衆議院

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第17号 令和4年5月12日(木曜日)

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令和四年五月十二日(木曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 新谷 正義君 理事 田所 嘉徳君

   理事 岡本あき子君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 輿水 恵一君

      秋本 真利君    井野 俊郎君

      井林 辰憲君    井原  巧君

      石田 真敏君    大串 正樹君

      加藤 竜祥君    金子 俊平君

      川崎ひでと君    小森 卓郎君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      高見 康裕君    武村 展英君

      鳩山 二郎君    古川 直季君

      古川  康君    保岡 宏武君

      柳本  顕君    山本 左近君

      渡辺 孝一君    石川 香織君

      おおつき紅葉君    奥野総一郎君

      鈴木 庸介君    道下 大樹君

      湯原 俊二君    吉田はるみ君

      阿部 弘樹君    沢田  良君

      早坂  敦君    福重 隆浩君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

    …………………………………

   総務大臣         金子 恭之君

   総務副大臣        中西 祐介君

   総務大臣政務官      鳩山 二郎君

   総務大臣政務官      渡辺 孝一君

   政府参考人

   (内閣官房小型無人機等対策推進室審議官)     新川 達也君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 五味 裕一君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房審議官)       品川  武君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局審議官)        佐脇紀代志君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   山本 和徳君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 藤野  克君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            二宮 清治君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  安彦 広斉君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十二日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     金子 俊平君

  坂井  学君     秋本 真利君

  西野 太亮君     高見 康裕君

  おおつき紅葉君    吉田はるみ君

  守島  正君     早坂  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     坂井  学君

  金子 俊平君     石田 真敏君

  高見 康裕君     山本 左近君

  吉田はるみ君     おおつき紅葉君

  早坂  敦君     守島  正君

同日

 辞任         補欠選任

  山本 左近君     西野 太亮君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電気通信事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気通信事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房小型無人機等対策推進室審議官新川達也さん、内閣府大臣官房審議官五味裕一さん、公正取引委員会事務総局官房審議官品川武さん、個人情報保護委員会事務局審議官佐脇紀代志さん、デジタル庁審議官山本和徳さん、総務省大臣官房審議官藤野克さん、総合通信基盤局長二宮清治さん及び文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官安彦広斉さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。湯原俊二さん。

湯原委員 おはようございます。立憲民主党の湯原俊二です。

 質問の機会を頂戴しまして、感謝申し上げたいと思います。

 それでは、早速でありますけれども、質問に入らせていただきたいと思います。

 今回の電気通信事業法の一部改正についてでありますけれども、今日までの経過を若干振り返らせていただきたいと思います。

 先日来の委員会の質疑でもありましたけれども、昨年三月、LINEの個人情報が中国の委託先からアクセス可能な問題が発覚いたしました。昨年の三月であります。

 そして、昨年の五月、この度の、総務省内で電気通信事業のガバナンス検討委員会が立ち上がりになりました。そして、十数回審議をされてこられました。先日の参考人の皆さん方でありますけれども、中心に審議をされてこられました。十一月二十六日の会合で、今回のガバナンス委員会の一定の方向性が出ようとしたときに、改めて表に出たわけであります。十一月二十六日であります。

 そして、その後であります。十二月十七日に新経済連盟、新経連が懸念の声明を出され、同日、十二月十七日に総務省で翌週の検討会がある予定であったのが急遽中止になりました。今日まで十数回にわたって議論してきた、そして最終報告を出す直前だったわけでありますけれども、委員に配付済みの最終報告が撤回をされました。

 そして、年末、御用納め、仕事納めのときでありますけれども、十二月二十八日に新経連や経団連など三団体からの意見聴取、これがガバナンス委員会第十四回目の検討会であります。御用納めの日にわざわざ急遽行ったわけであります。

 そして、年明けに出てきた報告案というのは修正がなされたもの、つまり、十二月十七日に配付済みであったものではない形のものが出てきた。

 これが経過であったと思います。

 そこで、お尋ねしたいと思いますけれども、当初から事業者側の意見を聞く予定であったのかどうか、まずここを確認したいと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 電気通信事業ガバナンス検討会での検討内容につきましては、取りまとめの前に電気通信事業者等から意見の聴取を行うことは、当初から予定をしていたものでございます。

 具体的に申し上げますと、検討内容の規律の対象となることが想定をされる内外の大規模な電気通信事業者等に対しまして意見を求め、検討会において、その意見に対する考え方について議論を行っていたところでございます。

 その上で、より多くのステークホルダーからの意見を聴取することが適当であるというふうに判断をいたしまして、検討会において、特に、多くの会員規模を有する経済団体や消費者団体などからのヒアリングを委員御指摘のタイミングで行ったものでございます。

湯原委員 今、二宮さんからお答えいただいたわけでありますけれども、答弁では、取りまとめ前に聞く予定であった、より多くのステークホルダーからヒアリングということであったわけであります。

 しかしながら、経過を見ると、やはり、事業者側の声に押される形で、個人情報の範囲、利用者関連情報の第三者への外部送信の在り方、この中で特に、今回問題になっている三択ですね、通知、公表、あるいは本人同意、あるいはオプトアウトの三択の中の本人同意の問題、あるいは、対象事業者などが欧米並みから後退したのは問題だと私は考えております。

 現に、私、一回目から十三回目までは議事要旨でありますし、それ以降は議事録、詳細な発言が載っておりますけれども、この発言を読ませていただきますと、ガバナンス検討委員会十六回目の会合で、後退したこの最終報告案の説明があったわけでありますけれども、次のように検討会の委員の皆さん方が発言し、議事録に載っております。

 まず、検討会座長。じくじたる思いという言葉、これも先般、参考人質疑でもあったと思いますけれども、じくじたる思い。

 あるいは、検討会の委員であります石井先生。最終局面で事業者団体から強い反対があって、大幅に後退する案になった、残念だ、事業者の反対意見は果たして説得的なものだったのか、利用者の情報の外部送信において、通知、公表も選択肢として認めることに対し、それでは利用者の関与を担保する措置にならない、こう発言されております。

 そして、検討委員の山本さん。これも同じく十六回目のガバナンス委員会の議事録に載っておりますけれども、デジタル社会では必然的に政府と民間IT企業の距離が近くなるので、民間企業の声を聞き過ぎることに注意を払う必要がある、特に企業の場合、一般利用者と異なって資金力が豊富で、自らの利益をより組織化することができ、有力なロビーイングも展開できる。

 そして、他の委員では、もう少し押し返せなかったのか、こういう発言が出てきているわけであります。

 この点について、有識者の皆さん方がこういう感想を第十六回目の検討委員会で発言されているわけでありますけれども、総務大臣、金子大臣の御所見をいただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 おはようございます。

 湯原委員には、検討会検討委員の、あるいは有識者からの御意見も踏まえて御指摘をいただきました。

 本法案は、本年二月の電気通信事業ガバナンス検討会の報告書等を踏まえたものでありますが、本報告書が取りまとめられる過程においては、事業者団体のみならず、消費者団体、経済団体など様々な関係者の御意見を丁寧にお伺いをしながら検討が進められたものと承知をしております。

 その結果、検討の過程で様々な御意見はいただいたものの、電気通信事業ガバナンス検討会や先日の参考人質疑において、有識者の皆様から、新たなルール形成に向けた第一歩を踏み出していただいた、あるいは、利用者保護に向けた一歩前進であるなど、本法案を評価する旨の御意見を多くいただいたと認識をしております。

 総務省といたしましては、いただいた御意見を十分踏まえつつ、利用者が安心して利用できる通信サービスの確保に向けて、本法案を実効性のある制度としていくとともに、変化の激しい情報通信分野の動向を注視しながら、制度の不断の見直しに取り組んでまいりたいと考えております。

湯原委員 ありがとうございます。大臣から御答弁いただきました。

 検討会では、事業者のみならず、いろいろな団体から意見を聞いてきた、それで、検討会の過程ではいろいろあるんだろうけれども、さきの参考人質疑でもあったように、座長も来られていましたけれども、一歩前進だということを評価いただいているんじゃないかという大臣の御所見で、これから先は制度の不断の見直しという言葉をおっしゃったわけであります。まあ、そうであると思うんです。

 ただ、一歩とは言わず〇・五歩かもしれませんけれども、前へ進んだのは分かりますけれども、問題は、欧米並みにいっているかどうかという、ここを私は問題にしておりまして、そのことを申し上げておきたいと思います。

 次に、二宮さんに再度聞きたいと思いますけれども、先ほど申し上げたように、第十一回から十三回までは議事要旨のみの公開でありました。総務省に確認しますと、機密性の高い情報をヒアリングしたという理由であったわけでありますけれども、やはり、法案を作る過程、特に、先ほど経過を申し上げたように、委員の皆さん方が、事業者側に巻き返しがあったみたいな、じくじたる思いということを考えると、やはりこの意思形成過程における情報公開、説明責任というのは徹底すべきではないかと私は思っております。

 機密性の高い情報もあるというのは分かりますけれども、こうした、第一回から十三回までが議事要旨に終わっていた、議事録、詳細な発言までは出さなかった、出せなかったということについて、意思形成過程の情報公開、説明責任の在り方についてどのようなお考えをお持ちか、答弁を求めたいと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 電気通信事業ガバナンス検討会につきましては、昨年四月に検討会開催に係る報道発表を行いまして、五月から会合を開催しているところでございます。

 当初は、委員御指摘のとおり、個別企業のサイバーセキュリティー対策、データの取扱いに係るガバナンスに関する個別事例など、機密性の高い情報についてヒアリングを行っており、公開することにより当事者の利益を害するおそれがあることから、原則として、会議は非公開で開催いたしましたけれども、議事要旨、これは各委員の発言も含めて記載をした議事要旨でございます、これを公開するという運用を行ってまいりました。

 その上で、経済団体や消費者団体などからヒアリングを行うことといたしました昨年十二月第十四回会合からは、いただいた意見やそれに対する構成員の意見について、その発言者も明確にし、検討の過程をより明らかにして透明性の確保を図る観点から、発言者の名前を入れた議事録を公開しているものでございます。

 総務省といたしましては、引き続き、できるだけオープンな形での議論を進めてまいりたいと考えております。

湯原委員 この点は、機密性の高い情報ということで、平行線であると思いますが、機密性の高い情報は何を指しているかというのは、私は、議事要旨ですので判断ができないわけでありまして、意見だけは申し上げておきます。

 平成十一年に審議会等の情報公開の在り方について閣議決定がなされておりまして、発言、議事録等は速やかに公開すべき、資料はということを、平成十一年に閣議決定されて、他の省庁では、議事要旨にとどめるのか、全部議事録を出すのかと、省内で一定の基準を設けて、公開するか議事要旨にとどめるかということをしておりまして、もし総務省で基準があれば結構ですし、なければ、是非、省内でやはり統一的なルールをつくっていただきたい。

 言葉では、機密性の高い情報と言われましても、私はそれを精査できませんし、多くの方は精査できないわけでありまして、そちらサイドだけが、ここは機密情報の高いものですから出せません出せませんということはおっしゃっても、これはなかなか、意思形成過程の透明性を確保する、あるいは説明責任を果たすということには、若干考えは違うかもしれませんけれども、そう思いますので、省内において基準をつくっていらっしゃったらそれで結構ですけれども、改めて、つくられたらどうかということを、意見だけ申し上げておきたいと思います。

 次に、具体的なところに入っていきますけれども、今回の委員会の質疑、参考人質疑で出ておりました、利用者情報の外部送信についてであります。先ほど三択と言いましたけれども、通知、公表、あるいは同意取得、オプトアウトのいずれかということであります。

 それで、実際、具体的に、これが始まったときに、利用者への通知、公表を選択された事業者が出される、私たち一般の国民である利用者側がそれを見て、最初はよくても、途中でやはり外部送信は嫌だと拒否をするということで、オプトアウトといいますか、拒否をすることができるのかどうか、ここをちょっと確認したいと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 外部送信に関する規律は、利用者に関する情報の外部送信について利用者に確認の機会を付与することを求めるものでございまして、外部送信そのものを完全に停止することを求めるものではありません。

 具体的には、本規律では、利用者に関する情報を第三者などに外部送信させる指令となるプログラムなどの送信行為を行う場合に、通知又は公表、同意の取得、オプトアウトのいずれかの方法により、利用者への確認の機会の付与を求めることとしております。

 特に、オプトアウトについてでございますが、利用者に関する情報の外部送信の停止、あるいは、送信された情報の利用の停止のいずれかを行うことが想定され、この場合、情報が仮に送信されたといたしましても、利用者の選択により、送信された情報を用いたターゲティング広告などを停止することが可能となります。

 このようなオプトアウトの導入は、既に、業界団体などにおける自主基準に基づき、一部の事業者において行われているものでございまして、業界団体や事業者における取組やベストプラクティスなども踏まえつつ、利用者に適切な形で確認の機会を付与されるように対応してまいりたいと考えております。

湯原委員 二宮さん、済みません、もう一度確認させてもらいたいと思うんです。

 オプトアウトの場合は、外部送信したターゲティング広告を止めることはできるというふうに伺ったんですけれども、最初の通知、公表の場合、外部送信を止めることはできないというふうにお聞きしたんですけれども、それで間違いないでしょうか。ちょっと、もう一度、再度お願いをしたいと思います。

二宮政府参考人 お答えをいたします。

 今回の外部送信の規律につきまして、通知、公表というものを含めておりますけれども、これは、利用者が外部送信をされることについてしっかりと確認ができるということでございますので、確認をした上で、利用者の判断によりそのサービスを選択しないということで、外部送信をさせないということは可能となるものでございます。

湯原委員 ありがとうございます。

 ということは、やはり、今確認しましたけれども、あくまでも利用者が確認できるようにするだけのものであって、外部送信を止めることは、通知、公表の場合は、できないということですね。

 ただ、意見を申し上げておきますけれども、今の、いわゆるGAFAとか巨大なプラットフォーム、我々一般の者からすると、やはり、日常の生活において使わざるを得ない状況になっているわけですね。オンラインでいろいろなことをする、物事を検索にかける、オンラインでショッピングするとかを含めて、そういう前提があった上で、通知、公表で、確認はできるけれども外部送信を止めることができないというのは、やはり、意見を申し上げておきますけれども、よくないというふうに思います。

 これが、委員の皆さん方がおっしゃったように後退したところであって、本人の利用者関連情報であったとしても、取り方によっては個人情報ではないということをおっしゃっているわけでありますけれども、本人の事前承認、本人の同意がなければ、あるいは事後においても止めることができなければ、やはりシステム的にはよくない。このことは意見として申し上げておきたいと思います。

 次に、このことと関連して、仄聞するところでありますけれども、アメリカのアップル社が昨年四月から、利用者の事前承認制度を始めました。アップル社を使っている、事前承認がない限り、外部企業には情報を伝えられませんよというのを、事前承認制度を一年ほど前から始めたわけでありますけれども、この中で、使用に同意した人の割合は、アメリカでは二五%。つまり、七割強の人は同意しなかった。これがアメリカにおける実態であって、日本においてもそんなに変わらないんじゃないかなというふうに思っています。

 アップルが一年前にそういうことをして、二五%しか同意しなかったということで、その影響で、先般の新聞報道等がありましたけれども、フェイスブックのメタでは、この四半期、二一%の減収になった、一年間を通すと一兆三千億円の減収になるんじゃないか、こういう報道があったわけであります。つまり、外部送信をされないことによってこれだけの巨大プラットフォームが減収になるということであります。

 プラットフォームサービス研究会という総務省の中の別な研究会で、野村総研のアンケートでは、外部送信の実態を知っている人は、これは日本でありますけれども三割と。つまりは、ほとんどの人が知らない、こういう状況が日本にもあるということであります。

 そして、今回、電気通信事業法、私自身、昭和の世代でありまして、非常にアナログな人間で、勉強不足でありまして、私なりにこつこつと勉強させていただいて、若干であります、なぜ事業者が、検討委員会の委員が言う巻き返しをしてきたか、大きな声を上げてしてきたかということを考えたときに、何が理由なのかなと思ったときに、このメタの記事を見たときに、やはり、巨大プラットフォーム事業者については、収益に大きな影響が出てくるんじゃないかなというふうに私なりに推測をさせていただきました。

 それで、総務省に私どもの党内の部会で質問したんですけれども、なかなか答えていらっしゃらなかったので、私なりに調べたのが、一事業所、会社当たりの収益の中で外部送信がどの程度のボリューム、収益があるかというのは分からないんですけれども、若干目に触れたのがお手元の資料、一枚紙であります。

