衆議院

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第3号 令和5年2月14日(火曜日)

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令和五年二月十四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 武村 展英君 理事 鳩山 二郎君

   理事 石川 香織君 理事 奥野総一郎君

   理事 市村浩一郎君 理事 守島  正君

   理事 中川 康洋君

      東  国幹君    井林 辰憲君

      井原  巧君    金子 恭之君

      川崎ひでと君    国光あやの君

      小森 卓郎君    佐々木 紀君

      坂井  学君    島尻安伊子君

      杉田 水脈君    田所 嘉徳君

      中川 貴元君    西野 太亮君

      長谷川淳二君    古川 直季君

      務台 俊介君    保岡 宏武君

      渡辺 孝一君   おおつき紅葉君

      岡本あき子君    神谷  裕君

      重徳 和彦君    道下 大樹君

      湯原 俊二君    阿部  司君

      伊東 信久君    中司  宏君

      輿水 恵一君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君    吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   デジタル副大臣      大串 正樹君

   総務副大臣        尾身 朝子君

   総務副大臣        柘植 芳文君

   内閣府大臣政務官     自見はなこ君

   総務大臣政務官      国光あやの君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)

   (内閣府地方分権改革推進室長)          加藤 主税君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 五味 裕一君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           布施田英生君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        北波  孝君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局審議官)        山澄  克君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   山本 和徳君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   今川 拓郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           鈴木 信也君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  稲山 文男君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  清水 正博君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  原  邦彰君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            小笠原陽一君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   阪本 克彦君

   政府参考人

   (総務省サイバーセキュリティ統括官)       山内 智生君

   政府参考人

   (消防庁次長)      澤田 史朗君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十四日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     東  国幹君

  中司  宏君     阿部  司君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     佐々木 紀君

  阿部  司君     中司  宏君

同日

 理事市村浩一郎君同日理事辞任につき、その補欠として守島正君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

二月十四日

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)

 地方自治及び地方税財政に関する件(令和五年度地方財政計画)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事市村浩一郎君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に守島正君を指名いたします。

     ――――◇―――――

浮島委員長 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官、内閣府地方分権改革推進室長加藤主税君、内閣府大臣官房審議官五味裕一君、内閣府地方創生推進室次長布施田英生君、内閣府子ども・子育て本部審議官北波孝君、個人情報保護委員会事務局審議官山澄克君、デジタル庁審議官山本和徳君、デジタル庁審議官内山博之君、総務省大臣官房長今川拓郎君、大臣官房総括審議官鈴木信也君、大臣官房地域力創造審議官大村慎一君、行政管理局長稲山文男君、行政評価局長清水正博君、自治行政局長吉川浩民君、自治行政局選挙部長森源二君、自治財政局長原邦彰君、自治税務局長池田達雄君、情報流通行政局長小笠原陽一君、政策統括官阪本克彦君、サイバーセキュリティ統括官山内智生君、消防庁次長澤田史朗君、文部科学省大臣官房審議官安彦広斉君、厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子さん及び厚生労働省大臣官房審議官日原知己さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。

 十五分なので早速始めたいと思いますが、まず能動的サイバー防御の話ですけれども、国家安全保障戦略、三文書のうちの一つ、根幹のところですが、その中に、能動的サイバー防御の導入及びその実施のために必要な措置の実現に向けた検討というので、具体的に、サイバー安全保障の政策を一元的に総合調整する新たな組織の設置とありますが、当然これは総務省やNISCが関わるべきだと思いますが、どのように関わっていくのか。また、不正アクセス防止法とか電気通信事業法とか電波法とか関連の法制があると思うんですが、それらの改正につながるのかどうかということを伺いたいと思います。

松本国務大臣 奥野委員に御答弁を申し上げたいと思います。

 昨年十二月に閣議決定された国家安全保障戦略において盛り込まれた能動的サイバー防御の導入やサイバー安全保障の政策を一元的に総合調整する新たな組織の設置については、情報通信インフラやそのサイバーセキュリティー対策を所管する総務省としても、関係する政府の一員として、その実現に向けて検討を進めてまいります。

 昨今では、サイバー空間は国民の生命、人権、財産に関わるものとなっており、政府機関や重要インフラ事業者のみならず、様々な方々がサイバー攻撃の標的となっております。サイバーセキュリティーを確保していくことは、能動的サイバー防御を含めて、国として必須であると考えております。

 具体的には、関連の法制度については、例えば、能動的サイバー防御の実施体制の整備に向けて、電気通信事業者が役務提供する通信に係る情報を活用し、所要の取組を進めることについても、通信の秘密の保護や役務の円滑な提供を確保しつつ、内閣官房と連携して検討を進めてまいります。

 技術や人材育成の観点では、今御指摘がありました情報通信研究機構、NICTの技術や知見も活用して、政府機関のセキュリティー向上や官民の人材育成の更なる拡充などを通じて、サイバー安全保障分野での対応能力の向上の実現に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 これは大事な話だと思うんですね。まさに、政府を挙げて司令塔をつくるというのは、大事な話だと思います。やるべきだと思いますが、ただ、通信の秘密をどこまで尊重するかという話が常に出てきて、スノーデンとか、アメリカだとそういう話もありましたから、やはりこれまで総務省はそういうところに気を遣いながらやってきたと思うんですね。

 ですから、ちゃんと中に入って、防衛省とかも含めて話をされるんだと思いますが、しっかり、個人情報の保護とか通信の秘密について、国民の不安をあおらないようなきちんとした取組を総務省中心でやっていただきたいというふうに思います。

 これは、スケジュール的には、通告していませんが、どんな感じになるんですかね。来年の通常国会とか、そういう形になるんでしょうか。

山内政府参考人 質問にお答えをいたします。

 まだ関連法制度の整備につきましては、先ほど大臣の方から答弁をさせていただきました国家安全保障戦略に基づく検討をこれから進めていくということになってございます。(奥野(総)委員「もうちょっと大きな声で」と呼ぶ)失礼いたしました。声が小さくて恐縮です。

 関連する法制度につきましては、政府としてこれから国家安全保障戦略に基づく検討を進めていくということになってございます。したがいまして、現時点ではまだ時期について明確に決まっているものはございません。

奥野(総)委員 書き込まれているわけですから、政府としては急ぐということだと思うんですけれども、今、現時点で答えられないというのであればやむを得ないと思いますが、受け身じゃなくてしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それから、ふるさと納税の話ですけれども、お話を伺いますが、年末の朝日新聞に、ふるさと納税の赤字の自治体が四分の一だ、一億円を超える町もあります、税収が減った分の四分の三は交付税として穴埋めされているんだという記事がありましたが、これは事実関係はどうなんでしょうか。

松本国務大臣 御指摘の報道については、寄附金受入額から、返礼品の調達費用を含む募集経費と住民税控除額を差し引いて分析をされているものというふうに承知をしておりますが、受入額、募集経費、控除額など、それぞれの数字は総務省として把握をしておりますが、対象期間が年度と暦年で異なっていることもあり、単純な比較はできないため、総務省としてはそのような差し引くような分析は行っていないところでありますが、その上で申し上げましたら、ふるさと納税については、個人住民税の一部を実質的に自治体間で移転させる仕組みであるから、結果として個人住民税の控除額が増収額を上回る団体は生じ得るということになってきております。

 今、七五%、四分の三ということですけれども、地方交付税の算定においては、地方税法の特例措置の規定に基づくふるさと納税制度により生じる寄附金の税額控除による個人住民税の減収は、個人住民税の収入見込額から控除することとしておりまして、その結果、減収分の七五%が基準財政収入額に反映をされる、制度上、そのような仕組みになっているということでございます。

奥野(総)委員 四分の一は赤字というかどうかは定かではないけれども、当然、黒字の団体が出るということは赤字の団体も出るということですし、赤字の団体については、基準財政需要額の中で処理をすることで、交付税がしかるべく措置をされているということですね。

 この問題、僕はずっと昔から言ってきているんですが、そもそも行政経費に充てるものが、以前ほどはひどくなくなりました、以前は家電であったり関係ないところに使えるようになっていたんですけれども、大分是正はされてきつつあると思いますが、ほかの部分に化けていくというのはおかしいんじゃないかとずっと言い続けてきました。

 改善されているんですが、百歩譲って、地方の特産品にお金が回って地方創生に役立つんだという言い方もできるかもしれませんが、ただ、サイトに、広告宣伝費ですよね、特定の、テレビでもいろいろやっていますが、ああいうところにお金を払っていく、その経費に使われるというのは、全然関係ないところにお金が行っているわけですよ、行政と関係ないところに。広告宣伝費に行くのは、私はおかしいと思うし、それから、返礼品も大分改善されてきているとは思いますけれども、本当にその地域の振興に役立つのかというところはよく考えなきゃいけないと思うんです。

 持論ですけれども、むしろプロジェクトファイナンスのような形なら分かるんですね。こういう事業がありますから、ふるさとのこういう事業に寄附してくださいというのなら分かりやすいんですけれども、二千円でいろいろなものが買えます的な話だと、ちょっと私は趣旨が違うと思うんですよ。

 この同じ記事の中で、法政大の平田先生という方も私と同じ話をしているんですが、手数料の規制などを考えるべきだ、こう言っています。これもちゃんと通告していませんが、もう一回、ふるさと納税全体の評価と、それから、今のままでいいのか、例えば手数料については規制すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

池田政府参考人 制度の仕組みについてお答えをいたします。

 先ほど、返礼品の調達を含む募集経費の件について御指摘がございましたが、指定制度の下では、一年間に受領する寄附金額の五割以下とすることが定められております。したがいまして、この指定制度の導入前後で比較をいたしますと、返礼品調達を含めた募集経費の割合がおよそ一割程度減少しておりまして、例えば、平成二十五年度で、この募集経費、五五・五%ぐらいに上っていたものが、足下、令和三年度では四六・四%、こういうふうになってございまして、こういうこともございますので、この指定制度の下でふるさと納税制度が適正に運営されるように取り組んでまいりたいと思います。

 また、クラウドファンディングの件についても御質問ございました。これにつきましても、私ども、非常に望ましい形でのふるさと納税だというふうに考えてございますので、優良事例を紹介したりいたしまして、その横展開に努めているところでございます。

奥野(総)委員 規制は設けているんですが、本来、行政経費に回るところが半分違うところに行っているというのは間違いないと思うんですよね。だから、本当にそのやり方でいいのかというのは、もう一回疑義を呈しておきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

松本国務大臣 今委員からもお話がありましたけれども、目的を明示するなどということも含めて、ふるさと納税そのものについては一定の意義があるものというふうに考えている中で、これも委員から御指摘がありましたけれども、返礼品の在り方であるとか、今局長から御説明申し上げましたけれども、募集経費等についても改善すべき点があるということで、指定制度などを導入をさせていただいたところでございまして、今申し上げたように、募集経費五割という中には返礼品三割以下というのが含まれていることも委員はよく御案内のとおりだろうというふうに思いますが、そういったことも含めて整理をさせていただいておりますが、今後も、本来の意義に沿った形で運用されるように、運用の状況を私どもとしてもしっかり注視をして、もし必要であれば、また関係方面の皆さんの御意見もお聞きをしながら対応を考えてまいりたいというふうに思っております。

奥野(総)委員 先週も、予算委員会でもそうなんですが、地方創生について本当に機能しているのかという話もさせていただきました。ちょっと国が介入し過ぎているんじゃないかと思うんですね。だから、もっと、むしろ分権をきちんと進めていく中で、財政なんかも水平的な調整をきちんとやっていく、ふるさと納税もそういえばそうなんですけれども、努力したところにということの趣旨かもしれませんが、もう少し大きな視点で在り方を考えるべきだと思うんですが。

 大きな視点で、最近、道州制というのは全然聞かなくなったんですが、今どうなっていますかという話と、それから、もう一回、最後、時間があれですけれども、大臣に伺いますけれども、分権の在り方です。民主党政権のときは、国の権限を地方に移譲するというところまで突っ込んでやろうとして、法案、たしか通らなかったんですが、もう少し大きな権限移譲とかを含めた地方分権を進めていくべきだと思いますが、大臣、いかがですか。二点伺って、終わりにしたいと思います。

自見大臣政務官 お答えいたします。

 まず、御指摘のあった道州制につきましては、平成十八年に第二十八次地方制度調査会におきまして道州制のあり方に関する答申がなされて以降、各党において様々な議論がなされたところでございますが、道州制の推進に関する法律の提出の動きに対しまして、全国町村会などから強い反対の声があったものとも承知をしてございます。

 道州制は、国と地方の在り方を根底から見直す大きな改革であることから、その検討に当たりましては、地方の声を十分にお聞きしつつ、国民的な議論を行いながら丁寧に進めていくことが重要であると考えており、国会における御議論も踏まえつつ、対応してまいりたいと思います。

 また、地方分権改革についての御質問もございました。推進につきましては、地方が自らの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものでございますので、地方創生において極めて重要なテーマであると認識をしております。

 現在進められている地方分権改革に関する提案募集におきましては、地方から寄せられた提案に基づき、地方分権改革を推進しているところでございまして、令和四年の提案募集におきましては、調整の対象となった二百三十五件のうち、約九割について何らかの対応ができることとなってございます。

 引き続き、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って、地方の自主性、独立性を高めるための取組を確実かつ強力に進めてまいりたいと存じます。

松本国務大臣 御案内のとおり、国と自治体は、国民の福祉の増進という共通の目的に向かって適切な役割分担の下で相互に協力する関係にあります。

 自治体は、広く住民生活に身近な行政サービスを担って、日頃から住民のために力を尽くしておられ、大変重要な役割を果たしている。このような自治体が地域の実情に応じて住民ニーズにきめ細やかに対応していく上で、地方分権の推進は極めて重要であるというふうに考えております。

 平成十一年の地方分権一括法の制定を始めとして、累次の一括法による義務づけ、枠づけの見直しや、国から地方への権限移譲の推進などにより、地方分権改革は着実に進められてきているというふうに認識をしております。

 今後とも、地方の声を十分に伺いつつ、内閣府を始めとする関係省庁と連携して、自治体の自主性、自立性の拡大に向けて、適切に対応してまいりたいと存じます。

奥野(総)委員 ありがとうございました。

 提案も、だんだん大玉がなくなってきて、本当に難しいものが残っているのか。あと、着実な前進というのは大事なんですけれども、もう少し抜本的にこれから検討すべきだと思います。

 以上です。

浮島委員長 次に、湯原俊二君。

湯原委員 おはようございます。ありがとうございます。立憲民主党の湯原俊二です。よろしくお願いします。

 それでは、まず、マイナンバーカード、問いとしては一問になると思いますけれども、先日も、同僚議員のおおつき議員が質問しましたけれども、岡山県の備前市の話であります。

 御案内のように、岡山県備前市が、保育料無償、あるいは給食費の無償、農林水産業の補助等についても、世帯全員のマイナンバーカード取得が条件というふうにして、昨日、私も改めて備前市さんに確認しましたけれども、その方向性は変わっていないように承りました。これは、あくまでもマイナンバーカードは任意取得でありますので、任意取得のマイナンバーカードのはずなのに、やはりおかしいと言わざるを得ないのではないかというふうに思います。

 こうした備前市さんの方針を、改めて、総務省としてはどう捉えているのか、御答弁願いたいと思います。

松本国務大臣 私どもとしては、お尋ねの備前市の取組については、現在、その詳細は検討中であるというふうに聞いておりますけれども、マイナンバーカードの関連にかかわらず、自治体がそれぞれ個別にどのような政策を展開するかについては、各自治体において住民の御意見や議会などの御議論を踏まえて十分御検討の上、御判断をいただきたいと考えております。

 マイナンバーカードは、地方のDXの基盤となるツールで、その普及促進は、住民の方々の利便性向上、自治体職員の事務負担の軽減につながるものというふうに考えているわけであります。

 そのために、総務省としては、マイナンバーカードの普及促進のため、自治体との間の連絡体制を確立し、国の施策の最新情報や、申請促進や利便性向上に係る全国の先進的な取組事例をきめ細かく提供するとともに、それぞれの自治体における現状や課題をよく伺った上で丁寧に助言するなど、自治体の取組をしっかりと後押ししているところであります。カードを取得していない方に対して特定のサービスを停止するよう要請するものではございません。

 国民の皆様にデジタル化のメリットを享受していただけるよう、引き続き、カードの普及促進及び利便性の向上に取り組んでまいりたいと考えますし、個別にどのような政策を展開をするかについては、先ほど申しましたように、備前市におかれても、住民の御意見、議会での御議論などを踏まえて、十分に丁寧に御検討いただいて御判断を賜りたいというふうに考えております。

