衆議院

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第12号 令和4年4月14日(木曜日)

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令和四年四月十四日(木曜日)

    午後二時六分開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 新谷 正義君 理事 田所 嘉徳君

   理事 岡本あき子君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 輿水 恵一君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      石田 真敏君    加藤 竜祥君

      川崎ひでと君    坂井  学君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      西野 太亮君    鳩山 二郎君

      古川 直季君    保岡 宏武君

      柳本  顕君    渡辺 孝一君

      おおつき紅葉君    鈴木 庸介君

      道下 大樹君    湯原 俊二君

      阿部 弘樹君    沢田  良君

      守島  正君    福重 隆浩君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

    …………………………………

   総務大臣         金子 恭之君

   総務副大臣        中西 祐介君

   総務大臣政務官      鳩山 二郎君

   総務大臣政務官      渡辺 孝一君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  田原 康生君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            吉田 博史君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            二宮 清治君

   参考人

   (日本放送協会会長)   前田 晃伸君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 松坂 千尋君

   参考人

   (日本放送協会理事)   林  理恵君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電波法及び放送法の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 情報通信行政の改革の推進に関する法律案(中司宏君外二名提出、衆法第二六号)


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電波法及び放送法の一部を改正する法律案及び中司宏君外二名提出、情報通信行政の改革の推進に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本放送協会会長前田晃伸さん、日本放送協会専務理事松坂千尋さん及び日本放送協会理事林理恵さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省国際戦略局長田原康生さん、情報流通行政局長吉田博史さん及び総合通信基盤局長二宮清治さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。杉田水脈さん。

杉田委員 自由民主党の杉田水脈です。

 本日は、電波法及び放送法の一部を改正する法律案について質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 放送事業は、国民の共有財産である電波を使う重要インフラです。今般のロシアによるウクライナの侵略を機に、電波を使った政治的プロパガンダについて、一般的にも広く知られるようになりました。

 日本でも、放送番組の政治的公平性などを定めた放送法四条の理念を守ること、それはもちろんなんですけれども、特に、放送番組の制作に外国の影響を受けないための制度設計が必要な時代になっていると感じております。

 私は、昨年、党員や後援会の皆様を対象に、党に提言したい政策のアンケートを自由記述で行ったのですが、偏向報道の是正を求める声が全体の一二・四%を占める第二位となりました。

 このように、現在の放送番組が公平公正ではない、偏っていると感じておられる方々が日本国内には多くいらっしゃることを踏まえ、本日は、日本の放送事業における外国資本の影響力行使を防ぐという観点を中心に、質疑を行います。

 まずは、情報通信分野の外資規制についてお尋ねをいたします。

 放送法第百五十九条二項五号では、認定放送持ち株会社の欠格事由として、外国人等の議決権割合が全ての議決権の五分の一を超えないこととしています。

 放送業者に対する外資規制は日本だけでなく、アメリカやヨーロッパ等においても類似の制限が設けられています。

 一方、電波法五条一項では、外資比率の上限は三分の一でありますが、外資比率の上限が統一されていない理由について教えてください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 電波法では、電波の有限希少性を理由とする自国民優先利用の考え方から、一部の無線局について、外資比率を三分の一未満に制限するなどの外資規制が適用されています。

 認定放送持ち株会社や基幹放送事業者等については、これに加え、言論報道機関として、世論形成や我が国の固有文化の創造に大きな社会的影響力を有することを踏まえ、外資比率を五分の一未満に制限するなど、より厳格な外資規制が適用されているところであります。

杉田委員 ありがとうございます。

 電波が自国民優先であること、また放送事業は外国の影響を受けない等、本来の基本理念がしっかりと守られるようにお願いをしたいと思います。

 続いて、外国人の個人投資家が購入した株は、日本国内のカストディアンが保管、管理を始め議決権の行使などカストディーサービスを提供することが一般的であるかと認識しておりますが、外国人の投資家が購入し、国内カストディアンが管理している株は、外国人保有株式として数えられるのでしょうか、それとも日本人保有株式なのでしょうか。お尋ねします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 放送法及び電波法では、法人又は団体の重要事項の意思決定が株主総会などにおける議決権の行使を通じまして行われることから、放送事業者などの議決権を行使する者が外国法人等であるかどうかということで外国性を判断しております。

 したがいまして、日本法人であるカストディアンが株主として放送事業者等の株主名簿に記載され、議決権を行使する場合には、日本法人として取り扱っております。

 他方、外国人投資家に対して国内のカストディアンが常任代理人としてサービスを提供する場合など、当該外国人投資家が株主として放送事業者等の株主名簿に記載され、議決権を行使する場合には、外国法人として扱っております。

杉田委員 今の答弁を聞く限り、日本人の保有株といえども注意深く見ていく必要があるのではないかと思います。また、一方で、視聴者側も、特定のメディアに依存しないなどのメディアリテラシーを身につけることが肝要かと存じますので、国としてもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 次に、昨年、フジテレビなどを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングスが、二〇一二年から二〇一四年にかけて、外国人等の議決権比率が五分の一を超えていたことが発覚しました。

 外資規制の実効性を確保するための制度整備として、申請書等の記載事項への外資比率等の追加、外資比率等に変更があった場合の届出義務化、外資規制の遵守状況に関する定期的な報告を定めることとしておりますが、これらの制度で十分な規制ができるのか、疑問も残ります。

 事業者側が自己申告する届出や報告を、総務省側は正しく把握できる仕組みになっているのでしょうか。届出や報告によらずとも外資規制違反を把握するための施策を講じることはできないのか、また、届出や報告義務の違反に対する罰則について教えてください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 外資規制の適合性の審査に当たりましては、免許や認定の申請や変更届出が事業者から行われた際に、事業者からの申請書などの記載内容のみで判断するのではなく、株主名簿などの客観性を有する証拠書類により、その申請や届出の内容が正しいことを総務省において確認してまいります。

