衆議院

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第13号 令和4年4月19日(火曜日)

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令和四年四月十九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 新谷 正義君 理事 田所 嘉徳君

   理事 岡本あき子君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 輿水 恵一君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      井原  巧君    石田 真敏君

      石橋林太郎君    大串 正樹君

      加藤 竜祥君    川崎ひでと君

      国定 勇人君    小森 卓郎君

      坂井  学君    杉田 水脈君

      武村 展英君    西野 太亮君

      鳩山 二郎君    古川 直季君

      古川  康君    保岡 宏武君

      柳本  顕君    吉川  赳君

      渡辺 孝一君    石川 香織君

      おおつき紅葉君    奥野総一郎君

      神津たけし君    鈴木 庸介君

      道下 大樹君    湯原 俊二君

      阿部 弘樹君    沢田  良君

      守島  正君    福重 隆浩君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

    …………………………………

   議員           中司  宏君

   総務大臣         金子 恭之君

   総務副大臣        中西 祐介君

   総務大臣政務官      鳩山 二郎君

   総務大臣政務官      渡辺 孝一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   原  邦彰君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           竹村 晃一君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  田原 康生君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            吉田 博史君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            二宮 清治君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    井上  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 奈尾 基弘君

   参考人

   (日本放送協会会長)   前田 晃伸君

   参考人

   (日本放送協会副会長)  正籬  聡君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 松坂 千尋君

   参考人

   (日本放送協会理事)   松崎 和義君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     吉川  赳君

  鈴木 英敬君     国定 勇人君

  奥野総一郎君     神津たけし君

同日

 辞任         補欠選任

  国定 勇人君     石橋林太郎君

  吉川  赳君     井林 辰憲君

  神津たけし君     奥野総一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     鈴木 英敬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電波法及び放送法の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 情報通信行政の改革の推進に関する法律案(中司宏君外二名提出、衆法第二六号)


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電波法及び放送法の一部を改正する法律案及び中司宏君外二名提出、情報通信行政の改革の推進に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本放送協会会長前田晃伸さん、日本放送協会副会長正籬聡さん、日本放送協会専務理事松坂千尋さん及び日本放送協会理事松崎和義さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房長原邦彰さん、大臣官房総括審議官竹村晃一さん、国際戦略局長田原康生さん、情報流通行政局長吉田博史さん、総合通信基盤局長二宮清治さん、統計局長井上卓さん及び厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官奈尾基弘さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。おおつき紅葉さん。

おおつき委員 おはようございます。立憲民主党・無所属のおおつき紅葉です。

 本日は、内閣提出の電波法及び放送法の一部改正案に係る法案質疑の機会をいただくことになりまして、改めて感謝申し上げます。

 早速ですが、電波法の関係で、受信障害対策を目的とした施設に係る経費の公費負担について質問をさせていただきます。

 戦後、昭和二十八年のテレビジョン放送開始当初はぜいたく品として扱われていたテレビでしたが、最初の東京オリンピックが開催された昭和三十九年には普及率が九割に達し、長らく、映像を通じて視覚的な情報を伝達する手段として重用されてきました。

 昨今は、インターネット動画配信サービスに押されておりますが、放送内容がツイッターのトレンドとして急浮上することも少なくはありません。

 手軽に映像や音声を用いたコンテンツを享受できるテレビジョン放送は、現在においても我が国の社会生活に重要な役割を担い続けておりまして、大きな影響を持つマスメディアという地位に変化はありません。

 NTT東日本と西日本は電話サービスを、そして地域の各電力会社等は電力を、それぞれ提供する義務を負うラストリゾート事業者、つまり頼みの綱の事業者とされていますが、地上基幹放送を行う放送局及びその事業者は、信頼ある情報伝達手段のラストリゾートと言えるのではないでしょうか。

 総務省の統計局では、定期的に社会生活基本調査を実施し、そこでは、テレビ、ラジオ、新聞及び雑誌のいわゆる四大マスメディアに係る時間の調査を五年ごとに行っていると承知しております。

 そこで、現時点の社会生活基本調査における四大マスメディアに係る時間の全国平均、最長及び最短となった都道府県の名前と時間をお答えください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年社会生活基本調査の結果によりますと、一日の生活時間のうちテレビ、ラジオ、新聞、雑誌に費やした時間は、全国平均で二時間十五分となってございまして、都道府県別に見ますと、最も長いのが北海道で二時間三十八分、最も短いのが東京都で一時間五十五分となってございます。

おおつき委員 今御答弁いただいたとおり、社会生活基本調査においては、最長が私の地元である北海道でありまして、最短が、都会代表の、首都である東京都となっております。

 この統計では、生命活動に必要な睡眠や食事等の一次活動、仕事や家事等の二次活動、そして余暇等の三次活動で時間が集計されておりまして、テレビの視聴等はこの三次活動に当たります。この三次活動の全国平均は六時間二十二分とされておりまして、この三次活動の三分の一超の時間を四大マスメディアのために費やしているということになります。四大マスメディアの合計でありますので、この時間を単にテレビの視聴時間とみなすことはできませんが、この時間の多くをテレビの視聴が占めるものと思われます。

 すなわち、都会と比較して地方は、四大マスメディアの時間の割合がより高くなるということであり、地方におけるテレビの影響力は都会に比べて大きくなる傾向にあると思われます。岸田政権のデジタル田園都市構想では、誰一人取り残さない社会の実現として、デジタル活用に不安がある高齢者や被災者等へのデジタル活用支援が掲げられておりますが、テレビ放送が誰一人取り残さない社会の実現に果たす役割はいまだ大きいと考えております。

 さて、今から十年前の平成二十四年、地上波テレビ放送は全国的にアナログからデジタルに転換されました。この転換によって、画像にずれが生じるゴースト現象などが生じず、細かいところまできれいに見られる高精細になったにもかかわらず、テレビ放送で用いる周波数の幅は、合計三百七十メガヘルツ幅から二百四十メガヘルツ幅へと約三分の二にコンパクトになりました。また、このデジタル転換では、周波数の幅の縮減だけではなく、周波数の変更、すなわち周波数の引っ越しも同時に行われました。

 しかし、デジタル転換によって様々な問題が浮上しました。周波数の範囲が変わったことで電波の特性が変わって、同一出力でも放送を視聴可能な地域の範囲が縮小、狭くなってしまったことや、電波の回り込みが、山などで通らなくなって、新たな電波空白の地域が生じてしまっているんですね。これまで問題が生じていなかった近隣周波数の電波による電波障害が発生するという事態も生じてくることとなりました。

 そこで、地上波テレビ放送のデジタル化に合わせて受信障害が生じた地域においても、放送を受信することができるようにするための施設である共聴施設を整備するとともに、アナログ放送時代に整備された既存の共聴施設の改修等によって、電波利用料を原資とした受信障害対策が行われたほか、NHKによる受信障害対策も併せて実施されたというのは承知をしております。

 そこで、まず伺います。

 地理的条件による難視聴地域、受信障害の対策のために山間など辺地に設けられた共聴施設の総数、及び、それを利用して放送を受信している世帯数をお答えください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の辺地に設けられた共聴施設とは、山間部などの、地上テレビジョン放送の中継局の電波が届かない又は届きにくい地域において、例えば山の上などですが、電波が届く場所に共同アンテナを設置し、ケーブルなどで伝送することにより、地域の住民が共同してテレビジョン放送を視聴する施設をいいます。

 このような辺地に設けられた共聴施設は、有線電気通信設備としてその設置が総務大臣に届けられていますが、この有線電気通信設備の中には、今のような辺地に設けられた共聴施設以外の施設、例えば自営用の通信設備なども含まれておりまして、また、その施設を利用する世帯数などは届出事項とされておりません。

 したがいまして、辺地に設けられた共聴施設の総数であるとか、当該施設を利用する世帯数を我々も正確には把握しておりません。

 ただ、あくまで推計という形でございますが、把握している範囲で申し上げますと、今申し上げました届出によって得られた情報、あるいは、今委員からもお話ありました、地上テレビジョン放送のデジタル化の際に辺地に設けられた共聴施設に対して行った対策実績などを基に推定をしておりまして、それによりますと、施設数として約一万五千、当該施設を利用する世帯数として七十万から八十万世帯であると見込んでおります。

おおつき委員 ありがとうございます。

 まさに、国の政策で地デジになったことによって、山間部など電波が届かない空白地域に改めてアンテナを立てて、そのアンテナから有線をつながないとテレビが見られない地域がこの十年で発生していた、その有線をつないでいる地域が今全国で約七十から八十万世帯、推計であるのではないかという話でした。

 さて、この共聴施設の耐用年数は一般的に十五年から二十年と言われております。先ほど申し上げたとおり、今年でデジタル放送への全面移行から十年となりまして、間もなく、各共聴施設は設備の更新を検討する必要が生じてくることになります。これらの共聴施設に対して、総務省は、設備の更新時期の到来を見越して、設備更新に対する補助金交付などの財政的支援の制度について検討をすべきではないかと私は考えます。

 これまで総務省等が実施してきた共聴施設の整備に対する補助金交付などの財政的支援の制度は、いずれも、共聴施設の機器やその設備工事等の初期投資、いわゆるイニシャルコストを対象としたものでありまして、保守、維持費用、電柱等への共架費、リース、電波利用料等のいわゆるランニングコストについては補助の対象とされておらず、一般的に、共聴設備を介した放送を受信する者が、自らその費用を負担してきているという実態があります。

 そこで、この共聴施設の開設主体は地方自治体や地方の共聴管理組合などですが、総務省として、一世帯当たり年額平均どの程度負担しているのか、把握しているでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 共聴施設の維持管理などは、設置主体である組合などが自主的な判断で行っているものでございます。そのため、総務省においては、一世帯一年当たり平均でどの程度の金銭負担かということを正確には把握しておりません。

 ただし、総務省において、令和二年度にサンプル調査を行っております。その結果によりますと、組合費、維持管理費の徴収額について回答がありました約二百施設のサンプルでございますが、七割近くが年六千円以下でありまして、中にはそれ以上の額を徴収しているところもございました。

 また、維持管理費とは別に、修繕積立金という形で徴収している組合もあると承知しております。

おおつき委員 そのとおりで、先ほど申し上げたとおり、電波が届かない空白地域になってしまった人たちは、自分たちでそれを立てて、そこから有線を引っ張ってきて、テレビを見るために、今のお答えですと、七割以下の方々が年六千円以下を払っている。また、例えば私が話を聞いた小樽市の方だと、年間二千四百円、新規加入する方は新規加入料が二万円だそうです。

 そうやって、これらの共聴施設を利用する世帯は、テレビジョン放送を受信するために、今の、年六千円以下の方が七割、そしてまた、その六千円以下を払っている方々は、プラスしてNHKの受信料も払っているわけですね。

 地方において、やはり、まだテレビというのが主流の、先ほどの余暇の過ごし方である中で、こういった、受信する人たちの負担が余りに大きいのではないか、これは、十年間かけてずっと、年間、毎年毎年六千円以下のお金を払い続けているというのは負担が大きいのではないかと私は考えております。共聴施設の共益費を負担して、特に自己所有のアンテナで放送受信可能な視聴者に比べますと、まさに大きな負担ということになります。

 そこで、このような情報の格差状況を是正するために、電波利用料の活用といった公費負担も考えられると思いますが、総務省の見解をお願いいたします。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 受信機はもちろんでございますが、そのほかに、アンテナの設置など、放送の受信環境の整備というのは、個々の受信者が個別に負担するということが原則でございます。放送が直接受信できない地域においても、視聴者の御負担により、放送を視聴していただいてきているところでございます。

 一方、総務省としても、放送を取り巻く環境の変化によりまして、今後、共聴施設も含めた、従来の地上デジタルテレビ放送のネットワークインフラの維持が困難となるケースも生じ得ると考えております。

 近年、社会全体でデジタル化は進展する中で、ブロードバンドインフラの整備が進められており、ブロードバンドが様々な情報を伝達することが可能となるデジタル基盤として機能し、全ての人がデジタル化のメリットを享受できる暮らしの実現に寄与することが期待されています。

 このため、総務省においては、有識者会合を開催し、放送制度の在り方について議論を開始しております。放送の受信設備は視聴者に御負担いただくという基本的な考え方はございますけれども、それを踏まえつつ、共聴施設を含めた放送ネットワークインフラの柔軟な整備、運用の在り方についても様々な検討をしてまいりたいと考えております。

おおつき委員 まさに地方の課題というのは維持なんですよね。その維持についても是非皆さんで知恵を絞っていただいて、デジタル化は否定するものではありません。皆さん、誰一人取り残されない社会のために造るのであれば、前回の、十年前、地デジへの移行によって空白地域が生じてしまった反省、そういった検証も踏まえて、デジタル田園都市構想をやる上だとしても、次の社会の混乱を招かないためにも、是非知恵を絞っていただいて、移行をするときにはきちんと検証していただきたいと思っております。

 次に、放送法の関連で、民間放送及びローカル局と公共放送の協力体制について質問いたします。

 我々立憲民主党は、地域に根差し、地域社会・文化の活性化に貢献している地方のローカル局を維持するために、公共放送、NHKと、民放、ローカル局の協力体制の構築を進めるとしています。

 本改正案の始まりとなった、放送を巡る諸課題に関する検討会、公共放送の在り方に関する検討分科会が昨年一月に公表した、公共放送と受信料制度の在り方に関するとりまとめでは、国民が多様な放送番組を視聴できる環境を維持するため、ネットワークの維持管理等に関する民放との協力義務を導入し、二元体制の下でNHKと民間放送事業者における連携を促進することが適当としており、NHKと民放という構造そのものが、我が国特有の放送文化の基礎であると言えます。

 しかし、広告媒体として長年首位に位置した放送業界ではありますが、情報通信技術の発展によって、広告媒体としての地位が相対的に低下し、インターネット動画配信サービスとの競争が避けられないものとなっており、在京、在阪キー局等は、TVerや各社のプラットフォームを通じて、放送番組の配信を無料又は有料で始めています。特に、これらインターネット上の動画配信の動きに積極的なキー局に比べて、独自のコンテンツが乏しく、財政基盤が脆弱なローカル局は、一般的なインターネット動画配信サービスだけではなく、広告収入の減少と、インターネット動画配信サービスへ視聴者が移っていくというトリプルパンチに見舞われようとしております。

 令和二年初頭から、新型コロナウイルス感染症の蔓延の中、その年の六月三十日、地上基幹放送であるFM放送局、新潟県を拠点とするFM PORTと愛知県を拠点とするRadio NEOが閉局してしまいました。これまで地上基幹放送が閉局することは政府も予期していなかったことから、本改正案では、地域社会に多大な影響を与える地上基幹放送局を閉局しようとする者に、一定期間、閉局する旨を周知する義務を課すこととしています。

 昨今、SDGs、持続可能な開発目標が大きく取り上げられていますが、持続可能性は情報インフラについても大きな課題となっています。ローカル局は、その放送対象地域にとって単なる営利企業の一つではなく、地元の重要な情報インフラです。現在、有識者による、デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会において、複数の放送対象地域を束ねることができるよう制度改正を行うか否かについて検討がなされている段階ではありますが、放送対象地域向けに独自の番組編成権を持つということは、放送の多様性そのものであると考えております。

 本改正案では、NHKに対して、ほかの放送事業者が字幕放送、解説放送をできる限り放送するように努める責務や、放送対象地域において難視聴解消の責務にのっとり講ずる措置の円滑な実施に協力する努力義務を課すこととしています。

 そこで、本改正案で規定されるNHKの協力範囲に限ることなく、我が国の民放を含めた放送サービス全体、多種多様なローカル局を支えるために、今後、民放とNHKの協力体制をどのように考えているのか、大臣、お伺いいたします。

金子(恭)国務大臣 おおつき委員におかれましては、民放におられて、よくこの状況をお分かりの上で様々な御指摘をいただきました。

 私自身も、先ほど御質問のあった共聴施設とかあるいはローカル局の必要性、そういうことを認識しておりまして、先日、長野県にお伺いをして、NHK、ローカル局全社の方々から意見をお伺いをして、現場を見ながら御意見を伺ったところでございます。

 今、おおつき委員から御指摘いただきましたとおり、本法案では、字幕放送、解説放送に関する技術、ノウハウの提供、難視聴解消のための放送インフラの共同利用などを念頭に、NHKに対し、民放と協力するよう努力義務を課すこととしております。

 我が国の放送は、NHKと民放の二元体制を通じ、国民に必要な情報を提供する役割を果たしてきましたが、特にローカル局は、地域に密着した情報や災害情報などを提供する重要な社会的役割を担ってまいりました。

 他方で、動画配信サービスの拡大など放送を取り巻く環境は大きく変化する中、ローカル局の経営環境は厳しくなってきており、引き続きその役割を担っていくため、先例にとらわれない改革が求められていると認識をしております。

 こうした認識の下、総務省では、有識者検討会を開催し、御指摘のようなローカル局に関する課題も含め、放送の将来像と制度の在り方について、本年夏の取りまとめに向けて検討を進めているところであり、その結果を踏まえて必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

おおつき委員 まさにローカル局、防災の観点からもかなり重要な役割を担っておりますので、是非、引き続き、維持に向けた御検討をお願いいたします。

 次に、電波法の関連で、ビヨンド5Gの研究開発に係る費用についてお伺いいたします。

 本改正案では、電波利用料の使途として、ビヨンド5Gに向けた研究開発のための補助金を出すことができるようになります。そこで、まず伺いますが、令和四年度は、電波利用料からビヨンド5Gに向けた研究開発のために幾ら拠出する予定でしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 今後の新たな無線システムの実現に向けては、ビヨンド5G、いわゆる6Gでございますけれども、より高い周波数帯の利用が想定されるなど、その実現に必要となる要素技術の研究開発の難易度が飛躍的に高まるとともに、諸外国との研究開発競争の中で、最新の動向も見極めながら、広範な研究開発課題に対応していくことも求められているところでございます。

 こうしたことを背景といたしまして、今回の法改正において、電波法で規定される研究開発について、総務大臣が研究開発の主体として直接に実施することに加えまして、知見や経験を有する外部の機関が主体となって、民間企業、大学等が行う研究開発に対して支援を行うことを可能とするため、新たに当該研究開発のための補助金の交付を加えることとしているところでございます。

 これを実施するため、令和四年度当初予算におきまして、ビヨンド5G研究開発促進事業として、電波利用料から百億円の研究開発予算を計上しているところでございます。

おおつき委員 百億円の研究開発予算ですね。

 さて、先月三十一日、auのブランドで展開するKDDI株式会社及び沖縄セルラー電話株式会社は、第三世代移動通信システム、いわゆる3Gの携帯電話向けのサービスを終了いたしました。両社の3Gサービスは、二〇〇三年、平成十五年の十一月に開始されており、二十年足らずで両社の移動通信システムの世代交代が完了したことになります。

 現在、我が国の放送業界においても、同じ平成十五年の十二月一日に我が国の地上波デジタル放送が開始されました。我が国のデジタルテレビジョン放送は、約二十五年、四半世紀前の技術を基礎としており、5G等の移動通信システムと比較すると極めて古い技術を利用した電波利用システムであります。電波の有効利用という面では移動通信システムに劣っていることは否めません。

 しかし、放送様式の転換は大事業です。放送事業者の対応に多額の投資が必要であることは言うまでもありませんが、それ以上に、あまねく全国に普及した受信機の取替えをいかに社会の混乱なく実施するかという高いハードルがあります。過去のテレビ放送のデジタル化のような大きな動機がなければできません。国費を投入するとしても、国民の納得を得るのは困難であると考えられます。

 ビヨンド5Gの開発により、技術開発は行われることになりますが、既存の放送システムにおいてビヨンド5Gの技術開発の結果を反映することが果たして可能であるのかは疑問でありまして、導入が見込めない電波を利用する事業者等にとっては電波利用料の払い損になるのではないかという声もあります。

 私は、国費や、明確に受益者として見込まれる者の負担でビヨンド5Gの技術開発を行うことにもちろん異論はありません。しかし、共益費用を、受益者として見込まれる者のみならず、受益者として見込みがない者からも一様に負担を求める現行の電波利用料の制度は不公平ではないかと疑問を感じております。

