援の充実も是非図ってまいりたいと考えてございます。

西岡委員 様々なニーズに応える支援策というものをより一層充実を是非していただきたいというふうに思っております。

 戻りまして、住宅ローン減税として、今後の方向性としては、やはりカーボンニュートラルに資する省エネ住宅の建設促進をもっと後押しする制度の充実というものを今後更に図っていくべきではないかと考えておりますけれども、国土交通省に今後のその面での方針についてお伺いをいたしたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けましては、今回の税制改正によりまして、高い省エネ性能の住宅を普及拡大させるということに加えまして、省エネ基準への適合を全面的に義務化する、そういう規制の見直しでありますとか、より高い省エネ性能への誘導を図っていくための長期優良住宅等に係ります認定基準の引上げ、さらには、各種の予算措置などを総合的に組み合わせることによりまして、住宅の省エネ性能等の向上に取り組んでまいります。

 今後の住宅政策ということでございますけれども、税制を含めまして、今後の住宅政策におきまして省エネを推進する方策につきましては、これらの様々な施策によります住宅の省エネ性能向上の進捗状況、これを十分に見極めながら、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現が成りますように、総合的に検討をしてまいりたいと考えてございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 是非更に進めていただきたいというふうに思います。

 それでは、地方交付税等の一部を改正する法律案に関連する質問に移りたいと思っております。

 毎年、社会保障関係費負担というものが大変増加をしている状況の中で、これまでは、その増加分というものを、給与関係経費ですとか投資的経費の減少で吸収をしてきたということがございました。

 平成二十三年以降、交付団体ベースの一般財源総額実質同水準ルールの下で対応することができてまいりました。また令和四年度も対応することが可能となっておりますけれども、今後、同水準ルールと社会保障関係費の財源確保というものが果たして両立することができるのかどうか、今後の取組、対応について、金子総務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 基本方針二〇二一におきまして、地方の一般財源総額については、令和四年度から六年度までの三年間、令和三年度地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保することとされています。

 これは、地方の歳出水準について、国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、社会保障関係費や公債費の動向などの増減要素を総合的に考慮し、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額を確保していくという趣旨でございます。

 令和四年度の地方財政計画では、その歳出におきまして、地域社会のデジタル化などに対応するために必要な経費を計上するとともに、社会保障関係費の増加を適切に反映した上で、一般財源総額につきまして、交付団体ベースで令和三年度を上回る六十二兆円を確保いたしました。

 今後も、基本方針二〇二一に沿って、必要な一般財源総額をしっかりと確保してまいります。

西岡委員 御答弁ありがとうございます。

 総務省は、令和四年度交付税概算要求におきまして、交付税の法定率の引上げというものを事項要求をいたしております。その際、どの種目にて、どの程度の引上げというものを想定をされたのでしょうか。また、引上げの際は、どのような形で法定率の見直しが望ましいとお考えなのか、このことについてお伺いをいたしたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度の地方交付税の概算要求に際しましては、引き続き巨額の財源不足が生じ、地方交付税法第六条の三第二項に該当し、地方行財政制度の改正又は交付税率の変更を行うべき状況が続くことが見込まれましたため、交付税率の引上げについて事項要求をしたところでございます。

 その要求の内容についてでございますけれども、これは文字どおり事項要求でございまして、国、地方の財政状況等を踏まえつつ、予算編成過程において具体的な部分というのは検討するということを想定しておりましたため、その段階で対象税目や交付税率の引上げ幅について具体的な要求を行ったものではございません。

 その上で、一般論として申し上げますと、地方交付税の原資につきましては、国税の基幹税目である複数の税目を組み合わせることによって、収入の伸長性と安定性、これを確保するということが重要であるというふうには考えているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 これまでもずっと議論があっておりますし、総務委員会での委員会決議でもずっと記述をされておりますけれども、やはり法定率の引上げを含めた抜本的な見直しが大変必要だと思っておりますし、臨時財政対策債によらない持続可能な地方財政制度を確立するということが大変重要だと思っております。

 度々、金子総務大臣にはお伺いをいたしておりますけれども、改めて、決意も含め、大臣のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 西岡委員御指摘のとおり、地方財政の健全化のためには、本来的には、臨時財政対策債になるべく頼らない財務体質を確立することが重要だと考えております。

 令和四年度の地方財政計画においては、地方交付税総額について、令和三年度を〇・六兆円上回る十八・一兆円を確保するとともに、地方税の増収などにより、財源不足を大幅に縮小し、臨時財政対策債の発行額を令和三年度から三・七兆円抑制をし、残高を二・一兆円縮減することとしております。

 今後とも、経済あっての財政の考え方の下、経済を立て直し、地方税などの歳入の増加に努めるとともに、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うことにより、財源不足を縮小し、臨時財政対策債の発行抑制に努めてまいります。

 また、交付税率の引上げにつきましては、現在、国、地方共に厳しい財政状況にあるため容易ではありませんが、今後も、交付税率の見直し等により地方交付税総額を安定的に確保できるよう、粘り強く主張し、政府部内で十分に議論してまいります。

西岡委員 長年にわたる地方からの声もございますので、是非、大臣にはリーダーシップを持ってお取組をお願いしたいと思います。

 本来、地方財政に関わる政策につきましては、慎重な対応が必要だというふうに思っておりますけれども、今般のコロナ禍におきまして、国民生活、また事業者を守るための様々な施策が行われている中で、税負担軽減措置が、やはり創設、拡充が行われる場面が大変多くなっておりますけれども、税負担軽減措置の創設や拡充を行う場合は、地方財政の安定性の観点からも、代替の財源をしっかり確保するということが前提であると考えますけれども、このことについての総務省のお考えというものを、確認の意味も込めて、聞かせていただきたいと思います。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 毎年の税制改正プロセスにおきまして、各省庁に対し、地方税における税負担軽減措置の要望に当たっては、地方分権を推進する観点や、極めて厳しい地方財政の状況、それから整理合理化を求める地方団体の意見も十分に踏まえて対応するよう求めているところでございます。

