衆議院

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第7号 令和4年2月21日(月曜日)

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令和四年二月二十一日(月曜日)

    午後四時開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 新谷 正義君 理事 田所 嘉徳君

   理事 岡本あき子君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 輿水 恵一君

      井野 俊郎君    井原  巧君

      石田 真敏君    大串 正樹君

      加藤 竜祥君    川崎ひでと君

      小森 卓郎君    坂井  学君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      武村 展英君    西野 太亮君

      鳩山 二郎君    古川  康君

      保岡 宏武君    柳本  顕君

      山口  晋君    山本 左近君

      渡辺 孝一君    石川 香織君

      おおつき紅葉君    奥野総一郎君

      鈴木 庸介君    道下 大樹君

      湯原 俊二君    阿部 弘樹君

      岩谷 良平君    守島  正君

      福重 隆浩君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   総務大臣         金子 恭之君

   総務副大臣        田畑 裕明君

   総務大臣政務官      鳩山 二郎君

   総務大臣政務官      渡辺 孝一君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           新井 孝雄君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        馬場竹次郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局新型コロナウイルス感染症対策等地方連携推進室地方連携総括官)          大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  前田 一浩君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            二宮 清治君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   吉開正治郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           蓮井 智哉君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     山本 左近君

  古川 直季君     山口  晋君

  沢田  良君     岩谷 良平君

同日

 辞任         補欠選任

  山口  晋君     古川 直季君

  山本 左近君     井林 辰憲君

  岩谷 良平君     沢田  良君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 持続可能な地方税財政基盤の確立並びに新型コロナウイルス感染症及び東日本大震災等への対応に関する件


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府地方創生推進室次長新井孝雄さん、総務省大臣官房地域力創造審議官馬場竹次郎さん、自治行政局長吉川浩民さん、自治行政局新型コロナウイルス感染症対策等地方連携推進室地方連携総括官大村慎一さん、自治行政局公務員部長山越伸子さん、自治財政局長前田一浩さん、自治税務局長稲岡伸哉さん、総合通信基盤局長二宮清治さん、政策統括官吉開正治郎さん、経済産業省大臣官房審議官蓮井智哉さん及び資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 立憲民主党・無所属の岡本あき子です。

 今般の両法律案について、この間、我が会派では委員全員が質疑に立ち、それぞれの視点で質問や意見を述べさせていただきました。私からは、改めて確認をしながら質疑を進めさせていただきたいと思います。

 最初に、総務省としての統計問題の対応についてです。

 国交省の報告書並びに統計委員会のタスクフォースの報告書だけでは、私は、原因究明まで至らず、再発防止にはほど遠い状態だと思っております。

 公的統計は、政策立案の基礎となるものです。GDPへの影響も不明なまま、また、総務省の対応にも私は課題があると思っています。統計をつかさどる総務省として、全て解明されたという御認識なんでしょうか。改めて伺います。

金子(恭)国務大臣 岡本委員にお答え申し上げます。

 今般の事案を受けまして、統計の専門家だけではなく法律の専門家も参画いたしました国土交通省の検証委員会及び総務省の統計委員会タスクフォースによりまして、徹底的な検証、精査が行われたところであり、まずはそれらをしっかりと受け止めたいと思っております。

 その上で、現在、統計委員会に設置されました公的統計品質向上特別検討チームにおいては、公的統計の改善施策の検討に先立ちまして、改めて、こうした委員会の報告書の精査や、関係者からの説明聴取等を行っていただいているところでございます。

 例えば、国土交通省検証委員会の報告書には、上司と部下の主張に相違がある旨の記述がありましたが、このような部分も含めて、事案の発生原因まで遡る精査に取り組まれていると承知しております。

 総務省としては、このような統計委員会における統計の結果を踏まえ、公的統計の信頼確保のために全力で努力をしてまいりたいと思います。

岡本(あ)委員 再びまた調査をしていくということで、そのことは了と受け止めたいと思います。

 この委員会でも、やはり、国交省での発言の食い違いがあるよとか、私からすると、総務省でも、会計検査院からの指摘があっても、総務省の統計担当の方が実は報道されるまで気づかなかったという調査の書き込みもありまして、こういう点、総務省のやはり統計に対する姿勢というところもしっかり行わないと、各省ができているだろうだけでは、公的統計の信頼性というのは担保されないと思います。

 改めて、この結果を踏まえて、もう一度、再発防止に徹底して取組をしていくという報告がいずれ公になると思っていてよろしいんでしょうか。その再発防止にかけた意気込みをお聞かせください。

金子(恭)国務大臣 ただいま岡本委員からいろいろな御指摘をいただいたところでございます。

 毎月勤労統計調査の不適切事案を受けまして政府全体で対策を進めてきた中で、今回の事案が起きたことは大変遺憾でございます。私としても、御指摘のように、実効性ある再発防止策を検討すべきであると考えております。

 このため、先ほど申し上げたように、統計委員会の特別検討チームでは、現在、国土交通省や総務省の報告書の精査や、関係者からの説明聴取などを行っていただいているところでございます。

 このチームでは、事案の発生原因まで遡ることにより、品質優先の組織文化の形成や、風通しのよい職場環境の醸成など、公的統計の作成に係る様々な課題の抽出等を行い、それらを踏まえ、実効性のある再発防止策の検討を進めております。

 総務省といたしましては、このような統計委員会における取組を全面的に支援をいたしまして、実行することで、統計の信頼確保に向けて全力で取り組んでまいります。

岡本(あ)委員 総務省は統計をつかさどるところです。あらゆる統計に信頼が担保される、このことが総務省の使命だと思っておりますので、報告書を受けて、新たな再発防止、ここに期待をしたいと思いますが。

 委員長、今、御報告あったとおり、御答弁あったとおり、改めて調査結果が出ると思います。この点については、総務委員会としても集中的にこの統計の問題を取り扱うべきだと私は思っております。是非委員長に受け止めていただければと思います。

赤羽委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。

岡本(あ)委員 ありがとうございます。

 この点、やはり、総務委員会としても、私たち議会側としても、総務省にしっかりと信頼のある統計の担当をしていただく、そのことをもって議会としても是非よくなるようにという思いでおりますので、公的統計の信頼性、確保していただきたいと思います。

 次に、豪雪や異常気象による被害、原油価格の高騰への対応について伺わせていただきます。この委員会でも、豪雪、それからガソリンの高騰、原油価格の高騰などが様々問題になりました。

 いざというときに住民に寄り添って、個人に負えない被害に対応するのが自治体、そして、いざというときにこそ自治体の味方になるのが総務省だと私は信じています。豪雪被害については、除排雪に必要な特別交付税措置を含めて、十分な財源担保を求めたいと思います。

 もう一つ、ちょっと地元になりますが、資料一を御覧ください。

 一月中旬に発生したトンガの噴火で、実は、津波が発生した被害が、局所的ではありますが、例えば地元では、塩竈市でワカメ養殖業者、八割が壊滅をする、こういうようなことが起きております。局所とはいえ、養殖業者は壊滅状況で、もう悲嘆に暮れております。事業が復旧できるための、国としての支援も必要ではないかと思います。

