第13号 令和6年4月9日(火曜日)
令和六年四月九日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 古屋 範子君
理事 斎藤 洋明君 理事 田所 嘉徳君
理事 田中 良生君 理事 本田 太郎君
理事 湯原 俊二君 理事 吉川 元君
理事 中司 宏君 理事 中川 康洋君
井原 巧君 石田 真敏君
尾身 朝子君 金子 恭之君
川崎ひでと君 岸 信千世君
坂井 学君 杉田 水脈君
田畑 裕明君 寺田 稔君
中川 貴元君 西田 昭二君
根本 幸典君 葉梨 康弘君
長谷川淳二君 鳩山 二郎君
古川 直季君 宮路 拓馬君
保岡 宏武君 山口 晋君
おおつき紅葉君 奥野総一郎君
福田 昭夫君 藤岡 隆雄君
道下 大樹君 山崎 誠君
中嶋 秀樹君 堀場 幸子君
吉田とも代君 平林 晃君
宮本 岳志君 西岡 秀子君
吉川 赳君
…………………………………
議員 中司 宏君
総務大臣 松本 剛明君
内閣府副大臣 古賀 篤君
総務副大臣 渡辺 孝一君
財務副大臣 矢倉 克夫君
総務大臣政務官 西田 昭二君
総務大臣政務官 長谷川淳二君
総務大臣政務官 船橋 利実君
文部科学大臣政務官 安江 伸夫君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 小八木大成君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 上村 昇君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 湯本 博信君
政府参考人
(総務省大臣官房地域力創造審議官) 山越 伸子君
政府参考人
(総務省行政管理局長) 松本 敦司君
政府参考人
(総務省行政評価局長) 菅原 希君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 山野 謙君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 小池 信之君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 笠置 隆範君
政府参考人
(総務省自治財政局長) 大沢 博君
政府参考人
(総務省自治税務局長) 池田 達雄君
政府参考人
(総務省情報流通行政局郵政行政部長) 玉田 康人君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局長) 今川 拓郎君
政府参考人
(総務省情報公開・個人情報保護審査会事務局長) 植山 克郎君
政府参考人
(消防庁次長) 五味 裕一君
政府参考人
(財務省大臣官房長) 宇波 弘貴君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 小宮 敦史君
政府参考人
(財務省理財局次長) 石田 清君
政府参考人
(国税庁長官官房審議官) 中村 稔君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 淵上 孝君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 森 孝之君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 日原 知己君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 井上 博雄君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 松原 英憲君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 前田 光哉君
総務委員会専門員 阿部 哲也君
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委員の異動
四月九日
辞任 補欠選任
国光あやの君 山口 晋君
田畑 裕明君 杉田 水脈君
西野 太亮君 岸 信千世君
鳩山 二郎君 宮路 拓馬君
岡本あき子君 山崎 誠君
阿部 司君 堀場 幸子君
同日
辞任 補欠選任
岸 信千世君 西野 太亮君
杉田 水脈君 田畑 裕明君
宮路 拓馬君 鳩山 二郎君
山口 晋君 国光あやの君
山崎 誠君 岡本あき子君
堀場 幸子君 阿部 司君
―――――――――――――
四月八日
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)
同月九日
放送法の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案(岩谷良平君外一名提出、第二百十二回国会衆法第一五号)
行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件
――――◇―――――
○古屋委員長 これより会議を開きます。
行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官小八木大成さん、内閣府大臣官房審議官上村昇さん、総務省大臣官房総括審議官湯本博信さん、大臣官房地域力創造審議官山越伸子さん、行政管理局長松本敦司さん、行政評価局長菅原希さん、自治行政局長山野謙さん、自治行政局公務員部長小池信之さん、自治行政局選挙部長笠置隆範さん、自治財政局長大沢博さん、自治税務局長池田達雄さん、情報流通行政局郵政行政部長玉田康人さん、総合通信基盤局長今川拓郎さん、情報公開・個人情報保護審査会事務局長植山克郎さん、消防庁次長五味裕一さん、財務省大臣官房長宇波弘貴さん、財務省大臣官房審議官小宮敦史さん、財務省理財局次長石田清さん、国税庁長官官房審議官中村稔さん、文部科学省大臣官房審議官淵上孝さん、文部科学省大臣官房審議官森孝之さん、厚生労働省大臣官房審議官日原知己さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝さん、国土交通省大臣官房審議官松原英憲さん及び環境省大臣官房審議官前田光哉さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。斎藤洋明さん。
○斎藤(洋)委員 おはようございます。自由民主党の斎藤洋明です。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。早速質問させていただきます。
三月二十八日、総理記者会見におきまして、令和六年能登半島地震の被害状況を踏まえ、被災地への復興基金設置の取組を進めるという御発言がございました。
地震の被害ですけれども、能登半島にとどまらず、広く北陸全体に及んでおります。復旧復興にこれから巨額の費用が見込まれております。例えば、我が県でいいますと、新潟市では、中原八一市長のリーダーシップの下で、住宅応急修理制度に市独自で復旧促進加算金を百五十万円まで上乗せし、あるいは私道の修繕を全額公費負担とするなどして対応していただいておりますが、主要三基金百十八億円のうち財政調整基金七十五億円を取り崩すなどして対応しているのが実情です。
被災自治体の復旧に係る特別の財政需要につきましては、総務省から相当程度特別交付税に反映をしていただきました。大変感謝しております。それでも持ち出しが生じているのが現状でございます。さらに、今後、液状化した地域を中心に被災者の住宅再建には巨額の費用が見込まれております。新潟市、それから私の選挙区ですと五泉市を始め、新潟県の自治体に相当の支出が見込まれております。
そこで、同じく液状化の被害が大きかった熊本地震におきましては宅地復旧支援事業を実施されましたけれども、こういった事業を実施するためにも、能登半島、石川県にとどまらず、被災地全域を復興基金の対象としていただくことを切望しております。この点につきまして、総務大臣、内閣府防災担当副大臣及び財務副大臣の見解をそれぞれお尋ねいたします。
○松本国務大臣 今後の被災地の復興に向けましては、まず国による支援策をスピード感を持って充実させ実施していく、これがまず第一だと考えております。例えば、液状化対策について、今お話もございましたけれども、被害を受けた自治体が道路等の公共施設とそれに隣接する宅地を一体的に液状化の再発防止に取り組む際に国の補助率を四分の一から二分の一に引き上げ、再発防止のための工事の前に支障となる宅地の地盤や住宅の基礎の復旧などを行う場合について国と地方公共団体で新たに最大三分の二の補助率で支援の措置を新たに講じることとしておりまして、その地方負担については補助災害復旧事業債及び特別交付税措置の対象としたところでございます。
被災自治体の財政運営については、全体として支障が生じないよう、引き続き、丁寧に実情を把握し、地方交付税や地方債による地方財政措置をしっかりと講じてまいります。
お話がございました復興基金についてでございますが、極めて大きな災害が発生し、復興に相当な期間を要すると見込まれ、各年度の措置では対応が難しい場合に、個別の国庫補助を補い、国の制度の隙間の事業について対応する例外的な措置として実施されてきたと理解をいたしております。国による支援策の実施状況や各県の被害状況を踏まえまして、復興基金の必要性について適切に判断いたしたいと考えております。
○古賀副大臣 お答えいたしますが、復興基金の必要性につきましては、各省庁の支援策の実施状況あるいは被災地の被害状況を踏まえて、今御答弁されました総務省を始め関係省庁において適切に判断されるものと承知しているところであります。
いずれにしましても、被災自治体が予算の制約により災害対応をちゅうちょすることはあってはならないと考えておりまして、岸田総理を本部長とする復旧・復興支援本部を司令塔に必要な対策そして財政措置を機動的、弾力的に講じていく中で、私も現地の本部長として引き続き取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○矢倉副大臣 松本総務大臣、また古賀内閣府防災担当副大臣からも御答弁がありましたとおり、まずは各省庁の支援策がスピード感を持って実施されることが重要であると考えております。
その実施状況や各県の被害状況等を踏まえつつ、復興基金につきましては総務省を中心に検討されるものと認識しております。
財務省といたしましても、丁寧に実情を把握しながら、必要な財政措置につきましては関係省庁と連携してしっかりと対応をしてまいります。
○斎藤(洋)委員 ありがとうございます。是非、復興基金、新潟県新潟市を対象としていただきますことを要望申し上げます。
私から財務副大臣への質問は以上ですので、御退席いただいても私は結構でございます。
○古屋委員長 では、財務副大臣、御退席くださって結構です。
○斎藤(洋)委員 続きまして、令和六年能登半島地震関連で引き続きお尋ねいたします。
お手元の配付資料一を御覧ください。新潟市が作成していただきました被災者支援制度利用の手引き、これの特にウェブ版ですが、非常に分かりやすくて、被災者の方から評価する声を多くいただきました。優れている点は、国、県、市の支援制度が全て案内されるということと、下の方にございますが、チェックボックスをどんどんチェックしていくと対象となる可能性のある施策が全部表示されるという非常にシンプルな作りになっている点でございます。こうした優れた取組事例につきまして全国の自治体に是非広く共有していただきたいと考えますが、内閣府防災の見解をお尋ねいたします。
○古賀副大臣 災害時におきまして、被災された方々に対し活用可能な支援策を分かりやすく広報、伝達していくことは大変重要な課題と認識しているところであります。
今般の能登半島地震におきましては、内閣府としましても、生活再建支援のための国の制度を被災者の皆様方に分かりやすく御理解いただけるように作成しましたリーフレットを内閣府のホームページであったり現地の避難所等で配布するなど、周知を図っているところでございます。
その上で、斎藤委員から今御紹介がございました新潟市ではスマートフォンなどで被災者支援制度利用の手引きというものを、また、石川県におきましても被災者がAIチャットボットで支援制度を探すことができる支援情報ナビを、自治体ごとにこういった工夫をいただいているということも認識しているところであります。
内閣府としましても、新潟を始めこうした各自治体の好事例を収集いたしまして、全国に紹介、連携させていただきながら、分かりやすい情報伝達の在り方について引き続き検討してまいりたいと考えているところでございます。
○斎藤(洋)委員 ありがとうございます。とにかく災害時こそ分かりやすいということ、それから、国、県、市にまたがる、あるいは省庁にまたがる施策は分かりやすいということが非常に重要だと思っております。是非こうした努力の共有をお願いいたします。
また、新潟市の利用の手引きですが、新潟市に聞いたら総務省からの出向者の方が中心になって作っていただいたということで、総務大臣にも改めて感謝を申し上げます。ありがとうございます。
内閣府防災担当副大臣への質問は以上ですので、御退席いただいても結構です。
○古屋委員長 古賀副大臣、御退席くださって結構です。
○斎藤(洋)委員 ありがとうございました。
関連してお尋ねいたします。
ワンストップサービスという意味では、お手元に配付いたしました資料の二番を御覧いただきたいんですが、行政評価事務所がいわゆるガイドブックをこれまた作成、配布していただきましたし、また、相談専用ダイヤルの設置や特別行政相談所の開設など、非常に有用なサービスを提供していただいたことにも敬意を表したいと思います。
災害がこれから頻発化してまいりますことを考えますと、行政評価局におきまして十分な人員、予算を確保していただきまして、こうした災害時の取組を強化していただきたいと考えますが、総務大臣政務官の見解をお尋ねいたします。
○長谷川大臣政務官 能登半島地震対応におきましては、これまでの災害対応の経験も生かしまして、委員御指摘のとおり、被災者への支援情報をまとめたガイドブックを策定いたしまして、避難所等に約一万六千部配布いたしますとともに、ホームページにも掲載し約六万件のダウンロードをいただくなど、被災者の方々に情報が届くよう努めております。
また、石川県全域の被災者の方々を対象に災害専用フリーダイヤルを開設し、一昨日、四月七日までに三千六十二件の相談に対応しております。
さらに、自治体職員、行政相談委員、行政書士等が相談にワンストップで対応する特別行政相談所をこれまで石川県内五十七か所で開設しております。委員御地元の新潟県内でも三十七か所で特別行政相談所を開設して相談に対応しております。
総務省といたしましては、今般の能登半島地震対応を踏まえ、三月二十六日付で大臣から都道府県知事、市区町村長に対して、今後の災害に備えて平時から行政相談活動において相互の連携を密に対応していくことについて改めて要請を行ったところでございます。
引き続き、甚大な被害を受けた奥能登地域を中心に相談活動を展開いたしますとともに、委員御指摘の災害時の取組を強化するための体制整備にも取り組んでまいりたいと考えております。
○斎藤(洋)委員 ありがとうございます。
私も、被災地に入りますと、私の地元でも令和四年八月豪雨という災害がございまして、被災地に入りまして改めて痛感したんですけれども、被災者の方にとっては、どんな支援制度があるのかそもそも分からないということと、役所に言う話なのか、それとも民間のサービスを手配する話なのかも、なかなかその場では判断ができないということもあります。
これもよくある話なんですが、確定的な情報はなかなか出てこないものであります。実際、支援制度があまたある中で、どれが対象になって、どれがならないのかというのはなかなか分からない話でありますけれども、でも、可能性があるのはこの制度ですよと言ってあげるだけでもすごく被災者の方としては、情報としては有益なんですね。ですので、そういう意味ではこういう省庁横断的な窓口というのは非常に重要でありまして、是非今後とも行政評価局の方で、被災地でこういう有用なサービスを提供していただく努力を引き続きお願いしたいと思います。
続きましてお尋ねいたします。
第六十七回町村議会議長全国大会、昨年十一月でございますが、ここで採択された要望をいただきました。委員の先生方のお手元にも届いたと思います。それに関連しましてお尋ねいたします。
コロナ禍で地方と都会の税財源の格差が非常に拡大をいたしました。そういう中で、税財源偏在是正のため地域社会再生事業費を、維持はもちろんでありますが、是非とも大幅拡充していただきたいと考えますが、総務大臣の見解をお尋ねいたします。
○松本国務大臣 地域社会再生事業費を活用いただいて、地域活性化にお取り組みいただいている自治体の皆様の御尽力には私からも敬意を表したいと思います。
その上で、御案内のとおり、地域社会再生事業費は、令和元年度与党税制改正大綱におきまして、この偏在是正措置により生じる財源、不交付団体の減収分は、地方が偏在是正の効果を実感できるよう、必要な歳出を地方財政計画に計上するなど、その全額を地方のために活用するとされたことを踏まえて、令和二年度の地方財政計画において、地方法人課税の偏在是正措置により生じる財源の全額を活用し、新たな歳出項目として設けられたものでございます。
このため、地域社会再生事業費の増額には新たな財源の確保等の課題がございます。ある意味では財源から生まれてきた費用の名前でございますのでそういった課題がございますが、総務省としては、自治体間の財政力格差がある中で、どのような地域でも一定水準の行政サービスを提供できるように財源を保障することが国の責務であると考えておりまして、これからも、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に努めるとともに、偏在性の小さい地方税体系を構築してもなお残る税源の偏在に対しては地方交付税の機能を適切に発揮できるよう、地方交付税を含む一般財源総額の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
○斎藤(洋)委員 ありがとうございます。
私も、支出する方のお願いだけでは駄目だと思いますので、自民党の税制調査会等の場を捉えてしっかり財源確保のお願いをしてまいりたいと思いますので、その上で、是非、地域社会再生事業費の増額を重ねてお願い申し上げたいと思います。
もう一問、質問がございます。時間が少なくなっておりますので、端的にお尋ねいたしますが。
通常の市町村議員の補欠選挙は、同一のエリアの他の選挙、具体的には首長選挙のときしか実施されないことになっております。これを国政選挙や知事選挙、都道府県議会議員選挙のときにも行えるようにすべきと考えますが、これは投票率を上げるためということですが、政府参考人から答弁をお願いします。
○笠置政府参考人 市町村議員選挙の便乗選挙ということでございまして、お話しのように、定数の六分の一を超えない場合には単独での補欠選挙は行われずに、首長選挙が行われる際に併せて便乗ということでございます。
この規定につきましては、当初、都道府県選挙の場合も行うということであったわけでございますが、地方などの意見も踏まえまして、昭和二十七年の法改正によりまして、同一の地方公共団体の選挙が行われる場合、今言っておられました首長選挙が行われる場合に限って行われることになってございます。
こうした便乗補欠選挙の規定を改正するということになりますと、代表者を選ぶ機会に関する事柄でございます、地方選挙の仕組みを変えることになり各方面にも影響を与える、また、選挙の管理、執行という面での影響も考えられることから、地方六団体の皆様を始め各党各会派において幅広い観点から御議論いただきたいと考えております。
○斎藤(洋)委員 ありがとうございました。
質問を終わります。
○古屋委員長 次に、中川康洋さん。