 また、本法案においては、外資の状況について報告を求める仕組みを整備することとしておりますが、これは、外資の状況に変更があったか否かにかかわらず、定期的に報告を求めるものでございます。

 これらを通じまして、その時々の外資規制の遵守状況をしっかり把握してまいりたいと思います。

 その上で、外資規制の遵守状況を確実に把握するため、今月から外資規制審査官を新たに設置するなど、審査体制も強化しております。外資規制の実効性の確保に取り組んでまいります。

 また、罰則についてお尋ねがありました。

 届出義務や報告義務に違反があった場合、つまり、これらの義務を履行しない場合や虚偽の届出、報告を行った場合には、最大三十万円の過料を科すこととしております。

杉田委員 ありがとうございます。

 罰則があるということですけれども、最大三十万円の過料というのは、放送事業者等の事業規模を勘案すれば非常に甘い罰則ではないかと感じます。また、更に厳格な監視体制を整える必要があるかと思います。

 外資規制違反時の是正措置の整備についても、是正のための猶予期間を与えることができるというのは、現行に比べ緩和であるという印象が否めません。

 本来であれば、事業者が主体的に違反をしないよう心がけることを求める、性善説に基づいた法整備が望ましいと思いますが、現に違反があった後に緩和となると、いささか違和感を覚えます。停波など、事業者が避けたいであろう厳しい罰則も検討するべきであると考えますが、いかがでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法改正後におきましても、放送事業者等が外資規制に違反した場合に、その認定や免許を取り消さなければならないという原則に変わりはございません。一方で、放送事業者などが十分に注意していても違反が生じてしまう事態が例外的に想定し得るため、このような場合を想定し、是正を求める措置を設けようとするものであります。

 措置の実施に当たりましては、違反が発生した状況や、受信者の利益に及ぼす影響等を勘案する仕組みとしており、外国性を排除するという観点から、しっかりと運用してまいりたいと考えております。

杉田委員 違反が起きないことが一番ではありますが、万が一何かが起きた際にも、その後の処分も含めて、国民が納得するような対応をお願いしたいと思います。

 冒頭、ロシアによる電波、放送を用いたプロパガンダについて申し上げましたが、今月七日の毎日新聞で、ロシアのプーチン政権に近い新興財閥の有力者が二〇一五年以降、アメリカの保守系メディアFOXニュースの元ディレクターを勧誘し、ロシアやギリシャ、ブルガリアで放送局設立を進めていたことが報じられ、ロシアのプロパガンダ工作の一端が浮かび上がりました。ブルガリアでは、同氏の関与を隠すために、表向きはギリシャ人協力者が買収者であるように装ったとのことです。

 このように、プロパガンダというのは、放送の内容だけでなく、放送事業者等の体制や設立過程にも及んでおります。以上のようなことが現に世界で起こっていることに鑑みますと、日本でももっと厳格な規制や監視体制が必要なのではないかと思わざるを得ません。

 例えば、単に日本人、外国人と分けるだけでなく、国別の株式保有の割合も開示されるべきであると考えますが、総務省の御見解はいかがでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 放送法又は電波法における外資規制につきましては、電波が有限希少であり、その利用に当たっては自国民を優先すべきことであること、また、放送は、言論報道機関として、世論形成、我が国の固有文化の創造に大きな社会的影響力を有することから、内国性を確保するため、国籍にかかわらず外国性を持った者による影響力が一定以上になることを排除しようという規定でございまして、特定の国に着目して排除しようとするものではございません。

 こういう電波法、放送法の趣旨がございますので、国別ということにつきましては慎重に取り扱うべきものと考えております。

杉田委員 特定のどこかの国を排除するということではなくて、特定の国の影響を受けないという法の理念に照らした上で、例えば同じ五分の一の外国人保有株であっても、保有者が複数の国にわたっているのか、それとも同じ国の投資家ばかりが保有しているのかで、影響力の違いがあるのではないでしょうか。

 また、先ほどもカストディアンの管理について質問いたしましたが、例えば、日本人保有株とされる部分も大半をカストディアンが占めていて、実はその内訳は、五分の一を占めている他の国の投資家ばかりだったといった場合、果たしてこれで影響を受けないと言えるのか、非常に懸念しております。知らず知らずのうちに特定の国の影響を受けていた、しかし、法律上は問題がないから対処できませんということになるのではないでしょうか。

 投資家が株を買うことは止められませんから、議決権の行使については、五分の一以上の上限規制がしっかりと守られるように特段の配慮をお願い申し上げます。

 電波は国民の共有財産であり、次世代にも問題なく継承できるよう、教育にも活用するものであるかと考えます。また、ウクライナの例を挙げるまでもなく、災害等の非常時においても有効に利用できる環境を整備することは国の責務であります。

 電波法に関して、アマチュア無線についてお尋ねしたいと思います。

 現在、アマチュア無線等の普及について、どのように取り組んでいらっしゃるのでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 アマチュア無線は、個人的な興味によって行う通信であり、世界中の人々も含めて幅広く交信などが行われてきております。東日本大震災などの災害時におきましても、被災地における情報の収集や通信の確保などにも活用されており、社会への貢献が高く評価をされております。

 総務省は、昨年三月に電波法令を改正し、地域イベントにおけるボランティア活動などの社会貢献活動においてアマチュア無線を活用できることを明確化いたしました。これにより、社会貢献活動でのアマチュア無線の積極的な活用が広がっており、アマチュア無線の果たす役割への期待が一層高まっております。