湯原委員 今、総務大臣からあったわけでありますけれども、一つ二つ、答弁を要約して申し上げると、備前市さんが今検討中だというふうな認識を持っていらっしゃる、これが一つ。もう一つは、各自治体で判断されることという御認識。その上で、マイナンバーカードを取得しているかどうかで様々な行政サービスを停止することを要請するものではない、こういう答弁であったかと思います。

 しかし、検討中であることですけれども、結果的に、もしこのまま進んでいけばどうなるのかと見ると、総務省さんとしては任意取得といって始まったマイナンバーカードを持っているかどうかによって、例えば教育における行政サービスに差が出てしまうということに結果としてなるわけです。総務省さんは、地域主権というか地方分権で、それぞれの自治体の権限ですよ、あるいは停止を要請するものではないですよと言いながら、結果として、任意取得であるマイナンバーカードによって、教育を始めとする様々な行政サービスに差が出てしまう。住民にとっては差が出てしまう。このことについて私は、どう思われますかということを申し上げているわけで、もし反論があれば言ってもらいたいと思います。

 その上で、再質問としますけれども、私は、どうしてここまでになってきたかというと、やはり、国が任意取得といって始めたマイナンバーカード、途中からギアが余りにも変わり過ぎて、半ば強制的になってきた。

 昨年来あるように、五百億円を地方交付税に上乗せしましたから、その五百億円を上乗せした分を、マイナンバーカードを取得した、高いところに配分しますよ、こう言っていますけれども、結果として、取得率によっては、交付税総体的の中での差が出てくるわけであります。あるいは、デジタルの関係の補助金においても、特にAランクのところについては、マイナンバーの取得が全国の平均以上でないと申請できませんよと。

 こういう政府自体のやり方が、自治体をあおっている。血眼になって取得率を上げなきゃいけない。そのためにどうするかというと、先ほど申し上げた備前市さんがいい例だと思いますけれども、あちこちでこういう事象が起きてきた。備前市さんを批判するというよりも、大本のところは、国がミスリードをしている。途中からギアを余りにも変え過ぎたがために、自治体が、ある意味被害者で、血眼になって、こういう施策展開をしてまで普及率を上げなければならない、こういうことになっておりまして、国の責任という原因があるのではないかと思いますけれども、この点、御答弁いただきたいと思います。

松本国務大臣 まず、自治体独自の政策について、どのような方を対象とされるかということも含めて、各自治体に御判断をいただくことについて、私どもの方からコメントを申し上げることは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

 その上で、交付率の交付税算定への反映についてお話がございました。

 これも委員が御指摘のとおり、今回、地域デジタル社会推進費のうち、マイナンバーカード利活用特別分として増額する五百億円、この中で一部をカードの交付率も活用して算定をするということ、これは委員御案内のとおりでありますが、これは、カードの普及に伴って、カードを利活用した住民サービス向上のための取組に係る財政需要を的確に算定に反映する観点からカードの交付率を用いるものでありまして、カードの交付率の普通交付税算定への反映は財政需要を的確に算定に反映をするもの。政策誘導や自治体間の競争をあおるものではありません。

 各種補助金の申請条件等の制度設計については、それぞれの所管省庁について、その趣旨、目的を踏まえ適切に検討されるものというふうに考えているところでございます。

湯原委員 大臣は、平行線かと思いますけれども、地方分権ですから自治体の判断ですよという答弁であったと思います。

 私、これから先、たらればの話をしてはいけないかもしれません、この先のことをもっと懸念するんです。

 こういうことが、つまり、マイナンバーカードを普及させることによって、その自治体でデジタル関係の情報のインフラがどんどんそろっていきますよという話につながっていく効果があるということだと思いますが、この先で、様々な行政サービスを、今後、マイナンバーカードが普及している自治体と、していない自治体で差が出てくるのではないか、こう考えるわけです。

 今、備前市の、こういった幾つかの、無償になるかどうか、補助金がどうかというのはありますけれども、これから先、国がデジタルを進めなきゃいけない、進めなきゃいけないという状況の中で、おたくの自治体はマイナンバーカードが普及していないじゃないですか、こういう状況になりかねないんじゃないか。そうすると、そこの自治体はどうするかというと、備前市さんのように、とにかく普及率を上げるために、様々な行政サービスをもっともっと差をつけていくようになっていくんじゃないか、地域住民に対して。

 今回は初めでありますけれども、今後、こうしたことが波及していく、もっと拡大していくんじゃないかという懸念を私は持っております。コメントがあれば求めたいと思いますが。ということで、じゃ、次の質問に行きますかね。私はそのことを懸念しております。ここで終わっておきますね。

 次に、過疎地域の医師不足について質問をしたいと思います。

 総務大臣、地方、過疎地域に住む住民の命と健康を守ることは、総務行政においても非常に重要と考えますが、この点について、基本的な姿勢であると思いますけれども、御所見を求めたいと思います。

松本国務大臣 その前の件についても、繰り返しになりますが、私どもがマイナンバーカードの保有の有無でサービスの提供を停止するようなことを要請したことがないということが一つと、デジタルトランスフォーメーションの推進は、そのことによって、先ほども申しましたように、住民の皆様にとっても、また各自治体職員の皆様にとっても資するものがあるという考えで、そのツールとしてのマイナンバーカードの普及の促進を進めていることであります。

 その意味では、マイナンバーカードを保有することで利便性が向上するようになるという面はあろうかというふうに考えておりますが、是非、その利便性などを御理解いただいて普及が一層広まることを期待しますし、そのことにつながるように我々も政策を展開していきたいというふうに思っております。

 そこで、御質問いただきました医師不足に関連する過疎地域の対応でありますが、住民の命と健康を守る医療がどのような地域でも安定的に提供されることは大変重要であるということでありまして、委員と共通の認識であろうかというふうに思います。

 一方、過疎地域では、医師不足などの課題を抱えている、持続可能な医療提供体制を確保する上で厳しい状況に置かれているというふうに認識をいたしております。

 総務省においては、限られた医師、看護師などの医療資源を最大限効率的に活用するという視点を重視した公立病院経営強化ガイドラインを昨年三月に策定しまして、各地方自治体に経営強化プランを作成するよう要請をしております。

 経営強化プランにおいては、病院間の機能分化、連携強化、医師派遣などの取組について記載をすることとしておりまして、このような取組を通じて、過疎地域においても持続可能な医療提供体制が確保されるよう、公立病院の経営強化を推進しております。

 そして、このような取組を後押しするとともに、過疎地域など不採算地区においても必要な医療が提供されるよう、医師、看護師などの派遣に要する経費や、不採算地区の病院の運営に要する経費などに対して、財政措置を講じております。

 今後とも、地域医療の実態を踏まえつつ、必要な財政措置を講じるなど、持続可能な地域医療提供体制の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

湯原委員 平行線ですから蒸し返すつもりはないですが、一言だけマイナンバーカードで言っておけば、私も、普及させるのはいいと思いますが、普及率を上げることになっているのは過度になっているんじゃないですかということを私の思いとして持っていますので、普及に反対というわけじゃないんですけれども、過度にあおっている、あるいは、自治体がそれをそう感じて様々な施策展開をしているのではないかということを懸念しているということでありますので、そういうことを御認識いただきたいと思っています。

 過疎地域の医師不足、大臣からは大変重要ということで、私と共通認識だということで、その後、様々な総務省としての展開を、今の、公立病院経営強化ガイドラインを策定して、様々な展開、財政支援もしていますということをおっしゃっていただきました。

 私も同意見でして、私は、過疎地域の医療、医療は当然コスト意識を持たなきゃいけないと思っています、そうはいっても。赤字の垂れ流しをどんどんしてもいいというものでもないと思います。私は、同様の問題で思っているのは、地方の、JRさんのローカル線の話もありますが、コスト意識を持たなきゃいけないと思っています。

 ただ、一方で、そのコスト意識を持ちながら、病院でいえば、医療でいえば、住民の命、健康を守る点で、地域の自治体が判断をして、税金を投入してでもやはりこの医療インフラを守らなきゃいけないんだ、そういうところに対しては、やはり財政支援をしていくべき。自治体が税金を使ってもいいですし、さっき大臣がおっしゃったように、国からも、現在あるように、公立病院経営強化ガイドラインを策定した後に、公立病院の医師派遣等を特別交付税で支援をされている、こういうことを大変私は評価をしておりまして、私も大賛成であります。

 しかし、一方、一昨年から議論があるんですけれども、厚生労働省の方で、高齢者数がピークになる二〇四〇年へ向けて、地域医療の再編に向けた議論を始め、病床削減など、病院再編統合を促す方向になると。一昨年、その前から議論はあったんですけれども、また、先日、新聞等で私も仄聞したわけでありますけれども、この点についてどのようなことになっているのか、お聞かせ願いたいと思います。

 この点について、昨年十一月、知事会等地方六団体及び全国の自治体病院協議会等の要望が出されております。そこに書かれているのは、地域医療構想は地域の実情に即して検討を進める、国が地方に対して、公立・公的医療機関等の見直しを性急に求めることは極めて問題である。六団体等で、極めて問題であるというのは、なかなか、トーンとしては余り聞かれない言葉であると思うんですけれども、極めて問題である、こういうことを地方六団体、自治体病院の協議会等は国に対して要望を出しておりまして、昨年十一月であります。

 厚生労働省では、私が仄聞した件でありますけれども、医療再編計画等々について今どういう状況なのか、教えてもらいたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省では、今、中長期的な人口構造の変化など地域の医療ニーズが大きく変わる中で、病床の削減ですとか統合、こういったことではなく、それぞれの地域ごとの実情に応じた病床機能の分化、連携、これにより質の高い効率的な医療提供体制を確保することを目指して、まずは、二〇二五年に向けた地域医療構想、これを進めているところであります。

 先生御指摘の二〇四〇年に関しましては、一方で、医療提供体制につきましては、昨年十二月、全世代型社会保障構築会議、こういったところの報告書でも、質の高い、効率的な効果が出るような医療提供体制、こういったことを不断の見直しを行って、長期的に進めるようにと。また、昨年十二月、社会保障審議会の医療部会、これは厚生労働省の審議会でありますが、この中でも、高齢者人口がピークを迎えて減少に転ずる二〇四〇年頃までを視野に、新たな地域医療構想を策定すべき、こういった御示唆をいただいているところであります。

 厚生労働省では、ただいま、先ほど申し上げましたように、二〇二五年に向けました地域医療構想、これにつきまして、公的医療機関、また民間機関を含めた医療機関の対応方針策定や見直し、こういったことを自治体の御協力をいただきながら進めているところでありまして、先ほど来の会議体、こういったところの御指摘を踏まえつつ、二〇二五年以降の地域医療構想についてもこれから検討してまいりたいというふうに考えております。

湯原委員 ありがとうございます。

 厚労省としては、中長期的に、病床削減ではなく、質の高い、言葉ではすごくきれいにおっしゃっていますが、質の高い、二〇二五年までに新たな見直しをしていく、こういう方向であったと思いますけれども、私は、結果的に、一昨年来ずっとあるように、過疎地域における公立病院等の統廃合につながっていく、結果的にですよ、なっていくのではないかと懸念するわけです。

 私は当然、先ほど来申し上げているように、コスト意識はあるべきだと思っています。コスト意識はあるべきですけれども、結果として、特に過疎地域の高齢者の医療アクセス、この権利を抑制してしまうことになるのではないか、こう懸念するわけであります。これについて、もし反論があれば、言ってもらいたいと思います。

 その上で、病院だけではなくて、医師においても偏在があります。

 今までの議論は病院の統廃合の話でありますけれども、医師についても、結果的に、病院が統廃合になれば医師の偏在も出てくるわけでありますけれども、現時点でも医師の偏在がありまして、私は鳥取県ですけれども、鳥取県内においても、鳥取市、倉吉市、米子市といった都市部には、大学病院があったり、大きい病院がありますけれども、中山間地域、より過疎地域においての、地域間の中でも、都道府県の中でも偏在がある、こういうこともあると思っています。

 つまりは、ミニ一極集中みたいなのが地方においてもあるのかなというふうに思っていますけれども、さっき厚生労働省が考えている方向としては、これを助長してしまうのではないかという懸念を持つんです。総務省さんとしては、地域の医療を守るべきで、公立病院の経営強化ガイドラインをしながら支援をしていっている。片一方では、厚労省では、新たな見直しということで、二〇四〇年度を見ながら二〇二五年度に見直していく。結果として、こちらでは統廃合が進んでいくのではないか。

 こういう、総務省と厚労省のベクトル、方向が違うのではないかというふうに思うわけでありますけれども、この点について御答弁いただきたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、ただいま進めております地域医療構想、これは、将来の中長期的な人口構造の変化、また地域の医療ニーズ、こういったことを踏まえて、質の高い、効率的な医療提供体制を確保する、こういったことを目標として進めているところであります。

 都道府県とともにこれは議論しながら進めているわけですけれども、国から示します地域医療構想の策定に必要な推計方法、これに基づきまして、将来の医療需要及び病床数の必要量、それを医療機能ごとに推計した上で、各地域におきまして、各々の実情、地域の実情を踏まえて十分議論をいただいた上で、地域医療構想を策定していただいているところであります。

 厚生労働省としても、都道府県の各種取組に対しての財政支援、これを行っておりまして、引き続き、地域地域の実情に応じて、よく地方とも議論しながら進めてまいりたいと考えております。

湯原委員 ありがとうございます。

 地域の実情を踏まえて、地域の声を聞いて取り組んでいくということをおっしゃっているんですが、努力はされているのは認めますが、ただ、結果としてそういうふうになっているのか、これから先もなっていくのかということを非常に心配していますし、現実はなっていないんじゃないか。

 現実的に、これから申し上げますと、さっきは病院の話、医師の話を申し上げます。

 資料一をお配りしておりますが、御覧いただきたいと思います。

 これは、令和四年の厚生労働省白書に上がっているものであります。私が間違った説明をすると問題でありますので、ここの厚生労働省白書の記述を読みますと、この十三ページにありますけれども、これは厚生労働省白書です、令和四年。医師の全体数は増加しているが、医師の地域偏在が残る。医療施設に従事する人口十万人対医師数をベースに、医師の労働時間や受療率等を勘案した医師偏在指数に基づくと、都道府県別医師数では最上位の東京都が三百三十二・八人である一方で最下位の岩手県及び新潟県は百七十二・七人と、約二倍の開きがある。

 これが令和四年度の厚生労働省白書です。令和四年度ですから、直近と言っていい状況で、地域の実情に見合って、声に基づいてやっていますよ、これからもそうしますよと。努力は認めますけれども、結果として、厚生労働省白書では、これだけ、倍の開き、東京都と岩手、新潟では約二倍の開きがある。これは厚生労働省の白書ですから一番正式な文書でありますけれども、認めていらっしゃるわけでありまして、私の鳥取県も上がっていますし、皆さん方の選出の都道府県も御覧いただければ分かると思います。

 過疎地域では高齢化が進んでおります。診療科も十分ではありません。いろいろ勉強しますと、今、診療科でも、産婦人科等の周産期のお医者さんがなり手がないとか、あるいは外科がなり手がないとか、あるいは、この頃は整形外科がなり手がない、こういうふうに聞いておりますが、高齢化社会の中で、特に過疎地域では、当然、整形外科、膝が痛いとか腰が痛いとかいろいろなところで整形外科がやはりどうしても必要だと。皆さん、かかる率が高いんじゃないかと思いますが、これがなかなかない。ただでさえ診療科の偏在がある中で、なり手がいないということ。

 あるいは、コロナによるワクチン接種も、私の自治体でも、ワクチンを打つ診療所が地元の町内にないので、隣の町に頼んで、町にある診療所に頼んでワクチン接種を打ってもらう。地元の町では、仕方がないので独自の財源で二千万用意して診療科を誘致している、それでもなかなか厳しいと。

 その町長さんに聞いたら、全国あちこちの自治体で、過疎地域だと思いますけれども、診療所がないもので、お医者さんがいないものですから、誘致をしなきゃいけない、こういう状況に実際はなっているわけでありまして、厚生労働省の努力は認めますし、総務省の、先ほど大臣がおっしゃった様々な施策、特別交付税の支援も認めておりますけれども、現実的にこういう状況だということであります。

 同じく昨年十一月の地方六団体及び全国自治体協議会の政府への要望で、ほかの項目を見ますと、医師確保、医師偏在解消について、その内容として、医師の地域偏在、診療科偏在、無床診療所の都市部への偏在を解消するため、臨床研修医制度の見直し、需給調整に必要な開業規制、診療科ごとの必要専門医数の養成と地域への配置、医師不足地域における勤務の一定期間の義務づけなど、医師提供体制の均てん化、早急に実行することを政府に要望しておられます。

