第3号 令和6年12月18日(水曜日)
令和六年十二月十八日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 竹内 譲君
理事 あかま二郎君 理事 塩崎 彰久君
理事 島尻安伊子君 理事 おおつき紅葉君
理事 岡島 一正君 理事 山花 郁夫君
理事 吉川 元君 理事 守島 正君
理事 向山 好一君
石橋林太郎君 大西 洋平君
勝目 康君 加藤 竜祥君
小寺 裕雄君 小森 卓郎君
佐藤 勉君 高市 早苗君
田所 嘉徳君 中野 英幸君
福原 淳嗣君 古川 直季君
山口 俊一君 若山 慎司君
おおたけりえ君 岡本あき子君
奥野総一郎君 杉村 慎治君
高松 智之君 武正 公一君
西川 厚志君 福田 昭夫君
松尾 明弘君 道下 大樹君
黒田 征樹君 杉本 和巳君
福田 玄君 中川 康洋君
山川 仁君 辰巳孝太郎君
…………………………………
総務大臣 村上誠一郎君
総務副大臣 冨樫 博之君
総務副大臣 阿達 雅志君
内閣府大臣政務官 友納 理緒君
総務大臣政務官 古川 直季君
総務大臣政務官 長谷川英晴君
防衛大臣政務官 金子 容三君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 大森 一顕君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 小八木大成君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房審議官) 竹林 悟史君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 恩田 馨君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 玉田 康人君
政府参考人
(総務省大臣官房地域力創造審議官) 望月 明雄君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 阿部 知明君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 小池 信之君
政府参考人
(総務省自治財政局長) 大沢 博君
政府参考人
(総務省自治税務局長) 寺崎 秀俊君
政府参考人
(総務省情報流通行政局長) 豊嶋 基暢君
政府参考人
(総務省情報流通行政局郵政行政部長) 牛山 智弘君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局長) 湯本 博信君
政府参考人
(消防庁次長) 田辺 康彦君
政府参考人
(法務省大臣官房政策立案総括審議官) 上原 龍君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 田原 芳幸君
政府参考人
(資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官) 木原 晋一君
政府参考人
(中小企業庁次長) 飯田 健太君
政府参考人
(防衛省防衛政策局次長) 上田 幸司君
政府参考人
(防衛省統合幕僚監部総括官) 小野 功雄君
参考人
(日本放送協会専務理事) 小池 英夫君
総務委員会専門員 阿部 哲也君
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委員の異動
十二月十八日
辞任 補欠選任
川崎ひでと君 勝目 康君
同日
辞任 補欠選任
勝目 康君 川崎ひでと君
同日
理事山花郁夫君同日理事辞任につき、その補欠として岡島一正君が理事に当選した。
―――――――――――――
十二月十七日
地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件
――――◇―――――
○竹内委員長 これより会議を開きます。
理事の辞任についてお諮りいたします。
理事山花郁夫君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、理事に岡島一正君を指名いたします。
――――◇―――――
○竹内委員長 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会専務理事小池英夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官大森一顕君外十九名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石橋林太郎君。
○石橋委員 皆様、おはようございます。自由民主党の石橋林太郎であります。
冒頭、まず、先般の総選挙におきまして二期目の議席をお与えいただきました、中国地方、そしてまた、とりわけ広島の皆様に心から御礼を申し上げたいと思います。我が党にとって大変厳しい選挙でありましたけれども、その中において、お預かりしたこの二期目の議席をしっかりと生かして、国家国民のために少しでも力になれるように全力で任期を全うしてまいりたい、そのような思いを持って、今日の質問に入らせていただきたいというふうに思います。
まず初めに、今年の一月一日に発災をいたしました能登半島地震でお亡くなりになられました皆様に心から御冥福をお祈り申し上げたいというふうに思います。また、今日もまだ大変な御不便の中で生活していらっしゃる被災地の皆様に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
私も当時、国交大臣政務官をさせていただいている中で、一月一日、ちょうど在京当番の日にあの地震が起きました。その後に様々会議にも参加をするわけでありますけれども、その中で感じたのは、国交省を始め日本政府の各役所の皆様がしっかりと事案に対応してくださっているということ、また、地元の民間の皆様も本当に、御自身も被災されている中にもかかわらず一生懸命に地元の復旧復興に力を尽くしてくださっているということであります。本当に頭の下がる思いでありますし、今もなおその御努力が継続されていることに心から敬意を表したいというふうに思いますし、感謝を申し上げたいというふうに思います。
私たちも、国会の場においてしっかりとそうしたことを頭に常に置きながら、能登の一日も早い復旧復興に向けて皆様とともに力を合わせていきたい。とりわけ、総務省の皆様におかれましても様々なお仕事、重要なお仕事があるかというふうに思います。皆さんと一緒になって一日も早い復旧復興を目指してまいりたいというふうに思うところでございます。
本日の質問ですけれども、まず地方創生二・〇ということにつきまして少しお伺いをしたいと思います。
直接総務省の所管じゃないというふうに承知をしておりますが、私も広島で県議会議員をしていた経験がありまして、今般の石破政権の掲げます地方創生二・〇というのは、地方出身の私たちにとって非常に希望を抱かせていただくフレーズだというふうに思っています。
また、総理所信におかれましても、石破総理が、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増するということを明言してくださっています。このことも大変私ども地方にとりましては心強いことであります。
この地方創生二・〇でありますけれども、地方こそ成長の主役、そうした発想に基づいて、地方がそれぞれの特性に応じた発展を遂げることができるように、日本経済成長の起爆剤として大規模な地方創生策を講ずるために、内閣に新しい地方経済・生活環境創生本部が設置されたというふうに承知をしているところであります。
第一回目の資料を少しだけ拝見しましたけれども、地方創生二・〇の趣旨ということで、以下のようなことが書かれていました。
都市も地方も、安心、安全で心豊かに暮らせる持続可能な地域経済社会をつくるために、これまでの成果と反省を生かし、地方創生二・〇として再起動させて人口減少対策につなげていく。また、国は、国でなければできないこと、国として挑戦せねばならないことにしっかりと取り組み、省庁の縦割りを排し、各省連携して施策を統合化、重点化して推進していく。また、地方においては、産官学金労言から成る地域のステークホルダーが知恵を出し合い、ほかの地域の好事例も学びつつ、自主的に、また主体的に取り組んでいくんだというようなことが地方創生二・〇の趣旨ということで書かれていました。
こういったことを拝見して、全体的なイメージは何となく浮かぶわけでありますけれども、私自身まだまだ不勉強でありまして、細かなところ、具体的なことがいまいち分からないままでもあります。幸い、これから年末年始にかけて、私たちも地元に帰って、地元の活動に邁進をしていきます。その中で、まさにここに書いてあるような地域のステークホルダーの皆さん、商工会の方であったり地域のPTAの方であったり、そうした方々とも様々お目にかかる機会がありますので、是非、そのときに地元の皆様に、今回の地方創生二・〇はこういったことをしようとしているんだというのを、私のようになかなか理解が遅い者でも分かりやすく皆様に説明させていただけるような、そうした分かりやすい御説明をまず最初にしていただければと思います。
地方創生二・〇、これは一体どういったものなのか、御説明を賜りたいと思います。
○大森政府参考人 お答えいたします。
人口減少により、地域の活力そして経済の活力が低下している中、地方創生二・〇というのは、単なる地方の活性化策ではなく、日本全体の活力を取り戻す経済政策であり、また、国民の多様な幸せを実現するための社会政策でもあります。
経済政策といたしましては、地域に密着した農林水産業、観光産業、文化芸術といった地域資源の活用を進めるのみならず、新たな技術革新の中で今後成長していく半導体やGX、こういった戦略分野での大規模投資等も加速し、国全体に波及効果を及ぼしていくような取組、これらの双方を進めていくものであります。
社会政策といたしましては、若者や女性が安心して働き、暮らせる環境づくりを進めていくことが重要であります。例えば、女性雇用のいわゆるL字カーブの解消や非正規雇用の正規化の推進といった取組が効果的であると考えております。
持てるポテンシャルがまだまだ眠っている地方の産業や文化、これらを支える人材の力を最大限に引き出し、日本全体を創生していくことを目指してまいりたいと考えております。
○石橋委員 御説明ありがとうございました。
広く経済対策であり社会政策であるというお話、それから、特に私としては、若者それから女性に対してしっかりとチャンスを切り開いていくんだ、そして何より地域に眠っているポテンシャルをという言葉をいただきまして、本当にありがたい言葉だというふうに思います。私の地域も、住宅地もあれば中山間地域も抱えておりますけれども、おっしゃるとおり、地域のポテンシャルというのはまだまだあると思います。それをしっかりと掘り起こしていく、そのための地方創生二・〇だというふうに理解をして、地元に帰ったときにもまた皆様にお伝えをしていきたいと思うわけであります。
その中で、今般、総理が倍増すると言ってくださっている地方創生の交付金ですけれども、これについて、もし分かればで結構でありますけれども、具体的な規模感でありますとか、また、名称もはっきり確認をさせていただきたい。そして、実際に使うのは地方自治体がメインになろうかと思いますけれども、その使い方等におきまして、これまでの地方創生の交付金と、もし従来と特に違う点などがあれば、少し詳しく教えていただければと思います。
○大森政府参考人 お答えいたします。
地方公共団体の自主性と創意工夫に基づき、地域の多様な主体の参画を通じた地方創生に資する地域の独自の取組を計画から実施まで強力に後押しする、こういったために、令和六年度補正予算におきまして、新しい地方経済・生活環境創生交付金という名称で新しい交付金を創設し、一千億円を措置させていただいたものであります。
具体的には、地域資源を最大限に活用した農林水産業や観光産業等の高付加価値化、買物、医療、交通など日常生活に不可欠なサービスの維持向上、あるいはデジタルや新技術を活用した付加価値創出等の取組、こういったものを支援するものでございます。
新しい地方創生交付金につきましては、当初予算ベースで倍増しつつも、できるだけ早く地域の方々、地方自治体の皆様にお届けするため、前倒しで今回措置するものでございます。
引き続き、こうした地域独自の取組を一層強力に後押ししていくため、この交付金等も活用しながら、地方の現場から上がってきたニーズにしっかりお応えしてまいりたいと考えてございます。
○石橋委員 ありがとうございました。倍増をしていただくということ、本当にありがたい限りであります。
もちろん、予算でありますので、規模感ありきということだけではなく積み上げが大事だとは思いますけれども、でも、同時に思うのは、やはり規模も大事だなということを地方からは思うわけであります。
地方創生の交付金だけではありませんけれども、この三十年間、我が国がなかなか経済が成長してこなかったその弊害の一つに、単年度での予算を立てて執行していくという、単年度主義の弊害というものも指摘されることがあるというふうに思います。
そうしたことを考えますときに、長期間で一定の規模感があるものをしっかりと確実に出していくんだということを政府が示していくというのは地方にとって非常に大事であります。また、民間企業にとっても事業の先行きを立てやすくする、見通しを立てやすくすることにもつながるというふうに思いますので、そうしたことも念頭に置きながら今後は当初予算の作成に向けて臨んでいただければありがたいというふうに思います。
続きまして、災害のことについて少しお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
今回、能登の被災地におきましても、発災後から様々、先ほど申し上げたとおり、復旧復興に御尽力いただいておりますことに感謝を申し上げたいと思います。
質問をちょっと飛ばして四番目に参りますけれども、その中で、ネット環境を整備するというのは、今この御時世におきましてはTKBのみならずネット環境も私たちの生活に必要不可欠でありまして、非常に大切だというふうに思っています。
ネット環境の整備に関しまして、今回、大臣の所信の中にも、官民でしっかりと連携して取り組んでいきたい、強化をしていきたいというようなお言葉もありました。そのことを踏まえた上で、今回の能登半島における通信環境の確保に際しまして、官民連携がどのような形で実施をされたのか、そしてまた今後どのように取り組んでいこうとしていらっしゃるのか、御紹介いただければ幸いです。
○阿達副大臣 まず、今般の能登半島地震及び豪雨により犠牲となられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
能登半島地震においては、携帯電話サービスの維持、早期復旧に当たり、官民連携による取組が進められたところであり、具体的には、携帯電話事業者各社が移動電源車、車載型基地局、衛星インターネット機器といった応急復旧機材の設置を進め、総務省は応急復旧に必要な機材、燃料、人員の搬送や道路の啓開について自衛隊や国交省などの関係機関との調整を行うといった取組が行われました。
総務省においては、今回の能登半島地震の取組も踏まえ、引き続き、官民や事業者間の連携のための体制を整備するとともに、大容量化した蓄電池、ソーラーパネルの設置や衛星回線による通信回線の冗長化による携帯電話基地局の強靱化、移動電源車の配備等による応急復旧体制の整備などの通信インフラの強靱化についても国が事業者とともに進めることにより、災害時において通信サービスが維持され、あるいは早期に復旧するよう取り組んでまいります。
また、無人飛行機や衛星との直接通信の実現に向けた取組も進んでおり、総務省としても、技術開発や制度整備によりその取組を支援するほか、災害時等でも無線で応急的にネットワークを構築できる公共ブロードバンド移動通信システムの整備と更なる高速化等を進めることにより、携帯電話が復旧されていない地域を含め、被災地における通信の確保に取り組んでまいります。
○石橋委員 ありがとうございました。
さきの地震もそうですけれども、今後、首都直下の地震、南海トラフ、東南海等々、心配をしております。また、ただでさえ近年の災害が激甚化、頻発化しておりますので、そういった取組をしっかりと進めていただきますことは私も一国民として本当に心強く思うところであります。これからも、大変お忙しい中だとは思いますけれども、しっかり災害に強い国土づくり、体制づくりに向けて御尽力を賜れればというふうに思います。
続きまして、所信の中にありました消防団を中核とした地域防災力の向上ということにつきまして、具体的にどういった取組を進めようとしていらっしゃるのか、少し御説明を賜れればと思います。
○田辺政府参考人 大規模災害になればなるほど地域に密着した消防団の力が重要とされる中、依然として消防団員数は減少しており、団員確保を含めた消防団の充実強化を図ることが極めて重要と考えております。
そのため、消防庁では、消防団員の処遇の改善、女性や若年層にターゲットを置いた広報、機能別消防団員制度の活用促進、企業と連携した入団促進、各地域の優良事例の横展開など、できる限りの対策を講じているところです。
また、令和六年度補正予算においては、能登半島地震を踏まえた、小型、軽量化された車両、資機材の整備やドローンの操縦講習の充実を図るなど、消防団の災害対応能力の強化に向けた措置を講じることとしております。
引き続き、こうした様々な施策を通じて消防団を中核とした地域防災力の向上に取り組んでまいります。
○石橋委員 ありがとうございます。
消防団、先ほど団員数の減少というお言葉がありました。私の地元でも、なかなか団員の確保が難しいという話を消防団の方からも直接聞きますし、また、インセンティブが難しい、なかなか処遇も、改善といいましても金額が上がるわけでもないですし、ということをいろいろ聞いております。そうはいいながら、地域で、消防団の皆さんを始め、皆さんと一緒になって防災活動をすることは重要でありますので、引き続き、何とか地域から消防団がなくならないように、地域の皆さんが頑張れるようにお力添えを賜りたいというふうに思います。
済みません、時間を超えましたけれども、以上で質問を終わらせてもらいます。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、福田昭夫君。
○福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。
村上先生、この度は総務大臣就任おめでとうございます。今日は、大臣のすばらしさを是非引き出したいと思いまして、率直な質問をいたしますので、決してそれで内閣不一致だなんてやぼなことは言いませんから、ちゃんとまともにお答えいただければと思います。
まず、国民の皆さんから寄せられるデジタル化をめぐる問題点について、一つだけ経産省と総務省から話を伺いたいと思っています。
デジタル化によってペーパーレスが進むのはいいんですけれども、国民の皆さんからは、電気、ガス、電話等の使用量検針票、領収証等の発行が今まで無料だったものがどうも有料となってしまったと。なぜ有料になったのか所管省庁ごとにお聞きしたいと思っているんですが、その根拠はどこにあるのかということを中心に簡潔に答えていただければありがたいと思っています。どこで聞いても誰も答えてくれる人がいないんですよ。是非お答えいただければと思います。
○木原政府参考人 お答え申し上げます。
電力・ガス事業においては、小売部門は自由化されておりまして、御指摘の電気、ガスの検針票に係る費用を含め、小売事業者が事業の実施に要した費用をどのように需要家に御負担いただくかは各小売事業者において判断することが原則となっております。
その上で、一般論として申し上げれば、近年、メール等の電子的な方法で検針票等の交付を受ける需要家が増えている中で、紙媒体の検針票等の発行や需要家へのお届けに要する単位当たりのコストは増加傾向にあります。このため、一般的には、事業者が、需要家間の負担の公平性や事業の効率化の観点から、需要家に対して適切な周知を行いつつ負担をお願いしているものと考えられます。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
例えば、NTT東西におきましては、平成二年十月以降、加入電話の支払い証明書に係る発行手数料につきましては有料化しているところでございます。
電気通信事業法におきましては、加入電話等の利用料金の支払い証明書に係る手数料は規制しておらず、その理由につきましてはつまびらかに承知しておりませんが、受益者負担等の観点を踏まえ、各社の経営判断に基づき設定されているものと認識しているところでございます。
○福田(昭)委員 ということは、法的根拠は何もないということですよね。要するに事業者に任せている、こういう話ですね。では今まで出してきたのは何だったんだという話にもなるんですが、今までは商慣習みたいなもので出してきたのかとか、企業側も十分な説明が必要なような気がいたしております。
それでは、時間がありませんので次に行きます。
二番目、地方財政の問題点について、大きく二点ほどお伺いします。総務大臣の方にお伺いします。
私は、我が国の三大格差と是正策、これが必要だと思っておりますが、一つは個人の格差、これは所得格差ですね、それと是正策、それから二番目が企業、法人のやはりこれも所得格差ですね、その是正策。この二つはやはり国がしっかりと所得再分配機能を発揮して個人も企業も担税力に応じて税を負担してもらう、そういう税の抜本改革が必要だ、こう思っております。
そんな中で大臣にお伺いするのは、三番目の地方自治体の格差と是正策です。地方自治体も、政令指定都市とか県庁所在都市と地方の小さな市町村では財政力の格差がどんどんどんどん広がっています。そういうことから考えると、これの是正策もしっかりやらなくちゃならないんじゃないかなと思っていますが、大臣のお考えをお伺いいたします。