 そこで、伺いますが、技術開発の成果について受益者として見込みがない者から徴収する電波利用料には、当該技術開発に係る費用負担を求めないよう、制度を変更するか、電波利用料制度の再設計が必要であるかと考えますが、ビヨンド5Gの技術開発が、既存のテレビ放送やラジオ放送に用いる電波の有効利用にどのように活用されるのでしょうか。また、移動通信システムやそれに類する電波利用システムを除く免許人等に対し一様にビヨンド5Gの技術開発に係る費用負担を電波利用料として課すことが、電波の有効利用にかなうとする理由をお答えください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 電波利用料は、電波の適正な利用の確保に関し、無線局全体の受益を直接の目的として行う事務、すなわち電波利用共益事務の処理に要する費用を、その受益者である無線局の免許人などの全体で、電波の利用度合いに応じまして公平に負担をしていただくものでございます。個々の電波利用共益事務の費用をそれぞれ個々の免許人等にひもづけて負担をいただくというものではございません。

 今回のビヨンド5Gの研究開発を含め、電波利用料により実施する研究開発につきましては、電波法第百三条の二第四項に基づき実施をするものでございます。

 具体的に申し上げれば、周波数を効率的に利用する技術、周波数の共同利用を促進する技術、高い周波数への移行を促進する技術のいずれかの技術といたしまして、おおむね五年以内に開発すべき無線設備の技術基準の策定に向けた研究開発となります。

 なお、委員御指摘の既存のテレビやラジオ放送への活用については、一概には申し上げられませんけれども、ビヨンド5Gの研究開発については、電波の有効利用を促進し、周波数全体の逼迫の緩和を図るとともに、様々な分野の新たな周波数需要に的確に対応するためのものでございます。これは、放送局を含む無線局全体の受益につながるものであり、免許人等の全体で負担いただくことが適当と考えられます。

おおつき委員 時間が参りましたのでここで終わりますが、とにかく、誰一人取り残されない。今、時代の転換期でございます。世代によって、そして地域によって情報の得る方法が全く違うということが生じている中で、誰一人取り残されない社会、そして取り残される事業者もないように、これから皆さんで知恵を絞って考えていけたらと思います。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、奥野総一郎さん。

奥野(総)委員 立憲民主党、奥野総一郎でございます。

 早速始めさせていただきます。

 まず、還元目的の積立金制度。

 先日も、NHKさんに受信料の引下げの話をさせていただきました。それに関連してということになりますが、今回、受信料引下げの原資として、こういう言い方が正しいかどうかとは思いますが、原資としてのこういう積立金制度をつくられたというふうに理解していますが、この制度の意義、目的について、総務省から伺いたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 NHKの毎年度の事業収支差金の蓄積である繰越剰余金は増加傾向にございます。二〇二〇年度末時点で千五百九十億円となっています。

 NHKの収入となる受信料の額は、業務に必要な費用に見合う収入を確保するという収支相償の考え方に基づき算定されるものであることを踏まえますと、適正水準を上回る剰余金は視聴者に還元すべきものであると考えております。

 NHK自身も、総務省の公共放送の在り方に関する有識者会議において、剰余金の一部を積み立て、受信料の値下げの原資として明確にし、視聴者に還元する意向を表明していました。

 このような中で、有識者会議の提言を踏まえ、一定水準を超える剰余金を還元目的の積立金とし、次の中期経営計画の期間に受信料値下げへ充当することとし、積立金が蓄積されているにもかかわらず受信料値下げを実施しない場合、こういうことも可能な仕組みとしておりますが、その場合には、収支予算作成の際、値下げを実施しない合理的な理由を記載した書類を作成する、そういう還元目的積立金の制度を設けることとしたところでございます。

奥野(総)委員 あくまで剰余金の水準を見ながら値下げに誘導していくというお話と思いますが、ちょっとこれは通告はしていませんが、省令によってその積立ての基準を書くというような仕組みになっているようですが、そうすると、この省令にはどういったことが書かれるんでしょうか。

 済みません、通告していませんけれども。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 NHKの財政の安定のために必要な一定額を留保することを想定しておりますが、そういう留保する基準などについて、省令において規定することを想定しております。

奥野(総)委員 そうすると、逆に言うと、幾ら還元目的の積立金を積み立てなさい、あるいは、こういうものを積み立てなさいというよりは、経営に必要な額を留保しなさい、そちらの方から書くという理解でよろしいでしょうか。

吉田政府参考人 経営に必要な額というのは、国の方で判断するものではございませんで、NHKが毎年の収支予算の中で総務大臣を経て国会に提出し、御審議いただくものでございますので、私どもとして省令に規定することを想定しておりますのは、NHKの財政の安定のために必要と考えられる一定の水準について記載する、そういう方向から記載することを想定しております。

奥野(総)委員 そうすると、その財政の安定に必要な水準ということについては誰が判断するかというと、それはNHK自身が判断する、省令にはそう書いてあるけれども、そこについてはNHK自身が判断するということでよろしいですね。

吉田政府参考人 財政の安定に必要であると考えられる水準を具体的に省令の方で規定することを想定しております。

奥野(総)委員 ちょっとごめんなさい、私の理解が悪いのかもしれませんが、そうすると、おのずと経営規模はこんなものだということがその省令を見れば分かる、こういうことなんでしょうか。

吉田政府参考人 経営規模自体は、収支予算の中で行ってまいります。あくまで剰余金が生じた場合に、それについて、収支の差金が生じます。それがプラスであった場合にそれを積立金に入れるんですけれども、それを全部還元目的積立金にするのではなく、いわば一定額を留保して、残りを還元目的積立金に入れるという仕組みを想定しております。

 したがいまして、一定額を留保する部分、それは、NHKの財政の安定のためにそういうものは必要と考えられますので、収支のプラスが生じた場合に、全てを値下げに充てろということではなく、そういう財政の安定の一定額は留保できます、それを超える部分については還元目的積立金として留保してくださいという仕組みでございます。

奥野(総)委員 分かりましたが、そうすると、さっきの規模の話にもつながる、結局そういう話になってきて、どれだけ剰余金を積み立てておくべきかということについて総務省が判断する、経営の安定に必要なのはこれだけですよということを判断するということですよね。

 逆に言えば、そこを小さくしていけば更なる値下げに総務省が誘導できる、こういう仕組みになるんでしょうか。

吉田政府参考人 省令を作る際には、当然、パブリックコメントを行うなど、私どもの恣意で設けるのではなく、オープンな手続により、広く意見を聞きながら作っていくことを想定しております。

 そういう中で、当然、私どもとしても、きちんと対外的に説明できる水準というものを規定していくつもりでございまして、NHKの財政の安定という観点から、しっかりと検討してまいりたいと思います。

奥野(総)委員 省令ですから、総務省の判断によっては値下げの水準をある程度左右できるような仕組みになっているというふうに理解をしました。もちろん、パブコメ、様々な関係者の意見を聞いてということでありましょうけれども。

 それで、この仕組みなんですけれども、毎回毎回、この還元目的積立金が中期計画の間にどんどん積み上がっていくとはなかなか思えないんですね。

 今回も、前の質疑でもやりましたけれども、七百億を捻出するために、例えば受信料の訪問営業、契約の営業、訪問収納についての委託を打ち切ったりして、結構コストの削減に努めておられるわけです。一時的な理由で剰余金が積み上がったようなことではなかなか値下げにつながりませんし、できないということですから。

 申し上げたいのは、今回は、恐らく、この前答弁がありましたけれども、七百億ぐらいの三年間での剰余金が積み上がっていく、還元目的の積立金が積み上がっていくということを見込まれていると思うんですが、その先、一回ここで際限なくコストを削減していかないと、この積立金というのはなかなか積み上がっていかないと思うんですね。

 だから、この制度の仕組みが、先ほどちょっと総務省に申し上げたのは、総務省としては少しずつ受信料引下げの方に省令を使って誘導していくつもりがあるんですかという問いだったんですけれども、制度の運用の仕方によってはそうなるんでしょう。だけれども、一方、NHK側とすると結構これは厳しい話で、では毎回毎回、そういう値下げできるようなコストの削減ができるとは思えないんですけれども。

 危惧しているのは、今回一回だけの一割削減、その目的のためにつくられた制度になってしまうんじゃないかということですが、その点はいかがでしょうか。

吉田政府参考人 まず、この還元目的積立金は、委員も御承知のとおり、プラスの事業収支差金が生じた場合に積み立てられるものでございます。

 これは当然、いろいろな事情によりNHKが結果的に赤字になってしまった場合には積み立てられないことになります。かつ、毎年度の事業収支予算において事業運営に必要な額というのは計上し、それを執行した上での結果でございます。したがいまして、まず、NHKがきちんとやるべきことを事業収支予算に基づき実施した上で、更に剰余金が生じた場合という仕組みでございます。

 当然のことながら、その結果、剰余金が積み重なったような場合には、還元目的積立金の方に積み立てられ、それが値下げにつながるということでございますし、逆に、受信料が、収支相償という考え方からしますと、NHKが実施するのに必要な額を賄うのに適正な受信料であれば、結果として剰余金が生じないことも私どもとしてはあり得ると考えております。ただ、生じた場合にはきちんと還元してくださいということでございます。

 なお、二三年度にNHKが受信料の引下げを行うということを表明しておりますが、これはこの制度ということではございませんで、NHKが自主的に行うものでございまして、この還元目的積立金は、現在、二〇二三年度までの中期経営期間終了後、二四年度以降の中期経営計画の期間において発動され得るという仕組みでございます。

奥野(総)委員 済みません、ちょっと不勉強でしたけれども、そうすると、ますますこの制度の意義というのは難しくなってくるのかなと思うんですが。

 これはNHKに伺いたいんですが、不断の努力が要りますよね。今回七百億捻出するのだって随分大変だったと思うんですが、更に削減の余地、この積立金を積み立てるように、皆さん、経営努力をしていくということなんでしょうかね、更なる値下げに向けて。

松坂参考人 お答えいたします。

 今回、還元目的積立金制度を、NHKの方もおととしの秋に総務省の諸課題検討会で要望したわけなんですけれども、それは、財政安定の繰越金の水準が非常に高くなっているということ、これは効率的な業務運営ですとか、増収があったというふうなことで繰越金が膨れ上がっていて、その分、必要以上の繰越金についてはきちっと値下げに充てていこうということで設けたものでございます。

 今後、値下げを行うときには、収支はもちろん、構造改革などを進めて支出を抑えるということが必要になりますけれども、一方で、収入を減らすことによって、いわば赤字みたいな状況が続くわけですね。そのときには、この還元目的積立金を計画的に取り崩すことで、それに対応して収支均衡予算をつくっていく。その先に、支出がある程度収まってきたら、還元目的積立金を使わなくても収支均衡になる、そういうようなことを想定しております。

 先のことについてはまだ分かりませんけれども、現在は、財政安定の繰越金が今年度末に千九百八十億というような水準になるというふうに見込んでおりますので、このうち事業運営に必要な、これまでは事業支出の一〇%ぐらいは大規模な災害などのために必要だと言っておりますけれども、そうした必要な分、これはきちっと確保させていただいた上で、それ以外の部分については還元目的積立金に充てることになりますので、それをどのようにその後の事業収支に充てていくかなどについては、状況を見ながら検討していくということだというふうに考えております。

奥野(総)委員 菅前政権のときにすごい値下げの話が出て、値下げ圧力もあったと思うんですよ。恐らく、それに対応する形でこういう仕組みも考えられたんじゃないかと思いますし、今回の値下げも、一割というのは当時の菅総理の口からも出ていた話ですから、そういう結果になったんじゃないかというふうに思われるんですね。

 こういうびほう策じゃなくて、やはり受信料制度そのものの水準も含めてきちんと見直していく必要があるんじゃないかというのが私の意見であります。もう少し広く薄くすることで全体も下げることもできるでしょうし、あるいは衛星だけ高いという話もありますよね。

 一方でそういうことを考えながら、一方で国際的な競争力を持ったいいコンテンツを作っていかなきゃいけないと思うんです。BBCなんかも、何か受信料の廃止の議論が一部出たりして、ネットフリックスに負けるなみたいな議論も出て、有料化みたいな話、これは実際そうなるかどうかは別として、そういう議論も出ているぐらいですから。やはりそういうことも考えながら、受信料の在り方というのを抜本的に見直していく必要があるんじゃないかというふうに思います。

 今、ネット化ですよね。NHKプラスは私も見ていますし、非常に便利です。遡って見ることもできますし、電車の中で見ることもできますし、だんだん視聴形態がそっちの方に行くんだと思うんです。テレビで見るというよりはそっちの方に視聴形態がだんだん移行していくと思うんですが、NHKさんはインターネットの活用社会実証実験というのをやられておられるようなんですが、今どんな形でやっているんでしょうか。

松坂参考人 お答えいたします。

 インターネットの活用業務の社会実証ですけれども、放送と通信の融合が進む中で、公共メディアとしてインターネットを通じて番組や情報を届ける意義や役割、多様化する視聴者ニーズを検証するため、テレビを日常的に利用していない方や利用が少ない方などを対象に、今年度は数回行う予定であります。

 第一期は今月二十二日から五月七日までの期間、合わせておよそ三千人を対象に、放送とインターネットのコンテンツを組み合わせてお伝えするのに加えまして、放送と通信が融合する時代にNHKに期待される役割に沿って、七つの具体的なサービスを示して実施する予定であります。

 この社会実証を通じまして、フェイクニュースですとかフィルターバブル、社会の基本的な情報が共有されにくくなっているなどの課題に向き合うとともに、命と暮らしを守り、正確、公平公正で信頼できる情報ですとか、多角的な視点からの深みのあるコンテンツをお届けする情報の社会的基盤としての役割をこれまで以上に果たす、新しいNHKにつなげていきたいというふうに考えているところであります。

奥野(総)委員 今の話を聞いて何かちょっと違和感があったのは、多分、使っている人はもう使っているんですよね。だから、私もNHKオンデマンドで古いものを見ながら、大河ドラマなんかは、大体、日曜日に見られないときは、昨日も夜、大河ドラマを家でテレビで見ましたけれども、オンデマンドで見ているんです。ニュースなんかはNHKプラスで移動中に見たりしているということで、使っておられる方も多いと思うんですよ。

 私の感想は、オンデマンドとプラスが分かれていて面倒だなと。同じ画面で入っていって、過去のものも含めて全部見られればいいなと思うわけです。なぜ分かれているんだろうというのが率直な意見なんですね。

 だから、例えばそういうことをきちんとやっていただくとか、もちろん、その中で、ネットの場合は放送法も適用にならなかったりするわけですから、コンテンツの在り方というのは考えなきゃいけないというところは出てくると思うんですけれども、もう時代は前に進んでいると思うんです。

 もう一つ、TVerに番組を提供していると言っていますが、TVerだけ見ている方は、スマホでも見られるわけですから、受信料を全く払わないで見ておられる方もいると思うんですが、これはどのぐらいの配信をして、どのぐらい見られているんでしょうか。

松坂参考人 お答えいたします。

 NHKは、民放によるテレビ番組の配信サービス、TVerを通じたNHK番組の配信を二〇一九年の八月から行っております。このTVerを経由した配信は、放送法の努力義務を踏まえて、放送で培ってきた民放とNHKの二元体制の下で、相互にメリットがある連携、協調を図るための取組と位置づけております。現在、福祉や趣味、ドキュメンタリーなど十番組程度を放送後約一週間配信しております。

 TVerはたくさんの方が利用されておりますので、ここにNHKの番組を配信することで、NHKに触れていただく機会を増やし、NHKの放送の視聴への誘導ですとか公共放送の理解増進につなげることを目的としています。この目的の範囲で、限られた本数のコンテンツを配信しております。

 実際に御覧になっていらっしゃる方は民放のドラマなどに比べると多くはないという結果が出ておりますけれども、一方で、NHKがTVerで配信する番組なんですけれども、これはいずれもNHKの公式ホームページでどなたでも御覧いただける形にしております。TVerで無料で御覧になれるコンテンツについては、NHKのホームページでも無料で見られるようにしているということであります。

奥野(総)委員 ただ、それはみんなが確かに見られるんでしょうけれども、厳密に言うと受信料でできた番組ですから、厳密に運用するとそこは公平性を欠くようなことに、厳密に言えばですよ、なりかねないと思うんですね。

 だから、仕組み自体がもうだんだん限界になってきていて、TVerの方も随分リアルタイムの配信も増やしているようですから。だんだんそうなっているんですよね、ネットの方に流れていっていますから、ネット時代の受信料の在り方というのはやはり考えなきゃいけないと思うんです。

 今はメディア別の料金徴収になっていますよね。メディア別というか、衛星の料金と地上波の料金が違いますし、それから、これは受信料は直接関係ないんでしょうが、オンデマンドは別料金を取ったりしているわけですよ。

 だから、そうではなくて、もう見ている側は、地上波なのか衛星なのか、あるいはネット経由で見ているのかというのは、ほとんど意識がなくなりつつあると思うんです。

 ということで、受信料の体系についてそろそろもう見直しが必要じゃないかと思うんですが、まずは、よく言われるのは衛星との一本化ですよね。これについては今どう検討をしているんでしょうか。

松坂参考人 受信料の在り方についての御質問で、衛星付加受信料についてのお尋ねだったと思いますが、この衛星付加受信料については、衛星放送受信設備を設置した方に、衛星放送の実施に当たって直接必要となる経費を御負担いただくことを基本に設定しております。

 この衛星放送の実施に当たって直接必要となる経費というのは、衛星放送のみに係る経費のほか、衛星と地上放送共通に係る経費を按分したものもございます。

 一方、衛星付加受信料については、二〇二三年度に衛星波の一波削減を行うということを明らかにしております。地上契約と比べて割高感が指摘されていることを踏まえ、二〇二三年度に衛星付加受信料の値下げを実施したいと考えております。

 衛星付加受信料の見直しを含めた総合的な受信料の在り方については、今の経営計画の中で、導入に向けた検討を進めることは明らかにしております。

 いろいろ課題なども多いんですけれども、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 そこはNHKさんの話になるんですが、今度は、さっき言っていたネットだけで見ておられるような方についてどこまで負担をしていただくのかというのは、これから議論になると思うんですね。

 放送法の六十四条というのは、受信設備を設置した者ということ、ラジオを除く受信設備を設置した者が受信料は負担する、こういう仕組みになっていますが、これだと、どうなんですかね、スマホは受信端末かもしれないですけれども、パソコンとかタブレット、こういったものはこれで読めるんでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ありました放送法第六十四条第一項においては、協会の、NHKですね、協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会、つまりNHKとその放送の受信について契約をしなければならないとされておりまして、NHKの放送を受信とされておりますので、NHKのインターネット配信につきましては放送には該当しないということでございます。

奥野(総)委員 大臣、やはりこれは時代にそぐう形でやっていかなきゃいけないと思うんですよ。

 さっき申し上げたように、やはりNHKの番組は、一番、ドラマにしてもいいものを作っていますよ。ただ、私でも、見る比率でいうとネットフリックスとかHuluの方が多いんですよね。そちらの方が質の高い、そちらの方がと言ったらいけないですけれども、ドラマもかなりやっているので。もちろんNHKも見ますけれども、だんだんそちらの方に移っていっています。NHKもここは頑張りどころだと思うんですよ。だから、国際的にきちんと競争力のあるようなコンテンツも作っていかなきゃいけない。

 一方で、適正なコストで、受信料の負担も、そんなに皆さんが困らない形で、この物価高ですから、負担していただかないとということで、受信料全体の見直しが必要だと思いますが、どうなんですかね、ドイツ型とか、BBCはちょっと今議論になっていて、個別の課金、スクランブル課金のような話も出てきていますね。政府としてはどう考えているんでしょうか、これから。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 NHKの受信料は、NHKが公共放送としての社会的使命を果たすために必要な費用を広く国民・視聴者に公平に御負担いただくものであります。

