衆議院

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第6号 令和4年11月28日(月曜日)

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令和四年十一月二十八日(月曜日)

    午後五時十三分開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 武村 展英君 理事 鳩山 二郎君

   理事 石川 香織君 理事 奥野総一郎君

   理事 守島  正君 理事 中川 康洋君

      石川 昭政君    金子 恭之君

      川崎ひでと君    国光あやの君

      小森 卓郎君    高村 正大君

      佐々木 紀君    坂井  学君

      島尻安伊子君    新谷 正義君

      杉田 水脈君    中川 貴元君

      西野 太亮君    長谷川淳二君

      古川 直季君    務台 俊介君

      保岡 宏武君    渡辺 孝一君

      道下 大樹君    山田 勝彦君

      湯原 俊二君    中司  宏君

      輿水 恵一君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君    吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   デジタル副大臣      大串 正樹君

   総務副大臣        尾身 朝子君

   文部科学副大臣      簗  和生君

   総務大臣政務官      国光あやの君

   総務大臣政務官      杉田 水脈君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   湯本 博信君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  原  邦彰君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  川窪 俊広君

   政府参考人

   (消防庁次長)      澤田 史朗君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 坂本  基君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       寺門 成真君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十八日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     高村 正大君

  井原  巧君     長谷川淳二君

  田所 嘉徳君     石川 昭政君

  おおつき紅葉君    山田 勝彦君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     田所 嘉徳君

  高村 正大君     井林 辰憲君

  長谷川淳二君     井原  巧君

  山田 勝彦君     おおつき紅葉君

    ―――――――――――――

十一月二十五日

 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

同月二十八日

 国立研究開発法人情報通信研究機構法及び電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。松本総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方交付税法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本国務大臣 地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 令和四年度の第二次補正予算により同年度分の地方交付税の額が一兆九千二百十一億円増加することとなりますが、本年度においては、このうち四千九百七十億円を交付することとし、これに対応して、経済対策の事業や経済対策に合わせた独自の地域活性化策等の円滑な実施に必要となる財源を措置するため、令和四年度に限り、臨時経済対策費を設けることとしております。また、残余の一兆四千二百四十二億円を令和五年度分の地方交付税の総額に加算して、同年度に交付することができることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

浮島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人としてデジタル庁審議官湯本博信君、デジタル庁審議官内山博之君、総務省自治行政局長吉川浩民君、自治行政局選挙部長森源二君、自治財政局長原邦彰君、自治税務局長川窪俊広君、消防庁次長澤田史朗君、財務省大臣官房審議官坂本基君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官寺門成真君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君及び厚生労働省大臣官房審議官日原知己さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西野太亮君。

西野委員 皆様、こんにちは。熊本二区選出、自由民主党の西野太亮でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、地方交付税改正法に関連して、時間の許す限り質問させていただきたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症、そして、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発するエネルギー高騰、そしてまた、直近の急激な円安、こうしたことによりまして、事業者の皆様、国民、住民の皆様方の生活が一変し、大きな打撃を受けております。

 これに対応するため、全国各自治体では、地域の実情に応じて様々な事業、取組を進めているところでございます。

 例えば、私の地元でいいますと、玉名市というところがありますけれども、そこでは、中小企業の皆様方に対して燃料費の二か月分、それの半分を補助するという制度を十二月一日から始めるというふうに聞いております。同じく、荒尾市では、既に始まっておりますけれども、農林水産業の事業者の皆様方に対して、肥料、飼料、さらには農機具、こうした設備に対して一定金額の補助を出すというような事業を既に始めております。

 さらに、住民の皆様のみならず、自治体そのものが影響を受けているという面もあります。例えば、この半年間でエネルギー高騰の影響をもろに受けて、私の地元の熊本市を除く、例えば荒尾市、玉名市、玉名郡などでは、平均で二割、エネルギー代、電気代が高騰しているというふうにも聞いております。例えば、人口一万五千人の長洲町というところがありますけれども、そこでは、この半年間で四千万円強、一年間にすれば一億円近く電気代が上がっているということで聞いております。

 首長の皆様方は、まずは住民の皆様方が優先だ、自治体のことについては自分たちで基金を取り崩すなりなんなりして対応していくということで考えておられるようですけれども、そうしたことを漏れ聞いた住民の皆様たちは、大丈夫だろうか、俺たちの町は潰れはしないか、そういうような心配の声を聞くこともあります。

 そういう状況でございますので、どれだけ地方財政が厳しい状況にあるのだろうかということで、ちょっと調べてみたんですけれども、さすがに、新型コロナウイルス感染症が発生して直撃した令和二年度は少し地方の財政状況は悪くなっておりますけれども、令和三年度では、都道府県ベースあるいは市町村ベースでも回復しているというのが状況でございます。

 例えば、具体的に数字を見てみますと、実質単年度収支という数字がございますが、都道府県ベースでいきますと、令和元年度は〇・三兆円の黒字でした。令和二年度には〇・〇兆円の黒字ということで少し下がりましたが、令和三年度には〇・九兆円まで回復しております。

 これはもちろん、税収が好調だったというような背景もあろうかと思いますけれども、コロナに関しては、国で全て責任を持つ、さらには物価高に関しても自治体の取組を政府ができるだけ支援していくという安倍政権、そして菅政権、岸田政権のこれまでの取組が奏功しているのではないかというふうに考えております。

 とはいえ、まだまだこれで終わりというわけではありません。特に物価高に関しては、これからいつまで続くか分からないという状況でございますので、これからもしっかり地方財政を支えていく必要があろうかと思います。

 そんな中での今回の補正でございます。今回の補正で、税収の上振れ分を、地方交付税を地方に追加配分するという補正でございますけれども、この趣旨について総務省にお尋ねしたいと思います。

 さらには、この措置に対して、地方自治体、私は自分の選挙区しか分かりませんけれども、全国的にどのように首長さんたちが受け止めていらっしゃるのか、そうしたことも教えていただければと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 地方団体においては、今回の経済対策に合わせて、今御指摘ありました、きめの細かい様々な物価対策、インバウンドの地方誘客、農産物の輸出拡大、デジタル技術の活用、子育てなど、国と連携して、地域の実情に応じた様々な独自の活性化策等に取り組んでいくことが求められております。

 こうした状況を踏まえまして、地方団体が今回の経済対策の事業や独自の地域活性化策等を円滑に実施するために必要な財源を措置するため、令和四年度の地方交付税を五千億円増額したところであります。

 地方からは、今回の補正予算において地方交付税の増額を盛り込んだことについて、知事会、市長会、町村会、いずれも高く評価をいただいている、こういうことでございます。

西野委員 ありがとうございます。

 次に質問を移りますけれども、今回の補正予算では、臨時経済対策用の支援措置、そして来年度への繰越しというのがメインでございますが、昨年度はちょっと違うような内容も盛り込まれておりました。例えば、臨時財政対策債の償還財源を措置するなど、税収の上振れ分の一部を地方財政の健全化に使うというような措置が一部施されていました。

 私は、地元の首長さんたちのお話を聞きましたが、借金返済用のお金よりも、やはり事業に回せるお金の方がいいんじゃないですかというような話を伺ったんですが、確かにそういう面もあるけれども、借金が減るというのは、それはそれでありがたいということで、一定の評価をいただいているのかなというふうに感じました。

 しかし、今回は、そのように財政健全化のために回すというような部分がありません。その理由を聞かせていただきたいと思います。

 そして、来年度以降、仮に税収の上振れがあって補正予算を措置するという場合に、どのような方針を思っておられるのか、その点についてもお聞かせいただければと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 令和三年度は、当初予算において、新型コロナ感染症の影響により、地方税や交付税の法定分が大幅な減少が見込まれたため、臨時財政対策債の発行額が大幅に増加しました。また、元々予定していた交付税特別会計借入金の償還を後年度に繰り延べるということを当初予算でいたしました。

 しかし、その後、御案内のとおり、三年度の補正予算で、地方交付税の法定分が四・三兆円、大幅な増となったことがありまして、それで、令和三年度には、臨時財政対策債の償還費を措置したり、あるいは、当初予算で繰り延べていた交付税特会の繰上償還を実施したところであります。

 今年度、令和四年度の補正予算は、そもそも法定分が、前の年四・三兆円に対して一・九兆円と、昨年度より大幅に少なかったこと、また、令和四年度は当初予算でも、臨時財政対策債を大幅な増という事情でもなかったということで、昨年度のような措置は講じなかったところであります。

 いずれにしても、臨財債の縮減あるいは交付税特別会計の償還など健全化については、今回繰り越すこととした一・四兆円の活用も含めて、令和五年度の当初予算、今、来年度上振れしたらという御指摘もありましたが、そういうことも、この繰越金の活用も含めて、令和五年度には当然しっかりと健全化については検討してまいりたい、このように思っております。

西野委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がなくなってきましたので、質問の予定だったものを、質問するというよりは、ちょっと私からお願いということでとどめさせていただきたいと思います。

 マイナンバーカードと地方交付税の関係です。

 政府は、デジタル田園都市国家構想の基本方針で、来年度から、マイナンバーカードの普及状況も踏まえつつ、マイナンバーカードの交付率を普通交付税における地域のデジタル化に係る財政需要の算定に反映することについて検討するということを明示されております。しかし、総務省からは、決して交付率を引き上げるためのむちというわけではないという説明を聞いております。しかし、地元で話を聞くと、どがんなっとだろうかというふうに懸念している自治体があるというのも事実でございます。

 ですので、その自治体の皆様方の不安、懸念を払拭するために、制度の内容あるいはその趣旨について、できる限り早め早めに自治体の皆様方に周知徹底していただきたいということを考えておりますので、是非、総務省の皆様方、むちじゃないということについてしっかり説明をしていただければと思います。

 それでは、最後になりますけれども、総務大臣にお伺いいたします。

 これから来年度の予算編成が本格化してまいりますけれども、来年度の地方財政の財源確保に向けて、取組、その意気込みをお聞かせいただければと思います。

松本国務大臣 道下委員から意気込みをということで……(発言する者あり)失礼しました。ごめんなさい、訂正させてください。西野委員から意気込みをということで伺いました。

 社会保障関係費の増加が見込まれる中で、地方自治体が、住民のニーズに的確に応えつつ、デジタル変革への対応など様々な行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供していくために、地方税や地方交付税等の一般財源総額を確保することが重要であります。

 令和五年度に向けて、基本方針二〇二二などを踏まえ、地方の期待に応えられるよう、一般財源総額をしっかり確保してまいります。

 あわせて、現在御審議いただいている法案に基づき、令和五年度の交付税の財源として繰り越すこととした一・四兆円も活用し、地方交付税総額を適切に確保しつつ、臨時財政対策債の発行を抑制する、地方財政の健全化などにも努めてまいります。

 よろしくお願いいたします。失礼をいたしました。

西野委員 大臣、ありがとうございました。

 我々もしっかり支えていきたいと思います。これで質問を終わります。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹でございます。

 松本大臣、予算委員会後、本当にお疲れさまでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私からも、まず地方交付税法の一部を改正する法律案について伺いたいと思います。

 令和四年度第二次補正予算案において、国税収入の増額補正などに伴い、地方交付税が約一兆九千億円増加することとなりました。昨年度の令和三年度は四・三兆円の増額となり、そのうち、補正予算に伴う地方負担への対応分として約〇・四兆円が地方交付税の追加交付により措置されました。

 本改正案では、今回増額された地方交付税一・九兆円のうち、令和四年度に限り、臨時経済対策費を創設し、地方が経済対策に合わせた独自の施策等を実施するため〇・五兆円を措置するとしております。

