衆議院

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第5号 令和4年11月24日(木曜日)

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令和四年十一月二十四日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 武村 展英君 理事 鳩山 二郎君

   理事 石川 香織君 理事 奥野総一郎君

   理事 中司  宏君 理事 守島  正君

   理事 中川 康洋君

      井林 辰憲君    勝目  康君

      金子 恭之君    川崎ひでと君

      国光あやの君    佐々木 紀君

      坂井  学君    島尻安伊子君

      杉田 水脈君    田所 嘉徳君

      土田  慎君    中川 貴元君

      西野 太亮君    古川 直季君

      松本  尚君    保岡 宏武君

      おおつき紅葉君    重徳 和彦君

      道下 大樹君    湯原 俊二君

      伊東 信久君    市村浩一郎君

      輿水 恵一君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君    吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   デジタル副大臣      大串 正樹君

   総務大臣政務官      国光あやの君

   総務大臣政務官      杉田 水脈君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   衆議院委員部長      小林 英樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  青柳  肇君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           布施田英生君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           渡邊 国佳君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局次長)         三原 祥二君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   湯本 博信君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   阿部 知明君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  原  邦彰君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  川窪 俊広君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            竹村 晃一君

   政府参考人

   (消防庁次長)      澤田 史朗君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   志水 史雄君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 坂本  基君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官)           野沢 和也君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十四日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     松本  尚君

  務台 俊介君     土田  慎君

  保岡 宏武君     勝目  康君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     保岡 宏武君

  土田  慎君     務台 俊介君

  松本  尚君     西野 太亮君

同日

 理事中司宏君同日理事辞任につき、その補欠として守島正君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事中司宏君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に守島正君を指名いたします。

     ――――◇―――――

浮島委員長 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官青柳肇君、内閣官房内閣審議官齋藤秀生君、内閣府地方創生推進室次長布施田英生君、警察庁長官官房総括審議官渡邊国佳君、個人情報保護委員会事務局次長三原祥二君、デジタル庁審議官湯本博信君、デジタル庁審議官阿部知明君、デジタル庁審議官内山博之君、総務省大臣官房地域力創造審議官大村慎一君、自治行政局長吉川浩民君、自治財政局長原邦彰君、自治税務局長川窪俊広君、総合通信基盤局長竹村晃一君、消防庁次長澤田史朗君、外務省大臣官房長志水史雄君、財務省大臣官房審議官坂本基君、文部科学省大臣官房文教施設企画・防災部技術参事官野沢和也君、厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子さん、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君及び厚生労働省大臣官房審議官日原知己さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。湯原俊二君。

湯原委員 おはようございます。立憲民主党の湯原俊二です。

 松本大臣、総務大臣御就任、おめでとうございます。

 改めて、それでは確認をさせていただきたいと思いますが、松本総務大臣と旧統一教会との関係について、大臣は、今日まで、旧統一教会の会合出席及び選挙応援あるいは政策協定などについておありだったかどうか、お尋ねしたいと思います。

松本国務大臣 湯原委員にお答え申し上げたいと思います。

 これまでも、そして、もちろんこれからもでありますが、旧統一教会及び関連団体との接点、関係を持たないようにしてまいりましたので、ございません。

湯原委員 ありがとうございます。

 それでは、大臣に、地域格差及び地域主権、地方分権に対する大臣の認識をお尋ねしたいと思っています。

 配付資料を御覧いただきたいと思います。一ページ目です。

 これは、以前の金子総務大臣のときにも使わせてもらったものでありますけれども、あのときから若干入っているのは、過疎地域の割合の、面積の数字を赤枠のところで入れております。

 昭和四十五年、佐藤内閣のときに過疎地域指定が始まりました。当時は、全国における過疎地域の指定は二七・四%でありました。それが、岸田政権になって、令和四年でありますけれども、過疎地域、全国の実に六三・二%、これが過疎地域の指定になっております。

 地方が疲弊してきた、地域間格差が拡大をしてきた、この点についての大臣の御認識をいただきたいと思っていますし、その対応策について御所見をいただきたいと思っています。

 私は、対応策としては、やはり、地方、地域の自治体に権限と財源を移譲するところから始まるのではないか、こう考えておりますけれども、この現状の認識と対応策についてお尋ねしたいと思います。

松本国務大臣 委員のお地元も、鳥取県だったというふうに承知をしております。御案内のとおり、私の地元と鳥取県とも大変近い関係にはございます、委員の鳥取県の西部は岡山の方が近いかもしれませんが。その意味で、問題意識、課題の認識等を共有できる部分があろうかというふうに思います。

 今御指摘がありました過疎地域などを始め、人口減少や少子高齢化、あるいは働く場や交通への不安など、地方自治体は様々な課題を抱えているというふうに思っております。災害リスクや地方の担い手不足などの点からも、過度な東京一極集中の是正が喫緊の課題であるということ、ここも委員とは共通認識ではなかろうかというふうに思っております。

 そうした中にあって、地方自治体は、保健、福祉、教育、消防など様々な行政分野で、広く住民生活に身近なサービスを担っております。日頃から、地方自治の第一線で住民の福祉の増進のために力を尽くすなど、極めて重要な役割を果たしております。

 このような状況において、我々の使命は地方を元気にすることであると認識し、活力ある地域社会の実現に取り組んでまいります。

 具体的に、地域おこし協力隊の充実強化、地域の雇用拡大に資するローカル一万プロジェクトの推進などを通じて、都市部から地方への人の流れの創出、地方経済の活性化などに総力を挙げて取り組んでまいります。

 また、地方自治体がその機能を最大限に発揮し、地域の実情に応じて住民ニーズにきめ細やかに対応していく上で、地方分権の推進は極めて重要であるというふうに考えております。地方の声を十分に伺いつつ、関係省庁と連携して、地方の自主性、自立性の向上に向けて取り組んでまいる決意でございます。

湯原委員 ありがとうございます。

 時間も限られておりますので、できるだけ簡潔に御答弁いただけたら助かります。

 認識としては大臣と共有できている、大臣もおっしゃったとおりでありまして、地方は、地域間格差が拡大する中で疲弊をしてきている。一番最後のところで、一極集中の上で、るるおっしゃいましたけれども、地方の自立と自立性という言葉をおっしゃったので、この点については同じ思いを持っていると思います。地方分権、権限、財源移譲にもつながることでありまして、この問題については、また機会を見て改めて大臣と意見交換をさせていただきたいと思っております。

 次に質問を移りたいと思います。マイナンバーカードについてであります。

 政府委員の皆さん方へお聞きしますけれども、マイナンバーカードの交付枚数、これは、現在、国民の大体何%ぐらいで、そのうち保険証利用の登録者はどの程度か、御答弁願いたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 交付枚数の累計は、十一月二十一日時点で約六千六百七十万枚でございます。

 なお、申請件数は、同じく約七千四百八十八万件となっておりまして、人口に対する割合で約五九・五%でございます。

日原政府参考人 お答えいたします。

 続きまして、マイナンバーカードの健康保険証利用登録に関しまして、私の方からお答え申し上げます。

 十一月十三日時点で約三千八十五万件となってございまして、カード交付枚数に対する割合は約四七%となってございます。

湯原委員 分かりました。

 最初、国民の皆さんの五九・五%と、六割。それに対して保険証が四七%ですから、半分としても、保険証利用登録が三割ぐらい、こういう状況だということを御認識させていただきました。

 これは、今日まで総務委員会で同僚議員からも質問があったわけでありますけれども、法律上は任意のマイナンバーカードの普及であったわけでありますけれども、残念ながら、六年たっても普及が伸びなかった。二万円のポイントをつけてもやってこられたわけでありますけれども、これでもなおかつ伸びなかった。ここに来て、結局のところ、保険証と一体化ということで、こうすると、半ば強制的になってきたのではないか、こう考えるわけですけれども、答弁願いたいと思います。

大串副大臣 マイナンバーカードを健康保険証として利用することで、例えば、転職時の保険証の切替えが不要になる、あるいは、健康、医療に関する多くのデータに基づいたよりよい医療を受けていただくといったことが実現できるわけでございます。こうしたことから、今般、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を進めるため、二〇二四年秋に保険証の廃止を目指すことといたしました。

 マイナンバーカードは国民の申請に基づき交付されるものであり、この点を変更するものではございません。したがいまして、マイナンバーカードの保有を義務づけるものではありません。

 一方で、二〇二四年秋に健康保険証の廃止を目指していることについて、国民の皆様に不安の声があることは承知をしております。保険証の廃止に向けては、細部にわたってきめ細かく環境整備を行うとともに、医療を受ける国民の皆様の理解が不可欠と考えております。

 今後、国民の皆様の不安を一つ一つ解消しながら、丁寧に取り組んでまいりたいと思います。

湯原委員 これは、国民の皆さんから見ると、保険証と一体化ということをしないと不便になる、こういうふうに国民は受け取っているんじゃないか。つまり、不便になるから、半ば強制的になってきている。本来であれば、任意ということであれば、申請して何らかのメリットがある、こういうものから、保険証と一体化したものを取らないと不便になってしまう、仕方なく取る、こういう状況に今は変わってきているんじゃないかなというふうに思っております。

 国民の間に不安があるということもおっしゃいましたし、これから説明を丁寧にしていくということもおっしゃいましたわけですけれども、政府委員で結構だと思いますけれども、この問題、河野大臣が記者会見で表明されたということは認識しておりますけれども、これは閣議決定するものかどうか分かりませんけれども、閣議決定のところまで行っていますか、どうですか、保険証との一体化について。

大串副大臣 経済対策の中で閣議決定いたしております。

湯原委員 分かりました。

 しかしながら、時期の問題もまだまだ難しいところがあって、残念ながら、河野大臣の記者会見以降、国民の不安ということをおっしゃったわけでありますけれども、国民も振り回されている、不安を増大していっている、こういう状況があるということは、是非、御認識いただいておりますけれども、改めて御認識いただきたいと思っています。

 次に、政府は、来年度の地方交付税の算定にマイナンバーカードの交付率を反映させることを検討するということをおっしゃっておりますけれども、この点、決定したかどうか確認させてください。

松本国務大臣 マイナンバーカードの交付率を普通交付税における地域のデジタル化に係る財政需要の算定に反映することについての検討は、令和四年六月七日閣議決定のデジタル田園都市国家構想基本方針に基づいて、地方団体が地域のデジタル化を進め住民サービスを向上させるための財政需要を、各地方団体の状況に応じて的確に算定に反映させるとの観点から検討しているものでございます。

 今後、地方団体における地域のデジタル化に係る財政需要を拡充する中で、そうした財政需要を的確に普通交付税の算定に反映する観点から、その指標の一つとしてマイナンバーカードの交付率を用いる方向で検討してまいります。

湯原委員 検討してまいりますは分かるんです。実際に、ですから、質問としては、決定したのか、まだ決定していないということですか。検討しているということは、まだ決定していないということですね。

原政府参考人 お答えいたします。

 検討しているということでございます。

湯原委員 済みません、じゃ、いつ決定するんですか。時期は明言できないんですか。

 これから、例えば、今伸びていっていますけれども、一か月後には政府の予算案が決定する、あるいは三月には箇所づけが始まったり、いろいろ成るわけですね。自治体としては、ある意味でこれは脅しじゃないかというぐらいの思いを持っているんです。マイナンバーカードの普及を伸ばさないと、交付税の差が出てくる。削るとは言いませんよ、プラスか現状かですから。でも、差が出てくるのは事実でありまして、この点について、検討、検討という言葉が半ば自治体にとってみれば脅しのように受け止められかねないということがあると思いますけれども、時期について、決定の明言をしてください。

原政府参考人 お答えいたします。

 時期は、いつも年度末に予算を決めて、地方公共団体の方に一月頃、来年度の交付税総額はこんな感じになるよというようにお示しをいたします。少なくともそれまでには方針等は決定したいと思っております。

 なお、今御指摘ありましたマイナンバーカードの交付率の反映、大臣からも御答弁いたしましたとおり、的確な財政需要の反映ということで検討しているものでございまして、政策誘導ですとかペナルティーとかそういうものでは決してございません。

湯原委員 では、来年の一月頃には明言される、決定するということでよろしいですね。

 的確な財政需要に基づいてということをおっしゃったわけですけれども、私は、先ほど申し上げたように、任意取得であるマイナンバーカードの普及率を地方固有の財源である交付税の交付率に反映させるのはおかしいと考えております。地方交付税の交付率への反映を検討するということは、先ほど申し上げたように、やはり自治体に対する脅しになっているのではないかというふうに思っております。

 資料を御覧いただきたいと思いますけれども、過疎自治体におけるマイナンバーカードの交付状況です。これは国立国会図書館がまとめていただいたものでありますが、九月時点のものでありますので少し前。ですから、先ほどの御答弁いただいた五九%の数字よりも少し前ですので、低い数字になっておりますが、全体のトレンドは分かると思います。

 全体として、この時に交付枚数が四九%でありました。非過疎自治体、いわゆる都会みたいなところは四九・五%。それから、全部過疎のところを御覧いただきたいと思いますけれども、四五・七%。つまり、トレンドとして見るとやはり非過疎自治体の方が全部過疎自治体よりも、これだと三・八%、つまり、明らかに差が出てきている。

 これが、先ほど、的確な財政需要に基づいて交付税率に反映するという言葉をおっしゃったわけでありますけれども、現実的には、過疎かどうかで交付枚数が違ってきている。こういう状況を反映されるのはいかがなものかというふうに思っております。過疎地域はやはり高齢化が進んでおりますし、交付率が低い。マイナンバーカードの交付率を交付税に反映させるのはやはり乱暴だというふうに思いますけれども、改めて、この数字を踏まえた上で御答弁願いたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 今、過疎団体の交付率の御指摘をいただきました。平均いたしますとそういう御指摘もあろうかと存じます。

 一方では、交付率の高い団体の中には、過疎団体ですとか高齢化率が高い団体も多く存在しております。例えば、カード交付率の上位三十団体のうち二十五団体は、十月末ですけれども、全部過疎団体でございます。過疎団体でもマイナンバーカードの交付率に御努力されている自治体もございます。

 一方で、今委員から御指摘ありましたとおり、過疎団体の財政面を支えることは大変重要だと我々も思ってございます。このため、過疎団体については、大変有利な財政措置であります過疎対策事業債発行もございますし、また、現在の普通交付税の算定において、例えば、地域のデジタル化の財政需要を、今、地域デジタル社会推進費という形で配分しておりますが、その費目の中で、条件不利地域の割増しも行っております。また、人口が少ない地域の割増しである段階補正、これも乗じておりまして、引き続き、過疎団体のデジタルの需要も含めてしっかりと対応してまいりたいと思っております。

湯原委員 おっしゃったように、中には過疎地域であっても一〇〇%のところはあると思いますけれども、それは、ほかのところが怠けているわけではなくて、交付税に反映するかもしれない、こういうことであったり、保険証と一体化というようなこともあれば、一生懸命住民の皆さん方が協力されたり、あるいは自治体も躍起になってマイナンバーカードを普及するために頑張っていらっしゃるわけであります。

 ただ、やはり一方で、デジタル化というのは、過疎地域であったり、あるいは、情報がなかなか、デジタルデバイドじゃないですけれども、格差があるところほどデジタルを使うことによって利便性を上げ、そして地域に活力を求めていく、こういうことにつながっていくわけでありますので、ほかの過疎債を含めていろいろな対応策もしていますよということでありますけれども、やはり私としては、地方交付税率に反映することはいかがなものかなということを申し上げておきたいと思います。

 一方で、マイナンバーカードの交付率、これは、デジタル田園都市国家構想交付金、自治体の交付金の、交付税ではなく交付金の方ですね、この中にはタイプ2、タイプ3と、これに申請条件としてつけられているものがあります。マイナンバーカードの交付率が全国の平均以上、こういう条件がつけられているものがあるわけでありますけれども、これは、先ほど申し上げたように、取得が進まなかったのは自治体の努力不足ではなく、国民にとってカードの利便性が低かったからではないかと私は考えております。

