衆議院

メインへスキップ



第4号 令和5年2月16日(木曜日)

会議録本文へ
令和五年二月十六日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 武村 展英君 理事 鳩山 二郎君

   理事 石川 香織君 理事 奥野総一郎君

   理事 守島  正君 理事 中川 康洋君

      青山 周平君    東  国幹君

      井林 辰憲君    井原  巧君

      池田 佳隆君    石井  拓君

      石原 正敬君    金子 恭之君

      川崎ひでと君    国光あやの君

      小森 卓郎君    佐々木 紀君

      坂井  学君    島尻安伊子君

      杉田 水脈君    田所 嘉徳君

      中川 貴元君    西野 太亮君

      長谷川淳二君    古川 直季君

      松本  尚君    務台 俊介君

      保岡 宏武君   山本ともひろ君

      渡辺 孝一君   おおつき紅葉君

      岡本あき子君    神谷  裕君

      重徳 和彦君    道下 大樹君

      湯原 俊二君    伊東 信久君

      市村浩一郎君    中司  宏君

      輿水 恵一君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君    吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   内閣府副大臣       星野 剛士君

   総務副大臣        尾身 朝子君

   総務大臣政務官      国光あやの君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   農林水産大臣政務官    角田 秀穂君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     井上  学君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 五味 裕一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  清水 正博君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  原  邦彰君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       藤野  克君

   政府参考人

   (消防庁次長)      澤田 史朗君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 西永 知史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       寺門 成真君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森光 敬子君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官)          吉田健一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (環境省大臣官房政策立案総括審議官)       角倉 一郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 小森  繁君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十六日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     石原 正敬君

  小森 卓郎君     石井  拓君

  佐々木 紀君     青山 周平君

  坂井  学君     山本ともひろ君

  西野 太亮君     東  国幹君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     佐々木 紀君

  東  国幹君     西野 太亮君

  石井  拓君     松本  尚君

  石原 正敬君     池田 佳隆君

  山本ともひろ君    坂井  学君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     川崎ひでと君

  松本  尚君     小森 卓郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長井上学君、内閣府大臣官房審議官五味裕一君、総務省大臣官房地域力創造審議官大村慎一君、行政評価局長清水正博君、自治行政局長吉川浩民君、自治行政局公務員部長大沢博君、自治財政局長原邦彰君、自治税務局長池田達雄君、情報流通行政局郵政行政部長藤野克君、消防庁次長澤田史朗君、外務省大臣官房参事官西永知史君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官寺門成真君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、厚生労働省大臣官房審議官日原知己さん、厚生労働省大臣官房審議官森光敬子さん、経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官吉田健一郎君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、環境省大臣官房政策立案総括審議官角倉一郎君及び環境省大臣官房審議官小森繁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井原巧君。

井原委員 皆さん、おはようございます。自民党の井原巧です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、冒頭でありますが、去る二月六日に発生しました、トルコ南部のシリア国境近くで起きた、マグニチュード七・八と言われておりますが、地震によりまして、今日現在でも、もう四万人を超える方々がお亡くなりになったというふうに報道を聞いております。亡くなられた皆様方に心より御冥福と、そして被害に遭われた皆様へのお見舞いを申し上げたいと存じます。

 それでは、質問に入りたいと思います。

 私自身は、政治家としての経歴ですけれども、県議会議員と、もう一つは平成の大合併のときにちょうど市長になりまして、これまで政治を積んできましたので、大体地方自治の現場で政治歴があるということになります。平成十六年からちょうど合併新市の市長になりましたが、その当時のことをちょっと思い出します。

 中司さんも同じに市長を一緒にやっていましたけれども、日本は、ある程度住民サービスが当時全国に均等に行き渡ってきたというような認識の下、地域によって住民ニーズの優先度がおのずと違ってくる中で、住民に最も身近な地方自治体がサービスを展開する方がより豊かさが実現できるということの理念で、地方にできることは地方でとか、国から地方へのひもつきの補助金や負担金の廃止、縮減等が地方から求められてまいりました。いわゆる地方分権とか、当時、地域主権というような言葉、あるいは道州制等も国会ですごく議論された時代でもありました。

 そのサービスを実施できるだけの受皿も必要だろうということで、行財政改革という世論の求めもありまして、平成の市町村合併が進むことになった、そういう時代でありました。

 その結果、三千二百余りの市町村が千七百ほどに今約半減したわけであります。特に私の愛媛県は非常に優等生で、六十の市町村がありましたけれども、今はもう村がなくなりまして二十の市町に再編されたということであります。

 当時の議論としては、国と地方の税収の比率は、国が三で地方が二、六対四だったんですね。ところが歳出、いわば仕事の量を言うと、国が二でそして地方が三ということになっておりまして、もうこの差異をできるだけ埋めるべきだというような議論がありました。いわゆる三位一体の改革というものでありましたけれども、平成十六年から三年間で、当時確かに税源の移譲が進みました。平成十九年には、国税である所得税が減税されて、地方税は住民税が増税され、約三兆円の収入増にはなりました。

 ところが、国庫補助負担金がその三年間で約四・七兆円、地方交付税が約五・一兆円減額され、いわゆる地財ショックというものが当時起こりました。多くの自治体が、合併の当初経費が生まれていたときだけに、それが非常に追い打ちとなりまして、極めて地方財政は困窮し、私の市でも、市長や職員の給与、補助金カット等に本当に苦しみました。時代の変化に対応した政策などは打ち出せるような状況になかったということを今でも覚えております。

 それでは、今はどうだろうかということでありますが、少なくとも、当時と比べて、都市と地方の格差は、広がるにせよ、縮まっているとは残念ながら感じられておりません。それは、人口減少や少子高齢化による社会構造の変化が更に地方から都市への人口流出を生み、格差が広がっているように感じるからだろうというふうに思います。そのためにも、地方こそ国の政策に更に上乗せするようなこれら対策を今こそ打たねばならず、地方への自由度のある財源支援は極めて重要だ、こういうふうに考えているわけであります。

 そこで、地方財政計画についてお伺いしたいと思います。

 地方自治体からは、地方が自由に使える一般財源総額の確保、その中でも、地方交付税総額の確保と臨時財政対策債の発行抑制について強く要望がなされてきておりますが、令和五年度地方財政計画はこうした地方の声に応える結果になったのか、その特徴と評価について、松本大臣にお伺いいたします。

松本国務大臣 御質問ありがとうございます。

 私からも、今お話がありましたように、トルコ、シリアの国境における被災された方々、亡くなられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、被災された方々にはお見舞いを申し上げたいと存じます。

 委員からは、今、地方財政計画に関して御質問をいただきました。私も、総務大臣就任以来、国会におきまして地方行財政を御支援いただく先生方を中心に多くの方々から、また、地方自治体の皆様から、地方の財源確保と財政の健全化にしっかり取り組むよう、強い御要請と激励をいただいてまいりました。私としても、皆様の御期待に応えられるようにとの決意を持って予算編成に取り組んでまいりました。

 令和五年度の地方財政計画においては、社会保障関係費の増加等が見込まれる中、地方自治体が、住民ニーズに的確に応えつつ、地域のデジタル化や脱炭素化の推進など様々な行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう、一般財源総額について、交付団体ベースで令和四年度を上回る六十二・二兆円を確保いたしました。

 その中でも、地方交付税総額について、令和四年度を〇・三兆円上回る十八・四兆円を確保いたしました。

 あわせて、臨時財政対策債の発行額を前年度から〇・八兆円抑制した一・〇兆円とし、その残高を二・九兆円縮減するなど、財源確保と財政健全化とのバランスの取れた内容とすることができたかと考えております。

 私としても、御要望、御期待に応えるべく全力を尽くしたところでございますが、ありがたいことに、地方六団体からも一定の御評価をいただけたかと考えております。

 各自治体におかれましては、今回の地方財政計画を踏まえて、地域の課題にお取り組みいただくことを期待を申し上げているところでございます。

井原委員 ありがとうございました。

 人口減少や少子化の問題というのは国全体の本当に大きな課題でありますが、それが激しい地方では、まさに存亡をかけたような今現状だろうと思います。

 これまでは、労働力の確保とか土地代等がインセンティブとなりまして企業の立地も見込めたんですが、それが、現在、そのインセンティブがないという、労働力が不足してきているのも地方であります。地方が元気でなければ日本の再生もないというふうに考えるわけであります。あらゆる政策を、国、地方挙げて、実行に待ったなしということだろうと思います。

 例えば、外国人の技能実習制度なんかは、どちらかというと、先進国から発展途上国への上から目線といいますか、そういう形にも見えないわけではないんですけれども、まさに、我が国にとっては、国境を越えた労働法制も避けて通れない議論をしなければならない、そんな状況にも来ているというふうに思いまして、まさに聖域なく取り組まなければならない、こういうふうにも思っております。

 ただ、一つ追い風だなと思うことがあります。それは、一つは円安。いろいろ、いい、悪い面はありますけれども、円安による輸出産業界の国内立地というのが、今、目線が示されているので、この国内回帰が一つの大きな機運になって、もう一回地方に元気を取り戻すとか、あるいは経済の安全保障上もまた国内回帰という機運がありますので、今、そういうような施策をしっかりと行うことが必要だろうというふうに思います。

 それら政策の実を成すためには、やはり地方自治体の協力、そして地域特性を生かした独自の上乗せの施策も展開しなければならないというふうに思いますので、その能力や実行力を地方自治体はしっかり発揮しなければなりません。今般の基準財政需要額には、それに配慮した、地域社会のデジタル化の推進に要する経費とか、あるいは子供、子育て支援施策の充実に要する経費を算定に加えてもいただいております。

 残念ながら、しかし、改善したとはいえ、まだまだ財政の硬直化から機動的な投資的経費は不十分でありまして、今後、さらに、自由度の高い、これら待ったなしの問題に対する地方自治体の運営に、大臣の方からも御支援、御協力賜りますようによろしくお願い申し上げます。

 続きまして、地方税法等の一部を改正する法律案の自動車税制についてお伺いをいたします。

 国にとって、今や自動車は生活の必需品であります。また、所有の在り方にも変化が生まれております。都会では、リースとかあるいはカーシェアリングというような、所有の形も大きく変わってはいますが、一方、地方では、公共交通が未熟で、当分は自動車を購入せざるを得ない状況だろうと思います。このことも都市と地方の格差の一つとして捉えておかなければならないと私は考えております。

 まずは、それはさておきまして、今、自動車は、内燃機関から電気モーターへのシフトが進んでおります。それは、言うまでもなく、世界規模で異常気象が発生し、大規模な自然災害が増加するなど、気候変動問題への対応は今や人類共通の課題となっているからで、我が国においても、二〇三〇年度の温室効果ガス四六%削減、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現を掲げ、気候変動問題に対して取り組む決意を示しているところで、自動車についてもこれら目標に向けた取組が行われているわけであります。

 ですから、税制についてもカーボンニュートラルの目標の実現に積極的に貢献すべきであり、しかし一方では、車体課税は地方自治体の重要な財源でもあるということであります。

 これらを踏まえて、今回の税制改正における車体課税の改正の内容及び考え方を中川政務官にお伺いいたします。

中川大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 ただいま委員から御指摘をいただいたとおり、税制においてもカーボンニュートラル目標の実現に積極的に貢献すべきであるとともに、一方で、車体課税は地方団体の貴重な財源となっており、これら双方の観点を踏まえた対応が必要不可欠であると認識をしているところでございます。

 令和五年度税制改正におきましては、自動車産業における更なる電動化などの取組を税制面からも後押しする観点などから、車体課税の見直しを行うこととされました。

 まず、環境性能割の税率区分の見直しでは、現下の半導体不足などの状況を踏まえて、異例の措置といたしまして、現行の税率区分を令和五年十二月まで据え置くとともに、二〇三五年までに乗用車新車販売で電動車一〇〇%とする政府目標と整合をさせる観点などから、税率区分の基準を三年間で段階的に引き上げることとしているところでございます。

 また、種別割のグリーン化特例につきましても、環境性能割の見直しと併せて、より環境性能の優れた自動車の普及を後押しをしていく観点から、従前からの軽課措置などを基本的に維持をしながら、その適用期限を三年延長することとしているところでございます。

 これらの見直しによりまして、半導体不足などによる厳しい業況に配慮をしながら、政府の脱炭素に向けた環境政策を税制面からも後押しをするとともに、地方の税財源も適切に確保をしたものと考えております。

 よろしくお願いをいたします。

井原委員 ありがとうございました。

 自動車税や軽自動車税は、言うまでもなく財産税的な性格と道路損傷負担金的な性格を併せ持っているということでありまして、その指標に排気量であったわけでありますが、もう時代に確かに合わなくなってきております。しかし、さきの二つの性格の理念は残るのでありまして、納税者が公平で納得できるように今後も努めていただきたい、このように思います。

 次に、外形標準課税についてお伺いいたします。

 御案内のとおり、法人事業税における外形標準課税は、資本金一億円超の普通法人には、収益配分額と単年度損益との合計額を課税標準とする付加価値割と、資本金等の額を課税標準とする資本割から成る課税の仕組みということでありますが、これは平成十六年度の導入以来、地方の安定的な財源となってまいりました。また、平成二十七年、二十八年度には、外形標準課税の割合が拡大もされました。

 一方で、外形標準課税から逃れるために、資本金を一億円以下に減資する法人があるとの報道も耳にするところであります。また、持ち株会社化し、子会社の資本金を一億円以下にした場合は、その子会社は外形標準課税の対象から外れるような事例もあると聞きます。中には、全国各地に事務所等を有し巨額の売上高を有する企業グループの子会社が、外形標準課税の対象外となっている事例もあると聞いております。

 先ほども申し上げましたが、納税者の納得感がある公平な税制を守っていかなければ、やはり信頼をいただけないというふうに思うわけでございます。

 そこで、外形標準課税について、どのような課題があって、今後どのように検討を進めていくのか、総務省の見解を伺います。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 総務省では、今年度、地方財政審議会の検討会を開催いたしまして、法人事業税の外形標準課税の対象法人数やその態様の変化について、原因、課題の分析を行ってまいりました。

 その結果でございますが、委員の御指摘のとおり、外形標準課税の対象法人が、資本金一億円以下への減資を中心とした要因によりまして、導入時に比べて約三分の二まで減少していること、持ち株会社化、分社化の際に外形標準課税の対象範囲が実質的に縮小する事例も生じていることなどが確認されたところでございます。

 これらの分析結果を踏まえまして、昨年末の税制改正プロセスで議論され、今般の与党税制改正大綱において、こうした状況は、企業の稼ぐ力を高める法人税改革の趣旨や、地方税収の安定化、税負担の公平性といった制度導入の趣旨を損なうおそれがあるとされたところでございます。

 その上で、今後の取組についてでございますが、同大綱におきまして、「外形標準課税の対象から外れている実質的に大規模な法人を対象に、制度的な見直しを検討する。」とされておりまして、今後、この方針に沿って、対応策の具体化に向けた検討を進めてまいります。

井原委員 ありがとうございました。

 正直者がばかを見るようなことではなくて、しっかり今後、その公平性についての検討を進めていただきたいと思います。

 続きまして、地方税務手続のデジタル化についてお伺いしたいと思います。

 地方税においてもeLTAXを通じた電子申告や電子納税が進んできておりまして、対象となる手続は拡大しているところであります。令和五年四月からは、地方税の納付書にQRコードを付したらスマートフォンで納税ができるようになる等、地方税のDXは急速に進んできております。

 今後、地方税務手続の更なるデジタル化に向けてどのように取り組んでいかれるのか、総務省の見解をお伺いします。

池田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、地方税務手続につきましては、地方法人二税の電子申告率が八割を超えるなど、eLTAXを通じたデジタル化が進展しております。

 本年一月から、軽自動車税の保有関係手続のワンストップサービス、いわゆる軽OSSと言われているものでございますが、こういったものが稼働しまして、オンラインによる軽自動車税関係手続が可能となったほか、四月からは、地方税統一QRコード等の活用によりまして、固定資産税等の賦課税目についてもeLTAXを通じた電子納付が可能となっております。また、十月からは、地方たばこ税やゴルフ場利用税等のeLTAXを通じた電子申告、電子納付の仕組みが稼働予定となっております。

 このように、申告、申請や納付についてデジタル化が進捗してきていることを踏まえまして、今度は、これまでは納税者から地方団体への手続のデジタル化を進めてきたわけでございますが、今後は、納税通知書や各種証明書など地方団体から納税者に送付される地方税関係通知について、eLTAX及びマイナポータルの更改、改修スケジュール等を考慮しつつ、電子的に送付する仕組みを検討してまいりたいと考えております。

 地方税務手続のデジタル化は、納税者の利便性向上を始め課税当局の業務効率化等にも資することから、引き続き、関係者の意見を伺いながら積極的に進めてまいります。

井原委員 ありがとうございました。

 本当に地方のDX化は重要だろうと思っております。市町村合併の話もしましたが、職員の数がどんどん減っている中で、税務の行政の負担が大きいところもありますので、更なる効率化のために進めていただければというふうに思っております。

 次に、地方財政の観点からも、カーボンニュートラルの実現についてお伺いをいたします。

 世界では、脱炭素社会の実現に向けて、経済社会全般の変革が不可欠となっておりまして、我が国でも脱炭素社会への転換を加速していくためには、官民が連携した取組を一気に進めていくことが重要であります。

 以前、我が国、同じようなことがありましたが、我が国は、高度経済成長期の負の遺産としては公害問題というのがありました。大気や海洋汚染が進みました。しかし、官民挙げた取組で見事克服したわけでもあります。

 私の地元愛媛県でありますけれども、瀬戸内海も水質汚染が進みましたが、今では美しい海によみがえりまして、今はきれい過ぎて、これからは豊かな海へとしなければならない、そんなことも議論されているようにもなりました。

 かように、国を挙げて取り組めば、必ず克服できる課題だと私は信じております。

 その中で、特に地方自治体も協力をしなければなりません。再生エネルギー導入やZEB化等、公共施設等の脱炭素化に積極的に取り組み、地域をリードしていく役割が求められております。

 そこで、地方自治体における地域の脱炭素化の推進に向けて、今回の地方財政対策においてどのように取り組まれたのか、総務省にお伺いをいたします。

原政府参考人 お答えいたします。

 先日閣議決定されたGX実現に向けた基本方針において、地方公共団体は、再生エネルギーや電動車の導入等の地域脱炭素の基盤となる重点施策を率先して実施することとされるなど、その役割が拡大したところであります。

 そのため、地方公共団体が公共施設等の脱炭素化の取組を計画的に実施できるよう、新たに脱炭素化推進事業費を一千億円計上し、脱炭素化推進事業債を創設したところであります。

 具体的には、公共施設及び公用施設における再生エネルギーの導入、ZEB化、省エネ改修の実施及びLED照明の導入、また、電動車の導入を対象としており、このうち、再生エネルギーの導入及びZEB化については、新築、改築時も対象とすることとしております。

 脱炭素化推進事業債の充当率は九〇%とし、その元利償還金については、再生エネルギーの導入及びZEB化についてはその五〇%、省エネルギー改修の実施及びLED照明の導入については、地方団体の財政力に応じてその三〇%から五〇%、電動車の導入についてはその三〇%をそれぞれ地方交付税措置することとしております。事業期間については、地球温暖化対策計画において地域脱炭素の集中期間とされている令和七年度までの三年間としております。

 地方公共団体においては、今回新たに講じた措置を活用して、脱炭素化の取組を率先的に行い、地域全体の脱炭素化を牽引していただくことを期待しております。

 以上でございます。

井原委員 ありがとうございます。

 本当に地方自治体は公用車もたくさん所有しておりまして、私も、もう十年ぐらい前になりますが、市長当時に、環境の側面だけでなくて、燃料費の節減のために電気自動車を検討したことがありました。しかし、軽四自動車と比べて値段が高くて充電施設も費用がかさむということもありまして、諦めた経緯があります。是非今後、更なる支援をお願いをしたいというふうに思います。

 次に、関連して、地方自治体の中でも、水道事業、下水道事業、バス事業といった公営企業は、電力の使用量や温室効果ガスの排出量も多く、脱炭素化への取組への貢献度が大きいものと考えられます。また、温室効果ガスの排出削減だけではなく、下水道におけるバイオマス発電など、公営企業の事業の特徴を生かした再生可能エネルギー導入などの取組についても期待が高まっております。

 地方自治体が地域の脱炭素化をリードしていく役割を果たすためには、公営企業における取組も不可欠と考えます。公営企業の脱炭素化の取組を進めるための方策について、今回の地方財政対策においてどのように取り組まれたのか、総務省にお伺いいたします。

原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁したGX実現に向けた基本方針においては、地方公共団体は、公営企業も含めて地域脱炭素の基盤となる重点対策を率先して実施することとされております。

 このため、公営企業についても、一般会計における脱炭素化推進事業債と同様の事業のほか、新たに公営企業に特有の取組についても地方財政措置を講じることとしております。

 具体的には、水道事業及び工業用水道事業における小水力発電の導入、下水道事業におけるバイオガス発電、肥料化施設、リン回収施設の導入、バス事業における電動バスの導入等を対象に、脱炭素化推進事業に係る公営企業債を充当することができることとし、後年度の元利償還金に対する地方交付税措置については、その三〇%から五〇%を基準財政需要額に算入することとしております。

 公営企業についても、地方公共団体において、今回新たに講じた措置を活用していただき、脱炭素化の取組が進むことを期待しております。

 以上でございます。

井原委員 ありがとうございました。

 続きまして、地方の保健行政についてお伺いをいたします。

 さきの臨時国会で、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、保健所の体制機能や地域の関係者間の連携強化を図るなどを内容とする、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律が成立いたしました。

 地方自治体における今回の新型コロナウイルス感染症への対応においても、積極的疫学調査や自宅療養者の健康観察など保健所の果たす役割は非常に大きくて、次の感染症危機に備え、都道府県、保健所設置市等の関係者間の連携等が重要となっております。また、地方衛生研究所においても、専門性を活用した地域保健に係る調査研究、試験検査、研修指導などもますます重要になっております。

 振り返ってみますと、コロナ前はどうだったんだろうかと考えますと、行財政改革の中、保健所は統合されたり人員削減される方向でありました。いざという大きなパンデミックがなかったから少し軽視されていたのかなという、それは我々は反省をしなければならないと思います。また、権限移譲で、都道府県以外の大きな都市に保健行政は移譲されましたが、その横の連携をうまくしていたのかなという側面も実は今回のコロナ禍の中でありました。そのことも我々は改善せねばなりません。

 こういった状況を踏まえ、各地方自治体がそれぞれの地域の実情を踏まえながら、次の感染症危機に備え、保健所や地方衛生研究所の体制強化に取り組むことが重要と考えておりますが、そのための財政措置として総務省としてどのような対応を行ったのか、尾身副大臣に伺います。

尾身副大臣 お答えいたします。

 次の感染症危機に備えた感染症法等の改正等を踏まえ、保健所等の恒常的な人員体制強化を図るため、保健所の感染症対応業務に従事する保健師を約二千七百名から約四百五十名増やし約三千百五十名に増員するために、必要な地方財政措置を講じるとともに、保健所及び地方衛生研究所の職員についても、それぞれ約百五十名増員するために、必要な地方財政措置を講じることとしております。

 総務省といたしましては、この地方財政措置を踏まえ、保健所等の体制強化に取り組んでいただきたい旨、各地方団体に対して周知を行っております。今後とも、厚生労働省と連携しつつ、必要な支援に努めてまいります。

井原委員 大変重要でありますので、是非今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、豪雨災害が毎年のように発生するなど、近年の自然災害が非常に多発しているわけであります。激甚化を踏まえて、住民の生命、財産、暮らしを守るためには、地方自治体においても、防災・減災、国土強靱化の取組を着実に推進していく必要があります。防災・減災のための取組の推進に当たりましては、大規模災害時の防災・減災対策に必要な施設の設備や、災害への対応能力の向上を図るための新たな設備の導入などに対する地方債措置を充実させていくことが重要だと考えます。

 今回、緊急防災・減災事業費の拡充を行ったというふうにお伺いいたしておりますが、その内容について、尾身副大臣にお伺いをいたします。

尾身副大臣 お答えいたします。

 近年、災害が激甚化、頻発化している中、防災・減災対策は自治体の喫緊の課題であり、これまでも、浸水対策のための施設の整備や公共施設の耐震化事業などについて、緊急防災・減災事業債により幅広く支援してきております。

 令和五年度においては、新たに次の二つの取組について対象に追加することといたしました。一つ目は、指定避難所となっている社会福祉施設や私立学校施設における避難者の生活環境改善のための取組への支援、二つ目は、効果的に救助活動を行うための消防本部への水中ドローンの配備でございます。

 各自治体において、本事業債を活用し、喫緊の課題である防災・減災対策にしっかり取り組んでいただきたいと考えております。

井原委員 ありがとうございました。

 本当に、私の私見でもあるんですけれども、地方交付税は、言うまでもなく、地方の税収とすべきものを国が財政調整のために国税で徴収し地方に配っていただいている非常に大切な財源であります。ただ、最近は、本当に災害が、二十年に一度とか百年に一度といいながら毎年起こっているような状況でございまして、その復旧復興に多額の費用が必要ともされておりまして、よくそういうときには特交で、特別交付税で措置をされるわけですが、この特交の割合が今現在は六%ということになっております。昔は八%のときもあり、四%になって、今また六%になっている、こういうふうに考えるんですけれども、基本的には地方の財源確保ということが大事でありますけれども、この特交の割合についても、もう少し比率を上げた方が、これだけ災害が頻発する場合には重要じゃないのかな、こんなふうにも感じております。今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後の質問になりますが、昨年末、私と同じ愛媛県を選挙区とする、今日来ていただいております長谷川先生が、総務大臣政務官に就任されました。私たちの愛媛県の副知事と総務部長を歴任され、県内を大変知り尽くして、特に、総務省に戻られた後も、平成三十年七月の、御記憶にある西日本集中豪雨災害に対して大変な御尽力もいただきました。

 私も当時、参議院議員として、地元愛媛も大きな被害を受けて、その復旧復興に東奔西走したわけでありますが、その復旧復興に当たり、いろいろな課題にも直面しました。

 例えば、従前の考え方は、前の形に戻すための復旧というのが大半であったわけでありますが、それ以上は過大支援、補償という考え方からそういうのが来ていたんだろうと思いますが、しかし、被災地の立ち直りとか未来を考えるとき、それは決して過剰ではなくて、やはり復旧より復興の方へかじを取るべきだということでありましたが、政府は強く受け止めていただいて、例えば、復旧の際、ミカンの園地を、復元ではなくて、生産性のある再編にまで支援の輪を広げていただいたりもしました。

 また、地域の給食センターが、これも、こんなことはなかなかないと思うんですけれども、建築中で、九〇%以上完成していたんですね。ところが、それがいきなり全壊という事態になりました。しかし、法的には、完成検査前だったから、所有権は市じゃなくて業者が持っていたわけですね。そうなると、公共災害の対象にはならないという、何ともやりきれない、そんな状況もあのときにはありましたが、長谷川さんは総務省でありましたから、大変知恵を絞ってもらって、地元の負担が結果的には過大にならないようにできた、こんなことも長谷川さんにはお世話になりました。このような熱い地方への思いのある方が今回就任されたので、大変大きな期待をいたしております。

 さて、長谷川政務官は、総務省の中で行政相談等を担当されているものと承知しております。災害時には、困り事を抱えた多くの被災者からの相談があると思っております。この災害時における行政相談の取組について、長谷川政務官にお伺いをいたします。

長谷川大臣政務官 井原委員にお答えをいたします。

 大規模な災害が発生した場合に、総務省の行政相談におきましては、被災者に対する支援措置や相談窓口をまとめましたガイドブックの作成、提供を始め、被災者の身近なところで、様々な困り事に、国の機関、自治体、関係団体、行政相談委員が協力して対応する特別行政相談所の開設や、被災者が通話料無料で御相談できる専用フリーダイヤルの開設などの取組を行っております。

 井原委員御指摘の平成三十年七月豪雨災害の際には、愛媛県も甚大な被害を受けたところでございますが、愛媛行政相談センターが、ガイドブックを被災者に迅速に提供いたしますとともに、特別行政相談所を四市二町で延べ十五回開設をしまして、被災者から、土砂の撤去の要請、あるいは医療費の免除などに関する多くの相談に対応をいたしました。

 とりわけ、県内の行政相談委員の皆さんが、例えば、床上浸水等の被害を受けた住宅や避難所を自ら訪問して、被災者から困り事をお聞きし、関係機関につないだり、また、相談が寄せられた道路の被害の状況を自ら確認をして、自治体に連絡の上、土砂の撤去を進めたりするなど、被災者に寄り添った活動に努めたところでございます。

 災害が頻発化、激甚化する中で、行政機関と異なった立場から災害時に対応に当たる行政相談委員の役割はますます重要になってくるものと認識をしております。今後とも、行政相談委員の皆さんとともに、災害時の対応を含めまして、国民の皆さんに行政相談を御利用いただけますように、また、相談者に寄り添った対応に努めますように取り組んでまいりたいと考えております。

井原委員 ありがとうございました。

 行政相談というのは非常に私も重要だと思っております。特に、災害のときには、これは私の体験でありますけれども、被災者の皆さん方は本当に戸惑われます。国に電話する人もいれば、県に電話する人、市に電話する人、警察に電話する人、あるいは水道局とか消防に電話する人、それぞれ必死の思いで電話をいたします。

 そういう中で、やはりワンストップ的な行政の相談機能というのは、その人たちの安心にも非常につながってくるので、今後ともの充実をお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。

 今日も質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 本日は、地方交付税法等の一部を改正する法律案等について、何点か伺わせていただきます。

 最初に、地域のデジタル化の推進について伺います。

 令和五年度の地財計画におきましては、デジタル田園都市国家構想の実現に向け、地域デジタル社会推進費の事業期間を、令和五年度から三年間延長するとともに、マイナンバーカードを利活用した住民サービス向上のための事業費を、マイナンバーカード利活用特例分として五百億円増額をいたしております。

 このマイナンバーカードの利活用特別分につきましては、一部で、マイナンバーカードの申請率とか申請数を上げるためのインセンティブ的予算なのではないかとの指摘がありますが、私は決してそのように考えるものではございません。この予算は、あくまで、地方自治体が住民サービス向上のための地域のデジタル化に取り組むための財政需要に対応した予算であると私は考えております。

 そこで、改めて総務省に伺いますが、今回、このマイナンバーカード利活用特別分を増額した趣旨や目的について、自治体の皆様や国民の皆様に分かりやすく理解いただけるよう説明を願いたいと思います。また、その活用イメージを持ちやすくするために、想定される具体的な事例、これについてもお示しをいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

原政府参考人 お答えいたします。

 デジタル田園都市国家構想の実現に向け、地域が抱える課題のデジタル実装を通じた解決の取組等を一層推進するため、今御指摘ございました地域デジタル社会推進費二千億円について、事業期間を延長するとともに、地域のデジタル化の基盤となるツールであるマイナンバーカードを利活用した住民サービスの向上のための取組に係る事業費を、マイナンバーカード利活用特別分として五百億円増額したところでございます。

 想定される取組例につきましては、例えば、各種証明書のコンビニ交付サービス、あるいは行政手続のオンライン申請、それから、書かない窓口といいまして、申請書を自動作成する支援、仕組みのシステムの導入、それから電子母子手帳サービス、図書館カードとしての利用など、いろいろ挙げられると思います。

 私ども、優良事例等のまた横展開もしっかりやっていきたいと思いますし、このような地方交付税、自由な財源でございますので、今回の五百億円も活用して、しっかりと住民サービスの向上に取り組んでいただきたいと存じております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 この利活用特別分の五百億円については、国会においてもいろいろな議論がされております。申請率を上げるための予算じゃないか、こういった議論もされておるわけでございますが、やはり、このマイナンバーカードの普及とか申請をしっかりと上げていく、さらには利活用を実感していただく、そういった意味においては結構大事な時期だと私は今思っております。

 この大事な時期だからこそ、やはり丁寧な説明とか、あと具体的なイメージが湧くような説明、こういったものをしっかりとしていただいて、そして、やはりマイナンバーカードは便利だ、使ってみたい、持ってみたいと思っていただけるような、そういった社会的なニュアンスというか雰囲気というか状況、これを是非つくっていただきたいと思いますので、引き続きの様々な取組を期待したいというふうに思います。

 続きまして、公共施設の脱炭素化について何点か伺います。

 初めに、国における公共施設の脱炭素化の取組について確認的に伺います。

 政府は、政府の事務事業に関する温室効果ガスの排出削減計画、いわゆる政府実行計画の二〇二一年の十月の改定におきまして、その目標を、二〇三〇年度までにCO2を五〇%削減することとし、再生可能エネルギーの最大限活用を始めとした温室効果ガス削減に向けての取組、これを開始したところでございます。

 具体的には、設置可能な政府保有の建築物の約五〇%以上に太陽光発電を設置することでありますとか、公用車を二〇三〇年度までに全て電動車とするといったことが明記をされております。

 そこで伺いますが、国及び政府には、今後、地方自治体が公共施設の脱炭素化を進めていく上で、率先的かつ模範的な取組が求められると思いますが、これら政府実行計画に示されたそれぞれの目標について、具体的にどのように進めていこうとされているのか、これを確認的に伺いたいと思います。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二一年十月に改定いたしました政府実行計画では、御指摘いただきましたとおり、政府全体として、二〇三〇年度までに二〇一三年度比で温室効果ガスを五〇%削減することを目標とし、公共施設については、太陽光発電設備が設置可能な建築物の約五〇%以上への太陽光発電設備の設置、公用車を二〇三〇年度までに全て電動車とすること、新築建築物の平均でZEBレディー相当とすること、既存設備を含めた政府全体の照明の一〇〇%のLED化、調達する電力の六〇%以上を再生可能エネルギー電力とすること等の目標を定めたところです。

 この政府実行計画の目標を達成するため、各府省庁が自ら実行する措置を定めた府省庁別の個別の実施計画を昨年六月までに策定しております。これらの実施計画に基づき、現在、各府省庁において個別具体の取組が進められているところであり、各府省庁が実施した取組や実績については、毎年度、環境省が取りまとめ、地球温暖化対策推進本部幹事会に報告することとしております。

 環境省としては、引き続き、取組の進捗状況も踏まえながら、公共施設の排出削減が進むよう、関係省庁とも連携しながら取組を進めてまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 まず、国における公共施設の計画と取組を聞いたわけですが、この後、地方公共団体の公共施設の脱炭素化を聞くんですけれども、やはり国が、各省庁が、率先的かつ模範的な取組をしていくことが非常に大事になってくると思うんです。そこを見ながらの各地方公共団体だというふうに思います。

 まさか、もう今は消極的な府省庁はないというふうに思いますけれども、毎年やはりしっかりと状況を確認していくということで、環境省がやはりここをしっかりグリップしていただくということが非常に大事になってくると思いますので、そういった点をお願いをしながら、次、地方公共団体の方への質問に移りたいと思います。

 次に、地方自治体における公共施設の脱炭素化、これについてお伺いをいたします。

 令和五年度の地財計画では、地方自治体が地域脱炭素の取組を計画的に実施できるよう、新たに脱炭素化推進事業費を計上し、脱炭素化推進事業債を創設すること、これが明記をされております。これは今、井原委員も御指摘をされたところで、同じでございます。

 また、地方自治体は、温対法に基づき、かつ地球温暖化対策計画に即して、これらの取組の根拠となる地方公共団体実行計画を策定するものとし、その内容については、国が政府実行計画に基づき実施する取組に準じて率先的な取組を実施するよう求められております。

 そこで、いま一度環境省に伺いますが、各地方公共団体における地方公共団体実行計画の特に事務事業編の策定及び二〇五〇年二酸化炭素排出実質ゼロの各自治体における表明は、現在どの程度まで進んでいるのか、ここのところの確認をさせてください。

小森政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御質問のありました公共施設の脱炭素化に関しての実行計画の事務事業編の策定状況でございますけれども、地球温暖化対策推進法で策定が義務づけられているところでございますが、最新の調査結果では、一千六百五の地方公共団体で地方公共団体実行計画が策定されております。これは策定率で申しますと、約九〇%となっているところでございます。

 それから、地方公共団体におきまして、自主的に二〇五〇年CO2排出実質ゼロの表明をされているところがございますけれども、こちらの方は、今年の一月末現在で八百三十一団体となっておるところでございます。

 引き続き、環境省としましては、地域脱炭素に向けて、地方公共団体への積極的な働きかけを行い、また、取組状況、他の団体はどうなっているか、こういったことの共有を行ったり、マニュアルを整備したりなど、支援を継続してまいりたいと思っておるところでございます。

 以上でございます。

中川(康)委員 ありがとうございます。

 地方においての計画は、もう九〇%、策定が進んでいるということで、私は、ある意味、地方自治体の方が意識を持って進めているんじゃないか、こんなふうに感じておるわけです。そして、そこを、今回、やはり総務省が、脱炭素化推進事業費というのを計上して、しっかりと後押しをしていく、いい流れができたな、こんなふうにも感じているわけでございます。

 今後は、地方において、更なる計画の策定を進めていただくのとともに、やはり、この脱炭素化推進事業費をエンジンに、具体的な取組をしっかりと進めていただきたいということを御要望したいと思います。

