衆議院

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第3号 令和4年11月17日(木曜日)

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令和四年十一月十七日(木曜日)

    午後一時二十分開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 武村 展英君 理事 鳩山 二郎君

   理事 石川 香織君 理事 奥野総一郎君

   理事 守島  正君 理事 中川 康洋君

      東  国幹君    井原  巧君

      加藤 竜祥君    金子 恭之君

      川崎ひでと君    国光あやの君

      小森 卓郎君    坂井  学君

      島尻安伊子君    新谷 正義君

      杉田 水脈君    田所 嘉徳君

      谷川 とむ君    中川 貴元君

      西野 太亮君    深澤 陽一君

      古川 直季君    本田 太郎君

      牧島かれん君    務台 俊介君

      保岡 宏武君    渡辺 孝一君

      おおつき紅葉君    岡本あき子君

      神谷  裕君    重徳 和彦君

      道下 大樹君    湯原 俊二君

      伊東 信久君    市村浩一郎君

      空本 誠喜君    中司  宏君

      輿水 恵一君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君    吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         寺田  稔君

   総務副大臣        柘植 芳文君

   総務大臣政務官      国光あやの君

   総務大臣政務官      杉田 水脈君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   会計検査院事務総局第五局長            宮川 尚博君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            小笠原陽一君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            竹村 晃一君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         森下 俊三君

   参考人

   (日本放送協会会長)   前田 晃伸君

   参考人

   (日本放送協会副会長)  正籬  聡君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 林  理恵君

   参考人

   (日本放送協会理事)   安保 華子君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十七日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     深澤 陽一君

  佐々木 紀君     東  国幹君

  杉田 水脈君     本田 太郎君

  市村浩一郎君     空本 誠喜君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     谷川 とむ君

  深澤 陽一君     井林 辰憲君

  本田 太郎君     加藤 竜祥君

  空本 誠喜君     市村浩一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     杉田 水脈君

  谷川 とむ君     牧島かれん君

同日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     佐々木 紀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 日本放送協会平成三十年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日本放送協会令和元年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 日本放送協会平成三十年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書、日本放送協会令和元年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書の両件を議題とし、審査に入ります。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両件審査のため、本日、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両件審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長森源二君、情報流通行政局長小笠原陽一君及び総合通信基盤局長竹村晃一君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長宮川尚博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 まず、総務大臣から説明を聴取いたします。寺田総務大臣。

    ―――――――――――――

 日本放送協会平成三十年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日本放送協会令和元年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

寺田国務大臣 日本放送協会平成三十年度及び令和元年度財務諸表等につき、その内容の概要を御説明を申し上げます。

 本資料は、放送法第七十四条第三項の規定により、会計検査院の検査を経まして国会に提出をするものであります。

 まず、平成三十年度の貸借対照表の一般勘定については、平成三十一年三月三十一日現在、資産合計は一兆二千五億円、負債合計は四千二百六十八億円、純資産合計は七千七百三十六億円となっております。

 損益計算書の一般勘定については、経常事業収入は七千三百四十九億円、経常事業支出は七千百五十二億円となっており、経常事業収支差金は百九十七億円となっております。

 次に、令和元年度の貸借対照表の一般勘定については、令和二年三月三十一日現在、資産合計は一兆二千二百三十億円、負債合計は四千二百七十二億円、純資産合計は七千九百五十七億円となっております。

 損益計算書の一般勘定については、経常事業収入は七千三百四十四億円、経常事業支出は七千二百五十四億円となっており、経常事業収支差金は九十億円となっております。

 何とぞ慎重御審議のほどよろしくお願いいたします。

浮島委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長前田晃伸君。

前田参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の平成三十年度及び令和元年度財務諸表等の概要につきまして御説明を申し上げます。

 初めに、平成三十年度につきまして御説明を申し上げます。

 貸借対照表における一般勘定の当年度末の資産総額は一兆二千五億円、一方、これに対する負債総額は四千二百六十八億円、また、純資産総額は七千七百三十六億円でございます。

 続きまして、損益計算書におけます一般勘定の経常事業収入は七千三百四十九億円、経常事業支出は七千百五十二億円でございます。以上の結果、経常事業収支差金は百九十七億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期の事業収支差金は二百七十一億円となりました。

 このうち、建設費に充てた資本支出充当は四十億円でございまして、事業収支剰余金は二百三十一億円でございます。

 なお、この事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。

 引き続きまして、令和元年度につきまして御説明を申し上げます。

 貸借対照表における一般勘定の当年度末の資産総額は一兆二千二百三十億円、一方、これに対する負債総額は四千二百七十二億円、また、純資産総額は七千九百五十七億円でございます。

 続きまして、損益計算書における一般勘定の経常事業収入は七千三百四十四億円、経常事業支出は七千二百五十四億円でございます。以上の結果、経常事業収支差金は九十億円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加え又は差し引いた当期事業収支差金は二百二十億円となりました。

 なお、当期事業収支差金につきましては、全額、事業収支剰余金として、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。

 以上につきまして、平成三十年度及び令和元年度の財務諸表とも、監査委員会の意見書では、会計監査人の監査意見は相当と認めるとされておりまして、また、会計監査人の意見書では、財務諸表が、放送法、放送法施行規則及び我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、全ての重要な点において適正に表示していると認めるとされております。

 これをもちまして概要説明を終わらせていただきますが、今後の協会運営に当たりまして、公共放送の原点を堅持し、事実に基づく公平公正で正確、迅速な放送をお届けしてまいります。また、事業計画の一つ一つの施策を着実に実行し、公共メディアとしての視聴者の皆様の期待に応えてまいる所存でございます。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。

浮島委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院事務総局第五局長宮川尚博君。

宮川会計検査院当局者 日本放送協会の平成三十年度及び令和元年度につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。

 協会の平成三十年度及び令和元年度の財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書並びにこれらに関する説明書等は、平成三十年度につきましては令和元年七月八日、元年度につきましては二年七月三日にそれぞれ内閣から送付を受け、その検査を行って、それぞれ元年十一月八日、二年十一月十日に内閣に回付いたしました。

 協会の平成三十年度及び令和元年度の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事態はございません。

 以上をもって概要の説明を終わります。

浮島委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小森卓郎君。

小森委員 自由民主党、金沢選出の小森卓郎でございます。

 しっかり質問してまいりたいと思いますので、十五分間、どうぞよろしくお願いいたします。

 早速質問に入ります。

 ただいま説明がなされました決算について、まずNHKに伺います。

 平成三十年度そして令和元年度と、予算を上回る経常事業収支差金、経常黒字というようなものに相当すると思いますが、百九十七億円そして九十億円生じたわけでございます。この黒字の要因について、特に両年度の受信料収入の状況について、簡潔に説明をお願いします。

前田参考人 お答え申し上げます。

 両年度とも、収入につきましては、公平負担の徹底を進め、支払い率の向上に努めたことに加え、平成二十九年十二月の最高裁判決の後、自主的に契約を申し出る方が増えたこともございまして、契約総数、衛星契約数が共に目標を上回り、予算を上回る収入となりました。

 また、支出につきましては、予算内での効率的な施行に努めた結果、決算では予算の残となっております。

 以上によりまして、収支共に改善した結果、両年度とも黒字決算となったものでございます。

小森委員 ありがとうございます。

 平成三十年度そして令和元年度は、主として契約の増加とおっしゃいましたけれども、これに基づく好調な受信料収入に支えられて黒字の決算になったわけでございます。

 両年度の決算について、総務大臣からの意見も国会に報告をされています。大臣意見の内容は、両年度おおむね共通をしておりますが、その中で受信料についても触れられております。

 令和元年度意見の中からポイントを抜粋しますと、受信料については、業務の合理化、効率化を進め、その利益を国民・視聴者に還元していく取組が求められる、令和元年度末には千二百八十億円の財政安定のための繰越金を有していること、及び近年は事業収支差金が当初計画を大幅に上回る状況が続いていることを踏まえ、受信料の在り方について、早急に見直しを行っていくことが強く求められるとされております。

 受信料の引下げは、いわば長年の宿題とされてきたわけであります。NHKは、昨年、三年間の経営計画を作成しましたが、この宿題への答えとして、受信料を値下げする方針を打ち出しました。そして、先月、NHK経営計画の修正と題しまして、来年十月から受信料の引下げを行うこと、そして、その具体的な受信料の額などについてパブリックコメントに付しました。

 NHKにお伺いします。

 この値下げの具体的な中身、そして、それによる年間の収支への影響がどれくらいになるのか、お答えください。

前田参考人 お答え申し上げます。

 一連の構造改革や経営努力の成果を視聴者に還元するために、来年十月から、衛星契約、地上契約共に一割の値下げをいたします。加えて、継続振り込み料金の、口座、クレジット料金との一本化も実施いたします。その結果、衛星契約の方は最大で年間三千二百四十円の値下げ、地上契約の方は年間二千百円の値下げとなります。

 また、経済的に厳しい環境にある独り暮らしの学生の負担軽減を図るための学生免除を拡大する予定であります。親元等から離れて暮らす学生のうち、被扶養の学生につきまして、受信料を免除する方針といたしております。免除の拡大につきましても、実施時期は値下げと同じく来年の十月を予定いたしております。

 大幅な値下げを決断したことによりまして、当面収支は赤字となりますが、更なる構造改革を進めることで、二〇二七年度には収支が均衡となるところまで、コスト引下げを努力をいたしてまいります。

小森委員 ありがとうございます。

 平成二十四年度にも比較的大きな規模の値下げをされましたけれども、今回の値下げは史上最大だというふうに聞いているところでございます。

 さて、先ほど触れました経営計画の修正におきましては、受信料の値下げのほかにも、衛星放送の削減についても具体化をしております。

 現在、NHKは、衛星放送として三つのチャンネルを放送しているわけでありますが、二〇二四年三月末、今から一年半後でございますけれども、このうちの一波を停止するということになります。

 状況に応じた業務の合理化、効率化は、総務省からもNHKに求めており、必要なことでもありますが、その一方で、これまでサービスを享受してきた視聴者の方々からは懸念する声などが上がってはいないでしょうか。

 とりわけ、NHKは、さらに、二〇二五年度には音声波、ラジオですけれども、ラジオを三波から二波に削減する方針でもあります。私もかつてお世話になりましたが、語学番組など、教養、学習などの機能の提供に影響が出ないかも併せて心配されます。

 NHKに寄せられる利用者の意見がどのようなものか、また、サービス低下の懸念を今後どのように解消していくのか、答弁を求めます。

林参考人 お答えいたします。

 来年十二月に予定をしております衛星波の再編につきましては、BS1とBSプレミアムの魅力的なコンテンツを凝縮して統合する形で進めてまいります。

 これまで視聴していた番組が見られなくなるのではないかという懸念の声をいただいているので、視聴者の皆様の声に耳を傾けながら、編成上の工夫を行うことで対応していきたいと考えております。

 それから、音声波につきましては、二〇二五年度に、現在の三つの波から、AM、FMの二つの波へ整理、削減する方向で検討を進めております。

 聴取者の皆様からまだ多くの御意見はいただいておりませんけれども、整理、削減に当たりましては、聴取者の皆様の意向調査を行って、その結果などを踏まえて具体策をまとめていくことにしております。

小森委員 サービス低下の懸念に対しましては、様々な工夫を行っていただいて、丁寧に対応していただきたいと思います。

 さて、足下の受信契約が現在憂慮される状況でございます。NHKは、営業経費の削減などの観点から、新たな経営計画期間となる昨年度から、それまでやっておりました巡回訪問営業から業務モデルを転換し、訪問によらない営業に大胆に切替えを図っているところであります。

 今年度の受信契約件数の見込みは、予算上、年間で十万件の減少とされておりましたが、先日の発表によれば、半年で約二十万件の減少が起きてしまっております。想定の四倍のペースで契約が減少をしてしまったわけでございます。

 とりわけ、新機軸である訪問によらない取次ぎは、半年で年間の三六%の進捗にとどまり、本来の五〇%には達しておらず、この新たな営業モデルが十分に機能していないのではないかというふうに危惧をされます。

 NHKに伺います。

 契約の減少、そしてまた訪問によらない取次ぎの不調について、どのように要因の分析をしているか、そしてまた、今後、具体的にどのように立て直しを図るつもりなのか、お答え願います。

前田参考人 お答え申し上げます。

 NHKでは、今年の四月から組織を大規模に変えました。営業のやり方を全面的に改めたばかりでございます。この新しいやり方を開発している最中でございまして、これを定着させるには若干の時間がかかると私は考えております。ただ、この営業のやり方、真っ正面から営業のやり方を変えないと、NHKの存続はないと私は確信しております。

 今後の営業につきましては、共感と納得の営業活動という形で、視聴者の方と、共感し、また納得する関係で契約をいただく、こういう形に契約のやり方を変えてまいりますので、少し時間はかかると思いますが、これが結果として私は早道だと思っております。

小森委員 先ほど申し上げましたように、本当に大胆に方針を変えられたわけでございまして、定着にある程度の時間がかかるかもしれないというのは御答弁のとおりかと思いますけれども、他方、足下の数字というのは決して楽観が許されるような内容ではないと思います。

 是非またこうした足下の契約の状況もよく分析していただいた上で、来年度の予算をまた国会に提出していただきますが、惰性に流されずに、シビアな目で、現状を踏まえて、適正な受信料収入を計上して審議に付していただきたいと思いますが、所見をお聞かせください。

前田参考人 先ほど申し上げましたとおりでございまして、営業のやり方を大胆に変えている最中でございます。それから、配置換えも行っております。

 そういう意味で、現状、八〇%をちょっと切るような数字になっておりますが、今後は、足下の数字もよく見た上で、また、新しい営業を地に足の着いた形に定着させた上で、新たに来年度予算をまたこの委員会に提出をさせていただきたいと思います。

小森委員 前向きな御答弁をありがとうございました。国会で充実した審議を行う観点からも、是非よろしくお願いしたいと思います。

 これまでNHKに御質問をしてまいりましたが、最後に、総務省に対して御質問をしたいと思います。

 総務大臣は、これまでNHKに対して、いわゆる三位一体の改革、業務、受信料、そしてガバナンスの改革を求めてきたわけでありますけれども、今ほどの質疑もお聞きになりまして、これまでの進捗をどのように評価しているか、そしてまた、今後についてどんな期待をしているのか、総務大臣の御所見を伺いたいと思います。

寺田国務大臣 先月NHKから公表されました受信料の引下げ案、これは、三位一体改革の重要な一要素として評価をいたしております。

 それは、当日の会長会見でも言及がなされているところでありますが、他方で、三位一体改革、これは今後も不断に進めていく必要、重要であると認識をしております。一層の効率的な経営、運営によりまして、更なる値下げの原資を確保する努力を続けていただきたいと考えております。

 また、中期経営計画に記載をされておりますが、保有するメディアの整理、削減等を通じた支出規模の段階的な縮減、子会社等の見直しを含むグループ全体のガバナンス強化などについては、これから取組を更に進めていただくべきものと認識をいたしております。

 総務省といたしましては、令和五年度の収支予算が提出をされた際などに、三位一体改革の進捗状況などをしっかりとフォロー、また確認をし、必要に応じ意見を申し上げたいと存じます。

小森委員 大臣、御丁寧な答弁をどうもありがとうございました。

 今、不断のものだというふうな御答弁もございました。業務のスリム化による経費の削減、これによる受信料の引下げ、ガバナンスの強化、これらは本当に永遠の課題とも言えるものであろうかと思います。

 今般の受信料の引下げについては、NHKが一定の答えを出したと評価してよいものと思いますけれども、社会経済環境の変化や技術の進化など、外部環境の変化は今後も継続してまいります。これに対応していくためには、NHKもたゆまぬ自己変革が求められるわけでございまして、利用者の期待に応えるような取組をお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

浮島委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。

 本日は、平成三十年度及び令和元年度のNHK決算についての質疑でありますので、これまでのNHKの取組を踏まえながら、今後の公共放送としてのあるべき姿及び方向性について何点か伺います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず初めに、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けたNHKの取組についてお伺いをいたします。

 我が国は、一昨年十月に、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すことを宣言するのとともに、昨年四月には、二〇三〇年度に温室効果ガスの排出量を四六%削減することを表明いたしました。

 現在、エジプトではCOP27が開催されておりますが、二〇五〇年に向けた気候変動対応並びにカーボンニュートラルの流れは、今や、我が国に限らず、国際社会の流れ、潮流とも言えると思います。

 この流れは、我が国の公共放送を担うNHKとしても決して無関係ではなく、二〇三〇年並びに二〇五〇年を目標とした脱炭素及びカーボンニュートラル実現に向けての着実な取組は、NHKとしても当然求められるものと考えます。

 そこで、まず初めに、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けたNHKとしての具体的な目標及び取組について伺います。

 また、あわせて、公共放送としての、カーボンニュートラル実現に向けての良質なコンテンツの造成及び情報発信の取組強化についても御答弁ください。

前田参考人 お答え申し上げます。

 NHKでは、昨年三月に環境アクションプランを公表いたしました。二〇二五年末までに電力使用によるCO2の排出量を二五%削減する目標を掲げ、取組を進めております。放送設備を使用電力が少ないものに更新したり、東京渋谷の放送センターや地域放送局で使用電力の一部を太陽光発電で賄ったりしているほかに、グリーン電力の導入なども進めております。二〇二五年度以降も中長期的な目標を定めながら、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた取組を進めているところでございます。