 したがって、今後の受信料の在り方については、幅広く国民・視聴者の皆様からの十分な御理解を得ながら、多角的な議論が必要であると考えております。

 いずれにしましても、インターネットを通じたコンテンツ視聴の急速な拡大などの放送を取り巻く環境の変化を踏まえれば、デジタル時代における公共放送の果たすべき役割や使命について、不断に検討を行うことが必要と認識をしております。

 このため、御指摘のあった社会実証を通じ、公共放送によるインターネット配信の意義やサービスニーズに関する議論が更に深まることを期待しております。

奥野(総)委員 確認ですけれども、近い将来に、この六十四条の改正も含めて、課金の範囲を広げるということは視野に入っているんでしょうか。

吉田政府参考人 大臣から今答弁申し上げましたとおり、受信料の在り方につきましては、国民・視聴者の皆様からの十分な御理解を得ながら、多角的に議論していく必要があると考えております。

 放送を取り巻く環境の変化を踏まえて、公共放送の果たすべき役割や使命、インターネットの位置づけ、そういったものについて更に検討を深めていくことがまず先決かと考えております。

奥野(総)委員 受信料の話はこれで終わりますが、結構、極めて難しい問題だというのは理解していますが、やはり公平に負担をしながら、競争力のあるコンテンツを作っていただきたいと思います。

 それから、外資規制の方に移りますけれども、昨年の放送事業者等の外資規制違反に端を発した事件がありました。今回、それを受けて外資規制の抜本的見直しを行ったということですけれども、まず、これまでどこが問題だったかとお考えでしょうか。そして、どのように今回変えるんでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 昨年、放送事業者等の外資規制違反が複数発覚いたしました。

 これまでの問題点ということでございますけれども、これまでは、申請様式などが外資比率などをきちんと把握、検証できるものとなっていなかったということ、また、免許などの申請を行ったときはチェックをそれでもしていたんですが、それ以降の、その時々の外資規制の状況を的確に把握し、必要に応じて措置を講じるための法律上の仕組みが不十分であったこと、また、総務省における審査体制というのが不十分であったことなどの問題点があったと認識しております。

 これらの問題点を解消するための施策について、昨年六月より開催いたしました情報通信分野における外資規制の在り方に関する検討会におきまして有識者の方々にも御議論をいただき、その取りまとめを踏まえて、今回の法案を含め、必要な制度整備等を行っているところでございます。

 具体的には、申請時におきましてきちんと証拠書類でチェックすること、また、変更があったときに届出をする仕組みを設けること、また、定期的に報告も受ける仕組みを設けることなどを通じて、チェックをきちんと行っていくとともに、総務省内の審査体制というのも強化しているところでございます。

奥野(総)委員 基本的には現行制度を基にしながら、少し厳しく審査をし、そして実際の、違反というか、超過を生じた場合に少し余地を持たせるというふうに理解しているんですが、外国はどうなっているんでしょうかね。

 欧米では、同じように個別の法律において外資の出資比率の規制を、例えば放送を規制する法律や電気通信を規制する法律の中にそういう条項があるんでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 諸外国における外資規制は、当然のことながら、それぞれの国の実情などを踏まえて定められておりまして、国ごとに異なるものと理解しております。

 まず、英国や豪州では、放送事業ということに着目した個別法での外資規制は廃止されております。また、カナダにおきましても、個別法における議決権比率に関する外資規制を廃止する法案が提出されていると承知しております。

 他方、アメリカを見ますと、個別法である通信法において、放送の免許の申請に当たり、外国人等が二〇%の議決権などを直接有する者には免許を与えないという出資規制が、個別法で課されていると承知しております。また、米国では、さらに、間接出資規制については、二五%の上限を基本としつつも、公益審査などによりその上限を緩和することは可能となっていると承知しています。

 また、フランスにおきましても、個別法であるコミュニケーション自由法において、地上波のラジオ、テレビサービスに関し、直接又は間接に二〇%を超える議決権などを有する者には認可を与えないという出資規制が課されていると承知しております。

奥野(総)委員 もう一回。アメリカは通信だけですか。あそこは放送がいっぱいあるんでしょうから、通信事業者だけということでしょうか、アメリカは。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今お答え申し上げたのは、放送の免許に当たりということで、それが通信法という法律に書かれているということでございます。

奥野(総)委員 これも私の考えですけれども、イギリスとか豪州、カナダもそうなんですけれども、経済安全保障の話だと思うんですよね。

 ですから、きちんとラインを引いていると、今回のように株式の売買の中で超過が起きてしまう、違法な状況になってしまうということも起こり得るんですが、個別の事案として、例えば安全保障上問題がないかどうかということを個別に見ていく、こういう形にしていけば、外為法とかはそうなんでしょうけれども、見ていけば、今回のような違法な状況にはならない、違法状況は生まないと思うんですが、いかがでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 まず、電波法及び放送法では、外資規制を設けている趣旨といたしまして、電波が有限希少であり、その利用に当たっては自国民を優先すべきことであること、また、放送につきまして、特に言論報道機関として世論形成や我が国の固有文化の創造に大きな社会的影響力を有しているということから、外資規制を設けております。

 この外資規制によりまして、重要事項に関する経営判断に影響を与えないよう、議決権に着目した内国性を確保するという仕組みになっておりまして、この仕組みは、私どもとしては引き続き重要であると考えております。

 一方で、昨今のクロスボーダー取引の増大なども踏まえ、外為法におきましては、外国投資家による企業経営への影響力に着目し、外国投資家による一定の株式の取得等について規制をしております。

 このような個別法と外為法の両者が相まって外国性を規律する現行の仕組みを維持することが、基本的には妥当と考えております。

奥野(総)委員 さっきの通信と放送の融合の話になるんですが、確かに電波は希少であって、地上波テレビの影響力が大きかったし、今も大きいところはあるんですが、ただ、ネットと区別がつかなくなってくるとその有限希少性というのは薄れてくるわけですし、ネットテレビか、地上波テレビか、衛星テレビかというのは区別がまさにつかなくなってくるわけであります。

 同じように、世論への影響を考えたときに、ネットの方は放送法の規制すらないわけですから、自由にいろいろな中身のものができてしまう、外資規制に全く関係なくできてしまうということだと思うんですよね。そうすると、では、電波の有限希少性に基づいてその部分だけやるといっても、結局抜け穴、尻抜けになるんじゃないかと思うわけです。

 であれば、コンテンツ産業全体として見たときに、そういう安全保障上の総合的な判断が要るんじゃないですかと申し上げているんですが、大臣、今回の改正で、これで十分だとお考えでしょうか。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど局長からも御答弁いたしましたが、本法案については、免許や認定の申請時のみならず、その後も、外資比率などに変更があったときにはこれを届け出ること、外資比率などに変更がなくても、外資規制を守っていることを定期的に報告することなどの制度を整備するものでございます。これによりまして、外資規制の遵守状況をより的確に把握できるようにいたします。

 また、法改正にとどまらず、外資規制審査官を設置して審査機能を強化するとともに、事業者からの申請や届出の内容が正しいことを、総務省が、客観性のある証拠資料に基づいて確認してまいります。

 これらを一体的に運用し、外資規制の実効性をしっかり確保してまいりたいと思います。

奥野(総)委員 現行の仕組みが悪いとは言わないんですけれども、今言った、私が考えているような問題もありますし、私は憲法審査会で国民投票法の議論もしているんですけれども、やはり選挙とかそういう国民投票とかというときに、世論への働きかけが、外国政府とかというのはあり得る状況だと思うんですね。だから、そういうことも考えたときに、もう少し、より広い視点で、ネットも含めてどうするんですかということをやはり幅広く議論して、この委員会でも考え、総務省に考えていただきたいということであります。

 それから、最後、中間持ち株会社ですけれども、これはなかなか分かりにくくて、これはNHKに伺いたいんですが、業務の効率的な遂行、全体としてコスト削減につながるというんですが、中間持ち株会社を利用することでどういった削減効果があるか、そして、具体的にどのぐらいの削減効果が見込まれるのでしょうか。

松坂参考人 お答えいたします。

 中間持ち株会社の設立は、NHKグループ全体の事業規模が縮小していく中で、スリムで強靱な体制をつくるために、傘下の各団体の人や金を把握し、スピード感を持って改革を進めることが大きな狙いです。

 子会社の整理統合はこれまで主に合併によって行ってきましたけれども、例えば合併の場合、各社間の給与を水準の高い方に合わせるなど、効率化と逆行する面があったほか、合併手続に最低でも二、三年が必要で、時間がかかり過ぎておりました。

 中間持ち株会社の導入によって、傘下の子会社を一つの部門のような形で運営することにより、業務の集約、効率化を進め、統合のように時間をかけずに、迅速に改革を進めていくことを目指しております。

 現在、中間持ち株会社の傘下に入る子会社、これを検討しておりますけれども、最初の段階では、主に番組、コンテンツ関連の子会社で五、六社を予定しております。この導入に伴って、傘下の子会社の役員数をおよそ半分に削減したり、管理部門の要員などを削減しようと思っております。また、各社間で業務が重複している部分がありますので、これを整理したり、子会社の連携によって相乗効果、シナジー効果を生み出したいとも考えております。

 子会社、例えば五社ぐらいを例に取りますと、売上げが千二百億円ぐらい今あるんですけれども、これについては、全体の委託の規模なども削減することで、一割から二割削減したいというふうに考えております。

奥野(総)委員 時間が来ましたけれども、最後、よく削減効果は分かったんですが、悪用しようとすれば、そこを隠れみのにして下にどんどん子会社をつくるということも考えられるんですが、その辺、しっかり監督、大臣、できるんでしょうかね。

金子(恭)国務大臣 本法案では、中間持ち株会社がその下に入る子会社に出資するに当たり、その出資に関する計画である関連事業出資計画について、総務大臣の認定を受ける必要があることとしております。この出資計画の認定の申請があった際には、総務省において、NHKグループ全体の業務の効率化が図られるのかという観点から、しっかり審査したいと考えております。

 また、認定後においても、中間持ち株会社の導入による具体的な効果について、まずはNHKにおいて継続的に検証し、十分な説明責任を果たしていただくとともに、総務省としても、こうしたNHKの取組などを踏まえて、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 以上で終わります。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 今日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 電波法、放送法の一部を改正する法律案について伺いたいと思います。

 まず冒頭に、ロシアのウクライナ民間人への危害という国際法違反行為に強く非難を申し上げます。改めて、一刻も早い停戦を求めたいと思います。

 ロシアの軍事侵略で、今回、情報戦も大きな注目となっているところです。また、今朝八時十六分に、福島県中通りを震源とする地震で、茨城県で震度五弱を記録をいたしております。被害が少ないことを願うばかりでありますし、また、改めて、国及び関係機関において、危機管理そして防災に更なる緊張感を持って取り組むことを願いたいと思っています。

 先ほど、ロシアの軍事侵略で情報戦というお話をさせていただきました。その中で衝撃なのは、ディープフェイクニュースです。今日はNHKの会長もお越しいただいておりますが、このディープフェイクニュース、ゼレンスキー大統領がウクライナの兵士にロシアへの投降を呼びかけるディープフェイクニュースが、あるいは虚偽のテロップ、これが、SNSやウクライナの国内のテレビ放送に流れたということです。非常に衝撃です。

 翻って、日本のメディアは大丈夫だろうかと思わずにはいられません。メディアを代表する公共放送としてのNHKの使命は非常に大きいと思っております。

 改めて、このような有事やテロ、ハッカー等を想定した対策、どうなっているのでしょうか、伺います。

前田参考人 お答え申し上げます。

 NHKは、大規模災害のみならず、様々な危機的な状況の中でも正確、公平公正な情報を発信し続けることが責務と考え、必要な対策を講じております。

 このうち、東京渋谷の放送センターでは、テロ等に備えるため、警備員や防犯カメラ等による建物内外の二十四時間監視のほか、セキュリティーゲートの設置、二重三重の管理区域の設定などを行っております。

 また、サイバー攻撃に対しましては、CSIRTというセキュリティー監視体制を取り、NHKグループ全体の通信を二十四時間三百六十五日監視するとともに、重要システムにつきましてはインターネットから分離するなどの措置を取っております。これまでサイバー攻撃によって業務に影響が出たことはございません。

 また、サイバー攻撃は、職員へのメールなどを通じて仕組まれることも想定されておりますので、NHKグループ全体で、職員や社員、スタッフなどに対する教育や訓練に力を入れているほか、セキュリティーの専門人材の育成強化などにも取り組んでおります。

 今後も、あらゆる事態を想定して放送の継続に努めてまいります。

岡本(あ)委員 決して人ごとではない、他国で起きていることで日本には起きないということではない、戦争ではないにしても、ハッカーとかそういうリスクというのは常に負っていると思います。

 先ほど、同僚議員、先輩議員の質疑の中で剰余金の話とかがありましたけれども、NHKの四年度の予算でいくと、技術関係の予算もちょっと減額をされているというところもあります。私は、改めてこういうところはしっかり強化していく、こういう姿勢も必要じゃないかということを指摘をさせていただきたいと思います。

 ちょっと質問の順番を、今朝地震がありましたので変えさせていただいて、せっかくですので、資料一のお話をさせていただきたいと思います。

 前回でも少し触れさせていただきまして、ちょっと時間がなかったものですから言いっ放しで終わりましたけれども、東日本大震災から十一年がたちました。まだ復興途上であります。また、余震も続く中で、様々、今朝の震度五弱もありましたけれども、日本全国、非常に地震ですとか災害の不安な状況、その中で、この仙台放送局が持っている東日本大震災のメモリアルのコーナー、こういうところが教訓として生かされることを願っておりますので、是非これの発信をお願いしたいと思います。

 会長は直接ここを御覧になったことがあると伺ったので、もし、御覧になった感想、そして、ここのコーナーをどういうふうに活用していくのか、この点がありましたらお聞かせください。

前田参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災メモリアルコーナーが設置してありますNHK仙台放送局の定禅寺メディアステーションは、見て、体験して、学ぶ、東日本大震災関連の展示施設として、二〇一八年二月から運用を開始しております。小中学生の見学を受け入れたり、企画展を毎年開催して、津波避難など震災の教訓を伝え、風化させないように取り組んでおります。

 この展示施設、私も昨年見てまいりましたが、昨年の三月にリニューアルをいたしております。東北四県の震災関連施設のマップを展示し、各施設へ足を運んでもらうよう呼びかけております。このほか、六月のみやぎ県民防災の日に合わせたシンポジウムや、夏に三・一一企画展を開催するなど、三月十一日前後だけにとどまらない活動を展開しております。

 来館者数は新型コロナの影響で減っておりますけれども、感染対策をしながら、展示施設を案内するツアーを開催しております。

 また、この展示施設につきましては、仙台局のウェブサイトのほかに、震災伝承に取り組む団体のウェブサイトに掲載していただくなど広報にも力を入れており、今後も、放送と併せて、命を守り震災を伝承していく取組を強化してまいりたいと思います。

岡本(あ)委員 是非、総務委員会の委員の皆様にも、仙台にお越しいただいて、ここに立ち寄っていただければと思います。

 やはり、防災という観点で教訓を生かす、そのために、何が起きていたのか、どういう状況だったのか、それを改めて体験をしていただく。特に、前回も触れましたけれども、私自身は、十一年前は仙台におりまして、停電が続きましたのでテレビが見られない状況でした。改めてこのNHKの仙台放送局に伺って、発災直前から七十二時間、NHKが何を放送していたのかというのがずっと見られる状況になっています。時間を指定すると、そこの、何時間後とかそういうのも見られて、ああ、こういう報道がなされていたんだ、リアルタイムでこういう映像が流れていたんだということを改めて確認をさせていただきました。

 別な意味でいくと、あの映像を見ていなかったから、私たちは、少し、パニックにならずにいられたという部分もあるんですが。ラジオだけが情報源でしたし、携帯とかそちらも、もうバッテリーが切れちゃうと何一つ情報が入らない中で、改めて振り返ると、ああ、こういう映像が流れていて、こういうことが起きていた。

 ずっと流れていますので、場面場面ではなくて、そういうリアルタイムの状況が得られるということは、私にとっても、あるいは、当時テレビを見られなかった方々にとっても貴重な情報源ですし、是非、これを防災という観点で、日本全国あるいは世界中で生かしていただきたいなと思っています。

 関連で、ちょっと地域のお話を先に質問させていただきたいと思います。

 NHKさんの方針の中では、地域の情報発信力を高めていくんだということ、先日の予算の審議の中でも確認をさせていただきましたが、ちょっと個人的な感想なのかもしれませんが、例えば、報道番組ですとか、帯の、ずっと毎週毎週行われる番組とかを見ておりますと、中央の、東京で全国放送で流されるものと、地方のローカル単独の番組でいくと、キャスターの方あるいはアナウンサーの方、地方にいた方が東京に異動して東京の番組に出演をされると、突然、イケメンになったり、スタイリストがついてすごくファッショナブルな方になって、ああ、東京に異動すると、皆さんあか抜けるんだなみたいな印象があります。

 私個人だけの印象であったら、それは誤解でよろしいんですが、もしかしたら、こういう番組の制作上、例えば東京で番組に出演する場合は衣装も提供されたり、あるいはスタイリストさんがついたり、そういう状況で、地方は、残念ながら衣装代は、手当はつくけれども自分で解決してね、そういうようなこともちらっと伺ったんですが、こういうところで首都圏と地方の格差を生み出す必要はないのではないかなと思っております。

 こういう制作上の格差というところは、現実、どうなっているんでしょうか、御説明ください。

前田参考人 お答え申し上げます。

 人口減少などによりまして地方の衰退が懸念されている中で、地域の放送・サービスの充実を図ることはNHKにとって大きな課題だと考えております。職員のほぼ半数を地域放送局に配置し、全国津々浦々で取材した情報を、地域のみならずネットワークを通じて全国へ、さらには国際放送を通じて世界に発信することは、NHKの責務であると考えております。

 このため、予算につきましても、二〇二二年度は全体の支出を二百四十億円削減した一方で、地域放送・サービスの予算は、六億円増額して四百三十三億円としたところでございます。

 また、御質問の、出演者の衣装やメイクにつきましては、地域放送局が制作する番組でも、演出上必要と判断すれば経費を支払う場合がございます。その判断は個々の番組の制作責任者が行っております。

 今月から始まった今年度の番組改定では、各地の放送局による地元向けのきめ細かい情報発信も強化しております。今後も、地域サービス、地域放送の更なる充実に向けて取り組んでいきたいと考えております。

岡本(あ)委員 地方の予算を増やしていただいているという御努力は、評価をしたいと思います。

 細かい話ですけれども、例えば、衣装とかスタイリストの仕事というのは、東京ではそうなると仕事があるけれども、地方ではそういう仕事の方がいなくてもいいということにもなりかねません。仕事が地方にあると、そういう仕事も地方でできるということにもなります。NHKさんの、地域の経済や雇用に波及する存在、大きさというところも非常に重要ですので、その点も念頭に置いて各番組の制作に当たって、地域とどう連携していくのか、地域の力をどう使っていくのか、こういう発想を持っていただきたいと思います。

 あと、取材力に関しては、やはりローカルな方が交通手段も非常に厳しかったり、あるいはコストがかかったりしますので、この点も取材力というのが落ちないように、引き続き御努力をお願いしたいと思います。

 もう一つ、今回、この機会でNHKさんのホームページをずっと拝見していたんですけれども、局のアナウンサーと契約キャスターという方がいらっしゃいます。それぞれ番組の目的に応じてということは十分理解するんですが、実は、局アナの方は、どちらかというと男女比でいくと男性の方が多くて、契約キャスターとなると、男女比でいくと女性の方が多いように見受けられました。

 ここの違い、それから、それぞれの処遇の違いというのがあるのか、この点も御説明ください。

前田参考人 お答え申し上げます。

 職員もキャスターも、性別による処遇差は設けておりません。男女同一の基準で、職員であれば賃金や手当、また、キャスターであれば専門性や番組演出との関係を総合的に考慮して、報酬を決めさせていただいています。