 次に、三点目、他省庁との連携について伺います。

 前述したように、総務省は、今回新たに脱炭素化推進事業費を計上し、そして脱炭素化推進事業債を創設すること、これは明記をいたしております。しかし、今後、地方において、公共施設の脱炭素化を、計画はできましたが、これを具体的に進めていくには、やはり、総務省だけの取組ではなくて、同じようなメニューを持つ、例えば環境省とか、今日、今、答弁いただきました、また、経済産業省とか、国交省とか、さらには文科省、こういったところと相互に連携を取り、各々の持ち味を最大限に生かしながら地域の脱炭素化を強力に推進していくこと、これが重要だというふうに私は感じております。

 そこで、伺いますけれども、地域の公共施設の脱炭素化の推進における他省庁との連携について、どのように今後進めていくのか、ここを総務省の御見解を伺いたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁いたしましたとおり、地方公共団体が公共施設等の脱炭素化の取組を計画的に実施できるよう、新たに脱炭素化推進事業費を一千億円計上し、脱炭素化推進事業債を創設したところであります。

 この脱炭素化推進事業債は、先ほど環境省からも答弁がありました、地方公共団体実行計画に基づいて行われる地方単独事業を対象としておりますが、地方公共団体においては、モデル的、意欲的な取組を対象とする環境省の交付金等も活用しながら、公共施設等の脱炭素化の取組を率先的に行い、補助事業、単独事業、相まって、地域全体の脱炭素化を牽引していただきたいと存じております。

 今後とも、公共施設等の脱炭素化の先行事例を周知するなど、環境省、また、国交省、経産省、関係省庁とも連携しながら、地域の脱炭素化の推進に取り組んでまいりたいと存じております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 単独事業、補助事業、本当にあると思うんですが、各地方自治体に、それぞれの役所が連携を図りながら、いいメニューをやはりしっかりと提供していただいて、そして、うちの自治体では、単独ではこれをやる、この補助事業を使える、そしてこれをしっかりと前に進めていこうという、こういった流れをつくっていただくことが大事だと思います。

 そういった意味においてのやはり情報をしっかりと提供していきながら、地方自治体が計画的に脱炭素化の取組をしていただく、これは、非常に大事な流れを、今回、総務省それから各省庁でつくっていただいたと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 そうしましたら、視点を変えまして、次に、出産・子育て応援交付金についてお伺いをいたします。

 この出産・子育て応援交付金の、特に地方負担分についてお伺いをいたします。

 この交付金は、これまで最も手薄とされてきた〇―二歳児の子供を持つ家庭に対して、妊娠から出産、育児まで一貫して家庭に寄り添う相談支援と、また、経済的支援を一体的に行うため、令和四年度の補正予算において計上されたものでございます。

 具体的には、伴走型相談支援や、出産・子育て応援ギフトなどに一千二百億円強が手当てされるのとともに、地方負担分についても、同じく令和四年度の補正予算で地方交付税として増額交付された五千億円、この中で対応する、こんなことになりました。また、地方創生臨時交付金についても、本事業の地方負担分に充てることが可能とされたところであります。

 この出産・子育て応援交付金につきましては、令和五年度当初予算案においても、来年度後半分の措置として計上されていますが、私は、この制度につきましては、今や危機的とも言われる我が国の少子化を乗り越えるために、制度の恒久化、これを図っていくことが大事ですし、また、地域の実情に応じたきめ細やかなメニューを実施していくことが重要だと考えます。

 そこで、この交付金の地方負担分につきましては、さきの補正での増額のような一回限りの予算ではなく、地方が安心して事業に取り組めるように、安定的な財源を確保することが重要でございます。令和五年度の事業では、地方の負担率が増しているメニューもありますが、総務省は、今後、この出産・子育て応援交付金の地方負担分をどのように安定的に手当てされようとしているのか、答弁を願います。

原政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありました伴走型支援と経済的支援を併せたパッケージを継続的に実施します出産・子育て応援交付金の地方負担については、まず、令和四年度第二次補正予算による令和五年九月までの分は、令和四年度の地方交付税の増額交付の中で対応することとしており、また、令和五年度当初予算による令和五年十月以降の分は、令和五年度の地方交付税措置を講ずることとしております。

 この交付金については、昨年十二月に取りまとめられました全世代型社会保障構築会議報告書においては、恒久的な財源を確保しつつ継続的に実施することとされております。

 現在、子供政策の強化については、こども政策担当大臣の下、総務省もメンバーになっておりますが、こども政策の強化に関する関係府省会議において、三月末をめどに具体的なたたき台を取りまとめた上で、六月の骨太方針までに将来的な子供予算倍増に向けた大枠を提示することとされております。

 総務省としても、関係府省と連携して、財源の確保も含め、しっかり取り組んでまいりたいと存じます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 令和四年度補正における地方負担分を交付税の増額交付の中でやっていただくということ、これは非常にやはりありがたかったわけです。地方においては非常に感謝している自治体が多かったわけです。しかし、そこはなかなか常に求めることはできませんし、今回は交付税措置で対応していくという話でございました。財源をしっかりと確保していくという部分においては、今回のこの子育て応援交付金は、やはり恒久的な制度ということでございますので、総務省も始め全省庁的に議論をしていただいて、そういったところの確保に努めていただきたいと思っております。

 最後に、子供、子育て支援の人員体制の強化についてお伺いをいたします。

 総務省は、今回の地財計画におきまして、退職手当以外の給与関係費を、前年度を〇・二兆円上回る十八・八兆円としており、具体的人員につきましても、約二千六百人の増員をいたしております。

 特に、子供、子育ての支援強化については、昨今の児童虐待防止対策の強化を図るために、児童相談所の児童福祉司を令和六年度までの二年間で約一千六百名、また、児童心理司を令和八年度までの四年間で九百五十名増員する等、必要な措置を講じていただいております。

 私は、今回の措置は、長引くコロナ禍での児童虐待件数の増加や、児童相談所における一時保護等が増加している中で、いっときも看過できない必要な対応と考えております。

 そこで伺いますが、今回の児童福祉司また児童心理司の増員は、地方の児童相談所の実態をしっかり把握した上で、その業務の増加に適切に対応できるものになっているのかどうか、確認をいたします。

 また、自治体においては、特に児童福祉司の増員は令和六年度までの二年間と短期でありますので、地方においては資格者も限られているという状況の中、地域によっては自治体間で取り合いになるのではないか、こういった懸念も考えられますが、いかがでしょうか。総務省としての見解を伺います。

中川大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 児童相談所が対応した児童虐待相談対応件数は年々増加をしておりまして、子供の命が失われる重篤な事例も後を絶たず、児童虐待防止対策の強化は、国、地方団体、関係機関が一体となって取り組むべき喫緊の課題と考えているところでございます。

 児童相談所の体制強化につきましては、足下の児童虐待相談対応件数等の実態をしっかりと把握をした上で、それに対応できるよう、令和四年十二月に決定をされました、新たな児童虐待防止対策体制総合強化プランにおいて、児童相談所の児童福祉司を令和六年までの二年間で約千六十名、児童心理司を令和八年度までの四年間で約九百五十名、それぞれ増員することとされたところでございます。

 同プランに基づき、令和五年度の地方財政計画では、児童相談所の児童福祉司を約五百三十名、児童心理司を約二百四十名、それぞれ増員できるよう、必要な職員数を計上しておるところでございます。その上で、地方交付税措置について、道府県の標準団体で、児童福祉司八名及び児童心理司三名を増員することとしているところでございます。

 同プランにおいては、これまでの児童福祉司等の増員ペースを踏まえて目標年度が設定をされています。また、厚生労働省において、児童福祉司等について人材の採用活動に係る費用の補助を行うなど、地方団体が必要な人材を確保できるよう支援をしていると承知をしているところでございます。

 今後とも、児童相談所の体制強化に向けまして、関係省庁と連携しながら適切に対応を図ってまいりたいと存じます。よろしくお願いをいたします。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今日は、総務省、環境省から非常に丁寧な答弁をいただきました。感謝を申し上げます。

 以上で質問を終わります。大変ありがとうございました。

浮島委員長 次に、中司宏君。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、松本総務大臣の基本的な考え方についてお聞きをいたします。

 先般、予算委員会において、我が会派の岩谷議員の質問で、いわゆる倒産寸前だった大阪で十年にわたって徹底した行財政改革を行ってきたこと、増税の前に改革をすべき、そうした質問に対し、大臣は、職員数を削減した結果、行政サービスの質がどうなったかも含め、議会で議論され、最終的に住民の判断に委ねられる、こう御答弁されました。まるで私には評論家のように聞こえましたし、また、聞きようによっては、行政サービスの質が落ちたと、少なくとも私にはそう聞こえたわけですけれども、行政サービスのどの質が落ちたと思われたのか、その辺をお聞きしたいのですけれども。

 また、大臣、地方は行革には血のにじむ努力をしてきておるわけでございまして、私も、三十年近く前に、倒産寸前の市政運営を引き継いで、大変な思いで徹底して行革を行った経験がございます。例えば、保育所の民営化、民間委託につきましては、決してサービスは落とさずに、一つの園を民間に委託することによって年間数千万円の歳出の削減ができる。生み出した財源をほかの子育て支援のサービスの充実に充ててきて、そうしたことを繰り返してきたわけでありますが、財政難を切り抜けて、必要な行政サービスを維持をして、そして拡充をするために、住民に選ばれる町にしていくために、地方はまさに生き残りを懸けた行革の努力をしてきているわけでございます。

 苦渋の選択で、多くの自治体が合併も行ってきました。平成の大合併で、ざっと三千二百の自治体が千七百になった。先ほどの井原委員からの質問にもその一端のお話がありましたが、私、同時期に市長をしておりましたので、よく分かります。大変な苦労があったと思います。国会から地方を見る景色とは全く違う景色だと思うんですけれども。

 自治体を支える総務大臣の発言としては、先ほどの発言は地方の行革努力に水を差す発言ではないのかと危惧をしておりますが、大臣の考えを改めてお聞きいたします。

松本国務大臣 地方自治を担ってこられた委員には申し上げるまでもないことでございますけれども、各地方自治体がこれまで大変厳しい財政状況の中で行政改革に取り組まれてきたというふうに承知をいたしております。

 行政改革は、もちろん単に削減をするということだけではなくて、行政サービスをいかに効果、効率的に実施をするかといった点からの見直しであるというふうに理解をいたしておりますが、先日、私が、行政サービスの質の確保も含めて、それぞれの地方自治体が行った行政改革の評価については、当該地方公共団体の議会等において議論していただくべきものであり、住民の判断に委ねられるというふうに申し上げたのは、そのような意味から、行政サービスの質そして行財政の在り方を含めて、御判断いただくのは議会、そして住民の皆様であるという考え方を申し上げたところでございます。

 今後も地方自治体は、人口減少社会において、行政資源が限られる中にあって質の高い行政サービスを持続可能な形で提供するため、地域の実情を踏まえ、自主的、主体的に行政改革に取り組んでいただいて、これまでも取り組んでいただいておると考えておりますが、これからも取り組んでいただきたいと思っております。

 総務省としても、地方行政のデジタル化を含め、地方自治体の人的、財政的負担を軽減し、職員が、地域の実情を踏まえた企画立案など、創意工夫をより発揮すべき業務に注力できるよう環境の整備に取り組んできているところでございまして、これからもそのようにしてまいりたいと考えております。

中司委員 どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 ただ、大臣所信におきましても、あるいは本会議などの答弁におきましても、残念ですけれども、大臣の地方分権改革、あるいは地方の財源確保への強い決意、あるいはメッセージはないように私は感じています。

 そこで、分権改革、また税源移譲、財源確保について、大臣の基本的な考えを改めてお聞きいたします。

松本国務大臣 私としては、これまでも所信や質疑でも申し上げてきたように、地方を元気にしていくのが私どもの使命だという決意で臨んできておる、このように申し上げてきておりますし、そのように臨んできているところでございますけれども、今、地方分権改革に対する御質問をいただいたというふうに理解をして、御答弁申し上げたいと思います。

 御案内のとおり、平成五年に衆参両院において地方分権の推進に関する決議がなされて以来、平成十一年の地方分権一括法の制定を始めとして、累次の一括法による義務づけ、枠づけの見直しや、国から地方への権限移譲の推進などにより、自治体の自主性、自立性を高める地方分権改革は着実に進められてきたものと認識をいたしております。

 また、地方税の税財源のお話もございましたが、同時に、地方税の充実に向け、これまで、所得税から個人住民税への三兆円の税源移譲、地方消費税の拡充などに取り組んできたところでございます。

 国と自治体は、国民福祉の増進という共通の目的に向かって、適切な役割分担の下で相互に協力する関係にあるというふうに理解をいたしております。

 自治体は、保健、福祉、教育、消防など広く住民生活に身近な行政サービスを担っておられ、日頃から住民の福祉の増進のために力を尽くすなど、大変重要な役割を果たしていただいております。このような自治体の機能を最大限に発揮して、地域の実情に応じて住民ニーズにきめ細やかに対応していく上で、地方分権の推進は大変重要と考えております。

 地方の声を十分に伺いつつ、関係省庁と連携して、地方の自主性、自立性の向上に向け、取り組んでまいる決意でございます。

中司委員 大臣、地方の声を十分に聞いていくということでございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ただ、六割の仕事は今地方が担っているにもかかわらず、国全体の税財源の配分ですが、国が六割で地方には四割しか入ってこないという、いわゆる四割自治という国税と地方税の割合、これを、国と地方の仕事量とか役割に見合った配分となるように税源移譲して、地方財政の安定、そして地方の自立化に努めるべきであると考えておるわけでございますが、それができないなら、地方六団体の共同声明とか、あるいは地方財政審議会が求めているとおり、地方の財源である地方交付税の法定率、これを地方交付税法に基づいて、法に基づいて引き上げていくべきである、こう考えております。

 法定税率の引上げについての認識と、そして今後の取組について伺います。

原政府参考人 お答えいたします。

 地方財政の健全な運営のためには、今御指摘ありましたとおり、本来的には交付税率の引上げなどにより地方交付税総額を安定的に確保することが望ましいと考えております。

 交付税率の引上げについては、令和五年度予算においても事項要求しておりまして、我々、予算の中でも粘り強く主張しているところでございます。

 現在のところ、国、地方共に厳しい財政状況にあるため実現は容易ではありませんが、今後とも、地方交付税率の見直し等により地方交付税総額を安定的に確保できるよう、粘り強く政府部内で十分に議論してまいりたいと存じます。

中司委員 この問題については、繰り返し各委員さんからも質問がありまして、永遠のテーマだと思いますので、しっかりと取り組んでいただきますようにお願いいたします。

 臨時財政対策債についてですけれども、前年度に比べて発行額が八千億円減少した、そして一兆円に減額している、このことについては一定評価しておりますけれども、しかしながら、交付税の特別会計の借入金の償還を前倒ししたということ、それから交付税の国税減額補正の精算の前倒し、この分を合わせますと、一・三兆円の財源、それがあるんですけれども、これを活用すれば五年度は臨時財政対策債を発行しなくてもよくなるわけでございます。

 なぜそれができなかったのか。

 本来なら、交付税として後年度の負担なく確保できる一般財源を臨財債として発行させられる地方の立場に立ってみれば、明らかに臨財債の発行をゼロにする方を選択すべきだと考えるんですけれども、なぜ地方の声を聞くことができないのか、お答えいただきたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のような議論も当然あろうかと思います。ただ一方で、交付税特別会計借入金の償還や交付税の国税減額補正の精算は、将来の交付税総額を減少させるものでありまして、その前倒しを行うことも、財政の健全化を図るとともに、将来の交付税を安定的に確保する観点から、大変重要な課題であるというふうに認識しております。

 そこで、令和五年度の地方財政計画では、地方税や交付税法定率分が増加し、また、繰越金がある中で、新型コロナウイルス感染症の影響によって、交付税特別会計の償還を繰り延べたり、あるいは国税の減額補正で本来交付税は減るところを減らさないで将来精算するということを約束していた分、これの解消に取り組む一方、地方からの要望も踏まえて、臨時財政対策債の発行抑制にできる限り努めるというスタンスで臨んだところでございます。

 こうした方針の下、前年度を上回る一般財源総額と交付税総額を確保した上で、臨時財政対策債の発行抑制、交付税特別会計借入金の償還前倒し、国税減額補正精算の前倒しといった地方財政の健全化にバランスよく取り組むこととしたものでございます。

 今回のこうした対応については、地方六団体から一定の評価をいただいたところでございます。

 今後とも、経済あっての財政の考え方の下に、何よりも、経済を立て直して地方税などの歳入の増加に努めるとともに、この取組と基調を合わせた歳出改革によって、財源不足、二兆まで縮小してまいりましたけれども、その財源不足を縮小して、御指摘のありました臨時財政対策債の発行抑制に今後とも努めてまいりたいと存じております。

中司委員 地方の声を是非とも聞いてほしいということを申し上げているんですけれども。

 バランスよくということでございましたが、今後、臨財債の発行抑制に努めるということでございますが、大臣、どうでしょうか、これはお約束いただけますでしょうか。

松本国務大臣 今、今年度の取組については御説明を申し上げたところでございますが、臨財債の発行抑制ということは大変重要なテーマであるということで、本年度の地方財政計画作成に当たっても、取組に努めてきたというふうに考えておりますが、これからも、私ども総務省としては、この取組を進め、努めていくものというふうに考えております。

中司委員 今後とも努めていくということでございますので、是非よろしくお願い申し上げます。

 次に移りますが、来る五月の八日から、感染症法上のコロナの位置づけが二類相当から五類に移行するわけでございます。これまで国費で講じてきた各種の政策措置について見直しを行うとされているんですけれども、五類移行後も必要な感染症対策は継続していくべきでありますが、地方財政への影響はどうなのかということ、そして、地方の財政状況によっては、対策に支障が生じないようにするべきであるけれども、国と地方との財政負担の在り方についてどうなのか、この辺をお伺いいたしたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ありました新型コロナウイルス感染症対策については、現在、厚生労働省始め所管省庁において、感染症法分類の移行に伴います、医療体制、公費支援など、様々な政策措置に係る段階的移行について検討、調整が進められているものと承知しております。

 この中で、見直し後に激変緩和として残る一定の措置については、新たに地方負担が生じることがないよう具体的な内容が検討されている旨、先般、厚生労働省から地方公共団体に説明がなされたものと存じております。

 全国知事会始め地方関係団体からは、厚生労働省に対し、財政措置を含め、住民や地方の保健医療の現場に混乱が生じないよう、現場の声を十分に踏まえた対策を講じることが要請されてございます。

 総務省としても、地方公共団体の財政運営に支障が生じないことも含め、関係省庁と連携し、適切に対応してまいりたいと存じます。

中司委員 ありがとうございます。

 今後講じられる子供政策の強化ということもありますが、同様に、地方と十分に協議しながら、確実な財政措置をお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、二〇二五年大阪・関西万博の機運醸成について伺います。

 開幕まで八百日を切りまして、準備が本格化をしてきています。令和五年度は、各種パビリオンの工事が着工されたり、開幕五百日前の節目を迎える、そんなときでございまして、入場券の前売りも予定をされている。全国的に万博の機運を盛り上げていく必要があると思います。

 そうした時期を迎えたにもかかわらず、今回、昨年十二月に大阪府市の万博推進局がアンケートを実施しておりますが、万博の認知度等に関するアンケートなんですけれども、大阪府内の認知度は九割を超えている、そのことに対しまして首都圏では六割程度の認知度しかないということでありました。非常に残念な状況であると思います。

 二〇二五年大阪・関西万博は、コロナ禍、この状況を乗り越えて、そして、日本の経済成長の起爆剤となる国家プロジェクト、大きなプロジェクトでありますので、国が旗振り役となって、各自治体と協力してこれを進めていくべきだと思います。

 万博の機運醸成に関して今後どのように進めていかれるのか、お伺いいたします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、大阪府市が昨年十二月に実施したアンケート調査によれば、万博の認知度は、大阪府内が九〇%あるのに対して、首都圏においては五八%という結果であったということは承知してございます。

 大阪・関西の成功に向けましては、大阪、関西のみならず、日本全国での万博の認知度の向上を進めて、開催に向けた機運醸成を図ることが重要であると認識してございます。

 このため、政府が昨年十二月に取りまとめました二〇二五年大阪・関西アクションプラン・バージョン3では、万博がもたらすメリットを日本全国に享受していただけるように、全国の交流人口の拡大を目指すことにより、全国的な機運醸成につなげていく万博交流イニシアチブを追加したところでございます。

 具体的には、自治体が参加国の人々と国際交流を行う自治体交流、来場者の全国への誘客を通じた観光交流、修学旅行など子供たちに万博を通じた学びの場を提供する教育交流、日本博二・〇による日本文化の発信やスポーツイベントなどの連携による文化、スポーツ交流、テーマウィークの展開や国際会議誘致によるビジネス、学術交流を推進していくこととしてございます。

 加えて、開催前から万博に触れていただく機会を皆様により多く持っていただけるように、公式キャラクターのミャクミャク、あと、万博記念特別仕様の自動車ナンバープレートなどを活用して全国的な広報活動、及び万博グッズというのも販売を予定してございますので、そういうことも進めてまいりたいと考えてございます。

 引き続き、関係省庁や全国自治体と連携しながら、全国機運を盛り上げてまいります。

中司委員 記念グッズの話がありましたが、まだ遅れているように思いますので、是非とも強力に取り組んでいただきたい、こう思います。

 今、全国知事会で万博推進本部をつくられたということ、それから万博の首長連合、これは正式には、二〇二五年国際博覧会とともに、地域の未来社会を創造する首長連合というんですけれども、全国六百を超える自治体の長が参画をしています。

 万博に向けた取組として、そうした全国自治体、そして企業との連携、地域文化の発信や地域の町づくりの支援を通じて、万博の機運を図って、日本全体の発展、牽引を目指している。各地で活動を行っておられるわけですけれども、こうした組織が展開するイベントとか事業に対しまして国としてもっと支援をしていかれる、それが機運醸成につながると思うんですけれども、その点、どうでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 全国的な機運醸成のためには、全国の自治体が積極的に万博に参加するよう促していくことが重要であると認識してございます。

 このため、政府が昨年十二月に取りまとめたアクションプラン・バージョン3において万博交流イニシアチブを盛り込み、自治体による取組を促すために、万博を機に地域住民と万博参加国との国際交流を支援する仕組みを検討するということを進めるとともに、自治体による大阪・関西万博の催事への参加促進などを現在進めてございます。

 こうした取組につきましては、御指摘の万博首長連合や全国知事会とも協議を始めてございますので、引き続き、全国の自治体と密に連携しながら、全国的な機運醸成を図ってまいりたいと思います。

中司委員 是非ともよろしくお願いを申し上げます。

 次に、トルコ南部の大地震について心からお見舞いを申し上げます。

 先日、我が会派の伊東委員の方から大規模災害の対策の観点から質問しておりますが、私からは、国際緊急援助隊などの派遣の状況と今後の体制についてお伺いいたします。

西永政府参考人 お答え申し上げます。

 今月六日にトルコ南東部において発生した地震でございますけれども、日本時間本日午前零時時点のトルコ政府の発表によれば、これまで、トルコ国内で約三万五千人が死亡し、多くの負傷者や建物が損壊する等甚大な被害が生じていると承知しております。

 また、報道等によれば、隣国であるシリアにおいても多数の死傷者が発生していると承知しております。

 東日本大震災を含め大きな自然災害を経験してきた日本といたしましては、トルコ及びシリアにおいて今般の地震により被害に遭われた方々に対し最大限の支援を行うべく、全力で取り組んでいるところでございます。

 これまで、トルコに対し国際緊急援助隊の救助チーム及び医療チームを派遣しているほか、この医療チームに必要な資機材を迅速かつ確実に届けるため、自衛隊機による輸送を実施したところでございます。

 このほか、トルコ及びシリアに対し、テントや毛布等の緊急援助物資の供与を決定済みであるに加えまして、両国に対する資金面での人道支援として、ODAによる緊急支援を早急に実施すべく調整中でございます。

 政府といたしましては、今後も、被害を受けた地域に対し、現地のニーズを踏まえながら必要な支援を迅速に行っていく所存でございます。

中司委員 ありがとうございます。

 明治当初の和歌山でのエルトゥールル号の遭難事件以降の交流とか、それから、イラン・イラク戦争の際にイランに残された邦人救出に手を差し伸べてくれた、そうした我が国とのつながりの深い友好国として、大きな災害へのノウハウを最大限共有し、提供すべきと考えております。担当部局におかれましては既に大変な御尽力をいただいていると理解をし、感謝しておりますが、引き続きよろしくお願いを申し上げます。

 さて、最後に、近年頻発する災害、救急事案に対応するための、これも担当部署、機関が非常に御尽力をいただいていると思うんですけれども、こうした中で、より消防力を強化するために、消防の広域化、広域連携についての取組を伺います。

 とりわけ、管轄人口十万人未満の小規模消防本部では、様々な災害への対応力、高度な装備や資機材の導入、専門的な人材の育成など、いろいろな課題を抱えていると思います。

 消防庁も広域化、広域連携を進めているわけですけれども、以前にこのことを質問しておりますが、こうした小規模本部が全国で今四百三十一ということで、全体の六割を占めておりますが、この四年間で二つの本部が広域化を実現しただけで、なかなか前に進まないということもあります。なぜ進まないのかということをお聞きしたいということ。

 そして、今後、人口減少が進むと、地域の安心、安全を更に守れなくなる時代が来るのではないかと危惧をするわけですけれども、こうしたことに対して更に支援策を強化をしてもらいたいと思うんですけれども、そのことについてお聞かせいただきますよう、お願いします。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 消防の広域化を今まで進めてきているところでありますけれども、都道府県に対しまして、広域化が進まない理由につきまして令和四年一月に聴取しましたところ、例えば、河川や山で地域が分断されるなど地形的な理由により広域化のメリットが見出せないこと、また、広域化によって財政負担等が増加するのではないかとの懸念があること、また、消防本部ごとに異なる給与体系、部隊運用等の統一に係る調整が困難であることなどが広域化の課題として挙げられたところでございます。

 委員御指摘のとおり、小規模な消防本部におきましては、出動体制、保有する消防用車両、専門要員の確保等に限界があるなど、消防の体制として必ずしも十分でない場合が多いと認識しております。

 また、昨今、人口減少が進む一方、大規模災害が頻発している現状を踏まえますと、消防本部の更なる体制強化が重要でありまして、消防の広域化や連携協力をこれまで以上に推進していく必要があるものと考えております。

 消防庁といたしましては、これまでも、消防指令センターの整備を始めとする広域化等に伴い必要となる経費に対する財政措置や、消防広域化推進アドバイザーの派遣などを通じまして、必要な支援に取り組んできたところでございます。

 令和五年度につきましては、地方公共団体の声を踏まえまして、これまでの取組に加えまして、広域化を前提として指令の共同運用に参画する消防本部が、現行システムの更新時期がまちまちである各団体のシステムを統一するために延長して運用する場合に生ずる割増し経費についても、新たに特別交付税の対象とすることとしているところでございます。これによりまして、消防指令センターの共同化がより一層進み、また広域化につながっていくものと期待をいたしております。

 今後とも、消防の広域化、連携協力を積極的に進めてまいりたいと存じます。

中司委員 ただいま、広域化の、通信指令の更新、これについての経費について交付税で措置をするということで、今後も、こうした様々な取組を通じて広域化、このことが地域の人命を守ることにつながると思いますので、どうかよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。

 三十分いただきまして、質疑をさせていただきたいと存じます。

 まず第一に、阪神・淡路大震災における災害援護資金について、ちょっといろいろ話をさせていただきたいと存じます。

 この貸付原資の県への償還期限が令和四年度末に到来するということで、もう三月にこの償還期限が到来するということもありまして、これは内閣府の事業でございますので、総務委員会とは直接関係ないのかもしれませんが、やはりこれは地方自治体のいろいろ要望がありますので、この場をかりて、少し内閣府さんと議論させていただきたいと思いますが、まず、この制度の概要をかいつまんでお話しいただけますでしょうか。

五味政府参考人 災害援護資金でございますが、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づきまして、災害救助法の適用災害等により負傷又は住居、家財に被害を受けた方で所得金額が一定額未満の方が、市町村から最大三百五十万円の貸付けを受けることができる制度でございまして、利率は、阪神・淡路大震災当時は年三%でございました。その後の法改正によりまして、現在は年三%以内で条例で定める率とされております。また、償還期間は十年、うち据置期間は三年とされております。

 また、市町村が貸付けを行った場合、都道府県は市町村に対して貸付原資の全てを貸し付けること、国は都道府県に対してその三分の二を貸し付けることが法定されております。結果といたしまして、市町村が貸付けを行った場合、その貸付原資について、都道府県が三分の一を、国が三分の二を負担しているということになります。

 平成七年の阪神・淡路大震災当時は、被災者生活再建支援法に基づく支援金がなかったことなどによりまして、多くの被災者がこの災害援護資金に頼って生活再建をすることを余儀なくされたところでございます。貸付けを受けた被災者の中には、生活再建が思うように進まず償還が困難な方も多くおられたことから、令和元年、議員立法によりまして、阪神・淡路大震災の特例といたしまして、低所得者の免除などを可能とするよう、災害弔慰金法が改正されているところでございます。

市村委員 ありがとうございます。

 それで、令和四年度の年度末にこの償還期限が来る。ずっと繰延べ、今おっしゃったように、まず十年だったのが、三年ずっと、三年たってもまだということで、繰延べ、繰延べで、二十八年たった今でようやくといいますか、国としても、もうそろそろ終わりにしよう、こういうことになっているんだと思います。

 それで、国も様々、制度も変えていただき、繰延べもしていただき、また県も、また政令指定都市も、自己負担で、この債権回収できない分についてはもう終わらせよう、こういうことだと思います。

 これはこれで、各自治体も、もう仕方ないというふうに思っているところはあるんですが、しかし、この二十八年間、この債権管理事務ですよね、これはやはり返していただかなくちゃいけないので、これは窓口が自治体ですので、市町村ですので、市町村がずっとその管理をしてきているわけでありまして、その負担も結構あったというふうに思います。

 ですので、もちろん貸し付けたのは市町村ですから、それを回収できないのであれば、市町村も、国、県から、まあ県から出していただいているわけですから、政令指定都市は別ですけれども、なかなか苦しいわけでありますね、回収できないのに返さなくちゃいけないとなりますと。免除していただいている分はいいけれども。

 そういうところを勘案していただいて、県も三分の一は負担するということなんですけれども、市町村の負担もまだ大きいところがあるということで、是非とも、国においても県と同様の財政的支援を行ってほしいなというのがあるんですが、これについてはいかがでございますでしょうか。

五味政府参考人 今回、県及び市町村において検討されております債権放棄につきましては、地方自治法に基づく債権放棄でございまして、国の法律制度に基づくものではございません。自治法に基づいて、市議会の議決に基づいて放棄をされるということで伺っておりまして、この場合には、国の債権放棄を行うための法的根拠がございませんので、予定どおり、兵庫県及び神戸市から国に対して、貸付原資につきまして償還をしていただく必要があるという制度になっております。

市村委員 今、五味参考人からお話しいただきましたように、残念ながら国にそれを何とかするという法律がないということであるということでお伺いをしました。事前に私もそのようにお伺いしておりまして、担当大臣であります谷大臣は、まさに被災地の地元ということで、何とかしようと思っていただいているとは思っているんですが、大臣も、難しい、こういうような御見解であるということはちょっと伺っておるところであります。

 ですから、難しいということでありますが、できれば、本当は、法律を作るというのは大変なんですけれども、何とか考えていただきたいという部分もこれはあります。ただ、もう三月ですから、なかなか難しいというのも承知で言っておりますけれども。

 ただ、さっきおっしゃっていただいたように、いわゆる被災者生活再建支援法がなかった前の話でありまして、阪神・淡路大震災の被災自治体というのは、非常にそういった意味では、より苦労をしてきている。阪神・淡路大震災があったから被災者生活再建支援法ができているという流れがありますから、何もなかったところで、より苦労している自治体だということを勘案していただいて、何か救える方法がないかということを、特段、もう一段、内閣の方で御検討いただくことがあればというふうに要望するところであります。返答は求めません。

 それで、返すということになりますが、やはり真っ当な、自治体を担う市長さんたち、首長さんたちは、本当に困窮してどうしても返せない人の場合は免除だ、それをまた無理やり取立てもできないというところで、これでもう免除しようというか、市が負担をしようという気持ちもあるんだと思うんですね。

 ただ、本当は返せるのに、返せるのに返していない人がいるわけであります。これはやはり逃げ得を許しちゃいけないということで、神戸市さんも含めて、私の地元の川西市市長さんも、これはやはりずっと取り立てていく、返せる人には返していただこうということで、一旦これで国との関係は終わるでしょうけれども、返す力がある人で逃げておられるという人もいるようでありますので、これは返していただく努力をする、訴訟も辞さないというふうに神戸市さんあたりはおっしゃっているようであります。

 これに関して、これは地方自治体のことだと言われればそれでもう終わりなんですけれども、そういう逃げ得を許さないということについて、やはりしっかりと、国としてもそういう思いだということを是非ともおっしゃっていただけたらありがたいと思いますが、いかがでしょうか。

星野副大臣 委員御指摘のとおり、令和三年、神戸市において、令和元年の法改正による免除の対象外である債権や住居不明等の接触困難者に対する未償還債権で今後も償還が困難な債権について、地方自治法第九十六条に基づき、市議会の議決により、約十億円の債権放棄を行いました。さらに、神戸市と同様、兵庫県内のその他の九市においても、合計約六億円の債権について、議会の議決を得た後、放棄する方針を固めたと聞いております。

 一方で、今回の債権放棄の対象としていないものについては、委員の御指摘にもありましたが、例えば神戸市では裁判の手続にのせるなどしており、引き続き各市において債権回収に取り組まれるものと聞いております。

 今後も、貸付けを行った市において、適切な債権管理に努めていただきたいと考えております。

市村委員 星野副大臣、お時間をいただきましてありがとうございます。もうここで御退室いただいて構いませんので、よろしくお願いします。感謝いたします。

 以上、災害援護資金についてはここで終わりますが、よろしくお願いいたします。

 次に、入湯税について議論させていただきたいと存じます。

 この入湯税は、目的税であるということでよろしいでしょうか。確認です、政府参考人からお願いします。

池田政府参考人 お答えいたします。

 入湯税は、入湯施設の利用と市町村の行政サービスとの関連に着目し、温泉等が所在する市町村が課する目的税でございまして、その使途は、環境衛生施設、鉱泉源の保護管理施設、消防施設の整備及び観光の振興等とされているところでございます。

市村委員 ありがとうございます。

 目的税なんですね。今るるおっしゃっていただいたような目的に使おうということなんですが。

 入湯税を課税している地方自治体団体数というのは九百九十六あるんです。ところが、これを特別会計としてちゃんと区分して会計処理をしているというのは、僅かそのうち六団体しかないんですね、六団体だけ。そうなると、一般財源に入っているわけです、これは目的税ということを言いながらも。

 そうすると、じゃ、一般財源の中で入湯税としての収入というのをちゃんと出している団体があればいいんですけれども、ちょっとその辺の資料が今、請求したかどうか忘れましたが、ないんです。つまり、何に使われているか分からない。目的税で、入湯税としてさっきおっしゃっていたような、るるな目的に使うべきものが、一体どこに使われているのか分からない。

 温泉街とかによっては、一体、自分たちはお客様から、日帰りの場合は七十五円、一泊の場合は一泊につき百五十円ということですね、お客様からいただいてきちっと納めているわけです。ところが、それが全然何に使われているか分からなくて、温泉街の振興に使ってほしいと言っても、いやいやいやということで、自治体も財源が苦しいからなかなかそういうのは出せませんと。

 こういうふうになってきますと、一体何のための目的税なのか、何のための入湯税なのかという、この疑問が湧いてくるような状況になっているところであります。

 ですので、きちっと、せっかく入湯税をつくっているわけでありますから、目的税として。これがしっかりと目的税として生かされるように、特段の勧告といいますか、話を、地方自治体の、入湯税を課している九百九十六団体に、総務省としてもいま一度しっかりと話をしていただいて、できれば区分、特別会計として処理すべきだというふうに思うんですけれども、いかがでございますか。大臣、いかがでしょうか。

松本国務大臣 既に委員からもお話がありましたが、御承知のとおり、法定外税につきましては普通税と目的税があるわけでありますが、目的税は、おっしゃったように、各課税団体が納税者等に対して税収の使途を明らかにすることが適切であるというふうに考えておりまして、入湯税も同様でございます。このため、総務省といたしましては、各市町に対し、毎年度、通知等を行っておるところでございます。

 特別会計を設置していることについては、今既にお話がございましたが、入湯税収に係る特別会計を設置していない場合にも、予算書や決算書等において使途を明らかにするとともに、住民や入湯客に対して周知することが適当である旨を助言をいたしているところでございます。

 この周知等、現段階で必ずしも全ての団体が行っているわけではないのではないかという御指摘については、私どももまた真摯に受け止めてまいりたいと思っておりまして、今後とも、納税者はもとより、特別徴収義務者である旅館等の理解も得られますように、入湯税の使途の明確化やその公表について、機会を捉えて、適切な助言、情報提供に努めてまいります。