 また、この改正におきまして、アマチュア無線有資格者の家族や学校の教職員の下でアマチュア無線を体験できるようにいたしました。これにより、未来を担う小中学生がアマチュア無線を体験できる機会が拡大し、草の根レベルでの人材育成が進んでおります。

 アマチュア無線は身近な無線技術であり、入門レベルの無線技術を身につける手段として、将来の技術研究、開発に携わる人材の裾野拡大にもつながるものでございます。引き続き、その普及や利活用に努めてまいります。

杉田委員 最後の質問になります。

 近年、竹島において、我が国の無線従事者免許、無線局免許を受けずに、外国人による外国のコールサインを用いて電波が発信されているケースがあると承知しております。電波法は我が国に適用される法律であり、言うまでもなく、竹島は我が国の領土です。本件について、総務省はどのような対応を行っておりますでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 日本国内において不法無線局が開設されていることを確認した場合、電波法に基づく処分を行うこととなっております。

 なお、これまでに、竹島において不法無線局が運用され、我が国の無線局の運用に支障が発生したとの申告は受けておりません。

 総務省としては、引き続き、良好な電波利用環境を維持するため、不法無線局対策に取り組んでまいります。

杉田委員 竹島は日本ですので、違反者が日本人であろうと外国人であろうと、法治国家の責任においてしっかりと対応していただきたいと思います。

 特に、外国人による犯罪に対して、日本は甘いから大丈夫であるとか及び腰であるといった印象を国内外に与えることが決してないようお願いを申し上げます。

 以上、本法案の改正によって、日本の放送業者が公平公正かつ国民の暮らしを守る上で有効なサービスを提供することを期待し、質問を終わります。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、輿水恵一さん。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日、質問の機会をいただきましたことに、心より感謝を申し上げます。

 それでは、早速でございますが、電波法及び放送法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。

 我が国の移動通信システムは、第一世代のアナログ音声通信から始まり、第二世代では、デジタル音声通信に加え、メールやインターネット接続が可能となりました。そして、第三世代では、音楽、ゲーム等のサービスも提供されるなど急速に進展し、第四世代では動画の配信、そして第五世代、いわゆる5Gにおいては、超高速化、大容量化等が進められているところでございます。

 この移動通信システムの高度化とともに、スマートフォンが急速に普及する中で、通信トラフィックが激増している状況であります。

 また、近年、無線モジュールを搭載した自動車を始め、様々なものがインターネットにつながるIoTの進展、さらに、ビッグデータを扱うM2M無線システム、また、ドローンによる配送サービスを始めとするロボット等の遠隔操作、また、スマートインフラとしてのワイヤレス給電システムなど、電波を利用したサービスへのニーズは急激に高まっているところでございます。

 そこで、金子総務大臣に伺います。

 今後の我が国の無線通信において、どのような分野における電波のニーズが今後どのように増大すると考えているのか、また、そのニーズに対して周波数をどのように分配しようとしているのかにつきまして、お伺いを申し上げます。

金子(恭)国務大臣 輿水委員御指摘のとおり、社会全体のデジタル変革が進む中、今後、電波の利用ニーズが一層拡大することが予想されております。

 具体的には、総務省で開催をいたしました昨年八月のデジタル変革時代の電波政策懇談会報告書におきまして、5G、ビヨンド5Gなどの携帯電話に加え、衛星通信、IoT、無線LAN、自動運転等の次世代モビリティーなどの分野を中心に、今後ニーズが拡大することが指摘されております。二〇二五年度末までに約十六ギガヘルツ幅、二〇三〇年代までに約百二ギガヘルツ幅の新たな周波数を確保する必要があるとの目標が示されたところでございます。

 総務省としては、この目標の実現に向けて、技術の進展を踏まえた周波数の一層の有効利用、同じ周波数帯の複数のシステムによる共用、ミリ波帯やテラヘルツ帯など高い周波数の利用技術の開発を一層推進することにより、5Gやビヨンド5Gを始めとする新たな電波の利用ニーズに対応するため、必要な周波数をしっかりと確保してまいりたいと思います。

 御支援をよろしくお願いいたします。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まさに、そして今回の電波法の改正では、この限りある電波の有効な活用を目指して周波数利用の最適化を目指すということでございますが、そこで、今お話にありました5Gやビヨンド5Gなど、高速、大容量、低遅延の通信に活用される電波は、周波数が高く、そして、一方で電波の到達距離が短いのが特徴であると聞いておりますが、今後は更に高い周波数の電波の利活用も進められる中で、より狭く限られたエリアでのサービスの展開も想定され、また、基地局についてもより細かく整備する必要があるのかと思います。

 そこで、高速、大容量、低遅延の通信サービスの展開において、今後は、同一の周波数を、限定的なエリアにおいて、複数の無線システムが活用されるシーンも増えるものと考えますが、このようなダイナミックな電波の利活用について、総務省はどのように対応しようとしているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 5G、ビヨンド5Gなど、新たな電波利用ニーズに応えるためには、より一層の周波数の効率的な利用に取り組んでいくことが重要であると考えております。

 このため、総務省では、異なる無線システム間で、同一の周波数において、地理的、時間的に周波数を柔軟に共用するダイナミック周波数共用を推進しております。

 今般、二・三ギガヘルツ帯を新たに5G用に割り当てるため、本年三月に、周波数を柔軟に共用するシステムを構築し、開設計画の申請を受け付けたところでございます。

 今後、ミリ波など高い周波数帯を含め、ダイナミック周波数共用を活用することなどにより、周波数の更なる有効利用に取り組んでまいります。

輿水委員 ありがとうございます。

 続きまして、電波利用料の在り方について御質問をさせていただきます。

 今回の電波利用料の見直しの中で、電波利用料の総額は約七百五十億円となりました。

 そこで伺いますが、近年は、地上放送のデジタル化や携帯電話の普及拡大、さらに、電波の利用シーンの多様化など、電波の利活用の環境が大きく変化する中で、この電波利用料の総額の推移はどのようになっていたのか、また、その変動の要因も含めてお聞かせ願えますでしょうか。