 こうした、平均以上でないと申請条件にしないというのはやはりおかしいと私は考えております。絶対評価ではなくて、例えば交付率が八〇%以上、九〇%以上はオーケーですよとか、そういう絶対評価ではなく、相対評価です。絶えず、平均以下のところは申請条件にならない、これはやはりおかしいのではないかと思っております。

 全国の知事会が、地方税財政常任委員会の提案として、デジタル田園都市国家構想交付金の申請条件等への反映については、様々な事情により地方団体ごとの交付率に差が生じている現状等を十分踏まえた上で、地方の意見を十分に踏まえた制度設計を行うこと、こういう提案をされております。全国知事会でありますけれども。

 このことについて、改めて、マイナンバーカードの取得率をデジタル田園都市国家構想の交付金に反映させる条件にすることは見直すべきではないかと考えますけれども、御答弁願いたいと思います。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードは、安全、安心なデジタル社会の基盤でありまして、その普及が進んだ自治体においては、デジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上の実現に向けた取組をより一層強力に展開できると考えられることから、マイナンバーカードの普及促進は、デジタル田園都市国家構想の実現に向けても重要と考えております。

 このため、現在、デジタル化に関する交付金の事業内容に応じた対応を検討しておりまして、交付金の対象の一部の、全国的なモデルケースとなるようなデジタルを活用した先進的な取組につきましては、現状交付率全国平均以上、かつ、全住民への交付を目標として掲げていることを申請条件とすることを検討しております。

 一方で、他の地域で既に確立されているデジタル活用の優良モデルを横展開する取組などにつきましては、交付金の採択に当たって交付率は勘案事項としまして、交付率にかかわらず申請可能とします。

 また、デジタル実装のための計画策定、開発実証などを主な内容としない従来の地方創生の取組につきましては、交付率は考慮しないことを検討しているところでございます。

 地方公共団体におけるデジタル化の取組に支障が生じないよう、引き続き検討を進めてまいります。

湯原委員 モデルケースに対してあくまでも条件ということで、横展開に対しては条件ではないという御答弁であったと思いますけれども、やはり、私が問題にしたいのは、絶対評価で八割以上とか九割以上だったら分かるんですけれども、絶えず、相対評価、ほかの自治体と平均して平均以下だったら申請できないというのは、これもある意味で自治体に対する脅しみたいな形で、とにかく普及させろということでお尻をたたく形になっているんじゃないかなというふうに思っておりまして、私も、これについてはいかがなものかということを改めて申し上げておきたいと思います。

 次に、国民の皆さん方が普及がなかなか今まで六年間伸びなかったのは、一つには、やはり利便性、メリットを余り感じてこられなかったということがあると思いますけれども、それと同時にあるのが、情報の漏えいがあるんじゃないか、こういうことを懸念されているのがもう一つの理由ではなかったかと私は思っております。

 今日お越しでありますけれども、個人情報保護委員会が全国の自治体のマイナンバーカードの管理状況について点検したところ、実に自治体の四五%が業務を委託しておられるようであります。そして、その一割超に対して、自治体が委託先の管理体制のチェックをなかなかしてこなかった、こういう報告が出ております。また、業務を委託している事業者の二〇%、つまり四五%に対しての二〇%でありますので、一割弱ぐらいは再委託をしている、こういう報告をされておりまして、やはりこういうことがあると情報の漏えいということが懸念される、ここが裏づけになっているんじゃないかなと思いますけれども、この情報漏えい、可能性はないと断言できるのか、あるいは対応策についてどのような考えを持っているか、お聞かせ願いたいと思います。

三原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地方公共団体のマイナンバーの漏えい等につきましては、個人情報保護委員会では、昨年度、地方公共団体から百二件のマイナンバーの漏えい等の報告を受けておりますが、その主なものは、マイナンバーを含んだ書類を紛失した事案や、マイナンバーを記載した書類を誤交付した事案等でございまして、いずれもマイナンバーが悪用されたとの報告は受けてございません。

 地方公共団体におきましては、マイナンバーの漏えい等を未然に防ぐため、ガイドラインに基づく安全管理措置を実施しているほか、漏えいその他の事態を発生させるリスクの分析等を行う特定個人情報保護評価を自ら実施し、具体的な対策を講じているところでございます。

 また、個人情報保護委員会といたしましても、マイナンバー法に基づきまして計画的に地方公共団体に対して立入検査を行っておりまして、御指摘のございました委託先の監督状況も含め、ガイドライン等の遵守状況を確認し、必要に応じて指導助言を行っているほか、安全管理措置等の理解を深めることに資する説明会を実施するなど、重層的な取組を行っております。

 その上ででございますけれども、地方公共団体において漏えい等が発生した場合には、委員会として、漏えい等の報告を受け、被害の拡大防止、原因の究明、再発防止等の取組が的確に行われるよう指導助言を行うなど、適切に対応していくこととなります。

湯原委員 軽微なものですけれども百二件、余り重たいものじゃないけれども百二件はあった、ガイドラインを作っているのでいいんじゃないか、重層的にやっている、立入検査も自治体に対して行っているから、こういう御答弁だったと思いますけれども、社会的によく言われるヒヤリ・ハットという数字があって、軽微なものでも三百件とか何百件あれば、そのうちいずれ、重たいものが一件出てくる。事故なんかでもそうでありますけれども。今、百二件といって、軽いものですから大丈夫だよという認識はまさかないとは思いますが、これも毎年毎年積み重ねていけば、本当に国民の皆さん方が懸念している事態が起きかねない、こういうことを私は思っております。

 特に、業務委託をする、その先からまた再委託をする。残念ながら、自治体にチェックに入っていますけれども、自治体自体がそういった再委託先にもなかなかチェックが入っていないところもあるという実態でありますので、これは絶えず不断の努力を改めてしていただきたいなというふうに思っております。

 次に、自治体情報システムの標準化、共通化、ガバメントクラウドについて質問をしたいと思っております。

 御案内のように、政府は二〇二五年度までに自治体の情報システムの標準化、共通化へ移行するとしていますが、指定都市市長会、全国市長会、全国町村会からは懸念の声が上がっております。また、京都市や千葉市、北九州市を始め、五十一の市議会からも意見書が出されております。内容は、期限について、今、二〇二五年度までに移行すると言っておりますけれども、柔軟な対応を求める意見であります。

 実際、現場の話をいろいろ聞きますと、二〇二五年までに間に合わないんじゃないか、こういう声も聞いてくるわけでありますけれども、この辺の考え方、間に合うのかどうか。そして、今、全額国費で出しておりますけれども、この補助金について、二〇二五年度を越えた場合でも延長するお考えがあるかどうか、お聞かせ願いたいと思います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 先般、十月七日に閣議決定されました地方公共団体情報システム標準化基本方針におきまして、地方公共団体の基幹業務システムが、令和七年度、二〇二五年度までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへの移行を目指すというふうにされているところでございます。

 システム構築に必要となります標準仕様書につきましては、本年八月末には、標準化対象の二十業務全ての標準仕様書が策定、公表されてございます。また、実際の移行手続作業に必要となります手順につきましては、総務省が策定しております自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書におきまして、その手順を示しているというところでございます。

 標準仕様書や手順書がそろいましたので、移行に向けました準備が本格的に可能になっていると認識しておりまして、地方自治体やベンダーにおきましても、二〇二五年度までの移行に向けた具体的な検討やシステム開発を加速していただきたいと考えてございます。

 また、総務省が構築する進捗管理等支援システムにおきまして、様々な課題や質問等が寄せられてございます。これに対応する体制を構築しますとともに、二〇二五年度までの移行に当たっての課題につきまして、総務省と協力して、移行スケジュールと合わせて全国の自治体に調査を実施してございますので、その調査結果も踏まえまして、引き続き、円滑な移行に向けて、自治体やベンダーを支援してまいりたいと考えてございます。

湯原委員 間に合うかという問い、補助金延長はないですかという問いに対して、これから頑張っていきますよ、加速化していきますよという御答弁だったと思いますが、自治体始め、声を聞きますということで了としますが、現場からは、実際、二〇二五年の移行に対して、これは一人や二人じゃなくて会としてですよ、指定都市市長会、全国市長会、全国町村会等から声がある。私、出されたのを全部拝見しました。それから、意見書、それも五十一の市議会から上がっているという。

 ですから、八月に仕様書等を出して、手順書ができたのでこれから加速とおっしゃっていましたが、現段階から見ても、やはり間に合わないんじゃないかという、自治体から正式なこういう文書、意見、声が上がっているということは是非お含みいただいて、対応方、考えていただきたい。

 それで、先ほどのマイナンバーカードではないですけれども、万が一間に合わないようであったら、先手先手で自治体に前広に対応策を是非お示ししていただきたいと思っている。混乱がないようにしていただきたいと思っています。

 そして、このガバメントクラウドですけれども、関連するシステムを地元自治体とか地方がつくるわけでありますけれども、事業者は努力するというんですけれども、やはり、現在、二〇二五年を目がけて全国一斉にやっていきますので、人材が足りていないという。これも今まで総務委員会でも議論があったと思いますが、足りていない。

 一方で、事業者、ベンダーの人に聞くと、二〇二五年までは人が足りないんだけれども、その先はガバメントクラウドに各自治体が乗っていくので、アプリを作ったり関連ソフト、システムをつくったりするので、どの程度人材が必要になるか、二五年から先は見通せないので、結果として、仕事量は減少するという懸念があって、地方への影響は非常に大きい、特にデータセンターを持っているようなベンダーの皆さん方は非常に大きい、こういう声を聞くんですけれども、この点について、副大臣の答弁をいただきたいと思います。

大串副大臣 先ほど説明ありましたとおり、二十の基幹業務システムにつきましては、統一、標準化の取組を進めているところでございます。

 地方自治体の基幹業務システムは住民サービスに直結するものであることから、統一、標準化については、各地方自治体のシステムの状況に応じて計画的に進めていくことが必要というふうに考えております。

 一方で、御指摘のありました地方自治体の基幹業務システムを提供するベンダーのサービス形態に関しては、多様でございますけれども、特に中小のベンダーにおきましては、ガバメントクラウドを活用することで、自らクラウド基盤を整備することなく、自社開発のアプリケーションを全国展開する機会を得る事業者もあると考えられる一方で、新たなビジネスモデルを模索する必要がある事業者もあるものと考えております。

 新たなビジネスモデルといたしましては、例えば、標準化されたデータや新たなデジタル技術を活用することによって、行政サービスの高度化に資するシステムを開発、展開することであったり、地方自治体のデジタル化の前提となる業務改革をきめ細かにサポートすることなどが考えられます。

 今後、デジタルの関係の業務はむしろ増加するものでありまして、デジタル庁といたしましても、引き続き、地方自治体と協力しながら、中小ベンダーの活躍の機会を創出するよう努めてまいりたいと考えております。

湯原委員 ありがとうございます。

 影響としては、最終的には新たな需要があってメリットが出る事業者もあるけれども、そうでないところもある、お立場としては、これから中小ベンダーが活躍できる場を頑張ってつくっていこう、こういう答弁であったと思いますけれども、やはり、地方においてベンダーの事業者の皆さん方の声を聞くと、先ほど申し上げたのですけれども、データセンターをお持ちのところなどは、特に、この二十業務の部分がそっくりクラウドで乗っていくわけでありまして、その部分が必要なくなってくる、非常な影響を受けている、あるいは、廃業すら考えている、廃業したところもある、二〇二五年以降はですね、こういう影響も出るのでありまして、御答弁にあったように、是非その対応策を考えていただいて、二十業務以外にも様々な業務はあるわけでありますけれども、ソフトランディングできるように是非お願いをしたいと思います。

 時間の関係で、もう一点だけ聞かせてもらって質問を終わろうと思います。

 コストの件で、今回、ガバメントクラウドをやって、今、千七百の自治体で運用費用が五千億と言われておりますけれども、これを政府は三割カットできるんじゃないか、こういうことを言っております。

 次の資料を見ていただきたいと思います。

 今、先行してモデル的に八つの自治体が、神戸市や盛岡市などですけれども、実証実験を行っています。九月に、この結果、中間報告が出されましたけれども、これを御覧いただくと、自治体によって様々です。クラウドに移行した方が逆にコストがかかるというところもあるわけです。

 確かに、ランニングコストとイニシャルコスト、トータルコストではありませんけれども、ランニングコストは下がる傾向でありますけれども、このことが、これはデジタル庁の資料であります、コストについては様々だということでありますけれども、果たして本当に三割カット、コストカットと言えるかどうか、この点について御答弁願いたいと思います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年度決算におきます自治体情報システムの経費につきましては、御指摘ございましたように、約五千二百七十一億円となってございます。そのうち、標準化対象事務に関する情報システムの運用経費等につきましては、標準化基本方針におきまして、標準準拠システムへの移行完了後に、平成三十年度比で少なくとも三割の削減を目指すということとされております。

 御指摘のガバメントクラウド先行事業におきます投資対効果の検証につきましては、その中間報告を行ってございます。ランニングコストにつきましては、八件中五件が、ガバメントクラウドの移行により削減が見込まれると分析してございます。

 中間報告につきましては、あくまで現行システムをそのままガバメントクラウドに移行した場合の試算でございます。コストが削減されない事例につきましては、単独でのシステム構築となりますこと、それから、現行環境に残るシステムとの連携のために環境が重複して運用することといったことで、コスト増の要因と考えてございます。

 今後、ガバメントクラウドの利用推進に当たりましては、技術的に推奨されるシステム構成とすることによるコストの抑制、それから、標準準拠システムへの移行に伴う制度改正等に係るコストの抑制、複数自治体の共同運用による運用コストの抑制等のコスト削減を進めていく必要があると考えてございまして、引き続き、先行事業等を通じて実証を進めてまいりたいと考えてございます。

湯原委員 御答弁の準備をいただきましたけれども、時間が来ましたので、残余の質問については次の機会に回したいと思います。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 立憲民主党の衆議院議員重徳和彦です。

 まず、松本総務大臣、御就任おめでとうございます。

 私、今日は、先日の大臣所信の中に、これは十五ページもありますね、十五ページ、たくさんいろいろなことが書いてあります。だけれども、そこに自治という言葉が、地方自治という言葉が一回も出てこない。総務省として、あるいは総務大臣として、そういうことでいいのかということを今日は問うてみたいと思います。大臣は後ほど御答弁願いたいと思います。

 私は、日本という国は、地方あっての国家だと思っていますし、地方自治あっての国だと思っています。地方自治というのは、本来、長いそれぞれの自治体の歴史の中で、そして、息の長い地方自治運営というものがあるんだと思っております。だけれども、時に、国の地方に対する政策によって、いろいろな影響が地方自治体運営に及んで、その後、長く尾を引くこともあります。

 まず最初に、かつて、二〇〇〇年代、特に二〇〇〇年代後半に、地方財政、地方自治運営というものは、集中改革プラン、これは大幅な自治体の職員の給与削減、定数削減といったことを強いられまして、激しい緊縮財政というものを求められました。この功罪についてお聞きしてみたいと思います。

 今日は自治部局からベテランの局長さん方がおそろいでございますので、何でも答えていただけると思います。更問いもいろいろとありますので、そういうつもりで御答弁いただければと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘がございました、いわゆる集中改革プラン、これは平成十七年から二十二年までの五年間でございましたけれども、この間に、地方自治体の一般行政部門の職員は約十一万二千人の減少となっております。

 一方で、近年では、防災や地方創生、子育てなど、職員数は増加しておりまして、最近でいきますと、平成二十八年から令和三年までの五年間では約二万四千人の増加、このようになってございます。