市村委員 ありがとうございます。

 いよいよコロナ禍も明けて、各地のいわゆる観光地、温泉地も含めて観光地に人が戻ってきている。本当は去年の十月に、総理が、外ではマスクを外そうと言っていたんですが、なかなかそれがうまくいかず、三月からいよいよ、マスクは基本的に自由にしようということになってきましたし、五月八日からは二類から五類へという流れもできてきまして、ますます、またインバウンドも、コロナ前は三千万人まで達していましたが、今年の目標は二千万人ぐらい行くだろうというような話もあります。

 ですので、いよいよ、またコロナ禍前に戻ろうとしている中で、各いわゆる温泉街もいろいろこれからイベントを打ったりとかしていくと思います。

 ただ、今までは、結局、コロナ禍で傷んでいるわけでありますから、新しいイベントを打つにしても、なかなか負担も重いなと。また、復活してよくなれば、収入も伸びて、そういうのにももっとお金を出せる余裕が出てくるのかもしれませんが、なかなかないという状況で。

 スタートアップじゃないですけれども、やはり、入湯税という目的税を徴収して納めているわけですから、それが適切に目的どおりに生かされるように、特段のまた助言を総務省としてもしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 それで、次に、エネルギー価格高騰に対しての地方財政措置について、ちょっと議論させていただきたいと思います。

 これは、私の地元だけではなくて、この間、地元の市長さんが来られて要望されてきたんですが、これは、全国といいますか、地方自治体だけではなくて、エネルギー価格高騰で苦しんでいるのは我々もそうであります。事業所、それからいろいろな工場、特に電気を使う工場というのは大変な状況になっているということでございまして。

 現在、特にその中でも、地方自治体に対する令和五年度における財政措置の概要というのを、まずちょっと教えていただけますでしょうか。政府参考人で構いません、お願いします。

原政府参考人 お答えいたします。

 令和五年度の地方財政計画では、一般行政経費で、自治体は国と違いまして、学校ですとか、福祉施設ですとか、それから文化施設とか、いろいろ住民サービスを提供する施設が多うございます。したがいまして、国はやっていないんですが、地方についてはそういうことで、調査をいたしまして、推計しまして七百億ぐらい、自治体が使う光熱水費が恐らく不足するだろうということで、今回、地財計画で計上したものであります。

 事業者ですとか生活者支援対策は、臨時交付金、これが一・四兆円、既に予備費等で交付されておりますので、事業者対策は交付金、自治体の分は交付税という形で、補正や当初予算で措置されている、こういうことでございます。

市村委員 ありがとうございます。

 そうやって、今おっしゃっていただいたように、自治体については交付税ということで七百億円。

 ただ、やはり、これは残念ながら負担増に比べて十分な水準とは言えないということでございまして、今後、例えばウクライナ情勢がどうなるかとかによって、これ以上価格が上がるのか、ひょっとしたら情勢が落ち着いて、むしろ産油国も増産を始めていただくという中で下がっていくのかもしれませんが、まだ分からないところでありますが、もしこれ以上価格がこの令和五年度内に上昇するということがあった場合は、更なる対策が必要だ、七百億余を超えて。

 それについてはひょっとしたら補正予算を組まないといけないのかもしれませんが、それについて、総務大臣、ちょっと御決意をいただければと思います。

松本国務大臣 委員にまず一点、おわびを申し上げなければいけないんですが、先ほどの答弁で、目的税、普通税のお話の中で、法定税、法定外税、税にいろいろな区分があるんですが、宿泊税は法定外の目的税ですが、入湯税は法定の目的税でございまして、私、法定外税と申し上げたようですので、改めて訂正をさせていただきたいと思います。

 その上で、今、光熱費等、エネルギー価格の上昇に伴う対応ということでございました。

 今、局長からも御説明を申し上げましたように、ここまで光熱費が大変高騰するということで、施設をたくさん持っている自治体の方から財政措置をということで、求める声をいただいたことを受けて、私どもも五年度の予算編成、懸命に取り組む中で、一般行政経費として七百億円計上させていただいたことは既に御説明申し上げたとおりでございますが、これからも物価の動向や国における対策などを注視しつつ、各自治体の財政運営に支障が生じないように適切に対応してまいりたいと思っております。

 財政需要にしっかりお応えをすることで、私どもも地方自治体の御期待に応えていくことが使命だというふうに考えておりますが、現在、まさに令和五年度、始めるところで、準備をさせていただいたものをまずはしっかりと執行させていただくことが私どもの使命でございまして、その余については、今もお話がありましたが、様々な状況を見て、しっかり対応させていただきたいというふうに申し上げたいと思います。

市村委員 ありがとうございます。

 次に、前回の総務委員会の方で、たしか共産党の宮本先生だったと思いますが、地方自治の決議のこと、三十年前の決議のことをおっしゃっておられました。大臣は冒頭で、改めて我が国をつくり直すという御決意があったわけでありますが、地方分権、地方主権という言い方もありましたけれども、どうもこの議論が、三十年前のあの興奮から三十年たってみて、では、あのときの我々が議論していたことが本当にどうなったのかなというようなことを感じるところがありまして。

 当時、三十年前、一九九三年、平成五年でありますけれども、国会で、衆参共に本会議で地方分権推進に関する決議をするというのがありました。当時、私もちょうど日本新党という政党の政策スタッフをやっていまして、こうした流れを見ながら、その月の六月二十七日に都議選がありました、東京都議選。それの政策集を作っておりましたけれども、地方分権推進というようなことで、かなり入れ込んだ覚えがあります。

 実はその前に、六月三日に地方分権推進の決議があっているんですが、十八日に衆議院は解散しています。次に、解散下の中で都議選が六月二十七日に行われて、七月十八日に衆議院選挙が行われて、当時、日本新党、三十八議席をいただいて、大躍進をさせていただいたということでございました。

 その興奮の中で、地方分権というのがかなり取り上げられてきた。特に当時の細川総理ですけれども、熊本県知事も務めておられまして、「鄙の論理」という本も書かれて、やはり地方、地域の大切さというのを言われておったのを思い出しております。

 そうした興奮の中から、平成七年、一九九五年ですね、まさに阪神・淡路大震災があった年でありますけれども、地方分権推進法が五月十五日に成立して、十七日に交付されているというような状況があります。

 そうしたことがあった上で、今日までつながってきているということなんですが、特にこの十年ぐらいを見ますと、何か、どうでしょう、地方分権、例えば私たち維新は、いわゆる道州制も見越して考えなくちゃいけないという議論もしているわけです。やはり、この国の形を変えていく、東京一極集中を是正して、やはり地方が主体となって動いていくという国づくりをしなくちゃいけない、こういう思いであります。

 これは、三十年前もそういう国づくりの思いがあったということでありますが、何かそういう議論がないまま、最近、国が主体としてあって、権限移譲という形で、まず財源移譲という形で、前提としてはやはり中央集権的システムを取る、しかしながら、それを少しでも是正していこうと。昔は三割自治と言われましたが、今、四割自治ということで、なかなか進んでいないというところでございます。

 ですので、改めて、大臣、この我が国をつくり直すという大きなお志、決意を今回所信で述べられておりますが、大臣が思う地方分権、地方主権に対する思いというのを、これは政治家としてお答えいただければと思いますが、いかがでしょうか。特に、総務大臣はその担当でありますので。お願いします。

松本国務大臣 今、地方分権、また地域主権、そして地方の税財源といったようなことについてお話がありました。

 地方団体が地域の実情に即した地方の行政サービスを提供するためには自主財源が大切でありまして、地方税の充実確保が重要であるということは委員も御指摘のとおりかというふうに思っております。

 そうした観点から、私も、地方団体が自らの判断と責任において課税自主権を活用しながら財源確保を図ることも、地方分権を進める観点からも重要であるというふうに認識をしておりまして、これまでも、法定外目的税制度の導入や、個人住民税、固定資産税の制限税率の廃止など、地方団体の自由度の拡大は図ってまいりました。

 今後とも、課税自主権の一層の活用を進めつつ、地方団体が自主的、自立的に行政を展開できるようにしていくということが大変重要ではないかというふうに考えております。

 自主的に行うという意味での税源移譲ということは皆様からも御意見を頂戴をしているところでありますが、国から地方へ税源移譲するに当たっては、地方団体間の財政力格差への配慮、そして、国、地方とも厳しい財政状況にあることなども踏まえて検討をしていかなければいけないというふうに考えているところでございまして、このような税財源の移譲等も含めて、地方が自主的、自立的に行政サービスを展開できるようにしていくということが私どもの使命であるというふうに考えているというふうに申し上げたいと思います。

市村委員 ちょっと私の質問を先取りしてお答えいただいたわけでございまして、ありがとうございます。時間もありませんので、感謝いたします。

 先ほど私が申し上げておりましたのは、もちろん、地方の自主財源を強化という意味で、法定外税制ではなくて、地方が自ら税制を決められるような仕組みに、税の制度を決められるような仕組みにすべきじゃないかというのが私の思いなんですね。

 だから、今、国がつくってあげて、地方、頑張ってくださいと、もちろん格差是正というのもあるんでしょうけれども、もうそういう時代ではなくて、やはり、地域のことは地域で考え、地域で実行するという国の形につくり変えていく。

 まさに、繰り返しになりますが、大臣は、改めて日本、我が国をつくり直すという御決意を所信で述べられているわけですから、この間、放送と通信の垣根は要らないんじゃないかという議論もさせていただきましたが、もはや、そういうこれまでの延長線上で語るのではなくて、もう一遍抜本的に国の形を考え直す時期、三十年前もそういう興奮があったのを思い出します。

 ですから、三十年たった今、じゃ、残念ながら、この日本、経済成長はせず、平均給与は下がり、国際的立場もどんどんどんどん比較的に低下しているという中で、非常に元気がなくなっている日本であります。それをいま一度元気にしていくためにも、コロナが明けた中で、やはり、まさに大臣がおっしゃるように、我が国を改めてつくり直すということで、抜本的な制度改革の議論をすべきだというふうに思っております。

 今日は時間になりましたので、また引き続きこの議論はさせていただきますが、最後に大臣に、ちょっと今の私の思いに対して、また改めて大臣のお言葉をいただければ幸いでございます。

松本国務大臣 今委員からお話をいただきましたように、世界も我が国も大きな転換点にあるという認識、その意味でも、所信でも、私たちの現在地ということで申し上げさせていただきました。

 その上で、私自身は、今、政府にいる立場でありますが、立法府であります国会の議論等も踏まえまして、必要な制度改革がしっかり行えるように私どもも努めてまいりたいと思います。

市村委員 どうもありがとうございます。

 終わります。

浮島委員長 次に、守島正君。

守島委員 日本維新の会の守島です。

 松本大臣とは、おとといの本会議、そして昨日の予算委員会に続いて、三日連続のやり取りとなりますが、昨日の予算委員会で、時間がなくて、松本大臣が挙手されていたのに議論し切れなかったオンライン国会に関する件に関して、質問通告を昨日中にできなかったので回答は特に求めないんですが、大事な論点なので話をさせていただきたいというふうに思っています。

 私の配付資料、皆さんのお手元にあるかもしれませんが、これは昨日の予算委員会で使ったものです。

 国会において、オンラインによる出席は認められていないはずなので、国会のオンライン議会の部分に、なしと書いていたところ、予算委員会の理事会で、与党側から、委員会での活用実績はあるし、それは出席していることになっているから、なしは駄目だ、活用可能と書くようにと指摘を受けて、このような文言修正を迫られました。

 この件に関して、松本大臣の認識を問うたところ、総務大臣という立場なので、自民党議員の発言に対して答える立場にはないという旨の答弁をされました。国会でオンライン議会はできない、若しくは、配付資料のように、事例として協議会などにとどまっているだけで、活用は可能、表現としてどちらが正しいのか、大臣だったら分かると思います。

 この文章は、与党理事の具体的な指示に従って書き換えたものです。予算委員会の理事会で、与党理事たちは、オンラインを活用して視察とか協議会をやっているから、それは出席として認められているんだとおっしゃっていたようですし、それにとどまらず、例えば、本会議も、人を間引いて、テレビで見ているから、それはオンライン出席だと言っていたそうです。

 本当に見識を疑いました。定足数は議場にいるメンバーで満たしているから間引けているのに、与党議員がそれをオンライン出席と思っているというのは、本当にびっくりです。正直、これまでの憲法審査会とか総務委員会の議論は何だと思っているんでしょうか。

 この間、僕の総務委員会の質疑でも、たとえ、質問部分を切り取って、定足数に関わらないところで、オンラインの質問ができるか、活用できるかと限定したときでさえ、総務省は、衆議院規則の改正がないとオンラインによる質問は認められないと答えてきたんです。

 議会でのオンライン導入に関しては、憲法解釈とか法律や衆議院規則などの論点を整理しつつ、丁寧に、丁寧に話してきて、国でできないから地方でできるように少しずつ動かしてきたのに、与党の国会議員がこんな認識というのは、非常に情けないです。やり取りしてきたのがばからしい。これまでの積み上げを本当にむげにされた気持ちで、残念です。

 でも、自民党議員が国会でオンラインを使えるというなら、言い訳はいいので、早くオンライン国会をやりましょう。

 ちなみに、先週、僕、インフルエンザで登庁禁止だったので、委員会出席も質疑もできませんでしたが、次、登庁できないときは、オンラインで出席します。質問もしたいと思います。

 総務省も、法解釈はもういいので、環境として、オンラインで参加できるような状況だけつくっておいてください。そのとき出席とみなされるかどうかで、この件に関してどちらの主張が正しかったのか確かめたいと思いますし、僕は、主張が間違ったとされても、オンラインで出席が認められる環境になれば、それは大きな解釈変更ができたことになると思うので、前進だと思います。うれしいので、是非やらせてください。

 通告はないのですが、大臣、もし一言あれば。なければいいですが、どうでしょう。

松本国務大臣 先日の予算でも申し上げましたが、まず、国会における運営の在り方であるとか、また予算委員会の理事会での各議員の発言について、私はコメントを申し上げる立場にないということを申し上げました。

 一点、私が確認をした限り、総務省が、これまでの国会審議において、衆議院規則を改正しないとオンラインによる出席は認められないと答弁したことはないというふうに承知をいたしておりますが、各地方議会におけるオンラインにつきましては通知を発出したことは既に御案内のとおりでありまして、私どももこれから、他方では、本会議における各議員の、団体意思を確定させるための各議員の意思表明については、疑義のない形で、自由な形で行われることが大事だということも申し上げてきたとおりでございますので、このデジタルの時代におけるオンラインの活用については、私どももしっかり議論には参画してまいりたいと思っております。

守島委員 いや、総務委員会で、オンラインの活用でした質問は、衆議院規則改正しないとできないと言われましたけれどもね。

 できるんですか。できるのであれば、やりますけれども。

松本国務大臣 私は、地方議会のことについて今申し上げたわけでありますが、衆議院の総務委員会の運営につきましては、院の方でお決めをいただくところでございますが、私どもは、今の衆議院の中のルールでは、オンライン形式で行うためには、国会法や衆議院規則の改正等による制度の変更を行うことが前提になるというふうに説明を受け、このことを、私どもは所管するあれではありませんけれども説明をさせていただいたことはありますが、先ほどのオンラインによるというのは、地方議会に関して私どもとして答弁をしたことがないという趣旨で申し上げました。

守島委員 大臣、ありがとうございます。

 そうなんです。国会法とか衆議院規則がないと、国会の話、国会で、国会の委員会で自民党の議員がオンラインの出席を認められるということで、僕は予算委員会でパネルの訂正を指示され、急遽、質疑をちょっと変更させることになったので、国会のことを言っているんです。

 大臣が言うように、僕たちの認識は、やはり国会法であったり衆議院規則を改正を伴って、じゃないとオンラインの活用はできないというはずなのに、そういう認識を自民党の議員が持っていないので、ないのであれば、やっちゃえるというのであればやっちゃいましょうよという話をしているだけなので、これは本当に、僕たち、議論するのも本当に残念というか、本当に何をしてきたんだろうなというふうに思っているので、これはもう与党の議員が進めて、すぐできるようにしてほしいと思います。

 それでは、議題に戻りまして、まず、地方税の、資産課税である固定資産税について伺います。

 固定資産税及び算定の根拠になっている固定資産税評価額はどのように決まっているのか、お伺いします。

池田政府参考人 お答えいたします。

 地方税法上、固定資産税の課税標準となるべき価格は適正な時価とされており、これは、正常な条件の下に成立する取引価格、すなわち客観的な交換価値を指すものとされております。この適正な時価である固定資産税評価額は、地方税法の規定に基づき総務大臣が告示する固定資産評価基準によって、市町村が評価及び決定するものでございます。

守島委員 総務大臣の指示で、適正な時価というふうな表現で評価額が決まるということなんですが、例えば、現在、投売りされたりしている別荘地とかでは、かなり低い、低廉な売値のような物件もあるんですが、固定資産税評価額が実勢価格より余り下がっていない、結構乖離がある物件も多いと思うんですが、この要因というのを教えてほしいのと、取引価格と評価額の乖離を示す何らかのデータがあればお示しいただきたいんですが、どうでしょうか。

池田政府参考人 先ほどお答えしましたとおり、適正な時価と申しますのは、正常な条件の下に成立する取引価格、すなわち客観的な交換価値を指すものでございます。

 一般的に申し上げまして、現実の取引価格は当事者間の事情によって左右され、正常な条件とは認められない主観的又は特殊な条件の下に成立している場合もあります。例えば、売り急ぎでありますとか、親族間の売買でありますとか、こういったことでございますが、したがいまして、現実の取引価格を直ちに適正な時価であると認めることはできないということでございます。

 そのため、固定資産税評価基準におきましては、土地については現実の売買価格から不正常な要素に基づく価額を除去して求められる正常売買価格、家屋につきましては価格を構成する基本的な工事原価に基づいた再建築価格に基づき評価することとしております。

 実勢価格と固定資産税の評価に乖離がある場合、現実の取引に含まれる不正常な要素が原因と考えておりますけれども、総務省において、その乖離の状況、こういったものを把握しているようなデータというものはございません。

松本国務大臣 申し訳ありません。

 今の御議論については御答弁申し上げたとおりですが、先ほどのオンラインについて、私どもの準備がちょっと整っておらず、一点、訂正だけさせてください。

 先ほど、制度の変更を行うことが国会について前提となる、国会について、制度の変更を行うことが前提となると答弁をしたということを申し上げましたが、答弁をいたしましたのは、政府、総務省ではなく、衆議院の事務局でございました。

 この点、訂正させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

守島委員 大臣、ありがとうございます、通告ないのに言っていただいて。僕も、総務委員会で聞いたけれども、答えてくれたのは衆議院事務局だというふうに思っております。

 今の話で、おっしゃられたように、売買価格に関しては何かしらバイアスがかかっているということで、正常な状態ではない、適正な時価というのは固定資産評価額というような意見だと思うんですけれども、総務大臣の告示も三年ごとに改正されているのでそういった適正化は図られていると思うんですけれども、やはり、僕自身、会計原則に照らすと、発生主義的に現状の価格というのが簿価に反映されるという方がイメージ的に適正額に近いのかなという感覚もあるので、この点、ちょっと難しい話だと思うので、引き続き質問とか検討、勉強をさせていただきたいというふうに思っております。

 次に、地方税の所得課税である住民税について伺います。

 確認したいんですけれども、別荘、セカンドハウスや保養所を所有する又は賃貸する個人、法人は、本拠とは別に、その所在する自治体に住民税の支払い義務はあるでしょうか。ある場合は、本拠との二重課税にならない理由を教えてほしいです。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 個人住民税は、毎年一月一日時点の住所地である地方団体が課税することとされております。また、委員御指摘のとおり、住所地以外の地方団体に事務所や別荘等の家屋敷を有する者に対しては、いわゆる家屋敷課税と呼んでおりますが、当該別荘等の所在団体が個人住民税の均等割部分だけを課すこととされております。

 このように、応益性の観点から、地域社会の会費としての均等割を住所地以外の別荘等の所在団体に対してもお支払いいただくものでございますので、いわゆる二重課税には当たらないものと認識しております。

守島委員 ありがとうございます。

 家屋敷課税も、応益性を考えたら二重課税ではないという解釈だったんですけれども、これはそのとおりだと思います。

 でも、実際、各自治体はちゃんと徴税しているんでしょうか。例えば、明らかな、軽井沢とか、別荘地であれば徴税しやすいと思いますが、自治体によっては、徴税可能な物件をほぼ把握していないんじゃないかと思いますし、応益性でいうと、先ほど答弁であったとおりなので、やはり一定行政コストがかかる以上、課税されてしかるべきだと思います。

 こうした物件がちゃんと捕捉、そして徴収されているのか、データがあれば教えてほしいです。

池田政府参考人 お答えいたします。

 総務省が実施した平成三年度の調査によりますと、家屋敷課税の納税義務者は約二十二万人、税収額は、これは推計でございますが、約十二億円と承知しております。

 家屋敷課税の対象となる家屋敷は、自己又は家族の居住の用に供する目的で住所地以外の場所に設けられた独立性のある住所をいうこととされておりますが、自己が所有するかどうかというのは問われないため、いわゆる別荘などが含まれる一方で、他人に賃貸する目的で設けられているものなどは含まれないこととされております。

 このように、住宅の所有名義のいかんにかかわらず、その使用実態に応じて課税されることとなるため、その対象数について、要は、捕捉率ということですと、どのぐらいの対象数があるかという分母が必要なわけですけれども、その分母を網羅的に把握することが困難であるため、どのぐらいの捕捉率になっているかは承知してございません。

守島委員 ありがとうございます。

 そうなんですね。N分の二十二のNが分からないというか、分母の捕捉が非常に難しいと思っているんです、実態が分からないので。けれども、本拠じゃない住宅というのは、多分二十二万以上、たくさんあると思うので。

 捕捉されていない税金を捕捉するのは増税ではないですし、一定払っている人がいる以上、公平な徴税というのは必要だというふうに思っているので、これは自治体が頑張れば、正直、応益性で、均等割の部分だけ税金を納められるということに関して、自治体がそこまでインセンティブを感じていないと思うんです。だからこそ、そうした物件の捕捉ということに関しては、その分母を調査するということに関しては非常に動きが鈍いというふうに思っているんですが、これはやはりしっかり徴税して、税収を確保することもそうですが、適正な納税という観点では、総務省としても、自治体に、こうした家屋敷を把握して徴税に努めるよう指示というか、促していくべきだとは思うんですが、その点、どうでしょうか。

池田政府参考人 委員、申し訳ございません、一点、先ほどの答弁で、私、調査の時点を平成三年と間違って、これは令和三年でございますので、訂正をさせていただきます。

 その上で、今の御質問についてお答えを申し上げます。

 家屋敷課税の納税義務者は、基本的には当該団体の住民基本台帳に記載されていない方が対象となりますが、例えば、別荘等を納税義務者が所有している場合には、固定資産税の課税情報の活用というのが考えられます。

 一方、賃貸住宅等を納税義務者が利用している場合には、課税団体においてその実態を確実に把握する方法に乏しく、地方団体からは、そうした方々を網羅的に捕捉することは困難であるとの声も聞いております。

 家屋敷課税については、税収に比して課税の事務負担が大きいという課題はございますが、委員御指摘のとおり、課税の公平性の観点からも、対象者を確実に捕捉し、適切に課税を行うことは重要と考えております。

 地方団体の中にはですが、条例に基づく申告を課しまして、その申告について周知、広報を行うでありますとか、固定資産税の課税情報のほかに住民票の転出情報も活用し、対象となり得る者を抽出調査を行う、こういった取組が行われているというふうに承知しておりまして、総務省といたしましても、地方団体からの御相談に応じ、今後も適切に助言を行ってまいりたいと考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 本当に、各個人の資産の完全捕捉というのは確かに難しいと思いますし、マイナンバー等とも並列して議論されていくべきことだと思うんですが、実際、今答弁にあったように、自治体で先進的な取組がなされていたりすることもあるので、そうしたいい事例を横展開を総務省がしていってくれればありがたいというふうに思っております。よろしくお願いします。

 次に、ふるさと納税について伺います。

 私自身は、ふるさと納税は、いい面もあると思いますが、不公平で不効率と思っているところです。何でかというと、高額納税者が恩恵を受ける一方、総体として税収入が変わらないどころか、かえってやはり経費がかかってしまうからです。

 令和三年度におけるふるさと納税額は過去最高の八千三百二億円、令和四年度の住民税控除額は五千六百七十二億円に上っています。

 このふるさと納税に関する地方財政計画上の取扱いについては、従来から住民税控除額は地方税の収入見込額から減額される一方で、ふるさと納税額、寄附額は歳入に計上されなかったため、交付団体の住民税控除額のうち四分の三は地方交付税として措置されるので、交付税の総額が増加する要因になっていました。なので、平成二十八年以降ふるさと納税額が急増したため、二十九年度の地財計画から、ふるさと納税に係る寄附金の収入見込額の一定度を三年かけて段階的に地財計画に計上されたと聞いています。

 これによって、地方財政計画上は、ふるさと納税による交付税の増額が一定抑えられることになっていますが、寄附金の収入見込みのうち、どの程度の額が地方財政計画上、計上されているのか、教えてほしいです。

原政府参考人 お答えいたします。

 ふるさと納税に係る寄附金収入については、令和五年度地方財政計画では、直近の実績と伸び率とを踏まえまして一兆円程度を見込みまして、その半分程度の額を地財計画の雑収入に計上してございます。

守島委員 ありがとうございます。

 半分程度ということで、これは、一定、自治体が寄附収入を受けるインセンティブも必要だけれども、交付税も増え過ぎたら困るというはざまで、結構苦しい制度になっているように思うんですね。

 直近のふるさと納税に係る寄附金の収入額及びふるさと納税に係る住民税控除額を確認させてください。

池田政府参考人 お答えいたします。

 総務省が実施をいたしましたふるさと納税による現況調査結果でありますが、先ほどまさに委員が御紹介していただいたとおり、令和三年度の寄附金受入額は八千三百二億円、令和四年度課税における個人住民税からの寄附金税額控除額は五千六百七十二億円となってございます。

守島委員 ありがとうございます。

 この線引きで苦しいことになってくると思うんですけれども。

 ふるさと納税制度の創設で、返礼品の調達費等の経費は、過度な返礼競争みたいなのがあったせいで五割以下に制限されました。五割以下に制限されたんですが、令和四年度のふるさと納税の募集に要した費用は三千八百億円以上あって、今でも四六%の原価や経費で占められているわけです。

 本来、居住地の行政サービスの財源になる住民税がよそに行って、その半分が実質的には費用となっているこの状況について、総務省の見解を教えてください。

池田政府参考人 お答えいたします。

 ふるさと納税の指定制度の下では、寄附金の募集に係るルールといたしまして、返礼品の調達費や送料を含む募集費用の総額を、一年間に受領する寄附金額の五割以下とすることが定められております。これは、地域を応援したいという納税者の思いに応えるためには、寄附金の少なくとも半分以上は寄附先の地域のために活用されるべきである、こういう考え方に基づくものでございます。

 また、募集経費につきましても、返礼品として地場産品を提供することで、新たな地域資源の発掘を促し、地域のPR効果が期待されるほか、当該地域の雇用の創出や経済の活性化につながる効果もあると考えております。

 この指定制度の導入前後で比較をいたしますと、返礼品調達費を含めた募集経費の割合が一割程度減少しておりまして、こういうことから、今後とも、この指定制度の下、ふるさと納税制度が適正に運用されるよう、私どもとしては取り組んでまいりたいと考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がないので、この制度の改善について聞こうと思っていたんですが、それはまたの機会にしようと思います。

 半分程度という、ある種、抽象的な基準というのがありまして、制度自体は本当に、事業者とか地域のためには一定、経済発展につながるかもしれないですけれども、やはり投資対効果という点では、経費がかかっていますし、高額所得者の方が優遇されるということで、やはり不断の見直しが必要だというふうに思っておりますので、是非取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 次に、地域おこし協力隊について聞きたいんですが、簡単に。

 地域おこし協力隊は、都市部から地方への移住を促すという政府の求めに応じて、これからどんどん隊員数というのを増やして、令和八年度には一万人を目指すというふうにされているのですが、隊員一人当たりの報償費が、年額二百八十万、隊員のスキル等を考慮して最大限もらったとしても、三百三十万まで支給可能というふうに条件が決められています。

 岸田内閣でこれまで賃上げ政策を柱として掲げておりましたので、地方まで行って地域の活性のために国の政策に協力しようという隊員さんに対して、この額が妥当であるのかどうか、総務省の考えを教えてほしいと思います。

大村政府参考人 お答えいたします。

 地域おこし協力隊の活動内容につきましては、勤務形態は各自治体が地域の活動等に応じて設定をしておりまして、隊員の報償費などの雇用条件についても、総務省の財政措置を踏まえて、各自治体が活動内容に応じて決定をしております。この隊員の活動に要する経費につきまして、総務省では、隊員一人当たり年間四百八十万円を上限に特別交付税措置を講じております。

 御指摘の報償費などについては、二百八十万円から三百三十万円まで、弾力的な運用ができるように配慮をしておりますところですが、この数字につきまして、令和二年度から会計年度任用職員制度が導入されたことに伴いまして、期末手当や退職手当等が支給されることとなった点を踏まえて、報酬費などの上限額について、令和二年度から四年度にかけて段階的に引上げを行ってまいりました。

 このほか、隊員の起業や事業承継に要する経費について、隊員一人当たり百万円を上限に特別交付税措置を講じておりまして、各自治体が隊員任期終了後を見据えた支援もできるように配慮をしております。

 引き続き、自治体や隊員の皆様の声を伺いながら、必要に応じて財政措置の在り方などを検討して、隊員それから受入れ自治体双方に対するサポート体制の充実を図ってまいりたいと考えております。

守島委員 絶対額、幾らがいいというのは僕もないんですけれども、不断の見直しを行って、地域の実態に見合った制度にしていただけたらというふうに思っております。

 次に、デジタル田園都市国家構想事業費に関してなんですが、この事業、一・二五兆円という莫大な予算が組まれているんですが、この中身と、この事業自体が、やはり政府として看板政策を掲げていますので、しっかりこれは、地方に渡したらそれで政府の方向性がぐっと進むのかどうかを聞きたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 令和五年度の地方財政計画においては、法律に基づき策定されているまち・ひと・しごと創生総合戦略が昨年末にデジタル田園都市国家構想総合戦略に改定されたことを踏まえまして、まち・ひと・しごと創生事業費を地方創生事業費と名称変更いたしました。また、地域デジタル社会推進費を内訳として、デジタル田園都市国家構想事業費を創設することとしております。

 このうち、地方創生推進費については、地方自治体が自主性、主体性を最大限発揮して地方創生に取り組み、地域の実情に応じたきめ細やかな施策を可能にする観点から一兆円を計上したものです。また、デジタル経費も二千五百億円を計上しております。

 あくまでも、私どもの地方財政計画の計上の額は一般財源でございますので、地域がどのように活用するかというのは自主性、主体的に任されているわけでありますが、一方、デジタル田園都市国家構想交付金、こういう交付金はある程度使途を限定している制度もございまして、こういうものも相まって、優良事例等の横展開も含めてしっかりとこういった取組をしていただくということで、私ども、しっかり財源を確保した、こういうことでございます。

守島委員 こうした交付金なんですけれども、効果検証が曖昧で、予算措置したら後追いができないというのが僕は問題と思っていて、地方創生交付金も、最初は地方単独分で、余り国がぐちぐち言わず、使ってと言ったものに対して批判が殺到して、結局、物価高騰とかに対象を限定されたように、そうした、名前を変えてばらまきのように捉えられないように、しっかり使い方に関しては注意していただきたいというふうに思いまして、私の質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、神谷裕君。

神谷委員 立憲民主党・無所属の神谷裕でございます。

 本日もお時間をいただきましたことを、委員の皆様そして委員長に感謝を申し上げたいと思います。

 早速マスクを取ってやらせていただきます。

 早速でございます。大臣に伺いたいと思います。

 大臣は、かつて民主党にいらっしゃいました。そのときに、地域主権という考え方が言われておりました。もう言わずもがな、よくお分かりだと思いますが、大臣は現在、総務大臣というお立場でございますけれども、改めて、この地域主権という考え方について現在はどうお考えなのか、まずこれをお伺いをしたいと思います。また、あわせて、地方分権と地域主権、何が違うのか、どう捉えられているのか、これをお聞かせをいただきたい。お願いします。

松本国務大臣 今お話がありました民主党政権下で、地域主権改革とは、日本国憲法の理念の下に、住民に身近な行政は、地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするとともに、地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにするための改革というふうにされていたというふうに承知をしております。その頃の議論で、地域主権という文言については、国家主権や国民主権との関係等において指摘があったということも承知をいたしております。

 私としては、現在の地方分権は、自治体の自主性、自立性を高めるという意味では同じ思いを持って取り組んでいるものというふうに考えておりまして、国民がゆとりと豊かさを実感できるようにするという地方分権の原点に立ち返り、これまでの改革の成果を生かしつつ、自治体が、多様化する住民ニーズに的確に対応できるようにする観点から、義務づけ、枠づけの見直しや、国から地方への権限移譲などの改革の取組が進められているものというふうに認識をいたしております。

 これまでも、地域主権、地方分権についてはいろいろ御議論があったかというふうに思いますが、自民党政権におきましても、先ほど申し上げた民主党の地域主権と同じ思いで進めてきたものではないかというふうに考えております。

神谷委員 改めて今、地域主権について大臣に伺いました。地域主権という考え方は、実は私は今でも大事な考え方だと思いますし、この地域主権を体現するのは実は総務省じゃないかなと思っています。

 そういった意味において、総務大臣になられたというのは非常にいい機会だったと思いますし、大臣には、そういった思いも含めて、地域のために、あるいは地方のために頑張っていただかなきゃいけない、その大事な財源が今日議論をされるということでございますので、その思いは是非今後も持っていただいて、分権もそうなのかもしれませんが、地域が、やはり主権なんですよ、大事なんですよ。こういったところの思いで是非お願いをしたい、このように思うわけでございます。

 そして、地方税法等の改正について次に伺いたいと思いますが、地方税については、税制改正における様々な議論を経て決定していくことは当然でございます。承知をしております。ただ、この決定過程において、地方自治体の関与や意思がどれくらい入っているのかなと実は私は気になっております。この辺のところ、改めて確認をさせていただけないでしょうか。いかがでしょうか。

松本国務大臣 委員から、先ほども地方分権、地域主権という言葉がありましたが、私としましては、所信でも申し上げましたように、地方を元気にするということで、地方のためにという思いは、より一層、総務大臣に就任をいたしまして、強く持って取り組んでいかせていただきたいというふうに思っております。

 その上で、税制改正についての地方の声についてということでございましたが、御案内のとおり、税制改正については、与党、自公の各税制調査会で議論を行うとともに、政府においても関係省庁間の議論を行っているところでございます。

 その上で、政府・与党が緊密に連携いたしまして、与党における議論を踏まえた上で政府が具体的な税制改正案を閣議決定する流れで進めておりまして、これを受けて、今、法案を提出し、皆さんに御議論をしていただいているところだというふうに思っております。

 この税制改正プロセスにおきましては、地方団体を代表する全国知事会、全国市長会、全国町村会等が意見を表明する機会がございます。総務省としては、もちろん、日頃から地方団体と密接に意見交換を行って、その要望を踏まえた上で議論を行っております。

 例えば、自民党においては、八月の税制改正要望の取りまとめをするに当たって、総務部会の関係の合同会議で地方六団体から要望内容を聴取いたしたり、秋に開催される予算、税制に関する政策懇談会において、地方六団体からの税制要望を聴取いたしておりますし、年末に近づく税制調査会の議論をするに当たっても、関係団体からの御意見をしっかりと伺って議論はされているものというふうに承知をいたしておりまして、税制は、様々、関係者の意見を踏まえて決定されるものでありますが、地方団体の御意見に十分配慮して議論がなされているものというふうに考えております。

 今回御提出申し上げている関連の令和五年度税制改正について申し上げれば、全国知事会からは、地方の声に沿った改正となることに対して感謝申し上げるというありがたい声明を賜っておりまして、全国市長会や全国町村会からも、その改正内容を評価する旨のコメントをいただいたものというふうに考えております。

神谷委員 あえてこれをお伺いしましたのは、先ほどの地域主権という考え方と実は整合性を取りたいなと私自身思っていまして、やはり総務省が地方の声を代弁しなきゃいかぬと。

 言っても、先ほど議論の過程について様々御紹介をいただきましたが、もちろん、当事者たる地方の団体が、皆さんの場で、与党の税調でもそうでしょうし、国の税調でもそうですけれども、意見を述べる場はあると思いますが、それだけではやはり足りないんじゃないかと私は思っています。日常的に地方とおつき合いをし、声を聞き、そしてどうするかということを一緒になって考えるのは、やはり総務省であると思いますので、特に総務省についてはこの地域主権の考え方を取っていただかなきゃいけないと思います。

 大臣はそのお考えがあると思いますので、ここはその考え方を了としたいと思いますけれども、ただ、どうしても地方の懐に入るところの大事な話でございますから、これからも、地方の声をできるだけ丁寧に聞いていただいて、そして、この地方税の議論を進めていただきたいと思います。このことは要望させていただきます。