 また、毎年の税制改正において税負担軽減措置の新設や拡充が行われる場合には、既存の措置の整理合理化により代替財源を確保するなど、地方税全体として、地方財政に影響を生じさせないようにする観点から取り組んでいるところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 大変重要なところだというふうに思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 それでは、次の技術職員の増員につきましては、先ほど石川委員から御質問がありましたので、ちょっと順番を変えさせていただきまして、自治体のデジタル化関連についての質問を先にさせていただきたいと思います。

 コロナ禍におきまして、十万円の特別定額給付金の遅れによりまして、我が国のデジタル化の遅れというものが大変深刻なものであるということが明確となりました。その中で、今、自治体情報システムの統一、標準化の取組が進んでおりますけれども、このことについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 昨年十二月に、自治体システムの標準化対象事務を定める政令が閣議決定をされまして、令和七年度を目標ということで取組が進められております。

 この統一、標準化については、国の政策として行うものでありまして、必要な費用については全額国費であるとの認識でいいのかどうかというのが一点。また、標準準拠システムについては、立ち上げた後の維持管理についてはどのような対応になるのでしょうか。必要な財政措置が取られるのかどうかも含めまして、今後の方針についてお尋ねをしたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 国が整備いたしますガバメントクラウド上で提供される標準準拠システムへの移行に要する経費を補助するために、これまで合計千八百二十五億円を計上し、補助率十分の十で国費による財政支援を行っております。

 具体的には、準備経費として、現行システムの分析調査や移行計画策定に係る経費等について、また、システム移行経費といたしましては、ガバメントクラウドへの接続設定やデータの移行作業に係る経費等について、補助の対象としております。

 また、お尋ねの標準準拠システムの維持管理に要する経費についてでございますが、その実態も十分に踏まえながら、適切に財政措置が講じられるよう検討してまいりたいと思います。

西岡委員 それでは、維持管理については、これからいろいろな進捗の中で検討していくという理解でよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、当然のことでございますけれども、進めていく上では、情報セキュリティーに対しまして万全の対策を取るというのが極めて重要だと思っております。このことについてはどのような方針の下で取組を進めていらっしゃるかということをお聞きをしたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体の情報システムは、多くの住民情報を取り扱うものでございまして、セキュリティー対策は極めて重要であると認識しております。

 標準化法におきまして、標準化に当たっては、サイバーセキュリティーに係る事項を含む各情報システムに共通の基準を定めることとしており、この基準に適合した情報システムを地方公共団体が利用することでセキュリティーを確保することとしております。

 現在、デジタル庁におきまして、ガバメントクラウドへの移行に係る課題の検証を行う先行事業を十一の自治体が参加して実施しているところでございまして、これらを踏まえて基準の策定を進め、デジタル庁と連携し、セキュリティー対策に万全を期してまいりたいと考えております。

西岡委員 しっかりこのセキュリティーのことについてはお取組をしていただきたいというふうに思っております。

 また、今回の標準化によりまして、これまで地方自治体が独自で行ってきた単独事業というものがやはり阻害をされることは避けなければなりません。この事業についてはどのような位置づけとなるのでしょうか。

 また、データの活用の問題であるというふうに考えますけれども、柔軟な対応がシステム上でも可能であるのかどうか、そのことについての方針をお尋ねしたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 標準化法におきましては、標準化対象事務の範囲を、事務処理の内容が各地方自治体で共通し、統一的な基準に適合する情報システムを利用することが住民の利便性向上や行政運営の効率化に寄与する事務、これに限定した上で、ガバメントクラウドを利用して標準準拠システムを利用するよう努めることとしておりまして、標準化の取組が自治体の独自施策を阻害するものではないと考えております。

 また、標準準拠システムにおきましては、各自治体の独自施策のための情報システムと標準準拠システムとの円滑な情報連携を担保し、柔軟な対応ができるよう、必要な基準の策定などを含め取組を進めることとしております。

西岡委員 ありがとうございます。

 このデジタル化を進めていく上では、これはもう当たり前のことでございますけれども、誰一人取り残さないデジタル化というものを進めていくということが大変重要だと思っております。

 例えば、高齢者の方や、障害をお持ちの方や、生活が大変厳しい困窮者の方、また、一人親世帯の方など、大変幅広い対策が必要だと思っておりますけれども、総務省としてお取り組みいただいていることについて御説明をいただきたいと思います。

渡辺大臣政務官 社会全体のデジタル化が進む中で、デジタル格差を解消し、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる環境を整備していくことが必要です。

 このため、総務省では、デジタル活用に不安のある高齢者等を対象として、オンラインによる行政手続など、スマートフォンの利用方法を教える講習会を、今年度から、携帯電話ショップなどを中心に、全国約二千か所で開催しております。

 来年度は、講習会の実施箇所数を約三千か所に拡大するほか、携帯電話ショップがない地域においては、地方公共団体とも連携し、講師派遣を実施します。来年度からは、講師についても、地域の人材を育成し拡充していく予定でございます。

 さらに、地方公共団体では、デジタルリテラシーの向上を目的とした、スマホ教室やパソコン講座などのデジタル活用支援の取組が行われております。令和四年度においても、地方財政計画の歳出に、引き続き、地域デジタル社会推進費を二千億円計上することとし、地域におけるきめ細かなデジタル活用支援の取組を促進してまいります。

