第2号 令和7年2月13日(木曜日)
令和七年二月十三日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 竹内 譲君
理事 あかま二郎君 理事 塩崎 彰久君
理事 島尻安伊子君 理事 おおつき紅葉君
理事 岡島 一正君 理事 吉川 元君
理事 黒田 征樹君 理事 向山 好一君
石橋林太郎君 大空 幸星君
大西 洋平君 加藤 竜祥君
川崎ひでと君 小寺 裕雄君
佐藤 勉君 島田 智明君
田所 嘉徳君 根本 拓君
長谷川淳二君 平沼正二郎君
福原 淳嗣君 古川 直季君
山口 俊一君 山本 大地君
吉田 真次君 若山 慎司君
安藤じゅん子君 おおたけりえ君
柴田 勝之君 杉村 慎治君
高松 智之君 武正 公一君
西川 厚志君 福田 昭夫君
松尾 明弘君 松下 玲子君
道下 大樹君 山花 郁夫君
藤巻 健太君 守島 正君
福田 玄君 中川 康洋君
山川 仁君 辰巳孝太郎君
…………………………………
総務大臣 村上誠一郎君
総務副大臣 冨樫 博之君
総務副大臣 阿達 雅志君
総務大臣政務官 川崎ひでと君
総務大臣政務官 古川 直季君
総務大臣政務官 長谷川英晴君
政府参考人
(内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官) 吉田 宏平君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 岩間 浩君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 三橋 一彦君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 井幡 晃三君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 恩田 馨君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 山碕 良志君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 玉田 康人君
政府参考人
(総務省大臣官房地域力創造審議官) 望月 明雄君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 阿部 知明君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 小池 信之君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 笠置 隆範君
政府参考人
(総務省自治財政局長) 大沢 博君
政府参考人
(総務省自治税務局長) 寺崎 秀俊君
政府参考人
(総務省国際戦略局長) 竹村 晃一君
政府参考人
(総務省情報流通行政局長) 豊嶋 基暢君
政府参考人
(総務省情報流通行政局郵政行政部長) 牛山 智弘君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局長) 湯本 博信君
政府参考人
(総務省統計局長) 岩佐 哲也君
政府参考人
(消防庁次長) 田辺 康彦君
政府参考人
(水産庁漁港漁場整備部長) 中村 隆君
政府参考人
(国土交通省道路局次長) 佐々木俊一君
総務委員会専門員 阿部 哲也君
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委員の異動
二月十三日
辞任 補欠選任
石橋林太郎君 大空 幸星君
小森 卓郎君 山本 大地君
中野 英幸君 長谷川淳二君
岡本あき子君 松下 玲子君
奥野総一郎君 安藤じゅん子君
松尾 明弘君 柴田 勝之君
同日
辞任 補欠選任
大空 幸星君 石橋林太郎君
長谷川淳二君 平沼正二郎君
山本 大地君 島田 智明君
安藤じゅん子君 奥野総一郎君
柴田 勝之君 松尾 明弘君
松下 玲子君 岡本あき子君
同日
辞任 補欠選任
島田 智明君 根本 拓君
平沼正二郎君 吉田 真次君
同日
辞任 補欠選任
根本 拓君 小森 卓郎君
吉田 真次君 中野 英幸君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件
――――◇―――――
○竹内委員長 これより会議を開きます。
行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官吉田宏平君外二十名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○竹内委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。福原淳嗣君。
○福原委員 この度、発言の機会をいただきましたことに対しまして、委員長、理事、そして全ての委員の皆様方に心から感謝を申し上げます。
まず、所信に当たりまして、村上総務大臣の日本の最後のとりでだという一言に私は非常に感激をいたしました。と申しますのも、私、昨年の八月まで、秋田犬のふるさと、秋田県大館市の首長をしておりまして、自治行政をつかさどる方のトップの心意気と申しますか、そういうものに打たれた次第であります。その思いはすぐ、今の総務大臣という方はこういう方だよということを次の市長に伝えてきたところであります。実は、次の市長というのは全国最年少、二十七歳の市長でありまして、彼もまた、こういう方が総務大臣なのか、頑張ろうと意を強くしておったことをまず村上総務大臣にお伝えしたいと思います。
さて、その前の石破総理の施政方針演説の中に、総理はこう触れられています。かつて人口増加期につくり上げられた経済システムは検証する、中長期的に信頼される持続可能なシステムへと転換していくことが求められる、価値観の転換が必要だと。そして、国民生活の基盤となる重要な制度を幅広く所管する省庁、国民最後のとりでと言える総務省、これが村上大臣のお言葉であります。
この二つの施政方針演説と大臣の所信を聞いて、私は、未来の総務省の方向性というのは、国民生活の基盤を支えるという役割あるいは機能を、まさに総務省が中心となった官民連携によって、より未来志向の、そしてより広域志向の次世代型広域ネットワークをつくっていくことにほかならないというふうに感じた次第であります。この点に関しまして、村上総務大臣は進めるべき政策の方向性として五つ打ち出されていますので、この方向性の順に従って、四点、政府の見解を伺いたいと思います。
まず、第一点目であります。
国民、住民の安全、安心の確保という中において、地方においてこそまさに先進的なデジタル基盤の整備を進めるとうたっております。特に、この先進的デジタル基盤の整備については第四の方向性としても打ち出しております。国際競争力の強化あるいは国際連携の深化ということで再び言及されています。
こうした世界を見据えた自治体DX、地域社会のDX、これにより石破総理が掲げている真の日本列島改造あるいは地方創生二・〇がかなうのだと私は思っております。ですので、是非、政府が年末に掲げました脱炭素成長型経済構造移行推進戦略、いわゆるGX二〇四〇ビジョンと連携をさせて進めてほしいと私は考えています。なぜならば、脱炭素電源供給地域はほぼ地方であります。DXとGXの政策的相乗効果が更に地方を活性化させると考えておりますが、この点につきまして政府の見解をお聞かせください。
○湯本政府参考人 お答え申し上げます。
新しい地方経済、生活環境の創生に向けて、デジタルインフラの早期整備は必要不可欠でございます。総務省におきましては、地方における光ファイバーや5G等の整備、データセンターの地域分散、非地上系ネットワークの展開支援、次世代情報通信基盤の早期実現など、デジタルインフラ整備につきまして財政支援や制度整備等の取組を進めているところでございます。
特に、今後、生成AIの開発、利用などが本格化するに伴い、需要が急増するデータセンター等の計算資源と、これらをつなぐ高速、高品質なネットワーク等のデジタルインフラの整備が急務となっているところでございます。
特に、日本国内におきまして、今後急増すると予想される電力需要に対応するため、委員御指摘のとおり、GX政策と連動した取組も極めて重要になると考えております。
そのため、低遅延、高信頼、低消費電力なオール光ネットワーク等の次世代情報通信基盤の早期導入に加えまして、データセンターとオール光ネットワークを組み合わせ、大都市圏に集中するデータセンターにつきまして、脱炭素電源が豊富な地方等への分散を推進することによりましてGXに貢献してまいりたいと考えているところでございます。
総務省といたしましては、関係省庁とも連携しつつGX、DXを支え、また、委員の御指摘もございました国際競争力の強化、それにも資するようなデジタル基盤の整備を今後とも推進してまいりたいと考えているところでございます。
○福原委員 ありがとうございました。
改めて、国民の安全、安心の確保を村上大臣は一番最初に申し上げておりますが、その中で、災害が激甚化、頻発化する中、消防の果たす役割はますます増加するとうたっております。消防団を中核とした地域防災力の向上ということに関しても同様であります。これを、石破総理が掲げている地方創生二・〇の第五番目の柱、広域リージョン連携という観点から、今自治体で最も進んでいる事例を申し上げたいと思います。
私の出身の秋田県大館市と青森県弘前市は消防による相互応援協定を平成三十年に結んでいて、爾来、一緒に訓練を重ねています。今はそこに岩手県盛岡市の消防も加わっていて、これはまさに来年度中に設置される予定の防災庁の動きを現場で受け止める組織としても有用であるというふうに考えております。広域的な消防力の展開について、是非政府の見解をお聞かせください。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘がございましたとおり、人口減少が進む中で地方の持続可能性を高めていくということから、消防も含めまして、広域での協力というのが非常に重要なことであるというふうに考えてございます。
総務省としましては、核となる都市と近隣市町村が連携する連携中枢都市圏や定住自立圏構想というのを推進してございます。この中には、広島県福山市におきまして、岡山県笠岡市などと連携して、中小企業のデジタル化支援でありますとか災害時の相互応援協定の締結を行うなど、都道府県域を越えた連携事例もございます。
また、ちょっと事例は異なりますけれども、神戸市と千葉県柏市におきましては、データ連携基盤の共同活用によりまして、他団体の提供する様々な行政サービスを住民が一つのIDで利用できるようにするというような取組も行われております。
分野によっては、このように隣接していない市町村間の連携も大変有効であるというふうに考えてございますので、引き続き広域連携の取組を進めてまいりたいと考えてございます。
○福原委員 ありがとうございました。
続きまして、第二の方向性として、村上大臣は、地域経済をもっとよく回していくんだ、そして持続可能な地域社会をつくるために自治体の行財政基盤をしっかりと確立していくんだというふうに触れられております。
是非、地方交付税等の改正案、提出されておりますが、この点に関しまして、現場を知る首長としての経験から三つお話をしたいと思います。命を守る医療、それから暮らしから出る家庭ごみ、いわゆる一般廃棄物の処理、そして、医療と家庭ごみを処理する、あるいは対応する場所まで持っていく道という観点であります。
まず、地域医療提供体制の確保ということで新たな資金繰り支援を行っております。病院事業債、地方債、これはハードだけでなくソフトも対応したというもので、自治体は非常にうれしく思っています。実際、今回のパンデミックのときもそうですが、自治体病院のあるなしがワクチン接種に多大な影響を与えました。かつ、今地方では病院の統合を進める上で必ず住民の反対運動が起きるわけですが、経営が改善されるのでそこをきちっとフォローしていくという総務省からのシグナルは非常に行政にとってやる気をもたらすものであります。そして、地域においては今、地域医療連携推進法人というものが立ち上がっていて、間違いなく医療と介護と福祉が三位一体で整備していかなければならなくなる、そのときの要になるのが自治体病院だと捉えています。
そしてもう一つ、家庭ごみであります。私の出身の大館市はもう七万を切りましたけれども、もはや百五十億、二百億を出して一般廃棄物処理施設を造る時代ではないと思います。サーキュラーエコノミー、循環経済によってこの国の競争力を高めていく、その中にある施設、例えば地元ですと鉱山でありますとか、そういうところに委託している方が自治体の負担もはるかに減っていく、こういう現実があるということを是非共有したいと思います。
そして、病院あるいは一般廃棄物の処理施設につながっていく道であります。大臣の中には緊急浚渫については延長という発言もありましたけれども、是非、私は、この道に関しても緊急自然災害防止対策事業費を検討していただきたいと考えております。是非、この点に関しまして、政府の見解をお聞かせください。
○冨樫副大臣 自然災害が激甚化、頻発化する中、防災・減災対策が重要であり、特に雪国では低温や豪雪による道路の損傷対策が喫緊の課題と承知しております。
そこで、緊急自然災害防止対策事業債の対象を令和七年度より拡充することとしています。具体的には、道路における凍上災害の予防、拡大防止対策について、舗装の表層のみの対策に加えて、基層及び路盤を含む対策を追加することとしています。
また、緊急自然災害防止対策事業債については、令和七年度を期限としています。
同事業債の事業期間終了後の在り方については、地方団体における防災・減災対策に関する取組や地域の実情、課題などを踏まえ、適切に対応してまいります。
○福原委員 冨樫副大臣、よろしくお願いをいたします。確かに今年は雪が多いんですが、暖かくなると一気に解けます。でも、解けた雪が水となって、必ず朝、マイナス四度、五度になれば凍ります。国道は立派ですから大丈夫ですが、県道、市町村道はそうではありません。是非前向きに検討していただきたいと思います。
それでは、四点目の質問であります。村上大臣が示された第五の方向性、国の土台となる社会基盤の確保としての郵便事業の在り方についてであります。
私が市長を三期している間に一番ショックだったのは、地元の地方銀行の支店があっという間に閉店をしてしまうということ。そしてもう一つ、これはまだいいんですが、任意団体である町内会が解散をします、そうするとメディアはここぞとばかりに市役所を責めます、議会を責めてきます。任意団体。
そして、実際、調査をしてみると、そういう方々が一番困っているのがごみを出すこと、あと独り暮らしの独居老人に声をかけること。そういった意味合いにおいて私は郵便局とも連携しましたが、非常に感謝をしました。と申しますのも、声がけでもそうですが、一番重要なのは、郵便配達を毎日のようにしているわけです。市長のときには、この瞬間にも三十台以上市内を回っています。回るだけでなく市道のチェックを一つ一つ教えてくれる、郵便の配達と併せて。こういう機能連携はこれから地方において人口減少が進む中で更に重要になってくると考えておりますが、是非、国の土台となる社会基盤の確保についての考え方、改めて政府の見解をお聞かせください。
○牛山政府参考人 お答えいたします。
全国約二万四千局のネットワークを持つ郵便局は、地域の重要な生活インフラとしての役割を担っており、郵便、貯金、保険の三事業のユニバーサルサービスの提供に加えまして、地域の実情やニーズに合わせた取組への期待もますます大きくなっているところでございます。
総務省といたしましても、これまで、郵便局でのオンライン診療、服薬指導や、共助型買物サービスと組み合わせた地産品配送の実証事業を行うなど、郵便局の利活用による地域活性化を後押ししてきたところでございます。
令和七年度の政府予算案におきましても、自治体窓口事務などの行政サービスと、オンライン診療、買物支援といった住民生活支援サービスを一体的に提供するコミュニティーハブとして郵便局を活用するための実証事業を行うべく、必要な経費を計上しております。
また、地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律に基づく窓口事務を受託する過疎地の郵便局等に対しまして市町村が行政サービスや住民生活支援サービスを委託することに伴う初期経費につきまして、特別交付税措置を講じることとしてございます。
今後とも、郵便局が住民に身近な存在として地域を支え、その活性化に貢献する役割を果たせるよう、しっかりと支援してまいります。
○福原委員 ありがとうございます。郵便局ネットワークは国の宝であります。是非前向きに取り組んでください。
質問は以上で終わります。ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、高松智之君。
○高松委員 立憲民主党の高松智之です。
昨年十月の衆議院選挙で初当選をし、この第二百十七回通常国会の本総務委員会が国会での初めての質問となります。村上誠一郎大臣を始め答弁者の皆様、また竹内譲委員長、そして委員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
私は、慶応義塾大学卒業後、NTTに入社をしました。その後は、ITベンチャー企業の役員を経て、松下政経塾第二十五期生として学び、参議院議員の公設秘書、外資系戦略コンサルタント、そして地元、育った練馬区の区議会議員を務め、東京大学まちづくり大学院で学びながら、七年間の浪人を経て衆議院議員に当選いたしました。IT、デジタルのバックグラウンド、町づくり、地方議員の経験を是非この総務委員会で生かしていきたいと思います。
そして、現在、五歳、二歳の子育て中、また、七十八歳の認知症の母の介護をしている、いわゆるダブルケアの当事者であります。子育て、介護の当事者として、また一人の生活者としての視点を大事にしながら政治活動に取り組んでいます。国会議員だから天下国家を語るべきという向きもありますが、私は修身斉家治国平天下との言葉を大切にしています。身を正し、家庭を大事にし、普通の暮らしを大切にする視点があってこそ、国を語れると思っています。
また、これまでの政治活動においては、地元練馬の小学校、中学校時代の同級生やその親御さん、また地域の方々にお支えをいただきました。ふるさと練馬から送り出していただいたことに感謝し、練馬区の皆さんの代理人として、代弁者として質疑に入らせていただきます。
まず初めに、闇バイト撲滅に向けての対策についてお伺いをいたします。SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺、オレオレ詐欺、特殊詐欺、連続強盗の被害防止に向けて、闇バイトの撲滅が重要です。
この年末年始、地元で消防団の夜警へ激励に伺い、また町内会の新年会にお邪魔するなど、地域の声を丁寧に伺ってきました。その場で多くお声をいただいたのは、防犯そして防災に関する御心配であります。
