衆議院

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第16号 令和4年5月10日(火曜日)

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令和四年五月十日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 新谷 正義君 理事 田所 嘉徳君

   理事 岡本あき子君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 輿水 恵一君

      五十嵐 清君    井野 俊郎君

      井林 辰憲君    井原  巧君

      大串 正樹君    川崎ひでと君

      小森 卓郎君    杉田 水脈君

      鈴木 英敬君    長谷川淳二君

      鳩山 二郎君    藤井比早之君

      三谷 英弘君    柳本  顕君

      渡辺 孝一君    石川 香織君

      奥野総一郎君    鈴木 庸介君

      道下 大樹君    湯原 俊二君

      阿部 弘樹君    沢田  良君

      守島  正君    福重 隆浩君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

    …………………………………

   総務大臣         金子 恭之君

   総務副大臣        中西 祐介君

   デジタル大臣政務官    山田 太郎君

   総務大臣政務官      鳩山 二郎君

   総務大臣政務官      渡辺 孝一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局審議官)        佐脇紀代志君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  田原 康生君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            二宮 清治君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  武村 展英君     三谷 英弘君

  古川 直季君     長谷川淳二君

  古川  康君     五十嵐 清君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     古川  康君

  長谷川淳二君     古川 直季君

  三谷 英弘君     藤井比早之君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     武村 展英君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電気通信事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気通信事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官吉川徹志さん、個人情報保護委員会事務局審議官佐脇紀代志さん、総務省国際戦略局長田原康生さん及び総合通信基盤局長二宮清治さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井林辰憲さん。

井林委員 おはようございます。自民党の井林辰憲でございます。

 今日は、総務委員会におきまして質問させていただく機会をいただきまして、委員長を始め同僚議員に御礼を申し上げたいと思っております。

 また、金子大臣には、当選以来、本当にお優しく御指導いただきまして、ありがとうございます。特に、岸田総裁が政調会長をやられていたときには、申入れなどの際にはツーショットの写真も撮らせていただいたりして、政策実現だけではなくて、地元へのアピールなどにも御配慮いただきまして、御礼申し上げたいと思います。

 難しいかもしれませんが、今日も是非、地元にアピールできる答弁をいただければありがたいなというふうに思っております。

 さて、今回の電気通信事業法の一部を改正する法律案につきましては賛成でございまして、それを前提に、総務省さんから事前にこういうポンチ絵の資料をいただいてレクをいただきましたので、これを基に質問させていただきたいと思います。

 私自身、国内の競争を通じて国民へ電気通信サービスを安定的に安価に供給するということは非常に重要なことであります。ただ、本法律でいうところの第一種、第二種指定電気通信設備を設置する主な事業者という、NTTの東西ですとか、ドコモ、KDDI、ソフトバンク、こうしたところは、国内で蓄積した技術と経営体力で海外に打って出て富を稼いでいただくということも非常に重要だと思います。

 また、昨今、競争も非常に大事ですけれども、新規参入者による新陳代謝も大事ですけれども、余りにそちらに有利になり過ぎるということにもならないように、これは競争政策の永遠の課題だと思っていますが、そうした思いで質問させていただきたいと思います。

 まず、いただいた資料の二ページ目のところでございますが、情報通信インフラ提供の確保についてというところでございます。

 大変すばらしい発想でございますし、不採算地域への有線ブロードサービスの整備の補助金は、今、別途措置されていますけれども、そして、私の地元でも活用させていただいているところもあります。ただ、整備だけではなくて維持費も赤字という地域には、こうした制度、非常にありがたい制度でございます。今回は、広く国民の皆様から負担をいただいた上で、維持費の赤字の一部を補填するという制度でございます。

 ただ、これは本当にすばらしい制度でございますが、制度全体の持続性を考えると、一括でちょっと幾つか聞いてしまうんですけれども、現在は整備に対して補助制度がありますが、これもやはり一定期間継続すべきではないか。特に、いただいた資料で、FTTHの世帯カバー率が、二〇二七年九九・九%。これは、以前にいただいた資料は二〇三〇年ということになっていたんですが、三年前倒しということでございますが、少なくとも二〇二七年までは継続していくべきじゃないか。

 また、その上で、制度を構築する際に、具体的に金額が出ていますけれども、赤字の一部というのが、一割、二割とか五割ではなくて、やはり八割から九割ぐらい赤字を補填しないと、整備したはいいけれども、そうした国の制度に協力した者がばかを見るような制度にならないという意味でも、是非そうした赤字の補填の八割とか九割が、制度目的達成には必要だと思います。

 また、この制度を持続可能にするには、維持費だけではなくて、大規模修繕ですとか災害復旧費用、こうしたものへも支援が必要だと思いますが、こうした体系的な制度の持続性について、政府の考えをお答えいただければと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 有線ブロードバンドの整備、維持のための取組に関しまして、委員から三点の御質問がございました。

 まず、一点目につきましては、委員御指摘のとおり、総務省では、本年三月末に策定したデジタル田園都市国家インフラ整備計画に基づき、FTTHの世帯カバー率を二〇二七年度末までに九九・九%に引き上げることを目標としております。

 この目標を着実に実現するため、有線ブロードバンドの整備に係る現在の補助制度につきましては、今回の法改正で新たな交付金制度を創設した後も、可能な限り継続していきたいと考えております。

 次に、二点目についてでございますが、今回の交付金制度では、事業者固有の非効率性を排除する観点から、交付金額算定の基礎となる費用の額を、原則として、一定の標準的なモデルにより算出することを予定しております。このため、支援対象区域におけるサービス提供に伴い発生する赤字額の全額が当然に補填されるわけではございません。

 しかしながら、この場合の標準モデルの内容は、事業者固有の非効率性を排除するという目的が達成される限度で、各事業者の実際の費用に近いものであることが望ましいと考えておりまして、交付金制度の運用開始までの間に、このような考え方を基本としつつ、制度の具体化を図りたいと考えております。

 最後に、三点目でございます。今回の交付金制度では、設備の更新費は、当該設備の耐用年数で除した減価償却費として、毎年の支援対象経費に含めることを想定しております。

 また、災害により損壊した設備の復旧費用につきましては、交付金制度の運用開始までの間に審議会等のオープンな場で検討することを予定しておりますけれども、例えば、更新費の前倒しと捉え、減価償却費として支援対象経費に含めることや、発生リスクをあらかじめ見積もって、リスクに相当する費用を交付金額の算定に当たって考慮することなどを通じまして、何らかの形で交付金による支援対象とすることも考えられると考えております。

井林委員 ありがとうございます。

 大変前向きな答えで、今、現状で答えられる範囲を答えていただけたと思います。特に災害復旧のところは、条件不利地域の方が災害が非常に多い確率が高いものですから、是非前向きな御検討をお願いしたいと思います。

 この制度でございますけれども、FTTHの世帯カバー率が二〇二七年九九・九%を実現する目標はすばらしいことだと思いますが、インフラ整備も大切なんですが、やはり活用して、社会でデジタル化、DXを進めていくことが重要だと思います。

 デジタル田園都市構想も岸田内閣は打ち出しておりますが、やはり、私の地方でも、デジタル化を進めようとすると、大きな問題点として、それを支える人材がいないというのが一つ大きな問題になります。

 そういう意味でいきますと、中央官庁がこれから作っていくデータ、これはデジタル庁が一括して扱うことになると思いますけれども、国のシステムやデータを地方に移転して、国が先導することで民間事業者による地域分散を促すことが、こうした世界最高峰のインフラの活用や、政権の柱であるデジタル田園都市構想を進める上で非常に重要なことだというふうに思っております。

 データの保管場所はセキュリティー上言えないということはよく分かっておりますが、その上で、どのようにこれを進めていくかということを、政府の見解をお願いしたいと思います。

山田大臣政務官 井林先生の御指摘は大変重要な御指摘だというふうに思っています。

 デジタル庁としましては、ガバメントクラウド、ガバメントソリューション、ID認証等の様々な各省の共通機能のシステム、仕組みを、今、構築させていただいています。

 そんな中でも、例えばシステム整備では、災害等の緊急時の発生ということもありますので、そういうことがないように、レジリエンスの強化とか、サイバー攻撃も最近議論になっておりますが、そういったことから国民の生活、経済活動を守るためのセキュリティーの確保が重要だというふうに考えております。

 そんな中、昨年十二月二十四日に閣議決定させていただきましたデジタル社会の実現に向けた重点計画という中でも、「中核データセンター拠点及び地方データセンター拠点の整備に向けた検討を行い、その後段階的にデータセンター等の立地環境の最適化や地方立地の促進を図る。」こういうふうにしっかり今回明記して、方針を出させていただいています。

 あわせまして、御指摘のありましたデジタル田園都市ですけれども、そのデジタル田園都市国家構想実現会議でも、デジタル田園都市国家インフラ整備計画の実行といったことで、具体的に、十数か所のデータセンターの地方の拠点整備ですとか海底ケーブルの地方分散の支援を、総務省と経産省が令和三年補正予算で実施するということにさせていただいております。

 デジタル庁といたしましても、これらの整備されるインフラは大変重要であるというふうに考えておりますので、活用を通じて、先生御指摘の地方分散を進めるとともに、各府省が効率よく強靱な情報システムが整備できるよう支援していきたい、こう考えております。

井林委員 ありがとうございます。

 やはり、大都市部の方が行政データが多いので、そうした業務も大都市部に偏りがちでございますけれども、これだけ大容量の通信が整ってくるということでございますので、これは地方でも分散ができるというふうに私も思っておりますので、是非今の答弁どおりお進めいただきたいというふうに思っております。

 続きまして、いただいた資料の三ページ目で、安心、安全で信頼できる通信サービス、ネットワークの確保についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 この制度は、幅広い利用者の権利や利益の保護を通じて社会や人々の安心や信頼を確保することを目的とした制度整備と受け止めております。

 また、本法律案では、利用者の情報の外部送信は全ての事業者が対象になっております。

 他方で、利用者の情報の適正な取扱いは、利用者の利益に及ぼす影響が大きい事業者として、資料にも書いてあるんです、例えば、一千万人以上の大規模事業者に対して安全管理措置等の規程の策定や公表を課すと資料にあります。それに対して、それ以下の事業者には法律上の義務づけはなく、自主的な取組のみというふうに資料には記載されています。

 他方で、一人一人の利用者の目線に立てば、自身の利用者情報が適切に管理されているかどうかは、情報を管理する事業者の規模にかかわらず、極めて重要な関心事でございます。そして、一人一人の利用者からは、どの事業者が利用者情報の適正な取扱いを法律上義務づけられているか不明でございます。

 利用者がそうした事業者を選べるということも必要だと思いますし、これは制度最初の導入なのでなかなか難しい議論があったと思いますが、将来的には、より幅広い事業者へ適用すべきだというふうに考えております。ただ、ここは多分、法律事項というよりも、その下のつくり込みになると思います。

 そこで、利用者情報の適正な取扱いを法律上義務づけの事業者が、まずは利用者から分かるようにすべきではないか。また、そうした義務づけの事業者を、幅広い事業者に今後適用を拡大していく方向を示すべきではないかと思いますが、政府の見解をお伺いしたいと思います。

中西副大臣 井林辰憲先生にお答えを申し上げます。

 二つ御質問をいただきました。

 まず、一点目の特定利用者情報の適正な取扱いが義務づけられる電気通信事業者につきましては、告示等により総務大臣が指定することを想定しておりまして、利用者にも当該電気通信事業者が分かるようにしたいというふうに考えております。

 二点目ですけれども、規律の適用対象者につきましては、御指摘のとおり、電気通信事業法の目的である利用者利益の保護等の観点に鑑みれば、より多くの電気通信事業者を規制の対象とすることが望ましいとも考えられます。

 他方で、利用者の利益に及ぼす影響が限定的である電気通信事業者に対しましては、規制が及ぼす負担の増加等にも配慮する必要がございまして、こうした観点からも検討した結果、今回は、利用者の利益に及ぼす影響の大きい電気通信事業者に対して規律を課すものとしたところでございます。

 ただし、それ以外の電気通信事業者に対する特定利用者情報の適正な取扱いにつきましても、産業界としっかり対話を重ねながら、ガイドライン等において実施することが望ましい事項として推奨していくことを含めて、今後検討していきたいと考えております。

 なお、本法案の附則におきまして、施行後三年を経過した場合に、本法における改正後の電気通信事業法の施行状況について検討を行うことといたしておりまして、その結果を踏まえて、必要に応じ、所要の措置を講じてまいりたいというふうに考えております。

井林委員 ありがとうございます。

 これは初めて入れた制度で、三年後見直しということなので、是非多くの方に安心して使っていただけるような、一千万人というのは、やはりかなり大きい事業者になりますので、もう少しそうでないところにも安心して使えるような制度をつくっていっていただければと思います。

 この利用者に関する情報の適正な取扱いに関する制度整備でございますが、いただいた資料にもありますけれども、諸外国における規制等との整合を図りつつというふうにあります。

 恐らく、欧州で一般データ保護規則を定めて運用していますが、こうしたものを見ながらこの制度は設計されたんじゃないかと思いますが、EUはほかにも、環境面でのルールメイキングや、また、EUの価値観に基づく様々なルールメイキングを切り口に国際競争力を図ろうとしてきております。

 特に、私、大学で環境工学を学んできました。環境行政をライフワークとして取り組んでおりますけれども、大体、G7の場で、ドイツが議長国のときに非常に高い目標を打ち上げて、大体、ドイツが議長国の翌年日本が議長国で、その一年間、物すごい汗をかいて環境問題については話をまとめているというのが往々にして続いております。

 今年、G7はドイツが議長国でございますので、今回はこの流れを是非逆手に取って、我が国も、諸外国の動きを注視して後追いをする、そういうルールメイキングではなくて、自ら協調すべき相手と協調することで国際的なルールメイキングを主導する、そういうことで国際競争力の強化につなげていくべきではないか、また、世界のリーダーシップを発揮するべきではないかと思いますが、大臣の決意と思いをお述べいただければと思います。

金子(恭)国務大臣 井林委員とは、様々な分野でこれまで仕事をさせていただきました。冒頭、心のこもった御激励をいただき、心より感謝申し上げたいと思います。心を込めて答弁をさせていただきたいと思います。

 井林委員御指摘のとおり、国際競争力強化の観点から、デジタル分野を含め、国際的なルールの形成に我が国が主導的な役割を果たしていくことは極めて重要であります。

 例えば、信頼性のある自由なデータ流通、いわゆるDFFTや、AIの開発、利活用の推進などに関する国際的な議論については、我が国が主導的な役割を発揮しており、来年我が国が議長国を務めるG7では、これらを含むデジタル分野の議論を更にリードすべく、関係省庁とも連携をしながら取り組んでまいる所存でございます。

 また、同じく来年には、官民でインターネットの在り方を議論するインターネット・ガバナンス・フォーラムを我が国で開催をし、緊迫する昨今の国際情勢を踏まえ、自由で開かれた、安全で分断のないインターネットの確保に向けて、ハイレベルの議論をリードしてまいります。

 さらに、総務省では、昨年の万国郵便連合、UPUの目時事務局長の当選に続き、本年九月の国際電気通信連合、ITUの標準化局長選挙での尾上誠蔵候補の当選に向けて全力で取り組んでおります。

 先週、私自ら欧州を訪問し、英国やEUとの間でデジタル分野におけるハイレベルでの協力関係を構築するとともに、ITUの選挙についても、直接、各国政府に対し支持要請を強力に行ってまいりました。

 このような取組を通じ、各国と協調しながら、我が国が国際的な議論を積極的に主導できるよう尽力してまいりたいと思います。

井林委員 心のこもった答弁をありがとうございます。

 この法律は非常に重要な法律でございますし、電気通信事業法は、幅広い方々が今利用されている分野でございます。課題は数多くあると思いますけれども、是非、多くの皆様が、安心、安全で、そして低廉で、そしてどこの地域でもフリーにアクセスできる、そういうサービスを目指していって制度をつくっていただければというふうに思っております。

 時間が参りましたので、私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、川崎ひでとさん。

川崎委員 おはようございます。自由民主党の川崎ひでとです。

 私は、昨年の衆議院総選挙において初当選をさせていただきました。こうして総務委員会で質問に立たせていただくのは初めてとなります。委員長並びに委員メンバー各位に心から感謝を申し上げたいと思います。

 前職が、私は通信キャリアの会社員でございましたので、こうして電気通信事業法の業法に関われることは大変光栄に思います。本日は、時間の許す限り、五つのテーマについて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、一つ目のテーマに参ります。情報漏えいリスクについてお伺いをいたします。

 まず、今回の法律改正の事の発端となったのは、LINEであったと思います。今や多くの方が御利用されているこのLINEですが、今回の法改正の発端は、LINE社における情報管理体制であると認識しております。