 これは、電通さんがインターネットの広告媒体費の詳細な分析をこの三月に出されたものであります。二〇二一年、日本全体の総広告費は大体六兆八千億円と言われておりますけれども、そのうちのインターネット関連はどれだけというのがボリュームであります。桁が億円でありますので、これを見ると、二〇二〇年から二〇二一年、一年間だけで非常に伸びてきている。運用型という、ど真ん中の黄色い八五・二%というのがありますけれども、この運用型のが、サイトを検索して、それが使われる、いわゆるファーストパーティー、あるいは、それが外部送信になって、第三パーティーと言われて使われるもの、これが混在しておりますが、いずれにいたしましても、この八五・二%、黄色の部分が、インターネットを使うことによって、例えば私であれば、湯原俊二という個人は分からなくても、私が使った機器において、ここに返ってくる。使ったものにフィットした、ぴったりな広告が流されるボリュームが八五・二%、二兆円弱。これが電通のレポートであります。

 つまり、日本全体の総広告費、昨年は六兆八千億円、そのうちのこれだけの二兆円弱が、ターゲットを絞って、ぴったり合った広告が流される。このうちに、外部送信、使われたデータ、情報に基づいた広告だという、これだけのボリュームであります。

 つまり、先ほどのものと併せると、やはりメタの状況も併せると、ここが大きな影響を受けてくるのかな、つまり、全てにおいて本人同意を求めていけば、ここに大きな影響が出てくるのかなというふうに私は推測するわけであります。

 そう考えると、大臣、やはり規制というのは、社会的規制と経済的規制、あると思いますが、事業者の声も分からなくはないですけれども、利用者、国民、先般来参考人質疑でもあったように、インターネット等々の信用性を確保する意味でも、こうした利用者関連情報の在り方を、毅然として、国民が納得する、知った上で納得する対応が必要ではないかなと思うわけであります。

 そういう意味では、社会的規制にちゃんとしていくべきではないか、つまりは本人同意を求めていくべきではないか、こう考えるわけでありますけれども、大臣の御所見をいただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど来御答弁させていただきましたが、今回、検討会の報告書を取りまとめる過程において、事業者団体のみならず、消費者団体、経済団体など、様々な関係の御意見を伺いながら取りまとめられたものでございます。

 委員御指摘のように、ネットの閲覧履歴などの利用者情報が第三者に送信されることについて、依然として多くの利用者が認識していないことは課題であると考えております。このため、こうした課題に適切に対処し、安全、安心なインターネット環境を整備していくことが極めて重要であると認識しております。

 これを踏まえて、先ほど来局長からも御答弁しておりますが、本法案では、利用者情報が第三者に送信される場合、それを利用者の皆様に御確認いただく機会をしっかり確保するよう、事業者に対して、必要な措置を義務づけることとしております。

 これから、より多くの利用者の皆様が、御指摘のような外部送信の実態について認識をし、必要な対応を行うことが可能となり、より一層安全、安心なインターネットを利用できるようになることを期待しております。

湯原委員 大臣から御答弁いただいて、通知、確認ということで、利用者がそれが分かるからということでありましたけれども、先ほども申し上げて、同じ質問はしませんけれども、意見になりますけれども、やはり、現代において、インターネットで、使わざるを得ない非常に大きなツールになってきているわけでありまして、確認、見ただけで、やはり利用者関連情報を流されるのは嫌だといったとき、拒否できる、あるいは事前に本人同意できるシステムをつくっておかないと、私は、もう使わざるを得ない状況、社会になっているわけですから、そう考えるわけであります。

 その次に、外国との関係。先般来、いろいろな方も質問されておりますけれども、EUのデジタルサービス法では、閲覧履歴など、第三者送信に本人同意取得等を義務づけましたけれども、違反した場合、最大で世界の売上高の六%の罰金が科される状況であります。また、先ほど申し上げたように、米国ではオプトアウトの導入がされているわけであります。

 つまりは、諸外国では利用者の立場に立ったルール、ある意味で規制なのかもしれませんが、ルールがつくられていっているわけでありまして、これにやはり日本だけが取り残される、このことを懸念するわけであります。

 先般来、ガラパゴスという言葉もありましたけれども、取り残されるのではないかという懸念に対して、副大臣の御所見を求めたいと思います。

 副大臣ですが、大臣でも結構です、二宮さんでも結構ですけれども。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 情報の外部送信に関する規制について、委員御指摘のとおり、GDPRなどに基づきまして、原則として同意の取得を求めているところでございます。

 この同意の取得については、利用者の同意疲れを引き起こすなどの懸念もございまして、同意の取得に限定することなく、状況に応じた柔軟な対応を可能とすることが重要であるというふうに考えております。

 また、アメリカ・カリフォルニア州などにおきましては、ジャスト・イン・タイム通知により利用者に確認の機会を付与している例がありまして、必ずしも同意の取得が世界標準となっているわけではございません。

 外部送信に関する規律では、こういった観点や、国内の関係事業者や業界団体における取組の実態なども踏まえまして、確認の機会を付与する方法として、通知又は公表、同意の取得、オプトアウトのいずれの方法でもよいこととしております。

 また、本規律につきましては、規律違反者に対する業務改善命令や当該命令違反者に対する罰金なども設けられており、これらの担保措置を通じまして、規律の実効性を確保してまいりたいと考えております。

 加えまして、本規律の詳細については、今後検討を行うこととしておりまして、検討に当たっては、グローバルな規制動向についても適切に踏まえた上で、利用者に確実に確認の機会が付与できるように努めてまいりたいと思います。

湯原委員 ありがとうございます。

 二宮さんから同意疲れという言葉がまた出てまいりましたが、先般、我が党の岡本さんの質問のときにありましたように、同意疲れなのか、オプトアウト疲れ、どっちが指がくたびれるのかと。あれだけの件数をしなければいけないというので、分かると思いますけれども。

 規律については今後ということでありましたが、やはり、欧米等のルール、世界標準がどうなっていくかというのを絶えず見ていかないと、私は、ガラパゴスは日本がやはりそういうふうになっていくんじゃないか、そう考えるわけですね。

 例えば自動車を例に取ると、以前のものから環境に配慮したものになり、そして今では、ハイブリッドから電気自動車へと変わっていっている。そういう世界的な標準、時流に乗っていかないと、日本独自の中で物を売って、造っている、サービスをしていただけではついていけませんし、特に、グローバルスタンダード、グローバル企業がそれに乗っていかなければ、逆に日本の企業が世界的な事業展開ができない、こういう状況になるかと思うわけであります。

 こうした外部送信の本人同意のものが、逆に言うと、日本の企業が世界へ打って出るときの逆の障壁、グローバルスタンダードが逆に障壁になって、日本から事業展開、外に打って出られない、こういう懸念も出てくるんじゃないかなという懸念を私は持っているわけであります。

 次に、質問を変えさせていただきたいと思いますけれども、今回の電気通信事業法の対象事業者についてであります。

 やはり、今回のガバナンス検討委員会の議事要旨と議事録を拝見していると、もっと対象を広げていくべきではないかと。電気通信事業法の対象が、御案内のように、最初は通信をする設備に対する規制から始まり、そして、その設備はないんだけれども通信を行っている者に対する対象が始まり、続いてきて、その先が今出てきているんじゃないかなと思うわけです。

 議事録と議事要旨を見ますと、ガバナンス検討委員会の議事要旨の第十一回目、あるいは第十六回目、最終報告が出たときの後藤座長代理が発言されておりますけれども、クラウドを使った通信、出てくるわけです。

 私も先ほど申し上げたように、アナログな人間で、クラウドを使った通信というのは何かといって、私なりに調べましたけれども、例えば、今まで、大臣、大臣に質問しませんけれども、二宮さんでいいですが、御理解いただきたいのは、釈迦に説法でありましょうけれども、以前は、電話をする、固定機に電話をしていたわけでありますけれども、同じ番号でクラウドを使えば、そこにいなくても、アプリを通ることによって、例えば、東京本社に電話をして湯原をと言ったときに、アプリを導入していたら、私は鳥取でありますけれども、米子でありますけれども、米子でその局番で受けられる。あるいは、社内通話、内線で話すのも、アプリを導入したら、どこにいても、そこにいなくても、遠隔であってもできる、こういう通信形態になってくるわけです。

 ですから、法律の対象を、日進月歩で進んでいっていますので、そこに対してやはり、どんどんと先んじて広げていくべき、このことが必要だろうと思います。

 特に、ふだん何げなく、うまくいっているときはいいんですけれども、どこかで通信障害があったときなどはやはり大変になってきますし、十六回目の後藤座長代理の発言を見ますと、これからは、通信は、クラウドを使った通信が主流になっていくんだろう、こう発言をされております。

 改めてこういうことを考えると、こうした対象事業をどんどんどんどん広げていく、このことがやはり必要なんじゃないかなというふうに思いますけれども、この点について御所見をいただきたいと思います。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 今お尋ねは、クラウド事業者のトラブルが起きた際に、報告等の義務がかかっていない、そういうことについて、よりその範囲を広げていくべきではないのかというお尋ねだと理解しておりますが。

 現在、電気通信事業法上の事故報告の義務は、登録又は届出をした電気通信事業者に対して課されております。そのため、クラウド事業者が電気通信事業者として電気通信サービスの提供を行っている場合には、当該サービスが停止等する事故が発生したときは、電気通信事業者たるクラウド事業者から事故報告がなされます。

 一方で、電気通信事業者がクラウド事業者の提供するクラウドサービスを利用して電気通信サービスを提供している場合には、電気通信事業者を通じて、クラウドサービスに発生した障害も含め、事故報告がなされることとなります。

 他方、クラウドサービスを活用した電気通信サービスについては、委員御指摘のとおり、日進月歩するものでございます。今後の技術の進展や事故の状況などを踏まえながら、必要な検討を進めてまいりたいと考えております。

湯原委員 ありがとうございます。

 先日来の委員会の質疑でもあったように、日進月歩ということでありますので、絶えず、やはりここは、事業者側の立場ではなく、再三申し上げたように、利用者、国民の立場に立って、電気通信事業法、対象を、どういう事業者がいいのか、何に、どう対応したらいいのかということを改めて御検討いただいて、その対応方はしていただきたいなというふうに思います。

 それから次に、今後として、先日の参考人質疑でもありました、今回の委員会質疑でも出てまいりましたけれども、官民連携した官民共同規制の実施体制という、つまり、今後は官民が連携してルールづくりをということであるわけであります。

 ただ、私は、今回のガバナンス検討委員会の一連の経過を見ておりますと、現場の事業者の声を聞くことは当然大切なことだと思います、日進月歩でもありますし、どういう問題があるかというのは大変大切なことだと思う。ただ、ルールづくりそのものに対して事業者が直接関わることは、私は懸念を持っております。

 事業者はやはり、中立的な有識者か国民の立場に立った考えを持つところで決められて、そのルールに従ってもらうのが事業者であって、そのやっているルールそのものをつくるというのは非常に懸念をするわけであります。

 この点について、今後、官民連携した官民共同規制ということであれば、事業者の同意がなければ、そのルールが、時代に対応するルールができなくなる可能性も出てくるという懸念を持つわけでありますけれども、この点について、あと時間がないので、併せて意見だけ言って質問を終わりますけれども。

 今回の経過を見ておりますと、アメリカなどでは、巨大プラットフォーム、GAFAなどは、ロビーイングのお金が、ロビイスト、七十五億円ぐらいかけてきている。日本においてはどうか分かりませんけれども、経過を見ると、幾分、我々の業界に対してもいろいろな声で、これは一つの意見だと思って聴取するわけでありますけれども、しかし、事業者の余りにも大きいロビーイングの力によって、声によって、本来ある利用者の声、利用者が守られなきゃいけない例えば個人情報、利用者関連情報の在り方がゆがめられるような状況があっては、やはりいけないんじゃないかということを私は考えております。

 そういう意味で、官民連携したこれからのルールづくりについてやはり懸念をしておりますけれども、その点について大臣の御所見をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

金子(恭)国務大臣 世界のいろいろな流れ、動きを見ながらの懸念、御指摘をいただきましたが、官民共同規制については、デジタル社会が進展をし、通信サービスの重要度が向上する中、様々なリスクに対して実効性のある規制とするためには、利用者保護を図りつつ、ビジネスの実態などを考慮したものとすることが必要であるという趣旨であると理解しております。

 これを踏まえて、総務省としては、法案成立後、電気通信事業ガバナンス検討会の下にワーキンググループを立ち上げまして、学識経験者、消費者団体、経済団体、事業者団体など幅広い関係者に参画いただきながら、制度の詳細について検討を進めていくこととしております。

 いずれにしても、先ほどお話がありましたような、必要なルールを策定をし、それを実効性のあるものとしていくためには、様々な関係者の皆様の御意見を丁寧に伺いながら、共通認識を醸成していくことが最も重要であると考えております。

湯原委員 終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、吉川元さん。

吉川(元)委員 立憲民主党の吉川です。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、大臣に伺いたいと思います。

 当委員会でも、参考人質疑も含めて、ケンブリッジ・アナリティカの問題、再三にわたって質問、言及がございました。私自身も、これは非常に深刻な問題だというふうに受け止めております。社会に大きな分断を生み出して、しかも、それが容易には相互理解に至らない、そういう取り返しのつかない傷を、あるいは民主政治の土台を掘り崩すようなことがもたらされている。これは可能性ではなくて、既に現実に起こっていることであります。

 更に深刻なのは、今回のケンブリッジ・アナリティカの問題ですけれども、これは元社員が、内部の人が告発をして初めて明らかになった。つまり、外部からは、フィルターバブル、あるいはエコーチェンバー、そしてマイクロターゲティング広告、これは分からないわけです。

 我々は既にそういう広告を受けている可能性もあるわけであって、だとするならば、この政治広告について、私自身は政治広告は禁止をすべきだというふうに思いますけれども、もちろん総務大臣でもありますけれども、一政治家としても、この問題をどのように認識されているでしょうか。

金子(恭)国務大臣 これまで、ケンブリッジ・アナリティカ事件に関する御質問、懸念、この委員会においても承っております。

 吉川委員御指摘のように、不正に入手したデータを基に個々の利用者の属性や関心事項を把握、分析をし、こうした属性や関心事項に応じた情報発信を可能とする機能、すなわち行動ターゲティング機能を用いて効果的、効率的に、政治広告や対立候補者に関するフェイクニュースを配信したとされる事案があったものでございます。健全な民主主義という観点から、一政治家としても大変ゆゆしき問題であると考えております。

 総務省では、こうしたオンライン上の偽情報やフェイクニュースの問題について、有識者会議を開催して議論を進めておりまして、広告の種類に応じたリスクを踏まえ、プラットフォーム事業者には注意深い対応と透明性の確保が求められる旨の中間取りまとめが昨年九月に公表されたところでございます。また、本中間取りまとめでは、プラットフォーム事業者が自ら行動ターゲティング機能に関する透明性、アカウンタビリティーを高めていくことが望ましいと提言されております。

 これを踏まえて、総務省としても、各事業者による適切な取組を促してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 私も、非常に深刻で、これは多分、政治広告に絞ってですけれども、これはもう禁止しないと、先ほど言ったとおり、分からないんですよね、外部からは。うかがい知れない、そういう問題だというふうに私は思っております。

 時間の関係もありますので、ちょっと二つほど質問を飛ばしまして、今日は文科省に来ていただいておりますので、一つお聞きしたいと思います。

 日本図書館協会かな、綱領として、図書館の自由に関する宣言というものがございます。その第三宣言は、「図書館は利用者の秘密を守る」というふうにありますけれども、この利用者の秘密とは何でしょう。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 公益社団法人日本図書館協会が採択しました図書館の自由に関する宣言における図書館の利用者の秘密には、個人と結びつく利用者の読書や検索の履歴についても含まれていると承知しております。

吉川(元)委員 つまり、リアルの世界では、検索も、これは保護の対象、秘密であるということになるわけです。

 そこで、今日は個人情報保護委員会に来ていただいておりますが、この間、二〇一五年そして二〇二〇年と改正が行われてまいりました。ただ、私自身は、個人情報の範囲というのは非常に不十分だというふうに言わざるを得ないと思っております。

 二〇一五年の改正の際にも、いわゆる識別子、これも個人情報に入れようという動きがあったんですが、今回のデジャブのようですけれども、最後の段階で「特定の」という文字が入ったがゆえに、いわゆる識別子だけれども、個人と結びつく識別子、つまり、これは単なる普通の個人情報にすぎないものに変化をしてしまいました。

 歴史的に見れば、昔から、一文を入れたり一言入れて意味を全く変えてしまうということは実際に行われて、例えばキリスト教でカソリックと正教会、これが分裂するときにもフィリオクエという問題がありましたけれども、そういう言葉を差し替え、入れ込むことで、意味を全く違うものにしてしまったという過去の経緯がございます。