 一方、社会全体に取組を広げていくために、NHKスペシャルなどの番組や、現在エジプトで開催されておりますCOP27の報道を始めとした放送、イベント、SNSなど多様な媒体を通じ、環境問題に関する情報を発信しているところでございます。

 国連とSDGメディア・コンパクト加盟メディアによる共同キャンペーン、一・五度の約束にも参加し、民放キー局と連動し脱炭素社会の実現に向けた行動を呼びかけております。九月にはNHKのスタジオに各局のキャスター、科学者、若者代表が集い、気候変動に関するスペシャル番組を放送いたしました。

 公共メディアとして自らが率先して取組を進めるとともに、情報発信を通じ、視聴者・国民の皆様の行動につながるきっかけを提供してまいりたいと考えております。

中川(康)委員 大変ありがとうございました。

 今会長から御答弁をいただいたところでございますが、具体的には、二〇二五年以降どうしていくか、ここの部分が大事かと思いますので、是非その目標をしっかりと明確にしていただきたいと思いますし、さらには、公共放送としての役割、使命という意味においては、良質なコンテンツの造成とか情報発信、やはりこれはNHKが今民放各局と連携を図りながらやっていただいている。私もその番組を見ましたけれども、そこはしっかりお取り組みいただいて、やはり国民の皆さんへの意識の醸成、さらには行動変容、こういったものにつなげていただけるよう、よろしくお願いをしたいと思います。

 それでは、続きましては、放送を取り巻く環境の変化について何点かお伺いをいたします。

 最初に、若者のテレビ離れについてお伺いをいたします。

 SNSなどの普及やユーチューブなど動画配信の伸長により、近年、若者のテレビ離れが顕著になってきております。

 二〇二〇年十月にNHK放送文化研究所が行った国民生活時間調査では、十代から二十代の世代でテレビを十五分以上見たという数字は、五年前に比べ、何と二〇ポイント前後も減っております。数字の上からも、若者のテレビ離れ、これははっきりと見ることができます。

 本来、新社会人や学生時代など向学心旺盛な時期に、NHKなどが制作する良質な番組を視聴するということは非常に大事なことであり、昨今顕著に表れてきている若者のテレビ離れ及びNHK離れは、我が国の将来において憂うべき一つの事象であると私は考えるところでございます。

 そこで伺いますが、我が国の公共放送を担うNHKとしては、この若者のテレビ離れに対して様々な対応をしていただいていると思いますが、今後どのような対策又は対応を図っていかれるのか、御答弁を願います。

林参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、若い世代に放送だけでNHKのコンテンツに接していただくことは簡単ではないと認識しております。

 放送に加えて、デジタルや実際に体感していただけるイベントなど、放送、インターネット、リアルの三位一体となった取組を多角的に展開し、若い世代がNHKのコンテンツに触れる機会を着実に増やしていきたいと考えております。放送につきましても、今年度は、二十三時台に実験的なコンテンツを編成いたしまして、実際に若い視聴者層の手応えを感じております。

 一方で、若い世代の中にも、NHKならではの深い取材や専門性に裏打ちされた見応えのあるコンテンツを支持してくださる方も増えております。過去の貴重な映像資産を活用した「映像の世紀バタフライエフェクト」のように本格的な歴史や教養を扱う番組などは好評で、どの世代であっても、豊かで上質なコンテンツを提供していくことが最も重要であると考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 私も、NHK、特に、深夜につけて思わず見入ってしまうような番組があるんですけれども、本当にいい作り方をしているなとか深い取材だなとか、思わず見入ってしまうような番組が多いんです。こういった番組を好奇心旺盛な若い方々が見たら、それで本当に意識が変わるんじゃないかなというふうに感じるところがあります。

 しかし、残念ながら今、時代はSNSまたユーチューブということで、テレビにタッチしない、そういった世代が増えてきているのは事実でございます。これはどうタッチさせていくかということも大事なんですけれども、やはり一度触れる中で、NHK等の番組を見ることによって、学ぶとか感受性豊かになるとか深く物事を考える、そういった機会を是非おつくりいただきたいと思います。私は、過去の「プロジェクトX」なんかでも再放送して是非見ていただいたらどうかなというふうに思いますので、そこはお願いをしながら、さらには、引き続き良質なコンテンツをお作りいただくことを期待を申し上げたいと思います。

 三点目、少しそれにも関連をしますし、また小森委員の御質問にも少し触れるところがあるんですが、学生への受信料免除の拡大についてお伺いをしたいと思います。

 この度公表されましたNHK経営計画の修正案で示されました、受信料値下げの一つとしての学生への受信料免除の拡大、これは今会長も御答弁いただいたところですが、拡大は、学生が今後もNHKの良質なコンテンツ等に触れる機会を拡大するという意味において、私は大変に評価をしている一人でございます。

 そこで、確認的に伺いますが、私は、この免除対象の学生については、大学とか短大だけではなくて、例えば専門学校とか、あとは高専なんかの学生も対象に広く拡大した方がいいのではないか、このように感じるわけでございますが、この免除対象の学生の範囲についてお答えをいただきたいと思います。

正籬参考人 お答えいたします。

 現在、親元等から離れて暮らす学生のうち、奨学金受給対象などの学生について受信料の免除を実施していまして、二〇二一年度末で約十二万件となっております。

 先月公表しました経営計画の修正案では、学生を対象とする免除を拡大しまして、親元等から離れて暮らす学生のうち、奨学金を受給していなくても、被扶養でありますと受信料を免除する方針としております。

 今回の免除拡大によりまして、現在、親元等から離れて暮らしている、受信料を半額割り引く家族割引制度というのがあるんですけれども、この家族割引の対象となっている学生のほぼ全てが全額免除になると想定しております。その数は昨年度末で約十九万件となっております。

 今回の免除拡大は、受信料値下げと同じ来年十月に実施することを予定しております。

中川(康)委員 今、拡大の方向性のお話をいただいたわけでございます。私はそれでいいと思っているんですけれども。

 もう一度お伺いしますが、私が伺っているのは、その対象の範囲を今回具体的に御答弁いただきたいということで、大学、短大だけではなくて、例えば専門学校とか、あとは高専なんかでも、いわゆる一人で寮に入っているとかという学生がいるんですね。こういったところまで拡大をするべきじゃないかというふうに質問をさせていただいていますので、もう一度、具体的な御答弁をいただきたいと思います。

正籬参考人 お答えいたします。

 学校教育法第一条に規定しています学校、第百二十四条に規定しています専修学校又は第百三十四条に規定しています各種学校、修業年限が一年以上あるものに限ります、に在学する学生が生計を共にする者の住居とは別の住居に受信機を設置して締結する放送受信契約についても、現在、対象としておるところでございます。

中川(康)委員 大変に分かりづらい答弁をいただきまして、ありがとうございました。また今後しっかりと確認をしてまいりたいと思いますし、この拡大の方向はまた議論を続けていきたいと思います。

 時間がちょっと迫っておりますので、次に、訪問によらない営業活動についてお伺いをします。

 NHKは、先ほども紹介をしましたNHK経営計画の修正案の中で、新しいNHKへの変革の一環として、これまでの巡回訪問営業から訪問によらない営業に業務モデルを転換することと書かれております。これは小森委員の御質問にもありました。

 私は、これまで長年続けてきた訪問による契約や受信料の徴収はNHKの事業収入の大半を占める受信料の支払い率の向上に一定程度貢献した、こんなふうに考えています。しかし、その反面、それこそ先ほどの大学生など若者に対する一部丁寧でない契約手法があったことなども含め、これまでの訪問活動では数々のクレームが生じてきたことも事実であります。ゆえに、私は、今回の訪問によらない営業活動への転換については、その方針を評価する一人でございます。

 そこで伺いますが、NHKとしては、これまでの訪問営業から訪問によらない営業活動への転換において、今後、どのような手法で受信契約及び受信料の徴収業務を展開していこうと考えているのか、具体的な御答弁を願いたいと思いますし、また、これまでの訪問営業については、今回の転換を機に完全に廃止してはどうかとも考えますが、いかがでしょうか。併せて御答弁願います。

正籬参考人 お答えいたします。

 現在、NHKでは、共感、納得の営業活動ということを掲げまして、NHKの公共的価値に共感していただいて、納得して受信料をお支払いいただけるよう、営業活動を大きく転換しまして、新しい取組を進めているところです。

 具体的には、NHKならではの放送・サービスに、先ほども御指摘がありました、しっかりコンテンツの強化に取り組みましてNHKの価値を実感していただく一方で、契約に当たりまして、インターネットを通じた視聴者の皆様との接点の拡大ですとか、それから、電力・ガス事業者等公益企業との、外部企業との連携の強化ですとか、特別あて所配達郵便の活用などを通じまして、自主的に契約を申し出ていただけるように取り組んでおります。また、人口や世帯数が増加しています大都市圏で体制を強化して、重点的に営業活動を進めております。

 現在は営業の手法を大きく変えている最中でありまして、今後も、今お話ししたような方法を、着実に取組を進めて、受信料の公平負担に努めてまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 これは大胆な転換ですので、いっとき事業収入が減るかもしれませんが、私も、長い目で見ていくこと、この必要性があるんじゃないかなと思いますので、しっかりと評価をし、支援をしてまいりたいと思います。

 最後に、総務省さんに伺います。

 インターネット時代における公共放送の役割についてお伺いします。

 総務省は、本年八月、デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会での取りまとめを公表するとともに、その検討会の下に新たに公共放送ワーキンググループを設け、NHKのインターネット配信の在り方について、具体的かつ包括的な検討を進めていただいております。

 この公共放送ワーキンググループは、昨今の動画配信サービスの普及等により、若い世代を中心に動画視聴スタイルが変化している中、放送のみをNHKの必須業務とする現行制度の下では、これまで公共放送が担ってきた、公平かつ信頼性のある基本的な情報の供給源としての役割を果たすことが困難になるのではないかとの考えの下、立ち上げられたものというふうに認識をいたしております。

 そこで伺いますが、インターネット時代における公共放送の役割は、今や、世界的にも多種多様なメディアが登場し、中には誤った情報や偽りの情報への接触機会が増している中、これまで以上にその重要度が増してきていると考えますが、現在進められているこのワーキンググループの目指すべき議論の方向性及び検討される具体的内容についてお答えをいただきたいと思います。

柘植副大臣 お答えいたします。

 ブロードバンドを通じた動画配信サービスの普及などにより、若い世代を中心に動画視聴スタイルが変化してきております。一方で、インターネット上では誤った情報や偽情報への接触機会が増加しているとの指摘もあるところであります。

 こうした背景を踏まえて、NHKが公共放送としての役割を果たしていくためのインターネット活用業務の在り方について、具体的かつ包括的に検討するため、総務省の有識者会議として、本年九月から公共放送ワーキンググループを開催をいたしております。

 このワーキンググループでは、これからの公共放送に求められる役割、また、求められる役割を踏まえたインターネット活用業務の在り方、具体的に、放送法上の位置づけや民間放送業者等の間での競争や協力の在り方、こうしたインターネット活用業務の財源は、現在、テレビなどの受信設備を設置した者から徴収する受信料であるところから、これをどのように考えていくのかを検討いたしております。有識者の方々に御議論をいただきながら、検討してまいります。

 総務省としても、公共放送ワーキンググループの御議論を踏まえ、国民・視聴者の方々から期待されているあるべき公共放送の姿について、しっかり検討してまいります。

中川(康)委員 このワーキンググループの在り方の結果というのはすごく大事だと思いますので、御期待を申し上げたいと思います。

 時間が参りましたので、公明党の質問を以上で終わらせていただきます。大変にありがとうございました。

浮島委員長 次に、守島正君。

守島委員 日本維新の会の守島です。

 今日はNHKの決算審査ということで、おとといの夕方、急遽この内容の質疑が行われることが決まりましたが、この間、当委員会において一般質疑を要求していたものの、その機会を全く与えられず、委員会の定例日を飛ばされてきたことに関しては、非常に残念であり遺憾ということは、一言、与党の皆様に申し上げます。

 さて、平成三十年度と令和元年のNHK決算審査ということで、当時の決算概要を読みましたが、今の決算と比べると、当時の決算においては事業支出が約五百億円多いというように、たった数年の間にもかかわらず、随分肥大だったなと感じるんですが、前田会長は元金融マンですので、プロとして、当時の、まだ会長就任前の財務諸表を見てどう感じたのか、率直な意見を教えてください。

前田参考人 お答え申し上げます。

 当時は受信料収入が右肩上がりで増えていた時代で、国際発信の充実、4K、8K放送、デジタルサービスなど、新たな業務や業務の拡大に対応し、支出も増えております。平成三十年度決算では、受信料収入が過去の最高額七千百二十二億円、令和元年度決算では、事業収入、事業支出が共に過去最高額、事業収入が七千三百八十四億円、事業支出が七千百六十三億円となっております。

 一方で、肥大化していたという指摘はそのとおりだと思います。

 私は、このままの形でNHKを継続的に、未来にわたって組織が耐えていけるとは思いません。私は、これまでの肥大化に代わりまして、スリムで強靱な新しいNHKを目指すということで、会長になってから取り組んでおります。あらゆる業務を抜本的に今見直している最中であります。

 NHKが将来にわたって視聴者・国民に必要とされる存在であり続けられるように、しっかりと改革を進めてまいりたいと思います。

守島委員 会長、ありがとうございます。

 当時は収入が増局面ということで、歳出圧縮圧力がそんなに強くなかったということで、やはりプロの目から見て肥大感があったんじゃないかなというふうに思っていまして、その点、改革の必要性を感じられた会長の判断は正しいものかなというふうに思っています。

 特に、放送法において、公共放送としての独立性を財源面から保障するために、NHKのテレビ放送を受信できる設備の設置者は必然的に受信契約締結義務を負っていますので、税のように課された受信料収入で成り立っている以上は、支出に対して厳しい立場を取るということは重要だと思いますし、維新の会は、さきの通常国会でNHKの予算に反対の立場を取ったものの、会長を始めとした、組織の改革をしようという方向性に関しては支持をしております。

 こうした改革の流れにあって、職員の不安や不満がたまることもあるし、事実、今年の五月に、NHK有志による、NHKを壊すなという、前田会長の批判を含んだリポートが出されたりしました。

 こうした意見に我々は耳を全てかすわけではないんですけれども、改革途上においては、こうした批判に対応したり、職員のモチベーションを上げていくことも重要だというふうに思っているんですが、この点をどう考えているのか、会長、教えてください。

前田参考人 私が着任したときのNHKの構造問題は、年齢が高齢化しておりまして、非常に高齢化して、ベテランの方の数が非常に多い、若手の数が少なくて、仕事は若手にしわが寄る、そういう構造になっておりました。

 これは、肥大化したときの、過去の栄光の部分について、私は全く否定するものではありませんが、このままの状況でいくと未来はないということで、私は、この改革は未来のための改革をしているということでございます。

 もちろん、改革をするわけですから、ベテランの方から見ると不満はあると思いますが、先ほど申し上げましたとおり、過去の栄光を否定しているわけではありませんで、未来のため、それから未来のやはり職員のためにNHKが永続できるように改革をしておりますので、痛みを伴う改革ですけれども、これはそれぞれの職員の方に御理解をいただきたいと思っております。

守島委員 ありがとうございます。

 年齢構成もそうですし、固定化した人事で、過去の成功体験でなかなか流動性が担保されないという中で会長がマネジメントされたということで、その過程で不満に思う方はいるということで、そういったケアもしつつ、モチベーションも担保しつつ、組織のマネジメントに当たってほしいと思います。

 改革の方向性としては、先ほど来出てきた訪問営業とかを下げて、訪問営業のコストというのは番組のクオリティーとかユーザーのベネフィットにつながるわけではないので、こうした営業形態を変えたりしてコストを下げていくという取組なども本当に支持する次第なんですが、小森委員からの質問でもあったように、戸別訪問によらない営業にシフトしていく中で、この半年で約十九万八千件、NHKの受信契約総数が減ったということで、これは、年間で十万減少を想定していた見通しと比べると、年換算した場合、想定の約四倍のペースで急減しているという状況です。

 改めてになるんですが、想定以上の減少に対する受け止めを、会長、教えてください。

前田参考人 お答え申し上げます。

 先ほどもお答え申し上げましたが、営業のやり方を、今年の四月から、二つあった組織を一つにいたしまして、全面的に変えている最中でございます。営業のやり方と、それから実際にその営業の手段を含めて変えました。そういう意味で、確かに、限界的に件数が減っているのは事実でございますが、ここはちょっと時間をいただきたいと思います。

 こういう状況になって、また元のスタイルで、法人営業を委託して受信料だけを集めるという組織をつくれば多分少しぐらいは回復するんですけれども、それをやり続けると結果的にプラスになることは私はないと確信しております。ここは、先ほど副会長も申し上げましたけれども、営業のやり方を変えて、視聴者の方に納得していただく営業をする、それがやはり早道だと思います。

 それから、営業の方というのは、最前線で、お客さんとの接点、タッチポイントなんです。ここはやはり、我々は番組を作っている放送局ですので、視聴者の方の意見を番組に反映させなければ永続はしないと思っております。