○中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。
本日も、質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。
今日も、一般質疑ということで総務大臣並びに総務省の皆様に御質問させていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
最初に、通信、郵便局ネットワークにおけるユニバーサルサービスの必要性についてお伺いをいたします。
先週、本委員会で審議されましたNTT法改正案の内容は、主に情報通信審議会において本年二月にまとめられました市場環境の変化に対応した通信政策の在り方の第一次答申に沿って出されたものであり、この答申の中では、速やかに実施すべき事項としての提言とともに、今後更に検討を深めていく事項として、例えばユニバーサルサービスの基本的考え方や経済安全保障の確保など、今後のNTT及びNTT法のありようを示す重要な事項が示されております。
現在、これら重要事項についてはそれぞれの有識者会議において鋭意議論が進められており、本年夏頃には新たな答申が出されるとのことですが、私は、特に、現在NTT法においてNTTに課されている電話のあまねく提供の責務、いわゆるユニバーサルサービスについては、離島や山間僻地など我が国の地理的特性の課題や、さらには地方を中心とした首長からの要望、こういったものに鑑みた場合、ブロードバンドの活用など一部の見直しを図ること、これはありというふうに考えたとしても、引き続きその責務を継続させていくことが必要なのではないかというふうに考えております。
また、郵便局ネットワークにおけるユニバーサルサービスの必要性については、先月二十六日に国会に報告をされました総合的な検証に関する郵政民営化委員会の意見の中で、郵便局が担うユニバーサルサービスの責務は人々の生活を支えるものであるため、今後も郵便局ネットワークを通じたユニバーサルサービスがあまねく全国において公平に利用できることが重要との意見や、郵便局ネットワークは日本郵政グループが持つ最大の強みであり、郵便、貯金、保険に関するユニバーサルサービスを提供する拠点であるとともに住民サービスの拠点としての役割も期待されており、特に人口減少や金融機関の撤退などが進んでいる地域においてその重要性は高まっているとの内容が報告をされたところでございます。
そこで、総務大臣に伺いますが、さきにも述べたとおり、離島や山間僻地など我が国の地理的特性の課題や人口減少が進む中、今後はそれら地域における生活インフラの維持が難しくなる、こういった現状も考えられるわけでございます。このような通信や郵便によるユニバーサルサービスの提供は今後も引き続き継続させる必要があるのではないか、このように考えるわけでございますが、大臣の御見解を伺います。
○松本国務大臣 通信や郵便のネットワークは本当に国民の皆様の生活に欠かせないものであるというふうに私どもも認識しておりまして、全国どこでも、いつでも、誰でも利用できるユニバーサルサービスの提供体制を整えることは極めて重要であると考えております。
郵便局ネットワークについても御言及がございましたが、お話がありましたように、情報であり、金融であり、また物流でありとか、様々な面でのユニバーサルサービスのネットワークで支えることが大切だろうと思います。御承知のとおり、今、日本郵便においては、その配達網を活用してヤマト運輸や佐川急便と協業し、公的な役割の一環としてヤマト運輸などの荷物の配達を行っておりまして、ユニバーサルサービスの担い手となっているところでございます。
通信のユニバーサルサービスにつきましては、これも今御指摘がございましたが、現在、情報通信審議会におきましてブロードバンドの活用を含め時代に即した見直しに向けて検討しているところでございまして、過疎地や離島なども含めて効率的な提供を確保するために無線通信の活用など様々な技術を使うことも議論されているところでございますが、多様な観点からの検討をするために専門家によるワーキンググループを設置して、責務の在り方や担い手について今議論を進めていただいているところでございます。
郵政事業につきましては、先ほども申しましたようにユニバーサルサービスの担い手となっていただいていますが、全国に存在する二万四千の郵便局のネットワークは本当に重要でありまして、また、各局に地域のつながりを支える身近な拠点ともなっていただいて、公的な役割を果たしていただいていることから、私どもとしても、様々、公的な役割についても郵便局にもお願いをさせていただいているところでございます。地域の生活を守っていくために、郵便局のネットワーク、郵便局の拠点や人材を活用していくことは大変意義があると考えておりまして、郵便局ネットワークによるユニバーサルサービスの提供の維持強化への取組を進めていきたいと思っております。
御案内のとおり、総務省としては、地域を大切にしていくことが大きな使命でございまして、御指摘のとおり人口減少が進み生活インフラの維持が困難になってくる地域が見られると言わざるを得ない状況でもありますので、デジタルの力も生かしながら、国民の皆様の立場に立って、通信、郵政事業のユニバーサルサービスが確保され充実されるよう力を尽くしたいと考えております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。非常に力強い、中身のある御答弁をいただきまして、大変にありがとうございました。
本来であれば先週のNTT法改正の中で議論すべきだったかなというふうに思ったんですが、この部分は非常に重要だろうという思いの中で、特に総務省は、地域をどう支えていくか、担うかというこの視点、人口減少さらには我が国の地理的特性の中で、やはりここは大臣の御答弁を是非いただきたいという思いで今日は聞かせていただいたわけでございます。
それで、先週、附則第四条についての議論がいろいろとあったわけなんですね、NTT法改正案の中で。附則四条によって次期通常国会での廃止が前提となっているんじゃないかという議論があったわけですけれども。
しかし、私は、附則第四条の条文をよく読むと、ここはあくまでも見直し条項であって決して廃止条項ではないというふうに捉えております。また、この条文をよく読むと、例えば、その中に示されたユニバーサルサービスの提供とか、先ほども議論させていただいています、経済安全保障の確保、こういった条件が一つでも今後も必要だということがあれば、やはりこれは廃止にはつながっていかない、そういうふうにこの附則条項は私は読めるというふうに認識しておりますので、この点もこの場において一言付言をさせていただきたいと思います。答弁は求めません。
次に、救急安心センター事業、いわゆるシャープ七一一九の推進についてお伺いをいたします。この件については先週、おおつき委員も御質問をされておりましたが、また少し広がった視点で御質問をさせていただきます。
近年、救急車による救急出動件数は高齢化の進展などを背景に増加傾向にあり、令和五年の数字は集計開始以来最多の七百六十三万八千件となっております。また、救急車の出動件数が増えたことで病院の収容時間も延伸傾向にあり、全国の自治体においては、これらによる救命率の低下を防止するため、例えば、救急車の適時適切な利用の推進や、私の地元三重県の南部に位置する松阪市のように、市内にある基幹病院に救急搬送された患者のうち入院に至らなかった軽症患者から保険適用外の選定療養費の徴収を検討するなど、いわゆる救急体制の維持に努めている例もあります。
そのような状況の中、消防庁では、住民が急な病気などの際に救急車を呼ぶべきかどうかを医師や看護師など専門家に電話で相談できる救急安心センター事業、いわゆるシャープ七一一九と言われているものですが、これを全国展開を推進しており、令和六年の四月現在で全国二十七地域において国民の約六割強に当たる七千九百万人の方を対象に実施をされております。
また、シャープ七一一九事業については我が党の多くの地方議員も都道府県とか市区町村議会においてその導入を提案させていただいており、その結果、導入が実現をした自治体もございます。しかし、シャープ七一一九事業の実施の可否については、現在、各自治体の判断に委ねられているというのが現状であります。
幸い令和五年度並びに六年度については開始自治体が増加傾向にありますが、私は、今後も救急出動件数の増大が予想され、更なる救急車の適正利用を実現する意味からも、このシャープ七一一九の事業の実施については、各自治体の判断を待つのではなくて、国としてこれまで以上に積極的にその実施を推奨するべきである、このように考えるわけでございますが、総務省消防庁の見解を伺います。
○五味政府参考人 救急安心センター事業、シャープ七一一九は、不安な住民へ安心、安全を提供するとともに救急車の適時適切な利用につながるものでございまして、御指摘のような厳しい救急状況を踏まえ、極めて重要な取組であると認識しております。
消防庁では、これまで、普及促進アドバイザーの派遣や優良事例の共有等により普及啓発に取り組むとともに、導入、運営に要する経費について地方財政措置を講じるなど、自治体の取組を支援してまいりました。
令和四年十月には、未実施地域に対する取組といたしまして、検討の着手を改めて依頼する通知を発出したほか、個別団体ごとに導入を働きかけるなど、全国展開に向け積極的に推進をしてまいりました。
こうした取組の結果、現在、全国二十七地域で実施されており、さらに、令和六年度中に九地域において新たに実施され、一地域において地域を拡大して実施される見通しとなっております。
こうした中で、消防庁としては、今後、未実施地域に対し個別に検討を促していくことがますます重要になると考えておりまして、地域ごとの課題や状況をよく聞きながら、各地域の実情に即して導入が進められるよう取り組んでまいります。
○中川(康)委員 ありがとうございました。令和六年度中に更に増えていくということで、非常にいい傾向かというふうに認識をいたします。
我が党の地方議員が現場で救急車の適正利用とか救急体制を維持するということで結構質問させていただいていまして、実現もさせていただいておるんですが、今後は個別に検討を促すというところ、当然それぞれの自治体で独自のものを持っているところもありますので、そこも含めながらよろしくお願いをしたいなと思います。大変にありがとうございます。
もう一問、能登半島地震被災地における非常用通信手段の配備についてお伺いをします。
先月二十七日のNHKの報道によりますと、能登半島地震で通信が途絶え、多くの地区と一時連絡が取れなくなった石川県の輪島市と珠洲市において、地域防災計画では配備に努めると書いてありました衛星携帯電話などが二つの市のどの地区にも配備されていなかったということが市への取材で分かったそうでございます。市の担当者によると、多数の地区に配備することはコスト面の関係で難しかったというふうに話しているとのことでございます。
通信手段の確保をめぐっては、二〇〇四年の新潟県中越地震で孤立する集落が相次いだことを受けて国が全国の自治体に提言で促しており、輪島市と珠洲市においても、配備に努めるというふうに地域防災計画には明記をされておりました。しかし、元日の地震発生時点では、どの地区にも非常用通信機器は配備されていなかったということがあります。
そこで、伺いますが、現在、総務省消防庁においては地方公共団体における大規模災害時の非常通信体制の確保に関する緊急対策を行っていただいておりますが、今回の輪島市及び珠洲市における非常通信手段の未整備の状況をまずどのように捉えているのか答弁願いたい。さらには、今後の対応として、これら衛星携帯電話など非常通信機器の配備については、自治体庁舎とか消防本部のみにとどめるのではなくて、災害時に孤立化が懸念されるような地域についても配備を進めるべきと考えますが、総務省消防庁の更なる予算措置も含めて、そのお考えをお伺いいたします。
○五味政府参考人 輪島市及び珠洲市におきましては、一月一日の発災時におきまして、通常の通信回線途絶時の非常通信手段といたしまして地域衛星通信ネットワークや衛星携帯電話が整備されていたと承知しておりますが、これらにつきましては、両市共に、市役所に整備されていたもので、孤立化が懸念される山間地集落などには配備されておりませんでした。
自治体での通信手段の確保につきましては、国が策定する防災基本計画等におきまして、衛星通信等により、孤立するおそれのある地域の住民と市町村との双方向の情報連絡体制を確保するように促してきたところでございます。
また、地域衛星通信ネットワークの整備につきましては、緊急防災・減災事業債の対象としているほか、孤立化が懸念される地域も含めまして、公共施設や指定避難所への衛星電話の配備につきましては特別交付税措置を講じているところでございます。
消防庁といたしましては、こうした地方財政措置について説明会等において周知を図るなど、自治体において非常用通信手段の確保が進むように取り組んでまいります。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
今の答弁の中でも、集落にも配備されていたと承知していたけれども、実際に見たら自治体の役所だけだったということです。これはやはり今回の能登半島地震で出た一つの課題かなと思います。この後、自治体のBCPもお伺いしようと思ったんですが、こういった実態をもう一回洗い直していただいて、住民の命を守るという体制をしっかりと構築していただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
以上で質問を終わります。大変にありがとうございました。
○古屋委員長 次に、福田昭夫さん。
○福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。
本日は、他省庁に属しない事項を所管する総務省、総務委員会でありますので、令和の新日本列島改造論をつくろうではないか、そんなテーマで政府と議論をしてまいりたいと思っています。
先々月、二月の二十日に日銀と財務省に答弁をしていただきましたら、我が国は何と九千五百兆円もの金融資産を持っているというんですね。そのお金が今どうも死に金になっているんじゃないか、そんなことを考えれば、そうした資金も使いながらこの国をもう一度再生するということが必要なんじゃないか、そのためには田中元総理大臣がつくったような日本列島改造論の令和版をつくるというのが大事じゃないかということで、政府と議論をしてまいりたいと思います。今日は、松本大臣を始め答弁者は簡潔に、政府の方針にこだわらず、自由にお話をしていただければありがたい、こう思っております。
まず、地方から疲弊する日本の現状の打開策についてであります。資料の一にありますけれども、全国の市区町村千七百十九のうち七割は人口五万人未満であります。そうした人口規模が小さい自治体をどのようにして元気にしようとしているのか。人口規模、経済力、財政力の観点から総務大臣の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○松本国務大臣 政府の立場でお答えをすることになるかと思いますが、是非御理解をいただきたいと思います。
人口減少、少子高齢化が進む中で、小規模自治体の多い過疎地域を始め、各地域において担い手不足や地域活力の維持など課題が生じているということ、御指摘のとおりかというふうに思います。
過疎地域につきましては、これまで五次にわたり過疎法が議員立法によって制定されて、補助率のかさ上げに加えて過疎債により、ハードのみならず、医師確保などの地域医療の確保や配食サービスなどの高齢者支援など、多様な地域の課題に対応したソフト面での支援を行うなど様々な支援措置を講じてきておりまして、これにより、産業の振興、交通、生活環境、福祉等の向上など、一定の成果は上がってきているというふうに認識をしております。例えば、この十年間で、三千人未満の過疎市町村において、その四割が社会増となっているところでございます。一方で、就職や進学を契機とした若年層の都市部への流出は進んでおりまして、地方への人の流れの更なる拡大と流出の抑制を実現していく必要があります。
総務省では、地域おこし協力隊、ローカルスタートアップ、地域活性化起業人などの、様々、地方への人の流れをつくる取組をしておりますし、また、その基盤となるデジタル基盤などの整備についても取り組んでおりまして、地方を過疎地域を含め元気にすることは大変大切な使命だと考えております。
○福田(昭)委員 総務大臣、ありがとうございました。
ただ、人口減少はもっと極端に進んでまいりますので、多分、五万人未満の市町村はもっと増えてくる。既に増えていると思っておりますけれども。
そんな中で、ある大学の先生が、例えばですけれども、ホームヘルパーみたいなものは小さな市町村では雇えなくなる、もしかすると地方自治制度そのものが二段階必要になるかもしれない、そのときには人口五万人未満の市町村はホームヘルパーを地方公務員にしなくちゃならないかもしれない、でないとホームヘルパーがいなくなっちゃう、こういう指摘をしておりますけれども、それは私はこのままいくと現実のものになるんじゃないかと思っていますので、是非これから総務省も厚労省などとも相談しながらよく検討していただければと思っております。
次に、景気を悪化させ続けてきた消費税の正体と生み出された巨大な金融資産についてであります。
一つ目は、景気を悪化させ続けてきた消費税の正体をどう思いますかという話でありますが、財務省には、私が指摘しますので、この五点について、いや、それは違うんじゃないかということだけ言ってください。
一、事業者は納税義務者だが、仕入れ税額控除方式により納税事務手続だけはしますけれども、実際にはほとんど負担をしていない。
二、実際の納税義務者は消費者であり、赤ちゃんから寝たきりのお年寄りまで、所得のない人も、低所得者から高額所得者まで一律一〇%と八%を納める、また、消費税は国や地方公共団体も税金から納めるので、消費者、国民は消費税を二重に負担していることになる。そこが、賢いアメリカは行政経費がかかり過ぎるということで消費税、付加価値税を導入していない。レーガン大統領のときから検討して、いまだに導入いたしておりません。
三、輸出事業者は支払った消費税が全額還付されるので、経団連は、税率を上げれば上げるほど還付金が増えるので、こんなうれしい税金はないので政府に要求をいたしている。
四、ヨーロッパ、EUも消費税はどこにでも使える一般財源であり福祉目的税には決めていない、決めているのは日本だけです。それは、政府、財務省が消費税を二〇三〇年までに一五%に、さらに将来ヨーロッパ並みの二〇%にしたいとどうやら考えているようだと。
五、消費税の最大の欠点は税率を上げればそれだけ物価を押し上げて景気を悪化させていること。
この五点、私が指摘をさせていただきましたが、これと違う認識だということがあれば、財務省からお答えいただきたいと思います。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
まず、一番目と二番目でございますけれども、消費税は事業者が納税義務者であるが価格転嫁を通じて消費者が最終的に負担することが予定されているということは、委員御指摘のとおりでございます。国や地方公共団体も物品購入等の際に消費税を上乗せして支払うこととなりますが、支払い先の事業者は当該売上げに係る消費税を国や地方公共団体に納税することとなるため、歳入歳出の両面を通じて見れば、消費者が消費税を二重に負担しているとの御指摘は当たらないと考えております。
三番目でございますが、経団連の令和六年度税制改正に関する提言を拝見いたしますと、消費税については、広く全世代の国民全体が負担すること、生涯所得に対して比例的で長期的には公平であること、財源として安定的であることなどの特徴により社会保障財源としての重要性が高く、中長期的な視点からはその引上げは有力な選択肢の一つであると記述されておりまして、輸出免税の観点からの御提言であるとは承知しておりません。