 この点について、受け止めをお願いしたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 地方六団体及び全国自治体病院協議会からの要望書、これは重く受け止めております。御提示いただきました御要望はいずれも重要な課題だというふうに厚生労働省は認識しておりまして、これまでにも様々取組を行ってきたところであります。

 例えば、平成三十年に成立をいたしました改正医療法、この中で、各都道府県において策定される医師確保計画、こういったものを策定いたしまして取組を行うほか、国や都道府県、あとは医学部を持っている大学、こういったところとの連携、これを進めているところであります。

 具体的に申し上げますと、御要望にもありましたように、医師偏在の解消や医学部入学の地域枠、地元出身枠、こういったものの促進につきましては、医師不足の地域で一定期間勤務することを約束して入学していただいている地域枠の学生の方への修学資金の貸与、また、本人のキャリアパス形成プログラムの策定や充実などに対して国から財政支援をさせていただいております。

 また、令和六年度から始まります次期医師確保計画におきましては、医師偏在指標というものを更に精緻化してお示しするとともに、寄附講座の設置を通じた医師派遣の推進ですとか、地域枠や地元出身枠、これを恒久定員化するように大学に対して働きかけるなどの取組を行うこととしております。

 また、先生御指摘の診療科でありますけれども、診療科別の必要医師数の医師偏在、これにつきましても、例えば、政策医療の観点から大変重要な産科や小児科、これは別途医師確保計画を策定しております。また、専門医研修でも、都道府県別、診療科別に、必要医師数に基づく専攻医の採用のシーリング、上限を設けることなどをいたしまして、都市部に集中しないような偏在対策、こういったことも行ってきております。

 この六団体からいただいた御指摘もそうですが、地域の方からもこういうような政策をやっていただきたいみたいなお話はふだんから意見交換をしておりまして、こういった細かいところも拾い上げながら、医師偏在、診療科偏在是正に努めてまいりたいというふうに考えております。

湯原委員 ありがとうございます。御説明いただきました。

 私、先ほどから申し上げているように、厚生労働省さんも努力はされているというのは認めます。認めますが、結果として過疎地域に医師不足とかこういう偏在があるのは事実だということで、御努力は認めますけれども、やはりもっと大胆な、あるいは進め得る改革があるのではないかというふうに思っていまして。

 実は、この質問をする上で、諸外国の制度を私なりに勉強させていただきました。ドイツ、イギリス、フランス等々です。市場原理もあって、お医者さんがやはり偏在になるのはどこの国も一緒だろうなと見てみましたら、過去においてはこの三か国もそうであったようであります。ところが、例えばですけれども、イギリスもフランスも対応策をやっています。ドイツも少し前まではそういう状況であったけれども、制度をつくって、是正するためのことをやっております。

 ドイツでは、各地域で、地域ごとで専門診療科ごとに医師一人当たりの人口が定められておりまして、自由診療じゃなくてですよ、保険医さんは、配置基準で一二〇%を超える地域では新たに開業することができません。十万人当たり人数が決まっていて、一二〇%を超える地域では、新たにそこに、その診療科では参入できない。こういうことで満遍なくやっている。

 あるいは、保険医で開業することはできないんですけれども、一方で、地域での開業不足を是正するため、今度は、過疎地域等に是正するためにどういうことをやっているかというと、家庭医の場合ですけれども、基準の七五%、その他の専門医では五〇%を下回る地域、つまりお医者さんがいない地域では、診療報酬を上乗せすることによってインセンティブを働かせて過疎地域に医師を呼び込んでくる、こういう是正策をやっている。

 ですから、厚生労働省が今までやってきたことも認めますが、ドイツのように、ここに開業したいというところ、お医者さんが詰めかけるところは上限を決めて、新たには、保険医ですけれども、入ってこられないようにする。逆に、過疎地域においては、診療報酬を上乗せしますよということをしながら、どうでしょうかと、こういう偏在をなくす努力をされておりまして、私は、是非、こうしたこと等も参考にして大胆にしていかなければ、五年先には何とかなります、十年先には何とかなりますというときには、その間ずっとお医者さんがいないという状況でありまして。

 もう時間になりますので、一言だけもう一つ言っておくと、やはり日本は皆保険制度であります。過疎地域に住む高齢者も、保険医療で、保険制度でずっと保険料を払い続けてきております。にもかかわらず、医療アクセスができない、こういう状況はやはりいけないんじゃないか。つまり、保険制度で保険料を払ってきている方々に対しては、できるだけ満遍なく医療アクセスできる、そういう制度に変えていく。そのためには、様々な声があるかもしれません、医師会とか。様々な声があっても、やはりドイツのように、上限を決めて新規参入はちょっと控えてもらう、過疎地域には診療報酬を上乗せして呼び込む、こういうところまで考えていかなきゃいけないんじゃないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 ドイツにおいて、先生御指摘のように、地域の人口を踏まえて診療科ごとに保険医の開業を抑制しているということは聞いておりますが、我が国では、先ほど申し上げましたような地域枠の設定、また専攻医のシーリング、上限規制、こういったことで対応しているところではあります。

 ドイツのように外来について一律で自己負担を求めていない制度と異なりまして、我が国においては、一定の自己負担で適切な医療を受けられることを基本的に理念といたしまして、全国一律の点数方式としておりましたり、各国によって、保険体制、医療提供体制、様々工夫をされているんだろうと思います。

 先生が御指摘になりました開業規制につきましては、日本ではそういったことは行っておりませんが、外来医療計画ということを医師計画の中に定めることになっておりまして、その中では、新規の開業希望者に対して、その地域の外来機能の情報の可視化、また、新規開業希望者には、開業に当たって参考となるような、二次医療圏の医療機関がどういうところが足りないかとか、そういったことを情報提供して不足な部分を補っていただくような働きかけ、こういったことを始めております。

 また、様々な御意見を踏まえながら検討してまいりたいと思います。

湯原委員 自己負担もということでありますけれども、逆に、医療保険制度で払ってきた人のアクセスも考えということを申し上げています。

 残余の質問、御準備いただいた方に申し訳ございません、次回に回しますので。

 質問を終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 松本総務大臣におかれましては、予算委員会に引き続き、よろしくお願いいたします。

 さて、近日起こりました、トルコ南部で起きた地震による死者数ですけれども、この原稿を書いていました二月十日現在では二万人を超えていましたけれども、昨日はもう三万七千人を超えたようです。これまでに六千二百棟以上の建物が崩壊していまして、救助活動なんですけれども、各地ではまだ手が回っておらず、犠牲者が増え続けております。トルコ、シリアの方々なんですけれども、本当に心からお見舞い申し上げたいと思っております。

 松本総務大臣、二月七日の所信表明におきましても、我が国の防災について、地域の活力を維持して安全、安心な暮らしを確保する防災・減災、国土強靱化などを推進するとおっしゃっておられましたし、その際の消防の果たす役割にも触れられました。消防隊や応援職員の円滑な派遣、職員が不足する市町村の技術職の確保、派遣体制強化や、デジタル化による消防防災の高度化を推進する発言もしていただきました。

 我が国は、こういった災害救助や応援救助、被災者の支援というのは基本的には基礎自治体、市町村が担っておりまして、必要な防災対策も基本的には市町村が担うという枠組みでございます。

 私の地元、四つの市と三つの町があるんですけれども、そのうちの一つである泉南市が、昨年十一月二十一日に、大阪の泉南市なんですけれども、岩手県の大槌町と災害時の相互応援協定を締結しました。

 内容としましては、自然災害の頻発化と激甚化の状況を踏まえて、大規模災害が発生して被災した市町村単独では、やはり多岐の分野にわたる被害復旧対策に十分に対応ができない場合に備えて、応急対策に必要な職員の派遣、食料、飲料水及び生活必需品の提供、応急復旧体制に必要となる資機材の提供などについて相互の応援を行うものとなっておりまして、こういった枠組みをやっていただいて住民の生命や財産を守る体制を整えることには敬意を表したいと思っております。

 さて、我が国の枠組みをもう一度申し上げますと、基本的には基礎自治体の市町村が担いまして、都道府県というのはそれに対しての広域調整を行う、国は基本的な枠組みづくりをバックアップするということですけれども、先ほどの泉南市と大槌町の協定でもありますように、一定規模の災害が起こり、基礎自治体で対応できない場合ということになりますと、そこで災害救助法を適用する、都道府県が救助を行うという仕組みになると思うんですけれども、例えば、トルコにおきましても、AFAD、災害緊急事態対策庁というのがあります。そう見ると、先進国で災害専門省庁のないところというのはほとんどなくて、国の体制としては、それぞれの違いもあるんですけれども、我が国においても、これまでも災害専門の省庁をつくるという、そういった検討というのはなされたのでしょうか、教えてください。

五味政府参考人 我が国の大規模災害への政府の対応につきましては、内閣総理大臣の指揮の下で、内閣官房や内閣府が中心となって、関係省庁と自治体の適切な連携、役割分担の下で、一体となって迅速な復旧と早期復興に取り組んでいるところでございます。

 海外の事例について御紹介がございましたが、私どもといたしましても、そういった諸外国の危機管理体制の在り方や役割等について調査を行いながら、どのような在り方がいいかということについて研究をしているところでございます。

 そうした中で、先ほど申し上げました、我が国におきましては、総理の指揮の下で、内閣官房、内閣府が中心となって諸機関の調整をしていくということで対応してきているところでございます。

伊東(信)委員 そんな中で、災害というのはやはり、本当に、規模をどこまでということというのは難しいと思うんですね。やはり、初動が遅れるという意味では、総理を中心として指揮を発するというところも大事なんですけれども、せっかく、他国の研究を行ったことはあるのかということをこの後も質問しようと思ったんですけれども、されていると。だけれども、その成果を現行の制度に反映しているようにはなかなか思えなくて。

 例えば、大阪の中の私の選挙区におきましても、四つの市と町があると言いました。そのうちの町も、やはり過疎地もあるんですね。そういったところというのは、なかなか財政規模も、そんなに大きな財政規模を持っているわけでなくて、いわゆる災害救助法が適用されるかどうかを待っている状態もやはり存在するわけなんです。

 そういったところで、いま一度、今度は松本総務大臣にお答えいただければありがたいんですけれども、こういった各国の研究を行って、今の、現状の状態で、現行の制度に反映しているか。若しくは、総務省としては、こういった専門の省庁をつくる検討というのを、中で話をするというところはいかがなものでしょうかということを、ちょっとお考えをお聞かせいただきたいんですけれども。

松本国務大臣 今委員からお話がありましたが、災害対応などの在り方については、私どもも、今申しましたように、諸外国の情勢も調査などしているということでありますが、他方では、政治形態であるとか国と自治体の関係であるとか、それぞれ国によって違うかというふうに思っております。

 私は今、総務大臣としては、消防もお預かりをするという意味では、災害もいつ起こるか分からないという中で、現在の地方自治体と国との関係の中で、消防庁として、所信でも申しましたように、緊急時の応援、そしてその以降の復旧復興などの応援などをしっかりとさせていただきながら、他方では、常備消防や緊急の応援も含めて、現在の対応力を高めるということにまずは注力をすることを考えているということを申し上げたというふうに考えております。

 以上です。

伊東(信)委員 現行の制度を高めるというところで、では、どのようにして高めるかというところで、各国の状況も踏まえていただいていると。消防の話もしていただいたので、各国の話と消防の話で、では、消防の話をこの後質問させていただくということで。

 各国の状態で、イタリアなどは、被災地にある市民保護局や町のボランティア団体は、備蓄している物資で避難所を開設しているわけですね。だから、備蓄している物資の避難所というのがあって、そこでは四十八時間耐え得ると。全国どこでも同じ災害支援体制ができているというふうになっているということで、いわゆる支援体制と災害備蓄が確立されていることで、かなり進んでいるとお聞きしております。

 イタリアを例として比較しますけれども、災害専門省庁を設置して、その体制を確立していると、基本的には基礎自治体に体制を委ねている日本と比較すると、まずは、備蓄というところにおいては、規模、管理、コストにおいて対応、ばらつきがやはり生じるわけですね。先ほど、大臣、各自治体との関係もあるとおっしゃいましたけれども。

 では、国として、備蓄体制というもの、このものをまず各自治体において把握をされているかどうか、お聞きしたいと思います。

澤田政府参考人 各自治体の災害用備蓄物資の備蓄状況でございますが、自治体が、政府の物資調達・輸送調整等支援システムに登録することによりまして、一元的に把握できる仕組みになってございます。

 消防庁では、各自治体に対しまして、最大の想定避難者数に基づく必要量を備蓄するよう助言をいたしております。また、備蓄量が十分でない場合には、不足する量を備蓄するよう促しているところでございます。

 災害の規模により備蓄量が不足する場合につきましては、市町村から都道府県に、又は都道府県から国に要請をして、その要請に基づきまして、国や都道府県が必要物資を調達し、物資の供給が行われます。また、南海トラフ地震等の大規模災害におきましては、発災当初から、被災自治体からの具体的な要請を待たずに、国が必要物資を調達し、被災地に緊急輸送するプッシュ型支援を行うことになってございます。

 今後とも、国と自治体が連携して、必要な災害用備蓄物資の備蓄を進めてまいりたいと存じます。

伊東(信)委員 把握はされていて、指導を行われるということなんですけれども。

 今イタリアの話をしているのでイタリアの話をまたさせていただきますと、イタリアの場合は、巨大な災害用備蓄倉庫が国内に三か所あるということですね。荷物を集配するロジスティクスというのも確立されているわけなんですね。やはり巨大な災害用備蓄倉庫というのが必要ではないかなとも思っております。

 実は、私、小学校から大学までは神戸なんです。神戸というのは阪神・淡路大震災があったんですけれども、阪神・淡路大震災のときに、ちょうど私が医者になったとき、医師でもあるんですけれども、医師になったときで、大学が神戸大学だったんですけれども、大阪市立大学、今の大阪公立大学で働くようになって私自身は被災を逃れたんですけれども、家族、両親や兄弟は神戸ですし、友人も神戸、大学の友人も、医者である友人も神戸で、大阪、神戸、兵庫県間を行ったり来たりしていたわけなんです。

 そういったときに、避難所とかをじっと見ていましたけれども、あのときはやはり、最初、クラッシュシンドロームといって、倒壊した後に、中で足とかを挟まれて、それが、筋肉が傷んで、血管を通じていろいろな臓器に、塞栓といって、詰まったりして臓器不全になられる方もおられて、本当に心の痛い話だったんです。

 それ以外に、やはり血管が詰まる状態というのは、被災地の状況、避難所があるだけいいやないかという説も一部ではあるんですけれども、やはりその避難所の状態というのも大事でして、いわゆるエコノミー症候群のような形が起こりまして、そこから体調を悪くされたり亡くなられる方がおられたというのは、やはりこれは何とかせないけないなと、医師一年目でも思っていたわけです。

 避難所の状態を改善するというところで、国においてのいろいろなバックアップとかも大事になってくるわけなんですけれども、そういった中で、今備蓄の話をしているので、やはり脱水状態というのが非常によくないんですね。やはり、水分の補給をすることによって、そういったエコノミー症候群も、もちろん運動するということも大事なんですけれども、防げるということなんです。

 その水分に関して、今だったらペットボトルもあるんですけれども、関西大学の河田先生によると、今の備蓄依存状態、日本の状態におきまして、首都直下地震においての、全国のペットボトルが輸送されたとして、そしてその輸送したものを二倍規模にしても十日から十一日でなくなってしまうわけで、一週間ともたないんですね。

 エコノミー症候群というのは、大体一週間後ぐらいから一か月後ぐらいまでやはり発生していく危険性があるので、こういったことも鑑みますと、現在の体制下において大規模災害が発生した場合を想定した際に、対応する国レベルの、イタリアは三か所ありましたけれども、国レベルの災害備蓄用の倉庫が必要であると考えますけれども、現状でそのような用意があるのか、また、今後そういったことは検討されるのかどうか、お聞きしたいと思います。

五味政府参考人 災害時の備蓄についてでございますが、国の防災基本計画におきまして、地方公共団体は初期の対応に十分な量の物資の備蓄に努めるということにされておりまして、各都道府県及び市町村において備蓄拠点を設けるなど、防災基本計画を踏まえた対応がなされているものと認識しております。

 特に、委員御指摘の避難所における生活環境の向上でございますが、水、それからトイレ、食事、寝床などの確保は極めて重要だと考えておりまして、内閣府として、取組指針を定めまして、地方公共団体に対して、あらかじめ必要と考えられる備蓄に努めるように促しているところでございます。