重徳委員 今お聞きのとおりで、五年間で十一万人減という大変激しい行革が行われ、近年少しずつ取り戻しつつあるということですが、これは全部国が仕掛けたことなんですよね。

 それで、ちょっと私の見解を少し披露させていただきますと、自治という言葉が今回大臣の所信にない。これは、自治というのは別になくてもこの国は成り立っているんだということを象徴するようなことだと私は思うんです。

 今の制度は、特に地方財政制度というのは、国と地方が一体なんです。限りなく一体であります。したがって、自治というものが極端に言えばない。別の言い方をしますと、地方の財政というのは国次第なんですね。ですから、実際、実務的に言えば、毎年、財務省と総務省のせめぎ合いによってその翌年度の地方財政の成り行きというものが決せられる。したがって、そのせめぎ合い、その闘いで総務省が劣勢に立つと、もう地方自治体はぼろぼろになっていく。これが今の、国が地方財政を決めているという、そういう枠組みなんだと思います。

 ですから、それを前提にしますと、地方にとって、地方自治体にとって総務大臣の役割は極めて大きいということであります。

 二〇〇〇年代を振り返りますと、財務省がプライマリーバランスというものを持ち出しまして、国の赤字の主要因は地方財政だ、大きな一つは地方財政だと徹底キャンペーンをして狙い撃ちをされまして、したがって、総務省側も、いや、地方自治体も努力していますよ、これだけ行革やっていますよということを国の財政当局に示さなければならない状況に追い込まれたんだという見方もできるわけであります。

 この辺は、私が語るより、総務省に長くお勤めの局長にお聞きした方がよろしいかと思いまして、今の私の認識、見解についてどう考えておられるか、個人的見解でも構いませんので、主観的見解でも構いません、お答えください。

原政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘がございましたような見方もあるかと思います。

 一方で、当時、私も当時も自治財政局等で仕事をしていましたけれども、今、財政問題についてはいろいろな議論がありますけれども、国、地方を通じて、この国をどうするかということを当時財務省ともいろいろ真剣に考えまして、当時はやはり、バブルといいましょうか、税収が大分増えてきて、大分仕事の面で、多少、行革といいましょうか、そういう面もあったのではないかといういろいろな流れもございまして、そうした中で、御無理のない範囲で是非こういう取組をいただけないかということでやったということでございます。

 押しつけられたとか、せめぎ合っている、いろいろ、当然、総務省の方は、地方財源確保というミッションがございますので、もっと地方財源を増やしたい。一方、財務省は、地方財政も国の歳出項目でありますので、極力抑制したいということで、ただ、お互いに、財政というのは国だけあってもよくないし、地方の財政だけよくて国の財政がぼろぼろになっても困りますから、ある意味、車の両輪ということで、お互い真摯に議論をしながら財政運営を行ってきた、このように私は考えてございます。

重徳委員 今局長は無理のない範囲でということをおっしゃいましたが、大分無理も強いたというか、無理も要請したような印象はございました、当時。

 それで、これは、大きなことを言えば、やはり自治体の財政というものを、国次第だとか国と一体だと。両輪という言い方と一体という言い方は何が違うのかというのはありますが。しかし、国次第で自治体の財政がいかようにもなるということから、極力その影響を切り離していく努力をしていくことが、地方自治を重視していくことにつながっていくんだと思います。

 その意味では、何より税収を増やす。そのために税源を移譲する。そして、そこまで行けなくても、交付税というのは自治体固有の財源だ。つまり、四つの国税から一定の割合が自動的に交付税財源となるわけですから、そういう意味において、その時々の国の関与の余地がない。こうした意味で、交付税の法定率を引き上げていく、こういったことが必要だと思いますけれども、この見解について、また御答弁ください。

原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申しましたとおり、地方の財源といったときに、私ども、やはり何よりもまず大事なのは地方税、自主財源でございますので、これの充実ということでございます。

 一方で、地方税だけを充実していきますと、税収のある、例えば東京のようなところは財源が増えますが、そうでないところは、地方税を大分増やしてもなかなか増えない。したがって、それを補完する形で地方交付税。この二つが、特に地方が自由に使える財源でございますので、これを充実していくのが何より重要であると思っています。

 その中で、地方税の充実、それから、交付税については、今年の概算要求でも法定率の引上げ。これまでも、税制改正のとき、あるいは税制改正がないときでも交付税の引上げをやってきておりますので、なかなか厳しい、財政当局は厳しいわけでありますが、法定率の引上げは引き続き努力してまいりたい、このように思っております。

重徳委員 おっしゃるような順番だと思うんですね。税源移譲がまず何よりも、自主財源ですから、大臣。そして、それを補う形での法定率の引上げ。これは引き続き御尽力いただきたいと思いますが、その手前で、実際には、地方財政を支えるために、国が地方のために莫大な借金をしているという事実があります。

 具体的には、主に二つあると思っております。

 一つは、交付税特会。特別会計が独自にお金を借りる。これは極めて不透明なやり方であります。国の中で、政府の中でお金を融通して、そして当座のお金を、交付税を配分することができるようにする、そのための借金が巨額に上る。

 それからもう一つは、臨時財政対策債。これは、形上は地方の借金でありますが、償還する責任は、全て国が一〇〇%交付税で後年度措置をするということですから、地方債でありながら、いわば交付税の先食いであるというような言い方もされます。

 そういう意味では国が借金をしょう形になっていますから、これも莫大な金額に上っておりまして、この両者、それぞれ残高は幾らか、そして、これからどのように償還していく計画なのかをお知らせください。

原政府参考人 お答えいたします。

 令和四年度末の交付税特別会計借入金残高は二十九・六兆円、それから、臨時財政対策債の発行残高は五十二兆円となる見込みでございます。

 地方財政の健全化の観点から、各年度において必要な一般財源総額の確保を前提としつつ、こうした特例的な借入金残高の縮減を進めていく必要があると思っております。

 まず、交付税特別会計の借入金でございますけれども、これは法律に償還計画が出ておりまして、令和四年度から令和六年度までは各年度五千億円の償還、それから令和七年度以降は段階的に一千億円ずつ償還額を増やしまして、令和十一年度からは一兆円ずつの償還を行うこととしておりまして、令和三十六年度に償還を完了するという償還計画を法律で記載してございます。

 いずれにしても、こうしたことも念頭に置きながら、着実な交付税特別会計への償還を図ってまいりたいと思っております。

 次に、もう一つ御指摘がありました、いわゆる赤字地方債であります臨時財政対策債、この縮減には、何といっても地方の財源不足を縮小することが大切でございます。

 ただ、一方、この財源不足は、国の歳出の動向、それから、地方税あるいは交付税の原資というのは国の税収に左右されることがあるものですから、このような償還計画、こうやって減らしますよということをなかなかお示しするのは難しい面がございます。

 ただ、何といいましても、いろいろな工夫をしながら地域の経済の活性化をして、地方税の増収、歳入の努力をするということが一番大切だろうというふうに思っておりまして、そうしたことも努力しながら、臨時財政対策債の発行抑制に努めてまいりたいと思っております。

重徳委員 お聞きのとおり、交付税特会の借入れとそれから臨財債、足し合わせると八十兆円を超えるんですね。残高が八十兆円を超える。これは、地方の借金を国が肩代わりをしているような形であります。

 では、正規の、地方自治体、各自治体が発行している地方債、この残高は今幾らなのかを教えていただけますでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 特例的な借金以外の地方債、公営企業債のうち一般会計が負担する分もございます。二つ合わせますと、四年度の末で百六兆程度ということでございます。

重徳委員 これもお聞きのとおりでありまして、普通の地方債、つまり、私の地元、岡崎市ならば、岡崎市債として発行する。これは、市民にも市議会にも非常によく見える借入れですよね。これを全部、全国で都道府県、市町村を足し合わせても百六兆円なんですよ。

 ところが、それとは別に、まあ、臨財債はちょっと両面ありますけれども、要するに国の事実上の借金ですよというものが、先ほど言った八十一・六兆円という数字。百兆対八十兆ですから、同じとは言いませんけれども、大差ないじゃないですか。

 だから、地方自治にとって一番必要な、市民に対してきちっとその当該自治体がどんな財政運営をしているかを明確に示しているのが百六兆円。それ以外の、地方が借金していますけれども、事実上、国が肩代わりするんですよとか、あるいは、さらには、市民から全く見えない特会借入れ、これが八十一・六兆円。これが今の日本の自治と言えるのかということでありまして、自治と言いづらいから所信演説に自治と書かなかったのかどうかは知りませんが、そんなことではないかもしれませんが、しかし、これが今の自治体財政の現状であるという一端を私はお示しすることができたと思っております。

 さて、交付税法案がこの後、また後日審議があると思うんですけれども、ちょっと若干先食いしますと、交付税は、今年度補正で、交付税原資と言われる国税四税の増収のうちの約三割ぐらいですかね、これが全部で、令和三年度決算ベースで一兆円増えた、令和四年の見通しとして〇・九兆円増えそうだということで、一・九兆円の地方の財源が増えた形になっていますが、これは、元の国税四税というのがありますね、この四税のそれぞれの税目と、どのぐらい増えたのかということ、そしてその要因を財務省の方からお聞かせいただきたいと思います。

坂本政府参考人 お答え申し上げます。

 地方交付税の財源となります各税目の令和三年度決算の税収でございますけれども、まず所得税は二十一・四兆円でございまして、受取配当を始め、全体的に所得が増加したことにより、補正後予算から一・四兆円の増加となってございます。

 続きまして、法人税、十三・六兆でございまして、世界経済の回復に伴います需要増や、円安等による好調な企業収益を背景に、補正後予算から〇・八兆円の増加でございます。

 消費税は二十一・九兆円でございます。円安、資源高を背景に輸入金額が増加したこと等に伴いまして、補正後予算から〇・八兆円の増加。

 酒税は一・一兆円でございまして、課税数量が減少したことに伴い、補正後予算から約四百億円の減少となってございます。

 最後に、地方法人税は一・九兆円でございます。法人税と同様、好調な企業収益を背景に、補正後予算から〇・二兆円の増加となっているところでございます。

重徳委員 今お聞きのとおりであります。所得税も、給与、配当といった金融所得が増えているということでありまして、配当が増えるというのは企業の業績によるものでありますから、したがって、コロナ禍ではありますけれども、企業業績、伸ばしているところは伸ばしているということでありましょう。そして、所得税、つまり個人個人の所得が増えているのも、それから、企業の拠点も比較的、東京、大都市部に偏っているのではないかな、これを交付税原資に回していくという構図だと思うんです。

 私は、たまたま今年度は、今回の補正で一・九兆円、交付税を、原資を増やすことができるという状態になった。そして、そのうち〇・五兆円は経済対策に充てるということであります。ですから、残りの一・四兆円を何に使うのかということはよくよく考えなきゃいけないと思います。

 それで、今の政府の方針だと、これは来年度の、令和五年度の地方財政に資するように使うんだということでありますけれども、ただ、先ほど言いましたように、本来の自治の観点からすると、さっき言った八十兆円以上にも上る交付税特会借入れとか臨財債の肩代わりとか、これは本来の姿ではないわけですから、その状況をまず解消していかなければ、法定率もそうですけれども、まして税源移譲なんという議論に進めるはずもないと私は思います。自転車操業のようなやり方の、八十兆円もありますので、その場しのぎというよりは、これから三十年以上かけて返さなければならなくなったような借金、そして、先ほど言いましたように、住民には非常に見にくい状況、これを解消するのが先じゃないかというふうに思います。

 これはちょっと、一応お聞きします。この一・四兆円も、今回の補正予算上、一・四兆円の余剰財源ができたということでありますが、これをなぜ来年度に回すのか。返せるものは今年度返すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 補正の法案、閣議決定、先日しておりますが、国税が増収しておりまして、一・九兆原資が増えまして、そのうち〇・五兆は今年度再算定、一・四兆は来年度の原資として繰り越すということでございます。

 今御指摘がありました健全化、臨財債の縮減ですとか特会の償還に充てるべきじゃないか、こういう御議論は当然ございます。現実に、昨年度は、実は、今回の一・九兆円に当たるのは四兆円ぐらいありまして、二兆円程度はそのような臨財債の縮減ですとか特別会計の償還に充てております。

 ただ、一方、来年度の令和五年度を考えますと、なかなか今、御案内の状況で、税収は極めて不透明でございます。それから、実は、三年度から四年度にも同じように繰越しを一・三兆しております。したがって、繰越財源がないと、その繰越分一・三兆がマイナスに至ってしまう、こういうこともございます。

 したがって、そういうトータルのことを総合的に勘案して、五千億円は今年度に配分し、一・四兆円は来年度に繰り越して、健全化のことはまた五年度の中で、また税収の動向を見ながら検討してまいりたい、このように思っております。

重徳委員 ちょっと法案審議の先食いでありますが、ちょっと大臣にも予習をしていただくためにも、今の局長の答弁をよくお聞きいただけたというふうに思います。

 やはり考え方はいろいろありますので、お金が浮いたから何に使うか、ここは、しかし地方自治にとっては極めて重要な岐路になると思いますので、よくよくお考えいただきたいと思います。

 もう一点だけ事務方の方にお聞きをしまして、大臣への質問に移りたいと思うんですが、先ほど来話題にしております税源移譲ですね。税源移譲というものは、二〇〇〇年代の三位一体改革の後、行われていないのかな、いないようにも思うんですけれども、これの成果として、各自治体の財政の自立度はどのぐらい上がったと評価されているか。具体的に一つだけ言うと、不交付団体はどのぐらい増えたのか、あるいは、思うようにいかず減ったのか、この辺りについて教えてください。

原政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありました税源移譲の際の不交付団体の数でございますけれども、不交付団体の数、平成十八年度の算定のときは、都道府県と市町村を合わせて百十九団体でございましたが、税源移譲を行った平成十九年度は百四十二団体に増加しております。

 ただ、税源移譲に伴いまして歳出も増えておりまして、単純に税源移譲の効果とは言い切れない面もございます。この年ちょうど税収等も好調になってございます。

 いずれにしても、十八と十九の変化を見ますと、百十九から百四十二に不交付団体が増えるということでございます。

重徳委員 それでは、直近の数字も教えてください、不交付団体の。

原政府参考人 お答えいたします。

 令和四年度の当初の算定で、都道府県と市町村を合わせて七十三団体、不交付団体がございます。

重徳委員 百十九が税源移譲によって百四十二に増えたけれども、今は七十三ですね。大幅に減ったと言ってよろしいかと思います。

 税源移譲だけではなくて、もちろん収支両方合わせての不交付団体ということになるとは思いますけれども、やはり地方自治の根幹は自主財源であります。税源移譲というのは極めて重要なテーマ、だけれども、それだと偏りも出るというのも事実であります。しかし、全体としては、不交付団体を増やすというのは一つの地方自治の強さのメルクマールだと思います。

 これは大臣にお聞きしますが、この不交付団体を増やしていくお考えか、そして、どのようにして増やしていくのか、こうしたことについてお考えをお聞かせください。

松本国務大臣 自治省、総務省で行政に携わり、国政に当たっておられる委員からの自治財政制度に関わる御意見、一つの御見識として承らせていただきました。法案についての勉強の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 不交付団体の数については、御案内のとおり、骨太の方針二〇一三において、リーマン・ショック以前の水準にすることを目指すとされておりましたが、その後、地方法人課税の偏在是正の取組、社会保障関係費の増加などにより、普通交付税の算定に用いる基準財政収入額、基準財政需要額の両面において大きな環境変化が生じております。

 このような状況の下、翌年以降の骨太の方針及び骨太の方針に基づく各施策の道筋を具体化した改革工程表において、不交付団体の数の目標は示しておりません。

 現在は不交付団体の数について数値目標等を示した上での取組は行っておりませんが、もちろん、地方の行政サービスをできる限り地方税で、自主財源で賄うことができるよう、地方税の充実確保に努めていく必要、この点については私も委員と同様に考えております。

