衆議院

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第2号 令和5年2月9日(木曜日)

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令和五年二月九日(木曜日)

    午後三時二分開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 武村 展英君 理事 鳩山 二郎君

   理事 石川 香織君 理事 奥野総一郎君

   理事 市村浩一郎君 理事 中川 康洋君

      井林 辰憲君    井原  巧君

      加藤 竜祥君    金子 恭之君

      川崎ひでと君    国光あやの君

      小森 卓郎君    佐々木 紀君

      坂井  学君    島尻安伊子君

      杉田 水脈君    田所 嘉徳君

      冨樫 博之君    中川 貴元君

      西野 太亮君    長谷川淳二君

      古川 直季君    務台 俊介君

      保岡 宏武君    渡辺 孝一君

      おおつき紅葉君    岡本あき子君

      重徳 和彦君    馬場 雄基君

      道下 大樹君    湯原 俊二君

      伊東 信久君    中司  宏君

      輿水 恵一君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君    吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   総務副大臣        尾身 朝子君

   総務副大臣        柘植 芳文君

   内閣府大臣政務官     自見はなこ君

   総務大臣政務官      国光あやの君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官)         内田 幸雄君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 五味 裕一君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        中村 広樹君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   山本 和徳君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           鈴木 信也君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  清水 正博君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  原  邦彰君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            竹村 晃一君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    井上  卓君

   政府参考人

   (消防庁次長)      澤田 史朗君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月九日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     加藤 竜祥君

  渡辺 孝一君     冨樫 博之君

  神谷  裕君     馬場 雄基君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     小森 卓郎君

  冨樫 博之君     渡辺 孝一君

  馬場 雄基君     神谷  裕君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局審議官内田幸雄君、内閣府大臣官房審議官五味裕一君、内閣府地方創生推進室次長黒田昌義君、内閣府地方創生推進事務局審議官中村広樹君、デジタル庁審議官山本和徳君、デジタル庁審議官内山博之君、総務省大臣官房総括審議官鈴木信也君、大臣官房地域力創造審議官大村慎一君、行政評価局長清水正博君、自治行政局長吉川浩民君、自治行政局公務員部長大沢博君、自治財政局長原邦彰君、自治税務局長池田達雄君、総合通信基盤局長竹村晃一君、統計局長井上卓君及び消防庁次長澤田史朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井林辰憲君。

井林委員 自由民主党の井林辰憲でございます。

 今日は、総務委員会で大臣の所信について質問させていただく機会をいただきまして、委員長を始め同僚議員に御礼を申し上げたいというふうに思っております。

 いただいた時間は十五分ということでございますので、早速ですが質問に入らせていただきたいというふうに思っております。通告させていただいていますけれども、時間の関係で省略させていただくことがあればお許しをいただければと思います。

 まず初めに、地方議会について質問させていただきます。

 これから統一地方選挙、近づいておりますけれども、地方議員のなり手不足が深刻でございまして、共同通信が実施した地方議員のなり手不足に関するアンケートでは、全国の地方議会の議長さんの六三%が、なり手が少なくなっていると感じているというふうに回答をされています。臨時国会では、議員立法で、地方議員による個人請負の禁止を緩和する地方自治法改正を成立させましたが、これにとどまらず、様々環境を整備していくことが必要だと思っています。

 その中で、今週、大臣の所信で、地方議会関係を含む地方自治法の改正案の今国会提出を言明されましたが、さらに、火曜日の記者会見では、地方議会の本会議におけるオンラインの活用について新たな通知を発出する御発言をされました。この新たな通知の内容と、なり手確保の観点から、どのような効果を期待するか、御見解をお伺いします。

松本国務大臣 井林委員にお答え申し上げたいと思います。

 御質問いただいた地方議会でございますが、第三十三次地方制度調査会は、昨年末、地方議会に関する答申を総理に提出をいたしました。住民に開かれた議会の実現に向け、オンラインの活用について積極的な議論が行われてきております。

 こうした議論を踏まえて、今週、本会議におけるオンラインの活用について、新たな助言通知を発出いたしました。

 具体的には、議案に対する質疑、討論、表決と、いわゆる一般質問、すなわち、団体の事務全般について執行機関の見解をただす趣旨で行われる質問とを分けて考え方を整理いたしました。

 まず、これまでも申し上げているとおり、本会議において団体意思を最終的に確定させる上で、議員本人による自由な意思表明は疑義の生じる余地のない形で行われる必要があります。このことから、地方自治法上、表決の要件として出席とされており、表決や、表決と一体不可分の議事として行われる討論や質疑については、議員が議場で行う必要があること、一方、いわゆる一般質問については、その形式について法律の定めがないことから、各団体の会議規則等で定めるところにより、本会議に出席が困難な事情を抱える欠席議員がオンラインで行うことも可能であること等についてお示ししたものです。

 この通知を踏まえ、各議会において実際にどのような取扱いとするかは、議会運営の状況や個別具体の事例に照らしてそれぞれで御判断いただくものと考えております。

 御指摘の議員のなり手確保については、各議会において、この通知を参考にした取組のほか、地方制度調査会の答申で必要性が指摘された多様な人材の参画を前提とした議会運営の取組を進めていただくとともに、総務省としても、答申を踏まえ、法制上の措置を含め、必要な措置を講じてまいりたいと思います。

井林委員 ありがとうございました。引き続き、オンラインなど様々な技術を使って、住民に開かれた議会実現のために丁寧な助言をお願いをしたいと思います。

 続きまして、昨年から今年にかけて大きな災害が発生しております。また、今国会で、税制でも、暦年贈与の相続税における災害時における贈与資産の毀損や災害損失控除の制度など、様々な措置が講じられているところでございます。

 他方で、災害対応について、最後は現場の行政を担う地方自治体の力によるところが大きいですが、しかし、地方自治体の財政は、多様化する行政ニーズのみならず、人口減少や高齢化対策、さらにはコロナ禍が地方経済に打撃を与え、大変厳しい状況になっております。こうしたところで、私の地元でも、昨年、台風十四号、十五号で、三年ぶりに激甚災害指定を受けるような災害が発生しました。

 こうした被災自治体への特別交付税を中心とした財政支援について、決意をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 台風や豪雨などの災害により亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に対し、心よりお見舞い申し上げます。

 昨年の台風や豪雨などの災害につきましては、静岡県を始め、各地の被災自治体から、大きな被害が発生しているとお伺いをしております。総務省といたしましては、被災自治体の実情を丁寧にお伺いした上で、復旧を始めとする財政需要を支えられるよう、特別交付税措置などの地方財政措置を講じることとしており、その財政運営に支障が生じないよう、適切に対応してまいります。

井林委員 ありがとうございます。私の地元もそうですけれども、雪害も厳しい年になってまいりました。被災自治体へ手厚い支援をお願い申し上げたいと思っております。

 さて、災害時に情報発信だけではなくて、行政の情報発信もインターネットによるところが非常に大きくなってきております。我が国の光ブロードバンド基盤はユニバーサルサービス交付金制度を通じて地方部を中心に整備、維持が進められていくと理解をしておりますが、整備事業者に過度な負担がかからず、サステーナブルな制度にすることが重要だと考えております。

 そこで、今後、社会全体でコストミニマムに地方部のインフラを整備、維持するためには、FTTHやローカル5Gに限らず、携帯電話網を用いたモバイルブロードバンドサービスを広く活用することも有用であると考えています。

 特に地方は人口減少で苦しんでおりまして、これは、地方におけるブロードバンド利用者数の減少も意味してまいります。こうした点からも、現在民間事業として成立している事業も成立しにくくなるということが近い将来容易に想像ができます。

 こうした観点を踏まえ、今後の地方部における光ブロードバンドの整備、維持の在り方について、お考えをお伺いします。

柘植副大臣 井林議員にお答えを申し上げます。

 昨年の電気通信事業法の改正により、ブロードバンドがユニバーサルサービスに位置づけられました。これを受けて、総務省では、現在、法律の施行に向けた省令等の具体的な制度の整備に取り組んでおります。

 この省令整備に当たっては、委員御指摘のとおり、今後、人口減少が進む中、地域における効率的なインフラの整備、維持を図る必要があるため、光ファイバー等の有線ブロードバンドに加えて、地域BWAやローカル5G等の無線を活用した固定ブロードバンドもユニバーサルサービスの範囲に含めていきたいと考えております。

 さらに、技術の進展や人口減少等の社会環境の変化を踏まえて、更なる効率化の観点から、携帯電話網による固定ブロードバンドをユニバーサルサービスに位置づけることについても、今後の検討課題と考えております。

 総務省といたしましては、ブロードバンドのユニバーサルサービス制度が持続可能な制度になるよう、引き続き検討に取り組んでまいります。

井林委員 ありがとうございます。

 車社会における道路の舗装と同じように、私は、インターネット社会では、ブロードバンドサービスも社会の基幹サービスであると思っております。コストを意識しつつ、都市部と同等のサービスが地方部でも享受できるよう、様々な技術を活用していただければと思います。

 昨年、電気通信事業法改正で私は質問させていただきましたが、その後の議論の推移なども興味を持って拝見しているんですが、総務省において、プラチナバンドの再割当てや新たな割当て方式について議論されています。「電波の公平且つ能率的な利用を確保することによつて、公共の福祉を増進することを目的とする。」、これが電波法の趣旨でございますが、この趣旨に鑑み、周波数割当て等プロセスの見直しは、国民生活や経済活動に必要不可欠なライフラインとなっている携帯電話サービスの利用を通じて、多くの国民が電波の有効利用による恩恵を最大限享受できるようにすることが必要だと考えています。

 そのため、携帯電話用の周波数の更なる確保に向け、未利用の周波数やそれ以外の幅広い周波数も含め検討が進められることが重要だと考えますが、政府の検討状況、受け止めをお伺いをしたいと思います。

竹村政府参考人 携帯電話は国民生活や経済活動にとって重要なインフラであり、携帯電話用周波数の更なる確保は重要と考えております。

 総務省では、昨年十一月に策定した周波数再編アクションプランにおいて、令和七年度末までに合計十・二ギガヘルツ幅の携帯電話用周波数を確保する目標を定め、未利用周波数の利用、携帯電話以外の既存システムの周波数移行、携帯電話と既存システムとの周波数共用による周波数確保の取組を進めております。

 さらに、令和四年電波法改正において、再割当て制度を新たに設け、既存事業者以外の事業者が割当て済みの周波数獲得に手を挙げることができるようにいたしました。

 総務省としては、必要な周波数を確保できるよう、引き続き取り組んでまいります。

井林委員 ありがとうございます。

 スピード感を持ちながら、幅広い検討をお願いしたいと思います。

 時間の関係で最後の質問にさせていただきたいと思いますが、これは私の持論で、国会でも何度か質問させていただいていますし、党の議論でも何度も要請させていただいていますが、個人住民税の現年課税化の問題についてでございます。

