衆議院

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第11号 令和6年4月2日(火曜日)

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令和六年四月二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 斎藤 洋明君 理事 田所 嘉徳君

   理事 田中 良生君 理事 本田 太郎君

   理事 湯原 俊二君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 中川 康洋君

      畦元 将吾君    井原  巧君

      石田 真敏君    尾身 朝子君

      金子 俊平君    金子 恭之君

      川崎ひでと君    国光あやの君

      坂井  学君    田畑 裕明君

      寺田  稔君    中川 貴元君

      西田 昭二君    西野 太亮君

      根本 幸典君    長谷川淳二君

      鳩山 二郎君    古川 直季君

      保岡 宏武君    柳本  顕君

      おおつき紅葉君    岡本あき子君

      福田 昭夫君    藤岡 隆雄君

      道下 大樹君    屋良 朝博君

      阿部  司君    中嶋 秀樹君

      吉田とも代君    平林  晃君

      宮本 岳志君    西岡 秀子君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   総務副大臣        渡辺 孝一君

   総務大臣政務官      西田 昭二君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   財務大臣政務官      瀬戸 隆一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 信也君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 小八木大成君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    植田 広信君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           藤野  克君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           湯本 博信君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  菅原  希君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山野  謙君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            小笠原陽一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       玉田 康人君

   政府参考人

   (消防庁次長)      五味 裕一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 小宮 敦史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (林野庁次長)      小坂善太郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         平田  研君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           筒井 智紀君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 岸川 仁和君

   政府参考人

   (環境省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           神谷 洋一君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          市倉  昇君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二日

 辞任         補欠選任

  葉梨 康弘君     畦元 将吾君

  鳩山 二郎君     柳本  顕君

  奥野総一郎君     屋良 朝博君

同日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     金子 俊平君

  柳本  顕君     鳩山 二郎君

  屋良 朝博君     奥野総一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     葉梨 康弘君

同日

 理事中司宏君三月二十一日委員辞任につき、その補欠として中司宏君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

四月一日

 日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に中司宏さんを指名いたします。

     ――――◇―――――

古屋委員長 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社常務執行役市倉昇さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木信也さん、内閣府大臣官房審議官小八木大成さん、消費者庁審議官植田広信さん、総務省大臣官房総括審議官藤野克さん、大臣官房総括審議官湯本博信さん、大臣官房地域力創造審議官山越伸子さん、行政評価局長菅原希さん、自治行政局長山野謙さん、自治行政局公務員部長小池信之さん、自治行政局選挙部長笠置隆範さん、自治財政局長大沢博さん、自治税務局長池田達雄さん、情報流通行政局長小笠原陽一さん、情報流通行政局郵政行政部長玉田康人さん、消防庁次長五味裕一さん、法務省大臣官房審議官松井信憲さん、財務省大臣官房審議官小宮敦史さん、厚生労働省大臣官房審議官斎須朋之さん、林野庁次長小坂善太郎さん、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄さん、中小企業庁事業環境部長山本和徳さん、国土交通省大臣官房総括審議官平田研さん、国土交通省大臣官房審議官筒井智紀さん、国土交通省道路局次長岸川仁和さん及び環境省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官神谷洋一さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。本田太郎さん。

本田委員 おはようございます。自由民主党の本田太郎です。

 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。よろしくお願いいたします。

 四月一日から、働き方改革の第二弾がといいますか、動き出しました。それとの関係で、郵便事業への影響についてお尋ねをしたいと思います。

 四月一日からの働き方改革関連法に基づく時間外労働の上限規制は、自動車運転は年九百六十時間以下ということで、規制が拡大をしたわけでございます。物流分野に大きな影響が生じるものと推測をされます。特に、物流分野では具体的な対策を取らないと令和六年度で輸送能力が一四%不足するというデータもございます。このような影響が想定されるわけですけれども、郵便事業におかれましてはこれに対してどのような対策を用意されているのか、この点につきまして具体的に御教示いただければと思います。よろしくお願いします。

市倉参考人 お答えいたします。

 昨日、四月一日から適用されました改善基準告示の改正を踏まえまして、日本郵便におきましては、長距離トラック運送便を分割し中継輸送に切り替えるといった対策を行っております。その結果、一部区間におきましてはサービスレベルの変更が必要となりまして、先般一月三十日にゆうパック及び速達郵便物のお届け日数の見直しについて公表をしたところでございます。

 また、トラックドライバーの働きやすい環境整備を行いつつ、ヤマトグループ様、また佐川急便様との協業によりまして共同配送を推進し業務効率を高める努力に加えまして、貨客混載の推進、また路線バス、鉄道、フェリー等を活用したモーダルシフトを進めることも重要と考えておりまして、引き続き取り組んでまいります。

本田委員 答弁ありがとうございます。今おっしゃられたように様々な工夫をして、働き方改革により事業に悪い影響が及ばないように努力されているということが分かりました。

 聞くところによりますと、郵便事業のみならず、全然違う業界の民間企業におかれましてもライバル企業同士が輸送分野では提携をしたり、異業種、全然関係のない業種間でも物流の部分では協力をし合うというようなことで、物流の合理化をどんどん進めていらっしゃるというふうに聞いております。今後ますます人手不足が叫ばれる中で合理化が求められると思いますので、その点につきましては御努力を続けていただければと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 続きまして、次は、封書やはがきの郵便料金が上がるということが話題になっておりますので、その点につきましてお尋ねをしたいと思います。

 具体的に言いますと、二十五グラム以下の定形郵便物は八十四円から百十円に、五十グラム以下の封書も九十四円から百十円にということで統一価格にしよう、はがきにつきましては六十三円を八十五円にということで、大幅な郵便料金の値上げがなされるということで話題になっております。

 郵便物数で見てみますと、ピーク時の二〇〇一年度は二百六十二億通、それが二〇二二年度には百四十四億通、四五%も減少をしているわけでございます。そして、二〇二二年度の営業利益は民営化後初めて二百十一億円の赤字となったと聞いております。更に見ていくと、郵便物数は二〇二八年度に、予測ですけれども百十五億通となって、値上げによって二〇二五年度に黒字化をしたとしても、二〇二六年度以降はまた赤字になるのではないかということが懸念されているということでございます。

 こういった大変厳しい状況の中で値上げということになったのだと思いますけれども、二十五グラム以下の定形郵便物につきましては省令の改正が必要ということでございますので、具体的に、二十五グラム以下の定形郵便物の上限料金の見直しということにつきまして、今後の具体的な手続についてお尋ねをいたします。

玉田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、現在、総務省におきまして、二十五グラム以下の定形郵便物の料金の上限額を定める総務省令の改正の手続を進めてございます。

 この点につきまして、令和五年十二月十八日に総務省から情報通信行政・郵政行政審議会に対し、現在八十四円と定めております料金の上限額を百十円に改正する省令案を諮問いたしました。

 その後、令和五年十二月十九日から令和六年一月二十二日までの間、パブリックコメントを行い、令和六年三月七日の同審議会におきまして、諮問のとおり改正することが適当であるとの答申をいただいたところでございます。

 現在、消費者委員会におきまして御議論をいただいておりまして、その後、物価問題に関する関係閣僚会議などの手続を経ました上で、総務省令が公布、施行されることとなります。

本田委員 御説明ありがとうございました。慎重な手続を経て省令の改正が行われるということがよく分かりました。

 我々消費者としては、具体的にいつから、消費者の手元ではといいますか、実際に値上げはいつから行われるのかということが大変気にはなるわけでございますので、その点についても御答弁いただけますでしょうか。

玉田政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げましたとおり、二十五グラム以下の定形郵便物の料金の上限額を定めます総務省令の改正につきましては、現在、消費者委員会にて御議論いただいており、その後、物価問題に関する関係閣僚会議などの手続を経た上で総務省令が公布、施行されることとなりますが、順調に手続が進捗した場合には本年六月頃の公布、施行を想定してございます。

 なお、その後、日本郵便におきまして、実際の料金の届出を行い、利用者への周知期間を経た上で料金の改定が行われるものと考えております。

本田委員 ありがとうございます。

 そうすると、通告していないわけですけれども、メディア等々では何か十月頃というようなことも出ておりますけれども、必ずしも十月というわけではないという理解でよろしいんでしょうか。

玉田政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほど申し上げましたように、順調にまいりますと六月頃の公布、施行の後、日本郵便におきまして料金の届出それから利用者への周知期間ということを経た上での改定ということになりますので、日本郵便さんの対応に委ねられているということになります。

本田委員 よく分かりました、ありがとうございます。周知期間をしっかり取っていただく。

 我々政治家もたくさん郵便物を出しますので、非常に影響が大きいわけであります。私たちのことはさておき、世の中の皆様にとって非常に重要な郵便料金でありますので、周知期間を徹底して取っていただいて、料金の値上げということに理解を得ていく必要があるかと思います。どうぞよろしくお願いします。

 次の質問に入ります。次は、ふるさと納税制度についてお尋ねをしたいと思います。

 ふるさと納税につきましては、今非常に多くの方がふるさと納税をされて、それぞれ、返礼品目的なのか、各地域のふるさと、若しくはふるさとじゃない地域もあるかもしれませんが、そういったところを応援していこうということで大変盛んに行われているわけでございます。そういったふるさと納税制度でございますけれども、本質的なところで申し上げると、様々な批判がないわけでもないということです。

 過度な自治体間の競争が行われて、ある意味ではげたを履かせたような返礼品ビジネスが行われて、いい面でいくと、これが返礼品ビジネスとなって地域経済の活性化を促すという側面もありますけれども、やはり行き過ぎた自治体間競争になっているんじゃないかというような批判もございますし、高額納税者ほど結果的に優遇を受けられるということになってしまっているのではないかという批判もございます。

 また、租税の根本的な原理から考えると、納税者が納税先の自治体を選べるということになりますので、それぞれの納税者が自分の居住する自治体からいわば利益をいただいているからそこに納税するんだという応益原則に反するというような考え方もございます。更に言うと、自治体はそもそも徴税権を持っているわけでございますけれども、納税者がどこに納税をするのか選べるということになりますと、その自治体の徴税権を害しているんじゃないかというような批判もございます。

 こういった様々な批判があるわけですけれども、現実の社会の中ではこのふるさと納税制度というのが極めて広く浸透しており、大きなある意味でビジネスにもなっているというところでありますので、こういった疑問や批判に対してどういった対応だとか考え方をされているのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。よろしくお願いします。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 議員御承知のとおり、ふるさと納税制度というものは、ふるさとやお世話になった地方団体への感謝の気持ちを伝え、税の使い道を自分の意思で決めることを可能とするものとして、寄附金税制を活用して創設された制度でございます。

 この制度を活用して寄せられた寄附金ですが、子育て支援でありますとか、現在の能登半島地震など災害時の被災者支援、こういった様々な地域課題の解決のために活用されております。

 また、返礼品として地場産品を提供することで、雇用の創出や地域経済の活性化にもつながっているものと考えております。

 いただいた御批判でございますが、制度が普及する過程で過度な返礼品競争が行われたことなどを背景といたしまして、令和元年度に対象となる地方団体を国が指定する制度を導入いたしまして、募集に要する費用を寄附金総額の五割以下とすること、返礼品については返礼割合を三割以下かつ地場産品に限ることなどの基準を定めたところでございまして、昨年も、この募集経費五割以下基準を始めといたしまして、指定基準の運用を厳格化する改正を行ったところでございます。

 また、委員から御指摘がございました高額納税者や応益原則等との関係につきましては、ふるさと納税における特例的な控除額は個人住民税所得割の額の二割を上限としておりまして、個人住民税の大半は住所地団体に残る仕組みとなっております。

 ふるさと納税については、今後とも、各地方団体の募集の態様でありますとか返礼品の提供状況等を踏まえまして、必要に応じ基準の見直しや明確化等を検討いたしまして制度が適正に運用されるよう努めてまいりたい、このように考えております。

本田委員 ありがとうございました。

 ふるさと納税制度、様々な意見があるところでございますので、その点を今後もまた注視しながら適正な運用といいますかを進めていただきたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

古屋委員長 次に、中川康洋さん。

中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。

 今日も、一般質疑の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 今日は、総務省に関わる広範な範囲において幾つか質問をさせていただきたいと思いますので、大臣を始め総務省の皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 最初に、労働者協同組合制度の積極的活用についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 総務省の皆様も既に御承知のとおり、持続可能で活力ある地域社会を実現するため議員立法により法制化されました労働者協同組合法、これは一昨年の十月に法施行されまして、全国的な周知フォーラム、この周知フォーラムは厚生労働省を中心に行ったわけでございますが、このフォーラムなどにより、四月一日現在、三十一都道府県で既に八十七の法人の設立が報告をされているところでございます。

 私は、この労働者協同組合制度はまさしく、我が国の大きな課題であります人口減少や支え手不足など、今後更に深刻となる地域社会の様々な課題に取り組むための新たな組織法制になるというふうに考えておりますが、まず冒頭、総務大臣に、この労働者協同組合制度をどのように認識しておられるのか、この点についてお伺いをいたします。

松本国務大臣 委員からお話がございました労働者協同組合制度は、労働者が組合員として出資し、その意見を反映して自ら従事することを基本原理とする組織でございます。地域社会の課題の解決を目指していくもので、新しい法人制度であると承知をしているところでございますが、今委員からも御紹介がございましたように、地域の課題の認識や課題解決の選択肢として意義があるということで、国会においても全会一致ということで、認識を共有している中で成立した制度であるというふうに考えております。

 御承知のとおり、令和四年の制度創設以降、様々な労働者協同組合が設立されておられまして、地域課題、様々なニーズに対応をされているものでもあって、多種多様な取組が展開されているものと認識をしております。

 私も議員として、この労働者協同組合制度に熱心にお取り組みいただいて、推進していただいておる方々とも御縁がございまして、いろいろ、推進のサポートや御説明も受けたことが議員としてはございます。

 総務省としましても、今お話がありましたように、地域社会の様々な課題を解決するというのは総務省にとりましても大変大事なテーマでございまして、労働者協同組合制度は多様な働き方を実現しつつ地域課題に取り組むための選択肢の一つである、このように考えておりますので、全国の地域活性化に資することを期待し、私どもも地域活性化には共に取り組まなければいけないと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。総務大臣であります松本大臣には非常に御理解を深くいただきまして、感謝を申し上げるところでございます。まさしく大臣がおっしゃっていただいた、新たな地域活動のツールになる、そういった意味において地域社会の課題解決の一つの方途というふうに我々も捉えております。

 この労働者協同組合制度ですが、その積極的な活用に向けて、超党派の協同労働推進議員連盟、実はこういった活動も行っております。今大臣から全会一致というお話もいただきましたが、この超党派の議連は共同代表が、自民党の田村憲久先生、さらには立憲民主党の篠原孝先生、このお二人の先生を中心に活動を行っております。実は、これまでの総会には総務省から地域力創造審議官にも御参加をいただいておりまして、心より感謝を申し上げます。

 そこで、大臣及び総務省には、この委員会ではせっかくの機会ですのでこの法律の背景とかを理解していただきたい、こういった思いで少し御紹介をさせていただきたいと思います。

 この労働者協同組合制度は、これまで先ほど申し上げた超党派の議員連盟により法制化の作業が進められてきたわけでございますが、実は、その先駆けは、坂口力元厚生労働大臣の発議を受けて我が党内に地域で活躍する場づくりのための新たな法人制度検討小委員会を設置させていただきまして、取組を開始したものでございます。

 この小委員会では、島根県の雲南市にあります小規模多機能自治の取組、こういったものも視察をいたしまして、いわゆる小規模多機能自治ネットワークの自治体の皆さんが、地域活動の新たな法人制度、スーパーコミュニティー法人というものを求めていることなども聞かせていただいたところであります。ちなみに、この雲南市では本年二月に労働者協同組合うんなんが設立をされているところでございます。

 総務省においては、こうした地域ニーズや小規模多機能自治の取組などを背景に議員立法により労働者協同組合法ができたということを御理解いただきたいと思いますし、また、そういったやり取りをする中で、雲南市当局においても、この立法過程において、今大臣からも御紹介がありました、共に出資し、共に働き、みんなで運営するという協同労働の働き方に大変大きな共感を寄せていただいたというふうにも伺っております。

 また、既に設立が報告されている例として御紹介しますと、沖縄県の宮古島市では、集落消滅の危機の中、まさしく自治会のメンバーが自治会を母体として労働者協同組合かりまた共働組合というものを立ち上げました。そして、休園している幼稚園の再開に伴う子供たちの弁当作りとか、廃棄する地元産の魚を活用した漁業の六次産業化などの取組も行われるなど、まさしく自治会主体の地域づくりの活動が仕事おこしになっているという例などもございます。

 さらには、これは大変にユニークで、かつ特筆すべき事例ですが、兵庫県の豊岡市では、まさしく総務省の事業で現在全国に展開しております地域おこし協力隊、この地域おこし協力隊のメンバー三人が集まって労働者協同組合アソビバを昨年の五月に設立いたしております。遊ぶように働きたい、楽しく働きたいと思うメンバーが、マルシェの開催や、木工品など地場産品の販売を行うなど、そういった仕事をスタートさせたということでございます。この労働者協同組合アソビバは、まさしく地域おこし協力隊のその後の地域定着の一つの方法として労働者組合制度も活用できるという好事例ではないかということで、この場で紹介をさせていただきました。

 以上、幾つかの事例を紹介させていただきましたが、これまでにも地域活動のツールとしては例えばNPO法人、さらには一般社団、あるいは企業組合などがあり、総務省が現在取り組んでおります特定地域づくり事業協同組合制度、これもそのツールの一つであります。私は、このように地域活動のツールというのは多くの乗り物があっていいわけで、今後はそれぞれの地域の実情に応じてその乗り物を使い分けていく、これが大切ではないかなと考えております。

 そして、地域の課題に着目して、自らが出資し、自らが汗して働き、みんなで運営する、しかも準則主義で簡便に設立できるという労働者協同組合制度についても、その地域活動のツールの一つとして、私は、総務省の中においても新たに位置づけることができるのではないかなというふうに思います。

 そこで、お伺いをしますが、総務省においてはこの労働者協同組合制度の特徴、特性をこれまで以上に深く御認識いただきまして、各自治体における今後の取組を支援していただきたい、こんなふうに考えるわけですが、総務省の御担当の見解を伺います。

山越政府参考人 お答えいたします。

 人口減少、少子高齢化が進む中で、地域づくりの担い手の不足にどう対応するか、これが最大の課題であるわけでございます。

 総務省といたしましては、地域おこし協力隊など都市から人の流れを生み出す施策に取り組むほか、地域運営組織、特定地域づくり事業協同組合など、地域住民や外部人材、様々な人材の力を結集して、組織的に地域を支える仕組みの構築の支援に取り組んでいるところでございます。

 委員からただいま御紹介いただきました労働者協同組合の事例につきましては、雲南市においてはこれまで地域運営組織で実施していた活動をより持続可能なものにすべく立ち上げたものであり、また、豊岡市においては地域おこし協力隊が起業する手段として立ち上げたものと承知いたしました。労働者協同組合が地域活性化、地域社会の課題解決に取り組む仕組みの一つとして活用されていることを改めて認識したところでございます。

 これまで、総務省では、労働者協同組合制度の普及に向けまして、総務省が主催する自治体向け各種会議などにおきまして労働者協同組合制度の紹介などに取り組んでまいりました。

 今後とも、制度周知に取り組むほか、厚生労働省とも連携しながら、制度を活用した具体的な地域活性化の取組事例についても自治体に広く周知するなど、取組支援に努めてまいります。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 主体は厚労省なんですけれども、厚労省は地域に手足を持っておりませんので、総務省と連携を図りながら広げていっていただきたい。今後、総会等も行いますので、また審議官も是非御参加をいただければなと思います。

 次に、太陽光発電設備等の導入に関する調査結果についてお伺いをいたします。

 我が国においても近年直面する気候危機が迫る中、政府は二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言いたしました。そして、脱炭素化に向けての具体的行動の一つとして、太陽光発電の設置など再生可能エネルギーの導入は、その目標達成に向けての重要な取組の一つであります。

 そのような中、今回、総務省行政評価局では、二〇二二年度には書面で、また二三年度には現地調査で、太陽光発電設備等の導入に関する調査を行うとともに、先月二十六日、その調査結果を公表しております。

 そこで、総務省行政評価局に伺いますが、今回、どのような背景や経緯からこの調査を行ったのか、さらには、その調査においてどのような結果が明らかになったのか、その結果に基づく改善等の進言も含めてお答えをいただきたいと思います。