 その上で、地方財政については、社会保障関係費の増加が見込まれる中で、全国の全ての地方自治体が、住民のニーズに的確に応えつつ、様々な課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう、必要な一般財源総額を確保した上で、地方交付税については、財源調整機能と財源保障機能が適切に発揮されるように、地方交付税総額を適切に確保するとともに、臨時財政対策債の発行の抑制が重要であるというふうに考えております。

 その方向で最大限の努力をしたいということが、今の私の決意でございます。

重徳委員 明確な目標は特に設けないということですが、しかし、そういう方向性は共有していただきたいですね。結果として不交付団体が増えるか増えないか、それはそのときの情勢にもよりますが、やはり自治体の自立、地方自治という思いを大臣に共有していただきたいというふうに思います。

 その点で、冒頭申し上げました、大臣所信に自治という言葉が一回も出てこない、これは実は高市大臣にも言ったことがあるんです。寺田さんは言う前に辞めちゃいましたので言う機会がありませんでしたが、松本大臣には、是非、今までの専門畑とちょっと違うのかもしれませんが、これを機に、総務大臣になられたのを機に、自治という言葉を取り戻していただきたいと思います。

 全国の自治体が疲弊しているという話ばかり、そして、国が地方を助けるとか、そういう話ばかりでありまして、地方自治の本来の気概というものを健全な形で国が応援していくという姿勢を取り戻していただきたいと私は思います。その象徴がこの大臣所信だと思いますので、自治という言葉にこだわって、次なる通常国会の大臣所信では、是非何らかの形で地方自治ということに言及していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 まだまだ至らぬ点は多々ございますが、私自身も、自民党において、地方創生統合本部で様々、自治、地域の活力向上には、政策づくりに研さんを積み重ねてきたつもりでございます。

 その上で、地方自治に関しては、大臣所信の冒頭で、地方行財政、選挙、消防という形で申し上げさせていただきましたが、地方自治について、その重要性は、私も委員と同じように大変重要であるというふうに認識をさせていただいております。

 私自身、かねてから、地域において、有権者の方々には、「誰もが希望を持てる 地域が元気になる 国づくり」ということを掲げて国政に携わる機会をいただいてまいりました。

 地方は様々な課題に直面をしているということは認識をしておりますが、我々の使命は地方を元気にすることでありまして、そのことは、御指摘のあった地方の自主性、自立性、これを自治という形でおっしゃっていただいていると思いますが、この重要性を認識して、その向上にはしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

 次回の所信については、また改めて、御意見をいただいたことは私もテイクノートしておきたいと思います。

 以上です。

重徳委員 では、是非、次回の所信に期待をしていますので、よろしくお願いいたします。

 今国会、この間成立しました十増十減という法律がありますが、私は、十増十減、十減の方で地方の声が届かなくなる、これは思いとしては全ての国会議員が共有していると思いますが、やはり民主主義というのは、国民の数に応じてそれを反映するということでありますので、理屈の上で十増十減を批判するというのは、これは当たらないと考えます。

 より本質的な問題は、国会議員の数が地方から減ることじゃなくて、住民の数が地方から減ることであります。その人口が減少しているという問題、このことは、私は、今年の二月十八日の総務委員会、三月十七日の総務委員会、今年じゃないかな、去年だったかもしれません、かつての総務委員会で、平成の市町村合併の検証とそこへの対応を訴えさせていただきました。

 例えば、合併の成果と総務省が誇っているものの要素が、首長、議員、役場職員の削減だ、こんなに減ったから効果があったでしょう、これは極めて一面的であろうという指摘をしました。まして、総務部門の職員が減ったというところは百歩譲って効率化の成果だとして、よく見れば農林水産部門の職員の方が減り方が大きい、これは全く本末転倒じゃないかということも指摘をしました。

 市町村合併というのは、最初の話につながりますが、結局、国家財政の健全化のためにやったという評価にならないかという問いもさせていただきましたし、広大な新市を、新自治体を運営していくためには、十年ばかしの合併交付税算定替えや特例債じゃなくて、三十年ぐらいの、一世代ぐらいの計画がなければ、十年前ぐらいのことなんてみんな覚えていますから、十年前はよかったと、市民の多くの方々が十年前はよかったのにと言っているような町というのは決して幸せな町ではないじゃないか、こういうことも指摘をさせていただきました。

 合併をしてやはり悲哀を感じているのは、旧町村、旧郡部の方々であります。

 松本大臣の御地元、選挙区は旧姫路市だと伺っております。姫路市自体は、編入合併されました旧四町、家島町、夢前町、香寺町、安富町という、恐らくとてもすてきな場所なんだと思いますが、そこはあいにく選挙区ではない、旧姫路市だけだというふうに聞いておりますが、大臣、しかし、そうはいっても、同じ市民として、旧町村の方に足を運ぶ機会というのはどのぐらいの頻度であるんでしょうか。

 それから、時間の関係もありますので一遍に聞きますが、市町村合併によって、これは財政の健全化だけじゃありません、自治体制の強化ということも市町村合併の大きな目標、目的だったはずです。これが果たして旧郡部においても実現されているのか。そして、そうじゃないのであれば、それをどう立て直すのか。こういったことについての合併の検証と対策についても、是非、御地元の課題を含めて対応していただきたいと思いますが、御答弁をお願いします。

松本国務大臣 御指摘のとおり、選挙区割りではそのような形になっておりますが、一つの姫路市でもありますし、また、御案内のとおり、御案内ではないかと思いますけれども、姫路市の場合は、中心に姫路城があって、その地域はかなり発展をしているわけでありますが、姫路市全体の発展が必要であるということを現在の市長も公約に掲げて、我々も連携をしてサポートしてまいりました。

 その意味で、旧四町、私もかなりいろいろな機会に訪問しているというふうには申し上げられるかというふうに思っております。実情もよく承知をしておるつもりですので、そのことを踏まえて、今いただいた御指摘もやっていきたいと思います。

 平成の合併については、総務省として、累次の地方制度調査会における今後の基礎自治体の在り方の検討に際して、平成の合併後の市町村の状況や課題の把握というのを行ってきて、このような状況の把握を踏まえて、先ほどですか、普通交付税の算定の見直し、合併後の市町村における支所に要する経費を加算するなどの措置を講じてきたところでございます。

 平成の合併の効果などの評価、検証については、将来の基礎自治体の在り方の検討に際しても重要なことですので、引き続き、状況、課題の把握に努めてまいりたいと思います。

 また、私も地元は訪問しておりますが、これから総務大臣としての職責を果たしていく中で、地方自治に携わる様々な方々にお会いをして、合併後の状況を含め、自治体の状況について丁寧に伺う機会をつくれればというふうに思っております。

重徳委員 私も、地方制度調査会の委員を拝命しておりますので、また力を合わせて自治の強化に対して取り組んでいければと思います。

 どうもありがとうございました。

浮島委員長 次に、石川香織さん。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織です。

 松本大臣、よろしくお願い申し上げます。

 先ほどの重徳委員のお話を聞いておりまして、地方自治の本来の気概を取り戻すというお話がありました。まさに総務委員会の非常に大きな役割だなということも感じたんです。

 私も、最初の質問、コロナ関連のことを聞こうと思いました。コロナの現場でも、やはり地方自治体、自治体職員の皆さんは非常に疲弊しているということでありますけれども、これまでも、保健所の負担については、コロナが始まってから、負担を軽減するべきではないかということを様々な場面で質疑されてこられましたけれども、今日は、保健所と連動しながらコロナ禍を奔走してきた現場の一つである地方衛生研究所についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 今日は、厚労省に来ていただいております。

 この地方衛生研究所というのは、地方保健に関する総合的な調査及び研究、研修などを行う施設でありまして、全国で八十八か所あります。このコロナ禍では、保健所と連携しながら、PCR検査の検体をもらって陽性か陰性か出すというようなこともしておりまして、非常に業務が多くなっているということでありました。ただ、法的位置づけが不明確だったということが課題であったと。

 そして、十一月に感染症法の一部改正が行われまして、この附帯決議の中で、地方衛生研究所について、本法の趣旨を踏まえて、法律上の位置づけを明快にしつつ、その体制整備などについて基本的な指針を地方公共団体に示すとともに、保健所及び地方衛生研究所の人員及び予算を確保し、試験及び検査、調査及び研究など、より一層の体制強化を図ることとされております。

 この人員確保という目的で、保健師確保、これも地方財政措置をして九百人増やしたということもしましたが、同じように、この地方衛生研究所の人員についても同様の措置が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 地方衛生研究所につきましては、感染症危機に際しまして、民間検査機関が検査体制を整え軌道に乗るまでの感染初期において検査需要に応えるといった機能をしっかりと発揮できるような体制整備、これは必要だと考えております。

 国といたしましては、今般の新型コロナ対応におきまして、保健所設置自治体に対して、検査能力の増強を図るために、必要なPCR検査装置等の設備整備への財政支援を行うほか、国立感染研究所での試験検査の検査法の普及や検査手技の習得のための研修などを実施してきたところでございます。

 御指摘の地方衛生研究所の人員等の確保につきましては、御指摘の今月四日の衆議院厚生労働委員会の附帯決議を踏まえまして、地方自治体の声も聞きつつ、関係省庁とも相談しながら検討してまいりたいと考えております。

石川(香)委員 是非よろしくお願い申し上げます。

 そして、コロナのワクチン接種の打ち手ということについてももう一つお伺いしますけれども、現在、コロナの特例で、歯科医師、検査技師、救命救急士もワクチンを打つことができるようになっています。ただ、特例ということで、法律にはきちんと明記されていないため、違法になってしまわないように違法性を阻却するということでありますけれども、今後、コロナではない感染症の流行も踏まえまして、その対応も考えまして、その位置づけをしっかり明記していこうということが今回国会で進められているということです。

 今後、さらに、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士も接種できるように追加できるという方向性だということでありまして、これらの方々はふだんワクチン接種はしていないということで、新しい業務が急に出てくるということですので、ワクチン接種に関する研修ですとか、その費用は必要ではないかという声が現場から上がっておりまして、この点についてもう一つお伺いをしたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、今般の新型コロナのワクチン接種に関しましては、公衆衛生上の観点からやむを得ないものとして違法性阻却の考え方をお示しし、歯科医師、臨床検査技師、救急救命士が医師の適切な関与の下で注射行為を行うことができるという考え方をお示ししております。

 これを踏まえまして、今国会におきまして現在提出しております感染症法等の改正案、この中で、感染症発生、蔓延時において特に必要があると考えられる場合には、歯科医師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士が診療の補助として注射行為を行うことができるということで御提案をしているところであります。

 今般のコロナにつきましては、筋肉注射であったということから、必要な研修を受けていただいておりまして、その際の研修費用につきましては、新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業費補助金、これの活用を可能としたところであります。

 本改正案が成立した後にこれが要請される場合には、今般のコロナの経験も踏まえつつも、また、対象となる感染症によりまして手技が異なってくることもありますことから、今後、そういった特性を踏まえて、関係団体等ともよく意見を聞きながら検討させていただきたいと思っております。

石川(香)委員 研修などについて、予算が使えるものもあるということでした。

 ふだんの仕事以上の役割が今増えてしまっている現場があるということで、それぞれの業種それから地域、それぞれの課題がまだまだあると思いますので、そういう場所で奮闘していただいている皆さんに対しての、現場への最大限の配慮をこれからもお願いを申し上げたいと思います。

 厚労省は御退室いただいて結構です。ありがとうございます。

 それでは、マイナンバーカードについてお伺いをします。湯原委員からも御指摘がありましたので、少し工夫してお聞きをしたいと思います。

 先ほども、このマイナンバーカード、いろいろ質問がありました。マイナポイント二万ポイントがもらえるのが十二月締切りだからということもあると思いますが、窓口には問合せや申請で訪れる人が殺到しているということでした。加えて、やはり年配の方はデジタルに詳しくない方もいらっしゃいますので、一人一人の窓口の対応の時間が非常に増えてしまっているという話も、実際に窓口業務の方からも聞きました。

 自治体は、このように、急な方針転換に振り回されつつも、このカード交付率を上げようと努力をされているということをあちこちで聞くんですが、先ほどの質疑の中にもありました、カードの交付率が地方交付税に反映されることが検討されているということで、これは自治体への脅しではないかという指摘、私も論点としては同じ思いでありますが、これも、政策誘導やペナルティーではないけれども、一月頃に決める見込みだというさっき御答弁がありましたので、もう一つの質問に移りますけれども、この発想自体を私もとんでもないと思っておりますし、やはり自治体の首長さん方も、非常に、これはどういった発想なんだという話を聞いております。

 このマイナンバーカードは、今年度中にはほぼ全ての国民に交付するという目標を立てていると思います。マイナンバーカード交付事業費補助金、令和四年度の予算の中で、これが四百十一・一億円、マイナンバーカードの交付事務費補助金というものが六百十六・一億円となっておりますが、令和五年度の要求額ではこの金額が少しずつ減っております。これは、今年度に終えるということで減っているということなんでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 令和四年度予算におきましては、政府目標を踏まえまして、マイナンバーカードをほぼ全国民に行き渡らせるために必要な経費として、J―LISにおけるカードの発行や自治体におけるカードの交付のための経費を計上しているところでございます。

 御指摘の令和五年度概算要求につきましては、令和四年度予算の考え方を踏まえた上で、カードの円滑な交付や更新等に対応するための体制の整備に必要な額を計上しているものでございます。

石川(香)委員 今年度に終えるという目標があるということも関連しているんだろうなということなんですが、これは本当に今年度、配り終えられそうなんでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 先ほども御答弁いたしましたが、マイナンバーカードの累計の申請件数、十一月二十一日時点で七千四百八十八万件、人口に対する割合は五九・五%と、六割に迫る状況になっております。

 令和四年度末までにほぼ全国民に行き渡ることを目指すという政府方針の下、政府全体で普及促進に取り組むとともに、国民の利便性を高める取組を徹底して進めているところでございます。

 総務省としては、引き続き、関係省庁、自治体とも緊密に連携しながら、申請促進そして利便性の向上に全力で取り組むことで、普及の加速化を図ってまいる所存でございます。

石川(香)委員 今、六割に届くかどうかというところで、この目標があるから自治体職員も一生懸命交付率を上げようとしているということで、目標自体は拙速だと私は思うんですが。

 ある自治体はマイナンバーカードの交付率八割を超えるところがあるということで、どうしてそんなに普及が進んだかということを聞きますと、職員が戸別訪問して回っているということを聞きました。それも、検討段階とはいえ、交付税の算定に影響するのではないかとか、デジタル関連交付金の申請にも響くのではないかというような方向性が耳に入るものですから、そうしたら、ほかの交付金ももしかしたらこのマイナンバーの交付率に応じて減らされるんじゃないかといううわさがあり、そして、その職員の方の話ですと、ほかの交付金も交付率に応じて減らされるようなことがあったらほかの部署に迷惑がかかる、なので、一軒一軒回って何とか八割に届くようにしたということを聞きまして、本当に涙が出る話だと私は思っております。

 これから年度末にかけて様々な窓口業務も多くなるわけでありますが、ふだんの業務にプラスして現場のかなり負担になっているのではないかと思いますけれども、こういう話を聞いて、松本大臣、どのような感想をお持ちでしょうか。

松本国務大臣 繰り返しになりますが、マイナンバーカードの交付率を普通交付税における地域のデジタル化に係る財政需要の算定に反映をするということについて今検討をしている。各地方自治体の状況に応じて的確に財政需要を算定に反映させるとの観点から行っているものでありまして、これからも財政需要を的確に算定に反映する観点から、指標の一つとしてマイナンバーカードの交付率を用いる方向で検討しているというふうに申し上げさせていただきました。