 その上で、国におきましては、物資調達・輸送調整等支援システムというのを構築しまして、平時から地方公共団体における物資の備蓄状況を把握できるようにしているところでございます。

 また、大規模災害のときの対応についてでございますが、地方公共団体による備蓄や調達の不足が見込まれる場合には、国のプッシュ型支援によりまして、被災地に向けて必要な物資支援を行うことになっております。

 このプッシュ型支援におきましては、食料等の必需品につきまして、所管省庁がメーカー等の関係業界団体、関係事業者と調整をして調達をいたしまして供給を行う、こういうシステムを国として用意しているところでございます。その際には、先ほど触れました物資調達・輸送調整等支援システムによりまして、発送から避難所に到達するまでの物資の輸送状況を把握、管理することができる、こういった全体的なシステムをつくり上げているところです。

 お尋ねのございました、端的に国としての備蓄倉庫でございますが、これは現在、立川の予備施設で迅速な支援に資するように一定の備蓄はしておりまして、今後、その立川の予備施設におきまして新たな倉庫を造るということにしているところでございます。

 内閣府といたしましては、必要な物資を迅速に被災地にお届けできるように、今後とも関係省庁や自治体と適切に連携しながら取り組んでまいりたいと存じます。

伊東(信)委員 本当に、大規模災害に備えて、こういった備えというのは、予測が十分過ぎるということはございませんので、足らなかったことを想定すると、やはりまだまだ私の、先ほど申し上げましたように、阪神・淡路大震災のときには、医師になってすぐでしたけれども、長田の火災の際には、整形と形成外科医をやっていたので皮膚移植で神戸の方の病院に手術の手伝いに行ったりしていまして、今の状況を鑑みますと、本当にあの規模、それ以上の大災害が起こったときには、目の当たりにしていまして、やはり備蓄も足らないと思いますので、立川の話もありますけれども、更なる検討を、国民の安心、安全を守るためにお願いしたいと思います。

 そのとき、本当にたくさんの全国からのボランティアの方にお助けいただきました。

 二〇一二年の、東日本大震災の際なんですけれども、三月十一日に起こりまして、私が初当選したのがその年末の十二月なんですね。そこから国会議員にならせていただいたんですけれども、衆議院議員にならせていただいたんですけれども、三月のときに、既にもう開業医でして、本当に今も、私自身の反省点ですけれども、すぐにボランティアとして被災地に私自身が駆けつけなかったことを今でも後悔しております。

 本当に言い訳じゃないですけれども、うちのスタッフ、看護師は、先生、行きますと言ってくれたので、行ってもらいました。そのときの状況とか、いろいろ話を聞いたんですけれども、あのときは本当に、ちょうど政権が替わるときだったので、政局とかが動いたりしていろいろなことがあって、そのことはもう申し上げませんけれども、やはり日本の皆さんのボランティア精神というのは本当に尊いものであると思いました。

 日本においては、災害が起こると自治体に災害ボランティアセンターが設置されまして、個人のボランティアを登録してもらい、活動していただくようになっております。

 では、国においては、災害ボランティアとして活動してもらえる方々、例えば団体の数とか人数の、その把握する仕組みというのはあるのでしょうか。もしなければ、その必要性について検討するべきではないかなと思うんですけれども、これも政府参考人の方にお願いいたします。

五味政府参考人 災害発生時には、多くのボランティアの方々が被災地に駆けつけていただきまして、瓦れきの撤去ですとか家屋の清掃等、様々な支援を行っていただいておりまして、被災者支援において重要な役割を担っていただいております。

 御指摘のとおり、我が国では、災害発生時に、市町村の社会福祉協議会が地元自治体とも連携しまして、各地におきまして災害ボランティアセンターを設置してボランティアの募集、活動調整を行うなど、ボランティア活動に関する仕組みが構築されているところでございます。

 内閣府におきましては、地域のボランティア人材の発掘、育成支援を行うために、今年度から、避難所等の生活環境向上のための研修を自治体と連携して開催するなど、地域防災力の向上、人材の確保を図っているところでございます。

 ボランティア人材を把握する仕組みについてでございますが、例えば、茨城県や広島県におきまして、社会福祉協議会が災害ボランティアの事前登録制度を実施している事例もございます。

 内閣府といたしましては、このような各地域での取組事例も参考にしながら、環境整備に努めてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 そういったところで、ボランティアの方々との連携というのは大事なものだと政府も捉えていると理解できるんですけれども、先ほど瓦れきの話をされていましたけれども、なかなか今までの、地震だけではないわけなんですけれども、瓦れきなりそういったところを動かしたりするときに、やはり専門的な技術も要るわけです。

 高度な技術を習得していたり重機を扱える方が所属する企業や、そういったところの連携をうまく調整するJVOAD、全国災害ボランティア支援団体ネットワークというような全国組織の団体もあるわけなんですけれども、こういったJVOADを始めとする中間支援組織であって、行政、そして個人ボランティアの、組織が運営する社会福祉協議会のような、こういった本当に三者の連携を国としてはもっと積極的に図るべきだと思うんですけれども、内閣府に、こういったところの三者連携というところについてのお考えをお聞かせください。

五味政府参考人 災害時には、先ほど申し上げました個人ボランティアのほかに、御指摘の専門的な技能を有するNPO等の民間団体が被災地に入って幅広い支援活動を実施をしていただいておりまして、被災者支援において、これもまた極めて重要な役割を担っていただいております。

 内閣府としては、御指摘のとおり、行政と、そして災害ボランティアセンターを運営する社会福祉協議会、そして多様な民間団体の活動調整等を行います災害中間支援組織など、行政と民間主体の緊密な連携、協働が必要であるというふうに考えております。

 こうした観点から、まさに三者連携ということでございますが、内閣府では、災害発生時に、全国レベルでのこうした関係者による情報共有会議を開催するなど、被害状況の把握や被災者支援の情報共有等を行っているところでございます。

 さらに、令和五年度予算案におきまして、官民連携による被災者支援活動を一層推進するために、都道府県レベルでの官民連携体制の強化、災害中間支援組織の設置、機能強化等のための予算を新たに盛り込んでいるところでございます。

 引き続き、災害中間支援組織や社会福祉協議会を始めとしまして、多様な主体との連携を更に進め、被災者支援の体制強化に努めてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 そういったところの調整いかんによって本当に救われる命もあるので、よろしくお願いしたいと思うんです。

 今日、トルコ南部の地震に始まりまして、ちょっと話が災害の中でも地震の方にシフトしている感じがあるんですけれども、本当に災害というのはいろいろな災害もあります、大雨もありますし。

 そこで、ちょっと見方を変えまして、スイスでは、歴史的背景から、国民に対して、有事の場合の備えをすべく、民間防衛というマニュアル本を各戸に配付したり、平時から本当に、地区ごとに攻撃、消防、負傷者の救護など、任務に生かして訓練を重ねて有事に備えております。

 以前、この総務委員会でも御質問させていただいたんですけれども、やはり有事と災害の避難所というのを鑑みまして、日本においては、災害時において災害対策法に基づき避難所は自治体が設置し、有事の際は国民保護法における避難施設の指定がなされていまして、別々の取組になっておりますけれども、そんなにそれぞれによって避難所を分ける必要はなく、結果として指定される避難施設が同じになり、重なる部分もあるんです。

 こういったところでやはり連動した取組を図ることも検討の一つだと思いますけれども、この総務委員会において、こういった有事の場合と災害対策との連携に関しての総務大臣のお考えをお聞かせください。

松本国務大臣 今お話をいただいた連携ということですけれども、まず、総務省消防庁としては、国民保護に関する取組を一層推進をさせていただいているところでありまして、御指摘の国民保護に係る避難施設については、指定権者である都道府県知事や指定都市の長に対して、内閣官房など関係省庁と連携の上で、特に地下施設を中心として避難施設の積極的な指定を促進しております。

 避難施設の指定に当たっては、既に自然災害に係る避難所として指定した施設も候補として取組を進めていただくよう要請をしているところで、今委員のお話では、重なっているところもあるというふうにおっしゃったのかというふうに思っております。

 これからも、国民保護共同訓練についても、関係省庁と連携の上、より積極的に取り組むとともに、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練など、避難訓練は今年度から四年ぶりに再開、地方公共団体と更に連携強化をしてまいりたいと思っております。

 それぞれ、自然災害と国民保護、対応の特性という点もあろうかというふうに思いますけれども、自治体、消防の皆さんにもお取り組みいただくという意味からも、私どもも、そのお取組、それぞれ、災害対応の消防の後押し、国民保護の後押しという面からは、しっかりと見てまいりたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 時間になってきましたので、本当に最後に。

 消防の話もしていただいたので、消防の話に関しては、ちょっと時間があれなので、用意していただいた関係の皆さんにはちょっと申し訳ないんですけれども。

 最後に、令和五年度の総務省関係の予算関連で、防災・減災に関する部分、そして消防防災力、こういったところの予算に対して九十九億計上していますけれども、災害が激甚化している昨今、こういった防災・減災に関するこの予算規模は適切か。細かなことではなく、防災に関する意気込みを、最後、これは副大臣か政務官の方にお答えいただければと思うんですけれども、この予算規模も含めての災害対策に対する意気込みをお聞かせください。

尾身副大臣 お答え申し上げます。

 近年の災害の激甚化、頻発化により、現場の最前線では国民の生命財産を守る消防の役割はますます増大しており、消防防災力、地域防災力の充実強化を図るために、必要な予算の確保に全力を挙げております。

 具体的には、令和五年度当初予算案において、大規模災害に際し、より効果的な活動体制を構築するための緊急消防援助隊の車両、資機材の整備、消防団員数の減少を踏まえた消防団加入促進広報の充実強化、五月に開催されるG7広島サミットにおける消防救急体制の整備などを盛り込んでいるところでございます。

 このほか、昨年十二月に成立した令和四年度第二次補正予算においても、緊急消防援助隊拠点機能の形成車やNBC災害対応資機材などの整備、消防防災分野のDXの推進として、災害時に消防機関が入手した現場の映像を国、自治体間で共有するためのシステムや、マイナンバーカードを活用した救急業務の迅速化、円滑化に向けたシステムの構築に向けた検討などを盛り込んでおります。

 引き続き、消防の使命を完遂するために、必要な予算の確保に向けて全力で取り組んでまいります。

伊東(信)委員 是非ともお願いします。

 ありがとうございました。終わります。

浮島委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。

 三十分いただきまして、議論をさせていただきたいと存じます。

 まず、私は、大臣所信、松本大臣の所信の中で、冒頭の方に、改めて我が国をつくり直すという志を述べられたということで、今日は、その志の文脈の中で、流れの中で、三十分間、いい議論をさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、大臣の所信の中で、実は、障害者という言葉を用いられています。この障害者というときに、うかんむりのいわゆる「害」という字を使っておられるわけでございます。大臣、先日はタブレットで読まれておるわけでございますけれども、この障害者という表現につきまして、大臣、違和感は持たれませんでしょうか。ちょっと率直に、大臣のまた思いを聞かせていただければと存じます。

松本国務大臣 私自身は、今ここで総務大臣の立場で御答弁をさせていただいておりますが、この障害者の文字の表記については、政府の各行政機関が作成する公用文における漢字使用には、いわゆる常用漢字を用いるということになっておりまして、今お話がありましたとおり、うかんむりの「害」を使用させていただいております。

 この障害の表記については、内閣府に設置された障害者政策委員会において議論されたほか、文化庁の文化審議会国語分科会においても令和三年三月に考え方をおまとめいただいたというふうに承知をいたしているところでございますが、今後も、いわゆるショウガイにはほかの字もありますが、例えば、いしへんの「碍」の字を直ちに常用漢字には追加をしないとか、出現頻度などの使用状況、国民の意識や、障害当事者を中心とした議論の動向を注視していくことなどの考え方が取りまとめられたというふうに聞いております。

 今お話がありました、障害について違和感があるかどうかということでありますが、私としては、先ほど申しましたように、総務大臣としては、公用文においては常用漢字を用いて、障害と表記をすることとなっているというふうに理解をしておりますので、それに従って、そのように今使わせていただいているということでございます。

 どのような漢字を用いることが適当かについては、政府全体として整合性を持って、これまでの検討結果なども踏まえて決めていく必要があるというふうに考えております。

 なお、委員からの御指摘は、表記は今申し上げたとおりでありますが、何より私どもの使命は、障害者の声に寄り添いながら施策を推進をすることが重要であるというふうに思っておりまして、総務省としても様々な形で政策を推進をさせていただいているところでありまして、関係省庁とも連携して、障害の有無にかかわらず、安全、安心に豊かな人生を送ることができる社会の実現を目指してまいりたいというふうに考えております。

市村委員 今、大臣としての立場というのは今の御答弁なんだろうと、私もこれまで議論してきてそう思いますが、松本大臣が人として、また政治家として違和感は感じられないかということをちょっとお尋ねさせていただいておりました。いかがでしょうか。

松本国務大臣 私は人でもあり、政治家でもありますが、ここでは大臣として答弁をさせていただいていますので、御理解をいただきたいと思います。

市村委員 実は、二十年以上にわたってこの議論は続けられておりますし、そもそも障害者という言葉を用いること自体、私の記憶では、三十年以上前に、障害者という表現もどうかなというのもあって、当時、チャレンジドとか、あとギフテッドとかいう言葉、ただ横文字でどうかなということもありました。ただ、この漢字については、いわゆる平仮名表記もありますけれども、法令用語とかに関してはやはり漢字を用いるということになっておりますので、どうしてもやはり漢字なんですね。

 となると、漢字だと、今おっしゃったように常用漢字ですから、うかんむりの「害」になるんですけれども、この「害」という漢字は、言うまでもなく、害虫とか、本当に虫にも失礼な漢字だと思うんですけれども、我々が害虫と思っているだけであって、虫は何もそう思っていないと思うんですが、害虫とか、あと、障害物、例えば物に関して使うならばいいんですけれども、これを人に対して障害者とか障害児とか、これはいかがなものかということは、素直に考えれば皆さんそう思うはずでして。

 何を言いたいかというと、この一点すらも二十年以上かけて議論しても変えられないという今の日本の現実に、私はとても情けないものを感じている。素直に考えれば、変えていいんじゃないかと私は思いますけれども。

 特に、戦前、一九五六年まではいしへんが使われていたんです。ところが、文科省が公用文については常用漢字を使えということになったものだから、結局、このうかんむりの「害」が常用漢字で入っているからこれを使うということになっているんですけれども、さすがにその頃からも、この漢字を当てるのかという非常に素直な疑問は続いているわけでありまして、新しい時代をつくるというのであれば、これぐらいさっさと変えられるぐらいの、それこそ、障害者といいますか、その障害という表現そのものもどうかと思いますけれども、変えるぐらいの決断がなぜできないのかというのを思っているわけでありまして。

 別に総務省、総務委員会だけの問題じゃありません。今日は内閣府の方に来ていただいていませんけれども、これは各委員会でも私が、時間、時があれば、機会があればやっていきたいと思うことの一つでありましたので、済みません、大臣にお時間をちょっといただきました。

 続きまして、今回の所信の中で、ローカルスタートアップ支援事業のことを述べられておりました。これは是非ともやっていただきたいと思う事業であります。

 特にスタートアップというのが、昔は、私が若い頃はベンチャー企業とかベンチャーとか言われていたんですが、最近は、若い人たちはスタートアップだという言い方をされていまして、それに対しては、やはりリスクマネーがないのが一番の問題なんですが、しかし、こうやってスタートアップ事業を、支援制度をつくって、政府も少しは頑張ろうと。

 本当は、しかし、先ほど伊東代議士の議論もありましたが、災害という点で議論がありましたが、官民がしっかり協力するし、かつ、民間の知恵や迅速性、柔軟性とかいうのを生かした上で本当はやるべきことなんですね。でも、なかなか民間ではできない。それは、今度、公益法人改革が、政府も考えておられますけれども、公益法人がちゃんとまだ育っていないというのが問題でありまして、本当は、公益法人にしっかりと資金をプールして、そこが助成をしていく、ブランドメイキングしていくというのが大切なんですね。

 また、あと、マイクロファイナンス。こうしたマイクロファイナンスについても、実はこれはNPOの役割というふうに私は思っていまして、ただ、これは、なかなか今そこまで行っていませんから、まずは政府がやる、総務省さんがやるというのは、大変応援したい、こう思っていますので、意気込みを聞かせていただければと思います。このローカルスタートアップにかける思いを聞かせていただければと思います。