 具体的に何か事件に発展したという認識はございませんが、改めて、この事の発端について、この総務委員会のメンバー各位と、あと、これはインターネット配信が行われておりますので、この模様を御覧になられている皆様に共有をお願いいたします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の件につきましては、令和三年三月、LINE株式会社が提供するメッセージングサービスLINEに関して、そのシステム開発や運用の一部が、海外に拠点がある関連会社において行われており、日本の利用者情報へのアクセスが可能となっていたことが判明した事案がございます。

 本事案に関しましては、通信の秘密の侵害又は個人情報の漏えいの事実は確認されなかったものの、委託先に個人データへのアクセス権限を付与する際の安全管理措置等について不十分な点が認められたことから、総務省として、令和三年四月、同社に対して行政指導を行ったところでございます。

 こうした経済活動のグローバル化等を背景とした、外国の法的環境の変化等に起因した情報の漏えい、不適正な取扱い等のリスクの高まり、また、近年、電気通信事業の利用者に関する情報の不適切な取扱いに係る事案が多く発生しているということも踏まえまして、利用者が安心できる電気通信役務の提供を確保する観点から、電気通信サービスの利用者に関する情報の適正な取扱いに関する制度の整備を行うこととしたものでございます。

川崎委員 御回答ありがとうございます。

 では、このLINEにおいて保持していた情報が海外の事業者あるいはユーザーに抜き取られることでどんなリスクがあるのか、こちらも御共有をいただきたいと思います。

 なぜこんな質問をするのかというと、例えば、私の妻や母やあるいは友人は、情報の漏えいと聞くと、何となく、抜き取られたクレジットカード情報で勝手に買物をされてしまうとか、あるいは身に覚えのない契約をされてしまうといった認識でございます。他方、今回のLINEにおいては、携帯番号は保持しているかもしれませんが、本名であったり、あるいは住所等の個人を特定する情報を保持していたかというと、そこには正直疑問が生じます。

 改めて、個人情報あるいは通信の秘密が漏えいすることによりどのようなリスクがあるのかを国民の皆様に共有し、リスクの認識レベルをそろえていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

中西副大臣 川崎ひでと先生にお答えをいたします。

 情報通信技術の進展、またサービス提供の構造の変化、あるいはサイバー攻撃の複雑化、巧妙化などによりまして、電気通信事業を取り巻く環境の変化に伴い、利用者の情報が不適正に取り扱われた場合には、おっしゃったようなプライバシーの保護等といった個人的法益の侵害のみならず、電気通信サービスに係る制度そのものに対する信頼の維持や、健全な言論環境の確保、それに伴うデジタル社会の実現等といった社会的法益の侵害も考えられます。

 さらには、他国の国政選挙等で例が読み取れるところでもありますけれども、健全な民主主義システムの確保や、要人に関する情報の悪用防止といった国家的法益の侵害につながっていくというふうに考えられるところでございます。

 したがって、国民の皆様が安心して利用することができ、信頼性の高い電気通信サービスの提供を確保することは、個人的法益のみならず、社会的法益や国家的法益の保護に資すると考えられまして、本法案によります利用者の情報の適正な取扱いに関する制度整備を図ることが大変重要であるというふうに考えております。

川崎委員 御回答ありがとうございます。

 今、御発言いただいた内容は非常に重要でございまして、やはり、情報の漏えいのリスク、通信の秘密の漏えいのリスクというものが個人ユーザーにとってどういった影響があるのかというのをいかに国民の皆様と共有するのかというのが、これから重要な課題になってまいります。ましてや、これからデジタル社会がどんどん進んでいく中では、そうしたリスクはどんどん高まってくると思いますので、総務省としても、全力で国民の皆様に向けて情報共有をよろしくお願いいたします。

 次の質問に参ります。

 今回、このLINEを発端として、特定利用者情報の取扱規程の作成や取扱方針の公表義務化がなされますが、仮に、例えばLINEが、我が社のサーバーは中国にありますですとか、メンテナンス業者はどこどこですというような公表をいただいたとしても、それを基にユーザーが判断をするのは非常に難しいと思います。総務省としても、例えばある会社が、我々のサーバーは中国にありますというふうな公表をされたところで、何か言えるわけでもないと思っています。

 そこで、改めてお伺いいたしますが、今回の本法案改正の意図を改めてお聞かせいただけますでしょうか。

渡辺大臣政務官 川崎先生の御質問にお答えいたします。

 本法案は、情報の漏えいやあるいは不適切な取扱い等のリスクの高まりを踏まえまして、電気通信サービスの利用者の利益の保護を図るために、特定利用者情報の適正な取扱いに資する制度を整備するものでございます。

 具体的には、例えば、御指摘の情報取扱方針の公表は、諸外国の法的環境の変化等の影響もある中、電気通信事業者による特定利用者情報の取扱いの透明性を高めることにつながります。また、利用者にとって、サービスの提供を受ける上で必要な情報を把握でき、安心してサービスを利用することが可能となります。

 総務省といたしましては、本制度の整備を通して、利用者が安心できるサービスの提供を確保することにより、サービスに対する利用者の信頼を醸成し、我が国の社会全体のイノベーションやデジタル化の一層の促進に貢献してまいりたいと考えております。

川崎委員 御回答ありがとうございます。

 冒頭申し上げたように、正直言うと、利用者というのは、御自身で判断するというのはなかなか難しいところでございます。ましてや、どんどんどんどんサービス事業者が増えてくると、どのサービスがいいのかというのはなかなか利用者自身は判断しにくい、こうした社会が今まさに拡大されているところであります。そうすることによって、やはり注意しなければいけないのは、サービスを提供する事業者がいかに顧客から信頼を得るのか、こうしたところが重要になってまいります。

 今回のこの法律改正に伴って、各通信事業者がしっかりと顧客から信頼を得るような取組をPRするという意味で、今回の法改正は重要になってまいると思いますので、是非、この辺りは各業界団体ともきっちり話し合いながら、その法律の意図をしっかり明確に伝えていただきたいと思います。

 では、次の質問に参ります。

 海外における通信事業者に対する取組について、教えていただきたいと思います。

 今回、日本でサービス展開を行う場合においては本法改正を遵守しなければならない一方で、やはり日本もしっかりと海外にサービス展開を図り、グローバルに活躍を期待したいところです。

 その点から鑑みると、日本の電気通信事業者が日本の法律に合わせて制度設計を行い、結果、海外の方が法律が厳しく、根本から社内ルールやあるいは約款を見直さなければならないといった稼働がかかってしまいます。今回の法改正の内容は海外と比較していかがかを教えていただきたいと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の内容につきましては、国際的な規制動向とも整合性が図られているものと認識をしております。

 例えば、欧州のGDPR、ドイツの電気通信事業者法、米国のカリフォルニア州消費者プライバシー法などにおきまして、情報取扱規程や情報取扱方針について類似の義務が課せられているところでございます。

 引き続き、総務省として国際的な動向等を注視し、必要な取組を行ってまいります。

川崎委員 御回答ありがとうございます。

 昨今は、ウェブ3に関してでも、アメリカで大統領令が発令されたり、あるいはイギリスの財務大臣が発言をされたりと、様々、世界におけるデジタルの分野での加速的なサービス展開がされると思います。それに伴って、各国も法改正がかなり頻繁に行われるのではないかなという懸念もございますので、是非是非、海外の動向を注視いただきながら、日本の法改正がそこに対して後れを取っていないか、あるいは全体的な流れとしてどうなのかというところは引き続き注力をお願いいたします。

 続きまして、通信事業者のチェック体制についてお伺いいたします。

 今回の法改正により、外国事業者も、日本国内でサービス展開をするためには届出が必要となります。グーグルやフェイスブックは届出をされているかと思いますが、例えば、音声メディア、クラブハウスなど海外発の新サービスが急成長を遂げている状況を鑑みて、きちんと届出を行っているかを日々検証する必要があるかと思います。

 ここで、もし海外事業者が届出を行っていない場合、総務省としてはどのように対応されるのかを教えてください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省としては、外国法人に対する法執行の強化を図るため、令和二年に電気通信事業法を改正し、法施行以降、外部調査も活用しつつ、担当部署で外国法人のサービス状況を確認し、必要に応じて届出を求めてきたところでございます。

 その結果、本年三月末現在で、御指摘のフェイスブック運営会社であるメタやグーグルを含めまして、百三十四の外国法人が、日本における代表者等を指定した上で、電気通信事業の届出を行っております。

 今後、届出を行っていないと思われる事業者を把握した場合には、個別に連絡を取り、確認や要請を行うとともに、仮にこれらの要請にも応じず届出義務の法令違反が明らかな場合には、電気通信事業法に基づく公表を行うことも検討をしてまいります。

 その上で、総務省としては、外国法人の日本における代表者等を通じて、本改正案による新しい規律を含めた法令の遵守を要請するなど、国内外の事業者のイコールフッティングにも配意をして、適切な法執行を行ってまいります。

川崎委員 ありがとうございます。

 先ほど例に私が出させていただいたとおり、例えばクラブハウスのような新しい音声SNSなどの新サービスにおいては本当に急成長を遂げておりますので、そうしたサービスが今後出てきた場合に、どうしても、総務省としても、チェックの体制というのがかなりの数を要することになるかと思いますので、人員配置も含めて、チェック体制をしっかりとしていただきたいと思いますし、また、改めまして、御説明いただいたとおり、事業者がそれに従わなかった場合、日本としてどのような対応を取るのか、こうした部分もしっかりと今回の法改正に合わせて全体的な団体への共有をよろしくお願いいたします。

 続きまして、今回の規制の対象についてお伺いしたいと思います。

 今回の電気通信事業法の改正により規制対象者となる電気通信事業者は、利用者一千万人を有する事業者となっております。この利用者数一千万人については、通信キャリアでいえば契約者数ということになると思いますが、今回の、例えば検索サービスあるいはSNSにおいては、アカウント登録者数という理解でよろしいでしょうか。また、これは国内ユーザー、海外ユーザーの合算値ということでよろしいでしょうか。御回答をよろしくお願いいたします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 規律の対象者は、利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信役務を提供する事業者であり、その具体的な基準は省令で定めることとしております。

 例えば、国内総人口の約一割程度に相当する利用者数一千万人以上を有することを基準とすることが考えられますけれども、基準の詳細につきましては、今後、関係者と議論を行いつつ検討してまいります。

 また、検索サービスやSNSにおける利用者数に関しては、アカウント登録をした実際に利用している国内利用者の数で算定することが想定されますが、いずれにいたしましても、詳細については、今後、事業の実態等も踏まえ、関係者と議論をしつつ検討してまいります。

川崎委員 御回答ありがとうございます。

 まだ明確なところが出ていないということで、これから関係者とこの辺りはしっかりと議論をいただきたいと思います。非常に気にされているところでございます。アクティブユーザーなのかアカウント登録者数なのかというところにおいて、随分差が出てきてしまうと思いますので、是非是非よろしくお願いいたします。

 続きまして、グループ会社への規制はかかるのかというところをお伺いしたいと思います。

 例えば楽天モバイル。楽天モバイルについては、今は契約者数は四百五十万人程度ですが、もし一千万人に上れば規制対象となります。楽天は、グループ会社で楽天カードというクレジット事業や、あるいは楽天市場というオンラインモールをそれぞれ運営しており、基本的には同一IDで顧客管理を行っております。この場合においても、規制対象はあくまで楽天モバイルだけでいいのか、こうしたところについてお伺いをしたいと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 特定利用者情報の適正な取扱いに関する規制の対象となる者は、利用者の利益に及ぼす影響の大きい電気通信役務を提供する電気通信事業者でございます。

 御指摘のとおり、グループ会社において同一のIDにより様々なサービスの顧客管理を行うケースもございますが、規制の対象は、利用者の利益に及ぼす影響が大きいと考えられる基準を満たす電気通信役務における特定利用者情報の取扱いに限られます。

 したがいまして、当該基準を満たさない電気通信役務や電気通信役務以外の役務に関して取得する利用者情報は、本規制の対象となるものではございません。

川崎委員 ありがとうございます。

 今のお答えからまいりますと、私が例に出させていただきました楽天モバイルだけが対象となるという理解だと思います。この辺りもかなり各業界団体は気にされておりますので、この辺りについても丁寧な御説明をお願いしたいと思います。

 四番目のテーマに参ります。

 現行法では、通信の秘密の漏えい等の重大な事故が起きた際は、総務省への報告が義務づけられております。昨年十月にNTTドコモにおける通信障害の際にも、この現行法で対応いただいたと思っております。

 今般の法改正においては、重大な事故のおそれがある場合においても総務大臣への報告がこれから義務づけられますが、この重大な事故並びに重大な事故のおそれとは何を指すのかを改めて教えてください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の電気通信事業法上の重大な事故は、電気通信設備の故障により、一定時間以上電気通信サービスの提供を停止等した事故であって、その影響を受けた利用者の数が一定数以上のものをいいます。

 例えば、緊急通報を取り扱う電話サービスについて申し上げれば、一時間以上継続してサービスが停止などし、かつ三万人以上の利用者に影響を及ぼした事故が重大な事故に該当いたします。

 本法案における重大な事故が生ずるおそれがあると認められる事態に係る報告制度に基づきまして、総務省が報告を受けた場合には、当該事態について実態把握や原因分析などを行うとともに、当事者である電気通信事業者等に対し、必要に応じて適切な助言等を行い、事故の未然防止や被害軽減に努めてまいりたいと考えております。

川崎委員 ありがとうございます。

 重大な事故並びに重大な事故のおそれというものについて理解いたしました。加えて、総務省がしっかりと各通信事業者に対して情報を共有いただく、こうした意味においても安心をいたしました。引き続きよろしくお願いいたします。

 最後の質問になります。

 ユーザーが安心して御利用いただけるようにというところが今回の法改正による規定だと思います。もちろん、安全に使っていただくために今回の法改正をやるわけですが、一方で、これが足かせになってしまって、日本へサービス参入がしづらくなり、結果、日本がガラパゴス化してしまっては意味がないと思っております。

 法改正を実施するに当たっては、自主性の尊重、イノベーションを阻害しないこと、この二点を明確に発信いただきたいと思います。是非この部分については、金子総務大臣に、イノベーションを阻害するものではないというところを明確に御提示いただけますでしょうか。

金子(恭)国務大臣 川崎委員には、現場をよく知っている立場で、今回の法案のポイントについて御指摘をいただいております。今後ともしっかりと、これからも御指導、御指摘をいただきたいと思います。

 御指摘のとおり、本法案は、利用者が安心して利用できる通信サービスを確保するために必要な制度を整備するものでございます。他方で、その制度の内容については、規制の対象を大規模な電気通信事業者に限定するとともに、自らのビジネスの実態に応じて、利用者情報の取扱い等に関するルールを柔軟に策定することを可能とするなど、事業者の自主的な取組を尊重した制度となっております。

 これによりまして、事業者の自主性を尊重しつつ、利用者が安心してインターネットが利用できる環境が整備されることで、電気通信事業法の目的である電気通信事業の健全な発達が確保され、我が国の社会全体のデジタル化やイノベーションが一層促進されるものと考えております。

川崎委員 金子大臣、力強い発言をありがとうございました。是非、イノベーションを阻害しないように、総務省一丸となって取り組んでいただきますようお願い申し上げます。

 時間となりましたので、これで質疑を終了させていただきます。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、輿水恵一さん。

輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましたことに、心より感謝を申し上げます。

 それでは、私の方からも、電気通信事業法の改正案につきまして質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 電気通信事業法は、電気通信の健全な発達と国民の利便の確保を図るために制定された法律で、特に第四条には、何人も電気通信事業者の取扱中の通信を侵してはならない旨の条文があり、これにより通信の秘密が保護されています。

 この電気通信事業を担う電気通信事業者とは、一般に固定電話や携帯電話等のサービスを提供する会社の総称とされてきましたが、今日では、音声、データを運ぶ通信回線事業者、いわゆる通信キャリアだけではなく、銀行、また家電メーカー、自動車メーカー、商社、流通会社、ゲーム会社、飲食店等、様々な業種の事業者が電気通信事業者として登録をされています。そして、これらの電気通信事業者は、それぞれの所管省庁の業法への対応も求められているわけであります。

 このように、電気通信事業法は多種多様なデジタルサービスを対象としており、DXの流れが加速する中で、同法は、単なる縦割りの一業種を対象とした業法ではなく、個人情報保護法と並立する、横串の情報取扱いの一般法とも言えるのではないでしょうか。

 そこで、まず、個人情報保護法と電気通信事業法の関係について伺います。

 例えば、個人情報保護法における、個人データを海外に保管する場合の国を利用者に知らせることの義務づけなど、二重規制になるのではないかとの指摘がありますが、電気通信事業法と個人情報保護法との関係はどのような整理になっているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、情報の漏えい、不適正な取扱い等のリスクの高まりを踏まえ、通信の秘密に関する情報を取り扱うなど、特に高い信頼性が求められる電気通信事業において、電気通信役務の円滑な提供及び利用者利益の保護という電気通信事業法の目的の範囲内で、利用者に関する情報の適正な取扱いの確保のための制度を整備するものでございます。