 これは古くて新しい課題ですが、私が調べた限りでは、昭和四十三年七月の政府の税制調査会の答申において、長期税制のあり方についての答申で、検討するということが答申をされています。まあ、昭和四十三年といいますと、私が生まれるより前でございまして、幾ら何でもちょっと長期過ぎるんじゃないかなというふうに思っております。

 また、消費税一〇%の基礎となる税制抜本改革法にも記載されまして、本年はインボイスも導入され、主要制度の中で、個人住民税の現年課税化だけが検討課題として残っております。

 この中で、現場の市町の徴税事務が課題だというふうに聞かれているんですが、私、ここに立つときに、私の地元だけじゃなくて、知り合いになった首長さんにもお伺いをしたら、これは社会的要請だから、我々はやれと言えばやりますというふうにもおっしゃっていただいております。

 これはやはり私は政治の決断がそろそろ必要な課題になってきているんだというふうに思いますが、是非、大臣、古くて新しい課題でございます、住民税の現年課税化について、決意というか思いをいただければと思います。

松本国務大臣 個人所得課税については、所得発生時点と税負担時点を近づけることが望ましく、働き方の多様化により毎年の所得が変化し得る方も増加していることなどから、従前にも増して個人住民税の現年課税化の実現を求める声があるものと考えております。

 総務省におきましては、平成二十四年の税制抜本改革法やこれまでの国会における議論などを踏まえて、学識経験者、企業、地方団体等を構成員とする検討会において議論、検討を行ってきたところであります。

 その中で、制度移行時の課題として、納税者や地方団体における事務負担に加えて、企業においては、業務が多忙な年末に、所得税に加えて個人住民税の年末調整事務が生じること、個々の従業員の年初時点の住所を正確に把握するための事務が生じることなどが指摘されているところでございます。

 現年課税化の実現に当たっては、納税者である住民、特別徴収義務者である企業、課税実務を行う地方団体、それぞれに過重な事務負担が生じないようにすることが大変重要だと考えております。

 近年においては、マイナンバーカードの普及やマイナポータルの利用拡大、eLTAXの対象手続の拡大など、行政手続や企業事務のデジタル化を進めております。

 今後は特に、こうしたデジタル化の進展により、関係者の事務負担の増加を抑えつつ制度移行ができないか、そのためにどのような技術的な対応が必要なのかといった観点も含めながら、関係者の意見をよくお伺いし、検討を深めてまいりたいと思っております。

井林委員 ありがとうございます。

 是非、この現年課税化は、スピード感を持って実現しなければいけない課題だというふうに思っております。大臣のリーダーシップの下で更に検討が加速することをお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきましたことに心より感謝を申し上げます。

 早速質問に入らせていただきます。

 マイナンバーカードを活用した、より安全で安心な地域の構築について伺います。

 マイナンバーカードの申請受付数は八千五百万を超えて、普及率が七〇%に迫ろうとしています。マイナポイント事業の延長もあり、更なる普及が期待をされるところであります。

 今後の課題は、カードがあっても使い方が分からない方々への丁寧な対応です。ここで大事なことは、習うことよりも慣れることだと私は思っております。マイナンバーカードの保険証や免許証としての活用以外にも、日常の様々な場面での利用機会を拡大することが重要と考えます。

 そこで、生活の現場でのマイナンバーカードの利用拡大による安心で便利な地域の構築に向けて質問をさせていただきます。

 初めに、自治体のボランティアポイント等への自治体マイナポイントの活用について伺います。

 現在、各自治体では、高齢者等の健康増進や地域活動への参加を促すためにポイントを付与する事業、いわゆるボランティアポイントや健康マイレージ等を展開をしています。

 そこで、このマイナンバーカードによる参加確認や、自治体マイナポイントと連動したポイントの利用を進めることも大変に有意義かと思いますが、当局の見解を伺います。

大村政府参考人 お答えいたします。

 国民の皆様にマイナンバーカードのメリットをより実感いただくためにも、自治体が独自の給付策を実施する際に、カードを活用して本人確認を行い、簡単、迅速にキャッシュレス決済のポイントを受け取ることができる自治体マイナポイントの取組を推進しておりまして、現時点では五十九自治体の参画が見込まれております。

 例えば、姫路市では国民健康保険の特定保健指導を受けた住民に対して、また、大分県では集落道の草刈りなどに参加したボランティアに対して自治体マイナポイントを付与することで、住民の健康増進や地域活動への参加促進を図っているところであります。

 このように、自治体マイナポイントは、自治体独自の身近な給付施策に創意工夫をもってカードが活用できるようになることで、住民にとって、より利便性が高まるとともに、自治体にとりましても、健康寿命の延伸や地域の活性化などの独自の施策目的をより効果的に達成できると考えております。

 このため、令和四年度第二次補正予算に計上した自治体向け補助金も活用しながら、こういった優良事例の横展開を進めてまいりたいと考えております。

 以上です。

輿水委員 ありがとうございます。

 是非、自治体マイナポイントの拡大、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、マイナンバーカードを活用した安心で安全な救急搬送について伺います。

 高齢化また核家族化が進む中で、独り暮らしの高齢者や障害者に対して、マイナンバーカードを活用して、持病や処方されている薬等の情報確認により、より安全で安心な救急搬送を進めることも大切かと思いますが、現状と今後についてお聞かせください。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 消防庁では、救急現場において、救急隊員が搬送先医療機関の選定を行う際に、傷病者のマイナンバーカードを活用いたしまして搬送先医療機関の選定に資する情報を入手することによりまして、救急業務の迅速化や円滑化を図るための実証実験を、今年度、六つの消防本部で実施いたしております。

 現在、その課題を抽出しているところでございますが、現時点では、医療機関がマイナンバーカードにより患者の既往歴や薬剤情報等を参照する仕組みを利用、活用いたしまして、救急隊が口頭で情報を聞き取る際の傷病者の負担を軽減できること、また、救急隊がオンラインで傷病者の情報を正確に把握することによって搬送先医療機関に円滑に引き継ぐことができることなど、一定の効果があるものと考えております。

 特に、高齢者や障害をお持ちの方を始め、地域住民の方は、マイナンバーカードを携行しておれば、万が一救急搬送となった場合においても、カードを活用することで、救急隊による搬送先医療機関の選定が迅速化、円滑化されることとなると考えております。

 消防庁といたしましては、今後、マイナンバーカードを活用した救急業務の全国展開に向けましたシステムの構築について鋭意検討を進め、住民の皆様の安全、安心な暮らしの確保につなげてまいります。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 実証実験の成果を踏まえて、是非横展開をよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、マイナンバーカードを活用した正確で効率的な災害対応について伺います。

 地球の温暖化等の影響により、災害は大規模化、また頻発化しております。このような状況の中で、各自治体において、マイナンバーカードを活用し、効率的な避難所運営や、迅速で正確な罹災証明書の発行の体制を整えておくことも重要と考えますが、現状と今後についてお聞かせください。

五味政府参考人 近年、災害が激甚化、甚大化、頻発化する中で、被災市町村において発生する膨大な災害対応業務につきましてデジタル技術を活用することは、業務効率化のための有効な方法であると考えております。

 このため、内閣府では、自治体のシステム整備の促進を目的といたしまして、クラウド型被災者支援システムを構築いたしまして、今年度から、地方公共団体情報システム機構、J―LISにより運用を開始しております。

 このシステムにおいて、マイナンバーカードを用いて避難所の入退所管理を行う避難所アプリも併せて開発しておりまして、自治体にその活用を促すことで避難所運営の効率化を図ってまいります。

 また、罹災証明書につきましても、マイナンバーカードを利用した自宅や遠隔地からの電子申請やコンビニ交付などを進めているところでございます。

 内閣府においては、クラウド型被災者支援システムの普及などによりまして、マイナンバーカードの活用を図りつつ、災害対応業務のデジタル化を進め、自治体の災害対応能力の向上や被災者の利便性の向上を図ってまいります。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 続いてですけれども、行政の効率化と利用者の利便性向上へ、書かない窓口、今進められていると思うんですけれども、また、書かない窓口から、今度は、行かない窓口への移行について伺います。

 行政の窓口におけるマイナンバーカードの公的個人認証を活用しての情報連携による、書かない窓口の展開とともに、その場で、希望者に対しては、自分で端末等を操作していただきながら公的個人認証の活用に慣れていただき、将来的には、行かない窓口への移行を促すことも、住民にとっても行政にとっても大変に有意義なことと考えますが、当局の見解をお聞かせください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、多くの行政手続がスマートフォンで完結し、どこからでも手続できるようになることは、デジタル社会の目指すところでございます。

 一方で、スマートフォンを使わない方や苦手とする方が窓口に来られた際におきまして、デジタル技術の活用による利便の向上や業務の効率化も重要と考えております。

 この点、御指摘の書かない窓口の取組につきましては、利用する住民が窓口を何か所も回らずに済む、何度も同じことを書かずに済むということで、とても便利になったと住民の方に実感いただける取組だと承知しております。また、自治体の職員にとりましても、庁内の業務を活用することで、入力作業の削減等による業務の効率化につながっておりまして、デジタル化による住民の利便性向上及び自治体の業務効率化の好事例として横展開が始まっております。

 この書かない窓口の導入は、デジタル田園都市国家構想交付金等によりまして、政府としても支援を行ってまいります。

 他方、委員御指摘の行かない窓口を目指すことは、先ほど答弁申し上げたとおり、重要と考えてございます。窓口に来られた方に、例えばマイナポータルでのオンライン申請等を御案内することなども通じまして、誰もが便利なデジタル社会の恩恵を受けられるよう、関係省庁及び地方自治体とも連携してまいる所存です。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 是非、書かない窓口、そして行かない窓口、両方をしっかり進めていただければと思います。

 続きまして、マイナンバーカードによる公的個人認証を活用した民間サービスの展開について伺います。

 例えば、現在、人気を集めているふるさと納税において、ワンストップ特例制度を活用した税額控除の申請には、各自治体にマイナンバーカードのコピーと申請書を送付する必要があります。ここで、この課題に対して、民間事業者の公的個人認証を利用したアプリの活用で手続をオンライン化したことにより、利用者も行政もその負担が大幅に軽減され、自治体での導入が進んでいると伺っております。

 まさにこのように、民間のアプリ等を活用したサービスの拡充も大変に有意義かと考えますが、現状と今後についてお聞かせ願えますでしょうか。

内山政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、ふるさと納税の税額控除の申請におきまして、公的個人認証サービスを活用した民間事業者のサービスを活用することで、利用者や行政の利便性が向上しております。また、ふるさと納税のアプリに限らず、公的個人認証サービスを活用した民間事業者のサービスを活用することで、行政サービスの効率化や住民サービスの向上が期待されます。

 民間事業者における公的個人認証サービスの活用につきましては、現在、約百七十社に活用いただいておりますけれども、マイナンバーカードの普及が進む中で事業者の関心も高まっておりまして、本年一月より、電子証明書利用料の当面の無料化を行いますとともに、五月からは、カードの電子証明書機能のスマートフォン搭載、また、最新の住所情報等の提供サービスを開始する予定でございます。