まずは防犯です。私の地元練馬区でも、闇バイトが関係した強盗事件が発生をいたしました。地元を知る私にとっても、まさか、ふだんは極めて平穏な住宅地において突然の押し込み強盗のようなことが起きるとは思ってもおりませんでした。地域には大きな不安が広がっています。
また、先日、警察庁が犯罪統計を発表しました。一連の特殊詐欺での二〇二四年の被害件数は約三万件、被害総額は二千億円にも上ります。大変な金額であります。これらの犯罪には匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウが関与しているとされ、SNS上で犯罪の実行役となる闇バイトを募集しています。警察庁も摘発に力を入れていますが、闇バイトの撲滅に向け、SNSでの闇バイト募集をさせない、闇バイト募集を本から断つことが重要であります。
まずは、現在、総務省において闇バイト対策にどのような取組を行っているか、伺います。
○玉田政府参考人 お答え申し上げます。
インターネットは国民生活や社会経済活動の利便性を飛躍的に向上させる一方で、いわゆる闇バイトの募集に利用されるなど、その悪用も後を絶ちません。
こうした状況から、昨年十二月十七日の犯罪対策閣僚会議におきまして緊急対策が決定をされ、その一環として総務省としても闇バイト対策に多角的に取り組んでおります。
具体的には、まず、SNSサービスを提供する事業者への対策といたしまして、どのような情報をインターネット上で流通させることが違法であるかを示す違法情報ガイドラインの策定に取り組んでおり、本ガイドラインを大規模なプラットフォーム事業者が利用規約等に盛り込み、適切に運用することを期待しております。このように、闇バイトの募集投稿の削除等の適切な対応を促してまいります。
次に、利用者への対策につきましては、闇バイトの実行犯となった者には二十歳代以下の若年層が多く含まれていることから、青少年や保護者に対し、インターネットトラブル事例集や総務省特設サイト等を通じ、重大な犯罪に加担する危険性について広報啓発を行っております。
さらに、携帯電話の不正利用対策につきまして、闇バイト等の募集に利用されるSNSアカウントの開設時のSMS認証、ショートメッセージでございますが、この認証におきまして携帯電話番号が多く利用されていることから、関係省令の改正を通じ、携帯電話等の契約時の本人確認の強化に取り組んでいるところでございます。
○高松委員 私は、この闇バイトの広がりには問題意識を持っており、従前から総務省さんに御説明をいただいておりました。現時点においては的確、迅速な対応を進めていただいていると評価をしたいと思います。とはいえ、総務省だけで取組を進めて解決できる問題ではありません。他省庁との連携、そして官民が連携し、政府を挙げての取組が重要であります。
そこで、今後に向けて、更なる課題があればお伺いをいたします。
○玉田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、闇バイト対策におきましては、関係省庁や官民で連携して取り組むことが重要と認識をしております。
昨年の犯罪対策閣僚会議で決定されました緊急対策も踏まえ、厚生労働省におきまして、募集を行う者の氏名や業務内容等の明示がない労働者の募集に関する投稿は職業安定法に違反するとの解釈の明確化が行われました。総務省では、先ほど言及しました違法情報ガイドラインの案の策定の過程で厚生労働省と連携をいたしまして、この解釈の内容を盛り込んでおります。
あわせて、この緊急対策を踏まえ、昨年十二月十八日に、SNS等を提供する大規模な内外のプラットフォーム事業者の加盟する事業者団体を通じまして、これら事業者に対して、SNS等における闇バイトの募集活動に対する対応について要請も行っております。
今後に向けた課題につきましては、総務省において有識者会議を開催しておりまして、闇バイトの募集投稿も含む違法情報への対応に関しまして、利用者や行政機関からの削除などの申出に対するプラットフォーム事業者の迅速な対応の在り方や、違法情報の発信を抑止するための方策の在り方などへの対応について、他省庁や官民の一層の連携も含め、幅広い観点から検討を進めてまいります。
○高松委員 私が考えるに、やはりSNS等を提供する大規模事業者に徹底したパトロールを課す、また緻密な利用者管理を指導することが大切だと思います。総務省におかれては各事業者、当該業界団体に徹底的な指導を行うことを求めるとともに、対応の鈍い、遅い事業者においては社名の公表などを行うことも求めたいと思います。性善説で指導して対応いただける事業者だけとは限りません。SNS事業者においては自社のサービス提供によって収益を上げているわけでありまして、収益を上げる以上は社会的責任を果たすことは一定の義務であります。
とりわけ、海外事業者、外資系事業者等においては、日本市場での対応をグローバル市場での基準に合わせてしまい、丁寧な対応が不足している例も否めません。日本国内でビジネスを展開する以上、日本のルール、慣例、ビジネス習慣にはしっかりと従ってもらう、相応の強制力を持った対応をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。御見解を伺います。
○玉田政府参考人 お答えいたします。
SNS等が国民生活や社会経済活動を支える社会基盤になる中で、プラットフォーム事業者は、デジタル空間における情報流通の健全性の確保について一定の社会的責任が求められる立場になっていると認識をしております。
先ほど委員から、海外事業者を含むSNS事業者が社会的責任を果たす上で日本のルールや慣例に従ってもらうべきとの御認識や、総務省の対応に対する様々な御期待についても御指摘をいただきました。
一方、委員御指摘のように、闇バイトを含めます違法、有害情報への対応につきましては、関係省庁の連携とともに、プラットフォーム事業者や事業者団体との一層の連携強化も重要でございます。
この関係で、先ほど申しましたプラットフォーム事業者に行った要請との関係で若干補足をさせていただきますと、まず、闇バイトの募集投稿に関する利用規約等に基づくより迅速な削除などの対応を求めておるわけでございますけれども、御指摘のパトロール等の関係でいいますと、SNS上の書き込みだけでは闇バイトは判別しにくい場合もございますので、違法情報ガイドラインでの明確化が一定の効果を持つものとも考えております。また、御指摘の利用者管理との関係で申しますと、SNSなどのアカウント開設時におきます本人確認手法の厳格化を求めていることが有効と考えております。このほか、捜査機関などから闇バイトに悪用されていることについて照会があった場合に円滑に回答できる体制の整備なども求めておりまして、事業者の体制、サービス面も含めた具体的な取組を促しております。
これらに加えまして、先ほど申しました総務省の有識者会議におきまして、今後、こうした要請への対応も含めた事業者の対応状況についてヒアリングを行い、実態をしっかり把握、評価した上で必要な対応を検討してまいります。
○高松委員 ありがとうございます。
警察庁が昨年十月に行ったインターネット上のアンケート調査では、体感治安がこの十年に悪くなったと思うという回答が七六・六%となりました。インターネット空間、SNS上からの闇バイトが現実社会に不安を広げています。是非総務省におかれては引き続き闇バイトの撲滅に向けての取組強化をお願いして、この質問を終わります。
続いて、防災についてお伺いをいたします。まずは消防団の人材確保についてであります。
私も昨年末、地元の消防団の歳末警戒に激励の御挨拶に伺いました。消防団員は、それぞれ御自身のなりわいを持ちながら、地域防災の要として安全、安心に御尽力いただいていることに、国会から全国の消防団員に改めて敬意を表したいと思います。
地元で消防団の方々とお話をすると、やはり女性、若手の入団、人材確保が課題となっているということであります。
令和七年予算案において、消防団加入促進広報の実施が一・四億円計上されております。どのような取組が行われるか、伺います。
○田辺政府参考人 大規模災害になればなるほど地域に密着した消防団の力が重要とされる中、依然として消防団員数は減少しており、女性や若者の入団促進など、消防団員の更なる確保を図ることが極めて重要と考えております。
このため、消防庁では、令和七年度当初予算案において、消防団加入促進広報事業として、女性や若者に人気のある芸能人を起用したポスターやPR動画の作成、女性や若者をターゲットにした商業施設における入団促進イベントの開催、若者が触れる機会の多いSNSを活用した効果的なPRなどの広報を実施するための予算を計上しているところです。引き続き、地方公共団体と連携しつつ、特に女性や若者向けの効果的かつ積極的な広報活動を実施してまいります。
○高松委員 女性や若手への広報ということで、やはりSNSの活用や、また漫画や、今ありましたが、動画の制作なども非常に有効だと思います。是非、工夫を凝らした広報をお願いしたいと思います。
そして、消防団というと、大変だ、きついというイメージもあることはやや否めません。楽しい、格好いい、そんなイメージづくりや、また消防団に入ることへのハードルを下げる努力をお願いしたいと思いますが、御見解を伺います。
○田辺政府参考人 女性や若者を始めとする幅広い住民の入団促進に向けた広報とともに、消防団の魅力発信や負担軽減は極めて重要と考えております。
このため、消防庁では、今年一月に消防団員の確保に向けたマニュアルを作成し、様々な業種、世代との交流や地域への貢献、防災に関する知識、スキルが習得できるといった消防団の魅力発信のポイントや、団員の個々の事情に配慮した負担軽減などの消防団員の働き方改革、女性を始め全ての消防団員が活動しやすい環境づくりのポイントなどについて、各地域の参考となる取組を示しつつ、そのノウハウを紹介したところです。
また、消防団の力向上モデル事業により、地方公共団体が実施する消防団の魅力発信の取組への支援を行い、優良事例の横展開も図っています。
さらに、本年一月三十一日に全国の自治体に対して通知を発出し、積極的な広報の実施や負担軽減等の働き方改革の推進に向けた取組をお願いしたところであり、引き続き、こうした様々な施策を通じて、委員御指摘の消防団の魅力発信やハードルを下げるための取組を進めてまいります。
○高松委員 是非、女性、若手の消防団員が全国で増えていくことを期待したいと思います。
次に、防災教育に関してお伺いをいたします。
私の地元練馬区では、町内会や避難拠点となっている中学校単位で防災組織を編成し、地震や火災に常に備えております。常に備えよということが災害対策においては重要なことであると思います。そうした中、私が大切と考えるのは防災に関する教育です。災害というのは特殊な状況で発生をします。その際にも冷静に対応するためには、日頃から災害が起きた際への頭の体操をしておくことが重要です。まず、防災教育に関して、総務省の取組をお伺いいたします。
○田辺政府参考人 災害発生時に住民の皆様が冷静に対応していただくためには、日頃から防災教育に取り組むことが重要と認識しております。
このため、消防庁では、インターネット上でいつでも防災に関する基礎知識などを学ぶことができる防災・危機管理e―カレッジの運営、消防団、自主防災組織が行う防災教育の取組に対するモデル事業による支援、全国の少年消防クラブが集い合同訓練等を通じて防災に関する知識、技術を高める全国少年消防クラブ交流大会の実施、防災の知識や応急手当て等を学べるわたしの防災サバイバル手帳の作成などを通じて、防災教育に資する取組を行っているところでございます。
○高松委員 やはり私は子供のときから防災について学ぶことが大事だと思います。三つ子の魂百までと言いますが、子供のときに覚えたことは生涯にわたって生きていくと思います。
私の五歳の長男の現在の夢は消防士でありまして、消火器を使った消火訓練などを楽しんでいます。また、災害時には小中学校の体育館が避難所となりますので、小中学生においては、自分の学校が災害時にいかに役立つか学ぶことは大切だと思います。
そして、海外の事例を取り上げれば、米国ロサンゼルスにおいては高校生向けに防災訓練プログラムを整備しています。また、ハリケーンに備えるキューバの防災教育は世界的にも有名です。海外の事例なども参考にしながら、一層の防災教育の工夫を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○田辺政府参考人 自らの安全を守る能力を幼い頃から継続的に育成していく防災教育は非常に重要です。
このため、消防庁では、文部科学省と連携し、学校において消防団員や自主防災組織が参画した体験的、実践的な防災教育の推進に取り組むよう、自治体宛てに通知をしているところです。
また、令和八年度中の防災庁設置に向けた検討を進める上で、事前防災の柱の一つとして防災教育の充実が掲げられているところであり、消防庁としましては、内閣府を始め関係省庁と連携し、海外の事例なども参考にしながら防災教育に資する取組を進めてまいります。
○高松委員 消防庁のウェブサイトには子供向けの防災コンテンツも準備されています。こうしたウェブサイトでのコンテンツサービスやゲーム、動画などを更に活用して、子供のときから防災教育を進めていくことを要望して、この質問を終わります。
次に、消防防災分野の新技術開発について伺います。
現在難航を極めている埼玉県八潮市の道路崩落現場でドローンが大きな役割を果たしていることは、報道等でも明らかになっています。ドローンを始め、様々な新技術またデジタル技術を消防防災の分野で生かしていくことが非常に重要と考えます。
今回、消火用ドローン等の消防活動の省力化、無人化のための資機材などの革新的技術についての官民連携による実用化に向けた研究開発推進、競争的研究費の拡充に二・三億円が計上されています。この予算の狙いを伺います。
○田辺政府参考人 消防庁では、競争的研究費を活用し、企業や大学等に公募を行い、消防本部と連携して研究開発を行うことにより、官民連携による消防現場へのDXや新技術の実用化の取組を進めています。
令和七年度は、令和六年能登半島地震の検証を踏まえ、議員御指摘のとおり、この競争的研究費を拡充することとし、これまでの研究テーマに加え、新たに、地震や津波発生時の大規模な火災現場など進入が困難な区域で消防隊員の安全を確保した上で消火活動を継続することを狙いとした、消火用ドローン、無人走行放水ロボットなど、消防活動の省力化、無人化に資する研究開発に係る提案を募り、新しい技術の実用化を進めるための予算を計上しているところです。
今後も、消防機関や企業、大学等の関係者と連携を図り、消防防災の現場への実装を重点とした研究開発を推進してまいります。
○高松委員 民間からの知恵を幅広く集めていくことは非常に重要と考えます。期待したいと思います。
また、こうして開発した消防防災技術を海外に輸出していく、日本の優れたテクノロジーを海外の消防防災分野に展開していくことが消防防災技術の更なる向上にもつながると考えます。
本年の予算案では消防用機器等の海外展開に〇・六億円が計上されていますが、その中身と狙いをお伺いいたします。
○田辺政府参考人 委員御指摘の消防用機器等の海外展開に係る予算は、一つに、アジア諸国を主たる対象として我が国の消防制度や消防防災技術を紹介する、国際消防防災フォーラムを開催するものです。
毎年度、アジアの国で開催し、我が国の消防防災関連企業に参加いただき、相手国の消防防災関係者や日系企業のパートナーとなり得る現地の関連企業に対して自社製品を紹介できる場を提供しています。
今年度は、まさに本日、インドネシアにおいて開催しているところです。
また、個別の国に対する取組として、ベトナム社会主義共和国公安省との間で締結した消防分野における協力覚書に基づき、ベトナム消防・防災展で、日本の火災予防制度についての紹介や、日本の消防用機器等の製品のPRを行う場を提供するなどしているところです。
消防庁としては、これらの事業を通じて、日本規格に適合し優れた品質を有する消防用機器等について、諸外国の消防防災関係者に理解いただくことで日本企業による海外販売を促進するように、環境整備に取り組んでいるところです。
○高松委員 災害大国である日本であるからこそ、災害を乗り越える技術開発を進めていくべきと考えます。是非今後も消防防災分野での新技術開発、海外展開に力を入れていただくことを要望します。
次に、生成AI、いわゆる人工知能の現状と課題について政府の認識を伺います。
こういう言い方が適切かどうか分かりませんが、このところは、政府、行政においてもビジネス界でも猫もしゃくしもAI、AIとなっているのが昨今の世情であります。
生成AIとしてはチャットGPTが非常に有名でありますが、このところは中国のディープシークが飛躍的な成果を出しているという報道もあり、全世界においてAIの今後が議論となるところであります。
そうした中、令和七年度予算において、AI開発力の強化と広島AIプロセスの成果の国際的普及に四・二億円が計上されております。政府は今国会において生成AIに関する新法の提出を予定しているとのことであり、その中身が注目されるところであります。
生成AIが生産性向上、課題解決に役立つことは言うまでもありませんが、誤情報を拡散したり、また悪用すれば、場合によっては特殊詐欺にも使われかねない、もろ刃の剣とも言えます。だからこそ、生成AIの悪用リスクにも備えていかねばなりません。現時点で政府として生成AIの悪用リスクをどのように考えているか、御見解を伺います。
○玉田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、生成AIを含むAIは、生産性の向上などの便益をもたらす一方、偽・誤情報の拡散や犯罪の巧妙化などの悪用リスクも存在しているものと認識をしております。
こうした悪用リスクに適切に対処しつつ、AIを国民生活の向上や経済発展につなげていくためには、安全、安心で信頼できるAIを実現するためのルール形成が重要でございます。
そのため、総務省では、これまで、国際的なルール形成を行う枠組みである広島AIプロセスの推進、AIの開発、提供、利用に関する横断的な指針であるAI事業者ガイドラインの策定など、生成AIのリスクに対応するための取組を行ってきたところでございます。
さらに、イノベーション促進とリスク対応を念頭に置いて検討された政府全体の取組として、二月四日に了承されたAI戦略会議・AI制度研究会の中間取りまとめでは、政府の司令塔機能の強化、AIの安全、安心な研究開発や活用のための国による基本計画の策定、国による調査、情報収集、事業者への助言などについて法制度による対応が適当とされました。
これを踏まえ、内閣府を中心に、イノベーションの加速とリスクへの対応を両立させるAI制度に関し、国会への新たな法案の提出が検討されているものと承知をしております。