 さて、ふるさと納税について私も伺わせてください。

 ふるさと納税について、税制面の方からも様々な御指摘があると思います。ただ、私自身は、このふるさと納税、地場産業の振興にも大変寄与をしているんじゃないかと思いますし、財源を確保するためにいろいろな自治体が工夫をされているという意味では、私は了としたいというふうに思います。

 ただ、そういった地方の自治体が自ら財源をつくっていくという努力、これは大事なんじゃないかなと思っていますし、できることであれば、地方の皆さんにもそういった汗をかいていただくということは大事なんじゃないかというふうに思っているところでございます。

 そういったところについて、自らの努力で財源を確保できる手段を多様化できるように考えるということが極めて重要だと思いますけれども、これについてのお考えをお伺いさせてください。お願いいたします。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 地方団体が自主性を発揮して行財政運営を行うために、自らの判断と責任において課税自主権、これを活用しながら財源確保を図るということ、これは地方分権を進める観点からも大変重要であると認識してございます。

 先ほど、以前の答弁で大臣から申し上げましたとおりに、地方分権を推進するために、法定外目的税の導入でありますとか、個人住民税や固定資産税の制限税率の廃止など、地方の自由度を拡大してきたところでございます。

 特に法定外税について見ますと、平成十三年には十八団体十八件でございましたが、令和五年現在では五十三団体六十四件と増加してきておりまして、近年は、市町村において、新聞等でお聞きになったこともあられると思いますが、宿泊税、こういったものの導入なども進んでいるところでございます。

 総務省といたしましては、課税自主権の一層の活用が進むよう、地方団体からの相談に応じたり、必要な情報提供をするなど、支援を行ってまいりたいと考えてございます。

松本国務大臣 今、課税自主権についての話でありましたが、その前の税制改正プロセスも含めて、先ほども申し上げたかと思っておりますが、総務省としては、日頃から地方団体と密接に意見交換を行って、その御要望を踏まえて様々な議論を進めていきたいというふうに思っておりまして、今御質問いただいた件についても、総務省としては、課税自主権の一層の活用が進むように努めてまいりたいと思っております。

神谷委員 本当にこれは大事だと思っていまして、もちろん、国において徴税をしていただいて、税源が偏在していますから、それを配っていただくということも大事かもしれませんが、やはり、地方においても独自に汗をかいていただいて、税金というか大事なものを集めていただく、そしてそれを大切に使うということも非常に大事なんじゃないかなと思っています。

 先ほど五十三団体の御紹介がありました。私は、まだまだこれは少ないんじゃないかと実は思っています。できることであれば、自分たちが使うお金を自分たちでも増やす努力を是非していただきたいと私は思っていますし、是非こういった事例を、私も聞いている範囲で幾つかありますけれども、もちろん展開をしていただくことも大事ですし、それ以上に地方自治体がそういった創意工夫ができるように、総務省としても是非御助言をこれからもしていただきたいと思いますし、バックアップもしていただけたらと思う次第でございますので、この点、重ねてお願いをしたいと思いますが、あえて答弁は求めないつもりですが、いかがですか、せっかくですから。

池田政府参考人 委員御指摘のとおり、課税自主権の発揮、本当に大事なことだと思います。特に、新しい税をつくるとなりますと、住民の方々、納税義務者となる方々と密接に対話をしながら、議論しながらつくり上げていかなければなりませんので、そういったことが自治そのものの発展につながっていくというふうに考えております。

 私どもも、これからも、各地方団体から御相談があれば、そういったものについてしっかりとサポートしてまいりたいと考えております。

神谷委員 是非よろしくお願いしたいと思います。本当にありがとうございます。

 それで、今、ふるさと納税についてもお話ししました。先ほども議論がありましたけれども、半分が経費になっているという現状、これはやはりちょっと看過できないんじゃないかなと思っています。

 返礼品そのものが悪いとは私は思っていませんが、ただ、仲介サイト、これについてはやはり問題があるんじゃないかなと実は思っています。仲介サイトを使うことによってどれだけふるさと納税が増えるのかなといっても、増えたところで、実は、本来納めるべき税金が横に流れているだけだとするならば、やはり仲介サイトというのはちょっと考えた方がいいんじゃないか。

 そもそもの必要の有無であるとか、あるいは手数料など、様々見直すべき部分があると思います。これについてはいかが考えるのか、お知らせください。

池田政府参考人 お答えいたします。

 この問題を考える上で、二つ、まず前提条件みたいなものがございます。

 一つは、ふるさと納税制度につきましては、地方税法に基づいて、国が指定した地方団体に対する寄附金について特例的な控除額を適用する仕組みでありまして、総務省が、手数料の基準などについて、水準も含めてですが、事業者に対して直接規制等を行うような立場にはございません。

 もう一つは、各地方団体がふるさと納税を取り組むに当たり、それに要するポータルサイトの手数料を含む募集経費については、ふるさと納税制度の趣旨を踏まえて、各議会における議決を経て、各地方団体において支出の判断をされているということがございます。

 その上でございますが、そうは申し上げましても、やはり、集めた寄附金が、多くのお金が地元に残らないということでは困りますので、このふるさと納税の指定制度の下では、寄附金の募集に係るルールといたしまして、返礼品の調達費や送料、仲介業者に対して支払う寄附金の受入れ状況等の管理や寄附者からの問合せ対応に係る事務費、こういった募集費用の総額を、一年間に受領する寄附金額の五割以下とすることが定められております。指定制度の導入前後で比較をいたしますと、募集経費の割合が一割程度減少しております。

 様々な御指摘はあろうかと思いますが、指定制度の下で、今後とも、ふるさと納税制度が本来の趣旨に沿って適正に運用されるよう取り組んでまいります。

神谷委員 やはりここは、私は少し問題だと思っています。

 今、制度上のお話をいただきましたけれども、やはり本来、自治体の財源として大切に使われなければいけないお金でございますから。もちろん、一定の議会による監視であるとか自治体による様々なプロセスを経るんでしょうけれども。

 ただ、本来、やはり自治体にしっかり使っていただきたいと思いますし、それでどれくらい増えるのかという話もありますけれども、やはりそこは、そろそろ看過できないのではないかというふうに私は思います。しっかりと事実関係、定量化というのか、していただいた上で、その辺の是非、あるいは改革の方向、是非総務省には考えていただきたい、この辺は重ねて要望申し上げたいと思います。

 それでは、ちょっと地方交付税の話に、続いて移らせていただきます。

 先ほども議論にありました、法定率の見直し。これを、見直し等によって地方交付税を安定的に確保することは、例えば地財審を始め多くの指摘がなされておると思います。先ほども局長の方から、令和五年度の概算要求において事項要求をしていただいた、私もそれは承知しております、というお話がありました。

 事項要求をしていただいているのに、残念ながら実現ができていないというところ、これはやはりどういうことなのかということを改めて、なぜ実現できなかったのか伺いたいと思うんですが、いかがでしょう。

原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、地方財政審議会においては、国も厳しい財政状況にあるが、地方交付税の法定率の見直し等により地方交付税総額を安定的に確保すべきとの意見をいただいております。

 私ども、今これも御指摘ありましたが、令和五年度の交付税の概算要求に当たりまして、引き続き巨額の財源不足が生じることが見込まれたため、交付税率の引上げについて事項要求をいたしました。

 その上で、予算編成過程、これは相手が財政当局でございますので、厳しい折衝の中で、特に今年は補填方法が切れる年でもございましたので、財源不足の補填方法について真摯に議論を行いましたが、国、地方共に厳しい財政状況にある中で、交付税率の見直しによる対応という結論には至らなかったところでございます。

 交付税率の引上げについては、現在のところ、今申し上げたとおり、国、地方共に厳しい財政状況であるため、なかなか財政当局の壁が厚くて容易ではございませんけれども、今後とも、交付税率の見直しについては、交付税総額を安定的に確保できるよう、粘り強く政府部内で十分に議論をしてまいりたいと思います。

神谷委員 局長、是非お願いをしたいと思います。

 本来これを変えなきゃいけないのは、もう法律に書かれているとおりでございます。あえて地方交付税法第六条の三の第二項というところについて触れたいとは思いませんが、これは法律に記載されていることでもございますし、もちろん、多ければいいという話でもないかもしれません。だからこそ、基準財政需要額という中での単位算定費用、そういった中で、最終的にどれだけ必要なのかというところから割り返してのこの話でございますから、やはり必要なものは必要なんだということ、これは引き続き言っていただかなきゃいけませんし、もちろん、国も財政が厳しいということ、これは十分に分かっています。だからこそ、先ほど、地方においても独自の努力をしていただきたいというふうに私も思いました。

 ただ、そうはいいながらも、税源の偏在というのがあって、だからこそこの地方交付税という制度があるんだということは、もう釈迦に説法でございますけれども、それは私も学習をしているところでございます。だからこそ、この折衝というのはしっかりやっていただかなきゃいけないと思いますし、なかなか、努力はいただいていると思います、努力をいただいていますけれども、財政当局から駄目だと言われてしまうというのもいささか寂しゅうございますし、やはりここは法律、ルールにのっとってしっかりかち取っていただきたいと思いますので、是非、その辺、よろしくお願いしたいと思います。

 本当に、事項要求とはいえ要求していただいたことは、これはもう当然のこととしてむしろ努力は多としますけれども、ただ、大臣、やはりこれは最終的に取っていただかないとみんな困るものですから、是非、大臣が先頭に立って、地方主権の考え方で頑張っていただきたいと思います。

 何か、決意等はございますか。

松本国務大臣 今お話がありましたように、今年度は残念ながら結果が出ていないわけでありますけれども、しっかり粘り強くやってまいりたいと思っております。

 局長からも御説明申し上げましたように、国の財政の面からの議論をされる立場と、地方の自主的な財源を確保する立場とで激しい議論をさせていただいておりますが、本年度は、先ほども申し上げましたように、補填の在り方も含めての節目の年でもありましたので、本年度の財政計画については、精いっぱいの努力をしてぎりぎりの結果かというふうに思いますが、これからも粘り強くしっかりと主張してまいり、いい結果が出るように努めてまいりたいと思っております。

神谷委員 是非本当にお願いをしたいと、重ねてお願いを申し上げます。

 知財審を見ていますと、「今後目指すべき地方財政の姿と令和五年度の地方財政への対応等についての意見」を見てみますと、物価高と新型コロナへの対応とあるんですけれども、今回見ておりまして、新型コロナへの対応についてはどう対応したのかなというのがちょっと分かりにくかったものですから、ここを教えてください。お願いします。

原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナは、いろいろ経費がございますが、基本的には全額国費という対応で当面いくというのが基本方針でございます。

 それで、特に昨今の議論といたしましては、感染症法の分類、これの移行がございまして、医療体制、公費支援など様々な政策措置に係る段階的な移行について、現在調整が進められております。この中で、地方団体は地方負担が出ることを大変心配されておりまして、私どもも関係省庁と調整をいたしまして、今回の見直し後に激変緩和として残る一定の措置については、新たに地方負担が生じないようということで、先般、具体的な内容が検討されるということで、厚労省から地方公共団体に既に説明がなされております。

 全国知事会始め関係団体からも、住民や地方の保健医療の現場に混乱が生じないよう、現場の声を十分に踏まえた対策を講じることが要請されておりまして、私どもも、地方公共団体の財政運営の面も含めて、支障が生じないよう、関係省庁とよく調整してまいりたいと思っております。

神谷委員 是非この点はお願いをしたいと思います。

 ただ、激変緩和についての措置まではお考えのようですけれども、その後の世界についてはまだ決まっていないのかなというふうにも聞き取れる感じもいたしますので、その後も、地方の声の代弁者でございますから、ここの辺もしっかり、地方の負担がないように御努力をいただきたいということを重ねて申し上げさせていただきたいと思います。

 また、地域医療についてですけれども、地財対策において、公立病院の経営強化を推進し、持続可能な地域医療提供体制を確保するため、機能分化、連携強化、医師、看護師等の確保の取組等の支援に係る所要の財政措置を引き続き講ずるとともに、不採算地区病院等への交付税措置の基準額引上げを継続するということがされましたけれども、御案内のとおり、先ほどからあるように、昨今、諸物価は高くなっております。当然、燃料費を始めとして、様々な病院等の経費は上がっているわけでございますね、地方自治体における病院においても、地方の病院においても。

 そういった中において、当然、医療というのは、御案内のとおり、収入の方法は限られておりますから、そうでなくても地方自治体の公営病院は厳しい状況にあることは御案内のとおりだと思います。また、全自病協さんからも様々なそういった要請等も出ていたと思いますけれども、これについてどのように御対応いただいたのか、改めて伺いたいと思います。いかがでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 公立病院については、今も御指摘ございましたが、不採算地区病院の特別交付税措置の基準額引上げを継続しておりますほか、資材価格等の高騰による建設事業費の上昇を踏まえまして、公立病院の新設、建築等に対する地方交付税措置の対象となる建築単価の上限を平米当たり四十万から四十七万円へ引き上げ、四年度の病院事業債から適用することとしております。

 また、物価高騰対策として、内閣府所管の地方創生臨時交付金、これは物価対応ということでありますが、これが一・四兆円措置されておりまして、病院については事業者ということで、自治体ではありますけれども、この交付金を活用して自治体の中で公立病院の支援を行っているという自治体もあると聞いております。

 今御指摘ありました全国自治体病院協議会からの要望では、物価高騰に対する支援として、診療報酬の臨時的見直しなどを求めていると承知しておりまして、まず、抜本的には、診療報酬の改定などを関係省庁において検討されるものと考えておりますけれども、その上で、総務省としても、地方の意見や実情を伺いながら、公立病院の経営状況の実態を踏まえて、必要に応じて適切に対応してまいりたいと存じます。

神谷委員 本当に、地方の自治体病院は地域を支えている大事な大事な病院です。うちの地域にもたくさんありますけれども、そういった病院の経営が厳しいということは、やはり地域にとって大変困ることになりますので、特にこの諸物価高騰というのは病院の責任はありませんから、そういったところは引き続き総務省として応援を是非お願いをしたい、このように思います。

 今お話にありましたが、物価高騰への対応として、地財計画の一般行政経費七百億円の話、これは先般から出ているところでございますけれども、七百億増やしていただくのはありがたいんですけれども、何で七百億なのか、もっと多くてもいいんじゃないかなと個人的には思うんですけれども、この辺の内訳というのか算定の根拠を改めて教えていただけたらと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 自治体施設の光熱費対応として増額した一般行政経費七百億円の積算根拠でございますけれども、自治体の光熱水費を、令和三年度決算を調べまして、それをベースに、物価の伸びですとか、あるいは電力会社が発表している料金の引上げの状況、一方では、国で講じました電力軽減対策、これは自治体にも適用のあるところはございますので、そういったことを織り込んで七百億円ということを計上したところであります。

 いずれにいたしましても、物価動向、これは先行きがなかなか不透明な面もございますので、今後とも、国の対策も含めて注視しながら対応してまいりたいと思っております。

神谷委員 是非、そこは細かく細かく見てあげてください。特に、私が住んでおります北海道でございます。暖房費、とてもとても上がっています。上がるなんてものじゃない。しかも、これは命の問題になりますので。

 自治体ですから、さすがにきちんとはやっていただけると思いますけれども、かなり持ち出しが出ることも恐らく推定できますので、ここは、これからもよくよく見ていただいて、是非、必要に応じて支援を厚くしていただくことも含めて考えていただけたらと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、地域デジタル社会推進費においてのマイナンバーカードの話、私も少し触れさせていただこうと思うんです。

 令和五年度及び六年度分に増額して計上することとされたマイナンバーカードの利活用特別分について、カード交付率上位三分の一まで増額するとした理由、これを改めて伺いたいと思いますが、いかがでしょう。

原政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回増額する地域デジタル社会推進費の五百億円については、全ての市町村において基準財政需要額を増額するよう算定することを予定しております。

 その上で、マイナンバーカードの交付率の高い市町村については、例えば、各種証明書のコンビニ交付サービスですとか、行政手続のオンライン申請ですとか、書かない窓口、つまり申請書の自動作成支援など、カードを利活用した住民サービス向上のための取組に係る財政需要が多く生じるということが想定されますものですから、カードの交付率に応じた割増しにより、基準財政需要額の算定を行うことを予定しております。

 なお、三分の一ということでございますが、これまでも、普通交付税の算定に際して地方団体を上位三分の一ずつ区切る手法を用いていることを踏まえて対応した、こういうことでございます。

神谷委員 局長、ここでちょっと分からないのが、マイナンバーカードを持っている方が多いか少ないかで、そんなに準備しなければいけないものというのは変わるのかなというふうに実は思っていまして。少ない自治体であっても当然対応しなきゃいけないわけですから、当然、機械あるいは様々な施設において必要な投資というのは行わなきゃいけないんじゃないかなと思います。

 ですので、マイナンバーカードが多いからといって決して自治体が準備を怠っていいよということには当然ならないわけですし、逆に、多いからといってその準備は過剰に必要なのかというと、実は私、そんなことはないんじゃないかなと思っています。多い少ないは申請するしないの話になってきますけれども、準備そのものは、自治体において均等に必要になってくるんじゃないかと思います。

 ですので、全ての自治体に増額をしていただくというのは、これは、総務省としては、判断としては英断だと思いますけれども、あえてその後、三分の一以上についてまたそうやってカーブをつけるということの必要性というのが私には実は分からないです。

 そういった意味においてですけれども、果たして、どうなんでしょうか、今御説明いただきましたけれども、どうもそこが納得がいきません。マイナンバーカードが少ないからといって決して準備が必要ないわけではないわけでしょうから。

 もう一回これを振り返ってみると、これは大臣にお伺いをしたいと思うんですけれども、じゃ、マイナンバーカードそのものが多い少ないというのは、これは自治体の努力によるものなんでしょうか、あるいは自治体の責任なんでしょうか。ここについて大臣の所感をお伺いさせてください。

松本国務大臣 御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 御案内のとおり、マイナンバーカードは、地方のDXの基盤となるツールで、その普及促進は、住民の方々の利便性向上と自治体職員の事務負担の軽減につながるというふうに考えているところでございます。

 このため、この普及促進は、重要な政策テーマとして政府全体で取り組んでいるところでございますが、総務省としては、国費による支援等を通じて、交付事務を担っていただいている市区町村とも連携をして、カードの普及促進に取り組んできているというふうに考えているところでございます。

 マイナンバーカードの交付状況が自治体によって異なっているということは、今御指摘があったかというふうに存じますが、これは地域により事情が様々で、交付が進んでいる自治体においては、普及促進に係る様々な工夫をされているといった面もございます。

 こうした取組が他の自治体にとっても参考になってまいりますので、全国的に広げていくことが重要かというふうに認識をしておりまして、総務省としては、自治体に対して、全国の先進的な取組事例についてきめ細かく情報提供するとともに、それぞれの自治体における現状や課題をよく伺った上で丁寧に助言するなど、自治体の取組をしっかりと後押ししているところであるというふうに申し上げたいと思います。

神谷委員 是非、マイナンバーを政府でお進めになるということは、いろいろな理由を言われました。そうなんでしょう、必要なんでしょう。地方自治体においても、DX、進んでいただいています。それこそデジタル標準化法なんかもありまして、様々やっていただいていると思います。

 ただ、この三分の一、増やすよというのはインセンティブなのかなというふうにも見えますし、どこの自治体であっても、実は今、上げるために努力をいただいていると私は思います。そういった皆様方に対して、ここは多いからあるいは少ないからということで差別をしてはいけないというか、区別をしてはいけないと私自身は思っています。

 というのは、先ほど申し上げたように、全てマイナンバーカードに対応した機器の導入やあるいは様々なことというのは、一律に必要なことになるんだろう、どの自治体でも対応しなきゃいけないんだろうということだと思いますので、ここは、むしろしっかり考えていただかなきゃいけないんじゃないか。

 もちろん、インセンティブというのがあるのかなということはあるのかもしれませんが。でも、これは、申請される方に対するインセンティブであって、自治体に対するインセンティブではないように私は思いますが、その辺、大臣、重ねてもう一回答弁いただいてもいいですか。

松本国務大臣 今回の財政措置は、先ほど政府参考人、局長からも御答弁申し上げたとおり、やはり、マイナンバーカードの利活用が進むに伴って、一定程度、量に伴う財政需要があるというふうに私どもとしては判断をしたことから、量に伴う交付税の部分も用意をさせていただきましたが、委員御指摘のとおり、量にかかわらずあるという部分もありますので、これまでのデジタル事業費二千億円もそうでありますが、更に五百億円上積みしたものについても、一定程度は皆さんに均等に配分をさせていただいた上で、一部を量に伴う財政需要に対応するものとしてお配りをさせていただいたものというふうに私どもは考えているということでございます。

神谷委員 ですが、私はそこが分からないんです。どちらにしても必要なものは必要なんだろうから、やはりそこは考えていただきたいと思います。多分ここは平行線になると思いますので、ここで終了させていただきたいと思いますが。

 交付税の在り方についてというよりは、特交に近いのかなと思うのです。先ほど、地方税について、自治体の意見をちゃんと聞いてくださいというお話をしました。

 地方交付税についてなんですが、私のところにも様々要望が上がってまいります。局長のところにも恐らくたくさんの要望が来ているんじゃないかなと思いますけれども。

 私の地域、豪雪地帯です。大変な雪が降る地域です。特交でもこれまで一生懸命支えていただきました、このことには感謝を申し上げたいと思いますけれども。いろいろな指標があります、また、客観的な指標に基づいて出していただいているのは分かります。ただ、降り方だけではなくて、どれだけ降ったかだけではなくて、集中的に降ったことによって一気に除雪しなきゃいけない、排雪しなきゃいけない、こういうときは、普通以上に、量以上にかかる場合もございます。あるいはどうしてもトラックが集まらない、あるいは様々人が集まらない、お金を少しかけなきゃいけない、こんな状況もあります。

 という意味では、実は、統計、もちろん客観的なものは大事なんですけれども、ただ、やはり豪雪地帯は、結構そういった意味で、目に見えないところの様々な経費というか負担というか、そういうものがございます。

 是非そういうところにも配慮をいただきたいという思いで、是非聞きたいのですけれども、こういった様々な豪雪による事情、ここはもう局長御存じの部分はあると思いますけれども、改めて、特に昨今、降りがひどうございます、北海道だけじゃなくて。これについて、やはり、少し手厚くというのか、あるいは、何らか考え方を持って、より豪雪地域に対する支援をお願いしたいと思うんですけれども、この点について御答弁をいただけたらと思うんですが、いかがでしょう。

原政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ありましたとおり、降雪量の多い自治体においては、多額の除雪経費が生じていると承知しております。

 いろいろと実情を伺いますと、雪の量は同じでも、昨今は一度に降る、したがって、同じ量でも除雪費が余計にかかる、あるいは燃料代も上がっている、いろいろな実情も伺っております。

 私どもとしては、自治体の除雪費は、国交省の補助事業とか、それから、元々普通交付税で措置している分もありまして、そういうものを上回るところを特別交付税ということになっておりまして、しっかりとそういった実情を伺って、自治体の財政運営に支障が生じないよう、しっかりと対応してまいりたいと思います。

神谷委員 これは是非とも本当にお願いをしたいということを申し上げたいと思います。

 最後の質問になります、時間もそうだと思いますので。

 私の地元に夕張市がございます。夕張の話に若干触れさせていただきます。

 御案内のとおり、財政破綻した夕張市でございますけれども、いよいよ二〇二七年に返済も終了するというところまでようやく参りました。この間、大変な御苦労を夕張市民の皆様にもしていただきましたし、総務省の皆さんにも大変な御尽力をいただきました。このことは本当に感謝を申し上げなければいけないと思います。

 ただ、ここで、二〇二七年に支払ったから終了ということには当然ならないわけです。当初危惧をされていたように、人口も大幅に減りました。残念ながら、なかなか厳しい状況にあることはもうお分かりのとおりだと思います。

 ですので、あえて、財政再建中についてはこれまでも大変な御支援をいただきましたけれども、この後、本当の意味で夕張を再生するために、二〇二七年以降もしっかりとやはりやっていただかなきゃいけないんだろうと思うわけでございます。

 この点について、是非、国にも責任を持って支援をしていただきたいと思いますので、この辺の大臣の所感をお伺いをしたいと思います。

松本国務大臣 夕張市については、平成十九年、財政再建団体となって以降、市民の皆様、そして市当局の皆様の大変な御尽力で徹底した取組を進められて、財政再生は着実に前進をしてきているというふうに御評価申し上げるところでございます。

 その上で、平成二十九年三月には財政再生計画の大幅な見直しを行って、若者の定住、子育て支援に向けた認定こども園の設置など、財政再生と住民の方々にとって大切な地域再生の両立を目指す取組、これを着実に進められているものというふうに認識をしております。

 総務省としても、夕張市に対しまして、このような地域再生に資する事業に対する特別交付税措置など、財政再生計画に基づく取組が着実に実施されるように支援を行ってきたところでありまして、今お話もありましたが、令和八年度末には再生振替特例債の償還完了を迎えておりますが、その後も、財政再生計画期間終了を見据え、引き続き、夕張市の財政再生と地域再生の取組について、北海道と連携してしっかりと支援してまいりたいと思っております。

 夕張にとどまらず、全国の大変御苦労いただいている各地域を元気にすることは私どもの使命でございますので、私どもとしてもできる限りの努力をしてまいりたいというふうに思っております。

神谷委員 大臣、是非お願いをしたいと思います。

 あわせて、この間、再建期間がありました。実際に再建団体になった団体の実例というのは余り数は多くないと思いますけれども、そういったところで、どんなことがあってどんな不便があったのか、どういうことがあったのか、この検証も併せてこの際やっていただきたいと思います。

 そのことを申し上げさせていただいて、私の質問とさせていただきます。

 本日は、どうもありがとうございました。

浮島委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

浮島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。石川香織さん。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織でございます。午後からもよろしくお願いいたします。

 先ほどの、午前中の最後の神谷委員の質疑でも触れられておりましたけれども、昨年、今年の雪に対する特交の特段の配慮ということで、私も初めに触れさせていただきたいと思います。

 昨年も雪が多かったんですが、今年も非常に雪が多くなっております。先ほど、原自治財政局長も、今年の降り方が、一遍に降る雪があって、かつ、いろいろな物価高騰のこともあり、非常に大変だという御答弁がございました。

 加えて、今年は寒いなと感じております。私の選挙区に陸別町というところがありまして、日本で一番寒い町と言っているところでありまして、今年に入ってマイナス三十度を連発しておりまして、北海道でまつげも凍るような寒さをしばれると言うんですけれども、非常にしばれております。

 雪も非常に多いということで、私も毎週つじ立ちを頑張っているんですけれども、いつもの交差点が雪捨場になっておりまして、ちょっとできないということで、まあ、それは別に違う場所でやればいいだけの話なんですけれども、雪も多くて寒いということで、非常にこたえております。

 特別交付税の配分、昨年十二月にもう既に配分をされておりまして、新潟ですとか北海道で発生しました停電についても御配慮いただいているものと思いますけれども、三月分に関しても、是非、松本大臣、特段の御配慮をお願いしたいと思いますが、御答弁よろしくお願いいたします。

松本国務大臣 改めて、昨年末以来、各地で発生した大雪において亡くなられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げ、転倒や除雪中の事故などによりおけがをされた方々に心からお見舞いを申し上げます。

 その上で、特別交付税についての御要請をいただきましたが、私どもとしては、自治体が、財政事情でちゅうちょすることなく、道路の除雪など大雪に係る対応を迅速に行えるよう、必要に応じ、特別交付税の交付により財政支援を行うことといたしております。

 現在、特別交付税の、今も御指摘がございましたが、三月交付に向けて算定作業を進めているところでございまして、自治体の皆様の除排雪経費の実態を丁寧にお伺いをして、財政支援に万全を期してまいりたいと思います。

石川(香)委員 本当に今年は大変だということで、松本大臣にも御答弁いただきましたので、是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、続いての質問に移りたいと思います。

 令和五年度の地方財政対策の中、その総額は交付団体ベースで前年度と比べて千五百億円増の六十二・六兆円が確保されたということでございます。令和五年度の地方財政は、令和四年度に引き続き改善する見通しとなっておりまして、その要因としては、国内の経済が緩やかに持ち直しているということを背景にして国税収入が好調であるということがあるということであります。

 しかし、世界的なエネルギーですとか食料の価格、それから、世界の景気が今後どうなっていくんだというのは、非常に、今後も不透明でありまして、不安な声が多く上げられておるというところで、物価高騰に関する地方への影響という観点で質問をさせていただきたいと思います。

 初めに、公立病院の支援ということでお伺いをさせていただきたいんですが、先ほど神谷委員からも御指摘ありましたので、私からは指摘ということでとどめさせていただきたいと思いますが、御案内のとおり、コロナ禍、公立病院の役割というものは非常に際立ったと思っておりますが、依然その経営状況が厳しいということであります。

 病院は、物価高騰の中で、診療報酬が決まっているということで価格転嫁が難しいという前提がある。加えて、民間とは違って、条件が非常に不利なところで経営をしなきゃいけない。こういう、条件不利地で採算が合わないということは、民間がやらないからこそ公立病院が頑張ってくれているということもありますので、これは是非、重ねて支援をお願いしたいと思っております。

 病院事業債の建築単価の上限引上げ、これは異例の措置だと私も思いますし、非常にありがたいと思っているんですが、それ以上のダメージで公立病院が立ち行かなくなってしまいますと、その地域にとっては生活基盤が非常に脆弱になってしまうということですので、是非、働く方の処遇はもちろんでありますけれども、経営に直接支援できるような対策というものを強く求めたいと思います。

 同じく、保健所の体制についても何度か質問させていただいておりますが、保健所についてもかなり業務が多くなっているということが続いております。そういうこともありまして、令和二年度及び四年度の二年間で約九百人、保健師を増員するために必要な地方財政措置を取るということになっておりまして、まず伺いたいのが、この増員目標は達成することができたのかということと、また、令和五年度の保健師の増員に向けて、普通交付税措置に加えて政府はどのような取組をしていくのか、この二点、お伺いさせていただきます。

原政府参考人 お答えいたします。

 保健所の体制の強化につきましては、これまでも計画的に二か年で九百人増員を図っておりまして、その実態等も厚生労働省とよく相談しまして、来年度も引き続き四百五十名、保健師の方を増員するということをしておりますし、また、その保健師さんを支える事務職員、この方も不足しているということで百五十名、それから、PCR検査をやっている衛生の研究所の方、これも百五十名ということで、厚生労働省と相談しながら、それから、いろいろな体制についても幅広くよく相談するようにということで、厚労省と連携しながらしっかりと対応したい、このように思っております。

鳥井政府参考人 補足で答弁させていただきます。

 令和四年四月一日現在で、保健所の感染症対応業務に従事する保健師の数でございますが、令和三年度から二年間かけて実質的に約千二百名の増となっておりまして、地方財政措置の約九百名の増員を上回るという結果になってございます。

 引き続き、私どもといたしましても、こういう地方財政措置の趣旨を理解していただき、説明会やイベント、特設ページの開設等、あるいは就職相談といったことで後押しをしてまいりたいと考えております。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 九百人という目標に対して、今のところ千二百人増員できたということでありました。依然、人材の取り合いになっているということは現状としてありますし、やはり現場の業務の逼迫感というものはまだまだ続いているということは現場からもよく聞いております。是非、今後の様々な状況も鑑みて、やはりこの逼迫の状況を何とか改善できるような支援を引き続きお願いをしたいと思います。

 もう一つ、新型コロナウイルスは、五月の八日に五類に移行する予定であります。これまで新型コロナに関する事業というのは国費、全額国費対応だったということでありますけれども、この五類に移行することによって、今後、地方財政にどのような影響があるのか。負担があるのかというところが非常に気になるところであるんですが、このことについてもお伺いさせてください。

尾身副大臣 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症対策については、現在、厚生労働省始め所管省庁において、感染症法分類の移行に伴う医療体制、公費支援など様々な政策措置に係る段階的な移行に加えて、令和五年度以降のワクチン接種の在り方について検討、調整が進められているものと承知しております。

 この中で、見直し後に激変緩和として残る一定の措置につきましては、新たに地方負担が生じることがないよう具体的な内容が検討されている旨、厚生労働省から各地方公共団体に対しまして既に説明がなされております。

 また、ワクチン接種につきましては、必要な接種について引き続き自己負担なく受けられるようにする方針の下で、四月以降の接種の在り方について厚生科学審議会で専門家による検討が行われているものと承知しております。

 全国知事会始め地方関連団体からは、厚生労働省等に対しまして、財政措置を含め、住民や地方の保健医療の現場に混乱が生じることのないよう、現場の声を十分に踏まえた対策を講じることということが要請されております。

 総務省といたしましても、地域の実情を注視し、全国知事会等とも連携しながら、必要な対応を行い、現場である地方のサポートに誠心誠意努めてまいりたいと思っております。

石川(香)委員 新たな地方負担が発生しないようにという御答弁がありましたけれども、まさにこれまでワクチン接種も含めて地方自治体の負担が非常に大きくなっているということですので、ここに是非配慮をいただきたいということと、それから、どうしても、五類に移行するということで様々な混乱も現場で出てくるだろう、そういうことの混乱を最小限に抑えるべく、やはり注視をしていく必要があるんだと思います。

 そして、病院に関してもう一つ質問させていただきますが、病院におけるスプリンクラー設備の設置基準についてお伺いをさせていただきます。

 平成二十五年の十月十一日に福岡市で発生いたしました診療所の火災を受けまして、消防法の施行令の一部改正がございました。これによって、平屋建て又は三千平米未満の病院について、平成二十八年四月一日以降、スプリンクラーの設置が義務化されました。

 経過措置期間は異例の長い期間でありましたけれども、その締めが令和七年六月三十日となっておりまして、この日までにスプリンクラーを設置しなければならないということで、スプリンクラーの設置は、非常に、病院全体で設置となりますとかなり大規模な工事になるということで、一年ぐらいかかることが多いということもあって、タイムリミットが迫っているということで、そろそろ準備しなきゃいけないと病院関係者の方から先日相談を受けたんですが、このスプリンクラーの設備の設置が不要になる要件もあるということでありますけれども、改めてその要件を御説明いただきたいと思います。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年の消防法施行令一部改正によりまして、内科や外科などの特定診療科名を有しまして、また療養病床又は一般病床を有する病院につきましては、議員御指摘のとおり、平成二十八年四月一日以降、原則として、面積にかかわらずスプリンクラー設備の設置を求めているところでございます。

 その設置義務でございますが、新たにスプリンクラーの設置が義務づけられた既存の病院につきましては、経過措置期間であります令和七年六月三十日までに設置をする必要がある、御指摘のとおりでございます。

 ただし、火災発生時の消防活動を適切に実施できる体制といたしまして、病院に勤務する医師、看護師、事務職員その他の職員が常時一定数以上である場合、具体的には、例えば、ベッド数が五十床の病院では、夜間に勤務する職員が四名以上、そのうち宿直勤務者を除く職員が二名以上となる体制を有する場合は、スプリンクラーの設備の設置を要しないこととしております。

 また、このほか、耐火構造の壁などで二百平米ごとに区画するなど、火災の延焼を抑制する構造を有する場合についても、スプリンクラー設備の設置を要しないこととしております。

 引き続き、スプリンクラー設備に係る設置基準等につきましては、全国の消防本部等を通じまして丁寧に周知してまいりたいと存じます。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 これは病院全てがスプリンクラーを設置しなければならないんじゃないかというふうに勘違いをされている方が多く感じましたので、あえて丁寧に御答弁をしていただきました。

 つまり、すぐ消防活動ができる人がきちんと配置されているかどうかという基準が決まっておりまして、五十床に対して、夜間の方は四人いて、宿直以外の方で二名以上とか、この人数の配置なども含めて、病院はあらゆる防火対策というのはしていると思いますけれども、一度、スプリンクラーに関してはきっちり確認をしていくべきなのかなと思っておりますし、それ以前に、こういった不要になる要件があるということも、しっかり周知をしていくとおっしゃっておりましたが、まだまだ知られていないところもあるのかなと思っておりますので、この周知も含めてお願いを申し上げたいと思います。

 では、続いて、昨年の十二月に東京都の昭島市で発生しました救急車の横転事故についてお伺いをしたいと思いますが、当時、まず、どんな状況だったのか、お伺いをします。

澤田政府参考人 お尋ねの事案についてでございますが、東京消防庁に確認いたしましたところ、昨年十二月二十九日午前一時五十分頃、横転事故の当時は、救急出動が急増する中で、救急隊員は、事故発生まで約十七時間にわたりまして、ほぼ休みなく出動していた状況であったと承知しております。

 なお、横転事故当時は傷病者の搬送は行っておらず、事故に遭われた救急隊員三名の方はいずれも軽傷であったと承知をしております。

 毎年、冬の時期には救急搬送数が増加する傾向にあることに加えまして、新型コロナ感染症数の増加などによりまして、全国の救急搬送困難事案についても、昨年の十一月以降、増加を続け、事故が発生した十二月第五週においては七千百五十八件と過去最多を更新しまして、救急の現場は大変厳しい状況であったと認識をしております。

石川(香)委員 今御説明いただきましたとおり、十七時間連続勤務であったということで、かなり過酷な労務環境であったということがまず背景にあったということでありました。