長谷川大臣政務官 お答えいたします。

 御質問の調査の概要でございます。

 全国各地で太陽光発電設備等の導入が進められている中で、一部の地域では住民説明が不十分であったり、土砂の流出等のトラブルが発生しておりまして、懸念の声が広がっております。また、令和五年に御案内のとおり再エネ特措法が改正され、同法の更なる運用改善が進められることとなりましたことなどを踏まえまして、様々なトラブルに対して現場でどのような対応が行われているか、対応に当たっての課題は何かなどを把握し、改善策を検討するために実施したものでございます。

 調査の結果、太陽光発電設備については排水対策の未実施による土砂の流出あるいは発電施設周辺の柵や塀などの未設置、風力発電設備については騒音被害の訴えなどのトラブル事例を確認いたしました。

 他方で、事業者が説明を丁寧に行って地域の理解を得ている事例や、設備の設置後に市町村が現地を確認して安全性を確認するなど、トラブルの未然防止のために工夫している事例も見られたところでございます。

 こうした結果を踏まえまして、経済産業省に対して住民説明に当たっての留意すべきポイントを情報提供するとともに、トラブルを未然に防止するために地方公共団体からの情報を活用した現地調査を効率的、効果的に実施すること、さらに、法令違反等の通報、改善が迅速に図られるよう経済産業省に通報できる情報提供フォームを地方公共団体に周知すること、法令違反等の状態が未改善の場合には文書指導を着実に実施し、改善されない場合にはFIT、FIP交付金の留保などの必要な措置を的確に実施することなどを求めたところでございます。

 総務省といたしましても、今回の勧告に対する経済産業省の改善状況をフォローアップしてまいりたいと思います。

 以上でございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 私は、非常にいいタイミングでこの調査をしていただいたというふうに思っています。

 この太陽光発電を始め再生可能エネルギーの導入推進というのは、地域における合意形成が図られて、環境に適切に配慮し、かつ地域に貢献する地域共生型の再エネが重要であり、仮に地域において迷惑と捉えられるような再エネには厳しく対応していくこと、このめり張りが大事だと思います。

 そこで、経産省に伺いますが、経産省においては今回の総務省の勧告を受け具体的にどのような改善の取組を進めていこうと考えているのかを伺います。また、併せて地域脱炭素を進める環境省にも伺いたいと思いますが、環境省においては地域共生型の再エネを具体的にどのように推進しているのか、この点をお伺いしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省といたしましては、今回の勧告に先立つ昨年八月の総務省の調査を踏まえまして、改正再エネ特措法を本年四月一日より施行しているところでございます。

 また、本年三月の勧告を踏まえまして、一つには、令和六年度から新たな予算措置を行いまして、全国の認定施設に対し定期的な現地調査を行う体制を構築することといたしております。二つ目は、この四月施行の改正ガイドラインにて御指摘いただいている連絡先の変更方法を明示的に規定し、周知徹底を図ってまいります。三点目は、自治体向けの説明会である地域情報連絡会の開催を引き続き行いつつ最新の情報提供に努めるほか、自治体との間での通報システムの整備、周知を行い、自治体との連携を強化してまいります。さらに、不適切案件に対しては、本省と経産局の連携を人員増加等によって一層強化いたしまして、改正法によって可能となります交付金の一時停止措置などの取組を的確に実施していくこととしております。

 御指摘を踏まえまして、引き続き、関係省庁や自治体とも連携をして、地域と共生した再生可能エネルギーの最大限の導入に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

古屋委員長 簡潔に答弁をお願いいたします。

神谷政府参考人 再エネの最大限の導入に向けましては、適正な環境配慮が確保され、地域の合意形成が図られた地域共生型再エネの推進が不可欠でございます。

 環境省としましては、環境影響評価制度により地域の声を踏まえた適正な環境配慮が確保されるよう取り組んでおります。

 また、地球温暖化対策推進法に基づき、地方公共団体が地域の協議会等で合意形成を図り、再エネ促進区域の設定等を行う制度の活用を促しております。

 これらの取組を通じて、環境保全や地域とのコミュニケーションが適切に図られ、地域に貢献する地域共生型再エネの導入拡大を進めてまいります。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、吉川元さん。

吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。

 早速質問に入らせていただきたいというふうに思います。まず、能登半島地震に関連して何点かお聞きしたいと思っております。

 以前の当委員会でも質疑をさせていただきましたけれども、まだ今は復旧の道半ばという状況でありまして、その中で、テレビですけれども、私の地元もそうですが、地方は大変ケーブルテレビで視聴されている方がたくさんいらっしゃる。そのケーブルテレビの復旧状況、今どうなっているのかについて、どの地域でケーブルテレビの復旧がまだ終わっていないのか、また、分かれば世帯数等も教えていただければというふうに思います。

小笠原政府参考人 では、復旧状況についてお答え申し上げます。

 まず、七尾市、穴水町、それから能登町、この地域については、応急復旧ということではございますが、一応完了しております。

 次に、珠洲市でございます。家屋倒壊に基づくケーブル断線あるいは土砂崩れ等々、そういったことの影響によりまして、市の北西部、そういった一部の地域において復旧作業を行うことが困難ということで、その地域についてはちょっとまだ遅れが見られているようではございますが、それ以外の地域につきましては着実に応急復旧作業が進みつつあるというふうにお聞きしているところでございます。

 次に、輪島市でございますが、同様に、家屋倒壊ないしは土砂崩れの影響ということがこの地域では大きゅうございまして、復旧までにはまだ相当な時間がかかるものというふうにお聞きをしているところでございます。

 引き続き、ケーブルテレビの依存度が高い被災地におきましては、補助率のかさ上げなどの支援を通じまして、必要な放送インフラの本格復旧ということを加速化してまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 なかなかケーブルテレビは、当初は三月末まで努力をされているということでありましたけれども、残念ながらまだ復旧のめどが立っていない地域もあるということでございました。

 今朝も見ておりますと、以前といいますか、NHKのBS一〇三チャンネルで地元の金沢放送局が作った番組が流されております。大部分は東京の方で作られたニュースなんですが、四、五分ですけれども地元のニュースが流れておりました。今日は、アンケート調査を地元で行って、自宅等の耐震についてどういう認識を皆さんが持っておられたのかというようなことも報道されておりました。

 今回、たまたまBSの一〇三というのが空いていたということで流されておりますけれども、地元にとっても貴重ですし、日々、能登半島地震、報道もされておりますが、徐々に報道の数も減ってきております。そういう意味でいうと、被災地以外の地域の方も、引き続き能登半島の今の状況について知りたいと思えば、このチャンネルに合わせれば時間帯によりますけれども地元の放送局が流す番組を見ることができるということでいうと、これは大変有益だというふうに思います。

 当初、三月末までと言われていましたけれども、今も一〇三は続いておりますが、私自身、先ほど言ったケーブルテレビの復旧の進捗状況とも併せて必要な限りやらなきゃいけないんじゃないかというふうに思いますし、あわせまして、今後、災害時における衛星放送の在り方、これもやはり今回の震災の教訓の一つだというふうに思いますので、検討していくべき課題だというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

小笠原政府参考人 委員御指摘のNHKの衛星放送でございますが、これを活用したNHK金沢放送局の番組の放送につきましては、震災後の一月九日から実施されてきたところですが、この衛星放送につきましては、被災地の復旧状況等を踏まえまして、NHKからの申請を受けて、三月二十九日に所要の認定を行い、現在も放送が継続されているところでございます。

 今委員から御指摘がございましたが、衛星放送は、その特性として、地上の中継局によらず、かつ広域に放送番組を伝達することが可能でございます。今回の能登半島地震における衛星放送を活用した取組を通じまして、衛星放送の意義、重要性といったものが、改めて多くの皆様に御認識をいただいたものというふうに考えております。

 総務省といたしましては、昨年十一月からでございますが、衛星放送に関しまして具体的、専門的な議論、検討を行うことを目的として有識者会議を開催しております。災害発生時における衛星放送の活用についての議論にも着手しているところでございます。

 総務省としては、引き続き真摯に議論、検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 是非前向きな検討をお願いしたいというふうに思います。

 次に、インフラの復旧状況ですが、以前は水道関係をお聞きしましたので、今日はちょっと道の関係をお聞きしたいんですけれども。国道二百四十九号線、それから能越道というんですかね、高速道ですけれども、この復旧状況は今どのようになっているのか、御答弁をお願いします。

岸川政府参考人 お答えいたします。

 能登半島の主要な幹線道路でございます能越自動車道や国道二百四十九号沿岸部につきましては、斜面の崩壊やトンネル内の崩落など、被災が極めて大規模な箇所がありますが、発災直後から、最低限の通行を確保するため、国が県に代わって、権限代行という形でございますが、緊急復旧を進めてきております。

 この結果、能登半島の復旧復興の基幹となる能越自動車道につきましては、先月、三月十五日に全区間での北向き一車線の、七尾市から輪島の方に向かってということでございますが、全区間での北向き一車線の通行を確保しており、引き続き全線での対面通行に向けた復旧作業を進めています。今後の本格復旧までには数年かかる見込みですが、有識者委員会で示された土工部などの技術基準の方向性などを基に、地元の御意見も丁寧に伺いながら取り組むこととしております。

 こうした復旧作業につきましては、その進捗に応じて段階的に見通しをお示しすることとしており、引き続き被災地の早期復旧復興に向けて全力で取り組んでまいります。

吉川(元)委員 確認なんですけれども、通常であれば県がやることを国が代わってやっていくということでよろしいんでしょうか。

岸川政府参考人 お答えいたします。

 通常であれば元々の道路管理者が行うということでございますが、被害が甚大で、高い技術が求められるといったことで、国が権限代行を行っております。

吉川(元)委員 今回の災害は、地理的な特性もあって交通網が遮断をして、情報もそうですけれども、必要な支援物資もなかなか届けられなかった。そういう意味でいうと、道路の早期の復旧は、これから先のいろいろなものの復旧復興に向けて必要なインフラだというふうに思いますので、国の方で前面に出て復旧をしていくということでありますので、是非地元の要望も聞きながら前向きに進めていただきたいというふうに思います。

 次に、財務省に伺います。新しい年度がスタートいたしました。その中で、新年度の予算は予備費の中に能登半島地震の復旧復興に向けたものを含めているというお話を予算委員会等でも伺っておりますが、もう新年度が始まっております。予備費を今後どのように使用していくのか、あるいは既に使用が始まっているのか、この点についてはいかがですか。

瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。

 令和六年度における災害対応につきましては、まずは令和六年度予算に計上された経費を活用した上で、予期せぬ財政需要が生じた場合には増額した予備費を活用して対応することになると考えております。

 今後、被災地における復旧復興の進捗状況やニーズの変化を見極めつつ、必要が生じた場合には予備費もちゅうちょなく活用してまいりたいと考えております。

 現時点で委員お尋ねの予備費の使用予定の時期やその具体的な内容について予断を持ってお答えすることが難しいということは、御理解をいただければ幸いでございます。

吉川(元)委員 あれだけ予算委員会で、そして本会議の三月の一日、今でも覚えておりますけれども、我々が出した予算委員長解任決議案に対して自民党の方から反対討論ということで、被災地の復興のための財政措置、つまり予備費を指しているというふうに思われますが、が講じられていて早期に成立させることが被災地から求められている、こういうお話がございましたけれども、いまだに予備費を何に使うのか決まっていない、復旧については元々の各省の予算を使用する。

 だとすれば、あのときのあの反対討論は一体何だったのかというふうに私は思わざるを得ません。あれだけ言うんだから、四月の一日から直ちに予備費が執行されているものというふうに思っておりましたが、全くそういうものが見えていない。大変遺憾であります。

 もう一点お伺いしたいんですけれども、震災復興を今回の本予算の中には確かに入れるのは難しかったと思います。一月一日とはいえ、もう予算編成は終わった後ですので。ですから予備費対応というのも致し方ない点はあったかと思いますけれども、当然ここから先は、災害の状況を把握できていると思いますので、補正予算を早期に編成すべきだと思いますが、この点はいかがですか。

瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。

 令和六年度予算におきましては、復旧復興に活用可能な災害復旧費等に加え、予備費を五千億円増額したところでもありまして、十分な予算規模が確保されているものと考えております。

 そのため、現時点におきまして復旧復興のために令和六年度補正予算を編成する必要があるとは考えておりませんが、今後とも、刻一刻と変化する被災地の財政ニーズに十分に対応できるよう、必要な財政措置を講じてまいります。

吉川(元)委員 これも大変残念な答弁ですね。

 二〇一一年の東日本大震災の際には、二〇一一年度中に三度の補正予算を組んでおります。ところが、今の御答弁だと、今のところ考えていないと。結局、本当に震災からの復旧復興を真剣に考えておられるのか、私は、今の財務省の答弁を聞いておりますと、甚だ疑問に感じざるを得ないというふうに思っております。

 予備費での対応ということですけれども、やはり財政民主主義の観点からもきちんとした補正予算を直ちに編成して、その上で国会で我々野党の声もしっかり取り入れていただきながら国を挙げて復旧復興に取り組んでいくことが求められているというふうに私は思いますし、是非、今後、補正予算について考えていただきたいというふうに思っております。

 次に、以前ここでも議論させていただきましたが、西田政務官に尋ねたいと思います。

 前回の地方税法の質疑の際に答弁されておられましたが、二〇二一年ですか、選挙期間中に二つの会社から計三百万円の献金を受けていた、道義的責任で返金した、法的には問題なかったという御答弁がございました。これについて尋ねますが、献金を受けていた二社は国のどういう事業を受注されていたんでしょうか。

西田大臣政務官 お答えをいたします。

 二社からいただいた寄附については、先ほど委員もおっしゃられたとおり、政党支部の政党活動として支援をいただいたもので、公選法に触れるものではないと認識しておりますが、道義的見地から本年の二月十四日に返金させていただいております。返金する際に二社が国から事業を受注していたことは確認いたしましたが、それ以上のことについては承知をいたしておりませんでした。

 今回、通告をいただきましたので、改めて確認をしたところ、寄附をされた当時、当該二社は国から道路工事といった事業を受注していたと伺っております。

吉川(元)委員 それともう一点、前回なかなかはっきりと答弁をいただけなかったんですが。

 今回は公選法には触れないというお話ですが、道義的な見地から返金をしたということであります。その際、私の方から、今後も道義的な見地に立てばいわゆる国からの公共事業受注者からは献金を受けないということがよいのではないかというお話をさせていただきましたが、公職選挙法にのっとって判断をするという、この答弁ばかりでした。

 私が聞きたいのは、この間も言いましたけれども、これから先、国から公共事業を受注した企業については献金を受けない、法的には問題ないかも分からないけれども、道義的な立場から今後も受けないというふうにすべきではないかというお話をさせていただきましたが、この点はいかがですか。

西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 公職選挙法は、選挙に関し、国と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者から寄附を受けてはならないと規定しております。

 公職選挙法の規定を引き続き遵守するとともに、国民の疑念を招きかねないような寄附は受け取らないようにいたしたいと思います。

吉川(元)委員 疑念を招きかねないような寄附は受け取らないということは、受け取らないという理解でよろしいんでしょうか。もう一回、はっきり答えてください。

西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 選挙期間中の寄附について、十分に気をつけて対応することとしたいと考えております。

吉川(元)委員 ということは、つまり選挙期間でなければ受け取るということですね。

 前回、私は大臣に対して、更迭すべきではないかというお話をさせていただきました。その際、説明責任をしっかり果たしてもらうということを答弁した後に大臣はこういうふうに答弁しているんですね。西田政務官については政府の能登半島地震現地対策副本部長の役割も務めているというお話でした。今もそうですか。

西田大臣政務官 そのとおりでございます。

吉川(元)委員 先ほど国交省に尋ねました今後の復旧について、国道二百四十九号線、それと能越道、管理者は県ですけれども、国が前面に立ってこれを復旧していくというお話でした。それで、現地の対策副本部長ですかと。それでもって、国の公共事業ですから、当然ここには現地の様々な会社が入ってくると思います。先ほど、三百万もらった会社は何の仕事を受注していたんですかと言ったら、道路の関係だという答弁がございました。ということは、これから先、副本部長という立場、そして総務省の政務官という立場、そうした中で行われていく復旧について、国が前面に立って行う道路の復旧、こうしたものの受注を受けた企業からも献金をもらうということですか。

西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 公職選挙法の規定を引き続き遵守するとともに、国民の疑念を招かないよう、寄附は受け取らないようにしていきたいと思います。

吉川(元)委員 さっき答弁されたじゃないですか、国道、能越道、高速道、国が前面に立って復旧をする。つまり、国の公共事業になるわけですよ。西田政務官は副本部長でしょう、現地対策本部の。まさに地元ですよ、そこで行われる国の公共事業を受注した企業からも政党支部に対して寄附をされるのであれば受ける、そういうおつもりなんですか。

西田大臣政務官 国民の疑念を招かないよう、寄附は受け取らないようにしていきたいと思っております。

吉川(元)委員 ちょっと伺いますが、国民の疑念を受けると思いませんか。

西田大臣政務官 お答えいたします。

 公職選挙法の規定を引き続き遵守するとともに、国民の疑念を招かないように、寄附は受け取らないようにと思っております。

吉川(元)委員 私は、そもそも企業・団体献金は全面的に禁止をすればいいと思うし、するべきだと思いますよ。公共事業を受けているか受けていないか、一々調べて、チェックしてというのはなかなか難しい。もしかしたら見落とすことが、善意であったとしても、あるかも分からない。だけれども、今の西田政務官の話は、公職選挙法にかからなければ受け取ると。国民から見たらおかしいですよ。現地対策副本部長でしょう、復旧復興の先頭に立つ方が、国からの公共事業に、先ほど言った二百四十九号あるいは能越道を復旧するときに関わった企業からも選挙期間でなければお金を受け取りますよ、寄附をもらいますよ、これは疑念を招くと思いませんか、いかがですか。

西田大臣政務官 あくまでも公職選挙法の規定を引き続き遵守するとともに、国民の疑念を招かないよう、寄附は受け取らないようにしていきたいと思います。

吉川(元)委員 私が聞いているのは、そういう立場で受け取った場合には疑念を招くんじゃないですか、疑念を招かないとお考えですかと。その点についてお答えください。

西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 あくまでも公職選挙法の規定に引き続き判断をしてまいりたいと思います。

吉川(元)委員 先ほどから疑念を招かないようにとかいうようなことを言われていますけれども、今の答弁を聞いていると、別にいわゆる選挙に関わらなければ幾らでももらうと。だとするなら、私は、やはり政務官を辞めていただき、そして副本部長も降りていただきたいと思います。

 そうでなければ公正性が疑われますよ。李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れずという言葉がありますけれども、まさに今政務官がやろうとしていることは、冠を正しまくっていますし、くつを入れまくっていますよ。そう思わないといけないんじゃないですか、政治家として。今、副本部長として地元のことをよく分かっていると思いますから、副本部長としてやられるのであれば、せめて、復旧に関わる事業者からはお金は受け取らない、そのぐらいのことを言っていただかないと何のために復旧をやっているのか分からなくなりますよ、国民から見ると。

 答弁しても、どうせまた公職選挙法に基づいて云々かんかんとしか答弁されないと思いますので、私は、やはりもう一回しっかり考えていただきたいということを最後に言わせていただければと思います。

 もう一点、もう余り時間がないのであれですが、今、資料をお配りさせていただいております。兵庫県なんですが、兵庫県森林組合連合会、記事を見ますと、九億円余りを県から借り受けて、これが返済不能になっているという記事が出ておりますが、これは事実でしょうか。

小坂政府参考人 お答えいたします。

 兵庫県は、兵庫県森林組合連合会に対し、令和四年度に森林組合機能強化資金貸付金として九億円を貸し付けており、これが回収困難な状況になっていると兵庫県の方から聞いております。

吉川(元)委員 記事を見ますと、大阪地裁に特定調停というものを申し立てているというお話ですが、これについても事実でしょうか。また、今どういう状況になっているのか、分かれば教えていただきたいと思います。

小坂政府参考人 兵庫県森林組合連合会は令和四年十一月に大阪地方裁判所に特定調停を申立てしておりまして、現在も継続中であると聞いております。

吉川(元)委員 事業を見ますと、先般の税法の中で議論した森林環境譲与税、これも関わるような事業をやられておられます。

 記事を読みますと、二〇一八年度ぐらいまでは毎年三億円から四億円程度の貸付けを受けていたようですけれども、一九年度は七億円、二〇年度は八億円、二一年度は八・五億円、二二年度は九億円、県から貸付けを受けて、返済不能になっているという記事であります。また、二ページの下の方に、公認会計士らが点検する包括外部監査の報告書が昨年三月、つまり二〇二二年の三月に県に提出されたと。その中身を読みますと、過剰債務に陥っている可能性が否定できず、更なる資金繰り悪化のリスクがあると。また、県の予算査定資料には、上の方ですけれども、現状のままだと一九年度中に県森連の手持ち資金が枯渇(破綻)する見込みと。こういうことが指摘をされております。

