衆議院

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第11号 令和4年4月12日(火曜日)

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令和四年四月十二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 新谷 正義君 理事 田所 嘉徳君

   理事 岡本あき子君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 輿水 恵一君

      井野 俊郎君    井原  巧君

      石井  拓君    石田 真敏君

      石原 正敬君    大串 正樹君

      加藤 竜祥君    小森 卓郎君

      坂井  学君    武村 展英君

      西野 太亮君    鳩山 二郎君

      古川  康君    保岡 宏武君

      渡辺 孝一君    新垣 邦男君

      おおつき紅葉君    鈴木 庸介君

      馬場 雄基君    道下 大樹君

      湯原 俊二君    吉田はるみ君

      阿部 弘樹君    沢田  良君

      守島  正君    福重 隆浩君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

    …………………………………

   議員           中司  宏君

   総務大臣         金子 恭之君

   総務副大臣        田畑 裕明君

   厚生労働副大臣      佐藤 英道君

   総務大臣政務官      鳩山 二郎君

   総務大臣政務官      渡辺 孝一君

   国土交通大臣政務官    加藤 鮎子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  柳樂 晃洋君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           内田 幸雄君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           渡邉 政嘉君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        相川 哲也君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   犬童 周作君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           山野  謙君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           竹村 晃一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        馬場竹次郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  前田 一浩君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  田原 康生君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            二宮 清治君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁審議官)            福原 道雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  安彦 広斉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    田原 克志君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石原  大君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     石井  拓君

  石川 香織君     馬場 雄基君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     石原 正敬君

  馬場 雄基君     新垣 邦男君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     加藤 竜祥君

  新垣 邦男君     吉田はるみ君

同日

 辞任         補欠選任

  吉田はるみ君     石川 香織君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電波法及び放送法の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 情報通信行政の改革の推進に関する法律案(中司宏君外二名提出、衆法第二六号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官柳樂晃洋さん、内閣府地方創生推進室次長黒田昌義さん、内閣府地方創生推進室次長内田幸雄さん、内閣府地方創生推進室次長渡邉政嘉さん、内閣府子ども・子育て本部審議官相川哲也さん、デジタル庁審議官犬童周作さん、デジタル庁審議官内山博之さん、総務省大臣官房総括審議官山野謙さん、大臣官房総括審議官竹村晃一さん、大臣官房地域力創造審議官馬場竹次郎さん、自治行政局長吉川浩民さん、自治行政局公務員部長山越伸子さん、自治行政局選挙部長森源二さん、自治財政局長前田一浩さん、国際戦略局長田原康生さん、総合通信基盤局長二宮清治さん、出入国在留管理庁審議官福原道雄さん、文部科学省大臣官房審議官淵上孝さん、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官安彦広斉さん、厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子さん、厚生労働省大臣官房審議官宮崎敦文さん、厚生労働省大臣官房審議官榎本健太郎さん、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長田原克志さん及び国土交通省大臣官房審議官石原大さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申出がございますので、順次これを許します。湯原俊二さん。

湯原委員 おはようございます。立憲民主党の湯原俊二です。

 質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。

 また、慣例、恒例ですと、質問の順番としてはトップバッターではないんですけれども、私は消費者特別委員会の理事をしております。今日は参考人招致ということで、曲げて最初にさせていただきますこと、配慮に感謝申し上げたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 今日はJR問題とシチズンシップ教育、いわゆる、日本でいうと主権者教育について質問させていただきたいと思いますが、まずはJR問題について質問させていただきます。

 金子大臣、地域住民の移動の保障について、特に地方のJRなどの公共機関の必要性について。背景としては、今、人口減少、高齢化、高齢者では自動車の免許返納等もありますけれども、こういった問題、あるいは環境面も含めて、JR等の公共交通機関についての必要性、重要性についてどのような所見をお持ちか、お伺いしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 湯原委員には、いつも地方の抱える課題を毎回取り上げていただきまして、ありがとうございます。

 地方公共交通機関は、地域住民の通勤通学、通院、買物などの生活の足の確保や、観光その他の地域間の交流促進など、地方における生活の維持や地方の繁栄を実現していくために必要なものと考えております。また、環境面においても、CO2排出量の削減などにも寄与するものと認識をしております。

湯原委員 ありがとうございます。

 大臣からは、通勤通学、通院等々の地域住民の生活の維持と、あるいは観光を含めた地方の繁栄、あと公共交通機関は環境面でプラスだということで御答弁があったと思います。

 今年の二月十四日に、国土交通省の鉄道局において、鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会が立ち上がっています。この検討会を立ち上げた趣旨と、いつまでにどのような結果報告を出されるのか、大略について簡潔に御答弁いただきたいと思います。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣から御答弁ございましたように、鉄道は、我が国の日常生活や経済活動を支える大量輸送機関として、公共性の高い重要な役割を担っているところでございます。

 一方、一部のローカル鉄道では、沿線人口の減少、少子化に加えまして、マイカーへの転移、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化による需要の減少等、こうしたことにより、利用者が大幅に減少するなど危機的な状況に置かれております。

 そのため、まずは、鉄道事業者と沿線地域が危機認識を共有し、大量輸送機関としての特性を改めて評価した上で、相互に協力、協働しつつ、利用者にとって利便性と持続性がより高い地域公共交通機関を再構築していくための環境を早急に整えていく必要がある、このように考えております。

 こうした背景、考え方から、国土交通省におきましては、その具体的方策を検討するための有識者検討会を本年二月から開催してきておりまして、ただいま関係者の御意見をいろいろ聴取しているところでございます。この夏までの取りまとめに向けて議論を進めていきたい、このように考えております。

湯原委員 ありがとうございます。

 今、鉄道局では、ローカル鉄道が人口減少になって危機的状況なので、地域との協働環境、つまり、赤字のローカル線をどうしましょうかという、地域とあくまでも鉄道事業者との協働ですから、話し合い、環境をつくっていきたいという、そのための一環だということで、検討会をつくって夏までにという御答弁であったかと思います。

 「地域モビリティの刷新」というふうに書いてあるんですね、検討会では。おっしゃったように、「鉄道事業者と地域の協働による」、その後が「地域モビリティの刷新」という、検討会の名称に入っているんです。維持とかではなく刷新、つまり変わるという意味だと思いますけれども。

 現在ある鉄道を、バスへの代替とかライトレール化。このライトレール化は、この有識者のメンバーの中には前富山市長が入っておられまして、前富山市長が携わったのは、ライトレール化ということをやっておられまして、ある意味で成功されていると私は認識しておりますけれども、ライトレール化をする、あるいは、鉄道事業者に代わって地方自治体等が鉄道施設や車両を持つ、ハード面を持つ上下分離方式、こういったことも検討に入ってきているのか。

 この刷新の意味合い、方向性、夏まででありますのでまだまだ議論の最中でありますけれども、政府としては、国土交通省としてはどのような考えを持っておられるか、お聞きしたいと思います。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 一部のローカル鉄道が危機的な状況に置かれている中、単に鉄道を維持するか廃止するか、こういうことを議論するということではございませんで、鉄道事業者と沿線地域が相互に協力、協働しながら、先ほど申し上げましたように、鉄道の大量輸送機関としての意義、役割を再評価した上で、何よりも、利用者の視点に立ちまして、あるべき地域モビリティーとは何かを議論していくということが必要というふうに考えてございます。

 その際には、デジタル技術を含めまして最新技術を最大限に活用するとともに、輸送モードを超えた連携を確保しつつ、より利便性、持続性に優れた地域モビリティーを再構築していくための取組を進めることが重要でございまして、このことをもって刷新という表現をさせていただいたものでございます。

湯原委員 ありがとうございます。

 一部のローカル線で、廃止か存続かという二者択一の在り方ではなくて、維持することの再評価、つまり、ローカル線を再評価して、利用者の視点に立って再構築をしていくという御答弁であったと思います。

 そこで、お手元に資料を配付させていただいておりますが、三枚今日は出させていただきます。

 まず、一ページ目の日本地図が描いてあるものです。これを御覧いただきたいと思いますけれども、輸送密度といって、早い話が、どのぐらいの人が乗っているかということであります。

 昭和六十二年、国鉄がJRに変わったときは、大体四千人、輸送密度四千人が一つの線で、それ以下に対しては、それこそ廃止とかバスに代えるとか、四千人以下であっても、なかなか代替の交通手段がないところ、あるいは、冬ですね、冬季なんかで雪がすごく降って、バスなんか立ち往生しちゃうので、やはりJRでいいんじゃないかとか、四千人ですぐ紋切り型でぱんと切るわけじゃないですけれども、検討の中で、国鉄が民営化されるときは、四千人で一つの線を引いたということでありました。

 今回、この議事録等を見ますと、四千人以下の路線が全国ではもう半分を超えております。全国の路線の中で四千人以下が半分を超えている。また、コロナ前では全国の八割が赤字会社でありましたけれども、コロナによって全部の会社が赤字になっている、こういう状況であります。

 第一回目の検討会の議事録をずっと見ておりますと、事務局発言として、輸送密度二千人未満、議事録では赤とオレンジという発言でありましたけれども、実際は、この日本地図を見ると、二千人未満ということであると、赤と黄色と緑であります。

 北から申し上げると、北海道、ほとんどが黄色であります。東北地方の東西に走るような路線も千人未満の路線。それからずっと行って、緑も二千人未満でありますので、福島あたりもそうですし、私は鳥取出身ですけれども、中国地方も、ほとんどとは言いませんけれども、でもほとんどでしょうね、二千人未満。九州でも、南の方は千人未満の黄色の路線。

 こういう状況でありまして、議事録を見ていると、事務局の、二千人未満についての一つの検討ということであると、ほとんど、日本地図のこの路線を見ると、大多数がなるんじゃないかなと思うわけであります。

 資料を見ますと、実は、国鉄民営化されたときの、二千人未満のものは一六%、二割弱が民営化のときは二千人未満であった。ところが、今ですと四割近く、三九%が全路線の中でなっている。つまり、三九%ですけれども、四割ぐらいが二千人未満の路線になっている。これが一つのこの検討会の、ある意味で俎上にのってきているのかなというふうに思いますけれども、これについてどのようなお考えか、御答弁願いたいと思います。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘がありました有識者の検討会におきまして、輸送密度四千人未満あるいは二千人未満の路線について示したところでございますけれども、これは、それぞれ、国鉄改革時の昭和六十二年度の段階からどのように変わっているのかということを示したものでございますが、実際のところ、人口減少ですとかマイカーへの転移、こうしたことで、現在の利用状況は非常に厳しくなっている、こういうことを説明したものでございます。議論の対象を一部の路線に絞るというのは、そういう意図を持って資料でお示しをした、こういうことではございません。

 いずれにしましても、それぞれのローカル線の置かれた状況や利用形態は、地域により様々でございますので、輸送密度二千人未満であるということをもって一律に取り扱うことは適当ではない、このように考えております。

湯原委員 二千人未満で区切るというわけではないという御答弁であったと思います。

 この日本列島の地図、各路線は、昭和六十二年の段階のものでこうだったのがこう変遷してきたというものの資料の一部だというふうにお答えになられたんです。

 実は、第一回目の検討会の資料をずっと読んでおりますと、私は一部分を取って話をするわけではありませんけれども、事務局の発言の中で、こういうものがあります。議事録で四ページ目にあります。

 六ページ目のこの資料を見ながら、現在残っている路線をそれぞれ輸送密度で分解いたしますと、国鉄が民営化されるときの特定地方路線に指定される、特定地方路線というのは、どうしましょうかと俎上にのるやつですけれども、一つの要件でありました、輸送密度四千人未満の路線というのが、現在ではコロナ後の影響を踏まえると半分を超えており、その後なんです、特に。特に我々注目しておりますのは二千人未満というカテゴリーで、このオレンジと赤の、これはちょっと発言があれですけれども、緑もだと思いますけれども、足し合わせると、昭和六十二年度の段階では一六%であったものが、現在では三九%まで増えてきている。何とか全体としてのネットワークは維持していただいているものの、その輸送の状況というのは大変悪化が進んでいる状況です。

 つまり、我々注目しておりますのは二千人未満というカテゴリーという。おっしゃるように、私も、二千人で切って、それから少ないところは廃止かどうするかという二者択一ではないと思っています。代替、刷新というのはそういう意味だとおっしゃいましたので、ほかの手段はないかということであります。

 ただ、現状として俎上にのってくるのは、やはりここの二千人未満の数字、つまりは全国の三九%、日本地図で見るとほとんどのところが対象になるんじゃないかというぐらいの状況ではないかなと思っております。

 併せて申し上げると、昨日、JR西日本がこの輸送密度二千人未満の路線について記者会見をして、十七路線三十区間全てが赤字だということを記者会見されました。

 つまりは、JR西日本は、この二千人という数字で、まあ線引きではないですけれども、一つの判断材料にしたからそういう数字を出されたのかなというふうに思いますけれども、これから先、議論が進んでいくわけでありますので、私は、二千人が妥当かどうのこうのではありませんけれども、一つの目安として全国の三九%の路線が対象になってきているということで、注視をさせていただきたいなというふうに思います。

 次に、二枚目の資料を御覧いただけますでしょうか。裏になっています。両面カラーコピーしていますので、裏の、横に棒グラフがついているものであります。私は、検討会の資料を見たときに、ある意味で愕然、驚いたのでありますけれども、横に棒グラフであります。

 つまり、これはトンネル、橋梁の耐用年数であります。トンネルについては、耐用年数、材質によっていろいろばらつきはあるようでありますけれども、一応、トンネルの耐用年数六十年としておりまして、耐用年数を超えたものが六一%。これは私が作ったものではなくて、この検討会でJR側が出したものかなと思いますけれども、国土交通省の資料であります。

 右側が橋梁、橋ですね。耐用年数五十年で、実に六四%が耐用年数を超えている。それを我々は利用させていただいているわけであります。

 この議事録で事務局の発言を見ておりますと、事務局がこうおっしゃっています。在来線の鉄道施設、トンネルとか橋梁ですね、在来線の鉄道施設の多くが明治、大正時代に造られたと事務局が議事録では言及されているわけであります。

 つまりは、我々が今利用しているのは、旧国鉄時代の遺産のようなところで利用させていただいているのかなという状況でありまして、豪雨とかいろいろな大規模の天災みたいなものとか、いろいろな状況がある中で、果たしてこのままの耐用年数でいいのかなという、別にJRだけを責めているわけではありませんけれども、そういう思いを持ちます。

 JRは、私の見方だと、赤字路線においては、先ほどの、ほとんどが赤字だと申し上げましたけれども、老朽化が進んだこうした施設の更新や、これから先求められる安全性、あるいは、今、新たなニーズやバリアフリーとか出ていますけれども、こういったところの投資がなかなかできなくなってくるんじゃないかなというふうに思いますけれども、この点について御答弁いただけたらと思います。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘ございましたように、トンネルや橋梁の土木構造物につきまして、これを適切に維持管理していく、これは極めて重要なことだというふうに考えてございます。

 こうした土木構造物につきましては、経年とともに劣化が進む、こういうことで、予防保全の観点から、適切に維持管理される必要がございまして、このため、令和二年十二月に閣議決定されました防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策において、老朽化しているインフラについて、予防保全型のインフラメンテナンスへの転換を図るということが定められておりまして、これを踏まえまして、鉄道のトンネルや橋梁につきましても、予防保全に基づいた老朽化対策を進めているところでございまして、一部鉄道事業者に対しても国の方から支援を行っている、こういうことでございます。

 それから、バリアフリーのお話もございました。このバリアフリーも、非常に高齢化が進む中、極めて重要な対策でございまして、こうしたバリアフリー化を加速するために、都市部におきましては、昨年十二月に創設した新たな料金制度、こうしたものを活用していただくということとともに、地方部においては、市町村が作成するバリアフリー基本構想に位置づけられた鉄道駅におけるバリアフリー設備の整備につきまして、補助率を三分の一から最大二分の一に拡充する、こういう措置も講じたところでございます。

 いずれにしましても、国土交通省としましては、老朽化設備の更新や安全性向上、バリアフリーなどにも補助制度を活用するなど、必要な支援を行っていきたい、このように考えております。

湯原委員 ありがとうございました。

 答弁としては、経年とともに維持管理をしていく、防災・減災の観点からは、予防保全型で今、老朽化対策をやっている、バリアフリーには補助ということでありました。

 今の予算額で、結局、棒グラフにあるように、耐用年数を超えているのがもう六割以上、ほとんどが明治、大正にできたものという中で、施策としてはそういう補助事業をやっているんですけれども、本当に間に合うかどうかという、この点を改めて考えていかなきゃいけないんじゃないか。やっていらっしゃるのは分かるんだけれども、これだけ、六割以上がもう耐用年数を超えている実態です。

 確かに、私は鳥取出身ですけれども、山陰本線に乗るのでありますけれども、米子市から鳥取市に行く間にトンネルとかを通ります。ぱっと一見すると、れんがでとか、そういうところがあちこちにあるような状況でして、日本全国、先ほど申し上げたような状況があるのかなというふうに思うわけであります。

 やっていらっしゃるのは認めていて、政策としては認めますけれども、それで追っつくかどうかという問題はまた議論をしなければいけないんじゃないかなというふうに思っています。

 このモビリティー刷新の検討会が、第一回、二月十四日に行われて、三月三日に第二回が行われています。第一回目はどちらかというと事業者からの声。第二回目が自治体からの声、三日月滋賀県知事と湯崎広島県知事の声を聞いています、これは知事会の代表としてですね。第三回があさって十四日に開かれる予定であるそうでありますけれども。