 この増額分一・九兆円の使途について、地方自治体からどのような意向や要望が出され、どのように反映したのか、総務省に伺います。

原政府参考人 お答えいたします。

 今回の経済対策に関しまして、地方からは、まず、地域の生活、経済への更なる支援に国と地方が総力を挙げて取り組むことができるよう、令和四年度の地方交付税を増額すること、また、令和五年度に向けて、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源総額を確保、充実するとともに、安定的に交付税総額を確保することなどを御要望いただいたところであります。

 こうした御要請を踏まえまして、令和四年度補正予算においては、地方交付税の増一・九兆円、これに対しまして、まずは今年度の普通交付税の調整額分の追加交付、それから、地方団体が今回の経済対策の事業や経済対策に合わせた独自の地域活性化策等を円滑に実施するために必要な財源を確保するため、令和四年度の地方交付税を五千億円増額すること、さらに、令和五年度においても財源不足が生じることが見込まれるため、残りました一・四兆円を来年度の地方交付税の財源として活用するために繰り越すこととしたところであります。

 地方からは、今回の補正予算において地方交付税の増額を盛り込んだことについて、知事会、市長会、町村会から高く評価をいただいているところでございます。

道下委員 地方自治体からは、この〇・五兆円分の措置は評価されると思いますけれども、今回、令和四年度第二次補正予算案では、令和五年度の財源として一・四兆円を繰り越すこととしています。昨年度も一・三兆円を繰り越しました。

 その理由として、総務省は、先日の十一月二十四日、この総務委員会における重徳委員の質問に対して、来年度は税収は極めて不透明と答弁されていたり、また、別のところでは、巨額の財源不足が見込まれるというふうにもおっしゃっています。その根拠を伺いたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 今、財源不足あるいは不透明な根拠という御指摘がございました。

 夏の概算要求のときに、令和五年度の地方財政収支の仮試算、これを行っていまして、このとき、令和五年度においても引き続き、二・六兆、巨額の財源不足が生じるという試算もございます。

 また、現下において、いろいろと経済の見方はございますけれども、海外の経済、物価動向、それから今後のウクライナ情勢の展開や資源価格の動向、あるいは内外の感染症の動向やその影響など、経済の不確実性は極めて高いということで、税収もそれに伴ってなかなか不透明であるというふうに申し上げたところでございます。

道下委員 一般的な家計では、できるだけ節約していくということは分かるんですけれども、総務省は、総務省というか政府ですね、財務省も含めて、次年度の税収を厳しく試算して、実際は増収となり、増額となった分をまた次年度に繰り越すというようなやり方をいいと思われているでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、私、財源不足、夏の段階で二・六兆と申し上げたのは二・四兆でございます。

 今の御指摘でございますけれども、それぞれ、必要な地方の財政需要、それから来年度の税収動向、これをいろいろと総合的に勘案して、その年その年で、その都度その都度、こうやって国会で御審議をいただいて対応をお願いしている、こういうことでございます。

道下委員 予算の単年度主義から考えれば、翌年度への繰越しは妥当とは言えないと私は思います。本年度中に使い切るのが地方財政上合理的ではないでしょうか。

 昨年度のように、臨時財政対策債の償還財源として、償還基金の積立てに要する経費として措置することも考えられますし、先日重徳議員が質問、意見されましたとおり、交付税特別会計借入金の償還財源として措置することも考えられますが、なぜそうした措置を今回取らなかったのか、総務大臣に伺いたいと思います。

松本国務大臣 まず冒頭、道下、西野両委員に大変先ほどは失礼を申し上げたことをおわび申し上げたいと思います。

 さて、御質問でございますが、令和三年度は、先ほども自治財政局長から御答弁申し上げたように、当初予算において、新型コロナウイルス感染症の影響により地方税や地方交付税法定率分の大幅な減少が見込まれたため、そもそも、臨時財政対策債の発行額が大幅に増加するとともに、交付税総額を確保するために交付税特別会計借入金の償還を後年度に繰り延べるということでございました。しかし、その後、令和三年度の補正予算において、地方交付税法定率分がプラスの四・三兆円と大幅に増加したことを踏まえまして、例年にない対応として、令和三年度の臨時財政対策債の償還費を措置するとともに、当初予算等で繰り延べた交付税特別会計借入金の繰上償還を実施することとしたものであります。

 今回の補正予算では、地方交付税法定率分の増が一・九兆円と、昨年度よりも大幅に少ないなど状況が異なるため、昨年度のような措置は講じていないところですが、臨時財政対策債の縮減や交付税特会借入金の償還などについては、今回繰り越した一・四兆円の活用も含め、令和五年度当初予算においてしっかりと検討してまいります。

 近年では、地方財政に巨額の財源不足が生じていることから、国の補正予算に伴い、年度途中に地方交付税が増加する場合には、当該年度の普通交付税の調整額分の追加交付や、追加的に発生する財政需要等への対応に必要な財源を確保した上で、その残余を翌年度の地方交付税の財源として活用するために繰り越すことを基本としているということでございます。

道下委員 大臣、次年度の税収見込み等もあるんですけれども、令和二年度第三次補正予算において、交付税の大幅減額などを受けて、地方負担分約一兆七千億円余りを、令和九年度から十八年間、各年度の交付税総額から九百八十三億円ずつ減額して精算することを決めたんですよ。

 だから、税収だけじゃなくて、今後想定されるのは、この借金というか、先に借りたものを返さなきゃいけない、その分減額で地方交付税が交付されるものもあるので、こういったことの解消を、今回、令和四年度国税決算に伴う交付税法定率の増加分約一・九兆円を用いて、それらの減額精算を前倒しで精算する方策も考えられたと思うんですが、なぜその方策を取らなかったのか、大臣若しくは総務省から伺いたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ありましたとおり、今年度は税収の上振れがありましたが、過年度においては逆に下振れの年もございます。そうした下振れについては、今もおっしゃったとおり、精算分ということで毎年度の交付税総額から返していくというものがございます。そういったもの、また交付税特別会計の借入金、また臨財債、こういったものをどうやって返していくかというのは当然考えなければいけない課題だと思っております。

 ただ一方で、昨年の四・三兆に比べまして、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたが、今年の上振れ分は一・九兆ということでございました。五千億円程度はやはり地域の活性化のために必要であろうということで、残りましたのが一・四兆でありまして、これも御答弁申し上げました、前の年も一・三兆円程度繰越しがございました。

 そういったことをトータルで考えて、今回、五千億円は今年度の配分、一・四兆は来年度繰り越して、今御指摘のあった精算分、特会の借入れ、臨財債の縮減、こういったものは、税収が不透明なところもありまして、この一・四兆円を活用しながら、来年度の予算の中で、健全化を十分留意しながら対応していきたい、このように思っております。

道下委員 もう釈迦に説法というか、皆さんはプロなので御承知だと思いますけれども、臨時財政対策債というのは、元々国が地方に交付すべきものを、今財源がないから交付しないから、後で支払うから、穴埋めするから、一時的に地方自治体に借金しておいてくださいねといったものが、今、積もり積もっているわけですよ。

 こういったこともあるし、また、税収が下がったからといって、それが地方交付税にも響くということは、私はある程度は理解できますけれども、でも、それが大きく影響を与える状況では、本当に今財政が厳しい地方自治体が継続して様々な住民サービスや地方自治というものを行うに当たっては、その地方交付税だと、交付金額の上がり下がり、これは非常に地方自治に対して厳しいマイナスの影響を与えると思うんです。そういった意味では、私は、総務省、総務大臣が先頭に立って地方の財源をしっかりと確保する、これを全力で取り組んでいただかなきゃいけないというふうに思っています。

 地方自治体の財源の一つでありますこの地方交付税というものは、財源調整機能と財源保障機能があるわけであります。これらが適切に発揮されるように、総務省として地方交付税総額を適切に確保することが重要ではないでしょうか。

 大臣も、十一月二十四日の委員会におきまして、臨時財政対策債の発行の抑制も含めて、その方向で最大限の努力をしたいというふうに決意を述べられました。必要な一般財源総額を確保するため、今後どのように、政府関係省庁と、特に財務当局と交渉されていくのか、総務大臣の決意をここで私が伺います。

松本国務大臣 先ほど、臨時財政対策債の発行の抑制や償還、また、交付税特別会計借入金の償還のお話もございましたが、何よりも、社会保障関係費の増加が見込まれる中で、地方自治体が、住民のニーズに的確に応えつつ、デジタル変革への対応など様々な行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供していくために、地方税や地方交付税等の一般財源総額を確保することは重要であると私も認識をしております。

 令和五年度に向けて、基本方針二〇二二などを踏まえ、地方の御期待に応えられるよう、一般財源総額をしっかりと確保してまいります。

 中でも、地方交付税について、委員御指摘のとおり、財源調整機能と財源保障機能があり、これが適切に発揮されるよう、地方交付税総額を適切に確保するとともに、臨時財政対策債の発行の抑制に取り組んでまいりたいと思っております。

道下委員 是非とも、大臣、よろしくお願いいたします。

 先ほども、地方自治体の財政状況について西野委員もおっしゃっていましたけれども、私もいろいろと自治体から伺ったりしておりますし、大変厳しい状況であると。不交付団体は別として、非常に厳しい自治体がどこもあります。

 これについて、十一月二十三日付の日本経済新聞によりますと、全国八百十五の市と区の二〇二一年度の決算を独自調査した結果、全ての市と区で昨年度黒字となった、昨年度四二%増となったと結果を公表しました。その要因は、新型コロナ対策に向けた地方創生臨時交付金や地方交付税など、国の財政措置によるものが大きいということでありました。

 黒字とはいっても、地方自治体の財政に余裕などはありません。地方自治体の多くは多額の借金、地方債などを抱えております。自治体においては、将来を見据えて財政調整基金などを積み増した自治体もあります。

 こうした、国からのコロナ対策や物価高対策を名目とした地方創生臨時交付金や交付税が増えることによる一時的な自治体財政の黒字が、一般財源総額の確保や地方財政にマイナスの影響を与えてはならないと考えます。一時的に黒字で、財務当局が、だったら減らしていいよねというようなことを考えなくもないというふうに私は思います。

 ここは、この一時的な黒字というものが、新聞社の独自調査であっても、こういったことがニュースになるわけでありますから、今後しっかりとこの地方財政を支えていくという姿勢が必要だと思いますが、総務大臣の見解と今後の取組について伺いたいと思います。

松本国務大臣 ただいま御指摘がありましたが、令和三年度決算においては、年度途中における臨時財政対策債償還基金費一・五兆円を含む普通交付税の増額算定、地方法人二税、地方消費税等の伸びに伴う地方税の増収などにより一般財源が大幅増となり、基金残高が増加、経常収支比率は低下、実質単年度収支は増加したところであります。

 一方、令和三年度の標準財政規模に対する基金残高の割合はコロナ禍前とおおむね同水準でありまして、今後の税収変動、災害、公共施設の老朽化への対応などを考慮すれば、地方財政は依然として楽観視できない状況であるというふうに認識をしております。

 このような認識の下、引き続き、地方自治体が住民のニーズに的確に応えつつ行政サービスを安定的に提供できるよう、一般財源総額の確保に取り組んでまいる決意でございます。

道下委員 是非、この一般財源総額の確保、これは本当に、地方自治体六団体、大臣になられてすぐでいらっしゃいますので、各団体の皆さんとお会いになったかどうか、ちょっと私は存じ上げておりませんけれども、私のところにも今、北海道内の各自治体の皆さんが政策要望などに来られていますけれども、本当に、一般財源総額、そして地方交付税、これをしっかりと守って、そして増額してほしいというような要望をたくさんいただいておりますので、その思いは同じだと思いますので、是非ともよろしくお願いしたいというふうに思います。