 それから、救急出動件数、それから救急困難事案というものも起こっておりますが、過去最多の件数であるということで、ここ数年、消防白書を見ましても、年々この救急出動数というのは増加しているんですけれども、令和二年に関しては少し減っていまして、これは、コロナ禍で外出が減ったことによって、外出する機会そのものが減り、けがや事故の件数が減ったのではないかと分析されているわけですけれども、ただ、毎年毎年なぜこんなに救急出動件数が増えているのか、どう分析をされているでしょうか。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 救急出動件数につきましては、近年、一貫して増加傾向が続いておりましたが、議員御指摘のとおり、令和二年におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴います不要不急の外出自粛要請により、外出先での事故等が原因の傷病者の発生が減少したことなどもありまして、一旦減少に転じております。

 一方で、令和三年からは再び増加に転じており、令和四年の状況は現在取りまとめ中ではございますが、全国の消防機関において過去最多を更新した本部も数多くある状況だと承知をしております。

 これまでの救急出動件数の増加の内訳を見ますと、六十五歳以上の高齢者の占める割合が増加しており、人口の高齢化が主な要因であると考えております。

 このため、消防庁では、救急車をすぐに呼んだ方がいい症状をまとめました高齢者版の救急車利用リーフレット等を作成しまして、必要な場合にはすぐに救急車を呼んでいただくよう呼びかけをしておりますし、また、救急需要が増加する中でも適切に救急搬送に対応できるよう、いわゆるシャープ七一一九の全国展開や、全国版救急受診アプリ、Q助の活用の推進など、救急車の適時適切な利用を促すための取組を行っているところでございます。

 消防庁といたしましては、引き続き、救急車の適時適切な利用を呼びかけるなど、救急需要に対応しました円滑な救急搬送がなされるよう、しっかりと取り組んでまいります。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 いろいろ貴重なデータを披露していただきましたが、救急車を呼ぶ方の内訳で六十五歳以上が増加をしているということで、やはり高齢者の方が日本に増えているということが背景としてあるのではないかという分析が当然できると思いますが、やはりこれは社会の構造とも関係してくることなので、非常にこれも大きな課題なのかなと思っております。

 必要な方が救急車を呼んで適切な治療を受けるというのは当然でありますが、不要不急な出動要請も少なくないというのもまた事実でありまして、シャープ七一一九の案内もありましたが、是非そこもしっかり確認をしなければいけない。

 業務逼迫の原因は、緊急性がそれほど高くないにもかかわらず救急車を呼んでしまうものもありますし、そもそも通報するべきではない案件、あえてちょっと例を挙げますけれども、不審者がいるので見に来てほしいですとか、エアコンを切ってほしい、コロナ検査はどこで受けられるかなどで救急車を呼んでしまう人もいるということも事実である。

 通常であれば、救急車の手配まで一、二分で完了しますが、やはり、不要不急の通報に対しては、別の相談機関を案内したりしますと更に時間がかかってしまうということもあって、非常に現場の負担につながっているのではないかなと思います。

 こういった、ある意味ちょっと非常識な人の行動が、現場の切迫感をより深刻なものにしているということに対して追い打ちをかけているということも事実としてあるとすれば、やはり、いざというときにきちんと救急車を使えるようにするためにも、国民の良識も問われているのではないかなと思います。

 先日の事故を受けまして、一月の二十五日に消防庁から、適切な労務管理を通じて救急隊員の負担軽減を求める通知を全国の消防に出しましたが、どのような内容でしょうか。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 総務省消防庁といたしましては、救急隊員の職務環境の整備は非常に重要と考えておりまして、これまでも、機会を捉えまして、救急隊員の労務負担の軽減等の取組を全国の消防機関に対しまして周知してまいりました。

 本年の一月には、新型コロナの感染拡大等の影響もありまして、一部の地域においては、令和四年の救急出動件数の速報値が過去最多を更新するとともに、救急搬送困難事案につきましても高い水準が継続をしておりまして、救急現場の労務負担が増大していることを踏まえまして、改めて、救急隊員の適切な労務管理の徹底について、全国の消防機関に要請する通知を発出いたしました。

 その内容でございますが、具体的には、例えば、通常三名から構成されます救急隊に対しましては、四から五名の隊員を配置し、交代で乗務する取組、また、救急需要が増加する日中のみ活動する救急隊を運用する取組など、実際に消防機関において取り組まれております効果的な方策につきまして全国の消防機関に周知し、これらを参考にしていただき、救急隊員の適正な労務管理に取り組んでいただくよう要請をいたしております。

 今後とも、救急隊員が安全な労務環境の下で救急業務に従事することができるよう、適正な労務管理の徹底に万全を期してまいりたいと存じます。

石川(香)委員 救急隊の方の交代の取組であったり、日中のみ出動する方の働き方、これは後でまたお伺いをしたいと思っておりますが、こういったことを通知したということであります。

 私も話をいろいろ聞いてびっくりしたのが、救急車が停車していると、サボっているんじゃないかみたいな感じでSNSで悪口を言われたこともあるということが実際にあるそうでして、これは、隊員の方は人間ですので当たり前の話ですが、しっかり水分補給をされるとか休憩するとかトイレに行くとか、こういう時間があるのは当たり前だと思わなきゃいけない。これは私たちの理解も当然必要だと思いますし、夏の暑い時期には全身防護服で対応に当たったり、先日も、全国消防職員協議会という会合がありまして、北海道の方に話を聞きましたが、雪の降る地域は通常業務に加えて除雪もかなり大変になっている、そんなお話もされておりました。

 これまで、感染リスクと隣り合わせの中で、精神的にも肉体的にもかなりぎりぎりの状況でこうして仕事をしていただいていたということに改めて感謝をするとともに、私たちの理解もしっかり深めていかなきゃいけないと改めて私も思っているんです。

 救急車の出動から戻りますと、隊員本人が救急出動報告書というものを書くそうなんですが、これは、消防本部の規模とか地域によっても当然異なると思いますが、効率化であったり、隊員の方の負担を減らすために、例えばこうした事務作業はサポートする方に任せることができないのかとか、そういった工夫も必要ではないかなと思いますが、既にその工夫を、取組をされている事例があれば、是非教えていただきたいなと思います。

澤田政府参考人 救急隊員の労務負担の軽減や業務の効率化というのは大変重要な課題と認識をいたしております。

 その観点から、救急業務におきまして、例えば、ICTの技術を活用することによりまして事務処理の軽減に取り組んでいる消防も少なからずあると承知をいたしております。この点、ICT技術の活用は非常に重要な観点であると認識をしております。

 その例でございますが、通常、救急隊員は、消防署に戻りましてから報告書をまとめるというやり方でございますが、これを、タブレット端末などを活用することによりまして、救急車の中で、指令センターからの情報や傷病者の状況を端末に記録し、それらの情報を基に報告書を作成するICTシステムを導入している事例もあると承知をしております。

 消防庁としましては、引き続き、地域の実情に応じた効率的な先進事例を全国に紹介することなどによりまして横展開を図り、現場で懸命に御対応いただいている救急隊員の負担軽減、業務の効率化を推進してまいりたいと存じます。

石川(香)委員 ICTの技術を使ってということで、タブレットで、救急車の移動中を利用して報告書を書くということも、今、例として挙げていただきました。

 これは、都市部か地方かでも違うかと思いますし、出動回数とか人数とか隊員の方の年齢にも関係してくるのかなと思います。

 消防本部によっては、職員の方が直接手書きで書かれるところも当然あるでしょうし、今おっしゃっていただいたようなタブレットを利用するところもあるかもしれませんし、とにかく、それぞれの消防の中で、効率化、労務環境の改善のために、やはりいい事例を横展開していけるようなことがベストなのかなと思っておりますので、ここも是非進んでいけばいいなと思っております。

 それから、先ほど、次長の答弁の中にも少しありましたが、働き方改革の一環で、平日の日中に活動する日勤救急隊の運用を全国の消防で試験的に進めているというところも多くあるそうであります。奈良市や仙台市などでも行っている、こうした仕組みを取り入れているということなんですが、通常は二十四時間三交代で勤務をしますが、平日の日中に限定をすることによって、資格を持つ人材を生かすことにもつながるのではないかと期待をされております。

 例えば、産休明けですとか、けがから復帰した直後であったり、それから年齢とか、すぐに三交代勤務に戻ることは難しいという方がいらっしゃると思いますので、そういう隊員の方が働きやすい環境の整備につながるということも期待できるのではないかと思っています。また、定年退職後の再任用で、ベテランの方が日中のみ働くというケースもあるそうで、現役の隊員の方にとっても、経験豊かなベテランの方がいらっしゃるというのは非常に心強いのかなと思っております。

 これは非常にすばらしい取組ではないかと思いますが、評価を伺います。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 救急需要が増加する日中のみに活動する救急隊、いわゆる日勤救急隊につきましては、救急隊一隊当たりの活動時間を平準化をし、労務負担を軽減するために効果的な取組であると認識をしております。

 総務省消防庁といたしましては、これまでも、こうした取組を参考としながら、救急隊員の適正な労務管理に取り組むよう、通知の発出や、全国の消防機関の方々との意見交換の場などの機会を捉えまして全国の消防機関に要請してきたところでございます。

 また、議員御指摘のとおり、既に運用している消防本部の声をお聞きしますと、労務負担を軽減する効果に加えまして、職員のライフイベントなどに応じた、働き方の選択肢の幅が広がるといった効果もあると伺っております。

 救急隊員が安全な労務環境の下で救急業務に従事できるよう、消防庁といたしましても、引き続き、全国の消防機関と連携しながら、全国の先進事例の横展開を図るなど、適切な労務管理の徹底や働きやすい環境整備を推進してまいりたいと存じます。

石川(香)委員 澤田次長、ありがとうございます。

 消防職員の皆さんの労務環境の改善などを含めて聞いてまいりましたけれども、そもそも、地方公務員は、この二十年間で、三百二十二万人から二百七十四万人になって、一五%も減ってしまったという現実があります。地方公務員数は、二〇一〇年代前半以降、ほぼ横ばいで推移をしていまして、かすかに増えているわけでありますけれども、日本は世界の国々と比べても公務員の数が多くない国だと言われております。

 公的な仕事の内容も複雑化し、そして多様化し、増えていく中で、まずは今の体制で十分なのかどうなのかということを検証することが必要ではないかと思っておりますが、自治体に対して今どのような取組が行われているんでしょうか。

中川大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 地方公共団体の定員につきましては、各団体において、行政の合理化、能率化を図るとともに、行政課題に的確に対応できるよう、地域の実情を踏まえつつ、適正な定員管理に努めていただくことが重要だと考えておるところでございます。

 総務省といたしましては、各団体が自ら定員管理の現状を分析、検証できるようなツールとして、例えば、人口規模や産業構造が類似する他の団体と職員数を比較できる類似団体別職員数の状況などの情報提供を行い、その活用を促してきたところでございます。

 今後とも、各団体が適正な定員管理を行えるように、必要な助言を行ってまいります。

石川(香)委員 人数関係の御答弁をいただきましたが、給与関係も併せてそうでありまして、地方公務員数を前年比〇・三万人増員で見積もっていて、自治体の人員不足ということについても一定の配慮がなされていると思いますが、退職手当以外の給与費の伸びは一・三%となっておりまして、抑制的ではないかというふうにも感じます。

 人への投資ということを政権は掲げているわけでありますので、地方経済の活性化も見据えた人件費の確保を是非お願いしたいのでありますけれども、この点についていかがでしょうか。

中川大臣政務官 お答えさせていただきます。

 地方公務員の給与については、地方公務員法に基づき、人事委員会勧告等を踏まえ、毎年、国家公務員や民間等との均衡を考慮して定めることとされています。

 令和五年度の地方財政計画においては、令和四年度の人事委員会勧告を踏まえた給与改定を反映するとともに、保健師や児童福祉司など職員数を約二千六百人増員し、退職手当を除く給与費について、前年度に比べ約二千四百億円増額したところでございます。

 今後の民間企業における賃上げの状況については、令和五年度以降の人事委員会勧告に反映されることとなるため、その内容を踏まえ、適切に対応をしてまいります。

石川(香)委員 是非、人数、人件費、両面において充実をさせていただくということがこれからも必要だと思っておりますので、またこの点についても委員会で質問させていただければなと思っております。

 続いて、車体課税についてお伺いをいたします。

 今講じられている自動車税、軽自動車税種別割に係るグリーン化特例、これは、初回の新規登録から一定年数を経過した自動車には一律に重課が行われるようになっておりまして、クラシックカー、つまり、歴史的、文化的遺産のような価値のあるクラシックカーについてもこの対象になっているということであります。

 私の住む帯広市にもクラシックカーのイベントがありまして、全道からクラシックカーが集まるということで大変人気があります。オーナーの方々は、毎年、何度かのお披露目のために、車の維持管理、非常に経費をかけて大切にしておりまして、そうしたオーナーさんの努力で立派な、地域を盛り上げる、代表するイベントの一つにもなっているということです。

 欧米諸国を見ますと、新車登録、若しくは製造から二十年から四十年経過した車両につきましては、自動車の歴史的、文化遺産的な価値の観点から、税制、規制、車検に対する優遇措置が取られているということで、こうしたことは、国内のクラシックカー所有者の方からも求められていることでありますが、過去、総務委員会も、こうしたことに対して、関係者の御意見も丁寧に伺いながら検討を進める必要がある課題という答弁がありました。

 この検討段階についてお伺いをさせていただきたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 いわゆるクラシックカーに係る経年重課の取扱いについて御質問をいただきました。

 これにつきましては、まず、グリーン化特例が、環境性能割を補完する制度として、より環境性能の優れた自動車の普及を促進するために講じられたものであり、今般の税制改正でも、環境性能割の税率区分の見直しと併せて、その適用期限を三年延長することとされております。

 加えまして、いわゆるクラシックカーにつきまして、車の歴史的、文化的価値の評価の在り方、どのようにこれを評価していくんだという問題、それから保有者の担税力との関係、いわゆるクラシックカーを持たれている方というのはかなり富裕層の方も多いというふうに存じ上げております、などといった観点からも、引き続き論点が多い課題と考えてございます。

 まず、今申し上げました論点等につきまして、関係者それから関係府省においてよく整理していただいた上、丁寧に検討を進める必要があるものと認識しております。

石川(香)委員 今御説明いただきましたとおり、世界の税制ですとか、それから、今、環境への配慮という観点もありますし、国内での、高級車とかいろいろな不公平感の払拭ということも含めて、確かに課題はある。

 ただ、やはりこういう声は非常に上がっているということも事実ですので、引き続き、関係者の方に話を伺いながらということがありましたので、是非、様々な状況を見ながら、よりよい形、検討していただきたいなと思っております。

 最後に、森林環境譲与税についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 森林整備の財源として国が全自治体に配る森林環境譲与税でありますけれども、悲願だったわけでありますけれども、予算消化が滞っている自治体も多くあるということであります。特に都市部では、使途がなかなか乏しいということで、貯金に回す、基金に回すという自治体も多くあるということで、配分全額が未消化のケースも出ているということであります。一方で、林業が盛んな地域では、やはり財源不足をずっと訴えておられます。

 総務省と林野庁が二一年十二月にまとめた調査結果によりますと、一九年から二〇年度の市町村分五百億円のうち、五四%に相当する二百七十二億円が未執行になったということで、基金に積み立てられるケースが多かったということであります。

 いよいよ令和六年度からは、住民税に千円が上乗せをされまして森林環境税の徴収が始まります。税金を徴収するわけでありますので、全国の皆さんが納得するような形での配分でないと、また使われ方がしていないといけないと思います。

 配分の見直しの要望は既にいろいろなところから出ていると思いますけれども、見直すチャンスは毎年あるわけですから、是非、住民税千円上載せされる令和六年度も目前にしているということも含めて、この配分の見直しについて必要ではないかということについて、大臣に御答弁いただきたいと思います。

松本国務大臣 委員御指摘のとおり、皆様が納得するということが大変大切なことであるというふうに私どもも考えております。

 御承知のとおり、森林は、地球温暖化防止や災害防止等の公益的機能を有しておりまして、広く国民一人一人がその恩恵を受けていると考えております。

 このことを踏まえまして、森林環境税及び森林環境譲与税は、納税者の理解を得つつ、森林整備等に必要な財源を確保する観点から、国民の皆様にひとしく負担を分かち合っていただくものとして創設された制度でありまして、これも今ありましたが、令和六年度から森林環境税の課税が開始をされる。

 制度の安定的な発展のためには、全国の地方団体において、譲与税を森林整備や木材利用等に一層有効に活用し、森林のない都市部を含め全ての納税者の理解を深めていくことが重要であるというふうに考えております。

 令和五年度の税制改正大綱におきまして、各地域における取組の進展状況や地方公共団体の意見を考慮しつつ、森林整備を始めとする必要な施策の推進につながる方策を検討するとされたことを踏まえ、どのような方策が必要か、譲与税の活用状況もよく踏まえつつ、丁寧に検討してまいりたいと考えております。

石川(香)委員 中山間地の自治体では、配分の基準の見直しを求める意見書も可決をされておりますし、林業関係者の悲願であったということもありますので、是非、森林面積が大きい自治体にしっかり譲与されるべきではないかと思っておりますので、引き続きしっかりと検討いただきたいと思います。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 立憲民主党の岡本あき子でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私からは、五年度の地方財政対策、新年度、新年度というか五年度ですね、国の税収も増える、そして地方税等も収入が増えるということで、非常にうれしい状況にあると思います。

 その中で、大きな柱でありますデジタル田園都市国家構想事業費、一・二五兆円予定をしております。この中に地域デジタル社会推進費というのがありまして、〇・二五兆円ですね、そのうち、マイナンバーカードの利活用特別分として五百億円増額をされた予算になっていると拝見をしております。

 資料一を御覧いただきたいんですけれども、この間、マイナンバーカードの交付で非常に自治体が競争をするような状況が起きているんじゃないかというところ、とても私は心配をしております。交付率を上げるために全国の自治体が躍起になって促進策の知恵を絞っています。

 マーカーを塗らせていただきましたけれども、昨年十月に、総務省は、申請率が平均を下回る市町村の首長に対し、同省、これは総務省ですね、総務省幹部等が取組実施を働きかけたということが、正しいかどうかは別として、言葉だけ捉えると、圧力になっていることが原因なのではないかと私は心配をしております。

 もちろん、マイナンバーカード、持ちたい方がメリットを享受する、これはとても喜ばしいことだと思います。また、そのために申請しやすくするとかあるいは手続を簡単にする、こういうことは是非取り組んでいただきたいと思いますし、否定するものではありませんが、一方で、申請しない方が責められたり、半分強制的に扱われたり、不利益を被ること、ましてや行政サービスが受けられなくなることなどはあってはなりません。また、カードを持っている、持っていないということで、差別やいじめなどは絶対にあってはなりません。カードの利活用策として、やはり私は、好ましい事例、好ましくない事例、こういうのがあるのではないかと思っています。

 資料二を御覧ください。

 今までも同僚議員、先輩議員、確認をしていますが、残念ながら、岡山県の備前市、今まで無料にしていた給食費等、これは学用品とか保育料とかそういうものも含めておりますが、一度有償にして、マイナンバーカードを世帯全員が持っていたらまた無料にするというやり方ですね。ただ、今まで無料で受けていた子供たちからすると、四月から有料になっちゃう、こういう例が出る可能性があります。

 私は、これは子供を人質に取ってカード取得を迫るやり方に見えてしまいます。子供同士を分断したり、このことが学校で話題になっていじめや差別が発生するのではないかと私は恐れています。市長はもう提案を決断したと報道されております。市議会あるいは教育委員会の冷静な判断を期待したいですが、そもそもこういうアイデア自体、子供たちの学校現場でリスクを伴うのではないかと考えます。

 今日、文科省にお越しいただいておりますが、世帯全員がマイナンバーカードを持つ持たない、これで児童生徒同士に差別や偏見が起きるリスクはないでしょうか。お答えください。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 一般論として申し上げますならば、委員御指摘のとおり、学校教育におきまして、いかなる理由があっても差別、偏見は許されるものではない、まさしくそのとおりだと思います。

 他方、今回、委員御指摘のマイナンバーの取得促進策の個別の施策に関しましては、各個々の自治体の御判断で行っているものでございますので、委員御指摘の点で懸念がありますれば、そういった点も含めて適切に企画立案をなさって、地域住民の方の御意見を聞くとか議会の御審議等を賜った上で、各自治体において適切に判断なされていく事柄だというふうに存じてございます。

岡本(あ)委員 自治体の判断というところで教育現場に影響は起きませんか、起きるおそれはありませんかというところを聞いております。

 今、地元にインターンで大学生が来てくれているんですが、学生が調べてくれました。例えば、DVの被害を受けている保護者がいたとします。パートナーに引っ越し先がばれないように、住基の閲覧、住民基本台帳ですね、これの閲覧を止めてもらう仕組みがあります、住基ブロックといいますが。このほかにも、郵便局に手続を取って、郵便物の転送先でばれないようにとか、年金もそこからばれないようにとか、あるいは、教育委員会にも届けて配慮を求めております。

 マイナンバーカード、これは世帯全員取らないと無償化にならないんですね。親御さんで、離れていて、DVで避難をして、子供は避難をしている側にいます。じゃ、DV加害者の方に、マイナンバーカードを取ったか取っていないか、取っていなければ取ってくれ、こんなことが言えますでしょうか。連絡をすることすらためらわれます。

 マイナンバーカードの申請自体も、この住基ブロック、ちゃんとDV被害者の支援の手配をしていなければ、引っ越し先に転居しました、例えば、マイナンバーカードを家に置いたまま、着のみ着のまま逃げてきた人、マイナンバーカードを自宅に置いてしまえば、そこから住所がばれてしまうこともあるんです。なので、マイナンバーカード自体、被害者も申請をためらう方がいるんです。

 こういうときに、例えば四月以降、マイナンバーカード、みんな、親御さん、本人も含めて持っているか持っていないか。私は給食費無料だけれども、えっ、あなたのところはお金を払っているの、もしかしたら訳ありの家庭なんじゃないの、あるいは変わった方のおうちなんじゃないの、そんなことが話題になったとしたら、もう最悪です。

 こういう想像力を働かせてほしいんですが、文科省からも、マイナンバーカードの有無で子供たちに差別など絶対ないように、こういう懸念を表明するとか、通知を出したり、世帯内のプライバシーにも抵触する内容で、教育現場で子供を分断させない、差別やいじめを起こさせない、そういう取組をされる予定はございませんか。

寺門政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しで恐縮でございますが、今回の施策に関しましては、自治体の御判断で行うものでございます。その上で、委員御指摘の点がもしありますれば、そういった点も含めて十分に自治体で御検討いただいて適切に実施すべきものと考えていますので、まずはそういった対応を行っていただきたいというふうに考えているところでございます。

岡本(あ)委員 済みません、もう一回確認です。

 そういうことがありましたらというのは、いじめや差別があったらという意味ですか。じゃなくて、例えば学校現場で、カードの取得の有無ということで制度の差が出るようなことがあればという意味でしょうか。

寺門政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御質問を拝聴いたしておりましたけれども、想定される懸念ということでおっしゃっていますが、したがって、そうした懸念も含めて十分に企画立案を自治体においてまず行っていただきたいということを先ほどから申し上げてございます。御理解を賜れればと存じます。

岡本(あ)委員 是非、懸念があるよということだけでもお伝えいただきたいと思います。

 万が一、給食費を払わなきゃいけない、その背景に、もしかしたら、ケアが必要な御家庭だったり、あるいは、どうやっても保護者同士で連絡が取り合えない、そういうこともケースとしてあり得る。これがもし現場で、子供たちが一言でも話題になったりしたら、起きた時点ではもう遅いということも是非認識していただきたいと思います。これはやはり、DV被害者を支援している団体からも強く懸念の声が出ております。

 私は、マイナンバーカードのメリットを享受するのは全然オーケーですし、それを進めていくということは、私としてもよしとしております。ただ、今みたいな例があるように、促進策として、やはり、好ましい例、なかなかこれはどうなのと思う例があるんじゃないかと思います。

 好ましい例として、宮崎県都城市、ずっと日本一の交付率を誇っています。住民にとって本当に利便性を感じられる取組として進めていらっしゃいます。多分、総務省としても、優良事例として一生懸命PRしてくださっていると思うんですが。

 例えば、マイナンバーカードを作るのに窓口に来ることが困難な方のために申請用の車を用意して、お宅まで伺います、そういう形で取り組んでいます。あと、オンライン申請を、二百八十のうち二百三十、もう既にオンライン申請できますよということで誘導をされていらっしゃいます。あと、母子手帳、これも電子化して、予防接種や健診情報、これがオンラインで確認できるようになっています。あと、是非これはやっていただきたいなと思うんですが、お悔やみの窓口で、御家族が亡くなった方、亡くなった方自身のマイナンバーカードを持ってきてくだされば、いろいろな手続が簡略できますよという御案内をされています。

 是非、プラスして、私自身は、亡くなった方本人のマイナンバーを一定期間、使途を限定して使える状態にしてもらえると、相続とか亡くなった方の処理とか、どうしても本人は行けませんからね、亡くなっていますので。御家族とか相続人が行っても、本人じゃなきゃ駄目で、相続を証明しないと手続が取れないというものがあるんです。こういうものとかを一定期間有効にして、マイナンバーカードを持っていたら、よりメリットがどんどん大きくなりますよと。

 ちょっと失礼ながら、亡くなった方のマイナンバーカードをより使えるように、これはデリケートな部分もあるので慎重な部分もありますが、こうであれば、ちょっと失礼ながら、お年を召した方々の終活の活動、お年がいっているからこそ、マイナンバーカードというのは持っていた方が御家族にもいいんですよということをお伝えする、こういう取組につながるんじゃないかと思います。

 一人一人に丁寧に説明をして、八割、九割の交付率になっている。これは小さい自治体が多いですけれども、こういう丁寧さこそ大切で、残念ながら、強引に、しかも子供を人質に取るようなやり方は、決して私は好ましい事例とは言えないのではないかと思います。

 この好ましい例、好ましくない例、こういうのも含めて、総務省として、懸念も含めて、考えをお示しするということはないでしょうか。大臣、いかがお考えでしょうか。

松本国務大臣 今も御議論を伺っておりましたが、まず、総務省としては、本日の委員会でも何度か申し上げてまいりましたが、私どもは、日頃から、各自治体と密接に連絡を取り合って、様々な政策の情報の提供や御助言を申し上げておりまして、マイナンバーカードのこと、そして交付税のこと、また、デジタルの利活用に伴う財政需要に応じて普及率を交付率に反映させる部分などについても、密接に連絡をして御説明は申し上げてきておりますが、決して、圧力をかけるとかそういったことで、私どもとしてはいたしておりませんということを是非御理解をいただきたいと思います。

 なお、新たに加えましたこの五百億円のデジタル事業費の追加分の配分については、これも何度か申し上げてまいりましたけれども、財政需要が発生をするという見込みから用意をさせていただいているということを御理解をいただきたいと思います。

 その上で、今も委員が都城市の例を取り上げていただきましたけれども、私どもとしても、利便性が向上するケースというのをより広く展開をすることによって、より多くの方々に、マイナンバーカードを取得し、その利便性の向上のメリットを享受をしていただけるようにということを目指してまいりたいと思っております。

 その上で、今、備前市の例についてお話がございました。先ほどから文科省の方からも御説明を申し上げましたけれども、一般論として申し上げれば、自治体の施策が、子供の間で、また子供の間に限らず、差別や偏見につながってはならないものというふうに考えております。

 その上で、私どもとしては、国と地方の関係は対等かつ協力の関係にあると認識をしておりまして、自治体がそれぞれの制度の中で意思決定をされる、若しくはされようとしていることに、どのように関与するのかということから考えますと、各自治体の自主的な判断によってお取り組みをいただくというふうに申し上げてきたところでございますが、私どもとしても、是非、住民の方々であったり議会の方々の声を聞いていただいて、丁寧に十分に検討いただいて御判断いただきたいというふうに申し上げてきているところでございます。

岡本(あ)委員 このマイナンバーカード、先ほどDV被害者のお話をさせていただいておりました。DV被害者にとって、マイナンバーカードを持つ、あるいは今、マイナ保険証も載せなさいよという動きがありますが、これの動きに対して、DV被害者にとってのメリットもあるんだけれども、デメリット、リスクもあるよということについては、大臣御自身はどのぐらい御理解いただいていますでしょうか。

松本国務大臣 マイナンバーカードも、多くの方に御理解をいただいて、今、申請率は七割に近づいてくるところまで来ておる中で、まだお取りをいただいていない方については、先ほどもこれも御紹介がありましたが、本人確認のために役所まで出向きにくい事情がおありになる方であるとか、また、大変私どもの説明がまだ足らないかと思うんですけれども、マイナンバーカードそのものについての御理解にまだ至っていただいていない方であるとか、そしてまた、今お話がありましたように、DVを受けている方とか、様々それぞれの事情がおありの方があるというふうには理解をいたしておりまして、我々としては、これから普及促進を進めるに当たっては、円滑に申請をいただけるように、一つずつそういうことに向き合っていかなければいけないというふうに思っております。

 DVの被害を受けておられる方々が大変な状況にあるということ自身は、私もよく理解をさせていただいておるつもりでございます。総務大臣として申し上げられるという形になりますが、私自身も、かつて国会で、子供の連れ去りに関するハーグ条約の議論にも携わったこともあり、実際にDVの被害を受けておられる方々とも何度もお話を申し上げたこともありますので、それぞれのそういったDVの被害にとどまらず、大変な状況にある方に対して、寄り添ってしっかり理解をした上で、その方々にもマイナンバーカードのメリットを享受いただけるようになることが大事だというふうに思っています。

 既に御理解いただいていると思いますが、先ほど、住民票関連のDVに関することもお話しいただきましたけれども、マイナンバーカードに関しても、被害者の申出によりまして、オンライン資格確認等システムにおける情報閲覧の制御であるとか、コンビニ交付サービスによる各種証明書の交付の制限、また、マイナポータルにおいて、代理人設定をしている場合に代理人設定を解除すること、こういったこともできるようにしていただいておりますので、是非、その辺りは手続をしっかりと御利用いただいて、御対応いただきたいというふうに思っております。

岡本(あ)委員 決して一〇〇%の交付率は目指さないでいただきたいと思っています。

 今、マイナンバーカードのコンビニの制限とか閲覧制限とか代理人設定の解除、御説明いただきました。代理人設定の解除は本人がしなきゃいけないんですね。被害者がやらないと、結局ばれてしまうということです。あと、閲覧制限がかかりますが、本人からの閲覧も制限になります。なので、マイナンバーカードを被害者が持っていても、自分もコンビニで住民票とかを得ることができないんです、窓口に行かなきゃいけないんです。

 だから、マイナンバーカードを持っていたら全国どこでも住民票とか印鑑証明とかを入手できますよとか、そういうメリット、それの恩恵にあやかれる方は全然いいんですが、ただ、住基ブロックをかけて、コンビニとかで自分の住民票すら得ることができない、こういうような方々に、リスクもありながらマイナンバーカードを持った方がいいですよということになるのかというと、私は非常に心配があります。

 少なくとも、DV被害者の支援をしていらっしゃる団体からは、マイナ保険証、これは資料の三を見ていただきたいんですが、いわき市が広報していますが、DV被害者は、届出をしないと、健康保険証、マイナ保険証に載せていると加害者に御自身の情報が閲覧される可能性がありますよ、ちゃんと届出を出してブロックをかけてくださいよ、それは本人がやってくださいよというものです。

 それだったら、マイナ保険証にしない方が一番安全ですし、あるいは、今申し上げましたとおり、代理人の設定解除をしなければ、もし逃げて住民票上別なところに移していたら、代理人として、転居先、閲覧ができちゃうことにもなりかねないんです。ここまでしてまでマイナンバーカードを持つ必要も私はないという選択をされる方もいらっしゃるんじゃないかと思います。

 ですので、必ずしもマイナンバーカードを持つのはメリットだけあってデメリットがないよということじゃなくて、リスクもあって、リスクも踏まえた上でどういう選択をされるか、それを尊重していただきたいと思います。もう一回、大臣、お答えいただけますでしょうか。

松本国務大臣 先ほども申しましたように、我々もこれから政策を進めていくに当たって、課題を一つ一つできればクリアをしていきながら前へ進めるという意味で、申請について、幾つかやはり、円滑な申請が難しい方々の例えば代理申請をどのようにするかといったことについても、今後また改善の点があればということで今検討をいたしているところでございますが、今後、マイナンバーカードを持っていただいた方について、おっしゃったように、これは一般論で申し上げる立場になろうかと思いますが、あらゆる制度、仕組みに、リスク、メリット、それぞれ存在をすることが普通であろうかというふうに思いますが、制度を設計ないしは更に改善をしていく意味でも、リスクをできるだけ軽減をし、かつ利便性を向上させるということが、私どもも、政策を企画をし、更に運営をしていく者としての責任あることだろうというふうに思っております。

 マイナンバーカードにつきましても、今様々おっしゃったように、利用を始めていただいているところでございますけれども、まだ利活用もこれからというところでございますので、今御指摘いただいたことも、私どもも真摯に受け止めて、また検討させていただきたいというふうに思います。

岡本(あ)委員 ありがとうございます。

 その意味でも、やはり、子供の世界で、一人でも、保護者がマイナンバーカードを持てなかった、持てない深刻な理由があった、結果、持てなかった、それで子供に不利益が高ずる、結果として、もしかしたら、持っている持っていないで子供の間で話題になる、そういうようなことは絶対あってはなりませんので、重ねてになりますが、備前市議会と備前の教育委員会の冷静な判断を求めたいと思いますし、できれば総務省から、一〇〇%を目指すんではなくて、いろいろな事情がある御家庭あるいは個々人がいらっしゃる、一人一人に寄り添ってくれ、そういうようなお知らせを、せっかく、資料一で、総務省の幹部が自治体の首長とオンラインでつなげられるネットワークも持っていらっしゃるので、こういうところに活用していただきたいなと思います。

 マイナ保険証の件で厚労省にお越しいただいているので、伺いたいと思います。

 今回、マイナ保険証を持てない方に対して、あるいは持ちたくない方に対して、資格確認書を、新たにシステムをつくって発行する。これは有料という話がありましたが、無料でいくよという話が報道されておりました。

 無料にするのは当然だと思うんですが、私自身は、健康保険証のシステムをそのまま残して、マイナ保険証になった方々を消していくだけで十分なんじゃないかと思いますが、この新たなシステムを改修するためには、どのぐらいの予算、ある意味、税金を使わなきゃいけないんでしょうか。お答えください。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話をいただきました健康保険証との一体化でございますが、これは、健康医療に関する多くのデータに基づいて、よりよい医療を受けていただくことが可能になりますなど、大きな、様々なメリットがありますことから、来年秋に保険証廃止を目指すこととしているものでございますが、他方、保険証廃止後も、マイナンバーカードによるオンライン資格確認を受けることができない状況にある方につきましては、御本人の申請に基づいて、保険者から、医療機関等を受診する際の資格確認のための資格確認書を交付することを検討してございます。

 資格確認書は、あくまで御本人の申請に基づいて、マイナンバーカードによる資格確認ができない場合に用いるものでございまして、現在全ての被保険者の方に御利用いただいています従来の健康保険証とは異なるものでございます。

 こうした対応が必要となりますことから、令和四年度の第二次補正予算におきまして、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に伴う保険者等のシステム改修に要する経費、こちらにつきまして、三十二億円を確保しているところでございます。

岡本(あ)委員 異なるものを新たにつくらなきゃいけないという理由が、ちょっと私、今の御説明では分かりませんでした。

 マイナ保険証にしたい方はどうぞしてください、できない方、したくない方は既存の保険証を発行します、全員に発行する必要はないです。今、健康保険証でかかっているのは、全員分の印刷をして、郵送をかけて、毎年更新をして、そのコストは確かにかかっております。マイナ保険証に変えた方は、その分がどんどん消えていくのは歓迎をします。

 ただ、逆に、持たない方のために、新たに資格確認書のシステムを、既存のシステムを捨てて新たなシステムを組まなきゃいけない。しかも、税金で三十二億と伺いました。これは、あくまでも国保と協会けんぽの部分だけではないかと思います。民間の健康保険組合は自分で変えなきゃいけない可能性があると私は思っております。

 そういう負担までさせてまで、新たに組まなきゃいけないのか。既存だったら、消していくだけじゃなぜ駄目なのか。その点がいまいち分からないので、もし御説明できるならもう一度お願いします。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 健康保険証とマイナンバーカードの一体化でございますけれども、先ほど申し上げました、よりよい医療を受けていただけるというメリットのほか、医療機関等におきましては、保険資格の転記を自動化できるなど事務コストの削減、それから、保険者におきましても、健康保険証を全被保険者に一律に発行するコストの削減や過誤請求の事務処理負担の減少など、事務コストの削減にもつながるというふうに考えてございます。

 先ほど申し上げましたとおり、資格確認書は、あくまで御本人の申請に基づいて、マイナンバーカードによる資格確認ができないという場合に用いるものでございまして、現在多くの方が利用されている健康保険証とは異なるものでございますことから、新たに資格確認書を創設するものでございます。

 資格確認書の発行を含みますマイナンバーカードと健康保険証の一体化、こちらに伴います保険者等のシステム改修につきましては、既存のシステムを最大限に生かしまして、できる限り効果的、効率的に対応してまいりたいと考えてございます。