松本国務大臣 ありがとうございます。

 御案内のとおり、今、政府全体でスタートアップの推進に取り組んでいるところでありますが、地方を元気にするというのが私どもの使命だという中で、総務省としても、人口減少などで地域経済が縮小することもある中で、定住や活力ある地域づくりにつながる、地域でのスタートアップ支援に取り組むことは、非常に意味があるというふうに考えているところであります。

 私も、昨年十二月、福島県を訪問させていただきました。地元の農産物を加工して新たな地域産品を開発、販売する現場、またデジタル関連の事業など、総務省の施策を活用した取組を視察して、地域でのスタートアップ支援の重要性というのを改めて強く認識をしたところでございます。

 先ほどマイクロファイナンスというお話がありましたが、今般、小規模事業も対象に、事業立ち上げの各段階を支援するローカルスタートアップ支援制度を創設することとしたところでありまして、地方公共団体、地域金融機関などと連携しながら、全国津々浦々へのローカルスタートアップの展開に総務省として全力で取り組んでまいりたいと思っております。

市村委員 ありがとうございます。

 もう一つ、意気込みを聞かせていただきたいのは、公的統計のデジタル化ということと、この一元管理をしていくということですね。これは総務省の統計局でやるのもよし、また、改めて例えば統計庁とかをつくっていただいて、それで公的統計の一元管理をし、それももちろんデジタルでということを、特に所信でもやるということで大臣も述べられておりますので、これに対する意気込みを聞かせていただきたいと存じます。

松本国務大臣 既に委員御理解のとおりでありますが、公的統計の調査、作成のデジタル化というのは、業務の効率化や統計の誤りの防止にもつながるというふうに考えておりまして、大変重要な課題であるというふうに思っております。

 このため、総務省、各府省では、これまでも、消費者物価指数、CPIにおけるインターネット上にある価格データの自動収集、ウェブスクレーピング、また、家計調査におけるAIによる統計処理の自動化、エラーチェック機能のあるオンライン調査システムの導入などの取組を進めてきているところでございます。

 令和五年度から始まる公的統計基本計画におきましては、デジタル技術の活用により、総務省が一元的に、各府省で共通的に利用できる集計ツールを開発、提供すること、各府省のオンライン調査で共通的に利用できるe―Surveyの利便性を向上することを盛り込むことが検討されているところであります。

 総務省は、中核となりまして、今後とも、デジタル化による公的統計の品質の向上、業務の効率化を一層推進してまいります。

市村委員 ありがとうございます。

 昨年も国交省の方で統計不正というのがあったということで、昨年、私は国交委員会でかなりこの問題をやってきました。

 やはり、もう無理なんですね。あそこの統計、たしか五人ぐらいの職員で毎月一万件ぐらいのいろいろな、紙で送られてくるんですけれども、これはもう無理です。物理的に無理なことをやれと言っているのであって、これはもう、それはそれこそ非常に、ブラック企業じゃないですけれども、できないことを押しつけるというのは無理なので、やはりしっかりとデジタル化して、入力時点で統計をすぐに集計できるような仕組みをつくっていくということが私は必要であろうということを申し上げてきたのでありまして、総務省さんが統計局、統計を担う省庁であればこそ、是非とも進めていただきたい。

 この観点では今日は質問通告していないんですけれども、せっかくデジタル副大臣がお越しですので、また意気込みを聞かせていただければと存じます。大串デジタル副大臣、お願いします。

大串副大臣 今総務大臣からの答弁がありましたとおり、現在、総務省において、各府省の集計業務を支援するための汎用集計ツールの整備であったり、あるいは、オンライン調査の利用促進のための調査システムの利便性向上など、統計業務のデジタル化の取組が進められているということは承知しております。

 我々といたしましても、国民の利便性の向上や行政運営の効率化を図るため、統計を始めとして、各種行政事務のデジタル化は重要であると考えておりまして、デジタル庁といたしましても、総務省の求めに応じて必要な協力を行ってまいりたいと考えております。

市村委員 ありがとうございます。是非とも早急にこれは、やはり善は急げでありますので、早急にやっていただきたいと存じるところであります。

 次に参りますが、今度は政策評価というところで、また意気込みもかなり今回の所信では述べられているということでありまして、私は、本当に、かねてから、この政策評価というものが日本においてはあるのかというふうに思ってきておりまして、やったらやりっ放しで、何となく、うやむやのまま次にまた行くということで、全然反省もないまま続けられていく、若しくはやめてしまうということで来たような気がしてなりません。

 ですから、この政策評価というのはとても重要だ、このように思っておりまして、しかも、これが内部の政策評価だけではなくて、例えば民間のシンクタンクというものが、客観的といいますか、いわゆる内部の政策評価じゃなくて外部からの政策評価というのも大変重要であろうというふうに思っています。

 例えば、アメリカという国であります、米国ですけれども、これはやはり、NPOがとても発展しています。CSISとかブルッキングス研究所とかアメリカン・エンタープライズとか、非常に今、保守系若しくはリベラル系、いろいろなシンクタンクが、民間です、これはNPOです。NPOとして、ノンプロフィットオーガニゼーションとして存在して、そこでお金を集めて、そして、政府によらない、だから、税金によりませんから、自分たちで民間で資金を調達して、そして、客観的に、外部から政府のやっている、連邦政府のやっている、また地方政府、州政府がやっている政策に対してしっかりと評価をしていく、若しくは提言をしていくという仕組みがこれはあるんですね。民間、非営利、独立型のシンクタンクと言っています。

 日本の場合、大分シンクタンクもあるんですが、どちらかというと株式会社形式で、しかも、政府から受注を受けるという在り方であって、やはり税金に頼っているという流れがあって、これは独立型ではありません。民間ですけれども独立型ではないということで、やはり私は、民間、非営利、独立というこの三つのものを持ったシンクタンクを、本当は外部につくっていく、そしてそこで、代替政策といいますか、ポリシーオルタナティブですけれども、そういうものをしっかりと打ち立てていく、そして評価していくということが必要だというふうに思っています。

 ですから、政策評価を総務省でやられるということについては、これはこれで是非とも推進をいただきたいと思うところでありますけれども、これから改めて我が国をつくり直すとなりますと、やはり内部だけで考えるよりも、もっといろいろな外部の知恵、民間の、独立型の知恵を入れていくということが必要だと思いますが、大臣、御見解をいただければと存じます。

松本国務大臣 外部の、民間、非営利、独立の機関による評価というお話があったかというふうに思いますが、私自身、所信で申し上げた部分については、やはり政府の組織として様々な課題に、政策に取り組む中で、これをしっかりと評価をして、必要な軌道修正は行うというための自らの評価という部分の政策評価をしっかりやっていく必要があるということで申し上げさせていただいたというふうに考えております。

 特に、私どもの現在地という形で所信でも申し上げましたが、我が国が置かれている環境、課題は、これまで世界のどの国もまだ挑戦中ないしは取り組んだことのない様々な課題があろうかというふうに思っておりまして、そのような課題には、やはり、いわば果敢に政策に挑戦をしていく必要があるかというふうに思いますが、同時に、これについては政策の実施状況や効果、現状を的確に把握をして、機動的かつ柔軟に軌道修正もしていきながら前進をする、このことをアジャイルという形で表現をさせていただきました。

 もちろん、これにはデジタル化の恩恵を活用していくことも必要かというふうに思いますが、私ども自身としては、いわゆるEBPMという意味でのエビデンス、このエビデンスも、どの水準まで要求をするのか、時間やコスト等も見ていきながらやる必要があるといったようなこととか、また、政策を進めていく中での評価に当たっては、先ほど申しましたように、軌道修正が必要になるということがあろうかというふうに思いますが、どこまでどの程度前進したのか、そして、軌道修正すべき角度はどのぐらいなのか。そのときに、時として軌道修正の部分ばかりが大きく取り上げられがちでありますが、前進した部分と軌道修正をきちっと評価をして、正当に評価をした上で軌道修正を進めることが必要ではないかというふうに考えております。

 そのために、現在地の把握に必要となるデータの作成や利活用や人材育成への支援、実例、ノウハウの整理、蓄積などに取り組んでいきたいと申し上げました。

 先ほどお話がありました、外部の、民間、非営利、独立の評価ということでありますが、制度としてそういったものがまだ、我が国の現状はこれからだというお話であったかというふうにお話をお聞きをいたしましたが、それについて、今、総務大臣としてのコメントは控えさせていただきたいと思いますが、政治としては、外部の様々な提言やお声はしっかり受け止めて、また政策に反映するというのが政治の部分であろうかというふうには考えておるというふうに申し上げたいと思います。

市村委員 ありがとうございます。

 ですね。まさに、政治と外部のそういうシンクタンクというのがつながるということが大切だというふうに思います。

 それでまた、やはり、政策評価ももちろん大切なんですが、政策の事前シミュレーションというのも必要だと思っていまして、ちょっと何か思いつきのようなもので政策が何か突然出てきて、そしてそこに多額の予算がつくというようなことも散見されるところもありますので、やはり、事前の政策シミュレーションというのをしっかり行うということもこれまた必要だと思いますし、今後、AI等を生かしたそうしたシミュレーションが必要だと思いますが、大臣、これについても御見解をいただけますでしょうか。

松本国務大臣 予算の利用はやはり国民の皆様の税金を使うものでありますし、また、行政として様々な政策ないしは権限を用いて処分などを行うということも含めて大変重いものであると思っておりますので、もちろん、思いつきという、アイデアの端緒はあろうかというふうに思いますが、その政策の目的と手段、効果等はしっかり検討の上、政策の形にさせていただいているというふうに理解をいたしております。

市村委員 ありがとうございます。

 そこで、ちょっと、日本をこれから新たにつくり直すという意気込みの中で、ケーブルテレビの光化というのがありました。私は、光化自体は大変推進すべきだと思うんですが、前からこの総務委員会でも申し上げていますが、もはやもう放送と通信という垣根がない時代になっているときにケーブルテレビの光化というのが、大臣の最初の意気込みの、改めて日本をつくり直すという意気込みからすると、ちょっと何か私はそこに違和感を感じたんですが、是非とも、私は通信と放送の垣根というのはもうないという時代に入っていると思うんですが、また改めて大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

松本国務大臣 御案内のとおりでありますが、一般的に、放送は、不特定多数に対し同時に同じ情報を提供する手段、通信は、個々の利用者間で情報をやり取りする手段ということになっていますが、加えて、放送の場合は、放送事業者の方が、いわば放送のコンテンツを制作をして、放送という形で不特定多数の方に同時に同じ情報を提供されているというふうに理解をしております。

 先ほど委員からもお話がありましたが、インターネットに接続されたテレビの登場や動画配信サービスの普及など、デジタル化の進展によって放送と通信が相対化が進んでいるということは御指摘のとおりかというふうに思っております。

 こうした放送と通信の相対化を踏まえて、総務省では、デジタル時代における放送制度の在り方について、有識者による検討会を開催をしているところでございます。

 そういった中で、先ほど放送を、制作したコンテンツというお話もさせていただいたわけでありますが、放送そして通信、いずれも、放送による番組の制作も含めて、また情報の伝達の手段という側面も含めて、国民生活、経済活動にはそれぞれ欠かせない基盤ではないかというふうに私は考えておりまして、それぞれその機能が十分に発揮されるようにしてまいりたいと思っております。

 そういった面から、今回、放送に関連して、先ほどの検討会の議論も踏まえて、放送法や電波法の改正案を今国会に提出したいというふうに考えているところでありますが、先ほど申しましたように、国民生活、経済活動に欠かすことができない情報の基盤が確保されるようにしてまいりたいというふうに思っておりますし、多様な形で国民に情報が伝わるという意味でも、放送、通信いずれも確保してまいるというふうに考えております。

市村委員 多分、大臣もそれを読みながら、不特定多数にといったら、今は放送だけじゃなくて通信もそれでやっているということをお感じになっていると思います。また改めてこれは議論させてください。

 最後に、ちょっと短いですが、確認だけさせてください。マイナンバーカードは申請制でよろしいでしょうか。一点だけ、イエスかノーでお答えいただければ幸いです。

内山政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードは、本人の意思で申請をするものでありまして、国民の皆様に取得義務は課されておらず、取得を強制するものではございません。

市村委員 それで、今度、保険証との一体化ということでありますが、今日、厚生労働省からもお越しいただいていますが、保険証との一体化のときに、必ずしも、これは保険証、マイナンバーカードを使わなくちゃいけないということではないですね。その確認をさせてください。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバーカードと保険証の一体化につきましては、マイナンバーカードで受診していただくことで、健康、医療に関する多くのデータに基づいた、よりよい医療を受けていただくことが可能になるなど、様々なメリットがございます。こうしたメリットを踏まえ、来年秋に保険証廃止を目指すこととしてございます。

 他方、保険料を納められている方が保険診療を受けられることは当然の権利でございます。保険証の廃止後も、マイナンバーカードによるオンライン資格確認を受けることができない状況にある方につきましては、御本人の申請に基づきまして、医療機関等を受診される際の資格確認のための資格確認書を交付することを検討してございます。

 資格確認書の在り方などにつきましては、引き続き、関係省庁による検討会におきまして議論を進めていくこととしておりまして、来年秋に向けて丁寧に環境整備を行ってまいりたいと考えてございます。

市村委員 もう終わりますが、デジタル副大臣、済みません、ちゃんとした議論をしたかったんですが、また改めてやらせてください。

 これにて終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、松本総務大臣所信に対する質疑ということで、大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 大臣所信の中におきましても、新型コロナウイルス感染症対策への取組について言及をされておりました。その取組について、まず質問をさせていただきます。

 新型コロナウイルス感染症感染拡大から三年が経過をし、政府は、五月八日に現在の二類相当から新型インフルエンザと同様の五類に移行するということを決定をいたしました。

 一方で、現状のオミクロン株につきましては、当初、軽症者が多いというふうにされておりましたけれども、感染力が高く、第八波におきましては感染者が急増し、亡くなる方が過去最多となりました。その理由としては、総体的な感染者の増加に加えまして、高齢者を中心に、コロナ感染によって、全身症状の悪化や体の衰弱によって悪化するケースが多く見られております。

 感染拡大期によっては、医療へのアクセスが大変困難となり、私の地元でも、地域医療に長年携わっておられる先生から、第八波における医療現場の過酷な状況や、心身共に極限の状況でコロナ陽性者を受け入れながら、一方で地域医療を守っていらっしゃった現状をずっとお聞きをしてまいりました。実際には、これまでコロナ陽性者を受け入れていなかった医療機関が受け入れるということは、やはり様々な困難や課題が発生するというふうに思います。

 移行に向けましてしっかり医療体制を整えていくということは大変重要なことだというふうに思いますけれども、私は、やはり新型インフルエンザとの大きな違いは、タミフルのような治療薬、有効な治療薬が確立をされていないということが大変懸念材料ではないかというふうに思っております。

 今、医療現場でも引き続き厳しい状況が続く中でございますけれども、移行によりまして、これまで保健所が担っていた入院等の調整対応というものを医療機関同士で行うことになって、緊急搬送の通報が増加することや、また、現状においても増加をいたしております緊急搬送困難事案が更なる増加をするのではないかということが危惧をされております。

 これまで以上に負荷が増大するということが予測をされますけれども、この事態にどのように対応していかれる方針であるかということを松本総務大臣にお尋ねをしたいと思います。

松本国務大臣 改めて、引き続き大変厳しい状況で御尽力いただいています全国の救急関係の皆様の御尽力に、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 今御指摘ありましたとおり、五類移行後というか、当分の間、コロナ患者からの救急要請が高い水準で推移する懸念があるというふうに考えております。二月一日には、全国消防長会から、消防庁、厚生労働省、内閣官房等に対して、五類移行後の経過期間において、保健所等による搬送先医療機関の調整を行う仕組みの継続、救急隊員の感染防止対策に要する経費についての財政措置を講じることの要望が行われたというふうに承知をしております。全国知事会、全国市長会、全国町村会からも同様の要望が行われております。

 五類移行に向けた具体的な制度設計は、まさに政府内において検討を行っている最中でありますが、こうした現場からの意見もお聞きをした上で、厚生労働省等と十分に連携をして、五類への移行後も、救急隊員の安全を確保しながら、傷病者を迅速かつ適切に医療機関へ救急搬送できる体制を構築することになりますよう取り組んでまいりたいと思っております。

 なお、今資料でもいただいたところで、医療機関の受入れ照会回数であるとか現場滞在時間という課題でありますが、総務省といたしましても、コロナ対応にかかわらず、一般論として、救急業務の迅速化、救急隊員の負担軽減というのは大変重要な課題であるというふうに考えておりまして、コロナ前の平時から様々取組を行ってまいりました。

