衆議院

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第9号 令和4年4月5日(火曜日)

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令和四年四月五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 新谷 正義君 理事 田所 嘉徳君

   理事 岡本あき子君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 輿水 恵一君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      石田 真敏君    石橋林太郎君

      大串 正樹君    加藤 竜祥君

      川崎ひでと君    坂井  学君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      西野 太亮君    鳩山 二郎君

      古川 直季君    保岡 宏武君

      柳本  顕君    渡辺 孝一君

      石川 香織君   おおつき紅葉君

      奥野総一郎君    階   猛君

      道下 大樹君    阿部 弘樹君

      沢田  良君    守島  正君

      福重 隆浩君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   総務大臣         金子 恭之君

   総務副大臣        田畑 裕明君

   総務副大臣        中西 祐介君

   国土交通副大臣      中山 展宏君

   総務大臣政務官      鳩山 二郎君

   総務大臣政務官      渡辺 孝一君

   総務大臣政務官      三浦  靖君

   厚生労働大臣政務官    島村  大君

   国土交通大臣政務官    加藤 鮎子君

   衆議院議事部長      二階堂 豊君

   衆議院法制局法制企画調整部長           森  恭子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         岡本 誠司君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)    酒巻 哲朗君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   犬童 周作君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        馬場竹次郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            二宮 清治君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   吉開正治郎君

   政府参考人

   (総務省情報公開・個人情報保護審査会事務局長)  吉牟田 剛君

   政府参考人

   (消防庁次長)      小宮大一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榎本健太郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         天河 宏文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         大澤 一夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括監察官)         中村 貴志君

   参考人

   (統計委員会委員長)   椿  広計君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     石橋林太郎君

  湯原 俊二君     階   猛君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     石田 真敏君

  階   猛君     湯原 俊二君

    ―――――――――――――

四月四日

 地方公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として統計委員会委員長椿広計さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局内閣審議官岡本誠司さん、内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官酒巻哲朗さん、デジタル庁審議官犬童周作さん、総務省大臣官房地域力創造審議官馬場竹次郎さん、自治行政局長吉川浩民さん、自治行政局公務員部長山越伸子さん、総合通信基盤局長二宮清治さん、政策統括官吉開正治郎さん、情報公開・個人情報保護審査会事務局長吉牟田剛さん、消防庁次長小宮大一郎さん、厚生労働省大臣官房審議官榎本健太郎さん、国土交通省大臣官房総括審議官天河宏文さん、国土交通省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官大澤一夫さん及び国土交通省大臣官房総括監察官中村貴志さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申出がございますので、順次これを許します。西野太亮さん。

西野委員 皆様、おはようございます。熊本二区選出、自由民主党の西野太亮でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。関係者の皆様方にまずもって御礼申し上げます。

 さて、まず最初に、統計問題について取り上げます。

 私が申し上げるまでもありませんが、統計データというのは、効率的、効果的な政策立案を行う上で必要不可欠な情報です。そのため、平成三十一年に発覚しました毎月勤労統計の問題を踏まえ、再発防止策に加え、統計データの品質向上に取り組んでいる最中だというふうに承知しておりますが、そんな中、昨年末には建設工事受注動態統計の二重計上問題が発覚しました。そして、今般、建築工事費調査と産業連関構造調査において、調査票の送付が大幅に遅れるという不作為が発覚しています。統計に関するこうした事案が連発する状況は、行政に対する不信を招く事態であり、大変遺憾と言わざるを得ません。

 一連の事案について、統計制度を所管する総務省としてどのように受け止めていらっしゃいますか。総務省の見解を伺います。

三浦大臣政務官 西野先生にお答えいたします。

 毎月勤労統計調査の不適切事案を受けた政府統計の改善策としまして、統計委員会などにおきまして、調査計画の履行状況等の点検、評価、さらには、人材の確保、育成などが提言されまして、政府全体でその取組を進めてまいったところでございます。

 そうした中、西野先生の御指摘のとおり、この度の建設工事受注動態統計調査や建築工事費調査、産業連関構造調査における事案が明らかになったことは、金子大臣から統計の信頼に疑義を招いたことは大変遺憾と発言しているとおりであり、これらの取組が浸透するに至っていなかったものと、大変残念な受け止めをしておるところでございます。

 今般の事案を受けまして、統計委員会におきましては、総理からの指示を踏まえまして、各府省の基幹統計調査の集計プロセスの点検を行っていただくとともに、その結果も踏まえつつ、再発防止策や統計作成のデジタル化、統計人材の育成などの公的統計の改善施策を取りまとめていただくこととなっておるところでございます。

 総務省といたしましては、こうした統計委員会における検討を全面的に支援しつつ、公的統計に対する信頼回復に取り組んでまいる所存でございます。

 以上でございます。

西野委員 ありがとうございます。

 引き続き、更に気を引き締めて取り組んでいただければと思います。

 では、次に移ります。消防についてです。

 私は、高校卒業後、一年間の浪人期間を経て、東京に出てまいりました。それからずっと地元を離れておりましたし、東京に住んでいても地域とのつながりが全くない生活をしておりましたので、大変恥ずかしながら、消防団の役割、そして地域におけるその存在の大きさというものを全く理解しておりませんでした。しかし、政治を志して、役所を辞めて、熊本に戻って、五年間の浪人期間中に地元を回る中で、地元で、そして地域で、消防団がいかに重要な役割を果たしているのかということを勉強させていただきました。

 消防団というのは、消防組織法で想定しております地域の減災力、防災力の強化という観点のみならず、地域コミュニティーそのものを維持形成する上で非常に重要な存在だというふうに私は思っております。

 しかし、残念ながら、消防団の団員数は減り続けております。平成元年には百万人を上回る消防団員がいたわけでございますが、昨年には八十万人にまで減少しています。そして、直近三年でいえば、毎年一万三千人も消防団員数が減り続けるという状況になっております。さらに、高齢化も進んでおりまして、四十代以上の団員が約六割を占めるという状況になっております。しかし、これは地域によっても大変ばらつきが多いのではないかというふうに思います。

 例えば、私の地元、玉名市には大浜という地域がありますが、ここは、トマト、イチゴの一大生産地でございまして、若い農家の方々がたくさんいらっしゃいますので、消防団も私と同世代以下の若い世代が頑張っております。

 一方で、私の選挙区でも、熊本市内は、サラリーマンの方、会社にお勤めの方も大変多くいらっしゃいますので、そうした方々はなかなか消防団に入りにくいという状況があります。そんな中で、還暦を超えた方が消防の分団長をされていたり、さらには、川尻という地域では、私の同世代以下の方が圧倒的な少数というような事態もあります。

 消防団を辞めていく方が多い、さらには、なかなか辞めることができない、長く続けなければいけないという事情によって、一人当たりの負担が増え、そしてさらに、それによって団員が減るという悪循環が生まれているのではないかというふうに考えています。

 こうした状況を打破して消防団制度を持続可能なものにしていくということは、非常に重要な課題の一つだと認識しております。その場合、可能性の一つとして考えられるのが、消防組織、消防の在り方の生産性の向上です。消防のデジタル化などを通じて、消防団員の負担を軽減しつつ、消防機能を維持するという考えです。

 消防庁としても、様々な知恵を絞って生産性の向上に取り組んでいらっしゃるというふうには思いますけれども、実は、余り、議論していても、現実的な解、必要十分な解が見当たらないというのが率直な感想です。仮にデジタル化などを通じて消防機能の省エネ化が進むとしても、数年で実現するものではありません。さらに、地域コミュニティーの維持という観点からすれば、消防団組織がこのまま先細っていくというのは好ましいことではないというふうに考えます。

 経済などでは、人が減っているのであれば生産性を向上して補っていくという考え方も、ある程度成り立つのかもしれませんけれども、消防に関してはなじまないのではないか、生産性の向上は追求しつつも、やはり一定程度の人員を確保していく必要があるのではないかというふうに考えます。

 そのため、いろいろなアプローチが必要だと思いますが、一番効果的なのは団員への直接的なアプローチだと思います。消防団の処遇に関しては、様々な課題が報じられておりますし、私も地元で様々な意見を承っております。

 例えば、手当をもっと上げてほしい。出動手当でいえば、一日丸々働いて千円しかもらえなかったというような話も聞きますし、熊本市の一日当たりの出動報酬は二千六百円というふうに聞いております。玉名市でも千五百円というふうに聞いております。この手当を少しでも上げてほしい。

 さらには、手当を団員に対して直接払ってほしい。自分の手当がどこか別のところで使われているのではないか、そういった不透明感、もやもや感が団員の中にあるというのもまた事実だと思います。

 こうした生の声を受けて、消防庁でも、昨年、消防庁長官通知を出していただいております。その中では、まず一つ目、全国平均で約三万円程度の年額報酬について三万六千五百円を標準額とする。さらに、出動報酬については一日八千円程度を標準額とする。さらには、個人に対して直接支給するべき報酬と消防団の運営に必要な経費については適切に区分して予算措置すべきといったことが定められております。

 まずは、こうした基準に基づいて各自治体が見直しを行うことが肝要だと思いますが、現時点で各自治体の見直しの状況はいかがでしょうか。そして、仮に見直しが行われない場合、消防庁としてどのような措置を講じるお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 今年度から適用することとしております消防団の報酬等の基準、これにつきましては、全国の市町村に対して、基準に沿った対応がなされますよう、昨年度中に必要な条例改正や予算措置を行っていただけますように働きかけを行ってまいりました。

 現在、この基準に沿った処遇改善の取組状況について調査を実施しているところでございます。この調査結果が取りまとまり次第、未実施の市町村を公表するとともに、その市町村に対しましては、早急に処遇改善に取り組んでいただきますよう、引き続き、様々な機会を通じまして働きかけをしてまいります。

西野委員 ありがとうございます。

 次に、消防団への直接のアプローチ以外に、消防団の活動に協力的な企業、団体に対して特典を与える、企業、団体にしっかりアプローチしていくということも有効ではないかというふうに思います。

 と申しますのも、先ほど申し上げましたとおり、農家の方や自営業の方は、自分の判断で、消防団に入る入れないということを判断することができると思いますが、一方で、企業にお勤めの方、都市部では大変多いと思いますけれども、そういう方々からすれば、消防団に実は入りたいんだけれども、仕事に影響が出るかもしれないから入りにくい、さらには、会社の理解が得られないというような事情もたくさん聞くからです。

 こうした状況に対し、消防団活動によって従業員が欠勤した場合に、その分を補償してくれれば大変ありがたいというような声も経営者の方々から伺うわけでございますけれども、しかし、こういった考え方、こういった措置というのは、地域住民の皆様、そして地域の企業の皆様方の理解を得て、半ば地域の共助、住民の皆様方の厚意によって成り立っている消防団制度全体からすれば、バランスが崩れると思いますので、なかなか難しい面もあろうかと思います。

 しかし、例えば私の地元の和水町では、消防団活動に理解のある会社に対して、工事入札参加審査基準の中で社会貢献度を測る項目がございますけれども、こうした項目において加点をするというような制度を設けております。

 欠勤分を補償するというような直接的なやり方というのはなかなか難しいかもしれませんけれども、こういう、もう少し、モデレートといいますか、全体のバランスを捉えたような、こういう特典を与えるというような制度であれば導入しやすい自治体も多いのではないかというふうに思います。

 この制度ができたから消防団活動に協力的になったという企業も実際にある、それによって消防団が増えているというような状況もありますので、一定の効果があるのではないかというふうに思います。

 こうした制度を全国的に皆さん方に知っていただいて、少しでも広めていく、それによって消防団の減り方を抑えていく、できれば増やしていくというようなことも考えられるのではないかというふうに思いますけれども、消防庁としていかがお考えでしょうか。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 消防団員に占める被用者、サラリーマンの割合が一貫して増加している中、被用者が消防団に入団しやすく、また、消防団員である従業員が消防団活動をしやすい環境づくりのためには、企業や事業所の協力は不可欠であると考えております。

 そこで、総務省消防庁では、各市町村と連携し、消防団活動に積極的に協力している事業所を消防団協力事業所として市町村又は総務省消防庁が認定をいたしまして、表示証を交付する消防団協力事業所表示制度を平成十八年度から実施をしております。

 あわせて、各地方公共団体に対し、協力事業所としての認定を受けた事業所に対する法人事業税の減税措置や、入札参加資格の加点、また報奨金の支給などの措置を導入することを検討するよう要請をしておりまして、今ほど委員御指摘の入札参加資格の加点につきましては、全国で二百五十三の市町村が取組をなされております。

 さらに、今年度から新規に予算化いたしました消防団の力向上モデル事業、これにおきましても、企業と連携した全国の先進的な取組につきまして、財政的な支援をすることとしております。

 今後とも、被用者の方が入団しやすく、また活動しやすい環境の構築のために、企業や事業所と連携した取組を進めてまいります。

西野委員 ありがとうございます。

 そして、今し方、企業、団体へのアプローチ、そしてその前に団員への直接のアプローチを申し上げましたが、もう一つ、地域住民の皆様方へのアプローチという考え方も重要だと思います。消防団の皆様が半ばボランティアで地域のために活動してくださっておりますので、そうしたこと、さらにはその意義について地域住民の皆様方に広く知っていただくこと、これもまた消防団の増員のために必要ではないかというふうに思います。

 質問を飛ばしますけれども、こうした状況、こうした今までの話を受けて、金子大臣、私の地元の大先輩でもございますけれども、いかがお考えでしょうか。大臣の消防団に対する意気込み、さらには感想などを最後にお聞かせいただければと思います。

金子(恭)国務大臣 西野委員には、地域住民の生命、身体、財産、安全、安心を守るために日々御尽力いただいております消防団に対して温かい応援をいただきまして、心より感謝を申し上げたいと思います。同じ熊本の人間としても、本当に感謝を申し上げたいと思います。

 消防団の厳しい状況を踏まえ、総務省消防庁では、昨年度も報酬等の処遇改善に取り組みましたし、活動環境や装備等の充実の支援、さらに、若者、女性を含む多様な主体に向けた広報などにも取り組んでおります。

 消防団は、地域防災力の中核として欠くことのできない存在であります。様々な取組により、消防団員の確保に向けて全力を挙げてまいりたいと思います。

 西野委員におかれましても、地域の消防団の皆さん方も励ましながら、共に頑張ってまいりましょう。

西野委員 大臣、ありがとうございました。

 以上で終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、福重隆浩さん。

福重委員 おはようございます。公明党の福重隆浩でございます。

 質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。

 短い時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。

 新しい資本主義の実現は、岸田内閣の最も重要な政策であり、成長と分配の好循環と、コロナ後の新しい社会の開拓をコンセプトとしています。DX、いわゆるデジタルトランスフォーメーションの潮流を踏まえて、新しい資本主義を具体的に地方の現状から考えると、地方の、一、豊かさをそのままに、二、課題をデジタル実装を通じて解決し、三、デジタル化のメリットを享受できるようにすることと解釈できると考えております。

 これに関して、岸田総理の強いリーダーシップの下、デジタル田園都市国家構想実現に向けた全体像が示されました。一点目がデジタル基盤の整備、二点目がデジタル人材の育成、確保、三点目が地方の課題を解決するためのデジタル実装、そして四点目に誰一人取り残さないための取組であります。

 そこで、このデジタル田園都市国家構想に関しまして、質問をさせていただきます。

 現在、総務省では、光ファイバー等の有線ブロードバンド基盤について、公設公営の設備を民間に移行することを推奨しておりますが、その理由をまずお伺いいたします。

 また、公設公営でサービスを提供している地域は、一般的に、採算性が低く、民間事業者の進出が難しい地域であると考えますが、そのような地域について、公設設備の民間への移行をどのように進めていかれるのでしょうか。具体的な取組をお伺いいたします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、過疎地域などの条件不利地域における有線ブロードバンドサービスの提供は、当該地域の自治体が通信設備を保有、運営する公設公営方式によって行われている場合が少なくないと認識をしております。

 このような公設公営方式によるサービスの提供には、自治体に人材面、財政面での負担を恒常的に発生させるという問題があることに加えまして、災害時における設備の迅速な復旧や、規模の経済の観点から見たサービスの効率性という点でも一定の課題がございます。

 こうしたことから、総務省では、通信設備の民間事業者への譲渡等を通じた民設民営方式などへの移行を促進しているところでございます。

 具体的取組といたしましては、有識者会議における検討を踏まえ、自治体が保有する光ファイバー等の通信設備を民間事業者に譲渡する際の手順や留意点を整理したガイドラインを策定し、その活用を促しているところでございます。

 また、委員御指摘のとおり、公設公営でサービスを提供している地域は、一般に採算性が低く、民間事業者の進出が難しい地域であることも踏まえまして、過疎地域などの条件不利地域において公設設備の民間事業者への譲渡を行う場合は、当該設備の高度化を伴う更新に要する費用を支援することとしているところでございます。