 従来の組織は二つの組織に分かれておりまして、受信料を集めるところは集める、番組を作るところは作る、別々の組織でやっていたんです。これでは、僕は、視聴者の方の意見が届かないということで大改革いたしましたので、ちょっとお時間をいただきたいと思います。

守島委員 会長、視聴者の意見を届けるというのは大事で、僕は、たまたまこの前NHKテレビをつけていたら、「会長ラジオ」という放送を見て、本当に視聴者のアンケートを聞いてくれているんだなというふうに思って感銘を受けた次第なんです。

 大きな改革には時間がかかって、そのマネジメントやプロセスもいろいろ変わってくるのでタイムラグがあると思うので、その点に関しては解消していってほしいなというふうに思っているんですが、短期的な話とは別に、私はさきの通常国会でも、放送がこれからインターネットにどんどんどんどん大きく傾斜していかないといけない中では、将来的に、足下の作業という意味ではなくて、将来的に受信料収入自体の徴収が難しく、国民の理解も徐々に得られにくくなってくるんじゃないかなという話をさせていただいた中で、インターネット関連予算に今二百億円のキャップがはめられているんですが、放送と通信の融合をしていく流れとか、NHKを改革していく上で、この上限キャップに縛られるべきではないというふうに思っていまして、これから新たな時代に対応するため、放送偏重にならずに、通信へしっかり投資していく必要があると考えますが、最後、会長、考えを教えてください。

前田参考人 お答え申し上げます。

 現在の放送法では、NHKのインターネット活用業務は放送の補完という位置づけになっております。放送と通信の融合が進んでおりまして、海外と比べますと、社会の実情にやや合わなくなっていると私は考えております。

 一方で、幅広い世代に利用されておりますインターネットは、不確かで曖昧な情報があふれていまして、フェイクニュースやフィルターバブルなどの別の問題が顕在化しております。

 こうした中で、時代環境の中で、正確で信頼できる情報や、多様で質の高いコンテンツを広く届ける公共メディアの社会的役割は、これまで以上に果たしていく必要があると私は考えております。

 そういう意味で、インターネットで届けるというのと、テレビで届ける、これは手段の問題ですので、どのような手段になりましても公共放送の役割は同じだと思いますので、その中で、視聴者・国民の皆様の理解を得た上でやるということが大前提だと思います。

守島委員 確かに、手段の違いで目的は変わらないということなんですが、その手段の片一方というか、まだブルーオーシャンの方が閉ざされているという状況があるので、やはり僕たちは、既成にとらわれない、これからも公共性を引き継いでいくNHKに期待していますし、我々は、そのために、経営形態を分けて、公的な部分と民間な部分に分けて考えるというプランも持っていますし、その点、大臣に聞きたかったんですけれども、僕の時間がもう押しているということで、引き続き、こうした経営形態の議論に関しても話していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 本日はありがとうございました。以上です。

浮島委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。

 私にとってNHKといいますと、小学校の頃、祖父がまだ、中一で亡くなったんですが、生きている間、テレビといえばNHK、NHKといえばニュースということでありまして、夜の七時のニュースの始まる前には食卓に座ってNHKのニュースを見るというのが日課であったわけであります。

 ニュースのコンテンツは残っていないかもしれませんけれども、NHKがこれまで、本当に大変すばらしいコンテンツを残しておられると思います。そして、それをデジタル化してきている。そして、時代はデジタルの時代、そしてデジタルコンテンツの時代であるということになっております。

 そこで、NHKが持っているデジタルコンテンツ、このすばらしいコンテンツ、例えば、先ほども「プロジェクトX」もありましたが、大河ドラマもしかり、また、NHKスペシャル、大変すばらしいコンテンツだと思います。神の方程式というNHKスペシャルがあったんですが、私は感動してあれは見ておりましたけれども。

 そういうすばらしいコンテンツ、これは、時代、そのときだけじゃないんですね。NHKが伝えてきているものというのは、本当にこれから未来にも必要な情報をしっかりと伝えていただいている、考え方を伝えていただいている、こう思っております。

 ですので、このデジタルコンテンツをもっと生かしてほしいというのが一視聴者として私も思うところであります。

 そこで、NHKはNHKオンデマンドというものがありますが、そのオンデマンドの現在の契約数や、それから、その収益等をちょっと教えていただけますでしょうか。

林参考人 ただいま御質問いただきましたNHKオンデマンドにつきましては、NHKの豊富な映像資産を享受していただくサービスでございまして、インターネットを通じて、視聴者の求めに応じて有料で提供しているものでございます。このサービスは、名作ドラマやドキュメンタリーなど、一万本を超える番組をいつでも好きな時間に御覧いただけるようになっております。

 NHKオンデマンドの二〇二一年度末の登録会員数は三百九万九千人、NHKオンデマンド全体の事業収入は四十六億二千万円となっております。

市村委員 ありがとうございます。

 三百万人という数字が二〇二一年度ですけれども、新しい数字はまだ分からないですね。どちらかといったら、減っている方ですか、増えている方でしょうか、どちらでしょうか。

林参考人 お答えいたします。

 今、増加傾向にございます。

市村委員 是非とも、このオンデマンド、かつてから、二〇〇八年ぐらいからなんですかね、このオンデマンドが始まったのは。当時、ああ、とてもいいなと思っておりましたが、しかし、時代はデジタルコンテンツの時代であり、かつ、先ほどからも議論があります、インターネットといいますか、いわゆるネットの時代ということで、いわゆる放送と通信の融合という言い方がされてきましたけれども、もはや放送という概念がもう終わったと思った方がいいかもしれません。

 もう放送とか通信とかいう概念が終わって、もっと大きな、要するに公共の電波をどう生かすかということがやはり論点になって、かつ、電波は、もうこれからは公共財として恐らく広く使えるようにする。だから、そこに、電波に関するいわゆる使用料というのは、もうこれからはかからない。何で勝負するかというと、やはりコンテンツで勝負していくことになるだろうと私は思っています。

 その中で、NHKが、やはり、オンデマンドという在り方もありましたけれども、今大きく経営の在り方を変えようとしているときに、このコンテンツをどう生かすかというのを、放送とか通信とかそういう考え方ではなくて、これから仮想空間とか、もっといろいろな多様な媒体が出てくるわけでありまして、その中で、これまでのNHKが持っているよきデジタルコンテンツをどう生かしていくか、そういう観点が必要だと思うんですけれども、会長、いかがお考えでいらっしゃいますでしょうか。

前田参考人 NHKオンデマンドの配信に当たりましては、番組で使用いたしました著作物の権利者や出演者などから別途許諾を得た上で使用料を支払うことが必要になります。そういう意味で、視聴者の求めに応じて有料で提供するサービス、NODをやっているわけでございます。

 これは、立ち上げのときはかなりコストが先行していまして、いまだにちょっと累積損失を抱えている事業でございます。

 一方で、国民共有の財産であります放送番組を広く国民の方に還元する観点からは、特に公益上の意義の高い番組につきましては、インターネットを活用して無料で公開をいたしております。

 例えば、戦争証言アーカイブスや東日本大震災アーカイブスでは、戦争や震災を体験された方々の証言や復興に関わるニュースなどを公開しております。

 また、NHK・フォー・スクールなど教育番組関連のウェブサイトでは、学校放送番組や語学番組を掲載し、場所と時間にとらわれず、子供たちの学びの機会を提供いたしております。

 貴重な映像資産であります放送番組を広く還元していくことも公共メディアとしての大きな役割だと考えておりまして、その提供の方法について、社会環境の変化に応じた適切な在り方を検討してまいりたいと思います。

市村委員 それで、その提供の在り方なんですが、受信料を今取っておられるということで、例えば、受信料を払っている方は、過去のデジタルコンテンツも含めて見放題といいますか、もう見ていいという方向にするのは難しいでしょうか。会長、いかがでしょうか。

前田参考人 先ほど申し上げましたように、再放送をする場合に、やはり出演者の方と権利関係がございまして、これが全部無料であれば自由に何とでもできるんですけれども、そこの部分は出演者の方との関係がありますので、ちょっと申し訳ないです、そこは簡単にいかないんです。

 ただ、自分のところで作ったやつについてはそういう必要はないわけですから、そこをセパレートして、公共で還元すべきものは還元する、そういう仕分になるんじゃないかと思います。

市村委員 だから、無料ということじゃなくて、受信料を取っているということでありますから、受信料を払っている方は、その分のコストはこれまでも担ってきたし、これからも担っているというふうな考え方にならないでしょうか。受信料ということで。

前田参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の点ですけれども、受信料は一定額でございまして、それぞれ、ある意味平等に負担していただいていまして、その部分を前提に、あと幾らでも無料で見られるということにしますと、多分、コストが相当かかるんですね。ですから、逆に言うと、今の受信料では成り立たなくなります。これはどちらを選ばれるかというのは、視聴者の方のやはり御意見をお聞きするしかないなと思います。

市村委員 では、最後に大臣の見解をちょっとお聞きして、終わらせていただきます。

寺田国務大臣 このNHKでございますが、国民・視聴者に負担をいただく受信料で運営される公共放送という特質も踏まえ、そのコンテンツは、活動の成果として国民や視聴者に可能な限り広く還元されることが望ましいと考えております。

 NHKにおかれましては、NHKの各放送局、支局などにおいて放送した番組などを無料で公開をしている例もあると承知しておりますが、その一方で、受信料負担の公平性の観点、また、先ほど会長からもございましたが、著作権の問題などの観点から、インターネット上では一部のコンテンツが現在有料で提供されていることは承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、NHKにおいては、こうした点なども踏まえて、国民・視聴者にコンテンツを幅広く提供する方策を御検討いただければと考えております。

市村委員 終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、中司宏君。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 会派の残り時間で質問させていただくわけですけれども、寺田大臣、この前の大臣所信の質疑の中で、大臣に対し、現状認識や大臣の思いをお聞きしたわけですけれども、そのときに大臣は、説明責任をしっかりと果たして、そして総務大臣としての職責を励行するというふうに答弁をされました。

 残念ながら、その後また大臣御自身の様々な問題にさらされておられるわけでございますけれども、結局、大事なときにこの総務委員会もなかなか開かれなかったわけでございました。重ねてはお聞きしませんが、この際、まずはしっかりと説明責任を果たされますように再度お願いしておきます。

 さて、日本維新の会は、さきの国会でNHKの改革推進法案を提出しております。NHKの一定改革を進められておられることについては理解するところもありますけれども、やはりまだ私たちは不十分だと思うところもありまして、これからの時代にふさわしいNHKの在り方として、小手先の改革ではなく抜本的な改革をしてほしい。NHKを、公共性の高い放送を担う部門とそれ以外の民間の部門に分割をして、そして、国民負担は公共部門のみ求めることで受信料などを大幅に削減、軽減をして、国民負担を軽くすることなどを骨子とするものでございます。

 私は、NHKは、改革を通して、報道とか教育、福祉など、公共性の高い部分については更に充実させていくべきだ、こういうふうに考えておるところでございます。

 そこで、その公共性の高い分野の一つとして、今日は国際放送について聞かせていただきます。

 NHKの国際放送関係経費の推移を見ますと、この二十年間で、年間およそ百二十七億円からおよそ三百十八億円に増額をされています。増えたとはいえ、予算全体の五%には満たないわけでありますし、認知度も高いとは言えないところでございます。厳しい国際情勢の中で我が国が国際理解を得ていくためには、ふだんから国際放送の充実強化に向けた取組が必要だと考えます。

 そこで、今後の国際放送の方向と充実強化の対策、そして、とりわけ認知度を上げるための取組等についてどう考えておられるのか、NHKにお聞きいたします。

林参考人 お答えいたします。

 NHKの国際放送NHKワールドJAPANについて知っていただき、視聴していただくため、継続して様々な取組を行っているところでございます。

 特に近年は、世界的に普及しているソーシャルメディアを活用した取組を強化しております。NHKが制作した番組をショート動画に切り出して発信するとともに、ニュースのライブ配信も始めるなど、NHKのコンテンツに広く接触していただく機会を提供し、新規視聴者の獲得や定着を図っているところでございます。また、SNS広告も積極的に行っております。

 また、海外の公共放送などとの国際共同プロジェクトや番組上映会、国際交流イベントへの参加など、国や地域ごとに効果的と思われる方法も組み合わせて実施をしております。

 日本国内でも、在留外国人向けに、自治体や地域のケーブルテレビ、コミュニティーFM、大学などと連携して、災害関連情報の提供やイベントなどを通じて認知向上を図っているところでございます。

 これらの取組に際しましては、様々な調査を実施して可能な限り効果を測定し、取組の改善や全体戦略の策定に当たっております。

 今後も、NHKワールドJAPANの一層のプレゼンス向上に向けて努めてまいりたいと思います。

中司委員 よろしくお願いいたします。

 今後、ネット社会が進展するにつれて、情報合戦も激しさを増すわけですし、フェイクニュースなども混乱の要因となるわけでございます。特に有事になれば、広く国際理解を求めるためにも国際放送は重要になります。

 前にも指摘しましたが、例えば、災害時にネットや携帯が使えなくなったときなど、ラジオが有効な手段となるわけです。そのように、有事の際には、在外の邦人保護などの観点からも、遠くまで電波が届く短波放送は貴重な国際情報の伝達手段と考えます。

 ところが、現在、国内では、短波放送の通信施設は茨城県のKDDI八俣送信所だけであって、老朽化等によって維持補修とか送信技術の継承等も大変な状況だと聞いております。

 そこで、短波放送を維持、継承する取組についてNHKとしてどう考えておられるのか、お聞きします。

前田参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、NHKは短波を使いまして、在外邦人のライフラインと安全、安心情報を提供するNHKワールド・ラジオ日本と、多言語で日本の情報を伝えますNHKワールドJAPANという二つのサービスを実施しております。

 放送のための施設につきましては、今後も、運用状況や耐用年数などを考慮して保守を行い、施設を所有しておりますKDDIと連携しながら、短波放送の安定的な確保に取り組んでいるところでございます。

中司委員 時間がありませんので、最後に。

 先日の委員会で、特定失踪者問題調査会が、北朝鮮による拉致被害者の救出を目指して、八俣送信所から北朝鮮に向けて発信している短波放送「しおかぜ」についてお聞きをしました。

 これは、つまり、放送に対して北朝鮮から妨害電波が発信されるので、対抗手段として、常に複数の周波数によって二重放送を行っておられるわけですけれども、近く、老朽化によって、アンテナつけ替え工事が行われるんですが、それが長期に及ぶために、この間、二重放送ができなくなる、そのことの対策について伺ったわけでございました。そのとき寺田大臣から、「しおかぜ」の担うこれまでの役割等も踏まえて、適切に検討すると答弁されたわけでございます。

 今日、NHKの会長がおられますのでお聞きしますが、この件について、運用の一端を担われているNHKとしてどう考えられているのか、どう適切に対処されるのか、お伺いいたします。

前田参考人 お答え申し上げます。

 「しおかぜ」に対しまして、NHKは、人道上の観点から、可能な範囲で協力をいたしております。業務に支障がないことを条件に、NHKが短波による国際放送の発信に使っております送信機の一部を、調査会、KDDI、NHKの三者による覚書に基づき、「しおかぜ」が使用しているものでございます。

 「しおかぜ」に使用しております送信機は、今後、移行作業を行うために、一定期間、一波での送信となる見通しとなっておりますが、この作業は、今後も「しおかぜ」を安定的に継続していくための必要な作業と考えております。

 調査会、KDDI、NHKの三者による協議の場において調査会から御要望をいただいた際には、三者で結んでいる覚書を踏まえて検討してまいりたいと思います。

中司委員 これで終わらせていただきますが、三者協議をしながら、しっかりと前向きに進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。

 まず、決算の方ですけれども、会長にお伺いいたしたいのですが、先ほど来、いろいろ経営への影響が言われていますが、当初、私が今年の春に伺ったときは、赤字の穴埋めに必要な金額は七百億円と答弁していただいていたんですが、地上波のみの契約についても一割引下げということになり、影響が千五百億円必要になったというふうに言われています。

 それから一方で、支払い率が、ずっと右肩上がりで上がってきたものが、ここに来て八割を切る、そして、今年も契約者数が予想よりも四倍のスピードで減少している、こういう報道もあるところでございます。

 そこで伺いたいのですが、今回の値下げの判断で、例えば、災害報道や、これから放送法の改正などにも出てくるんですが、民放との放送ネットワーク維持ですね、中継局の維持管理といったところの経費、そうしたところに支障が出ることはないのか。その辺りも含めて、毎回申し上げていますが、本来は、経営に与える影響ですから、経営委員会の中できちんと経営に与える影響を議論をして、オープンにしてやっていかなきゃいけないんですが、どうも最後の地上波の一割値下げのところが説明がきちんと果たされていないんじゃないか、こういう声もあるので、会長に、まずそこのところの経緯、それから経営委員会での流れなどを御説明いただければと思います。

前田参考人 お答え申し上げます。

 今回の値下げにつきましては、スリムで強靱なNHKに生まれ変わるという強い意思表示でもございますし、過去にない大規模な値下げで、当面収支は赤字となりますが、これまでの経営努力で積み上げてきた剰余金の活用、千五百億円程度とともに、更なる構造改革を進めることで、二〇二七年度には収支均衡になることを見込んでおります。