 また、高齢者、障害者の利便の増進に資する情報通信機器やサービスにつきまして、研究開発への助成、データベースを通した情報提供を行っているところでございます。

 こうした取組を通じて、関係府省とも連携しつつ、誰もがデジタル化の恩恵を受けられる環境整備を推進してまいります。

西岡委員 ありがとうございます。

 今、いろいろ総務省でもお取組をしていただいておりますけれども、デジタルデバイドの是正ですとか、また、行政手続のデジタル化に係る各種手続の見直しというものへの支援等については、地域の行政手続の専門家である行政書士の先生方を含めた外部の専門家の皆様が御活躍いただいて御貢献いただくということが大変有効ではないかと思っておりますけれども、このことについての御見解をお伺いをしたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 いわゆるデジタルデバイドの解消や住民サービスの向上を図るため、外部の専門家を活用しながら、きめ細かに行政手続に係る申請支援を行うことは非常に有効であると考えております。

 総務省におきましては、デジタル活用支援推進事業による、オンライン行政手続も含めたスマートフォンの利用方法の講習会を開催しております。

 また、様々な行政手続に精通し、幅広い知識と経験を持っておられる行政書士などの地域の人材を活用することも重要と考えております。

 行政書士会連合会からも、行政手続のデジタル化を検討する国の有識者会議などにおいて行政書士を登用することなどが要望されておりますことから、デジタル庁を始め、各種行政手続のデジタル化に取り組む関係機関に対しまして、その旨、私どもからもお伝えしてまいりたいと思います。

西岡委員 やはり、現場の様々な行政手続に大変精通をされている行政書士の先生方の知見というものが大変有効であるというふうに思いますので、会議等に是非お参加をしていただいて、貴重な御意見をいただくということが大変有効ではないかと私自身も思っております。

 それでは、ちょっと、もう時間が限られておりますので、次の質問も、石川委員が先ほど質問した内容とほぼ同様の質問となりますので、最後、デジタル田園都市構想について質問をさせていただきたいと思います。

 デジタル庁も創設されまして、岸田政権におきましては、デジタル田園都市構想によりまして、デジタルを活用した地方の活性化というものが目指されておりますし、これによって、これが成長戦略の柱ということで、特に、地方から全国へのボトムアップによる成長ということを施政方針演説でも述べられております。

 総務省においても、デジタル田園都市国家構想推進本部というものが設置をされ、金子総務大臣が本部長に就任をされました。関係する省庁が多い中で、改めて、構想全体の中における総務省の位置づけ、また取組、またその役割というものについて御説明をいただきたいと思います。

山野政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年、政府のデジタル田園都市国家構想実現会議において、本構想の実現に向けた関連施策の全体像が示されました。

 この関連施策には、5Gや光ファイバー、データセンター、海底ケーブルなどのデジタル基盤の整備、様々な地方の課題を解決するためのローカル5Gなどのデジタル実装、デジタル活用支援などの、取り残されないデジタル社会の実現など、総務省が主体的に取り組んでいくものが数多く盛り込まれています。

 総務省といたしましては、昨年十一月に設置しました総務省デジタル田園都市国家構想推進本部を軸として、全省を挙げて本構想の実現に取り組んでいるところでございます。

 今後、例えば、5Gと光ファイバーの新たな整備計画を今年度中に策定すること、また、ローカル5Gについて、他地域での幅広い実装や、より柔軟な技術基準の整備に向け、具体的な利活用場面を想定した開発実証を行うこと、さらに、デジタル活用支援では、来年度からは全国的に講師派遣を実施することなどに取り組むこととしております。

 今後も、内閣官房やデジタル庁などの関係省庁とも十分に連携しながら、関連施策を進めてまいりたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 また詳しい中身については、質問を改めてさせていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

赤羽委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 地財計画ほか、二法案について質問いたします。

 オミクロン株の全国的な感染爆発は、蔓延防止重点化措置が次々と延長されるなど、まだ先が見えない深刻な事態であります。二月十五日には、国内で報告された新型コロナウイルス感染の死者は、ついに二百人を超えました。

 本会議代表質問でも述べたとおり、特に私の地元大阪は、更に危機的な状況に陥っております。

 大阪府は十四日、新型コロナに感染した六十歳代と八十歳代の男性二人が自宅で死亡したと発表いたしました。

 六十歳代の男性は大阪市在住。市によると、一月三十日夜、息苦しさと発熱の症状が出たことから、家族が救急搬送を要請。保健所は、入院先の調整がつかず、男性に基礎疾患がなかったことから搬送はせず、改めて療養先を見つけることにいたしました。しかし、翌日、自宅で容体が急変し、亡くなったということであります。

 八十歳代の男性は、中等症で入院しておりましたけれども、症状が改善したことから退院し、自宅療養に切り替えました。保健所が毎日連絡しておりましたけれども、今月七日に容体が急変して亡くなったと報告されております。

 今や命まで守れなくなっている現状を、国も都道府県も市町村も、力を合わせ、打つべき手を打ち尽くして、何よりも命を守る、それが政治の責任だと思います。

 大臣、そういう緊迫した状況下、命の懸かった場面での地方財政計画だという認識はお持ちでしょうか。お答えください。

金子(恭)国務大臣 宮本委員にお答え申し上げます。

 地元大阪での、本当に厳しい、切実な、命に関わる現状についてのお話をいただきました。

 私どもの最優先課題についても、新型コロナ対応でございます。新型コロナの感染拡大に直面する中、自治体におきましては、住民の命と健康を守るため、医療機関等とともに、新型コロナ対応の最前線に立って、懸命に取り組んでいただいております。

 新型コロナ対応につきましては、自治体が財政面での心配なく積極的に取り組んでいただけるよう、国においてしっかりと財源を確保することが重要と認識し、ほとんどの事業を全額国費により措置してきております。

 その上で、令和四年度の地方財政計画は、新型コロナ対応の最前線に立つ自治体が直面する重要課題に取り組みつつ、行政サービスを安定的に提供できるよう策定したところでございます。自治体の安定的な財政運営の観点から、最大限の対応ができたと考えております。