 この一回目の議事録を見ますと、事業者側の声として大きいのは、先ほど政府側がおっしゃった、とにかく鉄道事業者側と地域の自治体との協議を円滑に進める枠組みをつくってくれという要望ですね、実際どうしていくかということでありますので、赤字路線。ここについての議論が多く、その後は、ほかのモビリティー、代替措置、上下分離方式、あるいは財政、税制等の支援を求める、こういった発言がありました、議事録を見ると。

 第二回目は、知事会の方でありますけれども、滋賀県知事と広島県知事が出た。特に広島県知事ですね。三日月さん、滋賀県知事は近江鉄道のことをお話しされておりますけれども、広島県知事の湯崎さんは全体的なことを話をされておりまして、議事録をかいつまんで話すとちょっとうまく伝わらないかもしれませんけれども、知事会の代表としての言葉は、鉄道の利用状況を区間ごとに判断してやるということではなくて、広域ネットワークとして考えていただきたい。つまり、部分部分、赤字だ黒字だといって判断するよりも、全体のネットワークとして考えていただきたいと。地方においては公共交通性は非常に高いものであります、ネットワーク全体のバランスの中で考えていただきたいと。

 同じようなことをまたおっしゃっておりまして、区間ごとに扱う、考えるという前提ではなく、国鉄改革時の考え方も踏まえつつ、国の交通政策の根幹として鉄道ネットワークをどう考えるかという議論をお願いしたい、国の交通政策の根幹として考える問題だ、民営化当時、国土交通大臣答弁でありましたけれども、当時の、つまり民営化するときの、当時の不採算路線を含めて事業全体で採算が確保できるように制度設計されているということがあると、当時はですね。これが基本的な考え方だと思うんですが、この事業構造が維持できないということであれば、単に路線を廃止して縮小均衡を図ろうということではなくて、JRの在り方そのものに立ち返って議論をしていただく必要があるのではないか、地方切捨てな議論にしないでいただきたい、JRが廃止をされた場合にですね、黒字路線とのバランスの中で運営されていた不採算路線、これがJRと比較して明らかにですね、資本が脆弱な地元の交通事業者、つまり代替機能でバスとかいろいろなところに移るわけですけれども、資本が脆弱な地元の交通事業者とか、あるいは補助金を出す地方自治体にとって非常に大きな負担になって持続可能性が問題になってくる、こう湯崎さんは指摘しております。

 大変申し訳ないんですが議事録をちょっと、私自身が、つまみ食いはしたつもりはないんですけれども、この発言の趣旨として短くさせていただきました。

 要は、湯崎さんがおっしゃっているのは、鉄道は一旦廃止をするとなかなか復活させるのが大変だということと、一部分赤字だからどうこうとその路線だけを見るんじゃなくて、JRそのもの、国鉄民営化のとき、JR全体のネットワークを見て議論をしたわけでありますから、今回においても全体のネットワークとして議論すべきじゃないかと。

 それで、これが、単に路線を廃止していくと縮小均衡になっていって、どんどんどんどんやっていってネットワーク自体が先細っていく、こういうことを危惧されておりまして、その後で出ているのは、検討会のテーマであります自治体と鉄道事業者だけではなくて、大本の国がもっと前に出てきてもらえないか、こういう趣旨の発言をされておりますけれども、この点について御所見を求めたいと思います。

金子(恭)国務大臣 先ほど私からも申し上げましたとおり、鉄道は、我々の日常生活を支える公共性の高い重要な役割を担っていると認識をしております。

 御指摘の点については、所管であります国土交通省において、沿線自治体の意見を丁寧に伺っていただきながら、地方の持続可能な公共交通の実現に向けて検討いただくものと考えております。

 総務省としても、国土交通省等、しっかり連携を図り、地域公共交通の維持、確保に取り組んでまいります。

湯原委員 ありがとうございます。

 冒頭大臣がおっしゃっている公共性の高いものだし、所管とはちょっとあれだけれども、国土交通省と連携をして対応ということであるかと思います。

 私は、三十年ほど前、三公社五現業とあって、郵政もそうであります、電電公社、NTTもそうであります。後で電波関係のあれもありますけれども、この国鉄が民営化になっている。民営化することによってのメリットを私は認めております。認めておりますが、三公社五現業時代にあった、この全国津々浦々、私が住んでいる地方も含めて、全国津々浦々に張り巡らされたユニバーサルサービスというものが三十年たってどのようになっていくかという非常な懸念を持っています。

 民営化は一定の評価をしていますよ。ただ、日本の国を考えたときに、国土の発展を考えたときに、地方の発展あるいは地域住民のことを考えたときに、やはりユニバーサルサービスというものは維持をしていかなければならないんじゃないかという思いを持っております。

 今回のJR問題ですけれども、これは路線ごとにというよりも、私は湯崎さんの立場にある意味で立つんですけれども、全国のネットワークとして、じゃ、それをどうしていくんだということを考えるわけであります。

 お手元に、三枚目、自治体も鉄道会社もお金がない、国もお金がないのでありますけれども、三枚目を御覧いただきたいのは、これは行政投資額の推移であります。

 各年度ごとに三本棒グラフが立っていますけれども、一番左が一番長くて、真ん中がちょっとだけ少なくて、右側がどんと少ない、このちょっとだけあるのでありますけれども、一番左は、道路から始まって地下鉄までの投資額、行政投資額です。二番目が、道路プラス街路の投資額。三番目にちょっとだけあるのが、これが鉄道、軌道関係の投資額であります。

 これを見ると、つまりは、道路関係は、左から二番目、真ん中の棒グラフですね、大体、これを見ると、この十年間六兆円前後ぐらいで推移をしてきている。数字が小さくて申し訳ないです、六兆円ぐらいで推移、予算投資をしているということであります。一番右の、ちょっとだけあるのが、大体四千億前後ぐらいで推移をしてきている、これは鉄道関係の行政投資であります。

 私が問題にしたいのは、先ほど申し上げたように、鉄道会社もお金がない、赤字路線にはなかなか。自治体もとてもお金がないし、先ほど湯崎さん、知事が話をされたように、何かいかんようになって、自治体が面倒を見てくれと言われても、とてもそれは負担に負えないでしょうという。国も、借金を抱えておりますので厳しい。

 ただ、今ある行政投資の中で、六兆円、道路、車関係に使うのと、公共交通機関で、これから高齢者は免許返納する、環境に、いろいろ考えながら、公共交通機関を伸ばそう、重要性だと言っている鉄道には四千億。桁がちょっと違うんじゃないか、こう考えるわけでありまして。

 この点、やはり社会全体の在り方も含めて、我々の日本は戦後、車、道路を延ばす、それでずっと来たわけです。私もですよ。山陰でありますので、高速道路、ミッシングリンクをつなげてくださいねとかいろいろ要望していますので、私も責任の一端を感じていますので。

 その上で申し上げると、車社会、道路を延ばす、そういう国づくりをしてきたんですけれども、人口減少、少子化になっていく、免許返納もある、環境のことを考える。公共交通機関のことを考えたときには、こうした予算の配分、六兆円と四千億円ではなく、このバランスをシフトを変えて、先ほどの、老朽化した鉄道施設があるわけであります、やはりもう少し鉄道を維持する方に、メンテナンスする方に予算配分を変えていくべきではないか。このことをお伺いしたいと思います。

加藤大臣政務官 委員の御質問にお答えを申し上げます。

 今年は、国鉄改革が行われました一九八七年から実に三十六年目となります。

 この三十六年の間に、JR各社、ローカル鉄道を取り巻く環境は大きく変化をしてまいりました。

 例えば、人口減少やマイカー転移による利用者の大きな減少、それから自然災害の頻発化、激甚化、さらには感染症の流行とその後のライフスタイルの変化など、こういった変化を受けている中で、全国に張り巡らされている鉄道ネットワークの維持、継続は厳しい状況になっていると認識をしております。

 他方で、委員御指摘のユニバーサルサービスということもとても大事な要素だと思っておりますけれども、利用者の大幅な減少等によって大量輸送機関としての鉄道特性が発揮できなくなっている線区につきましては、将来性に向けて、そもそも利用者にとっての利便性の視点に立った持続性の高い地域モビリティーとは何かということについて、鉄道事業者と沿線地域が協力、協働しながら検討していくということが必要だと認識しております。

 そして、国としても、そういった協働、協力が進むように取組を促してまいりたいと思っております。

湯原委員 加藤政務官からもありました、やはり地域の自治体と鉄道事業者で赤字区間を、利用者の視点に立ったという言葉もありましたけれども。

 私は、やはり、民営化の時点から含めて、全国のネットワークをどうしていくんだということを、もっと国が前に出て議論すべきだと。結果がどうであろうと、もっともっと、検討会がつくられること自体、一定の方向性を国が持っているからの証左だと思いますけれども、私自身は、特に今の三九%が二千人未満のあの日本列島の地図を見たときに、本当に危機的状況になるんじゃないかなという、横の棒グラフも含めて、老朽化のことも含めて、そう思うわけであります。

 この問題は、まだ、夏を目がけて検討会をされていくというわけでありますので、私も注視させていただいて、またお時間があれば再度質問させていただきたいと思います。

 加藤政務官、国交省の皆さん、ありがとうございました。お引き取りください。

 それでは、時間も限られておりますけれども、シチズンシップ教育について金子大臣にお伺いします。

 外国ではシチズンシップ教育というのが、市民性教育と言っております、日本では主権者教育という言葉を使いながら近年出てきたわけですけれども、背景としては投票率の低下ということもあると思いますけれども、この点について、シチズンシップ教育、主権者教育の重要性について御答弁いただけたらと思います。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、国や社会の問題を自分たちの問題として考え、捉え、行動していく主権者を育てることは、大変重要だと考えております。

 総務省においても、文部科学省と連携をしまして、学校での主権者教育に活用していただける高校一年生向けの副教材を毎年度配付しております。

 話合いやディベートの手法、模擬選挙や模擬議会の実施などを盛り込んでおり、各学校での主権者教育において御活用いただいているところでございます。

 また、主権者教育に知見のあるアドバイザーを、選挙管理委員会や学校が行う主権者教育の現場に派遣するなどの支援を行っております。

 引き続き、文部科学省などとも連携をしながら主権者教育の充実に取り組んでまいります。

湯原委員 ありがとうございます。

 文科省と連携をしてやっているということで、社会の問題を扱うということで頑張っている、副教材やいろいろ人材も派遣していますよということだったと思います。

 文科省にお伺いしたいんですけれども、令和三年三月三十一日、一年ほど前でありますけれども、主権者教育推進会議というのを立ち上げておりまして、今後の主権者教育の推進に向けての最終報告が出されました。この施策の反映ですね、これから反映について、あるいは取組についてどのような状況かをお知らせ願いたいと思います。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 選挙権年齢の引下げにより、主権者として社会の中で自立し、多様な他者と連携、協働しながら、社会を生き抜く力や地域の課題発見、解決を社会の構成員の一員として主体的に担うことができる力を育む主権者教育がこれまで以上に求められております。

 御指摘の主権者教育推進会議においては、主権者教育の充実に向けて、各学校段階等の取組、また、家庭、地域における取組、主権者教育の充実に向けたメディアリテラシーの育成などの観点から提言をまとめていただきました。

 文部科学省としましては、主権者教育推進会議の提言を踏まえまして、新たに、モデル校での実践研究の推進、また、教師用の研修動画の作成、配信に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、主権者教育推進会議の提言を踏まえまして、総務省などと連携しながら、学校、家庭、地域それぞれにおける主権者教育の取組を推進してまいります。

湯原委員 ありがとうございました。

 文科省の方からは、十八歳、年齢が引き下がったので、これまで以上に一生懸命ということで、また、メディアリテラシーのことも含めてやるということで、学校、家庭それぞれで頑張っていくということでありました。

 二〇一九年の主権者教育の実施状況の調査を見ますと、私もそうでありますけれども、一九六二年、昭和三十七年生まれでありますけれども、選挙の仕組みの指導について、この主権者実施教育では、選挙の仕組みを教えているのが八四%でありました。金子大臣も私も同年代でありますけれども、当時、公民とか政治・経済というのが高校、中学校でそれぞれあって、三権分立は何かとか、そのルールは非常に教えてもらったと思います。だから、体育でいうところの、サッカーのルールは何、それこそ、ソフトボールのルールは何という、ルールは教えてもらうのであります。実際プレーしないのが金子大臣や我々が受けた学校教育ではないかなと。ルールは教える。

 つまり、この二〇一九年でも八四・六%は選挙の仕組みは教えている。現実の政治事象を議論、政治の起こっている中身ですね、これは、話合い活動でこうしたことをやっている、二〇一九年の学校教育ですが三四・四%、つまり三分の一しかやっていないわけであります。実際に政治事象を扱うのが三割ぐらいであります。模擬投票等の実践活動は四七%やっている。

 これを見ると、二〇一九年の調査でありますけれども、やはり知識面の偏重、金子大臣や我々が受けた教育よりも進んでいるのは分かりますけれども、やはりまだまだ知識面の偏重になっているんじゃないかなというふうに思っております。

 一方で、学校と他の機関との連携について、先ほどありましたけれども、行っているのが四八・二%であります。半分近くは連携をしている、他の機関と。ただ、その多くが選挙管理委員会との連携でありました。

 私は、諸外国を見てもそうでありますし、実際、日本においても様々なこうしたNPOが育ってきている、こういう状況を見ると、選挙管理委員会だけではなくて、大学や関係団体、NPOなどと連携をすべきだと考えております。

 実際はというと、こうした団体と連携しているのは一・九%から四・九%。ほとんど連携していないに等しい状況でありまして、全部が全部先生に預けると先生もくたびれてしまう、多忙でありますので。中立性の点もクエスチョンでありますけれども、こうした、選挙管理委員会だけではなくて外部の団体をもっともっとスムーズに入れてもらって、子供たちが実際のことを議論する、こういうふうに変えられないものかと考えますけれども、この点について御答弁いただけたらと思います。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 学校におきまして主権者教育を進めていく上で、御指摘の体験的あるいは実践的な学習活動というものは極めて重要だというふうに考えております。例えば、模擬選挙等の学習活動を実施する際に学校外の機関から説明や教材の提供を受けるなど、連携をして行うことも有意義だというふうに考えております。

 このため、文部科学省としましては、総務省と一緒に作成をして全ての高校生に配付をしております主権者教育用の教材を活用して模擬選挙を実施する際に、外部の団体と連携することに配慮することというものを教師用の指導資料に明記をしているところでございます。

 また、今年度から全ての高校生が新たに学ぶこととなります必履修科目の「公共」という科目がございますが、ここで政治参加と公正な世論の形成、地方自治を扱うこととなっておりまして、その際、専門機関の助言を得ながら模擬選挙を実施することなどが考えられるということを示しているところでございます。

 文部科学省としましては、今後とも、学習指導要領の趣旨の徹底などによりまして、外部機関と連携した主権者教育の推進に努めてまいりたいと考えております。

湯原委員 もう時間が来ましたので簡潔に。

 日本は、やはり学生運動が一九六〇年代とかにあって、その反動から、高校で政治というものを、政治事象を扱わないように通達が出されてやってまいりました。

 一方、ドイツは、ヒトラーが普通選挙で出たということがあって、徹底して子供のときから政治教育をしていきます。一九七六年にボイテルスバッハ・コンセンサスというものをつくって、学校においては政治的中立を守りなさい、だけれども、政治事象を扱って、子供たちが自分の尺度で政治を議論できるようにする、こういう教育をしておりますので、日本はまだまだ緒についたばかりですけれども、今後とも頑張っていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

赤羽委員長 次に、小森卓郎さん。

小森委員 ありがとうございます。自由民主党の小森卓郎です。

 二月の予算委員会分科会におきまして、金子総務大臣そして総務省の皆さんに質問をさせていただきましたが、この総務委員会では今日が初めての質問でございます。十五分でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 今日は、テレワークを切り口として、地方への移住、地域の活性化について議論をしたいと思っております。

 新型コロナ感染症の影響で、様々な面で私たちの生活は変わりました。こうしたアクリルのつい立て、そしてマスク、こうしたものもそうでありますけれども、働き方という点では、テレワークの普及が加速したということが大きな変化の一つではないかと思っております。

 もちろん、これまで同様、どうしてもテレワークで行えないという仕事も多いと思います。しかし、コロナ前までは対面でないととてもできないだろうと思い込んでいた業務が、必要に迫られてリモートでやってみたら、意外とあっさりと、ああ、この業務はリモートでも十分できるんだというふうに気がついたことも多かったのではないかと思います。テレワークの普及は、働く人の意識の変化、そして働き方改革へともつながっているのではないかというふうに思っております。

 政府に伺います。

 これまでテレワークの推進にどのように取り組み、そして、近年、特にコロナの影響を受けてテレワークの普及がどれぐらい進んでいるか、お答えください。

竹村政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省の通信利用動向調査によると、企業におけるテレワーク導入率は令和二年八月末時点で四七・五%と、前年の二〇・二%から大きく増加をしてございます。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う出勤抑制の手段としてテレワークは普及したものと考えられますが、感染状況が落ち着くと通常のオフィス勤務に戻る動きもあると指摘されており、感染症対策だけではなく、働き方改革や生産性の向上、地方の活性化などの観点からもテレワークを推進する必要があると考えております。

 こうした考えの下、総務省では、関係府省とも連携しながら、専門家の派遣やオンラインによる無料相談、社労士会や商工会議所と連携した、地域の中小企業などのテレワークの導入支援、先進的な取組を行っている企業、団体の表彰や、テレワークの取組事例集の公表に取り組んでいるところでございます。