 こういう自然災害、異常な気象に対応するべく財源を担保する、この総務省としての取組をお聞かせください。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 トンガ沖の津波の関係でございますけれども、農林水産省からは、トンガ諸島の火山噴火に伴って発生いたしました潮位変化による漁船や養殖施設等の被害につきましては、漁船保険制度及び漁業共済制度等による支援を行うと伺っております。

 地方団体への支援につきましては、まずは水産行政を所管しております農林水産省において、地方団体による支援の状況等も踏まえて検討していただく必要があるものと考えておりまして、農林水産省のお考えをよく伺ってまいりたいと思っております。

岡本(あ)委員 豪雪についても伺っておりますので、その点もお答えください。

前田政府参考人 どうも失礼いたしました。

 いろいろ報道もされておりますが、北日本それから日本海側におきまして、大変な豪雪と去年の冬からなっているという状況を十分我々も承知しているところでございます。

 この除排雪に係ります経費につきましては、基本的には普通交付税で措置はされておりますけれども、それを上回る財政需要が出てきた場合には特別交付税で措置するというふうにしておりまして、現在、各地方団体の状況を丁寧にお伺いしながら、三月分の特別交付税の算定に向けて取り組んでいるところでございまして、いずれにいたしましても、私ども、地方団体の財政運営に支障が生じないよう対応してまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 豪雪に関しては、例年、普通交付税で、それで、それを超えていると特別交付税措置というのが豪雪が起きたときには行われております。

 ただ、これだけやはり豪雪が続く、頻発する時代になっていますと、私たち立憲民主党としては、平時の豪雪の対応ということも様々提案をして、法律案も出させていただいております。まずは、今年、今回についてはしっかりどのぐらいかかるかというのを見ていただいて、一定程度、豪雪が続く豪雪地帯に対する支援というところも、今後も、私たちからすると、求めていきたいと思っております。

 次に、ガソリン急騰に対する補助金なんですが、五万円投入しておりますけれども、これで果たして十分な効果が出ているのかというところです。これは経産省になりますが、効果についてお答えください。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御質問いただきましたのは、国の方で実施しておりますいわゆる原油価格高騰等へ対応した激変緩和事業のことかと理解してございます。

 これは、ガソリン、軽油、灯油、重油を対象にしておりまして、五円を上限として国の方で補助させていただくというスキームになってございます。

 これは、国民の皆様が春先までを見通せるように、原油価格が上昇している中において、ガソリン価格などの更なる高騰を抑えるという趣旨のものでございます。

 直近のデータであります二月十四日のレギュラーガソリンの全国平均価格は、その前の週から〇・二円上昇の百七十一・四円と、ほぼ横ばいの結果となってございます。今回の激変緩和事業がなければ、原油価格の高騰、上昇により百七十五・二円になると予想されたため、この事業によりまして三・八円の価格抑制効果を確認してございます。また、軽油、灯油についても、それぞれ三・八円、三・七円の抑制の効果を確認してございます。

 したがいまして、価格上昇の抑制という観点では、一定の目的を達成しているというふうに考えてございます。

 我々は、ガソリン価格の動向につきましては、毎週、全数調査を行い、しっかりモニタリングをしていく予定としておりますし、卸価格の上昇以上に小売価格が大幅に上がっているような事業者の方がおられる場合は、事務局の調査員が直接訪問して、事業の趣旨の説明ですとか価格設定の要因、背景などを個別に確認させていただくということにしてございまして、これらを通じまして、この事業の実効性をしっかり確保してまいりたいというふうに考えてございます。

岡本(あ)委員 今御答弁で、上昇が抑制されているという表現をされました。私は、逆に、六週連続で上昇を続けているという認識を持っています。決して、抑制されたとか、安心して価格が抑えられているとは思っておりません。

 地方税に関しては、軽油引取税があります。スタンドには、先ほど申し上げた補助金というのは直接支給はされておりません。トリガー条項凍結を私たちは解除するべきだと求めています。あわせて、その際、自治体の減収に対する交付税措置を講じるべきだと思います。

 この点、総務省に伺います。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 トリガー条項につきましては、発動された場合、軽油の買い控えやその反動による流通の混乱、地方財政への多大な影響などの問題があると考えております。

 今回の燃料価格高騰に対しては、政府として、ガソリン、軽油、灯油、重油を対象とする激変緩和措置とともに、農業、水産業など、業界、業種ごとの支援、地域の実情に応じた対策を行う自治体の支援などを重層的に用意しているものと承知しております。

 その上で、関係省庁において、真に効果的な対策について集中的に検討されるものと考えております。

岡本(あ)委員 様々取り組んでいるけれどもこれだけの価格になっているということを重く受け止めていただきたいと思います。私たち立憲民主党としては、これからも、このトリガー条項、ガソリンや油に係る生活者の負担軽減を求めていきたいと思います。

 この生活者の負担軽減でいきますと、灯油の購入も非常に苦しくなっております。この特別交付税措置延長も求めたいと思います。お答えください。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年度におきましては、原油価格が高騰しておりますことに加えまして、十一月に閣議決定されたコロナ克服・新時代開拓のための経済対策、これに基づき、灯油購入費の助成など、地方団体が行います原油価格高騰対策に対し、特別交付税措置を講じることとしております。

 従来から、原油価格高騰対策につきましては、原油価格高騰に伴い生活者等へ与える影響が大きくなってきたことなどを踏まえまして、それを受けまして特別交付税措置を講じてきたところでありまして、来年度につきましても、原油価格の動向や原油価格が生活者等へ与える影響などを踏まえ、その必要性を検討していくべきものと考えております。

岡本(あ)委員 少し安心しました。

 これだけ高騰が続いている状況の中では、やはり灯油が高い状態になるという心配があります。四月になったからといって、寒冷地帯の暖房器具が要らない状況ではないということも踏まえて、是非準備をいただければと思います。

 続きまして、今回の質疑で多く指摘されています自治体の体制の機能強化について伺います。

 資料三、公立病院の話をまたさせていただきたいと思います。

 コロナの対応で、公立病院の役割の重大性というのは改めて認識されました。そして、コロナの医療難民ゼロというのは、岸田総理が総裁選のときに掲げた公約でもあります。ところが、現在、無念死という言葉が報道になっています。この無念死というのは、コロナになっても治療を受けられずに無念の思いのまま亡くなったということを指します。この数は、今年一月分、警察庁の発表では百五十一名で、死亡者数に占める無念死の割合は既に第五波を超えています。逼迫どころか医療崩壊だと私は思っています。

 今やるべきは、救急搬送の強化と、重症、中等症、軽症者などとトリアージを可能とする受入れ体制の再構築が最優先だと思っています。この時期に、同時並行で、医療の再編・ネットワーク化、あるいは医療計画の策定に向けて、言葉とすると、資料三でも、病床の削減や統廃合ありきではないと書かれておりますし、総務大臣、ずっとそれは一貫してお答えいただいております。