総務省としましては、関係省庁と連携をしながら、安全、安心で信頼できるAI制度の構築に向け、政府全体の検討やその具体化に引き続き積極的に貢献してまいります。
○高松委員 是非、悪用への備えをしっかりと持っていく。そうした意味では、悪質な事業者への指導権限、強制力を持っておくことが、さきに質問した闇バイト撲滅、SNS詐欺対策からの教訓でもあると思います。
昨今、フジテレビのことが話題になっていますが、テレビ局が電波法での認可事業であるように、今後は、生成AI事業者には国による免許制度を考えていくような、そうした想像力も必要かと思います。生成AIの健全な活用に向けての一層の工夫をお願いしたいと思います。
とはいえ、生成AIがもたらす生産性向上は、社会に大きなイノベーションとなります。米国、中国に遅れることなく、日本も積極的に生成AIの開発に乗り出していくべきと考えます。
そうした中、今回の予算において、我が国における大規模言語モデル、LLMの開発力強化に向けたデータの整備、拡充として、国立研究開発法人情報通信研究機構、NICTにおいてLLM開発に必要となる大量、高品質な日本語を中心とする学習用言語データの整備、拡充が挙げられております。
生成AIの肝は、いかに機械学習において正確で高品質なデータを学習させられるか。私もいとこがAIエンジニアでして、エンジニアとしてはデータを食べさせるという表現を使うんですが、まさに日本の生成AIの発展には、大量の正確で高品質なデータを計算機に食べさせていかねばなりません。
この事業は、令和五年度補正予算百億円から始まり、令和六年度補正予算では百十億円が計上されています。現在の予算の執行状況、事業の進捗状況、そしてその狙いについてお伺いをいたします。
○竹村政府参考人 お答え申し上げます。
生成AIは、大きな社会変革をもたらす技術として世界中で活発な開発競争が行われており、我が国の国際競争力の強化が必要と認識しております。
そのためには、委員御指摘のとおり、高品質な日本語データを学習に用いて、より信頼性の高いAIを開発することが必要であると考えております。
このため、情報通信研究機構、NICTでは、令和五年度補正で計上した百億円の予算により、NICTが保有する大量の日本語データをAIの学習に適した高品質なデータとして整備、拡充し、民間企業やアカデミアに提供する取組を行っております。
令和六年七月には、共同研究の形で民間企業への提供を開始しております。
また、令和六年度補正予算では、データを更に拡張するための経費として百十九億円を計上しており、NICTへの交付に向けて準備をしているところです。
総務省としては、引き続きこうした取組を進めるとともに、NICTを中核として関係府省や企業との連携を強化し、我が国の生成AIの競争力の向上に貢献をしてまいります。
○高松委員 国産生成AI開発の支援に努めていただき、米国、中国の動向をベンチマークにしながら、デジタル分野において日本が負け続けていくことがないように、膨らみ続けるデジタル赤字を生成AIで逆転できるような国産生成AIの開発支援に、他省庁とも連携し、政府を挙げて取り組んでいただくことを要望して、この質問を終わります。
デジタルデバイドの質問を予定していたんですが、ちょっとここを、済みません、時間の関係で飛ばさせていただいて。
最後に、会計年度任用職員の処遇改善について伺います。
この度の大臣所信に、会計年度任用職員を含む地方公務員という表現で会計年度任用職員を取り上げていただいたこと、御理解と御注目をいただいたこと、まずは感謝したいと思います。
会計年度任用職員は、地方公務員法の改正により令和二年、二〇二〇年四月一日から導入された非常勤職員であります。今年で法改正から五年を迎えるわけでありますが、再任用をめぐる課題、適切な給与をめぐる課題、適切な勤務時間設定をめぐる課題など、運用においては様々な課題も指摘されてきました。
ついては、総務省として、会計年度任用職員に関しての課題点、また、これまでの制度運用における改善などの経緯をお伺いいたします。
○小池政府参考人 会計年度任用職員に関する課題や制度運用における改善については、これまで自治体に対し助言を行ってきたところであり、昨年十二月にも通知を発出したところです。
具体的に何点か申し上げますと、会計年度任用職員として任用する場合には、制度上、一会計年度を超えない範囲で任用する必要がありますが、その任用に当たっては、地方公務員法に定める平等取扱いの原則や成績主義を踏まえ、できる限り広く募集を行うことが望ましいと考えている一方、自治体に対しては、公募を行う場合であっても、客観的な能力の実証を経て再度任用されることがあり得ること、選考において前の任期における勤務実績を考慮することも可能であることなどについて助言を行ってまいりました。
また、給与については、地方公務員法に定める職務給の原則や均衡の原則等の給与決定原則にのっとり、類似する職務に従事する常勤職員の給料表を基礎としつつ、職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、職務経験等を考慮するとともに、地域の民間企業における同一又は類似の労働者の給与水準の状況等にも十分留意する必要があることなどについて助言を行ってまいりました。
さらに、勤務時間について、フルタイム勤務との勤務時間の差が一日当たり十五分以内であるパートタイム職員の状況について毎年度調査を行っており、フルタイム勤務とすべき標準的な職務の量がある職についてパートタイム会計年度任用職員として位置づけること自体を目的として勤務時間をフルタイムより僅かに短く設定することは適切ではないこと、フルタイムより僅かに短い勤務時間を設定することについては一般的に理解を得られる相当の合理的な理由があるのか改めて検証の上慎重に判断する必要があることなどについて助言を行ってまいりました。
今後も実態を丁寧に把握しつつ、ヒアリングの機会などを活用して、適切な制度の運用が確保されるよう取り組んでまいります。
○高松委員 ちょっと時間の関係で質問を省略して、最後の問いとしたいと思います。
地方自治体では、住民サービスの先頭に立っている職員のうち、会計年度任用職員の割合が二割です。雇用の不安定性があり、昇進や長期的なキャリア形成が難しいなどの不安があると思いますので、しっかり寄り添う制度設計をお願いしたいと思います。
また、会計年度任用職員の割合は、女性が多く占めております。正規職員との賃金格差は、結果として女性の低賃金につながっている現状もあります。男女の賃金格差をなくす、同一労働同一賃金を目指し、是非、会計年度任用職員の処遇改善に取り組んでいただくことを要望します。
今後の日本は一層の人口減少社会を迎え、労働力不足が予測をされます。先般、私は、出身大学の慶応義塾大学の伊藤公平塾長のお話を伺ってきました。大学、大学院では人材獲得をめぐって青田買いが一気に進んでいるとのことです。今後、地方行政の現場でも、人手不足となることが十分に考えられます。だからこそ、会計年度任用職員の方々が一層大切になると考えます。
会計年度任用職員の処遇改善に向けて、村上誠一郎大臣のお考えをお伺いいたします。
○村上国務大臣 高松委員の御質問にお答えします。
今委員申されたように、複雑化、多様化する行政需要に対応するため、常勤職員に加え、非常勤職員も地方行政に重要な担い手となっているように認識しております。
このため、会計年度任用職員については、期末手当に加え、勤勉手当の支給を可能とする法改正を行うなど、これまでも適正な処遇の確保、改善に取り組んでまいりました。
会計年度任用職員が十分力を発揮できるよう、今後とも環境や制度の整備に取り組んでまいりたいと考えております。
以上であります。
○高松委員 ありがとうございます。
以上で質問を終わります。
○竹内委員長 次に、おおたけりえ君。
○おおたけ委員 立憲民主党のおおたけりえでございます。
さきの総選挙で初当選をさせていただきまして、地方議員出身議員として地域の声をしっかりと届けて、課題解決につなげてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
それでは、本日は三つのテーマについて質問させていただきたいと思っております。
まず一つ目は、自治体情報システムの標準準拠システムへの移行について伺ってまいります。
自治体情報システムの標準準拠システムとは、地方自治体が基幹業務を行うために利用するシステムで、国が定める標準仕様に適合したシステムのことです。標準化対象業務は、住民基本台帳、選挙人名簿管理、固定資産税、個人住民税、法人住民税、軽自動車税、生活保護、健康管理、国民健康保険、障害者福祉、後期高齢者医療、介護保険、児童手当、児童扶養手当、子ども・子育て支援、就学、戸籍、印鑑登録等の二十業務で、標準化を図ることにより、住民の利便性向上、行政事務の効率化、システム開発、運用のコスト削減を目指しているものと理解しております。
令和七年度末までに移行する予定であると思いますけれども、今のところ進捗はどのような状況か、そして、最新の情報として、どのくらいの自治体が令和七年度末までに完了予定なのか、伺います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
令和七年度末までの標準準拠システムへの移行が難しいと考えられるシステム数は現時点で二千百六十五システム、全体の約六%、当該システムを有する自治体数は四百二団体、全体の約二割でございます。
令和七年度末までの移行が難しいと考えられる要因としましては、移行作業が進捗する中、事業者の人員不足等が明らかになってきたことによるものと認識してございます。
しかしながら、大部分のシステムにつきましては移行作業が着実に進捗していると認識してございまして、今後も、標準準拠システムへの円滑かつ安全な移行に向けて、自治体の御意見を丁寧に聞きながら、デジタル庁とも必要な対応を行ってまいりたいと考えてございます。
○おおたけ委員 令和七年度中に間に合わない場合、当該地域の住民サービスへの影響はないのかどうか、伺います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
令和七年度末までに移行が難しい場合、各団体においては、現行システムを引き続き利用して住民サービスを提供することになります。
そのため、住民サービスそのものへの直接的な影響はございませんけれども、標準準拠システムへの移行作業が継続するほか、現行システムについて、制度改正時のシステム改修等の個別対応などが引き続き必要となりますことから、各自治体の円滑かつ安全な移行に向けて引き続き支援していく必要があるというふうに考えてございます。
○おおたけ委員 システム改修等の経費として、デジタル基盤改革支援補助金が出される予定であると思いますけれども、昨年秋に地方自治体にヒアリングをされたところ、この補助金額が必要額に対して不足していると報告した自治体が多いと伺っております。どのくらいの自治体が不足していると回答されたのか、また不足合計額はどのくらいなのか、そして主な原因は何か、伺います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
標準準拠システムへの移行経費につきましては、お話のございましたように、令和六年八月に全自治体に対して調査を行っております。当該調査では、令和八年度以降も含めた移行経費につきまして概算で調査しております。それから、自治体にはそもそも公表を予定しないということで調査しておりますことから、令和八年度以降の額につきましては、今後の精査が必要な数字だということで考えてございます。
一方、当該調査結果を踏まえまして、また、デジタル基盤改革支援基金の設置年限が令和七年度末となっていることも勘案しまして、令和六年度補正予算で百九十四億円を追加計上しまして、総額七千百八十二億円となってございます。
増えました主な要因としましては、SE人件費を含め、物価高騰などによるものと認識してございます。
○おおたけ委員 ありがとうございます。
この自治体情報システムの標準準拠システムへの移行は国が主導してきた事業でありますので、地方自治体の負担とすることなく、国で責任を持っていただいて、必要額をしっかり見るべきだと考えますが、その認識について伺います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
標準準拠システムへの移行経費につきましては、デジタル基盤改革支援補助金によりまして、補助率十分の十で支援することとしてございます。
また、移行完了が令和八年度以降となる見込みのシステムが一定数ある状況でございますので、デジタル基盤改革支援基金の設置年限の延長を求める自治体からの意見もございますし、この中で、五年延長をめどに法律の改正を検討しているという状況でございます。
必要額の確保ということでございますが、まずは令和七年度末に向けまして、総務省におきまして各種経費の分析等を行い、各団体における効率的な執行に努めてまいりますけれども、その上で、なお必要となる経費につきましては、今後、効率的な執行を踏まえつつ、財政措置を含め、総合的に検討していきたいというふうに考えてございます。
○おおたけ委員 令和七年度末までの分も、そして令和八年度以降の分もちゃんと検討していくとお答えいただきました。ありがとうございます。
次に、ガバメントクラウドについて伺っていきたいと思います。
ガバメントクラウドとは、政府が提供する共通のクラウドサービス環境のことであり、地方自治体が行政サービスの効率化やセキュリティー強化を図るために導入が進められていると思っております。現在、一部自治体が先行して移行されました。実際に移行してみて課題としてどのようなことが出てみえるのか、伺います。
○井幡政府参考人 お答えいたします。
昨年十二月末時点におきまして既にガバメントクラウドを利用している地方公共団体は六百団体を超えておりますけれども、これまでガバメントクラウドに起因した地方公共団体における情報システムの障害ですとかセキュリティーインシデントは発生しておりません。
なお、障害やインシデントが発生した場合には、あらかじめ定められた連絡体制によりまして、デジタル庁に御連絡いただくことになっております。デジタル庁の方で状況を把握した上で、ガバメントクラウドの利用者に対して障害の内容ですとか対応状況を公開することとしております。
○おおたけ委員 今後、他の地方自治体もガバメントクラウドに移行するよう促していかれると思っております。しかし、地方自治体側からガバメントクラウドに関する情報が十分に届いていないという声がありますけれども、どのように認識してみえるのか、また、今後どのように自治体に説明していかれるのか、伺います。
○井幡政府参考人 お答えいたします。
デジタル庁では、地方公共団体におけるガバメントクラウドの利用検討に資するよう、令和六年の五月以来、これまで九回にわたりまして地方公共団体向けの説明会を開催してきております。
また、国と地方公共団体の双方向のコミュニケーションの場ということで、オンライン上にデジタル庁の方でデジタル改革共創プラットフォーム、こちらを運営しております。この中に、国や地方公共団体の職員が双方向で、ガバメントクラウドに関する情報交換、あるいは悩み事を相談できるスレッド、こちらを用意しております。約一万人がこのスレッドに参加しておりまして、日々活発なやり取りをしていただいているというところでございます。
加えまして、先行してガバメントクラウド利用を推進されている地方公共団体から、その知見、経験等を事例ということでほかの地方公共団体に共有していただく機会ということで、ガバメントクラウド活用事例共有会、こちらを近日中に開催することとしております。
地方公共団体におかれましては、このような場を活用して積極的な情報収集をしていただくとともに、私どもデジタル庁といたしましても、引き続き積極的な情報発信、対話を継続してまいりたいというふうに考えております。
○おおたけ委員 プラットフォームや、活用事例研究会を開いてくださるということは安心いたしました。
ガバメントクラウドへの移行について、私が一番多く聞きますのは、やはり費用面の課題です。本来であれば、全国で一括することによって費用削減につながるはずでありました。しかし、現実は、これまで以上に費用がかかるとのことです。なぜこのような状況になっているのか。円安などの要因も一つではあるとは思いますが、これらの運用コストが割高になっている理由について伺います。
○三橋政府参考人 お答えいたします。
自治体の基幹業務システムの統一、標準化の取組につきましては、自治体が情報システムを個別に開発することによる人的、財政的負担を軽減し、地域の実情に即した住民サービスの向上に注力できるようにするとともに、新たなサービスの迅速な展開を可能にすることを目指しております。
ガバメントクラウド上に構築された標準準拠システムへの移行後の運用経費が増加する要因につきましては、自治体の現行システムの利用形態や、移行後のシステムの状況など、様々な要因が考えられますが、例えば、令和五年度に実施したガバメントクラウド先行事業におきましては、特に、現行の環境がデータセンターでハードを共用している団体や、自治体クラウドを運用している団体におきまして、庁舎や保守拠点からガバメントクラウドへ接続するための回線が増加すること、ガバメントクラウド利用料につきまして、現行利用中のシステム基盤とガバメントクラウドのサービスレベルを含めた価格差があること、クラウドを最適化されていないことによるソフトウェア賃料や保守料が増加することなどが経費増の主な要因として把握されたところでございます。
○おおたけ委員 地方自治体側は、この事業により、これまでより費用負担が減ることを大変期待していたと思っております。実態として、これまでと比べて各自治体でどのくらい費用がかさんでしまっているのか、その影響等をしっかり把握していただきたいと要望いたします。
そして、これだけ費用が増加してもガバメントクラウドに一括化するメリットは何か、また、ガバメントクラウドに一括化しない場合、各自治体の住民サービスにどのようなデメリットがあるのか、伺います。
○井幡政府参考人 お答えいたします。
御指摘の、地方公共団体の費用がかさんでいるという声につきましては我々もお聞きしております。しかしながら、中長期的に見ますと、クラウドサービス事業者が提供する管理サービス機能の利用、あるいは共同利用している地方自治体間での按分効果が働きやすいシステム構成への変更、こういったものはクラウド最適化と申しておりますけれども、こうしたクラウド最適化を図ることで、ほとんどの場合においてコスト削減が見込まれているというふうに考えております。
その上で、ガバメントクラウドを利用するメリットでございますけれども、少子高齢化が進み、急速な人口減社会に突入する中で、質の高い公共サービスを維持し、国民のニーズの多様化に柔軟に対応していくためには、国と地方公共団体のデジタル基盤の共通化、こちらを推進することが非常に重要であるというふうに考えております。