 また、これに加えまして、現在、不採算地域における有線ブロードバンドサービスの安定的な提供を確保するための新たな交付金制度の創設などを内容とする電気通信事業法の改正案を今通常国会に提出をしております。

 仮にこの法案を今通常国会で御審議をいただき、お認めいただきますと、不採算地域におきまして公設設備の民間事業者への譲渡が行われた場合には、それ以降の設備の維持や更新に要する費用が交付金によって支援されることとなります。現在、民間事業者の不採算地域への進出を妨げている大きな要因が解消することとなります。これによりまして、民設民営方式などへの移行が一層進展するものと考えております。

福重委員 御答弁ありがとうございました。

 問題点をしっかり明確にして、それを財政面で支援をされるということは大変重要なことだというふうに思っておりますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 次に、デジタル田園都市国家構想を実現するためには、ただブロードバンド基盤整備をするだけではなく、利用者が低廉な料金で快適な速度のサービスを受けられることが重要であります。

 これまで公設公営でサービスを提供していた地域は不採算地域であることが多いということを今述べさせていただきましたけれども、事業者間の競争を通じた料金の低廉化やサービスの水準の向上ができない場合が多いと思います。

 そのような地域においても、他の利用者の多い地域と同等な料金や満足のいく通信速度サービスが受けられるようにするため、総務省としてどのように取り組んでいかれるのか、また併せてお聞きいたします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、デジタル田園都市国家構想の実現に向けて、テレワーク、遠隔教育、遠隔医療などを利用する上で不可欠な有線ブロードバンドサービスを、原則として日本全国あまねく利用可能とすることを目指しております。

 その上で、有線ブロードバンドサービスの料金につきましては、一般には、採算地域も含めた有線ブロードバンドサービス市場全体における事業者間の競争を通じまして適正な水準が確保されるべきものと考えており、現状としては、料金水準について地域間で大きな不均衡が生じているとは認識しておりませんが、委員御指摘のとおり、利用者が居住する地域を問わず適正な料金のサービスを受けられることは重要であると考えております。引き続き状況を注視をしてまいりたいと考えております。

 なお、今通常国会に提出中の電気通信事業法の改正案を御審議いただき、お認めいただければ、公設公営のサービスを民間移行した場合を含め、不採算地域において有線ブロードバンドサービスを提供する事業者に対して、必要に応じた支援が行われることとなります。

 したがって、当該支援を受ける事業者につきましては、当該地域においても、全国的な平均料金から大きく乖離しない料金水準でサービスが提供されることが期待をされます。

 また、通信速度についてのお尋ねでございますけれども、有線ブロードバンドサービスの技術的な特性から、一律の基準を定めることは困難な面があります。一般的には、各事業者の自主的な取組を通じて適正なサービス水準が確保されるべきものと考えております。

 他方、電気通信事業法の改正案をお認めいただいた場合には、テレワークなどのサービスを利用する上で最低限必要となる名目速度の水準を総務省令等において規定をし、事業者のサービス水準の確保を促していくこととなると想定をしているところでございます。

福重委員 ありがとうございました。

 しっかりと地域に寄り添って支援をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、新型コロナウイルス感染症が都市部を中心に拡大し、東京圏等への人口の集中のリスクが改めて浮き彫りになり、東京圏から地方への人の流れが見られるようになりました。ところが、地方の通信環境の現状は、この流れを受け止めることができるとは言い難いというのが現実であります。コロナ禍でのリモート授業や在宅勤務により増加の一途をたどるデータ量について、現在の通信環境では受け止め切れないようです。視聴中の動画や実施中の会議がフリーズしてしまうといった話も珍しくありません。

 特に、企業の地方への移転を促進するためには、生産性を落とさない、都市部と引けを取らない通信環境を確保することが求められます。そうでなければ、企業を誘致するどころか、ワーケーションなど一時的なビジネス利用者を取り込むこともできません。

 企業が移転をすれば、雇用が生まれ、定住者も増えることになります。あるいは、テレワークやサテライトオフィスで仕事ができれば、育児や介護をしながら仕事を継続することもできます。

 そこで、質問させていただきますが、岸田総理は、地方からデジタル実装を進め、都市間格差の解消と地域活性化を目指すと述べられております。是非、地方のデジタル実装、デジタル基盤の整備、通信基盤の整備を、目に見える形で強力に、スピード感を持って行っていただきたいと思いますが、御見解をお伺いいたします。

金子(恭)国務大臣 福重委員にお答え申し上げます。

 地方からのデジタル実装を進め、過度な東京一極集中の是正を図るため、現在、岸田内閣において、デジタル田園都市国家構想を最重要施策の一つとして推進しておりますが、福重委員御指摘のとおり、本構想の実現のためには地方のデジタル基盤の早期の整備が不可欠であります。

 このため、総務省では、岸田総理から御指示を受け、光ファイバーや5G等の整備を更に加速するため、デジタル田園都市国家インフラ整備計画を三月の二十九日に策定、公表いたしました。

 その中で、光ファイバーの世帯カバー率を二〇二七年度までに九九・九%とすること、5Gの全国での人口カバー率を二〇二三年度末に九五%とし、二〇二五年度末には九七%とすることなどの新たな整備目標を掲げております。

 この目標達成に向けて、補助金、税制による支援、個々の地域のニーズにきめ細かく対応するための地域協議会の開催、ブロードバンドサービスをユニバーサルサービスとして位置づけるための制度改正など、振興と規制の両面から政策を総動員して取り組んでまいりたいと考えております。

 総務省として、本計画を着実に実行し、デジタル田園都市国家構想の実現にしっかりと貢献してまいります。

福重委員 大臣、ありがとうございました。

 本当に、地方はやはりこういった通信環境の整備というものに大きな期待を持っておりますので、しっかりと国はフォローしてあげてほしいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、データセンターのことについてお伺いいたします。

 データセンターは日本各地に存在をしておりますが、データセンターも、小規模な都市型のデータセンターと大規模な郊外型データセンターに分けられると思います。

 都市型は、東京二十三区、大阪市に多くあり、大規模なデータセンターは、東京においては、三鷹、多摩エリア、千葉の印西エリア、大阪では、大阪府吹田市、箕面市、兵庫の神戸市などに多くあります。これらに共通するのは、都市部に近い、地盤が固い、水害に強いなどの点であります。

 印西市は、一九九〇年代後半から都市銀行のデータセンターが設置され、電力、通信インフラの整備が進みました。二〇一一年に英国企業がインフラに着目し、データセンターを相次ぎ設置するようになりました。現在では、そのデータセンターの多さから、データセンター銀座とまで言われております。

 他方、地方に設置したデータセンターは、経営難となった例では、一、地元自治体や事業者からのデータを需要として取り込んでいたものの、クラウドサービスの普及により利用が伸び悩んだり、二、不況のため、当初想定していたほどの利用者が伸びず、需要が見込めなくなってしまった等の要因が指摘されております。

 この二つの事例を比べると、データセンター最適立地として最終目標を達成するためには、巨額な費用と時間を要する電力、通信インフラの整備が不可欠であります。

 そこで、お伺いをいたしますが、地方へのデータセンター立地促進について、その地域及び事業者にとって、設置のメリット等、御答弁をお願いいたします。

中西副大臣 福重隆浩先生にお答えをいたします。

 データセンターについてのお問いでございますけれども、デジタル化の進展に伴いまして、様々なデータの蓄積、処理を行うこのデータセンターの役割は、一層重要なものになってきていると承知をしております。

 これまで、民間事業者の投資判断により、この立地というものが進められてきたわけでありますが、需要が多く、投資回収の見込みが立ちやすい首都圏を中心にして、約六割が一極集中するという状況に現在なっております。

 このような状況に対しまして、我が国は災害が頻発、激甚化するという状況にございますので、データセンターの地方分散を図るということは、国を挙げて喫緊の課題であるというふうに考えております。

 データセンターの地方分散につきましては、光ファイバー、5G、海底ケーブルなどのデジタルインフラの整備と相まって、例えば、地方におけるテレワークや遠隔授業、また遠隔医療の実現等、通信遅延の低減による無人自動運転や自動農業管理の実現など、地方におけるデジタル実装に大変資するものだというふうに考えております。

 このため、総務省といたしましては、令和三年度補正予算において、五百億円を計上し、民間事業者における地方へのデータセンター立地を政策的に後押しをする観点から、初期投資の一部を補助する事業を行うことといたしたところであります。

 また、先ほど金子大臣からも御答弁ございましたが、デジタル田園都市国家インフラ整備計画においても、データセンターは十数か所の地方拠点を今後五年程度で整備することを掲げております。

 引き続き、総務省としては、関係各省との連携をしながらも、データセンターの地方立地に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

福重委員 ありがとうございました。

 ちょっと、質問が、時間の配分が悪くて、押してまいりました。

 デジタル活用推進事業につきましては割愛をさせていただき、マイナンバーカードの高齢者に対する普及についても割愛をさせていただきますが、一点だけ。

 このマイナンバーカードが今後免許のように使われるようになると、これを持ち歩くことが多くなると思うんですけれども、それによって情報漏えいが心配をされるという声があります。この点について、端的にお答えいただければというふうに思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードにつきましては、万全のセキュリティー対策が講じられておりまして、例えば、マイナンバーを他人に知られたとしても、その利用には厳格な本人確認が求められ、悪用は困難であります。また、カードのICチップには税や年金などの機微な情報は記録されていないといったことがございます。このように、個人情報保護に十分配慮したものになっているというふうに認識をしております。

 今後とも、関係府省庁と連携いたしまして、丁寧な周知、広報を行うことで、誤解や不安の払拭に向けて取り組んでまいります。

福重委員 ありがとうございました。

 やはり、一般の方がそういった誤解と不安を持っておりますので、周知徹底に努めていただければと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、階猛さん。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 私は、建設受注統計の問題についてお尋ねしていきたいと思います。

 お配りしている資料の一ページ目を御覧になってください。

 これは、一月二十五日、予算委員会での私と岸田総理とのやり取りの抜粋です。この日、朝日新聞の朝刊に、建設受注統計で、推計すれば四兆円ぐらい二重計上によって上振れしているのではないかということで、試算した記事がありました。

 これに関して、岸田総理は何と答弁されたかというと、真ん中辺りに傍線を引いていますが、二重計上における影響については、国交省が立ち上げた検討委員会において、過去の統計の遡及改定、要は数字の復元について検討を進めるというふうに答弁されました。

 ここで言っている検討委員会は、資料の二ページ目を御覧になってください。

 資料の二ページ目、二つの会議体を立ち上げるというものですが、二つ目に掲げてある建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る遡及改定に関する検討会議のことであるということで間違いないかどうか。この点について、国交省、お答えください。

中山副大臣 まず、今回の、公的統計の信頼回復に取り組んでいる中、国交省に関わる統計において不適切な事案が生じたことについて、大変遺憾に、また、誠に申し訳なく思っております。

 そして、先生お尋ねの点でありますが、そのとおりであります。

階委員 そこで、事実関係を確認したいと思います。

 資料の三ページ目を御覧になってください。

 今申し上げました検討会議のスケジュールが掲げられております。検討会議では二月頃、三月頃に行うはずであった中間報告、これがどうなっているのか、国交省、お答えください。

赤羽委員長 中山国土交通副大臣。(階委員「時間を止めてください。止めてください」と呼ぶ)ちょっと待ってください。(階委員「時間がもったいないよ。止めてくださいよ。何でこんなこと、通告していることを答えられないんだ」と呼ぶ)

 では、時間を止めてください。

    〔速記中止〕

赤羽委員長 速記を起こしてください。

 中山国土交通副大臣。

中山副大臣 大変失礼いたしました。

 遡及改定検討会議では、平成二十八年度分以降数十万枚保存されている調査票の精査と、遡及改定に不可欠なデータベースの作成の検討に一定の時間を要しております。これらの準備作業については、現段階では個別に各委員に御相談しながら進めております。

 できるだけ早く準備作業を進め、検討会議では、今年五月に予定している令和三年度分の建設工事受注動態統計調査の公表までに、統計の信頼確保に向けた一定の結論をいただくことを目指しております。

階委員 中山副大臣、続けて伺いますが、今の答弁、クリアに答えてください。中間報告はしていないということでいいですか。

中山副大臣 現在のところ、しておりません。

階委員 驚きますね。

 二ページ目、何ですか、この会議体を立ち上げるときに、「国土交通省の総力を挙げて、国土交通省所管の統計の信頼確保に向け、取り組んでまいります。」これが中間報告すらままならない。何を考えているんでしょうか。

 そして、この三ページ目のスケジュール表では、右側に総務省統計委員会に報告、相談するという矢印が書いてあります。

 統計委員長、これは行われていますか。お答えください。

椿参考人 現在の質問は、基本的にまだ、事前に通告はされておりませんけれども、事実関係としては、まだ報告を受けていないと承知しております。

階委員 報告も相談もなく、勝手にスケジュールを遅らせているということなんですよね。こんなことで信頼回復できるんですか。

 ちなみに、総理もおっしゃっていますけれども、遡及改定、復元をしっかりした上で説明をさせていただくことが重要である、その作業を急がせたい、このように一ページ目の答弁のところで書かれていますけれども、全くできていませんよね。なぜこれほど遅れているんですか。さっきもお答えになりましたけれども、全然言い訳にならないですよね。

 四ページ目を見ていただきたいんですが、確かに、今問題にしているのは二重計上の部分です。

 これは、建設受注統計の調査票の書換え、合算をずっと続けてきた、それに加えて、平成二十五年度からは未提出者の補正ということもやってきた、それがダブルで行われたことによって二重計上になってきた、こういう問題ですね。それ以外にも、四ページにあるとおり、一番目の、一部都道府県において合算処理を継続していたとか、三番目の、完成予定年月の書換えなども行われてきた。様々な統計の不適切な処理があったわけですね。復元処理をするのも容易ではないかもしれません。

 ただ、この報告書に何と書いていたかというと、四ページ目の四番が二重計上に関する部分です。そこで青で線を引いていますけれども、平成三十一年四月分から、過月分を除外した推計値が算出できるというふうになっていますよね。そして、そのデータを活用した上で、一定の仮定を置くなどし、書き換えられていない調査票が残存していない期間の数値を推計することも不可能ではないと言っていますよね。

 だから、この四番に書かれている報告書で指摘されたことをしっかりやれば、二重計上の部分については少なくとも、今すぐ、平成三十一年四月以降、どれだけ水増しされていたかということは分かるはずなんですよ。すぐ分かるはずなんです。

 いいですか。報告書の中でも、平成三十一年四月からは、調査室の中でいろいろ復元するためのことがやられていたというふうに書かれていますよ。報告書の二十七ページに書かれています。それで、専門調査官なるものが中心となって、平成三十一年四月以降の公表値に過月分がどのぐらい含まれているか等の検証作業を進めて、その結果、同年七月中には公表値に占める過月分の割合が分かっているということなんですよ。いいですか。もうやっているんですよ、ばれる前から、検証作業は。

 だから、平成三十一年四月以降、どれだけ水増しされているかというのは既にデータがあるんです。これをすぐ出してもらえませんか。

 中山副大臣、お答えください。

中山副大臣 建設工事受注動態統計調査の数値の遡及改定に当たっては、先生御指摘のとおり、検討会議において、統計の専門家の方々に御審議をいただきながら、平成二十八年度分以降の数十万枚保存されている調査票について精査を実施した上で推計手法を検討する必要があり、一定の時間を要して、かかっていると承知しております。

 繰り返しになりますが、検討会議では、本年五月までに一定の結論をいただくことを目指しており、国交省としても全面的に協力をしてまいりたいと存じます。

階委員 いいですか。そんな悠長なことを言っている場合じゃないでしょう。全くさっきの検討会議も仕事をしていないじゃないですか。

 それで、私は何も無理なことをやれと言っていないんですよ。報告書にもあるとおり、平成三十一年四月分からは、二重計上の部分がもう分かっているんですから、二重計上がどれだけあったかというのはもう皆さんの方で調べているんですから、それを基にして、平成三十一年四月以降の水増し分はすぐ公表してください。信頼回復をやろうとしているんだったら、これぐらい当然でしょう。

 中山副大臣、やってください。どうなんですか。やらないんですか。信頼回復するつもりがないんですか。どちらなんですか。報告書にも書かれてあることですよ。私が今急に言ったことじゃないんですよ。報告書にやれと書かれていることをやれと言っているだけなんですよ。早くやってください。やらないんですか、やるんですか、どっちですか。お答えください。