 このように、業法の観点から、利用者に関する情報について個人情報保護法とは別途の規律を求めることは、銀行法などでも規定されていると承知をしております。

 個人の権利利益の保護を目的としている個人情報保護法と電気通信事業法は、規制の目的や対象などが異なっており、二重規制という御指摘は当たらないと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 それでは、個人情報保護法における利用者情報の取扱いについて、ここでちょっと確認をさせていただきたいと思います。

 二〇一八年にケンブリッジ・アナリティカ問題として発覚した、フェイスブックの利用者情報が二〇一六年のアメリカの大統領選挙などで世論誘導に悪用されたとの問題ですが、この問題で浮き彫りにされたことは、利用者情報は、悪用されれば、個人の権利利益を侵害するのみならず、社会や国家の安定も揺るがしかねないということであると思います。

 利用者情報の多くが、利用者個人の氏名等ではなく、クッキーや広告IDなど、利用者のブラウザーや端末を識別する端末等識別子にひもづけられてやり取りをされており、日本の個人情報保護法では個人情報として保護されておりません。

 個人情報保護法は、個人の権利利益の保護と、個人情報の有用性、社会生活やビジネス等への活用のバランスを図るための法律でありますが、この個人情報保護法が規制する個人情報とは改めて何か、また、ウェブの閲覧履歴などの利用者情報は個人情報保護法上どのような取扱いになるのかについて、お聞かせ願えますでしょうか。

佐脇政府参考人 お答えいたします。

 個人情報保護法は、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる記述等により特定の個人を識別できるもの、又はマイナンバーなどの個人識別符号が含まれているものを個人情報として規律の対象としております。端末識別子やウェブの閲覧履歴などの利用者情報も、特定の個人を識別することができる場合には個人情報に該当することとなります。

 また、令和二年六月に成立させていただきまして、本年四月一日から施行されました改正個人情報保護法には、新たに個人関連情報の規制を導入いたしました。具体的には、生存する個人に関する情報であって、個人情報等に該当しないものを個人関連情報と定義しまして、その上で、これを保有する事業者が第三者に対して提供する際、提供先で個人関連情報を個人データとして取得することが想定される場合には、提供元事業者はあらかじめ本人の同意が得られていることを確認する義務を負うものといたしました。

 これによりまして、端末識別子やウェブ閲覧履歴などの利用者情報についても、個人情報保護法上、一定の規律はかけられることになっております。

 このような規律が着実に遵守されるよう、適切に周知、執行に努めているところでございます。

 以上です。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 それでは、電気通信事業法による利用者情報の保護の推進について伺います。

 本改正案の検討に当たって、個人情報とは別に、利用者情報という概念を構築する構想があったと伺っております。

 そもそも、様々な業種で情報通信サービスを提供している電気通信事業者が、利用者のネット閲覧履歴や端末識別情報などを第三者に送信する場合の事前同意、オプトインや、事後的な拒否、オプトアウトの仕組み等の対策について、個人情報保護法ではなく、なぜ電気通信事業法で対応することとしたのか。また、元々伝統的な通信会社を対象に作った電気通信事業法で、ネット上で情報通信事業を営む企業全般の行為を規制することに至った検討の経緯も含めて、お聞かせ願えますでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル技術の導入による革新的なサービスの提供や社会のデジタルトランスフォーメーションを促進する上で、利用者が安心して利用できる電気通信サービスの確保が不可欠であると考えております。

 その観点からは、個人情報に該当しない利用者に関する情報についても適切に保護する必要があること、また、利用者に関する情報を第三者が取得する前に利用者に確認の機会を付与することが適当であること、さらに、利用者のネット閲覧履歴や端末識別情報などの第三者への送信の多くが電気通信事業の提供に伴って行われている実態があることなどを踏まえますと、個人情報保護法ではなく、電気通信事業法により対応することが適当であると考えております。

 また、利用者のネット閲覧履歴や端末識別情報などの第三者への送信は、ウェブサイトの運営者やアプリケーション提供者などといった電気通信事業を営む者が行う場合も多いことなどを踏まえまして、電気通信事業法に基づく登録又は届出の有無にかかわらず、電気通信事業を営む者を本規律の対象としております。

輿水委員 それでは、次に、端末等の識別子にひもづけられた情報の保護について伺います。

 本改正案では、適切な取扱いを求められる情報の範囲に、クッキーなどの端末等識別子にひもづけられた情報は含まれないことになっています。規制の対象は、利用契約や登録をした上でサービスを使う利用者の情報のみとなりますが、利用登録をせずにウェブを閲覧したり動画を楽しんだりすることは日常的に行われています。利用者保護の観点から課題が残るように思いますが、見解をお聞かせ願えますでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案で適正な取扱いの対象としている特定利用者情報は、利用者に関する情報であって、通信の秘密に該当する情報のほか、契約などをする利用者を識別することができる情報としております。

 これは、当初、電気通信事業ガバナンス検討会においては、契約等を行わない利用者を識別することができる情報も含めて適正な取扱いの対象とするべきとの御議論をいただいておりましたけれども、対象となる情報が不明瞭などの御指摘を踏まえまして、同検討会において最終的に取りまとめられた報告書に基づくものでございます。

 総務省といたしましては、本法案は、イノベーションや事業者の実態を踏まえつつ、利用者が安心して利用できる電気通信サービスの提供の確保に向けた規律内容となっていると考えており、引き続き、官民連携をいたしまして、詳細の検討を進めてまいります。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 それでは、これまでの議論を踏まえて、総務大臣にもお伺いしたいと思うんです。

 先ほどもいろいろ国際連携等の話もございましたが、EUでは、デジタル時代に対応した体系的なデータ保護法制を着々と整えています。利用者の情報はグローバルに取り扱われる実態がある中で、我が国の法制では、総務省や個人情報保護委員会等がそれぞれの所管の範囲での縦割り対応になっているようにも見えます。

 この利用者情報の取扱いについてはある程度各国と足並みをそろえることが、我が国の情報通信サービスのグローバル化を促し、結果的に国益を守ることになると思いますが、この点についての総務大臣の見解をお聞かせ願えますでしょうか。

金子(恭)国務大臣 輿水委員御指摘のとおり、近年、世界的なデジタル化やデータを活用したビジネスの急速な進展、通信サービスのグローバル化等を背景として、諸外国において利用者情報の適正な取扱いを求める規制が広がりつつあります。

 本法案は、こうした国際的な規制動向とも整合性をしっかり取っており、我が国の事業者がグローバルな市場で活躍するための環境についても十分考慮したものとなっております。

 情報通信分野はグローバルであることを前提に、引き続き、総務省では、我が国の国益にかなうよう、諸外国の動向を注視しつつ、制度の見直しに不断に取り組んでまいりたいと思います。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まさに、我が国の情報通信サービス、しっかりとグローバル化を進めながら、国益にちゃんと資するように進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、これで規制の対象外となる事業者サービスの利用者保護について、ここで確認をさせていただきたいと思います。

 本改正案では、登録者数一千万人以上の大規模な電気通信事業者に対し、利用者情報の管理規程の策定と公表、また責任者の選任なども義務づけている一方で、当該規制の対象外となっている事業者もいます。

 このような規制の対象外となる事業者についても、大量の利用者情報が事業者に取得される状況からすれば、電気通信サービス特有の利用者保護を図る必要があると考えますが、見解を伺います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、電気通信事業法の目的である利用者利益の保護等の観点に鑑みれば、より多くの電気通信事業者を規制の対象とすることが望ましいとも考えられます。

 他方、利用者の利益に及ぼす影響が限定的である電気通信事業者に対しては、規制が及ぼす負担の増加等にも配慮する必要があり、そうした観点からも検討した結果、今回、利用者の利益に及ぼす影響の大きい電気通信事業者に対して規律を課すこととしたものでございます。

 他方、本規制の直接の規制対象以外の電気通信事業者に対する特定利用者情報の適正な取扱いにつきましても、産業界と対話を重ねながら、ガイドラインなどにおいて実施することが望ましい事項として推奨していくことも含め、今後検討してまいりたいと思います。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 規制対象となる登録者数を一千万人とした経緯と今後について、ここでもう一度確認をさせていただきたいんですが、EUが二〇一八年に施行しましたGDPRでは、閲覧履歴も個人情報としています。今、社会のデジタル化が進展する中で、情報通信分野での法整備で日本が立ち遅れるわけにはいかないと思います。

 特に、技術、サービスが猛烈なスピードで変化する時代にあって、市場や業態をあらかじめ決めて、該当する電気通信事業者を規制する法体系では、変化に追いつくことが難しいようにも思います。通信サービスを受ける利用者側に軸足を置き、利用者がどのようなサービスを利用しているかという観点で規制する方が合理的ではないかという声もあります。

 そこで、規制対象となる登録者数の基準を一千万人としたことについての経緯と、今後の見直しの可能性についてお聞かせ願えますでしょうか。

中西副大臣 輿水恵一先生にお答えを申し上げます。

 特定利用者情報の適切な取扱いに関する規制対象者は、利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信事業者といたしております。

 具体的な基準としては、例えば国内総人口の約一割程度に相当する、利用者数一千万人以上を有することが考えられておりますが、これは電気通信ガバナンス検討会の報告書等において、EUのデジタルサービス法案等の例示も引かれましたけれども、そうした例で示されたところでございます。

 基準の詳細につきましては、本報告書や関係者の御意見を踏まえて、今後具体化してまいりたいと考えております。

 なお、本法案の附則におきまして、施行後三年を経過した場合に、本法における改正後の電気通信事業法の施行状況について検討を行うことといたしておりまして、その結果を踏まえて、必要に応じて、所要の措置を講じてまいりたいというふうに考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに、電気通信サービスの健全な発展と同時に、利用者の保護をうまく両立させるということが非常に難しいかなと。この点は、たゆみない見直しの中で適切に進めていただければというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、情報提供に関する利用者への適切な通知、公表の仕組みについて、ここで確認をさせていただきます。

 本改正案では、規制対象事業者に課する義務については、同意取得に加えて、通知、公表などの選択肢が用意されています。これは、利用者の同意を取得しなくても、ウェブサイトのプライバシーポリシーなどに説明を記載すればよいということになるのか。こうした取組は既に多くの事業者が自主的に行っており、本改正では、利用者の関与を担保する措置にはならないようにも思います。

 そこで、ウェブサイトやアプリの運営者が閲覧履歴や位置情報などの利用者情報を第三者に送信する場合の利用者への通知、公表について、適切な通知、公表の仕組みについてどのようなものを想定しているのかについてお聞かせ願えますでしょうか。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 利用者に関する情報の外部送信に関する規律では、利用者に関する情報を第三者に外部送信させる指令となるプログラムなどの送信行為を行う場合に、通知又は公表、同意の取得、オプトアウトのいずれかの方法により、利用者に確認の機会の付与を求めることとしております。

 具体的な通知、公表の方法や伝えるべき事項につきましては総務省令で定めることとしており、ジャスト・イン・タイムの通知や、利用者が容易に到達できる場所に分かりやすく公表することなどについて定めることを想定しております。

 この総務省令の検討に当たりましては、利用者に十分に確認の機会を付与したこととなるよう、関係事業者における取組の実態やベストプラクティスなどを踏まえつつ、適切に検討してまいります。

輿水委員 それでは、最後に、国民が情報通信サービスを利用し、日常をより安全に、より快適に過ごせるようにするために、個人情報や利用者情報などのパーソナルデータを積極的に活用できる社会環境の整備も私は必要と考えております。

 そこで、個人に関する情報についてどのような権利があり、デジタル時代においてそれらをどのように守るのか、また、どのように活用できるのかといった原理原則を定めたルールの整備が必要かと考えますが、見解をお聞かせ願えますでしょうか。

佐脇政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、個人情報を効果的に活用しつつ個人の権利利益を保護することは、重要な政策課題でございます。個人情報保護法は、このことを法の目的として明示した上で、利用目的の特定や通知等、それから安全管理措置の確保などの基本的なルールを定めているものでございます。

 令和二年、三年の通常国会における個人情報保護法の改正を通じまして、規律の内容をデジタル社会の進展などを踏まえたものにするべく、個人の権利の在り方についての、利用停止、消去等の個人の請求権の拡充、さらには法の所管を個人情報保護委員会に一元化するといったことで、個人情報の一層の適切な取扱いの確保が図られてきているというふうに考えております。

 このように、個人情報保護法は、個人情報に関する個人の権利、あるいはデジタル社会における守られるべきルールにつきまして原理原則を定めるものだと理解はしておりますが、デジタル化の進展は激しゅうございまして、様々な見直しも必要かと思います。

 法律におきましても、三年ごとの見直しの規定が盛り込まれておりますし、国会でも、環境変化に対応した随時の検討の必要性が決議されておりますので、これをしっかり受け止めまして、技術革新や経済社会の変化に対応した、制度面を含めた必要な検討、措置を講じてまいりたいと思います。

輿水委員 時間となりました。大変にありがとうございました。

 以上で終わります。

赤羽委員長 次に、道下大樹さん。

道下委員 立憲民主党・無所属の道下大樹です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、まず、電気通信事業法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 今日のこれまでの委員の皆様の質疑を聞いていると、やはり今回の法案の大きな三つの柱のうちの二つ目の安心、安全で信頼できる通信サービス、ネットワークの確保について興味、関心が高いというふうに思いますので、その点についてまず先に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先日、四月二十八日に、本総務委員会におきまして、参考人の方々に来ていただきまして質疑が行われました。その中で、今回の本改正案について様々な御意見をいただきました。

 その中で、一つ、電気通信事業ガバナンス検討会が出した当初案からは後退した改正案であるということ、もっと利用者保護に厚いものにすべきであるとか、また、これまでなかった外部送信というものが設けられたことは前進であるという御意見だとか、あとは、利用者意識を前に進めるために、国際基準を取り込んで規制のアップデートを図って、更なる利用者情報保護を図ってもらいたいという意見も出されました。

 こうした参考人の意見、さらには、電気通信事業ガバナンス検討会の委員でもおられた参考人の方々の意見をどのように捉えていらっしゃるのか、総務省の見解を伺いたいと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、事業者団体、消費者団体、経済団体など様々な関係者の御意見を丁寧に伺った上で取りまとめられた、電気通信事業ガバナンス検討会の報告書等を踏まえたものとなっております。

 総務省としましては、本法案は、イノベーションや事業者の実態を踏まえつつ、利用者が安心して利用できる電気通信役務の提供確保に向けた規律内容となっているものと考えております。

 また、本法案は、国際的な規制動向とも整合性が図られたものであり、引き続き、このような動向なども踏まえ、必要な対応を行ってまいります。

道下委員 後でも質問させていただきますが、二年前にこの法律は改正されています。それは、海外事業者であっても、日本国内で事業を展開する場合には届出をさせるというものでございました。それから二年たって、この法律改正であります。

 そう考えると、二年前の法改正案の内容とは違いますけれども、このいわゆる電気通信事業というか、インターネット上の様々な事業というのは格段に進展をしている、もう日進月歩拡大をしているというふうに思いますので、私は、こうしたことを先取り先取りして法律を制定していくべきだと思います。先ほどもそのような大臣答弁がありましたけれども、私は、これはまだ、見ていても、後手後手ではないかというふうに心配をしています。

 それともう一つ、先ほど総合通信基盤局長の御答弁がありましたけれども、利用者保護、これは大前提です。もう一つは、電気通信事業者の事業の推進、拡大ということも大切でありますけれども、双方の意見を伺って、そして今回このようにまとめたと言いますが、私は、まだまだ、電気通信事業者側の、そのまた一部の意見を大きく反映したものではないかなというふうに思っております。

 今、局長の答弁で、海外の事例も踏まえてということでありました。EUの一般データ保護規則、GDPRは利用者の同意を取得することとしておりますが、利用者に関する情報を外部送信する際の通知又は公表だけで利用者保護は十分に達成されるのか、私は心配でございますが、答弁をお願いします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 利用者に関する情報の外部送信に関する規律では、利用者に関する情報を第三者に外部送信させる指令となるプログラムなどの送信行為を行う場合に、通知又は公表、同意の取得、オプトアウトのいずれかの方法により、利用者に確認の機会の付与を求めることとしております。

 具体的な通知、公表の方法や伝えるべき事項については総務省令で定めることとしており、ジャスト・イン・タイムの通知や、利用者が容易に到達できる場所に分かりやすく公表することなどについて定めることを想定しております。

 この総務省令の検討に当たりましては、利用者に十分に確認の機会を付与することとなるよう、関係事業者における取組の実態やベストプラクティスなどを踏まえつつ、利用者保護の観点から十分と言えるものとなるよう、適切に検討をしてまいります。

道下委員 詳細は省令で定めるということであります。

 また、先ほど、海外の様々な法律などを参考にしたというふうに答弁されていましたけれども、私が見る限りにおいては、それぞれの法律の、海外の法律の緩いところばかりを取っているというふうに思います。アメリカのカリフォルニア州のものだとか、ドイツだとか、今回のGDPRだとか、それぞれの甘いところばかりなんですよ。私はそのように思えてなりません。