四番目の消費税収の使途に関してですが、諸外国においても、例えばフランス、ドイツ、スイスでは付加価値税収の一部を社会保障の支出に充てることとしていると承知しております。我が国における消費税収を社会保障四経費に充てることとされておりますのは、社会保障の経費は国民全体で皆で分かち合うべきとの理念等に基づくものでありまして、税率をヨーロッパ並みに引き上げるためというわけではないと考えております。
最後に、五番目、消費税が物価、景気に与える影響に関する御指摘についてでございますが、物価は消費税率だけではなく価格設定に係る企業行動や輸入物価の動向など様々な経済社会状況の影響を受けることから、消費税だけを切り出して景気への影響を論じることは困難であると考えております。
○福田(昭)委員 そういうごまかしの答弁は駄目ですよ。世界第一の経済大国アメリカがなぜ付加価値税を導入しないのか。レーガン大統領のときから検討している。それは国や地方自治体も納めるから、行政経費がかかり過ぎるから。レーガン大統領のときは、アメリカが十億ドルも付加価値税を納めなくちゃならない、これは高過ぎるということで導入しないんですよ。令和六年度の消費税の還付金が幾らかを後で申し上げますけれども、そういう国民だましはやめた方がいいと思います。
それでは、次に行きますね。二つ目は、元大蔵省官僚が示す消費税のメリット、デメリットから消費税の正体、封建時代の人頭税と同じ性質だというのが見えるがどう思うかということでありますが、これも私がメリットとデメリットを申し上げますので、それについてのコメントをいただきたいと思います。
メリット。まず、同等の消費水準には同等の税負担を求める水平的公平性に優れる。全く能力に応じてという考えがないんですね。二、特例措置がなく簡素な税制だ。三、安定した税収が得られる。それはそうですよ、国や地方自治体も納めるんですからね。四、税負担が勤労世帯に偏らない。うそです、勤労世帯は扶養家族を持っていますから、勤労世帯ほど消費税を納めております。五、輸出時に還付されるので国際競争力を弱めない。これは本当かもしれませんが、まさに輸出産業を応援しているということをはっきり言っているじゃないですか。六、貯蓄に課税しないので資本蓄積に有利だ。これもまさに大企業を一生懸命応援しているというのがよく分かるじゃないですか。消費税は還付されるので、まさに資本蓄積にも有利であります。七、消費という欲望の充足時に課税するので哲学的に受け入れやすい。そんな、大金持ち以外は、欲望で消費しているわけじゃありませんよ。生きるためにどうしても食べなくちゃならないから買っている人が多いですよ。
それから、デメリット。一、逆進性、低所得者ほど所得による税負担が重い。これはそのとおりでありますね。二、益税、事業者の手元に残る。しかし、今回、インボイス制度を導入して売上税額一千万以下からもかき集めることにしてしまいました。これも残酷なやり方ですね。これを考えたら、それこそ消費税の還付金を下げたりなくしたりした方が、何ぼ公平性が保たれるか分かりません。
そして、輸出免税還付金を私が国会で五回聞いても、当時の主税局長が誰も答えません。還付金には輸出と設備投資などがあるんですというだけで、仕訳はしないことになっているので実は分からないんですということで、五人の歴代の主税局長が答えませんでした。しかし、私はそうした財務省の隠蔽体質はやめた方がいいと思う。日本は少なくとも民主主義国家ですから、しっかり正確な情報を国会はもちろん国民に公開すべきだと思いますが、いかがですか。
○古屋委員長 速やかにお願いいたします。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
まず、消費税のメリット、デメリットでございますが、消費税には、御指摘のような、消費に同等の税負担を求める水平的公平性に優れるといったメリットがある一方、一定の逆進性、所得の低い方の方が相対的にその所得に占める税負担が大きくなるといった特徴はあるというふうに承知をしております。
また、輸出免税の還付金のところでございますけれども、消費税は、多段階取引での課税の累積を排除するために、売上時に受け取った消費税額から仕入れ時に支払った消費税額を差し引いた額がプラスとなっている場合にその分を納税していただき、その額がマイナスとなっている場合にその分が還付されるという仕組みでございます。
御指摘の還付の原因でございますけれども、還付の原因につきまして、輸出を原因とする還付と、設備投資などを原因として仕入れの税額が売上げの税額を上回った場合ということの区分が困難であるということでございます。(福田(昭)委員「何で公表しないんだ」と呼ぶ)現実的にそれを区分することは困難であるということによって公表していないものでございます。
○福田(昭)委員 この間の主税局長の答えは、要するに輸出と設備投資の仕訳をしない仕組みになっているからだ、こういう話だけれども、輸出免税還付金をもらうためには輸出証明書を出さなくちゃならない、その輸出証明書を計算するのは税務署の仕事だよ、事業主の仕事じゃないよ、だから出そうと思えば出せるんだよ。こういう隠蔽体質はやめなくちゃ、財務省、駄目だよ。
私の昨年六月九日の、消費税という巨大権益という質問、この質問は何とユーチューブで今日現在で百一万回再生されている、そのうちのコメントの一番でかいのは何だといったら財務省を解体しろだよ、パーティー券による裏金づくりに課税しないどころじゃないよ。国民の世論はそうどんどん高まっていって財務省の存在意義がなくなってしまうよ、国民から。政府の信頼が全くなくなると思う。だから、是非、財務省は考えを改めて、民主主義国家にふさわしい財務を担当する役所としてしっかり情報は公開すべきだということを申し上げておきます。
三つ目でありますが、消費税そのものが直接生み出す巨大な金融資産、輸出免税還付金を含む令和六年度の還付金十一兆六千九百九億円見込みについてどう思うかということであります。
先に申し上げておきますけれども、実は平成元年度は消費税率三%、還付金は五千三百四十四億円、還付率は一一・二四%でありましたけれども、何と令和六年度の還付金は予算書によりますと十一兆六千九百九億円見込みで、還付率は何と二七・八%となっております。還付金を十一兆千五百六十五億円、三十六年間で増加させることになります。これは何と二十・八七倍であります。
まさにその分、消費者、国民負担を増やしているということに対して、財務省はなぜこれを公平な税金に改めようとしないのか。この見込みについて、こんなに還付金を増やして、これが公平な税金だと本当に思うのか。思うか、思わないかだけ答えてください。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
輸出免税を含めた還付金でございますけれども、先ほども申し上げましたように、多段階取引での課税の累積を排除するための制度でございますので、我が国の消費税に相当する仕組みを有する諸外国においても共通して導入されているものでございまして、何か問題のあるものとは考えていないところでございます。
○福田(昭)委員 何を言っているの、世界一の経済大国アメリカが導入していないんだよ、だから私はヨーロッパの人たちもだまされていると思っているよ。こういう税金が本当にいい税金かという話であります。
次に、格差を是正して少子化をストップさせ、地方から日本を立て直すためには令和の新日本列島改造論が必要だと考えているということであります。
その一つ目ですけれども、我が国は貿易立国から投資立国へ、そして金融大国になった、巨大な金融資産九千五百兆円を生かして日本を立て直しませんか、こういう話であります。
資料の二を御覧いただきたいと思います。これを見てください、まず、何といっても日本のGDPはほとんど伸びないんです。名目GDPを見ると残念ながら約一・三倍、それに準じて税収も一・三倍にしかなっておりません。それなのに個人の家計の金融資産は何と二倍となって九百八十二・三兆円から二千百二十一兆円、こうにも巨大になった。法人の企業の内部留保資金も二百八兆円から千二百八十六兆円、約六・二倍となった。これだけ、まさに、消費税をつくったときに同時に引き下げた税制などを基にこのように大きな格差が開いたわけであります。そんな中で一人当たりのGDPは世界で三十五位、韓国にも負けてしまった。どうしてこんなに日本が貧しい国になってしまうのか、こうしたものを立て直していくというのがこれからの政府の役割だと私は思っておりますが、いかがでしょうか。
○矢倉副大臣 御答弁申し上げます。
まず、先生がおっしゃっている格差、これを拡大してしまうような形ではなく、少子化にしっかり対応していく、子供を安心して育てられるような環境をつくるというのは非常に重要であると思っておりまして、そのため、三・六兆円規模の加速化プランを取りまとめ、前例のない規模の予算の拡充を行ったのはまさにそのためでありまして、若い世代が将来のライフプランを考える上で重要と考える、そういうためにも制度を安定的に維持する仕組みとして、今、政府としては、財源については増税や赤字公債の発行ではなく歳出改革を原則にしたものであります、あわせて格差の是正という点では成長と分配の好循環を成し遂げるべく賃上げ促進税制や価格転嫁税制対策の強化などに取り組んでいるところであります。
その上で、今、税の関係も含めて、九千五百兆円というふうに先生がおっしゃっているこの豊富な資産についてであります。ただ、御案内のとおり、こちらの九千五百兆円、例えば家計が二千兆円でありますし、また、多くが民間の大宗を占めるものでありますので、それに対してどのような形で活用するか。これについて活用して少子化対策の財源とすることは、市場への影響など様々な課題があり、慎重な検討をしなければいけないと考えております。
○福田(昭)委員 まだよく理解していないようですからいいですよ。少子化対策は三・六兆円ですけれども、こんな税金はすぐ出てまいりますよ。税制を抜本的に改革すればすぐ出てきますし、国債を使っても大丈夫ですよ。
その次の質問になりますが、先日、加藤少子化担当大臣は、子供、子育て予算は人への投資かと聞いたら人への投資ですと答えました、人への投資ですと。だったら国債も可能です。
次に行きますよ、二つ目。我が国は簡単に沈みません、まだまだ国債発行の余裕があると思うがいかがかということであります。
我が国は国際収支、経常収支が四十年も黒字で、発行している国債は全て自国の通貨建て、円建てで発行しておりますので、簡単に財政破綻するということはないんです。そういった意味で国債は子供や孫たちへの赤字のツケ回しではないということを先日私が子供、子育て特別委員会で話をしましたら、与党席からも、財務省の答えがそうだと言ったら、いや、違うんじゃないかという相づちもありましたけれども、副大臣はどう思いますか。
○矢倉副大臣 財政余力、国債発行の部分でおっしゃっていると思います。
日本の政府債務残高は世界最悪の水準でありますけれども、例えば、これまで、家計の金融資産や経常収支の黒字等を背景にして大量の国債を、先生御指摘のとおり大部分は国内で低金利かつ安定的に消化してきており、そういう意味では市場の信認を維持して必要な資金を調達できている、そういう意味では財政余力が失われているような状況は生じているとは考えておりません。
一方、我が国の財政の現実は決して楽観できる状況ではなく、一たび財政の持続可能性への信頼が損なわれれば金利の上昇等を通じて利払い費が大きく増加することや、自国通貨建ての国債であっても市場からの資金調達が困難となる可能性があることなど、財政面においても重大な影響が及ぶと考えられております。
財政は国の信頼の礎であり、引き続き、歳出歳入両面の改革を続けまして、責任ある経済財政運営を進めていくことが重要であると考えております。
○福田(昭)委員 副大臣、資料の三を御覧いただいているんだと思うんですけれども、この数字は二月の二十日に日銀と財務省から答弁していただいた数字ですから。正確な数字ですからね、この時点においては。
先ほど申し上げたように、日本の国は経常収支が一九八〇年から黒字なんですよ。そうした経常収支が黒字の国で、発行している国債は全て、自分の国の通貨、つまり日本円で発行しています。そうした国で歴史上破綻した国はないと、元の麻生財務大臣から私は答弁してもらっているんですよ。それが引き継がれていないということになると、財務省が困る話で。先日も鈴木大臣とも議論しましたよ。鈴木大臣も、今すぐ財政の破綻危機はないと、ただいま副大臣が答えたようなことを答えていました。
しかし、今こそ、これだけ持っている金融資産、あるいはこれから、今はお金でお金を稼ぐ経済になっちゃっているんですよ、物を作ったりサービスをつくって稼ぐお金よりも、お金で稼ぐ方がでかくなっちゃっているんですよ、ですからそのことを踏まえて経済財政運営を政府はやらなくちゃ駄目だ、私はそう思っているんです。その点も踏まえて、是非今度は財務省改革に取り組んでください。
次は、括弧三、消費税創設と同時に大幅に引き下げられた大企業、富裕層の法人税、所得税、住民税等の実態を見てどう思うかということであります。
資料の四を御覧いただきたいと思います。これはその時々の税制改正の法律などを参考にして我が事務所が作った資料でありますが、もう一つつけ加えた方が理解がよかったのかなと思っています。所得税と住民税についての一番下段の税率のところは最高税率です。課税段階、課税上限額と書いてあったので、税率も最高税率と想像してくれるかなと思ったんですが、そうでもないようでありますので、説明をしておきたいと思います。
さて、消費税をつくってから、消費税創設前と創設後と現在を比べてみると、こんなに引き下げられているんですよ。このほか、金融所得課税も引き下げられているんですけれどもね。消費税が社会福祉目的税だなんてうそっぱちなんだよ、まるっきりね。それこそ法人企業の資本金を増やしたり、内部留保資金を増やしたり、そのためにこれをつくったんじゃないですか。輸出産業を応援する。これを見れば一目瞭然でしょう。そういうことで、これについては感想を省略させていただいて、先に進めていきたいと思っています。
四つ目ですけれども、直間比率が行き過ぎたので見直し、消費税引下げと同時に、消費税創設後大幅に引き下げられた大企業、富裕層に担税力に応じて負担してもらい、年々増加する子育て、社会保障、食料安全保障等の税財源を確保することについてどう思うかということであります。これは資料の五を是非見ていただきたいと思います。
これは、私を始め我が党の同志六十四名が不公平な税制の抜本的是正により財源を捻出する会をつくりまして、試算をしてもらった数字であります。もちろん、専門家の税理士あるいは財務金融委員会の調査室などの御指導をいただきながらまとめた資料であります。
やってみましたら、直間比率が余りにも行き過ぎたものですから、もう一度直間比率を戻すという意味での見直しをしましたら、楽に実は十兆円ぐらいの税金がすぐ出てきちゃうんですね。下の方の表を見ていただきますと、消費税五%減税、インボイス制度廃止、大企業、富裕層の法人税、所得税、金融所得課税は担税力に応じて負担をしていただくということで、法人税は、令和三年度決算ベースでやっていただきましたけれども、何と八兆九百四十二億円も増えてしまう。所得税も一兆三千七百八十九億円、金融所得課税は残念ながら、財務省が数字を出してくれないので、今回は試算できませんでした。
問題は、法人税に累進税率を入れる。これがまさに、担税力に応じて負担をしてもらう、こういう考え方。アメリカが四段階入れていました、トランプ大統領以前は。隣の韓国も四段階入れております。アメリカを参考にしてこの累進税率は考えてみました。
それから、所得税は累進課税を強化するということで、今は御案内のとおり四千万を超えると四五%という税率でありますが、その上に二段階加えてやってみたら一兆三千七百八十九億円ぐらい増えるだろうと。金融所得課税も、今は一律でありますけれども、二段階の累進税率を新設して国と地方を合わせてみたらば、今回は試算できませんでしたけれども、少なくとも五千億ぐらいは出るだろうと思っております。所得税と金融所得課税については、今回、課税所得五千万以上の方々の強化で実はやってみました。
これも、今回の子供、子育て予算などの二千万でやってみると、多分もっと税額は増えると思います。今回は我々は完全に、子育て、年金、医療、介護、この四経費に充てる、そういう考え方でつくりましたので、十兆円ほどしか出せませんでした。しかし、これ以上出そうと思うと出すこともできるというふうに我々は確信をいたしております。
そんな中で我々は、先ほども市場を混乱させるという話がありましたが、一番から五番と注意書きがあります。経済社会を混乱させないため、現行の法人税、所得税の租税特別措置及びその他の特別措置はそのまま維持する、また、現在保有している法人企業の内部留保資金六百二十七・五兆円、家計の金融資産二千百二十一兆には課税しない、今後毎年発生する所得に対して担税力に応じて応分の負担を求める。なぜかというと、財務省が財政健全化が必要だ必要だと言っていますから、今まで国や国民の皆さんのためにため込んできた人たちにはこれからは担税力に応じて負担をしてもらう、大企業、富裕層に増税しても景気には全く影響がないということであります。
三番目、消費税を当分の間五%に引き下げ、同時に軽減税率八%とインボイス制度を廃止し、物価を確実に引き下げ、消費を拡大し、景気を浮揚させ、経済を成長させる。なぜなら、消費税が経済の成長を阻害する一番大きな税金だからであります。
四番目、直間比率の見直しは、消費税率五%に減税、法人税に四段階の累進税率新設、所得税の累進税率強化、金融所得課税に二段階の累進税率新設等によって行う。三段階にすることも、イギリスみたいに四段階にすることも可能だとは思っております。なお、法人税の累進税率新設によって労働者不足と相まって経営者のマインドが変わり、持続可能な賃上げが期待できると思っています。政府がやっているような、賃上げしたら減税してやるという方法よりは、むしろ税金をかけることによって経営者のマインドは変わると思います。
ですから、ああ、何だ、そんなに税金を持っていくのか、じゃ、どれ、社員の給料を上げようとか、待遇を改善しようとか、設備投資をしようと思うじゃないですか、経営者は。税金が増える、あるいは税金が余ってくる中小企業の経営者も、私はそういうふうに経営者は考えると思っています。しかも、中小企業の経営者に聞いてみると、賛成だという人はたくさんおります。そういうことであります。
五番、消費税を当分の間五%に引き下げるが、その後どうするかは経済財政の状況を見て総合的に判断して決めるということで、我々は提言書を党に提出しているところであります。
そんなことで、こうした抜本改革をすると実はお金は幾らでも出てくるということでありますが、そこで、四つ目の、私が一から三まで申し上げますので、これも簡潔に答えてください。消費税を下げるとどういう効果があると思うか、また、消費税の弾性値は幾つなのか答えてください。二点目、法人税率に累進税率を新設するとどういう効果があると思うのか、これも弾性値を答えてください。三、金融所得課税に累進税率を新設するとどういう効果があると思うか、これも弾性値を答えてください。以上、財務省からお願いをいたします。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の御提案につきまして、現在政府として具体的にその実現を前提とした検討を行っておりませんので、御指摘の御提案そのものについての弾性値についてのお答えを申し上げることは困難であるというふうに考えております。
その上で、理論的な弾性値ということで申し上げますと、消費税や法人税は基本的に比例税率であり、その課税ベースである消費や法人所得は経済成長におおむね連動することから基本的には弾性値が一、所得税については累進課税であるため弾性値は一以上と考えられるところでございます。(福田(昭)委員「一以上は幾つなの」と呼ぶ)一以上ということでございます。
