衆議院

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第7号 令和4年11月29日(火曜日)

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令和四年十一月二十九日(火曜日)

    午後二時五十分開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 武村 展英君 理事 鳩山 二郎君

   理事 石川 香織君 理事 奥野総一郎君

   理事 守島  正君 理事 中川 康洋君

      井林 辰憲君    石井  拓君

      上田 英俊君    金子 恭之君

      川崎ひでと君    国光あやの君

      小森 卓郎君    佐々木 紀君

      坂井  学君    島尻安伊子君

      新谷 正義君    杉田 水脈君

      田所 嘉徳君    谷川 とむ君

      中川 貴元君    西野 太亮君

      古川 直季君    務台 俊介君

      保岡 宏武君    渡辺 孝一君

      岡本あき子君    神谷  裕君

      重徳 和彦君    馬場 雄基君

      道下 大樹君    湯原 俊二君

      渡辺  創君    伊東 信久君

      市村浩一郎君    沢田  良君

      中司  宏君    輿水 恵一君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

      吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   総務副大臣        尾身 朝子君

   総務副大臣        柘植 芳文君

   総務大臣政務官      国光あやの君

   総務大臣政務官      杉田 水脈君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   会計検査院事務総局第五局長            宮川 尚博君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  田原 康生君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            竹村 晃一君

   参考人

   (国立研究開発法人情報通信研究機構理事長)    徳田 英幸君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十九日

 辞任         補欠選任

  井原  巧君     石井  拓君

  佐々木 紀君     谷川 とむ君

  新谷 正義君     上田 英俊君

  おおつき紅葉君    馬場 雄基君

  中司  宏君     沢田  良君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     井原  巧君

  上田 英俊君     新谷 正義君

  谷川 とむ君     佐々木 紀君

  馬場 雄基君     渡辺  創君

  沢田  良君     中司  宏君

同日

 辞任         補欠選任

  渡辺  創君     おおつき紅葉君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

 国立研究開発法人情報通信研究機構法及び電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、昨二十八日に終了をいたしております。

 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法等改正案に対する反対討論を行います。

 今回の地方交付税法の改正は、今年度予算における国税収入及び二〇二一年度国税決算による税収増に伴って増額となった地方交付税一兆九千二百十一億円の使い方を決めるものです。年度途中に増額となった地方交付税は、その全額を地方自治体に交付するというのが地方交付税法等の趣旨であります。

 ところが、本法案は、二〇二二年度分として四千九百七十億円を地方に増額交付する以外の一兆四千二百四十二億円を翌年度の地方交付税総額に繰り越すものです。政府は、財源不足などを理由に、年度途中で生じた地方交付税を翌年度の交付税増額に繰り越すことを基本方針としていますが、今回の額は二〇〇六年度に次ぐ二番目の大きな規模です。さらに、臨時財政対策債を縮減するための対策や、交付税特別会計借入金の償還分に充てる措置もありません。

 今必要なことは、地域の公衆衛生体制や医療体制など、新型コロナ禍で脆弱さが浮き彫りとなった地方行財政を立て直すとともに、深刻さを増す物価高騰から住民の暮らし、営業を守るための地方の実情を踏まえた施策や、ケア労働者や公務労働者の賃上げ、処遇改善で地方自治体の役割が発揮できるように十分な財政措置を行うことです。

 年度途中で生じた増額分は、現行法にのっとって、全額地方自治体に交付することを強く要求して、討論を終わります。

浮島委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより採決に入ります。

 地方交付税法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浮島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

浮島委員長 次に、内閣提出、国立研究開発法人情報通信研究機構法及び電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。松本総務大臣。

    ―――――――――――――

 国立研究開発法人情報通信研究機構法及び電波法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本国務大臣 国立研究開発法人情報通信研究機構法及び電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 将来における我が国の経済社会の発展の基盤となる革新的な情報通信技術の創出を推進するため、国立研究開発法人情報通信研究機構について、情報の電磁的流通及び電波の利用に関する技術の研究及び開発に関する業務等のうち一定の要件を満たすものに要する費用に充てるための基金を設けるとともに、当該基金等に対して電波利用料を財源として補助金を交付するための規定を整備する等の措置を講ずる必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、機構は、革新的な情報通信技術の創出のための公募による研究開発等に係る業務であって一定の要件を満たすものに要する費用に充てるための情報通信研究開発基金を設け、政府により交付を受けた補助金をもってこれに充てるものとすることとしております。

 第二に、政府は、予算の範囲内において、機構に対し、情報通信研究開発基金に充てる資金を補助することができることとし、あわせて、基金の運用方法の制限等について規定することとしております。

 第三に、機構は、毎事業年度、情報通信研究開発基金に係る業務に関する報告書を作成して総務大臣に提出するとともに、総務大臣は、当該報告書に意見をつけて、国会に報告しなければならないこととしております。

 第四に、機構は、情報通信研究開発基金に係る業務について、一般財源と電波利用料財源ごとに、経理を区分し、勘定を設けて整理しなければならないこととしております。

 第五に、総務大臣が交付する電波利用料を財源とする補助金を、情報通信研究開発基金その他の周波数の有効利用に資する研究開発を複数年度にわたり実施するための基金に充てることができる旨を明確化するとともに、当該基金の使用状況を毎会計年度公表することとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

浮島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として国立研究開発法人情報通信研究機構理事長徳田英幸君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省国際戦略局長田原康生君及び総合通信基盤局長竹村晃一君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長宮川尚博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。

 ビヨンド5Gということでありますけれども、通信ネットワークのやはり基幹の技術は日本の国産の技術で特許を押さえるのは、経済安全保障上も私は望ましいと思います。そういった観点から、やはり集中して資金を投下していく、それから、きちんと進捗管理をして無駄のないように資金を使っていただくという、そういった観点から質問をさせていただきたいと思います。

 私もずっとビヨンド5Gと伺ってきたんですが、そもそもどういうものかというのをちゃんと理解しておりませんで、今の5Gの次の世代というんですが、5Gとどう違うのか、どのようなメリットがあるんですか。そのために必要な技術開発、今回いろいろ資金を投下するんでしょうけれども、どんな技術開発が必要でそこに資金を投下していくのかということを、大臣にまず伺いたいと思います。

松本国務大臣 今、奥野委員から御質問いただいたことにお答えをいたしたいと思います。

 ビヨンド5Gは、二〇三〇年代のあらゆる産業や社会活動の基盤となる情報通信インフラとして、従来の無線技術としての5Gの延長線のみならず、基幹網となる有線ネットワークを含めたネットワーク全体として、新たな機能の実現を目指すものでございます。

 具体的には、5Gの特徴である高速大容量、低遅延、多数同時接続の性能を約十倍、一桁引き上げる、向上させるほか、通信ネットワークにおける消費電力の大幅な削減、海上や山間を含めた、どこでもつながる、災害にも強いネットワークなどの実現を想定しております。

 こうした機能の実現に向け、通信インフラの超高速化、超低遅延、省電力化を実現する光ネットワーク技術、衛星やHAPSを活用して、陸海空をシームレスにつないで通信エリアを拡張する非地上系ネットワーク技術などの研究開発に注力してまいりたいと考えているところでございます。

奥野(総)委員 5Gよりも更にたくさんの端末を同時につなげ、速度も速くなる、セキュリティーも上がる、カバーの領域も広がるというようなことのようでありますが、衛星は、例えばスターリンクとか、既にアメリカは、コンステレーション衛星ということで、ウクライナなどでも使っていますが、そういった実用化というか、かなり進んでいると思うんですね。

 HAPSも、これは私が役所にいる頃から、成層圏に太陽電池で動く飛行機を飛ばしてなんという話もあったんですけれども、ようやく実現性が見えてきたということですが、これも多分、恐らくアメリカの技術だと思うんですね。

 そういったところに本当に今から追いつけるのか、強みがあるのかというところが疑問なのと、じゃ、光ネットワークの方はNTTさんを中心に少し日本の方が利があるのかなとも思うんですが、一体どこに日本に強みがあって、どの部分に集中的に資金を投下していくのかというのを伺いたいと思います。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国ではこれまで、超高速通信を実現する光ファイバーですとか光伝送装置の研究開発に取り組み、国際的な開発競争をリードし、その成果について、ネットワークへの実装ですとか国内外の市場獲得につなげてきているところでございます。

 このため、日本は光通信技術において国際的にも強みがあると考えておりまして、これをシステム的に結びつけて総合的なネットワークとして組み上げる構想と技術力においても世界で日本が先行しているものと考えております。

 さらに、そうした光通信技術に、日本が技術開発やネットワーク構築で先行しているHAPS等を活用した非地上系ネットワーク技術ですとか仮想化技術をかけ合わせることで、日本の強みを発揮していけるものと考えております。

奥野(総)委員 やはり、光ネットワーク技術というところなんですが、HAPSとか衛星の方は、今言ったように、すぐに上がってこないんですね。

 これは実は非常に大事で、大災害とか、まあ、戦争が起こるかどうかというのはあるんですが、ウクライナを見ていても分かるんですが、ウクライナは一般の方が動画をアップしていますよね、ネット上に。あれはどうやってネットがつながっているのか。ミサイルが飛んでくる中で、基地局とかも相当被害を被っているはずなんですが、どうやって通信がつながっているのか。ウクライナの通信環境について伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 ウクライナ全土の通信インフラでございますけれども、本年六月において、二〇%が損傷又は破壊されたとの報道がなされておりました。

 一方で、ウクライナ政府当局によりますと、戦時下における通信環境の管理及び復旧活動の調整が効率的に行われていると伝えられているところでございます。

 一方で、電力施設の損傷又は破壊による電力不足によって、通信設備に支障がない地域であっても通信が使用できない状況が生じ、戦時下における通信安定化に当たっての課題とされているというように承知しております。

奥野(総)委員 私、憲法審なんかでもネットワーク出席なんというのをやっているんですが、例えば大災害とか非常時、戦時なんかにおいても途絶しないようなネットワークを確保しておかないと、そういったネットワーク出席とか国会機能の維持なんかも難しくなると思いますし、いろいろな面で支障が出ると思うんですね。ですから、そこはやはり、災害時、非常時の通信の確保は非常に大事だと思います。

 今話にはなかったんですが、スターリンクをうまく使っているなんという話もありますから、さっき出てきた衛星を使った通信、HAPSを使ったような通信というのも、一定程度こういった非常災害時には役に立つんだというふうに思います。

 ただ、今の時点で、衛星を日本企業がどんどん打ち上げて通信を確保するというのはなかなか現実的じゃない気もするんですが、そうした中で、HAPSというのは盛んに皆さんおっしゃっているんですが、実用の可能性が本当にあるのか、実用化するとして、いつ頃を考えておられるのか。ちょっとそこは通告していないんですが、この基金のお金を投入するのかどうかも伺いたいと思います。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 HAPSですが、上空約二十キロに滞留する無人航空機を利用した高高度通信プラットフォームでございまして、携帯電話基地局などを搭載することによって広域をカバーすることが可能となるということで、地震などの災害の影響を受けない強靱な通信ネットワークの実現手段として期待されているところでございます。

 また、ビヨンド5Gにおきましても、革新的なサービスの基盤となる統合的なネットワークを実現することが求められておりますところ、HAPSを始めとする非地上系ネットワークの役割に対する期待も高まっております。

 我が国において、実現性ということでございますけれども、HAPSにつきましては、国内の関係通信事業者が、二〇二五年度を目途に事業開始を目指して取り組んでいるというような状況であると承知しております。

 なお、最後に御質問がありました、今回の基金によってこのHAPSの関係の研究開発に取り組むのかという点でございますけれども、私どもとしては、HAPS関連の無線通信技術等につきましても、この基金を活用させていただいて取り組んでいきたいと考えているところでございます。

奥野(総)委員 衛星とかHAPSとか、面的な通信を確保するというところは、なかなか技術的に強みがあるとは言えないような印象を受けたんですけれども、しっかりやっていただきたいと思います。

 その上で、さっきの話に戻りますが、特許を押さえていかなきゃいけないと思うんですが、関係の特許ですね、このビヨンド5Gの関係の特許について、どの部分についてどの程度押さえているのか、そして、その課題について御答弁いただきたいと思います。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 ビヨンド5Gに先立って、現在の5Gの関係につきましては、5Gの標準必須特許に関して、民間調査会社の推計では、日本企業全体ではおおむね一〇%、あるいはそれ以上のシェアを獲得しているというような調査結果がございます。