 今後も、各自治体が積極的に新型コロナ対応に取り組むことができるよう、総務省としても、引き続き、関係省庁としっかりと連携して、適切に対応してまいります。

宮本(岳)委員 資料一を見ていただきたい。

 二月の十五日、大阪府は、私のところに「大阪コロナ大規模医療・療養センター中等症患者用の運用開始等について」という文書を届けてまいりました。

 二月十五日午前九時から、インテックス大阪に設置している大阪コロナ大規模医療・療養センターの中等症患者用の運用を開始するというものでございます。運用開始当初は三十床で運用をスタートするが、最大二百床まで増やす、こうこの文書に書かれております。

 厚労省に聞くわけですけれども、大阪の大規模医療・療養センターの確保病床数は何床で、二月十六日現在の療養者数、病床使用率はどれだけですか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪府の大規模医療・療養センター、いわゆるインテックス大阪におきましては、臨時の医療施設として一千床を確保していると承知をしております。

 大阪府の発表によりますと、この臨時の医療施設における療養者数は、二月の十五日時点になりますけれども、この二月十五日時点において三名であります。単純に割りますと、使用率は〇・三%ということになります。

宮本(岳)委員 資料二を見ていただきたいと思います。

 鳴り物入りでインテックス大阪に千床を確保したと報じられてまいりました大規模医療・療養センターが、病床使用率〇・三%と。その前日までは〇%でありました。つまりゼロだったということですね。僅か〇・三%で、がらがらであるよりは、中等症の患者さんに入っていただくのはよいことであります。

 ところで、資料三につけましたのは、先日岸田首相が発表した、東京都と大阪府に臨時医療施設を設けて、国が看護師らを二百人規模で派遣して、東京都に六百六十床、大阪府には三百五十床を準備するという政策のペーパーであります。下線部、大阪を見てもらうと、ホテルに百五十床と、インテックス大阪の大規模医療・療養センターに二百床の運用に国の応援派遣とあります。

 これで、元々の千床に加えて二百床を国によって運用してもらえば、病床数は千二百床ということに、厚生労働省、なるんでしょうか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今御紹介いただきました資料、御紹介にありましたとおり、今後の入院患者の受入れに万全を期すために、東京都、大阪府と協力をいたしまして、合計約一千床を新たに増設して、看護師などの医療人材について国が全面的に支援をして、全国の公的・公立病院から派遣をするということでございますが、このうち二百床は、御指摘の大規模医療・療養センターを、国が調整した医療人材の応援派遣により実施することとしております。

 センターにつきましては、先ほど申し上げましたように、最大で一千床の病床を設置することが可能であるところ、この大阪のセンターにつきましては、そのうちの八百床は既に無症状、軽症の患者のために運用されていたというところでございますけれども、中等症までを対象とする二百床につきましては、これまでは、感染状況もあり、稼働していなかったと承知をしております。

 先ほど委員御紹介がございましたように、今月、二月の十五日にまず三十床から稼働を始めたという状況でございまして、この稼働を始めた二百床につきましては、中等症の患者を受け入れるために、国の支援の下で看護師等を手厚く配置して、医療提供機能を強化するということとなります。

 センターの最大確保病床につきましては、したがいまして一千床のままでございますけれども、患者を実際に受け入れられる病床としては二百床を増設したということだというふうに受け止めております。

 大阪府の医療逼迫への対応として、こうした入院患者で病状が安定、軽快した患者については、重点医療機関からの転院を進めていくということなども肝要であるというふうに考えておりますので、今回増設する二百床、現在の局面で、今後の対応として果たす役割というのは意義あるものだというふうに考えているところでございます。

宮本(岳)委員 いや、もちろん意義はあるんですよね。

 ただ、まさにこれが、先ほどの中等症病床というのはこれのことですよね。国がやるということであって、そういう意味では本当に取組が遅れているということを言わなければなりません。

 大阪は明らかに大混乱にあります。私の下には、濃厚接触は自主的に受診と言われ、病院に連絡しても、発熱しているなら来ないでくれ、検査はできませんと何軒も断られて、自宅で頓服で過ごしているとか、中には、医者に市販の頓服を買って飲んでおいてくれと言われた、こんなような話まで飛び込んでくる状況であります。

 厚生労働省に聞くんですが、このような混乱の一番の原因は、感染拡大の現状を把握する上で、保健所機能の逼迫と感染情報の処理遅れがあると思うんですが、認識はいかがですか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘がございますように、大阪は大変、非常に厳しい状況の中で、今、自治体が大変御苦労されていると承知をしておりますし、我々もできる限りの支援をしているところでございます。

 現在のコロナ対応で大変苦労されている現状の原因というのは、これは恐らく、様々あると思います。

 昨日開かれた大阪府の本部での議論では、例えば、これまでの感染に比べて高齢者の数が非常に多いとか、そういった議論もされているということも承知をしておりますが、その一方で、今委員御指摘ございましたように、感染拡大の現状を把握するという点に関して申し上げますと、二月の上旬に、これは何回か大阪市長が記者会見もされておりますけれども、対応できる人員に限りがある中で、感染情報の把握、報告に遅れが実際あったということで、実際にそれを会見されているということを承知をしております。

 感染力が極めて高いオミクロン株、短期間で感染者が急増したことで、保健所の業務が逼迫をして、HER―SYSへの入力の遅れなどが生じたということがあったと承知をしているところでございます。

宮本(岳)委員 結論部分だけでいいんですよ。

 二月九日の厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの会合で、西浦博京都大学大学院教授は、感染者が相当増えたので、HER―SYSの入力に関して都道府県で相当に厳しいところが出始めた、特に大都市圏でHER―SYS入力の遅れが顕著だ、大阪はより深刻、こういうふうに報告したと報じられております。