中山副大臣 先生の思いはよく理解をいたします。

 いずれにしても、検討会議において、専門家の方々の、どこまでお出しできるかも含めて検討させていただいた上で、それは可及的速やかに対応させていただきたいと思います。

階委員 私の思いを言っているんじゃないんですよ。第三者委員会、皆さんが立ち上げた第三者委員会の報告書で書いていることなんですよ。

 平成三十一年四月以降のデータはありますでしょう。出そうと思えば、この二重計上の水増し分は出せるんですよ。出せるのに出さないということでいいですか。

 では、お答えください。

中山副大臣 検証委員会では、行政文書のみならず、個人のメモや記憶をたどってヒアリングにおいてなされた発言なども含めて報告書を作成しています。データが、どの資料が該当するのかというのをしっかり特定することは難しい状況にもあります。

 まず、御指摘の資料の特定に努めるとともに、特定ができた場合には、当該資料が、データの方、行政文書に該当するかを確認した上で、適切に対応させていただきたいと思います。

階委員 出そうと思えば出せるはずなんですよ。報告書にそう書いているんです。専門官を置いてやっているわけだから。

 それで、その結果も、もう二十七ページに書いていますよ。いいですか、七月中には、公表値に占める過月分の割合は、受注高ベースで、平成三十一年四月分から令和元年十一月分につき〇・二%から八・六%、令和元年十二月分から令和二年三月分につき一・〇%から五・八%であること等の検証結果が得られた、そこまで書いているんですよ。もう分かっているじゃないですか、どの程度水増しされていたか。これを、金額を示してくださいと言っているわけですよ。

 だから、やれるのにやらない、やれるのに私たちに教えないということなんですか。おかしいでしょう。個人情報も何も関係ないですよ。もう既に結果は出ているんだから、データが出ているんだから。それを直ちに示してください。水増し、幾らだったのか、全体に占める割合が幾らなのかということを、直ちにやれるんだからやってください、報告書にも書いているんだからやってください、こういう話ですよ。

 やらないんですか、やれるのに。やってください。これは政治家として、国交省、官僚の皆さんにちゃんと命じて、すぐ資料を出せとここで言ってくださいよ。なぜそれができないんですか。皆さんは国交省の信頼回復に努めると言っているわけでしょう。これぐらいすぐやってくださいよ。やってください。

 何、後ろから資料を出しているんですか。あなた方はやるべき仕事をするんですよ。

 いいですか。これは政治家に聞いているんです。副大臣、副大臣の責任で、すぐこの数字は出せということを命じていただけませんか。官僚と一緒になって隠蔽工作に加担している場合じゃないですよ。これは副大臣の矜持、存在価値が問われますよ。やれと部下に命じていただくことをこの場で約束していただけますか。

中山副大臣 先生御指摘のデータに関しては、個人のメモも含まれております。正確なデータを公表するに当たって時間を要している状況であります。

 また、検証委員会において提出された資料は非公開の扱いとなっておりますので、その点も含めて、しっかり、正確なデータをお出しさせていただけるように努めていきたいと思います。

階委員 全然答えになっていないんです。もう客観的なデータとしてあるんですよ。二十七ページに書いているんですよ。

 それに加えて言うと、三十一ページには、令和二年一月分以降なんですけれども、令和二年一月分以降の数値として公表されていた、遅れて提出された調査票のうち前月分は合算する方法による建設受注統計を作成する際に、調査票にはマスキングテープを貼った上で元の数値を復元することができる形で合算を行うというくだりもあります。

 マスキングテープを剥がせば、すぐ元の数字が分かる。それと公表されている数字を比較すれば、水増しが幾らか、これは令和二年一月分以降の話ですけれども、そんなものは一瞬にして分かりますよね。一日もあれば出てきますよ。それすらやらせないんですか。おかしいでしょう。

 何のために、副大臣、この仕事をやっているんですか。今すぐやれと命じていただけませんか。個人情報は全く関係ありません。個人情報など公開を求めていません。水増し金額、二重計上の水増し金額を求めています。やらないのかどうか、お答えください。

中山副大臣 五月をめどに、しっかり対応させていただきたいと思っております。その作業を今やらせていただいて、この時点で公表するかどうかも含めて、検討してまいりたいと存じます。

階委員 五月の話はGDPへの影響なども含めた話なので、あるいは、さっきの四ページ目でいうと、ほかの統計処理の問題も含めたことなので、それは五月まででいいですよ。

 今、私がずっと申し上げているのは、すぐできることをお願いしているんです。かつ、この報告書にも書いている。「平成三十一年四月分から、過月分を除外した推計値が算出できる」、ここまで書いていますよ、第三者委員会が。できることをやらないのか、もうできることをやらないのかと尋ねています。

 副大臣としてはそれでいいんですか。できることをやらないのかどうか、端的にお答えください。できることは、やらない理由はないと思うんです。できることはやってください。できることをやるのかやらないのか、もう一度お尋ねします。

中山副大臣 繰り返しになって本当に恐縮ですが、先ほどの検証委員会においてこれらの資料が公表されることとなれば、今後、同様の検証を行う委員会を設置し調査を行う際に調査対象者からの協力を得ることが困難になると考えられることから、本委員会においてこれらの資料を公表する予定はないこと、これは決めさせていただいております。

階委員 何ですか、資料の公表も何も、もう報告書に書かれてあることですよ。報告書にちゃんと書かれているんですよ。協力を得るも何も、ヒアリングして調べた調査結果を書いているんですよ。

 後ろの人、一々言わなくていいですよ。あなたたちは調査される側なんだよ。何で調査される側が調査する側に一々文句を言うんだよ、一々指導するんだよ。おかしいじゃないか。後ろの官僚はもう言うな。

 副大臣、政治家としてこれぐらいはやらせないと。第三者委員会を何のために立ち上げたか分からないですよ。やれることですから、すぐやると。水増し金額、平成三十一年四月分からの水増し金額、二重計上の部分の水増し金額をすぐ出す、これを国交省に命じてやらせるということを約束してください。

 もう一回聞きます。やれることですが、やらないんですか。

中山副大臣 後ろの事務方は、私が指導をいただいているわけではなくて、確認の意味で聞いておりました。失礼いたしました。

 遡及改定検討会議において、データの正確性というものも検討しながら、公表するかどうかということをさせていただきたいと思っております。

階委員 いや、今あるデータを使ってやれるというふうに第三者委員会の報告書に書いているので、それをやってくださいと言っているんです。

 検討会議は動いていないのに、そんなところを当てにしていないです。今あるデータを基にして水増し金額を出してくださいとさっきから言っているわけですよ。検討会議は関係ない。

 いいですか。今やれることをやらないのかということを聞いているんです。やれることはやると言えないんですか。政治家として、副大臣として、統計の信頼確保のためにやらないんですか。これは大事なところですよ。

 朝日新聞は、統計の専門家でもないけれども、いち早く、四兆円という数字、一部でしたけれども、出していますよね。もうデータがそろっている国交省として、今すぐやらない理屈はないんですよ。すぐやるということを言ってください。副大臣、やれることをやらない、それでいいんですか。お答えください。

中山副大臣 検証委員会で調べられたことに関して、今後、その上で正確なデータを遡及していくということになりますので、そこの、第三者委員会で出された数字を基にしっかり検証させていただきたいと思っておりますが、やれることはやりたいというのは、そういう思いであります。正確な数字をしっかり出していくために努めさせていただきたいと思っております。

階委員 いつまでにそれをやるんですか、では。お答えください。

中山副大臣 まず、できるだけ早く作業を進めさせていただいて、今年五月に予定している令和三年度分の建設工事受注動態統計調査の公表までに一定の結論を出させていただきたいと思っております。

階委員 それは全体の話ですよ。

 元々五月までに出すという話は聞いていますけれども、私は、スポット的にこの二重計上の部分、しかも、もうデータがそろっている平成三十一年四月からの部分、この部分だけ、すぐ出せるから出してくださいと言っているわけですよ。これは一週間もあれば出せるはずですよ、そんなにも要らないと思いますよ。

 もうデータはあるかもしれない。まさかそれを隠蔽していないでしょうね。もうあるはずなんですよ。さっき、パーセンテージが出ているわけだから。金額も試算しているんじゃないですか。金額はどこかに、算定したものがないと言い切れますか。お答えください。

 水増し金額も算定していないですか、この平成三十一年四月分からの分は。やっていないと言い切れますか。お答えください。

中山副大臣 国交省に係る統計の信頼確保というものの回復をしていく中において、そのようなことはないと確信をしておりますし、私は、そのようなことがあるとは承知はしておりません。

階委員 ないですか、では。間違いなくないと。

 パーセンテージでどの程度過月分があるかというのはもう二十七ページに書いていますけれども、それによってどれだけ二重計上の水増し金額が生じているのか、この数字は国交省として把握していないということでいいですか。専門官を張りつけたけれども、そこは把握していないということで、何で後ろからいろいろ言っているんですか、把握していないということでいいですか。

中山副大臣 国交省としても、正確に、水増し分というか、二重計上の部分という数字はまだ把握ができていないと承知しています。

階委員 正確なという修飾語をつけましたね。そうじゃないんですよ。二十七ページに、専門官がもう三十一年四月分から調査していると言っているんですよ。過月分、どれだけ行われて、どれだけ計上されていたのか。

 それを基にした水増し金額というのは把握されているんじゃないんですか。どこにもその数字はないと言い切れますか。それとも、分からないんだったら、至急調査させて、この委員会に報告してください。どちらか、お答えください。

中山副大臣 先生御指摘いただいた部分、後刻、速やかに検討させていただいて、報告させていただきたいと思います。

階委員 では、私と、この委員会の方に報告してください。よろしいですね。うなずきましたので、次の質問に移りたいと思います。

 さて、五ページ目を見てください。

 統計法六十条二号という条文があります。これは罰則ですけれども、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処せられる場合として、基幹統計の作成に従事する者が、基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした場合というふうに書かれております。

 そこで、私たちの同僚の城井委員が、今年の二月十七日の予算委員会の第二分科会で総務大臣に尋ねました。今申し上げました行為、これはどういう意味ですかということに関し、総務大臣の方からは、「基幹統計を作成する過程において、通常の方法によって作成されるはずの結果と異なる結果を意図的に生ぜしめる不正な行為」というふうに定義されていました。

 今回の二重計上は、今、大臣が定義されたことに当てはまるんじゃないですか。お答えください。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 議事録のことについても御紹介いただきましたが、これが故意であるか故意でないのか、そのことに関係すると思います。

階委員 客観的な事実として、二重計上になっている分が、過月分と言いますけれども、途中までは無限定に過月分、途中からは一か月分というふうに多少期間が短くなりましたけれども、これは何か月分であるかどうかにかかわらず、故意に二重計上したら処罰対象になりますよね。一か月分だろうがこれは処罰対象になるということでいいですよね。確認までに、総務大臣、お答えください。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 個々の行為が刑事罰の対象となるか否かについては、捜査機関が収集した証拠に基づき個々に判断すべき事柄であると承知しております。

 私からは、御指摘の刑事罰についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

階委員 いや、最初の答弁で、故意に二重計上した場合は処罰対象になるというふうにおっしゃったから、それで聞いているんですよ。最初の答弁に関連して聞いているから、答えられるはずです。

 いいですか。二重計上が一か月だろうが六か月だろうが一年だろうが、これは行為の違法性には関係しないですね。お答えください。

金子(恭)国務大臣 先ほども申し上げましたように、個々の行為が刑事罰の対象となるか否かについては、捜査機関が収集した証拠に基づき個々に判断すべき事柄であると承知をしております。

階委員 二重計上は故意に行われれば不正行為に当たる、そして処罰対象になる。これは最初に答弁したことだから、これは間違いないですね。うなずかれました。よろしいですね。

 それでは、お尋ねします。

 六ページ目を御覧になってください。

 これは国交省でまとめた検証委員会の事実認定を時系列的に整理したものですけれども、一番下のところですね、事後対応問題とありまして、ちょっと色を塗りましたけれども、室長は令和一年六月頃に合算を認識、遅くとも令和一年十一月頃までには二重計上を認識というふうにあります。そして、その右上、課長、政総審は令和一年十二月に合算、二重計上を認識というふうにあります。そして、その後、令和一年十二月分から、都道府県に合算をやめるよう指示したけれども、合算処理は前月分合算に変更。依然として二重計上は続いてきたわけです。

 二重計上を認識しながら二重計上を続けてきた、これは大臣がおっしゃる不正行為ですよね。これは故意ですからね。間違いないですね。お答えください。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 今御指摘の件につきましては、刑事罰という意味では、我々が判断することではなくて、それは、先ほど来申し上げておりますとおり、捜査機関が収集した証拠に基づき個々に判断すべき事項であると思います。

 そのことに対して私が言及することは差し控えたいと思います。

階委員 刑事罰に当たるかどうかは確かに司法が判断することなんですが、皆さんは公務員として告発義務があるんですよ、刑訴法上。犯罪があると思料すれば、告発しなくちゃいけないんですよ。

 いいですか。総務省としては、告発義務はないと考えているんですか。このような行為に対して告発義務があると考えているか、ないと考えているか、明確にお答えください。

金子(恭)国務大臣 国土交通省の検証委員会報告書では、組織的な隠蔽とはされていないものの、厳しい指摘がなされているものと承知しております。

 いずれにしても、個々の行為が統計法に違反をし刑事罰の対象となるか否かについては、捜査機関が収集した証拠に基づき個々に判断すべき事柄であると承知しております。

 なお、総務省は、他府省の職員の行為の詳細について把握や確認を行うことのできる立場にないため、告発を行うことは困難であると考えております。

階委員 告発義務があるかないかをお尋ねしていますけれども、別に他省庁であっても、公務員である以上、告発義務はあるんですよ、刑訴法上は。

 総務大臣は、本件について告発義務はないという答弁でよろしいですか。結論だけお答えください。

金子(恭)国務大臣 何度も申し上げますが、他府省の職員の行為の詳細については把握や確認を行うことのできる立場にないため、告発を行うことは困難であると考えております。

階委員 把握も何も、これだけ第三者委員会の報告書に事実関係が、六ページにあるように、丁寧に書かれているわけですよ。逆に、そのために、事実認定をするために第三者委員会を立ち上げているわけだから、この事実関係を基にすれば、そして、大臣がおっしゃった統計法六十条二号に関する定義からすれば、当然、犯罪があると思料すべき場合に当たるんじゃないですか。

 これがそろっても告発義務がない、これだけの材料がそろっても告発義務がない、そのようにお考えになる。繰り返しは結構です。これも大臣として、統計を所管する大臣として、本当に統計の信頼を回復するつもりがあるのかどうか、再発防止を図るつもりがあるのかどうか、これが問われている。大きな問題ですよ。

 後ろから一々言わなくて結構です。大臣として、統計を真っ当にするつもりがあるんだったら、一罰百戒ですよ、こんなのを告発するのは当たり前じゃないですか。するつもりがないのかあるのか、端的にお答えください。読まなくて結構ですよ。

金子(恭)国務大臣 国土交通省の検証委員会報告書では、組織的な隠蔽とはされていないものの、厳しい指摘がなされているということでございます。

 ということで、先ほども申し上げましたように、他府省の問題についてでございますので、告発を行うことは困難であると考えております。

階委員 他省の問題だと告発を行うことは困難というのは、刑訴法のどこに書いていますか。そんなことはどこにも条文上書いていませんよね。公務員である以上、すべからく、他省であろうが何だろうが、告発義務はあるんですよ。それは知っていますか。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 詳しくは承知はしておりませんが、国土交通省も、検証委員会をつくって、検討会議をつくって努力をされているところでございます。その検討状況を見守りたいと思っております。

階委員 城井委員の質問の中で、大臣から、統計委員会におきましても特別な委員会をつくりまして、そこで精査をしているといったようなことも、くだりがありましたね。

 統計委員長、精査の結果を教えてもらえますか。

椿参考人 精査の結果につきましては、どういう問題があるかということについては報告書に記載いたしました。

 一つはもちろん二重集計の問題、もう一つはリスクの対応の問題ですね。本来報告すべきものが、ミスに気づいたときに報告すべきことが報告されなかったという問題ですね。

 統計調査における不適切な処理で、特に問題を認識した後の対応、これは公的統計を扱う者として、大変遺憾なことだというふうに承知してございます。(階委員「時間がないので、聞かれたことにだけ答えてください」と呼ぶ)はい。

 今のような形の精査報告で行ったということでございます。

階委員 告発すべきかどうかは検討していないんですよ。

 いいですか。告発するかどうかは誰が判断するんですか、そうしたら。統計委員会は告発するかどうかは判断しないんですか。

椿参考人 まず、先ほど、統計委員会、その他第三者機関というものは、通常、職員個人について詳細な事実関係まで把握する立場にはないため、第三者機関が行う事実認定というのは一定の推定が含まれるというふうに考えております。このため、御指摘のような刑事告発は、第三者機関による報告も踏まえつつ、職員の行為の詳細な事実関係を把握し得る立場の者による調査を経て行うのが適当と考えます。

 ただし、あえて私見を申せば、統計委員会自体の役割は、意図的ではない誤りが迅速に報告され対応されることで、ヒューマンエラーを不正に発展させない組織文化の醸成であり、処分されるから隠すといったあしき文化の排除と考えているところです。