 ビヨンド5Gの関係、例えば委員御指摘のございましたHAPSの関係では、これも民間調査会社の調査のデータがございますけれども、通信関係を中心に、日本の企業が大きなシェアというか、特許のシェアとしては持っているという状況であると承知しております。

 また、先ほど御指摘がありました光通信技術、この関係でも、日本の関係企業の特許のシェアというのは、海外の他社に比べて大きいというような状況であるというように承知しております。

 私ども総務省としては、こういった研究開発を進めるに当たって、特に国内メーカーの国際競争力の強化の観点から、こういった研究開発と一体的に知財、標準化の戦略を推進することが重要であると考えているところでございます。このため、知財、標準化の国際展開などを見据えた戦略的な特許の取得活動ですとか、国際標準化と特許を組み合わせた標準必須特許の取得とその計画といった取組についても、研究開発の採択等の際に評価の指標として審査をしているところでございます。

 また、民間企業の取組を支援するために、ビヨンド5G新経営戦略センターというものをつくって、企業向けの周知啓発ですとかセミナー、また、NICTのこれまでの基金で受託している方々へのセミナーですとか、経営者の御理解も大切ということで、そういった経営層の方々に対する啓発活動、こういったものに取り組んできているところでございまして、引き続き、国内企業の戦略的な知財の獲得に向けて支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

奥野(総)委員 特許は一割ぐらい押さえているということなんですが、やはり大事なのは、半導体の部分とかコアの技術だと思うんですね。通信機器のベンダーの皆さんがきちんと海外で戦えるというような特許を押さえていく、戦えるような体制をつくっていくということが大切だと思うんです。

 かつては、古い時代ですけれども、いわゆる基地局とか交換機、サーバーという前の時代です、交換機とか、日本メーカーが非常に強かった時代があったんですね。ちょっとネットを探していたら、テレビ、電話、通信機器の輸出額というランキングがあったんですが、テレビとかも入っているんですけれども、一九九六年までは日本が世界で一位だったんですよ。今は二十何位です。大分下の方まで落ちてきているんですね。

 だから、かつてこれだけ強みがあったものが、なぜ今そうなってしまったのかということです。かつて、電子立国日本の自叙伝というのがNHKで昔あって、日本がIBMに勝って半導体世界一になるんだみたいな番組が、私、社会人になりたての頃に見た記憶があるんですけれども、そのぐらい、日本というのは世界の中でも技術力がトップクラスだったと自負していた時代があったんですけれども。

 もう一度、ビヨンド5Gの世界で覇権を握っていくというのはなかなか大変なことだと思うんですけれども、なぜこうやって日本のベンダーがシェアを落としているのか、端的に言うと売れなくなっているのか。原因はどこにあるとお思いですか。そこをはっきりしないと、幾らお金をつぎ込んでも結局無駄になってしまうと思うんですが、大臣、どのようにお考えですか。

柘植副大臣 委員の御指摘のとおり、我が国企業の携帯端末や通信機器等におけるシェアは、国内外とも大きく減少をいたしております。

 この要因としては、様々な考えがありますが、例えば、我が国企業が国内市場でのシェア獲得に注力した結果、必ずしもグローバルな動向への対応が十分でなかったこと、また、世界のベンダーが世界市場のシェア獲得に向け、大規模な研究開発投資を行い戦略的に取り組む中、この流れに乗り遅れたこと、さらに、国の研究開発投資支援が十分でなかったことなどが考えられます。

 こうした現状を踏まえ、総務省としましては、新たに設置する基金も活用して、ビヨンド5Gの社会実装や国際展開につながる研究開発に集中的に取り組み、民間企業の大規模な投資を呼び込むことで国際協力の強化につなげていきたいと考えております。

奥野(総)委員 最初のおっしゃっているのは、要するにガラパゴス化ということですよね。国内で特異に進化してしまって、国際市場への適応を欠いたとおっしゃっているところだと思います。

 それから、後段の部分というのは、やはり産業政策という言葉は最近聞かなくなったんですよ。昔は産業政策といって、郵政省もそうなんですが、いわゆるMITI、通産省中心で、繊維、自動車、それから半導体、必ずしも全てがうまくいったわけじゃなかったんですが、国策としていろいろ、参入の調整をしたり、補助金を出したり、関税で守ったり、いろいろなことをやりながら次世代の産業を育ててきたように思うんです。やはりそれが、MOSS協議とか、いろいろな日米交渉の中でたたかれ、行われなくなったという印象を私は持っていまして、バブルの頃に日本は世界一になったといったところで、もうやらなくていいんだということで。

 私の印象なんですが、何でも総花的にお金をどんどん突っ込んでいって、全て物にならない。ちょっとそれは言い過ぎかもしれませんけれども、物にならないんじゃないかという印象があります。

 恐らくこのビヨンド5Gの話も、コアとなる技術というのは中核の半導体だったりするんだと思うんですけれども、欧米や中国では、ビヨンド5Gに限ってという言い方をしますが、どのぐらい官民で予算を使っているのか、どのぐらい資金を使っているのか、伺いたいと思います。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 政府を中心とした投資になりますが、まず、米国では、今年八月に成立いたしました半導体・科学法二〇二二におきまして、ビヨンド5Gのほか、AI、量子コンピューターを含む先端技術開発に今後五年間で二百億ドルの予算を充てるとしているところでございます。

 一方の欧州でございますが、欧州連合が、ビヨンド5G関連の研究開発プロジェクトに対し、二〇二一年から二七年までの七年間に九億ユーロの予算を投じる予定と承知しております。

 また、欧州の中では、ドイツでは、二〇二一年から二五年までの五年間に七億ユーロの予算を投じると発表しております。ビヨンド5Gの旗振り役となっているフィンランドでは、二〇一九年から二六年までの八年間で二・五億ユーロの予算を計上するということで、例えば、EU、ドイツ、フィンランドを合わせると、欧州のビヨンド5G予算は十八・五億ユーロ程度になるという状況でございます。

 一方の中国でございますけれども、中国は予算を公表しておりません。現在進行中の第十四次五か年計画の一環として、ビヨンド5Gの研究開発を位置づけて取り組んでいるという状況でございます。

奥野(総)委員 アメリカの二百億ドルというのは、大体三兆円弱になるんですかね。ごめんなさい、ユーロは今の日本円に直すと幾らでしたっけ。

田原政府参考人 例えば、EU全体で先ほど十八・五億ユーロと申し上げましたが、日本円に直すと大体二千四百億円というレベルでございます。

奥野(総)委員 アメリカはやはりさすがに、AIとかも含めてということですけれども、巨額の投資をしているということだと思います。

 日本はこれまで幾ら使いましたかという話と、官民と分かれるんでしたっけ、日本は。二つ伺いたくて、これまでの予算が大体、この補正を入れて千五百億円ぐらいになるんでしたっけね。民間はどのぐらい投資しているか分かりますか。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 民間における取組でございますけれども、民間独自の取組全体を私ども集計していない関係もあり、そこも含めた全体というのは数字を申し上げることはできませんが、例えば、既存の基金等、研究プロジェクトで取り組む際にも、同等規模の民間の取組を求めているという状況でございますので、現行基金三百億と令和三年度の補正予算二百億、これに相当する規模の民間投資は行われているというように考えております。

奥野(総)委員 そうすると、やはりこれまでで数千億円オーダーだったようですね、官民合わせて。

 アメリカは、これは捉え方にもよるんですけれども、量子コンピューティングといえば量子通信とかも出てきますから、AIなんかも必須技術だと思えば、広めに見て三兆円。そのうちの一部としても、数千億オーダーではないということは多分間違いないと思いますし、EUもそうですよね、数兆オーダーの話だというふうに思います。

 日本は、今後ですけれども、これからどのぐらい政府として投資をしていこうとしているのか、あるいは、それを呼び水にして民間にどれぐらいの支出を求めていくのか。要するに、さっきおっしゃっていたようなビヨンド5Gの世界ですよね。安全で、遅延がなくて、途絶しないような通信、速度も速いというような。HAPSなんかも含めて実現しようとしたときに、将来どのぐらいの資金が必要かというのはちゃんと見積もっておられるんでしょうか。

松本国務大臣 奥野委員から御指摘の問題意識は、しっかりとお聞きをさせていただいてまいりたいと思っております。

 これまでのビヨンド5Gに係る予算措置に加えまして、今回の補正予算案に、当面の先行投資の必要額として六百六十二億円を計上しておりまして、これを呼び水として、先ほど局長からも申し上げましたが、少なくとも国費と同等、できれば国費の倍以上の、更に上積みできれば望ましいと私は考えておりますが、その民間投資を引き出してまいりたいと考えております。

 これも局長から御答弁申し上げたとおり、国際的な研究開発競争が激化しておりますので、今後も、国内外の研究開発動向等を注視し、基金の執行状況を踏まえながら、必要に応じて追加的な予算措置を検討し、更なる民間投資を引き出せるように努めてまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 やはり、長期のビジョンがないんです。失礼ですけれども、金額が出てこないところを見ると、そういう長期の投資計画がないということだと思うんですね。

 やはり、補正予算が出てくると、お金がたくさんつくから、ここはたくさんつけようとか、そういう流れの中で、ちょっと言葉は悪いんですが、その場その場で額を決めているというふうに思うんです。

 本来、やはり補正予算じゃなくて、こういう国策ベースの話は、防衛費なんかが端的にそうなんですけれども、本予算の中で、きちんと計画的に財源を確保してやっていくべきだと思います。半導体とかこういった通信の技術というのは、まさに経済安全保障上も鍵となる技術ですから、やはりそういうふうに考えていただきたいんです。

 今回、電波利用料も使われるということなんですね。電波利用料というのは、たしか余っているはずなんですよ。一般会計に、使えるように制度上留保されているはずなんですが、それがどのぐらい今残高があるのかという話と、それをもう少し広げて使えないのか。

 要するに、共益費用だから電波の世界にしか使えないというんですが、ただ、電波の世界だって、サーバーとかいろいろなものを介しているわけだから、そこに使う半導体とか、そういう技術に投資をしてもいいんじゃないかと思うんですが、その二点、伺いたいと思います。

竹村政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年度決算までの電波利用料の歳入と歳出の累積差額は、約七百七十五億円となっております。今回の補正予算案において、電波利用料財源では約百二十一億円を計上しており、ビヨンド5G関係では三十五億円を基金に充てることを予定しております。

 また、お尋ねの電波利用料により実施する研究開発については、電波法第百三条の二第四項第三号に基づき、周波数を効率的に利用する技術、周波数の共同利用を促進する技術、高い周波数への移行を促進する技術としておおむね五年以内に開発すべき技術に関する無線設備の技術基準の策定に向けて実施をするものでございます。

 現在でも、この規定に基づきまして、委員御指摘の高周波帯の無線通信に必要な半導体開発に一部取り組んでいるところでございまして、引き続き、電波利用料を活用して、ビヨンド5Gの実現に必要な無線通信技術の開発にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

奥野(総)委員 申し上げたいのは、きちんと財源を確保して、計画的に技術開発をしていくべきだということなんですね。

 繰り返しになりますけれども、基金だからといって、どさっと予算をつけてもらって、それっきりというのはよく各省ありますし、昔からよく見てきたところでありますけれども、それでは全く税金の無駄遣いですし、そんな余裕は今ないと思います。

 これまでの現行の基金、これは三百億ぐらいですかね、まだ日は浅いと思いますが、成果は上がっているんでしょうか。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の時限の基金でございますが、ビヨンド5Gの中核となり得る技術の研究開発といたしまして、主にテラヘルツ波ですとか宇宙通信ネットワーク関連の先端技術の研究開発を実施しているところでございます。

 これらの研究開発につきましては、現在、二年目ということで、NICTにおいて、個別のプロジェクトごとに外部有識者による進捗状況や成果に関する評価を行っているところでございまして、その評価は年度内に結果がまとまるというように承知しております。

 他方、現時点で承知している状況でございますが、例えば、テラヘルツ送信機の設計ですとか試作、衛星光通信用アンテナの試作など、先端的な技術成果が創出されていると承知しています。

