衆議院

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第14号 令和4年4月26日(火曜日)

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令和四年四月二十六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 新谷 正義君 理事 田所 嘉徳君

   理事 岡本あき子君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 輿水 恵一君

      井野 俊郎君    井原  巧君

      石田 真敏君    大串 正樹君

      加藤 竜祥君    坂井  学君

      杉田 水脈君    武村 展英君

      西野 太亮君    鳩山 二郎君

      古川  康君    保岡 宏武君

      柳本  顕君    渡辺 孝一君

      石川 香織君   おおつき紅葉君

      奥野総一郎君    鈴木 庸介君

      道下 大樹君    湯原 俊二君

      阿部 弘樹君    沢田  良君

      守島  正君    福重 隆浩君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

    …………………………………

   総務大臣         金子 恭之君

   総務副大臣        田畑 裕明君

   内閣府大臣政務官     宗清 皇一君

   総務大臣政務官      鳩山 二郎君

   総務大臣政務官      渡辺 孝一君

   財務大臣政務官      藤原  崇君

   厚生労働大臣政務官    島村  大君

   政府参考人

   (内閣官房令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室審議官)         相川 哲也君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)  木村 典央君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   犬童 周作君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           山野  謙君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        馬場竹次郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  前田 一浩君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       今川 拓郎君

   政府参考人

   (消防庁次長)      小宮大一郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           佐竹  毅君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    星屋 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  安彦 広斉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           榎本健太郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         田中 知足君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    増田 寛也君

   参考人

   (日本郵政株式会社取締役)            衣川 和秀君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

四月二十五日

 電気通信事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電気通信事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長増田寛也さん及び日本郵政株式会社取締役衣川和秀さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室審議官相川哲也さん、特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長木村典央さん、デジタル庁審議官犬童周作さん、デジタル庁審議官内山博之さん、総務省大臣官房総括審議官山野謙さん、大臣官房地域力創造審議官馬場竹次郎さん、自治行政局長吉川浩民さん、自治行政局公務員部長山越伸子さん、自治行政局選挙部長森源二さん、自治財政局長前田一浩さん、自治税務局長稲岡伸哉さん、情報流通行政局郵政行政部長今川拓郎さん、消防庁次長小宮大一郎さん、法務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官佐竹毅さん、国税庁課税部長星屋和彦さん、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官安彦広斉さん、厚生労働省大臣官房審議官榎本健太郎さん及び国土交通省大臣官房技術審議官田中知足さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申出がございますので、順次これを許します。保岡宏武さん。

保岡委員 自民党の保岡宏武でございます。

 昨年の初当選から六か月、今日が私にとって初めての質疑となります。機会をいただきました赤羽委員長を始め、与野党同僚委員の先生方にまずもって御礼を申し上げ、本日、隣県熊本出身の金子恭之総務大臣始め総務省並びに法務省にも答弁のために御出席をいただいていますことに、重ねて御礼を申し上げます。やっと回ってきたバッターボックスでございますので、フルスイングで挑みます。的確な御答弁をよろしくお願いいたします。

 初めに、ロシアによるウクライナ侵攻からはや二か月、今なお多くの罪なきウクライナ国民が犠牲になっていますことに、言葉にならないほどの憤りを覚えております。武力で現状変更をしようとするロシアの行動は断じて許されるものではなく、この結末がクリミア併合時のようにロシアにとっての成功体験とは絶対ならないように、また、我が国の国益のためにも、各国と連携をしてウクライナへの支援を続けてほしいと政府に強く要請をいたします。

 そのウクライナから国を追われ国外退避をした人は、昨日の時点で五百二十万人、日本へも二十三日現在七百十三人が避難をされています。受入れに際しても多くの自治体から手が挙がり、地元鹿児島市でも受入れを始めております。人道支援の観点からも自治体の受入れは極めて重要で、一義的には法務省、外務省の所管とは思いますが、地方自治体を所管する総務省がどのように関わっていかれるのか、総務大臣にお伺いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

金子(恭)国務大臣 保岡委員の初めての質問ということで、初めての答弁をさせていただきまして、心より光栄に思っているところでございます。

 私も、二十二年前に初質問をしたときも、心臓がばくばくして緊張したことを覚えております。お父様の遺志を引き継いでしっかり頑張っていただきたいと思います。

 ウクライナから避難された方々への対応については、私も構成員となっておりますウクライナ避難民対策連絡調整会議において、円滑な受入れに向けて政府一体となって取り組む方針が確認されております。

 総務省としては、出入国在留管理庁と連携をし、一元窓口の設置など、政府の取組を周知するほか、個別の自治体から寄せられている、政府の検討状況や他自治体の取組事例に関する問合せや相談を丁寧に聞き取るとともに、自治体に対しきめ細やかに情報提供を行っているところでございます。

 今後とも、自治体等との一元窓口を設置している出入国在留管理庁としっかり連携を図りながら、関係省庁とも協力し、的確に対応してまいります。

保岡委員 総務大臣、ありがとうございます。

 外務省、本日出席の法務省とも力を合わせて、ウクライナから避難をされている皆様に寄り添い、加えて、人道支援、共生社会実現の最前線となっている受入れ自治体にも寄り添うサポートを是非ともよろしくお願いをいたします。

 さて、このウクライナ避難民のように、地方の自治体においても、支援すべき様々な課題があります。その中の一つが、犯罪をした者を支援する再犯防止、更生保護活動です。(発言する者あり)ありがとうございます。

 皆様、保護司制度は御存じかと思います。犯罪を犯した人が刑期を終えた後スムーズに社会復帰ができるように、保護観察期間、住居や就職のお手伝いなど、生活全般の支援、サポートをされるのが保護司です。犯罪を犯した人が二度と犯罪者にならない、社会人として市民生活を普通に送ることができるということは、犯罪加害者本人のみならず、私たち一人一人の安全で安心して暮らせる社会づくりの土台でもあります。

 しかしながら、犯罪加害者のスムーズな社会復帰のためには様々なハードルがあり、保護司だけが頑張っても限界があるのが現状でございます。それぞれの地域で社会復帰をしてもらうためには、保護司と自治体とのコミュニケーション、協力が不可欠であり、地域の保護司からもその点において強い要請をいただいております。

 そこで、まず法務省に伺います。

 再犯防止、更生保護活動において、保護司等を中心に、地方の再犯防止推進計画を定めるよう努めることが再犯防止推進法で定められていると承知をしておりますが、地方の再犯防止推進計画の策定状況について、現状と課題認識をお答えください。お願いいたします。

佐竹政府参考人 都道府県につきましては、本年、令和四年一月までに、全ての都道府県におきまして、地方再犯防止推進計画やこれに相当する条例を制定していただいております。

 特別区を含む市町村につきましては、令和三年十月一日時点で、百七十五団体において計画や条例を策定済みと承知しております。

 令和三年度末までの目標を政府として定めたものを達成しておりますが、引き続きの円滑な策定に、法務省としても努めてまいりたいと考えております。

保岡委員 ありがとうございます。

 次に、総務省に伺います。

 地域の再犯防止の推進に当たって、これまで総務省ではどのような取組を行ってきたか、御答弁をお願いいたします。

馬場政府参考人 お答えを申し上げます。

 地域の再犯防止を推進をし、安全、安心な社会を実現する上で、保護司を始めとする更生保護ボランティアは欠かすことのできない存在でございます。

 このため、これまでも総務省では、法務省と連携をいたしまして、保護司適任者に関する人材情報を保護観察所に提供すること、更生保護サポートセンターの設置場所を確保することなどにつきまして、地方公共団体へ協力を依頼してきたところでございます。

保岡委員 ありがとうございます。

 では、再び法務省に伺います。

 地域の再犯防止の推進に当たって、保護司と地方自治体の連携について参考になるような先進的な取組をしている例、好事例などありますか。また、今後の推進計画などがあれば、特に総務省との連携においてお答えいただければと思います。

佐竹政府参考人 保護司の方々は、保護観察等に従事しているほか、安全、安心な地域づくりのため、学校等と連携した非行防止活動や下校時の防犯見守り活動等の地域活動にも従事しております。

 お尋ねの先進的な取組の例としましては、例えば、静岡市では、保護司等と連携し、付添支援等を行う再犯防止相談支援事業を市の財源で行っております。これは、満期釈放となり保護観察に付されず福祉サービス等の支援につながらない犯罪をした者等を対象に、市民ボランティアとして委嘱を受けた保護司が行政の窓口等に付き添うなどし、福祉サービス等の支援に確実につなげていくことなどにより、再犯を減らし、安全で安心して暮らすことのできる地域社会の実現を図ることを目的としていると承知しております。

 法務省としましても、こうした取組を御支援できるように努めてまいりたいと考えております。

保岡委員 ありがとうございます。

 今法務省の方から出ました静岡市のほかにも、私が承知していることであれば、先日行われた自民党政調の再犯防止推進特別委員会で、豊島区の保護司会の山元会長が、豊島区との連携をお話しされました。区役所の分庁舎内に更生保護サポートセンターを設置をしたり、現役の区の職員を保護司に委嘱をしたり、青少年相談や薬物依存プログラムのサポートセンターを区の方で実施をしたりなどの、保護司会と自治体との協力の好事例が挙がっておりました。そうして、こうもおっしゃっていました。保護観察が終わっても人生は続く、自治体の力は地域の安全の切り札だと。

 私の地元鹿児島で、現在、唯一、地方再犯防止推進計画を策定しているのは、この添付しました資料にもございますように、奄美市だけでございます。その奄美市の市長さんは保護司をされています。

 地域によって、再犯防止、更生保護活動には差があるというのが現実で、各地域の保護司や首長など、マンパワーに依存をする今のやり方では早晩限界が来ると推測しております。次期再犯防止計画も今年度中に策定が予定されると聞いておりますが、総務大臣にお伺いしたいと思います。

 地方自治体を所管する総務省も、法務省と車の両輪となって、国、地方公共団体、民間との連携に関する支援について進めることが肝要かと存じますが、総務大臣の御見解をお聞かせください。また、国から地方公共団体への財政支援の必要性についても、政治家としてお考えをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

金子(恭)国務大臣 保岡委員御指摘のとおり、犯罪をした者の再犯の防止に当たっては、国、自治体、保護司、民間団体等が連携することが重要であると認識をしております。

 現在、法務省において、令和四年度に新たな再犯防止推進計画を策定することを目指し、検討が進められていると承知をしております。

 地域における再犯防止対策の在り方については、まずは、所管である法務省において、国と地方との役割分担を踏まえて検討していただく必要があると考えております。

 その上で、総務省としても、法務省の検討内容やお考えをよく伺いながら、法務省と連携をして今後取り組んでまいります。

保岡委員 金子大臣、御答弁ありがとうございます。

 今、金子大臣からもございました。総務省に積極的なお取組をお願いするためにも、まずは法務省、保護司の支援はもちろん、幾つかの公共団体が、先ほどお話をされた静岡市のような取組をできるように、スタートアップの補助金の予算など、地方公共団体への財政支援について法務省としてもまだまだやれることがあると思いますので、是非ともよろしくお願いをいたします。

 そして、法務省、総務省共に、垣根を越えて、現場で頑張る保護司の皆さんが希望を持てるよう、更に頑張っていただきたいと強く要望をいたします。

 本日は、もう一つ、地域おこし協力隊についての質問も通告をしておりましたが、時間が来ましたので、またの機会とさせていただければと思いますが、この地域おこし協力隊は、よい運動ができれば、地方に赴く協力隊にとっても、受け入れる地域にとっても、そして行政にとっても、三方よしの、まさにふるさと創生において非常にいい政策だと私は考えております。

 そして、その鍵を握るのは、地域に残って活躍を続ける協力隊OB、OGの、そして行政とのサポートだというふうに認識をしております。

 協力隊OB、OGのサポートも、保護司の懸命な活動も、共に、自治体とのコミュニケーションや協力があって初めてその力が最大限生かされます。このような民間と地方自治体との連携協力で公共を担う取組は、今後、他の分野でも広がると思います。

 パブリックマインドを持った民間人を行政がサポートする、民間主導、行政サポートの公民連携を前に進めるためには、政治や行政の役割も時代に合わせて変化をしていかざるを得ないと思いますし、今がまさにそのときと、柔軟に省庁の垣根を越えて、民間に寄り添い、地域に暮らす人たちのサポートをしていく未来を総務省には先頭に立って共に切り開いていただきたいと願い、質問を終えたいというふうに思います。

 本日は、質問の機会を本当にありがとうございました。終わります。

赤羽委員長 次に、福重隆浩さん。

福重委員 公明党の福重隆浩でございます。

 質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。短い時間でございますので、早速質問に移らせていただきます。

 まず、自治体システムの標準化、共通化についてお伺いをいたします。

 政府は、令和七年度に自治体情報システムの標準化、共通化を目指しています。現状、自治体のシステムは、自治体ごとにカスタマイズが行われることにより、様々な課題が浮き彫りになっています。

 まず一点目が、維持管理や制度改正時の改修等において、自治体は個別対応を余儀なくされ、負担が大きいことが挙げられます。二点目として、情報システムの差異の調整が負担となり、クラウド利用が円滑に進まないとの懸念があり、さらに、三点目として、住民サービス向上をさせる最適な取組を迅速に全国へ普及させることが難しいといった課題がございます。

 これらを解決するために、標準化法に基づいて、自治体情報システムの標準化、共通化が必要であります。政府が推進するデジタルトランスフォーメーションにおいても、自治体の業務の効率化や住民サービスの維持向上が最終的に目指すところであると理解をしております。

 総務省の資料によりますと、標準化、共通化する業務は、住民基本台帳、選挙人名簿管理など、二十の業務になると承知しております。現行の各自治体が持っているシステムから標準化されたシステムへ移行する際、自治体の費用負担及び人的リソースの確保は相当大きな問題になると思います。各自治体においては、規模の大小にかかわらず懸念があると思います。

 そこで、質問をさせていただきます。

 標準化の推進については、各地方自治体からベンダーへ発注が集中することが考えられます。しかし、行政系のシステムを手がけているベンダーは数が限られており、また、システムエンジニア不足が問題となる中、千七百十八ある全市町村が短期間に集中して標準準拠システムへ移行することは、ハードルが高いと思われます。

 ベンダーへの業務集中とシステムエンジニアの不足という課題を踏まえ、地方自治体の標準化の取組を円滑に進めるには、しっかりとした計画を立てて進めることや、国からの適宜適切な情報提供が非常に重要だと思います。政府としての御認識について、お伺いをいたします。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 現在、住民記録、地方税、介護、福祉等の地方自治体の二十の基幹業務システムにつきまして、ガバメントクラウドを活用した標準準拠システムに令和七年度までに移行できる環境を整備しているところでございます。

 基幹業務システムは住民サービスに直結するものでございますので、委員御指摘のとおり、統一、標準化を行うに当たっては、自治体のシステム状況に応じまして、しっかりと適切な計画を立てて進めていくことが必要だと考えてございます。

 そのためにも、自治体、ベンダーに対し、適時適切な情報提供を行うことが重要と考えてございまして、先週十九日でございますけれども、標準化法に基づく基本方針〇・八版を全自治体に提示したほか、システムが準拠すべき標準仕様書につきましても、本年夏までに作成することを目標に、現在、制度所管府省において随時意見照会を行いながら対応しているところでございます。

 また、ガバメントクラウドにつきましても、令和三年度及び令和四年度におきまして、地方自治体がガバメントクラウドを利用するに当たっての課題を検証する先行事業を行ってございます。その取組状況を踏まえまして、自治体職員との対話の場である共創プラットフォームの場での議論を行っているところでございます。

 さらに、市町村が作成する移行計画につきましては、総務省において自治体DX推進手順書を作成し、提供されていると承知してございます。

 今後とも引き続き、地方自治体、ベンダーの皆様に適切な情報提供を行いながら、しっかりと御意見を伺って、丁寧に着実に進めてまいりたいと考えてございます。

福重委員 御答弁ありがとうございました。

 次に、各自治体は、システム標準化に対応するための費用面で不安を抱えております。特に、国が示したデジタル基盤改革支援補助金事務処理要領では、補助率十分の十となっていますが、一部自治体からは、令和七年度という短期間での移行目標に向けて全自治体が業務を発注することによる、システムのコスト増が発生し得るのではないか、国が設定した上限額では足りないのではないかといった不安や懸念の声があるのも事実です。