階委員 今問題になっているのは、意図的な二重計上が問題になっていて、こういうことが不問に付されるから次々と同じような問題が起きるんですよ。

 いいですか。つい最近公表された、例の補正調査が建設工事費調査に令和三年一月から切り替わって、調査票を令和三年一月から国交省から送らなくちゃいけないのに放置されてきた、いまだに送られていないという問題、こんなことも起きるわけですよ。しかも、その問題が受注統計が問題になって以降もしばらく明らかにならず、ここに来てようやく公表されている。こうしたことが繰り返されているんですよ。

 いいですか。国交省、とんでもないですよね。信頼回復どころか、信頼失墜を繰り返しているじゃないですか。総務省はそれに対するチェック機能も果たしていないじゃないですか。統計委員会もそうですよ。みんな無責任だから、統計がどんどんどんどん崩れていく。

 そして、確認しますけれども、今回の建設工事費調査をやっている部署は、受注統計と同じ部署ですよね。受注統計の方は、さっきも指摘しましたけれども、いいですか、不正を隠蔽するために、いろいろな作業を強いられていたわけですよね。

 令和元年十二月中から、室長以下総出で、都道府県による書換えの痕跡等を手がかりとして、本件合算処理の影響の有無及び程度を調べるため、国交省が保管していた調査票、毎月約七千枚の一枚一枚を目視で確認する検証作業を開始した。その作業に忙殺され、余計な作業を行わされているとの意識のためか、室長と担当係長以下が対立するような状態に至り、室内の雰囲気を悪化させてしまっている。これは三十八ページ、報告書に書かれていることです。

 いいですか、国交省。こういう状況だから、令和三年一月からの不祥事も起きているんですよ。この不祥事を根絶するためには、今のままでは到底無理です。やると言ったことはやる。いいですか。さっきの検討会議、やると言った中間報告、二月、三月、やられていない。そして、水増し金額、出そうと思えば出せるのに、いつまでたっても出さない。こんなことでは不祥事は繰り返されますよ。

 副大臣、気持ちを入れ替えて、今すぐ水増し金額は出す。最後に、このことについて、決意をお尋ねしたいと思います。

中山副大臣 お答え申し上げます。

 公的統計は、経済活動であったり、社会、暮らしの実態を把握する、また、国会で政策を審議する上において、とても貴重なデータであります。ですからこそ、私ども、しっかり築き上げていかないといけないと考えております。

 いつ出せるかというお話でありますが、先ほど申し上げましたように、しっかり国交省に持ち帰って、先生からいただいた知見を基に、これは後刻、速やかに委員会の方にも報告をさせていただきたいと思いますので、どうか御理解をいただければと存じます。

階委員 では、速やかに報告をお願いします。

 私も総務省で統計担当の政務官をやっていましたので、この問題は看過できません。総務省の対応、国交省の対応、しっかりこれからも監視していきますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、奥野総一郎さん。

奥野(総)委員 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 順序を変えて、今の続きをやらせていただきたいんですが、国交省に伺いますが、先ほど副大臣もおっしゃっていましたけれども、この検討委員会で五月頃に統計の信頼回復に向けて一定の結論を出す、ここのスケジュールは変わっていないということでまずよろしいんでしょうか。

大澤政府参考人 お答え申し上げます。

 そのスケジュールで進めてございます。

奥野(総)委員 いま一度伺いますが、なぜ公開をしていないんですか。いきなり結論が出るんですか。事の性格上、きちんと議論を公表する必要があると思うんですよ。だからこそ中間報告という言葉もあると思うんですが、途中の検証、検討過程を一切公表しないままで、いきなりこれは一定の結論が出るんですか。

大澤政府参考人 お答え申し上げます。

 検証委員会、遡及改定会議の委員会の運営につきましては、その会議の中で公開、非公開の適否について判断していくこととしてございまして、必要に応じて公開をしていくということになろうかと思います。

奥野(総)委員 そうすると、非公開で何回か行われているということなんですかね、今の答弁だと。

大澤政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで一回会議をしまして、その後は個別に今作業に入っておりまして、作業については個別に委員の方々と相談しながら進めているということで、その中身については、現在のところ公開されてございません。

奥野(総)委員 じゃ、何でこの計画と違ってきているんですか。

 もう一回聞きますけれども、開けない理由があるんですか。集まってちゃんと資料を出してやれない理由があるんですか。要は、集計ができない、復元ができないということじゃないんですか。

大澤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま遡及改定会議の各委員の先生方と相談していると申し上げましたのは、かなりの数に及ぶ調査票の精査をしたり、あるいは、推計に使いますデータベースを作成するといったような作業に時間がかかっております。そういった意味で、一定の時間がかかるかというふうに思います。

奥野(総)委員 そうすると、当初想定していた、ここに書かれているものとは全然、スケジュールは遅れている、集計できていないということでいいんですね。

大澤政府参考人 お答え申し上げます。

 作業としては進めてございまして、五月の一定の成果、これを目指して、現在、最大限の努力をしているところでございます。

奥野(総)委員 今、一定の成果とおっしゃいましたが、これは、当然のことながら、遡及改定した数字が出てくるということでよろしいんですね。一定の結論という言い方がひっかかるんですけれども、一定の結論とは何ですか。

大澤政府参考人 お答え申し上げます。

 一定の成果がどのようなものになるのかということについて、まさに有識者の先生方と議論を進めているところでございます。できる限り明確なものが、分かりやすく示されるように努力をしてまいります。

奥野(総)委員 ひっかかりますね。総理が遡及改定を早急にやると言っているのに、これは、じゃ、遡及改定の数字が出てこないというのも結論になるんですか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 一定の成果がどのようなものになるかについて、まさに、先ほど申し上げましたように、先生方の意見を聞いているところでございまして、しっかりと検討を進めてまいります。

奥野(総)委員 これは、さっきの階委員は、当然、遡及改定の数字が出てくると思っているわけです。だから、ああいう質問になっているんですよ。なぜなら、総理が約束したから。ですよね。少なくとも、この建設受注統計については遡及改定する、急がせるということを言っているわけです。

 今の答弁だと、その約束もできないということなんですが、問いを変えますが、五月の一定の成果というのは、遡及改定の数字が必ず出てくるということでよろしいんですね。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから申し上げているとおり、今まさに、どの辺りまで出すことができるかということについて有識者の先生方と議論を進めているところでございます。

 そういう意味で、どういった数字が出てくるのか、あるいは、数字としてきちっと示せるのか、どの範囲で出せるのか、どの年代まで出せるのかといったことについて、お答えすることは困難でございます。

奥野(総)委員 もう一回言いますが、数字が出てこない可能性があるということでよろしいんですね。あるいは、数字は必ず出せるんですか。どっちか答えてください。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 できる限り分かりやすく示せるように努力をしてまいります。

奥野(総)委員 ちょっとこれは答えていないんですけれども、理事。

 じゃ、数字が出せるか出せないか、明確にイエスかノーかで答えてくださいよ。分かりやすいって、一体、言葉なのか数字なのか、どっちなんですか。少なくても最低限の数字は示すとお答えいただけますか。

大澤政府参考人 そこの点につきましては、まさに有識者の方々と議論をしている最中でございまして、どこまで出せるか、数字で出せるのか、どれぐらいの分量の数字で、年代まで出せるのかについて、議論をしているところでございます。

奥野(総)委員 いや、驚きましたね。総理が遡及改定。遡及改定って、要するに数字を出すということですよね。その約束が守れないということをおっしゃっているんですよね、今の話は。

 少なくとも、何年分かは分かりませんよ、今、マスキングしている数字があるわけだから、マスキングした分については復元可能なわけですよね。最低限のものは出る。それも出せないと言うんですか。それも出せない可能性があるということですよね。私はそう受け止めましたが、そういうことなんですか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 できる限り出せるように、今委員の先生方と議論を進めているところでございます。

奥野(総)委員 障害になっているのは何なんですか。少なくとも三十一年以降については復元できますね。数字が、マスキングテープで、ある。

 ここでまた一つ伺いますが、朝日新聞、今日も出ていますが、消しゴムで消したと。以前は消しゴムで消してと言っていましたが、それは事実だったんですか。地方で、あるいは国で、消しゴムで消して加算していた、これは事実ということでよろしいですね。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 検証委員会報告書の中において、都道府県に指示をして、調査票の合算をする際に消しゴムで消して、合算の作業を指示していたというふうに認定されてございます。

奥野(総)委員 それはいつまで行われていたんですか。その部分については、調査票は復元可能なんですか。

大澤政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、その消しゴムで消した部分の調査票がどこまで復元できるのかということについて、今作業をしている最中でございまして、かなり古いものになりますと、もう調査票そのものがないというようなこともございます。

 そういった意味で、いろいろな推計の手法を使いながら、過去の年代まで含めて、遡及改定をする作業を現在検討しているところでございます。

奥野(総)委員 ようやく今、遡及改定する作業をしているとおっしゃっていただきましたけれども。

 もう一回確認しますが、消しゴムで消すのが行われていたのはいつまでなんですかね。平成三十一年なんですか。マスキングテープを貼ったのは直近の二年と聞いていますが、それまでは消しゴムで消してという作業がずっと行われていたんですか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 令和元年の末まででございます。

奥野(総)委員 もう一回確認すると、じゃ、令和元年の末までについては遡及改定できない可能性があるということをおっしゃっているんですね。

大澤政府参考人 お答え申し上げます。

 調査票を一枚一枚丹念に確認をし、どういった推計手法が使えるのかということについて、現在、統計の専門の先生方の中で御議論いただいている最中でございます。

奥野(総)委員 ですから、さっきから質問に答えていただいていないんですが、そういう可能性があるということでいいんですよね。検証しているということは、その部分については、復元できない部分があるので、令和元年以前のものについては遡及改定できない可能性があると言っているんですね。

大澤政府参考人 お答え申し上げます。

 遡及改定をするということを前提に、どのような形でそれが推計によって遡及改定できるのかということを議論しているところでございます。

奥野(総)委員 いや、どうも、この話を伺っていると、消しゴムで消した部分について復元は難しいものがあるということはおっしゃっておられるわけですよ。そうすると、じゃ、きちんと過去に遡って、どこまで遡及改定できるかは非常に怪しいんですよね。だから明確におっしゃらないんでしょう。

 もう一回申し上げますけれども、遡って遡及改定できない可能性も含まれているということですよね。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、遡及改定できるということを前提に、今、そのための推計手法をどのように組み立てることが統計学的に可能かということを議論しているというところでございます。

奥野(総)委員 最初の質問に戻りますが、遡及改定できることを前提に検討している結果、何年か分については、どこまで遡れるか分からないけれども、きちんと一定の結論というのは、遡及改定の結論が五月には出てくるということで、明言していただけますか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 今、遡及改定会議において、平成二十七年度以前につきましても、どのように推計を進めていくべきかという点、統計の専門家の方々に統計学的な観点から御審議をいただいておりますので、五月に予定しております令和三年度分の建設工事受注動態統計調査の公表までに、国交省としてしっかりと一定の結論をいただくということを目指してまいります。

奥野(総)委員 そうすると、少なくとも、平成二十七年度以降のものについては遡及改定できるということですね。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 そのようになるようにしっかりと努めてまいります。

奥野(総)委員 これを最初から言っていただけると、こんなに時間を、いや、それを引き延ばすと言ったらあれだけれども、ちょっとひどいですよね、この答弁の仕方は。

 平成二十七年からのものが五月には必ず出てくる、そして、それ以前のものについては今検討している、こういうことだと今理解しましたが、そうすると、それ以前は遡れないものがあるということなんですね。

 さっきの統計法六十条の話と絡んでくるんですが、基幹統計の作成に従事する者で基幹統計を真実に反するものたらしめる行為と。客観的に見て復元できないということは、まさに真実に反するものたらしめているということではないんでしょうか。いかがですか。これはどっちかな、総務省か。(発言する者あり)

吉開政府参考人 失礼いたしました。

 個々の行為が刑事罰の対象となるか否かにつきましては、捜査機関が収集した証拠に基づき個々に判断すべき事柄であると承知しております。

奥野(総)委員 さっき階委員が言っていました、告発義務があるということなんですが、少なくとも、外形的な判断は総務省あるいは統計委員会、国交省で行うべきだと思うんですね、だから伺っているんですが。

 復元できないということは、これは統計法違反に外形的にはなるんじゃないですか。さっき、故意という要件を言っていましたけれども、これは相当大変なことですよね、調査票を書き換えてしまって復元できないというのは。

 もう一度。

吉開政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、個々の行為が統計法に違反し刑事罰の対象となるか否かにつきましては、捜査機関が収集した証拠に基づき個々に判断すべき事柄であると承知をしております。

奥野(総)委員 一般論として、調査票を毀損する、元のデータが読み取れなくなるということは、この六十条二号に照らして、真実に反するものたらしめる行為に当たるのか当たらないのか。

 あるいは、総務省の方でまとめたガイドラインがありますよね、調査票情報等の管理及び情報漏えい等の対策に対するガイドライン、こうしたものに照らして全く問題ないんですか。

吉開政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話のありましたガイドラインは、平成二十一年の二月に策定いたしました調査票情報等の管理及び情報漏えい等の対策に関するガイドラインのことであると承知をしております。

 このガイドラインにつきましては、国土交通省の検証委員会の報告書でも触れられておりまして、今般の事案における調査票情報の書換えについて、「統計調査によって収集された情報の有用な活用を損ねていると批判されよう。」との評価がされております。

 一般論といたしまして、調査票の審査過程において明らかな誤記入がある場合に、必要な修正を加えることがございます。一方で、今般の書換えについてでございますけれども、元々の調査票に記入された正しいデータが損なわれ、誤りのおそれがある場合の再計算などができなくなったことを考えますと、統計法の目的及び基本理念に照らして適切ではなかったと考えております。

奥野(総)委員 ですから、目的、趣旨に照らしてということだから、統計法に反する行為をしているということですよ。罰則適用についてはおっしゃらないけれども、それは当たり前じゃないですか、正確な統計を作らなきゃいけないのに、それを書き換えるなんて、統計法の精神に違反しているに決まっているんですよ。本当にこれはひどいですよね。

 統計委員長に伺いますけれども、これはしかも、今回の国交省の報告書に書いてあるんですけれども、実質的に審議が行われていない過月分合算の修正についても、審議が行われて、評価分科会からの了解を得られたもののような形づくりをした上で修正したと。要するに、評価分科会の了承を得られたというように偽装した、そういうことを国交省の報告書自体が認めているんですが、これは相当悪質ですよね。

 それで、もう一点。

 さっき、遡及改定していると言っていますが、このことも含めて、データについて、統計委員会として報告は求めないんですか。前の毎勤統計のときは、あのときは西村委員長だったと思いますが、随分熱心にデータを厚労省から取り寄せて、自ら計算というか、いろいろ意見を言っておられたようですが、今回はなぜそういうふうにやらないんですか。

椿参考人 まず、基本的な認識として、先ほどの遡及改定のことからお答えしますけれども、まず、この統計の誤りがあった場合に、それを直すというか対応いただくことは各府省の責任だと考えております。そのために、先ほど議員の御質問にあったような、国交省に設置された統計有識者検討会議というものが二重計上の影響を排除した数値に関する改定の統計的な方法を検討していると承知しています。

 私どもも、国交省の検討会議は、五月に予定している令和三年度分の建設受注動態統計調査の公表までに一定の結論を出すべく、専門的な検討が鋭意進められているというふうに伺っており、統計委員会としては、基本的にはその見解を待つということになっております。ただ、必要な場合、やはり統計委員会として技術的な協力を行わなければならないんだということを考えているところです。

 それから、第二点ですけれども、評価分科会の案件でございます。

 国交省の検証委員会の報告書に、建設工事施工統計調査の推計方法の変更に便乗して、本件合算処理を統計委員会評価分科会に報告し、あたかも評価委員会が承認されたように装っていたとの当否も更に問題となるという記述、そういう厳しい評価があったことは、私どもも、もちろん認識しております。

 このような意図で統計委員会の評価分科会を利用したことが事実ならば、大変遺憾なことでございます。誤りの発見、対処、改善に向けた基本的なリスク対応が確実かつ迅速に行われていれば、現在のような大事まで至っていなかったという認識を持っております。

 当たり前のことを着実に実施する業務サイクルと、当たり前のことを確実に実施する体制を構築し、誤りが発生した場合は、誤りを認め、適切に直ちに対処し、誤りを不正にさせない。これを統計行政に定着させることで、将来的な重大リスクの事象の発生、ないしは重大リスクへの進展を極力抑え、国民の信頼性を得る。この種のリスク対応を統計委員会としては今回こそ統計行政にしっかりと定着させていく所存でございます。