 これらの特許出願あるいは国際標準化提案が多数行われておりますところ、現行の基金に基づく二年間の研究開発により、着実な成果が上がってきていると考えております。

奥野(総)委員 それは成果が上がっていなきゃ困るんですが。ただ、恒久的な基金を今回つくるというんですけれども、なぜそれが今必要なんでしょうか。単年度予算できちんと財源を確保して、計画的に投資計画を作って、中長期の計画を作って、防衛費なんかもそうですけれども、きちんと整備していけば、基金は必要ないんではないかと思うんですよ。

 そもそも、今回のこの基金の積算根拠というのがどういう位置づけなのかというのもよく分かりません。なぜ、今回恒久的に基金をつくるんでしょうか。なぜ、本予算の方で、例えば電波利用財源あるいは一般会計財源を使って計画的な投資をしていかないんでしょうか。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 今般新たに設置する基金でございますけれども、現在の基金が目指してきた要素技術の早期実現という目的に加えまして、その成果を早期の社会実装や国際的な市場獲得につなげていくことを目指して、研究開発を一層強力に加速しようとするものでございます。

 また、情報通信分野においてビヨンド5Gの導入を目指した研究開発を進めるということでございますが、その高度化、さらにはその先の世代を見据えた技術についても、政策ニーズに対応した研究開発プログラムを機動的に立ち上げて、安定的かつ効率的に取り組むことが必要となるということが想定されております。

 このため、今般、時限的な基金ではなく、法律上の設置期限の定めのない恒久的な基金制度を新たに設置することとさせていただいたものでございます。

 また、ビヨンド5Gを始めとします革新的な情報通信技術の研究開発につきましては、技術的難易度が高く単年度の実施では成果が得にくい、複数年度にわたる取組が必要であるといった点、また、国内外における技術動向や開発の進捗状況を見極めながら、年度をまたぐ計画変更も柔軟に行っていく必要があるということで、各年度の所要額をあらかじめきちっと見込み難いということで、弾力的な支出が必要であると考えてございます。

 このため、必ずしも毎年度予算を要求するのではなく、複数年度にわたって安定的、効率的な研究開発の支援が可能となる基金により実施することが適当であると考えているところでございます。

奥野(総)委員 ただ、単年度予算だって繰越しとかはできるわけですから、必ずしも基金が必要とは思えないんですよね。

 やはり、場当たり的に基金を、これはこの問題だけじゃないんですが、いっぱいつくって補正の予算額を膨らまして、やっている感だけ出す時代はもう終わったと思うんですよ。

 大臣、最後に伺いたいと思いますけれども、やはり、今のこの補正予算の在り方はおかしいと思いませんか。本当に必要な産業、技術であれば、中長期の計画を立ててきちんと一般会計の予算の中で措置をしていくべきだと私は思うんです。そうしないと、一回お金をつけてそれで終わりということになりかねません。大臣、いかがですか。ビヨンド5Gの社会を実現するために、しっかり計画を立てて投資をしていくということをお話しいただきたいと思うんですけれども。

松本国務大臣 もう既に副大臣、局長から御答弁申し上げたように、私どもは、このビヨンド5Gについては我が国としては待ったなしの状況であるというふうに考えていることが一つでございます。

 このビヨンド5G等の革新的な情報通信技術の研究開発を推進していくための恒久的な基金の造成は、令和五年度予算の概算要求で要求をさせていただいておりましたが、その後、政府において、新しい資本主義の加速を柱の一つとする総合経済対策が取りまとめられたことを受け、また、令和四年度の第二次補正予算の編成を行うこととなったことを踏まえて、ビヨンド5Gの研究開発を一刻も早く加速させていく観点から、令和四年度第二次補正予算を活用して恒久的な基金の造成を前倒しすることにしたものでございます。

 基金を設けました趣旨については局長から既に答弁を申し上げさせていただいたかと思いますが、総務省といたしましては、ビヨンド5Gの研究開発につきましては、中期、長期、短期のあらゆる視点からいろいろと検討をしてきている中で、限られた財源も含めて、政府において、補正予算として、先ほど六百六十二億円の金額を確定をしたので、これに基づいて本委員会では御説明をさせていただいております。

 先ほど御答弁でも申し上げましたように、これは先行投資として位置づけており、今後も必要に応じて追加的な予算措置を検討すると申し上げたところで、中央官庁にもお勤めであった奥野委員におかれましては、いろいろ考えての文言であるということを是非御理解をいただき、また、お力をいただけたらと思います。

 以上です。

奥野(総)委員 予算をしっかりつけるということは私も変わりないんですけれども、しっかりとしていただきたいと思います。

 以上で終わりたいと思います。

浮島委員長 次に、神谷裕君。

神谷委員 立憲民主党の神谷裕でございます。

 本日は、質問の機会を頂戴しましたこと、感謝を申し上げたいと思います。

 早速でございますが、私もNICT法について質問をさせていただきたい、このように思います。

 まず、最初の質問でございます。

 率直に申し上げて、このNICT法、最初に伺ったときに、あれ、また出てきたのかというような印象でございます。たしか二年前に、この法案、臨時国会で同じようにやったんじゃないかなと思っておりました。そのときにも、議論というのか、一種感じたのは、この予算額で足りるのかいなという話でございます。いわば、これから先端技術を開発していく、そのために国策として投資をしていくんだという中で、この金額は余りにも少ないんじゃないかなというのが当時の私の率直な感想でございました。

 その上で、先ほど奥野委員からも質問ございましたけれども、各国の投資状況を見てみようということで見てみると、やはり大丈夫なのかなという思いでございました。

 そういった上で、図らずも二年後にこのNICT法が出てまいりました。やはり足りなかったんじゃないかなという思いがいまだするわけでございますが、今回、補正予算で措置をするのと同時に、基金というお話もございます。

 電波利用料というようなお話で、そこについてくれば安定して研究できるんじゃないかというような思いもあるわけでございますが、ただ、お話を聞いていると、安定的に来るように見えて、実際には、各年度、また財務省と折衝しながら、どういうようなお金を積んでいくかという話になるんだというようなことで聞いております。

 それだと、それこそ単年度でまたやってしまうのと変わらないわけですから、基金の意味がないんじゃないか。もちろん複数年やるからという意味もあるのかもしれませんが、そういった意味において、やはりここで基金をしっかりつくっていくということであるならば、それは意味があるというふうに思うんです。

 やはりしっかりとこの技術をこの国の次の御飯の種にしていかなきゃいけないわけですから、その思いでもって、この基金、どういう思いでつくったのか、この基金は何なのかということを改めて説明をいただけたらと思います。いかがでしょうか。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年度に創設された現在の基金、時限の基金でございますが、ビヨンド5Gの要素技術の早期確立を図るという観点から、その立ち上げ期が重要と考えまして、令和四年度末までの時限の基金として設置をさせていただいたものでございます。

 他方、その後、先ほども御答弁させていただきましたが、約二年が経過する中で、欧米を始めとする主要国がビヨンド5Gに向けた研究開発投資の計画を掲げまして、それが大規模な投資をしていくということで、世界的な研究開発競争が激しくなってきているということで、市場獲得に向けた主導権争いということを考えると、新たな形での取組が必要というように考えてきたところでございます。

 今般新たに設置する基金でございますけれども、現在の時限の基金が目指してきた要素技術の早期実現という目的を超えて、その成果を早期の社会実装ですとか国際的な市場獲得につなげていくということを目指して、実用化に向けた研究開発を一層強力に加速していこうということで、今般こういった基金の設置を御提案させていただいているところでございます。

神谷委員 もうちょっとシンプルな説明を是非お願いをしたいと思います。

 いろいろなことをやりたいんだと思うし、そのためにこれだけ基金をつくってしっかりやっていくんだという、その決意を分かりやすく是非説明してください。恐らく、これについては反対する人はほとんどいないと思うんですよ、私自身は。だって、この国の技術でやはり次の競争を勝っていかなきゃいけないです。そのために必要な基金なんだということを力強く言っていただきたいんです。

 今回、予算措置として六百六十二億、補正予算ということで提案をいただいて、先ほど衆議院を通ったというようなお話でございますが、この六百六十二億、足りるのか足りないのかという話は、今申し上げたとおり、私は足りないんじゃないかと思いますが、では、この六百六十二億で何をやるのか、これを教えていただきたいと思います。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の新たな基金の創設に先立ちまして、昨年九月から情報通信審議会で御議論いただきまして、ビヨンド5Gの重点技術分野の研究開発と社会実装を加速するための技術戦略ということで、今年の六月に答申をいただいているところでございます。

 これを踏まえた形で、この基金での研究開発プログラムということを考えているところでございますが、先ほども御答弁させていただきましたオール光ネットワークということで、これによって通信インフラの超高速化、低遅延化あるいは省電力化を実現していきたいというように考えております。

 また、先ほどもありました、HAPSですとか衛星を活用して、陸海空をシームレスにつないで通信カバレッジの拡張あるいは災害時での通信ネットワークの接続性の向上、こういったものを図る非地上系ネットワークの技術の開発、さらには、利用者にとって安全かつ高信頼の通信環境を確保するセキュアな仮想化・統合ネットワーク技術、こういったものに取り組んでいきたいと考えているところでございます。

神谷委員 この六百六十二億で何をやるかというときに、やはりいろいろな査定を受けているかと思います。先ほど審議会のお話もありましたけれども、その世界で話をされるということは大事なことなのかもしれませんが、果たしてその審議会が求めていることが本当にそれで十分なのかというのが、やはりすごく心配な思いがしています。

 できることであれば、大きなお財布の中で、好きな研究をというわけではありませんが、いろいろなことができるといいなというふうに私自身は思っていまして、その中から新たな種も生まれればなと思うところもあります。

 当然、財源には限りがあると思いますが、ただ、せっかく今回こういう形で恒久化をしていただくということだとしても、最終的に、ただ投資をした、それで、頑張った、でも駄目だったではいけないと思っています。最終的に、このことによって日本がしっかりとこの通信の分野で世界的に、トップシェアまで言わないですけれども、先導的役割を果たす、あるいは市場を席巻する、そういうような夢まで持って行動しなきゃいけない、やっていかなきゃいけないと思っているんです。半導体事業なんかでも、残念ながら、この国、ちゃんと政府が関われなかったことによって、結果として今こういうような寂しい状況が生まれているんじゃないかと思います。

 だとするならば、やはり投資する金額というのがこれでは、世界の競争に勝てるのかなというのが率直な私自身の感想です。大臣、ここはやはりもう丸は一つ二つつけていただいても構わないと思うんですが、いかがでございましょうか。

松本国務大臣 先ほど奥野委員の御答弁でも申し上げましたが、今回の補正予算案六百六十二億は、令和二年度三次補正予算による現行の時限基金の倍以上の規模であることは委員からも御指摘のとおりでありますが、これを研究開発課題への当面の先行投資分として、必要な予算は最低限確保できたというふうな位置づけで考えております。

 御指摘のとおり、ビヨンド5Gの国際的な研究開発競争は激化しておりまして、今後も、国内外の研究開発動向等を注視し、基金の執行状況を踏まえながら、必要に応じて追加的な予算措置を講ずることを検討してまいりたいと申し上げたいと思います。是非これで御理解をいただけたらと思います。

神谷委員 大臣、余り理解できません。

 やはり、つけるものをつけて、研究者に頑張ってもらいましょうよ。その意気込みを松本大臣が持たなきゃ駄目じゃないですか。ここの場で、やはり、最低限のことはやりますからということではなくて、しっかり応援していくという言葉が欲しいんです。もう一回、いかがですか。

松本国務大臣 ビヨンド5Gの研究開発の重要性があればこそ、恒久的な基金を設けるということで政府としての考えを示したものだというふうに考えております。

 先ほど申し上げたように、これまでの時限基金の、六百六十二億を当面の先行投資分と位置づけているということで、今後への前向きな取組の姿勢をお感じ取りいただけるように改めてお願いを申し上げ、私自身の決意を伝えたことにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