 総務省として、各自治体の不安や懸念を今後どのように取り除き、どのように対応していくのか、御答弁をお願いいたします。

 また、標準システム移行後においても、メンテナンスなどのランニングコストが発生する場合が考えられます。標準化システム移行後のランニングコストについても御答弁をお願いいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのデジタル基盤改革支援補助金でございますが、計上に当たりましては、自治体において、情報システムをクラウド環境へ移行した際のこれまでの実績を参考としながら、必要となる額を見込んでいるところでございます。

 システムの移行経費については、自治体との意見交換等の中でも、御指摘の点も含め、様々な声を伺っているところでございます。

 総務省といたしましては、標準化への移行目標である令和七年度に向けて、各自治体が円滑に移行できるよう、引き続き自治体の実情や御意見を丁寧に伺いながら検討してまいります。

 また、ランニングコストにつきましても、その実態も十分に踏まえながら、適切に財政措置が講じられるよう検討してまいります。

福重委員 前向きな御答弁、ありがとうございました。

 総務省の幹部の皆さんは、吉川局長もそうですけれども、群馬県の副知事を務めておられましたし、幹部の皆さんは本当に、地方自治体に派遣をされて、地方の財政状況の厳しさというのは御認識をされていると思いますので、そういったことに思いを至っていただいて、是非議論を進めていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次に、近年、社会のIT化、デジタル化の進展に伴い、サイバー攻撃の手口も多様化かつ巧妙化しており、社会の中で、様々な業界、分野を問わず、日常的に発生しております。

 今後、標準化システムが各自治体において稼働した際、サイバー攻撃等に対するセキュリティー対策はどのような対策を講じていくのでしょうか。また、セキュリティーに関して、責任の所在はどうお考えでしょうか。加えて、標準化システムに不具合やシステム障害が発生した場合、迅速に復旧しなければなりません。システムの不具合、障害にどのような対策を講じられているのか。

 以上、三点についてお伺いをいたします。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 ガバメントクラウドにつきましては、政府情報システムのセキュリティー評価制度であるISMAPに登録されたサービスのうち、不正アクセス防止やデータ暗号化などにおいて最新かつ最高レベルの情報セキュリティーを確保できるものを選定することとしており、標準準拠システム、ガバメントクラウドへの移行に当たっては、ガバメントクラウドが提供するファイアウォール、脅威検知機能を始めとする各種のセキュリティー機能を活用することとしてございます。

 標準準拠システムは地方自治体が管理するシステムでございますので、従来どおり、システムのセキュリティー対策については地方自治体に御対応いただくことが原則だというふうに考えておりますけれども、デジタル庁としましては、ガバメントクラウドのセキュリティー機能を活用して、安全性を確保するための各種設定のためのひな形というのがあります。そのテンプレートを提供し、あらかじめ適用していただくことを予定してございます。

 また、システム障害時の復旧などへの対応につきましては、システムの環境や接続回線の冗長化をあらかじめ行うとともに、具体的なシステム復旧を行うに当たっては、デジタル庁を始め自治体、事業者などの関係者の円滑な連携が重要と考えてございまして、先ほど答弁申し上げました先行事業での検証結果や、自治体、ベンダーの意見も踏まえながら、必要な体制を整備してまいりたいと考えてございます。

福重委員 ありがとうございました。

 次に、標準化対象の二十業務のうち、生活保護行政については、郡部において、都道府県の福祉事務所が対応している場合がございます。私の地元群馬県でも十か所の福祉事務所があり、日夜、これらの業務に職員が汗をかいていらっしゃいます。

 現在、令和四年夏をめどに作成される標準化仕様書について、関係府省において、これらの都道府県のシステムを標準化の対象とするか否かの検討が進められているものと認識をしております。

 今後、都道府県のシステムも標準化の対象となるのでしょうか。また、標準準拠システムへの移行が必要となった場合、国からの補助金は都道府県も対象となるのでしょうか。御答弁をお願いいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 デジタル基盤改革支援補助金につきましては、既に公表されております住民記録、就学、障害者福祉などの標準仕様書におきまして、市区町村が対象とされていることを踏まえ、まずは市区町村に対し上限額をお示ししているものでございます。

 今後、関係府省における検討等を踏まえ、都道府県のシステムも標準化の対象とされる場合には、総務省として、必要な対応を検討してまいります。

福重委員 ありがとうございました。

 都道府県ではそういったことを非常に心配をしておりますので、是非早急に結論を出していただければというふうに思います。

 続いて、組織の業務内容やフロー、組織の構造などを根本的に見直し、再結成すること、いわゆるBPRの自治体側の課題について質問をさせていただきます。

 標準化システムへの移行は、単なるシステムの更新ではございません。具体的な検討の段階においては、国の策定する標準仕様に基づいて、様式や帳票などに関して、条例、規則等の見直しの検討が必要となる場合があります。また、標準化システムを前提とした業務プロセスの見直しも必要となるため、市役所、役場全体的な推進体制を確立する必要があります。

 これを契機として、全庁的なBPRにつなげていく必要があると考えますが、総務省としての御見解をお伺いいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、自治体におけるDX推進のための手順を定めました自治体DX全体手順書におきまして、BPRの取組の徹底と全庁的、横断的な組織体制の整備の必要性についてお示しをしております。

 また、住民記録システムの標準仕様書におきましては、機能要件の提示のみならず、標準的な業務フローを盛り込み、BPRの取組を促しております。

 総務省といたしましては、各自治体において、DX手順書や標準仕様書も参考にしながら、標準化、共通化に伴うBPRが円滑に進められるよう、引き続き支援をしてまいります。

福重委員 ありがとうございました。

 次に、標準システムの導入やデータ移行に当たっては、他システムへの影響確認やガバメントクラウドへの移行など、従来のシステム更新の作業に加えて、標準化することに伴う作業が発生することから、自治体の担当職員の業務負担が増加すると言われております。また、標準化を住民サービスの向上や業務効率化につなげていくためには、改革マインドをベースとして、クラウドサービスの利活用など、新たなICT知見を持つ自治体職員を持続的に育成していく必要があります。

 自治体における人材確保及び育成についての総務省としての御見解をお伺いいたします。

馬場政府参考人 お答えを申し上げます。

 地方自治体のデジタル化の推進に当たりましては、専門的な知識を持つデジタル人材の確保や職員の育成が重要であると認識をしておりまして、小規模団体に対しましては、特に、きめ細かい支援をしていく必要があると認識をしております。

 デジタル人材の確保につきましては、総務省では、市町村がCIO補佐官等として外部人材を任用する場合などに要する経費について財政措置を講じておりまして、小規模団体におきましても御活用をいただいているところでございます。

 また、令和四年度からは、募集を行うための経費につきましても財政措置の対象としているところでございます。

 あわせまして、市区町村における外部デジタル人材の募集情報を収集の上、総務省ホームページで公表するとともに、協力企業に対しまして随時情報提供を実施をしております。

 また、デジタル人材の育成につきましては、J―LIS等と協力をし、自治体職員が必要な知識を習得ができるよう研修を実施しております。この中では、例えば情報システムの標準化、共通化をテーマとした研修のように、最新の動向を踏まえた研修内容を取り入れるなど、研修の充実を図っているところでございます。

 総務省としては、引き続き、これらの取組を通じ、小規模団体も含め、各自治体がデジタル化の推進に当たって、必要な知見を持つ人材を確保、育成できるよう、しっかりと支援をしてまいります。

福重委員 御答弁ありがとうございました。

 次に、マイナンバーカードの普及について質問させていただく予定でございましたけれども、時間でございますので、要望だけさせていただきます。

 四月一日現在、全国でマイナンバーの登録が四三・三%というふうになっております。政府においては、本年度中に、国民全員に対してのマイナンバーの普及というのを目指されているわけでございますけれども、こういった国民生活に直結した問題でございますので、是非、推進をしっかりと自治体に寄り添ってやっていただければと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、石川香織さん。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織です。今日もよろしくお願いいたします。

 まず、先日、知床で発生しました観光船の事故でありますけれども、夜通し捜索が行われているということで、現地の方々に感謝もしながらも、残念ながら十一人の方の厳しい結果が明らかになりまして、今なお捜索をされているということで、亡くなられた方に心からお見舞いを申し上げまして、引き続き捜索中の方々も見つかるようにということをお祈り申し上げたいと思います。

 今日は、まず初めにですが、地方交付税について質問をさせていただきたいと思います。

 地方自治体の財政が非常に厳しい中で、国から交付をされまして使途を自由に決定することができる地方交付税というのは、自治体にとっても大きな財源の一つになっていると思います。

 この地方交付税がどのように算定をされて、どのように配分をされているのかということは案外知られていないというものだということを、私、最近感じておりまして、まず最初になんですが、普通交付税と特別交付税がありますけれども、この算定方法についてそれぞれお伺いをさせていただきたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方交付税は、地域間に大きな税源偏在がある中で、財政力の格差を調整し、全国どのような地域であっても一定水準の行政を確保するために必要な財源を保障するものでありまして、地方交付税法及び同法に基づく省令によりまして、個別の自治体ごとに算定をしております。

 地方交付税のうち普通交付税は、客観的かつ合理的に算定いたしました基準財政需要額及び基準財政収入額を用いて算定しております。

 また、特別交付税は普通交付税を補完する役割を担っておりまして、普通交付税の算定方法では捕捉されなかった財政需要を積算し、普通交付税の不交付団体の財源超過額等を控除することによりまして算定しております。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 内容については重複を避けたいと思うんですが、地方交付税というのは、地方公共団体間の財源の不均衡を調整するということで、どの地域に住む住民に対しても一定の行政サービスができるように財源を保障するということで、全国一律のルールにのっとって、各種データに基づいて、いわば機械的に計算をされるということでありました。

 このことを質問させていただくのは、実は、ある首長さんが、野党議員が小選挙区で勝つとどうやら地方交付税は削減されているらしいと言っている人がいるよと、非常にあきれた口調でおっしゃっておりまして、ここにいらっしゃる皆さんは、いや、そんなはずがないと思うと思うんですが、逆に、三月に交付されます特別交付税に関しても、それも与党議員の力によって増額したとか、そういうミスリードをされるような発信が残念ながらありました。

 私も、この質問をするに当たって自治財政局の方にもお話ししたら、えっ、そんなことを言う方がいらっしゃるんですかとおっしゃっていたんですが、案外その仕組みは知られていないということで、そういうものなんだと思い込んでしまう人もいるということが私の実感の中にありました。

 二月の総務委員会の中でも、金子総務大臣に、北海道の豪雪に対しての除排雪の特段の配慮をお願いしますということで質問させていただきました。

 令和三年度の北海道の特別交付税は、そういったことも勘案しまして、前年度に比べて増額している自治体が多くあるということで、また、私の選挙区に関してなんですが、昨年の十二月、予算委員会で岸田総理にも直接御要望させていただいたんですけれども、中札内、芽室、更別という地域で突風被害がありまして、そのことも含めて、首長さん方が地域一丸となって要望していただいて、その要望を総務省はしっかりヒアリングしていただいて、そういう被害状況も鑑みた上で、しっかり算定基準に基づいて交付をしていただいたと理解をしております。

 この間違った認識のままでいくと、例えば、議員が与党か野党かで地域のインフラが差がついてしまうとか、災害時の対応に差がつくということにも取られかねないということで、こういった間違いは総務省にとっても非常に心外ではないかと思います。

 金子大臣に是非委員会の場でしっかりとお答えいただきたいんですが、議員の政党によって交付税は左右されるんでしょうか。

前田政府参考人 実際の算定実務を担っております私の方からまず答弁させていただきます。

 先ほども答弁させていただきましたけれども、特別交付税につきましても、地方交付税法及び特別交付税に関する省令により、普通交付税の算定方法では捕捉されなかった財政需要を積算し、財源超過額等を控除することにより算定するものでございまして、選出議員の方の所属政党が交付額の算定に影響することはございません。

 先ほど委員の方からもお話がありましたが、今年は特に積雪が非常に厳しいということもございましたので、三月分の特別交付税に間に合うぎりぎりのタイミングまで、各団体の積雪、特に除排雪の状況というものを丁寧にお伺いして、算定に努めたところでございます。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 今局長から答弁があったわけでありますが、石川委員には、これまでも、豪雪による除排雪費用、あるいは赤潮、それから生活困窮者の灯油等々について、特別交付税をしっかり、地方の意見を聞きながら措置したところでございます。

 特別交付税は、地方交付税法及び特別交付税に関する省令により、普通交付税の算定方法では捕捉されなかった財政需要を積算し、財源超過等を控除することにより算定するものであり、選出議員の所属政党が交付額の算定に影響することはございません。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 本当に、この特別交付税というのは、いろいろな要素をしっかりヒアリングしていただいた上で、自治体に寄り添った対応をしていただいていると思っております。

 今、金子大臣から、議員の政党に関係なくしっかり交付されるものだと御答弁いただきましたけれども、しっかり総務省は自治体に寄り添って仕事をしてくださっているんだということを、私も地道に発信をしていきたいと思います。ありがとうございます。

 では、次の質問に移りたいと思います。

 先日発表されました、持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院の経営強化ガイドラインについてお伺いをさせていただきます。

 コロナ禍において、公立病院の重大な役割というのは誰もが認識をしているところでありますが、一方で、経営が厳しいという現実もあります。

 全国の病院に占める公立病院の割合は、病院数で一〇%、病床数で一四%でありますけれども、民間病院の立地が困難な僻地であったり、救急、小児、周産期、災害、精神などの不採算、特殊部門に関わる医療を公立病院は担っている。つまり、民間病院ではできないからこそ公立病院がやっているということで、地域医療を公立病院がしっかり守ってくれているということです。

 今回、このガイドラインが出されまして、お医者さんの時間外労働の規制もあるということで、ちなみに、お医者さんの六割ぐらいの方がこの規制について守れていない。それぐらい忙しいということなんですが、限られたお医者さんですとか看護師さんを地域全体でどうカバーしていくか、公立病院の経営自体をどうしていくか、それから、今コロナですけれども、また更に新しい感染症が出てきたときに対応をどうするかといったような方向性が示されましたけれども、それについて幾つかお伺いをしてまいりたいと思います。

 まず、経営形態の見直しの選択肢というものについてお伺いをします。

 このガイドラインの中に選択肢が並んでいますけれども、これまでの経営形態の選択肢として出されていた順番なんですけれども、一番が地方公営企業法の全部適用、二番目が地方独立行政法人、非公務員型、三が指定管理者制度の順番でした。今回は、これが、一番最初に地方独立行政法人、非公務員型が来まして、二番目に全部適用、三番目に指定管理者制度となっています。

 この選択肢の順番を変えた意図は何なんでしょうか。これは、一番最初に地方独立行政法人の非公務員型が来ていますので、これを推奨しているということにもなるんでしょうか。

鳩山大臣政務官 御質問にお答えをさせていただきます。

 地方公営企業法の全部適用と非公務員型地方独立行政法人化の関係については、従前の新公立病院改革ガイドラインにおいても、地方公営企業法の全部適用は、比較的取り組みやすい反面、経営の自由度拡大の範囲は地方独立行政法人化に比べて限定的であり、同法の全部適用によって所期の効果が達成されない場合には、地方独立行政法人化など、更なる経営形態の見直しに向け直ちに取り組むことが適当であるとし、非公務員型地方独立行政法人化の検討を促してきたところであります。

 今回の新たなガイドラインでは、このような考え方から、非公務員型地方独立行政法人化を地方公営企業法の全部適用よりも先に記載したものでありますが、両者の関係に関する考え方自体は従来から変更しておりません。

 また、新たなガイドラインでは、経営形態の見直しについて、当該病院の規模や置かれた環境といった地域の実情を踏まえ、経営の強化に向けた最適な経営形態を検討するよう明記しており、もとより、一律な経営形態の見直しを求めているものではありません。