 ちょっと済みません、質問通告はしていないんですけれども、地方交付税に関することなので、ここで私が、私立学校の私学教育に対する私学助成について意見を申し上げたいというふうに思いますので、もし総務大臣から何かお考えがあれば御回答いただきたいと思うんです。

 今日の午前中に、ゆたかな私学教育の実現を求める国民会議より、ゆたかな私学教育を求める私学助成に関する要請書を私はいただきました。この団体は、本日のお昼過ぎに総務省と文部科学省にも要請したとのことでありまして、総務大臣の手元にはその要望書が今後届くというふうに思います。

 総務省に関係する要望書の内容は、私立学校の教育条件の維持向上と学費負担の軽減に資するため、私立学校等経常費助成に関する地方交付税措置を拡充することなど、私学教育に関する地方交付税措置の拡充などでございます。

 私は、経済的事情に左右されない教育機会の保障、公立、私立間や地域間の格差解消は大変重要というふうに考えております。

 もし、大臣、その点について何かお考えがあれば伺いたいと思います。

原政府参考人 事実関係だけ私の方から。

 私学助成については、文部科学省が持っている国費、それから地方交付税、これを両方併せてこれまで振興しているところでありまして、そういう御要望は私どもにも、私今日は見ておりませんが、これまでも届いております。

 ファクトとしては、国庫補助金と交付税で支援しているところでございます。

松本国務大臣 御要望は届いているという報告は聞きましたので、また内容を確認をさせていただきたいと思います。

 岸田政権におきましては、人への投資ということで、やはり、教育を含めた応援を重視していることは事実でありますが、具体的にどういった政策で、どういう形でやるかについては、また要望も伺って対応させていただけたらというふうに思います。

道下委員 松本大臣、どうもありがとうございました。是非御検討のほど、よろしくお願いいたします。

 地方交付税に関してはこれで終わりまして、次に、新型コロナ治療薬ゾコーバの国内供給について伺いたいと思います。今日は、厚生労働省から鳥井審議官に来ていただいています。どうもありがとうございます。

 緊急承認されました新型コロナ治療薬ゾコーバについて、政府は塩野義製薬と百万人分の契約をし、予定を早めて、私が知るところによりますと、今日から本格的供給が始まったというふうに承知しております。

 最初の二週間は、既に承認済みの経口薬パキロビッドの処方実績のある医療機関約二千九百か所や薬局約二千か所からの処方、調剤による供給としているというふうに説明を受けております。

 ただ、一部の意見として、全国津々浦々に十分に供給されるのか、不足することもあるのではないかといった不安の声が寄せられております。また、私の地元の北海道知事は、二十五日の記者会見におきまして、国に対して早期に必要数を確保できるよう要請したと述べています。

 国内における供給体制に関して、これまでのコロナ治療薬等の供給における課題、新規感染者数の多さや地域面積、これから冬を迎え、通行止めなど雪道における薬の供給ルートの課題を抱える地域などを考慮した供給、在庫配置体制が望ましいのではないかと考えますが、政府の見解と今後の取組について伺いたいと思います。

鳥井政府参考人 お答え申し上げます。

 ゾコーバにつきましては、当面供給量も限られることから、これまで承認された新型コロナ治療薬と同じように、まずは厚生労働省が確保して、塩野義製薬に委託して供給するということにしております。

 厚生労働省が確保した百万人分は、現時点で最大確保可能な量でございますが、これは、本剤の使用対象が限られることですとか新薬であることを考慮すると、当面の間は十分医療現場のニーズに応えられるものであると考えております。

 本剤の供給体制についてでございますけれども、今御指摘のように、承認済みのパキロビッドと同じように飲み合わせの問題がありますので、当初二週間程度はパキロビッドの処方実績がある医療機関及び薬局で投与を行うこととしておりますけれども、その後は、各都道府県が、地域の医療体制等を考慮して、希望がある医療機関、薬局を追加で登録できるようにするという予定でございます。

 これらの医療機関や薬局から発注された薬剤でございますが、これは、塩野義製薬において、全国各地域の拠点から速やかにその地域内の営業所に配送して、原則翌日には医療現場にお届けできるという体制を整えているところでございます。

 また、個々の薬局にパキロビッドと比べてより多くの在庫を置くことを可能としております。

 引き続き、今後の感染拡大に備えまして、御指摘の点も踏まえまして、面積の広いなどの地域も含めて、配送等の滞りがないよう、製薬企業や都道府県と緊密に連携して取り組んでまいりたいと考えております。

道下委員 十分な確保をしているということでございますけれども、しっかりとそれが患者さんのところに届かないと、やはり意味がない。

 今回のゾコーバは、大体、治療にかかる日数を一日間早めるというような、七日間で治ったものが六日間になるというようなものでありますが、これは本当に、一日短くなるだけでも、例えば、医療機関、医療従事者の方々が感染するとか、保育、教育に関係する方々が感染して、治るのが一日早いだけであっても人手不足解消になるわけでありますので、是非、こういったものはしっかりと供給がなされるように取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 次に、Jアラートと電磁パルス攻撃について伺いたいというふうに思います。

 大臣は、先日の所信発言で、Jアラートに関して、北朝鮮の弾道ミサイル発射などに対応した的確な運用を行うための研修及び訓練などを実施して、より一層国民保護体制整備に万全を期すと発言されました。

 その所信に対しても、各党からもJアラートについてお話がありましたり、シェルターの整備についての意見なども出されたわけでありますが、北朝鮮の弾道ミサイル発射からJアラート発出まで、やはりいろいろと物理的また機械的な時間がかかっておりまして、Jアラートが鳴ったときには、私もスマホを見て、鳴るんですけれども、後日、やはりもうそのときには落下しているとか着弾しているという状況になっているわけですね。これを何とか技術開発をして、早くJアラートで国民の皆様に、ミサイルが発射されたことだとかそういったものを周知、広報をしなきゃいけないというふうに思うんですけれども、私は、もう一つちょっと課題を感じております。

 十月二十七日の衆議院安全保障委員会において、我が会派の末松議員が浜田防衛大臣と質疑を行いましたけれども、現代の弾道ミサイル技術では、ミサイル着弾で被害を及ぼすのみならず、領土上空で核爆弾を破裂させる電磁パルス攻撃、これはEMP攻撃というんですけれども、これが十分可能であり得るというんですね。

 詳しく答弁について話をいたしますと、それに対して浜田防衛大臣は、「実際に電磁パルス攻撃が行われるといった万が一の事態への備えとして、そのような場合の国民生活への影響を最小限とするための努力も重要であると認識しており、この点については政府全体で必要な対策について検討してまいりたい、このように考えております。」という答弁であったり、また、他の議員に対する答弁では、今後、予算編成過程で所要の施策の検討を進めているところでございますということで、ちょっと答弁によっては、拝見しますと、まだ電磁パルス攻撃に対しては万全の体制がないのではないかというふうに私は思ってしまいますが、今回、Jアラート発出前にもしこの電磁パルス攻撃が行われてしまったら、日本全国に強力な電磁波が降り注ぎ、停電で通信途絶、電子機器や通信機器は使用不能となり、日本国内はパニックに陥る可能性が高いというようなことを、実は、元陸上自衛隊の総監が著書で警鐘を鳴らしたり、また国内外の専門家が指摘をしています。

 国民保護体制整備に万全を期すためには、防衛省による弾道ミサイル発射の把握から、内閣官房そして総務省消防庁を通じて、各自治体や携帯電話会社などへの一連の情報伝達におけるJアラートの関連機器を、こうした電磁パルス攻撃に耐えられる構造そして状況にしておかなければならないというふうに考えます。

 今回は、総務省消防庁の所管範囲に関して、総務大臣の見解と今後の取組について伺いたいと思います。

松本国務大臣 一般的に、電磁パルス攻撃とは、今おっしゃいましたように、核爆発などにより瞬時に強力な電磁波を発生し、システムを始めとする電子機器に過負荷をかけ、誤作動させたり破壊したりするものと承知をしております。この電磁パルス攻撃につきましては、政府全体で必要な対策について引き続き検討しているものというふうに認識をしております。

 今御質問をいただいたわけでございますが、Jアラートに関連する機器における電磁パルス攻撃への具体的な対策、政府全体での必要な対策の検討状況というのは、事柄の性質上、恐れ入りますが、答えを差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

 電磁パルス攻撃については、政府全体で必要な対策をしっかりと引き続き検討をいたしまして、Jアラートの国民に対する適時適切な情報伝達に支障が生じないよう、引き続き、内閣官房を中心とする関係省庁と連携しつつ、万全を期するようにしてまいります。

道下委員 Jアラートのシステムなんですけれども、総務省消防庁の所管するところは、地方自治体、市町村にJアラート受信機があって、そこに送信して、自動起動装置があって、そして防災行政無線から屋外スピーカーだとか家の中の戸別の受信機などに情報が行き渡るわけであります。ここのどこかで、例えば、さっき私が説明したとおり、電子機器、半導体、そうしたものに攻撃が、衝撃波が加わって、そして故障するとなったら、どこか一か所で止まっても情報が国民に届かないわけであります。

 もう一つ、携帯電話会社など、エリアメールだとか緊急速報とかがあります。これも、携帯電話会社の通信機器がしっかりと耐えられるものなのか、抗堪性があるのかということ、それから、私たちが持っている携帯電話、スマートフォンも、それらがちゃんと耐えられるのかということもあります。

 そういったことをしっかりと、つながっているわけですから、それらを全て十分に耐えられるのかどうか、こういったことを、是非、政府全体で御検討いただきたいというふうに要望しておきます。

 今日、ちょっと済みません、時間がなくなりました。他の質問を用意して、来ていただいた政府の皆さん、本当に申し訳ございません。また次回に質問させていただきます。

 どうもありがとうございました。

浮島委員長 次に、湯原俊二君。

湯原委員 立憲民主党の湯原俊二でございます。

 松本大臣、予算委員会後、お疲れさまでございます。政府委員の皆さん方もお疲れさまでございます。

 では、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 今し方、二人の委員の皆さん方が質問されましたので、一点だけ重複を避けて質問させてもらいたいと思いますが、地方交付税法の一部を改正する法律案について、今年度、税収が上振れ、それに伴い地方交付税の法定率分が一・九兆円増額となりました。これを、地方の経済対策も含め、地方交付税を〇・五兆円増額し、残り一・四兆円を令和五年度に繰り越す、これが今回のものであります。

 現在、御案内のように、地方交付税特別会計借入金が約三十兆円、臨時財政対策債の残高見込額が約五十二兆円、計八十兆円、これは皆さん方の共有認識だと思っております。

 そこでお伺いしたいんですけれども、予算編成で、税収の見積りを少なめ、堅実に見積もった場合、当初では、不足分を自治体に臨時財政対策債を発行させ財源をつくらせると。そして、結果的に上振れた場合、余剰金が出ます。

 今年度は一・四兆円を翌年に繰り越すわけですけれども、私自身としては、個人的意見でありますが、地方に臨時財政対策債の発行をさせて財源をつくっているわけでありますから、翌年に繰り越すというよりは、次の世代に借金を残さないためにも、自治体が借りている臨時財政対策債の返還に充てるのが筋じゃないかというふうに思うわけですけれども、御答弁をお願いしたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の考え方もあろうかと存じます。

 一方で、昨年は、先ほど申し上げましたとおり、四・三兆円の上振れ分がありました。今年度は一・九兆ということでございました。その中で、五千億円程度はやはり経済活性化に必要だろう、来年度の税収が、非常に、先ほど申し上げた不透明であるという中で、来年度の原資も要るだろうということで、一・四兆を繰り越したわけでございます。