小森委員 ありがとうございます。

 今、四七・五%という答弁もありましたけれども、テレワークが急速に進んでいるということが、実感だけではなくて数字でも示されているのではないかというふうに思います。

 お手元の資料にありますけれども、政府はこれまで、令和二年にテレワークを導入している企業の割合を三四・五%にするという目標を掲げていたようです。比較対照とする八年前の三倍の数字ということでありますけれども、コロナの直前までは二倍弱までしか増えておらず、目標達成が非常に困難な状況でありましたけれども、コロナの影響で一気にこれが進んだということだというふうに思います。

 こうしたテレワークの普及は地域別にはどうなのか、都市と地方の格差について伺います。

 そして、恐らく地方の方が普及の進みが遅いのではないかというふうに思いますけれども、地方でテレワークの進みが遅い理由、今後進めていく上での課題について伺います。

竹村政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年十一月における企業の従業員のテレワーク実施率を地域別に見ると、関東が三六・三%、中国・四国・九州は一一・二%となっており、委員御指摘のとおり、都市部と地方では差が生じております。

 都市部においては、新型コロナウイルスの感染拡大の防止のためテレワークの活用が強く推奨されたことから、コロナ禍の中でテレワークの実施率が増加したものと考えられます。

 また、情報通信業、学術研究、専門・技術サービス業等ではテレワークの実施率が高い一方、建設業、宿泊業、飲食サービス業等では低く、さらに、中小企業は大企業に比べて実施率が低い傾向にあります。

 都市と地方における業種構成ですとか企業規模の違いが、テレワークの実施率に関する差につながっている可能性がございます。

 今後、地方においてテレワークを進めるためには、テレワークの実施率が低い、地方の中小企業等におけるテレワークの普及を進める必要がございます。

 総務省では、先ほど申し上げたテレワークの導入支援や先進的な取組の表彰においては、地方の中小企業にも焦点を当てて取り組んでおり、今後とも、地方におけるテレワークの更なる普及を推進してまいります。

小森委員 ありがとうございます。

 業種の違いも含めまして地域による違いは存在しておりますので、全国同じ率になるべきだというふうには思いませんけれども、それでも、地方においてはまだまだ更にテレワークを進める余地が大きくあるということではないかというふうに思います。

 ここで、地方への移住に話を進めたいと思います。

 金子総務大臣は、二月の当委員会での所信表明演説において地方移住に言及をされ、地方への新たな人の流れを強化するという決意を語っておられます。私も全面的に賛成をいたしております。

 この地方移住について、国が政策として取り組んでいるのはなぜなのか、その必要性と意義について、私の隣の富山県からの田畑副大臣にお答えをいただきたいと思います。

田畑副大臣 小森先生、御質問ありがとうございます。お答え申し上げます。

 まず、このコロナ禍を経て、特に近年、二十代の東京二十三区在住者の地方移住への関心が高まっているという調査もございます。

 また一方、我が国は大変成熟した国家であり、いわゆる高速交通網も着実に整備がされ、生活の質であったりですとか生活の利便性というのはどこに住んでいても一定のサービスをしっかり受けられる、そんな国であろうかというふうに思います。また、治安も大変よろしい国であろうかというふうに思います。

 しかしながら、食料供給の観点ですとか、また国土全体のバランスある発展、また産業振興ですとか魅力ある地域づくりについて、過度な東京一極集中というのは、やはり、是正することは喫緊の課題だというふうに思います。

 過疎地域等においても、人口減少ですとか、働く場所、また交通への不安ですとか、そうした声も顕在化しつつあるのではないかというふうに思います。

 一方、災害のリスク、また、地方においては同じく担い手不足の観点からも、地方移住政策をしっかり推進することというのが大変大事だというふうに思ってございます。

 このため、これまでも都市部から地方への地方移住政策、これを取り組んできたところでございまして、そうしたことを通じて、地方の経済の活性化につなげていかなければいけないというふうに思っているところでありまして、そのような観点から、地方移住が重要だということで推進をしてまいりました。

小森委員 ありがとうございました。

 今、最後の方で、地域の活性化についても言及をいただきました。

 私は、石川県庁で部長を務めておりました当時、地域活性化も担当しておりまして、UターンやIターンなど、こうしたものを通じた地方移住についても取り組んだ経験がございます。石川県には、能登、加賀、様々な地域があるわけでありますけれども、少子高齢化が進み、人口の減少、働き手の減少が深刻な問題となっている地域、こうした地域を活性化していく上では、地方移住の推進は焦眉の急の課題だという思いを強く持っております。

 こうした認識は私だけではなく、地域活性化に取り組む多くの関係者にかなり以前から共有されているものだというふうに思います。これまで長い間取組を進め、一定の成果が上がっている施策があるのも事実でございますけれども、残念ながら全体としては、熱い期待に届くほど、地方への人の流れが形成されてきたわけではないというふうにも思います。

 この課題、障害は何か。様々な要因がございますけれども、特に働く世代の移住、この障害の一つは、移住先での仕事の問題だというふうに思います。そうした中、現在、テレワークの普及が加速していることは、こうした局面を大きく変えるチャンスであるというふうに思います。

 都会の仕事を地方の自宅でもできる、対面での仕事は週に一度、月に一度出張して片づければよい、こうしたことが広がっていけば、地方への移住の弾みにもなるのではないかというふうに期待をしております。

 参考人に、地方でのテレワークの推進の取組について伺います。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、多くの方々がテレワークを経験されました。こうした中で、地方への移住やリモートワークを活用した兼業、副業、そして地方での豊かな自然を満喫しながら仕事をもこなすといった、ワーク・ライフ・バランス充実への関心が高まってきております。

 このように、テレワークに関する企業の取組が進展するとともに、国民の意識、行動も変容してきてございます。この機会を逃すことなく、新たな働き方として、東京圏に立地する企業などに勤めたまま地方に移住して地方で仕事をする、いわば転職なき移住を実現する地方創生テレワークを推進してございます。これによりまして、地方への新しい人の流れにつなげ、また、地方分散型の活力のある地域社会を実現してまいります。

 地方創生テレワークの具体化に向けて現在やっておりますことが何点かございますので、御紹介させていただきますけれども、一つはポータルサイト、こういったところでの情報発信、個別相談。

 それから、この裾野の拡大を広げるために、昨年度、自己宣言制度、私の会社は地方創生テレワークに取り組んでいるということを宣言していただく制度、それから表彰制度、こういったものも創設させていただいてございます。

 さらには、令和三年度には、補正予算におきまして、デジタル田園都市国家構想推進交付金によりまして、地方への新たな人の流れを創出するためのサテライトオフィスの施設整備等に取り組む地方公共団体に対しての支援も実施してございます。

 こうした取組を踏まえ、地方創生テレワークの推進を着実に進めてまいることができるよう、引き続き取り組んでまいります。

小森委員 今の、転職なき移住という言葉もございました。答弁にありましたとおり、働く人にとっても生活の満足度が上がる、生活の豊かさを実感できるというようなことになることを期待をいたしております。

 UターンやIターン、Jターンにつきまして、今回の質問を機に勉強させていただきましたけれども、一つ残念だったことは、全国で一年、どれぐらいの人がしているのかといったことを数字が取れていないというような状況がございまして、これについては、今後是非、資料では、例えばテレワークについてはKPIをつけて政府として促進しているわけでございますけれども、これと全く同じとは言いませんけれども、何らかの取組を進めていただいた方がよろしいのではないかというふうに思っております。

 さて、テレワークを切り口に議論をしてまいりました。これらを含めまして、活力ある地方づくり、地方への新たな流れの強化、これについて、今後の取組への意欲について、最後に田畑副大臣からお聞かせいただきたいと思います。

田畑副大臣 お答え申し上げます。

 まず、総務省としては、地方自治体の地域振興ですとか人材育成、地方づくりについて、大変これからもしっかり寄り添って取り組んでいきたいということをまずお伝えをしたいというふうに思います。

 その上で、地方への人の流れをしっかり強化をし、子供さんを産み育てやすい、支え合う地域社会を実現するとともに、自立分散型の地方経済、地域経済をしっかり構築をし、活力ある地方づくりに努めていきたいというふうに思います。

 デジタル田園都市国家構想により、都市と地方のデジタル格差、この解消にも取り組んでいきたいというふうに思います。

 また、お隣の石川県ということでありますが、我々北陸は、特に人縁、地縁で物事がいろいろ動きつつございますが、やはり多様な外部人材が活躍できる社会というものもつくっていかなければいけないと思いますし、地域運営組織、多機能化、統合化、こうしたことも取り組んでいきたいと思います。

 金子大臣は常に、地方の繁栄なくして国家の、国の繁栄なしということをいつもお述べになっていらっしゃいまして、私も大変共感をし、その教えを肝に銘じて、総務省として、各省としっかり連携をして取り組んでいきたいと思います。

小森委員 丁寧な決意をどうもありがとうございました。

 この時代が大きく変わる中、転職なき移住、都会の賃金で地方で暮らす、こうしたことがこれからの社会でうねりとなって広がっていくことを期待してやみません。

 これで終わります。どうもありがとうございました。

赤羽委員長 次に、輿水恵一さん。

輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましたことに、まず心より感謝を申し上げます。

 それでは、早速でございますが、質問に入らせていただきます。

 本日は、自治体におけるウクライナ難民等の受入れ体制の整備について伺います。

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、国外に避難するウクライナ難民の方は日を追うごとに増え、既に四百五十万人を超えると言われております。世界の国々と協力して、この難民の皆様への支援、まさに財政的な支援と同時に、難民を受け入れることも大変重要であると思っております。

 現在、ウクライナ難民について、日本政府が受入れ方針を示したことから、住居や仕事の提供を検討する自治体や企業が増えているところでございます。

 具体的に、この受入れについては、出入国在留管理庁の委託により、難民の支援活動に取り組む公益財団法人等が当面の滞在場所の提供や生活費の支給などを行い、その後、難民一人一人の希望も聞き取りながら、受入れの意向を示す自治体や企業等と連携して、地域への受入れが進められることになると伺っております。

 ここで、実際に受入れを希望する自治体では、生活基盤の提供体制の整備や、あるいは地域での生活のサポート、あるいは地域住民への理解を促す取組、さらには学校や企業との連携、教育や就労などの定着を支援する体制の整備が必要であると思います。

 先日、全国青年市長会の方からお手紙をいただき、このようにありました。

 ウクライナを逃れ、救いを求めている人々が増え続けている状況から、人道的支援には一刻の猶予もありません。このような状況から、全国青年市長会の会員市にウクライナ難民の受入れの意思の確認を行ったところ、七十自治体から意思ありという回答がありましたが、具体的な費用負担などの諸条件が整っていないことから、支援を行いたい自治体においても、出入国在留管理庁の呼びかけに最大限応じることが難しい状況となっております。ついては、早急に国として本件に関する財政措置を明確に打ち出した上で、自治体が円滑かつ迅速に支援を行うための条件の整備をお願いいたしますとありました。

 こうした状況を踏まえ、自治体におけるウクライナからの難民等の受入れについて、まず、金子総務大臣の御所見を伺いたいと思います。

金子(恭)国務大臣 今、輿水委員から、ウクライナからの避難民の受入れについてお話をいただきました。

 ウクライナから避難された方々への対応については、私も構成員となっておりますウクライナ避難民対策連絡調整会議において、円滑な受入れに向けて政府一体となって取り組む方針が確認されております。

 総務省としては、出入国在留管理庁と連携をし、一元窓口の設置など、政府の取組を周知するほか、個別の自治体から寄せられている政府の検討状況や他自治体の取組事例に関する問合せや、あるいは相談を丁寧に聞き取るとともに、自治体に対し、きめ細やかに情報提供を行っているところでございます。

 今後とも、自治体等との一元窓口を設置しております出入国在留管理庁としっかり連携を図りながら、関係省庁とも協力し、的確に対応してまいります。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 難民を受け入れた日本語学校や雇用した企業に対しては資金援助の仕組みがあると伺っておるところでございますが、ここで、ウクライナから国外に逃れられた難民の方の九〇%程度が女性と子供とのことでありまして、企業だけというよりも、自治体でいかに丁寧に受け入れていくか、このようなことが大事かなと私は感じているところでございます。

 そこで、各自治体が難民を受け入れる上で、例えば受入れを適切に進めるための自治体職員の研修や受入れに関わる予算措置など、難民を受け入れる意向を持つ自治体に対して支援体制を早急に整備するべきと考えますが、見解を伺います。よろしくお願いいたします。

福原政府参考人 お答え申し上げます。

 法務省では、これまでに、避難民の方々の在留資格について柔軟な対応を行う、自治体や企業等からの支援申出を把握するための窓口を設置する、自治体が運営する一元的相談窓口における相談対応に要するウクライナ語通訳等の経費補助に係る特例を設けるなどの取組を開始しております。

 今後は、関係省庁と連携して、自治体、企業、NGO等からの宿泊先の提供、就労機会の提供等の支援申出を踏まえて、マッチング等を行っていく方針です。

 また、困難に直面するウクライナ避難民の方々が本邦で生活していく上で必要となる、当面の宿泊費、食費を始めとした日々の生活に困らないようにするための経費等について、予備費の使用が決定されております。

 引き続き、政府全体として、我が国に避難してこられる方への必要な支援等に速やかに対応できるよう、自治体とも緊密に連携の上、早急に検討を進めてまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 しっかりと自治体と連携を取っていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 そこで、今度、地域に受け入れられた難民の方々は、特に日本の習慣やマナー、あるいは健康管理、さらには近所づき合い、公共交通の利用など、日本での生活に適応できるように様々なことを学ぶ必要があるかと思いますが、特に課題となるのが、日常生活で、通訳なしでそういった生活を行うのはなかなか難しいのではないか、そのように思うわけでございます。

 ここで、総務省では、東京オリンピックでの外国人観光客と日本人のコミュニケーション等の支援も視野に入れた多言語翻訳システム、VoiceTraを開発してきたと伺っておりますが、そこで、総務省が開発した多言語翻訳システム、VoiceTraは、現在、どのような言語に、どのような形で対応しているかにつきましてお伺い申し上げます。

田原(康)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、総務省では、国立研究開発法人情報通信研究機構、NICTと連携いたしまして、外国人の方々の言葉の壁をなくすべく、多言語翻訳技術の高度化とその普及に取り組んできたところでございます。

 翻訳可能な言語でございますが、三十言語となっておりまして、このうち、英語、中国語、韓国語のほか、ベトナム語、フィリピン語を始めとする訪日、在留外国人対応を想定した十二言語につきましては、実用レベルの高精度の翻訳を実現しているところでございます。

 なお、ウクライナ語でございますけれども、現在のところは対応しておりません。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 現在、ウクライナ語は対応していないということでございますが、ウクライナ語も視野に入れて、できるだけ幅広く言語の対応を進めていただければと思うんですけれども、この点につきまして見解を伺います。

田原(康)政府参考人 お答え申し上げます。

 NICTの多言語音声翻訳技術は、言語ごとに対訳データや音声データ等の言語データベースを整備して、これらのデータをAIで学習させることによって、高精度な音声認識、翻訳、音声合成を実現しているところでございます。

 このため、対応言語を増やすためには、AI学習用のデータとして、追加言語に対する大量かつ高品質な言語データベースの構築が必要となってくるところでございます。

 先ほど御答弁させていただきましたとおり、現在、実用レベルの翻訳精度を実現している言語は十二言語でございますけれども、現在、新たにロシア語ですとかアラビア語等についても対応するため、データベースの整備を昨年度より開始したところでございます。

 なお、言語データベースの構築でございますけれども、一定の費用と期間を要するところでございます。

 ということで、更なる対応言語を直ちに増やすということはなかなか困難でございますけれども、今後の難民の受入れ状況ですとか翻訳ニーズ等を注視しながら、必要な対応について検討してまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 このVoiceTraなんですけれども、現場では、救急隊なんかも、緊急の搬送のとき、外国人の方の場合、このVoiceTraを使って、容体の確認とか、非常に役に立っているということで、今後の更なる精度の向上につきましても取組をよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、近年、自治体におけるAIの活用が進められている。その一つに、チャットボットがあります。現在、地域住民の質問等への自動対応や様々な手続の自動サポートなど、自治体の本格的なサービスの一つになりつつあるとも伺っております。

 今日、このチャットボットは、自然言語処理、いわゆる自動翻訳機による発言内容の解析や、機械学習による発言タイプの分類などの言語処理精度の向上、さらには、対応シナリオの共通化やテンプレート化が進み、優れたサービスをより早く、より安く導入できるようになっていると伺っております。

 そこで、外国人の住民の方が日本での日常生活を少しでも円滑に営めるように、この多言語翻訳システム、VoiceTraをチャットボットへ組み込むことによる、様々な案内や相談の受付、情報サービス等の提供を自動的に進める体制の整備について、所見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

山野政府参考人 お答え申し上げます。

 各地方公共団体におきまして、様々な場面における外国人住民対応に当たり、チャットボットによる自動案内を含め、多言語翻訳サービスを活用した多言語対応の体制整備を行うことは重要であると考えております。

 総務省といたしましては、自治体における多言語翻訳サービスを活用した先進事例の紹介や、多言語翻訳技術を活用した際の必要な財政措置等を行っておりまして、引き続き、デジタル技術を活用した外国人住民対応に取り組んでまいります。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 このチャットボット、外国語だけではなく、様々な自治体の取組に対して適用されることによって、自治体の職員の業務の負担の軽減あるいは住民の方の安全、安心に大きくつながる、このように思っていますので、展開を期待しているところでございます。