 それから、二〇二〇年の改正でも、これはリクナビ問題に端を発して、非個人情報であったものが提供先で個人情報になるようなものについては個人関連情報ということで新設しておりますが、これについても依然として、提供先で個人情報に化ける、変わるということについての規制でありまして、そういう意味でいうと、GDPRの定義、水準には遠く及ばないと考えますが、この点いかがでしょうか。

佐脇政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、平成二十六年の検討会の過程では、それが誰か、一人の情報ということは分かるけれども、その一人の、誰の情報であるところまでは分からない、そういったものを識別非特定情報といたしまして、その規制の要否の検討がされました。その中で、結論といたしましては、符号の性質上、個人を特定し得ることが客観的に明らかなもので、さらには、性質に加えて、取扱いの実態に鑑みて、一般にその取扱いによって個人の権利利益を侵害するおそれが多いものに絞って保護の対象にするということで、その意味では、今日におきましても一定の保護水準を十分に満たしているんじゃないかというふうに思ってはおります。

 GDPRの件につきましても御指摘がございましたけれども、そもそも個人情報保護制度は、国によりまして文化、歴史の違いなど、背景によって様々でございますが、GDPRとの関係でいいますと、平成三十一年一月に欧州委員会から、十分なレベルの保護をしているということで御指摘をいただいておりまして、端末識別子などに関連します個人の権利利益の保護に関しましても、国際的な水準と比べても、個人情報保護制度といたしましては十分なレベルではないかなというふうに考えてございます。

 以上です。

吉川(元)委員 おとといの委員会の場でも、GDPRの基準からしても十分なレベルと豪語されておられます。果たして本当にそうなんでしょうか、同じ水準なんでしょうか、私は非常に疑問に思っております。

 今年の二月一日に、これは日経新聞が電子版、紙媒体でも出したかどうか分かりませんが、電子媒体でこういうことを報じております。Zホールディングス傘下のヤフーについてですけれども、欧州経済地域で大半のサービス提供を四月六日以降に中止すると発表したと。ヤフージャパンあるいはヤフーニュース、検索サイトやニュース、これらが閲覧できなくなると。

 ヤフー本体は、なぜ中止をするのかということについては明言はしておりませんが、ここから先は日経新聞が書いていることでありますけれども、欧州におけるデータ保護や海外プラットフォーマーに対する規制の更なる強化を懸念したようだというようなことが理由だというふうに書かれております。

 その後、ヤフーの関係者はこういうふうに言っています。あくまでヤフーは日本の法令を遵守し、国内でのサービス提供が主体と。つまり、欧州では欧州の厳しい基準を守るのは難しいから、だから、国内の法令は守っているから国内で事業展開をするんだ、こういうふうに聞こえるわけですね。

 ということはどういうことかというと、先ほどGDPRと照らしても十分なレベルにあるというふうに言いましたけれども、実は、日本のレベルというのは非常に低いレベルにしかないのではないか、欧州のレベルに比べれば低いレベルにあるということが、私はこれはこのヤフーの撤退のニュースでいみじくも明らかになったというふうに思いますけれども、じゃ、なぜ、ソフトバンク、これは撤退したと、ヤフー、撤退したというふうに考えられるんですか。理由は、じゃ、何だというふうに保護委員会は考えていらっしゃいますか。

佐脇政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し述べましたけれども、我が国の個人情報保護法の規律は、GDPRの規律に照らして十分な保護レベルを保障しているということが、平成三十一年一月の欧州委員会により、十分性認定の決定が行われておりまして、国際的な水準と比べても、保護レベルが不十分であるとは考えてございません。

 個人情報保護制度は、文化、歴史の違いなどを背景に、国や地域によって様々でございまして、仮に保護レベルとしては同等でありましても、制度の体系や具体的な規定の定め方、解釈、執行等の予見可能性などの面で差異がございますので、こういった要素が企業の事業環境の相違をもたらし、その中で個別の経営判断がなされるものと一般的には考えられますので、御指摘の日本企業の欧州市場撤退につきましては、一企業の経営判断で行われたものでございますので、個別には委員会としては承知しておりませんけれども、一般論としてはそういうことかと思います。

吉川(元)委員 解釈が違うからというのは、それはちょっとおかしいんじゃないですかね。GDPRの個人情報の定義と個人情報保護委員会が出している個人情報の定義、明らかにレベルが違うと思いますよ。

 じゃ、私、これはなぜそういうふうに言うのかというと、一つは消費者の保護、これが日本は非常に緩いという問題関心。それともう一つは、これは規律をするとか、あるいは規制を強める、保護のレベルを上げるとなるとすぐ経済団体から出てくるのが、日本はガラパゴスになると。先ほども少しありましたけれども、こういう発言がすぐ出てまいります。

 だけれども、ガラパゴスというのはいろいろなパターンのガラパゴスというのがあるわけです。世界標準に比べて非常に厳しい規制ということでのガラパゴスもあれば、非常に緩いガラパゴスもあるわけです。少なくとも、GDPRと日本の個人情報保護法の中の定義、比べますと日本は緩い。つまり、ガラパゴス、ガラパゴスと批判をされる一部経済団体などの話というのは、世界基準、世界標準の厳しさのないガラパゴス的パラダイス、そこに安住したいだけなのではないか。

 私自身が非常に危惧をするのは、個人の情報の保護と同時に、こうしたぬるま湯の中でやってきた企業が、世界的なプラットフォーマー、欧米のプラットフォーマー、こういう厳しい基準をクリアをするために日々研さんしているそういう巨大プラットフォーマーと果たして伍していけるのか。私はこれは大変大きな問題だというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺います。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、近年、世界的なデジタル化やデータを活用したビジネスの急速な進展、通信サービスのグローバル化等を背景として、諸外国において、利用者情報の適正な取扱いを求める規制が広がりつつあります。

 本法案は、こうした国際的な規制動向とも整合性をしっかり取っており、我が国の事業者がグローバルな市場で活躍するための環境についても十分考慮したものとなっております。

 情報通信分野はグローバルであることを前提に、引き続き、総務省では、我が国の国益にかなうよう、諸外国の動向を注視しつつ、制度の見直しに不断に取り組んでまいりたいと思います。

吉川(元)委員 まさにグローバルなんだと思います。

 ところが、先ほどのヤフーの話、紹介しましたけれども、実際には厳しい基準があるからということ。それは、もちろん理由は言っていませんよ。だけれども、日経新聞がいろんな取材をした結果としてそういうふうに判断をされたんだろうと思いますけれども、ヨーロッパはちょっともう難しい、国内の法令だったら適応できる、対応できるということでやっているとすれば、これは、日本の企業というのはとてもとてもグローバルに成長できるふうにはなっていかない。

 逆に、そういう、先ほどからぬるま湯的という話をしましたけれども、緩やかな規律の下でしか活動できないとすれば、先ほども言ったとおり、ほかの欧米の企業というのは厳しい中で戦っているわけですから、その厳しさの欠けた企業というのはいずれ淘汰をされていく。

 そうならないようにするためにも、日本の規律あるいは水準というものは、きちんとグローバルスタンダード、とりわけ欧州のスタンダードに合わせるように、私は、これは個人情報保護法も含めて、大きくはそっちの方だというふうに思いますけれども、しっかりと検討をして、そして必要な改正を行っていくべきだということをつけ加えさせていただきます。

 最後に、余り時間がありませんが、独禁法について伺います。

 先ほど、グーグルを使わざるを得ないという湯原委員からもお話がありました。実際、スマホの検索シェア九九・五八%はグーグルです。明らかにこれはもう、寡占どころか完全独占の状態になっておりますし、今後、サードパーティークッキー、いわゆる外部送信の問題については今議論しておりますが、既にアメリカの大手プラットフォーマーはサードパーティークッキーを締め出す方向で動き始めております。表向きは個人情報の保護等々という話になっておりますけれども、実際には、全ての情報を独占する可能性が高まっております。

 こうした問題について、独禁法を所管する公正取引委員会として、何らかの問題意識はお持ちでしょうか。

品川政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘の点につきましては、デジタル広告あるいはデジタルの分野全般でございますが、グーグルのような有力な事業者が高いシェアを占めているというような状況がございます。

 こういう状況がございますので、こういった事業者による行為によって競争がゆがめられることはないかという点については、公正取引委員会としても問題意識を持って市場を注視してございます。

 ですので、独占禁止法上問題のある行為が見られた場合には、厳正に対処していくという姿勢でございます。

吉川(元)委員 私自身も非常にこのサードパーティークッキーをどう扱うのかということについては、もちろん、今回の法案では公表、通知というものも含めて、まあ、私はこれは入れない方がよかったなと思いますけれども、一定の規律をしていこうということは、方向性としては理解いたします。

 ただ、もう既に世界の巨大プラットフォーマーはその一周先を走っている。サードパーティークッキー、これを排除しましょう、だけれども、その理由は何かといったら、全ての情報をファーストパーティークッキーである巨大プラットフォーマーが独占できる。少なくとも、日本国内で検索は、先ほどスマホでは九九・五八%ですから、いやが応でも情報はファーストパーティークッキーとしてグーグルに行くわけです。

 この問題については、もちろん様々な法規制の立場からいろいろな法律を、それぞれ、個人情報保護法あるいは今回の電気通信事業法等々での対応も必要となりますけれども、何より問題なのは、これは独占だということについてしっかり公正取引委員会は、問題意識を持って、注視をして、必要な措置、必要であればそうした措置を取っていただきたいというふうに思います。

 最後にですけれども、一つ、先ほど大臣の方からも、透明性あるいはアカウンタビリティーということを、説明責任ということは言われました。サンタクララ原則あるいはマニラ原則等々の中で、こうしたことは再三にわたって言及をされております。

 ところが、総務省の中にあるプラットフォーム研究会の議事録等を見ておりますと、なかなか、透明性あるいは説明責任というものが十分果たされていると言えないような事象がたくさん出ております。

 国内の企業は比較的、やはり総務省に言われれば、それはそうですねということで情報をいろいろ出す場合もあるようでございますけれども、アメリカの巨大プラットフォーマーは木で鼻をくくったような対応で、第二十三回の研究会の中では、最後、この間参考人として来ていただいた森さんがたまらずに、対話にはもう限界がある、つまり、対話しながらこの情報を出してくださいと言っても、簡単に言えば、法的根拠がなければ出してこない、そういう限界がある中で、新たな法制度を検討するフェーズに入ってきたのではないか、このように発言をされております。

 この点について、総務省としてどのようにお考えでしょうか。

赤羽委員長 総務省二宮総合通信基盤局長、時間が経過しておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、総務省におきましては、有識者会議におきましてヒアリングを実施をし、プラットフォーム事業者から任意で報告を受けているところでございます。

 このヒアリングの結果を踏まえ、今後、有識者会議におきまして、プラットフォーム事業者による取組により、透明性及びアカウンタビリティーの確保が十分に図られているのかといった点や、透明性を確保するための制度的対応が必要かといった点を御議論いただきまして、その結果を取りまとめていただく予定でございます。

 総務省としては、その取りまとめの結果を踏まえ、適切に対応してまいります。

吉川(元)委員 まだあと十五秒ほどありますので、一言だけ。

 それで、第三十一回のプラットフォーム研究会の中で、関西大学の水谷瑛嗣郎准教授が報告をされております。私は、非常にこれは示唆に富むものだなというふうに思うんですけれども、現代の表現環境の中で、思想の自由市場、これが成立しているのかどうかという。元々は成立していたんだけれども、最近、このデジタルの中で、思想内容の競争から刺激の競争になっている。それから、さらに、我々の自由というのは巨大プラットフォーマーの手のひらの上の自由だと。非常に鋭い指摘だというふうに思います。

 こうした点もしっかりと総務省として踏まえて、これからよりよいものにしていただきたいということをつけ加えて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

赤羽委員長 次に、沢田良さん。

沢田委員 日本維新の会、埼玉の沢田良です。

 昨晩、我が埼玉県の代表的な企業でもありますファッションセンターしまむらにサイバー攻撃の可能性という報道がちょっと流れたときに、本当に連日のようにこういったサイバー攻撃、又はこういった外交、安全保障に関わるのではないのかというところが出てくるたびに、やはりこの委員会でしっかりと議論をしていくことが、我々の普通の暮らしにも、企業を通して影響するんだなというふうに感じております。

 本日も、金子総務大臣を始め、関係省庁の皆様、委員部の皆様、是非よろしくお願いいたします。

 まず初めに、NTT東西やKDDI、ソフトバンク、ドコモなどの指定設備を設置する事業者から卸先事業者に対して光サービスやモバイル音声を卸す料金が高止まりしているということが指摘され、新しく義務を課すということになる方向と話をしておりますが、卸料金が高止まりしてしまっているということに対する認識を教えてください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の卸料金の高止まりにつきましては、例えば、NTTドコモのMVNO向けに提供する音声サービス、いわゆるモバイル音声卸でありますが、これの従量制料金は、十年以上にわたり三十秒当たり十四円を維持し、全く引下げが行われてきておりませんでした。

 KDDIやソフトバンクの具体的な水準につきましては経営上の秘密に当たりますので言及はできませんけれども、総務省の有識者会議において構成員限りで確認をいたしましたところ、卸料金は長年引下げが行われてこなかった、一方で、自社の音声通話料金は定額、準定額サービスにより実質的に値下げが行われていったということが明らかになりました。

 この場合、実態として、MNO三社の実質的な利用者料金が卸料金より安くなる、いわゆる逆ざやの状態に当たるとの指摘があったところでございます。

 また、光サービス卸につきましても、総務省や有識者会議の指摘を受けて卸料金の引下げを行ったことはございますけれども、事業者間協議を通じた引下げはほとんど行われてこなかったというふうに認識をしております。

沢田委員 ちなみに、それはなぜ、そういうふうにして発生してしまったのかというか、こういうことがやはり続いてしまったのか。

 いろいろな議論は当然あったと思うんです。総務省の中でも、話合いや、そして今までの検討会もあったと思うんですけれども、こういうものがやはりこれだけ長く続いてしまった、発生してしまったというのは、どういった背景があると思われますか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 卸通信サービスの料金は事業者間の相対協議の中で決めることが可能となっておりまして、本来、事業者間協議が有効に機能していれば、その料金は適正化をしていくものと期待されるものであります。

 他方で、指定設備設置事業者が提供する卸通信サービスにつきましては、委員御指摘のような高止まりの問題が指摘をされておりまして、この協議状況について有識者会議で確認をしたところ、指定設備設置事業者の意向が強く反映をされ、同事業者に交渉上の優位性、また、同事業者と卸先事業者との間の情報の非対称性を認めざるを得ない状況があることが明らかになったところでございます。

 そのため、今般、そうした状況を是正するため、事業者間協議がより実質的かつ活発に行われるための環境整備を行うものでございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 今回、提供義務や情報の提示義務、こういうことを課していく流れは、より適正な競争環境が整備される方向として完全に前進していくというふうに感じておりますが、やはり民間事業者の現場の声をこれからも適宜集めていただいて、それについてもどういうふうに動いていくのか、そして、この前、十日の日に質問させていただいた、いわゆるガバナンス検討会も含めた話についても中西副大臣の方からも御答弁いただきましたが、ワーキングチームの方でいろいろと議論をしていただけるということになっております。

 そういった部分で、少しずつでも事業者の中で競争がしっかりと起こって、また、そこで働かれる方々の賃金がしっかりと上がるような方向で、日本の国内の、また、企業が競争に強くなるようなことも含めて、是非考えていただければと思います。

 今回の一連の法案を調べる中で、本当に、新しい技術が大変多く入っており、気づけば、当たり前のように利用や承認していたということが実はこんなことだったというのを結構学ばせていただきました。電気通信事業では、特に先端技術の活用によりどんどん新しいビジネスモデルが生み続けられているからこそ、社会的現象やライフスタイルの変化にどんな影響を与えるのかということ自体を予測することが、私は大変困難だというふうに感じております。

 そんな中、関係省庁の皆様には、日々の勉強や調査など大きな御尽力をいただいていることには、本当に、一国民としても、大変ありがたいなというふうに感じております。

 そんな中、ちょっと答えづらいかもしれないんですけれども、ここ最近で、総務省の管轄の中で構わないんですけれども、詳細の把握などに時間がかかったとか、又は、御尽力いただいたものの中で特に記憶のあるような技術とかそういった先端なもの、こういったものの話があれば教えていただければと思います。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、情報通信技術は日進月歩であり、行政は新たな技術に迅速かつ的確に対応していくことが極めて重要だと考えております。

 一例として申し上げますと、令和二年電波法改正によりまして実現いたしましたダイナミック周波数共用という技術がございます。これは、同一の周波数を異なるシステム間で共用する際、従来までは十分な離隔距離、一定程度離して確保する必要がございましたけれども、同一の場所であっても、使う時間をリアルタイムに調整することによりまして、混信することなく通信することが可能となる画期的な技術でございます。