 今御指摘の臨財債の縮減については、しっかりと課題として認識をしておりまして、来年度、税収の不透明な中、いろいろ税収等をにらみながら、しっかりとその臨財債の縮減には取り組んでまいりたい、このように思っております。

湯原委員 御答弁いただきました。

 昨年は四・三兆円で、来年度は税収が不透明だということで、毎年のようにいろいろ状況が違うんだよということをおっしゃっていると思うんですが、私は、意見として申し上げておきますけれども、一定のやはりルールといいますか、方向性を持つべきではないかというふうに思っています。

 先ほど申し上げたように、地方交付税特別会計の借金三十兆円があり、片一方では臨財債が五十二兆円ということで、特別会計の借入金の返済計画は、ちゃんと令和四年から五千億円ずつ返して、それで、その後、最終的には毎年一兆円ずつ返す、こういう計画を持っていらっしゃいますので、まずはこれは堅持をしていただく。臨財債の方も、できるだけ上振れた分はすぐに返していくという、これは地方の責任において借りておられますので、この姿勢は是非堅持をしていただいて、可能な限り次の世代にこれ以上借金を増やさないという、この姿勢を持っていただきたいということを申し上げて、質問をこの点については終わりたいと思います。

 次に、同じく交付税に関連してですけれども、国が全額、自治体への補助といいますか、行いますけれども、先週、自治体の情報システムの標準化、共通化の話をさせていただきましたけれども、これについて、引き続きさせていただければと思っております。

 先週も申し上げましたけれども、政府は二〇二五年までに自治体の情報システムの標準化、共通化へ移行するとしております。国の予算で自治体を支援するということであります。

 反面、ガバメントクラウドに採用された、現在、外資が四社ありますけれども、この四社は米ドルでの料金を基準としておりまして、米ドルから考えて日本の料金を決めるというふうに聞いております。円安がこのまま続けば、今後一体幾らになるか、私自身は懸念をしております。マルチクラウドを採用したとはいえ、メンテナンスも含め、後々高額になるのではないかということを懸念するわけですけれども、この点について御答弁願いたいと思います。

湯本政府参考人 お答えいたします。

 ガバメントクラウドの選定につきましては、公募にて提示したクラウドサービスに求める要件を満たす全てのクラウドサービス事業者と契約することとしておりまして、今年度は、先生お話ありましたとおり、米国が本社の四事業者からの応募が寄せられ、四事業者とも全ての調達要件を満たしたことから、当該四事業者を選定したものでございます。

 御質問のありました、ガバメントクラウドサービス提供事業者へ支払う利用料に関しましては、単価契約に基づきまして、実際に利用した分のみを支払う従量課金制による支払いとなっておりまして、円安であるとか円高であるとか、時々の為替レートの影響を受けるという側面はございます。

 支払う料金につきましては、今年度は実証事業等による利用といたしまして検証を行っている段階にございますが、来年度以降、本格的に各府省庁や地方公共団体の利用が進んでいる中で、クラウドサービス提供事業者に係る利用料に対して、例えばボリュームディスカウントといった価格の交渉につきましては、しっかりと行っていきたいと考えているところでございます。

湯原委員 ありがとうございます。

 外資四社ではなく、全ての要件を満たしたところ、手を挙げてくださって要件を満たしたところは全ての事業者を今後していくということと、単価契約においては、為替の影響を受けるけれども今後は価格交渉をしていくという御答弁だったと思いますが、現在、御案内のように、先ほどおっしゃったように、外資のみ四社となっております。アマゾン、グーグル、マイクロソフト、オラクルということであります。

 私は、経済安保の観点からも、やはり外資のみというのはいかがなものかなというふうに思っておりまして、デジタル庁が求めたセキュリティー基準、ISMAP、これを取得した事業者は国内外に十社あるというふうに私は認識しておりまして、先ほど全ての事業者というふうにおっしゃいましたけれども、昨年、今年度の外資四社を見ると、データセンターの設置の仕方や事業規模の大きさ、自動翻訳、AI機能の提供など、約三百五十の調達要件が、特定のベンダーに仕様が近く、多様なベンダーを受け入れるだけの整理ができていないのではないか、こういう声が国内の事業者等から上がっております。

 今年、それを受けて三百五十の調達要件のうち三十項目が見直されましたけれども、やはり、私自身、経済安保のことを考えると、国内にもガバメントクラウドになり得る事業者はあるのではないか、こう考えるわけでありますけれども、改めてこの点について御答弁いただけたらと思います。

湯本政府参考人 お答えいたします。

 ガバメントクラウドは、国内企業であれ外国企業であれ、最新かつ最高レベルの情報セキュリティーを確保できることや、データの保存の安全性を確保できることなどの調達要件を満たすことが必須であると考えてございます。

 また、複数のクラウドサービスを相互に接続する、いわゆるマルチクラウド方式で構築することにしておりまして、調達で求める基準は明示してきておりますので、国内企業及び外国企業問わず、デジタル庁が求める基準に到達できる事業者に参加いただいているものというふうに認識してございます。

 いずれにいたしましても、技術要件に関しましては、今後とも、その利用の実態や最新のクラウド技術等を勘案して、適宜適切に見直してまいりたいというふうに考えているところでございます。

湯原委員 ありがとうございます。

 国内外、セキュリティーをクリアするところであれば参加していただきたいということと、最後に、先ほど、三百五十、今年三十を見直された要件については、今後、適宜適切に見直しをされていくということであったかと思います。

 そこで、現在の要件を見ますと、システム基盤だけではなくて、開発と運用のプロセス全体を一社で提供するということを条件に挙げておられます。これが国内企業の参入の私はハードルの一つになっているのではないかというふうに考えておりまして、競争を促す意味でも、あるいは経済安保の意味でも、協業による入札や分割調達など、国内の企業がもっと参加できるように促されるような、そういう検討をすべきではないかと思いますけれども、御答弁願いたいと思います。

湯本政府参考人 お答えいたします。

 今年度のガバメントクラウドにつきましては、先ほど御答弁申し上げたように、実証事業等による利用でございまして、検証を行っている段階でございます。したがいまして、現時点では、検証期間として、機能改善の要求等に当たっての責任の所在の明確化が必要であるということなどから、クラウドサービスを自らが設計、開発及び提供していることを調達要件としているところでございます。

 一方で、来年度以降始まります各府省庁等による本格利用の中で、ガバメントクラウドに必要となる要件を満たす他の提供の在り方につきましても、今後検討してまいりたいと考えているところでございます。

湯原委員 再度のお尋ねになるかと思いますけれども、今答弁で、今年度は実証なので、検証期間だということで、来年度以降、本格的に実施になっていけば、他の提供機関も検討に入ってくると。

 ですから、私が具体的に申し上げた、競争を促す意味でも、協業による入札や分割調達など、こういった切り口でも検討できるということですか。再度お願いしたいと思います。

湯本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁申し上げたとおり、来年度以降、本格利用が始まる中で、様々な要件についての検討を改めてしていくことは必要だと考えておりまして、その中には、入札の形態とかそういったことについても当然検討をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

湯原委員 ありがとうございます。

 引き続いてですけれども、情報の共通システムを標準化することによって国民のビッグデータが集まるわけでありますけれども、改めて、情報漏えいについて、あるいはチェック体制についてどのようになっているか、御答弁願いたいと思います。

大串副大臣 まず、クラウド上の情報は、アクセス制御により、個人情報を管理する各府省庁や地方公共団体のみが取り扱えるようになっているものでございます。

 その上で、ガバメントクラウドは、最新かつ最高レベルの情報セキュリティーの確保、データ保護、日本法令の遵守、そして不正検知機能や第三者監査によるチェックといった様々な保護措置を必須の要件としております。各府省庁や地方公共団体での業務でのガバメントクラウドの利用に当たっては、こうした保護措置等により適切に対応してまいります。

 御指摘のような懸念に関しては、皆様にガバメントクラウドを安心して利用いただけるよう、各府省庁や地方公共団体などの関係者に丁寧な説明等を行ってまいりたいと考えております。

湯原委員 ありがとうございます。

 情報漏えい、チェック体制について、これから実施に入っていくわけでありますので、この点については、改めて見守って、注視させていただければなと思っています。

 関連してですけれども、今回の補正予算に総務省の中でも消火器の点検というものがありまして、次、消火器のことについて一、二点聞かせていただければと思っております。

 お手元に資料がありますけれども、私も余り知らなかったのでありますけれども、消火器は二種類ありまして、左側の方が加圧式。火事でレバーを握ったときに、この緑の部分の加圧用ガス容器、そこから圧が出て、そこで噴射をしていくという、これが加圧式であります。一方で、蓄圧式といって、中にボンベがなくて、消火器そのものが一つのタンクになっておりまして、レバーを握ったときには噴射をするというものであります。

 これが、十数年ほど前、この加圧式の消火器が、底の部分が腐食をしておりまして、いざ火事になってレバーを押したときに初めて加圧用ガス容器から噴射が出ますので、圧が上がることによって底が抜けて事故が幾つか起こったということで、今現在、消防庁を含めて、法令上は、加圧式、生産は若干しておりますけれども、蓄圧式にどんどん移行してきている、こういう状況であるようであります。

 しかし、この蓄圧式でありますけれども、圧が抜けるかどうかということで、六年目を一つにして検査を販売店等がしなければいけない、こういう状況であるようでありますけれども、実際、これを点検するとなると、バルブを開けて、一回パッキンを取って全部点検をしなきゃいけないということで、販売店さんがこれを検査して元に戻した後に、時間は若干たちますけれども、蓄圧式だと、またエアが、ガスが抜けてしまうということで、いざ火事になったときなかなかうまく使えないんじゃないかという懸念、こういう声が寄せられておりまして、この点で、法律は、検査をしてください、点検をしてくださいということになっておりますけれども、販売店の中には、一度点検で開けると使い物にならなくなるということで、点検をするよりも新品を販売した方がいいというふうな声を聞いておりますけれども、実態と乖離をしているのではないか、実態を把握すべきではないかと考えますけれども、この点、御答弁をお願いしたいと思います。

松本国務大臣 委員御案内のとおりかと思いますが、消火器については、消防法第十七条の三の三の規定を根拠として、告示において点検の基準が定められているところでございます。

 その中で、蓄圧式の消火器については、製造後五年を経過した場合、六年目から十年目までの間に必ず一度は消化器の中を開けて、容器の内部に腐食等が生じていないかの点検を実施することを求めています。

 中を開けて点検した場合に使い物にならないという御懸念でありますが、各メーカーが示しているマニュアルに沿ってパッキン等の部品の交換や圧力漏れのチェックなどを適切に実施することで、点検後も安全で確実に消火器を使用することができると承知をいたしております。

 一方で、建物の管理者等によっては、点検を経て継続使用する場合と新品への交換の場合とで手間やコストなどを比較考量し、新品に交換するケースもあると承知をしております。

 いずれにせよ、製造後五年を経過後も点検をして使い続けるのか、新品に買い換えるのかについては建物の管理者等の御判断でありますが、火災の際に消火器を安全で確実に使用することができるよう、適切に御対応いただくことが重要であるというふうに考えているところでございます。

湯原委員 ありがとうございます、大臣。

 法令で決まっているのでということで、マニュアルでやってもらっていると。最後、大臣がおっしゃったように安全で確実に、私もここの安全で確実にというところをこだわっておりまして、いざ失火をして火事になったときに、消火器でありますので、安全に確実に消火に当たれなきゃいけないわけでありまして。