 ただ、今申し上げました、いざというときの強化という部分については、残念ながら、ここを優遇するような言葉というのはないんですね。私は、いざというときの余力を持つことこそ公立病院の使命ではないかと考えています。

 資料四では、民間も含めてですが、病床を削減した場合はどんどん、優遇するよ、優遇するよ、優遇するよというメニューが次々並んでおります。今これを検討させるべきではないと思います。特に公立病院に関しては、タイミングとしても、今やるべきは医療病床を確保すること、いざというときに余力を持つこと、ここを優遇させるための措置も別に講じて、その上で再編やネットワーク化を考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。大臣、お答えください。

金子(恭)国務大臣 岡本委員からは、度々この問題についてお取り上げいただいております。

 人口減少等に伴う医療需要の変化や医師等の不足を受け、地域医療を支える公立病院の経営は依然として厳しい状況となっております。また、今般の新型コロナ対応においては、病院間の役割分担や医師確保などの取組を平時から進めておく必要が浮き彫りになっております。

 こうしたことを踏まえ、総務省では、今年度末までに公立病院経営強化ガイドラインを策定することとしております。

 委員御懸念の病床削減や統廃合につきましては、地域医療確保に関する国と地方の協議の場において、昨年十二月に厚生労働省から、地域医療構想の推進の取組は病床の削減や統廃合ありきではない旨の表明がなされております。

 総務省としても、このガイドラインにおきまして、公立病院の病床削減、統廃合を前提とすることは考えておりません。

岡本(あ)委員 削減ありきではないということ、重ねて公立病院に関しては特に強調していただきたい。その上で、やはり、いざというときに余力を持つということもしっかり誘導できるような措置も検討していただきたいということをお伝えします。

 時間の関係で、最後の項目にちょっと飛ばせていただきます。

 持続可能な地方都市のための地方税、地方交付税の在り方、自治体運営について、大臣に伺っていきたいと思います。

 地方交付税は、前年を上回る十八・一兆円を確保できました。しかし、あくまでも前年度の繰越金一・三兆円があったためでもあります。従来からの財源不足及び借入残高の解消のためにも、本来あるべき姿としての地方交付税の法定率の引上げを強く求めます。

 もう一点、一緒に聞いてしまいますが、臨時財政対策債、これの解消も求めます。総務大臣が粘り強く財務省と交渉していただいて、地方自治体の味方になる姿勢を求めます。大臣、いかがでしょうか。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 地方財政の健全化のためには、本来的には、臨時財政対策債になるべく頼らない財務体質を確立することが重要だと考えております。

 令和四年度の地方財政計画においては、地方交付税総額について、令和三年度を〇・六兆円上回る十八・一兆円を確保するとともに、地方税の増収などにより、財源不足を大幅に縮小し、臨時財政対策債の発行額を令和三年度から三・七兆円抑制をいたしまして、残高を二・一兆円縮減することとしております。

 今後とも、経済あっての財政の考え方の下、経済を立て直し、地方税などの歳入の増加に努めるとともに、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うことにより、財源不足を縮小し、臨時財政対策債の発行抑制に努めてまいります。

 また、交付税率の引上げについては、現在、国、地方共に厳しい財政状況にあるため容易ではありませんが、今後も交付税率の見直し等により地方交付税総額を安定的に確保できるよう、粘り強く主張し、政府部内で十分に議論してまいります。

岡本(あ)委員 粘り強く結果を出していただきたいと思います。

 今回の地方税、地方交付税の改正案とも、立憲民主党・無所属の会派としては、コロナや自然災害等の臨機応変な対応、また、いざというときのための平時の財政や体制、地方を本気で元気にするには不十分な点があることを指摘させていただきました。

 総務大臣こそ、自治体の大きさや人口規模とは関係なく、地方都市の魅力を持つことの重要性を官邸やほかの閣僚にも訴えることができる大臣だと思っております。今や自治体の半数以上が過疎と言われる現在、人口減少に伴う行財政の縮小やコスト削減だけが目的となるような悪循環ではなく、危機管理対応も見据えた平時の体制と財源を確保すること、必要な行政サービスが住民に行き届くこと、誰も取り残さない社会をつくることが、地方自治体をつかさどる総務省の使命だと思います。そのトップに立って牽引する大臣の御決意を伺いたいと思います。

金子(恭)国務大臣 岡本委員におかれましては、地方の立場に立って、私に対してもいつも御激励いただきまして、心より感謝を申し上げます。

 全国どのような地域であっても、住民に安全と安心をもたらし、活力ある持続可能な地域社会を築いていくことが必要だと考えております。

 社会保障や教育など住民に身近な行政サービスは、そのほとんどが自治体により提供されております。また、長期化する新型コロナ対応に加え、激甚化、頻発化する自然災害に備えるための防災・減災対策など、自治体の役割はますます大きくなっております。

 令和四年度の地方財政計画は、新型コロナ対応の最前線に立つ自治体が、直面する重要課題に取り組みつつ、行政サービスを安定的に提供できるよう策定したところでございます。自治体の安定的な財政運営の観点から、最大限の対応ができたと考えております。

 私はかねてより、地方の繁栄なくして国の繁栄なしと考えております。活力ある地域づくりの実現に向けて、関係省庁とも連携しながら、全力で取り組んでまいりたいと思います。

岡本(あ)委員 大臣の御決意を伺いました。

 最後に、ちょっと資料二なんですが、保健所の人員と、あと、保健所数のグラフを出させていただきました。

 今、大臣に御決意をいただきましたが、保健師も一・五倍増やしますという予算も提示されておりますけれども、一方で、いざというときの体制が、このグラフを見て、本当になっているのか、それが取り戻せるのか、これが総務省の手腕に懸かっているんだということをお伝え申し上げ、私からの質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、守島正さん。

守島委員 日本維新の会、守島です。

 まず、私ごとではありますが、先日、コロナウイルスに感染してしまいまして、十日間に及ぶ自宅療養をさせていただきました。その間、当委員会にも出席できず、委員会関係者各位並びに我が会派のメンバーの皆さんには大変御迷惑をおかけしましたことを、この場をかりておわび申し上げます。本当に失礼しました。

 私自身、小さい子供というか息子からの家庭内感染ということもありまして、防ぐことが難しかったわけですが、この総務委員会とか予算委員会においても、本来であれば、療養期間中に質疑の割当てがあったところ、その機会を逸してしまいまして、非常に残念な思いを持っています。

 よって、改めて、この国会におけるオンライン審議の導入の必要性を痛感するとともに、今後の総務委員会では、そうした質疑につなげていきたいというふうに思っておりますが、本日は法案審査最終日ということで、その点に絞り、聞いていきたいというふうに思っています。