 このように、日本というのは、現場のインフラが整った上で、まず言葉の壁を越えて、様々な国の皆さんが安全に、安心して、そうやって受け入れられるような体制の拡充もこれから必要になってくるのかな。また、これは難民の方に加えて、いろいろな状況の中で、地域に定住というか、地域の担い手として頑張られる方もいらっしゃる。

 このような状況を踏まえて、今後、こういった外国人の方に対しての体制の整備あるいは地域の在り方につきまして、金子総務大臣の御所見をいただければと思います。

金子(恭)国務大臣 ウクライナ避難民の受入れ体制から質問していただき、いろいろな話をいただきました。

 実は、数年前、もっと前かな、VoiceTra、無料でダウンロードできるということで、私もスマホで使っていたんですけれども、当時は今ほどは変換率がまだよくなかったんですね。しかし、この前NICTを視察に行きまして、もうかなり充実をして、そして自動翻訳もできるぐらいの状況になっております。

 という意味では、そういうツールを使って、やはり、日本に来られる避難民のみならず、日本にお見えになる方々が日常生活に支障がないようにやっていくということは非常に重要なことであると思います。

 先ほど局長の方から、予算等々も必要な話もございましたけれども、しっかりと、やはり優先順位はいろいろあって、私もウクライナ語をすぐ探したんですけれども、なかったんですね。そういうことも含めて、先生の御意向を受けながら、我々も総務省としてしっかりと受け止めさせていただき、対応させていただきたいと思います。

輿水委員 本当に一つ一つ、技術で解決できることはできるだけ技術で進めていただきながら、また、やはり最後は日本の一人一人の温かさとかそういったものも含めて、地域の多くの皆さんに受け入れられ、また、安心してここで暮らせるような社会の実現を目指して私も頑張っていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、吉川元さん。

吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。

 今日は、既に交付税等々の質疑の際にも何度か他の委員からも質問がありましたけれども、私からも、公立・公的病院に関係して、まず最初に何点かただしたいというふうに思います。

 後で少し細かく取り上げたいと思いますけれども、三月末に策定された公立病院経営強化ガイドラインでは、コロナ禍において、公立病院は、積極的な病床確保と入院患者の受入れを始め、発熱外来の設置やPCR検査、ワクチン接種等で中核的な役割を果たしているとして、感染症拡大時に公立病院の果たす役割の重要性が改めて認識された、このように明記をされております。

 厚労省から再編統合などの再検証を名指しで求められた四百三十六病院のうち、公立・公的病院の八割が新型コロナウイルスの入院患者を受け入れていることも、厚労省の資料で明らかになっております。

 病床不足で圧倒的に多くの感染者が自宅療養を余儀なくされている現状、医療崩壊というような言葉も飛び交った状況でありましたけれども、そのときに公立・公的病院がなかったら一体どうなっていたんだろうと、背筋が寒くなる思いでもあります。

 コロナ禍で重要な役割を果たしてきたのが公立病院だというふうに思いますけれども、大臣はどのような御認識でしょうか。

金子(恭)国務大臣 吉川委員御指摘のとおり、私の地元にも公立病院がございまして、しっかりコロナ対応もやっていただいておりますし、地方に視察に行ったときも、病院長からも公立病院の重要性、そして支援のお願いも受けたところでございます。

 公立病院においては、積極的な病床確保と入院患者の受入れを始め、発熱外来の設置やPCR検査、ワクチン接種などで中核的な役割を果たしているところでございます。

 昨年十月には、岸田総理大臣も、重症者の受入れ等に当たる東京都立墨東病院を視察された際、自らのリスクも顧みず、大変なストレスの中で頑張っておられる皆さんの切実な声を聞かせていただき、感銘を受けましたと発言されているなど、感染症拡大時に公立病院の果たす役割の重要性が改めて認識されたと考えております。

吉川(元)委員 今、総理は現場を訪れたというお話でございました。

 大臣御自身は、実際にコロナ対応に当たっている公立病院などの医療従事者の方のお話を伺ったことはございますでしょうか。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 様々な公務がある中でありますが、現場の声、生の声を聞くことは大変重要であると考えており、政務三役で分担をしながら、できる限り視察に出かけ、現場の声を聞く場を設けているところでございます。

 私自身は、先ほど申し上げましたように、地方に行ったときに院長先生とかからお話を聞いたことはあるんですが、実際、コロナ対応をしている公立病院の現場には、今のところ、これまでは訪れたことはございません。

 この中で、公立病院については、地域医療の確保に関する国と地方の協議の場の構成員でもあります田畑副大臣が、昨年十二月に埼玉県立病院機構循環器・呼吸器病センターを訪問し、医療従事者との意見交換を行っているところでございます。

 私も、全国知事会、全国市長会、全国町村会の皆さんとの意見交換を通じまして、新型コロナ対策の実情をお伺いする中、地方の公立病院の対応状況についてもお聞きしております。

 現場の声として、感染拡大の初期段階では、ノウハウが確立していない中、手探りでの対応が求められたこと、生死に関わる重症者の受入れについては、多くの人手をかけて二十四時間気の抜けない対応が求められることなど、様々な御苦労をされていると伺っております。全国の他の公立病院においても、同様に、限られた医療従事者が日夜大変な御努力をされているものと認識をしております。

吉川(元)委員 大臣、大変お忙しい身でもありますし、政務三役の中で役割分担しながら、しっかり現場の声を聞いていただきたいというふうに思っております。

 実は、なぜこれを聞いたかというと、コロナ禍において、公立病院、医療従事者、働き方が大変になっているというお話も伺っております。

 この点についての大臣の認識を伺います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 全日本自治団体労働組合が……(吉川(元)委員「それは次の質問だよ」と呼ぶ)というふうにはお伺いしておりますけれども、アンケートの中でも、大変な状況だというふうな結果が示されておりまして、なかなか、現場的には非常に厳しい環境下に置かれているのかなというふうに認識しております。

吉川(元)委員 今の答弁は、私が次に聞こうと思っていたことに少し関わることでありますが。

 これはNHKのニュースでも報道されておりましたけれども、自治体の職員団体、自治労が、昨年末から今年初めにかけて、公立・公的医療機関で働く医療従事者約八千人に対して行った調査結果が三月末に公表されております。

 この調査結果を見ますと、医療従事者の方が本当に、言葉に表せないほど苦労されているということがよく分かります。

 現在の職場を辞めたいと思いますかという問いに対して、常に思うが一二%、しばしば思うが二一%、たまに思うが三六%ということで、約七割の医療従事者が今の仕事を辞めたい、辞めようかということを考えたことがある、そういう結果でありました。

 七割の医療従事者が職場を辞めることを考えざるを得ない、この原因、どこにあるというふうに総務省として認識しているでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 全日本自治団体労働組合の方におかれまして先月十七日に発表されました、コロナ禍における公立・公的医療機関で働く医療従事者の意識・影響調査結果によりますと、現場の、職場を辞めたいとする理由として、一つには業務が多忙、そして業務の責任が重い、三つ目といたしまして賃金に不満といった回答が多かったものと承知しております。

 この調査は昨年十一月から本年の一月にかけて行われたものでありまして、新型コロナ感染症対応が長期化し、収束が見通せない中で、その対応に日夜御尽力され、心身ともに大きな御負担がかかっている結果、このような回答になったのではないかというふうに受け止めております。

 総務省といたしましては、感染症対応を強化するためにも、医師、看護師等の確保などが重要であると考えておりまして、本年度から、公立病院への医師派遣に係る特別交付税措置の対象に看護師等の医療従事者を追加するなどの拡充を行いましたほか、経営面でも、今般のコロナ禍におきまして、不採算地区病院の機能維持に支障が生じないよう、特別交付税措置の基準額を三割引き上げるなど、必要な財政措置を講じてきたところでございます。

 また、今回のガイドラインの中では、新たに医師、看護師等の確保と働き方改革について記載を追加したところでございまして、今後とも、各公立病院において医師、看護師等の確保と働き方改革の推進が図られますよう、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 今、アンケートの内容を少し御紹介いただきましたが、読んでおりますと、例えば、防護服を着て新型コロナに感染した患者の看護を長時間行っているが、精神的なストレスだけでなく体の負担も大きい、そういう声が寄せられたり、また、コロナで過重な業務と責任がのしかかる一方で、マイナスの人事院勧告、ボーナスを二年連続引き下げられたことについても、命懸けで勤務しているのにひど過ぎる、そういう声も多いというふうに聞いております。

 今、少しお話がありましたけれども、今回のコロナでは、病床の確保ということが常に課題として言われてまいりました。ただ、いわゆる物質的な病床は確保できたとしても、そこでケアをしていく人が配置をされていなければ、それは単なるベッドにすぎないわけでありまして、そういう意味でいいますと、病床の確保と同じくらい、あるいはそれ以上に医療従事者の方にしっかりと寄り添う、そうした政策が重要だというふうに指摘をさせていただきます。

 それに関連して少しお聞きしたいんですけれども、実は、この調査を見ておりますと、業務量あるいは賃金だけじゃなくて、精神的なストレス、先ほど少しありましたけれども、これが重くのしかかっているというお話がございました。

 その中でも、偏見や差別というものも、やはり、心ない言葉が医療従事者に投げかけられている現状でもあります。例えば、看護師の子供という理由だけで自分の子は塾でリモートになってしまった、あるいは、子供が学校で、コロナの感染者が出たのはあなたのせいだというようなことを言われたとか、こうしたことがやはり現状では起こっているということであります。

 差別、偏見によるストレス、これも、これは公立、民間問わずというふうに思いますけれども、医療従事者の方々に重くのしかかっている。結果、うつ的な症状はありましたかという問いに対して、二三%、四人に一人があったということが回答で寄せられております。

 もちろん、賃金の改善、それから、平時から緊急時に備えた人員配置を計画的に行っていくこと、こうしたことは求められておりますが、同時に、心身への過度な負担が継続をしております公立病院の医療従事者の方々へのメンタルヘルスケア、これも重要だと考えておりますけれども、何かしら具体的な対策というのは考えていらっしゃるんでしょうか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 公立病院に勤務する職員につきましては、コロナ禍におきまして、精神的な緊張を伴いながら、極めて厳しい勤務環境の下で御尽力をいただいておりまして、地方公共団体におきましては、医療に従事する職員などのメンタルヘルスに対し十分な配慮を払う必要があると認識をしております。

 総務省といたしましては、このコロナ禍の状況も踏まえまして、各地方公共団体に対しまして、メンタルヘルス対策に係る各共済組合の相談事業であるとか、地方公務員安全衛生推進協会が行います支援事業などの積極的な活用を助言してきたところでございます。

 また、近年、地方公共団体のメンタル不調による休務者が増加傾向であることも踏まえまして、昨年度に開催いたしました総合的なメンタルヘルス対策に関する研究会におきまして、有識者を交え、地方公共団体のメンタルヘルス対策の在り方を検討したところでございます。最近のメンタル不調による休務者の増加傾向の主な理由としては、業務の複雑化に加えまして、新型ウイルス感染症に係る業務の増加なども挙げられているところでございます。

 今回のコロナ禍では、先ほど御紹介いただいたとおり、医療従事者の方々のように、業務そのものに起因する以外にも、偏見などもあることかと思いますが、家族への影響など、様々な心理的ストレスを抱えることがあるというふうに承知をしておりまして、御指摘のような様々なメンタルヘルス不調の理由に対応するためには、予防から再発防止までの各段階で、人事担当部局や管理職の職員と職場内外の医療、保健スタッフ等が連携して取り組む必要がありまして、そのためにも、首長が先導し、全庁的な取組体制で総合的に取り組むよう、通知により助言をしたところでございます。

 今後とも、各地方公共団体において積極的に取り組んでいただくよう、総務省としても必要な対応を行ってまいります。

吉川(元)委員 続いて、今年二月から実施されている看護師、介護士、保育士などの処遇改善、月額三%程度の賃上げについて質問いたします。

 まず、これは昨年十一月の閣議決定、経済対策の中で打ち出されたものでありまして、介護士、保育士については平均で九千円、看護師については段階的に引き上げるとして、当面一%分の四千円の引上げが行われることになりました。

 確認ですけれども、公立の病院や保育園に働く正規、非正規の職員も対象ということでよろしいでしょうか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の処遇改善事業につきましては、公立の病院、保育所で働く看護師、保育士につきまして、常勤職員、非常勤職員いずれも対象になるものと承知をしております。

吉川(元)委員 そのときの経済対策を読みますと、全ての職員を対象に公的価格の在り方を、まあ、公的価格というと何か非常に難しい言葉ですが、要は賃金を引き上げていく、処遇を上げていくということだと思いますけれども、抜本的に見直す、こういう文言が入っております。

 ところが、実際には、例えば看護師の賃上げを例に取ると、看護師と同じくコロナ対策の最前線に立つ医師、薬剤師、事務職員、病院の給食調理師などは対象外ということになっておりますし、また、対象となっている看護補助者、理学療法士、作業療法士などは、対象とはなっておりますが、ただ、その原資というのはあくまで看護師に出す四千円、つまり、看護師掛ける四千円分の原資の中でやってくれというふうな仕組みになっております。

 それから、あと、看護師の賃上げの対象となる医療機関については、二〇二〇年度の一年間を通じて救急搬送件数二百件以上、これが条件につけられております。規模の大きな病院というのは恐らく二百件は優に超えているんだろうと思いますけれども、地方の公立病院だとこの条件をクリアしていない病院も、もしかするとあるかも分からないというふうに思います。ただ、ひとしくコロナの中で大変御苦労いただいていることに、私は、変わりはないだろうと。

 先ほど、冒頭にも紹介したとおり、八割の公立・公的病院が患者を受け入れているということも踏まえれば、こうした条件をあえてつける必要があるのかというふうに思いますが、なぜこのような条件をつけたのか、教えてください。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、厚生労働省が担当しております看護職員の処遇改善についてお答えを申し上げます。

 先生御指摘の対象職種でございますが、今回の処遇改善の収入は、医療機関の判断によりまして、御指摘のとおり、看護補助者、理学療法士、作業療法士などのコメディカル、この方々の処遇改善に充てることは可能ということで、柔軟な運用を認めてはおります。

 ただし、御指摘の医師ですとか薬剤師、こういったところの職種につきましては看護職員よりも賃金水準が相当程度高いということ、また、一般の事務職及び調理師などにつきましては医療サービスを患者様に直接提供していない、こういうことから、今回対象とはしておりません。

 また、対象となる医療機関につきましても、看護職員の賃金水準が元々、全産業平均に比較をいたしますと高いといった状況の中で、地域においてコロナ医療など一定の役割を担っていただいている医療機関としたところでございます。

 具体的に申し上げますと、平均一日一台程度は救急車の搬送を受け入れていただいている医療機関ということを念頭にしておりまして、救急医療管理加算を算定する救急搬送件数が年間二百件程度以上の医療機関、また、三次救急を行う医療機関というふうに整理をさせていただいております。

 この対象となる職種や医療機関につきましては、様々御議論があったところでございますが、昨年閣議決定をされました経済対策、また公的価格評価検討委員会での中間整理などを踏まえまして、予算編成過程の中で決定させていただいたというところでありまして、御理解をいただければと考えております。

吉川(元)委員 御理解いただけますかと言われると、私はちょっと理解に苦しみますね。

 例えば、事務職員にしろ、あるいは給食調理にしろ、コロナ対応というのは私はあると思うんですよね、実際は。例えば、コロナ患者さんへの給食についても、戻ってきた食器も含めていろいろな作業をしていかなきゃいけないですし、そういう意味では、ストレスはひとしく同じようにかかっている。

 それを、私は、今回のように対象にするものとしないものに分けるということは、果たして適切なのかというふうに指摘をせざるを得ないというふうに思いますし、総理が打ち出した経済対策、ここには、全ての職員を対象にというふうに書かれているわけですよね。この全ての職員というのは、日本語で読めば、全ての職員なんですよ。

 その中で、対象になる人とならない人を切り分ける、あるいは条件をつけて、二百件以上の救急搬送だけ対象にするとか、これは総理の行った経済対策の考え方と、私はそごがあるというふうにしか思えないということも指摘をさせていただきます。

 続けてお聞きしますけれども、賃上げ原資の補助金を得るには、賃金改善を実施した、二月、三月に賃上げを実施した旨の用紙を都道府県に提出、さらに、四月中に事業計画書を提出するということになっていると承知をしております。

 ですので、既に賃上げを実施したかどうかについては、今、四月ですから、二月、三月の実施の旨の用紙はもう都道府県の方には提出をされているというふうに思いますので、公立の医療機関、公立の保育園のうち、実際に処遇改善を行ったものはどの程度の割合になるんでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の看護職員に係る処遇改善、これは先生から御指摘いただきましたように、二月から九月につきましては補助金で対応しておりまして、段階的に引き上げるということになっております。

 これにつきましては、今月、この四月から、医療機関から都道府県への申請が開始をしたところでございまして、都道府県におきましては、各医療機関からの申請内容を取りまとめていただいた上で、五月の中旬目途で厚生労働省に交付申請を行うスケジュールとなっております。

 厚生労働省といたしましては、都道府県からの交付申請、これを受けて補助金の交付決定を行う中で、今般の補助金を活用した医療機関における処遇改善の実施状況、こういったものを把握してまいりたいと考えております。

相川政府参考人 お答えいたします。

 今般の保育士等の処遇改善に関します補助金について、処遇改善に取り組んだ施設数は把握しておりませんが、三月四日までに保育所、幼稚園等について国に補助金の交付申請があった市町村のうち、公立保育所について申請があった市町村数は四百七十四市町村となっております。

