第10号 令和6年3月21日(木曜日)
令和六年三月二十一日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 古屋 範子君
理事 国光あやの君 理事 斎藤 洋明君
理事 田所 嘉徳君 理事 田中 良生君
理事 本田 太郎君 理事 湯原 俊二君
理事 吉川 元君 理事 中司 宏君
理事 中川 康洋君
井原 巧君 石田 真敏君
尾身 朝子君 金子 恭之君
金子 容三君 川崎ひでと君
坂井 学君 鈴木 英敬君
田畑 裕明君 寺田 稔君
中川 貴元君 西田 昭二君
西野 太亮君 根本 幸典君
葉梨 康弘君 長谷川淳二君
鳩山 二郎君 古川 直季君
保岡 宏武君 おおつき紅葉君
岡本あき子君 奥野総一郎君
神谷 裕君 中谷 一馬君
福田 昭夫君 藤岡 隆雄君
道下 大樹君 阿部 司君
漆間 譲司君 中嶋 秀樹君
吉田とも代君 平林 晃君
宮本 岳志君 西岡 秀子君
吉川 赳君
…………………………………
総務大臣 松本 剛明君
内閣府副大臣 工藤 彰三君
総務副大臣 渡辺 孝一君
総務大臣政務官 西田 昭二君
総務大臣政務官 長谷川淳二君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 平井 康夫君
政府参考人
(総務省情報流通行政局長) 小笠原陽一君
参考人
(日本放送協会経営委員会委員長) 古賀 信行君
参考人
(日本放送協会会長) 稲葉 延雄君
参考人
(日本放送協会専務理事) 小池 英夫君
参考人
(日本放送協会専務理事) 竹村 範之君
参考人
(日本放送協会専務理事) 山名 啓雄君
参考人
(日本放送協会理事) 根本 拓也君
総務委員会専門員 阿部 哲也君
―――――――――――――
委員の異動
三月十五日
辞任 補欠選任
島尻安伊子君 鳩山 二郎君
同月二十一日
辞任 補欠選任
西野 太亮君 鈴木 英敬君
葉梨 康弘君 金子 容三君
奥野総一郎君 神谷 裕君
道下 大樹君 中谷 一馬君
中司 宏君 漆間 譲司君
同日
辞任 補欠選任
金子 容三君 葉梨 康弘君
鈴木 英敬君 西野 太亮君
神谷 裕君 奥野総一郎君
中谷 一馬君 道下 大樹君
漆間 譲司君 中司 宏君
同日
理事国光あやの君同日理事辞任につき、その補欠として本田太郎君が理事に当選した。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)
――――◇―――――
○古屋委員長 これより会議を開きます。
理事の辞任についてお諮りいたします。
理事国光あやのさんから、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、理事に本田太郎さんを指名いたします。
――――◇―――――
○古屋委員長 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官平井康夫さん及び総務省情報流通行政局長小笠原陽一さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○古屋委員長 この際、日本放送協会経営委員会委員長古賀信行さんから発言を求められておりますので、これを許します。古賀経営委員会委員長。
○古賀参考人 委員長、理事、そして委員の皆様、十九日は経営委員長に就任する前から決まっておりました案件があり、やむを得ず調整いただけないかと話したことが混乱を招き、御審議の進行に影響を与えたことにつきまして、心からおわび申し上げます。
今後は、日程管理をしっかりと行い、経営委員長としての職責を果たしてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉川元さん。
○吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。
質問に入る前に、先ほど古賀経営委員長の方からお話がございました。私も、総務委員会の場で何度もNHK予算の審議を行ってまいりました。ただ、私から見れば経営委員長の個人的な都合でNHK予算の審議のための委員会が前の日のお昼過ぎに開かないことが決まるというのは、私自身も初めての経験ですし、恐らく前代未聞なんじゃないかというふうにも思っております。
そもそもNHKというのは公共放送として放送法十六条で法人格が与えられておりますけれども、この法人格というのは、社団法人でも財団法人でもなければ会社でもない、特殊法人ですけれども、ただ、国の出資はなくて、民間の事業が公共的な機関として成っているというのがNHKであります。さらに、放送法第一条にある表現の自由の確保と健全な民主主義の発達に資するようにするため、そして十五条、日本放送協会の目的の部分で公共の福祉のためにあまねく日本全国において受信できるようにするため特殊な法人格が与えられている、普通の会社ではないということを重々御自覚いただきたいというふうに思います。
そして、何よりNHKは受信料で成り立っております。これは通常の負担金と違って非常に特殊な負担金でありまして、受益の程度を限度としない、そういう意味でいうと、通常の受益者負担の原則とも少し違う、そういう負担金で成り立っているということであります。
ただ、今言ったとおり、法人の性格、それから受信料で成り立っている、これは非常に特殊なものでありまして、なおかつ報道機関であるということで、そういう意味でいうと、国営放送ではない、公共放送である、そういう特殊な法人であるがゆえに、一方で一定の関与も必要だということで、経営委員会というものが設けられ、国会の同意人事にもなっております。これが経営委員会が存在する大きな理由だというふうに私は思います。
そういう点でいいますと、今回の十九日のことについては大変私は残念な思いでいっぱいでありますし、こうしたことがないように、公共放送を担うNHKの経営委員長としてしっかり自覚を持っていただいて、職責を是非きちんと果たしていただきたいというふうに思っておりますし、私もその点については今後も注視をしていきたいというふうに思っております。
質問に入るんですが、まず経営委員長に伺いたいというふうに思います。
かつて、かんぽ生命保険の不正販売の報道をめぐって、当時のNHK会長に対して厳重注意が行われて、その経緯についても本委員会で、私も質問いたしましたが、随分議論となりました。
内容については詳しく触れませんけれども、問題点は二つあったと思います。一つは、非公開で行われた三回の経営委員会で、当時の経営委員長と委員長代行が主導する形で放送法に抵触しかねない個別番組の編集内容に干渉する発言が繰り返されていたこと、そしてもう一つは、先週木曜日に行われた委員会でも少し話題になりましたけれども、議事録の全面開示を長きにわたって拒んでまいりました。この問題について、改めて、どのような認識をお持ちなのか、お答えください。
○古賀参考人 経営委員会といたしましては、ガバナンスの観点からの指摘というふうにいたしております。ただ、過去の番組に関する意見あるいは感想が出たことで、番組編成に介入したのではないか、こういう疑念が持たれたことにつきましては経営委員会が当時も深く反省しているというふうに認識しております。あってはならないことでありますから、これはきっちりやってまいりたい、このように思っております。
それから、御質問にありました議事録でありますけれども、議事録については、法が定める経営委員会の様子をきちっと書けということでございますから、その趣旨にのっとってきちんとやっていくにはどうしたらいいか、これをもう一回、再精査してきちんとした形を確立していかなければいけない、このように私は考えております。
以上でございます。
○吉川(元)委員 先般の委員会の場で、情報開示の在り方について委員長の方から、全てをつまびらかにすればそれが分かったようなふうに見えますが、変な展開になることもある、こういう答弁、私、この答弁を聞いていて非常に不安を感じているんですよね。
つまり、都合の悪いこと、明らかになったらいろいろ問題のあるようなこと、まさに、かんぽのときには誰がどう見ても個別の番組に対する介入以外の何物でもなかったと私自身は思っておりますが、先般の委員長の答弁を聞いていると、また同じようなことになるのではないかと。明らかにしたら問題になるよね、だからこれは隠しておこう、こういうことは絶対あってはならない。先ほども言ったとおり、NHKの特殊性ということを踏まえた上で、なぜ議事録は全面公開されていくのかということも含めて、これからきちんと対応していただきたいというふうに思います。
今日はNHK予算ですので、また別の機会にこの点については質問させていただきたいというふうに思います。
それでは、次に……
○古屋委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○古屋委員長 速記を起こしてください。
吉川元さん。
○吉川(元)委員 今、大きな地震があって、質疑が中断いたしました。政府の方はしっかりと、情報収集等何か必要なことがあれば直ちに対応できるように、是非大臣にはよろしくお願いをしたいというふうに思っております。
それでは、質問の方に戻りたいと思います。まず、総務大臣に伺いたいんですけれども。
NHK予算が上がると恒例の意見が付されるわけですが、見ていると、だんだんだんだん量が増えているんじゃないのかというような気がしないでもありません。私がいただいたものはA4判五ページで、取り上げている項目も多岐にわたっていて、作るのも大変だなというふうには思うんですが、ただ、非常に細かなところまで書かれているような気がしてなりません。先ほど少しNHKの性格についてお話しさせていただきましたが、報道機関であるということも含めて行政による関与は必要最小限度にとどめられるべきものだと私自身は思っておりますが、こんなに細かく意見する必要があるのかなというのは率直な印象です。
その中で、大臣は、受信料の値下げを評価しつつ更なる経費削減を求めております。これから三か年、これまでに例のない大規模な事業支出のカットが求められる中で、それを上回るといいますか更なる合理化を求める、その上でなお、他方においては国内放送番組の充実、公共放送の機能の強靱化を求めている、これが大臣意見になっております。
率直に言わせていただいて、とにかく経費は減らせ、番組は充実させろ、これで果たしてやっていけるんだろうか。もちろん無駄なものをなくしていくのは必要なことであると思いますけれども、これではまるで戦前の、足らぬ足らぬは工夫が足らぬというような中身なんじゃないのかというふうにも思うんですが、大臣の考えをお聞かせください。
○松本国務大臣 まず、ただいまの地震に対しまして、私ども総務省としても、情報収集等、対応に全力を挙げるように今も連絡したところでございます。
また、NHKの独立性ということは、先ほど委員がおっしゃったとおり、放送法一条の放送の不偏不党、真実及び自律の保障ということもございますし、NHK自身も受信料をその財源とすることによって財政面で国家機関等からの独立性が担保されていると思いますが、同時に、国民・視聴者に受信料を広く負担いただいていることに鑑み、NHKの予算の国会承認や受信規約等に関する総務大臣の認可等の仕組みが設けられているという理解で進めさせていただいております。
委員御質問の件でございますが、総務大臣意見で事業経費の一層の合理化、効率化に取り組むと述べておるところでございますが、これは、今回の予算が事業収支差金五百七十億円の赤字等に対して還元目的積立金の活用により対応するものであることを踏まえ、受信料収入と事業規模との均衡を早期に確保するために、NHKによる今後の事業支出の改革をお願いしているものでございます。
一般的に、経営や組織の運営において最小の経費で最大の効果を追求することは基本的な原則であると理解しております。
特に、NHKにおかれては事業運営の財源としての受信料を国民・視聴者に広く負担いただいていることに鑑み、NHKがコスト意識を持って不断の見直しを行い、その経営に取り組んでいただくことが必要と考えております。
NHKの中期経営計画においても、事業支出の削減に取り組むとともに放送番組におけるコンテンツの質と量を確保し、公共的価値を実現することとされておりますので、総務省といたしましては、この計画を着実に実行していただければと考えておるところでございます。
○吉川(元)委員 その脈絡の中で適正な給与水準という言葉も使われているんですが、つまり、大臣は、NHKの職員の給与は高過ぎる、そういう考えでいらっしゃるんでしょうか。
○松本国務大臣 適正な事業規模ということでございます。
NHK令和六年度予算に付した大臣意見におきまして、適正な給与水準の確保等について取組を着実かつ徹底的に進めることのほか、協会内外においてコンテンツ制作に係る人材を確保するため適切な対価の設定等を求めているところでございます。
御指摘の適正な給与水準ということですが、稲葉会長が先日の本委員会で述べられたとおり、経済社会の情勢、景気動向、消費者物価動向、マスコミ各社、国家公務員等の動向や、NHK自身の生産性の向上といったことなどをよく見極められた上で、NHKにおいて検討を進め、決められていくものと承知しております。
給与水準の決定に当たっては、その財源が受信料によって賄われていることを踏まえていただくとともに、放送法の規定に基づく支給基準の公表等を通じて国民・視聴者の理解を十分に得ていただくことが大切であるというふうに考えているところでございます。
○吉川(元)委員 会長の方にお尋ねしたいんですが、十四日の委員会で会長の方から、給与水準は維持するということに加えて、ベアについてはまさに今大臣が答弁されたようなお話がされたわけです。
実は、昨年の四月十四日だったと思いますが、経営委員会でベアをどうするのかという話になった際に、ベアの実施は困難と担当理事の方から回答があったというふうに議事録を見ると残っております。それに対して、発言したほぼ全ての経営委員からは、ベアを検討、実施すべきではないか、ニュアンスはいろいろあるにしても、おおむねそういう意見が出されておりました。それに対して当時の担当理事が、今後も引き続きベアについて研究するというお話でした。去年の四月に、ベアについて研究すると。
去年もそうでしたが、民間では今年は昨年以上の賃上げが進んでいるという報道もされております。研究した結果検討することになったのか、それじゃ余りにもおかしいんじゃないのか。私自身はベアできちんと応えていくべきだというふうに考えますが、いかがですか。
○稲葉参考人 御指摘のとおり、昨年の段階で、NHKのベアに関しましては様々な点で研究をしていかなきゃいけないなというふうに感じておりまして、その作業に取りかかってきております。
引き続き検討を続けているんですけれども、昨今の経済情勢、社会状況、景気の動向とか、消費者物価指数の動向、同業マスコミ各社の動向、あるいは国家公務員の動き、さらにはNHK自身の生産性向上の状況等をよく見定めながら、その給与の在り方というのは検討していかなきゃいけないというふうに思っておりますが、今後はいよいよ組合員の皆さんともよくお話をして決めていくという考えでおります。
○吉川(元)委員 もちろん賃上げについては労使自治という原則があって、私もしっかりと議論していただきたいというふうに思いますが、やはり今の社会情勢を見ていただくと、先ほども少し触れましたけれども、民間の春闘の結果を見ますと五%を超えるような賃上げが行われている、総理もコストカット型経済からの転換だというような話もされております、そうした社会情勢もしっかりと踏まえた上で、前向きな対応を是非よろしくお願いしたいというふうに思います。
あともう一点、これに関係してなんですが、先週の委員会でも、改革に当たっては人件費に影響を及ぼさないというような趣旨の御回答があったというふうに思いますけれども、同じことは子会社あるいは関連会社についても言えるのかということについて御答弁をお願いします。
○稲葉参考人 NHKとしては、中期経営計画で一千億円規模の支出削減を行うという方針でございます。したがって、関連団体への業務委託も縮減するということは見込まれております。
このため、関連団体各社は、今後の売上げ減を見込んで業務の集約や体制のスリム化など固定費の削減を行う一方で、コンテンツの活用による展開事業などに取り組んでいるということでございます。
関連団体職員の処遇でございますが、原則として各社で定めるものでございますが、業務を高い水準で行っていくためにも、やはり現在の給与水準はしっかり実質的に維持するということが必要だと考えてございます。今後の経済情勢や社会情勢、先ほど申しましたようなポイント、全く同じですけれども、それらをよく見定めながら各社で検討してもらいたいというふうに考えております。
○吉川(元)委員 この後、他の委員からも質問があると思うんですけれども、NHKと関連会社の関係というのは、中小企業庁では余りよい評価をされていないのではないのかな。そういう点も踏まえて、しっかりと価格交渉を含めて前向きに誠実に対応していただきたいというふうに思います。
次に、ちょっと質問の順番を変えますので、現在の経営計画期間中、NHKは経営環境アクションプランを出して、二〇二五年度末までにNHK全体の二五%に相当するCO2の削減をするということを目標として掲げております。ところが、新たな経営計画ではこうした記述が、私の見落としかも分からないんですが、ないように感じております。今後の脱炭素化の具体化を会長はどのようにお考えなのか、お聞かせください。
○稲葉参考人 次期中期経営計画では、コンテンツ戦略の中に、民主主義の一翼を担い、平和で持続可能な世界の構築に貢献するというふうに明記してございます。多様なコンテンツを通じて、SDGs、脱炭素など世界的な課題の解決、持続可能な社会の実現を目指すべく、人々の行動変容につながるような放送・サービスをお届けしていくという方針でございます。
また、持続可能な社会の実現に貢献していくために、二〇二四年度からの新しい目標として、二〇五〇年までのカーボンニュートラルの実現を目指すということとしてございまして、二〇三〇年度末までの五〇%削減を経営決定してございます。
これらの新たな削減目標達成に向けて、照明のLED化とか、省エネ型設備、電気自動車の導入といったようなことから使用エネルギーの削減を進めていきたいというふうに思っております。
CO2削減の目標は、単なる数値目標と捉えるのではなくて、働き方やコンテンツの作り方を見直す契機と捉え、NHKグループ全体を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○吉川(元)委員 現在の経営計画の中の環境経営アクションプラン、ここでは、建設中の新放送センターやこれから建て替える全国の新たな放送局などは太陽光発電を積極的に取り入れるというふうにあります。
渋谷の新放送センター、新しくなった場合に太陽光パネルの発電量はどう変わるのか、現在と比べてどうなのかということと、あわせて、埼玉県川口市に新たなテレビスタジオの施設建設が計画をされていると聞いておりますが、ここに太陽光パネルの設置計画はあるのでしょうか。
○根本参考人 お答えいたします。
放送センター建て替えでは、太陽光パネルの設置や建物の照明、空調などの省エネルギー性能向上を図るなどCO2排出量の削減を推進するほか、建物の屋上緑化や植栽など敷地内の緑化を進める方針でございます。
現在、第二期以降の建て替え計画を検討しておりまして、太陽光発電の容量は決まっておりませんが、今後、様々な環境への配慮と併せまして検討してまいります。
また、埼玉県川口市内で建設中の川口施設、仮称でございますけれども、ここにも屋上に発電容量四百キロワット相当の太陽光パネルを設置する予定でございます。
○吉川(元)委員 現在、渋谷の放送センターには太陽光パネルはあるんですよね。
○根本参考人 現在のセンターには設置してございます。
○吉川(元)委員 その容量が幾らで、新たに建設される新放送センターの容量はどの程度なのかというのをちょっと教えてくださいという質問です。
○根本参考人 まず、現行でございますけれども、ちょっと数字がはっきりしませんが、第二期以降の工事につきまして今検討していますので、新しいセンターについては、現在容量は決まっていませんけれども、いずれにしても太陽光パネル等々の設置は検討してまいる方針でございます。
○吉川(元)委員 いや、ちゃんと質問通告していますので、調べて答弁していただかないと質疑ができなくなってしまいます。
素人目に見ると、新放送センターというのは、簡単に言うと細長く、縦に長くなるという言い方がいいのかどうか分かりませんが、なる関係で、屋上が今よりも狭くなるんじゃないのかと。当然、屋上に設置するとなれば、パネルを設置する面積が減れば、その分、容量も減るんじゃないのかというふうに思いますが、そういう理解でよろしいですか。