地方公共団体の基幹業務システムの標準化及びガバメントクラウドへの移行はまさにこの観点から取り組んでいるものでございまして、最新かつ高度なセキュリティー対策と大規模な災害対策によって、地方公共団体の情報システムを安全に運用することが可能になるとともに、地方公共団体の事務の効率化にも資するものというふうに考えております。
○おおたけ委員 そうですね、コスト削減が今後見込まれるということなのかなと期待したいなと思っておりますが、ガバメントクラウドに移行しなくても、住民サービスとしてはこれまでどおりセキュリティー面でも安全に提供できると思いますし、今回のガバメントクラウドは、費用対効果を考えても、過度に高額な買物をしてしまっているのではないでしょうか。ユーザーである地方自治体の意見をよく聞いて、本当に必要な性能などの要件に絞るなど、行うべきだと考えます。
特に、ガバメントクラウドの調達先として指定されている業者五つのうち四つは海外の大手ITベンダーです。情報安全保障面からも、国内企業で更なる参入企業を増やせるよう、ガバメントクラウドの調達条件を見直すべきではないかと考えますが、その認識について伺います。
○井幡政府参考人 お答えいたします。
御指摘のガバメントクラウドに関する技術要件でございますけれども、最新かつ最高レベルの情報セキュリティーの確保や、データ保存の安全性の確保等を実現する上で必要なものを設定しているところでございます。
具体的に申し上げますと、国や地方公共団体がガバメントクラウドを利用することを通じて、システムの運用効率の最適化、データ分析及び利活用の促進、ガバナンス、セキュリティーの確保、強化、こういったことを実現する上で必要な技術要件を定めておるところでございます。
技術要件に定めた機能をどのように利用するか、こちらにつきましては各利用機関において御判断いただいているところでございまして、不必要な要件を課してシステム化することを求めているものではございません。
実際、令和六年六月時点でございますけれども、国や地方公共団体のシステムにおいて、既に、全三百五の技術要件のうち、八六・六%に当たります二百六十四件が利用されているところでございます。また、この時点で使われていなかった機能につきましても、今後利用されるものというふうに考えております。
いずれにいたしましても、次期のガバメントクラウドの公募の際の技術要件につきましては、市場調査結果も踏まえまして、求める機能水準の維持及びガバナンスの確保等を前提に検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○おおたけ委員 今、八六・六%が利用されているということでした。今後も、地域の声をしっかり聞いていただいて、検討していただきたいなと思っております。
次に、増加した費用の課題についてであります。
ガバメントクラウドのランニングコストについて、自治体の負担が大幅に増える見込みであることから、地方自治体からは増加分の費用を国で持ってほしいという要望が出ていると思いますが、そういった声はきちんと届いてみえるのか、伺います。
また、国で主導したこの事業で地方自治体に更なる固定費の負担を押しつけるのはおかしいと思っております。国でランニングコスト増加分について責任を持つべきだと考えますが、お考えを伺います。
加えて、国としてのスケールメリットを生かすことや、先ほど申し上げたような参入障壁を減らして業者の競争を促すなど、更なる費用削減への努力が必要であると考えますが、費用削減についてどのように取り組まれるのか、伺います。
○三橋政府参考人 お答えいたします。
ガバメントクラウド上に構築されました標準準拠システムへの移行後の運用経費の増加につきましては、地方団体からその支援を求める要望があることは承知しております。
運用経費が増加する主な要因は、自治体の現行システムの利用形態や、移行後のシステムの状況など、先ほど申し上げましたように様々な要因が考えられるため、まずは事業者の見積書の内容をしっかりと精査いただく必要があるというふうに考えております。
デジタル庁といたしましても、運用経費が抑制できますよう、事業者に対して見積り内容を自治体に丁寧に説明することの要請、依頼があった自治体への見積り精査支援、また、クラウド利用料につきまして、昨年末のデジタル行政推進法の改正による一括払いを前提とした、できる限り大きな割引率の確保に向けた交渉、ガバメントクラウドの適切な利用によるコスト最適化のアプローチガイドの提供などによるクラウド最適化への支援などの取組により、自治体を最大限支援しているところでございます。
その上で、自治体の情報システムの運用経費につきましては、自治体が現行システムで負担する運用経費に相当するものであることなどを踏まえまして、各自治体が負担いただくことが基本となりますが、ガバメントクラウドの利用料等の増加分につきましては、デジタル庁で把握しているガバメントクラウドへの移行状況等を踏まえまして、所要の地方交付税措置が講じられることとなっております。
○おおたけ委員 そうですね、今の状況を分かってくださっているということ、そしてまた費用の削減にも努力してくださっているということを理解しましたが、また今後も検討していただきたいと思っております。
それでは、このテーマの質疑の最後に、村上大臣に伺います。
自治体情報システムの標準化は、それだけでは住民サービスの向上につながりません。標準化された後、何ができるかが大事だと考えております。このシステムが標準化された後、住民サービスの向上に向けてどのような姿を描いてみえるのか、村上総務大臣に伺います。
○村上国務大臣 おおたけ委員の御質問にお答えします。
御承知のように、少子高齢化が進みますと、急速な人口減少が進行します。自治体の人的、財政的負担を軽減しながら、住民サービス向上につなげていくことが重要というふうに考えております。
システムの標準化により、標準化されたデータを用いた円滑なデータ連携が実現することで、住民サービスの迅速な提供が可能となるというふうに考えております。また、制度改正の対応に必要な個別のシステム改修等の負担が軽減される。また、各事業者による競争環境が整備され、より安価で利便性の高いシステムを利用できるようになると考えております。このような効果があると考えています。
そのために、まずは、標準準拠システムへの移行を円滑かつ安全に実施できるよう、自治体の御意見を丁寧にお聞きしながら必要な対応を行ってまいりたい、そのように考えております。
以上であります。
○おおたけ委員 地方自治体の声をしっかり丁寧に聞いていただけるということを感謝いたします。
次の二つ目のテーマ、過疎地の老朽化した公共施設等の除却について伺ってまいりたいと思います。
私の選挙区であります北設地域では、使わなくなった公共施設等で、除却が必要だけれども対応できていないものが幾つもある状況です。地元の方に伺いますと、人口が減り、土地建物が空洞化し、その建物を見ていると心が空洞化していくという御意見をいただきました。同様な状況が、国内、他の地域でもあると思っております。
使わなくなった公共施設等で、除却の必要があるが除却できていない建物は全国でどのくらいあるのか、把握しているかどうか、伺います。また、除却も過疎債の対象にしてほしいという要望が各地の地方自治体から出ていると思いますが、そのような要望はきちんと届いているのかどうか、伺います。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
全国で除却できていない建物がどれぐらいあるかという数は把握しておりませんが、自治体が令和七年度から十一年度までの五年間で見込んでいます公共施設等の除却は、約七千八百五十億円程度であるというふうに我々は把握しております。
また、除却事業に係る交付税措置の拡充に関しましては、過疎地域を含む複数の関係団体から要望がございます。このうち、除却事業への過疎対策事業債の活用に関するものにつきましては、全国過疎地域連盟や全国町村会等から要望をいただいているところです。
なお、過疎対策事業債のハード分については、過疎法において施設の整備事業に限定をされておりますことから、除却事業については、現状、対象外とされているところでございます。
○おおたけ委員 次に、来年度から公共施設等適正管理推進事業債は除却事業にも使えるようになるということですけれども、公営住宅、公営企業施設の除却事業は対象外となっておりまして、病院建物や使わなくなった公営住宅等の除却の費用が捻出できず、困っている過疎地域の実情を反映していないと考えます。この対象外となっている理由は何か、伺います。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
先ほど申しましたように、令和七年度から、公共施設等適正管理推進事業債の集約化、複合化事業を拡充いたしまして、公共施設等総合管理計画等に基づいて実施する公共施設の集約化、複合化等に伴う施設の除却事業を対象に追加することとしております。
従来から、この集約化、複合化事業においては、公営住宅と公営企業施設についてはそれぞれ、公営住宅の家賃収入や公営企業の料金収入等により必要な財源が確保されるべきものという考え方に立ちまして、対象外としております。今回拡充した除却につきましても、同様に対象外としているところでございます。
○おおたけ委員 是非、公営企業や公営住宅等の除却が費用面の理由からできず困っている自治体がどのくらいあるのか、実情を調査していただきたいと要望いたします。そして、まずは来年度からの公共施設等適正管理推進事業債の拡充をしっかりと活用していただいて、各自治体の除却を後押ししていただきたいと思います。
また、過疎地は、この課題が更に深刻であるため、公共施設等適正管理推進事業債の五割の地方交付税措置ではなかなか足りず、七割交付税措置される、交付税措置率の高い過疎債の対象とすることも、そもそもこの過疎債に関する法律は議員立法ということですが、地域の要望を受けて検討すべきだと考えております。
地方自治体の経営に当たり、目の前に必要なものへ予算が取られ、除却が後回しになっています。二十年後などにまだ除却せずに残っていたら、そのときの住民はどう思うでしょうか。せめて、その施設を使ってきた世代のうちに除却すべきでないかと考えますが、村上大臣のお考えを伺います。
○村上国務大臣 お答えします。
議員御承知のように、人口減少が急速に進む中、公共施設の適正管理は、過疎地域のみならず、全国の自治体共通の課題になっているというふうに考えております。
こうしたことを踏まえて、令和七年度から公共施設等適正管理推進事業債を拡充し、公共施設の集約化、複合化などに伴う施設の除却事業を対象に追加することとしております。
一方、過疎対策事業債のハード分については、先ほど自治財政局長が申し上げたとおり、議員立法である過疎法において施設の整備事業に限定されていることから、今の時点においては除却事業については対象外とされております。
総務省としましては、自治体において、今回新たに公共施設等適正管理推進事業債において拡充した措置を十分に活用して、公共施設の適正管理について一層取り組んでいただきたいと考えて、また、それを期待しております。
以上であります。
○おおたけ委員 ありがとうございます。この事業債の活用をきっかけに、また地域の実情をより詳しく調べていただきたいなと思っております。
次、三つ目に、消防DXについて伺っていきます。
消防職員の人手不足は、これも全国的な問題ではありますけれども、山間部の過疎地域では一層深刻な課題となっております。先日、山奥で火事があっても、人手がなく、全焼となってしまいました。また、土砂崩れで道が遮断されると、陸の孤島となってしまい、情報も物資も困ってしまいます。
消防庁では消防DX化を進めてみえますが、このような山間部の人手不足を補うDXの導入促進を是非進めてほしいと考えます。災害時の現地確認や消防活動にどのような技術が有効で、どのような施策に取り組んでいかれるのか、伺います。
○田辺政府参考人 人口減少が進む中、人手不足が生じる地域において、デジタル技術を活用し、消防活動の省力化、効率化に資するDXの取組を進めることは重要と認識しています。
特に、山間部においては、上空から速やかに被害状況の全体像を把握することにより迅速、的確に部隊を展開することができるドローンの活用、地域防災力の中核を担う消防団において出動連絡や被災状況の迅速な情報共有を実現するアプリの活用などが有効と考えております。
このため、消防庁においては、消防本部や消防団等におけるドローンの整備やドローンを活用する人材育成への支援、消防団の力向上モデル事業によりデジタル技術の活用促進に取り組む消防団への支援など消防防災DXを推進し、消防防災力の強化に取り組んでまいります。
○おおたけ委員 消防職員や役場職員、消防団等の方々にドローンを活用していただくことは大変有効ではないかと思っております。消防組織等の方々のドローン技術の向上に向けて、消防庁としてどのように取り組まれるのか、伺います。
○田辺政府参考人 消防本部、消防団及び自治体防災部局が整備するドローンについては、緊急防災・減災事業債の対象としているほか、消防団については消防団設備整備費補助金の対象とするなど、消防機関等へのドローンの導入を支援しているところです。
また、人材育成については、目視外や夜間での飛行に必要な高度な操縦技術を含め、ドローンを安全かつ効果的に運用できる消防職員等の人材を育成するため、消防本部等へのドローン技術指導アドバイザーの派遣や、全国の消防学校等において消防団向けのドローンの操縦講習を実施しているところです。
加えて、令和七年度からは、消防職員及び消防団員がドローンの国家資格を取得する経費について、新たに特別交付税を措置することとしており、こうした様々な施策を通じて、消防現場等におけるドローンの活用を支援してまいります。
○おおたけ委員 最後の質問にさせていただきたいと思います。
先ほど、高松議員の質疑で御担当の方から御答弁がございました。消防活動の省力化、無人化のための技術の開発をされるということで、是非、山村地域の消防職員等の人手不足を補う役割も期待したいと思っております。省力化、無人化に向けてどのように取り組まれるのか、村上大臣、最後に伺います。
○村上国務大臣 お答えします。
消防活動の省力化、無人化のためには、新技術の実用化を進めていくことは大変重要というふうに考えております。
そのため、令和七年度予算では、令和六年能登半島地震の検証を踏まえ、競争的研究費を拡充しております。新たに、消防活動の省力化、無人化に資する研究開発に係る提案を募り、新しい技術の実用化を進めるための経費を計上しております。
今後も、消防機関や企業、大学等の関係者と連携を図り、消防現場への実装を重点とした研究開発を推進してまいりたいと考えております。
以上であります。
○おおたけ委員 終わります。
○竹内委員長 次に、西川厚志君。
○西川(厚)委員 立憲民主党の西川厚志でございます。選挙区は愛知五区、名古屋市の一部、そして清須市となります。初めての質問になりますが、どうかよろしくお願いをいたします。
早速、東京一極集中の是正についてまずは取り上げさせていただきたいと思います。
総務省が今年一月三十一日に発表いたしました二〇二四年の人口移動報告によりますと、四十七都道府県のうち、転入者数が転出者数を上回るいわゆる転入超過は、東京都が七万九千二百八十五人で全国最多でありました。これは、前年から一万一千人増え、新型コロナウイルス禍でいっときは緩和された東京一極集中が再び進行し、感染拡大前の水準にほぼ戻ったということになるそうであります。また、四十道府県では転出超過となり、就職や進学で若者らが流出していることもまた明らかとなりました。
もう少し詳しく見ていくと、東京圏、これは埼玉、千葉、東京、神奈川、この東京圏では四都県とも転入超過で計十三万人余り、また、大阪、福岡でもそれぞれ、大阪は一万七千人弱、そして福岡は四千人強の転入超過となり、関西、大阪圏、また九州圏の若い世代の受入先としてそれぞれ選ばれていることも見て取れます。一方で、転出超過の方は、昨年に続きまして広島が一万七百十一人で全国最多、その次が七千二百九十二人の愛知県が続いております。
まず、ここで最初にお聞きするのは、大阪、福岡のように、広島が中国地方、愛知が東海地方において受入先となっていないばかりか、逆に転出人口がこれほど多くなっている現状をどう分析されているのか。そしてもう一つ、東北では仙台を擁する宮城も実は約三千人の転出超となっておりますが、東京圏を除くこうしたそれぞれの圏域での現状分析について見解を求めたいと思います。
○岩佐政府参考人 お答えいたします。
住民基本台帳移動報告の二〇二四年結果によりますと、日本人移動者を見ますと、広島県全体で七千二百十八名の転出超過となっております。中国地方の四県との間では合計で八百五十八人の転入超過となっておりますが、東京圏との間では三千九百六十八人、それから大阪圏との間では二千九百十六人の転出超過という状況になってございます。
愛知県でございますが、全体で六百八名の転出超過となってございます。東海地方の愛知県を除きます三県との間では合計で五千六百六十五人の転入超過というふうになってございますが、東京圏との間では九千九百七十八名の転出超過ということになってございます。
最後、宮城県でございますが、宮城県は、日本人を見ますと、全体で二千五百六十人の転出超過ということになってございます。東北地方の五県との間では合計で五千二百八十五名の転入超過というふうになってございますが、東京圏との間では六千六百十六名の転出超過となっているという状況でございます。
以上でございます。
○西川(厚)委員 それぞれ、名古屋、愛知、また広島、そして仙台、宮城も、近隣県からは多くの皆さんが転入されているんですが、やはりそれ以上に東京圏へ出て行っているんだということがまずは分かりました。
それでは、ここで我が愛知県の取組を少し御紹介させていただきたいと思います。
そもそも、愛知県は、長らく工業製品出荷額の全国トップを誇る産業県でありまして、多くの優良企業が集積をしております。給与水準も全国最高レベルです。東京と比べて平均通勤時間も三十分以上短いというのも働きやすさのポイントですし、特に女性にとりましては、待機児童数は東京の約五分の一と、働きながら子育てできる環境も整い、そしてまた働く女性が旅行や行楽に出かける割合は全国一位、そして一日当たりの趣味や娯楽に費やす平均時間は全国五位、こうした充実した暮らしを送ることができているという、そんな統計も実は少なくありません。むしろ、住みやすさ、働きやすさなら、愛知を選んでもらえても何の不思議も実はないんです。
唯一の弱点といえば、愛知の産業構造が製造業に偏り、若い女性が希望する第三次産業関連の雇用機会が少ないかなという点はありまして、実際に、二十歳から二十四歳の若年女性は東京圏へと転出してきた傾向が続いております。