 この新たな周波数共用の仕組みにつきましては、諸外国においても検討や導入が進められておりまして、例えば、先行するアメリカでは、二〇二〇年に実用化をされたところでございます。

 総務省におきましては、この先進的な技術を導入するため、米国、欧州の先行事例を詳細に調査し、我が国の既存システムの運用実態に応じた具体的な開発作業を、有識者や関係者の協力、これは学識経験者や携帯事業者、放送事業者、機器メーカー、そういった方々を構成員としておりますが、幅広く関係者の協力を得ながら、精力的に進めてきたところでございます。

 その結果、本年三月に、ダイナミックな周波数共用を可能とする共用管理システムの実用化にこぎ着けることができました。これを踏まえまして、今般、我が国で初めて、ダイナミック周波数共用を前提とした携帯電話基地局の開設計画の申請を受け付けたところでございます。

 このように、今後も、我が国の実情を踏まえながら、有効な新技術に着目し、その技術を活用した政策立案につなげてまいりたいと考えております。

沢田委員 どうもありがとうございます。

 ちょっと更問いで、本当は、どういった経緯で、今後、今後というか、新しい技術の導入であったり、又は新しいサービスが入ったときに、どのように総務省の方で、一般論ですが、どういうふうに入っていくのかというのを聞きたかったんですけれども、時間の都合上、ちょっとここはカットさせていただきます。

 私が問題意識を持っているのは、私は今四十二歳という年齢なんですけれども、どちらかというとまだまだ頭も柔らかい方で、学ばせていただければいろいろなものを吸収していけるんですけれども、大変、今回の問題を含めて複雑な話が、どんどんどんどん、この国会の中で議論が膨らんでいっております。そういった中での、やはり官僚の皆様と我々議員の知識又は情報の格差が、私は、本当に、今まで言われている官僚への情報依存という形が拡大していってしまうのではないのかということに対して、大変危惧をしております。

 また、こういった中で、情報が、国民の皆様も見えないところでどんどんどんどん置いてきぼりになっているのではないのかということですね。

 私は今、元々PTAの会長をずっとやっていて、そのときに、今回のコロナの関係で、GIGAスクール構想で、タブレットが一斉支給をされました。そこで、我々さいたま市では、クッキーと個人認証を連動させるような、そういう仕組みを取っておりまして、うちの妻から、一個のタブレットにうちの息子の登録しかできていない、娘の分ができないというような感じで焦ったような声があって、これは全校でこういったことが大変に起こったんですね。

 要は、どういう形で、私たちが使っているサービスがどんなところに使われているのかということを、いわゆる義務教育下でも、ある程度親御さんを含めて共有できないと、学校現場は混乱もします。そして、学校も説明の下手な、やはり親御さんたちからの説明を聞くと、完全に分かっている方でも理解できないということが出てきてしまうこともあるんですね。

 こういったことも含めて、私は、この情報の扱いということにおいて言うと、最後の最後で、セーフティーネットのような機能というものをどこに設定していくのかということも今後議論が必要かと思っております。

 少し、最後は自分の話ばかりになってしまいましたが、今日の質問は十分までということなので、これで終わりにさせていただきます。

 是非、今後とも、総務省、総務大臣を含めて、こういった議論もさせていただければと思います。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、阿部弘樹さん。

阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹でございます。

 まず最初に、ちょっと、大変失礼なお話をさせていただきます。

 このデジタル通信ガバナンス検討会、二一年の五月に立ち上げたわけでございますが、そのときに総務省の接待事件が明るみに出て、総務省のナンバーツーの総務審議官から局の課長級まで、みんなお替わりになられたということでございます。

 ネットではひどいことが書かれて、いわば素人集団でかじ取りをしたと。当初は、LINEの利用情報が中国の関連会社から閲覧可能になっていたということの検討会のスタートだったんですが、次第に、デジタル時代の個人情報の在り方という議論にシフトしていったわけでございます。

 さて、局長、今、そういう接待というのはない、行っていらっしゃいませんよね。受けていませんよね。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の事案以降、総務省におきましては、他省に比べましても厳しい自主的なルールを定めておりまして、それにのっとった形で、襟を正して、しっかりと取り組ませていただいております。

阿部(弘)委員 ちょっと、厳しいルールでも、では、まだ飲食を共にしてあるんですか。

二宮政府参考人 厳しいルールにのっとって、しっかりと襟を正してやっております。

 私について申し上げれば、そういった接待等は全く受けておりません。

阿部(弘)委員 ここはそんなに僕はこだわるところじゃなかったんですけれども、では、厳しいルールで、まだ飲食を共にしてあるわけですか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 何度も繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、総務省のルールに基づいて、しっかりと対応させていただいております。

阿部(弘)委員 いやいやいや、総務省のルールに基づいて、利益関係団体と飲食を共にしてあるということですか。

二宮政府参考人 繰り返しになりますけれども、総務省のルールに基づきまして対応しておりますので、委員御指摘の、御懸念のような飲食を共にするというようなことはございません。

阿部(弘)委員 ちょっと本題の、僕はGDPRの話とかいろいろなことを聞きたかったんですけれども、歯切れの悪い答弁じゃ駄目ですよ。この検討会というのは本当に大切なんですよ。

 関係者が関係企業と飲食していたんですか。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 今御指摘の不祥事について、厳格に処罰をし、厳しい基準を設けております。

 飲食すること自体は否定されたわけではなくて、もちろん、利害関係者とそういう、事業者に対して利益を供与するということではなくて、関係者と意見交換することは必要であると思っております。

 局長からも御説明がありましたように、そういう基準はありますけれども、現在のところ、そのような会食が行われたとは聞いておりません。

阿部(弘)委員 では、時間も短いですから、次の質問に移らせていただきます。

 サイバー空間というのは、いろいろなこの委員会の委員の先生たちがお話しになったように、もう既に国境がないんですね、国境がない。ですから、我々がSNSで発信したものが、ヨーロッパや欧米や、あるいはその他の国々にも発信される。

 GDPR、これは、私も勉強しましたよ、個人情報保護のためのEUが設けた規則です。一般には、日本語ではEUの一般データ保護規則。個人情報保護の大切な、利用者保護の大切な規則でございます。

 これは域外規定というのがありまして、ヨーロッパに本店や支店があれば、この適用を受ける。さらに、驚いたことに、インターネットサイトで日本からEU圏内の商品販売やサービス提供を行っている企業にも、このGDPRの適用を受けて、そして、違反すると一千万ユーロ、このペーパーのレートでいいますと十二億円。さらに、もしグーグルに科したとしたら六十二億円。

 日本は二百万じゃないですか。こういう利用者保護の規定が設けられたという点では非常に私は評価しているんですけれども、日本が二百億円なら。

 最初に私がお話ししたように、ヨーロッパ、あるいは第三国、G7に入っていないような国々がサーバーを設けて日本で事業展開した場合には、そもそもそのサーバーを特定することも難しいかもしれませんが、二百万円で済んでしまう。まさに天国みたいな市場なんですね。

 同一水準と言われましたけれども、局長にお聞きしますよ。

 これに基づいて、今、ヨーロッパでは、デジタルサービス法あるいはデジタル市場法案、これが可決されようとしておられる。これはまさに、コンテンツあるいはプラットフォームの話なんですよ。

 ちょっと読み上げますと、日本とは制度が違うから大変恐縮なんですが、ヘイトスピーチ、テロ扇動情報、不法な差別言動、そして児童虐待画像の共有、あるいは同意のないプライベート写真の共有、コピー商品や著作権侵害商品の使用まで、こういったものまで制限していこうという法律が今起こっているのに、先ほどの、今日の午前中の議論でも、世界の水準と伍している、同じだと。いやいやいや、待ってくださいよ、やっと利用者保護の法律が日本でできたというところ。

 今日は個人情報保護委員会の方がいらっしゃっていますが、個人情報保護の基準というのは、氏名、識別番号、マイナンバーや、位置情報、クレジットカード、パスポート番号、オンライン識別子、クッキーについてはどういうふうな考えをお持ちなのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。

佐脇政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のクッキーにつきましても、個人の特定できるデータとして管理されている場合には全体として個人情報でございますし、そのようなデータベースを持っている事業者がその部分につきまして取り扱う場合には、クッキーにつきましても同様に個人情報として扱うという整理になります。

阿部(弘)委員 後ほどまた聞きますけれども、ドローンの映像、今、ヨーロッパでは顔認証も個人情報。あるいは、ヨーロッパの裁判、フランスの裁判では、その人の体温を測る場合も、その体温を測った情報も個人情報に入るということですから。

 日本は、画像についてはどのようなお考えをお持ちですか。

佐脇政府参考人 お答えいたします。

 個人情報保護法は、広く、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる記述等により特定の個人を識別できるものにつきましては個人情報としてございまして、先生御指摘の顔認証画像につきましても、特定の個人を識別できる場合には、個人情報に該当することになってございます。

阿部(弘)委員 このように、世界の潮流は、日本の、この委員会の議論をはるかに超えている。

 コンテンツの場合は、例えばポルノ画像であれば、それぞれの省庁で規制を行っていく、あるいは扇動罪のものであったら、それはしかるべき省庁が規則なり法律を作っていくということなんでしょうけれども、もう既に、これがヨーロッパでは近々、それぞれの国がこのDSAを承認すれば、実施されていく。ですから、先ほど議員の先生が言われたように、一周遅れどころか二周遅れの状況に日本の中はなっている。

 しかし一方で、サイバー空間というのは国境が既になくなっているわけでございます。私が衛星コンステレーションの話をしたように、衛星を使ったブロードバンド、光通信ももう既に発進しております。ですから、日本でビジネスをやろうと思っても、実はヨーロッパ抜きではビジネスはやれなくなる。

 そういう規制も、日本国が主権国家であっても、ビジネスをやる上では他の諸国のルールに従っていかなければいけないということで、日本の適用について、どのようにお考えなのか。GDPR、GDPRというのは、もちろん、先ほど言いましたようなEUの一般データ保護規則でございます。米国ももちろん、NISTのサイバーセキュリティーフレームワークがありますし、イギリス、ドイツも同様の通信事業規制というものがあるわけであります。日本の適用については、どのようなお考えをお持ちですか。

佐脇政府参考人 お答えいたします。

 個人情報保護法に関しましては、先ほど先生が御指摘のGDPRと基本的に同じ考えでございまして、日本の国内における取扱いは当然のこと、海外において、例えばインターネットなどを使って物品の販売、サービスの提供をする際に個人情報を取得する際におきましても、域外適用規定によって法の適用の対象というふうになってございます。

阿部(弘)委員 ここでクッキーなどの議論に進めたかったんですけれども、ちょっと局長が首をひねってあるから、余り局長には質問しちゃいかぬなと思いつつも、今日のニュースは、グーグルが、検索に一定の手数料を取るようになってきたというところも入ってくるわけでございます。そうすると、個人情報収集にも莫大な手数料収入が入ってくる。そしてまた、こういうネット広告にも、非常に巨大な利益を生む市場になってくるわけでございます。

 そういうものの規制について、個人を保護する視点から、この電気通信事業法の改正案はどのような取組をなさってありますか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の電気通信事業法の改正におきましては、御指摘の利用者利益の保護という観点からは、情報の適正な利用、取扱いの規律、また、情報の外部送信に係る利用者の確認の機会を付与するという、二つの大きな取組をさせていただいているところでございます。

 この委員会の場でもるる御議論いただいておりますけれども、そういった規律につきまして、国際的な整合性も考え、関係事業者並びに利用者の方々の御意見も踏まえながら、しっかりとルールを策定してまいりたいというふうに考えております。

阿部(弘)委員 もうあっという間に時間がなくなって、質問がまだ一問目のところなんですけれども、日本における国際企業の対応についてお伺いします。

 罰則金が安いことについては、今聞いてしまいますね。局長、何でこんなに安いんですか、日本は。そして、GAFAなどの国際企業は、域外適用、あるいは、日本国内で事業をやっているわけですから、適用はもちろん受けると思いますが、国際企業の対応についてお伺いします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案における利用者に関する情報の適正な取扱いに係る規律につきまして、利用者の利益等を確保するために必要な限度において業務改善命令等の対象としておりますけれども、その業務改善命令等に違反した場合の罰則につきましては、電気通信事業法第百八十六条の規定により、従来から、二百万円以下の罰金に処するということとしているところでございます。

 当該業務改善命令等に違反した場合の罰金額に関しましては、これまでの電気通信事業法の運用に鑑みても、適正なものであるというふうに認識をしております。

 なお、規律に違反した電気通信事業者等に対しましては、必要に応じて、法令等違反行為等の公表の規律も課すことが可能でございまして、事業者のコンプライアンスが重視される中、違反行為などの公表は、電気通信事業者等のレピュテーションにも影響を及ぼし、制裁効果は大きいものと考えてございます。

阿部(弘)委員 いや、二百万円で大きいと言われたら、フランスは、仮にグーグルですと六十二億円、イタリアの大手通信会社ですと三十五億円ですよ。もしかしたら、一月、二月の検討会で、ここのところを、過料金を引き下げたんじゃないですか。そういう疑念を抱くぐらいのものがありますよ。

 だって、ガラパゴス化というよりも、日本の通信事業を行うには、やりたい放題なんですよ。もし海外にサーバーがあって、第三国から日本の市場にコピー商品を提供したり、あるいは児童虐待画像を大量に送信してきたり、海賊版を送信してきた場合のペナルティーが、そんな二百万円で済むんだったら、やり続けますよ。そういう議論は私の中にはしっかりあります。

 もう時間が迫ってきましたので、大臣に。

 こういうサイバー空間、非常に、国境がなくなっている。宇宙電子通信も当たり前の時代に来る。そして、ヨーロッパのGDPRはもう域外適用は当たり前ですから、日本で通信販売をやっている事業もこの適用を受ける。ですから、基準というものは、低いものに合わされるのではなくて、個人情報を守るために、個人を守るために、高い方に、ビジネスを世界展開していけば、上がっていくわけなんです。

 本当はウクライナのドローンのお話もしたかったんですけれども、もう時間がありませんので、大臣の所感を聞きたいと思います。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 いろいろ世界の基準とか罰金の問題についても御指摘をいただいたわけでございますが、近年、デジタル化の進展に伴って、通信サービスについては、社会経済活動や国民生活の基盤として、また、自由な情報の発信、人と人とのコミュニケーション、多様な情報の収集、利用の手段としての重要性が急速に増している一方、情報の不適正な取扱いのリスクが顕在化しているものと認識をしております。

 阿部委員からも、利用者のしっかり保護をしろ、守ってくれというような御趣旨だと思いますが、このような中で、本法案は、利用者が安心して利用できる通信サービスの確保に向けて必要な制度を整備するものでございます。極めて意義の高いものと考えております。

 総務省としては、今後とも、国民の皆様が安全、安心にインターネットを利用して、デジタル化やイノベーションが更に促進されるよう、制度の見直しに不断に取り組んでまいりたいと思います。

阿部(弘)委員 終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、中司宏さん。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 我々日本維新の会は、電波、情報通信行政の刷新を後押しする立場から、これまで議員立法として、NHK改革推進法案、あるいは情報通信行政の改革推進法案などを提案してきております。

 本電気通信事業法改正案につきましては、情報通信インフラの整備、そして利用者情報の取扱い、また競争性の確保などの観点から一定必要な改革であり、更に十分な改革を進めるための通過点と受け止めております。

 それでは、質問に入ります。

 先般の知床での痛ましい事故で犠牲になられた方々に、心からお悔やみを申し上げます。一日も早く捜索活動が進展するように祈念するものでございます。

 行政指導への対応等、事業者側の問題が明らかになってきましたが、同時に、非常時における情報通信インフラの重要性が注目されたわけであります。こうした中で、情報通信インフラのユニバーサル整備について、災害を始め非常時の対応という視点から、大変重要だと認識を新たにした次第でございます。

 この点を踏まえつつ、平時から強靱な情報通信インフラの整備、維持と、そして安全性、信頼性の向上に取り組むべきと考えますが、まず、金子大臣のお考えをお聞きします。

金子(恭)国務大臣 中司委員まさにおっしゃるとおり、災害時を含む非常時におきまして、住民の安否確認や現場の被災状況の把握など、国民の生命財産を守るための情報伝達手段として、情報通信ネットワークの確実な確保は必要不可欠なものでございます。

 総務省においては、通信経路の複数ルート化や停電対策などの通信事業者が遵守すべき基準を定めており、これに基づき、通信事業者においては、災害時に臨時に基地局を開設できる車両や移動電源車などの配備を進めているところでございます。

 私の地元でも、熊本地震、そしておととしの豪雨災害で通信網が寸断されて、大変、安否確認もできず困った事例がございました。そういうことも踏まえて、引き続き、通信事業者を始め関係者とも連携をしながら、安全で信頼性の高い情報通信ネットワークの確保にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