 値下げの規模の検討に当たりましては、現在の経営計画の策定時にお約束をいたしましたスリムで強靱な新しいNHKを目指す一連の改革などで、あらゆる業務の見直しを行いました。営業経費の削減など、徹底した支出削減を行ってきた成果を十分考慮いたしております。

 今回、たまたまこの時期、物価が上がる局面になっておりますが、私ども、公共放送でございますので、少しでも視聴者の負担軽減に役立てばということで、経営計画の策定時にお約束をいたしましたところから更に踏み込んだ還元策としたものでございます。

 また、経営委員会では頻繁に議論をもちろんいたしておりますので、それは議事録の形で、経営委員会から適切に開示されると承知しております。

奥野(総)委員 今日はちょっと大臣にいろいろ伺いたいので、本当はもっと聞きたいんですが、これ以上伺いませんが、もう一点だけ。

 会長は、ずっとこれまで改革を手がけてこられました。これは仕上げの時期だと思うし、想定外と言ってはいけないですけれども、大幅な値下げを決断されたわけですよ。そうすると、やはり、経営にこれから責任を持っていかなきゃいけないんですが、任期が来てしまいますよね。この後の経営について責任を持つために再度続投する、こういう御意思はおありでしょうか。

前田参考人 お答え申し上げます。

 会長の任期は来年の一月終わりぐらいまででございます。会長を指名するのは経営委員会でございまして、私が何か言うということは不適切だと思います。

奥野(総)委員 会長の御意思を伺ったので、経営委員会の意思を伺ったわけじゃないんですが、これ以上言ってもあれですけれども、私は、やはりきちんと、この改革が中途半端に終わるのは一番よくないと思うので、続投されてはいかがかと思いますが、会長にはこのぐらいにさせていただきたいと思います。

 それで、大臣なんですが、よろしいでしょうか。

 お手元の資料を御覧ください。八ページ以降に、選挙運動費用収支報告書ということで、昨年の衆議院選挙の収支報告書、昨日参議院でもこれについて質問がありましたが、お配りをしております。

 抜粋ですが、支出の部というところで、十月十九日のところを中心に抜粋してありますが、黒塗りでないところですね、十月十九日、労務者報酬というところで、議員と書いてある方が六人いらっしゃいます。それから、元議員というのが判明している方が一人いらっしゃるということでありますが、この十月十九日に議員に支払われた、あるいは元議員に支払われた労務者報酬というのは、一体何に対する報酬なんでしょうか、大臣。

寺田国務大臣 御指摘の労務者報酬、これは、選挙がスタートし、選挙用ポスターの貼付をしていただく方々に対し、一枚、一か所当たり三百円の労務者報酬を支払っているところでございます。

奥野(総)委員 ほかの方もみんなそうだと思うんですね。確かに掲示板にたくさん貼らなきゃいけないので、そのこと自体は一般的に行われている話、労務者報酬として支払うというのは行われている話なんですが、ただ、これは議員の方なんですね、あるいは元議員の方。

 この方々は、出陣式とかこの日の選挙運動に関わられておられるのでしょうか。週刊誌によれば、大臣の出陣式に、あるいは第一声に参加したとか、街頭演説をしたとか言っているんですが、そこは事実なんでしょうか。

寺田国務大臣 議員の方々も含め、労務者報酬を支払っている方々に対しては、選挙の公示後、選挙用ポスターの貼付ということで、その地区にもよるんですが、多い方では三十か所以上、非常に広いエリアについて貼っていただくお仕事を労務者報酬としてお願いして、かなりの時間と労力もかかったというふうにお伺いしております。

 したがって、公示日当日につきましては、ポスター貼付の労務を提供した方々であるというふうに認識をしておりまして、その方々が例えば出陣式の場にいたかどうかは私自身は承知をしておりませんが、当日については、ポスター貼付の労務の仕事をしていただいたというふうに認識しております。

奥野(総)委員 御記憶にないということですが、議員の皆さんですから、普通は、出陣式に参加したり、ポスターが終わったら選挙運動をされるんですね。それはごく普通の、議員ですから、選挙運動をするんですよ、それが仕事ということもありますから。

 週刊文春によれば、この十一ページにある岩原呉市議会議員、岩原さんという方の証言がありますが、「出陣式は行ってそのまま手伝った。たぶん夕方だったと思うけど、僕が寺田先生の代わりに選挙カーに乗り込んで、街頭演説しながら(選挙区を)回った。」ということをおっしゃっています。まさにこの当日、選挙運動をしたということですね。

 当然、街頭演説とかマイクを握ることは選挙運動に当たるということは、これは最高裁の判例にもあることでして、政治活動をやっているわけです。そういう証言があります。御本人が選挙運動をやった、この当日にやったという証言もあります。

 それから、もう一方、これは谷市議という方、十一ページかな。この方も、「遊説副会長をやりました。「選挙、皆で応援しましょうや」ということで。候補者が選挙カーに乗れない時、代わりに乗ることもあった」ということを言っています。運動員の腕章も着けた、運動したということをおっしゃっているわけですね。また、ほかの方も、元議員の方も出陣式に参加したということが証言されています。

 選挙運動というのは、もちろん、勧誘、呼びかけとか、マイクを持つことのほかに、例えば、のぼりを持って立っていたり、自転車に乗って一緒に走るということも選挙運動と、相当幅広く解釈されているわけです。

 ということで、大臣は先ほど承知していないと言っておられますが、事実として、ここに書いている方々、全員ではないようですが、この当日に選挙運動をしたということのようであります。

 その上で、更に伺いたいんですが、お配りしている一ページ目の、選挙関係実例判例集というものをお配りしています。法律上は、選挙運動に金を払っちゃいけないんですね。

 条文を二枚目、二ページ目におつけしています。いろいろ書いてありますが、何が書いてあるかというと、選挙の労務者には報酬を払ってもいいということになっていますが、選挙運動をする人は、原則、報酬を払っちゃいけないんですよ。もうそれは釈迦に説法ですけれども、買収になりますよね。運動員買収ということで、お金を払って選挙運動をしてもらっちゃいけないんです、当たり前です。例外として、ウグイス嬢は、それは選挙運動をしてもらわなきゃいけないし、法律上、大変な業務ということで、プロということで報酬を認められている、例外なんですけれども。幾つか例外はあるんですけれども、基本は報酬を受け取っちゃいけない、選挙運動をしている人は報酬を受け取っちゃいけないということが書かれています。それは、総務大臣として当然御存じだと思います。

 さらに、これには、違反すると罰則があって、「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。」ということが二百二十一条に書かれているわけです。

 この話を一言で言うと、当日選挙運動をされている方に報酬を払っているんですね。労務者報酬ということで、きちんと政党責任者が承認をして、議員の方にお金を払っているわけですよ。これは事実として書かれているわけですね。そして受け取った方は、一方で選挙運動をやっている、こういうふうに証言されているわけです。

 これは、でも、運動員買収になるんじゃないですか、大臣。どうですか。

寺田国務大臣 選挙の公示日ですので、私も明確に覚えております。

 今おっしゃった、それぞれ議員さんにも秘書を通じて確認をさせていただきましたが、何か私の選挙カーに乗り込んでマイクを握ったというのは、その日ではございませんでした。

 私は、初日はずっと私自らが選挙カーに乗って手を振りながら、初日ですから、出陣式を二か所で行いました。ずっと終日、私自身が選挙カーに乗って、私自身が自分の選挙運動をしておりまして、今御指摘の、私の選挙カーに乗ったという方は、別の日であったというふうなことでございます。あと、今御指摘になられたもう一名の方も、確認を取ったところ、公示日当日ではございませんでした。

 この点は確認を取っているところでございまして、私が初日に選挙カーを降りたのは、お昼御飯を食べた時間だけでございます。お昼御飯を食べた時間だけ一瞬降りて、後続車に乗って、十分か十五分ぐらいのいとまだったと思いますが、その間はウグイスさんが発声をされていたのをよく覚えております。

奥野(総)委員 そうすると、岩原呉市議という方が明確にこの取材に応じていますが、彼は、これは違う、その日は乗っていなかった、うそをついていたということなんですかね、取材に対して。

寺田国務大臣 広島県では、御承知のとおり、参議院選挙はもちろん今年あったわけですが、昨年の衆議院、そして、その前の年、実は、河井事件を受けて参議院の再選挙、頻繁に毎年国政選挙が行われておりまして、多くの方は、参議院選のときと混同されていた方がかなりおられました。

 そして、当然、選挙の当日、初日ですから、私自らが選挙活動する中で、そうした労務者報酬をお支払いしている方々には、その日はもちろん選挙運動はできないということで、あの議員さん御本人も、その今御指摘の方も警察官のOBの方でございますので、よく御存じのことだったと思います。

 したがって、当日はしていないものと私は認識をしております。

奥野(総)委員 もう一回確認しますが、ここに今名前が挙がっている市議の皆さん全員と、それから元市議の方、私が把握しているのはこの一名だけの方、名前が挙がっていますが、全員について、当日、選挙運動を一切していなかったということが言えるか、断言できますかというのが一つと、それから、皆さん全員出陣式には出なかったと断言できますかということ、お答えいただきたいと思います。

寺田国務大臣 初日の活動については、私が申し上げたとおりです。

 今、私が秘書を通じて確認をさせて、その日ではなかったという方は今御指摘の方々です。その他の全員についてまだ確認は取っておりませんが、出陣式におられたかどうかはちょっと私自身も分からないところでございます。

 後続車に、ポスター等を貼るために私の後についてくる車、これは選挙用の車でない車ですが、そちらに乗り込んで作業しておられた方もおられたかもしれません。したがって、出陣式の場にたまたま居合わせたという方がいた可能性はありますが、私自身はちょっとそこは承知しておりません。

 少なくとも、選挙運動をしたという方は、私は承知しておりません。

奥野(総)委員 だから、厳密に解釈すれば、出陣式に出席も選挙運動になり得るし、のぼりを持って立っているだけでもそうですから。それから、人集めをしているという人もいます、車の先導をしていたという証言もありますが、それらも一切含めて、そういうことは一切なかった、この日、誰もそういうことを一切、この名前が挙がっている六人の方、あるいは名前が分かっている方、分かっていない方もいらっしゃいますが、報酬を受け取っている元市議の方も含めて、一切の方が選挙運動をしていないと断言できますかということなんですよ。そこまできちんと調査されていますか。

寺田国務大臣 少なくとも、今委員冒頭に御指摘の二名については直接確認しております。

 出陣式に居合わせたというだけで、おっしゃったように、のぼりを持っていたとか、それは選挙運動ということになろうかと思いますが、たまたま例えば車に乗っていたとか、後続の車ですね、それは選挙運動とみなされるかどうか。もちろん、そこらは個別の判断になってこようかと思いますが、先ほども申しましたとおり、選挙の初日については、労務者報酬を払ってお願いしている方々については、労務者としてのお仕事、すなわちポスターの掲示板への貼付、これをしていただいたものと認識をしております。

 全てについてまだ確認をしたわけではございませんが、今、そうした点についても、御指摘もありましたので、確認をさせていただこうと思います。

奥野(総)委員 やはり甘いですよ。これ、聞かれるのは分かっているわけですよね。だとすれば、労務者報酬を払った方全員についてきちんと調べないと、議員の皆さんが選挙運動をしないということはむしろ不自然なんですから、当然、疑念の目で見られますよ。こういう会計処理をする、職業のところに議員と載せること自体、私は、疑念を招くし、明らかに無神経極まりない行為だと思うんです。それについて全然調べていないというのは、今までと一緒ですよ、大臣。緊張感がないんじゃないですか。

 先ほど言いかけた選挙関係実例判例集ですが、これは大臣が解釈権を持っていますよね。これに照らせば、選挙運動に従事する者に対して労務者報酬を払うことはできないと書いてあるわけですよ、同じ日に。例えば、十九日の日にポスターを貼りました、その人は、選挙運動をしていればそこに労務者報酬を払うことはできません、明らかに違反だからですよね。そういうことですよね、大臣、解釈として。払ったら運動員買収の可能性が出てくるということでしょう、この解釈は。どうですか。

寺田国務大臣 個別のケースについての判断は控えさせていただきますが、少なくとも、労務者報酬を払った同じ日、当日に選挙運動を行ったのであれば、その可能性はあるということでございます。

奥野(総)委員 お認めになりましたよね。

 こういう証言が出てくること自体が世の中を騒がせているわけですよ。だったら、全員についてきちんと調べるべきじゃないですか。

 今、ないとここで断言できますか。一切、この方全員が選挙運動をしていない、労務者報酬をもらっている方が選挙運動をしていないと断言できますか。そして、もし後で出てきたら大臣を辞めると今ここで言えますか。大臣、いかがですか。

寺田国務大臣 当然、公示日当日については、私の方は、そうしたポスター貼付事務を労務者報酬を払ってお願いをしている方々と認識をいたしております。

 その他の方々に、これはまだ、今日の発売ですよね、記事等を入手できたのは昨日でありまして、記事に名前が出た方々については先ほども言ったように確認行為を行っておりますが、確認行為はさせていただきます。

奥野(総)委員 じゃ、これは早急に調べて、全員について理事会に報告してください。よろしいですか、大臣。お約束いただけますか。

 そして、今さっき、これはうそをついているよ、議員の方がうそをついているとおっしゃいましたけれども、もし本当に労務者報酬をもらった方がその日のうちに選挙運動をやっているということが判明したら、大臣、辞められますね。お約束いただけますか。

 私は、やはり、総務大臣はこの制度を所管しているわけですよ。きちんと、政治と金を所管している大臣として、そのぐらいはっきり言ってもらわないと、これは疑惑は解けないですよ、大臣。これまで政治と金の疑惑の見本市じゃないですか。これだけいっぱい、幾つあるんですか。数え切れないぐらいの疑惑がいっぱい出ています、これは今日の読売新聞ですけれども。これだけたくさん、ずらずらと疑惑が出ているわけですよ。

 それについて、一つ一つ今も答えが出ていない。もういいかげんお辞めになられたらいかがですか。あるいは、やるというんだったら、きちんとここで言ってくださいよ。これは運動員買収につながるかもしれない大事な話ですよ。こんなことを大臣がスルーして、みんながやったらどうするんですか。

 襟を正していただかなきゃいけない。任にあらずと思います。いかがですか、大臣。

浮島委員長 奥野君に申し上げます。

 持ち合わせの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

奥野(総)委員 会派の中で処理します。

 大臣、最後に、じゃ、一言言ってくださいよ。責任持って調べて、出てきたら、大臣の職を、任にあらず、辞めますと、そのぐらいの覚悟でいるということを言ってください。

寺田国務大臣 しっかりと調べさせていただきます。

 なお、仮定の議論には、個別のことについてはお答えを差し控えさせていただきます。

奥野(総)委員 仲間に質問の時間を譲りたいと思います。

浮島委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹です。

 私からも、NHKの平成三十年度と令和元年度の決算について、先ほど説明をいただきました。それを踏まえて、現在のNHKとそして今後の見通しについて伺いたいと思います。

 まず、前田会長に伺いたいと思いますけれども、当初、スリムで強靱なNHK、新しいNHKらしさを追求ということで進めて、経営計画を立てられましたが、当初は衛星契約の受信料を優先して値下げするとしていた。けれども、それを地上契約と衛星契約を同時に値下げすることになった。改めて、その理由というか、どのような形でそのような大幅な変更になったのか、伺いたいと思います。

前田参考人 お答え申し上げます。

 当初、計画をしたときは、どこまでコストの削減ができるか、それから改革をどれくらいできるか、確たるものがまだ分からない状態で、ただ、基本的にはやはり値下げという形でお返しをしたいということで計画をしたわけでございます。

 多分一年ぐらい前だったと思いますけれども、その時点で申し上げたのは、従来から衛星契約の料金、衛星付加料金という形でいただいているんですけれども、衛星付加料金が割高であるという大変強い御不満がありまして、ここは、NHKの受信料は二階建てになっておりまして、地上の上に、地上契約がないと、衛星だけというのは基本的にできないようになっていまして、その上乗せしている上乗せの二階部分が一階と同じぐらいの高さになっているんですね。さすがにこれは高過ぎじゃないのという意見がありましたので、私は、そこは、高過ぎというところを限られた値下げ財源の中で下げるというのをまず優先すべきだと考えて、昨年の時点では、取りあえず衛星のところを優先して下げたい、ただ、最終的には、将来の収支を見込んだ上で値下げの発表を今年の秋にさせていただきたい、そういうお話をしておりました。

 それから一年ちょっとたちまして、いろいろな改革を進めていく過程で、かなりの部分、改革の先が見えてきましたし、コストの削減のめどもかなりつきましたので、そこまで行きましたので、そうなるとやはり一番契約数の多い地上波のところを何も触らないで衛星だけというよりも、やはり影響の大きいところを含めて両方できれば一番いいのではないか、そう考えて今回の発表になった、そういうことでございます。

道下委員 私の聞くところによりますと、地上波の契約の方も一割削減というのは、今後の見通しが立ったということではなくて、やはりそれまでの総務大臣経験者や当時の菅総理大臣からの一割削減という公約、これを押しつけられたというふうに私はいろいろ聞いているんですけれども、その点についていかがでしょうか。