○根本参考人 面積自体も含めて第二期以降の工事を今検討しておりますので、それを含めましてしっかりと対応したいと思っております。
それから、最新の技術も含めて様々な形での環境対応を進めていきたいというふうに考えてございます。
○吉川(元)委員 もちろん太陽光以外にも様々な環境への配慮というのは当然やっていただかなければいけないんですが、事太陽光に限ってどうなるのかということについて、今後検討ということではありますけれども、現在のものから減るのであれば、それをきちんとほかのところで代替できるような形でやっていくというのが、NHKは番組の中でもSDGsだとか脱炭素化について問題意識を持っていろいろなものを報じられておりますけれども、まさに隗より始めよではありませんが、NHK自身がきちんと脱炭素に向けた取組をしっかりやっていただきたいというふうに思います。
次に、NHKは未来へ十七アクションというサイトを作っているんですけれども、見ますと結構中身があって、非常にいいサイトだというふうに思っているんですが、これがどうやら閉鎖されるというふうにサイトを見ますと出ておりまして、何で閉鎖するのかな。理由、それから今後の情報発信をどうしていくのかということについてお聞かせください。
○山名参考人 お答えいたします。
御指摘の二〇二一年一月にスタートしましたキャンペーン、未来へ十七アクションは、持続可能で多様性のある社会の実現を目指し、SDGsの十七の目標を実践するきっかけづくりに取り組んできました。そのウェブサイトの主な役割は、NHKでSDGsを取り上げた番組などを紹介して、認知度を向上させることにありました。キャンペーンがスタートして三年がたちまして、社会への理解浸透に一定の役割を果たしたというふうに考えまして、三月末でキャンペーンを終了し、ウェブサイトを閉鎖することといたしました。
一方で、国連がSDGs達成のために設立しましたSDGメディア・コンパクトに報道機関として参加を続けておりまして、今後も番組などで積極的に取り上げてまいります。
また、NHKのSDGsに関する動きに関しましては、経営広報のホームページで引き続きお伝えしていくつもりでございます。
○吉川(元)委員 一定の役割を果たして終えるということなんですけれども、私はまだ役割はあると思うんですよね。内容を見ましても非常に充実した中身でありますし、今後も情報発信を続けるということであれば、きちんと同じようなものが提供できるように是非検討をお願いしたいというふうに思います。
時間が参りましたので、これで質問を終わります。
○古屋委員長 次に、岡本あき子さん。
○岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございました。
先ほど大きな地震がありました。栃木、埼玉という報道も流れております。委員会中でも必要な対応等がありましたら、御判断の上、対応いただければと思います。政府、NHKさんには最初に申し上げさせていただきます。
能登半島地震から八十日、また、先週三月十一日は東日本大震災から十三年となりました。改めて犠牲になった方に哀悼の意を、これからも被災者に寄り添った支援と次の時代につながる復興を望むものです。
私は宮城県の出身です。三月十一日には、立憲民主党の泉健太代表と一緒に宮城県内の復興の状況と地元の方の意見を伺わせていただきました。その際、NHK仙台放送局の定禅寺メディアステーションにも寄らせていただきました。
ここは、十三年前の三月十一日、東日本大震災発災直前からNHKで報道していた内容、ちょうど国会では予算委員会の中継が行われておりましたが、その状況から被災地の映像に変わっていく七十二時間をずっと確認できる、そういうコーナーがございます。記録の資料や、VR体験もできます。会長を始めNHKの皆様は当然このステーションがあるということを御存じだと思いますが、是非ここにいる総務委員の皆さんにも、仙台にお越しいただいて、このコーナーを確認していただければと思っています。
当時、カメラを止めずに映像を撮り続けてくださったカメラマンの勇気と使命感にも敬意を表したいと思います。
さて、私自身は当時、仙台におりまして、停電しておりましたので、リアルタイムに映像を見ることはできませんでした。そして、ラジオが唯一の情報入手手段でした。真っ暗な中、NHKラジオの、当時、仙台放送局の杉尾宗紀アナウンサーがメインでほぼずっと情報を提供してくださり、落ち着いた声で励ましてくださった記憶が今でも残っております。当事者に必要な情報、正しい情報が届くということの大切さを身をもって感じております。
さて、話題は変わり、質問に移りますが、北朝鮮による日本人拉致問題について伺いたいと思います。
NHKで、今なお北朝鮮にとらわれている日本人当事者に必要な情報を届ける手段として、「しおかぜ」というラジオ放送で、拉致被害者の御家族、友人からのメッセージ、あるいは拉致被害者の名前の読み上げなどを放送しています。拉致被害者がラジオを聞きやすい時間帯ということも考慮して、深夜帯に日本の情報をお届けしています。特定失踪者問題調査会が番組を作り、KDDI所有の八俣送信所からNHKが送信してくださっています。妨害電波にも遭っており、二波体制で送信し、周波数を変える努力、あるいは被害者にちゃんと情報が届くための努力を日々されていらっしゃいます。
資料一を御覧いただきたいと思います。議連に要望が上がっております。資料一の一ですが、宮城の特定失踪者問題調査会代表の荒木さん、それから特定失踪者家族会会長のお名前で、拉致議連の会長に要望がございます。二月十三日に救う会宮城の皆様が、九千五百四十五筆分の署名簿と一緒に提出されました。被害者や御家族だけでなく、支援している団体の皆様も年齢を重ねてきており、早期解決が切に望まれています。
要望の中の一番に、「二波態勢維持ができるようにするため送信機の更新を行うこと。」という要望が入っております。
これは「しおかぜ」を放送している送信設備でございます。短波放送ラジオ「しおかぜ」の送信設備について、NHKの経営計画の中で、送信設備の老朽化に伴い設備を移設する計画が入っています。移設のために十か月ほど二波体制の二重放送ができなくなると伺いました。合理化、効率化が目的という意味で、もし二重放送ができないということであれば、私は論外だと思います。先ほど申し上げましたとおり、妨害電波が出され、支障があるから二波で送っている、しかも、一波を妨害されたときはもう一つ、あるいはその間に周波数を変えて、日夜こういう努力をしていらっしゃいます。
先日の予算委員会において官房長官が答えていますが、妨害を避けるために二波ではなく一波になってしまう「しおかぜ」の免許人であり設備を賃借している特定失踪者問題調査会、それからNHKさん、そして施設所有のKDDIさん、三者間で設備移行に向けた協議を尽くしていただくと。三月中に協議をすると官房長官は答えています。
その後、この三者で具体的な協議がどのように行われたのか、それから、今申し上げましたとおり、二波体制というのが十か月間といえども一波になってしまう、こういう状況というのは解決できるのか、NHKにお答えいただきたいと思います。
○根本参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、二〇二四年度後半からでありますけれども、最大十か月間の想定で、老朽化が進んでおります百キロワット機二機からの送信設備の移行作業が行われる予定でございます。
この作業中は最大十か月間「しおかぜ」は一波での送信となる見通しでありますが、百キロワットの送信機は既に運用開始から四十年近くが経過しておりまして、今後も「しおかぜ」を安定的に継続していくためにも必要な作業だというふうに考えてございます。作業終了後は、業務に支障がないことなどを条件に、二波同時放送の確保につきまして、調査会の御懸念も踏まえ、安定的な継続を検討してまいりたいと考えてございます。
調査会に対しましては、こうした点につきまして、調査会、KDDI、NHKの三者による協議の場におきまして以前より説明しておりまして、先日も覚書の延長に向けた三者協議を行いましたが、その中で、調査会の検討に資するように、工事について現時点の情報をお伝えしたところでございます。
今後とも、調査会に対しましては、調査会、KDDI、NHKの三者による協議の場におきまして丁寧な説明を行ってまいりたいと思います。
○岡本(あ)委員 丁寧な説明ではなくて、一波になるということのリスクに対する解決策ということは話し合われたのかどうか。
更新するなとは言っておりません。更新した先に安定した送信設備で二波体制で送るということはもちろんお答えとして受け止めますし、当然だと思うんですが、やはり移行する間は一波になってしまう、この間に、妨害電波とか、妨害が行われる可能性がある。NHKさんの経営計画の中には、災害時になくてはならない命綱に放送がなるんだというのを六つの柱の一番上に書いているんですね。私は、北朝鮮の拉致問題、日常ではないんです、非常時なんだという事態が続いているということでいきますと、なくてはならない命綱なんだというところをしっかり受け止めていただきたいと思います。
同じく、経営計画を拝見しますと、国際放送では、分断、民主主義の危機が進む中、国際発信を再強化し、日本の視座を発信するんだとおっしゃっております。今回の「しおかぜ」の発信、番組の中身自体に私たちは介入はいたしませんけれども、拉致被害者にしっかり届くんだ、この保証をするということは経営計画と合致しているんじゃないかと思うんですが、もう一度お答えいただけますでしょうか。
○根本参考人 お答えいたします。
御指摘の件でありますけれども、最大十か月間「しおかぜ」は一波での送信となる見通しでございますが、この百キロワット機でありますけれども、四十年近くが既に経過してございます。ですので、今後も「しおかぜ」を安定的に継続していくためにもこの作業は必要であるというふうに考えてございます。作業終了後は、業務に支障がないこと等を条件に、二波同時放送の確保につきまして、調査会の御懸念も踏まえ、安定的な継続を検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○岡本(あ)委員 かみ合っておりません。
更新後は安定するということは、もちろん了解をしております。私は、更新作業時に一波になるということは問題ないということなのかというところは指摘させていただきます。この間、昨年からもずっと各委員が質問しておりますし、予算委員会あるいは泉健太代表の代表質問でも触れております。
今年は、私は、特に、この拉致問題、重要な時期だと思っています。被害者、御家族も年齢を重ねています、待ったなしの状況なんです。この中での十か月間というのは決して短い期間ではないと思います。番組が当事者に届かないことが一番の問題なんです。日本がラジオ放送を軽んじている、あるいはラジオを聞けない状況が起こり得ることを日本政府が容認するということはあってはならないと思います。
これは内閣府にもお聞きしたいと思いますが、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題ですし、岸田内閣の最優先課題、最重要課題という言葉に行動が伴っていないと受け取られてしまいます。これは日本にとっても非常に後ろ向きになってしまうと捉えられてしまいます。改めて、拉致問題の対策として被害者に必要な情報を途切れることなく妨害にも負けず届けるんだという意思を示していただきたいと思います。いかがでしょうか。
○工藤副大臣 岡本委員にお答え申し上げます。
今やり取りを聞かせていただいた中で、まず答弁させていただきます。
北朝鮮への情報伝達手段が限られている中で、拉致被害者等の日本人、北朝鮮市民や北朝鮮当局に対し、日本政府や日本国民、さらには国際社会からのメッセージを伝達する手段として北朝鮮向けラジオ放送は極めて効果的であると考えております。先生が言わんとすることはよく分かっております。
このような観点から、日本政府といたしましては、自ら、北朝鮮向けラジオ放送「ふるさとの風」日本語版及び「日本の風」朝鮮語を運営し、毎日約五時間ラジオ放送を行い、北朝鮮内への情報発信を精力的に行っているところでございます。
その上で、政府といたしましては、特定失踪者問題調査会との業務委託契約を通じ、「しおかぜ」の番組の中でも「ふるさとの風」の放送を行うなど、調査会との連携も行ってきておりまして、今後とも「しおかぜ」が安定的に運用されるよう引き続き関係者の協議を注視したいのでありますが、今まさに岡本委員がおっしゃったとおりでありまして、私も、副大臣に就任してから拉致問題の会、県民大会、そして横田めぐみさんの実家等を訪問させていただいて、この問題は国を挙げて、岸田内閣を挙げての問題ということは重々承知しております。そして、この十か月というのは、まさにおっしゃるとおりで非常に長いのではないかということでありますので、言葉では注視となっておりますけれども、全力を挙げてこの三者協議で何とか、できれば早く短縮して、そのまま発信を続けていただきたい、そんなふうに思う次第であります。
また、もう一つでありますけれども、昨日がサリンの問題から二十九年ということがありました。絶対的にこの問題は風化させてはいけない、助け出すんだ、見つけ出すんだ、そういう思いを持って私も職務に当たっておりますので、御理解を賜りたいと思います。
○岡本(あ)委員 姿勢は理解をいたします。ただ、十か月間、一波になって、もしかしたら妨害されるかもしれない、結果として拉致被害者に電波が届かない、聞くことができないということが一番問題なんだというところの指摘、それから、短期間といえども、十か月は私は短期間とは思いませんよ、十か月を短縮したといえども一波でもいいんだ、日本がそういう姿勢なんだと思われるリスクもあるんだということも踏まえて、是非解決策を見出していただきたいと思います。
ちょっと私からすると皆さんが、法律上の制約があることも重々承知をしております、なので、触らないというような方向に見えてしようがないというのが非常に残念であります。これからもしっかり注視をしますし、必要があればどんどん声を出していきたいと思います。
それでは、次に、NHKの経営について伺います。
資料二の一、二を御覧ください。放送業界の価格交渉、価格転嫁への姿勢について伺います。
経済産業省では中小企業庁で齋藤大臣自ら動画を配信して、この三月は賃上げ原資の確保に向けた価格転嫁のための交渉が本格化する極めて重要な時期です、発注企業、受注企業の皆さん、賃上げ実現が重要な今こそサプライチェーン全体で積極的に価格交渉、価格転嫁を行いましょうと呼びかけております。昨年調査をして、今年の一月に中小企業庁が価格交渉促進月間のフォローアップ調査結果を公表いたしました。
資料二の一、黄色のマーカーをつけておりますが、日本放送協会が載っております。価格交渉の回答状況がウ、価格転嫁の回答状況がウとなっています。資料二の二を見ていただければ、受注側の方にヒアリングをしている回答結果ですけれども、ア、イ、ウ、エの四段階で評価をしております。アが七点以上。エはゼロ点、論外という感じですけれども。なので、資料二の一、二百二十社のうちの、一ページなので全部の企業を載せておりませんけれども、要はウが非常に厳しいという評価なんです、受注側からすると。日本放送協会さんは、価格交渉、価格転嫁、両方厳しいという、ウという評価になっております。
もう一つめくっていただきますと、資料三ですね、業種別に見ますと放送コンテンツ。NHKさんも民放も含めてですが、放送業界は放送コンテンツ業種に入っておりますけれども、業種でいきますと、二十七業種のうち価格交渉は二十四位、それから価格転嫁は二十六位という非常に不名誉な状況です。交渉は行われたけれども転嫁ができなかったという割合が二六・九%です。昨年は、特に、放送コンテンツ業界とトラック業界、この二業種に価格交渉、転嫁に協力するよう要請も出されております。
NHKの会長として、この間、原因をどう受け止めて、改善の努力をどうされているのか、伺いたいと思います。
○稲葉参考人 お答えします。
中小企業庁が実施した調査では、NHKも価格交渉、価格転嫁の二点におきまして取引がある委託先事業者の評価が低かったという指摘を受けてございます。発注側でありますNHKの価格交渉、価格転嫁への意識が薄かったことが価格転嫁などの動きが鈍かったことの背景と考えられまして、この点を真摯に受け止めてございます。
調査を受けまして、個別取引に関する自主点検などを通じて価格交渉等の状況を検証してございますほか、NHK側から、定期的な協議の呼びかけ、あるいは適切な価格転嫁を実施するよう周知徹底するというようなことを努めてまいりました。また、次期契約に向けて委託先事業者との協議を進めてございまして、取引価格を見直す必要がある場合には増額を行うなど、丁寧に対応を行っているところでございます。
そもそも外部制作事業者といいますのは公共放送を支える大切なパートナーでございまして、健全な取引を徹底し、今後とも安心してNHKグループと取引していただけるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○岡本(あ)委員 放送コンテンツ業種というのは、なかなかこう、決まった成果物の評価というのが固定されているわけではありませんので、なおさらそこの価値というのを見極めて、NHKさんには牽引役を担っていただきたい。不名誉からの脱却を求めたいと思います。
時間がないので、最後になると思いますが、一方でNHKさんは非常にいいこともしてくださっております。フィフティー・フィフティー・ジ・イクオリティー・プロジェクトというプロジェクトがあります。
資料四を御覧ください。NHKさんで、多様性を意識した番組ということです。英国BBCが呼びかけをして、番組の中で男女比が余り偏らないように配慮しましょうという呼びかけです。NHKさんが放送業界では初めてこれに手を挙げて取り組んでいると思います。是非、更に多様性を広げていただきたいと思いますので、取組の御紹介をしていただければと思います。
○稲葉参考人 NHKでは、多様な視聴者のニーズに応えるコンテンツを提供する取組の一環といたしまして、イギリスBBCが立ち上げましたフィフティー・フィフティーというプロジェクトに二〇二一年から日本のテレビ局として唯一参加してございます。出演者に占める女性、男性の割合を計測することで、ジェンダーバランスを意識したコンテンツを制作しようというのが狙いでございます。
現在、大河ドラマや「おはよう日本」など、十二の番組が参加してございます。取材のテーマやドラマの題材を検討する初期段階から多様性を意識することで、結果的に取り上げるテーマやエピソードが多様になったり、女性の出演者の新規開拓につながったりしておると思います。
新年度からは、地域放送局として初めて札幌放送局が参加する予定となっておりまして、今後、全国の放送局や様々な分野の番組にも広げたいというふうに考えており、多様性のある社会の実現に向けて貢献してまいりたいと考えております。
○岡本(あ)委員 この取組、やはり番組の品質を下げることは絶対あってはならない、これが大前提にあります。BBCさんでは、この取組を進めることで、国籍、肌の色、障害の有無等も目標を設定して、なるべく多様性を意識した番組作りに努力していると聞いておりますし、結果として、若い世代、十六歳から三十四歳で、番組が楽しくなった、よく視聴するようになったという成果が英国では既に起きております。
メディアを学んでいる方のコメントで、日本の場合、性別の差だけでなく、その方のデータによりますと、四十代の男性と二十代の女性の組合せで構成されている番組が多い、NHKさんだけじゃなくてあらゆる番組ですけれども、という指摘も起きております。その場合、女性が補佐的な役割を担うことが多いという指摘もあります。今後、こういった点も把握して、是非、意識改革が進み、より多様性を意識した番組ができることを期待したいと思います。
もう質問の時間がございませんので、最後は言うだけにさせていただきます。
能登半島地震時の対応におきましても、陸路が途絶えて実際に現場まで足が運べなかった、そういう状況が続いております。なるべく現場に赴き、正しい情報を入手、発信する使命がNHKさんにはより強くあると思います。そのためにも、日頃から地方をなるべくくまなくカバーできる体制を組んでいただきたいと思いますし、偽情報、誤った情報対策の強化にNHKさんには率先して取り組んでいただきたいということ、視聴者に正しく公正な情報が届くことを第一に取り組んでいただきたいということを申し上げ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○古屋委員長 次に、福田昭夫さん。