 マイナンバーカードの普及につきましては、国民の皆様にとっても資するものになるようにということで、利便性も含めて政府全体で取り組んでいるところでありまして、自治体の皆様とも緊密に連携をして対応をしてまいりたいと思っておりますし、また、地方自治体の実情などはしっかりと伺いながら、普及促進に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

石川(香)委員 実情をしっかり伺いながらという話がありましたが、これが実情なんですよね。だから、やはりこういう自治体の職員の方の頑張りとか、そういうのをもう少し具体的に知る必要があるんじゃないか。そこまでして、年度内に何とか配るとか、こういう目標がある。そして、地方交付税の算定だとかそういうのに影響するんじゃないかという、うわさでもこれだけ現場が動揺しているということは、是非もっと知っていただきたいと思います。

 違いますか。よければ御答弁、異論があったら。済みません、間違っていたら是非。

松本国務大臣 いや、あくまで私どもは、交付率の算定については、先ほども繰り返し申し上げましたけれども、財政需要を的確に反映させるためにということで検討しているということを申し上げたというところでございます。

石川(香)委員 それも含めて、検討しているということで、現場には余りちゃんと伝わっていないんだと思うんですよね。

 これはレクの段階では、こういう戸別訪問も優良事例の一つであるというような言い方もされておりましたが、優良事例かどうかということは、現場の負担も考えてやはり判断しなきゃいけないと思いますので、是非、実態も含めて、もう少しやはり知っていただきたいということと、それから、まだまだマイナンバーカードは課題もたくさんあると思いますので、引き続き私も聞いてまいりたいなと思います。

 時間がちょっとなくなってしまいましたので、最後の質問になりますが、地方自治法九十九条というものについてお伺いをさせていただきます。

 地方自治法九十九条の規定につきまして、地方公共団体の議会などが国会に対して意見書を提出するということができます。分野は何でもいいということになっていますけれども、これは、町村議長会実態調査の概要によりますと、年間三千件ほど意見書が提出されていると。まさに地方の貴重な切実な声だと思うんですが、これは回答の義務がないということで、これまで三千件ほど出ていましたが、回答の義務はないということでした。

 ただ、地方交付税に関する地方交付税法十七条の四というものも、幅広く意見を提出していただくという制度がありますけれども、こちらはしっかりリアクションを何らか返すということが課せられておりまして、この地方自治法に関しては回答の義務がない、つまり、自分たちの意見表明そのものがちゃんと伝わったかどうか、効果が非常に不明であるということで、モチベーションの維持が難しいといったような声も上がっております。

 全て返事するのは難しいかもしれませんが、何らかリアクションが必要ではないかということを最後にお伺いをしたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、地方自治法第九十九条の規定によりまして、地方議会は、地方自治体に関係のある事柄について意見書を国会や行政庁に提出することができることとされております。

 意見書の提出を受けた行政庁等は、意見書に対して回答その他積極的行為をする義務を負うものではございません。それぞれの判断により、意見書を踏まえた対応を行っているものと承知しております。

石川(香)委員 時間が来たので終わります。ありがとうございます。

浮島委員長 次に、守島正君。

守島委員 日本維新の会、守島です。

 まず、大臣就任、誠におめでとうございます。

 本日は大臣所信に対する質問ということですが、臨時国会が開かれて以降、総務委員会においては、なかなか定例日に委員会が立たず、一般質問を行う機会がないまま今日に至り、二度目の大臣所信に対する質問と急遽なりましたが、質問するのは野党も準備が必要というのもしかりなんですが、行政職員も、日程と議題がこのように定まらない中では建設的ではない負担というのが強くかかってしまいますので、改めて、皆様には安定的かつスムーズな委員会運営に努めていただくことを強く要望いたします。

 それでは、質問に入りますが、大臣はさきの所信において、国と地方の関係や地方議会の在り方に関して、地方制度調査会での議論を踏まえて総務省として検討していくと話されていました。

 しかし、先日の地制調の専門小委員会でまとめられた答申の素案、これは僕も見たんですが、これでは、地方議会における課題や今後の方向性は示しているものの、正直、即効性のある解決策というのは示されておらず、議員のなり手確保のための会社員の立候補休暇制度や本会議のオンライン開催など、各級の議会サイドからの要望事項に対しても素案段階では見送られたということもあり、ちょっと残念に思っています。

 見送り理由は、配付資料にありますように、経済界の負担や国会議員や首長との整合性などいろいろあり、そうした懸念も理解するんですが、今、与党を中心に、議員のなり手不足解消のために兼業規制の緩和という話も出ているやに聞いていますので、むしろ、正直、この検討事項も優先すべき課題じゃないかなというふうに思っていて、一定、企業側とか今の国会議員に気を遣ったというのは分かるんですけれども、地制調には、国会議員や経済界的な立ち位置からではなく、フラットで建設的な提案をしてほしいというふうに思っています。

 とはいえ、立候補休暇制度の法制化については、企業側にも保障されるべき裁量というのはあるので、急な法制化は難しいというのも分かりますし、地制調も引き続き検討をするとしています。

 よって、地制調も、まずは、各企業の状況に応じた自主的な取組として、就業規則において、立候補に伴う休暇制度をつくることや、議員との副業、兼業を可能とすること等について各企業に総務省が要請していくべきというようなことも示唆されているんですが、この点、総務省としてどう考えているか教えてください。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、第三十三次地方制度調査会では、地方議会の位置づけや議員の職務の明確化、多様な層の住民の議会への参画につながる環境整備など、地方議会の在り方について、各議長会からの意見聴取を含めた調査審議が進められております。

 十月二十四日の専門小委員会の答申素案について御紹介をいただきましたけれども、まずは、各企業の自主的な取組として、就業規則において、立候補に伴う休暇制度を設けることや、議員との副業、兼業を可能とすることなどを要請することとしてはどうかといった議論がなされているところでございます。

 同調査会における審議の状況を踏まえまして、総務省としては、必要な対応を検討してまいりたいと思います。

守島委員 一足飛びに法制化にいかないというのは理解しているところでもあるので、地制調の議論を待ってでもいいんですが、積極的に各企業に要請するようにお願いしたいというふうに思っております。

 次に、見送られた、地方議会における本会議のオンラインでの開催についてですが、とりわけ、僕は大阪市議時代、全国で初めてオンライン委員会というのを提案、実現させたという経験がありますので、正直、総務省が前向きになればこれはもっとやれると思っていまして、今年の通常国会でも、今日は金子元大臣がいますが、そういう話をさせていただきました。

 当初は、総務省も、憲法上の出席の解釈が物理的出席ということで、地方の委員会においてもオンラインの導入というのは結構後ろ向きだったんですが、それを盾に、大阪市議会、地方の議会事務局もかなり総務省見解で抵抗したので、実現に当たっては大変苦労をいたしました。

 そんな中、総務省も柔軟になってくれて、令和二年四月に、地方議会におけるオンライン会議についての通知を出してくれたんですが、その内容が、略して言うと、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止の観点などから委員会の開催場所への参集が困難と判断される事情がある場合に、映像と音声の送受信により委員会を開催することは差し支えないというものであり、あくまでコロナで参集困難なときに限りオンラインの委員会を開催するのは差し支えないという内容で、文面の限りでは、かなり特定された環境でしかオンライン活用ができないという状況です。

 にもかかわらず、総務省は、地方議会でオンライン委員会の実施数が少なくて、それを理由に、本会議のオンライン導入を求めても、地方の委員会における運用状況をもっと見て慎重に検討すると言うんですね。

 これは、例えば大阪府において、僕も当時、大阪維新の会の政調会長だったので、国会議員と連携して総務省に質問主意書などを出しながら、ある意味、総務省通達の範囲を超えて、コロナによる参集困難な場合以外の、大規模災害のときとか、あと、育児、介護などやむを得ない事情の際もオンライン出席を可能とする大阪府の条例改正案の実現に尽力してきました。

 結果として、総務省はこうした条例改正に異を唱えることはなかったですし、さきの通常国会で、自治体の判断で行うことは可能という回答をしてくれたんですが、コロナに限定しないオンライン委員会を可とする自治体はまだ十ぐらいしかありません。

 こうした動きは、当然、今後、BCPとか多様な働き方という観点から必要になってくると思いますし、総務省も、自治体の実施状況を検証するというのであれば、改めて総務省の通知を変えるなり、もっと前向きに委員会でのオンラインが広く活用できる旨を地方に知らせていくべきだと思うんですが、どうお思いでしょうか。

松本国務大臣 今委員から御指摘の令和二年四月の通知でございますが、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止の観点などから委員会の開催場所への参集が困難と判断される実情がある場合に、オンラインによる方法を活用して委員会を開催することも差し支えない旨、お示しをさせていただいております。

 地方自治法上、委員会に関し必要な事項は条例で定めること、これは委員には申し上げるまでもないことかというふうに思いますが、新型コロナウイルス感染症以外にも委員会の開催場所への参集が困難と判断される場合があるか否か、そのような場合にオンラインによる委員会開催を可能とするかどうかについては、各議会において判断されるものと考えております。

 実際に、各議会の判断で、災害や育児、介護といった事由により、オンラインによる委員会開催を可能とすることは差し支えないものと考えており、実際に、令和四年一月一日現在で、オンライン委員会を実際に開催した三十五団体のうち、開催要件に、災害の発生を含む団体が二十六団体、育児、介護を含む団体が十団体あるというふうに聞いております。

 オンラインによる委員会開催については、実際の開催状況も踏まえ、委員御提案の点も含めて、引き続き、必要な助言を総務省として行ってまいるようにいたしたいと思います。

守島委員 大臣、是非よろしくお願いします。

 コロナで参集困難なときなどとか、このなどの解釈で、そうやってくれる自治体は、少ない自治体ではあるんですけれども、基本的にはコロナに限定されているというふうに、普通の解釈では読み取ってしまわれるんですね。なので、改めて、やはり、総務省が自治体の判断でできるよということを言ってあげることで、その解釈の幅を広げてくれる自治体はたくさんあると思うので、是非お願いします。むしろ、それがない限りは総務省が制限をかけているという認識を持ってほしいぐらいのレベルだと思いますので、どういう形でもいいんですが、大臣には、新たな方針、方針というか総務省の考えをしっかりと地方に伝えていただきたいというふうに思います。

 維新の会は、地方議会における本会議へのオンライン出席を可能とする法案をさきの通常国会で提出しまして、この法案は、議会や議長が認める場合に行う出席の方法について、条例で定めることを地方自治法に規定するもので、これは、物理的出席は前提としつつも、必要に応じてオンライン出席の方法を条例で定められるようにするという条例改正案であります。

 これを、先日、総務委員会において中司議員が前寺田大臣とやり取りしましたが、結局これも、地方の運用状況を見て慎重にということで、変わらない回答でした。

 我々の提案は、あくまで、地方議会で技術的なハードルをクリアしていることを条件に、必要とする範囲において本会議でオンラインを用いることを可能とすればいいという法案であり、国に迷惑をかける話じゃないので、改めて、維新の地方自治法改正案を進めていく気がないのか、大臣に聞きたいと思います。

松本国務大臣 地方議会の本会議については、地方自治法上、定足数や表決の要件として出席と規定されていることは申し上げるまでもないかというふうに思いますが、地方議会の本会議は、その団体意思を最終的に確定させる場でありまして、国会における本会議も同様でございますが、議員の意思表明が疑義の生じる余地のない形で行われる必要があります。議員がそれぞれの責任において自由に意思表明ができる環境にあるかどうかといったことも含めて、疑義の生じる余地のない形で行われる必要があるということが一つの点であります。

 また、住民が議論の様子を十分に知り得るように、会議の公開の原則も求められているということでございまして、このため、本会議におけるオンライン開催については、もちろん国会の対応というのも一つの参考になるかと思いますが、地方議会におけるオンラインによる委員会の開催状況、そこで生じている課題、運用状況をよく踏まえてということで、慎重に検討というふうにこれまでも申し上げてまいりました。

 委員会と本会議も、これも申し上げるまでもありませんが、位置づけが異なるものでもありますので、その点を踏まえて慎重に検討させていただきたいと思います。

守島委員 慎重にということで、もちろん、技術的に情報がちゃんと通じているということは前提として、それができない自治体はやる必要がないので、基本的に、国ができないように法律で縛っている状況がおかしいので、自治体にも裁量を持たせて、もちろん、意思の確認がしっかりできるということを前提に、僕たちは進めていけるような環境をつくっていきたいというふうに思っています。

 これも、維新が、地方の本会議でオンライン開催ができるよう求めたのは、国の議論とは切り離して、国への波及は抑えるので、国でできないなら、せめて地方でという考えでありますので、その点、国会で未導入ということを理由に導入しないんじゃないかというような新聞記事もありましたが、そうしたところとは切り分けても考えてほしいなというふうに思っています。

 さて、最後、国の話に移るんですが、通常国会でも、議論の際、憲法解釈の論点を持ち出して、憲法上の出席を、オンラインも含めた機能的出席説を採用した上で、本会議は一旦争点にせず、委員会に絞ったオンライン活用の議論というのをさせていただきました。

 委員会においても、そのときは、国会法五十条で、委員会の議事を、出席委員の過半数で決する、衆議院規則第五十一条、現在しない委員は、表決に参加することはできないと定められているので、オンラインの導入は、委員会でも不可という回答を得ました。

 では、議事とか表決の部分は別として、憲法において機能的出席説を採用した場合、例えば、委員会の質問だけを切り取ってオンラインでするのは可能でしょうか。お答えください。

小林参事 国会におけるオンライン審議の在り方につきましては、今年の常会におきまして、議院運営委員会で各会派による協議が行われたところでございますが、本年六月十四日に決定された同委員会理事会の申合せにおきましては、「正規の委員会をオンライン形式で行うためには、国会法及び衆議院規則の改正等による制度の変更を行うことが前提となる。」こういった整理がされたところでございます。

守島委員 僕が聞きたいのは、質問だけを切り取ってオンライン化するのは違法にならないかどうか、この点をちょっと聞きたかったんですけれども。

 これは、今後のやり取りも含めて争点化していきたいというふうに思っているんですが、この質問に限った活用というのは、先ほどの地方の本会議でも言える論点ですし、違法でなければ、やろうと思えば、各地方でもできることになります。

 今後も、結局、オンラインの導入、こういう議論をずっとしても進まないのであれば、こうした法律に抵触しない範囲でまずはスタートすることが僕は重要かなというふうに思っていまして、いずれにせよ、僕自身は、できない理由を考えるんじゃなくて、できるところから導入して実施をしていくべきというふうな意見を持っています。

 とはいえ、国会で議運が国会法と衆議院規則の変更が前提という方向性を示しているので、その議論をしっかりと進めていただくことを国会議員各位にもお願いいたしまして、時間が来ましたので、僕からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 まずは、松本大臣、就任おめでとうございます。

 新大臣として、これからいろいろ議論を重ねていきたいと思いますし、本日は、大臣の総務大臣所信に関しての質問をさせていただきます。

 本当に簡潔でいいんですけれども、前総務大臣が辞任されましたけれども、そのことに対してどのような認識かということと、新総務大臣としてどのように総務行政に取り組むお考えか、所信で言われましたけれども、まず、その意気込みを簡潔にお答えいただければと思います。

松本国務大臣 寺田前大臣におかれては、就任以来、国民生活を支援すべく経済対策を策定され、本国会で法案審議に当たられるなど、所掌の任務に尽力されてこられましたが、補正予算、被害者救済新法など、重要課題処理の最終段階を迎えるときに、御自身の政治資金に関する質疑が続くことで、悪影響を与えたくないという理由で辞意を表明され、総理がお受けになったというふうに承知をしております。国のことをお考えになっての判断だというふうに思っております。