神谷委員 何かちょっと心もとない思いがいたしましたが、本当によろしくお願いをしたいと思います。

 その上で、やはりこの基金をしっかりと運用し、かつ実際に実りあるものにしていくためには、NICTというのは非常に重要になってくると逆に思うんです。

 このNICTの体制がどうなっているかということを改めて聞かなきゃいけないかなと思っていまして、特に、今ほどお話あったように、NICTが差配する部分は相当あると思うんです。ということにおいて、具体的に、NICTにどういう役割を演じてもらいたいのか、どういう役割を頑張っていただかなきゃいけないのか、これについて御説明ください。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 新たに設置する基金の運用に当たりましては、基金の適正な管理を行うとともに、ある程度の件数規模の研究開発プロジェクトの公募、採択及び進捗管理を適正に実施することが必要でございます。

 これに加えて、効果的な研究開発を促進する観点から、研究実施者間の調整ですとか連携、知財、標準化獲得に向けたサポートについても求められるところでございます。

 NICTにおきましては、令和二年度に設置した現行基金の運用等を通じて、こうした役割を適切に実施する実績を積んできたと考えているところでございます。

 他方、新たに設置する基金でございますが、現在の基金が目指してきた要素技術の早期実現のほか、先ほども御答弁させていただきました成果の社会実装、国際的な市場獲得、こういったものにつなげていくということも重視しているということでございまして、NICTにおきましては、こうした視点に立った取組、役割も新たに求められると考えております。

 私ども総務省といたしましても、NICTがこうした役割をしっかりと果たせるよう、様々な有識者の御意見も伺いながら、NICTを適切に指導監督してまいりたいと考えております。

神谷委員 今お話にありましたけれども、二年前に、この5G、ビヨンド5G、B5Gを何とかしていかなきゃいけないということもあって、NICTにその役割が下ったんだと思います。

 その上で、これまでも、NICT、様々な基礎研究なりいろいろな研究をされてきたと思いますので、そういった知見はあるんだろうと思います。ただ、この新しいB5Gを展開していく、あるいはこれからの社会実装も含めていろいろなことをやっていかなきゃいけないという中にあって、今の体制だけで十分なのかなと、実は私は若干心配に思っています。

 新しい研究分野、新しい様々な展開を考えていくときに、今の皆さん方だけでそれがこなせるかどうか、私はそこがちょっと心配なんですけれども、新たに体制の拡充というのか、そういう、B5Gを展開していく、あるいは研究していくためのシフトというのか、そういったことは考えていないのか、教えてください。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 新たに設置する基金についてのNICTの体制の強化ということでございますけれども、NICTにおいて、様々な有識者を活用して、いろいろ評価、支援をいただくということも一つございますが、総務省といたしましても、これまで以上に積極的に関与していくということも含めて、体制強化を考えていきたいと考えております。

 例えば、この基金を有効に活用して研究開発を進めていくという観点から、基金の運用をNICTに任せっ切りにするのではなく、運用に係る方針策定ですとか具体的なプロジェクトの評価、進捗管理といった点につきまして、総務省ですとか経済、ビジネスが分かる外部有識者が一定程度関与する仕組みを設けていきたいと考えているところでございます。

 総務省といたしましては、こうした取組を通じまして、NICTとも密に連携しながら、ビヨンド5Gに向けた社会実装、市場獲得に向けた取組を戦略的に推進していきたいと考えているところでございます。

神谷委員 一定程度関わりを持ってというのは分からなくはないのですが、ただ、今回の場合、ただ技術開発したということだけで終わってしまってはいけないんだと私は思っています。

 ということは、最終的な製品も含めた、展開も含めた、そういったことを含めて総合的に、要は、ゴールあるいは絵図面が描けて、その上で、逆に戻って戦略を練る、そのためにこういう割り振り、こういう技術開発してもらわなきゃいけないよねというようなところも含めて考えなきゃいけないと思っていて、その役割が実はNICTに任せられるというか、やっていただかなきゃいけない部分の実は一番コアな部分じゃないかと私は思っています。

 そういった意味において、残念ながら今のNICTの理事さんの顔ぶれ、拝見させていただきました。役所の出身の方が多いということは、それはそれで仕方がないというか、少なくとも知見のある方なんだと思うので、そこについて異論を差し挟むつもりはないのですが、では、逆に、ビジネスは分かるのか、あるいは、例えば技術の様々なことを含めて横展開できるのか。そういった能力にたけていらっしゃる方がいるようには私には見えなかった。

 というようなことであれば、ただ技術開発をお願いしましょう、お願いしましょう、技術は分かるけれどもなんということになってしまうと、結局、技術はできても、その後、製品にならない。これでは、せっかくいいものを作っても、要は、これまでこの国はいろいろな技術がありました。でも、スマホを作ることはできなかったです。大事なのは、技術を最終的に製品にするためのコーディネート役だと実は思っていて、そのコーディネート役をこのNICTの中に人材として取り込む必要があるんじゃないかと私は思うんです。

 そういった役割が十分に今のNICTに果たせるのか。果たせないのであれば、例えば人材を入れる、あるいは様々な拡充をしていく、そのことが私には必要だと思うのですけれども、これについて、考え方を教えてください。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点は大変重要と私どもも認識しております。

 先ほど申し上げた今年六月の情報通信審議会答申でも、研究開発の加速化というものに加えて、実用化、順次のネットワーク実装につなげる社会実装に向けた戦略、それと、世界市場の獲得につなげる海外展開の戦略、こういったものを一体的に推進しなければいけないというように指摘されています。

 こういったものも含めまして、NICT及び総務省としては、従来の研究開発の管理というものに加えて、こういった社会実装、海外展開にどう取り組んでいくかということにつきまして、経済ですとかビジネスが分かる外部有識者の方のお力もおかりして、そういった方々にも一定程度関与していただくというような仕組みをNICTとともに考えていきたいというふうに考えております。

神谷委員 非常に重要な点だと思うんです。技術開発した、それで終わりではないんです。問題は、その技術を使っていかにして製品を作り、かつ世界市場を席巻するかという大目標だと思います。それがやはり、今、いわば夢のような話かもしれませんが、この絵空事をしっかり描ける人材が不足しているからこそ、この日本の今の状況があるんじゃないかと私自身は思っていますので、是非、そういった意味でのNICTの充実というものをこの際考えていただかなければいけないのではないかと思います。

 そして、NICTだけで当然できるわけではありません。企業にも様々参入いただいて、あるいは一緒に様々な開発をしていただかなきゃいけないと思うんです。ただ、研究開発のための研究開発であってはいけないわけでありまして、今回の基金で、やはりしっかりとした、いわば横連携という意味での企業さんの関わり、これをしっかりつくっていかなければいけないと思うんですけれども、企業との関わりについてどのように考えているのか、教えてください。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点は極めて重要と考えております。

 激しい国際競争の中で、先端技術の研究開発成果を社会実装、海外展開に着実につなげていくためには、政府による投資だけでなく、もちろん、研究開発の実施者自身が社会実装に向けた戦略を持つということと、自らもしっかりと投資をして、覚悟を持って取り組んでいただくことが必要だと考えております。

 このため、新基金によります研究開発につきましては、公募により研究開発を募るということになりますけれども、現時点で具体的にどういった企業がということをお答えするのは困難でございますけれども、総務省といたしましては、そういった戦略と覚悟を持った企業による取組を公募により選定し、支援していきたいと考えております。

 また、研究開発プロジェクトを進めるに当たっては、企業間の連携、一体となって戦略的に取り組む、ここの視点も大事だと思っておりますので、そういった取組の計画等がしっかりとできているのかということについても、採択評価等におきましてしっかり評価してまいりたいと考えております。

神谷委員 言っても、オール・ジャパンでやらなきゃいけないと思います。その中には、NICTもいるでしょう、総務省もいるでしょう、あるいは企業さんもいるでしょう、あるいはひょっとすると経産省さんもいるかもしれません。ただ、オール・ジャパンで取り組まなければいけないということ、その中核に今回NICTが指名をされたんだと私は思いますので、是非、そういった意味でしっかりやっていただかなきゃいけないと思います。

 その上で、研究開発、今回のことで加速をさせなければいけないと思うんですけれども、一方、社会実装のスピードがやはり遅いということでは、これも困るんです。そして、結果として国際競争に勝てなかったということでは困るものですから、基金を活用して、この基金を使って、実際に研究開発から社会実装まで、この取組をしっかりつくっていただかなきゃいけない。その取組についてどのように評価していくのか、これは副大臣にお願いをいたします。

柘植副大臣 ただいま委員の御指摘の観点は、極めて重要であると考えております。

 このため、新基金の運用に当たっては、特に早期の社会実装を目指す重点的な研究開発プロジェクトにおける研究開発実施者の選択、評価におきましては、社会実装や海外展開に向けた計画を厳しく評価することや、こうした計画に対する経営者のコミットメントを求めることなどを検討いたしております。

 また、採択後においても、研究開発の実施状況のみならず、社会実装や海外展開に向けた取組について、関連技術の市場動向やビジネスに詳しい外部有識者によるモニタリングを実施した上で研究開発実施者への助言を行うほか、こうしたモニタリングの結果、取組が不十分なことが判明した場合には研究開発を中止することも検討するなど、社会実装に向けた取組を強く後押しする体制を構築することを検討しております。

 こうした取組を通じて、研究開発実施者となる企業等が、社会実装など出口を見据えた研究開発に真剣に取り組むよう促してまいりたいと思っております。

神谷委員 是非お願いをしたいと思います。

 私、もう一つ恐れているのは、こういった政府の取組において、こういう形で基金を積んでやったけれども、結果として省内の話で終わってしまって、結果として小さなものしか出てこなかったみたいなことが間々あるような気がしてならないんです。むしろ、だから今回は本当にしっかりやっていただかなきゃいけないわけでございまして、何回も言いますけれども、オール・ジャパン、横展開でしっかりやっていただかなきゃいけないと思います。

 そういった意味においては、実はこの国の研究機関の様々なナショナルプロジェクトみたいなのがありまして、例えば、沖縄においてのOISTであるとか、福島の福島国際研究教育機構とか、様々な国を挙げてのナショナルプロジェクト的な研究機関もあると思うんです。そういった機関との連携みたいなことも是非やっていただかなきゃいけないし、総務省の中で完結するようなことがあってはいけないと思いますし、まして地域には情報通信、特に重要なニーズがあるというふうに思いますので、こういったところのニーズも生かしながら、また先ほど申し上げたようなほかのプロジェクトとの連携を図りながら進めていくということも必要だと思うんですけれども、こういった横連携についての展開、どういうふうに考えているか、お答えをいただければと思います。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 ビヨンド5Gの研究開発を進めていくに当たりまして、地域課題の解決ですとか、社会の多様なニーズに適切に応えるものとなっているということが大変重要であると認識しております。

 例えば、この点、産学官の多様なメンバーで構成されているビヨンド5G推進コンソーシアムというものがございますけれども、このコンソーシアムでは、様々な分野、例えば、地方の方も含め、金融、建設、物流、エネルギーなど幅広い業界からヒアリングを重ねて、将来のニーズですとか、こういったものを明らかにして、それを実現する技術的要件を整理して、ビヨンド5Gのホワイトペーパーといったものをまとめたりしております。こういった産学官で広く意見交換をする取組などの枠組みなども通じて様々なニーズも拾っていけるようにしたいというように考えているところでございます。

 また、私どもとしても、研究開発プログラムの実施に当たっては、こういった取組については広く周知していくことが大事だと考えております。地域においてもしっかりと私どもの取組を御紹介させていただき、積極的に御提案も含めて御検討いただくなどして、地域のニーズをできる限り吸い上げるような形で、ビヨンド5Gの研究開発が、そうした地域のニーズですとか課題解決につながるものとなるように取り組んでまいりたいと考えております。

神谷委員 もう時間も参りましたので、本来であれば、ここで大臣に、今のやり取りを含めて最終的にどうお考えなのかを聞きたかったところでございますが、とにかく、総務省の中、あるいはNICTの中だけで完結をさせない、かつ、最終的に技術開発だけで終わらせてはいけない、そして、最終的には、この国が予算を投下したメリットを、ここの国民そして未来の国民が享受できるようにしっかり頑張っていただきたい、そのことを申し上げさせていただいて、私の質問とさせていただきます。

 お時間ありがとうございました。

浮島委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。

 質疑をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 松本大臣とは、私はかつて同じ政党で、この国をよりよくしていこうということで一緒にやってきた方でありますので、大変期待をいたしております。是非とも大臣が、この分野においても先頭を切ってリーダーシップを発揮していただいて、今後の日本にとっては食、エネルギーに並ぶような大切なこの情報通信分野、これをもっと発展させていただきたいと思います。