 実は、蓄圧式は、ちょっとこれは平行線になりますけれども、一回点検すると、その場ではエアが抜けないんですけれども、一回開けてしまいますので、また元にバルブを戻しても、これは販売店さんがマニュアルに従ってやっても抜けてしまう、徐々に。徐々に抜けてしまえば、消火器全体が一つのタンクになっておりますので、いざ失火があって火事になったときに、レバーを握ったとしても、既に圧が抜けてしまっているので使い物にならない、こういう状況が懸念されるので、販売店の皆さん方の中には点検よりも新品を売っている、こういう実態があるようでありまして、これは平行線になるかもしれませんけれども、私は、やはり、新しいものを十年なら十年の期間で提案をして、ちゃんとして、いざというときには、万が一のときには使える、そういう消火器の在り方をしていかなければいけないんじゃないかなというふうに思います。

 法令上はそうであってこうだとおっしゃいますけれども、もし実態と違うんだったら法令を見直していく、こういう姿勢が必要じゃないかと思いますけれども、改めて御答弁いただけたらと思います。

澤田政府参考人 実務のことでございますので、私の方からお答えしたいと存じます。

 中を開けて点検した場合に使い物にならないというような御懸念をいただきましたが、各メーカーさんが示しているマニュアルに沿いまして部品の交換それから圧力漏れのチェックを適切に実施するということであれば、点検後も安全で確実に消火器を使用することができるというふうに伺っております。

 いずれにせよ、五年後も点検をして使い続けるのか新品に換えるのかにつきましては、建物の管理者等の御判断というふうに考えますが、いずれにしましても、火災の際に消火器を安全で確実に使用することができるよう、適切に御対応いただくことが重要であると考えております。

湯原委員 やはり平行線でありますので、この問題も改めて、私も検証させていただいて、また別の機会に質問させていただけたらと思います。

 もう時間、五分切りましたので、シチズンシップに関係して、ちょっと質問させていただけたらと思います。

 大臣、今若い人たちの中で投票率が下がる、あるいは、その一助となるシチズンシップ教育等々についてどのようなお考えを持っているかということと、お手元に資料、一枚紙がありますけれども、これは日本財団の資料でありますけれども、内閣府に聞いたら、同じような傾向だということがレクでありました。

 中身は、日本、アメリカ、イギリス、中国、韓国、インド、この六か国についてアンケート調査をした結果であります。特に、赤の枠のところを御覧いただきたいと思いますけれども、自分の行動で国や社会を変えられると思うかという若者に対する質問に対して、日本は断トツに低いという言葉はよくないと思いますけれども、日本の若者は、自分の行動で国や社会を変えられると思うという答えが二六・九%、海外の国々は半数以上が、皆さん、変えられる、こういうモチベーションであります。

 私は、こうしたことからやはり投票率のところに影響してきているのではないかなというふうに思いますけれども、併せて御答弁いただけたらと思います。

松本国務大臣 本当に、それぞれには活躍をしている若者もいらっしゃると、私自身、感じたり認識したりすることもありますが、一方で、今委員御指摘の意識調査において、自身と社会の関わりに関し、多くの調査項目で我が国の若者の意識が他国に比べて低くなっている、こういう傾向があるということについて、大変残念なことと受け止めざるを得ないというふうに感じております。

 子供や若者は次代を担う存在であり、彼らが自立した社会人として生きていくためには、世の中の仕組みや社会人としての権利義務などに関する正しい知識を持ち、また、社会の形成者としての基本的な資質や能力、態度を身につけておく必要があり、そのための教育や機会の提供が重要であるというふうに私も考えております。

 そのため、若者の社会参加の促進や政治意識の向上を図る観点から、国や社会の問題を自分たちの問題として捉え、考え、行動していく主権者を育てる、いわゆる主権者教育の取組が重要であると考えております。

 総務省の取組に加えて、各選挙管理委員会では、教育委員会と連携し、高校における選挙出前授業の実施など積極的に主権者教育に取り組んでおりまして、総務省としても、主権者教育に知見のあるアドバイザーの派遣や、出前授業の際に活用いただける動画教材の作成を行い、その支援を行っているところでございます。

 政治や選挙、社会問題について関心や自分の考えを持ってもらう上でも、関係省庁と連携しながら、主権者教育の更なる充実を図ってまいりたいと思っております。

湯原委員 大臣、ありがとうございました。

 私は、投票率アップとか若者のモチベーションアップは一朝一夕にはできないと思っています。多角的なところからやっていかなければできないと思っておりまして、その一つが、プロセスを経験する、若い人たちが、例えば高校生が、参画をして変えられるんだということを経験する、それが大切なんじゃないかなと思っています。

 文科省の方の話でありますけれども、生徒の指導提要というのが十二年ぶりに改訂になるようであります。もう少ししたら改訂になるようです。その中で、校則は校長が最終決定するものですが、その上で、校則を学校のホームページ上で公開したり、校則を制定した背景を示すこと、そして、校則を見直す場合の手続、過程を示すことがこの生徒指導提要で示されております。

 高校生が自ら主体的に考え議論する、校則を自分たちの思いで見直していく、この過程から、主権者教育、シチズンシップ教育、こういうことにつながっていくのではないかと思いますけれども、あわせて、各自治体に対する情報提供について御答弁願いまして、私は、時間になりましたので質問を終わりたいと思います。御答弁願います。

簗副大臣 校則については、学校が教育目的を達成するために校長が定めるものであります。

 本年八月の有識者会議で了承されました生徒指導提要の改訂案においては、校則の見直しを行う場合には、その過程に、児童生徒や保護者等の学校関係者からの意見を聴取した上で定めていくことが望ましい旨が記載をされております。

 特に、児童生徒については、校則の意義を理解し、自ら校則を守ろうとする意識の醸成につながること、自身がその根拠や影響を考え、身近な課題を自ら解決するといった教育的意義を有するものとの記載が盛り込まれており、社会を生き抜く力や地域の課題解決を社会の構成員の一人として主体的に担うことができる力を育む主権者教育等にも資するものと考えております。

 文部科学省といたしましては、改訂した生徒指導提要がしっかりと現場で理解をされ、活用いただくことが重要と考えており、今後、生徒指導担当者向け説明会等での周知や好事例の横展開等を通じて現場への浸透を図ってまいります。

湯原委員 ありがとうございました。終わります。

浮島委員長 次に、守島正君。

守島委員 日本維新の会、守島です。

 早速、地方交付税法の一部を改正する法律案に関する質問をしたいと思います。

 交付税法上は、年度途中に交付税が増加した場合は、今回の取扱いにあるように、普通交付税の調整額の復活に要する額を交付した上で、残額を特別交付金として交付することとなっているようですが、実態としては、本改正案のように、先ほどの、普通交付税の調整や追加的な財政需要に対する財源を充当した後の残額については、翌年度への繰越しが行われております。

 湯原委員の論点とも重複するのではありますが、そもそも、繰越しをするのであれば、今年度の臨財債の発行抑制財源としたり、昨年のように基金を積むなどして起債済みの臨財債の縮減財源としたりして、地方に交付すればいいんじゃないかなというふうに考えたりもします。

 結局、今回繰り越す予定の一・四兆円を、来年度の臨財債発行を抑えるために使うのか、今年の発行抑制や既発の債務の早期償還に充てるのかという問題なだけで、余りこれは変わらないと思うんですけれども、なぜこういう選択をされたのか、教えてほしいと思います。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 今年度は、一・九兆円について、五千億円は今年度配分し、一・四兆円は来年へ繰り越すとしたところであります。

 臨財債の縮減の御指摘がありました。これは、令和三年度は当初予算でそもそも臨財債が増えていたこと、また、令和三年度はそもそも当初予算で税が落ち込むと見ていましたので、特別会計の借入れを繰延べしたこと、そういったこともありまして、その中で、三年度の補正で四・三兆円法定分が出てきたということでございまして、臨財債の償還や特別会計の借入れを行った上で、残ったのを繰越しということでありました。

 今年度は、法定分が三年度の四・三兆に対して一・九兆ということで、かなり少なかったということ、それから、これも先ほど来申し上げましたが、来年度、非常に経済が不透明ということもございまして、臨財債の縮減や特会の借入れは行わず、財政の健全化は、来年度の予算の中で税収をにらみながら取り組みたい、このように思っているということで、今回の措置を行ったところでございます。

守島委員 額の多寡で繰越しするかしないかというふうに決まるのも、ちょっと余りよくは分からないですが、来年の見込みが見通せないというところも含めて財政を充てるということで、それは一定理解するんですけれども、こういう特別な取扱いということで毎回法改正するというのは、これはいい面も悪い面もあるなと思いまして、これまで一定の議論の積み上げがあるのであれば、それこそ、地方交付税法定率分の増加の際に関しては、例えば来年の地財計画で財源不足が見込まれるときはこうするとか、一定、運用指針的なものがあった方がスムーズな議論につながるんじゃないかなと思って、毎回、額の多寡でどういう線引きをするというような話をしているよりも、一定、これまでの議論もしっかり積み上げて生かしてほしいなというふうに思っております。

 今回、繰越しに関しては一定理解するものの、約四千六百億円が臨時経済対策として措置されていますが、これというのは、どんな需要を見込んで、どういう計算で算定しているのか、教えてください。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで地方交付税ですので、使途は特定されない一般財源であるという前提を置いて御説明申し上げたいと思います。

 地方団体では、先ほどもありました、いろいろなきめ細かい物価対策もあろうと思います。それから、インバウンドの地方誘客、農産物の輸出拡大、デジタル技術の活用、子供、子育てなど、今回の国の経済対策に盛り込まれた趣旨に沿って、連携しながら独自の活性化策が求められると思っております。そういうこともございまして、昨年度並みの約五千億円を今年度に配分するということをさせていただきました。

 増額交付に当たりましては、今回、臨時経済対策費というものを創設いたしまして、今申し上げたような物価対策、地域活性化策、子供、子育てへの支援を自治体が実施することを想定し、人口を基礎としながら、これらの施策に対応する客観的指標を用いて必要経費の算定を行う方向で検討してまいりたいと思っております。

守島委員 なので、先に昨年度並みの約五千億というか四千六百億円という枠をまずマクロでつくって、逆算してその単位費用を人口割でしているというような感じなので、そうした経緯からすると、この積み上げた需要というのは必ず必要なものというふうには断定できないんじゃないかなと思ってしまいます。

 ちなみに、この四千六百億円は、地域独自の活性化策等を円滑にできるように、地方単独事業分、いわゆる地方の自由裁量でやる事業として予算措置されていますが、さきの地方創生特別委員会においても、私、質疑で、地方創生臨時交付金の地方単独分の使い方が、使途が明確ではなく、国が執行することを目的としていて、税投入としては正しいのかどうか分からないし、後追いもできていないという指摘をさせていただきました。

 臨時交付金の地方単独分も、例えば公用車に使われたとか、着ぐるみとか、いろいろなものに使われ、批判というのもありましたし、現在は予備費からの計上も大きいことから、自治体の自由裁量が多い地方単独分としては、今年度、臨時交付金は措置されていない中で、こうした経済対策費を基準財政需要として積み上げることにも疑問を持ったりします。

 ちなみに、今日参考資料としております財務省の資料で、コロナ禍にかかわらず地方財政における基金の残高は増加しているとありまして、臨時交付金を始めとする国から地方への財政移転が多額に上ることから、地方における一般財源が節約されて基金増加につながった可能性を指摘されておりまして、そうしたことを踏まえると、新たに需要を上乗せすることに対してはシビアに考えるべきとも思うんですけれども、総務省としては、財政的な見地から、こうした需要を見込み、交付することに対してどう思うのか、教えてください。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 今、基金の御指摘がございました。