 私自身は、一昨日の所信でも申し上げたように、総務省は、地方行政、選挙、消防、情報通信、放送、郵便、行政評価、統計など、国の根幹であり、国民生活の基盤となる重要な制度を幅広く所管をしており、総務大臣の職は大変重責でありますが、総務行政を一瞬たりとも停滞させてはならないという決意の下、日々緊張感を持って職務に全力で取り組んでまいります。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 おっしゃるように、各省庁にまたがり、本当に大臣の所管する範囲の広いことは承知しております。

 そういった観点で大臣の所信を見させていただいて、具体的に、紙でいただいているんですけれども、その十ページに、さらに、Jアラートに関して、北朝鮮の弾道ミサイル発射などに対応した的確な運用を行うための研修及び訓練、その後、お話しになっているんですけれども、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練の実施、こういったことで万全を期してまいりますとおっしゃっていただいているわけなんです。

 本当に、実際、北朝鮮によるミサイル発射実験が止まりませんので、今年になって発射したのが四十回近く、九十発に上っております。

 そんな中、これは内閣官房にお聞きする話だと思うんですけれども、資料をちょっと今日お配りしているんですけれども、内閣官房の国民保護ポータルサイトによると、ミサイル発射情報の中でも、直ちに避難というところでも、又は、領土、領海の上空を通過した場合でも、ミサイル発射の場合、建物の中、又は地下に避難してくださいという形で書いてあるんですけれども、これは、建物若しくは地下と書いてあるんですけれども、この若しくはというのはどういった意味でしょうか。どちらでもいいということでしょうか。第一選択として建物で、それか地下があればと。建物若しくは地下というのは、どちらがいいという意味でしょうか。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 弾道ミサイル落下時の行動についてでございますが、屋外にいる場合には、できれば頑丈な建物又は地下施設、それらが近くにない場合は近くの建物に避難していただきたいということ、また、近くに建物がない場合は、物陰に身を隠すか、地面に伏せ頭部を守るというような行動を呼びかけております。

伊東(信)委員 兵器の規模によりますけれども、爆風とかを避けるに当たり、建物がしっかりしていればいいんですけれども、やはり地下というのは爆風を防ぐのには有効ではないかなとも思われます。

 十一月三日にも、Jアラートを通じて宮城県、山形県、新潟県にも対処、避難を呼びかけているんですね。私の地元の泉州地区、関西空港の近くなんですけれども、ほぼ地下がある施設というのがないんですね。にもかかわらず、避難呼びかけに、地下に避難してくださいということで、地域によって、やはり地下施設は多くの人の避難先としては十分と言えないし、若しくはほとんどないのが実情ではないかなと思います。

 ちょっと遡って、平成二十九年八月二十九日及び九月十五日の北朝鮮のミサイル発射事案に対してJアラートが発令されまして、その後のアンケートを資料二の方にお届けしているんですけれども、ほとんどの方が、Jアラートに関して、避難していなかったと。なぜ避難できなかったかというところに対して、どこに避難すればよいか分からなかったというのが三九・五、三七・五、二八・九、三二・九と、かなり多い割合を示しております。

 避難施設の指定状況について、地下施設の想定はどのようになっているかということを、大臣が避難訓練を実施するとおっしゃったんですけれども、避難訓練するにも、ミサイルに対して、災害みたいに学校の校庭に集まるとか体育館に集まるというのは現実的ではないわけで、避難施設若しくはシェルターに対して、内閣官房が所管とは思いますが、地域の防災という観点から今この委員会で質問させていただいているわけなんです。

 実は、泉南市の山本優真市長という平成生まれ初の市長が今年の五月二十二日に就任しまして、その泉南市で小中学校の再編計画案が前市長からのあれでありまして、それで、統廃合して、その統合する学校にこういったシェルターをというような案がありまして、これを国の施策に講じることは可能かの議論がございました。

 それで、御質問させていただくんですけれども、そもそもシェルターとか核シェルターという定義というのはされているのでしょうか。政府からちょっとお願いいたします。

齋藤政府参考人 明確な定義はないものと承知いたしております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 逆に、これは文科省にお聞きすることになると思うんですけれども、学校の施設の中に地下があって、そこが地下シェルター設置の事例というのはございますでしょうか。

野沢政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、武力攻撃事態等における国民の保護のための避難施設の観点で、学校施設における地下シェルターの設置状況については承知してございません。

伊東(信)委員 私も文科委員会理事をさせていただいたので、これまでもいろいろな議論は文科省の方とはさせていただいたんですけれども、こういった有事のことに関しては、本当に、想定していないというのは、それは仕方のないことなんですけれども。

 泉南市の市長は、先ほど平成生まれと言いましたけれども、本当に、私の半分ぐらいの年齢で、これからの世代を担っていくに当たりまして、新しい発想として、いざ住民の人に避難を呼びかけるのに、どこに避難したらいいの、どういうふうな訓練をしたらいいのかというのがやはり地域では課題になっている、問題になっているということを、まず大臣、分かっていただきたいわけなんですね。

 そういったところで、逆に、学校施設に地下シェルターを設置する法的位置づけに関して文科省にお尋ねしたいんですけれども、学校へのシェルター設置というのはいけないと、それを妨げる法律というのは存在していますでしょうか。

野沢政府参考人 お答え申し上げます。

 学校施設は、地域の実情に応じまして、各学校設置者の判断によりまして整備されるものでございます。

 その際、建築基準法等の関係法令に沿って整備される必要がありますが、建築物としての地下シェルター等を整備する場合も同様でございますので、整備を妨げる法的な支障はないものと認識してございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 であれば、学校へのシェルター設置を妨げる法律はないということで認識をしておって、設置自体は可能であると理解させていただいているわけなんですけれども。

 先ほど文科省の方に答弁いただいたわけなんですけれども、学校教育を進める上で必要な施設機能を確保するための目安として学校施設設備指針というのを定めているということなんですけれども、では、もし、学校施設に地下シェルターを設置するぞというところで、国から支援は受けられるのか否かということに関して、文科省のホームページを見させていただきますと、学校施設の環境改善交付金というのがあったりもします。この中に、地震などの災害発生時には地域住民の応急避難場所としても役割を果たすことから、その安全性を確保することは極めて重要であることから、その交付金の存在があるということなんですけれども。避難所の防災機能強化に活用できる主な財政政策としてこれがあると。

 いずれも自然災害を想定しているので、ミサイル攻撃を防ぐためのシェルターの設備は該当しないと認識しているんですけれども、災害に耐え得る地下の避難所があるとして、それを有事のときの地下シェルターとして使えるのか。若しくは、地下シェルターを設置する場合に、こういった、例えば学校施設環境改善交付金みたいな国からの支援は果たして受けられるのでしょうか。

野沢政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、文部科学省におきましては、学校設置者が行う公立小中学校等の施設整備に関する経費の一部につきまして、教育の円滑な実施等の観点から国庫補助しておりますが、地下シェルターの整備に関する経費の補助は対象となってございません。

 学校におきまして、地下シェルターの整備につきまして、国民保護の観点から、ミサイル攻撃等への対応に係る全体の議論の中で慎重になされるべき事柄であると認識してございます。

 仮に、整備する場合でございますけれども、シェルターの仕様、整備する地域、財源等について具体化する必要がございまして、文部科学省のみならず、内閣官房などの関係省庁と連携して対応する必要があるものと認識してございます。

伊東(信)委員 特に、大陸弾道とかのミサイルを想定しますと、その中に、いわゆる核弾道ということも当然想定しなければいけないわけなんですね、一般のミサイルだけじゃなくて。ミサイルというのは破壊力というのがございまして、核弾道の場合は、その後の放射能のことも想定しなければいけないんですね。

 そういった場合、シェルターと核シェルターと両方があるんですけれども、ちょっとお答えにくいということを想定して質問させていただくんですけれども、単なる爆風を防ぐためのシェルターと、核シェルター、本当にちょっとSFの世界みたいになってしまいますけれども、その後の避難のために食料とか水とかを確保しなければいけない。若しくは、核シェルターであれば、放射能を防ぐために、私は医療をやっていて、ふだん自分が放射線を、レントゲンを使いながら手術するので、部屋の中には鉛の装備をしないといけないんですね。そういった、本当に、今大事なことは、ありとあらゆる場合を想定するということなんです。

 何が言いたいかというと、核シェルターになると、その後の備蓄とか換気とか、そして今言いました放射能の遮断であるとか、本当に多岐にわたることになりまして、更なる費用がかかってしまうわけなんです。とはいえども、現実的に、核弾道のミサイルというよりも、数でいうと、有事のときには一般のミサイルの方が多いわけなので、シェルターを前提とすればいける。核シェルターを前提とするとちょっと予算がどうなるか分からないとか、そういった議論も出てくるとは思うんですけれども。

 そういったシェルター若しくは核シェルターの避難場所をどうするかということに関しての国での議論というのは、これは内閣官房の話になりまして、学校の中の話だけじゃないんですけれども、政府としてシェルター及び核シェルターの議論がこれまで出てきたのかどうか、これをちょっとお聞きしたいんです。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 武力攻撃を想定した避難施設につきまして、まず、弾道ミサイル攻撃による爆風等からの直接の被害を軽減するためにはコンクリート造りの堅牢な建物や地下施設に避難することが有効であり、これらの施設を緊急一時避難施設として指定の促進に取り組んでおり、着実に指定が進んでいるところであります。

 その上で、政府におきましては、武力攻撃を想定した避難施設の在り方に関し、核攻撃等のより過酷な攻撃を想定し、一定期間滞在可能な施設とする場合に必要な機能や課題などについて、諸外国の調査も行うなどして、検討を進めてきているところでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 検討されているということなんですけれども、諸外国についての調査研究というのは、例えば、今、ロシア・ウクライナ有事なんですけれども、報道ベース、メディアベースでしか見てはいないですけれども、ウクライナの皆さんが地下のシェルターに避難されているという映像を我々は見たりもするわけなんです。

 やはり地下シェルターを有効に使えればと思っているんですけれども、それは内閣官房とか政府の中で、先ほどからるる述べている防災面又は有事の対応としての地下シェルターを有効に機能しやすい、避難訓練の、大臣所信の話に戻りますけれども、これは政府にお答えしていただいたらいいんですけれども、学校にこういったシェルターを、地下シェルターを装備する、若しくは、学校の施設がコンクリートでしっかりしているから、さっきの統廃合の話になりますと、学校の建物自体が老朽化しているという問題もあるとは思うんですけれども、学校にシェルターを造るという議論ということ自体は今までされてきたことはありますか。

野沢政府参考人 お答え申し上げます。

 その議論については承知してございません。

伊東(信)委員 分かりました。

 まあ、そうですよね。学校の方には、そういった防災の話は出てくるけれども、有事に関して、ミサイルに関してのシェルターの議論はされていない、それは分かりました。

 先ほどちょっと海外の事例を調べられたということなんですけれども、ウクライナも含めて、具体的にどういった海外の事例とかというのをお調べになったかというのをちょっとお教えていただきたいんですけれども。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 諸外国の調査についてでございますが、例えば、韓国におきましては、住民避難施設のほとんどが、公共及び民間所有の地下施設を所有者の同意に基づき指定をしたものでございますが、NBCからの防護機能は備えておらず、一時的な避難のための施設という位置づけとなっておるようでございます。

 また、スイスにおきましては、一定規模以上の集合住宅にNBC対応のシェルターの設置が義務づけられているほか、行政機関が整備する公共用シェルターも存在をしているなどの内容を把握しておるところでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 本当に、海外の事例を調べられているということで、国としてもそういった議論はされているという認識の下です。

 ただ、私が提案させていただいたというよりは地元から出てきた声なんですけれども、有効に機能しやすい学校に有事対応として地下シェルターを整備することは必要だと考えているんですけれども、ここでまた大臣所信の話に戻るわけなんですけれども、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練の実施となりますけれども、じゃ、その避難場所はどこかということを想定されているのかどうか。若しくは、であれば、こういった学校にというところも必要だと思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

松本国務大臣 総務省としては、消防庁におきまして、Jアラートの運用、国民保護のための訓練や、国民保護法に基づく避難施設の指定などに関する国と地方公共団体間の連絡調整を担わせていただいております。

 従来からJアラートの的確な運用を行うための取組を進めてきているところでありまして、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を今年度から再開するなど、関係省庁と連携の上で、地方公共団体と一層の連携強化に取り組んでまいりたいと思います。

 加えて、委員御指摘の避難施設については、指定権者である都道府県知事や指定都市の長に対し、関係省庁と連携の上、特に地下施設を中心として避難施設の積極的な指定を促進をしているところでございます。

 総務省消防庁を所管する大臣として、今後も一層関係省庁と緊密に連絡いたしまして、これらの取組を力強く進めていくことによりまして、より一層の国民保護体制の整備に万全を期してまいりたいと思います。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 本当に、各省庁と連携しながらとおっしゃっていただきました。冒頭でお話ししたように、シェルターは内閣官房の管轄であって、各省庁にまたがるということなんですけれども、そこはやはり、ひとつリーダーシップというのが必要になってきますので、皆さんも昨日見られたと思いますけれども、ワールドカップのドイツ戦の同点ゴールを決めた堂安選手のように、俺が決める、俺しかいないと思っていただいて、是非ともリーダーシップを発揮してください。

 これで終わります。ありがとうございます。

浮島委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 まず、松本大臣、御就任おめでとうございます。

 本日は、今国会二回目の大臣所信に対する質疑ということになりますけれども、寺田前大臣の後を受けまして御就任されました松本大臣として、これまでの経緯を踏まえて、大臣が、先ほども改めて述べられましたけれども、国民生活の基盤となる重要な制度を幅広く所管する省庁である総務省の大臣として、何を大切に、何を基本として職責を果たされる決意であるか、また、所信の中で、当面取り組むべき多くの課題というものを挙げられておりますけれども、特に大臣がこの在任中に注力して取り組みたい課題というものがありましたら、それも含めて御見解をお尋ねをいたします。

松本国務大臣 御質問を賜りました。

 私自身も、かつて、衆議院と参議院の議院運営委員長として西岡武夫先生の薫陶も賜ってまいりましたので、そのようなこともしっかり生かして、これからまた取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。

 所信でも申し上げましたように、今また委員からもお話しいただきましたように、総務省は、本当に、国の根幹、国民生活の基盤となるもろもろの制度を担当する重要な省でございます。その意味で、所信でも申し上げてまいりましたが、まずは、総務省として取り組まなければいけない様々な課題にしっかりと取り組んでいくことが、私の大切な使命であるというふうに認識をしております。

 その上で、私は、党におきましては、様々な政策に関わる中で、アナログの人間のためのデジタルの実装というのを一つのテーマで取り組んでまいりました。教育DXやデジタル田園都市国家構想の策定などにも意見を申し上げてまいりました。総務省は、人とデジタルの接点というのを幅広く所管をしているところでありますので、こういったこれまでの政策づくりの積み重ねも生かしていきながら、国民の皆様に届くような政策が実現できるように力を尽くしてまいりたいと思っております。

西岡委員 ありがとうございます。

 デジタルというのは、今、地方が抱えている様々な問題を解決するときに大変重要なツールであるというふうに思います。是非、大臣のこれまでのお取組を生かしていただいて、力を尽くして取り組んでいただきたいと思います。

 また、国内外共に大変今様々な深刻な課題が山積をいたしておりますので、国政でこれ以上の停滞は許されないというふうに考えます。先ほど大臣からは、地方、現場に行って現場の声を聞きたいというお話もございました。地方の声の実情をしっかり踏まえた上で、大臣として御活躍いただけますことを御期待を申し上げたいと思います。

 次に、前大臣にも所信の質疑で質問させていただきましたけれども、地方の今大変厳しい状況を考慮した財政支援措置の必要性について質問させていただきます。

 新型コロナウイルス感染症の感染者数も、今、第八波と言われる感染拡大の状況となっておりまして、大変、地域差はあるものの、昨日は新たに十三万三千九十五人の方が感染をされまして、先週と比べて二万六千人増加しているという状況もございます。また、御承知のように、コロナ禍に加えて、ロシアによるウクライナへの侵攻による燃料油、物価高騰が大変長期化をいたしております。