○村上国務大臣 福田先生御承知のように、地方交付税は、自治体間の財政力格差がある中で、財源の不均衡を調整するとともに、どの地域に住む国民にも一定のサービスを提供するための必要な財源を保障する重要な役割を担っていると思います。
こうした役割を適切に果たしていくためには、地方交付税を含めた一般財源総額の確保が重要であり、令和六年度地方財政計画においても、前年度を〇・六兆円上回る六十二・七兆円を確保いたしました。
令和七年度に向けても、社会保障関係費、人件費の増加や物価高などが見込まれる中で、自治体が様々な行政課題に対応しつつ安定的にサービス提供ができるよう、引き続き、地方交付税を含む一般財源総額をしっかりと確保して適切な交付税の算定に努めていきたい、そういうふうに考えております。
○福田(昭)委員 自治体間の格差は地方交付税で是正するほかにないんですよね。ですから、これをやはり増やしていくということが大事だと思っています。
二つ目の地方税制については、地方財政審議会等の答申どおりの話なので今日は省略いたします。時間がないので次に行きたいと思っています。
それでは、次に、大きな三番目。村上大臣の言う、低所得者の生活を守りつつ財政再建を進める大胆な税制改革についてであります。理事会に諮らないと本は見せられないそうでありますが、こういう本であります。
この中で大臣が言っていること、富裕層と大企業に負担増を求める大胆な税制改革が必要だ、これは私も大賛成です。この中で大臣が具体策を六つ挙げているんですけれども、第一から第二、第三、第四、そうですね、第五までは私も大体賛成です。しかし、第六、これについては異議ありで、これは反対です。なぜかということをこれから申し上げますが、具体策の第六は消費税の引上げ、こう言っているんですよ。これから申し上げます。
私は、消費税の本質は封建時代の人頭税と同じで、赤ちゃんから寝たきりのお年寄り、全く所得のない人も高額所得者も一律、一〇%と八%、強制的に取るんですよ。まさに人頭税と一緒です、性質は。
これも新自由主義者の考え方で、株主第一主義、市場万能主義の新自由主義者の皆さんは、税制はできるだけフラットにしろ、こういう改革を我が国もやってきたんですよ。ですから、フラット化、まず消費税でしょう、それから住民税でしょう、全く一律にしちゃった。
税金は、先ほども申し上げましたが、個人も法人もそれぞれ能力に応じて、累進税率を入れて、担税力に応じて負担していただく。しかも、法人税は、赤字法人は御案内のとおり納めなくていいんですよ。しかも、十年間も赤字は繰り延べて精算できるんですよ。だから、日本の有名な大会社も巨大会社も五年、六年法人税を納めなかったときもあるんですよ。それぐらい優遇されているわけでありますから、法人税もちゃんとしっかり上げれば、累進税率を入れて上げれば実は税収は大幅に増えるんですよ。去年や今年、今年はちょっと落ちているかな、去年みたいに法人税が上がっているとき、累進税率がなくたってこんなに増えてきている。これで累進税率を入れたらもっと増えます、大幅に。ですから、是非そういう形のものでの税制の抜本改革を。
消費税をつくったときに、法人三税引下げ、所得税、住民税引下げ、さらには金融所得課税も引下げ、そして相続税はちょっと戻しましたけれども引き下げた。こういう逆をやれば、実は、消費税を例えば五%に下げても、その代わりの税財源は制度設計次第で簡単に出てくるんですよ。それほど日本の経済力というのは実は本当はあるんですよね。財務省はないないと言っていますけれどもね。財務省は赤字だ赤字だと言っていますけれども、本当はあるんですね。ただ財務省がまともな税制をやっていないというだけの話なんです。
是非、そういった意味で、消費税は下げる、それも、これだけの物価高対策でいろいろな人が困っているし、農家の人さえ困っている、そういう状態でありますからやはり私は消費税引上げは反対で、むしろ下げるべきだと。一番経済効果が高いのは消費税の引下げですから。そうすれば手取りも実は増えちゃうんですよ、消費税を下げると。そういう意味では、ガソリンも含めて全ての物価が下がりますから、そういうわけで上げることには反対なんです。お考えがありましたら言ってください。
○村上国務大臣 福田先生には、私の拙文を読んでいただいてありがとうございました。
ただ、お分かりいただけると思うんですけれども、そのほかの点については先生も御理解いただけるわけですね、消費税以外。消費税について、やはりいろいろ価値観が分かれると思うんですよね。だから、私自身としては、人頭税という考え方もあるんですが、やはり応分に国民が負担することは重要だと思います。ただ、これは、これを言い出すと本当にちょっと問題があるのではと。(福田(昭)委員「もういいです」と呼ぶ)いいんですか。これから話そうと思っていました。
○福田(昭)委員 済みません、時間がなくなっちゃうので、もう結構です。
それで、消費税がいかにひどい税金かというのがよく分かるように、資料を見てください、資料の一です。消費税は本当に全世代型社会保障を担う切り札なのかということなんですが、まず一番目、東京財団研究主幹の森信茂樹氏、元大蔵官僚の認識であります。彼が講演で述べた、まとめた資料を出しておきました。
消費税は全世代型社会保障を担う切り札として、長所、短所を挙げております。
長所。一、同等の消費水準には同等の税負担を求める水平的公平性に優れる。まさに新自由主義者の考え方そのものですよね。二、特例措置が少なく簡素な税制。これは当たっているかもしれません。三、安定した税収が得られる。それはそうです、国や地方自治体や関連の団体もみんな納めていますからね。四、税負担が勤労世帯に偏らない。これはうそです、勤労世帯ほど扶養家族がおりますから一番納めています。五、輸出時に還付されるので国際競争力を弱めない。六、貯蓄に課税しないので資本蓄積に有利だ。この五と六を見ると、誰のための消費税かというのがはっきりすると思います。それから七、消費という欲望の充足時に課税するので、哲学的に受け入れやすい。これもおかしいんじゃないですかね、日々の生活の食料品にまで課税しておいてですよ。だって、人間は食べなくちゃ生きていけないんですよ。哲学的に受け入れやすい、違うじゃないですか。だったら物品税に戻したらいいじゃないですか。
短所。逆進性。これはよく言われることですよね。それから、益税。益税なんかはひどいですね。今回、インボイス制度を入れて売上げ一千万円以下の小規模事業者からかき集めるわけですよ、税金を。今年は特例措置があって千七百五十億円ぐらいの予算だそうでありますが、まともになると二千億円ぐらいになるそうでありますが、こうなると日本の小規模事業者がどんどんどんどんなくなっていきますよ。ですから政府は、日本のアニメ産業をこれから輸出を伸ばしていこうというときに、アニメを作っている人たちはみんな年収一千万円以下ですよ、こういうものまで潰しちゃうのがインボイスですよ、ですからこういう天下の悪税はよした方がいいと思います。
さらに、二番目の方に行きますと、皆さん、消費税には多額の還付金があるんですよ。令和六年度予算では、当初予算でありますが、国、地方合わせて何と四十一兆九千百四十三億円を見積もっています。そのうち還付金は何と十一兆六千九百九億円、還付率約三割ですね。こんなお金を大企業、特に輸出産業に還付しちゃう、戻しちゃうんです。こういう税金を栃木弁で言うと何というか。こでらんない税金だというんですよ。こんな、こでらんない税金をね。だから大企業は消費税を上げろ上げろと言うんですよ、経団連は。取り過ぎじゃないですか、余りに。
さらに、括弧二の方を申し上げると、令和六年度当初予算における消費税の使途ですけれども、使い道、財務省と厚労省それぞれの予算の中で上げておりますけれども、国、地方の合計三十兆二千億円が年金、医療、介護、少子化対策に充てられている。
それは、資料の二を見ていただければ、皆さんがよく見ている話であります。私が質問すると主税局長が答えるんですよね、いやいや、そうはいっても反対給付があるからと、四つの社会保障経費ですね、これがあるからしゃあないんだと言うんですよ。これで片や巨額の還付金を出しておいて、さっき言ったように赤ちゃんから寝たきりのお年寄り、全く所得のない人からもがばっと一〇%、八%を取っておいてですよ、反対給付があるからいいんだってこの理屈、通りますか。私の常識では通らない。私の常識では通りませんよ、大臣。
そんなことで、その次、三番目。消費税の最大の欠点は何かというと、税率を上げれば、それだけ全物価を上げて、消費を停滞させ、景気を悪化させ、経済成長を阻害する、邪魔するんですよ。
ですから、こんな税金で財政再建はできません。政府、財務省は事あるごとに言いますよ、経済成長なくして財政再建なしだと。しかし、言っていることとやっていること、全く逆のことをやっているんですよ。消費税は経済成長を阻害しちゃうんですから。それでどうやって財政再建をするんですか。増税するほかになくなっちゃうじゃないですか。増税すればするほど、どんどんどんどん経済成長しなくなっていくんですよ。ですから、これも駄目で、経済を成長させ給料を上げて財政再建を進めるためには、先ほども申し上げましたが、国税の基幹三税である金融所得課税を含む所得税、法人税、消費税の大改革を行って、大臣の言うように大改革を行って中長期的に進めるほかにないんじゃないですか、財政再建は。
資料の三、御覧いただきたいと思います。
御覧いただければまさに書いてありますように、衆議院の財務金融委員会の調査室がで作ってくれている資料です。平成元年に消費税を創設いたしました。それからずっと三十数年たって、令和六年度の予算のところを見ていただくと、御案内のとおりですよ。まず、消費税は赤ですけれども、断トツの一位になっちゃった、二十三・八兆円。そして、その次が所得税で、これが十七・九兆円。緑の線、これが法人税、十七兆円ですよ。
まさに、平成元年、竹下内閣のときに直間比率の見直しということでスタートした消費税ですが、いつの間にか財務省は消費税法の中に三経費に充てるんだ、四経費に充てるんだという税制改正をして、法律で決めれば何でもできる、こういう考え方で政府、財務省はやってきたんですよ。でも、私はこれは間違いだと思っています。これだけの年数を見れば一目瞭然ですよ、これね。
私がうそをついている数字じゃないんですよ、これ。ちゃんと衆議院の財務金融委員会の調査室がまとめてくれている数字です。この数字を見て、今の税制がいかに不公平な税制か、おかしい税金かと気がつかないとおかしいと思っています。これを抜本的に、それこそ大臣の言うように消費税の減税も含めて抜本的にやることによって、消費税を下げたら逆に景気はよくなって経済成長していきますよ。その代わりの税財源は、逆をやれば簡単に出てきますから。制度設計次第です。
そして、隣の韓国、実は法人税に四段階の累進税率を入れています。アメリカもトランプ大統領以前は四段階入れていました。私も、アメリカの例を参考にしてプロフェッショナルに二回ほど試算してもらいました。御案内のとおり、景気に山あり谷ありですからね。そうすると、やはり山のときには税金は増えて谷のときは減るんですよね、減るんですよ。山のときに法人税に累進税率を入れたら、圧倒的に増えますから。例えば令和三年度決算で私の制度設計でやってもらったら、法人税だけで八兆円も増えちゃいました。もっとまともにやると、もっと増えると思います。そういう意味で、所得税の最高税率を上げるということも私は賛成です。
消費税をつくる前は所得税は何と、八千万を超えると七〇とか七五%という時代がありました。消費税をつくってから一気に下げました。地方の住民税が一律一〇%になっちゃっていますから、こちらもかつては、つくる前は十五段階ぐらいあったんですね。ですから、そういう意味では、住民税にも累進税率を入れたり、所得税にも累進税率を入れて。しかし、私もまさか所得税の七〇、七五%は高過ぎると思っていますから、そこまでは私も求めませんけれども、高額所得者や大企業には増税しても景気には影響しませんから。
私は大企業の経営に携わった人と話をしたことがありますが、その方が私に言いました。福田さん、大企業は税金は関係ないからね、幾らだって納めるからねと言われたことが私は頭にありまして、それでいろいろ国会に来てから税の勉強をさせていただきましたけれども、残念ながら財務省はちょっと、頭のいい人がそろっているのに何でこれ、分かっているのかな、分かっていないのかな。多分、分かっていてやっているのかもしれないですけれどもね。
これも本を見せられないんですが、消費税という巨大権益で潤うやつらの正体、こういう本を実は元国税庁の職員であった大村大次郎君というのが書いているんですよ。彼が何ということを言っているかというと、何と、消費税そのものは大蔵省のキャリア官僚がフランス旅行をしたときに思いつきでつくった税金だというんです。フランスでやっている付加価値税はいいなといってですよ。
ですから、消費税法は物すごく抜け穴だらけのとんでもない税法なんですよ、本当は。細かくやったら大変ですけれども、そういう意味で、消費税がいかにいいかげんな税金か。
私、こういう質問をEUに出したことがあるんですよ。アメリカみたいに付加価値税もない、消費税もない。ここには輸出免税還付金はないんですよ、アメリカには。そうするとアメリカみたいな付加価値税のない国に輸出しても輸出免税還付金を還付するのかと言ったらEUから答えが返ってきましたよ、還付しますと。これで公平ですか、公平じゃないでしょう。付加価値税や消費税はまさに輸出促進税制なんですよ。ですから、輸出品を安く輸出できる。
だから、今回、トランプ大統領が怒り出してきたんですよ。まさに付加価値税、消費税は輸出促進税制ですから、これは攻めの税制ですよね。トランプはそれがないから、何と関税で対抗する。守りの税金ですよ、関税は。まさに攻めの税金と守りの税金、これがトランプさんが巻き起こす世界中の大旋風になると思いますよ。ですから、ここはやはりしっかり考えて。
日本の企業も今までは、御案内のとおり、メキシコに工場を造って関税ゼロですからね、北米自由貿易協定で。アメリカに輸出していましたけれども、今度はメキシコやカナダの方の関税の方が高くなりました。トランプさんも中国よりも高くしちゃいますからね。そういう意味では、まさに付加価値税、消費税と関税の争いがこれから世界中で巻き起こりますから。そんなことも踏まえて、日本の消費税も本当にこれから上げていいのか。財務省のキャリア官僚は、消費税は一〇じゃ足りないから二〇三〇年までには一五にしようと言っているんですよ。経団連のトップとこれはもう意思が通じています。さらに、それ以上、最後は二〇%にしたい。二〇%はヨーロッパの平均ですよ、付加価値税ですよ。そこまでは上げられると言っているんですよ。
でも、これはやはり国民のことを全く考えていない、小規模事業者のことを全く考えていない。やはり一番大事なのは国民じゃないですか。日本の国がどうこれから発展するかということじゃないですか。それがね、悪いけれども、財務省の皆さん、頭はいいですよ、ハウツー物はよく知っている、とてもかないません、しかし、私は常識あるいは哲学、理念がないなと思っていますよ。ですから、本当に国民のことをちゃんと考えて。
私は元々、二宮尊徳思想をよく勉強してやっているんですが、尊徳翁は貧しい農民のことを考えて全国六百ぐらいの村々の復興に役立つ報徳仕法というのをやりましたけれども、この報徳仕法には何と哲学理念と具体的な方法論と二つ入っているんですよ。この尊徳翁というのは、やはりこれから日本が再生するためには参考にすべき人だと思っています。
そんな中で、森永卓郎さんがこれまたすばらしい本を書いているんですけれども、「ザイム真理教」ならぬ、今度出してきたのは、「官僚生態図鑑」というのを書いてきた。この中で森永卓郎さんが何と言っているかというと、日本もまだまだ再生するためには今まで財務省がやってきたような緊縮財政では駄目だ、積極財政でやれと。まあ、無駄遣いは駄目ですけれども。日本の国は幸い財務省がそんなことをやってきたので毎年百兆円国債を出しても十分耐えられるだけの余力がある、こういうことを言っているんですよ。私もそう思っているんです。だから積極財政で少子高齢化を乗り越えて元気な日本をもう一度つくりたいと思っていますが、大臣、是非頑張ってみてください。
以上で終わります。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、杉村慎治君。
○杉村委員 立憲民主党、埼玉県第九区選出の杉村慎治でございます。
地元埼玉選挙区のお茶の町、狭山市、入間市、飯能市、日高市、毛呂山町、越生町の皆様には長年にわたって支えていただきました。本日は、その地元の皆様の声を届けるために、衆議院議員として初めての質疑に立たせていただきます。
村上総務大臣を始め関係者の皆様、本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
私は、十七年前にこの世界に入りたいと思いまして、ある国会議員の靴磨きから書生として始めました。そして、私、今日、この部屋に入ってきて本当に驚きました。その国会議員が実はこの肖像画の中にいたんです。一番右端の石井一先生でございます。
石井一議員は二年前に亡くなりましたが、私が十七年前、書生として入ったときに、靴磨き、車の運転手、そしてかばん持ち、全てを教えてくれまして、私を今日このように送り届けてくれました。今日は、おやじが私をにこやかな顔で見ていると思って頑張っていきます。ふだんは怖い人だったんですけれども、今日は笑顔なので、しっかりと頑張っていきたいと思います。
村上大臣、まず、質問に入る前に、大臣の著書から私自身が深く励まされた言葉について触れさせていただきたいと思います。
大臣は、「断罪」という書籍の中で、政治で一番怖いのは政治家がポストのために勇気と正義感を失うことだと述べておられました。私自身、政治浪人九年目、そして三回目の選挙で、今回、初当選いたしました。この書籍が出版された当時、私は一度目の選挙で落選中でした。大臣の言葉は大きな励みとなりました。勇気を持って正しいと思うことを貫けばいい、地位や評価を恐れるべきではない、そう自分に言い聞かせながら今日も私はこの国会の場に立っております。新人議員として、その大臣のお姿に学びながら、私自身も勇気と正義感を失わずに委員として取り組んでいきたいと思います。
それでは、早速ですが、質疑に入らせていただきます。
さて、私が選出されております埼玉県第九区は六つの市町で構成されております。地域住民の皆様にとって、これら自治体による住民サービスの安定的供給が生活上不可欠となります。
地方公共団体では、業務において様々な情報システムが活用されております。しかしながら、大半の団体が個別に管理をしていることから、昨今の新型コロナウイルスの感染症対応において国と地方のシステムがばらばらで異なっており、横断的なデータの活用ができないなどの課題が表面化しました。
そこで、地方行政の運営に関わる国の施策につきまして、特に地方公共団体情報システムの標準化について、村上総務大臣を始め政府関係者に伺わせていただきたいと存じます。
まず、一つ目は、令和三年に成立した地方公共団体情報システムの標準化に関する法律、令和三年法律第四十号の下、政府が進めておられる、来年、令和七年度、二〇二五年度末までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへ移行を目指すとした各自治体の進捗状況をお伺いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
自治体情報システムの標準準拠システムへの移行期限につきましては、お話がございましたとおり、原則として令和七年度末までとされてございまして、各自治体において現在移行作業に取り組んでいただいてございます。
一方、現行システムが複雑で移行に時間を要する場合でございますとか、移行作業を担う事業者の撤退等によりまして、移行完了が令和八年度以降となる見込みのシステムが令和六年三月時点で七百二システム存在してございます。
総務省としましては、デジタル庁とも連携しつつ、各団体が円滑かつ安全に標準準拠システムに移行できるよう今後も支援してまいります。
○杉村委員 政府参考人、阿部知明自治行政局長、本当にありがとうございました。
今、阿部知明行政局長のお話によると、今のところ計画どおりに進んでいるということをお伺いしました。本当に頼もしい限りです。
しかしながら、今年十月十日付の日経新聞の記事によれば、移行期限に間に合わない移行困難システムに該当する自治体は二〇二四年三月の公表で百七十一団体、七百二のシステムから更に急増の見通しと記載されておりました。
また、今年十二月十一日、時事通信の「iJAMP」の記事には、約四百二の自治体で来年、二〇二五年度末までの移行に間に合わないことが明らかにされているという記事があります。
本来、自治体情報システムの標準化は、自治体の財政的負担を軽減して自治体の住民サービスの向上、円滑を目指して進められたものと理解しております。しかし、移行困難なシステムと把握された自治体に対して移行完了まで政府が一体となってしっかりとサポートしていただきたいと思っております。実際、私が選出されている六市町の中にも、令和七年度、来年以降の経費に関してとても心配されている自治体がおられます。この点については村上総務大臣から対象となる自治体に向けて是非とも力強いお言葉をいただきたいので、村上総務大臣自らよろしくお願い申し上げます。
○村上国務大臣 まず、杉村先生には私の拙い著書を読んでいただき、ありがとうございました。
今お話がありましたように、自治体の標準準拠システムへの移行経費を支援するデジタル基盤改革支援基金の設置年限は、御高承のように、地方公共団体情報システム機構法で令和七年度末とされています。