 にもかかわらず、先ほど言ったとおり年々貸付額が増えておりまして、こういうのを何というかというと、普通は自転車操業というんです。借りた金を返済に回す、返済額がどんどん増えていく、これはちょっと。これはもちろん県の問題ですから、兵庫県議会の中でしっかり議論していただかなければいけないと思いますけれども、こういうのはどうなのかと思わざるを得ません。

 実は、記事の中にもありますけれども、兵庫県森林組合連合会の会長は自民党の谷公一衆議院議員です。副会長は地元の兵庫県の自民党県議が務めております。私は果たしていいのかなというふうに思います。

 一昨年だったと思いますが、地方自治法の改正を、議法ではありましたけれども行いました。その際、請負事業者についても立候補の要件緩和が行われて、いろいろ議論をいたしました。ただ、そのとき、上限三百万をもって請負の業者の方であっても立候補できるようにしようという議論をしておりました。ところが、一方で、今言ったように九億円の貸付けを受けて、しかも返済不能になる、そのトップが自民党の国会議員、ナンバーツーが地元の自民党の県議会議員、これはちょっとおかしくないかというふうに思うんですけれども、大臣に認識を問います。

松本国務大臣 委員から今お話があった点、議員の請負、貸付けに関する仕組みに関してだというふうに理解をさせていただくところでございますけれども、地方自治法において議員の請負禁止の規定があることは委員からお話があったとおりでございまして、この規定は、自治体に対して直接請負をする行為をやめて議員としての活動の信用を高め又は執行への疑いをなくすこととしたものとして、昭和三十一年改正において追加された際に説明されております。

 令和四年の地方自治法改正について、なり手不足解消の観点から、請負の定義の明確化、議員個人による請負の規制に関して、年間三百万円を超えない者について規制を緩和したものと承知しておりますが、これまでの議論の中で自治体による貸付けについて請負と同様の観点から議員の兼業禁止の必要性が取り上げられたことがあるというふうには承知をしておりません。

 個別の事案については、兵庫県でありますけれども総務大臣としてはコメントすることを控えさせていただきたいと思いますが、一般論として、自治体による貸付けに関して、その必要性や妥当性について当該自治体において適切に判断されるべきものというふうに考えておるところでございます。

吉川(元)委員 お話を伺うと、やはり県民の皆さんも疑問を感じていらっしゃると思います。トップが国会議員、ナンバーツーが県議会議員、自民党の。そういう意味でいうと、先ほど李下に冠を正さずというお話をさせていただきましたが、まさにこれも同じ構造なんじゃないのか。法的にはそういう規定がないかも分かりませんけれども、やはりこれから政治改革の議論をしていく上で考えていかなければいけない課題だと私自身は思っております。

 ほかにもちょっと質問を用意していたんですが、余り時間が残っておりませんで、最後に一点。

 今朝の朝日新聞を読みますと、総務省の情報公開・個人情報保護審査会、森友学園の国有地売却をめぐって行政文書の開示を求めたところ財務省が存否を明かさずに不開示とした、これについて審査会の方で、存否を答えても判明するのは財務省が文書を提出した事実の有無などにとどまるとして、財務省の決定には相当の理由がない、このように答申を出されております。これの受け止めを伺いたいと思います。

松本国務大臣 委員御案内のとおり、総務省の情報公開・個人情報保護審査会ということになっておりますが、第三者委員会でございます。第三者機関である同審査会が専門的知見に基づいて行った答申であると理解をしているところでございます。

 一般論で申し上げれば、同審査会を始め、第三者機関がなされた、専門的知見に基づいて行われた決定について、政府としてはしっかりと受け止めていくものというふうに考えております。

吉川(元)委員 総務省のホームページを見ますと、保護審査会について、第三者的立場から公正かつ中立的に調査審議を行うというふうに書かれております。そういう立場で出された答申です。財務省の話になるかも分かりませんけれども、政府としてしっかりと受け止めていただいて、この答申に従って対応いただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

古屋委員長 次に、おおつき紅葉さん。

おおつき委員 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉です。

 今日は、団塊の世代が七十五歳の後期高齢者となる二〇二五年問題を中心に、地元から伺ってきた声を含めてお伺いできたらと思います。

 まずは、私の地元では、高齢者の方々はやはり多いんですけれども、単身の高齢者になると身元の保証を受けるのが大変厳しい状況なんだというお声がありました。

 調べてみますと、現在独り暮らしの高齢者の方が本当に増えておりまして、内閣府の令和五年の高齢社会白書によりますと、六十五歳以上で独り暮らしをされている男女は共に今この日本では増加傾向にありまして、単独世帯というのが令和二年時点で六百七十万世帯を超えて四十年間で八倍近くに増加しており、家族や親族がいない身寄りのない高齢者が増加しているというふうに思われます。

 このような身寄りのない高齢者の方々は、例えば病院に入院するときだとか介護施設等への入所等における身元保証や身の回りのサポート、死後の葬儀や財産処分の対応等について家族や親戚による支援が受けられませんので、第三者の支援が必要になってくることは間違いありません。このため、近年、これらの支援を行う身元保証等高齢者サポート事業者というものが出てきております。

 ところが、このサポート事業をめぐって契約手続や預託金の管理等の問題が発生しておりまして、総務省の行政評価局は令和四年八月から令和五年七月にかけて、身元保証等高齢者サポートを行っている事業者を対象として全国的な調査を実施されていることが分かったんですけれども、まずは、今回の、行政評価局がこのような調査を行った背景事情について伺うとともに、調査結果の概要についてお答えいただければと思います。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 まず、この調査を行いました背景事情についてでございますけれども、委員御指摘のとおり、我が国では、高齢化の進展や核家族化に伴いまして、高齢者の単独世帯が増加しておりまして、身寄りのない高齢者が病院に入院する際や介護施設等に入所する際の身元保証等の支援を民間事業者が家族や親族に代わって行う、いわゆる身元保証等高齢者サポート事業の増加が見込まれているところでございます。

 一方で、事業者の経営破綻に伴うトラブル等も発生しておりまして、利用者が安心できるサービス、事業者の確保が課題になっていることを踏まえまして、消費者保護の推進とともに、事業の健全な発展のために必要な行政上の措置の検討に資するよう調査を実施し、昨年八月に取りまとめ、公表をしたところでございます。

 また、結果の概要についてでございますけれども、身元保証等高齢者サポート事業を直接規律、監督する法令や制度がない中で、事業者による工夫をした取組も見られましたけれども、身寄りのない高齢者を支援するサービスとして一般的な契約に比べ消費者保護の必要性が高いと考えられることから、今後留意すべき事項や求められる対応の方向性について課題提起として取りまとめを行ったところでございます。

 具体的に申し上げますと、公正な契約手続を確保する観点から重要事項説明書の作成や契約締結時の第三者の立会い、サービスの提供に要する費用をあらかじめ事業者に預ける預託金の管理方法として事業者の運営資金との区分管理や利用者ごとの出入金の記録などのルール化、判断能力が不十分になった場合の成年後見制度への円滑な移行といった利用者が安心して利用できる仕組みが必要であると考えられたことから、今後の施策の検討に資するよう厚生労働省、消費者庁及び法務省に対して通知を行ったところでございます。

おおつき委員 まさに、こういったサポート事業に関しては一般的な契約に比べて消費者保護の必要性が非常に高くなっているという調査結果でございました。

 さて、厚労省、消費者庁、法務省に通知したということなんですけれども、具体的に三省庁から、これまでに行われた対応や事業の改善進捗状況について各省庁に伺います。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省におきましては、独居高齢者を含めた高齢者の生活上の課題について実態把握を行うとともに、高齢者をサポートする事業者の適正な事業運営を確保し、利用者が安心して事業を利用できるよう、ガイドラインの策定につきまして関係省庁と連携して検討を行っているところでございます。

 このほか、今年度から、資力を理由といたしまして民間事業者による支援を受けられない方を対象に、日常生活の支援に加えまして病院、介護施設への入院、入所支援ですとか死後の事務の支援などのモデル事業を実施いたしまして、資力がなく身寄りのない高齢者等への必要な支援の在り方について検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

植田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま厚労省からも御紹介がありましたけれども、現在、利用者による適切な事業者の選択に資するガイドラインにつきまして厚労省を始め省庁横断で検討が行われているところでございます。

 消費者庁といたしましても、契約の締結に当たって留意すべき事項の整理など、積極的に取り組んでいるところでございます。また、地域の消費生活相談でありますとか高齢者の見守りなど、現場に対しましても必要な情報を提供するなど適切な対応に努めているところでございます。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど厚生労働省から御答弁があったとおり、現在、通知を受けた省庁を含む関係省庁において利用者の適切な事業者の選択に資するガイドラインの策定に向けて検討が進められているところ、法務省におきましても、民事基本法制を所管する立場からその検討に取り組んでいるところでございます。

おおつき委員 ガイドラインの策定に取り組んでいるということで、二〇二五年、もう来年です、すぐ来ますので、是非早急な策定に向けて皆さん取り組んでいただければと思っているんですけれども。

 今回の調査結果を受けて、地方公共団体における課題として、事業者を紹介するに当たって、選定基準がなく、信頼できる業者かどうか見極めるのが大変困難であるということなどが挙げられております。今後、高齢化が進む中で、身寄りのない高齢者の方々が更に増加をいたしまして、本事業の需要はより一層増加していくことが考えられます。それに伴いまして、地方公共団体が事業者の紹介を求める相談に対応する機会も増えていくと思います。

 そこで、今回の調査によって明らかとなった地方公共団体への課題について総務省として今後どのように対応していくのか、対応の方針を伺います。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体等における住民への情報提供や注意喚起の取組に関しましては、平成二十九年一月の消費者委員会の建議を踏まえて作成された周知啓発資料の活用などが低調であるといった状況が見られたところでございます。今後、高齢単独世帯の増加に伴い、身元保証等高齢者サポート事業の利用者が増加することが見込まれる中、消費者保護の取組を一層推進していくためには、地方公共団体等において更なる情報提供、注意喚起が重要であるというふうに考えております。

 このため、私どもの調査の結果につきましては、関係省庁への通知とともに、調査に御協力いただいた市町村を含め、全ての地方公共団体に対して参考までに連絡をしたところでございます。

 今後、政府においてガイドラインが策定されましたら、関係省庁においてもそれぞれ必要に応じて関係方面、機関への周知、注意喚起などが行われるものと認識しておりますけれども、総務省におきましても改めて周知するなど必要な取組を行ってまいりたいと考えております。

おおつき委員 身元保証等高齢者サポート事業については、一部の自治体や社会福祉協議会、そして民間の身元保証代行サービス業者がサービスを提供しています。しかし、一部の民間の事業者をめぐっては、例えば高額な利用料を請求されたりだとか、あとは事前に説明されたサービスがなかったなどのトラブルが正直起きているのが現状です。総務省の調査結果からも先ほど触れたような課題が指摘されているところであります。

 そこで、今それぞれの省庁で取り組んでいるということではありますが、霞が関の役所において高齢者サポート事業を一元的に所管する関係省庁というのはどこになるのでしょうか。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 身元保証等高齢者サポート事業は、家族による支援を受けることが困難な高齢者を対象に、入院や入所時の身元保証、日常生活支援、死後の各種手続など広範なサービスを行う事業でございまして、現在、これらを一体として直接規律、監督する法令や制度などがないものと承知いたしております。

 昨年開催されました認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議における取りまとめを受けまして、現在、関係省庁により、ガイドラインの策定のほか、高齢者の方々の生活上の広範な課題への対応方法や各種の論点、サポートの在り方について慎重に検討が行われているところと承知をいたしております。

おおつき委員 所管する省庁が今ないんですよね、一元的に所管する省庁というのが。でも、先ほど申し上げたように、団塊の世代、もう来年には後期高齢者に入ります。そして、団塊の世代というのは八百万人いるんですよね。厚労省の試算によりますと、今現在で、後期高齢者の方々、一千五百万人いるのが、これから二千二百万人になるんじゃないかと言われているんです。

 やはり一元的に所管する省庁をつくって、これからのサポート事業、独り暮らしの高齢者の方々が増えるに当たって、私はこの対応が必要だと思うんですよ。定まっていないのであれば所管する省庁をつくるべきだと思うんですけれども、今回の調査を行った総務省に伺いたいと思います。所管する省庁をつくりたいと、大臣、思いませんか。

松本国務大臣 おっしゃったように、事業者の規制ということでどこが所管するかということを考えなければいけないという御指摘だろうというふうに思いますが、先ほど答弁をさせていただいたように、非常に多岐にわたるサービスに当たるものですから、それぞれのサービスについて所管の省庁があることから、今、関係する省庁が一体となってガイドラインを策定しようとしているというふうに思います。

 お話がありましたように、サポート事業についてそもそも相当な課題があるのではないかというお話から私どもも調査をさせていただいて、政府内においていわば問題提起をさせていただいたと思っておりますが、課題については解決に向けて取り組むことが必要だというふうに考えているところでございます。

おおつき委員 私は、一元的に所管する省庁はやはりつくるべきだと思います。すぐはできないのかもしれません。大臣の一言でできることではないとは思うんですけれども、ただ、責任感を持って、是非、松本大臣にはガイドラインの策定も含めてリーダーシップを持って発揮していただいて、私は一元的なものをつくるというのを政府の中でも話し合っていただきたいと思いますので、お願いだけを申し上げさせていただきます。

 次に、消防関係について伺います。

 消防と救急業務に従事する全ての方々には日々心から感謝と敬意を表しまして、まずは現在の救急と救助業務について伺えればと思います。

 まず最初に、一一九番通報を受けて救急車が現場に到着するまでの全国の平均時間について、最新の取りまとめ結果を教えてください。

五味政府参考人 消防庁では、毎年、救急・救助の現況におきまして救急業務に関する統計データを公表しておりますが、救急車の現場到着所要時間は年々延伸傾向にあり、最新の令和四年の全国平均値は約十・三分となっております。

おおつき委員 十・三分なんですよね。この報道を見たとき、私自身も驚きました。前年比より一分近く延びて、とうとう十分の壁を越えたという現実、これは私はここにいるみんなで向き合わなければいけない問題だと思っております。

 これは現在の救急搬送や医療現場の逼迫ぶりを反映しているものだと思いますが、そこで、十分の壁を越えるということが救急現場においてどのようなリスクを想定しているのか、お伺いいたします。

五味政府参考人 救急隊の現場到着所要時間が延伸いたしますと、傷病者を病院へ搬送するのが遅くなるのみならず、救急隊による救命処置や応急処置の開始が遅れることになります。

 特に、できる限り早い処置の開始が求められる心肺停止傷病者などの場合には、処置が遅れることによる影響が懸念されます。

 こうしたことから、各消防本部におきましては、地域の実情に即して、計画的な増隊を検討するなど、適切な救急体制の確保に努めているところでございます。

おおつき委員 つまり、助かる命、助かるはずの命が助からなくなるということにつながるんじゃないかと思うんです。

 ちなみに、二十年前の救急車の到着にかかる全国平均の時間を教えていただけますか。

五味政府参考人 先ほど御答弁した救急・救助の現況によりますと、二十年前の平成十四年の救急車の現場到着所要時間は、全国平均値で約六・三分となっております。

おおつき委員 二十年前が六・三分、そして二〇二二年は前年比と一分近く延びて十・三分。つまり、この二十年で四分遅くなったということなんですよね。先ほども申し上げました助かるはずの命が、四分間延びているので、この二十年間で、この日本、もしかしたら助かるはずの命が助からなくなっているという今現状なんですよ。これに向き合わなくちゃいけないんです。

 そこで、到着時間の遅延化に歯止めがかからない原因をどのように分析しているのか、お伺いいたします。

五味政府参考人 近年、高齢者の人口が増加していることに加えまして、新型コロナウイルス感染症などの影響もあり、救急出動件数が急激に増加しております。

 救急出動件数が増加していることに加えまして、搬送先医療機関の決定に時間を要し、一件当たりの活動時間が長くなっていることから、救急車の出動率が上昇していると考えられます。

 その結果、直近の救急車が活動中のため遠方の救急車が出動せざるを得ない状況が発生していることで現場到着所要時間が延伸しているというふうに考えられます。

おおつき委員 まさに、今コロナの影響もあるとは思うんですけれども、大切な人はもちろん救急車に乗っていかなくちゃいけない、ただ、搬送先の決定に時間がかかる、こういった問題があるというように伺っております。

 さて、救急搬送された中の全体の四七%、これが軽症というように伺っているんですけれども、間違いないでしょうか。

五味政府参考人 約半数が軽症者でございます。

おおつき委員 まさに、約半数は実は搬送されているけれども軽症ということなんです。そういった事実の中で、不要不急の救急要請を控えるために、つまり、どういう症状で呼ぶべきなのか。一歩手前で相談できる救急安心センター、今シャープ七一一九の活用とその普及促進が必要とされていると伺っております。

 しかし、同時に、先ほども申し上げました、やはり団塊の世代の方々がこれから後期高齢者となりまして、まだまだ救急搬送の必要性が増えてくるという需要は出てくると思います。つまり、より一層に救急体制の必要性は今後高まっていくと見込まなければいけないというのが今この国の現状であると思います。そして、ここにいる皆さんたちには、地域の中で過疎地域を抱えている皆さんも含めて、高齢者の方々が多く住んでいる選挙区の方々を含めて、地域の声としてはやはり安心して暮らしたいということが全てだと思うんですよ。

 ということは、直近の課題としては、増えていく救急要請の需要に対して、例えば救急隊員を増やすだとか、対応をすぐに二〇二五年に向けてつくっていかなくてはならないし、私たちは総務委員会に所属する委員としてそういった責任を感じていかなくてはいけないと感じております。

 その上で、消防庁としては、いつまでにどういった対応が必要だと考えるのか。救急隊員が必要なのであれば、いつまでにどのぐらい救急隊員を増やしていかなければいけないと想定しておりますか。

五味政府参考人 軽症者も含む救急需要の増加に対応するため、消防庁では、救急車の適時適切な利用の啓発や、救急安心センター事業、シャープ七一一九の全国展開などに取り組んでいるところでございます。

 しかしながら、御指摘のように、高齢化の進展などにより救急需要は今後も増加すると見込まれることから、各消防本部におきましては、消防庁が策定をいたしました消防力の整備指針に基づきまして、昼間人口、高齢化の状況、出動状況など、地域の実情を勘案し、救急隊の計画的な整備に取り組んでいるところでございます。

 その結果といたしまして、令和五年四月一日時点の救急隊員は六万六千六百十六人、平成二十五年からの十年間で六千二百三十三人増加をしておりまして、消防庁といたしましては、救急隊員に係る普通交付税措置を拡充してきているところでございます。

 消防庁としては、先ほど申し上げましたように、消防力の整備指針に基づいて、各地域において救急需要の増加に対して適切な救急搬送体制が取れるように引き続き支援をしてまいりたいと考えております。

おおつき委員 消防庁としては、これまでの十年間で増えたということしか言えないと思うんですよ。ただ、大臣、私たちは政治家として、これからの二〇二五年問題を見据えて手を打っていかなくてはいけないと思います。来年です。

 改めて、大臣、いつまでにどのぐらい救急隊員を増やしていくのか。又は救急隊員だけではございません、高齢化社会に向けて救急体制、現場の人たちは本当に大変ですよ、なかなか受け入れる病院がすぐには見つからない、そうなると救急車の中にいる時間が長くなってしまって、余計に助かるはずの命が助からなくなっちゃうんですよ。大臣、どのような見通しを持っているのか、是非御見解をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 救急につきましては、出動件数が年々増えてきて、大変救急現場を取り巻く現状は厳しいものがあって課題があるということは強く認識をしているところでございます。

 今の御議論の中でもございましたが、御案内のとおり、救急の場合は、要請される方がいて現場に到着するまでの時間があって、マッチングがあって出発する時間があって受け入れる医療機関がある、それぞれについてどのようなことが課題として解決できるのか。

 おっしゃったように、まず要請を受けて出動する段階では救急の体制ということで、人員その他、先ほど次長から御答弁申し上げましたように、総務省としてもできる限りの手当てをして計画的に必要な人員が確保できるようにということで努めてきているところでございますし、これも委員からお話がありましたが、現場に到着してからいわば出発するまでのマッチングにつきましても、御案内のとおり、本年度からマイナンバーカードを活用した救急の事業を行うことでマッチングをより円滑に進めることができるのではないかという実証実験をさせていただいておりますし、医療機関の受入れについては所管ではございませんけれども、大変医療においてもニーズが増えている中で課題があるということは、政府全体としても取組を行っているところであるというふうに思っているところでございます。