 今後とも、民間事業者に広く活用いただけますように、積極的に取組を進めてまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 電子証明書の利用料の無料化ということで、ますます民間の活用が進められるものと思いました。ありがとうございます。

 そして、この後、最後、長谷川政務官にちょっと伺いたいと思いますが、ただいま、様々、マイナンバーカードの利活用を始めとする社会のデジタル化の進展や、GXの中で循環型社会への転換など、地域社会が今変革期を迎えているところであると思います。

 このような中、様々な行政機関が、様々な課題に対して相談窓口というのは数多く開設をしてきている。住民の生活が多様化している中、また複雑化する中、また行政の縦割りの実情からやむを得ないのかなというふうに思いますけれども、ここで、何をどこに相談したらよいのか分からない地域住民も多いことと思います。このような現実に対しまして、相談窓口の元祖とも言える総務省の行政相談の果たす役割は大変大きい、このように思います。

 そこで、政務官に、この行政相談の果たす役割についてお聞かせ願えますでしょうか。

長谷川大臣政務官 輿水委員にお答えをいたします。

 御指摘の行政相談は、国民の皆さんから様々な分野の御相談を、どこに相談してよいか分からないものも含めまして、幅広く受け付け、担当の行政機関とは異なる立場から、その解決や行政の制度、運営の改善を図る仕組みでございます。

 全国五十か所に設置をいたしております行政相談センター、愛称「きくみみ」において電話や対面で相談を受け付けておりますほか、困り事のある方が住民の身近なところで相談できるように、全国約五千人の行政相談委員の皆さんに活動いただいています。

 現場では、例えば、工事中の危険な通学路について、行政相談委員の主導によって関係者の話合いの場が持たれて、通学時間帯の車両の通行禁止が実現した、そういう様々な成果をお聞きしております。行政相談委員の役割の重要性は、改めて高いものと認識をしております。

 引き続き、国民の皆さんに気軽に行政相談を利用していただけますように、先ほど来、マイナンバーカードの普及促進がありましたが、行政相談でも、デジタルによる手段も活用しながら、行政相談の利用促進に取り組んでまいりたいと思います。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

浮島委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。

 松本大臣、所信に自治という言葉を明記をしていただきました。ありがとうございます。

 はしょって読むと、総務省は、自治を担う地方公共団体の行財政を所管する、まさに国の根幹となる重要な省庁であり、日本国の国づくりに全力で取り組むと。非常に格調高いものに、力強いものになったと思います。ありがとうございます。

 かつて地域主権なんという言葉もあったように、理屈の上では国家主権なのかもしれませんけれども、やはり、日本というのは地方あっての国、長いこと、古来、日本人というのは地域に根差して暮らしてきて、そういう方々がたくさんいるのが日本であります。国から、上から地方を統治して面倒を見る、こういうことじゃなくて、やはり自治があって、その住民の自治を下支えするというのが国の役割であろうというふうに考えます。

 では、質問に入りたいと思います。

 本日は、市町村合併の検証、第四回であります。私的には第四回でございます。

 今、地方は大事と言いながら、大変疲弊していると言われております。特に疲弊が著しいのは合併した旧町村なのではないかという一つの仮説に立って議論をさせていただいているんですけれども。

 特に、平成の合併というのは、昭和の合併と違って人口減少局面で行われたものですから、その疲弊の度合いが加速度的になっているんじゃないかという見立てもあるし、一方で、いや、合併しなかったらもっとひどいことになっていたかもしれないとか、合併した以上は新市の一体性というものを進めていくべきだと。ある意味前向きかもしれませんけれども、しかし、この辺は検証してみないとどっちが正しいのか分からないというふうに思うので、私は、どの地域がどの程度どう疲弊しているのか、これを精緻にデータで検証しないといけないという立場であります。

 そこで、まず最初なんですけれども、合併しちゃうと、旧町村になかったものも、新市全体の中にはあるよということで、あることになったり、いろいろ見えなくなるところがあるんですよね。

 そこで、具体的に、特に中山間地域で暮らすためには、やはり教育というのは非常に大事であります。

 質問ですが、保育所、幼稚園、小学校、中学校、こういったものが、合併後における旧町村ごとの立地データというものは存在するのでしょうか。それから、重ねて、特にその中でも小学校は大事だと思うんですね。小さな子供でも基本的には歩いて通える、まさにコミュニティーの基礎だと思うんですよね。その小学校が旧町村において統廃合されてなくなってしまったというような例がどのぐらいあるのか、これを把握されているかどうかを質問します。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のデータのうち、例えば、市町村ごとの小学校や中学校の数あるいは所在地につきましては、文部科学省が実施しております学校基本調査等において公表されておりますものの、旧町村ごとに整理されたデータまでは存在しないものと認識しております。

重徳委員 したがって、存在しているかどうかも把握をしていないということなんだと思います。

 では、進みますけれども、実は、日弁連が、弁護士会ですね、令和元年の調査を、かなり手をかけて行ったものによりますと、小学校が存在しなくなってしまったという旧町村は少なくとも全国に十九団体存在するという調査結果があります。一方で、合併しなかった町村で学校が今ないというところは一つもない。つまり、合併しなかったら学校が残っているんだけれども、合併した側は少なくとも十九団体において統廃合。学校は市域のどこかにはもちろんあるんですけれども、恐らく遠くまで通わなければならない状況になっている、そういうところが十九団体あるということだと思います。

 では、続けて質問します。

 やはり、中山間地域の暮らしで、撤退してしまうと支障が大きいと言われるのは、教育の場のほかに、医療、交通、それから金融機関とかの経済拠点もなくなると困ると思うんですけれども、これも各省庁では把握していると思いますが、医療という意味で病院、診療所、それから交通という意味でガソリンスタンド、それから金融機関などという意味でまさに金融機関、あるいは農協の支所、出張所、こういったものが合併後の旧町村単位で把握されているかどうかについてお答えください。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のデータのうち、例えば、市町村ごとの病院、診療所の数につきましては、厚生労働省が実施しております医療施設調査において公表されておりますものの、その所在地については、少なくとも公表はされていないと認識しております。

重徳委員 その他、ガソリンスタンドとか金融機関、農協はいかがでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 いずれも市町村ごとの数については公表されておりますが、所在地については、少なくとも公表はされていないと認識しております。

重徳委員 各省庁において、基データをたどれば、所在地も、要するに住所も分かると思うんです。ただ、公表まではされていない。すなわち、今局長が御答弁いただいたように、この市には幾つあるよというところまでしか公表はされていないかもしれませんけれども、当然、調査しているわけですから、各省庁において、所在地が分かれば、それが新市における旧町村に存在しているかどうかということは、データをたどれば、ひもづけすれば、いろいろな分析ができるようなデータとなるはずだと思うんです。

 では、ちょっと、調査してくださいと言う前に、もう一個だけ。

 同じく総務省で、統計局において、いろいろな基幹統計があるわけなんですけれども、私の調べた感じでは、農林業センサス、これは農水省の所管だと思いますが、農林業センサスというのがあります。これは、昭和二十五年当時、昭和の合併の前ですかね、要するに、旧町村単位のデータというものがある。つまり、旧町村ごとのデータの連続性がちゃんと検証できるようなデータが農林業センサスにおいてはあるんですけれども、では、特に総務省が所管している、統計局が所管している国勢調査あるいは経済センサスはどうか。

 具体的にどういうことかというと、国勢調査で、例えば産業分類別就業者という数字があるんですけれども、それは、総数においては旧町村ごとに分析ができるようなデータがあると認識しておりますけれども、では、更に年齢別、その産業の分類別に、総数は町村ごとに出ているけれども、若年層がどうだとか、高齢者ばかりになっているんじゃないかとか、そういう分析ができるようなデータは、旧町村ごとにちょっと出てきていない、示されていないんじゃないかな。

 このようなことを認識しているんですけれども、そういう目で見たときに、国勢調査、経済センサス、どうですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 国勢調査におきましては、平成十二年時点の市町村境域による結果を、年齢や産業といった主要な分類では集計をしております。ただ、委員御指摘のように、年齢かつ産業という形にはなっていないというところでございます。

 また、平成二十一年から調査を開始いたしました経済センサスにつきましては、旧市町村境域による結果は集計しておりません。

重徳委員 そういうところなんですよね。

 それで、市町村合併というのは、事実として、合併しちゃったので、今や行政単位というのは今の市町村だと思うんです。だけれども、今回の平成の合併というのは、繰り返しになりますけれども、人口減少局面において合併が行われたということ、それから、地域によって、市町村によって様々な実情はありますけれども、やはりちょっと、物すごい大きな合併をしちゃったよねというような市町村はあるんですね、実際に。これはもう感覚的に皆さんそうおっしゃる、住民の方々がおっしゃっている、こういうことなんですけれども、これを感覚的に、住民の方は感覚的に言うんですけれども、では、実際どうなんだ、これはやはり検証しようよというのが私の提案であります。

 そこで、吉川局長が、保育所、幼稚園、小学校、中学校、文科省の調査はやっていますということでありますが、旧町村ごとには、ひもづけというか、整理されていないという御答弁をいただきました。また、病院、診療所、ガソリンスタンド、金融機関、農協などについても、各省庁では把握しているはずだけれども、少なくとも公表もされていないというようなこと。さらに、統計局においても、国勢調査では、主要なもののみ、項目によっては旧市町村ごとの分類もしているけれども、必ずしもというようなことの御答弁をいただきました。経済センサスも整理されていないという御答弁をいただきました。

 こういったものを、市町村合併の検証という目的、主たる目的として、やはりきちっと整理をするべきじゃないかと思うんです。これは総務省自治行政局だけではできないと思いますので、各省庁と協力をして、特に統計局とは同じ省内でありますので、協力をして、この旧町村単位のデータ、整理をしていただけませんか。これはちょっと時間がかかる、手数もかかるかもしれませんが。ちょっと考えていただきたいんですけれども、どうでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 まずは、先ほど申し上げましたような既存の公表データ等に当たりまして、どこまで把握できるか見極めた上で、関係府省あるいは統計局などとも相談しながら、また自治体の負担等も考慮しながら、優先順位をつけて把握に努めてまいりたいと考えております。

重徳委員 せっかくなので、統計局長からも決意を是非。

井上政府参考人 先ほど委員から御指摘のありました国勢調査でございましたら、年齢別かつ産業別の結果など、そうしたことも含め、データの更なる整備について政策部局と連携して検討してまいりたいと考えております。