石川(香)委員 つまり、この一番と二番を入れ替えたことに関しては特に意図がないということだと思うんですが、やはり順番を変えただけでも、現場では、これはどういうメッセージなんだろうかということを思うわけです。非公務員型となりますと、公務員から公務員ではなくなるということですので、やはりこれは当事者にとっては非常に影響が大きいと思います。

 そもそも、こういった経営形態を推奨すること自体がどうなのかなと私は感じていますけれども、こういったことが人材が流出することにつながるのではないかということも考えるんですが、このことについてはいかがでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 非公務員型の地方独立行政法人化につきましては、民間企業と同様の労働関係法規の適用を受けることとなります結果、例えば、より柔軟な人事給与制度の構築が可能となりまして、高い能力や専門性を持った人材の確保が可能になるなどの効果が期待されるものと考えております。

 実際に、地方公営企業決算状況調査によりますと、医師数を始め、看護師等その他の職員数についても、地方独立行政法人化後に全国平均を上回る比率で増加している傾向が見られます。

 また、全国地方独立行政法人病院協議会が平成二十九年度に実施いたしましたアンケート結果によりますと、地方独立行政法人化の効果として、柔軟な人材確保や配置ができ、医療体制の強化、安定が図られたという回答が半数に上っております。

 一方で、委員御指摘のとおり、公務員でなくなることは病院職員にとって大きな勤務環境の変化となりますことから、今回の新たなガイドラインでは、経営強化プランの策定に当たっては、当事者である病院職員はもとより、様々な関係者との意見交換を丁寧に行うことが望ましいこと、また、策定の各段階におきましても、議会や住民に対して適宜適切な説明を行い、十分な理解を得るように努めるべきであることなどを示しておりまして、各自治体におきまして適切に対応していただきたいというふうに考えているところでございます。

石川(香)委員 人事に関して、給与に関して、ある程度柔軟な対応ができるということを挙げられておりましたが、このことについては、後ほどまたしっかりお伺いしていきたいと思うんですけれども。

 経営形態の選択肢として、特定独立行政法人、非公務員型があるわけですけれども、一方で公務員型もあるわけですが、この記載自体がありません。選択肢としてそもそも認めないということになるんでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 役職員が地方公務員の身分を有しますいわゆる特定地方独立行政法人につきましては、地方独立行政法人法第二条第二項におきまして、その業務の停滞が住民の生活、地域社会若しくは地域経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼす、又はその業務運営における中立性及び公正性を特に確保する必要がある、そのため、その役員及び職員に地方公務員の身分を与える必要があるものとして地方公共団体が当該地方独立行政法人の定款で定めるものをいうとされております。

 したがいまして、これらの要件を満たさない限りは一般地方独立行政法人となるものでございまして、令和三年四月一日時点で、病院事業を実施する六十三の地方独立行政法人のうち、六十一法人は非公務員型の一般地方独立行政法人とされております。このため、これまでの過去二回のガイドラインも含めまして、経営形態の見直しの選択肢として、非公務員型である一般地方独立行政法人を示してまいりました。

 一方、同じ病院事業を実施する地方独立行政法人でありましても、個々の法人ごとに業務の性格は異なるため、先ほどの六十三の地方独立行政法人のうち、二法人は公務員型の特定地方独立行政法人とされており、経営形態の見直しの選択肢として、制度上、特定地方独立行政法人を排除しているわけではございません。

石川(香)委員 排除していないにもかかわらず記載がないというのは、非常に分かりづらいと思います。

 次に、鳩山政務にもお伺いしますけれども、先ほどからお話が出ています地方独立行政法人、非公務員型ですが、いろいろな柔軟な勤務制度であったり、それから専門性を考慮した給与制度、これを通じて人材の確保、育成を推し進めていきたいということで記載をされていますが、柔軟な制度ができるがゆえに、独法の移行時に、給与制度の見直しによってかえって給与が引き下げられてしまう、そういった提案をされたり、それから実施されてしまっている例もあります。また、時間が一定期間経過した後に合理化が行われてしまう例もあると聞いております。

 先ほども触れましたけれども、公務員でなくなることに併せて処遇が更に悪くなってしまうということは、やはり人材流出につながりかねないし、育成、育っていかないのではないかということもあります。

 独法において、経営面を重視して、人事院勧告を下回るような水準にならないようにする必要があるということですが、この柔軟な給与制度がかえって合理化につながっているという指摘については、どのようにお考えでしょうか。

鳩山大臣政務官 御質問にお答えをさせていただきます。

 地方独立行政法人法第五十七条第二項において、非公務員型である一般地方独立行政法人の職員の給与については、それぞれの地方独立行政法人において支給基準を定めることとされており、その支給基準については、同条第三項において、同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間企業の従事者の給与や、当該一般地方独立行政法人の業務の実績並びに職員の職務の特性及び雇用形態その他の事情を考慮して定めることとされております。

 良質な医療を継続的に提供していくためには、公立病院の経営を安定させる取組と医師、看護師等の医療従事者の確保を両立させることが重要であることから、給与の支給基準については、各地方独立行政法人において、地方独立行政法人法の趣旨を踏まえた上で、それぞれの判断に基づき適切に設定すべきものと考えております。

 なお、今回のガイドラインにおいては、経営の効率化に関する留意点として、単なる人件費の抑制、削減では収益改善につながらず、むしろ積極的に医師、看護師等を確保することで収益改善につながるケースがあることにも留意すべきと明記しているところであります。

石川(香)委員 今回のガイドラインは、以前使っていた再編、ネットワークという言葉を使わずに、病院や経営主体の統合よりも、病院間の役割分担とかお医者さんの派遣などによって連携強化をすることに重きを置いてくださいという内容になっていますけれども、合理化、再編につながるようになってしまっては絶対いけない。

 経営の効率化というところも非常に分析が難しいところでありまして、公立病院八百九十七の病院に対して行いました新公立病院改革プラン等の取組状況調査、令和三年三月末でありますけれども、公立病院が地方独立行政法人に移行したときに、経営の効率性が上がったと答えたところが九四・七%。この後またお聞きしますが、指定管理者制度だと一〇〇%ということで、経営の効率性というのは、つまり給与が下がったからではないかという側面も排除できないと思うんです。やはりここはしっかり分析が必要だなと感じています。

 また、理事長の権限が強くなり過ぎることによって、理事長の力量によって経営自体が大きく左右されるのではないかという懸念がありますが、この点についてはいかがでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 公立病院の経営を強化するためには、病院マネジメントの強化が重要でありますことから、新たなガイドラインでは、経営形態の見直し等を通じて経営の自律性を高めることと併せて、病院長を始めとする幹部職員が病院事業の経営強化に強い意識を持ち、経営感覚を有することが重要であり、外部からの登用も含めて、そうした人材を登用すべきことを留意事項として定めております。

 地方独立行政法人の理事長の任命は、地方独立行政法人法第十四条第一項におきまして、設立団体の長が、当該地方独立行政法人が行う事務及び事業に関し高度な知識及び経験を有する者、又は当該地方独立行政法人が行う事務及び事業を適正かつ効率的に運営することができる者から任命することとされております。理事長の任命につきましては、各自治体において、こうした法の趣旨を踏まえて適切に行われるべきものと考えております。

 また、地方独立行政法人法第二十五条第一項及び第三項におきましては、設立団体の長は、議会の議決を経て中期目標を定め、地方独立行政法人は、同法第二十六条第一項におきまして、当該中期目標に基づき中期計画を作成し、設立団体の長の認可を受けなければならないとされております。

 さらに、地方独立行政法人は、法第二十七条第一項におきまして、年度計画の策定、公表が義務づけられておりまして、法の第二十八条第一項におきましても、各年度の業務実績や中期目標期間の業務実績について、設立団体の長の評価を受けることとされております。

 その上で、法第二十八条第六項におきまして、設立団体の長は、評価の結果、必要があると認める場合は、当該地方独立行政法人に対し、業務運営の改善その他の必要な措置を命ずることができるとされております。

 なお、法第十七条第二項におきまして、仮に理事長に職務上の義務違反があるなど、役員たるに適しないと認める場合、設立団体の長は理事長を解任することができることとされております。

 以上のように、地方独立行政法人法におきまして、目標設定と実績の評価を通じまして、地方独立行政法人に対し設立団体のガバナンスが働く仕組みが取られているところでございます。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 今は独立行政法人の話でありましたけれども、一番懸念されているところは指定管理者制度なんですが、このガイドラインに関しても、医師、看護師などの理解を得ながら進めることとわざわざ記載があります。

 これは、総務省としても、指定管理者制度、非常に課題があるんじゃないかという認識の表れではないかという指摘もありますが、この点についてはいかがでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のガイドラインの策定に当たりましては、複数の公立病院関係者にも委員として参画いただきまして、持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化に関する検討会におきます最終取りまとめというものを基に策定しております。

 この検討会におきまして、指定管理者制度の導入に当たり、身分が公務員でなくなることを避けるため、一般行政職に転職することを選ぶ看護師等が一定数いるという御指摘がありました。

 持続可能な地域医療提供体制を確保するためには、医師、看護師等の医療従事者が、指定管理者制度の導入後におきましても、引き続き医療現場で活躍していただくことが適切であるというふうに考えておりますことから、今回のガイドラインにおいては、指定管理者制度の導入に関する留意事項の一つとして、適切な指定管理者の選定に特に配慮することとともに、御指摘のありましたように、医師、看護師等の理解を得ながら進めること等が求められると記載したものでございます。

石川(香)委員 この文言のとおり、いろいろ調べていますと、やはり、現場でかなり混乱があったような事例も見受けられました。もちろん、うまくいった例もありましたけれども。

 そこで、あえてお伺いしますが、医療従事者を集めるために指定管理者制度を選択したにもかかわらず、人材が大量に流出してしまったということ、それから、求めていた医療が結局提供されることがなかったといった、うまくいかなかった事例、こういった事例はあるんでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員がただいま御指摘いただきました観点からの特段の調査というものは行っておりませんが、人材の流出につきましては、先ほども答弁申し上げましたとおり、このガイドラインを新たに作るための検討会におきまして、指定管理者制度の導入に当たって、身分が公務員でなくなることを避けるため、一般行政職に転職することを選ぶ看護師等も一定数いるという指摘があったところでございます。

 私どもも、この御意見を重く受け止めまして、また、委員の御懸念のような事態が生じることのないよう、新たなガイドラインでは、指定管理者制度の導入が所期の効果を上げるためには、一つには、適切な指定管理者の選定に特に配意すること、二つ目、提供されるべき医療の内容、委託料の水準等の諸条件について事前に十分に協議しておくこと、三つ目、病院施設の適正な管理が確保されるよう、事業報告書の徴取、実地の調査等を通じて、管理の実態を把握し、必要な指示を行うこと、四点目といたしまして、医師、看護師等の理解を得ながら進めることなどが求められることを留意事項として示しているところでございます。

 また、新たなガイドラインでは、当該病院の規模や置かれた環境といった地域の実情を踏まえ、経営の強化に向けた最適な経営形態を検討するよう明記しておりまして、経営形態の見直しによって、持続可能な、持続的な地域医療提供体制が確保できるよう、各自治体において適切に判断していただきたいと考えております。

石川(香)委員 私もいろいろ調べていきますと、千葉県のある病院では、指定管理団体となったところが元々経営計画として出していた数値から大幅に、実際の、実際値ですね、これが大幅に違っていたということがあって、その支出額も非常に多額で、使途が分からない、情報公開が少ないといったようなこともあって、結局、議会から批判を浴びて、五年間の契約期間で終わってしまった例もある。結局、その病院は、市が全額出資した医療公社を設立して、指定管理者となって、市が病院の経営をしているということもありました。

 ある病院では、看護師さんとか助産師さんが多く辞めてしまいまして、指定管理者制度に切り替わってから給与が三割減ってしまったということで、辞めた方の半分は市役所の事務職に移動したとか、こういう例もありました。やはり公務員でなくなる抵抗感は現場には強いのかなということも感じました。

 結果的に経営が改善されたというところもありますけれども、こういう深刻な事例が幾つもある。

 総務省が取りました、実施済み又は実施中の経営形態の見直しの類型という取組状況の調査では、指定管理者制度を導入した三十八の病院にアンケートを取っていますが、メリットとデメリットを聞いているにもかかわらず、そのデメリットは特になしという回答が十八で、最も多くなっている。

 一方、地方公営企業、全部適用の七十の病院に関しては、事務負担が増大したというコメントが三十九と一番多くなっているということで、これはデメリットが強調されているかのような印象も受けるということで、この結果もしっかり実態を反映しているのか疑問だということも申しておきたいと思います。

 それからもう一つ、新たな感染症でありますが、金子大臣に次はお伺いしたいと思います。

 新興感染症については平時からの取組が必要だと思いますけれども、平時から備えるためには、一定の人材確保、特に専門人材が必要だということで、現場の方からもそんなお話も聞きました。

 そのためには、診療報酬だけではなかなか厳しい、十分な財源が確保できないということで、総務省として、そのための予算措置をどのように考えているのか。繰り出し基準も含めて、交付税措置の対象を拡大するような措置が必要ではないかと考えるんですが、この点についてお伺いします。

金子(恭)国務大臣 お答えいたします。

 新興感染症について御指摘をいただきました。

 公立病院は感染症対策において重要な役割を担っていることから、診療報酬により賄うことができない感染症病床を確保するための経費については、平時から特別交付税により措置を講じております。

 また、新興感染症に備える上では、感染拡大時に活用しやすい病床や転用しやすいスペースの整備が重要とされておりますが、公立病院の施設設備の整備に対しては、そのような整備も含め、地方交付税措置が講じられる病院事業債を充当することができることとしております。

 一方で、政府において、本年六月を目途に、次の感染症危機に備えた中長期的観点からの必要な対応として、感染症法制の在り方等を取りまとめることとされております。

 総務省としても、こうした政府全体の動きや、民間病院や公的病院も含めた医療機関全体に対する厚生労働省の対応方針を踏まえた上で、公立病院に対する更なる措置の必要性等について検討してまいりたいと思います。

石川(香)委員 公立病院の役割の重要性というものは誰もが認識しながらも、経営が厳しいということで、いろいろな選択肢が出ているわけですが、特に指定管理者制度のような選択肢は、先ほども強調されておりましたが、人件費を削減するための目的であってはならないと思いますし、採算が合わなくて誰もやれないところを公立病院が踏ん張ってやっているということで、やはり、国の支援が必要だと改めて感じています。

 そして、公立病院、そして保健所の職員、救急隊もそうですけれども、最前線で尽力しているにもかかわらず、医療従事者の方に出された慰労金の対象外でもあるということですので、やはり、地域の医療を守るためにも、総務省の役割は非常に大きいと思いますので、引き続きよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 地域を守るという観点で、地域公共交通の役割も非常に大事ですので、この点についても、次にお伺いします。

 鉄道の輸送人員は、コロナ前から減少傾向にありました。ピーク時が平成三年度でしたが、およそ二二%減少しているということで、コロナによる影響が拍車をかけています。

 自治労の都市公共交通評議会関係の地下鉄事業、今日も、今朝、議員懇談会があって要望されたんですけれども、公営地下鉄八事業、大阪メトロ、路面電車事業公営五事業においても、減収が非常に深刻であるということでした。

 こうした状況を踏まえまして、総務省は、新型コロナ感染症減収に係る公営企業の特別減収対策企業債を創設しまして、二〇二二年度も延長になりました。ただ、これは事業存続のために重要な施策でありますが、損失補填ではないということで、返済が必要です。つまり、借金ということです。償還年数は原則十五年となっていますけれども、コロナ後であっても、コロナ前のように乗客が回復するかといえば、難しいのではないかという状況だと思います。

 地方公共交通の重要性の観点からも、赤字補填、それから償還年数の延長を求める必要性、今日も現場から上がっておりましたが、この点についてはいかがでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、交通事業におきましては、公営事業者も民間事業者も二割から三割程度料金収入が減少し、大変厳しい状況が継続しているものと認識しております。

 このような状況を踏まえまして、民間事業者に対して、日本政策金融公庫により、優遇金利を適用する新型コロナウイルス感染症特別貸付けが実施されましたことなども踏まえ、交通事業を含む公営企業におきましても、償還利子に対して特別交付税措置が講じられる特別減収対策企業債、これを令和二年度に創設いたしまして、資金不足の手当てをしたところでございます。