吉川(元)委員 四百七十四市町村ということですから、全体で二千ありますから、全部申請しているわけではないというふうに思います。

 医療機関についてはこれからだということですので、内閣府に尋ねますけれども、何を理由にして取り組まなかったのかということについて把握をしているでしょうか。

相川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げました申請状況は、三月四日までに市町村から国に対して申請がありました令和三年度分の市町村数を集計したものでございますが、市町村から国に対する交付金の申請につきましては、令和四年度に令和三年度分も含めて交付申請を行うことも可能としておりまして、今後追加で申請する市町村もある見込みです。

 これまでの交付申請について、内容確認等を行う機会を捉えまして、申請の出ていない市町村の意向について、網羅的ではありませんが確認できたところでは、保育所以外の施設職員や他の職種の給与との均衡等の観点から、公立の保育所の職員について賃金改善を行うことは困難と考え、今回の補助金は活用しない意向の市町村があるものといったことを把握しております。

 いずれにいたしましても、地方公務員である公立施設の職員の賃金につきましては、自治体によって、職種ごとや会計年度任用職員の給与体系は様々であると承知しており、今般の処遇改善の趣旨を御理解いただいた上で、それぞれの自治体において適切に御判断いただくものと考えております。

吉川(元)委員 ほかの職種との均衡を考えた上で申請していないというお話でした。

 これも岸田総理が行った経済対策の中で、新型コロナウイルス感染症への対応と少子高齢化への対応が重なる最前線において働く方々の収入の引上げ、ここには均衡なんということは入っていないわけですよ。だとすれば、これは内閣府の責任というよりは各自治体の対応の問題かとは思いますけれども、この考え方に基づく経済対策として行われる補助金の交付と処遇の引上げですから、何をやろうとしているのかということについて、きちんとやはり各自治体には周知をお願いしたいというふうに思います。

 次に、昨年の十二月から今年の二月上旬にかけて、総務省から、都道府県などに対して、公的部門における処遇改善事業の実施について、こういう通知が出されております。ここで、民間の給与水準が考慮された給与水準となるよう見直しを行うことということが付されておりますが、これはどういう意味合いなんでしょうか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 会計年度任用職員の給与水準につきましては、地方公務員法に定める職務給の原則や均衡の原則などの給与決定原則にのっとりまして、当該会計年度任用職員の職務と類似する職務に従事する常勤職員の給料表を基礎としつつ、職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、技術及び職務経験等を考慮するとともに、地域の民間企業における同一又は類似の職種の労働者の給与水準の状況等にも十分留意して決定する必要があるというふうに考えております。

 今回の処遇改善事業の対象職種につきましては、実際、職務経験や業務の専門性が適切に考慮されず、その結果、多くの団体で民間の同種又は類似の職種と比べて給与水準が低くなっている可能性があるなど、会計年度任用職員の処遇改善については検討いただくべき余地があるものと認識しております。

 こうしたことを踏まえまして、総務省といたしましては、各地方公共団体が、今回の経済対策の趣旨を踏まえ、対象となる職員の処遇改善について、地域の民間の給与水準等も考慮して適切に対応いただけるよう助言したところでございます。

吉川(元)委員 いみじくも、会計年度任用職員の賃金水準が民間に比べても低いというのが実情だというようなお話がございました。

 もちろんそれをきちんと引き上げていくことは必要なんですが、ただ、私、非常に気になるのは、民間との比較という言葉が、この緊急対策の、経済対策の中で出てくる。

 今回は、例えば保育士等々については九千円上げる、看護師等については四千円上げるというふうになっているわけですよね。当然、そのベースにあるのは、今の賃金水準がベースとしてあるわけで、だとするならば、現在ある賃金水準というのは、既に昨年の、今年はいろいろ事情があって給与法の改正が年を越してしまいましたけれども、既に均衡は担保されている。民間も九千円と四千円上がるとすれば、そんな、いろいろな民間との比較云々かんかんということを抜きにして九千円と四千円上げても、官民の均衡というのは保たれているというふうに私自身は考えております。

 低過ぎる会計年度任用職員の給与を引き上げることについては、きちんと引き上げてください、私はそれだけで十分だというふうに思いますし、あえて、やはり官民の比較、簡単に言うと、二月、三月に申請してくださいということでやり始めると、これは、人事委員会それから人事院、これから今年度また人勧が出てくるわけですけれども、そういう意味で、ラスパイレスに基づいて、同職種、あるいはいわゆる仕事の責任の度合いだとか経験年数等々も含めて、非常に精緻な調査を行うわけです。

 こういう緊急の経済対策というのは、それは間に合わないと思うんですよね。やろうと思ったってできない話であって、それをここで引き合いに出していくということについては、私自身は、ちょっと、何かあるとそのたびにこういう言葉が出てくるというのはいかがなものかというふうに思います。

 そういう意味で、後で時間があれば少し触れますけれども、会計年度任用職員の制度、開始によって処遇改善が進んだところもあるんですが、今いみじくも言われたとおり、そうでないところもある。そういうことがないように是非していただきたいというように思いますが、大臣の見解を伺います。

金子(恭)国務大臣 吉川委員には、いろいろ御指摘をいただきました。

 自治体の現場では、保育士や看護師など数多くの職員が、地域住民の期待に応えるべく、最前線で御尽力いただいております。

 地方公務員の給与は、地方公務員法に基づき、毎年、国家公務員や民間等との均衡を考慮して、条例により定められております。このことは、地方公務員の適正な処遇の確保と地域住民の理解を得るために妥当な手法であり、今般の処遇改善の取組の下においても変わるものではなく、また、趣旨が相反するものでもないと考えております。

 なお、特に会計年度任用職員については、現状においても民間の同種又は類似の職種と比べて低い給与水準となっている場合があるなど、各団体において対応を検討いただくべき余地があるとの認識の下、総務省として、必要な助言を発出しているところでございます。

吉川(元)委員 言わんとすることは分からないではないです。だとするなら、もうちょっと丁寧に通知を書いていただきたい。会計年度任用職員については民間に比べても低い、だからこれはしっかり上げなさいよということを、上げなければならないですよというようなことも含めて書いていただかないと、逆に誤解をしてしまうところも出てくるのではないかということを少し危惧いたします。

 それと、あと一点なんですけれども、今年の九月分までは国の補助金が賃上げ原資ということになりますが、看護師それから介護士等についてはそれぞれ診療報酬、介護報酬等の改定で対応はできるということではありますけれども、保育士の場合、九月以降の原資というのは交付税で措置されているという理解でよろしいんでしょうか。

相川政府参考人 お答えいたします。

 今回の保育士等の処遇改善につきましては、本年二月から九月までの間は令和三年度補正予算で対応することとしております。

 十月以降の取扱いにつきましては、賃上げ効果が継続されますよう、令和四年度予算において、私立保育所については公定価格の見直しにより措置を行いますとともに、公立保育所については地方交付税措置を講じることとしております。

吉川(元)委員 分かりました。

 では、次に、先ほど少し触れましたガイドラインについてですけれども、新たなガイドライン、これは名称も少し変わっておりまして、過去、二〇〇七年は公立病院改革ガイドライン、二〇一五年は新公立病院改革ガイドライン、これが、三月二十九日に出されたものを見ますと、持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドラインと、これまでは病院改革という言葉が、病院経営強化というところに名前が変わっております。

 読みますと、やはり、これまでの統廃合、合理化ありきからは若干変わった印象も持つんですが、過去のガイドラインと比べてどの点が大きく変わったのか、また、なぜそうなったのかの理由を教えてください。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 新たなガイドラインは、もとより公立病院の病床削減、統廃合は前提としておりませんが、これまでの公立病院改革ガイドラインとは異なり、持続可能な地域医療提供体制の確保のために、限られた医師、看護師等の医療資源を地域全体で最大限効率的に活用するという視点を最も重視しているところでございます。

 具体的には、前ガイドラインの再編、ネットワーク化に代えて、病院間の役割分担と医師派遣等による連携強化に主眼を置いた機能分化、連携強化を推進することとしております。また、新たな課題への対応として、医師、看護師等の確保と働き方改革、新興感染症の感染拡大時等に備えた平時からの取組を盛り込んだところでございます。

 新たなガイドラインに沿って、各自治体が、地域の実情を踏まえて各公立病院の経営強化に主体的、積極的に取り組んでいただくことで、持続可能な地域医療提供体制の確保に資するものと考えております。

吉川(元)委員 統廃合、合理化ありきではないということ、また、その点については大臣のおっしゃるとおりだろうというふうに思いますが、他方で、再検証を求められた四百三十六の公立・公的病院のうち、七八%に当たる三百四十病院で、二〇二五年までに病床機能あるいは病床数を変更する計画があるというふうにも聞いております。結果、この四百三十六病院の全体の病床数、六万五千九百床から六万二百床、つまり、五千七百床、率にすると八・六%減少する見込みだということも明らかになっております。

 今おっしゃった、新興感染症の感染拡大時等に備えた平時からの取組では、感染拡大時に活用しやすい病床や転用しやすいスペース等の整備を具体的に求めておりますけれども、その一方で病床数は減っているということについては、これはガイドラインの趣旨とそごが生じているのではないかというふうにも思うんですが、この点、いかがですか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 地域医療構想は、人口構造の変化を踏まえまして、地域の医療ニーズに合わせ、質の高い効率的な医療提供体制の確保を目指し、医療機関の機能分化、連携等に取り組むものと承知をしております。

 厚生労働省の方におかれましては、令和四年三月二十四日付の医政局長通知におかれまして、各都道府県に対し、地域医療構想に係る各医療機関の対応方針の策定や検証、見直しに当たりまして、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により病床の機能分化、連携等の重要性が改めて認識されたことを十分に考慮するよう求めておりまして、その点で、地域医療構想の実現に向けました取組は、新興感染症の感染拡大時等への備えと整合的なものとする必要があると考えております。

 なお、この地域医療構想の進め方につきましては、昨年十二月に開かれました地域医療確保に関する国と地方の協議の場において、厚生労働省から、病床の削減や統廃合ありきではなく、各都道府県が地域の実情を踏まえ主体的に取組を進めるものとの表明がなされております。

 また、公立病院経営強化ガイドラインにおきましても、公立病院経営強化の取組は、各地方公共団体が、各々の地域と公立病院が置かれた実情を踏まえつつプランを策定し、主体的に取り組むものとしているところでございます。

吉川(元)委員 ただ、聞いていると、利用のニーズということで、人口が減少している地域においてニーズは減っている云々かんかんだとかいろいろなものと、今回のコロナとで、ベクトルが、やはりどうしても逆方向に向くようなベクトルになっているんじゃないかと。

 今回のコロナのことを考えたとき、冒頭に聞きましたけれども、公立・公的病院の果たす役割というのは、特にこういう新規の感染症、また、どんなウイルスなのかよく分からない時期等も含めて、やはり中核的に対応できるのがこの公立・公的病院だというふうに思いますし、そこをよりまた重視をしていくことが私は必要だというふうに考えております。

 病床に限らず、医療器具あるいは医療従事者の確保、充実、これは間違いなく必要になりますが、この点についての財政的措置というのはどのように行われるんでしょうか。

前田政府参考人 各公立病院におきます医師それから看護師等につきましては、現在講じておりますところの財政措置を引き続き講じますとともに、今般、それぞれの病院におきます連携強化ということもございますので、医師、看護師等の相互の派遣、これに係ります特別交付税措置についても拡充を図るというふうにしているところでございます。

吉川(元)委員 もう余り時間がありませんので、最後に、会計年度任用職員の関係、処遇について少し、一点だけお聞きしたいというふうに思います。

 会計年度任用職員の処遇改善、是非継続して取り組んでいただきたいんですが、早急に実現すべきは、私は、一時金の勤勉手当支給だというふうに思っております。

 人勧に基づく給与改定をここ数年ずっと見ておりますと、プラスのときには勤勉手当でプラスするんです。マイナスのときは期末手当の方でマイナスにするというのがずっと続いております。今、地方の会計年度任用職員は期末手当のみです。ですから、上がるときには上がらず、下げられるときは一緒に下がるという非常に不平等な処遇になっている。

 国家公務員については既に勤勉手当が支給されております。何で地方公務員がそれはできないのか。日頃から国公準拠、国公準拠というふうに何度も言われているんですけれども、なぜできないのか。必要な自治法の改正案も含めて、勤勉手当の支給ができるよう見直すべきではありませんか。

金子(恭)国務大臣 もう吉川委員もよく御承知のとおり、会計年度任用職員に対する勤勉手当については、会計年度任用職員制度の開始時には、今後の検討課題としていたところでございます。

 検討に当たっては、各自治体における期末手当の定着状況や国の非常勤職員に対する支給の運用状況なども踏まえる必要がありますが、制度創設に当たり、自治体と意見交換を行った経緯も考慮いたしますと、まずは自治体の御意見を改めて伺うことなどによって取組を進めていきたいと考えております。

吉川(元)委員 是非前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 以上で終わります。

赤羽委員長 次に、沢田良さん。

沢田委員 日本維新の会、埼玉の沢田良です。

 金子総務大臣、関係省庁の皆様、委員部の皆様、本日もよろしくお願いいたします。

 マイナンバーカード普及の手段として、メリットを打ち出そうとマイナポイントがスタートしました。マイナンバーカードと健康保険証の機能を併せ持つマイナ保険証には七千五百円相当のポイント付与を目玉とするマイナポイント第二弾の裏側で、マイナ保険証を四月から病院等で使用した場合、初診時支払いが二十一円上がるなど医療費負担が増えるということについて、メディアやSNSを通して不信感、矛盾という言葉とともに大きな批判が続いています。

 四月五日に、私から総務委員会にて厚生労働省に経緯などを質問しましたら、よりよい医療を受けられるというメリットがございますことから、その旨を丁寧に周知、広報に取り組みまして、御理解が得られるよう努めてまいりたいと答弁がありました。負担増に対する説明はありましたが、負担増への国民の不信感への認識は全く感じません答弁でした。

 質問です。メリットがあれば負担増が問題ないという意味でしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 先般の先生の御質疑の中で、私の方から、患者さんにとりましては、今回の報酬改定によって、医療機関、薬局においてマイナンバーカードを健康保険証として利用いただいて、医療機関等への情報提供に自ら同意したときは過去の薬剤情報や特定健診結果が医療機関等に提供されまして、医師等がこれを閲覧して診療等が行われることによって、よりよい医療が受けられるようになるというふうに考えておりまして、そのようなことを答弁させていただいたところでございます。

 私どもといたしましては、改めてちょっと、メリットを丁寧に御説明させていただければと思いますが、患者さんがカードリーダーで情報提供に同意いただいたときには、例えば御自分がこれまで処方されて使っていたお薬、あるいは過去の健康診断の結果を患者さんがお医者さんに説明するときには、不正確になりがちなところがどうしてもあると思うんですけれども、データによってそれを正確に医師等に伝えることができるようになる。

 また、お薬手帳には実は記載されておりませんような、入院中の薬剤とか、あるいは院内処方で、医療機関の中で投薬された薬剤も含めて、別の医療機関とか、あるいはほかの診療科で処方されました薬剤の網羅的な情報が医師等に提供されるような形になってくるということになります。

 そうなりますと、お医者さんがそれを閲覧いただくことによって、より多くの種類の正確な情報に基づいた総合的な診断、あるいは、重複する投薬を回避して適切な処方を受けるといったようなことができるようになるものと考えてございます。

 このため、厚生労働省といたしましては、今申し上げましたように、これは患者さんにとっても非常にメリットのある話でありますので、適切な負担をこれはお願いせざるを得ないというふうに考えてございますが、この前も御答弁申し上げましたように、私どもとしては、やはり国民の皆様にこれをきちんと丁寧にお伝えをしていくということが重要だと考えておりますので、その点、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 私も、本当に厚生労働省の皆さんが現場で大変御尽力いただいて、やはりよりよい医療をというところで動いていただいているのは、もう実際に触れていて分かるんです。なので、今回やられたことが単体で悪いというふうには私は言っているつもりはないんです。ただ、タイミングと方向性というものがあって、それを間違ってしまうと、いいアイデアも悪く捉えられてしまう。こういったことが、やはり考えていかなければいけないことだと思います。

 また、たった二十一円くらい、こう思っていたのかもしれないんですけれども、今、現状を考えてください。年金は減る、保険料負担は上がる、国民負担率は戦後最悪の四八%、原油高を含めてコストプッシュインフレで生活費用が多くかかり、給料はずっと上がらないんです。レジ袋三円、五円でもコンビニで不要と言っておる方が多くいらっしゃる現状は、今までの政治が失敗を続けてきて、これを国民の皆様に多くの我慢をお願いして成り立っているということを、我々政治家だけじゃなく、官僚の皆様も忘れないでいただきたいんです、私は。

 また、今回のプロセスのところ、単体で悪いのではなく、このプロセスのことについては、やはり誠実にやっていく。これは比較するものは、民間ではどうやるのかということになりますが、是非そこも考えていただきたいと思います。

 そんな中、補正予算には約一・八兆円という莫大な税金を使ってやるという可否を求める際に、私は、国会議員として議席をいただいております、全くこの説明を受けていません。普及させるインセンティブだけを考えれば、望んだ効果が出ない可能性があると、そのときに厳しく追及をしておりました。

 三つ質問させていただきます。

 この診療報酬改定の仕組みとはどんなものか。そして、いつ今回の診療報酬改定が決定したのか。そして、なぜマイナポイント第二弾の補正予算の際にこの話の説明がなかったのか。教えてください。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 診療報酬改定でございますけれども、通常、予算編成過程を通じて内閣が決定した改定率を所与の前提といたしまして、社会保障審議会において策定されます診療報酬改定の基本方針に基づいて、診療側委員、支払い側委員、公益委員の三者で構成されております中央社会保険医療協議会において、具体的な診療報酬点数の設定等に係る審議を行って実施をしております。