 一例として、今年度、マイナンバーカードを活用した救急業務の実証実験、まさに、受入れ照会を迅速かつ短縮することによって現場滞在時間も削減することにつながるのではないかというような効果も期待してこの実証実験を行ったわけでありますが、現在、実証実験の成果を取りまとめているところでありまして、こういったことも踏まえ、このような取組の全国展開に向けた検討を進めるなど、救急業務の円滑化にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

西岡委員 大臣、ありがとうございます。

 今大臣からも御説明をいただいたことに関連をいたしますけれども、過酷な任務の中で、緊急隊員の方におかれましては、搬送時の自らの安全を確保するということも大変重要だと思います。

 これまでも、マニュアルの徹底ですとか、様々な装備の充実などの取組が行われてきましたけれども、先ほど私の方から申し上げさせていただいたように、やはり五類に移行した後の状況というものは、しばらくは今のままの状況で移行していくということでございますけれども、五類になった状況の中で、搬送の頻度が大変増大をしていくことですとか、搬送困難事案が大変増加することによりまして、やはり緊急隊員の皆様が、長時間労働に伴って心身共に大変負担が大きくなるということが懸念をされると思います。先般も、過労によりまして、緊急隊員によって救急車の事故が発生をするということも起こりました。

 緊急搬送時の緊急隊員の安全性の確保、長時間勤務による心身への負担の軽減、この対策というものが大変重要だと思いますけれども、今後、この対策、どのように取り組んでいかれるかということを総務省にお尋ねをいたしたいと思います。

澤田政府参考人 救急現場における安全対策としまして、感染防止対策といたしましては、全国の消防機関に対しまして、救急隊の感染防止対策マニュアルにつきましては、最新の医学的知見や新型コロナウイルス感染症への対応の経験などを踏まえましてブラッシュアップいたしますとともに、累次の通知を発出し、保健所等との連携や、マスク、手袋などの資器材の正しい装着、救急隊員の健康管理及び救急車の消毒の徹底といった具体的な対応手順の周知徹底を図ってきているところでありますが、これからもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 また、救急隊員の心身への負担への対応についてでございますが、これまでも機会を捉えまして、労務負担の平準化などの取組を全国の消防機関に対しまして周知してきているところでございますが、昨今の救急需要の増加も踏まえまして、先月、改めて、救急隊員の適正な労務管理の徹底を全国の消防機関に対して要請をしたところでございます。

 現在、現場で懸命に御対応いただいている救急隊員が、安全な労務環境の下で救急業務に従事し、国民の命と健康を守ることができるよう、消防庁といたしましても、先ほど大臣から答弁しましたとおり、五類移行後への対応にもしっかり取り組むとともに、全国の消防機関の状況を注視しながら、引き続き、安全管理の徹底と救急搬送体制の確保に万全を期してまいります。

西岡委員 ありがとうございます。引き続きのお取組をどうぞよろしくお願いいたします。

 引き続きまして、オミクロン株対応ワクチン接種対応を今地方自治体で行っていただいておりますけれども、先ほど大臣からも御説明がございました、当面の間、今の状況を継続するということでございますけれども、現状の公費負担について、また、それも段階的に縮小する方向になるのではないかというふうに思いますけれども、この度の感染症法の分類の移行によりまして、これまで進めてきたオミクロン株対応ワクチン接種の業務ですとか、移行までの経過措置の状況の中での対応、公費負担の在り方、そのような中で、地方自治体の業務へ過度な負担とならないか、また、地方自治体の業務への影響につきまして、今後どのように対応されていくのかということを、尾身副大臣に御見解をお伺いをしたいというふうに思います。

尾身副大臣 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症対策については、現在、厚生労働省を始め、所管省庁において、感染症法分類の移行に伴う医療体制、公費支援など、様々な政策措置に係る段階的な移行に加えて、令和五年度以降のワクチン接種の在り方について検討、調整が進められているものと承知しております。

 見直し後に激変緩和として残る一定の措置については、新たに地方負担が生じることのないよう具体的な内容が検討されている旨、厚生労働省から自治体に説明されているものと承知しております。

 また、ワクチン接種につきましては、必要な接種について引き続き自己負担でなく受けられるようにする方針の下で、四月以降の接種の在り方について、厚生科学審議会で専門家による検討が行われているものと承知しております。

 こうした中、全国知事会を始め地方関係団体から厚生労働省等に対して、住民や地方の保健医療の現場に混乱が生じないよう、現場の声を十分に踏まえた対策を講じることが要請されているものと承知しております。

 総務省といたしましても、地域の実情を注視し、全国知事会等とも連携しながら、必要な対応を行い、現場である地方のサポートに努めてまいります。

西岡委員 今、尾身副大臣からもございましたように、今いろいろなことが検討されているという状況もあるというふうに思いますけれども、地方自治体を含めて、また住民の皆様も含めてしっかり様々な説明を行っていただきながら、この移行というものを迅速に、また段階的に進めていく中でも、どういう方向性で進んでいくのかということの説明というものをしっかり取りながら進んでいっていただきたいというふうに思います。

 続きまして、今国会におきまして、新型インフルエンザ特別措置法改正によりまして、感染症に係る司令塔機能を担う内閣感染症危機管理統括庁が新設されることとなっております。

 総務省におきましては、総務大臣が本部長を務める地方連携推進本部をこれまでも設置をし、各自治体の現状に寄り添いながら、様々な相談を受けて、その問題の所管する省庁につなぐ重要な役割を果たしてこられました。

 今回の司令塔機能が新設される中で、その新しい体制の中で、連携本部についてはどのような位置づけで役割を果たしていかれるのか、また、新しくできる統括庁との連携について、松本総務大臣にお伺いをいたします。

松本国務大臣 今、委員から御質問をいただいた件でございますが、新型コロナウイルス感染症対策においては、国民の生命、健康、国民生活、国民経済に重大な影響を及ぼす未曽有の事態への対応ということになります。

 国、地方の十分な連携協力が重要である、この認識の下、総務省としては、総務省設置法で国と地方公共団体の連絡調整が所掌事務となっておりますので、大臣を本部長とする地方連携推進本部を設置をいたしまして、この本部における全ての都道府県、政令市との連絡体制を活用して、厚生労働省、内閣官房などと連携しながら、この対策における国と自治体の連携協力がスムーズに行われるよう取り組んできたところでございます。

 内閣感染症危機管理統括庁新設後も、これまでと同様に、感染症の発生及び蔓延の防止に向けて、統括庁を始め関係省庁と引き続き連携しながら、状況に応じた適切な対応をしてまいりたいと考えているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 それでは、引き続きまして、投票環境の整備について質問をさせていただきます。

 大臣所信の中でも、民主主義の根幹というふうに選挙のことを大臣も言及をされておりますけれども、各種選挙におきまして投票率が著しく低下をして、深刻な、この投票率を向上させていくというのは大変重要な課題となっております。

 諸外国におきましては、コロナ禍を経て、選挙自体を否定するような動きもありまして、この選挙制度、すなわち民主主義が危機に瀕している時代でもございます。だからこそ選挙の重要性を再認識をしなければならないわけでございますけれども、今年はまさに統一地方選挙の年でありまして、多くの有権者に選挙権を行使してもらうための投票環境の整備というものは大変重要な課題だと思っております。

 その中で、例えば、これまでも、地方公共団体の議員、長の任期満了による選挙時の期日等の臨時特例に関する法律などの法改正によりまして、有権者の関心を集めるための選挙期日を統一するための法改正などもこれまで行われてまいりました。今年も、一月から二月の間で既に百二十の任期満了に伴う選挙というものが、既に選挙が終わっておりましたり、予定をされております。

 その中で、まさに今、新しく選挙権を得た十八歳の学生さんたちにとっては受験シーズンでもございます。十八歳が有権者となっている現在、投票日の時期の在り方というものも様々考えていく必要も生まれているのではないかというふうに思います。これには法改正含めて様々な課題があるということを承知をいたしておりますけれども、このことについての見解というものをお伺いをさせていただきたいと思います。

尾身副大臣 お答えいたします。

 地方公共団体の議会の議員又は長の任期満了選挙は、公職選挙法の規定により、任期満了前三十日以内に行うこととされています。

 この任期満了選挙を行うべき期間が受験シーズンに重なる場合に、受験シーズンを避けて任期満了日後の選挙とすると、任期満了日から選挙期日まで議会の議員又は長が不在となり、仮にこれを防止しようとすると、任期を延長する必要が生じるなどの課題が考えられます。

 反対に、受験シーズンを避けて選挙を行うべき期間を前倒しする場合、選挙期日から当選者の任期が開始するまでの期間が拡大し、仮にこれを防止しようとすると、任期を短縮する必要が生じるなどの課題が考えられます。

 このように、地方公共団体の議会の議員又は長について、その不在期間を置かないようにすること及び任期満了まで現職が存在すること等を考慮して現行の任期満了選挙の選挙期間が定まっているものであり、これを変えることとなれば、選挙人や候補者に大きな影響を与えることとなることから、まずは、各党各会派において幅広い観点からの議論が必要な問題であると考えております。

 なお、入試を含め投票日に予定がある方は、告示日の翌日から期日前投票が可能であり、また、総務省といたしましては、駅やその周辺施設など有権者の利便性の高い場所への期日前投票所の設置を依頼しているところであり、引き続き、各選挙管理委員会が、受験生を含めた有権者の投票環境の向上に資する取組を積極的に実施できるよう、支援してまいります。

西岡委員 ありがとうございます。

 いろいろ課題はあるということは今御説明もいただいたとおりでございますけれども、十八歳が新しく有権者となっている状況の中で、多くの十八歳有権者が選挙に参加をしていただけるような様々なことを今後しっかり考えていく必要があるのではないかということを、ここで申し上げさせていただきたいと思います。

 引き続きまして、投票環境の整備についての関連の質問でございます。

 同様に、障害をお持ちの方が投票しやすい環境を整備していくということも大変重要な課題でございます。それぞれの方々の状況に寄り添ったきめ細やかな対応が必要でありまして、今、代理投票ですとか郵便投票などの制度もございます。

 今日、新聞の資料としてお配りをいたしておりますけれども、私の地元長崎市で、模擬投票という形で、実際に投票していただいた中で様々な問題、課題というものを改めて認識をしたということで、今日お配りをして御紹介をさせていただいているわけでございますけれども、当事者の求める環境整備というものをしっかりしていくということも不可欠なことだというふうに思っております。

 総務省として、現状、投票所への送迎に係る諸経費の財政措置などの支援に取り組んでいただいておりますけれども、更なる取組など、財政支援も含めた今後の方針についてお伺いをさせていただきます。

森政府参考人 お答えをいたします。

 障害のある方が円滑に投票できる環境については、ハード及びソフトの両面から対応していくことが重要であると考えております。

 総務省では、国政選挙や統一地方選挙に際して、投票所の設置に当たっては、歩行が困難な方に配慮した場所を選ぶことや、段差がある場合にはスロープの設置や人的介助等の措置を講ずること、投票所内の設備の配置については、案内図の掲示、順路の明示等、適切な措置を講ずるとともに、視覚障害者等の誘導に十分配慮すること、記載台の照明灯、車椅子用の記載台、点字器、ルーペ、老眼鏡、車椅子などを準備することを要請をしております。

 また、投票所における障害のある方への対応については、投票所の事務従事者が各障害の特徴を理解した上でそれぞれの有権者に柔軟に対応することが必要であることから、今回、新たに、統一地方選挙に向け、各選挙管理委員会における、それぞれの障害の特徴を踏まえたコミュニケーションの方法や対応例、投票支援カードやコミュニケーションボードなどの先進的な取組例について取りまとめを行い、全国の選挙管理委員会において、これらを参考にして取り組めるよう、その周知を図っているところでございます。

 長崎市の模擬選挙の取組といったことも一つ有用なものと存じているところでございます。

 こうした選挙執行における必要な財政措置に関しては、国政選挙については全額国費により措置をしております。地方選挙については、普通交付税措置が講じられるとともに、投票所への移動が困難な有権者に対する投票所までの巡回、送迎バスの運行やバスの無料乗車券の発行、デマンドタクシーなどの移動支援に要する経費などについては、特別交付税措置を講じているところでございます。

 引き続き、障害のある方が円滑に投票することができるよう、必要な取組をしっかりと推進してまいります。

西岡委員 引き続きのお取組をお願い申し上げたいと思います。

 投票環境の整備について、最後、もう一問質問をさせていただきます。在外邦人の投票環境の環境整備について質問をさせていただきます。

 在外邦人の投票率が著しく低い背景といたしましては、やはり、投票方法の利便性の問題というものが指摘をされております。喫緊の参議院選挙の投票率につきましては、二割という投票率でございます。

 現在の在外邦人の投票方法としては、大使館や領事館など最寄りの在外公館に行って投票をする方法、二つ目としては郵便投票を利用する方法、三つ目としては日本に一時帰国して投票するという、この三つの投票方法がございます。

 まず、一番目の大使館や領事館、最寄りの在外公館に行くということについては、まさにロシアによるウクライナ侵攻等、国際情勢によっては投票所の設置が見送られたり、住んでいるところからその場所が大変遠いことや治安の問題もあり、投票に行きたくても行けないという状況が存在いたしております。

 また、郵便投票についても、日本で居住していた市町村から投票用紙を取り寄せ、国際郵便で返送する必要があって、急な解散・総選挙の場合、例えばさきの第四十九回衆議院議員選挙においては、解散から選挙までが最短、大変短かったという時間的な関係で、郵便投票も困難な事例というものが生まれております。郵便事情は、御承知のようにコロナ感染症や紛争の影響もある状況で、なかなかその状況も厳しい状況がございます。

 過去、総務省の有識者会議は、マイナンバーカードを使ったオンライン投票の導入は可能であるという報告書をまとめ、当時の総務大臣、外務大臣からは実現へ向けた積極的な御発言がございました。

 総務省は、また、二〇一九年、二〇二〇年、インターネット投票の実証実験を行うなどの取組も行ってきておられます。

 また、先般より、在外邦人の選挙人名簿登録申請の利便性が図られ、ビデオ通話による本人確認という特別措置も取られました。

 昨年、インターネット投票を求める署名が林外務大臣に出されたということもございました。

 外務大臣も務められた御経験のある松本総務大臣の御見解と、この在外邦人の投票環境の整備や、また、インターネット投票に向けてどのように今後進めていかれる方針であるかということを、松本総務大臣にお伺いをしたいと思います。

松本国務大臣 在外邦人の投票環境の整備について御答弁申し上げたいと思います。

 西岡先生から今御紹介もいただきましたように、在外投票人名簿への登録申請については、ビデオ通話を通じて本人確認を行うことにより、在外公館に出向いていただくことなく登録申請できるよう、外務省と連携し、昨年、見直しを行っておりまして、この登録申請に係る利便性の向上など、在外選挙人の投票環境の向上に努めてまいりたいと考えております。

 その上で、在外選挙インターネット投票につきましては、マイナンバーカードを利用して確実な本人確認ができる、このことを活用するといった話もあるわけでありますが、二重投票の防止、それから投票の秘密保持、もちろんシステムのセキュリティー対策など、課題や論点について調査研究を実施し、制度面、運用面の方向性について、整理を今進めているところでございます。

 総務省としては、この在外選挙インターネット投票について引き続き検討を進めて、課題などの整理も行い、対応など調査研究をしてまいりたいと思っておりますが、インターネット投票という新たな投票方法を導入することそのものは、選挙は民主主義の根幹というふうに申し上げましたが、選挙制度の根本的な形に関わるというふうに考えておりますので、是非、各党各会派で御議論をいただければというふうに考えているところでございます。

西岡委員 大臣、ありがとうございます。

 同じ国民でありながら、なかなか投票機会が十分に確保されない状況が続いているということは、大変問題があるというふうに思います。昨年十一月に改正国民審査法が成立をして、最高裁判所の違憲判決を受けまして、最高裁裁判官の国民審査の投票が可能になったばかりということもございます。

 この在外邦人インターネット投票については、今大臣から御説明のあった様々な課題がございますけれども、最近の投票率の低下ですとか、様々な事情で投票所に足を運ぶことができない方々の投票機会の拡大につながるものでもございます。松本総務大臣の前向きなお取組に期待を申し上げたいと思います。

 それでは、続きまして、大臣所信で松本総務大臣はデジタル田園都市構想について言及をされております。その中で、これまで、デジタル田園都市構想、特に地方のデジタル実装という側面が大変強調されて、地方と都市部の格差をデジタルで是正をして、地方の利便性を高め、住民の利便性を高めていくということが構想の中心、そういう印象がございますけれども、元々、田園都市構想は、ちょうど五十年前に大平正芳元首相が提唱されたもので、そこには、文化、伝統までを包括した、いわば国家観というような色彩の強い構想であったというふうに理解をいたしております。