 また、自治体からの強い要望があったため、令和三年度及び令和四年度も引き続き発行できることとしたところでございます。

 公営事業者及び民間事業者共に現在も厳しい経営状況が続いておりますことから、御指摘の点につきましては、新型コロナウイルス感染症による公営交通事業の経営への影響を注視しつつ、民間事業者への政府の支援との均衡も踏まえ、適切に検討してまいりたいと考えております。

 また、御指摘のございました特別減収対策企業債の償還年限につきましては、原則として十五年以内でございますけれども、自治体の要望も踏まえまして、令和三年度より、これにより難い事情がある場合は、経営健全化に向けた取組状況、資金不足比率の将来見通し等を総合的に勘案し、十五年を超える償還年限を設定することができることとしたところでございます。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 償還年数に関してはそういった枠組みもつくってくださっているということであります。非常に、コロナ禍で、今、この地方公共交通、国の支援を最大限必要とする正念場だと思いますので、是非、引き続き財政支援の仕組み、強力な仕組みをつくっていただきたいなとお願い申し上げます。

 それから、最後になりました。今日、消防庁からも来ていただいておりますので、続いて、消防本部における災害対応のドローンについてお伺いをしていきたいと思います。

 災害対応ドローンを二〇二二年度から導入を後押しするということですが、今、全国の消防本部における整備状況と活用事例を教えていただきたいと思います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 全国の消防本部におけるドローンの導入状況につきましては、令和三年六月一日現在、七百二十四本部中三百八十三本部で、約五三%となっております。

 全国の消防本部における活用状況につきましては、建物火災や山林火災における延焼状況の把握や、自然災害時における消防隊が進入困難なエリアへの情報収集や要救助者の捜索など、様々な災害現場で活用されております。

 直近の活用事例を申し上げますと、昨年七月の熱海市の土石流災害におきましては、被害状況の全体的な把握と、二次災害防止のための土砂崩れが発生する危険のある箇所の監視に活用されたところでございます。

石川(香)委員 本当にいろいろなバリエーションがありまして、北海道でも、近年増えているヒグマの特定にも活用されているということも聞きました。

 では、活用が期待されるドローンですけれども、一方で、操縦が難しいという課題もあると思います。その育成状況、確保の状況をお伺いしたいと思います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 全国の消防本部におけるドローンの操縦者の人数は把握をしておりませんけれども、各消防本部では、基本的なドローンの操縦技術や関係法令を消防職員に習得させるために、民間事業者が提供いたします講習を受講させるほか、消防本部内の操縦技能が優れた職員により、その方が指導者となって操縦の訓練を実施することで、操縦者の育成や技術の維持向上を図っているものと承知をしております。

 また、総務省消防庁では、令和元年度から、全国の消防職員を対象といたしまして、福島のロボットテストフィールドにおきまして、災害現場活動に即した実践的なカリキュラムにより、ドローンの運用のスペシャリストを継続的に育成しております。そして、この育成したスペシャリストをアドバイザーとしてドローンを導入しておられない消防本部に派遣をいたしまして、ドローンの運用体制、安全管理に関する助言や活用事例の紹介を行うことにより、普及啓発を図りますとともに、操縦技術の指導により、操縦者の育成にも努めているところでございます。

石川(香)委員 津波とか火災とか山岳遭難とか、あらゆるシチュエーションがあると思いますので、現場のルールづくりの必要性も訴えながら、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、道下大樹さん。

道下委員 立憲民主党・無所属、道下大樹です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今日は、お忙しいところ、内閣府から宗清政務官、そして財務省の藤原政務官、お越しいただきまして、ありがとうございます。また、内閣官房、国税庁の方からもお越しいただきまして、ありがとうございます。

 質問に入る前に、私からも一言。

 ロシアによるウクライナ侵略、本当に被害、犠牲者がどんどん増え続けています。避難者も多く出ています。一日も早い即時停戦とウクライナに平和が戻るように祈りつつ、できることをしっかりとやっていきたいというふうに思っています。

 また、先ほど石川香織議員からもお話がありました、地元北海道の知床半島沖で船が行方不明になり、既に十一名の方が命を落とされ、今、十五名の方の発見、救助に海上保安庁を始め多くの関係者の方々が取り組んでおられるということ。亡くなられた方々に御冥福をお祈り申し上げますとともに、今なお行方不明の方の一日も早い発見、救助がなされますように心からお祈りを申し上げます。

 それでは、まず、コロナ禍の経済対策として、子育て世帯に給付される臨時特別給付金、これが離婚等により支給されなかった方を対象に給付される支援給付金について伺いたいと思います。

 これは、政府が経済対策として、子供一人当たり十万円給付するということで行われています制度でございますが、立憲民主党は、この制度に関して、離婚等によりこの十万円給付が受け取れないという世帯があるということが、支援団体等から様々ヒアリングをいただきまして判明し、それで、全ての子供たちにこの十万円が行き渡るようにということで、今年一月十八日に、令和三年度子育て世帯臨時特別給付金の支給を受けていない特定養育者を支援するための特定養育者支援給付金の支給等に関する法律案を衆議院に提出いたしました。これは残念ながら国会での審議はなされなかったんですけれども、これを受けて、政府は子育て世帯臨時特別給付金における支援給付金というものを創設して、今行われております。

 まず、これについての趣旨、目的について、内閣府さんから伺いたいと思います。

相川政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年度子育て世帯への臨時特別給付は、新型コロナが長期化し、その影響が様々な人に及ぶ中、我が国の子供たちを力強く支援し、その未来を開く観点から、児童を養育している者の年収が九百六十万円以上の世帯を除き、ゼロ歳から高校三年生までの子供たちを対象に給付するもので、迅速に支給するため、児童手当の仕組みを活用しております。

 その上で、給付金を受け取れなかった離婚された子育て世帯などのお困りの方々を支援する観点から、こうした方々のお手元にも給付金が届くよう、支援給付金として支給しております。

道下委員 立憲民主党が提出した法案では、全ての子供たちに、誰一人漏れることなく支給できるという法案だったんですが、政府もそのような趣旨で制度はつくられたと思いますけれども、残念ながら受け取れない、受け取れていないという世帯、子供たちがいらっしゃいます。

 私のところに相談がありました。十万円給付がもらえなくて困っている。ここではAさんといたしましょう。奥さんでいらっしゃいます。

 この方は、Aさんは、自身も働いて共働き世帯でありますが、そこで、サラリーマンの夫、それから中学生と小学生のお子さんが二人いらっしゃる。Aさんは、夫のDVと子供への虐待に耐えかねて、四年前に別居を目的とした調停をしたんですけれども、夫が別居に応じないために、三年前に子供を連れて別居し、再度調停にて別居の条件を提示し、婚姻費用分担金を取り決めました。また、DV被害については、相談機関等に相談をして、ちゃんと、配偶者からの暴力の被害者の保護という書類が用意されております。

 ただ、Aさんにも収入はあるんですけれども、夫の方が収入が高いため、その当時は子供の健康保険は夫の扶養になっておりました。

 Aさんは、自分が子供を養育しているわけだから児童手当を受け取りたいということで、自分が住む自治体に相談をしました。しかし、そのときに自治体からは、別居中かつ離婚調停中ではない場合は以下の条件を満たす必要があるということで、一つには、妻と子供の健康保険証が夫のものではないこと、夫の扶養ではないということですね、それからもう一つは、Aさんの収入が上限に達していないこと、この二つが条件として出されました。

 一つ目の健康保険についてなんですけれども、二年前の二〇二〇年十二月に、Aさんは夫の健康保険の事務局の方に連絡をしていたんですけれども、なかなか夫の扶養、健康保険証から抜けられず、今年の二月になって、何とか、DV被害等も訴えて、健康保険から扶養を抜いてもらいました。

 ただ、この二つ目の条件である収入上限なんですけれども、Aさんは、子供を扶養していない、扶養親族がゼロであると収入上限に達してしまう給与所得でございます。それで、児童手当の対象にならない。実際今、別居してお子さん二人と同居して育てているんですけれども、こういう、お子さん二人を扶養親族となると、この対象になるわけです。収入上限に達しないで、ちゃんと児童手当の給与上限の枠内で、額内で対象になるということで。

 この問題について、住んでいる自治体の税事務所に確認したところ、相手である夫の方に知らせずに扶養を変更しても問題ないと言われて申請したんですが、先ほど申し上げましたとおり、夫の年収が八百五十万円という所得上限を超えているため、夫に対する通知が必要ということになった。税事務所は、Aさんと夫に期限付の手紙を、子供の扶養をどうするんですかということの確認を行う手紙を送りました。期限になって、Aさんが税事務所に確認をすると、夫から期限までに返事がなかったため、子供はAさんの扶養になると伝えられました。これが二〇二二年の二月末であり、十万円給付の認定日として最初に発表された締切日でございます。

 しかしながら、その後、夫から何らかの手紙があったということで、税事務所は、子供の扶養は夫から外せないというふうに回答が来ました。税事務所の説明では、子供の扶養をAさんに移せない理由は、婚姻費用分担金を受け取っていること、それから夫の方が収入が高いことだという理由を挙げました。結果、二番目の条件に当てはまらず、児童手当、そして今回の支援給付金も受け取れていないということになってしまいました。

 Aさんからは、扶養には二種類、健康保険の扶養と税の扶養があるんですけれども、健康保険の扶養に関してはDVが認められて抜けることができたんですけれども、税の扶養に関しては、DVの証明書をつけたんですけれども認められず、扶養の変更ができないため、子供たちが本来受け取れた給付金が受け取れないのは承諾できないということと、夫の扶養を外したいなら離婚するか婚姻費用分担金を一円ももらわないことだと言われたが、そもそも離婚や別居に応じないということも含めてDVの大変な状況がある、それなのに婚姻費用をもらう権利まで手放せというのかという憤りをおっしゃっていました。

 また、こうしたAさんのような、DV被害に遭って別居状態で生活されておられる方々を支援しておられる団体の方々からも御意見をいただきました。

 離婚、別居に応じないということはDVではよくある、そういったDVで逃げている人のための今回の支援給付金ではなかったのか、また、平等に、間違いのないようにということであれば、子供を養育していないどころか虐待した親に対してお金を給付していることが不適切で間違いである、それに比べ、DV被害者に対して不当に細かい対応をしている、そもそも扶養が子供の養育の実態に合わせた制度ではないのに、児童手当という子供のための手当を扶養者、世帯主に支給することに無理がある、そのツケを女性と子供に負わせないでほしいという御意見をいただきました。

 そこで、まず、今回この支援給付金や児童手当が受け取れないという一つの条件になっている税の問題、所得税法上の子供の扶養親族について、ちょっと定義を、これは国税庁の方から伺いたいと思います。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 所得税法上の扶養親族とは、納税者の配偶者以外の親族等で、その納税者と生計を一にするもののうち、合計所得金額が四十八万円以下であるなど一定の要件を満たす者とされているところでございます。

道下委員 そこで、今、生計を一にするという言葉が出ましたけれども、この定義についても伺いたいと思います。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 親族が同一の家屋に起居している場合には、原則として、その親族は生計を一にするものとして取り扱っているところでございます。

 他方、勤務、修学、療養等の都合上、日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、勤務、修学等の余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、その親族は生計を一にするものと取り扱っているところでございます。

道下委員 ちょっと事前の質問通告はしていないんですけれども、この生計を一にするということで、これは今回、夫もAさんもそれぞれ働いている、しかも扶養親族がない場合、この収入上限、所得上限を超える所得になっているんですね。こうした方が、二人が別居していて、離婚はしていないけれども別居している状況、これは生計を一にすると言えるのでしょうか。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 親族と生計を一にするかどうかにつきましては、個々の事例の状況によって判断することになるところでございますが、一般論で申し上げますと、婚姻費用分担金などとして一定の生活費が送付されている場合には、別居中であってもその子供は扶養親族に該当すると考えられるところでございます。

道下委員 もう一つ、ごめんなさい、事前通告なしで。

 今の、婚姻費用分担金とあります。この婚姻費用分担金、もし毎月一定額を送金、送付された場合、これは、受け取った側、今回でいえば相談者Aさんなんですけれども、Aさんの収入、所得というふうになるのでしょうか、ならないのでしょうか、伺いたいと思います。

星屋政府参考人 お答え申し上げます。

 生活費ということでございますので、所得には該当しないものと考えてございます。

道下委員 今、所得には該当しないという御答弁でございました。

 これはケース・バイ・ケースなので、一律にこれはこうだというふうに言えないと思いますけれども、今回の私の相談を受けている方に関して、私の今までいただいたAさんからの情報等によりますと、私は、生計を一にしているとは言えないし、また、それぞれがほぼ独立した収入があって、実際に子供を養育しているのはAさんだということなので、私自身は、今回、児童手当支援給付金が支払われない、この理由に挙げた税法上の何らかの問題があるのではないかというふうに私は思っております。

 それで、今回、このようにDV被害を理由に健康保険の扶養の変更はできたんですけれども、税法上の扶養親族の変更の理由にDV被害ということはないんですね。DV被害を理由に書類をつけても、所得税法上、扶養親族を変更するという、こういう条件にはDV被害はなっていないんです。

 今回、このように、支給すべき方に支給できていない、法制度のはざまにより不公平な取扱いを受けた方が私のところにいらっしゃいますし、これは多くはないと思います、このように子供を扶養する、しないで所得上限がかかる、かからないという、こういう微妙な間にいらっしゃる方、そして、離婚やDVで離婚調停中だとかそういった別居中だとか、そういった方は、大多数ではないんですけれども、少なくともいるということを考えれば、こうした方々の不公平な取扱いを解消するために、私は何らかの方策が必要ではないかというふうに思っています。

 そこで、藤原財務政務官に伺いたいと思いますけれども、税制改正などで解決する方策はないのでしょうか、伺いたいと思います。

藤原大臣政務官 お答えいたします。

 扶養控除につきましては、先ほど国税庁からも答弁がございましたが、自己と生計を一にする扶養親族を有する納税者に対して、その税負担能力の減殺を調整する趣旨から設けられた規定であります。

 両親のどちらに扶養控除を適用するかにつきましては、まずは、両者で話合いの結果に基づいて、それぞれ夫あるいは妻の方の申告書に確定申告において記載されたことによって判断をされることになっております。

 しかしながら、争いなどがあり、両親のどちらに扶養控除を適用するか定まらない場合には、合計所得金額が大きい親の扶養親族とすることとされております。

 この制度につきましては、居住者の税負担を考慮するとの趣旨から制度設計をされているものであります。そのため、税制におきまして、税制ではなく給付金の制度設計のために所得税法を改正することは困難であると考えております。

道下委員 今、藤原政務官からは、今回の支援給付金制度等、こういったものの制度一つ一つに対応するために税制は改正するわけにはいかないというような内容の答弁だったかと思いますが、一円でも片方の方が多かったらそちらの方に合わせるというのは、私は今の実態に合わないのじゃないか。

 やはり、このようにDV被害又は親から子供に対する虐待、こうしたことでやむを得ず別居せざるを得ない方々のことを考えると、いつまでこのような収入の多い方、条件分けなんですけれども、最初は夫婦で話合い、これが第一なんですけれども、最終的にはそれでも結果が、結論が出なければ収入の多い方に合わせるというのが、これは大多数の世帯では当てはまるのかもしれませんが、DV被害や虐待被害等を受けている、そして別居している世帯には、こうしたことでは、いつまでたっても私は法のはざまで不公平な取扱いを受けてしまうというふうに思います。

 今回、このように税制改正についての方策はちょっと考えられないという答弁でありましたけれども、では、今回の子育て世帯臨時特別給付金における支援給付金、こちらの方の制度において、受け取れない人をなくするために、様々なことを、制度の改正などをしなきゃいけないんじゃないか。

 コロナ禍が長期化する、また同様な経済の低迷により、このように子供たちを支援するということで経済対策が打たれたときに、また同じような問題が起きると思います。課題解決に向けた法制度また制度の要項の改正を検討するべきではないかと考えますが、宗清内閣政務官、御答弁をお願いいたします。