 こうした流れの下、令和四年度診療報酬改定につきましては、本年一月十四日に、厚生労働大臣が中央社会保険医療協議会に対して診療報酬改定に係る諮問を行い、二月九日に、中央社会保険医療協議会が厚生労働大臣に対する答申を行って、三月四日に、告示、通知を発出をいたしまして、その後、細かい疑義解釈の発出なども行ってきているところでございます。

 今般のマイナンバーカードの健康保険証利用に係るこの診療報酬の加算につきましては、昨年夏頃より中央社会保険医療協議会において実は議論が進んでおりましたところでございますが、具体的には、本年一月に、評価の具体的な内容についてお示しをした上で議論を行って、二月九日に、点数設定を含めて厚生労働大臣に対する答申が行われたという経過をたどっておりますものですから、マイナポイントとはちょっとそのタイミングがずれているといった経過があったということを御理解いただければありがたいと思っております。

沢田委員 私が御理解するということではなく、やはり比較は国民の皆様なんです。

 やはり、我々が本会議で決めるような内容じゃない以上は、ある程度じっくりと議論をされた上でこれは決まっているんですね。一月十四日にある程度決まっているということは、補正予算の際には、ある程度の流れとしてはこれは決まっているんですよ。そういう決定に先立って、せめて事前に厚生労働省から、費用負担が上がる部分は、例えばそれ以上のメリットにつなげていきますので安心してください、こういうふうなアナウンスがあれば、私は納得はしませんが、不信感という言葉は今回のメディアやSNSの中でも出なかったと考えております。

 ちなみに、診療報酬の定期的な改定時期以外に診療報酬を例外的に変更した事例というものがあったら教えてください。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 診療報酬の改定につきましては、医療現場におけます環境の変化に対応して、保健医療サービスの対価の適時適切な設定が求められているところでございますが、それと併せて、前回改定の検証、それから中央社会保険医療協議会における関係者の丁寧な議論に一定の時間を要するといったことを踏まえまして、昭和六十三年度の改定以降、原則として二年に一度実施されてきております。

 一部、消費税の導入や税率の引上げへの対応といった例外はございますけれども、基本的にそれ以外の時期には改定は実施されていないというところでございます。

 以上でございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 二年に一回の改定と、消費税が上がるときには変更があったということなんです。

 私も調べてきたんですけれども、二〇一八年四月に妊婦や胎児に配慮した丁寧な診療が必要として導入された妊婦加算、これが少子化対策に逆行する等の多くの批判とともに社会問題になったんですね。自民党の厚生労働部会の働きかけの下、二〇一九年一月からの凍結が決まった、これは当時報道されています。世論の動きに政治的な判断が働き、間違いを認め、変更があった事実が過去にこうやってあります。

 今回の件は、あくまでマイナンバーカードを普及させていくという、一・八兆円も財源を使った大変大きなプロジェクトだからこそ、丁寧なアナウンスがなかったこと、又は、内閣を挙げて取り組むマイナンバーの普及の方向性とはくしくも逆の効果を生んでしまう可能性が高いという現状は、私は早急に対応すべきと考えます。

 そもそも厚生労働省も、私が以前質問した内容に対する答弁で、医療機関等にとりましては、導入により事務コストが削減される、これを答弁されているんですね。マイナ保険証に対応した設備の導入、維持のコストより事務コスト圧縮のメリットが均衡又は上回る可能性も見越している以上、値上げを今回断行する根拠も私は乏しいと感じます。

 厚生労働副大臣、今日来ていただいているんですけれども、お伺いいたします。

 マイナ保険証に関わる報酬改定を凍結すべきと考えますが、どうでしょうか。また、凍結できないというならば、二年後の改定に向けて調査と、今回の改定での値上げ部分について再考するとお約束していただけませんか。

佐藤副大臣 先ほど政府参考人から答弁したとおり、令和四年度の診療報酬改定では、マイナンバーカードの健康保険証として利用できるオンライン資格確認について、外来で患者の方が情報提供に同意して、医師がこれらの情報を活用して診療が行われた場合等に、初診料等に新たな加算を設け、評価をしております。

 この場合、通常の診療報酬改定と同様の窓口負担が生じることになりますが、患者の同意を前提として、従来の保険証にない機能が追加され、この機能を利用することで患者の方々はより質の高い医療が受けられるようになるというメリットがあることから、御理解をいただければと思います。

 この点について、先ほど事務方も申し上げたように、丁寧に周知、広報に取り組み、御理解を得られるよう努めてまいりたいと思います。

 なお、今回改定の影響につきましては、今後厚生労働省において調査、検証してまいる所存であります。今回の国会での議論の状況も共有しながら、評価の在り方につきまして、中医協において議論してまいりたいと考えております。

沢田委員 副大臣、ありがとうございました。

 早急にちょっと動けない部分も当然あると思いますが、是非、国民の皆様は本当に今苦しい生活をしています。今、日本全体が貧しくなっているから、我々国会議員は大変大きな税金をいただいている立場でもあります。ここは、本当に政党関係なく前に進めていただければと思います。

 金子総務大臣の方に今度は質問を変えさせていただくんですけれども、前回、患者側のメリットが伝わらないと、マイナ保険証利用の拡大に対して一定の影響を及ぼすのではないかと懸念があることを承知という御認識を確認いたしました。また、導入状況も踏まえながら、総務省としても、厚生労働省、デジタル庁と適切に連携して、必要な対応を行うとも言われました。

 お伺いいたします。導入状況を定期的に把握して、必要があれば総務省として動かれるという認識でいいでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードの健康保険証利用を拡大していくためには、患者側のメリットを国民の皆様にしっかりとお伝えすることが大変重要であると認識しております。

 そのための様々な方策につきましては、厚生労働省において検討されているということでございますので、総務省といたしましても、厚生労働省やデジタル庁など関係省庁と連携をして、対応を検討してまいりたいというふうに考えております。

沢田委員 私は、社会保障の新しい在り方の中心こそがマイナンバーであると確信していますし、マイナンバーカードが普及して、更に利便性を高める方向につなげていきたいとも考えております。今回の一件で、マイナンバーカードのいろいろな機能とのひもづけに否定的な意見が大きくなることだけは避けてほしいと切に願っております。

 改めて確認したいのですが、マイナンバーカードの利活用について、どこの省庁が所管しているのか、詳細を教えてください。

内山政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードの利用に関する各省庁の役割分担につきましては、まず、他の府省の所掌に属するものを除いてデジタル庁が所掌しておりますけれども、個別具体のマイナンバーカードの利用については、事業を所管する各省庁において所掌しているところでございます。

沢田委員 結構やはり、私も調べれば調べるほど縦割りという状況で、目的がいろいろな省庁で違うことになっていることが、今回のように、大きな方向性として一・八兆円も使ってマイナンバーの普及を目指している中でも、逆で見てしまった場合に、その方向性については逆を向いてしまうということが起こってしまったんじゃないかなというふうに思っています。

 最後になりますが、金子大臣にお伺いします。

 マイナンバーカードのように省庁横断しているものは、検討段階から様々な議論を積み重ねていくべきであり、今後、更に緊密に連携を取っていく必要があると思いますが、どうでしょうか。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど事務方から答弁したとおり、マイナンバーカードの健康保険証利用により、患者には、より適切な医療が受けられるようになるメリットがあります。

 一方で、このような患者側のメリットが国民の皆様に十分に伝わっておらず、マイナンバーカードの健康保険証利用の拡大に対して一定の影響を及ぼすのではないかとの懸念の声があることは、私としても先日の答弁でもお答え申し上げました。

 診療報酬制度は厚生労働省の所管であり、まずは厚生労働省において、国民の皆様に御理解をいただくための努力をしてもらう必要があると思います。

 その上で、私としても、後藤厚生労働大臣や牧島デジタル担当大臣と適切に連携をして、必要な対応をしてまいりたいと思います。

沢田委員 どうもありがとうございます。是非、大臣が任期中に進めていっていただければと思います。

 質問の途中となりますが、時間が来ましたので、御準備いただいた関係省庁の皆様、申し訳ありません。次回に持ち越しさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

赤羽委員長 次に、中司宏さん。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 今回は、インターネットによる誹謗中傷、人権問題等について質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、この問題で、総務省の違法・有害情報相談センターに寄せられている相談件数ですけれども、平成二十七年度以降、毎年年間五千件を超えている、十年間で四倍となっているわけでございます。

 インターネット上の誹謗中傷については、発信者が軽い気持ちで行った行為であっても、被害者が受けるダメージは計り知れず、不幸にして傷ついた被害者が自ら命を絶ってしまうなど、本当に大きな社会問題となっているわけでございます。

 その加害行為に対して、刑事上、民事上で責任を追及するためのハードルは高く、しかも、責任範囲が軽いことや、また、被害者が刑事上、民事上の手続を行うには時間的にも経済的にも大きな負担を伴う、そうしたことなど、様々な問題をはらんでいると思っています。

 昨年、プロバイダー責任制限法について、訴訟手続の簡素化、迅速化を図るため、法改正がなされました。新たな裁判手続がこれから創設されるわけでありますけれども、これは一歩前進だと思いますけれども、まだ根本的な解決とは言えないと思っています。

 一方、地方自治体においては、先般、大阪府議会が、インターネット上の誹謗中傷や差別等の人権侵害のない社会づくり条例、これを制定されました。これまでに群馬県、それから大阪の大都市などでも同様の条例が制定されるなど、取組が進んでいるわけでありますが、地方でできる対策には限界があるため、実効性のある法整備を速やかに行うよう要望する意見書や提案が多くの自治体から出されている状況でございます。

 我が党では、この問題の解決に向けて、党内にプロジェクトチームを立ち上げるなど、その中で、仮称インターネット誹謗中傷防止法案を提出する準備を進めているところでございます。予算委員会でこの問題を取り上げた我が党の岩谷議員の質問に対し、岸田総理は、個人の人格や名誉が傷つけられるような誹謗中傷をなくすようにしっかり対応していかなければならない、こう答弁されているわけでございます。

 そこでまず、インターネット上の誹謗中傷の現状と対策についてどのように認識されているのか、そして、被害者救済のために、法整備を含めたより一層の対策強化にどのように取り組まれるのか、金子総務大臣の見解を伺います。

金子(恭)国務大臣 中司委員を始め維新の先生方に、私自身も予算委員会や他の委員会でも、このインターネット上の誹謗中傷については御指摘をいただいているところでございます。

 個人の方の人格や名誉を傷つけるようなインターネット上の誹謗中傷は許されないものであり、その対策は喫緊の課題であると考えております。一方で、この問題は、表現の自由や通信の秘密といった憲法上の権利利益に関わるものであることから、極めて慎重な対応が必要であると認識しております。

 このような認識を踏まえ、総務省では、インターネット上の誹謗中傷への対策について、二〇二〇年九月に取りまとめた政策パッケージに基づき、関係省庁や事業者とも連携をしながら、取組を強化してまいりました。

 具体的には、例えば、昨年四月にプロバイダー責任制限法の改正を行い、発信者情報の開示に向けた裁判手続の迅速化など、より円滑な被害者の救済が図られるよう、施行に向けた準備を進めております。

 また、総務省の有識者会議において、プラットフォーム事業者に対し、自主的な対応状況などについて持続的にモニタリングを実施をしております。

 このように、まずは既存の制度の実現性を高めていくとともに、事業者による自主的な取組を促すことにより、より迅速かつ効果的な被害者救済の実現に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

中司委員 ありがとうございます。

 しっかりと取り組んでいただきますようにお願いいたします。

 その中で、発信者情報の開示等について、何点か質問をさせていただきます。

 インターネット上の誹謗中傷の被害者が、発信者に対し責任を追及、責任を求めるためには、プロバイダー責任制限法に基づいて、発信者の特定のための情報の開示を請求することになるわけですけれども、しかしながら、発信者を特定するために必要なIPアドレス等の通信ログの保存期間は通常三か月程度と短く、情報開示を求めるときには既に削除されているおそれとか、事業者がそもそもIPアドレスを把握していないなど、発信者の特定ができない場合があります。

 このため、事業者に対し、IPアドレス等の通信ログの取得義務化や保管期限の延長を求める、そういう必要があるということ、それから、海外のプロバイダーとの連絡に時間がかかることや、日本法人等に連絡しても発信者の開示に応じないケースがある、そうした海外のプロバイダー対策について、それから、開示の対象が不特定多数が利用するSNSへの投稿に限られ、メール等での一対一のやり取りがプロバイダー責任制限法の対象となっていないこと、こうした問題点が挙げられるわけですけれども、これらの点への対策、これについてお尋ねいたします。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 今先生の方から、三つ御質問を頂戴したと思います。

 まず最初、ログについてでございますけれども、通信記録、ログはインターネットユーザーの個人情報であるとともに、通信の秘密に属する情報でもありますので、厳格な取扱いが求められるものでございます。

 このため、ログ保存を義務づけることにつきましては、ログが通信の秘密であることに加えまして、プライバシーに関わる情報でもあることなどから、慎重な対応が必要であると考えております。

 他方、改正プロバイダー責任法におきまして、侵害投稿通信のログを有していないプロバイダーを念頭に、ログイン時の情報を開示可能な情報として追加をするとともに、プロバイダーの保有する発信者情報が保存期間の経過により消去されないようにする措置を取る観点から、被害者が開示命令の発令を待たずにプロバイダーに対しログの消去を禁止する命令を申し立てることが可能となってございます。

 こうした仕組みを通じまして、被害者の円滑な救済に資すると考えているところでございます。

 二点目のお尋ねでございます。

 海外プロバイダーへの開示請求等に応じない例があるということに対する対応ということでございますが、海外のプロバイダーに対して、我が国の裁判所におきまして、プロバイダー責任制限法に基づく発信者情報の開示を求める旨の訴えを行うことが可能でございます。

 実際、我が国の裁判所の決定に多くの海外のプロバイダーが従っている、既に従っているということを承知をしているところでございます。

 また、昨年四月に成立をいたしましたプロバイダー責任制限法の改正法におきましても、現行法と同様に、海外のプロバイダーは裁判所の決定に従うものと考えているところでございます。

 また、海外のプロバイダーが改正法に円滑に対応できるように、法務省など関係省庁とも連携をして対応を進めてまいりたいと考えております。

 それから、三点目のお尋ねでございます。

 一対一通信の開示が対象となっていないという点の考え方でございますが、不特定の者によって受信される情報につきましては、他人の権利を侵害する情報が流通した場合には、被害が無制限に拡大をして非常に大きな被害が生じるおそれがございます。このため、プロバイダー責任制限法は、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信、これを対象としているところでございます。

 他方、電子メールなどの一対一の通信につきましては、特定の者によって受信されるものであり、被害が無制限に拡大するおそれがないことから、本法に基づく発信者情報の開示請求の対象としておりません。

 なお、一対一の通信につきましては、通信内容がそもそも通信の秘密によって保護をされるというものでございますので、通信内容が他人の権利を侵害するものであるか否かをプロバイダーが確認することが困難であるという課題もあるところでございます。

中司委員 今の問題点につきましては、今後、更に検討していただきますようにお願いしたいと思うんですけれども。

 書き込みに対する削除についてなんですけれども、予算委員会の中で総理が、法務省の人権擁護機関が相談に基づいて慎重に検討し、該当する場合には事業者等に削除を要請している、こう答弁されています。

 まず、現状把握として、法務省への相談件数に対して実際に削除されるケースはどれくらいなのか、お伺いいたします。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 総務省が運営を委託をしております違法・有害情報相談センターでは、インターネット上の違法、有害情報に関する相談を受け付け、削除要請の窓口案内や削除方法の助言などを相談者に対して行っているところでございます。

 相談対応件数は、平成二十七年度以降、約五千件で高止まりをしておりまして、センターにおける相談が開始をされた平成二十二年度と比較をすると約四倍となっているところでございます。

 違法・有害情報相談センターにおいて、令和二年度の相談件数である約五千四百件のうち、相談者に対して削除方法の案内を行った件数は約四千五百件となっているところでございますけれども、それらについての、実際に情報が削除されたかどうか、これにつきましては、その全てを把握をできていないところでございます。

中司委員 把握できていないということでありますけれども、しっかりと把握できるような体制をつくっていただければと思っております。

 プロバイダー責任制限法において、発信者情報の開示等の対象となる条件が、権利侵害が明白であることとされておりますが、具体的には、事業者団体が自主的に取り組んでおる中で、権利侵害明白性ガイドラインを作成しておられます。

 しかし、プロバイダーにとって削除するということは、発信者からの訴訟リスクなど負担が大きいことになりますので、削除要請を受けたプロバイダーが削除に応じやすくするために、まず政府がガイドラインを定めて、事業者が削除しやすい環境を整えていくということ、それから、プロバイダーの責任制限法において、人権擁護機関などが削除を求めた場合に、賠償責任等を一定免除する規定を設ける、そういうことが必要と考えますが、どうでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 インターネット上の権利侵害情報の削除につきましては、プロバイダー責任制限法におきまして、プロバイダー等が権利侵害情報を削除した場合における損害賠償責任の免責要件が明確化をされております。

 また、御指摘のとおり、事業者等の団体によります、権利侵害情報への対応に関するガイドラインを策定をすることなどによりまして、プロバイダーが損害賠償請求などの責任を負うことなく、削除されるべき情報が適切に削除されるような取組が行われているところでございます。