 確かに、令和三年度決算では、前年度に比べて積立金は増加しております。これは、それぞれ事情がありまして、将来の臨財債の償還に充てるための積立て、それから、最近災害が多いです、それから税収の変動、それから公共施設の老朽化等がありまして、そういったものに対応するために積み立てたものでありますが、増えておりますけれども、コロナでかなり取崩しをしておりまして、私どもの見方とすると、まさに、増やしてちょうど、標準財政規模に対する割合、先ほど大臣御答弁申し上げましたとおり、コロナ禍前の水準に戻しているというのが実態だろうというふうに我々は見ております。

 そうした中で、臨時交付金については、いろいろ御議論ございまして、これは私どもの所管じゃありませんけれども、なるべく使途を明確にしなさい、そういった御指導は内閣府からなされていると思っておりますし、また、直近の六千億円の予備費から計上した交付金はなるべく物価に使ってくださいねということで、そういう使途についていろいろ御議論があることは踏まえた対応をしてきているものと思っております。

 一方、交付税については、先ほど申し上げましたとおり、きめ細かい物価対策、それからインバウンド、輸出拡大等々、いろいろな事業があると思いますが、交付税は自由な財源でございますけれども、それぞれの地方議会でしっかりと御議論して、しっかりとした活用をいただきたいな、このように思っております。

守島委員 しっかりとした対応に使われているのであればいいですが、基金に積んでいるところもあるということで、そうした使い方もいいかなと思っていて、余り、自由裁量で本当にきれいに使われるかということに関してはシビアに見ていくべきだと僕自身はちょっと思ったりしています。

 もちろん、道下議員がおっしゃったように、地方財源の充実というのは、もう一方で総務省としてはしっかりやらないといけないと思うんですが、今回、財政審議会においては、臨時交付金を縮減していくべきだとまとめていますように、今回は法定率増分の配分の話ではあるんですけれども、国にも財政的な余力があるわけではないので、需要を積む際には、その必要性をしっかり踏まえてほしいと思っております。

 最後に質問します。

 今回、令和四年度一般会計補正予算のフレームに、こうした交付税法定率増分の一・九兆円が費目として見られないんですけれども、どこに計上されているのか教えてください。配付資料にあります。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま財務省が公表しております一般会計補正予算のフレームの地方交付税の増については、今、配付資料の二番の、円安を生かした稼ぐ力の回復、強化の中に計上されていると承知しております。

守島委員 それは分かるんですけれども、ここに入っている意図は総務省からは説明できますか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 このフレーム等、財務省なり内閣府の方で整理されているというところでございますけれども、意図としますと、地方団体が交付税を使って、様々な施策を展開するための財源確保を通じて地域の活性化に資するということで、円安を生かした稼ぐ力の回復、強化、この中に地域活性化という項目がございますので、そういったことでここに計上されているというように承知しております。

守島委員 地域活性化の項目に入っているというんですけれども、うち一・四兆円は翌年度に繰り越す額ですよね。本当にこうした費目として計上するのが正しいのでしょうか。僕は、それをちょっと疑問に思っていて、全く内容と合っていないし、分かりづらいと思います。

 予備費の話、さっきもありましたが、予備費の使われ方がしっかり追えていないという議論も今ありますし、政府は何か、コロナとか円安とか物価高騰という問題を解消するために、迅速な対応が必要というお題目があれば、取りあえず予算計上するという状況になっていて、本当に必要かどうかという議論が手薄になっているんじゃないかなと危惧します。

 今回の補正予算の費目でも明らかなように、予算措置後の使い道が見えづらくて、分かりにくくなっていると思います。原資が税金ということを踏まえて、需要を積んでいく際には、しっかり必要かどうか精査するとともに、今回の臨時経済対策なども、自治体の使途は追えないというものの、本当に正しかったのかどうか、効果検証等はしていくべきだというふうに考えますので、そうした意識を持ってしっかりと予算計上していただくことをお願いいたしまして、私からの質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、中司宏君。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 補正予算に関連して、地方交付税法の改正法案について、これまでの質疑と多分に重複しますけれども、地方の立場から重ねて指摘することも大事だと思いますので、質問をさせていただきます。

 今回の補正では、税収増により一・九兆円が増額計上され、このうち五千億円が今年度の地方交付税に充てられる、残る一・四兆円が翌年度の交付税に繰り越されるわけでございます。

 昨年度は、税収増四・三兆のうち、一・五兆円が基金として臨時財政対策債の償還に充てられた、そして、一・三兆円が今年度へ繰り入れられたわけでございます。

 交付税法上は、補正による増額分、これは先ほど守島委員からもありましたが、一定のルールがある、原則があるわけですけれども、現実には、翌年度への繰越しが常態化をしている状況でございます。しかも、一・四兆という、規模も過去の実績に比べては大きい額であります。

 したがって、繰越財源とするよりも、昨年度のように償還財源として基金に積むなどして、今年度の臨時財政対策債の縮減に充てるのが、地方の声も踏まえた本来の在り方ではないか、そう思うわけでありますが、これらの考え方について説明を求めます。

原政府参考人 お答えいたします。

 令和三年度は、当初予算で税収が落ち込むと見ておりまして、臨財債も増えましたし、それから、特別会計の借入れの繰延べを行いました。そうした中で、補正になりましてから、法定分が四・三兆ということで、上振れの財源が出てまいりました。そういった当初予算の姿も踏まえまして、去年の補正では、臨財債の償還、あるいは特別会計の償還、こういったものを行ったところであります。

 今年度の当初予算では、そもそも臨財債、抑制しておりまして、特別会計の償還の先送りといったこともやっておりません。そうした中で、法定分の増が一・九兆ということで、去年に比べると上振れ分が少なくなったということもございまして、今回のような対応をしたということであります。

 いずれにしても、財政健全化については、五年度の中で、税収不透明でありますので、そういったこともにらみながら、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

中司委員 単年度主義からいいましても、地方の思いからしても、私は納得できないものがあるわけなんですけれども。

 結局、令和三年度につきましては、補正と決算で合わせて三・三兆円の増額があったと思います。令和三年度当初の税収見積りと実績の差は余りにも大きい。見通しが甘かったと言わざるを得ないと思います。

 その三年度の見積り上の不足額に対して、五・五兆円の臨財債を発行しているわけです。ということは、結果として、本来必ずしも発行する必要がなかった臨財債を発行して、そして、後年度の負担を増すことになったのではないかと思うわけです。

 令和五年度の財源不足額に対し、臨財債の発行見込額は一・三兆円と言われています。なので、この補正予算が成立すれば、理屈の上では、来年度の臨時財政対策債の発行は抑制されると思います。

 今回の繰越しが交付税のスキームにどう影響を与えているのか、教えていただきたいと思います。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ありましたが、令和五年度の概算要求時の地方財政の仮試算、これで、令和五年度も引き続き財源不足があるということの中で、今御指摘の臨財債は、五千億円縮減という形で概算要求で出しております。その時点、夏に比べますと、ますます来年度の経済は不透明ということもございまして、今回、一・四兆円を来年度の原資として繰越しを行ったところであります。

 こうした繰越財源も活用しながら、交付税総額を適切に確保しつつ、来年度の当初予算において、臨財債の発行の抑制ほか、健全化にもしっかりと努めてまいりたいと思っております。

中司委員 健全化に努めていただくということでありますが、繰り返しになりますけれども、平成十三年度の制度の創設以来、臨時財政対策債の発行額は五十兆円強、交付税の特別会計の借入残高が三十兆円ということで、合わせて八十兆円を超えている。地方財政は本当に厳しい状況です。

 そもそも、地方の財源不足を起こさないようにということで、本来、まずは地方への税源移譲を進めてほしい、そして、地方交付税の法定率を引き上げて安定的な交付税の総額を確保すべきだと考えます。このままでは、いわば借金を借金で返す形で、臨財債の残高が更に膨らんでいくことは目に見えている。縮減とおっしゃいますけれども、膨らんでいくことには違いないと思います。

 今後の見通しについて、大臣にお聞きします。

松本国務大臣 まず、私どもとしては、やはり、地方の皆さんの期待に応えられるように、一般財源の総額を確保するということが一番大切なことだろうというふうに思っています。

 そういった中で、今回の補正また交付税を編成するに当たっては、もう既に御説明申し上げたので重複はできるだけ省きますが、当初予算でどのぐらい臨時財政対策債を発行したのか、また、次年度の税収、経済の見通しがどのぐらいの不透明な度合いであるのか、様々な要素を勘案をして、今日このような形で法案の審議をお願いをしているところでございます。

 そもそも、地方財政の健全化のためには、本来的には臨時財政対策債になるべく頼らない財務体質を確立することが重要であるというふうに考えております。

 その上で、交付税率の引上げであるとか税源移譲についてお話がございましたが、交付税率の引上げなども粘り強くこれからも主張していかなければいけないというふうに思っておりますが、国、地方の財政状況等、総合的な中で、私どももこれから地方の、繰り返しになりますが、御期待に応えられるように努めてまいる所存でございます。

中司委員 しっかりと対応していただきますように、よろしくお願いいたします。

 次に、ふるさと納税についてお聞きします。

 ふるさと納税の総額は、令和元年度が四千八百七十五億円、令和二年度が六千七百二十五億円、令和三年度が八千三百二億円と、年々かなりの割合で増えています。また、自治体が政策目的を示して寄附を募るクラウドファンディング型のふるさと納税など、新しい形も増えて、広がっています。

 しかし、反面、一定の基準が設けられたものの、自治体間の競争も過熱するなど、額が増えるに伴って、地方財政全体のバランスにも影響が出ているものと考えます。

 ふるさと納税についての基本的な考えと、現在の内容がその方針に沿ったものになっているかどうか、お聞きします。

川窪政府参考人 お答え申し上げます。

 ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった地方団体への感謝の気持ちを伝え、税の使い道を自分の意思で決めることを可能とするものとして創設された制度でございます。これまで、全国各地の地方団体が創意工夫を凝らした取組を進めていると承知しております。

 寄附金の使い道をあらかじめ明示して募集を行う事例も増えておりまして、こうした取組は、地域の課題解決や魅力発信にもつながっているものと考えております。

 一方で、制度が普及する過程におきまして、過度な返礼品競争が行われたことなどを背景に、制度の本来の趣旨から逸脱している事例もあるという指摘もございました。

 こうしたことから、令和元年六月に、現在の指定制度が導入され、返礼割合を三割以下かつ地場産品とすることといった基準が法令で定められたところでございます。

 その後も、総務省におきましては、毎年の指定の際に各地方団体の取組状況について確認を行うなど、制度の適正な運用に取り組んでいるところでございます。

中司委員 ふるさと納税によりまして、住民税の控除額よりも給付を多く受け入れている、いわゆる勝ち組の自治体と、住民税の控除額の方が多くて減収となっている自治体の割合、これは千七百八十八自治体のうち、令和三年度で見て、増収の自治体数が千四百二十、減収の自治体が三百六十八となっております。

 実際には、減収の自治体には交付税で七五%が補填されますけれども、この補填分は予算措置として交付税総額にどう影響しているのか、お聞きいたします。

原政府参考人 お答えいたします。

 ふるさと納税の交付税への影響でございます。

 まず、マクロ面、地方財政全体のお話をしたいと思います。

 ふるさと納税の地財計画の取扱い、まず地方税収入、どのように対応しているかということでございますが、ふるさと納税に係る寄附金税額控除、これは、ほかの税制上の特例措置も同様でございますが、減収額を反映させる、つまり少ない形で地財計画で計上しているということでございます。

 もう一つ、これに関連しまして、ふるさと納税は寄附金でございますので、この寄附金収入も、ほとんどの団体で募集の取組が行われているということもございまして、これは翌年度の雑収入ということで、この寄附金の一定額を計上しております。