宗清大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 先ほど政府参考人から御答弁を申し上げましたように、子育て世帯への臨時特別給付金につきましては、児童手当の仕組みを活用しまして迅速な支給を行ってきたところでございます。

 本給付金を含めまして、各支援制度のいずれか一つの制度だけで、先ほど先生いろいろ御案内がございました、御紹介ございました対象者の方全てに支援を行っていくということは難しいというふうに思っております。重層的な仕組みを用意することで、必要な方々を支援をしていくということを図っていきたいというふうに考えております。

道下委員 政府も、今回の、コロナのみならず、ウクライナ情勢や原油価格の高騰を踏まえて緊急経済対策を打つということで、その中でもまた、これは低所得世帯の子供に対する支援金ということも検討されているというふうに伺っていますけれども、このような様々な支援制度というのは大変重要だと思いますが、そこで漏れてしまう方をなくすことを是非全力を挙げて取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 そこで、総務省に伺いたいと思います。

 今回の制度に関しては、児童手当ですから内閣官房、内閣府が所管をされているんですけれども、こうした給付金制度の窓口は市町村、自治体であります。法制度のはざまで不公平な取扱いを受けてしまう住民と直接対応するのは自治体であります。そうした自治体のためにも、総務省として、問題解決に向けて関係省庁と検討作業に入るべきと私は考えますが、総務省の見解を伺いたいと思います。

田畑副大臣 お答え申し上げます。

 先生、今の子育て世帯臨時特別給付金についての国民の方からの声を引き合いに、今、御質問等をいただいてございました。

 一義的には、所管する省庁におきまして、責任を持って対応されるべきものと認識をしているところでございます。

 なお、総務省として、これは一般論でございますが、給付の主体が市町村となった場合、給付の対象となる方に円滑な給付が行えますよう、実際の業務を行う市町村の意見を十分に踏まえながら検討が進められていくことが重要だというふうに認識をしているところでございます。

道下委員 それぞれから御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 是非、これは結構関係省庁を横断した問題、もちろん、内閣府、内閣官房が児童手当や今回の支援給付金等の所管なので、ここが主体的に問題解決に取り組んでいただきたいと思いますが、私は、そもそも、例えば今回の支援給付金というか児童手当、それから高校の授業料の無償化なども含めて、こうしたものに所得制限をかけること自体が様々な問題の弊害を生んでしまうんじゃないかというふうに思っております。

 もし所得制限をかけるのであれば、一億円の壁と言われる、税負担率が急激に下がる一億円を境にして、所得金額が一億円までの方は、もう全てに、児童手当だとか高校の授業料の無償化の対象にするということを私はすべきだと思う。

 今、このように所得制限をかけると、その分、皆様御承知だと思います、様々な自治体の事務作業が膨大になる。学校だってそうです。それぞれから親の収入について全て出してもらって、そして計算して、高校の授業料の無償化に向けた申請手続をしなきゃいけない。親も学校も自治体もこれは大変なんです。どれだけの時間と税金の無駄か。

 そう考えれば、私は、ちゃんと納めている人にもそれ相応の、みんなと同じサービスが受けられるという意味で、所得制限は撤廃すべきだと強く訴えておきたいというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきますので、宗清政務官、藤原政務官、また、内閣官房、国税庁の皆さん、御退席いただいて結構です。どうもありがとうございました。

 それでは次に、住民基本台帳制度におけるDV等被害者への支援措置について伺いたいというふうに思います。

 それは、皆様に資料をお配りしていると思います。これを見ていただきたいと思うんですけれども、住民基本台帳制度におけるDV等被害者への支援措置、これは、平成十六年七月施行ということで改正されたものでありますが、簡単に、まず、所管する総務省から、この支援措置について端的に、目的と概要について御説明をいただきたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 DV等支援措置は、住民票の写しの交付等の制度を不当に利用してDV等の加害者が被害者の住所を探索することを防止し、被害者の保護を図ることを目的とするものでございます。

 住民基本台帳法十二条の三では、住民票の写しの交付の申出があった場合、市区町村長が当該申出を相当と認めるときに交付をすることができるなどとされておりますが、DV等被害者支援措置におきましては、DV等の加害者から被害者の住民票の写しの交付の申出があった場合に、当該申出を相当と認められないとして、交付をしないことができるなどとしております。

道下委員 こうした支援措置が施行されてきました。

 その中で、この支援措置を利用されて対象となった、支援措置の対象者数というもの、過去三年の数字を伺いたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 住民基本台帳事務における過去三年間の支援措置の対象者数でございますが、各年度の十二月一日時点で、令和元年が十三万七千七百九十六人、令和二年が十五万二十九人、令和三年が十五万七千八百五十九人となっております。

道下委員 過去三年でも、対象者数が本当に増えていますね。申請されて対象となる方が増えているんです。

 じゃ、一方で、過去五年、自治体が誤ってDV被害者等の住所を加害者等に漏えいした件数と、そのうち、自治体の住民基本台帳事務担当窓口から漏えいしてしまった件数について伺いたいと思います。

吉川政府参考人 過去五年間に自治体が誤ってDV等被害者の住所を漏えいしたとして報告を受けております件数はそれぞれ、平成二十九年度が七件、三十年度が十一件、令和元年度が十八件、二年度が九件、三年度が十四件となっております。

 このうち、住民基本台帳に関する事務の中で漏えいした件数は、二十九年度からそれぞれ、四件、九件、七件、七件、四件となっております。

道下委員 今、実際の数字を挙げていただきました。

 漏えいした件数は増えている感じがいたします。また、住民基本台帳の事務の窓口からの件数は横ばいぐらいかなと思いますが、でもゼロにはなっていない状況であります。

 こうした、住所が漏えいしてしまった原因について挙げていただけますでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 自治体が誤ってDV等被害者の住所を加害者等に漏えいした原因といたしましては、受付をした市区町村が、支援措置情報を関係する市区町村に連絡をし忘れたり、支援措置情報の転送を受けた市区町村において、支援対象者の情報が関係部局間で共有されなかったり、また、加害者の依頼を受けた弁護士に対し、支援対象者の住民票の写しを誤って交付したりといったことがあると承知しております。

 総務省におきましては、こうした事例を参考として全国の自治体に共有するなど、漏えい事案の防止に引き続き努めてまいります。

道下委員 様々な原因を述べられました。ヒューマンエラーだったり、関係市町村の間の連携が密でなかったということもあります。

 皆様にお配りした資料の一ページ目を御覧いただきたいというふうに思います。一ページ目の下の方に、住民基本台帳事務処理要領での措置で、2、支援措置の内容ということで、加害者からの請求は閲覧させない、交付しないということ、それから、一番下の、その他の第三者からの申出は、厳格な本人確認、利用目的の厳格な審査を行うということでありますが、ここがなかなか難しいというふうに、支援措置を申し出た対象となっている方や自治体窓口の方からもお話を伺っております。

 例えば、代理人である弁護士だとか、そうした代理人、弁護士を名のる方だとか、本人に成り済ますだとか、若しくは、金を貸しているから連絡を取りたいと言って、虚偽の賃貸借の契約書だとか金銭の貸借表だとか、そういったものを用意して、それを見て渡してしまうこともあり得る。十分気をつけていますけれども、なかなか難しいというお話も伺っております。

 私は、ここにあるような厳格な本人確認だとか書面の審査というのは、もっともっと厳格にする必要があるのではないかというふうに思いますけれども、これについて御答弁をお願いいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 DV等支援措置の対象者に係る住民票等の写しについて第三者からの請求があった場合、加害者による成り済ましや、加害者の代理人である特定事務受任者からの請求である可能性があるというのは、御指摘のとおりでございます。

 総務省といたしましては、こうした請求については、不当な目的があるものとして拒否することが適当と考えておりまして、そういう意味で厳格な本人確認を求めているところでございます。

 具体的には、本人確認書類の提示、加害者の氏名が変更されている場合も想定しまして、住民基本台帳ネットワークの本人確認情報の履歴を利用すること、また、利用の目的について厳格な審査を行うことなどを求めております。

 今後とも、説明会等を含む様々な機会を通しまして、自治体にもそうした事柄についての周知に一層努めてまいりたいと考えております。

道下委員 ヒューマンエラーのみならず、十分注意しても、やはり、いわゆる加害者側から被害者側の今住んでいる現住所を知りたい、あの手この手を使うわけですよ。そうしたことに対して、イタチごっこということで終わらせてはいけないと思いますので、是非情報漏えいが起きないように徹底していただきたい。

 そこで、この問題についての最後なんですけれども、総務省として、今後、再発防止に向けた取組、私はまだまだやれることはあるんじゃないかというふうに思っております。総務大臣から御所見をいただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 DV等被害者支援措置は、DV等被害者の申出に基づき、加害者からの住民票の写し等の交付を制限するものですが、これは被害者の保護の観点から非常に重要な仕組みであります。こうした仕組みを設けているにもかかわらず、一部の市町村において事務処理の誤りが発生していることは非常に残念であります。

 これまでも、全市町村に対し、事務の適正な執行について様々な助言を行ってまいりましたが、引き続き、各市町村においてDV等被害者支援措置が適正に執行され、被害者の保護に万全が期されるよう、今後とも、必要な助言を行ってまいりたいと思います。

道下委員 今、各自治体を含めて、システムの標準化とかを進めております。そうした意味で、こうした点を、システムの標準化、情報漏えいがないように、そうしたところで生かしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、住民票や戸籍に関する付票、そして除票の保存期間について伺いたいと思います。

 資料の四枚目を見ていただきたいと思います。

 実は、土地所有問題への対応など、現在の居住関係の公証につながる過去の居住関係、土地とか不動産ですね、そして昔誰が持っていたのかとかそうしたものが、ある意味、戸籍等によって、これがたどって分かっていたんですけれども、これまでは五年間の保存だったんですね、そうしたものが。

 それが、今回、所有者不明土地の対策を行うことということで、こうした、左下に書いてありますとおり、住民基本台帳法の一部を改正して、除票や、戸籍の付票の除票等を、保存期間をこれまで五年だったものを百五十年にいたしました。

 実は、これによって、二ページ目、見ていただきたいと思いますが、DV等被害者は、支援措置を受けるために、相談機関に相談して、そしてそれを基にして市町村に申し出るんですが、これは毎年毎年、今、制度では一年更新で、一年ずつこの申出をしなきゃいけないんです。嫌なことを思って、加害者の顔を思い出しながら、もう嫌だと思いながらこういう申請をしなきゃいけないんです。

 これが、これまでは、例えば住民票の写しの交付だとか戸籍の付票の写しの交付、これは五年でもうなくなるものだから、五年で終わると思って何とか申請を続けていたんですけれども、これが百五十年に延びてしまったんですね。

 それ以外でも申請し続けなきゃいけない理由はあるんですけれども、それでも、五年間やれば何とか一部は情報漏れがない、情報が知られることがないと思っていたのに、それが百五十年に延びてしまった。DV被害者等は、精神的にもうこれ以上耐えられないということで、申請を諦める人も出てくるということを思います。

 こうした意味で、私は、このようにずっと支援措置の申出をしなければならない、こういうDV被害者の方々のお気持ちを察すると、一年ごとに申請しなきゃいけないということを改善して、例えばこの支援措置の自動更新、今は一年ずつですけれども、それを三年とか五年に延ばすとか、あとは支援措置期間の延長、また除票等への現住所不記載など、こういう支援措置を拡充する必要があるとも考えるんですけれども、見解を伺います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 DV等支援措置につきましては、被害者に係るDV等被害の状況がケースごとに様々に変化し得ることから、期間を一年と定め、申出があれば状況を確認して延長することとしております。

 支援措置の期間についてでございますが、DV等被害者の申出に基づき、住民基本台帳法で認められている住民票の写し等の交付制度の特例的な取扱いを行うものでありますことから、一定の区間を区切って状況等を確認し、適切に対応していくことが必要と考えております。

 また、除票への転出先住所の記載は、住民票の消除の事務処理の経過を明らかにしておくために必要な制度でございます。

道下委員 他の制度と比較して、それで特例でやっているんだという今答弁でございましたし、除票に対して様々な情報をつけ加えていくためには、情報の連続性というか継続性を保つために必要なんだということでありますけれども、それはDV被害者には、私は関係ないことだと思います。所有、土地だとか、そういったことをたどっていくためには必要かもしれません。

 アメリカでは、いわゆる証人保護プログラムだとか、そういう被害を受けた方々の戸籍等を全て変えて保護するという制度まであります。そこまでやれるかどうか、日本では分かりませんけれども、でも、今の住民票や戸籍、この制度においては、いつまでもDV被害者の方々の安心した生活というのは得られないのではないか。毎年毎年申請しなければならないということで、終わりがないんですね。

 こういう状況で暮らしていただく方がいらっしゃるということは、私は、そのまま見て見ぬふりはできません。是非、今、このように保存期間の答弁がありましたけれども、何らかの対策が必要だと思います。

 今回、これまでの質疑、答弁を受けて、総務大臣としてどのようにお考えでしょうか。

金子(恭)国務大臣 御指摘のことにつきましては、今、局長から御答弁させていただきました。

 DV等被害者支援措置は、DV等被害者の申出に基づき、住民基本台帳法で認められている住民票の写し等の交付、閲覧を加害者に対して認めないなどの特例的な取扱いをする制度でございます。

 この支援措置は、DV等被害者の申出により、支援の必要性を確認の上、期間が延長できることとしております。また、除票、すなわち転出等で除かれた住民票についても、交付、閲覧を制限できることとしております。

 更なる特例を設けることについては、関係省庁の御意見もお聞きしながら、DV等被害の実情も踏まえつつ、慎重に議論していく必要があると考えております。

 引き続き、DV等被害者支援措置の適正な執行を通じて被害者の保護がしっかりと図られるよう、総務省としても努めてまいります。

道下委員 総務大臣から、慎重にというお言葉がありました。慎重じゃなくて、是非積極的に御検討いただきたいというふうにお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、阿部弘樹さん。

阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹でございます。

 今日は、郵政グループに対する不祥事案のことについてお伺いいたします。

 私の手元に、過去三年間どのような不祥事があったか、皆様に改めて思い出していただきたいということで、資料がございます。

 まず、案件一、かんぽ不適正募集問題、令和元年から。

 かんぽ生命において、顧客保護上問題となり得る乗換え事案が一定数認められたため、令和元年七月に日本郵政グループは契約調査等を開始。同年十二月に調査結果を公表した。総務省及び金融庁から業務改善命令が提出。令和二年一月に郵政グループは業務改善計画を提出し、以後、同計画に基づいた取組が進捗中である。この結果、日本郵政グループの幹部の入れ替わりが行われ、本日お越しいただきました増田郵政株式会社取締役兼代表執行役社長が就任したということでございます。

 しかし、不祥事は鳴りやまず、収納済切手不適正取扱い事案が起き、そしてまた、ゆうちょ銀行キャッシュレス決済サービスの不正利用事案。これは、令和二年九月にゆうちょ銀行の即時振替サービスで不正利用が発生、また、同時期にデビット・プリペイドカードサービスでも不正ログイン、不正送金が発生。同年十月、総務省から、グループガバナンスの確実な実施について、日本郵政に対して行政指導を実施した。

 そしてまた、金融商品補助簿紛失事案。令和二年十一月、日本郵便及びゆうちょ銀行が、郵便局四局で補助簿所在不明を公表。同社の調査により更なる所在不明のおそれが判明し、同省からは報告徴求命令を発出。令和三年十二月、日本郵政及びゆうちょ銀行は最終的な調査結果及び再発防止策を公表。

 そして、今般、令和三年十月、カレンダー配布問題。日本郵政の業務用カレンダーが局長会活動に流用されたという報道。日本郵便における調査を実施し、同年十一月に、不正な指示を行っていた統括局長九十名を処分。同省から、服務規律の徹底及び日本郵便に対する行政指導を実施。同年十二月、追加調査結果を、行われましたが、これまた調査結果が、途中で打切りということになった。