 まず、地方税法等の一部を改正する法律案についてですが、法人事業税においては、積極的な賃上げ等を促すための税制措置、いわゆる賃上げ税制が施されておりまして、地方税においても今回の税制措置における減収の影響が見込まれているわけですが、過去の導入結果なども踏まえて、賃上げ税制で抜本的な賃上げが可能なのかというと、効果の有効性など、その疑問に関しては、この間、各委員会においても論点になっているところであります。

 そうした疑問が残ることは前提とした上で、そもそも岸田総理が所信表明や施政方針演説で、民間企業に賃上げを促す際には、賃上げと企業の成長の好循環をつくり出し、持続的な賃上げを可能にしなければならないであったり、成長の果実を従業員に分配する、そして、未来への投資である賃上げが原動力となって、更なる成長につながる、こうした好循環をつくるといった発言をなされています。

 このことから、今回の税制改正が賃上げ効果を狙うこともさることながら、企業や経済全体の成長につなげていく狙いも含んでいるように思うんですけれども、個人的には、この賃上げ税制と成長という言葉に対する相関関係が非常に見えにくいと感じています。なので、改めて、今回の賃上げ税制に関し、その効果や狙いについて総務省から説明してほしいと思います。よろしくお願いします。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の税制改正におきましては、成長と分配の好循環の実現に向けて、国税において、賃上げに係る税制措置を抜本的に強化するとともに、地方税においても、所要の措置を講ずるということといたしております。

 賃上げ税制については、令和四年度の与党税制改正大綱におきまして、企業が基本給を含む賃上げや人的資本の拡充、下請先との取引の適正化を始めとする多様なステークホルダーへの還元に着実に取り組み、成長と分配の好循環が早期に起動することを期待するとされておるところでございます。

 いずれにいたしましても、賃上げに向けては、政府全体としてあらゆる施策を総動員して取り組むことが重要である、このように考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 今、賃上げ税制の効果とか狙いとかは説明していただいたんですけれども、やはり、今の説明でも、それが成長につながるかというような因果関係がちょっとはっきり分からないというのが実感するところです。

 もちろん、賃上げ自体は必要なんですが、消費喚起、促して経済を底上げするには、特に中小企業従事者の賃上げというのは重要だと思っているんですが、赤字経営の多い中小企業におけるインセンティブの低さなど、この政策の有効性とか狙い自体が腑に落ちないところもあるんですが、その点は横に置いたとして、今回の制度改正が企業や経済の成長につながるかということに焦点を当てると、やはり企業とか経済の成長においては、自由で公平な市場における競争というのは最も大事にしなければならない価値観だと僕自身は思っています。

 そんな中で、今回、賃上げ税制においては、賃上げに加えて、教育訓練費においても、前期の教育訓練費の一・二倍を満たす場合には五%の法人税控除の上乗せが可能となっています。

 教育訓練費は、給与と違い、企業によってはほとんど支出していないところがたくさんあるんですね。今回の制度では、前年に教育投資をしていない企業は、一円でも投資をすれば税額控除の上乗せ対象となってきます。これは、ここまで教育訓練に投資をしてきた企業は更に一・二倍以上の増額が必要なんですけれども、全く投資していない企業というのは、一円でも教育訓練という冠を付した投資をすれば税控除を受けられるというものであり、積極的に人材投資をしてきた企業ほどハードルは上がるんです。

 こういう制度なんですけれども、こういう教育訓練の名の下に、企業に、ある種アンフェアな支援策を用いることに関して疑問を持つんですが、この点、どう考えるでしょうか。

蓮井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点でございますけれども、賃上げ促進税制におきましては、企業が従業員へ人材投資を行い、生産性を向上させることを通じて持続的な賃上げを促すということが重要だという観点から、平成三十年度より、教育訓練費に係る上乗せ要件を設けているところでございます。

 その上で、御指摘の点でございますけれども、前年度まで教育訓練を行っていなかった企業が、本税制における上乗せ要件の適用を受けるため、たとえ少額であったとしても新たに教育訓練を行おうとすることは、人材投資を行う企業の裾野を広げるという観点から望ましいと考えているところでございまして、また、適用年度の教育訓練費が一定額以上であるといったような場合でございますけれども、企業の業種ですとか業態、企業の規模等によって、必要な教育訓練費の額は異なることから、一律に一定水準の要件設定は困難ということでございまして、現行の制度設計となっているところでございます。

 本税制に加えまして、民間のニーズも踏まえました人材投資の強化策などを通じまして、人材投資を強力に後押ししてまいりたいと考えております。

守島委員 おっしゃっている、例えば投資したことのない企業の裾野を広げるとか、そういった目的というのも一定理解できるんですけれども、やはり制度を構築していく上では、成長のためには市場の公平性というのは非常に重要なので、先ほどおっしゃったように、規模とか業態別に、一律に扱えないからといって、安易に不公平な制度にするべきではないと僕自身は思っています。

 なので、例えば、産業別、企業規模ごとの最低ラインの絶対額を示せば、フェアな環境で一定教育投資を促すことも可能ですし、さっきのように裾野を広げるという意味であれば、教育投資をしていない企業に対しての動機づけのために、上乗せ控除が可能となる投資額の下限値を一定低く設定すれば、これは越えやすいハードルになると思うので、その目的も満たされると僕自身は思っています。

 下限値を設けずに、企業によっては一円でも、少額でも投資すれば税控除というのは、ちょっとやり過ぎというか、不公平感を強く感じるので、税制度に関してはフェアなものを追求していただきたいというふうに思っておりますし、そうでないと健全な企業の競争とか成長につながらないので、その点は今後の改革も含めて検討していただきたいというふうに思っています。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案に関しても質問したいと思っております。

 私は、昨年末の臨時国会の折にも、補正予算に伴う交付税の取扱いについて質問させていただきまして、交付税額の確保とか法定率の引上げといった地方の要望をさせていただいた次第ですが、本予算では、交付税の増額とか臨財債の圧縮がされているなど、評価するべき内容になっているというふうに思っております。

 しかしながら、今回の臨財債の圧縮要因としましては、これは、税収が伸びたことと、昨年からの繰越金によるものがその大部分を占めるというのが実態であります。よって、地方交付税の法定率そのものが引き上がったわけでもなく、制度的な改革がなされたわけでもありません。

 かつ、臨財債の累計は、本年度はやや減るものの、創設以来どんどんどんどん積み上がっていて、今では五十三兆円となっております。

 臨財債に関しては、元利償還金相当額を後年度の基準財政需要額に全額算入されているんですが、実際には、累計残高は高くなって、先日、我が会派の中司委員が、臨財債の返済分を発行分で補う自転車操業状態と表現したように、ますます苦しくなっているのが現状だと思っています。

 この点、やはり地方にもその責任の一端はあるものの、景気による臨財債発行の振れ幅が非常に大きい近年のトレンドを見るに、地方財政の安定のためには、やはり、交付税の法定率引上げや、臨時財政対策債の見直しといった制度改革への着手が必要でないかというふうに考えています。