前田参考人 お答え申し上げます。

 そのような事実はございません。

道下委員 今回のこの値下げ、当初は衛星契約の受信料の値下げによって繰越金から七百億円を値下げの原資として計算をしていたということでございますが、これが倍以上に増えて一千五百億円になりました。結局、その分どこにしわ寄せが行ったかといいますと、先ほどもお話がありましたとおり、災害時の対応の部分の元というか、剰余金、そこにためておいたものが、被災への備えというものの七百億円程度あったものが、急遽そこから地上契約と衛星契約のこの一千五百億円分の穴埋めに使われたというふうに、計算上はそういうふうになりますけれども、いかがでしょうか。

前田参考人 お答え申し上げます。

 基本的にNHKの予算は収支均衡で出しておりますけれども、昨年それから一昨年と結果的に収支はプラスになっていますね。今年も実は収支見込みはプラスになる見込みなんです。そういうのは、結果としまして、やはり支出の削減がそれだけできたということでございまして、それをベースにして引下げ財源にしたわけでございます。

 それから、収支均衡期間が三年間というのは、これは、値下げは恒久的にいたしますので、収支均衡にするためには将来の制作コストのところを収入まで落とさなきゃいけないわけですね。そのために繰越金を使う、そういうオペレーションが必要になりますので、そのオペレーションが必要な期間を横に計算しますと千五百億円となるということでございまして、コストを下げるという意味では、今七千億円弱ですから七百億円以上、一割ぐらいは下げてお返しする、そういうちょっと単年度と収支均衡になるまでの期間という二つの要素がありますので、それがあってそういうことになっているので、何かが要求されたから何かが減ったとか、そういうことではございません。

道下委員 計算上は、私は、そういう災害対応の部分の約七百億円分を今後値下げ分に充てていくということになって、結局、ただ、NHKとしては、災害への備えというものはやはり五、六百億円程度必要ではないか、やはり災害の多いこの日本においては。そういったことを考えますと、そういう災害対応に向けた基金みたいなものをこれからためていくということは、非常に私は、もっと、元々ためておかなきゃいけない、がっつり値下げ分の原資に充てるということは、ちょっと経営上は余り考えられなかったのではないかというふうに思います。

 先ほど会長からは、この受信料値下げは恒久的なものだというふうにお話がありましたので、その点についての質問は割愛させていただきます。

 もう一つ、先ほども、今年の四月から九月の半年間で、受信契約数、当初の見込みの倍の十九万八千件減ったと。半年でですよ。一年で計算すると、当初の見込みよりも四倍のペースで契約が減ってしまったということでありますけれども、この減った原因についてどのように認識をされていますか。

前田参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたが、営業のやり方を、今、全面的に切り替えている最中でございまして、実質、上半期につきましては、訪問による営業はほとんどやっておりません。今、新たな営業の方針を立てて、それで新しい手段をいろいろ開発している最中でございます。

 そういう意味では、確かに減少はしているんですけれども、この減少傾向、これが危機的だとは私は思いません。むしろ、先ほど申し上げましたとおり、やはり本当に納得していただいてお支払いいただくという仕組みにしない限り、NHKの受信料徴求に対する不満とか、視聴者の方が離反するという、逆に大きな問題を抱えておりますので、そちら側を強引にやればやるほどひどいことになるというのは明らかでございます。

 そういう意味で、支払い率が七九%、八〇%というのは、ここはそんなに私は危機的ではないと思います。ただ、この時期にここのベースのところを切り替えませんと、今までどおりの法人営業みたいなやり方をやってしまいますと、それが八〇が八五になるということは僕はあり得ないと思います。要するにマイナス要素が拡大するだけでございます。

 そういう意味で、半年の間で十万件とか減ったのは非常に残念でございますが、全面的に切り替えている最中の件数でございます。そういう意味では、将来の営業努力の部分が全く入っていなくて落ちているというのが実態です。

 それから、実際に今まだコロナがありまして、訪問できるとかそういう状況では全くございませんので、そういう実態の中でこれくらいの件数に私はとどまっていると認識した方がいいと考えています。

道下委員 この訪問によらない営業方法というのは、NHKの内部から提案があったものでしょうか。それとも、これまで前田会長になってから増えたと言われているコンサルティング会社への委託によって、こうした案が出てきたのでしょうか。

前田参考人 お答え申し上げます。

 訪問によらない営業に切り替えたのは、私が決めたことでございます。明らかに、今までの営業のやり方はかなり問題があったということでございます。それで切り替えました。コンサルタントは全く関係ございません。

道下委員 NHKとコンサルティング業者との委託契約については、また後で伺いたいと思います。

 今回、このような大胆な改革を進められている中で、組織のスリム化と人事制度改革ということにも非常に力を入れていらっしゃいます。

 NHK本体とグループの一体改革として、団体の整理や業務委託の一〇%削減、子会社役員の削減が打ち出されております。中間持ち株会社の設立、財団法人についても触れられておりますけれども、具体的にはどのようなことを進められようとしているのか。この統廃合でどれくらいの予算が削減される想定なのか、また、人員整理もあると思うのですが、その具体的な数値も伺いたいと思います。

前田参考人 お答え申し上げます。

 NHK本体とグループの一体改革は、今の経営計画の大きな柱の一つでございます。昨年度から、中間持ち株会社の設立を認めていただいた場合を見据えて、既に様々な取組を進めてまいっております。子会社の役員の削減や委託料の一割削減に対応する体制をつくってまいりました。

 今後は、中間持ち株会社、ただいま総務省に認可申請をいたしておりますが、中間持ち株会社の設立や財団の統合によりまして、これまで以上にスリムで強靱なグループに再構築できると考えております。

 また、財団の統合に関しましては、NHK関連の四つの一般財団法人を合併いたしまして、NHK交響楽団を子会社法人化する計画を作っております。これによりまして、財団五つが実質的に一つになるということでございます。

 いろいろな意味で、財団の統合に関しましては、NHKの社会貢献事業の一つでもございますので、もちろん統合して効率化いたしますが、併せて財団の役員数の削減や効率化などを行う予定であります。

 また、この改革につきましても、人員に関しては、今、少なくとも人員が過剰な状態にはございませんので、人員は今の人員を維持した形でやっていきたいと考えております。

 また、人件費を削減するというのも、職員のモラルの問題もありますし、必ずしも職員の給与が高いということではございませんので、ここはむしろ、そういうモラルダウンするような形の削減は避けたいと考えております。

道下委員 会長も、人件費というか、人員削減等には手はつけないというお話をされたというふうに思いますが、ただ、五十歳以上の、五十歳代等の早期退職だとか、そういったところで、技術を持っておられる方々の、それらが若手職員の方々への育成だとかに、これは結構影響を受けているだとか、やはり職員の皆様においても、そういったことは非常に不安というか危機感を持っていらっしゃいます。

 組織としてのスリム化は分かるんですけれども、私はそこで、若い方も中堅の方もベテランの方も、それぞれ思いを持って誇りを持ってNHKの中で仕事をされているわけですから、そういったことを、五十代とか上の方々の早期退職だとか、あとは、特に人件費も含めて、こういったところには私は行うべきではない。これは様々な、NHK以外の組織を見ていても、やはりそこで働く方々の不安が増えるということだと思いますので、その点については、是非そうしたことを踏まえて改革を進めていただければというふうに思います。

 次に、ラジオの停波とコンテンツについて伺いたいと思います。

 ラジオの停波について、今現在、AM第一、第二、それからFMの三波ありますけれども、二〇二五年度に、先ほどもAMとFMの一波ずつの二波に縮小を検討しているということでありますけれども、これは、それでまずよろしいのか、ちょっと担当の理事の皆さんから伺いたいと思います。

林参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、音声波につきましては、二〇二五年度に現在の三波からAM、FMの二波へ整理、削減する方向で検討を進めております。

道下委員 私も、テレビとともにラジオを車の中で、車を運転しながらだとか聞いておりますけれども、私は、このNHKのラジオというものは、それぞれ役割がしっかりとあって、それを、そう思って視聴者は利用している、視聴しているというふうに思います。

 視聴者数は少ないかもしれませんけれども、ラジオの第一、それから第二、それからFM、特に、私が思うには、第一はニュースとスポーツ、それから第二は教育や文化、そしてFMは音楽が、結構そういうふうに、リスナーも非常に分かれていると思うんです。私はそれを、例えばAMを一つにするということは考えられない。その分、コンテンツが、今まで作っていたコンテンツが半分になるというふうに思ってしまうわけですね。だから、そういった点では、縮小、停波というのは私は進めるべきではないというふうに思っております。

 ただ、しかし、二〇二五年に縮小することを検討しているということでありますが、会長、放送と通信の融合ということで、そういった今まで作ってきたことを、ラジオの波ではなくて、ネットでの配信、例えば語学に関しても、今は、何時から、そして再放送が曜日の別の時間帯に流れているということもありますが、それは、それをいつでも聞けるように、NHK・フォー・スクールのようにいつでも見られるようにしようとも考えておられるのか、どのようなことの検討内容なのか、伺いたいと思います。

前田参考人 お答え申し上げます。

 二〇二二年度の改定から、ラジオ第二で放送いたします語学番組の一部をFMに移設する取組を進めております。来年度以降も、段階的にラジオ第二のコンテンツの移設を検討しております。また、ラジオ第二の教育コンテンツは、NHKゴガクやNHK・フォー・スクールなどのインターネットサービスでの配信も行っております。

 今後も、伝送手段を変えて、質を落とさない形でサービスを続けていく、そういう工夫をして、今の利用者の方の利便性を損なわないようにするというのが大前提でやりたいと思っております。

道下委員 今御説明ありましたけれども、私は、三波体制で行うべきだというふうに主張させていただきます。

 なお、教育コンテンツニーズ拡大への対応について、今ほどもありましたけれども、NHK・フォー・スクール、私は、こういったこととともに、子供たちにそれぞれの地域の郷土の歴史や情報を知ってもらうことが大変重要だというふうに思っていますので、都道府県や地域ごとに学べるコンテンツ作り、こういったものを是非進めていただきたいというふうに、これは要望させていただきます。

 次に、コンサルタント企業への委託契約について伺いたいと思います。

 前田会長は、業務委託費の削減を目指す一方で、会長就任以降の二〇二〇年と二〇二一年、大手コンサルタント企業と契約した金額が毎年上がってきております。それで、このコンサルタント経費というのは受信料が原資だというふうに思いますが、このコンサルタント契約について、理事会で決定されて、そして進められていることなんでしょうか。また、コンサルタント委託をして、その成果というものはNHKの経営にどのように生かされているのでしょうか。

 私は、そういう外部からの意見も必要だと思いますが、NHKには放送文化研究所というものがあるというふうに承知しておりますので、そういったところは利活用しているのか、伺いたいと思います。

前田参考人 お答え申し上げます。

 コンサルティング会社との契約につきましては、いろいろな部署がございますので、それぞれ部署の責任者が、一件一件、内容と業務上の必要性を十分に検討した上で行っております。

 こうしたコンサルティング業務などの役務提供を受けている契約の情報につきましては、百万円以上を超える契約内容につきまして、NHKのホームページで、これくらいのボリュームで毎年開示をさせていただいております。

 コンサルの使い方でございますが、私も銀行にいましたので、必要なコンサルは使った方がいいと考えております。ただ、NHKに来て考えましたのは、やはりNHKは放送が中心でありますので、コンサル、それ以外のところでいろいろな知見が全てあるということはございませんので、例えばシステムを改修する、そういうときに、しっかりとやはりシステムコンサルの意見を聞いて一番いいものにするということをやらないと、コストが逆に上がるというケースがございますので、ここにつきましては、やはり必要なものをしっかりと使うということについては私は否定をしておりません。

 そういう意味で、金額が幾ら、多くなったとか少なくなったとかそういう判断をするよりも、個別の、コンサルというのは仕事の中の一部でございますので、そのコストを、その仕事を通し費用対効果でどうなるか、そういう判断をすることが重要だと思います。

 そういう意味で、コンサルの金額だけを理事会にかけるとか、そういうことはございません。

道下委員 コンサルタント委託を否定するものではありませんけれども、先ほども会長がおっしゃったように、人員が余っているというわけではない。実は足りないという中で、そうした、外部に委託する、そしてそれについて報告が出されて、それについて動くということは、また一手間かかっちゃうんですよね。そういった意味では、なぜ、内部からの様々な意見というものが反映されているのかということで、組織の内部の方々は、ちゃんと会長のように、コンサルからの報告を受けて、それで取捨選択して、いいものはいいと使えればいいですけれども、私は、内部の方々からのお話では、それらはもう出されたらそれに従わざるを得ないというような状況に陥っているというふうにも伺っております。

 もう一つ。

 ちょっと先ほどは決定事項とはおっしゃってはいないんですけれども、森下経営委員長にお越しいただいているので伺いたいと思いますが、こうした、前田会長の下でコンサルタント委託契約が増えていることについて把握されているのか、また、決定、了承をチェックされているのか、伺いたいと思います。

森下参考人 お答えいたします。

 個別の支出につきまして、説明は特にありません。

 経営委員会は、放送法二十九条一項二号の役員の職務の執行の監督の役割を果たすために、NHKの支出について、決算や中間決算、四半期業務報告等で確認を行っております。さらに、NHKとの関連団体の取引の公表に際し、NHKと外部との契約の状況について報告を受けて内容を確認しております。

 一方で、放送法三十二条にあるように、経営委員会は協会の業務を執行することはできません。個別の支出は執行の中身に関することでありますので、執行部などが確認していると認識しております。

 以上、お答えいたしました。

道下委員 私は、NHKというのは受信料によって賄われているわけであって、それは、先ほども他の委員の方々が、お話あっていますけれども、やはり国民からの意見を求めなきゃいけないんですよね。それを、私は、外部コンサルから、特に、毎年上がっている委託料で外部からの意見を求めるということは、ちょっと私は行き過ぎではないかと。

 会長任期三年間の中で大胆な改革への道筋をつけて断行しなきゃいけないということで、そういう意欲は、前田会長、お持ちだと思いますが、ただ、その一方で、波紋や反動もあるというふうに思います。スリムで強靱な新しいNHKらしさの追求を急ぐ余り、NHK組織内部から混乱をしてしまうかもしれない。視聴者、ひいては国民全体から信頼され、親しまれるNHKとは私は乖離してしまうのではないかと非常に一部危機感を持っています。

 訪問によらない営業等によって契約数が減ってしまっているということも私は影響しているのではないかというふうに思っておりますので、その点、会長、先ほどは時期については何もおっしゃられませんでしたけれども、二〇二七年まで、だから、あと二期分、ずっとこの赤字経営というか厳しい経営が続くわけですので、そうしたことも踏まえて、この三年間で取り組んでこられたことが、ほか、後々に悪い影響を与えないようにということで進めていただきたいというふうに思っております。

 そうした、NHKなんですけれども、これまで過労死が非常に多く、多くというか、過労死の案件が、二〇一三年と、先日も二〇一九年にありました。

 この二〇一三年七月の女性記者の過労死事件について、二〇一四年五月に渋谷の労働基準監督署が過重労働が原因であったと認定したにもかかわらず、NHKは二〇一七年十月まで公表しませんでした。

 その理由を伺うとともに、これは、なぜ過労死事件を防げなかったのか、是非伺いたいと思います。

安保参考人 お答え申し上げます。

 二〇一三年七月の、女性記者、佐戸未和記者の過労死についてです。

 当初から、代理人の弁護士を通じて御両親は公表を望んでいないと聞いており、協会として極めて慎重な対応が必要であると認識しておりました。

 御両親が公表を望んでいると協会が承知しましたのは、二〇一七年七月下旬の弔問以降のことでございます。娘の死を風化させてほしくないという御両親の思いに真摯に向き合うとともに、働き方改革を進める必要があると判断し、二〇一七年十月四日に公表させていただきました。

 当時の記者に対しては、制度上、勤務状況に応じた十分な健康確保措置を実施していませんでした。二〇一三年に佐戸未和さんが亡くなったことをきっかけに、記者の勤務制度を抜本的に見直し、NHK全体で働き方改革を進めてまいりました。首都東京の様々なテーマを幅広く扱う都庁クラブでも、記者を増やし、キャップをサポートするサブキャップを置くなど、様々な対策を取ってきたところです。

 ただ、今回、二〇一九年十月に、同じ職場、都庁クラブで取材キャップが亡くなるということになり、極めて重く受け止めております。

 今年十月からは、都庁キャップが十分に休養できるように、休日にはキャップの経験者を都庁クラブに派遣するなどし、体制を強化しております。

 都庁クラブだけでなく、全ての職場で長時間労働を抑制し、働く者の健康を大切にしていくことが重要だと考えております。一人一人の職員が心身健やかに働ける職場づくりを進め、再発防止を徹底してまいりたいと考えています。

道下委員 今後の再発防止にもお話がありました。そのように是非進めていただきたいと思いますが、NHKは、一九八〇年度以降六千人以上の要員削減を行っており、当時と比べても約六割程度となっております。近年は業務量が増加しており、若干の増員とはなっておりますけれども、やはり業務量が非常に、コンプライアンスの遵守だとか、非常に多くなっていると思います。