 職員の男女比は、アナウンス業務や番組制作業務、取材業務などに従事しております放送関係では、およそ男性が七五%、女性が二五%でございます。

 キャスターにつきましては、昨年四月時点のデータで集計いたしましたところ、男性がおよそ一一%、女性が八九%となっております。

 各局で個別に出演者として業務委託契約を結んでおりまして、報酬や更新の年数などの契約内容については公表をいたしておりません。

 また、キャスターにつきましては、原則として業務委託契約でございまして、有期の雇用契約ではないために、無期雇用転換の対象ではございません。専門性や番組演出との関係を踏まえて契約を更新しておりますが、五年を超えて同じ局と契約を結んでおられる方もおります。

 繰り返しになりますが、NHKでは、職員もキャスターも性別による処遇差は設けておりません。男女問わず、職員、キャスターが共に協力し合って公共メディアを支えていただいていると考えております。

岡本(あ)委員 それぞれのキャスターの中、あるいはアナウンサーの中で男女が違わないというのは十分理解をしています。

 ただ、今御報告いただいた数字で見ますと、局のアナウンサーに関しては、七五%が男性。一方で、契約キャスターとなると、一一%しか男性がいない。

 ちょっとネットで見ると、気象予報士の資格を持っている方で男性というのは見つけたんですが、圧倒的に、契約キャスターになる、要は、番組単位の契約なのか期間の契約なのか、それぞれかもしれませんけれども、キャスターという一定の条件での契約の方については八九%が女性が担っているということは、もしかしたらそこの違いがあり得るのかもしれない。この点も是非頭に置いていただきたいと思いますし、契約が終わったらもうさようならでいいんだよというような形ではなく、それぞれやはり優秀なキャスターさんばかり、これは、契約キャスターは男女問わず非常に優秀な方が番組を構成してくださっておりますので、この点をしっかり評価する、こういう視点を持ち続けていただきたいですし、万が一、この数のバランスの違いということが何かに原因があるとすれば、これをなるべく差がないように、比率の差がないように御努力をいただきたいと思います。

 それでは、質問、戻りますけれども、今回、法案の改正の中で、NHKの受信料の割増し料金制度、これ、ちょっと私的には実効が上がるのか少し疑念を持っております。

 実際、割増し料金をいただく場合は、契約義務が発生した、これを確認して、そこから割増しをいただくということだと伺いました。この契約義務発生とする根拠というのはどの時点なのかという、その根拠、どこに置くんでしょうか。お答えください。

松崎参考人 お答え申し上げます。

 現行の放送法六十四条において、協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した場合は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならないと定められておりまして、改正後もこの趣旨は変わらないと承知しております。

 このため、受信契約の締結義務は、受信機を設置したときに生ずるもの、これが根拠になるのではないかと考えておるところでございます。

岡本(あ)委員 今、訪問によらない営業とかも強化をしている中で、ここのおうちに受信機があります、しかも、NHKが映る状態で電波が届いているということも確認をして、持ち主も、当然これはありますよねという、要は同意が必要なのかな。いや、実は、テレビ、物はあるけれども壊れているんですということだってあり得るという部分もあるので、あくまでも、両方が、これは受信設備として間違いなくありますよねという確認が取れたということが契約義務が発生する時点だということになりますでしょうか。

松崎参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになるかもしれませんけれども、受信機を設置をされたらお届けをいただくということでございまして、そのお届けに基づいて御契約が成立するというふうに承知しておるところでございます。

岡本(あ)委員 設置されたらというところの、要は割増し料金という、通常の受信料を払ってくださいとは別な、割増し料金という踏み込んだ行為になるので、やはりこれは、逆に、トラブルが発生しないように、しっかり根拠というところは明確にしなきゃいけないと思います。この点は是非、制度の運用のときには確立をしてほしいなと思っています。

 そして、ちょっと資料二を御覧ください。実は、受信規約を拝見していたら、十二条の二、支払いの延滞の場合、延滞利息というのが発生するんだという規約を発見いたしました。これも、契約者が受信機を設置をした時点から、当然支払い義務が発生する、三期以上ですか、滞納、払わなかったときは二%の延滞利息がつくと。

 これは、あなたは支払いの延滞ですという対象なのか、いやいや、あなたは割増し料金の対象なんですよという、この区別はどうなるんでしょうか。

松崎参考人 お答え申し上げます。

 延滞利息につきましては、お示しいただきました資料のとおり、現行の放送受信規約第十二条の二で、受信契約者が受信料の支払いを三期以上延滞したときに支払わなくてはならないと規定されておりまして、現在、法的手続であります支払い督促を実施する際に請求をさせていただいております。

 一方、割増金につきましては、現行の放送受信規約第十二条で、受信料の支払いに不正があったときなどを対象として規定されておりまして、今回の放送法の改正案では、これに加えて、正当な理由がなく、期限までに受信契約の申込みをしなかった場合も対象とすることができると規定されたものと理解をしているところでございます。

岡本(あ)委員 そうしますと、この十二条の方は、一回でも払っていたけれども、その後払わなかった場合のみに適用になるのか、契約行為をしていなかったとなった場合はもう自動的に割増し料金の対象になるのか、ここら辺もちょっと制度設計が、今、一個一個細かく確認をするつもりはないですが、やはり、国民の側に立ったときに混乱が生じないようにと思っております。

 それと、たまたま見つけて督促をした人には延滞料とか割増し料金を請求するけれども、見つけなかった人は、結果としては、未契約、一七%と推定が出ていますけれども、一七%の中に入っちゃったままで、NHKさんが何のアプローチもしていないということになると、そこでの不公平感というところも発生しますので、その点についてはきちっと。

 私は、逆に言うと、裁判を起こして法的な判断をいただいて、それを裏づけとしてアプローチをしていくという方がよっぽど分かりやすいなとは思っているんですが、この点についても、国民の側からすると、これをやることによって更に不公平が発生する、こういうことが決してないようにという点を求めたいと思います。

 改めて決意をお伺いしたいと思います。

松崎参考人 お答え申し上げます。

 割増金の運用方法につきましては、国会での法改正の審議等も踏まえ、会計や法律の専門家で構成している、会長の諮問機関であります、NHK受信料制度等検討専門委員会の知見も得ながら、今後検討を進めることとしたいと思っております。

 総務省の有識者会議においては、割増金の運用について慎重な対応をすべきと指摘されているところでもございまして、NHKとしましては、視聴者の皆様に、丁寧な説明に基づき適切に運用をしてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 では、続きまして、インターネットの社会実証について伺いたいと思います。ちょっと一点だけにさせていただきます。

 先ほど奥野委員からも質問がありましたが、ネットでのNHKの番組を視聴するに当たっては、いずれ有料化というか負担をいただくということもあるのかという話があって、国民的な理解や議論も必要だという御答弁があったと思います。

 この社会実証の中で、その点も検討事項として入っているものなのか、この点お答えください。

前田参考人 お答え申し上げます。

 今回の社会実証では、公共メディアとして、インターネットを通じて番組や情報を届ける意義や役割、多様化する視聴者ニーズにつきまして研究、検証をしていくことを目的といたしております。

 社会実証の結果はしっかり検証し、得られた知見は民放を含めて関係者とも共有してまいります。

 放送と通信の融合時代におきましても、これまで放送で培ってきました民放との二元体制を堅持しつつ、民放からの御意見や御要望も踏まえながら、連携や協調を図ってまいりたいと思います。

 また、社会実証は、御質問にありますように、いわゆるネット受信料を前提にした、また目的としたものではございません。通信と放送の融合時代にふさわしい受信料の在り方につきましては、視聴者・国民の皆様の御理解を得ることが大前提だと考えております。

岡本(あ)委員 そうはいいながらも、社会状況の変化でネットで情報を得る方が多く増えていく中で、じゃ、ネットで情報をいただく分をテレビの受信料の負担者だけがそのコストを負担をするという仕組みが果たして今後も、それがフェアなのかというところも当然議論になるのかなと思っています。

 一方で、今朝もですけれども、NHKさんのニュースアプリで地震のニュースがリアルタイムでどんどんどんどん私のスマホにも入ってきておりまして、感謝をしております。

 そういう意味でのNHKさんの、特に災害時、公共に必要な情報を国民が得られやすい手段で入手ができる、そういう仕組みというのも改めて必要なのかなと思っておりますので、この点、インターネットを活用して、娯楽とか趣味とかそういうところは別としても、公共放送が担う番組あるいは放送等が、国民が受けやすい手段としてどうあるべきかというところも社会実証の中で確認をしていただけるとありがたいと思います。

 NHKに関連しては最後の質問になりますけれども、経営委員のことについて総務省に伺いたいと思います。

 今回、経営委員の方、東北の地域枠だった方が残念ながら御勇退をされてしまいました。先ほども、地方の情報発信力、強化をしてくれ、地方の価値を高めてほしいという思いでいる私とすると、経営委員も改めて地方バランスを取っていただきたいなと思っております。地域枠が徐々に徐々に減ってきているのではないかと懸念をしております。経営委員に改めて地方のバランスというところを御配慮いただきたいと思います。大臣、いかがでしょうか。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 私も地方の選出の議員でございます。

 今お話がありました経営委員会委員の選任につきましては、放送法第三十一条第一項に基づきまして、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、教育、文化、科学、産業その他の各分野及び全国各地方が公平に代表されることを考慮して、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとされております。

 政府としては、こうした放送法の規定を踏まえ、引き続き、教育や産業といった分野や地域のバランスを考慮した上で、NHKの最高意思決定機関である経営委員会の委員にふさわしい、見識ある方々を選任してまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 この三十一条の適用に当たって、地域枠の条件緩和があったと説明でいただいたんですが、要は、地方を置くよりも専門性の方をということの人選が進んできているということになりますでしょうか。これは担当の方で結構ですが、お答えください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 以前は、委員御指摘のとおり、放送法におきまして、地域を明示した上で、委員の選任をその地域からという形にしておりました。済みません、今手元に何年の改正かは持っておりませんけれども、現在のような形に改正されております。

 ただ、今大臣からも御答弁申し上げたとおり、そういう教育、文化、科学、産業その他の各分野ということと、全国各地方が公平に代表されること、ほかにもございますけれども、この二つが並べられておりますので、いずれが重視されるとか、いずれが重視されないとか、そういうことではございませんで、それぞれのこういう各分野、各地方、こういうことについて代表されるということを旨として、経営委員としてふさわしい方を国会同意をいただくべく提示させていただいているところでございます。

岡本(あ)委員 条件が緩和されたというのは事実なんですけれども、教育、文化、科学、産業、この専門性を持っていて地方にいる方だっていらっしゃると思うんですね。要は、そういう方々を見つけ出す御努力も、是非総務省にはお願いしたいと思います。

 現在、残念ながら、東北、四国、中国の地域の経営委員がいらっしゃらない。残念ながら、人口が非常に、どんどんどんどん厳しくなっている地域の方々の代表がいなくなっているということで、同じ地域の、首都圏だって地域ですし、関西だって当然地域になりますけれども、それを考えると、やはり地域独特の課題を抱えている中での、先ほどおおつき委員からもありましたが、公共放送が非常に重要な情報源だと思っている地域も非常にある中で、こういうバランスは更に御努力をいただきたいと思っております。

 電波法について、一点伺いたいと思います。

 電波監理審議会の機能強化を図っていくということでした。電波の利用状況の公平性、透明性、これをどう担保するのか。あらかじめ、やはり調査の基準というのは事前に公表して、国民からもしっかり理解をいただいた上での調査をするべきだと思います。この点、お答えください。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 社会全体のデジタル化の進展により、電波利用ニーズが拡大しており、一層の電波の有効利用が必要となっております。そのため、本法案では、広い経験と知識を有する学識経験者から構成される電波監理審議会が電波の有効利用の程度の評価を新たに行うこととしております。

 その評価の実施に当たっては、プロセスの透明性を確保するため、同審議会において事前に評価基準を含めた評価方針を定め、公表することとしております。

 こうした枠組みにより、電波の有効利用の評価については、公平性や透明性はしっかりと確保されるものと考えております。

岡本(あ)委員 これは質問にせず、意見だけ言わせていただきます。

 今回、電波監理審議会の機能を強化するということでした。私は、是非、諮問事項以外のところについても独自に調査や提言ができる権限が、今後この審議会に必要ではないかと私は思っています。

 今現在は、規約上、諮問を受けたことについて、そこの範囲内で審議会が活動することになっておりますので、是非、機能を強化するに当たっては、やはり独自にも、必要があれば、電波というのは非常にこれからどんどんどんどん重要性を増していきますし、日進月歩の世界ですので、審議会の機能を更に強化をしていただきたいと思います。

 ごめんなさい、ちょっと質問を幾つか飛ばさせていただき、最後の質問とさせていただきます。

 福島県沖地震の復旧支援のその後についてです。

 コロナ感染の収束が見えない、見通せないさなかに三月の地震が発生し、私は秋保温泉、それから阿武隈急行を視察させていただきました。新学期なのに電車に乗れない、公共交通を提供できない、あるいは、春休みやゴールデンウィークなのにお客様を受け入れられないこのダメージは本当に計り知れません。

 前回、質問で、総務大臣には特別交付税措置をと強くお願いをしまして、強いお答えをいただき、とても地元でも喜んでおります。

 一点、これは厚労省に伺いたいと思います。

 資料三を御覧ください。

 仙台市から要望が出ております。新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例措置に加え、今回、地震の発生で、経済上の理由によって休業等を行う事業主が労働者に休業手当を支払った場合、雇用調整助成金の上乗せ等の特例措置をお願いしたいということです。

 コロナがなくて単発の地震だと、この特例措置というのは非常に厳しいと伺っております。ただ、コロナの影響が及んでいる状況で、残念ながらお客様を受け入れることができない、縮小せざるを得ないことで従業員を休ませなきゃいけない、この苦渋の決断をしているところに、是非、コロナウイルス感染症の特例措置としての雇用調整助成金、一部でもコロナが影響していたら適用できるんだよという明快な御答弁をいただければと思います。よろしくお願いします。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、雇用調整助成金でございますけれども、新型コロナ特例ということで、支給の要件と支給内容について、過去に例を見ない特例措置を講じているところでございます。

 このコロナ特例の適用でございますが、新型コロナウイルス感染症に伴う経済上の理由によって急激に事業活動の縮小を余儀なくされたという方を対象にしているわけでございます。

 今般の福島県沖を震源とする地震の影響を受けて休業されるという場合であっても、新型コロナ感染症を理由とする事業活動の縮小が認められ、支給要件を満たす場合には、今回講じているコロナ特例の対象になるところでございます。

岡本(あ)委員 コロナの影響が少しでもあれば十分認められるんだよと。まあ、一定の条件という言葉がついてしまいましたけれども、これはコロナの影響があるんだよということが条件なんだということで受け止めさせていただきます。

 毎年自然災害が続いている中で、自治体の負担というのも災害復旧で非常にのしかかってきております。これは、また改めて別な機会で伺いたいと思いますが、是非、自治体を支え切る総務省であっていただきたいというお願いを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、守島正さん。

守島委員 日本維新の会、守島です。

 早速、電波法、放送法改正案に対する質疑を行いたいと思います。

 通信は、今では水道や電気同様、インフラとして国民生活とは切り離せない重要なものでして、資源が限られる以上、効率的な運用をすることで、様々な形で利用され、できる限り広い範囲に届いて、かつ、その使用コストに関しては安くなるほどいいという前提でありまして、そのためにも、電波、放送の在り方については不断の見直しが必要だと考えています。

 本改正案に関しても、諸課題を解決し、デジタル変革時代に適応するための方策であるということを認識しつつ、るる確認したいと思います。

 まず、これまで電波利用のニーズが多様化、高度化するに伴い、電波利用システムも高度化してきましたが、5G、6Gを見据えると、更なる周波帯域の確保が必要になります。その中で、今回の改正案にあります帯域確保の目標の二〇二五年、プラス十六ギガヘルツ、三〇年、百二ギガヘルツというものの妥当性を伺いたいと思います。これというのは、実ニーズから出している目標なのか、若しくは実現可能性からはじいている目標なのか、そこら辺をちょっと教えてください。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 社会全体のデジタル変革が進む中、今後、電波の利用ニーズが一層拡大することが予想されており、昨年八月のデジタル変革時代の電波政策懇談会におきまして、特に帯域を必要とする5G、ビヨンド5Gなどの携帯電話に加え、衛星通信、IoT・無線LAN、自動運転などの次世代モビリティーの四つのシステムを対象といたしまして、委員御指摘の新たな周波数の帯域確保の目標が示されたところでございます。

 各システムの帯域目標につきましては、電波を利用する幅広い分野の企業、団体などを対象といたしましてアンケート調査を実施しております。その中で、具体的な電波の利用ニーズ、例えば工場、倉庫、物流、流通の自動化といった産業分野のニーズや、テレワークの活用などの働き方改革といった生活分野のニーズまで含めまして調査をしております。また、ワイヤレスに対して何を求めているのかといったネットワーク要件に係るニーズ、例えば大容量とか広域性、移動性、超低遅延などでございますが、そういったニーズを踏まえ、需要側の観点も十分考慮した上で設定をしているところでございます。

 総務省としては、今後も、この目標の実現に向けまして、5Gやビヨンド5Gを始めとする新たな電波の利用ニーズに対応するため、必要な周波数をしっかりと確保してまいります。

守島委員 ありがとうございます。

 各システムの利用ニーズを網羅的に聞いた上で算出しているということで、ここが目標ということでしっかり設定していただいていると思います。数字的な妥当性をちょっと確認したく、質問させていただきました。

 次に、電波利用料は三年を一期として、少なくとも三年ごとの見直しというのが義務づけられていますが、料金が適正かどうかに関しては僕も門外漢なので特段否定するつもりとかはないんですけれども、使途の見直しのところで、ビヨンド5Gを見据えた研究開発のための補助金交付に関しては、電波利用料における新たな使途をつくったにかかわらず、歳出総額は今回据置きとなっています。七百五十億円のままの理由をちょっと確認したいと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 電波利用料の総額規模につきましては、昨年八月、総務省の有識者会議でありますデジタル変革時代の電波政策懇談会におきまして、電波利用共益事務について、ビヨンド5Gなどに関するより積極的な取組を求める意見が示された一方で、歳出総額の抑制に努める必要性についての意見も示されたところでございます。

 また、報告書におきましては、「新たな取組の費用増加については、他の取組の費用の節減により賄うことを基本とし、電波利用料の次期の料額算定期間における電波利用共益事務の総費用については、現在の規模を維持することが適当である。」とされているところでございます。

 これを踏まえまして、総務省では、ビヨンド5Gの実現に向けた研究開発予算を新たに追加する一方で、既存の事務の見直しや予算の節減に努めることにより、現在の規模を維持することとしております。

守島委員 ありがとうございます。

 歳出抑制という概念はすごく大事だと思っているんですが、共益事務の内容というのは多分変わり行くので、それに応じて、やはり電波利用料の在り方ということに関してもちょっと考えていくべきかなと思っております。

 少し議題をそれるんですけれども、日本の携帯電話料金というのは、国際比較でもついちょっと前までは高いと評されていたと思うんですけれども、菅政権以降それが、値下げが実現されてきました。この要因というのを教えてください。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 携帯電話料金につきましては、事前規制はなく、各事業者が、市場競争の中で、各々の経営判断の下で決定をするものとなっております。

 総務省は、事業者間の競争がしっかり働くよう、公正な競争環境の整備に努めております。具体的に申し上げますと、行き過ぎた囲い込みを是正するための電気通信事業法の改正を始めとする、利用者が乗換えをしやすい環境の整備や、設備を借りる事業者、いわゆるMVNOでございますが、これらが支払う費用、接続料、卸料金などの適正化、それに加えまして、携帯電話ポータルサイトの開設など、利用者の一層の理解促進などの取組を行ってまいりました。

 こうした取組に加えまして、新規事業者の参入もあり、競争が活発化した結果、昨年の春以降、携帯電話各社が新たに低廉な料金プランの提供を開始するなど、料金の引下げが進んだものと認識をしております。