 先ほどの岡本委員からもあったんですけれども、また、先日、中司議員の質問に対する前田自治財政局長の答弁も、僕、療養中でしたがオンラインで見させていただきました。

 法定率引上げには論点が幾つかあって、情勢によってもその論点が変わってくる、可変性もあるのでなかなか今言うのは難しいけれども、財政当局と話をしていきたいというのが局長の答弁だったと思うんですけれども、こういう可変的な論点だからこそ、やはりそれを突破するのは政治力になるんじゃないかなというふうに思っています。

 交付税の法定率引上げを含めた抜本的な見直しは、今回の附帯決議案にも組み込まれる内容でもありますので、改めて、もう何度も大臣は答弁していると思うんですが、その点申し訳ないんですが、もう一度意気込みをお答えいただけると幸いです。お願いします。

金子(恭)国務大臣 守島委員にお答え申し上げます。

 地方財政の健全化のためには、本来的には、臨時財政対策債になるべく頼らない財務体質を確保することが重要だと考えております。

 令和四年度の地方財政計画においては、地方交付税総額について、令和三年度を〇・六兆円上回る十八・一兆円を確保するとともに、地方税の増収などによりまして、財源不足を大幅に縮小し、臨時財政対策債の発行額を令和三年度から三・七兆円抑制をし、残高を二・一兆円縮減することとしております。

 今後とも、経済あっての財政の考え方の下、経済を立て直し、地方税などの歳入の増加に努めるとともに、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うことにより、財源不足を縮小し、臨時財政対策債の発行抑制に努めてまいります。

 また、今御指摘がございましたが、交付税率の引上げにつきましては、現在、国、地方共に厳しい財政状況にあるため容易ではありませんが、今後も交付税率の見直し等により地方交付税総額を安定的に確保できるよう、粘り強く主張をし、政府部内で十分に議論してまいりたいと思います。

守島委員 済みません、大臣、何度も同じ答弁をさせて申し訳ありませんが、今回、維新の会としては、この法改正案に一定賛意を示す上で、やはり、今後の改革に期待したいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いします。

 最後に、簡単にですが、地方税務手続のデジタル化について伺います。

 納税環境整備のために、今、eLTAXという、地方税における手続をネットを利用して電子的に行うシステムにおいて、電子申告、申請の対象手続や電子納付の対象税目、納付手段を拡大するということで、方向性としては、オンライン手続を進めることに我々も賛同しています。

 これまでの地方税における手続のデジタル化に当たって、どのような観点でこれまで対象を決めて取り組んできたのか、そして、今後どのように対象を拡大し、どこまで目指すのかを簡単にお答えください。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、地方税のオンライン手続のためのシステムであるeLTAXの活用を進めてまいりました。具体的には、地方法人二税の申告や、個人住民税の給与支払い報告書の提出など、オンライン化のニーズが高い手続からその対象を拡大してまいりました。

 また、令和元年十月からは地方税共通納税システムが稼働し、主として法人に関係する税目について、申告から納税までの一連の手続をeLTAX経由で行うことが可能となっております。

 さらに、現在御審議していただいております令和四年度の税制改正においては、納税者等が地方団体に対して行う全ての申告、申請手続について、実務的な準備が整ったものから順次eLTAXを利用して行うことができるようにするほか、eLTAXを通じた電子納付の対象を全税目に拡大することなどを盛り込んでおります。

 今後も、eLTAXの活用により、地方税務手続のデジタル化を進めてまいりたい、このように考えております。

守島委員 ありがとうございます。全税目への拡大ということで、聖域ない取組に感謝します。

 地方税手続も本当にありがたいんですけれども、それ以外にも行政手続は数多く存在しますし、総務省に関係するところでも、まだまだ進めていかないとという分野もありますので、更なるデジタル化の推進を期待して、私からの質疑としたいと思います。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、公共施設等適正管理推進事業の拡充についてお尋ねをいたします。

 今回の改正によりまして、この推進事業の対象に脱炭素化事業が新規に追加されるとともに、長寿化事業の対象に空港施設、またダムが追加をされ、五年間延長することとなりました。

 全国的に、社会のインフラの老朽化対策、これは我が国の喫緊の課題でございますし、地方公共団体が管理する社会資本についても同様です。地方六団体、全国知事会から事業期間の延長の要望がなされていたものに応えたものだと思いますけれども、全国知事会の調査によりますと、これからの五年間でその需要が一・五兆円が見込まれております。

 今後、公共施設等総合管理計画にのっとって維持管理、更新が着実に進むためには、事業債の恒久化ですとか、また、地方自治体における、先般も議論になりましたけれども、技術職員の不足というものを踏まえまして、技術的な支援ですとか人的支援も含めて必要だというふうに考えておりますけれども、政府として、今後どのように事業規模の見通しを持っておられるのかということについてお尋ねをしたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 公共施設等適正管理推進事業は平成二十九年度に創設したものでございますけれども、同年度以降の活用実績について申し上げますと、都道府県と市町村を合わせた事業費ベースで、平成二十九年度は約一千七百億円、平成三十年度は約二千七百億円、令和元年度は約四千百億円、令和二年度は約五千二百億円となっております。

 今後の公共施設等適正管理推進事業費の事業規模につきましては、今申し上げましたようなこれまでの活用実績や、自治体におきます翌年度の実施見込みなどを踏まえ、適切に確保してまいりたいと考えております。

西岡委員 もう一つ、本改正で追加をされました脱炭素化事業についてお尋ねをいたします。

 この事業は、昨年四月に決定をされました、二〇三〇年度において温室効果ガス二〇一三年度比四六%削減を達成するということを踏まえて改定された地球温暖化対策計画におきまして、地方団体が率先をして取り組むこととされている事業です。

 今後五年間を集中期間として脱炭素化事業を進めていくこととなりますけれども、今回その事業が追加され、一千億円が計上されましたが、その一千億円の数字の根拠、また、今後の財政面も含めた支援方針についてお尋ねをいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、脱炭素化事業につきましては、一千億円を地方財政計画に計上しているところでございます。

 この金額につきましては、総務省と環境省が合同で地方自治体向けに調査を行ったところでございまして、脱炭素化事業の実施見込みに関する調査結果を踏まえて設定したところでございます。

 今後の脱炭素化事業の事業規模につきましては、自治体の活用実績や翌年度の実施見込みも踏まえまして、適切に確保してまいりたいと考えております。

西岡委員 その地域の、自治体の状況を踏まえて、しっかりそこを支援していくということを、現場のお声をしっかり受け止めて対応していただきたいというふうに思っております。

 次の質問に移ります。

 先般の質疑でも質問をさせていただきましたけれども、首相の諮問機関である地方制度調査会の議論がスタートをいたしました。

 このコロナ感染拡大を経て、様々な日本が抱えていた課題が浮き彫りになったわけでございますけれども、特に平時、有事も含めまして、国と都道府県の関係、また都道府県と市町村と、それぞれの役割分担を明確にしていくということが極めて大きな我が国の今後の課題であると認識をいたしております。