岡本(あ)委員 既存のシステムを可能な限り使うのであれば、なおさらこのままでいいんじゃないんですか。

 マイナ保険証を望む方はどんどん、それは拡大してもらうのは全然やってくださって構わないです。ただ、私、申し上げましたとおり、先ほどDVの被害者、マイナ保険証を持つとリスクもあるよと。一個一個、住基に行く、健康保険証の手続を取る、郵便局に行く、教育委員会に行く、こういう手続を全部自分でやらない限り守れませんよと。少なくとも、そのリスクを下げる一つの手段としてマイナ保険証はやめておいた方がいい、こういう選択をする方もいらっしゃるんだと思うんです。

 これに関して、今、三十二億、これは保険料ではなくて税金だと思いますけれども、既存のシステムを残してやれるのであれば、そっちの方が私は御本人の利便性にとっても、いいんじゃないかと思っています。

 あと、昨年十月二十六日ですか、私たちの大西健介議員が質問しましたが、修学旅行とか学校行事のときにマイナ保険証を持ってこいということになるのか、これはとても心配だという声が学校現場から起きていますが、十月からもう四か月ぐらいたっておりますが、その後、扱いはどうなりましたでしょうか。文科省、お答えください。

寺門政府参考人 お答えを申し上げます。

 修学旅行等におきまして、万が一の場合に備えて学校が児童生徒に健康保険証の写しを持参させるという事例があることは承知してございます。

 御指摘のマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する具体的な取扱いにつきましては、修学旅行等の事例も含めまして、現在、デジタル庁、総務省、厚生労働省を中心に検討が進められるというふうに認識してございます。当省といたしましては、この検討結果を踏まえまして、必要な対応を検討してまいりたいと考えているところでございます。

岡本(あ)委員 もう四か月たっております。いまだに検討中というのが、厚労省が検討していないのか、文科省から心配だよというアプローチをしていないのか、どちらかではないかと思います。

 新年度早々に、修学旅行等、始まります。旅行に対する規制も緩和されてきていますし、子供たち自身もこれを楽しみにしていますが、行事があった先で事故や医療、具合が悪くなったりしたときにも安心できるやり方がなければならないですし、正直、学校の先生方からは、児童生徒全員分のマイナ保険証を預かって、期間中、先生の責任の下でずっと持ち歩くなんということは絶対やめてくれ、それこそ紛失のリスクとかを考えると責任を負えないという言葉が出ておりますので、是非速やかに回答して、結果を出して、学校現場にお伝えをいただきたいと思います。

 先ほど総務大臣から、一人一人の事情のところはお答えをいただきましたので、是非これからも、交付率が低いから駄目だよということじゃなくて、持ちたい人が最大限持てる環境を整える、そしてメリットを享受できる、そしてリスクを感じている人には強制はしない、この点をしっかり実現をしていただきたいと思います。

 続きまして、臨時財政対策債について伺いたいと思います。

 今回、減額をしてくださいました。発行の減額ということで、一・八兆円が一兆円と、〇・八兆円抑制をしてくださいました。年度末の残高見込みも二・九兆円縮減ということで、自治体から強く強く望まれていた臨時財政対策債の減額、大変歓迎をしたいと思います。

 資料四を御覧ください。

 これは政令指定都市からの要望になります。黄色の棒グラフがありますけれども、残念ながら、この臨時財政対策債、政令指定都市に発行をより多く求めておりまして、人口の少ない市町村の方に直接交付措置が行くように配慮されていた結果、大都市の臨時財政対策債というのが、残高、市債残高が非常に高止まりの状況です。黄色が臨財債ですので。これは政令指定都市のを足し上げた金額ですが、臨財債が非常に大きくしわ寄せをしているので、一般の市債発行をこれだけ努力して縮減しても、トータルでの市債残高というのが高止まりの状況でございます。

 今回縮減をされたということは、私も政令市の出身ですが、地元の議員からも、本当にありがとうという言葉を伝えてくれと言われております。

 是非、引き続き、これは減額をして、廃止に向けた努力をしていくこと、この解消のためには地方交付税の法定率の引上げ、これで対応するべきだと思いますが、お答えいただきたいと思います。

松本国務大臣 今委員からも御指摘をいただきましたけれども、今年度の地方財政計画における臨時財政対策債の発行額、残高等はおっしゃったとおりかというふうに思っております。

 これも多くの地方の関係の皆様、国会の皆様から、しっかりと、自主財源の確保、そして臨時財政対策債の発行抑制など、財政健全化について御激励、御指導いただいてきた中で組み上げてきたものだというふうに考えております。

 その上で、今、交付税率の引上げということでお話がございましたが、本日の議論でも申し上げてまいりましたとおり、私ども総務省としても、令和五年度予算編成の過程においては事項要求をさせていただいたところでございますけれども、現在のところ、国、地方とも厳しい財政状況にあり、今年度は実現をしておりませんが、これからも引き続き粘り強く主張をいたしまして、財政状況は引き続き厳しいことに変わりありませんが、今後も、交付税率の見直し等により、地方交付税総額を安定的に確保できるように、政府部内で十分に議論してまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 是非、臨財債の縮減、そして、最終的には廃止に向けてというところ、あくまでも臨時、当初は三年間だけという約束で始まった制度ですので、この点は重く受け止めて、着実に進めていただきたいと思います。

 森林環境税は同僚議員が質問してくださいましたので飛ばして、もう最後になると思いますが、指定管理者制度について、ちょっと一点伺いたいと思います。

 今、指定管理契約をしても、数年ですので、この間に、物価高、燃料高騰、あと、せっかく今、賃上げ賃上げと言ってくださっております、こういうのに対応するための措置も必要だと思います。この点の対応がどういう状況かが一点。

 もう一つは、やはり、発注の在り方、指定管理制度、残念ながら、ちょっと官製ワーキングプアが起きているんじゃないかという報道も行われております。発注の在り方で、少なくとも人件費、コスト削減が評価される指定管理の発注の在り方というのはもう見直すべきだと思っていますし、あるいは、その人件費、資料六に労働法制を守っているかどうか、こういう資料もつけましたけれども、指定管理で働いている方々の環境がよくなる、そのための指定管理であるべきだと思います。

 ちょっと二点、まとめてですが、総務省でお答えいただきたいと思います。

尾身副大臣 お答えいたします。

 地方自治体と指定管理者との間で締結する協定等につきましては、リスク分担に関する事項等をあらかじめ盛り込むことが望ましい旨、助言通知してきたところでございます。

 総務省では、昨年十月に、今般の原材料価格、エネルギーコスト等の上昇により指定管理者が負担する経費の増加については、指定管理者と適切に協議を行うよう地方公共団体に助言通知させていただいたところでございます。

 その後、本年一月三十一日時点における都道府県及び指定都市の原材料価格、エネルギーコスト等の上昇への対応状況について調査を実施いたしましたところ、九割近くの団体が、補正予算で指定管理料の上乗せ等の対応済み若しくは実施予定と回答してございます。また、残りの団体につきましても実施方法を検討中としており、実施しないと回答した団体はなかったという理解でございます。

 また、令和五年度の地方財政計画においては、自治体の福祉施設、文化施設等の光熱費高騰への対応として、一般行政経費を七百億円増額しているところでございます。

 さらに、追加の御質問でございますけれども、指定管理者制度は、地方自治体が公の施設に求める公共サービスを最も適切に提供できる者を指定する仕組みであり、単なる競争価格による入札とは異なるものでございます。

 そのため、総務省といたしましては、地方自治体に対して、指定管理者の選定基準の設定に当たっては、公共サービスの水準確保という観点が重要であること、施設の様態に応じた指定管理者の適切な評価が重要であること、委託料は適切な積算に基づくものであることなどをお示ししたところでございます。

 地方自治体においては、公の施設に求める公共サービスの水準をどのように考えるか、その水準を達成するために必要な費用を誰がどのように負担するのかなど、公の施設の在り方を十分に議論いただいた上で、指定管理者の選定や委託費の決定に当たっては、委員御指摘のような労働法令の遵守や、雇用、労働条件への適切な配慮も含め、地方自治体と指定管理者の間で十分に協議した上で定めることが重要であると考えております。

岡本(あ)委員 ありがとうございます、心強いお言葉をいただいて。是非、これが実効が上がるように期待をさせていただき、また、チェックもしていくということ。

 あと、最後に本当は行政のキャッシュレス化を伺おうと思いましたが、また機会があるときに伺わせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、おおつき紅葉さん。

おおつき委員 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉です。

 本日は、地方税法及び地方交付税法等の一部改正案に係る法案審議の機会をいただくことになり、感謝を申し上げます。

 そして、私からも豪雪地域への財政的な支援をお願いしたいと思います。

 私も地元が北海道となります。今月初めには、うちの子供が通う小学校も休校になりました、雪のせいで。こうやって、子供たちの足、そして買物をする人たちの足にも関わってくるこの豪雪、今年は、私の地元である小樽市、札幌市はちょっと早めに除雪、排雪するようにしているようですけれども、やはりこれが自治体の財政を圧迫する、ほかの経費にはかけられない原因となりますので、是非、今年も二月は雪が多くなっておりますので、財政的な支援、しっかりと見ていっていただければと思います。

 それでは、まず、地方交付税法の改正案に関連して、令和五年度の地方財政対策について伺います。

 今回の地方財政対策では、交付団体ベースの一般財源総額について、前年度比一千五百億円増の六十二・二兆円が確保されました。一般財源の内容を見ると、地方税は前年度比一・六兆円増の四十二・九兆円で過去最高額、交付税の法定率分も一・二兆円増の十八・八兆円で、これも過去最高額です。昨今、経済情勢の先行きが不透明な中、税収が本当にこんなに伸びるのかという疑問はありますが、このように、令和五年度の地方財政は、例年に比べれば、ちょっと考えられないほど財源が増えると見込まれているわけです。

 こういう想定の下、今回の地方財政対策では、例年のような巨額の財源不足をどのように穴埋めするかではなく、増加した財源をどのように使うのかが課題になったと思います。

 例えば、総務省としては、今回増加する財源を社会保障関係費の増加や重要課題への対応に厚く充てたかったと思うんですが、一般財源総額実質同水準ルールの下では、簡単に一般財源を増加させることができないという課題があったと承知をしております。

 また、地方からは法定率の引上げや臨時財政対策債の抑制の要望がありましたが、財政当局からは、交付税特別会計借入金償還の前倒しや国税減額補正精算の前倒しの圧力があったと思います。

 こういった課題について、総務省と財務省で折衝が重ねられた結果、今回の地方財政対策が決定されたのだと思っていますが、ただ、残念ながら、その交渉内容は一般には公表されません。

 そこで伺いますが、今回の地方財政対策について、総務省として、ここは頑張って譲らなかったんだとか、本当はもっとこうしたかったんだけれども実現できなかったという点があれば、教えていただきたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 令和五年度の地方財政対策、地方の期待の高かった交付団体ベースの一般財源総額を前年度より増やす、量の確保ということにまず力を入れ、その上で、交付税総額をできる限り確保して、先ほども御議論ありました臨時財政対策債を抑制する、これは大変地方の要望が強うございましたので、質の充実、量と質、これを一生懸命やろうということで折衝に臨みました。

 こうした考え方の下で、これまでも議論になっておりますが、自治体から大変強い要望がありました光熱費、これについては一般行政経費を七百億円増やしましたし、また、これも地方団体から要請がありました、デジタル経費を充実してほしいということもございましたので、デジタル関係五百億円増額ということで、必要な経費の充実を図った上で、これも御指摘ありました一般財源総額、交付団体ベースでプラス〇・二兆、六十二・二兆を確保し、また、交付税も〇・三兆をプラスした十八・四兆を確保できました。

 また、臨財債の発行と併せて、特会の償還とか、それから国税の精算減の前倒しもやりました。これは、財務省に、やってくれと圧力がかかったというよりは、お互いに、これは将来の交付税総額の減要素になるものですから、安定的に確保するということで、お互いに臨財債の縮減とのバランスを図りながら健全化を進めたということでございます。

 このように、健全化と財源確保ということでかなりバランスの取れた形になりました。この辺は結構、我々としては、かなり六団体からも評価されましたし、それなりの姿になったかなというふうに思っております。

 一方、実現できなかったのは、これも繰り返しになっておりますが、事項要求で行いました交付税率の引上げ、これは大変壁が厚くて、国、地方共に厳しい財政状況の中で、かなり厳しい議論もいたしましたが至らなかったということで、この点は粘り強くやっていきたいと思います。

 それから、健全化が進んだといいましても、臨財債は相変わらず五十兆弱、それから交付税特会は三十兆弱、減らしたとはいえ多額の借金で、先ほどの議論にもありました、自治体によっては臨財債がほとんど、一生懸命地方債を減らしても、臨財債が減らないので地方債は減らないということもございますので、こういうことも引き続きやっていきたいと思います。

 いずれにしても、自治体のニーズに応えた財源がしっかり確保できるように、併せて健全化をできるように、今後とも取り組んでまいりたいと思っております。

おおつき委員 ありがとうございます。

 さて、今回の地方財政対策では、本当に、今おっしゃったように多くの分野で財政措置を講ずることが決定されましたが、私としては、特に自治体の、先ほどおっしゃられた七百億円の光熱費高騰の対応について、この七百億円では不十分ではないかと思っております。この点について、続けて質問をさせていただきます。

 先ほど、先輩の神谷議員からもありました光熱費の高騰。自治体というのは、庁舎のほかに学校やごみ処理施設、そして公民館など多くの施設を保有しているわけです。

 さて、昨年の十二月三十一日の日経新聞の記事を見ました。県庁所在地や政令指定都市の主要都市五十二市区における令和四年度の光熱費は、当初の見込みから千六百四十九億円増加しているんですね。当初の予算比では三五%も増加しているそうです。札幌市はちなみに六一%増加しています。また、主要都市の六割の市区において、令和五年度の光熱費が令和四年度を上回ると見込まれています。

 これは、自治体も照明の小まめな消灯や暖房温度の引下げに取り組んでいるんですけれども、やはり主要都市の見込みではこれだけ財政負担の増加が見込まれる中、光熱費が最も高い地元北海道を始め積雪寒冷地の自治体では、これよりも高い割合で財政負担が高まっていることは容易に予想されて、まさに今危機的な状況と言えます。この固定的な経費の増加は、独自施策に充てられる財源の目減りにつながってしまいます。

 そこでまず、先ほど神谷委員から、その七百億円の根拠については、令和三年度の決算だとか電力軽減の対策などを考慮したというお話がありましたが、例えば、どれくらいの光熱費の高騰がどの程度の期間、今後続くと見込んでいるのか、お答えをお願いします。

原政府参考人 お答えいたします。

 自治体の光熱費について、新聞等の報道等は、それぞれ自治体の光熱費、予算の計上の仕方もいろいろあろうと思いますので、私どもは、先ほど申し上げましたとおり、三年度の決算をまず調べて、それから四年度にかけて消費者物価指数で伸びているだろうということで伸ばして、さらに五年度は電力会社がいろいろ、五年の四月一日で料金これだけ上げますというふうに発表している部分がありますのでそれを織り込んで、一方で、政府がやっている電力の軽減策、ガスの軽減策、これを差し引きまして、それで七百億円という数字を出したわけでございます。

 今御指摘ありましたエネルギー動向、これは先行きがよく分からないところは率直に言ってございます。したがいまして、今申し上げたとおり、今後どうなっていくか。取りあえず、今私どもでできる試算ということで七百億円ということで計上しておりますし、これである程度しっかりはいけると思いますけれども、今後、このエネルギー動向等についてはしっかりと注視する必要があるというふうに思っております。

おおつき委員 先ほど紹介した日経新聞の調査では、主要都市だけでやはり一千六百四十九億円増加というのが出ているわけです。だから、私自身は、その七百億円で足りるのかどうかというのは正直心配しております。

 また、この七百億円の各自治体への配分に当たっては、包括算定経費の中で一括して算定するとされていますよね。包括算定経費は、算定方法の簡素化を図るために導入されたもので、測定単位としては人口と面積のみが用いられておりまして、補正係数は、人口規模による補正の段階補正か、又は土地使用区分の補正である種別補正のみが適用されておりまして、寒冷補正は適用されないものと認識しております。

 先ほど申し上げたとおり、光熱高騰の影響は各自治体によって大きく異なると考えております。であれば、簡素な算定を行う包括算定経費ではなく、より的確に財政需要を捉えられる個別算定経費として、地域の事情を踏まえるため、例えば寒冷補正などの補正係数を丁寧に検討するべきではないでしょうか。

 今回の措置について、光熱費高騰に苦しんでいる各自治体への十分かつ丁寧な支援となっていると言えるのか、こういう寒冷補正を入れられそうなのか、政府の考えをお聞かせください。

原政府参考人 お答えいたします。

 令和五年度の地方財政計画、繰り返し答弁になりますが、七百億円増額しました。これについては、普通交付税の単位費用で算入することとしておりまして、具体的には、今御指摘ありました、自治体の施設というのはいろいろな分野があるものですから、包括算定経費、これは測定単位、人口で一括して措置をしております。包括算定経費は人口で段階補正がかかりますので、人口の少ないようなところにはその分しっかりと措置がいくというような算定にしております。

 また、今御指摘ありました寒冷地域の割高になります自治体施設の暖房用燃料費等の経費については、それぞれ関係費目で寒冷補正、これがございます。この寒冷補正は、毎年度の普通交付税の算定、今年はこれから、四月以降になると思いますけれども、直近の物価動向を反映して算定いたします。

 したがいまして、この寒冷補正についても、令和五年度の算定において足下の物価動向を極力踏まえて適切に対応していきたい、このように思っております。

おおつき委員 では、地方交付税法の目的でもある財源の不均等の調整、そして地方行政の計画的な運営の保障という趣旨も踏まえて、しっかりと地域の実情をこの交付税算定に反映するよう改めてお願いしたいと思います。

 さて、先ほどの日経新聞の調査によれば、光熱費高騰による影響は今後も続く上で、その財政負担は大きくなることが見込まれるとされています。現在、まさに各自治体で来年度予算が議論されておりますが、多くの自治体で光熱費の高騰による影響が議論されているものと認識をしています。

 そこで、仮に政府の見込みよりも光熱費が高騰し、これが長期間に及んだ場合、政府はどのような方針で対応することを考えているのでしょうか。追加的な財政措置の在り方も含めて、大臣、お願いいたします。

松本国務大臣 ここまでの内容、まさに自治財政局長から御答弁申し上げたとおりでございますが、委員からもお話があり、局長からも御答弁申し上げましたように、地方自治体は様々な施設を大変多く抱えているということで、このことをしっかりと政府部内の議論の中でも私どもの方から関係部署にも伝えることで、今回、光熱費の高騰対応の枠を設けることができたというふうに考えております。

 その上で、委員、今後の対応ということで御質問をいただいたところでございますが、まず、現在のところは、私どもは令和五年度の予算を皆様にお諮りをしているところでございまして、追加の財政措置等について申し上げることは差し控えさせていただきたいというふうに思っておりますが、地方自治体の、これも先ほども地方財政運営の趣旨ということでお話をいただきましたが、私どもとしては、各自治体の財政運営に支障が生じないように適切に対応することが私どもの役目でもございますので、物価の動向、そして物価、経済に関わる国の対策なども注視しつつ、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

おおつき委員 まさにしっかりと対応するために、先ほど局長おっしゃったように、注視をしていっていただきたいと思います。

 光熱費の高騰による影響というのは、本当に自治体によって様々、大きく状況が異なっていく上で、今後の見通しも、おっしゃったように、先行き、やはり不透明なんですよね。だからこそ、総務省におかれては、それぞれの自治体における影響を継続的に把握してもらって、私も地元の声を聞いてきます、丁寧かつ迅速な支援を機動的に行えるように是非お願いいたします。

 続きまして、公立病院等への支援措置について伺います。

 昨年十一月十五日に、全国自治体病院関係者協議会を始めとする十団体から、総務副大臣などに要望書が手交されたものと伺っております。尾身副大臣もいらっしゃったかと思います。その要望書では、物価高騰は医療機関にも甚大な影響を及ぼしているとした上で、医療機関は国が定める診療報酬により経営しているため、もはや経営努力のみでは対応することが困難な状況であるとして、物価高騰に対する支援を求めています。具体的には、早急に診療報酬の臨時的見直しをエネルギー価格等が落ち着くまでの期間だけでも実施することなどが求められたと認識しています。

 そこで、まず、診療報酬の臨時的見直しを実施する考えがないのか、厚労省に伺います。

森光政府参考人 診療報酬につきまして御質問がございました。

 医療機関の収入の基本となります診療報酬につきましては、基本的に二年に一度改定を行っております。その際、財源となります保険料の負担、また患者の負担がどうなるのかといった点、そしてまた物価、賃金の動向、医療費の動向や財政状況等を総合的に勘案しながら対応していくことが基本となっております。

 今般の物価高騰等の状況を踏まえた対応といたしましては、先般創設していただきました六千億円の電力・ガス・食品等価格高騰重点支援地方交付金におきまして、自治体に対し、効果的と考えられる推奨事業メニューの一つとして、医療機関に対する支援を掲げております。

 厚生労働省といたしましては、既に取組を進めている自治体の事例を収集、共有するなどして、繰り返しその活用をお願いしてきたところでございます。こうした働きかけの結果、全ての都道府県におきまして、地域の実情に応じた支援を実施していただいているものと承知しております。例えば、具体的には、神奈川県でありましたら、一床当たり四・四万円の給付を行っているといったようなことも伺っておるところでございます。

 物価高騰による影響への対応につきましては、まずはこうした交付金の活用による医療機関等の負担軽減に取り組みつつ、物価動向や収支の状況等を引き続き注視をしていきたいと考えておるところでございます。

 以上でございます。

おおつき委員 引き続き注視をしていただいて、機動的にしっかりと支援できるような体制を整えていただきたいと思っております。

 さて、令和五年度地方財政対策では、公立病院等の経営強化を推進し、持続可能な地域医療提供体制を確保するため、機能分化、連携強化、そして医師、看護師等の確保の取組等の支援に係る所要の財政措置を引き続き講ずるとともに、不採算地区病院等への交付税措置の基準額の引上げを継続することとされました。

 その一方で、公立病院等に関する物価高騰の対応については、病院事業債の建築単価の上限引上げが行われたものの、これを除き、物価高騰への対応のための地方財政措置は講じられていないものと認識をしております。先ほど神谷議員の質疑の中でもありました。

 そこで、診療報酬の制約により価格転嫁が難しいという条件については民間病院と同様ですが、その多くが条件不利地域で経営されております。民間病院より経営条件の厳しい公立病院に対して、物価高騰を踏まえた特別交付税の単価や基準額の見直しが必要かと考えますが、総務省の見解をお願いいたします。

原政府参考人 お答えいたします。

 公立病院に対する物価高騰の支援でございます。

 先ほど厚労省から御答弁ありましたが、物価高騰については、公立病院、自治体ではありますけれども、事業者支援ということで、内閣府所管の地方創生臨時交付金、物価分、先ほど六千億、その前にも八千億ありましたので合計一・四兆円ありますが、こうした交付金を活用して支援を行っている自治体があるというふうに承知しております。

 それで、物価高騰の影響は、これも今御議論ありますが、公立病院に限った問題ではなくて、民間病院も含めて全ての医療機関共通の課題でありまして、また、どの地域でも影響が生じていることでありますので、診療報酬の改定など、まずは全国的な対応について関係省庁において御議論いただく必要があるというふうに思っておりまして、その動向を注視したいと思います。

 その上で、総務省としては、地方の意見や実情を伺いながら、公立病院の経営状況の実態なども踏まえつつ、今御指摘のあった点も含め、必要に応じて適切に対応してまいりたいと存じます。

おおつき委員 まさに、公立病院における医療提供体制の確保は、特に条件不利地域を多く抱える自治体にとっては非常に重要な問題となっております。総務省においては、前向きな検討を是非ともお願いしたいと思います。

 続きまして、技術職員の充実に関する地方財政措置について伺います。

 さて、トルコ南部で六日に発生した大地震により亡くなった方は、隣国シリアと合わせて四万一千人を超える甚大な被害となりました。改めて、お亡くなりになった方々の御冥福をお祈り申し上げます。

 ただ、こうした中、地震から一週間以上たった段階でも、瓦れきの中から奇跡の救出が相次いでいることも事実であります。懸命の救助活動を行っている我が国の国際緊急援助隊の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 近年、我が国においても災害は激甚化、頻発化しておりまして、日本に住んでいる以上、トルコ南部での大災害は決して人ごとではありません。災害への対応においては、災害後の被災した建物の調査や復旧工事の計画策定に当たる技術職員の確保が欠かせませんが、大量採用世代の退職、そして公共事業の減少に伴う減員、景気拡大に伴う採用難などによって、小規模市町村を中心に、土木職などの技術職員の不足が深刻化しています。

 政府は、これらの課題に対処するため、都道府県等が技術職員を確保し、平時と災害時に市町村の支援を行う仕組みとして、令和二年度に復旧・復興支援技術職員の派遣制度を創設し、派遣可能な技術職員の増員を図るとともに、地域社会再生事業費の算定において、技術職員の増員数の範囲内で、市町村支援を行う人数又は中長期派遣可能な人数のいずれか小さい方に地方交付税措置を講じてきたものと承知しております。

 そこで、まず、令和二年度から四年度の地域社会再生事業費で算定された技術職員に係る交付税措置人数について、各年度の実績を教えてください。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 普通交付税の地域社会再生事業費におきまして、地方交付税措置の対象となった全国の技術職員数でございますが、令和二年度は百四十二名、令和三年度は百二十七名、令和四年度は百五十一名でございます。

 この数字について若干補足をさせていただきますと、この制度は災害派遣の登録者数の数などを基礎として算定をしているわけですけれども、この制度を活用いたしまして実際に被災地に派遣をいたしますと、その場合は、別途、特別交付税措置の対象になりますものですから、この地域再生事業費の措置の対象からは除外する扱いになっております。したがって、経年変化を見る場合には、この分も足し合わせて比較した方がよろしいかと思いますので、その数字も補足させていただきます。

 これを合わせますと、令和二年度は百四十二名、令和三年度は百五十三名、令和四年度は百七十三名でございまして、少しずつではありますけれども増加している、そういうことでございます。

おおつき委員 ありがとうございます。

 少しずつ増加しているということですね。令和二年度百四十二、令和三年度は合わせて百五十三、そして令和四年度が百七十三名ということで、少しずつ増加している状況ということです。

 ただ、令和四年度の各都道府県の技術職員に係る交付税措置人数を見ますと、愛知県で二十名、千葉県で十八名と多くなっていますが、四十七都道府県のうち、二十五団体が措置人数ゼロとなっています。令和二年度では十八団体だったので、むしろゼロ団体が十八団体だったのが二十五団体に増加しておりまして、団体間の格差が拡大した結果とも取れるんじゃないでしょうか。

 このようなことも含めて、この三年間の実績についてどう評価しているのか、お考えをお聞かせください。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 現在、交付税措置される人数が大きくは伸びていないというのは、一つには、全国的に技術職員の採用が困難になっておりまして、なかなか増員にまで至らないといったことがあるということに加えまして、大規模事業でありますとか大規模な災害復旧事業、こういったものが終了いたしますと、必然的に技術職員数が減少せざるを得ないといった団体もございまして、結果として、交付税措置の要件である増員の要件を満たさずに、交付税措置の対象とならないといった団体も多く見られる、そういった要因もございます。

 こうした状況もありますので、中長期の派遣登録を促進するために、地方交付税措置要件を見直すといったような制度改正が必要だというふうに考えているところでございます。

おおつき委員 まさに、私も、地域を回っていますと、技術職員の採用が難しいと伺います。なかなか増員につながらない、本当に難しい、困難なんだと。

 このような中、今回、政府は、この地方交付税措置について、令和五年度から、技術職員の増員要件を廃止し、市町村支援業務に従事する技術職員数又は中長期派遣可能な技術職員数のいずれか小さい方の職員数に係る人件費について措置を講ずるとしています。

 これにより、交付税措置の対象団体は現在の二十二県から大幅に増加するものと思われますが、増員という要件を廃止して現行の技術職員数をもって交付税措置を行うという考えは、増員を目指すという当初の方針からはそれているようにも感じられます。

 まず伺いますが、派遣可能な技術職員の増員を図るという当初の方針は取り下げたんでしょうか。増員という要件を廃止する理由と併せて、政府の考えをお聞かせください。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 地方交付税措置のうち、技術職員の増員に係る要件を廃止することといたしましたのは、先ほども若干申し上げましたが、大規模事業等の終了に伴って技術職員が減少せざるを得ない、そういった団体があるなど、結果として増員要件を満たさない、交付税措置の対象とならないという団体が多く見られますこと、それから、増員要件が廃止され、交付税措置されるということになりましたら、中長期の派遣登録を検討したいという地方団体からの声が多く寄せられていることによるものでございます。これにより、災害時の中長期派遣の登録者の増加につなげていきたいと思います。

 一方で、技術職員の充実確保、これも非常に重要な課題であると考えておりまして、その実効性を高めるためにも、各都道府県に対しまして、今後、定年引上げも始まりますので、こういったことも踏まえつつ、令和十年度までの技術職員確保の具体的な数値目標を盛り込んだ技術職員確保計画を策定をしていただきたい、また、採用強化など、技術職員確保に係る具体的な取組も行っていただきたいということを要請をしております。

 こうした技術職員の充実確保、これにもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

おおつき委員 それでは、これについて、市町村の支援、中長期の派遣支援体制がどの程度強化されると見込んでいるんでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。

松本国務大臣 御質問いただいた件について御答弁申し上げたいと思います。

 各地方公共団体における公共施設等の老朽化対策や、今後の発生が想定される南海トラフ地震や首都直下型地震等の大規模災害に備えるためにも、地方公共団体における技術職員の確保は、既に委員も御指摘のとおり、大変重要な課題であると認識をしておりまして、今回、都道府県等における市町村支援、中長期派遣体制の強化を図る観点から、復旧・復興支援技術職員派遣制度に係る地方交付税措置における増員に係る要件を廃止したところでございます。

 これも既に御答弁申し上げておりますが、技術職員については、民間との競合等により採用自体が厳しい状況にあるということは事実でございまして、私どもとしては、このため、都道府県に対して、先ほども御答弁申し上げたように、技術職員の確保に計画的に取り組んでいただくよう、具体的な目標値等を盛り込んだ計画の策定を要請をいたしているところでございます。

 総務省としては、各都道府県に対して実効性のある計画の策定を支援をすることによりまして、技術職員の充実を図り、市町村支援、中長期派遣体制の更なる強化につながっていきますように取り組んでまいりたいと思っております。

おおつき委員 言うまでもありませんが、災害はいつ起こるか分かりません。我が国は、南海トラフや北海道そして三陸沖での巨大地震を始めとした災害のリスクに常にさらされていることを認識して、危機感を持って取組を進める必要があります。

 中長期的な視点で目標を設定することはもちろん重要なことなんですけれども、一刻も早い技術職員の確保に向けて、増員数をインセンティブとする地方財政措置の更なる検討など、本制度について、もっと危機感を持って、不断の見直しをするようお願いいたします。

 また、現在、都道府県であっても、簡単に技術職員が応募してくれるという状況ではありません。地域間格差の是正も含めて、自治体による技術職員の採用について総務省による支援を一層充実強化していただくよう、重ねてお願いしたいと思います。

 続きまして、順番をちょっと、先に、地方税関係の、グリーン化特例に係る一律課税の妥当性について伺いたいと思います。

 今回の改正案では、グリーン化特例の重課の適用期限を三年間延長することとされています。この制度は、新規登録又は新規検査から十三年を超えるガソリン自動車等に係る自動車税、そして軽自動車税の種別割について税負担を重くする制度でありまして、古い自動車の税負担を重くすることによって環境性能の優れた低燃費な新車への買換えを促す制度と認識しております。

 例えば、仮に、車を所有しています、自動車税を月五万円支払っていたとしたら、壊れてもいないのに、例えば、余り乗らなかったら走行距離も走っていないとしても、十三年以上その車に乗っていたら約一五%加算されることになるんですね。ということは、月五万円だった自動車税が、月五万七千五百円ぐらい払うこととなります。

 しかし、新車に買い換えるとしても、新車は、開発、生産、そして流通、販売、廃棄の各過程でも資源を消費して二酸化炭素を排出します。また、自動車の耐久性や品質の向上等を要因として、自動車の平均使用年数や平均車齢は年々長くなる傾向がありますが、このグリーン化特例の重課制度がなければ、もっと長く大切に自動車を使いたいと思う方もいるはずです。

 さて、環境に配慮した政策、制度であるということはもちろん承知をしております。ですけれども、まだまだ使える自動車を手放すことを促すことは、本当に環境にとっていい政策と言えるんでしょうか。

 そこで、利用者目線で走行距離などの自動車の使用実態や環境負荷などを考慮することなく、単に新規登録等から十三年を超えた自動車の税負担を一律に重課することは、税の合理性や公平性に欠けると思いますが、大臣の見解をお伺いします。

松本国務大臣 御案内のとおり、自動車税、軽自動車税種別割のグリーン化特例は、環境性能割を補完する制度として、より環境性能の優れた自動車の普及を促進する役割を担っている制度であります。

 このうち、委員御指摘の重課制度については、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車などの特に環境性能の優れた自動車には適用しない、そして、一定年数を経過した自動車のうち、ハイブリッド自動車を除くガソリン車やディーゼル車などが対象となっていますが、これには、今御指摘がありましたが、早期廃車による環境負荷などの点も考慮をいたしておりまして、これを考慮した上で、総合的に見て、比較的環境負荷の高い車両を対象としたものであります。

 このような中で、今般の令和五年度税制改正においては、自動車産業における更なる電動化などの取組を税制面から後押しする観点などから、環境性能割の見直しと併せて、グリーン化特例についても、軽課、重課共にその適用期限を三年延長することとしたものでございます。

 これらを踏まえれば、自動車分野における脱炭素化に向けた取組の中で、グリーン化特例の重課については、現在においても一定の合理性があると私どもは考えております。

おおつき委員 少し前ですかね、女優の伊藤かずえさんも、愛車のシーマ、三十年以上大切にされていたということで、SNSやメディアでも取り上げられていました。いろいろな方がいらっしゃると思いますので、多様な対応ができるような体制があるといいかなと思っております。

 さて、クラシックカーについても一つ質問をさせてください。

 先ほど石川委員からもありました。帯広では北海道モーターフェアが開催されておりまして、ノスタルジックカーフェスティバルから名称を変えたもので、こういった催物は愛知県や長野県でも行われて、クラシックカーの愛好家や観光客を地方に集める良質なコンテンツとなっております。

 しかし、現行講じられている種別割に係るグリーン化特例の重課は、初回新規登録から一定年数を経過した自動車というだけで一律に重課が行われておりまして、いわゆるクラシックカーについても重課の対象とされています。

 ただ、欧米諸国においては、新車登録又は製造から二十年から四十年経過した車両に対して、自動車の歴史的ないし文化遺産的価値の観点から、税制や規制、そして車検に対する優遇措置が講じられています。

 そこで、その歴史的、文化遺産的価値のある自動車への重課の取扱いの検討状況について、改めて確認をさせてください。

池田政府参考人 お答えいたします。

 いわゆるクラシックカーに係る重課の取扱いについてのお尋ねでございます。

 これにつきましては、先ほど大臣も御答弁申し上げましたとおりに、まず、今般の税制改正で、このグリーン化特例全般につきまして、その適用期限が三年延長されることとされております。

 加えまして、先ほども御答弁申し上げましたが、いわゆるクラシックカーについてどう考えるか。車の歴史的、文化的価値の評価の在り方、さらには保有者の担税力との関係、こういった観点からも引き続き論点が多い課題であるというふうに考えております。

 まずは、今申し上げました論点につきまして、関係者、関係府省においてよく整理をしていただいた上、丁寧に検討を進めていく必要があるものと認識しております。

おおつき委員 ニーズが高く愛好家も多い分野でございますので、是非議論を前に進めていただきたいと思います。

 最後に、五番の、地方交付税関係の財政審の建議についての話に行きます。

 近年では、地方税収や交付税法定率分等が増加しておりまして、折半対象財源不足が生じない年度も多くなりました。仮に、今後もこのような傾向が続くのであれば、歳入の増加分をどのように活用していくかということが今後の課題になると思います。

 そこに、これに関連して、平成三十年五月の財政審の建議で気になることが述べられていました。この建議では、今後、地方税収や交付税法定率分が増加すれば、折半対象財源不足が解消されて、財源余剰が生じる可能性がある、この財源余剰分については、地方の債務縮減に充てるのではなく、国の債務縮減にもつなげていかなくてはならないとされています。

 済みません、ちょっと時間が来ましたので、次に質問を延ばさせてもらいます。

 そこで、まず、平成三十年五月の財政審の建議の記述について、総務省の見解を伺います。

 また、令和四年度末の見込みで、臨時財政対策債の累積残高が五十二兆円、交付税特別会計借入金の残高が二十九・六兆円となっていますが、これらの債務を返済する前に、国の債務縮減のために何らかの措置を講ずることもあり得るのでしょうか、併せて伺います。

原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、平成三十年五月に出された財政制度審議会の建議では、今後、地方税収や地方交付税法定分が増加すれば、折半対象財源不足が解消され、財源余剰が生じる可能性があるなどとされております。