○福田(昭)委員 弾性値、考えているでしょう。野口悠紀雄先生は税の弾性値は一・三と言っていますよ、基本的に。本当はそういうのも、駄目ですよ、ちゃんと、財務省としてはそれぞれ税目ごとの弾性値は幾つだと考えていると。景気に山あり谷ありじゃないですか、景気がよくなったときに税金は伸びるじゃないですか、そういうことも考えながら財政の健全化は考えなくちゃならないんじゃないですか。残念ながらこれが日本の政府を動かす財務省の考えだということであると非常に私は心配になりますよ、日本の国の国家財政の運営が。
そんな中で、以上の税の抜本改革を行うと地方交付税にどういう影響があると思うのかという話でありますが、総務省は答えられますか。答えられなければ、私の方から答えておきますが。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
仮に御指摘の消費税、法人税、所得税の抜本改革が行われる場合には、地方交付税の法定率も含めた国と地方の税財源配分の在り方について検討を行うことになると考えられるために、委員御提案の場合についての地方交付税への影響を具体的に整理することは今の時点では困難だと考えております。
○福田(昭)委員 多分そういう答えだろうと思いましたけれども。
例えば令和六年度の、現行のままで地方交付税特会における消費税の法定率交付分を考えますと、消費税は一九・五%、法人税、所得税は三三・一%ですから、令和六年度予算ベースで考えますと、消費税と地方消費税を合わせますと、これが五兆五千二百二十九億円減ります。しかし、法人税と所得税が実は増えるので、これが十一兆五千六百八十七億円増えます。ということになると、地方の財源不足額は一兆八千百三十二億円で、何と四兆二千三百二十六億円も繰入金が増える、こういう結果が出ました。
これだけの税制改革をやったら地方に配るお金が増えるんですよ、地方も元気になる。ですから、税制改革をやって、先ほど申し上げた人口五万人未満の市町村が仕送りが増えてますます元気が出て、もしかして、それこそホームヘルパーを五万人未満の市町村はもしかして公務員にできるかもしれないですよね。そういう大改革が必要だと私は思っているんです。そんなことをやらないと日本はどんどんどんどん格差は拡大するし、とんでもないことになっちゃうと思っています。
ここで、そろそろ時間がなくなったので困っちゃったんですが、新日本列島改造論の策定及び実行が必要だと思っているんですが、そのためには、これは質問しないで話だけにしておきたいと思いますが、国立大学とか私立大学とか国の研究機関とか企業の本社、研究所等は地方へどんどん移転してもらう。金を持っていますからね、どんどん移転してもらう。
そして、国家百年の大計はやはり教育にありと明治維新政府が言ったとおりでありますので、是非、教育に力を入れて、科学技術立国に磨きをかけるべきだと思っております。外国の優れた投資家が言っているんですよ、日本人の特徴はやはり技術力だと。ですから、そういう意味では技術力を磨いてやっていくことだと思います。
質問時間がなくなりましたから終わりますが、私は省庁の再々編が必要だと考えています。縦割りを排して横串を刺す組織として、なくなった経済企画庁や国土庁、経済企画国土計画省をつくって新日本列島改造論を計画して、そこにソーシャルデザイナーも加えて日本の新しいビジョンを描いて、しっかり、これから、今たくさんためたお金、これからも稼ぐお金、これを生かして日本をもう一度、老いも若きも夢と希望が持てる日本をつくるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。
以上です。
○古屋委員長 次に、湯原俊二さん。
○湯原委員 おはようございます。立憲民主党の湯原俊二です。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
まず、公職選挙法について幾つかさせていただきたいと思いますが、基本的に、この質問をする自分の観点は、一つは、日進月歩で技術革新が進んでいっている、これに対してやはり公職選挙法が対応していかなきゃいけないんじゃないか、こういう観点が一つと、もう一つは、人口減少、特に地方では過疎化、高齢化が進んでいる状況の中で公職選挙法が今のままでいいのかどうか。技術革新と人口減少の二つの観点から公職選挙法について私なりに問いかけをさせていただければというふうに思っております。
一点目が技術革新で、日進月歩の技術革新の方ですけれども、SNSや生成AIが急速に発達しておりまして、仄聞するところでありますけれども、アメリカ大統領選挙であったり台湾の総統選で様々な偽の音声や動画が使われる、いわゆるディープフェイクがあったと仄聞しております。選挙運動においてSNSなどにおいて生成AIを悪用し介入する行為に対して現在の公職選挙法で対応できているのかどうか、この点について御答弁願いたいと思います。
○笠置政府参考人 お答えを申し上げます。
現行の公職選挙法におきましては、公職の候補者に関する虚偽の事項を公表したり虚偽の氏名などを表示して通信したりすることにつきましては虚偽事項公表罪や氏名等の虚偽表示罪といった罰則が設けられてございまして、これらに該当する場合にはこれらの罰則の適用があるということでございます。
また、平成二十五年に議員立法によりましてインターネット選挙運動が解禁されたところでございますが、その際、併せてプロバイダー責任制限法が改正されまして、プロバイダーが候補者等からの申出を受けて情報を削除する場合において、プロバイダーの損害賠償責任が制限されるために必要な発信者への情報の削除に係る確認期間が一週間から二日間に短縮をされているということでございます。
○湯原委員 御答弁いただきましたが、まず生成AIの関係でいうと、偽情報等に対しては罰則規定がありますよという御答弁であったんですけれども、そもそも生成AIでできたものが本物の情報かどうかという根本的なところから見極めていかなきゃいけないと思っています。
松本総務大臣はG7でも生成AIについての方針、指針を作る立場でありますので、是非、この点を、これからG7を始め欧米諸国と一緒になって、多分、生成AIで作った動画とか情報は、クレジットでこれは生成AIで作ったものですよとか、いろいろな指針が出てくると思うんですね。是非、これも、今答弁があったように公職選挙法で、果たして偽動画なのか偽情報なのかということとリンクさせていただいて、より実効性高くしていただきたい、これは要望に代えさせていただきますけれども、そう思います。
二つ目が、選挙期間中に業務委託でオートコールという、いわゆる機械がどんどん電話をかけていく、電話番号に沿ってというものがあるわけでありますけれども、まず、この点について、オートコールを使用した投票依頼は合法かどうかということを御答弁願いたいと思います。
○船橋大臣政務官 お答えいたします。
お尋ねをいただきましたオートコールにつきましては、あらかじめ録音した音声を使って指定した電話番号リストへ一斉発信するシステムでございまして、ここ最近というよりも、十数年前から活用されているシステムであるというふうに承知をしてございます。
選挙運動期間中に、候補者の音声を用いてオートコールを使用し、電話による選挙運動を行うことにつきましては、選挙運動者に当たらないオートコールシステムを提供する業者に業務委託し、社会通念上妥当な額の委託料を支払う限りにおいては公職選挙法上直ちに制限されるものではないというふうに考えてございます。
○湯原委員 最終的には社会通念上妥当な額だったらいいんじゃないか、こういうことでありますけれども、私は、河井さんの件、ありましたね、広島であったと思いますが、参議院選挙ですけれども、記事の中で見ますと、陣営がこうおっしゃっているんです。
一つ、オートコールで、病院等も、電話番号が上がっているところ、どんどん電話していきますので、病院等は一番違いで各診療科が変わっているところもどんどんかけていって、非常に業務上、医療関係上支障が出たというクレームが陣営に入ったということも陣営の幹部の方がおっしゃっております。
陣営の関係者が県内四十五万件ほどの番号に電話をして二十万件から二十五万件つながった、電話がつながって一件当たり三十円程度払ったという。ですから、この人のことを信用すると、二十万件から二十五万件でありますので、一件かかるごとに三十円ですから、七百五十万円かけてオートコールをやっていったということであります。同じ陣営幹部の人が、陣営スタッフは直接電話するのが通例であったけれどもこれだけ大規模な電話作戦は初めてだというふうにおっしゃっていた。
七百五十万円が先ほどの社会通念上妥当かどうかというところでありますけれども、私は、今まで公職選挙法はどちらかというと、お金をどんどんかけていくのが資産がある人ほど有利になっていくという観点で、様々なチラシであったりポスターであったり選挙はがきでも、どちらかというと抑制傾向といいますか、枚数制限をかけてきたという中で、果たしてこのものが社会通念上妥当かどうかということは議論していかなきゃいけないんじゃないかなと思っています。
実際に人間に、例えば支援者にお金を払って、湯原を頼む、こういうのをしてもらうことはもちろん買収で違反になるわけでありまして、結果的に同じような状況になる中で、七百五十万円が社会通念上どうかという話でありますけれども、この点についてはやはり私としてはいかがなものかなということを申し上げておきたいと思います。これからいろいろな選挙が補欠選挙を始めあるわけでありますけれども、是非この点は注視をしていきたいなというふうに私は思っております。
次に、公職選挙法にある立会人についてであります。これは技術革新と人口減少とを抱き合わせたような問題あるいは方策が問われていると思います。公職選挙法にある立会人ですね、投票箱の前で監視をしている立会人でありますけれども、現に人がそこに座って立ち会うということが求められているのかどうか、この点について大臣にお願いしたいと思います。
○松本国務大臣 委員が冒頭におっしゃったように、政策全体としては人口減少への対応であったり新しい技術を生かすといったような視点は重要であろうというふうに考えるところでございますが、その上で、投票立会人につきましては、投票管理者の下で独立した立場で投票事務の執行を監視することにより選挙人の自由な意思によって投票できる環境を確保する重要な役割を担っているものでございまして、具体的には、投票所の開閉から投票箱の開票所への送致までの一連の投票手続に立ち会い適切に行われていることを確認すること、本人確認ができない場合の投票の拒否など投票管理者が選挙人の投票の可否等を判断する際不当な取扱いがなされないよう意見を述べることなどを通じて、投票管理者が適正に投票手続を執行するよう監視し、公正な投票環境を担保しているところでございます。
このようなことから、現行の公職選挙法においては投票立会人は投票所において現に立ち会うこととされていると考えるところでございます。
○湯原委員 松本総務大臣から最後のところで、現に立ち会う、こういうことであったわけでありますけれども。
お手元の資料で二枚目、一枚目は投票率の問題のグラフでありますけれども、二枚目に、投票所、全国でありますけれども、この数値です。平成十年、一九九八年からずっとあって、令和四年というと二〇二二年、二十四年間、四半世紀において、投票所数が五万三千四百十七件から四万六千十六件、率にすると大体一四%減しているんですね。これは全国でありますので、地方だともっと人口減少も相まって高い。
私の地元であります鳥取県を見ると、三十年の間に大体四割近く、三十数%投票所が減っていっている。つまりは、有権者の投票の保障といいますか、それが危うくなってきている、こういうことを申し上げたいんですね。それで、この大きな原因が、平井知事を始め行政サイドの中では、人口減少、高齢化から担い手不足で立会人がなかなか見つからないと。日当は出ても、朝から晩までということもありますし、長時間ということもあって、結局投票所が閉鎖されてしまう、こういうことであります。
先ほど総務大臣が現に立ち会うということをおっしゃったわけでありますけれども、ルール上は三人から五人が立ち会うみたいな話が書いてあるわけでありますけれども、実際のところはこうしたように身近な投票所に立会人を立てることが困難で投票所が閉鎖されていく、有権者の投票の保障が危うくなってきている、こういうことがありまして、私は、オンライン、誰もそこにおらずにじゃなくて一人、二人いて、足りない部分はオンラインという形式も含めて高齢化、人口減少に対応するような投票所の在り方というのを検討すべきじゃないかと思いますけれども、御答弁願いたいと思います。
○松本国務大臣 投票立会人の役割については先ほど申し上げたとおりでございまして、投票立会人について、オンラインを活用して遠隔地から立ち会うことにつきましては、投票管理者が適正に投票手続を執行するよう監視し、公正な投票環境を担保するという役割をカメラ越しの立会いでどこまで果たし得るのか検討する必要があるというふうに考えております。
その上で、立会人の確保が大変課題であるというお話がございまして、投票所の維持、確保の一助となるよう、令和元年の公職選挙法の改正によって選任要件を各投票区における選挙人名簿に登録されている者から選挙権を有する者に緩和いたしまして、広く投票立会人を選任することができるようにいたしました。
また、投票所につきましても減少してきているというふうに承知をしておりますが、投票環境を確保するということは大変重要なことでございまして、私どもとしては、投票所からの距離や選挙人の数を踏まえた投票所の設置を要請するとともに、かつて投票所があった地域での期日前投票所の設置や移動期日前投票所の取組の実施、投票所等への移動支援、共通投票所の設置など、選挙人の投票機会の確保に向けて取り組んでいただくように要請をし、必要な財政措置も講じてきているところでございまして、このような取組は増えているというふうに認識をしております。
委員の御指摘でございますけれども、投票環境の確保という課題に向けて、私ども、全国の選管のお声も伺いながら引き続き検討いたしたいと考えます。
○湯原委員 松本総務大臣が最後のところで、全国の選挙管理委員会の声を聞くということで、一つとしては認めますが、立会人が今までと違って緩和してきましたよということは認めています。私も承知しております。そういう意味では認めておりますが、やはり現実的には冒頭申し上げたように日進月歩で技術革新が進んでいっているのと、実際は地方においては人口減少、高齢化で様々なところが簡単に言うと急速に悪化してきているという状況があります。
是非、総務省として、こういう今までの法文だったから、こういうルールだったからということで、ともすると角を矯めるような話にならないように、角を矯めて牛を殺す、つまり、選挙人、有権者の投票が保障されないような、危うくなるようなことにならないように注視していただいて、先ほど大臣がおっしゃったように、全国の選挙管理委員会の現場の声をできるだけ的確に聞いて対応していただきたいということを要望しておきたいと思います。
次に、一枚目の投票率の推移であります。これは皆さん方がよく使われているものでありますけれども、非常な勢いで投票率が下がってきている。これは国政選挙、衆議院選挙の数値でありますけれども、自治体選挙では三割台、三十数%の投票率で議会制民主主義の代議員が決まっていっている、こういう危機的状況だというふうに私は思っております。
諸外国が投票率を上げるためにどういうことをやっているかを勉強しますと、例えばオーストラリアでは投票率が九〇%ぐらいあると聞いています。オーストラリアは百年前から投票が義務づけられておりまして、理由なく棄権すると、二十オーストラリア・ドル、日本円にして千九百円、二千円ぐらいで罰金制度がある。私はここまで持っていこうとは思いませんが、ほかにも三十か国で義務投票制があるわけであります。
日本は憲法上どうかという議論があるわけでありますけれども、逆に義務じゃなくて投票に行けばメリットになるような、こういう方式もあるんじゃないか。例えば投票に行けば確定申告時にその分を税額控除とか、行ってメリットになるような、いろいろな方式はあると考えられます。こうしたことについて、投票率を上げる抜本的な改革が必要なんじゃないかと思いますけれども、松本総務大臣の答弁を願います。
○松本国務大臣 憲法に規定される選挙権については、権利という性質と公務員の選定という公務の性質を併せ持つという学説が多数説であるというふうに認識いたしております。
投票の義務化については、選挙権はその権利としての性格を踏まえても選挙人の自覚にまつべきものであって外部からの強制によるべきものではないのではないか、公務としての性格を踏まえれば国民を強制し得るような性質を有するものなのかという論点がございまして、検討の必要があると考えております。
御指摘の投票がメリットになる制度ということにつきましては、投票は本来、選挙人が自ら考え、判断し、自由な意思に基づいて行うことが重要でございまして、主権者教育の推進や有権者の投票環境の向上を図ることで投票参加につなげることを進めてまいりたいと考えるところでございます。
○湯原委員 私は、抜本的な対応をしなければ、今後、危機的状況も懸念するわけであります。扇動的な政治とかポピュリズム的な政治が出てくるということを懸念するわけでありますけれども、松本大臣は最後のところで主権者教育の推進ということをおっしゃったわけでありますけれども、現実的に今できる主権者教育の推進について次に質問していきたいと思っています。
私は、総務委員会を中心にして質問の機会を得るたびに、シチズンシップ教育、日本版で言えば主権者教育のことを絶えず質問を毎回させていただいておりますが、主権者教育の関連予算費でありますけれども、令和五年度は一億七千五百万円だったのが、今上がっている令和六年度では一億三千三百万円と減額になっております。総務大臣は先ほど来主権者教育の推進とおっしゃっているわけでありますけれども、実際には関連予算は減額になってきている、こういうことであります。
投票率は、先ほど来申し上げているように、国政選挙だと五〇%台、自治体選挙だと三〇%台が見受けられる状況であって、大臣がおっしゃるように主権者教育の推進という割には、予算が令和五年、六年を比較すると減額になっている現状があるわけで、申し訳ないですけれども危機感が足りないんじゃないかと思いますけれども、この点について答弁願いたいと思います。
○笠置政府参考人 お答えを申し上げます。
社会参加の推進や政治意識の向上を図る観点から、国や社会の問題を自分たちの問題として捉え、考え、行動していく主権者を育てる、主権者教育の取組は重要だと考えてございます。
関連予算につきましては、教材作成やフォーラム開催などの研修事業費、アドバイザー派遣など各地の取組を支援するための経費などを計上し、推進を図っていくこととしております。
昨年度、令和五年度でございますが、昨年度は特に、全国の選挙管理委員会や教育委員会などに各地の事例を紹介し、それぞれの地域で横展開できるようにするため、動画作成や各地域における主権者教育の取組の調査のための予算を計上いたしたところでございます。本年度、令和六年度でございますが、その分の予算というものは減となっておりますが、その昨年度の成果を生かし、研修事業等を通じまして優良事例の横展開に力を注いでまいりたいと考えております。
○湯原委員 減額分は、令和五年度が横展開のための事例集を作って、令和六年度はそれを作らない、実際に広めるのでその分は減額になりましたよということでありましたけれども、桁が、一億数千万なんですね、主権者教育関連予算というのが。つまりは、民主主義という根幹を成す投票率が下がっている、それを是正するための予算が一億数千万、それもまた減額になっていると。まあ事例集のこともあるんですが、やはりもっと危機感を持って対応すべきじゃないかと私は思います。