 新たな感染症の脅威や自然災害の大規模化、頻発化を考えると、これは大変喫緊の課題であると認識をいたしております。新しい時代のそれぞれの役割、それをしっかり議論していくためには、今、第六波のさなかではございますが、これまでの検証をしっかりとしていくということがその前提でなくてはなりません。

 この検証を今後どのように進める方針であるのか、また、この制度調査会において、その検証を踏まえた上でしっかり議論をされていくのか、また、地方の声や現場の実情というものをしっかりその議論の中で把握して、方針として進められていくのか。今後の見通しについて、田畑総務副大臣にお尋ねをいたします。

田畑副大臣 西岡先生、ありがとうございます。御回答申し上げたいと思います。

 先般発足いたしました第三十三次地方制度調査会におきまして、岸田総理より、デジタル化の進展及び新型コロナウイルス感染症対応で直面をした課題等を踏まえ、国と自治体及び自治体相互間の関係の在り方などについて諮問がございました。

 コロナ対応についての検証の今御指摘もございましたが、感染症対応につきまして、関係の省庁におきましてこれまでのコロナ対応を客観的に評価し、次の感染症危機に備えまして、本年六月を目途に、司令塔機能の強化など、中長期的な観点から必要な対応を取りまとめることとされているところでございます。

 地方制度調査会の具体の審議事項などにつきましては今後決定されるものと承知をしてございますが、調査会におきましては、こうした関係省庁による検討状況も踏まえた上で、コロナ後を見据えたあるべき基本的な国と地方の関係などにつきまして、幅広く議論していただくこととなるものと考えているところであります。

 また、地方の声についても、調査会には地方六団体の代表の方にも委員になっていただいているほか、今後の調査審議におきまして、地方公共団体等からのヒアリングにつきましても行う予定としておりまして、地方の意見や実情を十分に伺いながら議論していただくことを期待しているところでございます。

 以上でございます。

西岡委員 今副大臣から御説明がありましたように、やはりこれまでの検証というものが大変重要だと思いますので、その検証を踏まえた上で議論が進んでいくということを是非お願いをしたいというふうに思います。

 もう時間が大変限られておりますけれども、新型コロナウイルス感染症対策について、一問、大臣に質問をさせていただきます。

 去る十七日に、全国知事会、市長会とオンラインにおいて大臣が意見交換をされました。内容については、三回目のワクチン接種が中心であったというふうに思いますけれども、地方からどのような意見や要望があったのでしょうか。また、それを受けて、総務省としてその課題解決にどのように対応していかれるのかということについてお伺いをしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 西岡委員御紹介のとおり、二月十七日に全国知事会、全国市長会、翌日の二月十八日に全国町村会と、先月に引き続きましてオンラインで面会をいたしまして、コロナワクチン追加接種のペースアップを要請するとともに、現場の課題や御要望をお伺いするなど、意見交換を行いました。

 意見交換の中では、まず、オミクロン株の流行が続く中、接種の促進に地方側も引き続き全面的に協力したい旨をお伺いいたしました。また、追加接種及び交互接種の必要性や、特にモデルナのワクチンについて、安全性等についての一層の情報発信、小児接種についての丁寧な説明、必要な財源の確実な措置などについて御要望いただきました。

 これまでも、自治体からいただいた現場の声は、後藤厚生労働大臣、堀内ワクチン担当大臣など関係省庁にフィードバックしてまいりました。今回いただいた御要望につきましても、政府内でしっかりと共有し、対応してまいります。

 今後は職域接種も本格化していきますが、引き続き、国、自治体、企業を挙げて、日々の接種実績を安定的かつ着実に上げていく取組が必要であります。

 今後とも、自治体現場の声を丁寧にお伺いしながら、自治体の取組を一層しっかりと後押ししてまいりたいと思います。

西岡委員 時間となりました。

 大臣、地方の現場の声を本当にしっかりお伝えをいただくということ、これからも全力で取組を続けていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 法案審議の締めくくりに当たって、地方交付税制度と地方財源論について、大臣と大きな議論をしたいと思います。

 最初に大臣に確認するんですけれども、地方交付税は地方の固有財源であり、そこには財政調整機能と財政保障機能という二つの役割がある、これは大臣もお認めいただけますね。

金子(恭)国務大臣 宮本委員にお答え申し上げます。

 社会保障や教育など住民に身近な行政サービスは、そのほとんどが国の法令などに基づき自治体により提供される一方、税源の偏在により、自治体間で地方税収には大きな格差があります。

 こうした中で、地方交付税は、宮本委員御指摘のとおり、自治体間の財源の不均衡を調整する財源調整機能とともに、全国どのような地域であっても一定水準の行政サービスを提供するために必要な財源を保障する財源保障機能を果たしており、重要な役割を担っていると認識しております。

 また、このような地方交付税の性格としては、形式的には国税として国が代わって徴収した上で自治体に配分するものであり、国税の一定割合が自治体に法律上当然帰属するという意味においても、地方の固有財源と位置づけられるものであります。

宮本(岳)委員 自民党政権は、一九九〇年代以来、総額六百三十兆円にも及ぶ公共投資基本計画を策定し、この国策に地方を巻き込んでまいりました。この公共投資基本計画は、日米構造協議に端を発したものであり、国民の必要からでなく、総額先にありきというべき、無駄と浪費の典型的な計画でありました。この無謀な政策が行き詰まる中、当初は地方交付税特別会計の借入れでしのいできた政府は、いよいよ国の借金が膨らみ、ついに地方財政に対する国の果たすべき責任を投げ捨てて、地方の赤字地方債に押しつける臨時財政対策債を導入したわけであります。

 二〇〇一年に三年間の特例措置として入れられた臨財債は、その後も三年ごとに延長され、今日までもう二十一年間続いてまいりました。最初の延長が問題になった二〇〇三年の通常国会、当時私は参議院議員でありましたけれども、三月二十五日の参議院総務委員会で、当時の片山虎之助総務大臣に、国の借金を臨時財政対策債につけ替えるのは国の責任放棄だと厳しく指摘をいたしました。

 質疑の中で、当時の総務大臣は、交付税特会で借金をしているのをばらした借金にしたと、これだけの話、この赤字地方債は全部将来の交付税で返すんですから、元利償還のときは丸々入れるんですから、基準財政需要に、だから、形を変えた交付税だと考えていただいていいと私に答弁をいたしました。

 私は、本来国が責任を持つべきものを地方の赤字地方債に押しつけるというこのスキームでは、幾ら大臣が形を変えた交付税だと言っても、やがて臨財債の累積残高が膨れ上がれば借金まみれに見えてしまい、自分たちでどんどん本来のサービスを切り捨てる、つまり、地方交付税制度の大切な機能である財政保障機能を自ら投げ出すことになると指摘し、反対をいたしました。

 金子大臣は、臨時財政対策債の抑制は国と歩調を合わせた歳出削減によるものと、その成果を殊更に強調されます。しかし、大事なことは、このコロナ、オミクロンの感染爆発から住民の命、暮らしを守り、これを支える医療、公衆衛生を始めとする公的部門の基盤の再構築、保健所職員を始めとする必要な自治体職員の増員を図ることであります。