○福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。
新年度の収支予算と事業計画及び三か年の経営計画を伺いまして、大変大きな違和感を感じました。率直にお伺いしますので、古賀委員長を始め稲葉会長、理事、そして総務大臣にも、是非できるだけ簡潔にお答えいただきたいと思っております。
まず、放送法における経営委員会と理事会の関係についてであります。
一つ目は、経営委員会と理事会の役割分担であります。放送法に規定をされているわけでありますが、このことについて経営委員長と会長にそれぞれ簡潔にお答えいただければありがたい、こう思っております。
○古賀参考人 御質問の経営委員会の役割、理事会の役割でありますが、経営委員会の役割は、NHKの経営に関する基本方針、毎年度の予算、事業計画、番組編集の基本計画など放送法に定められました事項につきまして議決し、また役員の職務の執行を監督する、そういう機関だと認識いたしております。
一方、理事会は、会長と副会長及び理事により構成されます報道機関でありまして、定款の定めるところによりましてNHKの重要事項の執行について審議している、そういうところだと認識いたしております。会長は、NHKを代表し、経営委員会の定めるところによりNHKの業務を総理する、このようにされていると認識いたしております。
以上であります。
○福田(昭)委員 会長は全く同じであれば回答は要りませんけれども、もし違いがありましたら。ありませんか。
二つ目は、経営委員は放送番組に干渉できるのかという話ですが、これは先ほど吉川委員の質問にお答えいただいているので、省略をさせていただきます。
三つ目ですけれども、受信料の値下げは経営委員会からの提案なのか、また、どういう理由なのか、お聞かせください。
○古賀参考人 受信料の値下げにつきましては、現在の中期計画であります一連の改革の成果を視聴者の皆様方に還元するということでお示ししているというふうに承知いたしております。
昨年の一月に、受信料の一割値下げを盛り込んだ中期経営計画の修正案を執行部から経営委員会に提案があり、経営委員会で審議の上、議決した、こういう経緯だと私は承知いたしております。
以上です。
○福田(昭)委員 私はそれは無理やりやった話だと思っておりまして、当時のマスコミ報道によりますと、菅前総理が指示したという報道があります。それを考えると、経営委員会の中に菅総理の指示はずっと引き継がれてきたのか、そういう疑いがあります。新型コロナで国民の皆さんの生活が大変苦しい中での菅前総理の指示だったかな、こういうふうに思っております。
昨年の一月にそういうことを経営委員会で決めたという話ですが、昨年私は総務委員会に所属していなかったので詳しく見ておりませんでしたけれども、しかし古賀委員長も稲葉会長も金融機関出身の委員長、会長であります、そうしたら、後で申し上げますが、三年間で一千億削減するという計画は無謀ですよ、無謀。とてもこんなのは経営とは言えないと私は思います。
民間企業なら分かりますよ、民間企業なら。民間企業はそれこそ人員削減とかいろいろな施設をリストラするとか、そういったことで立ち直るというのはよく分かります。しかし、NHKは民間企業じゃありませんからね。ですから、こんなむちゃなことをやっては国民の財産であるNHKをぶち壊す、私はそういうふうに思いました。
そんなことで、四つ目でありますが、夢の持てる組織づくりと会長人事についてであります。
次の三か年計画を見ますと、受信料削減ありき、一千億円削減ありき。そこで事業規模が三年間で一千億円削減される。とても理念やコンテンツあるいは基本方針などは、私も見せていただいて、すごくよくできているんですよ、この経営計画のそうしたコンテンツなどは、基本理念もですね。すばらしくよくできているのに、しかしこれを実現するのは相当難しい、こう思っております。
そういった意味で、組合の皆さんからは、稲葉会長には失礼でありますが、会長は内部事情に詳しい人が会長になってほしいなと。稲葉会長で六人続けて民間出身なんですよね、ですからここらでやはりNHKも、それこそ人口がどんどん減っていく中で何か電波を減らさなくちゃならないというような必要が出てきているのかもしれませんけれども、そういうことをもしやるとしたら、もうちょっと緩やかにやるということが必要なんじゃないか、例えば一期三年じゃなくて二期六年計画ぐらいでやるぐらいな、それぐらいの計画は立てられないのか、そんなことを私は読ませていただいて強く感じているんですが。
そして、会長人事もしばらく、稲葉会長が最後まで務めるとすると十八年間は内部からの人事じゃないんですよね。私は、ここでしっかり、会長人事についても、稲葉会長の次はちゃんと生え抜きの内部事情に詳しい人間を会長にして、NHKを夢の持てる組織にしていく必要があるんじゃないかな、こう思っているんですが、もしお考えがあればお聞かせください。
○古賀参考人 お答え申し上げますが、その前に一つ、先ほど理事会の説明のところで、私、会長、副会長、理事により構成する報道機関と申し上げましたけれども、審議機関でございますので、おわびして訂正させていただきます。
今委員御指摘の、まず、生き生きと働く機関である、これは私は最も重要なことだと思っております。私のこれまでの体験からしても、べき論よりは、まずはそこで働く人たちが生き生きとしていなければ何事も成り立たない、私はこのように確信いたしております。
それから、会長につきましても、今御指摘がありましたように、ここのところ外部が続いておりますが、あらかじめ外部という考え方では恐らく今までも決めていないと思いますが、私もあらかじめ決めるべきではないと思います。その時点で一番ふさわしい人を的確に選定していく、こういうことが大事だろうというふうに考えております。
以上でございます。
○福田(昭)委員 立派な稲葉会長に対して恐縮でしたけれども、これはやはりNHK内部の声だということを是非お聞きいただきたいと思っております。
次に、三年間の経営計画における受信料及び収支の見直しの算定根拠についてであります。
一つ目は、事業収入について。その第一点でありますが、受信料値下げを堅持した上で、時代に即した新たな営業アプローチでどれぐらい歳入不足をカバーできると見込んでいるのか。なかなか難しいんじゃないか、こういう見方があるわけでありますが、いかがでしょうか。
○小池参考人 お答えいたします。
次期中期経営計画の受信料収入は、契約数が減少することなどを踏まえまして、二〇二四年度は五千八百十億円、二〇二五年度は五千七百三十億円、二〇二六年度は五千六百五十五億円を計画しております。減収となりますのは、現在進めています新たな営業アプローチ、これへの転換には一定の時間が必要となることや、世帯数の減少、さらにはテレビ所有率の低下に加えて物価高の影響などもあると見ているからでございます。
一方で、受信料の公平負担は重要な課題だと認識しております。新たな営業アプローチを早期に確立させて、支払い率の維持向上に向けた道筋を立てていき、受信料収入の下げ止まりを図ってまいりたいと考えております。
○福田(昭)委員 新たな営業アプローチというのは曖昧模糊としておりまして、なかなかうまくいくはずがないんじゃないか、こう指摘をされております。そんな中で、受信料値下げを堅持した上で、こういうことですから相当苦しいんですよ、これは。
第二点は、事業実施に必要な財源はちゃんと確保できるのかという話であります。アからウまでまとめて伺います。
いまだに全体計画が見えない新放送センター等の建設積立資産は大丈夫なのかという話であります。今のところ、放送センターの建て替え計画の抜本的見直しに今現在どのように取り組んでいるのかというのが分かりませんし、いつ明らかにされるのかも分かっておりません。そのため、建設積立金は、こんな三年間で一千億も削減していけばなかなかこれから積み立てるというのは容易じゃない、受信料も下がれば容易じゃない、こういう話だと思います。
イの災害時の財政安定のための繰越金、これも、来年度の繰越金を見ますと年度末には二百四十四億円となる、そういう見込みでありますから、二〇二五年度分の確保をちゃんとできるのかという疑問もあります。
ウの受信料値下げ等に充てる還元目的積立金でありますが、これも、新年度の受信料値下げ等に充当する積立金残高は六百四十九億円となる見込みでありますけれども、二〇二七年、あと二か年間で大丈夫なのか、こういうことが心配されております。
簡潔に是非お答えいただきたいと思います。
○根本参考人 お答え申し上げます。
まず、放送センターの建て替え整備の関係でございます。
今の渋谷の放送センターにつきましては、老朽化が進んでおりますので、二〇一六年八月に公表しました放送センター建て替え基本計画に基づきまして、現在は第一期としまして、報道と情報の発信拠点となる情報棟の整備を進めております。今年竣工します。
二期以降の計画でございますけれども、受信料値下げでございますとか放送波の整理、削減、今後の放送・サービスの在り方、最新技術を活用した効率的な番組制作の手法やリモートワークの活用などを念頭に置きまして、抜本的な見直しを進めているところでございます。
二〇一六年の基本計画策定時に比べますと、高騰する建設費や人材不足など今後の見通しが難しいことも多くございますが、具体的内容がまとまり次第公表しまして、しっかりと説明してまいります。
それから、建て替えの関係の積立資産でございますけれども、二〇二四年度中に三百八億円取り崩す計画となっておりますが、二〇二四年度末で千二百四十四億円を保有する見込みでございます。
さらに、財政安定の積立金の繰越金でございますけれども、大規模な自然災害や経済状況の急激な変化など環境変化が大きく加速する中においても、公共放送として放送・サービスを継続していく使命を果たすために、財政安定のための繰越金につきましては五百億円程度を確保したいというふうに考えてございます。
二〇二四年度は、御指摘のように、放送センター建て替え等で増加する建設、設備投資の財源に充てるために、年度末に二百四十四億円規模を想定してございますが、更なる経営努力によりまして繰越金の確保に努めたいというふうに考えてございます。
それから、還元目的積立金でございますが、こちらも御指摘のとおり、千九百二十億円のうち千二百二十億円につきましては、二〇二三年度に実施した受信料値下げを継続し、二〇二四年度以降の収支の不足に充当することとしております。
放送法によりますと、受信料値下げを実現する原資として還元目的積立金を活用するには、事業収支をマイナスにして積立金を充てる必要がございます。次期中期経営計画では、複数年かけまして構造改革を進めて支出規模を段階的に縮減することとしておりまして、原資が不足することは想定してございません。
以上でございます。
○福田(昭)委員 話が抽象的でよく分かりませんが、とにかくこの計画は無謀であるということを申し上げて、総務大臣には後で最後にお伺いしますので。こんな計画では私はNHKがどんどんどんどん駄目になるだけだというふうに思っております。
次に、二つ目は事業支出についてでありますが、これらはちょっと触れて、時間の関係で、後で質問したいと思います。
構造改革が削減目標千三百億円程度なんですね。アからエまで、コンテンツ戦略六つの柱で六百億円程度削減する、イ、設備投資など固定費への切り込みで五百億円程度削減する、ウ、営業経費の削減や管理間接業務のスリム化、高度化で百億円程度削減する、経常的経費の削減で百億円程度削減する。三年で削減目標千三百億円、こうなっておるんです。
一方、重点投資、投資規模は三百億円程度だ、こういう話であります。ア、コンテンツへの投資額が二百億円程度、その中身は、地域からグローバルまで民主主義の発展に貢献するんだ。イ、情報空間全体の多元性確保だということで、基幹となる二元体制維持をするんだ、これには六百億円程度必要だ。ネットワーク効率化に向けた取組について、これについても予算規模を百億円ぐらい使うんだ、そういうことですね。それから、外部との協調、連携していくんだ。こういう考え方自体は非常に私はいいものだ、すばらしいものだと思っています。しかし、こんなに削減を一気にしていって本当に大丈夫なのか、こういう話であります。
そこで、私からNHKにお願いしながらお話をしたいと思っているんですが、皆さんのお手元に私は資料を配ってあります。
資料の一と三は、あしぎん総研が作った「二宮金次郎に学ぶ「人と組織の育て方」〜夢の持てる組織作り〜」について。よく書かれております。それからもう一つは「二宮金次郎の一生」。元銀行マンでありました三戸岡道夫さんが書かれた二宮金次郎の一生を書いた本です。これも映画化されて既に上映されているわけでありますが、中曽根元総理が大変絶賛をしております。
まさに私はNHKには、夢の持てる組織づくりをするためにも、あるいは世界平和に貢献するためにも二宮金次郎というのを少し勉強していただいて、彼の考え方をよく御理解いただけるとありがたいなと思っています。
なぜかというと、日本が戦争に負けたとき、GHQの新聞課長をしておりましたインボーデンという少佐は、二宮尊徳翁に戦後の復興を学べということで、すばらしいことを言っています。二宮尊徳翁は近世日本が生んだ最初の民主主義者だ、尊徳翁の教えはまさに真理だから時代が変わっても変わらないものだ、こういうふうにインボーデン少佐は言っております。また、国際二宮尊徳思想学会をつくった中国の北京大学の劉金才教授は、今人類が抱えているでかい課題が三つある、それを解決するためには世界中探したけれども二宮尊徳思想しかない、こう言って、実はアメリカ人も中国人もこの尊徳思想を非常に尊重しております。
そんな中で、重点投資が三百億円は少な過ぎないか。先ほども、職員の賃上げも見直すべきではないか、こういう話がありましたけれども、先ほどから質問を聞いておりましても、「しおかぜ」二波の放送、これも十億円ぐらいしかかからないのにできない、価格転嫁もできない、職員の賃上げもできない、これは本当にびっくりする話であります。
皆さんのお手元に、金次郎さんの後ろの方に、私は先日、日銀と財務省に日本の国の金融資産はどれぐらいあるのか答えてもらいました。
そうしたら、何と、我が国の国全体の金融資産、ここに書きましたけれども、日銀が答えてくれたまま整理したんですが、何と九千五百八十九兆円。いいですか、家計の金融資産が二千百二十兆円、金融機関以外の法人の金融資産が千五百八兆円、一般政府の金融資産が八百十四兆円、民間・非営利団体の金融資産が七十一兆円、金融機関の金融資産が預り金も含めて五千七十六兆円、こんなにあるんですよ。
二つ目、法人企業の内部留保資金は何と六百二十七・五兆円、あえて金融業、保険業を含む数字を言ってもらいました。それから、対外純資産残高は四百十九兆円、世界一の金持ちの国です。四番目、外貨準備金は百六十九・七兆円、これも変動相場制では本当は必要のないお金だと言っているんですが、政府は発表したくありませんでしたけれども、ほとんどアメリカ国債で持っているから簡単には売れない、こういう話だそうであります。これだけの金融資産を持っている。
一方、国と地方の債務残高の見込額は今月末で千二百八十五兆円。しかも、国際収支、経常収支は四十年来から黒字ですから。発行している国債は全て円で発行している、ですから簡単に財政破綻しないんですよ、日本の国は。もっと政府はお金を出すべきです。
実はアベノミクスの金融政策と財政政策はあべこべでした。お金余りの中で金融政策をやってきたわけです。財政政策を大胆にやって、民間の経済活動が活発になってお金が足りないと言ったら、日銀が金融緩和してお金を出す、機動的にやる。アベノミクスの財政政策と金融政策はあべこべでしたよ。だから十年もやってうまくいかずに、何とか修正しようというふうにしているわけでありますが。
ですから、財務省の緊縮財政はやめるべきです。ここは財務省の緊縮財政をやめて、日本がもっと元気になるようにお金を回す、個人も法人もですよ。内部にお金をため込んでいちゃ駄目。やはりお金は天下の回り物、きちっと世の中に回す。しかも、所得の再分配は政府にしかできません、民間企業にはできません。ですから、あんなに内部留保資金をため込んでも働く人の賃金を上げないできたわけです、ずっと。ただ、ここへ来て労働需給が逼迫してきたから、いい人材を雇うために賃上げをやっているんじゃないですか。
去年でしたか、経団連の十倉会長が言いましたよ、賃上げは企業の責務だと。そんなことが分かっているんだったらもっと早くやってよというのが私です、何で今頃そんなこと言うのか。それは、労働需給が逼迫して、少子高齢化、人口減少時代に入っちゃって働く人がいなくなっちゃった、そういう中でせっぱ詰まったからそんなことを言い出したんじゃないですか。そんなことは元々知っているんだからちゃんと早くやってちょうだい、こういう話であります。
最後に、総務大臣に伺います。経営委員長にも伺いますけれども、こんな形でNHKを駄目にしてはいけないと思っております。したがって、私はあえてNHKに補助金を出すべきじゃないかと言いましたが、受信料で成り立っているので簡単にはいかないと思いますけれども、あるいはもしかしてNHKが新放送センターを建設するための計画を立てるとなったら放送債を発行させるということを許可するとか、何か政府が応援しないと私はこの計画はうまくいかないと思うんですが、総務大臣、いかがでしょうか。
○松本国務大臣 NHKが使命を果たしていくためには、健全な経営に取り組むことが大切で、受信料財源が確保されることが重要であるというふうに考えておりますが、その受信料は広く国民・視聴者に負担をいただいているものでございますので、コスト意識を持って不断の見直しを行うべきところでもございます。その見直しの結果として、令和六年度予算においては還元目的積立金の活用により先行して国民・視聴者に還元するものと理解をいたしているところでございます。
国からの支援、補助についての御質問でございますが、受信料制度につきましては、平成二十九年の最高裁判決において、国家機関等から財政面での支配や影響がNHKに及ばないようにし、NHKの放送を受信することのできる環境にある者に広く公平に負担を求めることによって、NHKがそれらの者ら全体により支えられる事業体であるべきことを示すものとされているというのが受信料制度であるというふうに理解しております。
この受信料制度の本旨に鑑みて、NHKが財政面で国に依存することとなるような支援を国が行うことは考えていないところでございます。
○福田(昭)委員 時間が来たからやめますけれども、だったらなぜ受信料を下げろと政府が言ったんですか。これが間違いです。
以上です。
○古屋委員長 次に、中司宏さん。
○中司委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の中司宏です。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。これまでの質問と少し重なるところもありますが、よろしくお願いを申し上げます。
元旦に発災しました能登半島地震により、被災地では今なお厳しい状況が続いております。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、また、被災された多くの皆様に心からお見舞いを申し上げます。
一日も早い復興復旧を願いまして、我々日本維新の会では、馬場代表が先週末から二度目の被災地訪問を行いまして、現地の声を聞かせていただき、それとともに、我々国会議員団が身を切る改革として積み立てた義援金を石川県を始め各県に届けさせていただいたところでございます。
半島部で起こった地震であるために、アクセスが困難で孤立化した地域も多くありました。災害情報の正確で迅速な報道は、まさに被災地の方々にとって命綱であると考えます。公共放送を担うNHKの皆さんも、停電やあるいはケーブルの切断など大変な状況の中で、また、事実ではない偽情報、誤情報も出回る中で正確な情報をいち早く確実に伝えるために懸命の努力を重ねてこられたことと敬意を表するところでございます。
今後も大規模な自然災害を始め想定を超えた非常事態がいつ起こるか分からない、その状況の中で公共放送としての使命をどう果たしていかれるのか、考えをお聞かせ願えますでしょうか。
○稲葉参考人 NHKは、災害時に正確な情報発信を行うこと、これが公共放送の重要な役割だというふうに認識してございます。能登半島地震の発生直後から、テレビ、ラジオ、インターネットなど、あらゆるメディアを通じまして災害報道に取り組んでまいっております。
次期中期経営計画では、災害対応や地域取材を基軸に、それぞれの地域に合った形態でサービスを展開していくということを明記してございます。災害時の応援体制を含めた広域的な運用を図るとともに、新しい技術も取り入れながら地域の取材体制をしっかり維持していく、そういう方針でございます。