ですが、当然こうした傾向を打開すべく様々な取組を展開いたしておりまして、例えば、女性活躍に向けた機運の醸成や時間外勤務の縮減、男性の育児参加推進などによるワーク・ライフ・バランスの推進など、あいち女性の活躍促進サミットと銘打った事業も十年近く開催していたり、また、やはり十年前からは女性活躍に取り組む企業や就職を考える女性を応援するために女性活躍応援サイトを開設し、中でも、企業トップの意識表明や採用の拡大、職域拡大、育成、管理職登用等に取り組む企業を県が認証した数は千五百近くに上り、その検索ページも、業種や所在地、従業員規模、男女の管理職比率や平均勤続年数などなどの切り口からも検索可能となっておりまして、女子大学生らにとっても関心が高まってきているというのは間違いがありません。さらには、名古屋と東京に支援センターを開設し、UIJターン希望者に対して県内企業の求人情報の提供や個別相談等の就労支援を行い、中小企業を始めとする県内企業の人材確保を図る取組も行っております。
それでも、残念ながらこうした努力が報われていない現状があります。そして、この落胆はほとんどの自治体が共有しているのではないかと思われます。
私自身もかつて身を置いた愛知県議会では、いつも知事が、人、物、金を呼び込むんだ、そのためにこういうことをやるんだと議場をいつも鼓舞しておりましたけれども、結局のところ、人、物、金が吸い寄せられていくのは東京にほかなりません。理屈抜きに、これが首都である東京の求心力なんだと私は思っております。
そこで、お尋ねいたします。改めて東京一極集中を是正するためにはどんな取組が最も効果があると考えるのか。その際いつもしきりに総理を始め皆さん方は地方創生二・〇を持ち出しますが、これまでの十年の地方創生の取組成果も踏まえてお答えをいただきたいと思います。
○岩間政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま西川先生からいろいろな御指摘をいただきまして、率直に申し上げてそのとおりだと思っております。
これまで、地方創生ということでは、四つの柱ということで、地方に仕事をつくる、人の流れをつくる、結婚、出産、子育ての希望をかなえる、魅力的な地域をつくる、この四本柱で進めてきたということであります。様々な好事例が実際に生まれておりますが、一方で、御指摘いただきましたとおり、東京圏の一極集中の流れを変えるまでには至っていないということでございます。
そういう意味では、まさにおっしゃっていただいた若い方の転入が東京圏に多い、これが続いている、あと女性の方が東京にやはり残られる方が多いということで、そういう意味では地方創生二・〇ということで今私どもは議論の途中でありますが、東京への人口流出の抑制ですとか東京一極集中の是正という観点から、若者、女性にも選ばれる地方をいかにつくるかということで議論を問題意識を持ちながらやっているということでございます。
現在、新しい地方経済・生活環境創生会議、有識者会議の中でも、実際にそうした原因として、男女間、地域間の賃金格差ですとか、それから性別役割分担意識による就労継続、管理職登用の妨げ、地方におけるアンコンシャスバイアス、無意識の思い込み、そうした御議論をいただいているということであります。
そういう中で、実際にどういう取組が有効かということでありますが、幾つか、私どもの交付金で御支援している事例としては、例えば若者が地方で働く場所づくり、それから、例えば地方で今不足しているエッセンシャルワーカーとか、そうした観点から副業、兼業、こういうものを進めるとか、あと女性という切り口では、例えば小さなお子さんがおられるお母さんが安心して働けるというところで、テレワークセンターの横に子育て支援施設を併設して、お子さんのすぐ近くで働ける生活環境、これは兵庫県加西市の例であります。それから、地方で働かれる女性のキャリア形成という部分で、秋田県では、高校生、大学生、社会人、それぞれの世代の方に対しての地方での仕事のキャリアプラン、意識向上のワークショップ、そうしたところが行われているということでございます。
そういう意味では、最終的には地域でそういう仕事、暮らし、環境、こうしたものを考えていくという部分で、産学官金労言の多様な関係者による、まさにその知恵を出し合うというところが大事だというふうに考えておりまして、我々内閣官房としてもそうした課題解決の取組を後押ししてまいりたいということでございます。
○西川(厚)委員 ありがとうございました。
ちょっと少し話はそれるんですけれども、昨年の七夕、東京都知事選挙が行われました。私も長らくこの業界におりながら、そのさなかで初めて知ったんですけれども、東京都知事選挙ではかつて現職の都知事が落選したことはないんだそうですね。昨年も結果そのとおりになってしまったわけなんですけれども、自分なりにその理由を考えてみたところ、やはり東京都の財政力、結論はこの一言に尽きるんだと思います。
ここで再度愛知県のことを持ち出すんですけれども、例えば愛知県の人口は七百四十六万人、対して東京都は千四百二十万人で、およそ一・九倍。一方で、今年度予算で見てみますと、愛知県は一般会計、特別会計、公営企業会計全部合わせて大体四・三兆円、対して東京は十六・六兆円となり、およそ三・九倍です。つまり、人口は愛知県の二倍であるのに予算規模は四倍にも膨れ上がるということになります。およそこれだけの潤沢な予算をとんでもなく的外れな使い方さえしなければ決して有権者に見放されることはないであろうというのが、私が導き出した拙い考察であります。
そして、今回、地方創生二・〇として予算もこれまでの倍、二千億円にするとのことでありますけれども、東京一極集中の是正という意味においては全くの焼け石に水ではないかと言わざるを得ません。というのも、東京都の来年度予算を少しのぞいてみるだけでも、全くの桁違いだということが一目瞭然で分かります。
いろいろあるんですけれども、一つだけ例を挙げますと、多摩、島嶼振興に二千九百六十三億円、来年度の東京都予算から計上されております。これについて言うと、いわば東京都が都内の地方創生に自ら二千億以上を計上しているということになります。そして、何よりも、予算を組むに当たってのスローガンは、世界で一番の都市、東京の実現に向けた施策展開だとあります。日本を造作なく超えて世界一を目指すというのですから、東京の求心力はますます高まり、地方との格差は広がるばかりであります。
また、石破総理は施政方針演説の中で、地方創生二・〇こそが楽しい日本を実現するための政策の核心であり、都市対地方という二項対立ではなく、都市に魅力を感じる方、地方に魅力を感じる方、そうした一人一人の多様な幸福が実現できる場として都市も地方もその魅力を高めるんだとおっしゃいました。確かに理想はそのとおりだと私も思うんですけれども、やはり現実世界では人は都市に魅力を感じる方の方が圧倒的に多いんだと思います。結果、東京は楽しい、東京だけは楽しいんだと人は引かれ、物が集まり、金が吸い寄せられてきたわけです。
そこで、質問ですけれども、これまで私が述べてきた莫大な東京の財政力、そして更に上を目指そうとする姿勢、なおかつやはり人は地方よりも都市の魅力に引かれるんだという事実、これらを勘案しても、それでも皆さんが一極集中を是正し多極分散型の多様な経済社会を構築できると考える根拠、理由は何なのか、これをお伺いしたいと思います。
○岩間政府参考人 お答え申し上げます。
まず、委員お尋ねの財政力の点でありますが、政府という部分で申し上げると、行政サービスの地域間格差、これが過度に生じないように、地方公共団体間の税収の偏在状況、財政力の格差の調整状況等を踏まえつつ、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築が重要という認識でございます。
その上で、地方創生ということでありますので、改めて、私どもの都市と地方という関係ということで、少し根っこの部分でありますが申し上げさせていただきますと、まず、都市でありますが、一極集中の現状はありますが、実際には、食料ですとか水、エネルギー、そうしたものの多くというのを実際に地方から供給されて成り立っている、これは事実だと思います。一方で、地方でありますが、そこで生産される農産物ですとか工業製品、こうしたものを大消費地である都市に出荷するということで利益を得ている。まさに相互に存在するという関係だろうということでございます。
その上で、さらにということで、昨今、観光ですとかインバウンド、そうしたところの論点もありますが、都市、地方、それぞれの育まれます歴史、文化芸術、こうしたものも我が国の魅力の源泉ということでありまして、一方で、東京では、冒頭委員が御指摘いただきましたような、通勤時間、通学時間、それから住宅費の高騰ですとかそうした東京都固有の課題、あとは地震ですとかそうしたリスク、そうしたところもあろうかと思います。そのような認識の下で、都市、地方がそれぞれのよさを発揮しつつ相互に恵みを分かち合う、こういうことが大事だということでありまして、総理もおっしゃられておりますが、地方創生二・〇、この中で、東京圏への過度な一極集中の是正の観点も含め、施策の具体化を進めてまいりたいということでございます。
○西川(厚)委員 ありがとうございました。
ここで、もう一度、去年の都知事選挙の話に戻りたいと思います。東京一極集中の是正を公約に掲げた極めて有力な候補者が出馬いたしました。当時、私も、東京都政のトップを目指す者がそれを掲げて果たして都民の納得は得られるんだろうか、むしろマイナスに働くのではないかと不思議に思っておりました。
ただ、選挙の結果はともかくとして、本気で一極集中の是正を成し遂げようとするのであれば、確かに、東京都政のトップの意識が変わることが実現すれば、これほど有効な手だてはないと思います。少なくとも地方創生二・〇よりはるかに手っ取り早い話になると思いますけれども、やはり有権者の感情としては、富の集中を否定するような話にはなかなか乗ることは困難でしょう。
では、人を変えるのではなくて、場所を変えてみるという視点ではどうでしょうか。つまり、首都のトップを変えるのではなくて、首都自体をほかの場所へ移してしまえという、そんな考え方です。
実際、かつて我が国でも、東京都の一極集中の是正に向けて、首都東京の移転、この場合は遷都ではなくてあくまでも都市機能の移転についてでありますが、前向きに議論が重ねられた確かな時期がございました。
遡ること高度経済成長期、東京では、人口集中を背景として、住宅、ごみ、水資源問題等、東京の過密とそれに伴う弊害が顕在化するようになります。既に、この昭和三十年代、首都機能移転問題についての提言はそれなりに寄せられておりました。
昭和五十年代に入る頃には、国土利用の再編という視点からも、国会、政府、それぞれでも議論が始まり、六十年代には、いよいよ東京圏の異常な地価高騰が深刻化する中で、大規模災害のリスクにも鑑み、多くの首都機能移転論が提案されるようにもなりました。
そして、議会開設百年に当たる平成二年十一月、衆参両院本会議において、国土全般にわたって生じたゆがみを是正するための基本的対応策として一極集中を排除し、さらに二十一世紀にふさわしい政治、行政機能を確立するため国会及び政府機能の移転を行うべきである旨の、国会等の移転に関する決議が行われております。その後、平成三年八月には、衆議院に国会等の移転に関する特別委員会が設置をされ、翌年、議員立法による国会等の移転に関する法律が制定をされております。
平成七年、阪神・淡路大震災が発生した際には、やはりリスク分散の必要性がより強く認識されるようにもなりました。そして、いよいよ、諸々の検討を経て、平成十一年十二月、国会開設百年の国会移転決議からちょうど九年後に当たりますけれども、三か所の地域が首都機能の移転先の候補地として選定されることになりました。すなわち、北東地域の栃木・福島、東海地域の岐阜・愛知、そして、将来新たな高速網、リニアのことを想定しておりますが、これの整備を条件として三重・畿央地域。
ただし、結論から申し上げますと、首都機能移転については、皮肉にも、これら三つの地域が候補地として選定されてしまったがゆえに、それ以降、前に進むことは全くありませんでした。
その理由の第一は、ちょうどこの年の四月に東京都知事選挙で圧倒的勝利を収めた石原慎太郎都知事の登場です。東京再生こそが日本再生との持論をひっ提げた新しい知事が首都移転など許すはずはまずありません。
候補地選定の直前に、東京と周辺八つの県で発行される六紙の新聞に、自らモデルとなり、ブーイングのポーズで、首都移転の経費は約十二兆三千億円、バブルが生み出した不良債権と同様、将来大きな負の遺産になる、こんな意見広告を掲載されました。そして、候補地選定日当日には東京体育館にて一万人規模の首都移転に断固反対する国民大集会を開催、五十五人の超党派の東京都選出国会議員や、東京商工会議所など百五十以上の団体、移転構想の見直しで足並みをそろえる神奈川、千葉、埼玉各県からも関係者が出席し、移転反対を決議しています。
また、理由の二つ目に挙げられるのは、一つの地域に絞り込む覚悟がそもそもなかった、そんな指摘です。反対する東京も東京なら、今度は三つの移転候補地選出の国会議員が地域エゴむき出しの誘致合戦をおっ始め、もしも最終判断をするとなると一斉に沸き起こるであろう計り知れない批判に事務局の国土庁が到底立ってはいられなかったとの指摘であります。
そして、三つ目の理由は社会情勢の変化でした。バブル経済による地価高騰などが東京一極集中の弊害とされて本格化した議論も、この頃にはバブル崩壊による景気低迷で移転の機運自体がしぼみ、地価の下落や激化する経済の国際競争を思うならば、むしろ時代は、いかに東京の魅力を高めるのか、そんな議論すら台頭するようになっておりました。
その他、巨額な移転費用や、当時、既に新しく首相官邸は完成し、新公邸の建築や議員会館の建て替え計画も進行中、中央省庁の再編も落着、こうした理由などなどをもって、これまで積み上げられてきた全てが御破算となってしまいました。
黙っていられないのは国民です。大山鳴動してもネズミは一匹も出てこなかった。こんなとんでもない壮大な茶番劇を見せるだけ見せつけておいて、勝手に幕が下りてしまいました。
しかしながら、私自身は、確かにこんな茶番ではあったものの、それなりの教訓は示されたと思っております。
例えば、さきの石原都知事が主導した一万人反対集会ですけれども、壇上には超党派の大物政治家がずらりと並んだとあります。中でも最も大物だったのは不破哲三当時共産党委員長だったそうで、つまり何が言いたいかといいますと、東京一極集中の是正について問うとき、それは、どの政党が積極的でどの政党が消極的だとの色分けは全く不可能だということ。そうではなくて、東京及び首都圏選出の議員は一極集中を是とし、地方選出の議員は非とする、そんな姿勢です。当然といえば当然の話なのかもしれません。
そこで、今日は、首都圏選出の政務三役は横浜市を選挙区とされる古川直季大臣政務官がお見えですので、首都圏選出の議員のお一人として東京一極集中の是正についてどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○古川大臣政務官 お答えいたします。
私は首都圏選出の国会議員ではありますが、過度な東京一極集中は、少子高齢化、過疎が進む地方における地域社会の担い手不足とともに、災害リスクなどの点から大きな問題であり、その是正は我が国全体にとって喫緊の課題であると認識しております。
我が国はこれまで首都圏と地方が一体となって発展してきたものと認識しており、首都圏と地方がしっかりと支え合い、活力を高めていくような環境をつくることが重要であると考えております。
石破内閣としては地方創生二・〇の推進を最重要政策に位置づけており、総務省としても関係省庁と連携しながらしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○西川(厚)委員 ありがとうございました。
それでは、次に、村上大臣にも、東京一極集中の是正について、そして、首都機能移転の議論も実際当時国会で見聞きされたと思いますので、その当時の空気感なんかも併せて触れていただければと思います。
○村上国務大臣 西川委員の御質問にお答えしたいと思います。
確かに、あの頃は非常に活発な議論がありまして、本当にけんけんがくがくの議論がありました。私の個人的な見解を申させていただきますと、東京一極集中の大きな問題は政治と経済の中心が重なっていることだと思うんですね。例えば、アメリカは、ワシントンが政治の中心であって、ニューヨークは経済の中心である。そうすると、政治と経済が重なりますとどうしてもやはり集中せざるを得なくなる。西川委員の御指摘は全くそのとおりで、本当に鋭い指摘だと思います。だから、首都機能移転について、いわゆる国会等移転については、国会において一時は、三十年近く前ですけれども、かなり活発に議論されておりました。
ただ、平成二年の衆参両院において決議された国会等の移転に関する決議では、人口の過密、地価の異常な高騰、良好な生活環境の欠如、災害時における都市機能の麻痺等の課題に加えて、地域経済の低迷や過疎地域の拡大の課題が指摘されておりました。これらの課題は現在もそのままだ、おっしゃるとおりだと私も考えております。
さらに、平成二十三年には東日本大震災が発生しまして、令和二年には新型コロナウイルス感染症が拡大するなど、国民の間でも東京一極集中による災害等のリスクは広く認知されるようになってきており、また、東京一極集中の是正の必要性はおっしゃるとおり更に高まっていると考えております。
石破内閣として地方創生二・〇に取り組む中で、東京一極集中の是正に向けて総務省として大きな役割を果たしてまいりたいと考えていますが、先ほど委員が指摘された、人口は二倍ですかね、ただ、予算が四倍ですか、やはりこれが一番大きな課題だと考えております。地方財政における分担はみんなでシェアしていく必要があるんじゃないか、そのように考えております。
以上であります。
○竹内委員長 時間が参っておりますので、簡潔にお願いいたします。
○西川(厚)委員 分かりました。
私自身は、地方創生二・〇と東京一極集中の是正なんですけれども、やはりこれは別次元で考えていく必要があるんだと思っております。東京一極集中の是正に向けては、とにかくこれは全ての関係者を説得するその力、何よりもその大きな説得力が必要だと思っておりますので、是非これからもよろしくお願い申し上げたいと思います。
終わります。
○竹内委員長 次に、おおつき紅葉君。
○おおつき委員 立憲民主党のおおつき紅葉です。
ちょうど今、西川委員が人口の問題について伺ったので、ちょっと順番を変えて、三番の人口減少問題からまず大臣に伺いたいと思っております。準備はよろしいでしょうか、済みません。
日本の人口減少問題というのは今海外が注目しているところというのは皆さん御存じだと思います。日本の人口減少が余りに激しく進んでおりますので、海外からは日本、大丈夫かというような状況で、まさに今、人口の崖が迫ってきている状況なんじゃないんでしょうか、大臣。