 これに対して、同年五月にまとめられた地方財政審議会の意見では、これまでも、政府として、財源不足には過去に発行された臨時財政対策債の元利償還分も含まれるものというふうに整理をした上で、その元利償還分について臨時財政対策債の発行で対処する等の補填措置を講じた上で、これらを除く財源不足について、国と地方が折半して補填措置を講じているので、地方の財源不足を折半対象のみと捉え、折半対象財源不足の解消をもって、地方に財源余剰が生じるとの見解は誤りであるとの御意見をいただいており、総務省も同じ認識であります。

 また、地方の努力による財政健全化の成果を仮に国の債務縮減につなげるとの議論については、かえって自治体のいろいろな努力に水を差すことになりかねません。また、折半対象財源不足が解消された場合には、過去に発行された臨時財政対策債の元利償還に係る臨時財政対策債の発行額を縮小し、今回もやりましたけれども、また、その残高の縮減に取り組みます必要があります。また、交付税特別会計の借入金の更なる償還等に取り組む必要があります。

 いずれも、交付税特会の借入れも臨財債も、ある意味特例的に、本来であれば交付税率の引上げということもあり得たわけでございますので、こういうことに取り組む必要があると思います。実際に、令和五年度においても、こうした考え方の下、対応しました。

 自治体の住民ニーズに的確に対応しながら、引き続き、臨時財政対策債の発行抑制や交付税特別会計の借入金の着実な償還など、健全化にも努力してまいりたいと思っております。

おおつき委員 終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹でございます。

 松本大臣、一昨日は衆議院本会議で、本当に、私の会派の代表質問に対しまして御答弁いただきまして、ありがとうございました。

 そのときに質問できなかったものを含めて、地方税法等の一部を改正する法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案について質問いたしたいというふうに思います。

 それで、今の、おおつき議員からもありました車体課税について、まず伺いたいと思います。

 今回の法改正では、半導体不足等の状況を踏まえて、環境性能割の税率区分の見直しが盛り込まれています。

 まず、ガソリンハイブリッド車が自動車税種別割のグリーン化特例重課制度の対象になっていない理由を伺いたいと思います。

池田政府参考人 委員御指摘のガソリンハイブリッド自動車に係るグリーン化特例の重課の取扱いについてでございますが、平成十三年度税制改正において、このグリーン化特例の制度創設時は、実は重課の適用対象としておりました。

 その後、平成二十四年度税制改正において、当時、実際に重課の適用時期を迎えた主なガソリンハイブリッド自動車の性能が、当時の最新であった平成二十七年度燃費基準値を大幅に超過達成していたことなどを踏まえまして、重課の適用対象から除くこととされたものと承知しております。

道下委員 それだけガソリンハイブリッド車が性能がいいという、低燃費で環境に優しいということだと思います。

 今の答弁を受けて、もう一つちょっと質問いたしたいんですけれども、今のように、グリーン化特例の重課制度の対象になっていない理由は分かりました。

 そこで、グリーン化特例の軽課制度と自動車税環境性能割の税率区分では、ガソリン車とガソリンハイブリッド車が同じ区分になっているんですね。ガソリンハイブリッド車の方が、今御答弁いただいたように、低燃費で性能がよくて、そして環境にも優しいということなんですが、同じ区分になっている理由をちょっと、もしお答えいただければというふうに思います。

池田政府参考人 今御質問の御趣旨は、ガソリンハイブリッド車がグリーン化特例の軽課と重課で取扱いが異なっていることについての御質問ということでよろしゅうございましょうか。

道下委員 実は、軽課では、ガソリン車とハイブリッド車とLPG車とクリーンディーゼル車が同じなんですね。軽課でもそういうように同じなんですけれども、ガソリン自動車とハイブリッド車が同じ区分になっているのはなぜですか。私は、これは、ガソリン車とハイブリッド車、ちょっと区分を分けた方がいいんじゃないかなと。ここでいくと、自家用車は、実はグリーン化特例の軽課、これは入っていないんですよね。

 そういうふうに考えますと、まだまだ電気自動車や燃料電池車とか地域ではなかなか普及できていない状況で、もちろん、電動車とかの普及を進めることは分かりますが、住むところによって、また、北海道だと寒冷地だとか長距離だとかでこういう電動車はまだそういったところに利用しづらいということもあると、やはりまだまだガソリン車よりは環境に優しいハイブリッド車、もちろん車種も、まだまだそうした電動車よりもハイブリッド車の方が多いので、そちらの方を選びたいというユーザーのニーズがあると思うんです。

 そういったことを考えると、私は、こうしたグリーン化特例の軽課制度を、ハイブリッド車をガソリン自動車と同じにするのではなくて、もうちょっと、軽課制度、もっとハイブリッド車に手厚くなるようにしたらどうかなというふうに思っているんです。

池田政府参考人 恐れ入ります。

 ガソリンハイブリッド車の、この手の環境に優しい車の普及促進という観点で、電動車の中で電気自動車や燃料自動車と区別してございますのは、実は、他省庁でやられている普及促進の補助金も、電気自動車等々、燃料自動車に、今、プラグインハイブリッド自動車に限っております。それは、ガソリンハイブリッド自動車が相当程度普及している、また商品も相当ラインナップがそろっている、そういうことを踏まえてそういう対応を取られている、それとはずを合わせるような形でガソリンハイブリッド自動車の取扱いを考えている、そういうことでございます。

道下委員 なかなか、ちょっと分からないんですけれども。

 この点は感想にとどめまして、プラグインハイブリッドなど、家庭での設備を整えなきゃいけないとか、まだまだハードルが高いし、そこまで手が出せるユーザーは少ないんじゃないかな。企業だとか、あとは公用車として行政がこういったものを取り入れるということでありますけれども、もう少し、自家用車というか我々マイカーを利用する者に対して、こうしたグリーン化特例の軽課だとか自動車税環境性能割、こうしたものの利点が使えるような制度に是非していただきたいとお願いをしておきたいと思います。

 次に、森林環境譲与税については、先ほど石川議員が質問いたしましたので、私も意見だけ。

 この森林環境譲与税の活用状況の進展や地方団体の意見を十分勘案しながら、人口は少ないけれどもニーズが高い自治体に多く配分して、森林整備や林業の担い手確保、育成を始めとする必要な施策の推進につながるように是非検討をお願いしたいというふうに総務大臣にお願いをしておきたいというふうに思っています。

 次に、ふるさと納税について伺いたいと思います。

 ふるさと納税のワンストップ特例制度なんですけれども、所得税控除相当額を個人住民税から控除する仕組みとなっておりますけれども、個人住民税から控除している所得税控除相当額については、国の責任において地方特例交付金によって全額を補填するべきだと考えますけれども、所見を伺います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のワンストップ特例制度でございますけれども、ふるさと納税をした方の利便性向上に資するため、確定申告を不要とすることにより、ふるさと納税に係る寄附についての情報が税務署を経由せずに地方団体間で完結する仕組みです。そのため、この特例を利用した場合の控除は、所得税からは行われず、個人住民税においてのみ行われることとなっております。

 この仕組みは、地方六団体から地方創生の推進のためにふるさと納税の手続の簡素化について検討するよう要望されたことも踏まえ、導入された仕組みであります。

 このようなワンストップ特例制度を導入した経緯、そして、そもそも、ふるさと納税制度は、地方税である個人住民税の一部を地方団体間で移転させることが検討の出発点であったことなども考えますと、本制度による減収額を国費で補填することはなじまないと考えてございます。

 なお、ワンストップ特例は、高額所得者など確定申告が必要な方や五か所以上の多数の地方団体にふるさと納税をした方は対象外となりますので、制度上、個人住民税における追加的な控除は限定的なものになると考えておりまして、御理解を賜りたいと思います。

道下委員 この点については、また今度、質問を深めたいというふうに思っております。

 次に、地方交付税について伺いたいと思います。

 異常気象により、災害が多発しております。大規模自然災害の復旧復興事業等が円滑に推進されるよう、被災地に勤務する職員の労働安全衛生体制の充実やメンタルヘルス対策を講じるとともに、全国の自治体からの職員派遣に係る財政支援をしっかりと継続すべきだと考えます。所見を伺います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 近年、災害が多発化、激甚化、頻発化する中で、派遣職員も含め、被災地方公共団体における人的体制の確保が重要であると認識しております。

 地方公共団体においては、災害対応業務に従事する職員が、十分な休養を取得できず、心身の負担が過度となったり、メンタルヘルス不調を来すことも懸念をされると思います。

 そのため、総務省から被災地方公共団体に対しまして、各共済組合が実施します健康相談事業でありますとか、地方公務員安全衛生推進協会が行いますメンタルヘルス対策サポート推進事業、これは、臨床心理士さんなどの専門員を現地に派遣をいたしましたり、電話やオンラインでの相談を受け付けたりする、そういう事業でございますけれども、こういったことを積極的に活用して健康確保に努めていただくよう周知をしているところでございます。

 今後とも、これらを積極的に活用して、職員の健康確保に努めていただくよう支援を行っていきたいと思います。

 また、被災自治体へ職員派遣に要する経費につきましても、これは引き続き特別交付税措置を講じることによって、被災自治体の復旧復興を支援してまいりたいと考えております。

道下委員 先ほども、なかなかそういう技術系の職員が集まらないという話もありますので、これは、公務員の定数の拡大も含めて、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に、物価高騰対策について伺います。

 資材価格や人件費の上昇などを背景に、自治体が決める落札価格の上限である予定価格では採算を確保できないとして、自治体施設の建設工事の入札不成立が相次いでいます。工事ができずに開業時期が遅れる観光施設も出てきています。このままでは、地域経済の新型コロナウイルス禍からの回復に水を差すおそれもあります。

 昨年来の原油価格高騰に伴い、学校、福祉施設、文化施設等の自治体が有する公共施設の光熱費の高騰を踏まえ、一般行政経費の単独分に七百億円を計上していますが、資材価格や人件費の上昇などに伴う建設工事の入札不調について、資材価格等の高騰による建設事業費の上昇を踏まえ、どのような対策を講じているのか伺いたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 建設事業に伴う自治体の負担については、その財源として地方債を発行することができます。一般に、資材価格等の高騰に伴い建設事業費が増加した場合、それに応じて地方債の発行額を増やすことが可能になり、必要な資金を確保することが可能でございます。また、地方債の元利償還金に対して地方交付税により財源措置される場合は、地方債の発行額に応じて交付税措置額も増加いたします。

 一方、津波浸水想定区域からの庁舎移転や公立病院の新設、建て替え事業については、建築単価について、適正な水準とするとの観点から、上限を定めております。これにつきましても、既に御答弁しておりますが、令和五年度の地方財政対策において、資材価格等の高騰を踏まえ、これらの地方債の建築単価の上限を引き上げることとし、これは四年度から適用することにしております。

 こうしたことによりまして、資材価格等の高騰に対しては適切に対応することができるのではないかというふうに考えております。

道下委員 総務省はそのように考えられていると思いますが、自治体ではなかなかそうはいかないんです。地方債だってそんなに発行したくありませんし、できるだけ節約していきたいと思っている自治体が多いので、そこの辺は総務省と自治体とでしっかりと認識を合わせながら、自治体が無理なく発注できるような、そしてちゃんと入札が成立するような、こうした仕組みに改善していただきたいというふうに思います。

 時間も来ましたので、最後に総務大臣に伺いたいと思います。一括交付金の復活について伺います。

 二〇一一年度の予算において、自治体がその裁量によって使途を決めることができ、各府省の枠にとらわれない、地域の実情に即した事業の的確かつ効率的な実施を図る、いわゆる一括交付金制度が創設されました。当時は、政府が交付対象地方自治体へ実施したアンケート調査では、約七割が従来の補助金、交付金に比べて自由裁量が拡大したと回答し、約八割の自治体が一括交付金の取組を評価していました。

 ところが、政府は、二〇一三年度予算において一括交付金制度を廃止し、いわゆるひもつきの個別補助金を復活させました。霞が関主導の中央集権政治、省益行政に逆行させるのではなく、自由度が高く利用しやすい一括交付金制度を復活させるべきと考えますが、大臣の見解を伺います。

松本国務大臣 今お話がありました、御指摘のかつての一括交付金につきましては、当時、内閣府が所管をしていたものでありますけれども、その上で申し上げましたら、一括交付金は、今お話がありましたとおり、各省庁の投資補助金等を一括化して創設されたものであります。ただし、交付対象が各省庁の従来の事業に限定されていたこと、事業を所管する省庁ごとに交付を申請しなければならず手続が煩雑であったことなどの問題点が指摘されて、平成二十五年に廃止をされたというふうに承知をしております。

 こうした廃止の経緯も踏まえまして、その後創設された地方創生に係る交付金の制度では、地方が自主性、自立性を発揮できるような自由度の高い仕組みとするため、各省庁の既存の事業の枠にとらわれない地方創生のための取組を幅広く対象とする、内閣府が一元的な申請や交付決定の窓口となる簡素な手続とする、このようにしたものと承知をしております。

 総務省としては、地方の意見を踏まえ、国庫補助負担金については地方にとって自由度の高い仕組みとすることが重要であるということは、そのように考えているところでございます。

道下委員 前政権のことを、いろいろと課題を出して、そして変更したというのは分かりますけれども、私は、今も自治体の首長からは一括交付金の方がよかったというような意見も聞きます。

 最後に一言、感想を申し上げます、お願いを申し上げます。

 地方創生、マイナンバー制度を含めたデジタル化の推進、脱炭素化、リスキリングを含めた人への投資など、地方の仕事は増大しております。物価高騰対策だけでも七百億円が上積みされていますけれども、それに比して、交付団体ベースの一般財源総額は前年比で若干のプラスにとどまっております。骨太方針に基づき、二〇二四年度までは二〇二一年度地方財政計画総額と同水準を確保することとされておりますけれども、このルールが逆に実質的な上限に変質しているともされます。

浮島委員長 道下君に申し上げます。

 申合せの時間が経過しておりますので、おまとめください。

道下委員 財源不足自体は依然として存在することからも、地方一般財源総額の確保のため、地方交付税率を引き上げるなどの抜本的な対策が必要と考えます。是非よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 連日質問の機会をいただいていることに感謝をしながら、今日も質問をさせていただきます。

 まず冒頭、地方税法等の一部を改正する法律案に関連をいたしまして質問させていただきます。

 先般、住民基本台帳人口移動報告によりますと、二〇二〇年から二年連続で縮小しておりました東京圏の転入超過が一万七千八百二十人拡大するという結果が出ております。東京都におきましても転入超過というデータが出ており、コロナ禍で一定、地方回帰の流れが生まれてきたんですけれども、それが鈍化をして、再び東京圏への人口集中の流れが進むことを懸念いたしております。

 その根底には、我が国が抱える最大の問題である人口減少、少子高齢化が予想以上のスピードで進んでいるということがあると認識をいたしております。私の地元長崎市も、今回の結果で三年連続ワースト二位という大変深刻な結果が出ておりまして、以前はワースト一位を数年続けたこともございます。今年も転出超過が昨年から九十名拡大をいたしております。ただ、この問題は、多くの市町村、自治体が共通に抱える我が国の大変重要な深刻な課題だと受け止めております。

 そのような中で、昨年十二月に、地域活性化の新たな五か年計画、デジタル田園都市国家構想総合戦略が策定をされました。この計画によりますと、二〇二三年度から二〇二七年度までの五年間における数値目標ですとか施策が盛り込まれておりまして、二〇二七年度には東京圏への転入者と転出者の数を均衡させて、東京一極集中を是正するという計画が盛り込まれております。

 先ほど御紹介したデータからは大変高いハードルではないかというふうに思いますけれども、コロナ禍によって、社会そして私たちの生活様式、意識が大きな変革をいたしましたし、デジタル技術によって、働く環境というものも大きく変化をいたしましたので、デジタル田園都市国家構想、この中で、地方への流れというものを是非確実に進めていっていただきたいと考えております。

 その施策の大変重要な施策であります二拠点居住について、お伺いをしたいと思います。

 コロナ禍を経まして、この二拠点居住というものが、ライフスタイルの多様化を受けまして大きな選択肢となっておりますし、地域活性化の一つとしても、また交流人口の増加、先ほどから申し上げました東京一極集中是正の側面からも、大きく地方からは期待が寄せられております。

 ただ、この二拠点居住につきましては、現在、地方税法におきましては、第二十四条第一項第二号によりまして、二拠点居住を行う者の住所地以外の住民票は、家屋敷課税として均等割の納付義務を負うこととされております。このために、給与所得者については把握できていないのが現状で、課税することができていないという現状がございます。

 現在の徴収状況につきまして、総務省から御説明をいただきたいと思います。

池田政府参考人 家屋敷課税についてお尋ねがございました。

 総務省が実施した令和三年度の調査によりますと、この納税義務者は約二十二万人、税収額は、推計ではございますが、約十二億円と承知してございます。

 家屋敷課税の納税義務者は、基本的には住民基本台帳に記載されていない方が対象となりますが、例えば、別荘などの納税義務者が所有するものについては、固定資産税の課税情報の活用が考えられる一方、賃貸住宅等、納税義務者が所有していないものについては、課税団体においてその実態を確実に把握する方法に乏しく、地方団体からはその網羅的な捕捉が困難であるとの声もあると承知しております。

 家屋敷課税については、税収と比べまして、課税の事務負担が大きいという課題はございますが、課税の公平性の観点から、対象者を確実に捕捉し、適切に課税を行うことは重要と考えております。

 地方団体においては、独自に条例に基づく申告制度を設けまして、それの周知広報を行っている例や、固定資産税の課税情報のほか、住民票の異動情報も活用し、対象となり得る者を抽出調査を行うなどの取組が行われていると承知しており、総務省といたしましても、地方団体からの御相談に応じ、今後も適切に助言を行ってまいりたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 今、徴収状況については御説明をいただきましたけれども、一方で、これまでの別荘ですとかセカンドハウスという状況とは、今回の二拠点居住というのは、大変、その前提が大きく異なっている要素があるというふうに思います。

 その中で、この二拠点居住を実践されている方からは、自分が二拠点居住として選択している行政の行政サービスをもっと充実したものを受けたいという御意見、声も出てきております。この声もあるという中で、この二拠点居住に係る個人住民税の制度的な在り方につきまして、中川政務官から御見解をお伺いをしたいと思います。

中川大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 御指摘のいわゆる二地域居住につきましては、ライフスタイルが多様化する中、都会に生活拠点を残しつつ、地方にも生活拠点を設けることへの関心が高まっているものと承知をしているところであります。

 個人住民税は、毎年、一月一日時点の住所地である地方団体が課税することとされていますが、ふるさと納税制度を活用することで、個人住民税の一部を、実質的に二拠点目の居住先の地方団体に移転させることも可能となっているところでございます。

 他方、仮に居住実態に応じて複数の団体が課税することとした場合には、強制性を伴う課税の根拠となる居住実態をどのように正確に把握をするのか、また、税のみならず、住民票や選挙など、様々な制度との関係をどのように調整するかなど、様々な課題があると承知をしているところでもございます。

 いずれにいたしましても、総務省におきましても、ライフスタイルの多様化など社会の変化に応じた税制の在り方について、地方団体を始めとした関係者の御意見を幅広くお伺いをし、検討をしてまいりたいと存じます。

西岡委員 今中川政務官からお話がありましたように、様々な課題があるというふうに思うんですけれども、大きく社会が変化し、生活が変化した中で、新しい、そういう流れの中での個人住民税の在り方というものを是非、先ほど申されたように、地域の声や当事者の声も踏まえて、これからしっかり議論を深めていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、車体課税につきましてお伺いをいたします。

 二〇二二年度の税制大綱には、次のエコカー減税等の期限が到来したときに抜本的な見直しを行うという記載がございました。今回の改正におきましては、この抜本的な改革というものは見送られ、今後も議論が続けられることとなりました。

 今の自動車関係諸課税につきましては、複雑であり、過重であり、不条理な側面もある今の自動車税制の解消というものを前提といたしまして、一方、カーボンニュートラル二〇五〇年へ向けました我が国の経済成長と両輪で進めていく、経済成長を阻害しない形で税の簡素化とユーザーの負担軽減に資する改革が必要であると考えております。その認識に立ちまして、質問させていただきます。

 まず、本改正案には盛り込まれておりませんけれども、二〇一九年に新たに導入されました自動車税、軽自動車税の環境性能割につきましては、二年ごとに見直すこととされているところでございます。

 環境性能を基準とする該当車両に当たらないとされております、動力源を持たない被牽引車にも、今現在は課税をされている状況がございます。このことは、これまでも、様々な委員会も含めて指摘をさせていただいておりますけれども、今回、残念ながら、このことは盛り込まれませんでした。

 まず、このことは解消すべき事柄であると考えますけれども、総務省の御見解をお伺いしたいと思います。

池田政府参考人 被牽引車の取扱いについてお答えを申し上げます。

 自動車税の環境性能割は、従前の自動車取得税のグリーン化機能を維持強化するとともに、自動車がもたらすCO2の排出のみならず、道路の損傷、交通事故、公害、騒音等の様々な社会的費用に係る行政需要に着目した原因者負担金的な性格を有する税として創設されたものであります。

 地方団体からは、道路、橋梁等の更新、老朽化対策等の財政需要が今後も増加していく中で地方財源を確保すべきという要望がある中、環境性能割は、こうした地方団体の行政サービスを支える貴重な財源となっております。

 また、加えてお話を申し上げれば、一般論といたしまして、被牽引車、トレーラーでございますけれども、トラックでは運べない大きな荷物や、より多くの荷物を運ぶことを目的として製造された車両でありまして、トラックよりも、これを合わせますと最大積載量が大きく、道路に与える損傷等の社会的費用の程度も相対的に大きいのではないかと考えております。

 こうしたことを踏まえれば、被牽引車、トレーラーでございますが、についても、引き続き課税対象とすることが合理的だと私どもとしては考えてございます。

 なお、申し上げますと、令和五年度税制改正プロセスにおいて、被牽引車の環境性能割の取扱いに係る見直しの要望等はなかったものと承知しております。

西岡委員 以前から、私たちは委員会で同僚議員も含めて議論をさせていただいておりました。このことにつきましては、今御説明をいただきましたけれども、環境性能を基準とする該当車両には当たらないとされているということも含め、また、この自動車税をどういう位置づけで今後捉えていくかという今後の大きな税制改正に当たっての基本的な考え方、今、道路に与える損傷というようなお話もございましたけれども、今後自動車税をどういうふうに捉えていくかという議論がこれから進んでいくというふうに思いますので、その中でしっかり議論をさせていただきたいと思います。

 続きまして、グリーン化特例、重課について質問させていただきます。

 脱炭素化へ向けまして、初回新規登録時から一定年数が経過した場合には、自動車税、軽自動車税の種別割の税率を重くする特例というものが講じられております。

 先ほども議論であっておりましたけれども、例えば、一つのデータとして、令和三年三月末の乗用車の平均使用年数というものは十三・八七年とされております。

 特に、移動の交通手段が車に頼らざるを得ないまさに地方においては生活必需品という位置づけにありますし、特に山間地域であったり離島、半島におきましては本当に欠かせないものでございます。また、地方によっては、世帯で一人一人が車を所有しているという家庭も多くあるのが現状でございます。

 車の買換えにつきましては、時の経済状況、家計の状況によっては買い換えたくても大変厳しい側面がありますし、特に、現下、燃料油、物価高騰の状況では、大変買換えが困難な面というものも外的な要因で生じてくることが考えられます。

 様々な要因があるわけでございますけれども、税制として利用年数で一律に課税するということについてどのようにお考えになっているかということについて、総務省の御見解をお伺いしたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 自動車税、軽自動車税種別割のグリーン化特例は、環境性能割を補完する制度として、より環境性能の優れた自動車の普及を促進する役割を担っている制度であります。

 このうち、委員御指摘の重課制度につきましては、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車などの特に環境性能の優れた自動車には適用せず、早期廃車による環境負荷等の点も考慮した上で、一定年数を経過した自動車のうち、ガソリン車やディーゼル車など、比較的環境負荷の高い車両を対象としたものであります。

 こうした中、今般の令和五年度税制改正においては、自動車産業における更なる電動化などの取組を税制面からも後押しする観点などから、グリーン化特例についても、軽課、重課共にその適用期限を三年延長することとされたものであります。

 これらを踏まえますれば、自動車分野における脱炭素化に向けた取組の中で、グリーン化特例の重課についても、現在において一定の合理性があると考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 先ほど申し上げさせていただいたんですけれども、ユーザーにとって、その状況にとって過度な負担の生じない課税制度の確立というものは大変重要なところだというふうに思っておりますので、是非議論を続けていきたいというふうに思います。

 続きまして、現下の物価高騰対策について質問させていただきます。

 昨日の本会議で松本総務大臣に質問をさせていただきましたけれども、その中で、先ほどは神谷委員の質問の中でお答えがあっておりました公立病院につきましての物価高騰対策でございますけれども、この部分についてもっと詳しく御答弁をいただきたかったということがありましたものですから、今日、神谷委員への総務省の御答弁を聞かせていただきました。

 御承知のように、公立病院は地域にとりまして住民の命を守る大変重要な役割を担っていることは、周知のとおりでございます。今後、一層の物価高騰、厳しい状況に備えて適宜適切な支援体制を講じていくことを、この場でお願いを改めてさせていただきたいと思います。

 さて、本会議の質疑でも申し上げましたとおり、四月には電気代の更なる値上げが見込まれております。これは当然、家計への負担が増大する懸念もございますし、今、日本社会において大変、最大の、大切な一つの課題であると言ってもいい持続的な賃上げを実現に結びつけていくという面からも、家計の負担軽減とともに事業者が値上げの原資を確保するということの中で、この電気代の高騰が阻害する要因になりかねない、そういう状況がございます。

 本改正で、電気代の高騰によって、当初予算では補うことができずに補正予算を提出する自治体が続出したことに対して、地方団体の施設の光熱費に対する財政措置が盛り込まれたことにつきましては大変評価をさせていただきたいと思いますけれども、先ほど公立病院のことでも申し上げましたけれども、今後の更なる高騰に対して、地方自治体が適宜適切なタイミングでしっかりと対応できる、地方住民のサービスが守られるための国の支援を引き続きお願いしたいと思います。

 今日は経済産業省にお越しをいただいておりまして、一方で、物づくり産業、製造業の現場における電気代を始めとしたエネルギーの高騰がもたらす影響というものは、極めて深刻な影響が与えられております。

 日本の企業の九割を占める中小・小規模事業者の経営には、大変深刻な影響をもたらされておりまして、政府の激変緩和対策、補助金の一層の拡充が望まれるとともに、ガソリン代については、国民民主党がずっと主張をさせていただいておりますトリガー条項凍結解除が急務であると考えております。

 電気代の高騰については、物づくり産業の現場、特にクリーンルーム等が必須の半導体製造拠点ですとか、電炉のある事業所であるとか、大型ショッピングモールなど、大量の電力を消費する工場や事業所においては、数年、数億円単位の深刻な影響が出ておりまして、産業の競争力が奪われかねない状況がございます。先ほど申し上げた、賃上げの原資の確保ができない状況へと結びつくこともあるというふうに大変危惧をいたしております。

 先日、私の地元長崎県の三菱重工、そして、半導体デバイスの材料となるシリコンウェハーを製造しておりますSUMCOの工場を視察させていただきました。物づくり現場における電力の安定供給の重要性を認識するとともに、この度の電気代高騰の与える影響の大きさというものを改めて再確認いたしました。

 現状では、電気料金、特別高圧については、政府の電気代値下げの対象となっておりませんけれども、今の状況を踏まえまして、対象とすべきであるということを我が党としてもずっと要請を続けておりますけれども、経済産業省の見解をお伺いしたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 世界的に燃料価格が上昇いたしまして、エネルギー価格が高騰している状況でございます。このことは、各需要家の皆様方、これは各個人、御家庭のところもそうでございますし、産業全体若しくは社会全体というところでございまして、この負担をいかに軽減するかということについては、私どもも真剣に考え、様々な対策を講じてきているところでございます。

 今委員から御指摘ございました、今回の電気料金の激変緩和措置のことかと存じますけれども、従来、需要家の方々に対して直接支援を申し上げるということが中心だったわけでございますが、これに加える形で、電気料金という、供給サイドのことも併せて支援策を講じているというのが今回の対策でございます。

 その中で、御家庭を中心としました低圧契約を行っている方々に対してはキロワットアワーで七円、そして、中小企業の方々が多く含まれるわけでございますが、高圧契約の方々については三・五円という形で御支援申し上げているところでございますけれども、一方で、大規模な需要家契約となります特別高圧契約につきましては、御家庭、中小企業の方の支援を優先するという観点から、この支援策の中では、支援策としては講じていないところでございます。

 その上で、昨年九月の物価対策におきまして、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を措置したところでございますけれども、その中では、自治体の御判断によりまして、地域の実情を踏まえまして、きめ細かい形での対応ができることとなっておるところでございます。地域の実情を踏まえた形で、御指摘ございました特別高圧契約の需要家の方々への電気料金支援というものも行われている例も複数あると承知しているところでございます。

 政府といたしましては、まずは、今月の請求から反映されます電気料金の値引き支援を確実に需要家の方々にお届けできるよう予算執行に取り組みますとともに、今後とも、経済状況、燃料の価格動向を注視しつつ、関係省庁と連携して臨機応変な対応をしていきたいと考えてございます。

西岡委員 今御説明いただきましたように、特別高圧についても、自治体独自で、今おっしゃった交付金を使って取り組んでいる自治体もあるというふうに私も承知をいたしておりますけれども、日本の大切な産業を守るという意味でも、しっかり国が支援をしていくということが必要だというふうに思いますので、ここで改めて要望させていただきたいと思います。

 続きまして、地方交付税等の一部を改正する法律案に関連をした質問をさせていただきます。

 まず、地方財政の健全化について質問させていただきます。

 令和五年度の地方財政対策につきましては、地方税や交付税法定税率が増加したことによりまして、財政不足が二兆円に縮小いたしました。これに伴いまして、臨時財政対策債が前年度に比べて七千八百五十九億円減少し、九千九百四十六億円に抑制をされました。

 また、この数字は見込みでありますけれども、令和四年度末の臨時財政対策債の累計残高が五十二兆円、交付税特別会計借入金の残高が二十九・六兆円、国税減額補正精算の未精算額が三・四兆円となりました。

 このような状況の中で、今回、大変、累計が一番多い財政対策債、ゼロとすることも可能だったというふうに思いますけれども、今回の地方財政措置におきまして抑制にとどめた要因につきまして、御説明をいただきたいと思います。

中川大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 交付税特別会計借入金の償還や交付税の国税減額補正精算は、将来の交付税総額を減少させるものでございまして、その前倒しを行うことは、財政の健全化を図るとともに、将来の交付税を安定的に確保する観点から、大変重要だと認識をしているところでございます。

 そこで、令和五年度の地方財政計画では、地方税や交付税法定率分が増加し、繰越金がある中で、新型コロナウイルス感染症の影響により生じた交付税特別会計借入金の償還繰延べや国税減額補正精算の解消に取り組む一方で、地方からの要望も踏まえ、臨時財政対策債の発行抑制にできる限り努めることといたしたところでございます。

 こうした方針の下、前年度を上回る一般財源総額と交付税総額を確保した上で、臨時財政対策債の発行抑制、交付税特別会計借入金の償還前倒し、国税減額補正精算の前倒しといった地方財政の健全化にバランスよく取り組むこととしたものでございます。

 なお、今回のこうした対応につきましては、地方六団体からも一定の評価をいただいているところでございます。

西岡委員 次の質問として、前倒しをどうして優先をされたのかということの質問をさせていただくつもりでございましたけれども、今、何かバランスの取れた対応ということの中で御答弁があったというふうに思います。

 こういう今の地方自治体の財政状況、健全化というものも、大変厳しい経済状況の中でございますけれども、必要なことだというふうに思いますので、地方自治体の皆様との、しっかり意見交換、要望について、日頃から連携を取っていただいているというふうに思いますが、この財政健全化についての方向性についてもしっかり連携をしながら、今後取り組んでいただきたいと思います。

 続きまして、地方公務員、自治体職員に関しまして質問をさせていただきます。

 まず、地方公務員の定年延長中の対応について質問をいたします。

 総務省は、令和四年六月二十四日の通知によりまして、一定の新規採用職員を継続的に確保して、中長期的に定員管理をするべきとしています。今後の定員管理の見通し、そして、当然、定員数の増加に対する財政措置というものが必要となってくると思いますけれども、総務省の御見解をお伺いいたします。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 総務省としては、地方公共団体におきまして、必要な行政サービスを将来にわたり安定的に提供するためには、定年引上げ期間中も一定の新規採用職員を継続的に確保することが必要であると考えております。

 委員御指摘のとおり、昨年六月に、定年引上げに伴う定員管理についての基本的な考え方をお示しいたしました。さらに、昨年の十二月でございますけれども、地方公共団体に対しまして、一つには、国家公務員の考え方も参考に、二年間での平準化を基本としつつ、各団体において、現在の年齢構成等を考慮した上で、二年間に限らない柔軟な平準化を検討するなど、地域の実情に応じまして新規採用職員数の検討に取り組んでいただきたいということ、それから、保健師、児童福祉司、技術職員など、各職種の職員の必要数を適切に見込んで、複雑多様化する行政課題に的確に対応できるように留意すること、この二点などについて助言をいたしました。

 また、御指摘のありました地方財政措置につきましては、地方公共団体の実態などを踏まえつつ、適切に検討してまいりたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございました。

 財政措置についても適切にというお言葉がございました。しっかりこの支援というものを体制を整えていただきたいと思います。

 続きまして、技術職員の確保について質問させていただく予定でございましたけれども、先ほどほかの委員の方からも質問がございましたので、後に回させていただきまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 自治体職員につきましては、今、通常業務、そしてコロナ対策、また災害対策、様々な業務で大変負担が増加をいたしております。その関係で、心身の不調で休職している職員の方というものが三万八千人ほどおられ、大変多数になっており、深刻な状況がございます。

 現状についてどのように把握、認識しておられるのか、また、一日も早い心身の回復を目指して、職場復帰へ向けた支援について、総務省としてどのように取り組んでおられるのか、また、今後の方針についてお伺いをさせていただきます。

大沢政府参考人 お答えをいたします。

 地方公共団体が、コロナ対応など複雑多様化する様々な諸課題に適切に対応して住民の要望に応えていくためには、職員の健康の確保、これが極めて重要であると考えております。一方で、今御指摘のありましたように、近年、地方公共団体のメンタルヘルスの不調による休務者が増加傾向にございます。

 こうしたことを踏まえまして、総務省では、関係団体とも連携をして、令和三年度から、総合的なメンタルヘルス対策に関する研究会を開催いたしまして、地方公共団体のメンタルヘルス対策の在り方を検討してきております。

 まず、昨年度でございます、令和三年度ですが、この研究会の報告も踏まえまして、各地方公共団体がメンタルヘルス対策の計画を策定することにより、全庁的な体制で総合的に取り組むことが必要であるということなどについて、通知により助言をいたしました。

 また、今年度開催をしております研究会におきましては、メンタルヘルスの不調の予防から職場復帰、さらには再発防止、こういったことまでの取組を取りまとめた計画を各地方公共団体が自主的に策定をできるように、標準的な計画のモデル、これを作成することとしております。

 今後、本年三月頃を目途に、地方公共団体に対しまして、この標準的な計画のモデルなどにつきまして情報提供いたしまして、地方公共団体のメンタルヘルス対策が一層推進されるように努めてまいりたいと考えております。

西岡委員 今御説明いただきましたように、しっかり国としても、地方公共団体のメンタルヘルス対策が進んでいくように、引き続きのお取組をお願いしたいと思います。

 続きまして、若干順番を変えまして、松本総務大臣に、国際会議につきまして質問をさせていただきます。

 今年は、五月に群馬県でG7デジタル大臣会合、そして、十月には京都で国連主催のインターネット・ガバナンス・フォーラム、これが日本で開催される予定となっております。

 先般、松本大臣は米国出張をされましたけれども、大変重要な国際会議が日本で開催されるに当たりまして、総務大臣として、どのようなテーマで、どのような成果を目指して臨まれるのか、大臣の抱負、決意も含めてお話をお伺いできればと思います。

松本国務大臣 御質問ありがとうございます。

 今お話をいただきましたように、本年四月にG7群馬高崎デジタル・技術大臣会合が開催をされる予定で、これは、私と経産大臣とデジタル大臣と三大臣共管で行うこととなっております。

 十月には、インターネットに関する公共政策課題について、官民のマルチステークホルダーが対話する場であるインターネット・ガバナンス・フォーラム、IGF、これは、主催はいわば国連ということになろうかと思いますが、開催をされることになっております。

 具体的な議題は、現在も関係各方面とも調整中でありますが、テーマとして考えられるものは、安全で強靱なネットワークインフラの構築、自由でオープンなインターネットの維持増進、責任あるAIとAIガバナンスの推進、社会全体のデジタル化、DFFT、信頼性のある自由なデータ流通の推進、デジタル競争、デジタル市場の規制政策、イノベーション推進に向けた新興技術など、七つのテーマが考えられるかと思っており、こういったテーマの下で国際的な議論を主導してまいりたいと思っております。

 今御指摘をいただきました先月の米国の訪問におきましても、これらのテーマについて米国政府、国連関係者と意見交換を行いまして、G7デジタル・技術大臣会合などの成功を含め緊密に連携をしていくことを確認をさせていただいたところでございます。