また、今回の地震では、NHKをかたって偽情報を発信するケースも確認されました。災害時に情報空間で広がる偽情報や誤情報は、命に関わるおそれがございます。必要に応じて放送やネットで打ち消したり削除要請を行ったりするなど、情報空間の健全性を守る、そういった取組も必要だと考えてございます。
自然災害が頻発し、激甚化が進んでおりますが、災害時になくてはならない命綱として、各地域での報道を強化し、大規模災害や非常事態に備えていきたいというふうに考えてございます。
○中司委員 先ほども地震があったわけですけれども、いつ何が起こるか、どんな状況になるのか分からないという状況の中でしっかりと公共放送としての使命を果たしていただきますように、よろしくお願いいたします。
さて、NHK改革の中では、コスト縮減の観点などから、計画では、AMラジオ二波を一波にし、またBSプレミアムを整理していくということになっておりますが、実は、ラジオ放送もBSチャンネルも、それぞれ今回の震災では情報を的確に伝える上で大きな役割を果たしたと聞いております。こうした縮減の計画と大災害への備え、二つの命題がNHKに課されているわけですけれども、今後どう整理されるのか、お伺いします。
○稲葉参考人 能登半島地震の被災地では、インフラが寸断されまして、地上波の放送が見られない、そういう状況が発生いたしました。被災した方々の命と暮らしを守るため、ラジオや衛星放送が果たす役割は大きいというふうに考えてございます。
停電時でも使用できるラジオは、災害時に正確、迅速できめ細かい情報を届けることができるという利点がございます。次期中期計画では二〇二六年度に音声波を再編しAM、FMの二波にすることをお示ししてございますけれども、再編後もニュース、ライフライン情報、帰宅困難者向け情報などを伝えることに変わりはございません。
衛星放送につきましても、大規模災害の発生時には地上波と同時にニュースを放送するなど、広域性を生かした緊急報道を行うということにしてございます。
今回の能登半島地震では、テレビ、ラジオ、インターネット等、それぞれの特徴を生かして必要な情報を届ける、そういうことの重要さを改めて認識いたしましたところでございます。
今後も、あらゆるメディアを活用して災害報道に取り組んでいきたいというふうに考えております。
○中司委員 しっかりと取り組んでいただきますようにお願い申し上げます。
さて、稲葉会長が就任されて一年が経過をしたわけです。当初、例えば人事制度の改革などにおいて、前会長との路線の違いなどであつれきがあったと受け止められる場面もあったわけですが、改革が後退するのではないかと正直危惧をするところもありました。今はまだ道半ばですけれども、改めて、稲葉会長のNHK改革に取り組む姿勢について、お考えをお示し願えますか。
○稲葉参考人 私の役割は、改革の検証と発展として、前会長が進めてこられた改革を更に発展させ、路線を同じくしながら経営を行っていくということだと考えてございます。
現に、受信料の一割値下げに伴う一千億円規模の事業支出の削減につきましても一応道筋をつけるということとしてございまして、改革を着実に前進させているものというふうに認識してございます。
人事制度改革につきましては、何より、よい番組を作る人材づくりということを最重要にして考えてございまして、専門性が重視され、一人一人がやりがいを持てる公平な制度づくりを志向してございますが、その成果は既に番組制作面にもよい影響を及ぼしているのではないかというふうに思っております。
私は、国会あるいは定例記者会見などでも、これまでの改革を否定するつもりは全くないというふうに繰り返し申し上げてきたところでございます。人事制度改革を含めて、引き続き先頭に立ってしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。
○中司委員 ただいま決意をお聞かせいただきましたが、抜本的な改革に向けてしっかりと取り組んでいただきますようによろしくお願いいたします。
受信料の一〇%の値下げにつきましては一定評価するところですけれども、まだ体質的に、受信料未払いの方の割合である支払い率の低下とか、これは視聴者の不公平感を助長することにもなると思います、そしてまた、逆に、受信料を徴収する費用の割合である経費率の上昇など、まだまだ努力しなければならない点があろうかと思います。国民生活が大変厳しい中でありますので、一〇%と言わず更に受信料を下げる努力をしていただきたい。これは要望にさせていただきます。
我々維新の会は、放送と通信が融合する時代、この時代に際しまして、肥大化した現在のNHKを、国民の受信料を財源とする公共放送の使命を踏まえて、本来の公共放送に特化して、民間放送局と競合するところは民営化してNHKを分割する、それによって受信料を大幅に下げていく、そんな改革法案を提出しているところでございます。
総務大臣は大臣意見でNHKと民間放送事業者との二元体制が基本と言われますが、私は、いわばNHKと民放をすみ分けるこの二元体制は、公共部門を放送するゆえに国民から広く受信料をいただく公共放送と、受信料をいただかない代わりにスポンサーで成り立つ民間商業放送、この二つを指すと思っております。
つまり、NHKは、二元体制を維持していくためにも公共の放送分野とそれから民放分野に分けていくべきと私たちは考えております。NHKが真の公共放送として、今回のような災害報道、ニュース番組、また教育や福祉を始めとする公共性の高い分野に特化し、公共としての機能を更に充実させていくべきであると考えております。そうすれば国民の皆さんが高い受信料を払うこともなくなって、国民負担率も下がるのではないか、そう考えているところです。大臣、どうですか。
○松本国務大臣 NHKは、御案内のとおり、放送法において、あまねく日本全国において豊かでよい放送番組を受信できるように放送を行うとともに、放送全体の進歩発達等に貢献することが目的とされております。
このような公共放送としての役割を担い、広く受信料によって支えられるNHKと、御理解のとおりでありますが、広告料収入によって支えられる民間放送がそれぞれ存在する二元体制の下で、その双方が切磋琢磨することによって放送全体が発展してきたものと承知をいたしております。
そのような中で、NHKには公共的な使命を御理解いただき、豊かでよい放送番組を提供いただくとともに、放送技術の進歩発展も含めて、放送全体に貢献する公共的な役割も全うしていただいていると認識をいたしております。
実際に、能登半島地震におきましても、NHKには発災直後から被災者に正確な情報を届けるという使命を果たすべく取り組んでいただいておりまして、具体例として申し上げれば、送る側では、中継局の機能維持やBS一〇三チャンネルを活用した放送の継続、受ける側へは、避難所へのテレビやアンテナの設置、ラジオ受信機の配付といった対応を行っていただいたものと承知いたしております。
しっかりとNHKには現体制の下で公共的な使命を果たしていただいている、そのことを御理解いただいて国民の皆様にも受信料を御負担いただいているところでありますが、今も不断に支出の見直しは進めていただいていると理解をいたしております。
○中司委員 全くかみ合っていないんですけれども。
公共性を高めていくためにも公共部門に特化すべきであるのではないか、そうして持続していくというところを私たちは思っているわけでありまして、放送法で言う豊かでよいという表現が、いつも同じようなことが繰り返されるわけですけれども、時代も変わってきているわけですので、豊かでよい放送というものを、NHKがバラエティー番組をやらなくても別に私はいいんじゃないかという、極端に言いますとそういうところまで考えているわけで、やはりNHKはしっかりと公共部門を守っていく、今守らなければ将来持続できないのではないか、そういう危惧があるから申し上げているわけです。何回聞いても同じような答弁ですけれども、考え方を是非とも改めていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
最後に、国会中継についてお聞きします。まず、NHKが国会中継を行う根拠と原則は何でしょうか。
○稲葉参考人 国会中継は、公共放送の政治報道番組として、NHK独自の編集、編成判断に基づき報道してございます。
放送に当たりましては、政治的公平性確保の観点から、放送の対応がその時々で異なるということは好ましくございません。次の一定の原則の下で放送してございます。
第一に、本会議の施政方針演説等の政府演説と関連する代表質問、第二に、衆議院、参議院予算委員会の基本質疑のうち各会派の一巡目の質疑、第三に、党首討論や国民的関心の高い重要案件を扱う委員会の質疑などは総合的に判断して放送しているということでございます。また、上記の原則のほか、総理大臣指名選挙や証人喚問等は特設ニュースなどの形式で放送してございます。
国会中継には、視聴者から、中継放送の充実の要望がある一方で、ニュースや生活情報、大相撲等の放送を求める幅広い要望が寄せられてございます。こうしたことを総合的に判断し、国会中継の放送を実施しているということでございます。
○中司委員 国民的関心の高い重要案件を扱う委員会の審議について総合的に判断するということでございますが、憲法について論議する衆参両院の憲法審査会は、我が国の最高法規という重要な案件を審議する場として、当然ながら極めて国民の関心も高く、その審議の状況を広く国民に伝えるために中継すべきだと私たちは考えております。過去には衆参の憲法調査特別委員会での国民投票法案をめぐる審議において国会中継が行われた例もあると聞いておりますが、この点について会長の考えをお聞かせください。
○稲葉参考人 憲法は最高法規でございまして、国民の主権、基本的人権の尊重、平和主義の三原則を掲げるなど、国民にとって非常に重要だと認識してございます。御指摘のとおり、過去には、憲法調査特別委員会での国民投票法案をめぐる審議について国会中継を行った実績がございます。
なお、国民的関心の高い重要案件を扱う委員会の質疑などを国会中継で放送する場合、全会派が一致してNHKに放送を要請しているかということなども勘案して判断したいと思っております。
○中司委員 前向きな考え方は理解をさせていただきました。憲法改正は国家国民にとって極めて重要な案件でございますので、是非取り組んでいただきますようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○古屋委員長 次に、吉田とも代さん。
○吉田(と)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の吉田とも代です。
本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
まずは冒頭、能登半島地震でお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げるとともに、被災され、今なお現地で苦しい生活を強いられている皆様方に心よりお見舞い申し上げます。
さて、この能登半島地震におきまして、NHKは、令和六年元日午後四時過ぎ、石川県能登半島で強い揺れが観測されると地震関連のニュースに切り替え、その後間もなく大津波警報が発令されるとアナウンサーは繰り返し強い口調で視聴者に避難を促しました。この異例の呼びかけは、東日本大震災の際の教訓から、どのような呼びかけが視聴者に届くのか局内で話し合った結果、その解決策として、大声での呼びかけや強い口調による危機感を喚起し、避難行動に結びつけようというものでした。
NHK広報局によりますと、視聴者からは、避難のきっかけになったという好意的な意見のほか、もう少し落ち着いた声で呼びかけるべきなど、賛否様々な意見が寄せられていると聞いております。
災害が発生した際、テレビのみならずラジオなどで、まずはNHKをつけて情報収集する方が多くいらっしゃるかと思います。今回の能登半島地震において公共放送が果たした役割についてどのような評価をされているのか、どのように振り返っているのか、見解をお聞かせください。
また、このような非常時の臨時ニュースに私は解があると思っておりますが、信頼される公共放送として今後NHKが重きを置くべき点や今後の在り方についてお伺いします。
○稲葉参考人 NHKは、災害時に正確な情報発信を行うことが重要な役割の一つだというふうに認識してございまして、能登半島地震の発生直後から、テレビあるいはラジオ、インターネットなど、あらゆるメディアを通じて災害報道に取り組んでございます。
また、災害時に情報空間に広がる偽情報や誤情報、これは命に関わるおそれがあるということでございますので、今回、打ち消しや注意を促す取組を強化するということとしてございます。
NHKの役割は、放送法では、報道だけでなく、教育、教養、娯楽の各部門にわたって、豊かで、かつ、よい番組をお届けするということが求められてございます。私は、放送法で求められている健全な民主主義の発達に資するという公共放送NHKの使命あるいは役割は大変普遍的なものだというふうに考えてございます。このため、次期中期計画でお示ししましたように、公共的価値を実感していただけるようなコンテンツを充実させるコンテンツ戦略六つの柱というものを設定いたしまして、それに基づき取り組んでいく方針でございます。
構造改革を着実に進めるとともに、公平公正で確かな情報と豊かでよいコンテンツを間断なくお届けするということで、視聴者・国民の皆様のお役に立ち、ひいては日本や世界の人々が平和で豊かに暮らせる社会の実現に今後ともNHKとして貢献してまいりたいというふうに考えております。
○吉田(と)委員 放送法施行から七十年が経過しました。新聞離れ、そしてテレビ離れの波が押し寄せ、激動するメディア環境下において、公共放送として役に立つ情報、正しい情報を的確に届けるという、公共放送としてのNHKにしかできない業務に今以上に重きを置いて担っていただきたいと考えております。それが国民的なコンセンサスではないでしょうか。
一方で、先ほど稲葉会長よりお話がございましたけれども、NHK経営計画においても究極の使命は健全な民主主義の発達に資することとされ、民法や新聞社等のほかのメディアに対しても公平な環境をつくるべきだと考えます。受信料制度という圧倒的に豊かな財政基盤を持つNHKだけが生き残り、ほかの民放などが淘汰されるとしたら、それは健全な民主主義の発達に資すると言えるでしょうか。ネット配信でのストリーミングサービス会社が一話一億円のドラマを作る時代です。メディアとしてのNHKの考え方、在り方を考え直すべきだと思います。
先ほど中司委員よりお話がございましたけれども、我が日本維新の会では日本放送協会改革推進法案を提出しております。これからの人口減少時代に必須と考えます。是非前向きに御検討いただきたくお願い申し上げます。
さて、昨年十月に公益財団法人新聞通信調査会が実施したメディアに関する全国世論調査によると、各メディアの情報の信頼度では、NHKテレビが僅差でトップとなりました。今後も公共放送としての役割、信頼されるNHKであり続けていただきたいと思いますが、残念ながら、昨年は報道現場で重大な不祥事が続きました。昨年五月放送の「ニュースウオッチ9」での放送倫理違反や、同じく昨年十一月に起きた放送前の取材資料の外部流出であります。
こういったNHKの信頼が揺らぐような状況がある中で、今回の能登半島地震においては、SNSを中心に、真偽不明や誤りの情報が多く拡散されました。今後、NHKをかたる誤った情報が流通する可能性も否めません。今後、NHKとして、こういった偽情報、誤情報に対してどのような対策を取っていかれるのでしょうか。御見解をお聞かせください。
○山名参考人 お答えいたします。
自然災害が激甚化し、国際秩序が混迷を深める中、フェイクニュースの拡散などが社会の混乱を招いていることは大きな課題であります。正確で信頼できる情報をお伝えしていくということは、公共放送NHKとして重要な役割だと認識しております。
NHKでは、インターネット上の投稿などをウォッチするチームを二十四時間体制で配置しておりまして、このチームがSNSの探索を行う中で偽の情報であったり誤った情報の拡散をキャッチしております。その情報は、取材部門で確認、検証を行いまして、注意喚起も含めて報道しております。
例えば、能登半島地震では、地震の原因を人工地震と主張する根拠のない情報が拡散したことにつきまして、地震のメカニズムに詳しい専門家を取材し、今回の地震が人工地震であることは考えられないと否定するなど、偽の情報や誤った情報を打ち消したり注意を促したりするニュースを発信し続けてまいりました。
公共放送NHKには、情報空間の健全性を確保することで、平和で豊かに暮らせる社会を実現し、民主主義の発展に寄与することが求められていると考えておりまして、今後も取組は強化してまいりたいと考えております。
○吉田(と)委員 混乱が起きないように、即座に訂正文、訂正テロップなどの御対応をいただくことは必須であると同時に、災害において偽・誤情報は生命にも関わります、何かあってから対応するのでは遅いので、今からシミュレーションをして、偽情報、誤情報発信時の対応マニュアルの作成を早急にお願いしたいと思います。
かつ、災害以外の平時でも、不確かな情報が蔓延している世の中において、信頼が揺るがないNHKとして迅速かつ丁寧な情報の提供に努めていただきたいと思います。今後更に必要であると考えているのが、視聴者側、ネット利用者側の正しい情報を選別する力を養うべきだと考えています。常に、情報をうのみにしない、偽情報ではないかと一旦立ち止まって考える習慣、見極める力を国民が持たなければなりません。
今し方の御答弁ではフェイク対策にこれからも真摯に取り組んでいかれるということでしたが、その上でNHKに是非御対応いただきたいのは、テレビ、特にインターネット活用が必須業務化する中で、情報リテラシー教育を積極的に担っていただきたいと思います。今までデジタルに触れる機会が少なかったシルバー世代や、特に子供たちに対するリテラシー教育が重要です。
先ほども御紹介いただきましたが、NHKのコンテンツ戦略六つの柱の中で、「世界で輝く良質な教育・幼児子どもコンテンツ」の中でも発信していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○稲葉参考人 NHKでは、情報を正しく理解し、適切に活用できる力、メディア情報リテラシーを高めるための番組の企画、制作を行っております。
不定期で放送している「フェイク・バスターズ」では、メディア論や心理学などの専門家の議論を通じ、信頼できる情報を選び取るための方法について紹介してございます。さらに、そうした内容をより幅広い視聴者の方にお届けするため、今年度からは五分のアニメ番組を制作し、様々な時間帯で繰り返し放送してございます。
教育番組では、総合的な学習の時間で活用できる「アッ!とメディア」を令和三年度から、ネットやスマホとのつき合い方を学べるドラマ「姫とボクはわからないっ」を令和四年度から放送してございます。これらのコンテンツはNHK・フォー・スクールで配信もしてございます。
子供からお年寄りまで、届け方を工夫しながら、正しい情報を見極める力、メディア情報リテラシーの向上、これらにつなげられる取組を放送を通じて推進していきたいというふうに考えております。
○吉田(と)委員 二〇二一年の内閣府の調査では、小学生の九割以上がインターネットを利用し、警察庁によれば、ここ数年、毎年のように二千人前後の子供たちが被害に遭っているといいます。ちょっとした軽口のつもりでも、面と向かってなら誤解しないような言葉遣いであっても、思いもよらぬ形で悪意が増幅、エスカレートするのがネット空間です。同時に、子供たちが意図せぬ加害者にならないための教育、両方の教育を是非進めていただきたい。犯罪から身を守る教育と、そして意図せぬ加害者にならない教育、この両方の教育を進めていただきたいと要望申し上げます。
それでは、続きまして、時間の関係上少し質問を飛ばして、次のNHKの独立性についてを最後の質問とさせていただきます。
NHKは、公営放送でも民間放送でもない公共放送です。公共放送であるためには政府から独立、自律した運営が行われる必要があり、そのために、国を介する税ではなく、視聴者の皆様からの受信料により財政面の自律性が保障されているところです。経営委員が国会同意人事になる等、人事面での独立を保つ仕組みも取り入れられています。しかしながら、時の政権与党の影響が都度都度指摘されています。
我が国の健全な民主主義の発展を将来にわたって確保していくためには、海外と比較しながら日本の公共放送の独立性をより追求していく必要があるのではないかと考えます。NHK会長の御見解をお伺いします。