 松本総務大臣が考えられるデジタル田園都市構想というものについて、大臣の方から思いを御説明をしていただければというふうに思います。

松本国務大臣 お取上げをいただきまして、ありがとうございます。

 デジタル田園都市国家構想について所信で触れさせていただいたところでございますが、また、今委員からもお話がありましたとおり、田園都市国家構想そのものは大平総理の時代に提唱された構想でありますが、これをずっと拝見をしてまいりますと、所信でも引用させていただきましたが、開かれた新しい地域主義であるとか、活力ある多様な地域社会を目指すといった言葉がありますし、また、更に申し上げれば、本当に様々なことが書いてあります。人口が、人々が移動することを前提とした地方の活性化を考えなければいけないといったようなことも記載をされていたように記憶をいたしますし、課題の抽出という意味では、今なお我々は学ぶべきことが多々あろうかというふうに思います。

 もちろん、この間、我々の先達は様々な課題に対して政策を展開をしてまいりまして、効果も上げてきたと思いますが、効果を上げるのと並行して、また新たな課題も生まれてくる中で、引き続き地方創生は大きな課題として残っているという認識の下、改めて田園都市国家構想ということに触れることによって、地方創生に是非焦点を当てたいという思いもあって言及をさせていただきました。

 また、デジタル田園都市国家構想となりましたのにも、私自身もこのデジタル田園都市国家構想づくりも関わり、ずっと近くで見てまいりましたが、デジタルトランスフォーメーションということで、これまでなかなかできなかったものも、デジタルを大きく活用することによって、まさに場面が変わるような展開が期待できる部分もあるのではないか、そのような思いでデジタル田園都市国家構想というものを策定をしてきたわけでありまして、この理念、目的としては、まさに地方のために、そしてそのことが日本の国づくりにつながっていく、日本の国の力を引き上げれば、それが日本が世界をリードすることにもつながる、そんな思いで申し上げさせていただきましたが、そのための政策としてのデジタルというのは大きな効果が期待できるのではないかという思いも込めて、そのように所信で申し上げさせていただいたところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 今大臣からもお話がありましたように、この国家構想の対象となるべき事柄というものは、本当に幅広い分野にわたるというふうに思います。デジタルという大変な技術を使いながら、是非、田園都市国家構想の持つ理念ですとか哲学というものを大事にしながら、今の国づくり、地方づくり、松本総務大臣のお力を、全力でお取組をいただきたいということを心から期待を申し上げたいと思います。

 既に今、伝統文化のところでも大変デジタルが持つ力というものが見直されておりますし、このデジタル田園都市国家構想の対象は本当に幅広い、まさに地方創生そのものではないかというふうに思います。

 ありがとうございました。

 続きまして、行政のデジタル化、デジタル社会形成を進めていく上での大切な肝となるデジタル人材の確保、育成について質問をさせていただきます。特にここでは、地方行政におけるデジタル人材の確保、育成についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今、特に地方におきましては、デジタル人材を確保するということが大変困難な状況もございまして、民間人材の活用を含めて、今、様々地域でお取組をしていただいておりますけれども、行政のデジタル化については、やはり司令塔となるべきデジタル人材の存在というものが大変不可欠だというふうに思います。現状の取組、また今後の方針について総務省にお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。

大村政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、デジタル人材の確保が急務であることを踏まえまして、人材が特に不足しがちな市町村が、外部からのデジタル人材の任用等によってCIO補佐官等を確保する取組を令和三年度より推進しているところでございます。各団体において人材確保の取組が進められているところでございますが、現状、更なる取組の強化が必要な状況と認識をいたしております。

 そこで、今後、着実に自治体DXを推進していくために、地方公共団体におけるデジタル人材の確保、育成を推進する取組を大幅に強化をすることといたしまして、昨年十二月には松本総務大臣から全国の都道府県知事、市区町村長に対して書簡を発出しております。

 具体的には、都道府県等が市町村支援のためのデジタル人材の確保を行うために要する経費について、新たに特別交付税措置を講ずることとし、従来の市町村の確保の支援に加えて広域的な人材の確保にも取り組むほか、地方公共団体におけるDXの取組を支援するための専門アドバイザーの派遣を新たな取組により充実強化してまいります。

 また、中長期的な観点からは、地方公共団体におけるDXの取組の中核を担う職員の育成にも取り組むことが重要と考えておりまして、こうした職員の育成に要する経費について、新たに特別交付税措置を講ずるとともに、関係機関における地方公務員向けの研修の充実などにも取り組みます。

 これらの取組によりまして、デジタル人材の確保、育成の取組が着実に進むよう、総務省としてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

西岡委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 松本大臣の所信に対して質問をいたします。

 異常な物価高騰の下、実質賃金も年金も減っておりまして、国民生活は極めて深刻な状態です。

 地方自治法一条の二は、地方自治体の役割について、「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。」と定めております。

 今、この生活危機から住民の命と暮らしを守ることこそ、地方自治体の一番の仕事だと思います。賃金がなかなか上がらず、子育て世帯の所得が苦しいときに、市町村は、この地方自治法の精神に立って、独自に様々な子育て支援策を実施してまいりました。

 大臣の地元姫路市でも、例えば、乳幼児や子供医療の助成制度は中学校三年生まで、給食費についても、多子世帯という条件はつけつつも、子育ての経済的負担を軽減し、安心して子育てできる環境の整備により少子化対策に寄与するために、同一世帯の第三子以降については中学校まで無償化としております。

 大臣ももちろん、岸田内閣の一員として、次元の異なる少子化対策の推進に共に責任を負っていると私は考えますが、まず松本大臣の基本的認識をお伺いしたい。

松本国務大臣 委員おっしゃったように、私も内閣の一員でありますし、政府全体として取り組むという意味では、総務省としても政府全体であるというふうに思っておりますが、総務省として、子供政策の強化は我が国にとって重要かつ緊急を要する取組であるということは、御指摘のとおりかというふうに思います。

 御承知のとおり、現在、総務省も構成員となっている、こども政策の強化に関する関係府省会議において議論が進められているところでありますが、子供政策の多くは、これも今お話がありましたとおり、住民に身近な地方自治体を通じて提供されており、地方が現場として果たす役割は大変大きいため、その強化に当たっては、国と地方が協力して取り組んでいくことが重要だと考えております。

 総務省としては、地方の意見や実情を十分に踏まえて連携しつつ、関係府省とも連携しながら、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 当然のことだと思うんですね。

 しかし、これに逆行する事態が生まれております。既に先日の当委員会でも議論になった岡山県備前市の状況であります。

 備前市は、独自の子育て支援策として、二〇一六年から三歳児未満の保育料の無償化を行っており、昨年、二〇二二年からは、小中学校の給食費や、理科等の授業で使う学用品費の一部を無償にする取組も行っております。

 ところが、資料一と二を見ていただきたい。昨年十二月十六日付で、備前市の教育庁教育振興部が出した二通の通知であります。来年度、二〇二三年度から、これまで市が分け隔てなく子育て支援として行ってきた保育料や給食費、学用品費の無償化を受けるためには、今後は世帯の全員がマイナンバーカードを取得していることを条件とするという内容なんですね。

 これは、岸田内閣が進める異次元の少子化対策という方向に全く逆行する事態ではないかと私はこの通知を受け止めたんですが、総務大臣、御感想をお伺いできますか。

松本国務大臣 感想ということでございますが、各地方が独自に展開をされている政策につきましては、マイナンバーカードの関連の有無にかかわらず、それぞれの地方が議会や住民の声を聞いて、それぞれ御判断をいただくものというふうに考えておりまして、本件備前市につきましては、私どもは、現在検討中というふうに聞いているところでありますが、住民の声、議会などの議論も踏まえて、十分に丁寧に検討をいただいた上、御判断をいただくものというふうに考えております。

宮本(岳)委員 先日、私は現地へ行って、直接備前市当局からも事情を聞かせていただいてまいりました。同時に、こういう動きに対して、マイナンバーカードの取得状況による子育て支援策への差別の持込み、これはやめてほしいということで、署名運動の先頭に立っている市民の皆さんからも直接お話をお伺いしてまいりました。

 備前市では、市民の間に日増しに反対署名が広がって、この町は人口三万二千人の町なんですけれども、お父さんたち、お母さんたちが先頭に立って、市の内外から、市内だけじゃないですよ、市の内外から既に四万三千筆のまさに人口を超える署名が寄せられているというふうにお伺いをいたしました。

 私がお話を伺ったお母さんは、子育て支援が充実しているということで移住してきたけれども、マイナンバーカードの取得の有無で子供施策に差別を持ち込むなんて許せないと語っておられました。

 備前市は、岡山県下でも既に一番マイナンバーカードの普及が進んでいる自治体だと認識しております。ですから、署名をしてくださる市民は既にマイナンバーカードを作ったという人が圧倒的らしいんですけれども、自分は作ったけれども、この制度はおかしいじゃないか、署名に協力すると。圧倒的多数の市民は、そういうやり方で進めるのはおかしい、マイナンバーに反対じゃないんだ、自分も作ったんだ、しかし、この施策は賛成できないという声が多いというふうに現場で聞いてまいりました。

 今日は、内閣府の子ども・子育て本部に来ていただいております。二〇一九年十月からの幼児教育、保育の無償化の実施に当たり二〇一七年度に実施した調査で、私立保育所等のゼロ歳から二歳児の保育料の全国平均値、三歳以上は無償になっておりますから、今回この措置によって有償化に戻されるのはゼロ歳から二歳児までということになろうと思いますけれども、ゼロ歳から二歳児の保育料の全国平均値は月額で幾らになっておりますか。

北波政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ありました令和元年、二〇一九年十月から幼児教育、保育の無償化を実施するに当たりまして、平成二十九年度、二〇一七年度に保育料に関して地方自治体に調査を実施したところでございます。

 この調査結果につきましては、地方単独事業による支援等は加味されていないというふうなことですので、若干、保護者が実際に負担している金額とは異なるものであることに留意する必要はございます。御指摘ありました私立の保育所等のゼロから二歳児の国基準での保育料の全国の月額平均値につきましては、約四万二千円となっております。

宮本(岳)委員 四万二千円なんですね。保育料は、世帯の収入や保育園に通う子供の人数、自治体によって違うので、一概には言えませんけれども、これしかないんです。これ以降にもっと正確にとか調べたものはないので、取りあえず、今、月額四万二千円なんですね、出ている額は。これは、単純に十二か月を掛ければ、約五十万円ということになります。

 それから、給食費無償化も外すという話ですから、これは一体どれぐらいになるか。備前市の給食費は、一食当たり、小学校で二百八十五円、中学校で三百三十円。これは調べてまいりました。年間に換算いたしますと、およそ五万五千円から六万円ほどになります。

 保育料で五十万円、それから給食費ならば五万から六万と。両方、そういうお子さんをお持ちであれば、五十五万円を超える額になる。この負担が、マイナンバーカードを世帯全員取得したかどうかの有無で差が生じる。

 物価高騰の中で、新年度から新たな負担が生じることになれば、市民の暮らしは大打撃だと言わなければなりません。コロナ禍と物価高騰で市民の暮らしが大変になっているときに、マイナンバーカードを事実上強制するために、子育て世代に五十五万円ものペナルティーを押しつける。これを、自治体の判断だ、こういって放置しておいたのでは、異次元と呼ばれる少子化対策は進まないと言わざるを得ないんですが、大臣、そうは思われませんか。

松本国務大臣 是非やはり子供政策を推進する必要があるということはおっしゃるとおりでありますが、できるだけ繰り返しを避けて申し上げますが、御案内のとおり、平成十一年の地方分権一括法の制定以降、国と地方の関係は対等かつ協力の関係にあると認識しておりまして、自治体独自の施策については、各自治体の自主的な判断により取り組むことが基本であるというのが、私どもの考え方でございます。

宮本(岳)委員 さあ、自治体の自主的な判断で始まった話であるかをこれから議論したいと思うんですね。

 先日の当委員会で、吉川自治行政局長は、立憲民主党のおおつき委員の質問に対して、「カードを取得していない方に対して特定のサービスを停止したり、自治体に対して特定のサービスを停止するよう要請したことはございません。」こうはっきり答弁されました。

 自治行政局長、間違いないですね。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードは、地方のDXの基盤となるツールであり、カードの利便性の向上を図りつつ、その普及促進に取り組んでいるところでありまして、御指摘のような、カードを取得していない方に対して特定のサービスを停止したり、自治体に対して特定のサービスを停止するよう要請したことはございません。

宮本(岳)委員 いや、そうおっしゃる割には、マイナンバーカードを世帯全員が取得していなければ、五十五万円もの負担が新たに生じる、こういう事態が起こっているから聞いているんですよ。

 この備前市の事例、どこが、カードを取得していない方に対して特定のサービスを停止したり、自治体に対して特定のサービスを停止するよう要請したことはないと言えるのか、分かるように御説明いただけますか、局長。

吉川政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、カードを取得していない方に対して特定のサービスを停止するよう自治体に要請したことはございませんが、マイナンバーカードの普及促進に当たって、自治体が個別にどのような政策を展開するかについては、各自治体において、住民の御意見や議会での議論などを踏まえ、十分検討の上、御判断いただくものと考えております。

宮本(岳)委員 それはあれですか、自治体に対して停止せよと言ったことはないけれども、自主的にカードを取得しない方に対して特定のサービスを停止してもらっても構わないということをおっしゃっているわけですね。

吉川政府参考人 総務省といたしましては、各自治体において、住民の皆様にデジタル化のメリットを享受していただけるように、カードの普及促進や利便性の向上に取り組んでいただきたいと考えておりまして、そのように各団体にも要請をさせていただいているところでございます。

宮本(岳)委員 いや、カードのメリットを説明したり、サービスの享受、こんないいことがありますよと説明していることが悪いと言っているんじゃないんですよ。あなたが説明するように、カードを作らないことによって特定のサービスを停止することはないと言いながら、そういうことを要請した覚えはないとおっしゃるか知らないけれども、自治体が総務省の意向を忖度というんですか、おもんぱかるというんですか、それを受け止めて、自主的に特定のサービスを停止することについては構わないということなんですね。お答えください。

吉川政府参考人 繰り返しになりますが、特定のサービスを停止するよう自治体に要請したことはございません。自治体が個別に政策を展開するに当たってカードの取得の有無を考慮するかどうかといった点は、各自治体において丁寧に御検討いただくべきものと考えております。

宮本(岳)委員 それは、停止するように要請していたら大問題ですよね。そういうことはやっていないと言うんでしょうから、それは要請はしていないんでしょう。しかし、問題は、こういうことが起こったときにあなた方がどう受け止めるかということが今大問題だと思うんですね。

 現地に行って説明を求めました。備前市の説明はこういうものでした。無償化策をひとまず廃止して、ゼロベースで見直し、改めて、マイナンバーカードを世帯全員取得している家庭への特典として無償措置を行うことを検討していると。一旦下げた上で、今までどおりの部分は特典にするんだという話ですね。

 しかし、ひとまず廃止して、ゼロベースで見直し、改めて、マイナンバーカードを世帯全員作っている家庭への特典として無償措置を行うという、私はへ理屈だと思うんですけれども、こういうものが出てきているのには、私は、総務省の説明、つまり、マイナスはしませんよ、プラス、インセンティブはやるけれどもペナルティーはやりませんとおっしゃるけれども、こういう逆転の話をすれば、結局同じことなんですね。インセンティブを与えるがペナルティーはしないと言ってみても、一旦行政サービスの水準を引き下げておいて、そして、マイナンバーカードを取得した者にもう一度元の行政サービスをインセンティブだといって与えれば、結果としたらペナルティーと同じ結果になるんですよ、これは。

 そうなれば、幾ら自治行政局長が、カードを取得していない方に対して特定のサービスは停止したり、自治体に対してそれを要請したことはないと答弁してみても、ほとんど意味のない、やろうと思えばこういうやり方を取れば幾らでも、カードを作っていない人に特定のサービスを切り下げるということができることになるんですけれども、そうじゃないですか、局長。

吉川政府参考人 各自治体において、マイナンバーカードを取得している方にどのようなサービスを提供するかにつきましては、住民の御意見、議会での議論などを踏まえ、十分検討の上判断するとともに、住民に対して事業内容や効果等についてしっかりと説明責任を果たしていただきたいと考えております。

宮本(岳)委員 あかんなという声が議場でもつぶやかれておりますけれども、やはり、特定のサービスを停止したりすることはないと答弁されるんだったら、そういう状況があると聞いたら、それはちょっと趣旨と違うんですよという説明をしてもらわなきゃなりません、自治体に対しても。