しかしながら、今申されたように、標準準拠システムへの移行完了が令和八年度以降となる見込みのシステムが一定数あるという状況に残念ながらあります。
このことを踏まえまして、総務省としましては、引き続き財政支援を行うために基金設置年限の延長が必要と考え、五年延長を目途に検討を行っているところであります。
今後も、標準準拠システムへの円滑かつ安全な移行に向けて、自治体の皆さんの御意見を丁寧に聞きながら必要な対応を行ってまいりたい、そういうふうに考えております。
○杉村委員 村上総務大臣、日本全国の移行困難システムに関係する自治体の皆様にとっては大変お心強いお言葉をいただき、誠にありがとうございます。
そして、先ほど局長の方から移行困難システムに移行する自治体が何%かいるということをお伺いしたんですけれども、移行困難システムで来年度末までに間に合わないと言われている自治体はどういう自治体なのか、教えていただきたいと思います。政府参考人の皆様、よろしくお願い申し上げます。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
移行が困難になっているシステムはどういうシステムかというお尋ねかと存じます。
幾つかパターンがあるわけですけれども、基本的には、今のシステムが非常に複雑な仕組みになっているということで、どうしても移行するにはそれについての作業が時間がかかるというパターンでありますとか、残念ながら、今まで使っていましたいわゆるベンダー、事業者の方が撤退するというようなことがありまして、なかなかスムーズに移行が難しいというパターン、幾つかあると存じます。
先ほどお話がございました数字の件でございますけれども、七百二システムというのは三月の数字でございますが、今現在はまた更に精査をして、適切な時期にデジタル庁とともに公表するということになろうかと思ってございます。
○杉村委員 ありがとうございました。
もう一つ、似たような質問なんですけれども、間に合わないと言っている自治体というのはどういう自治体がありますでしょうか、教えていただければと思います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
具体的な例で、市町村の名前はちょっとそれぞれの御事情というのもあると思いますのであれですが、一つは、昔ながらのシステムですね。いわゆるレガシーと言われるようなシステムで、特に政令指定都市とか大きな都市に多いんですけれども、そういうものについてはなかなか、昔ながらのシステムを使っているものですから、それについての、いわゆるクラウド型のシステムにするのに非常に手間がかかる、今の形のシステムに持っていくのに非常に時間がかかるというのが一つの例だと思います。
それから、繰り返しになりますけれども、どうしても、今回標準準拠システムに移行するということでございますので、ある程度ベンダーの数が収れんしていくといいますか数が少なくなるという中で、自分たちはこの仕事はもう撤退しますというようなところも出てきているように伺っておりますので、団体の特徴というよりもどちらかというと事業者の方の事情で、どうしても自分たちのところの移行が難しいという団体もあるのではないかというふうに考えております。
○杉村委員 阿部行政局長、ありがとうございました。
私の選出されている六市町の中にも、やはり移行がまだ間に合わないといって、経費予算であったり技術であったり、そういうところを心配されている方々がおりますので、日本全国全ての自治体を取り残さないということを約束していただければと思っております。
その中で、本日は、村上総務大臣におかれましては、先ほどの移行困難システムに関することに対して、改めてですけれども、大変力強いお言葉をいただきました。ありがとうございます。
移行困難システムと把握された自治体の皆様の状況への対応には、もちろん法改正を含めて、そしてまた予算の面でも今後乗り越えなければいけない障壁があるかと思います。私も、衆議院議員として全力でサポートしてまいりたいと思っております。
本日は、私の本当のおやじが見ている前で少し恥ずかしい気分でもありましたが、これからも、短い時間とはなりましたが、村上総務大臣を始め政府関係者の皆様、本当にありがとうございました。
私の質問は以上となります。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、おおたけりえ君。
○おおたけ委員 立憲民主党、おおたけりえでございます。今回、初めての質問となります。
私は、市議二期と県議三期、地方議員を十八年間させていただいてまいりました。総務委員会に配属されまして、地方行政と本当に密接な委員会でありますので、議論を楽しみにさせていただいております。
今回は、さきの村上大臣の所信表明では5Gの一体的整備や地方における光ファイバーの整備等に言及されておりましたので、今回、条件不利地域の通信環境や放送インフラの整備について取り上げさせていただきたいと思っております。
私の住んでおります愛知県の東三河地域では、山間部の北設楽郡三町村、設楽町、東栄町、豊根村において、地上波によるデジタル放送が一部を除きほぼ全域で視聴できません。これまで、平成二十一年度に総務省の地域情報通信基盤整備推進交付金と愛知県の三河山間地域情報格差対策補助金を活用して、北設三町村で地上デジタル放送の視聴及び高速インターネット環境構築のために北設情報ネットワークを整備し、平成二十二年から運用しており、平成二十八年からは第三セクターである北設広域事務組合に運用業務が移管されております。
この北設情報ネットワークの一番の課題は、事業開始から十二年が経過しており、老朽化した機器更改に多額の費用がかかる点です。条件不利地域において高速大容量通信環境や放送インフラの整備を行いたくても、このような地域の自治体は財政力に乏しいことがほとんどで、その自治体の予算だけではなかなか整備ができません。それに対し、総務省では、高度無線環境整備推進事業やケーブルテレビネットワーク光化等による耐災害性強化事業等の補助事業で新設整備や民間への譲渡を支援してみえますことは非常に重要であると考えております。
今後総務省として通信インフラ、放送インフラそれぞれについてどのように対応されるお考えなのか、伺います。
○湯本政府参考人 通信インフラについてお答え申し上げます。
国民の誰もがデジタル化の恩恵を実感できる社会の実現に向けまして、令和九年度末までに可能な限り光ファイバー未整備地域の解消を目指すこととしております。また、地方公共団体が所有する光ファイバーの維持が困難となる、そういうことが懸念される地域もあることから、必要に応じて民間移行を進めていくこと、これも大変重要であると認識しているところでございます。
そのため、総務省におきましては、条件不利地域におきまして光ファイバーを新規整備する場合、及び、公設の光ファイバーにつきまして設備の高度化を伴うような民間移行を実施する場合におきまして補助事業による支援を行っているところでございます。
令和六年度補正予算におきましても、地方公共団体等の要望に基づきまして事業実施に必要な予算を確保しているところでございます。
特に、補助率のかさ上げにつきましては、従前より離島につきましては五分の四といった、新規整備については高い補助率をしていたところでございますが、今般の令和六年度の補正予算におきましては、離島以外の条件不利地域につきましても、例えば、新規整備を実施する場合の補助率は三分の一から四分の三に、また、設備の高度化を伴うような民間移行を実施する場合の補助率を三分の一から三分の二にかさ上げするなどの支援の拡充を実施することとしているところでございます。
引き続き、地域の声を丁寧にお伺いしながら、光ファイバーの未整備地域の解消及び民間移行が円滑に進むよう支援してまいりたいと考えているところでございます。
○豊嶋政府参考人 放送インフラについてお答えいたします。
難視聴地域の放送視聴環境を確保するため、自治体のケーブルテレビは非常に重要な役割を果たしているものと認識しております。
放送による確実かつ安定的な情報伝達を確保するという観点から、ケーブルテレビの光化、それに加えまして、公設のネットワークを民設に移行する場合に、それを承る承継事業者による整備に対する支援についても行っているところでございます。
こうした支援を踏まえまして、総務省としてもケーブルテレビの整備を一層推進してまいりたいと考えております。
○おおたけ委員 ありがとうございます。
通信についてもう少し深く伺いたいんですけれども、先ほど令和九年度末までに未整備地域の解消を目指していくと御答弁がありましたけれども、かさ上げしてくださることは大変大きいと思っております。
あと、必要な予算を確保というふうにおっしゃっていますけれども、どれぐらいの自治体が要望していて、どのぐらいかなっていくのか、その辺りの規模感を教えてください。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
令和六年度補正予算におきましては、高度無線環境整備推進事業といたしまして、合計で十九・三億円の予算を積んでいるところでございます。
引き続き、地元の声とかを丁寧に聞きながら、なるべくニーズに対応した取組をしてまいりたいと考えているところでございます。
○おおたけ委員 ありがとうございます。
金額は分かりましたけれども、どれぐらいの自治体が要望していて、全部かなうのかどうか、その辺りを教えてください。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
今ちょっと手元に、実際に具体的にどの自治体かということまでの資料は手元にございませんが、我々の方も地方の総合通信局等を通じながら常にニーズの把握といったことに努めておりまして、なるべく多くニーズを把握した上で必要な予算額を積み上げて、なるべくその期待に応えていきたいというふうに考えているところでございます。
○おおたけ委員 ありがとうございます。
ヒアリングの段階では要望する自治体はほとんどかなうというようなお答えをいただいているんですけれども、その辺りは。令和六年と来年の予算要求について全部かなうというようなヒアリングをいただいているんですけれども、その辺りを確認させてください。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
今先生がおっしゃいましたとおり、私どもの方は先ほど申し上げたように常にヒアリング等を通じましてニーズを把握しているところでございまして、現時点におきましてはほぼニーズについてはカバーしているというふうに考えているところでございます。
○おおたけ委員 ありがとうございます。
次に伺います。
公設や第三セクターで運営されておりますと、知識のある職員さんの確保に苦労されていると伺っておりますので、総務省が民間移行を促しているということは大変必要なことであると認識しております。ただ、民間でやらない地域であるからこそこれまで公設で行っていたわけでありまして、不採算地域におけるサービスの提供は民間ではランニングコストを負担し切れない部分がございます。その部分について総務省としてどう対応されるお考えなのか、伺います。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
昨年の六月に施行されました改正電気通信事業法によりまして、ブロードバンドが新たにユニバーサルサービスと位置づけられるとともに、その安定的な提供を確保するため、ユニバーサルサービスの提供に伴い発生する費用について支援する交付金制度、こういった仕組みが整えられたところでございます。
今後、令和八年度までに、山間地などの不採算地域における費用につきまして交付金制度の運用を開始し、これにより、不採算地域におけるサービスの提供の維持また維持管理に関する懸念を払拭して、民間移行の促進や未整備地域の解消を目指すこととしているところでございます。
これに向けまして、令和七年度にかけて、総務省といたしましては、支援の対象となる事業者の指定や交付金の額の算定といった所要の手続を進めまして、令和八年度までには交付金制度の運用を着実に実施できるように努めてまいりたいと考えているところでございます。
総務省といたしましては、この交付金制度を活用して不採算地域における事業者のユニバーサルサービスの安定的な提供の確保に取り組んでまいります。
○おおたけ委員 ありがとうございます。
現在パブリックコメント中だと聞いております。まさに今進めていただいている最中でありまして、ただ、事業者の応募は既に始まっているとのことですけれども、まだ申請した事業者は一者もないとのことです。ランニングコストの負担が十分でなく、民間事業者が乗り出してくれず、事業が止まってしまうことのないような制度設計をお願いいたします。
次に、北設地域の方々にお話を伺いますと、テレビ視聴、ここで言うテレビは有料チャンネルなどは除きますけれども、全国のほとんどの地域で普通は無料で見られるのにこの地域では毎月千何円払わないとテレビが見られないとの声が聞かれます。この地域のようにテレビの視聴に個人負担が生じている地域が一部ありますが、災害時に必要な情報を得る手段にもなりますので、テレビくらいは国民生活に不可欠な通信サービス、つまり総務省のおっしゃるユニバーサルサービスの一つとして捉えて、全国どこでも同金額、つまり無料で見られるようにすべきではないでしょうか。お考えを伺います。
○豊嶋政府参考人 お答えいたします。
いわゆる地上波の電波が届かない難視聴地域では、先ほどからありましたように、例えば、自治体が設置するケーブルテレビに加入していただいてテレビを視聴している地域というのが多数ございます。
自治体のケーブルテレビの利用料金につきましては、実際にケーブルテレビを運営する自治体あるいは事業者が自ら料金を設定するという形になっておりますので、各地域の事情において料金設定がなされているというのが実態でございますが、ただ、こういう地域は一般的にはいわゆる不採算地域に当たる場合が多うございます。したがいまして、維持管理に非常に困難を抱えているということは重々認識しているところでございます。
こうした背景から、現在、総務省では、市町村などが経営するケーブルテレビの維持管理に要する経費について特別交付税措置を講じているところでございまして、特に難視聴地域におきまして自治体ケーブルがしっかりその役割を果たせるように措置を講じているところでございます。
○おおたけ委員 ありがとうございます。
ケーブルテレビの維持管理経費に対し特別交付税措置をして国が費用を一部負担しており、結果的に利用者負担の軽減につながっているだろうこと、全く支援がないわけではないということは確認をいたしました。しかし、このような声があることをしっかりお伝えしておきたいと思っております。
最後に、村上大臣に伺いたいと思います。大臣所信表明で、災害時にも情報を確実に届けられる環境の整備と言及されておりました。災害時に必要とする正しい情報を得られる環境をつくることは大変重要であると認識しております。今後どのような点に注力して通信インフラ、放送インフラを維持していかれるのか、お考えを伺います。
○村上国務大臣 お答え申し上げます。
災害時においては、被災者の方々に災害関連情報が確実に届けられる環境の確保が必要不可欠であります。
通信、とりわけ携帯電話サービスは、被災者の方々が御家族の安否等を確認し、必要な情報を取得するために用いられるとともに、関係機関が必要な情報を伝達するためにも欠かせない手段であります。
また、放送は、自然災害の多い我が国において災害情報や避難情報等をいち早く提供するなど、国民の安心、安全を支える極めて重要な社会基盤であります。
総務省におきましては、本年一月の能登半島地震の教訓も踏まえ、長時間の停電にも耐え得る携帯電話基地局の整備、地上波の予備送信所の整備、ケーブルテレビ網の光ファイバーへの切替え、二ルート化といった取組を進めることにより、災害時に重要な役割を果たす通信インフラ、放送インフラの強靱化を図ってまいりたいと考えております。
以上であります。
○おおたけ委員 御答弁ありがとうございました。
これで質問を終わらせていただきたいと思います。また、今後ともしっかり地域のために頑張ってまいりますので、御指導をよろしくお願いします。どうもありがとうございました。
○竹内委員長 次に、松尾明弘君。
○松尾委員 立憲民主党の松尾明弘です。
私からも大臣所信に対する質問を幾つか行わせていただきたいと思っております。
早速ですが、村上総務大臣は大臣所信において、ネット上のいわゆる誹謗中傷の問題、これに関して、インターネット上では偽・誤情報や誹謗中傷等の権利侵害情報の流通、拡散が深刻化しており、情報流通プラットフォーム対処法の早期施行に向けて取組を進めると述べていらっしゃいます。私も全く同じ思いです。昨今の状況を踏まえますと、ネット上の誹謗中傷等の権利侵害情報、またデマ等の偽・誤情報というものは残念ながら質、量共に増加をしている、何らかの対応が必要だというのは私も全く同じ思いでおります。
一方で、いわゆるインターネット上のSNS等の表現が、たとえそれが匿名による表現であったとしてもやはり憲法上の表現の自由として保障されるべきものであり、また通信の秘密も憲法上保障されているものであって、このバランスをどのように取っていくのかというところが非常に悩ましい。被害者の救済、こういったものと権利の保障、このバランスをどう取っていかなければいけないのかということが非常に悩ましい問題だというふうに理解しております。
その上で、幾つかお伺いをさせてください。
令和三年にいわゆるプロバイダー責任法が改正されました。この法改正によって、新しい裁判手続として、非訟事件によって発信者情報の開示請求をすることができるようになりました。新しく手続が創設されたわけです。この法改正、そして新しい手続の創設によってどのような効果がこれまで得られているのか、発信者情報の開示請求の件数などの実績について教えてください。
○玉田政府参考人 お答えいたします。
近年、SNS上での権利侵害が顕在化する中で、迅速な被害者救済を図る観点から、簡易迅速に発信者情報を開示する裁判手続を創設することなどを内容とするプロバイダー責任制限法の改正が令和三年四月に行われ、令和四年十月に施行されております。
この改正を受けまして、裁判所に対する発信者情報開示請求の件数については、発信者情報開示の多くを扱う東京地裁では、直近の年間の請求件数は五千四百九十九件となっております。なお、改正前の令和元年における仮処分の申立て件数は約六百三十件でございました。
これは、被害者が裁判を行うに当たっての手続等の負担が軽減されたことが一定程度寄与していると想定されておりまして、発信者情報開示についての新たな制度の利用も着実に進んでいるものと考えております。
○松尾委員 ありがとうございます。
私は実は今、衆議院議員でもあるんですけれども、弁護士としてもこれまで仕事をしてきておりまして、この発信者情報開示請求の手続というものを幾つも幾つも、多分何十件とやってきているんですね。私の体験上ですけれども、発信者情報開示までに至る期間が非常に短縮されているかというと、そういった感覚というのは実はなくてですね。この法改正の大きな目的の一つに期間の短縮があったと思うんですけれども、大体これまで六か月ぐらいかかっていたのがせいぜい五か月半になったかな、そのぐらいの感じでしかないというふうに私は感じております。
一方で、今おっしゃったとおり、件数が、令和元年の六百三十件がこの一年間で五千四百件ということで、八倍、九倍に増えているということで、裁判所の業務量が非常に増加をしていて、裁判所の方で業務が遅滞をしているというような懸念も非常に強く抱いているところです。
実際に申立てをしてから以前は二、三日で審理、審尋が行われていたものが、今、二週間後、三週間後にならないと一回目の審理が始まらないということも散見されているわけなんですね。被害者の早期救済という観点からですと、件数だけではなくて、どれだけ期間が短縮できたのかというところについても定量的に確認をしていかないといけないのではないかというふうに考えておりますけれども、その辺りについては総務省の方のお考えを聞かせてください。
○玉田政府参考人 お答えいたします。
プロバイダー責任制限法の改正によりまして、実際に裁判から発信者情報開示に至るまでの期間がどれぐらいになっているかということを含めまして、実は総務省だけでは情報が収集し切れない部分がございます。裁判所の御協力なしには得られないものでございまして、今後、どういう形が可能であるか、よく相談をしてまいりたいというふうに思います。
○松尾委員 司法統計等々も出ておりますので、そういった辺りも踏まえて是非御検討いただければというふうに思っております。
続きまして、令和六年の法改正で、プロバイダー責任制限法は法律名が変わるということで、情報流通プラットフォーム対処法というものに変更されるというふうにされています。
この法改正においては、先立つ有識者会議の検討も踏まえて誹謗中傷等の権利侵害情報に関する措置というものも手当てされておりますし、あわせて、昨今非常に増えておりますネット上の、いわゆるデマ情報ですよね、偽情報であったりとか誤情報の流通、こういったものにどのように対処をしていくのか、さらには、闇バイトに象徴されております様々な違法情報、有害情報、こういったものに対しても手当てをしていく、そういった法改正がなされています。
その法改正の中で総務省としては抽象的に、こういった法改正によって誤情報、偽情報、そして違法、有害情報に対しても一定の抑止的な効果が得られるというふうな見解を示していらっしゃいますけれども、具体的にどういった効果が生じるのかというのがイメージしにくいところなんです。具体的に、この法改正によって、様々なネット上に氾濫をしている偽情報、誤情報等々に対する効果、どういったものが考えられるのかということを詳しく教えてください。
○玉田政府参考人 お答えいたします。