奥野(総)委員 誤りを不正にさせないというのはそのとおりだと思うんですが、どうもなかなか誤りを申告してこない。そして、それを隠そうとするために、うその上塗りでどんどん不正の方に動いていく。今回の件は、私はその典型だと思うんですね。二重計上が分かった後も、なお二重計上をしていて、それを正当化しようとしていたということであります。

 六十条違反だと私は思いますよ。だって、故意でやっているわけですからね。先ほど吉開統括官がおっしゃったように、外形的には少なくとも統計法の精神に反することをしているわけですよ。それをしかも故意で続けたとなれば、これは明らかに統計法六十条違反じゃないですか。

 委員長に伺いますけれども、再発防止のために、もう一度、悉皆で、各統計チェックはしないんですか。毎勤統計のときにはやりました。やって、しかしなお出てこないものがあった。今回もそうですね。今回に至っては、その毎勤統計のときにも機会があったにもかかわらず、この後質問しますけれども、建築工事費調査については、これまた出てこなかったりするわけですよ。

 もう一度全面的に見直して、そうした誤りがないか精査するおつもりはありませんか。

椿参考人 統計委員会では、一月十九日の総理指示を踏まえて、基幹統計の集計プロセスの点検に向けた議論を行っているところです。

 具体的には、建設工事受注動態統計調査の事案と同様の誤りの発見や修正だけではなく、将来的な誤り事案の発生につながりかねないリスクを丁寧に把握すること、今般の事案の背景や原因までに遡った重点志向の点検を行うことが重要であるとの認識の下、今般の事案の精査を行い、課題や問題の抽出に向けた議論を行ってきているところです。

 議論に当たっては、点検がより実効性のあるものとなるよう、あわせて、毎月勤労統計調査問題を踏まえた対策の有効性の確認や、想定される対策の検討なども審議しながら検討を進めているところです。

奥野(総)委員 ちょっとこれは通告しなかったんですが、今、こうしたことが起こる背景を調査するとおっしゃっていましたが、委員長自身は、毎勤統計もそうですし、繊維問題かな、度重なるこの統計不正が起こる理由、背景、原因というのは何だと思われていますか。

椿参考人 まず、共通な原因系というものを、先ほど申し上げましたように、考えなければならないと思っております。

 一つは、やはり変化が起きるときです。我々は品質管理の専門でもあるので、変化点の管理というんですけれども、調査計画の変更その他もろもろがあったときに、思いもかけないところで人間系の誤りが波及している症状、そういうものが各府省にないかどうかということ。

 三Hといいますけれども、変化、初めて、久しぶり、そういうような部分が公的統計の中で起きるリスク、これは、事故といいますか誤りの原因になっていると思います。そういうものをきちんと考えてまいりたいと思っています。

奥野(総)委員 これをやると、多分一時間でもできるんでしょうけれども。

 まず、例えば、今回もそうですし、毎勤統計もそうなんですが、回収率の低さというのがあって、それを何とかしようと。現場の方は最初は善意でやっておられたと思うんですけれども、それがいつの間にか、きちんと意図が引き継がれなくなって、こうしたおかしなことが起きてしまっているということだと私は思っています。

 それで、ちょっとまた話を変えますが、先ほど、平成二十七年以降は恐らく遡及改定で復元できるだろう、こういうふうに受け止めましたが、その上で、GDPですよね、山際大臣は繰り返し、GDPへの影響は軽微だとおっしゃっていますが、否定はしていないんですね。定性的な意味で、GDPに影響が仮にあった場合でも軽微だという言い方をしていて、ないとは言っていないんですよ。

 これは盛んに我々も言っているんですが、じゃ、どのぐらいの影響があるのかというのはきちんと出していただきたいんですね。当然、遡及改定が出てきて、数字が固まってくれば、GDPへの影響というのを示すということでよろしいですよね。

酒巻政府参考人 お答えいたします。

 GDPへの影響ということでございますが、今回の建設工事受注動態統計の一連の問題に関しましては、現時点におきましては、GDPへの影響について、厳密な形で精査するための追加的な情報、すなわち、GDPのうち建設投資部分の推計に用いております建設総合統計の時系列データへの具体的な影響に係る情報というのはない状況でございます。

 このため、現時点におきまして、GDPへの影響を検証するということは困難でございますが、いずれにいたしましても、国土交通省が立ち上げました検討会議での議論、それから必要に応じて行われる統計委員会への報告や相談、そうした結果を踏まえまして、必要な対応を考えてまいりたいということでございます。

奥野(総)委員 これまた答弁が分からないんですが、やるんですか、やらないんですか。今できないのは分かりますが、データが出てきたらやるんですか、やらないんですか。

酒巻政府参考人 お答えいたします。

 再推計するかどうかということでございますけれども、国土交通省の検討会議での議論の結果、仮に、建設総合統計につきまして、GDPの再推計に必要な時系列データが新たに作成、公表されるというような場合であれば、GDPの再推計を行うことも含めまして、必要な対応を考えたいということでございます。

奥野(総)委員 また戻りますが、建設受注統計の遡及改定はやると。その数字を使って建設総合統計の遡及改定はやるんですか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、済みません、お答えした中で一点誤りがありましたので訂正をさせてください。

 消しゴムで消した調査票、いつまでかという御質問に対して、令和元年の末というふうにお答えしたんですが、そうではなくて、R二年の一月分まで、一月更に消しゴムで消していたということが事実でございますので、訂正をさせていただきたいと思います。

 それから、あともう一点、先ほど平成二十七年以降というふうに先生はおっしゃったんですけれども、それは、調査票がないのが平成二十七年以前でございまして、調査票がない、もう廃棄されたものについても、どういった推計方法があるのかということについて今御審議をいただいているということで、この五月には、その中から、どの年代まで遡れるか分かりませんが、一定の範囲の、一定の結果というものをしっかりと示していくということでございます。

 今、済みません、最初の問い……(奥野(総)委員「建設総合統計を」と呼ぶ)済みません。

 建設総合統計につきましても、しっかりと遡及改定会議の中で議論していくということでございます。

 申し訳ありません。

奥野(総)委員 ちょっとまた、こういう時間を使いたくないんですけれども、もう一回、じゃ、確認しますが、平成二十七年以前はそもそもない、令和二年の一月までも消しゴムで消している、そこの中には復元が難しい調査票も入っているということですよね。

 そうすると、もう一度最初の質問に戻りますが、いろいろな形で努力しながら必ず数字を出していくのか、それとも、復元が不可能な部分については出せないという答えなのか、もう一度確認。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 調査票がない年代のもの、それから消しゴムで消されている調査票の部分のもの、いろいろございますけれども、それをどのように復元するのか、どういった推計手法で統計学的に行えるのかということについて御審議をいただいておりますので、遡及改定するということを前提にしっかりと検討を進めてまいります。

奥野(総)委員 統計委員長、また伺いますが、そのプロセスが正しいかどうかというのはきちんと検証されるんですよね、統計委員会。

椿参考人 基本的に、先ほど御回答しましたように、国土交通省のタスクフォースはかなり専門家の集団であると私どもは認識しております。先ほど申し上げましたように、ただ、技術的な検討というものに関して統計委員会が支援する用意はございます。

奥野(総)委員 支援ということは微妙ですけれども、要するに、頼まれないとやらないということですかね。

椿参考人 もちろん依頼ベースでということが前提かとは存じますけれども、これにつきましては、もう少し柔軟な考え方はできると思います。これは私の統計委員長としての私見でございます。

奥野(総)委員 毎勤統計は随分踏み込んでたしかやっていたんですよ。だから、是非そういうふうにいただきたいし、しかも、全然検討過程がオープンになっていないんですよね。会議を開いていないということは、明らかにならないし、一般の、ほかの学者の先生もいらっしゃるでしょうから、きちんと議事録を開示をして、公開をして、一般の目にさらすことは大事なんですが、そのプロセスがないというのは非常に私は問題だと思いますよ。もう時間があれですから、言いませんけれどもね。

 そうすると、GDPについては、じゃ、建設総合統計も遡及改定するということですので、それが出てきた段階できちんと遡及で試算をするということでよろしいですよね、さっきそうおっしゃっていたから。

酒巻政府参考人 お答えいたします。

 先ほどと同じでございますけれども、国土交通省の検討会議の議論の結果、仮に、建設総合統計につきまして、GDPの再推計に必要な時系列データが新たに作成、公表されるということであれば、GDPの再推計も含めまして、必要な対応を考えてまいります。

奥野(総)委員 当然やっていただくということです。

 それから、大分時間がなくなってしまったんですが、建設工事費調査についてですが、これはもうひどいですよね。今年の九月に発表で、去年の一月から毎月調査票を発送して回収していなきゃいけないものが、いまだに発送されていない。建築工事費調査及び産業連関構造調査併せてということだと思いますが、これだけの重要な統計、これは建設総合統計にも影響するんですよね。何でこんなことが起こったんですかね。このガイドラインでもきちんと、統括管理者を置いて進捗状況を見なさいとかと書いてあるわけですよね、このガイドラインを見ても。

 普通、役所にいながら、こういう仕事のやり方はないと思うんですよ。毎月送ると決まっていたものが、一年以上たってもまだ発送されていない、物すごくずさんなことだと思いますが、なぜこういうことが起きたんですか。

大澤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、建築工事費の調査につきましてでございますが、これは、従来から実施していた調査を変更したということがございました。調査の実施を都道府県から国の直轄に変更した。この変更に伴う作業が想定よりも時間がかかったということから、当初予定よりも遅れたものでございます。

 また、産業連関構造調査につきましても、調査対象工事の抽出作業、これが想定以上にかかったということがございまして、その配付が当初予定よりも遅れたものでございます。

 こうしたことの背景には、検証委員会、受注動態調査の関係の報告書でございますけれども、そこにおいても、担当部署におきまして、やはり慢性的な業務過多があったということとか、室内の情報の分断、分業意識といったものがあったということで、その同じ指摘が背景にあるというふうに考えてございます。

奥野(総)委員 それで済む話じゃないんですよね。仕事というのは何があってもやらなきゃいけないんですよ、約束しているんだから、公表していますから。もしできないんだったら、きちんと説明しなきゃいけないし、それこそ統計委員会に調査計画の変更を出さなきゃいけないんですよね。役所として当然のことができていないんですよ。なぜですかといっても恐らく答えられないんだと思いますが、これはもう国交省の中の統計部門の組織的なまさに問題ですよね。

 政務官に来ていただいているので、せっかくですから、まず、こうしたことを二度と起こさないということと、先ほど階委員も言っていましたし、それから、私も、階委員が求めた、あるものについてはすぐ出してください。それから、五月については、きちんと遡及改定を建設総合統計も含めて出すということを約束していただきたい。

 それから、時間が大分たって、もう最後なので、大臣に最後に伺いますが、やはり、日本の統計の組織、これが限界じゃないかと思うんですよ。今、たしか二千人を切っているんですよね。アメリカは一万八千人、ヨーロッパでも五千人ぐらい。

 だから、分散型と集中型とありますが、カナダのように、統計部局を集中して置くか。私は、できるだけ政府とは切り離すべきだと思っているんですね。毎勤統計のときに言われたのは、政府への忖度があったんじゃないかというふうに言われています。各省でやると、各省に都合のいいように、あるいは上司をおもんぱかって隠蔽をする、こういうことも起こりかねません。ですから、例えば国会の下に、これはイギリスですけれども、統計院というものを置いて、そこで集中的にやるというような方法も考えられます。

 と同時に、統計専門家の採用を大幅に増やしていくことが、統計人材の育成にもつながりますし、日本の統計の正確性を期すためにも資すると思いますので、この点についてお考えを伺いたいと思います。お二方、どうぞ。

加藤大臣政務官 奥野委員より、建築工事調査等に関して、まず、組織的に本当に、背景としてある課題についての認識ですとか、今後への意気込み、受け止め等を御質問いただいたと受け止めております。

 今回の公的調査は、まさに信頼確保に向けて取り組んでいるさなかに、改めて、国交省の所管統計におきまして調査計画に沿った調査ができていなかったことについては、極めて遺憾で、申し訳なく思っております。

 先ほど参考人よりお話がありましたように、その背景には、業務の過多や統計部門のマネジメント上の課題があるということを認識をしております。

 このようなことは二度と再発させてはいけないという考えの下、先般設置した再発防止検証タスクフォースにおいて、今回の事案も含めて、できる限り速やかに再発防止の対策を練って、そして組織一丸となって取り組んでまいる所存でございます。

 こういったことが再発されないために、組織として、組織の在り方というものも改善していかなければならないというふうに思ってございまして、その上で、マネジメントの在り方ですとか、また、風通しのよい風土をつくっていく、こういったことをしっかり進めていかねばならないというふうに考えております。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 我が国においても、人口や労働、家計や物価といった基本的かつ重要な統計は、統計技術に関する専門性を生かして、政府統計の中核を担う総務省が作成をしております。

 一方、申し上げました分野以外の統計は、時々の行政ニーズに的確、迅速に対応するため、各府省が作成することとしつつ、必要な場合には、総務省が各府省に技術的な支援を行っております。

 このように、我が国の統計機構は、分散型と集中型の双方のメリットを生かすような形となっております。

 いずれにしましても、現在、統計委員会において行われている公的統計の改善策の検討の中で、こうした統計行政体制の在り方と、多様な人材を質、量共に確保することについても議論されております。

 総務省としては、統計委員会の検討結果を真摯に受け止め、国民に信頼される統計行政体制を確立すべく、全力で取り組んでまいります。

奥野(総)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、沢田良さん。

沢田委員 日本維新の会、埼玉の沢田良です。

 金子総務大臣を始め関係省庁の皆様、委員部の皆様、本日もよろしくお願いいたします。

 メディアでも大きく取り上げられた国土交通省の統計不正問題について、本当に多くの資料を見させていただき、関係各位より聞き取りも行ってまいりましたが、大事なことは、次につなげるかどうか、つながるかどうかであり、しっかりとした検証が行われた前提が必要と考えます。

 確認で質問をさせていただきます。

 今回、どのような検証が行われたのでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 建設工事受注動態統計調査の不適切処理につきましては、昨年十二月十五日の総理指示を踏まえまして、国土交通行政及び政府統計の信頼回復を図るため、独立、中立の立場から専門性、客観性のある徹底的な調査を行っていただけるよう、統計学の専門家、弁護士の十名の委員及び二名の事務局長補佐を構成員といたします検証委員会を国土交通大臣の下に設置したところであります。

 検証委員会では、昨年十二月二十三日の設置以降、職員等六十名、延べ七十回のヒアリングを行うなど、年末年始を含めまして精力的かつ徹底的な調査を行い、本年一月十四日、報告書をまとめていただいたところであります。

 また、検証委員会の運営に際しましては、事実認定や評価、原因の検証は委員及び事務局長補佐により行われまして、報告書の内容も検証委員会の意思決定に基づき作成、確定していただくなど、日本弁護士連合会の企業等不祥事における第三者委員会ガイドラインにおいて要求されている独立性、中立性を十分に確保していただいたところであります。

沢田委員 ありがとうございます。

 しっかりとした検証が行われたということで、私も資料を見させていただいた感じでは、いろいろと、外形的な部分を含めてしっかりと調べられているなというふうに感じました。

 続けて質問をさせていただきます。

 今回起こった国土交通省不正統計問題について、検証結果を踏まえて、問題が起こった経緯や認識の御説明をお願いいたします。

大澤政府参考人 お答え申し上げます。

 建設工事受注動態統計調査に関する不適切な処理につきましては、検証委員会の報告書におきまして、合算問題、二重計上問題、事後対応問題につきまして御指摘をいただいております。

 このうち、合算問題につきましては、平成十二年の同統計調査の開始時点から調査票を書き換え、過月分の受注高を当月分に合算していたという問題でございます。

 次に、二重計上問題につきましては、平成二十五年の四月以降、欠測値の補完を開始しましたが、この際、合算処理を継続した結果発生した問題でございます。

 そして、事後対応問題につきましては、報告書の中で、平成三十一年の総務省の一斉点検時の対応、令和元年から令和二年におきます会計検査院への対応、令和二年十月の統計委員会評価分科会への対応におきまして明確な報告や説明などをしなかったことにつきまして、表沙汰にならない形で収束させようとしたといった大変厳しい御指摘をいただいているところでございます。

沢田委員 個人的にちょっと感じた部分で、やはり悪い部分ばかりがちょっと目立っている中でですが、合算処理や二重計上については、これは正しい統計にしなければならないという、いわゆるまともな考え方も後押ししてしまったのではないかと感じてしまうんですけれども、これはどうでしょうか。

大澤政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおりでございまして、合算問題につきましては、報告書の中でも、受注高について、年額においてはそれはより正しいものになるですとか、あるいは、調査票をせっかく出してもらった建設業者の方のものを無駄にすることはできなかったというようなことも併せて認定されてございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 まさに問題というものは、各種にわたり、いろいろな思惑と、やはりそういった真面目な素養というものも含まれているというふうには感じます。