 そこで、是非とも大臣から、今回の法改正が目指す志といいますか、ビヨンド5Gの具体的な内容と将来ビジョンについて、特に、どういう市場、マーケットをつくっていくのか、こういう観点で、大臣から御決意といいますか、志を賜りたいと思います。

松本国務大臣 市村委員にお答え申し上げたいと思います。

 政府では、我が国の研究開発の基本的方向性を定めた科学技術・イノベーション基本計画におきまして、実現すべき社会として、持続可能で強靱な社会、ウェルビーイング、一人一人の多様な幸せが実現されるソサエティー五・〇を目指すこととしております。

 ソサエティー五・〇では、全ての人と物が通信でつながり、様々な知識や情報が共有されることで、新たな価値を創出することを目指しておりまして、ビヨンド5Gは、これを実現するための重要な基盤となると考えております。

 ビヨンド5Gの基幹技術である光ネットワーク技術は、遠隔地でも低遅延で安定した通信サービスを可能とするとともに、通信ネットワークの消費電力を低減させ、持続可能な社会の実現にも貢献するものであります。

 また、非地上系ネットワーク技術を活用することで、海上や山間を含め、どこでもつながり、災害にも強いネットワークが実現できると考えております。

 総務省としては、ビヨンド5Gの核となるこうした技術をできるだけ早期に確立して社会実装し、我が国発の通信技術による国際市場の獲得につなげることで、ソサエティー五・〇の目指す国民生活の質の向上や経済成長に貢献をしたいというふうに考えているところでございます。

 先ほどの御質疑でもありましたように、研究開発にとどまらず、社会実装、また海外展開、そして知財、標準化の戦略なども、審議会からも御答申をいただいている柱でございますので、こういったことを踏まえて、冒頭に申し上げたように、持続可能で強靱な社会であり、そして、一人一人の多様な幸せが実現される社会をビヨンド5Gの技術を活用してつくってまいりたいと思っております。

市村委員 ありがとうございます。

 今お話があったのは、やはりインフラだと思います。じゃ、そのインフラを使って一体どのようなマーケットをつくっていくのかというところが、やはり、先ほどからも議論が出ていますが、大切な視点だろうと思うんですね。

 ここまでお金を投下しましたと、いろいろなお金、国のお金、電波利用料、そして民間からの投資、いろいろ投資した結果、つぎ込んだ結果、どういう市場をつくるのか。これがないと、単につぎ込んで、競争に負けました、はい、終わりですねということじゃなくて、やはり、人々、国民のクオリティー・オブ・ライフですね、QOLを高めるために、どういう具体的な製品とかサービスをつくり上げて、そしてその市場を大きくしていく、そしてそれが日本発で国際標準を取っていく、こういう意気込みがないと私はいけないんじゃないかと思いますが、大臣、いかがですかね、これは。大臣にお願いします。大臣、せっかく。

松本国務大臣 先ほども申し上げましたが、目指すべき方向性は先ほど申し上げたとおりでございますが、まずは、通信そのものも、これからしばらくの間というか、恐らくずっとであろうと思いますが、社会における最も重要な基盤インフラとなってまいりますし、それそのものが産業でありマーケットであるという面もあるというふうに考えております。

 したがいまして、この研究開発を通して、まずは、産業でありマーケットにおける国際展開、社会実装へつなげる部分においてしっかりとしていくことが必要であるということが、今回恒久的な基金を設けて、できるだけ、待ったなしの状況を打開をしていきたいという思いでお話をさせていただきました。

 この基盤の上に、どのような形で、各産業であり、企業であり、またお一人お一人が花を開かせるか。これは今後、また私どもも、また政府全体でということになるのかもしれませんが、どういう形で応援をするかということなんですけれども、まさに国民の、日本の人々の持つ力を信じながら、我々は、まずは基盤づくりにしっかりと進めていきたいということで、今回御提案を申し上げていると御理解をいただけたらと思います。

市村委員 分かりました。

 まずは基盤づくり、インフラだということだと思いますが、先ほどからも出ていますように、是非とも、外部有識者等々にビジネスの相談とかもしていただきまして、やはり、その基盤を使って、どういうふうにして国民のQOLを高めていくか。こういう製品やサービスをまたどんどん、社会実装というふうにさっきから言葉も出ていますが、そういうふうな流れをどんどん、加速度をつけてやっていただければと思います。

 今日は、機構の徳田理事長にもお越しいただいておりますが、この機構のこれまでの二年間の実績、先ほどもちょっとありましたが、理事長の方からお答えいただけませんでしょうか。

徳田参考人 お答え申し上げます。

 NICT理事長の徳田でございます。

 現在の基金は、令和二年度の補正予算の三百億円を活用いたしまして、計四十七件の研究開発課題を採択し、民間企業や大学等において研究開発を実施しております。

 具体的には、ビヨンド5Gの中核となり得る技術の研究開発としまして、日本が長年開発してきましたテラヘルツ波を用いた超大容量通信技術や、通信エリアを革新的に拡大します衛星通信HAPSなど非地上系ネットワークの研究開発に取り組んでおります。

 これまでに、5Gを大きく上回ります通信速度や、それを実現するテラヘルツの送受信機の設計、試作や、衛星光通信用アンテナの試作など、世界トップレベルの先端的な技術成果が創出されております。

 加えまして、これらの研究開発成果の社会実装を促進する観点から、NICTでは、知財化・標準化アドバイザーを設置いたしまして、受託者の方々の特許出願や国際標準化提案をサポートしております。

 現時点において、国内特許出願百件以上、国外特許出願五十件以上、国際標準化提案、国際標準化が非常に大事な立ち位置になりますけれども、提案二十件以上と、知財、国際標準化の成果も、着実に成果を上げているところでございます。

 NICTとしましては、ビヨンド5G研究開発に関わる恒久基金がNICTに設置された場合には、総務省、民間企業、大学等、産学官と連携しまして、ビヨンド5G研究開発を加速し、非常に激化しております国際競争で我が国が勝ち残るための技術を早期に確立し、社会実装を促進してまいる所存です。

 以上です。

市村委員 ありがとうございます。

 是非とも、今、知財化というのも大切にされているということであります。そこも含めながら、一度、先ほど大臣にもお聞きした、いわば市場化ということの部分については理事長はどうお考えでいらっしゃいますでしょうか。そういう、テラヘルツのようなものも含めて、じゃ、これをどのような製品にし、どのような、国民のQOLを高めるのかということについての市場化という点では、どういうふうなお考えをお持ちでしょうか。

徳田参考人 お答え申し上げます。

 従来の4G、5Gまでの通信インフラというのは、主に地上系をカバーしておりました。

 これからのビヨンド5Gでは、地上系、成層圏、宇宙までをシームレスに、この三次元空間をカバーできる通信インフラとして、私たちの生活空間が二〇三〇年代に向けて、地上だけではなくて、海上、山間部、上空、宇宙までを見越したいろいろな産業が起きてまいります。それらが必要とする基本的な通信環境を提供できますので、非常に大きな、新しいビジネスであったり、産業セグメントを起こすことが期待できると思っております。

市村委員 そうですね。やはり、投下した資金が何十倍にも何百倍にもなって返ってくるような、そうした流れを是非ともつくっていく必要があると思っております。

 ですので、そのようなところで、このNICTが、先ほどから出ていますように、民間としっかりと、民間の知恵もどんどん入れながら、民間の知恵とか柔軟性とか迅速性というものを入れながら、是非とも、二〇三〇年と言わずに、前倒しで前倒しでどんどんやっていただければというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 いよいよこれで、そういう流れができるということになりますが、じゃ、そういう情報が何に乗っていくかといえば、やはり電波ということでございまして、この電波行政については、電波の再割当て等、これから行われる、競争的な提案を受けていくということで、自分たちがもっと電波を有効に使えるというふうに、提案がこれから出てくるということになります。

 特に、電波、ネット、情報通信、そのときに、これまで、例えば、何か放送と通信の融合とか一体化とか、もうそういう時代ではないと私は、大臣、思うんですね。インターネットが出てきた、出始めた三十年頃前のことを考えてみても、当時は、一人一放送局になるんだというような言い方もされたぐらいに、放送というのは、情報通信が発達すると放送という概念が余り意味がないというふうに思われるというふうな状況だったと思います。

 ですので、今や、この放送とか通信とかいう垣根のないところで電波行政というものを考えていく、もう本当に自分たちが、いい提案があったらそこに振り向けていく、限られた資源である電波を振り向けていくということが大切だと私は思うんですけれども、大臣、ここも大臣がやはり先頭に立っていただいて、こういう状況を、ゼロベースで電波をどう使うかを考えるべき時代に来ていると思いますので、大臣がこれを旗振りをしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 委員からの質問でございますが、現在も、情報通信も放送も国民生活に深く関わるところで運用されておりますので、円滑な運用が続くようなことも大変重要であろうというふうに考えております。

 その上で、総務省としましては、やはり、新たなモバイル用周波数の需要というのに応えなければいけない。対応するために、これまでの周波数について、更に効率的な利用や共同利用の促進に加えて、未利用の高い周波数の利用技術の開発導入などに取り組んできたところでありまして、電波法に基づいて、各周波数帯における電波の利用状況について定期的に調査を行いまして、電波の有効利用の程度を評価をし、必要に応じて自営用等の周波数の移行、再編、共用を実施をし、また、新たに利用可能となった周波数の用途を変更してモバイル用の周波数を確保してくるという歩みをしてまいりました。

 総務省としては、これらの取組を通じて、今後ともビヨンド5Gに必要な周波数をしっかりと確保してまいりたいというふうに考えているところでございます。

市村委員 是非とも、この分野は、先ほど大臣もありましたように、大変今後の日本にとって重要な分野であります。このスタンダードを取っていく、国際競争に勝っていくということで、かつて大臣とは非常に、海洋本部の事務総長を十二年ぶりに、しかも選挙で選ぶということに、かつて外務大臣だったときに力を合わせさせていただきましたけれども、やはりオール・ジャパンでここは取り組んでいきたい、いくべきだと思いますので、どうぞ大臣、よろしくお願い申し上げます。

 これにて質問を終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 私もNICT法に関連することを御質問させていただくんですけれども、そもそも、我が党も維新八策というのがあるんですけれども、その最新の維新八策でも、その二百十八項目に、ビヨンド5G等の技術革新を生かせる競争環境を構築することをうたっております。

 本当に、先ほどの我が党の市村議員にもありましたように、国際競争に打ちかつために前倒しに基金をということで、その基金の運営に対する是非に関して、メリットはお答えいただいていると思うんですけれども、では、その問題点は何かということなんです。

 そもそもの国会の通常の予算の考え方は単年度主義に基づいていまして、このことに言及すると今回は切りがないので言いませんけれども、この第二次補正予算案の国費総額二十九兆六千億円で、そのうちの複数年度にわたる支出する基金が少なくとも三十八事業、計八兆九千億円程度ということで、基金自体も三割に膨らんでいるんですね。安定的なところということは、私も理系ですし、研究も現在もしていますので、よく分かるんですけれども。

 じゃ、その基金の運営自体というのは、デメリットを考えますと、国会の監視が行き届かない面もやはりあるんじゃないか、使途や効果の透明性の確保の課題がある、こういったことはやはりメディアとかでも報道されていまして、運営自体、各省庁の関連団体など外部に委託される、国会での検証が不十分で、言葉悪く言うと無駄遣いの温床になりかねないといった一部報道もされています。

 このような批判がある中で、このデメリットを解消する上で、この透明性の担保というのは、基金運営で今回予算を計上することに対して、大臣のお考えをお聞きしたいと思っています。

松本国務大臣 透明性という点でお話をすれば、御案内のとおり、現行のビヨンド5G基金についても、NICT法に基づきまして、毎事業年度、基金に係る業務について国会への報告を行っているほか、政府の基金事業のPDCA強化に係る方針に基づき、四半期ごとの基金の支出や残高を公表しておりまして、これらの取組につきましては、新たな基金においても引き続き実施をしていく考えでございます。