 大臣も、たとえ臨財債の発行が減ったとしても、住民の命や暮らしを守るという自治体本来の仕事を投げ出してしまったのでは本末転倒であるということはお認めになっていただけますか。

金子(恭)国務大臣 宮本委員にお答え申し上げます。

 令和四年度の地方財政計画では、その歳出において、地域社会のデジタル化などに対応するために必要な経費を計上するとともに、社会保障関係費の増加を適切に反映いたしました。その上で、一般財源総額について、交付団体ベースで、令和三年度を上回る六十二兆円を確保いたしました。

 令和四年度の地方財政計画において臨時財政対策債の発行額を抑制できたのは、地方税や地方交付税法定率分が増加したこと、令和三年度からの繰越金があったことにより、折半対象財源不足が解消されたことなどによるものでございます。

宮本(岳)委員 もちろん、臨時財政対策債の削減を私が反対するわけはないんです。導入のときにあれだけ反対を叫んで当時の片山大臣と論戦したんですから、当然のことであります。しかし、それは、国が地方財政に対する財政保障の責任を果たすことによってであり、必要なサービスを切り捨てたのでは本末転倒だということを申し上げているわけですね。

 その点では、大臣、社会保障の自然増を始め、必要な財政需要をいわば反映しないと私たちは考える一般財源総額実質同水準ルール、これが、今必要とされる医療や公衆衛生、福祉や教育を拡充する上で大きな制約になっていると私は思います。

 大臣、今こそ、前年度同一水準ルールというものはきっぱり見直すべきではありませんか。

金子(恭)国務大臣 宮本委員には御持論をいつもお聞きさせていただいているわけでございますが、基本方針二〇二一におきましては、地方の一般財源総額については、令和四年度から六年度までの三年間、令和三年度地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保することとされています。この一般財源総額実質同水準ルールにつきましては、地方六団体から堅持すべきとの強い要望を受けまして基本方針二〇二一に盛り込まれたところであり、地方からも評価をいただいております。

 また、このルールでは、地方の歳出水準について、国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、社会保障関係費や公債費の動向などの増減要素を総合的に考慮し、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額を確保していくという趣旨でございます。

 今後とも、基本方針二〇二一に沿って、地方財政計画の歳出に必要な経費を計上した上で、一般財源総額をしっかりと確保してまいりたいと思います。

宮本(岳)委員 同一水準ルールというのは、下回らないとおっしゃる限りにおいては、それは当然ですよね。しかし、同一水準というものですから、上回らないキャップとしては今働いているということを私は指摘せざるを得ないわけであります。

 本来国が責任を持つべきものを地方の赤字地方債に押しつけるというこの臨財債のスキームが、既に破綻をした、もうこれがその役割を終えようとしているときでありますから、最初に確認した地方交付税の二つの役割、財政調整機能と財政保障機能に改めて国が責任を持ち切るという制度の原点に立ち返るべきだと思うんですね。

 その点では、地方交付税の法定率の引上げ、まあ、法定率の引上げは様々な事情があって簡単ではないとすぐおっしゃるわけですが、同時に、必要ならば国の一般会計からの加算という制度も交付税法の中には定められております。地方の必要額を国において確保するのは当然のことではありませんか、大臣。

金子(恭)国務大臣 宮本委員からは一貫してそのことを承っております。

 地方財政の健全な運営のためには、本来的には、委員御指摘の交付税率の引上げなどによりまして地方交付税総額を安定的に確保することが望ましいと考えております。

 交付税率の引上げや財源不足の全額を補填するような国の一般会計からの加算につきましては、現在、国、地方共に厳しい財政状況にあるため容易ではありませんが、今後も、交付税率の見直し等により地方交付税総額を安定的に確保できるよう粘り強く主張し、政府部内で十分に議論してまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

宮本(岳)委員 導入するときには、総務大臣が、形を変えた交付税だと私に言ったわけですから。

 臨時財政対策債の累積残高が五十三兆円に膨れ上がったのも、年々の元利償還額が四兆円を超えたのも、決して地方の責任ではありません。冒頭に確認した財政調整機能と財政保障機能という二つの役割に国が責任を果たすことを強く求めて、私の質問を終わります。

赤羽委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。吉川元さん。

吉川(元)委員 立憲民主党・無所属を代表し、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対の立場で討論を行います。

 来年度の地方財政計画は、地方交付税、一般財源総額で今年度と同一水準が確保され、財源不足額が大幅に抑制されていることなどは一定評価します。しかし、地方財政が安定しているとは言えず、地方財政の一層の充実を求めます。

 以下、何点か課題と問題点を指摘いたします。

 感染症の拡大や現下の物価上昇などを要因として、地方税並びに交付税原資の国税五税の減収が見込まれる際には、国の責任で補填措置を行うよう求めます。

 また、地方が自主性、主体性を発揮し、地域の再生に取り組むためには、安定かつ充実した財源が必要です。臨時財政対策債などに依存することなく、地方交付税の機能が十分に発揮できるよう、法定率の抜本的な見直しに踏み込むべきです。

 公立病院の経営強化を推進するため、地方財政措置が見直されます。コロナ禍において、感染症病床の確保を含め、公立病院が、公的病院と併せ、感染症対策で大きな役割を果たしたことを勘案すれば、公立病院経営強化ガイドラインの策定に当たっては、病床数削減や統廃合を前提とすることなく、地域の中核医療を担う公立病院の機能強化こそ推進すべきと指摘します。

 地方税の改正では、地方法人税においても賃上げ促進税制が適用されます。しかし、減税による賃上げ効果は不明確であり、黒字企業や大企業だけが減税の恩恵を受けるとすれば、中小企業の労働者との間の賃金格差を拡大させることになりかねません。

 また、固定資産税の負担調整において、住宅地向けの据置措置を終了し、商業地のみ税額の上昇幅を半分に抑える減税措置を継続することは、税の公平性を損ねるものです。

 以上の点から、両案に反対するものとし、討論とします。(拍手)

赤羽委員長 次に、阿部弘樹さん。

阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹です。

 私は、会派を代表して、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論をいたします。

 本来、予算案に反対した場合、予算に密接に関連する本法案には反対するのが政党としての筋という見方もあります。

 しかしながら、国、地方とも厳しい財政状況の中、総務大臣が先頭に立って臨財債発行を大幅に抑えた予算案を作成されたことは、再来年以降は臨財債を発行しないという方向性の道筋をつけたという意味で大変意義のあることと考えます。

 こうした道筋が、今後、地方財政の抱える根本的な構造問題を解決し、地方が安定的な自主財源を確保していくための大きな第一歩となるためにも、今こそ、二〇一〇年以降停滞している分権改革を進めることが肝要です。

 ポストコロナの我が国の持続可能な未来を切り開いていくためのビジョンとして、道州制への移行を一歩でも前に進めていくことに大いに期待して、本法案を賛成させていただきます。(拍手)