重徳委員 本当に基本的な、基礎的なデータだと思いますので、そして各省庁の御協力をいただかないとこれは調べられませんので、強くお願いをしておきたいと思います。

 もう一点。

 地方自治においては、やはり、各地域から議員を選出できているか、市会議員を選出できているかどうかというのは非常に重要なところだと思います。

 それで、旧町村部から議員を輩出しているかどうかということを、これも今現在手元で把握はされていないんじゃないかというふうには推測しますが、しかし、これは、旧町村だろうと議員さんが選管に届け出る住所というのがありますから、それをベースに調べれば、要するに、この世の中には存在するデータでありますので、それをうまく整理をすれば、旧町村から果たして議員が出ているかどうかということが判明すると思うんですけれども、これについても把握、整理をしていただけないでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、各市町村では市町村議会議員の選出実態を把握しておりますので、改めて市町村の協力を得て、旧町村ごとの市町村議会議員の選出実態を把握することは可能であると考えております。これにつきましても、各市町村の作業労力等も勘案しつつ、把握に努めてまいりたいと考えております。

重徳委員 働き方改革の支障にならないやり方で、是非、把握をお願いしたいと思います。

 さて、松本大臣、今までのところ、お聞きいただいたように、正直ほとんどデータが整理されていません。市町村合併の結果、影響はどうだったのか。疲弊しているとか寂しくなったとか活気がなくなったとか、前回お聞きしたように、大臣の御地元も姫路市と町村部が合併されていますので、そういう皆さんの声はお聞きになっていると思いますが、それが果たして客観的に見てどうなのかということは、何も検証可能なデータすらないわけです。

 したがって、一般的には、合併というのは、日常の生活圏単位で一緒になったんだとか、文化的、地理的な一体性が一応あるんだというような説明もあるかもしれないけれども、一概に言えないんじゃないかと思うんですね。一概に言えない以上は精緻な検証がやはり必要だと考えますが、大臣はどうお考えになりますか。それから、もし私と同意見であれば、是非、事務方の方に明確な指示を出していただきたいと思います。いかがでしょうか。

松本国務大臣 委員のこの平成の合併における問題意識というのは、これまでも御審議を通じて伺ってきたところでありますが、私どもとしては、今やはりお話がありましたように、地方公共団体をお支えをすると同時に、各地方公共団体の施策について、しっかりとサポートをすることが大切であるというふうに思っております。

 その意味では、今委員からも、私の地元を例にお取り上げをいただきましたが、姫路市も大変、今、広域になっておりまして、合併をしたところであるかどうかにかかわらず、かなり人口が減っている地域と、他方では、昨今のテレワーク等の事情もあって、鉄道の新しい駅ができているところなどは逆に人口が増えて、小学校のクラス数も増えているところもあるといったような形で表れてきております。

 この辺りは、各自治体におかれて、まさに丁寧にきめ細かく御対応をいただくものというふうに考えており、これを私どもが、ニーズをしっかり伺って、財政措置を含めて、どのようにお支えをしていくかということではないかというふうに思います。

 合併前後の旧町村等のデータの整理ということでお話がありました。お話を伺っている限り、一つの考え方としては、今伺っていても様々参考になる点もあるんですが、具体的にそういったデータを収集するかどうかについては、コスト等も含めて、また考えさせていただければ、このように感じているところでございます。

重徳委員 ちょっと、十分な答弁じゃないなと思うんですけれども。

 では、もう一個。

 同じ自治行政局の中で把握していてもおかしくないんじゃないかという統計調査として、旧町村役場は、今、支所になっていますよね。そこの職員数は、大幅に一般的に減っていると思います。その状況、すなわち、定員管理の実態調査をされている中で、支所の職員が、特に合併後どのような状況かということを把握されているのかどうかについてお尋ねをします。いかがでしょうか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 総務省が毎年実施しております地方公共団体定員管理調査がございますが、これでは、各団体の職種別、あるいは総務であるとか土木といったような部門別の職員数を把握しておりますが、支所といった単位での把握はしておりませんので、御指摘のありましたような旧町村の支所における職員数は調査していない、把握できていないということでございます。

重徳委員 大臣、どうでしょうか。今のことも重ねて、私は重ねてお願いをしたいんですけれども。前向きな答弁をお願いします。

松本国務大臣 先ほどからも御議論いただいているこの合併でありますが、やはり、関係の市町村において、総合的に検討された、地域住民の生活圏や経済圏、文化圏など地域の一体性の状況や地理的特性等を、総体的に諸要素を考慮して、真摯に議論を行って決断をされたものであるというふうに感じますが、特に今お話をいただいている町村部については、総体的に、大きな市などと合併をするということであれば、やはり相当な決断であったというふうに思いますが、他方では、やはり、それだけのニーズがあるからこそ決断をされたのではないかというふうに感じるところでありまして、先ほど申し上げたかったのは、町村部を含めて、住民に対して十分な住民サービスが行き渡るように、各市町村の各自治体においてお進めをいただけるものと思っておりますし、また、そのお進めをいただくために必要な措置を支えるのが私どもの役目ではないかというふうに感じているところであります。

 この辺り、検証とデータということでここまでお話をいただいてきたわけでありますが、私自身、先ほど申しましたように、姫路市を見る限り、平成の合併、そして、姫路市の場合は昭和にもかなり合併をしておるわけですけれども、いつの合併かどうかというよりは、それぞれの市、町、村において丁寧に各地域の状況を見ていただくこと、これが一番大切なのではないか、このように感じているということを先ほども申し上げたかったところでございます。

重徳委員 この場で、やるやらないまではちょっとお答えいただけないようでありますので。

 この問題は、単に、別に総務省の施策が成功だったか失敗だったかということを追及したいというよりは、実情はどうなんだという、データの把握ぐらいはしなきゃ議論にならないでしょう、こういう問題提起でありますので、そこはまた総務省の担当の皆さん方とも議論しますので、大臣にもよく認識をいただければというふうに思います。

 そこで、実は、そうはいっても、いろいろ総務省の中で調査研究を行っているということ、事例を紹介したいと思いますが、資料一を御覧ください。

 これは、総務省地域力創造グループ過疎対策室で平成三十年三月に取りまとめました、「田園回帰」に関する調査研究報告書の非常に精緻な調査の一部なんですね。田園回帰ですから、要するに、都市部から過疎地域に人がどのぐらい流れてきているかということを、調べようと思えば国勢調査で調べられるわけですよ。そして、しかも、この調査の優れているのは、平成十二年段階での市町村、すなわち、今言っている旧町村単位ですよ、旧市町村単位のデータが地図にプロットされているわけです。当然、基データがなきゃこんなことできませんね。

 この地図の見方は、ちょっと、色、はっきり鮮明に、皆さん、見えますかね。要するに、平成二十二年と二十七年を比べて、二十二年段階での都市部から過疎地への移住の数と、二十七年における移住の数を比べて、移住者数が増えている順番から、五十人以上増えたというところはこの茶色い色、ちょっと東北の、岩手県は恐らく東日本の震災の影響で特殊事情だと思いますが、その他のところは、要するに濃いところから順に移住者が増えているという地図であります。

 そして、薄い緑色はゼロ人以下ですから、移住者数が減っている。それから、白い、真っ白のところは、そもそも過疎地域じゃないので調査の対象外というふうに御覧いただければと思います。委員の皆さんも、御地元をチェックいただければと思いますけれども。

 ここの問題提起は、これはいろいろな要因があるとは思いますが、押しなべて、これは、ある私の知る有識者の方が、この地図を見て、中国地方を見て、数を数えたんですよ。そうしたら、合併をした旧町村と合併しないで残った今の町村で比べると、合併しなかったところの方が移住者が増えているという、割と有意な数字が出ているということなんですね。

 言いたいのは、合併してよかった悪かったという、単純化したいというよりは、合併しなかったところというのは、当然、町長さんがいて、役場もあって、議会もあってということですから、やはり移住促進を進める原動力があるということなんですね。

 私は、合併しない方がよかったとこれで決めつけているわけじゃなくて、合併をしても、その旧町村部に、前回も取り上げましたけれども、地域自治区とか、役場とか町長とか一々置いていたら行革にもならないから、だったら地域自治区という形で、何らかの機能をしっかりと位置づけておかないと、今せっかく田園回帰、先ほど大臣も言われたリモートとかが進んでいるのにもかかわらず、受入れ体制がしっかりしていなければ移住してくれないということですから、せめて地域自治区のような自治基盤というもの、これは自治ですよ、大事な自治という言葉であります、地域自治区を始めとした自治基盤、組織を旧町村部にもきちっと置くべきではないか。そういうことを総務省として進めてはどうかというようなことを言いたいんです。

 その前に、ちょっとこのデータの分析、どうでしょうか。有識者はこの地図を見て調べたわけですけれども、もうちょっと、基データがあれば精緻な把握ができるんじゃないかと思いますが、昨日の朝通告したので間に合っているかどうか分かりませんが、サンプルでも構いませんので、参考になる情報があれば、その移住の増減の状況が、合併したところ、しないところでどう違うかということをお示しいただければと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 これまで委員御指摘のような観点からの分析は行っておりませんでしたので、現時点でお答えすることは困難でございますが、都市部から過疎地域への移住者数を平成二十二年と二十七年の国勢調査で比較いたしますと、例えば、御指摘ありました中国地方の一つであります岡山県については、県全体で移住者数が減少する中にあって、合併しなかった市町村の方が移住者の減少幅が小さかったことが確認できました。

 一方で、四国の高知県におきましては、合併しなかった市町村は移住者数が減少したものの、合併した市町村は移住者が増加しておりまして、合併の有無と移住者数の増減の相関性があるとは一概には言えないものというふうに考えております。

重徳委員 一夜漬けの答弁だとそういう答弁になると思うんですね。一概には言えない。別に皮肉を言っているわけじゃないですよ。

 やはり、調べれば出てくることなんですよ、これは。だから、まず調べていただいて、そして、なぜ減ったのか、なぜ増えたのか、これを分析するというのが本来じゃないかと思うんです。合併しても、頑張っているところは移住者が増えているかもしれないですよね。そういう取組をどんどん進めたら、合併した方がよかったということになるかもしれないじゃないですか。そういうことを私は主張しているわけであります。

 大臣には、もう一問吉川局長に質問した上で、大臣から所感をお聞きしたいんですけれども。

 ところで、先ほど私が申し上げました地域自治区というのは、合併特例法上の暫定的な、期間限定の、旧町村に置く地域自治区の制度というのはありますが、これは期間限定なんですよ。一方で、地方自治法を見ますと、地方自治法にも、つまり恒久的な措置として地域自治区制度というのは規定されていますが、実は、地方自治法上の地域自治区というのは、合併した旧町村にだけ置くということが認められていないと聞いております。つまり、置くなら全市に置け、中心市のところにも置けというのが地方自治法上の地域自治区なんですよ。