インターネット上における違法、有害情報の流通は、国民生活や社会経済活動に重大な影響を及ぼし得る深刻な状況にあると認識しております。
令和六年改正法の施行によりましてプロバイダー責任制限法は委員御指摘のように情報流通プラットフォーム対処法と改称されますけれども、偽・誤情報が名誉毀損や著作権侵害などの権利侵害に該当する場合には、この法律により、大規模なプラットフォーム事業者に対して、被害者からの申出に対し一定期間内に応答する義務が課せられ、対応の迅速化が図られるものと考えております。
また、権利侵害情報に該当しない場合でありましても、事業者に対して削除基準やその運用状況の公表の義務が課せられます。これにより運用の透明化が図られるものと考えております。
これによって各事業者の取組が国民、利用者に対し開示されることとなるため、その状況を踏まえ、プラットフォーム事業者自身による削除基準や運用の見直しも促してまいります。
○松尾委員 ありがとうございます。
今のお話の中で、プラットフォーム事業者の運用状況の透明化を図るというふうなお話がありました。そういった法改正をするということは、裏を返すと、今現状では透明ではない、何が行われているかよく分からない、それによって何らかの不都合が生じているといったことがあるのかなというふうに思っているんですけれども、現在プラットフォーム事業者においてそういった運用の透明化が図られていないといった事実というのはあるんでしょうか。
○玉田政府参考人 お答え申し上げます。
現状、プロバイダーあるいはSNS事業者等におきまして、例えば削除基準であるとか運用状況、こういったものがどういった形で公表されているかについては、事業者によって異なる部分もございます。
こうしたことを踏まえまして、また、委員御指摘の違法、有害情報の流通等々の状況も勘案しまして、このような客観的な基準それから運用情報の公表を義務として課すことによって更なる透明化を図っていくものと考えてございます。
○松尾委員 今の私の質問は透明でない状況というものがあるんですかということなので、例えば、総務省なり有識者会議等々から問合せをしたけれども情報が開示されないであったりとか回答を拒絶するとか、そういったことはあるのですかという質問なんですけれども、あるようであれば教えてください。
○玉田政府参考人 お答えいたします。
今私どもの方で把握しているところによりますと、我々の方で開催をしておりますプラットフォーム研究会、こちらの方のモニタリングを二〇二一年、二二年に行ってございますけれども、こういった中で、今申し上げたような、情報が必ずしも公表が十分でないというふうな指摘もあるところでございます。
○松尾委員 ありがとうございます。
もう一点、ちょっと突っ込んだお伺いをしたいんですけれども、プラットフォーム事業者、コンテンツプロバイダーで運用状況、対応状況を透明化するということは私も非常に重要だと思っていますし、それは大きな意義があることだと思う一方で、その運用を透明化することによって具体的に違法情報、有害情報を書き込む件数が減るのかと言われると、運用が透明化されているから書くのをやめようとなるかというと若干疑問が残るんですけれども、その辺りの効果というものはどのように捉えていらっしゃるんですか。
○玉田政府参考人 お答えいたします。
SNS上の投稿、書き込みに関しましては、書き込み者、投稿者の表現の自由ということにも十分な配慮が必要なものでございまして、今回のプロバイダー責任制限法の改正に基づいてどの程度減るかどうかというふうなことについては、現状、数値を持ち合わせてございません。
○松尾委員 ありがとうございました。
今、令和三年の法改正の話、また令和六年の法改正の話をさせていただきましたけれども、法改正によって前向きに一歩一歩進んでいるということは私は非常に評価をしている、捉えている一方で、具体的にそれによってインターネット上の違法、有害情報の流通といったものが減っていくのか、抑制されていくのか、こういったことについてはまだまだ不透明な状況が続いているかなというふうに思っております。今後、この法改正の効果というものは徐々に見えてくるかなというふうに思っております。
一方、冒頭述べましたとおり、現実問題として、ネット上での様々な違法、有害情報が質、量共に増加をしているという事実は残念ながら認められるわけです。ですから、今回の法改正に関わる不断の見直し、努力といったものを今後も繰り返していくべきであるというふうに考えておりますけれども、その大きな方向性について、大臣からお考えをお聞かせいただければと思います。
○村上国務大臣 私も松尾委員と同じ認識でありまして、先ほど政府参考人から答弁申し上げたとおり、情報流通プラットフォーム対処法は、大規模なプラットフォーム事業者に対し権利侵害情報の削除対応の迅速化を促すとともに運用状況の透明化を求めるものであり、ネット上の違法、有害情報対策として有効であると考えております。
本法の施行期日は本年五月十七日の公布の日から起算して一年を超えない範囲とされておりますけれども、違法、有害情報対策に迅速に取り組むため、可能な限り早期に施行できるよう、省令等の準備を鋭意進めているところであります。
情報流通プラットフォーム対処法の施行後、プラットフォーム事業者は、誹謗中傷等の投稿の削除申請について一定期間内の応答義務を遵守しているか、様々な投稿に対し実際にどのように削除対応しているか等の取組状況について、年に一度公表しなければならないこととなります。
総務省としましては、まず本法を早期に施行した上で、その効果を検証しつつ、更なる制度的な対応を不断に検討していきたい、そういうふうに考えております。
○松尾委員 ありがとうございます。是非、早期の施行と不断の検討をよろしくお願いいたします。
続けて、発信者情報開示の対象となります通信履歴の記録、いわゆる通信ログと言われているものの保存期間について少しお伺いをします。
ログの保存期間につきましては、法律で決められているわけではなくて、総務省が作成しました電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドラインの解釈によって定められているとされております。このガイドライン、解釈によりますと、一般的に六か月程度の保存は認められ、適正なネットワークの運営確保の観点から年間を通じての状況把握が必要な場合など、より長期の保存をする業務上の必要がある場合には一年程度保存することも許容されるとされております。
ログの保存期間につきましては、繰り返し述べておりますとおり、インターネット上の表現によって権利侵害された被害者の救済と表現の自由、通信の秘密といった憲法上保障された権利とのバランスを見て利益衡量で定められるべきだと考えておりますが、このガイドラインの解釈によって六か月程度とされていることについて、なぜこういった期間になっているのか、これを教えてください。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
通信履歴の記録、いわゆるログに関しましては、委員の御指摘がございましたとおり、通信の秘密やプライバシー等に関する情報であるため、厳格な取扱いが求められているところでございます。電気通信事業における個人情報等の取扱いに係るガイドライン等におきましては、電気通信事業者は業務遂行上必要な場合に保存することができるとされているところでございます。
本ガイドラインにおきましては、御指摘がございましたとおり、一般には六か月程度の保存が許容されているということになっておりますが、これは、業務上の必要性と今申し上げました通信の秘密またプライバシー保護とのバランスを踏まえて最終的にこういうふうに規定しているものと承知しているところでございます。
○松尾委員 今おっしゃっていた業務上の必要性というのは、具体的にどういう業務に対してどういう必要性のことを想定されているんでしょうか。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
業務に関しましても、いろいろな事例がございますけれども、通常、通信キャリア等の中で例えば通信障害が起きたときにそれを回復するためにどうしたらいいかとか、それから、ユーザーとの関係、利用者との関係で一定程度の保存をするというのが業務遂行上様々な場面で必要になるからということで、このような期間を設けているということでございます。(発言する者あり)
○竹内委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○竹内委員長 速記を起こしてください。
湯本局長。
○湯本政府参考人 済みません、先ほどの続きでお答え申し上げます。
具体的には、例えば課金であるとか料金請求、苦情の対応、自己の管理するシステムの安全性の確保その他、様々な業務の遂行上の必要性に基づいて決められているということでございます。
○松尾委員 ありがとうございます。その必要性は承知しました。
ログの保存期間について、先ほど述べたとおり、ガイドラインで定められ、正確にはガイドラインの更に解釈によってその程度であろうと言われているわけですが、実際に六か月間、ログが各事業者において保存されているかと言われると、そうでもないというのが現在の実態かなというふうに私は理解をしております。
少なくとも、X、旧ツイッターはログの保存期間を九十日間というふうに、約三か月ですね、九十日間と公表しておりますし、フェイスブックやインスタグラム、メタも九十日程度しかログを保存していないという実態があるというふうに認識しております。少なくとも、今最もネット上の様々な情報流通による問題が指摘されている事業者がこのガイドラインに沿った運用をしていないという現状があります。
それを踏まえる我が国においても、ガイドラインであったりそれの解釈によってその期間を定めるというのではなくて、法令によって一定の強制力を持って保存期間というものを定めていくべきではないかというふうにも考えられますが、その辺り、総務省の見解を教えてください。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
通信履歴の記録、ログにつきましては、事業者の業務遂行上必要な場合に保存することができるものでございまして、原則といたしましては、各事業者がそれぞれの業務上の必要な範囲を踏まえて保存期間を定めているものと承知しているところでございます。
ログの保存を一定期間にわたって法令により義務づける、そういったことにつきましては、事業者に業務上の必要性にかかわらず通信の秘密またプライバシーに関する情報の取扱いというのを法的に義務づけるものでありまして、また、事業者に負担を強いるものでありますから、慎重に検討していくことが必要であると考えているところでございます。
○松尾委員 冒頭述べたとおり、私も、表現の自由であったり通信の秘密が重要だというのは全く異存がないですし、それは本当に最大限保障されるべきであると思う一方で、権利侵害からの救済という観点から、一定期間保存されている、そういった状況がつくられているということは、やはりそれは一方で必要かなというふうに思っております。
アクセスログをただ保存しておくというだけであれば、それは別に、閲覧とかをするわけでもなければ通信の秘密に対する影響というものも限定的であるというふうにも考えられますし、保存していたログをいざ開示しようというときには裁判所の判断で、その中にも権利侵害の明白性の要件といったものも定められていますので、表現の自由に対する一定の配慮というものも制度上は今見られているわけです。
こういったことを考えると、現状六か月程度とされているアクセスログの保存期間を延長することも含めて、広く被害者救済のための法改正というものを前向きに検討していくべきと考えておりますけれども、大臣の考えを聞かせてください。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
事業者の保有する通信履歴の記録が保存期間の経過により消去されてしまって、結果として被害者救済の観点から課題がある、そういう御指摘については十分承知をしているところでございます。
事業者に対しましてログの保存を具体的には六か月より延長するということにつきましては、今申し上げた権利侵害からの救済といったような観点に加えまして、先ほど来申し上げているような通信の秘密やプライバシーの保護、そういった観点も踏まえながら、まさに総合的な見地から総務省として何ができるかにつきましてしっかりと検討していきたいというふうに考えているところでございます。
○松尾委員 ありがとうございます。是非、前向きな検討をしていただければと思います。私も引き続きこの委員会でも取り上げていきたいと思います。
話はがらっと変わりまして、ローカル一万プロジェクト。村上大臣が所信においてこのローカル一万プロジェクトの支援件数の拡大などについても言及されておりますが、ローカル一万プロジェクト、今どのくらい実績が上がっているのかというのを、まず件数を教えてもらってもよろしいですか。
○望月政府参考人 お答え申し上げます。
ローカル一万プロジェクトの交付決定件数でございますけれども、令和四年度は十五件となってございます。令和五年度はこれが二十三件で、令和六年度は八月までという形で申請が止まっておりますけれども、こちらの方で五十七件というふうになってございます。
なお、支援件数の増加の背景でございますけれども、こちらの方は、スタートアップ育成五か年計画の取組等が行われておりまして、その中で新規事業創出への経営者のマインドが改善、前向きになってきているということ、また、中小企業庁等と連携をいたしまして、エンドユーザーである事業者向けの広報、これを従来よりも強化しておりまして、それによりまして案件の掘り起こしが進んでいるというふうに考えているところでございます。
こういった状況を踏まえまして、令和六年度の補正予算におきましては約二十一億円の補正予算の追加を計上したところでございまして、更なる創業等の拡大に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
○松尾委員 件数が順調に伸びていらっしゃるということですので、引き続き件数を増やして地方の産業育成、創生につなげていっていただきたいというふうに思っております。
一方で、このプロジェクトが、今、国からの予算、補正予算でも積んでいるというお話がありましたけれども、二分の一、地方自治体の方でもその費用を負担するということで、地方自治体の費用負担、予算の関係でなかなか取組が十分にし切れないところもあるというふうにも聞いております。地方で予算がないがために一万プロジェクトができない、地方の産業活性化につながらないといったことがないように、是非広い目配りをしていただきたいというふうに思っております。
あわせて、ただただお金を入れるというだけではなくて、先ほど言ったように私は弁護士でもありますので、様々なリーガルサービスも、士業の人的なサポートもできるような体制を是非充実していっていただきたい、そして地方活性化につなげていっていただきたいという私からのリクエスト、要望をお伝えいたしまして、質問を終了とさせていただきます。
ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、杉本和巳君。
○杉本委員 維新の杉本和巳です。
村上大臣と質疑ができる機会を頂戴できること、非常に光栄に存じます。十五年前に村上大臣のお部屋をお訪ねして、「日本よ、浮上せよ!」という本を読ませていただいて感銘したということの中で、その後薫陶を賜ってきたことを感謝し、質疑に臨みたいと思います。
大臣所信で選挙について触れられたのは、十三ページの二行だけなんですね。選挙については主権者教育の推進や投票環境の整備に今後も努めますということなんですが。守備範囲が広いというお話を先般御質疑でおっしゃられていたんですけれども。
そうはいっても、さきの衆議院選挙の投票率は五三%です。トランプ大統領が選ばれたアメリカ大統領選挙は、数字では六五%なんていう数字を聞きました。私の地元の愛知県では、徳川家康のエリアの三河の方は六〇%台が出ているんだけれども、尾張の地域は、私の一宮、岩倉あたりも含めて五〇%前後というような数字になってしまっているという状況の中で、地元の有権者の声を私は今日はお届けしたいと思いますし、不安をあおるよりも提案をしていきたいという質疑で、投票率の問題、それから立候補者のSNSの問題、あとは、今政治と金の問題が取り上げられていますけれども、NHKスペシャルの再放送の要請、そして最後は万博の宣伝というか慫慂というか、この四つをお願いしたいということでございます。
それで、各国の投票率みたいなものの関係で、投票の義務化みたいなお話をちょっと披露したいと思うんです。
まず、義務的投票を言っている国、強制的に、制裁があるというような国は、例えばオーストラリア、ベルギー、そしてもろもろで、中南米の国はほとんどの国が憲法で義務化をうたっています。アルゼンチンは憲法三十七条一項、ウルグアイは憲法七十七条二項、エルサルバドルは憲法七十三条、オーストラリアも連邦選挙法第二百四十五条一項。ペナルティーは、オーストラリアの場合は二百二十二オーストラリア・ドル、二万二千二百円。それから、ベルギーなんかも憲法六十二条三項でうたっていまして、この場合は少し安いのかもしれませんが、五から十ユーロないし十から二十五ユーロ、いろいろ、判断によって付加されるペナルティーは違うようでございます。
投票率を何とか上げるという意味で投票の義務化というものを考えなきゃいけないのではないかということをまず提起したいと思いますし、それからあと、特徴的なのはネット投票。我が党はかなり、維新としては提案をしています、コンビニ投票であったりネット投票。ネット投票を実行しているのは、有名なエストニアはございますけれども、調べてみますと、アメリカ合衆国のアラスカ州がネット投票を実行しているという時代なんですね。
なのに相変わらず、名前を書くことがすごく大切なんだ、お一人お一人に理解していただくことが大事なんだという選挙の在り方も理解できますけれども、一方で地球は回っていて世界は進んでいるということの中で憲法の議論もしっかりと、投票の義務化、権利でもありますけれども義務化、この問題も我が党の維新のテーマにはまだなっていませんけれども党内でも取り上げ、また、全国会議員の皆様に、憲法の議論をしていく上でも、投票率を上げていく、皆さんの民意をできるだけ反映する政治にしていくということの大切さを私は訴えたいと思います。
そこで、期日前投票について地元の声を括弧書きでお伝えしますので、個名が入っているんですけれども、お許しをいただきたいと思います。
一宮市、一宮駅が投票所になっているんですけれども、杉本さん、何で一宮の駅は六階で投票しなきゃいけないんだ、何で一階でできないんだ、こういう言葉がありました。
そして、もう二つ。杉本さん、何で木曽川のキリオ、これは説明します、キリオというのはショッピングモールでイオンが主体でやっていらっしゃるところであえて個名を申し上げますが、なぜキリオで投票ができないんですか、ショッピングモールで。杉本さん、何でテラスウォーク、これはアピタとかMEGAドン・キホーテさんとかが経営に関与していらっしゃる地域ですけれども、テラスウォークで投票ができないんでしょうか、こう言われました。よく調べてみますと、関西圏の地域ではショッピングモールで投票できるんですよ。
今、全国で、駅前、駅構内の投票は二十三か所、大学での投票は七十一か所です。期日前投票所は、二〇一六年、八年前の参議院選挙、百六十二か所、これが二〇二四年の今般の衆議院選挙、速報値ですけれども三百九十四か所です。増やしていただいているのはいい、けれども地域によって投票のしやすさが国民の有権者の皆様お一人お一人違うわけですよ。だから、三河で六〇%が出て、尾張、一宮、岩倉では五〇%なんです。民意が反映されたのかどうか。一応五〇あるからいいじゃないかという考え方もあると思いますけれども、アメリカの大統領選挙は六五%ですから。
二つまとめて質問しちゃいますけれども、期日前投票所、もっと地方自治体の背中を押してですね。これは実は総務省さんがすごくよくやってくださっているのは十分理解しています。だから、期日前投票所がショッピングモールだとか、バリアフリーであって駐車場もいっぱいある、買物ついでに投票もできるというようなことが実行されているんですけれども、残念ながら私の地元の一宮も含めてショッピングモールでは投票できないです。駅前でやってくれているのはありがたいけれども。宣伝になるのでね、皆さん、投票所、駅でできますからやりましょうなんというのを上げましたけれども、ネット上。しかし、一方で、いや、駄目だよ、杉本さん、六階にわざわざ行かなきゃなんて、何で一階で、ピアノを自由に弾けるところがあったり、あるいは市役所の何かサービスをやっているところがあるのに何でできないんだと。こういう言葉を承っておりますので、この言葉を直接選挙後に伝えますということで、何とかはい上がらせていただいた身としては、このことについて大臣の御所見を伺いたい。
もう一つ、これは期日前じゃなくて二十七日、投票日の話です。よく学校を投票所にしています、体育館が投票所になっているんですけれども。これも括弧書きですわ。おい、杉本、何で、俺たちはグラウンドゴルフがしたいのに、駐車場にも使っていないグラウンドを何で閉鎖して俺たちに使わせないんだということがシニアの先輩方から。直接おまえが国会で言ってこい、こう言われましてね。
これも地方自治体の判断の問題ですよ。手堅くやろう、きちっとやろう。何か妨害者が最近、急に刺されたりしちゃう事案が起きたりしていますけれども、そういう変な人がいるのも分かりますけれども、前向きに投票率を上げていくためには、そういったところももっと地方自治体が積極的に、ほかの自治体の成功例を大いに大いに参考にするような形で活発化すれば投票率が、全体として下がりぎみではありますけれども、期日前投票の方はどんどんどんどん増えていっているのが最近時の傾向ですから、期日前投票所もよくするし、あとはちょっと投票日の不便さを直していく、こういう点がとても大切だと思っておるんですけれども。