○稲葉参考人 委員御指摘の独立性というのは、公共放送として何より大切な要素だというふうに考えてございます。
次期中期経営計画でもお示ししていますように、放送法で求められている民主主義の健全な発達に資するということが究極の使命でございまして、そのために、情報空間の参照点の提供、信頼できる多元性確保への貢献が公共放送の役割だというふうに考えています。その前提が独立性であり、公共放送として自主自律を堅持することにあると考えております。
今後も、不偏不党の立場を守り、番組編集の自由を確保し、事実に基づき、公平公正で、何人からも干渉されることなく放送・サービスを行ってまいりたいと考えております。
○吉田(と)委員 ありがとうございます。
放送と国家との距離に細心の注意を払っているドイツでも、人事介入事件であるブレンダー事件が起きたり、また、英国BBCでも、ライセンス料値上げと引換えに政府に高齢者家庭のライセンス料負担を求められたとされています。
単純にNHKと比較できるものではないとはいえ、各国の公共放送の在り方についてもっと調査研究をし、そして、NHK自身も独立の気概とその自覚を強く持ち、公共放送の独立性、組織としてのガバナンス強化と透明性の維持に努めていただきたいと思います。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○古屋委員長 次に、中嶋秀樹さん。
○中嶋(秀)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の中嶋秀樹です。
本日は、貴重な質問時間を与えていただきまして、ありがとうございます。
NHK予算の審議に当たりまして、主にNHKの在り方、それから受信料の徴収費用について確認させていただきたいと思います。
それでは、質問に入らせていただきます。
我が国の放送は、主に広告収入を柱とする民間放送と、営利を目的とせず受信料を財源に運営される日本放送協会の二元体制で成り立っており、それぞれの特性を生かし、全体として視聴者への多様な情報発信が確保されてきました。そして、この二元体制が我が国の民主主義の健全な発展に大きく貢献してきたのが現実だと思います。
この二元体制を維持していくことについては、民放と公共放送がお互いに様々な観点で報道や情報発信を行うという点でもいいことだとは思うのですけれども、今や、ドラマ、歌謡番組、娯楽番組などについては、民間放送や動画配信サービスにおいて多様な番組が配信できています。公共放送が多額の受信料を使い、多元性がそこまで必要とされない番組まで制作、提供される必要があるかはよく議論していく必要があると思います。
そこで、まず確認したいのですが、令和四年度のNHKの受信料収入額と関連会社を含めたグループ全体の収入について教えていただきたいと思います。
○竹村参考人 お答え申し上げます。
令和四年度のNHK収支決算におけます受信料収入は六千七百二十五億円でございます。また、NHK及び子会社等を含めたグループでの連結決算における経常事業収入は、令和四年度、七千四百八十五億円でございます。
以上であります。
○中嶋(秀)委員 ありがとうございます。
相当な規模の資金力かと思いますけれども、それを生かしてと申しますか作成しておられる番組、様々あるかと思います。報道、教育、福祉などですけれども、どういったジャンルがあり、それぞれジャンルごとのコストは番組制作費全体の何%ぐらいに当たるかを教えていただきたいと思います。
○山名参考人 お答えいたします。
ジャンルごとの番組制作費につきましては、年度決算において、国内のテレビ放送を対象に、人件費や減価償却費を含めました番組制作に関わる総経費を公表しております。二〇二二年度の決算では、テレビ六波で、ニュース、解説ジャンルが九百四十六億円で二九・九%、教育、次世代ジャンルが百六十一億円で五・一%、福祉ジャンルが二十八億円で〇・九%などとなっております。
今後も、ジャンルごとに適切な資源管理を行いながら、合理的なコストによる質の高いコンテンツの提供に努め、視聴者・国民の皆様のニーズを踏まえた多様な放送・サービスをお届けしてまいりたいと思っております。
○中嶋(秀)委員 ありがとうございます。
重ねてですけれども、ジャンルも幅広く番組を作成されておりますけれども、チャンネルの種類も複数かと思います。インターネットでのサービスも含め、視聴しようとすればどういったチャンネルやサービスがあるかを教えていただきたいと思います。また、それぞれの設置目的も教えていただきたいと思います。
○根本参考人 お答えいたします。
NHKの放送波の数と種類は、総務大臣が定めた基幹放送普及計画において規定されております。現在、テレビ五波、音声三波となっております。
地上テレビでは、総合放送と教育放送をそれぞれ一波、衛星テレビでは、2Kで衛星基幹放送の広域性等を生かした情報提供を行うとともに、外部事業者の企画、制作能力を活用し、過去の優れた文化の保存と新たな文化の育成、普及を促進することを目的とする総合放送を一波、4Kで外部事業者の企画、制作能力を活用して行う総合放送を一波、さらに8K放送を一波行うことが定められております。
音声波につきましては、AMでは総合放送と教育放送をそれぞれ一波、FMでは総合放送を行うことが定められております。
○中嶋(秀)委員 ありがとうございました。ここまでの御紹介で、令和四年度はNHKは約六千八百億円もの収入を得ていること、そして様々なジャンル、チャンネルやサービスで国民がアクセスしやすい状態になっていることが改めて確認できたかと思います。
ちなみに、令和四年度の民間キー局の売上高は、日本テレビが二千九百八億円、フジテレビが二千三百七十四億円、テレビ朝日が二千三百二十六億円、TBSテレビが二千二百四十億円、テレビ東京は一千百三十四億円かと思います。NHKの資金力で先ほど御紹介いただいたようなジャンルやコンテンツで番組制作を進めれば、民放は対抗できず、大きな脅威となっていると思います。
日本維新の会は、維新八策において、NHKは公共放送として報道、教育、福祉番組等に重点を置くとともに、それ以外の放送番組については分割して民営化します、あわせて、NHK受信料について、視聴分量に応じた受信料制度、又は報道番組に特化してスリムになったNHKの運営に要する費用を国民が負担する制度を導入して適正化を図りますという政策を掲げているところでございます。
ここで、お尋ねいたします。公共放送として、日本維新の会の主張する、まさに必要とされる番組に特化し、スリム化を行い、最小化された運営費用をドイツなどと同様に負担金制度として世帯ごとに国民から徴収してはどうかと考えますけれども、NHK会長、総務副大臣の見解をそれぞれお伺いいたします。
○稲葉参考人 各国の公共放送は、それぞれの国の歴史、伝統、政治、経済というようなことに応じて発達してきてございまして、財源につきましても、その歴史的経緯に応じて各国が独自で決めているものというふうに承知してございます。
他方で、NHKには、放送法に基づき、報道、教育、教養、娯楽の各部門にわたって、豊かで、かつ、よい放送番組をお届けすることが求められてございます。また、視聴者・国民の皆様からは多様な編成への期待が高いということも日本の公共放送NHKの特徴でもございます。
受信料の一割値下げにより収入が減少する中で、二〇二七年度までに一千億円規模の事業支出の削減を行いますが、ニュース、番組というコンテンツを全ての起点とし、適切な資源管理とテクノロジーの進化で質と量を確保していく、多様なジャンルで公共的価値を提供し、視聴者・国民の皆さんの期待に応えていくということが大事なことだと認識してございます。
メディアとして、NHKは、視聴者・国民からの信頼も得てございます。その源となるのが現在の制度でございます。今後とも維持に努めてまいりたいというふうに考えております。
○渡辺副大臣 中嶋委員の御質問にお答えします。
NHKは、放送法におきまして、あまねく日本全国において豊かでよい放送番組を受信できるよう放送を行うとともに、放送全体の進歩発展等に貢献することが目的とされております。
このような公共放送としての役割を担い、広く受信料によって支えられているNHKと、広告料収入によって支えられる民間放送がそれぞれ存在する二元体制の下で、その双方が切磋琢磨することによって放送全体が発展してきたものと承知しております。
そうした中で、NHKには公共的な使命を御理解いただき、豊かでよい放送番組を提供いただくとともに、放送技術の進歩発展も含めて、放送全体に貢献する公共的な役割もあまねく全うしていただいているものと認識しています。
また、NHKの事業運営に必要となる財源につきましては、受信料によって賄われております。
この受信料の仕組みにつきましては、平成二十九年の最高裁判決におきまして、国家機関等から財政面での支配や影響がNHKには及ばないようにし、現実にNHKの放送を受信するか否かは問わず、受信設備を設置することによりNHKの放送を受信することのできる環境にある者に広く公平に負担を求めることによって、NHKがそれらの者ら全体により支えられる事業体であるべきことを示すものとされているものと承知しており、NHKは受信料によって運営されるべきと考えております。
○中嶋(秀)委員 ありがとうございます。
NHKに求められる役割について、戦後の、テレビしか娯楽がなく、民間放送事業者の黎明期であった時代とは大きく変わっております。また、今まで、公共放送の番組面での見直しについては余り議論されてこなかったと思います。公共放送としてまさに必要な役割に絞って対応していくべきであり、インターネット配信で動画や番組が視聴できる環境の中で、必要とされる役割を見詰め直す時期に来ているかと思います。是非検討していただきたいと思います。
続きまして、時間がありませんので質問を飛ばさせていただきますけれども、次に、NHKの連結剰余金の残高はどれほどでしょうか。教えていただきたいと思います。
○竹村参考人 お答え申し上げます。
令和四年度末のNHK及び子会社等を含めましたグループでの連結剰余金は五千百五十六億円でございます。
○中嶋(秀)委員 ありがとうございます。
続きまして、相当の金融資金を保有し、ため込み過ぎではないかと思うところもございます。関連して、一人当たりの平均給与は幾らでしょうか。教えていただきたいと思います。
○竹村参考人 お答え申し上げます。
令和四年度決算におきます職員一人当たりの平均年間給与は一千七十五万円となっております。
○中嶋(秀)委員 ありがとうございます。
連結剰余金残高や一人当たりの給与を聞くと、相当恵まれた法人で、余裕のある体質だと思います。そこで、受信料を下げることは検討しませんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。
○稲葉参考人 公共放送として視聴者・国民の期待や負託に応えるということが使命でございまして、可能な限り受信料を低廉にするということもその一つだというふうに認識してございます。
昨年十月から過去最大規模となる受信料の一割値下げを実施し、それに伴って、次期中期経営計画では、三年間で一千億円規模の事業支出を削減するということを行い、二〇二七年度に収支均衡を目指す内容としてございます。
まずは、過去に経験のない大きなチャレンジとなる事業支出の削減をこの四月からの次期経営計画でしっかりと構造改革を行うことで実現し、値下げした受信料額を堅持するということとしてまいりたいと考えております。
○中嶋(秀)委員 ありがとうございました。
いろいろ申し上げてきましたけれども、受信料の徴収率を引き上げていくためには、まず、国民の皆様から今まで以上に必要とされること、信頼されること、これが重要でございます。そのためには、日本維新の会の主張のように、NHKが公共放送としての役割を果たすため報道や教育、福祉番組等に特化していくことも一つの方法だと思います。また、これにより、受信料の更なる引下げにもつながっていくかと思います。
例えば、NHKの大河ドラマはすばらしいと思います。ですが、もし視聴率が低いとすれば国民が必要としている番組ではないと捉える必要がある時代が来たのかもしれません。今年の大河ドラマ「光る君へ」は、源氏物語に関連し、先日、私の地元宇治ではドラマ展が開催され、私も招待されたところでございます。是非ともこれを機会に宇治には皆様に来ていただきたいところではございますけれども、視聴率が高いことを心から願っておりますが、視聴率が低くても国民にとって絶対に必要だという番組に特化するということも改めて御一考願い、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○古屋委員長 次に、阿部司さん。
○阿部(司)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の阿部司でございます。
私、NHKさんに思い出が一つありまして、学生時代にNHKの方々に御協力をいただきまして、当時非常に人気だった語学番組の「英語でしゃべらナイト」というものがあったんですけれども、釈由美子さんですとかパックンさんですとかが出演していた番組だったんですが、こちらの公開収録イベントを母校である早稲田大学で開催したことがありまして、何百人も入る大教室にお客さんが満員になって、たくさんの人に喜んでもらったりですとか、NHKの皆さんのプロの仕事を間近で見ることができたことですとか、あと、仲間と共に力を合わせてイベントを成功させたこと、これはその後の人生の大きな糧になっております。それから二十年たちまして、まさか自分が国会でこのようにNHKさんに質問させていただくなんて、夢にも思わなかったわけですけれども。
イベントを開催した二十年前からすると、時代は大きく変化いたしました。NHKを含む日本の放送業界には、イノベーション、グローバル化、人口減少、大きな波が押し寄せております。国民が納得できる公共放送の在り方が今問われていると思います。また、激しい国際競争の中で日本の文化、コンテンツをどう守っていくか、これも問われていると思います。そのような問題意識の中で御質問させていただきたいと思います。
今し方触れたような大変化の波が押し寄せている中、NHK受信料は低下の一途をたどっております。現行のNHKの事業の持続可能性について、会長、お答え願えますでしょうか。
○稲葉参考人 受信料の一割値下げによる一千億円規模の事業支出の削減、これを行う中で、全体として事業規模が縮小していくというのではなく、様々な形で新しい公共的価値を創造する、そういう工夫を織り込んだ内容の次期中期経営計画をこの四月から実行していくということでございます。これによって、視聴者・国民の皆様の期待に応え、NHKの放送・サービスが持続可能なものとなるよう経営のかじ取りを行っていくことが会長として私に課せられた使命だというふうに考えてございます。
委員御指摘のように、社会経済の情勢が大きく変化してございます。
そういう中にあっても、私は、放送法に求められている健全な民主主義の発達に資するという公共放送NHKの使命、役割は普遍的なものだというふうに考えてございます。そして、公平公正で確かな情報、豊かでよいコンテンツを間断なくお届けする、こういったことで視聴者・国民の皆様のお役に立ち、ひいては日本や世界の人々が平和で豊かに暮らせる社会の実現に今後もNHKとして貢献してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○阿部(司)委員 ありがとうございました。
現状、様々なコスト削減努力をしていることなどは承知しておるんですけれども、現時点で現状維持ができたとしても、長い目で見たときに、今のあまねく豊かでよい放送番組を提供するという目標を達成できるのか、維持できるのかというのが問題になってくると思います。十年後、二十年後を見据えたときに、受信契約者数はどのように推移すると予測されていらっしゃいますでしょうか。
○根本参考人 お答えいたします。
人口動態や各種統計データの推計を考慮しますと、受信契約の対象となる世帯数は今後減少していくことが予測されます。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、世帯総数は、二〇二三年の五千四百十九万世帯をピークに、その後減少し、二〇四〇年には五千七十六万世帯になるとされております。こうしたデータも注意深く見ながら経営に取り組む必要があると考えてございます。
○阿部(司)委員 要は、急激な人口減少で事業収入も右肩下がりになっていくわけであります。
ちょっと質問を一つ飛ばしますが、NHKの収入の柱である受信料の元になっているテレビ、この出荷台数についても経産省からデータをいただきました。JEITAのデータですけれども、二〇二三年の薄型テレビの国内出荷台数は四百三十七万台、前年度比で一〇・一%減。三年連続でマイナスだそうです。予測では、二〇二八年まで出ていますが、この時点で四百万台を割る直前まで落ち込んでいく見込みです。
一方で出荷台数に含まれないテレビ受信機非搭載のチューナーレステレビの存在感が高まっているという日経新聞の記事もありました。
要は、世帯数も減少して、テレビ出荷台数も減少して、市場全体が急激に縮小していくことが見て取れます。
受信料収入が減ると、当然、コンテンツにこれまでと同レベルの投資をしていくことは困難になってくると予想されます。必然的に、報道、ドラマ、バラエティーも全部を豊かなコンテンツということで、以前と同じように全カテゴリーについて充実させることはできず、このままいくと取捨選択を迫られることになると思います。受信料が減少することが確実なのにもかかわらず、今回の経営改革のプランの中ではカバーするような戦略が見て取れなかったというのが正直なところです。
お伺いしたいんですが、そもそも現在の受信料モデルは国民のニーズに十分応え得る事業モデルだとお考えでしょうか。
○稲葉参考人 各国の国際放送のモデルは、それぞれの国の歴史や伝統、政治や経済において発展してきておりまして、財源につきましても、その歴史的経緯に応じて各国が独自に決めているということでございます。
委員これまで御指摘のとおり、放送と通信をめぐる環境が大きく変化する中におきまして、各国でも様々な議論あるいは検討がされているということも承知してございます。
他方で、NHKには、放送法に基づき、報道、教育、教養、娯楽の各部門にわたって、豊かで、かつ、よい番組をお届けするということが求められております。また、視聴者・国民からは多様な編成への期待が高いということも日本の公共放送NHKの特徴でもございます。
こうした役割、使命を果たしていく公共放送の財源としては、やはり広く視聴者の皆様に負担していただく受信料制度がふさわしいのではないかというふうに考えてございます。メディアとしてNHKは視聴者・国民から信任を得てございまして、その源となるのが現在の制度でございますので、今後もその維持に努めてまいりたいというふうに考えております。
○阿部(司)委員 理念は理解いたします。ただ、国民が喜んで大満足で受信料を払っていけるのかどうかというところで、日本における一日のメディア視聴時間及びNHKの視聴時間についてお伺いをいたします。
○山名参考人 お答えいたします。
NHK放送文化研究所が五年置きに実施しております国民生活時間調査、これの二〇二〇年の調査によりますと、各メディアの平日一日の視聴時間は、テレビが三時間一分、録画番組・DVDが二十四分、インターネットの利用時間が一時間一分となっております。二〇一五年に実施しました同じ調査の結果ではテレビ視聴は三時間十八分で、五年間で十七分間減少したということになります。
テレビの視聴時間の放送局別の内訳に関しましては、NHK放送文化研究所の全国個人視聴率調査で測定しております。最新の二〇二二年六月の結果では、NHKの地上波、衛星波を含めました週平均の一日のテレビ視聴時間は五十七分となっております。
○阿部(司)委員 ありがとうございました。
私も調べたんです。令和五年の情報通信白書、こちらを拝見しますと、二〇二二年、平日一日当たり、三十代のテレビ視聴時間が百四分に対してインターネットの利用時間は二百二分、二十代はテレビ視聴時間が七十二分に対してインターネット利用は二百六十四分、全然数字が違いますね。スマホとか映像コンテンツをネットワークで見る時間の方がどんどん大きくなってきている、このトレンドは変わらないと思います。
さらに、NHK放送文化研究所、二〇二二年の全国個人視聴率調査、私、こちらを拝見しました。リアルタイムでテレビを見ている人のボリュームを表す週間接触者率という指標がありますが、調査を行った一週間のうち五分以上視聴した人の割合がどれくらいのものかというものであります。