 国民民主党は、既に九月に、需給ギャップに見合う二十三兆円の、物価高から国民生活を守るための緊急経済対策というものを提案をさせていただいております。

 今、総務省が発表いたしました十月の全国消費者物価指数は、前年同月比三・六%の上昇、まさに四十年八か月ぶりの伸び率となっております。電気代については二〇・九%、都市ガスについては二六・八%、エネルギー価格も上昇をし、食料品も五・九%、生鮮食料品を除いて上昇いたしております。

 まさに、地方の暮らし、そして事業者の皆様に与える影響は本当に計り知れないほどのものだというふうに思います。松本総務大臣の御見解というものをお伺いをしたいと思います。

松本国務大臣 委員から、厳しい現状における財政支援措置についての御指摘をいただいたというふうに考えております。

 原油価格、物価高騰対策につきましては、自治体の判断によって自由度高く取り組むことができるように、内閣府所管の地方創生臨時交付金におきまして、一・四兆円措置されております。

 また、物価高騰などに対応するため、今回取りまとめられた経済対策の事業や、経済対策に合わせた独自の地域活性化等を円滑に実施するために必要な財源を措置するために、令和四年度の地方交付税を五千億円増額することといたしました。

 今後とも、原油価格、物価高騰により自治体の財政運営に支障がないように、適切に対応してまいりたいと思います。

西岡委員 大変厳しい状況の中で、地方がしっかり先を見据えた様々な施策を講じることができるように、また、必要なところに適切に支援が届くように、そういう施策を実現できる財政基盤というものを是非確保していただきますようにお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、大臣所信においても述べられておりますデジタル田園都市国家構想の肝である、地方におけるデジタル基盤の整備について質問させていただきます。

 デジタル田園都市国家構想を実現するためには、光ファイバー、5G、データセンター、海底ケーブル等の通信インフラが不可欠のものです。光ファイバーにつきましては、二〇二七年度末までに世帯カバー率九九・九%を目標として取り組むという方針が示されております。

 特に、私の地元長崎県もそうですけれども、離島、過疎地域等の条件不利地域におきましては、今現実に、市町村が公設によって光ファイバーを整備している現状がございまして、設備の更新ですとか維持管理に要する費用の負担というものが大変重いものとなっております。

 引き続き、光ファイバー整備に係る支援制度を継続的に続けていただくということを要望するとともに、また、光ファイバー網の高度化に係る支援制度の拡充ですとか、ユニバーサルサービスに係る新たな交付金制度におきましては、光ファイバー等の超高速ブロードバンドに係る支援対象、配分等について、離島、半島地域等の過疎地域に対して、条件不利地域に対して、その実情に十分配慮した制度にする必要があるというふうに考えておりますけれども、松本大臣の御見解をお伺いをいたしたいと思います。

松本国務大臣 岸田内閣におきましては、デジタル田園都市国家構想は最重要施策の一つとして推進しているところでありまして、委員から御指摘をいただきましたとおり、この実現のためには、地方におけるデジタル基盤の整備と維持が重要であり、支援をしていくことが必要だというふうに考えております。

 お話がありましたが、離島、過疎地域などにおける、条件不利地域における、市町村が公設により行う光ファイバー整備への支援につきましては、採算性が厳しいことを踏まえまして、民間事業者などが整備する場合と比べて高い補助率を設定をさせていただいております。また、市町村が整備した公設の光ファイバーを高度化して民設に移行する場合も支援をさせていただいております。

 離島地域におきましては、整備や維持管理に要する費用負担が重いことから、他の条件不利地域に比べて高い補助率を設定をしているほか、海底ケーブルなどの維持管理に要する費用についても支援を申し上げているところであります。

 条件不利地域における光ファイバーなどの超高速ブロードバンドサービスの維持については、本年六月に、これも今お話の中にございましたが、新たなユニバーサルサービス交付金制度を創設する改正電気通信事業法が成立し、現在、情報通信審議会におきまして、制度の詳細な検討を行っているところでございます。

 以上申し上げた取組につきまして、離島、半島地域等の実情を踏まえて、地域の声を丁寧に承りながら進めてまいりたいと考えているところでございます。

 ありがとうございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 是非、地域の実情、声をしっかりお聞きをいただきまして進めていただきたいというふうに思います。

 また同時に、民間事業者による5G基地局の整備に係る支援制度を拡充するなど、確実に地方での整備が進むように通信事業者への働きかけを行うということも必要ではないかというふうに思いますけれども、松本大臣の御見解というものをお伺いをいたしたいと思います。

松本国務大臣 総務省といたしましては、携帯電話等エリア整備事業によりまして、過疎地や離島といった条件不利地域における5G基地局の整備に対して、補助金による支援を行っているところでございます。

 5Gにつきましては、4Gに比べてより多くの基地局を設置する必要がございます。複数の事業者が鉄塔などを共同利用するいわゆるインフラシェアリングを行う際の補助率を有利に設定するなど、効率的な整備を進めてまいりたいと考えております。

 このほか、自治体や携帯電話事業者等で構成される地域協議会を開催をして、個々の地域の実情を踏まえながら5Gの整備を進めることといたしております。

 総務省としては、このような携帯電話事業者等への支援や働きかけも積極的に行いながら、5Gネットワークの都市と地方での一体的な整備に取り組んでまいる考えでございます。

西岡委員 ありがとうございます。是非進めていただきますようにお願いいたします。

 今申し上げたことに関連いたしまして、海底ケーブルのことについて質問させていただきます。

 近年、台風などの自然災害等によりまして海底ケーブルが切断をされまして、離島において本土との連絡が途絶する等の事例が発生をいたしております。また、今、ロシアによるウクライナ侵攻においても見られるように、基幹インフラへの攻撃等、安全保障上のリスクというものも指摘をされております。

 この海底ケーブルについては、国際通信の九九%を担っております大変重要なインフラでございます。その脆弱性についての指摘というものがございますけれども、この脆弱性への大臣の認識と、また、このリスクへの対応方針について、松本大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

松本国務大臣 委員御指摘のとおり、情報通信は国民生活に大変重要なものでありまして、その中で、四方を海洋に囲まれた我が国にとって、海底ケーブルは社会活動、経済活動を維持する上で欠かすことのできない大変重要なインフラである、その安全の確保は極めて重要である、このように考えております。

 そのため、総務省といたしましては、海底ケーブルの安全の確保に向けて通信事業者と連携をいたしまして、海底ケーブルの冗長性の確保、障害発生時の連絡体制や事業者の連携体制の確立、こういったことに取り組むほか、安全保障の観点から、陸揚げ局の警備に関する警察などとの連携を強化するなど、必要な対策に引き続き取り組んでまいります。

 よろしくお願いいたします。

西岡委員 安全保障上も今大変、様々なこの脆弱性についてはこれから考えていく課題があるというふうに思いますので、引き続き、今や私たちの生活に欠かすことのできない通信を支えている海底ケーブル、しっかりこの体制というものを確立をしていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、外国籍のクルーズ船の受入れに係る体制整備についてお尋ねをさせていただきます。

 先日、二〇二〇年の三月以降停止しておりました国際クルーズ船の受入れを、業界団体による新型コロナウイルス感染防止ガイドラインの策定が整ったことを踏まえまして、再開することが国交大臣から発表されました。来年三月には外国船の日本への寄港というものが予定をされております。

 まさに、地方創生にも資する外国船、クルーズ船の受入れが再開されることにつきましては、これまで多くのクルーズ船を受け入れてきた我が国にとって、特に、私の地元長崎県にとっても大きな期待を寄せているところでございます。

 一方で、国際的な感染動向を注視することですとか、ガイドラインを遵守することを大前提としても、十一月十四日には、オーストラリア付近を航行中の大型クルーズ船の中で八百名を超える集団感染が発生する事案というものが起きております。

 世界中、いつどこで再びクラスターが発生するか、この可能性は否定ができません。日本においても同様だと考えております。これまでの知見、教訓を生かして、その危機に備える体制というものをしっかりと整えていくということが大変重要だと思っております。

 地元長崎におきましても、二〇二〇年四月二十日に、造船所に修理のために停泊をいたしておりましたコスタ・アトランチカ号でクラスターが発生をいたしました。六百二十三人の乗員中百四十九人が陽性者となりましたけれども、結果として、国、厚労省、国交省、防衛省などの中央官庁、自衛隊、長崎大学を始めとした医療関係の皆様や民間企業の皆様、そして県、市の職員の御尽力によって、一人の死者も出ず、市中感染も防止するということができました。

 外国船のクルーズ船につきましては、検疫を終えて入港した船内において感染症等の集団感染が発生した場合には、当該自治体の保健所が対応することとなっております。大型クルーズ船の場合、大変この感染者数が多数に及ぶということが想定されますので、地域の保健所に大きな負担が発生をすることとなります。その検査費用ですとか入院患者の医療費については、感染症法に基づいて当該自治体が費用の一部を負担するということになっておりまして、交付税措置はあるものの、かなりの財政負担や対応による負担を強いられているのが現実でございます。

 やはり、その対応や費用負担については国が責任を持って対応する法整備が必要であるというふうに考えますけれども、厚生労働省に見解をお尋ねをいたします。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 感染症は、地域の実情に応じた対応を行う観点から、感染症法に基づきまして、都道府県等を主体として実施することとされておりますけれども、今般の新型コロナ対策におきましては、保健医療体制の整備、専門家の派遣、保健師等の広域派遣の調整などにおいて、国としても都道府県等を費用面も含めてしっかりと支援をし、連携して必要な対策を講じてきているところでございます。

 こうしたことも踏まえまして、今国会に感染症法等の改正案を提出して、現在御審議いただいておるところでございますけれども、その中で、緊急時には、国が、都道府県等をまたぐ広域的な感染症の専門家、保健師等の派遣、あるいは患者の搬送といったものについて、都道府県等に総合調整を行うことができる権限をつくるということにしてございます。

 それから、費用負担につきましても、この改正案の中で、新たに創設する協定締結医療機関が実施する措置に関する費用について、国の補助割合を四分の三とすること等を規定をいたしております。

 さらに、本年九月二日の政府対策本部決定で、地方公共団体の御要望も踏まえまして、地方公共団体が感染症拡大防止措置に係る財源を確保しやすくするよう、必要な措置を検討するとされているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、これらの規定等も活用して、引き続き、地方公共団体が感染症の蔓延防止に適切に取り組むことができるよう、関係府省と連携をしながら、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

西岡委員 今、法整備のことについては、今国会での感染症法の改正のお話がございましたけれども、インフルエンザ特措法を含めまして、今後こういう事態が想定されるということについて、地方公共団体の負担が大変重いものとならないような形で、しっかり対応していただく準備を進めていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、所信でも述べられております国民保護体制の整備について質問させていただきます。

 十一月十八日、北朝鮮から発射されたミサイルが、日本の排他的経済水域内、北海道の、これは無人島でございますけれども、渡島大島西、約二百キロに着弾いたしましたが、このような場合にはJアラートの対象とならない、そういうシステムとなっておりまして、ミサイルが飛行を続けている間も、漁協関係者ですとか当該自治体、地域住民がその事実を知らないままに、後から報道で知るという事態となっております。

 不測の事態も含めまして、当該関係者にタイムリーに情報を共有する体制の整備というものが急務であるというふうに考えますけれども、このことについての御見解を松本総務大臣と内閣官房にお尋ねをさせていただきたいと思います。

青柳政府参考人 内閣官房から、政府全体の情報提供体制についてお答えいたします。

 政府におきましては、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性のあるものが発射された場合には、防衛省から発射情報の提供を受けた内閣官房や、その内閣官房から更に情報提供を受けた関係省庁が、国民の安全の確保に必要な警報等を迅速に発出することとしております。

 加えまして、弾道ミサイルの可能性のあるものが我が国の領土、領海に落下するおそれがある場合、又は上空を通過する可能性がある場合には、Jアラート等の送信をすることといたしております。

 今月十八日の弾道ミサイル発射事案に際しましては、ミサイルが、発射したとき又は落下したと見られるとき、この両方におきまして、国土交通省から、航空機に対しまして航空情報、ノータムの発出や注意喚起を行うとともに、船舶、海運、航空運送事業者等に対し注意喚起を行い、海上保安庁からは、船舶等に対しまして航行警報を発出するとともに、海の安全情報を発出いたしました。水産庁からは、漁船等に対し漁業安全情報を発出するなど、必要な警報等を発出したところでございます。

 さらに、今般の事案におきましては、ミサイルの落下前におきましても、海上保安庁や水産庁から、落下場所等の予測情報の提供を行ったところでございます。

 また、内閣官房及び防衛省からは、発射等に関する情報を報道機関向けに提供したほか、消防庁からは、地方公共団体に対しまして情報提供を行ったところでございます。

 引き続き、国民の安全確保に万全を期すため、政府一体となって国民に対する情報提供を適時適切に行ってまいります。

松本国務大臣 弾道ミサイルの発射など、事案への対応に当たっては、住民への適切な情報伝達が大変重要であると認識をしております。

 先ほど答弁申し上げましたように、事案の対応に際して、国土交通省や海上保安庁、水産庁より、航空機、船舶、漁船に対しまして注意喚起を行っているものと承知をしております。

 消防庁は、内閣官房から提供される発射などに関する情報について、地方公共団体への情報提供を行っております。

 住民や地方公共団体への適時適切な情報伝達につきまして、今後とも、内閣官房を始めとした関係省庁と連携の上、総務省として万全を期して対応してまいりたいと思っております。

西岡委員 今、万全を期していくというお話が大臣からございましたけれども、十一月十八日の事案においては、やはり、全くそういう事実を知らなかったという地元の方の声も実際にあるのが事実でございますので、しっかり、この情報を早く共有するということについては、なお一層の徹底に努めていただきたいというふうに思います。

 遡りまして、私、一問、大臣に、先ほどの外国船クルーズのことでお聞きをしなかった設問が一問ございました。この質問をさせていただいて、私の質問を終わりたいというふうに思います。

浮島委員長 時間が経過しておりますので、簡潔におまとめください。

西岡委員 はい。

 先ほどの案件につきまして、地方財政を所管する総務大臣としての御見解を一言いただければというふうに思います。

松本国務大臣 先ほど答弁申しましたように、総務省としては、九月二日の政府対策本部決定を踏まえて、次期通常国会で提出を目指す新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正法案において、地方公共団体の財政負担を軽減する必要な措置を講ずることを関係省庁と検討しているところでございまして、引き続き、地方の声も踏まえまして、地方公共団体が安心して感染症対応に取り組めるよう、関係省庁と連携し、必要な措置について検討してまいりたいと思います。

西岡委員 ありがとうございます。

 質問を終わります。

浮島委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 前回の当委員会で、政治資金と選挙資金をめぐる問題を追及する私の質問に、初めて出処進退に言及された寺田大臣は辞任をし、新しく松本大臣が就任をされました。ところが、たちまち大臣にも政治資金規正法違反の疑惑が持ち上がっております。

 資料一を見ていただきたい。

 東京新聞でありますが、我が党のしんぶん赤旗が二十二日に報じたのをきっかけに、大臣の資金管理団体、松本たけあき後援会が開催した複数の政治資金パーティーで、会場収容人員を大幅に超えるパーティー券を販売していたことが明らかになりました。

 大臣は二十二日の会見で、記者からパーティー券は一枚二万円だったのかと問われて、必要があれば確認をしておきたいと答えましたけれども、確認はしましたか。

松本国務大臣 御指摘のありました三回につきましては、パーティー券、一件は二万円でお願いをさせていただいております。

宮本(岳)委員 一件二万円、これは間違いありません。私も、複数の参加者から二万円だったという証言を得ております。

 資料三を見ていただきたい。

 これは、二〇二〇年の松本たけあき後援会の政治資金収支報告書であります。この年九月十八日に、姫路キヤッスルグランヴィリオホテルで開催された、松本たけあき支援の集いの収入、千九百八十八万円というものであります。千九百九十八万円を一枚二万円で割れば、九百九十四人分のパーティー券が売られた計算になります。