 国会の役割の一つに行政監視の機能とあります中で、今回は向き合わせていただいております。二十年近く統計不正が続いていた事実は、国民の信頼を大きく損なっただけでなく、行政運営という面では大変に危機的であると言えます。

 メディアの報道には、浮かび上がるのは統計を軽視する国交省の姿勢、前例踏襲でデータの書換えを続け、部下が不正だと指摘しても、事なかれ主義の上司は問題を正そうとしなかった、国民を裏切る無責任体質にあきれるというものもございました。

 検証も、根本的な解決というところよりかは、どちらかというとテクニカルなところの部分の指摘が多かったように感じています。

 私は、この問題を国土交通省だけの風土として対策を考える限り、第二、第三の組織ぐるみの不正は繰り返されるとも感じております。

 そもそも、惰性や事なかれ主義では二十年間も組織ぐるみで不正維持などできるはずもなく、根本は、官僚組織の三つの特徴である年功序列、終身雇用、縦割り構造の中、上意下達の鉄のおきてが生まれていることにあり、さらに、官僚は常に正しいことをしなければならない、ミスは決して許されないという社会的な雰囲気や一部政治家の異常なバッシングから、過剰なプレッシャーや責任を背負わせてしまったからこそ、問題意識を高く持ちながらも、本来のルールを逸脱して不正を続けたとも考えております。

 一八年末に発覚した厚生労働省所管の毎月勤労統計の不正の大騒ぎを見て、絶対にばれてはいけない、袋だたきに遭うと恐怖して、隠蔽が続いたというように考えることもできるというふうに思われます。

 まさに物事の本質を理解しないで、再発防止ばかりを言った結果そのものであり、これは国家公務員制度の在り方を根本的に見直す必要がある問題とも私は感じています。また、我々政治家も、行政監視を逸脱した行動の自重は必要と私は考えております。

 公務員の方々の力は国にとって大きなものであり、国益のために動いてこそ意味のあるものです。年間一万件ほどのデータの書換えをするとか、指示をする、ごまかしていた、こういった労力は、本当の意味での税金の無駄遣い、そして国民への裏切りそのものです。

 今回の統計不正は、最終的に許されるミスを大きく超えてしまいましたが、当初は注意などで済む話でもあったと考えられるところもございます。どんな組織であってもミスや仕組みの瑕疵は必ず生まれる以上、ミスを責める流れよりも、ミスや仕組みの瑕疵を見つけた人や部署を評価する、こういう仕組みを導入して、開かれた環境で早急な改善を促す方が、優秀な公務員の皆さんがよりポジティブにミスとつき合っていき、役割に集中できる未来につながると私は考えております。

 ちなみに、現在の国家公務員の人事評価などに、ミスや不正を指摘、改善した場合に、個人だけでなく、上司含めて、チーム全体として評価されるというものはあるのでしょうか。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 人事評価は、職員が発揮した能力や業績の評価を行う制度であり、人事制度の中でも重要な意義を有しております。

 ミスが発覚した際に適切に報告した職員については、人事評価におきまして、例えば、組織に対する貢献や法令遵守などの観点から、各府省において適切に評価されることとなると考えております。

 また、職員がミスを適切に報告し、その解決に向けて迅速に対処を行う組織づくりのためには、部下との間に適切にコミュニケーションを行い、風通しのよい組織づくりをする、また、上司が部下の業務の進捗状況を適切に管理するといったマネジメントが重要でございまして、昨年十月から、管理職の人事評価におきましてマネジメント能力を重視して評価する仕組みを導入しており、また、こうしたマネジメントの具体的な手法につきまして、新たにマネジメントテキストというものを作成いたしまして、研修などで周知にも努めております。

 こうした取組を強化することによりまして、職員がミスを適切に報告し、迅速に対処を行うことができる組織風土づくりにつながっていくものと考えております。

沢田委員 ありがとうございます。

 いろいろな取組をされているということで、やはり、でも本質は、報告をした本人とチームが一体になって、その部であったり室であったり、そういったところ全体がいい意味で評価をされるというような評価基準を入れていただけることが私は大事だというふうに思っております。

 民間では、自社の中でイノベーション人材を育成するために、失敗しても評価が下がらない、学んで挽回できるという文化を人事評価を使って組織に根づかせる工夫をしている会社が多くありますように、人事評価の可能性というのは大変大きなものです。もちろん、企業や役所が抱える体質はそう簡単には変わりません。ただ、人事評価を変えることで環境や上司の考え方を変えなければ、部下がミスをポジティブに提案できるような風通しのよい環境には私はつながらないと考えております。

 是非、今進めている方向性を、よりしっかり、本質的なところの議論を踏まえて、前に進めていっていただければと思います。

 本日、加藤政務官に来ていただいているのですが、お願いがございます。

 今回の不正は、当然、許されるべきではない、大きなことです。ただ、起こるべくして起こったとも私は捉えております。二度と繰り返さぬよう、過剰なチェック体制をしくなど現場の労力や負担を増やす方向ではなく、是非、国交省から、ミスや不正をポジティブに捉えていけるような人事評価の仕組みを提案、採用していくことをリードしていくことを考えていただけないでしょうか。

加藤大臣政務官 御質問いただきました、全体の御質問の流れに対してお答えさせていただきます。

 今般の不適切処理の問題を受けまして、やはり私、国交省といたしましても、沢田委員のおっしゃるとおり、ミスや問題点を発見し、報告し、そして、その解決や事後対応に対してしっかり貢献した、取り組んだ職員を積極的に評価するということは非常に大事で、そういった組織風土づくりを行っていくことを非常に重要だと捉えております。

 先ほど岡本審議官からの答弁にもありましたように、各省共通の人事評価の取組の中にもその精神は盛り込まれております。それを周知する人事評価マニュアルの中には、こういうふうに示されております。

 従来手つかずであったり、緊急的な対応が必要な課題などに困難度の高い目標設定を推進し、これを適切に評価すること、また、突発的な事案への対応など、当初に設定した目標以外に取り組んだ事項についても適切に評価すること、さらに、管理職については、風通しのよい組織づくりを含め、マネジメントに関する能力を十分考慮して評価を行うこと、こういったことが示されております。

 これらをしっかり活用して、御指摘の風通しのよい組織風土づくり、これをつくっていくことをやっていきたいというふうに捉えております。

 また、御指摘のきっかけとなりました今般の不適切処理の問題におきましても、再発防止や検証タスクフォースにおいて、有識者の御意見を伺いながら、風通しのよい組織風土づくりも含めまして、また、本質的なそういった再発防止の課題解決も含めまして、具体的な対応策の検討、実施に取り組んでまいりたいと思います。

沢田委員 ありがとうございます。

 是非前向きに、公務員の皆さんが本当に、いろいろなミスを起こす風土ではなく、しっかりと前向きに、国民のために、生産的、かつ、やはりイノベーティブな新しい仕事をやっていただけるように動いていただければと思います。

 続きまして、マイナンバーカードと健康保険証の機能を併せ持つマイナ保険証を四月から病院等で使用した場合に、患者さんが窓口で支払う医療費が増えるということが大変に不評でして、大手メディアやSNSで大騒ぎになっています。

 厚生労働省に、事実関係や、なぜそういうふうになったのか、経緯を教えていただきたいんです。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねいただきましたマイナンバーカードを健康保険証として利用できますオンライン資格確認でございますが、医療機関等にとりましては、導入により事務コストが削減される、また、患者にとりましては、自ら同意した上で過去の薬剤情報や特定健診の結果を医療機関などに提供することによって、よりよい医療が受けられるといったメリットがあるところでございます。

 こうしたことから、厚生労働大臣の諮問機関でございます中央社会保険医療協議会、中医協での議論を経まして、令和四年度診療報酬改定において、診断及び治療などの質の向上を図るという観点から、外来で過去の薬剤情報や特定健診結果などの情報を活用して診療が行われました場合等に、初診料等に新たな加算を設けて評価をするということとしたところでございます。

 この場合、通常の診療報酬改定と同様の窓口負担が生じるということになってまいりますけれども、国民の皆様には、先ほど申し上げましたような、よりよい医療を受けられるというメリットがございますことから、その旨を丁寧に周知、広報に取り組みまして、御理解が得られるように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

沢田委員 ちなみに、このマイナンバーカード普及のためには、これは総務省、デジタル庁、厚生労働省が一体でマイナポイント第二弾というものを進めてきた経緯がありますが、今回、こういった厚生労働省の判断の中には、ほかの省庁との話合いや調整というものはなかったんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げましたように、オンライン資格確認につきましては、患者にとっても、よりよい医療が受けられるということで、先ほど御紹介申し上げましたような令和四年度の診療報酬改定におきまして、診断及び治療等の質の向上を図るという観点から、外来で過去の薬剤情報や特定健診結果などの情報を活用して診療を行いました場合等に、初診料等に新たな加算を設け評価をするということにしたところでございます。

 これらにつきましては、通常の診療報酬改定と同様に、診療側の委員、それから支払い側の委員、また公益の委員、この三者で構成されております、診療行為に対する対価の在り方について専門、技術的観点から審議を行う中央社会保険医療協議会におきまして議論をいただいて、決定されたというものでございます。

 したがいまして、総務省やデジタル庁とこれについて協議をするといったような性質のものではございませんけれども、厚生労働省といたしましては、今後も引き続き、マイナンバーカードの普及促進に向けまして、総務省あるいはデジタル庁とよく、情報共有も含めて連携を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

沢田委員 まさにこれが縦割りというもので、結局は、総務省の補正予算二兆三百五十億円の約九〇%近くを使ってマイナポイント第二弾というものを打って出て、カードの普及や公金の受取口座の登録と保険証との一体化を目指していることとは、これは全く同じような方向性を見ているとは思えないんですね。

 私が大臣だったら、結局は方向性として進めていきたいという中で、裏から全く違うことをされているというようにも感じてしまうんですけれども、金子総務大臣、大臣の肝煎りというか、真っすぐに普及を広めていきたいという意思の足を引っ張っているようにも感じてしまうんですけれども、大臣、本音ではどう感じられているんでしょうか。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 マイナンバーカードを健康保険証として利用できるオンライン資格確認により、患者の同意の下、医師が過去の薬剤情報や特定健診情報を確認できることで、患者にはより適切な医療が受けられるようになるメリットがあります。

 このように、今回の診療報酬加算は、オンライン資格確認システムの活用により、診断、治療等の質の向上を図る観点から新たな評価を行うものと聞いております。

 一方で、このような患者側のメリットが国民の皆様に十分に伝わらないと、マイナンバーカードの健康保険証利用の拡大に対して一定の影響を及ぼすのではないかとの懸念の声があることも承知をしております。

 診療報酬制度は厚生労働省の所管となりますが、今後、マイナンバーカードの健康保険証利用申込みやオンライン資格確認システムの導入状況等も踏まえながら、総務省としても、厚生労働省やマイナンバーカードの利活用を担当するデジタル庁など関係省庁と適切に連携して、必要な対応を行ってまいります。

沢田委員 税金を二兆円近く使って、マイナンバーカードの普及、あるいは保険証の一体化を進めようとして、大変に莫大な税金を国民負担でお願いしておいて医療費まで上がるというのは、これはもちろん、全部国民負担が増えるという話ばかりで、目的も省庁で統一していないというのは、私は少し、国民の皆様に対して、大変厳しい指摘を受けるという部分にはなると思います。

 これから二年間は診療報酬改定はないと思うんですけれども、是非、二年後の診療報酬改定のタイミングでは、マイナンバー保険証に対応する部分も含めて、もう一度、値下げを含めて見直しをしていただければと思います。

 ちょっと質問がここで切れてしまいますので、時間になりましたので、切らせていただきます。

 今日はありがとうございました。

赤羽委員長 次に、守島正さん。

守島委員 日本維新の会、守島です。

 今日は一般質疑ということで、広く聞きたいんですけれども、私、今年二月冒頭にコロナに感染しまして、ちょうどそのときにオンライン議会に対する質問をしようとしていたこともありまして、ちょっとその点から聞いていきたいと思います。

 ちなみに、私、前職が大阪市議でして、そのときに、全国に先駆けて議会でのオンライン導入を提唱しまして、その後、全国初の、オンライン委員会を可能とする委員会規則を作ったという経緯がありまして、実際に大阪府議会、市議会では、現在、発熱の際であったりコロナの濃厚接触となった際も、議員は委員会において質問可能であり、国会の委員会においてもそうした環境がつくられていれば、非常時も滞りなく質疑ができるのにという思いを持っています。

 その前提で、まず国会でのオンライン導入に関してですが、憲法五十六条の出席という概念については、これまで、現実に議場に議員がいることという解釈がされていたことは十分認識しております。しかし、憲法審査会における議論を経て、緊急事態の発生した場合等に、本会議の開催が必要と認められるときは、例外的にオンラインによる出席も解釈できるという報告が、憲法審査会の賛成多数で議決され、これは議長に報告されました。

 例外的にオンライン出席を認める解釈が示されたわけですけれども、とはいいつつも、衆議院規則第百四十八条においては、「表決の際議場にいない議員は、表決に加わることができない。」と定められているなど、実際にオンライン議会の実現をめぐっては、これは一足飛びにはいかないというのが実情であります。

 そうした議論を差し引いたとしても、今の国会はおかしいというか、動きがかなり遅いと思います。

 この二年以上にわたるコロナにおいて、国民には七割の出勤減とかテレワークの推進などを求めてきたにもかかわらず、国会における本会議や委員会ではインターネットの活用はされず、表決に係る以外のところは議員を間引いて出席させるという、運営委員会での協議の上での運営を行っています。

 まず、現状の間引きの取扱いについて、定足数に含まれるか否かも含めて説明いただきたいのと、加えて、衆議院規則百四十八条の表決に係る以外のところで、議員が議場にいることが前提となっているものを教えてください。

二階堂参事 お答えいたします。

 御指摘の本会議における出席調整につきましては、新型コロナウイルス感染症対策として、令和二年四月十日の議院運営委員会理事会において申合せがなされて以降、会派自治に基づき、各会派が所属議員に要請して実施されているところであります。

 具体的には、採決以外の議事については、定足数に留意しつつ、各会派において出席議員を調整されているものと承知いたしております。

 この対応におきまして、本会議に出席しない議員は、議員会館事務室等において院内テレビ中継を視聴することとなっておりますが、この本会議に出席していない議員については、定足数に算入する扱いとはなっておりません。

 また、お尋ねの議場にいることを前提とした規定につきましては、例えば、衆議院規則第百二十三条で、発言は演壇で行う旨規定されているなど、議場への出席を前提とした条文の記載となっている規定があると承知いたしております。

 以上でございます。

守島委員 今の回答のように、あくまで、現在は、出席というのは議場にいる前提で扱っていて、間引きに関しても、定足数の中にはカウントされないということです。

 あえてこれは聞きませんけれども、間引かれた側の議員が院内のテレビ中継を視聴しているかどうかの確認というのはなされていない現状を鑑みると、オンライン上の出席を認めず、かつ、そうしたネット技術を使った在席確認をしないというのは、議会での議事とか議論を見る、聞くということを本旨とする議員としてどうなのかなというふうな思いはあります。本末転倒というか、密を避けるために、オンライン出席の解釈が定まらないからといって離席させる手段を取るというのは、これは本筋の議論じゃないかなというふうに僕自身は思っています。

 例えば、採決と関係ないところに関しては、オンライン上で在席確認すれば議会の議論を聞いているということは少なくとも担保はできると思いますし、こうした点は運営委員会とかで話してほしいんですけれども、とはいえ、僕自身は、今の法律であったり衆議院規則においても進められることはあるんじゃないかなというふうに思っております。

 ちなみに、本会議における発言は、先ほどのように原則演壇ということで、演壇外で質問をするのであれば議長の許可とか規則改正が必要になってくるんですけれども、委員会における議員の発言は委員室において行うということは、これは明記はされていません。よって、もちろんネット環境の整備というのは前提になるんですけれども、現行法でも、委員会においてオンライン上で質問を行うことは可能なんじゃないかなというふうに思っています。

 仮にオンライン出席という要件が満たされたとすれば、オンラインでの委員会質問を行うこと自体、これは国会法とか衆議院規則に抵触しないでしょうか。お答えください。

森法制局参事 守島委員、御質問ありがとうございます。

 委員会における出席についての御質問でございますが、まず、本会議における出席について御説明させていただきたいと思います。

 本会議における出席につきましては、憲法に規定があり、これを受けて国会法や衆議院規則にも規定がある一方で、御質問の委員会における出席につきましては、憲法に明文の規定はなく、国会法や衆議院規則において規定されているものと承知しております。