是非、この点は、抜本的な改革等を含めて実際の投票率アップ、キャンペーンとかいろいろな予算もありますけれども、根本的な主権者教育についての予算を、事例集云々だけじゃなくてもっと大胆に予算組みをしていって進めないと、非常に危機的な状況と先ほど申し上げましたけれども、投票率が下がることでどうなるか、扇動的な政治とか、あるいはともするとポピュリズム的な政治がばっこするような、こういうことにもつながっていくということで、是非この点は危機感を持って予算組み等施策の展開を図っていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。
それから、主権者教育の中の一環でありますけれども、高校において公共という、資料の三枚目を見ていただければと思います。
私が子供の頃習っていたのは、政治・経済とか公民という科目がありました。これはともすると知識を先生が教えてくれる、三権分立は行政と立法と司法ですよとか、それぞれの差異は例えば内閣不信任があったりとか、知識ですね、実際の現場で、社会にある政治課題とか、社会的な問題をそこで議論するわけではなくて知識だけを、民主主義とはこうですよ、議会制民主主義はこうですよという知識だけを教えてもらっていた。私がちっちゃいときであります。
しかし、やはり今では社会的な現象が様々あって、これをちっちゃいときから議論していって投票行動につながるような関心を持っていただかないと、先ほどのような投票率の低下へつながり民主主義が危うくなるという懸念を私は持っているところであります。
この三枚目の資料で特に申し上げたいのは、私なりには日本版のシチズンシップ教育だろうなと思いますけれども、例えばBのところでいうと、A、B、Cとありますけれども、Bの箱のところで、自立した主体としてよりよい社会の形成に参画する私たち、子供たちのことでありますけれども、その大項目云々の中で、現実社会の諸課題に関して設定する主題、つまり、先ほどの、知識を教えるんじゃなくて現実的な諸課題を議論するんだ、こういうことであります。
それから、この公共のポンチ絵の一番右下のオレンジのところ。公共の授業で行うことが考えられる学習活動の例で、討論とかディベート、模擬選挙、模擬裁判、インターンシップの事前、事後の学習など。関係する専門家、機関の例とすると、選挙管理委員会、消費者センター、弁護士、NGOなど。つまり、先生だけではなく外部から知識を持った専門家を入れていって子供たちにそういう授業をしていく、そして現場の諸課題を議論していく。私なりには日本版のシチズンシップ教育だというふうに思っております。
これについて、公共は始まって二年ほどでありますので、どれほどというのはあるかと思いますけれども、先生の負担であったり、あるいは先ほどの弁護士、税理士、銀行マンなど外部講師の実績、これによって生徒の意識の変化が出てきたかどうか、この点について、評価と課題について答弁願いたいと思います。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
主権者教育は、国家、社会の形成に主体的に参画しようとする力を育む大変重要なものであり、その充実が必要であると認識してございます。
このため、今御紹介がございましたように、令和四年度から実施をされている高等学校の学習指導要領では、新たに必須履修科目公共を設けまして、政治参加の重要性そして選挙の意義等について現代社会の諸課題に基づいて探求をする、そういった活動を各学校で展開するということとしてございます。
スタートから間もないところでございまして、この新たな科目の評価につきましては更なる取組の実施等を踏まえて行う必要はあるところではございますけれども、昨年三月に取りまとめました主権者教育の実施状況調査によりますと、生徒の意識におきまして、社会課題が自分事になった、あるいは社会参画の意識が高まった等の成果がございます。一方で、実践的な活動に必要な時間の確保でございますとか、生徒の実態を踏まえた効果的な教材選択などの課題も挙げられたところでございます。
また、お尋ねのございました外部講師の活用でございますけれども、回答のあった高校のうち約四割の高校で、選挙管理委員会等と連携し外部講師を招くなどの取組が実施されているところでございます。これは、授業の充実はもとより、教師の負担軽減という面から見ても一定の効果があったのではないか、このように考えてございます。
○湯原委員 まあ、二年ですから、おっしゃるようにスタートアップの段階だということでまだまだこれから、その割には子供たちに対しても効果が少しずつあったんじゃないか、ただ、教材ではやはり課題としてあるんじゃないかという答弁だったと思いますし、四割ですか、選管が出向いてきて、出張してきたので先生の負担軽減になったんじゃないかという答弁だったと思います。
今、先生の負担の話があったわけですけれども、現場で懸念されているのは何かというと、授業の中立性、政治的中立性といいますか、教師の中立性といいますか、様々な現場の議論をするわけで、中立性という問題が非常に大切になっているのかなというふうに思っています。中立という言葉は非常に難しい問題で、見方によって様々あるというのは事実でありますので。
日本のこの部分を見ますと、一九六九年、大学紛争があったとき、時の文部省が、大学紛争が高校に波及するのを恐れて高校生の政治活動を禁じる、あるいは教員に慎重に扱うよう通知を出しました。一九六九年のことであります。それから政治的中立性が求められて、教育現場では政治を扱うことはタブー視されてきたというのが、これが半世紀ぐらい続いたわけであります。
十八歳選挙権の導入を控え、二〇一五年にこの通知が廃止されました。つまりは、十八歳で有権者になるわけでありますので、高校で一定程度のいわゆるシチズンシップ教育、主権者教育をしなければ間に合わないということで、これが廃止をされたわけであります。
しかしながら、半世紀、この通知の魔力といいますか、これが続いてきたので、どうしても学校現場で中立性を求められるということで慎重にならざるを得ない状況があるんじゃないかなというふうに私は思っております。
一方、ドイツなどを見ると、一九七六年ですけれども、政治教育の基本原則でありますボイテルスバッハ合意をしております。ドイツは、御案内のように、普通選挙においてヒトラー独裁政権を生んだ、つまり、扇動的な政治、ポピュリズム的な政治から独裁政治まで、普通選挙で一票を投じることによってつくり上げられたという反動がありまして、政治教育というのは、一九四七、八年、第二次世界大戦が終わった直後ぐらいから政治教育の在り方を、逆に主権者教育をし始めております。ヒトラー独裁政治の反動であるわけでありますけれども。その上に積み上がってきたのが一九七六年の政治教育のボイテルスバッハ合意であります。有識者がこういう合意をしております。政治教育はどうあるべきかということであります。
三点ありまして、中立性の下でありますけれども、圧倒禁止の原則、つまり、先生が生徒に対して圧倒してすり込んだらいけませんよ、一つの方向性にすり込んだらいけませんよという原則。二つ目が、実際に社会にある論争はそのまま、教育現場でも論争があるものとして取り扱いなさいという、これも一定の方向性に導くなということであります。三点目が、生徒志向の原則、つまり、生徒が主体的に自ら諸課題を分析して政治参加の方法とか手段を追求しなさい、あくまでも生徒が考えて自分なりの物差しをつくりなさいということ、先生が物差しを押しつけたりしないということであります。
これは有識者がつくって、ボイテルスバッハ合意に基づいて一定の方針を出しました。それに基づいて教育現場も、そういう枠組みであったら安心なんだなという、こういうことでありまして、逆に言えば政治的に教師に対して偏向しているのではどうのこうのということを言わなくても済むということで、ある意味で先生の負担も軽減するということであろうかと思います。
日本においても、先ほど申し上げた半世紀続く通知があって、まだまだ慎重姿勢といいますか、ちょっと二の足を踏んでいらっしゃるところがあるんじゃないかなというふうに思っています。
私は、政治的中立性という問題と非政治性、議論しないということは全く違う問題だというふうに捉えておりまして、中立性を確保した上でみんなでかんかんがくがくの議論をしていって、生徒自らが自主的に自分の物差しをつくっていく、こういう教育にしていくべきであると思っております。そういう意味で、ドイツのボイテルスバッハ合意ではありませんけれども、日本も有識者会議をつくって、政治教育の在り方、学校現場ではどうか、公共のやり方についてもっと指針を積極的に作って教育現場の無用な負担を軽減させるべきではないかというふうに思います。そういうことをしながらシチズンシップ教育を進めるべきだと思いますけれども、御答弁願いたいと思います。いかがでしょうか。
○安江大臣政務官 お答え申し上げます。
教育基本法では、学校に政治的中立性を求めておりますが、一方で、良識ある公民として必要な政治的教養は教育上尊重されなければならないと明記をしておりまして、先ほどの委員の御指摘、全くそのとおりであるというふうに私自身も聞かせていただきました。大事なことは、これらのことが学校現場で十分に理解をされ、学習指導要領に基づく適切な指導が行われるようにする必要があると考えております。
そして、御指摘の指針の作成につきましては、公職選挙法改正による選挙権年齢の引下げを踏まえまして、平成二十七年十月に「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について(通知)」を発出しております。この通知は、政治的教養の教育を国家、社会の形成者として必要な資質を養うことを目標とする学校教育で当然要請されているものとした上で、現実の具体的な政治的事象を取り扱い、生徒が有権者として自らの判断で権利を行使できるようにすること、模擬選挙や模擬議会など実践的な教育活動を積極的に行うこと、特定の見方や考え方に偏った取扱いはせず、考えや議論が深まるよう様々な見解を提示することなど、様々留意事項を示させていただいているところでもございます。
今後も、様々な機会を捉えて、通知の趣旨を徹底し、優れた取組事例の普及に努め、主権者教育を積極的に推進してまいりたいと存じます。
○湯原委員 御答弁いただきましたけれども、改めて、役所が出すというよりも、有識者を集めてこういう議論をして、政治的中立性とは何ぞや、あるいは、先ほど申し上げたように、非政治性とはまた線を引いて、みんなが納得するにはドイツのようにしていく方が教育現場もこれからより推進できるんじゃないか、こういうふうに私は思いますので、是非御検討願いたいと思います。
それを受けて、松本総務大臣、今、公共、私なりには日本版のシチズンシップ教育と思っておりますけれども、連携はどのように考えていらっしゃるか。是非、選挙管理委員会所管でありますので、その点について連携を大胆に進めていただきたいと思いますけれども、御答弁願いたいと思います。
○松本国務大臣 高校において始まった新たな必修科目の公共は、公共の精神や民主主義社会における参加意識を育み、主体的に社会生活を営むために必要な力を身につけることを狙いとして創設されたものと承知いたしております。お示しをいただきました資料の中にも、自立した主体としてもといったような形で、主体性の部分が大きく出ていることは大変大切なことではないかというふうに思っております。
そのような中で、地方自治や我が国の民主政治の発展に寄与しようとする自覚や住民としての自治意識の涵養に向けて、民主政治の推進における選挙の意義について指導することとされていると承知をしており、主権者教育の推進という観点からも重要な科目であると思っております。私もおおむね委員と一緒で政治・経済の時代のあれでありますけれども、大変重要ではないかと思います。
総務省では、文部科学省と連携して政治や選挙に関する副教材を作成しております。毎年度、全ての高校一年生に配付し、公共などの授業において活用いただけるようにしております。
選挙管理委員会におきましても、高校に出向いて、先ほども専門家が四割ぐらい参加をしているとおっしゃったかと思いますけれども、主権者教育に関する出前授業を実施しております。総務省でも、主権者教育に知見のあるアドバイザーを出前授業に派遣し、その取組を支援しているところでございます。
主権者教育充実に向けて、文部科学省、地方公共団体とも連携をして取り組みたいと考えております。
○湯原委員 ありがとうございます。
申し上げたように、投票率が低下していって、その後は何が待っているかというと、扇動的な政治である。我々が望んでいないような、民主主義という形を持っていますけれども、実際は非常に恐ろしい政治が待っているかもしれません。ドイツがまさにそうでありましたので、ヒトラーの独裁政権というのは普通選挙制度下でつくり上げられたということでありますので、その下の主権者教育を是非大胆に進めなきゃいけないというふうに思っております。
簡易水道の問題を用意しておりましたが、別の機会に、今度にします。簡易水道は、過疎地域の自治体が非常に財政規模がちっちゃい中で水道で住民の皆さんに水を提供しておりますけれども、地震においても、この度大変な被害が出ているところ、過疎地域ほど簡易水道の大切さがあると思いますので、この支援についてはまたの機会にさせていただきます。準備いただいておりましたけれども、おわびを申し上げたいと思います。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○古屋委員長 次に、中嶋秀樹さん。
○中嶋(秀)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の中嶋秀樹です。
本日も質問の機会をいただき、本当にありがとうございます。
本日は多岐にわたり質問をさせていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
早速ですけれども、選挙の際の投票日における本人確認についてお尋ねいたします。
特に、投票所入場整理券を持たずに投票所に行った場合の本人確認について規定はございますでしょうか。本人確認の方法については、各選挙管理委員会、各投票所の裁量に委ねられているとも伺っております。例えば、整理券を持たずに行った場合に、生年月日をおっしゃってくださいと言われ伝えると、何々さんですねと確認され、その後、住所もおっしゃってくださいと言われるパターンもあれば、名前、生年月日、住所それぞれを言う場合もあると聞き及びます。
二つ問題があると思います。
まず、ほかの有権者も投票所にいることもあるのに、大きな声で名前や住所、生年月日といった個人情報をやり取りすることに対する抵抗感がある有権者もいると聞いております。
もう一つは、名前、生年月日、住所さえ言えば投票ができるそのものです。写真入りの例えば免許証であったり、写真は入っていなくても保険証であったり、マイナンバーカードを提示するなど、そういった確認は一切行っていないと聞いております。成り済まし投票が可能である。非常に懸念するところでございます。
投票所における本人確認については、相当厳密に行う必要があると思います。総務省としてどうお考えでしょうか、教えていただきたいと思います。
○笠置政府参考人 お答え申し上げます。
選挙の投票におきましては、選挙の公正を確保するため、本人確認を確実に行うことが重要だと考えております。
投票の際の手続といたしましては、公職選挙法第四十四条の規定におきまして、選挙人は選挙人名簿との対照を経なければ投票することができないとされております。
各投票所ではそれぞれ適宜の方法でやっていると思いますが、具体的には、各投票所においては、選挙人が投票所入場券を持参した場合には投票所入場券の情報を選挙人名簿と対照することにより、また、投票所入場券を持参してこられなかった場合などには身分証明書の提示を求めることや、先ほどお話がございました氏名とか住所といったものを確認することによりまして本人確認を実施しているというものと承知しております。
総務省におきましては、国政選挙でありますとか統一地方選挙に際しまして、選挙人名簿との対照に当たり投票所入場券を活用することや、投票所入場券を持参しない場合にはマイナンバーカードや運転免許証等の本人確認書類の提示を求めることや氏名、住所等を確認するなどにより本人確認を徹底するよう各選挙管理委員会に対して要請しているところでございます。
さらに、厳格にというお話がございましたけれども、国政選挙や統一地方選挙に際しては先ほど申し上げたような形で要請申し上げているところでございます。
さらに、他人に投票所入場券を譲渡するなどによりまして成り済ましによる投票を行うといったことは公職選挙法第二百三十七条に規定します詐偽投票罪に当たるものでございまして、その旨を選挙人にホームページなどで適切に周知するといったこと、また、投票所入場券等に本人以外が使用できない旨の注意喚起の文面を記載するなど、違法行為の防止を図るように併せて各選挙管理委員会に要請しているところでございます。
引き続き、投票所等における適切な本人確認の徹底につきまして、各選挙管理委員会に対して要請をしてまいりたいと考えております。
〔委員長退席、田所委員長代理着席〕
○中嶋(秀)委員 ありがとうございます。
せめて書くのであれば当日投票であっても大声で個人情報のやり取りをせずに済み、また、書かせるという手法を取ることにより本人確認の厳密化に少しでも寄与すると思います。
将来においてはマイナンバーカードの利活用も考えられるかとは思います。整理券を持たずに来た有権者に免許証等の提示を求めれば、また、それを持たずに来た、そもそも持っていないといった問題が発生し投票へのハードルが上がるということも懸念され、痛しかゆしではありますけれども、本人確認の厳密化と投票率向上に向け更なる努力をお願いして、次の質問に参ります。
地方議会のなり手不足への対策として、女性を含めた多様な住民が地方議会に参画しやすくする必要があると考えます。特に、若い女性には産休や育休の取得に不安を感じ立候補をためらう方もおられると考えますけれども、各議会における対応の現状を教えていただきたいと思います。
〔田所委員長代理退席、委員長着席〕
○山野政府参考人 お答えいたします。
一昨年十二月の第三十三次地方制度調査会の答申では、女性や育児に携わる方々の多様な人材が議員として議会に参画するための方策として、各議会において会議規則における育児等の取扱いの明確化等の対応を行うことが考えられる、このように指摘されております。
地方議員の会議の出席につきましては、各議会の会議規則に基づき運用されておりますが、令和三年一月から二月にかけまして、三つの議長会がそれぞれ標準会議規則を改正いたしまして、欠席事由に出産や育児を明文化するとともに、出産に係る産前産後に配慮する期間、これを明示しまして、各議会に通知したものと承知しております。
内閣府の地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況の調査では、昨年七月時点で、各議会の会議規則において本人の出産が欠席事由に明記され又は運用上認められている議会は、都道府県議会では全ての議会、市区町村議会では千七百四十一議会中千六百六十七議会となっております。
また、育児が欠席事由に明記され又は運用上認められている議会は、都道府県議会では四十五議会、市区町村議会では千五百四十議会となっております。
○中嶋(秀)委員 ありがとうございます。
本人の出産以外の欠席事由については、育児、家族の介護のほか、本人の疾病や配偶者の出産、家族の介護も取り入れている議会も相当増えてきていると聞いております。なり手不足に対応するため、まだ未整備の議会においても推進していけるよう、更に御尽力いただけるようによろしくお願い申し上げます。
次に、政治団体の収支報告書についてお伺いいたします。