 大阪でどれほどHER―SYS入力が滞ってきたのか、最大で何枚の発生届の未処理及び処理途中枚数が発生していたか、厚生労働省にお答えいただきたい。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪市におけるHER―SYSへの入力の遅延につきましては、大阪市の報道発表によりますと、一月二十六日から二月の二日までの間で一万二千七百件、また、二月の四日から二月七日までの間で九千二百件の入力遅延があった旨の発表があったと承知をしております。

 また、最大枚数につきましても、同じく発表資料によりますと、二月二日の一万二千七百件であったと承知をしております。

宮本(岳)委員 一万二千七百枚ですね。

 事態の解決には、保健所の機能を正常化させることが決定的だと思います。また、動き始めた大阪府の先ほどの転退院サポートセンターの職員も十一名というふうに聞きました。今大事なのは、緊急に行政職員を投入してもこの目詰まりを解消することであります。

 現場からは、国からの医師や看護師の派遣もありがたい、もちろんありがたいんだけれども、併せて省庁の行政職員も送ってほしいという声も届いております。

 厚労省、そういう声に応えて、行政職員、事務職員ですね、応援を送る、こういうことは御検討いただけませんか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほど議論のありました報告の遅れに関しては、大阪市の会見での発表などを伺いますと、職員の増員などを図りましてその解消に努めているというふうに伺っております。

 一方で、そこの点に限らず、現場における逼迫状況といいますか大変な状況というのは、我々も直接、市からも逐次状況をお伺いしております。

 この場合は、我々といたしましては、これまでも、例えば外部委託などの体制の確保ですとか、あるいは全庁的な体制を取っていただくことでこうした人手不足の解消をお願いしてきましたし、そういったところでの助言なども行ってきているところであります。

 その上で、人手不足の対応というよりは、保健所の業務を進める中で、個々の保健所では、外の専門の機関との例えば交渉ですとか、あるいはいろいろな業務の工夫をするときに、なかなか知見がなくてうまくいかない、目詰まりがあるような場合があって、そういう場合に、我々厚生労働省の職員で専門的知見がある者を、一時的に実際に現場に派遣してお手伝いするようなこと、これは過去もやってまいりましたし、最近の事例では、沖縄県に派遣をいたしましたりということもやっております。実際にそういうことをやっております。

 大阪市につきましては、既にそういうような対応についても相談を開始しているところでございまして、これは受入れ側の体制の問題もございますので、協議が調えば、必要な範囲で、そうした専門的な立場から、保健所業務の目詰まりの解消に向けて、お手伝いできるところはお手伝いをしていくという考えで今取り組んでいるところでございます。

宮本(岳)委員 二月七日の予算委員会で、自治行政局新型コロナウイルス感染症対策等地方連携推進室の大村地方連携総括官は、金子総務大臣を本部長に、自治体が実施する様々な新型コロナウイルス感染症対策について、自治体との連絡体制を構築し、取組状況や課題を丁寧に聞き取り関係省庁にフィードバックすることなどを通じて、自治体の対応を後押ししていると答弁されました。

 大臣、大阪の状況をどのようにつかみ、どのようにフィードバックされておりますか。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 宮本委員御指摘のとおり、総務省としては、自治体との間の連絡体制を活用しながら、取組状況や課題を聞き取るとともに、関係省庁にフィードバックすることなどを通じ、新型コロナ対応に当たる自治体の取組を後押ししてまいりました。

 先ほど来厚生労働省からお話をいただいておりますが、医療の関係もございますので、厚生労働省を中心にして、関係府省、我々総務省もそうでありますが、各自治体に対して、方針とかあるいは支援の内容等については御連絡をしているわけであります。

 昨年四月の時点で、ワクチンの接種について、国がこういう方針でやりますと言ってもなかなか進まなかったということで、総務省が、やはり自治体との連携が取れているということもございまして、積極的に自治体に寄り添って、こういう方針が出ているんだけれども何でそちらは対応できないのかというようなことを丁寧に聞き取りました。そうしたら、医療関係者が見つからないとか、小さな町村では一律にはできないようなこともありましたので、そういったことをしっかりと聞き取りましてフィードバックして、一律ではなくて、それぞれの課題に応じて丁寧に対応することによって、ワクチンの接種が進んだということもございます。

 大阪府、大阪市につきましても、昨年来、幾度となくやり取りをしております連絡体制を活用しまして、新型コロナ対策について厚生労働省と連携をして必要な要請を行うとともに、日々の感染状況や病床利用状況の情報と併せ、新型コロナ対応の取組状況などを聞き取り、政府内の実務者の打合せの場等において適時共有しているところでございます。

 例えば、オミクロン株の特性を踏まえた医療提供体制の整備に関しては、大阪府が設置する大規模センターであるインテックス大阪の臨時病床を稼働させたこと、療養者に係る後方支援病院の充実を図ること、感染拡大を踏まえ更なる高齢者の医療体制の充実を図ること、保健所においてコロナ患者の発生届の入力業務の効率化を図ったことなどについて伺っております。

 また、ワクチン追加接種の促進に向けた体制整備については、例えば、集団接種会場の予約状況や、他の市町村の参考となり得る府内市町村の好事例も伺っておりますとともに、モデルナ接種の促進に向けた広報の充実が必要との意見などについても伺っております。

 自治体に寄り添いながら、我々も、総務省としてのこれまでの機能といいますか、これまでの自治体との関係の中で、そのことを厚生労働省とも相談しながら、政府一体となりながらやって、引き続き、自治体が実施する様々な新型コロナウイルス感染症対策について、現場の状況を丁寧に伺いながら支援してまいりたいと思っております。