 情報通信分野において大変重要な国際会議を我が国で開催する貴重な機会を活用して、我が国がデジタル分野における国際的なルールづくりを主導できるようになっていきたいと考えているところでございまして、総務大臣として、両会合を成功に導くべく、力を尽くしてまいりたいと思います。

西岡委員 ありがとうございます。

 大臣から決意が述べられましたけれども、大変重要な会議が今年日本で開催されることの意義も含めまして、今、やはりデジタルという面で、先ほどの七つのテーマが考えられるというお話がございましたけれども、大変全て重要なテーマでございますし、AIというものが進展する中での、人間とのどういう関係性をつくっていくかということも含めて大変重要なテーマがたくさんあるというふうに思います。

 デジタル分野における我が国が主導できるという形をこの会議を通じてお示しをいただきますように、是非、松本総務大臣には頑張って取り組んでいただきたいということを御期待を申し上げたいと思います。

 続きまして、松本総務大臣に引き続き質問をさせていただきます。

 先ほど、守島委員の方からも質疑がございました。これまでも、私も、委員会質疑の中で、地方におけるオンライン本会議についての議論をさせていただいてまいりました。

 今般、地方の本会議における一般質問につきましてオンラインを認める方針が通達されたということは、まず大きな第一歩と評価をさせていただきます。ただ、今回は、出席とはみなされない、法改正を伴わない内容でございます。

 これまでの委員会質疑の中でも、国会での議論を踏まえながらということ、これは当然のことだというふうに思いますけれども、さきの国会、憲法審査会におきまして、この出席をどう捉えていくかという議論が行われた結果、議院の自律性、つまり、国会のルールを自ら議院、衆議院が決めるという議院自律権というものを根拠にいたしまして、緊急時に限ってオンライン国会の審議の出席というものは現行憲法上認められるという内容が、各党各会派が合意してこの報告書というものが議長に提出されたところでございます。

 当然、議員自らが職責を果たすために出席をするということが大前提でございますけれども、そのことがどうしても不可能であるとき、まさに自然災害、また現下の新型コロナウイルス感染症等の感染症の蔓延などの緊急事態においても、国会の機能をしっかり担保をしていくという、このことが大変重要なことだと思います。

 まさに地域住民の一番近くにある重要な役割を担う地方議会が、どのような状況でも議会機能が担保されるということは、極めて重要な、それも喫緊の課題であると私は考えております。

 今、戦火にあるウクライナでございますけれども、しっかりその議会機能が今の状況でも保たれている。やはり、この課題は喫緊の課題として捉えていかなければいけないと思います。

 今後のオンライン出席についてどのような位置づけで考えていくかということも含め、方向性について松本総務大臣にお伺いをいたしたいと思います。

松本国務大臣 ここまでのオンラインに関する議論であるとか、二月の七日に本会議におけるオンラインの活用について助言通知を発出したことについては、既に議論に付されておりますし、御案内のとおりかというふうに思います。

 その上で、今後についてということでありますが、私、繰り返し申し上げてきておりますように、本会議において自治体の団体意思を最終的に確定させる上で、議員本人による自由な意思表明は疑義の生じる余地のない形で行われる必要があるということを申し上げてまいりました。

 ちなみに、今回の私のオンラインの活用、二月七日の助言通知の報道に対しまして、東京大学の牧原出先生が、ネット上においてですけれども、このようなコメントをされております。カフェで隣にいろいろな人がいたりする中で審議や採決に加わるのは適切とは言えません、また、カメラに見えない周囲に関係者がいることは避けなければなりませんといったようなことを言っておられ、オンラインで出席することが認められるには整理すべき課題がある、このようなコメントをつけておられるところでありますが、私どもも、これまでも申し上げてきたように、地方自治法上、表決の要件として出席とされ、表決や、表決と一体不可分の議事として行われる討論や質疑は、議員が議場で行う必要があるというふうに申し上げてきたところでございます。

 一般質問については既に申し上げたとおりでありますが、この本会議のオンライン出席については、地方制度調査会の答申では、国会における対応も参考としつつ、国会と地方の場合は、制度上、御案内のとおり、議会と行政府の関係も差異がございますので、その点は踏まえながらも、国会における対応を参考としつつ、既に取組が始まっている、一部の団体でございますが、委員会へのオンライン出席の検証なども行って、丁寧に検討を進めていくべき課題だというふうにしているところでございます。

 地方制度調査会におきましてそのような認識で議論を進めていただいているというふうに理解をし、私どもも、そのような認識を踏まえて検討を進めてまいりたいと思っております。

西岡委員 様々な課題はあるということ、大変認識をいたしますけれども、是非、積極的な議論を深めて、お取組をお願いしたいと思います。

 残り大変僅かとなりましたけれども、公共施設等適正管理推進事業債について質問させていただきます。

 社会資本の老朽化対策、これは重要な課題でございまして、公共施設の更新、これも喫緊の課題でございます。

 地方債の活用については、集約化、複合化、そして長寿命化、転用、立地適正化、ユニバーサルデザイン化、そして昨年追加をされた脱炭素化、そして除去というものがございます。

 この中で、除去というものについては、唯一、交付金の対象となっておりません。例えば、全国で今除去や建て替えが行われております、し尿施設などは、多額の解体費用が必要でありますけれども、交付税措置がない状態にありますので、起債をしても債務が積み上がるので、なかなか計画が進まず、先送りすることにつながっております。

 計画的な除去は未来への投資とも言えますけれども、この交付税措置を講じることも検討すべきではないかと考えますが、総務省の御見解をお伺いをさせていただきます。

原政府参考人 お答えいたします。

 地方債の発行は、世代間負担の公平性の観点から、後世代にも効用が及ぶ建設事業等に限定して、地方財政法五条に基づき限定的に認められているもので、本来、除却費用は起債対象外としております。

 しかしながら、過去に建設された大量の公共施設等の更新時期に対応するため、平成二十六年度から、当分の間の措置として、地方財政法を改正して、特例的に除却事業を地方債の対象としたところであります。

 こうした除却事業に係る性質を踏まえますと、その元利償還金への交付税措置については、地方債を発行することで財政負担は平準化される面があること、また、除却後の土地の様々な活用等も想定されることから、慎重な検討が必要であると認識しておりますが、除却のみでなく、集約化、複合化等の交付税措置のある整備事業と一体として除却が行われる場合には、その除却事業費も含めて、交付税措置のある公共施設等適正管理推進事業債の対象とすることを可能としております。

 いずれにしても、地方自治体の実情をよく伺いながら、公共施設の適正管理に取り組む自治体を適切に支援してまいりたいと存じます。

西岡委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 前回の委員会でも、また本二法案の本会議質疑でも、地域デジタル社会推進費の増額分、マイナンバーカード利活用特別分五百億円について、私も、また他の委員も、マイナンバーカードの交付率を交付税の算定とリンクさせる理由について質問をいたしました。

 資料一を見ていただきたい。

 原邦彰自治財政局長は、当委員会で、マイナンバーカードの普通交付税への反映につきましては、五百億円増額いたします、その中で、カード交付率も活用するということにしております、これは、カードの普及に伴いまして、住民サービスを向上するための財政需要を的確に反映するということで交付率を用いるものでございますと答弁し、本会議で大臣もこの原自治財政局長の答弁を踏襲されました。

 私は、前回、その答弁について、それは追ってやりましょうと申し上げましたので、そこから入りたいと思います。

 原局長、この五百億円が財政需要を的確に反映したものだというのであれば、総務省はこの五百億円を、どのような新たな財政需要をどのようにしてつかみ、どういう積算根拠で算出したのか、的確に示していただきたい。

原政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードの交付率の普通交付税への反映につきましては、今御指摘ありました、地域デジタル社会推進費のうち、今回、マイナンバーカード利活用特別分として増額する五百億において、カードの交付率も活用して行うこととしております。これは、カードの普及に伴う、カードを利活用した住民サービスのための取組に係る財政需要を的確に算定に反映する観点から行うものであります。

 今御指摘ありました、今回増額する五百億円の積算根拠についてであります。

 令和四年度において総務省が行った調査では、カードを利活用した住民サービスの向上のための地域のデジタル化の取組に係る財政需要が三百億円程度と見込まれたところであります。この調査では、マイナンバーカードを活用する事業の取組市町村数は千二百団体程度でございました。

 今後は、カードの交付枚数が増加する中で、カードを利活用した取組については、取組を進める市町村が拡大していくこと、また、カード交付率が高い市町村を中心に先進的な取組事例が、横展開が見込まれることから、財政需要が増加するものと想定し、また、地方からデジタル経費の拡充を求める御要請も受けておりまして、そうしたことも含めて財政当局と折衝し、五百億円の増額を図ったところでございます。

宮本(岳)委員 千二百団体から三百億円という額が出ました、それ以外にも広がるだろうから二百億円上積みした、こういう説明ですね。

 それは、財政需要を的確に反映という言葉を三百億とか二百億というような金額に置き換えただけのことでありまして、的確に反映とまで言うのであれば、その内訳が問題になります。

 聞きますけれども、その内訳は、設備投資ですか、それとも運用費用ですか、またその両方ですか。それぞれ幾らになるのか、お答えいただけますか。

原政府参考人 お答えいたします。

 運用経費あるいは設備投資等の内訳等については詳細は把握しておりませんが、運用経費、設備経費、両方含まれているというふうに存じております。

宮本(岳)委員 では、もう一つ聞きましょう。

 資料一の二は、先日の委員会での原局長の私への答弁です。

 私は、マイナンバーカード交付率の普通交付税への反映一般にとどまらず、カード交付率が上位三分の一に達している市町村についても、更にカード交付率が高い市町村ほど高い割増し率に算定する理由は何かと、これも重ねて聞きました。

 局長答弁は、最後の一行、これはあくまでも財政需要の適切な反映という観点で行うというものでございました。

 先ほどは的確、今度は適切と。どう違うんですか。そして、その中身を的確あるいは適切にお答えいただけますか。

原政府参考人 お答えいたします。

 まず、五百億円については、全ての市町村において基準財政需要額を増額するよう算定することを予定しております。

 それで、具体的にマイナンバーカードを使った事業ということでございますと、例えば、各種証明書のコンビニ交付サービス、それから行政手続のオンライン申請、それから書かない窓口、いわゆる申請書の自動作成支援など、こうしたもので住民サービスを向上させるための取組の財政需要があるというふうに調査でも出てきております。

 それで、そうしたことがございますが、私ども、いろいろと調査の中で分析をしましたところ、カードの交付率が高いところほど財政需要が大きくなるというような傾向も見られます。

 また、マイナンバーカードの交付率に比例する、例えば各種証明書のコンビニ交付サービスの軽減措置ですとか、あるいはいろいろと今言った、書かない窓口、これは、カードの交付が増えますと窓口の数が増えますので、そういった経費がかかる。比例する需要もある、そういったことを勘案して、基本的には全ての自治体に増やしますが、一定の、特に高いところは増やすということで、先ほども申し上げましたが、普通交付税の算定においては上位三分の一で切るという手法がありますので、上位三分の一を超えるところを割増しということにしたということでございます。

宮本(岳)委員 るるおっしゃいましたけれども、一つは、やればやるほど需要が高まる、つまりコストがかかっていく。こうなりますと、あっちもこっちも進めていくと基準財政需要が膨らんでいく、そういう理屈になるわけですよ。だから、効率化するんだという説明との関係もどうなるのかということですけれども。

 じゃ、少なくとも、昨年九月にやった調査結果、これから算定したという三百億とか二百億、中身が分かるように出していただけますか、追ってでいいですけれども。

原政府参考人 お答えいたします。

 そもそも、その調査は、優良事例を把握するということで調査をし、それから、自治体に対しては非公表を前提とした調査でございます。

 したがいまして、その公表の在り方については慎重に検討を要すると思いますが、どのような形で資料がお出しできるか、それは工夫をして、検討したいと思います。

宮本(岳)委員 当然のことだと思うんですね。私たち、私だけじゃない、何人もの、主に野党ですけれども、議員が聞いたのに対して、的確な計算をやった上でのことだと答弁されたわけですから、だから、どれほど的確かということを私たちも見極めなければならない。

 出し方は、それは検討していただいたらいいですけれども、国会が納得する形で出していただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 資料二を見ていただきたい。昨日、二月十五日付の朝日新聞大阪版の記事です。一昨日、二月の十四日に私はこの岡山県備前市の問題を取り上げましたけれども、その日に市長が行った会見の記事でございます。

 国の政策に呼応したものであって、強引な手法だとは思っていない、給食費を人質に取っていると指摘されたが、人質に取っていないと息巻いておられます。

 私が気になるのは、最後の市の担当者と呼ばれる人の言葉なんです。カードの普及で市の歳入が増えればこうした政策も続けやすくなると語ったと出ていますね。この担当者の説明は、先ほど来繰り返されている、需要が増えるから増えるという話とは全然違う。つまり、率が上がれば割増し率が増えて、御褒美にお金がいっぱい入る、そうやっていっぱい御褒美を取ったら、そのお金でまたサービスもできるでしょう、こう説明している。

 しかし、この割増し、五百億円の普通交付税の増額分というのは、カードの普及に伴って住民サービスを向上するための財政需要を的確に反映したものであって、御褒美だとか報奨金という性格ではないという御説明だったと思いますが、間違いないですね、原さん。

原政府参考人 お答えします。

 先ほど来、五百億の根拠あるいは割増しの根拠を御説明させていただきましたとおり、交付税の世界では、例えば今のデジタル経費も、事業所の増減ですとか高齢者の多寡とかそういうもので割増ししたり、むしろ減らすことまでやっておりますので、そういう意味では、今回は割増しだけに限っておりますので、あくまでも的確な財政需要の反映ということの財政措置ということでございます。

宮本(岳)委員 もう一度、原自治財政局長の答弁に戻りますけれども、この答弁というのは二つの中身を言っております。住民サービスを向上するため、一つはね。二つは、財政需要を的確に反映した、こういう話であります。

 この備前市がやろうとしている政策は、住民サービスを向上するためどころか、市民サービスの水準を切り下げて、そして、交付税さえ上がれば、報奨金のようにお金が入るので、そうなったら市民サービスもまたできるだろうという話であります。本末転倒だと言わなきゃならないと思うんですね。

 現場では、この前、四万三千筆と申し上げましたが、四万五千に達する住民の署名が広がっていると直近の情報でお伺いをいたしました。

 この備前市の政策のどこに住民サービス向上のための財政需要の的確な反映があるのか。報奨金ならともかく、自治財政局の説明が正しいのであれば、このような施策には交付税の増額の割増しの根拠が成り立たないと思います。

 大臣、自治体とも日頃から情報交換しながらやってきておりますと先ほど来答弁がございました。国が自治体に指示や命令ができないことは分かっております。しかし、誤解があるとか趣旨に違いがあるときには、誤解を解く必要があります。その考え方は違いますよ、報奨金じゃないですよ、住民サービスを向上させるための財政需要が的確に積み上がらなくては出せませんよと国から説明、伝達するのは当然じゃありませんか、大臣。

松本国務大臣 これまでも重ねて議論を積み重ねてきたであろうというふうに思いますが、これも既に委員、御理解をいただいておりますが、国と地方、対等で協力をする関係の中で、各自治体がお決めになる、お決めになられようとしていることに国がどのように関与するかということを踏まえて私も発言をさせていただいていると是非御理解をいただきたいというふうに思っております。

 そして、先ほども本委員会の議論でも申し上げましたが、各自治体の施策が差別につながるようなものであってはならないというのは、私どもの考え方でもあります。

 その上で、先ほど自治財政局長からも御答弁を申し上げましたが、今回のこの五百億円、各自治体にしっかり配らせていただくものと、一部、普及率を交付税に反映させるものとあるわけでありますけれども、これは財政需要を的確に反映をするというふうに申し上げてきております。

 これまで予算を作成、予算は翌年度というんでしょうか、この四月から始まるものの予算に自治体が、基準財政需要額ですから、必要となるであろうお金はこういうことであろう、そして、今デジタルを進めていく中ではデジタル化にもこれだけのお金を積んでやっていただくことになるだろうという、それをまさに、的確の的は的でありますから、数字を正確にということと違って、的確に財政需要を反映した交付税の額を、地方財政計画で基準財政需要額を積み上げて、そしてそれを交付税、地方の財源や国の負担金との合計で地方財政計画という形にしている中での交付税であるというふうに理解をいただきたいわけでありますが、これは地方の自主財源でありまして、交付税は、こういうことに使われると恐らく、ものを積み上げるとこれだけお金が要るだろうからこのお金を用意をするというのが交付税である。

 これは、釈迦に説法だというのはよく分かっておりますが、ですが、その使い道を我々が制限をかけるとか使途を指示をするというものではないということも御理解をいただきたいというふうに思っております。

 その上で、普通交付税算定の反映の趣旨について御指摘がありましたが、これは自治体に対してこれまでも説明に努めてきたと考えておりますけれども、引き続き丁寧に説明をいたしたいと思います。

 その上で、この趣旨として、今お話がありましたが、今回の交付率の普通交付税算定への反映は、政策誘導や報奨金や御褒美といった趣旨ではございません。

宮本(岳)委員 そうです、そのことをちゃんと伝えていただきたいと言っているわけですね。

 是非これは、市民の声も広がっております、議会でもこれから議論になるでしょう、しっかり市民の声も聞きながら、制度の趣旨ということを御理解いただきながら、私はこれはきっぱり改めるべきだというふうに考えております。

 さて、次に、地方公務員の長時間労働について聞きたいと思います。

 私は、二〇〇二年十一月、参議院議員時代に、地方公務員災害補償法審議の際に、和歌山県橋本市の辻田豊さんの過労自殺事案を取り上げました。過労とストレスで胃潰瘍を再発させているのに、休日出勤、残業も一月で百十六時間にも及んでおりました。二日欠勤の後、職場から出勤を促され、職場には行かず、自ら命を絶ったという痛ましい事案について、明らかに公務上の災害であるにもかかわらず、当初は公務災害認定すらされておりませんでした。

 私は、この事案を通じて、過労死、過労自死というものは、労災認定や公務災害認定がなされなければ、遺族は永遠に自分を責め続けなければならないということを痛切に学んだわけであります。

 そのことを如実に示すのが、辻田さんの息子さんが小学校一年生のときに作った「ぼくの夢」という詩であります。紹介したいと思います。

  大きくなったら ぼくは 博士になりたい

  そしてドラえもんに出てくるような

  タイムマシンを 作る

  ぼくは タイムマシンに乗って

  お父さんの死んでしまう 前の日に行く

  そして 仕事に 行ったらあかんて 言うんや

こういう詩なんですね。

 この詩に込められた小学校一年生の息子さんの思いは、なぜ止められなかったのだろうということですね。

 親や子、お連れ合いを過労死で失った遺族は、そばにいる自分が引き止められなかったから、愛情が足りなかったから愛する家族が亡くなってしまったのではないかと責め続けるわけであります。労災や公務災害に認定されて、自分のせいではなかったんだ、職場環境や労働条件のせいだったんだということになって初めて、その自責の念から解放されるわけですね。

 この辻田さんは公務災害認定されました。しかし、何一つよかったというわけにはいきません。仕事で親や子、お連れ合いを殺されて、補償金をもらっても、決して癒やされることはありません。もう一度生き返らせて返してほしい、もう二度と自分たちの家庭のような悲劇を繰り返さないでほしいというのが御遺族の思いだ、願いだと思います。

 まず、大臣、この話を聞いていただいて、こういった御遺族の思いは重く受け止めていただけると思うんですが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 おっしゃるように、どのような社会であっても、過労死等は本来あってはならないものだというふうに私も考えております。

 地方公務員につきましては、過労死等を防止し、職員の健康を確保することが極めて重要であることから、時間外勤務の上限規制や、健康確保措置の制度を厳格に運用することが必要であると考えております。

 総務省といたしましては、実態を把握しつつ、様々な機会を捉えて助言を行うとともに、先進事例の情報提供を行うなど、各地方公共団体における取組がしっかりと行われるように支援を行ってまいりたいと考えております。

 御議論いただいております本法案などにもありますが、自治体のDX、デジタルトランスフォーメーションも、住民の利便性向上のみならず、職員の事務負担軽減にもつながるものとして進めてまいりました。そのような効果もしっかり上がるように私どもとしてもしてまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 参議院で質問した二〇〇二年から二十年が経過して、過労死、過労自殺は根絶されたのか、それを生むような現状は一掃されたのかが問題であります。

 二〇一四年六月、全会一致で可決、成立し、同年十一月一日に施行された過労死等防止対策推進法に基づいて、二〇二一年七月三十日、過労死等の防止のための対策に関する大綱が定められております。

 これは公務員部長でいいです。この大綱では、六ページで地方公務員の公務災害の状況について指摘するとともに、十六ページで地方公務員について総務省から継続的な助言を行うよう求めております。何と書いてありますか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 その通知の中身というふうに認識をいたしましたのでそれをお答えしますが、総務省といたしましては、こういった過労死防止のための大綱等に基づきまして、地方公共団体に対しまして、勤務時間の適切な把握であるとか、勤務時間外の要因の整理、分析、検証などの制度を適切に運用して、時間外勤務縮減に向けた取組を図ってほしいといったことでありますとか、医師による面接指導の効果的な実施をしてほしいといったような制度の実効的な運用に向けた取組の推進、こういったものについて通知、助言してきたところでございます。

宮本(岳)委員 おおむねそういう文言が書かれております。

 これはもう確認するまでもないと思うんですが、大臣、当然、この指針、大綱について、守るということでよろしいですね。

松本国務大臣 この大綱、令和三年七月三十日に閣議決定をされているというふうに承知をしていますので、政府としては、この決定をされた大綱にのっとって施策を進めていくものと理解しております。

宮本(岳)委員 では、現在の地方公務員の勤務実態はどうか。

 資料三は、昨年末に総務省が公表した資料でありまして、地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果であります。

 上の表の青いところを見ていただきたい。令和三年、二〇二一年度で時間外勤務時間が月百時間以上となった地方公務員は〇・五%で六万八千百三十人。これは、前年度の〇・四%から一万八千三百七人も増加しております。四十五時間超百時間未満は五・一%で六十四万人。前年度の四・四%から大きく増加しております。これはもう明確に、過労死ラインを超える長時間労働が増加しているということなんですね。

 そもそも、過労死ラインを超えることなどあってはならないことではないか。総務省は、過労死ラインを超える事態が増えていることをどのように認識しているのか。まさか、増えても仕方がないと思ってはいないと思うんですが、公務員部長、いかがですか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員につきましては、御承知のとおりかと思いますが、その業務の性質上、公務のために臨時に必要がある場合でありますとか、災害その他避けることができない場合に、上限時間を超えた時間外勤務を命ずることが可能な制度となってございます。

 新型コロナウイルス感染症への対応などが求められる中で、やむを得ず上限時間を超えるような時間外勤務を命じざるを得ない、そういう場合もあるものと考えておりますが、このような場合についても、上限時間を超えるような時間外勤務を必要最小限にとどめるべく、時間外勤務の上限規制制度の実効的な運用が重要であると考えてございます。

宮本(岳)委員 いや、もちろんそういう必要がある、住民のために様々な必要があるということは分かった上で言っているんですけれども、まさか、だから地方公務員が過労死や過労自殺しても構わないというようなことはいささかも考えていないですね。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 もちろん、そのようなことは考えてございません。先ほど申し上げたことは、そういったことができるだけ少なくなるように、必要最小限になるように、いろいろな形での工夫、仕事上の工夫であるとか業務運営のやり方であるとか、様々な自治体に工夫をお願いをしたいという趣旨で申し上げたものでございます。

宮本(岳)委員 一時的になら仕方がないという認識が、この過労死という事態の背景にあるというふうに私は思うんですね。

 たとえ一時的であったとしても、過労死ラインを超える長時間労働は許されない、根絶しなければならない、こういう立場に立ち切ってこそ、悲劇を二度と生まないという立場になるんですね。しかし、実際には、一時的どころか月百時間を超えるような残業が繰り返されているのが現場の実態であります。

 さらに、この調査では一層深刻な状況が明らかになっております。

 時間外勤務が月百時間を超えたり、数か月の平均で八十時間を超えるなど、まさに命の危険がある職員に対しては、医師による面接指導が義務づけられております。しかし、この勤務条件等に関する調査結果の長時間勤務者に対する医師による面接指導の状況を見ると、医師による面談指導が行われなかった職員が七割、受けていない方が七割いるわけですね。

 その理由を聞くと、職員が業務多忙で面接時間を確保できなかったとか、職員に対し、面接指導を受けることを勧奨したが、職員の理解が得られなかった、これは御本人が嫌だと言った、こういう理由で、必須である医師の面談すら受けられていないわけですね。

 なぜ、こんな事態になっているのか。職場の業務が多忙なら、あるいは本人が嫌がったら地方公務員が過労死に至っても仕方がないなんという話はなかろうと思うんですが、公務員部長、いかがですか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 私どもも、今委員から御指摘がありましたような理由で本来実施されるべき面接指導が行われないというのは望ましくないと考えております。

 このために、総務省としても、全国の中でいろいろな工夫、例えば、事前に問診票を配るとか、オンライン会議システムを活用して面接時間を短くするとか、様々な工夫をしている事例もございますので、そういったことも地方団体に積極的に情報提供するなどして、できるだけそういった面接指導をしっかり行ってほしいというお願いをしている、そういうことでございます。

宮本(岳)委員 いや、工夫でいかないからこういう事態が起こっているんだと思うんですね。

 過労状態にある人は、自分の健康状態に気づかない、気づけないケースが多いです。まさか奴隷労働じゃあるまいし、痛いとか苦しいとか死にそうだと訴える職員を医者に行かさずにというようなことは、それはないんでしょうよ。そんなことは今日の日本ではないと思います。違うんです。元気そうにしていて、大丈夫かと聞いたら大丈夫ですと答えている、その職員が、突如、脳や心臓の疾病で命を落とすというのが過労死のよくある現実なんですね。

 だからこそ、月百時間とか数か月平均で八十時間超とかこういう外形的な基準を超えれば、本人が何と言おうが、元気そうに見えていようが、やはり医師の面談を、面接を受けさせなければならないというのが労働安全衛生の常識なんですね。それが、今おっしゃったような何か工夫で何ともならないから、受けることもできずにいるということなんですよ。

 自治体には安全管理義務があるはずです。当然、業務に優先して医師面接を受けてもらわなければなりません。本人の対応だけでなく、その職場でなぜこの状態が放置されているのか。総務省は実態を把握しているんですか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 個々の団体の個別の事情まで詳細に把握しているわけではございませんが、様々なヒアリング等の場でそういった実態については聞き取りをし、我々としても深刻に受け止め、様々な場でこういう医師面接等を行うようにお願いをしている、そういうことでございます。

宮本(岳)委員 当然、そういう形でつかむ中では、人員配置が足りていない、そういう実態にも気づいておられるんですね。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 もちろん、人員配置等を理由としている団体もあろうかと思いますが、そういった団体におかれては定員管理の中で、地方公共団体において適切に定員管理の中で対応されているというふうに思います。

 我々が伺っている中では、そういったことのほかに、例えば、残業時間でいえば、なかなか上司と部下の間のコミュニケーションがうまくいっていないとか、上司がきちんとした残業時間の管理ができていないとか、様々な理由も御指摘を受けておりますので、そういったことも含めて、全体として、勤務時間の縮減等についていろいろな形でのアドバイスを、助言をさせていただいているということでございます。

宮本(岳)委員 いや、適切に対応できていないからこんな事態が残されているんじゃないですか。適切なわけないじゃないですか。そうでしょう。

 総務省は、適正な配置と通知で述べておりますけれども、職場のやりくりで改善できるとの認識には大いに疑問があります。応援とか適正配置と言うけれども、労働実態を知らないのではないかと言わざるを得ません。

 とりわけ、私が直接生々しい話を聞いてきた保健所の現場などでは、深刻な実態があることはもうお分かりのはずです。例えば、他の部署から応援が入っても、結局保健師でなければできないコアな仕事はカバーできないとか、それをやってもらったとしても、結局もう一回保健師がチェックせざるを得ず二度手間になっただけとか、そういう実態もいっぱいありますよ。

 また、急遽増員しても、なかなかそう簡単な問題じゃないんです。

 私は、昨年入職した新人保健師の話を聞いてまいりました。

 本来の研修は全て省略、入職初日から保健所に配置された。第四波の真っただ中で、保健所はほとんど戦場のような状態で、先輩全員が電話対応中で、ほかに鳴っている電話を取れる職員もいなくて、コール音がずっと鳴り続けていた。取りあえず電話を取らなきゃと思って取ったら、物すごいけんまくで、何で電話を取らへんねんとどなられた。これが自分の仕事の第一日目だったと。朝出勤して、お昼を食べる時間もなく、気がついたら帰りの電車がなくなって、タクシーで帰って、それが六日連続。月の休みも一か月に三日ぐらいしかないこともあって、家族や友人に相談する時間も気力もない。気がついたらマンションのベランダに思わず足をかけていたという、聞くに堪えない、そんな話でありました。

 春に入職した新人ですから、それこそ大学卒、二十二歳の女性でありましたけれども、それでも保健所を辞めずに勤め続けてきたのは、助けてほしい、コロナが心配という声を毎日聞いて、介護とか育児もあるのに自分を犠牲にしながら走り続けている先輩を見ていると私も頑張らなきゃいけないと踏ん張っていると、本当に泣きながら、私の目の前で語られました。

 住民の命を守るべき自治体職員、保健師などが逆に、その職場体制等、労働条件のために命を絶つなどということは絶対にあってはならない。そういう認識はありますか、公務員部長。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 私どもも、そのようなことがあってはならないと考えております。

 保健師につきましては、委員から先ほど御指摘がありましたような他部署からの応援ということだけではなくて、定員の増員といったことについても、地方財政計画の中で措置人員を増やすなどの取組を行っておりまして、私どもとしても、保健所の業務改革、増員等については配慮をし、できる限りのことをしていきたいと考えてございます。

宮本(岳)委員 確かに保健所の現場、増やし始めた。私も、金子総務大臣のときに質問して、増やしますという答弁をいただいたのを覚えております。

 でも、本当に間尺に合っていない。今八波ですけれども、もう楽々になっているかといったら、そんなこと、全然なっていないわけですね。まあ、少しは増えていますから、このときよりは少し増えているというだけのことでありまして。

 それで、こういう実態の背景に何があるのかということをやはり指摘せざるを得ないわけですよ。

 自治体の職員は、通常も時間外がないわけではありませんが、しかし、一たび災害や新型コロナのような感染症の拡大などが起これば、尋常ではない長時間労働を強いられる。そもそも、職員の過重労働を引き起こす背景に、職員の数が足りていないという認識があるのかということなんですね。

 自治体が判断して定数削減してきたように言うんですけれども、あなた方が自治体に対して集中改革プランという形で自治体職員の定数削減を迫ってきたことは、紛れもない事実だと思います。

 これは公務員部長に改めて聞きますが、地方公共団体の集中改革プランにおける定数管理の状況、自治体にどのような目標を持たせ、結果、どのような削減が行われたのか、これは率も含めて答弁していただけますか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 平成十七年度からの五年間、国、地方を通じた効率的で質の高い行政の実現を図るという観点から、行革推進法などに基づきまして、各地方公共団体に対して、具体的な定員削減目標を設定した上で、集中改革プランによる取組を要請をしたところでございます。

 その際、骨太二〇〇六において、五年間で国家公務員の定員純減率が五・七%であることを踏まえて、これと同程度の定員純減を行うこととされたことを踏まえまして、各団体が定めた目標の平均は当時六・四%であり、最終的な削減実績は七・五%でございます。

宮本(岳)委員 今部長がおっしゃいましたね。国は五年間でマイナス五・七%というものでありました。国家公務員の削減目標と同程度の職員数の純減、こういう話を受けて、今言ったように六・四%という目標を持ち、更にその目標を一%上回る七・五%の減、こういうことになったんですね。

 しかし、国家公務員の方は、マイナス五・七%ですと言いましたが、結論はマイナス五・三で終わっているんですね。それは、幾らでも減らせるというものじゃないんですよ。私は、国家公務員を減らし足らぬと言っているんじゃないですよ。公的な仕事というのは守らなきゃならないことがあるんですよ。国だって、そう言いながら、何でもかんでも切ってしまえと言ったわけじゃないんですよ。だから、自分たちは、国の仕事はやはりちゃんと守るべきは守るということをやったので、五・七といったって、そこまでいっていないんですけれども、自治体の方は、そう言われて六・四と思ったら七・五まで削っちゃったから、いざ事が起こったらこんなことが起こるんじゃないですか。

 あなた方が減らし過ぎた。私はそう思いますけれども、その自覚はありますか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体の定員につきましては、各地方公共団体におきまして、行政の合理化、能率化を図るとともに、行政課題に的確に対応できるよう、地域の状況を踏まえて、適正な定員管理に努めていただく、こういう考え方でございます。

 当時、行革推進法に基づいて集中改革プランの策定を要請いたしましたけれども、これは、厳しい財政状況の中で公共サービスを提供していくためにも、簡素で効率的な行政の実現に向けて、各団体において取り組んでいただいたものでございます。

 各団体において大変な御努力をいただいたものと認識をしております。

宮本(岳)委員 大変な努力、それはしたんでしょう、その結果こういう事態になっているわけですね。そんなに人を減らせば、人が足りなくなり、長時間勤務が増えることは明らかです。

 名古屋市職員労働組合から届いた生々しい実態を紹介したい。

 名古屋では、市長部局において、年間一千時間を超えて残業を強いられた職員が五十八人発生、最長者は年間千七百三十八時間の超過勤務だと。ただ、これは申請ベースで、更に実態はもっと多いのではないかという報告が出ております。千七百三十八時間というこの超過勤務の規模は、二人分働いているという異常事態ですよ。一千時間に至らないとはいえ、年七百二十時間の超過勤務を強いられた職員が二百八十六人、月百時間を超えて超過勤務した職員が四百三十四名発生しているというレポートがあります。月百時間というのは、一か月で、先ほど申し上げた産業医の面接をしなきゃならないんですね。本当に完全に過労死水準を超えているんですよ。

 一方で、名古屋市は、二〇一四年から一六年度にかけて職員は三百人の減、二〇一七年から一九年度に百二十三名の減、そして、今なお定数削減を進めておりまして、二〇二〇から二二年に百六名の減というのが方針なんです。まだ減らしているんですよ。これは、長時間労働を前提とした定数削減にほかなりません。こんなことはあってはならないと私は思いますけれども、いかがですか、公務員部長。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 名古屋市の定員管理と申しますか超過勤務の実態については、私、個別には承知をしておりませんので細かいコメントはできませんけれども、もしそのような残業時間の実態があるとすれば、やはり業務の見直しであるとか、あるいは職員に対する残業時間の管理であるとか、要因分析をしっかりとした上で、その対応策を検討すべきものと考えております。

宮本(岳)委員 是非つかんでくださいね、実態を。

 これは、自治体の判断で済むような問題ではありません。

 もう時間がなくなりましたからまとめて聞きますが、資料四を見ていただきたい。地方公務員の長期病休者の状況についての、これは総務省提出資料であります。

 上のグラフによると、地方公務員の長期病休者数は二〇一三年頃から幾何級数的に増えておりますけれども、下のグラフの疾病分類別を見ると、何が増えているか、これはもう一目で分かることになっています。

 もう一つ、最後の資料五を見ていただきたい。これは、自治労連という労働組合が作った資料です。

 地方公務員が減らされる中で、それと見事に相関関係を見せて、メンタル疾患による長期休職者が増えております。地方公務員削減とメンタル疾患の激増の間には明確な相関関係があると私は思うんですが、公務員部長、いかがですか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 委員から提出のありました資料を拝見をさせていただきましたが、現時点、公務員数の推移とメンタル疾患による長期病休者の推移とに明確な相関関係があるかどうかについては、必ずしも判断できていないところでございます。

宮本(岳)委員 しかし、明確にXの形になっているじゃないですか。

 それなら、自らちゃんと調査をして、解決してくださいよ。相関関係がないのなら、一体何と相関関係があるのか、どうすれば減るのかということをやってもらわなきゃならない。自治体に過労死防止を呼びかけるのであれば、現状は人員が全く足りていないという認識に立てるかどうかが鍵を握っています。長時間労働の是正には、減らし過ぎた体制の改善が必要です。

 最後に、過労死で一人の地方公務員の命も奪わせないという総務大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。

松本国務大臣 委員がお示しいただいた資料にもありますように、ここ数年は、必要な人員を確保するという意味で、一般職員の職員数も含めて増としているところでありまして、令和五年度も、地方公共団体の一般職員の職員数が増加している実態などを勘案して、職員数全体で二千六百十八人の増としたところであります。

 ここ数年は、このグラフでも御覧いただけるように、少し職員の数が増えてきているわけでありますが、残念ながら、今お話がありましたように、メンタルで休む職員は、逆に、引き続き増加をしているということでありますので、私どもも必要な施策は展開をしなければいけないということで、今申しましたように、人員の増も、そういった観点も含めて、ここにもおいでですけれども、昨年来から金子前大臣の下で行われてきたものだと理解をしておりますが、冒頭申しましたように、どのような社会であっても過労死は本来あってはならないということは重ねて申し上げて、決意に代えさせていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 是非頑張ってください。

 終わります。

浮島委員長 次回は、来る二十一日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.