 そういった中で、これも今御指摘がありましたが、約半数近くが軽症者であるという中で、いわば需要というんですかね、求める側。ただ、これにつきましては、これまでも有料化など様々な議論がありますが、求める側にそれぞれ事情がある中で、救急車をお願いする方を経済的な事情などによって排除するようなことになってはならないという議論もある中で、今お話をいただきましたシャープ七一一九の事業は、いわば救急車を要請される側も救急車として応じる側も両方にメリットを生むことができる事業ではないかということで、総務省としては一生懸命皆さんに普及をお願いさせていただいているところでございます。

 もちろん、転院搬送のうち緊急性が低いものにおける民間の患者等搬送事業者の活用も行っておりますし、先ほど申し上げたマイナンバーカードを活用した救急業務の迅速化、円滑化にとどまらず様々DXを進めておりますし、実際、消防本部の現場で医療機関の情報などを共有できるようなデジタルを活用したものもあるということ、こういったことも御紹介をすることで横展開が行われるようにしていきたいと思っておりますし、また、搬送手段の適切な選択に必要となる救急逼迫時の緊急度判定、トリアージの活用の推進にも取り組んでいるところでございます。

 救急車を要請される側への対応としては、逼迫状況に応じたアラートの発出や、改めて救急車の適時適切な利用をお願いする啓発など広報もさせていただいておりますし、また、先ほど申し上げた救急安心センター事業を進めるほかにも、かかりつけ医による訪問診療との連携強化の方策なども検討をしているところでございます。

 消防職員に係る普通交付税措置を拡充して、各消防本部で救急隊の計画的な整備をお願いしているところでありますし、先ほど申しましたように、各消防本部は様々な工夫を、DXのみならず体制も含めて工夫をいただいておりますので、有効な取組について、これから現場の声を聞いてしっかり検討していかなければいけないと思っております。

 委員からお話がありましたように、私どもに報告がある限りの出動件数だけでも五年ごとにここまでも一割増えていますが、委員のお話は来年以降更に大きく増える可能性があるのではないかという御指摘ではないかと思います。現場の状況をよく把握しながら、必要な対応は急いでできるようにしっかり努めたいと思います。

おおつき委員 大変長い答弁をありがとうございます。

 ただ、大臣がおっしゃるように、シャープ七一一九もデジタル化も、この後マイナンバーについてはお伺いしますけれども、それは今後の見通しとしては一理あるとは思うんですけれども、ただ、直近の課題としてですよ、もう来年来る問題なんです。私はやはり救急隊員を増やして現場の負担をもうちょっと、数が足りないんですよ。本当に現場の声を感じるような答弁ではなかったです。だから、私は救急隊員をまずは増やすという政策は取るべきだということを申し上げさせていただいて、続いてマイナンバーカードを活用した救急業務の迅速化、円滑化についての検討状況についても伺いたいと思います。

 大臣は今の対応策としてマイナンバーカードの活用を始めましたというお話をしたんですけれども、なかなか現場においてはちょっと運用として遅くなってしまったという結果があるということで御紹介をさせていただきたいと思います。

 消防庁は、先月の十二日、健康保険証と一体化したマイナンバーカードを救急隊が現場で読み取って必要な診療情報などを入手して搬送につなげる実証実験を令和六年五月から順次始めると発表いたしました。マイナンバーカードの健康保険証としてのひもづけ利用登録が進んでいる傾向を受けたもので、令和七年度中の本格運用を目指すと報道されておりますが、本格導入に向けては解決すべき課題があると私は思っております。

 それは例えば令和四年度に先行して実施された救急現場での実証実験についてなんですけれども、救急隊が現場に到着してから出発するまでの時間が、マイナンバーカードを活用しなかった令和三年の出動事案に比べて六分二十九秒も遅くなるという結果となってしまいました。救急業務の迅速化、円滑化のためにマイナンバーカードを活用しようというのに、データ閲覧の作業が加わったことで逆に救急搬送時間が延びてしまったということは重要な課題なのではないのでしょうか。

 約二か月という実証実験の期間中において現場滞在時間の短縮傾向は見られた。運用が最初だったので、なかなか使いにくかったりとかして、もしかしたら遅くなってしまったというのもあるのかもしれないんですけれども、さすがに六分二十九秒遅くなってしまっては救急現場は大変だと私は思います。だって、一分だって大事な時間でしょう。その中で六分二十九秒も遅くなってしまったということは、これは深刻な事態だというようなお声も上がっております。

 そこで、現場滞在時間の短縮に向けてどういった検討や取組が行われているんでしょうか。

五味政府参考人 令和四年度の実証実験におきましては、マイナンバーカードを活用して傷病者の情報を確認した事案における平均の現場滞在時間が、活用しなかった事案と比べ延伸したという課題が御指摘のとおりございました。

 この結果を踏まえまして、今回の実証事業では、同意の取得方法について手書きによる書面同意から口頭同意に変更し、情報閲覧に係る時間の短縮を図れるように関係機関と調整しております。

 また、実証に参加する消防本部に対して、救急隊がシステムを円滑に活用できるよう、取扱要領や運用手順に関する詳細な説明を行うこととしております。

 さらに、本格導入においては、救急隊が救急現場において活用しやすいように、タブレットで視認性が高い画面設計とし、画面遷移数を少なくするなど、更なる時間短縮につながるシステム改修を行ってまいりたいと考えております。

おおつき委員 今、人口減少社会なんですよね。今、国を挙げて取り組もうとしている中で、やはり救急現場で一人一人の命を助けることはすごく大事だと思うんですよ。だから、この遅くなるということに対して、今おっしゃいました対応策も含めて必要なことは全部取らなくちゃいけないし、そもそもまずマイナンバーカードに対して信頼が薄いということは私は確かだと思うんです。

 その中で、今おっしゃられた例えば手書きから口頭に変えたりだとか、今後、たしか意識を失っている場合でも救急隊員の判断でマイナンバーカードの利用が可能とする方向で調整しているという話もあります。ひもづけ誤りの問題もあるし、意識を失った人にどう対応するのかという問題もありますけれども、こういった不安を持つ人たちに対して今後どんな説明をしていく考えなんでしょうか。

五味政府参考人 マイナンバーカードのひもづけ誤りにつきましては、デジタル庁を中心として、マイナンバー情報総点検本部を設置し、令和六年一月十六日までに計六回の開催により、データ点検を終了し、報告がなされたところと承知をしております。

 救急業務においてマイナンバーカードを有効に活用するためには、国民の皆様にマイナ保険証を携行していただくことが重要であります。

 救急業務におけるマイナンバーカードの活用は、傷病者が救急隊に情報を伝える負担を軽減し、搬送先の医療機関の選定を円滑、迅速に実施できるなど、国民の皆様にメリットがある取組でございます。そのメリットを感じてもらえるように、令和六年度の実証事業も含め、本格運用に向けた周知、広報をしっかりと行ってまいりたいと存じます。

おおつき委員 まだまだ周知、広報も含めて足りないと思いますし、私は、メリットを感じると思う人は全面的に使ったり登録したらいいと思います。ただ、不安な人だったりとか、やはり知られたくないと思っている不安な人たちもいるということを、是非それを分かった上での説明が必要だと思います。

 そして、私は、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関しては、政府は今年の十二月二日で現在の保険証の発行を終了して廃止することを正式に決めましたが、まだまだそのことに対する懸念の声、不安の声は大きいと思います、多くの方がいらっしゃいます。だから、改めて、今の保険証はまだ残すべき段階であるということを申し上げさせていただきたいと思います。

 時間もなくなってまいりました。最後に、こども子育て費の算定について伺います。

 先月成立いたしました改正地方交付税法によって、地方交付税の新たな算定費目としてこども子育て費が創設されました。政府はこのこども子育て費について人口に占める十八歳以下人口の割合が小さい団体に配慮した補正措置を講じることとしておりますが、地域によっては十八歳以下の人口が少ないという自治体が多くありまして、どのような補正措置が行われるのかということは大変気がかりな点がございます。

 そこで、地方交付税法ではこども子育て費について段階補正、密度補正、態容補正というものが行われると法定されておりますが、これらの補正措置をどのように行うのか。現在の検討状況で結構ですので、法案審査のときよりも更に踏み込んだ答弁を是非お願いいたします。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 こども子育て費につきましては、既存の関係費目で算定しております子供、子育て政策に係る財政需要を一括して算定いたします。その場合にこれらの費目で適用しております関係する補正措置、これは引き続き講じる予定でございます。

 加えて、委員から御指摘のあったとおり、人口に占める十八歳以下人口の割合が小さい団体について算定額が減少するおそれもありますので、各地方団体が子供、子育て政策に係る取組を着実に実施することができるように、人口に占める十八歳以下人口の割合が小さい団体に配慮した補正措置を講ずることとしております。

 その具体的な補正措置の在り方につきましては、現在、各地方団体から提供される基礎数値情報も踏まえながら検討を進めておりまして、算定時期であります七月頃になりますけれども、それに向けまして各地方団体が取組を着実に実施することができるような、そういった補正措置にしてまいりたいと考えております。

おおつき委員 時間が参りましたから終わります。

 子供が少ない自治体にも十分な配慮が行われることを今後しっかりと注視していきたいということを申し上げて、終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、屋良朝博さん。

屋良委員 委員長、よろしくお願いします。大臣、よろしくお願いします。そして、先生方、皆様、よろしくお願いいたします。総務委員会で質問に立つのは初めてでございます。立憲民主党の屋良朝博でございます。

 本日は、マイナーなテーマかもしれませんが、マイナンバーカードじゃなくてマイナーなテーマかもしれませんが、米軍基地とか自衛隊基地に対して支払われている基地交付金についてお話しさせていただきたいと思っております。

 全国の自衛隊基地、米軍基地、広大な土地を取っているために自治体の行政コストがかかる、それに対する助成措置でもある、それをどうやって算定しようかというときに、固定資産税の代替措置として、国有地に対して固定資産税の代替をしながら市町村の行政コストへの助成をするというふうな趣旨を持った基地交付金であるということの認識を是非ともここで確認させていただきたいんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

松本国務大臣 委員から、マイナーであるという話でありました。おっしゃるとおり、基地交付金、調整交付金の対象は全国全ての自治体ではないかとは思いますけれども、国の安全保障に関わる基地に関して自治体の運営に必要な支援をさせていただくという意味では、国にとって大事な仕組みであるというふうに考えるべきではないかというふうに思っております。

 その上で、基地交付金、調整交付金は、固定資産税の代替的性格を基本としつつ、自衛隊の施設や米軍の資産が所在することによる市町村の財政需要に対処するための財政補給金的な性格を有するものとして交付されるものというふうに承知しているところでございます。

屋良委員 ありがとうございます。マイナーじゃないという認識もいただきました。ありがとうございました。

 それで、大臣、資料一を皆さんに見ていただきたいんですけれども、円グラフでお示ししたとおり、沖縄と本土の基地交付金の割合が逆転しているんですね。米軍基地の所在を割合ですると沖縄が七割、だけれども、基地交付金は三割。逆は、基地交付金、本土側で七割、だけれども、基地の負担というか基地の面積で見ると三割。逆転しているんですよ。趣旨は、だから地域の行政負担を少しでも緩和させようという趣旨なんですけれども、この逆転がなぜ起きているのか、政府の認識をお知らせください。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 今お示しになられたこの図でございますけれども、基地交付金等のシェアと対比する場合、委員よく御承知だと思いますが、基地交付金には全国の一定の自衛隊施設の土地に係る資産価格が含まれております。そのため、米軍基地面積シェアと単純に比較するというのはなかなか難しいのかな、このように考えてございます。

屋良委員 このグラフは、米軍基地が所在をしていて、基地交付金と基地調整交付金、この二つを受け取っているところの自治体の交付金と面積を比較しておりますので、両方とも自衛隊は抜いている、なのでここで比較できるというふうに考えてこの資料を提示しておりますけれども。

 私が思うに、このグラフの横を見ていただきたいんですけれども、基地交付金というのが国有財産に対する固定資産税の代替措置であるという性格を持っているわけですね、なので国有地が広いところが当然基地交付金も多くなる。ところが、沖縄の場合を見ていただきたいんですけれども、私有地と公有地が多いんですよね。私有地、公有地で全体の六割を占めていて、国有地が約三割ということなので。本土では八七%。そこに起因しているんじゃないかなというふうな認識なんですけれども、いかがでしょう。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 冒頭大臣から御説明いたしましたとおり、基地交付金等は固定資産税の代替的性格を基本とする財政補給金的な性格を有しております。

 このような固定資産税の代替的な性格という基地交付金等の性格を踏まえますと、今御指摘があられましたように、民有地については基地の用地として貸し付けられている場合であっても原則として既に固定資産税が課税されております。また、県及び市町村の公有地について、これは基地であるかないかにかかわらずそもそも固定資産税が非課税でございますので、そういったこともこういった割合の要因になっているものというふうに考えております。

屋良委員 確かに、私有地は固定資産税が課税されている。次の質問でそこを少し掘り下げたいと思っていたんですけれども、課税されているので市町村にとっては収入になるんですね。そうすると収入は基準財政収入額に算定されますので、普通交付税が減らされるというマイナス面があるんじゃないでしょうかということを次の質問で用意していたんですけれども、そこをちょっと、私有地の話、先ほど政府参考人の方から御説明がありましたから、そこのところの認識をお知らせください。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、基地交付金等は固定資産税の代替的な性格を基本としておりますので、民有地につきましては基地の用地として貸し付けられている場合であっても原則として固定資産税が課税されておりますので、基地交付金のそういった性格上、こういったものについては算定の対象外としているものでございます。

屋良委員 なので交付金額がこれほど少ないという現状になっているのではないかというのが私の問題認識でございまして。

 この制度が始まったのが昭和三十二年ですよね。表を見ていただいたら分かるように、本土の方ではほとんどが国有地なんですね。旧陸軍、海軍の敷地をそのまま引き継いでやってきたけれども、大きな土地を取られているので財政上の負担が非常に大きい、だからそこを助成してあげようというふうなことが最初の考え方で、それをどうやって限られた予算の中で分配しようかというときに国有地の固定資産税の代替分というふうな考え方が出てきたということなんですけれども、実はこの制度が始まったときには沖縄はアメリカ軍の支配下にあったんですよ。この制度の中に組み込まれていなかったんですね、最初は。

 この制度が始まって十五年して、昭和四十七年に沖縄県は日本に復帰する。この制度に入ってくるんだけれども、制度は国有地が対象であったということのひずみがそもそもあって、そこが修正されないまま今日に来ているのではないかと私は思っているんですけれども。昭和四十七年、沖縄が制度発足後十五年を経過した後にこの制度の中に組み込まれたときに、この問題の取扱いについて何らかの議論があったか、対処策をどうしようかというふうな議論があったのか。もし記録があるのであれば、質問通告しておりますので、お答えください。

池田政府参考人 今委員御指摘の点ですけれども、特段、私ども、そういった議論があったということは承知しておりません。ただし、先ほど来申し上げておりますとおりに、基地交付金が固定資産税の代替的な性格という、制度のそもそものたてつけになっておりますので、民有地部分については固定資産税が当該市町村のところに税収として入ってきているわけでございまして、公有地が多い部分は確かにそもそも非課税ということで、これは今の基地交付金の制度のたてつけ上やむを得ないことかなというふうに考えてございます。

屋良委員 固定資産税の代替措置という説明を繰り返されていただいておりますけれども、財源がそもそも決まっていて、そもそも最初からつかみ金で始まった制度だというふうに承知しております。今、三年に一度、十億円の値上げをしている。根拠は何ですかということを質問したいんですけれども、恐らく根拠はないですよね。制度が始まってから、少ないので増やしなさいということを梶山静六大臣のイニシアチブで始められて、それから三年に一度、十億円が積み上げられて、各市町村の固定資産税の台帳を基に振り分けているというふうなことではないでしょうか。間違っていたら修正してください。

池田政府参考人 委員の御質問でございますけれども、この基地交付金、冒頭大臣が御答弁申し上げましたとおりに、固定資産税の代替的な性格を基本としつつも、財政補給金的な性格でございます、御承知のとおり。ですので、法律上も予算の範囲内で交付するということで、全く固定資産税と同額が入ってくるというような仕組みにはなってございません。

 そのため、できるだけ固定資産税の税収に近いような形で基地交付金の配分ができるよう私どもも努力をするということで、平成元年度から三年ごとに十億円の増額を行っているところでございます。

 この十億円の根拠でございますけれども、これは当時の対象資産価格の伸びや固定資産税の減収に対する交付税措置等もろもろ勘案してこういった額にしたというふうに承知しておりますけれども、以降、同額を三年に一度、増額要求しているところでございます。

 引き続き、私どもとしては、基地所在市町村の置かれている実情等を十分考慮しながら所要額の確保に努めてまいりたい、このように考えております。

屋良委員 多分、財務省さんとのせめぎ合いになることだと思います。私たち、当然ここはがっつり予算を取ってきてもらいたいと応援団のつもりでお話ししているんですけれども、今、防衛費が四十三兆円になって、その分、各市町村の負担というか重荷が増してくるだろうということで、全国市長会も増額を求めてくるというふうな準備をしているところでございます。

 ここは、つかみ金であるということが一つと、当時、国会の中で、委員会の中で片山虎之助大臣が、ぶっちゃけ言うとつかみ金なんだということを何度も答弁されていて、固定資産税の代替措置であるとか市町村を助けるんだよというふうなことを答弁されているので、ここは型にはまった説明というのがなかなか厳しい、難しい中で、ではそれをどうやって公平性を保ちながら分配するかというと、やはり固定資産税代替分だというふうなことでやっていかないといけないというふうなことだと承知しております。

 そこで、再び沖縄の問題に戻るんですけれども、制度が始まって民有地というのが余り想定されていなかったというふうに思うんですね、ほとんど国有地なので、本土では。民有地も公有地も沖縄は多い。その中で沖縄を入れ込まないといけなかったのでひずみが出ているんじゃないかと私はずっと思っているんです。

 資料一の上の方の表で、市町村の、上から見て二つ目で、嘉手納町がありましてその下の北谷町の場合、基地面積が五二%、約半分が米軍基地なんですね。その米軍基地から出てくる基地交付金と調整交付金の総額が七億八千万円。他方、民有地から出てくる一年間の固定資産税収入は三十七億円。五倍ですね、五倍ちょっと。これほどのひずみが出ているということですね。

 先ほど民有地についてはとおっしゃっていましたけれども、民有地といったって、総体を見た場合、やはり民有地が多い沖縄がこの制度の中でなじんでいないということじゃないのかと思っているんですけれども。先ほど民有地については固定資産税を課税しているのでというような御答弁がありましたけれども、基準財政収入額に算定されているのかどうか、改めてですけれども、お伺いします。

池田政府参考人 お答えいたします。

 基地交付金については、財政補給金的性格ということもあり、基準財政収入額には算定されておりません。

屋良委員 済みません、民有地について。民有地から地主さんが地代をもらえますよね、防衛省から。地代で固定資産税を払うわけですよ、市町村に。市町村に払う固定資産税は基準財政収入額に入るんですか、あるいは入らないんですかという質問です。

池田政府参考人 大変失礼いたしました、お答えいたします。

 固定資産税収は基準財政収入額に算定されます。

屋良委員 ということは、沖縄の場合、沖縄の特殊性で二重に不平等というか、算定されていない部分があるんじゃないのということだと私は思っていて。国有地が少ない。民有地に対しては地代が払われているけれども、市町村に固定資産税が払われるので基準財政収入額に加算される。そうしたら普通交付税は減るじゃないですか、そうじゃないですか、ですよね。そうすると、そもそも国有地が少ない、配分が少ない、さらに民有地が多い、市町村にとっては普通交付税を減らす原因になっているとなれば、制度として沖縄がなじんでいないということじゃないでしょうか。

 大臣、これまでのやり取りを聞いていていかがお感じでしょうか。

松本国務大臣 政府として、私は担当ではございませんけれども、沖縄担当を置く中で米軍基地を始め安全保障の観点からも大きな御負担をいただいていることに対しては、担当も置いてしっかりと支援しなければいけないという位置づけだというふうに認識をさせていただいておりますが、そういった中で、基地を受け入れていただいている自治体に対しては、今もお話がありましたが、様々御支援もしていかなければいけない中で、自治財政を預かる総務省としては、いわば固定資産税の代替のたてつけで支援させていただく形がこの制度ではないかというふうに理解をさせていただいているところでございます。