宮本(岳)委員 事は命が懸かっておりますから、本当に、省庁の枠を乗り越えて、みんなが力を合わせてしっかり取組を進めていきたいというふうに思います。

 厚生労働大臣は、先日の代表質問で、二〇二一年四月一日現在、感染症対応に従事する全国の保健師の数は、二〇一九年から約千二百名増加し約三千名となっており、当初の計画を上回る増加となっております、ただし、この増加分には本庁等から保健所に配置転換した人数が含まれており、保健所の保健師全体では約七百名の増加、こう答弁をされました。

 配置転換では不十分だと私は思います。

 現場からは次のような声が届いています。コロナ対応に全力を注ぎつつも、精神保健担当の保健師やケースワーカーは、警察や御家族から緊急相談、自殺未遂事件発生、本人の様子に異変がある等があればすぐに出動しなければなりません、その対応中に警察からの次の相談や通報が入ることもあります、全く人が足りません、こう言うんですね。

 当初の計画を上回ると本会議でおっしゃいましたけれども、国民の命を守ることができているのかどうかが問われていると思うんです。三千人で十分だ、こうお考えですか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先日の本会議で大臣から答弁いたしましたとおり、三年四月一日現在で感染症対応業務に従事する保健師は約三千人ということではございますが、この中には、コロナ対応ということで、一時的に転籍とかをされている方も含まれているだろうと思います。

 そういうことでございますので、むしろ大事なことは、この感染症対策、平時からの備えも含めまして体制を強化するということがやはり重要だと考えておりますので、この点は総務省さんとも十分協議をして、御協力をいただいて、地方財政措置を含めまして、この間、取り組んできておりますので、引き続き、この仕組みの下で、保健所の感染症対策に従事する保健師の体制が十分な対応になるように、自治体の御判断もございますけれども、その動向を我々としてもよく見ながら、強化の動向をしっかり見ていくということが大事だと思っておりますし、この点は総務省さんとも協力しながら取り組んでいきたいと考えているところでございます。

宮本(岳)委員 二〇二一年の財政措置で、保健所の他の職種の人員も増加をしております。

 これまで、保健所の行政職員の削減が保健師の業務負担を増やしていることも指摘されてきました。二〇二二年度も保健所の行政職員を増やせる財政措置が行われているのかどうか、これは総務省からお答えいただけますか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 保健所の業務が円滑に行われますためには、事務職員の果たす役割も重要だと思っております。

 令和三年度におきましては、地方団体における実態及び厚生労働省や地方団体からの要望を踏まえまして、事務職員を含む保健師以外の保健所職員についても、地方交付税算定上の人数を標準団体ベースで二名増やしたところでございまして、令和四年度においてもその水準を維持することとしております。

宮本(岳)委員 コロナパンデミックというべき事態を体験した今、保健所の在り方が改めて問われていると思います。

 保健所法の九四年改定とその後の保健所の集約化が、結核に代表される感染症の脅威が減退したということを理由に、医療政策に占める公衆衛生のウェートを小さくした、感染症に対する備えがおろそかになったという点が背景にあると指摘をされております。

 ならば、改めて、コロナ後の保健所と公衆衛生の在り方については、もう一度白紙から議論する必要があるのではないか、こう思うんですけれども、これは大臣の御見解をお伺いできますか。

金子(恭)国務大臣 先日も、宮本委員から、保健師の増員のことについては、増員をしたんだけれどもこれで足りるのかというお叱りを受けたわけでございます。

 今も答弁しましたように、そういう状況の中で、しっかりと、今後とも検討しながら、皆さんが安心して医療を受けられる体制をつくるためにも、努力をしていきたいと思います。

宮本(岳)委員 こういう状況の下で、保育園の休園、高齢者施設のクラスターの発生など、特にエッセンシャルワーカーと言われる方々の負担が大きくなっている。我々もこれまで、エッセンシャルワーカーの処遇改善を度々問題にしてまいりました。

 政府は昨年、コロナ克服・新時代開拓のための経済対策で、公的分野における分配機能の強化策として、保育士等・幼稚園教諭、介護・障害福祉職員を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を三%程度、月額九千円引き上げるための措置を、来年二月ということは、今年の二月から前倒し実施するというふうにしております。

 山際大臣は、まず隗より始めよということで、政府ができる分野として、公的部門にいらっしゃる方々の賃金を上げていこうというところで決まったものと承知している、こう内閣委員会で答弁をされておられます。

 この対象となっている公的部門というものの中には、地方公務員の方もおられます。民間とともに、公務員の皆さんも対象となるのは当然のことだと思います。

 これも総務大臣に確認ですが、自治体にどのように対応を促しているのか、お伺いしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 自治体の現場では、今、宮本委員からお話がありました保育士を始めとしたエッセンシャルワーカーの数多くの職員が、地域住民に最も近いところでサービスを提供するなど、重要な役割を担っていただいております。

 今回の処遇改善事業については、こうした現場で働く地方公務員も対象となっております。総務省としても、各自治体が今回の経済対策の趣旨を踏まえ、対象となる職員の処遇改善について適切に対応いただけるよう、複数回にわたり通知を発出するなど、事業所管省庁と協力して取り組んでまいりました。

 地方公務員の給与は、地方公務員法に基づき、民間等との均衡を考慮して定められるものであることも踏まえつつ、今回の処遇改善事業が各自治体において適切に活用されるよう、引き続き事業所管省庁と協力して取り組んでまいります。

宮本(岳)委員 ちょっと時間がないのではしょります。

 地方公務員は、給料表や手当の仕組みが自治体によって違います。総務省が通知で提示しているわけですが、一般行政職と同じ給料表を用いている場合の想定として、初任給調整手当や給料の調整額を示しております。こうした仕組みは、ある自治体もあれば、ない自治体もございます。条例改正に当たっては、丁寧に相談に乗っていくことが必要ではないかということが一点。