 しかし、資料四を見ていただきたいんですが、会場の姫路キヤッスルグランヴィリオホテルの公式ページの宴会場、会議室紹介、三階、鳳凰というものを見ますと、これが最大の会議場、宴会場でありますけれども、最大収容人数四百名とはっきり書かれております。赤旗は、この部屋が最大であることを直接ホテルに確認をしております。

 大臣、この最大四百人の部屋に、どのようにして千人近くを収容できたんですか。

松本国務大臣 政治資金パーティーについては、もう委員も御案内のとおりでありますが、規正法において、対価を徴収して行われる催物で、当該催物の対価に係る収入の金額から当該催物に要する経費の金額を差し引いた残額を当該催物を開催した者又はその者以外の者の政治活動に関し支出することとされているものであります。

 私の後援会、政治団体のパーティーでは、御案内で、御来臨賜りますようお願い申し上げますと、パーティー券を御参加いただく対価として購入をしていただいており、おいでいただいた方に対応できるように準備させていただいております。

 欠席される方がいらっしゃるということは事実であります。

 政治資金規正法の趣旨をしっかりと踏まえて、政治資金については法にのっとって適切に処理させていただいております。

宮本(岳)委員 大臣は十一月二十二日の会見で、記者が、出欠人数がなかなか確定しにくいので、この手の政治資金パーティーは多めに呼ぶというのが慣習として行われていると思うのだがと水を向けられて、今お話しいただいたような、多めにというよりは、きちっと法の趣旨にのっとって開催させていただいていると言下に否定されました。

 これは間違いないですね。

松本国務大臣 繰り返しになりますが、私の後援会のパーティーでは、御案内で、御来臨賜りますようお願い申し上げますと、御参加いただく対価としてパーティー券を購入していただいておりまして、おいでいただいた方には対応できるように準備をしているところでございます。

宮本(岳)委員 では、重ねて聞きましょう。多めに売った覚えはないですね。

松本国務大臣 多めとか少なめの定義を私も承知をしておりませんので、私どもとしては、先ほど申し上げたように、パーティー券を御参加いただく対価として購入をしていただいていますので、おいでいただく方に対応できるように準備いたしております。

宮本(岳)委員 ということは、約千人の方に対応できるように準備をしていたということでいいですね。

松本国務大臣 おいでいただいた方に対応できるように準備をしているというふうに申し上げたところでございます。

宮本(岳)委員 いや、そこがちょっと大事な問題なんですね。

 資料五を見ていただきたい。「逐条解説 政治資金規正法」、二〇〇二年版であります。

 大臣は、政治資金パーティーは対価を徴収して行われる催物と繰り返されますけれども、資料五の傍線部、「対価関係にあるものでも、対価相当分を超えて金銭等の供与又は交付がある場合には、その超える部分は寄附となるものと解される。」とございます。続けて、「例えば、政治資金パーティーのパーティー券の購入代は、通常はパーティー出席のための対価と考えられるが、その代金が社会通念上の価額を超えるものである場合、当該超える部分は寄附として取り扱われることになる。」としております。

 そして、山際大志郎前経済再生担当大臣の政治資金団体が二〇二〇年十二月二十三日に開催した政治資金パーティーで、収入が千七百四十万円と、会場収容人員の一・七倍のパーティー券が販売された件をめぐり、市民の刑事告発に対して、今年七月十九日に横浜地検が受理をいたしております。

 総務大臣は政治資金規正法を所管する立場でありますけれども、この逐条解説の精神も踏まえて、法を厳守するということでよろしいですね、大臣。

松本国務大臣 私自身、政治資金規正法にのっとりまして収支を報告をし、これが公開をされているというふうに承知をしております。

 パーティーの開催に当たりましても、政治資金規正法の趣旨にのっとって行うように心がけております。

宮本(岳)委員 となりますと、千枚近いパーティー券が売られている、しかし、この場所は四百名程度しか入らない、こういうことであります。

 ホテル側は、その後、共同通信の取材に対しては、資料一に出てきますけれども、パーティーでは宴会場前のロビーを貸し切ることもあるなどとして、千人程度入ることは可能と回答したと報じております。ただし、二〇二〇年の九月十八日、松本大臣の日の状況については、お答えできない、把握していないとの回答でございました。

 先ほどの山際大臣が一・七倍ならば、もしも一千人に対して四百人しか入れない会場だったら、二・五倍ということになりますね。

 資料六を見ていただきたい。

 あなたの政治資金パーティーの、九月十八日の前日、九月十七日の兵庫県知事の会見であります。冒頭に記者が、まだ警戒期という中で大幅に緩和したのはどういうわけかと聞くと、知事は即座に、我々の感じからすれば大幅な緩和ではないのですと言っております。まだコロナで大規模な催物については抑えてくれと言っていた段階だと思うんですね。

 これは、一体この日に何人が来たかというのは、あなたでなければ分からないんです。この日、一体何人の方が参加していたか、お答えいただけますか。

松本国務大臣 政治資金パーティーにつきましては、先ほど申しましたように、政治資金規正法にのっとりまして御報告をさせていただいておりまして、法の定める事項につきましては全て報告をし、公開をされております。パーティーの名称、対価に係る収入の金額、対価の支払いをした者の数などについて記載をし、報告をさせていただいたところでございます。

 法に定められた事項については全て報告をさせていただいております。

宮本(岳)委員 いやいや、パーティー券が千枚売られているにもかかわらず、収容人数が四百人の部屋しかないという状況の下で、どのような形で行われたのかということがありますから、これはあなたじゃなければ参加人数は示せないわけですよね、答えられないわけですよ。ホテルは答えられないと思います。

 それで、大体パーティーをやるときには受付というのをやっているわけですから、私たちでもいろいろなパーティーに行きますけれども、受付を素通りということはないですから、ちゃんと受付でチェックをして、何人お見えか分かっているはずなんですね。それを報告していただけますか。

松本国務大臣 繰り返しになりますが、政治資金規正法を遵守する観点からも、法に定める事項についてしっかりと報告をできるようにすることが大変重要であると考えておりまして、この法で定める事項についてしっかりと報告をさせていただきました。

 お尋ねの事項について、報告を申し上げるような形では持ち合わせておりません。

宮本(岳)委員 報告しない、報告はしないとおっしゃっているんですか。答弁してください。

松本国務大臣 政治資金規正法におきまして定める事項については、全て報告をいたしております。

宮本(岳)委員 堂々巡りですね。

 私は、逐条解説も引いて、パーティー券収入だからといって済まないという問題を指摘をいたしました。二・五倍のパーティー券が売られている可能性があるという大問題であります。現に、山際前大臣の一・七倍については、横浜地検が受理をしたという事実があるわけですね。

 ですから、あなた自身が政治資金規正法を所管する大臣として、私も前寺田大臣からやってきましたけれども、もういいかげんに言い逃れのようなことを繰り返すのはやめてもらいたいんです。あっさり、いや、千人ちゃんと入っていましたよ、調べましたら何人でしたと言ってくれればいいんですよ。いかがですか。

松本国務大臣 所管をする大臣である以前に、国会議員として政治資金規正法は遵守しなければならないものというふうに考えており、先ほど申しましたように、法の定める事項についてしっかり対応させていただいて、報告し、公開を現段階でされているというふうに理解しております。

 今後も、議員として、また所管する大臣という立場を現在預かっておりますので、政治資金規正法の遵守をしっかり行っていくようにしてまいりたいと思っております。

宮本(岳)委員 この件については、きちっと報告していただかなければ疑念が晴れません。

 委員長、是非理事会で御協議いただきたいと思います。

浮島委員長 理事会で協議いたします。

宮本(岳)委員 資料七を見ていただきたい。いわゆる大臣規範であります。

 下線部、「パーティーの開催自粛」には、「政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する。」とあります。

 当然のことながら、大臣は、大臣就任中はこのような大規模パーティーはやらない、これはよろしいですね。

松本国務大臣 大臣規範は遵守をする務めがあるというふうに承知をしております。

宮本(岳)委員 遵守をするということは、大規模パーティーは行わないということでよろしいですね。

松本国務大臣 大臣規範につきまして、しっかりと確認をして、遵守をしてまいりたいと思っております。

宮本(岳)委員 これも心もとない答弁ですね。

 本当に、所管する大臣ですから、一点の曇りもないという御答弁をいただきたいんですね。是非しっかり受け止めて、また次の機会もあるでしょうから、本当に大臣規範を一点の曇りもなく先頭に立って守っていただきたいと思います。

 次に、マイナンバーカードについて聞きたい。

 資料八を見ていただきたい。

 総務省に提出していただいた、十一月二十日時点のマイナンバーカードの有効な申請数、交付枚数、健康保険証利用登録件数、公金受取口座登録件数であります。

 政府は、来年三月末までに全国民に一〇〇%の普及を目指す、こう言うわけですけれども、申請でさえ六割、交付件数はまだ五割を超えた程度、マイナ保険証の登録は医療保険加入者の四分の一、公金受取口座の登録は国民の僅か二割という状況であります。

 大臣、これはなぜ思ったように進まないと思われていますか。

松本国務大臣 今委員からもそれぞれ数字をお示しいただいたところでございますが、十一月二十日時点で七千四百七十四万八千五百六十一件となっておりますが、一日後の十一月二十一日には七千四百八十八万件ということで、十万件以上申請件数も増えているところでございます。人口に対する割合は六割近くとなっておりますので、そういう状況を踏まえてしっかりと対応してまいりたいと思います。

 マイナンバーカードは、対面でもオンラインでも安全、確実な本人確認ができるデジタル社会の基盤となるツールで、マイナンバーカードの普及促進は重要な政策テーマであるというふうに考えております。このため、政策目標を踏まえ、関係省庁と連携して、更なる普及促進に全力で取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

 今いろいろいただいた御意見も、お聞きをさせていただきましたので、そういったことも今日お聞きをしたということはしっかり覚えておきたいと思います。

宮本(岳)委員 まだマイナンバーカードについての意見は述べていないんですけれどもね。

 二兆円もの予算をつぎ込んで、マイナポイント二万円のあめをぶら下げて、やっと半分、これ以上は進まない。そこで、十月十三日に河野大臣が突然打ち出したのが、健康保険証を二〇二四年秋に廃止してマイナ保険証に移行するなどという、極めて乱暴な脅しであります。しかも、この政策には整合性もなく、破綻は明瞭だと言わなければなりません。

 そこで、資料九を見ていただきたい。

 これは、二〇一五年十一月六日に、内閣官房、警察庁、公安調査庁、外務省、防衛省の五省庁連名で作成された「国家公務員身分証の個人番号カード一元化における問題点等について」という表題の文書であります。

 この文書は、警察庁から提出を受けたんですが、問題点の一、「職員の人定把握の容易性」というところにはどのような懸念が表明されているか、警察庁、お答えください。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカード導入前の平成二十七年当時の判断といたしまして、身分証とマイナンバーカードを一体化し、これが窃取等された場合には、例えばテロ組織等に職員の所属省庁、住所、氏名等を一括して把握されるとの懸念があったものでございます。

宮本(岳)委員 赤線を引いておきました。身分証が紛失、盗難等により相手方に手渡った場合には、あるいは、拾った、一般人が取得してネット上に公開した場合には、様々な情報が相手に分かってしまう、だからこれはまずいんだという話でした。

 そこで、十一月の十六日の衆議院内閣委員会でこれが議論になったんですが、その際、谷公一国家公安委員長は、こうした懸念を払拭するための工夫をいろいろ行いながら一体化を実施すると報告を受けたと答弁をされました。どうやって懸念を払拭するのかと思っていたら、この五省庁の中で、既に外務省はマイナンバーカードを用いた身分証明書に切り替えたと聞きました。

 資料十を見ていただきたい。

 これは、外務省大臣官房人事課が昨年十一月十一日に出した、マイナンバーカードを用いた身分証明書への切替えを指示した通知であります。

 外務省に聞きますけれども、先ほど資料九で紹介し、警察庁も述べた二〇一五年十一月六日文書に示された懸念は、外務省はどのように払拭したんですか。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省におきましては、マイナンバーカード導入後の他省庁における一体化の運用実態や、マイナンバーカードの利活用を拡大するという政府の方針を踏まえ、身分証とマイナンバーカードを一体化することとし、委員御指摘のように令和三年からその運用を開始したところでございます。

 実際の運用におきましては、マイナンバーカードの個人情報が隠れる形でカバーをし、カードホルダーに入れて身分証として利用したり、亡失等がないよう十分注意するよう省内で周知徹底したりすることにより、適切に対応しているところでございます。

宮本(岳)委員 確認したいんですが、外務省より前に実施したところがございましたか。他省庁の状況と言いますが、外務省が最初じゃないですか。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 他省庁の運用の詳細について私どもからお答えする立場にはないと存じますけれども、政府の一部におきましては運用を開始されていたと承知いたします。

宮本(岳)委員 恐らく、警察庁は外務省がやったから自分たちも検討と言うんですから、あなた方が最初なんでしょう、省庁としては。

 とにかく、今説明があったようなことなんですが、外務省はデジタル庁から懸念払拭のための通知や文書が示されたから導入したと、まず最初そういう説明を受けました。

 デジタル庁、来ていただいていますが、それはどのようなものですか。

内山政府参考人 お答えいたします。

 デジタル庁として他省庁の御判断、お考えについてお答えする立場にはないというふうに存じておりますけれども、先ほど御指摘のあったような、こちらから何か通知のようなものを出したということは認識をしてございません。

宮本(岳)委員 昨日聞いたら、この資料の十一につけたデジタル庁マイナンバー身分証明書券面イメージというものがそれであろうということでしたが、間違いないですか。

内山政府参考人 お答えいたします。

 この券面イメージは、既にデジタル庁ほか各省庁で身分証として使う際の券面イメージでございまして、何か指示をしたというものではないというふうに認識をしてございます。

宮本(岳)委員 いいですか、この平成二十七年の文書というものは、とにかく、今申し上げたような五つの省庁が、カードの券面を見られてまずいということを言っているんじゃないんですよ。これらの役所は相手があるわけですね。例えば外国情報機関とか、あるいは犯罪者集団ということを想定しているわけですよ。それを盗まれる、相手の手に入ったら、捜査員の名前や住所や生年月日や性別も全部出てしまう、これはまずいということを言っているわけですね。

 だから、このホルダーというのは、確かに、表から見えないようにする、そういうホルダーなんですが、ここで言っている懸念は解決されようがないと思うんですが、外務省、これは落としたり相手に入手された場合でも見られないような仕組みになっていますか。

志水政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、繰り返しで恐縮でございますけれども、外務省における運用におきましては、マイナンバーカードの個人情報が隠れる形でカバーをし、カードホルダーに入れて身分証として利用したり、また、亡失等がないよう十分に注意するよう省内で周知徹底したりすることにより、適切に対応しているところでございます。

宮本(岳)委員 そんなことで解決するんだったら、元々こんな文書は要らないんですよ。それで解決しないから、この文書が出ているんじゃないですか。その懸念なんか何一つ解決していないですよ。もし落としたり相手の手に入ったら、ここで言われているとおりのことが起こるんですね。だから、なかなか、警察庁も含めて、すぐにさっさといくということになっていないんです。

 大臣、私は、この制度は破綻している、きっぱりと、強制等々はもちろんのこと、これで全て進めていくということについてはなし得ない、今のうちにもう一度考え直して、国民への強制となるようなことは一切やめるべきだということを申し上げて、今日は時間が参りましたから、質問を終わりたいと思います。

浮島委員長 次回は、来る二十八日月曜日午後五時理事会、午後五時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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