守島委員 ある種、強制的にやったというよりかは、囲い込みの是正を始め、市場環境を適正化させることで携帯電話料金を下げてきたということで、この取組自体は非常にすばらしいと思っているんですけれども。

 そこで、携帯電話事業における電波使用料金の負担割合というのをちょっと確認したく、例えば、各社の携帯電話料金のうち電波使用料の割合というのはどのくらいの負担感なのかというのが分かれば教えてください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、株式会社NTTドコモ、KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社における令和二年度の連結決算での売上規模でございますけれども、各社ともおおむね五兆円前後でございます。

 一方、令和二年度における電波利用料負担額は各社とも百億円台でございまして、売上規模に占める割合は〇・三%前後でございます。

守島委員 規模感としては、兆分の三桁億円なので、利益ベースで三桁億というとやはり大きいというか、影響があると感じるんですけれども、今おっしゃるように、売上ベースとか費用ベースにすると、電波使用料金の多寡によって経営が大きく左右されるようなレベルではまだないのかなというふうに思っています。

 電波利用料の位置づけ自体、経緯としては、電波利用共益費用というもので制度化されてきたということもありまして、用途の見直しというのは本日も含めて今後議論していくべきと思っているんですけれども、これが競願とかオークションによって電波利用料にある程度の変動があったとしても、それが携帯電話等の末端価格を直ちに上げてしまうような、そういう影響を与えるものではないということをちょっと確認させていただきました、前提として。もちろん、必要に応じて、電波使用料の在り方ということに関してはこれからも考えていくべきとは思っています。

 続きまして、電波監理審議会と周波数再割当てに関連して聞きたいと思います。

 電波の効率的利用のために、電波監理審議会の機能強化を図り、有効利用評価に関して総務大臣に勧告等を行うことを可能とする仕組みを今回つくるとのことですけれども、有効利用評価の主体が変わることで、携帯等の電波市場に与える影響についてはどう考えていますか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 社会経済のデジタル化により電波利用ニーズが拡大する中、分野横断的な周波数の移行、再編が喫緊の課題となっております。

 今般の電波監理審議会の機能強化は、これまで総務大臣が行ってきた電波の有効利用の評価について、技術や法制度などに精通した専門家から構成される電波監理審議会が主体的に電波の利用状況を評価、提言できる仕組みを導入するものでございます。

 これによりまして、電波の有効利用の評価について透明性、客観性の一層の向上を図るとともに、新たに導入予定の携帯電話などの周波数の再割当て制度の中でも活用していくなど、周波数の移行、再編を推進し、社会経済の電波利用ニーズに適切に対応できる環境を整備してまいります。

守島委員 もちろん、社会のニーズに対応できるように、電波の有効利用をすること自体が目的ということは認識しつつなんですけれども、僕自身としては、やはり新規参入者への門戸を開くことで、一定、競争原理が働いて、適正な市場環境が構築されるということをちょっと期待しているんです。

 ちなみに、今回、新規参入を望む事業者から競願の申出があって、かつ、電波監理審議会の諮問において再割当ての実施が必要というふうに判断された場合、その後の手続がどうなっていくのかを教えてください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 本改正法案におきまして、既存免許人以外の者からの競願の申出があった場合には、既存免許人に加えて申出人に対して意見聴取をする手続を確保するとともに、再割当てに係る開設指針の制定の要否の決定について電波監理審議会に諮問を行うことといたしております。

 また、開設指針の制定が必要と決定した場合にも、その制定に当たりましては、意見募集や同審議会への諮問を経ることとしております。その上で、同指針に基づいて事業者から提出される開設計画を審査し、当該計画の認定に当たって同審議会の答申を受け、再割当てを実施することとなるところでございます。

守島委員 制定が決定し、その後、事業者の計画を審査するという流れになるんですけれども、ちょっとここでもう一つ確認したいんですけれども、競願の申出後の再割当て決定というか制定決定後と、オークションなどの具体の割当て方式の違いというか、関係性をもう一回教えてください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 今回整備する周波数の再割当て制度は、携帯電話等が既に使用している周波数について、電波の有効利用の程度が一定の基準に満たない場合等には周波数の再割当てを可能とするものでございまして、いわば、どのような場合に周波数の再割当てを実施するかについて定めるものでございます。

 他方で、新たな携帯電話用周波数の割当て方式に関する議論は、周波数の割当てを行う場合において、どのような方式で周波数の割当てを実施するかという手法に関するものでございます。

 そのため、両者は別の議論になると考えております。

守島委員 別の議論といったように、再割当てが必要、有効利用するべきだとなった後に、また既存事業者も同じフィールドでチャンスがあるということなので、一定、そういう関係性ということなんですけれども、再割当てが決定した次のフェーズで割当て方式を決めていく中で、その方式においてはまだ検討段階と思っているんですけれども、例えば比較審査とか純粋オークションなど、いずれかの選考ルールというのが用いられていくことになると思うんですけれども、その検討状況を教えてください。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 5Gの導入などにより携帯電話用周波数の利用ニーズが急増しており、電波の有効利用を促進する観点から、総務省では、昨年十月より、新たな携帯電話用周波数の割当方式に関する検討会を開催しているところでございます。

 本検討会においては、諸外国のオークション方式のメリットやデメリット、デメリットとされる事項への対応策について事例調査を行い、本年三月に一次取りまとめを行ったところでございます。

 今後、その内容を踏まえ、我が国に望ましい新たな割当て方式の在り方について検討し、本年夏頃を目途に取りまとめてまいりたいと考えております。

守島委員 ここからは僕の意見なんですけれども、一定、電波の有効利用をするためには、今、夏までに検討するという話だったんですけれども、企業サイドが積極的に活用して収益を上げるというモチベーションを確保するのが大事と思っていまして、やはり市場原理というのは意識するべきで、経済的価値観も考慮しつつオークションルール等の設定に挑んでほしいと思いますし、先ほど質問したように、携帯電話の料金でも言ったように、電波利用料の多寡がそこまで末端価格に影響するものではないということも踏まえて、電波利用料の在り方も含めてここはちょっとしっかりと考えてほしいと思っていますので、その点のお願いをしておきます。

 次に、ちなみに、今回の法改正では、周波数の再割当てに関しては携帯電話等に係るものだけに絞られているんですけれども、その理由を教えてください。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 携帯電話等の周波数については、通信量の増大などにより逼迫傾向にあるところ、既に開設されている基地局が使用している周波数も含めて、有限希少な電波をより一層有効利用する必要性が高まっております。

 一方で、携帯電話等の特定基地局開設計画の認定制度では、認定を受けた事業者が認定の有効期間終了後も再免許を繰り返し受け、事実上、周波数を継続的に利用しております。

 こうした周波数の固定化に対応し、電波の有効利用を促進する観点から、排他的に相当数の基地局を開設する必要がある携帯電話等の周波数につきまして、開設指針に基づいて再割当てする仕組みを導入するものでございます。

守島委員 需要があり、逼迫も含めて必要性があるということと、全国的に排他的認定権を用いる携帯に今絞っているということなんですけれども、その理由は足下のことを考えたら十分分かるんですけれども、やはり本質的には、対象を余り絞らず、総合的に電波の在り方を、整理、統合、再割当て等、これを行っていくべきというふうに思っておりまして、維新としては、特に放送も踏まえた電波の有効利用を図るべく法案を提出していますので、その点も御認識いただければ幸いに思います。

 次に、電波利用料の使途に関してなんですけれども、今回の改正案においては、ビヨンド5Gに係る研究のために、補助金交付に関して、電波利用料を原資に充てられるようにされています。

 B5Gを見据えた基礎研究というのは重要だと思うんですけれども、こうした支出は、令和五年度以降は一般会計からも拠出可能とされていますし、昨年の法改正により、既にNICTではB5Gの基礎研究に対する助成金の拠出が可能となっていますが、電波利用料を原資とする理由と、一般会計やNICTの助成金との役割の違いを改めてちょっと教えてください。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 ビヨンド5Gについては、ビヨンド5Gが二〇三〇年代の社会や産業の基盤となる次世代の情報通信インフラであるとの考えの下、所要の予算を計上し、研究開発に取り組んでいるものでございます。

 ビヨンド5Gの実現に当たりましては、現在十分に利用されていない、より高い周波数の電波の活用ですとか、既存の電波の一層の有効利用を図る必要があることから、電波利用共益事務の一環として電波利用料を充てることにより、無線、ネットワークの高度化等の研究開発に取り組むこととしたものでございます。

 委員も御指摘のとおり、電波利用料によるこうした研究開発のほかに、令和二年度三次補正予算でNICTに設置した基金により、電波利用技術に限らず、複数年にわたり、年度をまたいで弾力的かつ柔軟に、ビヨンド5Gの要素技術を確立するための研究開発を実施するとともに、一般財源による令和三年度補正予算により、光コアネットワーク技術の研究開発などに取り組むこととしているところでございます。

 総務省といたしましては、電波利用料の活用も含め、後年度も継続的な政府投資を行うことにより、有線、無線一体的に、一貫した研究開発を強力に推進し、継続的かつ効果的に取り組むことが必要であると考えているところでございます。

守島委員 各種の助成、補助、一般会計の違いというか、狙いの違いが余り分からなかったので、そこはちょっとまた確認したいと思います。なので、ちょっと、どちらかというと目的にひもづいていないという感じもしなくもないんですけれども。

 今回、助成金もそうですし、一般会計からの支出も可能となるということなので、何を懸念するかというと、補助をするのはいいけれども、それが各企業への単発的な投資になってしまいかねないんじゃないかなと思っていて、一定、助成とか補助を行う以上は、やはりその技術とか基礎研究が一定、共有知となって広がりを持たないと、投資する意味がないのかなと。

 それを日本全体のイノベーションにつなげていかないといけないと思いますし、助成しますよ、補助しますよということを単発でそれぞれやっても、それは砂漠に水をまいているような、額もそんなに他国と比べたら大きくもないので、そうなってしまいかねないので。

 そうした知識の在り方というか、補助した情報の在り方に関してはしっかりアプローチをしてほしいんですけれども、その点の考えがあれば教えてください。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ビヨンド5Gの研究開発成果については、研究開発の実施企業にとどまることなく、広く成果の共有がなされることによって、早期に社会実装を進めていくことが必要であると考えています。

 このため、総務省といたしましては、ビヨンド5Gの研究開発で得られた成果を、二〇二五年度以降、順次社会実装していくということで、速やかに公共の利益に還元してまいりたいと考えているところでございます。

守島委員 是非、公共の利益に還元していくことを目指して、しっかりフォローもお願いしたいと思います。

 NHKに、聞く時間が余りなくなってしまったので、一問だけ質問したいんですけれども、先日のNHK予算でもるる質問したんですけれども、ちょっとそのとき聞けなかったことの中で一つ。

 今、NHKのインターネット関連の予算に二百億円のキャップがはめられているんですけれども、放送と通信を融合していく流れとかNHK改革を進める上で、この上限キャップが正しいのかというのはちょっと判断しかねています。

 予算上限で縛る理由の一つは、やはり民業への圧迫というか民間との競争を考慮するからだと思っているんですけれども、むしろ、維新の会が提言しているように、民営化も含めた経営形態というのを視野に入れれば、この上限は必ずしも必要ないんじゃないかなというふうに考えているんです。

 むしろ、アマゾンとかネットフリックスといったコンテンツに対抗するためにも、国内ではなかなかそういうコンテンツがない中、NHKの持つストックとかノウハウこそしっかり活用して、そうした分野で生かしていくべきじゃないかなと個人的には考えているんですけれども、大臣の見解も教えてください。

金子(恭)国務大臣 お答えいたします。

 御指摘の、NHKの番組をインターネットで配信する業務、すなわちインターネット活用業務は、放送法上、NHKが受信料を財源として任意でできる業務として位置づけられております。

 したがって、その業務の実施に当たっては、国内放送などの実施が義務づけられている業務、すなわち必須業務の円滑な実施に支障を来すことがないよう、その費用は適切な範囲内に収めることが求められております。

 これに基づき、NHKから、このインターネット活用業務の実施に要する費用の上限を年額二百億円と設定する旨の申請があり、昨年一月に認可を行ったところでございます。

守島委員 大臣、本業に支障は来さないとおっしゃるんですけれども、NHKオンデマンドとかを例えば見ても、前は確かに赤字だったんですけれども、今は別勘定でも経理区分で黒転して、累赤も減らしているというのが現状で、NHK自体にはマーケットの中で利益を上げるノウハウとかが一定、蓄積されていると思うので、そうした今の状況も踏まえて、そのポテンシャルを発揮することが国家に対しても利益だということもちょっと念頭にいただいて、今後の上限キャップとか縛りに関しても考えていただければ幸いに思っています。

 ちょっと時間が来ましたので、私の質問を終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、沢田良さん。

沢田委員 日本維新の会、埼玉の沢田良です。

 本日は、四月七日に本会議にて質問をさせていただきました内容を更に深掘りすることをさせていただきます。

 金子総務大臣、また関係省庁の皆様、委員部の皆様、そして、いつも横に座っている中司先輩がまさに目の前にいるというちょっと初めての光景なんですが、是非、丁寧に質問させていただきますので、皆様、本日もよろしくお願いいたします。

 まず、電波に関わる各種施策についての我が国の検討スピードが遅過ぎるという点の指摘をさせていただきました。また同時に、携帯電話事業以外の分野における各種検討が進んでいない理由をお尋ねした返答として、携帯電話以外の周波数については現時点では大きな利用ニーズが顕在化していないとのことでした。

 質問させていただきます。

 携帯電話の普及と同時に、周波数を必要とするいろいろなニーズが携帯電話に吸収されているように感じますが、現状、どうなっているのでしょうか。また、大きなニーズとまではいかないが、今後期待する具体的なものがありましたら教えてください。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 携帯電話の普及や技術の進展に伴い、携帯電話ネットワークに接続可能な通信モジュールの低価格化や携帯電話の利用料金の低廉化が進んでいることから、以前よりも携帯電話によるブロードバンドサービスが格段に利用しやすくなっているところでございます。

 このため、携帯電話向けアプリを開発することなどにより、携帯電話ネットワークを活用した新たなサービスを簡便かつ低コストで開始することが可能になってきております。

 このような背景に加え、今後更に普及が拡大すると見込まれる5Gは、超低遅延、多数同時接続といった産業用途に適した特徴を有していることから、より多様な無線利用ニーズへの対応が進むものと考えられます。

 また、社会全体のデジタル変革が進む中、今後無線利用ニーズが一層拡大することが予想されておりまして、昨年八月のデジタル変革時代の電波政策懇談会において、今後特に帯域を必要とする無線システムといたしまして、5G、ビヨンド5Gなどの携帯電話のほかにも、衛星通信、IoT、無線LAN、自動運転などの次世代モビリティーといった無線利用ニーズが示されているところでございます。

 総務省としては、このような無線利用ニーズに対応するため、必要な周波数をしっかりと確保してまいります。

沢田委員 ありがとうございます。

 まさに、本当に私が携帯電話を持ったのは大学に入ってからだと思うんですね。高校のときにポケットベルというものが出まして、それからPHSに切り替わって、一気に携帯電話と。気づいたらスマートフォンというものになって、時代が大分変わってきている中で、まさにこの電波というものの使い方、そしてニーズというものも、一気に世の中の流れとともに劇的に変わってきていると思います。

 是非、今、携帯電話以外のものでニーズの可能性というもので教えていただいたんですけれども、そういった分野も、積極的にスピード感を持って御対応いただければと思います。

 ちなみになんですけれども、一般的に、民間とかから新しい技術であったり新しい電波の有効活用の提案というものがあったら、どのようなプロセスで提案や相談というものはできるのか、ちょっと教えていただきたいんですけれども。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 民間の電波利用のアイデアやニーズにつきまして、実際に電波を利用した実験を行っていただく制度として、実験試験局制度がございます。

 実験試験局とは、科学若しくは技術の発達のための実験、電波の利用の効率性に関する試験又は電波の利用の需要に関する調査を行うために開設する無線局であって、実用に供しないものでございます。

 総務省では、各総合通信局及び沖縄総合通信事務所に、実験試験局等の事前相談に係る総合的な窓口を設けてございます。したがいまして、まずはこの総合的な窓口に御相談をいただければと考えております。

 実験等を通じ顕著なニーズが見込まれる場合には、電波法の目的を踏まえつつ、実用化に向けた取組として、必要に応じ、周波数割当て計画の変更や技術基準の策定などの制度整備を進めていくこととなります。

沢田委員 どうもありがとうございました。

 やはり、そういうところも国民の皆様に是非知っていただき、いろいろなベンチャーができ上がる中で、やはり省庁ともこういった一体化でやっていくということが増えていくと思いますので、是非いろいろと入口を開いていただければと思います。

 続きまして、電波利用料の適正化について、国民の財産である電波を、既存の概念を超えてでも有効活用していくべきではないかという御質問をさせていただきましたら、共益事務など既存の料金の話での返答をいただきました。

 確かに、共益事務などの面で考えたら、今の運用は適正であるのは明白です。ただ、国民負担率四八%と大変に厳しい国民生活をお願いしておきながら、全ての可能性を模索して国民の負担を減らす、また、新しい未来に投資する原資を生み出すことは、国民の財産である電波を扱う国会の責任とも私は考えております。

 質問です。

 デジタル変革時代の電波政策懇談会というものがございます。そこにおいては、電波利用料の適正化についてどのような総括をされていますでしょうか。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 デジタル変革時代の電波政策懇談会の報告書におきましては、「電波利用料の共益費用としての位置付けを見直し、無線局の免許人等に対し、電波利用共益事務に要する費用の規模を超えて負担を求めることについては、諸外国における最新の動向などを注視しつつ、慎重に考えることが適当である。」と取りまとめられているところでございます。

沢田委員 是非、踏み込んだ議論にもいろいろと積極的に動いていただければと思います。

 電波法には、少なくとも三年ごとに電波利用料について見直すとあります。前回の令和元年の見直しが通常よりも一年前の前倒しだったこともあり、附帯決議に三年を守るようにというような記載もありますけれども、金子総務大臣にお伺いします。

 今後の電波利用に関する環境等が大きく変わった場合には適時に見直すということは、これは金子総務大臣の任期中も変わらないでしょうか。

金子(恭)国務大臣 沢田委員御指摘の電波利用料制度に関しては、電波法上、少なくとも三年ごとにその施行状況について電波利用料の適正性の確保の観点から検討することとされており、これを踏まえて不断の見直しを行ってまいります。

 また、平成三十一年電波法改正の衆議院総務委員会の附帯決議において、電波利用料の料額について原則として三年ごとに検討すべき旨の御指摘をいただいているところであり、その趣旨も最大限尊重してまいりたいと考えております。

沢田委員 ありがとうございます。

 では、日本維新の会提出の法案についてここから質問させていただきたいんですけれども、国民共有の財産の利活用について、今回提出の法案についてどのようなものがあるか、御紹介をお願いいたします。

中司議員 日本維新の会の沢田良議員の御質問にお答えいたします。

 我が国における電波の割当て制度は、既存事業者の指定席を確保するものであって、新規事業者が再割当てにチャレンジできるものになっておらず、このことは、国民に対する低廉で多様なサービスの提供を阻害する要因になっています。

 この弊害を打破するためには、電波の割当て手続の透明性を確保した上で、事業者間の自由かつ公正な競争を通じた電波の有効利用が促進されるように、電波オークション制度の早期導入が必要と考えたところでございます。

 この法案では、原則として、全ての無線局を対象に、政策目的の達成に必要とされる事項を電波割当ての際の条件として課した上で、最終的に入札額の多寡により落札者を決定する条件付オークションの制度を提唱しております。

 以上です。

沢田委員 ありがとうございます。

 正直、今日のこの答弁、新鮮というか、いつも、やはりどうしても政府提案に対して我々の意見を求めるというところに対して、同じような提案が出ているという状況で、この比較をちょっと私も聞きながら、自分の政党が出しているものと、そして政府提案のものはどういったふうな違いがあるのかも、深掘りしていきたいというふうに思っております。