 今、基準財政需要額の算入であるとかそういったことについてもお話がございましたけれども、これも局長からも答弁させていただいたように、基地交付金等につきましてもまだまだ、制度と基準を設けて配分させていただいていますので、かつてつかみ金だとおっしゃった方がいるという御指摘ではございましたけれども、公平公正に配分させていただかなければいけないと思っておりますが、更なる増額を目指すべきものであるというのが総務省のこれまでの認識であったことだと思います。

 御承知のとおり、基準財政収入額の算定に当たっては、税収は全額ではなくて七五%を算定させていただくなど、様々各地方の御努力も工夫できるような仕組みになっている中で、今、民有地が多い部分というのもどのように考えるべきかというお話であったのではないかというふうに思いますけれども、私どもとしては、固定資産税の代替といういわば制度のたてつけの中で、できる限りのことはさせていただいているかと思います。

 また、問題提起をいただいたこと等、政府として沖縄の皆さんへの御支援をしっかりやっていく必要があるということについては、御地元の委員からのお話は私もしっかりお聞きをさせていただきたいというふうに考えております。

屋良委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 しっかりと対応していただかないと、不平等感がやはり強いんですよ。こんなにたくさんの基地を抱えさせられて、基地交付金の算定は国有地ベースだと。いきさつを見れば何でこういうふうになっているかというのはすぐ分かるじゃないですか、戦争ですよ。戦争があって、沖縄は地形が変わるぐらい攻撃を受けて、その後何があったかというとアメリカの統治で土地の接収、だから民有地を含めた、公有地も含めた土地が囲い込まれたわけですね。

 基地の中には個人所有者がたくさんいるという中で、この交付金というのはそういった状態を想定しないで多分つくられた、昭和三十二年。その十五年後に沖縄が入ってきたので、そこは手当てされていなかったということじゃないかと私は思っていて、そこを手当てしないとやはり不作為が残ってしまっているというふうな認識であるんですね。

 だから、今、国有地が少ないというデメリット、私有地があるけれどもそれは普通交付税を減らしてしまうという、基地交付金の趣旨とは全く違うところで反対のマイナスの結果を生んでしまっているのであれば、それはしっかりと精査していただいて、現状を改善するような何らかの措置を講じていただきたい。どうでしょう、大臣、やっていただけませんか。

松本国務大臣 委員から問題提起をいただいたことは、私もこの間ずっと拝聴させていただくところでございますが、まずは、お話がありましたように、三年に一度、増額要求をさせていただいている中で、令和七年度要求に向けて、私ども、しっかり取り組ませていただかなければいけないと思っております。

 その上で、御地元から不公平感を感じているとおっしゃっておられることについては、私もよくお話を伺って理解させていただいたところでございます。

 対応につきましては、やはり国民の皆様からの税金でありますので、固定資産税の代替といった制度のたてつけを含めて、公平公正で理解いただけるような形でここまで運用されてきたということにも一定の御理解をいただけたらと思いますけれども、まずは改めてしっかり来年度の増額要求をさせていただいた上で、沖縄の皆様には御理解いただけるように、どのように努めることができるのか考えてみたいと思います。

屋良委員 改めてですけれども、その問題、現状をもう一つだけ確認させていただきたいんですけれども、例えば嘉手納町、騒音がすごいですよ。周辺の小学校、騒音で課外授業ができない、教室の中にいてもうるさくて先生の声がなかなか聞き取れないというふうな状況もございます。その嘉手納町を見ていただければ分かるんですけれども、何と嘉手納町の町面積の八二%が基地に取られている。交付金の割合を見てみると、交付金は全体の、交付金は固定資産税収入の五八%を占めているということなんですね。沖縄の場合、面積に比して交付金の割合というのが少ないんですね。

 ところが、例えば横須賀市、固定資産税が二百三十一億円あって、基地交付金、調整交付金が二十三億円、基地の面積比が六%なんだけれども交付金の割合は九%、佐世保も基地の面積が二%で交付金の割合が五%というふうな比率になっているということを見るだけでも、これはちょっと制度が沖縄の実態に即していないというふうなことを是非とも御理解いただいて、何らかの措置を取っていただきたいと思っている次第でございます。

 次の質問は同じ基地交付金についてなんですけれども、基地交付金、固定資産税の代替措置ということでありますけれども、周辺地価の変動に対応できているのでしょうか。説明してください。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 基地交付金等の算定に用います基地の用地に係る国有地の価格についてでございますが、財務大臣の定める国有財産台帳の価格改定に関する評価要領に基づきまして、基地近傍の類似の民有地における固定資産税評価額等により算定されております。

 このため、予算額の中で全国に配分するという制約はございますけれども、基地周辺地域における地価の変動は基地交付金の算定の基礎に適切に反映されているものと考えております。

屋良委員 資料三でお示ししたのは、沖縄の地価というのが十一年間連続で上昇していて、全国で第二位の伸びでありますよということなんですね。

 観光業が戻ってきつつ、まあほとんど戻っていると言ってもいいでしょう、空港に行ったら利用者はたくさんいるので。そんな中でやはり地価が高騰していて、マンションラッシュなんですね、実は、風光明媚な土地というのは。そこで億ションとかもばんばん売れているというふうな状況があって、それは地価は上がりますよねというふうな状況なんです。

 固定資産税を基にした台帳で計算しているというその御説明が、それ以外は多分ないのかなというふうなことで理解はいたしますけれども、全国で上げてくれというようなことを言っているので、是非とも総務省さんは頑張って予算獲得をして、そういった実情に合うような、負担感を減らしてくれるような、そんな感じで取り組んでいただければ幸いだと思います。

 あと、もう一つ、地域から上がっている声として、これは市議会議長会でしたか、米軍再編があっていろいろな基地が閉鎖されていく、そういった局面に今ある、基地がなくなると固定資産税の代替措置というのは要らなくなるので百がゼロになっちゃうんじゃないか、そうすると収入としてカウントしていたものがなくなってしまうと。激変緩和を求めて要望が上がっているんですけれども、ここの対応は必要じゃないでしょうか、いかがでしょうか。

松本国務大臣 基地の返還など対象資産の減少等に伴って交付額が減少する場合に、交付金額の算定上、激変緩和措置を講じることは、基地として実態のない資産に対して基地交付金等を交付することにもなるため、基地交付金等が固定資産税の代替的性格を有することや、他の基地所在市町村との均衡といった観点を十分に考慮する必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。

 この基本的な考え方を前提としつつ、交付額が前年度に比べて著しく変動する基地所在市町村につきましては、当該団体の財政がどのぐらい影響を受けているのかというのは大変課題であると考えていますので、重大な影響を及ぼすことのないよう一定の配慮措置を講じているところではございます。

屋良委員 是非とも、そこのところはしっかりと対応されないと、多分、米軍再編だとか、これから進んでいくであろう防衛費の増大、そして各地における新たな基地の獲得とか、そういったものもございますので、そこのところは市町村の側が不利益にならないような措置を是非とも講じていただきたい。

 なぜそこの質問をしているかというと、資料二でお示ししたのは、返還されたら更地になるので跡利用で、返還跡利用で経済が生まれて発展しやすいんですね。今、更地なので、白いキャンバスにいろいろな絵が描けるということですね。例えば、那覇の中心市街地にある那覇新都心地区というのがありました。経済効果が返還前と後では三十二倍、それから小禄金城地区が十四倍、先ほど御紹介しました北谷町が百八倍なんですね。

 このような経済効果を生むまでには、各地で大体三十年ぐらい要しているんですよ。それはそうですよね、すぐに経済発展ができるようなインフラが整備されるかというとそうじゃなくて、線引きから始まって、地主さんたちの調整が入って、歩合が入って、どういうふうな配置で公園を入れるとか、物すごく調整をした上でやっていくので。

 この激変緩和策ということと、返還された後遊休地になる、遊休地になったときにどのような支援策が考えられるのかということは、これからの、基地交付金を運用されている総務省さん、市町村に対する手当てを考えていく上でやはり重要になるんじゃないかというふうに思います。最後に、もろもろ伺いましたけれども、最終的に、大臣、今のやり取りを聞いていただいた後で、今後の対応について御決意をいただければありがたいと思います。

松本国務大臣 総務大臣としては、先ほど申しましたように、基地交付金、調整交付金の制度を運用するに当たっては、公平性や基地交付金を受けているそれぞれの市町村の事情など、具体的にも対応もしつつ全体を見てまいりたいと思っておりますが、政府として、先ほども申しましたように、沖縄には大変大きな御負担をいただいているという認識の下、担当大臣も置いて取組を進めて考えていると思っておりますので、そのような形で、私どもも政府の一員として十分に考えながら対応しなければいけないということかというふうに考えております。

屋良委員 ありがとうございました。終わります。

古屋委員長 次に、中嶋秀樹さん。

中嶋(秀)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の中嶋秀樹です。

 本日は、質問の機会をいただき、本当にありがとうございます。

 本日は、郵政事業そして地方自治について質問させていただきたいと思います。

 郵政事業の民営化から、この間、民営化は着実に進展してきたかとは思います。国民に改めて再認識をしてもらう必要があると思います。民営化というと、採算をとにかく上げていかないと、効率化を追求することになります。しかし、ユニバーサルサービスも求められる現状で採算のことを考えると、例えば不採算地域からは撤退も辞さない、民間感覚ではそういった構えになるのですけれども、そうもいかないといった相矛盾する状況で経営されているかと思われます。経営努力でどう乗り越えてきたのか、また今後乗り越えていく予定で、金融二社の株式売却も含めどういう方向性で進めていくかを御説明いただく機会にしたいと思います。

 また、郵政事業については、定形郵便物の料金の上限の見直しによるいわゆる値上げが目前に迫っていると言えるかと思います。この質問に関しては今日の初めでもありましたけれども、改めて確認させていただきたいと思います。見直しを前にどういった背景事情であるかを明らかにすることを目的に、本日は質問させていただきます。

 そもそもなんですけれども、民営化後、郵政事業に総務省、国がどこまで関わっているのか。人事や経営体制にどこまで関わり、経営内容にまで踏み込んでいるかを教えていただきたいと思います。

玉田政府参考人 お答え申し上げます。

 郵政民営化法は、経営の自主性、創造性及び効率性を高めるとともに公正かつ自由な競争を促進し、多様で良質なサービスの提供を通じた国民の利便の向上を図ることを基本理念としておりまして、日本郵政グループは、民営化後、新しいサービスの提供や他社との連携といった取組を進めていると承知してございます。

 お尋ねの国との関わりにつきましては、郵政民営化法によりまして、日本郵政及び日本郵便には、郵便局における郵便、貯金、保険の三事業一体でのユニバーサルサービスの提供と郵便局ネットワークの維持が求められていることから、総務省におきまして、郵政民営化法、日本郵政株式会社法、日本郵便株式会社法などの規定に基づきまして必要な監督を行っております。

 具体的には、政府におきまして、日本郵政株式会社の株式総数の三分の一を超える株式の保有を義務づけるとともに、日本郵政及び日本郵便の事業計画、日本郵政の取締役や監査役の選任及び解任の決議、剰余金の処分、日本郵便の重要財産の処分などについて、総務大臣の認可事項としております。

 総務省としては、日本郵政グループに対し適切な監督を行うことにより、郵政民営化法に規定するユニバーサルサービスの提供などの確保を図っているところでございます。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 郵政事業には、郵便、貯金、保険、三つの事業がありますけれども、そのうち郵政事業について、経営状態を教えていただきたいと思います。

 例えば、年賀状を出す枚数が毎年減少している、今年も減った、そういったニュースが流れております。また、インターネットの普及により、メールや、今であればスマートフォンでLINEなどを使い、即座に文章や写真も送れる時代でございます。そもそも、年賀状を出したり手紙を書く習慣も薄れてまいりました。

 郵便を使う機会が減ったり、物価高、燃料高の影響や人件費の問題もあるためか、二〇二二年度には郵便事業は初めて赤字に転落したかと思います。その辺りも踏まえて御説明をお願いいたします。

市倉参考人 お答えいたします。

 先ほど委員御指摘のとおり、郵便物数につきましては二〇一一年度がピークでございまして、二百六十二億通ございました。その後、毎年減少を続けて、二〇二二年度には百四十四億通と、この二十一年間で四五%減少しております。

 二〇二四年度の郵便につきましては、郵便物数全体の減少トレンドに歯止めがかかっておらず、それに加えまして、これも委員御指摘のとおり、費用につきましては、業務効率化に取り組んだものの、人件費の引上げ、また燃料費等、物価の高騰により費用の増加という形になりました。

 このような状況から、二〇二二年度には二百四十億円、それから二〇二一年度には七十八億円の営業利益を計上したものの、二〇二二年度には、民営化後初めての赤字、二百十一億円の赤字を計上したものでございます。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 郵便事業について、いわゆるユニバーサルサービスを徹底するため全国どこでも配達と義務化されていると思いますけれども、もう一度、そのユニバーサルサービスの定義について御説明いただきたいと思います。

玉田政府参考人 お答えいたします。

 郵便サービスは、いわゆるユニバーサルサービスとしまして、郵便法において、なるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することとされております。

 具体的には、郵便物の料金につきましては、郵便法第六十七条におきまして、原則届出としまして、封書など第一種郵便物のうち二十五グラム以下の定形郵便物の料金の上限額を総務省令で定めるとともに、新聞など第三種郵便物、通信教育など第四種郵便物の料金を総務大臣認可によることとし、第一種郵便物やはがきの第二種郵便物の料金額は配達地により異なる額が定められておらず全国均一料金であることなどとされております。

 また、例えば郵便物の配達につきましては、郵便法第七十条などの規定によりまして、祝日などを除き月曜日から金曜日までの五日間、一日一回以上配達すること、離島を除き差し出された日から四日以内に配達すること、交通困難地宛ての場合などを除き郵便物を全国の宛て所に配達することが定められております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 郵便は、毎日、全国津々浦々まで配達と大変な業務をなされていて、土曜日まで配達されていましたけれども、土曜日は普通郵便は配達しないようになり、普通郵便も一日配達日数が延びました。

 また、ゆうゆう窓口は、例えば私の地元の京都なんですけれども、京都中央郵便局では、二十四時間開いておりましたけれども、朝七時から夜の九時に変更されております。二十四時間は便利ですけれども、京都駅前にしろ、電車もなくなった深夜に本当に誰が来るんだろうと思っておりました。

 こういった業務のスリム化で働きやすくなって、人手不足も解消され、少し人員を減らして人件費を増やし、それも人手不足の解消につながった、こういったことはあるのでしょうか。先ほど答弁をいただきましたけれども、もう一度教えていただきたいと思います。

市倉参考人 お答えいたします。

 土曜日配達休止等のサービスレベルの低下につきましては、御利用のお客様を始め皆様に御迷惑をおかけしておりますことを改めておわび申し上げます。

 一方で、夜間の作業がなくなる等、人件費の節減には一定程度寄与しておりまして、そういった努力を続けてまいりましたが、今般、それも及ばず赤字になったというものでございます。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 人件費の削減、夜間も閉まる、こういったこともありますけれども、やはり物価高、こういった影響も受け赤字になったということで、更なる経営の努力が必要かと思います。

 そういった中で、ちょっと話はずれるんですけれども、同じ信書を扱うにしても日本郵便さん、特定信書便事業者さんがおられますけれども、価格と配達範囲についての違いを紹介していただきたいと思います。すみ分けができていて、民間の特定信書事業者は日本郵便にとって脅威と考えなくてもいいのかを含め、よろしくお願いします。

玉田政府参考人 お答え申し上げます。

 特定信書便のサービスには、大型、急送、高付加価値の三つの類型がございます。

 このうち大型サービスは、長さ、幅、厚さの合計が七十三センチメートルを超え、又は重量が四キログラムを超える信書便物を送達するものでございます。

 急送サービスは、信書便物が差し出されたときから三時間以内に送達するものであります。

 また、高付加価値サービスは、料金の額が八百円を下回らない範囲内において総務省令で定める額を超えるものであります。

 これら特定信書便のサービスは、日本郵便によるユニバーサルサービスの提供に影響を与えない範囲で民間事業者に参入の機会を与え、付加価値の高い多様なサービスを提供し、利用者の選択の機会を拡大することにより国民の利便の向上を図るものでございます。

 特定信書便のサービスにおきましては、料金の上限、配達頻度や送達日数、配達エリアなどに関して、先ほど御答弁申し上げました郵便のユニバーサルサービスに求められるような条件は定められておりません。

 このように、日本郵便のユニバーサルサービスと特定信書便サービスは、一定のすみ分けの下でそれぞれの目的を果たすものとして運用、提供されているものでございます。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。今日の本題とは離れましたけれども、郵便局以外に信書便を扱っている特定信書便事業者の存在自体、国民に知られていないのではないかと思い、御質問させていただきました。

 次に、定形郵便物の料金の上限額の見直しについて御説明をお願いいたします。額については既に発表されておられますでしょうが、改めて、どういった郵便物が幾らから幾らになるといった、そして省令における決定時期と実際の値上げ時期についても、分かる範囲で結構ですので、御説明をよろしくお願いいたします。

玉田政府参考人 現在、総務省におきまして、二十五グラム以下の定形郵便物の料金の上限額を定める総務省令の改正の手続を進めております。

 この点、令和六年三月七日の情報通信行政・郵政行政審議会におきまして、現在八十四円と定めている料金の上限額を百十円に改正する省令案につきまして、適当であるとの答申をいただいたところでございます。

 現在、消費者委員会にて御議論いただいておりまして、その後、物価問題に関する関係閣僚会議などの手続を経た上で総務省令が公布、施行されることとなりますが、順調に手続が進捗した場合には本年六月頃の公布、施行を想定しております。

 なお、その後、日本郵便におきまして、実際の料金の届出を行い、利用者への周知期間を経た上で料金の改定が行われるものと考えております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 ちょっとここでもう一つお聞きしたいんですけれども、分かる範囲で結構なんですが、日本郵便さんにお尋ねいたしますけれども、レターパックについても値上げはされるんでしょうか。

市倉参考人 値上げ率につきましては通常の郵便物よりは低くなりますけれども、値上げを考えております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 郵便料金が変わるということは、やはり国民や企業に多大な影響を及ぼすと思います。手前みそになりますけれども、私も含めここにいられる委員の皆様も、国政レポートを大量に郵送するなど利用する機会も多いかと思います。いつからというのは早く知りたい情報であります。手続を踏まないと周知の広報もまだできていないと思いますけれども、広く国民に早めに知らせてもらうようお願いいたします。

 次に、貯金、保険事業におけるユニバーサルサービスの変遷について、どう変わっていき、現在ではどのように縛りがあり、どのように経営に影響しているのかについて質問させていただきます。どのような変移をしているか、教えていただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 貯金、保険事業のユニバーサルサービスの変遷についてお尋ねいただきました。

 平成十七年の郵政民営化法制定当時、当時の郵便局株式会社には金融ユニバーサルサービスの責務は課されておらず、また、金融業務については、民間金融機関と同一の競争条件の下で自由な経営を行わせるため、ゆうちょ銀行とかんぽ生命に他の金融機関にはない義務を特別に課すことは不適当であり、金融についてはユニバーサルサービスの提供を義務づけないこととしていたものと承知してございます。

 そして、その後の平成二十四年の郵政民営化法改正におきまして、日本郵政及び日本郵便は郵便に加えまして貯金、保険についても基本的な役務が郵便局で一体的に利用できるようにするとともに将来にわたりあまねく公平に利用できることが確保されるよう郵便局ネットワークを維持するという、金融も含めたユニバーサルサービスの責務を有するとされたところでございます。

 こういった制度改正を踏まえて、現在、日本郵政グループにおいて経営の健全性を確保しながら経営が進められているところでございます。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 貯金、保険事業における窓口業務について、ユニバーサルサービスを前提に何か制約等ございますか、こういった設置をしないといけないといったことはございますでしょうか。教えていただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの後段でお答え申し上げました平成二十四年の郵政民営化法改正におきまして、郵政民営化法第七条の二、日本郵政株式会社法第五条第一項及び日本郵便株式会社法第五条によりまして、日本郵政及び日本郵便に対しましては、貯金、保険につきましても郵便局におきまして基本的な役務が一体的に利用できるようにするということで、郵便局ネットワークを維持する、金融も含めたユニバーサルサービスの責務を有するということで、日本郵政と日本郵便には金融ユニバーサルサービスの責務が課されているところでございます。

中嶋(秀)委員 ありがとうございました。

 最初に申し上げましたけれども、民営化というと、採算をとにかく上げていかないと、効率化を追求する必要がある、しかもユニバーサルサービスも求められる状況でございます。そういった中、民営化についてこの先、今の現状、金融関係二社からの負担金によって成り立っている状況だと思います、こういったままでユニバーサル事業がこのまま継続していけるのか、その辺について教えていただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 ユニバーサルサービスの確保と民営化を進めていく中で、このまま経営が維持できるのかという点についてのお尋ねにつきまして、現行法制度に沿ってお答えをさせていただきたいと思います。