 また、総務省、法務省人権擁護局及び関係プロバイダーなどと実務者検討会を継続的に開催をすることにより、事業者の円滑な対応を促進してまいります。

 今後も、こうした取組を通じまして、削除要請等に対する適切な対応がなされるよう、法務省を含む関係省庁、関係機関との連携の下で取組を進めてまいります。

中司委員 答弁を聞いていますと、しっかり対応しているということなんですけれども、削除された件数も把握されていないわけなので、その辺、しっかりと対応できるように、きちっと果たしていただきたいと思っています。

 また、迅速に人権救済を図るために、被害者に代わって情報開示とか削除勧告などを行う、独立性、専門性を有する第三者機関を設置すべきと考えますけれども、この点はどうでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 削除の要請や発信者情報の開示を求めるなどの権限を持つ第三者機関の設立につきましては、表現の自由や通信の秘密といった憲法上の権利利益に関わる問題であり、極めて慎重な検討が必要であるというふうに認識をしているところでございます。

 総務省としては、昨年四月にプロバイダー責任制限法の改正を行い、発信者情報の開示に向けた裁判手続の迅速化など、より円滑な被害者の救済が図られるよう、制度整備を進めているところでございます。

 また、総務省の有識者会議におきましても、プラットフォーム事業者に対して、誹謗中傷対策に関する自主的なルールを策定しているか、そのルールに基づき、誹謗中傷に該当する情報の削除など適切に対応しているか、そのルールについて説明責任がしっかり果たされているかなどにつきまして、継続的にモニタリングを実施しているところでございます。

 このように、まずは既存の制度の実効性を高めていくとともに、事業者による自主的な取組を促すことにより、より迅速かつ効果的な被害者救済の実現に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

中司委員 よろしくお願いします。

 誹謗中傷を防ぐ取組について質問いたしますが、先ほど大臣もおっしゃいました政策パッケージですけれども、この中で、それに基づく啓発活動、それから相談対応の取組状況、今後の方向性についてお聞きしたいのと、それから、インターネットの利用者の低年齢化に伴って、ネットいじめを含めた誹謗中傷の防止のための子供たちの情報モラルの教育、これに取り組まれていますけれども、どのように行われているのか、併せてお伺いいたします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、二〇二〇年九月に策定をいたしました政策パッケージに基づき、ICTリテラシーの向上や相談体制の一層の充実など、インターネット上の誹謗中傷についての対策を総合的に進めているところでございます。

 御指摘のICTリテラシーの向上につきましては、インターネット上の最新のトラブル事例を踏まえ、その予防法などをまとめたインターネットトラブル事例集における啓発、学校現場での出前講座における誹謗中傷に係る啓発、ノー・ハート・ノー・SNSのスローガンの下で、関係省庁、団体と連携した動画作成などによる啓発や相談窓口の周知などを実施しているところでございます。

 また、相談体制の充実につきましては、総務省が運用委託をしております違法・有害情報相談センターの相談員の増員を行うなどの体制強化を図るとともに、相談件数、内容の分析の実施、他の相談機関との連携対応の充実、分かりやすい相談先の案内の作成などを行ってきたところでございます。

 今後も、政策パッケージに基づき、誹謗中傷対策を着実に進めてまいります。

淵上政府参考人 学校における情報モラル教育についてのお尋ねにつきましてお答え申し上げます。

 小学生がスマートフォンを保持することも多くなるなど、子供たちもICTを日常的に活用することが当たり前の社会となっております中で、子供たちがトラブルに巻き込まれたり、ネットのいじめの加害者になったりすることのないよう、小学校段階からICTを適切に使いこなす力を育てるということが重要でございます。

 このため、学習指導要領におきましては、情報モラルを含む情報活用能力を育成することとしておりまして、小学校段階から、情報発信による他人や社会への影響について考えさせる学習活動や、ネットワーク上のルールやマナーを守ることの意味について考えさせる学習活動などを通じて、情報モラルを確実に身につけさせることとしております。

 また、中学校の技術におきましては、マナーの遵守、人権侵害の防止など、情報に関する技術を適正に活用する能力と態度を身につけることとしておりますし、また、さらに、高等学校で全ての生徒が学びます必履修科目、情報1におきまして、マナーの意義、基本的内容、情報を扱う上で個人の責任があることなどについて理解するということとなっております。

 あわせて、文部科学省では、教員向け指導資料、研修教材の作成、配付、また、ICT活用に関する指導者研修の充実などを行っておりまして、これらの取組を通じて、情報モラルに関する教育を着実に推進してまいりたいと考えております。

中司委員 もう時間が参りましたので、行為者に対するカウンセリングとか更生プログラム、こうした再発防止対策についての取組についても、しっかり行っていただきますように要望させていただきます。

 最後に金子大臣に伺います。

 表現の自由の在り方……

赤羽委員長 もう時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。

中司委員 はい。

 最後に、大臣の決意だけお願いいたします。

金子(恭)国務大臣 先ほど来お話をしましたように、国民の皆様が安心してインターネットを利用できる環境づくりにしっかりと取り組んでまいります。

中司委員 ありがとうございました。失礼いたします。

赤羽委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず最初に、先ほど輿水委員からも質問がございましたけれども、ウクライナからの避難民の支援体制について、総務大臣にお伺いをいたします。

 現在、大変深刻な状況となっておりまして、多くのウクライナ国民が故郷を追われ、大変憂慮される事態となっております。特に、先般、キーウ近郊のブチャにおいて多数の民間人が虐殺されたことに対してはジェノサイドの可能性も指摘されておりまして、ロシアに対し、その行為を強く非難するものでございます。

 日本政府も、国際社会と連帯をして、即時の戦争中止と撤退を促すための経済制裁を行うとともに、積極的な難民受入れ、支援を打ち出し、財政的な支援体制も含めて、今取組を進めていただいております。

 出入国在留管理庁においては、今、相談窓口を開設して、一元的に、日本に受け入れた難民の方への総合的な支援に取り組んでいただいているとお聞きをいたしております。

 様々、受入れには段階がございまして、まず、空港における入国支援、また、待機施設滞在中の支援、そして、一時滞在先における支援、そして、そこから自治体や企業等が受入れを引き継いだ後の支援など、様々な局面での支援というのが今必要となっております。

 その中で、出入国在留管理庁から、四月八日現在で、支援を申し出ている自治体が今百九十三自治体あるということをお伺いいたしました。様々な自治体が今受入れの体制を整え、受入先としてのこれからマッチングということが行われていくというふうに思いますけれども、受入先を決めていくときですとか、また、受け入れた後に様々な課題が発生することが予測をされます。

 そのときのきめ細やかな支援体制を取っていくためには、総務大臣また総務省の果たす役割が私は大変重要であるというふうに思っておりますけれども、金子総務大臣のこのお取組への所感、見解をお尋ねいたします。

金子(恭)国務大臣 西岡委員から今、ウクライナの避難民の受入れについての御発言がありました。

 総務省としても、この取組について御答弁させていただくということをすごく感謝しておるところでございます。

 ウクライナから避難された方々への対応については、私も構成員となっておりますウクライナ避難民対策連絡調整会議において、円滑な受入れに向けて政府一体となって取り組む方針が確認されております。

 総務省としては、出入国在留管理庁と連携をし、一元窓口の設置など、政府の取組を周知するほか、個別の自治体から寄せられている政府の検討状況や他自治体の取組事例に関する問合せや相談を丁寧に聞き取るとともに、自治体に対してきめ細やかに情報提供を行っているところでございます。

 今後とも、自治体等との一元窓口を設置している出入国在留管理庁としっかり連携を図りながら、関係省庁とも協力し、的確に対応してまいりたいと思います。

西岡委員 ありがとうございます。

 実際に自治体がまた受け入れました後には、様々な課題も先ほど申し上げたように発生してくると思いますので、総務省の、しっかり、一番自治体に近いお立場の中での、またきめ細やかな支援を是非お願いしたいと思います。

 続きまして、地方自治体のデジタル化についてお尋ねをいたします。

 先般、先月三十日に第三回デジタル臨調の会合が行われました。臨調と申しますと、池田勇人政権時に第一臨調、また、鈴木政権、中曽根政権における第二臨調に続く四十年ぶりの臨調であるというふうにお伺いをいたしております。

 今回、岸田総理の下でデジタル臨調が、政府として行政改革、規制改革、デジタル化を一体的な取組として改革を目指し取り組んでいかれる方針というふうにお伺いをいたしております。

 様々な取組については目標が掲げられていると聞いておりますけれども、先般の三十日の第三回臨調において、岸田総理から金子総務大臣に対して、地方のデジタル化へ向けた取組を後押しする政策を具体化するようにとの指示があったということをお聞きいたしております。

 今後、総務省としてどのような内容を具体化、具現化されていく方針であるのかということを金子総務大臣にお伺いいたします。

金子(恭)国務大臣 西岡委員から今御紹介いただきました、先月三十日に開催されました第三回デジタル臨時行政調査会において、岸田総理から牧島大臣と私に対しまして、デジタル化の取組が地方にも波及するよう、地方自治体のデジタル化に向けた取組を後押しする方策を具体化すべきとの指示をいただいたところでございます。

 これを受けまして、デジタル庁においては、地方公共団体におけるデジタル化に向けた自主的な条例等の見直しの取組を後押しするため、地方公共団体向けマニュアル等の資料の作成、提供等を実施するものと承知しており、総務省としても、デジタル庁と連携をいたしまして、各団体への周知等、必要な支援に取り組んでまいりたいと思います。

西岡委員 これから様々、大変重要なお取組になるというふうに思いますので、デジタル庁と一体となってお取組ということでございますけれども、様々な課題が総務省の中にもあると思いますので、しっかりお取組をお願いしたいと思います。

 続きまして、地方自治体デジタル化についてもう一問質問させていただきます。

 地方自治体のデジタル化を進めていく上で、まず、その前提として、個人データの保護というのが大変重要だと思いますし、私は、自分自身のデータの利活用に対する自己決定権が保障されるということも重要だと思っております。

 その上で、地方自治体のデジタル化については、住民の利便性に資することや、住民生活の質の向上、そして、必要な方のところに必要な支援が迅速に届くプッシュ型の支援が、何よりこのデジタル化の中で実現をしていくということが大変重要だと考えております。それらに対する総務省の取組についてお伺いをいたします。

馬場政府参考人 お答えを申し上げます。

 各自治体におきまして、デジタル技術を活用し、住民の利便性の向上や行政サービスの更なる効率化を進めていくことは重要であると認識をいたしております。

 このため、総務省におきましては、令和二年十二月に策定をいたしました自治体DX推進計画に基づきまして、自治体のデジタル化の取組を支援しているところでございます。

 デジタル化の一例でございますけれども、行政手続のオンライン化やAIを活用したチャットボットによる総合案内サービスの導入などを行うことによりまして、住民にとっては、二十四時間、いつでもどこでも行政手続や市民生活に関する問合せを行うことができる環境が整います。

 また、今御指摘ございましたように、既に、保有するデータを利用して、住民の方々に向けたプッシュ型通知による積極的な情報発信に取り組んでいる先行的な地方自治体もあるところでございます。

 総務省といたしましては、自治体DX推進計画に基づく各自治体の取組をしっかりと支援してまいりますとともに、先行的な事例紹介を行うことなどを通じまして、自治体のデジタル化の取組を後押ししてまいります。

西岡委員 ありがとうございます。

 コロナ禍で大変問題が明確となった部分がありますので、このプッシュ型支援、是非、今後とも、その先行事例を参考にしながら進めていっていただきたいと思っております。

 続きまして、新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いをいたします。

 現在、再び感染拡大の傾向が見られ、七波への懸念が広がっております。一部地域におきましては既に七波になったという指摘もありますし、まだ六波から抜け出していないという指摘も一方ではございます。

 また、急速なBA・2への置き換わりが進んでおりまして、この一、二週間で九割が置き換わるとも言われておりますし、昨日でしたか、オミクロン変異株XEという新たな変異種が国内で初確認をされました。

 このような状況の中で、先般の新聞報道によりますと、人口の少ない県で感染が拡大しているというような新聞報道もございましたけれども、現在の感染状況についてどのように分析をしておられるか、厚生労働省にお伺いをいたします。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の新規感染者数につきましては、委員御紹介のように増加傾向となっておりまして、昨年夏のピークよりも高い状況が続いております。また、地域別に見ますと、継続的に増加している地域もある一方で、横ばいの地域もございまして、感染状況の推移に差が生じている状況でございます。

 先日、四月六日に開催されました厚生労働省のアドバイザリーボードにおきましては、現在の感染状況は、リバウンドの可能性も懸念されると評価、分析されているところでございます。感染力がより強いBA・2系統への置き換わりの状況も含めまして、今後の動向に注意が必要と認識をしているところでございます。

 アドバイザリーボードでの分析におきましては、感染の増加要因、抑制要因、それぞれにつきまして評価、分析されておりまして、新規感染者の増加要因といたしましては、やはり接触機会が増加するなど、特に夜間滞留人口の増加や、委員御紹介がございましたBA・2系統への置き換わり、これが影響するであろうと。また一方、三回目のワクチン接種と自然感染による免疫の保持については抑制要因になるわけでございますが、ワクチンは、高齢者の接種は進んでいる一方で、若年層ではまだ低い状況が続いているという評価、分析をされている状況でございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 ワクチン接種もまた推進をしていくことや、大変若い方が感染をされているという状況がございますので、若い方にも是非ワクチン接種を進めていただくようなことについても、取組を進めていかなければいけないと思っております。

 続きまして、最後の質問となりますけれども、現下の感染状況の下で、先般、国立感染研究所が、これまで認めていなかったエアロゾル感染を感染経路と明確に位置づける文書をホームページに掲載いたしました。これは、国内の研究者から、エアロゾル感染を認めていないのは国際的な知見と異なるとの公開質問状が出され、説明を求められたものに答えたものだというふうに思っておりますけれども、エアロゾル感染については、これまでも、基本的対処方針には書き込まれていたものの、国立感染研究所は認めていなかったという状況がございました。

 今回、国立感染研究所が明確に感染経路と位置づけたことで、今後の感染防止対策、また政府の方針に変更があるのでしょうか。最後の質問といたします。

柳樂政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、国立感染症研究所が三月二十八日に、新型コロナウイルスの主な感染経路が、エアロゾル感染、飛沫感染、接触感染の三つであるという見解を発表したことは承知をいたしております。

 ただ、これは、これまで同研究所が様々な文書の中で述べてきた感染経路に関する既存の知見を整理したものでありまして、新たな見解を示したり、考え方を変更したものではないというふうに承知をいたしております。

 政府におきましては、昨年十一月に基本的対処方針を全面的に見直しいたしました。その際に、その中で、飛沫やエアロゾルの吸入、接触感染等が感染経路と考えられている旨を明記しておりまして、また、対策の内容として、基本的な感染対策、すなわち三密の回避、換気などが重要であるというふうに記載をいたしております。

 これを踏まえまして、具体的な施策といたしまして、換気の徹底を認証要件として含む飲食店における第三者認証制度の普及、それから、医療機関等の換気設備の設置への財政支援、高齢者施設等を含む事業者における換気の徹底のための具体的な換気方法の周知などの対応を行ってきたところでございます。

 ということで、対応してきているわけでございますが、新型コロナ対応につきまして、これまでも、オミクロン株の特性を踏まえまして学校や高齢者施設等における感染対策を強化するなど、その時点その時点の最新の科学的知見に基づいて対応を見直し、また基本的対処方針を改正してきたところでございますので、今回、これからも、換気を含むエアロゾル対策につきましても、最新の科学的知見等に基づき、専門家の意見を踏まえて、必要に応じて感染対策の内容を柔軟かつ機動的に見直し、また基本的対処方針等を通じてお示しをしていきたい、このように考えてございます。

西岡委員 以上で終わります。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 初めに、コロナ禍の障害者事業所支援について聞きます。

 コロナ感染の第六波では、障害者事業所にもクラスターが多発いたしました。私も先週、大阪の事業所に足を運び、お話を伺いました。事業所を閉所し、職員が命懸けでコロナ感染した障害者の方を看護した話を伺いました。事業を止めたために五千七百万円の収入が減って、防護服や職員の宿泊費など一千四百万円持ち出しが増え、約七千万円の赤字となっている、このままでは事業が継続できない、支援してほしいとの要望もお伺いをいたしました。

 障害福祉サービス事業所のサービス継続支援事業でありますけれども、コロナ感染者が出た事業所に対し、必要なサービスを継続して提供できるように行うものと聞いております。これには補助上限が定められておりますけれども、今月七日の参議院厚生労働委員会で、我が党の倉林明子議員に、厚労省は、地方自治体を通じて国へ個別の協議をすれば上限を超えて補助していると答弁されました。

 このサービス継続支援事業は、国の補助率は三分の二で、実施主体、都道府県、政令市、中核市の負担が三分の一となっております。

 改めて総務省に確認いたしますけれども、この自治体の負担分は地方創生臨時交付金で措置されるということでよろしいですね。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症に係る障害福祉サービス事業所等に対するサービス継続支援事業の地方負担につきましては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の対象事業となっているものと承知しております。

宮本(岳)委員 昨日、私はある自治体の担当部局と話をしたんですが、地方の障害保健福祉部局は、この三分の一も国において措置されることを御存じなかったので、改めて確認をさせていただきました。

 同時に、自治体からは、今年度のサービス継続支援事業の予算枠を早く示してほしいとの要望を受けたんです。これから実際にサービス継続支援事業の予算枠を示すことになるのか、今後の手続について、これは厚労省にお答えいただきたいと思います。

田原(克)政府参考人 お答えいたします。

 障害福祉サービスは、障害者の暮らしを支える重要な制度でございます。新型コロナウイルス感染症が発生した場合でも、感染拡大の防止措置をしっかりと講じつつ、事業を継続していただくことが重要と認識をしております。