 最後に、NHK会長に伺いたいと思いますが、適正な職員、要員数についてどのように考えているのか、働き方改革をどのように実現していこうとお考えなのか、伺いたいと思います。

前田参考人 お答え申し上げます。

 NHKは、一九八〇年度以降、効率化を進めてまいりまして、これまでに六千六百人余りの要員を削減いたしました。この間、子会社等の従業員は四千九百人程度増加いたしまして、グループ全体では千七百人程度の減少となっております。単に業務を子会社に移すだけでなく、既存業務の見直しなどを行いながら、地上デジタル放送やBS、4K、8Kなどの新規の業務に対応してきたところであります。

 NHKは、受信料で成り立っておりますので、そういう意味では、スリムで強靱な体制で仕事をする必要があると考えております。そういう意味で、いろいろな改革をしながら、働く人々が健康に働ける、これを最優先の組織にしていきたいと考えております。

道下委員 終わります。

浮島委員長 次に、神谷裕君。

神谷委員 立憲民主党の神谷裕でございます。

 本日も質問の時間をいただき、本当にありがとうございます。

 最初に、若干、先ほどの奥野委員の質問に絡んで、何点か寺田大臣に確認をさせてください。

 先ほどの質問の中で幾つかあったんですけれども、初日だと思うんです、ポスターを貼付するということであれば。従来から、何度か選挙をやられていると思うんですが、ポスターの貼付に関しては、こういうような形で、労務者としてお金を支払ってやっていただくというのがこれまでのやり方なのか、あるいは違うのか、ちょっとそこを確認させてください。

寺田国務大臣 選挙の初日、どこの場所にポスターを貼付をするのかというのが決定し次第、労務者報酬をお払いして、何人かの方にポスターの貼付をお願いをしております。

神谷委員 ということは、このやり方は、今回の選挙だけじゃなくて従来の選挙でもやっているということでよろしいんですね。

寺田国務大臣 はい。お願いする方々はその時々でございます。

 先ほども奥野委員の答弁で申し上げたとおり、非常に選挙区も島嶼部、郡部含めて広いもので、ほとんどは初日に終わるのでありますが、ちょっと遠隔地においてなかなか間に合わないこともございますが、ほぼ初日にそうした作業をお願いしていると思います。

神谷委員 多分相当な枚数があると思うので、いろいろな方にお願いしていると思うんですけれども、今回みたいに議員の方にも、同じようにこれまでもお願いをしてきたということでよろしいですか。

寺田国務大臣 議員の方あるいは元議員の方含め、お願いをしたことはあろうかと思います。割と私の最初の選挙の頃は、そうでない方がやっていただいていたと思いますけれども、だんだん、やはり高齢化で引退をされたりして、お手伝いをしていただく方も減ってきた中で、一部、そうした議員の方のお願いもあったかと思います。

神谷委員 そういった議員の方には、これまでも同じように、ポスターを貼付していただくに当たって報酬というか対価というのをお支払いをしていたんでしょうか。

寺田国務大臣 労務者報酬としてお払いをしている方はもちろんあったと思いますが、もちろん自主的にこの地域でやっていただいていた方もあるかもしれませんが、お払いをしていた方もあろうかと思います。

神谷委員 もちろん、全てとは思いません。中には非常に、頑張れよと言ってくれて貼った方もいらっしゃると思うんですけれども、そうでない方、要は、でも、これを見ていると、大体一枚当たり幾らみたいな形でお願いをしてきたのかなとも思うんですけれども、大体こういうふうに、一枚三百円ですかね、換算すると。その対価を支払って、ほとんどの場合、まあ、こっちを払ってこっちは払わないというのはなかなかないのかなと思うんですけれども、これまでも同じように、金額は多少違うかもしれませんが、同じようなやり方をやってきたということでよろしいですか。

寺田国務大臣 先ほども言いましたとおり、一部の方は、別に、いやいや、厚意であるから要らないよという方もおられたやにお伺いしておりますが、最近の例では労務者報酬の形でお払いをしておろうかと思います。

神谷委員 何度も確認して恐縮ですが、そういった皆さん方は、本当に、その当日なのかどうかは別にして、まあ当日なんでしょうけれども、全く選挙運動をしていなかったと、改めて大臣、これは言い切れますでしょうか。いかがでしょう。

寺田国務大臣 選挙の、当然、ポスターを貼る作業というのは初日になります。初日にできるだけ貼っていただこうということでお願いをするわけですが、それはあくまで労務者報酬を払っている方々でございますので、私の認識としては、そうした方々は選挙運動には従事をしていないものと認識をしております。

神谷委員 私も何回か選挙に出ましたので申し上げますが、初日は大体忙しいですよね。大変にいろいろな作業が一気にやってまいります。そういった中でお願いをした部分もあるのかと思いますけれども、初日はやはり大事な、選挙運動のまさに初日ですから、いろいろなことが出てきます。

 そういう中で、議員という方々は、恐らく、コア、核になる皆さんですから、こういう皆さん方がポスター以外のことで全く何もやっていないとは正直思いにくいんですが、本当にこの部分、大臣は大丈夫だと言い切れるのかどうか。もう一度そこだけお話しいただけませんでしょうか。

寺田国務大臣 先ほども申しましたとおり、かなり広い地域について多くの作業をしていただくことをお願いしているわけで、かなりの時間と労力を要します。

 したがって、初日についてそうした労務者報酬を払ってお願いした方々は、もうそうした作業で手いっぱいなのも実情ではないかというふうに思っております。

 先ほど奥野委員の御質問もございましたが、若干名について確認させていただいたら、そうした確認は取れておりますが、残りの方々についても確認をさせていただきます。

神谷委員 そうしますと、やはり心配なんですよ、議員の方に関しては。だから、できれば、こういう方々に関しては報酬を支払わないでやっていただいた方がよかったんじゃないかと私自身は思うんですけれども、大臣、これはいかがですか。

寺田国務大臣 もちろん、選挙の初日の作業でございます。それは、二日目以降はもちろん、議員さんの場合、そうした選挙運動に係るということはあろうかと思いますが、初日というのは、ほとんど、やることというと、選挙運動としては出陣式を何か所かやります。そして、私自身がほぼ選挙区を一周するような、私自身が乗って街宣活動を行う、選挙運動を行うというのが選挙運動の主体でございまして、そうした意味で、当該報酬を払った議員さんについては、例えば、そうした選挙運動からは除外をした形でもって選挙事務所も対応しておったかと思います。

 もちろん、議員さんについて無報酬でやってくれということは、それは不可能ではないと思いますが、ちゃんとそこは自覚をし、そうした選挙当日については、初日については選挙運動を行わないということであれば、大変な作業でございますのでお願いをすることもあろうかと思います。

神谷委員 議員の方々は、恐らくコアな、中心になるメンバーだと思うんです、選挙運動においても。そういう大事な、中心になる皆さんですから、こういった、大臣の運動に非常に後で誤解を招くようなことにならないことが大前提だと思うので、できることであれば、やはり、議員の方々に対しての報酬は支払わない方がよかったんじゃないかなと私自身は思ったりもするものですから、そういうような申し上げ方をしたのですが。

 ちなみに、多分、その日一日かけていろいろなところをお回りになる、大体選挙区を一周されると思うんです。その際に、多分、誘導していただいたり、あるいは先導していただいたり、いろいろやっていただくと思うんですけれども、例えば、先ほど、初日に当たっての集会なんかもやっているというようなお話でございましたが、本当に、その集会に人を動員をしたり、声をかけたり、あるいはその先導車に実際に乗っていただいて行動をしたりとか、そういったことも含めて、こういった皆さん方が全く触っていなかったのか、これまで。そこは、ちょっと本当にそうなのかなというのが偽らざる疑問なんです。

 そこはもう一回確認をいただいて、そして、つまびらかにされるべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょう。

寺田国務大臣 先ほども申しましたとおり、初日は私自身が宣車に乗って選挙区内を回る。集会というか出陣式ですよね、出陣式を何か所かで行います。その時々の選挙で、二か所であったり三か所であったり違うわけでございますが、そうした出陣式のメンバーには労務者報酬を払った方々は入っておりませんし、奥野議員もおっしゃった、その記事に、先導をしたという方にも確認をしましたら、その日ではなかったというふうなことでございまして、先導メンバーも、昨日私も当時の選挙の運行表を見ましたけれども、労務者報酬を払った方は先導車グループには入っておられませんでした。

 したがって、そこはきちんとこれまでもやっていたかと思いますが、先ほども答弁したとおり、その他の方々についても確認をさせていただきます。

神谷委員 大臣、その方、先ほどの奥野さんの質問にあったその方だけの問題ではなくて、これまでの何回もの選挙をやっておられると思うんです。

 そういった中で、そういった議員の方もいらっしゃったと思うし、中には、初日、ポスターの貼付に御協力いただいた大事な支援者の方というか議員の方もいらっしゃったと思うんです。そういう方々全てにわたって、やはり、選挙運動をしていなかったかというのは、なかなか言い切れないんじゃないかというのが本音です。

 なかったと信じたいところではありますが、一方でいえば、なかなか、あれだけ大勢の方を、まあ、今回の選挙においては数人かもしれませんけれども、大勢の方がこれまでも関わってきたと思いますし、そういった方々全てが本当に大丈夫だったのかというのは、非常に心もとないなというふうに私自身は思いますので、勘ぐりと言われればそのとおりかもしれませんが、職責が職責でございますので、そこはもう一度しっかりと確認をいただきたいと思いますし、問題ないのなら問題ないということで高らかに言っていただきたいと思いますし、まずは御確認をいただけないでしょうか。そしてまた、当委員会でしっかりと御報告をいただけないか、そのことを申し上げたいと思います。いかがでしょう。

 委員長、理事会でお取り計らいをいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

浮島委員長 理事会で協議いたします。

神谷委員 大臣、いかがですか。そういったことで、しっかりと御答弁いただけますでしょうか。

寺田国務大臣 先ほども答弁したとおり、まず、前回の選挙ですね、昨年十月三十一日に行われました第四十九回の衆議院の総選挙については、そこで労務者報酬対象の記載となっている議員については確認をさせていただきます。

 過去の選挙については、恐らく、もうなくなりになっている方もおられます、議員という意味では。あるいは、同じ名前、同じ議員の方もおられようかと思いますが、ちょっと、過去の選挙まで遡るとなると、かなりの確認の時間を要することにはなろうかと思いますが、そこは可能な範囲でやらせていただければと思います。

神谷委員 是非よろしくお願いいたします。

 総務大臣という職責が職責でございますので、ここは襟を正していただきたいと思います。そして、総務大臣という職責でございますから、何かあったときには、やはりお覚悟を決めていただきたい、そのことは申し上げたい、このように思います。

 それでは、NHKの質問の方に入らせていただきたいと思います。

 私も、ちょっと受信料のことについて伺いたいと思います。

 先ほど同僚議員からも同じような質問があったかもしれませんが、そこは御容赦をいただきたいと思います。

 まず、受信料の値下げについてでございます。

 先ほど、同僚の議員からも、道下議員からもありましたけれども、何か値下げありきの議論が先に来ていたような気がいたしております。特に、政府による値下げ議論が先行したんじゃないかというふうに思っていまして、私自身、値下げそのものは、あるいは国民の皆さんや、あるいは放送を見ていただいている皆さんにとってはいいことなのかもしれませんが、もう一方でいいますと、政府が先に言ったとするならば、公共放送です、あくまで政府からも独立をしていなければいけない存在としては、いささか問題があるんじゃないか、このように思うわけでございます。

 だとすれば、もしも、政府から言われたからとか、何らかあったということであれば、非常に独立という意味で、やはりNHKは国民の皆様のためのものであって、政府から言われたということで動いてはいけない組織だと私は思いますので、この辺の点について、改めて、NHKの会長それから総務大臣からも、お話をいただけたらと思います。

前田参考人 お答え申し上げます。

 政府から言われたことはございません。

寺田国務大臣 NHKに対しては、これまでも大臣意見において、業務、受信料、ガバナンス、この三点について、三位一体改革に取り組んでいただきたいということは意見でも表明をしております。

 今回、NHKが公表された受信料の値下げ案は、NHK御自身が、この三位一体改革の重要性を十分に御理解いただき、その一環として自主的、主体的に取り組まれたものと承知をしております。

神谷委員 非常に、NHKの、独立とは言いませんけれども、やはり、政府に言われたから、時の内閣に言われたから、あるいは様々な政権の圧力ということによって動いてはいけないと思います。

 だからこそ、国営放送ではなく公共放送です。受信料という形で多くの皆さんに支えていただいているNHKであるということは、もう言わずもがな、会長、よく御存じだと思いますが、だからこそ、この一割というか受信料の値下げということに当たって、政府から言われたということでやってはいけないと思いますので、結果は下げになったのかもしれませんけれども、そこは十分に考えていただかなければいけないことだと思いますので、今般、この質疑に当たって、あえて言わせていただきました。

 また、公共放送ということでいうと、あまねく伝えるということが極めて重要だと思います。

 あまねく伝えるということで、地域インフラへの投資を強化するというふうにはうたっていただいておりますけれども、現実には、地方の放送局は再編が進んでいるように私には見えます。

 残念だけれども、これでは地方の取材力が縮小するんじゃないかということが非常に懸念されるわけでございますし、これでは地方の発信力が減ってしまうんじゃないかと、私自身大変な懸念をしているところでございます。

 もちろん値下げも大切なんですけれども、こういった地方のインフラというのか、地方の声を支える原資とするべきだったんじゃないかなと私自身は思っておりまして、この辺について、前田会長の御所見をいただけたらと思います。

前田参考人 私も前から申し上げておりますが、私も地方の出身でございまして、NHKは、やはり東京一極集中がやや進み過ぎた、元々そういう認識であります。出しているニュースの量もそうですし、地方からの発信は少ない。私が実績を調べた限りでは、やはり、東京発が七割、地方発が三割なんです。

 私は、会長になってから、やはり五分五分じゃないのと。全国でネットワークを張ってやっている、そのうち地方の部分が三割というのは幾ら何でも少ないということで、五分五分ということでございます。

 今の中期経営計画を作る過程でも、地方局につきましては、予算についてはむしろ増額をしております。それから、地域支援局という、今まで室だったのを局に格上げいたしまして、地域の人材の育成、それから予算をつける、そういうのを含めて専門の局をつけまして、人材の育成等を強化する、そういう方針に切り替えました。

 それから、取材力に関しましても、地方の再編は、技術とか、要するに技術統合ができる部分についてはやっていますけれども、取材のところを減らすというのは、私は本末転倒だと思いまして、そこはむしろ減らさないということでやっていますので、そこら辺の御懸念はないようにしたいと思っております。

 あと、実際に出すニュースも、東京から出すのをそのままやった方がコストは安いに決まっているんですけれども、地方の方から見ますと、地方のニュース、何でこんなに少ないのという、元々そういう不満があるわけですから、これはやはり、しっかりと出すという、そういう体制に切り替えたいと思っておりますし、これからも、そういう意味で地方からの発信を強めていきたいと思っています。

神谷委員 前田会長、ありがとうございます。

 ただ、地方でも、私、北海道ですけれども、北海道でも地方です、札幌ではありません。やはり、札幌一極集中とは言いませんが、地方においても集中が進んでいるということも、これは現実でございまして、私が懇意にしていた地域の記者が札幌にやはり異動になりました。そういったことも現実としてあります。

 だから、地方発信でも、地方でもまた集中みたいなものが起こっているんだということも、是非頭の片隅に置いていただいて、地方の声をどれだけ拾ってどれだけ発信していただくか、是非このまま続けていただきたいと思います。

 それから、次なのでございますが、インターネットを活用したサービスについてなんですけれども、テレビ視聴者との負担の均衡の観点から、将来的に、このインターネットの方々に対しての受信料や利用料のような負担を考えておられるんでしょうか、この辺はいかがでしょうか。

前田参考人 公共メディアといたしましては、正確で信頼できる情報や、多様で質の高いコンテンツをインターネットを使っていつでもどこでもお届けするという重要性は、これまで以上に高まっております。

 現在の放送法では、NHKのインターネット活用業務は放送の補完という位置づけになっておりまして、放送と通信の融合が進んでおる海外と比べますと、社会の現状にやや合わなくなっていると感じております。

 そういう意味では、放送と通信の融合の時代にふさわしい受信料の在り方が必要だと思いますが、今時点で、このインターネットのところでまた別の受信料をいただくとか、そういうことは考えておりません。

 いずれにいたしましても、この部分につきましては、やはり国民的なコンセンサスが必要だと思いますので、それがなければ、この部分だけで利用料をいただくというのは、私は難しいと思っております。

神谷委員 そこはいろいろ問題があるのかなとは思いますが、やはり受信料を払っている方にしてみると、インターネットを見ているだけだったら無料なんだよねというところについて、どこまで納得いくのかなということがあるので、やはりそこは少し考えていただかなきゃいけない部分なのかもしれません。

 続いてなのでございますが、総務大臣の平成三十年度の指摘事項の中に、このインターネットのことも含めてなんでしょうけれども、放送をめぐる社会環境は大きく変化を遂げています、単に従来の延長線上の取組だけでは、中期的には、協会が公共放送の担い手としての役割を十分に果たすことができないのではないかと、これは大変な指摘だと思います。