 もう一点は、聞いておりますと、九月までは補助金で十割、全額補助が出るのでいいんだ、十月以降は国の補助金がなくなるので、自治体負担になるのではないかと二の足を踏む自治体があるとお伺いしております。この不安に対して、総務省としても、地方財政措置をしているということを、自治体の理解が得られるようにしっかり示していくべきだと思うんです。

 この二点、部局は変わるかも分かりませんが、立て続けにお答えください。

山越政府参考人 前段の御質問についてお答えいたします。

 今回、保育士等の処遇改善の補助事業に関して発出した通知におきましては、地方公共団体における処遇改善の具体的検討に資するべく、その手法の例を明示する形で助言をしたところでございます。

 通知発出後、地方公共団体からは、この通知の内容について数々の問合せをいただいているところでございまして、これまでも、その内容等について丁寧に解説するなど対応してきたところでございます。

 引き続き、地方公共団体からのお問合せに対して丁寧に対応してまいりたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年十月以降につきましては、保育士等それから幼稚園教諭、介護・障害福祉職員、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、収入を三%程度引き上げるための措置を実施することとされておりまして、その地方負担については、公立施設分も含め、地方交付税措置を講じることとしております。

 この地方交付税措置を講じることにつきましては、自治体向けの会議の場において周知しているところでありますが、重ねまして、今後、各府省から令和四年十月以降の制度の詳細が示されるものと承知しておりますが、これと合わせて、改めて自治体に対し周知に努めてまいりたいと思います。

 また、今回の措置に対応した普通交付税の算定項目につきましても、自治体に対して周知に努めてまいりたいと思います。

宮本(岳)委員 しっかり周知していただきたいんですけれども、自治体にしてみたら、その翌年も、その翌々年もという心配がやはりあるんですね。なかなか、単年度主義というか、予算は単年度でありますから、その先のことまで言いにくいんでしょうけれども、しかし、やはり、下げていくということはあり得ないことですから、是非しっかりと自治体にこの中身をお伝えいただきたいというふうに思っております。

 さて、公共施設等適正管理推進事業債について、次に聞きたいと思います。

 総務省は、二〇二二年の公共施設等適正管理推進事業債の地方財政措置で、長寿命化事業の拡充や脱炭素化事業を新規に加え、五年間の延長を行いました。しかし、この措置で一番に位置づけられているのは、集約化、複合化事業というものであります。総務省の資料によれば、延べ床面積の減少を伴う集約化、複合化事業を対象としているということであります。

 こうした政策誘導の下で、各自治体で公立学校の統廃合が進んでおります。この事業債は、公共施設等総合管理計画に基づき行われる事業で、個別施設計画等に位置づけられた事業を対象にしております。

 個別施設の計画の策定状況を内閣府がつかんでおりますけれども、その中で、学校施設について、二〇一八年度末には二〇%未満だった策定率が、二〇二〇年度の末で九〇%を超える状況になったというふうに報告を受けました。現在の個別施設計画の策定率、学校については幾つですか。

笠原政府参考人 学校施設に係る個別施設計画の策定状況でございますけれども、令和三年四月現在で九二%になってございます。

宮本(岳)委員 資料四を見ていただきたい。

 文科省が、今年一月十三日、市町村に対し本年度予算を説明する際に使用した資料であります。

 個別施設計画の策定状況は九二%とあり、交付金事業は個別施設計画の策定状況を踏まえて採択とした上で、計画の内容に課題ありと書いてあります。そして、その下の円グラフ、赤の下線を引いておきましたけれども、計画に複合化の記載がされていない設置者、計画に統廃合の記載がされていない設置者と書かれており、まるで複合化、統廃合が記載されていないことが問題であるかのように書かれております。これはあからさまな政策誘導ではありませんか。

笠原政府参考人 先生お示しいただきました資料でございますけれども、これは確かに学校施設の個別施設計画の策定状況について整理したものでございます。

 その前提といたしまして、学校の統廃合を行うかどうか、また複合化を行うかどうかを含めて、どのような学校施設を整備するかにつきましては、地域の実情に応じて、学校設置者である各地方公共団体において主体的に判断するべきものというふうに考えてございます。

 そういう前提の中で、文部科学省といたしましては、各地方公共団体において判断された結果を踏まえ、公立学校の施設整備に係る考え方や計画を適切に個別施設計画に反映させることをお願いしているところでございまして、このような表記になっているところでございます。

宮本(岳)委員 設置者が決めるのは当たり前のことなんですよ。それはもう地方教育行政の原理原則でありますけれども。

 しかし、その先につけております資料五を見ていただきたい。

 今月三日に文部科学省がオンラインで開催した、第九回新しい時代の学校施設検討部会配付資料の中にある、新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方についての最終報告(素案)の十三ページであります。

 この報告書なんですけれども、赤い下線部、先ほどの資料四の円グラフの数字をそのまま引用して、策定された個別施設計画では統廃合の検討が計画に掲載されている設置者の割合が三七%であり、必要に応じて学校施設の適正規模等の方針を検討し、適時に計画に反映していくことが必要であると書いてあります。

 やはり文部科学省自身が、個別計画にもっと統廃合計画を持てとハッパをかけているんじゃありませんか。

笠原政府参考人 先生お示しいただきました資料につきましては、文部科学省に設置しております有識者会議の二月三日の部会における資料というふうに認識しております。

 先ほど申し上げましたように、個別施設計画につきましては、あくまでも、各自治体において判断された整理の結果を、公立学校施設の整備の考え方とか計画を適切に個別施設計画に反映させていただきたいということの中で、こういうような記載がされているというふうに考えてございます。