 さらに、もう一つ。今回の改正で、電波利用の共益事務に関する事項として、研究開発のための補助金の交付も追加をされました。

 そこで、この研究開発のための補助金の交付として、どのような研究開発について、どの程度の補助金を想定されているのか、また、将来的にはどのような成果を期待しているのかにつきましてもお聞かせ願えますでしょうか。よろしくお願いいたします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 電波利用料の歳出予算については、料額改定の際に使途の見直しを行いつつ、無線局全体の受益を直接の目的として行う事務、いわゆる電波利用共益事務の処理に要する費用の積み上げを行ってきております。

 電波利用料の歳出総額の推移につきましては、例えば、平成二十九年度改正においては、使途として衛星放送受信環境整備支援を追加し、総額六百二十億円規模としております。また、令和元年改正では、使途として電波伝搬の分析、観測などの推進、地上基幹放送などに関する耐災害性強化支援事業を追加し、総額七百五十億円規模としております。

 その変動要因につきましては、使途の追加に伴う新たな事務の実施に加えて、近年の携帯電話の普及拡大や電波の利用シーンの多様化を踏まえ、光ファイバー、5G基地局、WiFi等の整備のほか、電波の有効利用に資する研究開発なども強化してきたことが挙げられます。

 また、これらの事務の実施に合わせて既存の事務の見直しや予算の節減に努めることにより、歳出予算の効率化を行ってきております。

 総務省では、引き続き、歳出抑制に努めながら、電波の有効利用に資する取組をしっかり進めてまいります。

田原政府参考人 研究開発のための補助金の交付について、お答え申し上げます。

 国際競争が激化するビヨンド5Gなどの分野について、集中的に研究開発投資を行う必要があるため、補助金の交付を新たな使途として追加し、電波利用料財源による研究開発を進めることとしたものでございます。

 これにより、高い周波数の電波の利用など、おおむね五年以内に開発すべき電波の有効利用に資する技術研究開発に集中的に取り組むことが可能になり、令和四年度当初予算においては百億を計上しているところでございます。

 当該予算による研究開発に着実に取り組むとともに、後年度の予算も含め、継続的な研究開発投資を行うことにより、熾烈な国際競争を勝ち抜き、二〇二五年度以降、順次研究開発成果を社会実装できるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに5Gまたビヨンド5G、こういった高速、低遅延、また大容量、こういった開発と同時に、それを使うサービスの、そういった開発もセットで考えながら、国民の皆さんがその利便性を十分活用できるような、そんな社会を目指していただければと思います。

 ここで、今後、あらゆる物事が電波で様々なシステムにつながり、人々の日常を支えるデジタル化がこのように急激に進展する中で、電子機器等による不要電波から電波環境を保護し、安全で安心な情報通信環境を実現するためにも、電波利用料を活用しての電波の監視体制の強化も必要と考えますが、見解を伺います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省は、国民の電波利用環境の維持に向け、電波利用料を活用し、不法無線局の探査、混信妨害の排除などの電波監視に取り組んでおります。

 近年のIoTの進展などによる電子機器の増加に伴い、無線通信の混信原因も多様化、複雑化してきております。こうしたことを踏まえ、IoTなどの新しい無線システムや、高い周波数を利用する5G携帯電話にも対応可能な電波監視設備を拡充するなどにより、安全で安心な情報通信環境の確保に取り組んでまいります。

輿水委員 しっかりと、安全、安心な電波環境の維持管理をよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、東日本大震災の、大規模災害時における避難あるいは復旧活動を通じ、社会インフラとしての無線システムの重要性が再認識され、災害に強い通信また放送インフラの整備が必要だ、このように思っているところでございますが、特に衛星無線通信について、緊急時は非常にその有効性が高いと考えております。

 そこで、この衛星を活用した移動通信無線技術の現状と今後についてお聞かせください。特に、衛星通信の場合は、通信の容量の拡大や電波の受けられる場所や方角の制約など、様々な課題があると思いますが、具体的な改善策など、検討されているのかについてもお聞かせください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、衛星通信システムは災害に強いという特徴を有していることから、災害時のバックアップ回線などに利用されているところでございます。

 このほかにも、携帯電話不感地帯を解消するための基地局への通信回線や、船舶、航空機への通信サービスの提供など、様々な場面で利用されており、衛星通信システムの通信回線の大容量化が期待されているものと認識をしております。

 このような中、総務省におきまして、多数の小型衛星を一体的に運用し、大容量通信等を提供する衛星コンステレーションシステムなど、新たな衛星通信システムの導入に向けた制度整備を順次進めております。

 これにより、衛星通信システムの通信容量の拡大や、場所や方角などの利用シーンに応じて選択が可能となるよう、衛星通信システムの多様化が図られることを期待しております。

輿水委員 まさに大規模な震災なんかも想定される中で、今の衛星通信の技術の向上と、またその情報の大容量化等につきまして、早急に研究を進めて、また開発を進めていただき、いざというときにしっかりと活用できるような、そんな社会を築いていただければと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、鈴木庸介さん。

鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。

 まずは、二十四日付のNHKの人事異動で、松坂千尋専務理事が退任になるということでお伺いをいたしました。

 松坂さんは、私が新入りだった頃に、直属の上司として本当に微に入り細に入り御指導いただきましたけれども、また、総務委員会の所属になってからは、NHKと政治の距離が近過ぎるといったことにも真摯にお答えいただきまして、大変感謝を申し上げたいと思います。お疲れさまでございました。