 この指摘を受けてのNHKの取組はいかがでございましょうか。

前田参考人 この御指摘は、そのとおりだと思います。

 私は、これまでどおりの業務のやり方、組織、体制では、放送をめぐる社会環境の大きな変化に対応できないと考えておりますので、業務、受信料、ガバナンス、いわゆる三位一体改革を進めることがまず第一だということで取り組んでまいりました。

 今回の値下げも、ある意味で三位一体改革の一つの成果でございますので、こういう形にして、スリムで強靱、こういう形にしないと、多分、未来の永続可能なNHKにはならないと思います。そういう形に持っていきたいと思います。

 民間の放送会社は、二〇〇〇年のあの頃に既にスリム化という方向で一回、バブル崩壊後、かなりスリム化しているんですね。NHKはそういう機会がなかったんですよね。結果として、すごく業務量が増えまして、逆に肥大化という批判を受けたわけです。これは必ずしもNHKにとっても望ましいことではなかったと思います。

 やはり、社会全体、世帯数も減るわけでございますので、その中で生き残っていって、かつ二元体制を維持するためには、やはりスリム化して、しっかりとNHKが求められている仕事をするという、そういう方向に切り替えていく必要があると私は考えております。

神谷委員 それを受けての構造改革なのかなというところは理解をするというか、そうなのかなというふうには思うところでございますけれども。

 ただ、構造改革そのものは否定はいたしませんが、その構造改革の結果として、番組作りであるとか、あるいは人員というか人間のところにしわ寄せが行ってはいけない、これは当然思うわけでございます。そこはしっかりやっていただかなければいけないんですけれども、ここについて改めて確認をさせてください。いかがでしょう。

前田参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございまして、私は、番組作りとか、そこら辺にしわが寄ったら、何のための改革か分かりません。

 実は、今、働き方改革そのものを一生懸命やっている最中なんです。これはやはり、放送、番組を作るということは、かなりの数の方がチームでやっておりまして、チームでやっておりますと、その中でやはりしわが寄るんですよね。しわが寄らないような仕組みにするということが実は働き方改革の一番重要なところなんです。

 そのためには、やはり、仕事の工程が見えるようにする、どこにしわが寄っているか分かるようにする。要するに、職人技に全部任せない。やはり分かるようにしてやるということが僕は大原則だと思います。

 そういう意味で、今まで、そういう工程表を作ったり工程管理をしていなかったんですが、そこはかなり見えるようにしましたので、そうすることによって、要するに、特定の個人にしわが寄るとか、業務全体が、ボトルネックで、どこかが止まると全部止まるとか、そういうことにならない仕組みをつくっている最中です。

 もうちょっとお時間いただきたいと思いますが、委員御指摘のとおりでございます。

神谷委員 是非そこはお願いをしたいと思います。

 そういった中で、この構造改革とは関係ないというふうに信じておりますけれども、残念ながら、過労死の話が出てきたところでございます。そういったところにも是非注意をしていただきたいと思いますし、私の時間はこれで終わりますので、これまでとさせていただきますが、是非この構造改革をいい方向に進めていただきたい、そのことを申し上げさせていただいて、また、本来準備していた質問をできなかったことをおわび申し上げさせていただいて、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

浮島委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、NHK平成三十年度決算、令和元年度決算についての質疑ということで、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず冒頭、この決算の審議の在り方について質問をさせていただきます。

 本日、両年度の決算を審議するわけでございますけれども、本日の御説明にあったとおり、放送法に基づきまして、NHKは、事業年度経過後三か月以内に総務大臣に決算を報告、提出することになっており、七月に内閣より会計検査院に送付され、検査を行った後、十一月に内閣に回付されることとなっております。

 本来、NHK決算についても、各年度の決算審議を行ってから新年度の予算審議ということが望ましい審議の在り方であると考えます。ただ、先ほど述べたように、放送法によりまして、国会提出の時期の関係で現在のような審議になっていると承知をいたしておりますけれども、この時間的なずれというのは、刻々と変わる公共放送を取り巻く環境変化の中で、経営方針に対しても適宜適切なタイミングで国民の声が伝わらないことにつながるのではないかと考えます。寺田総務大臣の御見解をお尋ねをいたします。

寺田国務大臣 委員御指摘のとおり、NHKの決算については、放送法七十四条の規定に基づきまして、NHKが事業年度経過後三か月以内に総務大臣に提出をする、そして、例年ですと六月末のタイミングで提出をされます。その後、御指摘のとおり、内閣が会計検査院に送付をし、会計検査院の検査を経て十一月に総務大臣に回付をされ、十二月頃に国会の提出とされております。そうしたスケジュールでございます。

 こうしたスケジュールを踏まえた上で、時間的制約の中、NHKの予算の審議、またNHKの決算の審議の日程については、当委員会、総務委員会の場において適切なタイミングで御判断をいただいているものと承知をいたしております。

 もちろん、一般論で申し上げれば、この決算の審議もより早い方がよろしいかと思いますが、NHKの決算の内容自体は、例年六月末に総務大臣に提出をされたタイミングでNHKの方からも公表されていると承知をしておりまして、その時点で国民あるいは視聴者からの御意見がNHKの方にも寄せられているというふうにお伺いをしておりますので、またこの委員会運営においてタイミング等も御判断賜ればと思います。

西岡委員 今総務大臣から御説明のあったような事情もあるというふうに思いますけれども、できるだけあるべき姿に近づける方策というもの、ちょっとどういう形が一番いいのかということについては私自身も今この場でお答えを申し上げるところまで行っておりませんけれども、是非、引き続き、この件に対しても御議論をいただきますように、よろしくお願いいたします。

 引き続きまして、放送と通信の融合が進む中での今後のNHKのインターネット活用業務の在り方について質問させていただきます。これまでの質問と若干同じような質問になるかと思いますけれども、どうぞお許しをいただいて、よろしくお願いいたします。

 テレビを全く、またほとんど見ない方を対象としたNHKのインターネット活用業務に係る社会実証の第一期が行われまして、先般、報告書が出されました。第二期も予定をされていると聞いておりますけれども、有識者会議においても九月から議論がスタートしております。

 報告の結果を踏まえまして、インターネット活用業務の在り方について、公共放送の役割としての視点からどのように考えておられるのか、NHK会長の見解、そして寺田総務大臣の見解をそれぞれお伺いをいたします。

前田参考人 お答え申し上げます。

 インターネット活用業務の社会実証は、放送と通信の融合が進む中で、公共メディアとしてインターネットを通じて番組や情報を届ける意義や役割を検証するために、テレビを日常的に利用していない方を対象に実施いたしました。

 第一期は今年の四月から五月にかけて実施し、NHKに期待される役割を、正しく理解が深まり気づく、知識が広がりつながる、簡単に必要な情報が見つかるという三つの機能と、七つのサービスを検証して、それぞれの検証項目は高い評価が得られました。これは裏返しますと、インターネットにつきまして、これまでのNHKの取組が不足しているという御指摘だと受け止めております。

 NHKが主として放送で果たしてきた、命と暮らしを守り、正確、公平公正で信頼できる情報や、多角的な視点からの深みのあるコンテンツをお届けするという役割を、そういう意味では放送とインターネットを連動して、これまで以上に果たしていく必要があると考えております。

寺田国務大臣 現在、若者のテレビ離れあるいはインターネットの動画配信サービスの進展など、放送を取り巻く環境は大きく変化しております。

 こうした状況を踏まえ、NHKにおいては、公共放送における放送番組のインターネット配信の意義あるいはニーズを検証するための社会実証を実施をされました。

 NHKが行いますインターネット配信については、NHKが実施をしたアンケートでもおおむね好意的な反応があったようにお伺いをしておりますが、総務省においても、御指摘のように、本年九月から有識者会議を開き、三位一体改革を進める中で、NHKの今回の社会実証の結果も踏まえながら、インターネット活用業務の在り方など、あるべき公共放送の姿についてしっかりと検討を進めてまいります。

西岡委員 ありがとうございます。

 インターネット時代の公共放送の役割につきましては、海外においても様々なモデルがありますけれども、これまで質疑の中で様々な委員からも御指摘があっているとおり、放送と通信の融合が進み、一方、インターネット上からの様々な情報を得る世代が増える中で、様々なフェイクニュース等の情報が多くあふれる中で、インターネット上の信頼ある情報提供ツールとしての役割というものは大変重要なものがあると考えております。

 業務拡大については、民間事業者からの懸念の声も踏まえて、慎重に、その方向性については国民や視聴者の理解を得ることができる結論を是非導いていただきますように、引き続き、御期待をして、お願いを申し上げたいと思います。

 引き続きまして、受信料引下げについて質問させていただきます。

 来年十月から行う受信料の引下げの具体策が発表され、当初の想定よりも対象を拡大して値下げが決定をされました。先般行われました民放連の大会において、NHK会長からは、過去にない規模の値下げを実現できた、今後NHKが肥大化することはないという御挨拶をされたというふうに聞いております。

 再度の値下げを考えておられるのかどうか。また、受信料減収が見込まれることから、今後数年間の収支の見込みについてどのような見通しをお持ちであるか。また、一方、番組の質を担保するということも大変重要なことだと考えますけれども、NHK会長に見解をお伺いをいたします。

前田参考人 お答え申し上げます。

 今後の収支の見通し、財政安定のための繰越金、いわゆる剰余金の残高等を勘案いたしまして、なるべく視聴者の皆様に負担軽減を感じていただくために、踏み込んで今回の値下げ案を提示させていただきました。現時点では最大限の値下げだと思います。

 ただ、NHKは収支均衡予算が大原則でして、プラスが生じた場合に繰越金で積み上がるんですけれども、今年度以降は、繰越金でプラスが生じた場合のお金の中で、要するに必要なもの以外、以外というか、お返しできるものは、むしろ受信料を還元する勘定科目としてそこに入れるということにしておりますので、今回の値下げはかなり大幅なので収支均衡するのに三年ぐらい時間がかかりますが、その後も経営努力は私は必要だと思います。経営努力によりましてプラスが出た場合に、当然値下げの原資になるわけですから、値下げ、そういう意味で一回限りということではないということでございます。

 経営努力の目標があることは、私はいいことだと思っておりますので、それをやらないと、入った分だけ全部使うという、そういう経営になってしまいますので、ここはやはり、経営を常に革新するためにも、そういう勘定科目を皆さんに見せた上で、視聴者の方にどれくらいお返しできるか分かる状態にするのが重要だと思っております。

西岡委員 今、経営努力をしながら、また、積み上がった分については引下げも考えるというお話が会長からございました。

 今回の受信料の引下げにつきましては、総務大臣から、先ほどからあっております三位一体改革の一層の推進ということを含めまして、また、更なる値下げについての言及があったような内容の報道がございましたけれども、寺田総務大臣の御見解、どのような受け止めで、どのような御発言をされていたのかということについて、御説明をお願いいたします。

寺田国務大臣 今回の受信料の引下げについては、私も大変高く評価をしております。

 私が記者会見の場で、しかし、これで三位一体改革は終わりというわけではないという趣旨で発言を申し上げました。というのも、この三位一体改革は、受信料のほかにも、ガバナンス、そしてまた業務のスリム化等々、多くの中身を含んでおります。また、今会長からもありましたとおり、今後の経費の縮減によって、更なる受信料の引下げの余地も、これは生じ得るかもしれません。

 したがって、一層効率的な運営を行うことによって、更なる値下げの原資を確保するという努力は必要でございますし、中期経営計画に記載をされておりますとおり、保有するメディアの縮減、整理、また支出の段階的な縮減、また子会社の見直しを含むガバナンスの強化などについても、これから、これはまさにこれからが本番であるという意味で、これから更に進めていただくべき課題と承知をいたしております。

西岡委員 やはり国民・視聴者のために資する、是非、改革を進めていただきたいというふうに思います。

 続きまして、人に優しい放送について質問をさせていただきます。

 放送分野におけるアクセシビリティーの向上を図るために、字幕放送、解説放送、手話放送等の普及目的を定める指針を策定して、この取組が進められております。

 字幕放送については取組が進んでおりますけれども、解説放送、手話放送等の割合を増やす取組も続けていただいているというふうに思いますけれども、この割合を増やす取組と今後の課題について、また、子供番組についての、今、現状の提供状況と取組について、NHKにお伺いをいたします。

林参考人 お答え申し上げます。

 NHKでは、二〇一八年二月に策定されました、総務省の、放送分野における情報アクセシビリティに関する指針を踏まえまして、毎年、独自の目標を定めて、ユニバーサルサービスの拡充に取り組んでいるところでございます。

 今、委員御指摘のありました字幕放送の実績は、二〇二一年度、総合テレビでは、対象となる番組で一〇〇%、総放送時間でも八八・九%となりました。今年度は、秋の臨時国会から、新たに国会中継の委員会質疑でも字幕放送を行っております。

 解説放送は、対象となる放送番組の実績は、二〇二一年度、総合テレビで一五・二%、前の年度と比べて一%余り低下いたしました。解説放送は生放送での実施が難しく、夏の東京オリンピック、冬の北京オリンピックの関連番組など、生放送の番組が多かったことが影響いたしました。

 現在、生放送のスポーツ番組で、スコアといった情報を自動合成音声で配信することに取り組むなど、放送技術研究所で新たな解説サービスの研究を進めているところでございます。

 手話放送は、「NHK手話ニュース」「こども手話ウイークリー」などのニュース番組や「みんなの手話」で実施しておりまして、一週間当たりの平均放送時間は、二〇二一年度は、総合テレビで一時間十六分、Eテレで四時間八分となりました。今年度からは、手話番組以外の番組にも手話をつけて放送するトライアルを始めておりまして、来年度以降、対象の番組を拡大することを検討しております。

 答弁が長くなって申し訳ありませんけれども、子供番組についてもお尋ねがありましたので、申し上げます。

 Eテレの幼児、子供番組では、子供たちが心豊かに成長できるよう、年齢や発達に合わせて様々な番組を放送しております。

 このうち、「おかあさんといっしょ」は、情緒や表現、言葉や身体などの発達を助けることを狙いとしまして、親子で楽しんでいただいております。また、今年度スタートいたしました「でこぼこポン!」は、発達障害などがある子供たちが社会生活を送る上で大切なスキルを学ぶことができる内容となっております。さらに、デジタル時代に合わせまして、コンピューターを使ってプログラミング能力を身につける「Why!?プログラミング」や、学校での一人一台端末時代に必要なメディアリテラシーを育む「アッ!とメディア」などの番組も放送しております。

 また、放送だけでなく、インターネットでの学校向けの教育コンテンツ、NHK・フォー・スクールにも力を入れておりまして、基本教科のコンテンツに加えて、先生からの要望が多い新しい分野や家庭での学びに活用できるコンテンツを強化しております。現在、各学年、教科ごとに、学校教育向けの動画約二千本、学習のエッセンスを簡潔にまとめた動画クリップ約七千本を提供しております。

 今後も、子供たちの学びをサポートするコンテンツをお届けしていきたいと考えております。

西岡委員 御説明ありがとうございます。

 子供向け番組については、様々なハンディキャップを持った子供たちもしっかり一緒に楽しんでいけるような、様々、今、放送技術も大変進歩をいたしておりますので、引き続きのお取組、子供たちの平等な育みのために、是非その技術を活用して推進をしていっていただきたいということを要望させていただきます。

 続きまして、災害時における情報発信の維持についてお尋ねをいたします。

 災害時などに果たすべき役割の重要性に鑑み、災害時の放送設備の維持や被災への備えについて、また、大阪局のバックアップ機能のみならず、全国の放送局の機能強化も必要であると考えますけれども、その取組状況についてお伺いいたします。そのときには、民間事業者との連携も大変重要であると思います。NHKに見解をお尋ねいたします。

林参考人 いかなる災害時にも放送・サービスを継続できるよう、東京の放送センターでは、緊急報道に関わる機能などを集約した情報棟の建設を進め、二〇二六年度の運用開始を目指しております。

 地域の放送会館でも放送・サービスに関わる設備の強化に取り組んでおりまして、今年度も、外部電源の喪失に備えた自家発電用の燃料タンクを増量するなどの整備を行っております。

 また、老朽化した放送会館の建て替えも計画的に進めております。二〇二一年度は大津放送局と札幌放送局、二〇二二年度は佐賀放送局、富山放送局で新会館の運用を開始いたしました。松江放送局も二〇二二年度中には新会館の運用を開始する予定でございます。さらに、南海トラフ巨大地震や日本海溝、千島海溝の巨大地震の津波で局舎の浸水が懸念されている津放送局、高知放送局、函館放送局などについても、二〇二五年度以降の新会館の整備を計画をしております。

 お尋ねのありました、民間事業者との連携も重要だと考えております。例えば、ケーブルテレビ事業者とは昨年度から災害時の連携を強化しておりまして、二十九の都道府県に展開する七十五の事業者と、災害時にロボットカメラの映像やライフライン情報を相互提供する覚書などを取り交わしました。

 これに基づいて、松江放送局では、今年八月の大雨で、ケーブルテレビ事業者から水位の上がった川の映像の提供を受け、放送に活用いたしました。また、九月の台風では、九州に展開するケーブルテレビ事業者がNHKのホームページのライフライン情報を放送に活用するなど、双方が協力して地域の安全、安心の確保に向けた災害報道に取り組んでいるところでございます。