中司委員 ありがとうございます。

 そこで、災害対応等で重要な役割を果たす位置情報についてお聞きします。

 大きな災害が起これば、政府を始め自治体、消防、警察など各機関が連携し、状況次第では自衛隊にも出動要請があるわけですが、土地カンがない場所とか地図で分かりにくいところ、また、山間部などでは地番のない地域もある、そういう中で迅速な対応をしなければなりません。しかし、例えば住民の携帯電話などからの通報やドローンからの情報があっても、自治体や消防、警察、自衛隊など各機関の位置情報のシステムとリンクしていなければ、速やかに対応ができないと思います。

 そこで、各省庁、全国の自治体や消防の位置情報システムの連携がどのように図られているのか。また、縦割りをなくして、各機関共通の統一された位置情報システムを構築する必要があると思うのですけれども、そこの点の認識と今後の方向を伺います。

五味政府参考人 内閣府では、各種災害関連情報を地図上に表示いたしまして、警察、消防、自衛隊、自治体等の災害対応機関の間で共有することができるシステムでありますISUTサイトというものを運用しております。このISUTサイトでは、浸水、土砂災害発生箇所や、道路、電力等の被災、復旧状況等、関係機関から収集した情報につきまして、地図上で共有できるようになっております。

 現在は、ドローン等で収集した映像、画像を位置情報を組み合わせて収集、加工、分析することによりまして、被災地の状況をより迅速的確に把握、共有し、更なる効率的な災害対応に資することを目指しておりまして、そのために、より幅広く災害対応機関の間で情報を共有できる、共通の防災デジタルプラットフォームの構築に取り組んでいるところでございます。

 内閣府といたしましては、より円滑に災害対応を行うためには各機関との更なる情報共有の促進が必要であると考えておりまして、引き続き、関係省庁と連携して取組を進めてまいります。

中司委員 ありがとうございます。

 災害などで、例えばドローンから送られてきた現場写真の位置を特定するのに、そうした位置情報の共有化があれば瞬時に現場が特定できる、そういう状況もあろうと思います。非常時に備えて、システムの統一化、これを図っていくべきと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 次に、インフラ整備に関しまして、通信は総務省、エネルギーは経産省、交通は国交省といった縦割りではなくて、いわゆる横串を通して、整合性を持った制度設計を行うことが重要であると思います。5Gインフラの整備やビヨンド5G技術の開発など、まさに国の競争力につながる問題と考えます。デジタルトランスフォーメーションを推進するデジタル庁が中心となって総合的なデジタルインフラ戦略を策定すべきと考えますが、考えをお聞きいたします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 デジタル社会実現のためには、委員御指摘のとおり、政府が一体となり、整合性を持って施策を推進することが重要でございます。

 デジタル庁におきましては、目指すべきデジタル社会の実現に向けまして政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策を、デジタル社会の実現に向けた重点計画として取りまとめております。その際に、デジタル庁が、必要な施策の推進と施策間の整合性を図りながら調整し、取りまとめを行っているところでございます。重点計画は閣議決定を行うものでありまして、デジタル庁を始めとする各府省庁がこの重点計画に基づき個別の施策に取り組むことで、政府として整合性を持って計画を推進することになるものと認識しております。

 御指摘の情報通信インフラの整備に関しましても、この重点計画、昨年十二月に閣議決定されておりますけれども、「デジタル化を支えるインフラの整備」との項目を立てまして、デジタル社会を支えるインフラの整備、維持、充実に係る記述を行っており、これに基づきまして、関係省庁におきまして施策を推進しているところでございます。

 デジタル庁としては、重点計画を踏まえまして、各府省庁と連携しながら、デジタル社会の実現のための施策を着実に推進してまいる所存であります。

中司委員 是非頑張っていただきたいと思います。

 デジタル庁ですけれども、発足において職員の三割強が民間企業の出身者である、庁内で役所出身者との不協和音が生じているとか、それから退職者が続出しているといった報道があります。

 デジタル庁は行政のデジタル改革を牽引する司令塔であり、省庁の縦割りを打破する省庁であると国民が期待をしているのですけれども、その期待にどう応えるのか、お願いいたします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 デジタル庁は、デジタル社会推進に係る司令塔としての取組を進めてまいることが任務となってございます。

 他方、デジタル庁は、委員御指摘のとおり、優れた民と官の知恵と力を融合いたしまして、プロジェクトベースで業務を進めるという、これまでの霞が関の役所にはないスタイルを目指しておるものでございまして、それに対応するデジタル庁の組織づくりそのものもチャレンジングな取組となっているものではございます。

 また、成果がなかなか実感できる形で見えにくいことなどもありまして、デジタル庁に対して厳しいお声があることも承知してございます。

 一方、現在、デジタル庁といたしましては、種々の取組を行っております。

 情報システム関係予算の一括計上や、システムの統括、監理をより効率的かつ実効性のある形で実施するための実施体制の見直し、また、国民の皆さんにデジタルによって便利になったと実感していただくための、簡便な手続を可能としたワクチン接種証明アプリの登録のように、国民の視点に立った優れたサービス、システムの実装、実行を更に進めてまいります。

 さらに、庁内におきましては、職員一人一人がデジタル庁のミッション、ビジョン、バリューを共通の判断基準として、自律的に判断、行動できる組織を目指しまして、全職員が参加可能なオールハンズミーティングの実施など、幹部と職員間のフラットなコミュニケーションデザインを進めるなど、これまでの霞が関の役所にはないマネジメントを積極的に導入するといった取組を進めております。

 デジタル庁がその負託にしっかりと応えることができる組織となりますよう、しっかりと取り組んでまいる所存であります。

中司委員 ありがとうございます。

 縦割りを打破し、司令塔としてしっかりと役割を果たしていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 先般の委員会で参考人として意見を述べられた原氏が、電気通信に関する規制の在り方について、国の規制体系は業法と呼ばれる業界ごとの縦割り規制が多い、今や多くのサービスが電気通信設備を用いてなされている、業法という枠組みで捉えようとすることに無理が生じている、個人情報保護法や独禁法など横断的な規制との関係も含めて、利用者の保護、信頼できるデータ利用の確保、競争環境の確保等、目的ごとの横断的な規制にするなど、規制体系を再設計していくことが課題であると指摘されています。

 これについての見解をお聞かせいただきますようお願いします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 電気通信事業法は、電気通信事業の公共性に鑑み、その運営を適正かつ合理的なものとするとともに、その公正な競争を促進することにより、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し、もって電気通信の健全な発達を図ることなどを目的としているところでございます。

 電気通信事業における公正な競争の促進、電気通信役務の円滑な提供の確保、電気通信役務の利用者の利益の保護、そして電気通信の健全な発達というこれらの目的は相互に密接不可分なものであり、電気通信分野を対象とした単一の法律において、電気通信分野の特性を踏まえ、これらの目的の一体的、総合的な実現を図ることは、今日においても十分な合理性を持つものと考えております。

 その一方、電気通信分野の規制の在り方については、技術の進歩や競争環境の変化などを踏まえた定期的な見直しが不可欠と考えておりまして、今回の改正においても、情報通信インフラの提供確保や、安全、安心で信頼できる通信サービス、ネットワークの確保などの観点から必要な規律の追加などを行っているところでございますが、今後も、内外の議論を踏まえ、不断の見直しを図っていきたいと考えております。

 また、個人情報保護法や独占禁止法などの横串的な規制と電気通信分野の特性に着目をした電気通信事業法上の規制とは、互いに補い合う関係にあるものと認識をしておりまして、そのような認識の下で、個人情報保護委員会や公正取引委員会などとも引き続き緊密に連携をしていきたいと考えております。

中司委員 ありがとうございます。

 もう一点、原氏の提案に、NTTの完全民営化というものがあります。

 NTTはNTT法に基づいて総務大臣から事業計画の認可を受けている、そうした在り方が、世界の情報通信市場の熾烈な競争の中で、NTTと競合事業者の双方にとって、グローバル市場における自由なビジネスの発展を阻害しているのではないかと。

 ユニバーサルサービスとしての在り方や、それから、競合事業者が公正に競争できる環境を整えた上でありますけれども、NTT法を廃止してNTTを完全民営化すべきと考えますが、答弁をお願いいたします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 NTTは、国民生活に必要不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保に寄与することなどが責務とされております。こうした極めて公共性の高い責務を確保する観点から、NTTについては、国が一定の株式を保有することが義務づけられており、引き続きその必要があると考えております。

 なお、NTTは、現行の体制におきましても、グローバル事業の強化に向けた取組を昨今発表するなど、海外市場における競争力強化に積極的に取り組んでいるところと承知をしております。

中司委員 あと、NHKの改革、これも進めていきたいと考えている中で、ブロードバンドのユニバーサルサービスが進むということについて、全国の児童生徒に対して地域を問わずにネット環境を整備するGIGAスクール構想の促進にもつながると考えます。

 そうなれば、NHKのEテレの教育コンテンツもオンデマンド方式にした方が、見たいときに視聴できるとか、有効に活用できて、NHKの改革にもつながると考えるんですけれども、その点、どうでしょうか。

中西副大臣 中司宏先生にお答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、インターネットを通じたコンテンツ視聴の拡大など、放送を取り巻く環境は大きく現在変化をしているところでございます。

 そうした中、NHKにおいてもインターネット配信の取組を現在進められておりまして、例えば、Eテレの教育コンテンツをNHKプラスで常時同時配信や見逃し番組配信を行ったり、また、NHK・フォー・スクールというポータルサイトで、Eテレの教育コンテンツなどを学校などでの利用に向けてオンデマンド配信するなどの取組を現在行われているところであります。

 とはいえ、放送は、あらゆる国民の皆様、お子様や障害者や高齢者の方々も含めて、簡易かつ安価に受信できる身近な情報入手手段としての役割も有しておりまして、この教育コンテンツは、多様なニーズに応え、放送とインターネットの各々の特性を生かしながら、多くの国民の皆さんに提供することが重要だと考えております。

 いずれにいたしましても、デジタル時代における公共放送の果たすべき役割や使命について、総務省においてもしっかりと検討してまいりたいと考えております。

 以上です。

中司委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたので終わらせていただきますけれども、先般、インターネット上の誹謗中傷の問題につきまして質問をさせていただきましたが、本日、私たち、議員立法で対策法案について提出予定でございますが、まずこの場では、海外事業者への対応がスムーズにできるように求めていきたいと思います。

 その点を求めまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。どうぞ今日もよろしくお願いいたします。

 まず冒頭、先ほど中司委員からも御質問があったことと重なりますけれども、ロシアによるウクライナの侵攻によりまして、通信を始めとして様々な基幹インフラが攻撃を受けて壊滅的な被害を受けるとともに、ロシアによるフェイクニュースが流れるなど、真実の見極めが大変難しいような情報戦も行われております。改めて、有事における強靱な通信インフラの重要性が認識をされたわけでございますけれども、同時に、サイバー攻撃対策も急務だと思っております。

 本改正案におきましても、これまではサイバー攻撃の発生後に限られていたインターネットサービスプロバイダー間の情報の共有や分析というものが、攻撃の発生前でも可能とする規定の整備を行うということも盛り込まれております。

 また、自然災害も含めて、あらゆる危機を想定して、我が国もしっかりと取組を進めていかなければなりません。デジタル田園都市構想の取組としては、海底ケーブルや地方のデータセンターの取組もスタートをいたしております。

 今後、強靱な通信インフラの整備についての取組方針につきまして、中西総務副大臣にお尋ねをいたします。

中西副大臣 西岡秀子先生にお答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおりでありまして、災害発生時を含む非常事態において通信手段を確保するということは、国家機能の維持や、国民生活の生命財産の安全にとって必要不可欠な状況でございます。

 このため、サイバー攻撃への対処も含めて、通信インフラの強靱化を進めていくことの重要性を改めて認識をしているところでございまして、先般行われた、ドイツで開催されたG7のデジタル大臣会合でも主要テーマとなったところと承知をしております。

 総務省としては、大きく三点申し上げましたら、通信インフラの強靱化を図るため、安全で信頼性の高い通信インフラの確保に係る制度整備や、被災した通信インフラの早期復旧に向けた官民の連携協力体制の整備等を進めておるところであります。

 また、通信インフラのサイバーセキュリティーを確保する観点からは、不正なアクセス等に関するネットワークの監視など必要な対策を含めて、電気通信事業者に実施を求めてまいるところでございます。

 またさらに、災害が激甚化、頻発化する我が国においては、通信インフラの強靱化のために、御指摘のとおり、データセンターの分散化とか海底ケーブル等の地方分散を図っていくということは喫緊の課題であるというふうに認識をしておりまして、総務省としては、令和三年度補正予算において、五百億円を計上させていただき、民間事業者における地方へのデジタルインフラ整備を政策的に後押しをする観点から、初期投資の一部というものを補助する事業を行うことといたしました。

 我が岸田政権が掲げるデジタル田園都市国家構想を実現する観点からも、国民の皆さんが安心をして利用することができ、また、高い信頼性を有する通信インフラの構築は大変重要な位置づけでございまして、引き続き、通信事業者を始め関係者とも連携をしながら、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

西岡委員 特に、やはり通信インフラの重要性というものが本当に明確になったと思いますので、引き続きお取組を、また、できるだけスピード感を持ったお取組を是非お願いをしたいと思います。

 次の質問に移ります。

 先日の参考人質疑におきまして、電気通信事業ガバナンス検討会の座長を務められました大橋参考人からは、通信が私たちの社会、生活に欠かすことのできない存在となり、激動する我が国の通信市場を取り巻く環境が大きく変化をしている中で、本改正案が環境整備のための出発点と捉えるべきという見解が示されました。また、ガバナンス検討会議において、座長としての御発言として、先ほどの質疑の中でもございましたけれども、今回、あるべき姿をしっかり議論できたかというと、至っていないとのじくじたる思いだということで、会合を締めくくられました。

 技術の進展のスピードとともに、法律も不断の見直しがスピード感を持って必要だという現実もありますけれども、取りまとめの中心を担われた座長の言葉としては、様々な思いが込められたお言葉であり、率直で大変重いお言葉ではないかと考えますけれども、この座長のお言葉を受けまして、本改正案の持つ意味、また、今後の電気通信事業法の目指す方向性について、金子大臣にお尋ねをいたします。

金子(恭)国務大臣 西岡委員にお答え申し上げます。

 近年、デジタル化の進展に伴い、通信サービスについては、社会経済活動や国民生活の基盤として、また、自由な情報の発信、人と人とのコミュニケーション、多様な情報の収集、利用の手段としての重要性が急速に増している一方、情報の不適正な取扱いのリスクが顕在化しているものと認識をしております。

 このような中で、本法案は、利用者が安心して利用できる通信サービスの確保に向けて、必要な制度を整備するものでございます。検討の過程では、御指摘のような様々な御意見もいただきましたが、先ほど御紹介いただきました参考人質疑などにおいては、新たなルール形成に向けて第一歩を踏み出していただいたなど、評価する御意見もいただいており、極めて意義の高い法案であると考えております。

 総務省としては、今後とも、変化の激しい情報通信分野の動向を踏まえながら、国民の皆様が安全、安心にインターネットを利用し、デジタル化やイノベーションが更に促進されるよう、委員御指摘のような、制度の見直しに不断に取り組んでまいりたいと思います。

西岡委員 ありがとうございました。

 検討会での様々な議論があったというふうに承知をいたしておりますけれども、内容的に大変当初の案から後退をしたということもございますし、議論の過程で、その議論の経緯の透明性ですとか公開性の問題も含めて、また事業者の皆様の意見を聴取するという方法についても様々な議論があったというふうに承知をいたしております。

 是非、今回の法改正をスタートとして、様々まだまだ課題が山積をしているというふうに思いますので、しっかりまた大臣を中心にお取組をお願いをしたいと思います。

 本改正案につきましては、三つの柱が骨子となっております。

 まず、情報通信インフラの提供確保についてお尋ねをいたします。

 光ファイバーケーブルが各家庭まで設置されており、年々増加をし、総務省も高度無線環境整備事業として、過疎地、離島などの条件不利地域に整備費を補助をして光ファイバー整備を進めてきました。令和三年三月末におきまして、このブロードバンド基盤整備率というのは九九・三%となり、未整備世帯は三十九万世帯となっております。

 ただ、離島や山間地域の地方自治体で整備が遅れているという現実もございます。本改正案においては、ブロードバンドサービスを基礎的電気通信役務、ユニバーサルサービス、新たな類型として基礎的電気通信役務として位置づけることとなりました。

 今後、新たなユニバーサルサービスの対象となるブロードバンドサービスについては総務省令で規定をされるということになるというふうに聞いておりますけれども、誰一人取り残さないデジタル社会の実現の面からも、また、先ほど副大臣からお答えをいただいた強靱な情報インフラを構築する上でも、大変必要な取組であると考えております。