伊東(信)委員 大臣、ありがとうございます。

 透明性に関してというよりも、せっかく予算を組むわけですから、本当にしっかりと、効率よく、有効に使っていただきたいと思っております。

 この令和四年度の第二次補正予算に組み込むこと自体、補正予算がいかがなものかということを、先ほどからの質問でもあるんですけれども、補正で盛り込まれたこの基金の恒久化というのは、令和五年度予算においても要求が行われていました。やはり、本予算ではないところに緊急性があるのか。またまた、十月に閣議決定された総合経済対策を見てみますと、将来の社会や産業の基盤となるビヨンド5Gの研究開発の根本的強化などの最先端技術への戦略投資を推進するということで、十月に唐突に出てきたんですけれども、これで果たして経済対策になるんだろうか。加えて、補正に組み込んだことにおいて、では、そもそもの令和五年度予算において要求が行われたものについては一体どうなるのかということをやはりお答えいただきたいと思います。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の補正予算において、基金の造成ということで前倒しでお願いさせていただいていることでございますけれども、御指摘もございましたけれども、元々は、総務省におきましては、令和五年度の予算の概算要求において、ビヨンド5Gの革新的な情報通信技術の研究開発推進のための恒久的な基金の造成ということを要求していたわけでございます。

 今般、経済対策があったことから、私どもとしてもビヨンド5Gの研究開発を一刻でも早く加速していきたいと考えておりますので、今回の補正予算において、恒久的な基金の造成を前倒しでお願いすることとしたものでございます。

 なお、令和五年度における予算では、じゃ、どうなるのかということでございます。現時点におきましては、令和五年度につきましては、元々、基金の造成ということと電波利用料によって、これで百五十億円という額を要求しておりますけれども、基金の造成につきましては、今回前倒しいたしました。

 電波利用料の百五十億円の要求は引き続き令和五年度に残っておりますので、こちらにつきましては、令和五年度で引き続きお認めいただけるように、私どもとしては、是非また御審議というか、まだ政府の中で調整中でございますけれども、こういったところをしっかりと令和五年度も取り組んでいければと考えているところでございます。

伊東(信)委員 話はよく分かるんですけれども、であるならば、私も、医療の分野なんですけれども、医療と工学の医工学、国際医工研究センター、大阪大学のMEIというところで、春まで招聘教授として割かししっかりと研究をやってきたつもりなんですけれども、やはり国の予算計上というのは非常に気になるところで、そういった研究者の立場からすると、やはり、研究開発をしているときの予算措置に対して、非常に小出しな予算の積み方という感じがします。中期的な研究にはやはり今のやり方では向かないんじゃないかなと思います。

 そんな中で、この研究開発費用が今回も六百六十二億にすぎなかったですし、次出しますよ、次出しますよじゃなくて、この小出しになるところに関して、やはり研究に向かないと思うんですけれども、総務大臣としてその辺りはしっかりと、いやいや、もっと、それだったらしっかりと決めて予算を出すべきだというところをお答えいただきたいのと、改めて、本当になぜ六百六十二億しかないのかというような、積算した根拠もお伺いしたいと思います。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の補正予算案におきまして、ビヨンド5Gの基金向けの補助金を計上するに当たりましては、先ほど来出ております情報通信審議会の答申において示された重要技術分野を中心として、具体的な研究開発のニーズについて民間企業から広くヒアリングを行ったところでございます。

 その結果を踏まえまして、ビヨンド5Gの技術の早期社会実装を見据えた当面の先行投資の必要額として、具体的には令和五年度からおおむね二、三年程度の研究開発を基に、計六百六十二億円を計上させていただいているところでございます。

伊東(信)委員 本当に、アメリカでは、AI、量子コンピューターとかビヨンド5Gに関しての、6Gになると思うんですけれども、約三兆円の支援を行う半導体・科学法二〇二二年が八月に成立しましたし、ヨーロッパでは、二千四百億円の政府の研究開発投資が行われているんですけれども、やはり、各国を見ているともっともっと積極的に表明しているんですけれども、松本大臣におかれましては、ここで本当にリーダーシップを発揮して、思いとしてはもう少し本当に出したかったなとかという、そういった思いをちょっと述べていただければと思うんですけれども。

松本国務大臣 現在に職にある者としては、先ほどから申し上げておりますように、政府全体での議論の結論として、補正予算で六百六十二億を計上し、これを先行投資として最低限確保させていただいた、今後についてはまた執行状況等を踏まえて必要な追加措置について検討させていただくというのが今の私の決意であり、その中から決意をお酌み取りをいただけたらありがたく思います。

伊東(信)委員 私も分からない人じゃないのでお酌み取りはしますが、多分、この部屋の議員、閣僚の皆さん、思いは一緒なんですよね。本当に何とかしたいという気持ちでいっぱいなんですよ。先ほどから、他党の皆さんですけれども、やはり同じ思いで質問していると思います。与党の皆さんも、今回は質問時間をいただいていますけれども、同じ思いだと思いますので、お酌みおきはしますけれども、本当に頑張っていただきたいと思っておるんですよ。

 そんな中で、更にお答えにくい質問をします。

 経済産業省ではポスト5Gですよね、総務省はビヨンド5Gなんですけれども、経済産業省は四千八百五十億円盛り込んどるんですよね。ああ、盛り込んでいるんですよね。済みません、大阪弁が、泉州弁が出てしまいます。それで、今回、総務省は六百六十二億円ですけれども、やはりこの相違点と予算の差はというところをまず、ちょっと政府にお答えいただければと思います。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の補正予算案に計上されております施策におきまして、経済産業省のポスト5G基金の支援対象でございますけれども、導入当初の5Gから機能強化された5G技術を対象とした先端半導体の製造技術などの研究開発を想定しているというように承知しております。今般、大きな額がついておりますけれども、この半導体関係の予算が大きいというように承知しております。

 一方、総務省によるビヨンド5G基金の支援対象でございますけれども、5Gの次の世代のビヨンド5G、6Gの通信ネットワーク向けの光通信技術ですとか、非地上系ネットワーク技術などの研究開発を想定しております。

 両省では、研究対象となる技術について役割分担しているということから、それぞれにおいて必要な予算を計上させていただいたというところでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 私の時間もあと四分、三分少々となりまして、アディショナルタイムはないと思いますので、ここについて本当にしっかりとリーダーシップを張っていただきたいと思っているんですね。

 経済産業省の予算は、デバイスであったりとか、先ほどダイオード、半導体の話もされましたけれども、そういったマシナリーなり、そういったところの基礎的な、本当にデバイスの技術で予算が多いというのも分かっています。総務省の場合、電波を監理しますので、その環境整備ということでこの予算規模というのは理解できるんですけれども。

 大臣も本当に、就任されてこれから頑張っていかなければいけない、頑張られると思うんですけれども、やはりここは、総務省と経済省でなく、お立場を超えて、縦割りでなく、一体となって施策を進めるべきだと思うんですけれども、そういった省庁との連携について大臣からお答えいただけたら幸いです。

松本国務大臣 今委員からも御指摘をいただきましたが、総務省と経済産業省では役割分担をいわばさせていただいておりまして、まずは総務省として、あらゆる産業や社会活動の基盤となることが見込まれる次世代の情報通信ネットワークに向けた研究開発に注力をしてまいりたいと思っているところでございます。

 情報処理まで含めたオール光化を実現するには、経済産業省が取り組む光コンピューティングや半導体の開発成果も必要でありますし、両省が連携して共に取組を進めることで相乗効果につながっていくと考えております。

 申し上げましたように、両省がそれぞれ担う役割をしっかりと果たしながら、かつ、おっしゃったように、連携を図ることで情報通信技術の発展と産業振興を効果的、効率的に進めてまいりたいと考えております。

 ビヨンド5Gの重要性についての認識は政府の中でも共有をいただけるものというふうに考えておりますので、御指摘をいただいたようなことが問題とならず、相乗効果が発揮できるように努めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

伊東(信)委員 数秒残っているので。

 研究開発の評価は五年度には行われるんですけれども、その評価がなされる前に、ちょっと資料も配っていますけれども、今回基金を積み立てる理由を、最後、政府にお聞きしたいと思います。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、現行の基金の成果については、現行法の規定にのっとり、NICTにおいて、今年度末までの研究開発の終了後、令和五年度に評価を行って報告書を作成して、令和六年三月末までに総務大臣に提出するということと、あと、その概要を公表するという形になっております。

 その前提ではございますけれども、現行基金において、ビヨンド5Gの中核となり得る技術の研究開発として、主にテラヘルツ波あるいは宇宙ネットワーク関連の先端技術の研究開発を実施しており、先ほども御答弁させていただきました、着実な成果が上がっていると考えております。

 他方で、このビヨンド5Gの研究開発につきましては、先ほど来御答弁させていただいておりますが、研究開発競争が激化しているということで、一刻も早く加速して取り組みたいというような私どもの思いもございます。このため、現行基金による研究開発の進捗状況も踏まえながら、今般の補正予算において新たな基金の設置についてお願いするものでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 大臣、是非とも、役割分担とチームワークと、ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンでよろしくお願いします。

 以上です。

浮島委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 これまでの委員の質疑の中で若干重複する質問があるかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 日本の国際競争力が大変低下をしている、このことは大変憂慮する事態だというふうに思っております。ここ三十年で、国際競争力が一位であったものが三十位、三十一位。科学技術力をしっかり高めていくということは我が国にとって大変重要な、最重要課題ではないかと思っておりますし、国民民主党としては、教育、科学技術予算を倍増させていく、その財源として教育国債ということをずっと提案をさせていただいております。

 ただ、先ほどからも質疑があっておりますけれども、基金について、質問をまずさせていただきたいと思います。

 今回の法改正は、将来におけるビヨンド5Gの革新的な研究開発のためにNICTに恒久的な基金をつくるということでございますけれども、政府は、二〇〇六年に、基金の在り方について、五年に一度事業を見直し、使用する見込みの低い基金は早急に国費に返還するなど厳格な運用を求めております。また、二〇一四年に閣議決定をいたしました経済財政運営と改革の基本方針によりますと、新規基金の立ち上げですとか積み増しについては、財政規律の観点から抑制することを求めております。

 ただ、コロナ禍を経て、やはり新型コロナウイルス感染症の感染拡大というものが大変日本経済にも大きな影響を与えているということもあるのかもしれませんけれども、再び基金の活用というものにかじを切っているというのが現状だと考えております。

 基金につきましては、御承知のように、長期的なスパンで、特に研究開発については安定的な財源を確保できるというメリットがある反面、これはもう委員の先生方全て御承知だと思いますけれども、国会の監視がなかなか届かず財政規律が緩むという構造的な問題を抱えております。また、特に、複数年度にわたって執行される基金が補正予算で計上されるということについては、この補正予算の緊要性というものに該当するのかという疑問もございます。

 今回、第二次補正予算で基金を計上する必然性について、例えば、毎年安定的な予算を確保するという方法もあるというふうに思いますけれども、松本総務大臣の御見解をまずお伺いをしたいと思います。

松本国務大臣 既に西岡委員から御説明をいただきましたが、どのような制度もメリット、デメリット、光と影の側面がある中で、私どもとしても、やはりその制度のメリットを最大限生かし、かつデメリットを最小限に縮減するように努力をする。

 この基金につきましても、先ほどもございましたが、政府でもこれまで様々なチェックの方向について示してきたところでございますが、今回も、先ほど御答弁申し上げましたように、これまでの基金と同様に、国会へ御報告を申し上げる、私、総務大臣も意見をつけさせていただくなどの形で、この基金の執行状況については透明性を確保できるようにしてまいりたいと思っております。

 その上で、補正予算で計上する緊要性についてということでございますが、御案内のとおり、ビヨンド5Gについては、世界的な開発競争や市場獲得に向けた主導権争いが大変激化してきておりまして、まさに我が国としては待ったなしの状況であるというふうに考えているところでございます。現行基金による支援に続く措置を可能な限り速やかに講じる必要があると考えまして、今回、補正予算に計上をしたような次第でございます。

 令和五年度概算要求から、総合経済対策の取りまとめ、補正予算の編成によりまして、今回、令和四年度第二次補正予算の中で恒久的な基金の造成を前倒しすることになったことにつきましては、先ほど局長から御答弁を申し上げたとおりでございます。