宮本(岳)委員 では、資料六を見ていただきたい。

 二〇二二年度予算案資料であります。下線部、学校施設以外との複合化を伴う改築の補助率は三分の一から二分の一にかさ上げすると。

 これは、文科省としては複合化についてはこういう補助率を上げて推進したい、こういうことでよろしいですね。

笠原政府参考人 前提のところは繰り返しになって恐縮なんですけれども、あくまでも、学校についてどういう整備をするかというのは、地域の実情を踏まえて、学校設置者である各地方公共団体において主体的に判断されるべきものというふうに考えてございます。

 その上で、今、複合化についての御指摘がございましたけれども、公共施設の老朽化が全般的に進行しておりまして、学校施設と他の公共施設との複合化を行うということを計画している自治体もあるというふうに承知をしてございます。

 複合化を行う場合には追加的な費用を要することもございますので、そういう場合でも国としてしっかりと財政支援を行うことが必要であると考えておりまして、いずれにいたしましても、文部科学省としましては、各学校の設置者が地域の実情に応じた整備を着実に行えるよう支援を行うために、このような制度を考えているところでございます。

宮本(岳)委員 いやいや、それは、各設置者が自分の判断でやるのは当たり前だと言っているんですよ。それをあなた方が政策誘導しているんじゃないのかということを私は言っているわけですね。

 もう一度先ほどの資料四に戻ってもらうと、今お話にあった複合化と統廃合の円グラフは並んでおります。左側の複合化は補助率かさ上げで誘導するが、右側の統廃合はそうではないというようなことはありません。

 統廃合に係る国庫補助率について聞きますけれども、例えば二つの公立学校について、片方の学校に統合し、校舎を建て替える場合、新設の場合、又は、校舎を増設する、一つにまとめたために教室を増設する必要が出てきた場合、それぞれ国庫補助率はどうなりますか。

笠原政府参考人 先生の御指摘のございました既存施設を統合に伴って改修する場合ですとか、そこに統合して増築をする場合、二分の一というふうになってございます。

宮本(岳)委員 では、統合せず単に別々に建て替える場合の国庫補助率は幾らですか。

笠原政府参考人 通常の場合の新増設については二分の一というふうになってございます。

宮本(岳)委員 それぞれをばらばらに建て替える場合もそういうことになりますか。建て替えや補修をする場合ですね。

笠原政府参考人 既存の学校の、当然、改修ですとか改築につきましては三分の一となってございます。失礼いたしました。

宮本(岳)委員 同じ建て替えあるいは改修でも、統合する場合は二分の一で、そうじゃない場合は三分の一、こういう差がつくわけですね。

 それだけではないんです。総務省に確認しますが、複合化、学校統合を含む集約化をする際の二分の一の、あと残る二分の一は、先ほどから話の出ている公共施設等適正管理推進事業債の発行が認められます。その際に、その償還金に対する交付税措置がありますね。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 集約化、複合化事業の場合でございますね。これは、起債充当率が九〇%、交付税措置率は五〇%となっております。

宮本(岳)委員 優遇される充当率で起債、償還についても交付税措置がされるわけですよね。文科省が補助率の引上げをやり、総務省もこの公共施設等適正管理推進事業債の発行や償還金への交付税措置で誘導する。

 資料七を見てください。最後の部分です。

 これは埼玉県川口市の事例が紹介されています。総務省は、学校施設の再編統合、集約化事業について、公共施設等適正管理推進事業債を活用した先進事例として、ちゃんとこうやって統廃合をホームページで紹介しております。

 自治体の判断、統合ありきではないと言うけれども、文科省も総務省も財政的裏づけでもって政策誘導しているということは明らかだと思います。そうした中、全国の自治体で統廃合計画がどんどん進められている。東京都町田市では、小学校を四十二校から二十六校に、中学校を二十校から十五校に減らす計画が、また、大阪市生野中学校区では、小学校四校と中学校一校、計五校を一校に統合するという計画が進められております。

 文科省と総務省が財政的な裏づけをもって政策誘導すれば、自主的な判断だと言うけれども、全国でそういう方向が広がるのは当たり前じゃありませんか。いかがですか。

笠原政府参考人 繰り返しで恐縮なんですけれども、あくまでも、学校の設置者が地域の実情を踏まえて主体的に判断をするというのが原則というふうに当然思っておりまして、そのために、文部科学省としましては、地域の実情に応じた整備が着実に行えるような制度の構築ということで考えているところでございます。

宮本(岳)委員 本当に情けないですよ。これまで文科省はそういうことを余りやりたがっていなかったのを、財務省や総務省に言われて嫌々やらされているかのような話を聞いたことがありますけれども、今や文科省は先頭に立ってこういうことを進めるようになったんだなと、本当に情けない限りであります。

 私は、これから少人数学級を進めていかなきゃならない。それから、コロナの時代ですから、やはり少人数で、二十人程度の一つのクラスのサイズに下げていく。こうなったら、教室が足りなくなるということがあり得るわけですよ。ですから、これから先を予断を持って決めるべきではない、とにかく安易な統廃合を進めるべきではないと思いますが、これは最後に総務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 学校は、教育の場のみならず、地域コミュニティーの拠点であり、防災拠点としての機能も持っております。活力ある地方づくりの観点から、学校と地域との連携、協働も重視されておりますし、地域社会において重要な役割を有しているものと考えております。

 その上で、各自治体においては、学校を含めた公共施設等について、老朽化を始めとする施設の状況や将来の人口見通し、維持管理、更新等に係る経費などを踏まえ、あるべき行政サービス水準の検討を加えた上で、公共施設等総合管理計画を策定し、公共施設等全体の適正な管理を進めていただいております。

 その際、学校を含めた個別の公共施設等の更新や統廃合については、各自治体において、地域の実情を踏まえ、議会や住民との議論を行いながら検討していただくものと考えております。

宮本(岳)委員 時間が参りましたので終わります。次は文部科学委員会でやらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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