 先ほども申し上げました郵政民営化法第七条の二、日本郵政株式会社法第五条第一項、日本郵便株式会社法第五条におきまして、日本郵政及び日本郵便には、郵便、貯金、保険、基本的な役務が利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にできるようにするということとともに将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることが確保されるよう郵便局ネットワークを維持するという、ユニバーサルサービスの責務が日本郵政と日本郵便には課せられているところでございます。

 株式の処分との関係でございますけれども、郵政民営化法第七条第二項におきましては、日本郵政に対して、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の株式は、その全部を処分することを目指し、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険の経営状況やユニバーサルサービスの責務の履行への影響等を勘案しつつ、できる限り早期に処分することを目指すというふうに法で規定されております。これによりまして、日本郵政におきましては、株式の処分に当たっては、ユニバーサルサービスの維持を前提として適切に判断するものと考えてございます。

中嶋(秀)委員 ありがとうございました。

 株式の売却等をお聞きしましたけれども、これから民間になっていく場合に、株主から、ユニバーサルサービスを続けていくに当たって、もっと改善していく、もっと料金を変えていくような発言が出てくる可能性もございます。そういった中で、できないということで国のお金をまた入れなければならない、こういったことがないようにしっかりと改善していっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、地方自治についてお尋ねいたします。

 首長の党派性によって何か変わることがあった、こういったことなんですけれども、京都ではよくあることなんですけれども、選挙のとき、国政で与党である党を含む党以外の推薦や公認の首長候補が出馬すると、そちら側が勝てばしばしば府や国との連携が途絶える、国の予算が減らされるといった与党プラスアルファ側の応援議員が発言することがございます。こういった中で、総務省、ここでは地方交付税を管轄されていると思いますけれども、こういった事例があるのでしょうか。大臣にお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 交付税を担当する総務省として申し上げますが、地方交付税法及び関係省令により、普通交付税は、客観的かつ合理的に算定した基準財政需要額及び基準財政収入額を用いて算定しております。特別交付税は、普通交付税の算定方法で捕捉されなかった財政需要を積算することを基本として算定しております。

 知事さんや市町村長さんの所属政党が交付額の算定に影響することはございません。

中嶋(秀)委員 ありがとうございました。本当に安心いたしました。

 市町村選挙で誰が首長になろうが、市町村民は、京都府なら府民、まして国民でございます、誰が首長になろうと当該地域の住民は府民、国民であることには変わらず、誰かになればあなたたちの住んでいる地域は国や府に捨てられるといった、そういったあおる選挙は慎んでいただきたいと思うところでございます。

 続きまして、平成の大合併以降、市町村合併を予定しているところはございますでしょうか。お聞きいたします。

山野政府参考人 お答えいたします。

 現行の合併特例法でございますが、市町村の合併をしようとする市町村は、法三条の規定に基づき合併協議会を設置し、合併市町村基本計画、これは合併市町村の円滑な運営の確保それから均衡ある発展を図るための基本的な計画とされております、これを作成することとされております。そしてまた、作成したときには総務大臣に送付しなければならないとされております。

 現行合併特例法下で最後に合併が行われましたのは平成二十六年四月でございまして、それ以降については、合併特例法に基づく合併市町村基本計画の作成に伴う総務大臣への送付はなされていないものと承知しております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 なぜ市町村合併について尋ねましたかといいますと、相当人口が減り、財政など大丈夫かなと思う町村がございます。危ないのでどこかとくっつけばいいという規模の理論だけで解決するわけでもなく、単純な議論では望ましくないのではと思うのですが、どう解決すればいいのかという深刻な思いでおります。

 そこで、お尋ねいたしますけれども、六十五歳以上の高齢者が人口の五〇%を超え、税収入の低下と高齢者医療、高齢者福祉の負担増で財政の維持が困難になった自治体はあるのでしょうか。そこまでいかなくとも、近づきつつある自治体はございますでしょうか。そういった現状についてどう解決していく方針なのか、教えていただきたいと思います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 令和二年の国勢調査におきまして、六十五歳以上の高齢者が人口の五〇%を超える団体は全国で六十団体ございますが、地方公共団体財政健全化法に基づく健全化判断比率は安定的に推移をしておりまして、直ちに財政の運営が困難になる団体はないものと考えております。

 これまでも、地方交付税等の一般財源総額を確保させていただいた上で、地方交付税の算定を通じまして、税収の状況であるとか高齢化の状況を反映して個々の地方公共団体の財政運営に支障が生じないよう対応してまいりましたが、今後も引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 道州制というものが叫ばれてから大分たちますけれども、道州制についてお尋ねいたします。道州制について大臣として今後どうされていくか、そういった決意についてお尋ねいたしたいと思います。

松本国務大臣 委員御案内のとおり、道州制につきましては、総務省の所管ではございませんので、直接お答えをする立場にはないところでございます。我が国の在り方に深く関わる統治機構の改革に関する問題であると認識をしておりますし、また、地方経済の活性化や行政の効率化の実現につながるとの考え方があるというふうに認識をしているところでございます。

 私としても、議員としてもこれまでもこのような議論はずっと拝見をしつつ、また時には議論に加わるところもあったわけですけれども、道州制につきましては、例えば世界の国々を見た場合には州に司法権限も与えられているところもある中で、どのような権限を与えるのか、また、特に、よく議論の際には、いわば区域の線引きをどこにするのかといったような議論が始まると、かなり様々な意見が出てくるというのを私も拝見してきたところでございまして、先ほど申しましたように、国の根幹にも関わることから、政治の場において、国会において各政党間の御議論、そして何より主権者である国民の皆さんの議論が大切であるというふうに認識をしているところでございます。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 本日は、郵政事業、地方自治についてお伺いいたしました。郵政については、郵便はもちろんのこと、ゆうちょ、かんぽなど、国民生活に大きく影響することでございます。引き続き、また機会を得て、御説明をお願いいたしたいと思います。地方自治についても、住民に一番近い自治体の問題であり、またの機会に更なる御質問をさせていただきたいと思います。

 本日は質問の機会をいただき、感謝申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、吉田とも代さん。

吉田(と)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の吉田とも代です。

 本日も、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。一般質問ということで、多岐にわたって質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まずは、若者の政治参画についてです。

 特に、若年層の政治離れ、投票率の低下が叫ばれる中、政治を身近に感じてもらうにはどうしたらいいだろうということで、ZEXTという、Z世代が未来イコールネクストを考えるというコンセプトで立ち上げられたアンダー三十世代が集まる団体があります。実際に、若者を集めて対話の場をつくったり、政治家と会える場を提供したりする活動をされています。POTETO政治部ZEXT中四国支部の企画で、昨年八月三十一日に議員と語ろう会が開催されました。そのゲストにお招きいただき、参加者からは、議員と話したことがなかったが今回の企画により政治に関心を持った、また、高校生からは、選挙権ができたら選挙に行こうと思うなどの感想をいただきました。彼らにじかに接してみると、決して政治や選挙に関心がないわけではないと心強く思ったところです。

 ところで、二〇一七年の衆議院選において山形県は全世代で投票率が全国一位、六四・〇七%であり、十代の投票率も全国一位です。全国の十代投票率は四〇・四九%ですが、山形県は四七・二四%あります。

 山形県の取組の特徴としては、政治参加の分野だけではなく、行政の審議会に若者委員を一名以上登用する若者枠を取り入れたり、山形県遊佐町では、二十年前から少年議会が毎年開催され、中高生が若者の代表として中学、高校生の政策を議論し、決めています。子供議会自体は珍しくはありませんが、選挙で代表を選出し、町の課題を議論し、解決策まで提示する、さらには、実際に町の施策に反映され、政策実現のための独自予算も持っているのはほかに例を見ません。見学や模擬的なものではなく、子供たちが参画しています。

 各自治体が主権者教育などを積極的に行っているにもかかわらず若者の政治離れが加速する、これを食い止めるには、政治参画とまでは求めないとしても、まずは政治を身近に感じていただく環境が必要だと言えるのではないかと思います。

 政治家の役割として、地域住民と触れ合う機会を持つことは当たり前だと皆様お考えかと思いますが、政治離れが加速する中、日本の未来を考えると、若者が若者であるうちに、学生である段階から学校などで触れ合う機会を持つことが最も重要だと考えます。

 そのような中、私は、政治を身近にというコンセプトで活動しておりますが、そういったお話をする機会をいただく際は、政治の話はしますが、呼ばれる場所、趣旨を踏まえて、政党の話などはいたしません。しかし、呼ぶ側の立場からすると、公的な場に党名を背負った議員を呼ぶとなると、中立的な立場を保たねばならず、教育現場などではリスク回避から機会を設けないという選択をすることが多くなるのではないかと考えます。

 そこで、質問です。議員がこれらの活動に積極的に参加することや、参加の際には一定の申合せ、基準が必要かと思います。各党各会派でと言われるのかもしれませんが、総務省の御見解をお聞かせください。

笠置政府参考人 住民の、特に若者の政治意識の向上を図る観点から、先ほどお話がございましたけれども、政治に実際に関わっている方から直接お話を聞くということは、現実の政治について具体的なイメージをつかみやすいということから、大切な試みだろうというふうに考えております。

 こうした取組につきましては、公職選挙法などの規定に抵触しない限り、特段制限をされることではございません。各地域におきましては、若者や住民と政治家、議員の方々が対話、交流する機会を設けるために、先ほど委員からお話がございました例のほかにも、若者と議員が集まってトークセッションや意見交換などを行ったり、また、学生が議員を交えて数か月にわたって政策提案の準備を行い、取りまとめた政策提案を議場で発表するといったような工夫した取組が行われている例もございます。

 総務省といたしましては、こうした各地域の事例の具体的な内容あるいは手法等を調査して、その取組方法などを事例動画あるいは事例集といったものにまとめまして、先月、三月下旬に総務省ホームページで公表するとともに、全国の選挙管理委員会や教育委員会の方に周知をさせていただいたところでございます。これによりまして、全国での横展開が展開されることを期待しているところでございまして、引き続き文部科学省などとも連携しながら主権者教育の充実を図ってまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、中川(康)委員長代理着席〕

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 政治とお金の問題で、日々、国民の政治への期待そして関心が薄れている中、政治は民主主義の重要性を肌で感じていただく機会を設けることが重要で、政治に真っすぐに向き合っている議員がたくさんいるということを知っていただかなければならないと考えています。我々議員がその努力をするのはもちろんなんですが、そのような啓発、先ほど全国で三月下旬に事例集を横展開しているというお話をいただきましたけれども、是非、総務省にも進めていただきたいと思っています。

 例えば、三十年以上開かれていない選挙制度審議会を開いて調査研究することも一案ではないでしょうか。政府の権限の下での有識者による議論は傾聴に値するものだと思います。若者に対する啓発のみならず、衆参の選挙制度の整合性、また小選挙区制や比例代表制に対する検証、取り上げるべきテーマは多々あると思います。

 さて、投票率の低下に関しては、投票環境を整えるべきだという観点から、インターネット投票もしかるべきですが、若年層の投票については、投票箱の設置場所に工夫が必要だと考えます。わざわざ投票に行くという行為を面倒だと思う若者は少なくないと考えます。大学に設置されていたら投票しようと思う方も増えると思うのですが、選挙管理委員会に問合せをしたところ、各投票所での投票数を国、総務省に報告する義務はないため、各選挙管理委員会しか各設置場所の投票数を把握していないとのことでした。

 是非、大学や専門学校に設置することでメリットが生まれているか、様々な対策の観点からも総務省が把握できるシステムを構築すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

笠置政府参考人 お答えをいたします。

 大学や専門学校、大学等に期日前投票所などを設置したらどうかというお尋ねかと思います。それが効果があるのではないかということでございますが、投票率という観点から申し上げますと、投票率は選挙の争点あるいは当日の気候など様々な事情が影響して上下をするものでございますことから、大学に期日前投票所や移動期日前投票所を設置したということが投票率の向上にどの程度寄与しているのか、効果があるのかについて一概に申し上げることは困難でございます。

 ただ、一方、既に大学などに期日前投票所を設置したことのある取組を行った選挙管理委員会からの報告を御紹介いたしますと、大学に設置した期日前投票所の場合には、授業の合間、例えば昼休みとかに投票ができるといったことから、このほかの、例えばスーパーとかショッピングセンターとか、そういったところに設置した期日前投票所に比べまして絶対的な投票者の数自体は少ないわけでございますが、投票者に占める十代でありますとか二十代などの若者投票者の割合といったものは高い傾向にあり、一定の効果があったという報告を受けてございます。ということで、大学に設置するといったことについては一定の効果があるというふうに承知をしております。

    〔中川(康)委員長代理退席、委員長着席〕

吉田(と)委員 先日、新聞に掲載されておりましたが、国政や地方選で投票所の数を減らしたり投票終了時間を早める自治体が地方を中心に増えているとありました。投票所でチェックする立会人の確保が難しいというのが主な理由だそうですが、ますます有権者の投票が不便になりかねません。公職選挙法はネットのない時代に作られたものであり、現代の実情に合うような柔軟な法解釈や法運用が求められているのではないでしょうか。時代の流れはますます加速し、とどまるところを知りません。政治の世界も、そして選挙制度も、その潮流に取り残されているわけにはいかないと思います。

 当然、ネット投票が実現すればこういった議論も不要であり、DXの推進を是非進めていただきたいのですが、そこを一足飛びには行けないのであれば、まずはピックアップでも調査をしていただき、研究を積み重ねていただくことが大切ではないかと思います。どういうところに投票所を置くと効果的かという知見を積み重ねていただきまして、そのことで前進できると考えております。統計を所管する総務省だからこそ、是非お願いしたいと思います。

 また、現在、大学に選挙投票所が設置されているのは全国で七十三件です。しかし、人口減少の影響で投票箱の設置数自体が減少傾向にある中、コスト面などでやむを得ず設置できない自治体もあると考えます。しかしながら、投票の機会をできるだけ提供するという観点から、大学や専門学校に移動期日前投票所を配車、設置するなど、投票環境整備に向け前向きに御検討いただけたらと考えますが、御見解をお聞かせください。

松本国務大臣 今委員からも御指摘がございましたけれども、より多くの方に御参加をいただくという意味で、投票率が上がるように、投票所の設置については前向きに取り組むことは大切ではないかというふうには考えるところでございます。

 おっしゃったように、御指摘もありましたけれども、ただ、立会人の確保などについては、やはり自由な意思表明としての投票所ということで意義がある制度でもありますので、こういったものを全体としてどう考えるかということについては、また政治の場での議論なども踏まえて私どもも考えなければならないと思います。

 期日前投票所等の設置については、積極的に取り組んでいただくように昨年から会場の借り上げ費用等に対して新たに交付税措置を講じておりますし、また、利便性の高い場所をということで、先ほど政府参考人からも御答弁させていただきましたけれども、皆様が出入りすることの多いショッピングセンターなどを含めて投票所を増やしてきたところでございますが、特に、総務省では、平成二十八年の選挙権年齢の引下げ以降、国政選挙や統一地方選挙に際して各選挙管理委員会に対して、大学などと連携して構内での期日前投票所等の設置を検討するよう要請させていただきました。大学など有権者の利便性が高い場所への期日前投票所等の設置の取組事例集を作成して、横展開を図っているところでございます。

 御議論にもございましたし、私どもの方にも選挙管理委員会から報告もございましたので、大学などに期日前投票所や移動期日前投票所を設置する取組については、若者の選挙への関心を高める有効な取組と考えてよいのではないかというふうに考えているところで、これらの取組が着実に増加するように、各選挙管理委員会の積極的な取組を私どもも促してまいりたいと考えているところでございます。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 先ほど私はDXの推進と申し上げましたけれども、つくば市では二〇二二年から国のスーパーシティー型国家戦略特区の指定を受けています。現行の公職選挙法で移動式投票所自体は可能であるものの、設置場所を告知するなど細やかな規定がございます。この特区では自宅投票が実現に近づいています。自宅前への移動式投票所は、スマホやアプリで電話予約をし、時間と場所を指定できるそうです。また、投票所への移動負担は投票率低下に直結するため、未来の投票の形も変えていかなければならないと思います。

 我が日本維新の会の公約にはドメイン投票制度というものがございます。これは、ゼロ歳から未成年の人にも投票権を与えましょうという、全年齢に投票権をという制度でございます。これは、日本の場合、高齢者の方が投票率も高いということ、そして、人口が多いので、結果、高齢者層に有利な政策が増えてしまうということ、それを、例えばゼロ歳児には意思決定ができないので保護者の方に一票を代行する権利を付して、少子高齢化の日本においては若者の声が反映される仕組みとなると考えています。

 若者の投票率の話に戻りますと、山形県選挙管理委員会の調査によりますと、これまでのアンケートで、投票に行った十八歳の八割が親も投票しており、親が行かなかった場合は投票率は五%以下だったということです。親世代が政治に関心を持つということが子供に引き継がれているということ、つまり投票に行くのが当たり前という感覚、雰囲気を醸成していくことが重要だと考えます。

 続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを迎えるという二〇四〇年頃から逆算して顕在化する諸課題に対応する観点から、必要な地方行政体制の在り方を平成三十年七月から始まった第三十二次地方制度調査会が調査審議を重ねてきました。調査会のまとめでは、それぞれの地域が目指す未来像の議論の材料となる重要な将来推計のデータを客観的かつ長期的な視点で整理した地域の未来予測を作成し、地域や組織の枠を超えた連携を長期的な視点で選択する必要があるとしています。

 現在の地域の未来予測の作成状況、全国での取組状況を教えてください。

山野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の地域の未来予測、これは第三十二次の地方制度調査会で議論されまして、その答申におきましては、各地域における行政需要や経営資源に関する長期的な、あるいは客観的な変化、課題の見通しを整理したものでございます。

 現時点で総務省が把握しているところでは、新潟市の事例ですとか、あるいは京都府北部の市町、福知山、舞鶴、綾部、宮津、京丹後、伊根、与謝野、複数の市町ですね、それから相模原市、八王子市、町田市の三市における広域の作成事例、こういったものがあるというふうに承知しております。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 今御紹介をいただきましたけれども、まだまだ作成している自治体が少ないと感じるのは私だけでしょうか。統計の出し方が分からないということもさりながら、必要性を感じていないのではないかなと思います。行政や地域の審議会に参加される方は、地域の実情について議論したりデータを目にしたり、そして日常から自分たちの住む自治体の現状を把握しているからこそ審議会に参加していただいていると思うんですが、一方、若者はそのような機会も少ない中、自分たちの住む町の現在、未来について知る機会がなく、だからこそ危機感も生まれず、政治や選挙に関心が持てないのではないかと考えます。

 この未来予測は、そこに住む地域の方々に開示して、町の皆様に参加していただく材料として活用すべきだと思います。そういった周知を総務省が積極的に推進し、活用事例を生み出していくことが必要だと考えますが、御見解をお聞かせください。

山野政府参考人 お答えいたします。

 これまでの総務省の取組でございますが、地域の未来予測を作成するための必要なデータあるいは推計方法、こういった参考資料をお示しするのはもちろんでございますけれども、例えば、連携中枢都市圏あるいは定住自立圏以外の地域において広域連携を目指す複数の市町村によります地域の未来予測、これを共同作成することや、それに基づいて施設の共同利用等を行う場合に要する経費について特別交付税措置を講じているところでございます。

 今回の三十三次地方制度調査会の答申におきましても、作成手順あるいは作成により得られる効果をより分かりやすく周知する、こういった取組を、国は市町村の主体的な取組を支援していくことが必要である、こういうふうにされたところでございます。

 これを踏まえまして、令和六年度でございますが、未来予測の取組モデルを掲載したパンフレットを作成したりですとか、あるいは実際に未来予測を作成したところに御協力いただきながら実務的にも活用できるように作成手順をまとめた動画を作成すること、こういった取組をすることとしております。また、多様な広域連携を促進する観点からは、未来予測の作成に資するモデル的な取組への支援を行ってまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 今、様々な御支援をいただいているというお話でございましたが、是非、できるだけ多くの市町村が未来予測を作成して、また、学校の授業などで自分の町の現状について話し合っていただきたいと思います。それが、結果、将来の投票率にもつながっていくと考えます。