NHK総合テレビの週間接触者率は五七・三%、要は約五七%の方がNHK総合テレビを一週間に五分以上見ている。結構な方が見ていらっしゃるなという印象ですけれども。しかし、裏を返せば、四二・七%の方々が一週間に五分もNHK総合テレビに接触していないということなんです、見ていないんですね、こんなに。四二・七%もいらっしゃる。
五分以下の皆さんも、地上契約で月額千百円、十二か月前払いでも一万二千二百七十六円支払っているということになります。
受信料の算定根拠についてお伺いをしたんですが、ちょっと飛ばさせていただきます。
いろいろと理屈もあると思うんですが、値下げの努力もしていただいていると思うんですけれども、ますます視聴時間が減ってきている中、民放ですとかユーチューブは無料で見られますし、ほかのサブスクのサービスと価格の比較をしてみても、納得感はすごく薄いんじゃないかなと思うんですね。強制サブスクなんじゃないかという声も上がっていると言われております。例えばアマゾンプライム、こちらは月額六百円で約一万作品が見放題。比較してNHKの受信料は妥当なのか、よく考えてみる必要があると思うんです。
イギリスでは、日本の受信料に当たる許可料を廃止すべきかどうかというアンケート調査を毎年行っているそうです。NHKも、受信料に関するアンケートを実施して、国民の声を真っ正面から受け止めた上で構造改革ですとか経営改善に生かすべきじゃないかと思いますが、会長、お伺いいたします。
○稲葉参考人 受信契約の変更や中期の受信料額の見通しを定める中期経営計画策定の際には、経営委員会において意見募集、いわゆるパブリックコメントが義務づけられてございます。今回も実施してございます。昨年十月から実施している値下げを堅持していく、そういう方針に大きな反対はなかったというふうに承知してございます。
我々の考え方をお示しし、視聴者・国民の皆様からの声を真正面に受け止めていくことは大変重要なことだというふうに思っておりまして、今後ともその辺はしっかり対応していきたいと思います。
いずれにしても、次期中期計画でもお示ししましたように、何より視聴者・国民の皆様からの信頼が全ての源でございます。それらの声を受け止めて経営を行ってまいりたいと考えております。
○阿部(司)委員 しっかりと国民の声を受け止めていただきたいと思います。
ここから、日本の放送産業、国際競争についてお伺いをしてまいりたいと思います。
日本の放送はこれまで国際競争とほぼ無縁でしたが、インターネットの普及によって競争環境が激化しております。
先ほども触れましたが、若者の多くがテレビ放送よりネットによる動画配信で映像を見るようになってきておりまして、放送が力を失ってきていると思います。ネットフリックスですとかアマゾンプライムなどのプラットフォーマーとの競争に敗れて自国のプレーヤーを失いかねないような、コンテンツ制作会社さんの力がどんどん落ちていってしまってプレーヤーが失われてしまうようなリスクも高まっていると思います。そうすると文化、思想の自主性、独自性も失う懸念があると有識者から指摘もされておりますが、御見解をお伺いいたします。
○西田大臣政務官 お答えをいたします。
放送の国際競争力について御質問いただきましたが、コンテンツ産業は将来が期待される産業分野であり、日本のソフトパワーにも大きな役割を果たすものだと理解しているところでございます。
また、我が国のコンテンツ産業の市場規模約十二兆円のうち約三割を放送コンテンツが占めており、その観点からも、我が国の放送番組の制作、流通を強化していくことは重要だと考えております。
一方、昨今のインターネットを通じたコンテンツ視聴の拡大により、国民・視聴者の視聴スタイルが急速に変化するなど、放送コンテンツを取り巻く環境は大きく変化しており、日本においても、国内放送事業者による動画配信サービスに比べ、海外大手プラットフォーム事業者による動画配信サービスが多くの視聴者を獲得している状況にあると認識しているところでございます。
こうした状況を打開し、我が国の優れた放送番組を国の内外に広く流通させ、その競争力を強化していくためには、放送コンテンツのプラットフォームとしてNHKにその役割の一端を担っていただくことを期待しております。
既に、NHK衛星放送における外部制作事業者の制作機会の確保を通じ、我が国の放送番組制作の活性化を図るなど、既に取り組んでいただいているものもありますが、現在、総務省の有識者会議において更なる具体的方策を検討していただいております。
こうした検討を踏まえ、日本の放送番組の競争力の強化、そしてソフトパワーの強化に取り組んでまいります。
○阿部(司)委員 今の御答弁も踏まえまして、NHKの抜本的な改革の必要性について総務大臣にお伺いをしてまいりたいと思います。
現状の国民の納得感、そして公平な競争環境の整備と我が国の放送産業の競争力を高めていくという観点から、先ほど来数々の委員が指摘しておりますが、NHKを公共部門と民間部門に分割して受信料を下げるですとか、また、今回の予算に組み込まれているような民放と共用する放送インフラへの投資だけでなく、コンテンツ開発についても助成をしていくような形に、受信料をある種の日本の放送業界全体の利用料のような形に変えていくですとか、抜本的な改革への議論を進めていくべきだと思いますが、御見解をお伺いいたします。
○松本国務大臣 NHKの経営体制についての御質問については、先ほども中司委員にも御答弁を申し上げましたので重複を避けたいと思いますが、NHKにおかれては、現行体制の下で公共的な使命を御理解いただいて豊かでよい放送番組を提供いただくとともに、放送技術の進歩発展も含めて、放送全体に貢献する公共的な役割も全うしていただいていると認識をしております。
お話がありましたように、受信料につきましても広く国民の皆様に御負担をいただいておりますので、納得いただけるように、御理解いただけるように努めることは大切であると考えております。
その上で、コンテンツ産業への貢献でございますが、中期経営計画においても必要な予算は確保されていると承知をいたしておりまして、放送コンテンツのプラットフォームとして放送番組の流通を支え、我が国の放送全体の発展に貢献するという役割を踏まえて我が国のコンテンツ産業の競争力強化に貢献していただきたい、大臣意見でも指摘させていただきましたが、そのように考えておるところでございます。
○阿部(司)委員 国民の納得感、そして日本のコンテンツ産業の国際競争力強化などの観点でNHK改革を引き続き御議論させていただければと思います。
ありがとうございました。
○古屋委員長 この際、休憩いたします。
午前十一時三十分休憩
――――◇―――――
午後二時五十九分開議
○古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。宮本岳志さん。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
今年は、元旦から能登半島で大地震が発災し、たくさんの人命が失われました。貴い命を落とされた方の御冥福を心からお祈りするとともに、被災された皆様方に衷心よりお見舞いを申し上げます。
そこで、令和六年能登半島地震について聞くんですけれども、放送法第十五条は、協会は公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、よい放送番組による国内基幹放送を行うと定めております。あまねく日本全国において受信できるようにすることは、災害時においても当然守られるべきNHKの責務だと考えますが、NHKの御答弁をいただきます。
○根本参考人 お答えいたします。
放送法に定められておりますいわゆるあまねく義務は、ラジオとテレビの放送それぞれが受信できるように措置することを求めているものと承知してございます。
NHKの中継局は、能登半島地震におきますと、一月下旬に全て復旧いたしまして、地上波の放送も復旧してございます。この関係でいいますと、衛星放送を含めテレビ放送を受信することはできるため、能登半島における現状がこの規定に抵触しているとは考えておりませんけれども、被災地の視聴者に必要な情報をお届けすることはNHKの役割として必要だというふうに考えてございます。
現在、輪島市内でケーブル網の断線等によりましてNHKの地上波を見ることのできない詳しい世帯数は承知してございませんけれども、三月末までの幹線ケーブルの復旧を目指して地元のケーブルテレビ会社が尽力されているというふうに承知してございます。
現在、BS一〇三チャンネルでの放送の業務は三月三十一日に廃止するということで総務大臣の認可を受けておりますけれども、今後につきましては、ケーブルテレビの復旧状況や被災された方々の要望を踏まえまして、関係者と協議しながら、早急に結論を出すべく検討を急いでいるところでございます。
○宮本(岳)委員 そこなんですね。電源の喪失による中継局の停波、これは復旧したというふうに聞いておりますが、輪島市では、山際で電波が届きにくい世帯に向けてケーブルテレビを輪島市が運営していて、全世帯のうち約四割がそれを視聴しておりました。しかし、この地震によって光ファイバーケーブルは、先ほど三月末に向けて復旧に努力しているとおっしゃいましたけれども、まだ復旧に着手すらできていない。ウェブサイトを見ていただいたら復旧のめどは立っておりませんと書いておりますから、めどが立っていないんですね。
ケーブルテレビ事業の復旧自身、もちろん大事な問題でありますけれども、難視聴対策をケーブルテレビに頼ってきたNHKにとっては、先ほどの放送法第十五条、あまねく日本全国において受信できるようにというこの責務に照らしても、一刻も放置できない課題だと思います。現状は、今おっしゃったとおり、BSプレミアムの空きを使って放送を届けているという説明でありましたが、これもおっしゃったとおり、三月末で放送免許が切れるわけです。ケーブルテレビが三月末までに復旧することは到底考えられませんので、このままだとこれも三月末でということになりかねない。
これはNHKでなくて総務省にお伺いしなければなりません。情報流通行政局長に聞きますけれども、あまねく日本全国において受信できるようにに照らせば、BSプレミアムを使っての放送は三月末で終わらせていいのかということが問われてくると思うんですが、NHKと相談はしていただいていますか。
○小笠原政府参考人 委員御指摘のとおり、令和六年能登半島地震の被害者にとって、日常生活を取り戻すために必要な、より正確な情報を入手する手段として、放送が果たす役割が極めて重要であるというふうに考えております。
御指摘のBS一〇三チャンネルを活用したNHK金沢放送局の番組の放送につきましては、一部の地域におきましてケーブルテレビがいまだ復旧していない状況等を踏まえ、継続についてNHKと御相談させていただいているところでございます。
三月三十一日の放送終了まで間もないことから、NHKと速やかに調整の上、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 調整が始まっているという御答弁です。速やかに、本当に速やかに対応していただきたいと思います。
ユニバーサルサービス義務は障害者に対しても保障されなくてはならない、当然のことです。地震発災直後に全日本ろうあ連盟がNHKに要請書を送ったと聞いております。要望内容は、地震発災直後のNHKのEテレで予定されていた十八時五十五分からの手話ニュースが放送されなかったことについて、手話言語による生活を送る聞こえない人を軽視することにつながり、到底納得できるものではないと厳しく批判をしております。
この全日本ろうあ連盟の要請書に対してNHKはどう対処したのか、NHK、お答えいただけますか。
○山名参考人 お答えいたします。
能登半島地震では、発生時からテレビとラジオの全ての放送波で緊急ニュースを放送いたしました。大津波警報が出される切迫した状況の中、最新の情報をあらゆる放送波で提供すべきと判断しまして、Eテレで予定していた手話ニュースを休止し、総合テレビと同じ内容を継続いたしました。
この中では、聴覚障害者にも情報が伝わるよう、大津波、津波警報を知らせる手話動画を放送したほか、官房長官や気象庁の記者会見を生中継でお伝えする際に、現場の手話通訳の映像を同時に放送いたしました。
全日本ろうあ連盟からの緊急要請に対しましては、既に直接お答えもしておりますけれども、NHKとしましても御指摘を真摯に受け止めているところでございます。
大規模災害時に障害がある方々にも情報を届け切ることは、NHKにとって非常に重要だと認識しております。大規模災害時のユニバーサルサービスの在り方につきましては、更に検討を進め、取り組んでまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 災害時の障害者への情報保障は、私が一貫して取り組んできたテーマであります。
私が最初にNHKにニュースなど生放送への字幕付与を求めたのは、一九九九年三月二十三日、参議院交通・情報通信委員会における一九九九年度NHK予算の審議でありました。さらに、一九九九年十一月十八日の一九九七年度NHK決算の審議では、一九九九年九月三十日に発生した東海村での臨界事故に際して聴覚障害者に情報が保障されなかったことを取り上げております。この質問では、私は既に字幕だけでなく手話の付与も求めております。
当時はまだ海老沢勝二会長でありましたけれども、一九九九年の質問から数えて二十五年、四半世紀が経過して、いまだに災害時の手話言語による情報保障が止まっていたというのでは話になりません。全日本ろうあ連盟の要望書は公共から聞こえない人を排除することのないよう求めておりますけれども、これはひとつ稲葉会長の御決意をお伺いしたいと思います。
○稲葉参考人 公共放送NHKは、障害のある方々に情報をしっかりお届けしていくことが重要な責務だと認識しております。
能登半島地震でも、字幕放送を地震の直後から速やかに実施いたしました。また、外国人に向けても、テレビの副音声とラジオで大津波警報を五か国語で伝える緊急多言語放送も行いました。
今後ですけれども、今、AI技術を活用した字幕放送の自動化あるいは手話CGの開発など、新しい技術の研究を鋭意進めてございまして、これを積極的に取り入れてユニバーサルサービスの更なる充実を図ってまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 是非よろしくお願いをいたします。
昨年の予算審議でも申し上げましたけれども、我が党は二〇二〇年度以降、予算の承認に反対の態度を取ってまいりました。その最大の理由は、かんぽ生命の不正販売を取り上げた「クローズアップ現代+」をめぐる個別番組への介入を当時の森下経営委員長代行が行い、その議事録を開示せず隠蔽し続けてきたからであります。
資料一にはこの間の経過をまとめた年表をつけておきました。去る二月二十日にこの議事録の開示を求める裁判の地裁判決が出ました。資料二はそれを報じた二月二十一日付毎日でありますけれども、見出しには「NHKに「録音」開示命令」とございます。これは経営委員長に聞かなければなりません。裁判所は録音データの提出を命じたんですが、なぜ提出をしないのですか。
○古賀参考人 裁判所の方でそういう判決が出たのは承知いたしております。ただ、何せ係争中の事案でありますから、私からその有無についてここで言及することはやはり差し控えるのが相当だろうというふうに考えます。
○宮本(岳)委員 いや、実は、あなたの前任者森下さんは即座に、既に存在しない録音データを交付せよという判決内容なので遺憾だ、直ちに控訴の手続を取ります、こう述べて控訴したわけですよね。しかし、裁判を見ていましても、録音データについて、かつて録音データを保有していたことはNHK側も争っておりません。かつてあったということは議論の余地もないことなんですね。
今はないと、これは森下さんですよ、森下さんがそうおっしゃっているとすれば、経営委員会の録音テープはどこかで消去されたということになるんでしょうけれども、経営委員会はいつまで録音テープの存在を確認していたのか。着任されてすぐの古賀さんに聞いてどうなのかと思いますが、いかがですか、いつまで確認されていたか御存じですか、つかんでおられますか。
○古賀参考人 委員の御指摘はよく分かりますが、私といたしましては、係争中の事案の中身について言及することは差し控えさせていただきたい、このように思います。
○宮本(岳)委員 そういう御答弁でありました。
録音データは存在しないという森下前経営委員長に対して、控訴に当たってのNHK広報局のコメントは、主張が認められず遺憾です、直ちに控訴の手続を取りますと、少し違うものでありました。これは当然のことでありまして、NHKには経営委員会の議事録の基となる録音データの有無は語れないはずなんですね。経営委員会から当該の録音データは既に削除されたと聞いているというだけで、NHK執行部には経営委員会事務局の中を直接調べる権限などないはずであります。
稲葉会長に確認しますけれども、この録音データの有無をNHKの執行部自身が確認した、捜した、調べたということはないですね、できないですね。
○稲葉参考人 当該録音データは既に削除されたと聞いているということでございます。
また、経営委員会における議事録あるいは録音データは直接的には経営委員会での取扱いということでございまして、執行部側ではこれ以上申し上げることはできないということでございます。
○宮本(岳)委員 多分そうだと思うんです、聞いているというだけであって、それ以上のことは言えない。大体、確認する権限がNHKの執行部にはないわけですから。
では、再び経営委員会に聞くんですけれども、資料一の年表の赤線部、二〇二一年七月八日に開示された議事起こしというものがございます。粗起こしとも呼ばれますけれどもね。この議事起こしというものが議事録なんですか、経営委員会委員長。
○古賀参考人 ここで書かれております議事起こし、これは、再精査をするためにあらあらのものを文書にしたものだというふうに承知いたしております。
議事録というのは、きちんとした形で、精査をした上で、精査というのは、別に隠し立てするつもりはございません、誤解がないようにきちんとした形でするのが議事録というふうに私は承知いたしますので、同じかと言われると、それに対して直ちに明確にお答えできる状況にございませんので、ここではちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 恐縮ですけれども、古賀委員長、放送法第四十一条にはどのように書かれておりますか。
○古賀参考人 四十一条では、経営委員会の議事録を作成、公表していくということが書かれているというふうに考えております。
○宮本(岳)委員 条文どおり読んでいただきたかったんですが、放送法四十一条、委員長は経営委員会の、これは経営委員会の委員長ですよ、委員長は経営委員会の終了後、遅滞なく、経営委員会の定めるところにより、その議事録を作成し、これを公表しなければならない、こう書かれているわけですね。これは経営委員長の責務、義務と定めております。
地裁判決では、二〇一八年十月九日実施の千三百十五回、十月二十三日実施の千三百十六回、十一月十三日実施の千三百十七回の経営委員会の議事録が存在しないため、議事録開示が棄却されました。しかし、議事録がまだ作成されていないならば、その作成のための録音データは存在するであろうということで、それを提出せよ、開示せよ、交付せよとの判決でありました。
これは司法の場で現状では議事録に値するものは存在しないと判断されたということであり、もしも、にもかかわらず録音データも消去したというのであれば、この東京地裁判決は森下前経営委員長の放送法四十一条違反を認めたということになりますね。これらはこれから、もちろん裁判の場で事実を検証しなければなりません。NHK側は録音テープが存在していたことは認めているわけですから、万一消去しているなら、いつ、誰の指示によるものか、経営委員会側が実証しなければなりません。
この点で看過できないのが、森下前経営委員長の口頭弁論での発言であります。
資料三は、二〇二三年六月十八日付東京新聞朝刊です。下線部、原告側の沢藤統一郎弁護士が視聴者とは誰のことかと問うと、森下氏は郵政三社も視聴者ですと返答、沢藤氏から重ねてかんぽ生命不正販売の被害者の目線は入っていないのかと問われると、入っておりませんと言い切った、原告や傍聴席からは、えっと驚きの声が上がったと報じられております。既に退任したとはいえ、放送法を遵守すべき経営委員長の発言とは信じ難い発言であります。