 また、ビヨンド5Gを始めとする革新的な情報通信技術の研究開発は、技術的難易度が高く、単年度の実施では成果が得にくいということ、複数年度にわたる取組が必要であります。また、国内外における技術動向や開発の進捗状況を見極めながら、年度をまたぐ計画変更も柔軟に行う必要がある、また、各年度の所要額をあらかじめ見込み難いということがございます。弾力的な支出が必要となります。

 このため、必ずしも毎年度予算を要求するのではなく、複数年度にわたって安定的、効率的に研究開発支援が可能となる基金により実施することが適当だというふうに考えているところでございます。

 よろしくお願いします。

西岡委員 今大臣から御答弁いただきましたけれども、やはり透明性、またしっかり国会でチェックをする機能を働かせること、このことも引き続き不断のお取組というものをお願いをしたいと思いますし、過去に政府としてしっかりその方針を示しておられますので、このことについてもしっかり基本として取り組んでいただきたいということを要望させていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 令和二年度の第三次補正予算で、二年間という期限を設けましてNICTに基金が創設されたという経緯を経て、今回、基金を恒久化されるということとなりました。あえて二年間という期限を設けて基金を設立をされていたわけでございますけれども、この間、ビヨンド5Gに係る国際的な競争というのは大変激化をしているというふうに思います。

 まず、この二年間の研究成果について、どのように評価されているのかどうかについてお伺いをいたします。

 また、基金が恒久化されまして、これは先ほどの大臣からの御答弁でいただいたのかもしれませんけれども、改めて恒久化をしたということで、使途の透明化、そしてまた評価というものをしっかりしていかなければいけないというふうに思います。

 透明化については先ほど御答弁がございました。成果の評価について、今後の、今回の基金についてどのように対応していかれるかということを松本総務大臣にお伺いいたします。

松本国務大臣 現行の基金におきましては、ビヨンド5Gの中核となり得る技術の研究開発として、主にテラヘルツ波などの高い周波数による無線通信の実用化や宇宙通信ネットワーク関連などの先端技術の研究開発を実施しております。

 この評価につきましては、現在、外部有識者により進捗状況や成果に関して行っていただいているところでございますが、この間、国内の特許の出願、国外の特許の出願、国際標準化提案などの件数を見ましても、二年間の研究開発によりまして着実な成果が上がってきているというふうに考えているところでございます。

 新基金における使途の透明性の確保につきましては、先ほども申しましたが、現行のビヨンド5G基金において行われている国会への報告、また、政府の基金事業のPDCA強化に係る方針に基づき四半期ごとに基金の支出や残高を公表する、こういった透明性確保の取組については、新たな基金においても引き続きしっかり実施してまいりたいと考えております。

 また、もう一つ、研究開発の効果の評価ということでいただきましたが、新基金においては社会実装や市場獲得に向けた取組を強化することとしておりまして、現行基金に係る取組に加え、総務省や経済やビジネスが分かる外部有識者が一定程度関与する仕組みを設けまして、研究開発による成果をモニタリングする体制を構築することを検討しているところでございます。

西岡委員 御答弁ありがとうございます。

 今大臣からもございましたけれども、政府方針によりますと、二〇三〇年代に次世代情報通信インフラ、ビヨンド5Gの実現に向けまして、その研究成果の社会実装や市場獲得等の実現につなげていくとされております。

 我が国がビヨンド5Gで世界をリードしていくことができる光通信分野、この光通信分野の技術に対して特に重点的に支援に取り組み、世界規模での競争力を確保していくことが大変重要だというふうに思いますけれども、先ほど、冒頭申し上げたように、諸外国に比べまして研究開発投資額が十分とは言えない中で、先行している分野においてもその優位性が大変危機感があるというふうに思っております。

 今後、どのような戦略を持って日本が今優位に立っている技術について取り組んでいかれるかということについて、総務省にお伺いをいたします。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国では、これまで超高速通信を実現する光ファイバーや光伝送技術等の研究開発に取り組み、国際的な開発競争をリードし、その成果についてネットワーク実装あるいは国内外の市場獲得につなげてきているところでございます。

 このため、我が国は光通信技術において強みがあると考えておりますが、これをシステム的に結びつけて、総合的なネットワークとして組み上げる構想と技術力においても世界で日本が先行しているものと考えております。

 ビヨンド5Gに向けて、そうした我が国の強みを生かして引き続き優位性を確保していくためには、今年六月の審議会答申に基づきまして、光ネットワーク技術を始めとする重点技術分野の研究開発について、新たな基金により加速することとしているところでございますが、その研究開発の成果について、早期に実用化して順次ネットワーク実装につなげる社会実装戦略、有志国とも連携して国際標準化を主導しながら、コア技術は秘匿化、権利化して囲い込む知財・標準化戦略、主要なグローバルベンダーとも連携しながら、海外の通信キャリアへの導入を促進し、世界市場の獲得につなげる海外展開戦略というものが大変重要であると考えておりまして、これらを一体的に推進していくということで、我が国の優位性を確保できるよう引き続き取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 今我が国が優位性を持っている部分にしっかり今後取組を重点化していただいて、社会実装を含めてお取組をよろしくお願い申し上げます。

 以上で法案質疑を終わらせていただきますけれども、NICTに関連をいたしまして、NICTにおいては、大変重要な五分野、そして戦略的研究領域四分野、この中にはビヨンド5Gも入っておりますけれども、お取組をいただいております。その中で、今日はもうほとんど時間がございませんので、太陽フレアについて総務省のお取組をお伺いいたします。

 太陽フレアとは、太陽表面の巨大な爆発現象で、しばしば太陽の表面で起きている現象でございますけれども、この太陽フレアが私たちの生活や社会に与える影響というものが明確となってきております。

 この太陽フレアに対する総務省のお取組をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽フレアに関する取組でございますが、太陽フレアにより、通信・放送、人工衛星、航空機など電波を利用する社会インフラに深刻な影響をもたらす可能性があるということから、NICTにおきまして、二十四時間三百六十五日の有人運用体制により、このような異常現象の発生の把握、予測を行い、予報や警報を送信する宇宙天気予報というものを実施しているところでございます。

 先般、有識者検討会を開催いたしまして御報告書を取りまとめていただいたところでございますけれども、宇宙天気予報の高度化に向けて、警報に関する体制の強化、社会インフラへの影響と効果的な対処の在り方、学術研究の強化、人材とコミュニティーの強化などについて、この検討会で御提言をいただきました。

 総務省といたしまして、本報告書を踏まえまして、例えば警報に関する体制の強化につきましては、NICTと連携しながら、社会インフラへの影響を考慮した新たな警報の出し方、あるいは関係省庁に対して迅速かつ確実に情報を送り届ける仕組みの確立など、本提言の具体化に向けた検討をNICT並びに関係省庁と連携しながら進めているところでございます。

西岡委員 済みません、若干時間がまだございましたので、宇宙天気予報について、よろしければ御説明をいただいてよろしいでしょうか、お取組について。

田原政府参考人 宇宙天気予報につきましては、NICTで、まず、二十四時間三百六十五日の有人運用体制で観測をしながら予報、予測、警報を出しているという状況でございますが、この宇宙天気予報の分野で、より幅広い裾野の方にもいろいろこういう宇宙天気予報、太陽フレアの状況というものを御理解いただきたいということで、先ほども申し上げた先般の有識者の検討会の報告書におきましては、新たに宇宙天気予報士というものを民間の資格制度として創設して、宇宙天気に関して一定の知識を有し、宇宙天気現象がもたらす被害と国民生活への影響に関するメカニズムについて、ほかの人に分かりやすく説明することができる人材が活躍できる仕組みをつくるべきとの御提言をいただいているところでございます。

 この提言を受けまして、関係者で構成されます宇宙天気ユーザー協議会というものがございますが、こちらにおいて、宇宙天気予報士として認定、登録する仕組みを具体化すべく現在検討を進めているというところと承知しております。

 総務省といたしましても、こういった民間における取組を後押しするとともに、NICTにおける研究人材の育成等を通じて、宇宙天気に関する人材育成といったものの取組を進めてまいりたいと考えております。

西岡委員 時間となりました。質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず、昨日の質疑のお答えの確認であります。

 大臣、パーティーの案内状は御提出いただけますか。講師だった甘利明さんの了承は取れましたか。

松本国務大臣 はい。講師が甘利先生であることについては申し上げてよいと、講師である甘利先生に御確認をさせていただきましたので、改めて、講師が甘利先生であったことはお伝えをさせていただきたいと思います。このときは、世界を変えるのはメイド・イン・ジャパンだということで講演をいただきました。

 なお、案内状につきましては、御要望をいただきましたが、昨日も申しましたように、御来臨賜りますようお願い申し上げますと記しておることは申し上げたとおりでございますが、パーティー券、御案内状をちょっとこちらに提出できるかどうかは、改めて、御報告すべきものかどうか検討させていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 案内状にはこれこれ書いてある、来た人に対応できるように準備していたと語ったのは大臣自身ですよ。だから、大臣にその事実を証明してくださいと申し上げているわけであって、無理なことを求めているわけじゃないので、出してください。

 資料一を見ていただきたい。

 これは、昨日私が紹介した、十一月二十五日に公表された松本大臣の二〇二一年の政治資金報告書の中の、政治資金パーティーの収入の内訳であります。「松本たけあき 支援の集い・セミナー」、昨年十二月二十七日、姫路駅の駅前にあるホテル日航姫路で開かれております。パーティー券収入千七百七十二万円。パーティー券は一枚二万円であったということは既に分かっておりますから、昨年も八百八十六枚売り上げたということになります。

 資料二は、先日、ホテル日航姫路をお訪ねした際にいただいてきた宴会場の資料であります。最大の光琳全室をシアター形式で使っても五百六十人が最大定員、これ以上入らないということであります。

 しかも、資料の三、大臣がパーティーを開いた昨年十二月二十七日は、全国的にコロナ第六波に向かう時期で、兵庫県の一週間平均患者数は前の週の一・七倍、こういう報告になっておりました。

 したがって、資料四、このとき発表されていた特措法第二十四条九項等に基づく県独自措置は、大声なしでも収容定員が限度で、大声ありなら収容率五〇%という時期でございました。

 大臣、この昨年のパーティー、兵庫県の要請に反した覚えはないですね。

松本国務大臣 コロナに対する対策は、規定に従ってしっかりと行わせていただいております。

宮本(岳)委員 声なしのパーティーというものは考えられませんから、最大定員五百六十人の半分なら、昨年十二月二十七日は二百八十人だったということになります。

 昨日、大臣は、おいでいただいた方で、入場をいただけなかったことはないと答弁されました。

 ならば、端的にお答えいただきたい。八百八十六人の出席予定者が、二百八十人が限界のこの光琳にどのような形で入ったのか、大臣はどのように準備されていたのか、お答えいただけますか。

松本国務大臣 繰り返しこの場でもお答え申し上げておりますが、私ども、御報告申し上げるべきことは法令の定めに従って御報告を申し上げておるということで、既に御報告を申し上げている収支報告などで皆さんにパーティーの概要についても御報告を申し上げているところでございますが、この十二月二十七日の、今御指摘いただいた会の経費等につきましては、支払いは次年度以降にまたがっている部分もあるのではないかというふうに理解をしております。

 その上で、二〇二〇年について昨日も御質問をいただきましたが、この収支報告書にあるセミナー会場経費、また、映像関係事業者に払った費用などから、どのような部屋をどのような形態で利用しているかというのは、御推察いただければ御理解をいただけるのではないかということで申し上げさせていただきました。

宮本(岳)委員 いやいや、推察の話じゃないんですよ。何人入ったかを聞いているんですけれどもね。昨年についてもそうです。

 山際前大臣の政治資金パーティー疑惑では、昨日も言いました、収容人員の一・七倍で横浜地検によって刑事告発が受理をされております。千人に対して四百人ということであれば二・五倍、昨年、二百八十人に対して八百八十六人なら三倍ということになりますから、これは絶対に曖昧にできない問題なんですね。

 報告書が出ていることは分かっているんです、今日だって配付しているんですから。問題は、それに対してあなたが、一つは、案内状にこう書いていましたということと、もう一つは、来ていただいた方はみんなちゃんと入れましたという話をしておられますから、どのように入れたのか、何人お見えになったのかということを答えていただかないと疑念が晴れないということを申し上げているわけでありますから、これは誠意を持って御検討、御回答いただきたい。いいですか。