 それで、はっきり言って、先ほども、大臣でしょうか、答弁されましたとおり、海外に先んじて、先頭に立って、この情報通信事業というか、インターネット上の様々なこういう事業展開というか、そうしたものが日本国内企業ができるのか。

 私は、もっともっと海外の厳しい規則に合わせて、厳しい環境の中でも、日本国内企業も含めて成長させる、そして、特に利用者の意識をしっかりと高めていって、個人の情報を自分で保護し、管理する。もちろん、法律でしっかりと保護する、管理するという法律があっての前提でありますけれども、そうしたことを進めるべきではないかというふうに思っております。また後で質問させていただきます。

 先ほどの四月二十八日の参考人質疑においては、検討会の当初案について、一部の経済界や電気通信事業者から二重規制だという意見が出ましたが、参考人三名全員が二重規制には当たらないと意見を出されました。

 これについて、先ほど局長から答弁がありましたけれども、私は、大臣がしっかりとその姿勢を示すべきだ、考え方を示すべきだと思いますので、大臣から御見解をお願いいたします。

金子(恭)国務大臣 道下委員にお答え申し上げます。

 本法案は、通信サービスの円滑な提供とその利用者の利益の保護という電気通信事業法の目的の範囲内で、通信サービスに関する利用者情報の適正な取扱いの確保のための制度を整備するものであります。

 そのため、個人の権利利益を保護することを目的としている個人情報保護法とは目的も規制の対象となる範囲等も異なっており、二重規制という御指摘は当たらないと考えております。

 なお、本法案につきましては、個人情報保護委員会とも連携をして検討を行ったものであり、法案成立後も、引き続き委員会と連携をしながら、本法の施行に向けた準備を進めてまいりたいと思います。

道下委員 大臣、ありがとうございます。

 個人情報保護法は、私たちが暮らす中で、全体的な個人の情報を保護し、そして守っていく、管理をしていくというものでございます。そしてまた、電気通信事業法は、その範疇の中で、範囲の中での個人情報の保護の取扱いというものを決めたものですので、全く二重行政には当たらない、私も同意見でございます。

 次に、また、参考人からの意見では、官民共同規制だとか官民共同ガバナンスということについてお話がありました。

 ただ、そこで参考人の方は、この官民共同規制について、事業者サイドの意見ばかり聞いていると、これはやはり利用者保護に薄いということになってしまいますので、利用者側の意見、消費者代表の意見であったりとか、あるいは市民、社会と呼ばれるような団体の意見をしっかり聞いていただいて、そのどちらもきちんと意見を聞いて進めていただくことが重要だと思いますし、官民共同規制であることによって、ややもすれば規制の実が上がらないということも可能性としてはあり得るところでございますが、その場合にはより厳しい法規制に、個々の行為の義務をつけた法規制に移っていくということを考えることも必要になってくるのではないかという御意見をいただきましたが、この意見についての総務省の見解を伺いたいと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 官民共同ガバナンスを推進するに当たり、実効性ある規制とするためには、関係者より幅広い御意見をいただきながら、利用者保護を図りつつ、ビジネスの実態等を考慮した規律内容とすることが必要だと考えております。

 総務省といたしましては、法案成立後、引き続き電気通信事業ガバナンス検討会を開催し、消費者団体、事業者団体及び経済団体の御意見を丁寧にお伺いしながら、利用者が安心して利用でき、信頼性の高い電気通信サービスの提供を確保できるよう、規律の詳細について検討してまいります。

 なお、本法案の附則におきましては、施行後三年を経過した場合に、本法における改正後の電気通信事業法の施行状況について検討を行うこととしておりまして、その結果を踏まえ、必要に応じ、所要の措置を講じてまいります。

道下委員 今局長から御答弁ありました、三年を目途にこの法案について見直しを検討するということでありますが、この法案は、先ほども申し上げたとおり、二年前に別の点で法案改正されました。

 もうこれは本当に日進月歩だ、グローバルな展開が行われておりまして、三年とか言っていられないと思うんですよね。来年になるともっとがらっと変えなきゃいけないぐらい、後で申し上げますけれども、個人情報保護法と一緒になって、個人情報の保護だとか、電気通信事業におけるそうした個人情報の取扱いについて更に厳しくしていかなきゃいけないというふうに思うので、私は、三年ということは悠長に言っていられない。三年としていますけれども、私は、二年とか一年でもそれは構わないというふうに思っています。

 それから、電気通信事業における信頼性を高める、どちら側の信頼性を高めるんでしょうか。電気通信事業者側の信頼性を高めるんでしょうか、利用者側の信頼を高めるんでしょうか。私は、利用者側の信頼を高めるということが大変重要だと思いますので、どちらの意見に重きを置くのかということをしっかりと念頭に置いていただきたいというふうに思っております。

 そこで、次に、今日、個人情報保護委員会の方から来ていただきました。ありがとうございます。

 個人情報についてちょっと伺いたいと思います。

 先月の、四月二十八日の本総務委員会の参考人質疑を傍聴されたと伺っておりますけれども、その中で、参考人の方から、現在の個人情報保護法では、外部送信との関係で申し上げましたように、ウェブの閲覧履歴とか、あるいはクッキーとか、こういったものが個人情報になっていないということがあります、これは非常に重大な問題です、オンラインでの行動履歴みたいなものは個人情報として把握していただく必要がありますので、個人情報保護法は個人情報保護法でアップデートは必要です、しかしながら、個人情報保護法のアップデートを前提としても、なお電気通信事業法でスマホの利用者の情報を保護するということは、これは必要なことであって、正当なことではないかというふうに思いますという御意見をいただきました。

 ほかのところでも、個人情報保護法における個人情報という定義が曖昧で、また範囲が狭いという意見、また、今お話があったとおり、ウェブで閲覧履歴などが個人情報になっていないということが非常に大きな問題という意見がありました。

 私は、国際基準から遅れているのではないかというふうに思いますが、その点について、個人情報保護委員会の見解を伺いたいと思います。

佐脇政府参考人 お答えいたします。

 個人情報保護法は、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる記述等により特定の個人を識別できるもの、又はマイナンバーなどの個人識別符号が含まれるものを個人情報として規律の対象としております。御指摘の端末識別子、それからウェブの閲覧履歴などにつきましても、特定の個人を識別することができる場合には個人情報に該当することとなります。

 また、令和二年六月に成立し、本年四月一日から施行されました改正個人情報保護法では、新たに個人関連情報についても規制を導入いたしました。具体的には、特定の個人に関連する情報じゃなくても、生存する個人に関連する情報でありましたら、それを個人関連情報と定義いたしまして、これを保有する事業者が第三者に対して提供する際に、提供先で個人データとして取得されることが想定される場合には、提供元の事業者はあらかじめ本人の同意が得られることを確認する義務を負うものとしたものでございます。

 これによりまして、そういった個人関連情報に含まれます端末識別子やウェブの閲覧履歴につきましても、個人情報保護法において一定の規律をかけることになっております。

 改正法の検討段階では、端末識別子などの取扱いについて多様な御意見が寄せられましたが、消費者からは、端末識別子そのものを個人情報として規律することや、提供先において個人情報として取り扱われる場合には規律の対象とすべきであるというお声がありました一方、事業者からは、ユーザーの利便性への配慮を求める御意見や、イノベーションを阻害しない観点から、規制の対象とすることに慎重な御意見が寄せられたところでございます。

 こうした御意見を踏まえまして、改正法では、個人関連情報に関する規律を導入する一方で、端末識別子そのものについては、制度の改正を検討いたしました制度改正大綱におきまして、関連する技術、ビジネスモデルの実態が多様かつ変化の激しいことを踏まえ、まずは自主的ルール等により対応いただくということと整理したわけでございます。

 なお、国際基準のお話がございました。我が国の個人情報保護法の規律は、GDPRの規律に照らしまして十分なレベルの保護を保障しているということで、平成三十一年一月に欧州委員会より個人データの越境移転に関する十分性の認定の決定が行われております。その意味では、国際的な水準と比べましても、保護レベルが不十分とまでは言えないかなというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、端末識別子などにつきましては、その取扱状況、保護と利活用のバランスに配慮しつつ、引き続き注視し、必要な対応を図ってまいりたいと思います。

道下委員 御答弁ありがとうございます。

 平成三十一年のEUからの意見ですけれども、もうそれからここ三、四年で、例えば、お話がありましたとおり、ケンブリッジ・アナリティカ事件だとか、そういう様々、電気通信事業における、インターネット上における技術開発というか、人の心に入り込むというものはどんどんどんどん進化しているんですよね。

 これは、先ほどの個人情報に当たるものは規制の対象にしているというふうな答弁でありましたけれども、逆に一方で、個人情報、名前とか生年月日とか住所じゃない、つまりクッキーだとかそういうID、勝手に割り振られたナンバー、IDだとかそういったものと別のものが照合されて、道下大樹ではなくても、Aさんということで、これである程度個人が、その人の趣味、嗜好というものが分かるということで、ターゲティング広告だとか政治上の広告だとか、様々なものが今どんどん広がっている。

 これに対してどのように、我々個人もそうですが、国というものが、国家を守るためにおいても、こうした規制をしていく必要があるのかどうかということを更に先に先に検討していく必要があると思うので、私自身はまだまだ、こうしたウェブ閲覧履歴だとか、日本の個人情報保護法における個人情報という定義だとか範囲が狭いと指摘をさせていただきたいと思います。

 ケンブリッジ・アナリティカ事件を例に、今回、参考人の御意見の中でも、ターゲティング広告などの規制について、個人の内心に入り込むプロファイリングが使われないようにするための規制が必要であるという意見がありました。この点について、個人情報保護委員会から見解を伺いたいと思います。

佐脇政府参考人 お答えいたします。

 いわゆるプロファイリングにつきましては、その利用の目的、態様により個人の権利利益を侵害するものとなれば問題となり得るものというふうに認識しておりまして、個人情報保護法における取扱いについて御説明申し上げたいと思いますけれども、不適正な利用の防止のための規律を幾つか用意しております。

 まず、違法又は不当な行為を助長するといった不適正な方法に該当する場合は、そういった利用はしない旨の規律を設けております。

 その上で、御本人が自らの意思に反する取扱いを回避するという観点から、まず、本人の権利又は正当な利益が害されるおそれがある場合には、利用停止、削除が請求できる権利を明確化いたしました。要件の緩和をいたしました。

 それから、先ほど御説明いたしましたけれども、提供元で個人データに該当しないものであったとしても提供先で個人データになる場合には、個人関連情報としての規制も導入いたしました。

 さらには、第三者に提供される場合の記録義務というものが設けられておりましたが、それを本人が閲覧できるという開示請求の対象にも加えたところでございます。

 そして、本人が、自分が提供したデータがどのように使われているかということをよく分かるようにすることが大事でございまして、その点に関しましては、本人がその取扱い、プロファイリングも含め、予測できる程度に利用目的を事業者が特定するということも求めることにしてございます。

 今後とも、個人情報保護委員会といたしましては、プロファイリングによって個人の権利利益が侵害されることのないよう、適切に法執行を行うとともに、状況を見定めつつ、必要な見直しを行ってまいりたいと思います。

道下委員 そうした法改正、法執行、十分取り組んでいただきたいと思いますが、利用者は一個人で、非常に立場が弱く、専門性もありません。私も同じでございます。そうした意味で、こうしたことが起きたときにどのように行政が利用者個人を守り、そして支援をしていくのか、こういう相談があったときにしっかりと相談体制があるのか、あると思いますけれども、まだまだ不十分だと思いますので、こうした点の相談窓口体制の整備をお願いしていきたいというふうに思います。

 次に、今回、利用者情報の適正な取扱いと利用者情報の外部送信について、取扱規程の策定や届出、公表などが記されておりますけれども、これについて違反した場合の担保措置と罰則について、簡単に御説明をお願いしたいと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の規律の担保措置といたしまして、規定に違反した場合には、業務改善命令などの対象としているところでございます。

 また、当該命令等に違反した場合には、罰則として、二百万円以下の罰金に処することとしております。

道下委員 先ほどの質疑で、利用者情報の適正な取扱いに関しては、利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信事業者に対する義務ということで、例として利用者数一千万人以上ということにしていました。

 一千万人、ちょっとそれで、先ほど出た楽天モバイルは五百万人程度ということで、これはこの場合の、利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信事業者の対象とならないということでしょうか。一方で、例えば、私はドコモは一千万人以上いると思うので、これは対象になるということでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の規律に関します対象の範囲につきましては、電気通信事業ガバナンス検討会の報告書などにおきまして、例として一千万人の規模をお示しさせていただいておりますけれども、この規模につきましては、今後、関係の事業者とも議論をいたしまして、より適切な決め方をしてまいりたいというふうに考えております。

 したがいまして、現時点において、対象となる事業者が、A社が入るのか、B社が入るのか入らないのかということについては、お答えすることは困難かと思います。

道下委員 こういう我々に説明をするときの資料で、例として一千万人以上と書いている。これはやはり独り歩きしてしまいますよね。

 A社が入ってB社が入らない。同じ仕事をしていて、かつ、でも違うと。ある事業者が、この前、国内企業には規制がかかるけれども海外事業者にはかからない、これは一国二制度だという話がありましたけれども、これこそ一国二制度ではないでしょうか。基準を決めるとか、利用者数の人数を決めておく、何人以上何人以下という、ある程度は決める必要があると思いますが、人口一割程度というのは余りにも曖昧過ぎると私は思うんです。同じ事業をやっている、利用者の人数は大小あるかもしれませんが、同じ事業種別だとか、そうしたもので私は区別すべきだと思うんです。

 だから、何万人以上だったら対象になって、何万人以下だったら、ここでいえば一千万人以上とか、若しくは八百万人以上とかは対象になって、それ以下は対象にならないとか、これは余りにも不公平になりますので。これは国も、公平公正な環境の下での競争にはならないというふうに思いますので、それは望んでいらっしゃらないと思います。

 こうした点は、是非、決めるのは省令ですかね、省令でしっかりと、これはどこからも批判が起きないように、誰もがある程度納得できるように、この点の、利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信事業者というものを、ある程度基準を決めていただきたい。私は、全ての、ほぼほぼ全ての事業者を対象にすべきだというふうに思います。

 それから、今、こういう義務を課して、さらに、業務改善命令を出して、遵守命令なども出して、それでも従わない場合は罰則二百万円以下ということなんですよね、これは百八十六条で。二百万円以下というのは、個人事業、小さなというか、一千万人以上の利用者がある会社で二百万円以下の罰金というのは、私は、蚊に刺されるほども痛くないぐらいの罰金だと思うんです。もちろん、それが公表されて社会的制裁ということもあるかもしれませんが、二百万円以下の罰金というのは、私は、ちょっと少な過ぎると思います。

 海外では、制裁的な罰金として何百億円とか、そういうものもありますよね。私は、こういう罰金、罰則の基準も海外の事例と合わせるべきだと思うんですが、その点について、総務省の見解を伺いたいと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案における利用者に関する情報の適正な取扱いに係る規律については、利用者の利益等を確保するために必要な限度において業務改善命令等の対象としておりますが、業務改善命令等に違反した場合の罰則は、御指摘のとおり、電気通信事業法第百八十六条の規定により、従来から、二百万円以下の罰金に処することとしているところでございます。

 当該業務改善命令等に違反した場合の罰金額に関しましては、電気通信事業法における罰金の額としては最大の金額となっておりまして、これまでの電気通信事業法の運用に鑑みましても、適正なものであると認識をしております。

 なお、御指摘もありましたけれども、規律に違反した電気通信事業者等に対しては、必要に応じまして、法令等違反行為などの公表の規律も課すことが可能でございまして、事業者のコンプライアンスが重視される中、違反行為等の公表は、電気通信事業者等のレピュテーションにも大変大きな影響を及ぼし、制裁効果は大きいものと考えております。

道下委員 例えば、国内企業は結構、二百万円以下の罰金だけではなくて、いろいろと、今答弁ありましたようなことで制裁が科せられるわけで、影響は少なくはないと思いますが、例えば、会社名を出して申し訳ないんですけれども、グーグルが日本国内で違反した、アマゾンが違反した、業務改善命令を出しても従わない、それで結局、二百万円以下の罰金。何か余りにも少な過ぎませんか。少ないと思うし、これはほかの法律の罰則に照らし合わせて、横並びなんじゃないですかね。

 私は、そろそろ、違反の内容にもよるんですけれども、悪質であったり、又は多くの利用者情報が流されてしまったとか漏れてしまったとか、そういったことを踏まえれば、もっと罰則は大きくすべきだと思うんです。