 これは、ちょっとかたくな過ぎるんじゃないかと思うんですよ。原則それでもいいかもしれないけれども、旧町村かどうかによって差別的な取扱いをしないとか、そういう理屈なんでしょうから。しかし、各自治体の判断で旧町村にのみ地域自治区を置く、こういう仕組みに、これは法改正が必要なんだと思いますが、多分、あるいは解釈で済むんでしょうか、そういった見直しをするべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 地域自治区は、地方自治法に基づき、住民自治の充実や行政と住民との連携による協働活動の推進を目的とするもので、区域内の住民の意思を反映させる仕組みであり、市町村の判断により設置する場合には、同一の市町村内のいずれの区域においても求められるものでございます。このようなことから、この仕組みの導入を選択する市町村にあっては、制度上は市町村全域にわたって設置することを想定しております。

 ただ、実際には、同一市町村内における必要性の高まりには差異があると考えられるケースもあることから、地域自治区を設置する環境が整った地域から段階的に設置することもあり得るという解釈をしております。

重徳委員 ありがとうございます。

 つまり、最終的には全域に置く建前だけれども、まずは旧町村という運用がぎりぎり認められるということというふうに解しました。であるからこそ、そういう地域自治区を旧町村に置いて、この移住促進などについても取り組めるような体制をつくるべきじゃないかと私は思います。

 ちょっと時間の関係で、最後、消防団の質問をさせていただきたいと思います。

 大臣所信にも、「消防団を中核とした地域防災力の向上を図ります。特に、消防団の団員確保に全力を挙げます。」こういう決意が述べられています。

 ですが、実際には、消防団員は、平成二年度に百万人を割り込んで、それから三十年ほどたちました去年の四月には、初めて八十万人を下回りました。現に、私の地元の消防団員の人たちと話していても、若い人たちが入ってこない、全体的に高齢化が進んでいるという声を聞いております。

 特に、昨年末の消防団の夜警の激励に、私、訪問させていただいたときに、たまたま団員の皆さんから操法訓練や操法大会に関する話題がしきりに出ました。操法、消防操法というのは、消防団員にとっての基本的な重要なスキルですから、これはきちっと訓練をしていただかなければ消防団としての機能を果たせないのは言うまでもありません。一方で、やはり皆さん、仕事をされながら、最近はサラリーマンも多いですから、訓練の時間のために朝早くとか夜遅くとか時間を割くのは、これは本当に大変なんだ、こういう声も理解はできます。

 こういった操法訓練、あるいはその披露の場である操法大会の在り方などについて、消防庁として、その実情を把握し、また団員の皆さん方の意見をどう把握し、もし何か改善するべき点があればどのように改善しているのかということをお尋ねしたいと思います。資料の二というのが、皆さん、ありますので、ここに消防庁の方から、この資料に基づいてでも構いませんので、解説いただければと思います。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 操法訓練についてでございますけれども、その重要性を認める一方で、負担が大きいとの現場の声があることも承知をしております。

 令和三年八月に取りまとめられました、消防団員の処遇等に関する検討会の最終報告書においても、操法は消防団員が火災現場の最前線で安全に活動するためにも重要なものであるという意見がある一方、操法大会を前提とした訓練が大きな負担となっているとの御指摘もございまして、その点、大会の主催者において、随時の見直しを行っていくことが重要であると示されております。

 こうした指摘を踏まえまして、日本消防協会により令和三年度に開催をされました全国消防操法大会の操法実技に関する検討会に総務省消防庁も参画をいたしまして、今後の全国消防操法大会においては、災害等の現場における動作とは異なるようなパフォーマンス的、あるいはセレモニー的な動作は評価の対象としないとする見直しを行うこととしたところでございます。

 そして、昨年十月でございますが、その見直し後初めてとなる全国消防操法大会が開催されましたが、これを受けまして、現在、参加した消防団や関係者の皆様からの意見をお伺いし、それを集約しておりまして、今後の課題やその方向性を整理しているところでございます。

 それらの結果等も踏まえまして、今後の更なる見直しにつなげてまいりたいと考えております。

重徳委員 時間が来ましたので。

 大変重要な消防団という役割について、消防団員の確保も含めて、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、おおつき紅葉さん。

おおつき委員 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉と申します。

 本日は、諸先輩方に御配慮いただきまして、おとといの大臣所信に関わる質問をさせていただきたいと思います。改めて感謝を申し上げます。

 まず冒頭、去る一月二十九日、旧自治省出身の石原信雄さんがお亡くなりになりました。七内閣で官房副長官を務められた石原さんでした。私も、マスコミ時代から教えを請うことがございまして、石原さんの地方自治に対する熱い思い、よく伺いました。政治家は地方を歩かなきゃいけない、地方の声をしっかりと聞いていかなきゃいけない、最近そんな政治家は少なくなったんじゃないかな、そんなことを聞いたこともございました。だからこそ、この石原さんの熱い思いをしっかりと教訓に、私、今国会、この通常国会の総務委員会にも臨んでいきたいと思います。

 では、まず初めに、Lアラートの役割について伺います。

 総務省の所管において、消防庁のJアラートに似た名称を持つLアラートというものがあります。去年の臨時国会でも私質問させていただきました。

 このLアラートというのは、ローカルアラートといいまして、地方の公共団体などが出す避難指示、また、さらには電力やガス会社などの情報である停電情報、こういう災害関連の情報を始めとする公共情報なんですね。これが放送局など多様なメディアを通じて一斉に送信できるシステム、これがLアラートなんです。これは、例えば、皆さんの手元にあるヤフーの災害情報ですとかNHKの災害の速報だとか、こういうのがLアラートから出された情報によって情報が伝達されているという形になります。まさに地域の住民の皆さんたちが避難する際ですとか安全確保に必要となる情報を届けている基となる情報をつくっている、このシステムを構築しているのがLアラートとなっております。

 この災害情報共有システムのLアラートなんですけれども、私も昨年の臨時国会で質問しましたところ、このLアラートの費用負担に関して、利用者の十分な理解を得るに至っていない、二〇二三年度について、これまでの、従来どおりの利用者の費用負担は発生しないという答弁を総務省はされておりました。

 そのLアラートなんですけれども、昨年十月の寺田前大臣の就任挨拶の所信では、近年の災害の多様化、激甚化、頻発化や、今後発生が懸念される巨大地震を踏まえて、その対策の一つとして、災害情報を共有するLアラートの活用促進と述べられていたんですけれども、寺田大臣の辞任後の昨年十一月及びおとといの松本大臣の所信では、なぜか、このLアラートへの言及、ありませんでした。なぜか、松本大臣が就任してから、所信から消えてしまったんです、このLアラートについてが。

 そこで、まず、単刀直入に、これまでの大臣所信からLアラートについての言及がなくなってしまった理由、及び、国民の、住民の皆さんの生命と財産を守る観点から、今後の災害対策としてのLアラートの役割について、大臣、お答えください。

松本国務大臣 一昨日申し述べました所信におきまして、災害時にも情報を確実に届けられる環境の整備に取り組むと申し上げさせていただきました。その中にLアラートの活用促進に取り組む趣旨も含んでいるというのが考えでございます。御案内のとおり、総務省の所掌、大変幅広く、多岐にわたっておる中で、全体を申し上げる中で、今申しましたように、Lアラートについてはそのような形で表現をさせていただきました。

 Lアラートは、今お話がありましたとおり、全国の自治体から収集した避難指示等の災害情報等を報道機関等に一斉に配信し、災害情報を迅速かつ効率的に住民に伝達するためのシステムで、多くの自治体や報道機関等の皆様に御活用いただいており、災害発生時に重要な役割を果たしていると承知をしております。

 Lアラートの活用促進や災害相談用フリーダイヤルの開設、ケーブルテレビの光化など、災害時にも情報を確実に届けられる環境の整備に取り組んでいるところでありまして、Lアラートの役割への認識は何ら変わっておりませんし、今申しましたように、改善すべき点については引き続き取り組んでいきたい、このような姿勢であります。

おおつき委員 Lアラートの認識は含まれているということですね。

 ところで、このLアラートの運営を担っているFMMCなんですけれども、当時、所管の郵政大臣からの許可を受けて、一九九〇年の二月に、テレコム高度利用推進センターとしてNTTが出資して設立した財団法人を起源としております。例えば前郵政事務次官が設立時の理事長に就任するなど、旧郵政省と極めて距離の近い外郭団体とされてきました。歴代理事長も、旧郵政省や現総務省の役人やNTT出身者が務められておりまして、二〇二三年の現在でも、総務省の元事務次官が理事長を務めております。現在でも総務省と近い関係であると推察されているんですけれども、これは天下り団体ではないですよね、確認だけさせてください。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の天下り団体という御趣旨が不明な面もありますけれども、おっしゃられたとおり、元事務次官が理事長に就任しているという団体であることは事実であると考えております。

おおつき委員 天下り団体ではないというはっきりした否定する答えはなかったということなんですけれども、大丈夫ですか。もう一度お願いします、天下り団体となるのでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 失礼いたしました。そういう御趣旨であれば、天下り団体ではないと考えてございます。

おおつき委員 天下り団体ではないとはっきりとお答えいただきました。

 そのFMMCなんですけれども、公開している貸借対照表や定款があるんですけれども、損益計算書やキャッシュフローの計算書は非公開なんですね。資産の運用や賛助会員からの会費を除く安定的な収入源とは何であるかなど、当該財団の収支の実態を正確に把握することは非常に困難になっております。

 このように、財団運営に係る収益が不透明なFMMCなんですけれども、これまで無償でその情報の提供を行っていたところ、二〇一八年にLアラートの課題や期待される役割についての検討を行った総務省の有識者会議では、Lアラートの運用について、FMMC自身が費用負担する現在の運営形態ではLアラートを安定的、持続的に発展させていくことは不可能である、それで、原則として利用者が費用を負担するという考えに転換していく必要があるという報告を出しております。これは、ただ、今、二〇二三年の四月からの費用負担に関しては一旦撤回された形ですよね。

 そういう現状があるんですけれども、Lアラートというこれは、広く国民のまさに災害時の安心、安全のため、避難のため、国民に影響を広く与えて、かつ永続的な運用が前提となるこの情報システムの運用を果たしてこの後どうやって行っていくべきなのか、どうやって行うのが適切なのかという観点に今来ております。

 そこで、このようなFMMCがLアラートを運用することの法的根拠、そして、なぜ当初から例えば持続可能な仕組みを構築できなかったのか、なぜ急に、これまで利用者負担がなかったものが利用者の負担の考えに転換したのか。現在の運営体制に至った経緯について、答弁をお願いいたします。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 Lアラートは、災害時の情報収集等に苦労した報道機関の御経験も踏まえまして、従来、個々の自治体から発信される災害情報を報道機関が個別に収集、入力、確認して伝達していたものを効率化するために、情報発信、伝達のための共有システムとして構築されたものでございます。

 過去の経緯というところで、平成二十年度から二十一年度にかけまして実施した実証実験を経まして構築したシステムを、迅速に実用化に移し普及を促進するという観点から、当時、実証実験にも参加しておりましたFMMCの協力を得まして、FMMCが有する基本財産を取り崩す形で、平成二十三年六月に、利用者の費用負担が発生しないという形でシステムの運用を開始することとしたものです。それ以来、このような形でLアラートの運営が現在に至るまで行われているというものでございます。