 政府は、デジタル田園都市国家インフラ整備計画におきまして、二〇二七年末までに有線ブロードバンドの、九九・九%の世帯、その場合は未整備世帯約五万世帯と想定をされておりますけれども、九九・九%の世帯カバー率を目指す方針でありますけれども、このブロードバンドが提供されない地域における対応について、政府としてどのようにお考えになっているかということを、方針についてお伺いをいたします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 ブロードバンドサービスが全国どこでも安定的に提供されるようにすることは、地方と都市の差を縮め、活力ある地域づくりを目指すデジタル田園都市国家構想を実現するためにも大変重要でございます。

 このため、総務省では、岸田総理からの指示を受け、デジタル基盤の整備を更に加速するため、デジタル田園都市国家インフラ整備計画を本年三月末に策定をいたしました。その中で、委員御指摘のとおり、二〇二七年度末までに光ファイバーの世帯カバー率を九九・九%まで引き上げることを目標としているところでございます。

 この目標の実現に向けまして、光ファイバーなどの有線ブロードバンドサービスをユニバーサルサービスと位置づける今回の制度改正を始め、補助金による支援、個々の地域のニーズにきめ細かく対応するための地域協議会の開催など、規制と振興の両面から政策を総動員をし、国民の誰もがデジタル化の恩恵を受けられる環境の整備に全力で取り組んでまいります。

西岡委員 まさに誰一人取り残さないデジタル社会の実現に向けまして、様々な施策も含めてお取組を是非お願いをしたいと思います。

 続きまして、現状、条件不利地域における有線ブロードバンドの維持管理、更新費が事業者の大変負担となっており、今後、持続可能なサービスの維持というものが大きな課題となっております。

 本改正案におきまして、全国のブロードバンド事業者が負担する負担金を原資とする交付金制度が新設をされ、不採算地域での維持費等を交付金で支援する方針となっております。

 総務省は令和四年二月に、ブロードバンドサービスのユニバーサルサービス化によって、年間二百二十七億円、契約者当たり七円か八円の費用負担が見込まれる試算というものを発表いたしております。負担の在り方について今後どのような方針をお持ちであるのか、最終的に利用者の負担とするのか、また、ブロードバンド事業者から幅広く徴収する方針であるのか、その基本的な方針についてお伺いをいたします。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の負担金につきましては、制度上、ブロードバンドサービスを提供する事業者が負担をすることとなりますが、実際には、通信料金に転嫁する形で、利用者の皆様に少しずつ御負担をいただくことが想定をされております。このため、利用者の皆様から十分な御理解をいただくことは必要不可欠であると考えております。

 様々な広報手段を用いまして、通信事業者や関係団体とも協力しながら、しっかりと周知を行っていきたいと考えております。

西岡委員 今言及がありましたように、しっかり国民の皆様への説明というものが大変重要だと思いますので、しっかり進めていただくことを前提として考えていっていただきたいというふうに思っております。

 続きましての質問でございますけれども、ブロードバンドサービスを基礎的電気通信役務と位置づけていく中で、どの程度赤字補填をすべきであると考えておられるのか。規模の小さいブロードバンド事業者にユニバーサルサービスの継続が可能であるかという問題もあるかというふうに思いますけれども、今後の政府の方針、対応についての見解をお尋ねいたします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の交付金制度では、事業者固有の非効率性を排除する観点から、交付金額算定の基礎となる費用の額を、原則として、一定の標準的なモデルにより算出することを予定しております。このため、支援対象区域におけるサービス提供に伴い発生する赤字額の全額が当然に補填されるというわけではございません。

 しかしながら、この場合の標準モデルの内容は、事業者固有の非効率性を排除するという目的が達成される限度で、各事業者の実際の費用に近いものであることが望ましいと考えておりまして、小規模事業者も含め、ブロードバンドサービスの提供が継続できるよう、交付金制度の運用開始までの間に、このような考え方を基本としつつ、制度の具体化を図りたいと考えております。

西岡委員 しっかり持続可能な制度となるように、またお進めをいただきたいというふうに思います。

 続きまして、自治体が運用しますブロードバンドサービスについては支援金制度の対象外となっておりますが、自治体においても、維持、運営経費の負担が大変重いということが課題となっております。サービス維持のための自治体に対する支援について、その方針について、中西副大臣にお尋ねをいたします。

中西副大臣 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおりでありまして、自治体が公設公営の方式によって有線ブロードバンドサービスを提供している場合は、現在、直接の支援対象となっていないわけでございますが、しかし、新設する交付金制度では、不採算地域において、公設による設備の民間事業者への譲渡が行われた場合には、それ以降の設備の維持や更新に要する費用を支援をするということとさせていただいております。

 これによりまして、現在、民間事業者の不採算地域への進出を妨げている大きな要因が解消していくものを後押しすることになっていくんだろうというふうに考えております。こうした制度によりまして、現在の公設公営方式から公設民営とか民設民営方式への移行が一層進展するものというふうに期待をしておるところであります。

 なお、現在、公設公営で進めていただいている自治体に対して行っている支援措置、これにつきましても、今後の民設民営方式等への移行への状況をしっかり踏まえながら検討してまいりたいというふうに思っております。

西岡委員 地域の事情もしっかりお聞きをいただく中で、この条件不利地、不採算地域についてはもうしっかりお支えをいただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、二つ目の柱であり、大変重要な柱であると思いますけれども、安心、安全で信頼できる通信サービス、ネットワークの確保についてお尋ねをいたします。

 先ほど吉川委員からも質疑の中でございましたけれども、さきの参考人の意見聴取の中で森参考人から詳しい御説明がありましたけれども、ケンブリッジ・アナリティカ事件については、利用者情報の外部送信というものが、個人のプライバシーの問題にとどまらず、社会や国家の在り方、民主主義そのものを揺るがす大変大きな危険というものが明らかになったというふうに思っております。このことは、我が国にとっても、直面する喫緊の重要な課題であるというふうに思います。

 また、そもそも、このガバナンス検討会が設置をされたきっかけとなって、本改正案のきっかけとなった、LINE社による、閲覧権限を持たない業務委託先の中国関連会社の従業員が我が国の利用者の個人情報にアクセス可能な状況であったことや、また、データは日本のみで管理をしていると説明をしながら韓国で管理をされていたということも発覚をいたしました。

 本改正案では、事業者は、利用者に関する情報を外部送信する場合に、利用者に対し確認の機会を付与することとしているものの、選択できる形で利用者に通知又は公表すればよいということになっております。

 冒頭も、私も言及をさせていただきましたけれども、当初、検討会の議論では、ネットの閲覧履歴を第三者に送信する場合の本人の同意や、利用者の求めで情報の提供を停止するオプトアウトを義務づける方針であったことが、経済界からの反対により大きく後退をしたと言われております。経済界からは、デジタルビジネスや日本社会のデジタル化に対して過剰な規制となり、事業者にとって大きな負担となるというお声がございました。

 このことも十分理解はできるわけでございますけれども、ただ、これまで、クッキーなどの外部送信に係る通知は実際には表示をされておりましたけれども、これも参考人の質疑の中で参考人からも言及がございましたけれども、この種の通知や同意はいわゆる形骸化をしていて、利用者は詳しく中身を確認をしていないというのが実態であり、実効性が伴っていないという指摘もございました。

 本改正による外部送信の規制によってどのように利用者保護が図られるとお考えになっているのか、また、この改正によって十分に利用者保護が達成できるとお考えになっているのか、これは先ほど大臣からも出発点というお話、前進というお話もございましたけれども、今後の課題も含めて総務省にお尋ねをいたします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 一部のウェブサイトにおきまして、クッキーの利用に関する通知が現状、表示をされておりますけれども、これは我が国の法令に定められたものではなく、通知の内容などについても、定められているものではございません。

 外部送信に関する規律は、利用者の端末に記録された情報を外部送信させる指令となるプログラムなどの送信を行う際に、利用者に確認の機会を付与することを求めるものでございまして、クッキーだけでなく、閲覧履歴や位置情報などの情報を広く対象としてございます。

 これにより、利用者が認識しない間にクッキーを含む多様な情報が外部送信されることについて、利用者に確認の機会が付与されることから、利用者が安心して利用できる電気通信サービスの確保や利用者保護の強化などが図られると考えております。

 また、通知又は公表、オプトアウトなどの方法や事項は総務省令で定めることといたしておりまして、これらの方法が利用者保護の観点から十分なものとなるよう、関係業界における実態やベストプラクティスなどを踏まえつつ検討をしてまいります。

西岡委員 引き続きしっかり検討していただきたいというふうに思います。

 続きまして、これはちょっと大臣にお聞きをさせていただきたいんですけれども、デジタル社会の進展に伴いまして、自分自身のデータの使われ方ですとか扱いについては自分自身で決めていくという、いわゆるデータの自己決定権、データ基本権といった新しい人権の概念というものが議論をされていく中で、このことは大変重要なことだというふうに私は思っておりますけれども、我が国にはまだデータ自己決定権という概念が十分に根づいていない、議論をされてこなかったということもありますけれども、今回の法改正に関連をして、利用者情報の保護というのを考えていくときに、このことをしっかり踏まえて考えていかなければいけない、もうそういう局面に来ているというふうに思います。

 データの自己決定権を明確にしていく必要があるというふうに思いますけれども、金子総務大臣の御所見というものをお伺いをしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 利用者が信頼できる通信サービスの提供を確保し、デジタル化を推進していくためには、事業者が利用者情報をどのように取り扱っているのか分かるように透明性を確保し、利用者がサービスを適切に選択できるようにすることが必要であります。

 これを踏まえ、本法案では、事業者に対し、情報の取扱いについての方針の公表や、情報を第三者に送信する場合に利用者が確認する機会を確保することを義務づけることとしており、これらにより、利用者にとって、サービスの提供を受ける上で必要な情報をより容易に把握できるようになります。

 西岡委員御指摘のような、データ基本権に関する議論があることは承知をしております。いずれにしても、総務省としては、引き続き、利用者保護の観点から、利用者自身がサービスを適切に選択できるような環境の整備に取り組んでまいりたいと思います。

西岡委員 データ基本権という新しい、いわゆる人権とも言える概念だというふうに思いますけれども、国民民主党としては、積極的に、このことをしっかり議論をしていく必要性、憲法も含めて、必要性というものを従来から主張はさせていただいておりますけれども、やはり、自分のデータの扱われ方については自分自身が決めていくということは、データの信頼性を高める意味でも大変重要であるというふうに思いますし、いまだにマイナンバーの登録をちゅうちょされる方にお伺いをしますと、やはり、自分の情報やデータがどう扱われるかということにいまだにまだ不安を持っている方が多くおられます。

 やはり、そのことともこの問題は大変関連をしてくるというふうに思いますので、また、是非しっかり、根本的なところだというふうに思いますので、議論も含めたことを進めていきたいというふうに私たち国民民主党も思っておりますけれども、是非、このこと、国会で議論を進めていく必要性というものを申し上げさせていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 我が国では、本人を特定しないネット利用者の閲覧履歴とか、本人を特定しないという言葉がよく表現として使われるんですけれども、実際に本当に特定されないのかどうかという実態については大変疑義があるところではございますけれども、先ほどから議論の中であっております、EU等においては、大変、利用者履歴情報というのが個人情報であるというくくりの中で法体系が確立をされております。

 これも、参考人質疑の中でも、通信サービス、ネットワークの信頼性というのが大変最重要であるという参考人の皆様の共通の認識があった中で、大橋参考人が述べられたことが私は大変重要であるというふうに思っておりますけれども、消費者が、よりデータの管理を厳格にやっている事業者を選ぶ土壌をつくっていく必要性、また、データに関する国民の意識を高めていく必要性、そういうことを前提とする中で、海外との競争に堪え得る事業者をしっかり国内で育てていく重要性ということについて言及をされました。

 特に、データの管理を厳格にやっている事業者を消費者が選んでいく土壌というのをつくっていくというのは大変重要な指摘だというふうに思ったんですけれども、まさにこのことを踏まえて、今後どのようにお取組を続けていかれる方針であるかということについて、総務省にお尋ねをいたします。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 利用者が信頼できる電気通信サービスの提供を確保し、社会全体のデジタル化を推進していくためには、電気通信事業における利用者の情報の取扱いに係る透明性を確保し、電気通信サービスを適切に選択できる機会を確保することが必要でございます。

 本法案は、このような機会の確保に資するものであるとともに、国際的な規制動向とも整合性を取っており、我が国の事業者がグローバルな市場で活躍するための環境についても十分考慮したものとなっております。

 総務省では、法案成立後、規律の詳細につきまして、消費者団体や事業者団体、経済団体等の幅広い関係者と議論を行い、公表される情報などが利用者にとって分かりやすいものとなるよう検討するとともに、引き続き、諸外国の動向等を注視しつつ、必要な取組を行ってまいります。

西岡委員 事業者への過度な負担、規制を課すというところの問題点も十分認識する中でございますけれども、データに関する国民の意識を高めていくということも大変重要だと思います。

 時間となりましたので、私の質疑を終了させていただきます。ありがとうございました。

赤羽委員長 以上で午前中の質疑は終了といたします。

 本会議散会後直ちに委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十七分開議

赤羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 四月二十八日の参考人質疑でも紹介したとおり、私は、二〇〇〇年の第百五十回臨時国会に提出され成立した高度情報通信ネットワーク社会形成基本法、いわゆるIT基本法の審議に当たってまいりました。

 二十二年前の審議で、私は、そもそも情報技術は民主主義と密接な関わりを持っていることを示した上で、インターネットの普及が、民主主義の発展にも文化の向上にも大きな寄与をすることができる一方、新たな社会的格差を拡大する可能性も持っていることを指摘し、だからこそ、新しい技術を国民全体のものにし、民主主義の発展や文化の向上に役立てるための本格的な取組が求められると主張いたしました。

 本法案で問われているのも、依然として、この二つの論点。つまり、全ての国民のアクセス権、ユニバーサルサービスの保障と、安心、安全の環境整備、個人情報の保護であります。

 では、まず一つ目の、ユニバーサルサービスについて聞きます。

 法案では、有線ブロードバンドサービスを基礎的電気通信役務とし、七条で、基礎的電気通信役務とは、国民生活に不可欠であるためあまねく日本全国における提供が確保されるべきものと規定されております。

 法文上は、あまねく日本全国における提供というわけですけれども、政府の有線ブロードバンドの整備目標は一〇〇%とはなっておりません。二〇二二年三月末で九九・七%の見込みのものを、二〇二七年度末までに九九・九%、今後、残った十七万世帯のうち十二万世帯の整備を進めるけれども、五万世帯余りは未整備で残るという話であります。

 これは、冒頭、大臣にちょっとお伺いしたいんですが、これでどこがあまねくと言えるのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。

 一〇〇%というのはなかなか、いろいろな意味で難しいと思いますが、そういう意味では、文字どおりあまねくというような形で、それを目標に今取り組んでいるところでございます。

宮本(岳)委員 いやいや、九九・九%、つまり五万世帯は残るという話なので聞いているんですね。これはユニバーサルサービスとは私は言えないと思います。

 国民生活に不可欠なものであり、全国で公平に安定して確保され、国民の誰もが利用できる料金と条件で提供されるべきサービス、これがユニバーサルサービスの定義でありますけれども、本来、電気通信事業では、固定電話それから公衆電話は、電気通信事業法によって提供の義務が定められており、NTT東西は、ユニバーサルサービスとして、村や離島も含めた全ての市町村を対象にサービスを提供しなければならない、こうなっておりますね。

 総合通信基盤局長に聞きます。

 確認しますけれども、今回の有線ブロードバンドのユニバーサルサービスは、固定電話と同じユニバーサルサービスと理解してよろしいですか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の、電話のユニバーサルサービスと今回のブロードバンドサービスの、基礎的電気通信役務とすること、これが同義かという御質問かと思いますけれども、電話の場合とブロードバンドの場合では、そもそもの置かれている状況が違っておりますので、ブロードバンドサービスにつきましては、複数の事業者が競争しながらそのサービスエリアを拡大し、その下で一定のサービスの維持を図り、九九・九%、御指摘の水準までしっかりと高めていく、そういうものでございますので、元々の置かれている状況が違いますので、規律も変わってくると思います。

宮本(岳)委員 同じなんですか。ユニバーサルサービスファンドでやっているのと同じことをやってくれるんですか。答えてください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げましたとおり、電話とブロードバンドサービスにつきましては、その置かれている環境、これまでの整備の状況も違いますので、それに応じた差異はあるものと承知をしております。