 政府は令和四年度から、市町村が地域の未来予測を共同で作成するための経費や、それに基づく施設の共同利用等に向けた取組に要する費用について特別交付税措置を取られているということですが、しかし、人口減少に伴い、今後、施設やインフラ整備、様々な点で広域連携が更に求められると考えます。よって、各市町村だけでこの未来予測を立てるというのではなく、県も一緒になって未来予測を立てる必要があると考えます。広域連携等での取組が必要だと考えますが、松本大臣の御見解をお聞かせください。

松本国務大臣 様々な分野で広域連携を行うに当たっては、住民の皆様の御理解であるとか関係者の利害の調整等も様々必要になってこようかと思いますし、これを進めるためにも将来のビジョンを共有しなければいけない。

 そのようなことからも、今お話がありました地域の未来予測、これを、このような長期的見通しとの位置づけを定めて、総務省としては作成に必要なデータ、推計方法、議論の進め方について整理して地方公共団体に示すなど支援をしてきたところでございます。

 今委員からも御紹介がございましたが、三十二次地方制度調査会の答申におきましては、都道府県がその取組を支援し、地域の変化、課題の見通しを市町村と共有することが重要であると指摘されております。

 都道府県の役割という意味からもそのようなことが期待をされているのかというふうに思いますし、都道府県においては地域ごとの将来人口の推計を提供するなど、県が地域における議論を支援している取組が既にあるというふうに承知しております。

 さらに、都道府県が、今お話を申し上げたように、調整が必要な場面での調整の役割、事務局機能といった役割を担ってくださることで市町村間での様々な連携が進んでいる事例、公共施設の集約化、共同利用といった事例があるとの報告を聞いておりますけれども、これからも市町村と都道府県が連携することで物事が前へ進むのではないかというふうに期待をいたすところでございます。

 先ほど局長から御答弁を申し上げたようにこうした取組の横展開、作成の支援を行っているところでございますので、各地域の取組が進むように、これに関する都道府県の役割というのは今申し上げたとおりかというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 松本大臣から将来のビジョンの共有というお言葉がございましたけれども、まさに県が主体となってリードしていくということも時には必要だと思います。未来予測は厳しい現実を突きつけられるかもしれませんけれども、作成することで、単独では難しい市町村が広域連携に踏み出すきっかけになるかと思います。

 続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 アフターコロナ時代の働き方として、リモートワークが身近になりました。自分や家族に適したライフスタイルを模索する中で、都市と地方の二つの拠点に住居を構えて生活する二地域居住に注目する人が増えています。例えば、元々都市にある家で生活している人が、週末や長期休暇には地方にあるもう一つの家で生活をするパターンがこれに当てはまります。

 二地域居住のメリットは、都会と田舎の暮らしを満喫でき心にゆとりができることや、今の暮らしを維持したまま新しい暮らしや刺激をプラスできることですが、一方、課題もあります。その一つが住まいです。二軒分のコストがかかることや、移動のコスト、時間がかかります。

 国土交通省は今回、二地域居住について、居住環境整備の法案改正を予定していると認識しておりますが、法案の目的や中身など、概要について改めて御説明をお願いいたします。

筒井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の法案は、国土形成計画が掲げております人の流れの創出、拡大の実現に向け、二地域居住を促進するものであります。

 コロナ禍を経た暮らし方、働き方の変化、若者世代の地方への関心の高まりの中、二地域居住がより重要となっている一方、その促進に当たりましては、住まい、なりわい、コミュニティーの課題が指摘されているところです。本法案は、こうした課題に対応しまして、魅力的な地域づくりを進め二地域居住の促進に取り組む市町村を支援するため、二地域居住に関する基本的な方針、拠点施設の整備等に係ります市町村の計画作成、二地域居住の促進に取り組む法人の指定、地域の関係者と連携した協議会の組織等について措置することとしております。

吉田(と)委員 ありがとうございます。関係人口の増大は様々な側面で地方にとっては非常に重要だと考えます。

 まず、その土地を好きになる最初のきっかけは観光であると考えます。観光という切り口は、最初は経済効果を生みますけれども、一期一会のお客さんで終わってしまいがちです。それが週一日、二日はその場所で過ごすようになると、今度は反対に経済効果は半減するという声もございますが、単なるお客様から仲間となり、その新しい発想、その活力が地域の再生効果をもたらすと思います。是非課題を克服しながら促進していただきたいと思います。

 この後、地域おこし協力隊との連携などを質問させていただく予定でございましたけれども、質問時間が終了となりましたので、私の質問はまた次回に改めてさせていただきたいと思います。

 御清聴ありがとうございました。

古屋委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時二十分開議

古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 今日は、西田政務官の献金問題について聞きます。

 二月二十九日の当委員会で、私は西田政務官に対して、二〇二一年の解散・総選挙の時期に、西田政務官が代表を務める自民党石川県衆議院第三選挙区支部に国と取引関係のある建設業者二社から合計三百万円の献金があり、その後、政務官が道義的見地から返金したという報道を取り上げて、その建設会社二社というのは小倉建設と南建設かと確認をいたしました。政務官は私に、今質問のあったとおりの企業に返金をさせていただきましたとお認めになりました。

 改めて、総務省選挙部長に聞くんですけれども、公職選挙法百九十九条第一項では国政選挙に関してどのように規定しておりますか。

笠置政府参考人 公職選挙法第百九十九条の第一項でございますけれども、第一項におきましては、衆議院議員の選挙に関しては、国と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、当該選挙に関し、寄附をしてはならないとの規定がございます。

宮本(岳)委員 西田政務官は前回の質問で、公職選挙法百九十九条に抵触することから逃れるために、あくまでも政党支部の政党活動の御支援としていただいたもの、こう繰り返されました。同時に、道義的見地から問題を認めて二社に三百万円を返金するとともに、今後も国会、国民に対して丁寧な説明を行い説明責任を果たしていきたいと答弁されました。

 今日、午前中の吉川理事への答弁を聞いていると到底、国会、国民に対して説明責任を果たしているようには見えなかったですけれども、国会、国民に丁寧な説明を行うつもりが本当にあるんですね、いいですね。

西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 しっかりと法にのっとった形で説明をさせていただきたいと思っております。

宮本(岳)委員 いいですね、真摯に答弁しないと質疑が止まりますよ。

 西田政務官は二〇一七年の総選挙で初当選されました。確認できる二〇一八年以降の政治資金収支報告書を私は全て確認いたしましたが、西田政務官は小倉建設と南建設から、毎年、まるで定期会費のように、どちらからも十二万円の寄附を受けておられます。これは、政務官、事実ですね。

西田大臣政務官 事実でございます。

宮本(岳)委員 これは調べましたから間違いないんです。毎年、南建設と小倉建設から十二万円を受け取っているわけでありますが、二〇二一年に限っては、それに加えて、南建設から二百万円、小倉建設から百万円を受け取りました。それ以外の年でこの二社から同様に、百万円とか二百万円というような額の献金を受け取ったことがありますか、西田さん。

西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 今のところ、二〇二一年十月に小倉建設、南建設から寄附を受けたということであると思っております。また、それについても、政党支部の政党活動として御支援をして寄附をいただいたものと認識しているところでございます。

宮本(岳)委員 毎年毎年十二万円は確認いたしました。

 百万円とか二百万円という額を二〇二一年以外に受け取ったことはありますか。

西田大臣政務官 今のところ、ないと思っております。

宮本(岳)委員 ないんですよ、そんなことは、別に。私は全部調べて申し上げているんですから。通告でも調べておいてくれと言ったわけですね、自分の政治資金について。他の年では受け取っていないんです。

 二〇二一年十月四日は岸田氏が首相に就任した日で、その日に、十月十四日解散、十月三十一日投票という日程が表明されました。前回も確認しましたけれども、南建設は十月四日と十五日にそれぞれ百万円の合計二百万円、小倉建設は十月二十二日に百万円の寄附をしております。どこからどう見ても衆議院選挙のための寄附だったと見ざるを得ないんですけれども、これが選挙のためではなかったという根拠を何か示せますか。

西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 あくまでもこの御寄附は、政党支部の政党活動として御支援をして寄附をいただいたものと思っております。しっかり政治資金収支報告書に報告をさせていただいております。

宮本(岳)委員 いやいや、説明責任にならないんですよ。そう思っているとあなたはおっしゃるけれども、これが選挙のための寄附ではないという根拠が示せるかと僕は聞いているんですよ。示せますか、何か。

西田大臣政務官 あくまでも政党支部の活動費として収支報告書に報告をさせていただいております。

宮本(岳)委員 もう一問聞いていいですか。では、道義的に問題があるといって返したと言うけれども、どのような道義的問題を感じたんですか。

西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 この寄附については、あくまでも政党支部の政党活動として御支援をしていただいたものであります。

 また、疑念を持たれることは本意ではありませんので、道義的見地から返金をさせていただいたものでございます。

宮本(岳)委員 道義的な問題は感じたわけでしょう、感じたんですね、感じて返したんでしょう。

西田大臣政務官 御指摘をいただいたので、周りからのそういう御指摘をいただいたので、疑念を持たれるのは本意ではありませんので、道義的見地から返金をさせていただいたわけでございます。

宮本(岳)委員 周りから指摘をされたので返金をしたという、これは初めての答弁ですね。

 では、もう一つ聞きましょう。

 資料一は、西田政務官が代表を務める自民党石川県衆議院第三選挙区支部の二〇二一年分の政治資金収支報告書であります。表紙をめくって二枚目、資料一の二を見ていただきたい。あなたは、十月四日に南建設から百万円の献金を受け取り、衆議院解散直後の十月十五日には更に百万円を受け取っております。この間に何が行われていたか。

 資料二は、二〇二一年十月十一日にあなたの選挙の応援に入った自民党の足立敏之参議院議員のフェイスブックであります。

 この日、足立氏は、石川県建設業協会の会長や専務理事とともに、輪島市や珠洲市、七尾市等の建設業協会の会長を訪問し、各建設業協会の会長の声かけであなたの激励会を開催してもらっております。下線部を見ていただきたい。羽咋郡市建設業協会の南会長とあるのは、南哲郎氏、南建設の先代の社長であります。二〇二一年、前回の選挙のさなか、十月十一日、建設業協会の南会長の声かけで激励会を開いてもらったことは事実ですね、記憶にありますね。

西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 この会が、出席をさせていただいたことは本当でございます。

宮本(岳)委員 岸田首相が十月四日に解散を宣言したら、南建設はすぐに百万円を持ってきたわけです。十月十一日には先代社長が、地元建設業者を集めて激励会を開いてくれたわけです。そして、十月十四日に衆議院が解散されたら翌日には更に百万円が届いたわけです。これがどうして選挙に関する寄附ではないと言えるのか、納得のいく説明ができますか。

西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 政党の活動としてやはり私は支援をしていただいたものと思っておりますし、私自身も自分と第三選挙区支部支部長の立場として応援をいただいたものと思っております。

宮本(岳)委員 全然前に進まないんですけれどもね。

 では、少し論点を変えましょう。先ほど、道義的に問題があると思って返金したと言いましたね、人からも言われてそうしたと言いましたね。一体、返金しなければならないその道義的責任というのは、あなたは何と感じておられるか、何だと理解しておられるか、御答弁いただけますか。

西田大臣政務官 今回のことにつきましては、政党支部の政治活動として支援をしていただいていたわけでありますし、法にのっとったものと思っております。

 しかしながら、疑念を持たれるのは本意ではありませんでして、返金をさせていただいたことでございます。

宮本(岳)委員 いやいや、だから、疑念を持たれるのは本意ではない、どのような疑念を持たれると思って返したんですか。自分の政治資金のことでしょう。

西田大臣政務官 選挙期間中に国の受注を受けた企業から寄附をいただいたことについて指摘を受けたことが、道義的見地として申し上げさせていただきました。公職選挙法に抵触する疑念を持たれるということについて、そのことについて返金をさせていただいたわけでございます。

宮本(岳)委員 そうでしょう、公職選挙法百九十九条に抵触する、そういう疑念を指摘する周りの人もいた、本人もこれは全く何の関係もないとは言い切れないと思って返したんでしょう。そうでしょう、そうですね。

西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 公職選挙法に抵触する疑念を持たれることについて、そういうところについてお返しをさせていただいたわけでございます。

宮本(岳)委員 いや、全く納得いきません。はっきり答えてください。疑念を持たれると思ったから返したわけですよね、これはね。

 では、そういうふうに思って返したのであれば、実は新たな疑惑が持ち上がります。選挙中の二〇二一年十月二十二日、小倉建設が百万円の寄附をした同じ日に小倉緑化工業株式会社からも百万円の献金を受けております。事実ですね。

西田大臣政務官 事実でございます。

宮本(岳)委員 資料一の二をもう一度見ていただきたい。西田政務官が代表を務める自民党石川県衆議院第三選挙区支部の二〇二一年分の政治資金収支報告書ですね。赤線を引いた小倉建設の下の欄に、小倉緑化工業株式会社、百万円の寄附の記載がございます。

 政務官、確認しますが、この百万円を小倉緑化工業さんに返されましたか、返金されましたか。

西田大臣政務官 現在、調査をさせていただいたところでは、寄附をいただいた会社は国と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者ではないため、寄附を返金することについては考えておりません。

宮本(岳)委員 ペーパーを入れてもらわないとそんなことも言えないんですか、自分の政党支部の寄附に関して。いや、おっしゃるとおりなんですよ、緑化工業さんは直接の国との契約がないということを恐らく言うんだろうと。調べましたよ、自分じゃなくてもそれぐらい調べるんですよ。もっとちゃんと、真摯に答えてくださいよ。

 小倉緑化工業株式会社の代表小倉一朗氏は、小倉建設の代表者の小倉一夫氏といとこ同士の間柄です。小倉緑化の代表取締役の一朗氏は小倉建設で監査役を務め、小倉建設代表取締役の一夫氏は小倉緑化で監査役を務めております。法人登記を全部調べましたけれども、小倉建設と小倉緑化工業には両社の役員が大きく重複している。典型的な小倉一族の同族会社なんですね。西田さん、御存じでしょう。

西田大臣政務官 承知はしております。

宮本(岳)委員 知っているんですよ。これは、つまり、小倉緑化の名前を使ってはいるけれども、実態は小倉建設の献金なんです。結局、小倉建設も南建設と同額の二百万円を献金しているんですよ。小倉建設グループも会社を挙げてあなたや自民党の選挙を応援しております。

 資料三は、これは前回の総選挙より後ですよ、二〇二二年七月五日、参議院選挙のさなかの西田政務官のフェイスブックです。一昨年の参議院選挙に当たって、今度はあなた自身が小倉建設グループの皆さんに候補者の演説を聞かせております。小倉建設グループと書いておりますから、これは建設だけでなく小倉緑化工業も入っているんでしょう。

 小倉建設からの百万円に道義的に問題があるというのならば、この小倉緑化工業の百万円にも道義的な問題があると思いませんか、いかがですか。

西田大臣政務官 御指摘のような寄附が国民の疑念を招くような寄附に当たるかどうか、疑念を招くかどうかについては、事務所でもよく相談し、法の規定に照らして判断をしてまいりたいと思います。

宮本(岳)委員 先ほど、同族経営の会社であることは分かっていると言ったじゃないですか。こうやって私に指摘されたら、これから考えるんですか。

西田大臣政務官 該当企業については、国と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者ではないため、今の質問について事務所でもよく相談し、法の規定に照らして判断してまいりたいと思います。

宮本(岳)委員 全然駄目ですね、全然。自ら全く姿勢を正すつもりもない。道義的責任、問題を感じて返却したと言うけれども、その程度の話です。後ろからペーパーを入れてもらわないと答えられないじゃないですか、自分の政治資金に関して。何かありますか。

西田大臣政務官 国と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者ではないため、寄附を返金することは考えておりませんが、公職選挙法に抵触する寄附であることは考えておりませんが、事務所とよく相談してまいりたいと思います。

宮本(岳)委員 考えていないが相談したい、何を相談するんですか、抵触するかどうかですか。

西田大臣政務官 これはあくまでも、契約の当事者である者ではないため、寄附の返金は考えておりませんけれども、道義的見地であるかどうか、そういったことについても今後判断をしてまいりたいと思います。

宮本(岳)委員 全然国民に対する説明責任を果たすことになっていないですね。

 そこで、聞きますけれども、この年、岸田首相が解散を宣言した二〇二一年十月四日から選挙投票日の十月三十一日の間に、北陸地方整備局において小倉建設株式会社及び南建設株式会社と契約期間中であった工事の件数と当初契約金額というものを、これは国土交通省からあらかじめ聞かせていただきました。小倉建設が二件で約二億円、南建設が五件で約七億円ということで、国土交通省、間違いないですか。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年十月四日から令和三年十月三十一日の間に北陸地方整備局において契約期間中であった件数と当該契約金額は、小倉建設株式会社が二件で約二億円、南建設株式会社が五件で約七億円となっておりまして、委員御指摘のとおりでございます。

宮本(岳)委員 これだけの契約がありながら献金を受けたわけですね。そして、小倉建設の方は、まさに小倉グループということでいえば緑化工業も入るわけです。同族経営なわけですよ。

 それで、いいですか、資料四は国土交通省から、これはまたちょっと別の資料ですが、提出いただいた二〇二一年度の小倉建設と南建設の契約実績なんです。これは、選挙期間中に契約が継続していたものというんじゃなくて、二〇二一年度に小倉建設と南建設が契約した実績の一覧。これは国土交通省で作っていただいた表であります。

 小倉建設は一件で九千百五十二万円、南建設は六件で七億七千二百六十四万円にも上っております。落札件数だけではよく分からないんですが、小倉建設は二〇二一年の入札は一件です、南建設は七件です。つまり、この年、小倉建設は一〇〇%の落札率です。南建設も七件中六件ですから、実に八五・七%の落札率になります。

 念のために、二〇一〇年からの北陸地方整備局の公共工事の入札状況について調べてみました。二〇二一年を除いた落札率、いいですか、小倉建設は平均すると約一七%、南建設は大体二八%という状況でありました。ところが、二〇二一年の衆議院選挙があった年は、小倉建設が一〇〇%、南建設が八五%以上という極めて高い確率で落札をしております。

 政務官、あなたに選挙中に二百万円を持っていき、選挙で応援したら、その年の公共工事の落札率が一〇〇%や八五%に跳ね上がった。小倉建設グループや南建設のそれぞれ二百万円の寄附は、選挙資金であるばかりか、何らかの便宜を図った見返りではないのかと疑われても仕方がないと思いますが、いかがですか。

西田大臣政務官 そういったことは存じ上げませんでしたし、そういったことはございません。

宮本(岳)委員 これは否定するしかないんですね。そのとおりと言った瞬間に終わってしまいますわね、それはね。しかし、落札率の劇的な変化は、これは全て事実ですよ、作った数字じゃないですよ。ここに出ているものは国土交通省の資料ですから。

 改めて、選挙部長に聞きたい。冒頭に確認した公選法百九十九条一項や二百条二項に反する行為があった場合、それを返金すれば免れる、許されることになるんですか。

笠置政府参考人 お答えをいたします。

 故意又は重大な過失により公職選挙法第百九十九条第一項に規定する者が同項の規定に違反して寄附をしたときは三年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する、また、受け取った方でございますが、故意又は重大な過失により同法第二百条第二項の規定に違反して寄附を受けた者は三年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処するということでございます。

 個別の事案につきましては具体の事実関係に即して判断ということでございますが、一般論として申し上げますと、罰則につきましては、実際には行為時の行為が問題になりまして、後日とかに寄附金を返金したからといってその当初の行為が変わるものではないというふうに考えてございます。

宮本(岳)委員 返金したからといって変わるものではないと。西田政務官自身、そのことは自覚されていますね。

西田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 あくまでも、政党支部の政党活動の御支援としていただいたものであるため、公職選挙法に触れるものではないと認識をしております。

 その上で、道義的見地から全額返金をさせていただきました。

宮本(岳)委員 全然前に進まないわけです、もう一遍元へ戻るわけですね。今日はるる私は、そういう言い分は通らないですよ、国民は納得しないですよということを申し上げたけれども、結局、最後にはまた同じ、元の答弁に戻るわけです。

 大臣、何度も私は言いますけれども、総務省は公職選挙法と政治資金規正法を所管する官庁であります。その政務三役には、政治と金をめぐる問題で、特別の潔白さ、一点の曇りもない清潔さが求められると考えます。西田政務官は、一点の曇りもないどころか、公職選挙法に抵触する寄附を受けた可能性が濃厚であり、それは返却したからお構いなしとなるようなものではありません。そして、午前中の議論を聞いていても、今後は国の公共事業を請け負っている建設会社からの献金は受けないとすら言いませんでした。かくなる上は、大臣、あなたが西田政務官を更迭すべきではありませんか。