おおつき委員 済みません、ちょっと今の答弁だと足りないところが。

 利用負担がなかったのが、どうして急にこの二〇一八年から利用負担を求めることになったのか、もう一度お願いできますか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど委員からも御引用されておられました平成二十年あるいは平成三十年の報告書の中で、Lアラートについては共同の負担という考え方が示されているところを受けまして、FMMCにおいて、利用されている関係者の方々に共同負担の考えを相談を開始したという経緯がございましたけれども、関係者の間の御理解が十分に得られなかったということを受けまして撤回をされまして、令和五年度も無料で利用ができるという整理になっているところでございます。

 そのような経緯でございます。

おおつき委員 これは、いつまでというのは決まっているんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今の時点で撤回されておりますので、この状態であれば今の状況ということだと思いますけれども、いずれにしても、持続可能な形ではないので、そういう中でどういうことにするかということについては、今後考えていかなければいけない課題となっていると理解しております。

おおつき委員 今お話しされていた体制なんですけれども、FMMCの体制は、年間一億円強であるLアラートの運営費用の妥当性の検証の妨げとなっているんじゃないかというお話もあります。

 突然、運営費用の検証を経ることなく、今後、年間一億円強を皆さんで支払ってくださいと言われても、やはりちょっと無理があって、関係者の方々からすぐに了承を得られるということは難しいんじゃないかなと思うんです。

 だから、Lアラートは、当初よりも元々は安くなっていくことが念頭の設計になっていたと思うんですけれども、きちんと運用や体制を見直せば、例えば運用経費の現状の一億円強よりも更に削減することとかもできるんじゃないかなと思うんですね。

 そこで、総務省として、年間の運営費用であるこの一億円強についての妥当性を検証したことはあるんでしょうか。また、これまでの運営費用の削減について試みをしたことはあるのか、お伺いいたします。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省におきましては、先ほど委員御指摘のとおり、平成三十年に、今後のLアラートの在り方検討会を開催いたしました。その報告書では、Lアラートが永続的に運営されるよう、より低廉なコストで構築、運用されることが重要である旨が指摘されておりました。

 こういったことも踏まえまして、コスト削減を目的に、Lアラートシステムのクラウド化を行うこととなりまして、今年の四月から新たなシステムに移行する予定でございます。このクラウド化によりまして、委員おっしゃった一億円強とされております運営費用、そこに一定の削減が図られるものと考えております。

おおつき委員 クラウド化で少し進めて、少しずつ検証しながら見直しして、関係者の皆さんたちと検証していただけたらと思います。

 これまで述べてきたとおり、昨年十月二十五日のLアラート運営諮問委員会において、FMMCは、二〇二三年四月から利用者負担を一旦撤回した上で、二〇二四年度以降のLアラートに係る費用負担を含めて、今後のLアラートの在り方について、これまでの案にこだわらず整理した上で、改めて御相談させていただきたいという文書を示しました。今のクラウド化も一部だと思います。

 そこで、今後、利用者と相談している運営主体や、例えばLアラートの利用者の費用負担及び今後のLアラートの在り方について、所管する総務省としてどのように考えておられるのか。例えば、そのクラウド化のことについても、関係者とのお話があればお願いいたします。

松本国務大臣 Lアラートが果たしている大変大切な役割、また、これまでの費用負担案と撤回、令和五年度の取扱いなどは、今お話がありましたとおりです。

 その上で、そもそも、おおつき委員も御経験がおありですけれども、報道機関は災害情報を国民に伝える役割を担っていただいているわけでありまして、FMMCは、個々の自治体からの災害情報を収集して、報道機関等の利用者に一斉に配信をするということで、報道機関などの利用者の方々のいわば災害情報収集の面から、そのサポートを行ってきたというふうな面があります。

 そのような面があることから、利用者との間で費用負担等の在り方について相談をしてきたものと認識をしておりますが、同時に、これも既に御指摘があった点ですが、災害情報を迅速的確に国民に伝えることが高い公共性を有するものであるということをしっかり認識をしつつ、関係機関が連携して災害対応に万全を期すべく、総務省としても、今後のLアラートの在り方については、費用負担の在り方も含めて、改めてゼロベースで検討をしてまいりたいと考えております。

おおつき委員 このLアラートですが、東京にある民放とかNHKは大きいんですけれども、地方局とか、あとは地方のローカルのラジオ局とか、まさにそういった負担になると、物すごいやはり財政的に厳しい中で出すというのは厳しくなるんです。だから、本当にそういう関係者の声を聞くことがまず第一だと思っておりますが、公共的な役割を持った有用性の高い情報基盤となっております。

 先ほど申し上げたように、地方局もそうですけれども、このままでいくと、情報を伝達する段階であるメディアは、国民に第一にまず届けようと皆さん努力してはいるんですけれども、その負担金を払うメディアと払わないメディアで分かれてしまう可能性があるんです。それが、じゃ、災害のときに一番最初にこの情報が到達しなきゃいけない、そこに住む人たちのための命や財産を守るための避難情報の扱い方として本当にいいのかどうか。これを観点にして、引き続き、関係者そして運営委員会の皆さんとともにオープンな議論を、丁寧な議論を行っていただきたいと思います。

 次に、マイナンバーについて伺います。

 マイナンバーカードについて、政府は、二〇二二年度末までにほぼ全国民に行き渡ることを目指すという目標の下、カードの交付率を上げるための取組を進めてきました。

 この取組の一部を紹介させていただくと、マイナポイント事業などカード取得者にポイントを付与するもの、又は、マイナンバーカードと保険証の一体化など事実上の義務化を進めるもの、ほかには、カードの交付率について市町村のランキングを公表したり普通交付税算定に反映させたりして自治体間の競争をあおるもの、又は、カードの普及状況を交付金の申請要件等にすることで自治体の危機感をあおるものなど、本当にあの手この手といった様相を呈しております。

 政府内には、目標の実現のために多少強引でもカードの交付率を高めなければならないという考えがあるのだと思いますが、その影響で、最近では、地方でもカードの交付率を上げるために必死になっている自治体が多くなってきたようにも感じます。

 報道によりますと、岡山県備前市では、今年四月から、保育園の保育料や小中学校の給食費などの無償化について、世帯全員がマイナンバーカードを取得していることを条件とする方針が打ち出されました。

 保育料の無償化は二〇一六年度から、給食費の無償化は二〇二二年度から始まっているそうですので、世帯のうち一人でもマイナンバーカードを取得していなければ、今まで無料だった給食費等を支払わなくてはならなくなるんです。市の担当者は、取得率一〇〇%を目指す市の施策の一環と説明しているそうなんです。

 これを受けて、松本大臣は、閣議後会見でこのように述べたようですね。マイナンバーカードを活用して様々な利便性を向上させるという様々な政策を展開されるということについては、私どもも後押しをしてまいりたいというふうに思っておりますが、それぞれ個別にどのような政策を展開するかについて、私の方からはちょっと、各地方自治の御判断と。

 各地方自治の御判断と述べたようなんですけれども、これは、そもそも任意で取得するカードで、子供たちが、みんなが受け取れるはずの給食費無料、この無料の権利を制限しているんじゃないでしょうか。カードを作ったら無料、カードを作らなかったら有料というのは、任意ではなく、もはや脅迫、そんな声も聞こえるんですよ。推進したいのは分かるがこのやり方は間違っているというお母さんの声も伺いました。

 地元をよく歩いていると伺っております、松本大臣。東京にいると思ったら、実は姫路にその次の瞬間にはいたというぐらい地元を歩いていると伺っております。地元を歩いているんだとしたら、こういった声、耳に届いているんじゃないでしょうか。この件について、まず大臣の受け止めをお願いいたします。

松本国務大臣 是非御理解をいただきたいと思っておりますが、DX、デジタルトランスフォーメーションは、地方の発展と住民の方々に資するものであるとともに、自治体の職員の方々の助けともなるものとして進めております。

 マイナンバーカードはその基盤となるツールでありまして、普及促進がDXの効果を届けることにも必要なことなので、重要な政策テーマとしているところであります。

 マイナンバーカードの利活用シーンは官民を超えて拡大をしているところで、カードを取得し活用していただくことで、住民の皆様の利便性が向上するようになってまいりました。

 先ほども当委員会でもお取り上げをいただいていましたが、幾つかの自治体が取り入れている、書かないワンストップ窓口は、マイナンバーカードの活用やデータの連携により、住民の皆様には、早い、易しい、サインするだけで行政手続を行うことができ、職員の方々にとっても業務の削減につながっていると理解をしております。

 また、コンビニ等においてカードを活用して各種証明書を取得するようになる、先ほど、行かない窓口という表現もありましたが、住民の皆様には役所の窓口に出向くことなく便利となり、職員の方々には業務の負担の軽減となると理解をしております。

 そのような考え方の下、総務省では、関係省庁と連携して、カードの普及促進とともに利便性向上を支援をしているところで、各自治体においても様々な施策に取り組んでいただいているところであります。

 私が申し上げたことも、やはり各自治体がございますので、マイナンバーカードの関連にかかわらず、それぞれ個別にどのような政策を展開するかについては、各自治体におかれて住民の御意見や議会での議論なども踏まえ御判断をされる、そのように考えております。

 お尋ねの備前市の取組については、現在、その詳細は検討中であると聞いておりますが、マイナンバーカードを保有する住民の方を対象にどのような政策を展開するかについては、住民の御意見、議会での議論などを踏まえ、丁寧に御検討いただいて御判断をされるものと考えております。

 なお、交付税については、先ほども、会見でも申し上げましたが、今回、令和五年度に、デジタルの事業費として、増額をした分のうちの一部を、マイナンバーカードの普及が進んでいるところは一定の財政需要も考えられますので、それに見合う形で、財政需要を支えるという意味で交付率を反映した形でお渡しをしている部分があることはおっしゃるとおりでありますが、全体として、自治全体の基盤をしっかりと支えていくという私どもの姿勢はしっかりと進めていきたい、このように考えております。

おおつき委員 大臣、自治のためと言いますが、その自治は誰のためにあるんですか。国民とか、これからの世代の子供たちのためじゃないんですか。それが、マイナンバーカードを作ったら無料、作らなかったら有料という、こういった社会の分断を招く、もはや脅迫と言われるような事態になっていいんでしょうか。私はそうは思いません。マイナンバーカードの取得はあくまで任意です。カードを取得していない方に対して、こういったことを理由にサービスを停止してしまう取組に関しては、これは批判は止まらないと思います。

 政府は、マイナンバーカードの取得促進のために、カードを取得していない方に対して、それまで実施してきた特定のサービスを停止したり、特定のサービスを停止するよう自治体に要請したりすることはあるのでしょうか。ないのであれば、その明確な理由もお答えください。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のような、カードを取得していない方に対して特定のサービスを停止したり、自治体に対して特定のサービスを停止するよう要請したことはございません。