 そのほか、横領事件も起きていますよ。長崎県の長崎住吉郵便局元局長、七・五億円、愛媛県の深浦郵便局、資金横領二・四億円。

 今度は、全国郵便局長会のカレンダーの政治活動流用問題。外部弁護士が参加した調査委員会では、八億円以上の経費が、八億百八十九万円、五百七万本、三年間、このように流用され、政治目的に利用されたのではないかということが疑われております。

 これについて、見解をお伺いしたいと思います。

 今日は、日本郵政の衣川取締役、日本郵便の社長も兼務してあるということでございますが、どうぞ。手短にお願いします。

衣川参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘の問題でございますが、このカレンダーは、郵便局のお客様に対して配布することとしていたにもかかわらず、全国郵便局長会の指示が、会社業務としてのカレンダー配布に便乗する形で局長会支援者への挨拶をさせようとしたもので、会社として政治活動をしているかのような誤解を生じさせる不適切なものであったと考えており、誠に申し訳なく、お客様に多大な御心配をおかけしましたことを深くおわびを申し上げたいと思います。

 本施策と政治資金規正法の関係につきまして、一部の報道機関から御指摘をいただきましたが、会社として本施策実施を決定し、予算措置を行ったことは、政治活動に関する寄附に該当するものではなく、政治資金規正法に抵触しないと考えているところでございます。

阿部(弘)委員 短めに言ってくださいよ。

 その顧客情報に、郵便貯金の払戻し請求書、かんぽ生命の契約内容から得た情報、そして、ゆうパックのラベルからですよ。

 では、私たちが郵便貯金のあらゆるサービスを利用したら全部、全国の局長会のカレンダー配布、局長会というのは、僕も六年前担当していましたけれども、全国の参議院の候補を出しているじゃないですか。政党は変わりましたけれども、いろいろ変わりましたけれども。こんなことを、個人情報を抜き取られたらたまらぬですよ。

 個人情報保護委員会も、実は総務省とも縁が深い。総務省もしっかり監督してもらわなきゃ困りますよ。大臣、後でお聞きしますけれども。

 何ですか、ゆうちょ銀行に口座を持っておって、払込口座を書いたら、払戻金を書いたら、その名前が政治活動に利用される。かんぽ生命で契約をしたら、その内容が政治活動に利用される。おまけに、テレビCMで一生懸命やっているゆうパックの宛名を書いたら、多分、両方利用されているんですかね。ちょっとお伺いしますが、どうぞ。

衣川参考人 先生御指摘のお客様情報の不適切な取扱いが発生したことは、誠に申し訳なく、お客様に多大な御心配をおかけしましたことを深くおわびを申し上げたいと思います。

 これらはあってはならないことでございまして、私どもとしましても、昨年末、調査を行いまして、関係者に懲戒処分としての注意処分を実施したところでございます。

阿部(弘)委員 懲戒処分のことも聞きましたよ。実は、アンケートに基づいてこのような調査を行われたんですね。

 ですから、アンケートに基づいたものだから、自主的に公表されたものだから、この処分内容が物すごく軽いんですよ。何といいましたかね、その内容を一言で言うと。ちょっとお答えいただけますか。

衣川参考人 先生御指摘の調査につきましては、昨年十二月にアンケート形式による調査を行いまして、その中で、正直に報告した場合には、自らが報告、調査に協力したものとみなし、懲戒の対象となる場合には酌量、減免することがあります、こういう形にしておりまして、いわゆるリーニエンシーの適用を行った上で、懲戒処分としての注意処分を行ったものでございます。

阿部(弘)委員 次に、増田社長にお聞きします。

 何ですか、自分から言ったらこういう処分が軽くなる。しかし、いろいろな聞き取り調査で、あの人もあの人も言っていないじゃないですかというような内部調査もある。

 そもそも、最初に言ったじゃないですか、かんぽの不正募集問題、切手の不適切事案、キャッシュレス決済サービスの不正利用、金融商品の紛失。増田社長は、就任されるときに、こういう不適正な事案については、研修、教育、再発防止を掲げて、こういうことは行わないようにすると。またお正月にも言ってありましたよ、同じようなことを。

 それと、これは本当に問題だと思うんですけれども、このデータをビジネス活用の検討をする会議に御出席ですね。ですが、政治目的に使う、そんなものは、この会議の中でも批判が噴出して、多くの委員の人たちが、論外だと。当たり前ですよね。ビジネスに何にも関係ないじゃないですか。

 そして、個人情報保護法違反に当たるのは明白だと、違反するのが明白だとあなたたちの会議で言っているのに、アンケートで答えたから罪を免じますと。そしてまた、突然調査を打ち切る。

 増田社長、人と相談している場合じゃないでしょう。おかしいじゃないですか、あなたは。お答えください。

増田参考人 お答えを申し上げます。

 今委員から御指摘いただきましたように、かんぽ生命の不適正募集問題から始まりまして、カレンダーなど様々な不祥事案が発覚をしておりまして、こうしたことを私としても大変重く受け止めているところでございます。

 こうしたことを起こさないように、業務改善計画というものを作りまして、その中で、根本原因に対処していくということで、グループで今、取組を進めております。総務省の方にもこうした業務改善計画の内容について御相談をしつつ、さらに、足らざるところはまたきちんと補って、取組を進めているところでございます。

 今委員がお話しになったビジネス等々の会議というのは、実は、恐らくおっしゃっているものは私どもは出席をしておりませんで、ほかの、総務省の方でおつくりになっている会議のことかとは思いますが、いずれにしても、情報について目的外に使用されるということはあってはならないという、これは大変重たい事案でございますので、今後そうしたことが起こらないように、更に研修等々にも励んで、そして取組を進めていく、このように考えております。

阿部(弘)委員 郵政グループは四十万人以上の皆さんが働いていらっしゃるから、何らかの不祥事が起きるのは、そうなのかもしれません。

 しかし、毎年毎年新聞紙面、マスコミをにぎわすような不祥事が起きていて、社長がそのように再発防止に取り組みますと予算委員会やあるいは分科会でお話しになっても、オオカミ少年のようにしか聞こえないんですね。実際にそういうことをしっかり取り組んでいただきたい。

 個人情報の扱いについては、次の法案でも重要なテーマでございますから。顧客データ千六百人余り、こういうデータが、そして、カレンダー配布も八億円。これは選挙違反じゃないですか、そもそも。

 大臣、ちょっとお答えいただきたいと思います。違法性の有無について、御認識を伺いたい。

金子(恭)国務大臣 違法性の問題につきましては、個別の事案については、具体的な事実関係に即して判断されるべきものであり、お答えを差し控えさせていただきますが……(発言する者あり)

赤羽委員長 御静粛に。

金子(恭)国務大臣 今、阿部委員から厳しい御意見を賜っております。

 郵便局は地域の重要な生活インフラであり、国民からの信頼が必要不可欠でありますが、阿部委員御指摘の事案も含めて、昨年来、日本郵政グループにおいて不祥事が続いており、郵政事業に対する疑念を招く結果となっていることは遺憾であります。

 総務省としましては、これまで、監督官庁として、行政指導などの必要な対応を速やかに行い、日本郵政グループに対して原因究明や再発防止策の徹底等を求めてまいりました。引き続き、同社の取組状況について密にフォローアップを行うなど、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

 さらに、総務省の監督体制を強化するため、本年二月に、専門家の助言を得つつ、日本郵政グループにおけるガバナンスやコンプライアンスなどの状況についてモニタリングを的確に進めることを目的とした、郵政行政モニタリング会合を設置いたしました。本会合における議論も踏まえながら、郵政事業に対する信頼回復に向けて、総務省としてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

阿部(弘)委員 これで終わりますが、郵政事業というのは、国民生活にとって、特に離島や僻地などでは本当に大切な公共サービスだという認識でございます。頼りにしています、国民は。

 しかし、その一方で、横領や不正事件が起きることが非常に残念でございますので、大臣、是非ともよろしくお願いしまして、社長の皆さん方もよろしくお願いしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、沢田良さん。

沢田委員 日本維新の会、埼玉の沢田良です。

 私は、新しい社会保障の基幹インフラになり得るマイナンバーの活用を国を挙げてスピーディーに広げていってほしいと強く考えておる一人です。

 本日は、マイナ保険証について三度目の質問となりますが、マイナ保険証を使ったら医療費が増えたという、今後生まれる事実は大きな禍根につながると危機感を持っております。

 金子総務大臣、厚生労働省より島村政務官、関係省庁の皆様、委員部の皆様、よろしくお願いいたします。

 最初の質問です。

 二〇一三年、マイナンバー法が制定された際に様々な議論があったと思いますが、マイナンバーカードの義務化が法律上規定されませんでした。義務化という選択肢も当然あったと思われますが、なぜ義務化とならなかったのでしょうか。政府の御認識を教えてください。

内山政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードの取得については、本人の意思で申請するものでありまして、国民の皆様に取得義務は課されておらず、取得を強制するものにはなってございません。

 マイナンバー制度において、行政機関等が本人からマイナンバーの提供を受ける際に、成り済まし防止の観点から厳格な本人確認を義務づけているところでございますけれども、この本人確認を簡易に行うため、本人のマイナンバーを証明するものとしてマイナンバーカードを交付するものでございまして、マイナンバーカードには本人の顔写真が不可欠となってございます。

 カードに顔写真を表示するためには、カードを交付する市町村の窓口において本人確認をする必要があることから、その取得を義務化せず、申請によることとしたということでございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 いろいろな技術的なことは当然あるんですが、政治的な動きは、角度を変えると、いろいろなところでも出ていました。

 例えば、東京弁護士会などからは、この番号をマスターキーとして、多くの分野の個人情報が芋づる式に名寄せ、統合され得ることになり、個人のプライバシーが大きく侵害されかねないと反対されたのを思い出します。

 義務化としなかったことにおいては、政治的な流れの中で、個人情報というものに対して、政府に対する信頼、これがどれほどあるかというものを、私は、政府としてはしっかり認めさせられなかったということだというふうに考えております。

 ちなみになんですけれども、このマイナ保険証の義務化や、マイナ保険証に対応した医療機関の設備、これの導入を義務化することができないのは、そもそもマイナンバーカードが義務化されていないからという認識で正しいでしょうか、教えてください。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今の委員の御質問は、医療機関に対して、オンライン資格確認に必要なシステムの整備などについて義務化できないかということかと理解させていただきます。

 医療機関におきましては、今申し上げましたように、これを実際に行うには、やはりカードリーダーの設置と、それからシステム改修といったことが必要となってまいります。

 実際に体制整備を進めていただいております医療機関等におきましては、やはり医療機関等の種別あるいは規模、対象とする患者さん方の構成、あるいはそれまでのICT化の状況とか職員のITリテラシーなどによっても、実際に要する費用負担、あるいは導入に向けた課題といったものが、状況がかなり異なってございます。

 こういった体制整備に向けた対応方策につきましては、今御意見をいただきましたように、義務化をするという考え方も一つあるかとは思いますけれども、今申し上げましたような現場の実情を考慮いたしますと、個別の状況を勘案せずに一律に体制整備を義務づけるということに対しては、関係の皆様の理解と協力を得るということはなかなか難しいのではないかというふうに考えてございます。

 このため、私ども厚生労働省といたしましては、これまで、医療機関等における導入のメリットをよく周知いたしながら、医療情報化支援基金を通じまして、顔認証つきカードリーダーの無償提供、あるいはパソコン等の機器の導入やネットワーク環境の整備等に対する補助を行って、その普及に努めてきているところでございます。

 またさらに、現在、来年三月末までにおおむね全ての医療機関等で導入するという大きな目標を掲げてございますので、これまで議論をいただきました診療報酬での評価に加えまして、医療関係団体に推進協議会を新たに設置していただいたり、あるいはそれぞれの医療機関等の状況や種別などの特性に応じた導入支援、働きかけの強化といった対応も新たに行ってきているところでございます。

沢田委員 ということは、マイナンバーカードが義務化になっていなくても、医療機関に対しては義務化をするということはできるということですか、今の御答弁ですと。

榎本政府参考人 今御答弁申し上げましたように、医療機関の現場の実情というのはやはり種々ございます。そういった中で、個別の状況を勘案せずに一律に体制整備を義務づけるということについては、なかなか関係者の理解、協力というのは得られにくいのではないかということでございます。

沢田委員 理解を得られる、得られないということよりも、今おっしゃったことは、できるということと私は捉えさせていただきますので。

 一応、やはり考えなければいけないことは、義務化されていたら、マイナポイント第一弾の約三千億円、マイナポイント第二弾約一・八兆円、合わせて二・一兆円もの多くの税金を使う必要もなく、この予算を使って医療側、役所側のインフラを整えていたら、とっくに、今ではマイナ保険証がどこの医療機関でも使えている、より質の高い医療につながっている。こういう未来もあったということを考えると、政治の決断、判断によっては、これは大変大きなお金が動いていくということを、やはり国民の皆様にももう一度考えていただかなければいけないなというふうに思っている部分でもあります。

 ちなみに、今回、診療報酬を加算するというふうになったこの診療報酬改定、どのように行われているのか、簡単に教えてください。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 診療報酬改定につきましては、通常、改定が行われる前年の年末の予算編成を通じまして内閣が決定した改定率を所与の前提として、社会保障審議会において策定されます診療報酬改定の基本方針に基づいて行うということとしております。

 その中で、中央社会保険医療協議会、いわゆる中医協でございますけれども、通常、改定が行われます前年から、入院、外来などテーマごとに現状の課題などの議論を重ねた上で、改定が行われます年の年明け頃に、具体的な診療報酬点数の設定等について、社会保険医療協議会法に基づいて、厚生労働大臣の諮問に応じ、審議、答申をいただいているという状況でございます。

 以上でございます。

沢田委員 今回のマイナ保険証利用における診療報酬の加算については、これは総務省、デジタル庁、厚生労働省一体となりマイナンバーカード普及を目指しているタイミングでもありまして、マイナンバーカード普及や保険証、公金受取口座とのひもづけが進めば、国民の皆様により質の高い環境を整えられるだけでなく、給付金の支給などが迅速に行えたり、役所側の負担が減るというメリット、さらには、患者さんが個人情報開示という付加価値を医師側に提供することで、医師、医療機関、保険財政、医療費にまでメリットを与えるという視点も必要と考えますと、かなり複雑かつ大きな視点での検証や議論が必要だったと考えますが、今回の加算について、中医協はどのような立場で話し合われたのでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 中医協におきましては、診療報酬の在り方について、いろいろと現状なり、あるいは今後の現状を踏まえた課題といったところを整理していただく形になってございます。

 このため、先ほどもちょっと御紹介いたしましたが、改定が行われる前の年から、入院、外来など幾つかテーマを設定いたしまして、それごとに議論を重ねていただいて、整理をしていく。そして、実際の改定率の決定を踏まえまして、具体的な点数づけを行っていくという流れになってございます。

沢田委員 要は、今回のマイナ保険証による診療報酬加算の決定は、基本的には、患者さんの対価を決めるのが前提となっている。患者さんの恩恵ばかりがよりクローズアップされた上で議論された結果にすぎないということに私は感じます。

 患者さんが個人情報開示という付加価値を医師側に提供することで、医師、医療機関のコストが落ちるだけでなく、つながる医療情報を使えば、より質の高い、より正確な治療につながり、健康、平均寿命が延びればこそ、保険財政、医療費削減にメリットを与えるという考察など、本来、厚生労働省として議論すべき要素が全て入っていないというふうに感じております。

 中医協は、支払い側七名、診療側七名、公益委員六名の計二十名で構成されているものであり、厚生労働大臣の諮問機関ともなります。

 島村政務官に今日来ていただいているんですけれども、これは加算の前に、厚生労働大臣がリーダーシップを取り、今のような入っていない議論ももう一度しなければいけないのではないのかなというふうに考えますが、どうでしょう。

島村大臣政務官 ありがとうございます。

 委員と同じように、私ども厚労省といたしましては、マイナンバーカード、それから保険証をマイナンバーカードとして使える、これを普及促進させていただくことは委員と同じ気持ちでございます。

 今回は、診療報酬改定でマイナンバーカードを健康保険として使えるようにオンライン資格確認を導入させていただきまして、今委員からもお話ありましたように、外来で患者さんの同意を受けた上で、過去の患者さんの薬剤情報、特定健診等の情報を活用し診療が行われた場合に、今回、初診料等の新たな加算を評価させていただきました。