 その点について、ちょっと大臣、どう思われますか、この点について。もう少し私は厳しくすべきだと思うんです。

金子(恭)国務大臣 今、道下委員から御指摘があったわけでありますが、今回の法律については、今御提示をしているわけでありますが、おっしゃることもよく理解できます。

 しかし、今後、やはり有識者会議等々でしっかり議論していただくということが必要だと思っておりますので、しっかり受け止めさせていただきたいと思います。

道下委員 是非とも御検討をよろしくお願いいたします。

 次に、先ほど申し上げましたとおり、今、世界では、加速度的に進行するネット環境において、このような、今回の法改正案のように、事業に対して様々な規制をするだけではなくて、情報やプライバシーなど個人の情報の権利を個人が自分で管理し、決定し、守る、これは国も守ることになりますけれども、そうした権利を国が保障しなければならないというふうに思います。

 個人情報の管理と保護について、私は、先ほども申し上げましたけれども、個人情報保護法と今後調整する必要があるのではないかというふうに考えますが、総務大臣の見解を伺いたいと思います。

金子(恭)国務大臣 近年、デジタル社会の進展に伴い、社会経済活動、国民生活の基盤として、また、自由な情報の発信、人と人とのコミュニケーション、多様な情報の収集、利用の手段としての通信サービスの重要性が急速に増してきております。

 また、デジタル化を推進する上で、情報の不適正な取扱い等のリスクに対応し、利用者が安心して利用できる信頼性の高い通信サービスの提供を確保することは極めて重要であります。

 総務省としては、電気通信事業法の目的として利用者利益の保護が掲げられていること等も踏まえ、国民の皆様が安全、安心にインターネットを利用できる環境の整備に向けて、今後とも制度の見直しに不断に取り組んでまいります。

道下委員 ありがとうございます。

 答弁は求めませんが、個人情報保護委員会の方でも、個人情報保護法のアップデートを、是非、電気通信事業法を含めて、行っていただきたいというふうに思います。

 この点については最後の質問にさせていただきます。

 これまで、本改正案についても、電気通信事業ガバナンス検討会における議論が基となっております。この検討会における議論の重要性はますます私は高まっていくものと思います。検討会の今後について、総務大臣に伺いたいと思います。

金子(恭)国務大臣 お答えいたします。

 デジタル化が進展をし、情報の適正な取扱いが大きな課題となっている中、道下委員御指摘のとおり、電気通信事業ガバナンス検討会における議論は極めて重要だと考えております。

 本法案は、事業者団体、消費者団体、経済団体など様々な関係者の御意見を丁寧に伺った上で取りまとめられた本検討会の報告書等を反映したものとなっておりますが、法案成立後も本検討会は引き続き開催される予定でございます。

 本検討会での議論も十分に踏まえながら、本法が実効性のあるものとなるよう、施行に向けた準備等を進めてまいります。

道下委員 ありがとうございます。

 この案件に関しては本当に目まぐるしく変化をしていますので、それに対してしっかりと対応するというか、先回り先回りしていくということが大変重要だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 時間も最後だと思います。大きな三点目について質問をさせていただきたいと思います。電気通信市場をめぐる動向に応じた公正な競争環境の整備であります。

 本改正案によって、卸料金が低廉化し、MNOとMVNOとの競争が活発になると想定される一方で、卸元事業者の設備更新だとか設備投資だとか維持管理にやはり何らかの影響を与えるのではないかというふうに思います。新規参入してくる会社がおいしいところ取り、いわゆるクリームスキミングしてくるのではないかとか、やはり公平公正な環境が崩されてしまうのではないかというふうに危惧する意見も聞かれるわけでありますが、その点について、総務大臣の見解を伺いたいと思います。

金子(恭)国務大臣 本法案は、携帯電話などの通信ネットワークを保有している事業者の交渉上の優位性を是正するとともに、それを借りて格安の携帯電話サービスなどを提供する事業者が必要な情報を得て交渉できるようにするための環境の整備を図るものでございます。ネットワークの使用料、すなわち卸料金の水準についてまで細かく規制することを目的とするものではございません。

 したがって、ネットワークを他社に貸し出すサービス、すなわち卸通信サービスについては、引き続き相対契約を基本とし、その料金については、事業者間の協議において決めていただくことを基本とするものでございます。このため、ネットワークを保有する事業者が設備投資の回収に必要となる費用を卸料金に反映することを妨げるものではありません。

 したがって、委員御指摘の、設備投資や設備の維持に悪影響を与えるとは考えておりません。

道下委員 質問を終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、奥野総一郎さん。

奥野(総)委員 奥野総一郎でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、ブロードバンドに関するユニバサービスということですけれども、ちょっと私がずれているのかもしれないんですが、ブロードバンドのユニバというと、ぱっとイメージするのは、5G、例えば下り百メガとか、そのぐらいのスピードで、全国どこででもつながる、有線、無線問わずつながるような社会というイメージがあるんですが、それは究極の目標なのかもしれませんけれども、それに一歩でも近づけていくことだと思います。

 その上で、今回の制度がどうなっているのかということを伺いたいんですが、この改正で具体的に、何を狙っていて、どのような効果が見込まれるのかを伺いたいと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 ブロードバンドサービスは、テレワーク、遠隔教育、遠隔医療など、近年重要性を増している様々なサービスの前提となるものであり、今日では国民生活に不可欠なものとなっております。

 今回の改正は、このような認識に基づきまして、一定のブロードバンドサービスを電気通信事業法における基礎的電気通信役務の新たな類型として位置づけ、不採算地域における安定的なサービス提供を確保するための新たな交付金制度の創設などを行うものでございます。これにより、不採算地域における有線ブロードバンドサービスの安定的な提供が将来にわたって確保されるという効果が見込まれます。

 また、現在、離島や山間地を中心として、有線ブロードバンドの整備が依然として行われていない地域が一部に存在しますけれども、その大きな要因が、整備後のサービス維持に要する費用への懸念であると考えられております。このため、今回、有線ブロードバンドサービスの維持費用を支援する仕組みを創設することで、このような有線ブロードバンドが未整備の地域の解消が一層促進されるものと想定をしております。

 このように、今回の改正は、有線ブロードバンドサービスの安定的な提供を日本全国あまねく確保し、政府が掲げるデジタル田園都市国家構想の実現にも寄与するものでございます。

奥野(総)委員 諸外国はどうなっているんでしょうかね。

 韓国なんかは、これはベストエフォートかどうか分かりませんが、百メガ、下り百メガなんという数字も入っているようなんですが、諸外国におけるブロードバンドの位置づけ、ユニバーサルサービス制度、そういう規定があるところについて、ちょっと伺いたいと思います。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 諸外国におきましても、ブロードバンドをユニバーサルサービスの一種として位置づけまして、不採算地域におけるサービス提供を確保するための何らかの支援制度などを設けている例が見られます。

 その具体的な内容を申し上げますと、各国におけるブロードバンドの整備状況やブロードバンドに対するニーズなどに応じまして、様々な規定の仕方がございます。

 例えば、アメリカやカナダにおきましては、主としてブロードバンドの新規整備を促進することを目的とした制度となっているのに対しまして、オーストラリアにおきましては、専ら整備されたブロードバンドの維持を図ることを目的とした制度となっております。

 また、アメリカやイギリスでは、有線、無線の別を含め、支援対象とするブロードバンドの種別を問わない制度となっているのに対しまして、韓国やオーストラリアにおきましては、制度の対象となるブロードバンドの種別をあらかじめ限定をした制度となっているところでございます。

 通信速度につきましても、アメリカやカナダのように実効速度で基準を定める国もあれば、韓国やオーストラリアのように名目速度で基準を定める国もございまして、基準とされる具体的な数値も、国により様々でございます。

奥野(総)委員 様々ということなんですが、国によってその速度の明示の仕方が違うということでもありますが、こういう速度だというその目安を大体どの国でも規定してあるのかどうかということ。

 それから、有線、無線分けているということも言っていますが、日本のように有線だけに絞ったような形でユニバを定めている例というのはあるんでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 通信速度の各国の規定についてのお尋ねでございますが、例えばで申し上げますと、アメリカにおきましては、実効速度で下り十メガ、上り一メガということになっております。また、名目速度で規定をしているイギリスにおきましては、下り十メガ、上り一メガという規定でございます。

 それから、個別の技術、無線、有線の別を規定している国においては、有線のみを規定している国があるのかというお尋ねでございますけれども、それにつきましては、韓国が有線のみを対象としているところでございます。

奥野(総)委員 大体分かりましたけれども、日本は大体、あらかた光ファイバーが引かれている、九九%ぐらいですか、ほとんど引かれているという中で、最後のところを、離島とかそういうところを整備していく、あるいは、既に引かれているものについての維持をやっていこう、こういう考え方だと思います。

 その上で、ちょっと伺いたいんですが、このブロードバンドの定義ですよね。光ファイバーだと言ってしまえばそうなのかもしれませんが、各国、今聞くところによると、大体十メガとか、韓国は百メガと、光なんでしょうから、言っているようですけれども、日本の場合は、そこはどういうものをブロードバンドというんでしょうか。

 例えば、今はもうないですけれども、かつてADSLとか、メタルでやった例もありますし、そういったものも補完的に使っていくのかどうかですね。どういった速度、どういった品質、もう一度、どういった媒体を使うのかというのを伺いたいと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正で、基礎的電気通信役務の新たな類型として位置づけるブロードバンドサービスの具体的な内容は、技術の進展等に応じた柔軟な見直しを可能とするという観点から、総務省令において定めることとしております。

 現時点での想定といたしましては、テレワーク、遠隔教育、遠隔医療などのサービスを継続的、安定的に利用する上で適切な通信手段となり得るものを指定するという観点から、大容量の動画を送受信可能か、また、リアルタイムかつ双方向でのやり取りが可能か、さらに、定額料金で原則無制限に利用可能かという三点を総合的に考慮いたしまして、有線ブロードバンドサービスのうち、FTTHとHFC方式のCATVインターネットを定めることを想定しているところでございます。

 また、これらの有線ブロードバンドサービスにつきましては、テレワーク、遠隔教育、遠隔医療などを利用する上で最低限必要となる名目速度の水準を総務省令において規定をし、事業者のサービス水準の確保を促していくことを想定をしております。

奥野(総)委員 具体的な数字はイメージは湧くんですが、滑らかに動画を使いながらということで、おのずとそれは三十メガとかそういうイメージは湧いてくるんですけれども、諸外国はもう少し分かりやすくなっているんですよね。だから、省令を定めるときにもう少しそこは検討いただきたい、具体的に。なかなか、書いてしまうと、それを絶対保証しなきゃいけないとか、問題が出てくるのかもしれませんけれども、そこはもう少し分かりやすく、省令を定めるときに規定いただければと思います。

 今の話だと、一部、ケーブルテレビなんかはメタルの回線も使ってということを許容しているというふうに理解します。基本的には光ファイバー中心ということですが。

 5Gになると、5Gで今言ったようなサービス、当然、動画とかいろんなアプリケーション、動画を使ったアプリケーションの提供が可能になると思うんですが、そういうことも含めて、無線も、国によっては有線、無線関係なく、大抵の国はユニバを規定しているんですが、無線はなぜ含めないのかということなんですが、いかがでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 無線ブロードバンドサービスも、国民生活において極めて重要なサービスであるということは変わりありませんけれども、無線ブロードバンドサービスのうち4Gにつきましては、現時点で、既に居住地域の九九・九九%以上をカバーをしておりまして、事業者間の競争を通じた自主的な取組により、来年度中には全ての居住地域をカバーをする見込みでございます。

 また、無線ブロードバンドサービスにつきましては、今後普及が見込まれる5Gを含め、一般に基地局までの光ファイバー網が維持されていれば、無線部分の維持費用は大きな負担とはならないと考えております。

 このため、無線ブロードバンドサービスについては、あえて交付金制度による支援対象とする必要はないことから、現時点での想定といたしましては、基礎的電気通信役務としては位置づけないこととしているところでございます。

奥野(総)委員 デジタル田園都市構想とぶち上げているんですけれども、どこに行っても、だから、5Gがつながれば究極的にはいいと思うんですけれども、なかなか進まないですよね。僕も携帯は5G対応の国産品のソニーのやつを使っていますが、なかなか5Gがつながらない、大体4Gなんですね。5G、立たないんです。

 そういうことを考えたときに、思い切ってこれを位置づけてしまって、国策として5Gの普及を促していくということも考え得ると思うんですが、その辺はいかがですかね。せっかく総理がデジタル田園都市と言っているわけですから。これを機に、5Gの普及、カバー率を一気に前倒しで進めていくというようなことは考えられないんでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、デジタル田園都市国家構想、これを進めるために5Gインフラが極めて重要であるという点につきましては、おっしゃるとおりかと思っております。

 他方、今回の電気通信事業法の改正によります、基礎的電気通信役務、これを交付金で支援をするという枠組みにつきましては、基本的に、現時点でほぼ整備が終わっているそういうインフラであり、先ほど申し上げました、そういうものを有線ブロードバンドサービスということでございますけれども、それの維持のための民間事業者の扶助の制度ということでございますので、デジタル田園都市国家構想の推進のための5Gの整備の一層の促進という点につきましては、このユニバーサルサービス制度というよりは、また別の取組でしっかりと推進をしてまいりたいというふうに考えております。

 本年三月末に、総務大臣より、デジタル田園都市国家インフラ整備計画というものを出させていただいております。その中には、明確に、5Gの整備率につきまして、何年度にどこまでという目標を示させていただいております。そういった目標を今後しっかりと掲げながら、必要な支援並びに各事業者との連携を図ってまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 FTTHも、私が役所にいた頃からずっと言っていますから、その究極の目的が今や達成されそうだということだと思うんですが、そこに余りこだわらずに、やはり無線も含めてきちんとユニバーサルサービスとして私はやるべきだと思いますし、懸案だったんですよね、ブロードバンドのユニバ化というのは懸案だったんですが、せっかくの機会だから、もう少し未来を見据えて、踏み込んだ形にできればよかったなというふうに思います。

 今伺ったとおりで、これから進めていくということでありますけれども、ちょっとやはり5Gは遅い。サービスインしてから大分たっていますけれども、なかなか使えるところがないので、そこはしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 これは負担の問題が出てきますが、ユニバということでみんなで負担をしていくということになると思うんですが、交付金の財源について、最終的にこれは利用者が負担することになろうかと思いますが、利用者の負担となるのか。それから、その場合、総額でどの程度交付金の額を考えていて、それを一人頭に直すと大体幾らぐらいになるのかということを伺いたいと思います。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 交付金の総額は、現時点での試算では、年間約二百三十億円、一契約当たりの負担額は月額約八円と見込んでおります。ただし、これらの数字はあくまで現時点での一定の仮定に基づく試算であり、具体的な算定方法は、法案成立後、利用者の御意見を丁寧に伺いながら、審議会等のオープンな場で改めて検討することを予定しております。

 また、御指摘の交付金については、制度上、ブロードバンドサービスを提供する事業者が負担することとなりますが、実際には、通信料金に転嫁する形で、利用者の皆様に少しずつ御負担いただくことが想定されております。

 このため、利用者の皆様から十分な御理解をいただくことは必要不可欠であると考えております。様々な広報手段を用いて、通信事業者や関係団体とも協力をしながら、しっかりと周知を行っていきたいと考えております。

奥野(総)委員 八円と言っていました。これは多分月額なんでしょうね、恐らく。それから、今皆さんいろいろな、僕なんかも携帯を二台持っていますから、携帯、恐らく端末ごと。あるいは利用形態、パソコンなんかだったら光ファイバー部分、媒体ごとの値段だということだと思いますが、その確認と、あと、それをやはり国民にちゃんと周知していかないといけないと思うんです。

 こういう、さっき言った、最初に二宮局長がおっしゃったようなブロードバンドのメリット、まあ皆さん、もう享受していますけれども、何の目的のためにどのぐらい負担していただくのかということを、やはりきちんと周知を図っていくべきだと思いますが、そこのところを、もう一度大臣にお願いします。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 月額八円と申しますのは一契約当たりの負担額でございまして、御指摘の、例えば、携帯電話とFTTH、それぞれ契約は別でございますので、そういった意味では二つの契約とカウントすることとなるものでございます。

 それから、御指摘の周知広報の重要性、これはおっしゃるとおりでございます。私どもも、基本的には、国民の方々に負担が及ぶということである以上、しっかりとここは周知をしてまいりたいというふうに考えております。

奥野(総)委員 微々たるものといえば微々たるもの、年間百円程度。ただ、一人で負担すると、三つ、四つ、三契約、四契約という方もいらっしゃるでしょうから、年間数百円の負担ということだと思いますけれども、一応、新たな負担ですから、税金とは違うとは思いますが、負担金ですかね、受益者の負担金という位置づけだと思いますけれども、新たな負担ということですから、やはり、新たな負担を国民に求めるということですから、しっかり説明いただきたいというふうに思います。ブロードバンドについてはここまでです。