 総務省の立場は、マイナンバーカードの普及促進のため、自治体との間の連絡体制を確立し、国の施策の最新情報を始め、申請促進や利便性向上に係る全国の先進的な取組事例をきめ細かく提供するとともに、それぞれの自治体における現状や課題をよく伺った上で丁寧に助言するなど、自治体の取組をしっかりと後押ししていくというものでございます。

おおつき委員 結局、この問題の根本は、カードの交付率を上げるための取組を強力に進めてきたことが背景にあるんじゃないでしょうか。報道でもそのように分析されております。

 その契機となったのが、二〇一九年九月のデジタル・ガバメント閣僚会議において、二〇二三年三月末にほとんどの住民がカードを保有という目標が設定されたからだと考えております。当時は、目標とは言わず、交付枚数の想定と呼んでおりましたが、後にこれが正式な政府の目標となりましたので同じことだと思います。それまで政府は、カードの取得枚数の目標を定めるのは適当ではないというスタンスでした。

 例えば、二〇一八年の二月二十日の衆議院総務委員会で、総務省の自治行政局長は次のように答弁しています。マイナンバーカードは、自分の意思で必要と思われた場合に、申請に基づいて交付される、こういうことになってございます、そもそも、そういう意味で目標設定という枠組みになじむものではないと思っておりまして、取得枚数の目標を掲げることは適当ではないということで、政府としては枚数目標は設定しておりません。この答弁にあるように、当時は、目標設定という枠組みになじまない、取得枚数の目標を掲げることは適当ではないと言い切っていたんです。

 それにもかかわらず、この一年半後には交付枚数の想定という事実上の目標を設定し、それを正式な政府目標としてきました。このような目標設定が、今の様々な問題の根源になっていると思います。

 そこで、当初は適当ではないと言っていたにもかかわらず、その後、取得枚数の目標を設定するという大きな方針転換、まさに異次元の方針転換を行った背景と理由について、政府の説明を求めます。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の自治行政局長答弁は、マイナンバーカードの発行が始まりましてからおよそ二年後の答弁であったということでございます。

 令和元年に開催されましたデジタル・ガバメント閣僚会議におきましては、安全、安心で利便性の高いデジタル社会をできる限り早期に実現する観点から、令和四年度中にほとんどの住民がカードを保有することを想定し、普及促進や利便性の向上に取り組むこととされたというふうに認識をしております。

 その後、新型コロナウイルス対策の経験から、社会全体のデジタル化を進めていくことの重要性が改めて認識されたところでありまして、その基盤となるマイナンバーカードについて、令和二年十二月に閣議決定されましたデジタル・ガバメント実行計画を始めとする累次の閣議決定等に基づき、政府全体で、カードの利便性の向上を図りつつ、令和四年度末までにほぼ全国民に行き渡ることを目指すとして、その普及促進に取り組んでいるところでございます。

おおつき委員 やはり、この及び難い目標の設定というのは、無理な政策を生んで、結果、住民、国民にとって不幸な結果を招くということがありますので、今後も十分に検討が必要だと思います。

 続きまして、地域おこし協力隊のインターン制度についてお伺いします。

 地域おこし協力隊の現役の隊員数について、政府はこれまで、二〇二四年度までに八千人という目標を掲げてきましたが、昨年八月末に、当時の寺田大臣が、二〇二六年までに一万人を目指すことを表明されました。

 そこで、総務省では、応募者数の増加の取組として、二〇二一年度から、地域おこし協力隊インターンを創設しました。このインターンの取組は、任期がおおむね一年から二年の地域おこし協力隊と、主に二泊三日のおためし地域おこし協力隊の間として位置づけられておりまして、二週間から三か月ほどの期間で地域おこし協力隊と同様の地域協力活動に従事して、隊員としての実際の活動や生活をイメージしてもらって、応募者の裾野を拡大するとしております。

 そこで、まず、この地域おこし協力隊インターンの受入れ実績と、そこから実際に地域おこし協力隊として活動することになった隊員がいたのか、効果が出ているのか、総務省に伺います。

大村政府参考人 お答えいたします。

 地域おこし協力隊は、令和三年度には、六千十五名の現役隊員が千八十五自治体で活躍をしておりまして、隊員、受入れ自治体、双方に対するサポートの充実を図り、応募者の増加、ミスマッチの解消などに取り組んでいるところでございます。

 こうした方針の下、委員御指摘のように、参加者の間口を広げる観点から、地域おこし協力隊インターンを創設いたしまして、初年度である令和三年度の調査時点では、二十市町村において活用していただきまして、インターンに参加された四十三名のうち、二十三名の方が実際に地域おこし協力隊として採用されていると承知をしております。

 このインターン制度の活用は、地域おこし協力隊としての実際の活動や生活を体験して、具体的にイメージすることができますので、ミスマッチの防止につながりますことから、今後もこれらの取組を推進して、応募者数の裾野の拡大を図ってまいりたいと考えております。

おおつき委員 このインターンの取組の結果ですが、ミスマッチを防止することにも役立つのではないかなと思っております。

 そこで、伺います。

 二〇二一年度のミスマッチによる早期退任者の数と併せて、総務省のミスマッチの防止の取組、特に二〇二三年度からの取組について、その取組を行うこととした背景を含めてお伺いいたします。

大村政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、隊員の中には、自治体の期待と隊員の希望とに相違が生じたり、地域になじめなかったりするなど、ミスマッチにより任期途中で退任する方もいるということも承知をしております。

 令和三年度に調査をした結果でありますが、任期途中で退任した隊員数は六百四十五名でございます。その中には、途中で就職をしたり、起業したり、出産等で退任する方もいらっしゃいますので、そのうちミスマッチが理由で退任した隊員数は百二十一名となっております。

 こうした課題を解消するために、令和五年度から、地域おこし協力隊受入れサポートプランを新たに創設いたしまして、隊員の募集から任期終了後の定住までの段階に応じたサポートの充実を図ることとしております。

 具体的には、隊員数の増加に伴ってますます必要となる、活動に関する日常的な相談や、地域との関係づくりといった、受入れ自治体における隊員の日々のサポートを隊員のOB、OGなどの経験や知見のある方々に委託する経費について、新たに地方財政措置の対象とすることとしているところでございます。

おおつき委員 ありがとうございます。

 初めての質疑のときでも申し上げたんですけれども、確かに隊員数を増やすことも重要なんですけれども、無理に隊員数を増加させても、それによって活動の質が低下してしまったら、制度そのものの信頼を損なうこととなってしまいます。最近では、協力隊の課題を指摘する報道も出てきておりますので、隊員、自治体、そして地域の住民、これは三者にとって有益な制度となることを前提として、やはり政府には拡大を図っていただきたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。

 今日最後になりました。よろしくお願いします。

 まず、地方議会のオンライン開催について、昨年、私は国会の憲法審査会の方で、国会のオンライン出席ということで、一応見解を取りまとめました。

 というのは、ゼレンスキー大統領の国会での演説が本会議場でできなかった、もちろん設備の問題もあるんですが、ありました。また、各国を見ていると、このコロナ禍の際にオンラインでやっているという映像がたくさん流れました。スペインなんかは、調べると、このコロナ禍以前から相当幅広く、産休のときとか、相当幅広く、個人的な事情によるものまでオンラインで出席を認めているというような事例もありました。日本だけが遅れているんじゃないかという思いをしていたところであります。

 そういう思いで憲法審査会の方でまとめたんですが、一方で、具体的な法改正は議運の方に委ねられておりまして、残念ながら国会の方もオンライン出席はまだ認められていないんですね。

 それに先駆けてというか、地方議会の方は、委員会についてはオンライン開催を認めているということでありまして、一歩進んでいるのかなと思いますが、その開催状況について、現状について伺いたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 地方議会における委員会のオンライン開催の状況でございますが、令和四年一月一日時点で、オンライン委員会を開催できるよう条例等の改正を行った団体が百三十五団体、全体の七六%でございます。また、オンライン委員会を実際に開催した団体は三十五団体で、全体の二%となっております。

奥野(総)委員 はっきり分かれるんですね。進んでいるところ、県議会などでも、群馬県とかでしたかね、条例を設けたりして、茨城とかもそうなんですが、前向きのところと、そうでないところと分かれていると思います。もっともっと進めていかなきゃいけないと思うんですが。

 先日の新聞報道で、地方議会の本会議の方も質問がオンラインでできるようになる、こういう通知を出されたということなんですが、この内容について伺いたいと思います。

 というのは、地方自治法の百十三条と百十六条で出席ということが書かれていまして、普通地方公共団体の議会は議員定数の半分以上の議員が出席しなければならない、会議を開くことができない、あるいは、議事は出席議員の過半数でこれを決しということ、出席というのがキーワードになるんですね。

 国の方も、憲法上は、物理的出席、本当に物理的に出席していなきゃいけないという説と、それから、実質的に出席と認められるようなふうになっていればいい、本人確認ができて、きちんと本人の意思だということが確認できればいいんじゃないかと帰納的に解釈する、二つ、学説が分かれているわけでありますけれども、この地方議会の方は今どうなっているんでしょうか。

松本国務大臣 今もおっしゃいましたが、私どもとしては、第三十三次地方制度調査会での御議論を踏まえて、今週、本会議におけるオンラインの活用について、新たな助言通知を発出したところであります。

 先ほど委員会について御説明をさせていただきましたが、本会議においても、団体意思を最終的に確定させる上で、議員本人による自由な意思表明が疑義の生じる余地のない形で行われる必要がある、その意味では、表決などに関する部分については、やはりそのように考えております。その意味で、地方自治法上、表決や定足数の要件として、出席として規定されております。この点については、今回発出した通知がこの出席の解釈を変えるということではないというふうに御理解をいただきたいと思います。

 他方で、いわゆる一般質問、すなわち、団体の事務全般について執行機関の見解をただす趣旨で行われる質問とは、先ほど申しました議案に対する質疑、討論、表決とは分けて考え方を整理するという立場から、一般質問については、その形式について法律の定めがないことから、各団体の会議規則等で定めるところにより、本会議に出席が困難な事情を抱える欠席議員がオンラインで行うことも可能であること等についてお示しをしたところであります。

 先ほど各自治体等の取組の状況についてもお問合せがありましたが、私どもとしては、こういった枠組みの中でどういったことができるのかということをお示しした上で、それぞれ、各住民の皆様で選ばれた首長さんによる政策の展開であったり、議会の方々が議会の議論において行われる議会の運営などについて注視をしてまいりたいというふうに考えております。

奥野(総)委員 一歩前進ということだと思うんですが、残念ながら、法律上の出席ではないということなんですけれども、本会議での一般質疑というのは、県議会などでは大きな、代表質問などもありますから、そういうものもオンラインで場合によってはできるということだと思いますし、それから、一ついいのは、条例の定め方にもよるんですけれども、例えば緊急事態とか、そういうときに限らず、個人的な事情も含めて幅広く認められるというのがこの制度のいいところだと思います。