 例えば、国会法第五十条におきましては、委員会の議事を出席委員の過半数で決することを定めており、この規定を受けた衆議院規則第五十一条におきましては、「現在しない委員は、表決に加わることができない。」と定めております。すなわち、国会法において出席と表現されていた行為態様が、衆議院規則では現在するあるいは現在しないと表現されているところでございます。

 これらの点を踏まえますと、委員会において国会法上の出席にオンライン出席も含まれるとする機能的出席説を採用とした場合におきましても、オンラインによる質疑を認めるためには、基本的には衆議院規則第五十一条の改正、あるいはこれに代わる本会議議決などが必要となるのではないかと考えられるところでございます。

 以上でございます。

守島委員 結局、じゃ、衆議院規則を改正しないと、オンライン上の例外的な機能的出席説を解釈しても、これはできないということをおっしゃっているんですかね。その余地もあるということですか。まあいいです。回答はいいですけれども、基本的に、結局、憲法解釈を変えても、なかなかオンライン委員会は進まないのが現状なので、これはやはり、規則改正も含めてしっかりと検討してほしいと思っています。

 僕自身は、二年前に大阪市議時代に、国民にテレワークとかを求めるのであったら、まず議員が自ら規範となるべきだという思いがあって、オンライン委員会を地方議会で初めて提案し、規則制定しました。それ以降、たくさん続いてくれている自治体が出ています。

 今、全国に広がっているオンライン議会も、僕が提案した当初、議会事務局から相当ストップがかかりました。その理由は、総務省が駄目だと言っている、これの一点張りだったんですね。全然進まなかった。

 総務省の当時の理由としては、さっきのように、出席の概念を広くすると憲法解釈に係る問題で違憲である可能性がある、そういうことでできないと言っていたんですが、それに付随して地方の本会議も、地方自治法上の規定に抵触するというか、それも憲法から来ているものなので、解釈で違憲にみなされる可能性があるから駄目だというふうに言われていたんです。

 地方議会において、本会議ではそれが無理だとしても、委員会に関しては地方の条例とか委員会規則で運営方法が決められているので、オンライン上で出席を認める規定が作れるんじゃないのかというふうに言っても、なかなかそれも、基本的には委員会規則も地方自治法に準拠すべきものであるから駄目と最初は言われていたんです。

 それで、やはり地方の委員会まで国が規制するのはおかしいんじゃないかということを問題視させてもらって、その間、実際に大阪でオンライン委員会のスキームを作ったり、他会派と交渉したりして、ある種、勇み足でリスクを取ってくる中でオンライン委員会を可能とする規則改正案作りをしてきました。

 かつ、総務省も、二年前、令和二年の四月に、地方議会におけるオンライン会議についての通知というのを出して、その中で、コロナ前提で、緊急事態であればオンラインを活用して委員会を開催することは差し支えないという旨の見解を出しました。その結果としてオンライン議会が広がってきたんですが、その間の総務省の変遷を聞こうと思ったんですが、それはちょっともう時間がないので割愛します。

 そういう中で、総務省も通知を出したんですけれども、それはあくまでコロナで参集困難なときというのが大前提で、今でも自治体に縛りを課しているのが現状です。

 例えば大阪府では、コロナによる参集困難な場合以外にも、大規模災害が発生したときとか、育児、介護のやむを得ないとき、そうしたところも要件に踏まえたり、そうした自治体もどんどん増えていっています。

 こうした動きというのは、当然、今後のBCPとか多様な働き方を考えたら必要となってくると思いますが、実質的には国はそうしたことを認めてこなかったし、今でも通知で縛りをかけています。

 こうした先進的な自治体に対し、国は今まで特段指導もしてこなかったことを考えれば、積極的にこうした事例を許容していくべきじゃないかなというふうに僕は思っているんですが、つまり、総務省通知は改めるべきなんじゃないでしょうか。その点、お聞かせください。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 令和二年四月の通知におきましては、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止の観点などから委員会の開催場所への参集が困難と判断される実情がある場合に、オンラインによる方法を活用して委員会を開催することも差し支えない旨をお示しをしております。

 地方自治法上、委員会に関し必要な事項は条例で定めることとされておりまして、新型コロナウイルス感染症以外に委員会の開催場所への参集が困難と判断される場合があるか否か、あるいは、そのような場合にオンラインによる委員会開催を可能とするか否かについては、各地方議会において判断されるものと考えております。

 実際、御紹介いただきましたように、介護等につきましても十団体で認められているというふうに承知をしております。

 なお、オンラインによる委員会を開催する際には、現に会議室にいる状態と同様の環境をできる限り確保するため、議事の公開の要請への配慮、議員の本人確認や自由な意思表明の確保などに十分留意するとともに、情報セキュリティー対策を適切に講じる必要があると考えており、この点も通知に明記させていただいているところでございます。

守島委員 このように、実際に例外規定の解釈を自治体は広く考えて流動的な運用をしてくれているわけですけれども、政府がこれまで認めてこなかったオンライン出席を、解釈を広くすることで地方では実運用しているんですけれども、政府が規制をかけなければもっとオンライン活用は広がるし、もっと活用されると思っているんです。

 このコロナで参集困難なときのみオンライン活用という縛り自体が、これは総務省の古い解釈ですし、もう議会のオンライン化は各地方で技術的なハードルは越えて実現可能なものになっているので、より地方が創意工夫できるような環境というのを整えていただきたいというふうに思います。

 最後、聞きたいのは、加えて、さきの総務省通知では、「本会議への「出席」については、現に議場にいることと解されているので、念のため申し添える。」ということも伝えられているんですね。地方においても本会議のオンライン出席というのはまだ実現できていなくて、市町村の議長会や各地域の議会から、本会議でもオンライン出席を可能とするよう自治法改正を求める意見書等が出ています。

 この期に及んで、国の解釈論で地方の動きを制限するのはとても残念だと思っていますので、少なくとも自治法の本会議の要件の中にオンラインによる参加を認められる文章を作るよう自治法改正に動いてほしいと思いますが、これは大臣に答えていただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 地方議会の本会議は、その団体意思を最終的に確定させる場であり、国会における本会議と同様に、議員の意思表明は疑義の生じる余地のない形で行われる必要があるほか、住民が議論の様子を十分に知り得るよう、会議の公開の原則も求められております。

 法改正によりオンラインによる本会議の開催を可能とすることについては、国会における対応のほか、先ほど守島委員も地元で提案されたというふうにお聞きしましたが、一部の地方議会において実施されておるオンラインによる委員会の開催状況、現在、全国に千七百八十八自治体があるわけでありますが、委員会をオンライン開催できる条例等を改正した団体は全体の七・六%、そして、実際オンライン委員会を開催したところは全体の二・〇%というような状況でございます。そういうオンラインによる委員会の開催状況や、そこで生じている課題、運用状況などをよく踏まえて慎重に検討しなければならないと考えております。

 なお、衆議院憲法審査会における報告は、憲法における出席の概念に関し、議論の大勢について取りまとめられたものであり、この報告を踏まえて、実際に国会のオンライン開催がどのような取扱いになるかについては、現在国会において検討がなされているところと承知をしております。

 総務省としても、引き続き、国会の議論を注視してまいりたいと思います。

守島委員 もう時間が来たので終わりますが、大臣、二%しか使われていないと言うんですが、これは総務省がむしろ縛っているので、コロナで緊急で参集できないときにしか使えないという縛りでがんじがらめに結構なってしまっているので、もっと制度運用ができれば、実際にオンライン委員会、使える自治体はもっと増えてくると思うんです。

 実際に、国においてはなかなか動かない中で、是非、この議論の経緯も見据えていただいて、制度的な運用、流動的な運用をしてほしいと思いますし、英国議会なんかは本会議でZoom演壇してからもう二年たつので、日本自体はやはりオンラインの導入は遅れているなというふうなことを思って、国、地方共に、こうしたオンライン技術の導入というのをお願いいたしまして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず冒頭、統計不正問題について質問させていただきます。

 これまでも様々な議論があっておりますけれども、二〇一八年末に明るみになりました毎勤統計の不正問題が発覚した後、政府によって様々な統計不正対策というのが行われてきたにもかかわらず、また昨年末、国土交通省によります建設受注統計の書換え問題というものが起きてしまいました。

 これまでの議論を聞いておりまして、統計の信頼回復への道のりというものが大変厳しいものだということを痛感したわけでございますけれども、統計調査というのは、政府にとって、様々な、GDPの統計ですとか固定資本ストック速報に利用されたり、また、需給ギャップまた潜在成長率の数字にも影響を及ぼすものでありますし、中小企業支援の対象となる不況業種を選定するときにも影響する大変重要な基幹統計でございます。

 国土交通省の第三者委員会の報告によりますと、国土交通省が不正を認識しながら、何度も是正する機会があったにもかかわらず、問題の表面化を避ける、隠蔽とも言える対策が取られたということが明らかになっております。

 これは、統計法第六十条違反に私は明確になるのではないかと考えておりますけれども、なぜこのような不正をここまで行う必要があったのか、また、報告書でも明らかにならなかったその根本的な原因について、政府の統計の司令塔である統計委員長がこの根本的な原因をどのようにお考えになっているかということについて、御見解をお伺いいたします。

椿参考人 この点、建設工事受注動態統計調査においてまたも不適切な事案が起きたということは、大変残念に思っています。

 統計委員会では、今般の事案と同様な事案というものを発見して是正するだけでなく、そもそも、国土交通省の検証委員会の報告書で明らかにされた事実関係をリスク要因と捉え、その発生原因まで遡った実効ある再発防止策の策定に向けて、統計作成上の課題の抽出を議論しております。

 先ほども少し申し上げましたけれども、誤りは三H、すなわち、変更、初めて、久しぶりといったときに起こりやすく、これらの状況となったときに適切に対処し、それを確実に実施できる体制を整備することで誤りの発生リスクを抑制することが私の専門でもあり、品質管理の基本となっております。

 実際、毎月勤労統計調査では全数調査を標本調査に変更した際、建設工事受注統計動態調査では回収率の低下に伴い推計方法を変更した際、集計プロセスや審査プロセスへの影響を確認するごく当たり前の基本的な対応を行い、これを遂行する体制が整備されていることで誤りに至ることを回避できた可能性が高いと考えております。

 また、誤り発見後、誤りを不正としないための対応も極めて重要であり、今回の事案を教訓として、誤りへの対応公表の職員の心理的ハードルを下げ、誤りの発見、対処、改善に向けた基本的な対応が確実に行われるようにしたいと考えております。

 このように、統計作成者が当たり前の基本を着実に実施する業務サイクルと、当たり前のことを確実に実施できる体制を構築し、これを統計行政に定着させることで将来的な重大リスク事象の発生を極力抑えていく。言い古された言葉かもしれませんが、健全な精神は健全な肉体に宿る。地道ですけれども、品質管理、品質マネジメントとしては王道である対応を今回こそ統計行政にしっかり定着させていければと考えております。

西岡委員 統計委員長から根本的な、本当に、統計不正が行われる、変更時という様々なリスク要因も含めて、やはり根本的なところをしっかり対応していかなければ、また再度このようなことが起こってくるというふうに思いますので、しっかり、統計の専門家としての統計委員長の役割、大変重要だと思います。引き続き、お取組を是非よろしくお願いいたします。

 続きまして、二〇一八年の厚労省の統計不正を受けまして新設をされました統計分析審査官、これを各省庁に配置をされましたけれども、これが十分に機能していないということが今回明らかになったと考えております。国土交通省にも三名配置をされたというふうに伺っておりますけれども、会計検査院の指摘を受けるまでこの事態を把握することができておりませんでした。

 この統計分析審査官の役割が十分に果たせるように、体制強化、どのように取り組んでいかれるか、総務大臣の御見解をお尋ねいたします。

金子(恭)国務大臣 西岡委員にお答え申し上げます。

 御指摘のとおり、毎月勤労統計調査の不適切事案を受けまして、統計の品質向上のための改善策として、統計調査に調査票の記入漏れチェックや結果表の検算、過去の結果との比較による数値の妥当性の確認などを行うために、各府省に統計分析審査官を配置をいたしまして、政府一体で公的統計の改善に取り組んでまいりました。

 しかしながら、こうした取組は長期間にわたって取り組まなければ効果が得られないものであるため、今回の事案を防ぐことができず遺憾でございます。

 現在、統計委員会において、公的統計の改善施策を検討する中で、統計分析審査官の機能強化についても議論が行われております。総務省としては、その検討結果を真摯に受け止め、公的統計の信頼確保に全力で取り組んでまいります。

西岡委員 是非、機能強化を図っていただきたいと思います。

 引き続き、総務大臣にお伺いをいたします。

 統計委員会の報告書において、総務省に対しても改善という内容のことが指摘をされたと思っております。金子総務大臣として、統計の主管をされている総務省として、改善とされた項目について、どのように受け止め改善していかれるかということについての御見解をお伺いしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 統計委員会対応精査タスクフォースの報告書では、今回の事案に関する国土交通省からの相談への対応について、総務省では、担当の役割分担の隙間に落ちたような対応があり、今後、各府省とのコミュニケーションを改善する継続的な努力が求められるとの指摘があり、真摯に受け止めております。

 これを踏まえて、まずは各府省の統計担当部局との総合的な連絡窓口を設置をし、各府省が総務省に相談しやすくするとともに、相談に対する対応に漏れが生じないよう、対応状況をフォローアップする体制を整えたところでございます。

 今後とも、総務省としては、各府省とのコミュニケーションが、双方向において、より緊密かつ率直となるような継続的な努力を行い、公的統計の質の確保、向上に取り組んでまいります。

西岡委員 このような事案が二度と発生しないように、総務大臣としても、しっかり引き続きのお取組をお願いしたいと思います。

 引き続きまして、この不正を防止するためには、また、この様々な調査の回収率を向上するためにも、そして、何より不正防止、書換えの履歴が残り、データの復元も可能な、審査をオンライン化するということが大変有効であると思います。

 ただ、基幹統計調査のオンライン回答率というのはほぼ五〇%という状況で、まだまだオンライン化が進んでいない状況がございます。今回問題となった建設工事受注動態調査統計については、オンラインの回答率が一一・二%という状況でございます。特に個人事業主では進んでいない状況がございます。早急な取組が必要だと考えますが、総務省の見解、取組についてお伺いいたします。

吉開政府参考人 お答え申し上げます。

 オンライン調査は、集計作業の効率化ですとか回答の正確性の確保の観点から有効でありまして、公的統計の基本計画に基づきまして、オンライン利用率の向上を図っているところでございます。

 現在、四十九の基幹統計調査がございまして、そのうち四十七調査でオンライン回答方式を導入済みでございます。今年度中に更に調査導入予定でございまして、残りの一調査は小売物価統計調査でございますけれども、これは、調査員がタブレット端末を持ちましてオンラインで報告する方式となっております。

 オンラインでの回答を促す取組を実施しておりますけれども、オンライン回答率の実績につきましては、基幹統計調査のうち、令和二年に実施した事業所等に回答を求める二十の調査のうち、オンライン回答率が五〇%を超えているものは七件にとどまっているのが現状でございます。

 このような状況も踏まえまして、現在、統計委員会の特別検討チームにおきまして、オンライン調査の更なる普及や統計調査のデジタル化について議論が行われております。

 総務省といたしましては、こうした統計委員会における検討を全面的に支援しつつ、デジタル庁の協力もいただきながら、しっかり取り組んでまいります。

西岡委員 引き続き、お取組をよろしくお願いいたします。

 もう時間が残り僅かとなりましたので、質問の順番を変えまして、先ほど守島委員からもございました、地方議会におけるオンライン本会議の制度設備についてお尋ねをいたします。

 先般、総務大臣にもお尋ねをさせていただきましたので、本日は鳩山二郎政務官にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 先ほど守島委員からもございましたけれども、国会においては、さきの憲法審査会におきまして、様々な議論を経て、これまで、出席ということについてどのような解釈をするかということの議論が行われておりましたけれども、議院の自律権、これは国会のルールを議院が自ら決めるという議院自律権を根拠として、緊急時に限ってオンライン国会の審議は現行憲法上認められるという各党各派が合意をし、この審査会の報告書を衆議院議長に先般提出をされました。

 今後、議院運営委員会で具体的な議論が進んでいくというふうに思っておりますけれども、国会においても、この国政の最高機関である国会機能をどういうときでも維持をしていくというのは大変重要な課題でございます。

 また、同じように、地方議会においても、住民の生活と直結したこの地方議会がいかなるときにもしっかりとその機能を維持していくというのは大変重要な課題だと認識をいたしております。

 委員会については、様々、各自治体で条例改正等で行われておりますけれども、本会議については、やはり国が率先をしてこのオンライン本会議をまず実現をしていくということが、地方議会でも本会議でのオンラインを実現することにつながるというふうには思いますけれども、特にこの地方議会については、今、地方議会のなり手不足も含めて、様々な事情で、育児、介護などの事情で議員活動が両立できないということも含めて、総務省として、もっと議会、本会議のオンライン化に積極的に、その制度整備に是非お取組をいただきたいと考えておりますけれども、市長を経験された鳩山政務官にその御所見をお伺いをしたいと思います。