 今お尋ねの、事業継続に必要な支援を行うサービス継続支援事業の令和四年度における執行スケジュールでございますけれども、四月中を目途に、各都道府県、指定都市等に対して所要額の協議を行う予定としております。

宮本(岳)委員 自治体はもちろん、障害者事業所に手続が周知されて、必要な額が行き渡るよう、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 参議院の倉林質問でも、障害者事業所で陽性者が出た場合の困難を極める状態が紹介されましたけれども、私も現場で生々しい実態を聞いてまいりました。救急車を呼んでも、受入先の病院が決まらず救急車に乗せてもくれなかったとか、中には、酸素飽和度を手の指で測ったら九〇を切っていたんだが、足で測り直してぎりぎり九〇あったから救急車は帰っていったというような話まで耳にいたしました。

 厚労省は、地方自治体に対して、障害児者がコロナに感染した場合に必要な医療を受けられるように、あらかじめ受入れ医療機関の検討を行うことについて都道府県に依頼してきたとのことでありますけれども、大阪府ではこの体制が構築されておりますか。

田原(克)政府参考人 お答えいたします。

 大阪府に今年の一月に聞いておりますけれども、そのときの回答では、大阪府では、そういう支援につきまして体制は構築されているというように回答をいただいております。

宮本(岳)委員 構築されているのであれば、クラスターが発生した大阪の障害者施設の職員が、第六波と言われる一月から三月にかけて、当施設から七件の救急搬送を要請したけれども、救急搬送で受け入れていただいた医療機関は一ケースもございませんでしたと私に語ったような状況がなぜ生まれることになるのかということになります。

 その大阪が構築したという体制の中身について、厚生労働省はつかんでおりますか。

田原(克)政府参考人 お答えいたします。

 大阪府の状況はつぶさには把握はしておりませんけれども、それぞれの施設、それから自治体において適切に対応しているというふうに理解しております。

宮本(岳)委員 適切に対応していたらいいんですけれどもね。適切でないから聞いているんですが、幾ら通知を出しても、中身が分からなければ話になりません。

 しかし一方で、大阪には大阪コロナ大規模医療・療養センターが設置されました。軽症者、無症状者を対象に、インテックス大阪に一千床の臨時の医療施設を開設いたしました。

 私は、今年二月十七日の当委員会で、この大規模医療・療養センターの療養者数はほぼゼロであることを指摘し、国が直接新たにインテックスに設置、運用するとした、中等症までを対象とする二百床についても質問をいたしました。

 今日は、資料一に、大阪府が私に提出した大阪大規模医療・療養センター療養者数を配付いたしました。

 二月から四月にかけて、上段、グレーが軽症、無症状の八百床、大阪府のものですね。中段、オレンジ色が国の設置した中等症の二百床。下段、ブルーは総合計であります。

 国のことを、では、聞きましょう。

 中等症施策は二月十五日から蔓延防止措置解除後の三月二十二日までだったわけでありますけれども、最高で何月何日に何人が入所いたしましたか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、国が府と共同いたしまして増設いたしました臨時の医療施設は、大阪では二か所、スマイルホテル新大阪と今御指摘にありましたインテックス大阪がございました。

 このうち、インテックス大阪の中等症病床につきましては、この委員お示しの資料のとおりでありますけれども、設置期間、令和四年二月十五日から同年三月二十三日の中で、ピーク時の利用者数は九名にとどまっていたということでございます。

宮本(岳)委員 三月三日、九名となっております。

 二月十七日の質疑でも、厚労省は、二月十五日にまず三十床から稼働を始めたと言いつつ、私に、今回増設する二百床、現在の局面で、今後の対応として果たす役割というのは意義あるものだというふうに考えているところでございますと答弁をされました。

 しかし、最大九人なら最初の三十床だけで十分でありまして、二百床にする必要はなかったということになります。二百床に対して九人なら五%にも満たない、こういうことですね。惨たんたる結果だと言わざるを得ません。中等症の患者がおらず必要がなかったというのなら結構なことですよ。しかし、障害者を始め、あちこちで病院に受け入れてもらえず、自宅療養という名の自宅放置が大阪でも起こったわけですから、これほど皮肉なことはありません。

 同じ資料一で、大阪府が設置している残り八百床ですね、軽症、無症状の部分の入所者も最大で六十四人、総合計で三月九日の七十名が最高ですから、合計一千床に対して僅か七%というのがこの施策の結果なんですよ。ピークでですよ。これはなぜうまくいかなかったと厚労省はお考えですか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、臨時の医療施設二か所を国と共同でつくりまして、スマイルホテルの方は高齢者を中心に受入れを行いまして、一方、このインテックス大阪の中等症病床につきましては、高齢者の受入れを念頭に整備したものではなかったということがございます。実際に現場では、パーティションで区切られた空間であることですとか、あるいはトイレが遠いといった構造上の問題などもあったというふうに承知をしております。

 そうした要因などもございまして、一方で、今回の第六波と申しますか、この冬の患者像といたしましては、高齢者を中心とした療養、あるいは、今お話にございましたような介護を必要とされる方の療養などのニーズがあったというふうに承知をしておりますので、そういう意味で、このインテックス大阪の利用者数の、利用状況に反映されたものではないかなというふうに考えております。

 こうしたことを受けまして、四月四日には改めて事務連絡を発出いたしまして、臨時の医療施設を始めとする確保病床につきましては、要介護の高齢者等に対応した介護職員ですとかリハビリ専門職員などの人員配置や環境整備を行うことにより、受入れのキャパシティーを高めるように各都道府県に対して要請をしたというような経緯をたどっております。

宮本(岳)委員 端的に答弁してくださいよ。

 やはり住民の身近にある病院のベッドを抜本的に増やさなければ、幾らインテックス大阪のような、人里離れたところに一千床もの臨時の医療施設を開設してもうまくいかないということだと思うんですね。

 ところが、政府は、少子高齢化による人口減少を口実に、病院のベッド数を削減する地域医療構想をいまだに推進しております。

 順序はちょっと逆なんですが、資料三を見ていただきたい。

 左側が令和二年度、右側が令和三年度、いずれも病床機能再編補助金や地域医療介護総合確保基金の内示額であります。申請し、内示されている県もありますけれども、二年連続して内示を受けなかった県も、右下の九県ございます。

 厚生労働省、これは病床削減に伴う補助金等であり、この九県は、二年間にわたって申請していないということですね。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の病床機能再編支援事業、これは、地域医療構想の実現を図る観点から、地域で自主的に行われる病床の削減、減少を伴う病床機能の再編に対して財政支援を国として行っているものでございます。

 御指摘のとおり、この事業につきまして、令和二年度及び令和三年度、いずれも申請していない都道府県は、先生が書き込みしていただいたとおり、九県でございます。

宮本(岳)委員 栃木、埼玉、神奈川、富山、滋賀、鳥取、香川、宮崎、沖縄の九県は、コロナ禍の下で、二年連続して病床削減に伴う補助金の申請をしておりません。

 昨日も厚労省とやり取りをしたんですが、地域医療構想に基づき病床削減を迫るやり方をやめるおつもりはないようでありますけれども、これらの県のように、せめて、コロナ感染の影響が続いている間だけでも病院のベッド数の削減はやめようというのは当たり前のことだと私は思いますが、そう思われませんか、厚労省。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、ただいま現在、新型コロナの対応でいろいろと御協力、御努力をいただいているところではございますが、将来的な人口構造の変化など、地域の医療ニーズが今後大きく変わっていくことが見込まれている中で、それぞれの地域ごとにその実情に合った病床機能の再編、こういったことは議論を進めていただきたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、地域地域で、実情に応じて、しっかり意思疎通を図っていただきたいと考えております。

宮本(岳)委員 いや、将来的なことは将来的に考えたらいいんですよ。目の前でコロナがこれだけの深刻な状況ですからね。

 ここでも、大阪は二年連続、ベッド数削減の補助金や基金を申請しております。二〇二〇年度が二億二千九百万、二〇二一年度が一億円の、総額三億円以上、こうなります。

 先日は、大阪府議会で、我が党府会議員団が、大阪府が二〇二〇年からの二年間で六百六十一床のベッドの削減、転換を行ってきたことや、二〇二二年度も更に九百五十四床もの病床削減が予定されているということを突きつけて、追及をいたしました。

 そして、私が繰り返し当委員会でも取り上げてきた保健所体制の拡充であります。

 私は先日も、保健所職員の過労死寸前の勤務実態を取り上げましたけれども、何とこれに対して厚労省は、四月四日、新型コロナウイルス感染症対応に係る今後の保健所の体制についてと題した通知を出されました。資料二がその内容です。

 人員体制について、今後の感染拡大に備え、保健所職員でなければ対応が困難な業務以外は、外部委託や都道府県等における業務の一元化を原則とすると、原則外部委託を打ち出しました。

 では、保健所職員でなければ対応が困難な業務とは、一体どのようなものですか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、保健所の人員体制の強化につきましては、これまでも委員とやり取りさせていただきましたように、かねてより、コロナ対応の中で重要な課題だということで、総務省とともに人員体制の強化に取り組んでまいりました。平時からの備えとしての体制を強化する部分と、感染症の対応ということで、感染が急激に拡大したときにどう対応するかという、両面あると思いますけれども、それへの対応を進めてきたところでございます。

 また同時に、積極的な疫学調査の重点化ですとか、ITを活用した自宅療養者の健康観察業務の効率化などの業務の合理化を推進してきたということでございまして、この業務の合理化に当たっては外部委託も有効な手段の一つだと考えておりまして、今回の御指摘の事務連絡では、保健所職員のノウハウや専門性がなければ実施困難な業務以外の業務については、原則外部委託や一元化を進めるということがあるということを明確にしたところでございます。

 実際に、四月四日の通知では、この点に関して、今後の感染拡大時に、保健所業務の逼迫を防ぎつつ、ハイリスク者に確実に対応できるようにこうした検討をお願いしますという形で、今お配りいただいているような部分の通知を出している、事務連絡を出しているところでございます。

 どのような業務について外部委託や一元化を進めるかについては、それぞれの実情に応じて取り組まれているところでございますが、例えば、対応が困難な業務としては、専門的な知見を基にした判断を伴う入院調整業務、こういったものが想定されるのではないかと考えております。

宮本(岳)委員 いや、だから、それは書いていないんですよ。ここでは、外部委託が可能な業務として、発生届の入力、電話相談、健康観察から各種証明書の交付まで、膨大な個人情報を含み、公権力に関わる業務もこれは含まれております。

 なぜこれらの業務を外部委託することが許されるんですか。大丈夫なんですか。

宮崎政府参考人 まず、個人情報等の取扱いにつきましては、当然、例えば外部に委託する際にも、委託契約などの中で守秘義務等の徹底というのを行っていくことが必要だろうと思います。その点につきましては、委員御指摘のように、そうした点に十分配慮した上でやっていくことが必要だと思います。

 また、今御紹介ありました健康観察一つ取りましても、例えば東京都などでは、健康観察を、それぞれの外部委託をする部分、あるいは保健所が行う部分、幾つかの主体で、対象者によりまして分けて分担をして、急激な感染拡大に対応する対応をつくっているところでございまして、そうしたところをよく、各自治体の状況あるいはそのリソースに沿いまして御判断いただくということが大事だと思っております。

宮本(岳)委員 だらだらと答弁しないでくださいよ。大臣に聞く時間がなくなってしまいそうですけれどもね。

 これは職員の下でやってもらう、守秘義務のことや様々な専門性を持つものも含まれるので、こうおっしゃいましたよ。

 そうなりますと、これは偽装請負になりませんか、指示したら。

宮崎政府参考人 繰り返しになりますけれども、業務の委託に当たりましては、適切な形での契約を行った上でやっていただくんだろうと思います。

宮本(岳)委員 時間ですから終わりますけれども、大臣、だから、ちゃんと職員で確保してくれということを再三にわたって申し上げてきたんです。

 申合せの時間が来ておりますから終わりますけれども、どうぞしっかり取り組んでいただくことをお願いして、私の質問を終わります。

     ――――◇―――――

赤羽委員長 次に、内閣提出、電波法及び放送法の一部を改正する法律案及び中司宏君外二名提出、情報通信行政の改革の推進に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。金子総務大臣。

    ―――――――――――――

 電波法及び放送法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

金子(恭)国務大臣 電波法及び放送法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 電波の公平かつ能率的な利用を促進するため、電波監理審議会の機能強化、携帯電話などの特定基地局の開設指針の制定に関する制度の整備、電波利用料制度の見直しなどを行うほか、近年の放送を取り巻く環境の変化などを踏まえ、基幹放送の業務に係る認定申請書などの記載事項に外国人などが占める議決権の割合などを追加し、その変更を届出義務の対象に追加するなど情報通信分野の外資規制の見直しを行うとともに、日本放送協会の受信料の適正かつ公平な負担を図るための還元目的積立金の制度を整備するなどの措置を講ずる必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、電波監理審議会の機能強化として、電波の有効利用の評価は、これまで総務大臣が電波の利用状況調査の結果に基づき行ってきたところ、技術の進展などに対応したより適切な評価を行うため、広い経験と知識を有する委員から構成される電波監理審議会が行うこととしております。

 第二に、携帯電話などの特定基地局の開設指針の制定に関する制度の整備として、既に開設されている電気通信業務用基地局が現に使用している周波数について、その周波数を使用する特定基地局の開設指針の制定をすべきことを希望する者は、その旨を総務大臣に申し出ることができる制度を創設するとともに、その開設指針は、総務大臣が、申出に係る開設指針の制定が必要である旨を決定したとき、電波の有効利用の評価の結果が一定の基準を満たしていないと認めるときなどに制定することとしております。また、携帯電話などの特定基地局の開設指針の記載事項として、電波の公平な利用の確保に関する事項を追加するとともに、当該特定基地局に係る認定開設者は、認定計画に記載した特定基地局の無線設備の設置場所以外の場所においても、当該特定基地局の開設に努めなければならないこととしております。

 第三に、令和四年度から令和六年度までの電波利用共益費用などの見込みを勘案した電波利用料の料額の改定を行うとともに、電波利用料の使途として、研究開発のための補助金の交付を追加することとしております。

 第四に、情報通信分野の外資規制を見直すこととし、基幹放送の業務に係る認定申請書、基幹放送局の免許申請書の添付書類などの記載事項として、外国人などが占める議決権の割合などを追加するとともに、当該事項の変更を届出義務の対象に追加するほか、外資規制に違反した場合にその事情を考慮して認定基幹放送事業者の認定などの取消しを一定期間猶予できる措置について、所要の制度の見直しを行うこととしております。

 第五に、日本放送協会の受信料の適正かつ公平な負担を図るための制度の整備として、日本放送協会は、毎事業年度の損益計算において生じた収支差額が零を上回るときは、当該上回る額の一定額を還元目的積立金として積み立てるとともに、積み立てた額は、受信料の額の引下げの原資に充てなければならないこととするほか、専ら日本放送協会の業務に密接に関連する政令で定める事業を行う者を子会社として保有することを目的とする関連事業持ち株会社への日本放送協会の出資に関する制度及び受信契約の締結義務の履行を遅滞した者から日本放送協会が徴収することができる割増金の額に関する制度を整備することとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしておりますが、一部の規定を除き、情報通信分野の外資規制の見直しに関する規定、還元目的積立金に関する規定などは、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

赤羽委員長 次に、中司宏さん。

    ―――――――――――――

 情報通信行政の改革の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中司議員 日本維新の会の中司宏です。

 ただいま議題となりました情報通信行政の改革の推進に関する法律案につきまして、提出者を代表して、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 近年の情報通信分野における急速な技術革新は、通信と放送の融合ともいうべき時代をもたらし、これまであった事業者間の垣根を取り払うとともに、既存の事業制度の抜本的な再構築を迫っております。

 このような変化に対応して、利用者のニーズに応じた多様なサービスが提供されるよう、有限、希少な資源である電波の有効利用を促進するため、また、情報通信行政の運営の透明性及び公正性を確保するため、スピード感を持って時代に合った制度に変えていくことが喫緊の課題となっております。

 これらの課題に適切に対処するに当たって、その基本理念等を明らかにすることでその方向性を示し、情報通信行政の改革を迅速かつ着実に推進するため、この法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案の内容を御説明申し上げます。

 この法律案は、情報通信行政の改革について、その基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めることにより、情報通信行政の改革を迅速かつ着実に推進することを目的としております。

 その上で、まず、基本理念として、情報通信分野において、事業者間の公正な競争の促進等を通じた事業活動の活性化を図るとともに、国民の利益の増進及び行政に対する国民の信頼の確保に資することを旨として行わなければならないことを定めています。

 次に、情報通信行政の改革の基本方針として、第一に、電波の有効利用に資するための、同一の周波数の電波を共用することができる仕組み、いわゆるダイナミック周波数共用の一層の活用の促進、第二に、透明性の確保に資するための、無線局の免許について競争を経て申請を行う制度、いわゆる周波数オークションの導入、第三に、新規参入の促進に資するための、二次取引による事業の実施の制限の緩和、第四に、電波の集中の排除に資するための、多様な主体による基幹放送の業務の健全かつ効率的な運営の促進、第五に、公正性の確保に資するための、情報通信に係る事業の規制に関する事務をつかさどる独立行政委員会の設置について定めております。

 最後に、政府は、基本方針に基づく情報通信行政の改革に関する施策を実施するため、法制上の措置その他必要な措置を講じなければならないこととしております。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案の趣旨及び内容でございます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございます。

赤羽委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十四日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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