 私も医療人として、いわゆる過去の薬剤情報、それから特定健診の結果等が、特に初診等にこの情報があれば、質の高い、そして患者さんによりよい医療が提供できるということは、私も現場の一人として、これは非常に痛感しております。

 ですから、今回は、医療機関等にも普及を促進させるために、先ほど政府からもお話ありましたように、医療機関に対しても確かに補助とかはしておりますが、これは導入だけの補助でございます。ランニングコスト等は入っておりませんので、これらに関しましてしっかりと、更に医療機関が導入を進めていただけるような協議会、医療関係にも推進医療協議会、そしてベンダーにも、システム業者に対しての促進協議会をつくりまして、マイナンバーカードの保険利用の促進に関して、国民への更なる普及啓発と医療機関等の導入の双方の、車の両輪として考えることを進めてまいりたいと思っておりますので、御理解していただきたいと思います。

 以上です。

沢田委員 今回の個人情報の重要性を重たく考えるという方向での、マイナンバーカード普及の、義務化していないという今の流れなんですけれども、普及させたくない、不安だという声が一定数あるという状況で、この中で今回のような決定がマイナスのようにマイナスのように捉えられてしまっている、そういう傾向をやはり私は強く感じると思います。

 実際に、一番問題なのは、せっかく設備の側にしっかりと一〇〇%の導入を促しても、使う側が、やはり不安だとか不信感があるということで使わないというふうになってしまったら、結果として、医療側にも二重のコストをずっとお願いしてしまう形になってしまうと思います。

 もし厚労省だけでは動けないということもありましたら、最後、ちょっと総務大臣にもお願いしたいのが、やはり内閣一体になって、このマイナスの部分を補うような対策を今後も考えていただけるという、ちょっと一言いただけないでしょうか。

金子(恭)国務大臣 沢田委員おっしゃるとおりだと思います。

 マイナンバーカードのメリットというのはよく、今も言及されておりますし、必要なことであると思います。

 そういう意味では、まずは診療報酬制度を所管する厚生労働省において、国民の皆様に御理解をいただく努力をしていただく。また、マイナンバーカードの企画立案を一元的に担い、普及を強力に推進する立場にあるデジタル庁においても適切に取り組んでいただき、そして、総務省も含めて、関係省庁が一つになって、一丸となって、マイナンバーカードのメリットをしっかりと国民に知らしめて、そして、皆さん方が安心をしてマイナンバーカードを取得していただけるように努力をしてまいりたいと思います。

沢田委員 大臣、ありがとうございました。

 では、以上とさせていただきます。失礼いたします。

赤羽委員長 次に、守島正さん。

守島委員 維新の会、守島です。

 少し時間をいただきまして、一月前の三月二十二日に元地方制度調査会の会長で東大名誉教授の西尾勝氏が御逝去されたことを踏まえた質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 西尾先生は、行政学者として、第一次地方分権改革を始め、今の行政機構における多くの礎を築いてくれたと思っています。そして、第三十次地制調の会長を務める中で、自治体の抱える諸課題というのを指摘しつつ、地方制度の在り方など多くの答申を出していただき、この行政分野に計り知れない貢献をしてくれたと思っています。

 私選出の大阪においても、大都市が抱える諸問題に対するアプローチの方法として、地制調で提示された特区制度の議論であったり住民投票を経ましたが、その成否や賛否は別として、地方自治の在り方を模索してきた立場としては、本当に惜別の念に堪えません。

 加えて、私の社会人大学院時代の恩師が、最近、大阪市立大学という名称から大阪公立大学という名称に変わったんですけれども、その大学院の五石准教授という方が恩師でございまして、その先生が東京市政調査会、今の後藤・安田記念東京都市研究所において西尾先生が理事長を務めていた時代の部下だったということもありまして、私自身、その影響もあって、結構西尾先生の論文を読ませていただいたり、修士論文の参考としてたくさん引用もさせていただいて、本当にお世話になり、尊敬している先生でございます。

 その先生が生前、未完の分権改革という言葉を使って、残されている課題と挙げられたものがたくさんありまして、その中でも最優先される課題は、地方財政秩序の再構築とされていました。

 具体的には、税源に関して国と地方の比率を一対一にするところまでは継続すべきだったという目標を示されていまして、その点は、大臣、この委員会でも僕も言っていた、地方の声として取り上げていた次第ですけれども、現状は、国と地方の歳入と歳出においてはアンバランスというか逆転現象があって、その逆転現象を交付税とか補助負担金で国から地方へ財政移転して埋めているというのが現状です。

 こうした西尾先生が最優先されると指摘された税源移譲に関して、政府としての考えを大臣の口から聞かせていただければと思いますので、よろしくお願いします。

金子(恭)国務大臣 ただいま西尾勝先生の御功績について御紹介いただきましたが、西尾先生には、総務省としても長きにわたり様々な御指導をいただいてまいりました。これまでの先生の御功績に敬意を表するとともに、心から御冥福をお祈り申し上げます。

 御質問の地方税の充実に関しては、これまでも、所得税から個人住民税への三兆円の税源移譲、地方消費税の拡充などに取り組んでまいりました。

 国、地方の税源配分については、国、地方とも厳しい財政状況にあることや、地方団体間の財政力格差などへの配慮も必要と考えております。

 いずれにしても、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築に取り組むとともに、地方の行政サービスをできる限り地方税で賄うことができるよう、地方税の充実確保に努めてまいります。

守島委員 済みません、もう時間がないとされたので。もう一問だけ質問したいと思っているんですけれども。本当に、しっかり地方税改革をお願いしたいと思います。

 西尾先生は、特に問題なのは国庫補助負担金の使い勝手の悪さということも指摘されていまして、この点はちょっと今後の総務委員会でも僕も質問していきたいと思いますので、割愛させてもらいます。

 とはいいつつ、地方税改革をするべきだと指摘はあるものの、西尾先生は、生前、最後の方の講演では、実際に分権改革というのは難しくて、成功するかどうかはひとえにその時代の時流に乗った政治課題かどうかという話を二〇二〇年の年末の講演でされておりまして、そのハードルの高さと実際に時流をつかむことの重要性というのを説いておられました。

 ということは、西尾先生が残された課題というのは……

赤羽委員長 守島さん、時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

守島委員 はい、すぐ終わります。

 政治の、我々、今の政治家の課題であるというふうに思っていますが、今後の地方制度をどのように見直していくのか、国と地方の在り方を、是非考えを教えてください。お願いします。

赤羽委員長 田畑総務副大臣、簡潔にお願いいたします。

田畑副大臣 お答え申し上げます。

 地方制度の在り方につきまして、これまでも、地方制度調査会等において検討が行われ、その時々の時代の要請に応じた制度の見直しが行われてきたものと認識をしてございます。

 先般発足いたしました第三十三次地方制度調査会におきまして、岸田総理より、社会全体のDXの進展、また、新型コロナウイルス感染症対応で直面した課題等を踏まえ、ポストコロナの経済社会に的確に対応する観点から、国と地方自治体及び地方自治体相互間の関係などについて諮問があったところでございます。

 今後、調査会において、具体的な審議事項については決定するものと承知をしてございます。

 総務省としても、有意義な議論が行われるよう取り組んでまいりたいと思います。

 以上です。

守島委員 ありがとうございます。

 時間を超過して済みません。

 やはり、最後は政治家……

赤羽委員長 もう終わりにしてください。

守島委員 はい。

 よろしくお願いします。

赤羽委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 地域の公共を担ってきた、そして、住民にとって大変、一番身近な存在である自治会の現状についてお伺いをしたいと思います。

 我が国の地域社会のコミュニティーの力が大変弱体化しているということが指摘をされてもう大分久しいわけでございますけれども、このコロナ禍で、より一層その機能の低下に拍車がかかり、その対策が急務であると考えております。

 昨年総務省が実施をされました、自治会、地域によっては町内会という呼び方もございますけれども、自治会の現状に対する調査結果の概要について御説明をいただきたいということと、もう一点は、現下の加入率の低下の原因をどのように分析をされているかということを併せてお尋ねをいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、昨年七月に、自治会等の加入率などについて、全国の市区町村に対しその実態調査を実施いたしました。

 令和二年度までの十年間の加入率を把握しておりました六百の市区町村の平均加入率の推移は、平成二十二年度に七八%であったものが令和二年度では七一・七%となっており、六・三ポイントの低下となっております。

 また、令和二年度の平均加入率につきましては、人口一万人未満の市区町村は九割近い状況となっておりますが、指定都市を除く人口五十万以上の市区町村では六割に満たないという状況でございます。

 加入率の低下の要因につきましては、複合的なものがあると考えられますが、先般取りまとめられました地域コミュニティに関する研究会の報告書におきまして、単身世帯や高齢者雇用の増加などによって時間が取れなくなっていることや、自治会等の活動や運営方法が今の時代に必ずしもマッチしていないことも要因として指摘されております。

西岡委員 ありがとうございます。

 今数字でお示しをいただいたわけでございますけれども、年々、自治会への加入率が低下をして、もう実際には自治会を解散するということが全国各地で起きております。

 私の地元長崎市においても既に自治会が解散をしているということが、大変深刻な、地域のコミュニティーの力が弱体化しているということについては、私も大変危機感を持っているわけでございますけれども、このように低下をし、解散を余儀なくされる自治会も増加する中で、市区町村においては、加入促進や活動の活性化、また、自治会役員に占める女性の割合など、条例を制定をしたり計画を策定をしたりする取組が進んでおります。その現状について、総務省より御説明をお願いいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 昨年実施いたしました調査では、六百九十九の市区町村が、条例や計画等において、目標となる加入率など、市区町村が自治会等に対して期待する方向性を定めております。

 六百九十九市区町村のうち、条例や計画等に、自治会等に期待する方向性といたしまして、加入率を定めているのが百九十の市区町村、女性役員の割合を定めているのが百四、自治会活動に参加する住民の割合を定めているのが九十八、加入世帯数又は加入者数を定めているのが九十の市区町村などとなっております。

 なお、先ほど申し上げました研究会の報告書では、加入促進に関しては、目標を条例や計画等に定めることにとどまらず、自治会の活動実態を踏まえた具体的な周知活動などを積極的に行うことが必要とされております。

西岡委員 様々、地域によっては、自治体が条例制定をしたり、今御説明のあったような計画を策定し、目標を策定したりという取組が進んでいるわけでございますけれども、自治会については、権利能力なき社団、任意団体という位置づけもございまして、なかなか強制力がないという中で、低下をした加入率を上げていくということはいろいろなハードルが大変高いというふうに思っております。

 この自治会の果たす役割というのは、私は、大変、今様々な面から重要になっているというふうに思いますけれども、人口減少、少子高齢化、様々な要因の中で、地域のコミュニティーの弱体化について、総務大臣としての御見解というのをお伺いをしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 ただいま、自治会の果たす役割の重要性について御指摘をいただきました。

 自治会などのコミュニティー組織は、地域における共助の担い手として重要な役割を担っております。一方で、自治会などの加入率の低下、担い手不足などの課題がある中で、防災、高齢者、子供の見守り、居場所づくりなど、新たなニーズへの対応が必要となっております。

 こうした中、先ほど局長からもお答えいたしましたが、昨年七月から、総務省において、地域コミュニティに関する研究会を開催をし、地域活動のデジタル化や地域コミュニティーの様々な主体間の連携などについて、先般、報告書を取りまとめていただきました。

 総務省としては、本研究会の議論の成果を様々な手法で広く周知をし、各自治体における施策の実施及び地域コミュニティーでの実践につなげ、今後とも、自治会活動の強化に向けた取組が進められるよう、しっかりと取り組んでまいります。

西岡委員 大臣、ありがとうございます。

 今大臣から、自治会におけるデジタル化の取組という御紹介もございましたけれども、様々、自治会によっては工夫をし、取組を進めていただいております。

 例えば、地元の協力店で買物をすればポイントがたまる特典つきの自治会カードを発行しているところもございますし、鹿児島においては、高校生が自ら手を挙げて町内会長になっているという事例もございます。この高校生については、地域に貢献をしたいということの中で、SNSを活用して、新しい町内会の形というのを模索していきたいということをおっしゃっているという報道を目にしまして、大変心強い思いでございました。

 また、ウェブでの自治会を開催をしているところもございます。また、インターネットを利用した回覧板、特に、このコロナ禍で一堂に集まるということが大変難しいという中では、このインターネットを活用する取組というものは大変有意義だと思いますし、特に、世代を超えて利用者が多いLINEを使った、災害時の避難情報を共有しているところもございますし、会費をもうオンライン上で払えるという体制を整えているところもございますが、まだまだ一部の取組というふうになっておりますので、これから様々な取組が、先進的な取組の横展開というものも大変必要だというふうに思います。

 続きましての質問でございますけれども、今大臣からもございましたような、様々な御提言の中で今後取組を進めていただくわけでございますけれども、既に、なかなか、地域を自治会単独で支えるということはもう難しい状況の中で、地域の様々な各種団体が一体としてネットワークを強化して、一体として地域を支える、長崎においては名称は地域コミュニティ連絡協議会という名称でございますけれども、各地で名称は異なるというふうに思いますが、このような協議会を設立する取組が各地で進んでおります。

 ただ、地域のこれまでの活動の濃淡とか、それぞれの団体の関係性が地域ごとに違いますので、なかなか協議会が立ち上げられない地域もございますし、数年をかけてやっと協議会が立ち上がった地域もございます。その意味では、この連携の取組が、地域で大変格差が生じてきているという実態があります。

 先ほど大臣がおっしゃいましたように、新たなニーズというものが地域で生まれておりまして、例えば、孤独・孤立対策、ヤングケアラー対策の面からも、地域で安心、安全に子供たちを見守っていくことや、高齢者の皆様をしっかり見守っていき、交流を続けていくということが大変重要でございますし、防災・減災の対策からも大変重要な取組だと思っております。

 このように、地域で大変格差が生じている状況について、また、国としても一層の支援が必要だというふうに思っておりますけれども、総務大臣の御見解をお伺いをいたします。

金子(恭)国務大臣 西岡委員御指摘のとおり、地域において住民に必要なサービスを確保するに当たっては、行政の取組だけではなく、市町村が自治会やNPO、企業等と連携して取り組んでいくことが重要であると考えております。

 こうした考え方の下、総務省においては、自治会等の地域でのつながりを基盤として、多様な担い手による声かけ、見守りや買物支援などの共助活動を実践する、いわゆる地域運営組織の形成や運営に対して地方財政措置を講じてきております。

 さらに、令和四年度からは、孤独・孤立対策として、地域運営組織の取組に対して市町村が支援できるよう、登下校時の見守りや子供食堂等の居場所づくり、交流の場の確保等に要する経費について、地方財政措置を講じることとしております。また、消防団、自主防災組織等の連携を後押しするなど、防災・減災対策の強化にも取り組んでおります。

 総務省としては、引き続き、市町村が、地域の状況に応じ、多様な団体が連携をし、コミュニティー組織の形成、持続的な運営に向けた取組が進められるよう、必要な支援を講じてまいります。

西岡委員 大臣、ありがとうございます。

 令和四年度から、新しいニーズへの対応というお取組も地方財政措置が取られているということは大変有意義なことだと思いますし、様々また、これからも課題が山積をいたしております。特に、自治会がなくなりますと広報誌が届かないという中で、いわゆる今デジタル社会の中で、誰一人取り残さない、デジタルデバイドのことが大変大きな課題でございますけれども、自治会がなくなることによって情報が得られない特に高齢者の方々、このような方々にしっかり情報を伝えていくという取組は大変重要だと思いますので、引き続き総務省としてもしっかり、大臣としてもお取組を引き続きお願いをしたいというふうに思っております。