宮本(岳)委員 言えないじゃないか、同じだということを。言えないでしょう、何度聞いたって。違うのは分かっているんですよ。

 それから、複数の事業者が競争しているのは固定電話だって一緒なんですよ、それは。それでもNTTにそういう義務を負わせているわけだから、全くそれは違うんですよね。

 一方、一昨日の質疑で二宮局長は、無線ブロードバンドサービスのうち4Gにつきましては、現時点で既に居住地域の九九・九九%以上をカバーしておりまして、来年度中には全ての居住地域をカバーする見込みでございますと答弁いたしました。

 4G無線ブロードバンドサービスが既に九九・九九%以上をカバーし、来年度中には一〇〇%になるのであれば、なぜ有線ブロードバンドにこだわって、利用者負担による年間二百三十億円もの交付金制度をつくってまで進める必要があるのか。二宮局長、お答えください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正は、デジタル社会形成基本法において、全ての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会の実現が基本理念として掲げられたことを踏まえまして、テレワーク、遠隔教育、遠隔医療などのデジタル技術のメリットを、原則として全ての国民が、地理的な制約にかかわらず享受できる環境を実現することを目指すものでございます。

 こうしたデジタル技術は、他の社会インフラの不足を補う側面を有しており、活力ある地方を実現していく上で、地方においてこそ必要とされるものであると認識をしております。

 このような観点から、今回の改正で基礎的電気通信役務として位置づけるブロードバンドサービスは、テレワークなどのサービスを継続的、安定的に利用する上で適切な通信手段となり得るものである必要があると考えております。

 具体的に申し上げますと、大容量の動画を送信可能か、リアルタイムかつ双方向でのやり取りが可能か、定額料金で原則無制限に利用可能かという三点を総合的に考慮いたしまして、ブロードバンドサービスのうち、FTTHとHFC方式のCATVインターネットを指定することを想定しているものでございます。

 委員御指摘のとおり、4Gの携帯ブロードバンドサービスについては、現時点で既に居住地域の九九・九九%以上をカバーしており、事業者間の競争を通じた自主的な取組により、来年度中には全ての居住地域をカバーする見込みでございます。

 このような4Gの携帯ブロードバンドサービスも、移動時などにおける通信手段として極めて重要なものでございますが、その一方、先ほど申し上げました通信速度、遅延の程度、料金体系という点で、テレワーク、遠隔教育、遠隔医療などのサービスを継続的、安定的に利用するための手段としては必ずしも十分ではないと考えられます。

 このため、今回の改正では、FTTHなどの有線ブロードバンドサービスを基礎的電気通信役務として位置づけ、不採算地域を含め、原則として日本全国でその継続的、安定的な提供を確保することを目指すものでございます。

宮本(岳)委員 端的に答えてくださいよ。

 ちょっと重ねて聞くんですけれども、二〇二七年に有線ブロードバンドの世帯カバー率で九九・九%を目指すというわけですから、二〇二四年三月末の時点では到底九九・九%もいかないと思うんですね。一方、4G無線ブロードバンドサービスは、来年度中には全ての居住地域をカバーすることになります。そうすると、来年度中には、有線ブロードバンドはつながらないが、無線ブロードバンドならばつながる世帯が生まれることになります。

 聞きますけれども、この世帯は、ブロードバンド接続に関するユニバーサルサービスは確保されたと考えるのか、それとも、ユニバーサルサービスは確保されていないと考えるのか、どちらですか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、スピードとか双方向性とか料金とか、こういったことを総合的に考慮した上で、有線ブロードバンドサービスのうちのFTTH等を想定しておりますので、お尋ねの御質問につきましては、ユニバーサルサービスは確保されている状態ではないというふうに考えております。

宮本(岳)委員 それはちょっと理解不能なんですね。

 なぜそれが、無線といえどもブロードバンドサービスなんですけれども、それがなぜユニバーサルサービスに含まれないんですか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来申し上げていますとおり、基礎的電気通信役務、今回の電気通信事業法改正の後、確保いたします基礎的電気通信役務の基準に合致をしないものでございますので、お尋ねの状況は、ユニバーサルサービスが達成されているという状況ではございません。

宮本(岳)委員 二宮さんは、前回の質疑で、無線ブロードバンドサービスにつきましては、今後普及が見込まれる5Gを含め、一般に、基地局までの光ファイバー網が維持されていれば、無線部分の維持費用は大きな負担にならないと考えている、このため、無線ブロードバンドサービスについては、あえて交付金制度による支援対象とする必要はないことから、現時点での想定といたしましては、基礎的電気通信役務としては位置づけないこととしていると答弁をされたんですね。覚えているでしょう。

 私は、これは極めて不可解な答弁だと思います。つまり、交付金制度による支援対象とするのに必要ないからユニバーサルサービスではないという説明こそ、おかしいんじゃないですかね。

 先ほど述べたように、固定電話や公衆電話は電気通信事業法によって提供の義務が定められており、NTT東西は、ユニバーサルサービスとして、村や離島を含めた全ての市町村を対象にサービスを提供しなければなりません。交付金とか支援制度などない時代からユニバーサルサービスというものはあったわけですね、御承知のとおりだと思いますが。

 ところが、そこに競争原理を導入した結果、ユニバーサルサービスのコストを支え切れなくなって、現在では、NTT以外の通信事業者がユニバーサルサービス料として通信回線ごとに徴収した負担金を基金にして、NTT東西のユニバーサルサービス提供に伴う赤字分を補填するという基金方式を取っております。

 本来は、ユニバーサルサービスを支えるためにユニバーサルサービス基金をつくったという順序だったはずなのに、いつの間にか、ユニバーサルの基金で支えるものをユニバーサルサービスと呼ぶという本末転倒のロジックになっていると、私はこのあなたの答弁を聞いたわけであります。

 だから、無線ブロードバンドサービスについては、来年度中には全ての居住地域をカバーし、ユニバーサルにサービスが提供できるのだが、交付金制度による支援対象とする必要はないから、現時点でユニバーサルサービスに位置づけないという珍妙な結果になっているんじゃないかと思うんですが、これはどちらが答えていただけますか。大臣でもいいし、局長でもいいんですけれども、そうじゃないんですか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 有線ブロードバンドサービスを提供する事業者は、現在、特殊会社であるNTT東西等を別とすれば、一般の民間企業でございまして、このような事業者に対して不採算地域におけるサービス提供を法的に義務づけることは、憲法が保障する営業の自由等との関係で困難であるというふうに考えております。

 このため、今回の改正では、有線ブロードバンドサービスを提供する事業者に対して交付金制度の利用を義務づけることや不採算地域からの撤退を禁止することまではしておらず、改正法の施行後も、有線ブロードバンドサービスを提供する事業者が、交付金制度を利用せず、不採算地域から撤退することは制度上可能でございます。(宮本(岳)委員「答弁になっていないじゃないか。速記を止めてください」と呼ぶ)

赤羽委員長 そうしたら、宮本岳志さん、もう一度。

宮本(岳)委員 今の、答弁なの。今の答弁で終わりですか。

二宮政府参考人 失礼いたしました。

 引き続きでございますが、その一方、今回の法改正により新たな交付金制度が創設されれば、有線ブロードバンドサービスの収支が赤字の事業者は、不採算地域における有線ブロードバンドサービスの提供について、交付金による支援が受けられるようになります。

 その結果、委員御指摘のような、不採算地域において交付金制度による支援を受けつつも、有線ブロードバンドサービスの提供が維持できなくなるような事態が生ずる可能性は、現時点での見通しとしては低いものと考えており、少なくとも、当該地域の自治体が有線ブロードバンドサービスの提供を希望しているような地域については、サービスの継続的、安定的な提供が将来にわたって確保されることとなると考えております。

宮本(岳)委員 かみ合っていないですね、答弁が。

 いや、私は、元々、有線ブロードバンドをユニバーサルサービスにするという話から始まるものですから、九九・七%を九九・九%にする話なんだ、広げたい話なんだと思っておりました。

 ところが、既に無線なら九九・九九%いっていて、そして来年度中には一〇〇%になるんだという答弁が出ました。それを何でわざわざやるのかといろいろ聞いてみたら、結局は、既に維持できなくなってくることが予想される民間のブロードバンド事業者を救い、支えるために必要なのだという説明が、この前の答弁でも、局長からそういう答弁が出ております。

 試算されている経費は二百三十億円でありますけれども、計算の考え方で示されているのは、FTTHの平均料金である月額五千円を超えて経費、費用がかかる町、字を対象として算定したとされております。

 一方で、地方財政措置の対象となっている条件不利地域を抱える五百二十四自治体へのアンケートを見ますと、百四十二自治体から回答があって、約十二・四億円の赤字と示されております。全自治体から回答を取ったわけではないけれども、かなり開きがあるんですね、十二・四億円の赤字に対して、二百三十億円というのは。

 あっさり、少子高齢化の進展と人口減少の下で赤字を支える制度、そう言うのであれば、ユニバーサルサービスなどという言葉を使わずに赤字補填制度と言うべきだと思いますけれども、そうするんだったら、一体今どれだけの赤字が想定されるのかということをはっきり数字で出してもらわなきゃなりません。この数字、言えますか、局長。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のアンケートの調査につきましては、令和元年度に行った情報通信基盤の整備、維持管理に関する調査研究の中で実施をしたものでございます。情報通信基盤の維持管理に係る項目について、回答のあった百四十二自治体におけるサービス提供、運営を通じた収入及び支出、経常的支出や臨時支出でございますが、それぞれの合計を基に算出したものでございます。

 これは自治体が公設でブロードバンドサービスを提供している場合に限った数字でありまして、かつ、アンケートに回答のあった一部の自治体に限った数字であることから、日本全国における不採算地域での有線ブロードバンドの維持に必要な金額を算出する上で、直接の参考となるものではございません。

 その一方で、御指摘の二百三十億円という試算は、現時点での一定の仮定の下ではありますが、日本全国における不採算地域で有線ブロードバンドを維持した場合の額を推計したものでございます。

 なお、本試算は、人口減少の進展等の要因により、不採算地域でブロードバンドサービスを提供する事業者の赤字額が将来的に増加していくことを前提としたものであり、制度の運用開始のタイミングで年間二百三十億円の交付金が発生するということを見込んだものではございません。

宮本(岳)委員 今の説明だと、多めに見ているという話なんですよね。別に、二百三十億と積み上げて考えたものじゃないということなんですよ。

 それで、それだけやってなお採算が合わない、利益が確保できないというときに、これは固定電話のユニバーサルサービスと全然違うところで、交付金さえもらわなければ撤退できるんですよ。なくなるんですよ、それはね。

 では、撤退するとなったときに、それでもそこに住んでいる人がブロードバンドが必要だったら一体どうしてくれるんですか、局長。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の交付金制度の導入によりまして、今委員御指摘の地方における、不採算地域におけるサービス提供について、交付金を渡すことによりましてその維持を図るということを想定しているものでございます。

 様々、人口減少とかによりまして、最終的な地方自治体のニーズもないような、そういった極限的な自治体が生じたような場合には撤退することはあり得ますけれども、先ほど委員も御指摘のように、携帯ブロードバンドサービスにつきましては一〇〇%、4Gでありますが、提供をされることになりますので、そういった極限的な場合には、携帯ブロードバンドサービスを御利用いただくということかと思います。

宮本(岳)委員 いや、語るに落ちているんですよ。

 安定性に難があると先ほど答弁した無線ブロードバンドでやってくれという話に最後はなるんでしょう。全然話が、つじつまが合っていないじゃないですか。だから、このようなものは、私たちは、到底ユニバーサルサービスと呼ぶに当たらないと言わざるを得ないと思っております。

 では次に、二つ目の論点、安心、安全の環境整備、個人情報の保護について聞きます。

 インターネットは、社会の利便性も生み出しました。国民生活にも大きな変化をもたらしました。一方で、四月二十八日の参考人質疑で、大橋参考人も、弊害を生んだと述べられました。森参考人も、看過し難いデメリット、影の部分が生まれたと指摘をされました。お二人とも総務省の電気通信事業ガバナンス検討会の委員であります。

 インターネットで、様々なコンテンツ等の運営には、企業が掲載するデジタル広告料や、あるいは、その広告を閲覧した利用者が物品やサービスを購入することで、利用者は無料でサービスを受けることができる、簡単に言えばこういうシステムになっていると思います。

 一方で、こうしたインターネットの仕組みにおいて、利用者が知りたいキーワードを打ち込んで検索をし、閲覧する。閲覧の履歴がクッキーにひもづけられ、第三者に送信される。受け取った第三者は、様々な情報からその利用者をプロファイリングし、利用者の興味や趣味や嗜好、主張といった、利用者に合った広告を狙い撃ちのように表示する、いわゆるターゲット広告の手法が問題になっております。参考人のお二人が示された懸念の一つは、そういうことだと思います。

 利用者に関する情報、利用者関連情報というのは一体何か。いわゆるウェブ閲覧情報などのクッキーや広告IDなどにひもづく識別情報ということでよろしいですか、局長。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 特定利用者情報の範囲につきましては、本法案では、適正な取扱いの対象としている特定利用者情報は、利用者に関する情報であって、通信の秘密に該当する情報のほか、契約等をする利用者を識別することができる情報としているところでございます。

宮本(岳)委員 本法案ではと言って聞いていないですよ、僕。僕が聞いたのは、利用者に関する情報というのは一般的に何かと聞いているんですよ。それを、あなたが言ったような範囲に狭めているから、これから問題にするんじゃないですか。そうでしょう。

 ウェブの閲覧情報などのクッキーや広告IDも含みますね。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の利用者の情報という、その言葉の使い方によると思いますけれども、クッキーも含めた個人に関する情報ということには当たるのではないかと思っております。

宮本(岳)委員 では、なぜ当初、制限なく全ての識別子を対象としたんですか。

二宮政府参考人 今回の法案におきます特定利用者情報につきましては、先ほど申し上げましたとおり、通信の秘密に該当する情報のほか、契約等をする利用者を識別することができる情報としておりますが、これにつきましては、当初、電気通信事業ガバナンス検討会において、契約等を行わない利用者を識別することができる情報も含めて適正な取扱いの対象とするべきとの御議論はありましたけれども、この対象となる情報が不明瞭という御指摘を踏まえまして、検討会において最終的に取りまとめられた報告書に基づくこととしたものでございます。

宮本(岳)委員 一月十四日の第十六回検討会で、森委員が、適正な取扱い規律の適用対象となる利用者情報からクッキーや広告IDにひもづく情報が外れたのは残念だと述べておられます。

 サードパーティークッキーや広告IDなど識別子の外部への送信について、法案では、原則として通知、公表でよいとしております。通知や公表であれば、現状でも、ほとんど多くのウェブサイトでは既にやられていることであります。

 十二月十四日の段階では、利用者に確認の機会を適切な方法で与える規律を設けることが適当ではないかと述べていたものが、通知、公表を原則にすることになった。この通知、公表を原則とすることが確認の機会を適切な方法で与えたと言える、こう考えているということですか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案におきましては、利用者の確認の機会を与える手法として、通知、公表のみならず、同意、オプトアウトを、三つオプションを示しておるところでございます。

 この通知、公表につきましても、今後、利用者の実態、事業者のビジネスの実態も踏まえまして、より有効に確認ができるような、そういった方法を、関係事業者ともすり合わせながら、しっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

宮本(岳)委員 いやいや、十二月の会議から一月の会議の間で変わったことは、もう議論でみんな、各党ほとんどの人たちが変わったことを言っているので、同じだという話は今更通らないと思うんですけれどもね。

 それで、当初の報告書案が示されたのは、昨年末の十二月十四日に開かれた第十三回電気通信事業ガバナンス検討会だと思います。

 パブリックコメントに付す予定の検討会報告書案が示されたのは、今年の一月十四日の第十六回でありますけれども、その間に一体誰からヒアリングをしたか、答えていただけますか。

二宮政府参考人 お答えいたします。

 昨年十二月二十八日に開催をした第十四回会合では、経済同友会、新経済連盟、日本経済団体連合会の三者からヒアリングを実施いたしました。

 また、本年一月十一日に開催をした第十五回の会合では、主婦連合会や全国消費生活相談員協会などの消費者団体四者のほか、在日米国商工会議所、日本インターネットプロバイダー協会の計六者からヒアリングを実施いたしました。

宮本(岳)委員 第十六回の検討会で配付された資料、「事業者等ヒアリングにおける主なご意見と考え方」を見ると、新経連が、法律でネット利用企業やデジタルサービスに広範な網をかけると萎縮効果でビジネス展開に大きな支障を来す、こういう意見を出しましたね。それに対して、全ての電気通信事業者を対象とする規律は将来的な課題としたい、まずは大きな影響のある事業者から必要最小限の規律の対象とするとの考えを示しております。

 ほかにも、在日米国商工会議所がクラウド事業者への規制に異を唱えると、将来的な課題とすることが考えられるなどと答えております。

 電気通信役務利用者情報について、経団連や新経連、在日米国商工会議所から、電気通信事業法の規律範囲を逸脱すると異論が相次ぐと、保護すべき情報の範囲については、一、通信の秘密に該当する情報、二、契約の締結や利用者登録をした当該利用者の情報に限定するなど、後退をさせていることが分かります。