 続きまして、放送法第九十一条等にある、放送をすることができる機会をできるだけ多くの者に対し確保することにより、放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにするためのものとして、マスメディア集中排除原則というものがあります。

 質問です。

 現状は、大手新聞社とテレビ局が完全にグループ化されており、新聞社が株主として支配力を有しているという現状になっていると思います。それについてどうお考えでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のマスメディア集中排除原則というルールが、放送に関してございます。このマスメディア集中排除原則は、特定の者がテレビなどの複数の放送局を支配することを制限することによって、放送の多元性、多様性、地域性を確保するものでございます。今、新聞社に関する言及がございましたけれども、新聞社も当然、マスメディア集中排除原則、このルールに従うことが必要となっております。

 現状、多くの地域において、NHKに加え複数の民放が視聴可能な状況となっております。また、各地の放送事業者が、地域情報を発信するなどの地域性の確保をする努力をしております。そういう中で、新聞社が出資していることをもって、放送の多元性、多様性、地域性、これが損なわれているとは認識してございません。

沢田委員 現場としては、こういう、グループ化されているという認識はされているけれども、現実がないと。

 同じような答弁を、四月七日のときに総務大臣からもいただきました。現状、大きな問題があると考えていないという答弁となりますが、私は、それは結果論である、あくまで性善説にのっとって、今の仕組みをどういうふうに使っていくのか、どう有効利用していくのかということに対して、我々はいろいろな角度で物事を見ていく必要があるというふうに思っております。今、現状としては、私としては偏った状況が維持されているという認識であります。

 質問です。

 規律を維持していくために現状においてはどのような仕組みがあるのかということと、また、グループ化をしていることによって、今、現状、この日本において、メリット、デメリット、どういうふうにしてそういうものはあるのかというのも、把握している内容で教えてください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 マスメディア集中排除原則につきましては、委員御指摘のとおり、「基幹放送をすることができる機会をできるだけ多くの者に対し確保することにより、基幹放送による表現の自由ができるだけ多くの者によつて享有されるようにする」という趣旨を有しております。電波法、放送法において基本的なルールが定められ、議決権保有割合などの具体的な基準については総務省令で定められているところでございます。

 このマスメディア集中排除原則への適合性については、放送局の免許申請時などにおきまして審査を行うとともに、免許等の期間中におきましても、事業計画の変更届出などを通じまして把握をし、この適合性を確認しているところでございます。

 また、グループ経営についてお尋ねもございましたが、グループ経営というのは、例えば認定放送持ち株会社制度におきまして、特例として、マスメディア集中排除原則を緩和し、一定の範囲内で放送事業者の複数支配ができるというような仕組みを設けてございます。

 この認定放送持ち株会社によるグループ経営は、持ち株会社を通じた資金調達を可能とし、放送事業者の経営基盤を強化すること、あるいは、人材、資金、設備などについて経営資源の効率的な運用を可能とすることなどのメリットを有すると考えております。

 他方で、認定放送持ち株会社を通じた経営を行う場合であっても、放送の多元性、多様性、地域性を確保すること、これは引き続き重要であることは変わりないと考えておりまして、先ほど申し上げたメリットと、今の放送の多元性、多様性、地域性を確保することとのバランスを踏まえながら、こういう価値の確保を図ってまいりたいと考えております。

沢田委員 どうもありがとうございます。

 メリットとデメリットについて、ちょっとデメリットについては余り把握されていないなというふうに思いましたが、メリットについては、おっしゃりたいことは分かるんです。ただ、例えば、経営基盤の強化であったり経営資源の有効活用といっても、今の放送事業者の給料とかを全部見ていただきたいんですけれども、大変、民間でも優等生というか、多くもらっている企業があります。こういったところが、更に保護をして、経営基盤の優遇であったり経営資源の効率化を図るということでどんどんどんどん守られていくという状況は、やはり、元々ある、放送をすることができる機会をできるだけ多くの者に確保することにより、放送による表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにするということに反すると私は考えてしまう部分もあります。

 金子総務大臣、あくまで放送法第九十一条におけるこのマスメディア集中排除の原則というものについて、どういうふうにお考えでしょうか。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 放送の多元性、多様性、地域性を確保するため、特定の者がテレビなどの複数の放送局を支配することを制限をするマスメディア集中排除原則が放送法上規定されているところでございます。

 本制度については、放送を取り巻く環境変化等を踏まえ、経営の選択肢を拡大する観点から、グループ経営を可能とする認定放送持ち株会社制度の創設など、順次緩和を行ってまいりました。

 他方、本制度を見直すに当たっては、放送の多元性、多様性、地域性の確保に十分配慮しているところであり、御指摘のような問題が生じているとは認識をしておりませんが、引き続き、放送を取り巻く環境の変化などを踏まえながら、制度の適切な運用と不断の検討に努めてまいりたいと考えております。

沢田委員 総務大臣、よろしくお願いいたします。

 繰り返しになっちゃうんですけれども、私は、新聞社の影響下にあるテレビ放送事業者の経営や放送番組の内容に新聞社の意向が反映されることには、やはり問題があると考えます。どうしても、紙というものがどんどんどんどんなくなっていく中で、今、新聞各社のイデオロギー化というのは、私が見ても明らかに、少し偏っているな、読んでいる新聞によって支持している政党が違うとか、意見が違うとか、そういうことがより広がって、公共性というものとはかなりかけ離れてきている、そういうふうにも感じているところがあります。

 ちなみに、これについて、日本維新の会の提出の法案においては、このマスメディア集中排除の原則を含めてどのような提案になっているのか、教えてください。

中司議員 お答えいたします。

 新聞社の影響下にあるテレビ放送事業者の経営や放送番組の内容に新聞社の意向が反映されることについては、問題があると考えています。

 そこで、これを防止する観点から、この法案では、新聞社とテレビ放送事業者との関係として制限されている支配関係につき一定の例外を認める、表現の自由享有基準を見直すこととしております。

沢田委員 どうもありがとうございます。

 続きまして、二次取引制限の緩和について質問させていただきます。

 転売を目的とする事業者が現れた場合についてのこのリスク、よくこれは政府の方で言っていただくんですけれども、具体的なリスクについて御見解を教えてください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 二次取引におけるリスクの具体例でございます。例えば、専ら転売を目的とする者が、放送局の免許を取得した上で、放送を開始しないまま取引価格の上昇を企図して電波を保有し続ける結果、電波の有効利用が図られないといったおそれがあると考えております。

 有限希少な電波でございますので、実際に使用しようとしている、使おうとしている者に直接割り当てることが合理的と考えております。

沢田委員 そうですね。

 ただ、リスクは、今おっしゃったように、分かっていれば対応ができるというのが私の持論でございまして、少なからずあっても、内容が分かって対応できるのであれば、余り消極的になり過ぎず、投資や成長の阻害にならないように、ある種積極的に有効活用していくという感覚も必要だと思います。

 ちなみに、日本維新の会提出の法案では、この件についてどのように考えているでしょうか。

中司議員 お答えいたします。

 二次取引が一般的に認められるようになれば、電波の有効利用に一層資することになると考えております。

 先ほど政府からの答弁もありましたが、政府は、具体的ニーズがない、あるいは転売先の事業者が様々な基準に適合しているかを確認することが困難であるなどとして、二次取引の制限の緩和について非常に消極的な姿勢を取っておられます。

 そこで、この法案では、電波法の規定による二次取引に係る事業実施の制限を緩和することについて、その適正なルールづくりも含めて速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることを政府に義務づけることとしております。

沢田委員 ありがとうございます。

 しっかりと、我々が預かっている財産、国民の皆様からお預かりしているものを生かしていく、そして、それをどうやってこれからの日本の成長や国民の皆様の負担をしっかりと支えるために使っていくのか。これは、やはり我々が、今までの既存の政治の在り方を脱却してでも、どうやってか乗り越えていかなければいけない、そして、それが電波との向き合い方の一つの方法だと私は考えますので、是非今の提案を進めていっていただければと思います。

 少しこのまま続けさせてもらいまして、日本維新の会の提出法案についてお伺いしたいのですが、同一の周波数の電波を共用することができる仕組みの活用促進、そして、情報通信に関わる事業の規制に関する事務をつかさどる独立行政委員会の設置というものがありましたが、どんな問題意識があって提案なさったのか、また、政府案との違いなどがありましたら教えてください。

中司議員 第一に、異なる無線システムの共用を可能とするいわゆるダイナミック周波数共用システムの一層の活用の促進を基本方針に掲げております。

 政府においては、特定の周波数帯以外について、その検討や実用化が進んでいません。将来的な電波利用の需要を見据えれば、周波数帯全域での活用を促進することは急務の課題であります。そのための施策を講ずるよう政府に求めるものであります。

 第二に、情報通信行政の規制事務をつかさどる独立行政委員会の設置を基本方針に掲げております。

 情報通信行政において、その規制事務と振興事務とを一体として所掌している現状こそが、自由で公正な競争環境の実現を阻害してきたのではないかと考えております。

 そこで、この法案では、総務省が所掌する事務のうち、放送を含む情報通信に係る事業の規制に関する事務について、中立公正な立場で独立して事務をつかさどる独立行政委員会を新設して、これに移行させるという抜本的な改革を提唱しております。

 以上です。

沢田委員 ありがとうございます。

 ちなみに、今、最後にいただいた独立行政委員会について金子総務大臣に質問させていただきましたら、否定的な御意見を言われました。理由は、通信・放送を含む情報通信分野は、技術革新や国際競争が激しく、国家戦略的対応が求められる分野だということをおっしゃいました。だからこそ、内閣の構成員である大臣の責任の下にあるべきとのことですが、実際に大臣の責任においてどのようなことが過去にできたのか、また、できるのか、教えていただけますか。

金子(恭)国務大臣 情報通信分野は、技術革新や国際競争が激しいため、内閣の一員として国家全体を俯瞰する大臣の責任の下において、機動的かつ総合的に判断して取り組んでいくことが適当であると考えております。

 その際、技術基準の策定や許認可といった規制だけではなく、予算措置等を通じたインフラ整備や研究開発などの振興策と有機的に連携させ、戦略的な対応を進めることが必要不可欠でございます。

 規制と振興を両輪として大臣の責任の下で一体的に取り組むことにより、例えば、事業者間の競争環境を整備するとともに、条件不利地域におけるインフラ整備への支援を通じ、世界最高水準の光ファイバー網の整備を実現しました。また、5Gについては、必要な周波数の確保、割当てとともに、条件不利地域における基地局の開設への支援などを通じ、全国的な展開を推進しております。

 このように、情報通信分野における重要な課題に対して、規制と振興の両面から、迅速かつ一体的に戦略的な対応ができるよう、引き続き、私のリーダーシップの下で着実に取り組んでまいりたいと考えております。

沢田委員 大臣、ありがとうございました。

 本当に、最初から総務委員会にずっと入っておりますが、金子総務大臣の誠実な人柄は、我々野党としても、しっかりとリーダーシップを発揮していただいて、総理だけでもできないことを是非後押ししていただければと思います。

 最後になりますが、実は、今日、私の息子が八歳の誕生日ということで、息子が今日出てくるときに言ったのが、やはりこの日本の未来のためにいろいろな人が頑張ってくれているねと。息子にとっては与党も野党も関係なく、ここで関わってくださる皆さんに対してそういうふうに息子が言ってくれたことが本当にうれしかったのです。

 是非、皆さんと一緒になってこれからも総務委員会を盛り上げていきたいと思いますので、またよろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

赤羽委員長 次に、阿部弘樹さん。

阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹です。

 質問時間が短いですので、若干、質問の順番を入れ替えたいと思います。

 まず最初は、四月十日に、正午のニュースで、ウクライナ・ザポリージャから来日した女性の報道字幕についてお伺いしたいと思います。

 今は大変だけれども平和になることを祈っているという字幕だったんですが、実際はそうではないのではないかという視聴者の指摘があっております。

 そのことについてお伺いいたします。よろしくお願いします。

正籬参考人 お答えいたします。

 御質問のニュースでは、日本に住むウクライナの子供などが語学や文化を学ぶため都内で開かれている日曜学校に、ウクライナから避難してきた人が参加したというもので、四月十日のニュースなどでお伝えいたしました。

 インタビューは、当日、取材現場にいらした日本語が分かるウクライナの方に協力をいただいたと聞いております。

 放送後、より的確な表現があるのではないかという指摘を受け止めまして、見逃し配信されるNHKプラスで、一部翻訳の表現を改め、修正したことも明記いたしました。

 報道現場では、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、可能な限り、ウクライナ語の翻訳ができる方を確保し、日々、ニュースや番組の取材、制作に当たっております。

 ただ、ウクライナの情勢をめぐりましては、新しい情報がいつ入ってくるか分からないというのが現実でございます。連日二十四時間、十分な体制が構築できているという状況ではありませんが、可能な限り人材を確保し、ウクライナ語が含まれる情報や映像の翻訳などを行いまして、正確な情報を伝えるよう努めてまいりたいと考えております。

阿部(弘)委員 南方のロシアなまりのウクライナ語で、多少翻訳が難しかったとはいえ、発言の趣旨が若干違っていたことを視聴者から指摘されたということでございます。

 前回、NHK大阪放送局の字幕問題は日本語でしたので、非常に重大な問題でございます。

 今回は、多少、外国語を翻訳しにくかったという問題があるでしょうが、国民には正しく伝えられるよう希望いたします。

 次に、衛星インターネット通信の可能性、普及に向けた課題についてお伺いします。

 イーロン・マスクさん、ウクライナにスターリンクを提供してほしいと、ウクライナの副首相兼デジタルトランスフォーメーション担当大臣、ミハイロ・フョードロフ氏がツイッターで訴えたのは二月二十六日です。

 スターリンクとは、イーロン・マスク氏率いる宇宙スタートアップ、スペースXが提供する衛星インターネットアクセスサービスです。ウクライナは、ロシアの侵攻以来、インターネットがつながりにくい状況が起きていました。そしてまた、このツイートから十時間後に、イーロン・マスク氏はサービスの提供を決めたということでございます。

 まず、大臣にお伺いいたします。

 衛星インターネット通信が、今、日本の各社も非常に力強く進めておるところでございます。このことについて、大臣に、この可能性、意義などについてお伺いしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 阿部委員御指摘の衛星通信は、人工衛星を利用して通信するものであり、広い範囲を同時にカバーし、離島や山間部等の条件不利地域や海上を含むエリアでの通信が可能となります。また、災害にも強いことから、通信ネットワークが被災した場合にバックアップ回線として提供をされるなど、衛星通信は非常に重要な役割を果たしているものと認識をしております。

 近年では、多数の小型衛星を一体的に運用し、高速大容量通信を提供するシステムの開発が進んでおり、総務省としましては、こうした新たな衛星通信サービスが速やかに導入可能となるよう、必要な制度の整備を行っているところでございます。

 引き続き、衛星通信を始めとする我が国の通信サービスの高度化や多様化に向けて、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

阿部(弘)委員 そうなんですね。ここで地上波の議論をしていますが、実は、世界はもう既に宇宙空間でのインターネット通信の議論を始めている。

 トンガの火災で通信ケーブルが遮断し、速やかに、イーロン・マスク氏はこの宇宙インターネットアクセスの提供を申し出ている。

 現在、七十四億人の世界人口のうち、三十億人はインターネットがつながらない環境にある。このつながらない、デジタルデバイドの方々に対して、世界の各社は血眼になってこの宇宙インターネットアクセス事業に取り組んでいるところでございます。

 日本のKDDIも、同様に、スペースXと共同参画し、ブロードバンドを提供する。ブロードバンドと光ファイバーがほぼ追加料金なしで提供できるようになったら、地上波の役割はどんどんどんどん少なくなっていく。あるいは放送の役割も、どんどんどんどんこのスペースインターネット通信で変わっていくわけです。

 この点について、従来の静止衛星とは違う通信・放送ですから、総務省の担当の方、御説明をいただければ幸いです。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 私の方からは、現在の日本国内におきます、多数の人工衛星を一体として運用する衛星コンステレーションの状況につきまして、まずはお話をさせていただきたいと思います。

 多数の人工衛星を一体的に運用する衛星コンステレーションを用いまして、世界中でインターネットサービスを提供するシステムが複数計画をされているものと承知をしているところでございます。

 我が国におきましても複数のシステムの導入が計画をされておりまして、総務省でも、これまで、委員御指摘のスターリンクシステムにつきまして、その導入に必要な無線設備の技術基準などの制度整備を昨年八月に実施するとともに、ワンウェブシステムという会社の、導入に向けた制度整備を進めるなどの取組を行っているところでございます。

 こういった衛星コンステレーションシステムは、携帯電話不感地帯を解消するための基地局への通信回線や災害時のバックアップ回線などでの利用が期待をされているところでございまして、総務省としては、これらシステムが速やかに導入可能となるよう、また、それらシステムを活用した様々なサービスが展開されますよう、必要な対応を進めてまいりたいと考えております。

阿部(弘)委員 ちょっと期待した答えではなかったんですが。

 二〇一〇年代は、静止衛星、これは三万六千キロメートルほどの高度な、それも赤道中心の静止衛星だったんです。今は、例えばこのスターリンクのロケット、二千キロメートルほどの低高度、そして、同時に十個や二十個の衛星を軌道に乗せることができる。ですから、これを衛星コンステレーション、星座といって、その飛ばした星座がネットワークをつくって、その地域に幅広くインターネット通信を送るというものなんです。

 ここに、アマゾンではプロジェクト・カイパー、あるいはワンウェブ、ソフトバンクも取り組んでいます。楽天はAST&サイエンスに出資している。戦略的に、どこの会社も、スマートフォンが通じるように、そして低廉、安価で、速度が決して遅くない、そういうシステムをどんどん進めているわけなんです。

 ですから、ではちょっと、質問すると答弁が長いものですから。

 これは、今論議しているプラチナバンドのヘルツ数とは全く違うんですよ、十から三十ギガヘルツ。ですから、今日議論しているものとは全く違う。そういうものを飛ばすことで、七十四億人の、北極でも南極でもスマートフォンが使えるようになる、ブロードバンドが使えるようになってくる仕組みなんです。

 そういうものの議論については、この電波法審議の中ではないわけですか。担当の方、お伺いします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも御答弁申し上げておりますけれども、委員御指摘の衛星通信を始めとした様々な通信サービス、これが高度化をし多様化をするということで、我が国の通信サービスが更に発展をしていくというようなことだと考えております。

 それが、私ども、今回、電波法の改正で御提案をさせていただいております周波数の有効利用を高める様々な方策、これと相まって、通信サービスの更なる発展に貢献できればというふうに考えているところでございます。

阿部(弘)委員 もう時間が迫っておりますので。

 低高度の人工衛星を一気に打ち上げることで、例えば六十基ぐらいが連なると、光の帯のように見えて、UFOじゃないかと見違えるばかりに地上から見える。うちの議員がUFOを見たことがありますかと国会で度々質問していますが、それも、もしかしたらこの衛星コンステレーションかもしれないというふうに思うわけでございます。

 もう時代がどんどんどんどん変わっている。私どもが気がついたのは、ウクライナのスペースXのことで最初に気がついたんですが、もう既に、衛星放送を使うことで、安価に大量な情報を送れる。それも、砂漠の中にあっても、そして南極でも北極でも、エベレストの山頂でも送れるということにお気づきいただきまして、次なる放送法の改正にはそういった視点を是非ともお持ちいただきたいということで、私の質問時間を終わります。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 以上で午前中の質疑は終了いたしました。

 本会議散会後直ちに委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時十九分開議

赤羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただいて、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、本日、電波法及び放送法の一部を改正する法律案の質疑でございますけれども、放送法関連について質問をいたしたいと思います。

 今回の改正の内容としては、受信料引下げの原資となる積立金制度の導入、また、契約を結ばない世帯に対する受信料の割増し制度の導入、NHK内の中間持ち株会社の設置等が主な改正内容となっております。