松本国務大臣 私といたしましては、繰り返しになりますが、法令に従って報告すべきことを報告させていただいております。あえて先ほども申しましたように、報告すべき事柄から適法に行われていることは御理解をいただけるものと思って、幾つかの項目について申し上げさせていただきましたので、是非御理解を賜りますようにお願いいたします。

宮本(岳)委員 これはまた、こればかりやっていられないんですけれどもね。

 そんな推察で見過ごすわけにいかない。必ず、いかにこれが適法に行われたのかということを、是非御自分で証明していただきたいというふうに思っております。

 さて、私は、情報通信研究機構、NICTの発足以前、統合前の通信・放送機構、TAOだった当時に、法改正の質問に立った経緯があります。大臣が国会に出られる前の一九九九年四月二十七日、参議院交通・情報通信委員会、参議院初当選からまだ一年もたたない三十九歳のときでありましたけれども、質疑をいたしました。読み返すと、まだまだ若くて照れくさい思いでありますけれども、研究開発の在り方について、中身を国民に理解を得られるような形にしていく必要があると求めております。

 そこで、これまでの経緯も踏まえて、順次聞きたいと思います。

 二〇二〇年十二月、会計検査院はNICTを含む四法人七勘定の繰越欠損金について指摘をいたしました。このとき、会計検査院はどのような指摘を行ったんですか。

宮川会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院は、独立行政法人における繰越欠損金について、その原因、増減等の状況等を横断的に検査し、その状況を取りまとめて、令和二年十二月に、会計検査院法第三十条の二の規定により、国会及び内閣に報告いたしました。

 この報告におきましては、検査の状況として、令和元事業年度末の繰越欠損金が平成二十三事業年度末と比較して増加し、又は微減にとどまっていた法人の勘定のうち、新規に事業採択等を行っておらず、主に過去に行った事業に係る回収等の管理業務等のみを行っている四法人の七勘定、この中には国立研究開発法人情報通信研究機構の基盤技術研究促進勘定と出資勘定が含まれまして、両勘定の令和元事業年度末の繰越欠損金は計六百億余円となっておりますが、これらについては、繰越欠損金を解消する見通しが立っていないと認められることなどを記述しております。

 そして、検査の状況を踏まえ、会計検査院として、これらの勘定を有する法人及びその主務省においては、繰越欠損金が解消されず、当該勘定に係る政府出資金の一部又は全部が回収されないおそれのある状況を国民に丁寧に説明することなどに留意して対応を検討することが必要である、このような所見を述べたところでございます。

宮本(岳)委員 政府出資金の一部又は全部が回収されないおそれがある、国民に丁寧に説明することと指摘をされております。

 大臣、当然この会計検査院の指摘は重く受け止めますね。

松本国務大臣 委員は既に御案内かというふうに思いますが、NICTの民間基盤技術研究促進制度は、産投出資を受け、民間のみでは事業化が困難なリスクの高い基盤技術の研究開発等を委託により実施したものであります。一定の社会的波及効果等があった例もあるものの、経済情勢の悪化などもあって当初の想定どおりには回収が進まず、繰越欠損金が生じているものと承知をしております。

 既に御説明がありましたように、令和二年十二月に、会計検査院からは、他法人とともに、繰越欠損金の解消について、法人において効率的な業務運営を図ることや、業務の公共的な性格を踏まえた検討を行うこと、政府出資金が回収されないおそれがある状況を国民に丁寧に説明すること、中期目標等に改めて目標を設定するなどすることといった御指摘をいただきました。

 これを受けまして、総務省では、令和三年二月に策定したNICTの第五期中長期目標において、これまでの事業の状況に関してできる限り定量的に検証、分析し、今後の対応等も含め公表すること、業務経費の低減化を進めることにより繰越欠損金の着実な縮減に努めることなどを指示しているところでございます。

 この中長期目標に沿って、NICTにおいてはホームページにおいて繰越欠損金の状況や事業の実施状況を公表しており、総務省においてもホームページを通じて同様の情報提供を行っております。

 今後とも、総務省及びNICTにおいて繰越欠損金の回収に係る状況などについて国民に丁寧に説明するとともに、NICTにおいては、中長期目標に従い、繰越欠損金の縮減に向けて努力していただきたいと考えているところでございます。

宮本(岳)委員 長々と答弁しましたけれども、会計検査院の指摘を重く受け止めるんですね。イエスかノーか。

松本国務大臣 先ほど申しましたように、会計検査院から御指摘をいただき、これを受け、総務省においては今申し上げたような答弁のことをさせていただいたと御理解ください。

宮本(岳)委員 総括、評価がないんですね。TAOに引き継がせた業務は、技術基盤研究促進センターが実施をいたしました。その運営を経団連が主導していたわけです。我が党は、センター業務に総括もなく、同様の仕組みを引き継がせ、破綻の危険があることを一貫して批判してまいりました。

 前回、二〇二〇年度補正予算で措置した現行基金は、最初の五年が勝負と、危機感を持って集中的取組を推進するものとして、時限とされておりました。今回は、時限のある基金ではなく、恒久的な基金を創設いたします。現行基金の際は三百億円、恒久化された基金に今回はまず六百六十二億円もの税金を投入する。なぜ恒久的な基金が必要なのか、どのような議論があったのか、総務省、お答えいただけますか。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 基金の恒久化に向けた議論の経緯等でございますけれども、総務省におきましては、ビヨンド5Gの今後の推進方策等について検討、整理を行うため、昨年九月に、ビヨンド5Gに向けた情報通信技術戦略の在り方について、情報通信審議会に諮問いたしました。

 その後、有識者の皆様に精力的に御議論いただき、本年六月に答申をお取りまとめいただいているところでございます。

 審議会の議論におきましては、基金の延長に関する御意見ですとか、研究開発予算の多年度化を可能とする枠組みの創設を支持する御意見が出されたところでございます。

 こうした議論を受けて、同答申において、ビヨンド5Gの研究開発について、大型基幹研究開発プロジェクトに取り組む必要があること、また、更なる先のフェーズの研究開発課題や情報通信インフラの世代交代サイクルやマイグレーション等を見据え、中長期的な視点から継続的な取組を可能とする必要があることから、研究開発予算の多年度化を可能とする枠組みを創設することが望ましいと整理いただいたところでございます。

 総務省といたしましては、この答申の内容を踏まえまして、今般、恒久的な基金制度を新たに設置することで要求させていただいているものでございます。

宮本(岳)委員 いやいや、議事録を読ませていただいたんですけれども、情報通信審議会の情報通信技術分科会技術戦略委員会の第二十九回議事録でありますけれども、オブザーバーである種谷元隆株式会社シャープ常務執行役員、研究開発事業本部長は、この中で、一つお願いしたいのはと切り出して、二年間の基金ということではいかないんだ、シームレスな執行というものを是非考えていただきたい、こういうことで、民間の要望でこれはこういう形の制度設計がされたというふうに思うんです。ですから、これは国民にとても理解されないんじゃないかと私たちは指摘せざるを得ません。

 もう時間が来ましたが、最後に一つだけ。

 研究開発推進には、研究に携わる方の研究環境を整えることが欠かせません。今問題になっているのが、いわゆる十年雇い止め問題なんです。NICTにも有期雇用研究者がおりますけれども、十年無期転換ルールが適用されることになります。

 資料五、最後に見ていただきたい。

 文部科学省は、この間、各国立大学、大学を設置する地方公共団体の長や文部科学省所管の各研究開発法人の長に宛てて、貴法人における無期転換ルールの円滑な運用についてという依頼を出しております。これは、文科省も出しておりますので、是非、総務省、総務大臣の方からも、NICTにこの趣旨をしっかりお伝えいただきたいと思うんですが、それをお伺いして質問を終わりたいと思います。

松本国務大臣 NICTは、国立研究開発法人として自主自律の下で業務運営を行っているものですが、法令に従って業務を行うのは当然のことでありまして、研究者の雇用について言えば、労働関係法令に基づき適切に人事の運用を行っていただく必要があると考えております。

 その上で、委員からお示しをいただいたところでございますが、文部科学省から所管の各大学法人や各研究開発法人宛てに出された依頼文書につきまして、昨日委員から御提供いただいたというふうにも聞いております。これは、担当省庁が所管法人に出されたものと理解をいたします。

 これも参考に、総務省においても適切な対応について検討してまいりたいと思っております。

宮本(岳)委員 以上で終わります。

浮島委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表して、国立研究開発法人情報通信研究機構法及び電波法の改正案に対する反対討論を行います。

 本法案は、将来における我が国の経済社会の基盤となる革新的な情報通信技術の創出推進のためとして基金を情報通信研究機構に設置するもので、社会実装などの支援を含めた、将来にわたる恒久的な枠組みづくりです。

 同機構は、既に新規公募を停止している民間基盤技術研究促進業務で五百七十二億円もの繰越欠損金を抱えており、回収見通しも持てない状況であることが厳しく指摘されております。この業務を機構に位置づけた基盤技術円滑化法の改正では、NTT株配当金を投入してきた政府と、運営を主導してきた経団連の責任が曖昧にされ、ツケは国民に押しつけ、大企業は負担なしに成果を企業に帰属させるというやり方が進められました。こうした民間技術開発支援の方向性や手法が適切だったのか、検証することこそが求められています。

 その検証、総括もなく、ビヨンド5Gの世界市場で我が国の企業シェアを拡大し、国際競争力確保を目指すとして、基礎、基盤的な研究開発の段階から国費による集中的な支援を進めるとしてきたことは問題であり、本法案で更に対象を広げ、恒久的なものとしていることには、反対です。

 また、電波法の改正案は、電波利用料を基金に充てられるようにするものです。

 電波利用料は、免許を受けた者から徴収する共益費としての性格を有し、国民が広く電波を利用しやすくするために使われるべきものです。

 企業の国際競争力の強化を目指すための支援に電波利用料を充てる仕組みをつくることは、電波利用料の性格を超えたものであり、反対です。

 以上申し上げて、討論といたします。

浮島委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより採決に入ります。

 国立研究開発法人情報通信研究機構法及び電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浮島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、武村展英君外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    国立研究開発法人情報通信研究機構法及び電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び国立研究開発法人情報通信研究機構は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 政府は、ビヨンド5Gを始めとする情報通信技術が今後の社会や産業の基盤となる重要なものであることから、その技術の迅速かつ確実な進展と成果の社会実装に向けて継続的かつ十分な支援措置を行うこと。

 二 政府は、ビヨンド5Gにおける我が国の国際競争力を確保するため、研究開発計画の具体化や研究開発支援の拡大等を進めるとともに、ビヨンド5Gに係る国際標準規格において、必要不可欠な特許権等の知的財産権を我が国の事業者がより多く取得できるよう、官民を挙げて戦略的に取り組むこと。

 三 アフターコロナの時代においても情報通信の果たす役割は重要となることに鑑み、機構においては、我が国唯一の情報通信に特化した公的研究機関としての使命を再認識するとともに、ビヨンド5Gを始めとした研究開発に不断に勤しみ、その成果の社会実装に向けて貢献すること。また、政府は、そのために必要な機構の人員・予算等について確保するよう努めること。

 四 機構は、その委託・助成による研究開発については、本法により造成される基金によるものも含め、効果的・効率的に行われるよう当該研究開発の評価・検証を適切に行うとともに、その実施状況や検証結果について適時・適切に公表するなど透明化を図ること。

 五 政府は、本法による電波利用料の基金への活用に当たっては、電波利用料が無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用を原則として全ての無線局について公平に負担するものであることに鑑み、基金に充てられた電波利用料の使途を公表するとともに、電波の適正な利用の確保に資する事務・事業となるよう留意し、最大限効率的に活用されるよう適正化を図ること。

 六 政府は、高齢化や過疎化などの社会課題に直面する地方を活性化し、持続可能な経済社会を実現するため、光ファイバー、5G、データセンター等の情報通信インフラ整備については、地方のニーズを適確に反映するとともに、遅滞することなく迅速に推進すること。

 七 政府は、今後ビヨンド5Gを始めとする情報通信技術の発展により、電波が一層貴重な資源となることが見込まれることから、その有効活用に向けた取り組みに努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

浮島委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浮島委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。松本総務大臣。

松本国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

浮島委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

浮島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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