 なかなか国を飛び越えてというのは難しいと思いますし、実際、法律の出席概念を読み込もうとすると、本人確認がちゃんとできるのかとか、それから、後ろで誰かがささやいたり、本当に本人の意思なのかということも確かめなきゃならないというハードルがあるのは承知していますが、しかし、各国でも進んでいるわけですから、是非これは前に進めていただきたいと思います。

 同時に、議運の方でも、国会の方も進めていかなきゃいけないと思いますので、是非、大臣、率先して、オンライン質疑、オンライン採決に行けるように頑張っていただきたいと思います。

吉川政府参考人 冒頭の御答弁、誤りが一部ございましたので、修正させていただきます。

 条例等の改正を行った団体が百三十五団体、全体の七六%と申し上げてしまいましたが、七・六%でございます。失礼いたしました。

奥野(総)委員 いや、随分高いなと思ったんですが。

 制度を入れたのはいいんですが、まだまだこれからだというふうに思いますが、一歩前進というふうに私としては評価をしていきたいと思っております。

 続きまして、人口動態調査ですけれども、このほど、この一月ですかね、昨年の人口動態が発表されました。資料を二ページにつけてありますけれども、まず、これは統計局になるんですかね、一定の傾向があるように思われますが、過去の人口動態、首都圏への流入について御説明いただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 住民基本台帳人口移動報告によりますと、日本人の移動者の東京圏の転入超過数について見てまいりますと、高度経済成長期の一九六二年に最も大きくなった後、縮小、拡大を繰り返しつつ、一九九四年、九五年に一旦転出超過となってございます。その後は一貫して転入超過の状態を継続しているところでございます。

 直近の結果でございます二〇二二年について申し上げますと、東京圏は九万四千四百十一人の転入超過となっておりまして、二〇二〇年以降二年連続で縮小してまいりました転入超過数でございますが、昨年に比べまして一万三千九百七十人の拡大と、直近はこういう状態でございます。

奥野(総)委員 なかなか分析を言うのは難しいと思うんですが、これは二ページを見ると分かりやすいんですけれども、オイルショックでがくんと減っているんですね。それ以前は地方からどんどん東京に流入、高度成長期はどんどん首都圏に人口が流入してきたんですね。オイルショックでがくんと下がって、そこからまた少しずつ増えていくんですが、今度は恐らくバブルで、地価の高騰で、首都圏では流入が減っている。バブルがはじけてまた増え出すんですが、今度はリーマン・ショックで減る。また増え出すんですが、今度はコロナで少し下がっているというのが大体見て取れると思うんですね。

 地方創生というのは、二〇一四年の、当時、安倍総理が打ち出した、人口減少に歯止めをかけて消滅可能都市を消滅させる、こういうコンセプトだったと思うんですが、このときの目標が、二〇一四年当時の目標は、二〇二〇年までに東京圏の転入超過、当時十万人あったものをゼロにすると言っているんですが、結局、元に戻って十万人なんですよ。実はこの間も増えていて、十万人から十四万人まで増えたんですが、コロナで一旦下がったんですが、また元に戻りつつあるんですね。御承知のように、出生率の低下にも歯止めがかかっていない。この施策をやってから更に下がっているということであります。

 ローカルアベノミクスと言っていますが、実は経済に影響されていて、地方創生は全然関係なく、景気に左右される面が物すごく大きいと思うんですよ、この表を見ても分かるんですけれどもね。

 これでいくと、またコロナ禍が、終息したとまでは言いませんが、落ち着いてくると、また首都圏へ戻ってくるんじゃないか。今年も増えていますから。そうすると、過去、これを見ると、多いときは二十万人近い転入超過になっているんですね。だから、これまた転入超過が増え出すんじゃないかというふうに思われます。

 これは内閣府、先日、予算委員会で同じ話を伺いました。そのときは、岡田大臣は、首都圏への流入の均衡については一定の成果を上げたという答弁をされているようなんですが、コロナ禍で一時的に止まっただけであって、また元に戻りつつあるんじゃないですかね。いかがでしょうか。

自見大臣政務官 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、直近のデータでは東京圏への転入超過数が一・四万人の増加に転じておりますが、第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略策定前年の二〇一九年に約十四・六万人から二〇二二年には約九・四万人と、三年間で約五・二万人減少したことは事実でございまして、新型コロナウイルス感染症の影響にも留意が必要であるものの、地方創生移住支援事業を活用し、約千三百市町村が東京圏からの移住促進に取り組み、実際に約三千人の移住者が生まれたこと、また、地方拠点強化税制等により企業の地方移転を推進したこと等により、二〇二一年には首都圏への企業転入転出動向が十一年ぶりに転出超過となったことなど、地方への人の流れの拡大に向けたこれまでの様々な取組は一定の成果を上げたものとは考えてございます。

 また、他方で、進学や就職を契機とした十代後半から二十代の若年層の東京圏における転入超過は依然として継続していることから、現状では地方と東京圏との転入転出の均衡はいまだ達成できていない状況にあると認識をしております。

 このため、昨年十二月に閣議決定をいたしましたデジタル田園都市国家構想総合戦略におきまして、人の流れをつくることを引き続き重要な柱の一つとして位置づけておりまして、具体的には、デジタル田園都市国家構想交付金におきまして、移住における子育て世代加算額を子供一人当たり最大三十万円から百万円に増額するとともに、移住や二地域居住に活用する集合住宅など民間事業者の施設整備に対する間接補助を創設するなど、地方移住や地方創生に資するテレワークの更なる推進に取り組んでいくこととしてございます。

 こうした取組を通じて、デジタルの力も活用しつつ、全国どこでも、誰もが便利に快適に暮らせる社会を実現することで、東京圏への過度な一極集中の是正を引き続き図ってまいりたいと思います。

奥野(総)委員 まず、二〇一九年から減ったと言いますが、二〇一九年までは増えているんですよね。地方創生第一期は流入超過、増えているんですよ。ですから、明らかに一九年から二二年の減少というのはコロナの影響が大きいと思うんです。

 また、若年層の流入がまた増えていますが、今年の傾向として、統計局に伺うと、それ以上の年代、四十代、五十代も少し転入が増えつつあるという傾向が見て取れるので、またこれは戻ると思われます。

 移住が増えていると言いますが、確かに移住を増やしている面があるんだけれども、それ以上に出ていっているということがあって、これだけ移住したというのはいいんですが、トータルで見たときに全然変わっていないんですね。これはこのグラフを見れば分かりますけれども、少しぐらいお金を使っても傾向を変えることはできない。結局、住環境だったり、病院があったりとか交通機関があったり、いろいろなものに左右されると思うので、地方創生だけやっていても、私はお金の無駄遣いじゃないかと思うんですね。むしろ、だから、自治体に交付税を交付して、現場できちんと判断させた方がいいと思うんです。そうしないと、本当に財政規律が緩んでいると思います。

 地方創生臨時交付金十七兆、これは全部が悪いとは言いません。マスクとか病院とか病床の確保とか、いろいろなところで役には立ったんですが、その中で地方単独事業が五兆円ぐらいあったんですかね。そこが結構、私は財政規律を緩める元になったかと思うんですね。有名なのはイカキングとかいうのがありますが、例えば、富山県は公用車を六台買っている、EVを買っているんです。それは悪いことだとは言いませんが、交付税の中でやればいいと思うんですよ。地方創生臨時交付金が来たから買うというんじゃなくて、きちんと財政規律を持たせるようにやればいいと思っているんですね。

 一つ例を挙げますけれども、神流町というんですかね、つり橋の整備というのが資料でつけてありますが、地方創生臨時交付金で設計までやって、そして今度のデジ田交付金で実際の拠点整備か何かでまた申請しているんですよ。これはちょっとおかしいと思うんですよね。評価をしなきゃいけないはずなんですが、地方創生臨時交付金の場合は。設計だけやって、どうやって評価するんですか。評価のしようもないと思うんですよ。この設計がいいとか悪いとかというのは評価にならないと思うんですね。

 まず自治体が自分で評価して、それを公表するというスキームのようなんですが、それの限界のように思いますが、この問題についていかがでしょうか。

自見大臣政務官 お答え申し上げます。

 地方創生臨時交付金は、基本的な感染拡大防止や地域経済の下支え、昨今では物価高への対応など、様々な支援に活用されており、令和二年度に完了した事業を対象として国が行った効果検証においても、ほとんどの自治体が本交付金によって感染防止及び経済活性化に関しても効果的であったと評価しているほか、有識者からも、感染拡大の初期段階における初動対応や地域経済を支える上で意義があったとの評価がなされているところでもあります。

 現在、令和三年度に完了いたしました事業につきましては、有識者の御意見を伺いながら調査、分析を進めているところであり、引き続き、国としても本交付金の効果検証に取り組んでまいりたいと思っております。

奥野(総)委員 自分で評価して、もちろんいい施策もあるんですけれども、自分で評価するわけですから、この施策は間違っていましたと言うわけはないんですね。評価も、これは公表が、資料をつけていますが、これはちょっと古いんですけれども、ほとんど公表していない自治体が多いんですよ。実施状況で四七%、事業効果で六三%、これより若干進んでいるんでしょうけれども、ちょっと今日は時間がありませんからあれですけれども。

 令和三年度の事業について評価がどのぐらい進んでいるかというのはまだ分かっていないとおっしゃっていましたけれども、評価をしないでどんどんお金だけ配っているということで、最後、大臣に伺いたいんですけれども、これはやはり、財政規律が緩むんじゃないんですか。予算委員会でも聞きましたけれども、やはり交付税で、一般財源で渡しておいて自分で責任を取ってもらう、そういう仕組みがいいと思うんですが、いかがでしょうか。

浮島委員長 松本大臣、時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

松本国務大臣 先日も委員とは予算委員会で御議論をさせていただいたところでありますが、今回、この地方創生臨時交付金、これについては、やはり、新型コロナウイルス感染症や物価高騰への対応ということで設けられた交付金であり、その中で自由度高く取り組むことが大切だということで、このような交付金の制度となっているというふうに理解をいたしております。

 その上で、これも申し上げてきたところでありますが、総務省といたしましては、やはり地方自治体が自主的、主体的に取り組むこと、その財源を確保するために、地方財政措置を講じることにはしっかり取り組んでいきたい、このように考えておりまして、是非御理解をいただけたらというのが現在の私の立場でございます。

奥野(総)委員 短くまとめますけれども、全てが悪いと言っているわけじゃないんですが、地方創生という言葉の下でお金をどんどん配っている。もちろんコロナ対策とかは大事なんですけれども、それが結構財政規律を緩めてしまっているんじゃないかということを申し上げたかったんですね。

 きっちり分権を進めて、財源を自らの自治体の責任で調達をして使うような仕組みにしなきゃいけないというふうに思っております。

 私の質問は以上であります。今日はありがとうございました。

浮島委員長 次回は、来る十四日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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