大臣のこれまでの、就任会見も聞きました、この間、所信の表明も聞きました。それで、看板政策の地方創生。今、東京一極集中の是正のお話もされておりましたし、今の歴史の話も大変勉強になりました。その中で、石破政権としても、今、人口減少に歯止めをかけると。しかも、石破総理も、三度目の日本として目指すべき国家像が楽しい日本と。これで地方を元気にして、地方の活性化に努めていく、人口減少に歯止めをかけるということなんですけれども。
大臣も、実は以前の会見で、就任会見のときに、地方再生の担当大臣を二十年前に行っていたときの話をして、自主、自立、自考というスローガンで、自分で自立によって自分の頭で考える、これをスローガンでやってきて、これをまた皆さんとともにやっていきたいなということなんですけれども、どう人口減少と関連しているのか、ちょっと説明していただいてよろしいですか。
○村上国務大臣 唐突な質問で、正直申し上げて、なぜ二十年近く前に自主、自立、自考かといったときに、私は地域再生で全国を見て回ったんです。そのときに、全市町村を回ったのが、藻谷さんという専門家がいました。藻谷さんといろいろ議論したときに感じたのは、やはり地域はそれぞれの宝を持っている、自分たちでそれが何であるかを見つけて、それを伸ばしていくことが重要じゃないかと。その藻谷さんの集めた、たしか錦織り成す地方の再生というガイドブックがあったんですけれども、それぞれの地域の成功事例を何十、何百と書いてあって、ああ、なるほどなと。やはりそれぞれの地域の人たちがそれぞれ自分の地域の宝を自覚して、そして自分たちがこれを伸ばしていこうということが重要なことだと、自主、自立、自考ということを申し上げたんです。
今の問題ですけれども、正直言って人口減少に歯止めがかかっていないのは、ちょっとまずいかな、私の意見を申し上げさせていただきますと、要するに、我々より一つ上の世代は一学年二百七十万人いたんですね。今年の新生児は六十三万ですかね、もう七十万も切ったんですね。お分かりのように、物理的に言えば、正直言って、子供さんを産んでくださる約二十代から三十五ぐらいまでの女性の方が激減しているわけですよね。つまり四分の一になっていると考えますと、それに婚姻率も下がっている、出生率も下がっている、分母が四分の一になって出生率がこういうふうに下がったら、どう考えても計算的には、ここまで言うと問題になるからあれですけれども、計算的に考えると、日本人だけで本当に人口を増やすことが妥当なのかどうか、私はそろそろ考える時期に来ているんじゃないかと考えております。
つまり、そういうことをやはり根本的に考える時期に来ているということはどういうことかというと、アメリカがなぜ今日のように発展を続けられるかというと、頭脳と労働力は移民なんですよね。これから日本はそういう問題をどうするかということをやはり正面から議論していく時代に来ているんじゃないかと私個人は思っています。
ただ、総務大臣でありますので、大臣の答弁をしたいと思います。
現在、我が国では、人口減少、少子高齢化、過疎化、地域の担い手不足の顕在化など、待ったなしの課題が山積しています。次の十年を見据えた地方創生二・〇の推進は最重要政策の一つであるとの強い思いを持っています。
こうした中、総務省においては、地方創生の取組として、若者、女性、シニアや副業、兼業人材など、地域の担い手となる人材の確保、産官学金労言の連携による地域経済の好循環の促進、関係人口を始めとする地方への人の流れの創出、拡大、地域におけるDXの推進やデジタル人材の確保、育成などに取り組んでまいります。
今後とも、地方こそ成長の主役との発想に基づき、地方創生二・〇の推進に向けて、これまでの経験を十分に生かしながら、持続可能な地域社会の実現に向けた取組を進めてまいりたいと思います。
あえてつけ加えさせていただきますと、今、仕事場が東京ですから私は東京にいますけれども、将来、リタイアしたら真っ先に地元の愛媛に帰りたいと考えています。
以上で終わります。
○おおつき委員 もっと聞きたいぐらいですよね、確かに。大変、個人的な意見と政府の意見が全然違って、ちょっと今びっくりしているところなんですけれども。
まさに大臣が所管をされていた二十年前から、まさに今分析をされているように人口は減っていって地方は疲弊していて、特に子供を産もうと思う女性が地方で減っている、また、産む世代の女性たちが激減しているという地方の現状があることは今おっしゃったとおりです。だから、実は、二十年前の大臣に会えたとしたら、そのときに何とかしてほしいというのが私たち世代の声なんですよ。この二十年間何をしてきてくれたのかという気持ちで正直おりますので、この質問をさせていただきたいと思います。
昨年の四月に地方自治体の持続可能性分析レポートというのが発表されたのは皆さん御存じだと思います。この十年間の取組にもかかわらず、人口減少、人口流出に歯止めが利きませんでした。例えば私の地元北海道でも、道内百七十九市町村のうち百十七団体が消滅可能性自治体とされて、その割合は六五・四%です。大臣が今帰りたいとおっしゃった地元愛媛県内も、全体の半数以上の十二市町村、これが消滅可能性都市となっております。
このレポートの中でも、人口の流出が激しく社会減対策が必要だが、自然減対策も必要な自治体は少なくないとされているんですけれども、今おっしゃった流れで、先ほど移民の話もありました、今、人口の崖が迫ってきているんです、大臣。だからこそ今どんな手を打っていくのか、いま一度、特に今どこに力を入れるために所信表明を行ったのか、是非答弁をお願いいたします。
○村上国務大臣 正直言って私がすぐ答えられるような問題だったら、この問題は非常に難しい問題だと考えています。ただ、人口減少問題は、先ほど来申し上げているように、私の個人的意見を申し上げれば、いろいろな子育て支援をやるということもそれも重要だと思うんですけれども、果たしてそれだけで解決できるかどうか、本当に本音の議論をしないと難しいというふうに私は考えています。ですから、委員の質問は根源的な問題で重要な問題であるんですけれども、そう一長一短になかなか私の能力では答えられないような気がします。
それから、なぜ二十年前にやらなかったかと言われたんですが、その当時はまさかこんなに加速するとは思っていなかったんですね。逆にまた増えるんじゃないかというような感じさえもあったので、そこら辺がその当時の人間たちはやはり余り先見性がなかったんじゃないかと思います。
○おおつき委員 確かにその当時の認識が甘かったんだと思います、まさに。だからこそ、例えば大臣の会見もこれまでも聞いてきたんですけれども、これまでの延長線上だけじゃ駄目なんですよ。やはり現状維持バイアスを打破していく、この崖を乗り越えていくためには、国家プロジェクトとして進めていかなきゃいけない段階だと思いますので、是非覚悟を持って取り組んでいただきたいと思っております。
人口減少問題に歯止めがかかっていないこともありますし、地域によっては住む場所の問題も抱えております。インフラの整備の問題もそうですね、地方に行ったら。これをどこまで、どの地域まで維持するかという議論も今回の能登半島沖地震でされたところでもありますけれども、まさかのインフラ整備、埼玉の陥没の今回の事故、そして千葉や各地域で今この陥没の事故が相次いでいることも含めると、もはや地方だけではなく都市部もインフラの問題も深刻な問題だということが分かってまいりました。
そこで、伺いたいんですけれども、例えば私たち立憲民主党は、こういった課題も含めて、エネルギー事業や公共交通、上下水道の事業等を一体的に運用することで、地方自治体が運営する事業の安定化、そしてサービスの向上を目指している、こういったことを公約としても掲げているんですけれども、仕組みづくりから覚悟を決めて抜本的に考え直さないといけないという考えを今政府もお持ちでしょうか。そして、具体的なアイデアを持ってこの問題に臨んでいるんだとしたらまた改めて教えていただきたいんですけれども、お願いいたします。我が党は日本版シュタットベルケというドイツの方式を参考にしているんですけれども、この提案、いかがでしょうか。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
急速な人口減少が進む中で、今インフラのお話がございましたけれども、資源の不足、偏在、非常に大きな課題が起こっていると考えております。
このような問題意識があるものですから、地方公共団体の実情や取組も伺いながら、有識者の専門的な知見もおかりして、どのような対応が考えられるか議論を深めていくために、昨年十一月に持続可能な地方行財政の在り方に関する研究会というのを総務省の中に立ち上げてございます。
地方公共団体の行財政を持続可能なものにしていくために、自治体DXや連携の更なる推進に加えまして、国、都道府県、市町村の役割の在り方も含めてどのような方策が考えられるか、地方公共団体の声を伺いながら今検討しているところでございます。
○おおつき委員 地方の人口流出の原因は、インフラだけではなくて、実は様々な行政サービスの地域間格差の拡大もあると思っております。
私、昨年の秋の衆議院選挙で二度目の当選をさせていただいたところだったんですけれども、北海道新聞で選挙期間中に行ったあるアンケートがありまして、この結果が選挙期間中に一面を飾ったんですね。それが、地方から高齢者が去っていく、介護理由の住民転出が七十五市町村。つまり、地方に受けたい介護サービスがなくて、その地域から高齢者の方々が引っ越さなきゃいけない、転居しなきゃいけない、こんな事態に地域は今なってきているという現状です。これは北海道だけじゃないと思います。
例えば、今、介護分野では、介護の職員の担い手不足が大きな問題になっていると思っております。介護事務所の閉鎖や倒産が相次いでおりまして、将来の事業所の閉鎖に不安を感じている自治体は北海道内だけでも八割強ありまして、百四十六町村に上っていると言われています。北海道では札幌市が介護サービスの選択肢が比較的に多いので、こうやって都市部に移住を決める方も多く出てきておりまして、介護サービスの地域間格差によって人口が流出しているわけです。
でも、この方々も、働いているときは社会保険料を納め、そして介護保険料を納めている方々なんじゃないんでしょうか。でも、今住んでいる地域で思っているサービスが受けられない。この日本の現状を何とかしていかなきゃいけないと私は思っています。
介護サービスだけではありません。例えば、子供、子育て支援もそうですし、公共交通もそう。運転手が不足して、路線バスの廃止や減便が進んでおります。例えば、電車の廃線を決めても、バスに転換するといってもバスの運転手がいない、これが地域の実情です。また、ほかにも、建設業もそう、運輸業もそう、サービス業で人手不足の関連の倒産が相次いでいて、地方の仕事もなくなってきています。
先ほどからおっしゃっております地方創生二・〇の基本的な考え方においても、年齢を問わず誰もが安心して暮らせるよう、地域のコミュニティー、日常生活に不可欠なサービスを維持する、このようにおっしゃっていますけれども、そこで、人口流出を止めるためにも、是非日常生活に不可欠なサービスを維持してほしいと思います。その際には、都市と地方での格差が生じないように是正すべきであります。介護や健康保険料を払っているのに行政サービスを満足に提供できない自治体が存在することに対して、対策を考えていらっしゃいますか。
○大沢政府参考人 委員お話がありました介護サービス等について、供給力、つまり人材がかなり不足しているという現状は我々も大変危機意識を持っておりますし、所管省庁は厚労省になりますけれども、我々も連携をして、そういった格差についてしっかりと対処すべく、今後も連携を深めながら検討していきたいというふうに思います。
○おおつき委員 まさにこれが、私は政治や行政への信頼を取り戻す一歩だと思うんですよ。だって、サービスって、一番身近に感じている公共のサービスじゃないですか。なので、私は、このサービスの競争によって地域間での人口の奪い合いが起こっている現状をやはり政治は何とかしていかなきゃいけないと思いますし、勝つ自治体と負ける自治体が出てきている、この競争のほとんどの場合が、財政力や地理的な条件などによって勝敗がついてしまっているところなんです。総務省として、財政力が弱い自治体、条件不利の地域の自治体から人口が流出し続けるといったことがないように、地方をしっかりと是非守っていっていただきたいと思っております。
それでは、一番目の質問に行きます。
その条件不利な地域というのでいくと、今、大雪が日本列島を襲っておりまして、また来週にも雪が降るというような警鐘が気象庁からも出ているところだと思います。先日の二月五日の省庁別審査でも、我が党の吉川筆頭と大臣のやり取りの中で、今週にも除排雪経費の実態を丁寧にお伺いして特別交付税の算定に適切に対応していきたいということなんですけれども、現状はどうなっているのか、事務方、お伺いしてよろしいでしょうか。
○大沢政府参考人 現在、自治体の除排雪経費の実態を丁寧に伺っておりまして、本来はもっと前に除排雪経費の状況を聞き取るという予定にしておったんですけれども、先週来の豪雪の影響もございますので、そういった調査の締切りを少し延ばして、今週また実態を把握したいと考えておりまして、こういったことを踏まえて、特別交付税の交付は三月でございますので、算定作業を進めて、自治体の財政運営に支障が生じないようにしてまいりたいというふうに考えております。
○おおつき委員 是非丁寧にお話を伺っていただきたいと思います。
まさに二月三日から五日に起きた大雪で、例えば北海道の帯広市、ここは毎年、割と雪は少なめなところなんですね、北海道の中でも。それでも、国内観測史上、過去最大となる百二十センチ降る。百二十センチということは、大体、車が埋まったりするんですよ。急に降るので除排雪が追いついていない、今もまだバスが全面再開できていない状況なんです。こういった現状があることをまず分かっていただきたいことと、あと、七日には新潟県の一部でも、大雪に伴って住宅が倒壊するおそれがあるとして災害救助法の適用が発表されたこともあります。
まさに想定外の災害級の大雪が、今、全国各地で発生しております。これまでのようにしんしんと雪が降るのではなく、急にどか雪が降る、こういった気象の変化があるんですね。さらに、今年は、大雪による除雪回数の増加だけではなく、燃料費や物価の高騰も深刻なんです。これで各地域で想定を上回る大幅な除排雪費の増加が見られておりまして、自治体によっては補正予算で除排雪費を追加せざるを得ない状況になっております。今、地方に住むのは、朝起きて雪かきから始めて体力的にもしんどいですし、こういった光熱費の高騰によって地方に住むこと自体が今高くなってきている、こんな傾向があるわけですね。
去年も申し上げたんですけれども、道路の除雪。排雪というのはたまった雪を持っていく、この排雪の方がお金がかかるんですけれども、住民の生活や地域の産業を守るためにはまさに不可欠なことなんですが、予算が乏しくなったからといって自治体が道路の除雪をちゅうちょするということがあってはならないんですね。だからこそ国がしっかりと責任を持って対応すべきではないかと思っております。そして、今の状況を聞いて、改めて、検討状況、そして省庁別審査のときから一歩踏み込んだ回答をお願いしたいんですけれども、どうぞお願いいたします。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
委員御承知のとおり、この冬には、年末年始の大雪に加えまして、二月四日からの強い寒波の流入によりまして記録的な大雪となっている地域がございます。
道路の除雪、排雪は、地域の安全、安心な暮らし、経済活動を支える上で極めて重要だと思っております。
このため、国土交通省といたしましては、公共団体が管理する道路の除排雪、その費用の一部を補助してこれをしっかり支えていきたいと考えておりますし、支えているところでございます。
具体的には、地方公共団体からの御要望を踏まえ、年度当初に一定額を配分した上で、その後、一月から、積雪状況、実態ですね、それと除排雪費の執行状況、こうしたものを把握しまして、年度末までに追加配分をすることとしております。
引き続き、積雪状況などを丁寧に把握し、地方公共団体が道路除雪を迅速にしっかりと行えるよう、除排雪費の追加支援に対応してまいりたいと思っております。
○おおつき委員 是非、地域の除排雪事業の現状、実情をしっかりと聞いて、適切に財政支援措置をしていただくよう、改めてお願いを申し上げます。
次は、緊急浚渫推進事業債について伺います。
この事業債は、地方団体が単独事業として緊急的に河川等のしゅんせつ、これは川底の土砂などを掘り上げる工事のことなんですけれども、このしゅんせつを実施することができるよう、令和二年度の地方財政計画において新たに緊急浚渫推進事業費を計上するとともに、地方負担額を全額地方債で措置することができるようになるため、本来地方債の対象とならないしゅんせつの経費を特別に地方債の発行が可能となるように地方財政法を改正して創設されました。
この事業債は、近年の自然災害の激甚化、頻発化の影響もあって、地方のニーズも高いんですね。活用実績も、令和二年度の六百五十一億円から令和五年度の一千九十四億円へと年々増加しているものと承知をしております。そんな中、事業期間は令和六年度までとなっておりまして、これについて地方からも事業期間の延長を望む声が多く寄せられていました。このような地方の声もあって、令和七年度の地方財政対策では緊急浚渫推進事業費の拡充、延長が取り上げられておりますが、この内容について教えていただけたらと思います。
○大沢政府参考人 お答え申し上げます。
河川等のしゅんせつによりまして、短い事業期間と少ない経費で効果的、効率的な水害の未然防止につながっているところでございまして、緊急的にしゅんせつを実施すべき箇所がまだ多く残っているという状況でもあります。
このため、緊急浚渫推進事業債について、特例措置の期間を五年間延長するため、地方財政法の改正案を今国会に提出しているところでございます。
また、令和七年度から、河川等と同様、越水した場合に甚大な人的被害や家屋被害が生じる危険性がある農業用排水路に係るしゅんせつにつきましては、地方団体の要望も踏まえまして対象事業に追加することとしたいと考えております。
○おおつき委員 では、事業期間が五年間延長されて、農業用の排水路に係るしゅんせつが対象事業に追加されるということは喜ばしいんですけれども、もう一点お伺いしたいのが、例えば私の地元にも積丹町に、河口の付近に漁港があるんですけれども、急流な河川であることもあって、下流から河口付近に土砂が堆積してしまって、漁港と河川で予算がどうなるんだと地元の方々も悩んでいたりするところで、大変困っているんですね。こういった場所に関しては頻繁にしゅんせつを行う必要があるんですけれども、経済的な負担も大きくなってしまうと思いますので、漁港の出入口の土砂をしゅんせつする際には現在どのような財政支援があるのか、お伺いいたします。
○中村政府参考人 お答えいたします。