古賀委員長にお伺いするんですけれども、あなたは先日の当委員会で、この問題についてよく知らないとおっしゃいました。同時に、あなたは、開示義務の今後についてどうあるべきか、もう一回しっかり考え直して対応してまいりたいともおっしゃいました。これは少なくとも今までどおりの前例踏襲ということではなく、一度は自分としてもこの問題をしっかり考え直してみたいという新たな決意だと私は聞いたわけですが、古賀経営委員長の御決意をお伺いしたいと思います。
○古賀参考人 まず、森下さんの件につきましては、先ほど来申し上げているように、司法の場で今、係争中でありますから、私から感想を含め、言葉を出すのは差し控えたいと思います。
今おっしゃいましたいわゆる公表、議事録をきちんと作成して公表していくというのは放送法の基本だというふうには考えております。したがって、今後、別に森下さんとの比較ではなくて、いつもどうあるべきかというのは考えながら、時代も変わっていきます、その時代時代に合わせてきちんと担っていくのが私の責務である、このように考えております。
○宮本(岳)委員 三月十四日の当委員会での御発言について、先日、古賀委員長に直接聞いてきてくれというふうにお伺いをしたら、放送法第四十一条の規定に基づき経営委員会の議事録を作成、公表していくという趣旨で説明したものだと。そして、十二日に経営委員長に就任したばかりだったので、今後、放送法の規定に基づく経営委員会の議事録の在り方について自分でよく考量して透明性の高い経営委員会の運営に努めたい、こういう御意向が示されたと私は聞いておるんですが、再度、それでいいのかどうか、御発言いただけますか。
○古賀参考人 私の考えは、基本、今委員のおっしゃったとおりでございます。
○宮本(岳)委員 是非、この方向で、しっかりと経営委員会の透明性を確保していただきたいと思います。
次に、ジャニーズ性加害問題について聞きたいと思います。
ジャニーズ性加害問題、これは所属事務所の絶対的な権力者による深刻な児童への性加害事件であります。昨年八月二十九日に外部専門家による再発防止特別チームが旧ジャニーズ事務所宛てに提出した調査報告書によると、性加害は、一九五〇年代から二〇一〇年代半ばまで長期間にわたり、多数のジャニーズジュニアに対し広範に行われ、少なく見積もっても数百人の被害者がいるとされております。
日本共産党国会議員団もプロジェクトチームを設置いたしました。責任者は吉良よし子参議院議員、私が事務局長を務めました。
なぜジャニーズ事務所の性加害がここまで放置されてきたのか。これは私ども日本共産党も無関係ではありません。なぜもっと早く、もっと徹底的にこのことを取り上げなかったのか、自らにも問いかけているわけです。日本社会全体が問われる問題です。政府も国会も社会全体で取り組む必要があるという立場で、私たちはこれに取り組んでまいりました。
そこで、視聴者からの声ではどうなっているかということを聞きたいんですね。二〇二三年七月から九月の視聴者対応報告を見せていただきましたが、経営への声、つまりNHKの経営への声で一番多かったのは何であったか。御答弁いただけますか、NHK。
○小池参考人 お答えします。
昨年七月から九月の間に視聴者の皆様からNHKの経営に関して寄せられた声の件数は七百四十件でありました。このうち最も多かったのは、ジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐってNHKが今後の対応方針について明らかにした記者会見に対するもので、百九十三件ございました。
視聴者の皆様からは、これまでのNHKとジャニーズ事務所との関わり方について、受信料で運営されているNHKだからこそ、きちんと検証を行って国民に説明してほしいという声を多数いただいております。
○宮本(岳)委員 受信料で運営されているNHKだからこそ、きちんと検証を行って国民に説明してほしい、これが多数の声なんですね。
昨年十月九日、NHKニュースで元ジャニーズジュニアの証言が放送されました。二〇〇二年の秋、「ザ少年倶楽部」への出演を希望し、渋谷のNHK放送センターでダンスの練習に参加していたときにジャニー喜多川氏に声をかけられ、局内、つまりNHK放送センター内のトイレで被害に遭ったという衝撃的な証言でありました。
NHKはこれまでの同番組の歴代担当者へのヒアリングを行ったということでありますけれども、性被害を知っていたという担当者はおりましたか。
○山名参考人 お答えいたします。
当時の担当者に伺ったところ、把握しているという者はおりませんでした。
○宮本(岳)委員 自らのニュースではそういう証言を報じたわけですね。私がお尋ねしても、自らNHKが報じたんですからとおっしゃるんですけれども。ではそれが事実かどうかということを、視聴者の声にあるようにきちんと検証を行って国民に説明したかというと、聞いてみた、聞いたら性被害を知っているという人間はおりませんでした、これで終わっているわけです。昨年十月の稲葉会長の定例会見では、番組で検証すると述べられて、第三者による調査は否定をされました。
しかし、これはNHK自身のガバナンスが問われる問題だと私は思います。長期間、広範囲、エンターテインメント業界で見過ごされてきた児童への性加害、性犯罪ですよね。被害者は勇気を出して、命を削る思いで被害を告発されております。具体的に性加害の日時が特定できないにしても、誰が番組に出演、若しくはオーディションに参加したのか、渋谷のNHK放送センターで行われたものであれば、NHKは事実を把握しているはずです。被害救済のため、事実確認を行うべきではありませんか。
○稲葉参考人 お答え申し上げます。
私、かねがね申し上げてきましたけれども、放送の内容について報道機関として自主自律を堅持する立場から、このような問題が起こった場合は、放送に関わることでございますので、自ら原因や背景を解明し、それを放送を通じてお伝えするということが重要だと思っております。
言ってみればこれは放送人の矜持というべきものかと思いますが、この調査では十分でないというような、そういうようなことがあればまた他のやり方も考えますが、現状、こういうことでよろしければ、私自身あるいはNHK自身が報道機関として自主自律を堅持する立場から、自ら原因や背景を解明し、やっていきたい。その関係で、今回生じた問題も、新たな事実が出てきたというような場合には、まず自ら検証し、ニュースや番組を通じて視聴者の皆様にお伝えしていく、こういうことをまずはやらせていただきたいというふうに思っております。
○宮本(岳)委員 放送の自主自律が侵されたのではないかという問題が起こって、それについて最も厳しい立場から批判をしてきた私ですから、放送の自主自律をないがしろにしてもらいたいつもりは毛頭ないんです。番組でおやりになる、その番組の当否について私が語るというのも、全くそういう気はございません。
問題は、放送内容もこの問題にはあるでしょうけれども、同時に、NHK放送センターの中でそういうことが行われた、事実上NHKのスタジオがジャニーズ事務所の貸切り状態になっていた、こういうふうに言われているわけですよね。つまり、ジャニーズ事務所とジャニー喜多川氏にNHKの放送センターのスタジオが私物化されていたということではないのかという疑惑があるわけですね。
この問題でいいますと、先ほど少し番組名が出ましたが、「ザ少年倶楽部」という番組、NHKBS放送の番組でありますけれども、この「ザ少年倶楽部」の放送期間は一体いつからいつまでであったか、そしてメインの出演者はジャニーズジュニアだったと思いますが、間違いないですね。
○山名参考人 お答えいたします。
「ザ少年倶楽部」は、平成十二年、二〇〇〇年四月にスタートいたしまして、去年の十月まで放送いたしました。去年の十月以降は、番組タイトルと内容を抜本的に見直した後継番組を今年一月から放送いたしまして、今月で終了いたしました。
番組開始以来、メインの出演者としては、コンサートなどで活躍し、若年層からも支持されていたジャニーズジュニアを起用してまいりました。
ジャニーズ事務所以外の事務所に所属するタレントの方も、ゲストとして出演したことはございます。
○宮本(岳)委員 ジャニーズ事務所以外の人が出たことがないと言っているつもりはないんです。しかし、圧倒的なジャニーズ事務所のアイドルの方々でやってきたわけですね。むごいことに、多くの子供たちがアイドルとしての成功を夢見るNHKの番組が悪用され、性被害が引き起こされた可能性があるわけです。
資料四は、先ほども紹介した、昨年八月二十九日に外部専門家による再発防止特別チームが旧ジャニーズ事務所宛てに提出した調査報告書の五十二ページから五十三ページであります。下線部ですけれども、ジャニーズ事務所はジャニー氏の性加害についてマスメディアからの批判を受けることがないことから、当該性加害の実態を調査することを始めとして自浄能力を発揮することもなく、その隠蔽体質を強化していったと断ぜざるを得ない、その結果、ジャニー氏による性加害も継続されることになり、その被害が拡大し、更に多くの被害者を出すことになったと考えられると書かれております。
また、TBSも、昨年十一月二十六日に第三者の弁護士二名を外部委員として加えたTBSの特別調査委員会が作成した調査報告書を公表いたしました。
視聴者は、性加害問題を含め、NHKとジャニーズの関係の検証と説明を望んでいるんです。私は、NHKが番組でおやりになることに口を挟むつもりはありません。問題は、ガバナンスの問題です。結果として性加害の機会を提供してしまったのではないのか。この事実を重く受け止めて、徹底的な調査を自ら行って教訓を明らかにするとともに再発防止策を策定することは当然のことだと考えますが、稲葉会長、そうお考えになりませんか。
○稲葉参考人 まず最初に申し上げなきゃいけなかったと思いますけれども、本件性加害の問題につきましては、やはりメディアとしての役割を十分に果たしていなかったというふうに自省せざるを得ないというふうに強く思っております。
今後も、必要であれば十分調査を行い、検証し、その結果について報道を通じて皆様にお知らせする、そういう姿勢で臨んでまいりたいというふうに思っております。
○宮本(岳)委員 我が党は、二〇二〇年度NHK予算の承認に反対して以来、予算承認に反対してまいりました。それは、厳重注意をめぐる議事録の公開に背を向け、放送法の根幹を踏みにじる経営委員会の姿勢を問題としてきたからであります。
しかし、一連の問題を主導してきた森下俊三経営委員長は既に退任され、古賀信行新委員長が就任されました。古賀経営委員長は先ほども、放送法の規定に基づく経営委員会の議事録の在り方について自身でよく考量して透明性の高い経営委員会の運営に努めたいと発言され、三月十三日の会見で稲葉会長は、個別の放送番組など業務の遂行に関する事柄は放送法で規定されているとおり執行部側の自主自律を担保していただくことが大変大切だと述べられました。
我が党は、今回、これらの新たな動きに注目し、この二〇二四年度NHK予算にあえて反対せず、NHK執行部と経営委員会が放送の自主自律を遵守し、かんぽ生命問題で失った国民の信頼を回復できるかどうかを注視していくこととしたいと思います。
NHKが是非とも国民の期待に応えて公共放送の自主自律を取り戻すことを強く求めて、質問を終わります。
○古屋委員長 次に、西岡秀子さん。
○西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
質問に先立ちまして、総務大臣に是非御要望させていただきたいことがございますので、述べさせていただきたいと思います。
能登半島地震から八十日が経過をいたしました。改めて、お亡くなりになった皆様に心から御冥福をお祈り申し上げ、被災され、今なお避難生活、大変過酷な状況の中におられる被災者の皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
昨日、国民民主党玉木代表が石川県に入られまして、全国で国民民主党の仲間が募金活動を通じまして全国の皆様からお預かりした被災者支援への思いを込めた義援金を石川県知事に直接お届けいたしました。そして、被災地の状況についても意見交換をした後、珠洲市に入り、被災地の状況を視察し、要望をお受けしてまいりました。
今なお倒壊したままの建物が多く、復旧が進んでいない状況を目の当たりにしたということの中で、珠洲市については昨年も大きな災害を受け、二重災害の中で、小規模な自治体にとっては財政的な支援が何より重要だという中で、特別交付税による支援や補助率のかさ上げも含めた財政支援を是非よろしくお願いいたしたいという要望を、まず質問に先立ちまして申し上げたいというふうに思います。
それでは、質問に入らせていただきたいと思います。
本日は、NHK予算ということの中で、稲葉会長、新たに御就任された古賀経営委員長にもお越しをいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、NHKのガバナンス、コンプライアンス体制についてお伺いをさせていただきます。
令和六年度のNHK予算について議論する前に、確認させていただかなければならないことがございます。
昨年、インターネット活用業務実施基準にない衛星放送番組の同時配信を目的とする設備の整備として、九億円が令和五年度NHK予算に計上されるという問題が発覚をいたしました。八月にはNHKとして責任の明確化と再発防止策を発表され、社内で防止策が進めてこられたというふうに思っておりますが、その際決定されました改善方針や具体的な施策が有効に機能した上での今回の予算編成であったかどうかということについて、稲葉会長に御確認をさせていただきます。
中でも、再発防止策として、経営委員会も含めた意思決定プロセスを透明化すること、また企業風土の刷新が掲げられておりました。二度とこのような事態が起こらない体制をどのように進められていくお考えであるかということも併せて稲葉会長にお尋ねさせていただきます。
○稲葉参考人 次期中期経営計画及び予算、事業計画の策定に当たりましては、役員間での検討を三十回以上重ねて、率直かつ濃密な議論を行いました。ガバナンスにおいて重要であると考えている合議に力点を置くことで、経営意思決定プロセスの改善が図られたというふうに考えています。
不適切な調達手続の再発防止策といたしましては、理事会や稟議にかける議案の審査を一元化することや、法的リスクを含めた多面的観点からチェックすることなど、昨年十一月から新しい意思決定プロセスを実行してございます。
企業風土の刷新に向けましては、公共放送で働く役職員の役割、責任に関する人材教育の強化の観点から、私自らが講師となりまして、役員と一部の部局長を対象としたガバナンスに関する役員向け講義を行いました。
次期中期計画でもお示ししているとおり、信頼が全ての源でございます。私がリーダーシップを発揮することで、このような取組を浸透させ、説明可能な、アカウンタブルな経営を徹底し、二度とこのような事態が起こらない体制にしてまいりたいと考えております。
○西岡委員 今、稲葉会長から、自ら先頭に立ってというお話がございました。ガバナンス、コンプライアンス体制を強化して、企業風土としてしっかり根づかせていく、ある程度時間のかかる部分もあるというふうに思いますけれども、二度とこのようなことが起こらない体制につきまして、不断の検証と見直し、お取組を是非お願い申し上げたいと思います。
続きまして、古賀経営委員長に質問させていただきます。先ほどの宮本委員からの質問とも重複いたしますけれども、大変重要な点でございますので私の方からも質問をさせていただきます。
経営委員会は、NHKの最高意思決定機関でありまして、十二人から構成され、委員は衆参の同意を得てから総理から任命される委員会でございます。また、放送法に、その設置、権限、組織、委員の任免、また運営、議決の方法が規定をされ、先ほどから議論があっております議事録の公開義務等も規定をされております。
前経営委員長の下で、番組内容への介入との批判を免れない事案ですとか、このことについての議事録を非公開とするなど、大変重大な問題が指摘をされてまいりました。
先ほどNHK会長にもお尋ねをいたしましたけれども、NHKは、昨年の事態を受けて、再発防止の中で、経営委員会に対する執行部からの情報提供の充実、また経営委員会を含めた意思決定プロセスの透明化の推進に取り組まれてきたところでございます。古賀委員長は、委員としてのお務めがない中で今回委員長として就任をされたわけでございますけれども、古賀委員長の意思決定プロセスの透明化に対する基本的な方針、そしてお取組について、どのように今後お取り組みになられるかということにつきまして、お尋ねをさせていただきます。
○古賀参考人 先ほど来出ていますように、再発防止につきましては、これは執行部に対してまずは適切な予算の執行を求めるということが望まれていると思いますし、それとともに、既にもうこれは行っていることでありますけれども、監査委員会による稟議書の査閲等に現在取り組んでおります。それから、経営委員会、監査委員会に対する執行部からの情報提供の拡充、これが掲げられておりますとおり、経営委員会に迅速に報告する、このことを求めることによって再発防止につなげていくというのが基本だろうというふうに考えております。
したがって、この動きにつきましては加速させて、きちんとした監督責任を全うしていきたい、このように考えております。
○西岡委員 先ほどの議事録のことも含めまして、意思決定プロセスの透明化の部分につきまして、古賀経営委員長から再度、これからの方針について、お取組についてお話をいただけませんでしょうか。
○古賀参考人 放送法四十一条で、経営委員会の議事録については作成して公表すると。この趣旨を考えますと、私なりに整理しますと、議論して決めるときには、どういう過程を経て、何が決まって、何は決まっていないか、この辺りを明確に示していくということがやはり非常に大切なんだろうというのが原点にあると思います。
したがって、やり方等については、それぞれの状況、午前中もございましたが、全部出すのが正しいことかと申し上げると、違う見方もされますけれども、ただ、私が考えますに、例えばですが、私は人事も随分長く仕事をしましたが、人事で、あの人はどうだこうだという議論をした上で決定するときに、その過程を全てディスクローズすることは、せっかくその後の人事について、働く人に意欲づけしなきゃいかぬわけですから、全てを公開することが必ずしも前進につながらないケースも私はあると思います。
今のは一例でありまして、何も隠し立てすることが意義ではなくて、私は、正々堂々、どこまで進展して、今どうなっているというのをきちんと皆様にお伝えしていくというのが最低限の務めだろう、このように思いますので、それに沿ってやってまいりたい、このように思っております。
○西岡委員 今、古賀経営委員長から、自らのこれまでの様々な御経験も踏まえたお話がございましたけれども、議事録の公開というのは誠に、申し上げると基本的なところでございますし、放送法で規定をされていることでございますので、これについて公開がないということ自体が、前経営委員長の様々なこれまでのことについては大変看過できない問題が多くあったというふうに思います。今、古賀新委員長の方から明確に、しっかりプロセスを透明化していくというお話がございましたので、しっかり透明化についてのお取組を新委員長として進めていただくことを御要望させていただき、新経営委員長として、これまでの経験ですとか知見を生かしていただき、是非お取組をお願い申し上げたいというふうに思います。
次の質問に移ります。
令和六年度予算につきましては、昨年十月の受信料値下げの影響によりまして五百七十億円の赤字予算となり、二年連続赤字となって、還元目的積立金を充当して収支を均衡としている形となっております。受信料収入につきましては、二〇二三年度予算からの減少額四百二十九・九億円のうち、値下げの影響が三百八十六億円、契約件数の減少等が四十三億円のマイナスとされております。NHKは二〇二七年に収支均衡を見込んでおりまして、事業収入を一定規模確保していくことが必要であり、いかに受信料収入を確保できるかということも大変重要だと認識いたしております。
先ほどからの議論でもあっておりますけれども、放送と通信の融合が進みまして、スマートフォン、タブレット等の普及によってネットフリックスやアマゾンプライムビデオ等のインターネットの利用時間が大変増大する中で、放送を取り巻く環境が大変厳しい状況にあって、営業活動については、巡回訪問から訪問によらない営業に変更され、そして、今回、時代に即した新しい営業アプローチの推進とされております。二〇二三年度予算の計画値で五百九十三人計上されていた個人委託の地域スタッフ制度を廃止して、新たに二〇二四年度からはNHK収納スタッフとして六百人が予算に計上されております。
訪問によらない営業と時代に即した新しい営業アプローチの推進がどのように違うのかということが明確ではない部分があるというふうに思っておりますので、このことについて具体的な御説明をお願いいたします。