こんな点について、大臣の御所見なりを。おまえの言うとおりだ、日本を再浮上させるためには俺はもっと頑張るぞと。
正直、村上大臣、着任されて非常に安全運転で、石破政権なんだけれども石橋をたたいて渡っていないんじゃないかぐらいの感じで最初は行かれましたけれども、この間の質疑からちょっと村上節が炸裂し始めたので、安全運転も大事ですけれども、村上大臣ならではの真骨頂である、本当に日本を再浮上させるために投票率を上げる、そのために期日前投票所、もっと地方自治体の背中を押してショッピングモールでできるようにする、駅だったら六階じゃなくて一階にする、投票日も使っていないグラウンドはどうぞ健康寿命を延ばすために使ってください、こんなような声を大臣から発していただきたいと思っているんですけれども、村上誠一郎大臣の御所見を伺わせてください。
○村上国務大臣 杉本委員の御質問、誠にありがとうございます。
まず、利便性の高い場所については、有権者の投票環境の向上を図る取組は重要であるというふうに考えております。
総務省におきましては、国政選挙や統一地方選挙に際し、ショッピングセンター等の利便性の高い場所への期日前投票所の設置、複数の箇所を巡回する自動車を用いた移動期日前投票所の取組の実施など、有権者の投票環境の向上を図る取組の積極的な実施を要請しています。
加えて、財政面について支援するとともに、各選挙管理委員会の取組事例をまとめた事例集を作成しまして横展開を図っております。こうした取組が着実に増加しております。
引き続き、選挙管理委員会において投票環境の向上を図る取組を積極的に実施できるよう、必要な支援を実施してまいりたいと考えております。
もう一方、地元の学校のグラウンドの使用を禁止した件についてでありますが、従来から多くの学校施設が投票所となっており、総務省におきましては、国政選挙や統一地方選に際し、学校施設の投票所を利用することについて文部科学省に要請しております。
投票所の運営方法については、投票所ごとに市町村の選挙管理委員会と学校施設との間で調整を行い、決定しているものと承知しています。
総務省としましては、当日のグラウンド利用を禁止することが適当である旨の助言は行っておりません。投票所は、選挙人の便宜を考慮して投票区の中で最も適切な施設を選定するように要請しています。
以上であります。
○杉本委員 ありがとうございます。
今大臣の生声は聞けませんでしたけれども、お読みいただいた内容は地元の地方自治体にしっかり届くように、この映像、音声を通じて自治体さんも認識を改めてもっと投票率が上がる工夫を、他の進んでいる地方自治体を参考にほかの自治体が頑張るということをお願いしたいと思います。
時間がもうなくなってきてしまうので、次に、兵庫の知事選が問題になったと思っていますが、立候補者のSNSにおけるオリジナルマークの開示義務化みたいなことが必要であるという思いを持っております。
現行、公職選挙法施行規則の第十二条の一、その別記第十六号の様式によりますと、一つのウェブサイトを、こういうのをやっていますというのを出していいよという形にはなっているんですけれども、義務化されていないし、いろいろなSNSを使っていますね。ユーチューブも使えば、Xも使えば、FBも使えば、インスタグラムも使う、いろいろあります。それを全てにおいて出しなさい、出しましょうと。そして、しかも、認証と言っちゃうと事業者側のオーケーが必要で、かなりの視聴者数がいるとかいろいろな条件がくっついてきて、お金がかかったり、いろいろ大変なんですね。
そうではなくて、立候補者の義務としてオリジナルマークを決めて、村上さんならマル村とかね、杉本ならマル杉でいいんですけれども、このオリジナルマークでいきますというのをあらゆるSNS上に立候補者は出さなきゃいかぬ。そうでないと、このSNS発信は誰の発信なんだと。拡散していくのは仕方がない話で、ある意味でいい話です、投票率が上がるとかそういう意味では。ただ、立候補者はオリジナリティーを出さなきゃいけない。こういう点を今の施行規則の修正で何とかできないかなというふうに実は思っております。もしそれが駄目であれば、公選法の改正ないし新条文の追加なども必要になってくると思いますけれども。
やはり立候補者は自分が当選したくて選挙へ出るというふうなのが普通だと思うんですが、もう一人の人を何とか当選させたいために俺が手伝いで出るんだというようなことが起きてきてしまっている今日にあって、せめてSNSの発信においてはオリジナルマークを入れなさい、しかも自分が発信するSNS全てについて出しなさいというような提案というかルールづけをしないと。先ほども松尾代議士がSNSの誹謗中傷論などをしてくださっていましたけれども、立候補者については規制をかけていく必要がある、私は今回の兵庫の事案を含めて本当に健全な選挙制度、高い投票率を目指していくには必要だと思っているんですけれども、この点について村上大臣の御所見を伺います。
○村上国務大臣 この問題はなかなか複雑でして、公職選挙法上、ウェブサイト等を利用する選挙運動については、電子メールアドレス等の表示義務を果たせば行うことができます。ただし、ホームページやSNSなど、どの手段を用いるかやその内容について制限する規定はないわけであります。
立候補届出の際にSNSアカウントのアドレスやシンボルマークの届出も義務づける場合には、ウェブサイト等を利用する選挙運動における手段や記載内容の制限につながるものであり、公職選挙法の改正が必要となるものと考えられております。
いずれにしても、御提案は選挙運動の在り方について関わる事柄であり、成り済まし防止にどの程度資するものかも含め、各党各会派において御議論いただきたい、そういうふうに考えております。
○杉本委員 各党各会派の御議論というのはどこかでよく聞く話なんですけれども、これは総務省がしっかり次の通常国会で法案で出すべき話ですよ。放置していたら選挙が、あいつを当選させるために俺が出るよという話がまかり通ってきて、どんどんどんどん出てくることになりますから。これは、各党各会派で議論をしてなんていって、日本は再浮上しませんよ、それじゃ。天下の村上さんがあの本を書かれている気持ちに立ち返って次の通常国会に公職選挙法改正案を出す、こういう御提案をいただきたいし、そのために議員側もお手伝いをしたいというふうに思います。
さて、時間がなくなってきたので、今、政治と金の問題で政倫審もやっています。それで、大臣に感想を伺う話が二つです。
まずは、NHKスペシャルの「かくして政治はよみがえった」、こういう本があるんですけれども。
これは一九八九年に参議院選の告示後にNHKが放送し大反響を呼んだ番組で、イギリスの議会、政治腐敗防止の軌跡ということで、NHKに問い合わせたところ、過去四回再放送されているんですが、どうやら二十世紀に放送されていて昨今は放送されていないんだけれども、今これだけ問題になっている中でNHKはなぜ再放送しないんだ、今まさしく日本が再浮上するために再放送をきちっとしてほしい。いや、番組が古いんですとか権利がいろいろあるんですとか言うかもしれないけれども、今、映像技術が発達しているので、きれいな映像に変えられますので、これを是非映像をきれいにして。そして、まさしく政治と金が問題になっているこのときに、英国はこうやってきれいになったという番組なんですよ。
この本は実は、余談ですけれども、立憲の野田さんにも差し上げました。杉本、ちょうどそれを探していたから欲しかったよ、なくしちゃっていて探していたんだよと。私は新たな中古本を買いましたし、先般、村上大臣にもお勧めしているかと思いますけれども。
NHKスペシャル、「かくして政治はよみがえった」を再放送すべきだというのに是非賛同いただいて、感想を一緒にいただきたいのと、もう時間がなくなりましたので、もう一つ。
国立市ではうちの中川という地方議員が頑張っていまして、ミャクミャクという万博の着ぐるみ君を呼んで、子供たちや若い人たちと一緒にインスタ映えするような写真を撮ったりしているんですよ。それによって、百六十か国が参加し、ブースは七十か国、オリジナルの国が出るんですけれども、話を聞いてみたら、万博は相当面白そうですよ。これだけ海外に行かなくなった日本国の人々が一堂に会しているところを海外を訪ねていくみたいな形で、万博を訪ねれば世界の国々を知ることができるという最高の機会がやってきますので、改めてこの万博のよさを私は皆様に慫慂、お勧めしたいと思っています。
そんな中で、このミャクミャクの着ぐるみを地方自治体さんがどんどんどんどん呼んで、関西、大阪の話だじゃなくて日本国の、日本国際博覧会というのが正式名称ですから、そういうことで、もっともっとこの着ぐるみを使って宣伝していく。日本の再浮上のために必要だと思うんですけれども。
NHKスペシャルの再放送のお話と万博のミャクミャク君のお話、これをまとめて大臣から御感想を伺って、私の質疑を終わりたいと思いますが、よろしくお願いします。
○村上国務大臣 今、杉本委員からございました、政治改革等の必要性から御指摘の放送番組の再放送を希望されているという御趣旨はよく理解いたしました。
ただ、他方、放送法では、放送事業者の自主自律を基本とする枠組みとなっており、放送事業者は自らの責任において放送番組の編集を行うとされております。
杉本委員御指摘の放送番組再放送については、NHKが自主的に判断するものと考えております。個人的にはちょっと話してみたいとは思います。
あと、ミャクミャク君のキャラクターについては、公式マスコットキャラクターの着ぐるみの貸出しについては、万博の主催者である公益社団法人二〇二五年日本国際博覧会協会のほか、地元自治体である大阪府や大阪市から各自治体に対して周知されており、自治体からの要望に応じ貸出しが行われると承知しております。
大阪・関西万博は国を挙げた大イベントであり、総務省としましても、今後、各自治体への広報について、関係団体からの御相談において必要な協力を最大限行ってまいりたいと思っています。
○杉本委員 ありがとうございました。
日本再浮上のために大臣が御活躍されることをお祈り申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、黒田征樹君。
○黒田委員 日本維新の会、黒田征樹でございます。
この度の衆議院選挙におきまして、大阪府第十六区選挙区から選出をいただきました。この大阪府第十六区選挙区というのは堺市というところのおよそ半分のエリアを占める地域でございまして、その堺市において多くの皆様から御支援を賜り、十三年五か月にわたって堺市議会議員として走り続けてまいりました。地方議会を経験してきた、見てきた中身をしっかりと国に反映させていくというところを意識して質疑させていただきたいというふうに考えております。
総務大臣の所信表明では、令和七年度末までの自治体情報システムの標準準拠システムへの移行に必要な経費を確保して各地方団体における円滑、安全な移行について取り組みますということでありましたけれども、先ほどの杉村委員の議論とも少し重複する部分はあるかもしれませんけれども、続けさせていただきます。
令和七年度中にシステムの移行を完了するという目標を立てて進めているわけでありますけれども、今現時点でも相当数の自治体がこれは完了しないんじゃないかというところであると思いますけれども、まずこの辺の認識として総務省はどのように考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
自治体情報システムの標準準拠システムへの移行期限につきましては、原則として令和七年度末までとされてございまして、現在、各自治体において移行作業に取り組んでいただいております。
一方、現行システムが複雑で移行に時間を要する場合でございますとか、移行作業を担う事業者の撤退等によりまして、移行完了が令和八年度以降となる見込みのシステムが令和六年三月時点で七百二システム存在してございます。
総務省としましては、このようなシステムにも引き続き支援を行うため、基金の設置年限の延長が必要と考え、検討を行っているところでございます。デジタル庁とも連携して、各団体が円滑かつ安全に標準準拠システムに移行できるよう、今後も支援してまいりたいと考えてございます。
○黒田委員 先ほど村上大臣からも期間の延長というものがありましたけれども、地方の自治体としては、七年度以降の予算がどうなるんだろう、補助金がどうなるんだろうというところ、まだ明確に示されているところがないということでしたので、今の御答弁もそうですし、自治体としては非常に安心する御答弁だったのかなというふうに思いますので、感謝を申し上げたいというふうに思います。
それと、自治体情報システムの標準化ですけれども、自治体自体がコストについて懸念があるということもお聞きをしておりますけれども、総務省としては今どのようにコストについてお考えでしょうか。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
先ほど申し上げましたとおり、基金の設置年限を延長する方向で検討を行っているというところでございます。
各自治体における移行経費につきましては、デジタル基盤改革支援補助金による財政支援を継続するという考えでおりますし、また、各団体からの相談に丁寧に応じまして、デジタル庁とも連携して、自治体システム標準化が実現できるよう、実態を踏まえて積極的に支援していきたいというふうに考えてございます。
○黒田委員 今、実態を踏まえてというようなお話もありましたけれども、システムの移行に関して、改修については補助金の対象になると。ただ、今、様々なシステムを複雑に利用している中で、改修するよりも新規に組み直した方がエラーとかそういったリスクが減らせるというところもあって、実際に新規のシステム構築を採用するところも多いというふうに聞いておりますけれども、こういったところが対象になっていないということです。うちの堺市でいいますと恐らく数億円から十億円程度の負担が発生するというようなこともお聞きしておりますので、実態に合った支援の在り方というものを是非とも検討いただきたいというふうに思います。この辺、お願いしておきます。
次の質問に入らせていただきますが、地方財政計画についてであります。
地方財政計画に必要となる一般財源の総額について令和六年度の地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保しますということで所信表明がありましたけれども、概算要求時の令和七年度地方財政収支の仮試算及び地方交付税の夏時点での概要は一体どうなっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
本年八月三十日に公表いたしました令和七年度地方財政収支の仮試算におきましては、地方の一般財源総額について、交付団体ベースで、令和六年度地財計画から一・二兆円増の六十三・九兆円というふうに試算をしております。
これは、バブル期以来の大幅な引上げ改定となりました令和六年人事院勧告を踏まえて、人件費が常勤職員と会計年度任用職員とを合わせて〇・八兆円の増となったことによるものであります。
このほか、子供、子育て政策に要する経費を始めとする社会保障関係費の増も見込んでおります。
こうした仮試算を踏まえて、地方交付税については、地方団体への交付ベースで十九兆円を概算要求しているところでございます。
○黒田委員 今の算定の在り方なんですけれども、総務省さんが出している令和七年度の地方財政の課題の、地方財政収支の仮試算というところの表によりますと、投資的経費と維持補修費というものが前年度と同額で据え置かれているというところで、この辺も人件費、物価高騰費というものもかかってくるということでラグが出てくるんですね、自治体との間に。こういう細かなラグが自治体の運営にとっては大きな影響が出るというところは認識していただいた上で、適切な算定というものに努めていただきたいというふうに考えております。
こういった地方の財源をしっかりと確保していくというところは、非常にやはり生活に密着したところですから影響が大きいということで、しっかりと確保をしていくという総務大臣のお考え、意気込みというか、そういったことをお聞かせいただきたいというふうに思います。
○村上国務大臣 令和七年度の地方財政については、黒田委員御指摘のとおり、人件費や社会保障関係費の増加、物価高などが見込まれている中でも、自治体が様々な行政課題に取り組みつつ、行政サービスを安定的に提供できるよう対応していくことが必要であるというふうに考えております。
私自身も、自治体の皆様方から特に人件費の確保や物価高への対応について御要望をいただいております。令和七年度地方財政対策に向けて、地方交付税を含めた必要な一般財源総額をしっかりと確保できるように努力していきたい、そういうふうに考えております。
○黒田委員 ありがとうございました。
地方の課題をしっかりと届けていきたいというふうに考えておりますので、今後とも御対応をよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、向山好一君。
○向山(好)委員 国民民主党の向山好一でございます。
実は、私も先ほどの杉村委員と同じように、右端に飾っておられる肖像画の石井一先生からいろいろな薫陶とか御指導をいただいた人物でございまして、靴磨きはしませんでしたけれども、かばん持ちもさせていただいたりして、先生から勇気づけをいただきながら今日は質問させていただきたいと思います。
私、十二年ぶりに国政、衆議院選挙に復帰をさせていただきました。えとが一巡すれば世の中も変わりますし、特に国会の景色はがらっと変わっております。与党の過半数割れによって、我々野党の意見も真摯に聞いていただける環境にある。数日前までそういうふうに言いたかったんですけれども、最近はちょっと変わってはきております。前回の総務委員会でも村上大臣も本当に本音で答弁をされていらっしゃって、本当に私は村上大臣の印象というのが変わったんです。いい方に変わらさせていただきました。今日も本音で御答弁をいただいて、真摯な態度で触れていただくことを御期待申し上げながら、質問をさせていただきたいと思います。
まずは、私たちの看板政策である百三万円の壁の引上げ、このことについて質問させていただきます。
十二月十一日、三党の幹事長間で来年四月から百三万円の壁を百七十八万円までを目指して引き上げることということで合意いたしました。しかし、翌日の十二日に税調会長らによる三党協議でその引上げ額が、全くその合意から乖離した百二十三万円という額が提示されました。国民生活の実態と乖離したその額に今、愕然としておるんです。そして、昨日の再度の税調三党協議でゼロ回答。決裂をいたしました。国民の皆さんはお怒りです。そして失望もしております。
引上げの関係で、基礎控除額等を百七十八万円まで引き上げると地方税の減収が約四兆円程度になる、これは総務省も試算をされております。そのことに対して全国知事会始め地方公共団体の首長さんから懸念の声が上がっています。それに関連して、前回の総務委員会で守島理事の質問で大切な議論が行われております。
その内容を簡潔に要約いたしますと、百三万円の壁の引上げによる地方財政の減少、影響ですね、これは交付税措置と臨財債で穴埋めされて直ちに自治体の行政運営に影響は出ないのではないか、国の問題ではないかというような問いに対して、総務省は、一般論としてという注釈つきですけれども、減税が行われた場合は臨財債が増加する関係にあるという答弁をされていらっしゃるんですね。つまり、百三万円の壁の問題は国の財源問題が一番大きいということを総務省も認めていらっしゃるわけです。
再度、基準財政需要額と基準財政収入額との関係、そして自治体への財政措置のある一定のルール、その辺りについてお伺いいたします。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
先般の総務委員会の答弁させていただいた趣旨をまず御説明します。
交付税制度自体は、地方税収の減収が生じました場合は基準財政収入額の減少を通じまして普通交付税が増加する、こういった関係にある制度でございます。
したがいまして、一般論、仮定の議論として申し上げますと、仮に減税が行われた場合に、減税以外の歳入歳出等が前年度から変動しない、財源補填ルールが前年度と変わらないというふうに仮定をした場合には臨時財政対策債が増加する関係にあるということを申し上げました。しかしながら、地方交付税の総額は国税の一定割合でございます。地方税が減税されれば必要となる交付税の総額に不足が生じる、そういう可能性があると思います。また、減税により所得税が減収となれば交付税原資自体が減少するという影響も生じることになります。
また、臨時財政対策債については、財政の持続可能性の観点からの課題もあり、地方団体からは臨時財政対策債の縮減、抑制に努めるよう強く御要望いただいているものと承知をしております。
いずれにいたしましても、百三万円の壁に関する課題につきましては様々な論点について検討や協議が進められるものと考えております。
○向山(好)委員 今の答弁のとおり、簡単に財源が埋まるという話ではなくて、いろいろ課題はあるにしても、各自治体の方々がおっしゃっているように、保育サービスができなくなるんじゃないかとか、あるいはごみ収集が止まるんじゃないかとか、そういうのはちょっと、極論というんですかね、余りにも飛躍し過ぎている議論じゃないかと思うんですね。それは、今おっしゃったように一定のルールで、一般財源が補填されるルールがちゃんと国にはあって直接そんなことにはならないということでありますし、そういった基本的なところというのは総務省もお認めなんですね。