 次に、サイバーセキュリティーの話なんです。

 舌をかみそうですが、認定送信型対電気通信設備サイバー攻撃対処協会、ちょっと私、不勉強で、こういうのがあるのを知らなかったんですが、そこの業務に攻撃先設備探査を追加するということなんですが、これは具体的に何をしようとしているんですか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の電気通信事業法におきましては、認定協会にサイバーセキュリティーに関する情報の共有を行う業務を設けておるところでございますが、これにつきましては、サイバー攻撃が発生した後に情報を共有するということとなっているところであります。

 今回の法改正におきましては、この認定協会の業務の範囲をサイバー攻撃の予兆行為があった場合にも拡大をするというものでございます。

奥野(総)委員 今までは、ある意味、こういう攻撃がありましたということを共有して、気をつけましょうということを周知広報というか、情報共有していたというふうに理解できますが、今回は、あらかじめ攻撃の予兆を捉えるということなんですが、僕はやるべきだと思うんですけれども、ちょっと気になるのは、通信の秘密との関係が気になって。

 もちろん、憲法上、通信の秘密を侵してはいけないという話があり、それを受けて電気通信事業法も、電気通信事業者の取扱いに係る通信の秘密についての規定がありますが、通信の秘密との関係で、どういうロジックで探査、通信の内容を恐らく知らなきゃいけないと思うんですが、どういうロジックでこれは合法ということになるんでしょうか。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 今回の法改正におきます認定協会の業務の範囲、これをサイバー攻撃の予兆行為があった場合にも拡大するということは、先ほど申し上げたとおりでございます。

 具体的には、認定協会は、電気通信事業者からサイバー攻撃の予兆となる通信に関する情報の提供についても受け入れるということが可能となるものでございますが、その際の通信の秘密に関する情報の取扱いにつきましては、原則として利用者の同意が必要となっておりまして、今回の改正においてもこの点に変わりはございません。

 更に申し上げますと、サイバー攻撃を行おうとする送信側の同意につきましては、従来より、社会的に脅威となっております、被害が拡大するおそれがあるサイバー攻撃などに対応する、ボットに感染した端末を検知をするためのハニーポットの設置において、通信当事者間で共有されている情報の取扱いについては、ボットに感染した送信側の同意を必要としないという整理が行われているところでございまして、サイバー攻撃に対応するための本改正につきましても、このような事例と同様の整理となるものでございます。

奥野(総)委員 なぜこういうことを言っているかというと、私は憲法もやっているんですが、憲法の通信の秘密、二十一条二項、これが邪魔になって、例えば、サイバー攻撃を防げないんじゃないかとか、あるいは外国の通信傍受ができないんじゃないかとか、こういういろいろな意見があるんですが、それはむしろ、憲法が悪いわけじゃなくて、私は解釈できちんとやらなきゃいけないと思っています。それで、こういう話を伺ったんです。

 もう一回確認しますけれども、当然、攻撃される側は同意しますよね。ただ、攻撃する側はそんなものは同意するわけがないのでという話ですが、社会的な被害、害悪もありますから、それを、ボットについて、感染したというか、ウイルスをばらまくんですかね、ボットについては、そこは同意は要らない。それは、公共の福祉の観点からというと、どういう整理になるんですかね。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、このボットのケースにつきましては、従来より社会的に脅威となっており、被害が拡大するおそれがある、そういうサイバー攻撃でございますので、そういうサイバー攻撃につきまして、送信側の同意を必要としないという整理を行ったものでございます。

奥野(総)委員 恐らく、これは憲法にまで遡っていく話だと思うんですが、それは公共の福祉による制約ということにたどり着くんだと思いますが、その辺をやはりきちんと分かるように整理しておいていただかないと、今後、こういう問題はますます起こりやすくなってきますし、防御しなきゃいけないし、場合によっては、例えば、ひどい場合、原発とかを動かしちゃってメルトダウンを起こさせるとか、武力攻撃に比するような、そういうことだって起こり得るわけです、いろいろな事案はあると思いますけれども。

 そういったときに、きちんと予兆を見つけて、場合によっては、こっちから先に反撃していくというようなことも必要になると思うので、やはりこの辺りをきちんと整理をしておいていただきたいと思います。今の整理だとなかなか、一見するとそのとおりだと思うんですが、きちんと法律的な整理をしておいていただきたいと思います。恐らく公共の福祉の話になってくると思うんですけれどもね。それが私の問題意識なので、お願いしておきます。

 大臣、どうですか、その辺りは。分かりますか。

金子(恭)国務大臣 しっかり受け止めさせていただきたいと思います。

奥野(総)委員 よろしくお願いしますね。国を守るという話にこれはつながってくるので、是非しっかりやっていただきたいと思います。

 それから、外部送信の話に移らせていただきます。

 今回、電気通信事業者、海外への国外適用については、既に二〇二〇年の改正で実現しています。私はずっと、これをやるべきだともう十年近く前から言ってきたんですが、ようやくそこはたどり着いて、国外適用になりました。

 さらに、今回、電気通信事業者として、ツイッターとかグーグル、一定の基準はあるんでしょうけれども、規制をかけていくということだと思います。今回広げた目的と、それから、具体的にどういう規制をかけていくのか、どういう狙いかということを伺いたいと思います。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 今般、対象を拡大いたしまして、検索サービスやSNS、これは、現状、一般的には、登録及び届出が不要となる第三号事業に該当するところでございますが、当該第三号事業については、電気通信事業法の創設当時、利用者が小規模なものしか想定されない特殊な形態の事業であり、法の規律を課す社会的必要性が乏しいと考えられておりまして、通信の秘密の保護と検閲の禁止を除き、電気通信事業法の規律の適用を除外をされてきた経緯がございます。

 他方、近年、この第三号事業におきまして、利用者数が著しく多く、法の適用対象である電気通信事業と同等又はそれ以上に利用者に関する情報を多く取り扱う事業が出現をしてきたことに加えまして、社会活動における不可欠性が高く、様々な電気通信役務に係る基盤的な役割を担う第三号事業が出現をしたことなどによりまして、第三号事業における利用者の利益の保護などを確保するという社会的要請が高まっていると考えております。

 こうした状況を踏まえまして、従来の電気通信事業法の規律の継続性にも配慮し、必要最小限の規律とするという観点から、検索情報電気通信役務と媒介相当電気通信役務を電気通信事業者として規律の対象とするものでございます。

 なお、規律に違反した電気通信事業者又は第三号事業を営む者に対しましては、これまでの電気通信事業法における担保措置を踏襲をし、域外適用が行われる外国の事業者を含め、罰金や法令等違反行為等の公表などの規律を課すこととしております。

 このうち、法令等違反行為等の公表は、業務改善命令や罰金等の執行が困難な場合であっても執行が可能なものであるとともに、電気通信事業者及び第三号事業を営む者のレピュテーションにも影響を及ぼすものであり、事業者のコンプライアンスが重視される中、制裁効果は大きいと考えております。

 こういった改正を考えているところでございます。

奥野(総)委員 もうずっと海外適用の話もしてきたんですが、海外事業者に遠慮してというか、これまで規制をかけてこなかったんですが、これは、規制をかけると決断したからには、やはり国内事業者と同じように、きちんと規制をかけていただきたいし、何かあったときは、きちんとヒアリングをして、業務改善命令等しっかり指導していくということをやるべきだと思いますが、大臣、通告していないんですが、それはしっかりやっていただけますよね。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の情報の第三者への送信については、欧州のように同意の取得を義務づける例があることは承知をしております。

 しかし、同意の取得については、それが何度も繰り返されることにより、かえって利用者の理解が不十分になる、いわゆる同意疲れの懸念も指摘されております。

 このため、同意の取得に限定することなく、状況に応じた柔軟な対応を可能とすることが重要と考えております。実際に、米国のように通知によって利用者保護を図る例もございます。

 こうした観点も踏まえ、本法案では、情報の第三者への送信について、利用者が確認する方法として、通知又は公表、同意の取得、情報の第三者への提供を利用者本人の求めに応じて停止できるいわゆるオプトアウトのいずれも可能としております。

 また、利用者の確認に関する制度の詳細については総務省令などで定めることとしており、通知又は公表といった同意の取得以外の方法についても、利用者保護がしっかりと確保されるよう、今後、適切に検討してまいりたいと思います。

奥野(総)委員 ちょっと別の質問の答えを読まれているようなんですが。

 単純に、今伺いたかったのは、内外無差別できちんと電気通信事業者として位置づけて、グーグルだろうがツイッターだろうが、きちんと指導していく、場合によっては業務改善命令もかけていくということで、その覚悟はありますかというのが質問だったんですけれども。

金子(恭)国務大臣 委員の御趣旨を踏まえて、しっかり対応してまいりたいと思います。

奥野(総)委員 当然のことですね。踏み込んで事業者と位置づけたからには、それは同じようにやっていかなければ。

 そもそも、今まで事業者じゃないと、以前に遡れば、電気通信事業法の適用がないとまで言ってきたものをここまでようやく踏み込んできたわけですから、それは私はいいと思うんです。どんどんやるべきだと思うんですが、やるからにはやはりきちんとやっていかなきゃいけないし、ヨーロッパなんかはちょっとあれですけれども、GDPRとかきちんと規制を作って戦っているわけですから、やっていただきたい。

 そこで、今の答えになるわけですが、GDPRなんかでは、きちんと利用者の同意を外部送信について求める、サードパーティークッキーなんかも含めてちゃんと求める、こういうことになっているわけですよ。なぜ。日本はある意味緩いですよね。通知又は公表、同意の取得、オプトアウト、いずれの方法でもよい、こういうことにしたんですが。

 これだと、よくあるじゃないですか、契約書の隅の方に小さく書いてある、読めないような小さな字で、同意したものとみなすとかと書く、こういうやり方もあるわけです。実効性は私は上がらないと思うんですが、本当にこれでいいんですかという問い。

金子(恭)国務大臣 失礼いたしました。

 今、いろいろ対応については述べたわけでありますが、利用者の確認に関する制度の詳細については総務省令で定めることとしており、通知又は公表といった同意の取得以外の方法についても、利用者保護がしっかりと確保されるよう、今後、適切に対応してまいりたいと思います。

奥野(総)委員 若干改善の余地があるのかもしれませんが、省令できちんと実効が上がるように書いていきたい。

 そもそも、私はやはり、最初の報告書案にあったように、きちんと同意を求めるべきだと思いますし、それから、電気通信事業者に限らず、ウェブ屋、ウェブサイトの運営をしている企業とか、あるいはいろんなアプリケーションについてもきちんと同じように外部送信の同意を求める、こういう仕組みにすべきだと思います。

 是非、省令できちんと対応いただきたいということでよろしいですね。最後、大臣、もう一度。それで終わりたいと思います。

金子(恭)国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございます。しっかり取り組んでまいりたいと思います。

奥野(総)委員 時間が来たので、終わりたいと思います。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 岡本あき子でございます。

 本日は、質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 そして、冒頭に、先月、四月二十三日、知床観光船沈没事故で犠牲になられた方々に心から哀悼の意を、また、行方不明の方の早期の救出を願うばかりです。

 今回、この観光船の通信設備について、陸とつながる通信手段の確保義務を怠っていた可能性がある。また、行政による点検の在り方も問題があるという報道がございます。命をつなぐ手段として、情報通信の必要性も改めて認識したところですし、特に、過疎地域における情報通信の確保が重要な課題となっています。

 今回の電気通信事業法改正について、単なる通信の確保にとどまらず、情報通信及びデータ等、そのものの在り方が、そして使われ方、またデータの重要性など、時の流れと技術の進化を見ながら、適切に対応できる制度にしていく必要があります。

 特に、政府を挙げて、情報通信の位置づけ、そして、情報が大きな価値があり、かつセンシティブなものだという意識改革も必要だと思います。この前提で質疑を進めさせていただきます。

 最初に、ユニバーサルサービスの整備義務について伺います。

 条件不利地域におけるデジタル環境は、ラストワンマイルとかラストリゾートとか言われ、長年の課題となって久しいですが、デジタル庁ができ、本気でデジタルの恩恵が全国民に保障されるのかと期待するところです。しかし、今回の提案でも、義務を負うのは事業者となっており、しかも、業務提供区域という前提だと伺いました。結局、有線ブロードバンドの希望者がいても提供できない可能性もあるということでしょうか。事業者にどこまでの責務が発生するのか、御説明をお願いします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正法の施行後は、有線ブロードバンドサービスは基礎的電気通信役務と位置づけられまして、有線ブロードバンドサービスを提供する事業者には、業務区域における役務提供義務が課されることとなります。

 このため、有線ブロードバンドサービス事業者は、業務区域内の利用者からサービスの申込みがあった場合には、正当な理由がある場合を除き、サービスの提供を拒んではならないこととなります。

 その一方で、今回の改正案は、有線ブロードバンドサービス事業者に対して業務区域外における役務提供義務まで課すものではなく、各事業者の業務区域は、現在と同様、各事業者が自社の経営判断に基づき任意に設定ができるものでございます。

 このため、自社の業務区域外の利用者からサービスの加入希望があった場合には、事業者はサービス提供を拒否し得ることとなります。

 その一方で、今回の法改正により不採算地域における有線ブロードバンドサービスの維持費用を支援するための交付金制度が創設をされますと、有線ブロードバンドサービスの収支が赤字の事業者は、不採算地域における有線ブロードバンドサービスの提供について交付金による支援が受けられるようになり、現在の業務区域を将来的にも維持できるようになると考えられます。

 また、有線ブロードバンドサービスの収支が黒字の事業者も、他社が業務区域としていないエリアを新たに業務区域とした場合には交付金による支援が受けられるようになり、未提供エリアの更なる解消が進むと考えております。

 したがいまして、今回の法改正により、結果として、不採算地域を含め、ほぼ日本全国がいずれかの事業者の業務区域としてカバーをされるものと想定をしているところでございます。

岡本(あ)委員 非常に事業者への期待は高いけれども、やはり事業者にとっては、ちゃんと収支が取れるのか、ボランティアではないわけですから、その点についてというところがまだ明確じゃない、見えていない気はいたしております。

 一方で、提供していたんですけれども採算が取れないとなったら、撤退ということもあり得るのですか。逆に、この法律があると、撤退はしないでよということができるのか。そこは想定はあるんでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 交付金の制度につきましては、事業者の発意によりまして申請をするということになりますので、その交付金を得ることなく事業をやめるということにつきましても、それは可能となっている制度でございます。

岡本(あ)委員 なるべく撤退しないでよという努力はしていただくことにはなるかなとは思いますが、制度としてはそういうこともあり得るということではないかと思います。

 それから、今現在、事業者がなかなか手を挙げてくれないところは、公設公営だったり公設民営でブロードバンドを提供していらっしゃるエリアがあります。民間への移行の努力はされていらっしゃると思うんですが、今回、この法改正になることで、そこがより民間に進むのか。あるいは、今、民間で提供してくれていても、自治体単独で支援をしていたりする分とかがある場合は、自治体にとってもこの法改正によって負担が軽くなるということが想定されるのかどうか。この点もお答えください。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 今回の法改正で新設する有線ブロードバンドサービスに関する交付金制度は、現在の電話に関する交付金制度と同様、不採算地域におけるサービス提供を維持するための民間事業者間での相互扶助の仕組みでございます。

 したがいまして、自治体が公設公営方式によって有線ブロードバンドサービスを提供している場合には、新設する交付金制度の直接の支援対象となるものではございません。

 しかしながら、新設する交付金制度では、不採算地域において公設設備の民間事業者への譲渡が行われた場合には、それ以降の設備の維持や更新に要する費用を支援するということとしておりまして、これによりまして、現在、民間事業者の不採算地域への進出を妨げている大きな要因が解消されるということでありますので、今後は、公設公営方式から民設民営方式等への移行が一層進展するというふうに考えております。

 その結果、現在、公設公営方式によるサービス提供を維持するために不採算地域の自治体に発生をしております人材面、財政面での負担は相当程度軽減をされるものというふうに考えられます。

 なお、現在、公設公営方式によるサービス提供を行っている自治体に対して行われている国の支援措置につきましては、今後の民設民営方式等への移行の状況を踏まえ、その在り方を検討してまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 やはり小さい自治体が、本当に苦労して、通信環境の整備で、誰も取り残さないようにと頑張ってくださっております。

 ここの自治体が、結果として民間に行ったけれども、交付金の対象が、潤沢じゃないとかそういうことはあってはならないと思いますし、何よりも、この間支えている自治体が、そこに手当てがつかないことで例えば自治体が苦しくなるということではなくて、負担が軽くなる、この発想も持っていただきたいと思います。

 そして、最終的には、先ほど業務提供区域という条件がついておりましたが、やはり日本全国、誰一人取り残さない形でデジタルの環境が整うことを期待したいと思っています。

 大臣に伺いたいんですが、例えば台湾では、ブロードバンドによるインターネット利用を国民の基本的な権利だということで明言をして、保障しています。実際、コロナのときに、ネット、マスク対応のときに、スマホで申し込むんだけれども、通信ができないとなると、二週間以内に環境を整える約束をして、事業者にお願いをしつつも、政府が責任を持ってそこを担保しておりました。