○小池参考人 お答えいたします。
現在、NHKでは、従来の巡回型の訪問活動を完全に廃止して、新たな営業アプローチへの転換を進めているところでございます。
この新たな営業アプローチとは、訪問によらない営業を更に発展させて、デジタル、書面、対面など、複数の施策を組み合わせることによって、視聴者の皆様との接点を増やして、納得して受信料をお支払いいただける方を増やしていく取組でございます。
新たな営業アプローチを確立する上では、多くの方にNHKの放送・サービスに触れていただき、公共的価値に共感して、NHKを必要だと感じていただくことが重要だと考えております。
○西岡委員 このお取組によりましてどの程度の効果を発揮するのかということは様々議論のあるところだというふうに思っておりますけれども、やはり国民の皆様の理解をしっかり得て進めていくというところ、大変重要だと考えております。このお取組につきましても、効果を含めて今後しっかり検証していくことも必要だというふうに思っております。
続きまして、次の質問につきましては午前中の質疑でございましたので、次の質問に移らせていただきます。
今回の三年間の経営計画で示されております受信料収入を確保することは様々、人口減少の問題、世帯数の減少、またテレビの視聴率が大変少なくなっていることやテレビ離れが加速していることも含めて様々な要因があるというふうに思っておりますけれども、この三年間の経営計画の中で受信料収入を確保することは大変厳しい状況にあるのではないかというふうに考えますけれども、このことについてのNHKの御見解をお伺いしたいと思います。
○小池参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、次期中期経営計画で掲げた受信料収入を確保することは容易なことではないと認識しております。ただ、以前のように外部の法人に訪問営業を委託して多くの経費をかけるということは、社会的に納得を得ることが難しいと考えております。限られた予算の中で受信料の公平負担を図るため、デジタル接点の拡大、外部企業との連携強化、さらには特別あて所配達郵便等の活用を進めてまいります。
新たな営業アプローチを早期に確立して、納得して受信料をお支払いいただける方を増やしていくことで、必要な受信料収入を確保してまいりたいと考えております。
○西岡委員 今お話をいただきましたけれども、様々な、人口減少ですとか世帯数、またテレビ離れも含めて、このようなことも当然加味して立てられた計画だというふうに思っておりますけれども、様々な要因を考えますと、現実的には大変ハードルの高い計画ではないかということを私自身は感じておりますので、このことについては、国民の理解を得ながらということでございますけれども、先ほども申し上げた不断の検証、見直しを含めて、様々な課題をしっかり明確化していく必要があるというふうに思います。
続きまして、総務大臣の意見によりますと、値下げした現行の受信料の額を維持しつつ、赤字となった事業収入差額について還元目的積立金を活用して視聴者へ還元する点は評価するとされておりますけれども、公共放送の役割を果たすために必要な事業規模について不断の見直しを行い、受信料の適切かつ公平な負担の徹底に向けた取組を確実に進めることを求められております。
公共放送の役割を果たすために必要な適正な事業規模についての考え方について、また受信料の適正かつ公平な負担の徹底に向けた取組についてのNHK会長の御見解、併せてそれぞれについての総務大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
○松本国務大臣 NHKにおかれては、放送法に定めがございますように、あまねく日本全国において豊かでよい放送番組を受信できるよう放送を行うとともに、放送全体の進歩発達等に貢献する役割を担っていただいておりまして、NHKにおかれては、その役割を果たすために適切な事業規模を確保していただくことになろうかというふうに思っております。技術の進展や放送を取り巻く環境が変化しておりますので、これに対応する事業改革を進めていただきつつ、これまでも御答弁申し上げましたように、広く国民に受信料を御負担いただいて財源が確保されておりますので、不断に支出等の見直しにも取り組んでいただくことが必要だと思っております。
この度の受信料の在り方につきましては、私もNHK令和六年度予算に付する大臣意見で申し上げているところでございますが、見直しの結果として、収支均衡の達成に先んじて還元目的積立金を活用して視聴者への還元を行うとされているもので、これを評価させていただいたところでございます。
受信料につきましては、適正な収納に向けて、今御説明がございましたが、新たな営業アプローチを推進することとされております。
あわせて、受信料の公平な負担の徹底も最重要課題として取り組んでいただいていると承知をしておりまして、総務省としては、大臣意見で申し上げましたように、国民・視聴者の理解を得られるよう丁寧な説明に努め、未契約者、未払い者対策に取り組んでいただきたいと思っているところでございます。
○稲葉参考人 受信料が減収傾向となるということが予想される中にあっても、信頼できる情報を提供することで、情報空間の参照点を提供し、信頼できる多元性確保に貢献する、そういう役割を果たしていくということでございます。
そのために、経営資源の選択と集中を図り、コンテンツの質と量を確保しながら一千億円規模の事業支出削減を行い、二〇二七年度に収支均衡を目指すということにしてございます。その結果、六千億円を割り込む事業支出規模となりますけれども、引き続き、適正かつ効率的な事業運営に努め、公共放送の役割をしっかりと果たし、視聴者の皆様の期待に応えていくということが何より重要だと考えております。
受信料の関係では、先ほど来るる申し上げてございますが、受信料の公平負担の徹底に向けた取組につきましては、視聴者との接点、デジタルや書面、対面等、これらを開発、拡大し、NHKへの理解や、契約の届出、受信料の支払いといったものの利便性を高める、時代に即した新たな営業アプローチを推進するということとしてございます。
インターネットでのデジタル広告とか、あるいは特別あて所配達郵便とか、外部企業、団体との連携強化、それに加えまして、必要に応じて視聴者の皆様にお会いして説明する機会を設ける、こうした取組により、受信料制度の意義や公共放送の役割等を丁寧に説明して、NHKの取組への理解を深めていただくことで、自主的な契約の届出、支払いの促進を図り、受信料の公平負担に努めていきたいというふうに考えております。
○西岡委員 先ほども御指摘をさせていただいた点と関連いたしますけれども、次の質問でございます。
二〇二四年から二〇二六年までのNHKの中期計画について、今日お配りしております資料に記載をされておりますけれども、二〇二四年度から三年間の事業支出の減額幅は前年に比べて二百億円前後である一方で、二〇二六年度からNHKが収支均衡を目指している二〇二七年度にかけては一気に四百二十億円のダウンサイジングをさせる計画となっております。かなり無理のある計画ではないかというふうに思うんですけれども、問題の先送りではないかと危惧する声もございますけれども、どのような方針の下で計画が作成されているのかということにつきまして、NHKにお尋ねをさせていただきます。
○稲葉参考人 次期中期経営計画で掲げました二〇二七年度までの事業支出削減は、過去に経験のない大きなチャレンジだと認識してございます。
放送波の削減、設備投資の見直しによる大幅な縮減を行うほか、既存業務の大胆な見直しを行い、番組経費や営業経費への切り込みなど、構造改革を計画してございます。一方、業務の効率化や生産性向上につながるような先行投資を行い、必要な構造改革をしっかり進めていくことも同時にやるということになっております。
各年度の改革の成果を取り込みながら着実にステップを踏んで経費を削減していくという形を取っておりますので、二〇二七年度の削減額が大きくなってございます。これは決して改革の先送りということではなくて、成果を取り込みながら着実に経費を削減していくという考えに基づくものでございます。
厳しい経営環境の下でも経営資源の選択と集中を図り、コンテンツ価値の最大化を図ることが重要だと考えておりまして、適切な資源管理とテクノロジーの力で、より質の高いコンテンツを提供してまいりたいと考えております。
○西岡委員 選択と集中ということで今回の予算、中期計画に述べられておりますけれども、必要な経費削減とともに、やはり公共放送として、視聴者・国民が求める正確な適切な情報という公共放送でしかできない役割、質、量共にしっかり確保していただくということも大変重要なことだと思いますので、しっかり推し進めていただきたいというふうに思います。
続きまして、正確で公正な報道は公共放送の命綱であるにもかかわらず、昨年五月の「ニュースウオッチ9」の報道において不適切な報道がなされ、NHK放送の信頼を著しく損なうものであるということについては猛省を促したいというふうに思っております。倫理検証委員会から放送倫理違反の判断がなされる深刻な事態でございます。令和三年にもBS1スペシャルの不適切字幕問題が発生したばかりで、立て続けに再度このような事態が発生したことにつきましては、BS1スペシャルの事案を受けて導入、強化された再発防止策が十分機能していなかったのではないかということを言わざるを得ません。
今後どのように実効性のある再発防止に取り組んでいかれるのかどうかということにつきまして、NHK会長にお伺いをいたします。
○稲葉参考人 NHKのニュース番組「ニュースウオッチ9」の新型コロナ関連動画につきましては、昨年十二月にBPOの放送倫理検証委員会から、放送倫理違反があったとする意見がNHKに通知されました。事実を正確に伝えるというニュース、報道番組としての基本を逸脱し、視聴者の信頼を裏切り、遺族の心情を大きく傷つける結果を招いたという指摘を真摯に受け止めております。
NHKでは、この問題が発覚して以降、再発防止策が実効性のある取組となるよう、チェック機能の強化にとどまらず、ジャーナリズム教育の強化、責任ある取材、制作体制の構築、放送ガイドラインの基本姿勢の再徹底など、様々な角度から再発防止に取り組んでおります。
取材、制作のあらゆる段階で真実に迫ろうとする基本的な姿勢を再確認し、現在進めている再発防止策を着実に実行し、視聴者の信頼に応えられる番組を取材、制作していきたいというふうに考えております。
○西岡委員 是非、視聴者の信頼を二度と裏切らない体制、再発防止策に努めていただくことをお願い申し上げたいと思います。
時間が限られておりますけれども、今回、元日に発災した能登半島地震におきまして、改めて、正確な情報の伝達について様々な課題があることが浮き彫りとなりました。特に災害時の公共放送の果たす役割の重要性が再確認されると同時に、今回、災害時に拡散される偽・誤情報によって実際に災害現場の支援活動に支障を来す事案が発生して、災害時における偽・誤情報対策の必要性が具体的に認識をされております。その対策が喫緊の課題だというふうに思っております。
総務大臣の意見の中におきましても、政府、地方公共団体、民間放送事業者と連携した停電対策も含めた放送設備の維持、復旧への取組、偽情報への国民への注意喚起が求められるということが述べられております。
質問時間が終わりましたので、是非NHKとして、災害時に国民にとって必要な情報をいかに正確に迅速に伝えていくかということにつきまして、公共放送でしかできない役割でございますので、しっかり取組を続けていただきたい。また、偽情報、誤情報につきましては、放送弱者と言われる障害をお持ちの方々に対しても偽情報、誤情報の対策をしっかり取っていただくことも併せてお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○古屋委員長 この際、休憩いたします。
午後四時四分休憩
――――◇―――――
午後四時十三分開議
○古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
ただいま議題となっております放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○古屋委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。
本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○古屋委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
―――――――――――――
○古屋委員長 この際、ただいま議決いたしました本件に対し、斎藤洋明さん外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党及び国民民主党・無所属クラブの四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。おおつき紅葉さん。
○おおつき委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
政府及び日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。
一 協会は、放送番組の編集に当たっては、受信料を財源とする公共放送の性格を定めた放送法の趣旨を十分踏まえ、事実に基づく放送に強い責任を自覚し、かつ政治的公平性を保つとともに、「人にやさしい放送」の更なる拡充により放送のバリアフリー化を進め、我が国の公共放送としての社会的使命を果たすこと。
二 政府は、日本国憲法で保障された表現の自由、放送法に定める放送の自律性に鑑み、協会を含めた放送事業者の番組編集について、引き続き自主・自律性を尊重すること。また、経営委員会委員の任命に当たっては、公正な判断をすることができる経験と見識を有する者から、教育、文化等の各分野及び全国各地方が公平に代表され、かつ、女性の比率を引き上げるなど多様な意見が反映されるよう幅広く選任するよう努めること。
三 協会は、その運営が受信料を財源としていることを踏まえ、国民・視聴者に対し、情報を十分に開示し、説明を尽くすこと。また、そのために、経営委員会及び理事会等における意思決定過程や、財政運営上の規律、不祥事に伴う処分、子会社等の運営の状況、調達に係る取引等を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、経営委員会及び理事会の議事録の適切な作成・管理を行うとともに、原則として公表すること。
四 協会は、その放送番組において、不正確な又は視聴者の誤解を招く表現により、協会の放送の信頼を損なう事態があったことを踏まえ、番組制作過程における責任ある体制の構築、チェック機能の強化等、徹底した再発防止に努めること。
五 協会は、平成二十九年十二月の最高裁判決にも鑑み、公共放送の存在意義及び受信料制度に対する国民・視聴者の理解の促進や信頼感の醸成に協会一体となって、一層努めること。また、支払率の低下について、その原因を分析し、対処方法について検討を行うこと。なお、令和五年四月から運用を開始した割増金については、個別事情に配慮し、適切な対応を行うこと。
六 協会は、音声波の削減については、災害時における情報提供手段としての高い有用性があること、ラジオ第二放送が民間放送事業者の手掛けにくい教育・教養番組の放送を多面的に行っていること等を考慮した検討を行うこと。
七 協会は、放送センターの建替えについては、受信料を財源としていることを踏まえ、放送センターの建設計画の抜本的な見直しの具体的な内容を早急に明らかにし、国民・視聴者の理解が得られるよう説明を尽くすとともに、建替えに係る費用の圧縮に徹底的に取り組み、その成果を国民・視聴者に適切に還元すること。
八 経営委員会は、放送法が定める協会の自律性を担保するために、協会の経営に関する重要事項を決定する権限と責任を有する最高意思決定機関であることを深く認識し、職務を遂行するに当たっては、放送法を遵守し、特に、何人からも介入されることのない個別の放送番組の編集への経営委員会の介入が疑われるような行為は厳に慎むこと。また、協会が放送法に定められた役割を的確に果たせるよう、監督権限を行使すること。
九 協会は、協会が中小企業との価格交渉や中小企業からの価格転嫁の要請への対応が消極的であると評価されたことを踏まえ、他の事業者との取引に当たっては、社会や経済の状況に鑑み、価格交渉に適切に応じ、適正な価格による取引の実現に努めること。
十 協会は、経営改革の実行に当たっては、職員の雇用の確保及び処遇の改善に十分配慮すること。なお、職員給与の決定に当たっては、長年にわたる職員給与の抑制、業務量の増加及び人員の削減に起因する職員の負担の増大、民間企業従業員の賃金や物価の上昇等を踏まえ、適正な水準とすること。
十一 協会は、協会の業務に携わる者の命と健康を最優先すべきであったにもかかわらず、過労により職員が亡くなる事態が再発してしまった事実を厳粛に受け止め、適正な業務運営と労働環境確保に全力で取り組むこと。また、ハラスメントの防止など職場の環境改善を進めるとともに、障害者の雇用率の向上及び女性の採用・登用の拡大を図ること。
十二 協会は、受信料を負担する国民・視聴者共有の財産であることを自覚し、放送と通信の大融合時代にふさわしい公共放送の在り方、受信料の在り方について、引き続き真剣に検討し、新しい社会と技術に対応した公共メディアとして将来にわたって持続・発展していくことを可能とする経営ビジョンを早急に構築すること。
十三 協会は、国民・視聴者に対する還元等により、当面、事業収支差金の赤字が見込まれていることについて、必要な還元を進めつつも、不断の経営改革により、できる限り早期に赤字予算を解消し、受信料収入と事業規模との均衡を確保すること。この場合において、中期経営計画で掲げた事業支出の削減に当たっては、国民・視聴者に対する大幅なサービス低下を招かないよう、コンテンツの質を担保するための環境整備に十分に配慮すること。
十四 協会は、インターネット常時同時配信等通信分野における業務の実施に当たっては、社会実証の結果や民間放送事業者の見解に十分留意しつつ、国民・視聴者のニーズや動向を的確に把握し、国民・視聴者に対する情報提供や関係者間での情報共有及び連携を図るよう努めること。
十五 協会は、自然災害が相次いでいる現状に鑑み、地震災害、風水害、雪害等、いかなる災害時にも放送・サービスが継続され、正確な情報が国民に伝達されるよう、令和六年能登半島地震で明らかになった課題も踏まえ、中継局を含む放送設備の整備と非常時の体制の強化、偽情報・誤情報の流通・拡散を防止する取組の強化を図ること。また、政府は、協会その他の放送事業者が災害時に備える取組を推進することができるよう支援を行うこと。
十六 協会は、国際放送については、我が国の経済・社会・文化等の動向を正しく伝え、我が国に対する理解を促進するよう努めること。また、世界情勢等に鑑み、在外邦人に対し、生命と身体の安全に関する情報を適切に伝えるよう努めること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○古屋委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○古屋委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、松本総務大臣及び日本放送協会会長稲葉延雄さんから発言を求められておりますので、順次これを許します。松本総務大臣。
○松本国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいります。
○古屋委員長 次に、日本放送協会会長稲葉延雄さん。
○稲葉参考人 日本放送協会の令和六年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御承認を賜り、厚く御礼申し上げます。
本予算を執行するに当たりまして、御審議の過程でいただきました御意見並びに総務大臣意見の御趣旨を十分生かしてまいります。
また、ただいまの附帯決議は、十分に踏まえて協会の運営に当たり、業務執行に万全を期したいと考えております。
本日は、ありがとうございました。
―――――――――――――
○古屋委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○古屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時二十四分散会