 とはいえ、忖度なく、今日も質問をさせていただきます。

 まず、放送法について質問をさせていただきます。

 今回、NHKの中間持ち株会社への出資に関する制度が法案に盛り込まれております。グループの業務の効率化を図るということでございますけれども、実際に中間持ち株会社を持つことによって、どのようなメリットが出てくるのかということが大変分かりにくいなというのが率直な感想でございます。

 NHKサービスセンター、NHKインターナショナル、NHKエンジニアリングシステム、NHK研修センターの四つの一般財団法人と、NHK交響楽団、こちらは公益財団法人になりますけれども、この五つの団体のそれぞれの売上げをまず伺えればと思います。そして、それらを統合することによって、どの程度の統合のメリットが出てくるのかということについて伺えればと思います。

松坂参考人 お答えいたします。

 五財団の、今、統合の御質問ということですよね。

 NHKは、財団法人が六つございます。今お話がありましたように、NHKサービスセンターなど四つの財団法人、この四つの財団法人は一般財団法人でありますが、それと公益財団法人のNHK交響楽団、四つの財団法人を統合した後、来年の四月に、これらの四つの財団法人を親法人、それからNHK交響楽団を子法人として統合することにしております。

 この効果としては、四つの財団法人においては、この統合によって、特に管理部門の要員などを削減できるのではないかというふうに思っておりますし、四つの財団がそれぞれ活動しておりますけれども、それぞれ、全体として一つの財団になることによって、NHKの財団としての社会的な貢献、これが発揮できるのではないかというふうに考えております。

 また、NHK交響楽団と一つの親法人、子法人となることによりまして、相互のシナジー効果みたいなものもあって、財団の中には海外での、海外支援の業務なども行っているところもありますので、それとNHK交響楽団の活動などをコラボレーションするというふうなことも考えられるかなというふうに思っているところでございます。

 四つの財団法人のそれぞれの売上げは、サービスセンターが約八十億円程度、そのほかの財団が約二十億円程度、少し、今正確な数値は持ち合わせておりませんが、それぐらいの規模でございます。あと、NHK交響楽団については二十数億円の規模ということになっております。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 大体三百億円ぐらいの売上げというようなお話かと思うんですけれども、三月七日の電波監理審議会の中で、中間持ち株会社による成果、効果というのが、分科会の場でNHKから出されたデータとして、八億円ということが言われているんです。

 三百億円ぐらいのところで八億円の削減効果、少ないのか多いのかという評価はあると思うんですけれども、個人的にはもうちょっと削減効果があってもいいのかなと思うんですが、その辺の数字についての評価みたいなものはございますでしょうか。

松坂参考人 お答えいたします。

 今の八億円という数字がどの数字か少しはっきりしないんですけれども、中間持ち株会社といいますのは、これは財団ではなく、子会社の、子会社が今十一社ありますけれども、これらのうち数社を中間持ち株会社の下に置くというようなことを考えているところであります。

 中間持ち株会社の傘下に入ります会社については、管理部門の統合化などによって管理部門の要員を三割ぐらい削減したりですとか、役員については、それぞれの各会社が中間持ち株会社の下の一つの部門のようになりますので、役員についても大幅に削減できるのではないかというふうに思っております。

 それから、全体の売上げについても、委託業務の削減もしておりますので、一割から二割削減できるのではないかというふうに思っているところであります。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 またちょっと電波監理審議会でのコメントを引用させていただければと思うんですけれども、毎年赤字で始まって大幅な黒字で終わるといった、一般企業ではなかなか考えづらい予算の組み方があったり、子会社が多かったり、また、子会社の随意契約の比率が九五%程度と高いということがよく言われております。

 この辺の実際の運用というのは、中間持ち株会社をつくることによってどのようになるのでしょうか。その辺りを伺えればと思います。

松坂参考人 お答えいたします。

 まず、随意契約の関係であります。

 NHKの子会社ですけれども、これは、NHKグループの一員として、公共放送の業務を補完、支援することを基本とし、NHK業務の効率的推進を大きな目的の一つとして設立しています。

 このため、子会社との取引は、公共放送にふさわしい番組を制作し、安定した送出を確保するなど、より効率的な体制でNHKの使命を達成するために行っております。こうした業務に必要な独自のノウハウの流出を防ぐためにも、こうした業務は外部に委託することはなじまないと考えております。

 一方、独自のノウハウや技術が必要な業務以外の取引は、原則、競争契約で実施しておりますが、随意契約としている業務についても、競争契約に移行できるものがないか、不断に見直しております。例えば、今年度から、施設の警備や保守管理業務などの一部を新たに競争契約にしております。今後も引き続き、随意契約については検討を進めてまいりたいと考えております。

 それから、中間持ち株会社を持つことによって、委託業務全体について、今後、NHKの業務全体も少し縮小していきますので、そうしたことを精査しながら、委託の業務の規模については一割から二割削減していくことになるのではないかというふうに考えております。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 今回の法案では、中間持ち株会社のほかにも、字幕放送、解説放送や、また難視聴解消に関し、NHKが民放に協力するよう努力することを規定しております。

 NHKとしては、この民放の責務遂行ということ、これは定義としてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

松坂参考人 今回の法改正には、民放の責務遂行に関する協力という努力義務が盛り込まれております。

 このうち、民間放送事業者の責務、ネットワークに関するものにつきましては、放送法の規定に基づき、民放事業者は放送をあまねく受信できるよう努めることとされております。

 NHKとしては、これまでも、民放との放送所設備の共同建設などを進め、放送ネットワークの維持に努めてきました。小規模な中継局では七割以上、山間部などに設置したミニサテ局と呼ばれる小型の中継局では八五%をNHKと民放が共同で設置、管理しております。