 そのような歳入の計上を行った上で、地方財政計画を策定し、必要な一般財源総額を確保するとともに、交付税総額を適切に確保する。これはマクロの対応でございます。

 続きまして、ミクロ、それぞれの自治体の対応でございます。

 ミクロの地方団体の交付税の算定につきましては、各自治体の個人住民税の減収、ふるさと納税で減収になりますから、その分は基準財政収入額の算定に反映させております。

 具体的には、ふるさと納税制度に伴う寄附金の税額控除による個人住民税の減収は、個人住民税の収入見込額から控除するということにしておりまして、その結果、減収分の七五%が基準財政収入額に反映されることとなり、交付税で財源が確保されるということになります。

 このように、ふるさと納税の影響について、マクロ面、ミクロ面からそれぞれの財源手当てを行って対応している、こういうことでございます。

中司委員 時間が来ましたので、最後の質問にしますが、自治体間の競争がエスカレートしたら、勝ち組、負け組という自治体間の分断を起こしかねない、あるいは格差の拡大を起こしかねない、そういう要素をはらんでいると思います。

 この制度の本来の趣旨は賛同するわけですけれども、エスカレートによって、ゼロサムゲームのように分断とか格差を生むのは好ましくないと思います。

 本来の在り方にふさわしい制度となるように検討を重ねていただきたいというように思いますけれども、その点について見解をお示しください。

川窪政府参考人 お答え申し上げます。

 各地方団体におきましては、制度の趣旨を逸脱していると他の団体から受け止められるような募集方法によることなく、地方税法に定められた募集に関するルールを遵守して適正に運用していただくということが、財源が減少する団体との関係においても重要なことであると考えているところでございます。

 総務省としても、引き続き、制度が適正に運用されるよう努力してまいりたいと存じます。

中司委員 よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速、地方交付税法等の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 今回の補正予算におきましては、国税収入の増額補正等に伴いまして、交付税が一兆九千二百十一億円増額計上されることとなりました。内訳は、令和三年度国税決算に伴う地方交付税法定税率分の増加一兆六十七億円及び令和四年度国税収入の補正に伴う地方交付税法定税率分の増額九千百四十四億円によるものです。

 交付税対象税目の予算額が増額又は減額されると、それぞれその法定分が増額又は減額されることとなります。コロナ以前につきましては、景気の見通しが甘く、減額補正となるという事態が続いておりました。そのために、地方財政の後年度にわたっての影響が発生をいたしておりました。

 今回は増額となりましたが、コロナ禍における厳しい経済状況を見据えて、国税収入が減額することを想定したものであったことは十分理解できますけれども、見積りと実績の間に大幅な乖離が生じているということは、やはり問題、課題があると考えております。その見積りの在り方について、財務省にお尋ねをさせていただきます。

坂本政府参考人 お答え申し上げます。

 税収の見積りに当たりましては、見積り時点で入手できるデータを最大限用いながら、そのときそのときの経済状況等を踏まえて行ってございます。

 具体的には、直近の課税実績に加えまして、上場企業などへの個別のヒアリングを通した収納見込みの把握ですとか、法人ごとに得られているデータを用いた繰越欠損金の影響の把握、また、民間の調査機関等からの情報収集などを活用することで、税収の見積りの精度の向上にできる限りということで努めているところでございます。

 引き続き、御指摘のとおり、こうした取組を進めてまいるということを考えてございます。

西岡委員 今財務省から御答弁がありましたけれども、なかなか今、コロナ禍、また国際情勢も含めて、より見通しが大変難しい状況というのは十分理解をいたしますけれども、大幅な乖離というものが毎年恒常的に当たり前に続いていくということについては、大変やはり一つの課題があるというふうに考えておりますので、今いろいろな角度からしていただいているということは御説明で分かりましたけれども、引き続きの取組というものを是非お願いをさせていただきたいと思います。

 今財務省から御説明がございましたけれども、この政府の国税収入の見積りが実績値と大幅に乖離することによって地方財政へ与える影響について、総務省の御見解をお伺いしたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 今財務省から御答弁ありましたとおり、令和三年度、四年度については、そういった事情で変動があったわけでございます。

 税収については、できるだけ適切に見積もるよう努力する必要があるものの、ただ一方で、経済には不確実性がありますので、収入の見積りから増減が生じることは、ある程度やむを得ない面もございます。

 ただ、国の税収動向によって交付税にも影響がありますので、それぞれ、国税の増額補正あるいは減額補正、いずれの場合も、財政当局とも協議の上、地方団体の財政運営に支障が生じないように、毎年度毎年度、法律改正をお願いして、しっかりと地方財政に影響がないようにこれまで対応している、今後もそのように対応してまいりたいと思っております。

西岡委員 ありがとうございます。

 今お話がございましたように、やはり地方の財政に影響がないようにというお言葉がございましたけれども、このことは大変重要なことだと思っております。

 ただ、少なく見積もったために、先ほどからの議論でもあっておりますけれども、地方に臨時財政対策債を発行させるということも生じるということも踏まえて、今後とも、このことについては様々、財政当局を含めて連携を取っていただく中で、とにかく地方財政に影響を与えないということ、このことを重要視して取組をしていただきたいというふうに思っております。

 これまでの議論でかなり重複する質問がございますので、その部分は後ほどに回させていただきまして、先ほど、このことも大臣から御答弁があったことですけれども、大変大事なことですので、再度の答弁になるかと思いますが、お聞きをさせていただきたいと思います。

 これまでも国会において幾度となく議論をされてきたことでございますし、委員会決議においても盛り込まれてきたように、地方交付税の法定税率分、これを引き上げることによって、臨時財政対策債に頼らない抜本的な改革によって持続可能な地方財政制度を確立するということが極めて重要だと考えております。是非、松本大臣にはリーダーシップを発揮していただいて取り組んでいただきたいというふうに思いますけれども、松本総務大臣の御決意を含めた御見解をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 今、西岡委員から御指摘ございました点、一部重なるところもございますが、改めて申し上げれば、地方財政の健全化のためには、本来的には、臨時財政対策債になるべく頼らない財務体質を確立することが重要であると考えております。

 今後とも、経済あっての財政の考え方の下、経済を立て直し、地方税などの歳入の増加に努めるとともに、国の取組と基調を合わせた歳出改革も行うことにより、財源不足を縮小し、臨時財政対策債の発行抑制に努めてまいりたいと考えております。

 委員から御指摘がございました交付税率の引上げにつきましては、現在、国、地方とも御案内のとおり厳しい財政状況にあるため容易ではありませんが、今後も交付税率の見直し等により地方交付税総額を安定的に確保できるよう、粘り強く主張し、政府部内で十分に議論してまいりたいと考えております。

西岡委員 今、松本大臣からも御答弁いただきましたけれども、是非、引き続き、このことについてはリーダーシップを持ったお取組というものをお願いをさせていただきたいと思います。

 以上で一旦法律についての質疑を終わらせていただきまして、消防行政についてお尋ねをさせていただきます。

 先週土曜日、地元長崎で県の消防殉職者慰霊祭が執り行われまして、出席をさせていただきました。火災、風水害の自然災害を始めとして様々な災害対応をされ、地域住民の命、財産、国土を守るために命の危険も顧みず職務を全うされ、貴い命をささげられた消防職員また消防団の殉職者の皆様に、心から改めて御冥福と感謝を申し上げたいと思います。

 長崎におきましては、七十七年前の原爆の投下によって亡くなられた消防団の方の御遺族も参列をされておられました。大変これまで長い歴史の中で、この消防職員や消防団員の皆様の果たしてきた役割は、大変重要な役割、尊い役割を果たしてきていただいたということを改めて認識をさせていただいたわけでございます。

 近年、自然災害の大規模化、頻発化、加えて新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、様々な、大変業務が追加、加わっているという状況がございますけれども、活動中の消防職員の皆さんやまた消防団員の皆様が負傷をされた、また殉職された皆様の、どういう状況であったかということ、またその要因について、消防庁からお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年から令和二年までの直近の五年間でございますが、公務中の事故等によりまして死亡又は負傷した消防職団員の数は、新型コロナウイルス感染症の影響により訓練の機会が減りました令和二年を除きまして、おおむね横ばいで推移をしております。五年間の合計で、お亡くなりになられた方が、消防職員三十六名、消防団員十二名、そして、負傷された方が、消防職員六千九十一名、消防団員四千三百三十六名でございます。

 これらの主な要因でございますが、火災などの緊急出動中の事故や、演習、訓練中の事故が主なものとなってございます。

西岡委員 大変危険と隣り合わせの職務に邁進をしていただいているわけでございますけれども、先ほども申し上げました、様々な、対応すべき業務というのが多角化、大変多忙を極めているという状況の中で、消防職員や団員の皆さんを取り巻く環境というものも大変安全面で厳しい状況になっているというふうに思います。また、北朝鮮によるミサイルの発射が頻繁に発生をして、Jアラートによる国民保護活動というものにも対応していくという事態も発生をいたしております。

 任務に当たっては、やはり、心身両面の健康を保ち、安心して職務に従事できる安全対策、環境整備が大変重要だと思いますけれども、消防庁のお取組についてお尋ねをいたします。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 消防職団員は、危険と隣り合わせの災害現場におきまして、地域の住民の命、身体、財産を守り、被害を最小限度にとどめるという使命を有しており、その安全管理は、議員御指摘のとおり、大変極めて重要でございます。

 総務省消防庁といたしましては、これまで、事例とその分析、議論を積み重ね、消防職団員が安全管理上留意すべき事項をいわゆる安全管理マニュアルなどの形で取りまとめ、お示しをし、今日に至るまで改訂を続けておるところでございます。

 また、負傷事故やヒヤリ・ハット事例をデータベースの形で情報共有をいたしますとともに、各消防学校等においてカリキュラムに位置づけ安全管理の教育訓練を実施するほか、消防研究センター等におきましては、安全で効率的な活動のための消防技術、装備品、資機材、車両などの研究や開発を行ってきているところでございます。

 このほか、令和四年第二次補正予算案におきましても、防じん眼鏡、切創防止用の保護衣などの安全装備品を対象とする消防団設備整備費補助金を盛り込んでいるところでございます。

 これまでも、機会を捉えまして、消防本部等に対しましては安全管理の徹底を促してきているところでございますが、今後とも、消防職団員が地域の安全、安心の担い手としてその使命をしっかり果たしていけるよう、万全を尽くしてまいりたいと存じます。

西岡委員 是非、引き続きのお取組をお願いしたいというふうに思います。

 また、この消防の中で、女性職員が今、大変活動の幅も広がっておりますし、この女性職員の更なる活躍というものが大変期待をされますし、重要なものだと考えております。そのためには、女性職員が安心して働くことができる環境整備というものも不可欠であると考えますけれども、このことについてのお取組について御説明をお願いいたします。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、女性消防職団員が活躍していくためには、働きやすい環境を整えていくことが何より重要でございます。

 このことから、総務省消防庁といたしましては、女性消防職員の活躍ガイドブックの作成、公表を始め、女性消防吏員の活躍推進アドバイザー制度、また、消防団等充実強化アドバイザー制度などによりまして、女性消防職団員の活動、環境整備に取り組んできているところでございます。

 これらに加えまして、消防署等におけます女性職員の更衣室、仮眠室等の施設の整備に要する経費に対しましては特別交付税措置を講じているとともに、消防団の詰所への女性用トイレ整備には緊急防災・減災事業債の活用ができるようにしておるところでございます。

 さらに、消防団の力向上モデル事業によりまして、例えば、子育て世代に向けて、子供連れでも活動できる消防団の環境づくりなども推進しております。

 いずれにしましても、今後とも引き続き女性消防職団員が活躍しやすい環境づくりにしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