明細記載基準額についてでございます。国会議員関係団体においては一万円、その他の政治団体については五万円となっておりますけれども、これについては、国会議員の政治団体の支出の記載をめぐり不透明等の批判がなされ、政治資金の使途に対する国民の政治不信を招く事態となったことを受けて、全ての団体で五万円であったのを国会議員関係団体については一万円とする変更が議員立法により行われたところだと思います。
しかし、国会議員であっても、その他の政治団体を持てないといったことはない規定になっていると思います。持てないというか、おかしい表現かもしれませんけれども、その他の政治団体が国会議員を支援することを禁止するものではないというたてつけになっていると思います。実際、そういったことから、国会議員政治団体からその他の政治団体に寄附をし、実際の運用は寄附を受けたその他の政治団体で行い、基準額は五万円となり支出が全く見えないといったことがあるかと思います。
お金の問題で政治不信が相当高まっております。そこで、大臣にお伺いします。この際、ある意味隠れみのとなっているその他の政治団体も国会議員政治団体と同じ基準にすべきだと考えます。総務省として、推進できる立場にないとお答えになるかもしれませんけれども、政治不信をこれ以上招かないためにも、政治家として私も含め皆で取り組むべき問題だとお考えではないでしょうか。大臣、よろしくお願いします。
○松本国務大臣 政治資金規正法を所管する行政府の責任者として御答弁できることは、慎重に考えなければいけないことはこれまでも申し上げてきたとおりでございますが、委員からもお話がありましたように、国会議員関係政治団体、資金管理団体、その他の政治団体とそれぞれ収支報告書における支出の明細の記載や領収書等の写し等の添付の基準が異なってきているわけでございますけれども、これまでも申し上げたように、そもそも制度については各党各会派の御議論で組み立てていただくものというふうに承知をしておりますが、一点申し上げれば、その他の政治団体につきましては、政治家に限らず、国民全体の政治活動の自由にも関わるところがございますので、どのような規制にされるかということ、政治レベルでの御議論を注視させていただきたいというふうに考えるところでございます。
○中嶋(秀)委員 ありがとうございました。
もうちょっと明確なお答えがいただきたかったのですけれども、その他の政治団体の収入の九〇%以上が国会議員関係団体からの寄附で成り立ち、その支出の九〇%以上が基準額の五万円以下で、明細が分からないといった団体もあります。この問題については引き続き取り組んでいきたいと思います。
続きまして、京都府の財政状況について質問させていただきます。
京都府は、南北に長いという地理特性上、また、一九五〇年から革新府政が二十八年間にわたって続いたという政治的な背景もあって、府南部や北部ではまだまだインフラ整備が必要とされております。また、子育て支援や福祉サービスを提供してきた一方で税収は伸び悩んでおり、二〇二四年度当初予算では百五十五億円の赤字が発生している状態です。これに京都府は、特例的な地方債である行政改革推進債を百五十五億円分発行して財源不足を穴埋めしております。
府は、この度、二〇二四年度から五年間を計画期間とする行財政運営方針をまとめましたが、この方針によりますと、社会保障費や人件費の増加で二〇二八年度には収支不足は約二百億円に膨らむと予測されております。府は、施設使用料の見直しや府有資産の活用など、歳入確保とともに行政の見直しで財源不足を圧縮すると言っておりますけれども、達成は簡単でないことと考えます。
この行政改革推進債は、国の後年度の財政支援がなく、純粋な府の借金ともなります。過去に発行してきた行政改革推進債の負担は大きく、借金返済の負担度を示す実質公債費比率は、二〇二〇年―二〇二二年度の三年平均ではありますけれども、これは一六・五%でございまして、都道府県では北海道と新潟県に次いで三番目に高い水準となっております。財政規模に占める負債の割合を示す将来負担比率も二七二・一%と、北海道、兵庫県、新潟県に次ぐワースト四位となっております。
財政指標の改善が必要と考えますけれども、そこで質問させていただきます。総務省として京都府の財政状況をどう認識されていますでしょうか。御答弁をよろしくお願いいたします。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
京都府の地方公共団体財政健全化法に基づく指標は、先ほど委員からも御紹介がありましたとおり、実質公債費比率は全国平均一〇・一%のところ京都府は一六・五%、将来負担比率は全国平均が一五四・四%のところ京都府は二七二・一%と、全国平均と比べ比率が高い状況でございます。
また、委員からお話のあった行政改革推進債でございますが、これは、行政改革の取組により将来の財政負担が軽減される、そのことによって償還を行うことができると見込まれる範囲内で通常の地方債に加えて発行可能となる、そういう地方債でございますけれども、京都府においてはこの行政改革推進債の発行を近年は毎年度行ってきているものと承知しております。京都府におきましては、こうした厳しい財政状況の下で累次の行財政改革が行われてきておりまして、懸命な努力をされているというふうに認識しております。
総務省としては、引き続き、こうした京都府の取組について注視をしながら、必要に応じて助言等を行ってまいりたいと考えております。
○中嶋(秀)委員 ありがとうございました。
将来に向けた投資を今打っていく必要があると私も思います。財政がないということで、子供への投資、そういった未来への投資が少なくなるようでは、次世代の子供たちへどうしてこの思い、いろいろなことを継いでいくのか、そういったことも含めて、引き続き御助言のほどよろしくお願い申し上げます。
続きまして、二〇二三年度から始まりました公務員の定年引上げによる影響について伺います。
本年度から、国家公務員と地方公務員の定年を段階的に引き上げる制度がスタートいたしました。本年度は定年を六十一歳とし、その後は二年ごとに一歳ずつ延長し、二〇三一年度には六十五歳となります。六十歳以後も働き続けるかどうかはあくまでも本人の判断となりますけれども、職場に残った場合、月給は六十歳を迎えた年度の翌年度から原則七割に引き下げられます。これは、若手に比べて給与水準が高く、現状を維持してしまうと人件費を圧迫するのが理由のためです。
さらに、六十歳に達した管理職を降格させる役定制も導入されました。役職定年制でございます。こちらは、ポストが空かず、若手の昇進が滞るのを避ける狙いがあります。例えば、六十歳到達時に部長だった職員は、翌年度までに課長補佐など管理職以外の職に就くこととなりました。この四月の各地方公共団体の人事異動を見ておりますと、統計を取ったわけではございませんけれども、おおむね半分以上が職場に残っておられるのではないかと思います。
そこで、気になりますのは新規採用についてでございます。当然、役所には定員がございますので、六十歳以後、多くのベテラン職員が職場に残るとなりますと、必然的に新規採用を抑制するしかないのではないかと推測されます。また、定年を二年ごとに一歳ずつ延長する影響で、二〇二三年度、二五年度、二七年度、二九年度、三一年度の各年度は定年退職者が発生しません。各地方公共団体の人事担当者は、この事情を考慮しながら新規採用の計画を立てなければなりません。
私は、各地方公共団体の職場の活力維持、また、若者に公務員の道を閉ざさないためにも新規採用を継続的に確保することが必要と考えますけれども、御見解はいかがでしょうか。
○小池政府参考人 総務省といたしましては、地方公共団体において質の高い行政サービスを将来にわたり安定的に提供するためには、定年引上げ期間中も一定の新規採用職員を継続的に確保することが必要と考えており、一昨年、各地方公共団体に対して基本的な考え方及び留意事項について助言を行っているところでございます。
具体的には、専門的な知見が円滑に継承できるよう、職員の年齢構成や退職者数等の見通しを踏まえた中長期的な観点からの定員管理が必要であること、国家公務員の考え方も参考に、二年間での平準化を基本としつつ、柔軟な平準化を検討するなど、地域の実情に応じて新規採用職員数の検討に取り組むことなどについて助言をしたところでございます。
また、令和六年度地方財政計画では、定年引上げに伴う一時的な職員数の増も含め、職員数全体で約一・四万人の増としておるところでございます。
今後とも、地方公共団体の実態などを十分に踏まえて必要な対応を行ってまいります。
○中嶋(秀)委員 ありがとうございました。
定年延長によってベテランと若手職員の関わりが増え、ノウハウや技術の伝承につながるという利点もあります。定年延長は新規採用の抑制につながらないよう、格段の配慮をお願い申し上げます。
時間がありませんので最後になりますけれども、本日は多岐にわたる質問になりました。健全な選挙、健全な政治資金の運用、そしてまた収支報告、自治体の健全な財政を目指して私も今後とも取り組んでまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。
○古屋委員長 次に、吉田とも代さん。
○吉田(と)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の吉田とも代です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
前回、四月二日の総務委員会では、地域力の創造についてということで質問をさせていただきましたけれども、時間の関係上、途中で終わっておりましたので、本日はその続きから入らせていただきます。
前回、国交省から、都市と地方の二つの拠点で住居を構えて生活をするという二地域居住について、人の流れの創出また拡大に向けての二地域居住を促進する必要があるという御説明をいただきました。その促進に当たりましては住居の問題は解決されることと期待をいたしますが、本日は、課題の一つでありますコミュニティーの問題について引き続き議論をさせていただきたいと思います。
新しい拠点で生活をすれば、新しい人間関係も生まれてまいります。多様な価値観を持つ方々と触れ合える一方で、地域住民となじめないなどの課題も生じがちです。
地域おこし協力隊は、制度開始当初、二〇〇九年度では隊員数が八十九人、実施団体数は三十一団体でございましたが、二〇二二年度は隊員数が六千四百四十七人、実施自治体数は千百十六団体となっており、二〇二六年度には隊員数一万人を目指していると承知しております。
一方で、地域に定住しないなどの課題もある中、今後、地域おこし協力隊全国ネットワーク事業を本格化しサポートする予定だと聞いておりますが、地域おこし協力隊の現状と課題また今後の方向性について、松本総務大臣の御見解を伺います。
○松本国務大臣 地域おこし協力隊を取り上げていただいてありがとうございます。
私自身も、地域おこし協力隊の方々とは地方に伺った際など各地でお会いをしてまいりまして、地域の活性化、移住促進の両面で効果がしっかり出ているというふうに考えるところでございます。
既に委員にも御説明申し上げる機会があったかと思いますが、直近五年に任期終了した隊員の定住率は七〇%となっておりまして、また、同一市町村内に定住した隊員の四六%が起業するなど、地域課題の解決に貢献する意義ある取組であるというのが地域おこし協力隊の位置づけでございます。
令和八年度までに隊員数を一万人に増やす目標としていることも今おっしゃっていただいたとおりでありますが、今後の課題ということで、各地で地域おこし協力隊の皆さんに活躍をいただく中で、例えばミスマッチなどの事態も出てきて、こういったことも解消していかなければいけない。そして、これも今お話がありましたが、隊員が地域住民の方々とともにそれぞれの地域で生き生きと活動ができる環境づくりもおっしゃったとおり必要であるというふうに考えておりまして、そういう意味で私どもとしては隊員、自治体双方をサポートしていきたいと考えているところでございます。
令和六年度は、より広い層にアプローチするための戦略的広報の実施で応募者数の増加も図ってまいりたいと考えております。また、受入れやサポートなどのノウハウを伝授する地域おこし協力隊アドバイザー派遣を拡充するなど、取組自治体のサポート力の強化も図ることとしております。
そして、今お取り上げいただきました今年二月に立ち上げた地域おこし協力隊全国ネットワーク事業も本格化をしてまいります。蓄積された多くのノウハウを全国の関係者で共有する、全国の同志とつながる、話合いができる場を提供する、各地で立ち上がっている都道府県ネットワーク等との連携を強化する、このような形で隊員と自治体双方のサポートの強化を図ってまいりたいと思っております。
これから先、意義のある取組であるだけに、目標に向けて一層活躍いただく環境を整えたり課題を解決することで前へ進めてまいりたいと思っておりますし、ほかにも地方への人の流れをつくる仕組みとしては地域活性化起業人など幾つかの仕組みがございます、こういったものとも連携をしていきながら、大きな流れがつくれるようにしてまいりたいと思っているところでございます。
○吉田(と)委員 前向きな御答弁ありがとうございます。
NHKが、二〇二三年八月の七日から三十日まで、オンライン形式で地域おこし協力隊隊員と受入れ自治体を対象としたアンケートを行いました。千四百五十三人の協力隊と五百八十四の自治体から回答を得たところ、移住先でのトラブルを経験したことがある方が二七%、そのトラブルの相手は地域住民が最多で三八・五%との結果になりました。このアンケートは現役の地域おこし協力隊に行っているため、問題を抱えている方は既に辞めておられるかもしれず、数に含まれていないことも想定されますが、最も多いクレームは協力隊が行っている活動へのクレームで、次いでパワハラ、誹謗中傷と続いています。
地域おこし協力隊は、地域住民と地域おこしを共にしていくというのが仕事でございますので、そこに使命感を持っているがゆえ、クレームを言われたら萎縮してしまい、その後の活動に影響が出る可能性もあります。結果、思ったような活動ができず、定住しないということも考えられます。
先ほど松本大臣より定住率が七〇%という御答弁をいただきましたけれども、一方で、活動の内容とのずれ、大きな違いを感じているという方が二七・八%、そして少し違いを感じているという方が二六・八%ということで、違いがあったと感じている方は合わせて五四・六%に上ります。
全国ネットワークによって経験者の悩みを相談したりできる環境が整っていくということも大変心強いことではございますが、地域が地域おこし協力隊に求める成果と隊員の成し得たい目標を初期の段階で丁寧にすり合わせをしていくことが、隊員を目標数まで増やすことまた定住によりつながっていくと考えますので、自治体への働きかけを引き続きよろしくお願い申し上げます。
続きまして、このような課題がありますが、十五年近い取組の中で一定の成果を収めていらっしゃるということは事実でございまして、先般取り上げました二地域居住の件につきましては、地域おこし協力隊が、これまでの知識と経験を生かして、地域の橋渡しとして二地域居住の方々と交流をしサポートをしていくということが必要と考えますが、今後の国交省の方針を踏まえて、総務省の今後の取組、考え方を御教示ください。
○山越政府参考人 お答えいたします。
地域おこし協力隊は、都市部から過疎地域などへ生活の拠点を移した方が、一定期間、地域協力活動を行って地域活性化に貢献するとともに、その地域への定住、定着を図る取組でございます。
地域おこし協力隊の隊員やその経験者の中には、移住コンシェルジュとして移住相談をしている方、あるいは空き家バンクの運営をしている方、古民家等を改修しゲストハウスやコワーキングスペースの運営をしている方などが多くおられます。今般、国土交通省が提出している法律案で整備を進めることとしている拠点施設などにおきまして、二地域居住を含めた地域への人の流れの創出に寄与する活動をされている方が多いという状況でございます。
総務省といたしましても、今後とも、このような取組事例を広く周知させていただきますとともに、二地域居住を含めました移住、定住の自治体の取組、これをしっかりと支援してまいります。
○吉田(と)委員 人口減少時代におきまして、いかに外部人材を取り入れるか、そしてまた、先ほど松本大臣からも御答弁いただきましたけれども、人の流れを生んでいく、人、物、お金を動かしていく、これがいかに大切かということでございますが、大都市圏の企業の社員の方が即戦力として活用される地域活性化起業人の人数が増加をしており、令和六年度は新たに地域活性化起業人の副業型の制度が設けられると承知をしております。
このように、東京一極集中を防いでいかに関係人口を増やしていくかという観点から、今後更に期待される二地域居住のスタイルの成功は、地域おこし協力隊と同じく大いに今後の地方創生、地域活性化につながると考えますので、総務省と国交省がしっかり連携をしていただいて、横展開をしながら進めていただきたく、よろしくお願い申し上げます。
また、最新の動向ということで、外国人の協力隊員というものについてもお伺いをしたいと思います。
令和六年度の特別交付税措置において、外国人の地域おこし協力隊に対する募集時のマッチング支援や、現在隊員活動中の外国人地域おこし協力隊に対するサポートの経費が拡充されます。そこで、お聞きしますが、現在、外国人の地域おこし協力隊は何名ぐらいいらっしゃるのか、また、外国人地域おこし協力隊を増やすことでどのような効果が期待できると考えているのか、御説明をお願いいたします。
○山越政府参考人 お答えいたします。
手元にございます直近のデータ、令和四年度のデータでございますが、全国で百五十一名の外国人の方々が地域おこし協力隊員として活動されています。これらの方たちは、それぞれ、言語能力などの自らの強みや外国人独自の視点を生かして地域の様々な活動に従事していただいています。
具体的には、外国向けの日本旅行情報サイトの作成、SNSの活用、情報誌の制作を通じました地域の魅力発信や外国人観光客向けのツアーの開発、実施などインバウンド対策の取組、それから、日本の生活習慣等の講習といった技能実習生など外国人住民の生活支援、地域住民との異文化交流イベントの開催といった多文化共生の取組など、幅広い活動に取り組んでいただいております。
このような各地域での取組を支援するため、総務省におきましては、委員から御紹介がありましたとおり、今年度から財政措置を拡充することとしております。
具体的には、地域に関心のある外国人住民に、地域活性化の取組や地域おこし協力隊の活動により理解を深めてもらうためのイベント等の実施に要する経費や、地域おこし協力隊として活動する外国人隊員に対し特に実施する研修やほかの外国人隊員との交流の機会を設けるなどのサポートに要する経費について、道府県に対しまして新たに特別交付税措置を講ずることとしておりまして、具体的な活動事例も周知させていただきながら自治体の取組支援を行ってまいります。
○吉田(と)委員 隊員の裾野を広げること、そして専門性を高めるに当たって、外国人の方に地域おこし協力隊になっていただけることは大変意義深いと考えます。
日本を訪れた外国人旅行客は二〇一九年に三千百八十万人を超え、新型コロナ感染症流行のために一旦落ち込んだものの、政府は二〇三〇年には六千万人を目標として変更はしておりません。そのような拡大傾向を考えますと、ゴールデンルートだけではなく、今まで余り外国人の方に知られていなかったものの魅力ある地域、地方を訪れる外国人が増えるのは間違いのないことで、地方での外国人誘致がますます活性化すると思われます。
外国語での外国人への情報発信やPRが重要となるわけですが、地域ブランドや特産品の開発、販売にも外国人の目線が必要となるため、その点でも、単なる一過性のお客さんということではなく、住民、そして仲間の一人として大いに外国人の地域おこし協力隊の活躍に期待をしたいと思います。是非、総務省には積極的な広報に取り組んでいただきたいと思います。