鳩山大臣政務官 御質問にお答えをさせていただきます。

 地方議会のオンライン開催については、まず委員会について、本会議における審議の予備的審査を行うものであること、地方自治法上、委員の選任その他委員会に関し必要な事項は条例で定めることとされていることから、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止の観点から、オンラインによる方法を活用して開催することも差し支えない旨を、令和二年四月の通知によりお示しをしております。

 一方、地方議会の本会議は、その団体意思を最終的に確定させる場であり、国会における本会議と同様に、議員の意思表明は疑義の生じる余地のない形で行われる必要があるほか、住民が議論の様子を十分に知り得るよう、会議の公開の原則も求められております。

 オンラインによる本会議の開催を可能とすることについては、国会における対応のほか、一部の地方議会において実施されているオンラインによる委員会の開催状況や、そこで生じている課題、運用状況などをよく踏まえて、慎重に検討しなければならないと考えております。

 なお、衆議院憲法審査会における報告は、憲法における出席の概念に関し、議論の大勢について取りまとめられたものであり、この報告を踏まえて、実際に国会のオンライン開催がどのような取扱いになるかについては、現在、国会について検討がなされているところと承知をしております。

 総務省としても、引き続き、国会の議論を注視してまいりたいと思っております。

西岡委員 時間となりました。

 引き続き積極的なお取組をお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 私は、二月八日の当委員会で、統計委員会タスクフォースが一月十四日に発表した、国土交通省の建設工事受注動態統計調査をめぐる事案についての精査結果報告書を取り上げて質問いたしました。

 その日は残念ながら統計委員会の出席がかなわなかったわけですけれども、本日は統計委員長に御出席をいただいております。

 統計委員会の議事録などから委員長の発言を読ませていただきました。事案が発覚した直後、十二月二十四日の統計委員会で、椿委員長は、今回の事案が二〇一九年の毎月勤労統計をめぐる問題に次いで明らかになった、国民が信頼を失って協力していただけないような状況になることが最も危惧するところだと、危惧を表明されておられます。

 公的統計への信頼にも関わる今回の事態を、椿委員長はどのように受け止めておられますか。

椿参考人 御指摘のとおり、毎月勤労統計調査の不適切事案の発生を受けて、公的統計の信頼回復が既に大きな課題となっております。

 統計委員会からの提言等に基づき、政府による各種の取組が行われている途上でございます。その中で今回のような問題が発生したことは大変遺憾であり、統計の品質確保という、公的統計の最も基本的かつ重要な問題が改めて浮き彫りになったと考えております。

 統計委員会としては、国土交通省の検証委員会の報告書や、私どもの対応精査タスクフォースの報告書を踏まえて、専門的な精査を含め、公的統計全体の品質向上や、重大なリスク事案の発生防止、ひいては信頼性の確保に向けて、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 ところが、残念なことに、先日また、着工統計で調査票の配付遅れまで明らかになりました。委員長の、正直信じられない、統計自体が期日に公表できなくなるという一番大変なリスクが生じている、新聞上での報道ですが、こういう発言が報じられております。

 繰り返される国交省の統計問題は、組織的問題、まさに構造的問題がそこに横たわっており、徹底的に解明することが急がれると思います。統計委員長の御認識をお伺いいたします。

椿参考人 これも御指摘のとおり、三月二十八日の統計委員会で、国交省から、建築工事費調査についての調査票の配付が調査計画上の当初予定より遅れているとの報告がありました。

 このように、当初の調査計画の実施に当たって、その進捗自体に遅れがあり、計画の修正を通じてリカバリーしなければならない事態になっているということは、私にはこれまで経験したことがない案件で、遺憾であるとともに、むしろ、率直に申し上げて、驚いたということがございます。

 いずれにせよ、本統計調査については、スケジュールの遅れによって調査結果の利活用に支障が生じることがないようにするということが最重要と考えております。国交省において直ちにリカバリーに全力を尽くしていただきたいと考えている次第です。

 統計委員会としても、国交省の当面の取組に対して、しっかり協力してまいりたいと思います。

宮本(岳)委員 国交省の建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る検証委員会報告書では、合算処理について、開始時期は明らかではないものの、合算は、少なくとも建設受注統計調査が開始されたときには、本件統計室が都道府県に対して指示をしていたことが認められるとしております。

 また、検証委員会報告書は、十八ページで、二〇一一年九月まで在籍した課長補佐やその後任の課長補佐は、説明会に出席しており、合算処理の説明を聞いていたと認められるが、係長以下の行う集計業務という意識から、耳を傾けて聞いていたことはなく、推計方法の変更の過程で合算処理は意識になかったなどと述べております。

 しかし、その一方で、係長は、課長補佐も本件合算処理を認識しており、相談の上で本件合算処理を続けたと供述しており、供述が食い違っております。

 二月八日の当委員会でどちらが事実なのかと国交省にただしましたが、国交省は、二人の供述が食い違っているということを繰り返すばかりでありました。しかも、奇妙なことには、供述が食い違っているにもかかわらず、わざわざなお書きを付して、作為的な意図は認められなかったとか、時の政権のために二重計上を生じさせたことは確認できなかったなどと書いております。

 合算処理が少なくとも二〇〇〇年以降恒常的に行われてきたことを国交省が組織的に把握していたかどうかは決定的な問題であります。一月十九日の統計委員会では、委員会の、現時点まで、遅延提出された調査票の取扱いに関する対応方法についての内部での協議はなかったのかという質問に対して、国交省の回答は、報告書に記載された二〇一九年四月以降のことしか触れておりません。長期間行われてきた合算処理について触れられていないことに、私は非常に違和感を覚えました。

 合算処理が二〇〇〇年から長期間にわたり組織的に把握されていなかったという国土交通省の主張について、統計委員会はどのように認識しておりますか。

椿参考人 委員御指摘のとおりでございまして、我々は国交省の報告書というものを見たわけですけれども、合算処理に、人的及び物的余裕がなかったために、当該処理の是非を検討し、これを見直す機会もないままそれが継続され、室長ら幹部も現場任せにしていた、二重計上については、集計実務を担当する係長、係員はその気づきが得られず、さらに、推計方法の見直し過程で、係長以下と推計方法を検討していた補佐以上の間で十分な情報共有がなされず、その背景に分業意識があったとされております。

 これは極めてゆゆしきことなんですけれども、統計委員会に置かれた公的統計品質向上のための特別検討チームでは、現在、この検証委員会の報告書について精査を進めておりまして、未然防止措置の在り方について検討をしているところでございます。

宮本(岳)委員 今、椿委員長が触れられたように、国交省の報告書では、本件統計室は通常業務をこなすだけで手いっぱいとなっており、人的、物的余裕がなかったため、これを見直す機会もないまま続けられたなどとしております。

 調べてみると、確かに、国交省全体の統計職員は、二〇〇一年度と二〇二一年度とでは半減以下という状況になっております。

 人的確保は必要だと思います。しかし、確保されていないから統計を不正確なまま放置したなどというのは到底許されないと私は思いますが、改めて、統計委員長の御見解をお伺いいたします。

椿参考人 質の高い統計を作成するために十分な質と量の統計職員を確保することはもちろん重要であり、このことも含めて統計委員会で議論していきたいと考えておりますけれども、議員御指摘のとおり、人員だけの問題として完結するものではなく、先ほども申し上げましたけれども、品質管理、品質マネジメントの観点からしっかりと課題を整理する必要があると考えます。

 繰り返しになりますけれども、変化点管理というようなものをきちっと行う、それから、誤りの発見、対処、改善に向けて、誤りを不正としないようなリスク対応を確実に行う、そういうことをきちっと申し上げたいと思います。

 このように、統計作成者が当たり前の基本を着実に実施する業務サイクルと、当たり前のことを確実に実施できる体制を構築し、誤りが発生したときは、誤りを直ちにまとめ、適切に対処していく。これを統計行政に定着させることが、将来的な重大なリスク事象の発生や重大なリスクへの進展を極力抑えていくことになると考えているところです。

宮本(岳)委員 それで、ついに二〇一九年十一月には、国交省の不適切な合算処理が会計検査院の知れるところとなりました。

 国交省報告書の二十四ページ以下に、その後の統計室での議論が記載されております。

 二十五ページには、合算処理をしない数値を公表すべきという意見と、合算処理をして公表すべきという意見が対立したとされております。二〇二〇年一月下旬頃に、課長の判断により、過月分は前月分のみを入れるという、いわば折衷案を採用することに決まったなどと書いてあります。

 二月八日の当委員会では、この課長判断の折衷案について、私は、これが折衷案になるのかと率直に統計委員会の立場を聞きました。

 すると、国交省から具体的な内容の説明が行われておらず、判断を行うための材料を持ち合わせていないので、統計委員長としての回答は差し控えたいとの答弁がされました。また、まずは統計委員会に報告し、意見を確認していただいた方が適切だったとの椿委員長の言葉も伝えられました。

 私は、国交省がこんな不適切な統計の扱いをしておきながら、それが発覚しても正直に統計委員会に報告することもせず、折衷案などと称して足して二で割るようなことをすれば、統計はますます真実から遠ざかると思います。

 改めて椿委員長にお伺いしたい。国交省はどうすべきだったのか。

椿参考人 これも議員の御指摘のとおりなんですけれども、特別検討チームにおいて精査中なので、統計委員会という組織としての評価は差し控えなければならないと考えています。

 ただ、統計の専門家としてお答えするとすれば、この報告書であった先ほど紹介のあったような議論というものの中で、一定の統計的な観点からの検討や配慮はなされたものと推察しております。

 しかしながら、折衷案は、数値変動を緩和しつつ、それまでの二重計上を含む誤った数値を正しい数値に順次移行させるための経過措置と誤解されかねないと考えているところです。

 したがって、このような疑義を生じ得る可能性がある以上、この種の折衷案的処理を行う前に、まずは、二重計上があったことも含めて、適切な遡及処理と経過措置等を統計委員会に報告、相談していただくべきであったことは明らかだと考えております。

 その上で、二重計上と本件合算処理承継状態が問題となっている中で、この種の折衷案を、合算する根拠も示されていないということから、合算的な処理自体は余り合理的なものではないというふうに考えている次第です。

宮本(岳)委員 到底折衷案と呼べるものではなかったと思います。

 この問題に対しては、統計委員会や総務省の対応も問題だと言わなければなりません。

 統計委員会はタスクフォースを設置して、既にこの精査結果報告書をまとめておられます。

 この三十二ページから三十三ページにかけて、二〇二一年八月、会計検査院報告に関連した取材対応に係る国土交通省からの照会対応について検討しております。

 そこでは、職員は、当該取材対応概要メモ中のダブルカウントという文言を読み飛ばしたと主張するが、当該職員の本務である国交省の調査計画違反か否かという質問への回答に気を取られていたという結果であったとしても、注意を欠く不適切な対応であり、結果として、併任職員の立場を効果的に活用できなかったことは極めて残念であるとまで言っております。

 把握できなかったことはやむを得ない面があるとも書かれておりますけれども、果たして読み飛ばしてもやむを得ないものなのか、取材対応概要メモやメールの内容を見てみないと、私たちも判断できません。

 統計委員会タスクフォースも、エビデンス、いわゆる証拠を示したいと思うからこそ、詳細な資料をこの精査結果報告書にはつけたのだろうと思うんですけれども、ところが、マスキングがかかっていて全く読めない資料があります。しかも、事実上のノリ弁でありながら、黒く塗るのではなく、ぼかし処理がされております。

 このような画像処理の技術的な提案は、統計委員会事務局、つまり、総務省の側から統計委員会に提案したと総務省は私に答えましたけれども、椿委員長、これは間違いないですね。

椿参考人 タスクフォースにおきましては、まさに議員御指摘の箇所のように、報告書において少し厳しい指摘や評価を行ったものについては、その理解に資するために、判断根拠となった資料を示す必要があると考えました。

 他方で、タスクフォースは、総務省職員の個人間のメールや、公表されていない資料や、正式な資料でないものは公表しないということを職員に伝えた上でヒアリングなどを行い、その結果、率直な反省材料や改善意見を頂戴したところです。したがって、そのまま報告書に添付するのは、タスクフォースとしては適当ではないと考えたところです。

 そのような中で、ぼかし処理を行うことで報告書に添付することができないのかという技術的なアイデアがタスクフォースの事務局から提案され、これについて、タスクフォースとしても採用することとしたものでございます。

宮本(岳)委員 提案が事務局からされたということが確認されました。

 配付資料を見ていただきたい。

 資料一は、二月八日にも配付したタスクフォース報告書の八十九ページ、九十ページに掲載された、画像処理された国交省のポンチ絵であります。

 マスキングを外してみたら、このとおり、何の問題もない資料でございました。もちろん、若干の違いがあります。左側、ぼかしのかかったものは、参考資料十五の、昨年八月二十日付の国土交通省から経済統計審査官室への連絡メールに添付されていたもの、そして右側は、改めて、同じ資料の昨年十二月時点のものを、私が国土交通省から直接受け取ったものであります。

 私は、この資料の八月二十日時点のものを国土交通省に要求しましたが、なぜか答えは、探索中である、特定できないというものでありました。

 国土交通省、この統計委員会タスクフォース精査結果報告書の参考資料に添付されている資料が、なぜ特定すらされていないんですか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘の統計委員会のタスクフォースの報告書にあります参考資料でございますけれども、これは国土交通省が作成した資料であるということは考えてございます。

 ただ、その資料が、国交省としては、どの資料が該当するのかときちんと特定する必要があるというふうに考えてございます。

宮本(岳)委員 特定されていないんですね。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 報告書についている参考資料をきちんと見て、照らし合わせて、きちんと合致させるというようなことでの確認というのはいたしておりません。

宮本(岳)委員 統計委員長、タスクフォースがおつけになった資料を確認すら、特定すらできていないという答弁ですけれども、いいんですか。

椿参考人 この点について、国土交通省の立場を明らかにすることは私自身のミッションではございませんけれども、先ほど御指定いただいたこのぼかし処理のものが、我々が見ている資料の中で、先ほどありましたように、時点が違っているという資料であるということは我々も承知しているところです。

宮本(岳)委員 時点が違っていても、事実お持ちで、それに基づいて精査されたわけですね。それが、今頃、国土交通省は特定できません、探していますという答弁ですから、話にならないんですよ。提出できないというのと特定できないというのでは、天と地ほどの違いがあります。

 配付資料二を見ていただきたい。

 右側は、総務省の情報公開・個人情報保護審査会が、森友学園との土地取引に係る行政文書を不開示とした財務省の決定について、二〇一九年六月十七日に取り消すべきだとの判断を示し、二〇一九年十一月十八日に私に開示された財務省の私宛ての答弁書、つまり想定問答であります。

 総務省の情報公開・個人情報保護審査会に確認いたしますが、二〇一九年六月十七日にそういう取り消すべきだとの判断をしたのは事実ですね。

吉牟田政府参考人 お答えいたします。

 委員のお尋ねにありました答申では、原処分の不開示決定について、理由提示の不備を理由として原処分を取り消すべきとの答申を行っておりますことは事実でございます。

宮本(岳)委員 時間が来ましたけれども、配付資料の二の左側は、タスクフォース報告書九十二ページに参考資料として添付されている会計検査院特別検査対応の想定問答と思われるもので、同じく一言一句読めない処理が施されております。

 想定問答というものもこういう形で開示をされているわけであり、そして、不開示決定が不適切であるので開示すべきという判断も出ているわけでありますから、私は、明らかにすべきだと思います。

 明かすと今後の業務に影響があるなどと繰り返すんですけれども、開示されてみれば、何のために不開示にしているのか分からないような内容です。大体、統計データの不正など二度とあってはならないんですから、今後の業務に差し障るはずがないんです。直ちに開示することを求めて、私の質問を終わります。

     ――――◇―――――

赤羽委員長 次に、内閣提出、地方公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。金子総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

金子(恭)国務大臣 地方公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、育児又は介護を行う職員の職業生活と家庭生活の両立を一層容易にするため、地方公務員について、国家公務員と同様に、育児休業の取得回数の制限を緩和するとともに、非常勤職員に係る介護休業の取得要件を緩和するものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、職員が同一の子について育児休業をすることができる回数を、特別の事情がある場合を除き、現行の一回までを二回までとすることとしております。

 また、子の出生の日から一定期間内の育児休業については、現行の最初の育児休業に加え、二回目の育児休業についても、育児休業の回数制限に含めないこととしております。

 第二に、非常勤職員について、介護休業の取得要件から、一年以上の雇用期間の要件を廃止することとしております。

 このほか、施行期日について規定するとともに、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

赤羽委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る七日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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