 時間が限られておりますので、最後の質問となります。

 学校司書の雇用状況について質問させていただきます。

 新学習指導要領で示されました、主体的、対話的、深い学びの実現に向けて、学校図書館の果たすべき役割というものがますます重要となっております。

 第六次学校図書館整備等五か年計画によりますと、小中学校等のおおむね一・三校に一名を配置を目指し、地方財政措置が講じられております。

 ただ、使途を特定をしない一般財源であるために、自治体の取組によって大変格差が生じております。当然、自治体がその使途については決定するということはもう大前提として十分承知しながら、この学校図書館の大変な重要性を鑑みまして、適切な予算措置について国として方向性を示す必要があるのではないかと考えますが、文部科学省の御見解をお伺いをいたします。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 学校図書館の図書整備等につきましては、学校司書の配置拡充、また学校図書館図書標準の達成、また計画的な図書の更新、新聞の複数配置、こういったことが図られるよう、令和四年度から八年度までの五か年計画を策定しまして、五年間で二千四百億円の地方財政措置が講じられているところでございます。

 御指摘のありました図書館の現状に関する調査におきましても、都道府県別の整備状況には格差が生じているということは御指摘のとおりでございます。

 一方で、詳細に分析しますと、学校司書の配置が進んでいるところは図書の達成率も高い、また図書の購入冊数も多い、そういった傾向もございます。

 こうしたことも踏まえまして、文部科学省としては、新たに、学校図書館の活用、また学校司書の配置を促すモデル事業、こういったものを取り組んでいきたいと思っております。

 また、各自治体の方の必要な予算措置のことでございますけれども、先ほどありましたように、新しい学習指導要領において、対話的な学び、これは先哲の考え方、これは本との対話ということになりますが、そういったことを通じて自分の考え方を広げていく、こういったことが重要だということが示されておりますので、そういったことをしっかりと各自治体において共有していただいて、必要な予算措置が講じられますよう、学校司書の、図書館の役割の重要性も踏まえまして、五か年計画の重要性について周知してまいりたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 残り、もう時間がございませんので、要望という形でお伝えをさせていただきたいと思いますけれども、読書バリアフリー法の法案が成立をしておりますので、特別支援学校における配置についてもしっかり拡充をしていただきたいということをお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 今日は、あさってに認定申請の期限が迫るIR、カジノについて質問をいたします。

 IR、カジノをめぐっては、私の地元大阪府、和歌山県、そして長崎県が認定申請を目指してきましたけれども、御承知のとおり、和歌山県議会は四月二十日の本会議で整備計画を否決し、事実上頓挫をいたしました。

 これを受けて、仁坂吉伸和歌山県知事は、ひょっとしたら二次募集があるかもしれないから、またチャレンジしたらいいと語ったと聞いておりますけれども、四月二十八日が過ぎた後、二次募集というようなものを予定しているのかどうか、国土交通省、IR事務局からお答えいただけますか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 IR整備法では、国土交通大臣は三を上限として区域整備計画を認定することができることとされておりますが、審査の結果、認定数が上限に満たない場合の取扱いについては、現段階では決まっておりません。

宮本(岳)委員 政令では、四月の二十八日までに認定申請を、こうなっております。これが過ぎれば、新たな政令で定めない限り、二次募集などあり得ないと思います。

 我が党は、そもそも民間賭博であるIR、カジノは一か所もつくるべきではないと考えてまいりました。しかし、今回の和歌山の頓挫で、残るは大阪と長崎という二か所となりました。

 聞きますけれども、認定区域整備計画の上限数は三とされておりますけれども、これは法律上必ず三つ認定しなければならないということですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 IR整備法第九条第十一項第七号では、認定区域整備計画の数が三を超えないこととされているところでございます。この上限の範囲内で、外部有識者から成る審査委員会において厳正な審査を行い、その結果を踏まえ、優れた計画を認定することになります。

 なお、具体的な認定数につきましては、審査の結果にもよりますし、先ほど御答弁申し上げたとおり、認定数が上限に満たない場合の取扱いについても決まっていないことから、現段階で申し上げることは困難でございます。

宮本(岳)委員 つまらぬ答弁なんですね。

 超えないこととされているんですから、三つまで別に決めなくてもいいわけです。二つでもいいし、一つでも、さらにはゼロでもいいという法律になっております。

 そこで、大阪府の計画であります。

 資料一を見ていただきたい。昨日の大阪日日新聞の記事であります。一面です、赤線部。

 大阪府と大阪市が二十八日までに国に認定申請をするIRの区域整備計画は、人工島夢洲の液状化対策を事業実現に向けた主な課題と位置づけた。放置すれば巨大地震などで人命に被害を与えるおそれがあるため、市は巨額の対策費の負担を決定。防災対策は国の審査項目に含まれており、認定判断の重要な要素になりそうだとございます。

 国土交通省、この記事にあるように、防災対策は認定判断の重要な要素になるんですね。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 区域整備計画の審査基準などにつきましては、政府のIR推進本部が決定いたしましたIR整備のための基本的な方針において定められております。この方針の中で、三という上限の範囲内で優れた計画を認定するための基準、いわゆる評価基準が定められているところでございます。

 御指摘の防災・減災対策につきましては、この評価基準の一つとして位置づけられているところでございます。審査に際しましては、防災・減災のための取組や災害発生時における来訪者への情報提供、救援物資の提供などについて評価することとなります。

宮本(岳)委員 資料一の記事の二段目では、大阪市は約四百十億円を負担して液状化対策工事をし、事業者側に土地を引き渡す予定となっております。

 資料二を見ていただきたい。

 情報公開請求に対して大阪市が公開した「土地課題(汚染残土・汚泥処理、液状化対策、地中埋設物撤去)について」と題した、昨年十二月七日付の大阪市IR推進局の資料であります。

 市概算負担額として、上から二段目、液状化対策に記事のとおりの約四百十億円、上段、残土・汚泥処理で約三百六十億円、三段目、地中埋設物撤去に約二十億円。総合計で、市概算負担額は七百九十億円に及びます。

 残土・汚泥処理も地中埋設物の撤去も、土壌汚染対策法等によって処理が義務づけられたものであり、これも審査の基準となるものだと思いますが、間違いないですね。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 国は、自治体の区域整備計画について認定の可否を判断する立場にあり、個別の自治体の動向についてコメントすることは従来より差し控えさせていただいております。

 その上で申し上げますと、IR整備法に基づく基本的な方針におきましては、御指摘のような土地に関する具体的な対策を確認しなければならないと直接的に明示されているわけではありません。

 一方で、先ほど答弁申し上げた防災・減災対策のほか、IR施設を確実に設置できる根拠について妥当性が認められるものでなければならないとの基準などもございまして、これらの基準などの確認に際し、必要があれば、御指摘のような土地に対する対策についても確認することとなると考えております。

宮本(岳)委員 最後だけでいいんですよ。当然そのことも確認することになる、こう答弁していただきたかったんですけれどもね。

 さて、それで、この七百九十億円を誰がどのように負担するかが大問題になったわけです。港営事業会計で、この七百九十億円、これで処理をすることになりました。

 自治財政局長に聞きます。

 大阪市の港営事業会計において、資産合計額、流動資産額、現金、預金額は幾らになっておりますか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の大阪市の港営事業会計のうち、宅地造成事業特別会計の令和二年度決算におきましては、資産合計額は二千二百八十億円、流動資産額は百七十三億円、現金、預金額は二億円となっております。

宮本(岳)委員 資産規模は二千二百八十億円とはいうものの、流動資産は百七十三億円、現金に至っては僅か二億円であります。これでどうやって七百九十億円も払うのか、非常に不思議に思うんですけれども。

 そこで、資料三。

 これも情報公開請求に基づいて大阪市が開示した、昨年六月二十九日に、松井一郎大阪市長以下、IR推進局や港湾局、財政局の幹部らで開催された、IR区域の液状化対策についてという議題のついた会議の議事要旨を見ていただきたいと思います。

 まず、市長が、液状化が生じる土地で、事業者が建設したい施設を建てられない、延べ床面積を増やせないなら、そもそも土地の賃貸借契約が成り立たない、大阪市としてIR誘致を決定した以上、その施設が成り立つ土地を提供することが市の責務であると切り出すと、港湾局は、夢洲で既に売却した物流用地との公平性が保てず住民訴訟で敗訴するリスクがあると激しく抵抗しております。

 これには背景がありまして、そもそも、大阪市は、夢洲に関して、粘性土を主成分とするしゅんせつ土で埋立てされており、液状化しにくいという見解を繰り返し市議会でも答弁してきたからです。

 松井市長が、事業者から相応の賃料をもらう以上、土地所有者としての責任は免れない、ただ、港湾事業も市民にとって欠かせないものなので、港営会計が破綻しないよう、一般会計が支えていくことは当然必要と言うと、財政局がすかさず、IRに関する費用を一般会計で負担することはできないと拒否をして、そして、朝川副市長が、一般会計としてIR事業支援はできない、あくまで港営会計を支えることの整理になろうかと思うと仕切り、市長も追認をしております。こうして七百九十億円全てを、先ほど申し上げた港営事業会計で負担することになりました。

 しかし、今度は公営ですが、公営企業会計に押しつけておいて、破綻しそうになったら一般会計で支えることを内々で取り決めた上で、これはIRに支出するのではない、港営事業を支えるだけだなどというのは、粉飾まがいのまやかしだと言わざるを得ません。

 この大阪市の港営事業会計は宅地造成事業会計でありますけれども、一般的に、このような会計が借金をした場合、最終的に返済義務を負うのは誰になりますか、自治財政局。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまでも一般論ということにはなりますが、事業会計において地方債が起債された場合、当該地方債の返済義務そのものは、当該事業会計、最終的にはそれを設けた地方公共団体が負うこととなります。

宮本(岳)委員 つまり、大阪市の借金であり、一般会計で支えることに違いはありません。

 しかも、これだけではないんですね。この夢洲の土地は、現在も地盤沈下が続いております。

 大阪市議会の都市経済委員会は、今年三月十六日、議決の前提として、IR事業者を参考人招致して質疑を行いました。

 参考人として出席したMGMリゾーツ・インターナショナル日本法人のエドワード・バウワーズ社長は、IR事業用地は現在も沈下が継続しており、長期的にも特有の地盤沈下が見込まれているところです、そして、長期的な地盤沈下予測に必要な過去の沈下計測データが不足していること、また、夢洲の埋立工事が必ずしも将来的な開発を考慮し実施されているわけではないなどの理由から、沈下予測は非常に複雑で、慎重な検証、検討、対応が必要となります、今後の調査、検討の結果により課題が出てきた場合には対応を見極める必要がありますと語りました。

 また、同じく参考人として出席したオリックスの高橋豊典グループ関西代表は、撤退について、そういう見極めをするときが来るかもしれないと明言しております。

 関西国際空港も埋立地にありますけれども、埋立開始以来現在に至るまで、地盤沈下が随分続いているということは周知の事実であります。

 今日は国土交通省航空局に来ていただいておりますが、埋立開始以来、関西国際空港の地盤沈下は何メートルになっているか、一期島及び二期島それぞれについて、平均値を示していただけますか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 関西国際空港の海底地盤の沈下につきまして、一期島では、埋立開始、これは昭和六十二年でございますが、から令和二年までの沈下量は、島内平均で約十三・四メートルでございます。

 また、二期島では、埋立開始、これは平成十一年でございますが、から令和二年までの沈下量は、島内平均で十六・六メートルでございます。

宮本(岳)委員 一期島で十三メートル以上、二期島では十六メートル以上もの沈下が確認されております。

 夢洲も、バウワーズ社長がおっしゃるように、沈下予測は非常に複雑で、慎重な検証、検討、対応が必要となります。この先一体幾らかかるか分からないというのが実態であります。

 そこで、審査委員会による審査でありますけれども、一体どのようなところまで今後審査することになるのか、確認することになるのか。財政面から見て安定的で、業績が下振れした場合でも長期に事業を継続できるかどうかを見る、こうなっておりますけれども、そして、IR事業運営の能力、体制も見るとしておりますけれども、これはどのような場合を想定しているんですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 IR整備法に基づく基本的な方針におきましては、例えば国内外からIR区域への来訪者数などにつきましても、説得力のある手法やデータを用いて精緻に推計され、併せてその推計方法、これについても審査の対象としているところでございます。

 また、財務の安定性についても重要な評価項目とされているところでございますので、収支計画、これにつきましては、根拠ですとか、予期せぬ不測の事態、災害ですとかそういったことが生じたときにどういう対応を取るか、そういうところについてまでしっかりと審査委員会で審査することになると考えております。

宮本(岳)委員 相当突っ込んで慎重な審査をされるという御答弁でありました。

 資料四を見ていただきたい。

 これも大阪市の公開文書です。一昨年の十二月十七日の日付がございます。この文書によると、大阪市はもう一年半近く前から、今年十月には区域認定、十一月からは設計・建設等とまで書いております。

 このようなスケジュールが既に決まっているんですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 区域整備計画の認定申請に当たりましては、非常に多岐にわたる観点から、外部有識者から成る審査委員会におきまして、期限を区切ることなく、慎重かつ十分な審査を行うこととしております。このため、現段階において区域整備計画の認定の時期をお示しすることは困難であると考えております。

宮本(岳)委員 行政手続法等々で手続の期間を定めたものがありますけれども、こういうものは、この認定にはそれはかかっているんですか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 IRの区域整備計画の認定につきましては、法律上上限が決まってございますので、特段、申請期間、認定に係る期間等につきましては、行政手続法等に基づいて定めていないところでございます。

宮本(岳)委員 期間の定めがないわけですから、是非とも慎重かつ十分に審査をしていただきたいというふうに思います。

 最後に、今日の質疑全体を聞いていただいて、私は、このIR、カジノというものが地方財政の健全性を損なうことがあってはならない、こう考えますけれども、最後に総務大臣の御認識をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

金子(恭)国務大臣 宮本委員から、今の議論を聞かせていただきました。

 こういうことを言うとまたお叱りを受けるかもしれませんが、基本的には各自治体で判断されることでございますし、今回、まだ申請がなされていないというような状況の中で、各自治体における計画の詳細も承知しておりませんし、IR整備法等に基づき、IR誘致を希望する自治体において、住民の意見を反映させるための必要な措置を講じるとともに、議会の議決を得た上で、適切に申請されるものと認識をしております。

 今後、計画の認定申請があった場合には、まずは国土交通省において、IR整備法等にのっとり、適切に対応されていくものと考えております。

宮本(岳)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

赤羽委員長 次に、内閣提出、電気通信事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。金子総務大臣。

    ―――――――――――――

 電気通信事業法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

金子(恭)国務大臣 電気通信事業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 電気通信役務の利用者の利益の保護等を図るため、高速度データ伝送電気通信役務の提供に関する制度の整備を行うとともに、電気通信役務の利用者に関する情報の適正な取扱いに関する制度の整備を行うほか、第一種指定電気通信設備又は第二種指定電気通信設備を用いる卸電気通信役務に関する制度の整備等を行う必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、基礎的電気通信役務に一定の高速度データ伝送電気通信役務を位置づけ、当該役務を提供する電気通信事業者に対し、契約約款の届出等を義務づけるとともに、不採算地域において当該役務を提供する電気通信事業者に対する交付金制度を創設することとしております。

 第二に、電気通信役務の利用者に関する情報の適正な取扱いを確保するため、利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信役務を提供する電気通信事業者に対し、当該情報の安全管理に関する事項等を定めた規程の策定等を義務づけることとしております。

 第三に、電気通信事業者等が、利用者の電気通信設備に記録された当該利用者に関する情報を、当該利用者以外の者に送信させる電気通信の送信を行おうとするときは、あらかじめ、一定の事項を当該利用者に通知し、又は当該利用者が容易に知り得る状態に置かなければならないこととしております。

 第四に、特定卸電気通信役務を提供する電気通信事業者に対し、当該役務の提供を義務づけるとともに、当該役務の提供に関する契約の締結を申し入れた者からの求めに応じて、当該契約の締結に関する協議の円滑化に資する事項を提示することを義務づけることとしております。

 第五に、検索情報電気通信役務及び媒介相当電気通信役務を提供する者は、電気通信事業の届出等をしなければならないこととしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

赤羽委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十八日木曜日午前九時、参考人として東京大学副学長・公共政策大学院教授大橋弘さん、弁護士法人英知法律事務所弁護士森亮二さん及び株式会社政策工房代表取締役原英史さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十八日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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