 もちろん、大臣がおっしゃるとおりで、地方分権改革をやっていますから押しつけたりはできない、また、するのは間違いだと思いますけれども、しかし、助言なり様々な情報提供をする必要がある。あなた自身がここで、特定のサービスを停止したりすることはないと答弁しているんですから、国はそういう立場ですよということを伝えていただく必要があると思うんですね。

 なぜ不利益変更が許されないか。あくまでこれは任意の制度だからであります。任意の制度であるにもかかわらず、マイナンバーカードを取得しない人や世帯にペナルティーをすることが許されないのは当然だと思うんですね。ですから、より根本的なところをデジタル庁に聞きたいと思うんです。

 なぜマイナンバー法はカードの取得を任意にしているのか、強制することを避けた理由は何か、お答えいただけますか。

内山政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードは、安全、安心なデジタル社会のパスポートとして御利用いただいているものであり、厳格な本人確認の下で交付する必要がございます。

 このため、カードに必要な顔写真を御本人が撮影して申請していただくとともに、交付又は申請の際に市町村職員による対面での本人確認を必要としていることから、その取得を義務化せず、申請によることとしたところでございまして、現段階では義務化は難しいと考えてございます。

宮本(岳)委員 確かに、昨年五月二十七日の予算委員会で、岸田首相は、同じ趣旨を問われまして、今の二点ですね、一つ、カードに顔写真を表示する、二つ、対面での厳格な本人確認が必要である、この二つの理由を挙げて、義務化することを控えて任意の制度にしたと答弁をしております。

 この二つ目の、対面での厳格な本人確認ができない人、不可能な人がおられるというのは分かりやすいんですけれども、一つ目の、カードに顔写真を表示するということがなぜ義務化を控える理由になるのか。デジタル庁、重ねてお答えいただけますか。

内山政府参考人 お答えいたします。

 先ほどと繰り返しになりますけれども、カードに必要な顔写真を御本人が撮影して申請いただくということになってございます。そういうことから、行政側からいわば一方的に、勝手に交付することができないという性質から、申請によることとされてございます。

宮本(岳)委員 念のために、重ねて、今日は個人情報保護委員会に来ていただいております。

 顔写真は、個人情報保護法上、個人識別情報に位置づけられていると思いますが、間違いないですね。

山澄政府参考人 お答え申し上げます。

 個人情報保護法におきまして、個人情報の定義といたしましては、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる記述等により特定の個人を識別することができるものという定義がされておりまして、特定の個人を識別することができるような顔写真につきましては個人情報に該当いたします。

宮本(岳)委員 顔写真を提出することに拒否感がある人に無理やり顔写真を提出させることはできない。また、当然のことだが、様々な理由で対面での厳格な本人確認ができない人にカードを強制することはできません。

 そもそも、二〇二一年三月十七日に、内閣委員会におけるデジタル社会形成基本法案の審議で、我が党の塩川鉄也議員の質問に答えて、当時の平井卓也担当大臣は、デジタル社会の形成は、デジタルの活用によって、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことを可能とすることで、多様な幸せを実現するために行うものであって、こういう趣旨を踏まえると、個人がデジタル機器を利用しない生活様式や選択も当然尊重されるものと考えていると答弁されました。

 デジタル庁、この平井大臣の答弁は今でも生きておりますね。

山本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただいた答弁にもございましたけれども、デジタル社会の形成は、デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことを可能とするものでございまして、多様な幸せを実現するために行うものであり、このことを踏まえれば、個人がデジタル機器を利用しない生活様式や選択も当然に尊重されるものと考えております。

 その上で、そうした方々に対しても、行政や民間のサービス提供者側でのデジタル活用や、デジタル推進委員など周囲の方々からの支援を通じまして、利便の高まる社会を目指してまいることが重要であると考えておりまして、このような考え方の下、誰一人取り残されないデジタル社会に向けて取り組むこととしております。

宮本(岳)委員 選択を可能とすることで多様な幸せを実現するために行うものであって、個人がデジタル機器を利用しない生活様式や選択も当然尊重される、まさに憲法十三条の個人の尊厳原理を尊重する立場なんですね。

 国がライフスタイルを決めるということ、これは許されません。松本大臣も総務省も当然、個人がデジタル機器やマイナンバーカードを利用しない生活様式や選択というものも尊重されるべきだ、これはお認めになりますね、大臣。

松本国務大臣 私も、昨年十一月の所信でも、アナログの人間のためのデジタルというふうに申し上げさせていただいてまいりました。

 当時の平井大臣がこのように御答弁をされておられることについては、私も尊重してまいりたいと思っております。

宮本(岳)委員 当然の立場だと思いますね。

 前回も議論になりましたけれども、だからこそ、二〇一八年二月二十日の当委員会で、山崎重孝自治行政局長は、自分の意思で必要と思われた場合に、申請に基づいて交付される、つまり、申請主義であり、あくまでも任意の制度だと述べた上で、目標を掲げることは適当ではないと答弁したのは当然のことでありました。

 ところが、前回の質疑で吉川自治行政局長は、それは大昔の答弁であったかのように語り、二〇二〇年十二月に閣議決定されたデジタル・ガバメント実行計画を始めとする累次の閣議決定に基づき、一〇〇%目標を持って進めるのは当然であるかのように答弁をされました。

 吉川自治行政局長、閣議決定後の今日では、個人がデジタル機器やマイナンバーカードを利用しない生活様式や選択を尊重する必要はなくなったということですか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードはデジタル社会の基盤となるツールでありまして、安全、安心で利便性の高いデジタル社会をできる限り早期に実現する観点から、累次の閣議決定において政府目標を立て、その普及促進に取り組んでいるところでございます。

 平井大臣の答弁で言われていることにつきましては、私ももちろん尊重する立場でございます。

宮本(岳)委員 尊重したことになっていないから聞いているんですけれどもね。

 基盤だ基盤だと言って、全員が持たないと前に進まないかのようなことを言うんだけれども、しかし、そういうものを持たないという生活様式も尊重されなきゃならないわけですよ。

 自治行政局長は、前回の質疑でも、総務省の立場は、マイナンバーカード普及促進のため、自治体との間の連絡体制を確立し、国の施策の最新情報を始め、申請促進や利便性向上に係る全国の先進的な取組事例をきめ細かく提供するとともに、それぞれの自治体における現状や課題をよく伺った上で丁寧に助言するなど、自治体の取組をしっかりと後押ししていくというものでございます、こういう答弁をされました。

 では、その総務省の、自治体の取組をしっかり後押ししていくという政策がどのような結果を生んでいるかを見てみたいと思うんです。

 資料三は、二月十二日付の山陽新聞であります。「マイナ取得限定に波紋」という見出しがあり、リードには、「背景にはカード普及を交付金の支給要件とする国の誘導策もある。」と書いております。記事には、赤線部、「政府は「デジタル田園都市国家構想交付金」についてカードの普及状況を受給要件とし、」と書かれておりますけれども、これは内閣府の所管の交付金だと思います。内閣府、これは事実ですね。

布施田政府参考人 お答えいたします。

 令和四年度第二次補正予算において、デジタル田園都市国家構想交付金を創設し、昨年十二月に募集の事務連絡を発出しているところでございます。

 マイナンバーカードの普及が進んだ自治体においては、地域のデジタル化に係る取組をより一層強力に展開できると考えられることから、交付金の対象の一部の、全国的なモデルケースとなるようなデジタルを活用した先進的な取組につきまして、申請率が昨年十一月末の全国平均交付率以上、かつ、全住民への交付を目標として掲げていることを申請条件としております。

 一方で、デジタル実装のための計画策定などを主内容としない取組については、普及状況は考慮してございません。また、デジタル活用の優良モデルを横展開する取組などについては、普及状況は申請要件ではなく、勘案事項としているところでございます。

宮本(岳)委員 いやいや、カードの普及状況を受給要件として進めていることも事実ですね。もう一度。

布施田政府参考人 マイナンバーカードの普及が進んだ自治体においては、地域のデジタル化に係る取組をより一層強力に展開できると考えられることから、交付金の対象の一部の、全国的なモデルケースとなる先進的な取組につきまして、申請率は昨年十一月末の全国平均交付率以上、かつ、全住民への交付を目標として掲げていることを申請条件としております。

宮本(岳)委員 結果として金がかかるから、それを補填するという説明。この後の地方交付税でもするんですけれども、実態は違うんですよ。実態は、幾らそれに金がかかることが分かって、計算の上その額が出たのかと聞いても、何も必要経費から出ていないんですよ。事実上は、このお金を取るためにみんなが血道を上げている。メディアだって、そう報じているわけですよ。

 じゃ、地方交付税について論じましょう。資料四を見ていただきたい。

 地域デジタル社会推進費の増額分、マイナンバーカード利活用特別分五百億円について、マイナンバーカードの交付率に応じて割増しする算定方式の説明資料です。右の方に割増しのイメージ図がついております。

 資料三にもあるとおり、記事にもあるとおり、備前市のカード交付率は一月末時点で七二・九%であり、岡山県内でトップとなっております。既に上位三分の一に入っているのは間違いないと思われるのに、なぜまだここまで更に強引に進めるのかと私は不思議に思っていたんですね。

 そうしたら、このグラフにちゃんと答えがあるんですよ。赤の折れ線グラフを見ていただくと、三分の一を超えても、交付率が上がれば上がるほど更に上乗せ、割増しが上がることになっている。

 これは総務省に確認します、財政局。上位三分の一を超えても、更に一〇〇%に向かって交付率を上げれば上げるほど割増し率も上がるという制度になっております。事実ですね。

原政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードの交付率の普通交付税への反映につきましては、五百億円増額いたします。その中で、カード交付率も活用するということにしております。

 これは、カードの普及に伴いまして、住民サービスを向上するための財政需要を的確に反映するということで交付率を用いるものでございます。

 御指摘の、マイナンバーカードの交付率が高い、上位三分の一の市町村が達している交付率以上の市町村については、カードを利活用した取組に係る財政需要が多く生じると想定されることから、当該市町村のカードの交付率に応じた割増し率により交付税を算定することと予定しております。

 このため、カード交付率が上位三分の一の市町村が達している交付率以上の市町村については、カード交付率が高い市町村ほど高い割増し率に算定することを予定しておりますが、これはあくまでも財政需要の適切な反映という観点で行うものでございます。

宮本(岳)委員 そういう説明が通るかどうか、またやりましょう。それは、追ってやりましょう。

 大臣、私に対しても、備前市当局は、全員無償化に制度を続けられるなら、それにこしたことはないと言いながら、これまでの子供、子育て施策の予算一億六千万円が財政的に負担であり、厳しい財政状況を考えれば、この上積み分を逃す手はないという趣旨の説明をいたしました。

 結局、あなた方がインセンティブと位置づけ、自治体の取組をしっかりと後押ししていくなどと説明している施策が、逆に、子育て施策の後退を生んでいるじゃないですか。このようなやり方こそ見直すべきだと私は思います。

 先ほど議論がありました、政策評価をして、必要であれば軌道修正する。大臣もそうおっしゃった。こういうものこそ軌道修正が必要じゃないですか、大臣。

松本国務大臣 まず、交付率へのマイナンバーカードの普及率の反映は、インセンティブではなく、想定される財政需要に対応するものだということを是非御理解をいただきたいと思っております。

 また、マイナンバーカードの普及については、利便性を向上させることで、例えば、今幾つかの自治体で進めていただいている書かない窓口などのように、やはり、マイナンバーカードを持つと大変便利であるということを実感していただくことを通して、より多くの方にマイナンバーカードを持っていただくようになっていただきたいということで、私どもも、政策でありますので、このマイナンバーカードの普及についても、普及の目標というのを掲げて、前へ進んできておるというふうに理解をいたしております。

 繰り返しになりますが、今、備前市の政策について御議論をいただいたところでありますが、子供政策への対応について、マイナンバーカードの保有をもって対象とするかしないかというふうな政策をお取りになっていること、これも検討中と承知していますが、そういうふうなことが伝わってきているということに対して、これを導入したことについて、メディアの方の論評について私どもコメントする立場にありませんけれども、備前市さんがこの政策を採用するのかどうかも含めて、繰り返しになりますが、今、私ども総務省としては、対等、協力の立場からしますと、住民の皆様のお声、議会の議論を踏まえて、十分に丁寧に検討いただいて御判断をいただくものというふうに申し上げたいと思います。

宮本(岳)委員 もう時間が来ましたから終わりますけれども、マイナンバーの制度設計に関わった中央大学の石井夏生利教授は、昨年十月十五日の朝日新聞インタビュー記事で、元々マイナンバー制度をつくるときにカードがなくてもいいように制度をつくっています、カードの取得を制度運用の条件にすると、取得しない人が制度から漏れてしまい、国民全員に割り振られる番号制度の趣旨を実現できなくなります、また、個人情報保護の面でも国民からの不安が拭えないと考えられていました、さらに、カードを作るためには、本人確認のために行政窓口に来てもらう必要もあります……

浮島委員長 申合せの時間が経過しておりますので、おまとめください。

宮本(岳)委員 そういった諸々の事情があり、カードを必須にはしませんでしたと述べています。

 そもそも、強制や義務化は、憲法が認める基本的人権、個人の尊厳の保障にも反することを厳しく指摘して、私の質問を終わります。

浮島委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五十九分開議

浮島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、令和五年度地方財政計画について説明を聴取いたします。松本総務大臣。

松本国務大臣 令和五年度地方財政計画の概要について、御説明申し上げます。

 本計画の策定に際しては、通常収支分については、地域のデジタル化や脱炭素化の推進等に対応するために必要な経費を充実して計上するとともに、地方団体が住民のニーズに的確に応えつつ、行政サービスを安定的に提供できるよう、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上等を行う一方、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うこととしております。

 あわせて、引き続き生じる財源不足については、適切な補填措置を講じることとして、地方の一般財源総額について、交付団体ベースで、令和四年度の地方財政計画を上回る額を確保するとともに、地方交付税総額を増額して確保しつつ、臨時財政対策債を大幅に抑制することとしております。

 また、東日本大震災分については、復旧復興事業について、直轄・補助事業に係る地方負担分等を措置する震災復興特別交付税を確保することとしております。

 以上の方針の下に、令和五年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、令和四年度に比べ一兆四千四百三十二億円増の九十二兆三百五十億円、東日本大震災分については、復旧復興事業が二千六百四十七億円などとなっております。

 以上が、令和五年度の地方財政計画の概要でございます。

浮島委員長 以上で説明は終わりました。

     ――――◇―――――

浮島委員長 次に、ただいま付託になりました内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。松本総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方税法等の一部を改正する法律案

 地方交付税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本国務大臣 地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、御説明申し上げます。

 まず、地方税法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。

 現下の経済情勢等を踏まえ、地方税に関し、所要の施策を講ずるため、本法律案を提出した次第です。

 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、車体課税の改正です。自動車税及び軽自動車税の環境性能割について、現行の税率区分を令和五年末まで据え置くこととした一方、今後三年間の措置として、税率区分を段階的に引き上げる措置を講ずることとしております。

 第二に、納税環境の整備に関する改正です。固定資産税及び不動産取得税に係る質問検査権の対象の明確化等を行うこととしております。

 第三に、航空機燃料譲与税の改正です。譲与割合の特例措置の見直しを行うこととしております。

 その他、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要でございます。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等に鑑み、地方交付税の総額の特例等の措置を講ずるため、本法律案を提出した次第です。

 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、地方交付税の総額の特例です。令和五年度分の通常収支に係る地方交付税の総額は、地方交付税の法定率分に、法定加算額及び地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用等による加算額を加え、交付税特別会計借入金償還額及び同特別会計における借入金利子支払い額等を控除した額十八兆三千六百十一億円とすることとしております。

 また、交付税特別会計借入金について、令和五年度の償還額を増額し、令和三十五年度までに償還することとしております。

 第二に、地方交付税の基準財政需要額の算定方法の改正です。地域社会のデジタル化の推進に要する経費の財源を充実するため、地域デジタル社会推進費の期間を令和七年度まで延長するとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため、令和五年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正するほか、臨時財政対策債への振替額に相当する額を控除した額を基準財政需要額とすることとしております。

 第三に、東日本大震災の復旧復興のための財源となる震災復興特別交付税の確保です。令和五年度分の震災復興特別交付税については、新たに六百五十四億円を確保することとし、総額九百三十五億円としております。

 その他、令和五年度から令和七年度までの間に限り、臨時財政対策債を発行することができることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要でございます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

浮島委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十六日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五分散会


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