そして、前回の総務委員会でも村上大臣はそういった指摘に対して、地方の一般財源総額をしっかりと確保できるように頑張りたい、総務省の中でも私は頑張るんだという話をされていらっしゃいます。それでしたらちゃんと、私たちは頑張るので自治体の皆さんがそんな懸念されることは余り必要ないですよ、そういったことをしっかり伝えないと誤解が生まれて、私は一番、住民の皆さんの不安ばかりが広がっていくんじゃないか、こういったことが懸念されますので、是非とも、大臣、その辺りをどのようにお考えか、お聞かせください。
○村上国務大臣 向山議員の御質問にお答えします。
百三万円の壁については、御高承のように三党の税制調査会の幹事会で議論されておりまして、我々は残念ながらそれを見守るしかないところがありまして。ですから、百七十八万円を目指して来年から引き上げる、各項目の具体的な実施方法については引き続き関係者で誠実に協議を進める、そういうふうになっておりますので、それの推移を見守ります。ただ、問題としては、財源論がその中でどういうふうになっていくか、それも見ながら考えていかなきゃいけないと思います。
総務省としましては、日頃から、地方税制等に関して、自治体からの問合せ対応や情報提供、意見交換を行っております。委員御指摘のとおり、地方の首長からは、個人住民税の税収減による地方財源や行政サービスへの影響を懸念する声が上がっていることは承知しております。その懸念については十分に理解しておりますので、地方税収への影響などを含め、様々な論点について検討や協議が進められることに鑑みて、総務省も誠実にいろいろな疑問に答えながら対応していきたい、そういうふうに考えております。
○向山(好)委員 誠実に対応していただけるということと併せて、私たちは別に理不尽な制度の提案をしているわけではなくて、理にかなった、これまで取り組んでこなかった、そういった国民生活を支える制度の提案をさせていただいておるんですね。今、大臣から三党の税調の協議を見守りたいというお話がございました。それは制度上そうなのかもしれませんけれども。しかし、その背景に、地方自治体への悪影響が与党に二の足を踏まさせているのならば、やはり大臣も与党の一員ですからそういったこともしっかり党に伝えていくということもしていただけたらなというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。
次は、公職選挙法の改正、杉本委員からも若干ございましたけれども、ちょっと違う観点から質問させていただきます。
私の地元は神戸です。ですから、私も兵庫県民です。兵庫県では先月の十一月に兵庫県知事選挙が行われましたけれども、いろいろな意味で世間の注目を大いに集めたんですね。全国だけじゃなくて世界も集めました。大臣も御存じのとおりだと思いますが。それが要因したのかどうかは、要因したとは思うんですけれども、選挙運動、ほんまに一人の有権者として見てきても異常としか言いようのないような選挙戦でした。SNSを中心とした誹謗中傷、デマ、捏造と取れるような情報拡散、執拗な個人攻撃、ひいては自らの当選を目的としない者の立候補、このことによって混乱をしました。そして、公正で公平である選挙がねじ曲げられたんじゃないかと感じておられる兵庫県民、有権者もたくさんいらっしゃいます。
この知事選挙では公選法が想定していないことが起こって、その是非が今議論をされている最中です。私もその中で、今ちょっと杉本委員もSNSの話がございましたけれども、SNSの規制は本当に難しいので急にはなかなか解答というのは出てきませんけれども、早急に対応が必要で、かつ対応が可能なものとして、自らの当選を目的としない者の立候補の制限、このことについて質問いたします。
選挙運動には、ビラ、ポスター、拡声機などの公正さを担保するための数的制限というのが規定されています。しかし、他候補の当選を支援するための立候補ということが頻繁に起これば、二馬力、三馬力、そうなって全く公正さが失われていきます。そこで、お伺いしたいのは、国民、県民、市民の代表を選ぶ選挙に自らの当選を目的としない者の立候補は公選法の目的である民主主義の健全な発達を期するということに合致しているものかどうか、その辺りをお伺いします。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
一般論で申し上げますと、選挙におきましては、一定のルールの下、立候補者は選挙運動を通じて政見を訴え、有権者は各々の自由な意思に基づき投票先を選択するものと考えておりますが、各候補者が当選を目的としているかについて、その内心まで把握することはできないことから、その点について判断することは難しいのではないかというふうに考えてございます。
○向山(好)委員 内心を測るのは難しいかもしれませんけれども、行動とか宣伝物あるいは主義主張、そういうことを聞けばある程度分かるんじゃないかと思っておりますし、今、与党の方も東京都知事選挙の教訓で品位のないポスター何とかかんとかという話もございます。議論の最中なので、方向は分かりませんけれども。
村上大臣は十二月三日の参議院の本会議で辻元議員の質問に対し、その態様によっては公選法に違反するおそれがあるというような答弁をされていらっしゃいますけれども、態様というのは一体どういうことを指していらっしゃるのかということをお聞きしたいと思います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
一般論で申し上げますけれども、公職の候補者が他の候補者の選挙運動を行う場合には、それぞれの候補者が認められている範囲内で行われる必要がありまして、その態様によっては公職選挙法上の数量制限などに違反するおそれがあるというふうに考えてございます。
例えばですけれども、枚数制限のある選挙運動用ビラは候補者ごとに選挙管理委員会より交付されます証紙を貼り付ける必要がございますが、当該ビラにおいて証紙の貼付けのない他の候補者の投票依頼を行った場合でありますとか、あるいは、街頭演説は候補者ごとに選挙管理委員会によりまして交付されます標旗を掲げて行う必要がございますけれども、当該街頭演説におきまして、標旗を掲げていない他の候補者の選挙運動のための演説を行う場合などには、公職選挙法の規定に違反するおそれがあるものと考えてございます。
いずれにしましても、個別の事案が公職選挙法の規定に該当するか否かについては具体の事実に即して判断されるべきものと考えてございます。
○向山(好)委員 今の御答弁はブラックな場合の話でありまして、今回の知事選挙というのは限りなくブラックに近いグレーなんですね。公選法を熟知した者がブラックに近いグレーでやったらこんなことになるのかというようなことなんですね。ですから、グレーゾーンということに対する対応というのが今まではなかったけれども必要になってきているんじゃないかと思うんですね。今、杉本委員も、閣法で考えてきたらどうかというふうにおっしゃいました。本当にそのとおりだと思いましてね。
何でこんなことを申すかというと、いろいろな不幸が起こっているんですね。それの一つが、度重なる脅迫まがいの言葉の暴力に耐えかねて優秀な県議会議員が辞任せざるを得なくなったんですよ。奥さんとか息子さんが脅されて、家族を守るためには議員は辞めなきゃいけない。本当に大丈夫ですか、そんなことが。こんな世の中が許されてはよくないんですよね。それから、候補者のSNSアカウントが、特定の候補者を支援する団体の虚偽の通報、めちゃくちゃ通報したことによって凍結されたんですよ。大切な候補者の意見表明の場が奪われてしまったんですね。これを許していいんですかということなんですよ。是非とも、大臣、こういうことを考えたら、もう少し積極的にやるという御意思はございませんでしょうか。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
先般の東京都知事選挙をめぐる動きなどもございます。与野党におきまして公職選挙法改正に関する議論が行われて、ポスター掲示場に掲示する選挙運動用ポスターに品位保持規定を設けるなどの案が協議されているものと承知してございます。各党各会派において御議論していただきたいというふうに考えているところでございます。
○向山(好)委員 今年になって、同じようなことが何遍も度重なって起こっているんですね。四月の東京十五区の補欠選挙、お答えしちゃいますけれども、七月の東京都知事選挙、そして十一月の県知事選挙。来年も夏には東京都議選、それから参議院選挙という重要な選挙があるんですね。傍聴者でいいのかという話なんですね。今、選挙ということにちょっと態様が変わっていることに対してしっかりと総務省も認識していただいて、できる範囲でしっかりと対応していただきたいということをお願いいたします。
では、次の質問に移ります。次は、地域手当の支給割合の見直しに伴う地方への影響について伺います。
今年、国家公務員の地域手当の見直しが行われ、多くの自治体で支給割合が下がっています。例えば、私の地元の神戸では現行の一二%加算から八%、四ポイント下がっています。地域手当の支給割合が下がることというのは結構異例なことだというふうに思っています。
この見直しは、自治体に準拠されることによって地方公務員の給料を始め様々な制度に影響が出てきます。例えば、自治体職員の給料は地域手当を含めた水準で民間比較を行い決められているため地域手当の減少は給料月額の増加で調整せざるを得ず、自治体負担になるんですね。一方、地方交付税において算定の基礎となる係数が減少するため普通交付税が減少します。ダブルパンチなんですね。給与水準を国全体で引き上げようとしている政府の方針に、要するに給料を上げるということですね、水を差すんじゃないかというふうに思いますし、自治体に負担を押しつける結果になるんじゃないかと思います。地方への財政措置というのをしっかりと行うべきだと思いますが、御見解を伺います。
○小池政府参考人 地方公務員の地域手当につきましては、国における地域手当の指定基準等に基づき、支給地域及び級地区分、支給割合を定めることを基本として総務省から助言をしたところでございます。
普通交付税の基準財政需要額は、地方団体の標準的な経費を積算しているものであり、こうしたことから、国における地域手当の指定基準等に基づき財政措置を講じる予定としております。
なお、神戸市の場合、一二%から八%ということでございますが、今回、引下げは段階的に行われますので、令和七年度は指定基準が一一%となるところでございます。
なお、近年、人材確保が大変難しくなっている地域があることなどを踏まえまして、地域手当を国の指定基準より引き上げた場合の特別交付税の減額措置については、地域手当制度の見直しに合わせて廃止をすることとしたところでございます。
○向山(好)委員 激変緩和と特別交付税の減額措置を廃止するという話がありましたけれども、普通交付税も入っているんですかね。その辺りはどうなっていますか。普通交付税ということも同じように廃止ですか。
○大沢政府参考人 ただいま公務員部長が申し上げましたのは、特別交付税の減額措置を廃止するという趣旨であります。
普通交付税につきましては、国家公務員の水準と合わせた形で算定をいたしますので、地域手当の水準も国家公務員と合わせて算定をする、そういうことでございます。
○向山(好)委員 ですから、地方交付税というのは減額の方向になっちゃうということじゃないでしょうかね。そういったことというのもちゃんとしっかり、やはり地方への配慮というのをしていただきたいと思います。
もう一つ、地域手当の見直しで大切な視点というのがあるんですね。今日はこども家庭庁の方が来られているので、是非とも御答弁いただきたいと思いますけれども。
民間の保育園、これに対してもやはり地域手当が影響してきます。例えば、地域手当の見直しによって公定価格が下がって、神戸市の保育所への給付金が神戸市の試算では十一億円減額になるということみたいです。他方、他分野と比べて賃金格差が著しく深刻な人材不足に陥っている保育士さんの処遇改善というのが急務で、法律まで作ってそれを一生懸命国は取り組んでいるという現状に逆行するんじゃないかと思っているんですけれども、こういった懸念にこども家庭庁はどういった対策を考えておられるのか、お伺いします。
○竹林政府参考人 お答え申し上げます。
保育につきましては、市町村に実施義務が課されており、民間施設においても公立施設と同水準の保育が提供できるように、その公定価格の地域区分につきましては、公務員の地域手当における地域区分に準拠することを基本としながら、ほかの社会保障分野の制度との整合性も踏まえてこれまで設定、改正をしてきております。
本年八月に示された令和六年の人事院勧告を仮にそのまま当てはめた場合は、都道府県単位に広域化することで県内の隣接する市町村との不均衡の解消が図られる一方で、中には先生御指摘の神戸市のように支給割合が下がってしまう市町村も発生し、一部では、県外の隣接する市町村との差が開く、現行よりも拡大するといった御指摘もあり、懸念の声をいただいているところでございます。
こうしたことも踏まえつつ、自治体を始めとする関係者の意見を伺い、ほかの社会保障分野の動向なども注視しながら、引き続き丁寧に議論を進めてまいりたいというふうに考えております。
○向山(好)委員 丁寧な議論というのがどういう内容なのかは分かりませんけれども、ちゃんとしっかり、保育士の問題は大きいですし、今、隣接地の話をされていらっしゃいましたけれども、隣の大阪は一六%なんですね。神戸の倍なんですよ。放置しておったら大阪ばかりに保育士が流れてしまって神戸の方では不足するというような懸念もありますので、そういう実態をしっかり把握されて適切な対応をしていただきたいというふうに思います。
ちょっと時間が迫ってきましたので、次の質問をさせていただきます。次は、拉致対策のラジオ短波問題、このことについて質問します。
北朝鮮へ向けて放送しているラジオ短波「しおかぜ」、これは拉致被害者への励ましと奪還へ向けての重要な役割を担っておられます。しかし、来年四月以降のA25期というタームでは、放送を担っているNHKは放送時間の大幅な変更を予定しておられるということを聞いています。これまで拉致被害者が勇気づけられていた祖国からの呼びかけが、時間が変わったら放送をその時間にやらないわけですから、聞こえなくなって希望が失われてしまうんじゃないかというような懸念があります。
今、発信機の更新計画とそれに伴う放送時間の変更はどうなっているのか、お伺いします。
○小池参考人 お答えいたします。
特定失踪者問題調査会が送信しております「しおかぜ」に対しまして、NHKは人道上の見地から、業務に支障がないことなどを条件に、可能な範囲で協力しております。NHKが短波による国際放送の発信に使っておりますKDDI八俣送信所の送信機の一部を、調査会、KDDI、NHKの三者による覚書に基づきまして、調査会がKDDIに費用を支払って、KDDIが「しおかぜ」を送信しております。
委員御指摘のとおり、来年、二〇二五年一月から、最大十か月間の想定で、老朽化が進んだ百キロワット機二機からの送信設備の移行作業が行われる予定であります。
作業期間中の送信につきましては、今年度中、二〇二五年三月末まではこれまでと同様の二波体制が維持されることとなっています。
それ以降の送信につきましては、NHKの業務に支障がないことなどを前提に、調査会、KDDI、NHKの三者で協議を進めているところでございます。
○向山(好)委員 今、NHKの放送に支障のない範囲でと。そういったことがどういうことなのかということは、我々は臆測するしかないんですけれども。今の、七機あるんですかね、発信機が。それがちょっと二機が老朽化しているので、過去の議論を見ましたら、ある意味それはもうやめると。最終的には四機にして容量も上げていって安定的にしていくということで、過渡期にはいろいろあるんじゃないかと思うんですけれども。一方で、NHKさんの放送に支障がない範囲というのが、ひょっとしたら調査会とかの、あるいは政府の拉致被害者救出の方針と逆行するというか、それにちょっと支障を来すようなことになりかねないんじゃないかと思うんですよ。
ですから、二波で継続していったり、あるいは、時間ですね、今、二十二時から二十三時にやっていらっしゃるとか、あれですよね。一番被害者の方々が聞きやすい時間帯、聞いてもらえるんじゃないかというベターな時間帯を選択されているということを聞いていますので、その時間というのは守っていかなきゃいけない、継続して。しかし、それがNHKの業務に支障を来すということになれば総務省も国の一つの機関として、石破内閣の最重要課題というのであるならばNHKに対する支援というのもやっていかなければいけないんじゃないかと思いますけれども、最後に、その辺りの総務省の御見解はありますでしょうか。
○豊嶋政府参考人 お答え申し上げます。
まず、「しおかぜ」の送信設備については、短波放送施設を所有、管理するKDDI、施設の賃借人であり免許人でもある特定失踪者問題調査会、そして同様に施設を賃借するNHKの三者間の取決めに基づいてこれまで運用されてきているものと存じております。
このため、「しおかぜ」の放送体制につきましては、当事者であるこれら三者の間で現在協議を続けているところでございますので、協議を尽くしていただくことが何よりも重要かと考えておるところでございます。
なお、一般論でございますけれども、政府がNHKに対して指示をすること、また、補助金などにより特定の方針を示すということにつきましては、放送法に定める放送番組編集の自由との関係で、慎重に取り扱うべきものと考えております。
○向山(好)委員 終わります。
○竹内委員長 次に、山川仁君。
○山川委員 れいわ新選組の山川仁です。
総務大臣、連日公務で大変厳しい日程ではありますが、あと残り三名ですので、是非とも真摯に答弁をいただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
まず総務大臣の所信の質疑を行いたいと思いますが、今回は、Jアラートの的確な運用や弾道ミサイルを想定した住民避難訓練などについて質疑を行いたいと思います。
まず初めに認識をお伺いしたいんですが、総務大臣にお聞きします。日本は主権国家だとお考えですか。
○村上国務大臣 当然そのように考えております。
○山川委員 ありがとうございます。
それでは、沖縄県は、日本国内の中で多く都道府県がありますが、同じような共通認識で大事にされていると。総務大臣は今、認識はどのように考えておりますか。ほかの都道府県と併せてですね。
○村上国務大臣 私の個人的なあれは、亡くなられた翁長知事さんや御子息と非常に懇意にさせていただいておるので、私としてはほかの都道府県と全く同じだというふうに感じております。
○山川委員 ありがとうございます。
よく言われている、国と地方の関係は対等、協力関係であると言われておりますが、総務大臣としてもそのような認識でよろしいでしょうか。イエスかノーかでお願いします。
○村上国務大臣 そのように考えております。
○山川委員 ありがとうございます。
戦後七十九年が経過しましたが、安全保障の観点から沖縄県民は日本の防波堤となり様々な負担を背負わされていることに、先ほどの答弁、地方とは対等、協力関係であることを鑑みれば地方自治や住民自治を軽視していることになるというふうに私は認識しています。そして、その中で、総務大臣は地方自治の本旨、原則を遵守するという認識でよろしいでしょうか。
○村上国務大臣 それで結構だと思います。
○山川委員 ありがとうございます。
地方自治の本旨、原則とは、参議院の憲法審査会でも公表されておりますが、国が地方自治体、地域住民の意見を尊重することというふうに伝えられております。
そこで、地方自治、防災や国民保護など、様々な国民への責務を持つ担当大臣として、この沖縄県、四十一市町村ございますが、その中で苦難の歴史と今なお続く負担の押しつけを、今後、地方自治の本旨に沿って適切な対応が求められると私は強く願っています。どのような対等な協力関係を構築していくのか。総務省として積極的に各省庁とも横断的に共通したこの認識で国家運営を行ってほしいと思っておりますが、地方自治の本旨を遵守するように、是非とも各省庁にも同じような認識を是非、総務省を筆頭に御理解いただきたいと思いますが、いかがでしょうか、総務大臣。
○村上国務大臣 私の担当は総務省でありますので、総務省に対しては徹底すると思いますし、また、そのほかの省庁についても可能な限り説明していきたいと思っております。
○山川委員 ありがとうございます。
今なぜこのようなお話をしたかというと、各省庁で全然認識の違う地方自治の連携の仕方があるというふうに認識をしておりますので、そこは是非、総務省として各省庁に横断的に御意思を伝えていただければなと思います。
次に、沖縄関連とJアラートについてお話をお伝えしていきたいと思います。沖縄は、地理的優位性にとって、そしてまた東アジアの中心として位置しておるわけですが、その優位性や潜在力を引き出せるように地方行政と連携する総務省の役割はとても大きなものがあると私は考えております。その中で、沖縄は経済活性化のフロントランナー、また、首相官邸のホームページの中でも沖縄が日本の経済成長の牽引役となることを目指しますというふうに記載されております。そのような明るい沖縄県となるように、是非、イメージを、ビジョンを持ちながらJアラートについて答弁をしていただきたいと思います。
まず、近隣諸国より発射される飛翔体というものが弾道ミサイルなのか衛星なのかの判断というのがどの程度の時間があれば担当省庁は把握ができているのか、お答えください。
○小野政府参考人 お答えします。
防衛省・自衛隊は、一般に、弾道ミサイル等の発射の直後、米軍より早期警戒情報として弾道ミサイル等の落下予想地域等に関する情報を受領しておりまして、また、自衛隊のレーダー等によりまして弾道ミサイル等の情報収集を行っており、これらにより、発射後極めて短時間のうちに弾道ミサイル等の飛翔経路を把握しているところでございます。