松本国務大臣 総務省は、おっしゃるとおり、政治資金規正法、公職選挙法を担当いたしておりますが、私ども政治に携わる者は、所管する省庁に携わっているということももちろんあるかもしれませんが、そもそも法にのっとって政治活動をしなければならないことは申し上げるまでもないことかと思います。その上で、疑念を示された場合には、しっかりとその疑念に対して説明申し上げることは大切であろうかというふうに思います。

 西田総務大臣政務官からも御指摘の点については御説明されたというふうに拝見をしていたところでございます。御指摘の件についても、実態としては政党支部の政党活動に対する献金を受けたものであるという御説明であったかと思いますが。

 同時に、先ほど公職選挙法第百九十九条に関して、たしか一項でしたね、御説明させていただいて、選挙に関する寄附についての規制についてお話をさせていただきましたけれども、献金された当事者が国との契約があったということと、時期が選挙の期間中又は隣接していたということで疑念を示されたということで、それに御説明をすると同時に、返金されたというふうに理解をいたしております。

 西田総務大臣政務官には、ただいまのところも総務大臣政務官として務めを果たしていただくと同時に、能登半島地震現地対策副本部長として現地の声をしっかりと私ども政府にも反映させる役目も果たしていただいていることでございまして、職務に全力で取り組んでいただきたいと考えております。

宮本(岳)委員 大臣は、今のを聞いていて、説明責任を果たされたと思いますか。果たしたと、今の話で納得したんですか、大臣は、西田政務官の説明。

松本国務大臣 先ほど申しましたように、実態としては政党支部の政党活動への献金であるということを御説明申し上げ、その上で公職選挙法に鑑み疑念を示されたことを受け止めて対応されたという御説明を私も聞かせていただいたというふうに理解しております。

宮本(岳)委員 大臣も全く分かっていないですね。だからこそ、あなた自身も、会場であるホテルの宴会場に到底入り切れないほどのパーティー券を売りさばいてみたり、あるいは、昨年の安倍派事務所への強制捜査の六日後に、クリスマスには自民党の大塚拓衆議院議員の政治資金パーティーに出席してスピーチまで行ったりするんですよ。私にそれを指摘されて、首相が自粛を呼びかけたのはいわゆる派閥のパーティーであって政治家個人のパーティーは禁じられていなかったなどと開き直る有様でありました。

 言うまでもなく、政治資金規正法の基本理念には、政治団体は、その責任を自覚し、その政治資金の収受に当たっては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならないと定められております。もしもそこに抜け穴があるならば、それを塞ぐのがあなた方の仕事です。それを、いやいや、別に抜け穴をくぐり抜けているから大丈夫だという話は通らないんですよ。

 西田政務官には、そして松本大臣にも公職選挙法や政治資金規正法を所管する資格がないということを申し上げて、私の質問を終わります。

古屋委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、電話リレーサービスにつきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。令和三年七月一日からスタートいたしました電話リレーサービスでございますけれども、その運用状況についてお尋ねをいたします。

 電話リレーサービスにつきましては、聴覚障害者の方と聴覚障害者以外の方を、電話リレーサービス提供機関にいる通訳オペレーターが手話や文字と音声を通訳することによりまして、電話で即時双方向でつなぐサービスでございます。三百六十五日二十四時間、双方向で、時間を選ばず、例えば仕事のやり取りですとか病院への連絡、緊急通報、また家族や友人との会話など、聴覚障害を持っておられる方にとってはこれまで不可能と考えられていた電話サービスが利用できることによりまして、例えば緊急時ですとか災害時に命を守ることにもつながると同時に、様々な活動をする中で行動範囲が広がり新しい世界が開かれるなど、大変貢献をしている制度であるというふうに思っております。

 令和二年に成立いたしました法律によりまして、総務大臣が聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する基本方針を定めること、また、サービスの提供の業務を行う者を指定し、その者に対して交付金を交付するための制度が創設されました。

 昨年十月から十一月にかけて行われました電話リレーサービスの利用者によるアンケート結果から浮かび上がりました運用上の課題につきまして、御説明をいただきたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からもお話があったとおり、総務省では、令和五年度に、電話リレーサービスの利用者の方々を対象にアンケート調査を実施いたしました。

 アンケート調査の結果から、電話リレーサービスの利用者は、サービスを利用した際に、会話することを拒否されたり、通話の相手先から電話リレーサービスについての説明を求められたりするなどの困難を抱えていることが分かりました。

 これらは、電話リレーサービスの相手方である耳の聞こえる方がこのサービスについて必ずしも十分に認識していないことが原因だと考えられることから、総務省といたしましては、広く社会全体に対して電話リレーサービスの認知度を向上させることが課題であると認識しているところでございます。

西岡委員 今御説明がありましたように、やはり先方がこのサービスについて御存じないために、なかなか理解をしていただくのに、例えば会話に時間がかかったり途中で切られたりというようなことも含めて、様々課題がこのアンケート結果で明確となったというふうに思っております。

 通告はしておらなかったんですけれども、今、登録されている利用者というのは何名ぐらいいらっしゃるのか、もし分かれば教えていただきたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年二月末現在の登録者数でございますが、約一万五千人となっております。

西岡委員 ありがとうございます。

 たしか、総務省様として、二万人登録をするということでお取組をされているというふうに思っているわけでございますけれども、このサービスを行っていく上では通訳オペレーターの方の果たす役割が大変重要であるというふうに思っております。今、オペレーターの役割を果たしていただいている人材の確保、また、この方々の養成、育成、研修についてはどのように進められているかということについて、お尋ねをさせていただきます。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 総務大臣が定める電話リレーサービスの提供業務等に関する基本方針におきましては、電話リレーサービスの通訳オペレーターの質を一定水準以上に保つ必要があることから、手話通訳士などの一定程度の能力を有することを通訳オペレーターの要件としております。

 また、電話リレーサービス提供機関におきましては、本基本方針に基づいて別途定められた電話リレーサービス通訳オペレーター養成カリキュラムに沿って通訳オペレーターの研修を実施することなどにより、電話リレーサービスの品質の担保に努めているところでございます。

 通訳オペレーターの体制に関してでございますが、提供機関におきまして、電話リレーサービスの具体的な利用状況に応じて必要な人員を確保の上、適切な配置を行っているものと承知しております。

 総務省といたしましては、電話リレーサービスの通訳オペレーターの質を一定水準以上に保ちつつ安定的なサービス提供に必要な体制を今後とも確保できるよう、引き続き関係省庁とも連携しながら提供機関と取り組んでまいりたいと考えております。

西岡委員 提供するのが三百六十五日二十四時間ということの中で、ヒアリングをさせていただいたときには今人材はしっかり確保できているというお話があったんですけれども、しっかりオペレーターの方を確保していただいて、安定的に、このリレーサービス、もっと利用していただく体制をしっかり取っていただきたいというふうに思います。

 先ほどちょっとお答えいただいたこととも若干重複するかもしれませんけれども、アンケート結果から分かるように、電話リレーサービスの普及ですとか啓発、また登録者、利用者を増やす取組というものが大変必要だというふうに思っております。先般、私も、電車に乗っておりましたら、電車の広告モニターでこの電話リレーサービスについて分かりやすい御説明の動画が流れていたわけでございますけれども、周知、普及、啓発について総務省として今後どのようにお取り組みになっていく方針であるかということについて、お伺いをしたいと思います。

湯本政府参考人 委員御指摘のとおり、電話リレーサービスは、聴覚や発話に障害のある方々の社会参画だけではなく、緊急時や災害時に命を守る手段を確保する観点からも大変重要なサービスであり、サービスの利用者と相手方である耳の聞こえる方の双方に対して認知度の向上を図る必要があると考えているところでございます。

 そのため、総務省としては、聴覚に障害のある方などへの電話リレーサービスの制度周知、また聴覚に障害のある方などを雇用する地方公共団体等へのサービス利用の検討依頼などに取り組んでいるところでございます。

 また、先ほども御答弁申し上げたとおり、利用者アンケートの結果からも、意思疎通の相手方の電話リレーサービスの認識不足により円滑なコミュニケーションを取ることができない事例も一部発生していることから、例えば、警察や消防などの緊急通報受理機関を含む受信側への制度周知、また企業等で電話応答業務に従事する方々に対する講習会の開催などにも取り組んでおります。

 これまで以上の普及のため、電話リレーサービスの提供機関と連携しつつ、具体的な利用例も含めて積極的な発信を含め、利用者登録数の増加と国民の皆様方の理解促進に努めてまいりたいと考えているところでございます。

西岡委員 大変重要なことであるというふうに思いますし、緊急時ですとか災害時に、せっかく利用しているのに時間がかかるとか、先方に切られてしまって通報が届かなかったというようなことが起きないように、先ほどおっしゃったように、利用される方、聴覚障害の方にもこういう制度があるということを周知徹底するとともに、国民にもしっかりこのことを、より今後も周知啓発にお努めをいただきたいというふうに思います。

 このことに関連をいたしまして、来年、第二十五回夏季デフリンピック競技大会東京二〇二五が開催されます。

 この大会は、初めて我が国で開催されるわけでございますけれども、主催は国際ろう者スポーツ委員会そしてまた東京都、一緒になって今様々な準備が進んでおりますけれども、この大会についても、まだこういう大会が開催されることが十分周知されていない中で、今、委員会の方では全国各地で周知広報へ向けたお取組が進められているというふうに承知をいたしております。

 また、開催に向けまして、今年二月には、国としてもこのことをしっかり支援するということが閣議決定されました。総務省に対しても東京都から協力の要請が今されているところではございますけれども、総務省を始めとした関係省庁が一体となって取り組んでいただくことが大変重要だというふうに考えております。

 現在総務省として取り組まれております聴覚障害者への情報保障施策等の支援の取組につきまして、お尋ねをさせていただきます。

松本国務大臣 御指摘がありましたデフリンピックは、四年に一度開催される聴覚に障害がある方の総合競技大会で、世界約八十か国から約三千人の選手が集まり、スポーツ振興や国際親善に加えて、障害のある方への理解促進や社会参加の促進に大きな役割を果たす大切なものであるというふうに理解いたしております。委員からも御指摘がございましたので、改めてそのことを取り上げさせていただき、皆さんにも理解いただく必要があろうかと思います。

 ホストとして、東京都と全日本ろうあ連盟が大会準備運営に係る業務を分担しながら、二〇二五年十一月の東京開催に向けて準備されているとお聞きをしておりますが、今委員からは、総務省として聴覚障害者への情報保障施策等についてということでございました。

 障害のある方お一人お一人にとりましては、情報を十分に取得、利用し、円滑に意思疎通が図れるようにすることが御活躍をいただくために大変大切であるというふうに思っておりまして、総務省におきましては、障害のある方の利便増進のための情報通信機器やサービスの開発事業者及び通信・放送サービス提供事業者に対する助成、またテレビジョン放送における字幕番組、手話番組等の制作促進に向けた費用の助成などを行っているところでございます。

 総務省としても、聴覚に障害のある方などにとって利便性が向上する情報通信機器、サービスの開発やテレビジョン放送事業者への支援を通じて共生社会の実現に貢献してまいりたいと考えており、お話がありましたデフリンピック、来年の秋でございますので、ここを一つの目標に進めてまいりたいと思います。

西岡委員 今、松本総務大臣からも力強い御答弁をいただきましたけれども、今まだ具体的なところまでは進んでいないというふうにお聞きをいたしております。

 東京都からは、総務省に対しては、先ほど大臣から御説明いただきました聴覚障害者への情報保障施策ですとか無線周波数の調整における支援ですとか、そういう要望がなされているというふうにお聞きをいたしておりますので、しっかり開催に向けて総務省としても御支援をいただきますように、大臣にこの場をおかりしてお願い申し上げたいというふうに思います。

 参考までですけれども、二〇二三年には冬季デフリンピック競技大会二〇二三がトルコのエルズルムというところで行われたんですけれども、日本選手はアルペンスキー、スノーボード、カーリング、フットサルで銀を四つ、銅を三つ獲得されたというふうにお聞きいたしておりまして、大変選手の皆さんも御活躍いただいておりますので、来年の夏季大会も是非、日本で初めて開催されるということの中で、多くの方にこのこともしっかりこれから周知をしていかなければいけないというふうに思っております。

 今後の御支援をお願いして、次の質問に入らせていただきます。

 次は、公平な選挙の確保ということで、今、全国各地では地方自治体選挙が随時、地域ごとに行われておりますし、四月には、東京、島根、そして私の地元長崎におきましても衆議院の補欠選挙が開催されます。また、衆議院の任期も来年十月までとなっておりますし、来年には参議院選挙も開催されます。

 その中で、私たちは政治家として自分自身の政策や思いなどを有権者に知らせるために様々な法的に許されたツールを使いながら活動していくわけでございますけれども、選挙ということの大前提としては、やはり公平な選挙、公平な機会が保障されるということが私は重要だというふうに思っております。

 その中で、近年増えてきておりますいわゆる二連のぼり旗についてお尋ねをさせていただきます。

 この二連ののぼり旗につきましては、よく皆さん御理解いただいている二連ポスターの配置で、それをのぼりとして掲示するのぼり旗なんですけれども、こののぼり旗自体は、都道府県や地域によりましては、違法で立てられないという地域もありますし、立てたことによって違法という指摘を受けない地域もあるという、そういう今二連ののぼり旗が実際に政治活動として使われている状況がございます。

 先般も予算委員会で質疑があっておりますけれども、二連のぼり旗につきましては、先ほど申し上げたように、地域によっても取扱いが違いますし、規格サイズの規制もないという中で今活動に使われている状況であります。ポスターにつきましては、公職選挙法第二百一条の十四には、候補者となったときには、その日のうちに当該ポスターを撤去しなければならないとの明確な規定がございます。この二連のぼり旗についてはどのような扱いになっているかということをまずお聞きいたします。また、二連のぼり旗につきましては、当該掲示されたものが公職選挙法第百四十七条五号に該当するものとして撤去の対象となるかどうかにつきまして、総務省にお尋ねをさせていただきます。

笠置政府参考人 二連ののぼり旗ということでございまして、その形状自体は、先生方御案内の二連のポスターと同じ形状、三分の一ずつとか、そういう前提で申し上げたいと思いますが、先ほど御紹介いただきました公職選挙法第二百一条の十四の規定によりまして、選挙期日の告示又は公示の前に政党等の政治活動のために使用するポスターを掲示した者は、当該ポスターにその氏名等が記載された者が選挙期間に入って公職の候補者となったときは、その日のうちに当該選挙区内においてそのポスターを撤去しなければならないこととされておりますが、のぼりにつきましては、公職選挙法上、ポスターではないということから、同条の撤去義務の対象とはなっていないところでございます。

 ただし、のぼりを含む文書図画につきまして、選挙の公示又は告示前に掲示された場合でございましても、選挙管理委員会は、選挙運動の禁止を免れる行為として掲示されたものと認めるときは、第百四十七条第五号の規定により、当該文書図画を撤去させることができるとされております。

 選挙運動の禁止を免れる行為として掲示されたものかどうかにつきましては、その掲示されたものの内容でありますとか、掲示の時期、場所、方法など、数とかそういったこともございますが、を総合的に勘案して判断されるべきものでございまして、百四十七条の規定による撤去の対象となるか否かにつきましては、具体の事実関係に即して適切に判断をされるべきものと考えております。

西岡委員 今御説明をいただきまして、二連のぼり旗は、例えば三分の一、きちんとポスターと同じルールに基づいて掲げられるのぼりということの前提なんですけれども、今の御答弁からも分かりますように、二連ののぼり旗につきましては、立札、看板類として規制を受けるものとなるものの、例えばサイズ等の明確なルールもないですし、選挙前に設置したものであれば、撤去する義務、できる規定で、撤去することもできるという御説明はありましたけれども、撤去するということについて明確な法的なポスターのような規制がないために、選挙期間についても撤去されないまま、ある意味有効なツールとして引き続き選挙期間中も設置されたままの状態となるということが今現実に起きている状況でございます。

 資金力のある者が、数の制限もないものですから、数多くののぼりを立てれば、お金のかからない選挙ということにも逆行することになりますし、選挙期間中も規制を受けないということになると、のぼり旗を立てることの競争が激化する事態も発生します。

 その扱いについても、そもそもこの二連旗について、違法とする地域もあれば合法とする地域もあるというそもそものところからなんですけれども、選挙期間中にそのまま立て続けることについての対応も、地域の選挙管理委員会等によって対応が異なるなど、選挙の公平性を確保する面で大変問題があるというふうに私は考えております。

 候補者届出政党が使用する選挙ポスターについては、枚数制限やサイズの制限、証紙を貼るなどの義務づけが規定されておりまして、のぼり旗についても、そもそも選挙期間中の設置を認めるかどうかの是非、もし認めるのであればポスター同様に法に基づいた選挙期間中の明確なルールが必要ではないかというふうに私は思いますけれども、このことについての御見解を大臣からお伺いできますでしょうか。

松本国務大臣 私たちも、選挙をさせていただく立場ということからすれば、法にのっとって選挙を展開する中で、公職選挙法の解釈ということも公平で明らかになっておることが大事かと思いますし、また、選挙については、政治活動は本来自由でありますけれども、委員のお話がございましたように、公明で公正に行われるためにも、例えば資金などについても、総額の規制を含め、また選挙公営をするなどして、公平な選挙となるようにこの制度は組み立てられているというふうに理解をしているところでございます。

 先ほど申しましたように、本来政治活動が自由であるべきという原点からまいりますと、今委員からもお話がありましたが、いわゆる二連のぼりについては立札、看板の類いというふうに解されているところでございますけれども、例えば撤去について、ポスターについては規制がありますけれども、明文の規定がないという委員の御指摘もございました。そういった中で、新たな規制そのものを設けることについてはやはり政党間、立法府においてお決めいただいてまいりましたし、解釈についても公平でクリアであることは大切だと思いますが、解釈によって規制になることについて私どもが踏み込むものでもないところでございます。

 地域によって対応が異なるというお話もございましたけれども、これまで、公職選挙法の解釈、判断については立法時における議論や長年における判例、実例等の積み重ねによって考え方が明らかになってきているところで、総務省としてはこれらの内容を周知するとともに質疑応答の形で一般的な解釈を示すようにはしているところでございまして、これからも公正で公明な選挙が運営されるように、私どもとしてもできることには努めてまいりたいと考えておるところでございます。

西岡委員 実際に、選挙期間中にのぼり旗が立てられている方、立てていない者、そこに大きな問題があるというふうに私自身は感じておりますので、公平、平等な中での選挙だというふうに思いますので、このことは引き続き問題提起をさせていただきたいというふうに思います。

 もう余り時間がなくなっておりますけれども、最後に、災害対策におけるジェンダーの視点の重要性ということでお尋ねをさせていただきたいと思います。時間も限られておりますので、ちょっとまとめて質問をさせていただきます。

 時間がちょっと、今終了の時間となってしまいましたけれども、能登半島地震におきましても指摘をされておりますけれども、災害対策におけるジェンダー視点、大変重要でございます。

 そういう意味でいきますと、地方公共団体における災害対策本部等に、災害を担当する部署に是非女性の職員を配置いただくということが大変重要だというふうに思いますし、希望をいただければ、その方々が被災地に入って、女性の視点をしっかり即戦力として生かしていただく、そういう体制を是非つくっていただきたいということで質問をさせていただきたかったんですけれども、時間となりましたので、そのことを御要望して、また別の機会に質問させていただきます。

 本日は誠にありがとうございました。

     ――――◇―――――

古屋委員長 次に、内閣提出、日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。松本総務大臣。

    ―――――――――――――

 日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本国務大臣 日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 近年における日本電信電話株式会社、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社を取り巻く社会経済情勢の変化に鑑み、これらの会社について、電気通信技術に関する研究に係る責務を廃止するとともに、商号の変更を可能とするほか、日本の国籍を有しない人が取締役又は監査役に就くことを禁止する規制を緩和する等の措置を講ずる必要がございます。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、日本電信電話株式会社等の電気通信技術に関する研究の推進及びその成果の普及の責務を廃止することとしております。

 第二に、日本電信電話株式会社等がそれぞれその商号の変更をできるようにすることとしております。

 第三に、日本の国籍を有しない人が日本電信電話株式会社等の代表取締役に就任すること及び取締役又は監査役の三分の一以上を占めることを禁止するとともに、それらの取締役及び監査役の選任及び解任の決議について総務大臣の認可を不要とすることとしております。

 第四に、日本電信電話株式会社の剰余金の処分の決議について、総務大臣の認可を不要とすることとしております。

 第五に、政府は、日本電信電話株式会社等に係る制度の在り方について検討を加え、その結果に基づいて、令和七年に開会される国会の常会を目途として、必要な措置を講ずるための法律案を国会に提出することとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、公布の日の翌日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る四日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十九分散会


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