 一方で、こうした地域の放送ネットワークの維持管理のコストですとか保守管理の人材確保などが、各社の、NHK、民放共通しての課題となっております。

 総務省の検討会が、先月末、コスト負担の軽減に向けた環境整備や、経済合理性も勘案して、デジタル技術の導入などによる効率化を図ることを盛り込んだ論点整理をまとめました。

 今後も、NHKと民放の二元体制を堅持しながら、地域の皆様にNHKと民放の放送をお届けし続けるためには、経済合理性も踏まえた持続可能な放送ネットワークを構築することが重要だと考えています。総務省の検討会の論点を踏まえ、更なる連携について検討を進めてまいりたいと考えております。

 それから、ユニバーサルサービスの方に関しましては、例えば、CGによる手話アニメーションですとか自動解説音声サービスなどで、民間放送との協力を更に進めていきたいと考えております。

鈴木(庸)委員 民間放送しかり、NHKしかり、裏の取れた一次情報というのはこれから更に重要になってくると思いますので、このアテンションエコノミーの時代に、更なるNHKのそうした努力についてお願いを申し上げたいと思います。

 また、中間持ち株会社をめぐっては、管理部門の業務の集約と役員数、従業員数の合理化、また重複業務の排除、こちらをうたっているんですけれども、当然、これから多くの改革をされていく上で、現場の職員の皆さんに対するケアというものが必要になってくると思います。

 現場の職員の皆さんに対するケアというところで、やはり忘れてはならない問題があるのかなと思います。平成二十六年の五月に、渋谷労働基準監督署は、前年の七月にNHKの首都圏放送センターの記者だった佐戸未和さんが心不全で死亡したのは過重労働が原因であったと認定をいたしました。

 これを受けて、平成二十九年十二月に、NHK会長は、「NHKグループ 働き方改革宣言」において、長時間労働を改めて、過労による健康被害を起こさないという決意を表明されているんですが、まず、この辺りの経緯について御説明をいただけますでしょうか。

林参考人 NHK記者の佐戸未和さんは、二〇一三年七月に自宅で亡くなられ、翌年五月に渋谷労働基準監督署から労災認定されました。

 亡くなる直前には、東京都庁の担当記者として、都議会議員選挙と参議院議員選挙という二つの大きな選挙の取材に当たっていただいていました。若く未来のある佐戸未和さんが長時間労働による過労死と認定を受けたこと、また、それを防ぐことができなかったことは痛恨の極みであり、大変重く受け止めております。

 当時、勤務状況や働き方、職場環境などについて関係者のヒアリングや調査を行い、労基署には関係する資料を提出しております。その結果、組織として、記者の勤務管理、健康管理に不十分なところがあったと判断し、労務管理の抜本的な見直しを図ってまいりました。

 二〇一七年四月からは、記者に専門業務型裁量労働制を導入し、勤務状況をしっかりと把握した上で、時間数に応じて、上司と休暇計画を作成したり、産業医と面談を行ったりするなど、健康確保のための施策を実施しております。以前と比べると、勤務管理や健康確保の取組が強化され、記者の意識改革も大きく進んだと考えております。

 また、二〇一七年十二月には「NHKグループ 働き方改革宣言」を公表し、働く人の健康を最優先にして、長時間労働に頼らない組織風土づくりや業務改革にグループ全体で取り組んでまいりました。働き方改革宣言前と比べると、労働時間は着実に減少してきています。

 現在は、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、時間と場所にとらわれないリモートワークを積極的に取り入れているところでございます。

 命と健康を守りながら多様な働き方を実現できる環境を整えることで、一人一人が能力を最大限に発揮し、視聴者の皆様にお届けするコンテンツ、サービスを一層充実させていきたいと考えております。

 公共メディアを共に支える大切な仲間を失うことは、決してあってはならないと考えます。佐戸未和さんの過労死を全職員が忘れることなく、健やかに生き生きと活躍できる職場づくりを進めてまいります。

鈴木(庸)委員 それで、平成二十六年の五月に渋谷労働基準監督署が、平成二十五年の七月に佐戸さんが亡くなられたのは、御案内のように、先ほどの繰り返しになるのですが、過重労働が原因であったと認定していたんですが、これを平成二十九年十月まで公表されてこなかった。この理由についてお伺いをさせていただきたいというのが一点。

 また、この事案について、今、林理事からもおっしゃっていただきましたが、NHKとしては聞き取り調査をやっていたということなんですが、具体的にどういった調査で、また、これだけの事件ですから、最終報告書が出てきていないということに関して私は若干の違和感を感じるんですが、その辺りの理由について御説明をいただけますでしょうか。

林参考人 今御質問でありましたとおり、報告書としてまとめたものはございません。ただ、当時、勤務状況や働き方、職場環境などについて、関係者へのヒアリングや調査はきちんと行いました。そして、その結果、組織として記者の労務管理に不十分なところがあったと判断し、協会全体で働き方改革を進めてきたところでございます。

 職員には、新採用研修や管理職研修を始め様々な場で佐戸未和さんの過労死の事実を伝えるとともに、実践的な内容の研修を実施するなどして、働き方の意識改革を図っております。佐戸未和さんの過労死を重く受け止めて、働く者一人一人の健康を確保し、働きがいのある職場環境づくりに今後も不断に取り組んでまいります。

 委員御質問のありました報告書につきましては、報告書としてまとめたものはございませんが、こうした不断の取組を一つ一つ重ねること、そして状況をより改善することをもって、NHKとして、大切な仲間を決して失うことがあってはならないという強い決意で取り組んでいることをお示しできるものと考えております。もとより、この姿勢、取組は、今後もいささかも変わるものではございません。