○山川委員 ありがとうございます。
それでは、発射確認後にJアラートが発動されるまでの時間、どのような伝達を経由して自治体から住民へ警報が届けられることになっているのか、お答えください。
○田辺政府参考人 ミサイルが発射されてからJアラートが送信されるまでの時間は一概には言えませんが、消防庁としては、内閣官房から弾道ミサイル発射情報等が送信され次第、機械的に各自治体に伝達し、自治体においては、防災行政無線の自動起動等により、その情報を住民に対して伝達しているところです。
その上で、直近のJアラートの送信事案である令和六年五月二十七日の事案に関しては、ミサイル発射から約三分後にJアラートの発射情報が送信されています。
○山川委員 ありがとうございます。今、説明は、多分国民には認識しづらい答弁だったと思いますが、防衛省から内閣官房に伝達され、それから総務省にそれが届き、総務省から各自治体に情報が届きながら、自治体が各地域の方々にJアラートを発信するという流れが三分間だというふうに認識しております。
その中で、仮に弾道ミサイルと想定した場合、日本国内に着弾するルートであったならどのような対処方法があり、無事に国民保護を保障できるのか、お答えください。
○小野政府参考人 お答えします。
防衛省・自衛隊は、我が国に飛来します弾道ミサイル等に備え、二十四時間体制で全国各地のレーダー等により警戒監視、情報収集を実施しているほか、我が国に向けて弾道ミサイル等が発射された場合には、自衛隊の各種レーダー等によりまして、発射直後から落下まで探知、追尾を行っております。
その上で、弾道ミサイル等が我が国の領域に飛来することが確認されましたならば、イージス艦による上層での迎撃、それからPAC3による下層での迎撃を組み合わせたいわゆる多層防衛、これによりまして必要な措置を講じることとなっております。
いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊といたしまして国民の生命財産を守り抜くため万全の体制を取っておりますし、引き続き警戒監視、情報収集に全力を挙げてまいります。
○山川委員 ありがとうございます。今のお話の中で、無事に国民保護を保障できるのかというところは責務を努めていくという形でしたので、少し頑張っていただければなと思いますが。
まず、各地の、沖縄県先島諸島についてのお話になりますが、弾道ミサイル有事を想定した住民避難訓練計画が行われているというふうに伺っています。Jアラートの放送後、何分以内で安全な場所への移動確保が先島諸島の中で行われるのか、お答えください。
○田辺政府参考人 弾道ミサイル飛来時にどのような行動を取るべきか、住民に理解を深めていただくことは大変重要と認識しています。
そのため、消防庁としては、内閣官房と連携し、地方公共団体に対し、訓練の必要性を丁寧に説明の上、訓練実施に向けた働きかけを行い、全国各地のより多くの地域で訓練が実施されるよう、積極的に取り組んでいるところです。
弾道ミサイルを想定した訓練においては、模擬のJアラートによるミサイル発射情報を受けた住民が直ちに、近くの建物の中や地下施設への移動や、物陰に隠れる、身を伏せるなどの避難行動を取る訓練が行われているところでございます。
○山川委員 ありがとうございます。
今、消防庁、そして先ほど防衛省の方から答弁をいただきましたが、避難訓練をする際に、国民が強固な建物等に避難をする際、当然防衛省としては外敵から守るためにPAC3、イージス艦等を活用して守っていく、その整合性がしっかりと取れているのかどうか。消防庁また防衛省と併せて何か御回答ができるものがあれば是非、国民保護の保障を担保するような答弁をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○小野政府参考人 お答えします。
防衛省・自衛隊は、日頃から、関係省庁、これは内閣官房、それから今御答弁のあった消防庁等と緊密に連携を取りながら、様々な訓練等もやっております。また、国民保護計画の下でもしっかり連携が取れる体制を取っております。
先ほど申し上げましたように、防衛省・自衛隊におきましては二十四時間体制で警戒監視に万全を期しておりますし、また、万が一の場合には迎撃を含めた必要な措置も取れる、こういった体制を取っておるところでございます。
○山川委員 少し視点を変えてお話しさせてもらいますが、沖縄にアジアの近隣諸国の方から飛翔体がよく発射されて、報道に多くされているところです。その際に、PAC3、イージス艦の発動が報道されないまま、沖縄県民に対して不安だけがあるような報道が一方的に発信をされている状況です。その際に、沖縄県内の上空を通過して、通過した後に海面に着弾した、それがミサイルだったのか衛星だったのかというような、誤報とも取れるような報道もあったと私は認識しておりますが。
その際、当然ルートの計算式で上空を通るのでそこを迎撃する必要はないかと思いますが、それに対する防衛省の皆さん方の対応として、仮に何らかの不具合でそれが国民に影響を及ぼすような対応があった場合にしっかりと、今言われているイージス艦、PAC3等で国民が保護できるような体制なのか、若しくは、消防庁が言われているようにJアラートが発信される三分以降の時間帯に飛翔体が飛んできた場合を想定して、きちんと国民全員が安全な場所に避難できるというふうな国民保護計画になっているのか、お伺いします。
○小野政府参考人 弾道ミサイル等の発射直後から、防衛省から内閣官房に対しましては、発射の時刻、場所、それから発射方向、落下予測地域、落下予想時刻などの解析をした情報を提供いたしておりまして、弾道ミサイル等が我が国に飛来する可能性がある場合には内閣官房からJアラートを通じて国民に提供できる体制が取れております。
また、委員御指摘の我が国に向かって弾道ミサイル等が飛来する場合ということでございますけれども、自衛隊法の中にも、我が国の領域に落下する場合においては迎撃するということが可能な法的枠組みがございます。現状においてそういった事態というのはこれまで起きておりませんけれども、いずれにしても自衛隊はしっかりとそこの体制も取れております。
○山川委員 消防庁の方も少し答弁をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○田辺政府参考人 弾道ミサイルが発射され、Jアラートが発令されてから何分後に着弾するかといったことについては一概に申し上げることはできませんが、短時間であることも想定されます。
そのため、弾道ミサイルを想定した訓練については、ミサイル発射情報を受けた住民が直ちに避難行動を取る訓練を基本としているところでございます。
繰り返しになりますが、消防庁としては、今後とも、内閣官房と連携し、地方公共団体に対し、訓練の必要性を丁寧に説明の上、訓練の実施に向けた働きかけを行ってまいりたいと考えてございます。
○山川委員 ありがとうございます。
時間もあと残り五分なので少し、これまでの答弁を伺っていて、Jアラート、発災後避難を促して国民が迅速に安全な場所に避難が可能かというところは、多くの疑問を多分それぞれ各委員も聞いていて感じているところだと思います。幾ら防衛力を強化しても、様々な戦闘の中できちんとした体制で国民が保護できるのかというのも、私は今のところ大分否定的な考えを持っているところです。
これまで沖縄県においては台湾有事は日本の有事などと言われ、総務大臣として、冒頭で申し上げたとおり、自治の本旨、また国と地方は対等であるという中で国と地元の対話もなく軍拡が強権的に進められていることにどのような心証をお持ちでしょうか。お答えください。
○村上国務大臣 私も四十年近く政治家をやっているんですが、私の印象では、橋本さんや野中さんは随分沖縄の皆さん方のお気持ちを忖度して、その意思に沿うように一生懸命努力されていたように私は感じていました。ただ、その後はどうかというといろいろ見解の相違があるのでなかなか言いづらいことでありますけれども、橋本さんや野中さんのような非常に丁寧なあれが少し少なかったのかなという印象は受けています。
○山川委員 ありがとうございます。
防衛力強化という名の国家予算の無駄遣いだと私は考えておりますが、米国の軍事産業の加担によって日々不安になっている八重山諸島若しくは宮古島周辺の島民が多くいることを是非この場をおかりして共有していただきたいと思います。国民保護計画に基づく武力攻撃予測事態を想定した内容は、八重山諸島の島民の避難は六日かけて行うと想定しており、先ほど来の答弁を確認しても、国民保護やJアラートの信頼性はずさんな状況であると私は言わざるを得ません。
その中で、総務大臣は、今想定されている先島諸島の国民保護について、強固な建物もなく、琉球石灰岩で地盤も緩い、そういった中での状況、逆に、先島諸島は海洋資源が豊富で宝の島、先島の地はアジア諸国の観光客も多く、島の人々がどのような生活をしているのか、今の離島の状況が時代とともにどのように変わっているのか、是非、先島などの沖縄の視察を要望しますが、総務大臣、どうでしょうか、一緒に視察に行きませんか。
○村上国務大臣 私は非常に浅学非才なもので、守備範囲が広いので、今は毎日四、五時間の睡眠で一生懸命頑張っております。ある程度マスターできたら委員とともに行ってみたい、そういうふうに考えております。
○山川委員 ありがとうございます。
それでは、最後の時間になるかもしれませんが、現在、防衛予算を増額し、国民や物価対策や能登半島地震への、石川県民への寒い冬を暖かく過ごせるような予算措置がまだ届いていない状況です。このような防衛力を備えても、国民の生命と財産を守ることすらできていない。計画と日米同盟の在り方は抜本的に変えていただき、日本のルール、国民の生活に向いた予算の在り方であってもらいたいと思っています。
先祖代々住み慣れた土地、国民の生命を現代の銃剣とブルドーザーで奪うことではなく、各大臣には、沖縄に武器や弾薬を強化して国民を守るというような米国追従路線の政治ではなくて、平和外交、お互いの対話、信頼醸成、コンフィデンスビルディングに注力をしていただきたいと思いますが、防衛省の見解を伺います。
○金子大臣政務官 お答えします。
我が国を取り巻く戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、国民の命と平和な暮らし、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くことは政府の最も重要な責務でございます。
政府としては、まず優先されるべきは積極的な外交であるというふうに考えております。多層的に積極的な外交を展開することによって、我が国にとって望ましい安全保障環境を実現する考えでございます。
その上で、外交には裏づけとなる防衛力が必要でございます。防衛省としては、戦略三文書に基づく防衛力の抜本的強化を着実に実現することにより、我が国の抑止力、対処力を向上させ、武力攻撃そのものの可能性を低下させていく考えでございます。
このように、政府としては、外交力、防衛力を含む総合的な国力を結集し、我が国を断固として守り抜いてまいります。
○山川委員 締めの挨拶になります、済みません。
最後に、米国のミサイル部隊や日米合同訓練が先島諸島に盛り込まれることは、主権国家としてあるべき国土づくり、安全保障体制ではありません。平和憲法の下に同盟国とは対等な立場で県民の声を聞く、そしてそこに住む国民が笑顔になるような地方創生を目指すべきだと考えて、本日の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
〔委員長退席、あかま委員長代理着席〕
○あかま委員長代理 次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日は、性暴力被害者のためのワンストップセンターについて聞きます。
この間、刑法が百年ぶりに改正をされ、性犯罪の重罰化が実現をしてきましたが、そもそも被害に遭った当事者や家族が支援を求めることそのものが容易ではない現状において、全国に設置されている性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターに対する役割は増大をしております。
まず聞きますけれども、ワンストップセンターの利用者は全国で増加の一途をたどっておりますが、全国の設置数と相談件数、これをお答えください。
○小八木政府参考人 お答え申し上げます。
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターは、被害者の意思を尊重しつつ、被害直後からの医療的支援、法的支援、心理的支援などを可能な限り一か所で提供する相談窓口でございまして、全国四十七都道府県の五十二か所に設置されてございます。
全国のワンストップ支援センターへの相談件数は、令和五年度で合計六万九千百件となっております。
○辰巳委員 今、ワンストップセンターが全国で窮地に立たされております。とりわけ、今大きな声として上がっているのが、ワンストップ支援センターの先駆として二〇一〇年以来運営してきた性暴力救援センター・大阪SACHICOの存続であります。
SACHICOというのは、名前ではなくて、セクシュアル・アソールト・クライシス・ヒーリング・インターベンション・センター・オオサカ、これの頭文字を取ったものなんですけれども、このSACHICOは全国に先駆けて、二〇一〇年、病院拠点型として稼働し、二十四時間体制のホットライン及び支援員の常駐による心のケア、産婦人科医や精神科医による診療、警察や児童相談所、弁護士、カウンセラーなどの必要な機関との連携を行って、被害直後の急性期から中長期までの総合的、包括的な被害者や家族への支援を行ってきた施設であります。
二〇一〇年度から二〇二三年度までの十四年間でSACHICOが受けた相談電話回数は五万二千百九十八件、来所延べ件数は一万四千六百十件、診療及び支援した人の実人数は三千七百二十二人にも上り、うち二十歳未満が二千百八十八人で全体の五八%を占めているということであります。
内閣府も二〇一二年に、SACHICOをモデルとして、ワンストップ支援センター設立の手引を出しております。まさに性被害救済のフロンティアとして活動してきた、稼働してきた施設がSACHICOであります。
ところが、拠点としている民間病院が、医師の働き方改革などの影響で、医師を派遣した民間病院からの協力が難しくなって運営の縮小を迫られた結果、二〇二二年度には四百六人であった相談者が二〇二三年には百二十一人と、三分の一に激減をしたわけなんです。十二月四日、五万もの存続を求める署名が大阪府に提出されるに至っております。今日はその署名を集めていただいた方も傍聴に来られているんです、存続を願う方々ですけれども。
担当大臣政務官に聞きたいんですけれども、こういう被害者救済の最も大きな力になってきたワンストップセンター、SACHICOが存続の危機にある、受け止めを聞かせていただけますか。
○友納大臣政務官 質問にお答えいたします。
大阪府で性暴力被害者支援の中核を担ってくださってきましたワンストップ支援センター、SACHICOにつきまして、現在、大阪府は移転先を確保すべく検討を進めているということは承知しております。
現在、全ての都道府県においてワンストップ支援センターで被害者支援ができている体制になっている中で、大阪府においてワンストップ支援センターの機能が損なわれるようなことがあってはならないと考えております。このような認識は大阪府とも共有しているところです。
内閣府としましては、大阪府に対し移転に伴う対応等に必要な情報を提供するなど、適切に対応してまいります。
〔あかま委員長代理退席、委員長着席〕
○辰巳委員 政務官から今、あってはならないという答弁があったと思うんですね。そのとおりだと思うんです。それが今多くの方が望んでいることだと思うんですね。
では、必要なワンストップセンターがなぜこのような窮地に陥っているのか、何が障害となっているのかということなんですね。
一つは、今の補助金の在り方にあるということなんです。
このセンターの賃料とか、あるいは支援をしてくださっている方の人件費など、運営費というんですけれども、この運営費は国や自治体の補助があるわけなんですね。ところが、医師、看護師などの医療従事者には全く出ないんですよ、全く出ない。
例えば、施設の運営費については国が二分の一を見ます、つまり自治体が二分の一、残りを見ます。医療支援は国が三分の一、自治体が三分の二ということになっております。ここも、やはり補助を申請する自治体にも負担があるため、国への申請が十分でない実態があるということなんですね。
SACHICOの場合でいいますと、年間約二千万円の補助が入ってくるわけなんですが、全て支援員の人件費で消えるということなんです。つまり、医師や看護師の人件費は施設の持ち出しになるんですね。完全持ち出しになるわけです。ですから、今、支援者からのカンパなどでSACHICOなどは運営を支えられているということなんですね。
私が聞きたいのは、なぜこのような交付率になっているのかということなんです。SACHICOからは、せめて医師の人件費、診療費、あるいはピル代、これを国が見てもらいたいという要望がずっと出されているんですね。これは国が負担するべきじゃないでしょうか、政務官、どうですか。
○友納大臣政務官 御質問にお答えいたします。
性犯罪・性暴力被害者支援のための交付金についてのお尋ねかと存じます。
ワンストップ支援センターは、都道府県等が整備している相談窓口であり、内閣府は本交付金により都道府県等の取組を支援しております。
本交付金の予算につきましては、厳しい財政状況の中にありましても、各地域のニーズに合わせ、年々増加をしてまいりました。今年度は、前年度に比べ約二割の増額、総額約六億円の執行を可能とし、また、昨日成立いたしました補正予算においても二億円超を計上したところでございます。
引き続き、執行状況も見つつ、ワンストップ支援センターの運営に必要な予算額を確保できるように努めてまいります。
また、議員から御質問がありました交付金が医師の人件費に充てられないという点でございますけれども、交付金はこれまでも連携協力する医療関係者等に対する謝金、負担金に充てられるようにとしておりますので、内閣府としてはそれらの点をよりしっかりと都道府県等に周知してまいりたいと思います。なお、医療従事者につきましてですが、診療行為そのものには別の手当てがされるものであることも踏まえることも必要であると考えております。
いずれにしましても、都道府県におけるニーズをよく把握しつつ、本交付金の効果的な活用を図ってまいります。
○辰巳委員 今聞いていただいて分かるように六億円ですよ、全体で六億円しかないんですよ、この事業。余りにも少ない。二桁、三桁少ないんちゃうかと私は思うんですね。二割増と言うけれども六億円なんです。だから、医師の人件費すら見られないということなんですね。
今ありましたSACHICOでいうと、例えば、拠点としている民間病院の産婦人科外来の診療報酬というのは年間で大体一千万円ぐらいだと。三人の医師で回しているということなので、一人当たり三百三十万円の診療報酬なんですね。対してSACHICOは七十七万円の診療報酬しか入ってこない。ですから、民間病院の四分の一から五分の一なんですよ。だから、これでどうやって運営できるのか、専従の医師がつけられますかと。
ですから、今政府として、拠点病院、ここを増やそうという話をしているわけなんですけれども、どこが拠点病院に名のりを上げますか、こういう状況で。六億円ですよ、年間。余りにも少な過ぎると思うんですね。
苦境なのはSACHICOだけじゃないんです。
本年八月には、政府に対して、千葉、東京、名古屋、大阪、京都、兵庫、島根、広島などでワンストップセンターを運営する法人から施設の存続と強化のための要望書が出されております。支援のための公費負担なんですが、出どころは警察公費か政府、自治体となっておりまして、自治体独自の基準で補助基準を設定するということになっていますので、公費負担のばらつきがあるというんですね。つまり、自治体間で支援の量や質に差をつくってしまっているという実態がある。
本来なら、性被害の相談をした施設で支援を受けられる、受けられない、あるいは質や量の違いがあってはならないと思うんですが、大臣政務官、公費の負担の在り方について国がガイドラインを作るべきだと思うんですけれども、いかがですか。
○友納大臣政務官 御質問にお答えいたします。
ワンストップ支援センターは都道府県等が整備している相談窓口であり、それぞれの地域のリソースを生かして、それぞれの形態で設置、運営されております。このため、各センターに全国一律の対応を求めることは難しい面があることには御理解をいただきたいと思います。ただ、御質問の御趣旨はこれが問題だということだと思います。
全国のどこであっても、性犯罪、性暴力の被害に遭った方々がワンストップ支援センターから必要な支援を受けることができるように、センターの支援の質の向上を図っていくことは重要な課題であると認識しております。
このため、内閣府としましては、都道府県等への必要な情報の提供等を通じて、交付金を更に御活用いただけるように促してまいりたいと考えております。
また、二十四時間運営が難しいセンターのための夜間休日コールセンターの運営、電話相談の通話料の無料化、相談員等の研修機会の提供などの取組も併せて行い、支援内容の充実に向けて取り組んでまいります。
○辰巳委員 今、二十四時間のコールセンターというのもあるんですけれども、二十四時間のコールセンターはいいんですよ、必要なんですよ。ただ、二十四時間のコールセンターからその先につながる施設、ここが存続の危機になっているわけです。あるいは、二十四時間の医師が必要ですよね、専従の医師が必要なんですよ。そやけど、その医師が賄えないんですよ、民間病院、一般の病院では。あるいは、施設ではカンパで賄っているわけですから。そこをどうするかという議論をもっとしていかなければならないと思うんですね。