西岡委員 本当に安全に職務に邁進していただける環境づくり、是非引き続きお取組をお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 資料一を見ていただきたい。前回、十一月二十四日の当委員会の速記録であります。

 傍線部、「私の後援会、政治団体のパーティーでは、御案内で、御来臨賜りますようお願い申し上げますと、パーティー券を御参加いただく対価として購入をしていただいており、おいでいただいた方に対応できるように準備させていただいております。」大臣は私にこう答えた後は、その後の参議院でも、この答弁を繰り返しておられます。

 そこで、順に確認をしたい。

 まず、案内に、御来臨賜りますようお願い申し上げますと書いていたと言いますけれども、それはまだ私は確認しておりません。この前提を欠けば、これは全て崩れるということになりますから、案内状、提出していただけますね。

松本国務大臣 もう委員御案内のとおりでありますが、政治資金パーティーとは、対価を徴収して行われる催物で、当該催物の対価に係る収入の金額から当該催物に要する経費の金額を差し引いた残額を当該催物を開催した者又はその者以外の者の政治活動に関して支出することとされているものでありますので、私の後援会のパーティーにおきましては、この政治資金規正法にのっとりまして、政治資金規正法第八条の二に規定する政治資金パーティーであるということで、御来臨賜りますようお願い申し上げますと、御参加いただく対価として販売をさせていただいております。

 なお、私どもは、報告すべきことにつきましては、この政治資金パーティーにおきましても、政治資金規正法にのっとって開催し、法令で報告を求められるように定められた事項につきまして全て報告できるように報告しておりまして、その他の事項につきましては、報告で申し上げられるような形で持ち合わせておりませんと申し上げさせていただきました。

 今も、政治資金規正法の趣旨にのっとりましてパーティーを開催をさせていただいており、先ほどの繰り返しになりますが、御来臨賜りますようにお願い申し上げておりますということを重ねて申し上げたところでございます。

宮本(岳)委員 答弁になっていないんですよ。

 この案内状を出していただけますか。

松本国務大臣 繰り返しになりますが、私は……(宮本(岳)委員「繰り返さなくていいんですよ」と呼ぶ)

 御質問をいただきましたので、御答弁は繰り返しになるので申し上げさせていただいたところでございますが、政治資金規正法で御報告、法令で報告を求められることにつきましては、報告できるように準備して、収支報告で報告をさせていただき、その他の事項につきましては、御報告できるような形で持ち合わせておりませんというふうに申し上げさせていただきました。

宮本(岳)委員 あなたの説明は、二つのことによって成り立っているんです。

 一つは、案内状に、御来臨賜りますようお願い申し上げますと書いている、そうおっしゃったんですよ。そして、お見えになったら、きちっと対応をさせていただいたと。この二つが同時に成り立ったら、それは先ほどからの説明は成り立つでしょうが、じゃ、その案内状を出してくださいと聞いているんです。

松本国務大臣 私が、この委員会におきまして、御来臨賜りますよう心よりお願い申し上げますということで、パーティー券の御購入をいただき、参加いただく対価としてお支払いをいただいている、こう御説明申し上げていることで、是非御理解をいただきたいと思います。

宮本(岳)委員 理解できないから聞いているんですね。もうこればかりやっていられないんですよ、地方交付税のそもそも質疑をやっているわけですから。前回の質問に納得いく御回答をいただけていないから、私はあなたに問うているわけですね。

 あなたの説明が成り立つためには、一つは、この案内状に確かに御来臨賜りますよう云々と書いているということが確認されなきゃならない。もう一つは、もしも、パーティー券をお買いになった方々が、前回の議論では九百九十四人分でありますけれども、その方々がお見えになったときに、きちっとそれに対応できる準備ができていたということが確認されなきゃならない。このどちらも確認されていないんですね。

 私は、一昨日、あなたが政治資金パーティーを交互に開いている二つのホテルを訪ねて、部屋のサイズ等々をお聞きをしてまいりました。そして、この目でも見てまいりました。また、十一月二十五日には、この二〇二一年分の収支報告書も公表されております。

 ですから、これは、このままあなたがそこでそうおっしゃっただけで済ますわけにいかないことでありまして、改めて、案内状の提出と、そして一体何人このパーティーにお見えになったのか、人数ですね、こちらの方は分かりましたか、人数。

松本国務大臣 おいでいただいた方で、入場をいただけなかったことはないというふうに記憶をいたしております。

 その上で、参加人数等の御質問でありますが、先ほどから申しましているように、法令で報告を求められている事項につきましては、そのように準備をいたしまして報告を申し上げておりますが、その他の事項につきましては、御報告できるような形で持ち合わせておりませんということでございます。どうぞ御理解をいただきますようによろしくお願いいたします。

宮本(岳)委員 ちなみに、収支報告書の、資料二でありますけれども、二〇二〇年、政治資金パーティー開催事業費には、行番号十一、講師交通費十四万五千八百円とありますけれども、このとき、誰が講師でしたか。

松本国務大臣 講師には、しかるべき、私の後援会の会でございますので、我が国の国政ないしは経済、また世界情勢、経済などについてお話をいただける方についておいでをいただいておりますが、その際にどなたが講師であったかについては、今日ここで御質問いただきましたが、講師の方の御了解もいただいておりませんので、特定した形で申し上げることは御容赦をいただきたいと思います。

宮本(岳)委員 私は、参加した方から、甘利明衆議院議員であったということをお伺いしております。どうぞ御確認いただいて、差し支えなければ、次回、御報告いただければと思います。

 さて、マイナンバーについて、私は前回、二〇一五年十一月六日の五省庁連名文書というものを取り上げました。警察庁と外務省を取り上げましたけれども、念のために断っておきますけれども、私は、この五省庁が人定把握が容易に行えないような捜査手法を取ることを全てよしとしているわけじゃありません。問題は、中央省庁の中からでさえ個人情報の秘匿に懸念が表明されているようなマイナンバーカードを、あめとむちともいうようなやり方で国民に押しつけることは決して許されないということを指摘したわけです。

 日弁連、日本弁護士連合会は、十一月二十一日、国会内でマイナ保険証義務化に反対する院内集会を開きました。資料三は、九月の二十七日付で発表されたマイナ保険証取得の事実上の強制に反対する会長声明でありますけれども、二〇二四年秋で健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化する政府方針に対して、番号法の申請主義に反し、マイナンバーカードの取得を事実上強制しようとするものにほかならないと厳しく指摘をしております。

 厚労省、今日来ていただいております。マイナンバーカードを作らず、健康保険証利用登録も行わないような国民は、医療から排除することを考えておられるんですか、厚労省は。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 医療保険の保険料を納めておられます方が保険診療を受けられることは当然でございまして、マイナンバーカードと健康保険証の一体化後、何らかの事情により手元にマイナンバーカードがない方が必要な保険診療等を受けられる際の手続、こちらにつきましては、様々な例外的なケースが考えられることもあり、資格を確認する方法等の更に細部の対応を充実させるための方策につきまして、関係省庁による検討会を設置し、広く国民の皆様の声を踏まえた丁寧な検討を進めてまいりたいと考えてございます。

宮本(岳)委員 保険医療を受けられないようにすることを検討しているんですね。もう一度。

日原政府参考人 医療保険の保険料を納めておられます方が保険診療を受けられることは当然でございまして、マイナンバーカードと健康保険証を一体とする中におきましても、国民の皆様が必要な保険診療等を受けられる環境の整備につきまして、国民や医療関係者の皆様の御理解を得ながら、きめ細かく丁寧に進めてまいりたいと考えてございます。

宮本(岳)委員 先日の院内集会では、マイナ保険証の導入は、医療機関にとって、オンラインの資格確認設備の設置といった過度な負担の強制になるとしておりました。

 日弁連の院内集会には、医師や歯科医師らが加入する全国保険医団体連合会の住江憲勇会長が、保険医協会会員らを対象にした保険証廃止の意識調査結果を報告をいたしました。調査には、診療所など四千七百四十七件が回答しております。

 資料四を見ていただきたい。マイナ保険証の運用を開始している機関は二六%。五四%が準備中。一方で、導入しない、できないという回答も一四%ありました。

 高齢の医師が運営する診療所では、マイナ保険証が義務化されれば閉院せざるを得ないという声もあり、同連合会は、地域の患者にとって大きな損失になると話しておりました。

 これも厚労省にお伺いしたい。

 オンラインの資格確認設備の設置が過度な負担の強制になり、地域医療を壊すようなことがあってはならないと思いますが、いかがですか。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 オンライン資格確認につきましては、カード一枚で医療機関を受診いただくことで、健康医療に関する多くのデータに基づいたよりよい医療を受けることが可能となるなどのメリットがございますので、全国の医療機関等で速やかに導入していくことが必要と考えておりまして、オンライン資格確認の導入の義務づけということで現在進めているところでございますけれども、この義務づけにつきまして、御審議をいただきました中医協、中央社会保険医療協議会、この答申書の附帯意見も踏まえまして、オンライン資格確認導入の原則義務化により地域医療に支障が生じることのないように、丁寧に対応してまいりたいと考えてございます。

宮本(岳)委員 地域医療を壊すことがないように丁寧に対応したい、そう答弁していただいたらいいんです。最後にそうおっしゃいましたね。

 改めて、デジタル庁に確認をしたいんです。

 政府が、マイナポイントのように、マイナンバーカードを作れば様々なメリットがある、得をするというキャンペーンを行っていることはよくよく知っております。逆に、マイナンバーカードを作らなければ今の状況より悪くなる、今受けられているサービスが受けられなくなるということがあるのかどうか。デジタル庁、御答弁いただけますか。

内山政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードはデジタル社会のパスポートであり、これまで、健康保険証としての利用のほか、ワクチン接種証明書の取得など利用シーンの拡大に取り組み、今後、マイナンバーカード機能のスマートフォンへの搭載など、更なる利便性の向上に取り組むこととしてございます。

 こうした中で、御質問の、不便になることがあるかという点につきましては、今後利用シーンが拡大していく中で、マイナンバーカードを活用するサービスやサービスの提供主体というのは様々であると考えております。

 例えば、あくまでも仮定の話ですけれども、マイナンバーカードを活用してオンライン申請を申請することにより、対面の窓口数が見直されることも想定されます。それによる窓口での待ち時間等の変化は、原則、適切な窓口数が設定されるものと思いますけれども、窓口数の見直しの状況によって異なるかと思います。

 したがいまして、マイナンバーカードを活用したサービスを導入した際のカードを保有されていない方の状況につきましては、サービスの提供者のお考えによるもので一概には申し上げられませんが、原則、今より不便になることはないというふうに考えてございます。

宮本(岳)委員 原則、不便になることはないとはっきり答えればいいんですよ。

 こういうことは、地方交付税にも言えることであります。二十四日の当委員会でも議論になりましたけれども、自治財政局長は、マイナンバーカードの交付率の反映というものは政策誘導でもペナルティーでもないと答弁をされました。

 あくまでも財政需要を拡充する中での話であって、ペナルティーで交付税を減額するというようなものではないと私は説明を聞きましたけれども、最後に総務大臣に御確認を申し上げて、質問を終わりたいと思います。

松本国務大臣 既に委員から御説明がございましたが、改めて私の立場から申し上げれば、今後、地方団体における地域のデジタル化に係る財政需要を拡充する中で、これを的確に算定に反映する観点から、その指標の一つとしてマイナンバーカードの交付率を用いる方向で検討しているものでございます。

 マイナンバーカードの交付率によって普通交付税が減額されるといった御心配もあるようですが、決してそういった趣旨のものではなく、ペナルティーでもございません。

宮本(岳)委員 終わります。

浮島委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、明二十九日火曜日午後二時三十分理事会、午後二時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時二十分散会


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