そして、時間が余りございませんので、次回に向けて、情報空間の健全性の確保について、答弁は求めませんので、頭出しだけ少しお伝えさせていただきます。
ブロードバンドの普及、スマートフォンの登場によって、日常的にインターネットを利用、活用するのが当たり前の時代となりました。一方で、インターネットの世界では、外部送信、アテンションエコノミーなど、インターネット上の独特のビジネスモデルが存在します。このインターネット上の独特の仕組みについて、どのようなもので、どのような危険性があるのかというのを次回質問させていただきたいと思います。
本日、この一般質問の後にプロバイダー責任制限法改正案の提案理由を聴取しますけれども、今回の改正で法律名が特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律へ変更されます。この法律名からも、インターネット上の情報流通を適正化する法律となるというわけでございます。そういったことを踏まえて、次回、引き続き質問をさせていただければと思います。
以上で本日の質問を終わります。ありがとうございました。
○古屋委員長 次に、宮本岳志さん。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
まず、西田政務官にお聞きします。
私は、先週四月二日の質疑で、西田昭二大臣政務官が前回、二〇二一年総選挙中に、国と契約関係にあった地元の建設会社二社、南建設から二百万円、小倉建設から百万円の献金を受け取り、選挙期間中に国の受注を受けた企業から寄附を受けたことを問題にいたしました。政務官は、周りから指摘をされたので、その三百万円は道義的見地から返金したと答弁をいたしました。
さらに、私が、道義的見地というなら、選挙中の二〇二一年十月二十二日、小倉建設が百万円寄附をした同じ日に小倉緑化工業株式会社からも百万円を受け取っている事実と、この二社は役員が大きく重複している典型的な同族会社だと指摘をしたら、西田政務官は、承知はしておりますと、これを認め、指摘のような寄附が国民の疑念を抱くような寄附に当たるかどうか、疑念を招くかどうかについては事務所でもよく相談し、法の規定に照らして判断をしてまいりたいと答弁されました。政務官、その後、何か明らかになりましたか。また、返金した事実はありますか。
○西田大臣政務官 お答えをいたします。
前回、御通告をいただいた際には、可能な限り、調べられる範囲で御指摘の会社と国と請負その他特別の利益を伴う契約の有無を確認し、御答弁を申し上げたところでございます。
その後、事務所とも相談をさせていただき更なる確認を進めましたが、当時、御指摘の会社は国と請負その他特別の利益を伴う契約があったことは確認できませんでした。こうしたことを踏まえて、寄附を返金することは考えておりません。
○宮本(岳)委員 全く役員がダブった同族会社である、御本人もその認識があったんですね。このままでは決して終わるわけにいきません。責任ある回答を改めて示していただきたい。
西田政務官は、総務省における職務、情報通信、放送行政等々を担っております。いよいよこれから当委員会では、情報通信や放送に関わる法案が審議されてまいります。この問題が曖昧なままで法案審議だけはどんどん進めるというわけにいかないと私は申し上げておきたいと思います。
では、次に、情報公開・個人情報保護審査会が去る三月二十九日に出した答申についてお伺いをいたします。
この答申は、学校法人森友学園の国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、改ざんを強いられ自死した近畿財務局職員の赤木俊夫さんのお連れ合い、雅子さんが行政文書の開示を求めたところ、存否さえ明かさずに不開示とした財務省の決定について雅子さん側が審査請求を行い、国の行政機関等の情報公開制度の仕組みに基づいて二〇二二年四月十一日に財務省が情報公開・個人情報保護審査会に諮問していたものであります。
まず、情報公開・個人情報保護審査会事務局長に聞きます。資料一は答申の抜粋でありますけれども、答申書の「本件各不開示決定の妥当性について」にはどのように書かれてありますか。
○植山政府参考人 お答えいたします。
御指摘の答申は令和五年度(行情)答申第八百八十九号及び同第八百九十号であると思われますが、「本件各不開示決定の妥当性について」という、いわば結論の部分には以下のように書かれております。本件対象文書につき、その存否を答えるだけで開示することとなる情報は法五条四号に該当するとして、その存否を明らかにしないで開示請求を拒否した各決定については、当該情報は同号に該当せず、本件対象文書の存否を明らかにして改めて開示決定等をすべきであることから、取り消すべきであると判断した。
以上でございます。
○宮本(岳)委員 そもそも、情報公開法は、その第一条、目的で、この法律は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とすると、原則公開を定めております。
原則公開とした上で、法第五条で例外的に一号から六号までの不開示情報を定め、さらに、法八条では、開示請求に対し当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで不開示情報を開示することとなる場合に限って、更に例外的に、当該行政文書の存否を明らかにしないで当該開示請求を拒否することができると定めております。
再度、審査会事務局長に聞くんですけれども、答申は、情報公開法八条の規定を使って文書の存否さえ明かさずに不開示にすることは許されないという判断を示し、対象文書の存否を明らかにした上で改めて一つ一つの開示、不開示を決定するべきだとしていると思います。この答申に法的拘束力はございますか。
○植山政府参考人 お答えいたします。
法令上、これに従わなければならないという義務が課せられているものではありません。
○宮本(岳)委員 そうなんですね、残念ながら法的な拘束力はありません。
したがって、財務省は答申を得た後改めて裁決することになりますけれども、この裁決が必ず答申どおりになるとは限りません。
そこで、今日は行政管理局にも来ていただいております。情報公開法の施行以来、情報公開・個人情報保護審査会に諮問して裁決をした事案が何件あり、そのうち答申と異なる裁決を行ったものは何件なのか、調べていただいておりますので、お答えいただけますか。
○松本政府参考人 お答えいたします。
総務省行政管理局において実施しております情報公開法の施行状況についての調査によりますれば、情報公開法が施行された平成十三年度から令和四年度までの二十二年間で、審査会に諮問して裁決を行った総件数は一万五千七十件であり、そのうち答申と異なる裁決が行われたものは二十四件であると承知しております。
○宮本(岳)委員 二十四件、少ないとはいえ、あるんですね。ただ、一万五千件に対して二十四件ですから、率は〇・一六%ということになろうかと思います。
今日は、財務省にも来ていただいております。まず、理財局に聞きますけれども、答申を踏まえた裁決はいつ行う予定ですか。
○石田政府参考人 お答えします。
答申を踏まえた裁決はいつ行われる予定なのかという御質問だと思いますけれども、行政不服審査法におきましては、審査会から答申を受けたときは遅滞なく裁決しなければならないと定められていると承知しております。
法令上、具体的な期限は規定されておりませんが、情報公開に関する連絡会議申合せがございまして、こちらの中で二パターンに分けて取決めがありまして、一つが、原処分を妥当とする答申などにあっては、答申を受けてから裁決、決定するまでに遅くとも三十日を超えないようにするとともに、二つ目ですけれども、その他の事案については、特段の事情がない限り遅くとも六十日を超えないようにすることとされております。本件事案については、後者に該当するかと思います。
今後の対応につきましては、こうした規定等も踏まえて検討してまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 去る四月二日の当委員会の質疑で松本総務大臣は答申に関して、第三者機関である同審査会が専門的知見に基づいて行った答申であると理解をしている、第三者機関がなされた、専門的知見に基づいて行われた決定について政府としてはしっかりと受け止めていくものというふうに考えていると答弁されておりましたけれども、財務省としても同じ考えでよろしいですか。
○石田政府参考人 お答えします。
今御指摘がございました、総務委員会で松本総務大臣が、一般論でと前置きを置いた上で、政府としてはしっかりと受け止めていくものと考えていますと御答弁されたことは承知しておりまして、財務省としても、答申をしっかりと受け止めていくものと考えております。
また、本件不開示決定処分につきましては、昨年九月の地裁判決において国の処分が適法であるとの判断がなされ、現在、控訴審が係属しているという事情があると承知しております。
今後の対応につきましては、これらの事情も踏まえて対応してまいりたいと考えております。
○宮本(岳)委員 いや、一般論では困るんです。この件は、財務省の職員一人の命が関わっている問題であります。
私は、ここに「私は真実が知りたい」という赤木雅子さんの本を持ってまいりました。情報開示を求めている開示請求者こそ、この本の著者、赤木雅子さんにほかなりません。
私は、森友学園問題を、二〇一七年二月十五日、国会で一番最初に取り上げた議員であります。そして、国有地の売却をめぐって財務省理財局や国土交通省航空局と徹底論戦に当たってまいりました。
その過程で発生したのが、決裁文書の改ざんという前代未聞の不祥事でありました。そして、文書改ざんという犯罪行為を無理やり上から強要され、その精神的苦痛と罪悪感、後悔から、ついには自ら命を絶つに至った故赤木俊夫さんの無念を思えば、決裁文書の改ざんを命じた本省理財局の佐川局長以下の幹部職員の責任は極めて重いと言わなければなりません。
ついに文書改ざんが発覚し、これを認めざるを得なくなった財務省は、二〇一八年六月四日、森友学園事件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書を公開するとともに、これに深く関わった本省理財局職員の処分を行いました。
財務省、今度は官房長にお伺いいたしましょう。財務省に改めて聞きますけれども、このとき本省理財局で停職以上の処分を受けたのは誰と誰でありましたか。
○宇波政府参考人 お答え申し上げます。
今の御質問は停職以上ということだと思いますが、当時の佐川理財局長、それから中村理財局総務課長、この二名でございます。
○宮本(岳)委員 私は、これを追及してきた本人ですから、このお二人をよく存じ上げております。
二〇一七年二月二十四日の衆議院予算委員会で、当時の佐川理財局長は私に、売買契約の締結に至るまでの財務局と学園側の交渉記録は存在しない、こういう虚偽答弁を行いました。そして、改ざん発覚後、二〇一八年三月二十七日の衆議院予算委員会での証人喚問では、佐川証人は、申し訳なかった、済みませんでしたと、おわびの言葉を繰り返しました。
佐川氏が、理財局長の後、国税庁長官に就任したことが、さすがに国民の間でも大きな怒りを呼び起こし、改ざんの責任も問われる中で辞任したことはよく知られております。
しかし、もう一人の主要人物、当時の中村稔理財局総務課長は、ほどなくして英国公使として日本を離れました。そこで、財務省大臣官房長に聞きますけれども、この中村稔氏は何年何月に帰国し、現在、財務省でどのような役職に就いておりますか。
○宇波政府参考人 お答え申し上げます。
今の御質問の点でございますけれども、イギリスから帰国した後、令和四年四月に財務総合政策研究所副所長に着任をして……(宮本(岳)委員「四月」と呼ぶ)令和四年六月であります。兼務が取れまして、実際に副所長として、専任として財務総合政策研究所副所長に就任したのが令和四年七月であります。
○宮本(岳)委員 二〇二二年に帰国するや、ひとまず財務総合政策研究所副所長というポジションに就くんですけれども、ものの一か月半で、国税庁のナンバースリー、国際担当の国税庁長官官房審議官となりました。資料二にそれをつけております。
今日は、その中村稔審議官に来ていただいております。中村審議官、随分久しぶりでありますけれども、あなたは六年前のあの決裁文書の改ざん事件をどう受け止めておられるか、率直に聞かせていただけますか。
○石田政府参考人 森友学園案件に関するお尋ねであるため、現在国有財産行政を担当している私から財務省を代表してお答えさせていただきたいというふうに思います。
まず、高い志と倫理観を持ち、真面目に職務に精励していた赤木俊夫さんに改めて哀悼の誠をささげたいと思います。また、御遺族に対しては、公務に起因して自死という結果に至ったことにつき、心よりおわび申し上げるとともに、謹んでお悔やみを申し上げます。
決裁を経た行政文書を改ざんし、それを国会等に提出するようなことはあってはならないことであり、こうしたことを二度と起こさないよう、文書管理の徹底など必要な取組を進めるとともに、問題行為の発生を許した組織風土の改革を進めているところでありまして、引き続き信頼回復に努めていくことが不可欠であると考えております。
○宮本(岳)委員 御本人に答弁してもらいたいんですけれどもね。
この報告書の中でも、中村さんについては、一連の問題行為について、理財局長に最も近い立場にあって、本省理財局内及び近畿財務局に方針を伝達するなど中核的な役割を担っていたと認められる、一部の問題行為については関知していなかったが、これも他の問題行為との整合性を確保するために行われていたものであることを考えれば、問題の全般について責任を免れるものではないとされております。
これは、中村審議官、自覚はされておりますか。
○中村政府参考人 お答えいたします。
高い志と倫理観を持ち、真面目に職務に精励していた赤木俊夫さんに哀悼の意を表したいと思います。また、御遺族に対しては、公務に起因して自死という結果に至ったことにつき、謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。
恐縮でございますが、本日は国税庁長官官房審議官の立場で出席させていただいておりますので、これ以上の答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 よく聞いてくださいよ、これはこの本の中に出てくる赤木さんが残した遺書の一部であります。
刑事罰、懲戒処分を受けるべき、佐川理財局長、当時の理財局次長、中村総務課長、企画課長、田村国有財産審理室長ほか幹部。この事実を知り、抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。事実を、公的な場所でしっかりと説明することができません。今の健康状態と体力ではこの方法を取るしかありませんでした。五十五歳の春を迎えることができないはかなさと怖さ。家族を泣かせ、彼女の人生を破壊させたのは、本省理財局です。
中村さん、あなたはこれを読んだんですか、読んでも何とも思わないんですか。亡くなった赤木さんや赤木さんのお連れ合いに何の言葉もないんですか。
○中村政府参考人 お答えいたします。
先ほど申しましたとおり、真面目に職務に精励していた赤木俊夫さんには哀悼の意を表したいと思います。また、御遺族に対して、公務に起因して自死という結果に至ったことについて、謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。
大変繰り返しで恐縮でございますが、本日は国税庁長官官房審議官の立場で御出席させていただいておりますので、これ以上につきましては差し控えさせていただきます。
○宮本(岳)委員 今日は厚労省にも来ていただきながら時間がなくなりました、済みません。次回に譲りたいと思います。
中村さん、安倍政権時代の二〇一七年二月二十二日、あなたも参加した菅官房長官の下での会議で何が話し合われたのか、それが依然として森友改ざん問題の焦点なんです。洗いざらい正直に語ることこそ、あなたの逃れようのない歴史に対する責任です。
財務省に反省の心があるなら、そして赤木さんの痛みが少しでも分かるなら、財務省が答申に従って直ちに全ての情報を開示することを強く求めて、私の質問を終わります。
○古屋委員長 次に、西岡秀子さん。
○西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。
本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。
早速質問に入らせていただきます。前回の一般質疑で質問できなかった質問から引き続いて始めさせていただきたいと思います。
まず、災害対策におけるジェンダー視点の重要性について伺います。
災害時における男女共同参画の視点からの取組は極めて重要でありまして、元日に発災した能登半島地震におきましても、被災自治体に対して女性視点からの防災・復興ガイドラインに基づく取組が要請されました。また、男女共同参画局の職員の方々が現地の災害対策本部に派遣されるとともに、避難所支援に当たる国、県、市等に対しましては避難所チェックシートの周知、活用の取組が進められました。
現在、地方自治体における防災、危機管理部局への女性職員の配置の状況、また防災会議における女性委員の割合等の現状についてお伺いをさせていただきます。
○小八木政府参考人 お答え申し上げます。
一般に、地震などの大規模災害の発生時には、女性と男性では災害から受ける影響が異なり、とりわけ女性や子供、脆弱な状況にある方々がより多くの影響を受けることが知られておりまして、被災者の多様なニーズに適切に対応するためには、災害対応の現場に女性職員が参画することが大変重要と考えております。
そのため、令和二年に閣議決定しました第五次男女共同参画基本計画におきまして、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインに基づく自治体の取組状況のフォローアップをすることとされ、これを受けて令和三年以降毎年調査を実施しております。
お尋ねの防災部局の女性職員の割合でございますけれども、令和四年十二月三十一日時点で、都道府県平均で一一・一%、市区町村平均で九・九%、女性職員が配置されていない市区町村数の割合は六一・一%となっております。
また、地方防災会議の女性委員の割合は、令和五年四月一日時点で、都道府県平均で二一・八%、市区町村平均で一〇・八%、女性委員が配置されていない市区町村数の割合は一六・八%となっております。
○西岡委員 今御答弁にありましたように、様々な、人員の制限もあるということもあると思いますけれども、都道府県で防災、危機管理部局の女性職員が全くいない自治体が全国平均で六一・一%に上っているという状況がございますし、まず、そもそも、男女を問わず、こういう専門部局に職員の方がおられない自治体も十五自治体あるというふうに伺っております。
災害時に避難所運営等の現場におきまして女性の地方自治体職員が直接参加することは大変有効でありまして、ジェンダーに配慮した取組が進んで、結果としては、障害者の方ですとか高齢者などの要配慮者など、全ての人にとって優しく、そして安心、安全な避難所となることにつながるというふうに考えます。
地方自治体の防災、危機管理部局への女性職員の配置を増やすための取組、また防災会議の女性の割合を増やす取組、具体的にどのようなお取組をされているかということについてお伺いさせていただきます。
○小八木政府参考人 お答えいたします。
防災分野の意思決定過程や災害対応の現場における女性の参画割合は、委員御指摘のとおり低い状況でございます。