鈴木(庸)委員 首都圏センターの管理職を対象にして佐戸さんの御両親にお話をしていただくといった形で、悲しい出来事を風化させないという志も同時に感じております。

 私も娘を持つ身として、本当に身につまされるところなんですけれども、第二の事件を起こさないためにも、NHKだけじゃなくて社会全体で考えていかなくてはいけないというところだと思うんですが、この問題の今後の取組について、会長に、どういった覚悟、お考えをお持ちか、お伺いできればと思います。

前田参考人 お答え申し上げます。

 NHKでは、佐戸未和記者の過労死を重く受け止め、公共放送を共に支える大切な仲間を失うようなことが決してあってはならないという決意の下に、長時間労働に頼らない組織風土づくりに取り組んでおります。

 二〇一七年十二月に公表いたしました「NHKグループ 働き方改革宣言」では、働く人の健康を最優先とすることを明確に打ち出し、あらゆる業務に取り組む上で基本姿勢としております。現在進めております改革の土台となっております人事制度改革におきましても、この基本姿勢を基に、職員の多様な働き方を実現する制度、運用面の環境整備を行っております。

 受信料で成り立つNHKは、スリムで強靱な体制の下、正確、公平公正で、豊かな放送・サービスをあまねく皆様に提供するために、不断の改革に努める責任があると考えております。こうした改革を進めていく上で、働く人の健康を最優先とするという基本姿勢を堅持し、将来にわたって視聴者の皆様の期待と信頼に応え続けることができる組織へと改革を進めてまいりたいと思います。

鈴木(庸)委員 本当に、節目節目でこの件を思い出しながら、働く環境の向上に努めていただければと思います。

 NHKの皆さん、こちらで大丈夫です。ありがとうございました。

 次に、受信契約の締結に応じない者を対象とする割増金制度について、総務省にお伺いさせていただきたいと思います。

 正当な理由がなく期限までに受信料の申込みを行わない受信設備設置者は、今一七%程度だということで伺っておりますけれども、この人たちに割増金を課すということだと思うんですが、具体的にはどのようなケースに割増金を課すのか、教えていただけますでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案におきまして、日本放送協会が徴収することができる受信料の額に加え、割増金というものの徴収について受信規約において規定することとしております。その具体的内容として、不正な手段により受信料の支払いを逃れた場合、また、正当な理由がなくして期限までに受信契約の申込みをしなかった場合ということになってございます。

 不正な手段により受信料の支払いを免れた場合ということですが、例えば、受信料の免除の事由が消滅したにもかかわらず、その届出をしないこと、あるいは、衛星系によるテレビジョン放送を受信することができる受信設備を設置し、衛星契約を締結するべきところであるところにもかかわらず、虚偽の通知をし、地上契約を締結することにより受信料の差額の支払いを逃れることなどが該当するものと考えております。

 二点目の、正当な理由がなく期限までに受信契約の申込みをしなかった場合については、例えば、受信設備設置者が、事故又は病気等のやむを得ない事由がないにもかかわらず、受信契約の申込みを期限までにすることがかなわなかった場合などが該当するものと考えております。

鈴木(庸)委員 この割増金、三倍と聞いているんですけれども、この三倍の根拠について伺えますでしょうか。

吉田政府参考人 割増金の上限を定める倍数につきましては省令において定めることとしておりますけれども、まず、この割増金の趣旨といたしまして、現状、受信設備を設置した方のうち約二割の方が受信料を支払っていないという負担の不公平が生じていることを踏まえ、本法案では、受信料の適正かつ公平な負担を実現するという観点から、この制度を導入しようとするものでございます。

 割増金の上限額を設定するための倍数につきましては総務省令で定めますが、その内容については、こういう割増金の制度趣旨を踏まえ検討してまいります。

 その検討に際しては、例えば、鉄道などほかの公共料金においても導入されている割増金の例がございますので、そういうものが参考となるものと考えております。

 なお、省令の整備に当たりましては、パブリックコメントを実施した上で電波監理審議会に諮問するなど、広く意見を聞いて進めてまいる所存でございます。

鈴木(庸)委員 省令でということなんですけれども、三倍という言葉は結構インパクトのある数字だと思いますので、本当に丁寧に国民の皆様に御説明をいただければなと改めてお願いをいたします。

 次に、電波監理審議会について伺わせていただきます。

 電波監理審議会のメンバーの先生方は、どの先生もそれぞれの分野で高い知見をお持ちということはもちろん分かるんですけれども、特に技術という点からすると、慶応義塾大学の笹瀬先生だけなのかなとお見受けをいたします。

 このことは、本会議でも質問させていただいたときに、技術的に十分な審議が可能な体制であるとは言い難いのではないかということを申し上げました。その際に、大臣の方から、同審議会の下に専門の部会や特別委員を置くことができるよう体制の強化を図ると御答弁いただいておりますけれども、具体的には、どのような専門部会を何人程度で置くのか、専門部会と特別委員の仕事のすみ分けとか、具体的な方針を伺いたいと思います。

 電波監理審議会の機能というか役割がかなり大きく拡大されてくると思いますので、その体制についてちょっとお伺いさせていただければと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、電波監理審議会の機能強化に関しまして、電波の有効利用の程度の評価を同審議会が新たに行うこととしております。

 そのため、同審議会が、電波に関する技術の発達や需要の動向など幅広い観点から検討を行う必要があるため、委員御指摘のとおり、同審議会の下に専門の部会や特別委員を置くことができるよう、所要の政令を整備し、体制の強化を図ってまいります。

 具体的に申し上げますと、特別委員の人選に当たりましては、無線局の数、無線通信の通信量、技術導入に関する状況などについて電波の有効利用の程度の評価を行うため、無線、ネットワークなどの電波に関する技術、また、法律などに知見を有する学識経験者に幅広く所属をいただき、多角的に御審議をいただくことを検討しているところでございます。