 誰一人取り残さないという意味でいくと、事業者の経営に任せるのではなく、政府がやはり最後は責任を持って取り組むべきだと思いますが、その点、大臣のお考えを伺います。

金子(恭)国務大臣 岡本委員にお答え申し上げます。

 御指摘のとおり、インターネットは今や私たちの日常生活や経済社会活動に必要不可欠なものであり、その基盤となるブロードバンドサービスが全国どこでも安定的に提供されるようにすることは、地方と都市の差を縮め、活力ある地域づくりを目指すデジタル田園都市国家構想を実現するためにも大変重要であります。

 このため、総務省では、岸田総理からの指示を受け、デジタル基盤の整備を更に加速するため、デジタル田園都市国家インフラ整備計画を本年三月末に策定いたしました。その中で、今年度末までに光ファイバー等のブロードバンドサービスが利用できない地域を全て解消するとともに、二〇二七年度末までに光ファイバーの世帯カバー率を九九・九%まで引き上げることを目標としているところでございます。

 この目標の実現に向け、光ファイバーなどの有線ブロードバンドサービスをユニバーサルサービスと位置づける今回の制度改正を始め、補助金による支援、個々の地域のニーズにきめ細やかに対応するための地域協議会の開催など、規制と振興の両面から政策を総動員しまして、国民の誰もがデジタル化の恩恵を受けられる環境の整備に全力で取り組んでまいります。

岡本(あ)委員 是非、やはり全ての方々が享受できる環境を整えていく、そして、先ほどもありましたが、5G、ビヨンド5G、それに国民の皆さんが恩恵にあやかれる、そういう環境を今整えていく、その覚悟で臨んでいただきたいと思います。

 続きまして、利用者の情報の取扱いについて伺いたいと思います。

 今日も、本当にこのテーマ、議論がいろいろとございました。与野党問わず、利用者の情報の取扱いについては、やはり、もっと国民を守り、国益を守っていくこと、それから対象の在り方、あるいはデータの扱いについても様々御意見が出ておりました。全く賛同するものです。

 先日の参考人の方々の質疑でも、この点は非常に多く取り扱われておりました。閲覧履歴、購買履歴、あるいはクッキー情報などが蓄積されてステルスマーケティングに使われている問題など、検討会が後退したと指摘され、話題になりました。

 今日も事例としては出ておりましたが、ケンブリッジ・アナリティカ問題、あるいはLINE問題。

 ケンブリッジ・アナリティカに関しては、大量の利用者情報を政治活動に使った、あるいは世論誘導をしたというのも問題なんですが、もちろん大きな問題で、加えて、フェイクニュースにも関わっていたり、あるいは、ターゲットにした人物の評価が、人物分析で、神経症で極端に自意識が過剰な人、これをピックアップしたり、陰謀論に傾きやすい、そういう性質の方を分析してピックアップしたりという、本当に人権にも抵触するような行為が行われていた問題です。これが技術的に可能なんだということを明らかにしたというのが今回の問題だと思っています。

 また、LINE問題は、中国の委託先から利用者情報にアクセスが可能になっていた問題です。あるいは、エコーチェンバーなど、デジタルがもたらす闇の部分についても関心が高くなっています。

 若江雅子氏の著書で、特に政治広告がマイクロターゲティングの手法と結びついたとき、その効果は悪魔的になるという指摘もされています。特定の投票行動を取らせるために、その人に最も効果的な広告をピンポイントで配信できる時代にもなっています。一つ一つの情報や一つ一つの技術は直接問題にならないかもしれませんが、連動したり活用したりすることで影響が大きいという状況です。

 今回、この法律で、利用者の情報というものについて、改めて、どういうものを指すのか、御説明をお願いします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御質問の趣旨は、外部送信規律における利用者に関する情報には何が含まれるのかという御趣旨だと思っております。

 本規律は、利用者の端末に記録された利用者に関する情報を外部送信させる指令となるプログラムなどの送信行為を行う場合に、利用者に確認の機会を付与することを求めるものでございます。

 ここでの利用者に関する情報には、利用者の端末に記録をされた情報が広く該当し、クッキーのほか、御指摘の閲覧履歴や位置情報も含まれることとなります。また、このほか、利用者の氏名などの個人情報や、画面設定や言語設定などの端末の仕様に関する情報なども該当すると考えております。

岡本(あ)委員 資料一にガバナンス検討会の報告書のところを抜き出しておりますが、上の方に、利用者の意思によらず、利用者に関する情報である利用者の端末情報等が第三者に送信される場合がある。それから、その下に、本来だったら、どのような情報取得や情報の外部送信、どういうような外部送信をするべきか、この必要性も本当は検討するべきなんじゃないか、このことも指摘がされているというものです。

 この中で、端末の情報という話がありましたが、その前に、端末の情報といいますと、先に資料四を御覧ください。

 実は、アマゾンのサービスを受けようと思ったときに、これはちょっと外部ではないんですが、これはアマゾンが直接取得しますよという通知です。

 赤線を引いていますが、例えば、自分がアマゾンから買物をしたいために、自分の名前ですとか配達先の住所とか、あるいはそれに関連する個人情報というのは、一定程度それは把握されてもしようがない、そこは理解したとして、下の赤線、友人その他の方のEメールアドレス。これは、実は自分の端末に入っているから取れる状況になっているんですね。あるいは、これも直接のサービスですけれども、アレクサに話しかけた音声サービスも全部取得しますよと潔く宣言をしてくださっているんですけれども、ここまで取るのかと思う例として挙げさせていただきました。

 さらに、第三者に提供するという意味で、私もちょっと試してみました。

 資料二を御覧ください。

 ラジコというアプリがあります。ラジオをインターネットで見られるソフトです。これにはNHKのラジオ放送も入っております。それから、TVerという、テレビをネットで見ることができる、これもNHKさんが提供することを決めました。一定程度公共の部分も担っているアプリと思って、一応NHKさんの名誉のために言っておきますが、TVerさんでは、NHKに関する部分では一切広告とかデータ取得はさせませんという宣言をしておりますけれども。

 この二つのアプリで、試しにラジコの方をインストールしようと思いました。そうしたら、利用規約がありまして、だあっと載っている中に、資料二に書いておりますとおり、データ送信先の第三者サービスというリストがあります。これも含めて全部利用規約が並んでおりまして、最後に、これも含めて同意をします、あるいは、同意しかボタンがないので拒否するときはそのまま抜けるしかないんですけれども、そういうものがありました。

 ただ、利用規約の中に、オプトアウトをしたいときは、ここのサービス名、第三者へ提供するサービス名をそれぞれクリックして、自分でオプトアウトの作業をしてくださいというものです。

 試しに上から順番にやっていったんですが、こんなにあるのかと最初思ったんですが、ここをクリックした先も、またその先に提供しますよというものがありまして、例えば、赤線を引いたところをクリックしますと、資料三を御覧ください。ここの一か所から、資料三の全部で五十四社、五十四社に自分でアクセスして、自分でまたオプトアウトをしてくださいという流れになっています。

 これのどこかをクリックすると、また更に次、ここの会社からまた更に提供するんですよというのもあり得るかもしれません。ちょっともう、これをやっていくと、結局は、オプトアウトをしようとするとサービスを諦めるか、一括同意をするかしか選択肢がないんじゃないかという思いに駆られております。

 ここの中にも先ほど説明したアマゾンさんがありまして、資料四を見ると、アマゾンさん自身のこういうものがあって、ここも第三者に提供しますよというものがあります。

 二つ三つくらいのオプトアウトだったら頑張りますけれども、先ほど、同意をする際には分かりやすく、そして簡単にできる努力をされているという説明は何回もおっしゃっていただきますけれども、不同意を簡単にするということも今後考えていただきたいなと思っております。

 先ほどの第三者への提供というところにちょっと話が戻りますが、こうやってクリックしていくと、その次のところにもつながっています、その次のところにもつながっていますとなると、この第三者提供の同意というのは、どこまで自分の権限が及ぶものなのか。ここの点は、制度上分かりましたら、御説明をお願いします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 外部送信の規律につきましては、利用者に関する情報を第三者などに外部送信させる指令となるプログラムなどの送信行為を行う場合に、通知又は公表、同意の取得、オプトアウトのいずれかの方法により、利用者への確認の機会の付与を求めるものでございます。本規律は、あくまで利用者の端末から第三者に当該利用者に関する情報が外部送信される場合を対象とするものとなっております。

 したがいまして、委員から御指摘のございました外部送信先の第三者から更に外部の第三者に情報が送信される場合につきましては、本規律の対象となるものではございません。

岡本(あ)委員 規律の対象にはなっていないんですが、こうやってクモの巣状に、それから指数関数的に、自分の、一回同意をしちゃったら、少なくともラジコさんに一括同意をしちゃうと、ここで十何社に同意をしたものとみなされる。それで、この十何社に同意をしたとすると、ここの一社だけでも、更に五十四社に広がっていく。それで、五十四社も同意したことの扱いになってしまうと、そこからまた何十社にも同意したことになっていって、逆に言うと、規律をかけるということの対象にはならないというのは、これはちょっと、利用者側からすると、非常に不利益が起こり得るのではないかと思うんです。

 この点は、局長、制度上は、ここから先までは、要は、資料二で示したところまでは提供は許すけれども、資料三のところまでは提供は許さないよとか、そういうことはできないものなんでしょうか。

 ごめんなさい、ここはちょっと通告をしていなかったので。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、オプトアウトするに当たって、複数のURLを何度も作業してオプトアウトしなければならないというような現状があるというのは、御指摘のとおりかと思います。私どもも、そういった複数のURLが表示をされて作業が複雑になる場合がある、こういうことに対しまして、そのオプトアウト作業が複雑にならないための方法なども必要だというふうに考えております。

 今後、その規律の詳細に関する検討に当たりましては、委員の御指摘も踏まえ、関係事業者における取組の実態やベストプラクティスなどを踏まえながら、適切に検討をさせていただければと思います。

岡本(あ)委員 是非ここは検討していただきたいと思います。

 自分とすると、ここのTVerさんも同じで、複数の会社がオプトアウトの表示のところになるんですが、せめて、利用規約に載っているところの会社に対しては同意はするけれども、そこから先までは同意をしたものではない、ある意味、不同意を前提にするというような形ということも必要なのではないかと思います。

 先ほど、資料四で、端末に載っている、自分だけじゃない、友人の個人情報まで提供するというのが可能になってしまいます。これは同意をしなければサービスを受けられなくて、物の購入とかそういうのができないということにもなりかねない。そうすると、政府の要人、例えば金子大臣、大臣自身がアマゾンを利用したら、金子大臣の端末に載っている友人関係が、全部アマゾンに提供しないとサービスを受けられないことになってしまいます。

 やはりこれは、特に国の要人の方々、あるいは政府の要職の方々、あるいは国家にとっても、国民誰一人、国家にとっては大切な人ですけれども、特に政府の機微に触れるような情報を日々扱っている方々、こういう方々まで全部、いざとなったら幾らでも取れますよとなっていることについては、非常に問題があると思います。是非、この第三者、その先の第三者、その先の第三者、これは何とか対策を考えていただきたいと思います。

 あと、外部送信について、今申し上げたとおり、このオプトアウト作業というのが非常に複雑になっております。これは不同意疲れというものを起こさないように、何とかこっちの方も、先ほど同意疲れを起こさないための対策というか対応をしていますというお話でしたが、不同意疲れを起こさないための対応という点も是非御考慮いただきたいと思います。

 これはお答えいただけますでしょうか。大臣ですか。お願いします。

金子(恭)国務大臣 岡本委員には、実際、具体的な例として御紹介いただきまして、ありがとうございます。

 まさに利用者の方々から、サービスの利用の阻害につながるということは、もう本当に重大、大変重要なことだと思っております。そういう意味では、同意疲れ等々も含めて、岡本委員の御指摘も受けながら、先ほど局長からもお話がありましたように、しっかりと、どういう方法があるのか、検討を進めていきたいというふうに思います。

岡本(あ)委員 ありがとうございます。

 もう一点大臣にお答えいただきたいんですけれども、ほかの委員からも、ケンブリッジ・アナリティカとかの問題の事例が出されておりました。

 そもそも、資料一に書いてありますとおり、アプリやウェブサイトにおいてどのような情報取得や情報の外部送信を行うべきか、その必要性も含めて検討する。外部送信の在り方がどうこうということを今指摘しましたが、そもそも、どんな情報を取得するのが適切なのか。

 端末にある他人の、自分の友人のアドレス、これは友人の個人情報であって、自分の個人情報ではない。こういうところまで情報を取得するということが本当にいいものなのかどうか。あるいは、データ経済の世の中において、やはり、どういう情報というのが必要なのか、あるいは、外部送信をされるところが本当に適切なのか、そういう部分については、いま一度、不断の見直しをするべきだと思っています。

 まだ法律は成立しておりませんけれども、やはりこの不断の見直しというものを徹底して行っていくべきだと思いますし、それぐらいのスピード感でデータの世界というのは動いておりますので、デジタル社会に対応した意思を求めたいと思います。

 大臣、お答えください。

金子(恭)国務大臣 岡本委員から、本当に具体的にいろいろな御指摘をいただいております。

 変化の激しいこの情報通信分野においては、委員御指摘のように、国民の皆様が安全、安心にインターネットを利用できる環境の確保に向けて、必要に応じた制度の継続的な見直しは重要であると考えております。

 本法案の附則においても、施行後三年を経過した場合に、その状況を検討し、必要があると認めるときは所要の措置を講ずることが規定されており、これも踏まえながら、今後も適時適切に対応してまいりたいと思います。

岡本(あ)委員 是非お願いいたします。

 先ほどのドッグイヤーのお話ではないですけれども、三年と言わずというところもありますので、常に、どういう状況か、あるいはリスクがどのぐらいあるのか、不利益を講じていないのか、あるいはメリットがどういう状況なのか、この点を見ていっていただきたいと思います。

 最後に、卸役務提供義務の法制化について伺います。

 今現在も接続ルールというものがあります。卸に対して、今回、正当な理由がない限り拒めないという前提がありますが、これは、例えば安定した通信の提供に支障がある場合とか、接続ルールの提供できないという条件と基本同じということでよろしいのかどうか。この点、お答えください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 特定卸電気通信役務の提供義務につきましては、指定設備設置事業者の交渉上の優位性や、同事業者と卸先事業者との間の情報の非対称性、これを是正し、事業者間協議がより実質的かつ活発に行われるための環境整備の一環として、指定設備設置事業者に対し、正当な理由がない限り、特定卸電気通信役務の提供義務を課すものでございます。

 ここで委員お尋ねの接続制度との関係でございますけれども、電気通信役務の円滑な提供に支障が生ずるおそれがあるときとか、接続が接続を提供する事業者の利益を不当に害するおそれがあるときなどのいわゆる拒否事由が規定をされているところでございますけれども、特定卸役務の提供義務の正当な理由につきましても、こうした接続制度の拒否事由を参考としつつ、検討をしていく考えでございます。

 この正当な理由については、何が具体的に正当な理由として認められるのかといった点については、事業者間の競争関係に与える影響を踏まえまして客観的に検討する必要がございますので、関係事業者の意見も聞きながら、今後、公開のプロセスの中で検討してまいります。

岡本(あ)委員 最後に副大臣にお伺いしますが、MVNOが乱立して、先ほどもありましたけれども、おいしいところのみをクリームスキミングして、簡単に撤退しちゃう、そういうようなことがないように、是非、公正な運用を求めたいと思います。

 副大臣、御答弁をお願いします。

中西副大臣 岡本先生にお答えをいたします。

 卸通信サービスにつきましては、これまで、事業者の創意工夫を発揮させる観点から、接続のような画一的な規制手法ではなくて、事業者間協議を基本とする制度を取ってきたところでございます。

 しかしながら、その結果、先日の参考人質疑の大橋参考人からも御指摘があったと思うんですけれども、例えば、モバイル音声通話サービスにおいては、設備を保有するMNOが提供する卸サービスの料金が長年にわたって高止まりしておって、ネットワークを持たない事業者、いわゆるMVNOがMNOと同じようなサービスを提供しようと思っても、利用者料金に比べ卸料金が高くなる逆ざやの状態というものにならざるを得ないといった問題も生じているところでございます。

 このような環境では、およそMNOとMVNOとの間の公正な競争環境が整っているとは言えないわけでございまして、本改正案では、こうした卸通信サービスをめぐる状況の原因と考えられる指定設備設置事業者の交渉上の優位性や、同事業者と卸先事業者との間の情報の非対称性を是正して、そして、事業者間協議がより実質的かつ活発に行われるための環境整備を図るというものでございます。

 このように、本改正案は、委員御指摘の過度な競争を引き起こす、あるいは質の悪い事業者の乱立を促すということではなくて、むしろ公正な競争環境の整備を図るためのものでございます。