 まず、私は、契約を結ばない世帯に対する受信料の割増し制度の導入について質問をいたしたいと思います。

 先日審議され承認されました令和四年度NHK予算では、訪問によらない営業への転換など、業務モデルの転換を通じて営業経費を見直し、また、二〇二三年度に受信料引下げと衛星波の一波削減に向けて、構造改革による収支均衡予算となっております。

 これまで取り組んできた、いわゆる三位一体の改革や子会社のリストラなどの合理化策を進めておられるものの、まだ道半ばの状況で、今改正で、契約を結ばない世帯に対し割増し料金が法制されるに当たっては、まずその前提として、受信料水準の妥当性や、また具体的な方針を示すことが必要ではないかと考えております。また、今回の法改正により受信料の公平性の実現という面で果たして実効性が得られるのかどうかという疑問もございます。

 また、この制度によって、受信料増に伴う余剰金の増加が予測をされ、受信料の徴収強化につながる結果となるだけではないかとの指摘もあり、このことについては国民の理解が不可欠であると考えますけれども、金子総務大臣の御見解をお伺いをいたします。

金子(恭)国務大臣 西岡委員にお答え申し上げます。

 現在、NHKの放送を視聴することができるテレビを設置した方のうち約二割の方が受信料を支払っておらず、受信料を支払っている方との間で負担の不公平が生じております。

 これを踏まえまして、本法案において、御指摘の割増金を法律上の制度として位置づけることといたしました。これにより、受信契約の動機づけを行うとともに、NHKが本制度について国民・視聴者の皆様に丁寧な説明を行うことで実効性が確保されるものと考えております。

 また、本法案では、還元目的積立金の仕組みを併せて導入することとしており、NHKに御指摘のような剰余金が発生した場合に、その一部を受信料を引き下げるための財源に充てなければならないこととしております。

 このように、割増金制度の法定化によって受信料の公平な負担を進めるとともに、剰余金を受信料の引下げによって国民・視聴者に還元していく仕組みを導入することにより、本法案に対する国民の皆様の御理解を得てまいりたいと考えております。

西岡委員 今大臣から御説明いただきましたように、大変、国民の皆様の理解というのが大前提になるというふうに思いますので、余剰金の使い道の妥当性についても明確にしていくことが必要だと思っておりますので、引き続き、しっかり大臣からも御説明をお願いをしたいと思います。

 これに関連いたしますけれども、続いての質問となります。

 還元積立金を受信料引下げに還元していく場合に、当初の予測以上に積立金の額が増大した状況において、次期中期計画の期間を待つことなくNHKが自主的に受信料引下げを行うことができるのかどうか、また一方、NHKが積極的に値下げを実施しなかった場合、過度な積立金が積み上がらないように、経費の適切な使用や支出の適正化について総務省が方向を示すことを考えておられるのかどうか、総務省の方針、見解をお伺いいたします。

吉田政府参考人 お答えをいたします。

 還元目的積立金の制度は、NHKの中期経営計画の期間に積み立てられた積立金を、その次の中期経営計画の期間における受信料の値下げの原資とすることを仕組みとして設けようとするものでございます。

 本制度の導入後も、NHK自らの経営判断により受信料の値下げを実施することを妨げるものではございません。

 また、委員御指摘のように、仮に中期経営計画の期間中に想定以上の還元目的積立金の額が増大するようなことがあった場合には、そのような状況が生じた経緯なども踏まえつつ、例えば、NHKの収支予算に対して付す総務大臣意見などの機会を捉えて受信料の在り方について検討を求めるなど、総務省としても適切な対応を検討していくことになると考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 総務省様としても、適切に、もしそのような状況になりましたら、対応をしていただきたいと思います。

 続きまして、外資規制についてお尋ねをいたします。

 我が国の放送事業には、株主総会における外国人の議決権比率を制限する外資規制が定められております。海外においても多種多様な外資規制の類型がありますが、国際条約で我が国に与えられた貴重な周波数を利用するのは自国民が優先されることや、我が国の世論形成に大変大きな影響を持つためとされております。

 一方で、昨年、外資規制違反事例が明らかとなりました。東北新社の事例によりますと、認定申請時には外資規制違反状況であったものが、その後、完全子会社の東北新社メディアサービスへチャンネル設定、基幹放送事業者としての地位を継承し、継承後は外資規制上問題のない状況となっていた、そのような状況がございました。このことから、認定又は認定承認時の総務省の審査では外資規制の状況を把握できないということが明らかになりました。

 また一方、フジ・メディア・ホールディングスの事例からは、違反状況を公表せずにやり過ごすことで処分を逃れるという事例が発生するという、制度の不備が明らかとなりました。

 これらの事例を踏まえて見直されたことであるというふうに承知をいたしておりますが、事業者が提出をする申請書や報告書などによって外資規制上問題がないかを把握する制度となっているために、この法改正では、もし事業者に違反の実態があったとしても、総務省として監視をする体制が不十分ではないかと考えますが、どのような形で厳格に規制違反を総務省として監視をしていかれる方針か、中西副大臣にお伺いをいたします。

中西副大臣 西岡秀子先生にお答えを申し上げます。

 昨年、先生今御指摘のとおりでありまして、外資規制違反事案が複数発覚をしたということを受けまして、安全保障の観点からも、放送分野における外資規制の適合性を確保していくことが何より重要だというふうに考えております。

 そのため、放送事業者等の申請や届出内容が正しいことを総務省としてしっかり確認をすることが大事だというふうに考えておりまして、昨年十二月の政省令改正によりまして、株主名簿や有価証券報告書、戸籍抄本などの客観性を有する証拠書類と照らし合わせるなどをして確認をしてまいりたいというふうに考えています。

 また、外資規制の審査体制を強化するために、ちょうど今月、外資規制審査官を新たに設置をいたしました。既存の外資規制の適合性審査を直接担当する部署での審査に加えまして、今般設置しました外資規制審査官が複層的にチェックを行うとともに、審査が統一的に漏れなく行われるよう、審査マニュアルを整備することといたしております。

 これらの取組を通じまして、外資規制の実効性の確保にしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

西岡委員 中西副大臣、ありがとうございました。

 今、副大臣から御説明があったような形で、審査官という形で新しく設置をされるということで、審査官自体は一名ということで、そのチームを組まれるというふうに御説明を受けておりますけれども、様々な、複合的な、総合的な監視体制というのが必要だと思いますので、去年から様々発生したこのような事案が二度と起こらないような体制をしっかり取っていただくことをお願いを申し上げたいと思います。

 引き続いての質問でございます。

 昨年、東北新社、NTTなどの総務省に対する接待疑惑が大きな問題となりました。接待などにより、行政がねじ曲げられたのではないかという懸念が生じ、国会でも様々な質疑が行われました。

 先進国の中で、政府が放送・通信に関する許認可権を持っているのは、日本を始め僅かな国しかないというふうに聞いております。アメリカ、イギリスにおいては、いずれも政府から独立した組織で監督や規制が行われております。

 我が国においても、独立行政委員会方式で、政府と一定の距離を持つ機関が許認可権限を持つ体制にすべきではないかと考えますが、金子総務大臣の御見解をお伺いをいたします。

金子(恭)国務大臣 お答えいたします。

 我が国は議院内閣制を採用しており、内閣の一員である各省大臣が責任を持って行政を執行することが原則であると認識をしております。

 また、通信・放送を含む情報通信分野は、技術革新や国際競争が激しく、国家戦略的対応が求められる分野であります。

 したがって、機動的、総合的な判断が可能となるよう、内閣の構成員である大臣の責任の下において、規制と振興の両輪で迅速に取り組んでいく体制が適当だと考えております。

西岡委員 今大臣から御説明がありました件も、大変その状況もあると思いますけれども、昨年から起こったような、やはりそのような様々、行政の正当性ですとか信頼性が損なわれるということが決してあってはならないと思いますので、そこに一定、第三者的にしっかり状況を監査するような体制も含めて、今後二度と昨年のようなことが起こらない体制を是非構築をしていただきたいと思います。

 続きまして、電波法関連について質問をいたします。

 今回の法改正によりまして、有効利用評価を電波監理審議会に移管し、適切な評価を求めることとして、審議会の権限が強化されました。電波監理審議会については、今まで以上に一層専門的な、特に技術的な知見の必要性が求められると考えます。

 現在の体制において適切な対応、評価が可能であると考えておられるのかどうか。審議会の委員の選考の在り方も含めて、総務省の見解をお尋ねいたします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、電波監理審議会の機能強化に関しまして、電波の有効利用の程度の評価を同審議会が新たに行うこととしております。そのため、同審議会が、電波に関する技術の発達や需要の動向など、幅広い観点から検討を行う必要があることから、同審議会の下に専門の部会や特別委員を置くことができるよう、所要の政令を整備し、体制の強化を図ってまいります。

 具体的には、特別委員の人選に当たり、無線局の数、無線通信の通信量、技術導入に関する状況などにつきまして、電波の有効利用の程度の評価を行うため、無線、ネットワークなどの電波に関する技術や法律などに知見を有する学識経験者五名程度に、幅広い分野から所属いただき、多角的に審議いただくことを検討しております。

 なお、具体的な人選につきましては、本法案が成立した後、国会での御議論等も踏まえ、検討してまいりたいと考えております。

西岡委員 引き続き、専門的な知見がより一層必要となると思いますので、しっかりとした体制整備をお願いをしたいと思います。

 引き続きまして、一問飛ばしまして、次の質問に移らせていただきます。

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク三社が独占をしておりましたいわゆるプラチナバンドにつきまして、これは二〇二三年までに利用したいと要望している事業者もおられるというふうに聞いておりますけれども、現在、運用している事業者と運用していない事業者の間で周波数移行に要する補償等の課題があるとお聞きをいたしております。

 今後どのような形で運用されていくのか。周波数移行に係る新旧事業者間の移行がスムーズにいくための取組について、総務省にお伺いをいたします。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 周波数の再割当てに当たっては、既存免許人に対しどのような影響があるかなどの懸念について事前に意見を聴取する手続を設けるとともに、必要に応じて、周波数の移行に係る技術的、経済的な影響の調査を行うことができることとしております。

 また、周波数の移行に当たっては、既存免許人から新規免許人へ周波数が移行する期間を適切に設定するとともに、周波数の円滑な移行を促進するために、新規免許人が既存免許人の移行費用を負担する終了促進措置について活用を可能とするなどの対策を講じているところでございます。

 なお、本法案におきましては、終了促進措置の活用に当たって万一協議が調わないような場合には、電気通信紛争処理委員会へのあっせん、仲裁の申請を可能とすることとしております。

西岡委員 ありがとうございます。

 また、手続が進んでいく中では様々な課題も出てくるというふうに思いますので、スムーズな移行を含めた対策が取られることを要望をお願いしたいと思います。

 引き続きまして、電波利用料について、総額規模は約七百五十億円と据え置かれましたけれども、使途として、ビヨンド5G研究開発のための研究開発補助金の交付が追加をされました。現在、国立研究開発法人情報通信研究機構法によって、基礎研究等助成制度というものもございます。

 また、本来、電波利用料については、電波利用共益費用という位置づけで元来制度化されたということを鑑みまして、その位置づけを明確にする必要があるのではないかと思いますけれども、総務省の見解をお尋ねいたします。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 ビヨンド5Gにおきましては、より高い周波数の利用が想定されるなど、その実現に必要となる技術の研究開発の難易度が従来に比べて飛躍的に高まるとともに、諸外国の研究開発競争の中で最新の動向も見極めながら、広範な研究開発に対応していくことが求められております。

 ビヨンド5Gの実現に必要な電波利用技術の高度化に当たりましては、今申し上げたとおり、現在利用されていない、より高い周波数の電波の利用ですとか、電波の利用効率を飛躍的に高める技術の開発などが必要だということから、電波利用料を充て、電波利用共益事務の一環として本研究開発に取り組むこととしたものでございます。

 以上でございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 今、国立研究開発法人情報通信研究機構によります基礎研究等助成制度というものとは元々の制度自体が違うということでございましょうか。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 NICTにおきましては、委員御指摘のとおり、基礎研究からしっかりと幅広い形で研究開発を推進しております。こちらにつきましては、無線技術に限らずネットワーク全体についての基礎研究、あるいは応用研究も一部含まれるところでございます。

 NICTが直接行っている研究の中に、電波の有効利用に資する研究開発もございます。そういったものについては、総務省から、電波利用料を元にした研究開発施策としてNICTが受託している研究もございます。

 今般の場合、ビヨンド5Gにつきましては、電波利用技術だけではなくて、有線のネットワークですね、光ファイバーのネットワーク、こういったものの研究開発ですとか、それを全体に組み上げるための研究開発、いろいろなものがございます。

 そうしたこともありますことから、電波利用料による今般の措置、ほかに一般財源による基金ですとか、あるいは、先般お認めいただいた補正予算、一般財源による補正予算による措置などが行われているところでございます。

 以上でございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 最後の質問となります。

 今回の改正に基づきまして、競願の申出が可能な制度ができるようになります。総務大臣が再割当て審査について決定をした場合、周波数帯を返上する事業者の端末を既に今利用されている加入者への影響が懸念をされます。その影響と、その影響に対する対策について、総務省にお伺いをいたします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 各携帯電話事業者は、複数の周波数帯を保有しておりまして、マルチバンドで対応しているため、特定の周波数帯を返上することによって直ちに利用者に大きな影響が生じることはないと想定はされております。

 他方、既存免許人の利用者への影響の懸念に対しましては、周波数の再割当てに当たって、既存免許人に対し、どのような影響があるかなどの懸念について、事前に意見を聴取する手続を設けるとともに、既存免許人から新規免許人へ周波数が移行する期間について、利用者への影響ができる限り生じないよう適切に設定することとしております。

 このように、周波数の再割当てに当たっては、電波の公平かつ能率的な利用を確保するとともに、利用者への影響の懸念についても考慮をしてまいります。

西岡委員 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず冒頭、どうしても大臣に確認をしたいと思います。

 昨年、総務省職員が、国家公務員倫理法に違反する利害関係者である通信事業者及び衛星基幹放送事業者との会食を行っていたことが明らかになりました。さらに、放送事業者が過去に外資規制に違反していたことまで明らかになりました。それが昨年の国会で放送法一部改正案が審議未了、廃案になった原因の一つであると伺っております。

 昨年三月、総務省は、外部有識者から構成される情報通信行政検証委員会を立ち上げ、検証を行い、昨年十月、最終報告書が取りまとめられております。

 大臣は、当然この最終報告書の内容を真摯に受け止めておられますね。

金子(恭)国務大臣 宮本委員から御指摘をいただきました情報通信行政検証委員会の最終報告書につきましては、総務省として、正面から重く受け止めております。

 報告書で指摘された事項については、これまでもしっかりと対応してきておりますが、国民からの信頼回復を図るため、引き続き全力で取り組んでまいります。

宮本(岳)委員 今大臣が真摯に受け止めるとおっしゃった報告書では、会食等は正当化される余地はないが、会食等によって行政がゆがめられたと認めるに足りる事情は確認できなかったと述べられております。なるほど、会食によって行政がゆがめられたとは認められないわけですけれども、会食等は正当化される余地はないと明確に書いております。

 ところが、昨年の六月八日、当委員会で、我が党の本村伸子議員の質問に対して当時の武田大臣は、「会食というものは決して悪いものではないんです。これは、コミュニケーションを図る上でも、外交においても、非常に重要な役割を担うわけですね。」という驚くべき答弁を行っております。

 大臣に確認しますけれども、会食は、報告書が言うように正当化される余地はないのか、それとも、武田前大臣が言うように決して悪いものではないのか、どちらだと思いますか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 会食につきまして、昨年、今御指摘のあった議論があったわけでございます。

 私ども、そういうことで、より自ら身を律するということでございまして、会食については、国のルールでは一万円を超えるところだけ届けるとなっておりますが、私ども、利害関係者との会食は全て原則届けなさいというルールにしております。

 それから、異動ごとに、私も含めてでありますが、自分がどういう人が利害関係者であるということを必ず認識しなさい、それから、それを相手方の事業者にも、この人は利害関係者、そういうことで徹底して、ルールの透明化を図った上で、やはり情報通信、激しく世の中は動いておりますので、意見交換は必要である、自ら律しながら意見交換をする、そういうルールの下でやるということで、今、大臣からも御指示いただきまして、引き続きしっかりと取り組んでいる、こういう状況でございます。

宮本(岳)委員 武田大臣は冒頭、「私、価値観が合わない部分があるんですけれども、」と、そこまでおっしゃっていますから、私はこのときの武田大臣の答弁は撤回されるべきものだと思っております。

 さて、この法案では、NHKの受信料値下げのための還元目的積立金制度をつくります。

 放送を巡る諸課題に関する検討会の下にある公共放送の在り方に関する検討分科会の二〇二〇年の九月三十日の第九回会議で、突然、NHK前田会長が、私は値下げの原資を明確にすることが必要だと思うと述べられ、剰余金が出た場合には、剰余金の中から一定額を値下げのための勘定に利用し、一定額がたまったところで視聴者に還元する、受信料還元に関する勘定科目の新設が必要だと思っていますと発言されました。

 NHKは、その後、二〇二一年度から二〇二三年度の経営計画で、コスト圧縮による二〇二三年度の黒字、財政安定のための繰越金の取崩し、建設積立資産の見直しで、還元原資の七百億円を確保することを打ち出されました。

 このような還元原資も示した値下げというものをこれまでNHKは行ったことはございますか、前田会長。

松坂参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のような、還元原資を示して値下げというような形の値下げは過去にはやっておりません。

宮本(岳)委員 やっていないんですね。

 二〇二〇年九月十六日の菅政権発足直後のことでありますけれども、これは当時の菅首相の意向を酌んでの発言だったのではありませんか、前田会長。

松坂参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のようなことはございません。

 値下げについては、二〇二三年度に予定しておるんですけれども、二〇二一年度から二三年度までの今の経営計画の策定過程でだんだんと検討を進めてきたものです。

 経営計画の策定に当たっては、スリムで強靱な新しいNHKを目指す構造改革を柱とし、二〇二〇年に実施した受信料値下げの影響などで当面は赤字となることも予想されていましたが、改革を着実に進めることで収支を改善して黒字化し、原資を確保できる場合には値下げを行うことを視野に入れておりました。

 そして、二〇二〇年の六月から七月の経営委員会では、三か年の支出削減、収支について検討しました。この時点で、構造改革によって支出削減を進めることで、経営計画の期間内に黒字化は可能と判断しました。

 これを受けまして、また、九月三十日に行われました、先ほど御指摘がありました放送を巡る諸課題に関する検討会の分科会で、会長が、値下げの原資を明確にするために、剰余金が一定額たまったところで視聴者に還元する、還元目的の科目を新設する制度変更を要望いたしました。

 そして、二〇二〇年十一月十日の経営委員会では、構造改革による支出規模の見直しや、受信料の値下げに向けた原資を積み立てる還元目的積立金ですけれども、この新たな科目の設定について検討を行い、この科目について設置に向けて検討を進めますというふうにしております。

 そして、十二月二十二日の委員会では、執行部から経営委員会に対して受信料の値下げを実施することを示し、このときに、計画中に値下げを行う方針ですという案を出しました。

 これを受けまして、二〇二一年一月十三日の委員会では、値下げの原資について具体的な金額を示して審議を行い、二〇二三年度の値下げを含む中期経営計画、二〇二三年度中に値下げを行う方針ですということを明らかにしたわけです。

宮本(岳)委員 長々と述べられましたけれども、二〇二一年一月十三日、NHKが受信料を値下げする中期経営計画を発表したら、その直後の十八日には、菅義偉首相が施政方針演説で、月額で一割を超える思い切った受信料の引下げにつなげると宣言をいたしました。

 NHKは、二〇二〇年八月の会見では受信料は三年間据え置くと説明しておられましただけに、僅か五か月後の大きな方針転換の裏には、政権の意向があると誰もが考えたのは当然のことだと思います。

 しかも、今回の法案でつくる値下げの仕組みは、これまでの値下げと性格が異なります。受信料の自動値下げシステムが法律に組み込まれるということになります。しかも、政府、総務省の意向が大きく反映するわけであります。