ワンストップセンターの運営については、政府自身が課題を認識しているわけなんです。二〇二二年、政府は状況調査の委託を行って、支援の在り方や運営、連携体制についての課題、これが浮き彫りになっております。どういう課題が示されているのか、示していただけますか。
○小八木政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの調査では、有識者から構成される検討会で、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターにおける支援状況等を御議論いただきました。今後の支援体制の強化に向けまして、運営の安定化、二十四時間三百六十五日体制の確保、支援員の専門性の確保、子供や多様な被害者への対応、医療機関との連携強化といった課題が指摘されたところでございます。
こうした御指摘を踏まえまして、内閣府といたしましては、引き続き、充実した支援が提供できるよう、ワンストップ支援センターの体制整備に取り組んでまいりたいと考えております。
○辰巳委員 二〇二四年の女性版骨太の方針におきまして、この支援の強化あるいは充実ということがうたわれているんですね。性犯罪、性暴力被害者に対する医療的支援の更なる充実のため、特に中長期的な関係の構築を見据えて公立病院や公的病院へのワンストップ支援センターの設置や提携を含め関係強化を図るとしています。
大臣政務官、なぜ公立病院や公的病院への設置や提携が必要だと考えているんですか。
○友納大臣政務官 御質問にお答えいたします。
性犯罪、性暴力の被害に遭った方々への支援において、被害直後の診察や緊急避妊薬の処方等、的確な医療的支援の提供が重要です。
医療的支援を提供するに当たりましては、性暴力被害の特性や被害者の心情を踏まえた十分な配慮が必要となることから、ワンストップ支援センターと医療機関との間に中長期的な協力関係の構築が望ましいと考えております。私自身も医療従事者ですので、医療機関との連携若しくは医療機関にワンストップ支援センターを置くことの重要性というのは認識はしております。
御指摘の女性活躍・男女共同参画の重点方針二〇二四の公立病院及び公的病院に係る記載につきましては、これらの病院の公的な性質を踏まえ、地域において中長期的な協力関係を築くことが想定され得る医療機関の例として示したものでございます。なお、協力連携いただく医療機関はこれらに限定されるものではございません。
○辰巳委員 大臣、病院での、要するに拠点型病院、ここにワンストップセンターを置くことの重要性ということを少し触れていただいたと思うんですけれども、そのとおりだと思うんですね。公的病院のその性質に鑑みて、そことの連携の強化を図ることが大事だということも分かりました。
もう一問聞きたいんですけれども、公的・公立病院の役割というのは重要だ、これはもう誰もが認識することだと思うんですけれども、ただ、ただなんですよ、総務大臣、村上大臣。公立病院に仮にワンストップセンターというのを置いたとしても、公立病院というのは、御承知のとおり、今も七割の公立病院が赤字経営、運営というふうになっているわけですね。そういう中で、公立病院でその役割が果たせるのかと。民間病院ではなかなか難しいという話がありましたけれども、公立病院で果たせるのかという声もあると思うんですよ。同時に果たさなければならないという側面があると思うんですね。ここについて、大臣、公立病院に性被害に遭われた方々の支援の拠点をつくるということに関しての大臣の所感を教えていただけますか。
○村上国務大臣 辰巳委員の問題意識についてはよく分かります。
ただ、公立病院において性犯罪・性暴力の被害者のためのワンストップ支援センターと連携する事例があることは十分承知しておりますけれども、それぞれの自治体の判断により自主的な事業等を実施されるものと認識しております。
性犯罪、性暴力の被害者に対する医療的支援の拡充に向けて、地域においてワンストップ支援センターを設置するに当たり、公立、民間を問わず、提携する医療機関に求められる役割や機能、課題とその対処法等については、先ほど来お話があった内閣府や厚生労働省においてよく検討いただきまして、総務省としても必要に応じてお話を伺って一生懸命対応していきたいと考えております。
○辰巳委員 政府の考えは、公立病院の拠点センターというのもありますけれども、なかなか民間では苦しい側面がある、ですから公的病院、公立病院の役割を発揮してほしい、中長期的な連携をしてほしいということだと思うんですけれども、さりとてなんです。
今申し上げたように、公立病院だって七割が赤字なんですよね。つまり、結局それは自治体の負担になっていくわけなんですよね。この自治体の負担や民間病院の負担をなくすためには何が必要かというと、あとはもう国の交付率を上げるしかないんですよ。先ほどあったように六億円ぐらいの、それぐらいのお金しか出していないんだから、結局自治体の負担になったり民間病院の負担になっちゃうわけなんですよ。ここの交付率を上げるために政治が汗をかかなあかんと思うんです。
大臣は財務畑ですよね、大蔵畑ですよね、おっしゃっていますよね。実は、この救援センターは根拠法がないんですよ。根拠法がないことによって、交付率、やはりなかなか制限がかかる、こういう側面があるんですね。AV被害の救済のための法律というのができましたけれども、この法律に基づいて、AVの出演被害に関しては全額を国が国庫で見るということになっているんです。私はやはり根拠法は必要じゃないかと思うんですよ、根拠法が。総務大臣、いかがですか。財務の面から、支援の強化の面から。
○村上国務大臣 根拠法とおっしゃいますけれども、先ほど来内閣府や厚生省が答えているように、そちらでまず判断していただければと思います。
それで、今委員はいろいろおっしゃるんですけれども、この問題に限らず、公立病院の赤字については我が総務省はかなり負担をしておりまして、その問題について、関連しながら、今後一生懸命検討していきたい、そういうふうに考えております。
○竹内委員長 辰巳委員に申し上げますが、時間が参りましたので、よろしくお願いします。
○辰巳委員 はい。
まとめになりますけれども、やはり現場から出ているのは、とにかく少な過ぎ、援助が少な過ぎるということなんです。これでは性被害に遭われた方がなかなか救済されない。この施設の運営のために、総務省であれ、内閣府であれ、政府一体として取り組んでいくことを求めて、質問を終わります。
○竹内委員長 次に、中川康洋君。
○中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。
今日は最終の質問ということで、特に今日は質問順序に委員長並びに理事の皆様の御配慮をいただきまして、大変にありがとうございました。まずはそのことに感謝を申し上げます。
今日は、村上大臣の所信に対する御質疑ということで、私も是非ともいろいろなことを聞かせていただきたい、こんな思いで参加をさせていただきました。るるお伺いをさせていただきますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず初めに、能登半島地震の復旧復興に向けた副大臣、政務官の御決意についてお伺いをしたいと思います。
といいますのは、村上大臣につきましては先般の委員会でそういったことのお話があったというふうにお伺いをしております。能登半島地震が発災をいたしまして間もなく一年となってまいります。地方自治、地方財政、また地方税制、さらには情報通信、こういったものを担う総務省としても能登半島地震の早期の復旧復興というのは大変に大事であり、これを加速させていくこと、これは大変に重要であるというふうに考えております。
村上大臣や古川大臣政務官には既に本委員会でそこへの決意を伺ったというふうに伺っていますので、本日は、冨樫、阿達両副大臣、さらには長谷川大臣政務官からもそこに対しての御決意、これを是非ともお伺いしたいと思いますので、順によろしくお願い申し上げます。
○冨樫副大臣 今般の能登半島地震及び豪雨により犠牲になられた方々に心よりお悔やみを申し上げますと同時に、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
私自身も本年四月に能登半島の被災地を訪問し、実際にその厳しい状況を目の当たりにしてきました。被災地の復旧復興にしっかりと取り組んでいく、その必要があるとの思いで帰ってきましたけれども、これを強く強く感じたところでもあります。
総務省では、発災直後から、緊急消防援助隊の派遣、通信・放送インフラの復旧、応援職員の派遣、そして特別行政相談の活動の実施、さらには財政的な支援と、被災地の支援に取り組んでまいりました。
石川県を始め被災自治体において、復旧復興対策に相当な財政負担を生じています。このため、本年六月に石川県の復興基金に特別交付税措置を講じるとともに、昨日成立した改正地方交付税法においても特別交付税の増額を盛り込んだところであります。
今後とも、被災地のニーズをよく伺いながら、関係自治体、事業者の皆様と連携して全力で取り組んでまいります。
以上です。
○阿達副大臣 私からも、今般の能登半島地震及び豪雨により犠牲となられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
私の担当する通信・放送分野について申し上げますと、必要不可欠な情報伝達手段である通信及び放送インフラについて甚大な被害が発生いたしましたが、官民の連携の下、復旧作業に全力で取り組み、復旧はおおむね終了いたしました。しかし、その後、九月の大雨により生じた被害について、今、道路の啓開に合わせて復旧を進めているところでございます。
引き続き、能登半島地震等の教訓も踏まえ、携帯電話基地局やケーブルテレビネットワーク等のインフラの強靱化、非常時における事業者間ローミングの導入、官民連携で対応する体制整備に向け、名称は仮称ですが通信復旧支援士の創設などという取組をしっかりと計画的に進め、能登半島地震の復興にしっかり生かすとともに、能登半島地震の被災地以外の通信の強靱化にもつなげてまいりたいと思います。
○長谷川大臣政務官 私からも、今般の能登半島地震及び豪雨により犠牲となられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
私の担当する行政相談分野では、被災された方々を支援するため、被災者の相談にワンストップで対応する特別行政相談所を石川県内百十一か所で開設し、約五千件に上る相談を受け付けてきたほか、生活支援情報をまとめたガイドブックの避難所等への配布や災害専用フリーダイヤルの設置などに取り組んできたところです。
引き続き、自治体等との連携を強化しながら、被災された方々のお困り事にしっかり寄り添ってまいりたいと思います。
○中川(康)委員 大変ありがとうございました。
それぞれの御担当する分野において具体的なお話を伺ったと思っていますし、済みません、私、冒頭、総務省の担当するところで消防という言葉を入れなくて、一番大事な命を守るところを抜かしたものですから、そこはおわびを申し上げながらというふうに思います。
やはり財政面においてどうしっかりとした対応をしていくのか。また、通信、これは今回、能登は特に情報通信の必要性の教訓が明らかになったというふうにも考えております。さらには、相談ということで、総務省は地方自治との連携を一番強く持つところでありますので、大臣を中心に副大臣、政務官が御担当されるところ、まだまだ乗り越えなければいけない課題、さらには、これからまた全国においてどういった災害が起きてくるか分からない。そういった部分においては、今回のことを教訓としながら次につながっていく、そういった流れをおつくりいただきたいという思いで、今日はそれぞれの副大臣、政務官にお話を伺いました。ありがとうございます。
続きまして、少し個別的な話題に入ります。
緊急浚渫推進事業、緊急防災・減災事業、緊防債ですね、さらには緊急自然災害防止対策事業の延長について、これは私は何度か伺っておるんですが、大臣所信ということで、大きな概念から伺わせていただきます。
各地方自治体におきましては、今言った三つの事業を活用いたしまして、国土強靱化に資する対策、これを鋭意実施いただいております。まさしく今、自然災害の頻度が高まっている今日において、これら対策の必要性がこれ以上に高まっているというふうに私は認識をいたしますし、また、地域によっては、例えば、しゅんせつ等の対策が完了してその効果が出ているところもあれば、その多くはまだ対策途上である、ないしは未整備の状況、こういったところも散見されるのではないか、こんな感じでおります。
そのような対策途上の中、緊急浚渫推進事業、これは事業債にもつながりますけれども令和六年度で、また、緊急防災・減災事業及び緊急自然災害防止対策事業は令和七年度で、いわゆる国土強靱化とリンクするところもあるんですが、終了する予定になっております。地方自治体からいくと、不安の要素といったものが出てくるわけでございます。
そこで、お伺いしますが、地方自治体が今後も国土強靱化に資する対策を円滑に進めるためにも、緊急浚渫推進事業、これは令和六年度で終わります、さらには緊防債、また緊急自然災害防止対策事業の地方債の延長、これをしっかりと図っていくことが重要だ、そしてこれが地方の安心につながる、このように考えるわけですが、総務省の御見解を伺います。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
地震、豪雨など自然災害が激甚化、頻発化する中で、自治体が単独事業として実施する防災・減災対策が極めて重要だと認識をしております。
令和六年度を期限としております緊急浚渫推進事業の延長につきましては、地方からも、まだ多くの残事業が残っているでありますとか、短い事業期間と少ない経費で効率的、効果的に水害の未然防止につながっているといったような声を伺っております。こうした声を踏まえまして、年末の地方財政対策に向けて、現在鋭意検討を進めているところでございます。
また、令和七年度を期限としております緊急防災・減災事業債、これは今年の事業費で五千億程度ございます、緊急自然災害防止対策事業債、これも今年度で四千億円程度のかなり大きい事業費がございます、この延長につきましては自治体の取組や国の国土強靱化実施中期計画の動向なども踏まえまして適切に対応してまいりたいと考えております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
しゅんせつは、私は県会議員をやっていましたので、単費でしかできないということで、本当に地元の要望が多かったんです。私が国土交通委員会でこの質問を総務省に来ていただいて質問したときにはなかなか事業債をつくるのには慎重だったんですけれども、御決断いただいて非常に喜ばれている。そして、災害が増えていく中で、この事業によってしゅんせつができたので越水を防ぐことができた、こういった具体的事例も出ているんですね。
しかし、私は三重県ですけれども、三重県の中で聞くと、最低でもあと十年は必要だ、こんなことの計画なんかも聞くわけであります。今、鋭意検討というお話をいただきましたので、今の局長の一言は、大分地元自治体は安心する一言になったんじゃないかというふうに思いますが、継続をしていただきたい。
さらには、緊防債なんかも、例えば今、学校の教室のエアコンは大体整備されたんですが、体育館をどう整備していくかという中においては、この緊防債もうまく活用できるわけでございます。これはやはり避難所の整備という意味においての体育館におけるエアコンというところにもつながっていきますので、そういった自治体の内容にもつなげていく、これが非常に大事だというふうに思っていますので、是非とも大臣も含めてそこのところを御理解いただいて、事業債の延長を是非ともお願いしたいというふうにも思います。
次に、自治体における衛星携帯電話の検討状況と今後の整備状況についてお伺いします。
今、阿達副大臣からもそれを担当しているというお話をいただきましたが、私は四月の総務委員会でもこの質問をさせていただいたんです。能登半島地震で通信が途絶えて、多くの地区と一時連絡が取れなくなったということで、輪島市と珠洲市においてこういった状況があったんです。
地域防災計画では配備に努めると書いてあった衛星携帯電話、これは実は二つの市のどの地区にも、集落の集会所には配備されていなかったんですね。よくよく聞くと、市の市役所には配備されていたけれども、しかし、それぞれの集会所にはなかった。やはり孤立が心配される。現に孤立したところにおいては二日ぐらい連絡が途絶えた、こういった状況があったわけなんです。
ここの部分において、私としては、是非様々な施策を活用して、特交なんかも活用しながら、市役所とかいう中心拠点だけじゃなくて、孤立化が懸念される集会所、地方にそういったところがありますので、こういったところへ衛星携帯電話を配備していく、これを消防庁としてどう検討していくのか。
さらには、私が四月に質問してから約半年以上たちましたが、そういった孤立が懸念されるような集会所等、これは市町村が決めるわけでありますけれども、そういったところの配備状況、設置状況、こんなところについてお伺いしたいと思います。
○田辺政府参考人 衛星携帯電話につきましては、本年四月の総務委員会における委員からの御指摘も踏まえまして、五月に自治体に向けて開催した防災・危機管理担当部局長等意見交換会におきまして、衛星携帯電話などの紹介を行い、非常用通信手段の設置の促進を図ったところです。
今後は、孤立するおそれのある地域における衛星携帯電話などの設置について、優良事例の調査を行い、その結果をほかの自治体と共有するなど、非常用通信手段の確保が進むよう、関係府省等と連携し取り組んでまいります。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
具体的にどこまで進んだというのはまだなかなか難しいと思うんですが、これもやはり緊防債が使えるんですね。さらには特交措置があるわけなんですね。こんなのがあるからということで、やはり自治体に決断を促すこと、こういったことが大事かというふうに思いますので、引き続きその状況を見てまいりたいと思います。
時間も迫ってきましたので、最後、一つだけ、郵便局を活用した地域活性化についてお伺いします。
大臣は所信の中で、郵便局とか地方団体と連携して地域課題の解決を図っていく、こういったところのお話をいただきました。私はこれは大事な部分だと思いますし、特に、全国にあまねくユニバーサルサービスを提供している郵便局の活用、これは今後の地域課題の解決に非常に大事だと思っています。
ゆえに、ここでお伺いしたいんですが、地域課題の解決における具体的方向性として、郵便局のネットワークをどのように活用していくのか、さらには行政サービスの窓口業務委託についてはどのように進めていくのか。具体的事例も含めて、郵便局の活用という観点からお伺いしたいと思います。
○牛山政府参考人 お答えいたします。
少子高齢化、人口減少が進む日本の地域社会におきまして、全国約二万四千局のネットワークを持つ郵便局は地域の重要な生活インフラとしての役割を担っておりまして、郵便、貯金、保険の三事業のユニバーサルサービスの提供に加えまして、自治体窓口業務の取扱いや高齢者見守りサービスなど、地域の実情やニーズに合わせた取組への期待もますます大きくなっております。
総務省としましても、これまで、郵便局でのオンライン診療、服薬指導や、配達車両にセンサーを取り付けて水道の使用データを受信するスマート水道検針、共助型買物サービスと組み合わせた地産品配送の実証事業を行うなど、郵便局の利活用による地域活性化を後押ししてきたところでございます。
また、令和七年度概算要求におきましても、自治体窓口業務などの行政サービスとオンライン診療、買物支援といった生活サービスを一体的に提供するコミュニティーハブとして郵便局を活用するための実証事業を行うべく、必要な予算を要求してございます。
このような取組を通じまして、今後とも、郵便局が住民に身近な存在として地域を支え、その活性化に貢献する役割を果たせるよう、しっかりと支援してまいります。
○中川(康)委員 郵便局職員が本当に元気になるような施策をこれからもお取り組みいただきたい、こういったことを願い、質問を終わります。
大変にありがとうございました。
――――◇―――――
○竹内委員長 次に、内閣提出、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。村上総務大臣。
―――――――――――――
地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○村上国務大臣 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、地方公務員について、育児を行う職員の職業生活と家庭生活の両立を一層容易にするため、地方公務員の育児休業等に関する法律について、国家公務員と同様に改正を行うものであります。
次に、この法律案の内容について、概要を御説明申し上げます。
地方公務員の部分休業制度において、一年につき条例で定める時間を超えない範囲内で勤務しないことができる形態を選択可能とするとともに、非常勤職員について、対象となる子の範囲を小学校就学の始期に達するまでの子に拡大することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
以上であります。
○竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、明十九日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十七分散会