赤羽委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表して、地方税法、地方交付税法等の改正案に反対する討論を行います。

 まず、交付税法についてです。

 コロナ禍で、地方行財政の在り方、十年以上続く地方財政の抑制政策を抜本的に見直すことが必要です。

 しかし、自公政権は、地方の歳出を前年度と同一水準に抑え込む一般財源総額実質同水準ルールを続けています。そのルールに基づき、本法案は、社会保障費の抑制や地方公務員の削減とアウトソーシング路線を継続するものであり、反対です。

 保健師や児童福祉司等の増員のための交付税措置も、他の一般財源を削減、抑制した範囲の措置にすぎず、深刻な現場の実態に応えたものにはなっておりません。新たな臨時財政対策債の発行抑制も、地方税の増収と、歳出削減を強いた結果です。

 その一方で、本法案は、岸田政権が掲げる自治体デジタルトランスフォーメーションの推進を地方に迫るものになっています。

 質疑で私が指摘したように、社会保障や公衆衛生を始め、住民の命と暮らしを守り、支えるために、財政需要を十分に算定し、地方交付税の法定率の引上げ等を行うことこそ求められています。

 次に、地方税法についてです。

 格差と貧困が広がる下で、地方税においても生計費非課税の徹底や所得再配分機能の強化などが求められています。しかし、本法案はこれに応えるものではありません。

 二〇二一年度に据置措置が行われた土地の固定資産税について、二〇二二年度はその措置を取り払い、商業地や住宅用地、農地等に係る課税標準額は引き上げられます。国民にとって増税であり、反対です。

 岸田政権が目玉政策とする賃上げ促進税制は、賃上げを保証するものにはなっておらず、対象も限定されています。賃上げ実現のためには、大企業の内部留保を活用させること、中小企業支援と一体に、最低賃金を時給千五百円に引き上げること、正規雇用を増やす労働法制の抜本的改革こそが必要です。

 地域医療構想に基づき再編を行った医療機関の不動産取得税の特例は、地域医療機関の再編統合を進めるために地方税制の面から後押しするものです。命を守る医療体制確立への地域での検討が求められます。

 以上を指摘して、反対討論といたします。(拍手)

赤羽委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより両案について順次採決に入ります。

 まず、地方税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

赤羽委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、田所嘉徳さん外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による持続可能な地方税財政基盤の確立並びに新型コロナウイルス感染症及び東日本大震災等への対応に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木庸介さん。

鈴木(庸)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    持続可能な地方税財政基盤の確立並びに新型コロナウイルス感染症及び東日本大震災等への対応に関する件(案)

  厳しい地方財政の現状を踏まえ、地方公共団体が住民生活に必要な行政サービスを持続的かつ安定的に提供していくためには、持続可能な地方税財政基盤の確立が不可欠であることに鑑み、政府は、次の諸点について措置すべきである。

 一 交付団体を始め地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額については、前年度の地方財政計画の水準を下回らないよう、予見可能性を持って安定的に確保するとともに、社会保障関係費その他の拡大する行政需要に合わせて充実させるよう最大限努力すること。

 二 地方公共団体が、人口減少の克服、地域経済の活性化、地域社会の維持・再生、地域社会のデジタル化等の重要課題に取り組んでいくためには、地域のそれぞれの実情に応じた諸施策を中長期にわたって実施していく必要があることに鑑み、その実施に必要な歳出を継続的かつ安定的に地方財政計画に計上すること。

 三 地方交付税については、本来の役割である財源調整機能と財源保障機能が十分発揮できるよう、引き続き、地方税等と併せ必要な総額の充実確保を図るとともに、法定率の引上げを含めた抜本的な見直しを検討し、臨時財政対策債等の特例措置に依存しない持続的な制度の確立を目指すこと。また、基準財政需要額の算定に当たっては、社会保障関係費の自然増、保健所における感染症対策等のための人員配置に係る経費を適切に反映するとともに、条件不利地域等、地域の実情に十分配慮すること。

 四 地方交付税の原資となる税収の見積りに当たっては、特に減額による混乱を回避するため、正確を期すよう、万全の努力を払うこと。また、新型コロナウイルス感染症の影響等によって、地方交付税の原資となる税収の見込額が減額される場合においては、地方公共団体の財政運営に支障が生じないよう、国の責任において十分な補填措置を講ずること。

 五 地方税については、地方財政の自主性・自立性を確立するとともに、安定的で充実した財源の確保を可能とする地方税制の構築を図ること。また、税負担軽減措置等の創設や拡充など減収が生ずる地方税制の見直しを行う場合には、真に地域経済や住民生活に寄与するものに限られるよう、慎重に対処するとともに、代替の税源の確保等の措置を講ずること。とりわけ固定資産税は、市町村の基幹税目であることを踏まえ、納税者の税負担にも配慮しつつ安定的税収の確保に努めること。

 六 原油価格の高騰が国民生活や地域経済に影響を及ぼしている現状に鑑み、その影響を緩和するための方策を幅広く検討すること。

 七 地方債については、財政力の弱い市町村が円滑に資金を調達できるよう、地方公共団体金融機構の機動的な活用を含め、公的資金の確保と適切な配分に最大限の配慮を行うこと。

 八 臨時財政対策債を始め、累積する地方債の元利償還については、将来において地方公共団体の財政運営に支障が生ずることのないよう、万全の財源措置を講ずること。

 九 今後とも、臨時財政対策債の発行抑制や交付税特別会計借入金の着実な償還に努め、地方財政の健全化を進めること。

 十 新型コロナウイルス感染症対策に関しては、感染拡大防止、医療提供体制の確保、雇用の維持、事業の継続等の各分野において、地方公共団体が極めて重要な役割を果たしていることに鑑み、感染状況に即して、追加的な支出が必要となる場合には、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を始め、国の責任において迅速かつ十分な財政支援を行うこと。

 十一 新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、公立病院が担う役割の重要性が再認識されたことを踏まえ、地域医療構想の推進及び公立病院経営強化ガイドラインの策定に当たっては、公立病院の病床削減・統廃合を前提とせず、地域医療の確保のための地方公共団体の主体的な取組を十分に尊重すること。

 十二 東日本大震災からの復旧・復興事業が着実に実施できるよう、復旧・復興事業が完了するまでの間、震災復興特別交付税を始め、必要な財源を確実に確保するなど、万全の支援措置を講ずること。

 十三 近年、集中豪雨、台風、地震、豪雪などの自然災害が頻発化・激甚化し、全国各地で住民生活の安全・安心を脅かす甚大な被害が発生していることを踏まえ、地方公共団体において、更なる防災・減災対策の推進や、被災地の迅速な復旧・復興に取り組むことができるよう、十分な人的・財政的支援を行うこと。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

赤羽委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立総員。よって、本動議のとおり、持続可能な地方税財政基盤の確立並びに新型コロナウイルス感染症及び東日本大震災等への対応に関する件を本委員会の決議とするに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。金子総務大臣。

金子(恭)国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

赤羽委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十一分散会


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