 なお、特別委員の人選につきましては、無線、ネットワークなどの電波に関する技術を含みます学識経験者五名程度に、幅広い分野から所属をいただくことを検討しているところでございます。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 本当に組織がこれから拡大していく中で、知見のある方をどれだけ入れていくことが大事かというところになってくると思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、外資規制の見直しについてもお伺いをさせていただきたいと思います。

 先日、本会議で質問をさせていただいたときに金子大臣にいただいた御答弁で、外資規制の適合性を確保するために、放送事業者が申請書類を提出する際に、株主名簿などの客観性を有する証拠書類を併せて添付するということを義務づける。さらに、外資規制審査官、こういう新しい役職も設けて客観的に確認していくという御答弁をいただいたと思います。

 御案内のように、これまではそれぞれの企業が自主的に提出する書類ベースで考えていたものを、客観的にそれを監視することができるように外資規制審査官というポジションをつくるんだと思うんですけれども、外国勢力による不当な影響を受けないためにも、外資規制の審査体制の強化というのは大変重要なことと考えておりますけれども、この外資規制審査官というのは具体的にはどういった職務を行うのか、御説明をいただければと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 外資規制審査官は、外資規制の適合性を確保するために審査体制を強化するということから、今月、新たに設置されております。

 外資規制の適合性審査を直接担当する部署での審査に加えまして、外資規制審査官が複層的にチェックを行うということによりまして、外資規制の審査を総合的かつ一元的に取り扱う体制の整備を担うということとしております。

 また、外資規制の審査につきましては、現在、本省におきましても担当部課が複数にわたっていること、あるいは地方支分部局でも担当しているということでございますので、審査の手法やポイントを共有することなどを通じて、これらが本省担当部署あるいは各地方支分部局を通じて統一的に漏れなく行われるよう、外資規制審査官の指揮の下、審査マニュアルの整備なども進めております。

 これらの体制の強化を通じまして、外資規制審査官を中心に、外資規制の実効性確保に引き続き取り組んでまいりたいと存じます。

鈴木(庸)委員 どうもありがとうございました。

 複層的にチェックを進めていっていただきたいと改めてお願い申し上げます。

 それでは、今後についてなんですけれども、正直、私も5Gの携帯なんですけれども、実際、御案内のように、議員会館とかも、ここでも4Gしか入らないんですね。今、5Gの基地局というのはどんどんどんどん、増やしている、増やしている、CMでも5G、5Gとあるんですけれども、一体今どうなっているのかというところと、あと、条件不利地域での基地局整備についても、どういった現況があるのかということを教えていただければと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省は、デジタル田園都市国家構想の実現に貢献するため、デジタル田園都市国家インフラ整備計画を本年三月二十九日に策定、公表をいたしました。

 5Gの整備状況につきましては、二〇二〇年度末時点における5Gの全国での人口カバー率は三〇%台でありますけれども、整備計画では、5Gの全国での人口カバー率を二〇二三年度末までに九五%とし、二〇二五年度末までに九七%とすることなどの新たな整備目標を掲げ、そのための具体的な施策を取りまとめているところでございます。

 お尋ねの条件不利地域における基地局整備でありますけれども、総務省において補助金による支援を行っております。条件不利地域での更なる整備の促進を図るため、インフラシェアリングを活用した整備に対する支援を追加するということも含めまして、令和四年度当初予算においても必要な経費を計上しているところでございます。

 総務省としては、整備計画を着実に実行し、都市と地方での一体的な整備を強力に進め、可能な限り多くの方々が5Gの恩恵を早期に受けられるように、しっかりと取り組んでまいります。

鈴木(庸)委員 今の条件不利地域の補助金制度というものですけれども、これはどういった形の補助金になってくるんでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども総務省におきましては、携帯電話等エリア整備事業というものを行っておりまして、このうち、高度化施設整備事業といたしまして、3G、4Gを利用できるエリアで高度化無線通信を行うために5G等の携帯電話の基地局を設置する場合、整備費を補助するものでございます。

 このうち、先ほど申し上げましたインフラシェアリング、共同の設置については、通常二分の一の補助割合でありますけれども、これを三分の二の補助ということで少しかさ上げをする形で、より地方での5Gの基地局設置を促すように、共同設置でコストを安く、より迅速に設置ができるような形で進めているところでございます。

鈴木(庸)委員 ありがとうございました。

 5Gがどんどんどんどん進んでいるというところでございますけれども、5G、5Gと言っているうちに、今度はビヨンド5Gとか6Gとか、どんどんどんどん時代は進んでいるところでございます。

 最後に、総務大臣に、ビヨンド5G、6G時代、どうやってやっていくのか、意気込みをお伺いさせていただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 私も5G対応のスマホを持っているんですが、やはり4Gであったり5Gだったりあるわけでありますが、意外なところで5Gが出ると、ああ、こんなところまで来たかというような、実感することもございます。

 今、局長の方から、条件不利地域での基地局の整備についてお答えをさせていただきました。

 お話があったビヨンド5G、いわゆる6Gは、二〇三〇年代の社会や産業の基盤となるものでございまして、その早期の実現に向けて、総務省では、産学官の力を結集しまして、所要の予算を計上して、研究開発に全力で取り組んでおります。

 さらに、国際競争が激化する中で、我が国が主導権を確保していくため、重点分野を特定しまして研究開発を加速化する方策などを盛り込んだ戦略を本年夏に取りまとめ、これを強力に実行していく予定でございます。

 こうした取組を通じて、日本が先端技術で世界をリードするとともに、開発成果をできる限り早く社会実装して、ビヨンド5Gの恩恵を国民の皆様にお届けできるように、しっかりと取組をさせていただきたいと思います。

鈴木(庸)委員 様々なテーマのある総務行政だと思いますけれども、引き続き検討をお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次回は、来る十九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十二分散会


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