 総務省に確認をいたします。

 法案の内容ですけれども、改正案七十三条の二に定める還元目的積立金は、総務省令で定めるところに反し、自らの勝手な計算で算出した額を積み立てることが許されておりますか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 還元目的積立金の制度は、NHKが財政の安定の観点等から必要な資金を留保した上で、還元目的積立金の積立てを行うこととしております。

 この財政の安定の観点から必要となる資金の額については、総務省令で定めるところにより計算をして、剰余金のうち一定の額を留保する仕組みとすることとしており、その額を超えて剰余金を留保することは制度上想定しておりません。

 なお、本制度については、総務大臣の認可を受けて還元目的積立金を還元以外の目的に取り崩すこと、あるいは、合理的な理由を国会に提出することを前提に、積立金による還元を行わない収支予算を作成することが可能である等、状況の変化に柔軟に対応することが可能な仕組みとなっております。

宮本(岳)委員 いやいや、そんなことは分かっているんですね。

 これはつまり、先ほど言われたところでありますが、収支差金がゼロを上回るときは、当該上回る額のうち総務省令で定めるところにより計算した額をと。もちろん、それとは別建ての様々な措置が取れることは分かっているんですよ。しかし、基本形は、総務省令で定めるところにより計算した額を還元目的積立金として積み立てなければならない、こう法律で定めるわけですね。

 大臣、これはつまり、政府がNHK予算の内容に恒久的に口出しできる仕組みを初めてつくるということになるんじゃありませんか。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の還元目的積立金の制度は、もう御案内のとおり、NHKが事業の中で生じた剰余金について、その一部を受信料の引下げに充てなければならないこととするものでございます。

 本制度においては、受信料の額は、業務に必要な費用に見合う収入を確保する、いわゆる収支相償に基づき算定されるものであることから、適正水準を上回る剰余金については、受信料の引下げによって国民・視聴者の皆様に還元するべきであるとの考え方に基づき導入するものでございます。

 他方で、本制度については、合理的な理由がある場合は、剰余金を必ずしも受信料の引下げに充てる必要はなく、NHKの一定の裁量の余地を認める柔軟な仕組みとしており、政府によるNHK予算に対する不当な介入との御指摘は当たらないと考えております。

 また、毎年度のNHKの収支予算については、これまでどおり国会から承認をいただく必要があり、その基本的な枠組みについて何ら変更はございません。

宮本(岳)委員 いやいや、一定の裁量の余地があるというけれども、これまでは、総務大臣は、意見を付しても、個別の予算の内容に口出しできない仕組みだったわけですよ。しかし、今回は明瞭に、総務省令で定めるところにより計算すると法に書くわけですから、これは、国が初めてNHKの経営計画や予算に口出しできる仕組みをつくり、公共放送たるNHKの自主性、自律性を奪う、こういう危険があるということを指摘せざるを得ないわけであります。

 続いて、受信契約の締結に応じない者を対象とする割増金制度について聞きたいと思います。

 受信料契約は、受益者負担の原則とは異なる特殊な負担金、こうされておりますね。視聴者・国民の理解なしには成り立たない制度、これが受信料だと思います。しかし、割増金で本当に正しく制度が理解されていくのか、極めて疑問であります。

 そもそも、未契約一七%と報告されておりますけれども、その未契約者、未契約の国民がなぜ締結に応じられないのか、どういう理由から応じないと認識しておられるのか、総務省、お答えいただけますか。NHKでもいいですよ。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 現在未契約の方がNHKと契約をしていただけない理由として、例えば、NHKを見ていないのでNHKと契約を結ぶ必要がないとの考えによるものが多いのではないかと考えております。

 NHKの受信料は、公共放送が、豊かで、かつ、よい放送番組を放送するという社会的使命を果たすために、必要な財源を広く国民・視聴者の皆様に公平に御負担いただくための特殊な負担金であり、NHKの放送を受信することができる受信設備を設置した方々に公平に負担していただく、そういうことを国民の皆様に御理解いただくことが必要であるものと認識しております。

宮本(岳)委員 そのとおりなんですね。

 先ほど、受益者負担の原則と異なる特殊な負担金、私も申し上げました。つまり、見ていないから払わないという論は誤解でありまして、御覧になっていなくても、国民がみんなで支えようという、本来、制度なんですね。でも、それはまだまだ知られていない、御理解いただけていない。

 ですから、私たちは、あくまで、そういうことを御説明して、納得していただいて、そして納得の上で払っていただく、納めていただくというのが本来の受信料の精神だと思っております。

 この間、NHKが強引な営業を行って、こじれたというケースも私は耳にするんですね。この割増金、つまり、鉄道のきせると同じ通常料金の三倍程度というものを想定して、いざとなったら三倍払わないかぬようになりますよというふうに物事を進めるというのは、かえって先ほどの御説明であったような理解を進めることにならないんじゃないか。理解を求めていかないといけないときに割増金をちらつかせれば、強制してくるのがNHKだと理解されてしまう。

 これでは逆に制度の理解につながらないのではないですか。総務大臣、いかがですか。そう思われませんか。

金子(恭)国務大臣 現在、NHKの放送を視聴することができる受信設備を設置した方のうち、約二割の方が受信料を支払っておらず、受信料を支払っている方との間で負担の不公平が生じている状況でございます。

 こうした不公平感は、更なる未契約や受信料の不払いを招き、ひいては受信料制度の在り方そのものに影響を与える可能性があると考えられることから、本法案において、御指摘の割増金制度を法定化することとしたものでございます。

 他方で、受信料の支払い率の向上に向けて、NHKが、国民・視聴者の皆様から十分な理解が得られるよう、引き続き丁寧な説明に努める必要があることは当然であり、本法案によってその方針が変わるものではございません。

 このように、NHKによる国民・視聴者の理解を得る努力と相まって、制度の実効性を高めることにより、更なる受信料の公平な負担が進むことを期待しているところでございます。

宮本(岳)委員 いや、不公平感ということをおっしゃるんですけれども、要するに、受益者負担じゃないんだ、見なくてもみんなで公平に負担するんだ、この精神は、逆に言えば、見ていないのに不公平だというのは通りませんよという話なんですよ。

 だから、元々受信料というのは非常にきれいな話で、みんなに納得してもらわなあかん話なんですよ。それを、払うている人もおるのにあんたが払うていなかったために不公平やという論を持ち出したら、見てもいないのに不公平だと言われてしまうんですよ。本当にちゃんと理解してもらうということを努めなければ進まないということを、はっきり申し上げておきたいと思います。

 今回の法改正で放送に総務省が介入する懸念は、NHKだけではありません。外資規制違反への対応をめぐっても大きな懸念がございます。

 本法案では、外資規制の実効性確保のための整備を行うとともに、違反があったときの是正措置も整備をいたします。その際、違反の状況や受信者の利益に及ぼす影響等を勘案し、必要があると認めるときは、直ちに免許の取消しではなく、期間を定めて違反の是正を求めることとなります。

 では、違反の状況や受信者の利益に及ぼす影響等を勘案するのは誰なんですか、この法律で。

吉田政府参考人 外資規制に違反した場合に是正措置を適用するときに、受信者の利益に及ぼす影響等について勘案することとされておりますけれども、その勘案を行うのは総務省でございます。

宮本(岳)委員 総務省なんですね。

 第百三条二項の三では「その他総務省令で定める事項」となっておりまして、やはりここでも総務省のさじ加減が出てまいります。

 大体、放送事業者の株の売買情報を総務省が余さずつかむことはできません。ですから、放送事業者から聞き取るしかないんですね。しかし、聞き取りだけでは分からない場合もあるでしょう。そうすると、結局、放送事業者の自主自律は脅かさないとおっしゃっても、放送内容で判断することになると思うんですね。外国性の放送が流れているという情報が寄せられた場合、総務省としてはどのようにそれを確認するんですか。

吉田政府参考人 是正措置を講ずるに当たりまして、番組内容について判断することは想定しておりません。

 本法案では、放送事業者等が外資規制に違反した場合、当該違反に係る放送事業者に対して、期間を定めて違反の是正を促す措置を講ずることができることとしていますが、それに当たっては、違反することとなった状況や、認定又は免許を取り消すこと又は取り消さないことが受信者の利益に及ぼす影響などを勘案することとしています。

 このうち、取り消さないことが受信者の利益に及ぼす影響については、議決権を保有する外国人等の意図、例えば、経済的利益の追求にあるのか、事業者の経営判断への影響力の行使にあるのかといった意図を勘案することを想定しております。

 したがいまして、番組内容について判断し、その勘案事項の判断に当たって、番組内容について見るということは想定しておりません。

宮本(岳)委員 でも、それを判断するのも総務省なんですね。

 放送の政府からの独立というのは放送行政の大原則、これはもうお分かりのとおりでありますけれども、先ほど答弁にありましたけれども、議院内閣制とは関係ありません。どういう政府の制度であろうが、その政府と放送事業との間に独立性を保障しなければならない、こういう話なんですね。

 電波法についても幾つか論点があるんですけれども、今日は、電波利用料を次世代通信規格、ビヨンド5G、いわゆる6Gの技術開発支援のために使う新たな仕組みについて聞きたいと思います。

 電波利用料を使ったビヨンド5G研究開発促進事業というものは、どんな研究開発に支援していくのか、お答えいただけますか。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 電波利用料を使った研究開発事業でございますけれども、これは電波利用共益事務の一環ということでございますので、電波の有効利用に資する技術の研究開発に取り組んでいくという形になります。

宮本(岳)委員 ビヨンド5G技術開発については、国立研究開発法人情報通信研究機構、既に出ておりますNICTが行っているビヨンド5G研究開発促進事業の基金事業というものがありますけれども、なぜ新たに補助金の事業を追加するのか、また、追加してよい根拠はどこにあるのか、お答えいただけますか。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、研究開発法人情報通信研究機構におきましては、従来からビヨンド5Gに係る研究開発を行っているところでございます。

 これは、一昨年、補正予算により造成した基金、及び一般財源による補正予算により、先ほども御答弁させていただきましたが、ネットワーク技術の研究開発、これには無線技術の関係も含まれます、こういったものについて取り組んできているところでございます。

 これに加えてという形になりますけれども、今般、電波利用料を用いた形での補助という形で実施するわけでございますけれども、ビヨンド5Gの実現に当たりましては電波の一層の有効利用が必要であるということで、そうした観点から、電波利用料も用いて、ビヨンド5Gの研究開発を更に加速していくということが必要であると判断したところでございます。

宮本(岳)委員 この事業で研究開発の支援を受ける対象者は誰になるのか。携帯電話事業者など、ビヨンド5Gを活用して事業を行う者ももちろん対象になると思いますが、いかがですか。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 研究開発の事業そのものの受益ということでございますが、今回、外部の機関に補助を出す、その補助を受けた外部の機関が委託研究をするという形になります。

 その対象でございますけれども、携帯電話事業者も含まれるかと思いますけれども、そのほかに、大学あるいはメーカー等の民間企業等が広く含まれる形になると考えております。

宮本(岳)委員 先ほどもそういう話題が出ていましたけれども、KDDI、これは五兆三千百二十六億円ですよね、売上げ。ソフトバンク五兆二千五十五億円、NTTドコモ四兆七千二百五十二億円、楽天グループ一兆四千五百五十五億円、二〇二〇年度の売上高です。この四社で総額十六兆七千億円という売上げのある業界なんですよ。

 携帯電話事業者は、事業を継続しようと思えば、次世代の通信技術に対して当然技術開発を行っていくでしょう。また、それだけの体力もあると思うんですね。

 日本の企業が5Gでは国際的な市場でのシェアが低いと聞きました。ビヨンド5Gではもう一度国際競争力を取り戻す、これが実は狙いなんじゃないですか、目的なんじゃないですか。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 ビヨンド5Gの研究開発の促進事業全体につきましては、先ほども御答弁させていただきましたとおり、電波利用料によるもののほか、一般財源による施策が含まれております。

 そうしたものを総合的に取り組むことで国際競争力の強化というものにつながるというふうに考えておりますが、電波利用料を用いた電波利用共益事務としての取組については、電波の有効利用、電波利用技術の高度化というものに焦点を当てた取組になるというところでございます。

宮本(岳)委員 そう言うんですけれども、昨年八月にまとめられたデジタル変革時代の電波政策懇談会の報告書では、ビヨンド5Gの要素技術をいち早く確立することが重要だ、そうした研究開発の成果をビジネス展開につなげるためのツールとして、知的財産の取得あるいは国際標準化を戦略的に推進する必要がある、こう書いてあります。

 そもそも、標準化のための研究開発は、国際競争力の強化が視野にあると言わざるを得ません。電波利用料を使った技術開発は、これまでも総務省が直接委託する形で行ってまいりました。しかし、今回は新たな仕組み、つまり、外部の執行機関に一旦補助金を交付し、そこから企業の研究開発の支援を行うというものです。

 今回の説明はビヨンド5Gの研究開発促進のためだと言うけれども、二〇三〇年頃にビヨンド5Gが実用化された後はまた新たに別の研究開発にも充てることができる、こういうことですね。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の電波利用料の研究開発への使途につきましては、周波数を効率的に利用する技術、周波数の共同利用を促進する技術、高い周波数への移行を促進する技術として、おおむね五年以内に開発すべき技術に関する無線設備の技術基準の策定に向けて実施するものでございまして、御指摘のビヨンド5G以降の事案につきましても、こういった考え方に基づいて、必要な研究開発は続けていくものと考えてございます。

宮本(岳)委員 できるんですよ、やろうと思えば。

 これは、まさに電波利用料の累積の繰越金をこういうところに使っていこう、たまっている金をいかに使うかというのが目的なんです。使途が限られた電波利用料の在り方を見直す議論をしないまま、こうやって別財布のような新たな支出の仕組みをつくることが問題だと思います。

 大臣、最後に、もうこれで終わりますが、もう一度共益費たる原点に、電波利用料の原点に立ち返るべきではないですか。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 これまでも局長からお話を申し上げましたとおり、我々も、そういう御批判もあることは存じ上げますけれども、しっかりと対応させていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 以上で終わります。

赤羽委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がございますので、順次これを許します。阿部弘樹さん。

阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹です。

 まず、電波審議会の在り方。総務省の諮問機関が電波の割当てと規制に係る事務を所管する体制では、幾度となく総務省と事業者の癒着不祥事件が発生しています。行政通信運営の透明性、公平性を確保するためにも、より一層公正で独立した委員会が必要であると考えております。

 次に、ネットオークションのこと。OECD加盟国中、ネットオークション制度を導入していないのは日本だけ。ネットオークションの検討は、八月に検討会の報告書ができ上がるという非常に遅い行政。この法改正案には何も掲載されていません。

 次に、NHK受信料に関わる不備。NHKが受信料により肥大化していることを鑑み、国民負担を軽減させ、公共の原点に立ち返り、報道番組、教育番組、福祉番組に重点を置いた適正な規模の公共放送に分割していく。

 我々日本維新の会は、民営化を抜本改革とするNHK改革推進法案を提出しているところであります。

 これらを鑑み、日本維新の会は、ソサエティー五・〇を見据え、放送と通信の大融合時代移行への推進を世界に先駆けて実現していくことこそが、我が国の成長戦略のチャンスであると考えるわけであります。

 この法案は、これらのことに応えられずにありますので、内閣提出、電波法及び放送法の一部を改正する法律案、内閣提出第一八号には、我が党、日本維新の会は反対であります。

 また、我が党提出、情報通信行政の改革の推進に関する法律案、中司宏君外二名提出、衆法第二六号については賛成であります。

 以上、討論であります。(拍手)

赤羽委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表し、電波法及び放送法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 まず、放送法についてです。

 第一に、還元目的積立金制度を創設する問題です。これは、経営の効率化によって生じた繰越金のうち、総務省令に基づき計算した金額を除いて、受信料値下げの原資に充てるものであります。これは質疑で明らかにしたように、NHKの予算編成に政府、総務省の介入を招き、NHKの自律性を毀損させるものであり、極めて重大です。

 第二に、受信料契約の締結に応じない者を対象に割増金制度を導入することです。鉄道の不正乗車を参考に約三倍の額が想定されていますが、懲罰的なやり方では視聴者・国民の理解と納得は得られず、公共放送としての在り方に重大な支障を与えかねません。

 第三に、NHKグループの事業の効率化の方策として、NHKが中間持ち株会社に出資できるようにすることも重大です。コストダウンや効率化ありきで子会社、関連会社を支配するやり方を取るべきではありません。

 続いて、電波法についてです。

 新たに外部の執行機関に対して電波利用料を使った補助金を交付し、それによって企業の技術開発の支援を行う仕組みを創設するとしています。

 電波利用料は、電波利用の免許を受けた者から徴収する共益費としての性格を有し、国民が広く電波を利用しやすくするための施策に使われるべきです。しかし、この補助金によって支援を受けるのはビヨンド5Gの技術開発を行う企業であり、国際競争力の強化を目指すものです。これは電波利用料の性格を超えたものであり、看過できません。

 以上のことから反対です。

 最後に、今回の放送法改正案、電波法改正案は、いずれも重大な内容であり、全く性格の異なる二つの法案です。それにもかかわらず、外資規制の一点でこれをまとめ、一つの法案として提出したことは、十分な議論を避けようというこそくな政府の姿勢を示すものであり、極めて問題です。

 なお、日本維新の会提出の情報通信行政の改革の推進に関する法律案については、電波オークションのデメリットへの具体的な対策が示されていないことから、反対といたします。

赤羽委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより両案について順次採決に入ります。

 まず、中司宏君外二名提出、情報通信行政の改革の推進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、電波法及び放送法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 この際、ただいま議決いたしました内閣提出、電波法及び放送法の一部を改正する法律案に対し、田所嘉徳さん外三名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、公明党及び国民民主党・無所属クラブの四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。道下大樹さん。

道下委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    電波法及び放送法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び日本放送協会は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 政府は、総務大臣に代わり新たに電波の有効利用評価を行うこととなる電波監理審議会については、同審議会委員に技術的知見を有する委員を多く任命するなど、実効性ある機能強化を図ること。

 二 政府は、携帯電話等の周波数の再割当てに際しては、電波の公平かつ能率的な利用を確保するとともに、現在周波数の割当てを受けている事業者の移動通信システムの利用者に係る不利益も十分に考慮すること。

 三 政府は、今後の電波利用料の見直しに際しては、電波の利用状況等の環境の変化に応じ、負担の公平等に留意して、予算規模及び料額を決定すること。なお、当該決定に当たっては、議論の透明性を確保すること。また、電波利用料の使途については、制度の趣旨に鑑み、電波利用料負担者の理解を十分得られるよう、更なる適正化を図ること。

 四 政府は、電波利用料の料額について、免許人が負担の増額について予見できるよう、見直しに関しては、料額が急激に増加することのないように留意しつつ、原則として三年ごとに検討し、必要があると認めるときは、その検討結果に基づいて所要の措置を講ずること。なお、事情の変更により三年の期間内に電波共益費用の財源が不足した場合は、電波法第百三条の三第二項の規定に基づき、過去の電波利用料の余剰金を優先的に活用することとし、安易な料額の引上げは慎むこと。

 五 政府は、情報通信分野の外資規制については、経済安全保障の観点からも重要であることに鑑み、外資規制の実効性が担保されるよう、審査手続及び審査体制を整備すること。

 六 政府は、無線局の免許、放送事業者の認定等の業務の遂行に際しては、いやしくも行政がゆがめられたとの疑いをもたれないよう、公平・公正を旨とすること。

 七 政府は、協会の事業収支差金のうち財政安定のために留保する金額の上限設定に際して、協会の財政安定と視聴者への還元を慎重に考慮し、明確かつ適正な水準を設定すること。また、協会は、割増金制度について、まず受信契約についての理解を得るため最大限努力し、真にやむを得ない場合にのみ割増金の徴収を行うこと。

 八 協会は、中間持株会社の設置と並行して子会社の再編を進める際には、関係する職員の雇用等に留意すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

赤羽委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。金子総務大臣。

金子(恭)国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤羽委員長 次回は、来る二十六日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十三分散会


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