将来にわたり漁港機能を持続的に発揮させるためには、漁港施設の強靱化や長寿命化対策を計画的に実施していくことが重要と認識しております。
このため、水産基盤整備事業におきまして、漁港施設である航路や泊地の機能の確保が必要と認められる場合には、しゅんせつについても支援の対象としているところです。
○おおつき委員 ありがとうございます。
ただ、例えば河口付近については、漁港の出入口をまとめてしゅんせつする際に緊急浚渫推進事業債も使える方が分かりやすかったりするんじゃないかなと思うんですけれども、総務省、これは対象事業となっているんでしょうか。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
漁港施設について、災害の発生を予防し、又は災害の拡大を防止することを目的としてしゅんせつ事業を行う場合は、緊急浚渫推進事業債の対象とはなりませんが、緊急自然災害防止対策事業債の対象となっております。
緊急自然災害防止対策事業債については、緊急浚渫推進事業債と同様に、充当率一〇〇%、元利償還金に対する交付税措置率七〇%の措置となっているところでございます。
○おおつき委員 縦割りの弊害が、地域の自治体にとって分かりにくい制度だと使いにくくなってしまうので、是非皆様方にも丁寧で分かりやすい説明を引き続き求めていきたいと思っております。
次に、五番の自治体の情報システムの標準化、共通化について、先ほどおおたけ委員からも質問がありましたので、私からは簡潔に確認をさせていただきたいんですけれども、省庁別審査で吉川筆頭からもこういった質問の流れがありました。その中で、運用経費の増加分に関しては来年度から地方財政措置を講ずるといった答弁がありましたけれども、これは、国の責任において補助金の上限額にとどまらない支援を確実に行うということでいいのか、また、令和八年度以降の移行に伴う経費にも確実な支援を行うのか、確認をさせていただきたいと思います。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
自治体の標準準拠システムへの移行経費でございます。基金の設置年限が法律で令和七年度末とされておりますが、一方、システムへの移行完了が八年度以降となる見込みのシステムが一定数ございますので、この基金の年限の延長を求める意見がありますので、これにつきましては、標準化基本方針というものを昨年十二月に改定してございますけれども、五年延長をめどに検討するということで、今、法律の改正を検討してございます。
また、七年度末に向けて、総務省におきまして各種経費の分析を行い、デジタル庁の協力も得ながら、運用経費等も含めまして必要な情報提供等をどのようにして工夫していくべきかというようなことを、見積りの工夫の仕方ですとか、その辺りも含めて必要な情報提供等を行いまして、各団体における効率的な執行になるように支援していきたいと思っております。ただ、その上でもなお必要となる経費につきましては、今後、効率的な執行を踏まえつつ、財政措置を含め、総合的に検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○おおつき委員 その総合的に検討する中に、地方のデジタル人材不足、これをまずは真っ向から受け止めて支援に充てていただきたいと思います。
次に、自治体における宿泊税について伺いたいと思います。
先日、朝日新聞の記事によれば、観光振興の財源等として宿泊税を課す自治体が急増しているということです。私の地元北海道でも、もはや今世界のリゾート地となったニセコ、このニセコと倶知安の地域で、倶知安町が導入を決めております。今年度からニセコ町でも徴収が始まっているほか、道税としても、先日、道議会の定例会において北海道宿泊税条例が可決されるなど、北海道の中でも導入の動きは広がってきております。
さて、この宿泊税なんですけれども、地方税法で決められた税目ではなく、法定外目的税として自治体ごとの判断で導入されているものですが、法定外税は、地方税法によって、条例の可決後に総務大臣に対して協議を行って、総務大臣の同意を得ることが必要とされておりまして、無条件に認められる仕組みではありません。
観光振興は地方にとってとても大切な取組でありますし、必要な財源を確保していくことはこれからも求められ、今後、各自治体が宿泊税の導入を検討する上で、どのような制度設計であれば合意を得られるのかといった考え方を分かりやすく示していくことが必要ではないかなと考えております。
そこで、総務省の考え方について、宿泊税、どのような基準で合意を行っているのかお伺いしたいと思います。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の法定外税の新設、変更につきましては、御指摘のように総務大臣の同意が必要となっております。地方税法におきましては、三つの要件に該当すると認める場合を除いて同意しなければならないというふうにかなり厳格に定められております。
具体的に申しますと、国税又は他の地方税と課税標準を同じくし、かつ住民の負担が著しく過重となること、二つ目が、地方団体間における物の流通に重大な障害を与えること、三つ目が、国の経済施策に照らして適当でないこと、この三つの要件に該当しない限り総務大臣は同意しなければならない、このような仕組みになっているところでございます。
○おおつき委員 時間もなくなってまいりました。最後に、一つお伺いいたします。
宿泊税の税率についての考え方、そして上限額を引き上げる動きについてはどのように評価しているのか、総務省の考え方をお伺いしたいと思います。
○寺崎政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の宿泊税を含む法定外税につきましては、税に対する信頼を確保し、地方分権の推進に資するものとなるよう、税の意義を十分理解した上で、その税収入を必要とする財政需要があることや公平、中立、簡素などの税の原則に反するものでないことなどについて、慎重かつ十分な検討が各地方団体において行われることが重要であると考えております。
議員御指摘の、どのような税負担までというお問合せにつきましては、個々の事案に即して判断することになりますので、一概にお答えすることは困難でございますが、総務省といたしましては、地方税法に定める三つの要件に従いまして同意又は不同意の判断をさせていただく、このようになっております。
○おおつき委員 今後、各地域、コロナ禍も終わりまして、観光客が増えてきております。これから課題になるのは何かというと、オーバーツーリズム対策なんですね。これによって、これまでよりも高額な宿泊税が導入されるような動きが自治体でも出てくると思います。今後更に広がっていくことも見据えて、是非日々刻々と変わる現状に対応していっていただきたいということを改めてお願い申し上げて、私の質問とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○竹内委員長 次に、守島正君。
○守島委員 日本維新の会の守島です。
大臣の所信に関して質問させていただきます。
さきの臨時国会におきまして、二年ぶりに総務委員会に戻ってまいりましたが、大臣は所信で、地方の持続可能性を高めていくことが重要ということで、持続可能な地方行財政の在り方研究会において地方の声を聞きながら国、都道府県、市町村の役割の在り方なども確認していくとされ、実際に昨年十一月からこの研究会が開催されております。まず、この研究会の趣旨、経緯、これを教えてください。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
人口減少に伴う資源制約や社会全体のデジタル化の進展等を踏まえた地方行政の在り方については、これまでも第三十二次それから第三十三次の地方制度調査会等で検討が行われてきてございます。こうした検討を踏まえ、直近では、サイバーセキュリティーの確保や地域の多様な主体との連携等に関し、さきの通常国会で地方自治法の一部改正も行われたところでございます。
他方で、地方行政の現状を見ますと、技術職やIT人材などの専門人材を始めとする資源の不足や偏在が深刻化してございまして、地方公共団体の行財政を持続可能なものにしていく上で大きな課題となってございます。
このような問題意識から、地方公共団体の実情や取組も伺いながら、有識者の専門的な知見もおかりして、どのような対応が考えられるか議論を深めていくために、昨年十一月に持続可能な地方行財政の在り方に関する研究会を立ち上げた、こういう経緯でございます。
○守島委員 設置経緯は分かりました。
直近の課題に対する議論とか研究会の内容自体には異論はないんですが、今局長がおっしゃったとおり、こうしたテーマを扱っていたのは地方制度調査会だと思っているんです。おととし十二月に三十三次地制調の答申が出てから今に至るまで、地制調は動いていない状況です。
実際に、三十三次のポストコロナの経済社会に対応する地方制度の在り方に関する答申でも、第一にDXの進展を踏まえた対応、そして第二に地方公共団体相互間の連携協力及び公共私の連携の深化が書かれていましたし、その前に遡って、三十二次の地制調における答申でも、二〇四〇年頃の目指すべき地方行政の姿として、第一に地方行政のデジタル化、第二に公共私の連携、地方公共団体の広域連携なんかが提案されていました。つまり、何が言いたいかといいますと、地制調がやってきたことと研究会に求められている役割が重複すると思っています。
また、地制調におきましては、皆さん御存じのとおり、過去には道州制であったり、大都市地域における特別区設置法、いわゆる都構想なんか、こうした大きな統治機構改革の枠組みも答申されてきたということが経緯としてあります。持続可能な地方行財政の在り方研究会も、地方の今後を見据えた重要な研究会と思うんですが、第一回、第二回の議論を見させていただきましたところ、大きな統治機構改革とか制度論の話は少ない印象を持ちました。
なので、諮問されている内容は一定重複しているものの、役割とかたてつけが異なるんじゃないかなと感じているんですが、地制調と研究会、それぞれの役割、そして関係性を教えてください。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
地方制度調査会の方でございますけれども、内閣総理大臣の諮問に応じまして地方制度に関する重要事項を調査審議する機関であるということで先ほど来出ておりますけれども、三十三次の地方制度調査会につきましては、令和四年一月から約二年にわたり調査審議を行い、それが法律改正に結びついたということでございます。
今やっている研究会でございます、重なり合うところが多々あるんじゃないかということでございます。もちろん、問題意識として重なるところはあるんですが、とりわけ私どもが非常に今の研究会でやるべきだと考えているところは、まさに人材の不足とか資源の不足という観点の切り口でしっかりと、今お話がございましたけれども、例えば国、都道府県、市町村の役割の在り方でありますとかそういうことも含めて考えていく必要があるという、かなり人材とかリソースの不足というところに焦点を当てて、地方行政体制が回っていくのかということについて細かく議論していきたいということの問題意識で立ち上げたものでございます。
地制調との関係なんですが、研究会における議論の結果等を踏まえまして地方制度の見直しについての検討が必要となり、総理からの諮問を受けるものですから、その諮問が行われた場合には地方制度調査会において調査審議が行われる、そういうことになると考えてございます。
○守島委員 直近の人材不足とかリソースの課題なんかを地制調が補完する形でやっておきながら、地制調はもちろん内閣府に置かれる総理の諮問機関なので、そことも有機的に結びついて提案していただきたいというふうに思っているので、相互補完関係にあるのかなというふうに認識いたしましたが、この研究会は、いつをめどに報告であったり答申みたいなものを出すというスケジュール感があるんでしょうか。ありましたら教えてください。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
今、順次議論を深めております。とりわけ、現場の方の市区町村、都道府県等からのヒアリングもやって、地方の声も聞きながらというふうにやってございますけれども、本年夏頃に取りまとめをしたいというふうに予定しているところでございます。
○守島委員 ありがとうございます。
是非、夏頃をめどに報告を受けて次のステップに進んでいただき、新たな、何か変えることが必要であれば、そうした段階に進んでいただきたいというふうに思っております。
このように、私自身は、地方の声を聞く場は必要で、この研究会の議論も大変有用なものじゃないかと仄聞していて思うんですが、大きな役割分担などの話になればやはり国主導じゃないと動かないんじゃないかな、抜本的な改革の議論にはならないんじゃないかなということをちょっと危惧しております。
実際に、例を挙げると、平成の大合併が終わって、平成二十二年の合併特例法上の改正において、法の目的規定を合併の推進から合併の円滑化に変更しましたよね。そのときに合併推進に向けた国とか都道府県による積極的な関与というのが廃止されて以降、地制調においては、引き続き市町村合併は財政基盤の強化の手法の一つとして今後もなお有効であるとされているにもかかわらず、実際に合併に向かった自治体というのはほとんどなく、合併特例法が改正してからは七つ、二〇一四年四月に栃木県の岩舟町が栃木市に編入したのを最後に日本では市町村合併というのは行われていないので、十年以上地方の枠組みは変わっていません。しかしながら、合併は有効な手法として、特例法は延長延長とされているのが現状です。
だから、幾ら有用であっても、地方主体では自治体の再編のような、ノスタルジックに住民感情を揺さぶるような制度変革はなかなか起こらないと痛感しています。私も大阪都構想を二回やって二回失敗しているので、制度改革がめちゃくちゃ難しいというのは重々理解しています。地方の声を聞くのは重要ですし、研究会の報告書などを待って今後の地方の在り方などを議論していただけると思いますが、大きな制度改革まで踏み込むのは難しいというのは想像しておりまして、やはり大きなかじは国が切らないとならないし取らないといけないと考える中で、村上大臣だからこそ大きな議論を喚起してほしいと思っているんですよ。
さっき、人口減少の話でも、おおつきさんも言っていましたが、やはり本音の議論、ドラスチックな話をしないと駄目だと思っていますし、当たり前の答弁で終わらない村上大臣だからこそ期待するところは我々はやはり委員の立場としてはあるので、そういう点も踏まえて、今後の国と地方の在り方とか統治機構の在り方に関する議論をどのように進めていくべきか、大臣の見解をお聞かせください。
○村上国務大臣 守島委員の御質問にお答えします。
これはあくまで、あくまでですよ、個人的見解として聞いていただきたいんですけれども、まさに私は守島委員と全く同じような考えを持っています。これから人口が、今は一億二、三千万ですけれども、これが今世紀末ぐらいには五、六千万になったときに、今ある国、県、市町村というシステムが本当に構成できるかどうかということは、私は非常に危惧を持っています。
ただ、一応、大臣としての答弁をまず答えさせていただきます。
現在、我が国は急激な人口減少と少子高齢化に直面しており、その中でも住民に必要な行政サービスの提供をしていくために自治体の行財政を持続可能なものにしていくことが重要です。
このために具体的にどのような方策が考えられるか、先ほど局長からも答弁したとおり、現在研究会を立ち上げ、議論を行っています。
その中では、国、都道府県、市町村の役割の在り方を含め検討するように指示をしているところであり、引き続き地方の声を伺いながら必要な検討を行ってまいります。
これが公式見解です。ただ、ここからはあくまで個人的見解でお許しください。
私が今考えていますのは、今言ったように、一億二千万が五、六千万になったら、今のような千七百以上の市町村の構成が難しいと考えています。私は、今、全国を大体三、四十万の市で区切れば、全国で三百から四百の市で済むと思うんです。私は、将来、その市と国が直結して交渉できるシステムが一番いいんじゃないかと。極端なことを言わせてもらいますと、県庁も全部私は要らないし、道州制も意味がないと私自身は考えています。あくまで個人的見解です。よろしくお願いします。
○守島委員 大臣、率直な意見、本当にありがとうございます。
やはり千を超える市町村というのは多過ぎる。人一人にとっては故郷の問題があるので非常に大きな問題ですけれども、これから持続可能性を考えると、ある種ドライに効率的なことを考えていかないといけないというふうに思っております。私も、昔の地制調の西尾勝さんの孫弟子ぐらいに当たりまして、西尾私案といって、無理な自治体は都道府県に事務を移譲しようみたいな私案を出したときにたたかれたという経緯もいろいろ知っているので、本当にセンシティブなところですけれども、政治家が議論から逃げては人口減少の問題であったり地方の持続可能性から抜けられないと思うので、そうした大臣の個人的見解をどんどん広めていただきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
維新の会も、昨年末に代表が替わりまして、党の目的の一つとして、道州制は意味がないとおっしゃられましたけれども、都道府県の一定集約も含めて必要なことは考えていきたいと思っていますし、副首都なんかも掲げていますので、そうした大きな制度改革の議論をこれからもしていきたいというふうに思っております。
続きまして、大臣、退席で大丈夫です。先ほど来出てきている研究会でもやはり肝となっているのは、自治体におけるDX化のことが一番議論されているんですけれども、大きな一歩として、自治体情報システムの標準準拠システムへの移行があります。移行期限は二〇二五年度末ということで、この進捗状況を、先ほど来出ていますが、簡単に教えてください。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
令和七年度末までの標準準拠システムへの移行が難しいと考えられるシステム数は現時点で二千百六十五システム、全体の約六%、当該システムを有する自治体数は四百二団体、全体の約二割となります。
これにつきましては、事業者の人員不足等が主な原因だと考えてございます。
しかしながら、大部分のシステムにつきましては移行作業が着実に進捗していると認識しておりまして、今後も円滑な移行に向けてデジタル庁と連携しながら必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
○守島委員 簡潔にありがとうございます。