このため、内閣府では、第五次男女共同参画基本計画におきまして、地方防災会議の委員に占める女性の割合を三〇%とすることを目標として掲げまして、また、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインにおきまして、防災部局の職員の男女比率を少なくとも庁内全体の職員の男女比率に近づけるよう地方自治体に求めております。さらに、地方防災会議や防災担当部局に積極的に女性を登用している自治体の好事例の収集、展開、自治体職員を対象とした研修、自治体の首長や防災部局の幹部職員を対象としたオンラインシンポジウム等を行っております。
引き続き、関係部局と連携しながら、地方防災会議や防災部局におきます女性の参画拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
○西岡委員 今の御説明があったように、好事例の紹介、横展開ということも取り組んでいただいておりまして、男女共同参画部局との連携ということの中で取組をしていただいているというふうに思います。
総務省にお尋ねをさせていただきます。
能登半島地震におきましても対口支援が進められまして、多くの自治体職員の方々が被災地に応援に入って本当に献身的な支援活動に従事をしていただいております。心より改めて感謝を申し上げるところでございます。
災害時に現地に入り支援していただく方々を支援することの重要性につきましては、松本総務大臣も委員会の御答弁の中で述べられ、そして取組も進めていただいているというふうに思いますけれども、女性の視点を生かす意味におきましても、女性職員を防災、危機管理部局に配置することを進めていくということは大変重要なことであると同時に、災害時の自治体間の派遣要員として、希望する女性職員が現場に参画することができる環境づくり、体制づくりを進めていくということは大変重要なことだというふうに思っております。このことにつきまして、地方行政を所管する総務省としてどのように進めていくのかということについてお伺いさせていただきます。
○小池政府参考人 災害時の避難所運営等において女性の被災者が安心して過ごすためには、女性職員の存在やその視点は重要であると考えております。
内閣府が各都道府県に通知している男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインにおいては、過去の災害において避難所運営支援に多くの女性職員が派遣された事例や、女性職員を派遣する際の留意事項など、女性の視点を踏まえた応援、受援体制の整備等について助言しているものと承知しております。
総務省としましても、被災自治体の災害マネジメントを支援する災害マネジメント総括支援員等において女性の積極的な推薦をお願いしているほか、今回の能登半島地震において総務省が応援職員の宿泊場所の整備を行った際には、女性専用エリアを明確に区分し、女性用テントには防犯ブザーを設置するなど、女性職員が活動しやすい環境整備を行ってきたところです。
今回の災害対応につきましても、応援職員からも意見を聞くなどして検証し、今後の災害に備えてまいります。
○西岡委員 是非、今御答弁いただいたような取組を一層進めていただきますようにお願い申し上げたいと思います。
続きまして、今、船員の方々の高齢化や船員不足が大変我が国にとっての喫緊の大きな課題となっているというふうに認識をいたしております。そのことを踏まえまして、環境整備と必要な諸施策につきまして質問させていただきます。
我が国は、四方を海に囲まれて、海から多くの恵みを享受してきた海洋国家です。水産業につきましては、国内において新鮮な水産物を安定的に供給し、国民の食を支えると同時に、我が国の安全保障上も大変重要な役割を担っていただいております。また、海運業につきましては、海外との物流の九割を担う物流の動脈として、日本経済、社会を支える大変重要な産業でございます。現下、二〇二四年問題を踏まえまして、海運へのモーダルシフトの議論も進んでいく中で、船員の方々が果たす役割はこれまで以上にますます重要になるということは言うまでもございません。
船員の方々は船上での特殊な労働環境にありまして、その中で、陸上と海上をつなぐ洋上における情報通信インフラの整備、海上のデジタルデバイド解消に向けた取組が不可欠でございます。今日お配りをいたしております資料のアンケートの結果からも分かるように、特に若い世代には携帯電話や今は動画視聴がユーチューブを見ることを含めて生活に欠かせないものであると同時に、インターネットの接続状況また地上デジタル放送の視聴も含めて陸上と遜色のない利用環境の整備は、次世代の船員を確保する観点や離職防止の面からも大変重要な施策でございます。
総務省におきましてもこれまで様々なお取組をしていただいているというふうに認識いたしておりますけれども、この取組について松本総務大臣にお伺いをさせていただきます。
○松本国務大臣 おっしゃったように、我が国は海洋国家、本当に海とはしっかりと関わっていかなければいけない国だというふうに考えますが、そのような中で、海洋の事業に携わる船員の皆さんの環境整備というのは大変重要であると認識をいたしております。
今お話がありました情報通信インフラ、今まで以上にやはり生活に欠かすことのできない要素が大変大きくなっていることも確かでありますので、これから、御家族の皆さんたちとのコミュニケーションにもなるものでもありますし、しっかりと施策を進めなければいけないと考えております。
具体的には、携帯電話の利用やテレビ番組を含む動画視聴には沿岸を越えると衛星を用いる必要がございまして、衛星コンステレーションによりこれまでより高速で低廉なブロードバンドのサービスが提供されるようになってきております。本年二月からは、領海外でも使用できるように総務省において制度整備を行わせていただきました。
これからも、総務省としては、皆様のニーズをよくお聞きし、海上などの非居住地域のカバーについても考えてまいりたいと思いますし、技術の進展に応じて情報通信インフラの整備充実を進めることにいたしたいと思っております。
○西岡委員 今大臣からもございました衛星コンステレーションということで、様々技術革新が日々進んでいる中で、これまで以上にやはり通信環境をしっかり整備していくことがより重要となるというふうに思っておりますので、引き続きお取組をお願い申し上げたいと思います。
また、利用しやすい料金体系についても、実際に船で従事されている方々からお聞きをいたしておりますので、併せて要望させていただきたいというふうに思います。
続きまして、船員税制への取組についてお伺いをいたします。
船員につきましては、海上が職場という特殊な環境の下で長期間勤務して我が国の社会経済を支えていただいているわけでございますけれども、その間、一定行政サービスの受益が制限されているという状況にございます。自国船員に対する政策減税の対応につきましては、様々これまでも要望があっているというふうに思っておりますけれども、現場からの声もあるわけでございます。また、地方自治体におきましては、海洋県や港町、また船員の養成機関がある地域を中心といたしまして、既に住民税の減免措置が行われている地域もございます。
この船員税制に対しまして、当然このことは地方自治体が決定するものでありますけれども、我が国のこれからの社会経済を支えていく重要な役割を担っていただいている船員の政策の一つの有効な政策であるというふうに考えますけれども、松本総務大臣の御見解をお伺いさせていただきます。
○松本国務大臣 税制という点で、私の立場からは個人住民税についてということで御答弁申し上げたいというふうに思っておりますけれども、個人住民税は、地域社会の会費としての性格を有する税でありまして、長期の出張などで住所地にいる期間が短い方にも、一定以上の所得がある方には納税していただいているところでございます。
船員の方についても、住所地団体から御家族も含め行政サービスを様々受けていることもあろうかと考えられ、どのようにしていくかを考えなければいけないと考えるところでございます。
御承知のとおり、今お話がありましたとおり、地方団体は個別の納税者の事情を考慮した上で条例に基づき個人住民税の減免を行うことが可能となっておりまして、船員の方々への対応につきましては、こうした点を踏まえ、それぞれの地方団体において御判断いただいているものと認識をいたしております。
地方税の減免につきましては、まさに地方それぞれの団体の自治においてのお考え方ということで、このように申し上げさせていただくことを御理解いただきたいと思います。
○西岡委員 これまでも様々お取組をしていただく中で、自治体独自の取組というところでございますけれども、この自治体独自の取組の情報共有も含めまして、このような施策が今の船員の皆様を支え、将来、次世代を担う船員の皆さんが育っていくことにつながるという中で、是非このことも引き続き大臣の方でもお取組また検討をお願い申し上げたいというふうに思います。
続きまして、洋上投票制度についてお伺いをさせていただきます。
現在の洋上投票の制度につきましては、衆議院、参議院の国政選挙に限られておりまして、地方選挙においては導入されておりません。投票機会の確保のためにも地方選挙への導入ということも検討すべきであるというふうに考えますけれども、このことについて御見解をお伺いし、また、現制度につきましては、今日お配りしております資料にもあるとおり、手続において、様々な書類の取得ですとか手続がありまして、大変煩雑な、複雑な手続がございます。全ての船員が投票することが可能となるように、当然、投票の公平性は担保した上でございますけれども、一定の手続の簡略化ですとか利便性の向上のお取組が必要だと思いますけれども、松本総務大臣の御見解をお伺いさせていただきます。
○松本国務大臣 地方選挙への拡大についてでございますが、洋上投票制度も含めまして、選挙制度の在り方につきましては各党各会派による議論、協議をいただいて定めていただいているところと承知いたしておりまして、洋上投票制度についても各党各会派による議論、協議を経て創設、改正されてきたところでございます。
拡大をする場合に、投票送信用紙等を交付、受信する選挙管理委員会や不在者投票管理者となる船長等の事務負担が大変大きくなる等の課題がありまして、これについてどのように考えていくか、そのことを踏まえて現在は衆議院総選挙、参議院通常選挙に限って導入されていると理解いたしているところでございまして、これにつきましては総務省としても諸課題の検討を行って議論に資するように努めてまいりたいと思っておりまして、政党間の御議論を見てまいりたいと思っております。
手続につきましては、選挙の公正を確保するために、二重投票の防止、投票の秘密の確保等の観点から一連の厳格な手続が定められているところでございますが、投票環境の向上はこれも大切なテーマでありまして、一昨年の参議院通常選挙におきましては、関係の皆様からの御要望をいただき、洋上投票の申出は本邦出航前に限らず、外国を出航する場合には、適切に投票送信用紙等の交付の手続ができる限り外国を出航する前でも可能であるということについて、各選挙管理委員会に対して通知を行ったところでございます。
今後とも、各選挙管理委員会と連携をしながら利便性の向上に向けて取り組みたいと思っております。
○西岡委員 利便性の確保、簡略化できる部分につきましては、引き続きのお取組をお願い申し上げたいと思います。
時間が大変少なくなってまいりましたけれども、中小企業の賃上げを後押しするための政策について質問させていただきます。
昨日、厚労省から発表されました二月の毎月勤労統計調査によりますと、実質賃金は前年同月から一・三%減少しまして、マイナスは二十三か月連続となりました。また、依然として物価の伸びに賃金が追いついていない状況というのが明らかになっております。
国民民主党としては、ガソリン価格につきましては、トリガー条項凍結解除や暫定税率、二重課税の廃止について改めて新しい法案を提出いたしておりますけれども、これまで投入してきた石油元売に対する補助金につきましては、同様の補助金を引き続き続けるということが決定された中で、出口戦略については描かれない状況が続いております。財務省として、今まだ出口戦略を決定いたしておりませんけれども、このことについての見解、そして我が党が三月二十九日に提出いたしておりますシン・トリガー法案についての御見解も併せてお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
○小宮政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の法案において御提案いただいているトリガー条項凍結解除、二重課税、暫定税率の廃止についてでございますけれども、まず、トリガー条項の凍結解除については、三党の協議の中でも、ガソリンスタンドや元売の顧客対応を含めた事務負担が大きいなどの課題が指摘されているほか、脱炭素に向けた国際的な潮流との関係、国、地方合計で一・五兆円の財源が必要となることなど、様々な課題が解決される必要があると考えているところでございます。
消費税が揮発油税等にもかかり二重課税となっているという御指摘につきましては、消費税と揮発油税との関係という点で、消費税の課税標準である価格に揮発油税のような個別間接税を含むという取扱いは国際的に確立したルールとなっていることを踏まえますと、現在の制度に特段の問題があるとは考えていないところでございます。
暫定税率につきましては、平成二十一年の道路特定財源の廃止を踏まえてその取扱いが検討され、地球温暖化対策の観点や厳しい財政事情を踏まえて、それまでの税率が維持されて当分の間税率とされた経緯がありますけれども、その後、地球温暖化対策の必要性や厳しい財政事情といった状況はより深刻さを増しておりまして、その廃止については慎重であるべきと考えているところでございます。
いずれにいたしましても、燃料油の激変緩和措置の今後の対応について、脱炭素化等の観点から出口戦略を描くことは重要であると考えておりますが、本措置をどの程度延長するかにつきましては、中東情勢の緊迫化等を背景とした価格高騰リスクや賃金動向等も含めた様々な経済情勢を見極めながら判断されるものであると認識しているところでございます。
○西岡委員 質問を終わります。ありがとうございました。
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○古屋委員長 次に、内閣提出、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案及び第二百十二回国会、岩谷良平さん外一名提出、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。松本総務大臣。
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特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○松本国務大臣 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
近年、インターネット上のSNS等の特定電気通信役務を利用して行われる他人の権利を侵害する情報の流通による被害が深刻化する一方、情報発信のための公共的な基盤としての特定電気通信役務の機能が重要性を増しております。このような情報流通プラットフォームにおける権利侵害等に対処するために、大規模なSNS事業者等を大規模特定電気通信役務提供者として指定し、削除対応の迅速化及び運用状況の透明化を図るための義務を課す等の措置を講ずる必要があります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、題名を特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律に改めることとしております。
第二に、大規模なSNS事業者等を大規模特定電気通信役務提供者として指定することとしております。
第三に、削除対応の迅速化として、大規模特定電気通信役務提供者は、SNS等において自己の権利を侵害されたとする者から削除の申出を受け付ける方法を公表し、必要な体制を整備して削除についての調査を行うとともに、一定期間内にその結果等を申出者に通知しなければならないこととしております。
第四に、運用状況の透明化として、大規模特定電気通信役務提供者は、削除等の実施に関する基準を定め、公表するとともに、削除等を行ったときは、その旨及びその理由を発信者に通知しなければならないこととしております。
以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要でございます。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○古屋委員長 次に、中司宏さん。
―――――――――――――
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○中司議員 ただいま議題となりました日本維新の会提出の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。
近年、インターネット上の誹謗中傷による被害が多数発生し、被害者等の人権を著しく侵害する等の問題が深刻化しております。表現の自由に留意しつつ、この問題に対処するため、我が党は、二年前にインターネット誹謗中傷対策推進法案を提出しているところであり、インターネット誹謗中傷を防止し、被害者の救済を図るための施策を総合的に講ずることが必要であると考えております。インターネットリテラシーの向上、被害者の負担の軽減など様々な課題があるわけですが、その中でも、プロバイダーの対応につきましては、削除基準が不透明である、削除や発信者情報開示の実施状況が不透明であるといった点が指摘されているところであります。
この法律案は、これらのプロバイダーの対応に係る課題に対処し、大規模なSNS事業者等による削除や発信者情報開示の透明性の向上を図ることで、大規模なSNS事業者等による削除や発信者情報開示が適切に行われ、被害の拡大の防止や被害者の円滑な救済が図られるようにするとともに、SNS等の利用に当たっての判断に資するようにするものであります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、総務大臣は、審議会等に諮問の上、大規模なSNS事業者等を指定特定電気通信役務提供者として指定することとしております。
第二に、指定特定電気通信役務提供者は、削除の実施に関する基準を作成し、公表するとともに、削除の申出先、申出方法等及び発信者情報開示の請求先、請求方法等を公表しなければならないこととしております。
第三に、指定特定電気通信役務提供者は、削除及び発信者情報開示の実施状況や自己評価等に関する事項を、毎年少なくとも一回、公表しなければならないこととしております。
第四に、総務大臣は、審議会等に諮問の上、指定特定電気通信役務提供者による削除及び発信者情報開示の実施状況等の公表に関する指針を定め、これを公表することとしております。
なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
以上が、この法律案の趣旨及び内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○古屋委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○古屋委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
両案審査のため、来る十六日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る十六日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十五分散会