西岡委員 時間となりました。

 しっかり災害時における情報発信を維持していくということについての引き続きのお取組をお願いいたします。

 時間となりまして、通告をいたしておりました質問に対して質問できませんでしたことを心からおわびをして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず、寺田大臣にお伺いいたします。

 週刊文春十一月二十四日付が、大臣の昨年の総選挙での選挙運動費用収支報告書の問題を報じております。今日は資料一として配付資料を準備いたしましたが、与党の反対で配付に至りませんでした。文春は、大臣自身が支出しなければならないはずの選挙資金のうち、合計で百六万円、九枚の振り込み明細が寺田稔竹原後援会名であった事実を示して、これは実際には竹原後援会が支出していた選挙費用を寺田氏が支出した形にする虚偽報告ではないかと指摘をいたしました。

 昨日、参議院で野党議員に問われた寺田大臣は、これは取次行為を行っただけ、つまり口座を借りただけで、違法行為ではないと繰り返し、寺田大臣の任命した出納責任者から竹原後援会の事務担当者に対し支払い承諾をした文書が作成され、保管されている旨の答弁がありました。そして、承諾書提出の要求に対しては、弁護士の確認だけ取らせてくれとのことでした。

 弁護士の確認は取れましたか。当委員会にも提出していただけますね。

寺田国務大臣 委員御指摘の昨日の振り込み明細に係る支出については、既に答弁申し上げておりますとおり、支払い先の口座番号を把握している竹原後援会がその口座を用いて取り次いだものでございまして、その原資は私個人の自己資金であります。したがって、選挙収支報告には私の自己資金からの支出として計上しており、竹原後援会からの支出としては計上しておりません。

 現在まだ確認中でございますので、確認が取れるまでお待ちをいただきたいと思います。

宮本(岳)委員 取れれば出していただけますね。

寺田国務大臣 オーケーサインが出れば提出をさせていただく準備を、ただ、昨日も申し上げたとおり、個人名のところは個人情報で伏せることはあり得るかと思います。

宮本(岳)委員 選挙運動費用を竹原後援会のお金で支払えば違法となる、それは先ほどおっしゃったとおりです。そのため、寺田大臣の資金をあらかじめ選挙用資金として寺田稔竹原後援会の事務担当者に渡していたという苦しい説明をしているわけですね。それを聞いておりますと、出てくる事実に合わせて後から理屈を考えているとしか思えないと思います。

 そもそも大臣は、当初は、寺田稔竹原後援会について、別団体で、収支報告をチェックする立場にない、こういう答弁を繰り返してこられました。その竹原後援会の領収書の中に寺田稔名のものがあっても、それも違法ではないと言い逃れ、あたかも大臣の管理下にない別団体であるかのような答弁に終始をしてきたわけです。しかし、今度は、選挙費用として、そのお店を使った場合、迅速な支払いが行えるからという理由で竹原後援会経由で支払ったなどと答弁しております。

 大臣、改めて確認しますが、この竹原後援会というものは大臣の管理下にあるのかないのか、どちらなんですか。

寺田国務大臣 昨日も答弁させていただいたとおりでございまして、この竹原後援会というのはいわゆる国会議員関係政治団体でありまして、設立のときに私の方から同意を与えているものでございます。したがって、私の管理下にある団体、すなわち上下関係にあるものではございませんで、一個の独立をした政治活動の自由を有する政治団体でございます。

 今回、支払いについて取次行為を行ったことと、私と竹原後援会との関係については、何ら影響するものではないと認識をしております。

宮本(岳)委員 にもかかわらず、あらかじめ自分の資金を渡しておいて、そしてその口座から支払わせたということを言っているから、これはなかなか説明を納得しにくいなという話なんですね。

 先ほど奥野総一郎議員も触れられましたけれども、選挙運動員には報酬を払ってはなりません。

 資料二を見ていただきたい。

 大臣の地元、広島県呉市の選挙管理委員会作成の選挙の豆知識というものであります。報酬は選挙運動員には原則として支給できないと明記されております。

 さっきは、別の日だったという言い逃れをされておりましたけれども、同じ日だった事実が出てきたら辞めるか、こう問われて、仮定の質問には答えないと言うばかりで、責任を取るとはおっしゃいませんでした。

 これは、大臣、どんなに新たな事実が出てきても、また新たな言い逃れを考えるだけで、決して責任は取らない、辞めない、こういうことですか。

寺田国務大臣 御指摘の労務者報酬については、先ほども答弁したとおり、必要な調べはきちんとさせていただき、報告をさせていただきます。

 もちろん、政治家としての出処進退でございますから、そこは、私自身が出処進退は判断をさせていただくべきものでございます。

宮本(岳)委員 大臣、あなたは政治資金規正法あるいは公職選挙法の所管大臣でありながら、この間、繰り返し政治資金や選挙運動費用の問題を指摘されて、そのたびに後づけの苦しい言い逃れを重ねてきたと言わざるを得ません。もはやあなたに総務大臣を務める資格はないことは明らかであります。そのことを指摘しつつ、今日はNHK決算でありますから、決算の審議に入りたいと思います。

 資料三は毎日新聞十一月十一日付の記事であります。「支出拡大 NHK甘いチェック」との見出しで、NHKでコンサルティング名目の契約総額が急増している実態を報じております。傍線部、「NHKの契約に関する公表情報に基づく毎日新聞の集計では、一九年度のコンサル名目の契約額は約九億六千万円だったが、前田氏が会長就任後の二〇年度は約十三億六千万円、二一年度は約三十四億九千万円と増加の一途をたどっている。」と報じられております。

 資料四を見ていただきたい。NHKのホームページの契約情報の公表の二〇二一年度で、役務等の契約について、コンサルティング名目の契約を、四の一が随意契約、四の二が企画競争等に分けて、私の事務所で抜粋、集計したものであります。随意契約で十一億円弱、企画競争で二十三億五千万円弱。競争入札でないというこの二つを足し合わせると三十四億五千万円となり、確かに報道どおり約三十五億、非常に大きな額なんですね。

 前田会長、この指摘をどう受け止めておられますか。

前田参考人 お答え申し上げます。

 コンサルティング業務など、百万円を超える役務提供の契約情報につきまして、NHKのホームページにおいて公開をいたしております。

 コンサル関連といいましても、目的、内容は様々でございます。一件一件、必要性に基づいて契約しているものでございまして、コンサルというくくりで常時総額を把握をしているわけではございませんが、主要六社との契約額の総額は、二〇一八年、二〇一九年度はいずれも二十九億円弱、二〇二〇年度は三十一億円、二〇二一年度は四十三億円となっております。二〇二〇年度までぐらいは約三十億円前後で推移しておりまして、直近で増えておりますが、年々急増しているという、そういう実態ではございません。

 コンサルティング業務といいましても、目的、内容は様々で、一件一件、必要性に基づいて契約をしておりまして、金額だけで是非を議論するというのは妥当でないと考えております。

 また、こうした契約状況につきまして、会計検査院の検査を受けておりますが、指摘や意見をいただいたことはございません。

宮本(岳)委員 その中身をNHK自らが、今私が足し合わせた額をおっしゃいましたけれども、大変膨大な作業なんです。やってみて、うちの事務所を挙げてやりましたけれども、そう簡単じゃないんですね。これは、自らちゃんと、これを足したらこういうことになる、今おっしゃった額をディスクローズしていただきたいんですね。私は今、競争入札でないものということで、企画競争を随契と同じように足し合わせました。

 国の調達における扱いについてお尋ねしたいんです。これは会計検査院、今日来ていただいていますね。

 企画競争については、保坂展人議員の二〇〇九年二月十三日の質問主意書に対する政府答弁において、「随意契約の中には、企画競争によるものがあるが、これは、複数の者に企画書等の提出を求め、その内容について審査を行うことにより、契約の相手方を決定するものである。」との見解が示されております。

 この政府答弁によれば、国の会計における企画競争は会計法に規定する随意契約に該当するものとされているようでありますが、会計検査院、間違いないですね。

宮川会計検査院当局者 お答えいたします。

 国の調達における企画競争につきましては、会計検査院といたしましても、会計法に規定する随意契約に該当するものと認識しております。

宮本(岳)委員 ですから、その総額が今述べたように増えている。前から多かったと言うんだったらそれも全部出してもらいたいんですが、少なくとも、二〇二一年四十三億、こういう額になってきているわけですね。

 それで、コンサルへの過度の依存を指摘するのは毎日だけではありません。文芸春秋十二月号も、NHKからコンサルへ、疑惑の受信料四十九億円、余りに高額だとNHK幹部も絶句したとの記事を掲載しております。文芸春秋の記事を読ませていただきましたが、経営委員会の中でコンサル費が高過ぎると問題になったというふうに出てくるんですね。

 今日はNHKの経営委員長にも来ていただいておりますが、経営委員会の中でコンサル費が高過ぎるという議論がなされましたか、森下さん。

森下参考人 お答えいたします。

 個別の案件につきましては、執行部が責任を持ってやる案件でありますので、経営委員会としては扱っておりません。

 以上、お答えしました。

宮本(岳)委員 そういう議論はされたんですか、されなかったんですか。

森下参考人 お答えいたします。

 個別の案件は、私どもに相談はありませんので、議論をしておりません。

宮本(岳)委員 何かまともに答えていただけないんですが。

 資料五を見ていただきたい。

 これは、昨年六月九日に開催されたNHKの第八十四回入札契約委員会の議事概要。主な審議内容及び点検結果の二つ目に傍線を引いておきました。複数のコンサルティング業務委託契約について、外部委託の必要性やメリット、人材育成、成果等についてどのような検証を行っているか説明を求められております。

 森下さん、これは事実ですね。どのように説明したんですか。森下さんでは分からないのかな。

森下参考人 お答えいたしますが、ちょっと今、質問の趣旨がよく分からなかったんですが。

宮本(岳)委員 昨年の六月九日に開催されたNHKの第八十四回入札契約委員会の議事概要、これを読みますと、複数のコンサルティング業務委託契約について、外部委託の必要性やメリット、人材育成、成果等についてどのような検証を行っているか説明を求められた、こういう記述があるんですが、これは事実ですね、どう説明したんですかと聞いております。

森下参考人 お答えいたします。

 私ども経営委員会では、決算、あるいは中間決算、あるいは事業報告等で管理をしておりますが、同時に、今御質問ありましたような場でも、説明は、全体としては受けました。

 以上、お答えしました。

宮本(岳)委員 ちょっと聞き取りにくかったんですが。

 説明はしたか、していないか、どっちですか。

森下参考人 お答えいたします。

 NHKと関連団体の取引の公表に際しましては、NHKと外部の契約の状況について定期的に報告を受けて内容を確認している、そういう趣旨でございます。個別の案件については対応しておりません。

 以上、お答えしました。

宮本(岳)委員 毎日では、二一年度の契約額のうち、約八七%に当たる約三十億四千万円が、デロイトトーマツコンサルティングや野村総合研究所など、大手経営コンサル五社に集中と書かれております。私の事務所でも先ほどの二一年度のコンサル契約についてまとめてみたわけでありますが、とにかく膨大な数であります。

 資料六を見ていただきたい。

 前田会長は、十一月十日の会見で、記者から、コンサル料について特に問題がないということであれば、きちんとした数字を示してもらえないかと、さっき、数字、合計額だけ出ましたけれども、と問われて、NHKの企業規模は七千億円弱で、そのうちコンサル料は三十億円とか四十億円とかそういう指摘ですが、アップダウンがありますので、それだけを取って正しいとか正しくないとかいう議論はやめた方がいいなどと語られました。

 前田会長は、七千億円の事業規模に比べて、コンサル料の三十億円、四十億円は額が少ないから大したことはないという考え方ですか、会長。

前田参考人 お答え申し上げます。

 金額に対して、多いとか少ないとか、そういう議論はやめた方がいいといったことでございます。適正かどうかということを判断することが必要だと思います。

宮本(岳)委員 適正かどうかを明らかにしていただきたいという声が、多分メディアから出ているんだと思うんですね。

 それに続けて会長は、私は銀行でずっと企業内容の開示をやってきたが、そういう開示の仕方はしたことがないし、求められたこともないとまで語られていますね、会見でね。

 私は、これは、民間でそうであったとしても、NHKの会長としての御発言とすればいかがなものかと言わざるを得ないんですね。国民・視聴者からの受信料で賄われ、国民・視聴者からの信頼で成り立つNHKの性質を踏まえれば、一般的に、NHKは、その業務について、国民・視聴者に対して十分に情報を公開し、情報を提供すべきだと考えます。また、そういったNHKの情報の公開や提供の責務は民間企業のそれと比べても当然重たいと考えるんですけれども、総務省情報流通行政局長、いかがですか。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 NHKの運営は、国民・視聴者の皆様に負担いただく受信料によって支えられております。

 このような受信料制度の性質に鑑みますと、一般論として申し上げれば、NHKにおいて、業務の透明性を高め、国民・視聴者の理解を高めることは重要というふうに考えております。

 こうした国民・視聴者から十分御理解をいただけるよう、NHKにおかれましては、情報の公開、提供に積極的に取り組んでいただきたいというふうに考えております。

宮本(岳)委員 放送法の第八十四条の二第一項は、協会やその関連法人に関する情報の提供を義務づけるとともに、第二項において、情報の公開に関する施策の充実に努める努力義務を規定しておりますね、局長。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点につきまして、放送法八十四条の二第一項につきましては、協会やその関連法人に関する情報の一般への提供を義務づけるとともに、第二項におきまして、協会の諸活動について、情報の公開に関する施策の充実となる努力義務を規定しております。

 NHKにおかれましては、この規定の趣旨を酌んで、情報の公開、提供に積極的に取り組んでいただきたいというふうに考えております。

宮本(岳)委員 だから、なぜそんなことを尋ねられるのかよく分からないというようなことを言っていたら駄目なんですよね。

 会長、今の総務省の答弁に照らしても、会見での発言は不誠実、不適切ではありませんか。発言を撤回し、真摯に国民に対する情報の公開や提供に取り組むべきではありませんか。御答弁を求めます。

前田参考人 お答え申し上げます。

 私は、NHKの情報開示を余りしなくていいと言った覚えは全くございません。民間に比べて、公共放送ですから、開示をした方がいいと私は思っております。ただ、開示の仕方については工夫が要るということでございまして、今回のコンサル料も百万円以上は実は全部開示しているんですね。これくらいの厚さのを出しているんです。

 でも、これは確かに、御指摘のように、それを全部一々足さないと分からないんですよね。

 でも、これは多分、過去の経緯でこういう開示をしたので、この開示の仕方を工夫する必要はあると思います。そこはそのとおりだと思います。

宮本(岳)委員 是非、改善してください。きちっと自ら集計して明らかにしていただきたいと思います。

 私は、今年三月のNHK予算審議の際にも、議事録の開示問題を始めとして、視聴者・国民への説明責任を放棄する経営委員会、執行部の姿勢は余りにも無反省であることを指摘して、国会承認に反対をいたしました。

 改めて、NHKが公共放送としての自覚を取り戻し、情報の公開や提供に真摯に取り組むことを強く求めて、質問を終わります。

浮島委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより両件を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一八年度及び二〇一九年度決算に反対の討論を行います。

 NHK決算では、当該年度の予算の執行状況とともに、NHKの経営姿勢が、視聴者・国民の信頼に支えられる公共放送として、放送法にのっとり、国家権力からの独立、放送の自主自律などの基本姿勢を貫くものであるかどうかが問われます。

 二〇一八年十月二十三日、NHK経営委員会が当時の上田良一会長を厳重注意するという事態が発生しました。これは、かんぽ不正販売問題を報じた同年四月の「クローズアップ現代+」に対する日本郵政グループからの抗議に対して、NHK執行部が、予定していた第二弾の放送番組を取りやめ、しかも、経営委員会が、日本郵政グループの不当な介入を視聴者対応とすり替えて、会長のガバナンスの問題という形で行ったものです。

 ところが、当該議事録は公表されず、この事実が明らかになったのは厳重注意から約一年後の二〇一九年九月の報道でした。放送法に背を向けて、経営委員会が議事録を非公開とし、視聴者・国民、そして国会にも隠され続けていることは極めて重大と言わなければなりません。

 日本共産党は、二〇一八年度のNHK予算には賛成しました。しかし、その決算期において、経営委員会が、経営委員は個別の放送番組に干渉してはならないと定める放送法に違反して、NHK会長に厳重注意を、しかも秘密裏に行っていたことは極めて深刻な問題です。二〇一八年度NHK決算には反対とするものです。

 二〇一九年度決算期にも、この問題が国会で繰り返し取り上げられてきました。しかし、NHK会長への厳重注意の議事録公開に背を向け、NHKに対する視聴者・国民の信頼を揺るがす事態を生んだ執行部、経営委員会の責任は明確にされていません。したがって、二〇一九年度決算についても反対です。

 以上で討論といたします。

浮島委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより両件について順次採決に入ります。

 まず、日本放送協会平成三十年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書について採決いたします。

 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浮島委員長 起立多数。よって、本件は異議がないものと決しました。

 次に、日本放送協会令和元年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書について採決いたします。

 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浮島委員長 起立多数。よって、本件は異議がないものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

浮島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十四分散会


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