 本改正案によりまして、事業者間協議がこれまでよりも実質的かつ活発に行われ、特に、今後5Gの本格的な展開が期待される中で、事業者がお互いに創意工夫を発揮して、多様なサービスの開発につながるということを目指してまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 以上で終わります。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、沢田良さん。

沢田委員 日本維新の会、埼玉の沢田良です。

 ゴールデンウィーク期間中に、地元を含め埼玉県各地を回りましたが、楽しそうに動かれている方が多く、今まで忘れていた日常が少しずつ取り戻されつつあるなというふうに感じました。

 私ごとにはなりますが、所属しております浦和北ロータリークラブでは、本日、六十周年記念行事も開催できることになり、尊敬する積田優会長からは、奉仕の精神、人のつながり、地域のつながりの大切さ、世界中の友好と平和を築く大切さ、これを日頃から教わっております。私、国会議員としても、一ロータリアンとしても、マスクの取れる毎日につなげることで後押しをしていきたいと考えております。

 本日は、ソサエティー五・〇時代の国民生活に不可欠である情報通信インフラの整備や、デジタル社会の実現のために必要な安心、安全な通信ネットワークがどのように提供されているのかという視点、また、見えない戦争と呼ばれている近年の軍事作戦に、実際の戦闘とは違った角度からサイバー攻撃などが戦略に組み込まれ、ロシア、ウクライナの状況が、日本の安全保障環境にも大変大きな緊張感につながっている現状を考えればこそ、国民生活や国内事業者をしっかりと守っていくために備えなければならないという視点もまた必要と考えております。

 よりよい議論をさせていただきますので、本日も、金子総務大臣を始め、関係省庁の皆様、委員部の皆様、よろしくお願いいたします。

 まず初めに、ブロードバンドのユニバーサル交付金制度による利用者負担について伺います。

 ユニバーサル交付金と聞いて、あの携帯料金の内訳の一番下にある、二円とあるユニバーサルサービス料金を思い出しました。また新たな負担が増えるのかなというところが、少し本音として感じたところがあり、たった二円、それを何となく見てしまうと、ああ、こういう負担があるんだなという、自分に対して、やはり何となく、負担が増えることに対して、私個人としても少し不安があるなというふうには感じているものを再確認いたしました。

 不採算地域における有線ブロードバンドサービスの維持費用の支援、未整備地域を新規整備した後の有線ブロードバンドサービスの維持費用を支援とのことです。内容は分かります。ただ、二〇一八年に九八・三%の世帯がカバーされており、二〇二二年三月見込みでは九九・七%、二〇二七年度末には九九・九%、こう目標を聞くと、一体どこまで拡大、維持を目指されるのかというところは、正直考えてしまいます。

 当たり前の話なんですが、不採算の地域を深掘りすればするほど、これは、比較的物すごい勢いで想像以上に負担は増えるという傾向は、どの業種にもつながることであります。

 費用負担が一切かからなければ、私、追求していくということは、これは大事なことだというふうに思っております。ただ、これは、消費者負担にも、当然、何か税金で負担するにも、やはり国民の皆様の負担というものが必ずつきものになってきます。今回の設計では、試算で総額約二百三十億円の負担が見込まれて、一契約当たりにすると、一月で大体八円。これが契約者の負担増になる可能性もあります。

 私は危惧しているのです。個別で問題解決するためのコストを出すということになっておる部分が、ここ最近、国民負担率が四八%と大変高くなっている中、一体どこまでが国民の皆様が負担を許容できるのかという視点も、これは欠けてはいけないんじゃないのかという部分を感じております。

 そこで質問です。今回のブロードバンドのユニバーサル交付金制度について、どのような場所で議論があったのでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正は、総務省が令和二年四月から本年二月まで、約一年十か月にわたり開催をいたしました、ブロードバンド基盤の在り方に関する研究会における議論の結果を踏まえたものでございます。

 同研究会では、学識経験者や消費者団体、通信事業者や地方三団体等に御参加をいただきまして、全国的なサービス提供を確保すべきブロードバンドサービスの範囲や、不採算地域におけるサービス維持に要する費用の負担の在り方などにつきまして御議論をいただいたところでございます。

 今回の改正内容は、その結果を踏まえて、幅広い関係者の御賛同を得られるものとなっていると認識をしております。

沢田委員 ありがとうございます。

 ブロードバンド基盤の在り方に関する研究会というところで、大変、ジャンルに関しては多岐な議論があったのかなというふうに感じるんですけれども、ちなみに、その研究会では、高まる国民負担率の中、更なる負担が生じれば、経済を、下振れ効果なども考えていかなきゃいけない、そういった部分での視点というものは、実際議論として入ることはあるんでしょうか。また、今回行った議論のようなものは継続的に続けていくようなものなんでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 この検討会の中では、当然、御指摘の国民の負担について御議論をいただいたところでございます。そのためにも、あくまで試算ということではございますが、一定の仮定の下におきます負担の額というものをはじいたところでございます。これは先ほど委員が御指摘のとおりでございます。

 これについて若干補足を申し上げますと、二百三十億、一月八円というのは、これは、多くの事業者が赤字となって、その赤字事業者の今の想定の最大の額ということでございます。

 また、新規の整備に係る維持費用につきましても、当然、新規の整備は一夜にしてできるわけではございませんので、段階的に拡大をしていく。したがって、交付金を最初に導入するときに、いきなり八円になるということは想定をしているところではございません。

 この会議の今後の取扱いでございますけれども、私どもも、今後ともオープンな場で議論をしっかりとしていくということの重要性というのは認識をしております。したがいまして、本法案の成立後、例えば審議会等のオープンな場で議論をしていく予定でございますし、その際には、引き続き、学識経験者のほか、消費者団体、通信事業者、地方三団体等の幅広い関係者に御参画をいただくことを予定しております。

沢田委員 ありがとうございます。

 すごくレクよりも分かりやすかったので、大変助かります。

 ただ、この八円というものが、いわゆる上限になるのか、そこが一つ基準になるのか、また可能性としてあるのかという議論はあっても、やはり大事なのは、我々、この国会において議論していかなければいけないことが、税金を再分配していくというところが、我々国会において大きな役割を持つ中で、多くの国民が高い負担率を耐えていただいている中、進む円安。原油を中心に、一部の価格上昇の部分でも負担が増えています。

 たった八円という考え方も当然あるとは思います。でも、ただ、ぎりぎりの中だからこそこの八円を、個別の問題解決だけで決めるのではなく、国民の負担できる範囲という大きな視点も持って丁寧に議論をしていただくということは、私はこれまで以上に必要な視点だというふうに考えております。

 私が再三取り上げておりますマイナ保険証の初診料が二十一円増えてしまうという事例も、大臣の方で前回の質問の後に記者会見をやっていただいて、いろいろと、総務大臣の方から説明をするようにという御指示があったというので大変ありがたいなというふうに思ったんですけれども、やはり、個別の問題解決の視点を更に、目的が複数生まれないように、よりもっと大きな視点で見ていくというところが、今の政治に私は欠けているような気もしています。是非そういった部分も含めて考えていただければというふうに思います。

 そして、金子総務大臣にお伺いしたいのが、新型コロナを耐え続けた日々から少しずつ当たり前の日常に戻ってきており、雇用の安定、賃金上昇へつなぐためにも、強い経済の実現がやはり必要と考えております。

 これからコロナ増税が始まるのではないのかというふうに国民の多くの皆様は意識しております。負担が上がる傾向は、長く続いたデフレマインドを再燃させてしまう危険性も高めます。今後継続して行われる議論の中で、個別議論だけでなく、是非、国民が抱えられる負担の上限という視点も結論の前に併せて議論をしていただけないでしょうか。

金子(恭)国務大臣 沢田委員には、利用者負担の問題、様々なことを踏まえて御指摘をいただきました。

 この交付金制度は、最終的には、やはり利用者の皆様の御負担により成り立つ制度であることから、利用者の皆様から十分な御理解を得ることは必要不可欠であると認識をしております。

 御指摘の負担金の試算額については、あくまで現時点での一定の仮定に基づく試算であり、具体的な算定方法は、法律成立後、利用者の御意見を丁寧に伺いながら、審議会等のオープンな場で改めて検討することを予定しております。

 また、様々な広報手段を用いて、通信事業者や関係団体とも協力をしながら、利用者の皆様への丁寧な周知に努めてまいりたいと思っております。

沢田委員 ありがとうございます。

 ただ、本当に私たちの暮らしが、私は今四十二で、副大臣と同じ年齢なんですけれども、我々が高校の頃から、PHS等が出た頃から含めると、やはり圧倒的に私たちが電気通信に関わる依存というものが高まってきております。

 そういった中で、我々が本当にそれを捨てるという選択肢も一つ、消費をするというのと同じように選択できる環境があるのかというのは、私はそろそろはじいて考えていかなければいけない。もう完全に、私たちの衣食住のような感じで情報通信とつき合わなきゃいけない時代に入っていると思いますので、そういったところで考えると、国民の皆様からすれば、やはり負担が増えていくと、税金に近いような感覚になっている方もいらっしゃるかもしれないので、是非そこも含めて考えていただければと思います。

 続きまして、いまだ続くロシア、ウクライナの流れは、我が国を取り巻く安全保障環境にも影響を与えております。

 トヨタ自動車の仕入れ先がサイバー攻撃を受けてダウンした影響を受け、三月一日にトヨタ自動車の国内の全工場を止めたというニュースが大きく報道されました。タイミングが、どうしてもロシア、ウクライナの緊張状態が高まっていたこともあり、私個人としては大変恐ろしいというふうに感じた記憶があります。

 その中で、安心、安全で信頼できる通信サービス、ネットワークの確保という中で、サイバー攻撃に関わる整備を御提起いただいていることについて、政府が強い問題意識を持っていただいていること、また、経済安全保障推進法や、経済安全保障担当大臣を設置するなどしていて、強い危機感を持っていることについては、私は今の政府に対して、一国民として安心感を持っております。

 サイバー空間が国家間の競争の場となっており、高まるサイバー能力は、情報窃取などを意図したサイバー攻撃にとどまらず、人の暮らしや命に関わることにまで影響を持てる時代になってきております。特にアレクサという、声で電気をつけたりエアコンをつけたり、ああいったものは全てがつながっており、こういったものに簡単にサイバー攻撃をしかけられたりすると、そういった暮らしの中、手でつけられたものが勝手についたり消えたりということも、今、新しい時代には当たり前の景色になってくると思います。

 しかし、普通に暮らしている国民の皆様、一般的に、果たしてどれくらいの危機感を共有していただいているのか、これは少し不安に思っています。というのも、私が地域を回っていると、サイバー攻撃って何、私たちの暮らしにどういった影響があるのというような声を、特に高齢者の方々から多く聞きます。サイバー攻撃という言葉だけが独り歩きをしてしまっている中、国民の皆様にも危機感を共有をいただけることは私は急務と考えております。

 質問です。

 サイバー攻撃として、普通に生活をしている皆様、又は民間企業に起こり得る不利益について、具体例なども併せて御説明をお願いできませんでしょうか。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル化の進展により、自らの生命、身体、財産に関わる情報が量的にも質的にもこれまで以上にサイバー空間の場に委ねられ、サイバー攻撃により多大な経済的、社会的な損失が生じる脅威が急速に増大しております。

 昨今では、こうしたサイバー攻撃により、生産活動の一時停止、サービス障害、金銭被害、個人情報窃取、機密情報窃取など、経済社会活動、ひいては国家安全保障に大きな影響が生じ得る状況となっております。

 特に最近では、感染した情報システムのデータを暗号化するなど使用不可にして、その解除等と引換えに金銭を要求するランサムウェアや、エモテットと呼ばれるマルウェアによる被害が拡大しているところでございます。

 なお、こうしたサイバー攻撃に対しては、攻撃手法が多様に変化、高度化するなど技術進展が早く、迅速な対応が必要となることや、基本的な対策やそれぞれのリスクに応じた追加的な施策を各主体が効率的に講じていくことが重要であります。

 このため、各主体が自主的な取組を講じていくことが基本となりますけれども、国としても、自助、共助による自律的なリスクマネジメントなどが講じられる環境づくりに努めるとか、国民の安全、安心の根幹に関わる場合には国が包括的なサイバー防御を講じるなど、自助、共助、公助から成る多層的なサイバー防御体制を構築して対応することが重要であると考えております。

沢田委員 ありがとうございます。

 今御説明いただいた内容などを踏まえると、まさにこれは、サイバー攻撃といっても、担当省庁が違うものが当然あります。日本では現在、内閣サイバーセキュリティセンター、NISCというんですね、これと警察庁、総務省、経済産業省、デジタル庁、防衛省等のサイバー部門が個別に対応しているというふうにお伺いしておりますが、これらの各省庁の連携が重要であると考えます。

 質問です。

 サイバー攻撃を受けた際の各省庁の連携について、現状、機能しているのかを教えていただきたいのと、また、あわせて、今後について、更にそういった状況が加速していくときに、課題があるとしたらどういったところなのか、教えていただければと思います。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 サイバー攻撃の対象は多様な業種に及んでおりまして、情報通信、外交、防衛、社会インフラ、製造業などを所管する総務省、外務省、防衛省、経済産業省その他の関係省庁が連携を図って適切に対処することが重要であることから、政府一体となった推進体制が必要でございます。

 こうした観点から、サイバーセキュリティ基本法に基づき、官房長官を本部長とし、関係府省の大臣を本部員とするサイバーセキュリティ戦略本部を設置し、サイバーセキュリティ戦略を策定しているところでございます。

 政府においては、この戦略の下、各関係省庁がそれぞれの所管業界における対策の強化に責任を持って取り組むとともに、戦略本部の事務局であるNISCが各省庁の取組の総合調整等の役割を主導的に発揮することにより、一体的な推進体制を確保しているところでございます。

 なお、昨年九月に閣議決定をした戦略においては、公的機関が限られたリソースを有効活用しつつその役割を果たせるよう、関係機関の一層の対応能力の強化、連携を図ることとしているところでございます。これを踏まえ、例えば、情報収集、分析機能に加え、サイバー攻撃の速やかな検知、分析、判断、対処を省庁横断的に一体的サイクルとして行う機能の強化のための所要の体制について検討することとしております。

 政府としては、今後も関係省庁が連携を図りつつ、サイバーセキュリティ戦略を確実に実施し、我が国のサイバーセキュリティーの確保に万全を期してまいりたいと考えております。

沢田委員 どうもありがとうございます。是非、力強い、そういった部分でいろいろと見ていただければと思います。

 次の質問なんですけれども、先ほどほかの委員からも類似の質問がありましたので、ちょっと飛ばさせていただきます。

 今回の一連の法改正については、電気通信事業ガバナンス検討会という中で問題抽出が行われていたというふうに伺っておりますが、民間事業者の声が反映されているのかというと少し疑いを持ってしまっています。

 というのも、電気通信事業ガバナンス検討会の構成員は、十名のうち、六名が大学院、大学の学識者、二名が弁護士、残る二名はそれぞれ消費者団体と研究機関の代表者が選任されております。一方で、電気通信事業を始め通信やネットワークに関連する事業者や、産業界を代表するメンバーが入っておりません。民間事業者や経済団体が追加でヒアリングに呼ばれたという説明は受けていますが、ヒアリング時の意見だけでは、政策議論への参加は極めて限定的にならざるを得ません。確かに学識者などの骨太な御意見は貴重であると思います。

 ただ、今般の電気通信事業は、先端技術の活用によりどんどん新しいビジネスモデルを生み続け、社会的現象や人々のライフスタイルの変化に大きな影響を生み出しております。想像だけでは追いつかない未来予測や専門的な知見からくるデリケートな判断などは、議論の軸に必要と感じます。

 中西担当副大臣にお伺いしたいのですが、今後更にその傾向が高まることも踏まえ、消費者、利用者の権利を保護しつつ、技術開発やビジネス上の創意工夫も妨げないバランスの取れたルールづくりが必要となる以上、ガバナンス検討会の構成員に、電気通信事業を始め通信やネットワークに関連する事業者や、産業界を代表するメンバーを追加していくべきと考えますが、どのように考えられますでしょうか。

赤羽委員長 申合せの時間が経過していますので、答弁は簡潔にお願いします。

中西副大臣 沢田良先生にお答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、電気通信事業ガバナンス検討会では、事業者団体、消費者団体、経済団体等へのヒアリングを通じて、民間事業者の御意見を丁寧に伺ってきたところでございます。

 一方で、法案成立後には、民間事業者の実態把握など更に官民連携を進めるため、この検討会の下に、規律の詳細を検討するワーキンググループを立ち上げまして、事業者団体、経済団体、消費者団体に関係団体として参画をいただく予定でございまして、引き続き、様々な関係者の皆さんの御意見を伺いながら検討を進めてまいりたいと思っております。

沢田委員 どうもありがとうございました。

 以上で質問とさせていただきます。

赤羽委員長 次回は、来る十二日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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