 結局、経済界からの圧力に屈して、当初の目的から外れ、問題となったクッキーや広告IDについては対象外とした。

 こうした経済界からの圧力に屈した姿勢は、今に始まったことじゃないんですね。

 二〇〇八年から日本でも提供を開始されたグーグル社のストリートビューサービスをめぐって、これがプライバシーや肖像権の侵害であり、防犯上からも問題があるとされて、ユーザーから問題のある画像の削除申請が大量に寄せられたということがございました。地方議会からも多数の意見書が上がり、当委員会でもその議論がされたということが議事録に残っております。

 利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会の第一次提言、それを検討した提言が出ておりますけれども、この二十四ページ、六、「おわりに」の最後で、総務省はインターネット地図情報サービスについて、どうすることが必要だと述べておりますか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の報告書の終わりの部分に、「総務省においても、引き続き道路周辺映像サービスについては注視していくことが必要である。」と記述されてございます。

宮本(岳)委員 引き続き注視していく、事実上問題なしと、この時点、二〇〇九年の時点でそういう結論になっているんですね。

 聞きますけれども、この研究会のインターネット地図情報サービスワーキンググループには、グーグル社が入っていたのではありませんか、二宮局長。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 有識者、また、御指摘の事業者、グーグル社も含め、入ってございます。

宮本(岳)委員 この報告書の最後に、インターネット地図情報サービスワーキンググループの構成員一覧が載っていますよ。グーグル株式会社ポリシーカウンシルの藤田一夫さんが構成員で加わっております。

 つまり、インターネット地図情報サービスについてどう規制するかという議論に、まさにそのグーグルの代表を入れて議論すれば、注視するという結論になるのは当然であって、このときも全然、規律に向かっていないわけですね。

 次に、サードパーティークッキーを利用した広告事業者が集めたウェブの閲覧履歴等の提供が問題になった、いわゆるリクナビ事件について聞きたいと思います。

 今日は、個人情報保護委員会にも来ていただいております。

 二〇一九年十二月四日に、個人情報保護委員会は、リクナビを運営するリクルートキャリア社と親会社のリクルート社に勧告を行いました。この事件の概要について、端的に説明していただけますか。

佐脇政府参考人 お答えいたします。

 リクナビの事案でございますが、第一に、リクナビ運営者は、個人情報保護法第二十三条で定められております安全管理措置を適切に講じておらず、また、同法二十七条に求められております必要な本人同意を得ずに個人データを第三者に提供しておりました。

 第二に、リクナビ運営者は、個人情報である氏名の代わりに、それ単独では個人情報とならないクッキーを利用いたしまして、受け取る側の採用企業側では特定の個人が識別できることを知りながら、自らにおいては個人データに当たらないといたしまして、採用企業に提供することについての本人の同意を得ずに、本人に関する情報を採用企業に提供しておりました。

 その結果、採用企業においては、本人が知らないままに個人データとして利用できるようになっていたもので、妥当性を欠く不適切なサービスというふうに認定をしてございます。

 それに対しまして、適正に個人の権利利益を保護するという姿勢に欠けていたと考えられるものですから、私ども個人情報保護委員会は、この運営者に対し、組織体制を見直し、経営陣を始めとして全社的な意識改革を求める勧告を行ったところでございます。

宮本(岳)委員 改めて個人情報保護委員会に確認しますが、クッキーとひもづいた情報について、これを保有する事業者においては個人情報に該当しない場合であっても、当該情報の提供先において特定の個人を識別することができる場合には、当該提供先においては個人情報に該当し得るという理解でよろしいですね。

佐脇政府参考人 御認識のとおりです。

宮本(岳)委員 提供元ではクッキーや広告IDにひもづいた非個人情報であっても、提供先では個人情報になるということであります。

 それが理由の一つとなり、個人情報保護法が改正をされました。

 本委員会でも議論になった、ケンブリッジ・アナリティカ問題を始めとするターゲット広告、サードパーティークッキーの問題が国民、利用者の不安を高め、本法案も準備されたはずであります。しかし、結論は、今回もやはり現状追認と言わざるを得ません。

 デジタル広告の市場規模が既に二兆円を超えているということは、先ほど来、立憲民主党の議員の質疑でも出されました。前年比でも二二・八%の伸びですから、一二二・八%に市場規模が伸びているということであります。この二兆円を超えるデジタル広告業界の市場とその利益を守るために、消費者保護やプライバシー保護を犠牲にしたと言わざるを得ません。

 そもそも、日本の主要ブラウザー、グーグルクロームやアップルサファリは、既にサードパーティークッキーの自主規制を始めております。また、自主規制する方向を打ち出しております。

 それは当然の話でありまして、EUでは、GDPR、一般データ保護規則を守らなければビジネスができないからであります。これはグローバル企業ならみんな分かっていることですね。あなた方もそれが分かっているから、当初、利用者保護の側面を中心に、EU並みの規制を考えたんでしょう。しかし、経済団体や事業者の意見を聞いた途端に後退させられてしまった。検討会議の座長を務められた大橋弘東大副学長が、じくじたる思いと述べられたのも、そういう経緯を踏まえたものだと思います。

 先日、私に御意見を寄せられたある専門家は、このことについて、総務省は下手くそだと語っておられました。

 国民がネットの世界にどうしても不安が拭えないのは、個人情報が守られるのか、プライバシーは大丈夫かということだ。したがって、今必要なのは、政府は、総務省は徹底的に利用者保護の立場に立ち切りますというメッセージだった。EU並みのプライバシー保護の規制を徹底し、安心、安全で世界に引けを取らないという旗印を立てるべきだった。ところが、やはり腰砕けになってしまった。中途半端は逆効果だ。政府は最後は事業者になびく、利用者や消費者を守ってくれるとは限らないという逆のメッセージを出す結果となってしまった。大臣は繰り返し一歩前進とおっしゃるけれども、逆効果だという意見も出ているわけですね。

 大臣、我が党は今、優しく強い経済ということを申し上げております。経済界の利益を守ることが我が国の経済にとってプラスになると思って数々の大企業の優遇策をやってきたけれども、それが格差を広げ、国民の消費購買力が下がってしまった。その結果、経済はうまく回らなくなりました。優しいことは弱いことで、強くなるには厳しい競争ということではなく、実は、安心、安全、優しいことこそ、回り回って強い経済をつくることになる、私たちはそう考えます。

 今回の法律でも、やはり、事業者の意見によって後退したというのは愚の骨頂であって、政府が利用者保護への揺るがぬ決意を示してこそ、市場参加が広がり、結果として強い経済に結びつくというふうに思います。

 一言だけ大臣の御意見を聞いて、私の質問を終わります。

金子(恭)国務大臣 宮本委員には、先ほどから、非常に、法律の根幹に関わることから含めて、世界で様々な体系がございます、基準がございます。そういうことまで引き合いの中で、御意見を賜ったわけであります。

 再三御答弁申し上げておりますが、この法律案は、本年二月の電気通信事業ガバナンス検討会の報告書等を踏まえたものでありますが、本報告書を取りまとめる過程において、事業者団体のみならず、消費者団体、経済団体など、様々な関係者の御意見を聞いてまいりました。何らかの圧力に屈したということを先ほどおっしゃっておりましたけれども、丁寧に各団体の御意見を聞きながら検討を進めてきたものでございます。

 その結果、検討の過程で様々な御意見をいただいたものの、電気通信事業ガバナンス検討会や先日の参考人質疑においても、有識者の皆さんから、今、宮本委員が、私が再三お話をしている、新たなルール形成に向けた第一歩を踏み出していただいた、利用者保護に向けては一歩前進であるなど、本法案を評価する旨の御意見を多くいただいたということで私は認識をしております。

 総務省としましても、宮本委員を含め、様々な懸念、御意見をお伺いしておりますので、そういう御意見を十分踏まえた上で、利用者が安心して利用できる通信サービスの確保に向けて、本法案を実効性のある制度としていくとともに、変化の激しい情報通信分野の動向を注視しながら、制度の不断の見直しに取り組んでまいりたいと思います。

赤羽委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 この際、本案に対し、吉川元さんから、立憲民主党・無所属提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。吉川元さん。

    ―――――――――――――

 電気通信事業法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

吉川(元)委員 ただいま議題となりました電気通信事業法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容の概要を御説明いたします。

 政府提出の改正案は、LINE利用者の画像や動画等のデータが国外のデータセンターに保管され、適切な権限を持たない者でも閲覧可能な状態に置かれていたこと等の問題が発端となり、デジタル変革時代における安心、安全で信頼できる通信サービス、ネットワークの確保を図るという観点から、電気通信事業ガバナンス検討会における議論が重ねられ、その内容をまとめた報告書に基づくものであると認識をしています。

 しかし、報道によると、その報告書は、取りまとめの段階で、事業者側に対する規制の内容が大きく後退したとされています。実際、提出された改正案を見ると、電気通信サービスの利用者の利益の保護等を図ることを目的とするものであるとされてはいますが、例えば、適正な取扱いが求められる利用者情報の範囲や、その義務を課せられることとなる事業者の範囲が極めて限定されるなど、世界的なスタンダードとされるEUの一般データ保護規則と比べると、利用者の利益の保護には遠く及んでいないと考えられます。

 そこで、利用者が安心して利用できる電気通信サービスの円滑な提供が行われ、電気通信サービスの信頼性が確保されるようにする観点から、利用者情報の適正な取扱いに関する制度改善等に関し、修正案を提出いたします。

 次に、本修正案の主な内容について説明いたします。

 第一に、特定利用者情報に関し、その利用者の範囲について、サービスの利用契約の締結者に限らず、サービスの提供を受ける者を広く対象とするとともに、その情報の範囲について、クッキーや広告ID等の個人関連情報にまで拡大することとしています。

 第二に、特定利用者情報を適正に取り扱うべき電気通信事業者の範囲について、総務大臣の指定を受けた一部の大規模な電気通信事業者に限定することなく、全ての電気通信事業者とすることとしています。

 第三に、作成及び公表が義務づけられる情報取扱方針の記載事項として、電気通信事業者が海外にある電気通信設備を用いて管理する場合や、外国にある第三者に管理を委託する場合におけるその国名の特定に関する事項を明記することとしています。

 第四に、利用者に関する情報の外部送信について、原則として、利用者の事前同意の取得を義務づけることとしています。

 第五に、利用者情報の漏えい等の事故が発生した場合の報告義務について、いわゆるクラウドサービス事業者をその対象に追加することとしています。

 第六に、この法律の施行後三年を経過した場合における政府による検討の対象に、諸外国における個人情報の保護に係る規則の状況等を踏まえ、個人情報の範囲を拡大する観点から個人情報の定義の見直しを行うことを追加することとしています。

 以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

赤羽委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 私は、立憲民主党・無所属を代表いたしまして、ただいま議題となりました電気通信事業法の一部を改正する法律案に対し、修正案及び政府案に賛成の立場から討論を行います。

 今回の改正案は、適正な取扱いが求められる利用者情報の範囲や、その義務を課せられる事業者の範囲が極めて限定されるほか、閲覧履歴等、利用者情報の外部送信に対し、利用者の同意取得義務化が見送られ、通知、公表にとどまっているなど、前進はあるものの、利用者の利益保護の観点からは十分なものとは言えません。

 修正案は、利用者や情報の範囲拡大、対象となる電気通信事業者の拡大、サーバー設置や委託先の国名特定の明記、外部送信の事前同意の義務づけ、クラウドサービス事業者による業務停止等の報告が義務づけられています。また、施行後三年を経過した場合における政府による検討の対象の拡大などによって、政府案の電気通信役務の利用者情報の適正な取扱いに関する制度の整備に関して、より一層充実、改善するものであり、賛成いたします。

 政府案では、課題を抱えつつも、ブロードバンドサービスのユニバーサルサービスとしての維持に期待ができ、また、ケンブリッジ・アナリティカ事件の衝撃やLINE等の問題が発端となって検討が進められた、利用者に関する情報の適正な取扱いに関する制度について、半歩踏み出したものとして、その方向性に賛成いたします。

 最後に、デジタル時代に対応した通信の安全と利用者保護が今回の改正の目的であり、きっかけとなったデータサーバーの設置、委託、利用者情報の外部送信などの問題は、完全には解決されていません。既にEUでは、二〇一八年施行の一般データ保護規制、GDPRにおいて、氏名や住所を特定できる情報に限らず、端末識別子とそれにひもづいたインターネット等の閲覧履歴も個人情報として保護の対象としています。米国でも、多くの州で同様の定義が法制化されようとしています。

 世界的なスタンダードを満たし、全てのネット利用者の利益の保護等を図るための電気通信事業法となるよう、引き続き検討を進めていただくことを強く求め、賛成討論を終わります。(拍手)

赤羽委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表し、電気通信事業法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 第一に、本法案は、有線ブロードバンドを基礎的電気通信役務、あまねく日本全国における提供が確保されるべき役務として位置づけますが、加入電話等既に位置づけられた役務のような義務づけ、保障の仕組みはないものであり、反対です。また、事業者の経営判断で撤退もあり得るものです。サービス維持のための交付金の負担は、国民に価格転嫁されることも予想されています。

 国が進めてきた競争政策では、整備が条件不利地域に行き届かず、自治体の負担を強いるものであったことに総括もなく、テレワークや遠隔教育などデジタル活用の増加を想定する政府の政策を進め、民間事業者が提供を担うに当たっての費用補填を行うための制度設計でしかありません。このようなものをユニバーサルサービスと呼ぶことはできません。

 第二に、本法案は、利用者情報の取扱いの制度整備について、安心、安全な利用環境確保をないがしろにして、事業者の都合を優先するものとなっていて、問題です。

 クッキーや広告IDなどの利用者関連情報の外部送信は、当初、事前同意又は事後的拒否の仕組み、いわゆるオプトアウトの二択を検討していましたが、経済団体、事業者の反発を受け、本法案は、外部提供の事実の利用者への通知、公表の義務づけ、事前同意取得、オプトアウトは選択肢にとどめる規定となり、後退したものとなっています。

 利用者関連情報の適切な取扱いの確保の規制の対象は、サービス提供のための契約若しくは登録を行っている利用者の利益に及ぼす影響が大きい事業者と限定され、範囲を狭めるものとなっています。利用者一千万人以上の電気通信事業者を想定していますが、これでは、メタやLINEといったSNS大手、グーグルなど検索大手の二十から三十社に限定されることになります。

 また、LINEの個人情報漏えいで問題となった利用者情報の情報保管先の設置国名公表の義務づけも見送られており、重大です。

 以上、指摘して、討論といたします。

 なお、立憲民主党提出の修正案については、より利用者保護を高める措置を講ずるものであり、賛成といたします。

赤羽委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより採決に入ります。

 電気通信事業法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、吉川元さん提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、田所嘉徳さん外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。道下大樹さん。

道下委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    電気通信事業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 誰一人取り残されないデジタル社会の実現のため、本法による措置を含め、全国でのブロードバンドの整備に万全を尽くすとともに、デジタル活用を促すための支援を行い、デジタルディバイドの解消に努めること。

 二 第二種適格電気通信事業者への交付金の算定に当たっては、支援区域ごとの事情等を考慮し、ブロードバンド事業の継続に支障のないよう配慮すること。また、交付金の意義及び算定の根拠について国民の理解を得られるよう努めること。

 三 特定利用者情報となる情報の範囲及び特定利用者情報の適正な取扱いを義務付けられる事業者の基準について総務省令で定めるに当たっては、利用者保護及び電気通信事業の健全な発展の双方の重要性を十分に踏まえ、適正に定めるとともにその内容を広く国民に周知すること。

 四 特定利用者情報の取扱方針に係る総務省令を定めるに当たっては、利用者保護の重要性を十分に踏まえ、特定利用者情報を保管するサーバーの所在国や特定利用者情報を取り扱う業務を委託した第三者の所在国を公表することを定めること。

 五 本改正法附則第六条による法施行後三年経過後の検討に当たっては、保護の対象となる利用者に関する情報の範囲や情報の外部送信に係る利用者に対する確認の機会の付与の在り方などについて、個人情報保護法等の関連法令の施行状況及び諸外国における個人情報の保護等に関する状況も考慮して行うこと。

 六 卸電気通信役務に関しては、卸元事業者と卸先事業者との間で適正かつ実質的な協議が行われるよう、その動向を注視すること。

 七 非常時における情報通信インフラの重要性を踏まえ、本法による措置を含め、平時から、強靱な情報通信インフラの整備・維持及び情報通信インフラの安全性・信頼性の向上に取り組むこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

赤羽委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。金子総務大臣。

金子(恭)国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤羽委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十二分散会


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