時間がかかっているのは、標準準拠システムといえど、自治体ごとにベンダーとシステムを構築しているからだと思っていまして、自治体ごとにスペックとか対応が異なるから進捗にずれがあるんじゃないかと思っています。僕も、自治体側からスケジュールがタイトという声を聞いたり、ベンダー側からはタイミングが集中するのでリソースが逼迫するという声も聞いてきました。
地方公共団体の事務処理のデジタル化を進めるに当たっては、費用や人員の都合上各級機関が汎用的にシステムを使えデータを共有できるような画一性を求めるものと、地方の自立性、多様性が尊重されるべきものがあり、完全にすみ分けできるものではないと認識していますが、こうした画一性と多様性に対する中で、政府は、できる限りのシステムの標準化を図りながら、自治体ごとでシステムを構築するという多様性を認めてきたと思っています。
現在、基幹業務システム二十業務について標準準拠システムへ移行を進めていますが、これ以外についてシステムの共通化をどのように取り組んでいくのか、その展望を教えてください。
○吉田政府参考人 お答えいたします。
今委員から御指摘がありましたシステムの共通化につきましては、昨年六月に閣議決定しました国、地方のデジタル共通基盤の整備、運用に関する基本方針、これに基づいて取り組むこととしておりまして、基本方針においては、喫緊の課題である今も御指摘がありました二十業務に係る情報システムの標準化に引き続き注力することとしています。その上で、二十業務以外については、共通化すべき業務、システムの基準に合致するか検討を行った上で、基準に合致するものは共通化を進めるということにしてございます。
その結果、今年度につきましては、入札参加資格審査ですとかふるさと納税の返礼品確認といった十二件について共通化を推進するための方針の策定を進めるとともに、来年度の共通化候補の選定にも着手したところでございます。
○守島委員 ありがとうございます。
今回の標準準拠システム移行にとどまらず、更なる取組をしていただきたいというふうに思っていまして、方針としてはしっかりやってほしいんですけれども、やはりそれでも受ける側の自治体ごとの進捗には差が出ることであったり、先ほどからもありますように、自治体の人口減少、職員の採用問題、特に自治体におけるDX人材の確保問題が以前から問われていることを考えると、さきの持続可能な地方行財政の在り方研究会においても、DX化について、全ての自治体でのDXは難しい、自治体業務の都道府県移管を進めるべきという議論であったり、地方行政の思い切ったスクラップが重要という声も散見されているんですね。こうしたことも踏まえ、今後、標準化、共通化可能なものを広げていくことも重要なんですが、地方での持続可能性も含めて、抜本的にイノベーティブなDX化も視野に入れてほしいと個人的には思っています。
ちなみに、こうした点について二年前も韓国の事例を紹介させていただいたんですが、自治体システムの全国共通化を目指すことも道の一つかなと思っています。
具体的には、韓国では、日本の総務省に相当する省庁の下に、全ての基礎自治体と広域自治体の基幹行政システムや自治体の内部情報システム及び電子政府ポータルの開発や運営など、自治体が共同利用できる多くのシステムを取り扱っています。つまり、韓国の場合、一元的に自治体の行政システムの構築がなされて、画一的な運用による、ある種効率のよいDX化を実現していますので、日本における自治体ごとの開発とは別のアプローチを取っているわけです。
加えて、韓国の場合、システムは地域情報開発院というところで一元的に開発しているんですが、各自治体においてメンテナンスなんかを定期的に求めて、そこでベンダーによる競争を促すことで、ベンダーロックインが起こらない、そういうものにかからない仕組みを構築していますので、そうしたことも踏まえてお隣にあるICT先進国も是非ベンチマークしていただき、単なるデジタル化ではなく、デジタライゼーションではなく、社会的にイノベーションを起こすデジタルトランスフォーメーションを目指したドラスチックなデジタル行政を期待するので、これは質問じゃないですけれども、意見として聞いていただきたいと思います。
時間なのでまとめますが、先ほどの地方の在り方であったりDXの在り方、これから地方行政を抜本的に変えていかないといけない中で人口減少とかは待ってくれませんので、是非、村上大臣の突破力でこの大きな問題をいろいろ解決していただきたいと思いますし、維新の会としては是々非々で協力していきますので、どうぞよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○竹内委員長 次に、黒田征樹君。
○黒田委員 日本維新の会、黒田征樹でございます。
今日は、村上総務大臣の所信に対する質疑ということで、早速質問に入らせていただきたいというふうに思います。
村上大臣は、所信の中で、先ほどもありましたけれども、国民が安全で安心な生活を送るために総務省は日本の最後のとりでだと。また、地方の持続性を高めていくことが重要だということも述べられておりました。
そこで、まず通告の順番を入れ替えさせていただきまして、先に地方自治体における施設老朽化対策についてお聞きをしていきたいというふうに思います。
先日、埼玉県八潮市で道路の陥没事故がありましたけれども、今なお救助活動、復旧活動が続けられている最中であります。ただ、これは八潮市に限ったことではなくて、全国どこで起こっても不思議ではない、そういう現状等、自治体の老朽化対策が遅れていく要因、苦悩といいますか、そういったところについて村上大臣そしてまた総務省の皆さんと共有をした上で、国がもっと責任を持つべきだという観点から大臣に質疑したいと思います。
地方におけるインフラ、いわゆる道路、橋梁、公園、住宅、学校、上下水道と様々ありますけれども、一九五五年から一九七三年の高度経済成長期、そして、学校施設におきましては一九七一年から七四年にかけての第二次ベビーブームの世代が学校へ通う一九八〇年代にかけて大量に整備が行われてまいりました。
私の地元堺市では、小学校が九十二校、中学校が四十三校、それに加えて支援学校、幼稚園、高校というふうにありまして、全体の延べ床面積の八割以上が今言ったこの時期に整備をされたものであります。つまり、整備からおおむね五十年以上が経過をして、現在、一気に更新時期を迎えているという状況であります。また、そのほかにも、先ほど述べた道路、橋梁、公園、住宅、上下水道の更新時期、こういったことも迎えてきておりまして、これがまさに地方自治体にとって大きな財政の負担となっております。
これも、多少の時期のずれがあったとしても、他都市でも例外ではありません。こういった地方自治体の財政負担に対して、総務省として見直さないといけない点、これを二点指摘させていただきたいというふうに思います。
まず一つ目は、令和七年度地方財政計画の概要というもの、二月に出されたものであります。最新版ですね。この中では、歳出の維持補修費の伸び率、これが前年度比で一・二%、そして、投資的経費の伸び率一%となっております。何が言いたいかといいますと、この伸び率では建設分野における物価の上昇に全く追いついていないというのが現状であります。
二〇二四年の十月、みずほリサーチ&テクノロジーズ、サイエンスソリューション部というところの資料によりますと、材料費、労務費を含む建設分野の工事費というのは、その直近の一年、要は二〇二三年七月から二〇二四年六月のデータ、これでは年率四・四%上昇している、新型コロナウイルスの影響を受けた二〇二〇年三月から二〇二三年五月は年三・八%の上昇ということで、それと比較しても、それ以上の上昇が続いているというのが現状です。
資料の直近のデータであります二〇二四年四月から六月のこの三か月間に限って見ると、年一〇%の上昇があるということで、今後更にこれは上昇していくというところは明らかでありまして、当然、それに見合って財源措置、物価の上昇を見込んだ財政計画を立てていかないと、実質的に現場で受ける自治体は減少をしているというような状況であります。
ですから、要は今の伸び率の見込みというのは低過ぎるんじゃないかなというふうに思っておりまして、大臣が所信でも述べられておりましたけれども、物価高騰への対応として所要の経費を適切に計上するとありました。まずは、物価上昇の実態に合わせて、二つの項目、維持補修費、そして投資的経費、この二項目の伸び率、これを適正に見直すべきだというふうに考えておりますけれども、この辺の見解について、大臣、どう思われますでしょうか。
○大沢政府参考人 お答えいたします。
令和七年度の地方財政計画の維持補修費につきましては、近年の物価上昇の影響が反映された地方の維持補修費の決算額の伸び率を踏まえて所要額を計上しております。具体的には、令和四年とか令和五年とか、直近の決算が判明しているものの近年の伸び率の平均の伸び率を取っているということであります。
また、投資的経費については、まず、補助・直轄事業分については、各省庁の補助事業の計上額を踏まえて、その地方負担分を計上しているというものです。
単独事業につきましては、国の対応と基調を合わせ、国の公共事業関係費の伸び率を参照することを基本としておりまして、令和七年度の政府予算案におきまして、国の公共事業関係費の伸び率がほぼ横ばいであるということから、前年度と同額を計上しているものでございます。
○黒田委員 今のお話にありましたほぼ横ばいだというところも後ほどお話をさせていただきたいというふうに思いますけれども、そもそも自治体に対する負担も多くありまして、そういったところで、自治体の現場においては二の足を踏んでいくというような現状があります。そういったところも理解をしていただいた上で、この伸び率の方はしっかりと見ていただきたいというふうに思います。
今の説明にまた入っていきますけれども、地方自治体が置かれている現状についてであります。
現在、日本の国において人口減少、少子化、高齢化というものが進んでおりますけれども、地方自治体というのは人口誘導に向けて財源を振り絞って住民サービスを拡充する、また、そういった都市間競争が激化するという中で、まず初めに維持補修、そして建て替えなどの更新、若しくは新設に係る予算、そういったものを見直し、若しくは抑制をしていくという傾向があります。
理由は簡単でありまして、更新とか投資の時期を延ばしても住民には分かりにくいからです。だから、優先して取り組まれるのが子育て支援とかそういった福祉分野でありまして。各地方自治体というのは、市民が実感できる住民サービス、そういったところにこぞって財源を投下していくということで、そこに、住民の安全、安心を脅かすインフラの老朽化、破損という潜在的なリスク、こういったものが発生をしますし、今後ますますそのリスクは高まっていくことは、誰もが承知していることだというふうに思います。
そういった中で、総務省として、公共施設等適正管理推進事業債という、地方自治体が老朽化対策を行う際の起債の返済に対して三割から五割は後年度に国が交付税で措置しますよ、そういった制度がありますけれども、公適債を活用したとしても、結局、五割から七割、これが自治体の負担となるわけであります。
その市債の償還でいわゆる自治体の経常収支比率というものが一気に悪化をするということでありまして、経常収支比率の実態を言いますと、政令市平均で九六%、そして市町村、一般市町村でも九三%となっていまして、公適債を活用しても今後更に加速していく。老朽化対策というものを進める体力というものは地方自治体にはもうほぼ残っていません。
ですから、公適債はあった方がいいのは間違いないんですけれども、地方自治体の財政状況に鑑みると、元利償還金の三割から五割の地方交付税の措置ではまだまだ不十分じゃないかなというふうに思います。
実際、先ほどもお話がありました持続可能な地方行財政の在り方に関する研究会の昨年十二月の会議におきましては、財政再建の中でハード事業を抑制しているため、道路、上下水道、農地、公共施設などの改修工事については優先順位をつけて対応せざるを得ない状況だとありました。また、都市間競争の中で、住民サービスの向上に予算を投入せざるを得ない状況もある、そういったことも先ほど僕が例に示したとおりであります。それからまた、今年の一月に行われた会議では、今後インフラの老朽化により更なる行政需要の増加も見込まれるといったこともあります。
ですから、二点目の指摘としては、単純に、現在の基準財政需要額の算定において、維持補修費、投資的経費に対する行政需要の見込み、こういったものが低いんじゃないですかということであります。低いのはそれだけじゃないかもしれませんけれども、ここら辺は、今、老朽化の対策が注目をされる中でしっかり見込んでいくべきだというふうに思います。
そこで、お聞きしますけれども、所信にある地方の声を伺うということであれば、老朽化対策に対して財源不足という課題が何年も前から指摘をされる中で、自治体における維持補修費、投資的経費の基準財政需要額を適切に見込んでいく必要があるというふうに考えておりますけれども、今後更にインフラ更新を迎えていかないといけない、そんな中において、財政需要を見直して地方財政措置を拡充するなど、支援を手厚くしていくべきだというふうに考えておりますけれども、これも大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○村上国務大臣 黒田委員の御質問にお答えします。
委員のおっしゃるとおりで、公共施設等が更新時期を迎えて老朽化が進行していく中にあっては、長期的な視点を持って公共施設等の適正管理に取り組むことが重要である、そのように考えております。
総務省では、自治体に対して公共施設等総合管理計画の策定を要請するなど、公共施設等の更新、統廃合、長寿命化などの計画的な取組を推進しております。
また、公共施設等総合管理計画に基づいて実施する公共施設等の集約化、複合化、長寿命化、転用などの取組に対して、公共施設等適正管理推進事業債により地方財政措置を講じております。
令和七年度においては、この事業債における集約化、複合化事業の対象を拡充するとともに、地方財政計画においても事業費を二百億円増額して五千億円を今計上しております。
引き続き、公共施設等の老朽化対策等に取り組む自治体が適時適切に対策を実施できるように環境の整備に一生懸命努めてまいりたい、そのように考えております。
○黒田委員 大臣、ありがとうございます。
計画策定とかもいいんですけれども、先ほども言いましたように、地方自治体の経常収支というものが九六%、九三%ということで、余力がなくなっているというところをしっかり知っていただきたいと思いますし、老朽化対策、言うまでもなく待ったなしであります。何かあってからじゃ遅いですし、当然事前に対策をする方が費用的にも安いというのは、これはどの文献でも述べられているというふうに思います。
今、自治体の状況というものを様々御説明しましたけれども、それを聞いた上で、まだ自治体任せにしていくというのは僕はちょっと無責任じゃないかなというふうに思いますので、しっかりと国の責任において適切に支援していくというところをお願い申し上げて、この項の質疑を終わりたいと思います。
次に、地方税の充実確保についてお聞きをしたいと思います。
かつて、我が国の地方自治体の歳入に占める自主財源たる地方税の割合、これは三割にしかすぎず、多くを補助金など国からの財源に依存していることから、三割自治とも呼ばれた時代もありました。その後、様々な改革が進んで、今現在、令和六年度当初予算や地方財政計画を見ますと、国と地方の税の配分額は、国税が七十四兆七千八百七十九億円、地方税が四十二兆七千四百九億円となっておりまして、割合にしますと国税が六三・六%、地方税が三六・四%、要は六・四対三・六ということになっております。
一方で、税の実質配分がどのようになっているのかというふうにいいますと、国税の約七十五兆円から、地方交付税として二十兆三千三百六十億円、地方譲与税として二兆七千二百九十三億円、国庫支出金として十五兆九千六百九十八億円などが地方に交付をされております。その結果を反映しますと、国が三十六兆二千九百九十九億円、地方は八十一兆二千二百八十九億円となっておりまして、国が三〇・九%、地方が六九・一%、つまり、国と地方の税配分、実質の配分というものは三対七というふうになるわけであります。
それぞれの地域特性に合わせた真の分権型社会、先ほどからお話もありますけれども、こういったものを進めていくためには、このゆがみを是正していく必要があるというふうに考えております。こういったことは毎年、市町村要望としても上がっているのは皆さん御承知のとおりだというふうに思います。
ただ、国から地方へ交付されている財源のうち、地方交付税、先ほどどなたかの御答弁でもありましたけれども、一定の財政調整の意味合いもあるというところで、その辺は私も理解はしております。ただ、国庫支出金、これは地方にとっては使途を限定されるもので、補助金に依存したそういった運営では、国の基準にのっとった画一的な事業を実施しないといけないということで、住民ニーズを反映してそれぞれの地域特性に合わせた施策を行うことが非常に難しいというふうに考えます。つまり、この部分が大きい場合には地方の裁量権を狭めるといった原因にもなるとも言えると思います。
そこで、お聞きしますけれども、地方創生で東京一極集中を解消するというその観点からも、地方の独自性、これはずっと議論されていると思いますけれども、そういったものが発揮されるよう、僕は、地方の税割合を増やすべきで、まずは毎年市町村の要望があります税配分の五対五を実現していくべきだというふうに考えますけれども、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○村上国務大臣 黒田委員御指摘のとおり、自立した自治体運営には、その基盤となる地方税の充実確保は不可欠であります。これまでも、個人住民税における三兆円の税源移譲、それから消費税率の引上げに際しての地方消費税の拡充などに着実に取り組んでまいりました。
一方、国から地方への税源移譲については、国、地方とも厳しい財政状況にあることや、税源に偏在があれば、地方税を充実すると自治体間の財政力格差が拡大するといったことに配慮する必要があることなども踏まえて検討することが重要であると考えております。
今後も、総務省としては、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組むとともに、地方税の充実確保に努めて一生懸命やっていきたい、そのように考えております。
○黒田委員 ありがとうございます。
先ほどから言っていますように、地方自治体というのは経常収支もいっぱいいっぱいですし、インフラ整備もしないといけない中で住民サービスもしていかないといけないという非常に厳しい状態であります。ですから、独自財源、ここはしっかりと拡充していただくようにお願いを申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございます。
○竹内委員長 次回は、来る十八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時六分散会